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2012.8.31 生態系協会長の池谷奉文氏の見解は正しいので差別ではない。そのため、こういうことで言葉狩りをすると、科学者が真実を言えなくなり、住民はますますリスクに晒される。
 *3のように、日本生態系協会の池谷奉文会長(70)が、東京で開かれた講演会で、東京電力福島第一原発事故を受け「福島の人とは結婚しない方がいい」などと不適切な発言をしたと批判されているが、放射線によってDNAの遺伝情報が変わる場合が多いからこそ、癌になったり、*1、*2のように「福島で『ゲノム解析』をする」と環境相が表明したりしているのである。しかし、変異が見つかった場合には速やかに治療しなければ、原爆の調査時と同様、モルモット役になるだけだ。

 また、放射線によってDNAの遺伝情報が変わるのは子どもだけではないため、子どもを調べるだけでは足りないが、いつも、まるで大人はどうでもよいかのような言い方をしているのには辟易する。また、子どもと妊婦だけで避難できるわけでもない。皆がよく知っている例を挙げれば、ショウジョウバエの突然変異種を作る時に、繁殖前の大人のショウジョウバエに放射線を当てると、その子どもに突然変異が多くできるのと同じ現象が起こるのである。

 そのため、真実を語って注意を喚起した生物系の学者に対し、*3のような上げ足とりをしていると、その人たちも「放射能のリスクは言わない方が無難だ」という判断になり、誰も住民に放射能の危険を知らせず、避難も治療も損害賠償請求もできないまま、遺伝性の病気や癌・白血病をかかえる結果となる。

 池谷奉文会長の「子どもを産むと奇形発生率が上がる」という発言が問題になったようだが、それに対して長崎大大学院の高村昇教授(放射線医療科学)が「科学的根拠はない」といくら断言しても、「奇形発生率は上がらない」という科学的根拠も全くなく、むしろあると考えるのが自然である。そして、実際に、妊婦はレントゲン検査も控えるのが通常だ。そのため、「結婚しない方がいい」というのは、結婚の意味を子作りのみに限定した狭い見方であるため感心しないが、リスクの程度がわからない場合は、皆、最大のリスクを予想して避難するなり、除染するなりの対応をするのが、自分自身のためである。

*1:http://www.minyu-net.com/news/news/0831/news8.html (福島民友ニュース 2012年8月31日 ) 県民の遺伝情報解析へ 子ども中心、13年度から
細野豪志環境相は30日、東京電力福島第1原発事故で被ばくした県民の遺伝子への放射線影響を調べるため、来年度から県民を対象に「全ゲノム(遺伝情報)解析調査」に着手する方針を明らかにした。福島市の福島医大で同日開いた原発事故による健康不安への対応を検討する私的懇談会(座長・長瀧重信長崎大名誉教授)の終了後、記者団に述べた。細野環境相によると、調査は、県の県民健康管理調査とは別に実施。調査には福島医大も関わるが、政府は遺伝子調査の専門機関との連携に向け、すでに具体的な検討を始めている。調査対象や人数などは今後詰めるが、環境省は子どもを中心に調べる方針。細野環境相は「長期的に健康影響を見ていくには、遺伝子レベルの健康影響の調査が極めて重要だ。将来の備えにつながる調査で、特に子どもを健康に育てようと考えている人の思いに応えたい」と語った。

*2:http://www.saga-s.co.jp/news/global/corenews.0.2275893.article.html (佐賀新聞 2012年8月30日) 福島で「ゲノム解析」 / 被ばく調査で環境相表明
細野豪志環境相は30日、東京電力福島第1原発事故の被ばくによる遺伝子への影響を調べるため、来年度から福島県民を対象に「全ゲノム(遺伝情報)解析調査」に着手する考えを明らかにした。 福島県立医大(福島市)で開いた私的懇談会の終了後、記者団に述べた。 細野環境相は「政府としてしっかりと(福島に)向き合っていく。遺伝子の調査はすぐに不安の解消にはつながらないかもしれないが、人間の根源的な遺伝子を調べることで将来への予防になる」と語った。環境省は子どもを中心に調べる方針。

*3:http://www.minpo.jp/news/detail/201208303361 (福島民報 2012年8月30日) 生態系協会長 発言認める 「差別と思っていない」 日本生態系協会の池谷奉文会長(70)が東京で開かれた講演会で、東京電力福島第一原発事故を受け「福島の人とは結婚しない方がいい」などと不適切な発言をしたとされる問題で、池谷会長は29日、報道機関に対して講演記録の一部を公表した。記録には不適切とされた発言内容が含まれていた。ただ、池谷会長は「福島の人を差別するようなことは思っていない」と反論した。一方、講演会に参加した福島市議は同日、記者会見を開き、講演時の発言の撤回を求めることを明らかにした。
(長いので、全文は下の「続き▽」をクリックすると出てきます)

続き▽
| 内部被曝・低線量被曝::2011.7~2012.8 | 11:58 AM | comments (x) | trackback (x) |
2012.8.30 原発比率への国民の意見は0なのに、野田首相は安保に絡めて逃げているが、それならどう安保にからむのか説明すべきである。また、被曝年1ミリシーベルト超の地域は、移住の自由を補償するとともに、公的費用で除染して、その費用は原発のコストに含めるべきだ。
  
      時事通信より                    朝日新聞より

 *2のIPPNWが出した勧告は、全くもっともである。そのため、私は、被曝年1ミリシーベルト超の地域は、移住の自由を補償するとともに、住む人には公的費用で除染して、その費用は原発のコストに含めるべきだと思う。上の図の大熊町はじめ、東北・関東地域の認定は、認識が甘すぎる。

 そのような時、*1の野田首相の「原発ゼロは安保に絡むため簡単に言えない」という逃げには、全く呆れるとともに、消費増税という政策しか打ち出せなかった野田首相の問責決議は当然だと思う。

 また、*3の記事で、「原発ゼロで困るのは、電力会社と立地自治体、原発メーカー」と答えているが、こう答える人が出てこられる時代になったことは、市民の多方面からの努力の成果だ。

*1:http://www.jiji.com/jc/zc?k=201208/2012082801040&g=pol (時事ドットコム 2012/8/28) 原発ゼロ、簡単に言えぬ=野田首相「安保絡む」
(ポイント)野田佳彦首相は28日夜、都内の焼き鳥店で衆院当選1回議員15人と会食した。原発依存度を将来ゼロにすべきだとの意見が出たのに対し、首相は「安全保障の問題が絡むので、簡単に原発ゼロとは言えない」と否定的な見解を示した。

*2:http://www.jiji.com/jc/zc?k=201208/2012082900430 (時事ドットコム 2012/8/29) 被ばく年1ミリシーベルト以下に=ノーベル平和賞団体が勧告-東京
(ポイント)1985年にノーベル平和賞を受賞した核戦争防止を求める医師や学者らの国際団体「核戦争防止国際医師会議」(IPPNW)が29日、東京都内で記者会見を開き、子どもや妊婦の被ばく線量を年間1ミリシーベルト以下に抑えることなどを日本政府に勧告した。IPPNWは28日に福島県を視察。勧告では、子どもや妊婦の被ばくが年1ミリシーベルト超と予想される場合、移住を希望する人の住居や雇用、教育などを支援するよう求め、東京電力福島第1原発事故で1ミリシーベルト超の被ばくをした人の登録制度を早期に確立することも要望した。さらに、「原子力ムラの腐敗した影響力が広がっている」と指摘。放射線の健康影響について、正確な情報の公開が妨げられているとの懸念を表明した。

*3:http://mainichi.jp/select/news/20120813k0000m040111000c.html (毎日新聞 2012年8月12日) 討論型世論調査:「原発ゼロで誰困る?」…民間主催で開催
(ポイント)将来のエネルギー政策の策定に向け、学識者らの民間グループが独自に進める「討論型世論調査(DP)」の討論会が12日、東京都内で開かれた。平均47歳の川崎市民57人が参加し、政府が示した30年の原発比率0%▽15%▽20〜25%の3案について議論した。討論会は10人程度ごとのグループ討論と全体会が行われ、「原発が2基しか稼働していない今夏も乗り切れている」などの意見や素朴な疑問が出された。質問には、国のエネルギー政策に関わる5人の専門家が答えた。会社員の女性(39)は「原発ゼロになると誰が困るのか」と質問。鈴木達治郎・原子力委員会委員長代理は「電力会社と立地自治体、原発メーカー」と答え、辰巳菊子・日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会理事は「原発を推進してきた側」と述べた。

| 原発::2012.8~9 | 02:47 PM | comments (x) | trackback (x) |
2012.8.27 原子力ムラに所属しない国民は適格に国益を判断しているのだから、原発の再稼働はせず、安全な廃炉と速やかな核廃棄物の生物界からの隔離を議論すべき時である。消費税増税より脱原発こそ、不退転の決意で行うべき政策だ。(8.29追加あり)
    
                 朝日新聞より                        東京新聞より

 消費税増税については、「決める政治が大切」「不退転の決意で」などと言って、民意を無視して誤った方針を決めた野田首相は、*1、*2、*3の民意を見ても、やはり「脱原発依存」という暗記した文言を繰り返すばかりで、決断できないようである。それだけではなく、「その民意の解釈が難しい」などと言っている人もいるので、呆れてしまう。

 決める際に大切なのは、何をどう決めるか、そう決めてよいか否かの判断であり、野田首相は、あまりにもこのセンスに欠けている。小泉元総理や小沢代議士は、政策選択のセンスがよいのだが、これは官僚の僕になったか、政治主導をしているかの違いである。官僚の僕にならず、政治主導をすると苦労するというわけなのだ。

*1:http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012082790135709.html (東京新聞 2012年8月27日)原発「ゼロ」7万6800件 意見公募 集計結果
(ポイント)二〇三〇年時点の原発依存度をめぐる国民的議論の結果を検証する政府の第二回専門家会合が二十七日開かれ、パブリックコメント(意見公募)の集計結果が報告された。無効票を除いた八万八千二百八十件のうち、約七万六千八百件(87%)が原発ゼロシナリオ(案)を支持した。同一人物・団体が一つの案に誘導するために複数回にわたって意見を出したような形跡もほとんどないといい、15%案を模索していたとされる政府に大きな影響を与えそうだ。意見公募は七月二日から八月十二日まで、メールや郵送、ファクスで受け付けた。二十二日の初回会合では約七千件の集計経過が発表され、89・6%が原発ゼロ案を選択しており、全集計結果とほぼ同様となった。原子力の安全や健康被害に不安を抱く声も四万七千件超あった。政府が提示した原発依存度の選択肢のうち、15%案支持は1%、20~25%案は8%にとどまり、原発を維持する両案を足し合わせても全体の一割に満たなかった。この意見公募では「コピペ」とみられる文章はほとんどなく、「思いがそれぞれの言葉で書かれていた」(内閣府事務局)とのことである。「やらせ」ではない「原発ゼロ」の重い民意をどこまで政府が受け止めるかが、今後の大きな焦点となっている。

*2:http://article.okinawatimes.co.jp/article/2012-08-27_38260 (沖縄タイムス 2012年8月27日) [「原発ゼロ」最多]具体的な工程表を示せ
(ポイント)手法の違う複数の調査を通じて民意が鮮明になった、ととらえるべき数字である。将来のエネルギー政策をめぐり、政府が国民論議と位置付けた「討論型世論調査」、意見聴取会、意見公募の三つすべてで、2030年の電力に占める原発比率をゼロにする案の支持が最も多かった。野田佳彦首相は「脱原発依存」が基本的な方針というが、東京電力福島第1原発事故に対する国会事故調などの調査結果が出ていない段階で関西電力大飯原発3、4号機(福井県)を再稼働させた。脱原発依存を具体的にどう実現するかとなると、あいまいな態度のままである。政府は来月に新たなエネルギー政策を決定する。民意を踏まえ、30年に原発比率をゼロにする道筋を工程表で示すべきだ。そうでなければ何のためにわざわざ3種類の調査をしたのか分からない。政府は30年の原発比率について、「0%」「15%」「20~25%」の3案の選択肢を示していた。全国11都市で実施した意見聴取会では意見表明を希望した人のうち「0%」を支持したのは68%と、他の2案を大きく引き離した。意見聴取会は那覇市でも7月に開かれ、9人が意見表明し、8人が「0%」、残りの1人は3案以外の「即脱原発」を訴えた。「経済より命」「再生可能エネルギー普及」などの理由を挙げた。7~8月の意見公募には約8万9千件が寄せられ、即時廃止を含む「0%」が計89・6%を占め圧倒的だった。注目されるのは、政府として世界で初めて導入した討論型世論調査でも同じ結果を示したことだ。電話世論調査に答えた人のうち、希望者285人が東京都内に集まり、学習した上で、専門家との質疑応答、議論を重ねながら理解を深めた。いわゆる「熟議」を経た民意が、どう変化するかを探る米国生まれの手法だ。電話世論調査、討論前、討論後の計3回にわたって、同じ質問を繰り返し、意見の変化を調べた。「0%」支持は、当初の32・6%から46・7%に大きく伸びた。これに対し、「15%」は減り、「20~25%」は横ばいだった。エネルギー政策で何を最も重視するかについても「安全確保」が67・0%から76・5%に増え、「エネルギーの安定供給」「コスト」を上回った。学習し、議論すればするほど原発の安全性に対する疑問が広がったということだ。政府は「15%案」に期待していた節がある。30年までになるべく早く廃止する「0%」、一定程度維持する「20~25%」に対し、「15%」ははっきりしない。30年以降、15%を維持するのか、減らすのかあいまいだ。「15%」は稼働率を高く想定しており、実際は原発の新増設が必要との指摘がある。政府は中長期的に原発ゼロとする目標を新しいエネルギー政策に盛り込む検討に入ったという。原発ゼロを求める声の強さに押された形だが、見直し条項や達成時期をぼかした複数の文案が出ており、骨抜きの懸念が消えない。

*3:http://www.asahi.com/politics/update/0825/TKY201208250470.html (朝日新聞 2012年8月26日) 国会議員「原発ゼロ」支持42% 朝日新聞アンケート
(ポイント)2030年時点の原発割合など新しいエネルギー政策について、朝日新聞社は全国会議員を対象にアンケートを実施した。原発割合「0%」を支持する意見が全体の42%。民主党でも40%を占め、「脱原発」の志向が強まっていることがわかった。ただ、自民党はわずか4%にとどまった。 7月下旬から衆参両院の721人に書面で質問し、25日までに記者会見などでの取材を含め計434人(60%)から回答を得た。 政権が示した30年の原発割合をめぐる三つの選択肢では、「0%」が42%、「15%」が11%、「20~25%」が3%となった。東京電力福島第一原発事故を契機に、「原発ゼロ」への転換を目指す意見が目立つ。

PS:2012.8.29 『五訓』の教えに元気づけられた!
 先日、佐賀県の人から、「強靭にして挫ける勿れ 」「闊達にして偏る勿れ」「勇敢にして臆する勿れ」「誠実にして怠る勿れ」「謙虚にして傲る勿れ」という『五訓』の教えを伝えられ、私にぴったりと響きました。深い内容を感じ、全くそのとおりだと思ったのです。

| 原発::2012.8~9 | 08:34 PM | comments (x) | trackback (x) |
2012.8.24 選挙制度改革について ← 日本全体の比例に、2030年には一方の性の割合が40%未満にならないようにするというポジティブ・アクションを段階的に加えることを提案します。
(1)日本全国を同じ票の重さにしながら、死票をなくすには?

 「1票の格差」問題は、「選挙権が0.5票しかないとは何事だ」という都市部の苦情から始まったが、その一方で、人口が少ない地方は、「それでも自分たちの声を中央に届けるためには一定数の代表が必要だ」というニーズを持っている。地方は、人口がマイノリティーでも、国土の広い面積を占め、食料生産、水や酸素の供給など、生命に関わる生産を担っている重要な地域であるから、地方の意見を国政にどうやって反映するかは大きな課題である。

 また、地方の有権者は、「少ない代表者でも国政に地方のニーズを届けたい」という意向が働くため、政権与党か第二政党くらいまでの候補者に投票する傾向が強く、小選挙区制度では少数政党の候補者は当選しにくい。そのため、現在、マイノリティーに当たる政策を持つ政党を支持する有権者に死票が多くなる。そこで、民主党案は「0増5減」に加え、比例定数の40削減と連用制を盛り込んでいるが、この制度の欠点は、投票時に、有権者が自分の投票の結果を予測することができず、わかりにくいことだ。

 そのため、私は、日本全体(又はブロック毎)の比例方式とし、政党が全体としてどういう人を候補者として選び(この場合、候補者それぞれの出身地、プロフィール、主張を有権者に正確に開示することが必要)、自分の地域の代弁をしてくれる人が名簿にどう掲載されているかまで勘案して、有権者がその政党に投票できる拘束名簿方式(又は一部被拘束名簿方式)を採用するのがよいと思う。なお、今のままでは、こうすると無所属の人は被選挙権がなくなってしまい、憲法違反になるため、無所属で国会議員経験のない人でも、1人で簡単に政党を作ることができるように、政党要件を大きく緩和する必要がある。

(2)政治の世界でマイノリティーになっている女性の割合を増やすには?

 私は、公認会計士から政治の世界に入った時、政治の分野における女性の割合や地位は、公認会計士の分野よりも30年も昔に戻ったような気がした。しかし、本当は、政治は、生活者の実感を知っており、食品、健康、子育て、介護などに知識と関心が大きく、「○○ムラ」に所属していない人材が多く、命を大切にする女性の発想が重要な分野であるため、女性の割合を増やすべきだと思っている。そして、本来は、人口の50%もいる女性の中から、議員にも30%や40%は女性がいてもよさそうなものだが、それを邪魔する要素も多いので、「100年河清を待ってもどうかな」と、今では思っている次第である。

 女性の社会進出国際比較、女性差別撤廃条約、男女共同参画基本法、男女雇用機会均等法などのKey Wordで探せば、資料1~6のように、いろいろな資料を探すことができるが、男女平等や男女雇用機会均等を保障する法律を作っても、わが国の産業界は、いろいろな方法を考えてこれを骨抜きにしてきた歴史がある。

 そのため、わが国のリーダーである政治の世界におけるグラスシーリングの解消策として、まず、下の資料3のように、国会議員にポジティブ・アクション(クォータ制)を導入して計画的に女性を増やしていくのがよいと思う。そのため、私は、現在(2009年の選挙結果)の衆議院議員に占める女性割合約10%を、資料3のように、2020年で30%、2030年以降は、どちらかの性が40%未満にならないように当選させるスケジュールを作るのがよいと考える。それには、次回の総選挙から、女性当選者の割合を15~16%くらいにはしなければ目標達成できない。そして、それぞれの政党は、女性候補者をそれなりの数入れておかなければ当選者が少なくなるわけである。これなら、無理なく目標達成ができるだろう。
 <下のようなイメージ>
 2009年衆議院議員選挙       衆議院議員当選者に占める女性割合 約10%
 2012年衆議院議員選挙       衆議院議員当選者に占める女性割合 15~16%
 2016年衆議院議員選挙       衆議院議員当選者に占める女性割合 22%
 2020年衆議院議員選挙       衆議院議員当選者に占める女性割合 30%
 2024年衆議院議員選挙       衆議院議員当選者に占める女性割合 34%
 2028年衆議院議員選挙       衆議院議員当選者に占める女性割合 38%
 2030年以降              衆議院議員当選者に占める女性割合 40%以上

      
         国会           財務省への要望活動        議員懇親会
  (私が現職の頃も、衆議院議員に占める女性の割合は10%程度で、周りは殆ど男性だった)

資料1: http://www.gender.go.jp/positive/siryo/po04-2.pdf#search='女性議員の割合%20国際比較'   女性議員割合の推移

資料2: http://blog.goo.ne.jp/our_freedom/e/45df45ad9e8640b923a40c89a174d31a   恥ずかしい日本の女性議員比率  世界142カ国中97位

資料3: http://www.gender.go.jp/whitepaper/h23/zentai/pdf/h23_001.pdf#search='2012%20年衆議院議員に占める女性の割合'    ポジティブ・アクションの推進―「2020 年30%」に向けて―

資料4: http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/seisaku09/pdf/01.pdf#search='男女の賃金格差%20国際比較'   男女間の賃金格差レポート(厚生労働省 雇用均等・児童家庭局 2009年9月)
1)我が国の男女間賃金格差(一般労働者の男女間所定内給与格差)は、長期的には縮小傾向にあるが国際的に見て格差は大きい。
2)男女間賃金格差の発生原因は多種多様であるが、最大の要因は男女間の職階(部長、課長、係長などの役職)の差であり、勤続年数の差も影響している。このほか家族手当などの手当も影響している。
3)男女間賃金格差は多くの場合、賃金制度そのものの問題というよりは、人事評価を含めた賃金制度の運用の面や、職場における業務の与え方の積み重ねや配置の在り方等賃金制度以外の雇用管理面における問題に起因していると考えられる。

資料5: http://www.ba.tyg.jp/~yokoyama/EqualEmployment.pdf#search='女性のグラスシーリング%20国際比較'   日本および欧米における男女の雇用均等

資料6:http://www.jichiro.gr.jp/jichiken/report/rep_yamagata28/jichiken_bunkakai/kihonteki/danjo/danjo_3.htm   性に偏る職種 ― 国際比較

*1: http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2012081702000109.html (東京新聞 2012年8月17日)「1票の格差」是正 本格審議へ 衆院選時期に影響
(ポイント)衆院の「1票の格差」を是正する選挙制度改革法案が来週から、国会で本格的に審議される。民主、自民両党は5県で小選挙区数を各一減らす「0増5減」を含む法案を提出している。先の野田佳彦首相と自民党の谷垣禎一総裁の党首会談で「近いうち」の衆院解散・総選挙で合意したが、法案が成立すれば小選挙区の区割りを変えなければならず、その作業には3カ月かかるとされる。審議の行方が衆院選の時期に影響することになる。選挙制度改革法案のうち、「1票の格差」を是正するのは衆院選挙区画定審議会(区割り審)設置法改正案。まず各都道府県に小選挙区の議席を一ずつ配分してきた「1人別枠方式」を廃止し、山梨、福井、徳島、高知、佐賀各県の定数を三から二に減らす。民主、自民両党案ともこの点では一致している。民主党案は「0増5減」に加え、比例定数の40削減を盛り込んでいる。民主、自民両党案のうち、いずれかが成立すれば、現在、小選挙区で2.48倍ある一票の格差は2倍未満となる。成立すると、有識者からなる区割り審が再開し、選挙区の線引き作業を開始。0増5減の対象となる五県のほか、全体で約40選挙区の線引きを見直すことにしている。一票が最も「軽い」のは首相の地元である千葉4区。これまで千葉県船橋市全体で一つの選挙区だったが、今回は格差是正のため、市内の一部が別の選挙区に移る見通しだ。線引きは地元の事情に精通していないとできないため、実質的な作業は地元の自治体が担い、区割り審は首長らの意見を聴いて妥当か判断する。区割り審は週一回のペースで開かれる予定で、首相へ新しい区割りを勧告するには「急いでも3カ月かかる」(総務省幹部)とされる。勧告を受け、政府は公職選挙法改正案を提出。改正法が施行されると、新選挙区での選挙が可能になる。ただ、有権者には新選挙区の周知期間が必要。具体的な日数は決まっていないが、「1カ月は必要」(民主党幹部)というのが与野党の一致した見方だ。では、周知期間はいつから始まるのか。区割り審が新選挙区を首相に勧告した時点で、有権者は新しい選挙区を知ることができるため、勧告をもって周知期間が始まるという意見もある。また、憲法で衆院解散から投票まで40日以内と定められている。衆院選の公示から投票までの選挙期間は12日間。解散から公示まで最大で28日間ある。これを一カ月程度とされる周知期間にすれば、改正法施行後、すぐに解散できるという解釈もある。

*2: http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012082301001036.html
(東京新聞 2012年8月23日)選挙法案、野党欠席で審議 衆院特別委
衆院政治倫理・公選法改正特別委員会は23日午前、民主党が提出した衆院選挙制度改革関連法案の質疑を実施した。強引な審議に抗議し自民党など野党は22日に続き欠席した。民主党は月内にも法案を衆院採決し参院に送付する方針で、野党の反発は必至だ。民主党は質疑開始前、野党に出席を呼び掛けたが応じなかった。関連法案は(1)小選挙区「0増5減」(2)現行の小選挙区比例代表並立制に連用制を一部導入(3)比例40削減―を盛り込んだ内容。自民党も0増5減に絞った関連法案を提出している。選挙制度改革関連法案は22日の特別委で、民主党が提案理由説明を行い審議入りした。

| 男女平等::2011.12~2013.5 | 11:41 AM | comments (x) | trackback (x) |
2012.8.23 本当に後押しすべき産業はどれで、政府の遅すぎる切り替えは、何故起こるのか?
         
      *1関係記事より         太陽光を集めて使う太陽光発電

 最近、*2、*3のように、世界で初めて太陽光発電を作ったOnly Oneとも言える貴重な企業であるシャープが存亡の危機にあるという報道がなされている。シャープは家電にも進出しており、機能がよいので、私も使っている。

 政府は、原発には、福島第1原発事故が起こる前の平時でさえ毎年約4000億円の予算を割いてきた(*4参照)。そして、福島第1原発事故が起こった後は、事故関連費だけで、平成23~24年度予算で調査費や健康診断等々の費用を1年間で約5000億円、2年間で1兆円近く使い、今後、本格的な除染や損害賠償、廃炉、中間処理施設、最終処分場の建設費やその地元への交付金を国民の税金から払っていくことになる。そして、それは、全体では10兆円を超えるかも知れない金額になるのだから、「原子力発電のコストは安い」という説明は嘘である。コストの比較をする場合は、どこまでをコストと考え、どういう方法で計算したのか、そして、それは検証可能な数値なのか否かを明示すべきだ。

 一方、太陽光発電はじめ自然エネルギーによる電力は、電力会社に購入させる仕組みであるため、国の予算は設置補助金しか使っておらず、電力会社の意志で買取するか否かが決定されてきた。そのため、自然エネルギーによる発電者には、送配電の段階でハードルがあった。

 そして、政府は、東京電力を破綻処理させずに再生させようとしている。電力会社は、日本に10社もあり、現在、地域独占の状態であるが、本当は地域独占させる理由はなく、その他の事業者も発電に自由に参入できた方が、工夫のきいた安い電力が得られる。そのため、東京電力や関西電力がなくても、電力のユーザーが困るわけではない。

 どちらが、今後の日本経済にプラスの要素をもたらす有用な企業なのか、それに対し、政府は何をしてきたのか、金融機関、経済団体は何をしているのか、そして、その構図は、なぜできているのか? 私は、その答えを敢えて具体的には書かないが、それは、現在、日本経済が低迷している根本的な原因であり、速やかに解決しなければならない重要で経済効果の高い政策課題であり、すでに遅すぎた感もあることなのだ。

*1:http://www.asahi.com/news/intro/TKY201208220732.html
(朝日新聞 2012年8月23日)原発ゼロで、電気代半額の道も〈創エネ省エネ〉
(ポイント)原発がゼロになっても電気代は現在の半分近くに減る。科学技術振興機構の戦略センターがこんな試算結果をまとめた。政府がまとめた電気代の試算は現行の2倍前後だった。同センターが「政府の試算は非現実的」と独自の分析をしたところ、電気代を大幅に下げることがわかった。

*2:http://www.nikkei.com/article/DGXNASDD210CO_R20C12A8TJ0000/ (日経新聞 2012/8/22) シャープ、希望退職3000人 近く労組と協議
(ポイント)シャープは本社や工場などを対象に9月にも約3000人の希望退職を募る方針で、近く労働組合と協議に入る。業績悪化を受けて今月2日、国内外で5千人の人員を今年度中に減らす計画を表明したが、このうち希望退職について人数を詰めていた。

*3:http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK2001L_Q2A820C1000000/ (日経新聞 2012/8/22) シャープ再建、主力銀は「事業切り売り」迫るのか  編集委員 西條都夫
(ポイント)シャープの経営再建の行方が注目されているが、経営不振に陥る企業はいつの時代にも存在する。それを誰が立て直すのか。企業再生の担い手や形態は投資ファンドから同業他社による買収まで様々だが、日本において再生の主導権を握ってきたのは銀行だ。だが、このところ再生がうまく進まず、途中で法的整理に切り替えるような事例も目立つ。

*4:http://www.aec.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/siryo2012/siryo06/siryo2.pdf#search='平成24年度%20原子力関係経費政府予算案'

| 原発::2012.8~9 | 11:43 AM | comments (x) | trackback (x) |
2012.8.20 広島と長崎の平和祈念式典における核廃絶のメッセージとそれに続くアクションに感謝します。
      
   脱原発デザインで優勝した       広島平和祈念式典      長崎平和祈念式典
  北海道脱原発連合のポスター
  (↑こういう素敵なデザインの買物袋があると、女性が持ち歩いて意思表示をするのにいいですね)

 今年の広島、長崎の平和宣言には、*1のように「人類は核とは共存できない」として、脱原発のメッセージも入れられたことに感謝したい。ここから世界に発信してくれれば強い声になるからだ。また、*2のように、核戦争防止国際医師会議(IPPNW)の世界大会が22日から広島市で開かれるのに合わせて、若手医師や学生が、長崎市から広島市まで自転車をこぎ、核廃絶や原発事故による健康被害を訴える「ピースバイク」を行うそうだが、こういうスマートでかっこいい訴え方もあることがわかったので、他の業種の方も参考にしてもらいたい。

 なお、次の総選挙は、「脱原発を速やかに行って、わが国がグリーンエネルギー革命を先導するか否か」「消費税増税をこのまま実行させるか否か」を争点にして行ってもらいたい。領土問題への対応は、「尖閣諸島が日本固有の領土である」という点については政党間に違いはないので、それではどう対応するのかを、マニフェストに明確に書いてもらえば足りると思う。私自身は、本当にわが国の領土であることが証明される限り、国境離島をしっかりと守って日本の領海を維持するとともに、漁業、天然ガス資源などの基地にしなければならないと思っている。

*1:http://www.nagasaki-np.co.jp/news/ronsetu/2012/08/10111055.shtml
(長崎新聞 2012/08/10) 長崎平和宣言 力強さを失っていないか
(ポイント)9日の平和祈念式典で田上富久長崎市長が読み上げた今年の「長崎平和宣言」は、核兵器の非人道性に対する国際的理解の広がりに言及しつつ、「核兵器禁止条約(NWC)」の締結に向けた具体的な一歩を国際社会に求め、政府には被爆国としてのリーダーシップを発揮するよう要請した。
また、福島第1原発事故に関連して「これからも福島に寄り添い、応援し続ける」と表明。「放射能に脅かされることのない社会を再構築するための新しいエネルギー政策の目標と、そこに至る明確な具体策」を政府に求めた。・・中略・・また宣言は、放射能に脅かされることのない社会の「再構築」を訴えた。言葉尻をとらえるようだが、こうした社会は「再び」ではなく「新たに」築かれなければならないはずだ。原発の安全神話は「神話」でしかなく、しかも崩壊したのだ。・・中略・・30年前の82年には、自らの立脚点を「原爆の残酷さと死の恐怖を体験し、苦しみと絶望の極限に立つ者こそが、誰よりも戦争を完全に否定し、心から平和を求める境地に到達しうる」と表現している。平易な口語体が基調の今の平和宣言とは語り口から違う。しかし、そこを差し引いても、長崎の平和宣言は今、この力強さを失っていないか。世界のどの場所よりも戦争を憎み、核兵器を憎み、核の惨禍を超えた体験と確信に基づいて「人類と核は共存できない」と声を限りに訴え続けなければならない。被爆地にはその責任がある。

*2:http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/317989
(西日本新聞 2012/8/11)核廃絶、自転車で訴え 若手医師ら「ピースバイク」
国際NGO、核戦争防止国際医師会議(IPPNW)の世界大会が22日から広島市で開かれるのに合わせ、若手医師や学生が長崎市から広島市まで自転車をこぎ、核廃絶や原発事故による健康被害を訴える「ピースバイク」を行う。9日に長崎市を出発、福岡市など途中の都市でシンポジウムやポスター展を開く。ピースバイクは2006年、フィンランドのIPPNW世界大会を機に始まり、4回目。日本では初開催で、約20ヶ国40人ほどが参加する。今回のテーマは「競争から共生へ~今、私たちができること」。原爆を投下された長崎・広島、原発事故があったチェルノブイリ、福島など核の被害を訴えるポスター50枚を途中の都市のアーケードなどに展示する。福岡市では12日午後6時半からアクロス福岡(中央区天神)で、ピースバイクと連携する市民団体が企画した国際シンポジウムに参加。核廃絶や環境問題を考えるパネル討論に加わる。実行委員長で長崎大学病院の医師茅野龍馬さん(27)は「核問題に関心を持ってもらい、若い人たちを中心に議論する環境を根付かせたい」と話している。広島市には20日に到着する予定。シンポジウムの問い合わせは、092(715)0070

| 原発::2012.8~9 | 06:16 PM | comments (x) | trackback (x) |
2012.8.16 この場合の強制送還は、相手に対して何のペナルティーにもならないのに、日本政府は内弁慶でなさけない(8月17日、18日、19日に追加あり)
      出典:NHK(下のHP)

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120816/t10014309211000.html
逮捕の14人 強制送還で検討   (NHK 8月16日)
政府は、沖縄県の尖閣諸島に上陸するなどしたとして、不法入国の疑いで逮捕した、香港の民間団体のメンバーら14人について、17日にも強制送還する方向で検討しており、警察などの取り調べ状況を見ながら、最終的に判断することにしています。沖縄県の尖閣諸島を、中国の領土だと主張する、香港の民間団体のメンバーが、15日、尖閣諸島の魚釣島に上陸するなどしたことを受けて、警察と海上保安本部は、メンバーら14人全員を不法入国の疑いで逮捕しました。警察と海上保安本部は、14人を沖縄本島などに移送し、16日朝から本格的に取り調べることにしています。

←(広津素子コメント)海上保安庁が14人全員を逮捕したのは、今回も頑張ったと思う。

これに関連して、藤村官房長官は15日夜、記者団に対し、「尖閣諸島は日本固有の領土であり、再三にわたる警告にもかかわらず、上陸したこと自体が誠に遺憾だ」と述べたうえで、今後の手続きは国内法令にのっとって、厳正、適切に行いたいという考えを示しました。

←(広津素子コメント)「遺憾だ」というだけでは「残念だ」と言う気持ちを述べたに過ぎず、「残念だが泣き寝入りする」「残念だが折れる」などの行動もありうるため、「尖閣諸島に領土問題はない」「尖閣諸島は日本固有の領土である」と考えている以上、出るところへ出て正式に抗議すべきだ。つまり、国内でのみ言っていても仕方がないのであり、出るところへ出てきちんと抗議しなければ認めたことになるのが、国際標準である。

政府としては、平成16年3月に、中国人の活動家7人が尖閣諸島に上陸して逮捕され、強制送還された事案も踏まえて、今回の14人についても、不法入国のほかに罪を犯した疑いがなければ、17日にも入国管理局に身柄を引き渡して強制送還する方向で検討しており、警察や海上保安部の取り調べ状況を見ながら、最終的に判断することにしています。

←(広津素子コメント)一度目と二度目の対応は異なるのが当たり前だし、何度も見逃していればそれが実績となり、日本はそれでも通る国だと思われる。このケースの場合、「強制送還」は、日本では強制送還だと言っていても、中国では「正しいことをした英雄を、日本がお送り申し上げた」と解釈し宣伝するのだから、あちら側の望むところだ。しかし、抵抗したこと(公務執行妨害)、他人の土地に無断で侵入したこと(不法侵入)、巡視船を壊したこと(器物損壊)などで粛々と起訴できるはずだし、するべきである。


8月17日追加:私は、普天間基地問題、原発問題では、琉球新報の主張を支持するが、下の記事のような主張は、日本が領土問題に対応する時に、やりにくくするので指摘しておく。
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-195791-storytopic-11.html
尖閣上陸問題 あくまで平和的解決を (琉球新報 2012年8月17日)
 香港の活動家らの乗った船が日本の領海に侵入し、15日午後、尖閣諸島の魚釣島に到着、沖縄県警と第11管区海上保安本部は上陸した7人を含む14人を入管難民法違反容疑で逮捕した。14人は取り調べや検証結果を踏まえ17日夕までに強制送還か送検かの判断が行われるが、政府は強制送還の方向で調整しているという。今回の問題について、政府は厳重に抗議しつつも、平和的な解決策を貫いてもらいたい。

←(広津素子コメント)我が国は平和憲法を持ち、戦後教育を受けた人たちが意思決定しているので、領土問題を戦争で解決しようと考えている人などいない。これは、問題解決にあたっているのが自衛隊ではなく海上保安庁(海の警察)であることからも明らかである。また、中国と戦争をすれば70~80年前とは異なり、日本が負けるに違いない状況である。この状況の下で、「あくまで平和的解決を」という見出しや「平和的な解決策を貫いてもらいたい」というコメントは、読者に変な先入観を与えている。領土を守る行為をしようとすると、身内からこの種の批判が出るようでは、日本政府は領土を守ることができない。

中略
 日本の法令にのっとり、厳正に対処すべきだという声もあるが、両国の領土ナショナリズムをことさら刺激しないよう配慮も必要だ。与野党に「弱腰外交」を批判し、毅然とした態度を示すべきだとする向きがある。ただ、ここで過剰に反応し、日中関係が一触即発の事態に発展することは避けねばならない。政府には粛々とした対応を求めたい。

←(広津素子コメント)中国は、「尖閣諸島は中国の領土だ」と内外に向けて主張しており、それだからこそ、中国国民が大手を振って尖閣諸島に上陸しているのである。そして、中国のこのアピールは、長期的には尖閣諸島が中国の領土だと世界に印象付ける役割を果たしており、そうなってしまってから国際司法裁判所に訴えても意味がないのである。そのため、このような場合に日本が自国の領土であることを毅然として主張しなければ、「尖閣諸島は日本の領土だ」というのは日本に大儀がなく、中国が何とか取り返そうとしているかのように世界には見えるのだということを考慮すべきである。また、ここで日本が毅然とした態度を示せば日中関係が一触即発の事態に発展するというのもおかしい。それでは、中国こそ主権の侵害を武力で行う国なのだから、日本は国連に訴えるなりその他の必要な手続きをとるなりすべきなのである。そして、私は、この主張に対しては、日本の共産党議員であれ、社民党議員であれ、反対しないと思う。むしろ、世の中が変わったのに、いつまでも昔の構図で闘わせるべきではない。

 今回の上陸について、尖閣列島戦時遭難者遺族会の慶田城用武会長は「遺族が求めるのは尖閣諸島が平穏であること。日中が互いに主張をエスカレートさせ、変な方向に行ってしまう気がしている。外交で平和裏に解決してほしい」と語った。日中関係をこれ以上悪化させないでほしい、という率直な声で傾聴に値する。

←(広津素子コメント)繰り返し言うが、日本には、現在、領土問題を戦争で解決しようと思っている国会議員はいない。しかし主権国家として、あらゆる方法を使って守るべき領土は守るのが当然である。琉球新報は、ゆで蛙のようにして、日本が自ら領土を放棄することを薦めるつもりなのか?

 日中両政府は、これまで尖閣諸島の問題を事実上棚上げしてきた。ここへきて、それぞれの主張をエスカレートさせるのは外交の失敗と言えよう。外務省は事態の沈静化に努める一方、見解の相違を埋めていけるような外交戦略を練り直すべきだ。尖閣問題をこじらせて、日中が武力衝突する事態は絶対にあってはならない。場合によっては国際社会にも見える形で正々堂々と外交交渉に乗り出し、領有権をあらためて主張することも、選択肢として検討する時期ではないか。

←(広津素子コメント)弱腰でない毅然とした外交交渉でやるしかないのに、「尖閣問題をこじらせて、日中が武力衝突する事態は絶対にあってはならない」などと身内がありもしないことを主張して、対応や外交交渉をやりにくくするのは問題である。なお、中国も遊び半分でやっているのではなく、資源を狙って本気で領有権を主張する準備を着々と進めているのであるから、見解の相違が埋まることはないだろう。棚上げしているうちに時が経ち、中国の経済力が増すほどに、アメリカも日本側に立つことには慎重になり、国連のアフリカ諸国は中国側になるだろう。つまり、外交も闘いであり、生易しくはないのである。


8月18日追加①:言ったとおりでしょう。日本人も「学習」と最新の状況に基づいた「応用」ができないと駄目です。また、下の状況は、同行した香港の記者によって英語で世界に報道されたと思います。つまり、(日本の外務省は骨なしですが)、本来は、外交もシビアな闘いであり、戦略もなくその場しのぎを続けてきた我が国は負けそうなのです。
http://dailynews.yahoo.co.jp/photograph/pickup/?1345246888
<尖閣上陸>強制送還された活動家7人が香港到着
(ポイント)「強制送還」された活動家7人が香港国際空港の到着出口に着き、支援者から帰還を祝して花輪を贈られた。そして、中国国旗を手に「釣魚島を守れ」とシュプレヒコールを上げた。
     
    香港国際空港で2012年8月17日、大谷麻由美さん撮影

8月18日追加②:長いので、ここには前文のみしか引用せず、残りは下の「続き▽」という箇所をクリックすると出てきますが、下記の共産党の見解は全くそのとおりだと思います。日本政府の曖昧な態度を見ていると、私でさえ、我が国は日中国交正常化のために、尖閣諸島の領有権を中国に譲ったのではないかと危惧します。
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-08-18/2012081803_01_0.html
尖閣問題 いま必要なことは
 沖縄県・尖閣諸島(中国名・釣魚島)の魚釣島に15日、自称中国籍の活動家ら14人が上陸、入管難民法違反容疑で逮捕後、17日、強制送還されました。日本共産党は2010年10月、「尖閣諸島問題 日本の領有は歴史的にも国際法上も正当」との見解を示し、「何よりも重要なことは、日本政府が、尖閣諸島の領有の歴史上、国際法上の正当性について、国際社会および中国政府にたいして、理を尽くして主張することである」と指摘しました。日本政府は「努力する」との答弁にもかかわらず、その形跡はみられません。そして、今日問題が大きくなっています。いまこそ、冷静に理を尽くして日本の領有の正当性を堂々と説くべきです。

8月19日追加:香港の放送を見て、中国でツイッターによるデモが始まりましたが、そもそも「日本に対する根強い不満」の理由をもう解決すべき時ですし、「ガス抜き」として楽観的に見るのも安全神話であり、何かがあったら想定外になるのではないでしょうか。
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012081901001054.html
(東京新聞 2012年8月19日)尖閣めぐり中国各地で反日デモ 日の丸燃やし抗議
【深セン、杭州共同】香港の活動家らが上陸した沖縄県・尖閣諸島(中国名・釣魚島)の中国領有権を訴える反日デモが19日、広東省の深セン、広州や浙江省の杭州、温州、四川省成都など中国の各都市で多いところで数千人が集まって行われ、参加者は日の丸を燃やしたり、日本料理店のガラスを割ったりして抗議した。中国での大規模反日デモは、2010年9月の尖閣諸島付近での中国漁船衝突事件を契機に発生して以来。最高指導部が交代する共産党大会を秋に控え、当局はデモが暴徒化しないよう警備態勢を強化する一方、制御可能な範囲内で認め、日本に対する根強い不満の「ガス抜き」を図った。
     
  「日本を倒し、釣魚島を守れ」などの訴えを掲げ、中国・深センで行われた反日デモ=19日(共同)

8月20日追加:中国が反発するからといって、「尖閣諸島に領土問題はなく日本の領土だ」と言ってきた政府が、くだらない書類の不備を指摘して日本人の上陸を妨げるのはおかしい。これでは、日本国民の間にも「本当に尖閣諸島は日本の領土なのか?何か密約でもあるのではないか?」という疑問を引き起こしてしまう。そのため、日本政府は、日本の領土としている場所については、日本国民に対してもその根拠をきちんと説明しておくべきだ。なお、「尖閣諸島は日本の領土だ」という認識には、表向き政党間の違いはない。
http://www.saga-s.co.jp/news/global/corenews.0.2270284.article.html
(佐賀新聞 2012年8月20日)都が政府に尖閣上陸申請 / 内容不備で受理せず
藤村修官房長官は20日午前の記者会見で、沖縄県・尖閣諸島の購入を計画している東京都が、17日夜、政府に対し上陸申請を提出したと明らかにした。政府は、書類に上陸予定者や日時が記載されていないなどの不備があったとして受理せず一時預かりとした。政府は尖閣国有化方針を堅持しているものの難航は必至。領有権を主張する中国側の反発も避けられない。香港の活動家や日本の地方議員らの上陸が相次ぎ日中間の対立が先鋭化する中、野田佳彦首相は一層難しい対応を迫られそうだ。

続き▽
| 外交・防衛::2010.10~2012.12 | 07:58 PM | comments (x) | trackback (x) |
2012.8.12 大メディアの消費税増税に関する論調は、民主主義を破壊するものであったこと
   
      出典:信濃毎日新聞2012.8.15

 私は、このブログの左にあるカテゴリー”消費税増税問題”をクリックすれば出てくるように、2010.6.20、2011.11.27、2012.1.6~2012.7.14に、消費税増税は、わが国経済にとって「百害あって一利なし」で、本当に社会保障をよい方向に改革したいのであれば、使用を社会保障に限った社会保険方式で漏れなく集めて無駄遣いさせないやり方の方が優れていると考え、記載してきた。何でもよいから「決める政治」にすればよいのではなく、決めてはならないことを民主主義に反して決めてはならないのである。それについて、*4の植草一秀氏の、2012.8.11「マスコミの伝えない政治・社会・株式の真実・真相・深層を植草一秀が斬る – 消費増税法成立報道で正論示す地方ブロック紙」という記事は、私が言いたいことをよく言ってくれている。

 この3年間、*1に代表されるように、大メディアの殆どは消費税増税に関して、「決める政治」に価値があると報道し続け、消費税増税を決めさせるために政治の尻をたたいた。そして、“税と社会保障の一体改革”の問題点に関する国会質疑はあまり報道せず、TVでオリンピックだけをしつこく放映して国民がオリンピックに注意を向けている間に、この法案が採決されるように手助けした。これは、まさしく「依らしむべし、知らしむべからず」という官(財務省)の方針にメディアが同調している姿であり、国民主権を実現するために必要な情報を国民に知らせるという社会的責任を、メディア自身が放棄した姿である。

 これに対し、*2.*3のように、地方紙の中にまともなことを書いているものもあった。私は、インターネットテレビの画像や音質をよくして、これら地方紙も、インターネットテレビで、それぞれの立場や視点を前面に打ち出したテレビ放送を始めたらどうかと思う。当然、国会審議、市民メディアの放送、外国放送など、見たいものはすべてインターネットテレビのいい画像で見られるようにすればよい。そうすれば、国民は、いろいろな立場で創られた番組を、自分で選択して見ることができるからである。

*1:http://mainichi.jp/opinion/news/20120811k0000m070129000c.html
(毎日新聞 2012年08月11日)社説:増税法成立 「決める政治」を続けよう
(ポイント)紆余曲折の末ではあるが、税と社会保障の一体改革法が10日、参院で可決、成立した。まずは、二つの意味で政治史上画期的なことだと評価したい。第一に、その中身が国民に負担を求める純粋増税法だからである。過去の増税は、消費税3%の導入時(1989年)、消費税率5%への引き上げ時(97年)いずれも減税とセットで行われた。経済全体のパイが伸び悩み、従来のバラマキではない負の配分能力が政治に求められる時代、その第一歩を刻んだ、といえる。第二に、その不人気政策を与野党で合意したという政治方式の新しさである。2大政党制の下、ともすれば相手をたたくことに走りがちだった政治が、この重要政策の一点では国益に立ち、党分裂や一部議員の造反というコストを払いながら妥協することができた。山積する困難な政治課題を解決するための貴重な前例を作ったととらえたい。

*2:http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/395450.html
(北海道新聞 8月11日) 消費増税法が成立 国民欺く理念なき改革
(ポイント)政治主導で行政の無駄を削ると訴えた民主党に託した有権者の期待は「官僚主導の増税」という正反対の形で返ってきた。2015年10月までに消費税率を10%に引き上げる法案が、きのうの参院本会議で民主、自民、公明などの賛成で可決、成立した。民主党は選挙時の約束を破り、自民党は与党を牽制する野党の役割を忘れて党利党略で増税に協力した。社会保障改革を棚上げしたままの増税先行に多くの国民が納得していない。衆院選は「近いうちに」ある。増税の是非は、有権者一人一人の判断に委ねられる。政府は関連法を含め「社会保障と税の一体改革」と呼んでいるが、民主党内の議論に始まり政府による法案化、そして3党合意を経て「一体改革」は次々と崩れた。政府や財務省の本音が、社会保障改革ではなく、年々厳しくなる歳入の手当てにあったからだ。消費税率を上げたいが、国民の理解を得づらい。そこで財政を圧迫する社会保障を財源と共に見直すという「一体改革」を唱えた。増税する5%分のうち、4%分は従来政策の赤字を埋める増税だ。3党が一致しているのは増税だけで、社会保障の理念は全く異なるのだから当然だ。国民を欺く「一体改革」だと言わざるを得ない。

*3:http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-195501-storytopic-11.html 
(琉球新報 2012年8月11日) 消費増税関連法成立 偽りの一体改革を憂う  
(ポイント)消費税増税を柱とした社会保障と税の一体改革関連法が、国論を二分する中、10日の参院本会議で民主、自民、公明3党などの賛成多数で可決、成立した。社会保障改革の多くを棚上げ、先送りした「偽りの一体改革」だ。増税の是非以前の問題として、国民意思に背き、この国の民主政治に泥を塗る暴挙と言うほかない。国民の多くが増税関連法の今国会成立に反対し、解散・総選挙による審判を求めていた。にもかかわらず、3党は財政危機克服を大義名分とした「決められる政治」を優先し、消費増税に反対もしくは一体改革に懐疑的な、広範な民意を踏みにじった。その責任は重大だ。一日も早い衆院解散・総選挙で、国民に信を問うべきだ。増税関連法が施行されると、現行5%の消費税率は、2014年4月に8%、15年10月には10%へと2段階で引き上げられる。デフレ不況や国民生活の疲弊ぶりを見ると、この国が増税に耐えられるのか危惧する。(以下略)

*4:http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2012/08/post-dcfd.html  
『知られざる真実』 マスコミの伝えない政治・社会・株式の真実・真相・深層を植草一秀が斬る
(植草一秀 2012年8月11日) 消費増税法成立報道で正論示す地方ブロック紙
 消費増税法案が国会で可決され、成立したが、これがこの問題の最終決定でないことを主権者国民は明確に把握しておく必要がある。消費増税を含む抜本的な税制改革を実施する場合には、必ずその前に総選挙で国民の意思を問う。これが、政府が表明してきた考え方である。
 民主党の総選挙公約を覆して消費増税提案を示したのは、菅直人氏である。そして、菅直人氏が提示した消費増税路線をそのまま引き継いだのが野田佳彦氏である。ただ、この野田佳彦氏自身が2009年8月総選挙に際して、「シロアリを退治しないで消費税を上げるのはおかしい」ことを高らかに宣言した張本人であることは、かなり多くの主権者国民が知るところになっている。
 昨日の参議院本会議での討論においても、「みんなの党」の小野次郎氏が2009年8月15日の野田佳彦氏による「シロアリ演説」の内容を改めて紹介した。8月6日の参院特別委における意見陳述で、私が資料を添付して紹介した野田氏演説内容と同じ部分を小野次郎氏が紹介した。この野田佳彦氏演説は、本年1月15日の本ブログおよびメルマガで紹介したことを契機に日本中に知れ渡ったものである。私にこのYou Tube映像を紹介くださった読者に感謝申し上げたい。まだ、この動画をご覧になったことのない主権者が多数存在する。「近いうちに」実施される総選挙に向けて、この動画映像を全国民に視聴してもらうようにしなければならない。全国民の視聴が必要な動画映像は以下の3本である。
  1.野田佳彦氏による2009年7月14日の衆議院本会議演説
  2.岡田克也氏による20089年8月11日の千葉県柏駅前での街頭演説
  3.野田佳彦氏による2009年8月15日の大阪での街頭演説
 長くなるので、詳細な紹介を避けるが、2009年8月15日の野田佳彦氏演説の中心部分は改めて確認しておく必要があるので、以下に示す。
・・・「マニフェスト、イギリスで始まりました。ルールがあるんです。書いてあることは命懸けで実行する。書いてないことはやらないんです。それがルールです。書いてないことを平気でやる。これっておかしいと思いませか。書いてあったことは四年間何にもやらないで、書いてないことは平気でやる。それは、マニフェストを語る資格はないというふうに、ぜひ、みなさん、思っていただきたいと思います。
消費税5%分の皆さんの税金に、天下り法人がぶら下がっている。シロアリがたかっているんです。
シロアリを退治しないで、消費税引き上げるんですか?消費税の税収が二十兆円になるなら、また、シロアリがたかるかもしれません。鳩山さんが四年間消費税を引き上げないと言ったのは、そこなんです。
シロアリを退治して、天下り法人をなくして、天下りをなくす。そこから始めなければ、消費税を引き上げる話はおかしいんです。」・・・
 主権者国民は民主党のこの公約を踏まえて民主党に政権を委ねた。国民との約束は「シロアリ退治なき消費増税はやらない」というものである。ところが、野田佳彦氏が強引に推進している政策は、「シロアリ退治なき消費増税」そのものである。
 小野次郎氏は参議院本会議で、「国民を欺罔〈欺罔〉して政権を詐取(さしゅ)したと指弾されても、どうにも弁解できない」と指摘した。野田佳彦民主党は主権者である国民を騙し、野党の自民党、公明党と結託して巨大な消費増税を実施する法律を可決させた。その一方で、財務省、経産省をはじめとする霞が関官僚機構の巨大な天下り利権には、一切手を入れる気配さえ示さない。岡田克也氏に至っては、経産省から電力会社への天下りについて、「公務員が民間企業に就職するなというのは暴論」と述べるなど、問題の本質をすり替えて逆切れするありさまである。主権者国民は2009年8月総選挙、2010年参院選で、いずれも明確に消費増税を否定した。これが民意である。
 民自公密室談合大政翼賛勢力がいま強引に推進している政策は、主権者国民の意思を踏みにじるものであり、現段階ではまったく正統性を有しない。消費増税法が正統性を持つには、総選挙で主権者国民がこれを肯定することが不可欠である。つまり、総選挙で民意が確認されるまでは、消費増税法には正式免許は出されていない状態なのだ。仮免許状態であることを忘れてならない。菅直人氏は2010年6月に首相に就任した際、「仮免許」だと述べた。2010年7月参院選で主権者の信任を得て、初めて本免許取得になると述べた。ところが、菅直人氏は2010年7月参院選で大敗した。本免許取得に失敗した。したがって、日本国を運転する資格を失った。当然、首相を辞任するべきだったが、驚くことに菅直人氏は、その後1年間以上も無免許で日本国の運転をしたのだ。その間に大地震・大津波・原発事故が発生したことは、日本国民の悲劇だった。消費増税法の国会での成立を各紙が伝えているが、マスメディア16社のなかでまともな社説を掲げたのは地方ブロック紙3社のみである。
  北海道新聞
   「消費増税法が成立 国民欺く理念なき改革」
  東京新聞
   「消費税増税法が成立 「代議」機能せぬ危機」
  西日本新聞
   「一体改革法成立 潔く国民の審判を受けよ」
 今回国会で可決された消費増税法は民主主義の正当なデュープロセスを経たものでない。つまり、現段階では正統性のない政策「方針」にすぎない。「仮免許」の状態である。次の総選挙で主権者国民がこの増税を肯定して初めて正統性を持つことになる。消費増税を既成事実化しないことが絶対に必要だ。
  消費増税亡国論 (著者:植草 一秀、販売元:飛鳥新社)

| 消費税増税問題::2012.8~2014.11 | 05:21 PM | comments (x) | trackback (x) |
2012.8.10 玄海原発がベントすれば、放射性物質が唐津市(私の実家付近も)を直撃すること
   
       2011.11.20の風向き            SPEEDIを使った1時間後の拡散予測

 2011.12.26に記載したように、グリーンピースが、「福島原発と同レベルの事故が起こった場合」という前提で、佐賀県に対してSPEEDI( 緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)の情報公開請求を行った結果、2011.11.20の午前8時に事故が発生したと想定したところ、上図のように、北北西12.5m/sの風が吹いており、放射性物質の拡散開始から、1時間くらいで佐賀県を突き抜けて、50キロ離れた有明海まで汚染が到達すると予測された。北北西12.5m/sの風というのは、この地域で通常吹いている風であり、放射性物質のこのような飛散の仕方は典型的な形と言える。

 放射性物質の拡散の仕方はどの場合でもだいたい同じだから、*1のように、「ベント装置は大気中に放出する放射性物質を低減するフィルター付きで、放射性物質の放出量は容器内の千分の1程度に抑える」場合でも、フィルターで千分の1程度に抑えた後に、どのくらいの放射性物質が飛散するのか、また、事故時以外は飛散していないのかが気になるところである。なぜなら、平時においても、右図の細長い領域近くで白血病や甲状腺癌が多いと聞いたことがあり、私の実家もその領域付近にあるからだ。

 なお、SPEEDIは、瓦礫の広域焼却処理をした時に、放射性物質が主にどの領域に飛散して集まるのかを知る上でも有用だそうだ。他の関連地域の皆さんも、調査しておいた方がいいのではないだろうか?調査方法には、病院から、原発立地地域及び近郊の地域で、白血病、癌、心疾患などの放射能関連疾患を発症した人の居住地を出してもらい(プライバシーがあるため、男女別、年齢は必要であるが、個人名は不要)、それとSPEEDIで予想される放射能の拡散及び濃度を比較する方法などが考えられる。

*1: http://www.saga-s.co.jp/news/saga.0.2258093.article.html
玄海原発に免震棟 ベント装置も整備  (佐賀新聞 2012年8月1日) 
(ポイント)九州電力は31日、政府が4月に示した原発の安全基準に基づき、事故時に現場の対応拠点となる免震重要棟と、格納容器内の圧力を下げるためのベント装置を玄海原発(東松浦郡玄海町)に整備すると発表した。ベント装置については、玄海原発など格納容器が大きい加圧水型では「必要性は疑問」としながらも、「地元理解と安心安全のための措置」と説明。いずれも近く基本設計に入り、免震棟は2015年度、ベント装置は16年度内の整備を目指す。免震棟は、07年の新潟県中越沖地震で柏崎刈羽原発(新潟県)の事務棟が被災して使用不能となったことを教訓に、東京電力などが設置。福島第1原発でも事故対応で活用された。計画では、揺れを抑える構造の鉄骨鉄筋コンクリート造り3階建て(延べ床面積6平方メートル)1棟を建設。基準地震動(540ガル)の2倍程度まで耐えられる設計にする。放射性ヨウ素を除去する空調設備や原子炉の温度、圧力を監視するモニターのほか、事故対応に当たる作業員の高線量被ばくを避けるための休憩室や除染設備、非常用電源などを整備。首相官邸などとテレビ会議などができるように通信設備も整える。ベント装置は大気中に放出する放射性物質を低減するフィルター付きで、各基に一つずつ設置。九電は「放射性物質の放出量は容器内の千分の1程度に抑える」としている。

| 内部被曝・低線量被曝::2011.7~2012.8 | 11:52 AM | comments (x) | trackback (x) |
2012.8.10 日本とアメリカの危機管理能力、問題解決力の違い
 *1のウォールストリートジャーナル記事のように、アメリカでは、福島第1原発事故を受けて、使用済核燃料への対応が連邦環境基準に合致していないとの判決が出て、解決策が出ない限り原発の認可はしないとしている。 四葉

 一方、日本では、*2のように、経済団体(=経済産業省)が「日本が安全性の高い原発の建設に貢献する必要があるため、原発ゼロは国益にかなわない」と主張しているが、我が国は、政府も事業者も、福島第1原発事故が自国で起こったにもかかわらず、アメリカのような検討をすることもなく、*3、*4のように危機管理に甘く、事故原因も「わからない」としており、原発を使う資格などないのである。

 このような倫理観を持ち、原発を安全に運転するための基本的認識すら持っていない国が、より安全性の高い原発の建設で世界に貢献することなどできるわけがない。そのため、原発にかかる膨大な予算も考えれば、日本の立場を活かして、原発・原爆の両方について世界で核廃絶をリードしていく方が、よほど人類に貢献できると考える。

*1:http://jp.wsj.com/US/node_491135 
(ウォールストリートジャーナル 2012年 8月 8日) 米NRC、原発認可手続きを停止 
(ポイント)コロンビア特別区巡回控訴裁判所は6月、NRCの使用済み核燃料への対応は連邦環境基準に合致していないとの判断を示した。・・中略・・控訴裁判所は、必要になれば最終処理場が建設されると見るべき「合理的な保証」があるとしたNRCの見解を退けた。また、使用済み核燃料は原発の認可期間を超える60年間にわたり、プールあるいはキャスク(使用済み燃料用容器)の中で安全に貯蔵できるだろうとするNRCの主張も認めなかった。同裁判所は、プールからの漏れはこれまで害がなかったとNRCが考えたとしても、NRCはこれまで以上の漏れやその他の事故の可能性とその結果を評価しなければならないとした。・・中略・・原発業界の業界団体である原子力エネルギー協会(NEI)のゼネラルカウンセル、エレン・ギンズバーグ氏は、連邦政府は電力会社の使用済み核燃料問題を解決するための「法令上の義務を果たしていない」と強調した。 NRCの広報担当者によると、NRCスタッフは今後数週間のうちに、判決に対処するためのいくつかの選択肢をNRCの5人の委員に送るという。原発運営会社はこれまで、使用済み核燃料は長期間置いておいても安全であることを請け合うために、原発敷地内での貯蔵を増やす用意があるとしている。これらの企業は、NRCがこの方法を選択すれば、これが業界全体の基準になるだろうと期待している。環境保護活動家らは、プールの漏れや、火災などでプールの水が沸騰して蒸発したり、流出したりする危険性があるとしている。こうした懸念は福島第1原発事故のあと、一段と深刻なものとなった。

*2:http://www.asahi.com/business/update/0808/TKY201208080473.html 
(朝日新聞 2012年8月8日)「原発ゼロ、国益にかなわない」 経済同友会が意見書
 経済同友会は8日、政府が示した原発依存の割合の3選択肢について、意見書をまとめた。中長期的には依存度を一定水準まで下げる「縮・原発」が望ましいとしつつ、2030年に原発を0%とする案は「採るべき道筋ではない」と否定した。15%案と20~25%案には言及しなかったが、原発の必要性は打ち出した。 長谷川閑史代表幹事は記者会見で「日本が原発をやめようにも、海外には原発があり増設もされる。より安全性の高い原発の建設に貢献する必要があり、今の段階で原発ゼロを選ぶのは国益にかなわない」と述べた。 政府は8月末までに結論を出す方針だが、同友会は決定を急がないように要望。経済や国民生活の観点から、今は「原発ゼロ」が難しいと国民に納得してもらう努力をするよう迫った。

*3:http://www.asahi.com/national/update/0808/TKY201208070837.html
(朝日新聞 2012年8月8日) 東電、水素爆発確認せず広報 「保安院が言ってるから」
 東京電力福島第一原発3号機の爆発をめぐり、東電が確証のないまま政府の発表を追う形で「水素爆発」と広報していたことが、報道機関向けに限定開示したテレビ会議の加工映像からわかった。事故直後の混乱の中で、国民への説明責任を軽視していた東電の姿勢を示すものだ。昨年3月12日に1号機が水素爆発したのに続き、14日午前11時1分に3号機で爆発が発生した。問題の場面はその後、午前11時半ごろの本店の映像だ。記者発表の文面を検討する中、本店で清水正孝社長の隣に座る高橋明男フェローの次の発言が映像に残っている。「要はさ、1号機を3号機に変えただけだってんでしょ。それで水素爆発かどうかわからないけれど、国が保安院が水素爆発と言っているから、もういいんじゃないの、この水素爆発で」・・・

*4:http://www.yomiuri.co.jp/feature/20110316-866921/news/20120807-OYT1T00260.htm (読売新聞 2012年8月7日) 東電本店、吉田所長に「なんか知恵ないの?」
 東京電力が6日に公開した福島第一原子力発電所事故直後のテレビ会議映像には、2、3号機の初期注水の失敗に至った過程が生々しく描き出されていた。政府の事故調査・検証委員会が指摘した、後手後手に回った対応が詳細に浮かび上がった。(肩書は当時)
◆3号機
 大津波の襲来後ほとんど注水できず、昨年3月12日に水素爆発を起こした1号機と異なり、3号機は13日まで外部電源がなくても稼働する高圧の注水系(HPCI)で原子炉を冷やしていた。そのためビデオ映像からは緊迫感は伝わらない。設備損傷の恐れがあったため、現場の当直が同日午前2時42分にHPCIを手動停止し、その約1時間後に吉田昌郎第一原発所長が本店に報告。原子炉の生命線である注水が途切れる緊急事態だったが、本店は「いったん停止、了解」など淡々とした対応に終始した。第一原発、本店ともに積極的に対応策を議論した形跡はなかった。現場に緊張が走ったのは同5時58分。既に1時間半以上前に燃料が露出し始めていたという試算結果に、吉田所長が「えっ、そんなに前なの?」と驚いた。さらに、炉内の圧力が高すぎて消防車では注水できないことを認識するなど、対応は後手に回った。そして、減圧に必要な弁を開くために必要なバッテリーを作業員の車からかき集めようとしたが、敷地内の放射線量が上がり、防護マスクが足りず車にさえ近づけなかった。政府事故調が問題視する約6時間半の「注水の空白」の実態がうかがえた。
◆2号機
 2号機のかろうじて動いていた高圧の代替注水系(RCIC)の異変は14日昼頃に見え始める。吉田所長は同日午後1時過ぎに原子炉の水位低下を確認し、計器類の点検などを指示した。「(1、3号機と)同じ思いをしたくない」との気持ちがあった。しかし、現場の連絡体制は混乱。海水注入の準備状況がつかめない事態に、吉田所長が「ドアホ。ったく。訳のわかんないのに聞くな」と、罵声を響かせる場面もあった。ただ、現場は「焦るような状態じゃない」と楽観視する雰囲気も漂っていた。午後4時34分、事態の深刻化が決定的になる。3号機と同様に、消防車による注水に不可欠である原子炉の減圧作業に入るが、「圧力の低下が見られません」との報告が現場から上がる。吉田所長は「もっと真剣に対応してくれよ」といらだちを募らせた。減圧できない状況は想定しておらず、本店の高橋明男フェローが「なんか、知恵ないの?」と発言。八方ふさがりの行き詰まった状況が浮かび上がる。同8時過ぎに「5分くらい前から水が入り始めたようです」と吉田所長は話したが、すでに炉心損傷は深刻で、同9時18分には圧力容器の損傷に至ったとされる。

| 原発::2012.8~9 | 01:02 AM | comments (x) | trackback (x) |

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