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2013.11.28 公職選挙法違反について ← 挙げられているのは、改革派と脱原発派の政治家だ
(1)猪瀬知事は公職選挙法違反か?
 *1、*2、*3などの記事を見ると、「徳洲会から猪瀬氏に5千万円が提供されたことから、猪瀬氏は道義的責任をとるべきだ」とされているが、返却したのであれば寄付ではなく、仮に選挙資金として借り入れていたとしても収支報告書に借入金として記載しておけばよかったというだけのことである。

 また、政党に属さない無所属の人への寄付は、公職選挙法により年間150万円以内というように、寄付者や寄付限度額に制限があるため(http://senkyo-navi.net/265/267/001589.html 参照)、徳洲会が資金援助するのであれば、寄付ではなく貸付金にするしかない。従って、徳洲会から猪瀬氏に提供された5千万円は、そこに阿吽の呼吸があったとしても、貸付金(猪瀬氏にとっては借入金)だったと思われる。そのような中、個人的借入金だったとすれば収支報告書には記載する必要はないため、「虚偽記載」と言いたてて、改革派の知事を貶めるのはもったいない話だと思う。

 1068万人の有権者を有する東京都の知事選は、私が経験した約20万人の有権者を有する佐賀県第三選挙区の約53倍の有権者数を持っているため、ポスター、チラシ、運動員、選挙カーなどの費用を支払えば、1~2億円かかることは容易に想像できる。その金額を普通の人が出せるとは思えないため、猪瀬氏が徳洲会にバックアップを頼んだとしても批判はできない。それを批判する人は、一般市民出身の人が選挙費用を捻出するための代替案を出すべきである。

(2)阿部知子氏のケースは、何も問題がない
 *4、*5によれば、徳洲会は、千葉徳洲会病院の元院長である小児科医の阿部氏の選挙に職員を派遣して応援していたそうだが、これも批判するようなことではないだろう。安部氏は、脱原発派であり、社民党時代から、まともなことを言う頭のいい人であったため、癒着云々というより、元の職場から選挙応援をしてもらっていたのだと思われる。

 また、300万円を借り入れていたそうだが、これは、小選挙区で立候補する時に必要な供託金の金額と同じであり、当選者や一定以上の得票をした候補者には返還されるものであるため、それだろう。何のために借りたにせよ、2012年分の政治資金収支報告書に記載されているので全く問題はなく、政党に所属しない候補者の資金繰りは、そのくらい厳しいということがわかる事例になっている。

(3)2人とも、癒着や汚職などとは程遠い人である
 公職選挙法違反で取り締まるべきは、本来は、金銭による大きな不正を行って票を増やし、選挙結果を誤らせる場合である。しかし、猪瀬氏は改革派の都知事、阿部知子氏は脱原発派の衆議院議員であり、2人とも癒着や汚職などとは程遠い人である。

 このように、現在、メディアで取り上げられている“公職選挙法違反”事件は、企業と癒着したり、不正を行って票を増やしたりする候補者とは異なる改革派や脱原発派で、助ける人のいない無所属の人に、汚れたイメージを擦り付けているものであることに注意されたい。

*1:http://www.asahi.com/articles/TKY201311210472.html
(朝日新聞 2013年11月22日) 徳洲会、猪瀬氏側に5千万円 都知事選前、捜査後に返却
 医療法人「徳洲会」グループが、昨年12月の東京都知事選の前に、猪瀬直樹知事(67)側に5千万円を提供していたことが21日、複数の関係者の話でわかった。猪瀬氏はこの選挙で初当選。徳洲会が公職選挙法違反容疑で東京地検特捜部の強制捜査を受けた後の今年9月、猪瀬氏の秘書が全額を返却したという。
●医療法人「徳洲会」
 猪瀬氏は同日、朝日新聞の取材に「私はまったく関知しない」「知らないと言ったら知らない」などと、全面的に関与を否定した。関係者によると、猪瀬氏は昨年11月上旬、知人とともに、神奈川県鎌倉市の湘南鎌倉総合病院に入院している徳洲会創設者・徳田虎雄前理事長(75)を訪問し、「都知事選に出ます」などとあいさつ。虎雄前理事長は全身の筋肉が動かなくなる難病で言葉を発せないが、秘書役に文字盤に対する目の動きを読み取らせて、「応援します」と応じたという。その後、徳洲会から猪瀬氏側に、5千万円が提供されたという。

*2:http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013112601002120.html
(東京新聞 2013年11月26日) 猪瀬知事に批判電話など350件 5千万円問題、9割が批判
 東京都の猪瀬直樹知事(67)が昨年12月の知事選前に徳洲会グループから現金5千万円を受け取った問題で、25日夕までに354件の電話やメール、ファクスが都に寄せられ、うち約9割が知事を批判する内容だったことが26日、都への取材で分かった。「都民の声」課によると、都に寄せられたのは問題が発覚した22日から25日までに電話157件、メール・ファクス197件。問題の経緯について釈明が変遷した猪瀬知事に「はっきりした説明をするべきだ」「せっかく1票を投じたのに、残念」などとする意見が約9割を占めた。

*3:http://www.saga-s.co.jp/news/global/corenews.0.2589079.article.html
(佐賀新聞 2013年11月26日)  徳田議員から資金提供申し出 / 同席者が証言
 東京都の猪瀬直樹知事(67)が徳洲会グループから5千万円を受け取った問題で、知事選前の昨年11月に猪瀬氏と徳田毅衆院議員(鹿児島2区)の会食に同席した民族派団体「一水会」の木村三浩代表(57)が26日、共同通信の取材に応じ「その場で毅氏から資金提供の申し出があった」と明らかにした。木村氏によると、3人は昨年11月14日、東京都港区の飲食店で会食。毅氏は猪瀬氏に選挙運動のアドバイスをした上で「大きな選挙では1億円ぐらいかかる場合もある。金がないなら貸しましょうか」という趣旨の発言をしたという。

*4:http://www.saga-s.co.jp/news/global/corenews.0.2582709.article.html
(佐賀新聞 2013年11月19日) 徳洲会、阿部氏の選挙に職員派遣 / 他の多くの政治家にも
 公選法違反容疑で幹部ら6人が逮捕された徳洲会グループが、昨年12月の衆院選で徳田毅衆院議員=鹿児島2区=だけでなく、阿部知子衆院議員=無所属、比例南関東=の選挙にも職員を派遣していたことが19日、徳洲会関係者への取材で分かった。また、別の選挙でも多くの政治家に職員を派遣していた。小児科医の阿部氏は千葉徳洲会病院の元院長。現在は、徳田虎雄前理事長が療養中の湘南鎌倉総合病院の非常勤医師を務めている。昨年の衆院選では社民党を離党し、日本未来の党から神奈川12区で立候補。比例で復活当選した。

*5:http://www.saga-s.co.jp/news/global/corenews.0.2589270.article.html
(佐賀新聞 2013年11月27日) 阿部知子氏が300万借り入れ / 徳田氏から衆院選直前
 阿部知子衆院議員=無所属、比例南関東=の資金管理団体「フォーラム21世紀の発信」が衆院選直前の昨年11月16日、徳洲会グループの徳田虎雄前理事長から300万円を借り入れていたことが、神奈川県選挙管理委員会が27日公開した2012年分の政治資金収支報告書で分かった。小児科医の阿部氏は千葉徳洲会病院の元院長で、現在は徳田氏が療養中の湘南鎌倉総合病院の非常勤医師。阿部氏の事務所は「当時は社民党を離党して資金繰りが厳しくなると思い借りた。選挙運動には使っていない」と説明している。

| 民主主義・選挙・その他::2013.1~11 | 11:13 AM | comments (x) | trackback (x) |
2013.11.8 NSC法案は、組織を作る、誰が参加するという話しか聞こえてこず、何のためにNSCを作り、どういう機動性や権限を持たせる予定なのか不明だが、それも特定秘密か?
        

(1)内容についての議論がなかった国家安全保障会議創設案
 メディアは、特定秘密保護法案には反対したが、それと関係の深い国家安全保障会議創設案については、*1のような経過報告ばかりで、内容の議論をしなかった。それどころか、国会でその議論が行われている間中、TVはスポーツ中継や台風災害のニュース報道に没頭し、国会中継を行わなかったのである。これは、国民に対して、「依らしむべし、知らしむべからず」の序章が始まったものだと考える。

 しかし、本当は、①何故、現在の組織では不十分で、何のために国家安全保障会議が必要なのか ②何が目的の組織か ③“会議”のメンバーはどう選ばれ、意志決定した責任をどうとるのか など、組織の存在理由や意思決定者への権限付託の概要が明確にされなければ議論できない筈である。そして、これは、同じ自民党でも福田総理の時には、廃案になったものだ。

(2)国民はNSC創設を望んでいるのか
 *2によれば、NSCは、①防衛計画の大綱など国防の重要事項については現行の安全保障会議の枠組みを残し、9大臣で審議する ②NSC担当の首相補佐官を常設し、NSCの事務局体制として100人規模の「国家安全保障局」を内閣官房に新設する ③政府機関の情報一元化に向け、関係省庁に情報提供義務を課し、特定の情報については収集を要求できる規定も盛り込んだ など、①②については、事務局の人数(官僚のポスト)を増やし、審議する大臣を限定して国民が選んだ議員の監視が届きにくい形に変更するように見え、これで何かの機動性や質が向上するようには見えない。また、③については、マイナンバー制導入との関係で国民の監視を強化しようとしているように見える。

 つまり、全体として、主権者たる国民の監視を弱め、国民への監視を強める意図がある組織で、民主主義、主権在民への逆行であるとともに、戦前回帰に見えるのである。

*1:http://www.saga-s.co.jp/news/global/corenews.0.2577989.article.html
(佐賀新聞 2013年11月7日) NSC法案、衆院通過 / 外交・安保の司令塔
 外交・安全保障政策の司令塔となる日本版「国家安全保障会議(NSC)」創設関連法案は7日午後の衆院本会議で自民、公明両党のほか民主党などの賛成多数で可決された。参院審議を経て月内に成立する見通しだ。政府は年内のNSC発足を目指す。本会議では、機密を漏らした公務員らへの罰則強化を盛り込んだ特定秘密保護法案も審議入りした。NSC法案には他に日本維新の会、みんなの党が賛成し、共産党、生活の党、社民党は反対した。引き続き、安倍晋三首相が出席して特定秘密保護法案の趣旨説明と質疑を実施した。

*2:http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130607/plc13060709540005-n1.htm
(産経ニュース 2013.6.7)  日本版NSC法案を閣議決定 官邸主導で安保政策立案へ
 政府は7日午前の閣議で、首相官邸主導で外交・安全保障政策を立案する「国家安全保障会議(日本版NSC)」を創設するための関連法案を決定した。同日中に国会に提出するが日程的に26日の会期末までの成立は厳しく、政府は衆院で継続審議とした上で秋の臨時国会での成立を目指す。NSCは首相と官房長官、外相、防衛相の4大臣会合を定期的に開催し、外交・防衛計画の基本方針を決定する。有事やテロなどの緊急事態では状況に応じて参集する閣僚をあらかじめ指定する。防衛計画の大綱など国防の重要事項については現行の安全保障会議の枠組みを残し、9大臣で審議する。NSC担当の首相補佐官を常設し、NSCの事務局体制として100人規模の「国家安全保障局」を内閣官房に新設する。政府機関の情報一元化に向け、関係省庁に情報提供義務を課し、特定の情報については収集を要求できる規定も盛り込んでいる。

*3:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BD%E5%AE%B6%E5%AE%89%E5%85%A8%E4%BF%9D%E9%9A%9C%E4%BC%9A%E8%AD%B0 (フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』) 国家安全保障会議
 国家安全保障会議(National Security Council)は、多くの国家に設置されている外交問題や国防問題、安全保障政策などの審議や立案、調整(武力行使の是非決定)などを行う機関。多くの場合は大統領や首相、内閣に属し、助言などを行う。フランスのように国家安全保障会議を設置しない国家もある。日本の場合は内閣に属する安全保障会議がこれにあたる。議長は大統領や首相などが担当する場合が多い。その他の構成員は副大統領や副首相、内相、外務大臣、国防大臣、財務大臣などの重要閣僚が就任することが多い。また、君主制の国家で、君主の権限が強い国家では君主が参加したりする。海軍大臣や陸軍大臣などの軍関係者が議員として参加する場合もあるが、評決などには参加しないなど軍の影響力を抑える取り組みもある。(以下略)

| 民主主義・選挙・その他::2013.1~11 | 11:33 AM | comments (x) | trackback (x) |
2013.10.17 日本における民主主義の成熟度 - 選挙で当選しやすい候補者の事例
(1)議員や候補者の「お祭り廻り」と「お盆廻り」
 *1で、自民党の石破茂幹事長が、「お盆にはお祭りもある。とにかく参院選のお礼回りをしなさい」等、新人議員に発破をかけられたそうだが、これは、自民党議員が地元で普通にやっていることである。このほか、地元の式典や会合に出席する、自分の国政報告会や座談会を開くなど、地元の人に浸透するように心がける。

 もちろん、地元の式典や会合に出席したり、一度その地域のお祭りに参加したりするのは、地元に関する知識を増やすことになるし、また、自分の国政報告会や座談会を開いて地元の人の声を聞くのは、当然、次の政策作成の基礎として重要である。

 しかし、お祭り廻り、お盆廻りに励むのは、議員の政策作成とは関係がなく、むしろ、それらに時間を使っている分だけ、本当の議員の仕事である政策作成に必要な時間をとられている。しかし、お祭り廻りやお盆廻りをする候補者の方が選挙で当選しやすく、国民は、政策作成に熱心な人より、お祭り廻りやお盆廻りでよく見かける人を議員に選んでいるというのが、現在のわが国の民主主義の実態であるため、ここは、有権者の方が考え方を変えるべきである。

(2)それでは誰が政策を作っているのか
 麻生財務大臣が「官僚をうまく使え」とよく言っているように、確かに、官僚がいろいろな意見をまとめて政策や法律案を作っている場合が多い。しかし、官僚は、政治家に使われてそれをやっているというよりは、政治家を使って自分たちが作った政策を法律にして「決めている」と言う方が正しい。例えば、消費税増税(財務省)、TPP(経産省)、原発推進(経産省)などがその例であり、与党の政治家がそのつもりでなくても、いろいろな手段でその方向に持っていかれるわけである。そして、官僚が、「自分たちの政策を、速やかに決める政治」を望んでいるのである。

 しかし、日本のメディアは、官僚が作った政策や法律案を成立させるのが、「『決める政治』で与党の責任だ」という言い方をする場合が多く、これは、民主主義という観点から見て本末転倒だ。

(3)新人議員は全員無知だとするメディアの論評について
 *1のように、「郵政選挙で大量当選した『小泉チルドレン』の初当選組83人が自由奔放な言動で批判を浴び次の衆院選で激減した」や「小沢チルドレンは・・・」というように、メディアは、大量に当選した新人議員を“チルドレン”と称し、「全員無知であるにもかかわらず、風にのって当選した起立要員にすぎない」というような議員を馬鹿にしたメッセージを発し続けてきた。

 しかし、新人は全員無知という発想は、終身雇用・年功序列の前提に基づいた間違いである。例えば、15年間弁護士として働いた人が新人国会議員になれば、15年間国会議員を続けてきた人よりも、法務関係の事象には詳しい。また、15年間医者であったり、15年間公認会計士であったりした人も、その分野については、15年間議員を続けてきた人よりも詳しいのである。つまり、前のキャリアは職業が変っても知識や経験として加算されるべきなのだが、日本では、「職業が変わって”新人”になれば、誰でも0からのスタートだ」と考える人が多い。これは、日本が終身雇用・年功序列を建前としていた時代の幻想で、世界標準からは程遠いのだが、日本のメディアは、拡声器よろしくそう言い続け、新人議員の信頼性を損ってきたのである。

(4)世襲議員とアピールについて
  
  フクイチ3号機爆発      爆発現場      爆発後の現場に入る人々

 世襲議員の一例として小泉進次郎議員を挙げれば、小泉純一郎元首相の後援会や秘書団を引き継いでいるらしく、選挙にゆとりがあり、当選当初から何かにつけ根回しも良くて、優遇されているように見えた。そう言う私も、ゆとりのある世襲議員のお世話になることが多かったが。

 また、進次郎議員は、毎月11日に他の国会議員を引き連れて福島県を訪れたり、*2に記載されているように除染したりしたそうだが、交通費を国費で支払って国会議員が何度も訪れながら、*3、*4のようなことを解決もせず、今頃*2のように「事故の影響で避難した人たちが戻れる環境をどうつくるかを考えなくてはならない」などと語っているのは、何度も福島県を訪れていたのが問題意識のない「お盆廻り(月命日参り)」と同レベルのアピールにすぎなかったという証拠だ。しかし、国会議員に要求されるのは、ほんの少しを自ら除染することではなく、本物の除染・避難・健康管理・復興を早急に進めることだった。

 が、そうやって国会議員という地位を確保し、「官僚の作った政策を決める」という、三権分立ではなく行政の下にある立法という構図を作っているのが、現在の日本における民主主義の成熟度である。

*1:http://career.pjin.jp/news/2013/08/08-01.php
(キャリア@PRO人 2013年8月 8日) 熱血「石破教官」新人議員に心得 夏休みの"宿題"も
 「お盆にはお祭りもある。とにかく参院選のお礼回りをしなさい」。「地元では社長さんだけでなく、従業員や受付の人も大事にしなさい」。繰り上げ当選した堀内恒夫氏を含め35人(衆院くら替え当選組3人を除く)が出席した7日の自民党参院新人研修会。石破茂幹事長の野太い声が会場に響きわたり、新人議員は真剣な表情で聞き入った。
●ミニ集会の開催や地方議員との緊密な連携など「選挙活動」のノウハウを丹念に指南した「石破教官」。
 先に訓示した安倍晋三首相(党総裁)が「たじろぐ自民党であれば党の終わりを示すことになる。皆さんは改革を進める中核になってほしい」と笑みを浮かべながらエールを送ったのとは対照的だった。石破氏の熱血指導の理由は、大量当選と落選を繰り返す「振り子現象」から脱皮することにある。念頭にあるのは平成17年の郵政選挙で大量当選した「小泉チルドレン」。当時の初当選組83人が自由奔放な言動で批判を浴び、21年の衆院選で激減したからだ。党内統治の観点から、にらみを利かすことも忘れなかった。石破氏は「何を言ってもいい。だが、その代わり(党として)決まったら一丸となって行くのだ」とクギを刺した。アドバイスと同時に"宿題"も課した。党憲法改正草案の策定経緯やポイントを記した「Q&A」形式の冊子を配り、熟読するよう指示。昨年の衆院選で当選した新人とほぼ同じ内容の研修だったが、リポート提出などは課さなかった。参院議員は任期6年。衆院と異なり解散がない。それだけに地元活動をおろそかにしないようにという指導に力点を置いたわけだ。石破氏は参院選中、候補者の名前や顔を暗記するための「単語カード」も作成した。新人が大量当選した昨年の衆院選後にも作成した単語カードの、参院版といえる。党内からは「ポスト安倍」を見据えた石破氏の言動に注目が集まるが、本人は「幹事長の最大の仕事は選挙」と自らに言い聞かせている。

*2:http://www.saga-s.co.jp/news/global/corenews.0.2564228.article.html
(佐賀新聞 2013年10月13日) 小泉復興政務官が福島視察 / 風評被害対策を後押し
 小泉進次郎復興政務官は13日、福島市のリンゴ農家を視察し、東電福島第1原発事故による風評被害対策について「(福島県産品を)多くの人に味わってもらえるようしっかり後押ししたい」と述べた。視察したのは、阿部幸弘さん(59)の果樹園で、小泉氏が自民党青年局長だった昨年2月に除染を手伝ったことがある。この日は、阿部さんの案内で果樹園を見て回り、実ったリンゴをほお張ると「本当に甘い」と笑顔を見せた。小泉氏は視察後、原発事故の収束に向けた政府の取り組みに関して「事故の影響で避難した人たちが戻れる環境をどうつくるかを考えなくてはならない」と記者団に語った。

*3:http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013101101002281.html
(東京新聞 2013年10月11日) 被災者支援限定に過半数が疑問 基本方針で復興庁発表
 復興庁は11日、東京電力福島第1原発事故の避難者らを援助する「子ども・被災者支援法」の基本方針案に4963件の意見が寄せられ、このうち「支援対象地域」を福島県内33市町村に限ったことへの疑問や見直しを求める意見が2707件あったと発表した。復興庁は基本方針案を8月30日に発表し、9月23日まで意見を公募した。これを踏まえて政府は11日、対象地域以外でも、除染や健康診断実施などの対象になり得ることを新たに明記した基本方針を閣議決定したが、対象地域の範囲は見直さなかった。

*4:http://digital.asahi.com/articles/TKY201310160927.html?iref=comkiji_redirect
(朝日新聞 2013年10月17日) 除染予算、4分の3使われず 福島第一周辺の国直轄分 検査院調べ
 福島第一原発周辺の放射線量が高い地域の環境省の除染事業をめぐり、会計検査院が昨年度までの予算約3228億円の執行状況を調べたところ、76・6%にあたる約2472億円が使われなかったことがわかった。汚染された土壌の置き場所がない、などの理由だ。また除染費用は東電に請求しているが、支払われたのは請求額の2割に満たないという。環境省は、この事業を今年度中に終えるとしていた計画を9月に撤回するなど見通しの甘さが指摘されているが、予算面からも改めて浮き彫りになった。この除染事業は、原発周辺の福島県内11市町村内の避難指示区域を「除染特別地域」として国直轄で実施する。ただ、住民の同意が得られず、土壌の仮置き場の確保などが難航しているため除染が進んでいない。今年7月末現在、田村市、楢葉町、川内村は仮置き場の必要面積を確保したが、浪江町0%、飯舘村15・2%、南相馬市18・0%など7市町村は5割未満にとどまる。除染を行う土地や家屋の所有者らとの交渉も、浪江町で12・8%、南相馬市で27・8%、飯舘村で29・6%しか済んでいない。環境省は取材に「地元住民の理解を得ながら、適切に除染が進むよう努めていきたい」と話している。一方、除染事業の費用は「放射性物質汚染対処特措法」に基づいて、国直轄分に限らず、各自治体分も含むすべてを東電が負担することになっている。今年度までに組まれた除染事業の予算総額は1兆2874億円にのぼり、今後も増え続ける見通しだ。同省はこれまでに除染が終了した分の約404億円を東電に請求したが、東電からは約67億円(16・7%)しか支払われていない。特措法は東電に「速やかに支払うよう努めなければならない」と求めているが、検査院によると、東電は「証拠の確認が完了していない」「特措法の定める支払いの範囲か判断できない」などとして支払いを拒んでいるという。東電は取材に「合意できたものは支払っている。詳細は環境省との交渉であり、回答は控えたい」としている。

| 民主主義・選挙・その他::2013.1~11 | 12:44 PM | comments (x) | trackback (x) |
2013.8.20 民主主義や主権在民とは程遠い政策の決め方と議員の選挙力について
   
                       *1より

(1)誰のどの政策を決めたかったのに、決められなかったというのか
 *1に、①政府・与党は工程表に盛り込んだ改革内容を具体化するため、社会保障制度改革国民会議の後継組織として新たな有識者会議を年内にも設置する検討に入った ②党内に根強い給付減・負担増への慎重論をけん制する狙いがある と書かれており、これは本当であろうが、選挙で選ばれた国会議員を馬鹿にしている。

 ①のような組織や審議会は、政府(縦割りの省庁の集まりであるため省内のやりくりが多く、国民の方を向いていない)が作った政策を、高名な学者が、多少の意見は言うが権威付けする目的で答申するものであり、②は、国民から選挙で選ばれた自民党の政治家が、有権者からの要望や意見を踏まえて給付減・負担増に対して慎重な意見を発しているものである。従って、日本国憲法によれば②の方が重いのだが、②を①に合わせるように行動しているということであり、その中心となっている野田毅委員長は、財務省出身の自民党議員だ。これでは、何のために選挙しているのかわからない。

 また、*2に、「野田佳彦首相は、1月の施政方針演説で『決められない政治からの脱却』を訴え、民主、自民、公明の3党合意で、消費増税関連法が成立し、『決める政治』への期待が芽生えた」と書かれているように、決められないからいけないと言われた政策は、財務省由来の消費税増税と社会保障の削減だったわけである。しかし、これは、国民が望んでいない政策だから決められなかったのであって、松下政経塾出身の野田佳彦首相が、「決められない政治からの脱却」を訴えたのは、単に財務省の方針を丸暗記して演説しただけで、政治家としての誇りも論理的思考もない。

(2)国会議員の役割は何か
 第二次世界大戦後に定められた日本国憲法では、前文の最初に、「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し(中略)主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する」と書かれている。すなわち、主権者は国民であって、選挙で選ばれた政治家が有権者の意見を反映して決めていくということが明記されているのであり、”有識者”会議や省庁には何の権限もないため、(1)の②を①に合わせるように行動することや、*1、*2のようなメディアの論調はおかしいのである。

(3)では、どういう議員が生き残って継続的に当選しやすいのか
 *1には、「7月の参院選で関係業界団体から支持を集めた党側が、自ら歳出抑制を言い出すのは難しい」と書かれているが、歳出抑制しなければならないのは、200兆円も支出するといわれている公共事業である。しかし、生き残りやすい議員の第一は、地元に公共工事をひっぱってきて地元業界団体から応援を受ける議員であって、社会保障を守る議員ではない。

 次に、財務省出身の野田毅議員は、「いま生きている有権者の顔だけ見ていてはいけない。借金に頼ってきた社会保障財源には限界がある」と呼び掛けたそうだが、本当は、日本の借金1000兆円の多くは、社会保障ではなく、景気対策を口実とした1円当たり効率の低い公共事業によって作られたものが多い。そのため、現在生きている人間を幸福にしない視点を持つ人が、将来生きる人間の幸福をだしにするとはおこがましいが、生き残りやすい議員の第二は、各省庁の代弁をする省庁出身の議員である。

 そのほかにも、生き残りやすい議員の類型はいくつかあるが、決して本物の民主主義に資する議員が生き残りやすいのではないということを添えて、その内容は、次にまわそう。

*1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20130820&ng=DGKDASFS1902Z_Z10C13A8PP8000 (日経新聞 2013.8.20)
社会保障改革へ新会議 負担増への露払い役に 自民、プログラム法案骨子を了承
 自民党は19日の社会保障制度特命委員会で、今後の社会保障制度改革の道筋を定めるプログラム法案の骨子を了承した。これを受け、政府・与党は工程表に盛り込んだ改革内容を具体化するため、21日に設置期限を迎える社会保障制度改革国民会議の後継組織として新たな有識者会議を年内にも設置する検討に入った。党内に根強い給付減・負担増への慎重論をけん制する狙いが透ける。プログラム法案は国民会議が6日に安倍晋三首相に提出した最終報告書の内容に沿って、実施時期などを明記した。政府は21日に閣議決定する。正式な法案を秋に改めて閣議決定したうえで、10月中下旬に召集予定の臨時国会で成立を目指す。
 法案が成立すれば社会保障制度改革の今後のスケジュールが規定される。例えば、現在は1割に抑えている70~74歳の医療費の窓口負担は、早ければ2014年度にも本来の2割に戻す。新たに70歳になる人から段階的に2割負担の対象にする方向だ。政府・与党はプログラム法案の成立後、新たな有識者会議を設置する考え。改革のより具体的な内容や中長期的な改革を議論する案を検討している。プログラム法案骨子が「中長期的に受益と負担の均衡がとれた持続可能な社会保障制度を確立するために必要な体制を整備する」と盛り込んだのを踏まえた措置だ。会議を設置する狙いについて、党政調幹部は「有識者に高めのボールを投げてもらう方が党内調整がやりやすい」と漏らす。7月の参院選で関係業界団体から支持を集めた党側が、自ら歳出抑制を言い出すのは難しいとみているためだ。
 党内には「痛み」を伴う改革への慎重論が根強く、19日の特命委では出席者から「保険給付対象となる療養範囲を縮小するのか」などの意見が出た。野田毅委員長が「いま生きている有権者の顔だけ見ていてはいけない。借金に頼ってきた社会保障財源には限界がある」と呼び掛け、一任を取り付けた。党内で反対論が広がらず、首相官邸主導で手続きが進むのは、今回の法案がスケジュールを定めただけで、実際の制度変更には別途、個別の法案が必要になるからだ。慎重派は「正念場は来年以降に提出する個別法案」とみており、改革に伴う痛みをなるべく少なくするよう徐々に圧力を強めていく構えだ。お盆休みの直後という日程もあって、プログラム法案骨子は通常の法案の了承手続きに必要な党政策審議会や総務会での議論を省略し、閣議決定される見通しだ。

*2:http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS21024_R20C12A9SHA000/
(日経新聞 2012/9/23) 「決められない政治」の源
 「決められない政治」という言葉が新聞紙上で使われ始めたのは、2008年の春先からである。
 前の年の参院選で自民党が大敗し、衆参の多数派が異なるねじれ国会になっていた。これを打開するために進められた自民、民主両党の大連立構想が頓挫し、当時の福田内閣は国会運営で苦労を強いられていた。08年の通常国会では、小沢一郎代表が率いる民主党の反対で、日銀総裁人事が決まらない異常事態に陥る。「決められない政治」が強く意識されたのは、日銀総裁の国会同意人事がきっかけだった。ねじれ国会が生みの親といえる。
 野田佳彦首相は1月の施政方針演説で「決められない政治からの脱却」を訴えた。民主、自民、公明の3党合意で、消費増税関連法が成立し「決める政治」への期待が芽生えたが、衆院解散・総選挙をめぐる与野党対立のあおりで、一過性で終わりそうな気配だ。まず前通常国会で可決された首相問責決議の問題がある。当の野田首相の党代表再選が決まり、野党は秋の臨時国会で審議拒否を辞さぬ構えだ。法的拘束力はないのに、過去に首相問責決議を受けた福田康夫、麻生太郎両氏が早期退陣に追い込まれた前例がある。
 もう1つの懸案が、予算執行に不可欠な赤字国債発行法案の処理をどうするかだ。野党は衆院解散を約束しない限り、法案成立に協力しない方針で、財源が枯渇するとされる11月のタイムリミットが近づく。昨年は菅直人首相の退陣と引き換えに、赤字国債発行法が成立したが、政局絡みで成立が遅れている一因は民主党の国会対策にもある。本来、予算案と同時に衆院で採決すべきなのに、赤字国債発行法案の処理を先送りしてきたからだ。城島光力国会対策委員長らは、前国会で予算案と一緒に赤字国債発行法案を参院に送るよう主張した。衆院通過から60日以内に参院で採決されなければ否決とみなされるため、本当に否決するかの踏み絵を野党に迫る狙いからだ。結局、消費増税関連法案で野党の協力が必要という判断から、赤字国債発行法案の採決は見送られた。成立の見込みがないまま参院に送ることには財務省が最も強く抵抗したという。

| 民主主義・選挙・その他::2013.1~11 | 04:35 PM | comments (x) | trackback (x) |
2013.7.31 本当に福島党首の責任だろうか? 私は、共産主義・社会主義を前提とする時代は終わったのではないかと思うが・・。
   

 社民党の福島瑞穂党首の今回の参院選における「強い国よりやさしい国」というキャッチフレーズは、「強くなければやさしくもできない」という意味で、私は賛成できなかった。しかし、私は、*1に記載されているように、参院選敗北の責任が、ひとえに福島党首にあるとは思っていないため、福島党首が辞任すれば社民党の党勢が回復するとは思わない。メディアが歪曲して報道したため、国民にはあまり伝わっていないが、福島瑞穂党首の発言には、ポイントをついた真実も多いのである。そのため、福島さんが、今後、あまりテレビに出なくなるのは残念だと、私は思っている。

 歴史ある政党で地方組織を持っているにもかかわらず、共産党や社民党が強くなれない理由は、共産主義経済や社会主義経済よりも市場主義経済の方がすぐれていることが、世界史上で既に証明されているからであり、共産党や社民党の個々の政策が国民の共感を得ていないからではないだろう。しかし、国民は、社会主義・共産主義・全体主義社会に変えたいとは思っておらず、共産党や社民党を与党としては選択しないため、候補者の人材も限られて、特に選挙区で当選しにくくなっているのだと思う。

 そのため、私は、共産党、社民党、みどりの風は合併して、市場主義経済を前提とする「みどりの党」になったらどうかと提案する。そうすると、「赤旗」は「みどりの未来」になって、アカと刷り込まれたイメージを変えるのにも都合がよいし、他の中小政党や無所属議員も、共産主義や社会主義を前提としなければ、個々の政策では近いため合流できるところもあるのではないだろうか。実は、このことは、社民党時代の阿部知子議員や共産党の笠井亮議員にも言ったことがあり、その時は、「歴史のある政党だから難しい」と言われたのだが・・。

  

*1:http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS2502E_V20C13A7000000/
(日経新聞 2013/7/25) 社民、福島党首の辞任了承 党首は当面空席
 社民党の福島瑞穂党首は25日夕の記者会見で、参院選で1議席にとどまった責任を取り同日付で辞任することを党常任幹事会で了承されたと表明した。当面は党首を空席とし、党首代行を置く意向も示した。福島氏は「参院選で社民党が掲げた300万票で3議席獲得の目標に全く届かなかった。衆院選、参院選で敗北した責任はひとえに私にある」と語った。

*2:http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS2102N_R20C13A7PE1000/?
(日経新聞 2013/7/22) 生活・社民・みどり、選挙区全敗
 生活の党と社民党、みどりの風は苦戦した。比例代表を含めても生活とみどりは改選ゼロ議席で、社民も1議席にとどまった。みどりは比例代表で立候補した谷岡郁子代表が落選した。社民は全体で過去の最少議席だった2議席を下回った。福島瑞穂党首は21日夜のNHK番組で「街では脱原発や反環太平洋経済連携協定(TPP)など手応えがあった」と選挙戦を振り返った。生活は小沢一郎代表の地元である岩手選挙区でも議席が獲得できなかった。小沢氏は都内で記者団に「正直大変驚いている」と語った。議席がゼロだったことについては「国民の判断だから、事実としてきちんと受け入れ、今後の政治活動をしていく」と述べた。小沢氏は次の衆院選に向け「自民党対抗の新しい受け皿」をつくると、政界再編に意欲を示してきた。地元の岩手での敗北で政界内の求心力が一層弱まることは避けられない。民主党内で小沢氏と近い輿石東参院議員会長も参院選惨敗で影響力は低下する可能性が高く、連携の道は狭い。岩手で当選した無所属の平野達男前復興相には当初、自民党内で擁立論があった。選挙後の入党も取り沙汰されているが、河村建夫選挙対策委員長は同日夜、党本部で記者団に「ハードルはそう低くない」と慎重な姿勢を示した。みどりの谷岡氏は、2009年衆院選の太田昭宏公明党代表(当時)以来の党首の落選となる。1議席も得られず、政党要件を失う見通しだ。谷岡氏は同日夜のNHK番組で「大変残念だ。みどりの風は原発やTPP(問題)では力を入れている。しっかりと国民の世論づくりにがんばっていきたい」と語った。

| 民主主義・選挙・その他::2013.1~11 | 02:13 PM | comments (x) | trackback (x) |
2013.7.24 今の民主党の問題点は、官僚的・サラリーマン的で、有権者のニーズを捉えていないことである。
 民主党の細野幹事長が、*1と同様、テレビのインタビューでも、7月23日に、「参院選敗北の引責辞任をする」と言っているのを聞いたが、その時は、「誰かが責任をとらなければいけないでしょう」とも付け加えており、「本当は自分の責任ではないが・・」という思いがこもっていた。そもそも引責辞任とは、誰かが責任を取って辞め、責任追及を終わりにすることである。

 しかし、細野幹事長は、福島第一原発事故が起こった時、「パニックになるのが嫌なので、国民に真実を言わなかった」と言っていた人であり、戦犯の一人である。海江田代表も真っ先に原発再稼動を指示した経済産業大臣で、答弁の時に泣いたりして、信用に値しない。そのため、この2人を代表、幹事長に選んだ時点で、民主党のセンスのなさが、あらためて明白になったのである。

 熱心に「脱原発」を求めた候補者は、*2のように無所属の山本太郎氏も当選し、「脱原発」のうねりは大きくなっている。さらに、参議院東京選挙区で、民主党は、6月23日の役員会において細野氏の主導で東京選挙区の民主党公認候補者を鈴木寛氏(東大法学部卒、通産省出身)に一本化し、女性の大河原雅子氏(国際基督教大卒、生活者ネット代表)を、突然、公認からはずした。これは大河原さんにとって、あまりにも酷だっただろうし、女性を議員に登用する流れからも外れている。そして、そのような状況の中で大河原さんを支援した菅元首相を離党か除名処分にするそうだが、私は、これで民主党はダメ押しになると思う。

 何故なら、菅元首相は、現在、脱原発を表明しており、菅元首相が作った電力買取制度のおかげで自然エネルギーが普及しているのであり、あのような場合に大河原さんを支援するのは人間として当然であり、逆に、議員を使い捨てにするような政党には、優秀な人材は集まらなくなるからである。また、民主党は、女性議員に対する考え方も意外と古いが、国民は、結構、見ているのである。

*1:http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20130723-OYT1T00825.htm
(2013年7月24日 読売新聞) 鳩山・菅両元首相の問題、細野氏辞任までに結論
 民主党の細野幹事長は23日、党本部で記者団に参院選敗北の責任を取るとして、選挙総括を終える8月末に幹事長を辞任することを明らかにした。これに先立ち、細野氏は同党の海江田代表と会談、海江田氏は強く慰留したものの、辞任を了承した。海江田氏は現執行部体制での出直しを表明していたが、早くもつまずいた。会談後、細野氏は記者団に「(参院選で)17議席という結党以来最低の結果に終わった。責任を取るべきなのは幹事長である私だ」と語った。細野氏は22日に海江田氏に辞表を提出していた。23日の党役員会では、細野氏が自らの主導で候補を一本化した東京選挙区での敗北などを挙げ、「責任は免れない」と説明。改めて辞意を表明したが、複数の出席者から「個人の責任ではない」などと慰留する声が上がったという。役員会ではまた、東京選挙区で党公認を外された無所属候補を支援した菅元首相や、沖縄・尖閣諸島を巡り、「中国側から見れば、(日本が)盗んだと思われても仕方がない」などの発言を繰り返した鳩山元首相に対し、処分や何らかの措置を求める声が上がり、細野氏の辞任までに結論を出すことになった。

*2:http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013072302000131.html (東京新聞 2013年7月23日) 山本太郎氏当選 「脱原発」求めるうねり
 参院選東京選挙区では脱原発を訴えた無所属新人の山本太郎氏が当選した。圧勝した自民党は、原発の再稼働や原発輸出に前のめりだが、原発ゼロを求める有権者の意思を謙虚に受け止めるべきだ。 山本氏は、NHK大河ドラマにも出演した俳優だ。二〇一一年三月の東京電力福島第一原発事故を機に脱原発運動に身を投じ、昨年十二月の衆院選では東京8区に立候補。次点で落選したが、七万票余りを集めた。今回の参院選にも立候補し、「今も原発を続けようと思うことが理解できない。原発事故の影響がはっきり伝えられていない。どうして国会ではっきり言う人がいないのか。ぼくは被ばくしたくない、愛する人にも被ばくしてほしくない」などと訴え続けた。政党や大組織に属さず、ボランティアとカンパが戦いの支えだった。六十七万票近くを集め、自民党現職の武見敬三氏を上回る堂々の四位当選は、脱原発を求める有権者がいかに多いかを物語る。
 全国的には六十五議席を獲得した自民党の「圧勝」が報じられるが、東京選挙区では改選数五のうち、原発「容認」派は自民党の丸川珠代、武見両氏の二人にすぎない。公明党の山口那津男氏は「原発ゼロを目指す」、共産党の吉良佳子氏は「即時原発ゼロ」をそれぞれ掲げた。山本氏を含め東京では脱原発派が過半数を占める。神奈川、千葉、茨城で当選した民主党は三〇年代の、神奈川、埼玉で議席を得たみんなの党も二〇年代の原発ゼロをそれぞれ掲げており、首都圏では神奈川、埼玉両選挙区でも原発推進は少数派だ。
 全国的にも自民党が比例代表で得たのは改選四十八議席中十八議席。三十一ある改選一人区での二十九勝も、一人しか当選できない選挙制度によるところが大きい。原発再稼働、輸出が絶対的な支持を得たわけではないことを、安倍晋三首相をはじめ政権幹部はまず、肝に銘じるべきだろう。山本氏が「今がスタート地点」と指摘するように、本番はこれからだ。安倍内閣は参院選「圧勝」に意を強くして、原発再稼働や輸出の動きを加速するだろう。これに待ったをかけ、脱原発というエネルギー政策の大転換を図るには、それを目指す政治勢力がバラバラでは不可能だ。党利党略にとらわれず、小異を捨てて大同につく政治決断や、実現可能な工程表をつくり、それを着実に実現していく緻密な政治戦略もまた、必要なのである。

| 民主主義・選挙・その他::2013.1~11 | 03:57 PM | comments (x) | trackback (x) |
2013.7.2 米国家安全保障局(NSA)による個人情報収集活動とそれを暴露したCIA元職員、エドワード・スノーデン氏について
         
   「ホント、人間界はひどいね」       「そうだ!」          「真面目にやれよ」

(1)メール記録収集・電話盗聴をしているのは米国だけで、されているのは米国人だけか?
 *1で明らかなように、「米国家安全保障局(NSA)が米Verizonに極秘に裁判所命令を出し、国内および国際通話に関するすべての情報を継続的に毎日NSAに提出するよう要請した」そうである。それでは、こういうことを行っているのは、1)米政府だけで、オバマ大統領に始まったことか? 2)米国人のみが対象か? について記載したい。

1)やっているのは米政府だけで、オバマ大統領に始まったことか?
 国際会議や国際交渉を行う時、大使館勤務になった時などに盗聴されていることが多いと聞いており、10年以上前、ある官僚がロシアに行った時、部屋が寒かったのでフロントまで行かずに、部屋の中で壁に向かって「部屋が寒い」と言ったところ、暖房の温度が上がったという笑い話もある。つまり、やっているのは米政府だけではなく、オバマ大統領が始めたのでもなく、日本国内でも行われているということだ。そして、その情報の解釈がおかしいこともある。そのため、私は、国会議員になる前に公認会計士をしていた頃から、電話では重要な話はせず、不特定多数の人に見られては困る事項は、郵便を使って連絡したり、会って話をしたりしてきた。また、PCは、メールだけではなく、“ウイルス”を使っているのか、パソコン内にあるファイルでさえ誰かに見られていると思うことがある。これは、インターネットに繋がないPCを持っておくことで対応するしかないが、あまり徹底していなかったので、これから徹底しよう。

2)米国人のみが対象か?
 目的はさまざまであるため、米国人だけが対象ではない。もちろん、その中には、日本人、日本企業、日本政府も入っており、その時点で情報価値のある人が特に狙われているだろう。それは仕方のないことだとは言わないが、最悪の場合の対応もしておくのが、危機管理である。

(2)スノーデン氏に対する日本メディアの評価(評論)の歪み
 私は、スノーデン氏は、黙っていたらCIAに勤務し続けて、結構よい生活ができたが、普通の人間には良心と比較した時に越えられない領域があり、スノーデン氏の場合はその領域を超えたため、命の危険すら顧みずに事実を暴露したのだと思う。それ以外には、大国アメリカを相手に、個人がこんな危ないことをする理由がない。それにもかかわらず、*2のように、スノーデン氏を変な方向から貶める論調が出始めているが、これが、全体主義・組織主義の中で、自らは正義と人権の感受性のスイッチを切っている体制派の日本のメディア記者の本質だと思う。そして、「『コンピューターの天才』と自称していた鼻持ちならない人間であるから、言う言葉は信用ならない」というのも、ワンパターンに歪んだ、次元の低い、人間に対する評論である。

*1:http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20130607/483111/?bpnet
(日経BP 2013/6/7)米国家安全保障局がVerizonユーザーの全通話記録を収集、英紙が報道
 米国家安全保障局(NSA)が米Verizonからサービス加入者の通話記録を収集していたことが、英紙Guardianが入手した極秘の裁判所命令から明らかになった。Guardianのオンライン版に現地時間2013年6月6日に掲載された記事によると、この極秘命令は、Verizonに対して国内および国際通話に関するすべての情報を、継続的に毎日NSAに提出するよう要請している。外国情報監視裁判所(FISC)が4月25日に発行したもので、7月19日までの3カ月間にデータを収集する無制限の権限を政府に認めている。同命令のもと、通話者双方の電話番号、位置情報、通話時間といった情報が引き渡されたが、会話の内容は含まれていないと、Guardianは報じている。George Bush元米大統領の政権下ではNSAによる大規模な通話記録収集の情報を政府高官が記者に開示したことがあったが、現在のBarack Obama大統領政権で大規模かつ継続的な記録収集の実施を示す極秘書類が漏えいしたのはこれが初めてとなる。この報道を受け、元米副大統領のAl Gore氏は「Twitter」に自身のアカウントから「胸が悪くなるほど許しがたいこと」とつぶやいている。また米電子フロンティア財団(EFF)は「米国議会と米国民は、政府のスパイ行為について大統領に真実を語らせるべきだ」とのコメントを発表した。Guardianは入手した極秘文書をWeb上に公開している。

*2:http://sankei.jp.msn.com/world/news/130629/amr13062908530002-n1.htm
(産経ニュース 2013.6.29) 「コンピューターの天才」を自称 CIA時代に米不信
 米国家安全保障局(NSA)による個人情報収集活動などを暴露した米中央情報局(CIA)元職員、エドワード・スノーデン容疑者(30)。英米メディアの報道から浮き彫りになるのは、機密を扱う仕事に就いたことで自国への不信を強めていった姿だった。東部メリーランド州で育った容疑者は、高校時代にコンピューターに夢中になり、日本のアニメにも強い関心を持った。高校は中退した。
 米軍によると、2004年に陸軍特殊部隊の候補者として入隊したが、約5カ月後に除隊。入隊の動機は「人々をイラクの圧政から解放するため」だったという。メリーランド州に戻って警備員を務めた後、06年中旬にCIAに職を得た。最高機密を取り扱う資格を得て、CIA職員の身分を隠ぺいしながらジュネーブで米国務省員として活動する。同年、容疑者はあるインターネットサイトに、学歴のない自分が就職できたのは「コンピューターの天才だから」と書き込んだ。しかし、ジュネーブ時代の活動を通じて容疑者は「米政府の活動に失望した。自分がやっていることは、利益よりもはるかに多くの害を生んでいた」との思いを深めていく。一方、容疑者とみられる人物は、09年1月にイラン核問題に関する機密情報を報じた米紙などの漏洩行為をネット上のチャットで強く批判していた。同年にCIAを退職後、NSAの契約職員として在日米軍施設に勤務し、12年4月にハワイへ。今年3月、防衛関連コンサルティング企業でNSAの脅威監視センターのシステム管理者に就いた。両親と姉に迷惑が掛かることを心配していた容疑者。幼少の頃、母親と離婚した元沿岸警備隊幹部の父親は28日、米NBCテレビに出演し、容疑者は内部告発サイト「ウィキリークス」周辺に利用されていると主張。「息子は米国の法律を破ったが売国奴ではない」と擁護した。

| 民主主義・選挙・その他::2013.1~11 | 09:58 AM | comments (x) | trackback (x) |
2013.3.6 人権を大切にしない国の司法の問題点 → こういう発想の国だからマイナンバー法案も怖いのである。
 私は、*1の当時の報道を記憶しているが、「外国人は邪悪だ」ということを社会常識にしたいかのように、あらゆるメディアで、「このネパール人男性が犯人であり、ひどいことをした」という報道を繰り返していた。この冤罪事件で得をしたのは、①捕まらなかった犯人 ②真犯人を捕まえられなかったのに、非難されずにすんだ検察と警察 ③外国人は邪悪だと吹聴したかった人 である。そして、人生を台無しにされたのは、冤罪被害を受けたネパール人男性であり、これでは、被害者も成仏できないだろう。

 *2も、前川彰司さんは、刑期を終えても主張しているのだから、無実なのだろう。そして、司法上、「心神耗弱状態」として軽い刑期にするのは、このような場合によくあることだが、医学的には「心神耗弱状態」という定義や疾病はない。つまり、これは、司法が”便利に”使っているにすぎない言葉なのである。

 しかし、司法が、このような言葉を便利に使うと、社会に対し、精神障害者が殺人などの罪を犯す確率が高いかのような印象を与え、精神障害者差別を生むという弊害がある。実際には、精神障害者が殺人などの罪を犯す確率は、一般の人よりも低いと言われているにもかかわらずなのだ。

 そして、この*1、*2の流れから、わが国は、司法も含めて、一人一人の人間の人権を大切にしている国ではなく、何かを守るために犠牲にしているのは、「(新興国の)外国人」「女性」「精神障害者」など、マイノリティーで発言力の弱い人たちだということがわかる。このような国での*3のような「マイナンバー法案」の導入は、本当は誰のために便利で、どう使うつもりなのかが疑われるわけだ。

      最近の街灯
 
*1:http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2012103002000115.html
(東京新聞 2012年10月30日) 東電女性再審 “暗黒司法”そのものだ
 東京電力の女性社員殺害事件で、無罪となるネパール人男性の再審公判は、司法界の“暗黒”を物語る。検察も裁判所も過ちを検証せねばならない。真犯人の追及にも本腰で取り組むべきだ。
再審の公判で「無罪」と主張したのは、検察側だ。弁護側はずっと無実を訴えてきた。これで結審し、ネパール人男性の無罪は確実だが、もっと早く冤罪(えんざい)から救済できなかったか悔やまれる。昨年夏に被害者の体内から採取された精液のDNA型鑑定の結果が出た。男性とは別人の「X」のもので、しかも殺害現場にあった体毛の型と一致していた。この時点でも、検察は“撤退”が可能だったはずだ。ところが、今年六月に再審開始決定が出ても、検察側は異議を申し立てていた。検察が白旗を揚げる決め手になったのは、女性の爪に残っていた付着物をDNA型鑑定したところ、やはり「X」のものだったことだ。被害者と最後に接触したのは「X」である可能性が濃厚になった。爪の付着物は、被害者の激しい抵抗の痕跡かもしれない。
 だが、弁護側が爪に着目して、鑑定書を求めたのは二〇〇七年である。検察は裁判所に促されても、「鑑定書はない」「爪からは何も検出されていない」などと、虚偽に近い不誠実な姿勢だった。最後まで有罪にこだわり続けた検察の態度は非難に値する。有罪を確定させた裁判所も問題だ。一審は「無罪」だった。「別人が犯行現場の部屋を使った可能性がある」「精液の入った避妊具は、事件当日に使用したと断定できない」などと、新しい鑑定技術がなくとも、男性を犯人とすることに疑いを持ったのだ。ところが、二審はわずか四カ月のスピード審理で「逆転有罪」となった。なぜ一審が下した“赤信号”を素通りし、最高裁まで追認したのか。さまざまな証拠が「X」が真犯人だと指し示しているような現在、裁判所はどのような弁解をするのだろうか。
 当初からネパール人男性を犯人だと決めつけた捜査に問題があるのは間違いない。重要物証をDNA型鑑定しなかったのも致命的だ。被告人に有利な証拠も得られるよう、全面証拠開示の必要性も、この事件は訴えている。司法が「暗黒」と呼ばれないためには、他にも冤罪が潜んでいないか、早急にチェックすることだ。もはや正義に奉仕すべき司法の倫理さえ問われている。

*2:http://mainichi.jp/select/news/20130306k0000e040135000c.html
(毎日新聞 2013年3月6日) 福井女子中学生殺害事件:再審開始認めず…名古屋高裁
 福井市で86年に起きた女子中学生殺害事件の再審請求異議審で、名古屋高裁の志田洋裁判長は6日、殺人罪が確定した前川彰司さん(47)=懲役7年の刑期を既に終了=の裁判をやり直す「再審」開始を認めた高裁金沢支部決定(11年)に対する検察側の異議を認め、再審開始決定を取り消した。今後、前川さん側が特別抗告して審理は最高裁に移るとみられる。特別抗告期限は11日。1審の福井地裁が90年、「前川さんの知人らの目撃証言などは信用できない」として無罪とした。しかし2審の金沢支部は95年、証言の信用性を認めて逆転有罪判決を言い渡し、その後に確定。前川さんは刑務所を出た後の04年、金沢支部に再審請求した。弁護団は再審請求審で新証拠を提出した。遺体に凶器とされる被害者宅の包丁2本の幅より短い傷があることを指摘し、「真犯人が別の刃物を持ち込み、犯行後に持ち去った」と主張。また、血だらけの前川さんが乗り、血液が付着していたとの証言がある車から被害者の血液反応が出なかったことは不自然と指摘した。さらに、犯人が現場に指紋などを残しておらず、2審判決が認定した「心神耗弱状態の前川さん」では不可能な犯行であることを示しているとした。金沢支部は11年11月、新証拠の価値を認め「知人らの供述の信用性に疑問を抱かせる」「合理的で高度の思考能力を備えた犯人が実行」などと指摘して再審開始を認めた。検察側は異議審で、刺し傷について「計測で誤差が生じたり傷が縮んだりすることがある。残されていた包丁2本による傷とみて矛盾しない」と反論。血液反応についても「拭き取りやワックスがけ、太陽光により血液が変性した」と主張していた。

*3:http://www.ehime-np.co.jp/rensai/shasetsu/ren017201303056872.html
(愛媛新聞社説 2013年3月5日) マイナンバー法案 誰の利便のための番号なのか
 国民一人一人と法人に固有の番号を割り当て、納税や年金などの情報を一元管理する「マイナンバー法案」が、国会に提出された。昨秋廃案になった民主党提出案を修正し、今国会での成立と、2016年1月の利用開始を目指すという。しかし法案は、過去何度も浮かんでは消えた「共通番号制度」自体への懸念が解消されないまま、さらに利用拡大を促す内容。政府がうたう国民のメリットは極めて曖昧、過小で、デメリットに比して著しく均衡を欠き到底容認できない。国会での議論を通じて、再考を強く求めたい。政府は法案の目的として、行政事務の効率化と国民の利便性を強調する。前政権が昨年、消費増税に伴う低所得者対策に掲げた「給付つき税額控除」に共通番号が不可欠―と「大義」を言い立てたことも、推進ムードを高めた。だが当時は、自民党や公明党も「番号制度でも対象者の所得把握は難しく、ばらまきになる」と反対している。実際、把握が難しいとされる自営業者の収入や預貯金のデータなどは、番号を振っただけで把握精度が上がるわけではなく、税法改正や体制強化が当然必要になってくる。
 国が、個人の所得を一手に把握し、脱税や不正受給摘発に生かしたい狙いは明らか。だが、既に番号制度がある国でも税逃れはなくならない。行政手続きは確かに簡略化できようが、それだけでは費用対効果からも納得し難い。コストは、導入費用だけで「2000億~3000億円」とは、高額な上に算出根拠が曖昧すぎる。維持費も巨額になろう。肝心の削減効果は「1000億円」との試算もあるが、何の保証もない。年約130億円を費やしながら10年間、ほとんど利用されなかった住民基本台帳ネットワークのように、無駄で未完の「IT公共事業」になる疑念が拭えない。
 何より、情報流出と悪用が懸念される。法案には独立性の高い第三者機関の設置や、漏えいに関わった職員らへの罰則が盛り込まれた。むろん必要な措置だが、処罰をいかに厳しくしようとも悪意の漏えいや不正利用、ミスは決して防げず、ひとたび漏れれば取り返しはつかない。情報へのアクセス記録などを本人が確認できるシステムも構築するというが、捜査機関が収集した情報などは対象外。国家によるプライバシー侵害が警戒される中、個人の側の知る権利を狭める制度に信は置けない。情報システムは結局、活用しなければ元が取れず、活用のために民間などに利用範囲を拡大すれば危険が飛躍的に増大する。「マイナンバー」とは、誰の利便のための番号なのか。あらためて制度の根幹と必要性を問い直したい。

| 民主主義・選挙・その他::2013.1~11 | 05:57 PM | comments (x) | trackback (x) |
2013.3.3 国会議員選挙の一票の格差問題
      
         ビート畑               さくらんぼ畑               梨畑
 *1の一票の格差について、東京選挙区から出ていた男性議員から、「男1票、女0.5票だったら、絶対に納得しないだろう。ところが、地方と都市ではそうなっている」と言われて、思わず納得したことがある。

 そこで、都市部選出の議員数を増やすことが適切か否かについて考えると、まず、TPPに賛成か反対かについては、都市部出身の議員は賛成、農村部出身の議員は反対というふうに、政党よりも、農業に従事する有権者の意見を直接聞く機会があるかどうかで大きな差が出ている。また、公共事業は、「費用対効果を考えて維持管理と補修だけに限定すべき」と主張するのは都市部出身の議員であり、まだ、補修すべき高速道路や高速鉄道すらできていない地方出身の議員は、「新規建設も必要だ」と主張する。私も、詳細には書かないが、これまでの一極集中政策で出た格差は、弊害が多く出ているため、変えるべきだと思っている。

 しかし、一人一票方式にすると、すでに人口の多い都市部の議員数が増え、過疎地の地方議員が減って、政策は、さらに都市部に偏ることになる。

 先日、北海道選出の議員と話をしたところ、「選挙時に廻りきれないから、面積も考慮してくれないかな」という声があった。私も、選挙カーで佐賀三区を廻ると、人通りのない山の中の道路を走ったり、遠くにしか家がない田園地帯を走ったりすることがよくあるため、その気持ちはよくわかるが、そのような地域は、環境や食糧生産に貢献している、えも言われぬ美しい地域でもある。そのため、どういう形でか、それぞれの地方の意見を伝達できる必要最小限の議員数は確保できるようにすべきだと思う。

*1:http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130225-00000108-mai-soci
(毎日新聞 2月25日) <1票の格差訴訟>昨年衆院選、来月6日から判決
 「1票の格差」が違憲状態のまま実施された12年12月の衆院選は違憲として、全国の有権者が選挙の無効を求めて8高裁・6高裁支部に起こした計16件の訴訟は25日、広島高裁で最後の口頭弁論があり、即日結審した。同高裁は判決期日を3月25日に指定し、16件の訴訟全てが提訴から100日以内の3月6~27日に言い渡されることになった。最高裁が11年3月に示した「違憲状態」判断から1年9カ月間、是正に至らなかった国会の姿勢をどうとらえるか。国会に厳しい判決を予想する識者が多い。
 16件の訴訟は、1票の格差是正を求める二つの弁護士グループが原告となって起こした。3月6日の東京高裁を皮切りに、判決は順次言い渡される。各地の弁論で原告側は「最高裁判決の警告を無視しており、選挙は無効だ」と主張。被告の選管側は「1年9カ月は区割り全体を見直す期間としては不十分」と反論した。
 最高裁は11年3月、最大格差が2.30倍だった09年衆院選を違憲状態と判断し、「1人別枠方式」の廃止を迫った。しかし、国会論議は停滞。小選挙区を0増5減するなどの関連法は成立したが、区割りの見直しは間に合わずに、衆院選に突入した。格差は有権者数が最多の千葉4区と最少の高知3区の間で2.43倍に広がった。
 今回、原告側は公選法の「100日裁判」規定に基づき早期の判決を裁判所に要請。結果として16件全てが提訴から100日以内に期日が指定された。衆院選を巡っては過去、最高裁で2度の違憲判決と2度の違憲状態判決が出ているが、選挙を無効とする判決が出れば、高裁、最高裁を通じ初めてとなる。
 元最高裁判事の福田博弁護士は「最高裁から違憲状態判決を受けながら何もせずにきたのは国会の怠慢だ。国会議員に自浄能力がないことが明らかになった。昨年の衆院の小選挙区選挙を全て有効と判断することの方が、むしろ勇気が必要だ。投票価値の不均衡を生んでいる選挙区については無効判決が出ても驚かない」と話す。

| 民主主義・選挙・その他::2013.1~11 | 10:33 AM | comments (x) | trackback (x) |
2013.2.12 男性議員を打つには、金か女と言われるが、それもステレオタイプではないのか?
 私は、徳田毅衆議院議員と話をしたことがあるが、鹿児島二区(指宿・奄美、鹿児島市の一部など)選出で、西郷隆盛に似た顔の、どっしりとした感じのいい青年だったと記憶している。その徳田議員が、すでに和解が成立した2004年の事件でShootされて政務官を辞任したので、「週刊新潮」が、何のために、今それを報じたのかを考えてみた。すると、誰かが、*1のように安倍政権への打撃としたかったのか、*2のように徳田毅衆院議員の政治生命を絶とうしたのか、その両方をもくろんだのかだろうと思えた。

 そもそも、(あまり書くと二次的被害になるかも知れないが)19歳の女性が、泥酔するまで飲酒するのもおかしいし、用がないのであれば、ホテルの部屋で男性と二人きりになるのも隙がありすぎる。つまり、それは、「どうぞ、ご自由に」と、言っているようなものなのである。

 左のカテゴリーの週刊文春関係というのをクリックすると出てくるように、私は、週刊文春に嘘を書かれて国会議員としての評判を落とされたため、名誉毀損で提訴して、2012.12.26日に勝訴判決を得た。その時、女性議員をShootするためのステレオタイプな表現の類型が、①ジェンダーからくる女性の能力軽視 ②色恋沙汰の曝露もしくはでっちあげ であることを、国立国会図書館で、しっかりと調べあげた。一方で、男性議員をShootするためのネタは、金か女だと言われている。

 議員になる人は、鵜の目、鷹の目で狙ってくるメディアに対抗できるよう、「梨下に冠を正さず」にしておく必要があり、これは一苦労であるため、くだらないプライバシーの問題で議員をひっかけたり、陥れたりして喜ぶのは、国益にならないあさましい趣味だということを、はっきりと言っておきたい。

*1:http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20130211-00000007-sasahi-soci
(Yahoo 2月11日) 徳田前政務官「未成年と性交」辞任も安倍政権に打撃なし〈※週刊朝日 2013年2月22日号〉
 「週刊新潮」(2月14日号)が報じた徳田毅・前国土交通兼復興政務官(41)の「女性スキャンダル」は、ロケットスタートに成功した安倍政権にとって大打撃となる、はずだった。記事は2004年に、徳田氏が泥酔して抵抗できなくなった未成年女性と強引に性的関係を持ち、「精神的ショックを受けた」と訴えた女性側に慰謝料を1千万円支払ったというものだ。・・中略・・今回、官邸の動きは素早かった。掲載誌が発売される2日前の4日、菅義偉官房長官(64)は徳田氏が「一身上の言いつつも、女性問題であることを明らかにしたのだ。・・中略・・ちなみに、一瞬ではあったが注目を集めた徳田氏は、あの医療法人「徳洲会」理事長で元衆院議員の徳田虎雄氏(74)の次男で、3回生議員ながら11年には献金など約2億5千万円を集め、国会議員トップの資金力を誇る。

*2:http://gekiatutrendonews123.blog.so-net.ne.jp/2013-02-06
徳田毅衆院議員 女性問題の内容が明らかになった。
 2007年、女性(28)から「一緒に飲酒し泥酔したところ、無理やり性的関係を結ばされた」として、損害賠償の訴えを起こされていたことが分かった。
 2004年、女性は19歳。徳田毅衆院議員と会食した際、酒を勧められて飲酒し泥酔。徳田氏が宿泊しているホテルに案内され、泣きながら「やめてください」と求めたものの、無理やり性的関係を結ばされた、と主張。慰謝料2千万円の支払いなどを求めて東京地裁に提訴していた。女性の訴えに対して、徳田毅衆院議員答弁書の中で「未成年とは知らなかった」「お酒は女性がすすんで飲んだ」「性行為は合意の上」と 否定。約3カ月後、徳田氏が女性とその知人男性に深く謝罪し計1千万円の慰謝料を支払うこと、訴訟内容について口外しないことなどを条件に和解が成立していた。徳田毅衆院議員は、結婚披露宴から半年あまりのことだった。徳田毅衆院議員側は東京地裁に記録閲覧制限を申し立て、地裁がこれを認める決定をしたため、内容は一切外部に漏れない形で封印されていた。徳田毅衆院議員 政治生命大ピンチですね。
  徳田毅(41歳)、自由民主党所属の衆議院議員。
  医療法人徳洲会理事。安倍内閣の政務官に起用されたため、理事職を降りている。
  選出選挙区 鹿児島2区

| 民主主義・選挙・その他::2013.1~11 | 07:02 PM | comments (x) | trackback (x) |

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