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2015.2.28 日本人の謝り方のおかしさと政治家が政治資金規正法違反事件であるかのように挙げられるケースの多さ ← これが民主主義の限界になっているため、ここを解決すべきである
     
  西川前農相       下村文科相       望月環境相  その他の大臣

(1)西川農水相の事例 ← 謝るのは、本当に悪い場合のみにすべきである
 *1-1、*1-3に、「①西川氏の政党支部が、国の補助金の交付決定通知を受けた木材加工会社からの献金を受領した」「②西川前農相は、補助金交付を知らなかった上、違法状態が続いたわけではない」「③西川前農相が自らの政治資金問題で辞任した」、「④首相は違法性について否定したが、任命責任を認めて陳謝した」「⑤野党側が早期の幕引きに応じる気配は薄い」「⑥今後は安倍晋三首相の任命責任に的を絞る」と書かれており、*1-2に、「⑦後任には前農相で自民党農林水産戦略調査会長の林芳正氏が就任し、農水省は『農政への影響はほとんどない』とする」とされ、*1-4に、「⑧西川前農相と党農林水産戦略調査会長だった林氏が入れ替わる」と書かれている。

 私は、農政の現況を理解している人がやる必要があるため、⑦⑧は尤もだと思うが、④のように安部首相が任命責任を認めて陳謝すれば、西川前農相の違法性を認めたことになり、②と矛盾するため、安部首相が「よくわからないが、とりあえず謝っておく」という日本人独特の謝り方をしたのは、よくないと思う。何故なら、ターゲットにしてシュートされている場合は、謝ってもそれで終わることはなく、⑤⑥や*4-1、*4-2のような展開になるため、変に謝ると、後で首尾一貫した説明ができなくなるからだ。

 しかし、*1-5のように、政治資金規正法は第22条の3で、国から補助金を受け取っている会社が交付決定の通知から1年以内に政治家に寄付することを禁じているが、寄付の受け手が補助金交付を知らなければ違法とはみなさないとしている。また、この法律の立法趣旨は、補助金を交付されるように政治家に口利きを頼み、交付された補助金の一部を口利きした政治家にキックバックするのを防ぐことであるため、違法行為があったか否かは、法治国家である限り、立法趣旨と違法行為の成立要件を明確に事実認定して判断しなければならないと考える。

(2)下村文科相の事例 ← 安部政権がターゲットにされているようだ
 西川前農相の件だけでは安部政権に対するダメージが小さかったためか、*2-1のように、週刊文春が、題名で大きく下村文科相が「違法献金」を受けていると報じた。しかし、その内容は題名とは異なり、「政治資金規正法に抵触する可能性がある」というものだ。

 そもそも後援会は、広く政治資金や票を集める目的で普通に設立されるもので、元の職場の人が応援するのも、ごく普通だ。また、そういう後援者がいなければ資金のない人は議員になることができず、それでは庶民のニーズがわかる政治家はいなくなるだろう。

 そして、*2-2は、「政治団体として届け出ないまま特定の政治家を支える金銭の収受をすれば、政治資金規正法に違反する可能性がある」と“違反の可能性”を強調しているが、政治団体として届け出ずに特定の政治家に寄付をすれば、政治資金規正法に違反するという法律的根拠はない。もちろん、政治団体として選挙管理委員会に届け出ていなければ、寄付者は税務申告時に寄付金控除ができないというディメリットはあるが、政治家でない個人が寄付者として名前を公表されたくないので任意団体のままでいるというニーズはあるだろうし、日本国憲法では“結社の自由”が保障されている。

 従って、「違法性がある」と言うのなら、どの法律のどの部分にその根拠があるのかを明確にすべきであり、それもないのに、「違法行為」という人格を否定する言葉をみだりに使うのは、法治国家の論理に反するとともに、人格権の侵害である。なお、*4-2のように、自民党の谷垣幹事長も、記者会見で「法律に照らして全く問題がない」としている。

(3)佐賀県の事例 ← 佐賀県は、ささいなことで政治家に警察の手入れが多い
 一方、佐賀県では、*3-1のように、唐津市発注の公共工事が不正入札だったとして、坂井市長が絞られているが、坂井市長は市民に出前講座をしたり、唐津コスメティック構想を行ったりして頑張っている市長だ。そのため、私は、このような“事件”で唐津市の街づくりやコスメティック構想などが頓挫するのはもったいないと考えている。

 また、坂井市長は、建設会社とゴルフコンペを開催して市職員も数多く参加していたそうだが、それは坂井市長の名前を冠した大会だったそうだ。そして、市長が熱心な後援会員である徳島氏の「古希を祝う会」の発起人に名を貸したことも問題視されているが、それはとりわけ異常なことではない。そのため、市長もそこまで因縁をつけられては、たまったものではないだろう。

 さらに、*3-2のように、佐賀県警は、統一地方選の違反取締本部を設置して、本部と県内10署の1160人態勢で取り締まりに当たるそうだが、選挙になると、このように警察が総出で公職選挙法違反として文書頒布や文書掲示を厳しく摘発するのは、警察権力が憲法の言論の自由・表現の自由・民主主義を阻んでいるものであるため、公職選挙法の妥当性を見直し、運用を点検することが、重要である。

(4)何が変なのか ← メディアと国民の問題である
 *4-1のように、朝日新聞は社説で「政治とカネ 疑惑の連鎖を断ち切れ」という記事を書いている。しかし、その根拠となっているのは、①西川前農水相、望月環境相、上川法相が、補助金交付対象企業から禁止された期間内に寄付を受けていた ②下村文科相を支援する団体が政治団体の届け出をしないまま活動していた ③西川氏は寄付を受けた企業から顧問として報酬を受け取っていた ということで、現在、これを違法行為とする法律的根拠はない。

 そして、現在は20年前と異なり、団体から政治家への寄付の額が小さくなり、後援会や政党支部の決算公開も進んでいる。それにもかかわらず、フクシマ原発事故の真実は、何一つまともに報道できないメディアが、政治家はすべて金に汚いかのように、*4-1や*4-2のような記事を書くのはおかしく、これは、権力を批判するポーズにすぎない。

 そして、日頃から、このような報道しか目にしない国民が、選挙時にのみ主権者として妥当な判断ができると考えるのこそ、甘いと言わざるを得ない。

<西川農林水産相の事例>
*1-1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20150225&ng=DGKKASFS24H78_U5A220C1PP8000 (日経新聞 2015.2.25) 農相問題、攻める野党 予算委開けず、首相の任命責任を追及 予算案の年度内成立難しく
 国会は24日、西川公也前農相が自らの政治資金問題で辞任したことを受け、2015年度予算案の審議日程をめぐる与野党の攻防が激化した。民主、維新両党は「政治とカネ」の問題の徹底追及で足並みをそろえ、今後は安倍晋三首相の任命責任に的を絞る。14年度内の予算案成立は困難な情勢で、政府・与党は暫定予算の編成作業を検討する。「西川氏は全く反省がみられない。引き続き説明責任を求める」。民主党の岡田克也代表は24日の常任幹事会で訴えた。維新の党の江田憲司代表も代議士会で「首相の任命責任、西川氏の説明責任にけじめをつけるのが大事だ」と強調した。民主、維新両党など野党5党は国会対策委員長会談で、農相辞任後も西川氏をさらに追及する方針を確認。24日に予定していた衆院予算委での15年度予算案の一般質疑に応じなかった。野党側は(1)首相と全閣僚が出席する衆院予算委の基本的質疑をやり直す(2)西川氏が顧問料を受け取っていた企業のリストを提示する――ことを要求し与党側もこれに応じた。25日の予算委の再開で合意した。野党側が特に重視するのが、法律が禁じる1年以内に国の補助金の交付決定を通知された企業からの献金を西川氏が代表を務める政党支部が受領した問題。西川氏が09年衆院選で落選した後、この会社の顧問に就任しており、野党側は「補助金の受領を認識していたのではないか」「顧問料は事実上の寄付だったのではないか」と批判の矛先を向けている。民主、維新両党は昨秋の臨時国会で、当時の小渕優子経済産業相、松島みどり法相の政治資金問題をめぐって共闘したが、今国会では連携を控えてきた。1月の民主党代表選で岡田氏や細野豪志政調会長が野党再編を巡るやりとりを公にし、維新内で民主党への不信感が強まったためだ。西川氏の顧問就任をめぐる疑惑は、20日の衆院予算委で維新の村岡敏英氏がただしたのが発端だっただけに維新は攻勢を強める。24日の与野党協議では、維新の馬場伸幸国対委員長が農相問題とは直接関係がない同日の衆院本会議まで先送りすべきだと主張し、民主が同調する場面もあった。一般的に国会審議では「閣僚が辞任したら疑惑は幕引き」とするケースが多くみられるが、今回は野党側が早期の幕引きに応じる気配は薄いとみられる。与党側は15年度予算案の年度内成立に向け、各党の協力を得る必要があるとして野党側の主張を受け入れた。自民党の佐藤勉、公明党の大口善徳両国対委員長らは24日、国会内で今後の対応を協議し、年度内の予算案の成立をめざす方針を確認した。与党内には「年度内成立は客観的にみて厳しくなった」(大口氏)との見方が強まっており、暫定予算編成も検討する。

*1-2:http://mainichi.jp/select/news/20150224k0000m010082000c.html
(毎日新聞 2015年2月23日) 西川農相辞任:「農政へ影響ない」農水省、不安解消に躍起
 西川公也農相の突然の辞任に、農林水産省には驚きが広がった。自民党農林族のベテランで、農相就任前から環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉に関わってきた西川氏だけに、交渉への影響も懸念される。後任には、前農相で自民党農林水産戦略調査会長を務めている林芳正氏が就任。同省は「農政への影響はほとんどない」(農水省幹部)と、不安の打ち消しに躍起になっている。西川氏は自民党農林族で、農産物の自由化に反対するなど保守的な姿勢も強かったが、昨年9月の農相就任後は、農協改革を積極的に推進するなど、省内からは「改革の先頭に立ってくれた」との評価もある。TPP交渉では、農相就任前から自民党TPP対策委員長として各国と、コメや牛・豚肉など日本が関税維持を主張する農産物重要5項目を巡る調整を進めてきた。西川氏は23日夕、首相に辞表を提出後、記者団に「(内閣の)外に出ても、関わり方はあると思う」と述べ、閣外から農政に関わっていく意欲をみせた。ただ、辞任の記者会見は開かなかった。TPPの交渉が大詰めを迎えており、3月中に農協改革関連法案を国会に提出するための作業を農水省は急いでいる。「法案作成の作業は粛々と進めており、農相交代の影響はない」(同省幹部)としているが、後任の林氏は西川氏辞任の影響を最小限にすることを求められる。林氏は、昨年9月に西川氏と交代するまでの1年8カ月、農相を務めた。農家が農業だけでなく、加工や販売などを担う農業の「6次産業化」の重要性や、積極的に輸出などを推進する「攻める農業」を訴えてきた。また、自民党の農林水産戦略調査会長として、TPP交渉の内容も把握しており、ある農水省幹部は「政策の継続性の観点からも全く問題ない」と、農相交代を冷静に受け止めた。林氏は23日夜、農水省10+件で記者会見し「政策を着実に進めていく。これが自分に課せられた使命だ」と語り、農政に混乱が生じないよう全力を尽くす姿勢を強調した。

*1-3:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11621137.html
(朝日新聞 2015年2月26日) 首相「国民に申し訳ない」 新たな資料、国会提出へ 西川氏辞任
 西川公也・前農林水産相の辞任を受け、野党は25日の衆院予算委員会で安倍晋三首相に対し、西川氏をめぐる政治資金問題をただした。首相は違法性について改めて否定したが、任命責任を認めて陳謝した。26日に西川氏に関する新たな資料が国会に示される予定で、野党の追及がさらに強まる可能性もある。予算委の冒頭、首相は「私が任命した閣僚が交代する結果を招き、国民の皆さんに大変申し訳ない」と述べた。民主党の馬淵澄夫氏は、西川氏が代表を務める自民党支部に、国の補助金の交付決定通知を受けた木材加工会社が寄付をしていた問題を挙げ、「この問題を西川大臣の辞任で終わらせていいのか」と迫った。首相は「西川大臣は(補助金交付を)『知らなかった』と答弁している。違法状態が続いたということではない」と強調。「大臣、国会議員に関わらず、説明責任をさらに求められるのであれば果たしていくのは当然だ」と語った。共産党の穀田恵二氏は西川氏が「いくら説明しても分からない人は分からない」と述べたことを問題視。首相は「西川氏も『国民の皆さんにはなかなか理解してもらっていない部分があるが、これから一生懸命説明していきたいと思う』という話だった」と述べた。26日の同委理事会には、野党側の要求で、西川氏が顧問を務めていた企業や報酬の一覧表が示されるが、どこまで詳細が明らかになるかは不透明だ。野党側は引き続き、西川氏を参考人として、予算委に出席するよう求める。

*1-4:http://www.nikkei.com/paper/related-article/?b=20150225&c=DM1&d=0&nbm=DGKKASFS24H78_U5A220C1PP8000&ng=DGKKASFS24H5F_U5A220C1PP8000&ue=DPP8000 (日経新聞 2015.2.25) 党農水調査会長、林氏から西川氏に 自民が入れ替え
 自民党は24日、政治資金問題で辞任した西川公也前農相を党農林水産戦略調査会長に充てる方針だ。西川氏の後任で農相に就任した林芳正氏がこれまで同調査会長を務めており、西川氏と林氏が入れ替わる形となる。西川氏は党でも法案の審査などを通じて、安倍晋三首相が意欲を示す農協改革に取り組む。林氏は党税制調査会(野田毅会長)の非公式会合(インナー)や安全保障法制整備に関する与党協議会のメンバーも務めていた。党は後任を林氏と同じ参院議員を充てる方向で人選を急ぐ。

*1-5:http://www.nikkei.com/paper/related-article/?b=20150228&c=DM1&d=0&nbm=DGKKASFS27H5C_X20C15A2PP8000&ng=DGKKZO83792020Y5A220C1PP8000&ue=DPP8000 (日経新聞 2015.2.28) 政治献金の規制とは
▼政治献金の規制 政治資金規正法は第22条の3で、国から補助金を受け取っている会社が交付決定の通知から1年以内に、政治活動に使うため寄付することを禁じている。寄付の受け手は「規定違反を知りながら、これを受けてはならない」とし、補助金交付を知らなければ違法とはみなされない。22条の5は外国人や外国法人からの政治献金の受け取りも禁じるが、献金者が外国人だと受け手が知らなかった場合の規定はない。

<下村文科相の事例>
*2-1:http://the-liberty.com/article.php?item_id=9272
(The Liberty Web 2015.2.26) 【速報】下村博文文科相が「違法献金」 週刊文春報じる
 下村博文・文部科学相が、塾業界から「違法献金」を受けていると、26日発売の「週刊文春」(3月5日号)が報じた。記事では、「収支報告書の虚偽記載や、場合によっては詐欺に当たる可能性がある」と指摘する専門家のコメントを紹介。政治とカネの問題で、農林水産相の西川公也氏が辞任したばかり。今後、下村文科相への追及が本格化しそうだ。
●政治資金規正法に抵触する可能性
 5ページにわたって掲載された記事によると、「博友会」という名前を冠した下村氏の後援会は10団体存在するが、このうち政治団体として届け出があるのは、東京都選管に届け出がある東京の博友会だけ。その他の「近畿博友会」「九州・沖縄博友会」などは、政治団体として届け出がないが、地域ごとに定期的に下村氏を招いて講演会を開いたり、年会費を集めている。例えば、近畿博友会では、2013年春に大阪で講演会を開き、1人2万円の会費で、約200人が集まったという。問題とされているのは、こうした形でお金を集めた後援会などから、下村氏が代表を務める「自民党東京都第11選挙区支部」に寄付されている可能性があるという点。政治資金規正法では、「特定の公職の候補者を推薦し、支持し、又はこれに反対することを本来の目的とする団体」は政治団体となるため、届け出をして、毎年、資金の流れを政治資金収支報告書に記載し、提出する必要がある、という点に抵触する可能性だ。記事では、「例年博友会で複数の講演会が催されていることから、その際は講演料を『裏金』として受け取っていた可能性がある」とも指摘する。
●教育関係者の「カネ」と「票」集めが狙い!?
 本欄でもこれまでに、下村氏が、補助金を交付していた学校法人から違法性の高いカネを受け取っていたり(2014年11月20日付朝日新聞夕刊)、医学部新設を認めた大学から「講演会」名目でカネを集める(「フライデー」2014年10月7日号)など、政治家や大臣という立場を利用して、利害関係者から露骨な「カネ集め」をしていた実態を紹介してきた。今回の記事が事実であれば、下村氏は、弱い立場の学校や教育関係者から、さまざまな形でカネ集めをすると同時に、教育行政に利害のある人々の票集めをしていたことになるのではないか。
●幸福の科学大学の「不認可」は憲法違反の疑い
 下村氏は昨年10月末、学校法人・幸福の科学学園が設立を目指していた「幸福の科学大学」に対して、「不認可」の判断を下した。理由の一つは「霊言を根拠とした教育内容は、学問として認めらない」というもの。もう一つは、同学校法人側に「認可の強要を意図する不正の行為があった」というものだった。だが、こうした下村氏の判断について、識者からは次のような批判の声が上がっている。「特定の宗教に対する好き嫌いの感情を権力行使に結びつけていることになりますので、明らかに信教の自由の侵害であり、政教分離原則違反です。(中略)歴史的経緯を見ても、『信教の自由』は諸々の権利の中で最も重要で、最初に保障されるべきものです」(本誌2015年1月号、洗建・駒澤大学名誉教授インタビューより)。「あくまでも法治国家の住人である一人の自由な言論家の意見であり、幸福の科学を擁護するための発言ではないことを断っておきますが、不認可は法治国家の原則から外れた判断だと感じました。(中略)宗教教育を行おうとする試みを国家が阻止することは、憲法で保障された『信教の自由』『学問の自由』に抵触しており、許されないことだと思います。(中略)文科相は行政府の長として、こうした憲法違反の判断をすべきではないでしょう」(本誌2015年4月号、批評家・小浜逸郎氏インタビューより)。つまり、下村氏の判断は、政府が具体的な学問の定義に踏み込んだ点で憲法違反の疑いが強く、また政府が宗教の教義について価値判断を下したという意味で、「信教の自由」「学問の自由」を侵害した恐れがあるということだ。今回の「政治とカネ」の問題を見ても、やはり下村氏は、教育行政のトップとして不適格な人物だったと言えるのではないか。「教育は国家百年の計」とされるが、安倍晋三首相には、教育行政に適切な人物を就け、日本を世界に誇る国へと成長させていってほしい。

*2-2:http://mainichi.jp/select/news/20150226k0000m040127000c.html
(毎日新聞 2015年2月25日) 下村文科相:無届け団体が資金集め? 週刊誌報道へ
 下村博文文部科学相を講演に呼んで懇親パーティーを開くなどの活動をする「博友会」が、政治団体として選管へ届け出ておらず、政治資金規正法に違反する可能性があると指摘する記事が、26日発売の週刊文春3月5日号に掲載される。同誌は、下村氏が代表を務める政党支部が博友会からの寄付を政治資金収支報告書に記載していない疑いがあるとも指摘している。記事によると「博友会」は東北や中部、近畿、九州・沖縄など各地にあり、下村氏の講演会や懇親パーティーを1人2万円の会費で開くなどの活動をしている。政治資金規正法は、政治団体を「特定の公職の候補者の推薦や支持を本来の目的とする団体」と定義し、選管への届け出と政治資金収支報告書の提出を義務づけている。だが、東京以外の博友会は政治団体として届け出ていないという。また、同会の会員から「年会費が下村氏を代表とする自民党東京都第11選挙区支部の寄付として処理されていた」との声が上がっており、一部の「博友会」からの寄付が同政党支部の収支報告書で確認できなかったなどと報じている。同誌によると下村氏の事務所は「各地域にある博友会は有志個人の集まりで、年に1度下村を招いて懇親会をやる程度で、継続的・組織的に政治活動をしていることはない」などと回答したという。また、下村氏は25日、報道陣に「まだ(記事が)出ていないのでコメントできない」と述べた。政治資金に詳しい神戸学院大の上脇博之教授は、毎日新聞の取材に「講演会・懇親パーティーで1人2万円は政治資金パーティーの相場。政治団体として届け出ないまま特定の政治家を支える金銭の収受をしていれば、政治資金規正法に違反する可能性がある。大臣はきちんと説明責任を果たすべきだ」としている。

<佐賀県の事例>
*3-1:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/153645
(佐賀新聞 2015年2月6日) 唐津不正入札 議会特別委で坂井市長「甘かった」
 唐津市発注の公共工事をめぐる不正入札事件の原因を究明する2回目の市議会特別委員会が5日開かれ、坂井俊之市長が初めて出席した。毎年「市長杯」のゴルフコンペを開催、「市職員と建設業者の接点をつくっていた」と指摘されたが、市長は「自分が甘かった。参加者をチェックすべきだった」と陳謝した。昨年10月に開かれたゴルフコンペには、企業後援会の会長を務めた上滝建設元副社長の徳島武彦被告(70)=贈賄罪で起訴=ら建設業者や前企画財政部長の佐伯善春被告(59)=加重収賄罪などで起訴=ら市職員が数多く参加していた。ただ、坂井市長は「私はゴルフはしないので、名前を冠にした大会」として直接的な関与は否定した。また、同月開かれた徳島被告の「古希を祝う会」で発起人を務めたことについて、坂井市長は「あくまで個人で引き受け、私自身が人を集めたというわけではない」と述べた。一方、二つの市民グループから要請が出ている公開説明会開催については「特別委員会に毎回出るつもりだし、市民に向けた説明もこの場でしていきたい」と答えるにとどまった。委員会は市民ら約60人が傍聴。唐津市の畦間優さん(74)は「これだけのことが起きているのに危機感と厳しさが足りない。議会はもっと強い言葉で追及してほしい」と注文をつけた。

*3-2:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/160349
(佐賀新聞 2015年2月25日) 県警、統一地方選の違反取締本部を設置
 佐賀県警は25日、4月の統一地方選に向けた「事前運動取締本部」を設置した。本部と県内10署の1160人態勢で取り締まりに当たる。県警捜査2課によると、今回の統一地方選では看板の掲示違反などで、すでに8件を警告。前回2011年は、文書頒布で3件を摘発したほか、文書掲示など74件の警告を行っている。3月下旬には「選挙違反取締本部」を設置する。

<メディア報道の問題点について>
*4-1:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11625117.html
(朝日新聞社説 2015年2月28日)政治とカネ 疑惑の連鎖を断ち切れ
 安倍内閣の閣僚に、政治献金の疑惑が相次いでいる。国からの補助金交付が決まった企業からの寄付が問題とされ、西川前農水相が辞職したばかり。きのうは、望月環境相と上川法相が代表を務める自民党支部が、やはり補助金交付対象の企業から禁止された期間内に寄付を受けていたことが明らかになった。また、下村文科相を支援する団体が政治団体の届け出をしないまま活動していることが違法ではないかと週刊誌で報じられ、国会で民主党などから追及を受けている。望月氏は、企業が補助金を受けていることは知らなかったなどとして「法には触れない」。下村氏は「世上いわれるような政治活動をする後援会とは全く違う」と説明する。安倍首相も、問題はないとの認識だ。しかし、単に「知らなかった」ですませられる問題なのか。辞めた西川氏は、寄付を受けた企業から顧問として報酬を受け取っていたことも明らかになった。野党が厳しく追及するのは当然である。この種の問題が発覚するたびに、政治資金規正法の限界が指摘されてきた。改正を重ねても、政治とカネをめぐる不祥事は尽きることがない。疑惑の連鎖を断ち切るためには、問題の根っこから改めることが必要だ。企業・団体献金の禁止である。1994年の一連の政治改革では、5年後に政治家個人への企業・団体献金を禁止し、政党への寄付のあり方についても見直すと決められた。確かに、99年の政治資金規正法の改正で政治家個人への企業・団体献金は禁止された。だが、大きな抜け穴がいまだに温存されている。政治家が代表する政党支部への企業・団体献金が、いまだに認められているのだ。今回、西川前農水相や望月環境相、上川法相が問題にされている寄付は、まさにこの政党支部に寄せられたものだ。企業や団体が献金を通じて政治家とつながれば、癒着や腐敗を招きやすい。そのもとを断ち、国民1人あたり250円分の税金による政党助成と個人献金を中心に政治を支えるようにしていく。国会は20年前そう説明していたのではなかったか。おりしもきのう、維新の党が企業・団体献金を全面禁止する法案を衆院に出した。20年前の「約束」を実行に移す時ではないか。安倍首相をはじめ与党も、その他の野党も、明確な態度を示すべきだ。

*4-2:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20150228&ng=DGKKASFS27H5C_X20C15A2PP8000 (日経新聞 2015.2.28)
環境相・法相に飛び火、補助金企業から献金 「交付知らず」違法性否定
 閣僚の政治献金問題が27日、望月義夫環境相と上川陽子法相に飛び火した。いずれも政治資金規正法が禁じる国の補助金の交付が決まった企業から献金を受けていたもので、辞任した西川公也前農相と同じ構図だ。望月、上川両氏とも「補助金交付を知らず、違法性はない」と釈明。西川氏に続く閣僚の進退問題につながらないよう政府・与党は沈静化を急いだ。「西川前農相と全く同じ。違法献金だ」。27日の衆院予算委員会で、民主党の後藤祐一政調副会長は、国の補助金を受けた総合物流業の鈴与が望月、上川両氏に献金していたと追及した。
●「同じ構図」指摘
 鈴与は望月、上川両氏の地元、静岡県に本社を置く。2013年3月に国土交通省事業で4200万円、同年8月に環境省事業で1億7000万円の補助金の交付が決まった。望月氏に13年12月に140万円、上川氏には13年3月から12月にかけて計60万円を、それぞれが代表を務める党支部に献金した。これが補助金交付の決定から1年以内の政治献金を禁じた政治資金規正法に抵触するとの指摘だ。望月、上川両氏は補助金交付を認識していなかったとして「違法性はない」と弁明した。望月氏は26日に献金を返金し、上川氏も「これまで指摘がなかった。調査したうえで対応する」と語った。望月氏は環境省事業の補助金交付を決めたのは国ではなく一般社団法人「低炭素社会創出促進協会」だとして「政治資金規正法の規定には当たらない」とも説明した。補助金交付先からの献金は、西川氏が代表を務める党支部も受領した。西川氏も献金した木材加工会社が補助金を受けた認識はなかったと説明した。その後、同社の顧問をしていたことが明らかになり農相を辞任した。望月氏は鈴与と顧問契約はないとしている。
●火消し急ぐ
 補助金交付企業の献金と同様、政治資金規正法が禁じながら陥りやすいのが外国人献金だ。26日には下村博文文部科学相が大阪の企業や個人から計96万円の献金を受けたことを明らかにした。予算委で安倍晋三首相は「民主党も外国人献金がずいぶん問題になった」と菅直人元首相らの外国人献金問題に触れつつ、献金者が外国人かどうか「分からない場合がある」と下村氏を擁護した。下村氏をめぐっては、学習塾の経営者らの団体「博友会」が政治団体の届け出をせずに、献金などで下村氏を支援していたとの指摘もある。下村氏は予算委で「政治資金を集めるような団体ではない」と否定したが、野党は献金の違法性を否定していた西川氏の辞任で「閣僚辞任のハードルが下がった」(民主党幹部)と勢いづく。政府・与党は閣僚の進退問題に発展する事態を避けたい考え。首相は「補助金は知っていたかどうかが要件で、冷静に議論すべきだ」と強調し、自民党の谷垣禎一幹事長も記者会見で「法律に照らして全く問題がない」と火消しに努めた。

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2015.2.24 介護保険制度の変更について (2015.2.26追加あり)
   
  人口ピラミッドの推移    高齢者人口の推移  介護費の推移  医療費の世界比較

(1)介護保険制度の不公正と不公平
 *1に書かれているとおり、現在、介護費用は、利用者の自己負担以外は、40歳以上の国民が支払う介護保険料と国と地方自治体の税金で賄っている。また、介護保険料は、65歳以上の高齢者が払う「第1号保険料」と、40~64歳の現役の会社員らが健康保険を通じて払う「第2号保険料」からなり、第2号保険料には企業負担もある。

 そして、高齢者の第1号保険料は各市町村が決め3年毎に見直すため引き上げ幅が大きくなり、現役世代の第2号保険料は、企業の健康保険や市町村の国民健康保険が毎年度決める仕組みで単年度の給付費の増加見込みを反映させるため、引き上げ幅が小さくなるそうだ。ここでおかしいのは、誰もが直接・間接にサービスを受けている介護負担において、年齢によって国民を不平等に扱い、徴収が不公正になっていることである。

 また、「第2号保険料」は40~64歳の現役会社員らが支払うことになっているため、企業の社会保険料負担を減らす目的で、*7-1、*7-2のように「40歳定年」というような驚くべき提案が出てくる。*7-1、*7-2では、「40歳定年は、労働者が知識やスキルを磨き直すため」と主張されているが、それなら40歳定年よりも会社内で研修、配置、出向を工夫したり、労働者がスキルアップするために休職や自発的転職をしやすくしたりするのがまっとうな方法だ。

 全体として、医療費は世界的に見て高い方ではなく、介護は始まったばかりであるのに、このように不公正かつ不平等な制度をいつまでも改正せず、さらに高齢者に負担増・給付減を強い、企業が社会保険料を支払わない方法を導入しようと言うのは、政策を語る資格のない人のすることである。

(2)介護保険制度の利用が増えるのは当然で、これは本物の需要だ
 *2には、「①介護費は発足時の3倍になり、団塊の世代が75歳以上になる2025年度には、現在の2倍の21兆円に膨らむ」「②介護職員が不足する」「③膨張が続けば税金の投入額も40歳以上の国民が負担する保険料も年々増える」「④国民負担の増加を和らげるため4月の介護報酬改定では平均単価を2.27%引き下げる」「⑤高齢者は今後も増え続ける見通しだ」と書かれている。

 しかし、①については、介護保険制度は2000年度から始まったのであり、最初は利用できるサービスが少なく、質も高いとは言えず、利用者も介護を他人に任せるのを敬遠していた時から、次第に介護サービスが充実してきたのであり、核家族化と高齢者人口の増加とともに介護サービスの利用が増えるのは当然であり、これは第三の矢にあたる本物の重要なのである。そして、上の2番目のグラフのように、中国はじめ他の新興国でも、少し遅れて同じになるものだ。

 そして、②も考慮すれば、*6のように外国人介護士を使い捨てにすることなく労働力として重視し、③④から国民負担の増加を和らげる必要はあるが、それはいらない人に車椅子を与えて歩けなくしたり、一律に平均単価を引き下げたりするのではなく、可能な人には自立を促しながら、必要十分なサービスを適時に行いつつ、解決すべきなのである。

 なお、③④⑤から、介護保険制度は、40歳以上の国民のみが負担し、65歳以上の引き上げ幅は大きいというような不公正・不平等な制度ではなく、所得のある人全員が負担する応能負担にすべきだ。

(3)介護保険制度の4月以降の負担増・給付減について
 *3に、「①高齢者ら利用者の自己負担は、リハビリ目的の老人保健施設など施設・居住系サービスでは安く、訪問介護など在宅・通いのサービスは高くなる」「②要介護度が重い人や認知症の人向けのサービスは手厚くなる」「③現役世代の介護保険料がわずかに安くなる」と書かれており、現役世代の介護保険料を安くするとともに、在宅介護への変換を促していることがわかる。

 しかし、①により、リハビリ目的の老人保健施設が減ると、本当に必要な高齢者も施設でリハビリをすることができなくなる。また、40歳未満の人を介護保険料免除にしたまま現役世代の介護保険料を安くするために所得の少ない高齢者の負担増・給付減を行うというのは、驚くほど不公正である。さらに、年中、介護保険報酬を変にいじくることで、*4のように、介護事業者の経営計画が立たず、質の維持もできず、投資して始められた事業が成長するどころか無駄になるのだ。

 その上、40歳未満の人を介護保険料免除にすることにより、*7-1、*7-2のように、企業は屁理屈をつけて、介護保険料の事業主負担分を節約するために、「40歳定年制」を導入したがっている。つまり、介護保険料の負担者を40歳以上としていることが、労働者が40歳で区分される理由にもなっているため、介護保険料の負担者を医療保険と同様、働く人全員とすべきなのである。

(4)外国人介護職を活かす方法について
 *6に、「①厚生労働省は、介護職に外国人技能実習生を活用する方針を固めた」「②国内の施設で働きながら介護福祉士の資格取得を目指すが、日本語の壁の高さなどで合格率は2割に満たない」と書かれているが、介護現場の労働力として外国人労働者を受け入れるのであれば、名目的な技能実習生ではなく、正式な労働者として受け入れるべきである(そもそも厚労省労働局が、このような労働基準法の脱法行為を認めているのが疑問)。

 何故なら、1)実習生は即戦力にはならず、3年や5年の実習期間では、介護事業者にとっては教えるばかりで役に立つ期間が短い 2)技能実習の現場では、低賃金や時間外労働の強制など違反行為が後を絶たない 3)日本国内の施設で働きながら介護福祉士の資格取得を目指す外国人は、日本語の壁で介護福祉士の資格合格率が2割にも満たない 4)介護福祉士のニーズは必ず増加する からだ。

 しかし、1)2)4)は、外国人介護士を技能実習生としてではなく、労働者として受け入れれば解決する。また、3)の原因となっている「介護には利用者や家族の声を聞き取る高い日本語能力と技能、経験が要求される」というのは、まず、介護は家族の“愛”や日本語能力だけでできるものではなく、プロの知識と経験が必要だというところから出発すべきだ。そうすると、母国で看護師などの資格をとってきている外国人介護士に不足するのは、日本語能力と日本における技能・経験だけであり、これは、知識のない日本人よりも改善しやすく、どちらも、チームで介護を行えば解決できるものなのである。

(5)それでは、介護に誰を予定しているのか
 *5は、佐賀労働局雇用均等室が、「①女性の能力発揮や仕事と育児・介護との両立支援に積極的に取り組む企業を表彰する」「②仕事と育児・介護との両立支援の取り組みを実施しているファミリー・フレンドリー企業を表彰する」としている。

 ここで、仕事と育児・介護を両立すべき人の前提が女性のみであれば、60年、遅れている。また、仕事と育児・介護との両立支援の取り組みを実施しているファミリー・フレンドリー企業というものが、女性にのみ短時間労働、非正規雇用、派遣労働を強いるものであれば、それは、30年、遅れている。

 しかし、率直に言って、全体として介護サービスをカットし、女性に負担を負わせようとしている厚労省を見れば、こんな逆噴射を予定しているのではないかと思わざるを得ない。

<介護制度の度重なる改変>
*1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20150130&ng=DGKKASFS29H3X_Z20C15A1EA2000 (日経新聞 2015.1.30) 介護保険料 高齢者・現役世代とも伸び傾向
▽…介護保険サービスにかかる費用は、利用者本人の自己負担分を除き、半分を40歳以上の国民が支払う介護保険料、残り半分を国と地方自治体の税金で賄っている。介護保険料は65歳以上の高齢者が市町村を通じて払う「第1号保険料」と、40~64歳の現役の会社員らが健康保険を通じて払う「第2号保険料」からなる。第2号保険料には企業負担分も含む。
▽…高齢者の第1号保険料は、各市町村が決め、原則3年ごとに見直すことになっている。3年間の介護給付費の増加見込みを反映して保険料を一度に見直すため、引き上げ幅は大きくなる。直近では給付費が全国平均で年5%伸びており、3年間で15%増になる。
▽…一方、現役世代の第2号保険料は、企業の健康保険や市町村の国民健康保険が毎年度決める仕組みだ。単年度の給付費の増加見込みを反映させるため、引き上げ幅は小さくなる。制度改正や介護報酬の引き下げで抑制が大きいと、単年度では下がるケースも出てくる。給付費は高齢化で伸び続けるため、保険料が中長期で上がる傾向は第1号・2号とも同じだ。

*2:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20150216&ng=DGKKZO83209230V10C15A2M10600 (日経新聞 2015.2.16) 制度発足15年 高齢者急増、厳しい財政
 介護保険制度は想定を超えて増える高齢者を背景に、制度発足から15年で早くも変革を迫られている。介護費は発足時の3倍になり、「団塊の世代」が75歳以上になる2025年度には、今の2倍の21兆円に膨らむ見通しだ。介護職員の不足の解消も道半ばだ。介護保険の財源は税金と40歳以上が納める保険料、サービス利用者の自己負担でまかなっている。膨張が続けば税金の投入額も40歳以上の国民が負担する保険料も年々増える。国民負担の増加を和らげるため4月の介護報酬改定では平均単価を2.27%引き下げる。厚生労働省の試算では、40~64歳の現役世代が15年度に納める保険料は1人あたり平均で月額5177円となり、前年度に比べて96円減る。市町村ごとに決まる65歳以上の平均保険料は月額4972円から5550円に上がるが、減額改定をしなければ5800円に上がるはずだった。ただ高齢者は今後も増え続ける見通し。保険料負担を抑える効果は一時的でしかない。給付そのものを抑える工夫が避けられない。厚労省は4月からは特別養護老人ホームの新規入所を要介護度3以上の重度者に限定する方針。入居待ちは52万人に上るが、施設増ですべて対応するのではなく、介護の必要度が低い軽度者は在宅でケアを受ける方向にするためだ。今回の改定で特養ホームの基本料が軒並み減額になるのは利益率が高く、経営に余裕があるとの判断からだが、介護を巡る「施設から在宅へ」という政府方針とも無関係ではない。こうした流れを成功させるには、高齢者や家族が安心できる在宅介護の体制づくりが不可欠だ。厚労省は12年度の報酬改定で24時間対応で看護や介護を受けられる巡回サービスを導入したが、肝心の事業者の参入は限られ、訪問看護事業所がない自治体も多い。年々増える認知症患者をケアする体制もまだ不十分だ。

*3:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20150216&ng=DGKKZO83209170V10C15A2M10600(日経新聞2015.2.16)介護保険、重度者・認知症のケア手厚く 4月からこう変わる
 介護保険の負担が4月から変わる。介護サービスの公定価格である介護報酬が改定されるためだ。高齢者ら利用者の自己負担は、リハビリ目的の老人保健施設など施設・居住系サービスでは安くなり、訪問介護など在宅・通いのサービスが高くなる。要介護度が重い人や認知症の人向けのサービスは手厚くなる。現役世代が納める介護保険料はわずかだが安くなる。影響を詳しくまとめた。
●特別養護老人ホームなどで重度者の受け入れに力を入れる
 介護保険のサービスは介護を受ける場所や内容に応じて20種類以上に分かれ、事業者に支払われる報酬も細かく定めている。サービスを受ける高齢者らは報酬の1割を毎月負担する。残りは保険料や税金から事業者に払う。報酬は大きく分けて、基本料金にあたる「基本サービス費」と、事業者の人員体制が要件を満たした場合や付加的なサービスを受けた場合などに上乗せする「加算部分」の2つからなる。
■職員賃上げの原資反映
 今回の改定では、基本サービス費は大半のサービスで引き下げる。一方、加算部分を見ると、介護職員の給料を引き上げる原資にする「介護職員処遇改善加算」が、多くのサービスで増額になった。介護は人材難が深刻化しており、一般産業界に比べて見劣りする給与水準を引き上げることで職員確保につなげる狙いだ。賃上げ計画を策定し、賃金体系や職場環境などを整えた事業者は、職員の月給を1人につき1万2千円アップできる原資を報酬に加算できる。多くの事業者が取り組むとみられ、この分は利用者の負担増につながる。加算部分にはこのほかにも新設されたり、増額されたりした項目もある。サービスの利用者負担がどう変わるかは、サービスごとに基本サービス費と加算部分を合算して考える必要がある。例えば特別養護老人ホームをみると、最も重度の「要介護5」の人が個室を利用する場合((1)参照)、1カ月あたりの負担合計は3万720円となり、今より810円安くなる。職員を賃上げするための加算などが増える一方、本人が負担する基本料は1日につき947円から894円に減るためだ。
■特養相部屋は2段階改定
 同じ特養ホームでも相部屋の負担は4月と8月の2段階で変わる。4月に月2万9670円と630円安くなる((2))。ただ光熱費が月1500円の値上げになる上、8月からは低所得者を除く約6万人は室料が保険対象外になる。該当する人の8月以降の負担は今より1万2000円以上増える見込みだ。老人保健施設((5))や、医療が必要な人が入る介護療養病床を含め、施設・居住系サービスは利用料がおおむね安くなる。認知症の高齢者がケアを受けながら共同生活する認知症グループホーム((3))の1日あたりの負担額は要介護度3の人で1001円へと5円安くなる。民間の有料老人ホームなどに住む人が介護を受ける特定施設入居者生活介護((4))も、要介護度5の1日あたり負担額は6円安く863円。いずれも基本料が大きく下がる。一方、自宅で訪問介護を受けたり、施設に通ったりする在宅サービスは高くなるものが多い。デイサービス(通所介護)は要介護3の人が1日8時間のサービスを利用すると、1日あたりの負担は1001円。今より16円安くなる。ただ重度の人や認知症の人を受け入れた場合の加算を設けたので、該当する人の負担は1日に1110円と93円増える((7))。通いや泊まりを組み合わせて利用できる小規模多機能型居宅介護((8))は訪問サービスを拡充した事業者への報酬が加算される。こうした利用者の負担は月に559円増え、2万5503円になる。

*4:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11610837.html
(朝日新聞 2015年2月20日) 介護報酬、減額っていいこと? 事業者・利用者への影響は
 介護保険サービスを提供した事業者に支払われる「介護報酬」が、4月から引き下げられる。収入が減る事業者には「介護崩壊」への強い不安が広がる一方、介護保険料やサービスの利用料が安くなるのも事実だ。介護の現場にどんな影響があるのか。
■事業者 経営に打撃、サービス休止も
 介護報酬引き下げは事業者には打撃で、サービス休止を決めたところもでてきた。富山県内でショートステイ(短期入所生活介護)を運営する事業者は、3月末で事業所を休止する予定だ。ここ数年、競合する事業者が増えて赤字が続き、減額改定が決め手になったという。ショートステイの基本報酬は約5~6%下がる。この事業所は職員10人弱の人件費を支払うめどもたたなくなった。利用者は1日7~8人。食道や肺の機能が落ちて食事介助に2時間近くかかるなど介護度が重い人も多く、休止後の受け入れ先を探し始めた。「消費税を8%に上げたのは社会保障の充実が目的だったはずなのに」。運営法人の幹部は声を落とす。認知症グループホームも基本報酬が約6%下がった。仙台市などで複数のグループホームを運営する「リブレ」は、職員の処遇改善のための加算をのぞくと、一つのホームで年間約300万円の減収を見込む。夜勤体制の加算は新設されたが、人手不足のなか、宿直できる人を確保する見込みはたたず、加算を取るのは簡単ではないという。介護度が重い人への対応に手厚くする方針にも懸念の声がある。訪問介護事業などを手がけるNPO法人「ACT昭島たすけあいワーカーズ大きなかぶ」(東京都)の事務局長・牧野奈緒美さんは「事業者が介護度の重い人ばかりを優先し、軽い人が見捨てられるのでは」と危惧する。訪問介護につく新たな特定事業所加算は、利用者のうち要介護3以上や認知症の症状が進んでいる人が6割以上いれば、報酬が上乗せされる。ただ、大きなかぶの場合、利用者の7割は要介護2以下の人だ。「軽度の人の介護度が重くならないように支える、という視点が欠けている」。改定の目玉の一つが、介護職員の給料アップのための処遇改善加算の拡充だ。1人月額1万2千円相当を上乗せできるようにすると国は説明する。認知症デイサービスやグループホームなど7事業を運営するNPO法人「暮らしネット・えん」(埼玉県)でも、4月からこの加算で職員の賃上げをはかる計画だ。ただ代表理事の小島美里さんは「加算はいわば『おまけ』。3年後の報酬改定で維持されるかもわからない。処遇改善のためのお金は基本報酬に入れるべきだ」と言う。
■利用者 負担は減少、質の維持に懸念
 利用者目線で考えると、また違う見方もでてくる。介護報酬が下がれば、65歳以上の高齢者や、40~64歳の人が負担している介護保険料は、いずれも抑制されるからだ。税や保険料から介護事業者に支払われる費用は、制度が始まった2000年度の3・6兆円から10兆円(14年度)に増加。65歳以上が払う保険料(全国平均の月額)でみると、2911円(00~02年度)から4972円(12~14年度)にまで上昇。10年後には、8200円程度まで上がると厚労省は予想する。65歳以上が支払う介護保険料は15年度から全国平均で5800円程度になると見込まれていた。それが介護報酬引き下げで230円程度値上げが抑えられ、5千円台半ばにとどまる見通しだ。また介護サービスの値段である介護報酬が下がれば、その原則1割を負担する利用料も連動して減る。ただし負担が減ればいいということでもない。介護をしてくれている事業者が経営に行き詰まったり、サービスが悪くなったりすれば、利用者やその家族にしわ寄せは向かう。いま介護が必要ない人でも、将来必要になったときに、利用できるサービスが減ってしまうかもしれない。結果として、家族の介護の負担が重くなり、高齢者の世話のために仕事を辞める「介護離職」などが増える恐れもある。
■国の狙いは? 介護度重い人の在宅支援強化
 厚生労働省は6日に2015年度~17年度の介護報酬の額を公表した。全体では2.27%の引き下げで、個別のサービスの値段も決まった。企業のもうけにあたる「収支差率」が高い特別養護老人ホームなどの施設に限らず、在宅サービスも含めて基本報酬は軒並み減額となった。一方、介護職員の給料増額にあてる加算は拡充。さらに認知症や介護度の重い人を支える「24時間定期巡回・随時対応型サービス」などの在宅サービスでは、様々な「加算」を手厚くし、加算を含めれば増収になるようにした。安倍晋三首相は18日の参院本会議で「質の高いサービスを提供する事業者には手厚い報酬が支払われることとしている」と述べた。

<介護は誰が?>
*5:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10103/159784
(佐賀新聞 2015年2月24日) 「均等・両立推進」の企業募集 2部門、佐賀労働局
 佐賀労働局(田窪丈明局長)は、女性の能力発揮や仕事と育児・介護との両立支援に積極的に取り組む企業を表彰する「均等・両立推進企業表彰」の対象企業を募集している。女性の能力発揮の促進へ積極的な取り組みを進める「均等推進企業」部門と、仕事と育児・介護との両立支援の取り組みを実施している「ファミリー・フレンドリー企業」部門の2部門。部門ごとに厚労大臣優良賞、佐賀労働局長優良賞、佐賀労働局長奨励賞を選び、両部門ともに優れた企業には厚労大臣最優良賞を贈る。応募書類審査の後、各都道府県労働局の雇用均等室がヒアリングを実施。表彰基準を満たす企業の中から候補企業を選び、厚労大臣に推薦。厚労大臣が推薦企業の中から、受賞企業を決定する。過去10年の県内の受賞企業は、均等推進企業部門が4社、ファミリー・フレンドリー企業部門が2社。佐賀労働局は「人材確保の面などで良いPR材料になる。積極的に応募して」と呼び掛ける。3月31日締め切り。問い合わせは同局雇用均等室、電話0952(32)7218。

<外国人介護職の処遇>
*6:http://www.kobe-np.co.jp/column/shasetsu/201502/0007762437.shtml
(神戸新聞 2015/2/23) 外国人と介護職/実習生の活用は筋違いだ
 介護の現場では、慢性的に労働力が不足している。他業種に比べて給与が低く、仕事がきついなどの理由で人材確保が困難なためだ。そうした問題を解消するため、厚生労働省は外国人の技能実習生を活用する方針を固めた。日本の介護技能を学ぶという名目で、2016年度にも受け入れを始める。高齢化が進む中、人材確保が課題であることは間違いない。しかし、このやり方は大いに問題がある。技能実習制度は本来、新興国への技術移転や人材育成の支援が目的だ。日本国内の労働力の穴埋めに使うのは筋が違う。しかも、実習期間は最長で3年。政府は延長を検討しているが、それでも5年で日本を去る。現場を支える力を海外に求めるなら、労働者としてきちんと受け入れるべきだ。日本は経済連携協定(EPA)に基づき、介護分野の労働者をインドネシア、フィリピン、ベトナムから受け入れている。国内の施設で働きながら介護福祉士の資格取得を目指す。これまで約240人が合格した。だが、日本語の壁の高さなどで合格率は2割に満たない。一方、国内の介護労働力は約177万人で、離職率が高く、毎年17%が職場を去る。厚労省は、団塊の世代が75歳以上になる25年度に約250万人を確保する目標を掲げる。だが、全産業の平均給与より月額で10万円ほど低い待遇もあって計画通りに増えないのが実情だ。特別な対策を取らなければ将来約30万人が不足するという推計もある。実習生はこれから技能を身に付ける人たちで、即戦力と期待するのには無理がある。それでなくても、技能実習の現場では、低賃金労働や時間外労働の強制などの違反行為が相次いで発覚している。介護現場でも同じような問題が繰り返されないという保証はない。支援の対象者には、寝たきりの高齢者や認知症の人もいる。必要なのは個々のニーズに応えるプロの介護力だ。実習生頼みでは、混乱やサービスの低下を招く恐れがある。介護には、利用者や家族の声を聞き取る高い日本語能力と技能、経験が要求される。実習生を活用するというのであれば、言語と専門技能を習得した段階で正規の戦力として迎える道を考えた方がよい。

<40歳定年制 !?>
*7-1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20150129&ng=DGKKASDZ21HOQ_S5A120C1TJ2000 (日経新聞 2015.1.29) 「40歳定年」で次の挑戦 スキル・知識を磨き直し
 年金の支給開始年齢引き上げや医療の発達などで、60歳を超えて働く人が増えている。就職から40~50年働く時代。働き手は会社とどう向き合い、どうスキルを高めるべきか。「40歳定年制」を唱える東大大学院の柳川範之教授に聞いた。
―40歳定年制を唱える理由は何でしょうか。
 「75歳まで長く働けるようにするためだ。20歳すぎから同じ会社で75歳までバリバリ働くのは厳しい。時代の変化に応じ、知識やスキルを磨き直す機会が必要だ。いわば燃料補給だ」。「勉強したいという30~40代の働き手は多い。制度上、この年代で休むのが当たり前の社会にすればいい。自分を磨いたうえで同じ会社で働き続けてもいいし、転職してもいい。働き盛りの社員を休ませるのは難しいという会社は多いが、最初からその前提で人事を回せば不可能ではない」。
●企業の研修限界
―企業内でもスキルの向上はできるのでは。
 「企業内の人事・研修制度は限界にきている。まず産業の浮き沈みが激しくなっており、余剰人員の『適所』が社内にあるとは限らない。企業がM&A(合併・買収)で成長事業を手に入れても、衰退事業から全員をシフトできない限り、『社内失業』が発生する」。「社内教育も難しい。知見のない異分野のことを社内で教えるのは無理だ。外部講師を雇おうにも企業の研修予算はバブル期に比べ減っている」
―40歳での解雇の合法化と受け止め、不安視する働き手もいます。
 「知識やスキルが陳腐化した働き手を待つのは社内失業だ。企業が彼らを65歳とか70歳まで抱えられるならいいが、実際には経営が傾くと真っ先にリストラ対象になる。スキルアップの機会がないまま、55歳、60歳で職を失うほうがはるかにリスクは大きい。企業に余裕がなくなり、200万~300万人ともされる社内失業者が本当の失業者になると大変だ。再就職できるスキルを早めに身につけてもらう必要がある」。
●実践的な教育を
―参考になる海外の事例はありますか。
 「北欧諸国は解雇規制を緩くする一方で、失業者の再教育に資金を投じている。ただ金銭を与えるだけの『セーフティーネット(安全網)』ではなく、再就職のための反転力を身に付けてもらう『トランポリン型セーフティーネット』だ」。
―社会人への再教育を担える教育機関はあるのでしょうか。
 「大学を想定しているが、もっと実践的なカリキュラムが必要だ。企業の人にも参画してもらい、スキルアップのための教育プログラムを作らないといけない。専門学校や高等専門学校を拡充するアイデアもある」。
―副業を持つことも勧めています。
 「スキルアップの機会がないなら、副業を持つことで働き手のリスクを軽減できる。情報漏洩などの恐れがあるものは禁じるべきだが『ウチの仕事に全力を傾けろ』というだけの副業禁止規定はやめるべきだ。企業は働き手のキャリア選択をもっと応援してほしい」。
*やながわ・のりゆき 慶大経済学部の通信教育課程から東大大学院に進み博士号取得。2011年から現職。専門は経済学。長い海外生活が常識にとらわれない発想の原点だ。51歳。

*7-2:http://www.buaiso.net/business/economy/19313/ (BUAISO.net 2013年3月21日) 「40歳定年制」の真意~東京大学大学院経済学研究科・経済学部 教授 柳川範之氏~
●終身雇用という幻想
 「終身雇用についてまず総括しておきましょう。ひとつの企業の中でみんなが長く働き続けることには大きなメリットを感じますし、それが日本企業の特徴でもあると思います。しかし、残念ながら現在、ひとつの企業が50年、100年単位で成長を続けることはかなり難しい。経済環境の変化は昔に比べて格段に早くなっており、個人が20代のころに学校や企業で身につけた能力が40~50年間通用することも難しくなって、多くの場合、厳しい現実が待ち受けています。
この現状を踏まえると、皆でずっと同じ企業で働こうと思っても、外部環境の変化によって職種自体が消滅することが起き得るわけです。現在の仕事を遂行するための高度なスキルを身につけていても、技術革新や海外へのアウトソーシングなどで仕事自体が失われた場合、自身に代替するスキルがなければ、ただ企業に在籍して社会保障的に給与を受け取るだけの存在になるかもしれません。日本経済が全般的に好調で、かつ財務状況に恵まれた企業に所属していれば『優雅なリタイア』も可能かもしれませんが、実際は企業も国際競争にさらされていて、すべての人を雇い続けていく余裕はないでしょう。終身雇用制と呼ばれるような長期雇用と年功賃金の組み合わせを実現できた企業は、ごく一時期のごく一部の企業に過ぎません。実際には多くの人々が正規・非正規ともに解雇や転職を経験しています。こうした現状を踏まえると、解雇されないことに神経を集中させるよりも、産業構造や外部環境の変化に適応してどのような能力を身につけるのか、一定のサイクルで自身をプラニングすることが大切かと思います」。柳川氏は、仕事全体をクリエイティブ職、事務処理職、単純労働職という3つに分類し、自動化やアウトソーシングの進展で事務処理職の仕事が減り、成熟国ではクリエイティブ職と単純労働職の二つに集約されていくだろうと予測する。既に事務処理職全体の仕事のパイが小さくなっているように、職そのものがなくなるというのは静かに進行している。
●人生の長期化、変化の高速化、能力の陳腐化
 産業革命により分業システムが確立した結果、ある程度の専門性を持っていれば職業人として長く活躍できるという前提があった。しかし今、大きな転換期が次々に訪れ、人生の長さと産業構造の移り変わりの尺度が合わない気がするというのが社会に生きる人の実感だろう。長い人生をお金を稼いで生きながらえるためには、何か根本的なところで人間が変化しなければならないのかもしれない。
「それがまさに40歳定年制を提言したひとつの大きなポイントなのです。幸せなことに人間の寿命は延びています。iPS細胞の開発などでさらに延びるかもしれません。しかし一方では、産業構造の変化が急速なため、技術や能力が10年から20年で陳腐化することも多々あります。昔なら若い時に身につけた能力や知識が死ぬまではある程度役に立ちました。環境が変わっても次の世代の若者に新しい技術を身につけてもらえば十分、という時代がずっと続いていました。だから企業は『終身的』雇用ができるし、個人は一度身につけた能力を磨き上げることで働き続けることができていたわけです。
 ところが、寿命が延びる、スキルは陳腐化する、となるとどうでしょう。一回の充電(学び)で終着駅に向かうというのは無理で、2回か3回か、どこかの停留所で環境の変化に合わせた能力開発か何かの学び直しの充電をしないと長く働くことができないですよね。実はこれは世界的に起きている問題です。多くの国で若年失業とある程度年をとった人の働く場所の確保が同時に問題になっているのです。環境変化に合わせた能力開発を提供できないために若年者の雇用にしわ寄せがいくという構造のため、変化に合わせた新しい能力をどのように各世代に身につけさせるかということが課題になっています。そこでどの国も『教育、教育』と言い出しているんですね。世界のあらゆる場所に共通する構造的な潮流があるのだと思います」そして、急速に少子高齢化が進む日本では、この流れがより顕著な形で現れてきているのです。
*柳川範之(やながわのりゆき)
 1963年生まれ。小学校をシンガポールで卒業、高校時代をブラジルで過ごした後、大学入学資格検定試験合格。慶応義塾大学経済学部通信課程卒業。東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。経済学博士(東京大学)。東京大学大学院経済学研究科 経済学部 教授。著書に『法と企業行動の経済分析』(日本経済新聞出版社)、『独学という道もある』(ちくまプリマー新書)、投資家水野弘道氏、プロ陸上選手為末大氏との共著『決断という技術』(日本経済新聞出版社)などがある終身雇用という幻想


PS(2015.2.26追加):*8は、文脈から見ると、韓国にはまだ女性にのみ姦通罪があったようで、日本より男女不平等である。 ぎょ

*8:http://www.saga-s.co.jp/news/national/10201/160710
(佐賀新聞 2015年2月26日) 韓国が姦通罪廃止、憲法裁が違憲判決
 韓国の憲法裁判所は26日、同国の刑法にある姦通罪は憲法違反だとする判決を出し、同罪は即時廃止された。憲法裁は過去4回同罪を合憲と判断していたが、異性との性的関係の自己決定権を重視すべきだとの社会の風潮が反映された。2008年の最後の合憲判決後に同罪で起訴された約5400人が再審を申請すれば全員無罪になる。憲法裁が違憲判断を出すには9人の裁判官のうち6人が同意する必要があるが、今回7人が違憲だと判断した。

| 年金・社会保障::2013.8~2017.4 | 12:02 PM | comments (x) | trackback (x) |
2015.2.22 小中一貫校に幼稚園も接続した方が、教育効果が上がること(2015.2.23追加あり)
   
 *1より      玄海町の農業体験      玄海町、修学旅行生の養殖見学        

(1)公立玄海小中一貫校の素敵な校舎
 *1のように、玄海町は2小学校、2中学校を統合して町立玄海小中学校「玄海みらい学園」を4月に開校する予定で、新校舎は鉄筋コンクリート4階建て、延べ床面積約1万5千平方メートルで、4階まで吹き抜けの天井がガラス張りになっているそうだ。教室は30人学級を想定した広さで、従来の黒板は置かず、電子黒板やホワイトボードを使用し、トイレは全個室洋式とのことである。

 このように小中学校を統合したり、耐震化するために新校舎を建設したりする際に、21世紀仕様の教育環境を整えるのがよいと、私も考える。また、新校舎の階段に、制服の見本が置いてあるが、小学生の時からかわいらしい制服を着せるのも悪くない。そして、玄海町は海・山・田畑が近く、子どもを自然の中で育てられるのが魅力だ。

 なお、私は、幼稚園も接続して、3歳、4歳もしくは5歳から、自然な形で教育を開始した方がよいと考えている。何故なら、言語は幼いほど吸収力が高いため、英語やフランス語を母国語とする教師が時間をかけて楽しく教えておけば、後で語学で苦労する必要がないからだ。また、教える内容も、これに合わせて前倒ししたり、内容を豊富にしたりし、飛び級も可能にした方がよいと考える。

 しかし、玄海町には原発があり、その交付金で立派な学校ができても、子を持つ家庭が玄海町に住むのはためらわれる。そのため、*4、*5-1、*5-2のように、政府が中枢機能分散を推進し、企業の地方移転を進めようとしており、地方創生総合戦略に対して交付金を準備している時であることを活用して、原発を速やかに廃炉にし、次の時代の稼ぎ方を設計すべきだ。

(2)公立小中一貫校の目的
 *2のように、9年間を通じたカリキュラムで教育する公立小中一貫校が急増し、政府の教育再生実行会議が6・3制を見直す学制改革の議論を次回以降に始めるそうだ。都道府県別では東京都が公立小中一貫校18校と最も多く、次いで宮崎県12校、広島県9校、佐賀県6校、京都府(京都市含む)6校と続き、佐賀県は進んでいる方だ。宮崎県は全国初の公立中高一貫校が1994年に誕生し(これを知って、私は佐賀県立唐津東高校を中高一貫校にするよう提言し、実現済)、小中一貫校も2006年に開校するなど早くから一貫教育に積極的に取り組んでいるが、私立は前からそうやって実績を出していたのだ。

 小中一貫教育を進める目的としては、「①教職員の指導力向上」「②学力向上」「③小中が核となり地域とともに学校づくりを進める」が大切だと考えるが、「④中1で不登校や問題行動が増える“中1ギャップ”を防ぐため」というのは、何かおかしい。もともと、子どもにとって変化やスリルは楽しい筈で(だから、子どもは冒険物語やジェットコースターに惹かれる)、小学校から中学校に行く程度の変化についていけない子どもが社会に出て場所や時代の変化についていけるのかも疑問であるため、学校・社会の“文化”や教育方針を見直すべきである。

(3)スーパー小中一貫校 (?)
 大阪市は、*3のように、「スーパー小中一貫校」を作り、通学区を限定せずに市全域から募集するそうだ。そして、①小1からの英語学習 ②児童・生徒1人1台のタブレットパソコン配布 ③小学校で教科担任制を一部導入などに取り組むそうだが、このうち②は、佐賀県では既に行われており、これに①と③を加えて教育するのが、小中一貫校のメリットを活かす方法であるため、どこでも普通にやるべきである。

*1:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10105/159240
(佐賀新聞 2015年2月22日) 「玄海小中学校」校舎を披露 内覧会開催
■4階まで吹き抜け/天井ガラス張り
 玄海町の2小学校、2中学校を統合して4月に開校する町立玄海小中学校「玄海みらい学園」の内覧会が21日、有浦中敷地内に建設された新校舎であった。訪れた児童や生徒、保護者らが、小中一貫校としてスタートする新年度からの生活へ、イメージを膨らませていた。新校舎は鉄筋コンクリート4階建て、延べ床面積約1万5千平方メートル。4階まで吹き抜けで、天井はガラス張りになっており開放感が特徴。新1~9年生約530人が一堂に集まれるホールもある。教室は30人学級を想定した広さで、従来の黒板を置かず、電子黒板やホワイトボードを使用。トイレは全個室洋式。校舎を見て回った児童たちは「ベランダや屋上があるのがいい」「更衣室がきれいだった」「教室は少し狭く感じた」など、口々に感想を言い合っていた。工事は2013年6月に始まり、一部設備工事を残して今年1月末に完成。総事業費は約49億円で、新校舎、体育館、渡り廊下の建設費は39億9700万円。内覧会は22日も午前10時、正午、午後2時からの3回実施する。

*2:http://digital.asahi.com/articles/TKY201310230564.html?_requesturl=articles%2FTKY201310230564.html&iref=comkiji_txt_end_s_kjid_TKY201310230564
(朝日新聞 2013年10月25日) 公立小中一貫校が急増100校 9割「学力向上狙い」
 小中学校の9年間を通じたカリキュラムで教育する公立の小中一貫校が急増し、今春までに全国で100校開校していることが朝日新聞の調査でわかった。政府の教育再生実行会議が6・3制を見直す学制改革の議論を次回以降に始めるが、ほぼ半数の48校の校長が学制改革を求めた。一貫校を「義務教育学校」として制度化することには、3分の1の29校が賛成した。小中一貫校は国により制度化されていないため、自治体ごとに定義や呼び方もさまざまだ。そこで京都産業大の西川信廣教授(教育制度学)の助言を受け、(1)小中の敷地が同じ(2)9年間を見通したカリキュラムを持つ――という最も一体化が進んだ学校を対象とし、校長に教育内容や成果、課題などを聞いた。その結果によると、2005年段階では4校だったが、08年に23校に。その後は毎年10校以上増え続け、11年で61校、12年で81校となり、今春現在で100校となった。都道府県単位だと、最も多いのは東京都で18校、宮崎県12校、広島県9校、佐賀県6校、京都府(京都市含む)6校と続く。宮崎県の場合、全国初の公立中高一貫校として県立五ケ瀬中・高校(現在は中等教育学校)が94年に誕生。小中一貫校も06年、日向市立平岩小中学校が開校するなど早くから一貫教育に積極的に取り組んできた。小中一貫教育を進める目的としては、「学力向上」が91校、中1で不登校や問題行動が増える「中1ギャップの解消など生徒指導上の成果を上げる」が90校、「小中が核となって地域とともにある学校づくりを進める」が66校、「教職員の指導力向上」が56校だった(複数回答)。9年間のカリキュラムの区切り方は「4―3―2」が最多で67校、「6―3」のままが28校だった。学制改革について質問したところ、「改めた方がよい」が16校、「どちらかといえば改めた方がよい」が32校、「どちらかといえば今のままでよい」26校、「今のままでよい」12校、「わからない」13校。「どちらかといえば」も含め「改めた方がよい」と回答した48校の校長に、どう改めるかを尋ねた。「中高一貫の中等教育学校のように、小中一貫の『義務教育学校』をつくる」が29校にのぼった。自民党の教育再生実行本部が5月に提言したのがこの形態だ。「全校一律で6―3の区切りを変える」は15校、「5歳から義務教育にする」「高校を義務教育にする」はともに3校だった。開校に至る経緯(複数回答可)では、「統廃合計画のなかで計画された」と回答したのが52校と半数以上。「公立学校の多様化を推進するため」が45校、「町づくりの核として」が21校、首長が公約で掲げたのが16校だった。一貫校の調査としては、文部科学省や、小中一貫教育に取り組む自治体でつくる「小中一貫教育全国連絡協議会」が10年に調べたものがあるが、校長に教育内容や成果まで尋ねた調査は「把握していない」と文科省は話す。
■半数、統廃合が影響
 小中一貫校が増える背景には、地方分権の流れがある。きっかけは広島県呉市が2000年から国の研究開発学校で、東京都品川区が04年から構造改革特区でそれぞれ小中一貫教育を試みたこと。市町村の教育改革として注目された。自治体が理由に挙げるのは(1)小、中学校で学習、生活指導が大きく違い、中1で不登校や問題行動が増える「中1ギャップ」が問題視されている(2)身長の伸びが早まり、発達の段差が小4、5年ごろに移っているとされることだ。小中9年間で教育内容を見直し、独自の教科の新設などで学力向上を目指す狙いもある。だが今回の調査では開校の経緯として統廃合計画を挙げる学校が地方に多く、52校と半数以上に上った。都市部では、子どもが私立中に進学し公立中の生徒が減るのを防ぐ狙いもある。西川教授は「一貫教育の目的についての回答に『学力向上』『生徒指導上の成果』が多く、それを生み出す『教職員の指導力向上』を挙げたのは56校にとどまっている。『中学生が小学生を思いやるようになった』といった子どもの変化に比べ、教職員の変化を成果として挙げる回答は少なかった。小中が表面的な交流にとどまり、教職員の力がつくところまでいっていない表れだと思う。何のために小中一貫教育を進めるのか、行政自身、見つめ直すことが必要だ」と話す。
     ◇
〈調査方法〉 まず全都道府県、政令指定都市の教育委員会に「小中学校が同一敷地にあり、9年間を見通したカリキュラムを持つ学校」の校名を挙げてもらった。東京都教育庁は「小中一貫校を把握していない」と回答したため、朝日新聞が都内の全市区町村を調べた。そのうえで自治体の挙げた学校の校長に、開校の経緯や成果、課題を問う質問票を郵送。全員から回答を得た。

*3:http://digital.asahi.com/articles/OSK201310210144.html
(朝日新聞 2013年10月22日) スーパー小中一貫校2校 入学・転入生募る 大阪市
 大阪市教委は市内在住の児童・生徒を対象に、施設一体型小中一貫校「やたなか小中一貫校」(東住吉区、昨年春開校)と「むくのき学園」(東淀川区、来年春開校)への来年春の入学・転校生を募集している。市立小中が通学区を限定せず市全域から募集するのは初めて。2校は市の教育改革を先駆けて実践する9年間の「スーパー小中一貫校」と位置づけられ、小1からの英語学習▽児童・生徒1人1台のタブレットパソコン配布▽小学校で教科担任制を一部導入、などに取り組む。対象は市内在住(2校の校区内なら応募の必要なし)で、来年度に小1~6年または中1~2年になる子ども。2校とも各学年40人程度で、応募多数なら抽選を行う。締め切りは10月31日で、学校選択制を実施する一部の区のみ締め切りを早めるケースもある。問い合わせは市教委学事課(06・6208・9114)。

*4:http://qbiz.jp/article/56137/1/
(西日本新聞 2015年2月18日) 企業の地方移転は進むのか? 政府、中枢機能分散を後押し
 地方の人口減少と東京一極集中に歯止めをかけるため、政府は企業の地方移転や分散に力を入れ始めた。経済拠点の多極化は過去にも試みられたが、はかばかしい成果を残していない。「地方創生の手段」と位置付ける今回の取り組みは、企業をその気にさせることができるか−。「2020年度までに、地方に30万人の若者の雇用を創出する」。政府は昨年12月に閣議決定した地方創生の総合戦略に大胆な目標を掲げた。企業の地方移転支援は、その一環。(1)東京から三大都市圏以外へ本社機能を移す企業(2)地方にある本社機能を拡充する企業−の税負担を軽くする特例措置を新たに設ける。政府が企業の地方移転を推進するのは初めてではない。1990年代の地方拠点都市、オフィスアルカディアなど数々の政策を打ち出したが、経済産業省幹部は「思わしい結果は出なかった」。逆に創業した地方で業績を伸ばし、本社を東京へ移す企業が多かった。
 だが、企業の考えは変わってきた。転機は東日本大震災だ。将来、東京の本社が被災するリスクを分散するため、複数の都市に経営拠点を置く動きが顕著になっている。インターネットの普及で、大都市でなくても可能な仕事も増えた。政府は「本社移転はハードルが高い」として、中枢機能の分散を後押しする。地方の誘致活動も熱を帯びる。福岡市と福岡経済同友会、福岡商工会議所は17日、東京都心でシンポジウムを開催。「ビジネス拠点・福岡」の優位性を企業関係者などにアピールした。政府で地方創生を担当するまち・ひと・しごと創生本部の若井英二事務局次長は「創業地や福岡、札幌のようなブロック拠点都市は可能性が大きい。通勤圏を考えると、自治体は広域で連携して誘致するのが有効ではないか」と語る。
   ◇   ◇
●機能分散、震災後に加速
 地方に拠点を移す企業は確かに増えている。
 「福岡で独立したビジネスが成り立つように、機能移転を進めたい」。マスミューチュアル生命保険(東京)の井本満社長は17日のシンポジウムで、福岡本社(福岡市)を4月に本格的に立ち上げる計画を披露した。従業員は約150人。災害時に保険金の支払いを滞らせないため、自然災害の可能性が小さい福岡市を第2の拠点に選んだ。生命保険業界では、ほかにアクサ生命保険が2014年11月に札幌本社を設立。大規模投資だったが「災害時にも業務を継続するために必要な投資」(広報)ととらえている。建設機械大手のコマツは11年、創業地である石川県小松市に総合研修施設を造り、人材育成などの機能分散を進める。13年度は国内外から約2万7千人が研修で小松市を訪れており、地域にもたらす経済効果も大きい。企業にとって地方移転は不安材料もあるが、踏み切ってみると、乗り越えられることも多いようだ。12年に東京から北海道恵庭市へ本社を移したエム・エス・ケー農業機械。杉野俊樹社長は「優秀な社員をつなぎ留められるか」心配だったが、首都圏に勤務していた約70人のほぼ全員が北海道に転居。現地でも「良い人材が確保できている」と自信をみせる。東洋ゴムは東京本社を大阪本社に統合、8月には本社を兵庫県伊丹市に移す。「取引先とのやりとりはネットを使えばよく、東京でないとできないことはない」という。経団連産業政策本部の森島聡主幹は、地方移転を税制で促進する政府の取り組みを歓迎するが、注文もある。「国の許認可権限を地方に移すことも必要だ。行政機能が東京に集まっている限り、必要な手続きは東京で行わざるを得ない」。地方移転をさらに拡大するには分権が必要と考える。企業を迎える自治体にも課題がある。石破茂地方創生担当相は「教育、医療、介護が単身赴任の大きな理由になっている」と指摘。家族が安心して新しい暮らしが営める環境整備を求めている。


PS(2015.2.23追加):*5-1、*5-2のように、地方創生担当相は、政府機関の地方移転を推進する方針で、「地方から誘致提案をして欲しい」とのことであるため、生活や教育などのメリットを示して、農漁業・エネルギー・文部科学など、シナジー効果のある施設の誘致に立候補するのがよいと考える。

*5-1:http://qbiz.jp/article/56407/1/
(西日本新聞 2015年2月22日) 政府機関の移転候補、近く公表 石破地方創生相インタビュー
 石破茂地方創生担当相は21日、福岡市で西日本新聞のインタビューに応じた。石破氏は東京一極集中を是正するため、政府機関の地方移転を推進する方針を示し、移転候補のリストを近く公表すると表明。「必ずしも東京になくていい機関がいっぱいある。東京にあるよりもうちに来た方が良い、と地方から提案してほしい」と語った。移転候補となるのは、府省庁の研究機関や研修所など。機関の名前、仕事の内容、職員数の一覧を2月中にも公表し、誘致する自治体を募る。2015年度に移転先を決め、16年度から具体化する。省庁本体は対象としない方向だ。石破氏は「移転したらこんないいことがある、地元はこんな支援をすると言ってもらいたい」と述べ、誘致する自治体に移転効果の説明を求める考えだ。政府は地方の人口減少対策を兼ねて、企業の本社機能移転を優遇税制で支援。民間と連動して、首都圏から地方へ雇用と人の流れをつくる。20年の東京五輪に向けて一極集中の加速が懸念されているが、石破氏は「そこは政策的に止めなければならない」と述べた。地方創生関連の交付金 政府は2014年度補正予算に自治体向けの交付金4200億円を盛り込んだ。「地域消費喚起・生活支援型」(2500億円)はプレミアム付き商品券の発行など経済対策色が濃い。「地方創生先行型」(1700億円)には、自治体がまとめる地方創生の総合戦略策定費が含まれる。政府は自治体の総合戦略を具体化する財源として、16年度に新たな交付金を創設する方針。

*5-2:http://qbiz.jp/article/56408/1/
(西日本新聞 2015年2月22日) 石破氏一問一答 総合戦略新交付金、自治体で差 
 石破茂地方創生担当相とのやりとりは次の通り。
−自治体は地方創生の総合戦略を2015年度に策定する。ポイントは何か。
 「三つある。一つ目はKPI(重要業績評価指標)。農業生産額、移住者数、出生率などの数値目標を設定することだ。二つ目は企画立案、実行、点検、改善のシステムを組み込むこと。三つ目は産官学、金(金融機関)労(労働界)言(言論界)のみんなが参画すること。市長が作ればいいという話ではない」
−総合戦略を実行する財源として新型交付金を16年度につくるそうだが、どのような交付金になるか。
 「自治体を一律に扱わず、総合戦略を見て、熱意があるところに厚く交付する。その審査は議員の口利きのような恣意(しい)性を排除し、透明性のある仕組みにする。独創性、将来の発展性、持続性などが審査基準になるだろう。金額の規模はまだ分からない」
−プレミアム付き商品券などに使える14年度補正予算の交付金は、ばらまきの印象がある。
 「効果をチェックする仕組みがあるから、ばらまきではない」
−人口減少対策は特に雇用が重要になるのでは。
 「地方で起きている人手不足をどう考えるか。保育や介護、公共交通、サービス産業の生産性を上げることが大事だ。雇用を安定させ、収入を上げるための工夫があってしかるべきだ。公共事業や企業誘致は絶対的な効き目がなくなった」「地方で生産性や収益を上げるには、コンパクトシティー化と企業の集積が必要だと思う。集落再編でなくなる集落はかわいそうだが、全ての集落に同じインフラを整備すると、いくらお金があっても足りない。切って捨てることはしないが粘り強く住民の合意を得なければならない」
−道州制にはどのような考えを持っているか。
 「全然否定しない。外交や安全保障、通貨政策は国が行い、地域のことは地域でやった方がいい。ただ、地方創生は都道府県の役割が大きい。市町村がばらばらなことを計画しても困るので、県にコーディネート(調整)してほしい」

| 教育・研究開発::2014.8~2016.11 | 05:05 PM | comments (x) | trackback (x) |
2015.2.17 2030年度の電源構成案と原発回帰は、人間と環境を無視し過ぎだ。[この頃、殺人事件の報道ばかりで、原発事故の報道が少ないと思ったら・・] (2015.2.21、3.23に追加あり)
    
2014年8月   2014.5.24   *1-2        海流           中国の原発
パブリックコメント  朝日新聞

(1)経産省の電源構成案
 *1-1のように、日経新聞は2015.2.16に、2030年時点の原子力、火力、再生可能エネルギーなどのエネルギーミックスの議論を政府が始め、「①原発が停止して天然ガスなどの輸入が増え電気料金上昇」「②エネルギー自給率は主要国で最低水準」「③企業も経営環境を見通しにくい」「④現実的な電源比率を決めるときである」「⑤エネルギーを安価に安定供給できるよう、現実を見据えた電源比率の目標を決めるべき」とした。

 しかし、これまでこのブログで詳しく書いてきたように、①は原発のコストを電力会社が負担する運転コストだけに限っており正しくなく、②は太陽光、風力、水素、メタンハイドレートなどの日本にあるエネルギーを開発してこなかったこれまでの経産省の不作為にほかならず、③は原発が再稼働すれば新しいエネルギーにチャレンジしている有為な会社の経営が見通せなくなることなどから、④⑤で原発を重要な電源として位置付けるこじつけのために、①②③を使うのは論理的におかしく無理がある。

 そのような中、*1-7のように、日本学術会議(大西会長)が、「原発から出る核のごみ対策を政府と電力会社が明確化することを原発再稼働の条件にすべき」「高レベル放射性廃棄物の処分問題に進展がないまま再稼働を進める国の姿勢は将来世代に対する無責任」「新増設も容認できない」とする政策提言案をまとめたのは、世論形成や国の政策に影響を与えそうでよかった。ただ、公平性の観点から暫定保管の施設を原発立地地域以外で建設するのが望ましいなどとしているのは、放射能管理区域をいたずらに増やすことになり賛成できない。

(2)中国の行動と日本のふがいなさ
 *1-4では、朝日新聞が、「①中国政府は福島原発事故から5日後の2011年3月16日に、着工前の原発建設を凍結し、新規原発計画の審査も停止した」「②中国は原発大国化に大きくカジを切ろうとしており、発電能力を5年で3倍にする計画」「③高効率で安全性も高いとされる第4世代の高温ガス炉の世界初の実証炉が着工している」「④実用炉は最先端の第3世代の原発も数基、建造する計画」「⑤世界最高の安全基準を採用して、速やかに沿海部の新しい原発建設を始める」と記載している。

 つまり、①のように、中国政府は日本の原発事故から5日後に、着工前の原発建設を凍結し、新規原発計画の審査も停止したのだ。しかし、*1-5のように、意見公募しても、原子力規制委がその意見を無視して「適合」と判断した高浜3・4号機のように、日本が原発再稼働に向けてばく進し始めたのを見て、中国は②の行動をとったのであり、ここが原発事故の被曝国である日本が責任を果たさなかった残念な点である。

 そして、③であれ④であれ、原発が過酷事故を起こす確率が0になることはなく、パワーがあればあるほど事故時の汚染範囲も広い。さらに、中国の沿海部は対馬海流が日本海に向かって流れており、過酷事故が起これば、その汚染水は沿岸諸国にとってとりわけ深刻である上、平時でも海に放出される原発の熱は、漁獲高を減らしている。その理由は、海を温めたり、原発を冷却するために取り込んだ大量の海水に含まれる幼生を高温で殺して放出するためと言われており、これは経験済なのだ。

(3)環境の視点でも原発は最悪であり、世界環境基準が必要であること
 *1-1は、さらに「①国連は温暖化ガス削減目標を示すよう各国に求めている」「②震災の影響で原発が止まり、火力が88%を占めて再生エネルギーも微増に留まった」「③化石燃料の輸入増加で貿易赤字が膨らみ、温暖化ガスの排出も増えた」「④安全性や経済性、環境など多面的な観点から、エネルギー供給のあり方を見直すべき」「⑤化石燃料の多くは政治的に不安定な中東に頼っているため、輸入先の多様化に加え、化石燃料への依存度自体を下げるエネルギー安全保障が要る」「⑥再生エネルギーで、家庭や企業の負担が増した」「⑦電源比率を決めることは、原発をおよそ何基稼働させるか目安を示すことになり、原発建て替えも議論すべき」「⑧電源構成をいま決めることは、その原発再稼働と建て替えの出発点になる」と続ける。

 しかし、①④については環境に悪影響を与える物質はCO2だけではなく、原発事故による放射線被曝の方がずっと人体に有害であることを無視しており、②は再生可能エネルギーの普及を後押しするどころか邪魔しているからにすぎず、③⑤は10年前と全く同じフレーズだが、これまでの経産省・電力会社の行動が原因なのである。さらに、⑥は再生エネルギーで家庭や企業の負担が増し原発の方が安価だというのは真っ赤な嘘であり、①~⑥は、まさに⑦⑧の結論を得るための恣意的な広報や行動の結果にすぎない。そのため、こういうことを書いて自分でおかしいと思わない日経新聞は、論理性・科学性もしくは誠実さに欠ける。

 なお、東京新聞は、*1-2のように、「2030年度の電源構成案60年運転を前提とし、原発は20%に上昇も」と題して「現在は0で、将来も最大でも15%未満にとどまる原発比率を20%前後まで高めるとみられ、原発への依存度を可能な限り引き下げるとしたエネルギー基本計画に逆行する」としている。そもそも、政府が原発や再生可能エネルギー等の構成比率を決めること自体、政府が米・麦・とうもろこしなどの作付面積を決めて国民にできたものを食べろというのと同じ計画経済であり、政府は技術進歩や市場を先んじて考慮することができないため、既に失敗が確認された経済システムなのである。

 さらに、*1-3で朝日新聞は、経産省の作業部会で、将来の電源構成に「原発維持」の声が続々と出ており、委員の構成について「原発偏重だ」などと批判も出ていることを報告している。政府は原発を「可能な限り低減させる」としているが、現在、0でやっているのであるから、このまま再生エネルギーを増やせばよいのだ。しかし、経産省は「原発停止により、エネルギー自給率(12年)が0・9%まで下がった」としており、原発の燃料も輸入品であることを考えれば、経産省の試算は原発に偏っておりおかしい。

 原発の母国である米国では、*1-6のように、シェール革命後には原発の廃炉が続いており、よりよいエネルギーを探したり、それが見つかればすぐに変更したりするのがよい(当たり前の行動だが、日本は、これができないのだ)。そして、日本でも、2016年に電力小売りが自由化され、2020年に総括原価方式が廃止されると、原発を手掛けるのは事業リスクが大きくなるため、経産省は、電力自由化後の原発政策として、原発で発電する電力の販売価格をあらかじめ決めておき、実際に電力市場で取引される価格がそれを下回った場合は、差額分を電気料金に上乗せして利用者から回収したり、原発建設コストの最大8割を政府が債務保証したりすることを検討しているそうだが、そのような金があったら水素を始め再生エネに投入した方が、よほど将来の役に立ち、経済効果があると考える。

(4)新しい世界環境基準に求めること
 *5-1のように、エネルギーで迷走している日本だが、やはり電力供給の主役は石炭火力にはならないだろう。しかし、このように迷走する理由は、国際的な環境規制が、地球温暖化対策として、CO2の排出のみを制限しており、それをくぐりぬけることを国益と考える風潮があるからだ。

 1995年に(私が提案して)できた最初の環境に関する世界基準である京都議定書が、CO2の排出量だけを問題にしているのは、当時は世界基準を導入することが最も重要だったため、皆が受け入れやすい地球温暖化問題のみに限定したからだ。現在では地球環境に関する世界基準は既に導入されているため、地球環境汚染対策のために、地球温暖化防止のみならず放射性物質、有害な化学物質や金属などの空気・水への混入防止を含めて、京都議定書に代わる新しい世界環境基準を作るべきである。

 放射性物質については、*5-2のように、「原発事故から目を背けてはいけない」とする記事があり、*5-3のように、川内原発から風船を飛ばして、過酷事故が起きた際の放射性物質の拡散距離や方向を予測しようとする実験もある。風船飛ばしは2013年7月、2014年4月、2014年10月にも実施され、過去3回は120~150キロ東の宮崎県日南市や都農町、日向市などでも確認され、2015年2月8日の分も9日午後までに、40キロ南の鹿児島市谷山中央など鹿児島県内3カ所から連絡が来たそうだ。つまり、放射性物質が達する地域は、とても30キロ圏内だけにはおさまらないのである。

 佐賀県では、*5-4のように、山口新知事が反原発団体と面会するそうだが、佐賀県の「原発なくそう!九州玄海訴訟」は約1万人の原告を集め、原告団団長の長谷川照氏(京都大理学博士。専門は、原子核理論。佐賀大理工学部教授、理工学部長等を経て、2003~2009年度、佐賀大学学長。http://www.data-max.co.jp/2012/02/08/post_16433_ym_1.html 参照)は原子力の専門家で、代理人の馬奈木昭雄弁護士(水俣病訴訟等の公害問題に専門的に取り組む弁護士。https://www.youtube.com/watch?v=Favxc7e-VPA 参照)は、水俣病はじめ公害に詳しい弁護士だ。そのため、世界一進んだ訴訟をしていると思うので、山口知事は、この2人に会って話を聞き、勉強すべきだ。

(5)フクシマ原発事故の真実の報道と近隣の健康調査が必要
 *2-1のように、福島県は2月12日、フクイチ事故当時18歳以下だった約38万5000人が対象の甲状腺検査で昨年末までに118人ががんや疑いがあると診断されたと発表し、うち手術でがんと確定診断されたのは計87人になったが、これは通常の少なくとも300倍から数千倍とのことである。

 しかし、*2-3に書かれているように、全摘出した人を「確定」と称し、細胞針陽性でこれから手術日程を決める人を「疑い」と称しており、実際にはどちらも「がん発症」なので、ここにもごまかしがある。また、甲状腺検査も含めた県民健康調査を議論する検討委員会の星北斗座長(県医師会常任理事)は、「年齢分布などはこれまでと変化がみられず、原発事故の影響とは考えにくい」とし、「チェルノブイリ原発事故で甲状腺がんが増えたのは事故の3~5年後からだった」「がんが急速に大きくなっているわけではない」としているが、これらは、原因がフクイチ事故でないことを証明する根拠にはならない。

 また、放射性物質は県境で止まるわけではないため、*2-2のように、福島近隣県でも健康調査を実施するように要望が出されているが、*2-3のように、南東北、関東全域にも影響が出ていると考えるのが自然である。

 さらに、*2-4のように、北海道がんセンターの西尾氏が高知市で講演し、「外部被曝は一瞬で体を通り抜ける。内部被曝は体内で放射線がエネルギーを放出し続ける」と内部被曝の危険性を説明し、「政府は外部被曝だけを議論し、内部被曝の問題を全く無視している」と批判されたそうだが、全くその通りだ。また、国が「年間放射線量20ミリシーベルト以下」を避難指示解除の条件としていることについても、「放射線障害防止法で定めている放射線管理区域(年間約5・2ミリシーベルト)より線量が高い。国が法律を犯す異常な事態」と批判されたそうで、同感だ。さらに、チェルノブイリ原発事故と比較し、「チェルノブイリは内部被曝の危険を考慮して『強制避難ゾーン』を設けているが、日本では内部被曝の議論が全く無い」「(内部被曝の危険を)隠蔽する不誠実な対応だ」と政府を断じられたそうだが、これも尤もである。

(6)フクシマの過酷事故への対応
 *3-1のように、東日本大震災発生後、岩手、宮城、福島の被災3県の有権者に知事の初動対応への評価を尋ねたところ、福島県知事の評価が最も低く、それは福島第1原発事故の当事者であることが最大の原因だそうだ。津波被害だけなら、その後、人間が戻れず住めなくなるということはないが、原発の過酷事故は影響が長く続き、住めなくなる地域も多いからだ。これは、初動でリーダーが最前線で汗を流している姿を見せ、頑張っているというアピールをしたか否かよりも、事実が正確に報道されなかったために無用の被曝をさせられたり、現在も被害を受け続けて先が見えず、信頼を失ったりした結果だろう。

 なお、*3-2のように、東電フクシマ原発事故の賠償を裁判外で解決する手続き(原発ADR)は、避難中に死亡した人の慰謝料を算定する際には、原発事故の影響の度合いを「一律5割」と定めた内部文書が存在し、賠償額は「基準額(A)」×「原発事故の影響の度合い(B)」で算定して、Aを訴訟より低額にし、Bを「一律5割」か「例外的に1割にする」と記載しているそうだ。

(7)フクシマの放射能汚染水は現在も垂れ流しの上、溜めたものも太平洋に放出?!
 *4-1のように、東電福島第1原発の建屋周辺の井戸「サブドレン」などから汚染地下水をくみ上げ、浄化後に海に放出する計画で、国と東電は16日、いわき市で漁業者に対して計画の運用方針案を説明し海洋放出への理解を求めたそうだ。しかし、三陸沖は黒潮(日本海流)と親潮(千島海流)がぶつかる地域で、汚染水は県境とは関係なくその辺で混ざり合うため、浄化後といってもトリチウムをはじめ、除ききれなかった放射性物質が混ざっている大量の汚染水を海洋放出するのはどうかと思う。

 そして、*4-2では、「東電によると、建屋近くの井戸から地下水をくみ上げると、周辺の地下水位が下がり、建屋への地下水の流入を抑えられるなどの効果が期待できる」としているが、地下水はすぐに周りから補充されるので、水位が低くなるということはない。また、土壌が事故で汚染されたため、地下水には多くの放射性物質が含まれる上、排水する水の総量が多いため、処理済水がどの程度汚染されているのかも重要な問題だ。

<経産省の電源構成案>
*1-1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20150216&ng=DGKKZO83212720W5A210C1PE8000 (日経新聞 2015.2.16) 現実的な電源比率を決めるときだ
 2030年時点で、原子力や火力発電、再生可能エネルギーをどんな比率で組み合わせて使うか。それを軸にした「エネルギーミックス」の議論を政府が始めた。東日本大震災から4年。原発が停止して天然ガスなどの輸入が増え、電気料金が上昇している。エネルギー自給率は主要国で最低水準だ。企業も経営環境を見通しにくい。エネルギーを安価に安定供給できるよう、現実を見据えた電源比率の目標を決めるときだ。
●温暖化防止へ責務
 震災前の10年度時点で、日本の電力は原発で28%、火力で62%、水力を含む再生エネルギーで10%を賄っていた。だが震災の影響で原発が止まり、13年度時点では火力が88%を占める。再生エネルギーも微増にとどまった。いびつな状況といえる。化石燃料の輸入増加で貿易赤字が膨らみ、温暖化ガスの排出も増えた。安全性や経済性、環境など多面的な観点から、エネルギー供給のあり方を見直すことが欠かせない。電源構成を決めなければならない大きな理由は、今年末にパリで開く国連の会議で20年以降の温暖化ガス削減の枠組みが決まることだ。国連は各国にできるだけ早く削減目標を示すよう求めている。日本も責任ある目標を示さなければならない。数字先行で国民に負担を強いては困る。工場や家庭、運輸など各部門で省エネをどこまで強められるか。電源構成の見通しを持ち、数字を積み上げて議論の基礎にするのが望ましい。エネルギー安全保障の意味も大きい。原油価格は下落基調にあるが、化石燃料の多くは政治的に不安定な中東に頼っている。輸入先の多様化に加え、化石燃料への依存度自体を下げる目標が要る。エネルギーミックスの具体的な数字を詰めるうえでは、主に2つの点で議論を深めてほしい。まず再生エネルギーの導入目標を明確にすることだ。12年に電力会社による買い取り制度が始まり、制度面で課題を残しつつも、導入拡大に弾みがついている。一方で、家庭や企業の負担も増している。経済産業省によれば、このまま増え続けると家庭の電気料金への上乗せ額はいまの月225円から4倍に膨らむ。制度見直しで国民負担を減らし、持続性のある目標を定めるべきだ。もうひとつが原発の位置づけだ。電源比率を決めることは、原発をおよそ何基稼働させるか目安を示すことになる。九州電力川内原発と関西電力高浜原発が原子力規制委員会の審査に合格したが、ほかの原発では見通せない。そんな状況で政府が目安を決めてよいのかという疑念はあるだろう。政府は再稼働の条件として規制委による安全確認と地元による同意を掲げた。政府が原発比率の目標にこだわり、規制委に圧力をかけることは許されない。規制委の独立性と中立性を再確認したうえで、目標を決めるべきだ。原発については、老朽原発の運転延長や建て替えをどうするかも議論を避けて通れない。
●原発建て替えも議論を
 原発の運転期間は法律で原則40年と定められた。これに沿えば30年に運転可能な原発は20基、40年に7基に減る。自然減に委ねれば、30年時点で発電量に占める原発比率は15%に届かない。それで電力を安定供給できるかは未知数で、運転延長や建て替えの選択肢をいま放棄することはできない。個々の原発の運転延長の可否は規制委が判断することで、政府が口出しすべきではない。一方で、建て替えは許認可や地元同意などで10年以上かかり、国が方向性を示すことは不可欠だ。電力市場の自由化が進めば、電力会社が原発の建て替え費用をどう調達するかや電気料金の決め方、人材確保が課題になる。電力改革の制度設計とあわせ、それらをいまから議論しておくべきだ。私たちは東京電力福島第1原発事故の後、5~10年程度をエネルギー政策の「調整と点検の期間」にするよう訴えてきた。その間は再生エネルギーの利用拡大に全力をあげ、エネルギーの主役になり得るか見極めよと主張してきた。将来の電源構成を示すことはいわば「調整」の目標を定めることだ。電源ごとのコストや導入見通しがはっきりしてくれば、目標を「点検」して柔軟に見直せばよい。電源構成をいま決めることは、その出発点になるはずだ。

*1-2:http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2015013102000124.html (東京新聞 2015年1月31日) 2030年度の電源構成案 60年運転前提 原発20%に上昇も
 経済産業省は三十日、将来的な原発や再生可能エネルギーなどの構成比率を話し合う総合資源エネルギー調査会の「長期エネルギー需給見通し小委員会」の初会合を開いた。原発は運転開始から四十年で廃炉にする決まりだが、経産省は六十年まで延ばせる特例の利用を前提にする。現在はゼロで、将来も原則通りなら最大でも15%未満にとどまるはずの原発比率を20%前後まで高めるとみられ、「原発への依存度を可能な限り引き下げる」としたエネルギー基本計画に逆行する。原発の寿命を特例で延ばす手法にも安全を懸念する国民の声が強まる可能性がある。政府が昨年四月にまとめた同計画では原発の目標数値は明記しておらず、小委員会は夏までに二〇三〇年度に目指す原発や再生可能エネルギーなどの構成比率をまとめる。政府は東京電力福島第一原発の事故で、同原発1号機が四十年を超え老朽化していたことなどを重視、一二年の法律改正で運転期間を四十年に区切った。経産省は「現時点で原発の新増設は想定していない」としており、多くの原発が再稼働したとしても時間がたてば自然に原発は減る。同省試算では、火力なども含めた総発電量が一定と仮定すると、原発の占める割合は二八年度に約15%と〇九年度の半分になり、三〇年度はさらに下がる見通し。しかし、原発は原子力規制委員会の特別点検に通れば最長六十年まで運転を延ばせる。安倍政権は原発の維持推進を目指しており、経産省は原発の割合を引き上げるため「延長特例を利用する想定を置く」(同省関係者)方針だ。三十日の初会合でも、経産省が配った資料は「天然ガスなど化石燃料への依存度が急上昇している」など原発の必要性を示唆する内容がほとんど。一方、再生エネルギー計画で21%以上を目指すとした再生エネについては「増やすと電気料金も上がる」と後ろ向きの説明に終始した。会合では委員の橘川武郎一橋大大学院教授が「政府は『原発は可能な限り減らす、再生エネは最大限導入』と言っているのだから、再生エネは(最低でも)30%、原子力は15%ぐらいでないとおかしい」と原発回帰の議論にくぎを刺した。同調査会基本政策分科会委員の福井県の西川一誠知事も「原子力規制委は安全の責任をとらないので、政府が規制委の認めた原発は動かすといっても国民の支持は得られない」と批判した。
<40年廃炉原則> 政府は東京電力福島第一原発の事故を受けて老朽原発の廃炉を進めるため、2012年に原子炉等規制法を改正して原発の運転期間を40年に制限した。しかし電力業界の反発を受け、原子力規制委の「特別点検」に合格すれば最長20年延長できる例外規定も設けた。

*1-3:http://digital.asahi.com/articles/ASH1Z42B7H1ZULFA00P.html
(朝日新聞 2015年2月2日) 将来の電源構成「原発維持」の声続々 経産省作業部会
 原発比率を含む2030年の電源構成(エネルギーミックス)を話し合う経済産業省の作業部会が1月30日、始まった。委員からは将来も原発を維持することを求める意見が相次いだ。経産省は6月までに結論を出したい考えだが、委員の構成について、「原発偏重だ」などと批判も出ている。この日は、これからの電源構成を検討する「長期エネルギー需給見通し小委員会」と、検討結果を報告する上部組織「総合資源エネルギー調査会基本政策分科会」が合同で開かれた。東日本大震災時の10年度の原発の割合は全発電量の28・6%。政府はこれを「可能な限り低減させる」としており、どこまで減らすかが最大の焦点だ。まず、事務局の経産省が、原発の停止により、燃料を輸入に頼る火力発電の急増で、エネルギー自給率(12年)が0・9%まで下がったとして、「危機的である」と強調。電気料金が産業用で約3割、家庭用で約2割上がったことや、二酸化炭素の排出量が急増したことなど、原発停止による悪影響を並べた。分科会の委員として出席した福井県の西川一誠知事は「このままでは大変だ。日本は極端な状態にある」と応じ、原発推進のはっきりした政府の意見表明を求めた。小委員会委員の高橋恭平・昭和電工会長は「原子力を一定のレベルにキープするのが現実的な対応策」。橘川武郎・一橋大大学院教授は「再生エネは30%、原子力は15%ぐらい」と具体的な数字を述べた。「原発ゼロ」を求める意見はなく、今後は15~25%を軸に検討が進みそうだ。原発のリプレース(建て替え)や新増設についても意見が出て、「建て替えの議論は避けて通れない」(増田寛也元総務相)などと、今後の議題にするよう注文がついた。
■委員構成に批判
 一方、議論の進め方には批判も出ている。「電力によった委員構成と言わざるを得ない」。29日の衆院予算委員会。民主党の馬淵澄夫衆院議員は、小委員会のもとに設けられた「発電コスト検証ワーキンググループ(WG)」の委員が偏っていると批判した。WGは、電源構成の議論を大きく左右する各電源の発電コストを再検証するところだ。ところが、WGの委員7人のうち、電力業界などがお金を出している公益財団法人・地球環境産業技術研究機構から2人も選ばれていた。宮沢洋一経済産業相は「個人の経歴、能力を評価して委員に選んだ」として、人選に問題はないとの認識を示した。経産省は27日、電源構成に関する意見募集を開始。今後シンポジウムなども開き、幅広い意見を小委員会の議論に反映するとしている。民主党政権のときは、全国的な意見聴取会や討論型世論調査などの「国民的議論」をへて、「30年代までに原発ゼロ」という方針を決めた。

*1-4:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11597559.html?_requesturl=articles%2FDA3S11597559.html&iref=comkiji_txt_end_s_kjid_DA3S11597559
(朝日新聞 2015年2月12日) 中国、原発大国へシフト 発電能力5年で3倍計画
 中国政府は今年、福島第一原発の事故で凍結した新規の原発建設を本格化させる構えだ。5年で発電能力を約3倍に増やし、世界第2位のフランスに迫る計画。膨らむエネルギー需要と環境対策という課題を抱える習近平(シーチンピン)指導部は、「エネルギー生産と消費の革命」を掲げ、原発大国化に大きくカジを切ろうとしている。中国・北京から南東に約600キロ。1月、黄海に突き出す山東半島の先に広がる造成地で巨大なクレーンが林立していた。石島湾の原発建設現場の守衛は「福島の事故で止まっていた工事が、やっと動き出した」。石島湾では、高効率で安全性も高いとされる「第4世代」の高温ガス炉の世界初の実証炉が着工しているほか、実用炉では最先端の「第3世代」の原発も数基、建造する計画がある。国家発展改革委員会は昨年11月、石島湾などで計6基の新規原発の建設許可を国務院常務委員会に申請。「初の国産第3世代炉」と位置づける原発や実績の乏しい新型炉も含まれるため政府内に慎重論もあるが、原発の安全審査を担う環境保護省核・放射安全センター幹部は「着工は早晩、認められるだろう」。習主席は昨年の党の重要会議で「世界最高の安全基準を採用して、速やかに沿海部の新しい原発建設を始める」と宣言。国務院は2020年に原発の発電能力(発電設備容量)を現在の3倍近い5800万キロワットに引き上げる計画を掲げた。その先には、構想を含め200基を超える建設計画があり、「50年には発電能力4億~5億キロワット」とのプランも語られ始めている。
■炉型混在に懸念
 福島原発事故から5日後の11年3月16日、中国政府は着工前の原発建設を凍結し、新規原発計画の審査も停止した。安全基準を見直すべきだとの意見が政府内でも強まったためだ。各地の原発でストレステストを実施する一方、津波対策や非常時の電源確保のあり方などを見直し、12年10月に「原子力発電安全計画」を策定。原発の着工許可は出すようになったが、福島の事故で凍結されたものが中心で、新規原発の着工は一部にとどまっていた。しかし、エネルギー確保と環境対策という矛盾する課題は、深刻さを増す一方。昨秋、訪中したオバマ米大統領との会談で宣言した「30年ごろまでに非化石燃料の比率を約20%に引き上げる」との公約も、原発抜きに実現は難しい。ただ、安全の確保には懸念も残る。とりわけ国有の3大事業者がそれぞれ米、仏、ロなどの技術を取り入れ、開発を続けた結果、多様な炉型と技術が混在する現状への危惧は根強い。トラブル対応の経験不足や、原発の急増に技術者の人材育成が追いつかない問題なども国内で指摘されている。
◆キーワード
<原発の世代> 次世代の原子炉の開発を議論する国際会議によると70年代に世界中で盛んに建設された商業炉は「第2世代」。東京電力福島第一原発をはじめ日本にあるほとんどの商業炉がこれに当てはまる。現在運転中で最新のものが90年代後半に開発された「第3世代」。2030年以降の実用化を目指し効率や安全性などを高めた高速炉や高温ガス炉など次世代の原子炉を「第4世代」と呼ぶ。

*1-5:http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2015021302000125.html (東京新聞 2015年2月13日) 高浜3・4号機 意見公募 答えず「適合」
 原子力規制委員会は十二日、関西電力高浜原発3、4号機(福井県)が原発の新しい規制基準を満たしているとの審査書を正式に決めた。パブリックコメント(意見公募)には、原発が集中立地する危険性や避難計画の実効性が審査されないことなどに多くの意見や疑問が寄せられた。だが、規制委は、事故が起きても一定レベルに収まると想定して判断する姿勢を変えず、すれ違いが目立った。意見公募には約三千六百件が寄せられた。この日の会合では、主な意見と規制委の見解を併記する資料も公表された。高浜原発が立地する若狭湾周辺には、関電大飯、美浜、日本原子力発電敦賀の三原発、高速増殖原型炉「もんじゅ」もあわせ計十四基が立ち並ぶ。同時多発的に事故が起き、事故収束の要員が不足したり、他の原発から高濃度の放射性物質が飛来し、高浜での作業ができなくなったりする懸念の声も寄せられた。規制委は、各原発で十分な要員や資材を準備しており、「それぞれの炉で独立して事故対応にあたれる」と回答。寄せられた疑問には直接答えなかった。記者会見で、集中立地の問題を問われた田中俊一委員長は「同時多発的に起きても、それぞれのところできちっと対策が取れる」とかわした。東京電力福島第一原発事故では、放射線量が上がったり、水素爆発の危険が増したりして作業員が待避する事態が何度も起きた。「新基準を満たせば、作業に影響がある事故にならないと決めつけているのはなぜか」との問いもあったが、規制委は新基準が求める対策により「作業に支障がないことを確認した」と回答するにとどまった。また、地図上では高浜原発に通じる道路は一本の県道しかなく、必要な外部支援が厳しい事態も起きうる。この懸念に対しては、七日間は支援なしに対応できることが新基準の要求だとして、問題ないとの考えを示した。複数の道があるような記述が回答欄にあったため、規制委や関電に取材すると、「機密」として具体的には明かさなかったが、徒歩による支援要員の投入しか審査していないと答えた。避難計画の実効性を、規制委が審査すべきだとの意見もあったが、田中氏は「そういう(避難の)事態にならないように規制サイドとしてやっている」と説明した。

*1-6:http://mainichi.jp/shimen/news/20150215ddm002020078000c.html (毎日新聞 2015年2月15日) 原発:米で廃炉相次ぐ 日本、電力自由化後に試練 収入不安定化のリスク
 シェール革命の恩恵を受ける米国で原発の廃炉が続いているが、電力販売の完全自由化を控える日本でも、自由化後の原発をどうするかは重要な課題だ。原発は建設開始から発電までに10年程度かかる上、建設などの初期投資は5000億円規模に上る。長期間にわたって安定した料金収入を得られないと、電力会社の経営基盤が揺らぎかねない。電力自由化で価格競争が進むと、事業リスクの大きい原発が敬遠され、手掛ける電力会社が限られるとの見方もある。現在は電力会社が原発に巨額の投資をしても、電気料金で回収できる。原発を含む事業コストに一定の利益を上乗せして電気料金を決める「総括原価方式」という規制で守られているからだ。しかし、2016年に電力小売りが自由化され、20年をめどに総括原価方式が廃止されると、料金で回収できる保証はなくなる。一方で原発は、事故やトラブルで長期停止したり、規制強化で安全対策費用が膨らんだりするリスクも抱える。金融機関が融資を尻込みすれば、原発からの撤退を検討する電力会社が出てくる可能性もある。このため、経済産業省は昨年、電力自由化後の原発政策として、再生可能エネルギー固定価格買い取り制度(FIT)に似た制度を原発に導入する案を示した。原発で発電する電力の販売価格をあらかじめ決めておき、実際に電力市場で取引される価格がそれを下回った場合、差額分を電気料金に上乗せして利用者から回収する仕組みだ。英国が13年に導入した制度をモデルにしている。ただ、「原発版FIT」の価格が高すぎると、企業や家庭の反発を招くのは必至だ。英国の買い取り価格は1キロワット時当たり16・65円(1ポンド=180円換算)で、日本政府が11年に試算した原発の発電コスト「8・9円以上」を大幅に上回る。石炭や液化天然ガス(LNG)火力より割高になる計算だ。反原発派だけでなく、産業界でも「原発稼働のために電気代が上昇すれば本末転倒」との警戒感が根強い。このため政府内では、原発建設コストの最大8割を政府が債務保証する米国の制度を導入することも検討されている。政府は原発や再生エネなど電源ごとの発電比率を示す電源構成(エネルギーミックス)を今夏までに策定する方針で、原発依存度を15〜25%とする方向だ。中長期的に一定の原発依存度を維持するため、老朽原発を廃炉にする代わりに、敷地内での建て替え(リプレース)を容認する可能性が高い。ただ、裏付けとなる原発推進策の具体化は、「誰がどのぐらい原発のコストを支払うか」の難題に関わるため後回しにされている。
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■ことば
◇総括原価方式
 電力会社が電力供給に必要と見積もった費用をすべて回収できるように電気料金を設定する仕組みで、電気事業法で規定されている。燃料費や給与、福利厚生費、発電施設の維持・改修費、減価償却費などの費用に、一定の利益を上乗せして電気料金を決める。電力会社の経営を安定させ、電力の安定供給につなげる狙いだが、コスト削減を促しにくい問題がある。

*1-7:http://qbiz.jp/article/55945/1/
(西日本新聞 2015年2月15日) 「核ごみ対策を再稼働条件に」 日本学術会議、国へ政策提言へ
 学術の立場から国に政策提言など行う日本学術会議(大西隆会長)が、原発から出る「核のごみ」対策を政府と電力会社が明確化することを原発再稼働の条件にすべきだとする政策提言案をまとめたことが14日、分かった。17日に同会議の検討委員会で議論し、3月にも正式に公表する予定で、世論形成や国の政策に一定の影響を与えそうだ。学術会議は2012年にも「核のごみ」政策の抜本的見直しを提言しており、あらためて政府に改善を促す異例の対応。高レベル放射性廃棄物の処分問題に進展がないまま再稼働を進める国の姿勢を「将来世代に対する無責任」と批判しており、新増設も容認できないと強調している。政策提言案は「国、電力会社、科学者に対する国民の信頼は東京電力福島第1原発事故で崩壊した状態で(核のごみの)最終処分地の決定は困難」と指摘。信頼回復や国民の合意形成、科学的知見を深めるため、地上の乾式貯蔵施設で原則50年間「暫定保管」することを提案した。次の世代に迷惑をかけないため、保管開始後30年をめどに処分地の決定が重要としている。さらに負担の公平性の観点から「暫定保管の施設は原発立地以外での建設が望ましい」とし、各電力会社が管内に最低1カ所施設を確保する計画の作成を再稼働の条件として求めている。また、合意形成のために市民も参加して議論を深める「核のごみ問題国民会議」を設置する必要性を強調。再稼働で生じる放射性廃棄物の抑制や上限設定など「総量管理」についても議論すべきだとしている。

<フクシマと近隣の健康調査>
*2-1:http://digital.asahi.com/articles/ASH2D61KJH2DUGTB00S.html?_requesturl=articles%2FASH2D61KJH2DUGTB00S.html&iref=comkiji_txt_end_s_kjid_ASH2D61KJH2DUGTB00S (朝日新聞 2015年2月13日) 福島)甲状腺がん118人に「原発事故影響考えにくい」
 福島県は12日、東京電力福島第一原発事故当時18歳以下の約38万5000人が対象の甲状腺検査で、昨年末までに計118人ががんや疑いがあると診断されたと発表した。うち手術でがんと確定診断されたのは計87人になった。甲状腺検査も含めた県民健康調査を議論する検討委員会の星北斗座長(県医師会常任理事)は、「年齢分布などはこれまでと変化がみられず、原発事故の影響とは考えにくい」とした。チェルノブイリ原発事故で甲状腺がんが増えたのは事故の3~5年後からだったことなどから、昨年度末までの1巡目の検査を、事故前の状態とみなし、今年度始まった2巡目検査の結果と比較して、甲状腺がんが増えるかどうか調べる予定だ。2巡目検査は昨年末までに約7万5000人の結果が判明。8人が、がんや疑いと診断された。昨年10月末時点のまとめより疑いのある人は4人増え、1人は手術でがんと確定した。8人のうち5人は、1巡目の検査では結節(しこり)も何も無いと診断されていた。過去2年以内にがんが発生して大きくなったのではという懸念に対し、検査を担う県立医大の鈴木真一教授(甲状腺外科)は、「がん細胞はある程度の塊にならないと見えないので、前回の検査でまったく何もなかったとは限らない。8人とも1次検査の後の観察では、がんが急速に大きくなっているわけではない」と説明した。

*2-2:http://www.tokyo-np.co.jp/article/chiba/20150117/CK2015011702000148.html (東京新聞 2015年1月17日) 健康調査を求め 環境省に意見書
 東電福島第一原発事故に伴う住民の健康管理をめぐり、野田市は十六日、環境省の指針「当面の施策の方向性(案)」のパブリックコメント(意見公募)に、福島近隣県や野田市なども健康調査を実施するよう求める意見を提出した。指針では、福島県民の健康調査を充実させるとしている一方、同県以外の住民には言及していない。野田、柏、松戸など除染の汚染状況重点調査地域に指定されている県内九市は昨秋、同省に緊急要望書を提出したが、指針に反映されていないため、野田市はあらためて国の責任で甲状腺エコー検査などの実施を求める意見を出した。意見公募の期間は昨年十二月二十二日から一月二十一日まで。柏や松戸も対応を検討している。 

*2-3:http://financegreenwatch.org/jp/?p=41354 (もうすぐ北風が強くなるブログ) 世界最悪となっている福島の小児甲状腺がん発症率 子ども316人に一人発症
 福島の小児甲状腺がんはベラルーシを超える世界最悪の状況になっている。 マスコミは報道しないか、誰も読まないような小さな記事にしている。確定33人、疑い42人の発表自体が姑息な誤魔化し。 全摘出した人を「確定」と称し、細胞針陽性でこれから手術日程を決める人を「疑い」と称している。 当然、正しくはどちらも「発症」である。つまり「発症75人」である。 報道しないか、こうした馬鹿話を小さく記事にする犯罪マスコミである。通常100万人に0.2人とも1人ともいわれる小児甲状腺がん。それが福島は既に概ね300人に一人、通常の少なくとも300倍から数千倍になる。とてつもなく甚大な発症数であることに注意されたい。放射能が県境から消えたではないので、南東北、関東全域にも影響は出ていると考えるのが当然だろう。小児甲状腺がんはあくまで初期の放射性ヨウ素を反映している目安である。その他の多種多様な被曝症状、鼻血から下痢、うつ病、化膿症から知能低下、突然死までが同じように異常な増加、拡大をしていると考えるのが正しいだろう。とくに南東北から関東まで。いまだに、正確な放射性物質の量は把握されていないことを忘れてはいけない。政府の放置によって、世界最悪の放射能汚染に見舞われているのである。廃棄物処理や物流によって全国に拡散を続けているのが現実だ。決して、政府マスコミの馬鹿話に引っかかってはいけない。
●人口がベラルーシの5分の1の福島県で75人
 2011年3月11日の福島第一原発事故発生から3年目、日本では小児甲状腺がんが爆発的に発症しています。チェルノブイリ原発事故後のベラルーシ(人口1000万人)に当てはめれば人口が200万人の福島県の75人とは、375人に相当する無茶苦茶な数字なのです。ベラルーシでは、最悪だったチェルノブイリ事故から9年後の1995年でも発症者は100人を超えていない。福島県は7日、東京電力福島第一原発の事故当時に18歳以下だった子ども(36万人)の甲状腺検査で、結果がまとまった25万4千人のうち75人が甲状腺がんやがんの疑いがあると診断されたと発表した。この25万4千人とは、甲状腺の正式なガイドラインから血流検査など大事な4項目を省略した簡易な一次検査の人数で、精密な二次検査終了者の人数ではないことに注意。(二次検査終了者数は半数程度と思われる)。昨年11月の発表時点よりも、検査人数は約2万8千人、がんは疑いも含めて16人増えたが、今回増えた分だけを分母分子にした小児甲状腺がんの発症率は1750人で1人の割合である。福島県は通常の発症率の数百倍から数千倍の猛烈な数字なのですから、隣接する宮城県茨城県千葉県東京都など他の東日本地域も、当然メルトダウンした福島第一原発の放射性プルーム(放射能雲)が襲来した影響が出ていると判断するべきであろう。本来なら原発事故から3年目程度では、放射能の影響が小さい。いみじくも民主党幹事長だった枝野幸男が何回も繰り返したようにDNAを傷つける放射能は『直ぐには健康に影響しない』のである。一定の時間が経過してから確定的ではなく確率的に被害が出るから、放射能は余計に恐ろしいのである。今の福島県がチェルノブイリ原発事故後のベラルーシと同じ経過を辿るとすると、2020年には1000人以上のとんでもない数字になっている。総人口比では1755人に1人の割合である。小児人口比では316人で1人が小児甲状腺がんが発症するのですから、2020年の日本は暢気に東京オリンピックどころの話では無い。国家存亡の一大事に、政府自民党は東京都知事選挙だのオリンピックだのと、無責任にも程がある話である。

*2-4:http://www.kochinews.co.jp/?&nwSrl=333068&nwIW=1&nwVt=knd
(高知新聞 2015年2月8日) 「内部被ばく無視するな」高知市で北海道がんセンター西尾氏が講演
 東京電力福島第1原発事故の被ばくを考える講演会が7日、高知市内であり、北海道がんセンターの西尾正道名誉院長(67)が内部被ばくの危険性を指摘した上で、「政府は外部被ばくだけを議論し、内部被ばくの問題を全く無視している」と批判した。西尾正道氏は約40年間、がんの放射線治療を行っており、2011年3月の事故以降は福島県内で子どもの甲状腺検査をボランティアで続けている。講演では外部被ばくと内部被ばくについて、「外部被ばくは一瞬で体を通り抜ける。内部被ばくは体内で放射線がエネルギーを放出し続ける」と、内部被ばくの危険性を説明した。ほかにも、国が「年間放射線量20ミリシーベルト以下」を避難指示解除の条件としていることについて、「放射線障害防止法で定めている放射線管理区域(年間約5・2ミリシーベルト)より線量が高い。国が法律を犯す異常な事態」と批判した。チェルノブイリ原発事故とも比較し、「チェルノブイリは内部被ばくの危険を考慮して『強制避難ゾーン』を設けているが、日本では内部被ばくの議論が全く無い」と強調。「(内部被ばくの危険を)隠蔽(いんぺい)する不誠実な対応だ」と政府を断じた。講演はグリーン市民ネットワーク高知などの主催で、高知県人権啓発センターで行われた。

<フクシマの過酷事故時の対応>
*3-1:http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201410/20141015_61008.html
(河北新報 2014.10.15) 大震災知事対応 「初動に不満」福島半数
 東日本大震災の発生後、岩手、宮城、福島の被災3県の有権者に知事の初動対応への評価を尋ねたところ、福島県知事の評価が最も低かったことが14日、東北大大学院情報科学研究科の河村和徳准教授(政治意識論)の調査で分かった。「県レベルの政治を信頼できるか」という問いでも福島県が最も低く、河村准教授は「福島第1原発事故の当事者であることが最大の要因」と分析している。知事の初動対応について「かなり評価する」「ある程度評価する」との回答は宮城が78.1%、岩手が67.6%、福島が39.2%。村井嘉浩宮城県知事が最も高く、佐藤雄平福島県知事に大きく差をつけた。逆に「あまり評価しない」「まったく評価しない」は福島53.2%、岩手24.1%、宮城15.7%だった。知事や県議会など「県レベルの政治を信頼できるか」でも「信頼できる」「やや信頼できる」が宮城57.0%、岩手47.0%、福島35.0%の順だった。「あまり評価できない」「まったく評価できない」は福島が60.2%で最も高く、岩手48.2%、宮城37.0%。県政界全体の評価でも福島が最も低かった。県や市町村職員の初動に対する評価では、「かなり評価する」「ある程度評価する」が宮城67.5%、岩手66.9%、福島47.0%。「あまり評価しない」「まったく評価しない」は福島41.0%、宮城22.5%、岩手22.3%。知事の評価に比べ差は小さいが、福島の評価が低かった。津波被害がメーンの岩手、宮城両県に比べ、福島では津波被害に加え、原発事故の影響が現在も続いており、被災3県の比較調査で全体的に低い評価につながっているとみられる。一方、河北新報社が11、12の両日、福島県の有権者を対象に行った聞き取り調査(回答者200人)では、原発事故から3年半の佐藤県政について「大いに評価する」「評価する」は計59.0%で、「評価しない」「まったく評価しない」(24.5%)を大きく上回った。除染廃棄物を保管する中間貯蔵施設建設問題に道筋を付けた点が、高評価につながったとみられる。調査の方法]日本学術振興会東日本大震災学術調査の一環として、東北大の河村研究室がことし5~8月、岩手、宮城、福島、茨城4県の有権者各1000人を抽出し、調査票を郵送した。各県1000ずつのサンプルに対し、回収率は43%。紙面化に当たり、被害が大きかった東北の被災3県で比較した。
◎動き見えず被災者不安に
<東北大大学院情報科学研究科・河村和徳准教授>
 被災3県の知事比較から思い浮かべたのは、4月の旅客船セウォル号沈没事故で政府対応を誤り、事故前まで60%前後あった支持率を急落させた韓国の朴槿恵(パククネ)大統領の姿だ。初動ではリーダーが最前線で汗を流している姿を見せないと、被災者の安心にはつながらない。「初動の見える化」に失敗した点では、朴大統領も佐藤雄平福島県知事も似ている。福島では「初動の見える化」に失敗した首長が軒並み落選する「現職落選ドミノ」現象が起きたが、根底にあるのは信頼の欠如だ。被災地の知事に最も問われるのは決断力だ。東北大調査で佐藤知事の初動対応への評価は低かったが、震災対応全般を問う河北新報社の調査では高い評価となった。佐藤知事が中間貯蔵問題で「決断」したことに加え、引退を表明したことが影響したのではないか。

*3-2:http://mainichi.jp/select/news/20141017k0000m010048000c.html
(毎日新聞 2014年10月16日) 原発ADR:一律5割の内部文書 文科省が国会提出拒否
 東京電力福島第1原発事故の賠償を裁判外で解決する手続き(原発ADR)を巡り、避難中に死亡した人の慰謝料を算定する際、原発事故の影響の度合いを「一律5割」と定めた内部文書が存在する問題が16日、国会質疑で初めて取りあげられた。参院経済産業委で荒井広幸議員(新党改革)が文書の国会提出を求めたところ、文部科学省の田中正朗審議官は「公開すると支障がある」と拒否。専門家は「不適当な判断だ」と批判している。賠償額は「基準額(A)」×「原発事故の影響の度合い(B)」で算定する。内部文書はAを訴訟より低額にし、さらにBを「一律5割」あるいは「例外的に1割にする」などと記載。これまでに示された137の和解案の約80%が実際に5割以下とされ、慰謝料が低く抑えられている実態が毎日新聞の報道で明らかになっている。他にも多数の内部文書が存在するとされ、荒井議員は全文書の提出を要求。田中審議官は「公にすると手続きの適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある」などとして拒否した。NPO法人「情報公開クリアリングハウス」の三木由希子理事長は「被災者に提供すべき情報。文科省は公にするとどのような支障があるのか具体的に説明しておらず、非公開は不適当」と話した。

<フクシマの汚染水>
*4-1:http://www.minyu-net.com/news/news/0117/news6.html
(2015年1月17日 福島民友ニュース) 漁業者、不満あらわ いわき・地下水放出で説明会
 東京電力福島第1原発の建屋周辺の井戸「サブドレン」などから汚染地下水をくみ上げ、浄化後に海に放出する計画で、国と東電は16日、いわき市で漁業者に対して計画の運用方針案を説明、海洋放出への理解を求めた。参加した漁業者からは「福島県だけに汚染水の始末を押しつけるのか」などと批判した。いわき地区の漁業者を対象とした説明会は3度目。国と東電は昨年12月の説明会での意見に対して見解を述べた。「サブドレンの浄化水は他県や沖合にタンカーで運んで排出すべき」との意見について国側は「安全にもかかわらず、他県や沖合で排出することはかえって安全性に対する疑念や誤解を生む」と答えた。説明会後、東電福島復興本社代表の石崎芳行副社長は、計画の技術的な説明については「会場の雰囲気から一定の理解を得られた」との認識を示す一方で、計画の実行時期については「県漁連内での議論を注視していきたい」とした。

*4-2:http://mainichi.jp/feature/20110311/news/20150121k0000e040214000c.html (毎日新聞 2015年1月21日) 福島第1原発:水処理施設の本格稼働了承 規制委
 原子力規制委員会は21日、東京電力福島第1原発建屋周辺の井戸(サブドレン)からくみ上げた汚染地下水を浄化して海に放出する計画について審査し、水処理施設を本格稼働させて放出することを了承した。しかし、福島県内の漁業関係者らの理解は得られておらず、計画開始のめどは立っていない。東電によると、建屋近くの井戸から地下水をくみ上げると、周辺の地下水位が下がり、建屋への地下水の流入を抑えられるなどの効果が期待できるという。一方、土壌が事故で汚染されたため、地下水には多くの放射性物質が含まれる。東電は規制委に対し、水位の管理方法や、浄化した水の移送、処理済み水の保管などに関する実施計画の認可を求める申請をしていた。また、処理後の水の排水基準を、地下水バイパスの海への排水基準より厳格化することも申請していた。規制委はこの日、いずれの申請も認可することを決めたことから、水処理施設の本格稼働が可能になる。国と東電はこれまで、漁協関係者に対し、排水基準を順守することや、基準値を超えた場合は原発構内のタンクに移送して排水しないことなどを説明している。だが、漁業者の風評被害への懸念は強く、両者の隔たりは大きい。東電は「関係者の理解が得られるまで排水は実施しない」と話している。

<世界の環境基準について>
*5-1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20150212&ng=DGKKZO83078000S5A210C1MM8000 (日経新聞 2015.2.12) エネルギー迫る選択の時(2)CO2削減迷走 求められる野心的目標
 かつて常磐炭田からの石炭積み出しで栄えた小名浜港(福島県)。今は世界から運んできた石炭が埠頭の至る所で山積みだ。「輸入が急増して場所がない。臨時置き場に積み上げている」(国土交通省小名浜港湾事務所)。輸入増に対応するため、沖合では世界最大級の石炭船が接岸できる人工島の造成が進む。荷揚げした石炭が向かう先は東日本各地の石炭火力発電所だ。福島第1原子力発電所の事故を経て石炭火力は復活し、電力供給の主役となる勢いだ。建設計画は全国で35基を超える。「国のエネルギー方針が定まらないのだからコストを考えれば石炭火力しか選択肢はない」(電力会社)。新規参入を目指す異業種による新設計画も相次ぐ。
●石炭は麻薬
 だが経済産業省幹部は「石炭火力は麻薬だ。2030年には閉鎖に追い込まれるかもしれない」と気をもむ。石炭火力はコストは安いが二酸化炭素(CO2)の排出が他の燃料よりずばぬけて多い。温暖化の元凶として国際的な規制の機運が高まっているためだ。昨年12月、ペルーのリマ。温暖化対策の新ルールを話し合う第20回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP20)で日本代表団の顔色はさえなかった。望月義夫環境相と潘基文国連事務総長の異例の会談が実現したものの、国連トップが伝えたのは「早急に削減目標の提出を」という厳しい注文だったからだ。主要国で排出削減目標を示していないのは日本だけだ。CO2排出量は電源構成により大きく変わる。望ましい電源構成である「ベストミックス」の議論が遅れ、目標値を決められないままだ。これまで温暖化対策に背を向けてきた米中まで自主目標を掲げて交渉に乗り込んできた。米国は25年までに温暖化ガス排出を05年比26~28%減、欧州連合(EU)は30年までに1990年比で少なくとも40%減。中国はCO2排出を30年ごろをピークに減らす。日本は石炭火力の計画分だけで20年代半ばの排出が現在から4%近く増える。原発稼働の見通しも立たず、中途半端な削減目標しか示せそうにない。温暖化交渉に詳しい名古屋大学の高村ゆかり教授は「先進国が野心的な目標を示さなければ、途上国は削減義務を受け入れない。対策に後ろ向きだとして国際社会で日本の存在感は低下する」と指摘する。京都の名を冠した議定書をまとめ、省エネ技術で世界を先導してきた日本がいまは交渉の足を引っ張っている。
●国益駆け引き
 COP20では石炭火力にCO2回収装置の設置を義務付ける検討も始まった。石炭火力の発電コストがかさ上げされることになれば日本経済は苦境に立たされる。日本政府は09年に鳩山由紀夫首相(当時)が国際公約に掲げた「20年に90年比25%削減」の目標を震災後に撤回し「20年に05年比で3.8%削減」に後退させた。信用はがた落ちだ。年末の新ルール決定を目指し、各国の国益をかけた駆け引きは激しさを増している。目標提示が遅れたうえにその数値が世界を失望させれば発言力はさらに低下し、不利なルールも受け入れざるを得ない。エネルギー政策の迷走と遅れは命取りになる。

*5-2:http://373news.com/_column/syasetu.php?ym=201502&storyid=63631
(南日本新聞 2015.2.10) [原発事故の処理] 目を背けてはいけない
 東京電力福島第1原発事故の処理が難航するなか、安倍政権が原発回帰を鮮明にしている。九州電力川内原発再稼働に向け昨年秋、鹿児島県に示した政府方針は「事故を真摯(しんし)に反省し、廃炉・汚染水対策と福島の復興・再生に全力で取り組む」とした。これは約束ではなかったのか。将来世代に責任を持つためにも、厳しい現実から目を背けてはいけない。福島県内の除染廃棄物を保管する中間貯蔵施設が双葉、大熊両町で着工し、望月義夫環境相らが内堀雅雄知事に搬入受け入れを早々に要請した。県外で30年以内に最終処分するなど、県が求めた5項目の条件は整いつつある。政府は東日本大震災から丸4年となる3月11日までの搬入開始をめざす。それでも目標から2カ月遅れてのスタートとなる。県内約千カ所の仮置き場から廃棄物が消えるのは、さらに「数年先」になる見通しだ。仮置き場は市民の生活空間を圧迫し、帰還意欲をそいでいるとの懸念が出ていた。除染と復興を加速させる上で、施設の本格稼働は欠かせない。

*5-3:http://www.nishinippon.co.jp/nnp/kagoshima/article/144593 (西日本新聞 2015年2月10日) 川内から最後の風船 放射性物質拡散予測、反原発原告団 [鹿児島県]
 九州電力川内原発(鹿児島県薩摩川内市)で過酷事故が起きた際の放射性物質拡散の距離や方向を風船を飛ばして予測しようと、反原発を唱える市民約50人が8日、原発に隣接する同市の久見崎海岸から風船500個を放った。川内原発稼働停止を国や九電に求めた訴訟の原告団が主催してきた試みで、4回目となる今回が最後になる見込み。風船は環境に害を与えない素材で作られており、ヘリウムガスを充填(じゅうてん)。事務局の電話番号を書いたカードを付けており、拾った人に場所と日時を連絡してもらうことで、落下地点からの拡散範囲や時間を予測する。風船飛ばしは2013年7月、昨年4月、同10月にも実施。過去3回は計30カ所から連絡があり、120~150キロ東の宮崎県の日南市や都農町、日向市などで確認された。8日の分も9日午後までに、40キロ南の鹿児島市谷山中央など鹿児島県内3カ所から連絡が来た。原告団は結果を春夏秋冬のデータとしてそろえ、訴訟に証拠として提出する。

*5-4:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/153846
(佐賀新聞 2015年2月6日) 知事反原発団体と面会意向 前知事の姿勢転換
■対話路線を強調
 佐賀県内で活動する反原発の市民団体が、知事に直接対話の場を設けるよう求めていることに対し、山口祥義知事は5日の定例記者会見で「会う機会を設けていきたい」と述べた。担当課対応を続けてきた前知事の姿勢を転換する意向を示した。反原発の市民団体は再三にわたり、知事に直接面会するよう求めてきた。これに対し、古川康前知事は担当課が団体の話を聞き取り報告する形式で対応し、直接の意見交換はなかった。山口知事は選挙戦を通じ原発再稼働を容認する方向性を示している。会見では「絶対だめだという皆さん方ともぜひ会う機会を設けていきたい」と対話路線を強調した。一方で、「“対話”は互いに誠意を持ち意見を言い合う場」と指摘し、「県民の思いを知事である私に訴える場が長続きするようなやり方を考えていきたい」と協力を求めた。2006年から直接対話を求めてきた「玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会」の石丸初美代表は「何度もお願いしたが、前知事は『意見がかみ合わないから』と私たちの意見を聞いてくれなかった。選挙戦で県民の心に寄り添いたいとしていた山口知事が『会う』としてくれたことに、敬意を表したい」と評価した。また、玄海原発(東松浦郡玄海町)の再稼働に関し「地元同意」の範囲に含めるよう求めている伊万里市の塚部芳和市長との会談も近日中に調整する方針を示した。山口知事は「県民の安全を第一に考えている。会いたい、話を聞いてもらいたいという市長の思いに応えていきたい」と語った。


PS(2015.2.21追加):「原発なくそう!九州玄海訴訟」原告団の唐津地区在住者が中心となって作っている「九州玄海訴訟唐津原告の会」が、*6のように玄海原発事故時の避難計画について、有効性等を尋ねる質問状を唐津市に提出したそうだ。確かに原発事故の避難計画は、①原発事故の影響を小さく見積もり過ぎており ②避難している期間も不明で、③実効性があるとは思えない。そのため、原発再稼働申請された地域の住民は、事故時の避難計画に関して、このように検証していくのがよいと考える。

*6:http://www.saga-s.co.jp/column/genkai_pluthermal/20201/158530
(佐賀新聞 2015年2月20日) 原発避難計画の有効性で質問状 反原発団体
 九州玄海訴訟唐津原告の会(吉田恵子世話人)は19日、九州電力玄海原発(東松浦郡玄海町)の事故に備えた避難計画の有効性などを尋ねる質問状を唐津市に提出した。2週間以内に文書での回答を求めている。質問状は事故時の放射性物質の拡散状況により複数の避難先を設定する必要性や、離島の放射線防護工事の進ちょく状況など15項目を尋ねている。吉田世話人から質問状を受け取った唐津市危機管理防災課の秋山剛輝課長は「質問を整理して文章で回答したい」と応じた。質疑応答では、避難場所を知らない市民が多く、広報の不十分さを訴える意見に対し、秋山課長は「広報が不足していると認識しているので、今後は充実を図りたい」と答えた。原告の会からは「県に対し避難計画の問題点を指摘する姿勢が見られないのは残念」との意見も出た。同原告の会は「原発なくそう!九州玄海訴訟」原告団の唐津地区在住者が中心となってつくっている。


PS(2015.3.22):*7のように、宗教の方から援護射撃があった。つまり、日本の司教団に対し、ローマ法王が、フクイチ原発事故に関して、「人間のおごりと現代文明のひずみの一例」として原発の開発に警鐘を鳴らされたそうだ。また、*8のように、明通寺(小浜市)の中島哲演住職の講演会も開かれるとのことである。私は、科学的見地から、人類が滅んでも地球は痛くも痒くもないが、地球環境が悪くなれば人類は生き残れないため、人間の力の限界を認識すべきだと考えている。

*7:http://mainichi.jp/select/news/20150322k0000m030132000c.html
(毎日新聞 2015年3月22日) ローマ法王:原発は「バベルの塔」 現代文明のひずみ指摘
 フランシスコ・ローマ法王は20日、バチカン(ローマ法王庁)を公式訪問した日本の司教団と会見。東日本大震災の福島第1原発事故に関連し、人間のおごりと現代文明のひずみの一例として原発の開発に警鐘を鳴らした。法王が原発の安全性に言及するのは異例。バチカンは会見の詳細を発表していないが、日本司教団によると、法王は「人間は神の定めた自然のおきてに逆らってはいけない」と指摘。原発を旧約聖書の「バベルの塔」になぞらえ「天に届く塔を造ろうとして、自らの破滅を招こうとしている」と表現し、「人間が主人公になって自然を破壊した結果の一つ」と述べたという。法王は「原発廃止」や「脱原発」には言及していないが、現代文明の抱える課題として懸念を表明した形だ。また、法王は広島、長崎への原爆投下と第二次世界大戦終結から70年を迎えることに触れ、核兵器製造を「人類の悪行」と非難したという。日本司教団は法王が日本に向けた平和のメッセージを発表するよう依頼した。法王は禁教下に信仰を死守した潜伏キリシタンを「指針」とたたえた。キリシタン大名の高山右近(1552〜1615)がカトリックで「聖人」に次ぐ「福者」に認定される見通しで、法王は来年、日本で予定される列福式に「可能なら行きたい」と述べたという。

*8:http://www.tokyo-np.co.jp/article/ibaraki/20150323/CK2015032302000170.html (東京新聞2015年3月23日) 反原発訴える住職の福井・若狭の経験とは 土浦で29日、講演会
 市民グループ「脱原発ネットワーク茨城」は二十九日、福井県で反原発市民運動を続ける明通寺(小浜市)の中島哲演住職の講演会を土浦市川口一の「モール505」二階イベントホールで開く。テーマは「若狭の原発、そして茨城の原発」。中島さんは、十数基の商業用原発が並び「原発銀座」と呼ばれる福井県若狭で、原発が建ち始めた四十五年ほど前から、一貫して原発に反対してきた。東京電力福島第一原発事故から四年の節目に、原発は地域をどう変えていったのか、高浜、大飯原発の再稼働問題、若狭の原発と日本原子力発電東海第二原発(東海村)との関連などについて語る。午後一~三時。参加費千円。会場は、JR土浦駅から徒歩五分。問い合わせは、ネットワーク共同代表の小川仙月さん=電090(5548)3078=へ。

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2015.2.12 街づくりやインフラ整備で鉄道会社にできること - JR九州の事例から (2015年2月13日、14日に追加あり)
    
新しい筑肥線の車両(外見と一両目内部)     *3-4より        *4より

(1)鉄道会社と駅の無人化、発送電分離
1)多角化とシナジー効果
 *1-1のように、JR九州は国交省が2016年度に株式上場させる方針を決めたことについて「地域に根ざした会社として、さらに九州のために頑張っていきたい」とし、経営のスピード感と自由度を高め、地域密着企業として発展させる考えを示されたそうだ。そして、地域や利用者にとってのJR九州の上場のメリットは、「①九州のネットワーク網を安全に維持すること」「②鉄道事業だけでなく近い事業を組み合わせてシナジー効果を出し、九州の役に立つこと」で、そのために駅ビルやマンション事業などの多角化を続けるそうだが、これは、関東では、東急などが不動産と鉄道を組み合わせて既に行っているものだ。

2)地方赤字路線、駅の無人化・機械化
 *1-1で、上場後の地方赤字路線廃止など鉄道ネットワーク維持への懸念については「①当面の維持は約束しているが、今後の長いスパンでは、地元の方との議論をやった上で方針を決めたい」とし、年間約150億円の赤字圧縮が課題となっている鉄道事業に関しては「②効率化の手を抜くことはない」としたうえで、*1-2、*1-3のような駅の無人化やみどりの窓口の削減をしていくそうだ。

 しかし、私は無人駅の唐津線山本駅で、切符の自動販売機も自動改札機もなく、近くに人もいなかったため、どうやって入ったらよいかわからず、戸惑ったことがあるため、人員削減をするなら機械化した方がよいと考える。そして、臼杵(http://sekibutsu.com/ 参照)などの史跡や観光地には、数カ国語対応の案内ロボットを置けば、客が増えるだろう。

3)発送電分離による送電への参入
 *1-4に書かれているとおり、政府・与党は「18~20年をめど」としていた電力改革の発送電分離実施時期を2020年とする方向で検討に入り、改革の目玉をなかったことにしようとしているようだが、電力会社の地域独占は日本の電力価格を高止まりさせ、すべての産業の足を引っ張ってきた根源であるため、これこそ改革を断行すべきなのである。

 しかし、電力会社が分社化して送電会社を作っても、それだけでは使用者の選択権がないため、送電網は複数あるべきで、地域間の送電は鉄道の敷地に送電線を敷設すると、安上がりで迅速にできる。また、鉄道会社に送電料という副収入が入り、赤字を減らして黒字を増やす効果がある。

(2)街づくり
 *2-1-1に、JR九州が鹿児島市の日本たばこ産業(JT)所有地を落札し、福岡市の九大キャンパス跡地取得に続く大型投資だそうだが、「九州全域」で足固めするのはよいことだ。そして、まちづくり会社になる限りは、熊本や長崎も含めて、世界に誇れる素敵な街を作ってもらいたい。

 しかし、*2-1-2のJR九州が筑肥線に導入する新型車両は、外見はきれいだが、内装は、床が細かな木材で座席の縞模様の色調が両側で異なっているため、どうもごちゃごちゃしていてスマートではない。そのため、東京のように、外見は路線によって異なる色の線を入れてわかりやすくし、内装も工業デザイナーを使って現代的で洒落たものにしたらどうかと思った。筑肥線は海の街である唐津(呼子、玄海町、伊万里も!)に行く列車であるため、紺碧の線がいいのではないだろうか。

 なお、2-2-1のように、東急不動産は、省エネルギーを進め、世界初のマンション向け家庭用燃料電池(エネファーム)導入など省CO2を推進するとのことで、これが国交省の選定する「平成25年度(第2回)住宅・建築物省CO2先導事業」に採択されている。また、*2-2-2のように、東京急行電鉄・東急建設・イッツ・コミュニケーションズも、横浜市と締結した協定に基づき、東急田園都市線沿線地域を中心に、「次世代郊外まちづくり」を展開して「家庭の省エネプロジェクト」を実施しているそうだ。さらに、*2-3のように、国交省は大型店やホテル、病院などの施設から出る温暖化ガスを減らすため、省エネ基準を満たさない建築の着工を段階的に規制するとのことである。

 そのため、これから街づくりやインフラ整備をするJR九州は、これらを織り込んで実現した方がよい。

(3)水素ビジネスについて
 *3-1のように、水素ビジネスに期待が膨らみ、独自製品の開発などに取り組む中小企業も出てきて中小企業にも商機が広がろうとしているそうだ。そのため、今は水素燃料を伸ばすべき時であり、間違っても原発再稼働によりCO2を削減するなどという選択をすべき時ではない。また、*3-2のように、トヨタが水素燃料に関する特許の公開をしており、「やるなら、今でしょ」ということである。

 そのような中、*3-3のように、トヨタの燃料電池車「MIRAI(ミライ)」が、愛知県と愛知県豊田市に1台ずつ納車され、愛知県の大村知事は「環境に優しく、経済も盛り上がる。愛知県が求めている方向だ」としている。また、*3-4のように、福岡県庁の公用車にも導入され、福岡県の小川知事が「新しい時代の幕開けだ。大切に活用し、県民の関心を高めたい」としたそうだ。

 私は、どの自治体も、これから購入して交換していく公用車は、電気自動車か燃料電池車にすればよいし、これからの街づくりを考えるために、首長と議会議長の公用車くらいは早急に導入すればよいと考える。また、それに伴って、電気自動車や燃料電池車の価格も購入しやすいものになるべきだ。

<鉄道と発送電分離>
*1-1:http://qbiz.jp/article/54918/1/
(西日本新聞 2015年1月31日) JR九州、地域密着を強調 社長「鉄道網は当面維持」
 JR九州の青柳俊彦社長は30日の定例記者会見で、国土交通省が2016年度に株式上場させる方針を決めたことについて「地域に根ざした会社として、さらに九州の元気のために頑張っていきたい」と述べ、経営のスピード感と自由度を高め、地域密着企業として発展させる考えを示した。上場方針決定後、初の記者会見に臨んだ青柳社長は「大きく前進した。国鉄民営化の精神にのっとって28年間、自立できるように頑張ってきたことが、決定につながった」と表明。「自主自立の代わりに、経営陣は非常に大きな責任を負った。上場をきちっと果たすよう期待に添える会社になる」と表情を引き締めた。地域や利用者にとっての上場のメリットは「第一が、九州のネットワーク網を安全に維持することだ」と説明。そのうえで「鉄道事業だけでは十分ではない。近い事業を組み合わせ、相互に効果を出し、双方でいい成績を出せれば、九州のお役に立てる」と述べ、駅ビルやマンション事業などの多角化を続けるとした。上場後の地方赤字路線廃止など鉄道ネットワーク維持への懸念も出ていることについては「当面の維持は約束している」と強調した。一方で「今後の長いスパンでは、地元の方との議論をやった上で方針を決めたい」として、将来にわたる維持存続の確約は避けた。上場後に赤字路線を維持することに市場から厳しい評価が出るのではないかとの問いに対しては「上場は、そういった悪い点ばかりではない」と反論。「JR九州をよくするための、株主のアイデアを取り入れながら、事業を推進していきたい」と答えた。年間約150億円の赤字圧縮が課題となっている鉄道事業に関しては「効率化の手を抜くことはない」としたうえで、駅の無人化や「みどりの窓口」削減などを念頭に「具体的な施策を一つ一つ出していく」と明言。コスト削減を推し進める姿勢を示した。鉄道の赤字穴埋めのための経営安定基金3877億円を国に返還しない方針については「大きな進展と理解している」と述べるにとどめた。

*1-2:http://qbiz.jp/article/55487/1/
(西日本新聞 2015年2月8日) JR九州、3月に30駅無人化 上場へ鉄道赤字を圧縮
 JR九州が3月、約30駅を無人駅化することが7日、分かった。地方の赤字ローカル線を含めた九州の鉄道網を維持するため、年間150億円に上る鉄道事業の赤字を圧縮するのが狙い。今回の無人化で、同社管内の全566駅のうちほぼ半数の約280駅が駅員がいない無人駅になる。2016年度の株式上場を控えJR九州は、本業である鉄道事業の収支改善が急務。その一環として、3月14日のダイヤ改正に合わせ、福岡市郊外を走る香椎線を中心とする九州7県約30駅の無人化に踏み切る。駅員がいなくなると利便性や乗客サービスが低下する恐れがあることから、対応策も取り入れる。(1)列車の運行状況などを近くの駅から遠隔操作で知らせる放送装置(2)列車接近を知らせる放送装置(3)防犯カメラ設備−などを導入。高齢者や身体障害者などから乗降手助けなどの依頼があれば、近くの駅などから職員が駆けつける体制も整える。同社管内ではこれまでローカル線に無人駅が多かったが、今回は香椎線(福岡市・西戸崎駅−福岡県宇美町・宇美駅、25・4キロ)の12駅も無人化。乗降客が比較的多い同線については、駅の自動券売機の横に設置したインターホンを介して福岡市内にあるサポートセンターのオペレーターに各種問い合わせができる最新システムも導入する。さらに4月1日以降は、鹿児島県や宮崎県などの約10駅について、管理・運営を外部委託する「簡易委託駅」に切り替える方向で関係自治体などと協議を進めている。切符の販売や清掃などを市町村や観光協会などに委ね、有人駅として運営を続けたい考えだ。今回、無人駅と簡易委託駅にするのは計40弱。乗降客数などを基準に対象を絞り込んだ。同社幹部は「鉄道事業の収支改善のため、今後もさまざまな効率化を進める。サービス低下を防ぐ取り組みも同時に考えたい」と説明している。同社は1987年の発足時に619あった駅を、旧国鉄改革の一環で90年には557駅に削減。その後9駅増えたが、大規模な無人化は実施してこなかった。

*1-3:http://qbiz.jp/article/55688/1/ (西日本新聞 2015年2月11日) 東中津、今津、熊崎、上臼杵の4駅 大分県内の無人化計画、JR九州
 3月14日のダイヤ改正に合わせたJR九州の駅の大規模無人化計画で大分県内の対象は中津、臼杵両市の4駅であることが10日、分かった。中津市はJR九州からの委託で人員を配置し、駅舎を地域活性化の拠点として活用することを検討。臼杵市も時間限定で駅の維持管理業務などを担う人員を確保する方向で最終調整している。両市とも2015年度一般会計当初予算案に関連経費を計上する方針。JR九州大分支社などによると、県内の無人化対象駅は日豊線の東中津駅(中津市)、今津駅(同)、熊崎駅(臼杵市)、上臼杵駅(同)。2016年度の株式上場を前に鉄道事業の収支を改善するため、両市に無人化の方針を示して対応を協議していた。定期券を購入しにくくなるなど利便性の低下が懸念されることから、臼杵市の中野五郎市長はJR側に駅員存続を二度要望したが、折り合わなかったという。同市財政企画課は「利用者へのサービスを考えると、市が(人件費を)負担するのはやむを得ない」としている。中津市は、JRが駅の管理・運営を自治体などに外部委託する「簡易委託」方式を導入する方針。同市まちづくり推進課は「駅は人が集う地域の拠点。委託を好機と捉え、地域活性化につながる場とすることを検討したい」としている。

*1-4:http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-238517-storytopic-11.html
(琉球新報社説 2015年2月7日) 発送電分離 大胆な改革へかじを切れ
 先送りや不徹底は改革を空回りさせ、無効にするための常套(じょうとう)手段だ。電力改革をそのような空疎な軌道に乗せてはならない。政府、与党は電力改革の「発送電分離」を2020年とする方向で検討に入った。実施時期は従来、「18~20年をめど」としていた。その中で最も遅い時期にするというわけである。後ろ向きな態度は許されない。大胆な改革へかじを切るべきだ。日本は電力会社が地域ごとに発電と送電を独占しているが、そんな寡占体制は先進国ではまれだ。近年、小型発電所の性能は向上し、新規参入は容易になった。だが日本では発送電が未分離のため、新規参入者も既存電力会社の送電網を使わざるを得ない。その使用料が高額で、新規組の競争力を奪っていると指摘される。日本の電気料金は総括原価方式だ。経費に利益を上乗せした料金に、国がお墨付きを与える形だ。その経費も電力会社の言い値に近い。電力業界は巨額の政治資金を一部の政党や政治家に提供している。いわば政官業一体で既得権益を守る構造だ。この構造に風穴を開ければ料金低下も期待できる。消費者の利益にかなうはずである。例えば1990年に国営電力会社を分割民営化した英国では、5年で電気料金が実質11%低下したとされる。改革は必然であろう。電力業界は、電力自由化は安定供給に支障があると主張し、その例として米国カリフォルニア州の01年の大停電を挙げる。だがこのとき、電力小売価格には規制が残っていた。そのために小売業者が破綻したのが停電の原因だ。経産省の資料は、逆に「中途半端な自由化」が停電をもたらしたと総括する。それなら改革はやはり大胆に断行すべきではないか。その発送電分離を遅らせるのも問題だが、その方式も問題だ。分離には電力グループ内で送配電網を分社化する「法的分離」、運用を別組織に委ねる「機能分離」、電力会社から完全に切り離す「所有分離」があるが、日本は「法的分離」を採用するという。だがこれでは、配電網の利用料などで電力グループによる恣意的な運用の可能性を排除できない。新規組に公正な競争環境を整備したとは到底言えない。こんな微温的な「改革」は改革の名に値しない。既得権益の「電力ムラ」の解体なくして、未来のエネルギー政策はあり得ない。

<街づくり>
*2-1-1:http://qbiz.jp/article/50931/1/
(西日本新聞 2014年12月2日) 上場目前、足固めに躍起 JR九州、業界驚く落札再び
 「ここまで差が付くことはあまりない」。不動産業界関係者が再び驚く結果となった。JR九州が落札した鹿児島市の日本たばこ産業(JT)所有地入札。関係者によると、最低落札額13億5千万円に対してJR九州の落札額は三十数億円とみられ、競合他社とは10億円近い大差が付いたようだ。117億円という落札額が話題となった福岡市の九州大キャンパス跡地取得に続く大型投資。悲願の株式上場を前に、収益の柱である不動産開発をさらに「九州全域」で足固めしたい思惑が透けて見える。
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 「まちづくり会社になる」という唐池恒二社長時代からの大号令は、不動産開発事業で顕著にみられる。九大キャンパス跡地で話題となった福岡都市圏以外でも、続々と開発プロジェクトが進行している。鹿児島市では、JR鹿児島駅近くと南鹿児島駅近くに、分譲マンション「MJR」がともに2016年に完成予定。熊本市のJR水前寺駅近くの都心部では、熊本初となる「MJR」が来夏誕生。長崎市でも、JR浦上駅周辺と長崎駅近くで「MJR」を建設する。駅ビル事業でも、JR博多シティ近くのビル再開発のほか、鹿児島中央駅ビルをリニューアルや増床を行い、新大分駅ビルは来年3月に開業。熊本駅ビルも再開発の検討を進めている。九州全域で大規模に事業展開する企業は、九州電力を除けばJR九州ぐらい。2016年度までの上場を果たし、名実ともに「九州の顔」となる意気込みも伝わる。一方で、必要に迫られている側面もある。決算を見ると、同社が不動産開発に力を入れる理由が明白だ。過去最高を更新した今年9月中間連結決算の経常利益は169億円。このうち「駅ビル・不動産」部門で経常利益105億円を稼ぎ出す。人口減や運輸業界の競争などが続く本業の鉄道部門を支える意味でも、不動産開発に注力せざるを得ないのが実情だ。だが、競合する不動産業界の評判はあまり芳しくない。
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 今回と同様、次点に大差を付けた九大キャンパス跡地の入札でも聞かれたが、「鉄道の赤字補填(ほてん)のために鉄道安定化基金の運用が認められている会社が、資金力を武器に不動産を買うのはいかがなものか」という不満が高まっているのだ。上場に際し、基金の取り扱いはまだ定まっていない。「上場前の今のうちに不動産を押さえている」(地場不動産関係者)と映るためか、「JR九州が応札するならまず勝てない」と漏らす関係者さえいる。「イコールフッティング(平等)が保たれていない」という批判について、JR九州関係者は「開発で何をつくるかによって取得費用の立て方は変わるはずだ」と話し、別の同社関係者も「不動産開発は鉄道事業と密接に関係する事業」と主張する。その意味では、広さで同社最大規模となる今回の不動産開発でまさに「何をつくるか」が問われることになる。約2万7千平方メートルという大規模物件では、マンションだけだと広すぎる。商業施設を含めた複合開発が頭に浮かぶが、近くには同社が商業施設を展開する鹿児島中央駅ビルがあり、競合リスクがある。今まで育ててきた関連事業を組み合わせるのか、それともまだ手掛けていない新規事業を始めるのか。上場後の「まちづくり会社」の将来を占う上でも、先行きが注目される。

*2-1-2:http://qbiz.jp/article/53336/1/%E7%AD%91%E8%82%A5%E7%B7%9A/
(西日本新聞 2015年1月8日) JR筑肥線新車両を公開 水戸岡氏デザイン
 JR九州は8日、筑肥線に導入する新型車両を佐賀県唐津市で公開した。「レトロ列車の気分を」と、1編成6両のうち1号車の床に木材を使っている。デザインは、豪華寝台列車「ななつ星in九州」などを手掛けた水戸岡鋭治さん。外装は爽やかな白が基調。冷暖房効果を高めるため、乗客が押しボタンで開閉できるドアも初めて採用した。2月5日から3月末にかけて順次、6編成を投入。西唐津−姪浜間や福岡市営地下鉄空港線を走る。「車両は豪華でも、通常の運賃で乗れます」。歴史や自然が魅力の唐津への旅を盛り上げる。

*2-2-1:http://tokyugroup.jp/ad/wedoeco/chap4_06/
(東急不動産) 〈省エネルギー〉世界初のマンション向けエネファーム導入などグループで省CO2推進
 国土交通省の選定する「平成25年度(第2回)住宅・建築物省CO2先導事業」に採択された「東急グループで取り組む省CO2推進プロジェクト」は、東急グループ6社、1大学などが連携して、住まいの省エネルギー化を推進するプロジェクトです。東急不動産をはじめ、東急コミュニティー、東急不動産次世代技術センター、東京都市大学、石勝エクステリア、東急ストア、東急ホームズなどが共同で、マンション・一戸建てなど、各種住宅に先導的な省エネ設備や手法を導入するとともに、産学協同による検証を通じて、より効果的な省CO2施策の普及を図ります。現在、品川区ベイサイドに建設中の「ブランズシティ品川勝島」は、このプロジェクトの導入第1号物件。電気を「つくりだす」「たくわえる」「つかいこなす」をテーマに、マンション全体で省CO2を目指します。例えば、世界初のマンション向け家庭用燃料電池(エネファーム)を全356戸に設置するほか、太陽光発電・定量型蓄電池・カーシェア用EV車を組み合わせたマルチパワコンシステムをマンションでは初採用します。居住者の省エネ行動に応じて「買物優待」などの仕組みも取り入れるなど、さまざまな先進設備や手法を導入。また、マンション共用部の電力消費量はMEMS(Mansion Energy Management System)と呼ばれるエネルギー管理システムによってコントロールし、照明や空調を適切な状態に制御します。専有部ではHEMS(Home Energy Management System)により電力使用量を「見える化」する他、居住者の省エネ行動を光の色で誘導する「エナジーオーブ」を全戸に導入し、マンション全体の年間電力消費量を約10%削減します。今後、HEMSによって得られる使用エネルギー量やライフスタイルなどのデータは、東急不動産次世代技術センターと東京都市大学が協同で分析。建物や居住者のタイプに応じて、最適な省CO2施策を検証します。これからも、東急グループでは住まいの省CO2化に取り組んでいきます。

*2-2-2:http://tokyugroup.jp/ad/wedoeco/chap4_05/ (東京急行電鉄・東急建設・イッツ・コミュニケーションズ) 〈省エネルギー〉横浜市・各企業と連携して「家庭の省エネプロジェクト」を実施
 横浜市と東急電鉄は、2012年4月に締結した協定に基づいて、東急田園都市線沿線地域を中心に、「次世代郊外まちづくり」を展開しています。これは、郊外の住宅地が抱える少子化や高齢化などのさまざまな課題に対して、地域住民・行政・大学・民間事業者が連携・協働して解決を目指す、住民参加型の取り組みです。「家庭の省エネプロジェクト」は、その取り組みのひとつとして、「次世代郊外まちづくり・スマートコミュニティ推進部会※」や地域住民、商業施設などが一体となって推進するプロジェクト。家庭のエネルギーを「見える化」して地域ぐるみで省エネに取り組むことにより、生活者中心のスマートコミュニティ実現を目指します。たまプラーザ駅を日常的に利用される方を中心に参加を募り、プロジェクトに参加申込みをされた方は、パソコンやタブレット端末などを通じて、各家庭の電気・ガス使用量をグラフや数値で確認。毎月の使用量が前年同月以下になると、たまプラーザ テラスなどの駅周辺商業施設や地元の商店街で使える地域通貨がもらえる仕組みです。2013年夏に「家庭の節電プロジェクト」として初めて実施されたこの取り組み。2013年冬からは電気に加えてガスも「見える化」して、さらに省エネに取り組みやすくなりました。2013年夏に245世帯だった参加世帯も、冬には1,211世帯に増え、たいへん多くのご家庭に参加していただきました。ただ省エネに取り組むだけでなく、目標を達成すると地元で使える地域通貨がもらえるという喜びもあり、楽しみながら省エネ活動に取り組めるこのプロジェクト。地域のCO2排出量削減に貢献しながら、地域の経済活動の活性化にもつながりました。また、省エネに積極的に取り組んでいただくため、家庭のエネルギー使用状況を無料で診断する「家庭のエコ診断」も実施。それぞれのご家庭に合ったオーダーメイドの省エネ対策を提案しました。
※〈スマートコミュニティ推進部会 参加企業(平成26年8月現在)〉イッツ・コミュニケーションズ株式会社、株式会社NTTファシリティーズ、JX日鉱日石エネルギー株式会社、東急建設株式会社、東京ガス株式会社、東京急行電鉄株式会社、株式会社東芝、株式会社ビットメディア

*2-3:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20141213&ng=DGKKASFS12H4P_S4A211C1MM8000 (日経新聞 201412.13) 省エネ建築、17年度から義務に 商業施設やホテル、床面積2000平方メートル以上対象
 国土交通省は多くの人が利用する大型店やホテル、病院などの施設から出る温暖化ガスを減らすため、省エネ基準(総合2面きょうのことば)を満たさない建築の着工を段階的に規制する。床面積が2千平方メートル以上の場合、2017年度から着工を原則認めない方針だ。これまで建築主の自主的な取り組みを促してきたが、建築物の二酸化炭素(CO2)排出量は増加の一途をたどっている。規制強化に転じ、温暖化ガスの排出抑制を急ぐ。18日に開く社会資本整備審議会の建築分科会で同省案を示す。産業部門や輸送部門を含めた現在の省エネ対策は、経済産業省が所管する省エネルギー法に基づいている。国交省は現行法から建築物部門を切り離した新法「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律案」(仮称)を来年の通常国会に提出する方針を固めた。13年度のCO2排出量を分野別にみると、建築物部門は1990年度比で71%増えた。産業部門(11%減)や運輸部門(2%増)より高い伸び率を示しており、国交省は建築主への努力義務にとどまる現行の省エネ法では実効性が不十分だと判断した。まずは17年度以降に床面積が2千平方メートル以上の病院や福祉施設、ホテル、飲食店を対象とし、13年に施行された新しい省エネ基準への適合を義務づける。商業施設では一般的な食品スーパー以上の規模のイメージだ。床面積などから導き出した標準的な排出量と提出された建築計画を照合し、基準に届かなければ着工できないようにする。これらの建築物は年間3千件程度の着工があるとみられる。19年度以降にはより狭い300平方メートル以上の建築物まで対象を広げる予定だ。一般住宅については省エネ基準に適合させると建築コストが5%程度上がるため、規制強化を急げば住宅市場に深刻な影響を与えると判断。義務化は当面見送る方針だ。具体的な省エネ対策として、外壁や窓の断熱化、空調設備の効率的な運用、再生可能エネルギーの活用を想定している。基準を満たさなければ是正命令を出し、従わない建築主には罰則を科す。発光ダイオード(LED)照明の多用や断熱性能の高い建築工法の採用など対応を求められそうだ。逆に省エネ基準を一定程度上回る場合には容積率の緩和を認める措置も盛り込む。

<水素ビジネス>
*3-1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20150202&ng=DGKKZO82658030R30C15A1TJE000 (日経新聞 2015.2.2) 水素ビジネス膨らむ期待、燃料電池車関連、中小に商機 安さ・便利さで切り込む
 トヨタ自動車の燃料電池車(FCV)「ミライ」の登場などで盛り上がりを見せる水素関連ビジネス。水素スタンドの整備などによる裾野の拡大を見込んで、独自製品の開発などに取り組む中小企業が出てきた。培ってきた技術を生かし、「安さ」や「便利さ」を軸に新分野に切り込む。「水素社会元年」ともいわれるなか、中小企業にも商機が広がろうとしている。水道や家庭用ガス向けパッキンの老舗である高石工業(大阪府茨木市、高石秀之社長)は、水素スタンドで使うゴムパッキンを開発した。水素スタンドの充填機とホースのつなぎ目などに使うことで水素の漏れを防ぐ。一般的なパッキンは「水素ガスにさらされていると劣化して隙間ができる可能性がある」(高石社長)。高石工業の製品はゴムの配合や成型についての独自技術を活用しており、「水素スタンドで使っても劣化しにくい」という。ミライの登場もあって、遅れ気味とされる水素スタンドの建設が進む可能性がある。整備コストの低減などにつながる技術開発を通じて、新たな需要を取り込もうという中小企業もある。工業用高圧ガス向けバルブなどを製造するヤマト産業(大阪市、小野寺雅宏社長)は充填機の小型化につながる専用バルブを開発した。工業用ガスでの経験を生かし、充填機の配管をつなぐ部分を一般的な差し込み式から締め具を使う方式に変えた。水素が流れる経路が短くなり、充填機を小さくできるとしている。差し込み式はメンテナンス時などに多くの部品を外したり締め直したりする必要がある。一方、締め具方式は必要な部分だけを取り外せばいいため、費用や手間も抑えられるという。同社は水素関連製品を事業の柱の一つに育てたい考え。子会社が独自開発した小型水素スタンドの販売を始めたほか、本社には水素スタンドも設ける。高圧の水素をFCVのタンクに供給すると一気に膨張して高温になるため、マイナス40度まで冷やす必要がある。産業機械製造のオリオン機械(長野県須坂市、太田哲郎社長)は冷却機の小型化に挑んでいる。産業機械の温度を一定に保つ冷却設備の設計・製造技術を生かす。開発にあたっては信州大学などと組み、冷却機内部の形状や接合方法を見直す。従来方式に比べて容積は最大100分の1になる見通しで、生産コストも3分の1程度にできるという。2016年度の製品化を目指す。水素そのものの製造コスト削減に取り組む動きもある。ジャスダック上場の表面処理メーカー、山王(横浜市)は東京工業大学や産業技術総合研究所と連携。純度の高い水素を取り出すために必要な透過膜を現在の数十分の一の価格にできる技術の開発に取り組む。水素透過膜はセラミックとパラジウムで作るのが一般的だが、山王は貴金属の表面処理で培った薄膜製造技術を活用。セラミックを多孔質なニッケルに置き換えることなどで、50マイクロ(マイクロは100万分の1)メートル程度だった透過膜の厚さを数マイクロメートルまで薄くすることを目指す。高価なパラジウムといった材料の使用量を減らせるため、価格を大幅に下げることができるという。3年以内の実用化を目標に据えている。

*3-2:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20150202&ng=DGKKZO82658090R30C15A1TJE000 (日経新聞 2015.2.2) トヨタ特許公開 追い風に
 水素ビジネスに関心を持つ中小企業を支える存在の一つが、福岡県にある公益財団法人水素エネルギー製品研究試験センター(ハイトレック)だ。2014年4月に大量の水素を流せる試験設備を導入。民間企業などから高圧水素を使った製品試験を請け負う。「ハイトレックで試験した部品なら安心」という自動車や充填機のメーカーも増えてきたといい、中小企業などからの依頼が殺到。現在は3月末まで予約で一杯だ。渡辺正五センター長は「中小企業はこれまで補助金を使った開発が多かったが、自前の資金で取り組むケースも増えている」と話す。現在、水素スタンドの整備には1カ所あたり4億~5億円かかるとされる。中小を含めた幅広い企業の参加で技術開発が進めばコストが下がり、スタンドの普及にもつながりそうだ。水素関連産業の裾野は広い。デロイトトーマツコンサルティングの試算では、FCV関連の経済波及効果は20年には約8千億円に達し、その後も拡大する。尾山耕一シニアマネジャーは「トヨタ自動車がFCV関連の特許を無償公開することも追い風」と指摘。「技術力のある日本企業の開発が進めば、海外製品からの切り替えも進む。中小企業の商機は広がる」と見る。

*3-3:http://qbiz.jp/article/54109/1/
(西日本新聞 2015年1月20日) トヨタ、自治体初「ミライ」納車 愛知県と豊田市、公用車に
 トヨタ自動車が世界で初めて市販した燃料電池車「MIRAI(ミライ)」が20日、愛知県と愛知県豊田市に1台ずつ納車され、式典が開かれた。ミライの自治体への納車は初めてで、公用車として利用される。愛知県庁で行われた式典には、愛知県と豊田市のほか、今後ミライを導入予定の名古屋市、愛知県刈谷市、安城市の関係者も出席した。愛知県の大村秀章知事は「環境に優しく、経済も盛り上がる。愛知県が求めている方向だ」とあいさつ。トヨタの小平信因副社長は「水素社会の実現に寄与していきたい」と述べた。燃料電池車は水素を燃料とし、走行中に水しか排出しない「究極のエコカー」と呼ばれる。ミライは官庁や自治体、企業を中心に約1500台を受注している。

*3-4:http://qbiz.jp/article/55740/1/
(西日本新聞 2015年2月12日) 燃料電池車、九州で初始動 初納車は福岡県庁
 水素を燃料とする「究極のエコカー」とされるトヨタ自動車の燃料電池車(FCV)「MIRAI(ミライ)」が12日、福岡県庁の公用車に導入された。2014年12月に市販が始まって以降、MIRAIの納車は民間向けを含め西日本地域で初めてという。トヨタは1月、MIRAIを首相官邸や愛知県などの公用車として納車。九州では福岡県庁が2台、2月13日には福岡、北九州の両市、3月には九州大が各1台を採用する。トヨタは15年末までに約700台を生産する計画で、受注の好調を受け、生産台数を16年は2千台、17年は3千台に増やす。福岡県庁の出発式では白色のMIRAIが披露され、小川洋知事が「新しい時代の幕開けだ。大切に活用し、県民の関心を高めたい」とあいさつ。自身がハンドルを握り、県庁周辺を運転した。残り1台は青色で、3月に納車予定という。


PS(2015.2.13追加):*4のように、佐賀新聞は、「ガソリン価格の高騰や低燃費車の普及で、佐賀県内のスタンド数がピークだった1995年から半減し、ガソリンの販売も3割以上減少した」と、ガソリンスタンドへの逆風という視点で報道しているが、電気自動車は、(当時の通産省に私が提案して)1995年頃から始動していたにもかかわらず、これまで20年間も本格的にならなかった理由は、まさに石油会社、ガソリンスタンド、従来の自動車部品会社への配慮だった。しかし、石油会社は、(これも衆議院議員時代に私が提案して)2007年頃に定款を変更してエネルギー会社となったため、ガソリンスタンドも、生き残るためには時代に合った新しいサービスを考えるべきなのだ。また、電気自動車、燃料電池車への移行は、低燃費だけがメリットなのではなく、自動車による排ガス公害を低下させる目的の方が先にあるため、佐賀新聞はもっと高い環境意識を持つべきである。
 さらに、佐賀新聞はじめ日本のマスコミには、女性の実績や能力を否定する30年遅れ(60年遅れと感じる人もいる)の女性差別表現(キャリアのある女性や上昇志向の女性に対する誹謗中傷、女性の実績や能力を過小評価する表現等)が多く、これらを“表現の自由”と正当化されては、職場や社会において実力(=能力+実績)で勝負せざるを得ない女性の足を引っ張って損害を与え、公正にも公平にも機会均等にもならないため、問題である。

*4:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10103/156012
(佐賀新聞 2015年2月13日) ガソリン販売 平成で最少 ピーク時の3割以上減
■価格高騰や低燃費車普及
 佐賀県内の2014年のガソリン販売量は、平成に入って最低を更新することが石油連盟のまとめで分かった。価格高騰や低燃費車の普及に伴う需要減で4年連続のマイナスとなり、ピーク時に比べて3割以上落ち込む見通し。し烈な価格競争で経営が悪化しているスタンドも多く、店舗数はこの20年間でほぼ半減している。石油連盟によると、14年に県内で販売されたガソリンは、推計31万8355キロリットル。平成以降で最低だった前年を5・1%下回り、ピーク時の1997年(47万3千キロリットル)に比べ、32・7%落ち込んだ。月別で前年を上回ったのは、消費税増税直前に駆け込み給油があった3月と価格下落で持ち直した12月だけだった。14年は原油の高騰や急速に進んだ円安の影響で、月ごとの平均小売価格は6月半ばから10月上旬まで170円台の高値が続いた。年間の平均価格は約167円で、初めて160円台を突破した。こうした状況を背景に、自動車の技術革新は進んだ。「燃費が悪ければ売れない」(県内ディーラー)のが実情で、消費者のエコ志向の高まりを受けてハイブリッド車などの低燃費車が急伸している。ガソリンスタンドへの逆風が強まる一方で、不動産などの収益源も持つ県外の大手資本による安売り攻勢が激化。設備更新が進まない中小スタンドを中心に、昨年1年間で15店が休廃止した。県内のスタンド数は333店(5日現在)で、ピークだった95年の601店からほぼ半減した。今年1月にも伊万里市内で3店を運営していた事業者が後継者難のために福岡市の大手業者に全株式を譲渡し、傘下に入った。一方、中国をはじめとする新興国の需要減や石油輸出国機構(OPEC)の減産見送りなどを背景に、原油価格は急速に下落。県内の平均小売価格は年末から下がり始め、2月に入って130円台と、4年1カ月ぶりの水準になった。県石油商業組合によると、仕入れ値は販売価格への転嫁を上回るペースで下がっており、スタンドの利益率は改善傾向にあるという。ただ、価格の下落が需要に結びつくかは不透明。低燃費車の普及に加え、スタンドからは「さらに安くなるのを期待し、満タン給油する客は依然として少ない」との声も漏れる。原油相場は歴史的低水準となっており、業界には「底をついた」との見方もある。佐賀市のスタンド経営者は「価格が上がれば消費はさらに落ち込む。値上げのタイミングは他店とのにらみ合いになるが、我慢比べが長引くほど経営は苦しくなる」と相場の反転を警戒する。


PS(2015.2.13追加):*5のように、大手電力会社は、何とかかんとか言って再生可能エネルギーの出力を抑制したがっているため、送電事業を大手電力会社だけに任せてはいけないのである。

*5:http://qbiz.jp/article/53947/1/
(西日本新聞 2015年1月17日) 家庭用太陽光発電、4月から出力抑制 経産省が新ルール
 経済産業省は16日、九州電力など大手電力会社5社管内で、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度の見直しに伴う家庭用の太陽光発電への新ルール適用を今月中旬から4月1日に延期することを明らかにした。ルール変更の周知期間が必要と判断した。3月末までに契約した出力10キロワット未満の太陽光発電は、「出力抑制」の対象から外す。16日にあった自民党の会合で説明し、了承された。経産省は昨年、九州のほか北海道、東北など大手電力5社管内で再生エネの受け入れ余力がなくなったため、発電量が需要を上回りそうなときに電気を捨ててもらう「出力抑制」の対象を、出力500キロワット以上の大型設備だけでなく、家庭用を含む全ての太陽光に拡大することを決めていた。当初は今月中旬に新ルールを導入する方針だったが、準備不足を指摘する自民党が反対。このため、九州など5社管内では出力10キロワット未満の太陽光発電設備は4月1日まで適用を延期するなど、運用法を見直した。出力抑制の対象を拡大する新ルールそのものは19日の週に施行される見通し。九電は説明会を経て、昨年秋から中断している太陽光発電の契約手続きを再開する。


PS(2015.2.14追加):*6のように、北九州市が50万〜100万円を国の補助金に上乗せしてFCV普及を後押しするそうだ。しかし、元の価格が723万6千円と高いため、それでも購入者の支払額が400万円以上になり、少数の人しか購入できない。しかし、乗用車だけでなく、トラックやバスなどの営業車がFCVやEVに転換すれば、地球環境は大幅に改善するのだ。

*6:http://qbiz.jp/article/55909/1/
(西日本新聞 2015年2月14日) 北九州市、FCV普及を後押し 独自の補助金制度新設へ 
 北九州市の北橋健治市長は13日、「究極のエコカー」とされる燃料電池車(FCV)の普及に向け、購入を促す市独自の補助金制度を7月に新設する方針を明らかにした。同市によると、市内に拠点を置く法人が対象で、補助額は1台当たり50万〜100万円、台数は5〜10台を軸に調整中。関連予算案を市議会6月定例会に提案する。FCV導入には国の補助(1台約200万円)もあるが、同市はこれに上乗せする。FCVは、水素と空気中の酸素を反応させた電気でモーターを動かして走行し、水しか排出しないのが特徴。トヨタ自動車が昨年12月、世界で初めてFCV「MIRAI(ミライ)」を723万6千円で発売した。 
◆ミライを公用車に
 北九州市は13日、トヨタ自動車が世界で初めて市販したFCV「ミライ」1台を公用車として導入した。市は、FCVの普及や燃料を供給する水素ステーションの設置拡大を通じた地域産業の振興を目指しており今後、ミライをPRに活用、導入台数も増やす方針だ。FCVは、水素と空気中の酸素を反応させた電気でモーターを動かして走行。水しか排出しないため「究極のエコカー」とされる。県も12日に公用車として導入した。北九州市は5年間のリース契約。13日、市内で納車式があり、北橋健治市長が「ミライをどんどん走らせて認知度と信頼度を高めていきたい」と語った。式典では、福岡トヨペット(福岡市)の中尾潤一社長が、「市木」のイチイガシの苗木千株を市に寄贈すると表明。うち1株を北橋市長に手渡した。

| まちづくりと地域振興::2014.4~2015.4 | 05:08 PM | comments (x) | trackback (x) |
2015.2.9 農協改革について (2015.2.10に追加あり)
     
    2014.1.4    2015.2.5   2015.2.5 2015.1.14   2014.11.7
    日経新聞     朝日新聞              農業新聞 

(1)農協改革の必要性は何か(私が考える最適解)
 日経新聞は、2015年1月4日、上の左図のようにピラミッド型に農協組織を表現し、①JA全中は3年後に任意団体に転換 ②JA全農は株式会社化 ③都道府県毎の地方中央会は原則5年で任意団体に転換 ④全国700の地域農協の競争促進 を行うべきだとしている。

 しかし、私は、この図から、金融部門の農林中金と保険部門のJA共済連は、他の事業と経理をごっちゃにしてはならないため、中央会の下にあってもよいが、それぞれを別会社にして監査法人の外部監査を受ける必要があると考える。一方、JA全農をどういう形態にするかは、JAが業務をやりやすく、組合員に最大の利益があがるようにすればよいのであり、JA自身が決めるべきことだ。また、協同組合は、組合員が出資者で一番上であるため、この図を逆にした逆三角形が正しい図であり、日経新聞は議論の出発点を誤っている。

 組織で情報が上下左右に正確に伝達され、迅速かつ的確な対応を可能にするためには、なるべくフラットで伝達経路が短い方がよく、適正規模というものもある。そのため、朝日新聞の2015年2月5日の香川県の役割分担事例と比較して考えれば、営農指導等の実業を行っているJA香川県とは別にJA香川中央会とJA全中があるが、JA全中の監査部を監査法人として独立させ、JA全中と各県中央会は合併して、ここに情報提供、経営指導、全国レベルの方針決定のすべてを任せるのがよいと考える。なお、監査は独立性を要するため、監査法人は法律上、経営指導を行うことはできない。その理由は、自分が経営指導したものに不適正意見は書けないため、監査の独立性を害するからである。また、業務についても、外部の人には不確実性が高く何とも言えない場合が多いため、監査法人は業務監査もできない。

 そのため、これまで監査機構で経営指導をしていた農協監査士の多くと公認会計士の何人かはJA中央会に残って内部監査部を作り、内部監査(業務監査を含む)と経営指導に従事することができるよう農協法で定めるのがよいと考える。何故なら、内部監査や業務監査をしっかり行っていれば、組織に規律を持たせる効果があるとともに、外部監査のコストを抑えることができ、多くの外資系企業や日本企業にも内部監査部門はあるからだ。

 また、*1-1、*1-2で、安倍首相が、「①このままでは農業が衰退するから抜本改革を断行する」「②地域農協を主役とし、創意工夫を生かして農業を 成長産業に変える」「③競争力ある農家を育てるには、中央会が持つ指導・監査権の廃止が不可欠」「④JA全中は脇役に徹していただきたい」とされていることについて、①は農業の衰退は製造業重視の国策によるところが大きく農協の責任ではない上、②は地域農協を主役にしさえすれば創意工夫ができるとは思えず、日本全国や国際競争という視野を持つためには③も当たらず、④は真中のグラフのように今までやりにくかったとする地域農協が殆どないことから見て言いがかりのように思われる。そして、全国に700近くある地域農協同士を競争させても国際競争に勝つことはできず、大切なのは地域の特性を活かし、近隣地域は協力し、情報を駆使して、コストダウンとブランド化を進める経営戦略を実行することなのである。

 *1-3に、日経新聞は佐賀県知事選の結果を受け参院自民党で農協改革への慎重論が相次いだと書いているが、農協の力を甘く見すぎているのは、その選挙力だけではなく実行力もである。何故なら、佐賀県の農協には、2005~2009年の私が衆議院議員だった期間、役に立つ最前線の情報を送り続けていたため、日本でも早くから農協のイニシアティブで大規模化によるコストダウンや転作、農産物のブランド化が行われていたからで、よい経営戦略を立てるには、質の良い情報の入手が重要なのだ。

 日本農業新聞は、*1-4のように、「全中の指導・監査権、准組合員制度などの抜本見直しは『農協解体』につながり断じて容認できない」としている。私は、監査については、前述の通り、中央会(全国+都道府県)に内部監査(業務監査を含む)を行う内部監査部を作って、その内部監査を農協法で規定すれば、内部統制がしっかりした組織の外部監査は費用を安くでき、よりよくなると考える。

 また、「①全中監査がJAの経営の自由度を奪っている実態はあるのか」「②公認会計士監査だとなぜ農業所得向上につながるのか」「③准組合員の利用制限は、むしろJA事業の総合力を弱め地域振興に逆行するのではないか」「④JA全農の株式会社化でどの共同経済行為が独占禁止法の違反になるか」のうち、①については、監査は利害関係者に必要な正確さを求めるものであり、大きな不正や過誤を行う自由は奪うが組織には必要なものであり、監査が経営の自由度を奪うという指摘は不適切である。また、②については、農林中金(金融)とJA共済連(保険)を別会社にして監査法人の外部監査を受けることにより、破綻して預金者や共済参加者に損害を与えるのを防ぐことができ、預金者の安心感が増せば預金量も増えるからである。さらに、事業部門である全農や地域農協も、一般監査法人の監査を受けることにより同業他社の管理方法に関する情報を得たり、製造業やサービス業の水準まで管理水準を上げたりすることも可能になる。しかし、③は顧客や組合員構成に国が口を出すのは、農協及び農業にとってマイナスでしかなく、④の独占禁止法違反なら電力会社の地域独占、郵便局の親書配達の独占、航空会社の寡占の方が重要であるにもかかわらず、全農にのみ言うのは変であり、根拠にも乏しい。

 そのため、*1-5の意見もあり、ここに長くは引用しないが、読んでおくべきだ。そして、農業者の所得増大、農業生産の拡大、地域活性化の3つの基本目標に向けて自主自立の協同組合として「農業と地域のために全力を尽くす」とするJAグループの11月6日の「JAグループの自己改革」は重視すべきだ。そのためにも、*1-6の合意は、上述のように対応するのがよいと考える。

 まだ、この文章をブログにアップしないうちに、日経新聞から*1-7の「農協改革 JA全中、受け入れ決定へ 社団法人に転換」という記事が入ったが、JA全中に内部監査(業務監査を含む)、経営指導を行う部門を作り、都道府県毎の地方中央会と合併するという提案に変更はない。このようにして、外部監査と内部監査・経営指導は分けるべきで、中央会は内部監査等の適正な費用を徴収してよいと考える。

    
    2015.2.7農業新聞             2015.2.7  2015.2.9  2015.2.6
                                  日経新聞        農業新聞
(2)農協改革、その他の論点
1)準組合員の制限は、私的組織に対する無用な口出しである
 *3-1のように、朝日新聞が「全国農業協同組合中央会が、農協への監査権を廃止する政府の農協改革案を受け入れる方向で最終調整に入り、准組合員を制限する改革案には反対する」としている。

 しかし、准組合員の制限に関することは、何かを譲るから認めるというような「条件闘争」にすべきものではなく、よそから口出しすべきものでもない。ただ、農林中央金庫や共済保険は、全中の支配下にあっても、組合員や準組合員など加入している人の資産保全のために、それぞれ別会社にして外部監査を受けるべきなのである。

 *3-2の日経新聞にも、「政府は全中が改革を拒んだ場合、農家でない准組合員が農協に大量加入している問題に切り込む姿勢を示していたが、全中も歩み寄ったことで、規制の導入は見送る」と書かれているが、このように関係のないことを交換条件にするなどというのは、人の一生をかけた営業努力をゲームの論理で遊びのように考えており、幼稚すぎて話にならない上、とうてい許されるものではない。

2)全農の株式会社化も自己判断でよい
 *4のように、自民党は1月23日、全国農業協同組合連合会(JA全農)の株式会社化を現時点では見送る方針を表明したそうだが、どういう組織形態で事業を行うかは、政治的に決めるべきではなく、組合員にとって最も使いやすいようにすべきである。そして、経済界との連携は、取引したい企業が全農や目的の農家に取引条件を示してアクセスすればよいのであり、全農の営業形態は全農に任せるべきだ。

 なお、「農業に詳しい人でなければ(監査は)難しいのではないか」という指摘については、日本以外(アメリカ、オーストラリア、ヨーロッパ、その他)では、農業に関する国際会計基準を使っており、通常の監査法人と公認会計士が農業主体の監査を行っていることを付け加えておく。

3)農地に関する権限移譲について
 *5-1、*5-3のように、地方団体が農地転用権限を市町村に移譲するよう求めているが、地方に権限を移譲すれば、どの地域も製造業の誘致や宅地開発を行いたがり、日本全体としては必要以上に転用されて、その結果、必要な農地の確保にも支障が出ると、私も考える。

 また、*5-2の企業の農地取得についても、2009年の農地法改正で、リース方式による農地集積を加速させていくと明確にしているため、私はリース方式で十分だと考える。何故なら、西鉄が悪いわけではないが、一例として、*5-4のように、営農されずに耕作放棄地になれば、結局は不可逆的に市街地や住宅地が広がるからである。しかし、我が国では、人口減、空き家、食料自給率の低さが問題なのだ。

(3)農産品の輸出入とTPPについて
 アベノミクスの第3の矢は、これから需要が伸びるフロンティアの領域で生産を増やすことである。その点、農林漁業は、①これまで製造業ほどには生産性を上げていなかったこと ②世界では人口増で日本の農産物の輸出可能性は大であること ③技術が進歩したこと などから、有力な第3の矢であり、現在の制度でも製造業よりも輸出が伸びているのだ。そのため、*6-1のように、農林水産物や食品の輸出促進などの施策を行うのは有益だが、*6-2のように、日本で余っている米をTPPでアメリカから輸入拡大して備蓄にまわすなど、気配りのない稚拙な外交の尻拭いとして無駄遣いするにもほどがある。

 つまり、アベノミクスの第3の矢である農林水産物の輸出は、TPPの変な妥協でこれまでの努力を台無しにされ、農協や農家の自助努力も政争の具にされ踏みにじられた感があり、情けない限りなのである。

<農協改革の必要性はあるのか>
*1-1:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11555227.html
(朝日新聞 2015年1月17日) 首相「全中は脇役に」 全中「組合員は支持」 農協改革めぐり応酬
 安倍晋三首相は16日、成長戦略の目玉に据える農協改革について「このままでは農業が衰退する。抜本改革を断行していく決意だ」と強い意欲を示した。政府の改革案に反対する全国農業協同組合中央会(全中)を名指しで批判。一方、全中側も簡単には引かない姿勢で両者に大きなあつれきが生じている。安倍首相は中東への外遊に出発する直前、羽田空港で「農業を成長産業に変えていく。中央会には脇役に徹していただきたい」と記者団に語った。政権はアベノミクス「第3の矢」として農業などの「岩盤規制」改革を掲げる。競争力のある農家を育てるには、中央会が持つ指導・監査権の廃止が不可欠と考え、26日召集の通常国会に改革関連法案を提出する方針だ。これに対し、全中の万歳章会長は15日の記者会見で「JA監査は農協を支える最も効果的な監査制度で、多くの組合員から支持されている」と主張。さらに「(政府の改革案で)どう農家の所得向上につながるのか説明がつかない」とも批判した。

*1-2:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=31664
(日本農業新聞 2015/1/17) 「抜本改革断行する」 与党、JAの慎重論けん制 首相
 安倍晋三首相は16日、農協改革について「抜本改革を断行する決意だ」とあらためて強調した。首相官邸主導の急進的な改革に反発する与党やJAグループをけん制する狙いとみられる。ただ、焦点となっているJA全中による監査廃止には問題点が多い。政府と与党による激しい綱引きになるのは避けられない。安倍首相はこの日、農協改革について「抜本改革を断行していく決意だ。地域の農協を主役とし、創意工夫を生かして農業を 成長産業に変えていくため 全力投球できるようにしていきたい」と強調。JA全中について「脇役に徹してもらいたい」とも語った。中東歴訪に先立ち、羽田空港で記者団の取材に語った。政府は農協法改正案を通常国会に提出する方針。官邸側は農協を岩盤規制の象徴とみなして抜本改革にこだわり、特に全中による単位農協の監査権限の廃止を強く迫っている。こうした方針に変わりがないことをあらためて強調した格好で、菅義偉官房長官も同日の会見で「まさに抜本的な改革を行っていく」と語った。西川公也農相も同日の会見で、与党やJAグループとの丁寧な協議を重ねる考えを示した一方で「監査法人、これが非常に望ましい形だ」と述べ、全中の監査権限を廃止し、公認会計士による監査を導入すべきとの考えをあらためて示した。農協改革をめぐっては自民党は来週からプロジェクトチームの会合を集中的に開き、農協法改正案の議論を本格化させる。安倍首相らの発言には与党内の慎重論を抑え込みたい思惑もありそうだが、与党側の反発は依然として強い。全中監査廃止には単協の経済的負担が増すなどの課題が多い上、なぜ廃止するのか目的がはっきりしない。政府は農政の大目標に農業所得向上を掲げるが、「全中監査の廃止がどう農業所得向上に結び付くのか見えない」(自民党農林議員)。これまで政府側から明快な説明はなく、この日も「地域農協が主役となって農業の成長産業化に全力投球できるように」(菅氏)などと抽象論にとどまり、今後の議論で大きな論点の一つになりそうだ。西川農相も、同日の会見で全中の監査権限廃止が農業の所得向上につながる理由を問われたが、明快な説明はなかった。

*1-3:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20150116&ng=DGKKASFS15H5E_V10C15A1PP8000 (日経新聞2015.1.16)農協改革 参院自民に慎重論、統一選での票離れ危惧
 安倍晋三首相が進める農業協同組合(農協)改革を巡り、参院自民党を中心に慎重論が広がってきた。JAグループの推薦候補が与党推薦候補を破った先の佐賀県知事選を踏まえ、4月の統一地方選や来夏の参院選での農業票離れを危惧する声が出ている。自民党は20日から農協法改正案のとりまとめに向けた党内調整を本格化させるが先送り論も浮上している。
◆佐賀敗北「甘く見すぎ」 「しっかり問題意識を持って党の議論に加わらないと禍根を残す」。15日の参院自民党の有志会合では、農協改革への慎重論が相次いだ。「農協改革をやれば統一地方選はぼろ負けする」と、法案とりまとめの先送りを求める意見も出た。参院自民幹部は佐賀県知事選の敗北について「農協の力を甘く見すぎた」と述べ、農協改革を断行する官邸や党執行部の対応を批判した。JAグループは昨年12月の衆院選の公示前、候補者に「JAグループの自己改革案を尊重する」との誓約を求める踏み絵を迫った。党三役経験者の一人は「今後も同じような政治的手法を使ってくるかもしれない」と警戒する。公明党は「色々な声を謙虚に受け止め、今後の対応に生かすことが重要だ」(山口那津男代表)と、性急な改革には距離を置く。一方、官邸サイドは「佐賀県知事選の敗北は影響ない。改革は進める」(首相周辺)と強気だ。首相は26日召集の通常国会を「改革断行国会」と位置づけており、農協改革はその目玉。党内外の反対を受け、修正や先送りをすれば「改革後退」と受け取られかねない。
◆党幹部「必ず通常国会で」 首相に近い稲田朋美自民党政調会長は15日、都内での講演で「農協改革は反対論が多く、党内ではほとんど孤立無援だ」と改革の難しさを吐露しつつも「必ず通常国会で通していきたい」と意気込んだ。農家らに理解を深めてもらうため、稲田氏は17日に地元福井で農協改革の説明会を開く。改革に反対する全国農業協同組合中央会(JA全中)や県中央会を通さず、地域農協などと直接交渉してこの場を設けた。「地域農協の創意工夫を促し販売力を強める」という改革の利点を訴える。農協改革を巡る党内議論は、20日に開く党政調会の作業部会から本格化する。農林族が積極的にかかわる作業部会は2月中の取りまとめを目指し、連日開催する。政府は4月の統一地方選前に農協法改正案を通常国会に提出する方針だ。ただ自民党内には「農家の所得向上策とセットで改革すべきだ」と、予算対応を改革の見返りに求める意見や「改革の一部を参院選後に法案化しては」との声もある。

*1-4:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=31864
(日本農業新聞 2015/1/31) 農協改革攻防 解体招く法改正許すな
 農協改革の骨格づくりが週をまたぎ最終局面を迎える。論点はまだ多岐にわたり、政府は合理的な説明ができていない。全中の指導・監査権、准組合員制度などの抜本見直しは「農協解体」につながり断じて容認できない。当事者の理解と納得が得られない法改正に正当性はない。政府は結論ありきの態度を改め、JAグループの自己改革を踏まえ、事実と実態に基づき虚心に与党協議に臨むべきだ。農協改革をめぐっては政府の前のめりな姿勢が際立つ。安倍晋三首相自ら予算委員会で、農協法に位置付けられた中央会制度に疑問を示すなど、急進改革に意欲を見せる。2月12日の施政方針演説で、農協改革に切り込む政治姿勢をアピールするため、法改正作業を急いでいるとしかみえない。政府・与党は論点整理を基に、来週中にも決着を図る意向だとされるが、与党内、農業団体の反論を封じ込め、拙速に決めるなら国会、国民軽視と言わざるを得ない。熟議の民主主義と程遠く、農業現場のさらなる不信を招く。この間の与党協議、国会審議でも論点への疑問は解けていない。全中監査がJAの経営の自由度を奪っている実態はあるのか。公認会計士監査だとなぜ農業所得向上につながるのか。准組合員の利用制限は、むしろJA事業の総合力を弱め地域振興に逆行するのではないか。JA全農の株式会社化でどの共同経済行為が独占禁止法の違反になるのか、などだ。JA理事会構成など未消化な重要論点も多く、見切り発車は許されない。政府はこれらの疑問に明解に答えていない。いや根拠がなく答えられないのではないか。全中監査権や准組合員制度に議論を矮小(わいしょう)化するのは、JAグループの一体性を分断し、総合力を弱体化させることで政治的・経済的影響力をそぎ、アグリビジネスや外資による農業市場への一層の参入を促す狙いがあるのではないか。事実、政府の規制改革会議と歩調を合わせるかのように、在日米国商工会議所がJA改革の意見書を提出し、JA金融事業への金融庁規制の適用を求め、員外利用規制、准組合員制度、独禁法適用除外などの見直しを迫っている。安倍政権の成長戦略と規制改革は一体のものである。その典型が准組合員の事業利用制限で、事実上の「信用・共済事業分離」につながる。こうした文脈で農協改革を捉えれば、行き着くところは「農協解体」で、JAグループの金融、共済事業などをグローバル資本市場に差し出すことになるだろう。JAグループはいま、農業者の所得増大と豊かな地域社会づくりを掲げて、自己改革に取り組んでいる。総合事業の展開には、中央会の指導・監査など農協法上の位置付けが欠かせないことを実証し、理解を求める努力も必要だ。JAの特質、事業実態を踏まえ、自己改革に沿った法案づくりを求める。

*1-5:http://www.jacom.or.jp/proposal/proposal/2014/proposal141125-25884.php
【農業・農協改革、その狙いと背景】組合員目線から批判を 規制改革会議の改革論 増田佳昭・滋賀県立大学教授・「地方創生」を担う地域のための農協
  ・地域農業の困難増す「農業者だけの農協」
  ・決して甘くない自治監査
  ・組合員は喜ばない乱暴な改革明らか
 JAグループは11月6日、「JAグループの自己改革」を決定し公表した。農業者の所得増大、農業生産の拡大、地域の活性化の3つの基本目標に向けて自主自立の協同組合として「農業と地域のために全力を尽くす」改革を打ち出した。これに対して政府の規制改革会議は12日「意見」を公表、農協法から中央会規定を削除するなどの提起を行った。規制改革会議の意見はいまだ政府としての方針ではないがその問題点を徹底的に検証する必要がある。今回は滋賀県立大学の増田佳昭教授に緊急に問題点を執筆してもらった。増田教授は農業、農村の実態に生きる「組合員目線」からの検証が重要と説く。
<誰のためにもならない現実離れした形式論>
◆「地方創生」を担う地域のための農協
 11月6日、総合審議会の「中間とりまとめ」を受けて、全国農協中央会は「JAグループの自己改革について」を発表した。12日には規制改革会議が、「農業協同組合の見直しに関する意見」を発表、両者は中央会のあり方を中心に、「ガチで」ぶつかり合う様相だ。焦点は中央会問題に絞られているようにみえるが、農業協同組合のあり方に関する理念の対立は明確である。規制改革会議(いや農水省というべきか)は、農業協同組合を「農業者の組合」に純化する方向で大幅な制度の「刈り込み」を志向しているようだ。准組合員の利用率制限しかり、信用・共済事業分離しかりである。これに対して、JAグループの描く農協の姿は「食と農を基軸として地域に根ざした協同組合」であり、その姿勢は「農業と地域のために全力を尽くす」である。いま、存亡の危機にある「地域」のために、農業者、組合員とともに役に立つ存在になろうというわけである。この点では、客観的にみてもJAグループに理があると思う。高齢化と人口減少の本格化で、地方の経済、社会は息も絶え絶えである。政府でさえ「まち・ひと・しごと」、「だれもが安心して暮らすことができる地域づくり」を掲げて、「地方創生」に取り組まざるをえない今日である。これまで、農村地域に多様な組合員組織を重層的に持ち、ライフライン的店舗を構え、地域の福祉や文化、仕事づくりに実績を上げてきた農協から非農業分野を切り離してしまって、いったい誰が現場の「地方創生」を担うのだろうか。規制改革会議答申は「生協」や「社会医療法人」への移行をあげているが、いかにも官僚的形式論である。そもそも、農業はそれぞれの地域の社会や経済と密接な関係を持っている。だからこそ、1999年の食料・農業・農村基本法は、従来の「農業」の枠を拡大し、「農業者を含めた地域住民の生活の場で農業が営まれていることにより、農業の持続的な発展の基盤たる役割を果たしている」として、「農業の生産条件の整備、生活環境の整備その他の福祉の向上」という「農村振興」の課題を掲げたのである。そうした基本法の理念や方向に対して、いま進められようとしている農協法の農業純化志向がいかにずれていることか。
◆地域農業の困難増す「農業者だけの農協」
 それでは、農水省の考える農協の農業純化の先に、輝ける日本農業の姿が描けるのだろうか。正直に言えば、他国に比べても大幅に見劣りする現下の農業政策の下で明るい未来など描きようもない。「農業・農村所得倍増」、「輸出倍増」だのと威勢のいい言葉が並べ立てられるその下で、日々の農業経営の存立に必死に努力しているのが大多数の農業者の実情だ。農業協同組合のもともとの姿は、そうした農業経営が力を合わせて自らを防衛するためにつくったいわば自主的な「自衛組織」である。そんな自衛組織に対して、「しっかり儲けて利益を組合員に還元しなさい」などとお説教するのは、そもそも間違っているのである。ましてや、農業政策の責任を放棄し、農業がうまくいかないのは農業者と農協が努力しないからだとばかりに、責任を農協に押しつけるなど、為政者として恥を知るべきであろう。そもそも、農水省は農協の構成員を農業者に絞り込み、いったい何を農協にやらせようというのだろうか。そのような新しい農協に結集する農業者に助成を集中しようというのだろうか。あるいは「農業者の農協」に対して何らかの優遇措置を講じようというのだろうか。いや、昨今の農政を見れば、そんなことはとてもありえないだろう。 とすれば、農業純化した農協に対して、あとは勝手にやりなさいとばかりに、これまた「自助努力」を促すだけではないのか。何のことはない、農協法第1条の目的をたてに、農協組織と事業を「刈り込む」だけの形式論理の「改革」に終始するのではないか。農協の組合員を農業者に絞り込んだからといって、農業者組合員は喜ばないし、現在農協未利用の法人等が喜んで農協を利用するとも思えない。農業者組合員にとっては、准組合員利用制限と信共事業分離で専門農協化した経営基盤薄弱な農協経営を押しつけられることになり、営農指導事業の弱体化も明らかだ。そんな農協を組合員は望むのだろうか。現に農協を利用している農業者組合員が本当に求めているのは何か。それは、農業者組合員が抱えている営農上の課題にしっかりと応えてくれる農協だ。それは「農業者の組合」に純化したからできるというものではない。それぞれの農協が組合員とともにしっかりと考え、努力するべきことなのである。為政者が描く「農業者だけの農協」では、むしろ農業者の困難が増すと考えるべきだ。組合員の期待には、農業者の経営を守るための政策、制度要求も当然含まれる。米価暴落、乳価はじめ各種農産物価格の低迷、それらに対して、個々の農業者ができることは限られている。力を合わせて制度環境の改善を求めることは、大事なことだし当然のことだ。中央会組織の解体、連合組織否定の単協主体論、農協組織解体論は、本来必要な農業者の政治力を決定的に弱めることになるだろう。
◆決して甘くない自治監査
 中央会監査についてふれておきたい。中央会による監査は独立性を欠くとか、真の意味での外部監査といえないというのだが、本当にそうだろうか。グループ自治としておこなわれる中央会監査において、もしも身内に甘い監査をしたならばその影響は中央会のみならずグループ全体の信頼を毀損することになる。その意味で、自治監査は「甘い監査」に対して抑制的にならざるを得ないのである。これに対して規制改革会議が主張する「外部監査」はどうか。外部の会計監査人は市場に多数存在しており、会社はそれらを自由に選択することができる。さらに、会計監査人は監査対象から監査報酬を得るのであるから、完全な第三者として監査に臨むわけではない。会社側は厳しい指摘をしない監査人を選任し、監査人は来年度の契約を得るために、監査に手心を加えるという可能性は存在する。外部監査だから独立性を有するというのも、これまた形式論理なのである。ドイツ協同組合法においても、協同組合への監査連合会による監査の義務づけを一時廃止したことがあるが、その際に連合会監査を受けない「野生の協同組合」の経営破綻が頻発し、再び協同組合の監査連合会への強制加入を復活させて現在に至っている(多木誠一郎『協同組合における外部監査の研究』)。中央会監査は、協同組合という特質を踏まえて会計のみならず組織運営にまで及び広範な監査が可能である。しかも、単協に中央会監査を義務づけることで、中央会は単年度契約の外部監査人と違って、安定的な立場で組合に適切な監査を実施することが可能なのである。それに加えて、平成8年の農協法改正ですでに公認会計士による中央会監査への関与が法定化されており、公認会計士が中央会監査に関わる方式が作られている。これまでの法改正経過や実際の監査の現実に目をつぶって、何が何でも中央会監査を否定しようというのは、乱暴な議論だろう。
◆組合員は喜ばない乱暴な改革明らか
 規制改革会議の主張を一言で表せば、空虚な形式論理の羅列である。農業純化論自体も農協法第1条から形式的に導かれたものであって、実際の農協の姿や地域のニーズといった現実から乖離した観念的な形式論理である。また、上述のように外部監査の絶対視も形式論理に過ぎない。さらに、今回の中央会解体論の根拠となっている「単位農協の自由な活動を促進するため」という大義名分さえも現実離れした形式論理である。単協の自由な活動を保障するために、中央会を農協法から削除し、「単協が自主的に組織する純粋な民間組織」にし、「全中監査の義務づけを廃止」するというのだが、実情を知る立場からいえば、中央会がそれほどの統制力を有しているか、大いに疑問である。中央会の存在ゆえに単協が自由に活動できないなどというのは、ほとんど虚構に近い。かりに中央会に統制力があるとしても、その統制力の根源は監督官庁による統制であり、中央会はその代位、代行が中心である。規制改革をいうなら、事細かに口を出してきた監督官庁のそれを問題視すべきだとの意見もむべなるかなである。はっきり言って、今回の規制改革会議の農協改革論は、担い手農業者も含めて、組合員が喜ぶような改革でないことは明らかである。いわば農協批判者による農協批判者のための改革論でしかない。何よりも組合員目線で、この乱暴な改革案を批判していく必要があるだろう。

*1-6:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=31988
(日本農業新聞 2015/2/8) 農協改革で最終調整 政府・自民
 農協改革をめぐり、政府・自民党は8日、JA全中の萬歳章会長と東京都内で会談するなどし、法制度の骨格づくりに向けて最終調整した。関係者によると、准組合員の事業利用規制の導入については、今回は見送る方向が固まった。全中の監査部門(JA全国監査機構)を分離して公認会計士法に基づく監査法人を新設する案などでは調整が続いているもようだ。全中は9日に理事会を開き、対応を協議する。自民党は9日に農協改革等法案検討プロジェクトチーム(PT、吉川貴盛座長)の会合を開き、法制度の骨格案について了承を得たい考えだ。

*1-7:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20150209&ng=DGKKZO82976590Z00C15A2MM0000 (日経新聞 2015.2.9)農協改革 JA全中、受け入れ決定へ 社団法人に転換
 安倍晋三首相が意欲を示す農業協同組合(農協)改革を巡り、政府・自民党と全国農業協同組合中央会(JA全中)の折衝が大筋で決着した。全国約700の地域農協に対するJA全中の監査・指導権を廃止し、2019年3月末までに一般社団法人に転換する。JA全中は9日午後の理事会で正式に受け入れを決める見通しだ。自民党の農林関係議員とJA全中の万歳章会長、農林水産省幹部が8日夜に都内で会談。万歳会長は政府の改革案を大筋で受け入れる考えを伝えた。自民党は9日午後、全所属議員が参加できる農林部会など合同会議を開く。谷垣禎一幹事長や稲田朋美政調会長も出席して最終的な党内手続きを進め、同日中にも了承する。公明党も9日にも容認する運びだ。首相は12日に予定する国会での施政方針演説で、農協改革案の骨格を表明する。政府は今国会に改革案を明記した農協法改正案を提出する。目玉は地域農協の自立に向けてJA全中の監査・指導権をなくすことだ。JA全中が一般社団法人になる19年3月末までは地域農協は試行的に公認会計士の監査も受けられるようにし、同年4月以降は全中の監査部門を監査法人として分離し公認会計士による外部監査に一本化する。地域農協は民間の監査法人と、JA全中を母体とする監査法人から選ぶようになる。法案には全中が一般社団法人になった後も地域農協の総合調整を担うと付則に盛り込む。農協の間の連絡や調整業務を担う点が盛り込まれる。

<JAの自己改革案>
*2:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=30667 (日本農業新聞 2014/11/7)JAグループの自己改革具体策 中央会、農協法措置を 監査などに機能集約
 JA全中は6日の理事会で、JAグループ自己改革の具体策を決めた。農業者の所得増大と農業生産の拡大、地域の活性化を基本目標に据えた。中央会制度では、JAの自由な挑戦を後押しするよう機能を経営相談・監査など三つに集約し、この機能を責任を持って発揮するには「農協法上に措置することが必要」と明記した。JA改革では、担い手育成などを進める1000億円規模の支援策の創設を打ち出した。自らの改革とするため8月に全中会長の諮問機関、総合審議会で議論を開始。10月24日の中間取りまとめを踏まえて決めた。与党は年内に農協法改正案を取りまとめるもよう。JAグループはこれを基に政府・与党に働きかける。自己改革は中央会制度について、JAの定款を一律的に規制する模範定款例など農協法上の統制的な権限を廃止し、JAの意思で地方や全国段階に中央会を設置できる制度にすることを提起した。新たな中央会の機能として、JAの創意工夫を支えて経営相談や健全経営を保つための「経営相談・監査」、意見を取りまとめるなどの「代表機能」、JA間や連合会間の連絡・調整などの「総合調整機能」の三つに集約する。JA改革をめぐって、農家を支える職能組合とともに、地域社会を支える地域組合としての役割も発揮する考えを示した。こうした役割の農協法上への位置づけを検討するよう提案した。販売・購買事業は、組合員の多様な要望に応える方式に転換する。JAの業務執行体制の強化に向け、農業法人や若手、女性農家らの理事を増やしたり、販売や経営の専門家を事業に生かしたりすることも盛り込んだ。
●担い手育成へ1000億円
 全国連によるJA支援として「農業所得増大・地域活性化応援プログラム」を創設する。2018年度までの5年間で事業費は1000億円規模。JAが担い手に対して行う農機リース事業や経営相談、就農希望者を受け入れる農家への助成などに活用する。全農の株式会社化に ついては「会員総代の合意形成が前提」とした上で独禁法の適用除外が外れた場合の影響などを引き続き検討するとした。JA中央会・全国機関会長会議は同日、JAグループの自己改革の実現に向け決議した。
●必ずやり遂げる 全中会長
 JA全中の萬歳章会長は6日に開いた記者会見で、JAグループの「自己改革」について「自主自立の協同組合組織であるJAが、自らの組織改革を自らの手で必ずやり遂げる強い決意でまとめた」と強調した。「自己改革」を基に政府、与党へ働きかけ、農協法改正への意思反映を目指す考えも述べた。萬歳会長は、政府が農協改革の推進を含む規制改革実施計画の中で、JA系統の検討内容も踏まえるとしていることを指摘。「われわれの思いに理解を求めていく」と今後、政府、与党への働きかけに注力する考えを強調した。今後の対応では、「自己改革」を踏まえた政府、与党側の方針を受けて、全中会長の諮問機関である総合審議会を再開させる。審議会でさらなる課題などを検討し、今年度内に答申し、「自己改革」の改訂やその具体化につなげるとした。会見にはJA全農の中野吉實会長、JA共済連の市村幸太郎会長、農林中金の河野良雄理事長も出席した。

<準組合員制限は、無用な口出し>
*3-1:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11590501.html?_requesturl=articles%2FDA3S11590501.html&iref=comkiji_txt_end_s_kjid_DA3S11590501
(朝日新聞 2015年2月7日) 全中、監査権廃止容認へ 准組合員制限には反対 農協改革
 農協グループの司令塔である全国農業協同組合中央会(全中)は、農協への監査権を廃止する政府の農協改革案を受け入れる方向で最終調整に入った。農協の収益源である金融事業を守るため、農家ではない組合員(准組合員)を制限する改革案には反対する。週明けの決着をめざし、「条件闘争」に転換する。全中の万歳章会長は6日、自民党の農林関係の幹部議員らと会い、事務的に詰めるべき点を伝えた。事実上の方針転換だ。関係者によると、全中、全国農業協同組合連合会(全農)や農林中央金庫など、主要グループの首脳が集まった5日の会議で、全中の監査権の廃止は受け入れる代わり、組合員の利用条件などについては見直さないよう求める意見が多く出た。その後の都道府県代表者の会議で、全中幹部が「全中の監査権を維持するか、准組合員の利用制限を選ぶかを政府・与党が迫っている」と説明したのに対し「利用制限だけは避けるべきだ」との意見が多数を占めた。全中の法的位置づけなどについてはほとんど議論にならなかったという。准組合員は、住宅・自動車ローンや共済(保険)といった金融事業を利用する農家ではない組合員。農協がある地域に住んだり、働いていたりして、3千~1万円程度の出資金を払えば、准組合員としてサービスを利用できる。2012年度で農家である正組合員が461万人いるのに対し、准組合員は536万人にのぼる。全国の農協の事業総利益(約1兆9千億円)の7割近くを金融事業が占める。准組合員の資格が厳しくなると、ローンなどの利用が抑えられ、収益状況が大幅に悪化する可能性が高い。政府・与党と全中は週末も調整し、10日には農協改革案を決着させたい考え。全中は5年かけて一般社団法人になる公算が大きい。

*3-2:http://www.nikkei.com/article/DGXLASFK08H0N_Y5A200C1000000/?dg=1
(日経新聞 2015/2/8) 農協改革、大筋決着 JA全中が政府案容認
 全国約700の地域農協の競争と創意工夫を促す農協改革を巡り、政府・自民党と全国農業協同組合中央会(JA全中)の折衝が8日夜、大筋決着したことがわかった。地域農協を束ねるJA全中の監査・指導権をなくし、2019年3月末までに一般社団法人に転換する。1954年に始まった中央会制度をほぼ60年ぶりに見直し、地域農協の自立につなげる。自民党の農林系議員とJA全中の万歳章会長、農林水産省幹部が8日夜、都内のホテルで会談した。万歳会長は政府の改革案を大筋受け入れる考えを表明。9日午後に全中幹部が集まり、正式決定する段取りも示した。政府はいまの国会に農業協同組合法改正案を提出し、JA全中の監査・指導権をなくす。2019年3月末までに一般社団法人に移行させる。全中の統制をなくし、地域農協の組合長が経営感覚を磨き、競い合って生産性を高めるように促したい考え。JA全中は農協改革に反対の構えだった。だが、一般社団法人に転換した後も、農協法の付則に全中の役割を明記する譲歩案を政府側が示し、受け入れた。農協の間の連絡や調整業務を担う点が盛り込まれる。地域農協への事実上の統制につながらないか、注目点になりそうだ。全中が一般社団法人になると地域農協への監査権限がなくなり、全中の監査部門は新たに監査法人として再出発する。地域農協は既存の監査法人か全中を母体とする監査法人を選べるようになる。政府は全中が改革を拒んだ場合、農家でない「准組合員」が農協に大量加入している問題に切り込む姿勢を示していたが、全中も歩み寄ったことで、規制の導入は見送る。

<全農の株式会社化も不要>
*4:http://qbiz.jp/article/54394/1/
(西日本新聞 2015年1月23日) JA全農の株式会社化見送り表明 自民会合、対立鮮明
 自民党は23日、農協改革を議論する会合を開き、農協グループから意見を聞いた。全国農業協同組合連合会(JA全農)は、焦点の株式会社化を現時点では見送る方針を表明した。20日から続いた会合では、農協改革をめぐり推進派と慎重派の溝が一段と鮮明になった。自民党は来週も会合を開き、農業者へのヒアリングを実施。最大の論点である地域農協に対する全国農業協同組合中央会(JA全中)の監査について議論する。政府は2月上旬にも関連法改正案の骨格を固める考えだ。農産物の販売を手掛けるJA全農の在り方では、与党が昨年6月に経済界との連携をしやすくするよう、現在の協同組合組織から株式会社に転換できるよう法律を整備する方針を打ち出した。しかしJA全農は、企業との提携などに関して「現組織でもかなりの部分の対応が可能だ」として、当面は株式会社に転換しないとの考えを示した。出席議員からは「営業力強化のために株式会社になるべきだ」との発言があった。一方で「株式会社になってしまったら(特定組合員のための組織という)協同組合の論理が否定される」と反対する意見も出た。4日間続いた議論では、JA全中による農協監査をめぐり賛否が激突した。「現行監査が優れているのなら(公認会計士監査を導入して)自由にしても選ばれる」として、JA全中の監査を義務付けるのをやめるべきだとの声が上がった。だが「農業に詳しい人でなければ難しいのではないか」と、制度の維持を求める意見も多かった。JA全中の万歳章会長も「改革の真の目的は何なのか、現場で混乱が生じている」と強気の姿勢を崩さなかった。一方、農家でなくても農協事業を自由に活用できる准組合員の利用規制に関しては、23日の会合でも「正組合員だけでは経営を維持できない」といった慎重な意見が相次いだ。

<農地権限移譲について>
*5-1:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=30431
(日本農業新聞 2014/10/24) 農地権限移譲に慎重 総量確保で影響懸念 地方6団体と農相面会
 農地に関する権限の地方移譲をめぐり、西川公也農相は23日、東京・霞が関の農水省で全国知事会など地方6団体の代表と面会した。地方団体側は転用権限を市町村に移譲するよう求めたが、西川農相は必要な農地確保に支障が出る懸念があることから慎重に対応する考えを伝えた。政府は年内に結論を出す方針で、同省と地方団体側の綱引きは今後、さらに激しくなりそうだ。農地制度見直しについて、政府は昨年12月に方針を閣議決定した。2009年の改正農地法付則に沿い、14年をめどに地方分権と農地確保の観点から検討し、必要な措置を講じるとし、内閣府の専門家部会が議論を重ねている。総合的な街づくりの中で農地を商業向けなどにも開発したい地方6団体は、4ヘクタール超は農相としている農地転用の許可権限を市町村に移譲するよう要望。国が設定する農地総量確保目標を市町村が決める仕組みに見直すことも求めている。農水省は農地総量確保目標については、より市町村の意向をくんで設定する仕組みに見直す方針。ただ、農地転用の許可権限移譲は、地元の地権者や進出企業の意向の影響を受けにくい国や都道府県が判断する必要があるとして慎重で、議論の焦点となっている。この日、西川農相と面会した全国知事会の鈴木英敬三重県知事、全国市長会の小林眞青森県八戸市長、全国町村会の杉本博文福井県池田町長は、全国6団体の要望への理解を求めた。西川農相は「原則は昨年12月の閣議決定で進んでいかざるを得ない」と強調。閣議決定にある農地確保の観点から、転用権限移譲などには慎重に対応する考えを示した。一方で農村での6次産業化を促進するための農地転用には柔軟に対応したい意向も示した。食品産業などを念頭に、税制面などで優遇措置を講じる農村地域工業導入促進法や工業再配置法を活用して「周辺産業を農村に呼び込みたいといま検討している」と述べた。

*5-2:http://image.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=29055
(日本農業新聞 2014/7/31) [規制改革の論点 11] 法人(2)要件再検討 企業農地取得慎重に
 政府の規制改革実施計画では、農業生産法人の見直しで今回見送った要件緩和などについて、あらためて検討することを明記した。企業の農地取得をめぐる議論が再燃する恐れがある。今回の政府決定で、企業の農地取得は認めなかった。2009年の農地法改正で、リース方式による農地集積を加速させていくと明確にしているからだ。今年度に創設した農地中間管理機構もリース方式を土台にしており、安倍政権もこの方向性を踏襲、発展させている。ただ、経済界などからは企業の農地取得にこだわる声が依然強い。規制改革会議の農業ワーキング・グループが5月に打ち出した提案では、リース方式で参入した企業を念頭に、農業生産を継続している実績が一定あれば、農地を所有できる農業生産法人になれるようにすべきだと求めていた。産業競争力会議の農業分科会も4月の提案で「新しい農地改革」が今後の農政改革の最重点事項だと指摘。「企業がより集積した農地を取得しやすいような制度的枠組みを構築」する必要性を強調している。規制改革実施計画では、農地中間管理機構法の5年後見直しに合わせ、一層の農業生産法人要件の緩和や農地制度の見直しを検討、結論を得るとした。企業の農地取得には、撤退や転用で農地が耕作放棄や産廃置き場にされる懸念を払拭(ふっしょく)できないことから、国による農地没収など現状回復手法を確立することが前提だとしている。ただ、リース方式でも最長50年間借りることができる。リースに比べ農地の取得代金は高くつき、農業分科会の新浪剛史主査自ら「企業が農地を保有すると資本効率が低くなる」と認める。農地取得でなければならないとする理由には疑問が残るだけに、5年後見直しでも極めて慎重な検討が求められる。

*5-3:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=31651
(日本農業新聞 2015/1/16) 対応方針、月内閣議決定へ 農地制度は保留 地方分権会議
 政府は15日、地方分権改革有識者会議に分権改革の対応方針案を示し、了承された。与党との調整を経て1月中の閣議決定を目指す。法改正が必要なものについては26日召集の通常国会に一括法案を提出する。ただ、全国知事会など地方6団体が強く要望していた農地制度に関する権限委譲への対応は、農水省と折衝中だとして示さなかった。今後、同会議の下に設置した農地・農村部会で結論を出し、閣議決定までに方針案に加える。現行の農地制度では、4ヘクタールを超える農地転用には農相の許可を要し、2ヘクタール超4ヘクタール以下は農相との協議が必要。地方6団体は、許可権限の市町村への移譲や農相との協議廃止を強く求めているが、農水省は、食料の安定供給を担う立場から権限委譲に慎重で、調整が難航している。会議では、富山市の森雅志市長が「農地制度の見直しは『まち・ひと・しごと創生』のための地方分権改革の最重要課題だ」として地方6団体の要望実現を求める意見を提出。鳥取県の平井伸治知事や愛媛県松前町の白石勝也町長らも同様の要求をしたという。この日示した対応方針案には、保安林の指定・解除権限の都道府県への一部移譲や、農業委員の公選制の廃止など、農林水産業関連で約40の案件への対応を盛り込んだ。農家レストランの農用地区域内への設置については「(規制改革を先行して行う)国家戦略特区制度の下で、可能な限り速やかに効果を検証し、全国適用を検討する」とした。また、これらを含め全国の自治体から寄せられた提案への対応結果を公表した。535件の提案のうち、実現・対応できるとしたのは15日時点で283件(52.9%)だった。

*5-4:http://qbiz.jp/article/52980/1/
(西日本新聞 2015年1月3日) 西鉄、耕作放棄地に住宅団地 大牟田線沿線で開発事業
 西日本鉄道(福岡市)が、福岡県の天神大牟田線沿線にある耕作放棄地の宅地開発事業に乗り出すことが分かった。営農されずに荒廃が進む土地に一戸建て住宅の団地を建設し、周囲の環境保全と沿線のにぎわい創出を目指す。農地所有者の要請を受け、宅地への転用手続きから販売まで一貫して手掛ける。農林水産省などによると、放棄地から住宅団地を開発する事業は全国的にも珍しい。福岡市・天神と福岡県大牟田市を結ぶ大牟田線(95・1キロ)の沿線で、住宅地としての人気が高い筑紫野、太宰府、小郡の3市の水田地帯などが候補地。農地として今後利用される見通しが乏しい中小規模の土地を複数の所有者から購入し、これらをまとめて50戸(1万5千平方メートル)から500戸(15万平方メートル)の住宅団地開発を目指す。農地法などで定められた転用の法的手続きや地元との協議・調整、宅地造成、住宅建設、販売などを一貫して担う。地元自治体や周辺住民と道路や公園などの整備計画についても協議し、県知事の許可を得て開発する。すでに地元不動産業者から放棄地の情報提供を受ける体制を整えた。第1弾となるのは、3市内にあるかつての水田約3万平方メートルに100戸程度の住宅団地を造成する事業。所有者十数人から相談を受け、地元自治体などと農地転用に向けた協議を進める。2015年度に造成工事に着手、16年度に区画販売を始める計画だ。西鉄はこれまで一戸建て宅地約1万2千区画を販売してきた。耕作放棄地の宅地開発は「通常の開発より時間と労力がかかり利益は少なくなるが、地元に根ざした鉄道会社にしかできない事業だ」(幹部)としており、今後5年以内に5カ所程度の開発を目指す。耕作放棄地は全国で増加し、都市部でも深刻化。病害虫や鳥獣害の発生、廃棄物不法投棄、火災発生などで周辺住民にも悪影響を与える恐れがある。中村学園大の甲斐諭学長(農業経済学)は「大牟田線沿線は農家ではない土地持ちが多い。また、米価下落で経済的にも営農が厳しくなっている」と指摘。放棄地の宅地化は「人口が過密になる福岡市だけでなく、沿線の街の発展にもつながるので意義がある」と評価している。

<農産品の輸出入とTPPについて>
*6-1:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=31652
(日本農業新聞 2015/1/16) 検疫協議を加速へ 重点品目中心に輸出促進 農水省
 農水省は15日、攻めの農林水産業実行本部の第4回会合を開いた。2014年度補正予算案、15年度予算案が閣議決定されたことを受け、農林水産物・食品の輸出促進など攻めの農林水産業の施策を実行し加速させる。輸出解禁に向けた各国との動植物検疫協議については、同省の国別品目別輸出戦略に位置付けられた重点国・品目を中心に加速させることを確認した。政府は20年までに輸出額を1兆円に増やす目標を立てており、輸出の壁になっている検疫問題の解決が課題だ。会議では、これまでの検疫協議で米国向け温州ミカンやオーストラリア向けブドウ、欧州連合(EU)やインドネシア向け牛肉の輸出が解禁されたと報告。今後はタイ向けかんきつ類、ベトナム向けリンゴ、台湾やオーストラリア 向け牛肉などについて 積極的に検疫協議を進めることを確認した。この他、宮崎、山口両県で鳥インフルエンザが発生したことを受けて、同病のまん延を防止するために、香港やシンガポールなど各国が、発生県や日本全体からの家きん肉・卵の輸入を停止しているとの報告があった。日本はこうした国との検疫協議を行い、輸出再開を目指している。同本部では、政府・与党の「農林水産業・地域の活力創造プラン」を実行に移して、農家所得を向上させる具体策を検討する。本部長を務める西川公也農相は、同日の会議で「それぞれの品目や分野が持つ課題をしっかり議論し、課題解決に向けた施策を整理した上で、農業者の 皆さんに分かる言葉で伝えてほしい」と出席した省幹部に呼び掛けた。

*6-2:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=31789
(日本農業新聞 2015/1/26) 米輸入拡大を 調製品含め20万トン規模 TPPで米国
 環太平洋連携協定(TPP)交渉の日米協議で、米側が同国産米の輸入拡大を20万トン規模で求めていることが分かった。日本は拒否しているが、国内需給への影響を抑えることを前提に、一定量の輸入を増やす案も検討しているもようだ。だが、米は数万トン程度の需給緩和でも大きく値下がりする。政府には国会決議を踏まえた交渉が強く求められる。米側は、昨年11月にオバマ大統領が安倍晋三首相に輸入拡大を直接求めるなど、米に強い関心を示し続けている。日本は現在、年間77万トンのミニマムアクセス(最低輸入機会=MA)米のうち、36万トン程度を米国から既に輸入している。だが交渉筋によると、米国は売買同時入札方式(SBS)で輸入する主食用米を中心に、調製品なども含め 20万トン規模の輸入拡大を要求。日本側は「法外な水準」(政府関係者)として拒否し、(1)国内で主食 用米の生産調整を行っている(2)生産数量目標は 減り続けている――ことなどを説明して理解を求めている。ただ政府内では、譲歩案も検討している。主食用米の需給への影響を抑える措置を前提に、数万トン程度の受け 入れが可能か探っているもようだ。牛肉や豚肉をはじめ他の重要品目の関税率とセーフガード(緊急輸入制限措置)、自動車の安全基準や自動車部品の関税といった要素と合わせ、米側と交渉を続けている。


PS(2015.2.10追加):*7のように、2014年の農林水産物輸出額(速報値)が前年比11・1%増の6117億円となったというように、農林水産物の輸出が過去最高を更新できたのは、時系列から見ても明らかに、全中の力を弱めることが目的の農協改革があったからではなく、これまで農協が農産品の品質を管理して「日本産農産物」の安全性と質の高さをブランド化してきたからであり、これに大きく水を差したのが、フクシマ原発事故による放射性物質汚染であったという事実を決して忘れてはならない。ちなみに、私も外国産の牛肉を買う時は、原発がなく、BSEが発生したこともないオーストラリア産にしている。
 また、「農産物の輸出=和食の優秀さ」というのも日本人独特の島国根性的な自意識過剰であり、有明海で邪魔ものにしていた「くらげ」も、干クラゲにして中国に輸出することにより立派に稼いでいる。つまり、和食だけではなく、相手国の食生活に合った食品の生産も可能であり、これも輸出に貢献するのだ。

*7:http://qbiz.jp/article/55605/1/
(西日本新聞 2015年2月10日) 農林水産輸出が最高更新、14年 初の6千億円台、輸入規制緩み
 農林水産省が10日発表した2014年の農林水産物の輸出額(速報値)は、前年比11・1%増の6117億円となった。過去最高だった13年の5505億円を上回り、初めて6千億円台に達した。円安の影響や海外での和食ブームに加え、東京電力福島第1原発事故後に各国で導入された日本産食品の輸入規制が徐々に緩和、撤廃されたことも貢献した。安倍政権は、農林水産物の輸出額を20年までに1兆円にする目標を掲げており、農協改革などと一体で国内農家の競争力を強化していく方針だ。原発事故後、放射性物質による汚染を懸念し、50カ国・地域以上が日本産食品に対する規制を強化。11年の輸出額は前年比8・3%減の4511億円に落ち込み、12年も4497億円だった。その後、日本の要請に応じて、オーストラリアが輸入規制を撤廃するなど規制緩和の動きが拡大。円安で日本産食品の割安感が強まったこともあり、輸出額は13年から増加に転じた。14年の輸出額の内訳は、農産物が13・8%増の3570億円、木材などの林産物が38・5%増の211億円、水産物は5・4%増の2337億円だった。国・地域別では、中国やカナダ、米国、欧州連合(EU)向けが大幅に増加。リンゴや牛肉、緑茶、真珠などが引き続き好調だった。中国などで需要がある丸太は約2・2倍と大きく伸びた。加工品も集計対象に含まれており、14年は和食を象徴するみそやしょうゆも増加。EUで日本産の人気が高まっているウイスキーは47・0%増だった。農水省は、官民のPR活動で和食が海外メディアで取り上げられる機会が増えたことも貢献したとみており「円安の影響だけでなく、日本産食品への実需が高まった」と分析している。

| 農林漁業::2014.8~2015.10 | 05:33 PM | comments (x) | trackback (x) |
2015.2.3 農協改革のうち、JA全中による監査権の廃止は、必要か? (2015.2.4に追加あり)
       
           *2-1         *2-3
2015.1.31  2015.1.21       2015.1.26       2015.1.19
日本農業新聞  日経新聞      日本農業新聞      日本農業新聞

(1)現在の農協中央会の監査について
 *3-1に、「①中央会監査制度は、農協法第73条の22、第37条の2の規定等に基づき、1052年(昭和29年)の農協法改正による中央会設立以来実施している監査で、農業協同組合監査士を中心として実施しており、公認会計士等も従事していた」「②1996年(平成8年)の農協法改正で農協中央会の決算監査が導入され、平成14年にJA全国監査機構が設立され、都道府県中央会と全中の監査事業を統合して全JAを毎年監査する体制を整えた」と記載されている。

 また、*3-2の農協法には、「JA全国監査機構が農協の監査を行う」と規定されており、これが、現在の農協監査だ。

(2)全中監査廃止論について
 *2-1、*2-2のように、政府内で単位JAに対する全中監査の廃止案が出ており、西川農相も全中監査を公認会計士による監査にすべきだとの方針を示しているが、これに対し、JA全中の萬歳会長は、「①2007年には当時の若林農相が、全中監査は有効に機能し、公認会計士監査と置き換えられないと評価した」「②(全中)監査の廃止が農家所得の増大にどのような関連があるのか理解しかねる」と疑問を呈し、全中監査の維持と中央会の農協法上への位置付けを求めており、私も、変更方針を示すのなら、「変更により、誰にとって、何故、よりよくなるのか」という根拠を示す必要があると考える。

 そして、私は、1996年の農協法改正による農協中央会の決算監査は、JA全国監査機構という組織を設立して行うよりも監査法人が監査した方がよかったとは思うものの、1996年の改正で農協組織はかなり現代的なものになったと認識している。ただ、農協のみを監査するJA全国監査機構が、農協から完全な独立性を保ち、マンネリ化しないで監査を続けることができるか否かについては疑問があるが、この点は、会計検査院による国の監査と同程度だ。

 しかし、*2-2で、「①公認会計士による監査に移行すれば、JAの経営改善に役立つ業務監査の機能を失う」「②さまざまな業務に関する知識に加え、協同組合を熟知している人による監査が欠かせない」と言われている点については、①については、公認会計士監査だけでは確かに業務監査は行わないため、監査役監査や内部監査のようなスタンスでJA全国監査機構による監査も残すべきだと思うが、公認会計士は銀行、生保、製造業など多業種の監査を行っており、その業種を熟知した人が監査担当者になり、その人は同業他社の状況も知っているため、同業種を横に比較した有益なアドバイスもできるという理由で、公認会計士監査も入れた方が有益だと、私は考える。

 また、②については、公認会計士は、社会福祉法人、学校法人等の監査も行っており、農協監査をするからには、(いろいろな形で)協同組合や農業に関する知識を得て監査するため、心配はいらない。

 しかし、私は、*2-2、*2-4に書かれているとおり、農業者の所得向上や地方創生に、JAは大きな役割を果たしているため、JAを弱くしたり、壊滅させたりすることが目的の変更は、決してすべきではないと考えている。

 このような中、*2-3に、「農水省はJA全中による単位JAの監査を廃止する意味を説明できず、改革ありきの改悪になりそうだ」と記載されているが、本当によい改革にするには、JA全国監査機構の組織を簡素化して監査を残した上で、公認会計士監査を入れるのがよいと、私は考える。何故なら、全中の監査部門(JA全国監査機構)には内部監査や業務監査をさせ、外部監査として公認会計士監査を導入すれば、今までの業務監査は十分に行われた上、独立した第三者による監査もできるからである。

 私は、これにより農協の会計制度を一般会社並みにして組合員のリスクを抑え、同業他社と比較した有益なアドバイスにより農家の所得向上を図ることができると考える。また、JA全中は「公認会計士が中山間地や離島などに足を運んでまで監査をするのか」と疑問視したそうだが、公認会計士は適正意見を出せるようにするために批判的機能だけではなく指導的機能も重視しており、必要なら離島や山間部はおろか外国にでも行き、大企業並みの質の高い監査をすることができるということを述べておきたい。

(3)その他の変革について
 *1-1のように、「①全国農業協同組合連合会(JA全農)を株式会社に転換することを可能とする」「②准組合員の利用規制」は、 ①については、農協がやりやすく組合員の意欲と所得が上がる方法を選択できるようにするのが筋であって、決して株式会社化が目的であってはならない。

 また、②については、准組合員も農協に貢献している以上、農協は、準組合員から見放されては、地方創生の核になるどころか、やっていけなくなる。そのため、農業の現状を知らず、農業が衰退しても責任をとるつもりのない外部が口出しすべきではない。

 なお、*1-2、*1-3を見ると、この農協改革法案の目的は、全国の農協を指導・監査する全国農業協同組合中央会(JA全中)の権限を縮小することのようだが、そのようなよこしまな理由の改革(改悪)は行うべきではない。また、農業主体は、経団連の構成企業と異なり、農協のリーダーシップで生産や品質管理等の面で助けられていることが多く、農産物の価格やサービス、流通経路は既に自由に競い合っているため、“改革”を提唱している人の事実認識の方が、20年も時代遅れで支離滅裂なのである。

(4)自己改革が重要
 (1)(2)(3)に書いた理由で、農協改革は、日本の質の高い農業を伸ばすというスタンスの人のアドバイスを受けながら、現状を知っている農協が主体になって行うのがよいと考える。

*1-1:http://qbiz.jp/article/54793/1/
(西日本新聞 2015年1月29日) 農協改革の骨格、来週決着へ 政府・自民党、議論大詰め
 政府と自民党は農協改革の骨格に関して、来週中の決着を目指していることが29日、分かった。2月12日に予定している安倍晋三首相の施政方針演説に反映させたい考えで、同月6日に演説内容を閣議決定する必要があるためだ。農協改革をめぐる議論は大詰めに入る。農林水産省は30日に自民党の農協改革会合で、全国農業協同組合連合会(JA全農)を株式会社に転換することを可能とする規定など、議論が収束しつつある項目について法案に盛り込む方針を説明する。一方、全国農業協同組合中央会(JA全中)の在り方や、農家以外でも農協事業を利用できる准組合員の利用規制といった賛否が割れている論点に関しては、方向性を明確にしない見通し。今後、自民党内の議論を見極めながら案を示す。自民党が29日に開いた会合では、これまでの与党の議論とJAグループの意見を整理した。JA全中の在り方と准組合員の利用規制で考え方に開きがあるとして、今後、重点的に議論をする見通しとなった。公明党も29日、農林水産部会を開催。農協監査を公認会計士監査へ移行する政府方針に関して意見聴取した。JA全中は「公認会計士よりJA全中のほうがふさわしい」と主張した。会合後、石田祝稔部会長は「公認会計士が中山間地や離島などに足を運んでまで監査をするのか」と記者団に語り慎重な検討を求めた。有村治子規制改革担当相は29日、皆川芳嗣農水次官を大臣室に呼び「規制改革会議による提言の趣旨が最大限発揮されるよう努力してほしい」と要請した。規制改革会議は昨年11月、JA全中を一般社団法人に移行することなどを求めた。

*1-2:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20150121&ng=DGKKASFS20H2A_Q5A120C1PP8000 (日経新聞 2015.1.21) 農協改革法案の議論に着手 「JA全中縮小」で攻防 自民作業部会が初会合
 自民党は20日、安倍晋三首相が掲げる農業協同組合(農協)改革の法案を検討する作業部会の初会合を開いた。最大の焦点は全国の農協を指導・監査する全国農業協同組合中央会(JA全中)の権限縮小。与党内には統一地方選を前に農業票離れを懸念する慎重論が根強い。同部会がまとめる骨格をもとに政府は関連法案を作成し、3月までの国会提出を目指す。自民党本部で開いた初会合には100人以上の党所属議員が出席し、JA全中の改革案に反対意見が相次いだ。22日にはJA全中を呼んで意見を聴取し、早期に党の意見のとりまとめに入る。「農協には地方創生の核になってもらわないといけない」。稲田朋美政調会長は20日、党本部での役員連絡会で強調した。同氏は「このままでは大切な農業が衰退する」と主張する首相と歩調を合わせる改革推進派だ。JAの組織見直しを通じて農業を成長産業へてこ入れしたい思いがある。稲田氏が特に関心を寄せるのが、JA全中による強制的な監査権の廃止だ。JA全中を経団連などと同じ一般社団法人と位置づけ、地域農協の自主性を高める。農協や農家が農産物の価格やサービス、流通経路を自由に競い合えるようになる。地方選出議員ら慎重派はJA全中の縮小に反発する。作業部会では「監査をなくせばどうして農家が良くなるか説明できていない」など批判が噴出。「農協法で位置づけるべきだ」と一般社団法人化に反対する意見が出た。「地方の切り捨てにつながる。地方創生に逆行する」との声もあった。懸念するのは春の統一地方選や来夏の参院選での農業票離れだ。11日の佐賀県知事選では農協改革も争点となり、農協が支援する候補に与党推薦候補が敗北した。一方、官邸は農業政策を岩盤規制と位置づけ、首相も「抵抗勢力との対決」の構図を打ち出している。

*1-3:http://www.nikkei.com/paper/related-article/tc/?b=20150124&bu=BFBD (日経新聞 2015.1.24) 農協改革法案の議論に着手 「JA全中縮小」で攻防 自民作業部会が初会合
 自民党は20日、安倍晋三首相が掲げる農業協同組合(農協)改革の法案を検討する作業部会の初会合を開いた。最大の焦点は全国の農協を指導・監査する全国農業協同組合中央会(JA全中)の権限縮小。与党内には統一地方選を前に農業票離れを懸念する慎重論が根強い。同部会がまとめる骨格をもとに政府は関連法案を作成し、3月までの国会提出を目指す。自民党本部で開いた初会合には100人以上の党所属議員が出席し、JA全中の改革案に反対意見が相次いだ。22日にはJA全中を呼んで意見を聴取し、早期に党の意見のとりまとめに入る。「農協には地方創生の核になってもらわないといけない」。稲田朋美政調会長は20日、党本部での役員連絡会で強調した。同氏は「このままでは大切な農業が衰退する」と主張する首相と歩調を合わせる改革推進派だ。JAの組織見直しを通じて農業を成長産業へてこ入れしたい思いがある。稲田氏が特に関心を寄せるのが、JA全中による強制的な監査権の廃止だ。JA全中を経団連などと同じ一般社団法人と位置づけ、地域農協の自主性を高める。農協や農家が農産物の価格やサービス、流通経路を自由に競い合えるようになる。地方選出議員ら慎重派はJA全中の縮小に反発する。作業部会では「監査をなくせばどうして農家が良くなるか説明できていない」など批判が噴出。「農協法で位置づけるべきだ」と一般社団法人化に反対する意見が出た。「地方の切り捨てにつながる。地方創生に逆行する」との声もあった。懸念するのは春の統一地方選や来夏の参院選での農業票離れだ。11日の佐賀県知事選では農協改革も争点となり、農協が支援する候補に与党推薦候補が敗北した。一方、官邸は農業政策を岩盤規制と位置づけ、首相も「抵抗勢力との対決」の構図を打ち出している。

<自己改革が必要>
*2-1:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=31654
(日本農業新聞 2015/1/16) 自己改革実現求める 監査廃止論で全中会長
 JA全中の萬歳章会長は15日の記者会見で、政府内で単位JAに対する全中監査の廃止案が出ていることについて、「JAグループでは混乱している」と懸念を示した。自民党が 衆院選の公約で農協改革について「議論を深める」としていることから、JAグループがまとめた 自己改革の実現へ、同党への働き掛けを強める考えも示した。西川公也農相は9日の記者会見で、全中監査を公認会計士による監査にすべきだとの方針を示している。一方で萬歳会長は、2007年には当時の若林正俊農相が、全中監査は有効に機能し、公認会計士監査と置き換えられないなどと評価してきた経緯を説明。政府の評価が急 激に変わったことに、不信感を示した。また、西川農相が農協改革の目的に農家の所得増大を掲げていることを指摘。「(全中)監査の廃止が農家所得の増大にどのような関連があるのか理解しかねるとの声がJA現場にはある」と疑問を呈した。JAグループは昨年11月にまとめた自己改革で、全中監査の維持に向け中央会を農協法上に位置付けることを求めている。自民党は農協法改正案の骨格を2月上旬にもまとめることを目指し、来週から議論を本格化させる。萬歳会長は「理解を得られるよう最大の努力をしていく」と述べた。萬歳会長はまた「政府が掲げる地方創生には、地域インフラとしてのJAの機能を最大限活用することが必要だ」と指摘。准組合員を農業や地域を支えるパートナーとして積極的に位置付け、JAが総合事業を展開する必要性を訴えた。

*2-2:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=31705 (日本農業新聞 2015/1/20) 監査 事業熟知が欠かせぬ 全中の指摘有益 群馬・JA佐波伊勢崎
 農協改革をめぐる与党内の議論が今週から本格化する。政府は「農業の成長産業化」を改革の目的に掲げるが、その実現に向かっていくのか疑問視する声がJAから上がっている。JA事業の発展に結び付く改革には、どんな視点が必要なのか、現場の取り組みを通じて報告する。農協改革の焦点として浮上する監査制度の問題に対し、JA全中(JA全国監査機構)による監査の重要性を訴える声は多い。公認会計士による監査に移行すれば、JAの経営改善に役立つ業務監査の機能を失うからだ。「さまざまな業務に関する知識に加え、協同組合を熟知している人による監査が欠かせない」。群馬県のJA佐波伊勢崎の小内敏晴統括常務は、全中監査を支持する。監査におけるヒアリングや講評などは「JA経営の参考になり、安定した経営ができる」(小内統括常務)というのが理由だ。全中監査は農協法に基づくもので、会計監査に加え、日常の業務が正しく行われているか点検する業務監査を行う。JAは、市場出荷に加え、北関東で最大級の規模を誇る「からかーぜ」をはじめとしたJA農畜産物直売所を通じ、消費者に安全・安心な農畜産物を提供している。農産物の生産履歴記帳推進と適正農薬使用運動に取り組む。トレーサビリティー(生産流通履歴を追跡する仕組み)システムも活用。農家組合員のために営農指導を展開する。業務監査は不祥事防止、人事ローテーション、営農指導日誌の確認、農薬の取り扱いなどJA事業全般を法令や定款、諸規則に照らしてみる。農業の全体的な環境を把握し、協同組合原則なども踏まえ、JAがどう事業運営しているかを確認するものだ。JAが協同組合として運営されているかも点検するため、全国監査機構群馬県監査部は「組合員が座談会や支所運営委員会などで挙げた意見をJAの理事会に報告し、JAの事業活動につなげているかを確認する」と説明する。農業者の所得向上や地域コミュニティー維持のため、JAは適正規模での農地集積、地場産を販売する直売所に力を入れる。地域のニーズに応える葬祭場の運営も、大きな役割を果たしている。国際協同組合同盟(ICA)のバンセル理事は昨年秋、日本政府の規制改革の動きを懸念して来日し、同JAを訪れた。その際、バンセル理事は「葬祭事業は単なるビジネスではない。多くの協同組合は葬祭事業を行っている。直売所とともに、『地域へのかかわり』という協同組合原則の実践を感じた」と述べている。同JAは、県中央会が開く専門知識取得や人材育成などの研修に職員を積極的に参加させている。外部コンサルタントを活用するより費用が抑えられる。こうした機能は組合員や地域のために有益だとJAは認める。一方で、監査の結果、JAに課題が見つかれば中央会から改善を求められる。ただ、それは政府などが言うようなJAの活動を阻害するものではない。「経営方針を判断するのは実務者であるJAだからだ」。小内統括常務は、そう断言する。

*2-3:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=31779
(日本農業新聞 2015/1/26) 農協改革 ヤマ場の議論へ 説明一貫せず 監査で農水省
 政府・与党の農協改革をめぐる議論は、今週後半に農水省が農協法改正案の検討状況を示し、ヤマ場を迎える。焦点はJA全中による単位JAの監査。政府は廃止を検討するが、改革の目的である農家の所得向上との関連性は明確に説明できていない。改革ありきの改悪にならないか――。慎重な検討が求められる。農水省は30日にも、自民党農協改革等法案検討プロジェクトチーム(PT、吉川貴盛座長)に農協法改正案の検討状況を示す。政府は3月中に同案を通常国会に提出し、「改革断行国会」(安倍晋三首相)の象徴としたい考え。このため2月上旬には法案の骨格を固める方針で、ごく短時間で決着を図る恐れがある。政府は昨年6月の与党取りまとめで「農協系統組織内での検討も踏まえて」結論を得るとした中央会制度の在り方をめぐり、(1)全中による単位JAへの監査の義務付け廃止(2)公認会計士監査の導入(3)全中の監査部門(JA全国監査機構)の独立――などを検討する。だがこれまでの与党内の議論では慎重論が続出。特に、「農家の所得向上にどうつながるのか」と疑問視する意見が多い。これに対し、政府の答弁はあいまいで一貫しない。西川公也農相は13日の衆院農林水産委員会で「(全中監査の廃止で)自由度を高めていかないと(所得を)上げようがない」、16日の記者会見では「(公認会計士監査導入で)経営の自由度を高める」と述べ、「全中監査がJAの自由度を縛る」との見解だった。だがJAグループなどが「そんな実態はない」と指摘すると政府は答弁を転換。菅義偉官房長官は20日に「(全中監査の)結果として、農協役員に経営者としての自覚、責任感が薄くなりがちだ」と述べた。「中央会におんぶに抱っこになっているからJAが育たない」(政府関係者)との理屈に変わったのだ。ただ、この答弁にも「監査は経営者としての自覚や責任感を高めるために行うもの」(自民党農林幹部)など、批判が出る。同党PTの議論では、JA組合長経験者らから「現行の全中監査を受けていても、先進的な取り組みは可能だ」との意見も相次いだ。与党内には「改革が必要な理由を説明できないと、現場で機能しない」(別の自民党農林幹部)との指摘もある。西川農相は23日の記者会見で「与党の議論を待ち、よく相談しながら進めていきたい」と述べており、政府・与党間での丁寧な調整が求められる。

*2-4:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=31857 [農協改革 首長に聞く 4] 地方創生つながらぬ 農家、地域住民 利便性が低下 茨城県行方市長 鈴木周也氏 (日本農業新聞 2015/1/30)
 JAは地域に根差し、総合事業で地域を守っている。農協改革の議論は、協同組合のあるべ き姿を根底から崩すものだ。政府が訴える「地方創生」につながるのかという点でも疑問がある。地域の声を置き去りにした金融、共済部門の分離議論などは時期尚早だ。中央会の監査は会計だけでなく、農業経営など業務も監査、指導する。合理性を追求する株式会社の公認会計士監査とは相い れない。中央会の意義や監査制度などは、時代に合わせて変えていく必要はある。しかし、地域の人々が置き去りにされ、損をするような改革であってはならない。そのためにも、中央会にはJAや連 合会への情報提供や支援を強化してほしい。地方でも兼業農家やサラリーマンが増えている。それに伴う准組合員の増加は、必然的なもの。農家以外の地域住民にとって、JAが提供するさまざまなサービスは、今や日常生活に欠かせない。こうした事業形態を脅かすようなことがあってはならない。JAにはぜひ農家や地域のための組織であり続けてもらいたい。信用、共済事業も分離する意味がどこにあるのか理解できない。以前、JA共済連茨城に勤務していた経験から考えても、JAが農家の生活プランニングを提案するためには収入や経営リスクのバランスなど、総合的に考える必要がある。政府が進める農協改革は、JAから総合性を奪うだけであり、農家、地域住民の利便性が下がるのではないか心配だ。地方では産業といえば農業。地域活性化、地方創生の鍵は農業であり、それを担うのがJAや農業法人だ。行方市も農業に頼っており、企業との連携、市外消費者へのPR、農作物の高付加価値化による農家所得向上が重要となっている。改革は、地方がそれぞれのやり方で進めていくべきものだ。地元のJAなめがたは、サツマイモの加工品などを全国展開する会社と協力し、加工施設を造るなど6次産業化を進めている。JA青年部による異業種との人的交流も盛んで生産・販売力の強化に力を注いでいる。今後、JA青年部や女性部などが独自の目線で情報発信することが、地域活性化には必要となる。JAはもっと過疎集落などに目を向け、営農、金融、共済の総合事業の強みを柔軟に活用し、地域活性化につなげてほしい。JAの可能性はまだまだ大きい。市としてもJAと協力し、地域活性化に取り組みたい。
<プロフィル> すずき・しゅうや
 1971年行方市生まれ。東京農業大学卒業後、94年から2011年までJA共済連茨城に勤務。野菜などの食品加工業を営む傍ら、11年に行方市議会議員。13年から現職。

<農協法について>
*3-1:http://www.zenchu-ja.or.jp/kansakikou/audit.html
(要点のみ)中央会監査制度・農業協同組合監査士とは
■農業協同組合中央会監査制度とは
農業協同組合法第73条の22、同第37条の2の規定等に基づく監査で、昭和29年の農業協同組合法改正による農業協同組合中央会設立以来、実施しています。その監査は、国家資格である「農業協同組合監査士」を中心として実施しており、公認会計士等も従事しています。中央会は個々の農業協同組合から独立した別法人であり、中央会監査は外部監査に分類することができますが、財務諸表等証明監査だけでなく、指導監査(業務運営監査)も実施しています。 また、中央会監査制度は、協同組合運動の盛んな諸国にしばしば見られる制度であり、日本の中央会監査制度もドイツの制度に学んだものです。
■農業協同組合監査士とは
農業協同組合監査士とは、農業協同組合法第73条の38により定められた資格で、中央会が組合の監査を実施するために置かなければならないとされています。農業協同組合監査士は、5科目の学科試験(監査論・会計学・簿記・農協制度(農協法・農業協同組合論)・関係法(法人税法・民法))に合格し、1年間の監査実務経験に加えて、所定の講習や論文試験、2年間の組合指導等の実務経験の条件を満たした後に選任されます。農業協同組合監査士は、農協界において農協会計・農協法の専門家として認知されており、広く社会で活躍しています。
■再興期:昭和29年~
戦後発足したばかりの農協は、政府のインフレ抑制政策(ドッジ・ライン)で生じたデフレ不況によりたちまち経営困難に陥り、農林漁業協同組合再建整備法に基づいて政府の援助を受けて経営再建をすすめることになります。この様な中で、強力な指導組織の確立が要請され、昭和29年農協法の改正により、農業協同組合中央会が設立され、監査事業の実施が法律に定められます。現在の農協中央会監査制度のはじまりです。農業協同組合監査士もこの時法律で定められます。この後、都道府県中央会は単位農協、全中は連合会、という分担で監査事業が進められます。監査体制は当初は弱体でしたが、次第に整備が進み、年間に全体の30%程度の組合の監査を実施するようになります。
■変革期:平成元年~
これまでの中央会監査は、会計監査を中心としながらも、指導監査であり、監事監査機能の補完的な側面を強く持っていましたが、平成元年には農林水産省経済局長通達により、信用事業を行う組合の決算証明監査を開始します。さらに、平成8年には農協法改正により法律に基づく財務諸表等証明監査を実施することとなる等、中央会監査の公共性は高まり、またその性質を大きく変えることになります。こうしたなか、中央会監査の体制強化・質的向上を図るために、平成14年にはJA全国監査機構を設立し、都道府県中央会と全中の監査事業を統合し、総合JAについては全JAを毎年監査する体制を整えるに至ります。

*3-2:http://www.houko.com/00/01/S22/132.HTM#s3.2
(農業協同組合法 要点のみ)
第37条の2 次に掲げる組合(政令で定める規模に達しない組合を除く。以下この条及び次条において「特定組合」という。)は、第36条第2項の規定により作成したものについて、監事の監査のほか、農林水産省令で定めるところにより、全国農業協同組合中央会(以下この条及び次条において「全国中央会」という。)の監査を受けなければならない。この場合において、監査を行う全国中央会は、農林水産省令で定めるところにより、監査報告を作成しなければならない。
一 第10条第1項第3号の事業を行う農業協同組合
二 農業協同組合連合会【令】第2条の4
【則】第153条
《全改》平17法0872 特定組合の監事は、全国中央会に対して、その監査報告につき説明を求めることができる。《全改》平17法0873 全国中央会は、第1項の監査について任務を怠つたときは、特定組合に対し、これによつて生じた損害を賠償する責任を負う。《全改》平17法0874 全国中央会が第1項の監査に関する職務を行うについて悪意又は重大な過失があつたときは、全国中央会は、これによつて第三者に生じた損害を賠償する責任を負う。《全改》平17法0875 全国中央会が、監査報告に記載し、又は記録すべき重要な事項について虚偽の記載又は記録をしたときも、前項と同様とする。ただし、当該全国中央会が当該記載又は記録をすることについて注意を怠らなかつたことを証明したときは、この限りでない。《全改》平17法0876 全国中央会が特定組合又は第三者に生じた損害を賠償する責任を負う場合において、特定組合の役員も当該損害を賠償する責任を負うときは、これらの者は、連帯債務者とする。《全改》平17法0877 第1項の監査を行う全国中央会については、第35条の5第2項並びに会社法第381条第3項及び第4項、第397条第1項及び第2項、第398条第1項及び第2項並びに第7編第2章第2節(第847条第2項、第849条第2項第2号及び第5項、第850条第4項並びに第851条を除く。)の規定を、特定組合については、同法第439条の規定を準用する。この場合において、同法第381条第3項及び第4項中「子会社」とあるのは「子会社等(農業協同組合法第93条第2項に規定する子会社等をいう。)」と、同法第397条第1項中「取締役」とあるのは「理事又は経営管理委員」と、同法第398条第1項中「第396条第1項に規定する書類」とあるのは「農業協同組合法第36条第2項の規定により作成したもの」と、同法第439条中「第436条第3項の承認を受けた計算書類」とあるのは「農業協同組合法第36条第6項の承認を受けた貸借対照表、損益計算書その他農業協同組合又は農業協同組合連合会の財産及び損益の状況を示すために必要かつ適当なものとして農林水産省令で定めるもの」と、「法務省令」とあるのは「農林水産省令」と、「前条第2項」とあるのは「同法第44条第1項」と、同法第847条第1項及び第4項中「法務省令」とあるのは「農林水産省令」と読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。
第73条の38 第73条の22第1項第2号の事業を行う中央会には、組合の監査に当たらせるため、農業協同組合監査士を置かなければならない。《改正》平13法0942 農業協同組合監査士は、農林水産省令で定める資格を有する者のうちから選任しなければならない。【則】第222条
《改正》平9法1023 農業協同組合監査士の選任及び解任は、会長が副会長及び過半数の理事の同意を得てこれを決する。4 第1項の中央会は、その行う組合の監査に関し公認会計士又は監査法人が公認会計士法(昭和23年法律第103号)第2条第1項又は第2項の業務を行う旨の契約を、公認会計士又は監査法人と締結しなければならない。
第73条の22 中央会は、その目的を達成するため、次に掲げる事業を行う。
一 組合の組織、事業及び経営の指導
二 組合の監査
三 組合に関する教育及び情報の提供
四 組合の連絡及び組合に関する紛争の調停
五 組合に関する調査及び研究
六 前各号の事業のほか、中央会の目的を達成するために必要な事業《改正》平13法0942 中央会は、組合に関する事項について、行政庁に建議することができる。3 中央会は、組合の定款について、模範定款例を定めることができる。


PS(2015.2.4追加):JA全中による単位JAの監査制度については、*4のように、①監査の「選択制」 ②全中の監査部門であるJA全国監査機構の分離・独立 が議論されているそうだ。①のケースは、地域農協がある程度以上の規模でなければ高くつくが、地域によって異なる地形や気候を反映した生産物に応じた多様なアドバイスを公認会計士から受けることができ、その後、農協間で情報交換できるメリットがある。②のケースは、JA全国監査機構が監査法人として独立し、これまでと同じような監査を行うことになるだろう。しかし、農協の力を弱めたり、解体したりするためというような不純な動機で行う変更は、改革ではなく改悪であり、決してやってはならないことである。

*4:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=31912
(日本農業新聞 2015/2/3)農協改革 監査分離の影響検討 6日まで協議詰め 政府、自民
 政府、自民党は2日、大詰めを迎えている農協法改正に向けた議論を続けた。同党農林幹部らで、JA全中による単位JAの監査制度について集中的に協議。監査の「選択制」や、全中の監査部門であるJA全国監査機構を分離・独立させた場合の影響も含め、さまざまな可能性を慎重に探ったもようだ。これまでの同党農協改革等法案検討プロジェクトチーム(PT、吉川貴盛座長)の議論では(1)監査を含むJA中央会の事業(2)中央会制度の在り方(3)准組合員の事業利用規制の是非――をめぐって調整が難航。同日は1日に引き続き、吉川座長や林芳正農林水産戦略調査会長ら一部の農林幹部による「インナー会議」で、農水省幹部を交えて課題を検討した。関係者によると、同日は監査制度について集中的に議論した。「監査を含め、中央会が行う事業を固めないと、中央会制度の在り方の議論には入れない」(同党農林幹部)ためだ。党内議論や西川公也農相の考えなどを受け、全中監査と公認会計士監査の「選択制」や、JA全国監査機構を監査法人として独立させた場合の影響なども検討したという。インナー会議は3日以降も連日開き、詰めの議論を行う。政府、自民党は、安倍晋三首相が12日に行う予定の施政方針演説に農協改革の方向性を反映するため、同演説を閣議で決める6日までの決着を目指している。

| 農林漁業::2014.8~2015.10 | 05:22 PM | comments (x) | trackback (x) |

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