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2016.7.28 医療・介護に関する政府・行政・メディアが作りあげた誤った論理を鵜呑みにしたのが、植松容疑者が障害者を刺殺した動機だろう (2016年7月30、31日、2016年9月16、23、25日に追加あり)
(1)精神障害者差別の根源は刑法39条であること
 厚労省は、*1-3のように、相模原市の障害者施設で起きた殺傷事件を受け、再発防止のために措置入院のあり方を見直す有識者会議を設置し、措置入院を解除した患者を継続的に支援(?)する体制を作るとのことだ。そして、その内容は、入院解除の判断や解除後の警察との連携などのフォローアップ体制に関する法改正やガイドラインづくりで、対応がいやに速やかである。

 しかし、忘れてならないのは、精神病院は精神障害者を治療する場所であって拘置所でも監獄でもないため、大量殺人(テロ?)に手を染めそうな人を精神障害者として精神科医が監視するのは無理があるということだ。アメリカでは、精神障害者のふりをして罪を免れて精神病院に行った人の話が、1975年に「カッコーの巣の上で」という映画になっており、深い映画であるため見ることをお勧めする。

 また、日本で悪質な殺人事件が起こるたびに、「犯人は精神障害者だった」とされる理由は、*1-4のように、刑法が39条で「心神喪失者の行為は、罰しない」「心神耗弱者の行為は、その刑を減軽する」と定めており、罰の軽減を図って犯罪時に「心神喪失だった」「心神耗弱だった」とワンパターンの弁護を行うからである。もちろん、人を殺す時の精神状態は正常ではないのかもしれないが、それをすべて責任能力がないため罰っせられないとする心神喪失や罪が軽減される心神耗弱に当たるとすれば、罰せられる人はいなくなる。

 そして、このような理由で精神障害者と認定された人を除けば、実際に精神障害者が殺人を犯す割合は、一般の人が殺人を犯す割合より低いと言われている。

 にもかかわらず、これらの対応の結果、*1-5のように、「刑法39条の精神疾患が有る人は、人を殺しても罪に問われないと言う法律、これって可笑しくない?」「つまり獣に罰を与えても無駄でしょ!? って理屈な訳?」「刑罰が人以下で人権だけ主張されてもねぇ・・・」というイメージが一般の人について、刑法39条とメディアの報道の仕方が、本当の精神障害者に対する言われなき差別を作っているのである。

 また、その答えが、「もう大丈夫です。心神喪失者等医療観察法が制定されましたから」「人の形をした人ならざる者に人権は不要です。その事を国も認めました」「これで事実上一生監視下に置かれる事と成ります」というのもふるっている。

(2)それでは、植松容疑者の障害者刺殺の動機は何か
 障害者施設「津久井やまゆり園」で入所者19人を刺殺し、26人にけがをさせた事件で、*1-1のように、植松容疑者(26)の犯行は、「精神障害か」「違法薬物のせいか」とされている。

 しかし、植松容疑者は、2016年2月15日、衆議院議長公邸を訪ね、土下座で頼み込んだ上で大島理森議長にあてた今回の事件を示唆する内容の手紙を渡し、その手紙には「私は障害者総勢470名を抹殺することができる」と記していた。さらに、*1-2のように、「意思疎通ができない人たちをナイフで刺した」「障害者なんていなくなればいい」とも供述しており、殺人後の現在は、「遺族の方には、突然のお別れをさせるようになってしまって心から謝罪したい」と話しているが、被害者本人への謝罪は全くない。つまり、普段から障害者を自分と同じ人間と見ておらず、この世に存在してはならないもののように考えていた確信犯であることがわかる。

 「車イスに一生縛られている気の毒な利用者も多く存在する」「私の目標は重複障害者の方が家庭内での生活、及び社会的活動が極めて困難な場合、保護者の同意を得て安楽死できる世界です」「重度障害者の大量殺人は、日本国の指示があればいつでも実行できる」などとも述べているが、これらは、植松容疑者の信念であり、大麻による薬物中毒や精神異常が原因ではないように見える。

(3)では、植松容疑者の信念はどうして作られたのか
 行政・メディアは、*2-1のように、「社会保障を軸に『岩盤歳出』に切り込め」として、①インフレ政策をとり ②消費税率を引き上げ ③高齢者に対する社会保障を中心とする歳出の削減・抑制をすべきだと連日訴えている。

 そして、その理由を、高齢化で膨らむ一方の社会保障費を“効率化”するため、ゆとりのある高齢者の自己負担を増やし給付を真に困っている高齢者に重点化して、子ども・子育て支援は充実するとしているが、このような政策を進めた結果、実際には年金生活者は財産権を侵害されて生活に困窮している人が多く、介護殺人も起こった。

 そのため、*2-1の論調の人は、植松容疑者のように刃物で高齢者を手にかけることはなかったが、間接的に殺人や泥棒をしたことになり、「社会保障費を“効率化”することだけが重要だ」というメッセージを流し続けてきた人は、若者に誤りを擦りこみ続けたのである。

 なお、*2-1に、2018年度の診療報酬と介護報酬の同時改定を待たずに、政府は17年度予算から歳出抑制の具体策を打ち出していくべきだとも書かれている。しかし、政府が診療報酬や介護報酬をカットし続けたことは、これらのサービスに従事している人たちに過度の労働を強いるなど多くの問題を引き起こしているとともに、本物のニーズ(需要)を削ってGDPを下げているのだ。

 また、*2-2のように、経産省は企業と連携して会社員の健康情報のデータベース化に向けた取り組みを強化するそうだが、最近の過度のデータ収集ではプライバシーの侵害になりそうである。

 さらに、*2-3のように、厚労省は、2018年度の介護保険制度改正に向けた本格的論議を開始し、日常生活で部分的な介助が必要な「要介護1、2」の認定者に対する掃除や調理、買い物など生活援助サービスの給付を減らす予定とのことだが、要介護度の低い人が自宅療養できるためには支援が必要であるため、生活援助サービスのカットは介護が必要な人やそれを支える家族の負担を重くする。

 最後に、介護保険制度ができた当時、年3兆6千億円だった介護給付費は現在10兆円を超えて、今後10年間は団塊の世代の高齢化が進んで給付費はさらに増大するとのことだが、それは当たり前であり、あらかじめわかっていたことだ。そして、多くの人が介護保険料を支払っていない現在、働く人すべてが介護保険料を支払う介護保険制度にすれば、それは解決できる筈である。

<“無駄”削減が本当の動機ではないのか>
*1-1:http://digital.asahi.com/articles/DA3S12483228.html
(朝日新聞 2016年7月28日) 手すりに複数職員縛る 議長宛て手紙通り 相模原19人刺殺
 相模原市緑区千木良(ちぎら)の障害者施設「津久井やまゆり園」で入所者19人が死亡し、26人がけがをした事件で、殺人などの容疑で送検された植松聖(さとし)容疑者(26)が、5人前後の職員を結束バンドで縛りつけたうえで入所者を襲っていたことが神奈川県警への取材でわかった。2月に衆院議長に宛てた手紙に記された「作戦」通りの内容で、県警は計画的に事件を起こしたとみて調べている。
■自宅に違法薬物か
 県警は27日、園近くの植松容疑者宅を捜索。植物片とみられるものが付着した容器を押収した。危険ドラッグや大麻などの違法薬物の疑いがあるとみて調べる。捜索では、事件について記したメモもあった。県警や県関係者によると、東棟1階から侵入した植松容疑者は、寝ていた入所者らを次々に刺した後に西棟1階に移動。居合わせた職員2人の指や腕をプラスチック製の結束バンドで縛り、手すりにつないで動けない状態にした。縛られた職員の一人は「殺されると思い、怖かった」と話しているという。ほかにも3人前後が結束バンドで縛られた。植松容疑者はさらに西棟の2階へ移動。居室を回り、約50分間で計45人を襲ったとみられている。植松容疑者は2月、大島理森衆院議長に宛てた手紙の中で、障害者施設で多数を殺害する「作戦内容」として、「見守り職員は結束バンドで身動き、外部との連絡をとれなくします」「職員は傷つけず、速やかに作戦を実行します」などと記していた。また、司法解剖の結果、遺体の致命傷は首や腹、背中など上半身に集中していた。施設内では血のついた2本の包丁が押収され、凶器とみられる刃物はこれで計5本となった。植松容疑者は「突然のお別れをさせるようになってしまって遺族の方には心から謝罪したい」と話しているという。園を運営する社会福祉法人かながわ共同会は27日に記者会見し、米山勝彦理事長は「尊い生命が失われ、強い怒り、憤り、悲しみを禁じ得ません。19人の方々が亡くなり、負傷者が出たことを心よりおわび申し上げます」と述べた。

*1-2:http://digital.asahi.com/articles/DA3S12481359.html (朝日新聞 2016年7月27日) 重度障害者、標的か 相模原19人刺殺、容疑者「意思疎通できぬ人刺した」
 相模原市緑区千木良(ちぎら)の障害者施設「津久井やまゆり園」で26日未明、刃物を持った男が入所者らを襲い、19人が死亡、26人がけがをした事件で、神奈川県警に殺人未遂などの容疑で逮捕された元職員の植松聖(さとし)容疑者(26)が、「意思の疎通ができない人たちをナイフで刺した」と供述していることが県警への取材でわかった。県警は植松容疑者が身勝手な動機から、重度の障害者を狙って事件を起こしたとみて調べる。県警は27日、容疑を殺人に切り替え、横浜地検に送検する。警察庁によると、平成元(1989)年以降、最も死者の数が多い殺人事件となった。消防や県などによると、亡くなったのはいずれも入所者で、41~67歳の男性9人と、19~70歳の女性10人。けが人のうち、重傷者が13人という。けが人には職員2人も含まれていた。植松容疑者の逮捕容疑は、26日午前2時ごろ、同園で入所者の女性(19)を刺して殺害しようとしたというもの。県警の調べに対して容疑を認め、「障害者なんていなくなればいい」とも話しているという。植松容疑者は東居住棟の1階東側の窓をハンマーで割って施設に侵入し、結束バンドを使って施設職員を拘束。所持していた包丁やナイフを使い、次々に入所者を刺したという。津久井署には午前3時ごろ1人で出頭。持参したかばんには、血が付いた刃物3本が入っていた。また、乗ってきた車の後部座席からは、少量の血液が付いた結束バンドも見つかった。同園は県が設置し、指定管理者である社会福祉法人かながわ共同会が運営。神奈川県北西部にあり、東京都や山梨県との境に近い。県などによると、知的障害者ら149人が長期で入所中。敷地は3万890平方メートル、建物は延べ床面積約1万1900平方メートル。2階建ての居住棟が東西に2棟あり、20人ずつが「ホーム」と呼ばれるエリアに分かれて暮らしていた。
■2月に施設退職
 捜査関係者によると、植松容疑者は今年2月15日、衆院議長公邸を訪ね、土下座で頼み込んだうえで大島理森議長にあてた手紙を渡していた。手紙は「私は障害者総勢470名を抹殺することができる」として、今回の事件を示唆するかのような内容だった。手紙は「標的」にやまゆり園を含む2施設を挙げ、「作戦」として、夜間に事件を起こすことや結束バンドで職員の動きを封じること、事件後は自首することなどを記していた。いずれも事件時の実際の行動と同様の内容だ。手紙では障害者について「車イスに一生縛られている気の毒な利用者も多く存在」するとし、「私の目標は(複数の障害がある)重複障害者の方が家庭内での生活、及び社会的活動が極めて困難な場合、保護者の同意を得て安楽死できる世界です」などと自分勝手な考えを示していた。神奈川県や相模原市によると、植松容疑者は2012年12月から同園に勤務していたが、今年2月18日、園の関係者に「重度障害者の大量殺人は、日本国の指示があれば、いつでも実行できる」などと話したため、話し合ったうえで19日に退職願を提出してもらった。市は精神保健福祉法に基づいて植松容疑者を措置入院させた。入院中には植松容疑者の尿と血液の検査から大麻使用が判明。その後、症状が改善されたとして、家族と同居することを条件に、3月2日に医師の判断で退院させていたという。退院を受け、県警のアドバイスで4月、同園の防犯カメラが16台増設されたという。
■「命の重さに思いを」障害者団体
 知的障害のある当事者と家族らでつくる「全国手をつなぐ育成会連合会」は26日夜、会のホームページで声明を公表した。「職員体制の薄い時間帯を突き、抵抗できない知的障害のある人を狙った計画的かつ凶悪残忍な犯行であり、到底許すことはできません」と激しい憤りを表明している。さらに「このような事件が二度と起きないよう、事件の背景を徹底的に究明することが必要」と指摘。被害者や遺族・家族、入所者に対する十分なケアを求め、「早期に対応することと中長期に対応することを分けて迅速に行いつつ、深く議論をして今後の教訓にしてください」と再発防止策の検討を要求した。その上で「今回の事件を機に、障害のある人一人ひとりの命の重さに思いを馳(は)せてほしい」と国民に訴えた。

*1-3:http://digital.asahi.com/articles/DA3S12483220.html?ref=pcviewpage
(朝日新聞 2016年7月28日) 措置入院、あり方検討 厚労省、相模原19人刺殺受け
 相模原市の障害者施設で起きた殺傷事件を受けて、厚生労働省は、再発防止に向けて措置入院のあり方を見直す有識者会議を8月にも設置する調整に入った。措置入院を解除した患者に対し、継続的に支援する体制づくりが課題となる。措置入院は精神保健福祉法に基づき、自分や他人を傷つける恐れがある場合に都道府県知事らが患者本人の同意なしに入院させられる仕組み。植松聖容疑者は2月に緊急で措置入院し、3月に退院した。厚労省は措置入院解除後の植松容疑者の行動や解除の判断のあり方、警察との連携などの調査に着手。現状では「退院後のフォローアップ体制」がないことから、有識者会議で検討を進め、必要に応じて法改正やガイドラインづくりを行う考えだ。塩崎恭久厚労相は27日に事件現場を視察後、記者団に「措置入院後の十分なフォローアップができていなかったという指摘がある。こういった点もよく考えていかなければならない」と述べた。

*1-4:http://law.e-gov.go.jp/htmldata/M40/M40HO045.html 刑法 (抜粋)
(心神喪失及び心神耗弱)
第三十九条  心神喪失者の行為は、罰しない。
2  心神耗弱者の行為は、その刑を減軽する。

*1-5:http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1354030598
刑法39条(精神疾患が有る人は、人を殺しても罪に問われないと言う法律)
Q:これって可笑しくない?
  補足つまり獣に罰を与えても無駄でしょ!?って理屈な訳?
  刑罰が人以下で人権だけ主張されてもねぇ・・・
A:もう大丈夫です。心神喪失者等医療観察法が制定されましたから。http://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/sinsin/index.html
  人の形をした人ならざる者に人権は不要です。その事を国も認めました。これで事実上一生監視下に置かれる事と成ります。以前は不起訴処分となり、精神保健法により慣例として措置入院されていました。しかもたった1人の精神科医の判断で退院出来てしまうのです。一般の病院ですから、うつ病になって入院したら大量殺人の異常者が隣の部屋と言う事もあり得ます。医療観察法が有る今は、裁判の替わりに検察と弁護士と裁判官と精神科医による審査、検察と弁護士と裁判官と精神科医による審査で退院可。専用の精神科病院に強制入院ですから、大量殺人の異常者が隣の部屋と言う事もありません。

<高齢者の医療・介護について>
*2-1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20160727&ng=DGKKZO05306920X20C16A7EA1000 (日経新聞社説 2016.7.27) 社会保障を軸に「岩盤歳出」に切り込め
 日本の財政は先進国で最悪の状態にある。この立て直しには、具体的な計画が必要だ。安倍晋三政権はその点を忘れてはならない。安倍政権は消費税率を10%に引き上げる時期について、2017年4月から19年10月へと再び延期することを決めた。これを踏まえて内閣府は中長期の経済財政に関する試算をまとめた。名目経済成長率が3%以上で推移する経済再生ケースをみると、20年度時点で国と地方をあわせた基礎的財政収支は5.5兆円の赤字になる。名目成長率が1%台半ば程度の現実的なケースだと、9.2兆円の赤字になるという。いずれの場合も今年1月時点の試算よりも赤字幅は縮小する。消費増税を再延期するのに数字が改善するのは、17年度予算での歳出抑制を織り込んだからだ。前提の置き方しだいで試算値はかわるので、幅を持ってみる必要はある。それでも20年度に基礎的財政収支を黒字にするという目標を達成するハードルが高いことが改めて浮き彫りになった。名目成長率が高くなれば税収増が期待できる。0%台にとどまっている日本の潜在成長率を高めるための構造改革は、財政健全化の面からみても不可欠だ。同時に、政権は歳出の削減・抑制から逃げてはならない。消費増税を再延期するのであればなおのこと、長年手つかずの「岩盤歳出」に切り込んでほしい。大事なのは、高齢化で膨らむ一方の社会保障費を効率化する視点だ。医療や介護では、所得や資産にゆとりのある高齢者の自己負担を増やす方向は避けられない。給付は真に困っている人に重点化し、子ども・子育て支援は充実する。そんなメリハリのある改革が急務だ。18年度の診療報酬と介護報酬の同時改定を待たずに、政府は17年度予算から歳出抑制の具体策を打ち出していくべきだ。地方財政や公共事業費も聖域を設けず、厳しく見直してほしい。政府の経済財政諮問会議の民間議員は、補正予算などに頼らず民需主導で成長できれば、20年度時点の基礎的財政赤字を1兆円未満に縮小できるとの見方を示した。しかし、楽観的な経済想定を前提に中長期の財政健全化計画をたてるのは危うい。いつまでに、何をやり、どの程度、財政収支を改善するか。堅実で具体的な計画を固めなくてはならない。

*2-2:http://www.nikkei.com/article/DGXLASDF28H07_Y6A620C1PP8000/
(日経新聞 2016/6/26) 経産省、会社員の健康情報収集 医療費削減狙う
 経済産業省は企業と連携し、会社員の健康情報のデータベース化に向けた取り組みを強化する。7月から1140人の糖尿病に関する情報をデータベース化し、2017年以降は高脂血症や高血圧にも対象を広げる。取り組みにはトヨタ自動車や三菱地所、NTTデータ、テルモなど大手企業や医療機関が参加する。7月から各社の糖尿病軽症患者計760人、予備軍計380人全員から同意を取り、糖尿病のデータを集める。ウエアラブル端末で日々の体重や歩数を記録し、糖尿病の指標となる「HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)」も職場で計測する。運動不足や体重増加が目立つ社員を、自動的に抽出して産業医が指導。健康保険組合の負担や国の医療費の削減につなげる。データベースは情報を匿名化したうえで、研究者にも活用してもらえるようにする。17年以降は、高脂血症と高血圧の患者も対象に加え、生活習慣病全般のデータを集められるようにする。経産省は関連費用を来年度予算の概算要求に盛り込む方針だ。官公庁が集まる東京・霞が関でも同様の取り組みを進める。今夏以降に、経産省職員から糖尿病の軽症患者数十人を選び、ウエアラブル端末でデータを計測。その後は、厚生労働省など他省庁にも協力をあおいで対象を拡大する。

*2-3:http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/opinion/editorial/2-0068891.html
(北海道新聞 2016/7/25) 軽度者の介護 暮らしを守れる制度に
 要介護度の低い人は、今の暮らしを守り続けられるのだろうか。そう心配する声すら出ている。厚生労働省の社会保障審議会は、2018年度の介護保険制度改正に向けた本格的論議を開始した。3年に1度の見直しで、年内の取りまとめを目指している。焦点は、日常生活で部分的な介助が必要な「要介護1、2」の認定者に対するサービスの扱いだ。政府は社会保障費抑制を狙いに、掃除や調理、買い物など生活援助サービスの給付を減らし、車いすなど福祉用具の貸与も自己負担化する方向だ。そうなれば、介護が必要な人や支える家族の生活が大きく揺らぎかねない。介護に当たる家族の負担が重くなれば、政府が掲げる「介護離職ゼロ」にも逆行する。制度改正に当たっては、老後の安心を何よりも重視すべきだ。審議会にまず求めたいのは、過去の見直しについての検証だ。前回の見直しでは、要介護より軽度の「要支援」認定者を介護保険の対象から外し、ボランティアなども活用した市町村事業に移行することを決めた。現在はその移行途中だが、当初からサービスも担う受け皿が不足するとの見方があり、実際にまだ移行できていない市町村が少なくない。要支援者の状況を含めた分析が欠かせない。一方、今回の改正で心配なのは、「要介護1、2」認定者向けのサービスを縮小したり保険対象外にした場合の影響だ。負担の重さから利用をためらい、体調が維持できなくなれば、要介護度が重くなって結果的に介護給付費を押し上げかねない。それでは本末転倒だ。超高齢社会の急速な進展によって、介護保険制度の維持が厳しくなっているのは確かだろう。制度ができた当時、年3兆6千億円だった介護給付費は現在、10兆円を超えている。その上、今後10年間は団塊の世代の高齢化が進み、給付費はさらに増大する。できるだけ無駄をなくすことは必要だ。しかし、安心してサービスを使えないようでは制度の信頼性が薄れる。利用者の経済状況に応じた負担割合の細分化など、弱者にしわ寄せがこないような工夫も視野に入れるべきだろう。小手先の手直しでは対応できなくなりつつある現実も、直視しなければならない。制度の設計を根本的に見直す時期に来ているのではないか。


PS(2016.7.30追加):上のほか、2013年12月6日に成立し、2014年12月10日から施行されている特定秘密保護法も、*3の日本精神神経学会(専門家集団)の見解のとおり、精神障害者を見当違いに差別する法律である。そのため、偏見と差別に満ちた「らい予防法」の1996年廃止後、この特定秘密保護法が衆参両院を通って成立・施行されたことに呆れるが、何でも決める政治がよいわけではない。

*3:http://aichi-hkn.jp/system/140516-162235.html (日本精神神経学会2014年3月15日発表 《一部抜粋》) 特定秘密保護法における適性評価制度に反対する見解
(一)精神疾患、精神障害に対する偏見、差別を助長し、患者、精神障害者が安心して医療・福祉を
    受ける基本的人権を侵害する。
     内閣官房による逐条解説によれば、次のように記されている。「精神疾患により意識の混濁
    ・喪失等が生じたり、薬物依存・アルコール依存症が症状に見られたりするという事実は、自己
    を律して行動する能力が十分でない状態に陥るかもしれないことを示唆していることから、こう
    した事実が見受けられる者には、本人にその意図がなくても特別秘密を漏らしてしまうおそれが
    あると評価しうると考えられる。」
     ここでは、神経疾患であるてんかんや意識障害に関する事柄が精神疾患の問題として述べら
    れるという全く見当違いな記述がなされている。このような杜撰な認識で法が成立し、かつ、
    それによって調査されるなどということは許されることではない。なによりも、精神疾患患者が
    「自己を律して行動する能力が十分でなく」「特別秘密を漏らしてしまうおそれがある」とすること
    自体が、精神障害者に対する差別にほかならない。さらに、精神障害者に対する「何をするか
    わからない者」という偏見を利用し、不気味さを強調して秘密保護の必要をあおり立て、秘密
    保全に係わる国民統制のためのスケープゴートにすることは法治国家として許されるものでは
    ない。
(二)医療情報の提供義務は、医学・医療の根本原則(守秘義務)を破壊する。……(略)
(三)精神科医療全体が本法の監視対象になる危険性が高い。
     特定秘密の範囲が広範かつ秘密であるため、適性調査の対象が無制限に広がるおそれがあ
    る。しかも行政機関の長が行う適性評価は上記のように秘密保全部署がその情報の確認を
    することとなり、精神疾患を有する者及びその疑いのある者及び精神科医療機関及び精神科医、
    精神科医療に係る職種にある者は医療の倫理に反する調査に直面することになる。


PS(2016年7月31日追加):*4の元職員が「津久井やまゆり園」に侵入して入所者を襲い、19人に死亡・26人に重軽傷を負わせた事件で、同園の経営者は誠実そうな人柄であったため問題にされていないが、このような状況で退職した元職員がいる場合には、鍵を変えたり、他の職員に注意を促したり、警察と連携したり、警備会社と厳重な契約をしたりして警備を厳しくするのが、入居者を護るための正当な注意だが、何故、それをやらなかったのだろうか。
 なお、医療系の教育を受けた人は、「救える命は救う」という教育を受けているため、「生きている命を殺す」というのは安楽死の議論があったとしても慎重なのだが、他学部出身の人が福祉や医療を語ると、この基礎教育ができていないため、“効率性”のみを重視して短絡的になりがちだ。そして、日本の高齢者施設や障がい者施設で入居者のケアをしている人は、急に需要が増えて医療・福祉系の教育を受けていない人が多いため、人材というこのサービス(産業)の要の部分が心もとないのである。

*4:http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=180289
(沖縄タイムス社説 2016年7月27日) [障がい者施設殺傷]兆候は幾つも出ていた
 相模原市の知的障がい者施設「津久井やまゆり園」に元職員の男(26)が刃物を持って押し入り、入所者を次々襲った事件は、19人が死亡、26人が重軽傷を負った。殺人事件の犠牲者数としては戦後最悪とみられる。未明の就寝の時間帯を狙った卑劣な犯行である。警察に出頭し逮捕された男は容疑を認め、「意思疎通できない人たちをナイフで刺した。障がい者なんていなくなってしまえ」などと供述しているという。就寝中に突然、命を奪われた犠牲者の理不尽さを思うと、残忍な蛮行に憤りを抑えることができない。神奈川県警捜査本部は、容疑を殺人未遂から殺人に切り替え、取り調べる方針だ。動機は何なのか。男は2012年12月に非常勤職員として採用され、13年4月には常勤職員となった。今年2月に施設関係者に「障がい者を殺す」と話したため、警察が事情聴取した。警察にも「重度障がい者の大量殺人は、日本国の指示があればいつでも実行する」と供述したため、市が精神保健福祉法に基づき措置入院させた。男は退職した。病院の尿検査で男から大麻の陽性反応が出ていたが、市は症状がよくなったとして約2週間で退院させていた。男はこれに先立つ2月、同施設を「標的とする」と犯行を予告するような手紙を衆院議長公邸に持参していた。手紙は「職員の少ない夜勤に決行する」などと今回の事件を想起させる内容だ。退院後の男の病状を確認するなど、行政の対応は十分だったのだろうか。厳しく検証しなければならない。
■    ■
 「津久井やまゆり園」には6月末時点で、19~75歳の149人が長期入所していた。全員が介助が必要な重度の知的障がい者だ。施設の管理体制はどうだったのだろうか。事件当時は夜勤の職員8人と警備員1人の計9人態勢で当たっていた。施設には部屋12室を1ユニットとし、計8ユニットがあり、それぞれ職員が1人ずつ付き添っていた。男は1階の窓ガラスをハンマーで割り、そこから施設内に侵入したとみられる。入所者は侵入者に自力では抵抗できない。その上、未明の就寝中に、刃物を持った男に突然襲われたことも被害者が多数に上った要因である。障がい者らの入所施設は、厚生労働省によると、全国に約2600あり、約13万人が入所している。侵入者に対する防犯対策など国の規定はなく、現場に委ねられているのが現状だ。緊急通報体制の在り方や訓練など社会的弱者が入所する施設の危機管理体制を点検する必要がある。
■    ■
 自分勝手な思い込みを絶対化し、他者への寛容をなくする。今回の事件は障がい者を標的にした犯罪「ヘイトクライム」である。障がい者に対し強い差別と偏見を持ち、存在そのものを否定するような男のゆがんだ考えはどのようにして形成されたのだろうか。知的障がい者施設に勤務したことと関係があるのだろうか。捜査当局は全容解明を急いでほしい。


<日本で公的に堂々と行われている精神障害者差別>
PS(2016年9月16日追加):*5-1のように、「津久井やまゆり園」の重度障害者刺殺事件に関し、厚労省は、殺人容疑で逮捕された元職員の植松容疑者が措置入院させられていた病院や相模原市の対応を「不十分」とする検証結果を公表し、内容は「措置入院した植松容疑者は『大麻使用による精神および行動の障害』と診断されたが、病院側に薬物による精神障害の専門性が不足していた」とした。しかし、大麻などの薬物使用は犯罪であって精神病ではないため、精神病院に措置入院させること自体おかしく、また、大麻使用による精神障害で重度障害者だけを選んで刺し殺すという計画的な犯行をすることも考えにくいため、犯行前から準備していたかのように、厚労省が津久井やまゆり園事件を機会に精神病、措置入院、その後の“支援(?)”という路線を強化するのは、ますますおかしいのである。
 しかし、我が国では、近年、精神障害者に対する差別が次第にひどくなり、2013年12月には、*5-2のように特定秘密保護法が成立し、「精神疾患の既往歴のある人は秘密保持能力がないため特定秘密を扱う適性がない」ということになったが、実際には、精神疾患の既往歴と秘密保持能力に関する相関関係はなく、特定秘密保護法制定前にそれを調査した形跡もない。そのため、この法律は差別を助長して不当に就業機会を奪うことになっており、これで精神障害者に何を支援しようというのかも疑問に思われ、まず日本国憲法に定められているとおり、「基本的人権の侵害」等をなくすべきなのである。
 ちなみに、*5-3のように、欧州諸国における精神科入院全体に占める強制入院の割合は、Portugal(3.2%)、Denmark(4.6%)、Belgium(5.8%)、Ireland(10.9%)、Italy(12.1%)、France(12.5%)、Netherland(13.2%)、UK(13.5%)、German(17.7%)、Austria(18%)、Finland(21.6%)、Sweden(30%)であるのに対し、我が国は40%以上となっており、その理由は、①強制入院要件の厳格性の欠如 ②入院を回避する代替手段の欠如 などで繰り返し批判され、医療または家族から独立した代理人(ソーシャルワーカーや弁護士等)の関与が義務付けられているEU 諸国では、そうでない国に比べて強制入院の割合が有意に低くなっているそうだ。

*5-1:http://digital.asahi.com/articles/ASJ9H22S3J9HUBQU001.html
(朝日新聞 2016年9月15日) 措置入院中の対応「不十分」/相模原事件で厚労省が検証
 相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」で入所者19人が死亡した事件で、厚生労働省は14日、殺人容疑で再逮捕された元職員の植松聖(さとし)容疑者(26)が措置入院していた病院や相模原市の対応を「不十分」とする検証結果を公表した。退院後に支援を続けなかったことを問題視し、現行制度の見直しが「必要不可欠」と指摘している。有識者9人による厚労省の検証・再発防止策検討チーム(座長=山本輝之成城大教授)がまとめた。検証結果を踏まえ、再発防止策の検討に入る。植松容疑者は職場の障害者施設で「障害者は安楽死させたほうがよい」などと発言し、2月19日に緊急で相模原市の北里大学東病院に措置入院。退院後の7月26日に事件が起きており、病院や相模原市の対応を検証していた。検証によると、措置入院をした植松容疑者は「大麻使用による精神および行動の障害」と診断されたが、病院側に薬物による精神障害の専門性が不足していることを指摘。大麻使用による精神障害のみで「『障害者を刺し殺さなければならない』という発言が生じることは考えにくい」として、入院中に生活歴の調査や心理検査を行っていれば診断や治療方針が異なった可能性にも触れて、病院側の対応に疑問を示した。一方、12日後に退院したことには「指定医としての標準的な判断だった」として問題なしとした。ただ、措置入院を判断した2人のうち1人は不正に指定医の資格を取った疑いがあり、資格を失った。これには「信頼を損ねたことは重大な問題」と明記した。措置入院を解除する際に病院が相模原市に提出した「症状消退届」には退院後の支援策が記入されず、市も詳細を確認せず解除を決めている。症状消退届への記入や退院後の継続的な支援は精神保健福祉法で義務づけられていないが、再発防止に向けて制度の見直しによる対応を求めた。検証結果について、北里大学東病院は「厚労省から直接、指摘や指導があったわけではないので詳細がわからず、病院としてコメントできない」。相模原市の熊坂誠・健康福祉局長は「指摘を重く受け止めている」と語った。
<措置入院>精神障害が原因で本人や他人を傷つける恐れがある場合、本人の同意がなくても精神科病院に入院させることができる仕組み。精神保健福祉法に基づいて指定医が診察し、この結果を踏まえて知事か政令指定市長が決める。近年は増加傾向にあり、2014年度は6861人で、10年前の1・36倍になった。一方、平均入院日数は10年間で半減している。

*5-2:http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H25/H25HO108.html 特定秘密の保護に関する法律 (平成二十五年十二月十三日法律第百八号)
 第一章 総則(第一条・第二条)
 第二章 特定秘密の指定等(第三条―第五条)
 第三章 特定秘密の提供(第六条―第十条)
 第四章 特定秘密の取扱者の制限(第十一条)
 第五章 適性評価(第十二条―第十七条)
 第六章 雑則(第十八条―第二十二条)
 第七章 罰則(第二十三条―第二十七条)
 附則
   第一章 総則
(目的)
第一条  この法律は、国際情勢の複雑化に伴い我が国及び国民の安全の確保に係る情報の重要性が増大するとともに、高度情報通信ネットワーク社会の発展に伴いその漏えいの危険性が懸念される中で、我が国の安全保障(国の存立に関わる外部からの侵略等に対して国家及び国民の安全を保障することをいう。以下同じ。)に関する情報のうち特に秘匿することが必要であるものについて、これを適確に保護する体制を確立した上で収集し、整理し、及び活用することが重要であることに鑑み、当該情報の保護に関し、特定秘密の指定及び取扱者の制限その他の必要な事項を定めることにより、その漏えいの防止を図り、もって我が国及び国民の安全の確保に資することを目的とする。
<中略>
   第四章 特定秘密の取扱者の制限
第十一条  特定秘密の取扱いの業務は、当該業務を行わせる行政機関の長若しくは当該業務を行わせる適合事業者に当該特定秘密を保有させ、若しくは提供する行政機関の長又は当該業務を行わせる警察本部長が直近に実施した次条第一項又は第十五条第一項の適性評価(第十三条第一項(第十五条第二項において準用する場合を含む。)の規定による通知があった日から五年を経過していないものに限る。)において特定秘密の取扱いの業務を行った場合にこれを漏らすおそれがないと認められた者(次条第一項第三号又は第十五条第一項第三号に掲げる者として次条第三項又は第十五条第二項において読み替えて準用する次条第三項の規定による告知があった者を除く。)でなければ、行ってはならない。ただし、次に掲げる者については、次条第一項又は第十五条第一項の適性評価を受けることを要しない。
一  行政機関の長
二  国務大臣(前号に掲げる者を除く。)
三  内閣官房副長官
四  内閣総理大臣補佐官
五  副大臣
六  大臣政務官
七  前各号に掲げるもののほか、職務の特性その他の事情を勘案し、次条第一項又は第十五条第一項の適性評価を受けることなく特定秘密の取扱いの業務を行うことができるものとして政令で定める者
第五章 適性評価
(行政機関の長による適性評価の実施)
第十二条  行政機関の長は、政令で定めるところにより、次に掲げる者について、その者が特定秘密の取扱いの業務を行った場合にこれを漏らすおそれがないことについての評価(以下「適性評価」という。)を実施するものとする。
一  当該行政機関の職員(当該行政機関が警察庁である場合にあっては、警察本部長を含む。次号において同じ。)又は当該行政機関との第五条第四項若しくは第八条第一項の契約(次号において単に「契約」という。)に基づき特定秘密を保有し、若しくは特定秘密の提供を受ける適合事業者の従業者として特定秘密の取扱いの業務を新たに行うことが見込まれることとなった者(当該行政機関の長がその者について直近に実施して次条第一項の規定による通知をした日から五年を経過していない適性評価において、特定秘密の取扱いの業務を行った場合にこれを漏らすおそれがないと認められた者であって、引き続き当該おそれがないと認められるものを除く。)
二  当該行政機関の職員又は当該行政機関との契約に基づき特定秘密を保有し、若しくは特定秘密の提供を受ける適合事業者の従業者として、特定秘密の取扱いの業務を現に行い、かつ、当該行政機関の長がその者について直近に実施した適性評価に係る次条第一項の規定による通知があった日から五年を経過した日以後特定秘密の取扱いの業務を引き続き行うことが見込まれる者
三  当該行政機関の長が直近に実施した適性評価において特定秘密の取扱いの業務を行った場合にこれを漏らすおそれがないと認められた者であって、引き続き当該おそれがないと認めることについて疑いを生じさせる事情があるもの
2  適性評価は、適性評価の対象となる者(以下「評価対象者」という。)について、次に掲げる事項についての調査を行い、その結果に基づき実施するものとする。
一  特定有害活動(公になっていない情報のうちその漏えいが我が国の安全保障に支障を与えるおそれがあるものを取得するための活動、核兵器、軍用の化学製剤若しくは細菌製剤若しくはこれらの散布のための装置若しくはこれらを運搬することができるロケット若しくは無人航空機又はこれらの開発、製造、使用若しくは貯蔵のために用いられるおそれが特に大きいと認められる物を輸出し、又は輸入するための活動その他の活動であって、外国の利益を図る目的で行われ、かつ、我が国及び国民の安全を著しく害し、又は害するおそれのあるものをいう。別表第三号において同じ。)及びテロリズム(政治上その他の主義主張に基づき、国家若しくは他人にこれを強要し、又は社会に不安若しくは恐怖を与える目的で人を殺傷し、又は重要な施設その他の物を破壊するための活動をいう。同表第四号において同じ。)との関係に関する事項(評価対象者の家族(配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。以下この号において同じ。)、父母、子及び兄弟姉妹並びにこれらの者以外の配偶者の父母及び子をいう。以下この号において同じ。)及び同居人(家族を除く。)の氏名、生年月日、国籍(過去に有していた国籍を含む。)及び住所を含む。)
二  犯罪及び懲戒の経歴に関する事項
三  情報の取扱いに係る非違の経歴に関する事項
四  薬物の濫用及び影響に関する事項
五  精神疾患に関する事項
六  飲酒についての節度に関する事項
七  信用状態その他の経済的な状況に関する事項
3  適性評価は、あらかじめ、政令で定めるところにより、次に掲げる事項を評価対象者に対し告知した上で、その同意を得て実施するものとする。
一  前項各号に掲げる事項について調査を行う旨
二  前項の調査を行うため必要な範囲内において、次項の規定により質問させ、若しくは資料の提出を求めさせ、又は照会して報告を求めることがある旨
三  評価対象者が第一項第三号に掲げる者であるときは、その旨
4  行政機関の長は、第二項の調査を行うため必要な範囲内において、当該行政機関の職員に評価対象者若しくは評価対象者の知人その他の関係者に質問させ、若しくは評価対象者に対し資料の提出を求めさせ、又は公務所若しくは公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる。
<以下略>

*5-3:http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/seisaku_iinkai/k_25/pdf/s1.pdf#search='%E4%BA%BA%E5%8F%A310%E4%B8%87%E5%AF%BE+%E7%B2%BE%E7%A5%9E%E7%97%85%E6%82%A3%E8%80%85+%E5%9B%BD%E5%88%A5%E6%AF%94%E8%BC%83' (2015年8月31日) 障害者政策委員会 ヒアリング資料:欧州諸国との比較からみる我が国の精神科強制入院制度の課題 、(公財)東京都医学総合研究所 西田 淳志
I.医療保護入院、代弁者制度について
■ 欧州諸国における精神科入院全体に占める強制入院割合1
(低):Portugal(3.2%)、Denmark(4.6%)、Belgium(5.8%)
(中):Ireland(10.9%)、Italy(12.1%)、France(12.5%)、Netherland(13.2%)、UK(13.5%)、
(高):German(17.7%)、Austria(18%)、Finland(21.6%)、Sweden(30%)
*1『厚生労働科学研究 精神障害者への対応への国際比較に関する研究(主任研究者:中根允文)(2011)』
■ 我が国の現状(平成24 年時点)
強制入院(医療保護入院を含む)割合:40%以上
強制入院発生頻度(届出数):160 人以上(対人口10 万)
⇒ 自由権規約、および拷問等禁止条約に関する日本政府報告への総括所見:
強制入院要件の厳格性欠如、入院を回避する代替手段の欠如、強制入院の最終手段性、等々の問題について繰り返し批判されている
■ 強制入院割合と関連する制度要因2
強制入院手続きに医療から独立した代理人(アドボケイトカウンセラー、ソーシャルワーカー、弁護士等)の関与が義務付けられているEU 諸国では、そうでない国々に比べ強制入院の割合が有意に低い。
例)Portugal(3.2%)、Denmark(4.6%)、Belgium(5.8%)、Ireland(10.9%)、
Netherland(13.2%)、Austria(18%)
*2『精神障害者の強制入院ならびに非自発的医療:EU 加盟国の法制度と実践に関する最終報告書(2002)』
◇ 代弁者が実質的なアドボカシーを担える仕組みの要件◇
1. 強制入院手続きに関与が義務付けられている各国のアドボケイトカウンセラーやソーシャルワーカーは、医療から独立している(大前提)
2. 法律機関等に所属を置き、医療(または家族)からの独立性を担保したアドボケーター制度 (以下略)


PS(2016年9月23日追加):*6のように、刑事責任能力を判断するため「精神障害等の疑いがある容疑者や被告を数カ月にわたって病院などで拘束する『鑑定留置』が急増している」とのことだが、①精神障害が罪の原因となるのか ②過去に精神科への通院歴があったことを精神障害と言えるのか など、論理的におかしく、科学的調査を行うべきことが多い。にもかかわらず、精神病歴のある人は罪人予備軍であるかのような誤解を与えたり、弁護士が精神障害により免責を主張したりなど、刑法39条による精神障害者差別、冤罪、不当な免責などが進みつつあるのは問題だ。そして、鑑定医を増やす努力がされているとのことだが、鑑定経験や人生経験の浅い精神科医が、このような犯罪を犯す場合の精神の正常と異常の堺の判定を正確にできるのかも疑問に思う。
(*ちなみに、私は1975年頃、東大医学部保健学科の学生だった時、精神衛生の実習で、東京都の女性センターで、何度も売春して捕まってくる女性の心理カウンセラーの実習をしたことがあり、相手から「あんたみたいにめぐまれた人に話しても理解できるわけないでしょ」と言われ、本当に理解できなかったので参ったことがある。その人は戦争中に子供時代を過ごして学校に行けず、計算をしたり、文字を書いたりすることができないため、他の仕事を見つけにくい人だった。その時、私は、心理カウンセラーが相談にきた相手の心理を分析しても問題は解決せず、そうなった背景を変えるべきだと心から思った)

*6:http://digital.asahi.com/articles/ASJ9Q4QJ1J9QUTIL00G.html
(朝日新聞 2016年9月23日) 「鑑定留置」裁判員導入後に急増 医師不足、育成が急務
 刑事責任能力を判断するため、精神障害などの疑いがある容疑者や被告を数カ月にわたって病院などで拘束する「鑑定留置」が急増している。市民が裁判員として加わるようになり、判断しやすくする狙いが検察側にある。ただ、鑑定に携わる医師は不足しており、学会などが人材育成を急いでいる。
■責任能力、判断しやすく
 「精神鑑定のおかげで、責任能力について迷わず判断できた」。今年3月に東京地裁であった裁判員裁判。自宅マンション13階から長男(当時5)を投げ落としたとして、女(36)が殺人などの罪に問われた。裁判員を務めた男性は、被告人席の女の身ぶりや表情を注意深く見守った。女は精神科への通院歴があったことなどから、起訴前と起訴後に計2度の鑑定を受けていた。鑑定結果は鑑定医が法廷で説明。その結果をふまえ、弁護側は「障害の影響があり責任の非難は軽減される」と訴えていたが、検察側は「(被告の)障害は、過度に有利にくむべき事情ではない」と主張した。裁判員裁判では、難しい専門用語をわかりやすく言い換える配慮もされている。裁判員の男性は「身近に同じような障害のある人がいないので、自分の感覚だけで判断するのは難しかった。鑑定書類を読み、鑑定医の証言を法廷で聞いて、総合的に考えた」。判決は懲役11年。「障害の程度は軽度で犯行に影響したとは認められず、責任を軽減する事情として重視できない」との判断だった。最高裁によると、鑑定留置が認められた件数は2009年に裁判員制度が始まる前は年間250件前後だったが、その後は急増。14年は564件だった。起訴前に検察側が請求する鑑定と、起訴後に裁判所が職権で行う鑑定があるが、特に増えているのは起訴前の件数だ。今年7月に相模原市の障害者施設で起きた殺傷事件でも、起訴前に容疑者が鑑定留置された。ある検察幹部は「法廷で被告の様子がおかしいと感じると、裁判員は責任能力を疑う。検察が鑑定した上で起訴すれば、犯行当時に責任能力があったとわかってもらえる」。別の検察幹部は「取り調べの録音・録画が進み、弁護人は自白が任意にされたものかを争点にしにくくなり、責任能力を争うようになった。検察として先手を打つ意味合いもある」と打ち明ける。こうした検察側の狙いを、弁護側も注視する。日本弁護士連合会で責任能力をめぐる対策チームの委員を務める田岡直博弁護士はこう分析する。「検察側は起訴するケースを絞り込み、裁判員裁判での立証の負担を減らしているのだろう。鑑定で有利な結果を得て確実に有罪に結びつける一方で、危ない橋は渡らない」。田岡弁護士は「責任能力を争うスキルで、弁護側は検察側に立ち遅れている」と認める。弁護側が独自に依頼する「私的鑑定」を増やす必要性もあるとしつつ、「どんな鑑定結果についても裁判員を説得できるよう、研修などを通して態勢を強化したい」と話す。
■医師育成追いつかず
 急増する鑑定に、医師の育成が追いついていない。日本司法精神医学会理事の五十嵐禎人(よしと)・千葉大教授は「経験の浅い医師にも依頼が増えた。質が落ちている可能性は否定できない」と語る。五十嵐教授によると、鑑定医には特別な資格は要らないが、精神障害を診断したり、犯行に与えた影響を分析したりするスキルが必要だ。学会では14年、鑑定医の認定制度を始め、これまでに約30人が認定された。過去に担当した鑑定書5件の提出を求めるなど経験を重視している。大学院で養成する動きもある。東京医科歯科大の大学院は昨秋、国内で初めてという「犯罪精神医学専門チーム」を設けた。今春から若手の精神科医2人が週1回、ベテラン鑑定医の岡田幸之(たかゆき)教授のもとで犯罪精神医学を研究したり、実例を分析したりしている。岡田教授は「犯罪を扱う精神医学者は非常にマイナーな存在。国内での教育の場はほとんどなかった」と話す。「1人の患者と長時間向き合って判断する仕事のやりがいを知ってもらい、ごく限られた医師に依頼が偏る現状を変えたい」
     ◇
〈鑑定留置〉 精神状態などを調べるため、逮捕後の容疑者や起訴後の被告の身柄を数カ月にわたって病院などで拘束すること。刑事訴訟法に基づく手続きで、検察官が請求して裁判所が認める場合と、裁判所の職権による場合がある。鑑定では、成育歴や生活状況のほか、犯行の動機が了解できるかや計画性、違法性の認識などについて調べられ、その結果は捜査や裁判で刑事責任能力を判断する材料となる。勾留期間中に半日から1日で行われる「簡易鑑定」とは区別される。


PS(2016年9月25日追加):*7のように、全て同じ4階のフロアでトラブルが発生していたとして、神奈川県警は「点滴への異物混入は殺人事件」と一本化して捜査を進めているが、点滴袋が無施錠の状態で保管され誰でも手に取れる状態であったことは病院内の管理に甘さがあるものの、点滴液の中に薬剤を混合する目的で界面活性剤が含まれている可能性も合わせて考えるべきだ。何故なら、この病院では4階に多かったようだが、高齢者や重症者などの弱っている人が、長期間その薬を使い続けると中毒死することがあるかも知れず、その方が影響が大きいからだ。警察が、メーカーの製造物責任を考えず(その結果メーカーを保護し)、被害者を犯人に仕立て上げ、自白により証拠を造って結論に合わない証拠を無視した事件に東住吉冤罪事件(http://www.jca.apc.org/~hs_enzai/jikentoha.html)があり、警察(→メディア)の古くてステレオタイプな筋書きには要注意なのである。

*7:http://www.sponichi.co.jp/society/news/2016/09/25/kiji/K20160925013418490.html (スポニチ 2016年9月25日) 点滴異物混入で患者死亡病院トラブルまみれ…全て同じ4階フロア
 横浜市神奈川区の大口病院で入院患者の点滴に異物が混入され殺害された事件で、同院の4階でトラブルが相次いでいたことが24日、分かった。飲料への異物混入などが春から続発し、事件と同時期に入院患者3人が亡くなっていた。この日会見した高橋洋一院長は、殺害事件の犯人について「院内の人物の可能性も否定できない」と話した。最初の異変は今年4月。看護師用のエプロンが切り裂かれているのが見つかった。さらに6月20日には、患者1人のカルテ数枚が抜き取られていたことが発覚した。病院はスタッフへの聞き取りを実施。横浜市は7月上旬に情報提供のメールから、エプロン切り裂きの事実を把握した。8月には、女性看護師がペットボトル飲料を飲もうとして違和感を訴えた。ボトル上部から、注射針ほどの穴が見つかっており、飲料は「漂白剤のような」味がしたという。病院側によると、これらのトラブルは全て4階で発生している。市医療安全課によると、エプロン切り裂きを市に情報提供した同じ差出人からメールがあり、「飲んでしまい、唇がただれた」と記されていた。その後、病院関係者から所轄の神奈川署にトラブルの相談があったという。同院では今月20日に殺害された横浜市港北区の無職八巻信雄さん(88)の他にも、点滴を受けていた別の80代の男性患者2人が18日に死亡。点滴は受けていなかったが、90代の女性患者も八巻さんと同じ20日に亡くなった。4人が入院していたのも4階で、院内のトラブルも合わせて全て同じ階で起きたことになる。八巻さんの遺体や点滴袋からは、ヘアリンスや殺菌剤などに使う界面活性剤の成分が検出されていたことも、捜査関係者への取材から分かった。一般に市販されているものの可能性がある。点滴袋の中に微量の気泡があるのを担当の女性看護師が見つけ、異変を察知した。袋に目立った穴や破れはなかったという。点滴袋は、4階フロアのナースステーションに無施錠の状態で保管。誰でも手に取ることが可能な時間帯もあり、近くに界面剤成分を含む製品があったことも判明。神奈川署特別捜査本部は、何者かが不特定に患者を狙って在庫の点滴袋に界面剤を混入させた疑いもあるとみて鑑定を急ぐ。高橋洋一院長によると、同院は「(病気が進行した)終末医療の患者が多い」という。犯人について「院内の人物の可能性も否定できない」と話した。川崎老人ホーム連続殺人事件など、高齢者施設での虐待事件などが相次いでいることにも触れ「我々の考えられないような感情を持つ若い方もいるのかもしれない。今回がその流れで起きているならば残念」と漏らした。
▽界面活性剤 1つの分子の中に、水になじみやすい「親水性」と、水になじみにくい「親油性」の2つの部分を持つ。性質の異なる2つの物質の境界面(界面)に働きかけ、水と油のように混じり合わないものを混ぜ合わせる働きをする。せっけんや洗剤の主成分。誤って飲んだ場合、嘔吐(おうと)や吐血などの症状が考えられ、肝機能障害や、肺水腫による呼吸困難から死亡するケースもある。
▽川崎老人ホーム連続殺人事件 川崎市幸区のホームで14年11~12月、入居者3人が転落死。初動捜査で変死と処理されたが、16年2月に元職員の男を逮捕。15年、ホームでの窃盗で逮捕されていた
▽大口病院のトラブル
 ▼4月 4階で看護師のエプロンが切り裂かれる
 ▼6月20日 患者1人のカルテ数枚が抜き取られていたことが発覚。後日一部が、院内で見つかる
 ▼7月 市にエプロン切り裂きについて情報提供のメール
 ▼8月 病院スタッフの飲み物に異物が混入。市にメール。病院が神奈川県警に相談
 ▼9月2日 市が定期立ち入り検査でトラブル再発防止を指示
 ▼14日 八巻さんが入院
 ▼18日 4階に入院し、点滴を受けていた80代の男性患者2人が死亡。病死と診断
 ▼19日午後10時ごろ 30代の女性看護師が4階の部屋にいた八巻さんの点滴を交換
 ▼20日午前4時ごろ 八巻さんの心拍が低下しアラームが作動
 ▼同4時55分ごろ 八巻さんが死亡
 ▼同10時45分ごろ 病院が神奈川県警に「点滴に異物が混入された可能性がある」と通報
 ▼同日 4階に入院し、点滴を受けていない90代の女性が死亡。病死と診断
 ▼23日 県警が八巻さんの死亡を殺人と断定し、特別捜査本部を設置


PS(2016年9月26日):確かに現在は、*8のように、高齢によるものも含む障害者の人権や社会の受入におけるバリアフリーを正面から要求すべき時だ。

*8:http://qbiz.jp/article/94657/1/ (西日本新聞 2016年9月26日) 「障害者の権利」をテーマに全国大会 水俣病、ハンセン病から学ぶ
 障害者の共同作業所などでつくる全国団体「きょうされん」の全国大会が10月22、23両日、熊本市の県立劇場などで開かれる。熊本地震のため見送りも検討されたが「災害時こそ障害者の権利を守らなければいけない」と、開催を決めた。水俣病公式確認60年、らい予防法廃止20年の節目も踏まえ、胎児性水俣病患者やハンセン病元患者も登壇。実行委員会は25日、熊本市に集まり、日程や運営面の最終確認をした。大会は全国40支部の持ち回りで開かれ、九州では2010年の福岡市以来3回目。「障害者権利条約をこの国の文化に」をテーマに、水俣病やハンセン病を巡り、命と人権を軽視された歴史を通して差別や障壁のない社会の実現を目指す。22日は午後1時から、第2次世界大戦中のドイツで障害者が虐殺されていた事実を掘り起こしたきょうされんの藤井克徳専務理事が「憲法公布70年の今年、わたしたちが進むべき道とは」と題し基調報告。「熊本から伝えるプログラム」として、胎児性水俣病患者の金子雄二さん(61)や菊池恵楓園入所者自治会の志村康会長(83)たちの半生から、国策によって踏みにじられた人権を考え、今後の展望について理解を深めるシンポジウムもある。午後4時からは、県立劇場と熊本学園大の計16会場で分科会を実施。各事業所が支援活動などの取り組みを紹介するほか、障害者との交流会、水俣病患者やハンセン病元患者との対話を通して「平和」を考える討論会もある。23日も午前9時から各分科会を開く。副実行委員長を務める山下順子きょうされん熊本支部長は「4月の地震では全国から多くの温かい支援をいただいた。感謝を伝える大会にもしたい」と話している。実行委事務局=096(342)4951。

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2016.7.25 辺野古移設問題も、“安定”と称する日本政府の思考停止がネックなのである (2016年7月26日、27日《写真》、28日に追加あり)

      埋立予定地        立入禁止区域              市民の反対運動

   
首相と知事           工事                 ジュゴン     ジュゴンのえさ場の海藻
 の意見                           2010.6.18朝日新聞  2015.10.20朝日新聞

(1)日本政府が沖縄県を提訴したことについて
 *1-1、*1-2、*1-4のように、福岡高裁那覇支部は和解勧告で、政府と県が「円満解決」を目指すことを求めたが、菅官房長官は新たな訴訟を7月22日に起こす方針を翁長雄志知事に伝えた。政府によるこの提訴は、福岡高裁那覇支部などの要請に明らかに反し、和解条項をも踏みにじるものだ。

 最初の辺野古埋め立てと辺野古新基地建設の承認は、仲井真前沖縄県知事が何かに脅迫されたかのように、2013年12月27日、突然、県民の意志に反し県外移設の公約を翻して承認印を押した不自然なものだった。そのため、次の知事選で沖縄県民は辺野古埋め立てと辺野古新基地建設に反対の翁長知事を選び、先日の参院選でも島尻沖縄・北方担当相が大差で敗れて、現在、衆参両院を通じて沖縄選挙区で当選した自民党議員は一人もいなくなったのである。つまり、沖縄県民は辺野古移設反対の民意を民主主義で表現したのであり、翁長知事の承認取り消しに違法性はないだろう。

 そして、翁長知事が辺野古埋め立てと辺野古新基地建設の承認を取り消し、沖縄が選挙のたびに民主主義のルールに従って民意を示し、司法でも和解勧告が出て「オールジャパンで最善の解決策を合意して、米国に協力を求めるべきだ」と記載されているにもかかわらず、菅官房長官はじめ日本政府が、「辺野古が唯一の選択肢だ」という思考停止した発言を繰り返していることこそ不自然である。

 この様子は、*1-3で翁長沖縄知事が「国の強硬な態度は異常だ」と述べているとおりで、*1-4のように、あまりにも不合理な強引さがある。そして、これら一連の沖縄に対する仕打ちは異常であるため、沖縄県民に対する差別としか思えず、沖縄県民は政府と喧嘩はしたくないが、寄り添われたくもないのではなかろうか。

(2)ヘリ離着陸帯の移設着工について
 *2のように、日本政府が沖縄県を相手取り、地方自治法に基づく違法確認訴訟を福岡高裁那覇支部に起こしたのと同時に、防衛省沖縄防衛局は7月22日午前、米軍北部訓練場(沖縄県東村、国頭村)の一部返還の条件となっているヘリコプター離着陸帯(ヘリパッド)の移設工事に着手したそうだ。そもそも基地の多い沖縄で、一部返還の条件としてヘリパッドを県内移設するという条件も、本当は他に代替案があると考える。

(3)代替案
 *3-1で翁長知事が鹿児島県西之表市馬毛島(種子島の西約12キロにある無人島)を視察したように、馬毛島は一人の男性によって所有され、「米軍基地として十二分にやっていける」そうだ。そのため、私は自然を壊して米軍普天間飛行場を作り、5年以内に運用停止するよりも、直接、馬毛島に移転する方が合理的だと考える。このように、政府が「唯一の解決策」とする名護市辺野古以外にも移設候補地は国内にある。

 それでも、政府が「辺野古が唯一」と繰り返すのなら、その根拠を明確に説明する必要があるが、それは「地理的優位性」ではなく、本土の反発を回避する目的だそうだ。西之表市は翁長知事の突然の訪問に不快感を示しているとのことだが、無人島なら基地の危険に遭遇したり立ち退きで損害が発生したりしない。その上、原発よりは無人島に作った基地の方が安全であるため、鹿児島県にとっては、*3-2のように、川内原発を停止し廃炉にした後、基地からの交付金収入、そこに住む人のからの税収、食料調達などは有り難いのではないだろうか。

(4)沖縄の価値

     
                 八重山諸島の位置と風景(陸上・海・海中)

 *4のように、菅官房長官は2016年5月11日の記者会見で、大阪市の米映画テーマパーク、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)の運営会社が沖縄県に計画していた新パーク建設を最終的に撤回したことを明らかにし、「見送りは極めて残念だ」と語られたそうだが、沖縄の自然は本物の美しさで日本の宝石であるため、ユニバーサル・スタジオが作るようなイミテーションはいらない。沖縄は、本島だけでなく離島もよいし、海は表面だけでなく海中や海底がすごい。そして、それを見るには、グラスボート、シュノーケリング、スキューバダイビングなどの方法がある。

 その上、近年は、地質学的価値や人類拡散の歴史的価値も高くなっており、史跡としても重要だ。

      
                          与那国島の海底遺跡
       (http://www.okinawainfo.net/iseki.htm「沖縄の海底遺跡について」参照)

<政府の沖縄県提訴>
*1-1:http://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-320915.html
(琉球新報社説 2016年7月22日) 政府が県提訴へ 和解条項の曲解許されない
 話し合いで解決する考えなど、はなからなかったのだろう。安倍政権は選挙を念頭に、県民の気持ちに「寄り添う」姿勢を装っていたにすぎない。米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設を巡る訴訟の和解に基づく協議会で、菅義偉官房長官は新たな訴訟を22日に起こす方針を翁長雄志知事に伝えた。福岡高裁那覇支部は和解勧告で、政府と県が「円満解決」を目指すことを求めた。国地方係争処理委員会も、双方が「真摯(しんし)に協議」することで解決することを促した。政府による提訴は福岡高裁那覇支部などの要請に明らかに反する。和解条項をも踏みにじるものであり、断じて容認できない。新たな訴訟は、埋め立て承認の取り消し撤回を求めた国土交通相の是正指示に、翁長知事が従わないのは違法だとの確認を求める内容である。政府は、訴訟と協議は「車の両輪」とし、提訴した上で協議することは可能との見解を示している。それが「和解協議のもともとの精神」(定塚誠法務省訟務局長)とも強弁している。「もともとの精神」とは、福岡高裁那覇支部が和解勧告で提示した「原告と被告は違法確認訴訟判決まで円満解決に向けた協議を行う」との和解案を指すのだろう。だがその後、政府と県が合意した和解条項には政府による「違法確認訴訟」は含まれていない。政府の和解破りは明らかである。和解条項に明記された訴訟は、是正指示の取り消し訴訟のやり直しだけである。再訴訟についても、あくまで「折り合いがつかなければ」との条件が付されている。そもそも訴訟と協議を同時並行で行うことが、円満解決につながるはずがない。和解が成立した3月は6月の県議選、7月の参院選を控えた時期である。安倍政権が選挙を強く意識して和解に応じたことは容易に想像がつく。それまでの強権姿勢を隠し、話し合うことで県に歩み寄ったとアピールすることが狙いだったと断じざるを得ない。沖縄全戦没者追悼式参列のため、6月に来県した安倍晋三首相は「和解条項に従って誠実に対応していく」と述べていた。安倍首相が言葉に責任を持つならば、新たな提訴はやめるべきだ。和解条項の曲解は許されない。

*1-2:http://mainichi.jp/articles/20160722/ddm/005/070/024000c
(毎日新聞社説  2016年7月22日) 国の辺野古提訴 和解の精神に反する
 米軍普天間飛行場の沖縄県名護市辺野古移設をめぐる国と県の対立は、再び法廷に持ち込まれることになった。国は県を相手取って地方自治法にもとづく違法確認訴訟をきょう福岡高裁那覇支部に起こす。国と県が互いを訴えた3件の裁判について、和解が成立してわずか4カ月余り。問題解決に向けた話し合いは深まらず、司法に判断をゆだねることになったのは残念だ。和解条項には、国と県の双方が裁判を取り下げ、国が埋め立て工事を中止するとともに、今後の手続きが次のように定められていた。知事に埋め立て承認取り消しの撤回を求めた国の是正指示について、総務省の第三者機関「国地方係争処理委員会」が適否を判断する。そして、係争委が是正指示を認めて県がそれに不服な場合や、係争委が是正指示を認めず国がそれに従わない場合は、県が国を提訴する−−。しかし、係争委は先月、是正指示の適否を判断しないという予想外の結論を出した。それを受けて、県は提訴を見送る方針を表明した。困ったのは国だ。国は和解条項に沿って県に再び提訴してもらい、早期に裁判を決着させ、工事を再開したいと考えていた。係争委の判断回避と県の提訴見送りは、誤算だった。そこで国は、係争委が是正指示を否定していない以上、是正指示はまだ有効だと主張し、埋め立て承認取り消し処分を撤回しない県に対し、不作為の違法確認訴訟を起こすというのが、今回の経緯だ。しかし、裁判所の和解勧告の考え方をもう一度、思い起こしてみるべきだ。勧告文には「本来あるべき姿としては、沖縄を含めオールジャパンで最善の解決策を合意して、米国に協力を求めるべきだ」とある。係争委の小早川光郎委員長も「肯定、否定のいずれの判断をしても、国と地方のあるべき関係を構築することに資するとは考えられない」と語っていた。国が辺野古移設を強引に進めてもうまくはいかないだろう。仮に国が違法確認訴訟で勝ったとしても問題解決にはなるまい。和解勧告でも指摘されていたように、設計変更のたびに変更承認が必要になり、延々と法廷闘争が続くことも考えられる。結局、国と県が問題解決を目指して真摯(しんし)に話し合うしかない。沖縄では、先の参院選で島尻安伊子沖縄・北方担当相が大差で敗れ、衆参両院を通じて選挙区で当選した自民党議員が一人もいない事態になった。辺野古移設反対の民意は明白だ。米軍による事件・事故も相次ぎ、反発はさらに高まっている。政府はこれ以上、民意に背を向けるべきではない。

*1-3:http://mainichi.jp/articles/20160722/k00/00e/010/242000c
(毎日新聞 2016年7月22日) 沖縄知事、「国の強硬な態度は異常だ」辺野古提訴
 沖縄県の翁長雄志知事は22日、米軍普天間飛行場(同県宜野湾市)の名護市辺野古への移設に関し、政府が県を相手取り違法確認訴訟を起こしたことについて、「真摯な協議を求めてきたため、(提訴は)非常に残念だ。国の強硬な態度は異常だ」と強く批判した。そのうえで、第1回口頭弁論に「出廷して自ら意見を述べたい」と述べた。東京都内で記者団に語った。また、政府が米軍北部訓練場(同県東村、国頭村)の約半分の返還に伴うヘリコプター離着陸帯(ヘリパッド)の移設工事を再開したことについて、「県民に大きな衝撃と不安を与えるものであり、大変残念だ。国は住民に対して説明すべきだ」と述べた。

*1-4:http://www.kobe-np.co.jp/column/shasetsu/201607/0009311251.shtml
(神戸新聞 2016/7/23) 国が沖縄県提訴/あまりに強引ではないか
 米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設を巡り、政府が沖縄県を相手取り新たな訴訟を起こした。政府と県が福岡高裁那覇支部の和解を受け入れて4カ月余りで、対立は再び法廷へと持ち込まれた。和解を促した裁判所の勧告には、「この問題をどちらが良い悪いという形にしてはいけない。沖縄を含めオールジャパンで最善の解決策を合意し、米国に協力を求めるべきだ」とある。しかし、この考え方に沿って協議が深まることはなかった。政府は提訴が和解条項に基づいたものだと強調している。だがこの間、問題の解決に向けてどこまで真摯な話し合いが重ねられてきたのか、はなはだ疑問だ。特に政府は当初から提訴ありきの姿勢が目立った。今後、法廷闘争で亀裂が深まるような事態は避けねばならない。今回の提訴は、埋め立て承認の取り消し処分を撤回しない県に対し、国土交通相の是正指示に従わないのは違法との確認を求めるものだ。是正指示では、県が第三者機関の「国地方係争処理委員会」に審査を申し出た。委員会は判断を示さず、改めて話し合いによる解決を促した。県はこれに従って協議を優先したが、政府は司法判断による早期決着を図る道を選んだ。同じ日、政府は沖縄県北部の東村高江で米軍のヘリコプター離着陸帯の建設工事に着手した。この問題では、前日に沖縄県議会が建設中止を求める意見書を可決している。さらに政府は、辺野古移設の和解受け入れで中断していた陸上部分の工事を再開する意向を県側に示した。一方で概算要求に向けて沖縄振興予算の減額をほのめかす。沖縄では6月の県議選で辺野古移設反対派が6割以上を占め、参院選では現職閣僚が落選、与党の沖縄県の選挙区選出議員がゼロになった。その民意に配慮するどころか、気持ちを逆なでするような政府の姿勢である。あまりに強引ではないか。安倍晋三首相は沖縄県民に寄り添う姿勢を打ち出し、6月の沖縄全戦没者追悼式の際は「和解条項に従って誠実に対応していく」と述べた。だが県民が一連の対応を「誠実」と受け止めることはできないだろう。「延々と法廷闘争が続けば国が勝ち続ける保証はない」。和解勧告の指摘を踏まえ、いま一度、話し合いで解決策を探るべきだ。

<ヘリ離着陸帯の移設着工>
*2:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20160722&ng=DGKKASFS22H0K_S6A720C1EAF000 (日経新聞 2016.7.22) 辺野古、政府が再び県提訴 北部訓練場、ヘリ離着陸帯の移設着工
 政府は22日午前、沖縄県の米軍普天間基地(宜野湾市)の名護市辺野古移設を巡り、翁長雄志知事が埋め立て承認取り消しの是正指示に従わないのは違法だとして、県を相手取り、地方自治法に基づく違法確認訴訟を福岡高裁那覇支部に起こした。3月に和解した政府と県は再び法廷闘争に入る。第1回口頭弁論は8月5日に那覇支部で開かれ、高裁判決は今秋にも出る見通し。いずれかが上告した場合、最高裁の判断は来春に出るとみられる。政府と県による代執行訴訟の和解条項は、総務省の第三者機関「国地方係争処理委員会」の審査を踏まえ、県に不服がある場合、改めて国を提訴し、司法判断を仰ぐ段取りだった。承認取り消しをめぐる違法性の適否について同委は判断を回避し、双方に問題解決に向けた協議を促した。翁長氏ら県側は、政府との話し合い解決を重視する立場から提訴を見送ったため、政府は辺野古移設に向けた作業を加速する狙いから、再び訴訟に踏み切った。一方、防衛省沖縄防衛局は22日午前、米軍北部訓練場(沖縄県東村、国頭村)の一部返還の条件となっているヘリコプター離着陸帯(ヘリパッド)の移設工事に着手した。

<代替案>
*3-1:http://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-319544.html
(琉球新報社説 2016年7月20日) 知事の馬毛島視察 普天間問題考える契機に
 翁長雄志知事が鹿児島県西之表市の馬毛島を視察した。島のほぼ全域を所有する男性は、翁長知事に「米軍基地としては十二分にやっていける」と説明したという。馬毛島は、おおさか維新の会が米軍普天間飛行場の5年以内の運用停止に向けた訓練の移転先として提案している。だが知事の視察目的は、馬毛島に訓練を移転したいとか、普天間飛行場自体を移設してほしいということではない。政府が「唯一の解決策」とする名護市辺野古以外にも、移設候補地は国内にあるとの問題提起である。辺野古が「唯一」ではないことを政府に突き付け、撤回させる手段の一つとみるべきだ。それでも、安倍政権は沖縄の「地理的優位性」などを挙げて「辺野古が唯一」と繰り返すだろう。だが「地理的優位性」は専門家が否定している。本土の反発を回避したいことが真の理由だ。普天間飛行場返還合意時の官房長官だった梶山静六氏は「必ず本土の反対勢力が組織的に住民投票運動を起こす」と本土側の反発を恐れ、辺野古が普天間飛行場の移設先になったと理由を書簡に記していた。馬毛島は種子島の西約12キロにある無人島である。東京・硫黄島で暫定的に実施している米軍空母艦載機の陸上空母離着陸訓練の移転候補地に挙がっている。だが観光への影響や事故の懸念から反対の声が出ている。そのような中での翁長知事の視察に対し、辺野古移設への反対運動などに共感してきた地元の市民団体関係者らは「大変遺憾」とする声明を発表した。西之表市も、沖縄県から事前の説明などがなかったことに不快感を示している。丁寧に説明し、理解を得ることを県には求めたい。戦後71年が経過しても、沖縄には在日米軍専用施設の74・46%が集中し、圧倒的反対にもかかわらず辺野古新基地まで押し付けられようとしている。沖縄県民は命の危険にさらされ続けていることも、国民全体で共有してほしい。翁長知事の視察への反発によって、米軍基地は国内のどこでも歓迎されない迷惑施設であることが改めてはっきりした。普天間飛行場の危険性除去は移設でいいのか、移設を条件としない閉鎖・撤去がいいのか。知事視察を国民が普天間問題を深く考える契機としたい。

*3-2:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20160725&ng=DGKKZO05206880V20C16A7NN1000 (日経新聞 2016.7.25) 川内原発停止要請 来月にも 鹿児島新知事「県民の不安解消」
 鹿児島県知事に28日に就任する三反園訓氏(58)は24日、九州電力に川内原子力発電所(同県薩摩川内市)の一時停止を8月中にも要請する考えを明らかにした。熊本地震を受けた県民の不安に応えるため、関連施設や活断層などの再点検・再検証を求める。川内1号機は10月6日ごろに定期検査に入る予定だが、これを待たず要請する。日本経済新聞の取材に応じた。川内原発の停止と点検は三反園氏の知事選での公約。三反園氏は「県民が不安に思っていたら解消するのがトップの役目だ」と強調。一時停止の要請は「原発周辺を視察し、県庁職員の説明も聞くなどして、8月下旬か9月上旬を目指したい」と語った。知事に原発を止める法的権限はない。ただ九電との安全協定で鹿児島県は安全確保のために原発に立ち入り調査し、必要と認められれば適切な措置を求められる。九電は「実際に要請を受けておらずコメントする立場にない」としている。三反園氏は原発の避難計画見直しも公約に盛り込んだ。三反園氏は「周辺住民の安心・安全のために一番いい方法を取りたい」と言明。原発問題に関する検討委員会を設け、専門家らに検証してもらう意向を示した。

<沖縄の自然の価値>
*4:http://qbiz.jp/article/86537/1/%E8%BE%BA%E9%87%8E%E5%8F%A4/
(西日本新聞 2016年5月12日) USJが沖縄進出を撤回 菅氏「極めて残念だ」
 菅義偉官房長官は11日の記者会見で、大阪市の米映画テーマパーク、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)の運営会社が沖縄県に計画していた新パーク建設を最終的に撤回したことを明らかにした。政府が新たな振興策として沖縄進出を後押ししてきており「見送りは極めて残念だ」と語った。政府はUSJ進出をてこに米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設に理解を求める考えだった。菅氏は「移設と振興は別だ」と述べ、今後も「沖縄の振興にできることは全てやる」と強調した。菅氏によると、USJ運営会社のジャン・ルイ・ボニエ最高経営責任者(CEO)が官邸幹部を訪問して計画撤回を伝えた。ボニエ氏は大阪のUSJに投資を集中させるため沖縄進出を見送ると説明した。ボニエ氏は運営会社を昨年買収した米メディア大手コムキャストから送り込まれた。買収される前の運営会社のCEOは計画に積極的だったが、新たに親会社となったコムキャストが採算性の観点から今回の計画に慎重な姿勢を示していた。政府は2016年度予算に沖縄振興策の一環として、USJ誘致に向けた1億2千万円を盛り込んだ。菅氏は「そういうことになったので、USJに使うことはない」と説明した。


PS(2016年7月28日追加):*6のように、沖縄のやんばる地域は、山、川、海がおりなす貴重な自然があり、森林にもヤンバルクイナ、ノグチゲラなど多くの固有種を含む森林性の鳥類が生息しているそうだ。そのため、現在のこの地域は、自然保護の対象ではあっても自然破壊の対象ではない。


   ノグチゲラ     ヤンバルクイナ    リュウキュウ    リュウキュウ   エリグロアジサシ
                           アカショウビン     ヨシゴイ
       http://www.ufugi-yambaru.com/yanbaru/yanbaru_tyourui.html 
         (やんばる野生生物保護センター) やんばるの生き物たち 参照

*6:http://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-324054.html
(琉球新報社説 2016年7月27日) ノグチゲラ営巣 米軍優先で森を壊すな
 国の天然記念物ノグチゲラは非常に特異な鳥だ。沖縄本島北部やんばるの森にしかいない。世界で最も分布域の狭いキツツキの一種だ。キツツキの仲間は、名の通り丈夫なくちばしで木をつつき、樹皮下に潜む虫を食べる。だが、ノグチゲラは木だけでなく、地上に降りて土をつつき、セミの幼虫やクモなどを掘り出す。約200種のキツツキの中で、土中から餌を得るのが報告されているのはノグチゲラだけだという。さらに毎年同じ雄雌でつがいをつくる「一夫一婦制」で、雌は木をつついて餌を採る一方、雄は地中の虫を掘り出す。餌を食べ分けることで狭いやんばるの森で争わずに生き延び、種を維持したとみられる。いわば、やんばるの森の象徴だ。米軍北部訓練場のヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)新設計画で、候補地のG、H両地区周辺でノグチゲラの巣穴が少なくとも計29カ所確認されていた。ヘリパッド建設に伴い、那覇防衛施設局(当時)が2007年にまとめた環境影響評価(アセスメント)図書に記されていた。同じ調査で、既存のヘリパッドがあったN4地区は巣穴は1カ所だけだった。ヘリパッドの造られていないG、H地区は自然豊かな森の証左になるだろう。しかし北部訓練場の部分返還に伴うヘリパッド6カ所の移設先を決めた時、日米両政府は自然保護を優先しなかった。優先されたのは、米軍が強く要望したG地区に近い宇嘉川を使った水域訓練と兵士の救助支援訓練ができる場所だった。米海兵隊が「戦略展望2025」で記すように多様な訓練のできる「土地を最大限に活用する訓練場を開発」するための選定だった。ノグチゲラは国際自然保護連合や環境省が指定する絶滅危惧種で、保護は急務だ。地元の東村は生息域への無断立ち入りを禁止するノグチゲラ保護条例を制定した。種の保存が必要とされているからこそ、ヘリパッドを建設する沖縄防衛局は3~6月の営巣期間は音の出る工事を休止するとしてきたはずだ。県鳥でもあるノグチゲラを残すには、貴重なやんばるの森を維持することである。軍事機能強化を優先して、森を切り開き、オスプレイの音や排気熱で環境を破壊することではないはずだ。


<有明海の価値>
PS(2016年7月26日追加):左図のように、有明海産の海苔は日本全体の40%以上を占めており、特に佐賀県は、*5のように、「有明海1番」などブランド化して稼いでいる。また、他にも有明海の漁獲高は大きいため、自衛隊と言えども、どの空港でも使ってもよいわけではなく、他の産業に影響のない場所を利用してもらいたい。

  
                      海苔の養殖

*5:http://digital.asahi.com/articles/ASJ7T4D11J7TTTHB017.html?iref=comtop_list_pol_n05 (朝日新聞 2016年7月25日) オスプレイ「ノリに影響」 佐賀の漁協、防衛局に反発
 佐賀空港(佐賀市)への自衛隊オスプレイ配備計画をめぐり、九州防衛局は25日、地元の佐賀県有明海漁協に対し、駐屯地の施設配置案や配備に伴う環境対策などを説明した。漁協側からは反対意見が続出した。有明海漁協には、配備に伴い整備される駐機場など計画地の地権者が多く所属。ノリ漁への影響などを心配する声も根強く、漁協の対応が配備受け入れのカギを握るとされる。この日、九州防衛局幹部が佐賀市の漁協を訪れ、県の担当者らも同席した。漁協側からは、諫早湾干拓事業など過去の公共事業を念頭に「国の言うことは信用できない」「万が一のことがあれば、風評被害で(県産の)ノリが売れなくなる」といった反対意見が噴出。説明会後、漁協の徳永重昭組合長は「(オスプレイに)来て欲しくないのが漁協の本音だ」と話した。一方、防衛局の市川道夫企画部長は「引き続き丁寧に説明をしていきたい」と語った。

| 辺野古・普天間基地問題::2015.4~ | 04:55 PM | comments (x) | trackback (x) |
2016.7.24 南シナ海、東シナ海の問題について
 
  中国の行動     中国が主張する管轄権    中国が作った人工島    国際法の規定 
2016.7.15日経新聞                   2016.7.13日経新聞

 TVではNHKまでポケもんの宣伝をしているが、一億総幼児化の企みだろうか。そして、ポケもん(このブログでは、ポケットモンスターのことではなく、ポケッとした人のことを言う)キャスターやポケもんコメンテーターが、南シナ海問題に関して意味のない曖昧なコメントをしているため、法的筋道を明確に書く。

(1)南シナ海問題の性質と仲裁裁判所判決の内容
 南シナ海の問題とは、*1-1、*1-3のように、天然ガスや漁業など豊富な資源が眠る海域で、中国、台湾、ベトナム、フィリピン、マレーシア、ブルネイなどが領有権を主張しているが、中国は国連海洋法条約に違反して、中国独自で定めた「9段線」を根拠とし、南シナ海のほぼ全域で管轄権を主張し実効支配しているのが問題なのである。

 そして、軍備や経済力に大きな差のある中国とフィリピンが1対1で交渉してもFairな交渉にならないため、*1-2、*1-3のように、フィリピンが、「中国が人工島を造成したミスチーフ礁などは満潮時に水没する『低潮高地(暗礁)』であり、領海を設定できない」とオランダ・ハーグの仲裁裁判所に訴え、2016年7月12日、オランダ・ハーグの仲裁裁判所が「①中国が南シナ海に設定した独自境界線『九段線』には主権、管轄権、歴史的権利を主張する法的根拠はない」「②南沙諸島には中国が排他的経済水域(EEZ)を設けられる国連海洋法条約上の『島』はないため、中国はEEZを主張できない」「③中国がスカボロー礁でフィリピン漁民を締め出したのは国際法違反である」「④ミスチーフ礁とセカンドトーマス礁はフィリピンのEEZ内である」「⑤中国は南沙諸島で人工島を建設するなどして国連海洋法条約の環境保護義務に違反した」という法的に筋の通った判決を出したものだ。

 この判決について、フィリピンのヤサイ外相は「フィリピンは画期的な判決を尊重し強く支持する」と述べたが、中国の習近平国家主席は「南シナ海の島々は昔から中国の領土であり、領土、主権、海洋権益はいかなる状況でも仲裁判決の影響を受けない。判決に基づくいかなる主張や行動も受け入れない」と強調したそうだ。しかし、(国連海洋法条約という)国際法が(中国の)国内法に優先するというのは世界のルールであるため、国際法上の根拠を明確に示せなかった中国が「国際法違反」と結論づけられたのは当然のことである。

 そして、同じ状況は東シナ海でも起こっているため、日本も尖閣諸島の領有権を曖昧にして「武力による一方的な現状変更に抗議する(これでは、「武力ではなく合意の下で領有権を変更するのならよい」ということになる)」と唱えるだけでなく、領有権の所在を明確にした上で、次の交渉を行うべきなのだ。

(2)仲裁裁判所の公正性について
 *2-1のように、中国外務省の劉次官は「①仲裁裁判所は合法的な国際法廷ではない」「②裁判官5人のうち4人が欧州出身者である」「③国際法廷は世界各種の文化と主要法体系を代表して構成するという国連海洋法条約の定めに反する。彼らがアジアの文化を理解しているのか」「④国際司法裁判所や国際海洋法裁判所の判事の報酬は国連が支給しているが、5人はフィリピンから金を稼いでいる」「⑤5人の裁判官のうちフィリピンが指名した1人を除く4人はすべて日本人の柳井国際海洋法裁判所所長(当時)が指名した」などと批判したそうだ。

 しかし、日本も東シナ海で同様の問題をかかえているものの、誰が裁判官であったとしてもこの判決は国際法を根拠として筋が通っているので、覆らないと考える。そのため、*2-2のように、戦争をせずに領土問題を解決するためには、国際法を根拠とするハーグ仲裁裁判所の判決を尊重することが必要不可欠だろう。

(3)尖閣諸島について

    
    東シナ海の状況      東シナ海の資源開発        新安全保障法制について

 *3-1のように、日本の2016年版防衛白書で、6月上中旬に中国の軍艦が沖縄県・尖閣諸島周辺や鹿児島県沖などの接続水域、領海に3度にわたり航行した事例について、東シナ海や南シナ海などの海洋進出について「高圧的」との認識を示すそうだ。しかし、他国の接続水域や領海に入るのは、高圧的か否かが問題ではなく国際法違反か否かが問題であるため、2016年版防衛白書もポケもんである。

 また、新安全保障関連法が成立して周辺事態法が重要影響事態法に変更されたが、尖閣諸島など周辺の警備については図のように電話閣議になっただけであるため、地球規模で他国軍を支援して弾薬提供などを行うことになった上、尖閣諸島付近への中国船出没の抑制にはなっていない。従って、新安全保障関連法は、「国際社会からは(助かるので)高く評価する」とされたとしても、日本国民を前より守ることになったわけではないのだ。

 なお、*3-2のように、翁長沖縄県知事が、2016年6月9日に、中国海軍のフリゲート艦が尖閣諸島(同県石垣市)周辺の接続水域に侵入したことなどを受け、地域住民の安全確保に向けて万全の態勢で取り組むよう菅官房長官らに要請したのは的を得ている。しかし、日本政府の菅官房長官らは、いつものとおり情報収集・監視活動に取り組んでいることを説明したのみで、結果を出していない。そのため、「何のためにやっているのか」と言われて当然なのである。

*1-1:http://www.asahi.com/topics/word/%E5%8D%97%E3%82%B7%E3%83%8A%E6%B5%B7.html (朝日新聞 2016年7月15日) 南シナ海問題
 豊富な天然資源が眠るとされる海域で、中国、台湾、ベトナム、フィリピン、マレーシア、ブルネイが領有権を主張している。対立回避のため東南アジア諸国連合(ASEAN)と中国は2002年に行動宣言を結んで自制と協調を目指した。だが中国は、独自の「9段線」を根拠にほぼ全域での管轄権を主張。軍事力や経済力を背景に、監視船を派遣するなど実効支配を強めてきた。フィリピンはスプラトリー(南沙)諸島ミスチーフ礁を奪われた経緯から中国と激しく対立。国連海洋法裁判所に仲裁を申し立てている。中国はベトナムとも漁船妨害などで衝突してきたが、最近はフィリピンを孤立させる戦略もあって、友好を保っていた。

*1-2:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20160713&ng=DGKKZO04779730T10C16A7MM8000 (日経新聞 2016.7.13) 仲裁裁判所判決の骨子
 ○中国が南シナ海に設定した独自境界線「九段線」には主権、管轄権、歴史的権利を主張する
   法的根拠はない
 ○南沙諸島には、排他的経済水域(EEZ)を設けられる国連海洋法条約上の「島」はなく、中国は
   EEZを主張できない
 ○中国がスカボロー礁でフィリピン漁民を締め出したのは国際法違反
 ○ミスチーフ礁とセカンドトーマス礁はフィリピンのEEZ内にある
 ○中国は南沙諸島で人工島を建設するなどして国連海洋法条約の環境保護義務に違反

*1-3:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20160713&ng=DGKKZO04779680T10C16A7MM8000 (日経新聞 2016.7.13) 南シナ海 中国の主権認めず 国際司法が初判断、人工島「島ではない」 中国「受け入れない」
 国連海洋法条約に基づくオランダ・ハーグの仲裁裁判所は12日、南シナ海での中国の海洋進出(総合2面きょうのことば)を巡り、中国が主権を主張する独自の境界線「九段線」に国際法上の根拠がないと認定した。中国が人工島造成など実効支配を強める南シナ海問題に対し、初めて国際的な司法判断が下された。中国は判決を受け入れないとしており、国際社会との緊張が高まるのは必至だ。裁判はフィリピンが提訴した。判決文は九段線の海域内で中国が主張する主権や管轄権、歴史的権利に関して根拠がないと指摘。国連海洋法条約を超えて主権などを主張することはできないとした。中国は1996年に同条約を批准している。中国が造成する人工島も「島」と認めなかった。フィリピンが訴えた「中国が人工島を造成したミスチーフ礁などは満潮時に水没する『低潮高地』(暗礁)であり、領海を設定できない」との指摘を認めた。スカボロー礁やジョンソン礁などは「岩」であると認定し、沿岸国が漁業や資源開発などの権利を持つ排他的経済水域(EEZ)は設けられないと判断。スカボロー礁周辺の海域は中国、フィリピン、ベトナムの伝統的な漁場で、中国がフィリピン漁船にたびたび妨害を加えていたことも国際法違反だとした。フィリピンのヤサイ外相は判決を歓迎するとした上で「フィリピンは画期的な判決を尊重し、強く支持する。紛争の平和的解決のため、引き続き努力する」と述べた。一方、中国の習近平国家主席は北京訪問中のトゥスク欧州連合(EU)大統領との会談で「南シナ海の島々は昔から中国の領土であり、領土、主権、海洋権益はいかなる状況でも仲裁判決の影響を受けない。判決に基づくいかなる主張や行動も受け入れない」と強調した。国連海洋法条約に基づく仲裁裁判は、相手国の同意がなくても一方の国の意思だけで始められる。中国の海洋進出を脅威に感じたフィリピンは2013年1月に裁判の開始を申し立てた。中国は拒否したが、同条約の規定に従い裁判官に当たる5人の仲裁人が審理した。中国は1950年前後に九段線を示し、海域のほぼ全域での主権と管轄権を主張してきたものの、国際法上の根拠を明確には説明してこなかった。今回の判決で「国際法違反」と明確に結論づけられ、中国の主張が根底から覆された。中国とフィリピンは判決に従う義務を負うが、罰則や強制する仕組みはない。南シナ海は国際航路の大動脈である上、天然ガスや漁業などの資源が豊富。中国とフィリピンのほか、台湾、ベトナム、マレーシアなどが領有権を争っている。

<仲裁裁判所の公正性>
*2-1:http://digital.asahi.com/articles/ASJ7F5WTWJ7FUHBI01J.html (朝日新聞 2016年7月13日) 南シナ海判決、中国が批判に躍起「日本人裁判所長が…」
 中国政府が、南シナ海での中国の権利を否定した常設仲裁裁判所の判決を「無効」と批判するキャンペーンを展開している。裁判官の国籍も問題視し、判決を拒否する正当性を強調。批判の矛先は日本にも向けられている。中国政府は13日午前、予定していた貿易統計の会見を延期し、判決への反論会見に差し替えた。会見では中国の立場を説明する「白書」を発表。歴史的経緯から「中国の領土だという基本的事実を変えることはできない」とし、判決を無効と主張した。白書は中国語のほか英語、ロシア語、アラビア語など計9言語で出版された。会見で外務省の劉振民次官は「仲裁裁判所が合法的な国際法廷ではないことを説明したい」とし、裁判官5人のうち4人が「欧州出身者だ」と指摘。「国際法廷は世界各種の文化と主要法体系を代表して構成するという、国連海洋法条約の定めに反する。彼らがアジアの文化を理解しているのか」などと批判した。さらに、5人の給与にも言及し、「国際司法裁判所や国際海洋法裁判所の判事の報酬は国連が支給しているが、5人は金を稼いでいる。フィリピンのカネだ」などと述べた。判事の選定方法や適性も含めて手続きの「違法性」を主張した形で、「国際法史上、悪名高い判例となった」とも断じた。また、仲裁裁判の審理の過程で十分な海域調査をしていないとし、技術的な観点からも判決には問題があると強調した。中国政府は日本にも批判の矛先を向けた。劉氏は会見で、5人の裁判官のうちフィリピンが指名した1人を除く4人は「すべて日本人の国際海洋法裁判所の柳井俊二所長(当時)が指名した」と指摘。柳井氏が安倍晋三首相の私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)の座長だったことに触れ、「裁判手続きの過程で影響を与えた」と述べた。中国外務省は12日夜、岸田文雄外相が出した「当事国は今回の判断に従う必要がある」との声明に対する反論コメントで、同様の批判を展開。判決に日本の政治的な意図が関わっていると強調することで、国内世論の不満を日本に向けさせる狙いとみられる。中国国内では12日夜から13日にかけて判決のニュースが駆け巡り、反発が強まっている。中国版ツイッター「微博(ウェイボー)」では「中国の領土は一点たりとも譲るな」「強軍こそが中華民族が屈辱から抜け出す唯一の道」などと強硬な発言が目立つほか、「外務省には人材がいないのか」「裁判で反論すべきだった」などと政府の対応を批判する声も上がる。中国政府の強硬姿勢の背景には、判決を「座視」すれば、批判の矛先が指導部に向かいかねない懸念もあるとみられる。新華社通信は13日、南沙諸島の二つの滑走路で民間機2機が試験飛行に成功したと伝え、中国が今後も実効支配を進める姿勢をアピールした。共産党機関紙・人民日報も1面で「中国は将来、領土主権を守り、海洋権益の侵犯を受けないために必要なあらゆる措置を取る」と強硬な姿勢を示した。

*2-2:http://digital.asahi.com/articles/DA3S12460913.html
(朝日新聞 2016年7月15日) 比、判決の尊重訴える方針 ASEMで 南シナ海問題
 フィリピンのドゥテルテ大統領は国内執務のため出席しないが、代理でヤサイ外相が参加する。ドゥテルテ氏は14日、マニラであった会合で「戦争は望まない」と述べ、中国と対話で解決したい考えを示した。また、ラモス元大統領に対し「中国と対話を始められるように」と相談していることも明らかにした。これを受け、ASEMでヤサイ外相がどこまで判決について訴えるかに関心が集まっている。

<尖閣諸島>
*3-1:http://digital.asahi.com/articles/ASJ7N6KS1J7NUTFK00D.html
(朝日新聞 2016年7月21日) 中国の海洋進出「高圧的」 防衛白書原案、認識示す
 2016年版の防衛白書の原案が明らかになった。中国の動向について、6月上中旬に軍艦が、沖縄県・尖閣諸島周辺や鹿児島県沖などの接続水域、領海に3度にわたり航行した事例を盛り込み、東シナ海や南シナ海などの海洋進出について、「高圧的」だとの認識を示した。白書は8月上旬にも閣議報告される。航空自衛隊による対中国機の緊急発進(スクランブル)について、「急激な増加傾向」にあると指摘し、尖閣周辺の東シナ海での中国機の動きが南下しているとも分析した。北朝鮮を巡っては、1月に強行した4度目の核実験や2月以降の相次ぐ弾道ミサイル発射などを示し、「軍事的な挑発的言動」を繰り返していると強調。「既に核兵器の小型化、弾頭化の実現に至っている可能性も考えられる」とし、「北朝鮮のミサイル開発全体が一層進展しているとみられる」とした。また、安全保障関連法が成立した後、初めての白書となる。同法については章をたてて説明し「歴史的な重要性」があると強調した。「国際社会からも高く評価、支持」されているとも明記した。

*3-2:http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160721-00000566-san-pol (産経新聞 2016年7月21日)翁長雄志沖縄県知事が政府に初めて安全確保要請 尖閣周辺海域の中国軍艦侵入
 沖縄県の翁長雄志知事は21日、首相官邸で開かれた「政府・沖縄県協議会」で、今年6月9日に中国海軍のフリゲート艦が尖閣諸島(同県石垣市)周辺の接続水域に侵入したことなどを受け、地域住民の安全確保に向けて万全の態勢で取り組むよう菅義偉官房長官らに要請した。翁長氏が中国船への対応を政府に要請するのは初めて。協議会で菅氏らは翁長氏の要請に対し、情報収集や監視活動に取り組んでいることを説明した上で、「政府としては引き続きわが国周辺海域での警戒監視活動に万全を期す」と応じた。政府への要請については、石垣市の中山義隆市長らが県に求めていた。

| 外交・防衛::2014.9~ | 03:47 PM | comments (x) | trackback (x) |
2016.7.19 脱原発とクリーンエネルギーへの転換 (2016年7月20、21、22、24日追加あり)

 2016.7.7   フクイチ汚染水 2016.5.26朝日新聞     水産物の輸入禁止  大手メディア
 西日本新聞                凍土壁             (韓国の例)      の報道


      九州の火山     九州の断層帯 原発立地 原発輸出国     日本の食品対応

(1)九州の選択
 参議院議員選挙での争点にはならなかったが、*1-1のように、鹿児島県は「原発のない社会をつくろう」と訴えた無所属で新人の三反園氏を新知事に選んだ。三反園氏は、「熊本地震を受け、原発を停止して再検査し、活断層の調査をすべきだ」「安全性が確保されない原発は動かすわけにはいかない」とも述べておられ、農林漁業、工業、観光などの他産業も多く、原発事故が起これば被害甚大で、その可能性が低いとは言えない状況の鹿児島で、それは当たり前のことである。

 また、*1-2のように、三反園氏が当選した翌日、玄海原発の早期再稼働を望む佐賀県の関係者は今後の動きを注視し、再稼働反対派は「脱原発」の機運の高まりを期待している。九電は「原発の重要性は変わらないので、安全確保の状況を説明していきたい」としているが、原発はむしろ新エネルギーの発展を阻害し、原発に100%の安全性はなく、原発がなくても電力は足り、熊本地震で断層帯・火山・大地震の存在が明瞭になって原発の安全性はさらに低くなったのだから、私は、原発再稼働なしの脱原発が最も合理的な選択だと考える。

 そのような中、*1-3のように、九電玄海原発の30キロ圏にある佐賀県伊万里市の塚部市長が7月4日の定例会見で「玄海原発の再稼働は認められない」と述べられた。30キロ圏の伊万里市は佐賀県と「市の意向を十分配慮する」という覚書を結んでおり、伊万里市長は、「九電の経営に加担する必要はなく、玄海町の一部経済のために伊万里市民が再稼働への不安を押し殺す必要もない」と踏み込んでいる。これは、他の30キロ圏内にある市町村も全く同じだ。

(2)水素の時代へ
 *2-1のように、北九州市で5月1、2日に先進7カ国(G7)エネルギー相会合が開かれ、北九州市は「環境都市」を発信し、水素で作った電気で家庭電力を賄う「水素タウン」などに、各国要人らも高い関心を示したそうだ。また、欧州連合(EU)の高官は2日の共同会見で、「クリーンエネルギーへの転換がどのように経済を成長させ、エネルギーの安全保障を高めるかを示している街だ」と評価し、エネ相会合で採択された「北九州宣言」に、クリーンエネルギーの発展に向けた研究開発や普及の強化が盛り込まれたとのことである。

 また、トヨタ自動車九州は、2-2のように、2016年6月28日、宮田工場で水素エネルギーを製造・活用するモデル事業を来年3月から実施し、ゆっくりしすぎだが2050年までに工場からのCO2排出をゼロにする目標を掲げており、東芝も、*2-3のように、2016年7月14日、水を電気分解して水素を発生させる新型の水素製造装置を開発して1時間で燃料電池車(FCV)2台分の燃料に相当する水素を作り出せるようになったそうだ。しかし、量産段階でも価格が1台2億円前後というのは、価格が高すぎて本当に普及を意図しているようには見えない。

 そのため、私は、知事選中の東京都は、地震・津波に備えて災害に強い都市にするための区画整理や福祉を組み込んだ新しい街づくりを行い、2020年のオリンピックを目標にEVか燃料電池車しか走らせない安全で水と緑の美しい環境都市とし、太陽光発電、燃料電池、蓄電池などの次世代エネルギーを一般住宅・マンション・ビルに標準装備させ、クリーンエネルギーのみを使う環境都市・福祉都市としてオリンピックで世界にアピールすればよいと考える。また、他の都市も、新しい街づくりは、この方式がよいと思う。

(3)脱原発と電力会社
 このような中、*3-1のように、経産省は、原発は経済性に優れるとして原発を重要なベースロード電源と位置づけたが、これは15年も時代遅れだ。大手電力会社も原発に頼る姿勢を変えず、*3-2のように、関電前会長の森関西経済連合会会長などは、2016年7月13日、「司法リスクを限りなく小さくする必要があるので仮処分の申し立てができないよう法改正などを政府に求めていく」としている。法改正までして提訴できないようにするというのは、井戸弁護士が言われるとおり傲慢だ。

(4)政府の放射線公害に対する鈍感さ
 環境省は、*4-1のように、2016年6月30日、放射性セシウム濃度が1キロ当たり8000ベクレル以下の汚染土であれば公共事業などに限定して再利用する基本方針を正式決定したそうだ。ここで考えなければならないのは、「最大8000ベクレル/キロ X 最大2200万立方メートル X 約5000(注)=約880億ベクレル(注:土の比重を約5としてキログラムを立法メートルに換算)」という膨大な総量を福島県外の非汚染地域で再利用や最終処分すれば、いたずらに放射性物質を拡散させ、管理どころではなくなることである。そのため、私は、この決定に呆れている。

 さらに、*4-2のように、「凍土壁」は最初からわかっていたとおり遮水効果を果たしていないが、この凍土壁には多額の国家予算が研究開発名目で投じられ、維持にも多額の費用がかかる。そのため、このような膨大な無駄遣いを決定した東電、経産省、規制委の判断には問題がある。

 そして、このブログの2016.3.14に記載したとおり、 フクシマ原発事故による汚染水の海への垂れ流しにより、日本の海産物は多くの国で輸入規制の対象になっているのだ。

(5)原発の温排水も豊かな海がなくなった原因であること
 朝日新聞は、*4-3のように、2016年7月18日の社説で、「①経済成長を追い求めるとともに海が痛めつけられた」「②工場や家庭排水の影響で窒素・リンの濃度が高まる富栄養化が起き、赤潮が頻発して漁業被害が深刻化した」「③沿岸は次々に埋め立てられ、全国の3分の1以上が人工海岸になった」「④都市に近い内海や湾で多くの干潟や藻場が失われた」「⑤政府は70年代以降、汚濁物質の流入を抑える対策に力を注いで水質は着実に良くなり、瀬戸内海では赤潮の発生がピーク時の3分の1ほどにまで減ったが、海の豊かさは戻ってきていない」「⑥瀬戸内海の漁業生産量は、最盛期の約4割しかなく、全国でも沿岸漁業の生産量は減り続け、漁業離れに拍車をかける」「⑦海藻が消失する磯焼けも各地で相次いでいる」「⑧沿岸の干潟や藻場は陸から流れ込む窒素やリンを取り込み、海の富栄養化を抑える役割を果たしていたが、それが失われると復元は容易ではない」「⑨人の手で適切に補っていく必要がある」と書いている。

 そのうち、①②⑤は、(田舎では最近になって)下水道を整備し、工場排水も自己責任で浄化しなければ排出できないようにしたことによって解決しつつある。しかし、③④⑧は、コンクリートで固めるのが近代化だと勘違いしてコンクリート化し続けた公共工事が原因なので、このような公共工事に膨大な予算を使った後に、⑨のように人手でそれを補おうとするのは、焼け石に水である上、予算の二重取りだ。

 さらに、⑥⑦の流れ込む窒素・リンを制御した後でも磯焼けが進み漁獲高が増えないのは、原発を冷却するために海水を取り込み温水を排出しているためで、この行為が原発に取り込まれた海水中の動植物の幼生を殺しつつ海水の温度を上げているからである。これは、原発停止によって従来の海藻が回復し、従来いた魚が増えたことによって明確になったのだが、新聞各社はこれを記載するのを避けている。

 なお、下水道が普及して地方の海はかなり透明になったが、東京湾のように船の往来が多い港の水は茶色く濁って汚い。この状況は、晴れた日に国内線の飛行機から下を見ているとよくわかる。そして、船の往来が多い港の水が汚い理由は、船からの原油・重油系の排出が多いことが原因だと言われており、地上も船も水素を燃料とする時代になれば、これは解決できる。このように、まず、汚染源を特定してそれを止めなければ、自然と比較して微力な人間がかかわっても元の海は取り戻しにくい。

(6)原発の推進・輸出は時代錯誤であること
 米カリフォルニア州の電力大手PG&Eは、*5-1のように、原発の2基の原子炉(出力計224万キロワット)の稼働を2025年までに停止して閉鎖し、今後8~9年で、電源を太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーに転換して、2031年までに総発電量の55%を賄う計画を掲げているそうだ。

 また、*5-2のように、東芝は、経済発展と共に電力需要が高まっており、政府が再生可能エネルギーの普及を後押ししているフィリピンで、発電設備の受注に力を入れるそうだ。フィリピンは、日本と同様に水が豊富で火山国であるという条件から、水力や地熱の引き合いが強いとのことである。

 そのような中、*5-3のように、安倍首相とインドのモディ首相が「原則合意」した日印原子力協定は、正式に協定を結べば、インドに原発を輸出し、事故時は日本国民が税金で責任を負うことになっている。しかし、そうまでして原発の製造や輸出にこだわる必要はないだろう。

<エネルギー政策の展望>
*1-1:http://digital.asahi.com/articles/ASJ7B63QTJ7BTLTB00K.html
(朝日新聞 2016年7月10日) 鹿児島知事に三反園氏 「原発いったん停止し再検査を」
 鹿児島県知事選は10日投開票され、無所属新顔で元テレビ朝日コメンテーターの三反園訓氏(58)が無所属現職の伊藤祐一郎氏(68)を破り、初当選を確実にした。三反園氏は伊藤氏の4選阻止を訴え、民進、社民両党県組織や保守系地方議員の一部の支援を得て草の根の選挙戦を展開した。選挙事務所の内外に集まった支持者約200人の前に、三反園氏は午後8時24分に姿を見せた。「私は原発のない社会をつくろうと一貫して訴えている。熊本地震を受け、原発をいったん停止して再検査し、活断層の調査をすべきだ」と発言。安全性に問題が見つかった場合の対応を報道陣に尋ねられ、「安全性が確保されない原発は動かすわけにはいかない」と述べた。鹿児島県で過去に4選した知事はおらず、伊藤氏の4選の是非が焦点の一つとなった。三反園氏は多選を批判するとともに、熊本地震の発生で九州電力川内原発(鹿児島県薩摩川内市)の安全性に不安が広がると、反原発グループとも連携。「川内原発を停止し、点検するよう九電に申し入れる」との公約を掲げ、支持を広げた。一方で、選挙戦では反原発の主張を強調せず、保守層にも気を配った。伊藤氏は自民、公明両党の支援を得て組織戦を展開したが、及ばなかった。

*1-2:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/332812
(佐賀新聞 2016年7月12日) 鹿児島県に「脱原発」知事 玄海への影響注視
 10日投開票の鹿児島県知事選で初当選を果たした新人の三反園訓(みたぞのさとし)氏(58)が九州電力に対し全国で唯一再稼働している川内原発(同県)を一時停止し、点検するよう求める考えを表明した。一夜明けた11日、玄海原発(東松浦郡玄海町)の早期再稼働を望む佐賀県内の関係者は今後の動きを注視し、再稼働反対派は「脱原発」の機運の高まりを期待した。九電本店は「(停止の)具体的な要請が来ているわけではない。原発の重要性は変わらないので、安全確保の状況を説明していきたい」とし、玄海3、4号機の年度内再稼働を目指す。玄海町の岸本英雄町長は「あくまで新知事が国や電力会社と相談すること」と静観、「どういうことになるか想像がつきにくいが、玄海への影響はないのではないか」。佐賀商工会議所の井田出海会頭も「知事が替わっただけで判断が変わってしまうのはどうなのか」と警戒感を示しつつ、影響は否定した。一方、再稼働に反対する伊万里市の塚部芳和市長は「脱原発の動きも多少出てくるのではないか」と期待。「玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会」の石丸初美代表は「原発を不安に思う市民の心に寄り添っている」と評価し、佐賀県知事に「(原発を止める)権限がないからではなく、県民を守るために同じように立ちはだかってほしい」と注文した。副島良彦副知事は記者団に「特に佐賀県としてのスタンスは変わることはない」と安全性が厳格に確認された上で、玄海の再稼働を容認する考えを改めて示した。

*1-3:http://digital.asahi.com/articles/ASJ745CJJJ74TIPE029.html
(朝日新聞 2016年7月5日)玄海原発「再稼働認めない」 伊万里市長、覚書をてこに
 九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)の30キロ圏にある佐賀県伊万里市の塚部芳和市長は4日の定例会見で「玄海原発の再稼働は認められない」と述べた。九電は再稼働の同意権限を県と玄海町に限るが、市は県と「市の意向を十分配慮する」という覚書を結ぶ。県は覚書と再稼働は無関係との立場で、影響は未知数だ。「原発が止まった時は、地域経済や市民生活への影響を心配したが、5年たってみて大きな支障はなかった。再稼働しなくていいんじゃないかというのが市民の感覚だ」。4日の会見で玄海原発の再稼働に対する考えを報道陣に尋ねられ、塚部市長はそう述べた。また「もし事故が起きたら取り返しがつかない。再稼働の連鎖は打ち切らなければ」とし、「九電の経営に加担する必要もなく、玄海町の一部経済のために伊万里市民が再稼働への不安を押し殺す必要もない」と踏み込んだ。塚部市長はこれまで、「避難道路も防災無線も整備されていない中で再稼働には賛成しかねる」と慎重な立場を示してきたが、明確に再稼働反対を唱えたことはなかった。九電は、佐賀県と、原発が立地する玄海町を再稼働の際に同意を得る「地元」とし、玄海原発の計画変更の際に事前了解を得るとする安全協定を結んでいる。同等の協定を結ぶため、伊万里市は2013年8月から九電と30回以上交渉を重ね、実現しないまま今年2月、「九電が市に事前説明をし、市は九電に意見できる」という内容の協定を結んだ。ただ市はその際、県と「県は(九電との協定の運用にあたって)伊万里市の意向に十分配慮する」という内容の覚書を交わした。これをてこに、塚部市長は県を通じて再稼働反対を九電に主張する考えだ。九電が再稼働する際には県に同意を求める、と伊万里市は考えており、その場合「当然、伊万里市の意向が配慮される」と主張する。
■県と市に温度差
 これに対し、県の反応は冷ややかだ。石橋正彦・県産業労働部長は「一つの意見として受け止める」と述べるにとどめた。覚書をもとに配慮を求める市の主張について、県と九電の安全協定には再稼働のことが明記されていないため「関係ない」と反論。地元の幅広い理解の必要性は認めながらも「再稼働は国と事業者が決めるべきこと」と述べた。九電も「再稼働の同意が必要なのは県と玄海町」との考えを変えておらず、伊万里市が反対しても再稼働に向けた動きを進める考えだ。広報は「再稼働に当たっては地域の方々に安全対策について理解頂き、安心して頂くのが重要と考えており、コミュニケーション活動を続けたい」とする。玄海原発は再稼働に向け、原子力規制委員会の審査が進む。5月までは3回の開催だったが、6月中旬からは週1回以上のペースに。原発の基本設計や方針をチェックする審査が終盤に差し掛かっている。瓜生道明社長は6月28日の記者会見で「年度内には動かしたい」と意欲を示した。

<水素の時代へ>
*2-1:http://qbiz.jp/article/86149/1/
(西日本新聞 2016年5月4日) 北九州市のエネ相会合、「環境都市」発信に成果
 九州で唯一、主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)の関係閣僚会議として北九州市で1、2両日、先進7カ国(G7)エネルギー相会合が開かれた。市は公害を克服し、「環境都市」へ発展した取り組みを積極的にPR。水素で作った電気で家庭電力を賄う「水素タウン」などに、各国要人らも高い関心を示した。凶悪事件が相次いだ負のイメージの一新に大きな成果を上げる一方、環境都市として今後どう進化するのか、真価が問われる。「北九州市は二酸化炭素の排出量が少なく、安価な地域エネルギー創出に向けて努力している」。北橋健治市長は2日、東田地区(八幡東区)を視察した各国の次官や局長を前に英語でスピーチした。未来のエネルギー社会を示す二つの実験が2014年度まで行われた同地区。市長は水素タウンやITを使い電気を効率的に利用する「北九州スマートコミュニティ創造事業」の概要を説明。水素で動く燃料電池車から住宅へ電力を供給する実験も披露した。昨年7月に会合開催決定後、市は情報発信に努めてきた。3月には東京から海外メディア特派員を招待。会合会場では、エネルギー施策や水ビジネスなどの国際協力を紹介するパネルも展示した。欧州連合(EU)の高官は2日の共同会見で「クリーンエネルギーへの転換がどのように経済を成長させ、エネルギーの安全保障を高めるかを示している街だ」と評価。シリア人の男性記者(42)も「日本の産業発展を支え、新エネルギー先進地に転換した歴史を紹介したい」と話した。エネ相会合で採択された「北九州宣言」には、クリーンエネルギーの発展に向けた研究開発や普及の強化も盛り込まれた。「水素タウンやスマートコミュニティをさらに進めるとの(国際的な)合意ができたのではないか。さらに前進させていきたい」。北橋市長は意気込む。ただ、国際舞台で「環境都市・北九州市」を発信したことで、その成長は“国際公約”にもなった。水素タウンなどの実験の成果を今後、どのように市民生活に浸透させていくか。大きな課題を背負ったと言える。

*2-2:http://qbiz.jp/article/89762/1/
(西日本新聞 2016年6月29日) トヨタ九州 水素製造 宮田工場内で活用
 トヨタ自動車九州(福岡県宮若市)は28日、宮田工場(同)で水素エネルギーを製造、活用するモデル事業を来年3月から実施すると発表した。福岡県や九電テクノシステムズ(福岡市)、豊田通商(名古屋市)との共同事業。工場で太陽光発電から一貫して水素を製造、活用するのは全国初の試みという。トヨタ自動車は2050年までに工場からの二酸化炭素(CO2)排出をゼロにする目標に掲げており、事業はその一環。宮田工場の屋根に太陽光パネルを取り付け、得られた電力で水素を製造。従来の電動フォークリフトに比べてCO2排出量が半分で済む燃料電池フォークリフトの燃料などに使う。九電テクノなどが水素の需要や貯蔵データを収集し、効率化を図る。来年度までの総費用は7億3千万円で、うち4億8千万円は経済産業省の補助金で賄う。金子達也社長は「段階的にリフトや燃料電池を増やして規模を拡大する。苅田、小倉工場にも取り組みを広げたい」と話した。

*2-3:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20160715&ng=DGKKASDZ14HR6_U6A710C1TJC000 (日経新聞 2016.7.15) 東芝、水素の製造装置を開発 生産量国内最大
 東芝は14日、新型の水素製造装置を開発したと発表した。1時間で燃料電池車(FCV)2台分の燃料に相当する水素を作り出せる。水を電気分解して水素を発生させる電解液にアルカリ水溶液を使うタイプでは国内最大の製造量という。今年度中の販売開始を予定しており、価格は量産段階で1台2億円前後を見込む。

<脱原発と電力会社>
*3-1:http://digital.asahi.com/articles/DA3S12429239.html
(朝日新聞社説 2016年6月27日)電力株主総会 原発頼みで展望あるか
 国が原発を重要なベースロード電源と位置づけ、30年度の比率を20~22%にすると言っている。原発は経済性にも優れる。だから安全確保を大前提に原発を再稼働していきたい――。経営陣の主張はおおむね同じだ。だが、東京電力福島第一原発事故を経験したわが国で、原発を動かすことは格段に難しくなった。経営環境の激変を率直に受け止め、乗り切るための長期展望を示すのが経営陣の務めだ。しかも電力小売りが全面自由化された時代に、「とにかく再稼働を」と繰り返すだけで、株主の信頼は得られるか。現状を改めて直視すべきだ。事故後から5年余り、全国の原発はほとんど動かせなかった。昨年、九州電力川内原発1、2号機が新規制基準のもとで初めて動き出した。だが今年1~2月に再稼働した関西電力高浜原発3、4号機は3月、大津地裁の仮処分決定で運転の差し止めを命じられた。原発の運転を禁じる司法判断は事故後もう3件目だ。住民が裁判所に判断を求める動きは各地で相次ぎ、「司法リスク」は高まっている。原発はますます思惑通りに動かせない電源となってきている。電力会社はそれでも原発に頼る姿勢を変えようとしない。関電は運転開始から40年を超す3基もさらに20年延長して動かす方針を打ち出した。だが、原発を動かし続けるなら必須となる使用済み核燃料の中間貯蔵施設はいっこうに建設のめどが立たない。経営陣は原発の建て替えや新増設への意欲は強調するが、具体的な計画は「国の方針が出た後に」とお茶を濁す。責任感や主体性を感じ取るのは難しいと言うしかない。関電の大株主である大阪市は今年も議案を出した。将来の原発廃止まで、必要最低限の再稼働は認めるものの、万全の安全対策や使用済み核燃料の処分方法の確立を会社に義務づけることを提案している。「事故時の住民避難計画を検証する委員会を設ける」「希望する周辺自治体すべてと安全協定を結ぶ」。ほかの株主提案にも、原発依存からの脱却をはかるうえで、傾聴に値するアイデアがいくつもある。株主の声に耳を傾け、原発に頼らない未来を切り開く道筋をともに探る。そういう姿勢を電力会社の経営陣に望みたい。

*3-2:http://digital.asahi.com/articles/ASJ7F55ZRJ7FPLFA005.html
(朝日新聞 2016年7月13日) 原発差し止め仮処分申請「できないように」 関電前会長
 原発の運転差し止めを求める仮処分の申し立てが全国の裁判所で相次いでいることについて、関西電力前会長の森詳介・関西経済連合会会長は13日、「司法リスクを限りなく小さくする必要がある」と述べ、申し立てができないように法改正などを政府に求めていく考えを示した。仮処分を申し立てた住民側からは「傲慢(ごうまん)だ」との声が出ている。関電は12日、高浜原発3、4号機(福井県)運転を差し止める大津地裁の仮処分決定に対する異議が退けられ、同原発が動かせない状態が続く。関経連の会見で森氏は「仮処分は民事で扱わない、特定の裁判所でやるとか、いろいろな方法がある」と指摘。国のエネルギー政策とかかわる原発の運転をめぐる問題は仮処分申請を認めず、知的財産権を専門に扱う知財高裁のような特定の裁判所で扱うべきだなどとした。森氏はそのうえで「資源エネルギー庁も大変大きな問題意識を持っている。最終的には法務省に要望していきたい」などと述べた。会見では、角和夫副会長(阪急電鉄会長)も森氏に同調して「原発を動かす、動かさないは行政訴訟に限定するなど、やり方はある」などと説明した。これに対し、大津地裁に仮処分を申し立てた住民側の井戸謙一弁護士は「人権侵害を緊急に救済する道を閉ざせば、憲法の『裁判を受ける権利』の否定になる。法改正まで訴えるのは、傲慢な姿勢だ」と批判した。

<政府の放射線公害に対する鈍感>
*4-1:http://mainichi.jp/articles/20160701/k00/00m/040/063000c
(毎日新聞 2016年6月30日) 原発汚染土、「8000ベクレル以下」なら再利用を決定
東京電力福島第1原発事故に伴う福島県内の汚染土などの除染廃棄物について、環境省は30日、放射性セシウム濃度が1キロ当たり8000ベクレル以下であれば、公共事業の盛り土などに限定して再利用する基本方針を正式決定した。同省が非公式会合で盛り土の耐用年数をはるかに超える170年もの管理が必要になると試算していたことが発覚したが、基本方針では「今後、実証事業で安全性や具体的な管理方法を検証する」と表記するにとどまり、管理期間には言及しなかった。福島県大熊、双葉両町にまたがる中間貯蔵施設に保管される除染廃棄物は最大2200万立方メートルになると見込まれる。国は2045年3月までに県外で最終処分する方針で、できるだけ再利用して処分量を減らしたい考え。基本方針では、再利用は管理主体などが明確な公共事業に限定し、1メートル離れた場所での追加被ばく線量を年間0.01ミリシーベルト以下に抑えると明記。同8000ベクレルの汚染土を使う場合、50センチ以上の覆土をし、さらに土砂やアスファルトで覆う対策を取るという。ただし、原子炉等規制法では、制限なく再利用できるのは同100ベクレル以下。環境省の非公式会合で、同5000ベクレルの廃棄物が同100ベクレル以下まで低下するには170年かかる一方、盛り土の耐用年数は70年とする試算が出ていた。基本方針では、再利用後の管理期間の設定や、管理体制の構築について触れられておらず、原子炉等規制法との整合性を疑問視する声も上がっている。環境省側は「管理期間や方法については、モデル事業を通じ、今後検討を進める」(井上信治副環境相)との姿勢だ。

*4-2:http://toyokeizai.net/articles/-/121239 (東洋経済 2016年6月4日) 政治・経済震災と復興.福島第一「凍土壁」は、遮水効果に疑問がある、東電、鳴り物入りの汚染水対策が難航
 東京電力ホールディングス・福島第一原子力発電所の汚染水抑制対策が思うような効果を発揮していない問題で、同社は6月2日、新たな工法を導入することを決めた。この日、原子力規制委員会の検討会合で、東電は「凍土工法」を用いても凍らなかった土壌の凍結対策として、セメント系の材料を新たに注入すると説明。規制委から「やむを得ない」として了承を得た。6月6日から工事を開始し、今月中に完了させる。これにより、目の粗い石が多いために地下水の通り道になっていると見られる地中箇所の凍結を確実にしたい考えだ。新たな工事は凍土壁工事の一環として行われ、総額345億円が用意された国の研究開発予算の一部を用いる。
●凍結後も地下水流入量に変化なし
東電が福島第一原発の原子炉建屋の周囲約1.5キロメートルにわたって構築した「陸側遮水壁」は通称、「凍土壁」と呼ばれる。地下約30メートルの深さまで埋設した約1500本の配管に零下30度の冷却材を流し込むことで、周辺の土を凍らせる。これによって、建屋内への地下水の流入を抑制し、溶け落ちた燃料に接触することによって発生する放射能汚染水の抜本的な削減を見込んでいる。だが、凍土壁は3月31日に原子炉建屋の海側全面および山側の一部が稼働して2カ月が経過したにもかかわらず、「現在のところ、地下水流入量を減らす効果が出ているとはいえない」(川村信一・福島第一原発広報担当)状態だ。このところ降雨量が多いこともあり、地下水の流入は1日当たり200立法メートル程度の高水準が続いており、「凍結開始後も大きな変化はない」(東電)という。建屋内への流入量を減らすことを目的として設置した「地下水ドレン」と呼ばれる井戸からくみ上げた水を、放射性物質の濃度が高いために海に放出することができず、東電ではやむなく建屋内に戻している。凍土壁の稼働で、こうした本来の目的と異なるオペレーションの是正が期待されたが、現在のところ目立った成果は現われていない。東電の説明に苦言を呈した更田豊志・原子力規制委員会委員長代理(6月2日の検討会合)こうした中で、東電は規制委の了承を得て、遮水壁の凍結範囲を拡大する。これまで先行凍結させてきた海側に続き、山側部分についても大部分を凍結させることを決めた。凍結作業は数日内に開始する見込みで、新たに490本の凍結管に冷却材を流し込む。もっともその効果は未知数で、原子炉建屋を凍土壁で完全に囲い込むメドは立っていない。
●規制委は凍土壁の効果を疑問視
そもそも凍土壁は、汚染水問題の重層的な対策の一環として導入された。だが、工事金額の大きさやマンパワーのかけ方で注目度が大きかった反面、規制委は「根本的な解決策にはならない」(田中俊一委員長)とみなしてきた。のみならず規制委は、凍土壁で原子炉建屋を囲い込んだ結果、建屋内の汚染水の水位が遮水壁の外側の地下水位よりも高くなってしまうことで汚染水が流出するリスクを懸念してきた。今回、そうしたリスクが当面高くないとして規制委は山側の大部分の凍結を了承したが、そうかといって所期の効果がどこまで現われるかも定かでない。2日の規制委の検討会合でも、「最も期待した(地下水ドレンなどの)くみ上げ量減少が実現していない。本当に(凍土の)壁が形成されているのか。このままではいつまでたっても(効果を)判断できない恐れがある」と規制委の更田豊志委員長代理は東電に苦言を呈した。地下水位に有意な変動があることなどを理由に、東電は凍土壁の形成によって遮水効果は見え始めていると説明したが、規制委のメンバーは納得しなかった。凍土壁には前述のように、多額の国の予算が研究開発名目で投じられている。一方、稼働後のランニングコストは東電が負担する。電気代を含む総額は年間に十数億円になり、2016年度の電気の使用量は4400万キロワット時にも上る見通しだ。1万2000世帯以上が1年間に消費する電力量に相当する。今後も期待したほどの効果が発揮できない場合、凍土壁の周囲にセメントを大量注入するなどの抜本策も必要との声も検討会合に参加した専門家から上がっている。汚染水対策の出口は見えず、試行錯誤が続いている。

*4-3:http://digital.asahi.com/articles/DA3S12466361.html
(朝日新聞社説 2016年7月18日)海の再生 豊かな「里海」へ、行動を
 きょう18日は「海の日」だ。この祝日を機に、人間と海との関係を考えてみる。島国だけに、海はつねに魚や貝類をはじめ、豊かな実りをもたらしてくれていた。だが戦後、社会がひたすら経済成長を追い求め、人々の暮らしが豊かになるにつれ、その代償を払うように、海はひどく痛めつけられた。その反省を踏まえた環境改善が進むなか、さらに一歩先の「海の再生」をめざす動きが各地で始まっている。
■戻らぬ豊かさ
 高度成長期だった60~70年代、日本の海は激変した。瀬戸内海や東京湾、伊勢湾では赤潮が頻発した。工場や家庭排水の影響で、窒素やリンの濃度が高まる富栄養化が起き、プランクトンが異常発生する現象だ。漁業被害も深刻化した。沿岸は次々に埋め立てられ、全国の3分の1以上が人工海岸になった。都市に近い内海や湾では、多くの干潟(ひがた)や藻場(もば)が失われていった。このため政府は70年代以降、汚濁物質の流入を抑える対策に力を注いだ。水質は着実に良くなり、瀬戸内海では赤潮の発生がピーク時の3分の1ほどにまで減った。ところが、海の豊かさは戻ってきていない。瀬戸内海の漁業生産量は、最盛期の約4割しかない。全国でも沿岸漁業の生産量は減り続け、漁業離れに拍車をかける。海藻が消失する磯焼けも各地で相次いでいる。原因は未解明だが、森林が荒れ、腐植土に含まれる鉄分が川を通じて海に供給されなくなったためという見方もある。5月に富山市で開かれた主要7カ国(G7)環境相会合は、大きさ5ミリ以下の微小プラスチックが海の生き物に及ぼす悪影響への懸念を表明した。ペットボトルや化粧品など、身の回りのさまざまなものが発生源だ。人間の活動が海にかけている負荷は重い。
■人の手を加える
 海と人間の望ましい関係を考えるうえで、近年、「里海(さとうみ)」という言葉が注目されている。
 「人手が加わることで、生物の生産性と多様性が高くなった沿岸海域」という定義だ。98年から提唱してきた柳哲雄・九州大名誉教授は「きれいで、豊かで、にぎわいがある海」と表現する。ポイントは、山から河川を経て、海へ至る物質の流れを滑らかにすることだ。たとえば、沿岸の干潟や藻場は陸から流れ込む窒素やリンを取り込み、海の富栄養化を抑える役割を果たしていた。それが失われると、復元は容易ではない。人の手で適切に補っていく必要がある。里海の先駆例として知られるのが日生(ひなせ)(岡山県備前市)の漁師らによる「アマモ場」の再生だ。アマモはイネに似た長い葉をつける海草で、多くの生き物を育むゆりかごである。瀬戸内海が汚れるにつれ、日生の浅瀬からアマモの群生が消えた。「魚が減ったのもそのせいでは」と考えた漁師らが85年からアマモの種をまき始めた。台風の直撃で全滅するなどの苦難を乗り越え、昨年には50年代の4割ほどまでアマモ場は回復した。魚やエビが戻り、特産の養殖カキの収穫も安定する効果が出ている。アマモ場づくりは各地に広がっている。6月に日生で開かれた「全国アマモサミット」には2千人が集まった。環境省の14年度の調べでは、「里海づくり」に取り組む行政や市民らの活動は全国で216件にのぼる。「森は海の恋人」を合言葉に、宮城県のカキ養殖漁師らが89年から続ける植林や、干潟の保全など内容はさまざまだ。
■一人ひとりが意識を
 豊かな海の復活には、活動の輪を広げ、より多くの人が息長く携わることが欠かせない。東京湾再生に取り組む官民連携組織は13年から「東京湾大感謝祭」を始めた。江戸前の海の幸を食べたり、海辺のレジャーを体験したり。昨年は3日間で8万8千人が盛り上がった。企画を担う海洋環境専門家の木村尚(たかし)さんは、横浜市でアマモ場再生に尽力してきた。東京湾周辺には3千万人が暮らしている。「その3千万人が3千万通りに東京湾にかかわっていくようになれば、海はよみがえる」と木村さんは言う。たとえば、近海でとれた魚介類を積極的に買って食べれば、里海づくりを担う漁師らの支えになる。潮干狩りや磯遊びで子どもたちに海の魅力を体験させるのもいい。暮らしの中から出てくる排水やごみを減らすことも大切だ。私たち一人ひとりが海を意識し、具体的に行動する。その先に、豊かな里海が見えてくるに違いない。

<原発推進・輸出の時代錯誤>
*5-1:http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2016062201000780.html
(東京新聞 2016年6月22日) 米加州最後の原発閉鎖へ 再生エネに転換
 米カリフォルニア州の電力大手PG&Eは21日、運営するディアブロキャニオン原発の2基の原子炉(出力計224万キロワット)の稼働を2025年までに停止し、閉鎖すると発表した。同州から原発がなくなることになる。同州では13年に、電力会社サザン・カリフォルニア・エジソンがサンオノフレ原発の廃炉を決め、ディアブロキャニオンが唯一の原発になっていた。PG&Eは今後8~9年で、電源を太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーへ転換、31年までに総発電量の55%をまかなう計画を掲げている。

*5-2:http://qbiz.jp/article/88921/1/
(西日本新聞 2016年6月16日) フィリピン 東芝、水力や地熱で発電機の大型受注狙う
 東芝は、フィリピンで発電設備の受注に力を入れる。経済発展と共に電力需要が高まっており、政府が再生可能エネルギーの普及を後押ししていることを商機と見ている。特に、水が豊富で火山国であるという地理的条件から引き合いが強い水力や地熱を中心に大型受注を狙う。アジア統括会社、東芝アジア・パシフィックの土光辰夫・アジア総代表が15日、フィリピンで明らかにした。東芝はこれまで、パンガシナン州のサンロケ水力発電所(出力41万1,000キロワット=kW)をはじめ、フィリピンで5カ所の水力発電所、3カ所の地熱発電所、2カ所の火力発電所に発電機を納入した実績がある。総出力は210万7,000kWに上る。発電機は日本と中国で製造した。東芝は、水力発電の可変速揚水システムと地熱発電の地熱タービンで世界一のシェア(それぞれ累計納入プラント数ベース、運転プラント容量ベース)を占め、メンテナンスでも高い技術を持つ。発電機は消費財の販売とは異なり、中長期的なサービスが必要であり、保守事業が次の受注につながることもあるという。土光総代表はフィリピンについて、「ハードディスク駆動装置(HDD)の唯一の自社生産拠点として、当社にとって大きな位置を占める」とした上で、今後は発電などのインフラ事業を積極的に展開し、同国での収益基盤の拡大を図りたいと話した。時期を見て、鉄道インフラへの参入も検討するという。
■現地工場、昨年は5億台出荷
 現地法人の東芝情報機器フィリピン(TIP)は昨年、HDDと記憶媒体としてフラッシュメモリーを使う次世代記憶装置「SSD(ソリッド・ステート・ドライブ)」を計5億台出荷した。TIPの岡村博司社長は、需要の変動はあるが、工場の生産能力にまだ余裕があり、現時点で設備増強の計画はないとコメント。「今後は、モノのインターネット(IoT)の発展と共に、データストレージの需要は増えていく。データセンター向けストレージ製品の需要が伸びるだろう」との見通しを示した。TIPの工場の延べ床面積はラグナ州の「ラグナ・テクノパーク」工場が計8万5,783平方メートル、同州の「カーメルレイ・インダストリアル・パーク」工場が6万7,124平方メートルで、従業員は約6,500人に上る。15年の売上高は20億米ドル(約2,000億円)超だった。HDDとSSDの輸出額は、フィリピンの昨年の電子製品の約8%を占めた。

*5-3:http://digital.asahi.com/articles/ASJ244JDTJ24UTFK00F.html
(朝日新聞 2016年2月4日) 「日印原子力協定の再考を」 超党派議連76人が談話
 9党76人の衆参議員(代表=近藤昭一・民主党衆院議員)が参加する「原発ゼロの会」は4日、安倍晋三首相が昨年12月、インドのモディ首相と「原則合意」した日印原子力協定について、再考を求める談話を発表した。正式に協定を結べば、インドへの原発輸出が可能となる。インドは核不拡散条約(NPT)に加盟しておらず、非加盟国と協定を締結するのは初めて。同会は談話で、「NPTを形骸化させるもので、核不拡散体制にとって致命的な一歩となる」と批判。使用済み核燃料について「再処理の扱いが明らかにされていない」と指摘した。河野太郎行政改革担当相は入閣に伴い、同会の共同代表を辞任した。


<原発地元の動向>
PS(2016年7月20日追加):*6-1のように、全国の原発で唯一稼働中の九電川内原発の運転継続は、鹿児島県の有権者の49.9%が反対しており、*6-2のように、脱原発を訴える佐賀県内の市民団体は九電玄海原発再稼働反対の9万人分の署名を佐賀県知事に提出した。また、*6-3の北海道新聞全道世論調査では「規制委基準を満たしても泊原発を再稼働すべきでない」と考える人が39%、「再稼働の同意を求める地元自治体の範囲も札幌市や小樽市など(泊原発から)30キロ以上にも広げるべきだ」が54%を占めた。さらに、*6-4のように、四電伊方原発の再稼働については、熊本・大分地震は世界最大の活断層・中央構造線が動いたことを受けて、広瀬隆氏が大分県で「日本に原発の適地はない」と講演している。そして、これらをポピュリズムと呼ぶ人がいるが、それこそ傲慢で思考停止だ。 

*6-1:http://qbiz.jp/article/90190/1/ (西日本新聞 2016年7月6日) 川内原発「反対」49.9%、「賛成」45.9% 鹿児島県有権者
 全国の原発で唯一稼働中の九州電力川内原発(鹿児島県薩摩川内市)の運転継続について、同県の有権者の49・9%が反対していることが西日本新聞の電話世論調査で分かった。反対の回答は再稼働前の2014年末調査を5・8ポイント下回ったが、なお賛成の回答数を上回っており、再稼働後も県民の賛否が二分する現状を浮き彫りにした。参院選の世論調査に合わせて3〜5日に実施、1112人から回答を得た。運転継続の是非を聞いたところ「反対」は21・9%、「どちらかといえば反対」は28・0%。一方「賛成」は17・4%、「どちらかといえば賛成」は28・5%で、反対派が賛成派を上回った。地元の薩摩川内市を含む衆院鹿児島3区では賛成派55・1%、反対派38・8%だった。再稼働の是非を尋ねた14年12月の衆院選時の調査(回答者1403人)では反対派55・7%、賛成派38・0%だった。

*6-2:http://qbiz.jp/article/88553/1/
(西日本新聞 2016年6月10日) 玄海再稼働反対9万人署名 市民団体、佐賀知事に提出
 脱原発を訴える佐賀県内の市民団体は10日、九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)の再稼働に同意しないよう求める約9万人分の署名を山口祥義知事に提出した。直接受け取った山口知事は、署名が県外からも多く寄せられたことを受け「佐賀だけの問題ではなく、福岡や長崎とも関係する。そういう意識を持って(再稼働の是非を)考えていきたい」と述べた。署名は今年1月から、県内8団体で作る「脱原発佐賀ネットワーク」が全国で集めた。市民団体は「原発を不十分な規制基準で運転すれば、また東京電力福島第1原発事故のような惨事が繰り返される」と訴え、県と住民との公開討論の場を設けるよう要望した。玄海原発は1号機の廃炉が決まり、3、4号機は再稼働に向けた審査が進んでいる。山口知事は再稼働について、幅広い意見を聴いた上で判断するとしている。

*6-3:http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/society/society/1-0294092.html
(北海道新聞 2016/7/17) 泊原発 規制委基準満たしても「再稼働すべきでない」39%
 北海道新聞社の全道世論調査で、停止中の北海道電力泊原発(後志管内泊村)の再稼働について、原子力規制委員会が審査で基準を満たすと認めたとしても「再稼働すべきでない」との回答が39%に上った。審査で認められれば「再稼働してもよい」の31%を上回っており、再稼働に慎重な道民の意識がうかがえる。調査は11、12の両日に行った。原子力規制委員会の審査後を想定して再稼働の是非を聞くのは初めて。「どちらともいえない」は30%だった。男女別では、審査後なら「再稼働してもよい」が、男性は40%だったのに対し、女性は23%にとどまった。「再稼働すべきでない」は男性36%、女性42%だった。年代別では「再稼働してもよい」は40代の44%が最も多く、70代以上は50%が「再稼働すべきでない」を選んだ。原子力規制委員会の審査結果にかかわらず、再稼働の是非だけを聞いた今年4月の世論調査では「認めてもよい」が39%、「認めるべきではない」が57%だった。再稼働の同意を求める地元自治体の範囲について聞いたところ、「札幌市や小樽市など(泊原発から)30キロ以上にも広げるべきだ」が54%(4月の世論調査比1ポイント減)で最も多かった。

*6-4:http://www.oita-press.co.jp/1010000000/2016/07/17/005425524
(大分合同新聞 2016/7/17) 「日本に原発適地ない」 中央構造線の危険強調 伊方原発
 原発の危険性を訴え続けている作家の広瀬隆さん(東京)が16日、大分市内で「中央構造線が動き出した!その時、伊方原発は耐えられるか?」と題して講演した。熊本・大分地震は「世界最大の活断層・中央構造線が動いた」と指摘、今月下旬の再稼働が見込まれている四国電力伊方原発(愛媛県伊方町)そばの中央構造線で直下型地震が起きれば大事故が起きると訴えた。広瀬さんは日本列島の成り立ちや、活断層の存在が知られていない場所でも大地震が起きてきたことを紹介し、「日本は全ての土地が活断層の上に存在する。日本に原発を建てる適地はない」と説明。中でも中央構造線は日本を縦断する巨大断層で、南海トラフと連動して大地震を起こす危険性があるとした。伊方原発そばの海域を走る中央構造線は「太平洋側からの力を受けて傾斜している。原発の真下に向かって活断層が延びており、直下型地震が起こる」とし、「震源からの距離が近いので、(原子炉を)止める時間がないのが一番怖い」と語った。熊本・大分地震で震度7を観測した熊本県益城町では、上下動の最大加速度(揺れの強さ)が地表面で1399ガルだったとも説明。伊方原発の耐震設計の目安となる基準地震動は最大650ガルだが、これは水平動で、上下動は377ガルの想定にとどまる。「岩盤上に立つ原発でも耐えられるはずがない」と強調した。講演会は今月発足した住民組織「伊方原発をとめる大分裁判の会」が開いた。同会は既に有志4人が伊方3号機の運転差し止めを求める仮処分を大分地裁に申請した。今夏に大分県在住者100人以上で訴訟も起こす方針で、原告や応援団のメンバーを募っている。参加した約250人を前に、広瀬さんは「日本は次の原発の大事故を待っている状態だ。今が生き残る最後のチャンス。(裁判を)県民を挙げた運動にしてほしい」と期待を寄せた。
*ひろせ・たかし 1943年、東京生まれ。長年にわたって原発問題を訴え続け、著書に「危険な話」「東京に原発を!」「原子炉時限爆弾」などがある。


PS(2016年7月21日追加):*7のように、四電伊方原発3号機(愛媛県伊方町)の再稼働差し止め訴訟を、対岸の大分県の住民らが8月にも大分地裁に提訴する見通しとなったそうだ。大分県民の安全や豊予海峡でとれる高級魚の関アジ、関サバはじめ大分県の産業を護るために当たり前のことであるため、速やかな再稼働差し止めの仮処分が望まれる。

*7:http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2016072101001518.html
(東京新聞 2016年7月21日) 8月にも伊方再稼働差し止め訴訟 大分、原告団は100人超
 四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)の再稼働差し止めを求め、対岸に位置する大分県の住民らが早ければ8月にも運転差し止め訴訟を大分地裁に起こす見通しとなった。住民側の代理人弁護士が21日、明らかにした。原告団は100人を超える見込みだ。21日は本訴に先立ち、住民の一部が運転差し止めを申し立てた仮処分の第1回審尋が大分地裁(竹内浩史裁判長)で開かれた。記者会見した代理人弁護士によると、この日は争点と証拠の整理を中心に進められ「地震と津波、土砂災害(が起きた際の危険性)が主な争点になるだろう」と説明した。


PS(2016年7月22日追加):*8の博多港も赤潮が発生したり、水が濁っていたりしていて見られない港の一つだ。しかし、クルーズ船も停泊するのなら、クルーズ船から見える海の中や陸地の風景も重要であるため、①海の透明度を増して船から下を見ると海底や魚が見える海にする ②陸地はコンクリートだけでなく30%以上は緑があるようにする(飛行機から見ると福岡の緑は東京よりも少ない) など、環境がよくて便利な港にするのがよいと考える。クルーズ船で来る人は、船内で本物の音楽、映画、ダンスパーティーなどのアトラクションに親しんでいるため、特色のない安っぽいイベントならいらないと思う。

*8:http://qbiz.jp/article/91110/1/
(西日本新聞 2016年7月22日) 福岡市の三セク「博多港開発」、どうする
 福岡市の有識者会議は21日、市の第三セクター「博多港開発」(博多区)の今後の在り方について、報告書を大筋でまとめた。主力の埋め立て事業をほぼ終えたことから、博多港のバス待機所整備などクルーズ客船の受け入れ強化につながる事業の促進を検討するよう求めている。市は報告書を基に活用策をまとめる。市港湾空港局によると、同社は博多港の整備を主目的に1961年に設立。戦後に埋め立てた市内の約1500ヘクタールのうち、須崎ふ頭(中央区)や小戸・姪浜地区(西区)など774ヘクタールを整備した。アイランドシティ(東区)は全体の24%(97・2ヘクタール)の造成を手掛け、売却用地の9割以上が分譲済み。報告書では、ウオーターフロント地区の再開発をにらみ、NPOなどと連携したイベント実施も検討すべき役割として盛り込んだ。


<地元の範囲はどこまでか>
PS(2016年7月24日追加):最近、埼玉県ふじみ野市の自宅上空を旅客機や自衛隊機が低空飛行していることが多く、ヘリコプターは自宅マンションの上空でホバリングしているのではないかと思うことさえある。これは、人口密集地帯でのプライバシー侵害や墜落リスクがあるため、*9のように、「羽田空港の国際線発着回数を増やすため、東京都心上空を飛行するルートを新たに設定することで、国と地元自治体が近く合意する」というのは、合意する自治体の範囲の拡大と経路の再考が必要だ。

*9:http://qbiz.jp/article/91202/1/
(西日本新聞 2016年7月24日) 都心の上空飛行、地元合意へ 羽田空港、国際線の発着増
 羽田空港の国際線発着回数を増やすため、東京都心上空を飛行するルートを新たに設定することで、国と地元自治体が近く合意することが23日、関係者への取材で分かった。都心上空の飛行は、騒音に配慮し避けてきた経緯がある。新ルートの運用時間は限定し、空港周辺で騒音対策を実施することで地元の理解を得て、大幅増便は実現に向けて動きだした。2020年の東京五輪・パラリンピックまでに、羽田空港の発着回数は現在の年間44万7000回から最大3万9000回増やし、国際線に振り分ける。現行9万回の国際線は、1.4倍の12万9000回となる。政府は、利便性向上で羽田空港の国際競争力の強化を図る考えだ。羽田空港の発着は従来、都心を避け、主に東京湾上空の東側か南側を通ってきた。南風の場合は東京湾上空で旋回し、北側から滑走路へ。北風で北向きに離陸する際も、都心部を大きく迂回(うかい)し上昇する。直線ルートが少なく、東京湾上空の狭い範囲で旋回するため、ルート同士の距離が近いことが増便の障害だった。新ルートは、北側から南に向けての着陸の際、さいたま市付近から、空港のある東京都大田区にかけ直進しながら降下する。北向きの離陸時は、湾岸エリアの江東区や、東京スカイツリーがある墨田区付近の上空を通過するほか、南向きの離陸の際、従来は飛行しなかった川崎市上空も直進し上昇する。

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2016.7.8 日本国憲法を変えたい勢力は、①何のために ②何を改正しようとしているのか ③改正した場合の効果 について正面からの説明が必要である - 日本国憲法、自民党改正草案の「前文」「天皇」「憲法改正要件」「緊急事態条項」「道州制」について (2016年7月11、13日に追加あり)
       
2016.7.8西日本新聞 憲法改正必要論の理由 憲法改正要件国際比較 日本国憲法に署名した人 

    
  憲法改正   自民党憲法 自民党憲法改正案    日本国憲法は     憲法改正世論調査
   手続き  改正案のポイント 緊急事態条項  今でも最先端であること

(1)「自民党憲法改正草案」は、改正ではなく改悪である
1)敗戦後の占領下で作られたから悪いわけではないこと
 今回の参議院議員選挙では、上の一番左の表のように「日本のこころ(自民党の中でも右だった人の分派)」が、「占領下で制定された日本国憲法をまるごと変えて自主憲法を制定したい」という憲法改正理由を書いており、これが憲法改正を強く主張する勢力の本音だ。この発想は自民党も同じであるため、上の左から2番目の表のように憲法改正理由の第一に、「敗戦後の占領下で作られ、日本国民の自由な意思を反映していないので、国民の手によって憲法を制定する」というのがあがっているわけだ。

 そして、自民党が、平成24年4月27日に総務会を通して党として決定した憲法改正草案(https://jimin.ncss.nifty.com/pdf/news/policy/130250_1.pdf 参照)は、結論から言ってひどい改悪だと考える。分量が多いため、今日は国の形を現す最も重要な部分である「前文」と「天皇の地位」を中心に記載するが、他の部分にも戦前への郷愁が散見される。

2)前文について
 日本国憲法の前文は、*1-1のように、「①日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、・・主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する」「②国政は、国民の厳粛な信託によるもので、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する」「③日本国民は、恒久の平和を念願し、・・平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」「④われらは平和を維持し、・・国際社会において名誉ある地位を占めたいと思ふ」「⑤われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」としており、現在でも通用する立派なものである。

 この文章中にある「公正と信義に信頼して」という文章はテニヲハの使い方が誤りだと言う人もいるが、私は、文語調で訳した法律用語であるため、違和感を感じない。

 そして、ここで重要なのは、「国政は国民の信託によるもので、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その結果生じる福利は国民が享受する」というように、国民を主人公とする徹底した国民主権が述べられていることである。つまり、国民が主であり、国という組織を主として国民が国という組織のために尽くすのではない民主主義の発想が明確に記されており、日本国憲法は、第二次世界大戦とその敗戦で多くのものを失ったが、唯一得ることができた資産だと私は考える。*1-2の日本国憲法原文(The Constitution Of Japan)が、「We, the Japanese people, 」や「We」を主語としているのを見れば、一人一人の国民が主体であることがさらに明確になる。

 一方、自民党憲法改正草案は、*1-3のように、「①日本国は、長い歴史と固有の文化を持ち、国民統合の象徴である天皇を戴く国家である」「②日本国民は、国と郷土を誇りと気概を持って自ら守り」「③基本的人権を尊重するとともに、和を尊び、家族や社会全体が互いに助け合って国家を形成する」「④自由と規律を重んじ、美しい国土と自然環境を守りつつ、教育や科学技術を振興し、活力ある経済活動を通じて国を成長させる」「⑤日本国民は、良き伝統と我々の国家を末永く子孫に継承するため、ここに、この憲法を制定する」としている。

 しかし、①は国を主体とする国家の成り立ちに関する自慢話が多すぎ、これについては科学的・文化的に正確な歴史書で述べるべきである。また、②で国民は国と郷土(いずれも組織)を守るための存在になり下がり、③は基本的人権を尊重するとさらっと書いてはいるものの、和を尊び家族や社会全体が互いに助け合って国家を形成することこそ大切だとして個人の人権に制限を加え、④は国民の福利より国を成長させることが重要だというメッセージを発している。そして、⑤では、国民を国家存続のための道具と位置付けている。つまり、自民党憲法改正草案は、国が主であり、国の存続のためとして国民の福利をないがしろにし、「国民の国民による国民のための政治」という資産がなくなっているのである。

 つまり、占領下だったからこそ国民同士が争うことなく大きな改革をして国民主権にできた日本国憲法を、100%とまでは言わないにしても、国を主にしてかなり戦前回帰させているため、自民党憲法改正草案は改悪なのである。

3)天皇について
 日本国憲法における天皇の地位は、*2-1のように「日本国の象徴であり、日本国民統合の象徴」とされているが、自民党憲法改正草案における天皇の地位は、*2-2のように「日本国の元首であり、日本国及び日本国民統合の象徴」とされ、「元首」という言葉が加わっている。

 国家元首(英訳:head of state)とは、対外的に代表権を持つ存在であり、大日本帝国憲法では第4条で天皇を元首と規定していたが、日本国憲法には天皇を元首とする規定はなく、国事行為に関する規定があるのみだ。国民主権の国で世襲による天皇を対外的代表権を持つ存在である“元首”と位置づけるのは矛盾であり、これも自民党憲法改正草案の戦前回帰であるため、とても賛成できない。

(2)改憲論議は、現在の憲法をしっかり護り、その考え方が国民に浸透してからにすべきである
 東京新聞によると、*3のように、安倍首相は「ニコニコ動画」の党首討論会で、「参院選の結果を受け、どの条文を変えていくか、条文の中身をどのように変えていくかについて議論を進めたい。次の国会から、自民党総裁として憲法審査会をぜひ動かしたい」と述べられたそうだ。憲法改正は自民党にとっては結党以来の党是であり、自民党憲法改正草案は安倍首相が作ったものではなく、自民党憲法改正推進本部(本部長・保利耕輔衆院議員《当時》)が作ったものである。

 私は「いくらなんでも天皇が元首とは・・」と思ったので、地元の離島関係の会合で保利浩輔氏にお会いした時に、「天皇が元首というあの憲法改正草案は、いくらなんでも駄目ですよ」と言ったところ、保利耕輔衆院議員(当時)は「今までと同じことをするんだし、(自民党の)総務会も通ったもん」と言っておられたので、この憲法改正草案には憲法改正に執着する自民党議員の考え方が多く含まれていると考える。

 従って、野党の「安部政権の下での憲法改正に反対する」という批判は、感情論に終始して問題を矮小化している。私は、日本人が日本国憲法を本当に遵守し、そのよさを理解した上で、それよりもよい方向に改正できる時がくるまで、憲法改正は止めるべきだと考える。

<憲法前文の比較>
*1-1:http://www.houko.com/00/01/S21/000.HTM (日本国憲法)
前文 日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものてあつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。

*1-2:http://japan.kantei.go.jp/constitution_and_government/frame_01.html (THE CONSTITUTION OF JAPAN)
 We, the Japanese people, acting through our duly elected representatives in the National Diet, determined that we shall secure for ourselves and our posterity the fruits of peaceful cooperation with all nations and the blessings of liberty throughout this land, and resolved that never again shall we be visited with the horrors of war through the action of government, do proclaim that sovereign power resides with the people and do firmly establish this Constitution. Government is a sacred trust of the people, the authority for which is derived from the people, the powers of which are exercised by the representatives of the people, and the benefits of which are enjoyed by the people. This is a universal principle of mankind upon which this Constitution is founded. We reject and revoke all constitutions, laws, ordinances, and rescripts in conflict herewith.
 We, the Japanese people, desire peace for all time and are deeply conscious of the high ideals controlling human relationship, and we have determined to preserve our security and existence, trusting in the justice and faith of the peace-loving peoples of the world. We desire to occupy an honored place in an international society striving for the preservation of peace, and the banishment of tyranny and slavery, oppression and intolerance for all time from the earth. We recognize that all peoples of the world have the right to live in peace, free from fear and want.
 We believe that no nation is responsible to itself alone, but that laws of political morality are universal; and that obedience to such laws is incumbent upon all nations who would sustain their own sovereignty and justify their sovereign relationship with other nations.
 We, the Japanese people, pledge our national honor to accomplish these high ideals and purposes with all our resources.

*1-3:http://www.saga-s.co.jp/senkyo/sanin/30402/320758 (佐賀新聞 2016年6月9日) 自民党憲法改正草案全文(抜粋)
自民党が2012年に発表した憲法改正草案は11章、102条から成る。前文など、日本国憲法を大幅に手直しした部分が少なくない。日本国憲法とともに、その全文を紹介する。
■自民党憲法改正草案全文
 (前文)
 日本国は、長い歴史と固有の文化を持ち、国民統合の象徴である天皇を戴く国家であって、国民主権の下、立法、行政及び司法の三権分立に基づいて統治される。我が国は、先の大戦による荒廃や幾多の大災害を乗り越えて発展し、今や国際社会において重要な地位を占めており、平和主義の下、諸外国との友好関係を増進し、世界の平和と繁栄に貢献する。日本国民は、国と郷土を誇りと気概を持って自ら守り、基本的人権を尊重するとともに、和を尊び、家族や社会全体が互いに助け合って国家を形成する。我々は、自由と規律を重んじ、美しい国土と自然環境を守りつつ、教育や科学技術を振興し、活力ある経済活動を通じて国を成長させる。日本国民は、良き伝統と我々の国家を末永く子孫に継承するため、ここに、この憲法を制定する。

<天皇についての比較>
*2-1:http://www.saga-s.co.jp/senkyo/sanin/30402/320757 (佐賀新聞 2016年6月9日) 日本国憲法(抜粋)
  第一章 天皇
第一条 天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する
      日本国民の総意に基く。
第二条 皇位は世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。
第三条 天皇の国事に関するすべての行為には内閣の助言と承認を必要とし、内閣がその責任を負ふ。
第四条 天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する権能を有しない。
      天皇は、法律の定めるところにより、その国事に関する行為を委任することができる。
第五条 皇室典範の定めるところにより摂政を置くときは、摂政は、天皇の名でその国事に関する行為を
      行ふ。この場合には、前条第一項の規定を準用する。
第六条 天皇は、国会の指名に基いて、内閣総理大臣を任命する。
      天皇は、内閣の指名に基いて、最高裁判所の長たる裁判官を任命する。
第七条 天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。
 一 憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。
 二 国会を召集すること。
 三 衆議院を解散すること。
 四 国会議員の総選挙の施行を公示すること。
 五 国務大臣及び法律の定めるその他の官吏の任免並びに全権委任状及び大使及び公使の信任状
   を認証すること。
 六 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を認証すること。
 七 栄典を授与すること。
 八 批准書及び法律の定めるその他の外交文書を認証すること。
 九 外国の大使及び公使を接受すること。
 十 儀式を行ふこと。
第八条 皇室に財産を譲り渡し、又は皇室が、財産を譲り受け、若しくは賜与することは、国会の議決に
      基かなければならない。

*2-2:http://www.saga-s.co.jp/senkyo/sanin/30402/320758 (佐賀新聞 2016年6月9日) 自民党憲法改正草案(天皇) 
第一章 天皇
 (天皇)
第一条 天皇は、日本国の元首であり、日本国及び日本国民統合の象徴であって、その地位は、
      主権の存する日本国民の総意に基づく。
 (皇位の継承)
第二条 皇位は世襲のものであって、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。
 (国旗及び国歌)
第三条 国旗は日章旗とし、国歌は君が代とする。
 2 日本国民は、国旗及び国歌を尊重しなければならない。
 (元号)
第四条 元号は、法律の定めるところにより、皇位の継承があったときに制定する。
 (天皇の権能)
第五条 天皇は、この憲法に定める国事に関する行為を行い、国政に関する権能を有しない。
 (天皇の国事行為等)
第六条 天皇は、国民のために、国会の指名に基づいて内閣総理大臣を任命し、内閣の指名に基づいて
     最高裁判所の長である裁判官を任命する。
 2 天皇は、国民のために、次に掲げる国事に関する行為を行う。
 一 憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。
 二 国会を召集すること。
 三 衆議院を解散すること。
 四 衆議院議員の総選挙及び参議院議員の通常選挙の施行を公示すること。
 五 国務大臣及び法律の定めるその他の国の公務員の任免を認証すること。
 六 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を認証すること。
 七 栄典を授与すること。
 八 全権委任状並びに大使及び公使の信任状並びに批准書及び法律の定めるその他の外交文書を
    認証すること。
 九 外国の大使及び公使を接受すること。
 十 儀式を行うこと。
 3 天皇は、法律の定めるところにより、前二項の行為を委任することができる。
 4 天皇の国事に関する全ての行為には、内閣の進言を必要とし、内閣がその責任を負う。ただし、
    衆議院の解散については、内閣総理大臣の進言による。
 5 第一項及び第二項に掲げるもののほか、天皇は、国又は地方自治体その他の公共団体が
    主催する式典への出席その他の公的な行為を行う。
 (摂政)
第七条 皇室典範の定めるところにより摂政を置くときは、摂政は、天皇の名で、その国事に
    関する行為を行う。
 2 第五条及び前条第四項の規定は、摂政について準用する。
 (皇室への財産の譲渡等の制限)
第八条 皇室に財産を譲り渡し、又は皇室が財産を譲り受け、若しくは賜与するには、法律で
     定める場合を除き、国会の承認を経なければならない。

<憲法改正手続き>
*3:http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201606/CK2016062002000120.html (東京新聞2016年6月20日)安倍首相「次の国会から改憲議論」 参院選後 具体的に条文審査
 安倍晋三首相は十九日、インターネット動画中継サイト「ニコニコ動画」の党首討論会で、改憲について「参院選の結果を受け、どの条文を変えていくか、条文の中身をどのように変えていくかについて、議論を進めていきたい。次の国会から憲法審査会を動かしていきたい。自民党の総裁としてぜひ動かしたい」と秋の臨時国会から、衆参両院に設置されている憲法審査会で、具体的な改憲項目の議論を与野党で進めたい考えを示した。首相は在任中の改憲に意欲を示している。首相の自民党総裁としての任期が切れる二〇一八年九月までに改憲の国民投票を終えるためには、来年秋の臨時国会で原案を審議し、発議する必要がある。そのためには、今年後半から国会で議論を始め、来年前半の通常国会までに原案をまとめる必要がある。参院選で与党が改憲の争点化を避けていると野党側が批判したのに対し、首相は「(改憲は)自民党結党の精神。選挙で争点とすることは必ずしも必要はない」と反論。「私たちは党草案を示しており、何も隠していない」と強調した。一方、公明党の山口那津男代表は「改憲について、国民に問いかけるほど議論が成熟していない。議論を深めて国民の理解を伴うようにしなければならない」と慎重な議論を求めた。民進党の岡田克也代表は「立憲主義を理解している首相でないと、非常に危ない。(首相は)最後は力で押し切る。改憲はよほど慎重でなければならない」と首相をけん制した。改憲には原案を衆院百人以上、参院五十人以上の賛同で提案。その後、両院の憲法審査会で審査した後、衆参の本会議でともに三分の二以上の賛成で可決し、国民に発議しなければならない。発議後、六十~百八十日以内に国民投票が行われ、承認には過半数の賛成が必要となる。討論会には、首相を含む与野党九党の党首が参加した。


<憲法の改正要件について>
PS(2016年7月11日追加):参院選の結果、*4-1のように、参議院でも改憲勢力が3分の2を超えた。「改憲項目が異なるので3分の2を超えても問題ない」とする勢力もあるが、両院で3分の2を超えると、*4-2の憲法改正要件を緩和するという姑息な改正を行うことも可能となり、上の図のようにこれを改正項目の一つとする人もいるため要注意だ。なお、我が国の憲法改正回数は0だが、それは国民が憲法改正の必要性を感じなかったからで我が国の憲法改正要件が世界の中で特に厳しいからではない。

*4-1:http://www.saga-s.co.jp/news/national/10201/332433
(佐賀新聞 2016年7月11日) 議席確定、改憲勢力で3分の2超、野党共闘及ばず
 第24回参院選は11日午前、全121議席が確定した。安倍晋三首相(自民党総裁)が目指す憲法改正に賛同する改憲勢力は、非改選議席と合わせ165議席となり、国会発議に必要な全議席の3分の2(162議席)を超えた。自民党は55議席、公明党は14議席へ伸ばし、与党で改選過半数(61議席)を上回り、勝利した。民進党は32議席。民進、共産、社民、生活の野党4党は32の改選1人区で候補を一本化し、3分の2阻止へ共闘したが及ばなかった。おおさか維新の会は7議席、共産党は6議席で伸長した。自民党は無所属1人を追加公認したが27年ぶりとなる単独過半数に届かなかった。

*4-2:http://www.saga-s.co.jp/senkyo/sanin/30402/320757
(佐賀新聞 2016年6月9日) 日本国憲法全文(抜粋)
 第九十六条 この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、
          国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は
          国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。
          憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を
          成すものとして、直ちにこれを公布する。


<緊急事態条項と道州制について>
PS(2016年7月13日追加):上の下の段の左から3番目の表、*5-1、*5-2のように、自民党憲法改正草案は「緊急事態条項」を新設し、①武力攻撃 ②内乱 ③大災害 の時に、内閣総理大臣は国会の事後承認で緊急事態を宣言でき、緊急事態が宣言された時は、基本的人権を最大限尊重はするものの何人も国や公的機関の指示に従わなければならないとのことである。しかし、最も賛同を得やすい③でさえ、内閣総理大臣が緊急事態を宣言するより地方自治体が最前線で救援を行い、国は最前線から必要と言われるものを援助した方が効果的だという意見が多い。まして、①の武力攻撃はどういう理由で起こり、その時に何をすることが想定されているのか、②はどういう状態を内乱(犯罪とは異なる)と定義して国が鎮圧するのか について説明する必要がある。全体から見ると、「緊急事態条項」は、民主主義・基本的人権の尊重・平和主義という日本国憲法の三大原則から離れており、戦前の戒厳令や国家総動員法を思わせるため、決して入れるべきではないと私は考える。
 さらに、*5-2で触れられている道州制については、地方自治法を改正して県が合併すればよいため、憲法改正はいらない。しかし、北海道、九州、四国については道州の区切りに異論が出にくいものの、他地域については堺目をどこにするかについても異論が出やすい。そのため、まとまりになれる県が先に合併していくのがよいだろうが、県が合併したくない場合は道州制は成立しない。

*5-1:http://qbiz.jp/article/90492/1/
(西日本新聞 2016年7月11日) 改憲 まず9条以外 緊急事態条項 参院改革 環境権
●抵抗少ない項目から議論
 憲法改正論議の対象項目として、大規模自然災害時の国会議員任期延長を含む「緊急事態条項」新設や、参院選の合区解消に向けた参院改革などが浮上している。自民党は「本丸」の9条改正について、憲法の基本原則である平和主義に関わるため野党や国民の抵抗感が強いと判断。最初の改憲対象にはせず、比較的理解を得やすいと思われる項目で改憲の「実績」をつくりたい考えだ。自民党は昨年5月の衆院憲法審査会で緊急事態条項以外に、良好な自然環境を享受する権利の「環境権」、野放図な国の借金拡大を防いで財政の健全性を確保する「財政規律条項」の新設を提示した。首相が今秋の臨時国会から開始したい意向を示した衆参両院憲法審査会の議論でも、引き続き候補になるとみられる。自民党改憲草案の緊急事態条項は、国会議員任期延長以外に(1)首相による緊急事態宣言発出(2)内閣への権限集中(3)国民に国の指示に従うよう義務付け−などを規定。自然災害以外に他国からの武力攻撃、内乱時も列挙した。野党や弁護士会からは、過度な人権制限や政府による乱用の危険性が指摘されている。合区解消は、「1票の格差」に関係なく、改選ごとに各都道府県から参院議員を選出する趣旨の条文を盛り込むべきだとの主張だ。今回の参院選から鳥取・島根、徳島・高知の二つの合区が導入され、自民党参院議員や地方自治体が「地方切り捨てにつながる」と強く批判している。おおさか維新の会が改憲項目として参院選で公約した道州制導入を含む「統治機構改革」なども、議論の対象になる可能性がある。
 ◇  ◇
●壁高き改憲 世界では実現、ドイツ60回 米国27回 フランス24回
 世界の多くの国は日本と同様、憲法改正に一般の法律よりも厳格な手続きを定めている。高いハードルを乗り越えて改正にこぎ着けた回数や具体例は、国によってさまざまだ。ドイツでは、旧西ドイツで1949年に制定された憲法を「基本法」と呼ぶ。議会事務局によると、改正は旧西ドイツ時代に36回、東西統一後に24回の計60回に上る。「文化財の国外流出防止」を国の義務とするといった、日本では一般の法律で規定するような内容も基本法に盛り込まれていることが、改正が多い理由の一つ。ナチス時代の反省から、人権尊重などを定めた条文は改正できない。世界最初の近代的成文憲法である米合衆国憲法は、1787年に制定された。これまで27回修正され、奴隷解放や婦人参政権のほか、銃所持の権利を保障するとされる「武装の権利」などを明文化した。修正には連邦議会で上下両院の出席議員の3分の2以上が賛成した上で、全米50州の州議会のうち、4分の3以上の賛成が必要。超党派の幅広い支持が最低条件となるため、容易ではない。1958年に制定されたフランス現行憲法の改正は24回。これによって大統領直接選挙制などが実現した。

*5-2:http://www.saga-s.co.jp/senkyo/sanin/30402/320758 (佐賀新聞 2016年6月9日) 自民党憲法改正草案全文 (第九章 緊急事態 《抜粋》)
(緊急事態の宣言)
第九十八条 内閣総理大臣は、我が国に対する外部からの武力攻撃、内乱等による社会秩序の混乱、
        地震等による大規模な自然災害その他の法律で定める緊急事態において、特に必要が
        あると認めるときは、法律の定めるところにより、閣議にかけて、緊急事態の宣言を発す
        ることができる。
      2 緊急事態の宣言は、法律の定めるところにより、事前又は事後に国会の承認を得なけれ
        ばならない。
      3 内閣総理大臣は、前項の場合において不承認の議決があったとき、国会が緊急事態の
        宣言を解除すべき旨を議決したとき、又は事態の推移により当該宣言を継続する必要が
        ないと認めるときは、法律の定めるところにより、閣議にかけて、当該宣言を速やかに
        解除しなければならない。また、百日を超えて緊急事態の宣言を継続しようとするときは、
        百日を超えるごとに、事前に国会の承認を得なければならない。
      4 第二項及び前項後段の国会の承認については、第六十条第二項の規定を準用する。こ
        の場合において、同項中「三十日以内」とあるのは、「五日以内」と読み替えるものとする。
(緊急事態の宣言の効果)
第九十九条 緊急事態の宣言が発せられたときは、法律の定めるところにより、内閣は法律と同一の
        効力を有する政令を制定することができるほか、内閣総理大臣は財政上必要な支出その
        他の処分を行い、地方自治体の長に対して必要な指示をすることができる。
      2 前項の政令の制定及び処分については、法律の定めるところにより、事後に国会の承認
        を得なければならない。
      3 緊急事態の宣言が発せられた場合には、何人も、法律の定めるところにより、当該宣言
        に係る事態において国民の生命、身体及び財産を守るために行われる措置に関して発
        せられる国その他公の機関の指示に従わなければならない。この場合においても、
        第十四条、第十八条、第十九条、第二十一条その他の基本的人権に関する規定は、
        最大限に尊重されなければならない。
      4 緊急事態の宣言が発せられた場合においては、法律の定めるところにより、その宣言が
        効力を有する期間、衆議院は解散されないものとし、両議院の議員の任期及びその選挙
        期日の特例を設けることができる。

| 日本国憲法::2016.6~ | 10:34 AM | comments (x) | trackback (x) |
2016.7.5 日本国憲法は、同性婚を禁止しておらず環境権も含んでいるため加憲の必要はなく、地域主権・議員の選出方法・裁判所の違憲立法審査権行使にも憲法改正は不要であること (2016年7月5、9、10日《図表を含む》に追加あり)

       2015.4.28朝日新聞       2015.5.3朝日新聞     2014.12衆院選時の  
         有権者の意見                        憲法改正賛否 集団的自衛権賛否

 
 2016.6.26佐賀新聞   2016.6.28            2016.7.1日経新聞
                  西日本新聞

 *1-1のように、「憲法をめぐる議論は9条に集中しがちだが、『同性婚』や『環境権』などの新しい権利も憲法と深く関わる」として、同性婚や環境権などの加憲を餌に、一気に憲法改正を進めようとする勢力もあるため、同性婚を認めたり、環境を守ったりするのに加憲は不要であることについて述べる。

 なお、下の段の一番左のグラフのように、今回の参院選で憲法改正を重視する人の割合は低いが、憲法は、日本が今後どういう方向に進んで行くかの羅針盤であるため、最も重要なテーマだ。

(1)環境権や同性婚の加憲は不要である
1)同性婚について
 *1-1に「憲法24条は同性婚の禁止を意味するかが議論になっている」と書かれている。しかし、*2のように、日本国憲法24条は、「1項:婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により維持されなければならない」「2項:配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して制定されなければならない」としている。

 この憲法24条の立法趣旨は、それまで大日本帝国憲法(明治憲法)の家制度の下で、本人同士の意志とは関係なく決められることが多かった結婚相手を、個人の尊厳と両性の本質的平等に基づいて民法を定めて具体化せよということであり、まさにライフスタイルに関する「自己決定権」を認めたものである。

 では、「両性」とは男女でなければならないかと言えば、日本国憲法成立当初は男女しか意図していなかったかもしれないが、「両性」は異性でなければならないとは書かれていないため、夫婦役をする2人が同等の権利を有することを基本とし、個人の尊厳を維持しながら相互協力により婚姻関係を維持すればよく、同性婚を禁止しているのではないと解せられる。

 しかし、現在の日本は過度のジェンダー(生物学的ではなく社会的に要請される「男らしさ」「女らしさ」)を要求するため、それと正面から闘えない人は、性同一性障害でなくても性同一性障害のような気になってしまうのではないかと私は危惧している。しかし、ともかく同性婚のために憲法を改正する必要はなく、例外として民法に同性婚を書き加えればよいだろう。

2)環境権について
 私は、結論から言って、*1-1のように、「環境権」を憲法に加える必要はないと考える。何故なら、憲法25条は、「1項:すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」「2項:国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」と定めており、国民が健康で文化的な生活を営むためには、良好な環境の維持が不可欠だからだ。

 また、*3の環境基本法は、①国民が健康で文化的な生活を確保するためには環境保全が不可欠であると明確に述べ ②人の活動により環境に負荷をかけること(公害を出すこと)を禁止し ③事業者は事業活動を行うに当たって、煤煙、汚水、廃棄物等の処理を適正に行い、公害を防止して自然環境を適正に保全するために必要な措置を講ずる責務を有するとし ④環境への負荷の少ない持続的発展が可能な社会の構築が必要 としているので、Perfect(完全)に近い。

 そのため、現在、環境に悪いことがまかり通っているのは、法律が不備なのではなく、環境を守るという意識が薄いからにすぎない。従って、これは、憲法を改正したから変わるというものではなく、国民が自らの健康で文化的な生活を護るために環境を守るという意識を高めなければならないのだ。

(2)原発事故と健康被害、及び、それを隠すためにさらに環境破壊を行う環境意識の低さ
 *1-2のように、日本と米国の専門家は、福島原発事故で漏洩した放射能汚染物質は太平洋をまたぎ、北米西海岸に影響を及ぼしていると発表したそうだ。そして、東京海洋大学副学長、日本海洋学会副会長の神田穣太氏は、「セシウム137が福島原発事故の放射能漏れの最も中心的な物質で、1−2万テラベクレルが海洋に流出した」とし、この数値を5万テラベクレルと見積もる研究者もいるそうだ。そして、1万5000テラベクレルは、広島原爆168発分とのことである。

 そして、「福島原発事故の海洋への影響は、空前絶後」で、この放射能汚染に関して日本はすでに多くの調査結果を出しているそうだが、メディアは、一般の人が見る時間には、この事実を報道していない。

 また、*1-3のように、東京電力福島第一原発事故事故後、子どもたちの甲状腺検査を進めてきた福島県は有識者による検討委員会などで、罹患統計から推定される有病数に比べ「数十倍のオーダーで多い甲状腺がんが発見されている」と認めながら、科学的とは言えない根拠で「放射線の影響とは考えにくい」と主張しており、憲法にも環境基本法にも違反している。

 その上、*1-4のように、環境省の有識者検討会が、放射性物質濃度が基準以下となった除染土(放射性セシウム濃度が1キログラム当たり5千~8千ベクレル以下)を全国の公共工事で使うとする再利用方針案を大筋で了承したそうで呆れた。何故なら、コンクリートで枠を作って漏れ出さないようにし、もともと放射性物質濃度の高い場所の防潮堤に使うならまだしも、汚染土を全国の道路などの公共工事に使って拡散すれば、工事中の作業員や周辺住民の環境からの年間被曝線量が1ミリシーベルト以下であったとしても、地下水に溶けて長期間日本全国を汚染するからだ。

 その効果は、「日本全国で心臓病や癌が増えているので、心臓病や癌が増えた理由は原発事故のせいではなく高齢化のせいだ」と言うことができるようになるという恐ろしいものだが、大手メディアは、お天気、災害、テロ事件、舛添氏の政治資金問題の表面的な追求ばかりを行い、このような事実の報道はしていない。

<現在の状況>
*1-1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20160703&ng=DGKKASDG02H7X_S6A700C1CR8000 (日経新聞 2016.7.3) 「9条以外も議論して」 同性婚や環境権 憲法めぐり当事者ら
 参院選は与党などが改憲を発議できる議席数を確保するかどうかが焦点の一つ。憲法をめぐる議論は9条に集中しがちだが「同性婚」や「環境権」などの新しい権利も憲法と深く関わる。改憲の是非は別として、当事者たちは選挙を機会にこうしたテーマの議論が深まることを期待している。
■国に拒まれたみたい
 「婚姻届が受理されないのは、国から『あなたたちの関係はダメ』と拒まれるようなもの。少数派も尊重してほしい」。自らレズビアンだと公表し、昨年4月に女性同士で結婚式を挙げたタレントの一ノ瀬文香さん(35)は訴える。憲法は24条で「結婚は両性の合意のみに基づく」と規定すると同時に、14条では性差別を禁じている。これが同性婚の禁止を意味するかが議論になっている。民法に同性婚の規定はない。国の研究班が昨年実施した意識調査では、同性婚の法制化に「賛成」「やや賛成」は計51%で反対を上回ったが、20代は71%が賛成なのに70代は24%と、賛否は世代で大きく割れている。一ノ瀬さんは同性婚をきっかけに、憲法に関心を寄せるようになった。「改憲せず民法改正で同性婚を実現すべきだ」との立場だが、多くの人が議論することが大切と考えている。「憲法や民法を通じて、少数者や多様性を尊重することを皆が考えてほしい」と話す。
■新章設置訴え
 大気や水、日照など良好な自然環境を享受できる「環境権」。環境問題に取り組むNPO「環境文明21」は憲法に環境専門の新章を設け、基本原則のひとつにすべきだと訴える。共同代表で環境庁出身の加藤三郎さん(76)は「昨年末の第21回気候変動枠組み条約締約国会議(COP21)で採択されたパリ協定は、覚悟を決めて環境問題に取り組むよう世界に求めた」と強調。「国内の環境問題を巡る議論は以前より低調だ。この機会に改めて活発な議論を促したい」
■広がる新たな権利
 中絶や尊厳死、ライフスタイルなど、一定の個人的事柄を公権力の干渉を受けることなく、幅広く自分で決められるとする「自己決定権」を憲法で認めるべきだとの意見もある。衆参両院の憲法審査会では、自己決定権を憲法上の権利として明記すべきだとの意見が出た。一方で、明文規定がないことがこうした権利の実現にとって障害になっているわけではないとの声もあり、議論の方向性は明確になっていない。木村草太・首都大学東京教授は「憲法には9条以外にも様々なテーマがあり、日常生活と密接につながっている。どんな国にしていくかという理念を考えることが、憲法改正について考えることになる」と話す。

*1-2:http://japanese.china.org.cn/jp/txt/2016-05/26/content_38539636.htm (中国網日本語版 2016年5月26日) 福島原発事故、原爆168発分のセシウムが漏えい 太平洋全体にほぼ拡散へ
 日本と米国の専門家は、福島原発事故から5年が経過するが、漏えいした放射能汚染物質は潮の流れにより太平洋をまたぎ、北米西海岸に影響を及ぼしていると発表した。東京海洋大学副学長、日本海洋学会副会長の神田穣太氏によると、セシウム137は福島原発事故の放射能漏れの最も中心的な物質で、1−2万テラベクレルが海洋に流出したという。この数値を5万テラベクレルと見積もる研究者もいる。ベクレルは放射性物質の計量単位だ。厚生労働省は福島原発事故後、安全に食用できる野菜・穀物・肉類などの食品中の放射性物質の新たな基準値を、1キロ当たり500ベクレルとした。1テラベクレルは1兆ベクレル。日本政府は2011年に発表した報告書の中で、福島原発の原子炉3基が放出したセシウムは1万5000テラベクレルに達するとしていた。米国が第二次大戦中に広島に投下した原爆は、89テラベクレルのセシウムを放出していた。1万5000テラベクレルは、広島の原爆168発分だ。しかし日本政府内には、原爆を福島原発が放出した放射性物質と、単純に比較することはできないとする観点もある。神田氏によると、太平洋東部のセシウム濃度は西部より高めとなっている。これはセシウムが潮の流れにより、米国西海岸に到達したことを意味する。多くの専門家が同じ観点を持つ。福島原発事故後まもなく、日本原子力研究開発機構の中野政尚研究員が行った研究によると、セシウムは潮の流れにより5年後に北米に到達し、10年後に一部がアジア東部に回帰し、30年後に太平洋全体にほぼ拡散するという。福島大学環境放射能研究所の青山道夫教授も2015年、1年内に約800テラベクレルのセシウムが北米西海岸に到達すると予想していた。北米の科学界は、すでに実地調査によりこれを裏付けている。米国科学アカデミー紀要が昨年掲載した、カナダのベッドフォード海洋学研究所の報告書によると、北米西海岸で福島原発事故による放射性物質が検出されている。米ウッズホール海洋研究所の専門家は、「1986年のチェルノブイリ事故による放射能漏れは福島原発事故の10倍だが、海洋への影響は後者の方が大きい。漏えいした放射性物質の8割が海に入ったからだ。福島原発事故の海洋への影響は、空前絶後と言える」と指摘した。この放射能汚染は、魚介類と海の生態系に影響を及ぼす恐れがある。日本はすでにこれに関する、多くの調査結果を出している。

*1-3:http://digital.asahi.com/articles/ASJ4H3JLHJ4HUGTB007.html
(朝日新聞 2016年4月18日) 福島)甲状腺がんの県見解、ロ報告書と矛盾 尾松氏講演
 チェルノブイリ原発事故から30年の26日を前に、「避難の権利」を明記したチェルノブイリ法を日本に初めて体系的に紹介したロシア研究者の尾松亮氏がこのほど、東京都内で講演した。「ロシア政府報告書」を取り上げ、県や県立医大が県内の小児甲状腺がんの「多発」について原発事故の影響を否定する論拠にした「チェルノブイリ後の事実」とは異なる事実が報告されている、と指摘した。東京電力福島第一原発事故事故後、子どもたちの甲状腺検査を進めてきた県は有識者による検討委員会などで、罹患(りかん)統計から推定される有病数に比べ「数十倍のオーダーで多い甲状腺がんが発見されている」と認めつつ、「放射線の影響とは考えにくい」と主張。その論拠として、チェルノブイリ事故後に甲状腺がんが多発したのは①事故から5年後②5歳以下であるのに対し、福島では①がん発見が1~4年で早い②事故当時5歳以下の発見がない③被曝(ひばく)線量がはるかに少ない――などとしてきた。2011年発表のロシア政府報告書を詳細に検討した尾松氏は、報告書の内容が、県側の説明と「大きく食い違う」と批判。同報告書では甲状腺がんは①事故翌年から著しく増え(年平均1・7倍)、4~5年後にさらに大幅に増加②事故時5歳以下に急増するのは事故約10年後で彼らが10代半ばになって以降③被曝推計の最高値比較では大差があるが、低線量被災地でも増加――などと分析していることを明らかにした。そのうえで尾松氏は「現時点でデータは少ないが、チェルノブイリ後の10代での増え方などは違いより類似が目立つ」とし、「先例となる被災国の知見をゆがめて伝えることで、教訓を生かせなくなるのではないか」との懸念を表明した。

*1-4:http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2016060701001850.html
(東京新聞 2016年6月7日) 公共工事で除染土を再利用へ 全国の道路、防潮堤に
 東京電力福島第1原発事故に伴う除染廃棄物の減量と再利用に向けた環境省の有識者検討会は7日、東京都内で会合を開き、放射性物質濃度が基準以下となった除染土を全国の公共工事で使うとする再利用の方針案を大筋で了承した。近く同省が正式決定する。方針案によると、管理責任が明確で、長期間掘り返されることがない道路や防潮堤などの公共工事に利用先を限定。工事中の作業員や周辺住民の年間被ばく線量が1ミリシーベルト以下となるよう、用途や期間に応じて放射性セシウム濃度を1キログラム当たり5千~8千ベクレル以下と定めた。

<日本国憲法の規定>
*2:http://www.jicl.jp/kenpou_all/kenpou.html 日本国憲法(抜粋)
第二十四条 婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、
        相互の協力により、維持されなければならない。
      2 配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他
        の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して制定されなけ
        ればならない。
第二十五条 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
      2 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進
        に努めなければならない。

<環境基本法>
*3:http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H05/H05HO091.html 環境基本法 (平成五年十一月十九日法律第九十一号) 最終改正:平成二六年五月三〇日法律第四六号
第一章 総則
(目的)
第一条  この法律は、環境の保全について、基本理念を定め、並びに国、地方公共団体、事業者及び国民の責務を明らかにするとともに、環境の保全に関する施策の基本となる事項を定めることにより、環境の保全に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に寄与するとともに人類の福祉に貢献することを目的とする。
(定義)
第二条  この法律において「環境への負荷」とは、人の活動により環境に加えられる影響であって、環境の保全上の支障の原因となるおそれのあるものをいう。
2  この法律において「地球環境保全」とは、人の活動による地球全体の温暖化又はオゾン層の破壊の進行、海洋の汚染、野生生物の種の減少その他の地球の全体又はその広範な部分の環境に影響を及ぼす事態に係る環境の保全であって、人類の福祉に貢献するとともに国民の健康で文化的な生活の確保に寄与するものをいう。
3  この法律において「公害」とは、環境の保全上の支障のうち、事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁(水質以外の水の状態又は水底の底質が悪化することを含む。第二十一条第一項第一号において同じ。)、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下(鉱物の掘採のための土地の掘削によるものを除く。以下同じ。)及び悪臭によって、人の健康又は生活環境(人の生活に密接な関係のある財産並びに人の生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境を含む。以下同じ。)に係る被害が生ずることをいう。
(環境の恵沢の享受と継承等)
第三条  環境の保全は、環境を健全で恵み豊かなものとして維持することが人間の健康で文化的な生活に欠くことのできないものであること及び生態系が微妙な均衡を保つことによって成り立っており人類の存続の基盤である限りある環境が、人間の活動による環境への負荷によって損なわれるおそれが生じてきていることにかんがみ、現在及び将来の世代の人間が健全で恵み豊かな環境の恵沢を享受するとともに人類の存続の基盤である環境が将来にわたって維持されるように適切に行われなければならない。
(環境への負荷の少ない持続的発展が可能な社会の構築等)
第四条  環境の保全は、社会経済活動その他の活動による環境への負荷をできる限り低減することその他の環境の保全に関する行動がすべての者の公平な役割分担の下に自主的かつ積極的に行われるようになることによって、健全で恵み豊かな環境を維持しつつ、環境への負荷の少ない健全な経済の発展を図りながら持続的に発展することができる社会が構築されることを旨とし、及び科学的知見の充実の下に環境の保全上の支障が未然に防がれることを旨として、行われなければならない。
(国際的協調による地球環境保全の積極的推進)
第五条  地球環境保全が人類共通の課題であるとともに国民の健康で文化的な生活を将来にわたって確保する上での課題であること及び我が国の経済社会が国際的な密接な相互依存関係の中で営まれていることにかんがみ、地球環境保全は、我が国の能力を生かして、及び国際社会において我が国の占める地位に応じて、国際的協調の下に積極的に推進されなければならない。
(国の責務)
第六条  国は、前三条に定める環境の保全についての基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、環境の保全に関する基本的かつ総合的な施策を策定し、及び実施する責務を有する。
(地方公共団体の責務)
第七条  地方公共団体は、基本理念にのっとり、環境の保全に関し、国の施策に準じた施策及びその他のその地方公共団体の区域の自然的社会的条件に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。
(事業者の責務)
第八条  事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動を行うに当たっては、これに伴って生ずるばい煙、汚水、廃棄物等の処理その他の公害を防止し、又は自然環境を適正に保全するために必要な措置を講ずる責務を有する。
2  事業者は、基本理念にのっとり、環境の保全上の支障を防止するため、物の製造、加工又は販売その他の事業活動を行うに当たって、その事業活動に係る製品その他の物が廃棄物となった場合にその適正な処理が図られることとなるように必要な措置を講ずる責務を有する。
3  前二項に定めるもののほか、事業者は、基本理念にのっとり、環境の保全上の支障を防止するため、物の製造、加工又は販売その他の事業活動を行うに当たって、その事業活動に係る製品その他の物が使用され又は廃棄されることによる環境への負荷の低減に資するように努めるとともに、その事業活動において、再生資源その他の環境への負荷の低減に資する原材料、役務等を利用するように努めなければならない。
4  前三項に定めるもののほか、事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動に関し、これに伴う環境への負荷の低減その他環境の保全に自ら努めるとともに、国又は地方公共団体が実施する環境の保全に関する施策に協力する責務を有する。
(国民の責務)
第九条  国民は、基本理念にのっとり、環境の保全上の支障を防止するため、その日常生活に伴う環境への負荷の低減に努めなければならない。
2  前項に定めるもののほか、国民は、基本理念にのっとり、環境の保全に自ら努めるとともに、国又は地方公共団体が実施する環境の保全に関する施策に協力する責務を有する。
(環境の日)
第十条  事業者及び国民の間に広く環境の保全についての関心と理解を深めるとともに、積極的に環境の保全に関する活動を行う意欲を高めるため、環境の日を設ける。
2  環境の日は、六月五日とする。
3  国及び地方公共団体は、環境の日の趣旨にふさわしい事業を実施するように努めなければならない。
(法制上の措置等)
第十一条  政府は、環境の保全に関する施策を実施するため必要な法制上又は財政上の措置その他の措置を講じなければならない。
(年次報告等)
第十二条  政府は、毎年、国会に、環境の状況及び政府が環境の保全に関して講じた施策に関する報告を提出しなければならない。
2  政府は、毎年、前項の報告に係る環境の状況を考慮して講じようとする施策を明らかにした文書を作成し、これを国会に提出しなければならない。
第十三条  削除
   第二章 環境の保全に関する基本的施策
    第一節 施策の策定等に係る指針
第十四条  この章に定める環境の保全に関する施策の策定及び実施は、基本理念にのっとり、次に掲げる事項の確保を旨として、各種の施策相互の有機的な連携を図りつつ総合的かつ計画的に行わなければならない。
一  人の健康が保護され、及び生活環境が保全され、並びに自然環境が適正に保全されるよう、大気、水、土壌その他の環境の自然的構成要素が良好な状態に保持されること。
二  生態系の多様性の確保、野生生物の種の保存その他の生物の多様性の確保が図られるとともに、森林、農地、水辺地等における多様な自然環境が地域の自然的社会的条件に応じて体系的に保全されること。
三  人と自然との豊かな触れ合いが保たれること。
    第二節 環境基本計画
第十五条  政府は、環境の保全に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、環境の保全に関する基本的な計画(以下「環境基本計画」という。)を定めなければならない。
2  環境基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
一  環境の保全に関する総合的かつ長期的な施策の大綱
二  前号に掲げるもののほか、環境の保全に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項
3  環境大臣は、中央環境審議会の意見を聴いて、環境基本計画の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。
4  環境大臣は、前項の規定による閣議の決定があったときは、遅滞なく、環境基本計画を公表しなければならない。
5  前二項の規定は、環境基本計画の変更について準用する。
    第三節 環境基準
第十六条  政府は、大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染及び騒音に係る環境上の条件について、それぞれ、人の健康を保護し、及び生活環境を保全する上で維持されることが望ましい基準を定めるものとする。
2  前項の基準が、二以上の類型を設け、かつ、それぞれの類型を当てはめる地域又は水域を指定すべきものとして定められる場合には、その地域又は水域の指定に関する事務は、次の各号に掲げる地域又は水域の区分に応じ、当該各号に定める者が行うものとする。
一  二以上の都道府県の区域にわたる地域又は水域であって政令で定めるもの 政府
二  前号に掲げる地域又は水域以外の地域又は水域 次のイ又はロに掲げる地域又は水域の区分に応じ、当該イ又はロに定める者
イ 騒音に係る基準(航空機の騒音に係る基準及び新幹線鉄道の列車の騒音に係る基準を除く。)の類型を当てはめる地域であって市に属するもの その地域が属する市の長
ロ イに掲げる地域以外の地域又は水域 その地域又は水域が属する都道府県の知事
3  第一項の基準については、常に適切な科学的判断が加えられ、必要な改定がなされなければならない。
4  政府は、この章に定める施策であって公害の防止に関係するもの(以下「公害の防止に関する施策」という。)を総合的かつ有効適切に講ずることにより、第一項の基準が確保されるように努めなければならない。
    第四節 特定地域における公害の防止
(公害防止計画の作成)
第十七条  都道府県知事は、次のいずれかに該当する地域について、環境基本計画を基本として、当該地域において実施する公害の防止に関する施策に係る計画(以下「公害防止計画」という。)を作成することができる。
一  現に公害が著しく、かつ、公害の防止に関する施策を総合的に講じなければ公害の防止を図ることが著しく困難であると認められる地域
二  人口及び産業の急速な集中その他の事情により公害が著しくなるおそれがあり、かつ、公害の防止に関する施策を総合的に講じなければ公害の防止を図ることが著しく困難になると認められる地域
(公害防止計画の達成の推進)
第十八条  国及び地方公共団体は、公害防止計画の達成に必要な措置を講ずるように努めるものとする。
    第五節 国が講ずる環境の保全のための施策等
(国の施策の策定等に当たっての配慮)
第十九条  国は、環境に影響を及ぼすと認められる施策を策定し、及び実施するに当たっては、環境の保全について配慮しなければならない。
(環境影響評価の推進)
第二十条  国は、土地の形状の変更、工作物の新設その他これらに類する事業を行う事業者が、その事業の実施に当たりあらかじめその事業に係る環境への影響について自ら適正に調査、予測又は評価を行い、その結果に基づき、その事業に係る環境の保全について適正に配慮することを推進するため、必要な措置を講ずるものとする。
(環境の保全上の支障を防止するための規制)
第二十一条  国は、環境の保全上の支障を防止するため、次に掲げる規制の措置を講じなければならない。
一  大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染又は悪臭の原因となる物質の排出、騒音又は振動の発生、地盤の沈下の原因となる地下水の採取その他の行為に関し、事業者等の遵守すべき基準を定めること等により行う公害を防止するために必要な規制の措置
二  土地利用に関し公害を防止するために必要な規制の措置及び公害が著しく、又は著しくなるおそれがある地域における公害の原因となる施設の設置に関し公害を防止するために必要な規制の措置
三  自然環境を保全することが特に必要な区域における土地の形状の変更、工作物の新設、木竹の伐採その他の自然環境の適正な保全に支障を及ぼすおそれがある行為に関し、その支障を防止するために必要な規制の措置
四  採捕、損傷その他の行為であって、保護することが必要な野生生物、地形若しくは地質又は温泉源その他の自然物の適正な保護に支障を及ぼすおそれがあるものに関し、その支障を防止するために必要な規制の措置
五  公害及び自然環境の保全上の支障が共に生ずるか又は生ずるおそれがある場合にこれらを共に防止するために必要な規制の措置
2  前項に定めるもののほか、国は、人の健康又は生活環境に係る環境の保全上の支障を防止するため、同項第一号又は第二号に掲げる措置に準じて必要な規制の措置を講ずるように努めなければならない。
(環境の保全上の支障を防止するための経済的措置)
第二十二条  国は、環境への負荷を生じさせる活動又は生じさせる原因となる活動(以下この条において「負荷活動」という。)を行う者がその負荷活動に係る環境への負荷の低減のための施設の整備その他の適切な措置をとることを助長することにより環境の保全上の支障を防止するため、その負荷活動を行う者にその者の経済的な状況等を勘案しつつ必要かつ適正な経済的な助成を行うために必要な措置を講ずるように努めるものとする。
2  国は、負荷活動を行う者に対し適正かつ公平な経済的な負担を課すことによりその者が自らその負荷活動に係る環境への負荷の低減に努めることとなるように誘導することを目的とする施策が、環境の保全上の支障を防止するための有効性を期待され、国際的にも推奨されていることにかんがみ、その施策に関し、これに係る措置を講じた場合における環境の保全上の支障の防止に係る効果、我が国の経済に与える影響等を適切に調査し及び研究するとともに、その措置を講ずる必要がある場合には、その措置に係る施策を活用して環境の保全上の支障を防止することについて国民の理解と協力を得るように努めるものとする。この場合において、その措置が地球環境保全のための施策に係るものであるときは、その効果が適切に確保されるようにするため、国際的な連携に配慮するものとする。
(環境の保全に関する施設の整備その他の事業の推進)
第二十三条  国は、緩衝地帯その他の環境の保全上の支障を防止するための公共的施設の整備及び汚泥のしゅんせつ、絶滅のおそれのある野生動植物の保護増殖その他の環境の保全上の支障を防止するための事業を推進するため、必要な措置を講ずるものとする。
2  国は、下水道、廃棄物の公共的な処理施設、環境への負荷の低減に資する交通施設(移動施設を含む。)その他の環境の保全上の支障の防止に資する公共的施設の整備及び森林の整備その他の環境の保全上の支障の防止に資する事業を推進するため、必要な措置を講ずるものとする。
3  国は、公園、緑地その他の公共的施設の整備その他の自然環境の適正な整備及び健全な利用のための事業を推進するため、必要な措置を講ずるものとする。
4  国は、前二項に定める公共的施設の適切な利用を促進するための措置その他のこれらの施設に係る環境の保全上の効果が増進されるために必要な措置を講ずるものとする。
(環境への負荷の低減に資する製品等の利用の促進)
第二十四条  国は、事業者に対し、物の製造、加工又は販売その他の事業活動に際して、あらかじめ、その事業活動に係る製品その他の物が使用され又は廃棄されることによる環境への負荷について事業者が自ら評価することにより、その物に係る環境への負荷の低減について適正に配慮することができるように技術的支援等を行うため、必要な措置を講ずるものとする。
2  国は、再生資源その他の環境への負荷の低減に資する原材料、製品、役務等の利用が促進されるように、必要な措置を講ずるものとする。
(環境の保全に関する教育、学習等)
第二十五条  国は、環境の保全に関する教育及び学習の振興並びに環境の保全に関する広報活動の充実により事業者及び国民が環境の保全についての理解を深めるとともにこれらの者の環境の保全に関する活動を行う意欲が増進されるようにするため、必要な措置を講ずるものとする。
(民間団体等の自発的な活動を促進するための措置)
第二十六条  国は、事業者、国民又はこれらの者の組織する民間の団体(以下「民間団体等」という。)が自発的に行う緑化活動、再生資源に係る回収活動その他の環境の保全に関する活動が促進されるように、必要な措置を講ずるものとする。
(情報の提供)
第二十七条  国は、第二十五条の環境の保全に関する教育及び学習の振興並びに前条の民間団体等が自発的に行う環境の保全に関する活動の促進に資するため、個人及び法人の権利利益の保護に配慮しつつ環境の状況その他の環境の保全に関する必要な情報を適切に提供するように努めるものとする。
(調査の実施)
第二十八条  国は、環境の状況の把握、環境の変化の予測又は環境の変化による影響の予測に関する調査その他の環境を保全するための施策の策定に必要な調査を実施するものとする。
(監視等の体制の整備)
第二十九条  国は、環境の状況を把握し、及び環境の保全に関する施策を適正に実施するために必要な監視、巡視、観測、測定、試験及び検査の体制の整備に努めるものとする。
(科学技術の振興)
第三十条  国は、環境の変化の機構の解明、環境への負荷の低減並びに環境が経済から受ける影響及び経済に与える恵沢を総合的に評価するための方法の開発に関する科学技術その他の環境の保全に関する科学技術の振興を図るものとする。
2  国は、環境の保全に関する科学技術の振興を図るため、試験研究の体制の整備、研究開発の推進及びその成果の普及、研究者の養成その他の必要な措置を講ずるものとする。
(公害に係る紛争の処理及び被害の救済)
第三十一条  国は、公害に係る紛争に関するあっせん、調停その他の措置を効果的に実施し、その他公害に係る紛争の円滑な処理を図るため、必要な措置を講じなければならない。
2  国は、公害に係る被害の救済のための措置の円滑な実施を図るため、必要な措置を講じなければならない。
    第六節 地球環境保全等に関する国際協力等
(地球環境保全等に関する国際協力等)
第三十二条  国は、地球環境保全に関する国際的な連携を確保することその他の地球環境保全に関する国際協力を推進するために必要な措置を講ずるように努めるほか、開発途上にある海外の地域の環境の保全及び国際的に高い価値があると認められている環境の保全であって人類の福祉に貢献するとともに国民の健康で文化的な生活の確保に寄与するもの(以下この条において「開発途上地域の環境の保全等」という。)に資するための支援を行うことその他の開発途上地域の環境の保全等に関する国際協力を推進するために必要な措置を講ずるように努めるものとする。
2  国は、地球環境保全及び開発途上地域の環境の保全等(以下「地球環境保全等」という。)に関する国際協力について専門的な知見を有する者の育成、本邦以外の地域の環境の状況その他の地球環境保全等に関する情報の収集、整理及び分析その他の地球環境保全等に関する国際協力の円滑な推進を図るために必要な措置を講ずるように努めるものとする。
(監視、観測等に係る国際的な連携の確保等)
第三十三条  国は、地球環境保全等に関する環境の状況の監視、観測及び測定の効果的な推進を図るための国際的な連携を確保するように努めるとともに、地球環境保全等に関する調査及び試験研究の推進を図るための国際協力を推進するように努めるものとする。
(地方公共団体又は民間団体等による活動を促進するための措置)
第三十四条  国は、地球環境保全等に関する国際協力を推進する上で地方公共団体が果たす役割の重要性にかんがみ、地方公共団体による地球環境保全等に関する国際協力のための活動の促進を図るため、情報の提供その他の必要な措置を講ずるように努めるものとする。
2  国は、地球環境保全等に関する国際協力を推進する上で民間団体等によって本邦以外の地域において地球環境保全等に関する国際協力のための自発的な活動が行われることの重要性にかんがみ、その活動の促進を図るため、情報の提供その他の必要な措置を講ずるように努めるものとする。
(国際協力の実施等に当たっての配慮)
第三十五条  国は、国際協力の実施に当たっては、その国際協力の実施に関する地域に係る地球環境保全等について配慮するように努めなければならない。
2  国は、本邦以外の地域において行われる事業活動に関し、その事業活動に係る事業者がその事業活動が行われる地域に係る地球環境保全等について適正に配慮することができるようにするため、その事業者に対する情報の提供その他の必要な措置を講ずるように努めるものとする。
    第七節 地方公共団体の施策
第三十六条  地方公共団体は、第五節に定める国の施策に準じた施策及びその他のその地方公共団体の区域の自然的社会的条件に応じた環境の保全のために必要な施策を、これらの総合的かつ計画的な推進を図りつつ実施するものとする。この場合において、都道府県は、主として、広域にわたる施策の実施及び市町村が行う施策の総合調整を行うものとする。
    第八節 費用負担等
(原因者負担)
第三十七条  国及び地方公共団体は、公害又は自然環境の保全上の支障(以下この条において「公害等に係る支障」という。)を防止するために国若しくは地方公共団体又はこれらに準ずる者(以下この条において「公的事業主体」という。)により実施されることが公害等に係る支障の迅速な防止の必要性、事業の規模その他の事情を勘案して必要かつ適切であると認められる事業が公的事業主体により実施される場合において、その事業の必要を生じさせた者の活動により生ずる公害等に係る支障の程度及びその活動がその公害等に係る支障の原因となると認められる程度を勘案してその事業の必要を生じさせた者にその事業の実施に要する費用を負担させることが適当であると認められるものについて、その事業の必要を生じさせた者にその事業の必要を生じさせた限度においてその事業の実施に要する費用の全部又は一部を適正かつ公平に負担させるために必要な措置を講ずるものとする。
(受益者負担)
第三十八条  国及び地方公共団体は、自然環境を保全することが特に必要な区域における自然環境の保全のための事業の実施により著しく利益を受ける者がある場合において、その者にその受益の限度においてその事業の実施に要する費用の全部又は一部を適正かつ公平に負担させるために必要な措置を講ずるものとする。
(地方公共団体に対する財政措置等)
第三十九条  国は、地方公共団体が環境の保全に関する施策を策定し、及び実施するための費用について、必要な財政上の措置その他の措置を講ずるように努めるものとする。
(国及び地方公共団体の協力)
第四十条  国及び地方公共団体は、環境の保全に関する施策を講ずるにつき、相協力するものとする。
(事務の区分)
第四十条の二  第十六条第二項の規定により都道府県又は市が処理することとされている事務(政令で定めるものを除く。)は、地方自治法 (昭和二十二年法律第六十七号)第二条第九項第一号 に規定する第一号 法定受託事務とする。
   第三章 環境の保全に関する審議会その他の合議制の機関等
    第一節 環境の保全に関する審議会その他の合議制の機関
(中央環境審議会)
第四十一条  環境省に、中央環境審議会を置く。
2  中央環境審議会は、次に掲げる事務をつかさどる。
一  環境基本計画に関し、第十五条第三項に規定する事項を処理すること。
二  環境大臣又は関係大臣の諮問に応じ、環境の保全に関する重要事項を調査審議すること。
三  自然公園法 (昭和三十二年法律第百六十一号)、農用地の土壌の汚染防止等に関する法律 (昭和四十五年法律第百三十九号)、自然環境保全法 (昭和四十七年法律第八十五号)、動物の愛護及び管理に関する法律 (昭和四十八年法律第百五号)、瀬戸内海環境保全特別措置法 (昭和四十八年法律第百十号)、公害健康被害の補償等に関する法律 (昭和四十八年法律第百十一号)、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律 (平成四年法律第七十五号)、ダイオキシン類対策特別措置法 (平成十一年法律第百五号)、循環型社会形成推進基本法 (平成十二年法律第百十号)、食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律 (平成十二年法律第百十六号)、使用済自動車の再資源化等に関する法律 (平成十四年法律第八十七号)、鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律(平成十四年法律第八十八号)、特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律 (平成十六年法律第七十八号)、石綿による健康被害の救済に関する法律 (平成十八年法律第四号)、生物多様性基本法 (平成二十年法律第五十八号)及び愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律 (平成二十年法律第八十三号)によりその権限に属させられた事項を処理すること。
3  中央環境審議会は、前項に規定する事項に関し、環境大臣又は関係大臣に意見を述べることができる。
4  前二項に定めるもののほか、中央環境審議会の組織、所掌事務及び委員その他の職員その他中央環境審議会に関し必要な事項については、政令で定める。
第四十二条  削除
(都道府県の環境の保全に関する審議会その他の合議制の機関)
第四十三条  都道府県は、その都道府県の区域における環境の保全に関して、基本的事項を調査審議させる等のため、環境の保全に関し学識経験のある者を含む者で構成される審議会その他の合議制の機関を置く。
2  前項の審議会その他の合議制の機関の組織及び運営に関し必要な事項は、その都道府県の条例で定める。
(市町村の環境の保全に関する審議会その他の合議制の機関)
第四十四条  市町村は、その市町村の区域における環境の保全に関して、基本的事項を調査審議させる等のため、その市町村の条例で定めるところにより、環境の保全に関し学識経験のある者を含む者で構成される審議会その他の合議制の機関を置くことができる。
    第二節 公害対策会議
(設置及び所掌事務)
第四十五条  環境省に、特別の機関として、公害対策会議(以下「会議」という。)を置く。
2  会議は、次に掲げる事務をつかさどる。
一  公害の防止に関する施策であって基本的かつ総合的なものの企画に関して審議し、及びその施策の実施を推進すること。
二  前号に掲げるもののほか、他の法令の規定によりその権限に属させられた事務
(組織等)
第四十六条  会議は、会長及び委員をもって組織する。
2  会長は、環境大臣をもって充てる。
3  委員は、内閣官房長官、関係行政機関の長及び内閣府設置法 (平成十一年法律第八十九号)第九条第一項 に規定する特命担当大臣のうちから、環境大臣の申出により、内閣総理大臣が任命する。
4  会議に、幹事を置く。
5  幹事は、関係行政機関の職員のうちから、環境大臣が任命する。
6  幹事は、会議の所掌事務について、会長及び委員を助ける。
7  前各項に定めるもののほか、会議の組織及び運営に関し必要な事項は、政令で定める。
   附 則
 この法律は、公布の日から施行する。ただし、第四十三条及び第四十四条の規定は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
   附 則 (平成一一年七月一六日法律第八七号) 抄
(施行期日)
第一条  この法律は、平成十二年四月一日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
一  第一条中地方自治法第二百五十条の次に五条、節名並びに二款及び款名を加える改正規定(同法第二百五十条の九第一項に係る部分(両議院の同意を得ることに係る部分に限る。)に限る。)、第四十条中自然公園法附則第九項及び第十項の改正規定(同法附則第十項に係る部分に限る。)、第二百四十四条の規定(農業改良助長法第十四条の三の改正規定に係る部分を除く。)並びに第四百七十二条の規定(市町村の合併の特例に関する法律第六条、第八条及び第十七条の改正規定に係る部分を除く。)並びに附則第七条、第十条、第十二条、第五十九条ただし書、第六十条第四項及び第五項、第七十三条、第七十七条、第百五十七条第四項から第六項まで、第百六十条、第百六十三条、第百六十四条並びに第二百二条の規定 公布の日
(環境基本法の一部改正に伴う経過措置)
第二十七条  施行日前に第五十三条の規定による改正前の環境基本法第十七条第三項の規定により内閣総理大臣の承認を受けた公害防止計画は、第五十三条の規定による改正後の同法第十七条第三項の規定により内閣総理大臣の同意を得た公害防止計画とみなす。
(国等の事務)
第百五十九条  この法律による改正前のそれぞれの法律に規定するもののほか、この法律の施行前において、地方公共団体の機関が法律又はこれに基づく政令により管理し又は執行する国、他の地方公共団体その他公共団体の事務(附則第百六十一条において「国等の事務」という。)は、この法律の施行後は、地方公共団体が法律又はこれに基づく政令により当該地方公共団体の事務として処理するものとする。
(処分、申請等に関する経過措置)
第百六十条  この法律(附則第一条各号に掲げる規定については、当該各規定。以下この条及び附則第百六十三条において同じ。)の施行前に改正前のそれぞれの法律の規定によりされた許可等の処分その他の行為(以下この条において「処分等の行為」という。)又はこの法律の施行の際現に改正前のそれぞれの法律の規定によりされている許可等の申請その他の行為(以下この条において「申請等の行為」という。)で、この法律の施行の日においてこれらの行為に係る行政事務を行うべき者が異なることとなるものは、附則第二条から前条までの規定又は改正後のそれぞれの法律(これに基づく命令を含む。)の経過措置に関する規定に定めるものを除き、この法律の施行の日以後における改正後のそれぞれの法律の適用については、改正後のそれぞれの法律の相当規定によりされた処分等の行為又は申請等の行為とみなす。
2  この法律の施行前に改正前のそれぞれの法律の規定により国又は地方公共団体の機関に対し報告、届出、提出その他の手続をしなければならない事項で、この法律の施行の日前にその手続がされていないものについては、この法律及びこれに基づく政令に別段の定めがあるもののほか、これを、改正後のそれぞれの法律の相当規定により国又は地方公共団体の相当の機関に対して報告、届出、提出その他の手続をしなければならない事項についてその手続がされていないものとみなして、この法律による改正後のそれぞれの法律の規定を適用する。
(不服申立てに関する経過措置)
第百六十一条  施行日前にされた国等の事務に係る処分であって、当該処分をした行政庁(以下この条において「処分庁」という。)に施行日前に行政不服審査法に規定する上級行政庁(以下この条において「上級行政庁」という。)があったものについての同法による不服申立てについては、施行日以後においても、当該処分庁に引き続き上級行政庁があるものとみなして、行政不服審査法の規定を適用する。この場合において、当該処分庁の上級行政庁とみなされる行政庁は、施行日前に当該処分庁の上級行政庁であった行政庁とする。
2  前項の場合において、上級行政庁とみなされる行政庁が地方公共団体の機関であるときは、当該機関が行政不服審査法の規定により処理することとされる事務は、新地方自治法第二条第九項第一号に規定する第一号法定受託事務とする。
(手数料に関する経過措置)
第百六十二条  施行日前においてこの法律による改正前のそれぞれの法律(これに基づく命令を含む。)の規定により納付すべきであった手数料については、この法律及びこれに基づく政令に別段の定めがあるもののほか、なお従前の例による。
(罰則に関する経過措置)
第百六十三条  この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(その他の経過措置の政令への委任)
第百六十四条  この附則に規定するもののほか、この法律の施行に伴い必要な経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)は、政令で定める。
2  附則第十八条、第五十一条及び第百八十四条の規定の適用に関して必要な事項は、政令で定める。
(検討)
第二百五十条  新地方自治法第二条第九項第一号に規定する第一号法定受託事務については、できる限り新たに設けることのないようにするとともに、新地方自治法別表第一に掲げるもの及び新地方自治法に基づく政令に示すものについては、地方分権を推進する観点から検討を加え、適宜、適切な見直しを行うものとする。
第二百五十一条  政府は、地方公共団体が事務及び事業を自主的かつ自立的に執行できるよう、国と地方公共団体との役割分担に応じた地方税財源の充実確保の方途について、経済情勢の推移等を勘案しつつ検討し、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
第二百五十二条  政府は、医療保険制度、年金制度等の改革に伴い、社会保険の事務処理の体制、これに従事する職員の在り方等について、被保険者等の利便性の確保、事務処理の効率化等の視点に立って、検討し、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。
   附 則 (平成一一年七月一六日法律第一〇二号) 抄
(施行期日)
第一条  この法律は、内閣法の一部を改正する法律(平成十一年法律第八十八号)の施行の日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
二  附則第十条第一項及び第五項、第十四条第三項、第二十三条、第二十八条並びに第三十条の規定 公布の日
(職員の身分引継ぎ)
第三条  この法律の施行の際現に従前の総理府、法務省、外務省、大蔵省、文部省、厚生省、農林水産省、通商産業省、運輸省、郵政省、労働省、建設省又は自治省(以下この条において「従前の府省」という。)の職員(国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第八条の審議会等の会長又は委員長及び委員、中央防災会議の委員、日本工業標準調査会の会長及び委員並びに これらに類する者として政令で定めるものを除く。)である者は、別に辞令を発せられない限り、同一の勤務条件をもって、この法律の施行後の内閣府、総務省、法務省、外務省、財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省若しくは環境省(以下この条において「新府省」という。)又はこれに置かれる部局若しくは機関のうち、この法律の施行の際現に当該職員が属する従前の府省又はこれに置かれる部局若しくは機関の相当の新府省又はこれに置かれる部局若しくは機関として政令で定めるものの相当の職員となるものとする。
(別に定める経過措置)
第三十条  第二条から前条までに規定するもののほか、この法律の施行に伴い必要となる経過措置は、別に法律で定める。 (以下略)


<地域主権は憲法改正を要しないこと>
PS(2016.7.5追加):「地域主権のために憲法改正が必要」と主張して憲法改正にこぎつけようとしている勢力もあるが、*4-1のように、日本国憲法は、第92条で「地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて法律で定める」としており、これにより地方自治法が定められている。そのため、地域主権にしたければ地方自治法を改正すればよいのだが、*4-2のように、地方自治法はかなり地域主権であり、問題があるとすればその大部分は運用にあるだろう。 

*4-1:http://www.cc.kyoto-su.ac.jp/~kazyoshi/constitution/jobun/chap08.html (日本国憲法)  第8章 地方自治
第92条(地方自治の基本原則)
地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。
第93条(地方公共団体の機関、その直接選挙)
1.地方公共団体には、法律の定めるところにより、その議事機関として議会を設置する。
2.地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が、直接これを選挙する。
第94条(地方公共団体の権能)
地方公共団体は、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能を有し、法律の範囲内で条例を制定することができる。
第95条(特別法の住民投票)
一の地方公共団体のみに適用される特別法は、法律の定めるところにより、その地方公共団体の住民の投票においてその過半数の同意を得なければ、国会は、これを制定することができない。

*4-2:http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S22/S22HO067.html (地方自治法)
第一編 総則
第一条  この法律は、地方自治の本旨に基いて、地方公共団体の区分並びに地方公共団体の組織及び運営に関する事項の大綱を定め、併せて国と地方公共団体との間の基本的関係を確立することにより、地方公共団体における民主的にして能率的な行政の確保を図るとともに、地方公共団体の健全な発達を保障することを目的とする。
第一条の二  地方公共団体は、住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うものとする。
2  国は、前項の規定の趣旨を達成するため、国においては国際社会における国家としての存立にかかわる事務、全国的に統一して定めることが望ましい国民の諸活動若しくは地方自治に関する基本的な準則に関する事務又は全国的な規模で若しくは全国的な視点に立つて行わなければならない施策及び事業の実施その他の国が本来果たすべき役割を重点的に担い、住民に身近な行政はできる限り地方公共団体にゆだねることを基本として、地方公共団体との間で適切に役割を分担するとともに、地方公共団体に関する制度の策定及び施策の実施に当たつて、地方公共団体の自主性及び自立性が十分に発揮されるようにしなければならない。(以下略)


<議員定数の都道府県割も憲法改正を要しないこと>
PS(2016年7月9日追加):*5-1のように、「自民党が各都道府県から改選ごとに少なくとも一人の参院議員を選出できるよう憲法改正することを盛り込む」とのことだが、*5-2のように、憲法は第43条で「両議院は全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する」「両議院の議員定数は法律でこれを定める」、及び、第44条で「両議院の議員及びその選挙人の資格は法律でこれを定める」「人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によつて差別してはならない」と規定しているだけで、地域による一票の重み格差(差別?)については言及していないため、議員定数の都道府県割を目的とする憲法改正は不要であり、公職選挙法を変更すれば足りる。そのため、何でも憲法改正に結び付けようとしているのは見苦しく、このような主張をする人は日本国憲法を読んだこともないのかと思われる。

*5-1:http://www.sankei.com/politics/news/160404/plt1604040023-n1.html (産経新聞 2016.4.4) 「参院議員は都道府県から必ず1人選出」 自民党が参院選公約に盛り込みへ 憲法改正案に規定を追加
 自民党が夏の参院選公約に、各都道府県から改選ごとに少なくとも一人の参院議員を選出できるよう憲法を改正することを盛り込む検討を始めたことが3日、分かった。「一票の格差」是正に向け、今回の参院選から一部選挙区が合区されることに対し、党内に「地方の声がかき消される」との懸念が根強いことから、安倍晋三政権が掲げる「地方創生」と合わせて参院選で訴える方針だ。夏の参院選では、改選1人区だった鳥取、島根、徳島、高知4県が、それぞれ「鳥取・島根」「徳島・高知」の2選挙区に合区される。自民党は2選挙区でともに現職の青木一彦氏(島根)と中西祐介氏(徳島)を擁立するが、合区のままの選挙が続けば、1人も参院議員を選出できない県が出る可能性がある。

*5-2:http://www.saga-s.co.jp/senkyo/sanin/30402/320757 (佐賀新聞 2016年6月9日) 日本国憲法全文(抜粋)
第四章 国会
第四十一条 国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。
第四十二条 国会は、衆議院及び参議院の両議院でこれを構成する。
第四十三条 両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する。
         両議院の議員の定数は、法律でこれを定める。
第四十四条 両議院の議員及びその選挙人の資格は、法律でこれを定める。但し、人種、信条、性別、
         社会的身分、門地、教育、財産又は収入によつて差別してはならない。
第四十五条 衆議院議員の任期は、四年とする。但し、衆議院解散の場合には、その期間満了前に
         終了する。
第四十六条 参議院議員の任期は、六年とし、三年ごとに議員の半数を改選する。


<裁判所の違憲立法審査権行使にも憲法改正は不要であること>
PS(2016年7月10日追加):*6-1のように、おおさか維新の会は「憲法の恣意的解釈を許さないため憲法裁判所の設置が必要」としているが、*6-2のように、現行憲法は第81条で「最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である」と規定している。そして、*6-3のように、「個別の法律などについて抽象的に憲法違反を訴えることはできない」と制限していることこそ憲法違反であり、裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを判定すべきなのだ。なお、政府の意向を受けるため最高裁判所でさえできないこと(実は、これは三権分立違反だが)は、憲法裁判所などという小さな組織を作れば、さらに政府の意向に沿った決定しかできなくなるだろう。

*6-1:http://digital.asahi.com/articles/DA3S12418837.html
(朝日新聞 2016年6月21日) 参院選公約(要旨) おおさか維新の会 (抜粋)
◆憲法改正し教育無償化
■古い政治を壊す。新しい政治を創る。
1 憲法改正で教育無償化、道州制含む統治機構改革、憲法裁判所設置
 教育無償化を憲法で規定、国に予算措置と立法を義務づけ▽自治体を広域自治体の「道州」と「基礎自治体」の二層制にする▽恣意的憲法解釈を許さない憲法裁判所を設置

*6-2:http://www.saga-s.co.jp/senkyo/sanin/30402/320757
(佐賀新聞 2016年6月9日) 日本国憲法全文(抜粋)
第八十一条 最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である。

*6-3:https://kotobank.jp/word/%E9%81%95%E6%86%B2%E7%AB%8B%E6%B3%95%E5%AF%A9%E6%9F%BB%E6%A8%A9-431676 (朝日新聞 2013..5.3 朝日新聞掲載「キーワード」の解説より) 違憲立法審査権
 法律や行政行為が憲法に違反していないか審査する権限。日本では、憲法81条により、最高裁に最終的な権限が与えられていることから、最高裁は「憲法の番人」とも呼ばれる。この規定により、地裁や高裁も憲法判断できる。日本の場合、個別の法律などについて抽象的に憲法違反を訴えることはできないとされており、具体的な争いの中で合憲・違憲が判断される仕組みになっている。

| 日本国憲法::2016.6~ | 12:00 PM | comments (x) | trackback (x) |

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