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2013,11,13, Wednesday
(1)エネルギー改革して消費者の選択を可能にするには、完全な「発送電分離」が不可欠
*1に書かれているように、選挙時の公約の通り、電力システム改革を進める改正電気事業法が13日午前の参院本会議で可決・成立したので、第一ステップは完了したことになる。しかし、政府は電事法を3回にわたって改正する予定で、改革によって電気事業者の経営が著しく悪化することが予想される場合は競争条件を緩めるなど必要な措置をとることも定めたため、*2に書かれているとおり、元に戻そうとする意図が法律内にすでに含まれており、国民は、またまた監視の目を緩めるわけにはいかない。 そして、*1に書かれているように、電気事業連合会の八木誠会長(関西電力社長)が13日、改正電気事業法が成立したことを受け、「発送電分離については、安定供給を損なわないよう、分離を補完する仕組みやルールを慎重に整備していく必要があると指摘した」というので、大手電力会社の昔がえりへの抵抗は、今後とも大きいと予想される。また、*2に書かれているように、競争がなく独占できる方が経営は楽に決まっているので大手電力会社の抵抗は予想されていたことではあるが、それならば経営者はいらないだろう。 (2)東電とその他の電力会社をどう会社分割すべきか *3に、「東電の持株会社化が、早ければ2016年度にも実施される見通しになり、持株会社の下に『火力発電・燃料調達』『小売り・顧客サービス』『送配電』の少なくとも3部門の事業会社を置く方向」と記載されている。また、*4では、大島本部長が「廃炉・汚染水対策を担うセクションの責任を明確にした方が良い。社内分社化が良いのではと思っている」と述べている。 しかし、私(組織再編の専門家です)は、持株会社の下につける子会社は、①地熱発電会社 ②火力発電会社(当然、燃料調達も含む) ③太陽光電力調達会社 ④その他の電力調達会社 ⑤送配電会社 ⑥原発事故処理会社 などの事業毎にわけた方がよいと考える。何故なら、東電の場合、⑤の送配電会社の株式を公開すれば、「送配電設備の固定資産+送配電技術者」の有機的結合価値である数兆円の資金が入り、それを原発事故処理の資金にして国民負担を減らすことができるからだ。また、①②③④も、株式の一部売却、ジョイントベンチャー化、公開などを行えば資金調達できるとともに、分社化してそれぞれの収支を正確に把握すれば、そこに必要な補助金をつけたり、環境意識の高い消費者の選択を可能にしたりすることもできるのだ。 なお、東電以外の電力会社は、事故を起こしていないため負荷がなく、もっとやりやすい筈である。 (3)福島第一原発の廃炉・汚染水対策にあたる会社の位置づけ *3に、「政府は電力システム改革の目玉として、発送電分離を早ければ18年に実施し、大手電力10社の組織を再編させる方針」、「電力会社が改革を先取りして社内の体制を整えるのは望ましい方向」などとしているが、「今の電気事業法では持株会社化は認められていない」など、電気事業法の時代遅れぶりが目立つ。 なお、*4に書かれている東電の福島第一原発の廃炉・汚染水対策にあたる新会社は、どの子会社で発生した利益も、原発事故の損害賠償費用に充てられるよう、持株会社の下に直接つけるべきである。 *1:http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS1204M_T11C13A1MM0000/?dg=1 (日経新聞 2013/11/13) 改正電気事業法が成立 「発送電分離」競争促進へ 電力システム改革を3段階で進める改正電気事業法が13日午前の参院本会議で自民、公明、民主3党などの賛成多数で可決、成立した。2015年に全国規模で電力需給を調整する「広域系統運用機関」を設立。16年に電力小売りの参入を全面自由化し「地域独占」をなくす。18~20年に電力会社の発電と送電部門を別会社にする「発送電分離」を実現する。1951年にいまの電力制度ができて以来の抜本改革となる。大手電力会社による地域独占体制に風穴を開け、電力事業への新規参入や電力会社同士の競争を促す。サービスの選択肢を広げ、電気料金をできるだけ安くする狙いがある。 2015年に新設する広域系統運用機関は電気が余る地域から足りない地域へと全国規模でのやり取りを促す。災害などで地域的な電力不足が生じた際に、他の地域に融通を指示する強い権限を持つ。企業が自家発電した電気を自社工場などで使いやすくするため、大手電力会社が送配電網を貸し出すよう義務付ける。現行では送電網の貸し出しの是非が電力会社の判断に委ねられている。 政府は電事法を3回にわたって改正する予定で、今回はその第1弾。付則に工程を明記した小売り自由化と発送電分離は14年と15年の通常国会にそれぞれ改めて改正案を提出する。改革によって電気事業者の経営が著しく悪化することが予想される場合は競争条件を緩めるなど必要な措置をとることも定めた。電力システム改革は安倍政権の成長戦略の柱。先の通常国会に提出した法案は与野党対立のあおりを受けて廃案となったため、政府が改めて今国会に提出した。 電気事業連合会の八木誠会長(関西電力社長)は13日、改正電気事業法が成立したことを受け「改革を進めるにあたって解決すべき課題は少なくない」とのコメントを出した。発送電分離については「安定供給を損なわないよう、分離を補完する仕組みやルールを慎重に整備していく必要がある」と指摘した。 *2:http://digital.asahi.com/articles/TKY201311120622.html?iref=comkiji_redirect (朝日新聞 2013年11月13日) 改正電事法が成立へ 自然エネ・電力会社選択に向け 電力業界の改革を進める電気事業法(電事法)改正案が13日の参議院で成立する見通しになった。法案通りに進めば、2020年ごろまでに各家庭では自由に電力会社や多様な料金メニューを選べるようになる。しかし、大手電力会社を中心に異論が根強く、今後骨抜きにされるおそれもある。電事法改正案は12日の参議院経済産業委員会で可決された。13日の参院本会議で成立する見通しだ。 今後の電力業界の改革スケジュールは、3段階に分けて改革が進む予定だ。第1段階では、15年をめどに「広域系統運用機関」という組織を発足させる。11年の東日本大震災のときのように、電力が足りなくなったとき、電力が余った地域から足りない地域に電力を融通することを、電力各社に命じる権限を持たせる。計画停電を避けられるようにするねらいだ。第2段階は、16年をめどに、家庭や中小商店でも、電力を自由に選べるようになる小売りの全面自由化に踏み切る。そのための電事法改正案を来年の通常国会に提出する予定だ。小売りの自由化は2000年から大工場などの大口顧客などで順次進められてきたが、家庭では地域の電力会社からしか電気を買えなかった。それが完全自由化後は、消費者が、料金メニューを比べながら、自然エネルギー発電会社や、ほかの電力会社など好きな電力会社を選べるようになる。第3段階は、18~20年をめどに実施をめざす「発送電分離」だ。電力会社から送配電部門を切り離し、新たに参入する業者も送配電網を使いやすくする。 ■大手電力は依然抵抗 ただ、これまで「地域独占体制」を続けてきた大手電力会社の抵抗は依然根強い。改革の実現には制度の詳細を詰め、今後2度の法改正を経なければならず、改革が骨抜きになるおそれも十分残っている。「第2段階(全面自由化)や第3段階(発送電分離)は別途、審議したい」。12日の参院経産委では早速、東京電力労働組合出身の小林正夫議員(民主)がこう述べ、今後の改革論議で巻き返す姿勢を見せた。電力業界からも「収支が厳しい中で(電力会社の)組織をいじると資金調達に大きな影響が出る。発送電分離は改めて考えることが必要だ」(北陸電力の久和進社長)との声があがる。当初は「15年提出」とされていた発送電分離の関連法案の提出時期が、自民党内の部会で「15年の提出を目指す」と、努力目標に格下げされた。このため、肝心の法案提出が先送りされるおそれが残っている。 *3:http://digital.asahi.com/articles/TKY201311080052.html?ref=com_top6 (朝日新聞 2013年11月8日) 東電、16年度にも持ち株会社化 発送電分離へ 東京電力が検討している持ち株会社化が、早ければ2016年度にも実施される見通しになった。東電が年内にまとめる新たな総合特別事業計画(再建計画)に盛り込む方向で調整している。持ち株会社をつくり、その下に「火力発電・燃料調達」「小売り・顧客サービス」「送配電」の少なくとも3部門の事業会社を置く方向だ。東電はすでに今春、この3部門を社内分社化して会計などを分け、持ち株会社化に備えている。持ち株会社の下で3部門を事業会社として独立させれば、電力会社から送配電部門を切り離す「発送電分離」につながる。政府は電力システム改革の目玉として、発送電分離を早ければ18年に実施し、大手電力10社の組織を再編させる方針だ。東電が16年度に持ち株会社化すれば、発送電分離を自発的に2年前倒しすることになる。東電の経営体制の見直しを検討している政府・与党に対して、自ら経営改革を進める姿勢を示すねらいがあるとみられる。東電の方針について、茂木敏充経済産業相は8日の閣議後記者会見で「電力会社が改革を先取りして社内の体制を整えるのは望ましい方向だ」と評価した。ただ、東電に融資する金融機関には、経営体制の見直しに慎重論も根強く、調整が必要になりそうだ。また、いまの電気事業法では持ち株会社化は認められていない。東電は、電事法が来年以降に改正されれば、すぐに持ち株会社をつくる方針だ。福島第一原発の廃炉・汚染水対策にあたる新組織を「社内分社」としてもうける方針も決めているが、これを持ち株会社化の中でどう位置づけるかが今後の課題になる。 *4:http://mainichi.jp/select/news/20131112k0000m040115000c.html?utm_source=dlvr.it&utm_medium=twitter (毎日新聞 2013年11月12日) 福島原発事故:大島本部長「国が前面でないと復興進まず」 自民党の大島理森東日本大震災復興加速化本部長のインタビュー要旨は次の通り。 −−なぜ与党で提言をまとめたのですか。 ◆福島の現状は復興の前段階の「復旧」のさらに前半だ。参院選後、国の総力を挙げて取り組まなければならないと考え、原発事故災害に絞った提言をまとめた。より総合的な対策を示し、国が前面に立つ姿勢を持たないと復興は進まない。我が党が原子力政策を進めてきた政治的責任を果たす意味もあ。 −−賠償や除染を事故原因者である東電が負担するという原則が変わりますが。 ◆今ある除染計画分は当然、東電に求償する。地域再生の段階に入り新たな除染が必要になった時は、「生活再建のための公共事業」として国民の理解を得られると思う。被災者の帰還が始まり「学校周辺の除染をもっとできないか」などの声に柔軟に対応する必要がある。中間貯蔵は「30年間にわたって維持管理する」との前政権からの約束がある。国が責任を持つべきだ。 −−帰還困難区域で移住支援を打ち出し、全員帰還の原則から転換した理由は。 ◆3年も4年も帰れるか分からない状態に住民を置くのがいい政治なのか。そう悩んできた。現実をきちんと示し、住民に判断してもらうことが大事だ。最後まで「戻りたい」という方の思いを否定するつもりはないが、この際「大変つらい道のりだ」と申し上げる方が、被災者に寄り添う本当の政治の姿ではないかと考えた。 −−居住制限区域内でも移住を希望する人もいますが。 ◆一人一人を見て対応をしていかなければならない。思いは(帰還困難区域の住民と)同じだ。バックアップ体制は別途考えなければならない。 −−今後、東電に望む自己改革とは。 ◆東電には事故の責任と安定供給の二つの責任がある。(廃炉・汚染水対策を担う)セクションの責任を明確にした方が良い。提言に書いた順序(社内分社化)が良いのではと思っている。
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2013,11,11, Monday
(1)被曝限度の国際基準は年間1ミリシーベルト以下である(「事故からの復旧期」とは、何年か?) 上図及び*6、*7のように、人間の放射線被曝限度は年間1ミリシーベルト以下とICRPで明確にされており、これが常識となっている。それにもかかわらず、最近、国際原子力機関(IAEA)が、「年間被ばく放射線量1ミリシーベルト以下に必ずしもこだわる必要はないとした」という記事があった。 しかし、IAEAの近藤駿介委員長は、日本人の原子力専門家であり、①「こだわる必要がない」と言った根拠は示しておらず ②原子力畑の人が、放射線の人体への影響について新たに疫学調査して結果を出したわけがなく ③原子力畑の人は「原発を動かしたい」という動機があり公正な判断はできない、と考えるのが普通である。 次に、国は、*5のように、IAEAのその見解とICRPが「復旧期には、年1~20ミリシーベルトが許容範囲」としているということを根拠にして、事故からの復旧期には年1~20ミリシーベルトを「許容範囲」として早期帰還につなげるという道筋を示したそうだ。しかし、ICRPが前提としている復旧期は、チェルノブイリ原発事故をモデルとしているので、直ちに石棺にして周囲を除染し、フクシマのようにいつまでも放射性物質を環境に置き去りにして撒き散らしてはいない状態であり、せいぜい1~2年である。従って、フクシマの事例であれば、もう既に「事故からの復旧期」とは言えない時期なのだ。 それでも国がこのような判断をした理由は、早期帰還の対象となる区域でも、空間線量は「年1ミリシーベルト以下」を上回ることが予想されるため、1ミリシーベルトは長期目標と明記して除染するからだそうだ。しかし、人体がそのようなご都合主義の基準に合わせられるようにできていないことは、生物学の常識であり、また、地表などの生活圏の線量は空間線量よりも高く、埃として吸い込めば内部被曝して深刻な病気になるため、移住権は1ミリシーベルトを基準とすべきだ。 また、「国が前面に出てやれ」という声が多いが、国(政府)は、このように、ご都合主義で安全基準すら変える主体なのだ。その国が前面に出れば、その事故処理をチェックする主体がなくなる。そのため、やはり事故を起こした電力会社が主体となって事故処理を行い、国はそれをチェックしつつ、*1、*2に書かれているように、脱原発を宣言して、足りない事故処理費用の補助を行うのが合理的である。 (2)除染は一部でいいのか *8に、「福島県が間伐による民有林除染が手付かずになっている」などと書かれているが、福島県は、除染という名をつけて間伐をすればよいと思っているのだろうか。それなら、まだ放射性物質を甘く見すぎている。 人が住んでいない森林であっても、放射性物質が濃く残っていると、風が吹けば同じ濃度になるまで人の居住環境に飛んでくる。バケツに水を入れ、一部にだけ塩を入れても、かき混ぜると、全体が同じ濃度になるのと同じで、物質は、同じ濃度になるまで濃度の高い場所から低い場所に移動するのだ。また、雨が降れば、川や地下水に交じって、放射性物質が人の居住環境に入ってくる。従って、私が、ずっと前に、このブログに記載したとおり、原発事故の後、すぐに除染しなければならなかったのだ。2年8ヶ月後の現在では、すでに木材も放射性物質を吸い上げており、伐採しても使えなくなったと思う。 (3)原発は、安くて環境によい電源だったか(再度、問う) *3に、前九州電力社長の眞部利應氏が、「原子力は、火力と比べて燃料費が圧倒的に安く、二酸化炭素を排出しないという大きなメリットのあるコスト競争力のある電源である」としており、これがまさに、原発再稼働派の根拠だ。しかし、これは、*1、*2で述べられているように、国民負担全体を全く考慮しておらず、原発事故による環境破壊も考えていない。 また、*3には、「資源のない日本において、エネルギーに関して好き嫌い、えり好みを言えなくなる時期が来るであろう。その日の為にも原子力は日本において、確実に存続できる道を選んでおくべきである」とも書かれているが、これは、経済産業省と電力会社がよく使う、原発必要論の典型だ。私は、このフレーズを読んで、日本の高度成長期以前の「青空と梅干では飯は食えない」と言われた時期を思い出したが、日本では、環境を犠牲にして経済を成り立たせる時代はとっくに終わった。それは、*4で、「さよなら原発集会」に、1万人もの人が、福岡で集まったことでも明らかだ。 言い始めて10年以上、もはや次世代の送電設備と自然エネルギーの進歩により、原発も火力もいらない時代だ。それは夢ではなく、現実だ。また、日本の排他的経済水域には、大規模なガス田も存在し、それを採掘する技術もある。本来、もっと早くエネルギー・チェンジを始め、もう終わっていなければならない頃なのに、まだ同じことを言っているのは、経済産業省と政府の怠慢にすぎない。 *1:http://digital.asahi.com/articles/TKY201311010618.html (朝日新聞社説 2013年11月2日) 除染事業に国費 脱原発の明示が条件だ 福島第一原発の事故処理や被災地への対応に関する自民党の提案がまとまった。最大の柱は、今後の除染事業や汚染土などを保管する中間貯蔵施設の整備に、国費を投じるよう求めたことである。安倍政権はおおむねこの案に沿って対策を進める見通しだ。 ■東電救済策に陥るな 私たちは社説で、東京電力にすべての費用を負わせることの限界を指摘してきた。国費の投入は避けがたい。しかし、場当たり的な対応が続く汚染水処理を含め、福島第一の廃炉作業がこれで順調に進むわけではない。福島をはじめとする各原発の廃炉をどういう体制で、どんな手順で進めるのか。政府は国費投入が東電救済策に陥らないよう、脱原発への全体像を早く示すべきだ。自民党案では、約1・3兆~1・5兆円とされるこれまでの除染費用を東電が負担し、今後は国がまかなう。損害賠償は従来通り東電が全額負担する。福島の事故は、自然災害に対する安全投資を軽視してきた東電による「人災」だ。事故処理の費用は、すべて東電が担うのが筋である。ただ賠償と除染、廃炉の総額は10兆円を超えるとの試算もある。東電の全面負担になれば、無理な利益確保に走り、被害者への賠償や電力供給への設備投資がおろそかになりかねない。このほど発表した中間決算は事故後初の黒字となったが、もともと賠償費用が毎年の決算に影響しないよう処理した結果である。修繕費などもできる限り先送りして「つくった数字」の色合いが濃い。福島事故の収束がままならないのに、柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働に前のめりになっているのも、収益確保が大前提になっているためだ。そもそも「東電が全て負担する」といっても、原資は首都圏の人たちが負担する電気料金である。一方、政府には国策として原発を推進し、安全規制を甘いままにしてきた責任がある。私たちが国費投入を求めてきたのは、こうした観点からだ。 ■けじめをつけよ ただし、条件がある。ひとつは、国民負担を最小化するため、東電が実質的には破綻状態にあることを明確化することだ。現行の法制度では、東電の破綻処理には難しい面もある。倒産の場合、東電が発行してきた巨額の電力債についての弁済が優先され、事故被害者の救済が後回しになるといった問題だ。しかし、除染費用は総額5兆円規模に膨らむともみられる。全体で兆円単位の負担を国民に強いるにあたって、東電の利害関係者、とりわけ銀行の貸手責任を問わないままでは納得が得られない。そして、国費投入の条件としてなにより重要なのは、政府として脱原発の方針を明確にし、けじめをつけることだ。いざ原発事故が起きた場合には処理費用の一部を国が肩代わりするという前例をつくったうえで、次々と再稼働を進めていくことなど、許されない。原発への依存度を減らしていくことは、安倍首相自ら語っていることである。まず老朽化した原発や原子力規制委員会の審査をパスできない原発は早期に廃炉にすることを明らかにすべきだ。新設はもちろん、同じ敷地内での建て替えもしない。 ■廃炉の体制づくりを 核燃料サイクル事業からの撤退を決め、高速増殖炉もんじゅや青森県六ケ所村の再処理工場を閉じていく。そうすれば、そこに投じられている国費や電力会社の積立金を、福島事故の処理に回す余地もできる。そのうえで、放射性廃棄物の最終処分場の建設や、すでに国内外に保有しているプルトニウムの処理について、具体策の検討を急ぐ。廃炉の体制づくりも喫緊の課題だ。福島第一の廃炉・汚染水対策の実施について、自民党案は東電の社内分社化や完全分社化、独立行政法人化などの案を紹介しつつ、結論を先送りしている。福島を含め、電力会社の垣根を超えた廃炉機関の設立を検討する必要がある。少なくとも、東電が柏崎刈羽の再稼働と両にらみで事故処理にあたる状態を続けていいわけがない。むろん、国民負担を小さくするため柏崎刈羽を動かすというのは本末転倒だ。福島で作業員が安全に働ける環境を整えることも最重要課題である。東電の当事者能力に疑問符がつくなか、作業員の健康面を含めて国がしっかりと管理し、必要な人材や資源を投じる体制を整えなければならない。こうした課題にほおかむりしたまま、国費の投入を決めても事態は何も進展しない。東電の尻ぬぐいだけさせられるのは、ごめんである。 *2:http://mainichi.jp/opinion/news/20131109k0000m070148000c.html (毎日新聞社説 2013年11月9日) 事故処理に税金投入 やはり脱原発しかない 原発を国策として推進しながら、事故が起きたら民間の電力会社がその処理費用をすべて負う。そんな無理な政策が行き詰まった。政府は原発政策を早急に見直し、原発に依存しない社会への見取り図を描く必要がある。自民、公明両党が近く、東京電力福島第1原発事故からの復旧・復興を加速するよう安倍晋三首相に提言する。汚染土を保管する中間貯蔵施設の建設や除染への国費投入を求める。政府もその方向で検討する。事故処理費用を全面的に東電負担としてきた政府方針の転換を意味する。 ◇「安い電源」は崩壊した 提言は原発事故被災地の復旧・復興が遅れている現状への強い危機感を示し、汚染水対策や除染などに国費投入を求める。その規模は数兆円に上るとみられる。首相は「福島の復興が最重要課題」と宣言してきた。しかし政府は、財政負担がどこまで膨らむか見通せないことなどから、東電の陰に隠れ続けてきた。その結果、汚染水対策は遅れ、被災地の復旧・復興は進んでいない。事故の後始末を東電だけに任せておけないことははっきりしている。国策として原発を推進し、立地や建設費調達が円滑に進むよう支援してきた政府が、責任逃れを続けることは許されない。国費投入は避けられない選択といえる。国民の税金である国費を投入する以上、同じ過ちを繰り返すことがあってはならない。政府は原発政策の誤りを認め、見直す必要がある。原子力損害賠償法は原発を運営する電力会社に無限責任を負わせている。しかし、業界最大手の東電でさえ、その負担に耐えられなかった。今の仕組みは、現実性のないことがはっきりした。だからといって、電力会社の賠償責任に上限を設けても問題は解決しない。上限を超える被害の救済は、国費でまかなうしかないからだ。つまり、重大事故が起きれば膨大な国民負担が生じることは避けられないということだ。全国で、原発の代替電源として火力発電がフル稼働し、天然ガスや石油などの燃料費が年間3兆円以上余計にかかっている。それだけ原発は割安だ、というのが原発推進論の根拠の一つになっている。首相の経済政策アベノミクスで、デフレから脱却する兆しが見え始めたばかりの日本経済にとって、足元の経済性は無視できないだろう。しかし、それは原発で重大事故は起きないという「安全神話」を前提にして成り立つ話である。神話が崩壊した以上、経済性でも原発の優位性は崩れたといえる。そうであれば、再生可能エネルギーなど代替電源の開発・普及や省エネを進めながら、できるだけ早く脱原発を進めるべきだ。政府は、その道筋をきちんと描く必要がある。 *3:http://qbiz.jp/article/26240/1/ (西日本新聞 2013年11月11日) 「国策民営」原子力の行方 原子力は電力の自由競争環境下で、どのような役割を果たすのであろうか、大変悩ましいテーマである。大型電源ということでは火力発電と共通しているが、石油、天然ガスと比べて燃料費が圧倒的に安いこと、加えて二酸化炭素を排出しないという大きなメリットがある。順調に運転が継続されれば強いコスト競争力のある電源として高い評価を得るであろう。その半面、経営上のリスクが極めて大きいという欠点がある。いったんどこかで事故が起きれば、それが国内であろうと海外であろうと長期間の停止を余儀なくされ、供給力の確保と収支対策に苦慮することとなる。 ■■■ 国策民営で推進している原子力発電であるが、東電の福島第1原子力発電所の事故によって、原子力を民間の事業者が管理、運営することにいくつかの大きな矛盾のあることが露呈してしまった。すなわち、大事故時の損害賠償が電力会社の無限責任ということになると、企業の存続を脅かす巨額の損害賠償の可能性を内在する民間企業として、ステークホルダーなかんずく株主の信頼を得続ける方法を見い出せるのだろうかという問題。次に、予定外の設備改修負担が急に生じ、見通しの立たない長期運転停止による業績の悪化も相まって、しっかりした短中期経営計画も立てられず、企業活動の自由度が保てないようになってしまうという問題がある。また従業員から将来の希望も奪ってしまいかねない状況にもなりかねない。そして、使用済み燃料など放射性物質の処理、最終処分の問題は、あらためて言うまでもなく民間だけで対処できる問題ではない。 日本国にとってエネルギーは常に死活問題である。資源のないわが国においては、エネルギーに関して好き嫌い、えり好みをいずれ言えなくなる時期が来るであろう。申し訳ないがそのような予感がする。その日のためにも原子力エネルギーは日本国において確実に存続できる道を選んでおくべきである。そのように考えると、原子力発電は、誰がどのように事業を進めるのが最も適切なのか、国と民間との役割分担はどのような形が望ましいのか、中長期視点、国家的見地などからいま一度考えてみる必要があるのではなかろうか。 *眞部利應(まなべ・としお)氏:九州通信ネットワーク取締役会長、前九州電力社長 1968年九州電力入社。経営企画室長や熊本支店長などを経て、2007年に末席取締役から社長に就任。川内原発増設などを推進したが、11年夏の「やらせメール問題」を受け、再発防止策策定後の12年3月に社長退任。13年6月から現職。香川県出身、68歳。 *4:http://mainichi.jp/select/news/20131111k0000e040097000c.html (毎日新聞 2013年11月11日) 九州電力:「さよなら原発!集会」に1万人 福岡 九州電力玄海、川内両原発の再稼働に反対する「さよなら原発!九州沖縄集会」が10日、福岡市中央区の舞鶴公園であった。各地から約1万人(主催者発表)が参加し、九州・沖縄の脱原発集会としては約1万5000人(同)が参加した2011年11月以来の大規模集会となった。集会では、福島第1原発事故の元政府事故調委員、吉岡斉・九大教授が「何十兆円もの損害が発生し収束に100年かかる事故がいつ起こるかわからないのが原発だ」と指摘。事故後に福島から京都に移住した元宇宙飛行士、秋山豊寛氏が「事故が起きればその地域の人たちは政府から捨てられる」と訴えた。最後に「子供たちが安心して過ごせる未来のため原発ゼロの声を上げる」とする集会宣言が読み上げられた。集会後には参加者が3ルートに分かれ「原発いらない」「命が一番」などとシュプレヒコールを上げ九電本店前などをデモ行進した。 *5:http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20131111-00000044-mai-pol (毎日新聞 11月11日) <福島復興>「全員帰還」を転換 与党提案 自民、公明両党の東日本大震災復興加速化本部は11日、東京電力福島第1原発事故の被災者対策に関連し、高線量で長期間帰還が困難な地域の住民への移住支援や、放射性廃棄物を保管する中間貯蔵施設の建設・管理への国費投入を柱とする「福島復興加速化案」を安倍晋三首相に提言した。民主党前政権時代から続く「住民の全員帰還」や、東電が賠償、廃炉や除染費用を賄う「汚染者負担の原則」を転換する内容。政府は提言を基に具体策作りを急ぐが、帰還・移住計画策定や国費投入拡大には住民や国民の反発も予想される。福島復興加速化案は、それぞれ本部長をつとめる自民党の大島理森前副総裁と公明党の井上義久幹事長が官邸で安倍首相に提言。安倍首相は「政府としても廃炉、汚染水処理、中間貯蔵の問題、賠償など、国がしっかり前へ出る考え方で、与党とともに取り組んでいきたい」と述べ、加速化案の具体化を急ぐ考えを示した。 福島県内11市町村は、線量に応じて「帰還困難区域」(年50ミリシーベルト超)▽「居住制限区域」(年20ミリシーベルト超50ミリシーベルト以下)▽「避難指示解除準備区域」(年20ミリシーベルト以下)に分けられている。加速化案はこのうち双葉町や浪江町などが含まれる「帰還困難区域」など被災者に対し、長期にわたり帰還できない現実を踏まえ、賠償拡充を通じ他の地域での住宅確保などを容易にすることで移住を支援する考えを打ち出した。一部の被災者から「新たな場所で生活を始めたい」との要望が出ているためだ。一方、「避難指示解除準備区域」など線量が比較的低い地域は優先して除染作業を実施。医療機関や商業施設の整備なども急ぎ、住民の早期帰還を促す。除染をしても線量はなかなか下がらず、早期帰還の対象となる区域でも空間線量は平常時に一般の人が浴びても差し支えないとされる「追加被ばく線量限度(年1ミリシーベルト以下)」を上回ることが予想される。この点に関し、加速化案は「1ミリシーベルトは長期目標」と明記。事故からの復旧期には、「国際放射線防護委員会(ICRP)」が年1~20ミリシーベルトを「許容範囲」としていることを根拠に、住民個人の実際の線量データを基にきめ細かい被ばく低減策を講じることで早期帰還につなげる道筋を示した。一方、国費投入の拡大では、除染作業で出る汚染土などの放射性廃棄物を一時的に保管するための中間貯蔵施設の建設費(1兆円規模)は国が負担することを明確にした。また、国の除染への関与は、現在計画中の除染を終えた後も、効果のある事業を国や自治体が行えるようにする形で限定的な国費投入を検討する方向だ。【大久保渉、高本耕太】 ◇福島復興加速化案の骨子 ・早期帰還の促進(除染は帰還可能地域を優先、東電による早期帰還者への追加賠償策) ・長期帰還困難地域に移住の選択肢(住宅確保へ賠償拡充、双葉郡の将来像提示など) ・放射線量年間1ミリシーベルトは長期目標。個人の実際の線量データを基に被ばく低減策 ・賠償は東電が最後の一人まで責任 ・中間貯蔵施設は国が費用確保を含めて建設・管理 ・現行の除染計画実施後は、国による公共事業などの観点からの実施も検討 ・国と東電の廃炉・汚染水対策での責任分担明確化。東電は廃炉部門の分社化など早期に結論 *6:http://daysjapanblog.seesaa.net/article/378240649.html (DAYSから視る日々 2013年10月22日) 【原爆と原発 年間1ミリシーベルト基準は、日本の原爆被ばく者の「命のデータ」から生まれた】DAYS JAPAN 11月号 今回、日本が初めて賛同した、核兵器の不使用と廃絶を決意する共同声明。ニュージーランドが主導した『核兵器の人道的結末に関する共同声明』に、国連加盟国全体の約3分の2にあたる125か国が賛同。米軍の核の傘の元、これまで声明への賛同を控えてきた日本が、はじめて被爆国として当たりまえのことを表明したことに、広島や長崎からも評価する声が上がっている、との報道が流れました。しかし、福島の人たちはどう感じているのでしょうか?『福島の子どもたちの屋外活動制限の基準、年間20ミリシーベルトが依然、改められない。これは放射線管理区域の4倍の数値であり、原発作業員ですら滅多に浴びる線量ではないにも関わらずだ。そもそも、国際的な基準である「年間1ミリシーベルト以下」は、広島と長崎の被ばく者たちが、私たちに命をかけて残した数字でもある。それを日本の政府が裏切った。これ以上子どもたちを被曝させるようなことが許されてはならない』。DAYS JAPAN 11月号の藤田祐幸氏による記事【原爆と原発】は、普段、なぜか並列して語られることが少ないこの問題をわかりやすく解説してくれています。そのほんの一部をご紹介します。 ●被曝者たちの命のデータ 『しかし、80年に事件が発生しました。「イチバンプロジェクト」と呼ばれる米軍による秘密研究の誤謬が明らかにされたのです。原爆投下の影響を評価するためには、被曝者たちの一人一人の被曝線量を求める必要があります。そこで米国は、50年代にネバタ州の砂漠で極秘の大実験を行いました。砂漠に、原爆が炸裂した高さと同じ600メートルの鉄塔を建て、そのてっぺんに裸の原子炉を置きました。地上には、日本から大工を呼び、日本の建築材料を取り寄せて日本家屋を作らせました。鉄塔の上の原子炉から出る放射線が、日本家屋の室内にどのように到達するかを検証するためです。そして、広島・長崎の被ばく者の方々に、「あの日あのとき、あなたはどの地点のどういう間取りの家のどの部屋にいたのか?」と聞きました。それらのデータを合わせて人々の被曝線量を割りだし、健康との関係をみていきました。そのデータがICRP(国際放射線防護委員会)の基礎データとして使われました。ところが80年にこのプロジェクトの機密が解除され、そこにとんでもない誤りがあることが発覚しました。(中略) 被曝限度は大幅に引き下げなければならないのです。多くの科学者は、公衆の被曝限度を10分の1に下げて、年間5ミリシーベルトを0.5ミリシーベルトにすべきであると主張しました。しかし、原子力産業側に依拠する科学者たちは、現状の維持を主張しました。その背後には、被曝限度を10分の1に下げれば、労働者の数を10倍にしなくてはならず、人件費が高騰して、原子力産業は成り立たなくなるという危機感があったのです。 【原爆と原発】本文より 今日の東京新聞に福島第一原発周辺での除染について検証していたIAEA(国際原子力機関)が「年間被ばく放射線量1ミリシーベルト以下」に「必ずしもこだわる必要はない」と述べたという記事がありました。核兵器の廃絶に賛同しながら、「原子力の平和利用」という名目のもとに、【年間1ミリシーベルト基準は、日本の原爆被ばく者の「命のデータ」から生まれた】という事実をないがしろにしてしまう。国や国際機関のいう「基準」とはいったい何であるのか?数字に置き換えられた一人一人の人間の命に、なぜいつまでも目を向けないのか?藤田祐幸氏の記事【原爆と原発 年間1ミリシーベルト基準は、日本の原爆被ばく者の「命のデータ」から生まれた】は、難解になりがちな議論を、人間としての温かみのある視点から、厳しく問いただしています。ぜひ、全文をお読み下さい。 *7:http://www.minyu-net.com/news/news/1109/news11.html (2013年11月9日 福島民友ニュース) 「年20ミリシーベルト以下影響なし」提言方針で各首長憤り 年間の被ばく線量が20ミリシーベルト以下であれば健康に大きな影響はないとする見解を原子力規制委員会が放射線防護対策の提言に盛り込む方針を固めたことを受け、双葉郡8町村長でつくる双葉地方町村会は8日に広野町で開いた会合の席上、事前に説明がないことなどに不快感を示し、各首長がそれぞれ国に対して説明を求めることを確認した。同町村会長の山田基星広野町長は「これまで1ミリシーベルトとして除染などを進めてきたのに、住民にどう説明するのか。安全の基準が不透明になってしまうし、除染や支援策などを打ち切りにされれば復興の足かせになる」と憤った。来春に帰還を判断する松本幸英楢葉町長は「一方的なやり方に疑問を抱く。『1ミリシーベルト以下が安全』ということは町民に刻まれている。基準を上げる理由をしっかりと説明してほしい」と語った。 *8:http://www.minpo.jp/news/detail/2013110811992 (福島民報 2013.11.8) 民有林除染手付かず 森林再生事業 手続き煩雑、計画遅れ 福島県が6月開始を想定していた間伐による民有林除染が手付かずになっている。東京電力福島第一原発事故を受け、18市町村が国に事業実施を要望しているが、国、県との手続きが煩雑な上、作業用の林道整備などの準備も必要なためだ。復興関連予算の未消化が問題となる中、市町村からは平成26年度以降の予算確保への影響を懸念する声も出ている。 ■着手まで半年 県は「ふくしま森林再生事業」として、民有林の間伐事業を除染加速の柱の一つに掲げている。原発事故に伴う除染費用を国が負担する「汚染状況重点調査地域」に指定された40市町村が対象だ。県は国の復興関連予算から補助を受け平成25年度、約41億円を予算化した。しかし、市町村が事業要望を開始したのは7月ごろからで、18市町村の民有林除染事業は手続き途中だという。県などによると、事業要望から間伐除染の着手まで半年程度かかるという。事業開始までの手続きは【図】の通り。実施主体の市町村は県を通じ、林野庁に要望書を提出する。市町村ごとの予算配分が決まると、市町村は対象範囲などを定めた事業計画を作成し、同庁、県の審査を受ける。市町村は計画の承認を受けた後、森林所有者の同意取得業務を森林組合などに発注するなど複雑な仕組みだ。その後、林道整備などを経て除染開始となる。住宅地など生活圏の除染を進めても、森林の除染が進まなければ、風雨の影響などで再び生活圏の放射線量上昇が懸念される。自主避難者らの帰還促進や住民の不安解消に向け、県森林整備課の桃井栄一課長は「少しでも早く除染に着手できるよう市町村を支援する」と話す。 ■青写真崩れた 「間伐作業に入れるのは年明けになる」と石川町の担当者は見込む。7月に事業実施を要望し、これまでに国から予算配分と事業計画の承認を受けた。現在は事業着手に向け、委託業務発注などの準備を進めている。「遅くとも11月にはスタートできると考えていたのに…。青写真が崩れた」。住民らからは森林除染の早期完了を求める声が寄せられる中、担当者は不安を募らせる。柳津町も降雪に備え、11月には間伐作業に入る計画だった。現在、作業に入れるのは最短でも12月中とみている。担当者は「雪が降ってからでは遅い」と焦りを口にした。町は職員1人を専従させた。それでも業務の煩雑さから人手が足りず、臨時職員を雇用した。担当者は「複雑な手続きは通常業務を圧迫する。簡略化してほしい」と訴える。 ■懸念 県は県内全域の民有林の間伐除染完了まで20年程度かかると見込む。その間は毎年、国に予算要望しなくてはならない。政府の平成23、24年度の復興関連予算の消化率は今年3月末時点で77・2%にとどまり、今後の繰越金の扱いが注目されている。ある林業関係者は「(事業実施の)実績がないと26年度以降、予算を減らされかねない」と懸念する。一方、間伐事業に対する森林所有者の費用負担はないが、伐採木を販売した売上金を得ることができる。このため、間伐除染の対象となる順番をめぐり、所有者の間で不公平感が出ないかも市町村は心配している。 ■背景 ふくしま森林再生事業は林野庁が約36億円、県が約5億円を予算化。県によると、汚染状況重点調査地域(40市町村)の民有林の面積は約18万3000ヘクタールで、平成25年度は約1000ヘクタールの間伐除染を実施する計画だ。一方、同地域の国有林は約17万7000ヘクタールで、林野庁が環境省の除染関係ガイドラインに沿って居住区域から20メートル程度の除染を進めている。同庁は現段階で国有林のその他の範囲は除染しないことを決めている。
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2013,10,13, Sunday
*2より 2013.10.3西日本新聞より *6より (1)放射性物質による公害を発生させ、人間の手に負えない原発の火は、早急に消すべきである *1の記事で、自民党の中にも原発再稼動に対する異論が出始めたとされているが、私が衆議院議員だった時に自民党内の部会で脱原発を訴えた頃も、経済産業省の高官及び経済産業省系の議員から馬鹿にしたような冷ややかな目で見られた。 彼らは、「原発がなければ安い電力が供給できず、経済に悪影響を与える」「原発は安全だ」と、現在と全く同じことを言い、「それを理解できない人」を馬鹿にした目で見たのである。しかし、福島第一原発事故で彼らの主張が間違っていたことは明白になり、再生可能エネルギーの方が安価で公害を発生しない、国内資源によるエネルギーであることが明らかとなった。これで、頑固に原子力発電を主張していた人の方が非科学的で経済に疎く、全体を見ていなかったことが明らかになったと思うが、いかがか。 (2)核のごみはどうするのか *2に書いてあるように、私は、使用済核燃料の処分について課題を先送りして原発を増設してきたことこそ、将来に責任を持たない人間のすることだと考える。現在、その使用済核燃料は、原発と同じ建屋内の高い場所にあり、一時保管場所として作られたとしか思えない構造の使用済核燃料プールで満杯に近くなっているのだ。これは、極めて危険なことだが、原発推進派は、使用済核燃料も、高い場所にある使用済核燃料プールの浅い水につけておけば安全だと主張する。放射線は鉛で遮蔽するのが普通だが。 (3)電力会社は、何故、そこまでローテクなのか *3で、米原子力規制委前委員長、グレゴリー・ヤツコ氏が言っているように、「タンクの水漏れを作業員が歩いてチェックしていることに驚いた。水漏れという初歩的なことを監視する装置が設置されていないのか。安全システムや管理態勢の欠陥を象徴しているようにみえる」と言うのは、まさにそのとおりで、安価に安全を守るという意識が低い。その理由は、これまで、電力会社は地域独占企業として政府と一体となってやってきたため、その視野の中心には政府があり、公害を出さずに安い電力を最新技術で過不足なく供給するという一般企業ならどこでも持っている視点がない。民営化前の郵便局と同じだ。 また、私もヤツコ氏と同様、政府が当事者になるのがいいとは思わない。何故なら、政府が前面に出れば、都合の悪いことは権力で握りつぶすことができ、技術力が高いわけでもないからだ。さらに、ヤツコ氏の「現在の(100万キロワット級の)大規模な原子炉は、事故が起きれば壊滅的被害をもたらすリスクがある。日本のような国土の狭い国は影響を受ける地域も小さくない。別の発電方法に目を向け、技術開発に専念するのが賢いやり方だと思う」と言うのも、まさにそのとおりである。狭くて地震が多く、人口密度が高くて、どの土地も海までも利用している日本に、原発は適した発電方法ではない。 (4)除染と住民の健康管理について *4に、脱原発をめざす首長会議が、「9市を支援対象地域に指定するよう求めた要望も基本方針案には考慮されていないなど、除染や住民の健康管理に取り組んでいる自治体の意向が反映されているとは言い難く、以下の5点を実施するよう強く求める。①支援法の基本方針案について、福島の近隣県や避難住民が暮らす自治体などで公聴会を開催する ②得られた意見をもとに基本方針案の抜本的な見直しを行う ③支援対象地域としては追加被曝線量が年間1ミリシーベルト以上の区域が所在する自治体を指定する ④基本方針案の見直しの際には、被災当事者・支援者との協議会の設置をする ⑤新たな基本方針案を、改めて2か月以上のパブリックコメントにかける」としているが、そうすべきである。 私の自宅のある埼玉県では、放射線量のまともな計測すらあまりなされておらず、土壌の計測もされていない。そのため、私は事故直後から自分の2つの線量計で計測し続けているが、マンションの部屋の中でさえ、2つとも通常0.17~0.25マイクロシーベルト、年間1.5~2ミリシーベルトを記録し、現在もそれが続いている。その線量計によって、佐賀県唐津市和多田大土井で計ると0.07マイクロシーベルトである。知らぬが仏ではなく、正確に知って除染や防護を行うのが、現代人のやり方だろう。 (5)原発からの撤退の仕方 このような中、*5に「福井県内の原発立地4市町で構成する『原子力発電所所在市町協議会』の野瀬豊会長らは11日午後、首相官邸に菅義偉官房長官を訪ね、原発再稼働を速やかに決断するよう求めた要請書を手渡した」と書かれている。福井県は、いつまで危険な原発銀座をやるつもりかと呆れたが、原発立地市町には、これまで原発に依存してきたため、急にやめると困る事情も多い。 そのため、原発から撤退するかわりに、今まで裏日本として開発から取り残されてきた日本海側に、*6に記載されているような新幹線を伸ばし、本物の「かがやき」を与えればよいと考える。太平洋側の「のぞみ」と日本海側の「かがやき」だ。つまり、交通インフラを整え、日本海側に環境に配慮した21世紀型の工業地域を作り、原発に依存しなくても生きていけようにするのだ。そして、これは、1年間に5000億円も使われている原発の立地交付金の一部をまわし、PFI方式などを採用すれば可能であり、今後、環日本海が重要となる時代に適応した政策でもある。 *1:http://digital.asahi.com/articles/TKY201310040559.html (朝日新聞 2013.10.4) 原発推進の安倍政権に異議 自民若手にも再稼働慎重派 原発政策をめぐる意見の違い 原子力発電所の再稼働に積極的な安倍政権に、足元の自民党から異論が出始めた。安倍晋三首相に真っ向から再考を迫るベテラン議員に加え、東京電力福島第一原発事故後の国政選挙で当選した1年生議員も声を上げ始めた。ただ、党内の大勢はいまも原発容認。異論を唱える議員らへの風当たりは強い。「原発事故の原因究明と、事故を収束させることが喫緊の課題です」。自民党の村上誠一郎衆院議員(当選9回)は4日、官邸に安倍首相を訪ね、約20分にわたり訴えた。村上氏は、党の福島原発事故究明に関する小委員長として提言を手渡した。再稼働に慎重な対応を求め、放射能汚染水漏れでも「凍土壁はコストがかかりすぎる」と注文をつけた。ただ、持論にこだわる村上氏に反発し、8月に小委員会幹部が辞任。原発推進派議員の横やりで、「核燃料の処分法が確立しない限り、原発の新規建設を見送るべきだ」との文案は削除したという。村上氏は面会後、「いろんな族議員がいて大変だ」と漏らした。安倍政権の原発政策への疑問は、自民党内の若い世代にも芽生えつつある。千葉9区選出で当選1回の秋本真利衆院議員(38)は3月、国の核燃料サイクルを見直そうと「エネルギー政策勉強会」を立ち上げた。原発事故を受け、「放射性廃棄物は処分に10万年もかかる。いま1ミリ間違えたら、10万年後は想像できないほどのズレになる」と危機感を持ったからだ。党内の1回生に声をかけ、ほぼ毎月講師を呼んで約10人が議論する。子育て世代で、「脱原発」の世論にも敏感だ。2日には、6人で日本原燃が青森県六ケ所村に建設する再処理工場を視察。比例東海ブロック選出の勝俣孝明衆院議員(37)も「国策としての原発推進の判断に加われなかった。将来の世代に責任を持ちたい。有権者にも支持されている」と語る。党内は冷ややかで、政策を変えるほどの存在感は示せていない。秋本氏は国会で核燃料サイクルに疑義を唱える質問をしようとしたが、先輩議員から「将来を考えた方がいい」と忠告されたという。それでも、汚染水問題や小泉純一郎元首相の「脱原発宣言」で原発政策に焦点が当たる。「原発政策を見直す絶好の機会」とひるむ様子はない。 *2:http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013092402000122.html (東京新聞 2013年9月24日) 核のごみ満杯へ 打つ手なし 再処理技術や処分場も未定 原発再稼働をめぐる論議が高まる中、原発から出る放射線量の高い使用済み核燃料を貯蔵するスペースは既に満杯に近づきつつある。「核のごみ」が解決しないまま、原発を動かしてもいずれ行き詰まるのは明らかだ。電気事業連合会などによると、国内にある使用済み燃料は二〇一二年九月末時点で、少なくとも一万七千トン以上。電力会社は各原発の原子炉建屋内にある燃料プールでほとんどを貯蔵しているが、東京電力の福島第一、第二、柏崎刈羽、九州電力玄海、日本原子力発電東海第二でいずれも占有率が80%以上を占め、限界に近づいている。青森県六ケ所村にある日本原燃の使用済み核燃料再処理工場(再処理工場)にも容量三千トンの一時保管スペースがあるが、再処理事業の遅れで各原発から持ち込まれる使用済み燃料がたまる一方。今年九月の時点で貯蔵量は二千九百四十五トンに達し、占有率は98%に達した。原発の燃料プールと六ケ所村の保管スペースを合計した貯蔵容量の73%が埋まり、原発が順次再稼働した場合、数年後には満杯になる計算だ。 日本は、使用済み核燃料から取り出したプルトニウムを高速増殖炉で燃やす核燃料サイクルを原子力政策の要としているが、再処理は技術的なトラブルが相次ぎ、いまだに事業を開始していない。高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)も一九九五年のナトリウム漏れ事故後ほとんど動いていない。 高レベル放射性廃棄物の最終処分では場所すら決まっておらず、使用済み核燃料が国内の貯蔵能力を上回れば、事実上、原発の運転が不可能になる。京都大原子炉実験所の今中哲二助教(原子力工学)は「再稼働すれば行き先のない核のごみは増え続けるばかりだ。全体のグランドデザインをしっかり考える人がいなかったのではないか。これ以上、原発を再稼働させるべきではない」と、核のごみを放置し、原発を増やし続けた国や電力会社の姿勢を批判している。 *3:http://digital.asahi.com/articles/TKY201309250923.html?ref=pcviewpage (朝日新聞 2013.9.25) (どうする汚染水)米原子力規制委前委員長、グレゴリー・ヤツコ氏に聞く ―東京電力福島第一原発の汚染水漏れの現状をどうご覧になりますか。 少し驚いたのは、タンクの水漏れを作業員が歩いてチェックしていること。水漏れという初歩的なことを監視する装置が設置されていないのか。安全システムや管理態勢の欠陥を象徴しているようにみえる。 ―東電は問題の解決能力を失っているとの声もあります。 東電任せではだめだという懸念は続くだろうが、誰かが取って代わることは容易ではない。今求められるのは、安全を最優先にした厳格でかつ効果的な管理・監督態勢の再構築だ。政府が当事者になることがいいとは思わないが、規制当局(日本の場合は原子力規制委員会)が果たす役割は大きい。原発の安全だけでなく、放射能漏れや環境への影響を監視するのは規制当局の任務だからだ。地質学や水文学の専門家が足りないのなら、新たに雇うべきだろう。 ―原発を管理する当事者になったとして、何をすべきだと考えますか。 長期的にみて汚染水をこれ以上増やさず、原発内で水の循環を確立させることが最重要と考える。汚染水はいくらか海に放出せざるをえないかもしれないが、短期的かつ最小限にすべきだ。これは日本の信頼性に関わる問題でもある。どのくらいなら許容されるのかの基準を決めるのは規制当局で、それを満たす計画を立てる必要がある。 ―スリーマイル島原発事故やハンフォード核施設の問題など、米国の経験で福島に生かすべき教訓はありますか。 スリーマイルでは原子炉の冷却に使う水を循環させるシステムが維持できて、汚染水の問題は起きなかった。ハンフォードなどでは同じようなタンクからの汚染水漏れを抱えている。タンク設置で留意すべきことや地下水の動きなど学べる点はある。ただ、ハンフォードは国が核兵器開発を進めた結果であって、商業原発である福島の抱える問題は前例がない。 ―日本で原発をこれからも推進すべきか、意見が分かれています。 個人的見解を述べれば現在の(100万キロワット級の)大規模な原子炉は事故が起きれば壊滅的被害をもたらすリスクがある。日本のような国土の狭い国は影響を受ける地域も小さくない。別の発電方法に目を向け、技術開発に専念するのが賢いやり方だと思う。 * 2005年に米原子力規制委員会(NRC)委員に就任。09年5月~12年5月は委員長。福島の原発事故ではNRCで対策の指揮を執った。42歳。 ◆キーワード <ハンフォード核施設> 米ワシントン州。長崎原爆のプルトニウムを製造した原子炉などがあった。核燃料からプルトニウムを取り出す過程で生じた汚染水が177個の地下タンクに保管されている。タンクの多くは1940~60年代につくられ、漏れが問題になっている。米エネルギー省では、汚染水を高レベルと低レベルの放射性廃棄物に分離後、ガラス状の固体にする計画だが、施設は完成していない。敷地内の土壌や地下水の浄化作業は今世紀末までかかると言われる。 *4:http://mayors.npfree.jp/wp-content/uploads/2013/09/20130919.pdf 2013年9月19日 復興大臣 根本匠 殿 脱原発をめざす首長会議 世話人 桜井勝延(福島県南相馬市長) 三上元 (静岡県湖西市長) 村上達也(茨城県東海村長) 事務局長 上原公子(元東京都国立市長) 「原発事故子ども・被災者支援法」基本方針案への緊急要望 復興庁は8月30日、東京電力福島第一原発事故の被災者を支援する「原発事故子ども・被災者支援法」の基本方針案を発表した。昨年6月の同法成立から1年以上経過していることを考えると政府の対応は、被災者や被災自治体の置かれた立場に真剣に向き合っているのかという疑いを持たざるを得ない。 さらに今回の基本方針案には、同法の趣旨と規定に反する内容が少なからず見られる。例えば、同法第5条3項には「政府は基本方針を策定しようとするときは、あらかじめ、その内容に東京電力原子力事故の影響を受けた地域の住民、当該地域から避難している者等の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとする」とあるが、基本方針案の策定に至る段階で、地域住民や避難者からの意見聴取を行っておらず、法の規定に明らかに従っていない。 また、放射性物質対処特別措置法によって汚染状況重点調査地域として指定された千葉県北西部の9市長が連名で、9市を支援対象地域に指定するよう求めた要望も基本方針案には考慮されていないなど、除染や住民の健康管理に取り組んでいる自治体の意向が反映されているとは言い難い。 よって以下の5点を実施するよう強く求める。 1.支援法の基本方針案について、福島の近隣県や避難住民が暮らす自治体などで公聴会を 開催する。 2.得られた意見をもとに基本方針案の抜本的な見直しを行う。 3.支援対象地域としては追加被曝線量が年間1ミリシーベルト以上の区域が所在する自治体 を指定する。 4.基本方針案の見直しの際には、被災当事者・支援者との協議会の設置をする。 5.新たな基本方針案を、改めてパブリック・コメントにかける。ただし、パブリック・コメント期間は 2か月以上とする。 *5:http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20131011-00000114-jij-pol (時事通信 10月11日) 再稼働の決断要請=福井4市町 福井県内の原発立地4市町(高浜町、おおい町、敦賀市、美浜町)で構成する「原子力発電所所在市町協議会」の野瀬豊会長(高浜町長)らは11日午後、首相官邸に菅義偉官房長官を訪ね、原発再稼働を速やかに決断するよう求めた要請書を手渡した。原子力の必要性を明確にした新たなエネルギー政策を早急に示すことなども併せて求めた。 *6:http://digital.asahi.com/articles/OSK201310100179.html?ref=comkiji_txt_end_s_kjid_OSK201310100179 (朝日新聞 2013年10月11日) 北陸新幹線に4つの名前 東京-金沢は「かがやき」と「はくたか」 JR東日本と西日本は10日、2015年春に金沢―長野間が開業する北陸新幹線の四つの列車名を発表した。(1)停車駅を絞り、東京―金沢間を最短約2時間半で結ぶ速達型は「かがやき」(2)多くの駅に止まる停車型は「はくたか」(3)富山―金沢間を往復するシャトル型は「つるぎ」(4)長野―東京間の長野新幹線型は従来通り「あさま」と決めた。列車名は両社が5月31日~6月30日に公募。全国から14万4931件の応募があり、1万1672種類の中から選んだ。JR東日本本社(東京都渋谷区)では冨田哲郎社長らが会見。「かがやき」の選考理由を「光のスピード感と、未来に明るく伸びる飛躍のイメージが、速達型にふさわしい」と説明した。停車型の「はくたか」は「スピード感があり、かつては首都圏と北陸を結び、今も北陸を走る特急名として親しまれている」、シャトル型の「つるぎ」は「北陸を代表する山の名で、過去に富山―大阪間などを結んだ列車名としてなじみ深いため」とした。「つるぎ」についてJR西は、公募開始前の5月14日に商標登録を出願しており、「過去の列車名の応募が多いと予想し、事前に確保しておいた」と説明した。冨田社長は「応募数から期待の高さを実感した。北陸と首都圏の大動脈として地域経済が発展し、地元が元気になる原動力になってほしい」と述べた。
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2013,10,07, Monday
原発労働者への労災適用事例 http://onodekita.sblo.jp/article/72985733.htmlより (1)まだ原発の危険性を理解していないのか *1によれば、福井県は、IAEAの天野之弥事務局長(日本人だった!)との覚書に調印し、「原発の安全性」を呼びかけたりする”エキスパート”を育成するそうである。しかし、福井県には6カ所に15基の原発があり、一箇所に多くの原発を集めると、事故が起こった時に放出する放射性物質が莫大で被害が大きいことはフクシマから学んだ筈である。 また、*3では、フクシマで4カ月働いた札幌の男性(55歳)が、被曝が原因の癌で労災申請をしている。胃癌、大腸癌、膀胱癌だそうだが、それならば、この人は50ミリシーベルト超の外部被曝よりむしろ、食物や飲料水からの内部被曝により癌を発症したと考えるのが自然だ。さらに、福島県では、子どもの甲状腺癌も増えていることが報告されている。これでも、「原発の安全性」を呼びかけるのは、人権を無視した欺瞞だ。 (2)中東やインドでの受注をめざして原発会社を買収するとは・・・ *2によれば、東芝が、少なくとも100億円の買収額で、英国で原発の新設を進めるフランス、スペインの合弁会社を買収するそうである。フクシマの後、国内での原発新設が難しいため欧州やアジアなどで原発事業を強化するのだそうだが、このブログの2013.10.4にも記載しているように、東芝の原発がフクシマで事故を起こし、その理由は不明とされているのだ。にもかかわらず原発の輸出や原発会社の買収をするのは、他の分野ではよい製品を世に送り出している東芝の命取りにもなりかねない経営意思決定であり、先が見えるるようで残念だ。 (3)専門家の見識に少しほっとした *4には、「ノーベル物理学賞受賞者の益川敏英さん(素粒子理論)を交えて佐賀の科学者が脱原発を議論する勉強会が4日、佐賀大で開かれ、物理学者を中心に13人が出席し、原発の代替エネルギーの問題や科学的な視点からの情報発信の在り方について意見を交わした」と書かれている。「原発なくそう! 九州玄海訴訟」の原告団長で、原子核理論の専門家である佐賀大学の長谷川照前学長(参照:http://www.data-max.co.jp/2012/02/07/post_16433_ym_2.html 長谷川照・前佐賀大学学長に聞く「安全神話」の上に築かれた「国策民営」の原発は砂上の楼閣)が中心になっておられるので、佐賀の原発論議が深いのは当然で、私も、このチームには頑張って欲しいと思っている。 また、*5では、2013.10.4に、日本弁護士連合会が「福島第一原子力発電所事故被害の完全救済及び脱原発を求める決議」を出しており、まっとうな意見だと思う(もっとも、国が前面に出たからと言って、汚染水等の問題がよりスムーズにいくとは思わないが・・)。是非、一般の方も、これらを参考にして、自分の意見をまとめられたい。 *1:http://tanakaryusaku.jp/ (田中龍作ジャーナル 2013年10月7日) 【福井発】 IAEA 原発銀座の固定化めざし県と覚書 世界原子力マフィアの総本山であるIAEAの天野之弥事務局長がきょう、福井県を訪れ、原子力の人材育成についての覚書に調印する。研修所などが設けられ、「原発の安全性」を呼びかけたりするエキスパートを育成する。福井県には6カ所に15基の原発がある。ひとつの狭いエリアに原発がひしめく。“原発密度”は世界一だ。福井県庁前では今朝9時からIEAEとの覚書に反対する集会が始まった。抗議の声をあげているのは、毎週金曜日にここで再稼働反対集会・デモを行っている市民たち。「原発銀座の固定化になる…」。男性参加者(60代・印刷会社経営)は危機感を募らせる。 *2:http://digital.asahi.com/articles/TKY201310050382.html (朝日新聞 2013.10.6) 東芝、英で原発会社買収へ 欧州・アジアでの建設強化 東芝は、英国で原発の新設を進めるフランス、スペインの合弁会社を買収する方向で最終調整に入った。子会社の米原発メーカー大手のウェスチングハウス(WH)によるもので、買収額は少なくとも100億円を上回る見通し。原発事故を受けて国内の新設は難しいことから、欧州やアジアなど海外での原発事業を強化する。関係者によると、年内の合意を目指している。東芝が海外で原発の事業運営会社を買収するのは初めて。建設後の原発運営は電力会社などに委託する方針だ。買収をめざすのは、フランスとスペインの大手電力会社が折半で出資する「ニュージェン」。両社から50%超の株式を取得する方向だ。合弁会社は英国に拠点があり、英中部で計360万キロワット分の原発をつくる予定。大型原発で2~3基分にあたり、2023年までに稼働するという。東芝は、WH社を含めて原発建設でシェア約3割を占める世界首位。東芝は原発の建設や保守点検といった原子力関連事業の売上高が13年3月期で約5千億円と、連結売上高の1割弱を占める。17年度には原子力事業の売上高を8千億円に拡大する計画だ。2位の仏アレバの勢力圏である欧州で原発事業を強化する方針で、フィンランドでも、2カ所の原発建設の入札に参加している。中東やインドでも受注をめざしている。国内メーカーでは、日立製作所も昨年、英国の原発事業会社を約850億円で買収した。 *3:http://www.hokkaido-np.co.jp/news/donai/496287.html (北海道新聞 2013年10月6日) 福島第1原発で4カ月 札幌の55歳男性が労災申請 がん「被ばくが原因」 東京電力福島第1原発事故後の2011年7月から10月まで同原発で作業し、その後膀胱(ぼうこう)がんなど三つのがんを併発した札幌市在住の男性(55)が、発がんは作業中の放射線被ばくが原因だとして労災の申請をしていたことが5日分かった。原発事故後、被ばくを理由に労災を申請した人はこの男性を含めて全国で4人。いずれも審査中で、労災が認定された例はまだない。男性は重機オペレーターとして同原発の原子炉建屋周辺でがれきの撤去作業などに従事した。被ばく線量が4カ月間だけで原発作業員の通常の年間法定限度である50ミリシーベルトを超えたため、同年10月末で現場を離れた。2012年5月に膀胱がんが見つかり、札幌で手術。今年3月には大腸がんと胃がんも見つかった。現在も通院しながら抗がん剤治療を続けている。転移でなく、それぞれの臓器で独立して発病していた。 *4:http://www.saga-s.co.jp/news/saga.0.2560024.article.html (佐賀新聞 2013年10月5日) 益川さん交え脱原発議論 佐賀大名誉教授ら ノーベル物理学賞受賞者の益川敏英さん(素粒子理論)を交えて佐賀の科学者が脱原発を議論する勉強会が4日、佐賀大で開かれた。物理学者を中心に13人が出席。原発の代替エネルギーの問題や科学的な視点からの情報発信の在り方について意見を交わした。益川さんは原発の代替として自然エネルギーを推進する方針を支持しつつ、「発電方法だけでなく、エネルギーをどう蓄積するかが課題」と指摘した。原子力分野の研究を衰退させるのには難色を示し、「エネルギー問題は複雑だからこそ幅広いアイデアを結集させるべき」と強調した。出席者から原発再稼働の是非を問う際の議論の在り方について問題提起があり、益川さんは「賛成、反対の主張を並べるだけでなく、きちんと評価してどちらが正しいか判断を下さないと社会は進展しない」と述べた。勉強会には佐賀大の長谷川照前学長や近藤弘樹名誉教授らが出席。益川さんは「佐賀は科学者が原発問題を真剣に議論していて、内容も深い。今後も継続してほしい」と述べた。 *5:http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/civil_liberties/year/2013/2013_3.html (日本弁護士連合会 2013.10.4) 福島第一原子力発電所事故被害の完全救済及び脱原発を求める決議 福島第一原子力発電所事故(以下「本件事故」という。)は、福島県をはじめとする広範な地域に深刻な放射能汚染をもたらし、地域住民の人格権、幸福追求権などの基本的人権を日々侵害している。本件事故の責任は、東京電力株式会社(以下「東京電力」という。)はもとより、原子力政策を推進してきた国にもある。国及び東京電力は、生活の原状回復を基本として、既に発生した損害については完全かつ早急な救済を、まだ顕在化していない被害についても完全な救済を実現しなければならない。 また、放射能汚染による健康被害を未然に防止するために、希望者に対する避難する権利を実質的に保障するための必要な支援の実施、健康調査体制の充実、被ばく労働等への規制、食品汚染に関する規制、水質・大気汚染・廃棄物に関する防護などが必要だが、いずれも対策は不十分である。2012年6月に「東京電力原子力事故により被災した子どもをはじめとする住民等の生活を守り支えるための被災者の生活支援等に関する施策の推進に関する法律」(以下「子ども・被災者支援法」という。)が成立したが、その内容は具体化していない。放射能汚染から健康を守るための法整備は急務である。 原子力発電所(以下「原発」という。)に関する従来の安全規制は、本件事故を防ぐことができなかった。本件事故は収束のめどが立っておらず、大量の放射性物質が環境に排出され続けており、また、事故の発生原因や具体的経緯すらいまだ明らかではなく、安全対策も不十分である。原発は、たとえ事故を起こさなくても、放射性廃棄物の処理という解決困難で深刻な問題を伴う。広島・長崎への原爆投下による放射能被ばくを含む多大な惨禍に加え、本件事故によっても大きな被害を受け、かつ地震・津波等の自然災害を今後も避け得ない我が国は、今こそ、原子力推進政策を見直し、原発をゼロとすべきである。 よって、当連合会は、国に対して、次の諸点を強く要請する。 1 国は、本件事故の加害者であることを認識し、本件事故のあらゆる被害を完全に回復するため、以下の措置をとること。 (1) 被害者が従来営んできた生活を、原状回復することを基本とし、既に顕在化している被害については、東京電力とともに、完全かつ早急に救済すること。また、東京電力に対し、原子力損害賠償紛争解決センター(以下「原紛センター」という。)の提示した和解案については、これを尊重し、迅速かつ誠実に履行するよう強く指導すること。 (2) 本件事故による被害は、家族の分断など生活環境の破壊、ふるさとの喪失、地域ブランドの喪失など多岐にわたる、深刻かつ継続的なものであり、また、被害者がその被害を訴えることには様々な障害があることを踏まえ、継続的な被害調査を行い、それを踏まえた損害賠償の指針の見直しを行うこと。 (3) 本件事故の損害賠償請求権については、民法上の消滅時効(民法第724条前段及び同法第167条第1項)及び除斥期間(民法第724条後段)の規定を適用せず、消滅時効に関する特別措置法を、可能な限り早期に、遅くとも本年末までに制定すること。 (4) 東京電力から、原子力損害の賠償に関する法律に基づき、被害者に支払われる損害賠償金は、相当部分が現行の各種税法上、課税対象とされる可能性があるため、非課税とするべく特別の立法措置を講ずること。 2 国は、以下の施策をはじめ、健康被害を未然に防ぐあらゆる施策を講ずること。 (1) 子ども・被災者支援法の趣旨に則って、放射線が人の健康に及ぼす危険について科学的に十分に解明されていないことを全ての前提とし、かつ、2011年3月11日以降の1年間の追加被ばく線量が国際放射線防護委員会(ICRP)勧告の一般公衆の被ばく限度量である年間1ミリシーベルトを超えることが推定される全地域及び福島県の全域を「支援対象地域」として、同様に年間5ミリシーベルトを超えることが推定される全地域を「特別支援対象地域」とすること。「支援対象地域」の住民には、避難の権利を実質的に保障するため必要な支援を行い、「特別支援対象地域」の住民には、正当な補償及び避難先における生活全般の保障を十分に行うことを前提に、避難指示を出し、それでもなお居住を続けることを強く希望する住民については、その意思を尊重し、安心して生活できるような環境の整備等を行うことを検討するなど、被災者救済のための具体的な支援策を早急に実施していくこと。 (2) 広島・長崎の被ばく者への援護が被ばく後12年も経過してようやく健康診断を中心に制度化されたことの反省を踏まえ、今回の原発事故では速やかに血液検査、尿検査、ホールボディーカウンター検査等をはじめ、内部被ばく検査を含む多角的な検査を無償で受ける機会を被害者に保障し、検査結果は被害者に全て直接開示すること。原発事故の健康影響を長期的に調査・研究する体制を整えるとともに、検査結果はプライバシーに十分に配慮しつつも、学術機関等様々な立場の調査・研究に開かれたものとし、かつ、これに十分な支援・援助を行うこと。 (3) 事故収束作業や除染作業等に従事する労働者は一般の人々よりもはるかに健康被害を受けやすいことに鑑み、本件事故直後の記録再現を含む正確な被ばく量の記録の徹底、労働者本人が累積線量データへ常時アクセスできる保障、継続的な健康診断及び一定の被ばくをした労働者が疾病を発症した場合における労災認定を行うこと。 (4) 食品の安全基準は、住民、特に子どもの安全確保の観点から、外部被ばく・内部被ばくを合計した年間実効線量が1ミリシーベルトを超えないよう見直しを行うこと。 (5) これまでの公害対策と放射性物質による汚染等の総合した視点に立ち、従来居住していた地域において本件事故以前の環境基準を確保し、新たな汚染の拡大を防止するため、大気や土壌、海・川などの放射能汚染の実態を継続的・包括的に調査・公表し、これに対処する全面的法整備を行い、放射性物質を含む廃棄物の安易な移動や広域処理をやめ、長期にわたる管理(対象地域の指定の維持、放射線量の継続的かつ包括的測定、警告表示、除染と除去した放射性廃棄物の保管・管理)及び子どもの生活圏における適時適切な除染等を行うこと。汚染水の漏洩など、本件事故の収束と廃炉に向けた作業について、東京電力任せにすることなく、組織、人材、予算等あらゆる資源を投入してさらなる抜本的な対策を講じ、国際社会と国民の不安を一刻も早く取り除くよう強く求め、その進捗状況を自ら国民に公表すること。 3 国は、我が国の原子力推進政策を抜本的に見直し、以下のとおり原子力発電と核燃料サイクルから撤退すること。 (1) 原発の新増設(計画中・建設中のものを全て含む。)を止め、再処理工場、高速増殖炉などの核燃料サイクル施設は直ちに廃止すること。 (2) 既設の原発について、安全審査の目的は、放射能被害が「万が一にも起こらないようにする」ことにあるところ、原子力規制委員会が新たに策定した規制基準では安全は確保されないので、運転(停止中の原発の再起動を含む。)は認めず、できる限り速やかに、全て廃止すること。 (3) 今後のエネルギー政策につき、再生可能エネルギーの推進、省エネルギー及びエネルギー利用の効率化と低炭素化を政策の中核とすること。 (4) 原発輸出は相手国及び周辺諸国の国民に人権侵害と環境汚染をもたらすおそれがあるため、原発輸出政策は中止すること。 以上のとおり決議する。 2013年(平成25年)10月4日 日本弁護士連合会 <下の「続き▽」をクリックすると提案理由が表示されます> 続き▽
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2013,10,04, Friday
2012.5.26朝日新聞より 2013.8.29朝日新聞より 2012.8.27東京新聞より (1)福島第一原発事故の責任者は東電だけか このブログの2013.9.25にも記載したとおり、福島第一の3、5号機、浜岡の1、2、3号機、女川1号機を担当して格納容器の設計に携わ東芝の技術者が、「浜岡は、津波のことは完全に欠けていた」「想定する地震に長時間振動はなかったが、福島ではそれが起こったと思う。疲労破壊です」と明かしている(*2参照)。それならば、運用していた東電もリスク管理ができていないが、福島第一原発事故の責任は、製造者である東芝にも製造物責任がある筈だ。何故なら、設計の問題点は、運用では解決できないからだ。しかし、このことについては、これまで全く言及されてこなかった。 (2)原発を輸出する技量と資格があるのか そして、原発の構造上の問題については全く言及も改善もされていないにもかかわらず、*1に、国会承認を得て成長戦略の柱として原発輸出を行い、日本企業の受注拡大に弾みをつけると書かれている。過去の問題ある技術(原発)を、今から輸出促進して、どうして成長戦略になるのか。それは、日本にとって、成長戦略どころか破滅戦略となるものだ。 (3)本当にやるべきこと *3で日弁連が言っているように、原発事故の結果、数々の人権侵害が起こった。そのため、「①被害者への完全賠償 ②健康被害を未然防止する施策の実施 ③人権侵害を繰り返さないための脱原発政策への転換」は大変重要なことである。また、健康被害を防止するために、年間累積線量1ミリシーベルト以上の地域を「支援対象地域」、年間5ミリシーベルト超の地域を「特別支援対象地域」に設定するとともに、内部被ばく検査、血液検査、尿検査などの幅広い検査を行い、診断結果を被災者に直接開示する体制が必要だ。そして、これを外国でも行わなければならない羽目になることは、人類・地球・日本というどの視点から見ても「百害あって一利なし」である。このくらいの判断は、国会でやって欲しい。 *1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20131004&ng=DGKDASFS0305E_U3A001C1MM0000 (日経新聞 2013.10.4) 原子力2協定 承認へ 対トルコ・UAE、原発輸出に弾み 公明が賛成 政府・与党はトルコ、アラブ首長国連邦(UAE)との原子力協定を15日召集予定の臨時国会に提出する。東京電力福島第1原子力発電所の事故後、慎重姿勢を示してきた公明党が賛成に転じ、国会承認できる見通しが立ったからだ。原子力協定の国会承認は、安倍晋三政権発足後初めて。原発輸出は成長戦略の柱で、日本企業の受注拡大に弾みをつけたい考えだ。原子力協定は輸出した原発を相手国が軍事目的に転用したり、第三国に移転したりするのを防ぐ法的な枠組み。原子力の技術提供や人材育成もできるようになる。協定が発効するには両国政府代表の署名後、議会による批准などの承認手続きを経なければならない。民主党政権だった2011年12月にロシア、韓国など4カ国との原子力協定を国会承認する際、自民党は賛成したが、公明党は「福島第1原発事故の検証が十分ではない」として反対した。だが、先に原子力規制委員会が新たな規制基準を定めたことを踏まえ、公明党も国際貢献の観点から承認に踏み切る。安倍首相は5月にトルコのエルドアン首相と会談し、トルコ側が原発4基の建設で日本に優先交渉権を与えることで合意した。新興国への原発輸出を促進するため、6月にはフランスのオランド大統領とも包括的な原子力協力を申し合わせた。公明党の賛成を得て衆参両院で協定を承認させるメドが立ったことで、原発輸出の環境整備が一段と進むとみている。トルコでは電力需要の急増に伴い、3カ所で原発建設を計画中だ。1カ所目の地中海側はロシアが受注したが、2カ所目の黒海側は三菱重工業と仏アレバ連合が4基の受注を固め、23年までに1号基の稼働をめざしている。3カ所目は日本勢が事業化調査を実施することで日本とトルコ両政府が合意している。 UAEでは初の原発建設を韓国の企業連合が09年に受注した。日本勢は敗れたが、日系企業による原発関連の技術協力には原子力協定が必要だ。今後の新規建設に参入する前提にもなる。UAEは世界屈指の産油国だが、石油資源を輸出に回すためにも原発で電力の供給余力を増やしている。日本は現在、インド、ブラジル、南アフリカの3カ国と原子力協定の締結交渉を進めている。サウジアラビアとも交渉に向けた検討を始めた。中東やアジアなど新興国では拡大する電力需要を満たすため原発建設を計画する国が多く、三菱重工業や東芝、日立製作所の日本の原発メーカー3社が受注をめざしている。 *2:http://digital.asahi.com/articles/TKY201309230481.html?ref=pcviewpage (朝日新聞 2013.9.24) (プロメテウスの罠)追いかける男:14 なんでも津波のせい 「津波と違って地震は避けようがないからね。だから今回の事故で地震のことはタブーになっているんですよ。なんでも津波のせいにして、地震の影響を隠そうとしている」。避けようがないからこそ、造るときには地震に気をつかっていた。 東大卒業後、1971年に東芝入社。格納容器の設計に携わる。福島第一の3、5号機、浜岡の1、2、3号機、女川1号機を担当した。「たとえば浜岡は津波のことは完全に欠けてた。地震を考え、非常用ディーゼルは地下に造るのが当たり前だと思ってた。重くて回転するものは下に置くのがいいと」。しかし想定する地震に長時間振動はなかった、と明かす。「パンチ一つには耐えられるように設計してるんですよ。ところが4分続く揺れに耐えられるようには設計していない。福島ではそれが起こったと思います。疲労破壊です」。社の同僚に震災当時の原子力安全委員長、班目春樹(65)がいた。「一緒に原発の安全性を解析したんです。僕らが中心だったんで班目・渡辺プロジェクトって呼ばれたんですけどね。想定地震を設定してさまざまな解析をやった。原発の安全解析は彼と僕が先駆者です」。 ぶ厚い報告書を出したら、米国のゼネラル・エレクトリック(GE)社に1年行かせてくれた。GEは敦賀1号機や福島第一1号機の原子炉を設計した原発の草分けだ。「前々から行きたいってお願いしていて。当時はまだGEに学ぶって雰囲気があったんです。夢のような1年だった。すごく勉強した」。帰国して1年たった79年、スリーマイル島の原発事故が起きる。そして86年、チェルノブイリ事故。「いったん事故が起こったらこうなるんだ。こりゃだめだ、と原子力に対する熱が全部冷めました」。合理化の熱にも嫌気が差して91年に原子力部門を離れる。05年に静岡の沼津高専准教授となり、12年教授で退職。13年2月、推されて上野原市長選に出て落選する。「努力すればなんでもできると思ってたけど。選挙は努力してもだめだなあ」。現事務所は父親がやっていた理髪店。「上野原義塾」と名付けて子どもたちに論語を読ませている。「原発に関係する人の半分は原発に疑問を持ってるんじゃないかな。電気を起こすだけなら原発にこだわる必要はないから」。 【プロメテウス】人類に火を与えたギリシャ神話の神族 *3:http://www.minyu-net.com/news/news/1004/news5.html (2013年10月4日 福島民友ニュース) 原発事故は「人権侵害」 日弁連がシンポジウム 東京電力福島第1原発事故による被害は基本的人権の侵害に当たるとの観点から、住民の被害救済を考える日弁連主催の第56回人権擁護大会は3日、広島市で開幕した。初日は各分科会でシンポジウムを行い、原発事故の人権侵害を議論する第1分科会は、国が加害者責任を認めた上で(1)被害者への完全賠償(2)健康被害を未然防止する施策の実施(3)人権侵害を繰り返さないための脱原発政策への転換―に取り組むよう提言した。4日に正式決議する。被害者への完全賠償では、家族の分断やふるさとの喪失など、広範囲で深刻な被害実態を踏まえた賠償指針の抜本的な見直しの必要性を指摘。損害賠償に伴う民法上の時効問題は、年内の特別措置法制定を求めた。健康被害を未然防止する施策では「子ども・被災者支援法」の運用について、本県全域と年間累積線量1ミリシーベルト以上の地域を「支援対象地域」、年間5ミリシーベルトを超える地域を「特別支援対象地域」に設定し、より手厚い対策を実施するという対案を提示した。定住、避難の双方の判断を尊重すべきとした。また、内部被ばく検査に加え、血液検査や尿検査など幅広い検査を無償で行い、診断結果を被災者に直接開示する体制を求めた。
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2013,09,27, Friday
(1)生産年齢人口に当たる人も病気で働けなくなり、GDPと税収・保険料の払い込みが落ちる
*1のように、がんにかかったことで、通院で会社を休んだり、仕事の生産性が落ちたりして、年間最大約1兆8千億円の労働損失が生まれている可能性が、厚生労働省研究班の研究でわかったそうだ。会社を休むだけで済むならまだよいが、退職したり、亡くなったりする人もいることを考えれば、病気で働けなくなることにより、本人の損失が大きいのは当然のことながら、国としてもGDPや所得税収・保険料の払い込みが落ちた上、医療費・介護費が増える。 (2)年金、医療・介護費用を、何とか減らそうとしている政府の態度 年金、医療、介護の費用を、何とか減らそうとしているのが現在の政府だが、それには、病気にならなくてよい人を病気にせず、健康で働いてもらうようにすることが必要である。 しかし、*4のように、「定年どころか年金支給年齢をとっくに超えたじじぃとばばぁが、(中略)未来のことも(こども)たちを抱えた日本中の人々からふんだくり、綺麗事をいうせいじ(政治)。復興は不要だと正論を言わない政治家は死ねばいいのにと思う(2011年9月25日)」「老人の老人による老人のための『やきう(野球)、ますこめ(マスコミ)、せいじ(政治)』がこの3年間、日本を滅ぼすか、日本が老人を駆逐するか瀬戸際だとまじでパパは思っている」「〈ブログ上にコピーした高齢女性のテレビ映像にコメントして〉早く死ねよ、まだ死なないか、ただのバケモノだよ。(13年8月24日)」と記載した経済産業省のキャリア官僚がいる。 これが、この人のみの特殊な考え方であればまだ問題はないが、この人は、経済産業省から選ばれて2015年のミラノ国際博覧会で日本政府代表を務める予定だった人であり、この考え方が経済産業省では特殊ではなく政策の根底にあることは、経産官僚が出してくる政策を見ればわかる。つまり、仕事上の本音が出ただけという可能性が高いのである。そうして出てきた政策を、メディアが疑問も感じずに大々的に吹聴してしているのを見れば国民の劣化が心配だし、これら官僚が出してきた政策を、「決める政治」として党議拘束して政治が決定していくのも、民主主義からかけ離れており、大きな問題である。 なお、この人は、自分の両親や祖父母もその「じじぃ」「ばばぁ」であり、自分も20年後には「じじぃ」になり、年をとっても安心して暮らせる社会を作っておかなければ、子どもも含めて自分の家族も不幸なのであって、それは他人も同じだということに思慮が及んでおらず、あまりにも軽率である。この人の軽さは、ブログで書いている内容だけでなく、使っている言葉にも表れている。 この人を「エリートだから」と評した人もいるが、このように知識がなく、思慮の浅い人間を「エリート」と呼ぶのは、本物のエリートに対して失礼だ。また、このような人間を親として育った子どもの価値観がどうなるかには、恐ろしいものがある。 (3)地方自治体は環境放射線量監視システムに支出せざるを得なくなる *2によれば、佐賀県は、玄海原発(東松浦郡玄海町)の環境放射線量を監視する測定システムを充実させるとして、放射性物質のセシウムやヨウ素から出るガンマ線の空間放射線量を測るために、関連予算約3億4300万円を県議会に提案したそうだが、県民にとっては、これも原発のコストだ。 (4)セシウム・ヨウ素のみ、及び空間放射線量のみを測ることに、どれだけ意味があるのか 私が、このブログの2013年9月22日に記載した通り、原発が排出する放射性物質で病気を引き起こすものには、セシウム・ヨウ素だけではなく、トリチウム・ストロンチウム・プルトニウムなど多数がある。また、放射性物質は微粒子になるため、空間に留まってはおらず、地表に落ち、空間線量よりも地表線量の方が高くなる。 そのため、空間放射線量のセシウム・ヨウ素のみを測っても、その計測値は実際に身体が影響を受ける放射線量よりもかなり小さく出る。これでは、市民の健康を守る目的で環境放射線量を監視しているとは言えず、市民の安全のために計測するのならば、最大値となる地面や溝を測るべきである。 また、事故時には、*3のようにフィルター付きベントがあっても住民が数百ミリ被曝すると言われており、フクシマで明らかなように、一時的に避難すれば、すぐに元の場所に戻れるというものではない。 (5)ここまでして原発を維持する理由 このブログの2013年9月25日の*1で、原発技術者が、「電気を起こすだけなら原発にこだわる必要はない」と述べている。それでは、何のために原発を維持し続けるのかといえば、プルトニウムを生産するためかも知れない。これは、安全保障と他国との関係で、世界が解決すべきことだ。 *1:http://digital.asahi.com/articles/TKY201309230485.html?ref=pcviewpage (朝日新聞 2013.9.23) 「がんで働けない」損失、最大1.8兆円 厚労省研究班推計 がんにかかったことで、通院で会社を休んだり、仕事の生産性が落ちたりして、年間最大約1兆8千億円の労働損失が生まれている可能性が、厚生労働省研究班の研究でわかった。こうした推計は国内で初めて。働く意欲のある患者を支援する動きもあり、研究班は「対策を取ることで損失を減らせるかもしれない」と指摘する。国立保健医療科学院の福田敬・上席主任研究官らは2011年度の国の統計をもとに、20~69歳で働いている人ががんになった際の労働損失を推計。対象は最大40万人と見積もった。入院や通院で会社を休んだ場合など治療による直接的な損失は約4500億円。うち女性の乳がんは約550億円と最も多かった。乳がんは40~50代の働き盛りの年代で発症する人が多い上、術後も通院期間が長いことが理由として考えられる。治療日以外についても、一般の人と同じ程度に働けるかどうか、仕事を辞めていないかなどの間接的な労働損失を推計。仮に全員が辞めてしまった場合の損失は約1兆3800億円となり、治療による損失と合わせると最大1兆8千億円になる可能性があるとした。 *2:http://www.saga-s.co.jp/news/saga.0.2555154.article.html (佐賀新聞 2013年9月25日) 玄海原発、環境放射線量監視システムを更新 佐賀県は、玄海原発(東松浦郡玄海町)の環境放射線量を監視する測定システムを充実させる。県内各地のモニタリングポストで測定したデータを佐賀市の県環境センターに送る通信網について、従来の有線回線に衛星回線を加えて多重化するなど、システムを更新する。福島第1原発事故を受け、県は本年度、これまで原発から10キロ圏内に18基設置していたモニタリングポストに加え、緊急防護措置区域の30キロ圏内に8基を増設して監視態勢を強化した。ただ、従来のモニタリングポストの通信回線が有線単独だったため、無線回線を加えて多重化する。 測定するのは、放射性物質のセシウムやヨウ素から出るガンマ線の空間放射線量で、測定数値は県環境放射線モニタリングシステムのホームページ(HP)に掲載している。 今回のシステム更新では、これまでHPで30分刻みで掲載していた測定データを10分ごとに細分化。さらに、2画面に分かれていた従来の18基と増設8基の測定データを1画面に統合し、計測単位も増設基で新たに導入した「マイクログレイ」に統一する。新システムは、本年度末の運用開始を目指す。県は関連予算約3億4300万円を開会中の県議会に提案している。財源は全額、国の放射線監視等交付金を充てる。 *3:http://mainichi.jp/select/news/20130926k0000m040047000c.html (毎日新聞 2013年9月25日) 柏崎刈羽原発:フィルター付きベントでも数百ミリ被ばく 東京電力の広瀬直己社長は25日、柏崎刈羽原発(新潟県柏崎市、刈羽村)で設置を計画中の「フィルター付きベント(排気)装置」を使用した場合、原発の敷地境界で住民に数百ミリシーベルトの被ばくが生じ得るとの試算結果を明らかにした。この日会談した泉田裕彦・新潟県知事の指摘などを受けて答えた。健康に影響が生じ得る被ばく量で、今後、同原発と同じくフィルター付きベント装置の設置を計画している全国の沸騰水型原発で住民の避難計画作成の重要性が高まりそうだ。知事は会談で「県の試算では『甲状腺等価線量』で260ミリシーベルトだ」と指摘。これに対し広瀬社長は県の結果を認めながらも「敷地境界にじっとしていた場合の数字で例外的」と主張。会談後に「数字はいくつかあるが(甲状腺等価線量でなく全身線量で)数百ミリシーベルト」とした。一方、知事は会談で「中越沖地震の際は渋滞で車が進まなかった。じっとしているのは例外ではない。ベントの前に避難できるのか」と懸念を示した。 *4:http://digital.asahi.com/articles/TKY201309250884.html?ref=pcviewpage (朝日新聞 2013.9.25) 経産キャリアのブログ騒動 「復興は不要、もともと過疎」 仕事記述で身元ばれる 復興は不要だと正論を言わない政治家は死ねばいい――。2年前、匿名ブログに書き込まれた一文が、ここ数日、インターネット上に広まり、騒ぎになっている。閲覧者らが身元を割り出し、筆者が経済産業省のキャリア男性官僚(51)であることがばれたためだ。事態をつかんだ経産省も「遺憾であり、速やかに対応する」として、処分を検討し始めた。この男性は経産省の課長などを務め、今年6月から外郭団体に出向している。復興に関わる部署ではないという。ブログでは匿名だったが、過激な書き込みが目立ち、仕事にかかわる記述から閲覧者らが身元を割り出したとみられる。24日午後から、実名や肩書がネット上にさらされた。「復興は不要だ」との書き込みは2011年9月のもの。被災地が「もともと過疎地」だというのが根拠だ。今年8月には高齢者に対して「早く死ねよ」などと書き込んだ。同7月には「あましたりまであと3年、がんばろっと」などと天下りを示唆する内容も記した。男性は朝日新聞の取材に、ブログは「私的なものとして思うところを書いた」と説明。ただ、被災地についての記述は「不徳のいたすところです」と述べた。ブログは25日夜現在、閲覧できなくなっているが、ネット上で次々と転載されて広まっている。経産省は25日に本人から事情を聴いた。仮に処分する場合は、出向先から経産省にいったん異動させることになる。官僚によるネット上の問題記述では、6月中旬、復興庁の参事官がツイッターで「左翼のクソども」などと、市民団体や国会議員を中傷するツイートを繰り返していたことが発覚。この参事官は停職30日の懲戒処分を受け、出向元の総務省に異動した。総務省は6月下旬、各府省庁に対し、国家公務員がツイッターなどソーシャルメディアを私的に利用する際、個人・団体への中傷を禁じるなどの注意事項を通知していた。 ■被災者ら反発 被災地からは反発する声が相次いだ。「現地を知らない人の言葉だ。頭はいいかもしれないが人間の心がない」。岩手県大船渡市の仮設住宅に住む建設業の新沼幸司さん(59)は憤る。宮城県気仙沼市の仮設商店街で飲食店を営む女性(60)は本格再建のめどがたたない。「築いてきたものを取り戻そうと努力しているのに。一人でもこういう人がいる限り、復興できるわけがない」。岩手県大槌町の碇川豊町長は「不要な場所にならないためにどうすればいいのか考えるのが官僚の仕事。仕事を放棄している」と残念がった。 ■ブログでの主な書き込み ▽もともと、ほぼ滅んでいた東北のリアス式の過疎地で定年どころか、年金支給年齢をとっくに超えたじじぃとばばぁが、既得権益の漁業権をむさぼるために そいつらの港や堤防を作るために、そいつらが移住をごめる(ごねる)ためにかかる費用を未来のことも(こども)たちを抱えた日本中の人々からふんだくり、綺麗事をいうせいじ(政治)。復興は不要だ と正論を言わない政治家は死ねばいいのにと思う (2011年9月25日) ▽老人の老人による老人のための「やきう(野球)、ますこめ(マスコミ)、せいじ(政治)」がこの3年間、日本を滅ぼすか、日本が老人を駆逐するか瀬戸際だとまじでパパは思っている。 〈ブログ上にコピーした高齢女性のテレビ映像にコメントして〉早く死ねよ まだ死なないか ただのバケモノだよ。(13年8月24日) ▽パパの会社は年毎にどんどん劣化して、救いようのない組織と仕事になっているのだが、それを巧みに避けながら自分のやりたいことだけやらしてもらっているのは、気のせいでなくパパはもっていたのかぁ~、と改めてありがたかった。あましたり(天下り)まであと3年、がんばろっと。(13年7月13日) ※文中のカッコ内は朝日新聞が補足
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2013,09,25, Wednesday
玄海原発 (1)原発の先行的再稼働など恥である *3には、「原発安全審査申請2カ月 玄海“先行組”に」というように、原発再稼働を先行することがあたかも進んでいてよいことだというような記事があり、*4には、佐賀県の商工会議所連合会が原発再稼働を要望し、特に唐津商工会議所の宮島会頭が「電力の安定供給のため、玄海原発の再稼働に向けて尽力してほしい」と要望したとされているが、いつまでも時代遅れの技術にしがみついて新しい技術の発展を妨げ、さらに佐賀県の農林水産物や食品の付加価値を下げるのはやめてもらいたい。 食品を輸出すべき現代は、原発のある国とない国の食品安全に関する取り組みの違いは明白という印象であり、私は、選択可能な場合は、原発のない国、ニュージーランドやオーストラリア産の食品を購入するようにしている。従って、視野を大きく持って、あらゆる影響を考えるべきである。 そうすれば、*1の記事にあるように、「電気を起こすだけなら原発にこだわる必要はなく、原発に関係する人の半分は原発に疑問を持っている」というのが正解であろう。 (2)福島第一原発事故は地震が最初の原因である *1のように、東芝で原発の設計をしていた技術者の証言で、「原発は津波だけでなく、長時間振動の地震も想定していない」とされている以上、玄海原発もかなりのリスクがある。原発事故時に原子力安全委員長だった班目春樹氏(65)が、東芝で班目・渡辺プロジェクトとして、さまざまな想定地震を設定して解析をやったのだそうだが、これで、当時の原子力安全委員長の班目氏が、「この事故はなかったことにしたい」と言った意味がわかった。 なお、*2のように、世界の地震の90%は(About 90% of the world's quakes occur in the region.)、環太平洋の(the Pacific Ocean)この地域で起こっており、日本では、現在、地震が頻発している。そして、福島原発事故に関する正確な情報は、日本のメディアよりも海外のメディアの方がポイントを突いた正確な報道をしているのだ。そのような状況の中で、本質をつかない机上の空論のような安全基準や審査を通ったからといって、玄海原発も安全と言えないことは明白である。 *1:http://digital.asahi.com/articles/TKY201309230481.html?ref=pcviewpage (朝日新聞 2013.9.24) (プロメテウスの罠)追いかける男:14 なんでも津波のせい 「津波と違って地震は避けようがないからね。だから今回の事故で地震のことはタブーになっているんですよ。なんでも津波のせいにして、地震の影響を隠そうとしている」。避けようがないからこそ、造るときには地震に気をつかっていた。 東大卒業後、1971年に東芝入社。格納容器の設計に携わる。福島第一の3、5号機、浜岡の1、2、3号機、女川1号機を担当した。「たとえば浜岡は津波のことは完全に欠けてた。地震を考え、非常用ディーゼルは地下に造るのが当たり前だと思ってた。重くて回転するものは下に置くのがいいと」。しかし想定する地震に長時間振動はなかった、と明かす。「パンチ一つには耐えられるように設計してるんですよ。ところが4分続く揺れに耐えられるようには設計していない。福島ではそれが起こったと思います。疲労破壊です」。社の同僚に震災当時の原子力安全委員長、班目春樹(65)がいた。「一緒に原発の安全性を解析したんです。僕らが中心だったんで班目・渡辺プロジェクトって呼ばれたんですけどね。想定地震を設定してさまざまな解析をやった。原発の安全解析は彼と僕が先駆者です」。 ぶ厚い報告書を出したら、米国のゼネラル・エレクトリック(GE)社に1年行かせてくれた。GEは敦賀1号機や福島第一1号機の原子炉を設計した原発の草分けだ。「前々から行きたいってお願いしていて。当時はまだGEに学ぶって雰囲気があったんです。夢のような1年だった。すごく勉強した」。帰国して1年たった79年、スリーマイル島の原発事故が起きる。そして86年、チェルノブイリ事故。「いったん事故が起こったらこうなるんだ。こりゃだめだ、と原子力に対する熱が全部冷めました」。合理化の熱にも嫌気が差して91年に原子力部門を離れる。05年に静岡の沼津高専准教授となり、12年教授で退職。13年2月、推されて上野原市長選に出て落選する。「努力すればなんでもできると思ってたけど。選挙は努力してもだめだなあ」。現事務所は父親がやっていた理髪店。「上野原義塾」と名付けて子どもたちに論語を読ませている。「原発に関係する人の半分は原発に疑問を持ってるんじゃないかな。電気を起こすだけなら原発にこだわる必要はないから」。 【プロメテウス】人類に火を与えたギリシャ神話の神 *2:http://www.usatoday.com/story/news/world/2013/09/19/japan-fukushima-nuclear-plant/2835493/#rpctoken=1483849681&forcesecure=1 (USA Today 2013.9.19) Magnitude-5.3 earthquake hits Japan's Fukushima ー DENVER (AP) A magnitude-5.3 earthquake has hit the Japanese prefecture that is home to the nuclear power plant crippled in the March 2011 earthquake and tsunami. The U.S. Geological Survey says the quake struck early Friday at a depth of about 13 miles under Fukushima Prefecture and about 110 miles northeast of Tokyo. The Pacific Tsunami Warning Center did not issue an alert. The Japanese news agency Kyodo News reported that the plant's operator, Tokyo Electric Power Co., observed no abnormality in radiation or equipment after the quake. Japanese Prime Minister Shinzo Abe on Thursday ordered TEPCO to scrap all six reactors at the Fukushima Dai-ichi plant and concentrate on tackling pressing issues like leaks of radioactive water. The 2011 disaster caused three reactors to melt and damaged a fuel cooling pool at another. Officials have acknowledged that radiation-contaminated groundwater has been seeping into the Pacific Ocean since soon after the meltdowns. The region lies on the "Ring of Fire" — an arc of earthquake and volcanic zones that stretches around the Pacific Rim. About 90% of the world's quakes occur in the region. *3:http://www.saga-s.co.jp/news/saga.0.2554445.article.html (佐賀新聞 2013年9月24日) 原発安全審査申請2カ月 玄海“先行組”に 新たな規制基準に基づく原発の安全審査が進んでいる。電力会社4社が原子力規制委員会に6原発12基の審査を申請してから2カ月余り、「先行組」と、それ以外がはっきりしてきた。九州電力玄海原発3、4号機(東松浦郡玄海町)はトップグループを走っており、27日には現地調査に入る予定だ。新基準は7月8日に施行され、12基がほぼ同時に審査に入った。規制委は2カ月余りで、20回以上の会議を開いている。 ▼専門チーム90人 九電は90人体制の専門チームを東京に送り込み、ヒアリングなどに対応。規制委は各原発を三つのチームで審査してきたが、ここにきて進ちょく具合は大きくばらついてきた。既に事故時の拠点となる緊急時対策所を備えた免震重要棟を設けた四国電力伊方原発3号機(愛媛県)が最も先行しており、九電の川内原発1、2号機(鹿児島県)と玄海原発も後に続いている。二極化が進み、先行組はこれまでの書類による審査に加えて現地調査へと進んだ。書類だけでは把握しにくい部分を直接、審査する狙いで、13日の伊方を皮切りに、20日には川内、27日には玄海原発を訪れる。これまでの書類審査では、起こり得る重大な事故を具体的に想定し、そこで生じる事態にどう対処するか、時系列で細かく検討してきた。玄海原発では、配管やダクトなどのひび割れや局所的な腐蝕について「1週間以内で補修可能」とした九電に対し、「(重大事故時に)非常に長くないか」「通常は視覚や聴覚、触感で場所を特定できるだろうが、事故時に探し当てられるか」などの厳しい指摘があった。九電は「ごく小さいものは当然見つけられない可能性もある」としつつも、「影響はものすごく小さい」と主張。審査官から「ここでの要求は除去、あるいは修復できるということ。影響が小さいからどうのこうのではない」といさめられる場面もあった。非常時の対応にどれだけの時間がかかるかという見積もりでも、訓練で作業員が全面マスクを着けていない点が問題視された。保安検査官は「全面マスクをすると、かなりやりにくい。本当にこの時間でできるか分からない」と指摘、九電は「今後、訓練で実証したい」と応じた。19日の会合では代替緊急時対策所の電源系統が問題視された。非常時に備えて代替電源を3台準備しているが、それをつなぐ電源系統は1系統だけ。「火災などで同時に機能喪失も考えられるのではないか」と甘さを指摘された。 ▼膨れ上がる資料 規制委が安全性を確認するまでの期間は当初、半年程度との見方もあったが、2カ月がたって、なお先行きは見通せない。申請時に出された書類は玄海原発関連だけでも約1万4千ページに及ぶ。審査が進むにつれ、資料は追加に次ぐ追加で、さらに膨れ上がっている。「審査完了まで、登山に例えれば何合目か」という報道陣の質問に、規制庁幹部も「私たちにも分からない」と返答した。だが、政府は「安全を確認した原発から再稼働する」との方針を掲げており、電力各社とも規制委による“お墨付き”が得られ次第、一気に再稼働へと向かう構えだ。 *4:http://www.saga-s.co.jp/news/saga.0.2554720.article.html (佐賀新聞 2013年9月24日) 原発再稼働など要望 県商工会議所連合会 佐賀県商工会議所連合会(井田出海会長)は24日、県庁を訪れ、古川康知事に経済対策11項目を要望した。原発再稼働や有田焼400年事業の財政支援などを求めている。井田会長ら県内8商議所の会頭らが古川知事を訪ねた。唐津商議所の宮島清一会頭は「電力の安定供給のため、玄海原発の再稼働に向けて尽力してほしい」と要望。併せて再生可能エネルギーの普及促進も求めた。有田商議所の山口隆敏会頭は「市場がグローバルになり、規制緩和が進むと厳しい面もある。400年を契機に、担い手が夢を持てる産業にしたい」と述べ、有田焼創業400年に向けた県の事業、財政支援を求めた。 古川知事は原発再稼働について「厳しい基準で規制委員会がチェックした上で、再稼働かどうかのステージになる。現時点では、国がどう関わるか分からず、過程が見えない」と述べた。有田焼については「コスト競争の波に飲まれると、活路を見いだすのは難しい。400年を契機に、ブランドの再構築を進めたい」と語った。2015年の世界遺産登録が期待される三重津海軍所跡(佐賀市)も話題となり、古川知事は「来てみたら『しょぼかった』とならないようにすべき。観光ルートに組み込まれるような仕掛けを考えたい」と話した。
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2013,09,22, Sunday
秋の果物 (1)国民にとっての原発発電コストは高い 私もこのブログの2012.9.2に書いているが、*1に記載されており、原発の発電コストは平時でも1kwhあたり15円くらいであり、他の発電方法と比べて高い。さらに、これには、原発立地自治体への交付金、廃炉費用、核燃料の最終処分費用、事故の後始末及び補償の費用は含まれていない。 (2)原発の安全神話は嘘である *1に記載されているとおり、事故後も、日本の電力会社、原子力安全保安院、メディア、御用学者は、「日本の事故は、格納容器、鉄筋コンクリートの建屋があるので、チェルノブイリより軽微だ」と主張していた。しかし、格納容器があっても内部の圧力が高まれば爆発するし、事故時にはベント配管から環境に放射能をまき散らさない限り、事故の収束は図れないとのことである。しかし、フクシマ以前に、このような説明を聞いていた人が何人いるだろうか。 (3)フクシマはどれだけの放射性物質を放出したのか *1で、「東電や規制機関は、事故で飛散した放射能の量はチェルノブイリの方がフクシマよりも多いと言っているが、フクシマは4基で出力は280万kw、チェルノブイリは1基で100万kwであり、フクシマの場合は、これに加えて3号機の使用済み核燃料プールも損傷しているため、フクシマの方が飛散した放射能の量は多い筈だ」と述べているが、私も種々の証拠から、*1の見解は正しいと思う。 そして、飛散した放射能が多いほど環境が汚染され、チェルノブイリの最汚染地帯であるナロブリャ地区ドゥリャドイ村は1,850万ベクレル/㎡で、大熊町東平は3,000万ベクレル/㎡(両者ともセシウム137)であって、大地の汚染データは、まさにそれを裏付けている。 (4)内部被曝を恐れるのは、風評被害か 「外部被曝と内部被曝は同じ」と言う御用学者や「基準値以下のものを食べない人は風評被害を撒き散らしている」と言う人もいるが、*1で小野氏が述べているように、ヒーターの前で体を温める(外部被曝)のと、灼熱した石炭を食べる(内部被曝)くらいの差があるほど、内部被曝は危険だ。 しかし、日本政府及び日本のメディアは、癌や心疾患などフクシマに起因する疾病を発症した人や動植物の畸形、土壌汚染について、正確な調査に基づいた報告をせず、風評被害であって実害はないとしているのだから、その意図は明らかと言うほかない。 これについては、本当に重要なことについては的を得た「言論の自由」「表現の自由」を駆使しない日本メディアの報道より*2の方が説得力があり、「福島周辺における放射性元素の生物濃縮は、今後何世代もの日本人に打撃を与え、太平洋も漏出する放射能を含んだ水で汚染され続けよう」というのが、医学的・生物学的にまっとうな意見であり、具体的には下のような病気を引き起こすので要注意である。 ①トリチウムは、ベータ粒子を放出し、人体に入り込むとDNA内で分子と結合して、突然変異を引き 起こす。動物実験で、トリチウムは、先天性異常、脳や卵巣を含む様々な器官の癌を引き起こし、 低線量で精巣萎縮や知能発育不全を誘発する。また、トリチウムは有機的に食物中に取り込まれ、 魚、野菜、その他の食品の中で濃縮し、放射能寿命が120年以上ある。汚染された食品を摂取す ると、10パーセントが人体中で結合してそのまま残り、長年細胞を照射し続ける可能性がある。 ②セシウムは、カリウムの疑似物質で、心臓、内分泌器官と筋肉に凝縮し、心臓の異常、心臓発作、 糖尿病、甲状腺機能低下症、甲状腺ガン、横紋筋肉腫と呼ばれる悪性の筋肉癌を引き起こし、 セシウムの放射能は300年間持続して食物連鎖で濃縮する。 ③ストロンチウム90も300年間有毒で、カルシウムに類似しており、草と牛乳に凝縮し、更に、骨、 歯、母乳へと移動し、そこで骨癌、白血病や乳癌を引き起こす可能性がある。 ④プルトニウムは、体内で鉄のように振る舞うので、吸入された場合、肺癌や肝臓・骨・精巣・卵巣の 癌を引き起こす。 なお、「日本の医師達は、患者には病気が放射能に関連しているとは言わないよう上司から命じられている」と書かれているが、そのおおもとの”上司”はどこだろうか? 患者にとっては、これらの病気を、生活習慣の悪さや加齢、家系の遺伝、ストレスなどと説明されることこそ、不当に傷つけられ、ストレスを与えられる行為である。そのため、医師が遠慮なく本当の病因を言い、研究者も放射能の影響について正確に研究できる土壌を作るべきだ。 *1:http://tanakaryusaku.jp/2013/08/0007660 (田中龍作ジャーナル 2013.8.5) 原発安全神話のウソを告発し続ける東電出身の医師 「目からウロコ」とはこのことだ。原発事故をめぐってマスコミが真実を報道せず、政府がウソをつき、専門家が的外れな解説をしていることがよく分かる。元東電技術者にして医師の小野俊一氏がきのう都内で講演した。東大工学部を卒業後、東京電力に入社した小野氏は、福島第2原発に配属された後、本店の原子力技術課(安全グループ)に勤務した。7年間の東電勤務で身をもって知ったのは、原発安全神話がデタラメで、原発の発電コストは火力・水力と比べるとズバ抜けて高いということだった。 チェルノブイリの事故後、日本の新聞と電力会社は「日本の原発には、格納容器、鉄筋コンクリートの建屋があるので、チェルノブイリのような事故は起きない」と吹聴していた。ところが当時、東電ではシビアアクシデント対策でベント配管の増設が、検討されていたのである。いくら格納容器があっても内部の圧力が高まれば爆発する(実際、福島の事故はそうなった)。格納容器があるから放射能を環境に放出することはないというのはウソであることが分かった。事故時にはベント配管から放射能をまき散らさない限り、事故の収束は図れないのである。原発の発電コストが他に比べて高いことは、福島の事故後、立命館大学の大島堅一教授などが明らかにした。だが、小野氏はそれより20年以上も前から知っていた。入社早々、先輩から教えられたのである。「高いに決まっているだろ。安いはずがないだろ。そんなの当たり前だ」「放射線管理区域があるだろ。効率は悪いし、被曝はするし、一つ一つの機器も火力と比べると倍以上するんだぞ。これで安かったらおかしいよ」。小野氏が在職中の東電社内資料によると1kwh発電するのに福島第一原発は15円を要した。火力は2~3円。(1995年頃) 事故発生から間もない頃、記者会見する武藤栄副社長(当時)は、小野氏が原子力技術課時代、直属の上司(課長)だった。事故で飛散した放射能の量は、チェルノブイリの方が、福島よりも多いとの説がある。東電や規制機関がこの説をとる。小野氏は おかしいと指摘する。「福島は4基で出力は280万kw、チェルノブイリは1基で100万kw」というのが主な根拠だ。しかも福島の場合、3号機は使用済み核燃料プールも損傷していると見られる。稼働から40年の福島原発は、稼働わずか3年のチェルノブイリ原発よりも放射能で汚れていることも加味しなければならない。飛散した放射能が多いほど当然、環境は汚染される。チェルノブイリの最汚染地帯であるナロブリャ地区ドゥリャドイ村は1,850万ベクレル/㎡で、大熊町東平は3,000万ベクレル/㎡(両者ともセシウム137)。大地も福島の方がはるかに汚染されているのだ。 「外部被ばくと内部被ばくは同じ」とする御用学者もいる。だが小野氏は「ヒーターの前で体を温める(外部被ばく)のと、灼熱した石炭を食べる(内部被ばく)くらい違う」と指摘する。マスコミがほとんど報道しない動植物の畸形についても、小野氏は福島県浪江町で見つかった「耳なしウサギ」なども写真つきで紹介した。「畸形は地震の揺れによるストレスが原因とみられる」とする御用学者の珍説も加えて。 東電技術者として原子力発電に携わった小野氏の“内部告発”は、迫力満点で、講演時間の60分はあっという間に過ぎた。医師として指摘する内部被曝の危険性は説得力に富んでいた。 小野氏は今後の見通しを次のように示す― ●人類には原子の火を止めることはできない。 ●今後も再臨界を何度も起こす。 ●収束方法は誰も知らない~汚染水処理施設などこの世のどこにもない~ 絶望的な状況なのだが、小野氏はそれでも「あきらめたらお終い。イナゴの精神で戦い続けよう」と私たちを励ます。イナゴ(の群れ)は一匹、二匹殺しても止まらない。全部殺さなければならない。 ◇本稿は小野氏の講演を基に近著『フクシマの真実と内部被曝』を参考にして執筆しました。 *2:http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2013/09/post-38ae.html (2013年9月21日) マスコミに載らない海外記事 終わりのない福島大惨事 何世代もの健康が危機にさらされている。ヘレン・カルディコット医師は、核や環境の危機を是正するため最もはっきり物を言う、市民運動の熱心な擁護者の一人だ。2013年8月23日、原子力規制委員会が撮影したこの新聞発表用写真は、原子力規制委員会の委員達を含む、防護服を着た原子力監視機構のメンバーが、福島県、大熊町の東京電力福島第一原子力発電所の汚染水タンクを検査する様子が写っている。福島周辺における放射性元素の生物濃縮は、今後何世代もの日本人に打撃を与え、太平洋も漏出する放射能を含んだ水で汚染され続けよう。しかし依然として、日本政府による良い解決策は存在していない。2011年3月11日に、津波が福島の原子炉施設に大変な勢いで進入する映像を見て、世界は変わってしまったのを実感した。巨大な水の波の中に溺れても、破滅的結末をもたらさずに耐える原子炉など存在しない。当時、三基の原子炉が核分裂を起こしていたが、四号炉だけは、放射性物質の炉心は空になっており、核燃料は、現在、地上30メートルの建屋屋上、遮蔽もない冷却プール内にある。地震の間、原子炉への電源供給は停止し、原子炉地下の補助ディーゼル発電機は、冠水して故障し、400万リットルもの冷却水を、各原子炉に送っていたポンプも故障した。 数時間のうちに、第一号炉、第二号炉と第三号炉中の極めて高熱の放射能をもった炉心が溶け始めた。溶解する際、ウラン燃料棒表面のジルコニウム金属クラッディングが水と反応し、水素を発生させ、それが第一号炉、第二号炉、第三号炉と第四号炉建屋で、大変な激しさで爆発し、膨大な量の放射性元素を大気中に放出した。3月15日だけで、10京ベクレルのセシウム、40京ベクレルのヨウ素、更に40京ベクレルの不活性希ガス(キセノン、クリプトンやアルゴン)が漏出したものと推計されている。長期にわたり、チェルノブイリでの、2.5倍から、3倍の希ガスが大気中に放出された。希ガスは、X線によく似た、極めて強力なエネルギーのガンマ放射体で、外部から人体に貫通し、吸入されると、肺から吸収され、性腺を含む脂肪組織に蓄積され、周辺の器官を、ガンマ線放射能に曝す。セシウムとヨウ素131は、ガンマと、ベータ放射体でもあり、吸入と摂取で人体に入る。しかし事故後の数週間、数ヶ月間に、100種以上の他の放射性元素も放出され、何千人もの人々が放射能の雲に曝された。破損した原子炉は、現在も放射性浮遊物質を放出し続けている。2013年8月22日の東京電力撮影の新聞発表用写真には、福島県、大熊町の東京電力福島第一原子力発電所汚染水タンク周辺の放射能レベルを測定する東京電力の作業員が写っている。幸いなことに、最初の数日間、風は太平洋方向に吹いており、放射性降下物の80パーセントを運び出し、その大半は太平洋に落ちた。しかし、3月15日頃に風向きが変わり、北西方向に吹き、東京の一部を含む、日本の広い領域が酷く汚染された。約2百万人の人々が、依然、福島県や他の都県の酷く汚染された地域で暮しているが、こうした地域は、放射能で非常に汚染されており、チェルノブイリ事故で同様に人口が密集していた地域は、ソ連政府により、速やかに避難させられた。 福島原発事故時には、空前の量のひどく放射能に汚染された水も太平洋に流れ込んだ。だが、それは止まっていない。東京電力は、300トンもの汚染水が、30カ月前の事故以来、毎日太平洋に漏洩しており、これまで270,000トンもの水が流されたことを認めた。それぞれ120から130トンの重量がある3つの溶融炉心が、原子炉容器の15センチの鋼鉄から溶け出しただけでなく、炉心は今や、ひどくひび割れした格納建屋のコンクリート床上に溜まっているか、あるいは大地そのものの中に溶けだしてしまっていることが明らかになっている。これは原子力業界用語で‘溶融からチャイナ・シンドローム’と表現されるものだ。原子炉施設が、山脈底部の古代河床上に建てられている為、山から流れおりてくる膨大な量の水が(毎日1,000トン)これらの高放射能の炉心周辺を循環し、放射性元素の膨大な濃縮を薄めている。 東京電力は、この放射性の水が、海に流れこまないように、海に面した所に、一種のコンクリート・ダムを建設した。しかし、絶えず流れ込む水が、ダムの背後に溜まり、太平洋に溢れ出ている。それぞれの原子炉炉心には、広島規模の原爆が放出したものの1,000発分の放射能が入っており、その寿命が、数秒から何百万年に至る、200種以上の様々な放射性元素を含んでいる。 ●医学的な意味 福島原発前の湾の水はトリチウムで高度に汚染されていて、その濃度はずっと上昇しており、今や1リットル当たり4,700 ベクレルもの値となっており、海水中で記録されたものとして最高だ。更には、総計20兆から40兆ベクレルのトリチウムが、太平洋に放出されてしまった。一ベクレルというのは、一秒に一回の放射能崩壊ということだ。トリチウムは放射性の水素、H3だ。酸素と化合して、トリチウム水、HTOとなるが、これは非常に危険だ。トリチウムは、電子つまりベータ粒子を放出するが、万一人体に入り込むと、極めて強力だ。トリチウムは、DNA内で分子と結合し、突然変異を引き起こす。様々な動物実験で、トリチウムは、先天性異常、脳や卵巣を含む様々な器官の癌を引き起こし、驚くほどの低線量で、精巣萎縮や知能発育不全を誘発する。トリチウムは、有機的に食物中に取り込まれ、魚、野菜や、他の食品の中で濃縮するが、放射能寿命は120年以上ある。汚染された食品を摂取すると、10パーセントが人体中で結合し、そのまま残り、長年細胞を照射し続ける可能性がある。主要な放射性元素の一つセシウムは、カリウムの疑似物質で、心臓、内分泌器官と筋肉に凝縮し、心臓の異常、心臓発作、糖尿病、甲状腺機能低下症や、甲状腺ガンや、横紋筋肉腫と呼ばれる、極めて悪性の筋肉の癌を引き起こす可能性がある。セシウムの放射能は、300年間持続し、食物連鎖で濃縮する。 もう一つの極めて危険な元素は、ストロンチウム90で、これも300年間有毒だ。カルシウムに類似しており、草と牛乳に凝縮し、更に、骨、歯、母乳へと移動し、そこで骨癌、白血病や乳癌を引き起こす可能性がある。 他の多くの放射性元素の中で、海に漏れだしたことがほぼ確実なものとして、放射能が240,000年間持続し、最も強力な発癌性物質の一つで、わずか100 万分の 1グラムで癌を引き起こすプルトニウムがある。それぞれの原子炉炉心には、225キロのプルトニウムが含まれているが、プルトニウム/ウラン燃料棒が、炉心内に実験として挿入されている為、第3号原子炉のプルトニウムは更に多い。体内で、プルトニウムは鉄のように振る舞うので、吸入された場合、肺癌や、肝臓、骨、精巣や卵巣の癌を引き起こす。鉄類似物として、胎盤を簡単に通り抜け、サリドマイドで引き起こされたのと同様な極端な先天性奇形を引き起こす。生殖器を照射するあらゆる放射性元素は、精子と卵子中で突然変異を引き起こし、糖尿病、嚢胞性線維症、血友病、血鉄素症や、他に6000種の、遺伝的疾患の発生率を、将来の世代にわたって増加させる。こうしたものは、太平洋と大気を汚染している100種以上の致命的な放射性毒物のごく一部で、そのそれぞれに、食物連鎖や人体に入る独自の経路がある。放射性元素は無味、無臭で、目に見えず、癌や、他の放射能に関連した病気が顕在化するには長年かかり、大半の癌では、5年から80年を要する。 子供は、放射能の発がん効果に対し、大人よりも10から20倍敏感で、胎児は、何千倍も敏感だ。妊婦の腹部に、一回、X線を照射すると、赤ん坊の白血病の可能性は二倍になる。女性は、あらゆる年齢で、男性より敏感だ。放射能は累積し、安全な放射線量というものはなく、人が線量を受けるごとにで、癌が発生するリスクを増す。非常に懸念されるのは、福島では、18歳未満の子供の小児甲状腺ガンが、既に18症例、診断されており、更に25症例が疑われているという事実だ。これは癌としては驚くほど短い潜病伏期であり、こうした子供達がほぼ確実に、極めて高い線量のヨウ素131を受け、更に、過去に、そして、いまも他の発癌性放射性元素を吸入し、摂取していることを示している。チェルノブイリ被害者では、甲状腺ガンは、4年間発症しなかった。甲状腺ガンが、幼い子供達で見つかることは稀だ。ヨウ素131の放射能寿命は100日であり、強力な発がん性物質だ。一方、ヨウ素129の放射能は数百万年続く。350,000人以上の子供が、依然高放射能の地域に住み、学校に通っており、小児甲状腺ガンが増加しているのと同様、白血病の症例数も、およそ今から二年後に増加し始め、様々な器官の固形癌は、およそ11年後に診断されよう。これらは、今後70 -80年間にわたって、頻度は増加しよう。 汚染された地域の食物は、土壌から、放射性元素を、生物濃縮し続けるので、何百年にもわたり、放射性を含んだままとなり、将来、何世代にもわたり、日本人を、癌発生率の増加が襲うことは確実だ。日本の医師達は、患者には、患者達の病気が放射能に関連しているとは言わないよう、上司から命じられていると報告している。 ●水と太平洋 原子炉施設に話を戻そう。東京電力は依然、毎日、何百トンもの塩水を、溶融した原子炉炉心を注ぎ込み、更に1,000トンの地下水も、破損した原子炉の中を流れている。この恐るべき状況をコントロールしようとして、東京電力は、毎日300から400トンのこの酷く汚染された水を、原子炉施設近くの、1,060基の巨大な保管タンクにくみ上げている。こうしたタンクは、現在、350,000トンの水を擁しており、この果てしない水の流れを収容するために、毎週更なるタンクが増設されつつある。東京電力は元々、この水をろ過する多核種除去設備(Advanced Liquid Processing System=ALPS)を使って 放射性汚染物質の一部を除去しようとしていたが、タンクの一つが腐食して、今年6月に停止した。タンクは、過去二年間、慌ただしく建設されたもので、継ぎ目にゴムをあてたものや、金属ボルトを使ったものもあるが、ボルトは腐食しつつあり、しっかり溶接されているものはごく僅かだ。最近、作業員達が、高放射能の水が漏れだしていて、タンク現場を汚染していることを発見した。タンクから漏れている300トンの水は、一時間、100ミリシーベルト、10レムと測定されたが、 こうした水の一部も海に流出している。原子力作業従事者は、年間5レムの被曝が許容されている。これが見つかった為、現在の事故レベルは、1から、3に上げられたが、元々の事故のレベルは7で、チェルノブイリと同等で、あり得る最悪のケースだ。更に多くのタンクが漏れているものと推定されている。最近まで、東京電力ではわずか二人に、不十分なガイガー・カウンターを持たせて、1,060基のタンクを一日二回、パトロールさせていた。新たな測定器が与えられると、一時間当たり1,800ミリシーベルト、180レムという放射能が、他のタンクで漏れた水の中で検知され、数日後には、一時間当たり2,200ミリシーベルト、220レムという数値が検知された! これは大半がベータ放射能で、作業員達の衣服を貫通しないものと推測された。ところが高レベルのガンマ線が、タンクから常時発せられており、ガンマ線は、X線同様、妨害されずに、人体を貫通する。つまり、被曝した人々の半数が亡くなる半数致死量は、250レムだ! 作業員達が大きな危険にさらされているだけでな、東京電力は、100年以上継続する可能性があるこの惨事に対処するのに必要な人員に、急激な不足をきたしている。東京電力は、井戸から採取した水の中のトリチウムのレベルは、放射能を含んだ水の多数の保管タンクの数値に近く 9日曜日、同じ場所での4,200ベクレル/リットルから、9月10日火曜日、1リットル当たり64,000 ベクレルへと上昇したと述べている。タンクを更に設置する場所は足らなくなりつつあるが、水は流れ込み続けており、もしここで次のリヒター・スケールで6以上の地震があれば、タンクとタンクをつないでいるプラスチック配管そのものが破断し、中味を海に放出しかねない。もし地震が起きなかったら、日本は一体この水をどうするのだろう? 太平洋に放出するしかないだろうことは明白だ。ところが最近、山の帯水層が、ドッと押し寄せ、損傷した炉心を襲うのを防ぐ為、施設の背後と周囲に、長さ1.45km 深さ30メートルの凍土壁建設に、政府は470億円投入すると安倍首相は発表した。 原子力技術者のアーニー・ガンダーセンは、 サイトを片づけ、状況をコントロールしようとするには少なくとも50兆円はかかると推計しており、凍土壁は水をブロックする十分な深さがない可能性があると語っている。更に、凍土壁の維持には、莫大な量の電力を必要とし、原子炉はすべて閉鎖されるだろうから、おそらく石炭で発電されることになろうが、それによって、地球温暖化は促進され、停電するようなことがあれば、凍土が溶けるだろうことは明らかだ。100年以上、凍土は無傷のままでなければならないのだから、良い解決策とは言えない。政府はまた、海に流せるようにすべく、水から放射性元素を除去するという、成功裏になし遂げることは、事実上不可能なギリシャ神話のシーシュポスの様な果てしのない無駄仕事の為に、150億円投入することを計画している。解決策が無い他の問題もある。原子炉施設全体が、びしょ濡れの土地上に立っており、土地は今や不安定で、ぬかるみ、あるいは液状化している。敷地そのものが毎日多数の小規模地震に見舞われているが、リヒター・スケールで6ないし7以上の地震が起きるようなことがあれば、建屋の一棟か複数棟が崩壊し、必ず悲惨な結果になるだろう。 (*本コラムの記述、見解、意見は、全て著者のものであり、必ずしもRTのそうしたものを表すものではない。 記事原文のurl:rt.com/op-edge/fukushima-catastrophe-health-japan-803/ ) PS(2013.9.23追加):*3は、2013年9月23日の日経新聞社説だが、あまりにも非科学的で、馬鹿じゃないかと思った。何故なら、被曝線量を年1ミリシーベルト以下にするとした目標が高すぎる地域なら、放射線の身体への影響に妥協はないため、そこに人が帰還することこそが、非現実的だからである。また、いくら住宅地や農地を除染しても、森林や原野と空気・水で繋がっているため、森林や原野を除染していなければ放射性物質の濃度が次第に平準化してきてすぐにまた汚染され、そこに人は住めない。従って、安全性と除染費用は天秤にかけられないのだ。さらに、年間被曝線量が20ミリシーベルト(5年で100ミリシーベルトに達する)もある地域で、いくら住民の健康管理をしてもDNAの損傷を防ぐことはできず、被曝を減らす努力をしても限度がある。従って、現実的な計画に練り直すとすれば、除染しても線量が下がらない地域の住民には移住政策を進めて安心して生きていけるようにすべきであり、それは事故直後からできた筈だし、やらなければならなかったのだ。 *3:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20130923&ng=DGKDZO60070130T20C13A9PE8000 (日経新聞社説 2013.9.23) 帰還促す現実的な除染計画に 福島第1原子力発電所の周辺で除染が進んでいない。原発に近い11市町村の除染は国が直轄で実施し、来年3月末までに終える予定だった。だが7市町村でそのメドが立たず、環境省は今年末までに計画を見直すとした。除染が遅れているのは、汚染土を運ぶ仮置き場や中間貯蔵施設を確保できず、住民の合意を得るのに手間取っているためだ。長期的に被曝(ひばく)線量を年1ミリシーベルト以下にするとした目標も、自治体などから「目標が高すぎて非現実的だ」と批判が出ている。 住民の帰還や復興には除染が欠かせず、国が責任をもって加速しなければならない。一方で、森林や原野を含めて徹底的に除染するとなると、費用が巨額に膨らむ。線量がある程度下がった地域では、住民の健康管理や被曝を減らす対策に力点を移し、現実的な計画に練り直すべきだ。まず住宅地や農地の除染を急ぎたい。福島県飯舘村では宅地の3%、農地の1%しか除染がすんでおらず、住民の帰還や生活再建の足かせになっている。中間貯蔵施設を早く造る必要もある。環境省は大熊町などを候補地に挙げた。地元に安全性や必要性を丁寧に説明し、計画通り2015年の稼働をめざすべきだ。 住民の帰還の目安となる年間被曝線量を20ミリシーベルト以下、長期的に1ミリシーベルト以下とした目標も、それで妥当なのか改めて議論が要る。年20ミリシーベルトは国際機関が「健康影響を回避する出発点」と定めた数字であり、それを満たすだけでは住民の不安を拭えない。日々の被曝線量をチェックし、放射線が高い場所に近づかないようにするなど、被曝管理が重要になる。除染一辺倒の対策ではなく、住民に線量計を配ってデータを集め、相談窓口や健康診断の体制を拡充する支援策が欠かせない。原子力規制委員会は専門家チームを設け、住民の健康管理に関する支援策づくりを始めた。環境省はそれも踏まえ、住民が安心して帰還できる計画を作ってほしい。
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2013,09,17, Tuesday
2013.8.21朝日新聞より *3より *4より (1)原発の込み入った配菅が、あの大地震で故障しなかったわけがない 原発には、きゃしゃで細長い無数の配管が張り巡らされており、日本の電力会社におけるその管理は、あのようなタンクに汚染水を貯蔵して汚染水を垂れ流したり、ネズミの侵入で停電を起こさせたりするようなレベルである。そのため、私は、*1の福島第1原発事故発生時に1号機で働いていた一人の男性作業員が神戸新聞に対して話した*1の証言は、本当だろうと思う。 (2)日本政府のやり方なら正しいのか疑問 *2に記載されているように、レベル7の爆発事故を起こしたチェルノブイリ原発4号機はコンクリートで固められ「石棺」にされているが、同じレベル7のフクシマは水素爆発であり核燃料はメルトダウンしたものだとして、「水棺」にして冷やし続けている。そのため、2年半も放射性物質による汚染水が海に漏えいし続け、天井が開けっ放しであることによって、放射性物質が空中にも放出され続けているという恐ろしい事態なのである。 また、*2のように、ウクライナでの年間被曝線量と管理方法は ①原発から30キロ圏内は立ち入り制限、②年間5ミリシーベルト以上は強制的な移住と耕作禁止、③年間1ミリ~5ミリシーベルトは希望者には移住支援し耕作は可能、④年間1ミリシーベルト以下でも汚染の監視となっており、区域区分の根拠になっている汚染度の基準には、セシウム137以外のストロンチウム90などの量も含まれる。 一方、日本では、*3のように、放射線量が年間20ミリシーベルト以下なら「避難指示解除準備区域」であり、20~50ミリシーベルトでは「居住制限区域」であって、耕作禁止区域は特にない。また、除染も遅れており、いい加減だが、そもそも除染は、一年以内に終わっていなければ次に進めないものである。また、計測されているのは空間線量のみであり、それもセシウムによる汚染のみである。ここに見えるのは、旧ソ連よりも人権を無視している日本政府の姿だ。 (3)予算獲得と新組織作りしか能がない政府 そのような中、*4のように、安部首相は、ブエノスアイレスで開かれた国際オリンピック委員会で、「汚染水についてはまったく問題はない」と言い、実際には、高濃度汚染水が外洋に流出し続けているため、政府は、470億円の予算をつけ、新しい会議や委員会を作った。しかし、それは、消費生活アドバイザーの秋庭悦子委員が「組織が乱立して、責任がどこにあるのか見えにくくなっており心配だ」と語っている状況なのである。 (4)福島近海の魚介類が安全なわけがない *5のように、東京電力は、16日午後、台風18号の大雨で、汚染水をためているタンク周囲の堰の内側にたまった水の放出を始め、ストロンチウムなどの濃度が法で定める放出限度(1リットルあたり30ベクレル)より低いため緊急措置だと説明している。しかし、それは、*6のように17万ベクレルもある汚染水漏えい域の高放射能のタンク近くのものであり、その汚染水保存タンクの制作はお粗末きわまりなかった。つまり、放射性物質を閉じ込めようという決意は、最初からなかったと判断できるのである。 *7のように、韓国が、この汚染水問題で、9月9日から青森、岩手、宮城、福島、茨城、栃木、群馬、千葉の各県産水産物の輸入を全面的に禁止したので、日本の水産庁が、韓国に輸入規制撤回要求を行い、その理由は「韓国側の措置は科学的な根拠に乏しい過剰なもの」ということだそうである。しかし、食品や薬品は、安全が確認されるまでは口にしないのが当たり前であり、立証責任が逆である。 つまり、安全性の追求や製造物責任は、農林水産物でも非常に重要であり、それをないがしろにすれば、今まで培ってきた日本製品すべての安全・安心の信頼やブランドに傷がつくのであって、日本政府や水産庁がやるべきことは、韓国に苦情を言うより、汚染水漏えい元に苦情を言って、安全な魚介類を提供できるようにすることである。それは、韓国以前に、日本国民に対する誠実さでもある。 なお、福島近海の魚については、少ない検体を調べたデータ(http://www.jfa.maff.go.jp/j/housyanou/pdf/1304-06_result.pdf 参照)があるが、基準値を超えているもの、超えないまでもセシウム濃度の高いものが、低層の海水魚や淡水魚に散見され、ここでもストロンチウムなど、セシウム以外の放射性物質は測定されていない。そして、日本政府は、このデータを外国には報告したが、国内では特に報告せず、報道もされないという状況なのである。 さらに、*8のように、国際原子力機関(IAEA)の科学フォーラムで、気象庁気象研究所の主任研究官が、「原発北側の放水口から放射性物質のセシウム137とストロンチウム90が1日計約600億ベクレル、外洋(原発港湾外)に放出されている」と報告し、これは、総量規制のない基準の作り方そのものの問題点も含め、多くの国民にとって重要な問題だが、日本のメディアは台風被害と”選挙違反”とされた未決案件の報道しかしていない。これで、日本政府や日本のメディアを信頼できるだろうか? *1:http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/201309/0006327170.shtml (神戸新聞 2013/9/11) 地震で配管落下 続く場当たり体質 福島第1元作業員の「遺言」 東日本大震災から11日で2年半。節目の日を前に、福島第1原発事故発生時に1号機で働いていた一人の男性作業員が亡くなった。全身に転移したがんと、石綿(アスベスト)が原因とみられる肺線維症(じん肺)に侵されていた。男性は5月下旬、神戸新聞の取材に応じていた。事故後の東京電力の対応を批判し、「このまま日本各地で原発を再稼働すれば『安全神話』が復活するだけだ」と危機感をあらわにした。福島県郡山市で暮らしていた木下聡さん。原発の電気設備を専門にする技術者で、東電の3次下請けに当たる同県大熊町の会社に40年間勤め、昨秋に退社した。その直後、肺線維症と診断され、肺がんも判明。8月5日、65歳で亡くなった。男性は、原発事故の原因となった全電源喪失について、東電が地震の揺れとの関連を否定することに憤った。「地震発生時、老朽化が進んでいた無数の配管やトレーが天井からばさばさと落ちてきた。下敷きにならなかったのは奇跡。あれだけの破壊で『無事』なんてあり得ない」。最近も、同原発では汚染水漏れやネズミの侵入による停電などが相次ぐ。場当たり的な体質は変わらない。「素人工事の結果だ。熟練作業員が線量オーバーで現場に入れなくなっており、同様の原発事故は今後も起きるだろう」と強調した。「簡単には死ねない。話せるうちに体験を伝えたい」と話していた男性。この時の取材が「遺言」となった。 *2:http://www.nikkei.com/article/DGXBZO59625270S3A910C1000000/?dg=1 (日経新聞 2013/9/16) 放射能半減、その後の世界 フクシマは何を学ぶべきか チェルノブイリ27年後の転機(1) チェルノブイリ原発事故から27年が過ぎた。同原発がようやく本格的な解体作業に入ろうとする一方、原発があるウクライナの国内では拡散した放射性物質が自然減衰し、避難地域の見直しが議論され始めた。チェルノブイリは大きな転機を迎えているが、事故の傷痕は容易に癒えない。ウクライナの姿は福島や日本の将来と重なってみえる。 ■ようやく住民は戻ってきたが…… 爆発したチェルノブイリ原発4号機はコンクリートで固められ「石棺」になっている。「放射線量を政府は計測したが、公表されていない。私たちは知らされていない」。ウクライナ科学アカデミー社会科学研究所のリディア・アムジャディーン博士は話す。秘密主義が横行した旧ソ連時代の話ではない。いまのウクライナでのことだ。ウクライナ政府は原発事故に伴う避難区域の地域指定を見直す検討を始め、8月までに各地で空間放射線量を測ったという。ただその結果は現時点で未公表。多くの国民は避難区域がどのように分類し直されるのか、今は想像するしかない。避難区域は4つのゾーンに分けられている。段階に応じて居住や耕作が制限され避難者への生活補助も決まる仕組みだ。地域指定は1991年に確定した後、これまで一度も見直されてこなかった。ただ主要な汚染物質であるセシウム137の半減期が30年であるため、27年間の自然減衰によって汚染地の空間線量は確実に下がっている。ウクライナ政府が見直しを考えた理由のひとつはここにある。実はこの動きには反発がある。首都キエフの北西約150キロにあるコロステン市。ボロディーミル・モスカレンコ市長は「単純な指定見直しには反対だ」と話す。同市はチェルノブイリ原発から100キロ以上離れているが汚染を受け、事故から数年が過ぎてからゾーン3(自主的な避難の対象)の地域に分類された。事故直後から市民の移住や児童の疎開が始まっていたが、指定後は医師や教師など専門職の市民を中心に転出する人が相次ぎ、一時は人口が約40%減ってしまった。 <ウクライナにおける4段階の区域指定 ①区域区分 汚染度(1平方メートル当たりのセシウム137) ②想定される被曝線(ひばく)量(年) ③管理の仕方> 第1ゾーン ①原発から30キロ圏内 ③立ち入り制限 第2ゾーン ①55万5千ベクレル以上 ②5ミリシーベルト以上 ③強制的な移住、耕作禁止 第3ゾーン ①18万5千~55万5千ベクレル ②1ミリ~5ミリシーベル ③希望者に移住支援、耕作可 第4ゾーン ①3万7千~18万5千ベクレル ②1ミリシーベルト以下 汚染の監視 ③移住支援はなし *区域区分の根拠になっている汚染度の基準には、セシウム137以外のストロンチウム90などの量も含まれる。 そこで国や州政府の産業育成支援を受け復旧に努めた。家屋の屋根や道路を除染した結果、今は人口約6万6千人。事故前の7万2千人には及ばないものの、人々がかなり戻り新しい住民も移住してきた。出生率も上昇し、復興の優等生とみなされるまでになった。指定見直しがあれば、コロステン市はゾーン4(汚染監視のみ)に分類されるとみられる。復興にさらに弾みが付くようにも思えるが、「生活補助がもらえなくなり、被災者への社会的保護がなくなるのは困る」と市長は言う。補助には汚染地で働く手当(毎月約10.5グリブナ=約130円)のほか、医療費や学校給食費の減免、有給休暇の割り増しなど様々な種類がある。86~93年に居住していた市民に権利があり、人口の約86%(約5万7千人)が補助を受け取っている。 ■国家予算の約2割を食いつぶす経費 市長はさらに続ける。「科学者が調べているのはセシウムだけでストロンチウムやプルトニウムに関してはわからない」。低線量被曝の健康影響に関する不安も口にする。見直し反対の意見は、市のあるジトミール州議会を通じて中央政府に伝えたという。同市医学診断センター所長のセルゲイ・チョルニイ医師(小児科)も見直しに反対する一人だ。「補助金はたいして大きな額ではないが、やめること自体が被災者に対しひどい仕打ちになる」。指定見直しが空間線量に基づいて判断され、住民が実際に浴びる線量が考慮されていないのは「おかしい」とも言う。一方で見直しに対して積極的な意見もある。市民の心の相談にあたる同市コミュニティー開発センターのセルゲイ・ヴィジフスキー所長は「ゾーン4に指定されれば、町の外からの投資を呼び込むのに有利になり長期的にみて町の発展につながる」と話す。市民は収入や家族に関し様々な悩みや不安を抱えている。放射能はその一部にすぎず、むしろ放射能の問題は「相対的に比重が小さくなっている」。補助を続けることが「市民の自立心を損なう」とも言う。所長は事故直後に高汚染地で働いたリクビダートル(事故処理作業者)のひとり。いったん町を離れたがすぐに戻った。避難地域見直しは重い政治的課題をはらむ。政府が放射線量計測の結果をすぐに公表しないのも、対立をあおるのを心配してのことかもしれない。 そもそも補助金支給などを盛ったチェルノブイリ支援法は91年のウクライナ独立後に制定された。その内容は旧ソ連時代に固まっていたのである。現在のウクライナに比べれば「財政的に豊かな旧ソ連時代の約束が基礎になっている」と国立戦略研究所のオレグ・ナスビット主任専門官は指摘する。現実問題として、ウクライナ政府はこの法律で定めた補助の満額をすでに支払えないでいる。何十種類もの手当や補助があり、どの程度が未払い状態なのか正確な数字はわからない。ナスビット氏によると、支援法が求めるチェルノブイリ関連の経費はウクライナ国家予算(4120億グリブナ=約5兆円)のおよそ2割にあたる巨額なもの。数え方にもよるが、同国でチェルノブイリ被災者と呼ばれる人は200万人以上にのぼる。避難地域の指定見直しによって、支払い負担を軽減したいとの思惑が政府の側にあるのは間違いない。ただ反対を押し切ってまで踏み切れるのか、未知数だ。 一方日本へ目を向けてみると、福島では避難区域の見直しがすでに始まった。ウクライナに比べて日本は豊かな国だが、避難指定が解除され住民が帰還した場合、やはりウクライナと同様に一定期間が過ぎれば補償金はなくなる。帰還は強制すべきものではない。かといって住民が帰らなければ地域の再生はむずかしい。真の復興につなげるには何が必要で、どのような道筋を経るべきか。少なくとも住民や自治体が納得の上で進めないと、禍根を残しかねない。ウクライナでは「補助は要らない。ただ故郷に戻りたい」としてゾーン2(強制移住の対象)の汚染地域にさえ自主的に戻る住民がいるという。政府はそれを黙認しているそうだ。こじれてしまった生活支援と帰還の関係。「福島では繰り返さないでほしい」(ヴィジフスキー所長)との言葉が重く響いた。 *3:http://digital.asahi.com/articles/TKY201309100634.html?ref=comkiji_redirect&ref=nmail (朝日新聞 2013.9.10) 除染終了時期、示せず 福島7市町村で作業延長 環境省が示した新たな除染工程 環境省は10日、福島県の11市町村で行う国直轄の除染について、今年度中に一律で作業を終えるとしていた工程表を撤回し、7市町村で作業を延長すると発表した。終了時期は示しておらず、住民の帰還時期や復興計画に影響が出そうだ。延長するのは、南相馬市と飯舘村、川俣町、葛尾村、浪江町、富岡町、双葉町の7市町村。環境省は各自治体と協議して、年内にも終了時期も含めた除染計画をまとめる。2012年1月に公表した工程表は、11市町村のうち放射線量が年間20ミリシーベルト以下の「避難指示解除準備区域」と、20~50ミリシーベルトの「居住制限区域」について、今年度中に除染を終了するとしていた。だが、計画通りなのは、すでに終了している田村市のほか、楢葉町、大熊町、川内村の計4市町村だけ。浪江町と富岡町はまだ作業に入っておらず、双葉町については除染計画すら策定されていないなど、作業は大幅に遅れている。 環境省は原因の一つに、仮置き場の設置が進まない問題を挙げ、「除染した土壌などを保管する中間貯蔵施設の見通しが立たないなかで、仮置き場に放置されるのではないかという不信感がある」と説明。地元の理解を得るのに時間がかかっているとした。また汚染の度合いや除染対象の面積など地域によって事情が異なるにもかかわらず一律に作業を終えようとした工程表のずさんさもあった。石原伸晃環境相は閣議後の会見で「当初の混乱の中で見切り発車で作った工程だった」と釈明した。環境省はこの日、一度除染をした場所で再び放射線量が上昇した場合の追加的な除染の実施や、森林の除染範囲の拡大についても正式に発表した。 ■住民「本当に帰れるのか」 工程表の見直しで、今年度末だった除染の終了時期が延長され、終了のメドが立たなくなった飯舘村。原発事故以降、伊達市に避難している農業菅野宗夫さん(62)は「もう、待てない」と嘆く。「生活を奪われたまま、帰還を先延ばしにされている我々村人の間には、国への不信と、本当に帰れるのかという不安が充満している」と胸の内を語った。菅野さんは村で牛を飼い、高原野菜を作っていた。集落営農組合の組合長も務め、コメや野菜、みその宅配が軌道に乗ってきた矢先の事故だった。早ければ14年秋に、村は全村避難している住民の帰村を宣言する復興計画を立てていた。工程表の見直しを受け、今年度の復興計画改訂で帰村宣言の時期を見直すことも検討する。村の住宅の除染は、対象の3%しか終わっていない。「当初の計画が無理なことは国もわかっていたはずだ。なぜもっと早く伝えてくれなかったのか」。菅野さんはそう憤る。当初の工程表にこだわってきた環境省への不信は、地元自治体にも根強い。飯舘村の菅野典雄村長は「現場の除染の大変さが分からない人たちの机上の空論だった」と批判する。川俣町は以前から、環境省の除染計画の見通しの甘さを批判してきた。独自の「町で考える除染終了時期」を、環境省の当初目標より1年後の15年3月に設定。直轄除染の対象となっている山木屋地区の復旧・復興計画を作った。古川道郎町長は工程表の見直しについて、「除染の延長は当然だが、仮置き場の確保も含めて国の責任なのに、今度は終了時期も明確にしない。これでは帰還のメドが立てられない」と反発する。原発事故前は同地区で牧場を経営し、いまは町内の仮設住宅に避難している菅野経芳(つねよし)さん(72)は、環境省の除染の方法についても「非現実的だ」と話す。環境省は牧草地の除染を「表土はぎ取り」だけ行い、覆土はしない方針だ。「環境省の担当者は『代わりに深く耕してくれ』という。表土のすぐ下に岩盤がある山間での農業を全く知らない」。菅野さんは「国が除染を終えたからって、その場所で農業や生活が再開できるとは思えない」と話す。 ■費用負担、枠組み限界 除染が遅れることで、費用がさらにかさむおそれがある。だが、東電が持続的に負担していけるような仕組みは整っていない。政府は昨年11月から計404億円を東電に請求したが、支払い済みは67億円。法律で決まっている東電の負担範囲があいまいで東電が支払いを渋っている面がある。広瀬直己社長は「東電1社ですべてを負担するのは相当無理がある」とし、国に肩代わりを求めたい考えをにじませる。東電は原発事故で経営が行き詰まり、賠償や除染費用を自力で出せない。政府は東電に5兆円を限度に貸し付け、何十年もかけて返させる仕組みをつくった。しかし、賠償費用だけで東電はすでに3・8兆円の枠を使った。残りの1・2兆円では、総額5兆円以上に膨らむとされる除染費用は到底まかなえない。東電は昨年11月、賠償や除染の枠組みを見直すよう政府に求めたが、当時の民主党政権だけでなく、安倍政権も対応はにぶかった。ただ、汚染水対策に政府が国費投入を決め、状況は変わってきた。茂木敏充経済産業相は10日の会見で「国の追加対策がどれくらい必要になるか。こういうものも含め、法的枠組みが必要か見極めたい」と話し、枠組みの見直しに含みを持たせた。 *4:http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2013091702000125.html (東京新聞 2013年9月17日) 危うい対策組織乱立 「コントロール」首相約束受け 東京電力福島第一原発事故の汚染水問題に対応するための組織を政府が最近、多数発足させた。「状況はコントロールされている」とする安倍晋三首相の発言が事実と異なり、既存の組織では問題の解決が難しいことを示している。似た組織が乱立することにより、責任の所在があいまいになり、いざという場合の指揮系統の混乱を招くという指摘も出ている。 首相はブエノスアイレスで七日に開かれた国際オリンピック委員会(IOC)総会の東京五輪招致演説で、汚染水について「まったく問題はない」と明言した。しかし、高濃度汚染水が外洋に流出した可能性が新たに浮上するなど、問題解決の道筋はまったく見えていない。首相は帰国後の十日、五輪招致に関する閣僚会合で「私がブエノスアイレスで約束した汚染水の問題については政府一丸となって責任を果たしていきたい」と、態勢の再構築を指示せざえるを得なかった。政府は同日、汚染水問題の閣僚会議の初会合を開催。関係省庁の実務者による廃炉・汚染水対策チームを傘下につくった。 原子力規制委員会は十三日、海洋モニタリングに関する検討会の初会合を開催。福島第一原発の現地には、原子力規制庁や東電、復興庁などによる現地調整会議や、各省庁の現場担当者らによる現地事務所も置かれた。だが、汚染水問題に関しては経済産業省や規制委員会などに、中長期的な対策や処理技術を検証する組織などが既にいくつも置かれている。十一日にあった内閣府原子力委員会の臨時会議では、消費生活アドバイザーの秋庭(あきば)悦子委員が「さまざまな会議体がつくられたが、とても心配だ。責任がどこにあるのか、組織ができればできるほど見えにくくなっている」と懸念を示した。 *5:http://digital.asahi.com/articles/TKY201309160123.html?ref=com_top6 (朝日新聞 2013年9月16日) 福島第一、汚染水タンク周囲の水放出 台風で緊急措置 東京電力は16日午後、台風18号の大雨で、汚染水をためているタンク周囲の堰(せき)の内側にたまった水の放出を始めた。ストロンチウムなどの濃度が法で定める放出限度(1リットルあたり30ベクレル)より低いといい、緊急措置と説明している。水は周囲の土壌に流れ、原発内に降った雨水と一緒になり、最終的には海に流れる可能性がある。東電によると、16日午後0時40分ごろ、「Cエリア」と呼んでいるタンク群のコンクリート基礎部分にあふれる水を流すため、堰の弁を開けた。放射性物質の濃度は1リットルあたり8~24ベクレルという。計7カ所の堰で順次、放出限度未満ならば雨水と判断して排水を始めた。堰の高さは約30センチで排出弁が付いている。300トンの汚染水漏れが発覚する8月まで弁を常時開いていたが、「タンクから漏れた場合、外部に流れ出す」と原子力規制委員会から指摘され、閉める運用に変更していた。今回、弁を開けるのは、水がたまったままだと新たな漏れが発見できない上、たまった水が汚染されてしまうためという。一方、東電は放射性セシウムの濃度は測っていない。「ストロンチウムなどの濃度から十分低いと考えられる」と説明している。汚染水漏れが発覚した「H4エリア」では、たまった水からストロンチウムなど同17万ベクレルが検出された。すでに漏れた放射性物質の影響という。濃度が高い水は放出せず、回収してタンクに移す。台風で15日には「Bエリア」で堰から雨水があふれるトラブルが起きている。 *6:http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2013091600109 (時事ドットコム 2013/9/16) 汚染水漏えい域で高放射能=タンク近く、17万ベクレル-福島第1 東京電力は16日、福島第1原発でタンクに保管されていた高濃度の放射能汚染水が漏れたエリア内にたまった水を分析したところ、ストロンチウムなどのベータ線を出す放射性物質が1リットル当たり最大17万ベクレル検出されたと発表した。東電は漏えいした放射性物質が地表付近に残っており、採取した水に含まれたとの見方を示している。東電によると、測定したのは15日で、高い濃度が検出されたのは約300トンの汚染水が漏れたタンクのあるエリア北側。東側ではベータ線を出す放射性物質の濃度が同2400ベクレルだった。 *7:http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013091601002032.html (東京新聞 2013年9月16日) 水産庁、韓国に輸入規制撤回要求 汚染水問題で 東京電力福島第1原発からの汚染水漏えいを理由に、韓国が福島県など計8県の水産物の輸入を全面禁止するなど規制を強化した問題で、水産庁の香川謙二増殖推進部長らが16日、韓国の食品医薬品安全庁を訪れ「韓国側の措置は科学的な根拠に乏しい過剰なものだ」として規制の撤回を求めた。韓国側は水産物の汚染の可能性に対する「臨時特別措置」だとし、「日本が提供したデータや対策をよく分析したい」と返答。双方は日韓の専門家同士で協議を継続していくことで一致した。韓国は9日から青森、岩手、宮城、福島、茨城、栃木、群馬、千葉の各県産水産物の輸入を全面的に禁止した。 *8:http://www.47news.jp/smp/CN/201309/CN2013091801001988.html (共同通信 2013/9/18) 外洋に1日600億ベクレル放出 福島原発、気象研の研究官報告 東京電力福島第1原発の汚染水問題をめぐり、気象庁気象研究所の青山道夫主任研究官は18日、国際原子力機関(IAEA)の科学フォーラムで、原発北側の放水口から放射性物質のセシウム137とストロンチウム90が1日計約600億ベクレル、外洋(原発港湾外)に放出されていると報告した。セシウム137の半減期は約30年、ストロンチウム90は約29年。原子炉建屋地下からいったん港湾内に染み出た後、炉心溶融を免れた5、6号機の取水口から取り込まれ、北側放水口から外洋に放出されている。東電は「法定基準以下の濃度と確認して放水しており問題ない」としている。
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2013,09,07, Saturday
汚染水の海への流出経路 2013.8.1東京新聞より フクイチの港湾 (1)消費者のリスク回避行動を風評被害と言えるのか *1によれば、「韓国政府が、福島など8県の全水産物を輸入禁止にした」そうだが、もっともである。私は、リスクを理解しているからこそ、残念ながら食卓のバラエティーは減ったが、この地域の海産物は原発事故以降、口にしていない。原発事故以降、汚染水はずっと漏れ続けていたのであり、メディアを通じた東電や日本政府の発表は信用できなかったからである。 *1には「福島県は原発事故翌月の2011年4月から魚肉の放射線量の調査を続けているが、数値は減少しつつある」と書かれている。また、*2には、「取れた魚介類は放射性物質検査で検出限界値未満であることを確認したうえで、13府県の市場に出荷していた」「福島県では週1回、水産物のモニタリング結果を公表しており、セシウム134と同137の合計、ヨウ素131についてコウナゴなど全部を食べる魚はそのまま、ヒラメなどは筋肉部分をゲルマニウム半導体分析器で測定。8月28日に公表された分では海産物55種158検体、川や湖の魚5種9検体、内水面の養殖魚5種7検体を調べ、国の基準値1キロ当たり100ベクレルを超えたのはコモンカスベ(エイ)のセシウムだけだった」と記載されている。しかし、これでわかることは、週に1回、セシウムしか測っておらず、検体数も一種につき3個体程度であり、統計として全体を推測できる数ではないということである。 従って、サンプルに偏りはないのか、どういう測定器を使って測っているのかも疑問だが、限られた個体のセシウムのみを測って、それが国の基準値1キロ当たり100ベクレルまたは検出限界値以下であったとしても、何年食べ続けても健康を害さないという保証は決してない。正確には、汚染が0でない限りは身体に負担をかけ、食べ続ければ心筋梗塞や癌になるリスクがあると考えるのが普通だ。 このような杜撰な検査をした上で、「福島県は原発事故翌月の2011年4月から、魚肉の放射線量の調査を続けているが、数値は減少しつつある」と言われても意味がないのであり、その地域の海産物がすべて安全とは決して言えず、当事者が楽観的にものを考えている限り、消費者は口にしないのが賢明なのである。これを風評被害と言うのは、誰にも決して実害がないことを実証してからにすべきだ。 (2)日本のメディア、東電、日本政府の意識 *2に「今、急に漏れたのではなく、海中の放射性物質のデータを見れば、原発事故当初から流出は続いていた。どの研究者も同じ見解を持っていた」「2011年4月には、2号機取水口付近から大部分を防波堤に囲まれた発電所専用港湾内へ高濃度汚染水が流れ出た」「1日に湾内の海水の44%が湾外と交換されていることが分かり、試算した11年6月から12年9月の間だけで17・1兆ベクレルのセシウム137が湾外に出たことになる」と書かれているが、誰でもそう思っていただろう。港湾内の水は港湾外の海水とは混じらないと言われて信じる人というのは、どういう人なのだろうか。 *3に、「全国漁業協同組合連合会の岸宏会長が9月6日、原子力規制委員会の田中俊一委員長が『(汚染水を基準値以下にした後に)海に放出することは避けられない』と発言したことを受け『漁業者としては到底受け入れられない』と批判した」と書かれているが、基準値以下に薄めれば大量の汚染水を放出しても問題ないと考える人はいないだろう。もちろん、放射性物質が0なら問題はないが、放射性物質は総量でどれだけ出したかが問題なのである。 *4には、「東京電力福島第1原発の汚染水漏れ問題で中断した福島県漁連の試験操業が、今月末に再開する見通しになった。検査結果に問題がない以上、流通も試験操業の一環。黙って反応を探るより、動いて確かめたい」「いわき市漁協の矢吹正一組合長は『延期が続けば、福島の漁業のイメージが薄れる。漁師の根性を見せたい』と述べた」と書いてあり、気持ちはわかるが、ここは根性よりも安全・安心の科学的根拠を示すことが重要である。そうでなければ、何も信じられなくなり、せっかく戻っていた魚食から消費者が離れるだろう。 (3)では、どうすればよいのか? *5の食品表示法だが、農産物の栄養表示、産地表示、放射性物質の含有に関する表示は、消費者が選択する上で大変重要であるため、行うべきである。それにより、手をかけてよい製品を作った人が報われる。また、海産物についても、産地表示、養殖・天然の別、栄養表示、放射性物質の含有に関する表示は必ず行ってもらいたい。 現在は、缶詰、外食、加工品では、放射性物質の含有に関する表示も原産地表示も行われていないため、リスクを回避するには、危なそうな海域に住む魚はすべて買わない、外食は控える、日本産は買わないというような方法しかないのである。 *1:http://digital.asahi.com/articles/TKY201309060065.html?ref=comkiji_txt_end_kjid_TKY201309060065 (朝日新聞 2013.9.6) 福島など8県の全水産物、韓国が輸入禁止へ 汚染水問題 韓国政府は6日、東京電力福島第一原発の汚染水漏れを受け、福島など8県の水産物の輸入を9日から全面禁止すると発表した。これまでは輸入禁止を50種に限ってきたが、汚染水による水産物への影響が見通せないことから、対象を全水産物に拡大した。韓国政府によると8県は福島のほか茨城、群馬、宮城、岩手、栃木、千葉、青森。この8県の水産物は今後、放射能汚染の有無と関係なく韓国内での流通が全面的に禁止される。昨年の日本産の輸入量は約4万トンで、うち8県からの輸入は約5千トンという。8県以外の水産物についても、放射性物質のセシウムが微量でも検出されれば、他の放射性物質の検査証明書を追加で要求することを決定。韓国政府関係者は「追加検査には時間がかかるため、微量でも放射性物質が検出された水産物は事実上、遮断される」としている。さらに、日本産が国内産と偽って流通されることを防ぐため、国内産食品の放射能検査基準を強化し、日本産に適用している基準と同じにするとしている。一連の措置について韓国政府は、海への汚染水流出に対する韓国国民の懸念が強まっている▽日本政府から提供された資料だけでは今後の事態を正確に予測することが難しい――などを理由として挙げた。韓国では、日本の汚染水流出が連日報道され、市場で日本産水産物の販売が不振になったり、韓国内の魚の消費にも影響が出始めたりしていた。 農林水産省のまとめでは、福島の事故を受け、韓国や中国、米国、欧州連合(EU)、ロシアなどが福島県などの水産物の輸入を規制していた。事故直後は全面停止の国が多かったが、2011年6月から今年3月にかけ、ニュージーランド、カナダ、マレーシアが完全に解除。米国も一部の魚種以外は、事故直後から米国内で検査することを条件に規制を解いた。EUは12年10月に対象県を減らすなど緩和した。一方、中国は7月末現在、福島、宮城、千葉など10都県の水産物について、放射性物質の数値を問わず輸入を停止したままだ。他道府県には、日本政府の放射能検査証明書と原産地証明書の提出を求めている。水産物の輸出量は、震災前の10年は約56万5千トンだったが、11年は25%減の約42万4千トン。水産庁は原発事故による輸出規制の影響とみている。福島県は原発事故翌月の11年4月から、魚肉の放射線量の調査を続けているが、数値は減少しつつあるという。 *2:http://mainichi.jp/feature/news/20130903dde012040014000c.html (毎日新聞 2013年9月3日) 福島第1原発の汚染水漏れ 食卓の魚は大丈夫か ◇放射性物質は減少傾向/サンマ、心配なし/じゃこ、海藻がお勧め 東京電力福島第1原発から放射性汚染水はやはり海に漏れていた−−。専門家は「当然の事態」と口をそろえるが、消費者の不安は増すばかりだ。次々に新しい事実が公表され危機の深刻度が高まる中、食卓に上る魚たちは大丈夫なのだろうか。福島県漁業協同組合連合会(県漁連)は8月28日、9月初旬から同県沖で再開予定だった相馬双葉漁協といわき市漁協の試験操業を延期することを正式決定した。いわきの試験操業は原発事故後、初めてとなるはずだった。「東電が『汚染水が海に流出したかもしれない』と言っている今、見送りはやむを得ない」と県漁連の復興担当者は嘆く。福島県沖では、昨年6月から比較的汚染が少ないとされる県北部の相馬双葉漁協が試験操業を開始。対象を16魚種に拡大し、海域も双葉町沖から広野町沖にまで広げた。取れた魚介類は放射性物質検査で検出限界値未満であることを確認したうえで、13府県の市場に出荷していた。 福島県では週1回、水産物のモニタリング結果を公表している。セシウム134と同137の合計、ヨウ素131についてコウナゴなど全部を食べる魚はそのまま、ヒラメなどは筋肉部分をゲルマニウム半導体分析器で測定。8月28日に公表された分では海産物55種158検体、川や湖の魚5種9検体、内水面の養殖魚5種7検体を調べ、国の基準値1キロ当たり100ベクレルを超えたのはコモンカスベ(エイ)のセシウムだけだった。今年6月以降、汚染水問題は深刻化の一途をたどってきた(別表)。「後出しじゃんけん」のように相次ぐ東電の発表に不信感を強めるのは、魚を食べる消費者も同じだ。 福島沿岸で2011年夏から調査を継続中の東京海洋大の神田穣太(じょうた)教授は「汚染水漏れのニュースが出始めてから特に魚の汚染が悪化したわけではないと捉えています」と語る。しかし、だから安心という話ではない。「今、急に漏れたのではなく、海中の放射性物質のデータを見れば、原発事故当初から流出は続いていた。どの研究者も同じ見解を持っていました」。11年4月には、2号機取水口付近から大部分を防波堤に囲まれた発電所専用港湾内へ高濃度汚染水が流れ出た。神田教授は同港湾内の海水中のセシウム137の減り方から海水の動きを分析。1日に湾内の海水の44%が湾外と交換されていることが分かった。試算した11年6月から12年9月の間だけで17・1兆ベクレルのセシウム137が湾外に出たことになる。公には「海への流出はない」とされていた時期に、である。 *3:http://www.nikkei.com/article/DGXNASDF0600J_W3A900C1EE8000/ (日経新聞 2013/9/6) 全漁連、汚染水の海洋放出「受け入れられず」 全国漁業協同組合連合会の岸宏会長は6日、東京電力福島第1原子力発電所の汚染水問題の早期収束を求める要望書を茂木敏充経済産業相に手渡した。岸氏は原子力規制委員会の田中俊一委員長が「(汚染水を基準値以下にした後に)海に放出することは避けられない」と発言したことを受け「漁業者としては到底受け入れられない」と批判した。茂木氏は「いかなる状況でも汚染水の海への安易な放出はしない」と応じた。岸氏は韓国政府が福島県など8県の水産物の輸入を全面禁止した措置について「輸出に大きな影響が出ることを憂慮している」と述べた。一方、茂木氏は同日、福島第1原発周辺の同県楢葉、大熊、富岡、双葉4町の町長らとも会談した。楢葉町の松本幸英町長は、東電の汚染水対策への監視を強化したり、対策の進み具合を地元住民に分かりやすく説明したりすることを求めた。茂木氏は「情報を迅速、的確に発信できる体制をつくりたい」と応じた。 *4:http://mainichi.jp/select/news/20130907k0000m040055000c.html (毎日新聞 2013年9月6日) 福島第1原発事故:県漁連、試験操業再開へ…汚染水で中断 東京電力福島第1原発の汚染水漏れ問題で中断した福島県漁連の試験操業が、今月末に再開する見通しになった。相馬双葉漁協といわき市漁協などの代表者が6日、会合を開き方針を決めた。操業海域で県が実施した海水の放射性物質検査で汚染水の影響が見られなかったことなどから、対象魚種や海水の検査を強化して再開する。相双漁協の佐藤弘行組合長は会合後、「検査結果に問題がない以上、流通も試験操業の一環。黙って反応を探るより、動いて確かめたい」と話した。いわき市漁協の矢吹正一組合長は「延期が続けば、福島の漁業のイメージが薄れる。漁師の根性を見せたい」と述べた。 *5:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=23225 (日本農業新聞 2013/9/6) 食品表示法 不安の声 根強く 消費者庁説明会 消費者、業者とも懸念 消費者庁は5日、東京都内で、加工食品の栄養成分表示を義務化する「食品表示法」の説明会を開いた。食品関連事業者や消費者ら350人が参加。会場からは「栄養成分の検査や表示費用がかさみ経営を圧迫する」といった不安の声が上がった。原料原産地表示の義務拡大や遺伝子組み換え(GM)表示の検討が始まらないことに不満の声も相次いだ。同庁は、食品表示に関する三つの法律(食品衛生法、JAS法、健康増進法)を一元化する意義を説明。「安全性や品質などの表記を分かりやすくするため、原材料や添加物、食品表示のルールの統一が不可欠」とした。 大きく変わる点として、加工食品の栄養成分表示の義務化を挙げた。食品の加工業者などからは「表示の義務化は、どの規模の事業者までなのか」といった質問が出た。消費者からは、加工食品の原料原産地表示の義務化拡大や、GM表示の規制強化について同庁の検討が始まらないことに業を煮やし、「なぜ(検討を)進めないのか」といった厳しい質問も出た。これに対し、同庁は「今後関係者の意見を聞きながら検討したい」と答えるにとどまった。説明会後、千葉県の70代の農家男性は「安い海外の原材料を使って日本で作ったから、日本製と表示する業者もある。原料原産地表示は絶対に必要だ」と強調した。 PS(2013.9.9追加):*6のように、私もオリンピック誘致のためとはいえ、「状況はコントロールされている」という回答には納得できなかった。さらに、「汚染水は港湾内に排出されたから、外洋には出ない」というのも、潮の満ち引きで海水が入れかわるのに、誰が考えてもあり得ないだろう。 *6:http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013090801001923.html (東京新聞 2013年9月8日) 汚染水めぐる首相発言に批判の声 福島の漁業者ら「あきれた」 「状況はコントロールされている」。安倍晋三首相は、国際オリンピック委員会(IOC)総会で、東京電力福島第1原発事故の汚染水漏れについて、こう明言した。しかし、福島の漁業関係者や識者らからは「あきれた」「違和感がある」と批判や疑問の声が上がった。「汚染水の影響は福島第1原発の港湾内0・3平方キロメートルの範囲内で完全にブロックされている」とも安倍首相は説明した。だが、政府は1日300トンの汚染水が海に染み出していると試算。地上タンクからの漏えいでは、排水溝を通じて外洋(港湾外)に流れ出た可能性が高いとみられる。
| 原発::2013.9~11 | 01:10 PM | comments (x) | trackback (x) |
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