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2015,03,29, Sunday
日米中の 購買力平価による 購買力平価で見た 日本の債務残高 出生時代別 名目GDP 一人当たりGDP GDP順位の変化 人口割合 I.無駄遣いは、こちら (1)人の痛みを思いやり、よりよい解決策を考えるべき *1-1のように、2015年3月24日、「国が投入した巨大なブロック塊がサンゴ礁を破壊している問題で、翁長雄志知事は沖縄防衛局に対し、海底ボーリング調査など全ての海上作業を30日までに停止するよう指示し、『腹は決めている』と述べた」とのことだが、翁長知事の決意は、最近のすべての選挙で示された沖縄の民意である。しかし、菅官房長官は、「全く変更せず、粛々と進める」と述べたので、私もうんざりした。何故なら、日本が民主国家なら、ここは“粛々”と進めるべき場所ではないからである。 しかし、*1-2のように、2015年3月28日、沖縄県が出した名護市辺野古海域での作業停止指示に、中谷防衛庁長官は「正当な手続きが済んでいる」と述べ、沖縄防衛局は不服として農水省に申し立て、その審査請求書には沖縄県内世論の大多数が辺野古移設に反対していることには触れずに「(作業停止は)普天間の返還遅れに直結し、周辺住民が騒音にさらされ続けることになる」とするなど、一方的な主張が目立つとのことである。 そして、*1-3のように、農相は、2015年3月28日、「翁長氏の指示には正当性がない」として、沖縄県知事による米軍普天間飛行場移設先、名護市辺野古沿岸部で作業を進める沖縄防衛局への作業停止指示の効力を止める意向を固めたそうだ。 しかし、私は、*1-4のように、名護市辺野古への移設については、これまでの経緯を見ればわかるとおり、政府は他の移設先を探すべきだと考える。中谷防衛庁長官が根拠としている「正当な手続き」の重要な一部である仲井眞知事の承認には、どう見ても国の恫喝による強制があったと思われた。そのため、菅官房長官が「翁長氏の指示は違法性が重大かつ明白で無効だ」と批判しているのは、日本の民主主義と公正性にかんがみて、どちらがおかしいのかをもっと大きな視野で司法に問うべきことになる。 そして、現在は本当に必要な公共工事が目白押しであるとともに、埋め立ては無駄遣いで環境を壊し、硫黄島などの離島を提供する方が合理的であるため、米軍海兵隊の機能や何の抑止力になりうるのかなど、今一度、冷静に考えて結論づけた方がよい。 (2)原発にのみ税金から膨大な補助をすることにより、最もよい技術を残していく自然淘汰を阻害して いるのが日本の政治家・行政官であり、これらに、どういう人材が就いているのかが問題 原子炉内部を 汚染水対策の 放射性物質の取扱い失格 もんじゅ さらに原発保護 今頃透視して 無駄遣い 重要配管点検漏れ メルトスルー確認 経産省と電力会社を中心として、原発への無駄遣いが目に余る。そして、既に起こってしまったフクシマ事故については、保障せざるを得ないが、40年も稼働しながら補助の継続を必要とするような技術は、使い物にならない。 そのような中、*2-1のように、会計検査院の調査で、東電は2014年3月までに廃炉・汚染水対策として3455億円を支出し、そのうち約700億円は、除染装置の機能不全で無駄になったそうだ。処理水を溜めるために160億円かけて設置したボルト締め型のタンクは現在造り直しており、21億円で整備した地下貯水池も処理水漏れで使えなかったが、これらは、放射性物質をあまりにも甘く見ていた結果だ。 さらに、汚染水を凍らせて止水する狙いで、海側の地下トンネルにたまった高濃度汚染水の抜き取りに向けた実証実験を子会社の東京パワーテクノロジーに1億円で委託したが、汚染水は凍らず作業員が手作業で氷を投するという、ちょっと考えれば事前にわかる馬鹿な結果となった。 また、*2-2のように、会計検査院の試算によれば、国が東電に支援する9兆円を全額回収するには30年超かかる可能性があり、国は東電が事業利益から出す特別負担金や東電株式(1兆円相当)の売却益などで回収する計画だが、検査院は「高価格での東電株式売却は確実でない」と指摘している。 その上、*2-3のように、経産省、「もんじゅ」の技術開発費1401億円を原発コストに含めず、原発のコストは他のエネルギーよりも安いと主張する。しかし、太陽光発電の開発費はシャープが拠出し、これが通常の製品であって開発費はコストの一部であるため、コスト比較に不公正があるのだ。また、「事故の発生確率は約40年に1回」「原発の安全対策をしているのに事故リスクが下がらないのは、つじつまが合わない」「前回も世界最高水準の安全対策をとることが前提だったため、確率を変えるのは反対だ」というように、事故の確率に関する科学性のなさも問題で、これが原発力ムラのレベルなのだ。 そのような中、*2-4のように、経産省は、原発再稼働と電力自由化を睨み、電力会社が独占してきた原発の安い電気をだれでも売れるように、原発由来の電力を新電力に供給することを義務付けるそうだ。それは、今後、原発への公的な支援拡大が避けられず、世論の支持を得るためだそうだが、その公的支援は、最も優れた発電方法に淘汰していくことを邪魔し、最もコストが高くて危険な原発を温存する、逆効果の無駄遣いなのである。 II.国は、国民が保険料を支払ってきた基金の受託者であるため、正当な注意なき管理による不足分を、委託者である国民(受け取る高齢者)に、しわ寄せすることは許されない。 年金制度 マクロ経済スライド 2014.11.28朝日 介護保険料値上げ (1)インフレ政策の罪 *3-1のように、黒田日銀総裁が「秋以降に物価上昇率が加速する」と述べたように、政府と日銀は、脱デフレを目的して金融緩和による物価上昇政策(つまり、インフレ政策)を行っている。それは、2015年度末にかけて2%の物価上昇目標を達成して堂々と消費税増税を行うため、及び、*3-2のように、「マクロ経済スライド(意味のない名前だ)」を適用し、物価上昇で実質年金支給額を目減りさせる目的があり、ここに高齢者の生活に対するやさしさや配慮は全くない。そして、これは、高齢者の犯罪が増えている原因である。 *3-1によれば、黒田氏は、「①全国消費者物価指数が原油安の影響を受けて、0%程度の低い上昇率にとどまる可能性がある」「②(物価の伸び悩みが賃金改善を遅らせる)悪循環につながる懸念は払拭された」「③外国為替相場の円安の定着で輸出が持ち直し、経済全体がうまく回り始めた」としたそうだが、これらはすべて経済学的におかしく、それをまともに批判できるメディアがないのも驚きだ。 実際には、この金融緩和による物価上昇政策(つまり、インフレ政策)の影響で、円ドルレートは80円前後から120円前後になったため、我が国のドル換算GDPは単純に2/3になった。また、物価上昇した分だけ国民の購買力は低下し、購買力平価で見た一人当たりGDPは左から2番目の図のとおりだ。それにもかかわらず、こうしなければ輸出や企業立地が増えずに③の状態であり、国家財政も大赤字なのであれば、それが日本経済の実力と言わざるを得ないが、そうなってしまった大きな理由に、Iに記載した政治・行政の誤った政策による付加価値を上げる新産業への妨害や生産性の低い雇用、投資がある。 なお、②の「デフレでは賃金が減り、デフレスパイラルに陥る」と言っている人は多いが、付加価値を高くできない無駄な投資をしている日本経済の実力では、日本全体として実質賃金が上がるわけはない。また、百歩譲って実質賃金が上がったとしても、上の右図のように人口の30%を占める高齢者の年金所得が減り、生活にさえ困っている状態なのだから、高齢者は節約モードに入って、①の原油安は福音でこそあれ、国内需要が増えて経済が活性化することにより物価が上昇をするなどということはない。 なお、経済学の理論上も、GDPの一定割合の投資ができるためには、同じ割合の貯蓄が必要であるため、現在の政策では、生産性を上げる民間投資も民間貯蓄も減るしかないのである。 (2)政府が低所得の高齢者からむしりとる政策は破廉恥で、若者の倫理観にも悪影響を与えている *3-2のように、物価が上昇に転じても、年金抑制策「マクロ経済スライド」機能して、公的年金はこれまでのように増えなくなり、これにより実質年金額が下がるため、現在及び将来の実質年金支払額が減ることになるが、最低年金の底上げは先送りされており、これこそが、最も大きなインフレ政策の目的であろう。そして、高齢者が負担する介護保険料も上がっており、「年寄りは(若者に負担をかけずに)早く死ねということか」と言われても否定できない破廉恥な状況なのである。 その上、*3-3のように、政府は、子への「結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置」「教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税措置」「住宅資金贈与の非課税制度」などを創設し、高齢者から子や孫への教育・住宅資金の贈与を奨励している。しかし、高齢者の貯蓄は働けなくなった後の生活費であるため準備があるのが当然であり、贈与した祖父母が年を取った時に資金不足に陥ったり、子や孫が一時的に分不相応な出費をしたり、また格差の固定化の問題があったりするのである。 (3)では、どうすればよいのか 年金については、2012年12月18日、2014年5月5日始め、このブログの「年金・社会保障」のカテゴリーに、これ以外なら不公正になると思われる唯一の提案を何度もしてきた。つまり、国は、年金制度を積立方式に戻して退職給付会計を採用し、年金基金のずさんな管理を改め、これまでのずさんな管理・運用で足りなくなっている積み立て分は国債で賄い、その国債は次世代までかけて返済することとして、暮らしていける年金給付を行うべきなのである。 それにより、政府に邪魔されずに市場が機能して、無駄な公共事業で悪循環になることもなく景気が回復し、高齢者が必要とする製品が売れて本物の需要が喚起され、高齢化社会で必要とされる新製品や新技術の開発が進むのである。 III. その他 (1)外国人を労働力と認めず、技能実習生とする差別 *4に、外国人技能実習制度の対象職種として、新たに介護分野を加える方針を厚生労働省が固め、それは、介護現場の深刻な人手不足によると記載されている。しかし、私も、技能実習制度の名の下に、労働者を最低賃金を下回る低賃金などの劣悪な条件で雇用するのは、介護制度にプラスでないばかりか、外国人に対する人権侵害だと考える。 これは、国連や米国から「人身売買」などと厳しく批判され、日弁連も制度の廃止を求めているものであるため、厚労省はじめ政府がブラック企業のようにならないためには、早急に見直して正当な外国人の雇用を進めるべきである。 (2)カジノ解禁で博打国家へ(!?) その上、*5のように、自民、維新、次世代の3党がカジノ法案を国会に再提出しようとしているのは、もともと自民党系のこの3党であれば予想外というわけではないが、カジノは法律で禁じられている博打であることを考えれば、全く見識に欠ける。 また、観光目的といっても、日本は、カジノがなければ面白くないような場所ではない上、カジノで巻き上げられてよい思い出を持って日本を後にする外国人はいないため、国益にもならない。 IV. 結論 ここまで見て、私には、日本では若いヤマト人男性の幸福しか追求されておらず、他の人はそのために犠牲になるべきだという前提があるように見えた。これは、日本国憲法前文の「われらは、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」、同13条の「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」に違反しており、先進国の常識にもあわない。 それにもかかわらず、“主権者”がそういう人を為政者に選ぶ事態となった理由についても問題にすべきであり、経済学を本当の意味では理解しておらず、空気を読んで報道することしかできない人が、メディアとして「言論の自由」「報道の自由」など語る必要はないし、その資格もないと考える。 <環境破壊と公共工事による無駄遣い> *1-1:http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-240804-storytopic-11.html (琉球新報社説 2015年3月24日) 新基地停止指示 安倍政権は従うべきだ 知事判断に正当性あり 目の前に横たわる不条理に対し、冷静に法理を尽くし、粛々と是正を求める権限行使である。沖縄の尊厳を懸けた安倍政権との攻防は新たな局面を迎えた。名護市辺野古への新基地建設に向け、国が投入した巨大なブロック塊がサンゴ礁を破壊している問題で、翁長雄志知事は沖縄防衛局に対し、海底ボーリング(掘削)調査など全ての海上作業を30日までに停止するよう指示した。作業停止を拒む政府に対し、翁長知事は「腹は決めている」と述べた。埋め立て本体工事の基盤となる岩礁破砕許可も取り消される公算が大きくなった。 ●「主権」はどこへ 翁長知事は安慶田光男、浦崎唯昭の両副知事と共に会見した。新基地建設阻止に向けた不退転の決意を県内外に示す狙いがあろう。「沖縄のことは沖縄が決める」。われわれは地方自治の原則に根差した知事の決断を強く支持する。問題を整理しよう。国は新基地建設に抵抗する市民を排除するため、埋め立て海域を取り囲む臨時立ち入り制限区域を設けた。その上で、埋め立てを承認した仲井真弘多前知事から昨年8月に岩礁破砕の許可を得た。広大な臨時制限区域を示す浮標灯を固定する重りとして、沖縄防衛局は海底に最大160キロの鋼板アンカー248個を設置したが、大型台風で120個が流出した。消えたアンカーの代わりにしたブロック塊の重量は10~45トン、低く見積もっても当初のアンカーの62~280倍に及ぶ。環境保全に背を向けた常軌を逸した対応だ。埋め立て海域とは関係ない海域で巨大なブロックがサンゴ礁を無残に押しつぶしている。「無許可行為」が確認されれば、岩礁破砕許可取り消しなどを命じることができる。知事の作業停止指示には環境破壊を防ぐ法的正当性がある。一方、県は臨時制限区域内で、サンゴ礁の破壊の有無を調べる立ち入り調査を申請したが、米軍は「運用上の理由」を挙げ、不許可にした。だが、沖縄防衛局は連日、潜水調査を実施しており、運用上の理由は成り立たない。防衛省や外務省は県の調査実現の仲介さえしようとしない。狭量な二重基準が極まっている。安倍政権と米軍が気脈を通わせた県排除の構図だ。日本国内の環境を守るための調査さえかなわないなら自発的な「主権喪失」と言うしかない。安倍晋三首相が国会などで連呼してきた「主権」は沖縄では存在しないかのようだ。 ●低劣な品格あらわ 「全く問題はない」。沖縄の基地負担軽減を担当しているらしい菅義偉官房長官はこの日も硬い表情で断定調の「全く」を再三口にした。強気一辺倒の物言いには、沖縄を敵視する響きがある。見たくない現実から目を背け、都合のよい事情だけ取り入れて強がり、恫喝する。仲井真前知事による埋め立て承認にすがりつき、沖縄の民意を問答無用で組み敷くことしか打つ手がないことの表れだ。子どもじみた心性が際立つ。民主主義の価値を損なう政権の低劣な品格が映し出されている。沖縄の民意は「普天間固定化ノー、辺野古新基地ノー」だ。掘削強行や人権無視の過剰警備など、安倍政権のやることなすことが沖縄社会の反発を強める悪循環に陥っている。「辺野古移設か、固定化か」という脅しも沖縄に基地を押し込める差別を助長している。普天間飛行場は戦後、米軍が民有地を強制接収して造った。奪われた土地にできた基地を動かす先がなぜ県内なのか。かつて県内移設を認めていた県民も根本的な疑念を深め、今は総じて7割超が反対している。普天間飛行場を抱える宜野湾市でも民意は鮮明だ。昨年の県知事選と衆院選で危険性除去を訴えた仲井真前知事と自民党現職は大差をつけられた。民主主義を重んじる正当性は沖縄にある。安倍政権は工事停止指示を受け入れるべきだ。追い込まれているのは政権の側である。 *1-2:http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-241032-storytopic-11.html (琉球新報社説 2015年3月28日) 防衛局不服文書 沖縄の痛み感じ県外移設を 米軍普天間飛行場の移設計画をめぐり県が出した名護市辺野古海域での作業停止指示について、沖縄防衛局が不服として農水省に申し立てた審査請求書などの内容が明らかになった。県内世論の大多数が辺野古移設に反対していることには触れず「(作業停止は)普天間の返還遅れに直結し、周辺住民が騒音にさらされ続けることになる」とするなど、一方的な主張ばかりが目立つ。そもそも国の機関が別の国の機関に行政不服審査法に基づく審査請求や執行停止を申し立てられるのか。同法は第1条で国民に不服申し立ての道を開き「国民の権利利益の救済を図る」ことをうたっている。つまり申し立ての当事者は国民だ。国ではない。防衛局は「特権的立場あるいは優越的地位」ではなく「一般私人と同様の立場」で申し立てたと弁明した。防衛省と農水省という政府の身内同士が申立人と審査人の立場になることは疑問だ。「特権的」「優越的」にないと主張するのもあまりに苦しい弁明だ。公正、公平な判断が出る環境が担保されていると誰が思うだろうか。防衛局は岩礁破砕を「海域における地殻の隆起形態を変化させる行為」と記し「サンゴ礁にまで発達したとは認められないサンゴ類をき損する行為は規制の対象とならない」と自論を展開している。サンゴ礁とはサンゴの群落を指す。コンクリートの下敷きになっていたのは複数のサンゴ類だ。小規模ながらも群落を形成しており、これをサンゴ礁から除外することが果たして妥当なのか。群落でないサンゴ類だとしても、岩礁に含まれないから破砕しても構わないという主張は極めて乱暴だ。普天間移設についても名護市辺野古が「唯一の解決策」と記した。中谷元・防衛相は大臣就任前に学生のインタビューに答え、普天間飛行場の県外移設について「理解してくれる自治体があれば移転できる」と断言していた。「唯一」でないことを防衛相自身が認めている。詭弁を繰り返すのはもうやめるべきだ。意見書を出した翁長雄志知事は辺野古移設を強行する政府について「沖縄県民の痛みを感じない、感じようとしない」と批判した。正しい指摘だ。国がすべきは執行停止や審査請求を申し立てることではない。県民の痛みを受け止め、県外移設を真剣に検討すべきだ。 *1-3:http://www.saga-s.co.jp/news/national/10201/171259 (佐賀新聞 2015年3月28日) 農相、県の停止指示「無効」へ、辺野古作業、30日にも発表 林芳正農相は28日、沖縄県の翁長雄志知事による米軍普天間飛行場(宜野湾市)の移設先、名護市辺野古沿岸部で作業を進める沖縄防衛局への作業停止指示の効力を止める意向を固めた。県が農相に提出した意見書を精査する作業を進めた上で、30日にも発表する。沖縄県は27日に提出した意見書で、防衛局が翁長氏の指示の効力を止めるため農相に提出した執行停止申立書は「不適法であり、却下されるべきだ」としていた。林農相は、「翁長氏の指示には正当性がない」とする防衛局側の主張の方が妥当との判断に傾いた。知事の指示の効力が停止されれば、防衛局は作業を継続できることになる。 *1-4:http://www.topics.or.jp/editorial/news/2015/03/news_14275014549174.html (徳島新聞社説 2015年3月28日) 辺野古移設で対立 政府は沖縄の声を聞け 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設をめぐり、政府と沖縄県の争いが全面対決の様相になってきた。翁長雄志知事が、辺野古沿岸部での海底ボーリング調査を停止するよう指示したのに対し、政府は無視して作業を続けている。双方は法廷闘争も辞さない構えだ。このままでは対立が決定的になり、修復できなくなる恐れがある。ここまで事態が悪化した原因は、沖縄の声を聞かず、強引な手法をとってきた政府の側にあろう。政府は作業を中止し、県との話し合いを始めるべきだ。翁長知事は、指示から7日以内に作業を停止しなければ、海底の岩石採掘などの岩礁破砕に関する許可を取り消すと警告している。作業停止の期限は今月30日である。知事が停止を指示したのは、防衛省がボーリング調査のため投入した大型コンクリート製ブロックが、岩礁破砕の許可区域外でサンゴ礁を傷つけている可能性が高く、作業を止めて県が調査する必要があると判断したためだ。県は、岩礁破砕許可が取り消されれば、防衛省はボーリング調査を続行できなくなると主張している。これに対して防衛省は、県の破砕許可は不要と反論。対抗措置として、行政不服審査法に基づき、指示の執行停止を求める申立書などを林芳正農相に提出した。菅義偉官房長官は「翁長氏の指示は違法性が重大かつ明白で無効だ」と批判する。だが、県の潜水調査では、1カ所でサンゴ礁の損傷が確認されている。他の地点も確かめ、問題があれば是正させたいというのは県として当然ではないか。防衛省は昨年8月にボーリング調査を始め、翌9月に中断した後、今月再開した。翁長知事は、前知事による埋め立て承認の是非を検証する有識者委員会を1月に設置し、検証が終わるまで調査を再開しないよう求めていた。それを一顧だにせず、抗議する人たちを力で排除しての強行だった。乱暴なやり方に「これが民主主義なのか」と県民から怒りの声が上がったのはもっともだろう。菅官房長官は「わが国は法治国家だ」「法令に基づき、粛々と工事を進める」としている。しかし、前知事が公約に背いて踏み切った辺野古の埋め立て承認は、昨年11月の知事選で大敗を喫したことで県民からノーを突き付けられた。昨年の名護市長選と衆院選でも、移設賛成派は完敗した。沖縄の民意は明確に示されている。それを無視して進めることが正当な方法といえるだろうか。翁長知事は就任後、安倍晋三首相と菅官房長官に一度も会えていない。安倍首相はきのうの参院予算委員会で「国と地元がさまざまな取り組みについて連携を深めていく中で、翁長氏との対話の機会も設けられると考えている」と述べた。首相は中韓両国首脳との会談開催をめぐり、前提条件を付けるべきではないとし、対話のドアは常にオープンだと強調している。その姿勢を沖縄に対しても貫いてもらいたい。地元の理解と協力を得ようとするなら、まずは県民の声に耳を傾けるべきである。 <原発には税金から多額の補助をして技術進歩を阻害> *2-1:http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2015032402000121.html (東京新聞 2015年3月24日) 汚染水対策700億円無駄に 東電 除染装置不具合など 東京電力が福島第一原発事故の汚染水対策に投入した一部の除染装置などが十分に機能せず、約七百億円が無駄になっていたことが、会計検査院の調査で分かった。検査院によると、東電は二〇一四年三月までに廃炉・汚染水対策として三千四百五十五億円を支出した。東電はこれまで対策費用の内訳を「個別の契約内容」として明かしていない。最も多額なのは、一一年四月に仏アレバ社など六社と三百二十一億円で契約した除染装置。汚染水の放射性セシウムを薬剤で分離して濃度を下げる。だが処理効率が悪く、高濃度の汚泥が発生する問題もあり、三カ月動いただけだった。日立GEニュークリア・エナジーや東芝などと百八十四億円で契約した、処理水を蒸発させて塩分を取り除く装置も問題視された。水漏れが相次ぎ、五~四十四日しか動かなかった。処理水をためるため百六十億円かけて設置したボルト締め型タンクは一三年八月に三百トンの水が漏れた。二十一億円をかけ整備した地下貯水池も一三年四月に処理水漏れが起き、使えなくなった。海側の地下トンネルにたまった高濃度汚染水の抜き取りに向けた実証実験を、子会社の東京パワーテクノロジーに一億円で委託。汚染水を凍らせて止水する狙いだったが、実験のようには凍らず、作業員が手作業で氷を投入した。東電は一二年七月に実質国有化され、会計検査院が国会の要請で東電の経営合理化の状況などを調べた。調査結果の公表は一三年十月に続き二回目。東電の小林照明原子力・立地本部長代理は「設備は事故発生以降、発電所を安定的に保つためのもので、不要とは考えていない。機能は発揮していたのではないか」とコメントした。 *2-2:http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS23H3H_T20C15A3PP8000/ (日経新聞 2015/3/23) 東電への支援金9兆円、回収まで30年超 会計検査院試算 会計検査院は23日、東京電力への検査結果を公表した。東電が2014年に政府の認定を受けた新総合特別事業計画(再建計画)を検証した。福島第1原子力発電所事故の賠償スキームで、国が東電に支援する9兆円を全額回収するには30年超かかる可能性があると試算した。東電は電力各社と政府が出資する原子力損害賠償・廃炉等支援機構を通じて国から9兆円の資金援助を受けている。国は、東電が事業の利益から出す特別負担金や、機構が引き受けた東電株(1兆円相当)の売却益などで回収する。再建計画では、東電株売却は2020年代半ば以降の実施予定だが、国の回収までの期間は示されていない。検査院は東電の平均売却価格(1株750~1350円)などの条件を変え、6通りを試算した。その結果、最短で18年後の32年度末、最長で30年後の44年度末と算出した。東電株は現状は500円以下で推移しており、検査院の担当者は「さらに長期化する可能性がある」としている。除染費用(2.5兆円)は株売却益でまかなう計画だが、平均売却価格が1050円になる必要がある。検査院は「企業価値の向上に東電が取り組むのは当然だが、高価格での売却は確実でない」と指摘した。 *2-3:http://digital.asahi.com/articles/ASH3V4RPMH3VULFA00W.html?_requesturl=articles%2FASH3V4RPMH3VULFA00W.html&iref=comkiji_txt_end_s_kjid_ASH3V4RPMH3VULFA00W (朝日新聞 2015年3月27日) 「もんじゅ」技術開発費、原発コストに含めず 経産省 原発の発電コスト計算から高速増殖炉の原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)の技術開発費が除外される見通しとなった。経済産業省が26日開いた、原発や再生可能エネルギーなど電源ごとの発電コストを再検証する「発電コスト検証ワーキンググループ(WG)」で、方針に異論が出なかったためだ。この日のWGでは、将来に向けた研究費は、いまの発電コストに含めるべきではないとの意見でまとまった。前回2011年の民主党政権下では、それまで含んでいなかった原発立地のための交付金や研究費といった「政策経費」も加えることにした。この時の政策経費は、11年度の予算をもとに年間3182億円かかると試算して、発電コストは1キロワット時あたり1・1円上昇した。このうち「もんじゅ」を含めた将来に向けた技術開発費は1401億円と半分近くを占めた。今回の算定で使われる今年度予算では、「もんじゅ」を運営する日本原子力研究開発機構の運営交付金が955億円などとなっており、こうした費用が除外の対象になるとみられる。今後、経産省は除外する費用を積み上げるが、前回の1キロワット時あたり8・9円以上とした原発コストの押し下げ要因になる。一方、前回試算で「約40年に1回」とした事故の発生確率は結論が出ず、これからの焦点になる。委員からは「原発の安全対策をしているのに事故リスクが下がらないのは、つじつまが合わない」とする意見や、「前回も世界最高水準の安全対策をとることが前提だった。確率を変えるのは反対だ」という意見もあり、割れた。 *2-4:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20150324&ng=DGKKASFS23H5J_T20C15A3MM8000 (日経新聞 2015.3.24) 原発の電気、新電力へ、経産省方針、小売り競争促す 取引所に供給 義務付け 経済産業省は原子力発電所が7月にも再稼働するのをにらみ、原発でつくった電気を電力小売りに新規参入する企業(新電力)も調達できるようにする。大手の電力会社に原発の電気を卸電力取引所(総合2面きょうのことば)に供給するよう事実上、義務づける。電力会社が独占してきた原発の安い電気をだれでも売れるようにし、電力小売りの競争を促す。九州電力川内原発1号機(鹿児島県)は7月にも再稼働する。経産省はそれに合わせて、まず原発を再稼働した電力会社に余った電気を日本卸電力取引所(東京・港)に供給するよう指導する。いまも新電力は卸電力取引所で電気を調達できる。しかし原発の停止で電力が不足しており、電力会社から取引所への電気の供給は限られる。2016年4月には工場など大口の需要家だけでなく、家庭向けの電力小売りも自由化される。経産省は取引所への供給を増やし、電気料金の引き下げにつなげる考えだ。政府はいまの国会に「電力市場監視委員会」の設置法案を提出している。成立すれば、同委員会は今秋にも発足する。電力会社が原発の安い電気を取引所に流していなければ、同委員会が是正を勧告する。安い電気の供給がすすまなければ、経産省が改善命令を出せるルールをつくる。足元の取引所での売買価格は1キロワット時あたり10~15円なのに対し、原発の発電コストは数円程度とされる。安価なコストを反映した電気が取引所に流れれば、売買価格の低下が期待できる。同委員会は余った電気のうち、どれだけの割合を市場に供給しているかも調べる。「電力会社は余剰となった電気の3割を市場に流すべきだ」(新電力のエネット)との意見も上がっている。仮に供給量が少なければ、一定量を取引所に供給するよう義務づける法整備に乗り出す構えだ。経産省が原発でつくった電気を新電力に開放するのは、原発の再稼働で電力会社だけが得をしないようにするためだ。再稼働で電気料金は下がる見通しだが、安い電気を電力会社だけが独占すれば新電力の参入余地は限られる。経産省は将来、大手電力会社に原発で生んだ電気を原則すべて市場に供給させることも検討する。今後、原発への公的な支援の拡大は避けられず、世論の支持を得るには原発の活用で電気料金を引き下げる必要があるからだ。12兆円超とされる使用済み核燃料の再処理費用は現在、原発を抱える電力会社がほとんどを負担している。新電力との競争がすすめば、電力会社は必要額を払えなくなるおそれもある。経産省は新電力が負担する再処理費用を増やす制度の導入も視野に入れている。 <倫理観なき高齢者いじめ> *3-1:http://qbiz.jp/article/59046/1/ (西日本新聞 2015年3月28日) 「秋以降に物価上昇率が加速」 黒田日銀総裁 日銀の黒田東彦総裁は28日、TBSのBS番組に出演し、物価動向に関して「秋以降、上昇率が加速していくと思う」と述べ、2015年度末にかけて2%の物価上昇目標を達成できるとの認識をあらためて示した。27日に発表された2月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く)は、原油安の影響を受け、消費税増税の影響を除くと前年同月から横ばいとなった。黒田氏は原油安の影響がなくなるまで「0%程度の低い上昇率にとどまる可能性がある」と説明した。黒田氏は、外国為替相場の円安の定着で輸出が持ち直しており「経済全体がうまく回り始めた」とも指摘した。「(物価の伸び悩みが賃金改善を遅らせる)悪循環につながる懸念は払拭された」と強調した。 *3-2:http://mainichi.jp/select/news/20150208k0000e040125000c.html (毎日新聞 2015年2月8日) 「マクロスライド」:初適用 低年金層対策、置き去り 4月以降、公的年金はこれまでのように増えなくなる。物価が上昇に転じ、デフレ下で凍結されてきた年金抑制策「マクロ経済スライド」が初めて機能するためだ。今後も物価の上昇基調が続けば、若者が将来受け取る年金はひと息つく半面、低年金のお年寄りは打撃を受ける。にもかかわらず、セットで進めるはずの年金の底上げ策は先送りされようとしている。 ◇月6万円 「1%抑制でも死活問題」 「家計は今までもギリギリ。物価が上がっても年金がほとんど増えないのでは生活できない」。東京都足立区の都営住宅で1人暮らしをする田中実さん(78)は、物価が2.7%増なのにマクロ経済スライドによって年金は0.9%増にとどまることに肩を落とす。毎月の収入は約6万円の国民年金(基礎年金)と、5万〜6万円のパート代。以前は家賃や光熱費を払っても余裕があったのに、消費増税や値上げのあおりでスーパーに行く回数は減り、商品は「本当に必要か」と吟味してから買い物カゴに入れるようになった。パートは週3回。真冬の今も、朝から夕方まで室温8度の冷蔵室で野菜を詰める作業だ。生活費だけでなく、趣味の囲碁と手芸教室に通う費用をひねり出すため10年前から頑張ってきた。それが今やパート代の多くは生活費に消える。田中さんはいずれ働けなくなる時に備え、毎月少しずつ蓄えてきた。だがそれもできなくなった。収入減を思うと、風邪をひいてもパートは休めない。「年寄りは体を壊して早く死ねということか。年金額が低い人にとっては、1%の抑制でも死活問題です」。2014年度の国民年金は満額で月6万4400円。15年度はマクロ経済スライドが響き、6万5008円と608円増にとどまる。スライドの期間は43年度まで約30年続く。この間、年金の伸びは物価や賃金の伸びに追いつけず、実質価値が下がり続け、現役との収入格差も広がる。とりわけ国民年金は今より3割も目減りする。マクロ経済スライドの影響は、障害年金で暮らす人にも及ぶ。さいたま市の実家に1人で住む統合失調症の女性(48)は、精神障害者として月6万4400円の障害基礎年金を受けている。千葉にいる両親が蓄えを崩して光熱費や食費の一部を助けてくれ、どうにか生活できているという。 *3-3:http://biz-journal.jp/2015/01/post_8549.html (畠中雅子/ファイナンシャルプランナー・高齢期のお金を考える会 2015.01.12) 教育・住宅資金の一括贈与の罠?祖父母は生活困窮、子・孫は分不相応な出費で家計逼迫 今年1月、相続税の基礎控除が引き下げられた。そのことを受けて相続増税に関する話題が盛り上がりを見せているが、相続と関連の深い贈与税の制度についても、さまざまな改正が行われている。例えば、2015年度の税制改正大綱の中には、「結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置の創設」とある。それは今年の4月から適用される。この制度は、結婚および子育てについて、親や祖父母から1人につき1000万円まで(結婚費用は300万円まで)の資金を、非課税で贈与できるとするもの。利用するには、金融機関に信託する必要があるようだ。税制改正大綱には「払い出した金銭を結婚・子育て資金の支払いに充当したことを証する書類を金融機関に提出しなければならない」と書かれている。書類としては、結婚式場に支払った金額の領収証や妊婦健診費、出産費用の領収書などが必要になるとみられる。この制度を利用できるのは19年3月末までの予定となっており、贈与を受けた人が50歳となった時点、あるいは死亡した時点で金融期間との信託契約が終了し、残額について贈与があったものとして贈与税の計算をすることになっている。 ●教育資金の一括贈与は延長、住宅資金の贈与も拡充 すでにスタートしている「教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税措置」についても、19年3月末までの延長が決まった。こちらは、学校をはじめとした教育機関に支払う学費などの教育費として使うことを目的に、最高1500万円まで非課税で贈与できる制度である。さらには、一定額までの住宅資金を非課税で贈与できる「住宅資金贈与の非課税制度」についても、昨年の制度より拡充されている。まさに、親から子へ、祖父母から孫へと、「贈与制度をどんどん利用してほしい」といった大盤振る舞い状態となっている。個人的には、これらの制度に文句があるわけではない。ただし、きちんと制度の内容を理解してライフプランを立てた上で利用しなければ、贈与した側もされた側も後悔する可能性が出てくると考えている。教育資金一括贈与の制度が施行された当初は、手続き書類が不足するほど申し込みが殺到した。手数料などが無料になる期限を設けたことが要因だ。しかし、冷静に考えてみれば、教育資金のように生活に必要な資金を祖父母が出したとしても、もともと贈与税は課せられていない。あまりに分不相応な援助まで非課税になるとは言い切れないが、一般的な進学コースの場合、祖父母に援助してもらうのは以前からよくあることで、贈与税の対象になるわけではない。また妊娠・出産に関しても、公的サポートは充実してきており、高額な費用は必要なくなった。例えば、妊婦健診は全国どの自治体でも14回分の助成が受けられる上、別の補助制度を備えている自治体も少なくない。出産に関しても、健康保険から病院へ出産育児一時金を支払ってもらえる「直接支払制度」が主流になっているため、妊娠期から出産にかけての自己負担額は10万円に満たないのが一般的だ。妊娠・出産費用は、各種の助成が拡充したことで負担はかなり軽くなっており、親から多額の助成を受ける必要があるとはいいにくい。 ●援助によって生活が壊れることも 教育資金を一括贈与で援助してもらった若い夫婦が、別のところでお金を使ってもらおうという狙いなのだろうが、これらの制度にはライフプランの視点から2つの問題がある。一つは、贈与した祖父母が年を取った時に、資金不足に陥るかもしれないリスク。相続税対策が必要な資産家が、この制度を利用して相続資産の減少を目指すのは合理的な選択だ。しかし、金融資産が5000万円以下の家庭で、1000万円を超えるような援助をしてしまうと、自分たちが後期高齢者になる頃になって、「子や孫にやりすぎた」と後悔するケースも出てくるはずだ。一方の子ども側を見ても、分不相応な習い事や塾代を掛けているケースが目に付くようになった。「教育資金としてお金をもらったから、使い切らなくてはいけない」と考えている人もいるが、使い切るという感覚には疑問を感じる。また、子どもが小さく家計が楽な時に財布の紐を緩めることにもなりかねない。自分たちの収入に見合わないほど多くの教育費をかけてしまった場合、将来の家計にとって重荷となる可能性がある。自分たちの収入では私立学校に子どもを入学させることが難しいのに、祖父母の援助を受けて進学しても周囲との生活レベルの差は大きく、次第に息苦しくなるだろう。また、無理して塾に通わせるなど教育資金を底上げしてしまうと、自分たちの老後資金を貯められないリスクも出てくるはずだ。もう一つは、格差の問題。裕福な親や祖父母を持つ恵まれた家庭も確かにあるが、老後の生活設計の相談現場では、親の懐事情は厳しさを増している。「自分たちの老後すらおぼつかない高齢者世帯」と、「相続対策の一環として、余裕部分を下の世代に継承していきたいと考える高齢者世帯」との格差が固定化されてしまう可能性も、これらの制度は秘めている。 <外国人技能実習制度> *4:http://www.shinmai.co.jp/news/20150130/KT150129ETI090009000.php (毎日新聞 2015年1月30日) 介護に外国人 実習制度拡大は筋違い 外国人技能実習制度の対象職種として、新たに介護分野を加える方針を厚生労働省が固めた。2015年度中を目指している制度改定に盛り込む。背景にあるのは、介護現場の深刻な人手不足だ。しかし、実習制度の拡大で対応することは問題がある。制度の趣旨にそぐわないだけでなく、介護職の待遇改善を妨げたり、介護の質が低下したりすることにもつながりかねない。再考すべきだ。実習制度は、開発途上国などの労働者が一定期間日本で働いて技術を習得し、母国の発展に役立ててもらう目的で1993年に創設された。本来、日本国内の人手不足を補うための制度ではない。一方で、製造業などの現場で「安い労働力」を確保するためにこの制度が利用されている実態がある。過酷な環境に置かれている実習生も少なくない。最低賃金を下回る低賃金での長時間労働、残業代の不払い、雇い主によるセクハラなどが後を絶たない。実習生は来日前に多額の手数料を借金していることも多く、ひどい扱いをされても泣き寝入りしているという。こうした実情は、国連や米国から「人身売買」などと厳しく批判されてきた。日弁連は制度の廃止を求めている。厚労省による13年の調査では、受け入れている事業所の8割で労働関連法違反があった。目的と実態がかけ離れた制度の拡大は、劣悪な条件で働く外国人をさらに増やすことになりかねない。高齢化に伴い、25年に介護職は最大250万人が必要と推計されている。一方、確保できるのは220万人の見込みで、30万人不足する可能性がある。外国の人材の活用を求める声は介護現場からも上がっている。08年からは、経済連携協定(EPA)に基づく外国人の受け入れも始まったが、日本語の習得の難しさもあり、人手不足を補うほど広がってはいない。介護職の平均賃金は全産業に比べ月額で10万円ほど低い。それが人手確保がままならない要因となっている。待遇を改善し、国内で働き手を増やすことが、何より優先して取り組むべき課題だ。それでも足りない場合に、外国人を労働者として受け入れるかどうか。社会全体でしっかりと議論していく必要がある。介護は人を相手にする仕事だ。言葉を含め、担う能力の育成も欠かせない。人手不足解消のめどが立たないからと、実習制度に安易に頼ってはならない。 <カジノ解禁で博打国家へ> *5:http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS21H1S_R20C15A3PE8000/ (日経新聞 2015/3/21) カジノ法案、自民など再提出へ 公明の対応焦点 自民、維新、次世代3党は月内にもカジノを中心とした統合型リゾート(IR)を推進する法案(カジノ法案)を国会に再提出する。観光客誘致の起爆剤としてカジノを解禁し、政府に運営ルールなどの法整備を求める内容だ。慎重論が根強い公明党の対応が焦点で、同党内には自主投票として採決を容認してもいいとの声も出ている。超党派の国会議員でつくる「国際観光産業振興議員連盟」(会長・細田博之自民党幹事長代行)が月内にも総会を開き、カジノ法案を了承する。自民党など3党が衆院に議員立法として提出し、内閣委員会か国土交通委員会で審議入りし、会期内の成立を目指す。法案は施行後1年以内に、政府にカジノ運営などのルールなどを定めた法案を提出するよう義務付けている。ギャンブル依存症や青少年への悪影響への対策は盛り込んでおらず、政府に入場基準などの具体策の検討を委ねる。運営事業者は内閣府の外局に設置する管理委員会が管理する。カジノ解禁は安倍政権が成長戦略の柱と位置付けており、2020年の東京五輪でのカジノ施設の開業を目指している。ただ、公明党などが「依存症対策などが十分でない」と慎重姿勢を崩さないため、2013年秋の臨時国会の法案提出後、継続審議や廃案となってきた。超党派議連の幹部は「今国会も成立見送りとなれば20年開業は厳しくなる」と述べており、公明党などとの調整を急ぐ考えだ。 PS(2015.3.30追加):環境省の除染マニュアル(https://www.env.go.jp/jishin/rmp/fiscal/subsidy01/04_qa.pdf 参照)によると、0.23マイクロシーベルト/時(年間被曝線量2ミリシーベルト/年、年間追加被曝線量1ミリシーベルト/年)を超える場所を除染するとなっているが、国際基準は住民の年間被曝線量は1ミリシーベルト/年以下であり、住民の健康を守る目的から見て、環境省の基準はずる賢く甘い。また、放射性物質は空間を浮遊しているのではなく、地面に落ちて風で舞い上がるため、空間よりも地面付近の方が放射線量が高い。さらに、森林や湖沼の底は除染しないことになっている上、*6のように、地方自治体の負担による除染費用を東電が支払う姿勢がないというのも問題外である。 *6:http://qbiz.jp/article/59070/1/ (西日本新聞 2015年3月30日) 東電除染費払わず 市町村分の746億円 福島第1原発事故後、市町村が実施した除染費用として国が2月末までに東京電力に請求した761億円のうち、東電側が約2%しか応じず、残る746億円の支払いを事実上拒否していることが29日、環境省への取材で分かった。一方、国直轄除染分は基本的に応じており、対応が分かれていることが浮き彫りとなった。除染関連費用は国がいったん立て替え払いした後、東電に請求する仕組み。東電の支払いが遅れれば、利息分は税金で賄われるため国民負担の増加につながる。環境省は「全て法律に基づき東電に請求しており、引き続き全額支払いを求めていく」と反発している。除染関連費用は2011年8月に成立した特別措置法により、東電が負担すると規定。政府は14年度までに約1・4兆円(うち市町村分は約6300億円)を計上した。環境省は金額が確定し書類がそろった除染事業について、12年11月から定期的に東電に請求している。今年2月末までに市町村分として761億円を求めたが、東電は最初の請求分の一部である15億円に応じた後は支払っていない。一方、国直轄分として請求した925億円については約86%の799億円を支払っている。特措法に基づく除染は福島県など東北と関東の8県が対象で、関連費用は総額2・5兆円の見込み。放射性物質による汚染が深刻な第1原発周辺の11市町村は国が直轄で除染し、これまでに4市町村で終了。それ以外の99市町村は各自治体が地域の実情に応じて実施することになっているが、完了したのは18市町村のみだ。原発事故に伴う除染 福島の原発事故で飛散した放射性物質が付着した土壌を取り除き、建物や道路の表面を洗浄する。福島第1原発周辺の避難区域は国が直轄で除染を実施。それ以外は、年間追加被ばく線量1ミリシーベルトから試算した空間線量毎時0・23マイクロシーベルトを超える地域を国が指定し、市町村が除染を実施する。除染の枠組みを定めた特別措置法は東京電力が除染費用全てを負担すると明記しているが、除染廃棄物を保管する中間貯蔵施設については国が負担する。 PS(2015.3.31追加):ここまでの対立になったのは、沖縄が県を挙げて普天間移設を反対していたにもかかわらず、本土のメディアが*7のように、「①普天間基地は住宅密集地にあり、米軍機の墜落事故などがあれば大惨事を招きかねないので、人口が比較的少ない同県名護市に移設するというのが日米両政府の合意だ」「②沖縄県は2013年、移設予定地である名護市辺野古沿岸部の埋め立て工事を許可し、この手続きは合法的に進められた」「③行政には一定の継続性が必要である」などを代表とする政府の説明をずっと流し続けていたため、本土の人は正確には沖縄の意見を知らず、知っている人も多くが無視していたことに原因がある。 しかし、①については、辺野古を埋め立てるのがBestの選択肢ではなく、米国は日本がよりよい提案をすれば合意するため当たらない上、②の手続きについても、2013年の仲井眞前知事の承認自体が、日本政府からの何らかの脅迫・強制があって仲井眞前知事がそれまでの言動とはうって変わって突然許可したものだ。そのため、沖縄県民は辺野古の埋め立てを争点に知事選を行い、承認した自民党推薦の仲井眞前知事を落として翁長新知事が誕生したのであり、翁長新知事が当選時から「あらゆる手段を用いて移設を阻止する」と述べているのは、民意を基盤にした公約の実行であり、筋の通った行為だ。 また、③についても、行政の継続性を理由に、何十年、いや何百年経っても同じことを言って時代の変化や技術進歩やそれに伴う価値観の変化についていけなかった愚鈍さ(stupidity)が、これまで国民の生命や財産に深刻な被害を与えた日本政府の数々の失政の原因だったことを忘れてはならない。 *7:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20150331&ng=DGKKZO85074600R30C15A3EA1000 (日経新聞社説 2015.3.31) 普天間移設を法廷で争うのは筋違いだ 米軍普天間基地の移設を巡る国と沖縄県の対立が法廷に持ち込まれそうだ。同じ行政の側にありながら、司法の場で主張をぶつけ合うことに違和感を禁じ得ない。歩み寄りの余地はないのか。早期に話し合いの場を持ってほしい。同県宜野湾市の普天間基地は住宅密集地にあり、米軍機の墜落事故などがあれば大惨事を招きかねない。そこで人口が比較的少ない同県名護市に移設するというのが日米両政府の合意だ。沖縄県は2013年、移設予定地である名護市辺野古沿岸部の埋め立て工事を許可した。この手続きは合法的に進められたし、行政には一定の継続性が必要である。知事が交代しても移設は見直さないという国の方針は理解できる。沖縄県の翁長雄志知事が出した基地工事の停止命令は、水産資源保護法という工事とは直接関係ない法律に基づくものだ。知事は昨年の当選時から「あらゆる手段を用いて移設を阻止する」と語ってきたが、こうしたやり方は筋違いである。農水省が知事の停止命令の是非を審理する間、命令の効力をいったん無効にすると林芳正農相が判断したのはもっともだ。ただ、法的に正しいからとかたくなな対応でよいのかはよく考える必要がある。安倍晋三首相も菅義偉官房長官も昨年の知事選後、翁長知事と一度も会っていない。こうした対応が基地移設に賛成の県民の心証まで害していないだろうか。農相の発表を受け、翁長知事は「腹を据えて対応する」と表明した。県が埋め立ての前提となる岩礁破砕許可を取り消し、対抗して国がその取り消しを求めて裁判所に提訴する形で法廷闘争に突入する可能性が高まっている。これと似た事例が1995年にあった。米軍用地の収用に必要な代理署名を当時の大田昌秀沖縄県知事が拒んだことだ。最高裁まで争って国が勝訴したが、このときに生じた国と県民の溝がいまに至る普天間問題の遠因になっている面もある。基地はただつくればよいのではない。周辺住民の理解がなければ円滑な運用は難しくなる。菅長官は「辺野古移設の原点が何であるかということが、沖縄県民や国民に説明が行き届いていない」と述べたが、それを説明するのは政府の責任である。裁判で争わなくてよい努力をまずすべきだ。 PS(2015.4.2追加):*8-1のように、オランダでは広い面積で太陽光発電できる道路を開発しているのに、最初に太陽光発電を発明した日本では、*8-2のように、太陽光発電はコストが高いと言い張って、政府が2030年の電源構成比率を原発で2割確保し、原発・石炭火力・水力・地熱を合わせて約6割に増やすそうだ。これが、日本の為政者の馬鹿さ加減なのである。 *8-1:http://www.afpbb.com/articles/-/3031665 (国際ニュース 2014年11月13日) 世界初、太陽光発電する道路が開通 オランダ オランダで12日、世界初となる太陽光発電機能を備えた自転車専用道路が試験的に開通した。最終的には車道でも応用することが考えられる画期的なプロジェクトだという。この自転車専用道路、通称「ソーラロード(SolaRoad)」には、強化ガラスで覆われた太陽光電池パネルを利用した縦2.5メートル、横3.5メートルのコンクリート製モジュールが使われている。事故を避けるため、ガラスの表面には特殊な滑り止め加工が施されているという。道路の太陽電池で発電された電気は現在、国の電力網に流されているが、将来の計画では、この電力を利用して街路灯を点灯させることも検討されている。プロジェクトの開発に参加した物理学者、ステン・デウィット(Sten de Wit)氏は、路面から直接充電を行う「非接触型充電」の機能を利用して、電動自転車や電気自動車に電力を供給できる日が来るに違いないと話している。同氏はAFPの取材に「プロジェクトの着想は、オランダ国内を走る約14万キロに及ぶ道路だった。その面積は建物の屋根をすべて合わせたよりもはるかに大きい」と語った。また「自転車専用道路は、国内に2万5000キロある」としながら、「プロジェクトの持つ本当の潜在能力が解き放たれるのは、自転車専用道路だけでなく、自動車が利用する道路にもこれが適用される時だ」と述べている。ソーラー自転車専用道路は稼働から16日が経過した。この間の発電電力量は140キロワット時で、洗濯機の稼働約140回分に相当するとソーラロードの広報担当者は説明した。主に研究費に充てられたとされるプロジェクトの費用は、現時点で約300万ユーロ(約4億3000万円)に上っているが、ソーラロードは道路1キロ当たりでの費用については明言を避けた。同国のヘンク・カンプ(Henk Kamp)経済相は12日、首都アムステルダム(Amsterdam)北部にある通行量の多い自転車道に試験的に設置された約70メートルのソーラロードを自転車で走行。AFPの取材に対し、「持続可能エネルギーに関しては、オランダは極めて意欲的に取り組んでいる。この革新的技術もその重要な一環だ」と述べ、人口1700万人、自転車約1800万台のオランダでは、持続可能エネルギーの使用量を2020年までに3倍に増やし、2050年までにカーボンニュートラルならぬ「エネルギーニュートラル」になることを望んでいるとした。デウィット氏によると、ソーラロードは今後2年間にわたり、1日に約2000台の自転車が通る道で試験を行う予定。電動の自動車や自転車の台数が増加傾向にある中、国内道路を対象としたソーラロードの商業化を今後5年以内に実現することが、プロジェクトの目標だとしている。「大規模なスケールで適用可能な製品を5年以内に提供できると強く確信している」とデウィット氏は説明した。 *8-2:http://qbiz.jp/article/59471/1/ (西日本新聞 2015年4月2日) 政府、原発比率2割確保へ 電源構成比率 政府が議論している2030年の電源構成比率をめぐり、原発で2割を確保する見通しとなったことが2日、分かった。政府と与党は原発と石炭火力、水力と地熱を合わせた「ベースロード電源」の比率を現在の約4割から約6割に増やす方向だが、石炭火力と水力、地熱を大きく伸ばすのは難しい状況であるためだ。政府と与党はこれまで30年の原発比率について15〜20%を軸に検討する方向だったが、原発の活用を進める姿勢が一段と鮮明になった。東日本大震災前はベースロード電源の割合は6割程度で推移し、原発は全体の約3割だった。 PS(2015年4月9日追加):「“粛々”という言葉さえ使わなければよいだろう」などと、自らの傲慢さと差別に対する指摘をわざと矮小に解釈し、米国に働きかけて辺野古移設を確定させようとする態度は国益を見失っている。やはり、自民党に勝たせすぎたのはよくなかったようだ。 *9:http://www.saga-s.co.jp/news/national/10201/174940 (佐賀新聞 2015年4月9日) 首相、辺野古移設に決意、米国防長官と会談 安倍晋三首相は8日、カーター米国防長官と官邸で会談し、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設に関し「確固たる決意の下に進めていく」と強調した。集団的自衛権行使を可能とする安全保障法制整備への意欲も表明した。これに先立ち菅義偉官房長官もカーター氏と官邸で会い、沖縄県の米軍嘉手納基地(嘉手納町など)より南に位置する米軍施設・区域の返還計画の前倒しを要請した。カーター氏は「引き続き沖縄の負担軽減に協力する」と応じた。
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2015,03,27, Friday
古伊万里 柿右衛門 今衛門 李三平 虎仙窯 (*画像は最もよい例示とは限りません) (1)衆議院議員時代に有田町と伊万里市大川内山の窯元を廻った経験から 1)「料亭などへの従来の食器の売り上げが減って打撃」という悲鳴が多かった *1-1-1に記載されているように、有田焼は佐賀県有田町を中心に焼かれる磁器で、その積み出しが伊万里港からなされていたことにより「伊万里」「伊万里焼」とも呼ばれ、17世紀(江戸時代で、日本全体としては鎖国中)から海外に輸出されていた。そういう伝統的でゴージャスな有田焼が上の画像で、それぞれの時代の最先端の技術を駆使して作ったと思われる。 しかし、有田焼(伊万里焼)は、①主に高級食器を料亭に売ることで売り上げを挙げていたが、この需要が減少した ②電子レンジや食洗機に対応できていなかった ③丁寧に扱わなければかけやすかった などが理由で、近年、①の需要減に伴って売り上げが落ち、替わりの需要(都会の個人消費、輸出、他産業)はあまり増えていなかった。 そのため、私は、替わりの需要に対応できるよう、有田焼のよさを残しながらも、現在の最先端の技術を導入して、②③の問題を解決すべきだと言って、「有田焼を理解しとらん」とか「食器は丁寧に扱わんと壊れるのが当たり前」などと言われたが、替わりの需要を開発すべく研究する人たちも出てきて、それらの問題は、現在、かなり解決済だと考えている。 2)世界市場で勝つ目標が必要であり、目標を持てば勝てるだろう 深川製磁 香蘭社 源衛門 最近の変化形 (*画像は最もよい例示とは限りません) もともと世界的視野を持っている有田焼・伊万里焼だが、*1-1-2のように、フランスのパリで開かれている世界最大のインテリア見本市「メゾン・エ・オブジェ」の会場で、有田焼と融合した映像作品を上映したり、*1-1-3のように、欧州国際見本市への出展や高級レストランでのPRといった海外市場開拓、食との連携や生活様式の変化に対応した国内市場開拓に、佐賀県が予算を計上したりしている。そして、現代の一般人の生活に合う花瓶や食器の事例は、上の画像のとおりだ。 3)芸術作品や先端産業への進出でも稼げるだろう 四角形の皿 ピカソ絵画の有田焼 青磁による像 義歯 (*画像は最もよい例示とは限りません) 有田焼は、芸術として発展すべき部分と、食器をはじめとする産業として発展すべき部分を持つが、現在は、それが徹底していないように思う。しかし、それぞれの分野で追及されるべき機能は異なり、部屋の装飾には円形の皿ではなく、上の画像のようなものが面白くて洒落ている。 そのうち、徹底して芸術分野に進出して成功しているのが、*1-2の有田焼で商品化されたピカソの絵だ。これは、あまりにも気に入ったので、私も2つ買って部屋に飾ってあるが、うちに来たお客さんは、それを本物だと思っていた。そして、この有田焼に転写された絵は、長時間経過しても痛まず、洗えば汚れが落ちるのが長所だ。 つまり、有田焼になった絵は、色が退色したり、キャンバスが痛んだりすることがないため、有名な絵を有田焼に転写しておくことは大きな価値がある。また、ロンドンの大英博物館でロゼッタ石と同じ模様の絹のスカーフを売っており、私は大英博物館に行った時にそのスカーフを買ってきて今でも愛用しているが、著名な絵や彫刻を所蔵している美術館や博物館で、そこにある絵や彫刻を質の良い有田焼にして販売すればお土産として売れるだろうし、後世のために貴重な絵を有田焼にしておくことも重要だ。 4)立体への進出 有田の職人は、どんな形でも作れることを誇りにしている。そのため、現在も、義歯や立体に進出しているが、*1-3-1のような3Dプリンタを使って、義歯や有名な彫刻の有田焼を作れるようになれば、生産の効率化と質の高さを両立させることができるだろう。さらに、*1-3-2のように、量産することも可能であり、佐賀県窯業技術センターの開発チームはアッパレだ。 5)障害者の雇用もしている ここで付記しておきたいのは、現在も、伊万里市で有田焼を作るのに、印刷した絵の貼り付け作業に障害者を雇用しており、私は、2007年8月17日に、伊万里市議の案内でその作業所を訪ねて感心した(http://hirotsu-motoko.com/weblog/index.php?d=20070817 参照)。しかし、その絵のデザインは安っぽかったため、安価な有田焼しかできておらず、私は、貼り付ける絵のデザインさえよければ、もっと高価なものも作れると思っている。 (2)金融について *2-1のように、有田焼の「大慶」が、販売する電子レンジで利用できる磁器「UTSUWA美」の型や材料の費用として活用するためネットで資金調達したところ、わずか2日間で171万円の小口資金を集めることができたそうだ。確かに電子レンジやオーブンでそのまま使用できることは、新たな食器需要の開拓には重要であり、その視点が評価されたのだろう。 また、出資者に対する配当としては、ビアグラスだけでなく相手の希望に応じた有田焼の新製品を贈る方法もあるだろうし、有田町や伊万里市のふるさと納税の返礼品も、有田焼(伊万里焼)の面白い製品とすれば人気が出るのではないだろうか。 なお、*2-2のように、佐賀県は制度金融のすべての貸付金利を最大で0.9%引き下げる優遇措置を設けたそうだ。時代の変化について行くためには、新製品の開発やマーケティングのための資金需要が大きいため、将来的にも貸しはがしで企業を破綻させることのない見識ある金融で、地元企業を発展させてもらいたい。 (3)この地域の農産物について 伊万里市は、*3-1のように、ナシの産地でもある。私は、綿棒で花粉をつけるより、ミツバチを放してナシ由来のハチミツを副産物にすればよいと思うが、ともかく農業でも頑張っている。 また、*3-2のように、長崎県では、放棄ミカン園を集積して10~20ヘクタール規模のミカン団地を造り、「売れる品種」への転換を進めるなど一生懸命だが、現在は、ミカン園も多くが耕作放棄地になっているのだ。しかし、私は、一世代前のややすっぱさのあるミカンは、みかんジュースに向いているし、みかん由来のハチミツも美味しいため、無理に植え換えの補助金を使わなくても、過去に造られた資産を活かしてジュースやハチミツ作りをする人がいてもよいと考える。 (4)原発の地元になるのは適切か このように、この地域は、過去の遺産と貴重な産業が多い。そのため、原発事故が起これば、失うものは計り知れない。そのため、*4-1のように、伊万里市長は、地元として原発再稼働には慎重であり、それは当然のことだ。 また、*4-2のように、玄海原発訴訟(市民が国と九州電力に玄海原発の再稼働反対と日本の原発停止を求めている訴訟)の追加提訴で、原告数は9,126人となったそうで、原告には元日弁連会長の宇都宮健児氏や、福島第1原発事故の被害に関する著書を出版した福島県飯舘村の酪農家長谷川健一さんらも新たに加わられたそうだ。 *1-1-1:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%89%E7%94%B0%E7%84%BC (ウィキペディア) 有田焼は、佐賀県有田町を中心に焼かれる磁器である。その積み出しが伊万里港からなされていたことにより、「伊万里(いまり)」や伊万里焼とも呼ばれる。泉山陶石、天草陶石などを原料としているが、磁器の種類によって使い分けている。作品は製造時期、様式などにより、初期伊万里、古九谷様式、柿右衛門様式、金襴手(きんらんで)などに大別される。また、これらとは別系統の献上用の極上品のみを焼いた作品があり藩窯で鍋島藩のものを「鍋島様式」、皇室に納められたものを「禁裏様式」と呼んでいる。江戸時代後期に各地で磁器生産が始まるまで、有田は日本国内で唯一、長期にわたって磁器の生産を続けていた。1977年(昭和52年)10月14日に経済産業大臣指定伝統工芸品に指定。九州旅客鉄道(JR九州)佐世保線有田駅-上有田駅間の沿線から煙突の立ち並ぶ風景が見られる。 ●有田焼と伊万里焼 近世初期以来、有田、三川内(長崎県)、波佐見(長崎県)などで焼かれた肥前の磁器は、江戸時代には積み出し港の名を取って「伊万里」と呼ばれていた。また英語での呼称も "Imari" が一般的である。寛永15年(1638年)の『毛吹草』(松江重頼)には「唐津今利の焼物」とあり、唐津は土もの(陶器)、今利(伊万里)は石もの(磁器)を指すと考えられている。明治以降、輸送手段が船から鉄道等の陸上交通へ移るにつれ、有田地区の製品を「有田焼」、伊万里地区の製品を「伊万里焼」と区別するようになった。有田を含む肥前磁器全般を指す名称としては「伊万里焼」が使用されている。 ●肥前磁器生産の開始 肥前磁器の焼造は17世紀初期の1610年代から始まった。豊臣秀吉の朝鮮出兵の際、有田を含む肥前の領主であった鍋島直茂に同行してきた陶工たちの一人の李参平は、1616年(元和2年)(1604年説あり)に有田東部の泉山で白磁鉱を発見し、近くの上白川に天狗谷窯を開き日本初の白磁を焼いたとされ、有田焼の祖である。李参平は日本名を「金ヶ江三兵衛(かながえさんべえ)」と称し、有田町龍泉寺の過去帳などにも記載されている実在の人物である。有田町では李参平を「陶祖」として尊重し祭神とする陶山神社もある。近年の学術調査の進展によって、有田東部の天狗谷窯の開窯よりも早い1610年代前半から、西部の天神森窯、小溝窯などで磁器製造が始まっていたことが明かになっている。この頃の有田では当時日本に輸入されていた、中国・景徳鎮の磁器の作風に影響を受けた染付磁器(初期伊万里)を作っていた。「染付」は中国の「青花」と同義で、白地に藍色1色で図柄を表した磁器である。磁器の生地にコバルト系の絵具である「呉須」(焼成後は藍色に発色する)で図柄を描き、その後釉薬を掛けて焼造する。当時の有田では窯の中で生地を重ねる目積みの道具として朝鮮半島と同じ砂を用いており、胎土を用いる中国とは明らかに手法が違うことから焼成技術は朝鮮系のものとされる。一方で17世紀の朝鮮ではもっぱら白磁が製造され、染付や色絵の技法は発達していなかったため、図柄は中国製品に学んだと考えられ、絵具の呉須も中国人から入手したものと考えられている。1637年(寛永14年)に鍋島藩は、伊万里・有田地区の窯場の統合・整理を敢行し、多くの陶工を廃業させて、窯場を有田の13箇所に限定した。こうして有田皿山が形成された。この頃までの有田焼を美術史・陶芸史ではしばしば初期伊万里と称する。陶石を精製する技術(水漉)が未発達だったことから、鉄分の粒子が表面に黒茶のシミ様となって現れていること、素焼きを行わないまま釉薬掛けをして焼成するため柔らかな釉調であること、形態的には6寸から7寸程度の大皿が多く、皿径と高台径の比がほぼ3対1の、いわゆる三分の一高台が多いことが特徴である。 ●色絵磁器の登場・発展 その後1640年代に中国人陶工によって技術革新が行われ、1次焼成の後に上絵付けを行う色絵磁器が生産されるようになった。伝世品の「古九谷様式」と呼ばれる青・黄・緑などを基調とした作品群は、かつては加賀国(石川県)九谷の産とされていたが、20世紀後半以降の窯跡の調査により、この時期の有田で焼かれた初期色絵がほとんどを占めることが分かっている。ただし従来言われていた加賀国(石川県南部)での生産も、1650年代から20年間程ごく小規模に行われていた(この産地問題については、別項「九谷焼」を参照)。なお、ほぼ同時期には有田の技術を基に備後福山藩で姫谷焼の磁器が20年間ほど生産されていた。色絵蓋付大壷(江戸中期)17世紀後半、1660年代から生産が始まったいわゆる柿右衛門様式の磁器は、濁手(にごしで)と呼ばれる乳白色の生地に、上品な赤を主調とし、余白を生かした絵画的な文様を描いたものである。この種の磁器は初代酒井田柿右衛門が発明したものとされているが、研究の進展により、この種の磁器は柿右衛門個人の作品ではなく、有田の窯場で総力をあげて生産されたものであることが分かっており、様式の差は窯の違いではなく、製造時期および顧客層の違いであることが分かっている(日本国内向けの古九谷様式に対し、柿右衛門様式は輸出に主眼が置かれていた)[2]。17世紀後半には、技術の進歩により純白に近い生地が作れるようになり、余白を生かした柿右衛門様式の磁器は輸出用の最高級品として製造された。17世紀末頃からは、金彩をまじえた豪華絢爛な「金襴手」も製造されるようになった。有田の金襴手は中国明代後期の嘉靖・萬暦期の金襴手をモデルにしている関係から、皿底の銘に「大明嘉靖年製」「大明萬暦年製」とあるものが多いが、これは当時の陶器先進国中国製のイミテーションのためにデザインの一部として取り入れたものであると考えられている。また、17世紀末頃から波佐見を中心に、焼きの歩掛かりをよくするための厚手の素地にコストを安く上げるために簡略化された同じ紋様を描き込んだ碗類を大量に生産した。安価で流通したこれらの碗は、当時出現して人気を得た屋台でも食器として使用された。当時の屋台が「喰らわんか」と客引きをしていたことから、波佐見窯で焼かれた安価な庶民向けの磁器を「くらわんか碗」と呼ぶ。一方、「鍋島焼」は日本国内向けに、幕府や大名などへの献上・贈答用の最高級品のみをもっぱら焼いていた藩窯である。鍋島藩の藩命を懸けた贈答品であるだけに、採算を度外視し、最高の職人の最高の作品しか出回っていないが、時代を下るにつれて質はやや下がる。作品の大部分は木杯形の皿で、日本風の図柄が完璧な技法で描かれている。高台外部に櫛高台と呼ばれる縦縞があるのが特徴。開始の時期は定かでないが、延宝年間(1673年頃)には大川内山(伊万里市南部)に藩窯が築かれている。当初、日本唯一の磁器生産地であったこれらの窯には、鍋島藩が皿役所と呼ばれた役所を設置し、職人の保護、育成にあたった。生産された磁器は藩が専売制により全て買い取り、職人の生活は保障されていたが、技術が外部に漏れることを怖れた藩により完全に外界から隔離され、職人は一生外部に出ることはなく、外部から人が入ることも極めて希であるという極めて閉鎖的な社会が形成された。しかし、磁器生産は全国窯業地の憧れであり、ついに1806年に瀬戸の陶工加藤民吉が潜入に成功し、技術が漏洩する。以降、瀬戸でも磁器生産が開始され、東日本の市場を徐々に奪われていく。江戸末期には全国の地方窯でも瀬戸から得た技術により磁器の生産が広まっていく。しかし、日本の磁器生産トップブランドとしての有田の名は現在に至るまで色褪せていない。また、江戸時代の有田焼を一般的に古伊万里と称する。 ●海外への輸出 磁器生産の先進国であった中国では明から清への交替期の1656年に海禁令が出され、磁器の輸出が停止した。このような情勢を背景に日本製の磁器が注目され、1647年には中国商人によってカンボジアに伊万里磁器が輸出され、1650年には初めてオランダ東インド会社が伊万里焼(有田焼)を購入し、ハノイに納めた。これによって品質水準が確認され、1659年(万治2年)より大量に中東やヨーロッパへ輸出されるようになった。これら輸出品の中には、オランダ東インド会社の略号VOCをそのままデザイン化したもの、17世紀末ヨーロッパで普及・流行が始まった茶、コーヒー、チョコレートのためのセット物までもあった。こうして17世紀後半から18世紀初頭にかけて最盛期を迎えた有田の磁器生産であるが、1684年の展海令などで景徳鎮窯の生産・輸出が再開され軌道に乗るにつれて厳しい競争に晒されることとなる。また、江戸幕府が1715年に海舶互市新例を制定し貿易の総量規制を行った事から、重量・体積の大きい陶磁器は交易品として魅力を失う。最終的には1757年にオランダ東インド会社に対する輸出は停止され、以降は日本国内向けの量産品に生産の主力をおくこととなる。今日の我々が骨董品店などで多く目にするのは、こうした18世紀の生産品であることが多い。19世紀は明治新政府の殖産興業の推進役として各国で開催された万国博覧会に出品され、外貨獲得に貢献する有田焼に期待が集まった。この輸出明治伊万里は第四の伊万里様式美として研究され、確立されつつある。万国博覧会の伊万里と称される。 ●酒井田柿右衛門 酒井田柿右衛門家は、鍋島焼における今泉今右衛門とともに、21世紀までその家系と家業を伝えている。1982年に襲名した14代目は重要無形文化財「色絵磁器」の保持者として各個認定されている(いわゆる人間国宝)。また、柿右衛門製陶技術保存会が、重要無形文化財「柿右衛門」の保持団体に認定されている。今日においては「柿右衛門」を襲名しても戸籍名の変更まではしないが、酒井田姓は本名であり、嫡子相伝の伝統は変わっていない。14代目が2013年に没した後、2014年2月4日に長男が15代目となる柿右衛門となった。 ●「手描き」と「転写」 有田焼には酒井田柿右衛門が創始した伝統的な技術である「手書き」と、大量生産とコスト削減を目的とした「転写」の技術が存在する。 手描き作品は相対的に手間がかかり、作家の技量や個性が反映されるため美術品や陶芸作品として販売される場合が多い、転写作品は品そのものに対する価値は低いものの価格が安い場合がある。また、一部を手書きで行い、他の部分を転写とする方法も行われている。すべての行程を手書きで行った作品は総手書きと呼び、プリント印刷である転写と比較し完成まで時間が非常にかかる。(転写の技術はデカールを参照) しかし、一概に転写作品は値段が低いという事もない。手描きと転写は手に持った手触りから簡単に見分けることができる。特に手描き作品では絵具が隆起しており、作陶家の心髄を感じることができる。一方、転写作品は全体的にのっぺりとしており、滑らかな感触を味わう事で判断することが可能。(以下略) *1-1-2:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/149277 (佐賀新聞 2015年1月25日) 有田焼の世界、CGで解き放つ パリ見本市 CG技術を駆使したデジタルアートを手掛ける「チームラボ」(猪子寿之代表)は、フランス・パリで開かれている世界最大のインテリア見本市「メゾン・エ・オブジェ」の会場で、有田焼と融合した映像作品を上映している。見本市の20周年記念企画として、器の絵柄を映像で浮き上がらせる技術を使い、幻想的な空間を演出している。会場のエントランスに、有田焼でお茶などが楽しめるスペースを開設。染付、色絵などの茶わんや皿、カップなどをテーブルに置くと、器の絵柄をモチーフにした映像が一帯に広がる。絵柄の鳥が天井や壁面に映し出され、別の器から浮かび上がった木に止まるなど、器や人の動きに反応して映像が次々と変わる仕組みで、多くの来場者を魅了している。チームラボは、プログラマーや建築家、ウェブデザイナーらでつくる技術者集団。昨年3月には九州陶磁文化館(西松浦郡有田町)など県内の4会場で巡回展も開いた。見本市は27日まで。猪子代表は「有田焼の凝縮された美しい世界を空間に解き放ち、世界に大きなインパクトと感動を与えたい」と話している。 *1-1-3:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/170689 (佐賀新聞 2015年3月27日) 有田焼400年の県実行委、欧州市場開拓など予算計上 佐賀県有田焼創業400年事業実行委員会が26日、県庁であり、欧州国際見本市への出展や海外デザイナーとの商品開発事業など6億8100万円の予算案を承認した。国際見本市出展や高級レストランでのPR事業といった海外市場の開拓、食との連携や生活様式の変化に対応した国内市場開拓などに3億7900万円を計上した。このほか、人材育成などを進める産業基盤整備事業費に1億8600万円、国内外にPRする情報発信事業に1億1400万円を盛り込んだ。予算案を承認後、委員として参加している有田町、武雄市、伊万里市、嬉野市などからは「2016年以降の県事業をどう考えているか」「県民が一緒に盛り上がれるような企画が必要」などの意見が上がった。県は16年以降の事業も検討する考えを示した上で「県内での認知度はまだ高くないので、地元有田町などと、事業者ではなく一般県民も楽しめるような事業を考えたい」とした。 *1-2:http://www.arita.gr.jp/shop.html (篠英陶磁器 株式会社:TEL0955-43-3351、FAX0955-43-3352、HP http://www.shinoei.com/) 有田焼の伝統継承に注力し、1986年にピカソの絵、1993年にジョン・レノンの絵の商品化権を獲得、有田焼で商品化し好評発売中です。 *1-3-1:http://news.mynavi.jp/kikaku/2014/12/09/002/ 伝統産業がデジタルと出会うと何が起こるのか? - 有田焼の職人育成を担う有田窯業大学校が3Dプリンタを導入 近年、急速に耳目を集めるようになってきた3Dプリンタだが、現在その注目は「何ができるのか」ではなく、「どういったことに使うのか」という点へと移行している。例えば産業界では、従来のラピッド・プロトタイピング(RP:迅速な試作品づくり)だけでなくDDM(Direct Digital Manufacturing=3Dプリンタで最終製品を製作すること)による治具などの作製などにも使用されるようになってきており、開発・生産の効率化に貢献している。従来の工程に3Dプリンタを組み込むことで、開発・生産の効率化を図る取り組みは伝統産業でも始まっている。今年10月、佐賀県・有田町に位置する佐賀県立有田窯業大学校が、大手3Dプリンタメーカー・ストラタシスの日本販売代理店であるアルテックより3Dプリンタを購入した。有田は日本の磁器発祥の地と呼ばれ、国から伝統工芸品に指定されている有田焼10+ 件は世界的にも有名だ。有田焼の歴史は古く、2016年には誕生から400周年を迎える。同校は陶芸家や陶磁器デザイナー、陶磁器商品企画、指導者など有田焼10+ 件をはじめとする陶磁器の生産に関わる人材の育成を長年にわたって担ってきた。陶磁器産業のこれからを支える人材を育成する有田窯業大学校が、なぜ3Dプリンタの導入に至ったのか、同校でCAD/CAMを担当している関戸正信主査に話を伺った。 ●異業種とのコラボという新しいニーズ 同校が3Dプリンタを導入した背景には、有田焼を取り巻く状況の変化がある。 「陶磁器業界にはグラフィックやインダストリアルなど、いろいろな産業のデザイナーからデザインを有田焼で実現できないかというデザインデータの持ち込みがある」と関戸氏は語る。インターネットが普及し、情報の発信力が高まったことで、他業界とのコラボレーションが活性化しているのである。 持ち込まれたデザインのブラッシュアップにはCAD/CAMが利用されるが、従来の有田焼10+ 件の枠組みではそうしたスキルを完全にはカバーできていなかった。有田窯業大学校は新しいニーズに対応するための新たなスキルの習得が必要との方針に基づき、今年の10月に2年生向けのCAD/CAMの授業を新設。デザインの検証を目的として3Dプリンタの導入に至ったという。 ●Polyjet方式の利点を生かしてデザイン検証を効率化 磁器を生産するためにはまずデザインを決定し、そのモックアップをマスタとして型を取る必要ある。同校ではそれまで磁器の原型製作において、表面処理に時間がかかることや、寸法精度の限界に課題を感じていた。また、強度や対摩耗性もより強いものが求められていた。 今回導入された「Objet30Pro」のPolyjet方式は、表面の平滑さや、扱う素材の吸水性が少なく、多孔質ではないというメリットがあり、成形したモックアップで機能テストが行える。また、非常に高精度なため、出力したものをそのまま原型として使用することができるというメリットもあり、これらの特徴により、デザインの検証期間が短縮されることが確認され、その結果としてデザイン自体の幅を広げることにもつながったという。 *1-3-2:http://qbiz.jp/article/58776/1/ (西日本新聞 2015年3月26日) 3Dプリンターで陶磁器量産? 佐賀県窯業技術センターが開発 佐賀県窯業技術センター(同県有田町)は25日、3Dプリンターで有田焼の主原料の天草陶石を使い、陶磁器を量産する技術の開発に成功したと発表した。「型」を使わない3Dプリンターでの生産は、プラスチックなどではできたが、陶磁器原料で成功したのは国内初という。センターは「2016年に創業400年を迎える有田焼の次の100年につながる技術開発」としている。有田焼など陶磁器の量産は石こうの型に陶土を入れて作るのが一般的だ。開発は2013年度に着手し、2年がかりで成功にこぎ着けた。完成品の立体画像をコンピューター上で制作し3Dプリンターで出力すると、天草陶石の粉末がまかれ、その上に製品の形に沿って接着剤が噴霧される。それを繰り返すと層が積み重なり、徐々に製品が形成される仕組みだ。取り出した生地を1300度で焼成すると完成する。現在は通常の磁器の20%ほどの強度で、造形の精度、自由度も今後改良が必要だが、鎖状につながったり穴が多数開いたりした複雑で細かい形でも製作が可能になる。1個数万から数十万円する型の製作費や手間も省け、少量生産時のコスト削減に有力な手段として期待がかかる。開発したデザイン担当係長の副島潔さん(49)は「有田焼が創業400年を迎える16年内には実用化を目指したい」と話した。 <佐賀県の制度金融> *2-1:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10103/167159 (佐賀新聞 2015年3月17日) 有田焼「大慶」、ネットで資金調達 ■クラウドファンディング県の支援第1号 ■わずか2日で171万円 インターネットを通じて小口資金を集める佐賀県の「クラウドファンディング(CF)」支援事業で、第1号となった有田焼商社のファンドが目標金額を集めた。有田焼創業400年事業の一環で、県が関与することによって企業がCFに参入するハードルを下げるのが狙い。今回をモデルケースとして、普及に力を入れる。西松浦郡有田町の商社「大慶」のファンドを2月25日、運営会社「ミュージックセキュリティーズ」(東京)が立ち上げ、わずか2日後に目標の171万円に達した。資金は、大慶が販売する電子レンジで利用できる磁器「UTSUWA美」の型や材料の費用として活用する。CFは本来、運営会社と企業による民間の取り組みだが、県内では知名度が低く、利用実績が少なかったため、県が本年度から支援に乗り出した。昨年8月に投資型ファンドを運営するミュージックセキュリティーズと覚書を結び、有田町などでセミナーを開催。ファンド立ち上げにかかる費用の一部を補助している。短期間での資金調達について県有田焼創業400年事業推進グループは「商品とサービスに魅力があったのが理由」と分析する。UTSUWA美は電子レンジに加え、高温になるオーブンでもそのまま使用できるのが特徴。大慶は出資者に対して、売り上げに応じて配当金を支払うほか、ビアグラスなどの特典も付けた。同グループは取り組みの効果として、有田焼ファンの掘り起こしや販売ルートの開拓に加え、補助金などに頼らない長期的な資金の受け皿づくりを挙げる。大慶に続くファンドの計画が進んでいるものの、CF参入に手を挙げる企業はまだ少なく、県は来年度も事業を継続する。大慶の森義久社長は「CFの存在は知っていたが、運営会社のことはよく分からず、県が間に入ってくれなければ実現しなかった。金額を増やして新たなファンドにも挑戦してみたい」と話す。 *2-2:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10103/165396 (佐賀新聞 2015年3月12日) 県制度金融、過去最低金利に 中小企業の新事業支援 ■限度額引き上げ、貸付対象拡大も 国の成長戦略や長期金利の低下を受け、佐賀県は制度金融のすべての貸付金利を最大で0・9%引き下げる優遇措置を設けた。10日以降の融資分が対象で、限度額の引き上げや貸付対象の拡大など融資メニューも一部拡充。中小企業の資金調達を円滑にして設備投資を促し、生産性向上などの経営改善を支援する。各メニューともこれまでで最も低い金利になる。「異次元の金融緩和」などで長期金利は歴史的低水準となり、県制度融資の金利の割高感が強まっていた。地方への波及を目指す国の経済対策にも呼応。中小・零細事業者が資金を借りやすくして、成長が期待される新分野への参入を後押しする。県商工課は「新事業の支援を目的とした大幅な制度見直しは初めて」としている。優遇措置は、10日の融資受け付け分から適用。金融機関への預託金を積み増しし、貸付金利を従来から0・2~0・9%引き下げた。県と金融機関、信用保証協会の3者が連携してリスクを分散。融資後も商工会などの支援機関が経営指導することで貸し倒れリスクを軽減する。2015年度の融資枠は、全体で200億円。企業に応じて決まる信用保証料率も一部で引き下げた。貸付金利の引き下げ幅が最も大きいのは、物的担保が原則不要で利用が最も多い「小規模事業貸付(一般資金)」。現行2・2%を1・3%に下げ、限度額は1600万円から2千万円に引き上げた。使途を限定していない「中小企業振興貸付」は2・4%を1・8%にした。成長分野への参入を支援する「経営基盤強化資金」では、観光客誘致や海外への専門家派遣による商品開発などにも貸付対象を拡大。限度額5千万円の設備投資促進枠も新設した。追加借り入れを前提に、運転資金の借り換えを促す「円滑化借換資金」は、限度額を3千万円増やして8千万円にし、融資枠も10倍の115億円に増額した。融資の申請は、各地域の商議所や商工会などで受け付ける。県商工課は「金融機関と保証協会との三位一体で信用リスクと潜在力を見極め、前向きに新規事業への展開を図る企業をサポートしていきたい」としている。問い合わせは同課金融担当、電話0952(25)7093。 <農産物> *3-1:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10105/163707 (佐賀新聞 2015年3月7日) ナシの花満開 生産農家、授粉作業ピーク 伊万里市 西日本有数のナシ産地の伊万里市で、ハウス栽培のナシの花が満開となり、生産農家は授粉作業に追われている。JA伊万里梨部会長の松本健一郎さん(64)=大川町大川野=のハウスは2月下旬から早生種の幸水が真っ白な花を開き、春色に包まれている。妻良子さん(60)や梨部会大川支部の役員らも手伝い、綿のついた棒に花粉をつけ、めしべに優しく押し当てる作業を丁寧に繰り返した。授粉作業の20~30日後には小さな実ができ、その後、大きく品質の良い果実にするために余分な実を半分ほど摘み取るという。出荷は6月下旬から始まる。ここ数年は関東地方のナシが出荷時期を早めた影響で、単価が大幅に下落している。松本さんは「今冬は関東の寒さが厳しいので出荷時期が遅れるかもしれない。期待を持ちながら、他産地に対抗できる良いナシを出したい」と話した。 *3-2:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=32159 (日本農業新聞 2015/2/21) 放棄ミカン園集積 農地バンク活用 団地化で産地“若返り” JA長崎せいひ、生産部会 長崎県のJA長崎せいひと同JA大西海みかん部会が耕作放棄園を農地中間管理機構(農地集積バンク)で集積し、担い手の規模拡大につなげようと動きだした。農地集積バンクを使って園地の権利関係を明確化した上で、西海市西彼町の2地区に10~20ヘクタール規模のミカン団地を造る。担い手が改植をしやすい環境を整えることで「売れる品種」への転換を進め、ミカン産地の“若返り”を目指す。モデル地区の一つ、西彼町白崎郷では、53戸の計19ヘクタールを集積する。地区では、高齢化やミカン価格の低迷から生産者が減少し、地権者53人のうち、ミカンを栽培しているのはわずか5、6人。園地の多くを耕作放棄地や地域外からの入り作が占める。未相続地も多く権利関係が複雑で「地域の担い手が園地を引き受けようにも手が出せない」(JA)状態にあった。そこで地権者との調整役を果たしてきたJAと部会が、2014年10月に事業推進委員会を立ち上げた。産地を維持する観点から、地権者、耕作者に対して園地の集積を提案。農地集積バンクの関連事業で、農地を集積した地域に支払われる「地域集積協力金」を引き合いに出し、地区内の合意を取り付けた。15年度中の集積完了を目指し、話し合いを進めている。園地の借用期間は、一般的に水田で設定する10年と比べて長い15年以上とする方針だ。同地区でミカン40アールを栽培する事業推進委員会の山脇初良会長は「規模拡大には生産性を上げる基盤整備や改植が欠かせない。園地が出来上がった頃に『返せ』と言われないよう、長く借りられる保証が必要だ」と説明する。園地を集積した後は、18年着工を目標に国や県、市町村が事業費を助成する農業競争力強化基盤整備事業など活用して団地を整備する。整備後は糖度の上がりやすい早生品種への改植を進めるとともに、2、3ヘクタール規模でミカンを栽培する専業農家を育成する方針だ。平地が少なく果樹栽培が盛んな西海市では、ミカン団地化の構想に加え、市農業振興公社でも園地の集積に力を入れている。公社が2月までに集積した農地14ヘクタールのうち3ヘクタールは果樹園で、園地のある西彼町の2戸が受け手となった。公社で農地集積を受け持つ山口用一郎担当は「市内には権利関係がはっきりしない園地が多い。農地集積バンクなど新事業を使って農地の受け手を明確にしておくことが、耕作放棄防止にもつながる」と、モデル地区外の園地でも農地集積バンクの活用を呼び掛ける。 <原発の地元について> *4-1:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/167395 (佐賀新聞 2015年3月18日) 伊万里市長、安全協定で知事に積極関与要望 ●玄海原発は「地元」 伊万里市の塚部芳和市長は17日、山口祥義知事と面会し、市全域が玄海原発(東松浦郡玄海町)の30キロ圏内に入ることから「地元」と位置づけた上で、九州電力と立地自治体並みの安全協定締結ができるよう積極的な関与を要望した。県が再稼働を判断する際、市への説明と意見聴取も求めた。山口知事は安全協定が未締結の現状は問題とし、今後、協議していく考えを示した。地元の範囲は国の考え方などを踏まえて検討する意向を伝えた。伊万里市は県内の20市町で唯一、九電と安全協定を締結していない。塚部市長と山口知事が原子力政策をめぐり面会するのは初めて。塚部市長は、九電との安全協定に関し、20回以上協議を重ねているものの締結に至っていない現状を説明した。「九電に対し、再稼働の前に協定を結ぶべきと進言していただければ」と協力を要請した。山口知事は「今の状態がいいとは思わない」とし、福島事故以降、全国で締結された協定や覚書なども参考にし、「さまざまな形で議論していければいい」と応じた。市長は、避難道路の整備など原子力防災対策への財政的支援も要請した。面会後に会見した塚部市長は「市としてもいろいろな安全協定のあり方を検討する。立地自治体並みの事前了解権を県が担保するようなやり方もあるのでは」との考えも示し、県や九電と協議していく方針を語った。 *4-2:http://www.saga-s.co.jp/column/genkai_pluthermal/20201/170537 (佐賀新聞 2015年03月26日) 玄海原発訴訟、追加提訴で原告数9千人超に ■佐賀地裁、13回目提訴 原発の再稼働に反対する市民が国と九州電力に玄海原発全4基の操業停止を求めている訴訟で、新たに247人が26日、佐賀地裁に追加提訴した。13回目の提訴で、原告数は9126人となった。原告には元日弁連会長の宇都宮健児氏や、福島第1原発事故の被害に関する著書を出版した福島県飯舘村の酪農家長谷川健一さんらが新たに加わった。原告の内訳は福岡県が5009人で最も多く、佐賀県は1869人。九州以外からも約千人が入っている。 PS(2015年4月7日追加):衆議院議員時代に、私は有田焼卸団地に挨拶廻りに行き、①素晴らしい食器がふんだんにあること ②それにもかかわらず卸団地が空いていること に驚くとともに、ゆっくりと有田焼を拝見し、生産者に話を聞く機会を得た。現在、有田町は「ふるさと納税」のお礼に有田焼を採用していないが、有田焼卸団地協同組合と有田町商工会議所が協力して、現在の有田焼に関する広報も兼ね、「ふるさと納税」のお礼に気の利いたおしゃれな有田焼を採用してはどうだろうか。 *5:http://www.saga-s.co.jp/column/economy/22901/174427 (佐賀新聞 2015年4月7日) 卸団地40年で記念式典「有田焼400年復活へ好機」 有田焼卸団地協同組合(山本幸三理事長、23社)の団地開設40周年記念式典が3日、西松浦郡有田町赤坂丙の同組合会館で開かれた。有田焼創業400年を来年に控え、県や町と連携して節目の年を盛り上げていくことを誓った。式典には、組合員や窯業関係者ら約70人が出席。山本理事長は、売り上げが最盛期の6分の1になるなど厳しい状況が続く焼き物業界の現状に触れ、「来年は業界復活への大きなチャンス。組合員全員で力を合わせ、次の50年、100年を目指したい」とあいさつ。40周年記念事業として、看板の付け替えなどで来場者の利便性向上を図ることや商品購入者へのプレゼント企画などを発表した。同組合は1973年、焼き物卸商社20社とダンボール製造3社で設立。75年にショールームを兼ねた卸団地を現在地に開設した。2005年からは、焼酎グラスやカレー皿などを窯元と共同開発したオリジナルブランド「匠の蔵」シリーズを販売している。 PS(2015年4月17日追加):*6-1のように、ヨーロッパはじめ外国で売る時は、絵画部門は版画や日本画も人気がでるのではないかと思うし、*6-2のように、軽くて強い強化磁器にした方がよいのは、給食用磁器だけではないだろう。 版画 上村松園 源氏物語絵巻 (*例えば上のように、日本の作品にも有田焼版にして輸出するのに向いたものが多い) *6-1:http://qbiz.jp/article/60351/1/ (西日本新聞 2015年4月16日)ミラノで有田焼400年事業をPR 佐賀県、家具見本市で 【パリ国分健史】佐賀県は14日、イタリア・ミラノで開催中の世界最大級の家具見本市「ミラノ・サローネ」で、有田焼の窯元・商社と国内外のデザイナーが新商品を開発する事業について、現地マスコミ向けの発表会を開いた。有田焼創業400年事業の一環。ミラノ・サローネで新商品を発表する2016年に向け、現地で周知を図ろうと開いた。15、16日も同様の発表会を開く。県の同事業推進グループによると、初日の14日は約40人が参加。新商品の開発に取り組んでいるデザイナーなどが取り組み内容を説明した。参加者からは「地場産業と世界のデザイナーが結びついた新たなプロジェクトで、世界の産業のモデルになる」などの声があった。 *6-2:http://www.saga-s.co.jp/column/economy/22901/177882 (佐賀新聞 2015年4月17日) ショールーム29日オープン 給食用強化磁器の匠 給食用強化磁器食器を製造、販売している「匠」(西松浦郡有田町、西山典秀社長)は29日、同町南原丁の国道35号バイパス沿いにショールームをオープンする。イベントなどを通して、有田焼の魅力を発信する。ショールームは、2階建て延べ床面積約510平方メートル。1階には自社の食器を展示。2階は企画スペースとして、窯元や勉強会の作品発表に活用する。隣接する事務所や倉庫を含め、空き物件となっていた土地建物を日本政策金融公庫の「中小企業経営力強化資金」の融資を受けて買い取り、整備した。西山社長は「来年の有田焼創業400年に向け、企画を練り、地域の熱気を伝えたい」と節目の年の盛り上げに意欲を見せた。 PS(2016年1月10日追加):磁器発祥の地、有田では、*7-1、*7-2のように、今年が創業400年であり、有田町の関係者は産地の再興や海外での販路拡大を目指して決意を新たにしたそうで、私は心から応援したい。しかし、灯籠であれば光を灯した後の見え方が大切であるため、下の段のエミール・ガレ(フランスのガラス工芸家)の作品のようにガラス質の材料を多く使って透明度を高め、三次元の造形美を創った方がよいのではないだろうか。ちなみに、ガレの作品はガラス製品だが、壺や花瓶も素敵だ。 現在、有田焼は、東京の日本橋三越、大阪の梅田阪急、福岡三越など日本の高級百貨店で展示会を開催しているが、今後は、磁器発祥の景徳鎮を有する中国、マイセンを有するドイツ、ウェッジウッドのイギリスなどの百貨店でも展示会をしたらよいと思う。その理由は、こういう地域の人々は磁器を使う習慣や選択眼があること、有田焼の作者も世界で刺激を受けた方が良いことなどだ。 2016.1.10西日本新聞(*7-2)より フランスのガラス工芸家、エミール・ガレの作品 (翠玉白菜) 台湾の故宮博物院に所蔵されている主に中国陶磁器の名品 *7-1:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/262161 (佐賀新聞 2015年12月22日) 有田焼400年 事業概要まとまる、記念式典や展示会多彩に 来年の有田焼創業400年に向けた西松浦郡有田町の実行委員会(委員長・山口隆敏町長)の事業概要がまとまった。秋に有田焼の歴史や現在を概観する展示会を企画し、10月22日の記念式典・レセプションでは、講演会や有田焼の器と地元食材を使った会食などで400年を盛り上げる。21日の実行委員会で報告された。記念式典・レセプションは、有田町の焱の博記念堂で開く。中韓など4カ国の大使や窯業界、国・県の関係者ら300人超を招待する。翌日は有田皿山まつりと連携した町民向けの「400年感謝祭(仮称)」を検討している。展示会は、住民が企画したイベントを集めた「有田まちなかフェスティバル(10~11月)に合わせて開催する。人間国宝ら有名作家から有田の未来を担う子どもたちまでの作品を並べるほか、新商品開発の軌跡など多彩な展示を計画する。期日は未定。有田焼の名品展示や工房再現などで好評だった「400年有田の魅力展」は、2、3月の大阪・梅田阪急、福岡三越に続き、来年度も全国各地の百貨店で実施する。町内の子どものための企画として、夏休みに焼き物製作体験会を開く。実行委では、山口隆敏町長が「節目の年を目前に控え、陶器市など既存イベントの拡充を含め検討している。委員の意見を聞き、よりよい計画にしたい」とあいさつ。委員の中島宏・県陶芸協会会長らが「有田の熱気を世界に伝えてほしい」などと述べた。計画は3月までに再度実行委を開いて決定する。 *7-2:http://qbiz.jp/article/78003/1/ (西日本新聞 2016年1月10日) 有田焼 さらなる高みへ 創業400年 陶芸家ら決意 有田焼創業400年の幕が開けた。産地の再興、海外の販路拡大を目指し、磁器発祥の地、佐賀県有田町の関係者はさらなる伝統の高みへと心を熱くしている。「今後100年、その先の未来に向け、有田の誇りを継承していきたい」。有田町の泉山磁石場で1日にあった記念イベントで、有田中3年の森龍一郎君は未来へのメッセージを力強く読み上げた。山口祥義知事は「子や孫にしっかりとした有田焼を引き継いでいきましょう」と祝辞。山口隆敏町長も「450年、500年とつないでいくため、この節目の年を生かしていく」と決意を述べた。イベントでは、重要無形文化財保持者(人間国宝)ら有田焼を代表する陶芸家たちも自作の灯籠を磁石場にささげ、思いを新たにした。灯籠に伝統文様のボタンの彫りを施した白磁の人間国宝、井上萬二さんは「400年は祭りではなく原点に返る年。先人たちが積み上げてきた技術を受け継ぎ、平成の伝統をつくっていく」。青磁の人間国宝、中島宏さんの灯籠は天に向かって伸びる竹を表現。「磁石場に立ち、あらためて先人の苦労がしのばれた。感謝し負けないように頑張らなければ」と表情を引き締めた。薄墨墨はじきの技法とプラチナ彩で鍋島文様のタチバナやザクロを描いた色絵磁器の人間国宝、十四代今泉今右衛門さんは「400年の重みを受け止め真摯(しんし)に仕事に向き合っていくことが先人への恩返しになる」と述べた。十五代酒井田柿右衛門さんは、17世紀の柿右衛門の文様と自身が取り組む団栗(どんぐり)文を表現。「柿右衛門の昔と今の融合を感じてほしい」と語った。400年前に泉山磁石場を見つけた李参平の子孫で、同町の陶芸家十四代金ケ江三兵衛さんは「有田焼の原点の地でこの日を迎えられた。ありがたく、素晴らしい」と感慨深げだった。
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2015,03,21, Saturday
マララさんの国連スピーチ ミシェル&昭恵 メルケル独首相 サッチャー英首相 (↑ http://www.huffingtonpost.jp/2013/07/12/malala_speech_n_3588163.html 参照) (1)メルケル首相とサッチャー元首相は、ともに欧州出身の理系女性であること *1に書かれているように、メルケル首相は、旧西独で生まれ、牧師だった父の転勤で東独に行き、ライプチヒの反政府デモからベルリンの壁崩壊までの激動を東側の物理学者として見届け、それから統一を求める新党に参じて科学から政治へ人生のかじを大きく切り、現在では、ウクライナの停戦を仲介し、ギリシャ債務問題で欧州連合(EU)を代表してユーロ防衛の大義を説くなど、欧州の政治に欠かせぬ顔となり、英国首相を11年半務めたマーガレット・サッチャー氏と並んでいる。このような実力派のヘビー級リーダーの女性は、まだ欧州でしか出ていない。 一方、我が国では、国会議員の女性比率は主要国で最低であり、地方議員ではさらに低くて“男湯議会”も多い。この状況は、日本国憲法制定後、70年河清を待っても変わらなかったため、国会の超党派議員連盟で女性候補を5年で30%にする目標を掲げたそうだが、私も、「リーダーや政治は男でなければならない」という人々の先入観がなくなり、自然に女性候補が50%程度になるまで、候補者のクオータ制を導入するしかないと考えている。 (2)日本のメディアは男社会で、女性に対する意識が低いこと *2-1のように、朝日新聞は、メルケル独首相を、超人的な仕事ぶりが独メディアで話題になる「欧州の女王」と表現した上で、その素顔を、「『鍋をかき回している時は、自分が首相でも何でもない存在だと思える』というのが本音だ」としている。この中には、「首相となる女性は女王のように権力主義だが、本当は首相でも何でもなく鍋をかき回しているのが一番幸せなのだ」という価値観が入っており、その古い価値観が、この記事の他の部分の内容のよさを打ち消して、メディアの意識の古さを露呈している。 私もそうなのでここではっきり書いておくが、一生懸命勉強してそれなりの大学を卒業し、研究や仕事で業績を残している人は、やりたいことを実現するために多くの苦労をし、他の時間を犠牲にしながら集中して頑張ってきているため、それを行うには強い意志が必要だったのである。そのため、本音では「首相でも何でもない存在で鍋をかき回しているのが一番幸福だ」と考えるような人は、はじめから首相にはなっていない。 さらに、*2-2でNHKは、「広がる”不寛容”多文化は共生できるか」という放送をした。私は、預言者ムハンマドを笑い物にして描くシャリル・エブドは、いくら当事者が「表現の自由」を主張したとしても、そこには見識がなさすぎると考える。 一方、イギリス政府が、イギリス市民としての生き方を教える「シチズンシップ(市民教育)」という教科を中学校で必修化する教育改革を行い、移民が市民権や永住権を得る際にはイギリスの歴史や文化に対する理解度をはかる試験を実施して、合格者にはイギリス王室や国法への忠誠を誓う儀式に参加することを義務付けたのは、イギリスとしては当たり前だと考える。何故なら、異なる宗教や民族が同居していても、異様な女性差別を宗教や文化を理由として認めるのは、男女が同じ市民権を持つ国ではありえない上、女子差別撤廃条約にも反するからだ。 さらに、*2-3のように、日本のメディアである朝日新聞は、「読解力・数学で男女に差 OECD、15歳の学習到達度を分析」と大きな見出しで書いており、まるで女性が生まれつき数学(論理学)に弱く、読解力(文学)に強いかのような戦前の発想で記事を書いている。よく内容を読めば、社会環境、教育環境、家庭環境による性差(ジェンダー)によるところが大きいだろうとも読めるが、忙しい人は題名と最初のフレーズくらいしか読まないため、さらにジェンダーを広めている。 しかし、メルケル首相(ライプツィヒ大学卒業、物理学博士)もサッチャー元首相(オックスフォード大学化学科卒、弁護士)も理数系に強い女性である。一方、メディアの記者や弁護士・公認会計士などの文系分野にも男性が多く、それは先天的能力よりも社会の期待や価値観によっており、どんな人生を送ることを前提として育てられたり、社会環境の影響を受けたりして勉強してきたかが分かれ目となっている。なお、私も理数系に強い女性だが(だからといって文系に弱いわけではない)、仕事上、女性に対して30年以上前から比較的機会均等に門戸を開いていた公認会計士・税理士としてやってきたのだ。 (3)女性に対する教育と女性が仕事を持つことの重要性 *3-1の朝日新聞で、ミシェル・オバマ米大統領夫人と安倍昭恵・首相夫人が19日、世界における女子教育の支援で協力を確認し、ミシェル夫人は「世界各地に聡明で能力があり成功を切望しながら学校に通えない女子がいる。それは世界にとって大きな損失だ」と語り、昭恵夫人も「世界には当たり前の権利を求めて汗と涙を流している子供たちがいる」と語り、米国は女子教育支援のための援助資金として2億5千万ドル(約303億円)を来年度予算に盛り込み、日本は政府の途上国援助(ODA)で今後3年間で420億円超を支出することを発表したと記載されており、よいと思う。 特にイスラム社会では、女子教育や女性の職業選択の自由が制限され、女性が活躍して世界を変える力になるための基礎教育が十分に行われていない。私は、女性の意思決定権者が少なく、一夫多妻で結婚相手にあぶれる男性が多いのが、イスラム圏で戦争が多い理由の一つであるため、教育改革による人材構造改革は、戦争回避と経済発展の両方のために重要だと考えている。 なお、「私のような貧しい環境で育った女の子は、成功を収める生徒にはなれまいと決めつける先生にも出会った」というミシェル夫人と、つい最近まで男女の性的役割分担を強調しつつ女子教育だけは充実してきた日本の昭恵夫人は、イスラム教などで差別され教育を受けられない女の子に女子教育の機会を与えられるBest Personかもしれない。それを、「オバマ大統領の残り任期2年で、大統領夫人としても、女子教育でレガシー(遺産)を作ろうとしている」などと言っているのは、言った本人がそのくらいの推測しかできない発想の持ち主なのである。 また、*3-1で、「両夫人は首脳である夫に率直に意見を述べる点などが共通していると言われる」などと書き、「ミシェルは思ったことを恐れずに語り、私が間違っている時も指摘する。それもしょっちゅうだ」とオバマ大統領が語ったということを取り上げているのは、日本のメディアが「女性は夫を立てて意見も言わないのが普通」という前提を持っているからだろうが、その愚かさと世間の狭さには呆れるほかない。何故なら、どういう地位の人でも夫は夫であり、妻が自分の意見を言うのは当たり前である上、ミシェル夫人はオバマ大統領と弁護士事務所の同僚だった人だからである。 さらに、*3-1は、ミシェル大統領夫人のファッションには詳しく触れているが、ミシェル夫人が逆境の中で、プリンストン大学とハーバード・ロー・スクールを卒業して弁護士として働いていたことには触れていない(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9F%E3%82%B7%E3%82%A7%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%82%AA%E3%83%90%E3%83%9E 参照)。つまり、本当はよい題材を扱いながら、記事の内容は古い価値観の男性目線に依る取り上げ方、解釈の仕方であり、記者のレベルの低さがわかるのである。 なお、女性が発言権を持てるためには、教育水準だけではなく経済力も必要であるため、女性が働きやすい産業を立地させるのが良い。それには、*3-3のような繊細、緻密で根気のいるイスラム圏の女性が織るペルシャ絨毯を見れば、イスラム女性の能力と根気、4大文明のすごさがわかるため、日本の政府途上国援助で、女子教育だけでなく、女性の能力を活かせる産業の立地も進めるのがよいと思う。 また、*3-4は日本に関する記事だが、どの国も、経済発展するためには、労働の質と量が重要だ。そのためには、労働参加率を引き上げ、いろいろな分野に女性を参加させ、1人当たりの労働生産性や1人当たり所得を増加させることが必要で、そのためには女子教育も必要不可欠なのである。 なお、教育水準の高い東アジアでは、この70年間、日本(1950~70年代)、韓国(70~90年代)、中国(90年代~現在)で、1人当たり国内総生産(GDP)の顕著な増加が起こったが、次はイスラム諸国の番である。ただし、工業は労働生産性が高いからといってすべての人が工業にシフトして農林漁業を疎かにしていれば、食べ物がなくなる。そのため、農林水産業は決して疎かにすべきではないのだ。 このような中、*3-2のように、佐賀県の私立学校協会は、補助金の充実による保護者の負担軽減や公私間格差の是正などを求めて、佐賀県の山口知事に私立学校関係予算に関する要望書を提出したそうだ。私は、保護者の負担軽減や公私間格差の是正は必要だと思うが、日本では少子化の中で公立高校の収容人数にもゆとりが出てきたため、佐賀県の私立も都会の私立のように独自の教育方針を示して保護者や生徒に魅力を増す必要のある時代になったのであり、「県立高校の2次募集合格によって私立高を辞退する人が少なくないので、2次募集を廃止してほしい」と訴えるのは、学校が生徒の教育のためにあることを考えれば本末転倒だと思う。 しかし、日本は少子化で設備にゆとりができたのであれば、この際、寮や寄宿舎を作り、昭恵夫人に頼んで、ODAで“アキエ奨学金”もしくは“(プリンセス)マサコ奨学金”を作ってもらい、イスラム圏はじめ日本で勉強したい外国の生徒を受け入れてはどうかと思う。 <実力派の女性について> *1:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11638859.html (朝日新聞 2015年3月8日) (日曜に想う)「和製メルケル」クオータ制から 特別編集委員・冨永格 同じ旅で旧東独のライプチヒ大学を訪れた。ゲーテ、ニーチェ、ワーグナーらが並ぶ「在籍した偉人」の末尾にアンゲラ・メルケルの名がある。旧西独で生まれたメルケル首相(60)は、牧師だった父の転勤で東へ。ライプチヒの反政府デモに始まり、ベルリンの壁崩壊に至る激動を、東側の物理研究者として見届ける。最後は統一を求める新党に参じ、科学から政治へと人生のかじを大きく、賢く切った。いまや欧州政治に欠かせぬ顔だ。ウクライナでの停戦を仲介し、ギリシャ債務問題では欧州連合(EU)を代表してユーロ防衛の大義を説く。母国の経済力にも裏打ちされた存在感は、EU首脳の間で抜きんでている。国際政治でヘビー級と呼ばれるリーダーはめっきり減った。欧州ではロシアのプーチン大統領と、メルケル氏くらいだろう。ドイツのきっちり、どっしりにスーツを着せたその人があす、7年ぶりに日本にやってくる。 * ヨーロッパの女性指導者といえば、英国首相を11年半も務めたマーガレット・サッチャー氏が浮かぶ。メルケル氏も秋で在任10年。2017年までの任期を全うすれば「鉄の女」を超す。欧州の2大国に登場した初の女性首相が、そろって長期政権を担う。この事実、まんざら偶然ともいえない。政治が「男の世界」なのは欧州とて同じだが、北欧を中心に女性の大統領や首相は珍しくない。男優位の空気が残るラテン文化圏も変わりつつある。フランスでは07年の大統領選で左派の女性候補があと一歩に迫り、大衆人気で勝る右翼政党は創設者の三女が率いている。EU外相にあたる重職を務めるのは41歳のイタリア女性だ。女性の政治家は鍛えられ、ふるいにかけられ、地位をつかめば活躍する。それを見た同性が政界を目ざし、登用の機運は民間にも波及する。翻って、我が国の惨状である。国会議員の女性比率は衆院が9%台、参院も16%で、主要国では恥ずかしいほど低い。地方議員は12%弱、ひと時代前の「男湯議会」もたくさん残る。政治家が総じて小粒になったのに、遠からず首相を狙えそうな女性は見当たらない。三権の長といえば、過去に衆院議長(土井たか子氏)と参院議長(扇千景氏)がいるだけだ。 * 産む産まないは自由としても、妊娠出産がキャリアの妨げになる現実は捨ておけない。私たちの社会は、持てる力の半分ほどを無駄にしかねない。少子化対策にしても、女性の視点や肌感覚は必須だろう。機会均等の徹底は、だから制度づくりに関わる議会から始めるべきだ。遅れた職域でもあり荒療治が要る。まずは政党間で争う国政選挙で、候補者の一定割合を女性にするクオータ制を実現したい。かぎを握るのは巨大政党。もはや「逆差別」を理由にためらう余裕はない。100を超す国々が多様な割当制を採り入れ、女性議員を増やしてきた。先頃わが国会にできた超党派の議員連盟は、女性候補を5年で30%にする目標を掲げる。結果ではなく機会の3割だから、女性優遇の枠ではない。そもそも、能力に関係なく当選を重ねる男性議員はいくらでもいよう。サッチャー氏は首相になった翌月、東京での主要国首脳会議に臨んだ。記者会見で「初の女性首相として」と聞かれると、質問を遮り「私は女性の首相ではなく、英国の首相です」と厳しい口調で釘を刺したという。通訳を務めた村松増美さんの回顧録にある。皆が「鉄」になれるわけではない。頂点を争う地位にまで女性を押し上げるには、強いルールで人材のすそ野を広げることだ。夢はるかでも、世界を動かす和製メルケルを待ちたい。 <女性に対する日本メディアの意識> *2-1:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11636613.html?_requesturl=articles%2FDA3S11636613.html&iref=comkiji_txt_end_s_kjid_DA3S11636613 (朝日新聞 2015年3月6日) 「欧州の女王」の素顔 メルケル独首相、9・10日に訪日 ドイツのアンゲラ・メルケル首相(60)が、ウクライナ危機など世界的な問題の対処で存在感を大きく高めている。ドイツだけでなく、ヨーロッパ各国のメディアで、「欧州の女王」と形容されるメルケル首相は、どんな人なのか。9、10日の訪日を前に、素顔に迫った。 ■超人的 8日間で2万キロ移動 ウクライナ危機やギリシャ債務問題が山場を迎えた2月上旬。メルケル首相の「超人的な仕事ぶり」が独メディアで話題になった。メルケル氏は2月5日~12日の8日間に、ウクライナ情勢を巡りロシアのプーチン大統領らとの長時間の首脳会談を2回こなしつつ、故ワイツゼッカー大統領の追悼式や安全保障会議にも出席。北米にも外遊した。独メディアによると総移動距離は2万キロ。地球半周分だ。ウクライナ問題には特に執念をみせる。シンクタンク・欧州外交評議会のグスタフ・グレッセル客員研究員は「ソ連や旧東独で理不尽なものを目の当たりにしてきたからこそ、西側の政治家が首をかしげるようなプーチン氏の行動や決断も理解している」と分析する。 ■決断力 脱原発、世論見て即決 メルケル氏はよく「熟慮の政治家」といわれる。その資質は9歳の時のエピソードにも垣間見える。学校の水泳の授業で、高さ3メートルの飛び込み台の上で立ち往生。飛び込んだのは、授業終了の合図を聞いた時だった。後に「飛び込み台を信頼するのに、1時間かかった」と振り返った。進学したライプチヒ大学では物理学を専攻。卒業後、物理学者として東ベルリンの科学アカデミーに勤めた。その記憶力は健在のようだ。長年取材する独紙ビルトのラルフ・シューラー記者(48)は「用意された書類を短時間で細部まで覚えて忘れない」と舌を巻く。シューラー氏はこうも言う。「彼女はデータが何より好きで、それを頭の中で蒸留し揺るぎない決断を導く。逆に、理解できないうちは何も決めずに待つ」。ただ、2011年の東京電力福島第一原発事故後のエネルギー政策の転換は例外だった。「稼働延長」を決めていた原発の停止を即断。脱原発に傾いた世論をみるや、党内の反対を押し切り、22年までの原発全廃に踏み込んだ。「(被災地の映像を見て)今まで信じていたものに疑問を感じた」と後に語っている。その「素顔」はあまり知られていない。1989年のベルリンの壁崩壊後、政治の世界に飛び込んだメルケル氏は、旧東独最後の政権で副報道官などを務めた。その後、コール元首相に見いだされ、2005年に初の女性、東独出身の首相になった。私生活では大学時代に学生結婚し、数年後に破局。現在の夫と1998年に再婚後も、前夫のメルケル姓を使い続ける。好物は独家庭料理のルーラーデ(肉巻き)とポテトスープだ。「鍋をかき回している時は、自分が首相でも何でもない存在だと思える」。メルケル氏はかつて女性誌のイベントで珍しく本音を漏らし、会場を笑わせた。意外な特技が物まね。長年取材する独紙記者によると、とくにロシアのプーチン大統領が得意だという。 ■寝だめ・10キロ減量に成功 昨年7月に60歳になったメルケル氏。元気の秘密は、どこにあるのか。メルケル氏はかつて、女性誌に「ラクダがこぶに水をためるように、睡眠時間をためることが出来る」と語っている。週末や休暇中に「寝だめ」し、いざという時に消費するという。その分、普段の睡眠時間は4~6時間と少なめだ。一昨年末の休暇中にスキーで転倒し腰を負傷。医師の勧めでダイエットを始めた。そのかいあってか昨春、「10キロ減量に成功」と報じられた。ファッションでは、カラーコーディネーターのジルビア・レグニッタープレーン氏(53)によると、お気に入りの色はグリーン系。外遊中は落ち着いた印象の青系を着ることが多い。くだけた場面ではピンクやオレンジ、黄色にも挑戦する。 *2-2:http://www.nhk.or.jp/wisdom/150228/theme.html (NHK 2015年2月28日、3月7日再放送) 広がる”不寛容”多文化は共生できるか 先月、フランスの風刺新聞社「シャルリ・エブド」がイスラム過激派に襲撃された。事件後、EU各国では、イスラム系移民の排斥を訴えるデモが拡大。深刻な異文化対立を引き起こしている。グローバル化が進む時代。先進国の多くが労働力として移民を受け入れるなど、モノだけでなく人も絶え間なく国境を越えて行き交う時代になった。さらに、インターネットを通じて、さまざまな情報が瞬く間に世界中を駆け巡る。世界の経済的、社会的な結びつきは強まっているが、一方で、国境紛争や民族対立は多発。グローバル化は異文化がどのように共生していくかという重い課題も突きつけている。襲撃事件はイスラム教でタブーとされる預言者ムハンマドを描いたことへの報復行為だとされている。事件後、パリでは「表現の自由」を守れと370万人が行進。シャリル・エブドが再びムハンマドの絵を掲載した最新号は完売した。しかし、その一方で、世論調査ではこの風刺画を「掲載すべきでなかった」という意見が40%以上に上っている。インターネットを通じて、誰もが情報を発信し拡散できるようになった現代。各国で異なる人種や宗教などに対する「ヘイト・スピーチ」が問題化する中、「表現の自由」のあり方が問われている。さらに、国家の価値観も揺れている。去年、イスラム教徒の女性が顔を覆う「ブルカ」の公共の場での着用を禁止するフランスの法律が差別に当たるとする、パキスタン系フランス人の訴えに対して、法律は合法だと判断した。ブルカを「男女平等に反する」とするフランス政府の主張を認めたことになる。しかし、国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは「表現の自由や信仰の自由を著しく侵害する」と判決を批判、大きな論争を呼んでいる。多文化多民族化が進む中、自国の価値観と異なる信仰や思想をどこまで認めるべきなのかが、問題になっている。多様な価値観を持つ国民をどのように統合していくのか。2011年の国勢調査ではロンドンに住む白人のイギリス人が過半数を割り、多文化多民族化が急速に進むイギリス。21世紀に入り、宗教や人種問題を背景にしたテロや暴動が多発している。そこでイギリス政府は、「イギリスの価値観」を共有することが社会の分断を防ぐとして、教育改革に乗り出した。イギリス市民としての生き方を教える「シチズンシップ(市民教育)」という教科を中学校で必修化する一方、移民が市民権や永住権を得る際に、イギリスの歴史や文化に対する理解度をはかる試験を実施。合格者には、イギリス王室や国法への忠誠を誓う儀式に参加することも義務付けた。多文化社会の中で、従来の国民国家の姿が変貌する中、国民が共有すべき価値とは何か、模索が続いている。グローバル化によって異なる宗教や民族が同居する時代を迎えた21世紀。異文化はお互いを認め合い、共生してゆくことはできるのか。世界のウィズダムが議論する。 *2-3:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11659566.html?_requesturl=articles%2FDA3S11659566.html&iref=comkiji_txt_end_s_kjid_DA3S11659566 (朝日新聞 2015年3月20日) 読解力・数学で男女に差 OECD、15歳の学習到達度を分析 数学や科学は男子の方が好成績で、読解力は女子の方が高い――。経済協力開発機構(OECD)が15歳の学習到達度の男女格差を調べたところ、日本を含む多くの国でそんな傾向が出た。ただ、娘よりも息子に理系の就職を期待する親や学校の教育が影響している可能性もあり、性別に関係なく好成績を取れるような数学の指導を促している。OECDが、2012年に65カ国・地域の15歳を対象に行った国際学習到達度調査(PISA)や生徒への質問票などを分析した報告書をまとめた。読解力はPISAの全参加国・地域で女子が男子を上回り、日本でも女子が24点高かった。一方、OECD平均でみると、「数学的な知識の応用」は男子が女子より強く、「科学者のように考える」ことが求められる質問では女子の苦戦が目立つ。日本では12年PISAの数学的リテラシーは男子が女子を18点上回り、科学的リテラシーで11点、問題解決能力も19点男子が女子を上回った。こうしたなか、ドイツ、韓国など10カ国・地域では、娘と息子の数学の成績が同じでも、親は息子に対し、科学や工学、数学分野の就職を期待する傾向が強かった。OECDの担当者は、学校行事での役割分担や教師の進路指導が影響している可能性も指摘する。OECDは「学業成績の男女格差は生まれつきの能力差によるものではない」と指摘し、数学では生徒に解答手順を説明させるような指導が、女子の成績向上につながるとしている。 <女性の教育と仕事> *3-1:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11659610.html?ref=pcviewpage (朝日新聞 2015年3月20日) 女性の活躍、世界変える ミシェル・昭恵両夫人、教育支援で協力を確認 ミシェル・オバマ米大統領夫人と安倍昭恵・首相夫人が19日、世界における女子教育の支援で協力を確認した。首脳である夫に、率直に意見を述べる点などが共通していると言われる両夫人。春の大型連休に予定される日米首脳会談を前に、「ファーストレディー外交」を展開した。東京都心の外務省飯倉公館。初来日したミシェル夫人が講演で「世界各地に、聡明(そうめい)で能力があり成功を切望しながら学校に通えない女子がいる。それは世界にとって大きな損失だ」と語ると、昭恵夫人も「世界には、当たり前の権利を求めて、汗と涙を流している子供たちがいる」と語った。米国が女子教育支援のための援助資金として、2億5千万ドル(約303億円)を来年度予算に盛り込むことを明らかにすれば、日本も政府の途上国援助(ODA)で今後3年間で420億円超を支出することを発表した。両夫人は、ともに女性の社会進出や女子教育の問題に取り組み、発信を続けてきた。昭恵夫人は、ミャンマーでの「寺子屋」づくりを支援し、バングラデシュでの女子大学設立にも尽力した。この日の講演では「日本はいかなる時も貧困削減との戦いから逃げることなく、国際社会の先頭に立つ」と宣言。「日本には子どもに質の高い教育環境を提供する支援モデルがある」とし、これまでのノウハウを生かし、さらに支援を拡大する考えを示した。一方のミシェル夫人は今月3日、女子教育の拡充を目指す「レット・ガールズ・ラーン(女子に教育を)」構想を打ち上げた。米政府の開発支援組織「ピースコー(平和部隊)」が中心となり、女子の通学を促す活動を進める世界各地のボランティア団体と連携し、地域の指導者らにも女子教育の機会拡大を求めていくのが目的だ。講演でも自らの生い立ちに触れて、「私のような貧しい環境で育った女の子は、成功を収める生徒にはなれまいと決めつける先生にも出会った」と述べ、女子教育の重要性を訴えた。日米の女性の地位についても「女性は仕事のプロと献身的な母親の両方にはなれず、どちらか一方を選ぶしかないとの時代遅れの考えがある」とも指摘した。ミシェル夫人は、講演後の日本の女子学生との懇談会で「我々には世界を変えるチャンスがある」と呼びかけた。これまで国内対策として、子どもの肥満撲滅を目指す「レッツ・ムーブ!」構想などを主導してきたが、今回、世界規模の構想を打ち出したことについて、「オバマ大統領の残り任期2年で、大統領夫人としても、女子教育でレガシー(遺産)を作ろうとしている」(海野素央明治大教授)との見方もある。 ■「マム・イン・チーフ」「家庭内野党」 2人に共通点 両夫人は19日、昭恵夫人が都内で経営する居酒屋で昼食を共にした。その後、首相官邸で面会した安倍晋三首相が「私はまだ行ったことがない」と打ち明けると、ミシェル夫人は「とてもおいしかった。ぜひ行ってみて」とほほえんだ。日米ファーストレディーには共通点も多い。「ミシェルは思ったことを恐れずに語り、私が間違っている時も指摘する。それもしょっちゅうだ」。オバマ大統領が1月にインドを訪問した際の講演でミシェル夫人を前にこう語ると、会場がどっと沸いた。米軍の「最高司令官(コマンダー・イン・チーフ)」であるオバマ大統領の立場をなぞり、大統領夫人としての務めを「マム・イン・チーフ(母親最高司令官)」と自称。娘2人の教育環境を大切にしつつ、しつけも厳しい。ホワイトハウスに入る際、担当者に「娘たちは身の回りのことは自分たちでできます」と話したエピソードが有名だ。国民の人気も高く、昨年末の世論調査でオバマ大統領への支持率(約4割)をはるかにしのぐ6割強だ。高級ブランドだけでなく、J・クルーなど手頃な価格のワンピースなどを着こなし、ファッション誌で取り上げられることも多い。一方、ときに「家庭内野党」とも評される昭恵夫人。原発の再稼働には慎重で、東日本大震災の被災地では防潮堤の是非を考えるシンポジウムを開いた。米や野菜の有機栽培に挑戦する姿は、ホワイトハウスで家庭菜園に取り組むミシェル夫人とも相通ずる。安倍首相は19日、首相官邸で会った米国の大学生らに、自民党総裁への返り咲きを目指した2012年の総裁選をめぐる昭恵夫人のエピソードを紹介した。「勝てなければ政治キャリアは終わるとの考えも頭をよぎったが、最後は妻が『国のことだけを考えて判断すべきだ』と。この時は、妻の判断に従ってよかった」 *3-2:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/168681 (佐賀新聞 2015年3月21日) 補助金充実など山口知事に要望 県私立学校協会 佐賀県私立学校協会(江口敏文会長)は20日、佐賀市のマリトピアで山口祥義知事に私立学校関係予算に関する要望書を提出した。補助金充実による保護者負担軽減や公私間格差の是正などを求めている。運営補助金の増加や就学支援金の充実など幼稚園、中学高校、大学、専修学校などそれぞれの要求を列挙した要望書を、江口会長が山口知事に手渡した。私立高関係者は県立高校の2次募集に疑問を投げ掛けた。1次で定員割れの学校が不合格者を出しながら2次募集をかけていることを挙げ、「2次募集合格によって私立高を辞退する人が少なくない。学級編制業務も年度末ぎりぎりにせざるを得ない状況がある。2次募集を廃止してほしい」と訴えた。山口知事は「高い志を持った取り組みには県としてもバックアップしたい。2次募集についてはよく調べてみたい」と話した。 *3-3:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10105/162900 (佐賀新聞 2015年3月5日) ペルシャ絨毯、多彩な作品700点展示 佐賀玉屋 ■ペルシャ絨毯、繊細で緻密 イランの伝統工芸品ペルシャ絨毯(じゅうたん)の商品企画展が、佐賀市の佐賀玉屋で開かれている。幾何学文様や絵画などの図柄を繊細で緻密に織り込んだペルシャ絨毯約700点を展示している。8日まで。佐賀での開催は5年連続。会場には、5人で約4年をかけて織り込んだ縦3メートル50センチ、横5メートルの絨毯や、犬などの写真を基に織り込んだ作品などを展示。特に日本人に人気のあるシルクで織り込んだクム産は触り心地がよく、買い物客が立ち寄って触れていた。絨毯の仲買会社・オービーエム(東京都)を経営するバシーリ・メーディさん(76)は「ペルシャ絨毯は、シルクやウール、綿など産地によって織り込む素材が異なり、図柄や触り心地などが全く違ってくる。フローリングの家屋に合った柄もあり、多彩なデザインがあるのを知ってほしい」と話している。会期中、ペルシャ紅茶と干しイチジクのお菓子も振る舞われる。 *3-4:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20150105&ng=DGKKZO81525890T00C15A1KE8000 (日経新聞 2015.1.5) 2015再生の起点に(1)、人を生かし生産性高めよ 青木昌彦 スタンフォード大学名誉教授 今年、戦後70年を迎える。直近25年の経済は、はかばかしくなかったという思いが、それ以前の「成功」体験を経た人たちに少なくない。だが「失われた何十年」という感傷は、それを追体験し得ない新世代には無縁だろう。日本が直面する歴史的な課題は何か。「3本の矢」による「経済再生」か。戦後政治レジームを清算し、地政学的に存在感を示すことか。それとも新世代の積極的な参加による制度の創発的な構築か。歴史的転換点とでもいうべき今を見据えるには、短期の経済変数の動きに一喜一憂するだけでは十分でない。米ブラウン大学のオデット・ガロア教授らによる「統一的成長理論」のアプローチが示唆するように、経済変数と様々な人口関連変数、それに制度変数を統合して、今を新たな経済成長のフェーズへの移行期として理解すべきである。第3回ノーベル経済学賞を受賞したサイモン・クズネッツは、19世紀から20世紀にわたる欧州経済史のデータ分析を通じ、農業から製造業・サービス産業への雇用の移転が「経済成長の数量的側面」を表現するとした。それを成長のクズネッツ効果と呼ぼう。遅れて、この70年間、東アジアでは、まず日本(1950~60年代)、ついで韓国(70~80年代)、そして中国(80年代~現在)に、人口1人当たりの国内総生産(GDP)の顕著な高度成長期が相次いで起きた。それぞれの期間、農業と工業の間には日本と中国では5倍、韓国で3倍強の1人当たり労働生産性の格差があった。だから前者から後者に急速な雇用流動が短期に起きたことで、高度成長が実現したのは不思議ではない。クズネッツ・プロセスと連動して起きた高度成長の第二の要因は、日本では終戦、韓国では朝鮮戦争の休戦、中国では多数の餓死者を出した毛沢東の「大躍進」運動という社会的混乱が終焉(しゅうえん)した直後に誕生したベービーブーマーたちが、生産活動に参加したことである。それによる1人当たりGDPの成長を「人口配当」という。だが、この2つの要因は不可逆的な過程である。日本でも、韓国でも農業雇用人口のシェアが20%を切ると、クズネッツ効果がほぼ消滅し、高度成長のフェーズが終わるという経験則がある。中国沿岸省でも今やこの20%という閾値(いきち)に到達した。クズネッツ・プロセスが終焉すると、1人当たりGDPの成長は第2次、第3次産業での1人当たり労働生産性の向上に依存する。さらにそれは2つの要因に分解される。第一に、1人当たり労働者に対する資本設備(経済学が資本装備率と呼ぶもの)の増加であり、第二に、人的資本の蓄積や経済組織の制度的な革新(経済学でTFP=全要素生産性=と呼ぶもの)である。中国の公式統計は都市で働く農村戸籍保有者を正確に捕捉しておらず、図示した近年の生産性向上の貢献分は隠れたクズネッツ効果を多分に含む。他方、2000年代のTFP貢献度は低いとされる。物的資本の量的拡大だけで、第二の人的・組織的要因によって補完されることがなければ、その生産性の貢献は次第に低下する(資本の収穫逓減の法則)。日本の70~80年代の穏やかではあるが、確かな労働生産性の向上は、第二の革新的要因に多く依存していたとはいえるだろう。だが、このフェーズの積極面にやがて2つのアンチテーゼが生じる。第一に、人的資本投資が子供の教育費、養育に費やす親の努力や時間などの点で高くつくものとなる。そういう経済計算に基づき、この内生的な経済成長のフェーズでは女性1人当たりの出生率が低下する。これを成長の統一的アプローチでは「人口的転移」という。人口的転移は、やがて団塊世代の退職とも相まって、勤労人口の相対的シェアの減少(マイナスの人口ボーナス)、人口の高齢化という「ポスト人口的転移」のフェーズへの移転を不可避とする。第二に、これら普遍的な法則性に日本特有の要因が加わった。70~80年代の制度革新には、生涯雇用や企業集団という枠組みのなかで人々の長期の信頼関係に育まれた暗黙知の共有が、比較優位の一つの要素としてあった。しかし80年代から世界を席巻した情報革命は、膨大なデータを効率的に解析するビッグデータのアルゴリズムという、暗黙知とは対極の技術を生んだ。以上の歴史的な展望から、1人当たりGDPの成長を持続させていくには何が必要か、いくつかの論点が明らかになる。第一に、労働参加率の引き上げである。生産性の高い分野への女性の一層の参加、年長者の引退の繰り延ばしなどの可能性については、既に広く認知されている。さらに、論議を呼ぶとはいえ、生産性向上に潜在的に寄与しうる外国人に、勤労人口の予備軍として国の門戸を広くあけることである。少子化で縮小しつつある大学が主にアジアから学生を積極的にリクルートし、日本の言語、慣習、文化にも通じた人的資本を養成することも一案だ。ヘイトスピーチ(憎悪表現)を声高に叫ぶ、外国人恐怖症の現象も一部にみられるが、かの吉田松陰も「夷人」を日本に取り込むことによる知の獲得と人口の増大という「一挙両得」(「幽囚録」)について積極的に語っていた。日本文化はそういうプロセスを経て歴史的に発展してきたことに、もう一度思いを馳(は)せよう。より重要なのは、1人当たり労働者の生産性の増大である。といっても雇用削減や低賃金労働の時限的活用によって、経営上の見かけの生産性を上げることではない。それではマクロ的に労働参加率低下という負荷がかかるだけである。そして、硬直化した年功序列にあぐらをかくような経営は、ポスト人口的転移の時代に競争力を失うだろう。人的資本の投資に基づく組織と技術の革新、情報技術と伝統的なきめの細かい協働を世代を超え相補的に結合するチーム力が鍵である。また多様な人的資本の形成に貢献しうる教育制度改革も必要だ。都市集中という現象にもポスト人口的転移の動きが投影している。だとすれば、観光産業、有機農業、情報・交通のインフラが可能とする地域分散型ビジネスを発展させるため、都市から還流する新世代の斬新な市場開拓力・実行力と、地場の年長者が持つ伝統的なノウハウとが結合するとき、経済成長の新しいフェーズに対応した地方の再創成が可能となるだろう。最後に、ポスト人口的転移のフロンティアを走る日本にとって、待ったなしの政策的要請は、世代間で合意が成り立ちうる、持続可能な社会保障政策のデザインである。評判のトマ・ピケティ・パリ経済学校教授の「21世紀の資本」では、資本収益率のrが経済成長率のgを上回ると、金融資本の所有者と他の人々の間で富の分配の格差が拡大すると論じた。しかし、効率的に運営される年金基金や社会保障基金を通じて勤労所得者も金融収益の分配に参加できれば、非倫理的で野放図な格差の増大は抑制が可能だ。一方で、十分に自活しうる高齢者への公的年金支給の廃止なども考慮に値しよう。ポスト人口的転移のフェーズの制度デザインを巡って、新旧世代を網羅した論議の活性化が望まれる。 <ポイント> ○持続的成長へ統一的成長理論の示唆有効 ○人的投資かさみ出生率低下を経て高齢化 ○女性・若者・外国人を活用し競争力向上を *あおき・まさひこ 38年生まれ。スタンフォード大シニアフェロー。NIRA上席客員研究員 PS(2015.3.25追加):*4のように、最近、何でも精神障害や発達障害というレッテル貼りをするメディアが多いが、この発想では、マララさん、ミシェル大統領夫人、サッチャー元英首相はアスペルガー症候群などの発達障害にされてしまうだろうし、カントは統合失調症、カフカは躁鬱病、ファーブルは自閉症、ピカソは視覚障害ということにされてしまうだろう(例)。つまり、「自分が正常であり、自分が理解できない人は相手が異常だ」という価値観が、傲慢この上なく、間違っているのだ。 また、「多様性」「個性」という言葉も、近年、障害者や性的マイノリティーを包含することに対して使う人が多いが、DNA・ミトコンドリア由来の遺伝情報や周囲の環境が異なれば誰でも異なるのが当然であるため、「個性」はすべての人が持っており、遺伝情報が完全に一致する一卵性双生児でさえ同じではなく、それを「多様性」と呼ぶのである。そして、この多様性により、種としての環境への対応力が強くなり、環境変化に対応しやすくなっているのだ。 つまり、メディアは、国語、生物、医学の知識や倫理観を持って報道しなければ、間違った言葉の定義や浅はかな価値観を国民に定着させ、いたずらに差別を助長して、障害者に対する社会の精神的バリアを強めることになるため、注意すべきなのである。 *4:http://www.saga-s.co.jp/news/national/10201/169772 (佐賀新聞 2015年3月24日) 発達障害、自治体支援にばらつき、手帳交付の統一基準なく 自閉症やアスペルガー症候群などの発達障害がある人を支援する障害者手帳の交付基準は、都道府県や政令指定都市によってばらつきがあることが24日分かった。共同通信の全国調査で、約4割の自治体が知能指数(IQ)の目安を超えても、知的障害者向けの「療育手帳」を交付するとした。残りの6割は精神障害者向けの手帳に限っている。療育手帳ではJRの割引などを受けられる。法律に基づく制度ではないため、国の統一基準はなく、交付の目安や、発達障害の人を対象にするかどうかは自治体の判断に任せているのが実情だ。 PS(2015.3.26追加あり):日本の男女雇用機会均等法は、下のように、1986年に採用、昇進、研修、定年・解雇における男女差別を努力義務ではあるが、禁止した。しかし、その時に、「一般職」という職種を作って、そこに女性を採用することで、その男女雇用機会均等法がザル法化されたのである。そこで、私が提案して改正した1999年改正法では、採用、昇進、研修、定年・解雇における男女差別を、努力義務から禁止規定にした。*5-2のような非正規労働者や派遣労働者は、その1999年改正法をザル法化するために、多くの企業で導入されたのである。そのような中、*5-1のように、今まで「一般職」に女性を採用して、昇進、教育訓練、研修、定年・解雇などで差別していたのなら、それは、1999年以降は違法行為である。そのため、労働基準監督署が、このような状況を注意もせずに放置していたのであれば、その男女差別に対する意識の低さを問題とすべきだ。 なお、本当は間接差別やジェンダーも大きな問題なのだが、2007年及び2014年改正法では、カバーする範囲が狭い上、「合理的な理由なく」などという文言が入っているためザル法になっている。何故なら、企業は、“合理的な理由”の弁解など、いくらでも創作できるからである。 ①1986年施行: - 採用、昇進、研修、定年・解雇における男女差別の撤廃を努力義務に。 ②1999年改正法施行: - 採用、昇進、研修、定年・解雇における男女差別の撤廃を禁止規定に。 ③2007年改正法施行: - 間接差別の禁止。これにより「合理的な理由なく総合職の募集において転勤を要件とすること、 転勤経験を昇進の要件とすること」が禁止された。 ④2014年改正法施行: - 間接差別の禁止の範囲拡大。「すべての労働者の採用、昇進、配転などにおいて合理的な理由 なく転勤を要件とすること」が禁止された。 *5-1:http://qbiz.jp/article/58761/1/ (佐賀新聞 2015年3月26日) 佐賀銀が人事制度改定 総合職と一般職の昇格要件を統一 佐賀銀行は25日、一般職と総合職の昇格要件の統一や管理職登用の見直しなど成果重視を柱とした新たな人事制度を4月から導入すると発表した。賃金体系も見直し、20年ぶりに初任給を引き上げる。人事制度の全面改定は2001年以来で、女性やシニア人材の活躍を支援する狙いがある。新制度は女性行員に多い一般職を「地域総合職」に移行し、支店長や部長にも就けるようにした。また、育児や介護で退職した行員の復職制度も新設する。管理職については、管理職定年の55歳以降も登用を可能にする。賃金体系は職務手当と職能給の一部を見直して「職責給」を導入し、一定の役職以上は一律だった手当に差を付ける。一方、16年度から新卒採用者の初任給を大幅アップ。総合職は3万4千円増の20万5千円となる。陣内芳博頭取は「優秀な学生の確保は厳しさを増している」と述べた。 *5-2:http://qbiz.jp/article/56474/1/ (西日本新聞 2015年2月25日) 「ブラック自治体」が分かる50項目とは 職務に見合わない低賃金で働いている非正規公務員の問題を広く考えてもらおうと、NPO法人「官製ワーキングプア研究会」(東京、白石孝理事長)が、各自治体の非正規公務員の労働実態を50項目でチェックする「『ブラック自治体』指標」を発表した。「○」「×」形式で30以上○がないと「ブラック自治体」と見なすべきだという。作成に当たった、地方自治総合研究所(東京)の上林陽治研究員は「各自治体で活用し、非正規公務員の労働環境の改善につなげてほしい」と呼び掛けている。若者を大量に採用した後、過重労働で使い捨てにするいわゆる「ブラック企業」が社会問題となり、非正規公務員の労働環境が不十分な自治体も、改善が求められるようになった。だが、労働契約法の改正で5年を超えた非正規労働者は期間の定めのない働き方に移行できるようになったが、公務員は適用除外で立場が弱いままだ。非正規公務員の待遇改善が進まなければ、行政のサービス低下を招きかねない。指標は労働法制や地方公務員法などのルールに基づいて作成している。職員の「募集」「採用」「勤務条件」「休暇」「社会・労働保険」「雇い止め・再度任用」など八つに区分し、「本人の意に反する雇い止めが行われていない」「通勤費が支給されている」「有給休暇を取得できる」といった項目が並ぶ。研究会は「指標は民間企業でも参考になる。労働組合や人事関連の部署で使ってもらえればいい」と話している。 ◆非正規公務員の実態深刻 非正規公務員の生活実態は依然として深刻だ。「現場の教員と同じ時間を働きながら、給与は教員の半分から3分の1の水準です」。福岡県内で学校図書館の司書として働くある非正規公務員はこう嘆く。本の管理、読み聞かせ、辞書の引き方指導…。さまざまな幅広い仕事を一手に担い、経験がものをいう仕事にもかかわらず、契約は1年更新だ。「雇用がいつまで続くのか、いつも不安だ」と打ち明ける。自治労の推計によると、非正規公務員は全国の自治体で約70万人に上り、公務員に占める比率は約33%に達するという。長崎県のある自治体は「非正規比率が7割を超えた」と明かす。自治体の財政難に伴う人件費削減と、増加する行政需要の矛盾を解消する存在として、教員、保育士、各種の相談員、給食調理員など幅広い分野で増えている。平均年収は約200万円。交通費が支給されていなかったり、休暇制度が不十分だったりする自治体も少なくない。福岡県内では、4分の3に上る自治体で任用の更新回数に制限が設けられている。非正規公務員の増加は行政の将来を危うくしている。「人がころころ入れ替わり、経験が必要な技術が伝承できていない」。九州のある自治体で埋蔵文化財の管理に携わる非正規の女性は、発掘後の土器などの復元、図面作りといった裏方を非正規公務員が支えているといい、「実態を住民に知ってほしい」と訴えている。
| 男女平等::2014.7~2015.5 | 08:56 PM | comments (x) | trackback (x) |
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2015,03,15, Sunday
沖縄の米軍基地と辺野古 (1)沖縄の民意 *1に書かれているように、2014年11月16日の知事選で、142万人の沖縄県民に選出された翁長氏が、「県民の期待に添うべく、誇りある豊かさを求め、ソフトパワーで沖縄の未来を拓いていくように、全力で県政運営に取り組んでいく」と就任の挨拶をしておられる。 その内容は、①成長著しいアジアと連動した「アジア経済戦略構想」を策定して、国際物流拠点、情報通信産業、観光リゾート産業の振興などの産業の拡充・強化をする ②健康・医療分野、環境・エネルギー分野で、沖縄の地域特性を生かした産業の集積を図る ③亜熱帯気候を生かした農林水産業の沖縄ブランド確立や6次産業化を強化する ④沖縄の優位性を生かした広範な経済発展施策展開する ⑤こどもや高齢者の笑顔が輝き、女性や障がいのある方などの力が正しく生かされる活気に満ちた幸せ感あふれる社会を創る ⑥こども環境日本一の実現を目指し、女性が輝く社会づくりや女性リーダーの育成などに取り組む ⑦若者が希望を持てる社会を目指す ⑧少子高齢化社会を見据えた健康・医療・福祉政策を実行する ⑨少人数学級の導入の推進など教育施策について力を尽くす ⑩離島・過疎地域は、県民全体で支える仕組みを構築する ⑪基地の整理縮小を加速化して豊かな生活に導く土地活用を図り、近隣諸外国との平和交流を促進する平和創造施策を展開 ⑫米軍基地が沖縄経済発展の最大の阻害要因 ⑬過重な基地負担の軽減、日米地位協定の抜本的な見直しを求め、普天間飛行場の辺野古移設問題は、この知事選の結果を受けて公約の実現に取り組む などである。 どれも大切なことだが、特に⑪~⑬は現在の沖縄で問題になっており、*3-3のように、地元である名護市の市長選・市議選はじめ、沖縄県知事選でも辺野古新基地の反対派が勝利し、衆院選でも反対の候補が全勝している。そのため、翁長沖縄県知事の主張は、確固とした沖縄全体の民意である。 (2)沖縄の民意に対する日本政府の対応 しかし、菅官房長官は翁長沖縄県知事が繰り返し面会を求めても門前払いした上、*2-1のように、沖縄防衛局が辺野古沿岸部で海底のボーリング調査を再開し、カヌーで抗議行動して海上保安官に拘束された29歳の男性は、*2-2のように肋骨を骨折した。 私は、日本政府は翁長知事と早急に面会して話を聞くべきだと考える。何故なら、翁長知事が辺野古の代替案として出した硫黄島は、既に滑走路があって埋め立てる必要がなく、安全保障上の地理的位置も申し分ないからで、翁長知事と話し合えば、国費を無駄遣いしてサンゴ礁を傷つけ、ジュゴンのえさ場を埋め立てて、環境という貴重な資源を破壊することのないBestな場所が浮かび上がってくるからだ。 (3)税金の無駄遣いをして自然を破壊するのは、野蛮な行為である 私は、スキューバダイビングで、外国のサンゴ礁はじめ沖縄の慶良間や伊豆に行き、日本の海岸にある岸壁・護岸・波消しブロックは、さして必要もない場所に設置され景観を悪くしているだけのものが多いと思っていたが、ジャック・マイヨール(http://www.sponichi.co.jp/seibu/column/envi/KFullNormal20080430166.html 参照)も、「イルカと海へ還る日」という本で、全く同じことを書いていた。 つまり、日本人は、美しい自然の水辺に必要以上のコンクリート構造物を作り、波消しブロックまで投入して、目を覆いたくなるような醜い景観を作っている上、水中生物の繁殖を妨害しているのだ。私は、いらないコンクリート構造物や波消しブロックが、えもいわれぬ美しさの沖縄、慶良間諸島でさえ見られてがっかりしたことがあり、この波消しブロックは日本全国の沿岸に大量に置いてあるため、干潮時でも水面に出ない形に並べ換えて、漁礁として使うのがよいと考えている。 このような中、*3-1、*3-2、*3-4のようなサンゴ礁へのブロック投入と埋め立てがあるのだが、私は、税金を無駄遣いし、自然を破壊し、住環境や観光振興に悪影響を与える“景気対策”目的の公共工事は、もうやめるべきだと考える。しかし、「丁寧に理解を得ながら進めたい」とした安倍首相を非難しても実は無意味なのは、鳩山首相が「最低でも県外」と言ってもそうならなかったのと同様、誰が首相になっても同じだからだ。その理由は、首相が進めているのではなく、官が進めて大メディアが協力しているからで、これが日本の民主主義の未成熟、大メディアの形だけの権力批判の構図なのである。 そのため、私も翁長知事には知事権限を行使してもらいたいと考えている。また、*3-3のように、普天間飛行場の代替基地を沖縄県内に置かずに単に取り払っても在日米軍専用基地の沖縄への集中度は73.8%から73.4%になるにすぎないのに、このように明確に示された沖縄の民意を踏みにじる政府の態度であれば、その政府判断に変更がない限り、沖縄の「島ぐるみ会議」が国連人権理事会に参加して、日本政府による沖縄県民への人権侵害を報告するのがよいと思う。 (4)沖縄はLost Islandの一部だったという説もあり、調査すべき面白いポイントである 与那国島付近の海底遺跡 *4のように、与那国島付近に大規模な海底遺跡が発見され、「歴史を覆すかも?」と言われており、そこは、魏志倭人伝に書かれている邪馬台国の位置の記述と完全に一致すると言われている。そのため、調査・研究すべき面白いポイントで、世界遺産になる可能性すらある場所だ。 *1:http://ryukyushimpo.jp/news/storytopic-122.html (琉球新報 2014年12月12日) 沖縄県知事選挙 翁長知事の就任あいさつ全文 12日の県議会本会議での翁長雄志知事の就任あいさつの全文は次の通り。 ハイサイ、グスーヨー、チューウガナビラ。 平成26年第6回沖縄県議会の開会に当たり、提案しております議案のご説明に先立ち、県政運営に関する私の所信の一端と基本的な考え方を申し述べ、議員各位、ならびに県民の皆さまのご理解とご協力をたまわりたいと存じます。私は、去る11月16日の県知事選挙において、有権者多数の支持を得て当選いたしましたが、本議会に臨み、142万県民の知事として、その責任の重さにあらためて身の引き締まる思いであります。県民の皆さまのご期待に添うべく、全力で県政運営に取り組んでまいりますので、よろしくお願い申し上げます。さて、これまで、私たちは、自ら持ってきたわけではない「基地」を挟んで「経済」か「平和」かと厳しい選択を迫られてきました。しかし、社会情勢の変化とともに、これらは両立し得るものとなってまいりました。私たちは、「経済と生活」「平和と尊厳」を県民一人ひとりが手にすることができるようになりました。このことをしっかり自覚した上で、「誇りある豊かさ」を求める沖縄県民の意思を明確に示さなければなりません。こうした考えの下、私は、議員各位、ならびに県民の皆さまと心を一つにし、県政運営に力を尽くしてまいる所存であります。県政運営に当たりましては、沖縄が持つ地域力、文化力、伝統力、人間力、自然力、離島力、共生力、経済力など、国内外の多くの人々を魅了する大いなる可能性を秘めたソフトパワーで沖縄の未来を拓(ひら)いていくことが重要であると認識しております。私は、こうした県民の誇りの上に沖縄経済や社会が成り立つ「誇りある豊かさ」を手にしていくことが今後の沖縄が目指すべき姿だと考えます。このような認識の下、県民の英知を結集してつくられた沖縄21世紀ビジョンで示された将来像の実現を目指して、うやふぁーふじ(先祖)から受け継いだソフトパワーを生かし、3つの視点から、沖縄を拓き、うまんちゅの笑顔が輝く沖縄を創りあげてまいります。一つ目は、沖縄の「経済」を拓く―経済発展プラン―の視点であります。経済振興につきましては、成長著しいアジアのダイナミズムと連動した「アジア経済戦略構想」を策定し、国際物流拠点の形成をはじめ、情報通信関連産業、観光リゾート産業の振興などのリーディング産業の拡充、強化を進め、沖縄の経済をさらに発展させてまいります。空手・古武道、組踊などの文化資源を守り育てながら観光資源化を図ってまいります。健康・医療分野、環境・エネルギー分野では、沖縄の地域特性を生かした産業の集積を図ってまいります。農林水産業につきましては、亜熱帯気候を生かした沖縄ブランドの確立や6次産業化などを図ってまいります。中小企業など地場産業の活性化を着実に進めつつ、沖縄の優位性を生かした新たなビジネスの動きについてもしっかりと捉えながら、広範な経済発展施策を展開してまいります。二つ目は、沖縄の「幸せ」を拓く―生活充実プラン―の視点であります。人と人とを結ぶ絆は、協働のまちづくりの礎となります。私は、こどもや高齢者の笑顔が輝き、女性や障がいのある方などの力が正しく生かされる活気に満ちた幸せ感あふれる社会を創り上げてまいります。それぞれの地域の宝を大切にしながら、そこに関わるすべての人々が尊重される生活充実施策を展開してまいります。こどもの貧困対策や待機児童の解消などに取り組み、こども環境・日本一の実現を目指すとともに、女性が輝く社会づくりや女性リーダーの育成などに取り組んでまいります。また、若者が希望を持てる社会を目指し、格差社会などの課題の解決に取り組んでまいります。少子高齢化社会を見据えた、健康・医療・福祉政策を実行するとともに、きめ細かな教育指導ができる少人数学級の導入の推進など教育施策についても力を尽くしてまいります。離島・過疎地域につきましては、県民全体でこれらの地域を支える仕組みを構築しながら、定住人口の増加につながる生活環境の整備や産業振興など各種施策を展開してまいります。三つ目は、沖縄の「平和」を拓く―平和創造プラン―の視点であります。今、過重な基地負担に立ち向かうことができるのは、先人たちが土地を守るための熾烈(しれつ)な「島ぐるみ闘争」でウチナーンチュの誇りを貫いたからであります。私は、基地の整理縮小を加速化し、豊かな生活に導く土地活用を図るとともに、近隣諸外国との平和交流を促進する平和創造施策を展開してまいります。私は、日米安全保障体制の必要性は理解しております。しかしながら、戦後約70年を経た現在もなお、国土面積の約0・6%である本県に約74%の米軍専用施設が存在する状況は、異常としか言いようがありません。そして、その米軍基地が沖縄経済発展の最大の阻害要因であることは明確であります。日本の安全保障が大事であるならば、日本国民全体で考えるべきであります。このような基本認識のもと、私は、日米両政府に対し、過重な基地負担の軽減、日米地位協定の抜本的な見直しを求めるとともに、騒音問題や米軍人軍属による犯罪など米軍基地から派生する諸問題の解決に取り組んでまいります。普天間飛行場の辺野古移設問題につきましては、この度の県知事選挙の結果を受けて、公約の実現に向けて全力で取り組んでまいります。国においては、現行の移設計画をこのまま進めることなく、わが国が世界に冠たる民主主義国家であるという姿勢を示していただきたいと思います。この問題につきましては、埋め立て承認の過程に法律的な瑕疵(かし)がないか専門家の意見も踏まえ検証いたします。法的瑕疵があった場合は承認の「取り消し」を検討してまいります。私は、建白書の精神に基づき、県民が心を一つにし、共に力を合わせて、国内外に向けた働きかけを行っていくことが、基地負担軽減の実現につながるものと考えております。この問題の解決のため、県民の皆さまと力を合わせて全力で取り組んでまいります。以上の基本的考え方に基づき、私は、県政運営に関し、多くの公約を掲げました。未来を担う子や孫のために、「誇りある豊かさ」をいかに創りあげ、引き継いでいくか。県民すべてが生き生きと活躍できる協働のまちづくりの理念を大事にし、職員と一丸となって、その一つ一つの実現に邁進(まいしん)する覚悟であります。最後となりましたが、以上申し述べましたことに対し、議員各位、ならびに県民の皆さまには、ご理解とご協力を賜りますよう、重ねて衷心よりお願い申し上げ、私の知事就任あいさつとさせていただきます。 イッペーニフェーデービル。 平成26年12月12日 沖縄県知事 翁長雄志 *2-1:http://www.asahi.com/articles/ASH1H3FZSH1HTPOB002.html (朝日新聞 2015年1月15日) 辺野古ボーリング調査再開へ 反対派と機動隊もみ合い 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の同県名護市辺野古への移設計画で、沖縄防衛局は近く、中断していた辺野古沿岸部での海底ボーリング調査を再開する。14日夜から15日未明にかけ、調査のための重機を移設予定地に搬入。座り込みを続ける反対派と県警の機動隊がもみ合いになった。ボーリング調査が再開されれば、昨年11月の知事選で移設反対を訴える翁長雄志氏が当選して以降、初の作業となる。15日正午ごろには、移設予定地のある米軍キャンプ・シュワブの沿岸に仮設の浮桟橋を設置する作業を始めた。14日夜はシュワブ内への重機の搬入をめぐり、24時間態勢で座り込む市民と機動隊が激しくもみ合った。座り込みをとりまとめる沖縄平和運動センターの山城博治議長は「どれだけ強制的に排除されても粘り強く阻止していく」と語った。15日からは、移設反対の有識者や議員でつくる団体が、那覇市や沖縄市から辺野古に向けてバスを連日運行し、県内各地から市民を運ぶ。防衛局は昨年8月、埋め立てのために地質を調べるボーリング調査を始めた。当初は11月末までの予定だったが、9月中旬以降、台風などのため中断。11月の知事選直後に再開準備を始めたが、天候悪化で延期し、その後も12月の衆院選への影響を考慮するなどして作業は行われなかった。防衛局は調査期間を今年3月末までに延長している。(泗水康信) *2-2:http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-237483-storytopic-1.html (琉球新報 2015年1月18日) 防衛局が辺野古沖に浮具再設置 海保が16日拘束の男性骨折 米軍普天間飛行場の移設に伴い新基地建設の準備が進む名護市辺野古沿岸部では17日、沖縄防衛局の作業船が臨時制限区域を示す浮具(フロート)を海上に設置する作業が確認された。海上では新基地建設に反対する市民らがカヌーや船で抗議行動を展開。延べ28人が海上保安官に拘束された。浮具の設置が確認されるのは、昨年10月に台風の影響で撤去されて以来。今後は仮設桟橋の設置や海底ボーリング調査の準備が進められるとみられる。浮具は辺野古崎から長島の間にかけて設置され、辺野古側から大浦湾側への行き来がしづらくなっている。船首に小型の滑車を装備した作業船は、アンカーとみられるブロックを水中でつり下げながら移動した。設置された浮具付近で潜水作業などをしていた。作業終了後に、ブロックがなくなっていたことから、海中に沈めたとみられる。16日にカヌーで抗議行動し、海上保安官に拘束された29歳男性が肋骨(ろっこつ)を骨折していたことが分かった。ヘリ基地反対協議会の安次富浩共同代表は「弁護士と相談して告訴する方向で進める。やったのが誰か特定できていないが、泣き寝入りはしない」と話した。 *3-1:http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-239982-storytopic-11.html (琉球新報社説 2015年3月8日) ブロック再投入 知事権限で作業止めよ 米軍普天間飛行場の移設に伴う新基地建設で、沖縄防衛局は新たに大型コンクリートブロック2個を海底に沈めた。岩礁破砕許可区域外に投入したブロックがサンゴ礁を傷つけている問題で、翁長雄志知事がブロック設置作業の停止などを指示したのに、それを一顧だにすることなく再び沈めた。県民を代表する知事を侮辱し、誠実さのかけらもない行為と言わざるを得ない。県は、辺野古埋め立て承認に関する第三者委員会が検証を終えるまで作業を中断するよう求めたが、国はそれも無視した。埋め立て工事計画の実施設計に関する県との事前協議でも、国は工事中止に応じない姿勢だ。米国のための新基地建設には民意を踏みにじり、環境破壊もいとわない国との間で話し合う余地はもうない。翁長知事は即刻、岩礁破砕許可を取り消し、作業を止めるべきだ。10~45トンもあろうコンクリートブロックを沈めれば、サンゴ礁をはじめ環境に大きな影響を与えることは容易に想像できる。新たにブロックを沈めた場所は、岩礁破砕許可区域の境界付近だ。国は「区域内」と主張するが、線が引かれているわけではない。いずれにしてもサンゴ礁破壊を懸念する県側が区域外で作業停止を指示し、区域内でも調査する意向を示す中で乱暴なやり方だ。「丁寧に理解を得ながら進める」。安倍首相は事あるごとに繰り返してきたが、これが丁寧な物事の進め方なのか。新たなブロックの設置は近く再開予定のボーリング調査に伴うもので、調査の際に展開する浮具(フロート)などを固定するためのものとみられる。ボーリング調査は水深の深い12カ所がまだ残っており、国はさらにブロックを沈める可能性がある。「丁寧に理解を得ながら」と言うならば、国は県の要請を受け入れ、作業を中断するのが筋だ。いったん前知事から岩礁破砕許可を得たからといって強引に作業を進めても、決して新基地建設を許さないという民意は揺るがない。国は県の要請を無視し、作業強行の姿勢を鮮明にしている。これ以上のブロック投入やボーリング調査の再開を許してはならない。翁長知事には速やかに知事権限を行使してもらいたい。決断の時だ。 *3-2:http://www.ehime-np.co.jp/rensai/shasetsu/ren017201503143940.html (愛媛新聞社説 2015年3月14日)辺野古海底調査再開 民主国家否定する暴挙止めよ これが民主主義を掲げる国のすることなのか。政府は、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の移設先、名護市辺野古沿岸部の埋め立てに向けた海底ボーリング調査を再開した。沖縄県の再開見合わせ要請や県民の強い反発に一切耳を傾けることなく、説明や対話の機会を持とうともしないままである。「粛々と工事を進める。法に基づいており、全く問題ない」(菅義偉官房長官)。権力を持つ政府が地元の民意を抑え込み、新基地建設へと突き進んでいる。これは民意の黙殺であり県民への抑圧にほかならない。民主国家を政府自ら否定する暴挙を、決して認めることはできない。直ちに中止を求めたい。県全体の民意が辺野古移設に反対していることは明らかだ。昨年、名護市長選と知事選に加え、衆院選も4小選挙区全てで反対派が勝利した。にもかかわらず、政府は日米合意を盾に、無視を決め込む。安倍晋三首相は衆院予算委員会で「基地問題のような大事な政策は、その時々の政局、選挙に利用してはならない」とけん制。就任後7度上京した翁長雄志知事に一度も会おうとしない。首相や関係閣僚が沖縄の米軍基地負担問題を地元首長と協議する「普天間飛行場負担軽減推進会議」も昨年10月から開いていない。その状況で辺野古の埋め立て工事に「夏ごろにも着手したい」(中谷元・防衛相)と一方的に言及している。「移設が進めば反発は収まっていく」と政府関係者が言うように、既成事実をつくって反対運動を抑えようとの思惑は明らかだ。到底見過ごすことはできない。地元の反発は当然だ。政府は海上保安庁や内閣府の出先機関である国道事務所を使って市民の監視や抗議の封じ込めに躍起だが、自らの強硬姿勢が県民の心を踏みにじり、緊迫の度合いを深めている現状を省みてもらいたい。沖縄は戦争で多大な犠牲を出した。戦後も在日米軍専用施設の大半が沖縄にあり、今なお米国追従の影を背負わされている。戦後70年。米国の視点でなく、沖縄の痛みから国の針路を見つめ直す時機が来ている。地元の声から逃げず丁寧に対話することで、基地縮小の道を探らねばならない。軍縮と平和を沖縄から米国へ、世界へと発信したい。沖縄の人々は、自分たちの暮らしだけでなく、自然破壊を食い止め、海の生物を守るためにも声を上げている。ボーリング調査再開のため海中に投入した大型のコンクリート製ブロックが、県の岩礁破砕許可区域外でサンゴ礁を傷つけているのも確認されている。辺野古で起きている重い現実を、いま、日本の問題として国民全体で見つめたい。 *3-3:http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-240321-storytopic-11.html (琉球新報社説 2015年3月14日) 国連人権理事会 政府の非人道性を訴えよ 今の政府の沖縄に対する態度がどれほど非人道的か、いまさら申すまでもない。人権に敏感な国際社会の目に照らせば、非難を浴びることは火を見るより明らかだ。その意味でまことに意義深い。沖縄の政財界や労働・市民団体の有志、有識者でつくる「島ぐるみ会議」が9月にジュネーブで開かれる国連人権理事会に参加し、政府による辺野古新基地建設強行が県民への人権侵害に当たると報告する。政府の仕打ちの不当性、非民主主義的専制ぶりを訴えてほしい。それにしても安倍政権の言行不一致ぶりにはあきれ返る。安倍晋三首相は就任直後、「(基地負担に関する)地元の声に耳を傾ける」と語り、ことしの施政方針演説でも「沖縄の理解を得る努力を続け」ると述べたが、翁長雄志知事が繰り返し面会を求めても門前払いだ。「耳を傾ける」発言は仲井真弘多前知事の時だった。言うことを聞く人の声は尊重するが、そうでない人は無視するということなのであろう。首相は国会で「沖縄の基地負担軽減に取り組む」とも述べたが、片腹痛い。実際に行っていることは、軍港機能を新たに加える辺野古新基地建設の強行である。考えてもみてほしい。普天間飛行場は、代替基地を県内に置かず、そのまま取り払ったとしても、在日米軍専用基地の沖縄への集中度は73・8%から73・4%になるにすぎない。そんなささやかな望みでさえ沖縄には持つ資格がないと言わんばかりの強行なのである。地元名護市の市長選も市議選も知事選も新基地反対派が勝利し、衆院選では反対の候補が全勝した。これ以上ないほど明確に示された民意を踏みにじる今の政府の態度が、人権侵害でなくて何であろう。「日本領土内で住民の意思に反した不当な支配がなされていることに国連加盟国が注意を喚起することを要望する」。現状を指すかと見まがうが、実は翁長知事の父がかつての立法院で読み上げた決議文だ。今の日本政府の専制ぶりはかつての米軍占領統治にも等しいと分かる。国連人種差別撤廃委員会は5年前、日本政府にこう勧告した。「沖縄への米軍基地の不均衡な集中は現代的人種差別だ。沖縄が被っている根強い差別に懸念を表明する」。5年前よりはるかに深刻化し、あからさまになった人権侵害を見て、今度は絶句するだろう。 *3-4:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11649029.html?_requesturl=articles%2FDA3S11649029.html&iref=comkiji_txt_end_s_kjid_DA3S11649029 (朝日新聞社説 2015年3月14日)辺野古移設 作業を止めて対話せよ 米軍普天間飛行場の移設に向け、政府が海底を掘って地質を調べるボーリング作業を再開した。昨年夏に中断していたもので、この作業を経て今夏にも埋め立て工事に突き進む構えだ。移設に反対している翁長雄志知事の就任後、初の大きな動きであり、知事は「県民に説明がない中で物事を進めるのは許せない」と反発した。一方の政府では、菅官房長官が「法制に基づいて手続きを行っている。粛々と工事を進めるのは当然じゃないか」と強硬姿勢を崩さない。中谷防衛相はきのう、「こちらから(知事に)会う考えはない」と発言し、異様な対立状態に陥っている。確かに、仲井真弘多・前知事は埋め立てを承認した。だが、その判断に納得できない県民が選挙で知事を交代させ、移設反対の意思を明示したのだ。翁長知事を無視し続ける政府の姿勢は頑迷というほかない。政府と沖縄県の対立をこじらせることは、国と地方の関係や、安全保障を考える上でも、決して望ましいことではない。米軍の対応もおかしい。海底の環境が損なわれた疑いがあるため、県が立ち入り禁止区域での調査許可を求めたが、米軍は「運用上の理由」で拒んだ。この海域では、海上保安庁など政府の船舶は往来している。なのになぜ、県の調査船だけが支障となるのか。県が米軍に不信感を抱くのも無理はない。県が調査することになったのは、沖縄防衛局が岩礁破砕の許可区域外に巨大なブロックをいくつも沈め、サンゴなどを壊した可能性があるからだ。この海域は埋め立て予定地の周辺部で、工事完了後もサンゴ礁などはそのまま残る。県が水産資源の保護策や環境保全策をとるのは当然だろう。ましてやこの海域は、沖縄の海岸の中でわずかに残った貴重なサンゴ礁の海。ジュゴンが回遊し、近年、新種の甲殻類なども相次いで見つかっている。翁長知事は、前知事の承認を検証する県の第三者委員会の審査が終わるまで、作業を停止するよう政府に求めている。ここは政府が提案を受け入れて作業を中止し、県との対話による関係修復に乗り出すべきだ。政府も米軍も、長年、重い基地負担に苦しむ沖縄県民の心をこれ以上傷つけてはならない。民意を重く受け止められない政府の存在は、国民全体にとっても不幸だ。 *4:http://matome.naver.jp/odai/2133751340913855001 (歴史を覆すかも?与那国島付近の謎遺跡 2012年05月20日) ●与那国島の海底遺跡 与那国、数年前からちょっと有名になっています。なぜかといえば、すぐそばの海底に人間が手を加えて作ったとおぼしき遺跡が発見されたからです。 その規模はかなり大きく、直角の石組や通路どが点在するもので、遺跡ポイントとしてダイバーにも有名になっています。 ●海底遺跡の発見 与那国の海は透明度の高さでは世界的にも有名で、変化にとんだ海底地形や回遊魚の群れるさまなどは水中撮影やウオッチングに適しているため、新嵩喜八郎氏はダイバーたちのためのダイビングポイントのマップ作りを思い立ちました。そして、新川鼻沖の海中に潜ったとき、海底で運命的な岩盤との出会いが待っていたといいます。200メートルを越す岩磐のラインが規則正しく東西方向に延びているのを見て驚愕した新嵩喜八郎氏は、これが人工的な構造物であることを直感し、「遺跡ポイント」と名づけました。 ●遺跡の詳細 「遺跡」は、海底にそびえたつ巨大なビルのよう。階段状になった巨大な壁が高さおよそ25m、幅東西約250m、南北150mにもわたる、巨大な物体。現在も調査活動が続いていて、この範囲がさらに大きくなるかもしれません。規模としては、なんとあの古代エジプトのピラミッドに匹敵する大きさだとか。 ●本当に遺跡なのか? 「水中に作った墓」「神殿」「船着場」「グスク」…人工物であると仮定しただけでも諸説様々あり、「与那国島の海底遺跡こそムー大陸だ」という人もいます。かつて陸上にあった証拠として、「陸上にしかできない鍾乳洞が遺跡ポイントの近くにあること」をあげる人も。 ●アトランティスの一部? 海底にある高度な岩盤加工を考察する場合、プラトンの「クリティアス」と「ティマイオス」を参照しないわけにはまいりません。古代ギリシャの哲学者プラトン(BC427~BC347年)の著作集の中の「クリティアス」と「ティマイオス」に書かれているアトランティス記事は、今から1万二千年ほど前に海底に沈んだという古代都市についての、ほとんど唯一ともいえる情報です。その中で、プラトンは、「ティマイオス」で、この、消滅したアトランティスの情報源は、古代のエジプトのサイスのネイト女神の神殿の神官であると明言しています。与那国島海底遺跡の構造と石切り技術には、ピラミッド文明を連想する巨大さと高度さがあるのですから、これを検証する場合、この「プラトンのアトランティス記事」を見逃しては通れません。 ●遺跡説は賛否両論 海底遺跡と聞けば、誰でもロマンを感じることでしょう。しかし、遺跡だ!遺跡ではない!と議論をよんでいます。遺跡派は、自然にできたものとは考えられないから人工的な遺跡だ。反遺跡派は石器などの遺物が見つかっていないから人工的な遺跡ではない、と反論します。しかし、最近、古代文字らしきものが見つかったり、石器が引き上げられているのです。(以下略) PS(2015.3.24):*5-1、*5-2のように、沖縄県知事は辺野古作業の停止を指示し、不自然だった埋め立て承認手続きの経緯を検証するため、第三者委員会を設置して、場合によっては承認を撤回すると発表した。しかし、中谷防衛相は、その日のうちに米海兵隊トップのダンフォード司令官に「一日も早く(辺野古沿岸部に)移設できるよう努力したい」と改めて約束し、菅官房長官は「この期に及んでこのような文書が提出されること自体、甚だ遺憾だ」「法律に沿って粛々と工事を進める」と述べた。しかし、*5-2、*5-3のように、承認の経緯はきわめて不自然だった上、日本の民法では「契約は守るべきもの」とされ、契約違反があれば契約解除してもよいのが法治国家日本の法律なのである。なお、米国は、日本が硫黄島など離島で既に滑走路のある、今から埋め立てる場所よりもよい場所を提示すれば無理は言わないため、どうしても辺野古を埋め立てると言うのは日本政府の変な頑迷さによるところが大きい。 *5-1より ずっと続いていた沖縄県を挙げての反対運動 *5-1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20150324&ng=DGKKASDE23H0E_T20C15A3EA2000 (日経新聞2015.3.24)沖縄知事、辺野古作業の停止指示 政府は移設を継続 沖縄県宜野湾市の米軍普天間基地を名護市辺野古沿岸部に移す作業をめぐる政府と県の対立が23日、一段と深まった。翁長雄志知事は海底ボーリング(掘削)調査を含む移設作業の停止を沖縄防衛局に指示。応じない場合、許可を取り消す意向を示した。政府は移設作業を「粛々と進める」(菅義偉官房長官)との立場を崩していない。対立は泥沼化しつつある。掘削調査など移設作業の停止指示は、沖縄県の漁業調整規則に基づく。県は30日までの「7日以内」に作業停止を文書で報告することを求めている。理由は沖縄県が2月に初めて実施した辺野古沖の海中調査。沖縄防衛局が設置したコンクリート製ブロックによって工事区域の外でサンゴ礁が傷ついた蓋然性が高く、改めて広い範囲で調査する必要があるという。翁長氏は記者会見で、作業停止の指示に従わない場合、沖縄県が仲井真弘多前知事時代の2014年8月に出した岩礁破砕許可を取り消すと強調したうえで「腹は決めている」と語った。同年11月の知事選以来「あらゆる手法を尽くして辺野古に基地をつくらせない」と繰り返してきた。強硬姿勢の背景には政府対応への不満がある。日米両政府が立ち入りを制限した工事区域の内側の調査を政府と米軍それぞれに求めたが、断られた。12日には沖縄防衛局が中断していた掘削調査が再開された。「不合理極まりない」(翁長氏)と反発を強めた。一方、政府は辺野古移設の作業を進める立場を堅持している。菅長官は23日の記者会見で「この期に及んでこのような文書が提出されること自体、甚だ遺憾だ」と批判した。掘削調査を経て夏にも埋め立て工事をスタートさせる政府方針は揺らいでいない。沖縄県は許可を取り消せば政府側が一連の作業を進めることができなくなるとみている。しかし、政府は移設を遅らせるための時間稼ぎととらえ、「手続き面に瑕疵(かし)がない以上、効力はない」(防衛省幹部)と続ける見通しだ。政府と沖縄県の対立は法廷闘争に発展するおそれもある。県が取り消し処分に踏み切った場合、政府は無効を求めて提訴する構えをみせている。1995年には米軍用地の強制使用に必要な代理署名を拒否した当時の大田昌秀知事を国が提訴し、96年に最高裁で県側敗訴が確定した。日米関係に影響を及ぼすとの見方も出ている。中谷元・防衛相は23日、米海兵隊トップのダンフォード司令官と防衛省内で会談し、「一日も早く(辺野古沿岸部に)移設できるよう努力したい」と改めて約束した。日米両政府は4月下旬に外務・防衛担当の閣僚協議(2プラス2)、同28日にはワシントンで首脳会談の開催をそれぞれ予定している。今回は日米防衛協力のための指針(ガイドライン)を18年ぶりに見直す節目でもある。防衛省幹部は「米国の信頼を失うわけにはいかない」と懸念している。 *5-2:http://www.shinmai.co.jp/news/20150324/KT150323ETI090003000.php (信濃毎日新聞 2015年3月24日) 辺野古移設 政府はごり押しやめよ 米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設をめぐる沖縄県民と政府との対立が、ますます抜き差しならない状況になってきた。翁長雄志知事が記者会見し、政府が進めている海底ボーリング調査を含め「海底面の現状を変更する行為を全て停止する」ことを沖縄防衛局に指示したことを明らかにした。政府が指示に従う可能性は低い。対立の原因は県民の反対を押し切って移設を強行しようとしている政府にある。政府は、沖縄の民意を力ずくでねじ伏せるやり方をやめて、対話による問題の打開に転換すべきだ。政府は先日、辺野古のボーリング調査を再開した。知事選などへの影響を考え、昨年夏から中断していた調査である。調査は海上や沿岸部で住民の抗議行動に取り囲まれ、もみ合いが続いている。反対派女性の一人を海上保安官が馬乗りになって制圧するなど、乱暴な警備が住民の怒りを駆り立ててもいる。「法律に沿って粛々と工事を進める」。菅義偉官房長官は繰り返す。仲井真弘多前知事による許可を根拠に調査を続ける構えだ。前知事が埋め立てを承認した後の知事選で、移設反対を掲げた翁長氏が前知事を大差で破り、当選している。12月の総選挙では県内四つの小選挙区全てで自民党の公認候補が敗北した。県民は辺野古移設に対し明快に「ノー」の意思表示をしている。前知事の承認を根拠に、政府が作業を続けるのは許されない。翁長知事が調査をやめさせようとするのは当然だ。知事はきのうの会見で、埋め立て承認手続きの経緯を検証し、場合によっては撤回する考えも示した。検証のための第三者委員会は既に議論をスタートしている。早ければ4月にも報告がまとまる見通しだ。知事が姿勢を軟化させる見通しはない。翁長知事の就任後、政府は沖縄県に対する圧力を露骨に強めている。知事が何度も上京し安倍晋三首相との面会を求めても応じようとしない。2015年度予算案では沖縄振興予算を減額した。自民党も知事を党の会合に呼ばないままだ。仲井真前知事のときとは打って変わった対応である。冷遇すればそのうち音を上げる、と高をくくっているとすればとんでもない考え違いだ。住民意思を無視しての移設は沖縄では、本土による差別と受け止められている。対話の姿勢を欠いては、打開の道は遠くなるばかりだ。 *5-3:http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=108428 (沖縄タイムス社説 2015年3月24日) [辺野古 作業停止指示]筋を通した重い判断だ 名護市辺野古の新基地建設に反対する翁長雄志知事が、自らの権限を行使し、新たな対抗措置に踏み切った。ボーリング調査を含むすべての海上作業を1週間以内に停止するよう沖縄防衛局に指示したのである。国が指示に従う可能性は極めて低い。従わなければ来週にも岩礁破砕の許可を取り消す考えだ。海底の岩石採掘と土砂採取などを内容とする岩礁破砕の許可が取り消されれば、埋め立て工事の着工に影響を与えるのは確実である。翁長知事にとっては就任以来、最も重い政治決断といえる。なぜ、何を根拠に、知事は作業の停止を求めたのか。一連の経過を冷静に吟味すれば、筋の通った毅然とした判断であることが理解できる。県は昨年8月、仲井真弘多前知事の時に、県漁業調整規則に基づき埋め立てに必要な岩礁破砕を許可した。しかし今年2月、海底ボーリング調査を再開するため海中にコンクリート製の大型ブロックを投入した際、許可区域外にコンクリートブロックを設置し、サンゴを傷つけていたことが県の潜水調査で分かった。翁長知事は「漁業調整規則違反の懸念が払拭(ふっしょく)できない」と主張、調査が終了するまでのすべての作業の中止を指示したのである。併せて県は、臨時制限区域への立ち入り調査を認めるようあらためて沖縄防衛局に申請した。公務遂行のための調査であるにもかかわらず、米軍は、県の立ち入り調査を認めていないからだ。 ■ ■ 臨時制限区域内では、民間の工事船や海上保安庁の警備船が多数出入りし、沖縄防衛局も独自の潜水調査を実施している。なのに、県の調査だけを認めないというのは、嫌がらせと言うしかない。菅義偉官房長官は「国としては十分な調整を行った上で許可をいただき工事をしている。全く問題ない」と法的正当性を強調する。だが、岩礁破砕の許可には条件がついており、条件に反する行為が確認されれば、許可を取り消すのは当然である。それよりも何よりも最大の問題は、前知事の埋め立て承認を唯一の根拠に、県との一切の対話を拒否し、選挙で示された民意を完全に無視し、抗議行動を強権的に封じ込め、一方的に作業を続けていることだ。埋め立て承認が得られたからといって、公権力を振り回して問答無用の姿勢で新基地建設を進めることが認められたわけではないのである。 ■ ■ 国の環境監視等委員会(第三者機関)に配布した資料の改ざん、議事録公開の遅れが問題になっている。同委員会の副委員長は、国の環境影響評価(アセスメント)に不満を抱き、辞任を表明した。埋め立て承認の適法性に疑問符が付いているだけでなく、国の環境影響評価の信頼性も、疑われ続けているのである。「1強多弱」の国会の中で、安倍政権におごりや慢心が生じていないか。新基地建設は、今や完全に「負のスパイラル」に陥っている。異常な事態だ。 PS(2015.4.18追加):*6-2のように、沖縄県が県を挙げて新基地反対の地元民意を国内外に発信するための基金を設立したりしている中、*6-1のように、安倍首相は単に翁長沖縄県知事との会談しただけで、「①少しでも基地負担軽減を進めたい」「②辺野古が唯一の解決策」と言われているが、②の理由はないため言えるわけがなく、①は念仏にすぎない。そのため、②の理由を列挙した上で、それが本当に理由になるのか、よりよい代替案はないのかについて検討すべきである。なお、朝鮮有事なら長崎県の佐世保基地や対馬駐屯地を使う方が便利だが、朝鮮有事に玄海原発は危なすぎるのだ。 *6-1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20150418&ng=DGKKASFS17H3J_X10C15A4MM8000 (日経新聞 2015.4.18) 首相「唯一の解決策」 辺野古移設巡り初会談 沖縄知事「中止を」 安倍晋三首相は17日、首相官邸で沖縄県の翁長雄志知事と会談した。両氏の会談は、昨年12月に翁長氏が移設阻止を掲げて就任して以来初めて。首相は米軍普天間基地(宜野湾市)の名護市辺野古沿岸への移設について「唯一の解決策だ」と強調した。翁長氏は「唯一の解決策との固定観念に縛られずに作業を中止してほしい」と反対する考えを伝えた。首相は「戦後70年、沖縄には大きな基地負担をかけている。少しでも負担軽減を進めたい」と語った。米軍嘉手納基地以南の施設・区域返還など政府の取り組みにも触れた。「普天間の一日も早い危険性の除去は我々も沖縄も思いは同じだ」と移設への理解を求めた。翁長氏は昨年の名護市長選や知事選など移設反対派が勝った一連の選挙結果を踏まえ「辺野古反対という圧倒的な民意が示された」と力説した。普天間基地については「土地を奪っておきながら老朽化したとか世界一危険だからとか(辺野古移設が)嫌なら代替案を出せというこんな理不尽なことはない」と訴えた。首相には26日からの訪米を前に、普天間移設に向けて沖縄との協調を探る姿勢を示したい意向がある。翁長氏は日米首脳会談に臨む首相に「オバマ米大統領に、沖縄は辺野古移設に反対だと伝えてほしい」と求めた。会談は約35分間で、菅義偉官房長官と沖縄県の安慶田光男副知事が同席した。 *6-2:http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2015040802000136.html (東京新聞 2015年4月8日) 辺野古基地反対で基金 米政府に「民意」直接訴え 米軍普天間(ふてんま)飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)の移設に伴う名護市辺野古(へのこ)への新基地建設をめぐり、地元経済人や有識者らが九日、新基地反対の地元民意を国内外に発信するための基金を設立する。日本政府が強行する新基地建設について、米政府や米議会にロビー活動で反対を訴え、国内でもこの問題への理解を深めてもらい、日本政府を動かすことが狙いだ。新たな基金「辺野古基金」は、昨年の沖縄県知事選で当選した翁長雄志(おながたけし)氏を支援した地元の経済人や地方議員、市民団体らが設立。重い基地負担に苦しむ沖縄の現状を訴える有識者らの活動を財政面から支え、世界一危険とされる普天間飛行場の早期閉鎖と、辺野古への新基地建設中止を目指す。共同代表には、建設会社やスーパーなどを運営する「金秀グループ」の呉屋守将(ごやもりまさ)会長、ホテル「かりゆしグループ」の平良朝敬(たいらちょうけい)最高経営責任者(CEO)ら地元経済界の重鎮が就任。本土の有識者などにも賛同者や寄付を募る。主な活動は、米政府と議会対策。米政府関係者や上下両院の議員へのロビー活動を後押しする。シンポジウム開催も検討し、米国の有識者の理解を広める。沖縄では昨年の名護市長選、知事選、衆院選の四小選挙区全てで新基地反対派が勝利。この結果を示し、「民主主義」の価値観を重視する米国で直接、建設に反対する地元の意思を伝える。県も四月、米ワシントン事務所を新設。在沖縄米国総領事館で特別補佐官を務めた経歴がある平安山(へんざん)英雄氏(66)を駐在員に起用。基金との官民一体で米国への働きかけを強める方針だ。基金は国内では、新聞への意見広告掲載やパンフレット作成などで建設反対を訴える。全国の地方議会にも、政府に対応を改めることを求める決議などで意思を示すよう働き掛ける。九日に那覇市内で設立会見を開き、翁長氏も出席する予定。設立に携わる沖縄県議は「沖縄の民意を無視し続ける政府の姿勢は許せない。国内外から政府に計画の断念を迫る」と話す。
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2015,03,05, Thursday
*2-2より 2015.2.25NHK セシウム土壌汚染 *3-2より *4-1より (1)環境都市づくり *1-1のように、日本でエネルギー効率の高い環境都市づくりが本格的に始動し、経産省が2015年3月に全国から重点支援地域を10カ所選定して、エネルギーの効率利用に太陽光発電設備や大型蓄電池などの導入費用の3分の2を補助し、自治体だけでなく民間企業の参入も促すそうだ。さらに、1件当たり3000万円を上限に事業化計画の策定も支援して、2020年に向け、各地で次世代型の都市を整備する考えとのことである。 私は、佐賀県も、玄海町を中心として唐津市(離島を含む)・伊万里市などの30キロ圏内の地域は、広域で、この環境都市づくりに参加するのがよいと考える。もちろん、佐賀市や小城市など、その他の地域でもよく、その資金は、「脱原発・環境都市創出のための支出」としてふるさと納税のメニューにして、県人会や同窓会で寄付を募れば、かなりの額が集まるだろう。なお、「30万円(10万円?)以上寄付した人は、ネーム・プレートを作って目立つ場所に展示し続ける」というのが、寄付を集めるコツである。 そして、そのような先進的な取り組みを行い、21世紀型の環境都市ができる魅力的な地域であればこそ、*1-2の都会の若者の移住先として積極的に選ばれ、「地方創生」に繋がっていくのだ。 (2)フクイチで隠されていた高濃度汚染水の流出 *2-1によれば、フクイチ原発でタンクから高濃度の放射性物質を含む汚染水が100トン漏れ、その汚染水からは、放射性ストロンチウムなどベータ線を出す放射性物質が1リットル当たり2億3000万ベクレル、セシウム137も国の海への放出基準の100倍余りの1リットル当たり9300ベクレルという極めて高い濃度で検出された。そして、*2-2には、この汚染水に含まれるストロンチウム90は、海への放出基準の760万倍余りであると記載されている。 なお、*2-1のNHKの軽く見せようとする説明とは異なり、実際には、*2-2のように、東京電力は汚染水を外洋に垂れ流していることを1年前に把握しながら放置して公表していなかったそうだ。さらに、原子力規制庁も、*2-1、*2-2に書かれているように、東電が報告するまで気づかず、あわてて放射性物質がしみこんだ土を回収したり、同じタイプのタンクに漏えいがないかを早急に調べることを指示したりした程度であり、専門家が誠意と責任をもって対応しているとは、とても思えない。 そのため、*2-2、*2-3のように、地元漁協の組合長が「漏れた汚染水は100トンと半端な量ではない。試験的な漁を始めた状況で、全国の消費者に不安を与えることにつながるので心配だ」「人為的なミスによるものだとしたら絶対にあってならないことだ。こうした事態が続けば漁業者の東京電力に対する信頼感が失われ不信感が増す」「東電との信頼関係を揺るがせる事態だ」と話しているのであり、漁業者からも「なぜ我々に黙っていたのか」「情報隠しだ」との批判が相次いだのである。 しかし、「3号機は核爆発を起こして、その周辺と広い地域に、核燃料と使用済核燃料の放射性物質をばら撒いた」という真実を語るべきである。何故なら、それによって初めて、3号機の爆発映像、3号機の爆発後の姿、土壌汚染マップのセシウム汚染地域の広さ、いまだに核燃料のありかがわからないとされている理由、甲状腺癌発生の増加理由などを、整合性を持って説明でき、今後の対応の基礎となるからで、本来は、フクイチ事故後、速やかにそれをやるべきだったのである。 (3)佐賀県の原発について そのような中、*3-1のように、佐賀県議会が原子力安全対策特別委員会を開いて山口新知事に原子力行政への認識を尋ね、山口知事は「①この分野で自分のカラーを出そうとは考えておらず、原発の問題は慎重に地に足を付けた対応が大切」「②県に規制監督の権限はなく、国並みに専門家を有してもいないため、県として原子力の専門家会議を立ち上げる考えはなく、高度な見識を持つ原子力規制委員会を信用したい」「③新規制基準は世界一がどういうことか分からないが、自然災害の多い日本で、福島の事故を踏まえて作られた相当厳しい基準で、さまざまな事態に対応できると思う」としたそうだ。 しかし、原子力規制委員会は(2)で述べたとおり、専門家として高度な見識を持つとは言えない上、山口知事の「④県民の生活安定を考えると、価格と安定的な電力供給の問題がある」という発言は、経産省や地域独占の大手電力会社が今でもそんなことを言っているのはあまりにも努力不足の言いわけであり、それだからこそ電力自由化や発送電分離が重要だったのである。 なお、経産省と九州電力は、*3-2のように、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度の運用を見直して新ルールを作り、太陽光発電の年間抑制日数を最大165日にしたそうだが、このように太陽光発電を抑制して原発に回帰し、太陽光発電でトップランナーだったシャープを活躍させずにつぶしたまさにその価値観と行動こそが、日本企業の利益率を低迷させ、低経済成長を作り出し、日本国民を貧しくさせている元凶なのだということを忘れてはならない。 (4)(私が提案してできた)ふるさと納税の展開 *4-1のように、2014年の「ふるさと納税」は、長崎県平戸市(12億7884万円)の額が一番で、佐賀県玄海町(9億3206万円)が2位、北海道上士幌町(9億1098万円)が3位だった。そして、トップ10は、肉類や魚介類など魅力ある特典を複数そろえ、ネットなどを使ったPRに熱心なことが共通しており、九州はトップ10に5市町が入っているそうだ。そして、*4-2のように、埼玉県飯能市も、今後、特典を新設して「ふるさと納税」に参戦するとのことである。 特典があるのは魅力的だが、政策に「脱原発して環境都市の建設」「鉄道の高架化、複線化」「電線の地中化」「街の再開発」「自然再生のための植林」「除染」「保育所・学童保育の整備」など、市町村がやりたい政策を掲げても、内容が魅力的であれば、地域住民や出身者はじめ賛同者が協力すると考える。 そのため、複式簿記による公会計制度が導入され、適切に地方自治体の財政・収支状況が開示されれば、地方債も発行しやすくなるが、現在は、ふるさと納税が資金源として使えると考えている。 <環境都市づくりの本格化> *1-1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20150304&ng=DGKKASDF03H1N_U5A300C1MM0000 (日経新聞 2015.3.4) 環境都市づくり始動、エネルギー効率高く、月内に10カ所選定、企業の技術活用へ 国内で環境に配慮した都市(スマートシティー)づくりが本格化する。経済産業省は3月中にも全国から重点支援地域を10カ所選ぶ。エネルギーの効率利用に必要な太陽光発電設備や大型蓄電池などの導入費用の3分の2を補助し、自治体だけでなく、企業の参入を促す。民間主体の収益事業として定着すれば、新しい都市づくりが加速する可能性がある。スマートシティーは、太陽光や風力などで発電した電力を大型蓄電池や電気自動車にたくわえ、必要な時に家庭やオフィスビルに供給する仕組みを整えた都市を呼ぶ。次世代電力計(スマートメーター)を使って電力需給や天候に応じて消費電力を効率よく管理し、消費電力を2割程度減らすと同時に、電力を地産地消するのが特徴だ。経産省は2011年度から横浜市のみなとみらい周辺や、愛知県豊田市、関西のけいはんな学研都市、北九州市の該当地域で、スマートシティーの事業化が可能か、実証実験を進めてきた。4都市に4年間で総額300億円を投じ、関連設備への初期投資だけでなく、管理・修繕などの運営費も補助してきた。その結果、自治体や民間企業に運営を委ねても十分に採算が合うと判断、実用化段階に移行することにした。10カ所ほどの新たに選ぶ地域では運営費は補助しない。一方、初期費用の補助率をこれまでの2分の1から3分の2に引き上げ、民間企業などの参入を促す。15年度中に約80億円を投じる。経産省によれば、初期費用の負担を軽くすれば、運営費は十分に回収できる。横浜市の場合、太陽光などで発電した電力の販売収入が大きいほか、電力の使用状況から一人暮らしの高齢者の安否状況を確認するサービスを有料化して参入した事業者は収益を確保しているという。実証事業として先行した4地域でのこうした実績やデータは、新規参入する自治体や企業に積極的に公開する。時間帯ごとに電気料金に差をつけてピーク電力を下げたり、消費電力を予測したりするノウハウも提供する。1件当たり3000万円を上限に、事業化計画の策定も支援する。スマートシティー建設のための投資規模は世界で10~30年の累計で4000兆円との試算もある。経産省は訪日外国人の増加が見込める20年の東京五輪に向け、各地でこうした次世代型の都市を整備したい考え。国内の次世代都市を海外にアピールし、海外へのインフラ輸出にもつなげる。 *1-2:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20150304&ng=DGKKASFB09HG7_U5A300C1CR0000 (日経新聞 2015.3.4) 都会の若者、地方に移住、「地域おこし協力隊」14年度1.5倍に 国が費用を出し、都市の若者らが地方に移り住んで活性化を後押しする「地域おこし協力隊員」が急増している。制度が始まって6年目の2014年度は、前年度の1.5倍の約1500人となり、受け入れ自治体も約3割増えて400を超えたもようだ。「地方創生」の担い手として期待が高まっている。総務省が09年度に始めた協力隊は、主に三大都市圏の住民が地方で農林漁業や観光の振興、高齢者の支援、地域情報の発信などに取り組む。国が自治体に、隊員1人当たり年間400万円を支援する。最長3年の任期後には定住する人も多い。安倍晋三首相は16年度末までに隊員を3千人にする目標を表明している。13年度に168人で全国最多だった北海道が14年度は200人を超える見通し。受け入れ市町村も58から80近くに増える。続く長野県も約7割増えて約140人となり、自治体も20から35に増えた。14年10月までの同県の累計では任期を終えた隊員の60%が任地などに定住したという。「地方創生」を掲げる国も協力隊の拡充に動いている。総務省は昨年12月、隊員の最終年度か任期後1年間に任地で起業する人材には、100万円を上限に支援額を上乗せすることを全国に通知。隊員の出身地の条件も、人口の多い地区であれば過疎地を抱える地方都市も認めるように改めた。明治大農学部の小田切徳美教授(地域ガバナンス論)は「協力隊の仕組みによって都市から地方への移住のハードルはかなり下がった。起業の後押しといった追加支援で、定住への橋渡しも進むだろう」と指摘している。 <フクイチで隠されていた高濃度汚染水の流出> *2-1:http://www9.nhk.or.jp/kabun-blog/200/181367.html (NHK 2015年2月20日) 極めて高濃度 汚染水100トン漏れる 東京電力福島第一原子力発電所で19日夜、山側のタンクから極めて高濃度の放射性物質を含む汚染水が漏れ、およそ100トンがタンクを囲うせきの外に流出しました。東京電力は、配管の弁の故障などで、移送していた汚染水が予定していなかったタンクに入ったため、あふれたとみて調べています。19日午後11時半ごろ、福島第一原発4号機の山側にある汚染水をためるタンクから、水が漏れているのをパトロール中の作業員が見つけました。東京電力が調べたところ、水はタンクの天板の継ぎ目から漏れ、雨どいをつたって、タンクを囲うせきの外に流出していたということで、隣接するタンクに水を移して、水位を下げるなどして、発見から6時間余りで漏えいが止まったことが確認されたということです。せきの外に流出した汚染水の量はおよそ100トンとみられ、放射性ストロンチウムなどベータ線を出す放射性物質が、タンクからの汚染水漏れとしてはこれまでで最も高い、1リットル当たり2億3000万ベクレルという極めて高い濃度で検出されました。また、セシウム137も国の海への放出基準の100倍余りの1リットル当たり9300ベクレルと高い濃度で検出されました。東京電力は20日午前、臨時の記者会見を開き、「心配をおかけして大変、申し訳ありません」と陳謝しました。原因については、処理設備から汚染水を移送する配管の途中にある1つの弁が故障していた疑いがあるほか、本来、閉まっているはずの別の2つの弁も開いていたため、予定していなかったタンクに汚染水が入り、あふれたと説明しています。また、19日午後2時すぎ、タンクの水位が高まったことを示す警報が鳴りましたが、直後のパトロールでは異常に気付かなかったということです。東京電力は、汚染水が漏れたタンクの近くに排水路がないため、海への流出はないとしていますが、詳しい状況を調べるとともに、漏れた汚染水や汚染水がしみ込んだ土の回収を進めることにしています。 ●規制庁が対応を指示 東京電力福島第一原子力発電所で、タンクから極めて高濃度の汚染水が漏れ出したことについて、原子力規制庁は、放射性物質がしみこんだ土を回収することや、同じタイプのタンクにも漏えいがないかなどを早急に調べて報告するよう、東京電力に指示しています。 ●漏れた汚染水の濃度は 漏れた汚染水からは、ベータ線と呼ばれる種類の放射線を出す放射性物質が、1リットル当たり2億3000万ベクレルという極めて高い濃度で検出されました。この汚染水には、主に放射性物質のストロンチウム90が含まれていて、2億3000万ベクレルを、ストロンチウム90の海への放出基準と比較すると、760万倍余りに当たります。 ●漁業者から不安の声 汚染水がタンクから漏れたことについて、福島県沖で試験的な漁を行っている地元の漁業関係者からは、不安の声が聞かれました。いわき市漁協の矢吹正一組合長は、「漏れた汚染水は100トンと半端な量ではない。試験的な漁を始めた状況で、全国の消費者に不安を与えることにつながるのではないか心配だ」と話しました。また、相馬双葉漁協の佐藤弘行組合長は、「人為的なミスによるものだとしたら絶対にあってならないことだ。こうした事態が続けば漁業者の東京電力に対する信頼感が失われ不信感が増す。汚染水を増やさないための地下水を、海に放出する地下水バイパスの対策への協力にも影響しかねない」と話しました。 *2-2:http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/nucerror/list/CK2015022502100009.html (東京新聞 2015年2月25日) 汚染水 外洋に垂れ流し 1年前に把握、放置 福島第一 東京電力が、福島第一原発の排水溝から高濃度の放射性物質を含む水が外洋に漏れ続けるのを放置していたことが二十四日、分かった。外洋への継続的な漏出を昨年四月に把握しながら公表せず、排水溝を専用港内に付け替えるなどの対策も取っていなかった。東電によると、昨年四月十六日以降、一週間に一回、四本ある排水溝の出口付近で流れる水を採取し、放射性セシウムやストロンチウムなどを分析。当初から四本とも明確に汚染が確認され、特に1~4号機の山側を通る排水溝(K排水溝)では、ほかよりも一段高い濃度を示していた。例えば、昨年八月二十六日には、一リットル当たりセシウムが一〇一〇ベクレル、骨にたまりやすいストロンチウムなどは一五〇〇ベクレルと、水としては非常に高い値だった。日常的に、両物質とも数十ベクレル以上のレベルで推移している。流量は一日当たり約千七百トンに上る計算になる。2号機の建屋屋根にたまった放射性物質などが雨で流され、溝に入り込んだ可能性がある。ほかの排水溝も、K排水溝ほどではないものの、日常的に汚染が確認され、降雨で濃度が上がる同様の傾向を示している。東電は、一昨年八月にタンクからの高濃度汚染水漏れを受け、タンク群近くのC排水溝の出口は、水が比較的拡散しにくい専用港内に付け替えた。しかし、東電は他の排水溝は対策を取ろうとせず、昨年四月以降のデータを公表しようともしなかった。東電は、自社が実施する外洋の濃度測定で、セシウムとストロンチウムなどはほとんどが同一ベクレル以下であるとして、「外洋には影響はない」と説明している。東電の小林照明原子力・立地本部長代理は「(排水溝内を清掃するなど)できるだけ放射性物質の濃度を下げるという方策を取ってきた。(漏出防止については)重要な項目であるので、検討を進めたい」と話した。 ◆東電、今も続く隠蔽体質 <解説> 東京電力は「福島復興への責任を果たす」と強調する一方で、福島第一原発から高濃度汚染水が漏れ続けているのを知りつつ公表せず、対策を講じようともしなかった。東電の隠蔽(いんぺい)体質は今も続き、福島を裏切り続けていたとも言える。海に出た汚染水は、波や潮流で急速に薄まる。海水魚は取り込んだ塩類をどんどん放出するため、淡水魚に比べセシウムなどを体内にためにくいのも事実だ。しかし、汚染水は「八」の字形をした原発専用港の中でブロックされているどころか、外洋を直接汚していた。しかも雨のたび通常の百倍の濃度にまで高まる状況。こんな状況を放置していて何も影響が出ない保証はない。東電の精度の低いモニタリングでも、原発の南北にある放水口近くの海水から時折、一リットル当たり数ベクレル、高い時には一〇ベクレルを大きく超える放射性セシウムが検出されてきた。こうしたデータは、海の浄化作用でもカバーしきれない汚染が続いていることを示している。せめて問題の排水溝を専用港内に付け替え、港内の海水を浄化する機能を強化しないと、復興に向けて試験操業を続ける地元の漁業者にとっても大きな痛手となりかねない。本紙と共同で福島や首都圏各地の放射能汚染調査を続けてきた独協医科大の木村真三准教授は「やはり原発の状況を、東電自身ではなく、第三者がきちんと調べないと、信頼回復につながらないのではないか」と指摘した。 *2-3:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11621191.html (朝日新聞 2015年2月26日) 流出非公表、東電に憤り 「信頼揺らぐ」 福島第一汚染水 東京電力福島第一原発から港湾外の海に汚染水が流出していた問題で、地元の福島県からは25日、流出を公表してこなかった東電の姿勢に一斉に反発の声が上がった。建屋周辺の地下水をくみ上げ、浄化後に海に流す「サブドレン計画」の交渉は棚上げに。信頼関係が失われ、廃炉計画に影響する可能性も出てきた。福島県漁業協同組合連合会(野崎哲会長)は25日午前、いわき市で組合長会議を開いた。東電幹部が出席、雨が降るたびに排水路の水の放射性物質濃度が高まることを把握しながら公表しなかったことを陳謝した。東電が排水路の放射性物質の定期測定を始めたのは昨年4月。8月には、ベータ線を出す放射性物質で通常の10倍以上の1リットルあたり約1500ベクレルを検出した。これに対し、漁業者からは「なぜ我々に黙っていたのか」「情報隠しだ」と批判が相次いだ。この日はサブドレン計画について協議する予定だったが、持ち越しとなった。会合後、野崎会長は「東電との信頼関係を揺るがせる事態だ」と記者団に語り、計画をめぐる交渉を凍結する考えを示した。県も内堀雅雄知事ら幹部が急きょ対応を協議。内堀知事は「情報の速やかな公表と、その意識の徹底という基本がなされなかったことは極めて遺憾だ」と強い口調で東電を批判した。排水路には、2号機の原子炉建屋とつながる「大物搬入口」の屋上にたまった雨水が汚染されて流れ込んだとみられる。東電は、外洋と仕切られた港湾内へ排水路の水を流すポンプの設置などを検討するという。菅義偉官房長官は25日午後の記者会見で、流出先の海水での濃度は低い値だとして「港湾外への汚染水の影響は完全にブロックしている。状況はコントロールされている」と強調した。ただ、原子力規制委員会にも、検出状況は報告されていなかった。東電は「原因を調べ結果が分かってから公表するつもりだった」と釈明。搬入口が原因と特定できたため24日になって公表したという。規制委の田中俊一委員長は25日の会見で「環境に影響するようなことなら、速やかに発表するべきだ」と指摘した。東電は過去にも、放射性物質の分析結果や流出を示すデータを公表せず、批判を招いてきた。サブドレン計画をめぐっても、以前から地下水くみ上げを検討しながら、浄化して海に放出する考えを明らかにしたのは昨年8月。計画は汚染水対策に必要として理解を求めている最中だった。 ■福島第一原発のデータ公表について東電が批判された例 <2013年6月> 【内容】5月に岸壁近くの井戸で高濃度の放射性物質を検出。対策開始後の6月まで公表せず 【東電の説明】測定に不備があり、念のため追加の分析をした <13年7月> 【内容】汚染された地下水の海への流出を示すデータを社内で共有できず、流出と判断後も3日間公表せず 【東電の説明】情報共有が不十分、情報を公表する姿勢も積極的でなかった <14年1月> 【内容】港湾内や地下水中のストロンチウム濃度の計測値を半年分公表せず 【東電の説明】他のデータとつじつまが合わなかった。隠す意図はなかった <15年2月> 【内容】2号機搬入口上部のたまり水が流れる排水路で、雨のたびに放射性物質濃度が高まることを把握しながら10カ月公表せず 【東電の説明】排水路の清掃に目を奪われ、情報公開の観点が欠けていた。 <佐賀県の原発> *3-1:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/162819 (佐賀新聞 2015年3月5日) 山口知事 原子力特委に初出席「原発問題は慎重に対応」 佐賀県議会は4日、原子力安全対策特別委員会を開き、初めて出席した山口祥義知事に、原子力行政への認識などを尋ねた。山口知事は、独自の施策を打ち出す考えがないかどうかを問われ、「この分野で自分のカラーを出そうとは考えていない。それは地域振興などでやることで、原発の問題はむしろ慎重に地に足を付けた対応が大切」との姿勢を示した。議員が県として原子力の専門家会議を立ち上げる考えがないかを尋ねた。山口知事は「県に規制監督の権限はなく、国並みに専門家を有してもいない。高度な見識を持つ原子力規制委員会を信用したい」とし、「安易に専門家会議を立ち上げ、諮問したり、尊重するという考えはない」と答えた。「世界一厳しい」と標榜(ひょうぼう)している新規制基準の所見を問われ、山口知事は「世界一がどういうことか分からないが、自然災害の多い日本で、福島の事故を踏まえて作られた相当厳しい基準で、さまざまな事態に対応できると思う」と述べた。廃炉が取り沙汰されている九州電力玄海原発(東松浦郡玄海町)1号機については「事業者である九電が判断すべきことだが、どういう結論になっても、県民の安全を第一に考える姿勢で臨みたい」と語った。山口知事は反原発の市民団体から求められれば、直接会う意思を示している。その本意について山口知事は「県政に何か訴えたいのにその場がないのはつらいこと。私に直接伝える場があってもいい。対話の場が長く続くよう、一定のルールづくりを担当課に指示した」と明かした。玄海原発の再稼働に関しては「中長期的には再生可能エネルギーの導入などで原発依存度を可能な限り低減させるべきだが、県民の生活安定を考えると、価格と安定的な電力供給の問題があることも事実」とし、「規制基準に適合すると認められ、住民の理解が得られた場合は、原発再稼働の方向で検討する」と従来の見解を繰り返した。 *3-2:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/162824 (佐賀新聞 2015年3月5日) 太陽光買い取り 九電発電抑制最大165日 年間試算今秋にも要請開始 再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度運用見直しで、九州電力は4日、太陽光発電を無制限で抑制できる新ルールに関し、年間の抑制日数が最大で165日になるとの試算を公表した。電力需要が少なくなる今秋にも、抑制の要請を始める可能性がある。売電事業者にとっては採算が合わなくなり、普及にブレーキがかかる恐れもある。経産省の有識者会合に同日、試算の一部を提出した。年度内にも時間単位で抑制した場合の目安を示し、国が妥当性を評価する。ただ、細やかな発電抑制に必要な機器の整備時期は「国で仕様が検討されている段階で未定」としている。試算では、従来ルールでの接続可能量(817万キロワット)を300万キロワット超過した場合、新ルールで契約する事業者には年間94~165日の抑制を要請するとした。最大で年間発電可能量の52%が抑制される計算になる。抑制日数は、最小需要が788万キロワットだった2013年度の実績を基に、日射量などが予測通りになった場合と誤差が生じた場合の二つの条件で試算した。超過が100万キロワットの場合は35~117日、200万キロワットでは70~139日とした。管内全体では、1月末時点で買い取りや契約手続きしている量は818万キロワットあり、従来ルール枠を既に上回っている。さらに手続き中や申し込みを検討している分が約6万3000件、約1100万キロあり、半年後にも抑制が必要になるとの見通しを示した。旧ルールで契約した事業者の抑制日数は従来通り年間30日を適用。家庭用の10キロワット未満は4月以降の申し込み分が新ルールになる。どの事業者の発電を抑制するかに関しては、抑制日数が30日になるまでは新旧ルールの事業者を30社程度のグループに分け、順番に要請する。 ◆4700件参入辞退 県内は300件 九州電力が太陽光発電の買い取り手続きを再開した2月以降、参入を辞退した事業者が九州全体で少なくとも4700件に上ることが4日、分かった。佐賀県内は約300件で、無制限で発電が抑制される新ルールの適用を受け、事業性が不透明になったことなどが影響しているようだ。九電は1月末時点で管内全体の6万3000件、1100万キロワット、県内は2638件、23万8千キロワットの契約手続きを中断。国の制度見直しに伴い、無制限での発電抑制に応じることを条件に手続きを再開した。九電によると、手続き再開に関する2月4日の事業者説明会以降に参入を辞退した事業者は2月末時点で4700件で、発電量ベースで140万キロワット。県内は291件、3万6000キロワットに上るという。理由は「採算性が見込めない」などで、新ルールが適用される事業者のうち、管内全体で7%、県内は11%の事業者が辞退したことになる。 <ふるさと納税> *4-1:http://qbiz.jp/article/56675/1/ (西日本新聞 2015年2月26日) ふるさと納税、九州にんまり 14年度納税額、トップ10に平戸など5市町 2014年に「ふるさと納税」の額が一番多かったのは、長崎県平戸市の12億7884万円−。インターネットで各自治体のふるさと納税の特典などを紹介しているトラストバンク(東京都渋谷区)が、同社ホームページにアクセス数が多かった自治体に問い合わせ、トップ10をまとめた。ふるさと納税は、応援したい自治体に寄付すると、居住地の税金が軽減される仕組み。平戸市は13年8月、寄付額を有効期限なしのポイントに換算する仕組みを導入。ためたポイントに応じてカタログから特典を選べるようにしたのが好評で、13年に2175万円だった寄付額が約60倍に急増した。市は「人口減対策に生かしたい」としている。10万円を寄付すると、1年間毎月、旬の特産品が贈られる佐賀県玄海町(9億3206万円)が2位、地元のブランド牛が人気の北海道上士幌町(9億1098万円)が3位だった。トップ10は、肉類や魚介類など魅力ある特典を複数そろえ、ネットなどを使ったPRに熱心なことが共通しているという。ふるさと納税は4月から、安倍政権の掲げる「地方創生」の一環で軽減される税金の上限が2倍になり、寄付額の大幅増が見込まれる。トラストバンクは「地元ならではの特産品をいかに発掘するか、寄付金をどう使うのかなど、自治体の知恵の見せどころになる」と指摘する。 *4-2:http://digital.asahi.com/articles/ASH2T6GJTH2TUTNB015.html (朝日新聞 2015年2月26日) (埼玉県)飯能市、ふるさと納税に参戦 特典を新設 応援したい自治体に寄付の形で納税する「ふるさと納税」に、飯能市も本腰を入れることになった。自治体にとっては、アイデア次第で「税収」を増やすチャンス。高額納税者向けに、飯能の自然を楽しむカヌーの道具や、人気アニメをあしらったバスの貸し切りツアーなど個性的な特典を用意。先行する4市町に追いつけとばかりに参入した。飯能市は4月から、寄付者への特典を新設。1万円以上の寄付者は名栗カヌー工房製作のミニカヌーパドルか、カルシウムが豊富なルバーブジャムなどの特産品セットから選べる。さらに、100万円以上の高額を寄付した人には飯能が舞台のアニメ「ヤマノススメ」をあしらった貸し切りバスで市内の古民家や温泉を巡り、そば打ちも体験してもらう日帰りツアー(寄付者を含め最大20人が参加可能)を独自に企画。それぞれ、納税額の3割相当の価値があるという。飯能市は2011年度からふるさと納税の受け付けを始めたが、特典は提供していなかった。そのためか、13年度で6件(納税額543万円)、今年度は先月28日までに8件(同247万円)と少なめで、特産品の提供を大々的に打ち出して寄付を集める他の自治体に先行されていた。このため、市の自然や観光資源をいかした特典をつけて、市をPRする機会にしようと企画。事業費を新年度予算案に計上した。大久保勝市長は「飯能市を知ってもらい、訪れるきっかけにしてもらえれば」。1件で100万円を超える高額の寄付は、12年度に4件、13年度に2件あった。さて、ラッピングバスツアーは実現するか?(戸谷明裕) ■前年の3・6倍 1万8115件 昨年の県内 海産物やブランド牛などをひっさげた自治体が「特典競争」を引っ張ってきたふるさと納税。首都圏の自治体は税収を奪われるばかりでむしろ出遅れていたが、県内でも近年、参入の動きが広がっている。県市町村課によると、昨年県内の自治体に寄せられたふるさと納税は1万8115件。前年(5013件)から約3・6倍の大幅増。ほとんどを占めるのが上位の4市町だ。トップの鶴ケ島市は前年から激増。件数、金額とも一気に首位に躍り出た。昨年9月、お茶だけだった特典の種類を増やしたのがきっかけ。今や30種類以上に増え、独自の特典開発に乗り出す業者も出てきた。羽生市は特典の地元産米とブルーベリー加工品などが好評で、件数は前年の12倍に伸びた。前年にツートップだった宮代町と幸手市も引き続き順調だ。一方で、その他の市町村はいずれも200件に満たない。県民のふるさと納税によって昨年度、県内自治体が減らした市町村民税は計1億2737万円。多くは県外に「流出」したとみられる。税金を「とられる」ばかりではなく「集める」ため、志木市は特典として特産品を贈る事業を始めるため、新年度予算案に127万円を計上。特典の魅力アップをはかる自治体はまだ相次ぎそうだ。 PS(2015.3.5追加):離島は、底まで見える透き通った海の近くまで山が迫り、別天地だ。その唐津市鎮西町松島でオリーブが採れ、初めてオリーブオイルが作られて、宗さんによって島で採れたウニ、サザエ、アワビ、タイなどとともにコース料理になったそうだが、これは、都会にはない採れたての食材を使った美味しい料理だ。しかし、松島だけでは面積が小さく採れる量が限られるため、私は、他の島や九州本土でもオリーブを作ればよいと考えている。 *5より *5:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10105/162903 (佐賀新聞 2015年3月5日) 苦節10年、初の搾油 一日限定レストランで堪能 唐津市 行政や観光関係者を招いて限定オープンしたレストラン「リストランテ マツシマ」。参加者は島の魅力発信を頭に描きながら料理を味わった=唐津市松島の老人憩いの家 ■若手シェフ“凱旋”、島の恵みで伊料理 玄界灘に浮かぶ唐津市鎮西町の離島「松島」。人口60人ほどのこの小さな島に1日、一日限りのイタリアンレストラン「リストランテ マツシマ」がオープンした。島民が10年がかりで育ててきたオリーブから初めてオイルが搾油できたことを記念した催し。海の幸など島の恵まれた食材を使い、島出身の若き料理人が腕を振るって招待客をもてなした。松島でオリーブ栽培が始まったのは約10年前。荒れ地だった斜面の畑を島民総出で耕し、県職員に技術指導を受けて育てた。オリーブは虫が付きやすく、島は風が強くて受粉に適さない環境というが、それでも女性を中心に地道に草刈りを続けるなど努力を重ねた。現在は約30アールに100本ほどが生育、本年度初めて瓶4本半のオリーブオイルが搾油できた。特産品化への道のりはまだ遠いが、頑張りを形にし、喜びを分かち合おうと企画されたのが今回のレストランだった。「外国産に比べてあっさりしておいしいですよ」。料理を担当した宗勇人さん(25)はそう語る。高校進学を機に生まれ育った松島を離れ、現在はJR博多駅ビル内のイタリアンレストラン「ザッコ アルポルト」で働くが、今回「島のためにずっと何かしたいと思っていた」と限定レストラン開店の話を快く引き受けた。職場の仲間を引き連れて総勢4人で島に“凱旋”。オリーブオイルで、色鮮やかな料理を味付けした。あいにくの雨模様となった当日。教会の見える波止場での屋外レストランとはいかなかったが、島の「老人憩いの家」に招待された行政や観光関係者ら約20人が、ウニやサザエ、アワビ、タイなど島の食材をふんだんに使った宗さんのコース料理に舌鼓を打った。席上、総務省の事業「地域おこし協力隊」の隊員として離島振興に取り組む土谷朋子さん(45)は、招待客に問い掛けた。「島に来てこの料理を味わう。いくら出せますか?」。島を活性化し、人口減少に歯止めをかけるため、今後レストランを定期的に開き、ツアーとして商品化できないか検討していくという。「島で生まれて良かったし、島の素晴らしい食材で料理を作れて幸せだった」と宗さん。すでに「第2回」で振る舞う料理のレシピを用意、今後も協力は惜しまないつもりだ。区長の坂口正年さん(66)は「七つの離島で最も小さい島だが、これからもできることを探し、頑張っていきたい」と話す。10年かかったオリーブのように、島民一丸で根気よく、活性化の道を探っていく。 PS(2015.3.6追加):「コープさが」がアンケート調査をしたところ、*6のように、「原発は廃止すべき」と回答した人が86%で、「すぐ廃止」という人が33%だった。しかし、フクイチ事故後の現在でも再稼働してしまうようなら、「将来、原発廃止」というのは、もう一度どこかで過酷事故が起こるまで不可能であるため、脱原発は今しなければならない。そして、「有害物質を決して含まない食品を生産する九州(又は日本)」というスタンスを守り、そのイメージを定着させるには、今、脱原発することが必要不可欠である。 *6:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/163292 (佐賀新聞 2015年3月6日) 「原発は廃止」86% コープさが生協アンケート コープさが生協(干潟由美子会長)が組合員を対象に原発と電力供給をテーマに行ったアンケートで、8割以上が「原発を廃止すべき」と回答した。時期については「将来」が53%で、「すぐ」が33%。理由として「事故の可能性がゼロではなく、事故による被害が大きすぎる」が85%に上った。アンケートは2014年8月、生協の意思決定に関わる275人と、無作為抽出の一般組合員228人、計503人に初めて実施した。原発の継続・廃止の考えなどを無記名方式で聞き、半数の252人が答えた。理由は複数回答。「廃止すべき」とした理由はほかに、「使用済み核燃料の処分方法が決まっていない」が69%だった。事故のリスクに加え、使用済み核燃料の処理技術が確立されていないことに対する不安の大きさが表れた。「将来も必要」は7%で、その理由として「安さと安定供給」が65%、「新しい規制基準で安全性が高まった」が59%だった。原発再開にあたって不安に思うことは、「使用済み燃料の処理方法」が56%、「放射能漏れ事故を完全に防ぐ方法」が54%、「事故が起きた場合の情報開示」45%と続いた。 PS(2015.3.9追加):やはりメルケル首相は偉い。そして、「日本は資源確保に問題を抱えている」というのも、日本の経産省が「大金で石油を買えばよい」という態度を続けてきた傲慢で不作為の結果にすぎず、実際には、水素、地熱、太陽光、風力、水力などの再生可能エネルギーを真剣に開発すれば、使いきれずに受付を中止するほどの電力ができ、化学工業も天然ガス由来の成分で可能なのである。 *7:http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2015030902000130.html (東京新聞 2015年3月9日) 脱原発「日本も同じ道を」 独首相が呼び掛け 【ベルリン=共同】ドイツのメルケル首相は7日に政府ホームページ上で公開された映像で、東京電力福島第一原発事故を受けてドイツが早期の脱原発を決断し、再生可能エネルギーの普及を進めているとし「日本も同じ道を歩むべきだ」と呼び掛けた。メルケル氏は9日から訪日する。ドイツは二二年までに全ての原発を停止する計画だが、日本では原発の再稼働に向けた動きが本格化。九州電力川内1、2号機の今夏以降の再稼働が見込まれている。メルケル氏は「日本は島国のため資源確保に問題を抱えている。(日独が)原子力をめぐり違う道を歩んでいる理由は、そういうところにあるのかもしれない」と指摘。事故の経験から言えることは「安全が最優先ということだ」と強調した。また、日本について、中国に次ぐ「アジアの貿易相手国で、ドイツと価値観を共有している」と強調。九日の安倍晋三首相との首脳会談では、ドイツで六月に開かれる先進国首脳会議(サミット)の議題について説明するとした。 PS(2015.3.11追加):私は、*8-1、*8-2の小泉元首相の発言に賛成で、「脱原発こそ、日本の持続可能な経済成長を支え、エネルギー自給率100%の国を作り、福祉に福音を与える」と信じている。また、*8-3のように、原発に反対してきた京大原子炉研究所の小出助教の発言もあり、原子力分野は小出さんのような人を最後まで助教(少し前まで“助手”と呼んだ)にしかせず、公開討論会でも馬鹿にしたような態度をしていたことを忘れてはならない。 *8-1:http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150311/k10010011801000.html (NHK 2015年3月11日) 小泉元首相 政治主導で原発のない社会を 小泉元総理大臣は福島県喜多方市で講演し、原発の再稼働を進める政府の方針を批判したうえで、政治主導で原発のない社会を実現すべきだという考えを重ねて示しました。この中で小泉元総理大臣は、福島の原発事故に関連して、「事故から4年たったが、原因究明がきちんとされず、汚染水も『コントロールされている』と誰かが言っていたが、全然されていない。政府は『日本の安全基準は世界でいちばん厳しい』と言うが、ほかの国より何が厳しく安全なのか説明しておらず、それで再稼働しようということにあきれている」と述べ、原発の再稼働を進める政府の方針を批判しました。そのうえで、小泉氏は、今後のエネルギー政策について、「政治が『原発ゼロ』にかじを切れば、必ず自然エネルギーで経済成長できる国になる。実現可能な大きな目標が原発ゼロの社会だ」と述べ、政治主導で原発のない社会を実現すべきだという考えを重ねて示しました。小泉氏は、講演のあと記者団に対し、「安倍総理大臣が『原発ゼロ』にしようと言えば、自民党の多数は協力するし、野党も協力する。一国の指導者として、自然エネルギー大国を実現する環境が整っていながら、やらないのは、もったいない」と指摘しました。また、小泉氏は、戦後70年の「総理大臣談話」について、「少し騒ぎすぎだ。安倍総理大臣がさまざまな方面の意見を聞きながら判断すればいい」と述べ、安倍総理大臣の判断を尊重すべきだという考えを示しました。 *8-2:http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye2442115.html (TBS 2015年3月11日) 耐え続ける福島、原発事故で「止まった時間」 津波に加えて、原発事故の傷に4年経っても耐え続けている福島。原発から20キロ圏内に市の一部がかかっている南相馬でも、鎮魂の灯りが灯されました。福島県の沿岸部にある南相馬市では、4年前のあの日と同じように小雪がちらつき、冷たい風が吹きつけています。こちらでは、メッセージが書かれたキャンドルに灯りが灯され、震災の犠牲者を追悼するイベントが開かれています。南相馬市では、津波などで500人以上が犠牲になっただけでなく、福島第一原発から20キロ圏内にある市の南部の地域は、原発事故によって現在も避難指示が続いています。福島県内では、地震や津波などであわせて1604人が犠牲になりました。これに対し、原発事故による避難などが影響して亡くなった「関連死」は、1884人にのぼっていて、震災の「直接死」を上回っています。原発事故で、今もおよそ12万人の避難が続いている福島県。原発の問題を抱える「被災地」の4年間です。東京電力・福島第一原発。事故から4年を迎える現場は今、汚染水をめぐる問題で揺れています。東日本大震災から4年を迎えた11日、福島第一原発の免震重要棟には、東京電力の広瀬社長などが訪れ、社員に訓示しました。「我々は少なくとも(県民と)同じ方向を向いて、一日でも早い復興、一日でも早い漁業の再開を我々も目指していく」(東京電力 広瀬直己社長)。一方で、福島県内には11日、小泉純一郎元総理も訪れ、集まった県民を前に「脱原発」を訴えました。「『原発安全』『コストが安い』『クリーンエネルギー』。これが全部ウソだということが分かったんです。よくもこういうウソをいまだに政府が言っているなとあきれているんです」(小泉純一郎元首相)。福島県では原発事故の影響により、今もおよそ12万人がふるさとを離れて避難生活を送っています。そうした中、国は除染で出た土などを保管する中間貯蔵施設を福島第一原発の周辺に建設することを決め、13日から一時保管場に廃棄物の搬入を始めます。施設が建設される町の住民は、ふるさとの土地を奪われることに、複雑な思いを抱いています。「非常に我々地権者も悔しい気持ちでいっぱい。(施設が建設される)大熊町民・双葉町民、みんな幸せになる権利がある」(施設の地権者)。原発事故、そして放射能の問題を抱える福島県。福島第一原発周辺の地域では、来年度以降、徐々に避難指示が解除されていく見通しですが、時間が止まったままの地域をどのように再生していくか、課題も残されています。 *8-3:http://www.kyoto-np.co.jp/top/article/20150307000149 (京都新聞 平成27年3月8日) 小出・京大助教「原発は犠牲を他者に」 退職前に講演印刷用画面を開く 京都大原子炉実験所助教の小出裕章さんの現職では関西で最後となる講演が7日、京都市下京区のシルクホールであった。小出さんは「原子力は徹頭徹尾危険で、犠牲を他者にしわ寄せする」と指摘し、原発再稼働に向けた審査が進む流れを「避難計画は自治体任せで誰も責任を取らない仕組みだ」と批判した。府民らが企画した「バイバイ原発3・7きょうと」の一環。約500人が参加した。小出さんは、汚染水が増加している東京電力福島第1原発の現状を「施設全体が放射能の沼のようになっている」と表現。研究者としての経験を踏まえ、「原子力の場にいた人間として大きな責任がある。子どもたちの被ばくを少しでも少なくしたい」と語った。また「仮に事故にならなくても生み出してしまった放射性物質は消えない」と原発の問題点を挙げた。「人間という生物種のスケールでも測れない長い期間、責任を取れない毒物を生み出す。いいかげんに目を覚まし、原子力利用から抜け出ることが大切だ」と訴えた。 PS(2015.3.14追加):事故があれば、農林漁業はじめ工業・観光業もすべて駄目になるのに、鹿児島県の人はそれでいいのだろうか? *9:http://qbiz.jp/article/57920/1/ (西日本新聞 2015年3月14日) 川内1号機、工事計画18日認可 6月下旬にも再稼働 原子力規制委員会が、再稼働の前提となる審査を進める九州電力川内原発1号機(鹿児島県薩摩川内市)の工事計画を、18日の定例会合で認可する方向になったことが分かった。認可されれば、審査はほぼ終了。使用前検査を経て、6月下旬にも新規制基準に沿った原発として全国で初めて再稼働する。2号機はさらに1カ月程度遅れる。規制委事務局の原子力規制庁関係者は13日、川内1号機の工事計画の審査について「作業は終盤」と述べ、18日の定例会合で議論する方針を明らかにした。安全対策の詳細設計をまとめた工事計画は、九電が2月末に提出。今月10日に一部修正版を提出している。工事計画が認可されれば、九電は設備の作動状況などを確認する使用前検査を申請。検査は3カ月程度かかる見通しで、再稼働は6月下旬以降になるとみられる。九電は、1号機と一部設備を共用する2号機の工事計画の書類を4月上旬に提出する予定。2号機の工事計画と、運転管理体制をまとめた1、2号機共通の保安規定の認可で、13年7月に始まった川内原発の審査は最終的に終了する。
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2015,03,03, Tuesday
大塚家具の製品 (1)大塚家具創業者一族の経営方針の違いと父娘の大げんか *1-1、*1-2のように、家具インテリア大手の大塚家具の創業者、大塚勝久会長(71)と社長の久美子氏が、販売手法をめぐって父娘で対立し、互いに相手に退陣要求していることが、メディアで報道された。親の後を継いだ子が経営方針の違いで親と喧嘩するケースはよくあるが、株主を巻き込み、メディアで報道される大規模なものは初めて見た。 なお、*1-3では、創業者会長の大塚勝久氏が、「騒動が大きくなれば企業価値が毀損し、会社の存続にかかわる」としたそうだが、実際には、*2のように「株主総会に向けて委任状争奪戦が続いているため、双方の大株主が株式を買い増すのではないかという思惑と、配当利回りに着目した個人などの買いが入って、大塚家具の株価は市場で大幅続伸した」とのことで、私は、メディアで報道された久美子氏自身の話も大きな影響を与えたと考えている。 大塚勝久氏は、長男で取締役の勝之氏(45)らとともに東京都内で会見に臨み、「(久美子氏が勝久氏らを外す)取締役の選任議案を独断的にまとめた」「悪い子どもを持った」と述べ、同席したほかの幹部も、「(久美子氏は前回社長を務めた2009年からの5年間)業績を残せなかった」と指摘し、勝久氏らは、さらに一族の資産管理会社の株式について久美子氏が虚偽の名義移転をしていたとして、株を返すよう求める民事訴訟を東京地裁に起こしたそうだ。 大塚勝久氏と久美子氏の対立の理由は、*1-3、*1-4によれば、販売手法をめぐるもので、勝久氏が来店客を会員にして従業員が付き添ってまとめ買いを促す手法を主張しているのに対し、久美子氏は「消費者の購買スタイルは単品買いに変わり、受け付けや接客に客が抵抗を感じているため勝久氏が続けてきた『会員制』などの営業手法を見直す」としている。 (2)これは組織再編(会社分割)でうまく解決する事例だ 私は、創業者である大塚勝久氏が、これまで会員制で従業員が付き添い、まとめ買いを促す手法で成功したのは、結婚や新築で家具をまとめ買いする需要が多く、高度成長期で資金にもゆとりがあったからであろうと考える。しかし、少子化と低成長経済で少なくなったとはいえ、現在でもそういう需要はあるため、その売り方をなくす必要はないだろう。 また、久美子氏の「消費者の購買スタイルは単品買いに変わり、受け付けや接客に客が抵抗を感じている」というのも、現在は消費者が多様で、自分のセンスを信じて安くて良いものを比較して買う人も増えたということであり、勝久氏と久美子氏のやり方は、相手にする消費者や購買局面が異なるだけで、デパート、スーパー、インターネット通販の存在が両立するのと同様、両立するものだ。そのため、それぞれを別会社にして、販売する品にあった会社名をつけ、立地場所によって適した店舗を分け、従業員もそれぞれの売り方に適した人を分けて、シナジー効果を出しながらやった方がよいと考える。 これは、NTTが、本体に固定電話部門を残し、携帯電話部門とインターネット部門を子会社にして外に出したのと同じ組織再編で、現在、私たちは、固定電話、携帯電話、インターネットのいずれも使っているが、NTTグループの事業利益は携帯電話部門が一番上がっていると聞いている。 (3)家具と日本産木材について 大塚家具のHPを見ると、*3-1のように、大塚家具は、材料として主にシベリア産のタモを使用しているとのことだが、現在、日本は戦後植林した木が伐採期を迎え、政府を先頭にして間伐も進めており、日本産木材を比較的安価に使うことが可能になっている。 また、林業を再生させるために、日本産木材を使うことが奨励されており、*3-2の大分県日田市の事例や、*3-3の福岡県産材を使った大川家具などは、そのよい事例だ。そして、今後は、他の地域も同様の取り組みを始めると思われるため、ヨーロッパやアジアへの輸出も視野に、どこに輸出しても通用する家具の新製品を開発して販売する子会社も作ればよいと考える。 <父娘の経営方針の違いと大規模なけんか> *1-1:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11600791.html (朝日新聞 2015年2月14日) 大塚家具会長、取締役退任へ 家具インテリア大手の大塚家具の創業者、大塚勝久会長(71)が3月に開催予定の株主総会で取締役を退くことが分かった。勝久氏は、長女の久美子氏(46)が社長を解任された昨年7月から社長を兼務したが、久美子氏は今年1月に社長に復帰していた。大塚家具が13日公表した取締役の候補者に、勝久会長の名前がなかった。候補者は取締役会の過半数の賛成で決めたが、勝久氏を含む複数の取締役は賛成しなかったという。広報担当者は「勝久氏と久美子氏に経営方針の違いがあった」と述べた。勝久氏は1969年に実質的な前身である大塚家具センターを設けた。 *1-2:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11607014.html (朝日新聞 2015年2月18日) 大塚家具、お家騒動再び 会長、長女を社長から外す提案 家具インテリア大手の大塚家具の創業者、大塚勝久会長(71)が、3月開催予定の株主総会に自らを取締役候補とする株主提案をしたことがわかった。長女で現社長の久美子氏(46)を候補者から外し、会社の提案と真っ向から対立している。勝久氏が提案した取締役の候補者には長男の勝之取締役(45)の名前もある。大塚家具は「経営を再び混乱させる」として17日に反対意見を発表した。勝久氏は創業以来、来店客に名前や住所を登録してもらって接客する「会員制」を販売手法の中心にすえてきた。業績不振を受けて、これを変えようとした久美子氏と勝久氏が対立。社長だった久美子氏は昨年7月に解任されたが、今年1月に復帰している。勝久氏は昨年6月末時点で株式の約18%を握り、株主総会で委任状争奪戦になる可能性もありそうだ。 *1-3:http://digital.asahi.com/articles/ASH2T7QZVH2TULFA031.html (朝日新聞 2015年2月26日) 大塚家具、販売手法めぐり父娘が対立 互いに退陣要求 創業者会長と長女の社長が対立する家具インテリア大手の大塚家具で、大塚勝久会長(71)が25日夜に記者会見し、勝久氏の退任を求める久美子社長(47)に対し、「騒動が大きくなれば企業価値が毀損(きそん)し、会社の存続にかかわる」と辞任を要求した。3月27日の株主総会に向けて、株主の委任状争奪戦に乗り出す方針だ。勝久氏は、長男で取締役の勝之氏(45)らとともに東京都内で会見に臨んだ。株主総会にあたり、「(久美子氏が勝久氏らを外す)取締役の選任議案を独断的にまとめた」と批判した。「悪い子どもを持った」とも述べた。同席したほかの幹部も、久美子氏が前回社長を務めた2009年からの5年間について「業績を残せなかった」と指摘した。父娘の対立は、消費増税後の需要低迷などで業績が悪化していた2014年7月、会長の勝久氏らが社長の久美子氏を解任し、勝久氏が社長を兼務したことで表面化した。その後、久美子氏は1月28日の取締役会で社長に復帰し、勝久氏は社長の兼務を解かれた。この時の舞台裏について、同席した幹部は25日の会見で「社長の兼務を解く議案が出され、取締役7人のうち4対3で可決された。突然のクーデターだった」と明かした。さらに勝久氏らは、一族の資産管理会社の株式について久美子氏が虚偽の名義移転をしていたとして、株を返すよう求める民事訴訟を25日に東京地裁に起こした。勝久氏と久美子氏は販売手法をめぐり対立。来店客を会員にし、従業員が付き添ってまとめ買いを促す勝久氏の手法に対して、久美子氏は「消費者の購買スタイルは単品買いに変わった」「受け付けや接客に客が抵抗を感じている」と批判する。途中で社長が久美子氏から勝久氏に代わった14年12月期決算が4年ぶりの営業赤字に転落したことで、対立に拍車がかかった。久美子氏側も、勝久氏を取締役から外す議案を株主総会に出す。両者の提案は株主総会にかけられ、委任状争奪戦に向けて両者とも大株主の説得に動くとみられている。有価証券報告書によると、筆頭株主の勝久氏の昨年6月末時点の株式保有比率は18%。米投資ファンドのブランデス・インベストメント・パートナーズも10%以上持つほか、保険会社などが大株主に名を連ねる。久美子氏は26日に記者会見を開く。 ◇ 大塚家具 本社は東京都江東区。1969年に大塚家具センターとして埼玉県で創業した。店は東京や大阪、名古屋、福岡などに16店。2014年12月期の売上高は555億円、営業損益は4億円の赤字。従業員は1749人。ジャスダック上場。 *1-4:http://digital.asahi.com/articles/ASH2V46BHH2VULFA00H.html (朝日新聞 2015年2月26日) 大塚家具の父娘対決、久美子社長が会見 「父が損失」 創業者会長と長女の社長が対立する家具インテリア大手の大塚家具で、大塚久美子社長(47)は26日、対立が表面化後、初めての記者会見を開いた。「創業者から離れなければならない、ぎりぎりのタイミング」と述べて、勝久会長(71)の退任を改めて求めた。 ●大塚家具、販売手法めぐり父娘が対立 互いに退陣要求 途中で社長が久美子氏から勝久氏に代わった2014年12月期は、4年ぶりの営業赤字になった。赤字の責任は久美子氏にあると主張する勝久氏側に対し、久美子氏は会見で「(勝久氏が社長を兼ねた)下期に大きな損失を出した」と反論した。そのうえで久美子氏は、勝久氏が続けてきた「会員制」などの営業手法を見直し、17年12月期の営業利益を19億円まで伸ばす中期経営計画を説明。15年12月期の配当予想は、従来の40円から80円に引き上げた。3月27日に予定される株主総会に向けて両者は委任状争奪戦を展開する。敗れて退任に追い込まれるのは、どちらなのか。勝久氏は自身と妻千代子氏らの保有株20%強を確保したとみられる。一方の久美子氏は、妹の舞子氏が代表を務める大塚家の資産管理会社「ききょう企画」の持つ株式など約10%を押さえたもようだ。ただ、「ききょう企画」の保有株のうち約7%分は久美子氏が違法な手段で支配している、と勝久氏は主張。自身に返すよう求め、民事訴訟を東京地裁に25日付で起こした。久美子氏は経営者にふさわしくないと印象づけることで、委任状争奪戦で優位に立つ狙いもあるようだ。久美子氏は「事実認識に誤りがある」と反論している。大塚家具の大株主には米投資ファンド「ブランデス・インベストメント・パートナーズ」や日本生命保険、東京海上日動火災なども名を連ねており、こうした株主が、社長と会長のいずれの側につくのかも注目されている。勝久氏は26日夜、久美子氏が記者会見したことを踏まえ、「非常に残念。経営を安定化させるため決意を新たにした」とのコメントを発表。委任状争奪戦の勝利に意欲を示した。 <大塚家具の株価続伸> *2:http://www.nikkei.com/article/DGXLASGD27H52_X20C15A2DTA000/ (日経新聞 2015/2/27) 大塚家具株、連日のストップ高 一時21%上昇 27日の東京株式市場で大塚家具の株価が大幅続伸した。一時前日比300円(21%)高の1705円と、前日に続き制限値幅の上限(ストップ高)まで買われる場面があった。2015年12月期の年間配当を従来予想より40円多い80円(前期は40円)にすると25日の取引終了後に発表したことが引き続き手掛かりとなっている。大塚家具の経営を巡り、大塚久美子社長と実父で創業者の大塚勝久会長との対立が深まり、3月27日の株主総会に向けて委任状争奪戦が続いている。市場では「双方の大株主が株式を買い増すのではないかという思惑が買いを誘った」(松井証券の窪田朋一郎シニアマーケットアナリスト)との指摘も聞かれた。27日の終値は238円(17%)高の1643円だった。増配発表から2日間で49%上昇したが、予想配当利回りは約4.9%と比較的高く、配当利回りに着目した個人などの買いも入ったとみられている。 <家具と木材について> *3-1:http://kagu.otsukac.co.jp/contents/ki_no_ohanashi_01_tamo.php (木のお話 タモのお話) タモの特性・用途 タモはとても柔軟性があり、歪みが生じにくい木材で曲げ加工に最も適しています。また、野球のバットにも使われるように頑丈さも持ち合わせています。このため多くの椅子やテーブル、キャビネットなどの家具に用いられます。見栄えが良いのに比較的値段が手ごろな点も人気の秘訣のようです。タモの生育地は日本の北海道や中国、樺太やシベリアなどの寒い地域です。大塚のタモは主にシベリア産の[タモアッシュ]と言う品種を使用しています。タモアッシュは乾燥性や加工性も良好で家具はもちろんスポーツ製品、建築造作など多方面にわたって利用されています。美しい木目はとても人気があり、珍重されている木材です。また、板目が高級木材の欅[けやき]と似ていることから日本人に好まれる木材の一つで、高級材と並ぶ美しさを持ち合わせているため、いつの時代も人気が衰えない木材なんです。 *3-2:http://qbiz.jp/article/56670/1/ (西日本新聞 2015年2月26日) 家具ポイント制導入や日田材拡販へ協議会 日田市の新年度事業案 大分県日田市は2015年度一般会計当初予算案と「地方創生」関連事業を前倒して盛り込んだ14年度一般会計補正予算案を発表した。4月から実施予定の事業の中から、注目の取り組みを紹介する。 ※ ※ 基幹産業の林業を活性化させるため、市は3月策定予定の「新しい日田の森林・林業・木材産業振興ビジョン」に基づき、川上(山づくり)から川下(林業・木材産業の振興)まで一体的な施策を展開する。目玉の一つが、日田材の需要拡大を目指した木づかい促進事業(6365万円)だ。日田材を使った住宅の新築やリフォームに対し、条件を満たせば、日田材か日田家具と交換できるポイントをプレゼントする。これまでは日田材の支給だけだった。家具ポイント制の導入は初めて。交換できる家具を紹介したカタログを製作する予定だ。また同事業では「木の香る店舗を増やそう」(市林業振興課)と、店舗の内外装に木を使用するリフォームについても費用の一部を補助することにしているという。日田材ブランド化促進事業(106万円)も目玉だ。中小の製材業者などでつくる「日田材拡販協議会」を発足させ、大手のハウスメーカーなどに日田材を売り込むため、供給量を確保して共同販売できる仕組みづくりを検討してもらう。同事業では木工関係者らでつくる「ひた杉デザイン会議」も創設する。デザイナーやまちづくりに取り組む市民を交え、建築用材以外の活用策を考える。日田材のブランド化を目指し、早ければ今夏にもスタートさせたい考えだ。森林整備では、樹齢45年以上の樹木伐採を促すため、伐採後の植栽や下刈りにかかる費用の補助率を上げるなどして、山林所有者の負担軽減を図る森林整備総合対策事業(1億円)などを盛り込んだ。 *3-3:http://qbiz.jp/article/55713/1/ (西日本新聞 2015年2月12日) 福岡県産材家具の展示会を開催 12日から福岡市で 福岡県産材を使った家具の展示会が12、13日、福岡市・天神のアクロス福岡である。県産材の利用拡大につなげようと、大川家具関連の組合でつくる大川インテリア振興センターと県が企画。デスクや書棚など約50点を展示するほか、12日には県産材を積極的に採用している栃木県鹿沼市の担当者が講演する。無料。午前10時〜午後5時(13日は午後4時まで)。同センター=0944(87)0035。
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2015,03,02, Monday
国の公会計制度導入状況 地方自治体の公会計制度 *2より *5より (1)複式簿記を前提とした統一的地方公会計制度の導入 *1のように、総務省が、複式簿記を前提とした統一的地方公会計制度を導入して、公会計制度を予算編成に利用し、限られた財源を賢く使って地方財政のマネジメントを強化する決意をしたため、公会計制度の導入が前進した。これまでも、1995年頃から準備を始めて1998年頃には財務書類を作っている地方自治体が増えてきていたが、それは複式簿記によるものではなかったため、固定資産や負債の認識が正確ではなく、収益・費用に関しても発生主義の発想がなかった上、網羅性や検証可能性も保障されていなかった。しかし、複式簿記による会計制度は、一般企業では普通に行っているものだ。 本来、次年度の予算編成にあたっては、前年度の決算を見ながら議会で議論するのは当然のことだが、公的部門は決算確定が非常に遅いという理由で、これができなかったのであるため、ソフトウェアを無償提供して、迅速かつ正確に決算を行わせるのはよいことだ。しかし、これは、民間企業では、ソフトウェアを無償提供してもらわなくても、管理目的及び公表目的で、これまでも普通にやってきたことである。 複式簿記を使った統一的地方公会計制度の導入により、地方自治体(=地方公共団体)が、地方財政のマネジメント強化を進められるのは確かだが、今後は、国も同様の制度にして、どちらも監査法人の監査を受けるべきである。そして、この地球上では、日本以外の多くの国が、既に、複式簿記を前提とした公会計制度を採用している。 (2)地方自治体の財政について 地方自治体の歳出については、正確な財務書類を作成・公開し、次年度の予算編成にあたって前年度の決算書類を見ながら議会で無駄がないように議論することによって、解決する。 しかし、財務体質を強化するためには、「入(いる)を計って出(いずる)を制す」ことが必要であり、地方自治体の存続のためには、入るを計ることも重要だ。しかし、「入るを計る」には、税率を上げるだけがその方法ではなく、居住人口を増やしたり、税外収入を獲得したりする方法がある。 そのような中、*2のように、人口増加で入るを計ろうとしている地方自治体は多く、全国首長の50%が「子育て環境改善の必要性」、49%が「移住推進の必要性」を認識しており、そのために、72%の地方自治体が最優先で取り組む人口減少対策として「雇用の確保」を挙げたとのことである。しかし、「男女平等の徹底」や「介護環境の改善」も、女性がその地域に住みたいと考えるには、重要な要素だ。 なお、形式的組織再編である道州制の導入への賛成は15%に留まり、50%が反対だそうで、その理由は、「行政の広域化で、住民サービスが行き届かなくなる」というのが最も重要だろう。しかし、病院の配置やごみ処理など、広域で考えた方が効率的になるインフラもあるため、そのようなインフラは広域連携して整備した方がよいと考える。 (3)佐賀市の「入るを計る」挑戦 「入るを計る」方法は、税の徴収だけではなく、各地方自治体の稼げる資源や人材を、賢く使うことにもある。例えば、*3-1のように、佐賀市は2015年度から、市清掃工場でごみ焼却時に出る排気から二酸化炭素(CO2)を抽出して、園芸農業や藻類の培養向けに販売する事業に本格的に乗り出すそうだ。 また、*3-2のように、佐賀市はベンチャー企業ユーグレナと、下水浄化センターの処理水が培養に有効なことを確認し、今後は浄化センターに近い場所で、下水処理水を用いて、ミドリムシの培養を目指すそうだ。佐賀市は飼料や燃料向けの培養を目指すそうだが、ミドリムシを用いた栄養価の高い飼料は、魚介類の養殖のみならず、畜産の飼料としても有効と考えられ、安価な資料を通して、地域の産業振興に役立つと思われる。 さらに、*3-3のように、日米合弁企業アルビータと佐賀市は、市の清掃工場でごみ焼却時に出る二酸化炭素(CO2)を用いて培養事業を始める協定を結び、清掃工場近くに培養施設を設けて、来年6月の稼働を目指すそうだ。培養施設は、温室で覆った水槽を五つ並べ、市から購入したCO2と太陽光で藻類を培養し、抗酸化作用が高いアスタキサンチンを年間2800キロ生産する計画で、年間売り上げ6億〜8億円を見込み、地元から30人程度を雇用するとのことである。 これらは、地方自治体が、今まで捨てていたものを資源化して「入る」を計った、賢い事例である。 (4)雇用が増えても、そこに住むか否かは別である *2のように、移住を促進して居住人口を増やすには、「雇用確保」だけでは不十分であり、「子育て・教育環境」や「医療・介護環境」などの生活に必要なインフラが整っていることが必要だ。 そのような中、*3-4のように、佐賀県太良町は新年度から、町内全4小中学校の給食費を無料化して子育て世代の負担軽減を行い、少子化対策や定住促進の柱の一つとするとのことである。太良町は、自然が豊かで、新鮮で美味しい食材が比較的安いため、教育も充実すれば、よい住環境になるだろう。 <統一的基準による地方公会計> *1:http://www.soumu.go.jp/main_content/000334402.pdf (総務大臣 平成27年1月23日) 各都道府県知事殿 各指定都市市長殿 統一的な基準による地方公会計の整備促進について 地方公会計については、これまで、各地方公共団体において財務書類の作成・公表等に取り組まれてきたところですが、人口減少・少子高齢化が進展している中、財政のマネジメント強化のため、地方公会計を予算編成等に積極的に活用し、地方公共団体の限られた財源を「賢く使う」取組を行うことは極めて重要であると考えております。今後の地方公会計の整備促進については、「今後の地方公会計の整備促進について」(平成26年5月23日付総務大臣通知総財務第102号)のとおり、平成26年4月30日に固定資産台帳の整備と複式簿記の導入を前提とした財務書類の作成に関する統一的な基準を示したところです。その後、「今後の新地方公会計の推進に関する実務研究会」を設置して議論を進めてきましたが、平成27年1月23日に「統一的な基準による地方公会計マニュアル」を取りまとめております。当該マニュアルにおいては、統一的な基準による財務書類の作成手順や資産の評価方法、固定資産台帳の整備手順、連結財務書類の作成手順、事業別・施設別のセグメント分析をはじめとする財務書類の活用方法等を示しております。つきましては、当該マニュアルも参考にして、統一的な基準による財務書類等を原則として平成27年度から平成29年度までの3年間で全ての地方公共団体において作成し、予算編成等に積極的に活用されるよう特段のご配慮をお願いします。特に、公共施設等の老朽化対策にも活用可能である固定資産台帳が未整備である地方公共団体においては、早期に同台帳を整備することが望まれます。なお、統一的な基準による財務書類等を作成するためには、ノウハウを修得した職員の育成やICTを活用したシステムの整備が不可欠であり、平成27年度には関係機関における研修の充実・強化や <別紙> 標準的なソフトウェアの無償提供も行う予定です。また、固定資産台帳の整備等に要する一定の経費については、今年度から特別交付税措置を講じることとしております。各都道府県知事におかれては、貴都道府県内の指定都市を除く市町村長に対してこの通知について速やかにご連絡いただき、通知の趣旨について適切に助言いただくようお願いします。なお、地域の元気創造プラットフォームにおける調査・照会システムを通じて、各市町村に対して、この通知についての情報提供を行っていることを申し添えます。 <地方自治体の生き抜き方> *2:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/161516 (佐賀新聞 2015年3月1日) 「雇用確保」最優先72% 全国首長アンケート 自治体の人口減対策 ◎「子育て環境」50%、「移住推進」49% 共同通信のアンケートでは、72%の自治体が最優先で取り組む人口減少対策として「雇用の確保」を挙げた。都市部への若者の流出を防ぐため、各自治体は安定した収入が得られる働き口を増やす取り組みを強化させている。雇用の重要性について、宮城県女川町は「飯が食える状態がなければ何も始まらず、産業政策は必須だ」とし、北九州市は「若い世代の首都圏などへの人口流出を減らすため、多様な雇用機会を創出する必要がある」と訴える。雇用確保に続いて「保育所整備など子育て環境の充実」が50%、「移住の推進・支援」が49%だった。一方、道路や公共交通、下水道など「インフラ整備」は18%、施設や住居を集約する「コンパクトシティーの推進」は10%にとどまった。従来型の公共事業よりも、人口増の直接的な効果があるソフト事業への期待が高い様子がうかがえる。人口5千人未満の自治体に限ると、移住支援68%、雇用確保59%、空き家提供や家賃補助など居住支援53%の順だった。地方の小規模自治体の多くは若者が流出し、高齢化も進んでおり、Iターンなどの移住者の増加を望んでいる事情がありそうだ。人口約4500人の徳島県牟岐町は「地域の雇用は1次産業と観光が基本。政府が国家戦略として農林水産業の再生に取り組まなければ職の確保は難しい」と指摘している。 ◎道州制賛成15%どまり 町村反発、法案提出に壁 全国首長アンケートで、道州制導入への賛成は15%にとどまり、50%が反対した。自民党の道州制推進本部(佐田玄一郎本部長)は、地方側の理解を得て関連法案を国会に提出したい考えだが、自治体の半数を超す町村の反発が特に強く、実現への壁は高そうだ。道州制は都道府県を廃止し、全国を10程度の道や州に再編する構想で、都道府県の仕事の大半を市町村に移す。自治体区分別では、町村は反対が76%で、賛成の6%を大きく上回った。反対派は「体制強化に向けた市町村合併を迫られる」(群馬県の町)「行政の広域化で、住民サービスが行き届かなくなる」(熊本県の町)と批判した。市と東京特別区は賛成26%、反対23%、47都道府県知事は賛成9人、反対6人だった。いずれも道州制のメリットとデメリットが不明などとして賛否を明示しない「その他」が最も多かった。道州制の賛成派は「行政が効率化する」(大阪府の市)「合併で市町村は減ったのに、都道府県が変わらないのはおかしい」(青森県の町)などを理由に挙げた。自民党推進本部は2012年の政権復帰後、道州制導入に向けた法案提出を表明した。だが、全国町村会や党内から反対が相次ぎ、国会提出に至っていない。 ◎首長の本音透けて見える 片山善博・慶応大教授 地方自治体はこれまで地域活性化策をさんざん作ってきたが、うまくいった例は少ない。地方版総合戦略として斬新な計画の作成を求められても、真剣に考えれば3年ぐらいはかかる。国の総合戦略を評価するものの「ある程度」とした回答が大部分で、自力で地方版戦略を策定できるとした回答が3割台だったのは、首長の地方創生へのさめた本音や、戸惑いが透けて見える。財源や交付金への要望が強いのは、国から出てくるのは、それくらいしかないからだ。政府に「妙案を出してください」と言っても無理で、自分で考えなければならない。ただ事業を進めようとすると許認可の問題が出てくる。本来はそうした足かせを取る地方分権を求める声がもっと出てこなければならない。国の総合戦略にも入っているIターンやUターンに力を入れるとした自治体は多い。重要なのは魅力ある雇用を地道に創出することだ。下請け企業の誘致ではなく、若者などが起業しやすい環境づくりや、地元の企業や大学と自治体が連携した付加価値の高い製品開発を支援する必要がある。東京を世界一ビジネスのしやすい都市にしようとする政策と、企業の地方移転促進は矛盾しているのではないか。そうした矛盾を地方から指摘していくことも大切だ。 ■かたやま・よしひろ 51年岡山県生まれ。自治省府県税課長などを経て、99年鳥取県知事に当選。2期で退任し07年に慶応大教授。10年の菅改造内閣で総務相を務めた。 <佐賀市の挑戦> *3-1:http://qbiz.jp/article/56499/1/ (西日本新聞 2015年2月24日) 佐賀市、園芸農業向けにCO2販売へ 佐賀市は2015年度から、市清掃工場でごみ焼却時に出る排気から二酸化炭素(CO2)を抽出し、園芸農業や藻類の培養向けに販売する事業に本格的に乗り出す。13年度から実証プラントで試験を続けてきたが、大規模なプラントを建設し、“量産”態勢を整える。市によると、自治体がCO2を回収、販売するのは全国初という。プラント整備費14億9996万円を15年度当初予算案に盛り込んだ。実証プラントでは、有害物質を含まない純度99・9%のCO2の回収に成功。試験栽培した野菜も順調に育った。昨年、日米の合弁企業が清掃工場のCO2を使い、栄養成分が豊富な藻類の培養事業を始める協定も結んだ。新プラントは清掃工場が排出するCO2の5%に当たる1日10トンの回収能力がある。一時貯留するガスタンクも設置、パイプラインで供給する。市は23日、08年から計画が進んでいない清掃工場北側の工業団地予定地も、藻類の培養産業や植物工場の拠点として活用する方針も明らかにした。測量調査費2005万円を予算案に盛り込む。秀島敏行市長は「CO2の削減に加え、雇用の創出にもつながると期待している」と語った。 ◇ ◇ ●当初予算案 過去最大924億円 佐賀市は23日、総額924億円の2015年度一般会計当初予算案を発表した。小中学校と市役所本庁舎の耐震化や増改築工事がピークを迎える一方、扶助費が膨らみ、前年度を3・0%上回る過去最大規模となった。3月2日開会の定例会に提案する。歳入は、市税が前年度比0・6%減の291億5200万円。地方交付税は1・0%減の193億円。05年の1市3町1村の合併から10年が経過。地方交付税が上乗せされる特例措置の段階的廃止が15年度から始まるが、緩和策が講じられ、減額幅は圧縮された。市債は13・1%減の101億3200万円。市債依存度は1・2ポイント減の11・0%。歳出は、扶助費が15年度からの子ども・子育て支援制度開始に伴う支出増などで6・8%増の223億8900万円。人件費は退職予定者増加などで2・1%増の144億400万円。投資的経費は134億9700万円で1・0%増にとどまった。主な投資的経費は、小中学校12校の校舎増改築費29億2147万円▽熱気球世界選手権の会場となる嘉瀬川河川敷の排水対策や緑化整備費4億8472万円など。新規事業は、中央大通りの一部を歩行者天国にする社会実験などの経費1160万円▽長崎街道沿いの枝梅酒造跡の用地取得費4467万円など。 *3-2:http://qbiz.jp/article/49045/1/ (西日本新聞 2014年11月3日) 下水処理水でミドリムシ培養 佐賀市とベンチャーが研究報告 食品やバイオ燃料などへの利用が進む藻類ミドリムシの大量培養を目指す佐賀市とベンチャー企業ユーグレナ(東京)の共同研究の中間報告が、佐賀市内であった。市下水浄化センターの処理水が培養に有効なことを確認し、今後は浄化センターに近い場所で、下水処理水を用いた培養を目指す方針を示した。ミドリムシは光合成で増える。市と同社は、下水処理水やごみ焼却時の排気から抽出した二酸化炭素(CO2)の活用を念頭に、2月に共同研究契約を結んだ。報告は10月26日に県立森林公園であった「さが環境フェスティバル」で行った。同社の鈴木健吾研究開発部長は、下水汚泥を脱水した直後の処理水に窒素やリンが多く含まれ、同社が開発した培養液と比べても遜色ない効果があったと説明。培養に使うことで窒素やリンが減り、排水時の水質改善にも役立つとした。CO2は汚泥を発酵処理する際に出るガスを使う方針。同社は石垣島(沖縄県)に食品向けのミドリムシの培養拠点を設けているが、佐賀では飼料や燃料向けの培養を目指す。鈴木部長は「魚介類の養殖などにも活用して地域の産業振興にもつなげたい」と語った。 *3-3:http://qbiz.jp/article/40535/1/ (西日本新聞 2014年6月25日) 日米合弁企業が佐賀市に拠点 藻培養にごみ焼却のCO2活用 化粧品や健康食品の材料になる成分「アスタキサンチン」を含む藻類「ヘマトコッカス」の培養を目指す日米合弁企業アルビータ(佐賀市)と佐賀市は24日、市の清掃工場でごみ焼却時に出る二酸化炭素(CO2)を用いて培養事業を始める協定を結んだ。清掃工場近くに培養施設を設け、来年6月の稼働を目指す。同市は、ごみ焼却時に出るCO2を回収して園芸農業などに活用する実験を昨年10月に開始。この取り組みを知った米国の藻類培養事業会社と東京の廃棄物処理会社シンシアが今年3月にアルビータを設立し、培養施設を佐賀に設けることになった。培養施設は温室で覆った水槽(最大1250平方メートル)を五つ並べ、市から購入したCO2と太陽光で藻類を培養し、抗酸化作用が高いアスタキサンチンを年間2800キロ生産する計画。年間売り上げ6億〜8億円を見込み、地元から30人程度を雇用する。調印式でアルビータの松坂幸洋社長(シンシア社長)は「日射量などの気候条件も考慮した結果、ふさわしい場所と判断した。いち早く稼働させたい」、同席した在福岡米国領事館のユーリー・フェッジキフ首席領事は「日米経済のイノベーションにおいても評価している」と語った。 *3-4:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/161715 (佐賀新聞 2015年3月2日) 太良町給食を無料化 全小中4校、新年度から 少子化対策、定住促進の柱に 藤津郡太良町は新年度から、町内全4小中学校の給食費を無料にする。子育て世代の負担軽減につながることから、町が取り組む少子化対策や定住促進の柱の一つとする。全国的に見られる給食費の未払い問題も起きなくなり、問題に端を発するトラブル防止や子どもが安心して食べられる雰囲気づくり、集金業務の解消にもつなげる。県教委によると、給食費の無料化は県内で初めて。町内の小学生466人、中学生281人が対象となる。それぞれ1人当たりの月額は4100円と4600円で、予備13人も含めた計760人の1年間分に当たる3621万円を2015年度一般会計当初予算案に盛り込む。給食費の集金は、町学校給食センターが担っている。現在は保護者の99%が金融機関からの引き落としにしているが、新年度からは数人分の納付書の郵送作業もなくなる。無料化の背景には、昨年5月に有識者らでつくる「日本創成会議」が公表した将来推計がある。若年女性人口(20~39歳)の減少率は太良町が県内で最も深刻とされ、危機感を抱いた町は岩島正昭町長と副町長、各課の課長らで対策を話し合ってきた。給食費のほかにも、町は新たな支援策を打ち出す。町内で結婚する男女に支給する「結婚祝い金」は、1組に20万円を支給、町内で披露宴を挙げればさらに20万円を加算する。それぞれ25組と5組分の600万円を予算案に組む。出産を奨励する「誕生祝い金」は820万円を計上、第1子が産まれた際に10万円、第2子は15万円、第3子以降は20万円を支給する。岩島町長は「1次産業が低迷する中、町の活性化には町外から若者を呼び込むことが必要。『子育て支援のまち』というイメージが内外に浸透するよう、受け入れ態勢を充実させていきたい」と話す。 【メモ】 太良町の人口は現在、約9500人で、町が合併してできた1955年の約1万6千人から落ち込んでいる。中でも15歳未満の年少人口の減少幅が大きく、85年には2892人で全体の23・0%を占めたが、2010年は1322人の13・4%となっている。 PS(2015.3.3追加):電力会社の発送電分離を2020年に実施するそうだが、地方自治体が、これまで利用していなかったもので資源化できるものに、ゴミの焼却で作れる電力や熱エネルギーがある。また水道管も全家庭に通じているため、送電線を水道菅に併設すれば、(*4-2のように電事連が検証で発送電分離延期を主張している*4-1の電力会社の送配電施設だけでなく)送配電を行って送配電料を得ることができ、電線の地中化もすぐに可能だ。このように、地方自治体は多くの財産(本当は収入源)を持っているため、その活用を進めるのがよいと考える。 *4-1:http://www.saga-s.co.jp/news/national/10201/162052 (佐賀新聞 2015年3月3日) 電事法改正案を閣議決定、20年に発送電分離 政府は3日、大手電力会社の送配電部門を切り離す「発送電分離」を2020年4月に実施する電気事業法改正案を閣議決定した。電力は16年4月に小売りを全面自由化することが既に決まっており、今回の改正が電気料金の引き下げやサービスの多様化を後押しする電力システム改革の総仕上げとなる。今通常国会での成立を目指す。発送電分離により、大手電力が事実上独占してきた送配電網を、新規参入企業が公平な条件で利用しやすくする。また17年をめどに都市ガスの小売りを全面自由化するほか、22年4月に大手ガス3社に導管部門の別会社化を義務付けるガス事業法改正案も閣議決定。 *4-2:http://qbiz.jp/article/56358/1/ (西日本新聞 2015年2月20日) 電事連、検証で発送電分離延期も 八木会長 電気事業連合会の八木誠会長(関西電力社長)は20日の記者会見で、大手電力の送配電部門を切り離す「発送電分離」に当たり、電力の安定供給に支障がないか検証する手続きを盛り込むことについて「私どもの要望を受け止めていただいた」と評価した。検証結果によっては、発送電分離の延期を求める考えも示した。自民党の経済産業部会などは19日、2020年4月の発送電分離を柱とする電気事業法改正案を決定し、付則に検証の規定を入れた。問題があれば「必要な措置を取る」としている。八木会長は原発の再稼働が遅れ、電力会社の経営や電力需給の改善が見通せないことを念頭に、発送電分離の実施には「懸念や課題が残されている」と指摘した。検証で問題があれば「延期も含めて柔軟に(電力システムの)改革を進めていただく」と強調した。政府が本格的な議論を始めた30年の電源構成比率では、原発について「一定程度を確保していく必要がある」と述べたが、望ましい割合については言及を避けた。発送電分離は大手電力の送配電部門を別会社化し、大手と新規参入業者が公平に送配電網を使えるようにするもの。政府は16年の電力小売り全面自由化に続く、電力システム改革の総仕上げと位置付けている。 PS(2015.3.23追加):地方自治体が収入を増やす方法には下の3通りがあり、*5のように、税外収入を増やしながら電気料金を安くすると、2)と1)②の両方の効果がある。そのため、今後は、住民や企業が、物価、利便性、文化、環境はじめ、税率、医療・福祉、教育、インフラの整備状況とその利用料などを比較して居住地や立地場所を決められるように、市町村別の比較表になったHPがあれば便利だ。 1)税収を増やす ①税率を上げる ②税金を払う会社や住民を増やす 2)税外収入を増やす *5:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20150323&ng=DGKKASDZ20IJV_T20C15A3MM0000(日経新聞2015.3.23)自治体が電力小売り 自由化にらみ続々 地元資源で割安に 2016年4月の電力完全自由化に向け地方自治体が電力小売りに参入する動きが広がっている。福岡県みやま市は新電力会社を月内に設立、市内の再生可能エネルギーを使って家庭向けに大手より2%安く電力を供給する。鳥取市はバイオマスなどで作った電力の販売を始める。地元のエネルギー資源から作った割安な電力を地元で消費する仕組みを作り地域の振興につなげる。みやま市が設立する新電力「みやまスマートエネルギー」には同市が55%、残りを地元金融機関や電力管理システムのエプコなどが出資する。市内のメガソーラー(大規模太陽光発電所)や市民が持つ太陽光パネルの電力を買い取り、まず市役所など公共施設に売電する。足りない分は他の電力会社から買う。来春から市内の家庭にも電力を供給する。18年までに市内の4割強にあたる6千世帯への売電を目指す。エプコの需給管理システムを使い、安価な時間帯の電力をためて、電気料金を大手電力より2%程度安くする。鳥取市は鳥取ガス(鳥取市)と組み新電力を4月に設立する。太陽光発電やバイオマス、小水力発電など市内の再生可能エネで作った電力を公共施設や企業、家庭に供給する。メガソーラーなど再生エネ電源の開発にも取り組む。岩手県北上市はNTTファシリティーズが同市内で4月から事業を始める新電力と連携する。新会社が市内のメガソーラーから調達した電力を市役所や給食センターなど公共施設用に買い取る。同市は市関連施設の使用電力の2割以上を再生エネとする目標を掲げる。エネルギー管理システムで節電しながら、地元で作った再生エネ電力の使用を増やす。地元で電力を調達・販売する会社を立ち上げれば、長距離の送電に伴う電力ロスを防げ、エネルギーの有効活用にもつながる効果もある。自治体による新電力第1号は群馬県中之条町が13年に企業と組んで一般財団法人を立ち上げた。地元の太陽光発電所や他の新電力から電力を調達し公共施設に売電している。電力を地元の行政や企業で運営管理する取り組みはドイツが先行している。「シュタットヴェルケ」と呼ばれる公的事業体でドイツ内で約900あり電力小売市場の4割を占めるという。水道や通信など生活インフラ全般も担い、地域で雇用を創出している。 PS(2015年3月26日追加):*6のように、みやま市が電力小売り会社「みやまスマートエネルギー」を設立し、市内のメガソーラーや家庭用太陽光発電機が生み出した電力を九州電力よりも高く購入し、より安く販売するとのことで、市や関係3社の代表者が、「再生可能エネルギーの自給自足を実現させる」「全国初の取り組みであるだけに、成功させて他地域にも広げたい」と述べたそうだ。みやま市には頑張ってもらいたいし、このように専門技術を持つ民間企業と組んで行うのが、成功への近道だろう。 *6:http://qbiz.jp/article/58734/1/ (西日本新聞 2015年3月25日) みやま市が電力小売り会社設立 筑邦銀も出資 2016年度から全面自由化される電力小売り事業に参入する福岡県みやま市は25日、電力売買を手がける新会社「みやまスマートエネルギー」の運用についての協定を関係企業3社と結んだ。新会社は市が筆頭株主として4月から運営。筑邦銀行と九州スマートコミュニティが共同出資し、専門的なシステムはパナソニック関連会社の「エプコ」がバックアップする。市内の大規模太陽光発電所(メガソーラー)や家庭用太陽光発電機が生み出した電力を九州電力より高く購入し、より安く販売。当初は市内34の公共施設に供給し、16年4月から家庭向け小売り事業に乗り出す。18年までに年間の売上高13億8千万円を目指し、地元雇用は30人まで増やす計画。市役所で締結式があり、市や関係3社の代表者が調印。それぞれ「再生可能エネルギーの自給自足を実現させる」「全国初の取り組みであるだけに、成功させて他地域にも広げたい」などと述べた。
| 公的部門と公会計制度::2015.3~ | 08:03 PM | comments (x) | trackback (x) |
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