■CALENDAR■
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30       
<<前月 2017年04月 次月>>
■NEW ENTRIES■
■CATEGORIES■
■ARCHIVES■
■OTHER■
左のCATEGORIES欄の該当部分をクリックすると、カテゴリー毎に、広津もと子の見解を見ることができます。また、ARCHIVESの見たい月をクリックすると、その月のカレンダーが一番上に出てきますので、その日付をクリックすると、見たい日の記録が出てきます。ただし、投稿のなかった日付は、クリックすることができないようになっています。

2015.5.26 これ以上の金をかけて原発を再稼働することこそ、原発被害者を見捨て、未来に負の遺産を残し、新エネルギーや新産業を妨害して、財政規律に反する無責任な行為である (2015年5月26、27、29日、6月2日《図》、7日に追加あり)
    <フクシマ原発事故による放射能汚染の範囲とそれが人間に与える影響>
    
         2015.3.10Friday         2015.5.27東京新聞  2015.5.23NHK

     
           2015.5.21、22東京新聞           2015.3.10Friday

(1)放射能が人体に与える影響
 *1-1に書かれているように、首都圏も放射能汚染され、東京ドーム(毎時1.34マイクロシーベルト:日本政府が定める除染基準値0.23マイクロシーベルト超、つまり年間2ミリシーベルト超の5倍)、成田空港(毎時0.45シーベルト)、ディズニーランド(毎時0.42マイクロシーベルト)などで高い測定値が出ている。これは、静岡県まで含む広い範囲の燕の巣でセシウムが検出されていることからも納得できる。

 そして、福島原発事故以降、福島県では心筋梗塞などの循環器系疾患による死者数が急増し、日本全国の急性心筋梗塞による死亡率は人口10万人当たり12.1人であるにもかかわらず、福島県は2013年に27.5人とその2倍以上になっている。また、悪性リンパ腫なども増加傾向だが、この実態を日本のメディアは科学的に取り上げて報道することなく、殺人事件や同性愛者のニュースばかり報道しているのは、メディアの記者や編集者の知識不足と意識の低さだけが原因だろうか? (*なお、医療用放射線は、浴びるディメリットと診療上のメリットを比較した上で、患者本人の同意をとり、医師の管理下で必要最小限を浴びるものであるため、強制的に被曝させられるディメリットのみの被曝被害とは全く異なる) 

 このような中、*1-2のように、双葉町の井戸川前町長が、原発事故直後に国の避難指示が遅れたため大量に被曝し、「国の避難指示が遅れたため大量に被ばくし、この先、自分の体がどうなるか分からないという怖さを感じている。放射能の心配をしないで希望に満ちた日々を過ごしたかった」として、国と東京電力に対し、精神的な苦痛への慰謝料約1億5000万円の損害賠償を求める訴えを起こされたそうだが、これは、原発事故で汚染された全地域に該当することである。

(2)原発事故の被害者及び日本国民への人権侵害
 *2-1のように、自民党東日本大震災復興加速化本部は、「居住制限区域」と「避難指示解除準備区域」について、2017年3月までに解除するよう求める提言案をまとめたそうだ。それは、避難指示を解除するのは、居住制限区域(年間積算放射線量20ミリシーベルト超50ミリシーベルト以下)と避難指示解除準備区域(同20ミリシーベルト以下)で、年間積算放射線量50ミリシーベルト超の地域のみ避難指示を継続するという“過激”な内容である。

 旧ソ連のチェルノブイリ原発事故では、5ミリシーベルトを超える場合は移住義務、1~5mSv/年で移住権利が発生するため、日本の20ミリシーベルトや50ミリシーベルトという基準が如何に高いかがわかる。もちろん、日本人がロシア人より放射能に強いわけではなく、チェルノブイリの方が国際基準に準拠しているため、50ミリシーベルト以下なら避難指示を解除し、*2-3のように、帰還させるべく自主避難者の借り上げ住宅などの提供を終了するというのは、原発事故の被害者に対する人権侵害だ。

 また、原発事故後、ただちに真実の情報を開示しておけば、避難するかしないかで家族間対立などする必要はなく、さらに4年間も無駄に待ち続けることもなく、*2-4のように、故郷を奪われたのはもちろん大変なことだっただろうが、損害賠償を受け、まとまって移住して今頃は次の生活が軌道に乗っていた人も多い筈なのだ。これが、日本政府が原発事故の真実を隠した人災による二次的被害だ。

 なお、*2-5のように、日本政府は、韓国がフクシマ原発事故による放射線の影響を理由に、福島県はじめ8県の全水産物の輸入を禁止していることについて、科学的根拠がないとして世界貿易機関へ提訴するそうだ。しかし、これについては日本政府の方が科学的ではなく、「産業を守るために汚染された食品を食べろ」というのは、日本国民に対する政府による人権侵害そのものである。

(3)原発の経済性と国民の費用負担
原発に大甘の
電源別コスト 原発追加安全策 処分場の方針     地元アンケートと行動
    
2015.5.24  2015.5.17  2015.5.22  2015.4.30  2015.5.17西日本新聞  
朝日新聞     東京新聞   日経新聞    南日本新聞

 原発事故の被害はこれだけ大きく、住めない場所を作って多くの人にすべてを失わせるため、これこそ日本政府が自ら引き起こした存立危機事態である。そのため、今後も再稼働などしてよいわけがないのに、*3-1、*3-2のように、原発の新規制基準により追加安全対策費が大手電力九社で少なくとも総額2兆3700億円を上回り、九電は災害発生時の後方支援拠点を作り、これが電気料金から支払われるが、もったいない話だ。金は、もっと経済効果のある使い方をすべきだ。

 さらに、*3-3、*3-4のように、経産省は、原発から出る高レベル放射性廃棄物の最終処分場を受け入れる自治体に対し、さらなる原発関連研究拠点整備などの新たな財政支援策を設けたり、文献調査で最大20億円、ボーリング調査などの概要調査時に最大70億円を電源立地地域対策交付金から支給したりするそうだが、これは税金から支払われ、原発のコストに入らない。その上、*3-6のように、「暫定保管場所としては原発立地地域以外が望ましく、それに50年もの時間をかける」など、どれだけの金と時間を使って日本列島全体を放射能まみれにすれば気が済むのか、それこそ非科学的かつ未来への負担の先送りなのである。

 *3-5に、かつての希望地も「もう、でけん」と書かれている。その理由は、環境汚染に対するこれほど鈍感な日本政府と国民への人権侵害を見た後の事実に基づく国民の判断である。

(4)原発地元の意見
 *4-1のように、南日本新聞社が、九電川内原発1、2号機の再稼働について鹿児島県内で実施した電話世論調査によると、「反対」「どちらかといえば反対」が59.9%で、「賛成」「どちらかといえば賛成」が37.3%だったそうだ。しかし、なかなか声が届かないため、*4-2のように、「ストップ再稼働3・11集会実行委員会」を中心にしたリレーデモ隊が鹿児島市を出発して鳥栖市に入り、再稼働の不当性を訴えている。

 また、*4-3のように、「玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会」「プルサーマルと佐賀県の100年を考える会」などは、佐賀県知事の責任にも触れ、「さまざまな質問に対して『国の考えを聞いてから考える』と回答しているが、知事として県民の命を守る確固たる意思を見せてほしい」等々、言っている。

<放射能汚染が人体に与える影響>
*1-1:http://saigaijyouhou.com/blog-entry-5838.html
(真実を探すブログ) 週刊誌が首都圏の放射能汚染を特集!ディズニーランドや東京ドームで高い値!原発近隣住民の間で「悪性リンパ腫」多発の兆しも!
 週刊誌フライデーの2015年3月20日号が「放射能は減っていない!首都圏の【危】要除染スポット」というタイトルで首都圏の放射能汚染を特集しました。この記事には東京ドームやディズニーランド等のメジャースポットを中心に測定した放射能測定値が掲載されています。記事に掲載されている測定場所で一番高い線量を観測したのは東京ドームの毎時1.34マイクロシーベルトで、政府の定めている除染基準値(毎時0.23マイクロシーベルト以上)の5倍に匹敵していました。また、成田空港も毎時0.45シーベルトと高く、ディズニーランドの毎時0.42マイクロシーベルト等の値がそれに続いています。これは震災から4年が経過した今になっても放射能汚染が酷い事を示唆しているデータだと言えるでしょう。フライデーと同じく今月発売の月刊宝島2015年3月号にも興味深いデータが掲載されていました。月間宝島は福島原発事故で避難対象となった7町村の放射能被ばく状況を調査し、福島県で心筋梗塞などの「循環器系の疾患」で死者数が急増していることを突き止めています。急性心筋梗塞の全国での死亡率は12.1人(10万人あたり)となっていますが、福島県では福島原発事故後に急増して2013年は27.5人となりました。他にも悪性リンパ腫が増加傾向にあることを政府の発表しているデータを分析することで発見しています。首都圏の放射能汚染と福島県の避難町村で頻発する病気。当ブログでは何度か書いていますが、東日本の広い範囲で同様の傾向が見られます。これから放射能汚染の影響が表面化することになるかもしれませんが、その時に備えて覚悟が必要なのかもしれませんね。いずれの記事も現在発売中なので、興味のある方は是非とも読んでみてください。
☆調査スクープ!原発近隣住民の間で「悪性リンパ腫」多発の兆し ~誰も書けなかった福島原発事故の健康被害 【第5回】~
URL http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150309-00010000-takaraj-soci
引用:
 手紙の趣旨は、急性心筋梗塞以外の循環器系疾患にも目を向けてほしい──というものだった。指摘を受けて本誌取材班は、最新の「2013年人口動態統計」データを入手し、福島県における「循環器系の疾患」による死者数の推移を検証することにした。まずは、急性心筋梗塞である。【表1】は、過去5年間の福島県とその周辺県の「急性心筋梗塞」死者数で、【表2】は、福島県と全国の「急性心筋梗塞」年齢調整死亡率の推移だ(注1)。【表2】を見てほしい。全国の値が右肩下がりで減少し続ける中、福島県は原発事故発生翌年の12年に「人口10万人当たり29.8人」(男性は同43.7人)という全国ワーストの値を記録。翌13年は同27.5人(男性は同42.1人)と、少々下がったものの、いまだに原発事故前の値(10年は同25.3人。男性は同36.9人)を上回り続け、高い死亡率のまま推移している。急性心筋梗塞で亡くなる方の13年全国平均は同12.1人(男性は同17.9人)。福島県の同死亡率はその2倍以上ということになる。原発事故以降の福島県での急性心筋梗塞多発という“異常さ”が、3年連続で際立つ結果となった。

*1-2:http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150520/k10010085951000.html
(NHK 2015年5月20日) 前双葉町長 事故直後の被ばくで国を提訴
 原発事故の影響で全域が避難指示区域になっている福島県双葉町の前の町長が、国の避難指示が遅れたため事故直後に大量に被ばくしたと主張して、国と東京電力に対しておよそ1億5000万円の損害賠償を求める訴えを起こしました。東京地方裁判所に訴えを起こしたのは、双葉町の井戸川克隆前町長(69)です。4年前、町長として原発事故の対応に当たった井戸川前町長は、「国の避難指示が遅れたため大量に被ばくした」と主張して、国と東京電力に対し、初期被ばくによる精神的な苦痛への慰謝料など合わせて1億4850万円の損害賠償を求めています。井戸川前町長は会見で、「この先、自分の体がどうなるか分からないという怖さを感じています。放射能の心配をしないで希望に満ちた日々を過ごしたい」と話していました。弁護団によりますと、初期被ばくに伴う精神的な被害について裁判所への提訴は今回が初めてだということです。訴えについて国は「訴状が届いていないのでコメントできない」としています。また東京電力は「請求内容や主張を詳しく伺ったうえで真摯に対応してまいります」とコメントしています。

<被曝者への人権侵害>
*2-1:http://mainichi.jp/select/news/20150514k0000m010117000c.html
(毎日新聞 2015年5月13日) 福島原発事故:17年3月までに避難指示解除…自民提言案
 東京電力福島第1原発事故で政府が設定した避難区域のうち、放射線量が比較的低い「居住制限区域」と「避難指示解除準備区域」について、2017年3月までに解除するよう求める提言案を自民党東日本大震災復興加速化本部(額賀福志郎本部長)がまとめたことが13日分かった。近く政府に提出する。政府は避難住民の帰還時期を明示しておらず、帰還に向けた議論が活発になりそうだ。提言案は「第5次復興提言」の原案。両区域に関し「遅くとも事故から6年後までに、全て避難指示を解除し、住民の帰還を可能にしていく」と明記した。居住制限区域(年間積算放射線量20ミリシーベルト超50ミリシーベルト以下)の避難住民は約2・3万人。避難指示解除準備区域(同20ミリシーベルト以下)は約3・2万人で、計5・5万人が指示解除の対象となる。原発に最も近い福島県双葉町と大熊町などからなる帰還困難区域(同50ミリシーベルト超)の約2・4万人への避難指示は継続する。提言案では「インフラと生活関連サービスの復旧や、除染などの加速に取り組む」としており、早期に放射線量を低減させることが課題となる。政府は今年度限りの集中復興期間の終了後も、除染は全額国費で実施する方針だ。避難指示の解除は政府と地元自治体の合意で行われ、14年4月に田村市、同10月に川内村の一部で解除された。ともに避難指示解除準備区域で、これまで居住制限区域の解除例はない。14年度に福島県東部の11市町村が行った住民意向調査では、避難住民の約4割が指示解除後も事故前の居住市町村に帰還しない意向で、復興は住民の意向が鍵を握りそうだ。

*2-2:http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2015052202000117.html
(東京新聞2015年5月22日)自民復興5次提言 原発慰謝料18年3月終了 避難指示は17年に解除
 自民党の東日本大震災復興加速化本部(額賀福志郎本部長)は二十一日、総会を開き、震災からの復興に向けた第五次提言を取りまとめた。東京電力福島第一原発事故による福島県の「避難指示解除準備区域」と「居住制限区域」の避難指示を二〇一七年三月までに解除するよう正式に明記し、復興の加速化を政府に求めた。賠償では、東電が避難指示解除準備区域と居住制限区域の住民に月十万円支払う精神的損害賠償(慰謝料)を一八年三月に一律終了し、避難指示の解除時期で受取額に差が生じないようにする。既に避難指示が解除された地域にも適用するとした。提言は自民党の総務会で正式決定後、今月中に安倍晋三首相に提出する。額賀本部長は「古里に戻りたいと考える住民が一日も早く戻れるよう、生活環境の整備を加速化しなければならない」と述べ、避難指示解除の目標時期を設定した意義を強調した。だが、福島県の避難者からは「二年後の避難指示解除は実態にそぐわない」と不安の声も上がっており、実際に帰還が進むかどうかは不透明だ。避難指示区域は三区域あり、居住制限区域と避難指示解除準備区域の人口は計約五万四千八百人で、避難指示区域全体の約七割を占める。最も放射線量が高い「帰還困難区域」については避難指示の解除時期を明示せず、復興拠点となる地域の整備に合わせ、区域を見直すなどする。集中復興期間終了後の一六~二〇年度の復興事業は原則、国の全額負担としながらも、自治体の財政能力に応じ、例外的に一部負担を求める。また一六年度までの二年間、住民の自立支援を集中的に行うとし、商工業の事業再開や農業再生を支援する組織を立ち上げる。その間、営業損害と風評被害の賠償を継続するよう、東電への指導を求めるとした。提言には、第一原発の廃炉、汚染水処理をめぐり地元と信頼関係を再構築することや風評被害対策を強化することも盛り込まれた。

*2-3:http://digital.asahi.com/articles/CMTW1505210700006.html
(朝日新聞 2015年5月21日) 住宅提供終了、自主避難者から反対の声
 「命綱を切らないでほしい」。原発事故に伴う自主避難者向けの借り上げ住宅などの無償提供をめぐる問題で、20日に都内で集会を開いた自主避難者や支援者たち。県の2016年度での提供終了の方針を批判し、撤回を求めた。「福島市には(放射線量が高い)ホットスポットが点在している。汚染土が身近に山積みになっているのは普通の暮らしではありません」。子どもとともに、京都市に自主避難している女性はそう訴えた。
今月15日、住宅提供の長期延長を求める約4万5千人分の署名を出すため、避難者の団体とともに県庁を訪れていた。その後、県が提供終了に向けて自治体と調整していることを朝日新聞の報道で知り、ショックを受けたという。東京電力が自主避難者に払う賠償金は、避難指示区域内の人に比べて少ない。そのため、多くの自主避難者にとって、無償の住宅提供は生活を支える頼みの綱になっている。県が避難者全世帯を対象に2月に実施したアンケートでは、避難指示区域外の回答者のうち、住宅について「入居期間の延長」を望んだ人は46.5%。13年度の44%から微増している。生活で不安なことを聞くと、「生活資金」を選んだのは54.8%で、13年度(61.7%)よりも減ったものの半数を超えており、避難指示区域内の人の回答(36.3%)よりも割合が高かった。自主避難者らを支援する河崎健一郎弁護士は「打ち切りは早すぎるし、当事者不在の手続きになっている」と述べた。

*2-4:http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150514-00000041-mai-soci
(毎日新聞 2015年5月14日) <福島原発事故>浪江町の住民100人が集団提訴へ
 東京電力福島第1原発事故を巡り、避難区域の中で最も放射線量が高い「帰還困難区域」(年間積算放射線量50ミリシーベルト超)に指定された福島県浪江町津島地区の住民が、帰還に向けた除染計画も策定されず古里を奪われたとして、国や東電を相手取り損害賠償を求める集団訴訟を起こす。約100人が参加する見通しで、今夏にも福島地裁いわき支部に提訴する。帰還困難区域の地区住民が集団提訴するのは初めて。賠償請求額は検討中。
◇帰還困難区域で初
 津島地区は福島第1原発の北西約30キロにある山林地帯。米、タバコ栽培などの農業や林業、酪農が盛んで約1400人が暮らしていた。住民らは訴訟を通じ、何世代にもわたり築き上げてきた田畑や地域の伝統文化、地域コミュニティーが破壊され、元に戻らない現実を訴える方針だ。長期間にわたり古里を奪われた精神的苦痛に対する慰謝料に加え、徹底した除染による原状回復も求める。提訴を決断した要因の一つに、浪江町民約1万5000人が申し立てた国の原子力損害賠償紛争解決センターの裁判外紛争解決手続き(原発ADR)が不調となっていることがある。センターは昨年3月、東電が現在支払っている1人当たり月10万円の精神的賠償を15万円に増額する和解案を提示したが、東電は他の自治体との公平性などを理由に拒否し続けている。和解案に法的拘束力はない。訴訟に参加予定の住民は「和解案を拒否され、それを許している国に不信感が募った。除染を含め責任を取らせるため決断した」と話している。帰還困難区域について環境省は現在も除染計画を示していない。自民党東日本大震災復興加速化本部は「避難指示解除準備区域」(年間積算放射線量20ミリシーベルト以下)と「居住制限区域」(同20ミリシーベルト超50ミリシーベルト以下)の避難指示解除を2017年3月までに求める提言案をまとめたが、帰還困難区域は対象外。提訴を準備する弁護士によると、地区住民による集団訴訟は、旧緊急時避難準備区域(同原発20~30キロ圏)の同県田村市都路地区の約340人が「地域共同体が崩壊した」などとして計37億円の損害賠償を求めているが、帰還困難区域では初めて。

*2-5:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20150522&ng=DGKKASFS21H69_R20C15A5PP8000 (日経新聞 2015.5.22) 政府、韓国をWTO提訴へ 水産物輸入制限巡り
 政府は21日、韓国が一部の日本産の水産物を不当に輸入制限しているとして、世界貿易機関(WTO)への提訴に関する手続きに入ったと発表した。日本が韓国に対して同様の手続きに入るのは初めて。韓国は福島第1原子力発電所による放射線の影響などを理由に、福島をはじめ8県の全水産物の輸入を禁止しているが、日本は科学的根拠がないと主張している。同日、WTO協定に違反しているとして、WTOを通じた2国間協議を韓国側に要請した。要請から60日以内に解決できない場合、第三国の法律家や科学者などでつくる紛争処理小委員会(パネル)の設置を求める。韓国は2011年の原発事故を受け、8県でとれるウナギやスズキなど一部の水産物の輸入を禁止。13年9月からは全ての水産物に対象を広げ、放射線量の検査も厳しくした。日本は外交ルートを通じて撤回を求め、韓国も専門家を日本に派遣し現地調査を実施してきたが「規制緩和に向けためどが全く立たない」と判断した。農林水産物の貿易をめぐっては15日、台湾が日本産の全ての食品に産地証明書の添付を義務付けるなど、輸入規制を強化している。中国やシンガポールなどでも依然として一部で規制が残っている。提訴を通じて、他国をけん制する狙いもあるとみられる。

<原発の経済性と費用の負担者>
*3-1:http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2015051702000120.html (東京新聞 2015年5月17日) 原発安全費2.3兆円増 13年新基準後、揺らぐ経済性
 福島第一原発事故後に施行された原発の新しい規制基準で必要になった追加の安全対策費が大手電力九社で少なくとも総額二兆三千七百億円を上回る見通しであることが本紙の調べで分かった。経済産業省が二〇一三年秋に公表した調査結果は約一兆六千五百億円で、一年半の間に四割、金額にして七千億円増加していた。各社によると、まだ試算すらできていない原発もあり、費用はさらに膨らみそうだ。安全対策費の一部は既に原発維持に必要な経費として電気料金に上乗せされ、企業や家庭が負担。対策費の増加は原発の発電コストを押し上げる要因になり、経済性を理由に再稼働を目指す政府や電力業界の主張が揺らぐことにもなる。本紙はことし四月、原発を保有していない沖縄電力を除く九社を対象にアンケートを実施。東京電力福島第一原発事故後、追加の安全対策として行っている工事や計画している工事などについて尋ねた。それによると、関西電力を除く、八社が経産省の調査時点から軒並み増額。関電は「最新の数値は公表できない」として経産省の調査以前の一二年十一月時点の金額を回答した。このうち北海道電力は、九百億円から二千億円台前半と二倍以上に膨らんだ。同社は泊原発1~3号機(北海道泊村)の再稼働に向け原子力規制委員会で審査中だが、規制委から火災の防護対策が不十分との指摘を受け「必要な工事が大幅に追加となった」(広報部)としている。同じく島根原発2号機(松江市)が審査中の中国電力も二千億円超と、ほぼ倍。浜岡原発(静岡県御前崎市)敷地内に海抜二十二メートルの防潮堤などを建設している中部電力は三千億円台後半で、当初から五百億円以上の上積みになる見通し。アンケートでは九社のうち北海道電、中部電、関電、中国電、四国電力の五社が「審査の進展に伴い工事内容の見直しや追加を行う可能性もある」(中部電)などと回答、今後さらに増額する可能性があると答えた。関電は運転開始四十年前後の老朽化した高浜原発1、2号機(福井県高浜町)の再稼働も目指している。電力九社以外では、敦賀原発(福井県敦賀市)など三基を保有する日本原子力発電は九百三十億円超と回答。建設中の大間原発(青森県大間町)を持つ電源開発(Jパワー)は千三百億円を安全対策費として投じるという。
<原発の新規制基準> 福島第一原発の事故を受けて2013年7月8日に施行。津波対策としての防潮堤建設や全電源喪失事故に備えた非常用発電設備の設置、重大事故の影響を緩和するフィルター付きベントなども義務づけた。一方、航空機衝突などのテロ対策拠点となるバックアップ施設は5年間猶予。地元自治体の避難計画については定めていない。電力各社が15原発の24基の適合審査を原子力規制委員会に申請している。

*3-2:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/189777
(佐賀新聞 2015年5月23日) 原発防災計画 九電、支援拠点を追加 佐世保と福岡市に
 九州電力は22日、原子力事業者としての防災業務計画を修正し、原子力規制委員会などに届け出た。玄海原発(東松浦郡玄海町)の災害発生時に後方支援拠点となる候補地に、長崎県佐世保市と福岡市城南区の自社施設2カ所を追加した。後方支援拠点は、災害時に資材などを置く施設となる。これまでの計画では、原発から約10キロの唐津市の唐津火力発電所と、約20キロの伊万里市の伊万里変電所の2カ所だった。新たな2カ所は、原発からの方向や距離を考慮し、約40キロ離れた佐世保配電所と約50キロの福岡市の社員研修所を加えた。このほか、災害時などに原発作業員の内部被ばく量を測定する車載型の移動式ホールボディーカウンター1台を福岡市内の資材センターに配備したことを盛り込んだ。

*3-3:http://qbiz.jp/article/62297/1/
(西日本新聞 2015年5月16日) 核のごみ最終処分場 経産省、追加財政支援の意向
 経済産業省は15日、原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分に関する有識者会議で、処分場の建設を受け入れる自治体に対し、原発関連の研究拠点整備など新たな財政支援策を設ける方針を示した。選定に必要な調査は3段階あり、第1段階の文献調査で最大20億円、第2段階のボーリング調査などの概要調査時に最大70億円を電源立地地域対策交付金から支給する支援策が既にある。経産省は新たに、第3段階の実証実験や処分場建設決定後について追加の財政支援策を設け、計画を推進させたい意向。難航する処分場建設をめぐっては、政府が2013年末に従来の自治体の公募方式を転換。政府が「科学的有望地」を示した上で、処分場の建設に向けた調査を要請する方向で準備を進めている。

*3-4:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20150522&ng=DGKKASGG22H07_S5A520C1MM0000 (日経新聞 2015.5.22) 高レベル放射性廃棄物(核のごみ)とは
 ▼高レベル放射性廃棄物(核のごみ) 原子力発電所から出る使用済み核燃料を再処理し、まだ利用できるウランやプルトニウムを取り出した後に残る廃液。きわめて強い放射線を出し、人がそばに立つと20秒以内で死ぬといわれる。強い放射線は非常に長い期間出るため、数万年以上隔離する必要がある。政府は核のごみをガラスと一緒に固めたうえで、地上で30~50年かけて冷やし、地下300メートルより深い安定した地層に数万年にわたって閉じ込める計画だ。

*3-5:http://qbiz.jp/article/62823/1/
(西日本新聞 2015年5月23日) 【核のごみ国主導で処分場選定】かつての希望地「もう、でけん」
 核のごみ処分にめどが立たないまま推進される原発政策に国民が厳しい視線を送る中、政府は22日、国主導で有望地を探す新たな方針を閣議決定した。処分場は、過疎地の一部では活性化策の一つとして期待された時期もあったが、福島第1原発事故で状況は変わった。九州でも、かつて名前の挙がった地域の多くが今は冷ややかだ。一方、原発の立地自治体は、再稼働と処分場建設をどう同時に進めればいいか頭を悩ます。「もう、でけんでしょう。今はまったく考えていない。福島の事故で状況は一変した」。かつて核のごみ処分場の誘致話が持ち上がった熊本県の離島、天草市御所浦町。旧御所浦町議会議長で現市議の脇島義純さん(64)はそう言い切った。2004年、議会が町側に処分場の応募を要請したが、当時の町長が拒否した。22日に閣議決定された新方針には、国が科学的な有望地を示すことが盛り込まれたが、脇島市議は「国が強制できるとですか」と実効性に疑問を呈した。市民の抵抗も強く、島おこしグループ代表の松永英也さん(40)は「みんな頑張って地域活性化に取り組んでいる。子どもたちに禍根を残したくない」と、誘致に「絶対反対」と語る。05年、同じく誘致話が持ち上がった長崎県新上五島町。地元関係者によると、民家がない地区が候補地となったものの、反対者が多く立ち消えになった。町には世界文化遺産登録を目指す教会群の構成資産もある。地元関係者は「処分場があったら観光客は減る。どこかが受け入れなければならないのは分かるが、人の少ない離島だから構わない、というのは違う」と訴える。一方、原発推進を訴える原子力国民会議理事で九州大の清水昭比古名誉教授(核融合工学)は「処分場は技術的に不可能、というのは誤解。国が前面に出て探すのは一歩前進だ」と評価した。06年に誘致の動きがあった長崎県対馬市のある市議は「前向きな人たちは今もいる。市民の声をよく聞いて判断していく必要がある」と、受け入れに含みを残した。
   □    □
 「非常に広範な問題で今一括して答えるべきではない」。今夏にも再稼働が見込まれる九州電力川内原発がある鹿児島県の伊藤祐一郎知事は22日の定例会見で、政府の新方針に対する明確な意見表明を避けた。知事はこれまで「県内に処分場は造らせない」と明言してきた。ごみを増やす再稼働を容認しながら、やっかいなごみの処分は県外とする姿勢が反発を招くことを懸念したとみられる。政府の新方針が打ち出されても最終処分場がいつできるかはなお判然としない。新方針には使用済み核燃料を容器に一時保管する中間貯蔵施設の立地推進も入った。燃料貯蔵プールが満杯に近い九電玄海原発がある佐賀県玄海町の岸本英雄町長は「中間貯蔵施設の建設申し入れがあったら町民や議会に意見を聞いて判断する。欧州視察の経験から安全性に不安はない」と受け入れを示唆するが、一部住民らの反発は必至で曲折が予想される。

*3-6:http://qbiz.jp/article/62826/1/
(西日本新聞 2015年5月23日) 【核のごみ国主導で処分場選定】専門家の評価は
 核のごみの処分推進に向け、政府が新たな方針を閣議決定したのを受け、九州大の出光一哉教授(原子力学)と東京工業大の今田高俊名誉教授(社会システム論)に今後の課題を聞いた。
◇処分場探し、待ったなし−出光一哉・九州大教授
 基本方針改定で東京電力福島第1原発事故後に止まっていた最終処分場探しのスタートラインに、再び立つことができた。国が「科学的有望地」を示し、より前面に出て対処するというのは、全国で処分場探しの議論を活性化させる大きなきっかけになると思う。処分場探しは、待ったなしだ。現状でも約1万7千トンの使用済み核燃料が各地にたまっている。原発推進の是非にかかわらず、今の世代で処分の道筋を付けなければならないことに異論はないだろう。処分場探しが難航し、数十年かかってしまう可能性もある。放射能を早期に人工的に減らす核変換技術の開発に期待し、それを待つ「暫定保管」の考え方もあるが、処分場はいずれにしても必要になり、先送りはできない。ただ、国内で「一番最適な場所」を科学的に証明し、選択するのは無理だ。火山の位置などを考慮して定めた「ここ以外なら問題ない」という広いエリアの中から、原子力に理解のある地域に絞っていく、というのが海外の先行例だ。エネルギー資源を持たない日本では原発が今後も必要だ。各原発の使用済み燃料の貯蔵プールが満杯に近づき、再処理工場の稼働も遅れており、中間貯蔵施設の設置も急がなければならない。
◇国民の理解が最優先−今田高俊・東京工業大名誉教授
 日本学術会議の検討委員会で委員長を務め、4月末、核のごみ処分についての政策提言をまとめた。趣旨は、副題の「国民的合意形成に向けた暫定保管」に集約される。放射性廃棄物を一時的に容器で保管する「暫定保管」に似た言葉に「中間貯蔵」もあるが、それ以上に「安全研究と国民の理解を最優先する」という意味を込めた。暫定保管の期間は原則50年。最初の30年で国民の合意形成と地層処分の候補地選定を行い、残りの20年で処分地の建設を行っていく。50年もの時間をかけるのは、福島第1原発事故を受け、政府も電力会社も、国民の信頼を失っているからだ。まず信頼を回復しなければ、安全性を説明しても本当にそうなのかと疑われてしまう。それには相当の時間を要する。国民の意見を政策に反映する政府機関「総合政策委員会」の設置や、再稼働の条件として「暫定保管の計画策定」を提言したのは、真摯(しんし)に国民の不安に答えることが必要だからだ。国民は、本意か不本意かにかかわらず原発の受益者であることを自覚し、核のごみの議論に積極的に関わってほしい。提言では、暫定保管場所として「原発立地地域以外が望ましい」と踏み込んだ。立地地域に押しつけず、全国民で取り組まなければ問題は決して解決しない。

<地元の意見>
*4-1:http://373news.com/modules/pickup/index.php?storyid=66018
(南日本新聞 2015.5.1) 川内再稼働、59%が反対 南日本新聞世論調査
 南日本新聞社が、九州電力川内原発1、2号機(薩摩川内市)の再稼働をテーマに鹿児島県内で実施した電話世論調査によると、再稼働に「反対」「どちらかといえば反対」と答えた人は、前年の調査に比べ0.4ポイント増の計59.9%に上った。「賛成」「どちらかといえば賛成」と回答した人は、0.5ポイント増の計37.3%だった。

*4-2:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/190461
(佐賀新聞 2015年5月25日) 川内原発再稼働反対のリレーデモ隊が鳥栖入り
 九州電力川内原発(鹿児島県薩摩川内市)の再稼働に反対する市民グループ「ストップ再稼働3・11集会実行委員会」を中心にしたリレーデモ隊が25日、鳥栖市に入り、国道沿いや市中心部を歩き、再稼働の不当性を訴えた。今月16日に鹿児島市を出発した一行は、九州各地の市民グループと交流しながら国道3号を北上し、この日は午前10時半に鳥栖市の曽根崎交差点に到着した。原発を考える鳥栖の会(野中宏樹代表)のメンバーも合流し、約20人が「原発ゼロ」と書いたのぼりなどを掲げ、福岡県太宰府市まで歩いた。岩下雅裕団長(65)=薩摩川内市=は「住民の避難計画など未解決の問題が多く、再稼働は絶対に許されない」と訴えた。12日間で約300キロを行進し、27日午後2時に福岡市の九州電力本社に到着する予定で、九電に再稼働中止や住民説明会開催を求める約11万人分の署名を提出する。

*4-3:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/189498
(佐賀新聞 2015年5月22日) 反原発団体、「主体性ない」と知事に再質問
 原発再稼働に反対する市民団体が22日、佐賀県庁を訪れ、避難計画や原子力災害対策についての認識を尋ねる質問書を山口祥義知事宛てに提出した。4月の知事回答に対する再質問で、市民団体関係者は「主体性のない回答ばかりで残念だった。知事として責任ある具体的な説明をしてほしい」と求めた。質問書は「玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会」の石丸初美代表、「プルサーマルと佐賀県の100年を考える会」の野中宏樹共同世話人が連名で県の担当者に手渡した。両団体を含む反原発6団体は山口知事と4月17日に面会したが、今回はその前の4月9日付回答に対する質問となっている。4月22日に改定された原子力災害対策指針で「緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)」を活用しないことや、半径30キロ圏外の避難は事故後に規制委が判断することになった点について、「県民の命に関わる重大な改定で、国に対して市町や住民への説明を求めるべきではないか」とした。知事の責任にも触れ、「さまざまな質問に対して『国の考えを聞いてから考える』と回答しているが、なぜ県独自の姿勢を示さないのか。知事として県民の命を守る確固たる意思を見せてほしい」としている。県の担当者は「知事に伝えて文書で回答する」と答えた。


PS(2015.5.26追加):民主主義は、主権者が日頃から真実の情報を知り、候補者の政策や行動を知って投票しなければ有効に働かない。そこで配布するチラシやポスターは、候補者にとっては自分の政策や行動をアピールする表現手段であり、有権者にとっては候補者の人となりを知る手段である。しかし、上のようにメディアが真実の情報を伝えなかったり、*5-1の佐賀県警の事例のように、選挙違反として文書頒布を制限し過ぎたりすると、有権者は、どういう考えの誰が立候補しているのかさえわからず、選挙の内容に関心を持てない。そして、*5-3のように投票率が低くなり、これは投票年齢を18歳に下げたとしても同じである。しかし、*5-2に書かれているとおり、このように極端な選挙規制を行っているのは日本だけであり、連呼だけのむなしい日本的選挙運動を改善するには、公選法の事前運動や文書配布規制を、日本国憲法の表現の自由に反しないよう改正し、当たり前の選挙運動ができるようにすることが必要である。民主主義の先輩国である英国では、戸別訪問が基本になっているそうだ。

*5-1:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/190824
(佐賀新聞 2015年5月26日) 佐賀県警、地方選の違反取締本部を解散
 佐賀県警は26日、3月24日から設置していた統一地方選の選挙違反取締本部を解散した。県議選と6市町の首長・議員選で警告は計84件で、知事選も行われた4年前の前回に比べ10件多かった。公選法違反による摘発はなかった。捜査2課によると、県議選での警告は69件で、内訳は戸別訪問1件、事前運動に当たる内容のチラシを配るなどの文書頒布違反12件、ポスターを指定場所以外に張る文書掲示違反56件。首長・議員選は警告が15件で、文書頒布2件、文書掲示13件だった。インターネットで事前運動したことによる警告も県議選で3件あった。

*5-2:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11726446.html?_requesturl=articles%2FDA3S11726446.html&iref=comkiji_txt_end_s_kjid_DA3S11726446 (朝日新聞 2015年4月27日) 低投票率と無投票、解決策探る 統一地方選
 今回の統一地方選では、多くの自治体で投票率の戦後最低記録を更新し、無投票当選も相次いだ。最も身近なはずの選挙で、なぜ有権者は棄権し、首長や議員のなり手は出てこなかったのか。低投票率と無投票当選の背景と解決策を探った。
■知らない候補・似た主張…投票棄権
 今回、投票率が36・02%と東京都内の区議選で最低だった港区。六本木の39階建てタワーマンションに住む会社員女性(48)は26日夕、冷蔵庫に貼った投票所の入場券を忘れたまま買い物に出かけ、棄権した。「平日は帰宅が遅く、一度も演説を聞かなかった。区議選を忘れていた」。国政選挙や都知事選は欠かさず投票したが、今回は選挙公報も目にせず、知っている候補はゼロ。夫と2人暮らしで子育て政策に関心は薄く、健康診断も区より勤務先の方が充実している。「区政に関心が持てない」。港区選挙管理委員会は今回、選挙公報を印象づけようと候補の顔写真をカラーにした。新聞に折り込んでも全世帯には届かないため、マンションでは各戸のポストに啓発チラシを配ることも試みた。だが、区選管の井上茂次長は「管理人がほとんど受けてくれない」と嘆く。前回の投票率が40・45%で埼玉県内の町議選で最低だった伊奈町。今回は39・05%と、さらに下がった。都内に通勤・通学する「埼玉都民」が多い。「生活の基本は東京。平日昼間は町内にいないし、どんな人が立候補しているかわからない。週末は選挙より家族サービス」。前回に続き、町議選を棄権した会社員男性(43)は言う。町選管の担当者は「投票率が低い30~40代が人口の中心。若年層に向けたアピールをしなければ」と言うが、妙案はないという。大阪市に隣接する吹田市長選は、大阪市をなくして特別区を設ける「大阪都構想」が焦点となった。都構想を掲げる大阪維新の会推薦の現職と、自民、公明が推薦する新顔や元職ら計4人の激戦となったが、投票率は前回をやや下回った。会社員の女性(33)は「候補者のイメージが湧かない。演説も少し聞いたけど、都構想がどうとか言われても、全然ピンと来ない」と明かす。茶わんや皿など「瀬戸もの」の陶磁器で知られる愛知県瀬戸市。名古屋近郊ながら高齢化や若者流出が課題だ。市長選では新顔4人が争ったが、投票率は55・01%で過去最低だった。棄権した自動車部品会社員の男性(37)は「選挙公報を見ても似たり寄ったり。画期的な政策を打ち出す人がいれば投票に行くが、新顔が争うというだけでは……」と話す。「誰かを選ばなくても、誰でも一緒」と考え、26日は妻子と買い物に出掛けた。
■40年ぶり選挙戦「票に思い込めた」
 宮崎県諸塚村長選は1975年以来の選挙戦となった。95%が山林で、林業やシイタケ栽培などが主産業の山村。村政の継承を訴えた元副村長の西川健(けん)氏(64)が、変革を唱えた元村議の中本洋二氏(42)を破り、初当選した。40年前も一騎打ちで村を二分した激戦となった。村民に争いは嫌だとの空気が広がり、助役らに後を託す無投票が続いた。生まれて初めて村長選で投票した農業男性(56)は「投票権を得て村政を真剣に考えた。選挙になってよかった」。別の農業男性(64)も「親戚も地区も関係なく、思いを込めて票を投じた」。26日夜、西川氏は「貴い一票を頂いたことに重みを感じる」と語った。一方、北海道栗山町議選は今回、20年ぶりに無投票となった。議会改革の象徴とされる「議会基本条例」を06年、全国で初めて制定した先進議会だ。無投票を避けようと、定数を1減らして12にして臨んだが、候補者は12人どまりだった。議員は議会報告会などで忙しくなったが、報酬は上がらない。鵜川和彦議長(58)は農業団体幹部や商店主ら7、8人に声をかけたが断られた。「選挙がなければ楽だけど、議員は劣化する」とため息をつく。議会事務局長として議会基本条例制定に関わった東京財団研究員の中尾修さん(66)は「行政サービスが削られ、議員は住民の要望をかなえる立場から、住民負担の説得役に変わった。荷が重い仕事と思われるようになった」と指摘する。
■<考論>投票率を上げるには 政治と接点、普段から
 若者の政治参加を促すNPO法人「Youth Create」の原田謙介代表 今の制度を前提にすれば、短い選挙期間で有権者が候補者を吟味するのは無理だ。投票率を上げるには、自治体や市民団体、NPOなどが普段から有権者に政治に興味を持ってもらう工夫をするしかない。私たちは2012年11月から全国で地方議員と若者の交流会を開いている。「議員って普通の人なんだ」という感想も多く、議員が遠い存在でなくなり、投票へ行くきっかけになる。こうした試みを広げることが重要だ。
■<考論>無投票を防ぐには 女性候補増やす必要
 女性候補者らの支援団体「WIN WIN」の赤松良子代表(元文相) 無投票を防ぐためには、新しい候補者を増やす必要がある。特に、男性に比べてまだ数が圧倒的に少ない女性の進出が求められる。地方議会は子育てなど生活に身近な課題が多く、解決には女性の視点が必要だ。韓国など女性政治家が増えた国では、候補者の一定割合を女性にするなどの「クオータ制」を採用している。日本もクオータ制の導入を進めるべきだ。女性の立候補には配偶者の反対も多く、家庭の理解も不可欠だろう。
■<考論>公選法に課題は 選挙運動、自由拡大を
 憲法学者の水島朝穂・早稲田大学法学学術院教授 低投票率の背景は、国政選挙の場合は制度の問題が大きい。しかし地方選では、短い選挙期間と報道の少なさが影響している。今のままでは有権者の関心は高まらない。先進国に例をみない極端な選挙運動規制と選挙期間の短縮が繰り返され、町村長、町村議員の選挙は1週間にも満たなくなった。連呼だけのむなしい日本的選挙運動を改善するには、公選法による事前運動や文書配布の過度な制限を見直し、選挙運動の自由を拡大することが必要だろう。
■<考論>外国の事例は 英は戸別訪問が基本
 英国の地方議会の実地調査を重ねる自治体議会政策学会の竹下譲会長 英国の選挙運動は戸別訪問が基本だ。候補者が玄関先で有権者に直接、自らの政策を披露する。選挙区も小さいから候補者も少なく、顔が見えやすくなって代表を選びやすい面がある。選挙カーから名前を連呼する日本の選挙のやり方では、自分の考えに合った候補者を選ぶのは難しい。住民と議員が日常的に切り離されている現状を改めるべきだ。英国のように戸別訪問を解禁し、選挙区を細分化する改革が必要ではないか。

*5-3:http://www.saga-s.co.jp/news/national/10201/135854
(佐賀新聞 2014年12月15日) 推定投票率52%、戦後最低に、前回から7ポイント低下
 衆院選の投票率は、共同通信の15日午前1時現在の推計で52・38%となり、戦後最低だった2012年の前回衆院選(小選挙区59・32%、比例代表59・31%)を7ポイント程度下回る見通しだ。期日前投票者数は前回から9・23%増の1315万1966人だったが、14日に投票した有権者が大幅に減った。北日本から西日本の日本海側を中心に大雪が降った影響もあるとみられる。都道府県別の投票率(推定を含む)で最高は島根の59・24%。2位以下は山梨59・18%、山形59・15%が続いた。最低は青森の46・83%で、徳島47・22%、富山47・46%の順だった。


PS(2015.5.26追加): 再稼働反対リレーデモは、鹿児島から福岡まで九州を縦断し、川内原発再稼働反対の11万2846人分の署名を提出して頑張った。これが民意で、今は原発0で廻っているのに、再度、リスクを犯して再稼働することがあってはならない。

     
         *6より           2015.5.13西日本新聞より 
*6:http://www.nishinippon.co.jp/nnp/national/article/171735
(西日本新聞 2015年5月28日) 再稼働反対デモ、九電本店に 11万人分の署名提出
 再稼働反対を訴えながら九州を縦断してきたリレーデモ隊は27日午後2時すぎ、福岡市中央区の九電本店前に到着。デモを主催した市民団体「ストップ再稼働!3・11鹿児島集会実行委員会」の向原祥隆事務局長は、集まった約200人を前に「九電は一度も住民の前に出てきていない。公開説明会を開くべきだ」と訴えた。九州各県の反原発団体のメンバーも次々とマイクを握り、気勢を上げた。約100人はその後、本店内を訪れ、川内原発再稼働の反対を求める11万2846人分の署名を提出。応対した広報担当者から、4月に提出していた公開質問状に対する回答を口頭で受けた。質問は原発周辺の活断層や基準地震動など詳細に及び、4時間を過ぎてもやりとりはほとんどかみ合わなかった。午後7時すぎ、広報担当者が「予定の時間を2時間以上過ぎている」として議論を打ち切ろうとすると、デモ参加者らが詰め寄り、もみ合いに。110番で警察官約20人が駆けつけ、仲裁する騒ぎになった。向原事務局長は、質問状への納得のいく回答を求め、再稼働前にあらためて話し合いの場を設けるよう、28日に九電に申し入れるという。


PS(2015年5月29日、6月7日追加):このような中、東日本大震災から3年5カ月が過ぎた2014年8月3日、*7-2のように、鹿児島県の口永良部島が34年ぶりに噴火して噴火警戒レベル3(入山規制)になっていたが、*7-1のように、4年2カ月過ぎた今朝、爆発的噴火が起こり、噴火警戒レベルが5(避難)に上げられた。日本列島は、プレートの大きな移動により、火山活動が活発化しているようだ。
 なお、東日本大震災時に、押し込まれにくかった部分がはずれて太平洋プレートが北米プレートに早く押し込まれ始めると、マントルは粘性は高いが液体であるため、フィリピン海プレートにも圧力がかかり、フィリピン海プレートがユーラシアプレートに押し込まれる速度も早くなって、日本列島のあちこちで火山活動が活発化すると考えられる。つまり、池に薄く張った氷を叩いて4つに割り、そのうちの一つを押すとすべての氷が動き、動けない場合は重なるのと同じ理屈だ。

   
               *7-2より           2015.5.29西日本新聞  日本列島とプレート
*7-1:http://qbiz.jp/article/63294/1/
(西日本新聞 2015年5月29日) 鹿児島県・口永良部島で噴火
 気象庁によると、29日午前9時59分ごろ、鹿児島県の口永良部島で爆発的噴火が発生した。同庁は噴火警戒レベルを3(入山規制)から5(避難)に引き上げた。

*7-2:http://qbiz.jp/article/51432/1/ (西日本新聞 2014年12月9日) 見捨てられた火山島 検証「口永良部噴火」 観測機は全滅、国会議員視察もゼロ
 黄土色の山肌に転がる無数の岩と、山頂から絶えず上がる噴煙が、約3キロ離れた本村港からくっきり見える。「緑の火山島」と防波堤の案内板がうたう鹿児島県屋久島町の口永良部島(くちのえらぶじま)。一面に木々が生い茂っていたという新岳を今、想像するのは難しい。「海岸線までずーっと木が枯れとるでしょうが。火砕サージ(火山ガスや灰がまじった火砕流の一種)が通った跡よ。元に戻るのに数十年かかる」。島でただ一人の町職員、川東久志さん(54)がつぶやいた。8月3日午後0時半前、島の真ん中にある新岳が34年ぶりに噴火した。現在も噴火警戒レベル3(入山規制)。火口から半径2キロは立ち入り禁止のまま。気象庁が24時間監視する全国47火山のうち、警戒レベル3が出されているのは他に、9月27日の噴火で戦後最悪の被害が出た御嶽山(おんたけさん)=長野、岐阜県=と、年に千回以上噴火する桜島(鹿児島県)だけだ。屋久島から北西に約12キロ。136人(11月末現在)しかいない島で、火山は最大の観光資源だった。「一歩違えば、ここは御嶽山より先に全国に注目されたかもしれなかったんですよ」。民宿を営む貴船森さん(42)はこう話す。規制が一切ない警戒レベル1(平常)から突然、噴石を伴う噴火があったのは日曜日。土曜日の正午前に噴いた御嶽山とほぼ同じ状況だ。死者57人行方不明者6人の御嶽山に対し、口永良部島は負傷者ゼロ。その背景には、台風の接近で島へのフェリーが欠航し、新岳に登る予定だった観光客が来なかったという偶然があった。
   ◆    ◆
 「本当なら、あの時間は山頂で昼ご飯を食べていたはずです」。鹿児島県屋久島町口永良部島(くちのえらぶじま)。噴火当日、東京の高校生12人と新岳に登る予定だった民宿経営の貴船森さんは、フェリーが来なかったことで九死に一生を得た。8月3日午後0時24分。新岳火口から約2・2キロの集落にある民宿の庭にいた。バリバリバリバリ−。山を見ると空に上がった煙が斜面を駆け下りてきた。「あっ火砕流!」。宿には地域活性化を研究中の大学生グループが滞在中だった。「おまえらすぐ出てこい」。軽ワゴン車に家族や学生10人がぎゅうぎゅう詰めで坂を下った。バックミラーに灰色の煙が迫る。途中、走って逃げる数人を見かけたが、車に乗せる余裕はなかった。煙は坂をまっすぐ下っていった。「煙に巻かれた人は亡くなったと思っていましたよ」。島には警察官も消防士も医師もいない。住民を守るのは貴船さんも所属する消防団だけだ。火口から約1・5キロ地点では、噴火予測に使う地震観測機の設置工事中だった。死亡したと思っていた作業員から電話が鳴った。「助けてくれ」。山に向かうと、灰まみれの5人がいた。前後の区別もつかず目だけが真っ赤。視界がなくなり、横一列で手をつなぎ一歩ずつ逃げてきたという。「おれ、生きていますよね」。作業員はうつろな表情で何度も繰り返した。工事現場の数百メートル先には、数十センチ大の噴石がいくつも転がっていた。
   ◆    ◆
 11月15日。島には福岡管区気象台の職員2人の姿があった。火山ガスの放出量などを計測するため、チャーターした漁船で山の風下側を何度も往復する。「こうして地道にやるしかないんです」と職員は話した。気象台が火口付近に設置していた観測機は、噴火でほぼ全滅。安全上の理由から代替機を設置できず、観測は月に1度の麓からの調査に頼る。気象台も噴火の前兆現象を把握するのは困難と認める。噴火から4カ月がたつ今も、島は非常事態にある。コンクリート製造工場が立ち入り禁止区域に入り、島の経済を担う公共工事も観光客も止まったまま。小中学校では教員の車を校舎脇に止め、すぐに子どもを避難させられる態勢を取る。11月14日に実施した噴火後初の避難訓練では、避難場所を従来より新岳から遠くに変更した。「火山観測の態勢を見直す」「災害に強いまちづくり」。衆院選の各政党の公約には力強い言葉が並ぶ。安倍晋三首相は公示前、長野県北部地震の被災地を訪れた。だが、新岳噴火後、島を視察した国会議員はゼロ。有権者が100人ほどの島には選挙中に候補者が来る予定もない。「見捨てられとるんよ」と港のそばに住む松本章さん(70)。火山噴火予知連絡会は11月末、火山の観測強化を求める提言を出した。国も対策に乗り出したが、動きはあくまで御嶽山(おんたけさん)の災害を受けたものだ。「犠牲者が出んと国は動かん。口永良部で噴いたことを政治家は知っとるんやろうか」。島民の視線は冷めている。

| 報道の問題点::2012.11~ | 01:20 PM | comments (x) | trackback (x) |
2015.4.19 メディアが使う「言論の自由」「表現の自由」の方便とそれが民主主義に与える悪影響について ← 古賀氏の発言が非難され、産経新聞の朴槿惠韓国大統領に関する嘘記事が褒められる理由は何なのか? (2015年12月17、18、19日に追加あり)
     
 報道ステーション 菅官房長官見解   韓国での出来事        産経新聞記者

(1)報道ステーションでの古賀氏の発言
1)報道ステーションについて
 「報道ステーション」は、テレビ朝日系列で2004年から平日22時台に生放送されている報道番組で、政治的に内容のあることを、古舘キャスターが少し別の角度から報道するため、他局と比較して参考になっていた。そこで、私も少し前までは時間が許せば見ていたが、この1年くらいは、殺人などの刺激的事件やお天気が時間の大半を占め、また放送時間の1/3くらいが宣伝ではないかと思うくらいの不快な番組構成であるため、他のことを犠牲にして見るほどの番組ではなくなり、「ながら族」として他のこともやりながら見ている。そのため、古賀茂明氏の2015年3月27日の発言は、残念ながら聞いていなかった。

2)古賀茂明氏について
 元経産省キャリア官僚の古賀氏は、ポイントをついた正論の話を明快にされることが多いため、私はいつも面白く話を聞いていたが、*1-1のように、2015年3月27日に放送された「報道ステーション」での古賀氏の発言について、3月30日に古舘キャスターが「古賀さんがニュースと関係ない部分でコメントしたのは残念だ」「テレビ朝日としてはそれを防げなかったことに重ねてお詫びする」と述べた。しかし、実は、私にとっては、そちらの方が異様だった。

 古賀氏は、民主党政権時代、仙谷行政刷新大臣は行政改革を続けさせるつもりでいたが、古川内閣府副大臣や松井内閣官房副長官ら官僚出身議員の進言でこれを断念し、経産省の「経済産業省大臣官房付」に異動させられ、その後、海江田経産大臣と松永経産事務次官等から退職勧奨されて辞表を提出した人だ。そのため、古賀氏への政府からの圧力は、国家公務員制度改革を通じて、民主党政権時代から存在し、自民党政権になってからも同じ理由で存在していると考えるのが自然である。そして、このように、本当の改革をしようとする人は、大変な目に会うものだ。

3)「報道の自由」「表現の自由」から見て、事実に反しているから放送法違反とは言えない
 私は、古賀氏の発言は政治に関する古賀氏個人の見解であり、これまでの経緯から見て虚偽とは言えず、反対の見解があれば議論すればよいため、それこそ「表現の自由」「報道の自由」のジャンルに入るべきもので、*1-2のように、菅官房長官が「放送法がある以上、事実に反する放送をしちゃいけない」と言うのなら、どこが事実に反して違法なのかをきちんと指摘する必要がある(http://lite-ra.com/2015/03/post-986.html 参照)。

(2)産経新聞の朴槿恵大統領に関する嘘記事
1)産経新聞記者の韓国朴槿恵大統領に関する嘘記事
 *2-1のように、2014年8月3日付で「朴槿恵大統領が旅客船沈没当日、行方不明に…誰と会っていた?」と朝鮮日報コラムや証券街情報を引用して、女性大統領が不適切な男女関係に溺れて旅客船沈没当日連絡がつかなかったかのように、産経新聞がそのウェブサイトに載せた事件で、ソウル中央地検は、2014年10月8日、この記者を在宅起訴した。

2)大統領のプライバシーに関する嘘記事は、「表現の自由」の範囲内か
 これに対して、*2-1のように、ソウル駐在の「ソウル外信記者クラブ」が、加藤氏に対する捜査や起訴は「自由な取材の権利を著しく侵害する素地がある」「報道の自由を脅かす」として検事総長あてに公開書簡を発表したりしている。また、日本新聞協会や日本ペンクラブも懸念や憂慮を表明し、「国境なき記者団」(本部・パリ)も起訴しないよう求める見解を発表し、日韓外相会談でも取り上げたそうだ。

 しかし、この大統領のプライバシーに関する嘘記事は、韓国国民や日本人が知らなければならない根拠のある重要な記事ではなく、噂レベルの誹謗中傷にすぎない。このような女性リーダーの権威を失墜させるための質の悪いヘイトスピーチは、民主主義の下では有権者を惑わすだけで公益性もない。そして、その内容はまぎれもないセクハラなのである。そのため、萎縮ではなく、良心に照らして自粛すべきであり、まず記事を撤回すべきは産経新聞社の方だ。

3)帰国した産経新聞記者に、首相が「ご苦労さま」、官房長官が「韓国政府に対して適切に対応すべきだと求めていた」「記者証が発給されたのは当然のことだ」とは、日本政府の良識が疑われる
 *2-2のように、韓国政府が出国禁止措置を解除すると、その産経新聞記者は日本に帰国し、総理官邸で安倍首相が「ご苦労さまでした」と述べ、菅官房長官が記者会見で「加藤前支局長の公判は継続しているので、政府としては、引き続き、さまざまな機会やレベルで韓国側に適切な対応を求めていく」と述べたそうで、何故、セクハラ記事の執筆者にそこまでしなければならないのかわからない。

 また、*2-3では、菅官房長官は「韓国政府に対して適切に対応すべきだと求めていた。記者証が発給されたのは当然のことだ」と述べたとしているが、これは産経新聞記者に日本政府が「よくやった、政府も協力するから」と言っているにほかならない。

 それでは、この産経新聞ウェブサイトは、朴槿恵大統領の権威を失墜させ、大統領に再選されないようにするために、日本政府もつるんでしかけたセクハラ含みの情報戦ということになるのである。

(3)やはりそうだったか・・
 こうして比較して見ると、日本のメディアは、韓国の女性大統領に対するセクハラ表現には「表現の自由」「言論の自由」を叫び、政治に対する異論は封じるというおぞましい倫理観を持っている。これでは、太平洋戦争の反省もなく、レベルの低い情報戦を使って政府に協力しているだけであり、「表現の自由」「言論の自由」などを主張するに足る報道はしていないということだ。

 なお、女性の活躍を掲げている日本政府がセクハラ記事を奨励するようなことも、リーダーとなる女性がこのように不利益を蒙るため、厳に慎んでもらいたい。

<古賀氏発言の全貌>
*1-1:http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/geino/158513/1
(日刊ゲンダイ 2015年4月1日) 古賀氏発言に手をついて謝罪…古舘伊知郎に「報ステ」降板説
 前代未聞の“ナマ口論”は、これで幕引きというわけではなさそうだ。3月27日放送の「報道ステーション」(テレビ朝日)で、元経産省キャリアの古賀茂明氏が生出演中に突如、自身の降板理由について語り始め、キャスターの古舘伊知郎(60)が慌てふためき反論した一件。30日の同番組では古舘が「番組としては古賀さんがニュースと関係ない部分でコメントしたこと。これについては残念だと思っております」「テレビ朝日としてはそれを防げなかったことに、テレビをご覧の皆さまに重ねておわびをしなければならないと思っております」と手をついて頭を下げた。いつもの舌鋒の鋭さはどこへやら。番組では古賀氏が「官房長官はじめ官邸の皆さんからものすごいバッシングを受けた」などと語ったことに対して、菅官房長官が「事実無根」と反論した映像まで放送。古賀氏の発言を徹底的に押し潰した。
■出演料は年間4億円とも
 しかし、「古舘さんが古賀氏を切り捨てた刃は自分自身に向かう」と語るのはテレ朝関係者だ。「かつて反自民を標榜していたテレ朝もいまは完全に牙を抜かれ、安倍政権に屈服状態です。最近では安倍首相とテレビ朝日の早河洋会長は昵懇の間柄。そんな流れの中で何かと口うるさい古賀氏の降板が決まった。が、その前から実はずっと古舘の降板話も局内で議論されているのです。『報ステ』は平均視聴率10~12%台をキープ。大事件や政局が発生すると15%超えも珍しくなく、テレ朝躍進の礎とも評された優等生番組。その一方で指摘されているのが年間4億円ともいわれる古舘の出演料。古舘と一緒に『報ステ』を制作する古舘プロを切れば億単位の制作費を抑制できる。政権に物言う番組は今や局にとっても煙たい存在。テレ朝としては古舘切りは一石二鳥なのです」。古舘にとってはこんな不都合なデータも出回っている。「ある潜在視聴率データによると、『報ステ』は番組平均視聴率が常にフタ桁台を保っているのに古舘は4.3%しかなかった。ちなみに『NEWS ZERO』の村尾信尚は4.9%、『スッキリ!!』の加藤浩次は5.1%。驚いたのは『モーニングバード』の羽鳥慎一が5.9%と断然のトップだったこと。つまり、古舘は唯一無二の存在ではなく、もはや“オワコン”ということです」(編成関係者)。もし口論の場でひよらずに、古賀氏の肩を持っていたら……。古舘は「報ステ」をクビになったとしても歴史に残る名キャスターになっていたはずだが。

*1-2:http://news.livedoor.com/article/detail/9960852/
(日刊ゲンダイ  2015年4月2日) 古賀氏「報ステ」降板の全貌 テレ朝が震えた菅長官の“ひと言”
 官邸から圧力があった――。経産官僚出身の古賀茂明氏(59)から「報道ステーション」降板の舞台裏をバクロされたテレビ朝日が、慌てふためいている。古舘伊知郎(60)の降板説まで浮上。31日記者会見したテレビ朝日の早河洋会長は、「圧力めいたものは一切ない」と官邸からの圧力を否定したが、本当になかったのか。安倍官邸が古賀茂明氏に対して、最初に怒りを爆発させたのは、1月23日の「報道ステーション」だったという。ちょうど「イスラム国」に拘束された後藤健二さんの安否が心配されていた頃だ。コメンテーターとして出演していた古賀茂明氏が安倍政権の外交政策を批判し、「アイ・アム・ノット・安倍」と発言した。番組放送中に官邸サイドから報道局幹部に連絡が入り、その瞬間からテレビ朝日は大混乱に陥ったという。上層部が担当プロデューサーを強く叱責したとの情報が流れ、そのプロデューサーは結局、番組から外されている。テレ朝を震え上がらせたのは、菅義偉官房長官が「オフレコ懇談」で発した一言だったらしい。ネットメディア「リテラ」が、〈菅官房長官が古賀茂明を攻撃していた「オフレコメモ」を入手〉というタイトルで、オフレコ懇談でのやりとりを詳細に伝えている。
Q テレビ朝日ですか?
A どことは言わないけど。
Q 古賀茂明さんですか?
A いや、誰とは言わないけどね。ひどかったよね。放送法がある以上、事実に反する放送をしちゃいけない。本当に頭にきた。俺なら放送法に違反してるって言ってやるところだけど。
■番組プロデューサーも外された
 「テレ朝の上層部は、菅長官が放送法という単語を使ったことに真っ青になったはずです。圧力と受け取った人もいるでしょう」(民放関係者)。古賀茂明氏は3月5日、ツイッターに「4月以降は、篠塚報道局長が出すなと言ったので出られなくなりました」と書き込んでいる。恐らく2月中に、番組スタッフから降板を告げられたのだろう。古賀茂明氏から、「菅官房長官をはじめ官邸の皆さんからバッシングを受けた」と名指しで批判された菅長官は、「まったくの事実無根。放送法があるので、テレビ局がどのような対応を取るかしばらく見守りたい」と圧力を全面否定。菅長官が再び“放送法”を口にしたことで、テレビ朝日は真っ青になっているはずだ。「報道ステーション」では、安倍政権に批判的なコメントをしていたコメンテーターの恵村順一郎・朝日新聞論説委員も降板させられている。もともと安倍官邸は、何かと政権に対して批判的な「報道ステーション」を苦々しく思っていた。担当プロデューサーが番組から外され、安倍政権に批判的な2人のコメンテーターも降板した。これでは「テレビ朝日は官邸に全面降伏した」と視聴者に見られても仕方ない。政治評論家の山口朝雄氏がこう言う。「大手メディアは、安倍政権に対して弱腰過ぎます。昨年、総選挙前に“中立な報道をしろ”と圧力ペーパーを突き付けられた時も、反論ひとつしなかった。最悪なのは、大手メディア全体に“自主規制”が広がっていることです。政権から圧力を受ける前から、政権批判を控えている。民主主義を支えるのはジャーナリズムですよ。メディアが政権を批判しなくなったら終わりです」。古賀茂明氏の降板の裏に何があったのか、テレビ朝日はすべて明らかにすべきだ。

<朴槿恵大統領と産経新聞記事>
*2-1:http://www.huffingtonpost.jp/2014/10/08/sankei-korea_n_5955692.html
(Huffpost Japan 2015年4月18日) 産経前ソウル支局長を在宅起訴 「朴大統領の名誉毀損」
 ソウル中央地検は8日、ウェブサイトに書いた記事で韓国の朴槿恵(パククネ)大統領の名誉を毀損(きそん)したとして、産経新聞の加藤達也・前ソウル支局長(48)を情報通信網法違反の罪で在宅起訴し、発表した。報道をめぐって外国メディアの記者を起訴するのは極めて異例だ。問題となったのは、産経新聞のウェブサイトに8月3日付で掲載された「朴槿恵大統領が旅客船沈没当日、行方不明に…誰と会っていた?」との記事。大統領府秘書室長が国会質疑で、旅客船沈没事故が起きた4月16日の大統領の所在をはっきり答えなかったことを紹介し、韓国紙・朝鮮日報のコラムや証券街の情報を引用しながら、男性と会っていたといううわさがあることを伝えた。ソウル中央地検は、韓国の市民団体の告発を受けて捜査に着手。加藤氏を出国禁止処分にして、3回にわたって事情を聴いていた。同地検は発表で、朴大統領は沈没事故当日に大統領府の敷地内におり、記事は事実と異なっていたとし、根拠もなく女性大統領に不適切な男女関係があるかのように報じて名誉を傷つけたと指摘。加藤氏が当事者らに事実関係を確認せず、信頼できない資料を報道の根拠としており、被害者に謝罪や反省の意思を示していないことなどから、「可罰性が高い」と結論づけた。情報通信網法に基づく名誉毀損罪は最高刑が懲役7年。産経新聞によると、加藤氏は事情聴取に対し、「朴大統領を誹謗(ひぼう)する目的ではない」と主張。事故当日の朴大統領の動静は「日本の読者に対して必要な情報であり、公益性の高いテーマであると考えている」と述べたという。加藤氏の記事をめぐっては、韓国大統領府は産経新聞に対し、民事、刑事上の責任を問う考えを表明していた。
■「自由な取材を侵害」現地の外信記者会
 ソウル駐在の外国メディアの記者らでつくる「ソウル外信記者クラブ」は8日、加藤氏に対する捜査や起訴が「自由な取材の権利を著しく侵害する素地があるという点に深刻な憂慮を表明する」とした検事総長あての公開書簡を発表した。
■異例の記者訴追、韓国に国内外から懸念 産経記事巡り
 産経新聞の前ソウル支局長が8日、韓国の朴槿恵(パククネ)大統領に対する情報通信網法違反で在宅起訴された。同紙のウェブサイトに掲載した記事で朴氏に関する「うわさ」を伝えたとして名誉毀損(きそん)の罪に問うが、「報道の自由を脅かす」との懸念が国内外で出ており、公権力行使のあり方をめぐって批判が高まるのは必至だ。記事は、旅客船沈没事故が起きた4月16日に朴氏の所在が7時間にわたって確認できなくなり、その間に男性に会っていたとのうわさを、韓国紙のコラムや証券街の情報などを基に伝えたものだ。韓国の検察当局は罪に問えると判断したが、産経の記事自体には批判的な韓国メディアの中からも、記者を出頭させて事情聴取し、刑事罰に問うことは、国家権力に対する正当な監視活動を萎縮させる恐れがある、との指摘が出ていた。日本新聞協会や日本ペンクラブは、相次いで懸念や憂慮を表明。国際NGO「国境なき記者団」(本部・パリ)も起訴しないよう求める見解を発表した。ジャーナリズムを専門にする韓国の学者は、韓国の裁判所はこれまで公職者に関する報道について、名誉毀損を免責する範囲を広げる傾向だったと指摘。今回の起訴は「言論の自由を侵害する」として、流れに逆行するものだと批判した。今回の捜査は朴氏の要請ではなく、市民団体の告発に基づくものだ。ただ、韓国大統領府の高官が早い段階で民事、刑事上の責任を追及すると表明していた。法令上は被害者の意思に反しての起訴はできず、朴氏の意向しだいでは起訴されない可能性もあったが、関係者によると、大統領側から明確な意見はなかった。検察当局は大統領府の意向を忖度(そんたく)しながら「大統領のメンツを立てる政治的判断」(韓国の司法関係者)をせざるを得なかったとみられる。背景には、韓国政府に批判的な産経新聞の日ごろの報道への不満もあったとの見方がある。この問題は8月にミャンマーであった日韓外相会談でも取り上げられ、日本側は懸念を表明していた。改善への模索が始まっていた日韓関係にも影響を及ぼしそうだ。
■「報道が萎縮する可能性」
 今回の在宅起訴について、服部孝章・立教大教授(メディア法)は「韓国の政府当局が何を目指して踏み込んだのかが見えない」と疑問を呈し、報道の萎縮を懸念する。「産経側にも少し甘い部分はあったが、記事はネットのみで、名誉毀損(きそん)の実害も明確ではない」といい、影響は産経新聞にとどまらないとみる。日韓関係の溝が深くなっているいま、メディアは相互理解を進めるために、日韓問題について様々な記事を書き、市民に材料を提供して、議論を活性化させていく必要があると、服部教授は指摘する。「だが報道すると処罰される可能性がある状態では、記者が政府の顔色をうかがうなど、取材や報道が萎縮する可能性がある。両国民にとってプラスにはならない。特派員に限らず国内での取材でも同様のことがいえる」。小針進・静岡県立大教授(韓国社会論)は「韓国は民主化で言論の自由を勝ちとったのに、時計の針を戻してしまった。韓国の検察に非難を免れる余地はまったくない」と批判する。
在宅起訴にここまで時間がかかったことから、韓国の検察当局にも迷いはあったと小針教授はみる。「当然、外交問題になることも分かっていたはずだ」。大統領府が起訴を避けるように動かなかったり、韓国メディアが日本メディアを軽視し、本件を批判的に取り上げなかったりしたことも関係しているのではないかと、小針教授はいう。「韓国は韓流で培ってきた国際的なブランドイメージを大きく傷つけてしまった」
韓国内には、検察の判断はやむを得ないとの見方もある。日本での取材経験がある韓国人記者は、韓国の大統領の位置づけを「国家元首であり、日本における首相よりも大きな権力があると受け止められている」といい、「その権威を傷つける私生活の疑惑を報じた産経側に問題がある」とする。一方で、戸惑いも感じているという。「韓国では言論の自由が保障されているはず。裁判まで持っていく必要があったのか」
■産経新聞社「撤回求める」
 産経新聞社の熊坂隆光社長は「強く抗議し、速やかな処分の撤回を求める。民主主義国家が憲法で保障している言論の自由に対する重大かつ明白な侵害で、韓国の国際社会における信用を失墜させる行為だ」との声明を出した。
     ◇
■産経新聞前ソウル支局長のコラムをめぐる動き
7月18日 朝鮮日報が「大統領をめぐるうわさ」と題したコラムを掲載
8月3日 産経新聞がウェブサイトに、問題となったコラムを掲載
  7日 大統領府が「厳しく強力に対処する」と言明。地検は前支局長を出国禁止処分に。処分はその後10月15日まで延長
  8日 地検が前支局長に出頭を求める
  18日 前支局長が地検に出頭。その後も聴取が続く
  29日 日本新聞協会が「取材の自由が脅かされる」との談話
9月8日 国際NGO「国境なき記者団」が不起訴を求める見解
  16日 日本ペンクラブが「言論の自由を事実上制限」と韓国政府批判
  30日 前支局長側が出国禁止処分の解除を求める文書を地検に提出
10月1日 産経が前支局長を東京本社に異動させる人事を発令

*2-2:http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150415/k10010049051000.html
(NHK 2015年4月15日) 帰国の産経新聞前支局長が首相と面会
 韓国政府による出国禁止措置の解除を受けて、14日帰国した、産経新聞の加藤達也前ソウル支局長が、総理大臣官邸を訪れて安倍総理大臣と面会し、これまでの政府の対応に謝意を伝えました。韓国政府が、パク・クネ(朴槿恵)大統領の名誉を傷つけたとして、裁判が進められている、産経新聞の加藤達也前ソウル支局長は、出国を禁止する措置が解除されたことを受けて、14日帰国しました。加藤前支局長は15日午前、総理大臣官邸を訪れて安倍総理大臣と面会し、出国禁止措置を受けていた間の状況などを説明するとともに、これまでの政府の対応に謝意を伝えました。加藤前支局長によりますと、安倍総理大臣は、健康状態や家族の様子などを尋ねたうえで、「ご苦労さまでした。まだ裁判が続くようなので、これからも体に気をつけてください」と述べたということです。面会のあと、加藤前支局長は記者団に対し、「さまざまな発信を、韓国に対し、あるいは国際社会に対して行っていただき、私を励ましていただいたことにお礼を申し上げた」と述べました。また、菅官房長官は午前の記者会見で、「加藤前支局長の公判は継続しているので、政府としては、引き続き、さまざまな機会やレベルで韓国側に適切な対応を求めていきたい」と述べました。

*2-3:http://www.sankei.com/politics/news/150416/plt1504160011-n1.html
(産経新聞 2015.4.16) 菅官房長官「当然のことだ」 産経新聞ソウル支局長記者証発給に
 菅義偉(すが・よしひで)官房長官は16日午前の記者会見で、韓国在住の外国メディア記者の取材活動に必要な「外信(外国メディア)記者証」が産経新聞の藤本欣也ソウル支局長に、韓国政府への申請から約7カ月たって発給されたことに関し「韓国政府に対して適切に対応すべきだと求めていた。記者証が発給されたのは当然のことだ」と述べた。


PS(2015年12月17日追加):日本から言われたのか韓国外務省が「日韓関係に配慮すべき」と証言し、*3のように、産経新聞の加藤前ソウル支局長が無罪になったそうだが、人を貶めるようなプライバシーに関する記事を虚偽であるにもかかわらず書きたて、「誹謗中傷の目的はない」「言論の自由だ」などという主張が通るようでは、日本を含む東アジアは、やはり人権にも民主主義にも疎い国々だと考える。そして、これは、公人である大統領であれば、なおさら政治的意図があると考えられ、私は、虚偽の噂を確認もせずに拡大して流したのが故意でないとすれば正当な注意に欠けるし、慰安婦問題で意見の異なる朴大統領を誹謗中傷する政治的目的があったと考える方が全体から見て自然だと考える。なお、メディアなら何を書いても「言論の自由」「表現の自由」などと言うのは、レベルの低すぎる間違いだ。

*3:http://www.saga-s.co.jp/news/national/10201/260688
(佐賀新聞 2015年12月17日) 産経前支局長に無罪、韓国地裁、「誹謗目的なし」と判断
 韓国の朴槿恵大統領の男女関係に絡むうわさを紹介した記事で、朴氏らの名誉を毀損したとして在宅起訴された産経新聞の加藤達也前ソウル支局長(49)に対し、ソウル中央地裁は17日、無罪判決を言い渡した。同地裁は「記事に(朴氏を)誹謗する目的は認められない」と判断した。検察側は「うわさを虚偽と認識して記事を書き、大統領を誹謗する目的だった」として懲役1年6月を求刑。加藤氏は「大統領の動静は日本でも関心事。うわさが流れた事実を伝えるべきだと考えた」と、名誉毀損の意図はないと無罪を主張していた。


PS(2015年12月18日追加):*4を含む全体像から見て、日本政府にとって都合の悪い朴政権のレームダック化を早めるため、産経新聞の記者が日本政府に協力して朴槿恵大統領の虚偽の噂を掲載したことは明らかで、「誹謗中傷の意図がない」とするのは真っ赤な嘘だろう。何故なら、そうでなければ日本政府が援護する理由がないからだ。また、このようなプライバシーに関する虚偽記事で政治家等の“公人”とされる人を叩くのは、民主主義を護る行動にはならないため、対象が“公人”なら虚偽記事で貶めても「言論の自由」「表現の自由」の範囲だとするメディアは、自らに都合よく規範を緩めている。
 なお、日本の裁判所は、私の週刊文春虚偽記事事件に関する民事訴訟で、対象が国会議員(“公人”)であっても一般人と同じく名誉棄損や侮辱罪を認め、「言論の自由」「表現の自由」は「人権侵害」に優先するものではないとした。また、このような違法行為に関して、相手が公人か私人かで判断を分けるのは、法の下の平等を定めた日本国憲法に反する。そして、私は、女性が不当に蔑まれることなく気持ちよく活躍できる社会を創るため、このような女性蔑視を利用した追い落としのための虚偽の噂の流布を決して許さないが、これは、小学生の頃(50年以上前)から持っている私の信念だ。

*4:http://digital.asahi.com/articles/DA3S12122392.html
(朝日新聞 2015年12月18日) (時時刻刻)日韓、無罪の力学 産経前ソウル支局長無罪
 報道の自由か、名誉毀損(きそん)か――。朴槿恵(パククネ)大統領にまつわる「うわさ」を載せた産経新聞ウェブサイトの記事をめぐる裁判で、韓国の裁判所は無罪を言い渡した。判決直前、韓国外交省は裁判所に異例の「配慮」を求めた。停滞する日韓の外交交渉に弾みはつくのか。
■裁判長が外交省要請読み上げ、ざわつく法廷
 ソウル中央地裁の傍聴席は100人を超える報道関係者らで埋め尽くされた。韓国の法曹界の大方の見方は「有罪」だった。午後2時前、裁判長と裁判官2人が法廷に入った。裁判長は判決の言い渡しを始める前、外交省から検察側を通じて、裁判所に提出された文書を読み上げた。行政府である外交当局が司法府である裁判所に要請をするのは極めて異例だ。傍聴席がざわついた。加藤達也前ソウル支局長は立ったまま判決の読み上げを聞き続けた。「無罪」。傍聴席が再びざわついた。加藤氏が問題の記事を書いたのは昨年8月。その後、出国も禁じられ、昨年10月に起訴された。出国禁止は今年4月まで続いた。一方、「事件の被害者」になった朴大統領は問題の記事について公の場で語ることはなく、沈黙を守り続けた。韓国外交省は「司法の問題」とかわし続けたものの、「検察が起訴しなければ良かった」と漏らした政府関係者もいた。韓国外交省当局者は異例の要請について、文書は韓国法務省に出したことを明らかにした。法務省から検察当局、裁判所に渡ったことになる。当局者は「韓日関係を担当する機関として、日本側からの要請を法務省に伝えるのは業務の一部だ」と説明した。韓国メディアの聯合ニュースは「今回の判決は、両国関係改善を妨げる悪材料の一つを取り除いた」と指摘。中央日報電子版も「両国は関係改善のモメンタム(機運)に至ることができる」と評価した。一方、メディア専門紙「メディア・オヌル」は「加藤前支局長を『言論の自由の闘士』に作り上げ、喜劇に終わった」と批判。「韓国検察は無理な政治的起訴という批判を避けられないだろう」と指摘した。
■「虚偽と認識」認定
 今回の判決について、韓国のメディア専門家は「前支局長が報道で取り上げた疑惑は誤った事実ということを再確認する一方、言論の自由という憲法的価値は守る絶妙なバランスを取った」と述べた。記事を書いた加藤氏は情報通信網法違反(名誉毀損)の罪に問われた。判決は、記事全体をみると「うわさ」が事実かのように暗示しているとした。一方で、その内容は元側近の男性の証言や携帯電話の記録などから「虚偽」と判断し、それを加藤氏も認識していたとした。判決の焦点は朴大統領の名誉を傷つける目的があったのかだった。判決は「大統領」と「私人」という二つの立場を分け、大統領としての朴氏への名誉毀損の罪は認めず、「私人」について名誉を傷つけたことは認めた。ただ、記事は「朴政権のレームダック(死に体)化は、着実に進んでいるようだ」などとしていることから、韓国の政治状況を伝えるのが目的だと判断。「私人」としての朴氏の名誉を傷つけようとしたとみるのは難しいとした。韓国の法曹関係者は「起訴だけではなく、名誉を傷つける意図の立証に無理があった」と指摘した。判決は加藤氏が過去に書いた記事についても触れ、「韓国の国民としては簡単に受け入れるのが難しい」とした。また、元側近の男性を実名で書いたことについては「軽率」と指摘した。
■日本、関係改善に期待感 「慰安婦で譲歩要求」警戒も
 「無罪判決が出たことを評価する。日韓関係に前向きな影響が出てくることを期待したい」。無罪判決を受け、安倍晋三首相は17日夕、首相官邸で記者団にこう語った。岸田文雄外相も「慰安婦問題は協議を加速するよう指示が出ている。引き続き議論を行う」と述べ、交渉に弾みがつくことに期待感を示した。こうした評価が相次ぐ背景には、韓国外交省が日本側の主張に配慮するよう裁判所に求めたことで、今回の無罪判決が日韓関係改善に向けた韓国側からの政治的メッセージと受け止められていることがある。公明党の山口那津男代表は17日、朝日新聞の取材に「韓国側の外交的配慮もあり、妥当な結論になった」と評価。日韓議員連盟幹事長の河村建夫元官房長官も「いろんな角度から考えて判断されたと思う」と語った。韓国政府当局者も「(韓日関係にとって)無罪で良かったではないか」と語り、外交省の措置が、日韓関係改善を望む朴大統領の考えを受けたものだったことを示唆した。加藤氏の裁判の問題は、日韓関係にとって重荷になってきた。日韓両政府によれば、11月2日の日韓首脳会談の際の少人数会合でもこの問題が取り上げられた。安倍首相は強い懸念を表明。朴大統領は事件の背景も含めて刑事裁判の必要性を説明した。判決前、日本政府高官の一人は「無罪にしろと迫りたいが、内政干渉と受け取られかねない。良い判決を期待する、が精いっぱいだ」と漏らした。日本政府内には「有罪だったら日韓関係はしばらく相当冷え込んだはずだ」(閣僚の一人)と懸念する声も多かっただけに、日韓関係の改善の動きが加速することに期待感が高まる。一方、ボールが日本側に投げられたとする見方もある。日韓関係は現在、長く懸案となってきた慰安婦問題の「早期妥結」をめざし、両首脳の政治決断が重要な局面に入っている。日本政府内には「無罪判決を受け、韓国側が慰安婦問題でより踏み込んだ譲歩を求めてくる可能性がある」と警戒する声もある。別の韓国政府当局者は「この裁判結果で、産経新聞の報道内容が虚偽だという点が明白になった。この問題で生まれた負担が今回の判決で取り除かれ、韓日関係改善の契機になることを期待する」と語った。
■裁判所に敬意
 産経新聞社の熊坂隆光社長の声明要旨 韓国が憲法で保障する「言論の自由の保護内」と判断した裁判所に敬意を表する。内外報道機関や日本政府、日韓関係者らが強く懸念を表明していただいた。こうした支援の結果が無罪判決につながり、感謝申し上げる。裁判が長きにわたり、日韓の大きな外交問題となったことはわれわれの決して望むところではなく、誠に遺憾である。コラムに大統領を誹謗(ひぼう)中傷する意図はなく、国家的災難時の国家元首の行動をめぐる報道・論評は公益にかなう。
■無罪判決は当然
 日本新聞協会編集委員会の声明 報道機関の取材・報道の自由、表現の自由は民主主義社会の根幹をなす原則であり、無罪判決は当然である。われわれはこの問題について、自由な取材・報道活動が脅かされることのないよう引き続き注視していく。
■<考論>「司法へ政治介入」懸念残す
 上智大の田島泰彦教授(メディア法)の話 無罪としたのは妥当な判決。朴大統領を中傷する目的だったのかが争われ、検察側は男女のスキャンダルに重きを置いた報道と問題視した。しかし、コラム全体で指摘しているのは、沈没事故の当日の最高権力者の行動の不透明さで、コラムに公益性があることは判決でも認められた。権力側が刑罰を振りかざして、報道を抑圧するのは許されず、無罪としたのは評価できる。ただ、外交関係に配慮を求める韓国外交省の裁判所への要請は、「司法への政治介入」と受け取られかねず、問題ではないか。
■<考論>記者を起訴、異常だった
 元共同通信ソウル特派員でジャーナリストの青木理さんの話 韓国大統領は国家元首で、複雑な日韓関係を踏まえれば、日本側にもそれなりの礼節が求められる。そうした意味で加藤前支局長の記事は全く評価しない。だが、その点を差し引いても、「公人中の公人」の大統領は徹底的に論評される対象で、あの程度の記事で記者を起訴するのは異常だ。今回の起訴も朴大統領の意向をくんでなされたことだろう。無罪にはなったが、言論の自由に不安が残る国という印象は残った。裁判は韓国には全くメリットがなかった。
■<考論>表現の自由、反映の証拠
 韓国高麗大法学専門大学院の朴景信教授(法律論)の話 判決内容は、国際的な人権と表現の自由が、韓国の法律に十分反映されている証拠だと思う。多くの人々が関心を寄せる事件については、人々が抱いている疑惑を報道しても問題はないと認定した、意味のある判決だと言えそうだ。有罪になれば、歴史的な人権侵害の事例として取り上げられることは明白だ。国際的に見た場合、当然無罪になるべきで、法的にも妥当な論理だと思う。
◆キーワード
 <韓国情報通信網法> インターネットを使った不正行為を規制する。前支局長に適用された条文では、人を誹謗(ひぼう)する目的で公然と虚偽の事実を明らかにし、他人の名誉を傷つけた場合、7年以下の懲役または5千万ウォン(約510万円)以下の罰金などと定められている。
■問題となった記事
 ◇「朴槿恵大統領が旅客船沈没当日、行方不明に…誰と会っていた?」(要旨)
 旅客船事故当日の4月16日、朴大統領が7時間にわたって所在不明となっていたとする「ファクト」が飛び出し、政権の混迷ぶりが際立つ事態となっている。7月7日の国会運営委員会に、大統領府秘書室長の姿があった。政府が国会で大惨事当日の大統領の所在や行動を尋ねられて答えられないとは…。韓国の権力中枢とはかくも不透明なのか。こうしたことに対する不満は、あるウワサの拡散へとつながっていった。朝鮮日報の記者コラムである。「大統領をめぐるウワサ」と題され、7月18日に掲載された。証券街の関係筋によれば、それは朴大統領と男性の関係に関するものだ。ウワサの真偽の追及は現在途上だが、コラムは背景を分析している。「大統領個人への信頼が崩れ、あらゆるウワサが出てきているのである」。朴政権のレームダック(死に体)化は、着実に進んでいるようだ。
 (2014年8月3日に産経新聞ウェブサイトに掲載)
■これまでの経緯
【2014年】
 <4月16日> 旅客船セウォル号沈没事故が発生
 <8月3日> 産経新聞ウェブサイトに、問題となった加藤達也前ソウル支局長の記事が掲載される
 <7日> 大統領府広報首席秘書官が民事・刑事上の責任を問う方針を示す
 <〃> 加藤氏が出国禁止に
 <10月8日> ソウル中央地検が加藤氏を在宅起訴
 <15日> 日本新聞協会主催の新聞大会で「起訴は言論の自由を侵害」しているとして撤回を求める決議を採択
 <11月27日> 初公判。加藤氏が乗った車に韓国の保守団体メンバーが卵を投げる
【2015年】
 <4月7日> 産経新聞紙上で加藤氏が「『噂(うわさ)は虚偽』に異論はない」と題した手記を公表
 <14日> 出国禁止措置が解除される。翌日、加藤氏が安倍晋三首相と面会し、慰労される
 <10月19日> 検察側が懲役1年6カ月を求刑
 <11月2日> 日韓首脳会談で安倍首相が加藤氏の問題を取り上げる


PS(2015年12月19日追加):*5のように、朴大統領が旅客船沈没事故の当日、元側近の男性と会っていたという噂があるのは、噂をした人の女性蔑視に由来しており、朴大統領のせいではない可能性が高い(私も、「梨下に冠を正さず」にしていても、仕事で男性と協力する場合は多く、想像で変なことを言われることにより、仕事をやりにくくされたことも少なからずあった)。このような場合、相手とされた元側近の男性やその夫人も被害者であり、元側近は女性リーダーへの協力に懲りることとなる。その意味でも、朴大統領は被害者なのだ。それらのことを考慮できずに、このような低レベルの虚偽記事を書いて「言論の自由」などと主張していれば、メディアの人材の質が悪いという結論になる。そもそも、「言論の自由」とは、戦争に突っ走る権力に抵抗して「この戦争は間違いだ」と主張し、官憲に追いまわされるように、真実を言うのに命やクビをかけざるを得ない人のために、日本国憲法で保障されたものなのだ。

*5:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20151219&ng=DGKKZO95333970Z11C15A2EA1000 (日経新聞社説 2015.12.19) 韓国の言論の自由に疑念残る
 日韓の関係改善を妨げる障害がひとつ取り除かれたことは歓迎するが、韓国の言論の自由への疑念が払拭されたわけではない。朴槿恵(パク・クネ)大統領の名誉を傷つける記事を書いたとして在宅起訴された産経新聞の前ソウル支局長の判決公判で、ソウル中央地裁が無罪判決を言い渡した。問題となった記事は、朴大統領が昨春の旅客船沈没事故の当日、元側近の男性と会っていたとのうわさに言及したもの。昨年8月に同紙のウェブサイトに掲載され、韓国の市民団体が刑事告発した。検察当局は名誉毀損罪で前支局長を在宅起訴し、裁判では懲役1年6月を求刑していた。地裁は今回、無罪判決の理由として「公人である大統領を中傷する目的だったとみるのは難しい」「記事内容に不適切な面はあるものの、言論の自由の領域内に含まれる」などの点を挙げた。その判断はおおむね妥当だろう。日韓関係をぎくしゃくさせたこの問題は今回の無罪判決で決着するとみられるが、一連の経緯には苦言を呈さざるを得ない。まずは韓国検察の対応だ。確かに、さしたる根拠もなく風聞に基づいた記事に問題がないわけではないが、報道を対象に刑事責任を追及するやり方は度を越した。次に、朴大統領のイニシアチブの問題だ。「被害者」の大統領が当初から寛容な姿勢を明示していれば、前支局長は起訴されず、日韓を揺るがす問題に発展することもなかっただろう。さらに、司法の独立性の面でもいぶかしさが残った。地裁は公判の冒頭で、大局的に善処すべきだと主張する日本への配慮を求めた韓国外務省の要望書を読み上げる異例の一幕があったからだ。今回の騒動で、韓国が言論の自由を制限する国との疑心を生んだことは否定しがたい。同国では最近、旧日本軍の従軍慰安婦問題を論じた「帝国の慰安婦」の著者、朴裕河(パク・ユハ)世宗大学教授も名誉毀損罪で在宅起訴されている。改めて憂慮を禁じ得ない。

| 報道の問題点::2012.11~ | 04:57 PM | comments (x) | trackback (x) |
2015.2.28 日本人の謝り方のおかしさと政治家が政治資金規正法違反事件であるかのように挙げられるケースの多さ ← これが民主主義の限界になっているため、ここを解決すべきである
     
  西川前農相       下村文科相       望月環境相  その他の大臣

(1)西川農水相の事例 ← 謝るのは、本当に悪い場合のみにすべきである
 *1-1、*1-3に、「①西川氏の政党支部が、国の補助金の交付決定通知を受けた木材加工会社からの献金を受領した」「②西川前農相は、補助金交付を知らなかった上、違法状態が続いたわけではない」「③西川前農相が自らの政治資金問題で辞任した」、「④首相は違法性について否定したが、任命責任を認めて陳謝した」「⑤野党側が早期の幕引きに応じる気配は薄い」「⑥今後は安倍晋三首相の任命責任に的を絞る」と書かれており、*1-2に、「⑦後任には前農相で自民党農林水産戦略調査会長の林芳正氏が就任し、農水省は『農政への影響はほとんどない』とする」とされ、*1-4に、「⑧西川前農相と党農林水産戦略調査会長だった林氏が入れ替わる」と書かれている。

 私は、農政の現況を理解している人がやる必要があるため、⑦⑧は尤もだと思うが、④のように安部首相が任命責任を認めて陳謝すれば、西川前農相の違法性を認めたことになり、②と矛盾するため、安部首相が「よくわからないが、とりあえず謝っておく」という日本人独特の謝り方をしたのは、よくないと思う。何故なら、ターゲットにしてシュートされている場合は、謝ってもそれで終わることはなく、⑤⑥や*4-1、*4-2のような展開になるため、変に謝ると、後で首尾一貫した説明ができなくなるからだ。

 しかし、*1-5のように、政治資金規正法は第22条の3で、国から補助金を受け取っている会社が交付決定の通知から1年以内に政治家に寄付することを禁じているが、寄付の受け手が補助金交付を知らなければ違法とはみなさないとしている。また、この法律の立法趣旨は、補助金を交付されるように政治家に口利きを頼み、交付された補助金の一部を口利きした政治家にキックバックするのを防ぐことであるため、違法行為があったか否かは、法治国家である限り、立法趣旨と違法行為の成立要件を明確に事実認定して判断しなければならないと考える。

(2)下村文科相の事例 ← 安部政権がターゲットにされているようだ
 西川前農相の件だけでは安部政権に対するダメージが小さかったためか、*2-1のように、週刊文春が、題名で大きく下村文科相が「違法献金」を受けていると報じた。しかし、その内容は題名とは異なり、「政治資金規正法に抵触する可能性がある」というものだ。

 そもそも後援会は、広く政治資金や票を集める目的で普通に設立されるもので、元の職場の人が応援するのも、ごく普通だ。また、そういう後援者がいなければ資金のない人は議員になることができず、それでは庶民のニーズがわかる政治家はいなくなるだろう。

 そして、*2-2は、「政治団体として届け出ないまま特定の政治家を支える金銭の収受をすれば、政治資金規正法に違反する可能性がある」と“違反の可能性”を強調しているが、政治団体として届け出ずに特定の政治家に寄付をすれば、政治資金規正法に違反するという法律的根拠はない。もちろん、政治団体として選挙管理委員会に届け出ていなければ、寄付者は税務申告時に寄付金控除ができないというディメリットはあるが、政治家でない個人が寄付者として名前を公表されたくないので任意団体のままでいるというニーズはあるだろうし、日本国憲法では“結社の自由”が保障されている。

 従って、「違法性がある」と言うのなら、どの法律のどの部分にその根拠があるのかを明確にすべきであり、それもないのに、「違法行為」という人格を否定する言葉をみだりに使うのは、法治国家の論理に反するとともに、人格権の侵害である。なお、*4-2のように、自民党の谷垣幹事長も、記者会見で「法律に照らして全く問題がない」としている。

(3)佐賀県の事例 ← 佐賀県は、ささいなことで政治家に警察の手入れが多い
 一方、佐賀県では、*3-1のように、唐津市発注の公共工事が不正入札だったとして、坂井市長が絞られているが、坂井市長は市民に出前講座をしたり、唐津コスメティック構想を行ったりして頑張っている市長だ。そのため、私は、このような“事件”で唐津市の街づくりやコスメティック構想などが頓挫するのはもったいないと考えている。

 また、坂井市長は、建設会社とゴルフコンペを開催して市職員も数多く参加していたそうだが、それは坂井市長の名前を冠した大会だったそうだ。そして、市長が熱心な後援会員である徳島氏の「古希を祝う会」の発起人に名を貸したことも問題視されているが、それはとりわけ異常なことではない。そのため、市長もそこまで因縁をつけられては、たまったものではないだろう。

 さらに、*3-2のように、佐賀県警は、統一地方選の違反取締本部を設置して、本部と県内10署の1160人態勢で取り締まりに当たるそうだが、選挙になると、このように警察が総出で公職選挙法違反として文書頒布や文書掲示を厳しく摘発するのは、警察権力が憲法の言論の自由・表現の自由・民主主義を阻んでいるものであるため、公職選挙法の妥当性を見直し、運用を点検することが、重要である。

(4)何が変なのか ← メディアと国民の問題である
 *4-1のように、朝日新聞は社説で「政治とカネ 疑惑の連鎖を断ち切れ」という記事を書いている。しかし、その根拠となっているのは、①西川前農水相、望月環境相、上川法相が、補助金交付対象企業から禁止された期間内に寄付を受けていた ②下村文科相を支援する団体が政治団体の届け出をしないまま活動していた ③西川氏は寄付を受けた企業から顧問として報酬を受け取っていた ということで、現在、これを違法行為とする法律的根拠はない。

 そして、現在は20年前と異なり、団体から政治家への寄付の額が小さくなり、後援会や政党支部の決算公開も進んでいる。それにもかかわらず、フクシマ原発事故の真実は、何一つまともに報道できないメディアが、政治家はすべて金に汚いかのように、*4-1や*4-2のような記事を書くのはおかしく、これは、権力を批判するポーズにすぎない。

 そして、日頃から、このような報道しか目にしない国民が、選挙時にのみ主権者として妥当な判断ができると考えるのこそ、甘いと言わざるを得ない。

<西川農林水産相の事例>
*1-1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20150225&ng=DGKKASFS24H78_U5A220C1PP8000 (日経新聞 2015.2.25) 農相問題、攻める野党 予算委開けず、首相の任命責任を追及 予算案の年度内成立難しく
 国会は24日、西川公也前農相が自らの政治資金問題で辞任したことを受け、2015年度予算案の審議日程をめぐる与野党の攻防が激化した。民主、維新両党は「政治とカネ」の問題の徹底追及で足並みをそろえ、今後は安倍晋三首相の任命責任に的を絞る。14年度内の予算案成立は困難な情勢で、政府・与党は暫定予算の編成作業を検討する。「西川氏は全く反省がみられない。引き続き説明責任を求める」。民主党の岡田克也代表は24日の常任幹事会で訴えた。維新の党の江田憲司代表も代議士会で「首相の任命責任、西川氏の説明責任にけじめをつけるのが大事だ」と強調した。民主、維新両党など野党5党は国会対策委員長会談で、農相辞任後も西川氏をさらに追及する方針を確認。24日に予定していた衆院予算委での15年度予算案の一般質疑に応じなかった。野党側は(1)首相と全閣僚が出席する衆院予算委の基本的質疑をやり直す(2)西川氏が顧問料を受け取っていた企業のリストを提示する――ことを要求し与党側もこれに応じた。25日の予算委の再開で合意した。野党側が特に重視するのが、法律が禁じる1年以内に国の補助金の交付決定を通知された企業からの献金を西川氏が代表を務める政党支部が受領した問題。西川氏が09年衆院選で落選した後、この会社の顧問に就任しており、野党側は「補助金の受領を認識していたのではないか」「顧問料は事実上の寄付だったのではないか」と批判の矛先を向けている。民主、維新両党は昨秋の臨時国会で、当時の小渕優子経済産業相、松島みどり法相の政治資金問題をめぐって共闘したが、今国会では連携を控えてきた。1月の民主党代表選で岡田氏や細野豪志政調会長が野党再編を巡るやりとりを公にし、維新内で民主党への不信感が強まったためだ。西川氏の顧問就任をめぐる疑惑は、20日の衆院予算委で維新の村岡敏英氏がただしたのが発端だっただけに維新は攻勢を強める。24日の与野党協議では、維新の馬場伸幸国対委員長が農相問題とは直接関係がない同日の衆院本会議まで先送りすべきだと主張し、民主が同調する場面もあった。一般的に国会審議では「閣僚が辞任したら疑惑は幕引き」とするケースが多くみられるが、今回は野党側が早期の幕引きに応じる気配は薄いとみられる。与党側は15年度予算案の年度内成立に向け、各党の協力を得る必要があるとして野党側の主張を受け入れた。自民党の佐藤勉、公明党の大口善徳両国対委員長らは24日、国会内で今後の対応を協議し、年度内の予算案の成立をめざす方針を確認した。与党内には「年度内成立は客観的にみて厳しくなった」(大口氏)との見方が強まっており、暫定予算編成も検討する。

*1-2:http://mainichi.jp/select/news/20150224k0000m010082000c.html
(毎日新聞 2015年2月23日) 西川農相辞任:「農政へ影響ない」農水省、不安解消に躍起
 西川公也農相の突然の辞任に、農林水産省には驚きが広がった。自民党農林族のベテランで、農相就任前から環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉に関わってきた西川氏だけに、交渉への影響も懸念される。後任には、前農相で自民党農林水産戦略調査会長を務めている林芳正氏が就任。同省は「農政への影響はほとんどない」(農水省幹部)と、不安の打ち消しに躍起になっている。西川氏は自民党農林族で、農産物の自由化に反対するなど保守的な姿勢も強かったが、昨年9月の農相就任後は、農協改革を積極的に推進するなど、省内からは「改革の先頭に立ってくれた」との評価もある。TPP交渉では、農相就任前から自民党TPP対策委員長として各国と、コメや牛・豚肉など日本が関税維持を主張する農産物重要5項目を巡る調整を進めてきた。西川氏は23日夕、首相に辞表を提出後、記者団に「(内閣の)外に出ても、関わり方はあると思う」と述べ、閣外から農政に関わっていく意欲をみせた。ただ、辞任の記者会見は開かなかった。TPPの交渉が大詰めを迎えており、3月中に農協改革関連法案を国会に提出するための作業を農水省は急いでいる。「法案作成の作業は粛々と進めており、農相交代の影響はない」(同省幹部)としているが、後任の林氏は西川氏辞任の影響を最小限にすることを求められる。林氏は、昨年9月に西川氏と交代するまでの1年8カ月、農相を務めた。農家が農業だけでなく、加工や販売などを担う農業の「6次産業化」の重要性や、積極的に輸出などを推進する「攻める農業」を訴えてきた。また、自民党の農林水産戦略調査会長として、TPP交渉の内容も把握しており、ある農水省幹部は「政策の継続性の観点からも全く問題ない」と、農相交代を冷静に受け止めた。林氏は23日夜、農水省10+件で記者会見し「政策を着実に進めていく。これが自分に課せられた使命だ」と語り、農政に混乱が生じないよう全力を尽くす姿勢を強調した。

*1-3:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11621137.html
(朝日新聞 2015年2月26日) 首相「国民に申し訳ない」 新たな資料、国会提出へ 西川氏辞任
 西川公也・前農林水産相の辞任を受け、野党は25日の衆院予算委員会で安倍晋三首相に対し、西川氏をめぐる政治資金問題をただした。首相は違法性について改めて否定したが、任命責任を認めて陳謝した。26日に西川氏に関する新たな資料が国会に示される予定で、野党の追及がさらに強まる可能性もある。予算委の冒頭、首相は「私が任命した閣僚が交代する結果を招き、国民の皆さんに大変申し訳ない」と述べた。民主党の馬淵澄夫氏は、西川氏が代表を務める自民党支部に、国の補助金の交付決定通知を受けた木材加工会社が寄付をしていた問題を挙げ、「この問題を西川大臣の辞任で終わらせていいのか」と迫った。首相は「西川大臣は(補助金交付を)『知らなかった』と答弁している。違法状態が続いたということではない」と強調。「大臣、国会議員に関わらず、説明責任をさらに求められるのであれば果たしていくのは当然だ」と語った。共産党の穀田恵二氏は西川氏が「いくら説明しても分からない人は分からない」と述べたことを問題視。首相は「西川氏も『国民の皆さんにはなかなか理解してもらっていない部分があるが、これから一生懸命説明していきたいと思う』という話だった」と述べた。26日の同委理事会には、野党側の要求で、西川氏が顧問を務めていた企業や報酬の一覧表が示されるが、どこまで詳細が明らかになるかは不透明だ。野党側は引き続き、西川氏を参考人として、予算委に出席するよう求める。

*1-4:http://www.nikkei.com/paper/related-article/?b=20150225&c=DM1&d=0&nbm=DGKKASFS24H78_U5A220C1PP8000&ng=DGKKASFS24H5F_U5A220C1PP8000&ue=DPP8000 (日経新聞 2015.2.25) 党農水調査会長、林氏から西川氏に 自民が入れ替え
 自民党は24日、政治資金問題で辞任した西川公也前農相を党農林水産戦略調査会長に充てる方針だ。西川氏の後任で農相に就任した林芳正氏がこれまで同調査会長を務めており、西川氏と林氏が入れ替わる形となる。西川氏は党でも法案の審査などを通じて、安倍晋三首相が意欲を示す農協改革に取り組む。林氏は党税制調査会(野田毅会長)の非公式会合(インナー)や安全保障法制整備に関する与党協議会のメンバーも務めていた。党は後任を林氏と同じ参院議員を充てる方向で人選を急ぐ。

*1-5:http://www.nikkei.com/paper/related-article/?b=20150228&c=DM1&d=0&nbm=DGKKASFS27H5C_X20C15A2PP8000&ng=DGKKZO83792020Y5A220C1PP8000&ue=DPP8000 (日経新聞 2015.2.28) 政治献金の規制とは
▼政治献金の規制 政治資金規正法は第22条の3で、国から補助金を受け取っている会社が交付決定の通知から1年以内に、政治活動に使うため寄付することを禁じている。寄付の受け手は「規定違反を知りながら、これを受けてはならない」とし、補助金交付を知らなければ違法とはみなされない。22条の5は外国人や外国法人からの政治献金の受け取りも禁じるが、献金者が外国人だと受け手が知らなかった場合の規定はない。

<下村文科相の事例>
*2-1:http://the-liberty.com/article.php?item_id=9272
(The Liberty Web 2015.2.26) 【速報】下村博文文科相が「違法献金」 週刊文春報じる
 下村博文・文部科学相が、塾業界から「違法献金」を受けていると、26日発売の「週刊文春」(3月5日号)が報じた。記事では、「収支報告書の虚偽記載や、場合によっては詐欺に当たる可能性がある」と指摘する専門家のコメントを紹介。政治とカネの問題で、農林水産相の西川公也氏が辞任したばかり。今後、下村文科相への追及が本格化しそうだ。
●政治資金規正法に抵触する可能性
 5ページにわたって掲載された記事によると、「博友会」という名前を冠した下村氏の後援会は10団体存在するが、このうち政治団体として届け出があるのは、東京都選管に届け出がある東京の博友会だけ。その他の「近畿博友会」「九州・沖縄博友会」などは、政治団体として届け出がないが、地域ごとに定期的に下村氏を招いて講演会を開いたり、年会費を集めている。例えば、近畿博友会では、2013年春に大阪で講演会を開き、1人2万円の会費で、約200人が集まったという。問題とされているのは、こうした形でお金を集めた後援会などから、下村氏が代表を務める「自民党東京都第11選挙区支部」に寄付されている可能性があるという点。政治資金規正法では、「特定の公職の候補者を推薦し、支持し、又はこれに反対することを本来の目的とする団体」は政治団体となるため、届け出をして、毎年、資金の流れを政治資金収支報告書に記載し、提出する必要がある、という点に抵触する可能性だ。記事では、「例年博友会で複数の講演会が催されていることから、その際は講演料を『裏金』として受け取っていた可能性がある」とも指摘する。
●教育関係者の「カネ」と「票」集めが狙い!?
 本欄でもこれまでに、下村氏が、補助金を交付していた学校法人から違法性の高いカネを受け取っていたり(2014年11月20日付朝日新聞夕刊)、医学部新設を認めた大学から「講演会」名目でカネを集める(「フライデー」2014年10月7日号)など、政治家や大臣という立場を利用して、利害関係者から露骨な「カネ集め」をしていた実態を紹介してきた。今回の記事が事実であれば、下村氏は、弱い立場の学校や教育関係者から、さまざまな形でカネ集めをすると同時に、教育行政に利害のある人々の票集めをしていたことになるのではないか。
●幸福の科学大学の「不認可」は憲法違反の疑い
 下村氏は昨年10月末、学校法人・幸福の科学学園が設立を目指していた「幸福の科学大学」に対して、「不認可」の判断を下した。理由の一つは「霊言を根拠とした教育内容は、学問として認めらない」というもの。もう一つは、同学校法人側に「認可の強要を意図する不正の行為があった」というものだった。だが、こうした下村氏の判断について、識者からは次のような批判の声が上がっている。「特定の宗教に対する好き嫌いの感情を権力行使に結びつけていることになりますので、明らかに信教の自由の侵害であり、政教分離原則違反です。(中略)歴史的経緯を見ても、『信教の自由』は諸々の権利の中で最も重要で、最初に保障されるべきものです」(本誌2015年1月号、洗建・駒澤大学名誉教授インタビューより)。「あくまでも法治国家の住人である一人の自由な言論家の意見であり、幸福の科学を擁護するための発言ではないことを断っておきますが、不認可は法治国家の原則から外れた判断だと感じました。(中略)宗教教育を行おうとする試みを国家が阻止することは、憲法で保障された『信教の自由』『学問の自由』に抵触しており、許されないことだと思います。(中略)文科相は行政府の長として、こうした憲法違反の判断をすべきではないでしょう」(本誌2015年4月号、批評家・小浜逸郎氏インタビューより)。つまり、下村氏の判断は、政府が具体的な学問の定義に踏み込んだ点で憲法違反の疑いが強く、また政府が宗教の教義について価値判断を下したという意味で、「信教の自由」「学問の自由」を侵害した恐れがあるということだ。今回の「政治とカネ」の問題を見ても、やはり下村氏は、教育行政のトップとして不適格な人物だったと言えるのではないか。「教育は国家百年の計」とされるが、安倍晋三首相には、教育行政に適切な人物を就け、日本を世界に誇る国へと成長させていってほしい。

*2-2:http://mainichi.jp/select/news/20150226k0000m040127000c.html
(毎日新聞 2015年2月25日) 下村文科相:無届け団体が資金集め? 週刊誌報道へ
 下村博文文部科学相を講演に呼んで懇親パーティーを開くなどの活動をする「博友会」が、政治団体として選管へ届け出ておらず、政治資金規正法に違反する可能性があると指摘する記事が、26日発売の週刊文春3月5日号に掲載される。同誌は、下村氏が代表を務める政党支部が博友会からの寄付を政治資金収支報告書に記載していない疑いがあるとも指摘している。記事によると「博友会」は東北や中部、近畿、九州・沖縄など各地にあり、下村氏の講演会や懇親パーティーを1人2万円の会費で開くなどの活動をしている。政治資金規正法は、政治団体を「特定の公職の候補者の推薦や支持を本来の目的とする団体」と定義し、選管への届け出と政治資金収支報告書の提出を義務づけている。だが、東京以外の博友会は政治団体として届け出ていないという。また、同会の会員から「年会費が下村氏を代表とする自民党東京都第11選挙区支部の寄付として処理されていた」との声が上がっており、一部の「博友会」からの寄付が同政党支部の収支報告書で確認できなかったなどと報じている。同誌によると下村氏の事務所は「各地域にある博友会は有志個人の集まりで、年に1度下村を招いて懇親会をやる程度で、継続的・組織的に政治活動をしていることはない」などと回答したという。また、下村氏は25日、報道陣に「まだ(記事が)出ていないのでコメントできない」と述べた。政治資金に詳しい神戸学院大の上脇博之教授は、毎日新聞の取材に「講演会・懇親パーティーで1人2万円は政治資金パーティーの相場。政治団体として届け出ないまま特定の政治家を支える金銭の収受をしていれば、政治資金規正法に違反する可能性がある。大臣はきちんと説明責任を果たすべきだ」としている。

<佐賀県の事例>
*3-1:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/153645
(佐賀新聞 2015年2月6日) 唐津不正入札 議会特別委で坂井市長「甘かった」
 唐津市発注の公共工事をめぐる不正入札事件の原因を究明する2回目の市議会特別委員会が5日開かれ、坂井俊之市長が初めて出席した。毎年「市長杯」のゴルフコンペを開催、「市職員と建設業者の接点をつくっていた」と指摘されたが、市長は「自分が甘かった。参加者をチェックすべきだった」と陳謝した。昨年10月に開かれたゴルフコンペには、企業後援会の会長を務めた上滝建設元副社長の徳島武彦被告(70)=贈賄罪で起訴=ら建設業者や前企画財政部長の佐伯善春被告(59)=加重収賄罪などで起訴=ら市職員が数多く参加していた。ただ、坂井市長は「私はゴルフはしないので、名前を冠にした大会」として直接的な関与は否定した。また、同月開かれた徳島被告の「古希を祝う会」で発起人を務めたことについて、坂井市長は「あくまで個人で引き受け、私自身が人を集めたというわけではない」と述べた。一方、二つの市民グループから要請が出ている公開説明会開催については「特別委員会に毎回出るつもりだし、市民に向けた説明もこの場でしていきたい」と答えるにとどまった。委員会は市民ら約60人が傍聴。唐津市の畦間優さん(74)は「これだけのことが起きているのに危機感と厳しさが足りない。議会はもっと強い言葉で追及してほしい」と注文をつけた。

*3-2:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/160349
(佐賀新聞 2015年2月25日) 県警、統一地方選の違反取締本部を設置
 佐賀県警は25日、4月の統一地方選に向けた「事前運動取締本部」を設置した。本部と県内10署の1160人態勢で取り締まりに当たる。県警捜査2課によると、今回の統一地方選では看板の掲示違反などで、すでに8件を警告。前回2011年は、文書頒布で3件を摘発したほか、文書掲示など74件の警告を行っている。3月下旬には「選挙違反取締本部」を設置する。

<メディア報道の問題点について>
*4-1:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11625117.html
(朝日新聞社説 2015年2月28日)政治とカネ 疑惑の連鎖を断ち切れ
 安倍内閣の閣僚に、政治献金の疑惑が相次いでいる。国からの補助金交付が決まった企業からの寄付が問題とされ、西川前農水相が辞職したばかり。きのうは、望月環境相と上川法相が代表を務める自民党支部が、やはり補助金交付対象の企業から禁止された期間内に寄付を受けていたことが明らかになった。また、下村文科相を支援する団体が政治団体の届け出をしないまま活動していることが違法ではないかと週刊誌で報じられ、国会で民主党などから追及を受けている。望月氏は、企業が補助金を受けていることは知らなかったなどとして「法には触れない」。下村氏は「世上いわれるような政治活動をする後援会とは全く違う」と説明する。安倍首相も、問題はないとの認識だ。しかし、単に「知らなかった」ですませられる問題なのか。辞めた西川氏は、寄付を受けた企業から顧問として報酬を受け取っていたことも明らかになった。野党が厳しく追及するのは当然である。この種の問題が発覚するたびに、政治資金規正法の限界が指摘されてきた。改正を重ねても、政治とカネをめぐる不祥事は尽きることがない。疑惑の連鎖を断ち切るためには、問題の根っこから改めることが必要だ。企業・団体献金の禁止である。1994年の一連の政治改革では、5年後に政治家個人への企業・団体献金を禁止し、政党への寄付のあり方についても見直すと決められた。確かに、99年の政治資金規正法の改正で政治家個人への企業・団体献金は禁止された。だが、大きな抜け穴がいまだに温存されている。政治家が代表する政党支部への企業・団体献金が、いまだに認められているのだ。今回、西川前農水相や望月環境相、上川法相が問題にされている寄付は、まさにこの政党支部に寄せられたものだ。企業や団体が献金を通じて政治家とつながれば、癒着や腐敗を招きやすい。そのもとを断ち、国民1人あたり250円分の税金による政党助成と個人献金を中心に政治を支えるようにしていく。国会は20年前そう説明していたのではなかったか。おりしもきのう、維新の党が企業・団体献金を全面禁止する法案を衆院に出した。20年前の「約束」を実行に移す時ではないか。安倍首相をはじめ与党も、その他の野党も、明確な態度を示すべきだ。

*4-2:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20150228&ng=DGKKASFS27H5C_X20C15A2PP8000 (日経新聞 2015.2.28)
環境相・法相に飛び火、補助金企業から献金 「交付知らず」違法性否定
 閣僚の政治献金問題が27日、望月義夫環境相と上川陽子法相に飛び火した。いずれも政治資金規正法が禁じる国の補助金の交付が決まった企業から献金を受けていたもので、辞任した西川公也前農相と同じ構図だ。望月、上川両氏とも「補助金交付を知らず、違法性はない」と釈明。西川氏に続く閣僚の進退問題につながらないよう政府・与党は沈静化を急いだ。「西川前農相と全く同じ。違法献金だ」。27日の衆院予算委員会で、民主党の後藤祐一政調副会長は、国の補助金を受けた総合物流業の鈴与が望月、上川両氏に献金していたと追及した。
●「同じ構図」指摘
 鈴与は望月、上川両氏の地元、静岡県に本社を置く。2013年3月に国土交通省事業で4200万円、同年8月に環境省事業で1億7000万円の補助金の交付が決まった。望月氏に13年12月に140万円、上川氏には13年3月から12月にかけて計60万円を、それぞれが代表を務める党支部に献金した。これが補助金交付の決定から1年以内の政治献金を禁じた政治資金規正法に抵触するとの指摘だ。望月、上川両氏は補助金交付を認識していなかったとして「違法性はない」と弁明した。望月氏は26日に献金を返金し、上川氏も「これまで指摘がなかった。調査したうえで対応する」と語った。望月氏は環境省事業の補助金交付を決めたのは国ではなく一般社団法人「低炭素社会創出促進協会」だとして「政治資金規正法の規定には当たらない」とも説明した。補助金交付先からの献金は、西川氏が代表を務める党支部も受領した。西川氏も献金した木材加工会社が補助金を受けた認識はなかったと説明した。その後、同社の顧問をしていたことが明らかになり農相を辞任した。望月氏は鈴与と顧問契約はないとしている。
●火消し急ぐ
 補助金交付企業の献金と同様、政治資金規正法が禁じながら陥りやすいのが外国人献金だ。26日には下村博文文部科学相が大阪の企業や個人から計96万円の献金を受けたことを明らかにした。予算委で安倍晋三首相は「民主党も外国人献金がずいぶん問題になった」と菅直人元首相らの外国人献金問題に触れつつ、献金者が外国人かどうか「分からない場合がある」と下村氏を擁護した。下村氏をめぐっては、学習塾の経営者らの団体「博友会」が政治団体の届け出をせずに、献金などで下村氏を支援していたとの指摘もある。下村氏は予算委で「政治資金を集めるような団体ではない」と否定したが、野党は献金の違法性を否定していた西川氏の辞任で「閣僚辞任のハードルが下がった」(民主党幹部)と勢いづく。政府・与党は閣僚の進退問題に発展する事態を避けたい考え。首相は「補助金は知っていたかどうかが要件で、冷静に議論すべきだ」と強調し、自民党の谷垣禎一幹事長も記者会見で「法律に照らして全く問題がない」と火消しに努めた。

| 報道の問題点::2012.11~ | 02:33 PM | comments (x) | trackback (x) |
2015.1.15 「表現の自由」は、人格権の侵害に優先しない ← メディアの歪んだ「表現の自由」と対象にされた人への「侮辱」「人格権の侵害」の関係から (2014年1月16日に追加あり)
    
            *1-2より                          *2-1より
(1)「表現の自由」は、「名誉棄損」「侮辱」「人格権の侵害」に優先しないこと
 1月8日に、パリ南部で仏週刊新聞「シャルリー・エブド」が襲撃を受け、記者ら12人が殺害された事件は、*1-1のように、多くの死亡者を出した後一段落したが、フランスの警戒態勢は現在も厳しい。

 そして、この事件直後の1月11日、*1-2のように、「表現の自由」を尊重し、テロとの戦いを協力して進めることを確認して、「ペン(言論・表現の自由)は銃に負けない」「協力してテロとの戦いを進める」というメッセージを表現するため、オランド大統領、メルケル独首相、キャメロン英首相、レンツィ伊首相、ラホイ・スペイン首相らが腕を組んで行進し、これにイスラエルのネタニヤフ首相、パレスチナ自治政府のアッバス議長ら約50カ国・地域の首脳・閣僚が参加して「反テロ行進」を実施した。そして、広場に集まった市民は100万人規模に上った。

 それに対して私が違和感を感じたのは、テロの原因となった多くの風刺画や記事の妥当性の評価は一切せずに、メディアは何を書こうと「表現の自由」だとした点だ。しかし、欧米が準備した世界で最も理想的な憲法と言われる日本国憲法では、「表現の自由」「言論の自由」は保障するが、それは個人の「名誉棄損」「侮辱」「人権侵害」に優先するものではないとされており、私は、それが正しいと考えている。

 仏週刊新聞「シャルリー・エブド」は、「私たちは表現したいものを表現しているだけ」として、メディアであるにもかかわらず、それによって誰かの名誉を棄損したり、人権侵害をしたりするかもしれないという考察は全くない。そして、事実か否かには関係なく風刺画を描いているため、その風刺画は、むしろ掲載して妥当性について皆で評価すべきである。これは、キリスト、マリア、ローマ法王、仏陀、エリザベス女王、天皇などが同じ様な笑い物の風刺画にされたら、眉をひそめる人が多いのと同じだ。

 私は、もちろん「表現の自由」「言論の自由」は重要だと思っているが、それはまともに「イスラム教の内容は現代社会に合っていない部分が多いから改善したら?」というような議論をする自由だと考える。しかし、事実でもないことを馬鹿にした風刺画にして表現するのは、イスラム教を信じている人に失礼であり、そもそも「表現の自由」「言論の自由」は、そのようなために保証されているのではない。

(2)移民とその受け入れ国について
 *1-4のように、仏週刊紙「シャルリー・エブド」襲撃事件の後、反イスラム感情をかき立てる動きが欧州に広がり、「反イスラム」デモがあったそうだが、このような問題が起こっているのは、むしろ移民に国を開放している地域であるのが皮肉なことである。

 しかし、「異文化に対する寛容さが大切」とは言っても、女性には職場や学校を含むあらゆる場所でベールや黒づくめの服で体を覆わせ、そうしなければ批判し、女性には教育もさせないなどの時代錯誤の習慣が広められては困る上、そちらの集団の方が子供が多く、将来はそればかりになりそうなのも問題だ。

 つまり、移民になる人は、郷(行った国)に入っては郷(行った国の文化)に従うのでなければ、受け入れた国の文化がかき乱されて迷惑であるし、イスラム教も紀元600年頃に成立した当初とは社会状況が変化しているため、変わるべきなのである。

(3)ソニー・ピクチャーズの「ザ・インタビュー」も、殺人を示唆しており人権侵害である
 *2-1のように、北朝鮮の金正恩氏暗殺のコメディー映画「The Interview(ジ・インタビュー)」は、米ソニー・ピクチャーズエンタテインメント(SPE)が、大規模なサイバー攻撃にさらされて一旦公開中止を決めた後、「表現の自由」と囃したてられ、米国内の200カ所以上の映画館で上映されることになった。そして、SPEのマイケル・リントン会長兼最高経営責任者(CEO)が「言論の自由の抑圧に対して立ち上がった」とコメントしている。

 しかし、北朝鮮が脱北者に対して非人道的な処罰を行い、日本人を拉致して帰さないことと、金正恩第1書記を暗殺する映画をコメディーにすることとは別問題である。これは、各国首脳の暗殺計画がコメディー映画として多数の映画館で上映されたり、ゲームになったりすれば、亀裂が深まることを考えればわかる筈で、政治家だったり、トップだったりする人には侮辱や人権侵害をしてもよいという法律はない。そして、そのようなことをされれば、その国の人にとっては気持が良いわけがないため、*2-3のようなことが起こっても少しも不思議ではなく、ここから深刻な亀裂に発展する恐れもあるのである。

 もちろん、北朝鮮の問題についても、「言論の自由」や「表現の自由」はあるが、それは、*2-2、*2-4のように、安全保障問題や人権問題として議論したり記述したりする自由であり、生存している一国のリーダーの暗殺計画をお笑いにする自由ではない。

<シャルリー・エブド社襲撃事件について>
*1-1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20150110&ng=DGKKASGM09H8I_Z00C15A1MM8000 (日経新聞 2015.1.10) 仏紙銃撃の容疑者死亡 部隊突入、人質を救出 別の籠城でも容疑者死亡
 パリで起きたフランス週刊紙銃撃事件で9日、逃走しているアルジェリア系フランス人の兄弟がパリ北東の印刷工場に人質を取って立てこもった。一方、パリ南部で8日発生した別の銃撃事件に絡み、逃走していた実行犯とみられる男がパリ東部の商店に籠城した。9日午後5時すぎ(日本時間10日午前1時すぎ)、仏特殊部隊は2つの立てこもり地点に一斉に攻撃を開始、容疑者3人が死亡したもようだ。仏北東部の現場では、特殊部隊が包囲し、爆発音が聞こえるほか、煙が上がっている。仏メディアによると、兄弟は特殊部隊の攻撃で死亡。人質は無事という。カズヌーブ内相は9日午前、北東部ダマルタンアンゴエルで立てこもっている男らが週刊紙銃撃事件の容疑者兄弟と認めた上で「制圧する作戦が進行中だ」と述べていた。兄弟が立てこもっている際に「殉教したい」と語ったとの報道もある。女性警官が死亡した8日朝のパリ南部での銃撃事件では、実行犯とみられる男は9日昼すぎ、パリ東部バンセンヌの商店に押し入り、人質を取って立てこもった。仏部隊の攻撃で実行犯は死亡したと仏紙が報じた。複数の人質が保護された。

*1-2:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20150112&ng=DGKKZO81849440S5A110C1MM8000 (日経新聞 2015.1.12) 欧州首脳、反テロで結束 パリで100万人デモ行進
 フランスの週刊紙銃撃事件など一連のテロを受け、欧州各国の首脳は11日、パリで一堂に会し、対テロで結束することで一致した。午後からオランド仏大統領の呼びかけで、パリで「反テロ行進」を実施。国際社会が「表現の自由」を尊重し、テロに屈しない姿勢を示した。欧米のテロ担当閣僚は同日、テロを事前に防ぐ対策強化で一致し、共同宣言を発表した。オランド大統領を中心にメルケル独首相、キャメロン英首相、レンツィ伊首相、ラホイ・スペイン首相らが腕を組み行進した。パレスチナ問題で対立するイスラエルのネタニヤフ首相、パレスチナ自治政府のアッバス議長ら、約50カ国・地域の首脳・閣僚が参加した。共和国広場に集まった市民は100万人規模に上ったようだ。行進前には、オランド大統領が各国首脳らを大統領府(エリゼ宮)に招き、各国がテロとの戦いを協力して進めることを確認した。テロ対策を話し合う国際会議も同日開かれ、欧米12カ国の閣僚が出席した。採択した共同宣言には、インターネット事業者と協力し、テロにつながりうる情報を早期収集する仕組みの構築のほか、欧州の国境警備の強化、航空機に搭乗する顧客の情報収集を進めることを盛り込んだ。カズヌーブ仏内相は会議後、「合意事項を実行に移し、テロ防止につなげたい」と強調した。

*1-3:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11549127.html
(朝日新聞 2015年1月14日) (時時刻刻)風刺か、侮辱か 仏紙、「涙のムハンマド」掲載へ
 襲撃を受けて記者ら12人が殺害された仏週刊新聞「シャルリー・エブド」は、14日に発行する特別号で、イスラム教の預言者ムハンマドの風刺画を掲載する。暴力に屈しない姿勢を示すという。一方で、事件発生後、風刺画を転載するかどうかをめぐって世界のメディアの対応は分かれている。
 「私たちは表現したいものを表現しているだけ」
 14日号の表紙の預言者ムハンマドの風刺画を描いた「ルズ」こと風刺漫画家レナルド・ルジエさん(43)は、13日夕に会見し、こう語った。数多くの同僚が殺害されただけに、憔悴(しょうすい)した様子で、時折大きく息をつきながら話し続けた。預言者はルジエさんが何度も描いてきた。特別号の表紙も自然に仕上げたという。ただ、描きながら涙がこぼれた。仏メディアによると、7日はルジエさんの誕生日で、出勤前にケーキを買いに行き、難を逃れたという。ルジエさんは「表現の自由は、表現の自由だ。『自由だ。だけれど……』などと留保をつける必要はない」とも語った。特別号の表紙は、「すべては許される」という見出しがつけられている。そこに、目から涙粒をこぼしながら、悲しそうな表情の預言者ムハンマドが、白い衣装をまとい、胸の前で連続テロに抗議する合言葉「私はシャルリー」が書かれたプラカードを掲げている。ジェラルド・ビアード編集長は13日、仏ラジオで「我々の預言者の表情は、過激派が体現する預言者よりもずっと優しい。表紙はテロの恐怖を表すものではなく心を揺り動かすもの、けれども(読者を)悲嘆させないものを選んだ」と説明した。同紙が、特別号であえて預言者を描くのは、テロや暴力に屈しない姿勢を示すためだ。同紙の弁護士は仏メディアに「我々は一切譲歩しない」と述べた。特別号の発行部数は海外向け30万部を含む300万部。仏語以外に少なくとも5カ国語で発行されるという。同紙は「デジタル版でアラビア語版も出す」という。日本語版が発行されるかは不明だ。
■転載見送り、米・欧で イスラム教徒に配慮・テロ懸念
 米ニューヨーク・タイムズは、事件発生を伝えた8日付の紙面でイスラム教関連の風刺画は載せず、代わりにオランド仏大統領らを描いた表紙を掲載した。読者からは「表現の自由の大切さを示すためにも、問題の漫画を載せるべきだ」という批判も寄せられたという。ディーン・バケー編集主幹は読者代表を務めるパブリックエディターに対し、多くの記者や編集者の意見を聞いたうえで、自分で判断したと説明。「読者、特にイスラム教徒の読者の受け取り方を考えて決めた。侮辱と風刺の間には境界があり、これらの多くは侮辱だ」と語った。イスラム過激派による暴力を懸念して、掲載を見送るメディアもある。05年9月に預言者ムハンマドの風刺画12枚を掲載して反発を招き、一連の風刺画問題の発端になったデンマークの保守系紙ユランズ・ポステンは9日、「シャルリー・エブド」が掲載した預言者の風刺画の転載をしないと社説で表明した。ロイター通信によると、ユランズ・ポステンは「我々は、テロ攻撃を受ける恐怖と共に9年間生きてきた。これが、私たちのものであろうと『シャルリー・エブド』のものであろうと再掲しない理由だ」と説明。「暴力や脅迫に屈することになるのはわかっている」とも記した。同紙は06年1月に反発を招いた風刺画の掲載を謝罪したが、デンマークの在外公館への放火や抗議活動が続いた。同紙は、いまも過激派に狙われている。ドイツでは今月11日、「シャルリー・エブド」の風刺画を転載した大衆紙「ハンブルガー・モルゲンポスト」が放火される事件が起きた。一方、フランスでは、保守系のフィガロを含むほぼすべての主要紙が、発生翌日の8日付の紙面でイスラム教や預言者ムハンマドの風刺画を転載した。ルモンドは9日付の紙面で宗教を扱ったイラストばかり6点を集めたページを設けた。アルノー・ルパルモンティエ副編集長(47)は「女性の裸など下品なものは除外し、イスラム教だけでなくキリスト教などを扱った風刺画も選ぶようにした」という。朝日新聞は「シャルリー・エブド」が出版した風刺画について、一部をのぞき、掲載を見送っている。長典俊ゼネラルエディターは「表現の自由は最大限尊重する。特定の宗教や民族への侮辱を含む表現かどうか、公序良俗に著しく反する表現かどうかなどを踏まえて判断している」と話している。
■<考論>表現の自由、例外も
 山田健太・専修大学教授(言論法)の話 表現行為に対する暴力が絶対に許されないのは言うまでもない。また、表現の自由が重要であることはどの国も変わりなく、世界の共通認識だ。その中でどのような例外を設けるかが、国によって変わってくる。欧州における例外は人種差別表現だ。ナチス・ドイツによるユダヤ人排斥の反省から各国が戦後、法律によってこの例外を決めた。イスラム国家での例外は宗教に関すること。まさに今回の問題は例外をどう扱うかが問われている。日本ではこの例外にあたる表現をあえて設けてこなかった。歴史的にはマスメディアが自主的に限界について「模範を示す」形で社会が合意してきた経緯がある。今回もほとんどのメディアが問題となった風刺画の掲載をしていないのは、そうした流れにあるものだ。
■<考論>尊厳認め合う必要
 長沢栄治・東大東洋文化研究所教授(中東地域研究)の話 偶像崇拝を禁じるイスラム教では、預言者ムハンマドの姿を描かないこと自体が信仰の表れだ。絵に描くことは一般的なイスラム教徒には受け入れ難く、その絵で侮辱するなどというのはあり得ない。一連の事件について、中東のイスラム諸国もテロを批判しているが、イスラム諸国の首脳や宗教指導者は、内心は欧米社会が過剰に表現の自由を振りかざすことにわだかまりを持っているはずだ。異なる価値観や宗教的背景を持つ人同士がわかり合うためには、人間の尊厳とは何かという点から議論を始めるべきだ。絶対的正義が自分の側にあると一方的に押しつけるべきではない。尊厳を認め合うための文明間の対話を、恒常的に続ける必要がある。

*1-4:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11549198.html
(朝日新聞 2015年1月14日) 排外と融和、デモ応酬 欧州、反イスラム拡大 仏紙襲撃事件
 仏週刊紙「シャルリー・エブド」襲撃事件の後、反イスラム感情をかき立てる動きが欧州に広がっている。ドイツ東部ドレスデンで12日夜、事件後初めてとなる大規模な「反イスラム」デモがあり、参加者は過去最多の約2万5千人(地元警察発表)に膨れ上がった。対抗して「寛容な社会」を訴える集会もドイツ各地であり、参加者は全国で約10万人に達した。12日夜、旧東独の古都ドレスデンの広場は国旗やプラカードを持った人々であふれた。「西洋のイスラム化に反対する愛国的欧州人」(通称ペギーダ)を名乗る団体の反イスラム集会。参加者の腕や胸には、仏紙襲撃事件の犠牲者を悼む黒いリボン。同紙の風刺画を掲げた人もいる。壇上の男性が声を張り上げた。「パリの事件は我々の(反イスラムの)行動が正しいと証明した」。ペギーダは昨年10月から、毎週月曜にデモを開催。当初の数百人から規模を急拡大した。デモでは「イスラム化阻止」をスローガンに排外的な主張が目立つ。多くの参加者は一見して、老夫婦や若いカップルなど普通の市民たち。記者が話を聞くと、職業も年金生活者からサラリーマンまで様々で、デモ初体験という人もいた。地元報道によると、当局は極右組織の関与を確認したというが、ペギーダ側は否定している。ペギーダに呼応し、類似団体が次々と生まれており、小規模のデモを各地で繰り返す。背景には、経済格差が残る旧東独を中心に、豊かさと職を求めて流れ込む難民や移民への根強い反感がある。一方、ドイツでは、ナチスの過去の反省から人種差別や偏見に厳しい風潮がある。イスラム系移民が人口の5%を占め、難民の受け入れにも積極的に取り組んできた。DPA通信によると12日には、東部ライプチヒで約3万人や南部ミュンヘンで約2万人、首都ベルリンで約4千人など各地でペギーダに対抗する集会を開催。全国で計約10万人とペギーダを圧倒した。ペギーダの動きはドイツにとどまらない。スペインでは、マドリードのモスクの前で12日に集会を開くと呼びかけた。だが直前になってツイッターで「当局の許可が出なかった」と中止を表明した。「不寛容」に反対する地元の市民団体は、朝日新聞の取材に「この数週間、イスラム憎悪の動きがネット社会で生まれてきている。集会も当局に通報した」と話した。AFP通信によると、ペギーダは12日、ノルウェーの首都オスロで集会を開き、約200人が集まった。スイスやオーストリアでも計画があるという。

<ソニー・ピクチャーズの「ザ・インタビュー」について>
*2-1:http://digital.asahi.com/articles/ASGDS2SXKGDSUHBI007.html?_requesturl=articles%2FASGDS2SXKGDSUHBI007.html&iref=comkiji_txt_end_s_kjid_ASGDS2SXKGDSUHBI007 (朝日新聞2014年12月24日)正恩氏暗殺映画、200カ所上映へ オバマ氏、決断称賛
 北朝鮮の犯行とされるサイバー攻撃の引き金になり、公開中止が決まった米ソニー・ピクチャーズエンタテインメント(SPE)のコメディー映画「The Interview(ジ・インタビュー)」が一転して、米国の一部の映画館で上映されることになった。米国内の200カ所以上の映画館が個別に上映を決め、SPEも了解したと23日、米メディアが報じた。AP通信によると、テキサス州の映画館などが上映を決め、SPEもこれを認めた。米CNNによると、他の州でも同調する動きが広がっており、米東部時間23日午後7時(日本時間24日午前9時)で全米の200カ所以上の映画館が公開を決めたという。大半は、当初の予定通り25日から上映する。独立系の映画館が多いという。SPEのマイケル・リントン会長兼最高経営責任者(CEO)は「これはまだ一歩に過ぎないが、言論の自由の抑圧に対して立ち上がったことを誇りに思う」とコメントした。監督兼主演のセス・ローゲン氏は「人々が声を上げた! 自由が勝利した! ソニーはあきらめなかった!」と自身のツイッターに書き込んだ。映画は、北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)第1書記が暗殺されるコメディー。SPEは11月下旬から大規模なサイバー攻撃にさらされ、大量の社内情報が流出した。映画館を攻撃するとの脅迫もあり、劇場側が公開を次々と中止し、12月17日にはSPE自体が上映中止を決定した。米政府は、北朝鮮が国としてサイバー攻撃を行ったと非難。オバマ大統領は19日、ソニー側の判断について「誤りだった」と語っていた。米国では「テロに屈するべきではない」「表現の自由を守るべきだ」などの声が上がっていた。米ホワイトハウスのシュルツ副報道官は23日、北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)第1書記が暗殺されるコメディー映画の上映に、一部の映画館で踏み切ることにしたソニー・ピクチャーズエンタテインメント(SPE)と映画館の決定を支持する声明を発表した。シュルツ氏は「大統領はソニーの決断を称賛している」とした上で、「人々は映画について自ら選択できるようになる。我々はこの結果を歓迎する」などと述べた。

*2-2:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20141224&ng=DGKKASGM23H5F_T21C14A2FF2000 (日経新聞 2014年12月24日) ソニー「映画公開へ努力続ける」
 ソニー・ピクチャーズエンタテインメント(SPE)の弁護士を務めるデービッド・ボーイズ氏は北朝鮮の金正恩第1書記を題材にした「ザ・インタビュー」について、「ソニーは公開に向けた努力を続けている」と語った。21日に出演した米NBCテレビの番組で明らかにした。現状では公開に応じた映画館も、インターネットでの配信を申し出たビデオオンデマンド業者もいない。ボーイズ氏も公開方法に関しては「未定だ」とした。国連安全保障理事会は22日、北朝鮮の人権問題について、メンバー15カ国中11カ国の賛成により、初めて議論した。シモノビッチ国連事務次長補(人権担当)は、日本人を含む外国人の拉致問題にも言及、「北朝鮮周辺地域の緊張を和らげるには、まず人権問題へのリスペクトがないといけない」とした。一方、当事国の北朝鮮はこの日の会合は欠席し、中国の劉結一国連大使は「安保理は人権問題を取り上げるフォーラムではない」と反対意見を述べた。

*2-3:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20141224&ng=DGKKASGM23H45_T21C14A2FF2000 (日経新聞 2014年12月24日) 北朝鮮、ネット接続不安定、サイバー攻撃受ける? 米「作戦の詳細は公表せず」
 北朝鮮のインターネットが19日から断続的に接続できなくなっていることが22日分かった。米専門家によると、北朝鮮が何らかのサイバー攻撃を受けた可能性もあるという。米国務省のハーフ副報道官は22日の記者会見で北朝鮮への報復を含めた作戦の詳細は「公表しない」と述べ、米政府が攻撃に関与したかへの言及は避けた。攻撃の背後関係は謎のままだが、米朝の対立が深まるのは避けられそうにない。米ネット技術会社のダイン社によると、北朝鮮のネット接続は断続的に不安定になっており、22日には9時間半にわたり完全に停止した。北朝鮮国営の朝鮮中央通信や、朝鮮労働党の機関紙労働新聞のウェブサイトも接続できなかったもようだ。北朝鮮がネット経由で「何らかの攻撃を受けていてもおかしくない」(マドリー・インターネット分析部長)という。北朝鮮には4本の基幹ネットワーク回線があり、4本とも中国を経由している。接続不能の原因としては、標的に多数のアクセスを仕掛けて機能停止に追い込む「DoS攻撃」などを北朝鮮が受けたことが考えられる。外部からのサイバー攻撃だとすれば、中国の回線を経由した可能性がある。だが中国外務省の華春瑩副報道局長は23日の定例記者会見で中国の関与を否定した。そのうえで「米国と北朝鮮は意思疎通してほしい」と述べた。ハーフ氏は22日、北朝鮮のネット状況について「司法当局や米国土安全保障省が状況を注視している」としたうえで「我々は様々な選択肢を検討しているが、作戦の詳細は公表しない」と述べた。「実施した選択肢の一部は表に出るが、一部は出ない」とも付け加えた。ロイター通信によると、複数の米政府関係者は北朝鮮へのサイバー攻撃に米は関与していないと述べた。米紙ニューヨーク・タイムズは北朝鮮自身がサイバー攻撃に備えて遮断した可能性に触れている。ただ、オバマ米大統領は19日、ソニー・ピクチャーズエンタテインメント(SPE)へのサイバー攻撃に北朝鮮が関与したと断定。テロ支援国家への再指定も視野に「相応の対応を取る」と北朝鮮に対抗措置を取ると警告した。北朝鮮の攻撃封じ込めのため、日中韓などにも協力を呼びかけている。米国は今回の北朝鮮へのサイバー攻撃に関与したかをあえて否定も肯定もせず、対抗措置を視野に入れ続けていることを強調した。一方、北朝鮮の国防委員会は21日「サイバー戦を含むすべての戦争で米国と対決する万端の準備を整えている」との声明を発表している。

*2-4:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20141224&ng=DGKKASGM23H6L_T21C14A2FF2000 (日経新聞 2014年12月24日) 北朝鮮人権問題 安保理で初議論
 国連安全保障理事会は22日、北朝鮮の人権問題について、メンバー15カ国中11カ国の賛成により、初めて議論した。シモノビッチ国連事務次長補(人権担当)は、日本人を含む外国人の拉致問題にも言及、「北朝鮮周辺地域の緊張を和らげるには、まず人権問題へのリスペクトがないといけない」とした。一方、当事国の北朝鮮はこの日の会合は欠席し、中国の劉結一国連大使は「安保理は人権問題を取り上げるフォーラムではない」と反対意見を述べた。


PS(2014年1月16日追加):ローマ法王が、*3のように、「神の名のもとに人を殺すのは、常軌を逸しており、正当化できない」「自分の母親が侮辱されたら殴りたくなるものだ」「人の信仰を挑発したり、侮辱したり、笑いものにするべきでもない」と述べられたのは、全くその通りである。しかし、その内容を、NHKは「信仰に関わる場合、表現の自由には限度がある」というように、信仰という狭い範囲に対象を限定して表現の自由の限度について報道しているのが意図的であり、これは日本のメディアがいつもやっている「表現の自由」という言葉の乱用に対する自己防御である。

*3:http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150116/k10014723061000.html
(NHK 2014年1月16日) ローマ法王「表現の自由に限度」
 武装した男らに襲撃されたフランスの新聞社が最新号に掲載したイスラム教の預言者の風刺画について、表現の自由か宗教の尊重かを巡る議論が広がるなか、ローマ法王のフランシスコ法王は、「人の信仰に関わる場合、表現の自由には限度がある」という考えを示しました。今月7日、武装した男らに襲撃され12人の犠牲者を出したフランス・パリの新聞社「シャルリ・エブド」は、事件から1週間後に発行した最新号でイスラム教の預言者ムハンマドの風刺画を掲載しました。フランスでは表現の自由だと肯定的に捉える人が多い一方で、預言者の顔を描くことは教えに反すると考えるイスラム教の国々からは、批判の声が上がり、表現の自由か宗教の尊重かを巡り議論が広がっています。こうしたなか、ローマ・カトリック教会の指導者であるローマ法王のフランシスコ法王は15日、訪問先のスリランカからフィリピンに向かう機中で記者団から事件について尋ねられたのに対し、「神の名のもとに人を殺すのは、常軌を逸しており、正当化できない」と述べました。そのうえで、フランシスコ法王は、「自分の母親が侮辱されたら反応したくなるものだ」とたとえ話を示しながら、「人の信仰を挑発したり、侮辱したり、笑いものにするべきでもない」と述べ、信仰に関わる場合、表現の自由には限度があるという考えを示しました。

| 報道の問題点::2012.11~ | 11:51 AM | comments (x) | trackback (x) |
2013.10.5「妥協が分別」とは質の悪い価値観だ。信念の貫徹こそ苦労を伴う勇気ある分別である。
          
2013.10.4朝日新聞 2013.9.30放射線量      2013.9.24東京新聞

(1)オバマ大統領の医療保険制度改革が間違っているのではない
 *1では、オバマ大統領の医療保険制度改革について、「妥協点を探る良識を失った政治」と書いているが、これは質の悪いメッセージだ。何故なら、妥協することは最も安易な方法で、これ以外には機会のない時に、是非とも志や理念を達成させようというオバマ氏の意志を理解していないからである。もちろん、大きな志を達成するために一時的に妥協することもあるが、このメッセージはそれではない。

 私は、アメリカの民主党政権が医療保険制度の改革を試みては失敗し、*4のように、オバマ氏がその推進を公約して2008年のアメリカ大統領選挙で当選し、翌年に上下両院で議会を通過し、2010年3月に大統領が署名して成立できたことは、アメリカ国民のために大変よいことだったと思う。この歴史的変革を貫徹すべく、あらゆる障害を乗り越えようとしているオバマ氏を励ましたい。

 また、*1では、「福祉を重んじ、財政再建に増税も組み入れる民主党は『大きな政府』」「国の支出減で赤字を減らし、減税もめざす野党共和党は『小さな政府』」としているが、これは「大きな政府」と「小さな政府」の間違った定義だ。「『大きな政府』の原因は福祉であり、これを削って『小さな政府』にすべきだ」というのもおかしい。福祉は人の命を助けるために必要なものであり、削るべきは、景気対策と称して誰かを儲けさせるために行う有効性・生産性の低い支出だからである。

 さらに、*1には、「問題は、その違いを認めつつ折衷策を築く政治の知恵が働かないことだ」と書かれているが、足して2で割るというのは、よく日本の官僚が使う最も簡単な政策調整方法であり、これにより本質が消え失せ、やるべきこともできなくなる。これを「知恵」と呼ぶのは、知恵も理念もない人間だ。

(2)それができる唯一の機会に万難を排して行うことは、勇気ある行為である
 *1のような「妥協が知恵」などという論調は、日本のメディアに多く、日本人の気質を劣化させてきた。しかし、*1のオバマ氏の場合や、*3の脱原発発言のように、強い反対を押し切って自分が不利益を被ってもやらなければならないことはある。そして、この判断の的確な人が、リーダーにふさわしい。

*1:http://digital.asahi.com/articles/TKY201310030550.html?ref=pcviewpage
(朝日新聞社説 2013.10.4) 米政治の混迷 妥協する分別を持て
 妥協点を探る良識を失った政治が国を無用な混乱に陥れる。そんな事態が民主主義大国を自任する米国で起きている。米国の会計年度は10月から始まる。だが、連邦議会は与野党の対立により予算が組めずにいる。そのため連邦政府の一部が1日から閉鎖された。クリントン政権時代以来、約17年ぶりの異常事態だ。長びけば米国の経済だけでなく、世界の安定も脅かしかねない。米議会は大局観に立った分別を取りもどし、政府機能を早く正常化させる責任がある。この閉鎖で自宅待機となった職員は80万人に及ぶ。国防や治安などの活動は維持されるが、国立の公園や博物館などが閉まった。中小企業への公的融資の事務なども滞りかねない。商務省や労働省は経済統計の発表を中止した。連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策にも影を落とす恐れがある。
 オバマ大統領は、来週のアジア太平洋経済協力会議(APEC)に併せてマレーシアとフィリピンを訪れるはずだったが、中止せざるを得なくなった。議会には別の難題も近づいている。政府債務の上限である。今月17日までにその引き上げに合意できなければ、国の資金繰りが限界を迎える。最悪の場合、米国債の利払いなどが滞る債務不履行(デフォルト)が起き、世界の金融動乱にも発展しかねない。これは何としても避けねばならない。
 近年の米国が陥った「分裂政治」の根底には、政府の役割をめぐる理念の対立がある。福祉を重んじ、財政再建に増税も組み入れる民主党は「大きな政府」派。国の支出減で赤字を減らし、減税もめざす野党共和党は「小さな政府」派。問題は、その違いを認めつつ折衷策を築く政治の知恵が働かないことだ。下院の共和党は、オバマ政権による医療保険制度の改革を標的とし、その予算を削ることを求めて譲らない。さらに混迷が深まったのは、シリアへの軍事介入を見送ったオバマ政権の求心力が落ちると読んだ共和党の保守派が、来年の中間選挙をにらんで強気の駆け引きに出たからでもある。だが、一つの政治課題にこだわって、国家予算全体を滞らせる頑迷さを国民が納得するはずはない。共和党の穏健派はただちに事態を収拾させる党内調整を急がねばならない。愚かな政治が国を人質にしている。米国ではそんな批判が高まっている。だが、最も迷惑を被る人質は、世界経済であることを忘れないでもらいたい。

*2:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8C%BB%E7%99%82%E4%BF%9D%E9%99%BA%E5%88%B6%E5%BA%A6%E6%94%B9%E9%9D%A9_(%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%82%AB)
 医療保険制度改革は、アメリカ合衆国で試みられている国民皆保険制度の取り組み。バラク・オバマが制度の推進を公約して2008年アメリカ大統領選挙を戦い当選。オバマ大統領の強いリーダーシップのもと、翌年、上下両院で民主党が優位となった議会を通過し、2010年3月に大統領が署名して成立(完全実施は2014年以降)したことから、オバマケアとも呼ばれる。主に二つの法律からなる。 アメリカ議会予算局の試算では、以後10年間で、加入率は83%から95%に上昇するが、費用も9400億ドルになる。(以下略)

*3:http://mainichi.jp/opinion/news/20131005k0000m070141000c.html
(毎日新聞社説 2013年10月05日)小泉氏のゼロ論 原発問題の核心ついた
 核心をついた指摘である。政界を引退している小泉純一郎元首相が原発・エネルギー政策に関連して「原発ゼロ」方針を政府が打ち出すよう主張、注目を浴びている。使用済み核燃料問題などを正面から提起し、政治が目標を指し示すことの重みを説いた小泉氏の議論にはもっともな点がある。安倍内閣が原発再稼働や輸出に前のめりな中だけに、原発からの撤退を迫る忠告に政界は耳を傾けるべきだ。かつて「改革の本丸」と郵政民営化に照準を合わせたことを思い出させるポイントを突いた論法だ。小泉氏は1日、名古屋市での講演で「放射性廃棄物の最終処分のあてもなく、原発を進めるのは無責任」と指摘、福島第1原発事故の被害の深刻さにもふれ「原発ほどコストの高いものはない」と政府・自民党に原発ゼロにかじを切るよう求めた。原発をめぐる小泉氏の主張は毎日新聞のコラム「風知草」(8月26日付)が取り上げ、強い関心を集めるようになった。東日本大震災後、原発政策に疑問を深めた小泉氏は8月中旬、フィンランドの核廃棄物最終処分場「オンカロ」を視察、使用済み核燃料を10万年も地中に保存するという処理策に「核のゴミ」は管理不可能だと確信したのだという。小泉氏が今後、何らかの政治的な行動を取るかは不明である。しかし、指摘は真剣に受け止めるべきだ。
 まず「トイレのないマンション」と言われる核廃棄物問題について、小泉氏が言うように、政府は責任ある答えを示していない。使用済み核燃料からプルトニウムを取り出し再利用する核燃料サイクルは、その要とされた高速増殖原型炉「もんじゅ」実用化のめどが全くたたない。再処理工場(青森)の稼働を急いでも、余剰プルトニウムがたまるばかりだ。私たちはこの点からも原発推進の無責任さをかねて主張してきた。もうひとつは国策にかかわる問題はなし崩しに対応せず、旗印を掲げることが重要だと再認識させたことだ。小泉氏は「今、ゼロ方針を打ち出さないと将来も難しくなる」という考えだ。原発は日本の経済、社会に組み込まれ、これを変えるのは容易ではない。現実には政治が大きな方向を示さなくては代案も作りにくく、状況は動かないのではないか。解せないのは、なお侮れぬ発信力があるはずの元首相の発言に対し、「原発ゼロ」路線をことあるごとに批判してきた勢力から、正面きった反論があまり聞かれないことだ。よもや嵐が過ぎ去るのを待ち、黙殺しようとしているわけでもあるまい。とりわけ、小泉氏を政治の師としていた安倍晋三首相にはぜひ、見解を聞かせてもらいたい。

| 報道の問題点::2012.11~ | 01:09 PM | comments (x) | trackback (x) |
2013.2.21 これこそ、民主主義を正しく機能させるための報道の自由を害しているものだ。
       
          事故を起こした1~4号機(朝日新聞2013.2.20より)

 東京電力は、前に福島第1原発を公開した時も対象とする報道機関を記者クラブメディアに制限したりしていたが、共産党の機関紙や都合の悪いことを書きそうな地方紙を除外するのは主権者である国民がいろいろな角度からの情報を入手する上でよくない。そして、それこそ、報道の自由に反するので、報道機関は抗議すべきではないのか。

 「他にも取材を求めている地方紙があり、受け入れる人数に限りがある」という言い訳については、受け入れ人数を増やすか、受け入れ日を数回に分ければすむことだ。そのため、何かと共産党や「しんぶん赤旗」を差別する風潮について、私は、質の悪い偏見だと思っている。共産党は筋の通った野党であり、変なレッテル貼りをして除外するのは見識がない。機会均等にして堂々と意見を戦わせて議論すればよい筈であり、差別して除外するのは、その議論に自信がないという証のようである。こういうことにより、国民は、議論から何かが生み出される機会を逸するとともに、その議論を聞いて知識を広げ、主権者として正しく行動できるようになる機会も逸するのである。

http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2013022001021
(時事ドットコム 2013/2/20) 福島第1取材で「赤旗」除外=東電
 東京電力は20日、報道機関などを対象に福島第1原発を3月1日に公開すると発表した。事故から2年を迎えるのを前に、新聞やテレビ、インターネットメディアなどの取材を受け付けるが、取材を希望した共産党の機関紙「しんぶん赤旗」については、申し込みを受け付けない考えを示した。東電は「他にも取材を求めている地方紙があり、受け入れる人数に限りがある」と説明している。1日は、4号機の使用済み燃料プールから燃料を取り出すための工事などを公開するという。

| 報道の問題点::2012.11~ | 11:32 PM | comments (x) | trackback (x) |
2013.1.17 それを報道したメディアにも責任があるのではないだろうか?
 私は、「オウム」や「アレフ」が国松孝次・警察庁長官銃撃事件を起こしたかどうかは知らない。しかし、*1のように、真犯人を検挙できず、裁判で証拠不十分になった件について、時効が成立してから公表することは、意味がない上、卑怯だ。そのため、東京地裁の判決は妥当だと思うが、100万円の賠償は、いつものことながら、損害と比較して低いと思った。

 しかし、メディアには「言論の自由」「表現の自由」があるから、何を書いても責任がないというのもおかしい。私は、証拠不十分で不起訴になった案件を、警視庁が、「オウムが敢行した組織的テロだった」と会見した時に、それを報道したメディアにも問題があり、メディアが報道しなければ、名誉棄損事件は予防できたと考える。つまり、誰かが容疑者になったら警察発表を鵜呑みにして報道する習慣になっているメディアにも大きな問題があり、誰でもこの被害者になる可能性はあるのだ。そして、本当は、裁判で判決が出るまでは、有罪か無罪かは不明であるにもかかわらず、メディアに容疑者として報道されただけで、すぐに、その人の人生は狂い、大きな被害を受けるという性格のものなのだ。仮に、数年後に裁判で「無罪」とされたとしても、その莫大な損害を取り戻すことはできない。従って、本人が望まない限り、容疑者の段階での報道は差し控えるべきだろう。

 そして、メディアも法務部などで、危うい記事に関しては、名誉棄損・侮辱・差別・人権侵害等を含む違法なものでないか否かについて、事前に法律家のアドバイスを受けておくのが正当な注意だ。相手が権力のあるなしにかかわらず、メディアが、売れさえすれば人権侵害や人格権の侵害をやってもよいという発想をしていたのでは、「表現の自由」「言論の自由」どころか、わが国の文化が劣化するからである。

*1:http://www.asahi.com/paper/editorial.html?ref=com_gnavi#Edit2 (朝日新聞 2013年1月17日) 警視庁敗訴―当時の幹部に求償せよ
 恥の上塗りというほかない。オウム真理教の流れをくむ宗教団体「アレフ」がおこした裁判で、警視庁が敗訴した。国松孝次・警察庁長官銃撃事件の時効が成立した直後の2010年3月、警視庁公安部長が会見し、「オウムが敢行した組織的テロだった」と公表するなどしたことが、アレフの名誉を傷つけたと判断された。東京地裁は、所管する東京都に対し、賠償金100万円を教団に支払うことと、知事名の謝罪文を差し出すことを命じた。警視庁の完敗である。
 私たちは会見当時の社説で、警察のやり方を批判した。膨大な人手と費用、時間をかけながら犯人を検挙できなかったのに、失敗を棚にあげ、オウムの犯行と断じたのだ。こんな理不尽な行動がゆるされるようでは法治国家といえない。公権力が違法行為に進んで手を染めてどうするのか。判決理由にも「無罪推定の原則に反する」「わが国の刑事司法制度の基本原則を根底からゆるがす」といった、厳しく、かつ当然の言葉がならぶ。
 裁判で警視庁がくり広げた主張にもあきれてしまう。「仮にオウムの名誉を傷つけたとしても、アレフは別の団体なので賠償を求めることはできない」と反論したのだ。では、なぜアレフは、「オウム真理教の教義を広め、その実現を目的とする団体」として、法律にもとづく観察処分をいまも受けているのか。治安をあずかる機関がこんな支離滅裂なことを言う。信頼を著しくおとしめる行いである。一部の警察官の不祥事とはレベルが違う。捜査を主導した公安警察の失態を覆いかくし、組織の体面をただ守るための会見だったのは明らかだ。 かつて強調した「公表することの公益性」を、法廷で主張できなかったのも、説得力に欠ける言い分であることを自ら認めたからではないか。判決を受けいれ、これ以上恥を重ねるのを避けるべきだ。
 賠償金は東京都、つまり都民の税金から支出される。国家賠償法は、被害者がたしかに救済されるよう、責任は自治体が負うと定めているためだ。一方で、「公務員に故意や重大な過失があったとき、自治体はその公務員に対して求償できる」との条文もある。今回の公表行為は、まさにこの規定にあてはまるだろう。当時の警視庁幹部に支払いを求め、しっかりけじめをつける必要がある。都民に尻ぬぐいさせるのはおかしい。

| 報道の問題点::2012.11~ | 12:20 PM | comments (x) | trackback (x) |
2012.11.9 暗黒なのは、司法だけですか? メディアもでしょう。
 東京電力の女性社員殺害事件でネパール人男性が犯人として捕まった時、被告となった時点では有罪か無罪かわからないにもかかわらず、メディアは、何度も何度も、この外国人男性に対して批判的な視点からの情報を流したと記憶している。このような情報の流し方は、一般の人が裁判員になる裁判員裁判では、裁判所や検察のような故意ではないにしても、過誤の判断を生む温床となるため、メディアも疑わしいというだけの時点では、犯人や被告の名前を報道しない方がよいと、私は思う。そして、これを報道したからといって、「警察は頑張っているー」という宣伝はできるが、一般の人への社会的利益はない。

 マイナリさんの件では、*1~*3のように、再審の結果、検察も裁判所も過ちであったことが、最近わかった。検察は、そうなった理由をDNA鑑定などの科学捜査の進歩の結果と説明しているが、DNA鑑定の限界と犯人として特定できる確率については、その手法を使う時からわかっていなければ捜査には使えないため、「科学捜査の進歩の結果」というのは言い訳になる。

 さらに、直接証拠がなく一貫して無罪を訴えていたマイナリさんが、15年間もの身柄拘束と服役で人生の重要な半分と家族との暮らしを奪われたことは大きな問題であるにもかかわらず、司法は、大した謝り方も損害賠償もしないというのは、とても許されることではない。そして、冤罪を着せられる人は、外国人、身寄りのない人、嫌われている人など、有罪になっても支援者がいない人だと言われているのも気がかりだ。また、松本サリン事件のケースでは、本当の重要な犯罪を見逃し、げすの勘ぐりのような安っぽいストーリー仕立てで被害者の配偶者を犯人として逮捕したため、被害者は、二重に被害を受けた。

 そして最近は、*4のように、尼崎の連続殺人事件に関し、どのメディアも、逮捕した警察からのみ情報を入手して、何度も何度も「角田美代子被告」を鬼女として報道し続けているが、これは一般の人が聞いたからといって大した利益のない情報である。それより、公債発行特例法案の中身の方が、よほど今後の国民生活に関係があるにもかかわらず、このような報道をする場合は何か意図がありそうだ。そして、ここで、角田美代子被告は外国人女性であることにも注意しておきたい。さらに、報道された写真は間違いだったそうだが、わが国のメディアの質には呆れてものが言えない。  ぎょ

*1:http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2012103002000115.html  (東京新聞 2012年10月30日) 東電女性再審 “暗黒司法”そのものだ
 東京電力の女性社員殺害事件で、無罪となるネパール人男性の再審公判は、司法界の“暗黒”を物語る。検察も裁判所も過ちを検証せねばならない。真犯人の追及にも本腰で取り組むべきだ。
 再審の公判で「無罪」と主張したのは、検察側だ。弁護側はずっと無実を訴えてきた。これで結審し、ネパール人男性の無罪は確実だが、もっと早く冤罪(えんざい)から救済できなかったか悔やまれる。昨年夏に被害者の体内から採取された精液のDNA型鑑定の結果が出た。男性とは別人の「X」のもので、しかも殺害現場にあった体毛の型と一致していた。この時点でも、検察は“撤退”が可能だったはずだ。ところが、今年六月に再審開始決定が出ても、検察側は異議を申し立てていた。検察が白旗を揚げる決め手になったのは、女性の爪に残っていた付着物をDNA型鑑定したところ、やはり「X」のものだったことだ。被害者と最後に接触したのは「X」である可能性が濃厚になった。爪の付着物は、被害者の激しい抵抗の痕跡かもしれない。
 だが、弁護側が爪に着目して、鑑定書を求めたのは二〇〇七年である。検察は裁判所に促されても、「鑑定書はない」「爪からは何も検出されていない」などと、虚偽に近い不誠実な姿勢だった。最後まで有罪にこだわり続けた検察の態度は非難に値する。有罪を確定させた裁判所も問題だ。一審は「無罪」だった。「別人が犯行現場の部屋を使った可能性がある」「精液の入った避妊具は、事件当日に使用したと断定できない」などと、新しい鑑定技術がなくとも、男性を犯人とすることに疑いを持ったのだ。ところが、二審はわずか四カ月のスピード審理で「逆転有罪」となった。なぜ一審が下した“赤信号”を素通りし、最高裁まで追認したのか。さまざまな証拠が「X」が真犯人だと指し示しているような現在、裁判所はどのような弁解をするのだろうか。
 当初からネパール人男性を犯人だと決めつけた捜査に問題があるのは間違いない。重要物証をDNA型鑑定しなかったのも致命的だ。被告人に有利な証拠も得られるよう、全面証拠開示の必要性も、この事件は訴えている。司法が「暗黒」と呼ばれないためには、他にも冤罪が潜んでいないか、早急にチェックすることだ。もはや正義に奉仕すべき司法の倫理さえ問われている。

*2: http://www.kobe-np.co.jp/shasetsu/0005490233.shtml
(神戸新聞社説 2012/10/30)  東電事件無罪へ/捜査の検証が欠かせない 
 1997年に起きた東京電力女性社員殺害事件で、強盗殺人の罪に問われて無期懲役となったネパール人ゴビンダ・プラサド・マイナリさんの無罪が確定する見通しになった。控訴審をやり直す再審の初公判が東京高裁であり、マイナリさんの有罪判決を求めてきた検察が無罪主張に転じたからだ。再審は1日だけで結審し、近く無罪が言い渡されるのが確実だ。すでに母国に戻っているマイナリさんは、支援者を通じて「今更遅すぎる。謝ってほしい」と訴えている。
 直接証拠はなく、一貫して無罪を訴えていたが、マイナリさんは15年間に及ぶ身柄拘束と服役で家族との暮らしを奪われた。なぜ「有罪」になったのか、徹底した洗い直しが必要だ。再審請求審で被害者の付着物のDNA鑑定から真犯人の存在に直結する結果が出ていた。さらに、再審前に高検が被害者の爪の付着物を鑑定したところ、同じDNA型が検出された。マイナリさんの「有罪」維持は行き詰まり、検察側は「無罪が相当」とする意見書を東京高裁に提出していた。
 検察は、「犯人として長期間身柄を拘束したことは誠に申し訳なく思う」とのコメントを出したが、捜査や公判の検証はしない方針という。それでは、冤罪(えんざい)事件を繰り返す懸念がぬぐえず、信頼回復は遠のくばかりだ。最大の問題点は、早い段階から警察や検察が真犯人につながる証拠をつかんでいたのに、開示しなかったことだ。事件直後の鑑定でも、遺体の付着物からマイナリさんと異なる血液型反応が出ていたが、再審請求審まで伏せられていたことが分かっている。被害者の体内には第三者の精液が残されていたほか、被害者の爪にも同じ第三者の付着物があった。検察がその存在を認めて最新技術による鑑定を行ったのは再審請求審以降のことだ。警察と検察が状況証拠からマイナリさんを犯人と決めつけ、その立件や立証に好都合な証拠だけを開示してきた疑いがある。DNA鑑定など科学捜査の進歩によって、そうした捜査の在り方があらためて否定されたといえる。警察と検察は、捜査の誤りを謙虚に認め、証拠開示と科学捜査による証拠の再点検に取り組むべきだ。
 法改正で時効撤廃の対象となったことで、警視庁はこの事件の再捜査を始める構えだ。真犯人の逮捕は、マイナリさんにとって何よりの名誉回復になる。

*3:http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2012110902000135.html  (東京新聞社説 2012年11月9日) 再審無罪 絶望的な司法みつめよ
 冤罪(えんざい)が相次ぐことこそ、犯罪的だ。東京電力の女性社員殺害事件で、ネパール人男性が再審で無罪となった。裁判員時代には市民が誤判しないよう、捜査や裁判の在り方を根本から見直すべきだ。 「わが国の刑事裁判はかなり絶望的である」。一九八五年に刑事法の大家だった平野龍一・元東大学長は論文にそう記した。八〇年代には免田事件や財田川事件、松山事件、島田事件と、死刑囚が相次いで再審無罪となった。この論文の言葉が再び、現代の刑事司法に投げかけられているようである。二〇一〇年の足利事件、一一年の布川事件、今回の東電女性社員殺害事件と三年連続で、いずれも無期懲役が確定した人に「再審無罪」の判決が出た。状況はやはり、かなり絶望的である。
 重要なのは、なぜ誤判したのか、その原因を徹底究明することだ。しかし、今回の事件について、検察はなお「捜査・公判に特段の問題はなかった」とし、検証結果も公表しないという。不可解というしかない。捜査にも、裁判にも欠陥があったのは間違いない。むしろ警察や検察、裁判所は自らの過ちに客観的な分析ができないだろう。第三者機関を設け、法的な調査権限を付与して、冤罪を生んだ原因を明らかにすべきである。日弁連によれば、欧米諸国では誤判事件が発生すると、独立した委員会を設けることが広く見られるという。今回の事件では、とくに証拠開示に問題があった。再審無罪の決め手となったのは、女性の体内の精液や爪の付着物のDNA型鑑定だ。逮捕から十五年半。この事実に到達したのはあまりに遅い。
 裁判員時代になり、市民も「有罪・無罪」の局面に立つ。正しい判断をするためにも、被告人に有利な証拠もすべて明らかにすべきである。検察の証拠隠しを許してはならない。全面的な証拠開示は急務といえよう。冤罪事件では自白を強要する捜査手法にも原因がある。取り調べの全過程の録音・録画も不可欠だ。否認すると長期間、身柄を拘束する「人質司法」の問題も改善せねばならない。ネパール人男性は、手書きで綴(つづ)った。「日本のけいさつ けんさつ さいばんしょは よくかんがえて わるいところを なおして下さい」-。無実の人を罰しないことは、刑事裁判の最大の鉄則である。男性の訴えを真正面から受け止めるときだ。

*4:http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012103101001142.html
(東京新聞 2012年10月31日) 共同通信が別人写真を誤配信 尼崎連続変死事件で
 兵庫県尼崎市の連続変死事件で、共同通信が「角田美代子被告」として配信した写真は31日、尼崎市に住む別の女性(54)だったことが分かった。共同通信は「絶対にあってはならないミス」として女性に謝罪する。共同通信は23日、美代子被告の長男が小学校に入学した1993年撮影の集合写真を入手し、被告を知る関係者から「これは美代子被告だ」との証言を得た上で出稿した。しかし、30日になって女性が弁護士を通じて「写真は私だ」と名乗り出たため、写真を取り消した。その上で、31日朝まで関係者に再取材するなど確認作業を進めたが、写真が美代子被告であることを示す新たな補強材料はなく、誤配信と判断した。同じ写真を掲載した読売新聞は31日付朝刊でおわび記事を載せた。NHKと民放各局も30日夜から31日午前のニュースや情報番組で謝罪した。
 吉田文和共同通信編集局長の話:別人の写真を角田美代子被告と間違えて配信するという、絶対にあってはならないミスです。間違えられた方や関係者、読者に多大なご迷惑をお掛けしたことを深くおわびします。複数の関係者から証言を得ていましたが、結果的に確認が不十分でした。教訓を重く受け止め、今後より厳格な確認作業で再発防止に努めます。

| 報道の問題点::2012.11~ | 04:02 PM | comments (x) | trackback (x) |

PAGE TOP ↑