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2013.11.4 世界経済フォーラム(WEF)が発表した「世界男女格差報告」で、日本は「男女平等度」が136カ国中105位だったが、その土壌と解決策は?(2013.11.5に追加あり)
    

(1)日本が世界でも男女格差の大きい国である理由
 *1に、世界男女格差報告で日本が136カ国中105位だった理由として、「性的役割分担意識の根強さによって女性が仕事を続けにくい」ことを挙げている。これならば、男女格差の理由は、本人たちの意識の問題であり、政治や企業のこれまでの方針に間違いはなかったと合理化することができるが、実際にはそうではなく、政治や企業のこれまでの方針に原因がある。(*5の記事も似たところがある)

 何故なら、*2のように、女性の労働参加は78位だが、賃金はさらに下位の97位であり、幹部や管理職への登用は106位というように、働いても女性の賃金は安く、企業が幹部や管理職に女性を登用しようという意識は低く、政治はそれを黙認もしくは奨励してきたことが、順位に現われているからである。

 なお、*2によれば、わが国は、女性の教育達成も81位であり低い。同じ*2で、「女性の教育水準が高いにも関わらず、労働市場でうまく活用されていないため、教育投資に見合う利益を得られていない」と書かれているのと矛盾していると思う方もおられると思うが、識字率や初等・中等教育への就学は1位だが、大学などの高等教育や職業専門教育への就学は100位と、教育段階ですでに、女性が能力を開発したり、職業的専門性を身につけたりする割合が低く、これが現在の日本社会の意識だろう。

 さらに、*2の「『経済活動への参加と機会』と『政治への関与』のカテゴリーで、それぞれ102位と110位と評価し、女性の企業幹部や議員の少なさを指摘」とされているのは、極端でわかりやすい例を挙げれば、*3の、女性には運転免許をとらせず、運転免許を持っている女性にも運転をさせないサウジアラビアと同じだ。そして、生殖機能を女性差別の言い訳にしている点も瓜二つである。

 ちなみに、2012年のデータでは、「マレーシア 100、日本 101、・・アラブ首長国連邦 107、・・・サウジアラビア 131、シリア 132」など、日本の近くにはイスラム教国が多い。

(2)女性の社会進出を抑えたことによる弊害
 *2に、「男女の格差を無くすことで、女性の社会進出が進み、その結果、日本のGDPが16%増えるとの研究も紹介されている」と書かれているが、私も全く同感だ。日本では、企業幹部や議員など、意思決定できる立場の女性が少なく、生活においては性的役割分担しているため、意思決定者が消費者の生活上のニーズを読めず、*4のような本来成長できる分野で成長を抑えながら、車、道路、建設など男性好みの分野を五十年一日の如く景気刺激して無駄遣いしてきた現状がある。また、女性を競争から除外し、男性に下駄を履かせてリーダーにしたことで、本当に能力ある人がリーダーになる割合が半減した。

(3)では、どうすればよいのか
 教育段階から差をつけられたり、採用、配置、昇進などで雇用主に差をつけられたりすれば、それと闘っても生き残れる女性は少なく、それは、女性にとって不幸であるだけではなく、国益にもならない。

 そのため、*1に書かれているように、社会が女性役員や女性国会議員を当然のこととして受け入れ、その前提で教育、採用、配置、昇進、定年が行われるという意識になるまで、「クオータ制」を採用するのも一つの方法である。「日本では憲法の平等原則との兼ね合いから、議論が進まない」と書かれているが、憲法の平等原則から見れば、なおさら進めるべきであろう。

*1:http://digital.asahi.com/articles/TKY201310260345.html
(朝日新聞 2013年10月27日) 「男女平等」日本は105位、なんで? 過去最低に
 世界経済フォーラム(WEF)が発表した「世界男女格差報告」で、日本は対象の136カ国中105位。2006年の調査開始以来、最も低かった。背景には、「夫が仕事、妻が家」という役割分担意識が根強いことがありそうだ。
■足引っ張る「経済」「政治」
 日本は初回調査で80位になって以降、低迷傾向だ。今年は100点満点に換算して64・98点。経済(104位)と政治(118位)が足を引っ張った。経済のうち、企業などの管理職に占める女性の比率は9%と106位。日本では「夫は外で働き、妻は家を守るべきだ」という意識が根強く、政府の調査でもその考えに賛成の人の割合は5割超。女性が仕事を続けにくい環境が影響した模様だ。政治でも、衆院議員に占める女性比率は8%で120位。昨年の衆院選で女性候補が軒並み落選したことが響いた。調査の「癖」も関係する。調査項目のうち「過去50年間の女性首相の在任期間」は加点のウエートが高いが、日本はずっと0点だ。これに対し、1位は5年連続でアイスランドで87・31点。管理職に占める女性比率は33%と日本の3倍強、国会議員(一院制)の比率は4割を占める。
■厳しい世界の視線
 安倍政権は成長戦略に「女性の活躍推進」を掲げるだけに、森雅子・女性活力担当相は25日の閣議後会見で調査結果について「悔しい」と語った。政府は20年までに、指導的立場における女性の割合を30%にするという目標を掲げた。ただ、管理職や役員の女性比率の公表を企業に求める取り組みを今年度から始める予定で、「目標の達成は到底無理」(内閣府幹部)だという。海外では女性の割合を引き上げるため、企業の役員や国会議員に女性が一定割合を占めるよう義務づけたり、促したりする「クオータ制」を採用する国も目立つ。ノルウェーは06年から上場企業の役員を男女それぞれ40%以上とするよう義務づけた。欧州連合(EU)も20年までに社外取締役の女性割合を4割に引き上げる法案を審議する。内閣府によると、政治分野でクオータ制を導入するのは、韓国など少なくとも87カ国。日本では憲法の平等原則との兼ね合いなどから、議論は進まない。日本への視線は厳しい。WEFは昨年、日本の男女格差を埋めるための「特命チーム」を発足。政府や経済団体と改善策を検討中だ。国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事は「働く女性を増やすことで日本が抱える多額の政府債務や労働力不足に対処できる」と指摘している。
■変わらぬ企業の偏見
 日本ではこの30年近く、働く女性の6割が出産を機に仕事を辞めている。女性全体の就業率は6割だが、3歳未満の子どものいる女性の就業率は3割に満たない。家事や育児の負担が重いため、残業の少ないパートの仕事につく女性も多い。所得は低くなり、年収300万円以下の割合は男性の2割に対し、女性は7割近い。3歳の息子を育てる東京都内の社会保険労務士の女性(39)は、勤め先の上司に妊娠を伝えたとき、「子どもが小さいうちは家にいた方がいい。仕事との両立は無理」と繰り返し言われ、出産前に退職した。「出産や育児をする女性は使いづらい、と企業は考えている」。
     ◇
■男女格差の少ない国ランキング
1アイスランド、2フィンランド、3ノルウェー、4スウェーデン、5フィリピン、6アイルランド、ニュージーランド、8デンマーク、9スイス、10ニカラグア、11ベルギー、12ラトビア、13オランダ、14ドイツ、15キューバ、16レソト、17南アフリカ、18イギリス、19オーストリア、20カナダ、21ルクセンブルク、22ブルンジ、23アメリカ、24オーストラリア、25エクアドル、26モザンビーク、27ボリビア、28リトアニア、29バルバドス、30スペイン、31コスタリカ、32カザフスタン、33モンゴル、34アルゼンチン、35コロンビア、36トリニダード・トバゴ、37パナマ、38スロベニア、39マラウイ、40バハマ、41カボベルデ、42セルビア、43ブルガリア、44ナミビア、45フランス、46ウガンダ、47ジャマイカ、48ガイアナ、49クロアチア、50ベネズエラ、・・・ 105日本、・・・111韓国・・・  
     ◇
 〈世界男女格差報告〉 ダボス会議を主催する世界経済フォーラムが2006年から毎年発表。世界の人口の93%を占める136カ国を対象とする。「経済活動への参加」「政治への関与」「教育機会」「健康と生存」の4分野14項目について評価。男女格差が小さいほど点数は高く、格差が大きいほど低くなる。

*2:http://10rank.blog.fc2.com/blog-entry-93.html
男女平等度ランキング「男女格差報告 2012年版」【世界経済フォーラム】
 2012年10月23日、スイスのジュネーブに本部を置き、「ダボス会議」を開催することでも知られる国際的非営利財団「世界経済フォーラム(WEF World Economic Forum)」が、世界各国の男女間の不平等の状況を調査し、数値化した報告書「世界男女格差報告(グローバル・ジェンダー・ギャップ・レポート / Global Gender Gap Report)」を発表、日本は調査対象となった135カ国中101位となり、前年より順位を3つ下げた。「世界男女格差報告」は、2006年以来毎年発表されていて、今年で7回目となり、世界のジェンダーギャップ問題を考える上で、一つの重要な指標となっている。同報告は、「経済」「教育」「政治」「健康」の4つの指数と、さらに14の副指標から男女間の格差が評価され、数値化される。その数値が「世界男女格差指数(グローバル・ジェンダー・ギャップ・インデックス / Global Gender Gap Index)」である。なお、指標を作成するために、国際労働機関(ILO)や、国連開発計画(UNDP)、世界保健機関(WHO) などの国際機関の調査データを使用している。以下はその評価指標と、日本の順位。
<日本の順位>
(1)経済活動への参加と機会 102位
 ①労働参加 78位 ②賃金の平等 97位 ③勤労所得 80位 ④幹部や管理職 106位 ⑤専門職と技術職 73位
(2)教育達成 81位
 ①識字率 1位 ②初等教育への就学 1位 ③中等教育への就学 1位 ④大学および職業専門教育への就学 100位
(3)健康と生存 34位
 ①出生時の男女比 93位 ②健康寿命 1位
(4)政治への関与 110位
 ①女性国会議員の人数 102位 ②女性大臣の人数 83位 ③女性国家元首の在位年数 58位
 
 国ごとに順位をみると、1位はアイスランド、2位フィンランド、3位ノルウェー、4位スウェーデン、5位アイルランドと続き、1位から4位までは北欧の国々で占められた。また、トップ10にはアジア勢で唯一フィリピンが8位にランクインしている。主要な経済国の順位は、ドイツが13位、イギリス18位、カナダ21位、アメリカ22位、オーストラリア25位、フランス57位、ロシア59位、中国69位、イタリア80位、日本101位、韓国108位となっており、日本は先進国で最低水準、G20でも、韓国に次いで最も低い順位となっている。
 また、日本の順位は2006年に80位、2007年 91位、2008年 98位、2009年 101位、2010年 94位、2011年 98位と非常に低い水準に甘んじている。報告では日本について、「経済活動への参加と機会」と「政治への関与」のカテゴリで、それぞれ102位と110位と評価し、女性の企業幹部や議員の少なさ指摘。さらに、「女性の教育水準が高いにも関わらず、労働市場でうまく活用されていないため、教育投資に見合う利益を得られていない」と説明している。加えて、男女の格差を無くすことで、女性の社会進出が進み、その結果、日本のGDPが16%増えるとの研究も紹介されている。

男女格差が少ない国ランキング「男女格差指数(2012年)」
国(2012年)    順位
アイスランド 1、フィンランド 2、ノルウェー 3、スウェーデン 4、アイルランド 5、ニュージーランド 6、デンマーク 7、フィリピン 8、ニカラグア 9、スイス 10、オランダ 11、ベルギー 12、ドイツ 13、レソト 14、ラトビア 15、南アフリカ 16、ルクセンブルク 17、イギリス 18、キューバ 19、オーストリア 20、カナダ 21、アメリカ 22、モザンビーク 23、ブルンジ 24、オーストラリア 25、スペイン 26、バルバドス 27、ウガンダ 28、コスタリカ 29、ボリビア30、・・・ポーランド 53・・シンガポール 55、イスラエル 56、フランス 57・・・中国 69、・・イタリア 80、ハンガリー 81、ギリシャ 82・・・インドネシア 97、モーリシャス 98、アゼルバイジャン 99、マレーシア 100、日本 101、・・アラブ首長国連邦 107、韓国 108、クウェート 109、・・アルジェリア 120、ヨルダン 121、レバノン 122、ネパール 123、トルコ 124、オマーン 125、エジプト 126、イラン 127、・・・サウジアラビア 131、シリア 132、チャド 133、パキスタン 134、イエメン 135

*3:http://digital.asahi.com/articles/TKY201310260698.html
(朝日新聞 2013年10月27日) サウジ女性、運転の夢捨てず 一斉抗議行動は断念
 女性の運転が禁じられている中東サウジアラビアで、女性活動家たちが運転解禁を求めて26日に呼びかけていた「一斉運転」による抗議行動を断念した。内務省が摘発を通告したためだが、解禁を求める運動は続ける構えだ。AFP通信などが報じた。呼びかけていたのは、2011年に自ら運転する動画をインターネットに掲載して逮捕された技師マナル・シャリフさん(34)ら。9月にネットで始めた政府への嘆願書への署名は1万6千人を超え、女性が自らハンドルを握る様子を収めた動画が次々とアップされた。保守的な宗教者らからは批判が相次いだ。有力者の一人、ルハイダン師は9月末、地元メディアに、女性の運転は「卵巣に影響を与え、骨盤を押し上げることが研究で証明されている」と発言。今月22日には、宗教者約200人が西部ジッダで運転反対を訴えた。内務省は24日、「断固として法を執行する」と強く警告。女性活動家の一人はAFP通信に、一斉運転を断念して「無期限の運動に切り替える」と語った。それでも一部の女性は運転に踏み切ったという。逮捕者は報告されていない。サウジでは女性の運転を禁じる法律はないが、当局が厳しく取り締まりをしており、女性には免許も交付されていない。


PS(2013.11.5追加):介護保険制度は、それまで介護で苦労していた働く女性が中心になって作った制度である。しかし、*4では「厚生労働省は、預貯金が2000万円以上ある夫婦は十分な資産を持つので、介護の補助をやめる案を審議会に示した」「資産を条件に加えることは困難を伴うが、高齢者を一様に弱者と見なさず、負担が可能な人には負担してもらう見直しを急ぐべきだ」などとしている。
 しかし、これは、①まだ世代間の介護保険負担が不公平で中高年ばかりで負担しているにもかかわらず、それは直さない ②介護をあるべき福祉の観点から設計せず、収支バランスの視点のみで考えている ③高齢者を狙い撃ちしている ④2000万円という金融資産限度は、要介護者をかかえた高齢者夫婦が何年生活できるかすら考慮していない など、まさに介護や生活のやりくりを担当していない男性中心で考えた方針である。そのため、本来はオピニオンリーダーであるべき日経新聞はじめメディアの意志決定権ある女性管理職や記者の割合を問う。

*4:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20131105&ng=DGKDZO62103530V01C13A1PE8000 (日経新聞社説 2013.11.5) 資産ある高齢者には介護の補助やめよう
 年金収入の多い少ないにかかわらず、金融資産や不動産をそこそこ持つ高齢者は増えている。そういう人に対し、どこまで税や社会保険料を使って補助すべきか。介護保険制度の見直しのなかで、そんな課題が浮上している。見直しを検討しているのは、特別養護老人ホームなどでの食費や居住費の負担軽減制度だ。給付総額は約2800億円に達する。介護保険制度の持続可能性を高めるためにも、資産を条件に加え対象者を絞り込むことが必要だろう。あわせて資産を正確に把握する手立てを講ずることが不可欠だ。この制度は、低所得の人の施設入居が困難にならないように設けられた。住民税の非課税世帯であれば、多くの預貯金や不動産を持っていても自己負担が軽くなる。
 世代内でのばらつきは大きいものの、金融資産の多くは高齢者が所有している。自宅で暮らす高齢者は自分で食費や居住費を負担しており、不公平感もある。十分な資産を持つならば、給付の対象外にすべきだ。そのためには、資産を正確に把握することが欠かせない。厚生労働省は夫婦の場合、預貯金2000万円を目安にするなどの案を審議会に示したが、把握は本人の「自己申告」頼みだ。不正にはペナルティーを設けるというが、それで適切な把握ができるだろうか。しっかりした把握ができなければ、公正・公平さに疑問が生じることになりかねない。それを防ぐためには、社会保障・税共通番号(マイナンバー)制度で預貯金を把握できるようにすることが欠かせない。番号制度では、2015年から番号の通知が、16年から利用が始まる。現状では、個人の預貯金は番号制度では把握できない。制度の見直しは18年に予定されているが、それを待つことなく検討に踏み出すことが必要だろう。今回の見直しでは、一定額以上の不動産を持つ場合も給付の対象外とし、不動産を担保に資金を貸し付ける仕組みも提案された。事務手続きはかなり複雑になるが、やはり必要な見直しだ。どうすれば実効性のあるものにできるか、丁寧に制度設計をしてほしい。
 新たに資産を条件に加えることは多くの困難を伴う。しかし高齢者を一様に弱者と見なさず、負担が可能な人には負担してもらう考え方は今後、一層重要になる。今回の見直しはそのための一歩だ。


PS(2013.11.5追加):*5には、「部課長職で女性の登用が進み始めているのは、1986年に施行した男女雇用機会均等法の下で入社した人材が管理職となる年齢に差し掛かってきたため」とか「企業側も積極的に登用を進めており、女性の部長職がいる企業は全体の6割、課長職では9割以上となった」などと書かれているが、女性は、1986年に施行された男女雇用機会均等法以前から多く働いており、悪く言われながら第一次男女雇用機会均等法を作ったのは、その人たちだ。
 それでも、第一次男女雇用機会均等法は、努力義務しか課せず、ザル法だったため、徹底した改正をさせたのは、(私を中心とする)第一次男女雇用機会均等法以前から働いてきた次世代の女性たちだ。しかし、改正男女雇用機会均等法施行と同時に、多くの女性が非正規労働者、派遣労働者とされ、改正男女雇用機会均等法によっても男女の雇用機会均等が未だに実現していないのが、世界経済フォーラムの「世界男女格差報告」に現われているのだ。そのため、国が男女雇用機会均等法を定めたから女性が初めてキャリアを築くことができたなどという論調は間違っている。
 分かりやすく書けば、*3で、内務省の摘発というリスクと闘いながら車を運転して見せた運転免許を持つサウジ女性が偉いのであり、運転免許解禁後に免許をとった女性は普通の人にすぎないため、その違いを決して忘れてはならない。しかし、「女性は運転が苦手だ」という意識を、警察を始めとして社会が持っている間は、事故を起こせば女性が運転していたことが悪かったとされ、男性中心の裁判所で、男性運転手に有利な判決が出るという困難が、運転免許解禁後に免許をとった女性にもあるということだ。

*5:http://www.nikkei.com/article/DGXNASDD010NR_U3A101C1MM8000/?dg=1
(日経新聞 2013/11/5) 女性部課長が1割増 人を活かす会社・本社調査
 日本経済新聞社は4日、人材の多様化を進めながら働く意欲を引き出している「人を活(い)かす会社」調査をまとめた。回答企業の女性の部課長職の人数は2013年3月までの1年間で前年より1割増え、全体の4.5%を占めた。東京ガスが3.5倍に増やしたのをはじめ、LIXILが2倍、新日鉄住金も1.8倍となった。部長職につく女性の数は前年比で13%増加、課長職も9%増えた。女性部課長職の割合が高かったのはパソナグループで全体の4割を占めた。JTB、ファンケルも3割だった。
 部課長職で女性の登用が進み始めているのは1986年に施行した男女雇用機会均等法の下で入社した人材が管理職となる年齢に差し掛かってきたため。企業側も積極的に登用を進めており、女性の部長職がいる企業は全体の6割、課長職では9割以上となった。次の役員候補として社内で人材を育成する動きが進んでいる。新日鉄住金は合併前の旧新日本製鉄、旧住友金属工業のどちらにも女性の部長職はいなかった。13年3月期に初めて研究部門に、素材の基礎研究を担当する部長職が誕生した。三菱商事も初めて女性が部長相当職に就任した。
 女性管理職(公務員を含む)の割合は欧米では3~4割に達しているが、日本企業ではまだ少なく取締役、執行役員では1%程度。LIXILグループは2015年に管理職に新たに昇格する人員の3割を女性にするという目標を掲げた。「管理職が男性で占められたままでは、グローバル化を進める上での弱点になる」(八木洋介副社長)として、女性比率拡大を推し進める。政府は経済界に対し役員に1人以上女性を含めることを求めている。部課長職に占める女性の割合の拡大は、今後の女性役員の増加につながりそうだ。

| 男女平等::2013.5~2013.11 | 03:04 PM | comments (x) | trackback (x) |
2013.10.19 女性の登用と言えば、「短時間労働」と「働き方」が問題だとするのは、おかしい。
      

(1)日本は、まだ女性が最前線で活躍する社会に生まれ変わってはおらず、努力を始めたにすぎない
 *1、*2によれば、安倍晋三首相は、「米ニューヨークでの国連総会で一般演説を行い、日本社会で女性の活躍の場を増やす」と言われたそうで、安倍首相が女性の活躍を全面的にサポートしてくれているのは、よいことだと思う。臨時国会の所信表明演説でも、そう言っておられたので、女性の活躍をバックアップしようとしておられるのは確実だろう。

 しかし、*1の世耕官房副長官の「女性が最前線で活躍する社会に日本は生まれ変わってきていると訴えることが重要なポイント」というのは、議員、民間企業の役員、裁判官などの意思決定する立場にいる女性の割合が著しく低い状況を考えれば、事実から程遠い“アピール”である。また、この発言は、「最前線で活躍できていない女性は、本人の努力不足だ」と言っているのと同じであるため、これまで差別されてきた日本女性に対して失礼でもある。

 何故なら、*4のように、佐賀県で、国の「均等・両立推進企業表彰」が行われ、「意欲や能力のある人材活用を推進し、5年前まで男性社員だけだった設計、営業の両部門に女性を採用し、同じ部門に女性を複数配置して孤立を防いでいる」などの取組みをしたとして、佐賀市の松尾建設が、均等推進企業部門の佐賀労働局長奨励賞に選ばれたという程度だからである。つまり、これは、5年前まで男性社員だけだった設計、営業の主要部門に女性を採用・配置したというだけの話であり、女性が主要部門の部長や取締役になったという話ではないからだ。しかし、人材としての女性は、私の学生時代(40年くらい前)から東大の建築学科にもおり、一級建築士も多いため、この落差はまさに採用・配置による女性差別によるもので、第一次男女雇用機会均等法も1985年には成立していたことを、私は証言する。

(2)女性管理職を増やす取り組みは、短時間勤務ではないだろう
 *2では、「女性管理職増加のためには、『短時間勤務の拡充』が必要と考える人が7割であり、女性は結婚や出産などのタイミングで退社するケースが多く、女性の管理職はまだ少数」と記載されている。

 しかし、実際には、管理職予備軍の女性は、結婚のタイミングで退社するような寿退社願望の人はおらず、出産や子どもの小学校入学のタイミングで仕方なく退社しているのである。その理由は、仕事を続けたかったが、保育所や学童保育がないため退社を余儀なくされたというものであり、保育所や学童保育不足の問題は、私が学生の頃(40年くらい前)から指摘されていた。また、仕事を続けるために、DINKSや独身を選択した人も多いため、女性の結婚・出産が女性管理職が少ない理由ではない。

 また、私は、管理職予備軍の女性が、短時間勤務を望んでいるとも思わない。何故なら、例えば、大学病院に勤務する女性医師が、管理職である教授にまでなりたければ、短時間勤務どころか、他の人よりも診療や研究に励んで、多くの知識と経験を得なければならないからである。これは、弁護士、公認会計士、議員、官僚、記者、その他の職種でも同じであり、実力や実績で評価される場合の必然だ。

(3)女性に、無償労働、低賃金労働を強いる発想が女性の昇進を阻んでいるのだということ
 *3に記載されているように、「家事や買い物、育児、ボランティアなどに充てられた『無償労働』を金額に換算すると、2011年は約138兆5千億円に上ることが内閣府の推計で分かり、その無償労働の8割を女性が占めた」そうである。確かに、女性に対して、無償労働、低賃金労働を強いる社会的圧力(私の場合は、夫からは全くない)があり、これがある限り、女性が男性と同じ以上の実績をあげ、その実績を公正に評価されて管理職になることは難しいだろう。これが、「ガラスの天井」と呼ばれるガラスの正体だが、「日本では、強靭で、はっきり見えるので、ガラスではなくコンクリートだ」と言う人もいる。

 そのため、私も、内閣府と同様、女性が社会進出して、家事・育児・介護の一部を外部委託すれば、労働人口が増え、産業も増えるので、産業振興して経済成長につながると考える。そして、これは、ニーズもないのに無理矢理行う産業振興ではなく、ニーズに合った財・サービスを提供するという、人を幸福にしながら行う産業振興なのである。

*1:http://digital.asahi.com/articles/TKY201309230423.html?ref=pcviewpage
(朝日新聞 2013.9.24)女性重視を強調へ 安倍首相、国連演説で
 安倍晋三首相は23日、カナダ、米国を訪問するため政府専用機で羽田空港を出発した。首相は米ニューヨークでの国連総会で一般演説を行い、日本社会で女性の活躍の場を増やす姿勢をアピール。シリア問題をめぐる難民支援にも積極的に関与する方針を示す。首相は出発前、同空港で記者団に「シリア問題に対する貢献と日本政府の女性重視の姿勢を世界に発信したい」と強調。世耕弘成官房副長官は同日夜、BS日テレの番組で、首相の国連演説について「日本は、決して右傾化するつもりもないし、歴史認識でいろいろ言われているが、女性が最前線で活躍する社会に日本は生まれ変わってきていると訴えることが重要なポイントになる」と述べた。首相はまた、消費増税に備えた経済対策で復興法人税を来春に1年前倒しで打ち切る方針について「復興のための予算は確保していくというのが当然の前提だ」と述べ、同税の撤廃に与野党から批判が出ていることに反論した。首相はカナダでハーパー首相と会談し、米国でオランド仏大統領や国連の潘基文(パンギムン)事務総長と会談。岸田文雄外相も23日、国連総会などに出席するため離日した。

*2:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20130924&ng=DGKDZO60088270U3A920C1TJC000 (日経新聞 2013.9.24) 女性管理職増加へ、「短時間勤務の拡充」7割
 多くの企業が、女性が働き続けやすい仕組みを整えている。女性管理職を増やす取り組み(複数回答)として「短時間勤務制度の拡充」(72.6%)、「産休・育休明けの復職支援体制の拡充」(67.1%)などが上位にあがった。女性は結婚や出産などのタイミングで退社するケースが多く、女性の管理職はまだ少数派といえる。現在の課長以上に占める女性の割合は「5%未満」が73.3%を占め、40%以上との回答はゼロだった。政府は産業界に対して、積極的な女性登用を働き掛けている。成長戦略では「女性役員を上場企業に1人」といった目標を数値化している。自民党の政策提言では、指導的な立場につく女性の比率を2020年までに30%にするとうたっている。ただ、性別に関係なく実力主義で登用するとして数値目標には慎重な姿勢の企業が多い。「女性比率や人数などの数値目標の設定」に取り組んでいる企業は26.7%にとどまる。数値目標を設定していても「10%未満」としている企業が3割強に上った。

*3:http://qbiz.jp/article/24360/1/
(西日本新聞 2013年9月30日) 家事、育児…年138兆円 内閣府が「無償労働」推計
 家事や買い物、育児、ボランティアなどに充てられた「無償労働」を金額に換算すると、2011年は過去最高額の約138兆5千億円に上ることが、内閣府の推計で分かった。名目国内総生産(GDP)の約3割に相当し、無償労働の8割を女性が占めた。内閣府は「女性の社会進出が進み、家事や育児の一部を企業や保育所などに任せれば、産業が振興して経済成長につながる可能性がある」と指摘している。無償労働の中で「家事全般」が最も高く約88兆6千億円。買い物は約27兆2千億円、育児は約14兆8千億円、介護は約3兆4千億円だった。ボランティアなど社会活動は約4兆5千億円。推計は、生活時間の配分などを調べる総務省の「社会生活基本調査」を基に、男女別、年代別の賃金や人口を反映させて算出した。政府は1981年分から5年ごとに結果を集計。高齢化が進み、推計算出に高い賃金を使う年代が増えているため、01年は約128兆8千億円、06年は約131兆9千億円と、無償労働額は毎回増えている。

*4:http://www.saga-s.co.jp/news/saga.0.2563064.article.html
(佐賀新聞 2013年10月11日) 松尾建設に奨励賞 女性採用や長期休暇促進
 女性の雇用促進や、仕事と育児・介護の両立支援に取り組んでいる企業を対象にした国の「均等・両立推進企業表彰」で、佐賀市の松尾建設(松尾哲吾社長)が、均等推進企業部門の佐賀労働局長奨励賞に選ばれた。 同社は意欲や能力のある人材活用を推進し、5年前まで男性社員だけだった設計、営業の両部門に女性を採用。従業員721人のうち女性は88人で、同じ部門に女性を複数配置して孤立を防いでいるほか、長期休暇の取得も促進している。厚生労働省の情報ポータルサイトでは女性の採用や職域拡大、継続就業を支援する具体策を提示しており、西村公子局長は「男性社会のイメージが強い建設業界での積極的な取り組みは他企業の模範となる」と評価する。10日に表彰式があり、同社の西久保孝幸管理本部長は「多様化する顧客ニーズに対応するため、女性に限らず誰でも活躍できる職場づくりをさらに進めていきたい」と話した。 表彰は1999年度から厚労省と佐賀労働局が毎年行っており、県内企業の受賞は2006年度以来7年ぶり。

| 男女平等::2013.5~2013.11 | 05:19 PM | comments (x) | trackback (x) |
2013.9.8 女性が社会で普通に働き、成果によって差別なく昇進するのは、本来は当たり前のことだが、日本ではまだそれができていないのだということ
    
サッチャー首相    メルケル首相   ハリス司法長官    朴大統領   インラック首相
 (イギリス)       (ドイツ)      (アメリカ)        (韓国)     (タイ)

(1)社会で意志決定する立場の女性が少ないディメリットの一例(*1参照)
 食品表示法改正に加工食品も含む原産地表示がなければ、食品を選択することができないため困る。また、栄養成分表示がなければ液肥で作った野菜と有機栽培で作った野菜は、液肥で作った方が見かけはよいだろうが味も栄養も有機栽培に劣り、外見は区別がつかないため困る。また、加工食品に栄養表示がなければ、慢性病で療養中の人は加工食品を利用することができないので困るのである。

 これらは、家族の健康に気をつけながら買い物をする女性ならすぐわかることだが、この議論が紛糾したり、困ったことに対する改善案が浮かばなかったりするのは、議論の参加者に女性が少なく、問題意識が欠如していることが原因ではないかと思う。何故なら、女性は誰でも、中学、高校の家庭科で栄養学を勉強し、栄養士は大学でも専門的に勉強しており、栄養学は科学であるため、知らない人が議論に参加して意見を言っても、あまり意味がないからである。

 栄養表示について、現場の労力やコスト増に直結する不満が噴出し、栄養士の斉藤久美子さんが「業者にとって負担は大きい」と指摘したそうだが、農業者や食品業者に対しては、近くの保健所において、高くない価格で、放射性物質の含有量や栄養価を測定すればすむことである。そのくらいの設備が保健所になければ、これからの保健所は機能を果たさないし、測定は、栄養士や看護師などが担当すれば簡単な筈で、都道府県の収入にもなる。

(2)日本は、社会での女性の活躍が遅れている(*2、*3参照)
 女性も努力して職業能力を得て頑張っているのであるため、男性と同じ条件で評価され昇進しなければ、やり甲斐はない。そのため、女性を踏み台にして男性に下駄をはかせるのは、止めるべきである。外国ではすでに、*2のメルケル首相や上のサッチャー首相、ハリス司法長官、朴大統領のように、いろいろな分野で能力ある女性が活躍し、意志決定する立場への女性の昇進も進んでいる。

 一方、日本では、*3のように「女性政策にいよいよ『本気』になった日本政府?」と書いている程度であり、男女共同参画担当大臣は最も軽い大臣ポストで、女性の活躍には「保育所の整備」と「男性の育児参加が重要だ」とこぞってメディアがまくしたてている程度だ。はっきり言っておくが、女性の活躍には、女性自身の能力開発が最も重要であり、そのために長期に仕事を中断しなくてすむ手段として「保育所の整備」等があるにすぎない。そのため、能力開発やキャリア形成のやり方は、人によってさまざまであってよく、変な圧力をかけると、かえって女性の職場での立場をやりにくくするだろう。

(3)女性の能力開発やキャリア形成に必要なこと(*4、*5、*6参照)
 *5のように、「女子学生に研究者を志してもらおうと、九大女性研究者キャリア開発センターが、学内の女性研究者を紹介する冊子を作成」「各分野で輝く女性研究者を知ることで、高校生たちが興味のある分野で頑張るきっかけになればと期待している」というのは、高校、大学、大学院の段階で、女性が将来輝くために進路選択を行うにあたり、重要なことである。何故なら、高校、大学、大学院の段階で基礎を作っておかなければ、職場で、男性と同じ条件で昇進することなど、とてもできないからである。

 また、高校、大学、大学院の段階で基礎を作っても、それを磨く舞台が得られなければ、時が経つにつれて腐るだけである。そのため、遅ればせながら、*4のように、「女性管理職拡大へ」と、職場で、女性の管理職への昇進を前提とした育成が九州でも進められ始めたのはよいことだ。

 しかし、1979年の第34回国連総会において、*6のように女子差別撤廃条約が採択され、1981年にそれが発効して、世界がその方向で努力してきたことと比較すれば、建前と本音を分けてきた日本の感覚と成果は、世界に約30年遅れている。そして、それは、実際に公認会計士としてBig4の国際事務所であるプライスウォーターハウス・クーパースやKPMGで働き続けてきた私の肌感覚とも一致している。

*1:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=23238
(日本農業新聞 2013/9/7)  消費者庁の「食品表示法」説明会が終了 現場の負担増 支援必要
 消費者庁は6日、食品の表示ルールを一元化する「食品表示法」について説明会の全日程を終えた。説明会では、これまで任意だった加工食品の栄養成分表示が原則義務化されることに、加工業者や6次産業化を進める農家から不安の声が噴出、現場の実態に沿った対象事業者の範囲や経費負担の在り方をめぐって意見が相次いだ。また、食の安全・安心確保に向け、加工食品の原料原産地表示拡大にも根強い要望があった。
●全事業者対象に不安 「原料原産地」検討急げ
 説明会は、8月22日の福岡を皮切りに6日の仙台まで、全国7カ所で開いた。同法で定められた表示のポイントを解説、今後の検討課題となっている項目などについて参加者から意見を聞いた。参加者から関心が特に高かったのは、加工食品の栄養成分表示を義務化する業者の対象範囲だ。直売所をはじめ、小規模な事業者が手掛ける加工食品にまで義務化されるのかなど、現時点では詳細は決まっていない。消費者庁は今後、関係省庁や消費者委員会の意見を踏まえて原案を示す方針だ。「どんな準備が必要なのか」「栄養成分の検査費用や検査器具の導入に助成はあるのか」。説明会では消費者に分かりやすい表示を目指す一方で、現場の労力やコスト増に直結する不満も噴出した。群馬県桐生市の栄養士、斉藤久美子さん(51)は「業者にとって負担は大きい。一般への周知も足りない」と指摘。福岡市の中小食品業者も「景気回復の実感もなく、経費削減している中で表示の義務化は経営悪化に拍車が掛かる。制度の詳細が決まらなければ、不安は増幅するばかりだ」と懸念を示した。
 また、新法と切り離して検討課題となった加工食品での原料原産地表示の拡大にも、強い要望が上がった。参加した東京都練馬区の石黒昌高さん(82)は「加工食品も産地表示されれば、日本の農家にとって大きなPRになり、消費者にとっては安全・安心の確保につながる」と強調。この他、各地で「検討が進んでいないのはおかしい」「国の責任で制度化すべきだ。現場でのコスト増も政府が食の安全を確保する必要経費として、助成してほしい」との意見が出た。
消費者庁は説明会での意見に対し「制度の詳細は決まっていない。加工食品の栄養成分表示の義務化の対象は、小規模事業者の活動の妨げにならないことも論点に検討する」(食品表示企画課)と説明する。検討が始まっていない加工食品の原料原産地表示の義務化や遺伝子組み換え(GM)食品の表示規制強化といった課題には「検討の場を準備中で、時期などは明言できない」と述べるにとどまっている。説明会での意見に対し、食の安全・安心財団の中村敬一理事事務局長は「新たな表示ルールや検討課題の周知が不十分な証拠だ」と指摘。また、「こうした国民の不安に応えるため、相談窓口などの体制を消費者庁が早急に整備するべきだ」と訴える。
〈ことば〉食品表示法 食の安全性や品質などの表記を分かりやすくするため表示ルールを一元化する目的で6月に公布。今後2年以内に施行し、現行で任意の加工食品の栄養成分表示の原則義務化は、施行後5年以内を予定する。

*2:http://digital.asahi.com/articles/TKY201309020042.html
(朝日新聞 2013.9.2) 「脱原発、正しかった」 メルケル独首相が福島に言及
 ドイツのメルケル首相は1日、22日の総選挙に向けたテレビ討論で、東京電力福島第一原発の放射能汚染水漏れを念頭に「最近の福島についての議論を見て、(ドイツの)脱原発の決定は正しかったと改めて確信している」と述べた。独メディアは汚染水漏れについて批判的に報じている。
メルケル氏はまた、ドイツが米国主導のシリア攻撃に参加しないとの方針を表明。アサド政権による化学兵器使用は「途方もない犯罪」と批判したが、国際社会が共同で対応する必要があると強調した。国際的な対応について、国連安保理やロシアでの主要20カ国・地域(G20)首脳会議でロシアや中国にも合意を働きかけると述べた。発言は、ドイツ連邦軍の海外派遣に消極的な国民世論を考慮したもので、討論に臨んだ最大野党・社会民主党の首相候補、シュタインブリュック前財務相も軍事行動への不参加を表明した。

*3:http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20130418/246868/?bpnet
(日経BP 2013年4月19日) 女性政策にいよいよ「本気」になった日本政府? もはや不可欠、やり方次第ではEUにも勝てる
 民主党政権時代、最も「軽い」大臣ポストの1つが男女共同参画担当大臣だった。3年3カ月の間にこのポストに就いたのは官房長官の事務代行を除いても8人。少子化対策担当大臣の9人に次いで頻繁に交代したポストだった。男女共同参画担当という大臣が初めて置かれたのは森喜朗内閣時代の2001年。主として官房長官の兼務ポストだったが、第1次安倍晋三内閣で内閣府特命大臣として上川陽子氏が任命された。以後、中山恭子氏、小渕優子氏と引き継がれた。自民党時代はほぼ1内閣1人だった。民主党も最初は女性議員の福島瑞穂氏を据えたが、その後は他の大臣の兼務ポストとなり「たらい回し」の状況になった。民主党はイメージとは違って「男女共同参画」や「少子化対策」を政策としてはあまり重視していなかったということなのだろう。
 安倍内閣になって、がぜんこのポストの重みが増している。第1次安倍内閣同様、女性議員を大臣に据え、少子化対策と消費者及び食品安全担当を兼務させた。任命されたのは森まさこ参議院議員である。実は「男女共同参画」や「少子化対策」は、経済の再生を目指すアベノミクスと密接に関係している。関係しているというよりもアベノミクスの主要政策の1つと言ってもいいものなのだ。昨年末、安倍自民党が総選挙を戦った際、政権公約の細目である「自民党政策BANK」を公表した。その中に、「女性力の発揮」という項目があるのだ。それも「経済成長」の具体策の1つとして盛り込まれている。そこにはこう書かれている。
●「にぃまる・さんまる」に込められた目的
 「社会のあらゆる分野で2020年までに指導的地位に女性が占める割合を30%以上とする目標(“20年30%”〈にぃまる・さんまる〉)を確実に達成し、女性力の発揮による社会経済の発展を加速させます」。この「にいまる・さんまる」という数字自体は、民主党政権時代の2010年に作られた男女共同参画基本計画に盛り込まれていたもので、安倍自民党のオリジナルというわけではない。だが、安倍首相は自らの強いリーダーシップで実現に向けて具体策を打っていこうとしている。その背景には、アベノミクスの目的がある。強い日本経済の再生には女性力の活用が不可欠だという認識がある。安倍氏の「本気度」は政権発足直後の人事にも表れた。前述の通り、男女共同参画担当相に森氏を起用したほか、規制改革担当相に稲田朋美氏を当てた。首相を含む19人の閣僚のうち女性が2人というのは、民主党政権時代を通じて「標準的」な水準だが、党人事ではサプライズを演出した。自民党の3役人事で、政調会長に高市早苗氏、総務会長に野田聖子氏を抜擢したのだ。自民党3役に女性を当てたのは野党時代の小池百合子・政調会長の例があるが、与党としては初の起用。しかも3役のうち2人、つまり「過半数」が女性というのは自民党の歴史始まって以来の初めての事である。当選回数でみれば適齢期とも言えるが、2人とも無派閥。総裁の決断がなければ実現できない人事だった。記者会見で安倍氏は「女性の力を生かしていく。自民党が変わったことを理解していただけるのではないか」と述べた。

*4:http://qbiz.jp/article/22757/1/
(西日本新聞 2013年8月30日) 女性管理職拡大へ、福岡の15社・団体が数値目標
 女性の社会進出や管理職への登用を進める「女性の大活躍推進福岡県会議」は30日、福岡県、福岡市、TOTO(北九州市)、岩田屋三越(福岡市)など15社・団体が女性の管理職を増やす数値目標を新たに設定したと発表した。同会議は、企業や団体への働きかけを強め、2013年度内に目標導入を100社・団体に、14年度末には500社・団体に増やしたい考え。同会議には福岡県内の企業や自治体など約60団体が参加。女性の活躍の拡大に向けて育児支援などの環境整備や啓発活動に取り組むほか、将来的には九州全域に活動を発展させる方針。数値目標は「17年度に管理職に占める女性比率10%」(TOTO)などで、15社・団体が自主的に設定した。福岡市で記者会見した松尾新吾共同代表(九州経済連合会名誉会長)は「女性の活躍については、企業や社員、社会全体の意識がまだ低い」と指摘。久留百合子共同代表(ビスネット社長)も「女性管理職が珍しくない社会になるよう、積極的に情報発信していく」と話した。

*5:http://qbiz.jp/article/22841/1/
(西日本新聞 2013年9月2日) 女性研究者の卵を増やそう 九大が高校生向け冊子作成
 女子学生に研究者を志してもらおうと、九州大学(本部・福岡市東区)が学内の女性研究者を紹介する冊子「ブリランテ」を作成した。研究概要だけでなく、一日の過ごし方や好きな国なども紹介し、研究者たちの“素顔”が分かる内容。5千部を九大のイベントで配ったり、九州・山口の高校に送ったりする。制作したのは九大女性研究者キャリア開発センター(愛称・ソフル)。「女性研究者の卵を増やそう」と高校生向けの冊子の刊行を企画し、スタッフ7人が、文系理系を問わず、各世代の研究者や大学院生計15人にインタビューした。ブリランテはイタリア語で「輝く」という意味。カラー40ページで副題は「女性研究者のキラキラの素、届けます」。プラズマ研究で著名な伊藤早苗副学長や新種ブドウを開発した酒井かおり助教らが登場し、それぞれの研究内容や魅力、仕事に欠かせない道具、落ち込んだときの対処法、尊敬する人などを語っている。大学院生は3人で、進路選択の経緯や日ごろの研究、後輩へのアドバイスなどをつづった。九大によると、学内の女性教員は280人。年々増えているが、教員全体の12%にとどまる。菊川律子センター長は「各分野で輝く女性研究者を知ることで、高校生たちが興味のある分野で頑張るきっかけになれば」と期待している。

*6:http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/josi/
 女子差別撤廃条約は、男女の完全な平等の達成に貢献することを目的として、女子に対するあらゆる差別を撤廃することを基本理念としています。具体的には、「女子に対する差別」を定義し、締約国に対し、政治的及び公的活動、並びに経済的及び社会的活動における差別の撤廃のために適当な措置をとることを求めています。本条約は、1979年の第34回国連総会において採択され、1981年に発効しました。日本は1985年に締結しました。(以下略)

| 男女平等::2013.5~2013.11 | 04:04 PM | comments (x) | trackback (x) |
2013.8.3 農林漁業は女性の視点が役立つ場所である割に、そこで働く女性の地位が低いこと
   

 農林漁業で作られた製品は、女性が中心となって使用し、購入の意思決定権も女性が持っていることが多い。そのため、*1のように、農業者の中でも、女性が加工・販売などのニーズを把握しやすいという特性があり、農林漁業やその6次産業化は、女性により適正のある仕事と言えるだろう。

 しかし、*1の「家事・育児との両立に30代の6割が悩み」「地域の理解が必要」というのは、①農業従事者はサラリーマンと異なり、昔から女性が働くのは当然であったこと ②都会のサラリーマンと違って、子どもは親が働いている側にいられること ③農村では保育園の敷地が広く、待ち行列もないこと ④農村では3世代同居が多く、都会よりも家事・育児と仕事の両立は簡単であること などから、都会のサラリーマンが先入観を持って分析したステレオタイプの結果だと思う。

 また、「女性の活躍に必要なこと」を、「女性自身の意欲・意識の向上」などと女性に起因するのはおかしい。何故なら、女性の方にではなく、受入体制の方に問題があるのであり、誰でも、仕事に見合って収入や社会的地位が上がるのであればやる気が出るものだが、そうなっていないことが問題なのだからである。すなわち、基幹的農業従事者に占める女性の割合は45.8%であるにもかかわらず、認定農業者数に占める女性の割合は2.4%、農業委員数に占める女性の割合は4.1%しかないことから、女性が働くことが当然の農村にも、女性の活躍を阻む女性蔑視の文化があることがわかる。さらに、農業所得(収入―経費)は家族労働で稼いでいるので農家の一人当たり所得は小さい上、女性の働きは過小評価され、農協などの役員にも女性の割合が極端に少なく、農村の議員にも女性はあまりいない。その上、子どもの少ない今でも跡取りは男でなくてはならないとされるなど、女性の権利を踏みにじるような古さが残っていることが問題なのである。

 私は、農業でも女性が主たる立場で働き、意思決定できる立場に多くいたとすれば、とっくの昔に6次産業化や家庭のニーズにあった製品の生産が安価にできていたと思う。つまり、女性の地位を意図的に貶めていたことで、多角的な視点を活かすことができなかったのである。そのような中で、*2の九州の林業の第一線で女性を活躍させることができたなら、日本も少しは変わるかも知れない。

*1:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=22458
(日本農業新聞 2013/7/28) 経営ビジョン 6次化、直売意欲 農水省が女性農業者意向調査
 女性農業者が直面している課題に、「家事・育児との両立」を挙げる意見が最も多いことが、農水省の調査で分かった。このうち、30代では6割、40代では5割が悩みを抱える。農業の担い手にとどまらず、加工や販売を一体的に行う「6次産業化」などにも関心が高い女性農業者の増加・定着には、家族や地域内の理解と協力が欠かせないことがうかがえる。
●家事・育児との両立 30代6割が悩み 家族、地域の理解必要
 農業経営の方針への関わり方については、7割が「関わっている」と回答。一方、自分が「経営者である」という認識は20代が最も低く15%。年代が上がるに連れて多くなり、60代では59%が経営者の認識を持つ。農業を続ける上で生活上の課題(複数回答)で「家事・育児との両立」を挙げているのは全体で36%。30代、40代、50代ではそれぞれ最も多い。20代では「プライベートの時間の確保」が最も多く35%。60代は「特にない」との回答が最多で30%だった。「女性の活躍に必要なこと」(複数回答)という問いには、「女性自身の意欲・意識の向上」とする意見が最も多かった。ただ、40代だけだと「家族の理解」という回答が最も多く、家事や育児と両立させることへの課題があらためて浮かぶ。農業経営をしながら、今後どのような事業に領域を広げたいか(複数回答)については、農産物加工が50%、直売所での販売が31%と、6次産業化に取り組む意欲が多数を占めている。体験農園や農家レストランなど、地域の内外からも積極的に人を呼び込む意欲が高いことも分かった。調査は全国の女性農業者に対し、都道府県や全国農業法人協会を通じて実施した。7059票を発送し、回収率は29%だった。調査結果は、同省のホームページからも見ることができる。

*2:http://qbiz.jp/article/21196/1/
(西日本新聞 2013年7月30日) 九経連、林業復活へ新組織 九州産材の利用、輸出促進
 九州経済連合会は、低迷する林業の復活に向けて行動を起こす新組織「九州次世代林業特別部会」を30日に設立する。九州7県と連携し、九州林業の潜在力を引き出すのが狙い。筑後川流域▽長崎県対馬市▽鹿児島県霧島市国分地区などをモデル地域に指定し、地元産材の利用や輸出の促進に取り組む。同日の会合で特別部会のメンバーなどを正式決定する。九経連によると、森林は日本の国土の66%を占めるが有効活用されず、木材自給率は20%台。木材自給率が約60%に達する九州でも森林の荒廃や住宅市場の縮小が深刻なため、2011年6月に「九州次世代林業研究会」をつくり、課題や対策の検討を始めた。今年5月、川上から川下までの業界関係者を集めた交流会の実施や輸出に向けた海外バイヤーの招待など、林業活性化に向けた行動計画を策定した。特別部会は、この計画を実行するのが目的。九州電力グループの九州林産(福岡市)の長宣也社長が部会長を務め、九州各地の林業、木材市場、製材業、住宅会社など20社が加わる見込み。2013年度はモデル地域を指定し、筑後川流域では林業地の大分県日田市、家具で知られる福岡県大川市などと連携し、木材の利活用を促進する。対馬市では韓国への木材輸出を支援し、国分地区では国産材の日本農林規格(JAS)認証の推進に取り組む予定だ。

| 男女平等::2013.5~2013.11 | 03:47 PM | comments (x) | trackback (x) |
2013.7.25 女性が中心となっている職業は賃金が低く、男性が中心だった職業に女性が入っていくと雇用及び昇進の差別があって、全体として女性の賃金が低く設定されているのは、女性差別に由来するものだということ

                             *1より                           

 *1によれば、「保育所を増やそうにも保育士が集まらない」とのことだが、「勤務内容に比べて給与が安い」ため、保育士養成校の入学定員より新卒の資格取得者がかなり少なく、保育士の資格を持っていてもそれを使わない選択をする人が多いのだから、厚労省が「新たな保育士確保策をスタートさせ、私立施設の保育士の平均給与は月額約21万円で全職種平均の約29万8000円より約9万円低いので保育士の処遇改善を行う」というのが、Keyの解決策である。*2のように、「認可保育所への移行を目指す認可外の保育施設のために、確保すべき保育士の基準を緩和して通常の3分の1で認める方針を固めた」というのでは、保育の質が落ち、子どもの健やかな育ちや安全を保てるのか、おぼつかない。

 そもそも、左図右下の保育士、幼稚園教諭、看護師、ホームヘルパー、介護福祉士など、女性が主体となって発展してきた業種の賃金は、男性が主体となって発展してきた業種の賃金よりも、かなり低く設定されており、生涯を通じた仕事として選択し、研鑽を積み続けるのは躊躇される程度である。さらに、男性が主体となって発展してきた業種に女性が入っていった場合には、このブログの2013.7.17にも記載しているように、何かと理由をつけて雇用差別、昇進差別が行われ、やはり、女性の賃金は低く設定されているのだ。これは、まさに男女間の賃金格差であり、仕事における男女差別に由来するものである。

 しかし、保育所や幼稚園に通わせる以上、プロによるケアや教育で、親にはできないことまでしてもらいたいし、子育てや教育がしっかりしていることが、次世代の質を左右し、わが国の発展の礎にもなる。そして、それができるのは、資格を持ち、研鑽を積んだプロであって、この部分で規制緩和をするのは感心しない。そのため、200兆円もの公共工事や原発の無駄遣いよりも、福祉関係者に対して仕事に見合った報酬を支払うことにより、すでにいる潜在的な資格保有者に働いてもらう方針を出すべきだ。そして、福祉財源は、このブログの2013年7月18日*2の資料で、工業化の進んでいない中東諸国が上位にきているように、早く海洋資源の採掘を始めるべきなのである。

*1:http://mainichi.jp/feature/news/20130327ddm013100008000c.html
(毎日新聞 2013年3月27日) いろはのい:増える待機児童 保育士不足がネックに
 子どもの保育所への4月入所がかなわなかった首都圏の母親たちが、各地で異議申し立てを起こすなど保育所待機児童の問題は深刻さを増しています。ただ、その一方で、保育所を増やそうにも保育士が集まらないという事態も起きています。
 ◇処遇改善に着手
 出産後も働き続ける女性や共働きする夫婦が増え、保育所に入る子どもは増えるばかり。だからといって、保育所の定員を増やしたくとも保育士を確保できないという悲鳴が各地で上がっています。厚生労働省が11年に都市部や待機児童の多い自治体を対象に実施した調査では、回答した130自治体の約8割が「保育士不足」と答え、その約8割は「長期的な課題」と回答しました。こうした状況を改善しようと、厚労省は新たな保育士確保策をスタートさせます。12年度の補正予算には438億円を盛り込みました。目玉は保育士の処遇改善です。12年の賃金構造基本統計調査によると、私立施設の保育士の平均給与は月額約21万円。全職種平均の約29万8000円より約9万円低く、幼稚園教諭などより低額です。同省の保育士を対象とした調査(11年)でも、「勤務内容に比べ給与が安い」と答えた人が半数を上回りました。09年の離職率は10%。平均勤続年数は8・4年で全産業平均の11・9年より2年以上短くなっています。厚労省は低待遇が離職につながっているとみて、補正予算のうち340億円を保育士の賃金アップに充てる意向です。対象は相対的に公立保育所より給与の低い私立保育所で、保育士の処遇改善に取り組む施設には保育士の平均勤続年数に応じて費用を補助します。同省は過去の介護職員の処遇改善策で平均月額賃金を1万5000円引き上げるなどの目標を掲げていました。今回は目標額こそ示していませんが、月収約30万円の保育士なら標準的なケースで約8000円増になるとみています。
 ◇資格取得を促進
 また保育士の資格取得者を増やす取り組みも進めます。保育士養成校の入学定員は長らく、増加傾向にあったのですが、資格を取得して卒業する人は減ってきていました。このため認可外保育施設で働く保育士資格のない人を支援し、資格取得を促します。受講費用の半分と、受講のために職員が仕事を休む際、その代替要員にかかる費用を補助します。認可保育所の保育者は全員有資格者なのに対し、認可外では有資格者が6〜7割という施設もあります。資格取得者を増やすことで、将来認可外から認可保育所へ移行しやすくする効果も狙っています。

*2:http://www.nishinippon.co.jp/nnp/politics/article/3752
(西日本新聞 2013年6月4日)  保育士確保で基準緩和へ、厚労省 認可外の移行支援
 厚生労働省は4日、認可保育所への移行を目指す認可外の保育施設を支援するため、確保しなければならない保育士の基準を緩和し、通常の3分の1で認める方針を固めた。全国的な保育士不足が移行の大きな障壁となっているためで、5年以内に基準を満たすよう求めている。近く全国の自治体に通知する。厚労省は5年で保育所定員を40万人増やして保育の受け皿を確保する「待機児童解消加速化プラン」を掲げている。移行を目指す認可外施設への支援はその一環で、改修費や賃料、運営費の助成も打ち出している。条件緩和には、施設が面積などの基準を満たしていることが必要。

| 男女平等::2013.5~2013.11 | 01:57 PM | comments (x) | trackback (x) |
2013.6.21 これが、欠点のない女性をくさすための典型的な叩き方であり、女性蔑視、ジェンダーを含む歪んだものである。
  

 夫が買ってきた週刊現代に、雅子妃について、概略、下のように掲載されていた。週刊現代の記事は悪くないものが多いが、この記事は、「勉強が出来すぎる女性は不幸だ」「優秀すぎると不都合なことが起こる」というように、一貫して雅子妃のキャリアの高さや優秀さを腐し、馬鹿な女性の方が幸福になると言わんばかりで、その根底には、男性より女性を下に見る女性蔑視やジェンダーの意識を含んでおり、全女性に対して失礼極まりないため、ここで取り上げて批判することにした。

(1)輝いていた人が、ご成婚から20年の月日が経つと評価が真逆のものに変わってしまった原因は、雅子妃の「完璧すぎる経歴」にあるのか?
 *1の記事は、「完璧すぎる経歴」が悪いと述べている。しかし、正しくは、雅子妃の問題でも皇太子の問題でもなく、宮内庁担当記者も含めた周囲の古さが問題なのである。皇室外交の担い手になる予定で結婚したのに、結婚後に求められたのは男子出産のことばかりで、皇室外交どころか外国にも行けない状態にされ、このような記事を書かれたら誰でも怒るだろう。それが、健康にも悪いのである。なお、私は、雅子妃に皇室外交をさせていたら、皇室のイメージが、国民にとってより自由で好意的なものになり、外国での評判も上がっていただろうと思うし、それが皇太子の期待でもあったと思う。

(2)敵か味方かで人を区別しない人がいるのか?
 次に、*1では、「雅子妃は、敵と味方で人を区別し、信頼できない人間は厳しく拒絶するからいけない」と述べている。しかし、これは、自分や子どもの命さえ狙われる可能性のある人であれば、正当な注意である。また、命までは狙われない人でも、このような悪意ある記事を書くことを目的とするような人間を拒絶するのは、自らの身を守るために必要である。つまり、敵か味方か、信頼できるか否かを区別して護身するのは当然のことであり、快く接してもらいたければ、敵にならず信頼を得るようにすることが重要なのである。この記者は、「(妃殿下であっても!)女は敵にもしっぽを振れ」とでも言うのだろうか。

(3)強い意志を捨てずに妥協しないのはいけないことか?
 *1は、雅子妃は、「皇室外交」のために皇室に嫁いだが、それができず、キャリアウーマンとして培ってきたその強い意志を捨てられずに、一歩も妥協できていない状態だからいけないと述べている。しかし、私は、次の時代の開かれた皇室を作ることができるのは、現在の皇室の雰囲気を変えることができる人であって、順応してやっと受け入れてもらう人ではないと思っている。誰が何と言おうと、強い意志を捨てず、妥協せずにいなければ、物事を変えることはできない。この記者の女性に対するものの考え方は、相当に悪意であり、女性蔑視であるとともに、本人の意識が低いと感じた。

*1:http://kodansha.cplaza.ne.jp/wgendai/article/130617/top_02_01.html
(週刊現代 2013年6月29日号)雅子妃の人生「勉強が出来すぎる女性の不幸」(抜粋)
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頭がいいことは、本来であれば誇るべきことだ。だがあまりに優秀すぎると、時に不都合なことが起こる。それは、一般社会でも、皇室においても同じこと。才媛・雅子妃が辿る道は、茨の道だった。
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■あんなに輝いていた人が
1)「雅子妃は、美人で笑顔もチャーミング。ファッションセンスもよく、その上才媛でバリバリの現役外交官。非の打ちどころのない完璧な女性として、老若男女から圧倒的に支持されていました。そもそも雅子妃は、外務省入省時から非常に期待が高かった。」(宮内庁担当記者)
2)結婚するまでの雅子妃の経歴には、まさに他を圧倒する迫力がある。雅子妃の父・小和田恆ひさし氏は、東京大学教養学部とケンブリッジ大学大学院を卒業し、事務次官にまで昇りつめた外務省のトップエリート。母親の優美子さんも慶応義塾大学を卒業後、エールフランス航空の東京支社長秘書を経て恆氏と結婚した“エリート専業主婦”。この父母のもとで大切に育てられた雅子妃もまた優秀で、優美子さんの出身校でもある名門・田園調布雙葉学園小学校に編入、高校まで同学園で過ごし、父の仕事の都合でアメリカのボストンへ移住し、ハーバード大学経済学部に進学。
3)こうして、雅子妃は、父と同じ外交官の道へ進み、次代の皇室を担う皇太子妃として、白羽の矢を立てられた。当時、海外暮らしで培った広い見識と聡明さを持つ雅子さんが、皇室に新風を吹き込んでくれるかもしれないという期待も大きかった。
4)ところが、ご成婚から20年の月日が経ち、雅子妃の評価は真逆のものに変わってしまった。その原因は、「完璧すぎる経歴」にあると、別の宮内庁担当記者は語る。「雅子妃ご本人は、『皇室外交の担い手になる』という意気込みで結婚されたのだと思います。実際、それを期待させる言葉で、皇太子は雅子妃を口説き落としている。しかし、いざ結婚してみたら、求められるのは跡継ぎの出産のことばかり。皇室外交への期待の声などほとんどない。前に出て自分を主張し、能力をアピールすることは、皇族らしくない振る舞いとして疎まれ、変人扱いされてしまうのですから、行き詰まって当然でしょう。」
■敵と味方で人を区別する
雅子さまは、自分が信頼できない人間は厳しく拒絶するからいけない。
■キャリアアップ?
雅子妃は、「皇室外交」のために皇室に嫁いだが、それができず、キャリアウーマンとして培ってきたその強い意志を捨てられずに、一歩も妥協できていない状態だからいけない。

| 男女平等::2013.5~2013.11 | 05:37 PM | comments (x) | trackback (x) |
2013.5.21 従軍慰安婦について (2013年5月24日最終更新)
  
                  *1より
 私は、①あれだけ銃弾が飛び交う中、精神的に高ぶっている猛者集団に軍の規律を維持するため従軍慰安婦が必要だったのは誰だって分かる ②世界各国が持っていたのに、なぜ日本だけが取り上げられるのか ③沖縄で海兵隊員に風俗業者を活用させるよう求めた という橋下氏の一連の発言を聞いた時、売春の正当化と品のなさに、うんざりした。しかし、本当は何がいけないのか、少し事情を知っている女性として、私の意見を書こう。

(1)橋下氏だけがそういう意見なのか?
 ①で、橋下氏が「誰だって分かる」と言っているように、維新の会の石原代表をはじめとして政治家、官僚、メディアも含め、少なからぬ人がそういう考えを持っていることを明言したい。メディアは、ここぞとばかりに橋下氏のみをバッシングするのではなく、政治家の誰が、どういう女性観を持って、そういう考え方をしているのかについて、アンケートを取って一覧表にし、本質を議論するのが、日本女性も被害者である女性蔑視を解決するための道筋であると思う。何故なら、性的対象とのみ見るその偏った女性観こそが、具体的性行為に至らずとも、現在でも日本社会において、言葉の端々で本音として出され、女性差別となって表れているからである。そして、この発想は、日本では、政治家のみならずメディアや財界にも、少なからず存在する。

(2)従軍慰安婦は、本当に国が強制したのではないのか?
 「従軍慰安婦は国が強制したのではなく、民間が自主的に行ったものだ」という弁解もある。それならば、確かにこの時代には禁止されていなかったが、その弁解は本当だろうか。仮に本当であれば、軍の内部に従軍慰安婦がいるのではなく、兵隊が軍の外にある売春宿に通わなければならないはずだが、そうではなく、慰安婦は日本軍に従軍して移動していたのである。ということは、やはり軍の命令で、一般女性を守るという名目で設置されたものと考えるのが自然ではないだろうか。似たような仕組みは、敗戦後の米軍占領下で、官僚の肝入りによって、日本国内にも作られたではないか。

(3)世界各国が売春制度を持っていたのに、なぜ日本だけが取り上げられるのか?
 日本だけが取り上げられる理由の一つには、終戦後価値観が大きく変わり、日本は敗戦国だからというのがある。もう一つには、日本は、そういう女性をとりわけ蔑んで扱ってきたからだと思う。私は、1989年頃、ビッグ4の税務部門で、大蔵省を退職してきた人が上司におり、当時のことを話す時、「女は便所の扱いだった」と言っていたのを聞いたことがあり、私は、当然、げんなりした。こういう感覚で扱っていたから、日本は、とりわけ憎まれ、批判されるのではないだろうか。

(4)従軍慰安婦に対する日本軍の強制があったとしても、何度、謝ればいいのか?
 しかし、私がしっくりこないのは、従軍慰安婦に対する日本軍の強制があったとしても、誰が、何度、謝ればすむのかということだ。当時の価値観では、敗戦国の日本だけに売春制度があったわけではなく、また、戦争責任に関する断罪はすでに終わっている。そして、謝罪するための税金は、自らも女性蔑視の被害者である日本女性を含む日本国民全員が支払ったが、その女性蔑視の元となっている儒教の精神は、中国、朝鮮半島から日本に伝わったものだ。そのため、日本から金を引き出すツールとして、何度も、現在の日本人全員に対して戦争に関する歴史責任を持ちだすのは、やめてもらいたいと思う。

*1:http://digital.asahi.com/articles/TKY201305190413.html?ref=comkiji_redirect&ref=nmail (朝日新聞 2013.5.19)
維新混乱、崖っぷち 石原・橋下氏会談、収束へ注文次々 頼みの世論離れる紙面で読む
 日本維新の会の橋下徹、石原慎太郎の両共同代表が19日、名古屋市内で会談した。橋下氏は旧日本軍の慰安婦などをめぐる発言に伴う混乱を陳謝した。ただ、朝日新聞の世論調査で維新への期待感は下がっており、党の立て直しは難しさを増している。会談は事態収拾へ石原氏が要望した。同席した松井一郎幹事長らによると、橋下氏は一連の発言について「申し訳なかった。丁寧に説明していきます」と陳謝。ただ、発言そのものは撤回しなかった。石原氏は「色々な問題提起をするなら国政だ」と述べ、参院選への立候補を改めて要請。だが、橋下氏は「勘弁して下さい。それはどうしてもできない」と固辞した。石原氏の要求は続いた。橋下氏が続けるツイッターを問題視して「やめなさい」と注文。慰安婦発言についても「きちんと論文にまとめて発表した方がよい」と助言した。一方で先の大戦を「侵略」とする橋下氏と、「侵略ではない」とする石原氏は真っ向から対立。橋下氏が「世代の違いがある」と主張すると、石原氏は「もっと歴史の勉強をしなさい」。最終的に「侵略」の党見解は統一しないことで一致した。橋下氏の一連の発言は世論にも影響している。朝日新聞の18、19日の世論調査で参院選比例区の投票先に維新を挙げた人は7%で、1月の調査(16%)に比べ半分以下に落ちた。慰安婦や風俗業をめぐる発言についても、4分の3が「問題がある」と回答。国会議員団には橋下氏への不満が高まっており、若手議員は「全部、発端は橋下さん。素直に謝るしかない」。 好調を維持する自民党からは維新と距離を置く発言が相次ぐ。小泉進次郎青年局長は19日、山形市で記者団に「(維新とは)全くスタンスが違う。連携は頭の中にまったくない」と強調。党幹部も「我々は公明党との関係を大事にしていけばいい」と話す。参院選で維新の議席が伸び悩むと、安倍政権が目指す憲法改正の可能性が遠のきかねないが、派閥会長の一人は「憲法改正はじっくり時間をかけてやっていくしかない」と語った。維新に流れた支持層を取り戻したい民主党。海江田万里代表は19日、京都市内で記者団に「維新を支持していた人が民主党にそのまま来るとは思っていない。0・1%でもいいから、支持を広げる地道な努力をするしかない」と語った。

*2:http://digital.asahi.com/articles/TKY201305190451.html?ref=comkiji_redirect&ref=nmail_20130520mo&ref=pcviewpage (朝日新聞 2013.5.19)
元慰安婦「平和でなければ」 韓国の87歳・84歳、沖縄・広島で語る
 旧日本軍の「慰安婦」だった韓国の女性2人が19日、沖縄と広島でそれぞれ体験を語った。日本維新の会の橋下徹共同代表による慰安婦問題をめぐる発言が波紋を広げるなか、参加者からも政治家の言動に怒りや懸念の声が相次いだ。「過去の過ちは今の政府が解決しなければならない」。沖縄県の本土復帰41年に合わせ、宜野湾市で開かれた集会。元慰安婦の金福童(キムボットン)さん(87)はこう呼びかけた。日本統治下の朝鮮半島で生まれた。14歳だった1941年、家に来た日本人に脅され、中国、インドネシア、マレーシアなどの戦場に送られた。目や足が悪く、支えられて歩く状態だが「二度と私のような被害者を生まないように」と伝えたかったという。「慰安婦は必要だった」と発言した橋下氏には、「必要というなら自分の娘を送れるのか。妄言で過去の歴史は変えられない。若い人には真実を学んでほしい」と感じる。この集会は沖縄本島で17日から続いていた「5・15平和行進」の締めくくりだった。激しい雨の中、主催者発表で約3500人が集まった。「県民を愚弄(ぐろう)する発言は許さないぞ!」。集会では橋下氏の発言を糾弾するシュプレヒコールがあがった。主催した沖縄平和運動センターの山城博治事務局長(60)は「本土は彼が政治家を続けることを許すのか。我々は世論も問題視している」と話す。 広島市では元慰安婦の吉元玉(キルウォノク)さん(84)が体験を語る集会があった。11歳の時、中国東北部(旧満州)の慰安所で働かされた。「悔しくて、胸が痛くて。いつも心は寂しい」。いまも残る心の傷を語った。体調が悪く、車いすと付添人がなければ動くことができない。日本の政治家が元慰安婦を苦しめる発言を繰り返す現状を憂慮する。「日本がまた戦争の準備をしているように感じる。平和でなければ、私みたいな人をまたつくってしまう」。会場には予定を上回る220人が訪れた。その一人、広島県呉市の久保浩之さん(81)は被爆者だ。「自分の国がしてきたことにきちんと目を向けて反省しなければ、世界に原爆の悲惨さも伝わらないのではないか」と語った。

*3:http://www.fukuishimbun.co.jp/localnews/editorial/42499.html
(福井新聞 2013年5月15日) 橋下市長「慰安婦」発言 正当化してどうなるのか
 安倍政権が誕生して以来、過去の歴史認識に対する見直し発言が相次ぎ、国内外から右傾化を懸念する声が高まっている。この機に乗じたか、日本維新の会共同代表の橋下徹大阪市長が、旧日本軍の従軍慰安婦に関し「軍の規律を維持するために必要だった」と容認する発言をした。こうした発言がさらに国際問題化し、日本批判が高まる現実をどう認識するのか。橋下氏はこれまでも過激な発言を繰り返し、既成政党との違いを鮮明にしながら、維新の会を地方政党から衆院第3党の地位まで拡大させた。それは既成概念や古びた常識に対する挑戦でもあった。その延長線上に従軍慰安婦発言があるのだろうか。そうであるならば、記者の質問や個人のツイッターではなく、堂々しかるべき公の場で発言すべきではないか。「あれだけ銃弾が飛び交う中、精神的に高ぶっている猛者集団には必要なのは誰だって分かる」とし、「世界各国が持っていた。なぜ日本だけが取り上げられるのか」とも述べた。それだけではない。先日、沖縄の米軍普天間飛行場を視察した際には、幹部に対して海兵隊員に風俗業者を活用させるよう求めたことも明らかにした。こうした一連の発言は、単に「率直な話」というだけでなく「確信犯」であり、反響の大きさを十分意識しての言動だろう。たとえ、戦時下の修羅場に必要な存在だったとしても、現代に正当化することは許されない。沖縄では少女暴行事件などが多発し、米軍への不信感が根強い。それなら風俗の女性を活用すればいい、という発想があるとすれば、女性を性行為の対象としかとらえない男性の差別意識であり、人権侵害である。「建前論では人間社会は回らない」とする橋下氏。ならば、欲望むき出しの本音の社会は平和で心豊かなのか。慰安婦を生んだ忌まわしい歴史、戦争責任と向き合い、それを乗り越えていく責務が政治家にはある。もう一方の共同代表、石原慎太郎氏も「軍と売春は付きものだ」と擁護する。維新の会は昨年の衆院選以降、急激に失速している。参院選に向け発信力ある橋下氏のスタンドプレーにも見える。陰る人気を反応のいいツイッターでカバーしようとするなら、浅薄で悲しい戦略だ。海外だけでなく、安倍政権内からも批判が出ている。その政権だが、安倍首相は「侵略戦争」に対して「侵略の定義は国際的にも定まっていない」と述べ、米国内からも懸念の声が上がると軌道修正し、沈静化を図った。だが先日、自民党の高市早苗政調会長は植民地支配と侵略を認めた1995年の村山富市首相談話に関して「違和感がある」と述べた。政権の歴史認識は、本音のところでは何も変わっていない。こうした発言が国益につながるとは思えない。4月に英国で開かれた主要国(G8)外相会合は「紛争下での性暴力防止」が主テーマだったはずだ。「個人の発言だ」と火消しに躍起となる政府や維新の会幹部の姿に、政治の劣化が止まらない現状が透けて見える。

*4:http://www.shinmai.co.jp/news/20130515/KT130514ETI090007000.php
(信濃毎日新聞 2013年5月15日)橋下氏の発言 女性の尊厳踏みにじる
 日本維新の会共同代表の橋下徹大阪市長が従軍慰安婦を認める発言を繰り返し、波紋を広げている。戦争で女性が兵士に利用されるのは仕方ない、と言っているようなものである。個人的な見解であったとしても女性の人権や尊厳を踏みにじる言葉で、容認できない。過去の歴史をめぐって中国や韓国と緊張が高まる中、事態をより悪化させることにもなりかねない。政治家として軽率に過ぎ、資質が厳しく問われよう。この発言は13日、大阪市役所で記者団とのやりとりで出た。「猛者集団に休息を与えようとすると慰安婦制度が必要なのは誰だって分かる」「軍を維持し、規律を保つために、当時は必要だった」などと語った。一方、戦争の結果なので慰安婦になった女性には配慮が要るとも述べている。翌日も「人間、特には男に、性的な欲求を解消する策が必要なことは厳然たる事実」とし、慰安婦制度そのものを是認するような発言を続けた。橋下氏は従軍慰安婦問題について、かねて旧日本軍が強制した証拠はないと主張していた。今回の発言はさらに踏み込んだ。このほか、在日米軍の幹部に、米兵による風俗業者の利用を促したことも明らかにしている。橋下氏の発言に、韓国政府関係者は「歴史認識と女性の人権尊重意識の深刻な欠如を露呈した」と批判し、在日米軍の高官は「われわれが米兵に徹底させようとしている価値観と相いれない」と苦言を呈した。安倍晋三内閣の閣僚や与野党幹部、国内の市民団体などからも批判が続出した。安倍政権からも歴史認識をめぐって危うい発言が続く。安倍首相は過去の侵略と植民地支配を謝罪した村山談話を「そのまま継承しているわけではない」と国会で答弁。中韓は反発し、米国からは懸念の声が出ている。結局、菅義偉官房長官が歴代内閣同様に引き継ぐと明言し、軌道修正を図った。その直後には自民党の高市早苗政調会長が再び、安倍政権の歴史認識は歴代とは異なるとの認識を示し、党は火消しに追われている。橋下氏の発言で、歴史認識問題が終盤国会における論戦の焦点になる可能性が出てきた。慰安婦問題への対応では、日本政府は国連など国際社会からも厳しくみられていることを忘れてはならない。政治家が国際的な人権感覚や常識を疑われるようでは、国の先行きはおぼつかない。

PS(2013年5月24日追加):オランダ人で、第二次大戦中に旧日本軍により慰安婦にさせられた被害者の記事か掲載されていました。これによれば、強制であるだけではなく、レイプであり、慰安婦は公娼ではありませんので、当時の法律に照らしても違法です。メディアは、正確な情報を提供すべきです。

*5:http://mainichi.jp/select/news/20130524k0000e030263000c.html
(毎日新聞 2013年5月24日) オランダ人元慰安婦:「償い事業」責任者が証言集出版
 第二次大戦中に旧日本軍により慰安婦にさせられたオランダ人被害者に対する「償い事業」の実施責任者だった女性が、元慰安婦8人の証言記録集「壊された花」を8月15日に出版する。元慰安婦は死ぬまで心的後遺症に苦しめられたという。元責任者は「大多数の元慰安婦が死ぬ一方、政治家が歴史をねじ曲げている。若い人に悲惨な事実を学んでほしい」と話す。筆者はオランダ・ハーグ在住のマルガリータ・ハマー・モノ・ド・フロワドビーユさん(71)。「女性のためのアジア平和国民基金」(アジア女性基金)がオランダで実施した元慰安婦への支援事業(1998〜2001年)で、事業実施委員長を務めた。ハマーさんは79人の元慰安婦を認定する作業の中で被害者と親しくなり、そのうちの8人から当時の状況やその後の人生を聞き、まとめた。元慰安婦の一人、エルナさん(仮名、06年に81歳で死亡)は証言集に「若く咲き誇っていたあの日/血塗られた太陽に花は壊された/傷は永遠に続く」との詩を死の数カ月前に寄せた。血塗られた太陽は日の丸を指す。
 日本軍は1942年、当時オランダの植民地だったインドネシアに進攻。オランダ人民間人9万人、軍人4万人を収容所に入れた。エルナさんは43年に母親とジャワ島中部アンバラワの収容所に入れられた。44年2月に軍の将校が来て18歳だったエルナさんを含む17〜28歳の女性17人をスマランに連行。エルナさんは軍医による性病検査の後、将校に強姦(ごうかん)され、軍医にも強姦された。拒否しても「収容所の家族を殺す」と脅された。2カ月後、慰安所は軍幹部の命令で閉鎖され収容所に戻されたが、妊娠がわかり中絶した。戦後、スマランの慰安所を設置した軍人や民間人10人がBC級戦犯としてバタビア臨時軍法会議で死刑を含む有罪判決を受けた。エルナさんは戦後、オランダ兵と結婚したが度々、慰安所を巡る悪夢に悩まされた。特に夫が亡くなってからは心的外傷が強まり眠れない日が続いた。「慰安婦にされた被害者の人生全体が台無しにされ、傷が癒えることはなかった。慰安婦制度が必要だったなどという政治家の発言はおかしい」とハマーさんは話す。

| 男女平等::2013.5~2013.11 | 10:44 AM | comments (x) | trackback (x) |
2013.5.14 日経新聞の少子化記事には呆れた。これは、子育てを妻に任せて自分はやらなかった人の発想ではないだろうか?
       
             (出典:内閣府 平成23年版男女共同参画白書)

 *1の記事に、「長年の取り組みにもかかわらず、具体的な成果はなかなか出てこない」と書かれているが、日本には、いまだに保育園の待ち行列があり、学童保育は貧しく、女性労働がM字カーブを描き、子育てをすれば生涯所得が大きく減少する環境である。そのような中では、自己実現としての仕事と家庭の両立という当たり前の希望がかなえられず、社会が女性に仕事か子育てかの選択を迫っているのであって、少子化が女性の問題であるわけがない。むしろ、このように基本的人権を行使できない環境におかれた日本女性は、被害者である。

 そのため、*1のように言われると、私は、成果が出ないのは当然なのに、何を言っているのかと思う。また、「妊娠、出産についての正しい知識を伝えるための手帳を作る案」が出ているとのことだが、子どもを産み育てる環境が整っていない以上、子育ての知識を得れば得るほど、また、現状を知れば知るほど、責任感のある人は「子どもを産まない」という意志決定になるのだということを忘れてはならない。そして、それが、こりごりして、子どもを一人だけで止める人の多くの理由である。

 なお、多くの女性を非正規雇用の低賃金労働者として雇っている日本社会の現状では、それらの女性は、労働基準法や男女雇用機会均等法による保護は受けられないため、「これまでの施策のどこが足りず、今後どこを強化すべきか」などと言う方がおかしく、「施策は骨抜きにされ、重要な部分は変わっていなかった」と言うべきである。

*1:http://www.nikkei.com/article/DGXDZO54949800T10C13A5PE8000/
(日経新聞 2013/5/13)  少子化対策は広い視野で
 何度やってもうまくいかないと、あきらめたり、つい手近な対策に飛びついたりしたくなる。そんな瀬戸際にあるのが少子化対策かもしれない。長年の取り組みにもかかわらず、具体的な成果はなかなか出てこない。だが、少子化対策に王道はない。これまでの施策のどこが足りず、今後どこを強化すべきか。限られた予算の中で優先順位をつけながら、社会全体の問題として取り組んでいくことが必要だ。少子化対策の範囲は広い。最初は仕事と子育ての両立支援を中心に始まり、男性を含めた働き方の見直しなどにも広がった。だが、いずれも十分な成果が出たとはいいがたい。1人の女性が生涯に産む子どもの数の推計である合計特殊出生率は、2011年時点で1.39だ。国民が持つ結婚や出産の希望がかなえば1.75程度になるとの試算もある。こうした希望の実現を妨げている原因を一つ一つ取り除かなければならない。このため3月に、内閣府に有識者会議が設けられた。育児だけでなく、結婚や妊娠、出産についての対策を考える場だ。これまで手薄だった分野であり、意義は十分にある。ただ、ここで大事になるのは、「妊娠、出産は女性の問題」などと小さくとらえないことだ。妊娠、出産についての正しい知識を伝えるための「手帳」を作る案が出ているが、知識の必要性は女性に限ったことではないし、知識不足ばかりが少子化の原因ではない。若いうちから不妊に悩む夫婦もいれば、仕事や家計の状況から結婚・出産に踏み切れないカップルもいる。とりまとめはこれからという。優先順位を含め、十分な議論が必要だろう。「女性の問題」ととらえる限り、関心を持つ人は減り、少子化対策は前進しない。多様な視点からの、多様な取り組みが欠かせない。少子化の問題は、一人ひとりに突きつけられた課題と受け止めなければならない。

| 男女平等::2013.5~2013.11 | 01:37 PM | comments (x) | trackback (x) |
2013.5.9 今日は、「スーパーウーマン」の定義が違う。
 今日の*1の記事は、前半はそのとおりだが、最後の「スーパーウーマンの呪縛から解き放たれてこそ・・・」というのはおかしい。何故なら、「スーパーウーマン」の定義が間違っているからである。例えば、サッチャー氏はスーパーウーマンである。もし、彼女が独身だったり、子どもがいなかったりすれば、スーパーウーマンではないのかと言えば、そんなことはなく、サッチャー氏がスーパーウーマンであることに変わりはない。

 早く言えば、(当然のことだが)仕事の評価は仕事ですべきであり、仕事の評価にプライバシーを持ち込むのが間違いだということである。何故なら、仕事の評価を仕事でしなければ、仕事をした結果として生産される財やサービスの質と仕事の能力が連動しなくなり、これは、個人がよい仕事をするために努力しようとする意欲をそぐとともに、経営上も、よい結果をもたらさないからである。そして、それは、男性か女性かを問わず同じだ。つまり、例えば、おもちゃ会社の役員として、子育ての経験をしたことのある人が優れていたとすれば、子育ての経験をキャリアとして活かすことができたと言えるが、子育ての経験のみが仕事の能力を形成しているわけではなく、また、すべての仕事にそれが当てはまるわけでもないため、結婚や子育て自体が仕事の能力に影響するとは限らないということなのである。

*1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20130510&ng=DGKDASGU2801Y_Q3A430C1MM8000
世界を動かす(2) ガラスの天井破る 企業トップ、誇りと試練
 オバマ政権下の軍事予算削減で揺れる米国の防衛産業。重厚長大の代表格で「男の牙城」だったこの業界で、女性登用が瞬く間に進んでいる。
●軍事大手幹部に
 ロッキード・マーチンで1月、女性初の最高経営責任者(CEO)にマリリン・ヒューソン(59)が就任。ゼネラル・ダイナミックス、BAEシステムズ米国法人を合わせ米防衛大手3社のトップに女性が並んだ。女性の昇進を阻む見えない障壁「ガラスの天井」を突き破った女性たちはさらに続く。ロッキードは最大事業の最新鋭ステルス戦闘機F35担当副社長に女性のロレーン・マーチン(50)を起用。1月に事業運営全般を統括する副社長にリンダ・ミルズ(63)を据えたノースロップ・グラマンは幹部の半数が女性だ。軍事予算削減の非常時だからこそのイメージ先行ともとれるが、ミルズは「様々な人材が新たな価値を生み出すことはデータが裏付けている」と女性登用は経営戦略の一つと強調する。実際、経営陣に女性がいる企業の業績はいいとの調査は多い。例えばクレディ・スイスが昨年発表した調査では、女性取締役がいる世界の企業の過去6年間の株価は、同規模の男性のみの企業より26%高かった。多様な人材効果などが影響したと分析する。ペプシコ、ヒューレット・パッカード、IBM、ヤフー……。世界的な米大手企業で女性トップが目に付くようになった。とはいえ米主要企業「フォーチュン500」社のうち女性が経営する企業は21社。過去最高だが4%にすぎない。地位ではガラスの天井を破っても試練がつきまとい、一挙手一投足が注目される。妊娠中にヤフーCEOに就き、2週間の産休後に復帰したマリッサ・メイヤー(37)。2月に在宅勤務廃止を打ち出すと、働く母親らの反感を買った。同時期に同じ方針を発表した家電量販大手の男性CEOは話題にならなかった。3月、フェイスブック最高執行責任者(COO)のシェリル・サンドバーグ(43)の著書「リーン・イン(一歩前へ)」が大論争を呼んだ。女性は社会や制度の影響もあって昇進を自制しているとの指摘に「背中を押された」との賛同の一方、30億円近い彼女の年収などを挙げて「一般女性とはかけ離れた立場での意見だ」と批判も上がった。
●理想像の呪縛
 女性学研究で知られるバーナード・カレッジ学長のデボラ・スパーは、社会は女性経営者に男性以上の資質を求め「スーパーウーマン」像を押しつけていると指摘。「スティーブ・ジョブズ(前アップルCEO)の父親ぶりは問われないが、女性は仕事に加え、良妻賢母ぶり、果ては外見まで評価される」。ハーバード経営大学院の研究者らの昨年の調査では、各国企業の男性役員の90%が既婚だったが、女性は72%。子供がいる役員は男性で90%、女性は64%にとどまった。 スパーは、全てを手にしたかのようなメイヤーらも含め「何も引き換えにせずにトップの地位についた女性はいない」と言い切る。日本より登用の進む米国だが、経営手腕が公平に評価され、スーパーウーマンの呪縛から解き放たれてこそ、企業の未来も広がる。

| 男女平等::2013.5~2013.11 | 06:12 PM | comments (x) | trackback (x) |
2013.5.9 日経新聞の堂々たるジェンダー記事には呆れた。
   *5より

 イギリスでは、*1のように、マーガレット・サッチャー氏が1979年に首相となり、何を言われても改革を貫徹して英国病を撲滅し、フォークランド紛争でも毅然として戦って領土を守った。先日、スペインの女性アナウンサーがサッチャーさんの死を悼んで「もし彼女がわが国の人だったら、フォークランド諸島はスペイン領になっていただろう」と言っていたのを聞き、そのウィットの効いた冗談に笑った。但し、現在の日本の福祉は1979年以前の英国より貧弱で、経済改革は30年遅れているにもかかわらず、後戻りしているため、現在の改革の方針については、単純に英国の真似をすればよいというものではない。

 そして、*3で、日経新聞は「『鉄』はいらない。リーダー、自然体で輝く」と書いている。私もサッチャー氏と同じタイプなのでわかるが、サッチャー氏の場合は、自然体で改革を断行した結果、周囲に「鉄の女」に見えたに過ぎず、本人が無理をして生きたわけではない。しかし、自分が周囲に流されて生きてきた結果、得をしたタイプらしいこの日経新聞記者には、それが理解できないということだ。

 また、*2のアメリカのケースを見て、日本人の中には、これが批判される理由がわからないという人も多いだろう。何故なら、日本は、*3のように、日経新聞という大メディアが、「鉄はいらない」「(女は)しなやかなのが良い」「男性ホルモンの時代は終わった」「レズビアンで、ありのままだ」「母性こそ力」「男と伍するのでなく自然体の指導者が受け入れられる時代」などと、性意識を前面に出し、まさに女性に対するジェンダー丸出しのメッセージを発しているレベルだからである。そして、日本では、このようなことが日常茶飯事であるため、これにクレームを言う女性の方が、逆に批判されることが多い。しかし、*2は、やはり評価における女性差別であり、アメリカには、それを直ちに指摘する土壌があって、オバマ米大統領は批判されたら本人に謝罪したのである。これが女性差別である理由は、女性の州司法長官に実力よりルックスでなったかのような発言をしたからであり、ハリス州司法長官が仕事の能力と実績で州司法長官になったことを軽視しているからである。つまり、アメリカでは、評価基準も男女平等であるべきだという価値観が、日本より浸透しているということである。

 *3の記事で、「母性こそが力」「もう(男の)まねしない」と主張した日経新聞は、女性は、どの職業でも「母性さえあれば、優秀な人材としてやっていける」とでも考えているのだろうか。また、毅然として自分の意思を貫くリーダーの姿を「男のまね」と考え、女は「しなやか(姿態などがなよなよして、たおやかなさま)」なのが自然体だと思っているのだろうか。これは、女性に対して失礼なイメージの押し付けである。女性であれ、男性であれ、自然体で鉄の意志を持ち、特定の誰かと張り合わなくても男女全員の中でトップとなる能力を磨いてきた人はいるし、また、そういう人でなければ、指導者となる資格はないだろう。

 なお、*4の記事では、「日本では政治家の登用進まず」と、例のごとく政治家の批判を行っている。しかし、*5のように、一般企業の女性登用は、部長級以上でも2.7%に留まり、取締役では2.6%あるものの、これには社外取締役で女性を登用してパーセンテージを上げているという現実がある。ちなみに、わが国の衆議院議員の女性比率は7.9%で、参議院議員の女性比率は14.0%である。

 そのため、*3のような記事を書き、かつ、*4のように政治批判している日経新聞は、自らの記者、管理職、取締役に占める女性割合を公表すべきだ。そして、日経新聞の女性記者は、男のまねはせず、ワークライフバランスを保って自分で子育てしながら、母性だけで何人取締役になっているのか知りたいものである。こう言うと、「憲法に定められた男女平等は公務員のみを縛るもので、一般人には関係がなく、メディアは憲法で言論の自由・表現の自由が保障されている」などと言って逃げる人がいる。しかし、そのようなご都合主義の憲法解釈は、して欲しくない。また、長くは書かないが、”母性”というのは、現在、種々の疑問がある概念でもある。

*1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20130410&ng=DGKDZO53803480Q3A410C1EA1000
(日経新聞社説 2013.4.9) サッチャー改革が日本に問い直すもの
(ポイント)歴史を転換させた為政者が死去した。1979年から11年にわたり英国の首相を務めたマーガレット・サッチャー氏である。国の長期衰退に歯止めをかけ経済を復活させた元首相の足跡から、日本が学ぶものは今なお多い。英国は18世紀の産業革命により「世界の工場」に上り詰めたが、20世紀に入ると米国やドイツの追い上げを受け、70年代は衰退の一途だった。その様子を世界は「英国病」と名づけた。自国の復活を期してサッチャー氏がとった基本的な政治姿勢は、国の富を生むのは政府ではなく、企業や個人の自由な活動であるという考えを貫くことだった。そうした哲学にもとづき、強すぎる労働組合の権利制限、減税、外資の導入、規制緩和などの具体策を矢継ぎ早に打ち出した。そのなかで特にサッチャー氏が重視したのが、国営企業の民営化だった。批判や周囲との摩擦を覚悟で多くの経済改革を進めたサッチャー氏だが、究極の目的は「魂を変えること」と述べている。自立心あふれる企業と個人がまじめに経済活動をし、正当に報われる社会が理想の姿だった。

*2:http://www.saga-s.co.jp/news/global/corenews.0.2431923.article.html
(佐賀新聞 2013年4月6日) 米大統領、失言で謝罪 / 「彼女はルックス抜群」
 オバマ米大統領が、女性のカリフォルニア州司法長官を「全米でも抜群にルックスが良い司法長官」と形容したことで批判を浴び、本人への謝罪に追い込まれた。カーニー大統領報道官が5日明らかにした。大統領は4日に同州内で開かれた民主党のイベントで、カマラ・ハリス州司法長官を紹介。その際にハリス氏の容姿を褒めた上で、聴衆に「事実じゃないか。そうだろう」と同意を求めた。これに対し、女性の成功を容姿と関連づけるのは「男女差別的」ではないかとの批判がメディアなどから上がり、大統領は同日中にハリス氏に電話をかけて謝罪した。

*3:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20130509&ng=DGKDASGU01004_R00C13A5MM8000
(日経新聞 2013.5.9) 世界を動かす(1) 「鉄」はいらない リーダー、自然体で輝く
 女性(Woman)が政治、経済、社会などあらゆる分野で新たな扉を開こうとしている。未来へ向けたその動きを世界で追った。
●もうまねしない
 ニューヨークで今、ひときわ脚光を浴びる女性政治家。来年退任するブルームバーグ・ニューヨーク市長の後任争いで有力候補に浮上した市議会議長のクリスティン・クイン(46)だ。大きな身ぶり手ぶりに、大口を開けて快活に笑う。前国務長官のヒラリー・クリントンら従来の米女性政治家と比べ「肝っ玉母さん」のような親しみやすさ。低所得者への住宅供給など政策は市民目線で「中産階級の生活を守る」と訴える。自然な振る舞いが好感を呼ぶ。2011年には女性弁護士と同性婚。支持者はいう。「この街で誰よりも活力に満ち、女性でレズビアンで、ありのままだ」。4月に死去した英国初の女性首相マーガレット・サッチャーは「鉄の女」と呼ばれた。男性支配の政界でサッチャーが示した男と張り合う姿勢は女性政治家の一つのモデルになった。 そして今、女性首相・大統領は20カ国・地域(G20)で5人、さらに10人ほどが世界各地で国を率いる。指導者心理に詳しいダブリン大教授のイアン・ロバートソンは「女性指導者が少ない時代は不安から男性の手法を模倣しがちだった。今や不安は薄れ自然体で臨めるようになった」と分析。しなやかで、時に決然とした清廉さや母性が危機や紛争後に力を発揮する。北欧の島国アイスランド。客室乗務員から政界に転じた同国初の女性首相ヨハンナ・シグルザルドッティル(70)は「聖ヨハンナ」と国民の敬愛を集めた。
 「男性ホルモンの時代は終わった」。08年秋の金融バブル崩壊による経済破綻。シグルザルドッティルは国を危機に陥れた男性主導の政治との決別を掲げ、09年2月に首相に就いた。「人々の怒りが渦巻く中、ほかに国民の信任を取り付けられる人はいなかった」と元経済担当相のギルビ・マクノソンは振り返る。就任後、しきたりや特権層のなれ合いにくみせず、中央銀行総裁に転じていた元大物首相を更迭、失政の責任をとらせた。経済再建に向け与党すら反対した歳出削減や増税も断行。その副作用で4月27日の議会選で与党は敗北を喫したが、経済はプラス成長に転換した。政界引退を決めている彼女の「良薬」が効き始めているのは確かだ。
●母性こそが力
 03年まで長期の内戦が続いたリベリアの大統領エレナ・サーリーフ(74)も国民に「マー(おっかさん)」と親しみを込めて呼ばれる。内戦中は投獄や亡命を経験。内戦で傷ついた国民を「病気の子供」に例え「この国は献身的に面倒を見る母親を必要としている」と語り、06年にアフリカ初の公選による女性大統領になった。平和への貢献などが評価され、11年にノーベル平和賞を受賞した。世界銀行の総裁候補にもなったナイジェリア財務相のヌゴジ・オコンジョイウェアラ(58)はじめ、アフリカ各地の女性がサーリーフに続く。男と伍(ご)するのでなく自然体の指導者が受け入れられる時代。サーリーフは昨秋の訪日時、日本の女性を激励した。「あらゆる分野でリーダーを目指しなさい。日本で女性首相が誕生するように」。

*4:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20130509&ng=DGKDASGG0100B_R00C13A5EE8000
(日経新聞 2013.5.9) 日本では 政治家の登用進まず 閣僚、小泉内閣5人が最多
 日本では女性首相は誕生していない。歴代内閣で女性閣僚が最も多かったのは2001年4月に発足した第1次小泉内閣の5人。目玉人事として田中真紀子氏を外相に起用した。昨年12月に誕生した第2次安倍内閣は、稲田朋美行政改革相と森雅子少子化相の2人だ。初の女性閣僚は1960年の池田内閣で厚相に起用された中山マサ氏。池田内閣で近藤鶴代氏も科学技術庁長官に就いたが、84年に中曽根内閣で石本茂氏が環境庁長官に就任するまで途絶えた。国会では93年に土井たか子氏が衆院議長に就任。衆参両院で初の女性議長となり、参院では扇千景氏が04年に議長に選ばれた。全国初の女性知事は、00年に大阪府知事に就いた元通商産業省審議官の太田房江氏。その2カ月後に熊本県、翌年に千葉県で女性知事が誕生した。北海道と山形、滋賀両県の現職3人を含め、計6人だ。

*5:http://news.mynavi.jp/news/2012/10/17/039/index.html
(マイナビニュース 2012/10/17)日本企業の役員・管理職における女性の割合、"部長級以上"女性はわずか2.7%
 経済同友会は16日、同法人所属企業を対象に実施した女性管理職・役員の登用および活用状況に関するアンケート調査の結果を発表した。同調査は、7月~8月の期間にFAXにて行われ、219社から有効回答を得た。同調査で女性従業員の登用について調べたところ、日本国内では従業員の41.0%が女性であることが分かった。業種別に見た場合、製造業では24.1%だったのに対し、非製造業では48.4%と倍以上の差が見られた。一方、海外拠点について見ると、製造業では37.9%、非製造業では32.3%となり、製造業の方が女性従業員の割合が高かった。
 役員・管理職における女性の割合を尋ねてみると、OECD(経済協力開発機構)加盟国の多くが30%を超える中、日本企業では課長級以上で4.6%、部長級以上では2.7%にとどまることが判明。取締役では2.6%となり、このうち社外取締役については4.5%と女性登用を進めている状況がうかがえる。また、課長級では非製造業が6.9%、製造業が3.6%と、非製造業が製造業の倍近い割合となった。
 女性役員の比率の推移はどのような傾向にあるか聞いたところ、13.0%が「増加傾向」にあると回答。それに対して、「女性役員はいない」は58.6%、「横ばい」は27.4%、「減少傾向」は0.9%だった。一方、女性管理職の比率の推移については、52.6%が「増加傾向」にあると答え、「女性管理職はいない」は8%、「横ばい」は37.6%、「減少傾向」は1.9%だった。女性管理職登用の具体的数値目標を設定していない企業は半数以上の58.0%。反対に、具体的数値目標を設定している企業は15.1%となった。これらの企業では現状の登用率も高く、管理職7.7%、意思決定ボード(部長、役員<取締役・執行役・執行役員>)4.3%、数値目標の平均は2016年までに女性管理職登用15.0%だった。また、数値目標を設定している企業のうち54.5%はCSRレポートを中心に対外的に公表していた。
 2011年度総合職の新卒の女性採用実績は28.1%で、全従業員数に占める女性の割合と比べると12.9ポイント低い。業種別では、製造業が23.5%、非製造業が30.7%となっている。男性の育児休暇取得率は3.5%。中でも従業員5,000人以上の大企業は5.4%と取得率が高い傾向にある。業種別では、製造業が5.1%と、非製造業の2.7%より2.4ポイント多かった。また、男性育児休暇取得率を回答した企業の女性管理職登用は4.7%と全体平均より高くなっていた。女性の登用・活用のために必要と思う施策については、「行政による育児支援インフラの整備・強化を図る」が最も多く14.5%。以下、「仕事の継続を支援する両立支援施策を充実させる」が11.5%、「職務の明確化、男女差のない公正な評価・処遇制度を確立する」が9.8%と続いた。

| 男女平等::2013.5~2013.11 | 12:59 PM | comments (x) | trackback (x) |

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