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2017.7.23 自民党・民進党都議選敗退、共産党都議選躍進の理由と加計学園問題・政策に関するメディアの報道について (2017年7月24、25、31日に追加あり)
   
   2017.7.17日経新聞    2017.5.18朝日新聞  2017.5.26  2017.5.31 
世界の政党が問われているのは何故か?          毎日新聞   朝日新聞 

(図の説明:アメリカ・イギリスでは過度の地域一体化が嫌われて、イギリス国民は国民投票でEU離脱を決め、アメリカ国民はトランプ氏を大統領に選出した。また、フランスでは、既成政党に属さないマクロン氏が大統領になった。この背景には、既成政党が主張してきた国民に不利益を強いるだけの日本発の“改革もどき”がある)

(1)加計学園獣医学部新設問題に関する事実と本質
1)獣医師は、不足ではなく偏在だということ
 加計学園について、日本農業新聞は、*1-1のように、「①加計学園誘致の“口実”になった獣医師は地域偏在であり、偏在の解消に向けた施策が必要なのである」「②獣医師が少ない地域、足りない職種を賄うことが喫緊の課題である」「③獣医師は全体で見れば、診療対象の動物が減る中で、毎年1000人近くが免許を取るため、農水省は獣医師不足ではないと判断していた」「④そこで文科省は、これまで獣医学部の新設を認めなかった」としており、これが事実であり、問題の本質だろう。

 このうち、①②は、獣医師が大都市に比べて地方で少なく、小動物に比べて産業動物に少ないため、その偏在を無くすには、③のように全体数を増やすのではなく、地方で産業動物を担当する獣医師になることの魅力(畜産の将来性、遣り甲斐、報酬、社会的評価、社会的地位など)を発信して産業動物を担当する獣医師希望者を増やすことが必要なのであって、学部のない地域に獣医師の専門職大学を新設すれば獣医師の偏在が解消できるわけではない。

 また、新設の大学を作っても、獣医学だけでなく、その基礎となる生物・化学・物理など他学科のよい教授も揃え、資質を持った学生を集めなければライフサイエンスを含む高度な新領域を創出できる優れた獣医師を育てることはできないため、新設の単科大学でそれを行うのは不可能に近い。にもかかわらず、一連の議論は、この最も言いにくい点を避けて通っているため、本質的な議論になっておらず、私自身は、どうしても愛媛県に獣医学部を作りたいのならば、既に医学部、理学部、工学部を持つ愛媛大学農学部に獣医学科を作るのがよいと考える。

2)初めから加計学園ありきだったか
 野党側の参考人として出席した文科省の前川前事務次官は、*1-3のように、「初めから加計学園と決まっていた」と述べ、確かに、*1-2のように、政府が2016年11月、「広域的に獣医学部のない地域」を新設条件としたため、近隣の大阪府に獣医学部のある京都産業大は新設を断念した。

 また、*1-6のように、愛媛県今治市への獣医学部誘致をスタートさせた加戸前愛媛県知事は、「①私は、加計ありきではありません。獣医師の養成が進まない中、たまたま今治選出の議員と加計学園の事務局長がお友達だったから、この話が繋がって飛びついた」「②鳥インフルエンザやBSE(牛海綿状脳症)といった感染症対策の充実を大きな目的に獣医学部の誘致に取り組んだが、強烈な岩盤規制のために、10年間我慢させられた」「③岩盤にドリルで国家戦略特区が穴を開けてくれたというのが正しい」としており、愛媛県今治市に獣医学部を誘致したいため、それに関心を示した加計学園に絞ったというのが正しそうだ。

 しかし、私は、(1)1)に書いた理由で、どうしても愛媛県に獣医学部を作りたいのなら、愛媛県松山市にある愛媛大学に農学部獣医学科を作り、今治市に実習農場を作るのが効果的な予算の使い方だと考える。又は、手狭になった愛媛大学の教養学部と文系学部を松山市に残して、理系学部は広い土地を使える今治市に移転し、最新の設備を整える方法もある。そのため、*1-5のように、前川氏が「既存の大学の定員を増やすという他の方法もあった」と言っておられるのは、むしろそうした方がよいだろう。

3)民主主義は、政策を議論して競うべきであること
 加計学園問題は、*1-4のように、安倍政権の支持率を下げるのが目的で報道されており、官邸が動いたか否かが焦点となって、官邸をかばった山本地方創生相の発言が真実だったか否かも問題視され、*1-7のように、メディアでは安倍政権打倒を目的とする論陣が張られている。しかし、これは、政策を議論して競うべき民主主義社会では三流の議論だ。

 私自身は、既に合理性のなくなった岩盤規制に穴をあけるのは良いと思うが、合理性のある規制まで壊し、他によい方法があるにもかかわらず、「岩盤規制」に穴をあけること自体を目的にして不合理な選択をし、国民の血税をつぎ込むのはやめて欲しいと考える。何故なら、日本は、予算と人材が余って困っているような国ではないからだ。

(2)既成政党への失望理由は何か
 東京都議選では、*2-1に書かれているように、安倍首相率いる自民党が歴史的惨敗を喫し、東京都議会は57議席から23議席に減った。しかし、*2-3のように、民進党も、今回の都議選で15議席から5議席に大幅に減らした。一方で、自民党の政策に一貫して反対してきた共産党は、*2-2のように、17議席から19議席に増やしたのだが、民進党の都議選総括会議では「共産との共闘路線を見直すべきだ」との声が相次いだそうだ。民進党は、自民党やメディアの論調に惑わされ、正確な原因分析ができていないのではないか?政党間で連合する場合にそれぞれの党の政策が完全に一致する必要はなく、自民党と公明党もかなり異なる。

 また、私は、自民党の惨敗を「一強のおごり、高ぶりが原因」と評するのは嫉妬に裏打ちされたような感情論で、主権者である国民を馬鹿にした議論だと考える。何故なら、自民党惨敗の本当の理由は、①公約違反のTPP推進 ②インフレ政策 ③消費税増税 ④社会保障の改悪 ⑤原発再稼働の推進 ⑥戦争に進みそうな安全保障法制定 ⑦人権侵害の特定秘密保護法制定 ⑧冤罪社会、監視社会、盗聴・盗撮社会に導く共謀罪の制定 ⑨国民主権をないがしろにする憲法改悪案など、国民の利益を無視した官製の政策強行に対する批判であり、国民はそれを正確に見ていると思うからだ。

 そして、官製政策の部分は、政権を担ったことのある民進党も賛成したものが多く、これを政権の責任とばかり言い立てるのは権限の範囲と責任を無視している。そして、(ここには書かないが)問題は、もっと深刻なものなのだ。

<加計学園問題>
*1-1:https://www.agrinews.co.jp/p41128.html (日本農業新聞論説 2017年6月15日) 獣医師の偏在 解消に向けた施策必要
 国家戦略特区で愛媛県今治市に獣医学部を新設する計画を巡ってさまざまな疑惑が浮上し、国会論議の焦点になっている。まず、誘致の“口実”になった獣医師の偏在の問題を整理する必要がある。偏在とは地域ごとの偏りであり、職域別による就業者数の差でもある。獣医学部がない地域に学部を新設する計画だが、学部の偏在と獣医師の偏在は問題が違う。獣医師が少ない地域、足りない職種を賄うことこそが喫緊の課題だ。獣医師は総体で見れば足りないとは言えない。高齢化社会の進展でペットの飼育頭数は犬を中心に減少に転じ、家畜の飼養頭数、飼養戸数も減っている。診療対象の動物が減る中、毎年1000人近くが新たに獣医師の免許を取る。獣医師不足の状況ではないとの農水省などの判断を踏まえ、文部科学省はこれまで獣医学部の新設を認めず、定員管理を厳格にしてきた。今回の論議で見えてきたのは、同じ政府内の農水省や文科省が決めたことであっても、特区を所管する内閣府には岩盤規制と映ったことだ。獣医師の偏在が解消できていなかった点に、獣医事行政に付け込まれる隙があったのではないか。獣医師は大都市に比べて地方に少なく、しかも小動物に比べ産業動物に就業する人は少ない。今回の計画は、学部のない地域に新設すれば、獣医師を地域に供給して偏在を解消できるという理屈が前面に押し出された。山本有二農相は6月上旬の参院農林水産委員会で、獣医師の需給について「農水省の所管ではない」と明言した。しかし、同省は獣医師の需給の調整に責任を果たしてきたはずだ。獣医療法では、農相は獣医療提供の体制整備のための基本方針を策定し、獣医師の確保に関する目標設定をすると定めている。さらに都道府県は国の基本方針に沿って獣医療を提供する体制の整備を図るための計画書をまとめることになっており、これまで国・都道府県を挙げて獣医師の需給を調整してきた。かつて獣医大学卒業生の半分はペット関係に進んだが、最近は産業動物分野も伸びている。同省は産業動物分野の獣医療提供体制を整備しようと、高校生や獣医学生に修学資金を貸与する制度を設け、産休などで現場を離れた女性獣医師の職場復帰を支援する取り組みなども進めている。ただ、まだ道半ばで結果が十分ではない。そこを内閣府に岩盤規制と見なされ、付け込まれたように見える。今回は獣医学部の設置権限を持つ文科省の施策に穴を開けたもので、直接、農水省の獣医事行政に向かってはいない。しかし、新設には優れた獣医師育成の視点が欠かせない。160人という国内最大定員の新獣医学部構想の妥当性、ライフサイエンスなど新領域の需要創出と人材育成、などの検証が必要だ。獣医学と獣医療の発展にどうつながるのか。獣医師偏在の問題と併せて論議するべきだ。

*1-2:http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201707/CK2017070502000134.html (東京新聞201.7.7) 【政治】加計学園獣医学部新設 京都案と比較の記録なし
 安倍晋三首相の友人が理事長を務める「加計(かけ)学園」(岡山市)による獣医学部構想を持つ愛媛県今治市での新設に政府が絞り込んだ際、競合する京都府の提案と比較した議事録などの記録を残していないことが四日分かった。東京都議選での自民党大敗を受け、首相は「国民の信頼を回復していきたい」と発言したが、政権は加計問題について依然として明確な説明ができていない。政府は昨年十一月、「広域的に」獣医学部のない地域を新設条件とする方針を決定。新設を提案しながら、近隣の大阪府に獣医学部がある京都府と京都産業大が断念した。「加計ありき」の条件だったのではないかとの批判を政府は否定し、「十一月以降に今治市と京都府の提案を比較し決定した」と説明。山本幸三地方創生担当相は四日の記者会見で、専任教員の確保、鳥インフルエンザなどの水際対策、自治体との連携の「三つの審査基準」で検討し、今治市に決めたと主張した。だが、山本氏は選定過程について「内部の打ち合わせだから記録は取っていない」と説明。「三つの審査基準」を誰が、どのような議論で決めたのか明らかにせず、基準の根拠も示さなかった。三日の民進党会合では、内閣府の担当者が同様の説明を繰り返し、議事録や資料などの記録も示さなかった。民進党議員は「本当に議論したのなら議事録や比較表があるはずだ」「正当性のあるルールが決まっていなければ、恣意(しい)的な選定だ」と追及。内閣府側は「事務方と大臣が相談して決めた」などと答えるにとどまった。

*1-3:http://qbiz.jp/article/113903/1/ (西日本新聞 2017年7月10日) 前川氏「初めから加計学園」 官邸関与を強調
 政府の国家戦略特区制度を活用した学校法人「加計(かけ)学園」の獣医学部新設計画を巡り、衆院文部科学、内閣両委員会の連合による閉会中審査が10日、開かれた。野党側の参考人として出席した文部科学省の前川喜平前事務次官は「特区担当は内閣府だが、背景に官邸の動きがあった。和泉洋人首相補佐官がさまざまな動きをしていた」と述べ、首相官邸の関与があったと強調した。獣医学部新設にも「(選定の)プロセスが不透明で不公正だと思っている。初めから加計学園と決まっていた」と主張した。前川氏は文科省の調査で確認されなかった文書「10/7萩生田副長官ご発言概要」が存在したと明かし、「担当課から説明を受けた際に受け取った文書に間違いない」と話した。文書には「四国には獣医学部がないので、その点では必要性に説明がつくのか」などと、加計学園の予定地・愛媛県今治市を前提としたような表現もある。萩生田光一官房副長官は昨年10月7日に文科省幹部と面会したのを認めたが、「発言した記憶はない」と答えた。新設計画についても「この件で能動的に関わった事実はない」と説明した。前川氏は獣医学部新設の4条件を示した2015年の「日本再興戦略」と、加計学園の計画の整合性についても批判。「(条件に)合致するか十分な議論がされていない。不公平で、国民から見えないところで決定された」と述べた。一方、山本幸三地方創生担当相は「(条件を満たすと)最終的に私が確認した」と強調した。与党側の参考人として招致された国家戦略特区ワーキンググループの委員原英史氏は、特区による獣医学部の新設が「加計ありき」で進められたとの批判について「全くの虚構」と話した。閉会中審査は、国会会期終了後に委員会を開催できる仕組み。午後も参院で実施するが、安倍晋三首相は欧州歴訪中のため出席しない。

*1-4:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20170711&ng=DGKKZO18701470R10C17A7EA2000 (日経新聞 2017.7.11) 加計問題、食い違い 衆参両院で閉会中審査、前川氏「官邸は動いた」/地方創生相「指示あり得ぬ」 首相の関与は
 衆参両院は10日、学校法人「加計学園」の愛媛県今治市への獣医学部新設などを巡る閉会中審査を開いた。国家戦略特区の枠組みで加計学園のみ新設が認められた経緯に関し、参考人として初めて出席した前川喜平前文部科学次官と政府側の説明は大きく食い違った。官邸関与の有無や、獣医学部新設の妥当性に関し、真相は浮かび上がらなかった。加計学園の問題を巡っては、国家戦略特区の枠組みで1校に限り獣医学部の新設が認められた妥当性が問われている。野党は学園理事長の長年の友人である安倍晋三首相らの意向が影響した可能性を指摘している。前川氏は10日の閉会中審査で、規制改革の是非と事業者選定の2つの問題があると指摘。「穴を開けるかより、穴の開け方に不公平で不透明な部分がある」と語った。「初めから加計学園に決まるようプロセスを進めてきたようにみえる」とも語り「背景に官邸の動きがあったと思う」と結論付けた。一方で山本幸三地方創生相は「個別にどこでやるか首相が指示することはあり得ない」と、官邸の関与を否定した。与党の求めで参考人となった政府の国家戦略特区ワーキンググループの原英史委員は「従来の行政のゆがみを正した」と判断の正当性を強調。最初から加計学園ありきだったとの指摘は「全くの虚構」と否定した。

*1-5:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20170711&ng=DGKKZO18701570R10C17A7EA2000 (日経新聞 2017.7.11) 地方創生相「岩盤規制の突破」/前川氏「他の方法あった」 新設は妥当か
 50年以上認めてこなかった獣医学部の新設を認めた妥当性も問われた。四国には獣医学部がなく、参院で参考人として出席した加戸守行前愛媛県知事は獣医学部の新設は地元の悲願だったと説明。「岩盤規制で我慢させられてきた。ゆがめられた行政が正されたというのが正しい」と訴えた。山本地方創生相は「岩盤規制の突破にはまず地域を限定してやるしかない」と述べ、規制改革の意義を強調した。一方で前川氏は「獣医師の定員を増やすなら、既存の大学の定員を増やすというやり方もある」と指摘。昨年9、10月に和泉洋人首相補佐官に呼ばれ、獣医学部の新設について「対応を早く進めるように」と督促されたと証言。「総理は自分の口からは言えないから言う」などと伝えられたとも語った。新設について、萩生田氏が「総理は『平成30(2018)年4月開学』とおしりを切っていた」などと発言したとする昨年10月21日付の文書は「在職中に見たことはないが、内容の信ぴょう性は高い」と述べた。萩生田氏は計画について、和泉氏から詳しい説明を受けたことはないとし、文書の内容も否定した。

*1-6:https://www.j-cast.com/2017/07/11302992.html?p=all (Jcast 2017/7/11) 加計問題、なぜか報道されない「当事者」前愛媛県知事の発言全容
 2017年7月10日に行われた学校法人「加計学園」をめぐる閉会中審査で、インターネット上の注目を集めたのは、一連の疑惑を告発した前川喜平・前文科次官の発言ではなく、愛媛県今治市への獣医学部誘致を進めた加戸守行・前愛媛県知事の約20分間にわたる訴えだった。 前川氏の「行政がゆがめられた」発言に対し、加戸氏は「岩盤規制に国家戦略特区が穴を開け、『ゆがめられた行政が正された』というのが正しい」と反論。さらには、今回の加計問題を報じるメディアへの批判も展開するなど、踏み込んだ発言の内容が賛否を広げている。
●「獣医師が確保できない」
 加戸氏は旧文部省OBで、愛媛県知事を1999年から2010年まで3期12年務めた。今治市への獣医学部誘致をスタートさせた「当事者」で、今回の閉会中審査では与党側の求めに応じて参院での審議に参考人として出席した。自民党の青山繁晴議員の質問で答弁に立った加戸氏はまず、“「10年前に愛媛県知事として今治市に獣医学部の誘致を申請した当時のことを思い出して、はなもひっかけて貰えなかった問題が、こんなに多くの関心を持って頂いていること、不思議な感じがいたします」と皮肉の効いた一言。続けて、鳥インフルエンザやBSE(牛海綿状脳症)といった感染症対策の充実を大きな目的に獣医学部の誘致に取り組んだが、文科省への申請は一向に通らなかったとして、“「(前川氏の)『行政がゆがめられた』という発言は、私に言わせますと、少なくとも獣医学部の問題で強烈な岩盤規制のために10年間、我慢させられてきた岩盤にドリルで国家戦略特区が穴を開けて頂いたということで、『ゆがめられた行政が正された』というのが正しい発言ではないのかなと思います」と述べた。さらに加戸氏は、四国では「獣医師が確保できない」現状もあったとして、国や専門団体が獣医学部誘致に反対することは「あまりにも酷い」と感じていたと説明。その上で、“「私の知事の任期の終わりの方に、民主党(当時)政権が誕生して『自民党じゃできない、自分たちがやる』と頑張ってくれた。(中略)ところが、自民党政権に返り咲いても何も動いていない。何もしないで、ただ今治だけにブレーキをかける。それが、既得権益の擁護団体なのかと、悔しい思いを抱えてきた」
と声を震わせて訴えた。
●YouTubeが「すべてを語り尽くしている」
 このように獣医学部新設をめぐる経過を説明した上で、加戸氏は、自身が訴えてきた獣医師の養成が進まない中で、現在「今治は駄目、今治は駄目、加計ありき」と言われることについて「何でかなと思ってしまう」との不満を漏らした。そして、“「私は、加計ありきではありません。たまたま、今治選出の議員と加計学園の事務局長がお友達だったからこの話が繋がってきて、飛びついた。これもダメなんでしょうか。お友達であれば、全てがダメなのか」と主張。続く質問の答弁では、「本質の議論がされないまま、こんな形で獣医学部がおもちゃになっていることを甚だ残念に思う」とも述べた。さらに加戸氏は、加計学園問題をめぐるメディア報道にも不満を漏らした。これまでに受けた取材について、「都合のいいことはカットされて、私の申し上げたいことを取り上げて頂いたメディアは極めて少なかったことは残念」だと指摘。その上で、国家戦略特区諮問会議の民間議員が6月13日に開いた記者会見で、加計学園の獣医学部新設のプロセスについて「正当」と結論付けたことを、加戸氏はYouTubeの動画で見たとして、“「これが国民に知ってもらうべき重要なことなんだなと思いました。(中略)あのYouTubeが全てを語り尽くしているのではないかな、と思います」とも話していた。
●三原じゅん子氏「加戸氏も大事な事話してるのに、、、」
 こうした加戸氏の答弁は、主にインターネット上で大きな注目を集めており、その踏み込んだ訴えの内容に賛否の大きく分かれた意見が出ている。加戸氏の答弁を支持するユーザーからは、“「加戸さんの話は響くものがあった。地方は何か打って出なくてはいけないのに、野党も前川さんも規制で閉めだすことばかり」。「加戸元知事の切実な訴え聞くとこの問題の本質って既得権益を持つ獣医学会との戦いなんだな・・・・て思う」。といった意見が出る一方、今回の発言内容について、“「県議と加計の事務局長がお友達で話が進んだと公平でないことを自分で言ってんだ」。「今治市に獣医学部の大学を誘致したいという彼の熱い思いと今回の政策プロセスの不透明性の間には何の関係もない」。と否定的にみる意見もみられた。そのほか、前川氏をはじめとした計3人の参考人の答弁のうち、加戸氏の発言がメディアの報道で取り上げられるケースが少ないという指摘も目立った。実際、自民党の三原じゅん子参院議員は7月11日14時過ぎに更新したツイッターで、“「昨日の閉会中審査の模様が報じられていますが、どの番組も平井卓也議員と青山繁晴議員の質疑はスルー。加戸元愛媛県知事も大事な事話してるのに、、、」。との不満を漏らしている。
●「安倍総理が好きか嫌いかだけで...」
 また、閉会中審査が行われた10日夜に放送された情報番組「ユアタイム」(フジテレビ系)で、番組MCを務めるタレントの市川紗椰さん(30)は、加戸氏の答弁について、“「私が印象的だったのは、加戸前愛媛県知事です。なんか、それがすべてだったのかなって気もした。経緯を丁寧に説明していて、辻褄が合うんですよね、議事録とかを見ると。なんか、いいのかなって、納得しちゃいました」。と好意的に捉えていた。また、同番組では、国際ジャーナリストのモーリー・ロバートソン氏が、加計学園をめぐる問題を報じるメディアへの「苦言」を漏らす場面も。モーリー氏は「(加計学園問題は)そもそも様々な観点があるし、メディアは、それを能動的に一番初めに取材できたと思う」とした上で、“「ただどうしても、野党による内閣への追及ということで、ショーアップに加担して尻馬に乗ってしまったように思います。だから下手をすると、今回信頼を失うのは自民党というよりも、メディアが敗者になる可能性があります」と指摘。続けて、「(メディアは)本来の機能を果たしてこなかったんじゃないか、エンターテインメントと報道を混同してまったのではないか。そう自戒を込めて思います」とも話した。こうした発言を受け、市川さんは「この問題について話す人は、目の前にある材料というよりも、安倍総理が好きか嫌いかだけでポジションを取っているような...」との感想を漏らしていた。

*1-7:http://www.nikkei.com/article/DGXLZO19079410Q7A720C1EA1000/?dg=1 (日経新聞 2017/7/21) 安倍政権に疑惑次々 日報・加計…支持率低下に拍車
 内閣支持率の急落にあえぐ安倍政権に、2閣僚の疑惑が追い打ちをかけている。南スーダン国連平和維持活動(PKO)の日報を巡る問題は、稲田朋美防衛相が非公表の方針を「了承」したかどうかが焦点に浮上。学校法人「加計学園」の獣医学部新設に関しては、国家戦略特区担当の山本幸三地方創生相が認定2カ月前に新設方針に言及した記録が明らかになった。
■日報問題、稲田氏の了承が焦点
 南スーダンPKO部隊が作成した日報を陸上自衛隊が「廃棄した」と説明しながらデータを保管していた問題を巡り、特別防衛監察は、これまで調査の対象となっていなかった稲田朋美防衛相を含め、疑惑解明に向けた調査を急ぐ。焦点は稲田氏がどの時点で陸自データの保管を把握していたかだ。関係者によると、稲田氏は2月15日に黒江哲郎防衛次官、岡部俊哉陸上幕僚長との会議でデータ残存の報告を受けていた。稲田氏は2月15日に岡部氏と会ったことは認めたものの、そうした報告はなかったと否定している。今後は特別監察による稲田氏への聴取が行われる見通し。稲田氏がその場でデータ残存の報告を受け、了承していたと認定すれば、組織的な隠蔽工作をトップが了承していたことになる。稲田氏は3月に国会で「(陸自から)報告は受けていない」と答弁している。防衛省幹部が稲田氏にデータ残存を報告せず、稲田氏が非公表の了承もしていないと特別監察が結論づければ、この問題の疑念がさらに深まる可能性もある。2月15日には稲田氏を交えた会議とは別に、黒江氏、岡部氏、統合幕僚監部の辰己昌良総括官による別の会議で非公表の方針が決まっている。最高幹部が集まり、非公表を決めたのにもかかわらず稲田氏に報告しなかったのか、という不自然さは否めない。民進党の蓮舫代表は20日の記者会見で「日報の非公表、隠蔽に加担したなら政府の信頼が根底から覆される」と厳しく批判した。特別監察については同党内から「稲田氏だけが責任逃れをして、防衛省や自衛隊の幹部に責任を負わせることがあってはならない」(山井和則国会対策委員長)と調査の徹底を求める声も上がった。
■加計問題、山本氏巡る文書が波紋
 昨年11月に日本獣医師会の役員と会った山本幸三地方創生相が「(獣医学部の新設は)四国に決まった」と伝えたとされる記録文書が獣医師会側に残っていた。山本氏は「四国に決まったという発言はしていない」と発言を否定したものの、野党側は「加計ありきの証拠」として徹底追及する構えだ。この発言に関し、内閣府に議事録が存在しないため、山本氏は自らの反論を裏付ける「物証」を示せていない。真相は不明だが、安倍政権による「加計ありき」の疑念は拭えない。獣医師会によると、学校法人「加計学園」(岡山市)が愛媛県今治市の国家戦略特区に獣医学部を新設する計画を巡り、山本氏は同学園が事業者に決まる2カ月前の昨年11月に獣医師会の役員と協議した。獣医師会側は、山本氏は加計学園の名前を挙げ、新設に伴う愛媛県や同県今治市と学園の費用負担割合を説明したとしている。これに対し、山本氏は20日、内閣府で記者団に、加計学園の名前を挙げたことは一切ないと強調。その上で「私から京都(での新設)もあり得るという旨を述べたところ、獣医師会側からは、進めるのなら愛媛県今治市のみと明記してほしいとの発言もあった」と述べた。獣医師会側は「(京都の話などは)議事録にはない」と反論しており、双方の主張は真っ向から食い違っている。加計学園と同様、獣医学部新設を目指していた京都産業大は教員確保のめどが立たないとして14日に計画断念を発表した。安倍晋三首相は24、25両日の衆参予算委員会の閉会中審査で自ら選定プロセスを説明し、理解を得たい考えだ。獣医師会の記録が明らかになり、これまでの説明との整合性が改めて問われることになりそうだ。

<既成政党への失望理由>
*2-1:http://www.the-miyanichi.co.jp/shasetsu/_26751.html (宮崎日日新聞 2017年7月5日) 都議選で自民惨敗
◆政権の過ち厳しく総括せよ◆
 安倍晋三首相が、自民党が歴史的惨敗を喫した東京都議選の結果を受けて記者団に、「自民党に対する厳しい叱咤(しった)と深刻に受け止め深く反省しなければならない」と述べた。現有57議席から23議席に減らし、過去最低だった38議席を大きく下回った結果は、安倍政治への「不信任」に等しい。首相自身、「政権が発足して5年近くが経過する。その中で、政権に緩みがあるのではないかという厳しい批判があったと思う」とも述べている。
●1強のおごり高ぶり
 従来のように反省ポーズで終わらせ、先に進むことは許されない。まず官邸への「忖度(そんたく)」や首相の「ご意向」で便宜が図られたと指摘されている森友・加計学園問題への対応、委員会採決を飛ばす奇策を使った「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ改正組織犯罪処罰法の成立過程など、この事態を招いた政権の誤り、過ちを自ら厳しく総括することが必要だ。森友・加計学園などの問題で、東京都民はじめ国民の目に映し出されたのは、首相が言うような政権の「緩み」ではない。首相を頂点とする「1強」が常態化したことによる「おごり高ぶり」だ。公開を求められた公文書や公的資料の提出を拒む、あるいは存在しないことにする。出す時は読ませたくない部分を黒塗りにする。加計学園問題では官僚が作成した文書を官房長官が「怪文書」と切り捨てる。内部調査が始まると文部科学省の副大臣が国家公務員法の守秘義務違反を持ち出して官僚を威嚇、存在が確認されると今度は名指しされた官房副長官らが記載内容を全面否定する。さらには、それを国会内外で追及する野党やメディアを「印象操作」と非難する。極めつきは稲田朋美防衛相による都議選での自衛隊の政治利用発言だ。
●抑制のない強権志向
 一連の言動の背景にうかがえるのは、都合の悪いことにはふたをしろ、逆らう官僚はけなしたり脅したりして黙らせればいい、彼らは自分たちに従うのが当然なのだという傲慢(ごうまん)さと抑制のない強権志向である。
加えて「魔の2回生」とやゆされる当選2回の衆院議員による数々の不祥事だ。失言、暴言のみならず不倫や交際トラブルなど女性問題、秘書への暴行疑惑。そして、もろもろの問題の当事者が首相の夫人や側近、安倍チルドレンと呼ばれる若手議員である。都議選最終日、街頭演説に立った首相はやじを浴びた。極めて異例の出来事ではあったが、首相はその原因に目を向けるべきだ。首相は今後、内閣改造や自民党幹部人事で態勢の立て直しを図るつもりだろう。しかし、常々、安倍首相が言うように政治は「結果」責任である。それは、評価される実績を残せばいいということではない。政権を巡るさまざまな問題を最高責任者として引き受けることでもある。

*2-2:http://digital.asahi.com/articles/DA3S13045133.html (朝日新聞 2017年7月20日) 共産、都議選結果に自信 結党95周年、不破氏講演
 共産党が今月、創立95周年を迎えた。野党第1党の民進党が低迷にあえぐ中、大型選挙での勝利をテコに第2党として存在感を示している。次期衆院選に向け、野党共闘路線に否定的な議員を抱える民進との連携をどう図るかが課題だ。1922年7月結党の同党は19日、95周年の記念講演会を東京都内で開催。不破哲三・前議長(87)は「安倍政治の暴走は、自民党政治が没落の段階に入ったことを示す末期現象。都議選での自民の敗北が実証した」と指摘した。同党は、2009年に旧民主党が政権奪取するまでは2大政党のはざまに埋没しがちだった。しかし民主が下野して以降は、13年参院選で改選前から5議席増やし、14年衆院選で13増と躍進。2日の都議選でも、民進が2減の5議席と退潮する一方、2増の19議席を獲得した。次期衆院選に向けては、志位和夫委員長が「憲法を平気で壊す、傲慢(ごうまん)な政治を続けさせない」として、民進など野党の選挙協力の必要性を訴えた。ただ民進との競合区は依然200を超える。民進の都議選総括の会議では「共産との共闘路線を見直すべきだ」との声が相次いでおり、険しい道のりが予想される。

*2-3:http://digital.asahi.com/articles/DA3S13033443.html (朝日新聞社説 2017年7月13日) 民進党 勘違いしていませんか
 民進党は大きな勘違いをしているのではないか。東京都議選の敗因分析に向けた党内議論を見ていると、そんな疑問を抱かざるをえない。国会議員の会合では「解党的出直し」を求める声に加え、蓮舫代表の「二重国籍問題」に矛先が向いた。蓮舫氏は「いつでも戸籍開示の用意がある」と、戸籍謄本を公開する意向を示したという。民進党の議員たちに問う。蓮舫氏が戸籍を公開すれば、党勢は上向く。そう本気で思っているのか。旧民主党政権の挫折から4年半。民進党が民意を受け止められない大きな原因は、そうした的外れな議員たちの言動にこそあると思えてならない。今回の都議選で民進党は、前回の15議席から5議席に獲得議席を大幅に減らした。国政での野党第1党の存在意義が問われる危機的な敗北である。さらに安倍内閣の支持率が急落する中、民進党の支持率は本紙の世論調査では5%にとどまっている。「共謀罪」法や加計、森友学園の問題などで、民進党が安倍政権を問いただす役割を担ってきたのは確かだ。なのになぜ、野党第1党の民進党が、政権の受け皿として認知されないのか。都議選では小池百合子知事率いる都民ファーストの会の躍進があった。しかしそれだけではない。政党にとって何よりも大事な政策の軸が、定まらないことが大きい。象徴的なのは原発政策だ。なし崩しの原発回帰を進める安倍政権に対し、民進党が脱原発依存の旗を高く掲げれば、鮮明な対立軸を示せるはずだ。そのことが分かっていながら、電力会社労組などへの配慮を優先し、政策をあいまいにする。大きな民意を見失っていることが、党勢低迷の根本的な要因である。「二重国籍」問題で、蓮舫氏の説明が二転三転したことは、公党のリーダーとして不適切だった。だが、主な敗因とは思えない「二重国籍」問題に議員たちがこだわるようなら、国民はどう受け止めるだろう。もう一つ懸念されるのは、蓮舫氏が戸籍謄本を公開することが社会に及ぼす影響だ。本人の政治判断とはいえ、プライバシーである戸籍を迫られて公開すれば、例えば外国籍の親を持つ人々らにとって、あしき前例にならないか。民進党と蓮舫氏はいま一度、慎重に考えるべきだ。


<反論すべき政策>
PS(2017年7月24、25日追加):*3-1のように、政府(経産省)は、40年超の原発に合計27億円加算した電源立地地域対策交付金を支払っており、廃炉を促すべき時に逆行している。しかし、経産省の資源エネルギー庁は「なぜ、このような制度になったか把握していない」として責任をとらない態度であり、後ろ向きでマイナスの政策に多額の国民の血税が支払われるのは明らかだ。また、*3-2のように、代替案はいくらでもあるのに、「これしかない」として“粛々と”辺野古の埋め立てを行っているのも、宝の自然を壊すために無駄な工事費を国民の血税から支払っている馬鹿な行為であるため、これこそ正面から追究すべきである。
 そこで、*3-3のように、国が知事の岩礁破砕許可を得ずに工事を進めるのは違法だとして、2017年7月24日、沖縄県は岩礁破砕差し止め訴訟を那覇地裁に提起したのはよいのだが、理由が「①政府の進め方の拙速さ」「②漁業権の一部放棄が変更に該当するので知事免許が必要」というだけでは手続き上の瑕疵しか言っておらず理念がない。そのため、*3-4の環境基本法や海洋基本法(http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H19/H19HO033.html)の理念を参考にされたい。これらは、私が衆議院議員だった時、環境保護のために強化したり、海洋資源利用のために新設したりしたもので、罰則はないが基本理念を述べているからだ。なお、基本理念にも足らざるところがあると思われるので、それぞれの自治体で、これを基にして自然や景観を含む多様な資源を保護するための条例を作ればよいだろう。 

   
  2017.7.25琉球新報               辺野古の工事開始

  (図の説明;穏やかで美しいサンゴ礁の海に、醜いテトラポットを積むところも馬鹿だ)

*3-1:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170724-00000004-jij-soci (Yahoo、時事通信 2017.7.24) 40年超原発、計27億円加算=老朽8基の5市町に―交付金、原則に「逆行」
 運転開始から40年超の老朽原発を抱える福井県美浜町など5市町に、電源立地地域対策交付金の加算分として2016年度までに計27億円が交付されたことが23日、立地自治体などへの取材で分かった。交付金は40年を超えた原発の立地市町村に年1億円上乗せされるが、老朽原発の存続を事実上後押しする仕組みに専門家からは、「廃炉を促すべきなのに逆行している」と批判が出ている。原子炉等規制法は、原発の運転期間を原則40年に制限している。これまでに国内で40年を超えたのは東京電力福島第1原発1号機(福島県大熊町)、日本原子力発電敦賀原発1号機(福井県敦賀市)、関西電力美浜原発1~3号機(同県美浜町)、同高浜原発1、2号機(同県高浜町)、中国電力島根原発1号機(松江市)の計8基。このうち美浜3号機と高浜1、2号機を除いた5基は廃炉となった。5基は40年を超えてから廃炉となるまで、交付金が年1億円加算された。福島第1原発1号機が立地する大熊町は計2億円▽敦賀1号機がある敦賀市は計6億円▽美浜原発がある美浜町は廃炉の1、2号機と存続する3号機で計11億円▽高浜1、2号機がある高浜町には計5億円▽島根1号機がある松江市は計3億円―が上乗せされた。美浜3号機と高浜1、2号機は、原子力規制委員会の審査で20年間の運転延長が認められている。3基が期限まで存続すれば加算額は累計で60億円となる。40年超の原発について交付金が加算される仕組みは10年度から始まった。経済産業省資源エネルギー庁は「なぜ、このような制度になったか把握はしていない」としている。原発と自治体の関係に詳しい朴勝俊・関西学院大教授は「原発は古くなるほど危険なのに、交付金を加算するのはいやらしい。廃炉が地元のメリットになる制度に変えるべきだ」と話している。 

*3-2:http://www.saga-s.co.jp/news/national/10201/449061 (佐賀新聞 2017年7月24日) 辺野古、沖縄県が再提訴、政府と改めて法廷闘争
 沖縄県は24日、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設工事差し止めを求め、那覇地裁に提訴した。政府が県規則に定められた翁長雄志知事の許可を得ずに「岩礁破砕」を行うのは違法と主張。判決まで工事を中断させる仮処分も併せて申し立てた。政府は判例から県の訴えは不適法で、許可も不要として全面的に争う方針だ。辺野古移設を巡っては、2015年10月に現場海域の埋め立て承認を取り消した翁長氏の処分に関し政府と沖縄県が訴訟で争った結果、昨年12月に県側敗訴判決が確定した。双方の対立は再び法廷闘争に発展した。

*3-3:https://ryukyushimpo.jp/movie/entry-541319.html (琉球新報 2017年7月25日) 政治:辺野古差し止めを提訴 県「国の工事は違法」 漁業権存否が争点に 「新基地は理不尽」と知事
 沖縄県名護市辺野古の新基地建設で県は、国が岩礁破砕許可を得ずに工事を進めるのは違法だとして24日午後、国を相手にした岩礁破砕の差し止め訴訟を那覇地裁に提起した。差し止め訴訟と併せて判決が出るまで工事を止めるよう求める仮処分も申し立てた。新基地建設を巡り、国と県は5度目の法廷闘争に入る。翁長雄志知事は午後5時から県庁で記者会見し「国は辺野古案件のために漁業権運用の見解を恣意(しい)的に変えた。法治国家の在り方からは程遠い」と国の姿勢を批判した。その上で「(今回の裁判は)新基地建設の是非そのものを問うものではないが、県民の思いを置き去りにしたまま基地建設に突き進む国の姿勢が問われている」と述べ、裁判を通して国の強権的な姿勢を浮かび上がらせることができると、訴訟の意義を強調した。記者の質問に答える形で、「漁業権の問題などを県民や国民に知らせながら、辺野古新基地を造ることの理不尽さと、政府の進め方の拙速さを訴えていく」と語った。今回の訴訟で県は、工事海域には漁業権が存在し、工事を実施するには県による岩礁破砕許可が必要だと主張する。一方国はこれまで、名護漁業協同組合の決議により漁業権はすでに消滅しており、県から岩礁破砕許可を得る必要はないと主張している。県は訴状で、漁業法第11条や22条を根拠に、名護漁協が総会で決議した漁業権の「一部放棄」は、漁場の「縮小」を意味し、「漁場の縮小が『変更』に該当するということは明治漁業法以来、当然のこととされ、現行法下の水産行政も一貫してこの立場をとってきた」と主張。漁業権を変更するには知事免許が必要だとした。さらに、県が国に岩礁破砕許可申請を請求することができる理由として県は「水産資源を保護培養する公益保護の主体者」であるとし、岩礁破砕許可申請という「義務」の履行請求権を有すると主張している。

*3-4:http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H05/H05HO091.html 環境基本法(要点)
第一章 総則
(目的)
第一条  この法律は、環境の保全について、基本理念を定め、並びに国、地方公共団体、事業者及び国民の責務を明らかにするとともに、環境の保全に関する施策の基本となる事項を定めることにより、環境の保全に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に寄与するとともに人類の福祉に貢献することを目的とする。
第三条  環境の保全は、環境を健全で恵み豊かなものとして維持することが人間の健康で文化的な生活に欠くことのできないものであること及び生態系が微妙な均衡を保つことによって成り立っており人類の存続の基盤である限りある環境が、人間の活動による環境への負荷によって損なわれるおそれが生じてきていることにかんがみ、現在及び将来の世代の人間が健全で恵み豊かな環境の恵沢を享受するとともに人類の存続の基盤である環境が将来にわたって維持されるように適切に行われなければならない。
(国の責務)
第六条  国は、前三条に定める環境の保全についての基本理念にのっとり、環境の保全に関する基本的かつ総合的な施策を策定し、及び実施する責務を有する。
(地方公共団体の責務)
第七条  地方公共団体は、基本理念にのっとり、環境の保全に関し、国の施策に準じた施策及びその他のその地方公共団体の区域の自然的社会的条件に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。

<メディアの質>
PS(2017年7月31日追加):日本のメディアは、上記のように、頻繁に首相交代・解散・政権交代等のイニシアティブをとるが、その理由としては、男性政治家なら①政治と金 ②女性関係のゴシップ を使うことが多く、女性なら③仕事の経験及び実力の不足 ④不倫 などだ。しかし、①は、昔と違って政治資金規正法による開示を厳しくし、国会議員の政治資金団体には監査を義務づけているため、個人の政治家が大きな癒着を犯せる余地はなく時代遅れだ。また、③は、「女性は仕事の能力・経験が乏しい」「真剣に仕事をしない」「統率力がない」など、女性は仕事に未熟で不熱心であるという先入観を利用しており、女性蔑視そのものである。さらに、②④は、ないに越したことはないが、政策や仕事とは一線を画すべきプライバシーである。
 メディアがこういう批判の仕方をする理由は、1)「政治家のゴシップの方が国民が理解しやすく、視聴率が上がる」という国民を馬鹿にした態度があること 2)政策内容を正しく分析し、説明できる人材がメディアの中にいないこと 3)それでも権力を批判しているというポーズをとっていること などが考えられる。そして、この状態は、今までいくら言っても変わらず、放送は国民の文化を作るため大きな問題なのだが、*5のように、テレビ番組をインターネット放送する時代になれば状況が変わるだろう。
 何故なら、インターネット放送は、電波の制限がないため総務省の規制を受けず、いろいろなメディアが放送することが可能になり、内容がくだらなかったりぼやけたりしている番組は淘汰されるからだ。また、インターネット放送なら他国の放送も完全に受信できるため、放送の比較が可能であり、放送を通じて言語を習得することもできる。私は、スペインに行った時、日本のように馬鹿な内容の放送ばかりしている国はなかったが、中でもロシア国営放送(英語版)が、最も内容のあるポイントをついた放送をしていたのには、正直言って驚いた。
 なお、広告料金に頼ると、メディアにとっては報道したい内容を報道できず、視聴者にとっては情報価値が下がる上、番組の途中で頻繁にコマーシャルが入るのは不快であるため、受信料を望む局はNHKに限らず、その番組の単位時間あたり受信料を表示した上で、受信時間に比例して通信会社を通じて受信料を徴収すればよいと思われる。

*5:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20170731&ng=DGKKZO19440840R30C17A7PE8000 (日経新聞社説 2017.7.31) 受信料より先に議論すべきことがある
 テレビ番組を放送と同時にインターネットで流す際の料金について話し合ってきたNHKの検討委員会が答申をまとめた。スマートフォン(スマホ)などのネット接続機器のみで番組を見る世帯からも、テレビと同じ水準の受信料を徴収する方向性を示した。若年層を中心にテレビ離れが進んでおり、「常時同時配信」で新たな視聴者を獲得したいという考え方は理解できる。だが、料金の議論だけが先行する現状に違和感も覚える。同時配信の背景にあるのは、放送と通信の間の垣根が低くなっているという事情だ。スマホを通じた動画の視聴が普及し、速度が大幅に向上した次世代の無線通信で拍車がかかるのは確実だ。海外に目を向けると、英国や韓国などで公共放送が同時配信を始めている。日本では「同時配信のニーズは乏しい」との見方もあるが、海外の事例をみればそうとは言い切れない。優良なコンテンツの制作を続け、激しさを増す海外での販売競争に勝つためにも、時代の変化に合わせて収益を確保する努力は必要だ。だが、健全な競争環境を維持するという観点では課題がある。NHKの2016年度の受信料収入は6769億円に達し、既に民放の最大手である日本テレビホールディングスの放送関連収入の2倍近い。「ネット受信料」を新設すると年間200億~300億円の増収になるとの見方もあり、地方の民放の売上高を上回る。受信料制度に支えられたNHKがネット事業に本格的に参入すると、この分野の既存企業にも脅威となる。多様なコンテンツやサービスを利用者に提供するため、民間企業が投資を続けられる環境を整えることが重要だ。ネットは生活に深く入り込み、NHKの報道が力を発揮する災害時も、交流サイトのフェイスブックやツイッターなどが情報を伝える事例が増えている。NHKの上田良一会長は現在の公共放送から、ネットも含めた「公共メディア」を目指す意向を示している。まず必要なことは、ネット時代の公共メディアに必要な役割を定義し、適正な業務の範囲について議論を深めることだ。本質的な議論を避けて同時配信を手っ取り早い収入拡大の手段とするようなことがあれば、理解を得るのは難しいだろう。

| 民主主義・選挙・その他::2014.12~ | 04:26 PM | comments (x) | trackback (x) |
2016.6.17 不純な動機による選挙権の18歳への引き下げ → 主権者教育はどうあるべきか (2016年6月20、21、22、23、24日、7月1日に追加あり)

   ①国会議事堂      ②2016年度予算案     ③主な事業      ④TPPについて
2016.6.5西日本新聞   2015.12.24毎日新聞 2015.12.24朝日新聞 2016.4.8東京新聞 
                              上
(図の説明《2016.6.21追加》):①国会議事堂には修学旅行生の見学が多く、これは政治に対する意識を高める効果がある。②国の会計も複式簿記にして資産・負債を正確に認識し、網羅性・検証可能性を担保する必要があるが、現在は単式簿記で歳入歳出はキャッシュフロー計算書のようになっている。そのため、国債純増額は「34兆4,320億円(歳入より)-23兆6,121億円(歳出より)=10兆8,199億円(純増)」である。なお、現在は金利が0かマイナスであるため、無利子国債を発行してすべての国債を置き換えれば、国債利払費(約10兆円)が節約できる。また、歳入側の税外収入が小さいが、排他的経済水域内で資源を採掘して採掘料を受け取るのが最も大きな金額になり、資源国はこうして税負担を小さく福祉を充実しているのだ。さらに、燃料電池やEVなどの先進技術を育てれば、原油代を外国に支払わずにすむため国内企業の利益が上がって税収が増える。歳出は、まず社会保障用資産の管理・運用をまともにすべきだ。地方自治体も税外収入や税収を増やす工夫をして地方交付税に甘えずにすむ体質にしてもらいたい。さらに、公共事業費は、ヘリコプターマネーを廃止して本当に役立つものだけにすべきだ。文教・科学振興は予算だけが問題なのではないが、予算は小さすぎるだろう。③予算案の主な事業のうち、後ろ向きで悔しいのは放射性物質で汚染された土壌の除染費5,224億円で、原発事故がなければ不要だったものだ。その他プラスにならない支出はばっさり廃止すべきである。④TPPにより米の輸入をすることになったが、それを国が買い入れるなどの生産性を上げない補助金も無駄遣いで、このように本当の無駄遣いは社会保障ではなく他にいくらでもある。)

(1)不純な動機による選挙権の18歳への引き下げ
 *1-1のように、「①前回の2013年参院選で有権者の4割を占めた60歳以上の投票率は62.4%で、3割いた20~30代の投票率は39.2%」「②当選した政治家が『有権者の声を聞く』と言い、高齢者向けの政策に重点を置く」「③こうした政治は、『シルバー民主主義』と呼ばれる」「④実際に政府の予算配分は高齢者向けが圧倒的に多く、年金・介護などの政府支出は13年度で54兆6,247億円で、保育所整備や児童手当、育児休業給付といった子育て向けは6兆568億円」「⑤政治家に『子育て世代に応えないと落選する』という恐怖をどれだけ与えられるかが重要」「⑥この生活では2人目を考える気持ちにはならない」「⑦国が男性に育休取得を義務づけるなど、社会全体で子育てをする機運をつくるべき」などとしているが、これは、メディアでよく言われる高齢者と若者を利害対立させて厚労省の怠慢を隠す論調であり、思慮が浅い上に本質を突いていない。

 例えば、①は若い世代は将来に希望を持てたり、下位のサラリーマンなら政治に関心を持たなくても不自由がないのに対し、上級管理職などの決定権を持つ人や社会保障で支えられることが不可欠になった高齢者が、政治により多くの関心を持つのは当然なのである。また、高齢者は男女平等の普通選挙権が与えられた感動を知っているため投票権を大切にするが、戦後生まれは投票権を持つのが当たり前となり男女平等の普通選挙権に有難味を感じていないことが、若い世代で投票率が低い理由の一つだろう。

 ②については、政治家が有権者の声を聞き高齢者向けのみの政策に重点を置いているわけではなく、③のように、高齢者の声を聞く政治を「シルバー民主主義」と呼んで高齢者の権利をないがしろにしてきた結果、*3-4のように、払ってきた年金が給付段階になって不当に減額されるという契約違反により、収入を奪われて困窮する高齢者が増えている現実がある。そのため、⑤の「政治家に『子育て世代に応えないと落選する』という恐怖をどれだけ与えられるかが重要」というのは的外れの運動で、若い世代にこういう考え方をさせるよう煽った人々には重大な責任がある。

 さらに、④のように、実際に政府の予算配分は高齢者向けが圧倒的に多いかもしれないが、本当はそこから保険で支払ってきた年金・医療・介護を除いて考える必要があり、「子育て世代への支出を高齢者への給付から差し引かなければならない」とか「社会保障は消費税で賄わなければならない」などという意図的に間違った情報に基づいて議論しても、誤った結論しか出ない。

 なお、子育て世代が、⑥のように、「この生活では2人目を考える気持ちにならない」というのは、私は東大医学部保健学科卒で1970年代に母子保健を勉強し、公認会計士・税理士としてBig4で働き続けるためにDINKSを選んだ人間なので1人も生まなくてもわかっているが、舛添都知事は土日に湯河原の別荘に通っただけであれだけ批判され、これは女性知事・女性議員はじめ責任ある仕事をしている人なら男女とも同じであるため、⑦のように、「すべての仕事で国が男性に育休取得を義務づけるなど、社会全体で子育てする機運をつくる」というのは不可能であり、他に代替案があるので不要でもある。

 そのため、*1-1のような論理に基づいて、*1-2のように、平成27年6月、選挙権年齢を満18年以上に引下げて有権者の若者数を増やしたのは、不純な動機による変更だ。18歳と20歳の間に、さほど大きな差はないかもしれないが、いくら選挙権年齢を18歳に引き下げても、有権者に真実の本質的情報を提供しないメディアを介してでは、年齢にかかわらず正しい意思決定はできない。 

(2)「高齢者vs若者」という設定が誤りなのである
 佐賀県弁護士会は、*1-3のように、鳥栖工業高校に出向いて授業を行い、生徒708人に対し、主権者教育として、「世代間の投票率の差が政策に色濃く反映され、政治家は投票する60代向けの政策を優先するようになる結果、若者に使われるお金は少なくなる。気付かないうちにそういうツケが回ってくる」と指摘したとのことだ。もちろん、弁護士が主権者に投票の意義や民主主義について教育したことは有意義であるが、「高齢者vs若者」という設定で「高齢者からぶんだくって子育て支援に振り向けるべき」と説いているのは、倫理観に欠け、人権を護るべき弁護士としての見識が疑われる。

 また、*1-4のように、伊万里農林高校では、伊万里市の選挙管理委員会職員が若者の投票率の低さをデータで示し、「年齢が上がれば社会経験を重ねて投票率が上がるのが通常だったが、最近は若い時の投票率の低さが年齢を経てもそのまま推移している」「若者は人口が少ない上に、投票率が低いので意見が反映されにくくなっており、普段から政治に目を向けることが重要」と訴えたそうだが、どの政党もマニフェストで示したことを裏切って官由来の政策を行い、メディアの報道は多くの虚偽を含む浅薄なもので、政治家は金に汚く不完全なものとしてしか報道されないため、政治に関心を持てない人が増えるのは当然だ。そして、その状態を歓迎するのが、政治を自らの意のままにしたいグループなのである。

(3)主権者教育を始めたのはよいことだが・・
 佐賀県教委は、*2-1のように、選挙権年齢が18歳に引き下げられることを受け、主権者教育の高校授業を研究するチームを近く立ち上げて先進的な事例を集め、現実の政策を教材にするなど生徒自身が考えて判断できるような授業を目指すそうで、よいことだ。

 しかし、*2-2のように、全国の高校に配布された副教材「私たちが拓く日本の未来(http://www.soumu.go.jp/senkyo/senkyo_s/news/senkyo/senkyo_nenrei/01.html 参照)」は、政策に関する討論や模擬選挙の進め方などを解説する「実践編」が6割を占め、選挙制度や投票行動の手続きに重点が置かれて、身近な問題にどう関心を持たせるかという一番大事な点が欠落して教師任せになっているそうだ。

 そのため、せっかく主権者教育をするのなら、新聞を読んで社会に関心を持つだけでなく、政治に繋がる身の回りのことについて市長や議員がどう考えて政治を進めているかについて話を聞き(党派が偏らなければ問題ない)、生徒に質問させるのが、最も印象に残ってその後の役に立つと考える。

(4)具体的事例を示して考えさせるのがよい
 女性も普通に働いている時代、*3-1のような事例で、子どもが急病になったらどうすればよいのかについて、①現状 ②予算などの制約要因 ③政治にやってほしいこと 等を男女の生徒にまず調べさせ、子育て経験のある女性の先生や市長の話などを伺い、どうすればよいかを皆で考えさせる というのは、印象に残り、政治が身近な問題の解決策であることを認識するよい機会になると考える。

 また、*3-2のように、学童保育や街の再生を行っている人に話を聞いたり、*3-3のように、踏切事故で子どもが犠牲になったが、どういう街づくり(社会づくり)をすればよいかについて市議や県議とディスカッションしたり、*3-4のように、年金を減額すれば高齢者が困るので高齢者の生活を脅かさない方法はどうあるべきかを考えたり、TPPについてなど、本当の民主主義を教えながら、生徒の印象に残るようにして、主権者としての責任を醸成するのがよいと考える。そして、統計資料や事例集は、身近な事例を日本全国や世界と比較しながら作れば、問題点が明らかになり興味をそそるだろう。

<不純な動機による選挙権18歳引き下げ>
*1-1:http://digital.asahi.com/articles/DA3S12412756.html (朝日新聞 2016年6月17日) (2016参院選 アベノミクスを問う:3)「保育園落ちた」遠い政治 予算、高齢者向けに偏重
 「保育園落ちた! 選挙攻略法」。こんなイベントが5月下旬に東京都内で開かれた。集まったのは子ども連れの親たち約120人。フェイスブックなどのSNSを通じて呼びかけた同志社大院生の對馬果莉(つしまかり)さん(30)は「子育て世代が声をあげないと政治は動かない。選挙で思いを届けませんか」と訴えた。参院選を控え、保育所に入れない待機児童の解消を訴える親たちの怒りの矛先が政治家に向かう。「政治家に『子育て世代に応えないと落選する』という恐怖をどれだけ与えられるかが重要」「自分の選挙区の候補者にメールでもファクスでもいいから要望を届けて」……。こんな議論が交わされた。前回の2013年参院選では、有権者の4割を占めた60歳以上の投票率は62・4%で、3割いた20~30代の投票率は39・2%。当選した政治家が「有権者の声を聞く」と言い、高齢者向けの政策に重点を置く。こうした政治は、「シルバー民主主義」と呼ばれる。実際に政府の予算配分は高齢者向けが圧倒的に多い。国立社会保障・人口問題研究所によると、年金や介護などの政府支出は13年度で54兆6247億円で、保育所整備や児童手当、育児休業給付といった子育て向けは6兆568億円。日本は人口に占める高齢者の割合が大きいとはいえ9倍の開きがある。欧州各国と比べても偏重ぶりは際立つ。安倍晋三首相が昨年9月に発表した「アベノミクス第2ステージ」では、そこに焦点を当てた。「希望出生率1・8」を掲げ、「将来の夢や希望に大胆に投資していく」と胸を張った。昨年4月の保育の受け皿は約263万人分。それまでの2年間で約22万人分が増えた。安倍首相は「政権交代前の2倍のペースで拡大した」と誇ったが、昨年4月時点の待機児童は5年ぶりに増え、2万3167人だった。昨年末に編成した15年度補正予算では、小規模保育所の整備費補助や保育士の業務負担軽減策などに1245億円を計上。一方、低年金の高齢者らに3万円を配る臨時給付金には3624億円をかけた。保育事業を手がけるNPO法人フローレンスの駒崎弘樹代表理事(36)は、今月13日に都内で開かれたシンポジウムで憤りをあらわにした。「子どもにお金を使わない国で少子化対策なんか進まない。気合で、竹やりでB29を落とせと言っているのと同じですよ」
■進む待機児童対策に懸念も 「数だけ確保、質置き去り」
 17年度末までの「待機児童ゼロ」を掲げる安倍政権は、保育の受け皿を増やす切り札として基準の緩和を進めている。4月には企業主導型保育事業を始め、自治体の認可がなくても企業が主に社員向けの保育所を設置できるようにした。婚活支援を手がけるパートナーエージェント(東京都)は来月、東京都三鷹市に保育所を開設する。昨年春から複数の自治体に相談していたが、保育所の経営実績や職員の経験年数といった独自の認可条件があり、整備できずにいた。企業主導型ではそうした条件が不要で、担当者は「社内の保育ニーズに合わせ、スピード感を持って整備できる」と喜ぶ。保育の質も重視しており、保育士の処遇改善や研修に力を注ぐ。ただ、企業主導型の仕組み自体は保育士の配置基準が緩和され、職員の半数以上の保育士がいれば補助対象となる。政府が3月に出した緊急対策では、保育士配置や部屋の面積基準について国の基準より手厚く設定している自治体に国基準まで緩めるよう求めた。基準緩和には懸念の声も出る。保育事故の遺族らでつくる「赤ちゃんの急死を考える会」は16日、企業主導型に反対する考えを内閣府などに表明。会員の藤井真希さん(36)は「数だけ確保しようという間違った方向に進んでいる。質の高い保育は置き去り、後回しにされている」と訴えた。保育の受け皿を増やすだけでなく、「子育ては母親任せ」という社会の風潮を変えることも重要だ。厚生労働省によると、14年度に民間企業の男性が育休を取得した割合は2・3%で、女性の86・6%と比べて大きな開きがある。東京都渋谷区の女性会社員(31)は4月から長男(1)を認可外保育所に預けられるようになり、復職した。だが、仕事を終えても分刻みで育児と家事をこなさなければならない。夫(47)の協力はわずかで、両親は遠方で頼れない。「この生活では2人目を考える気持ちにはならない。国が男性に育休取得を義務づけるなど、社会全体で子育てをする機運をつくるべきだ」

*1-2:http://www.soumu.go.jp/senkyo/senkyo_s/news/senkyo/senkyo_nenrei/
選挙権年齢の引下げについて
 平成27年6月、公職選挙法等の一部を改正する法律が成立し、公布されました(平成28年6月19日施行)。今回の公職選挙法等の改正は、年齢満18年以上満20年未満の者が選挙に参加することができること等とするとともに、当分の間の特例措置として選挙犯罪等についての少年法等の適用の特例を設けることを目的として行われました。

*1-3:http://www.saga-s.co.jp/column/18senkyo/25001/312784 (佐賀新聞 2016年5月18日) 県弁護士会が主権者教育 鳥栖工高で出前授業、はじめの1票 18歳選挙権さが
 夏の参院選から選挙権が18歳に引き下げられるのを前に、佐賀県弁護士会による主権者教育の出前授業が17日、鳥栖市の鳥栖工業高校(山口光一郎校長)で始まった。生徒708人が投票の意義や、世代間の投票率の差が政策に色濃く反映されることなどを学び、間近に迫った「1票」デビューに備えた。「18歳選挙権」を受け、県弁護士会が選挙の前提となる法律の知識や仕組みを伝え、投票に行ってもらおうと初めて実施した。年度内に約20校に出向く。授業は県弁護士会法教育委員会委員長の吉田俊介さん(35)が講師を務めた。日本が立憲主義と間接民主制を採用していることに触れ、「投票できる一人一人が主権者。国を動かす力を持っている」と説明した。60代の約7割が投票しているのに対し、20代は約3割にとどまっていることを紹介し、「政治家は投票する60代向けの政策を優先するようになる。その結果、若者に使われるお金は少なくなる。気付かないうちにそういうツケが回ってくる」と指摘した。3年の岩永涼馬さん(18)=神埼市=は「憲法に反した事は法律でも決められないなど、詳しく理解していなかった。自分たちの世代向けの政策を充実してもらうためにも初めての選挙には必ず足を運びたい」と決意していた。

*1-4:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/323186
(佐賀新聞 2016年6月16日) 普段から政治に関心を 選管、伊万里農林高で講話
 伊万里市の伊万里農林高校(青木久生校長、352人)で13日、参院選を前に「18歳選挙権」に伴う主権者教育があり、全校生徒が選挙の意義や重要性を学んだ。伊万里市選挙管理委員会職員の松尾省吾さんが若者の投票率の低さをデータで示し、「年齢が上がれば社会経験を重ねて投票率が上がるのが通常だったが、最近は若い時の投票率の低さが年齢を経てもそのまま推移している」と分析。公示目前となった参院選に向けて、選挙の流れや候補者の情報の集め方を説明し、「若者は人口が少ない上に、投票率が低いので意見が反映されにくくなっている。普段から政治に目を向けることが重要」と訴えた。今月17日に18歳の誕生日を迎える3年生の犬山秀人さんは「若者の投票率の低さに驚いた。若い人の考えを政治に生かすのは大事なこと、参院選は必ず投票に行く」と話していた。同校では昨年の生徒会と農業クラブの選挙で、伊万里市選管から投票箱を借り、本番の雰囲気を味わいながら選挙を実施した。社会科の授業を通じても、選挙について学んでいる。

<主権者と主権者教育>
*2-1:http://www.saga-s.co.jp/column/18senkyo/25001/314628
(佐賀新聞 2016年5月23日) 佐賀県教委、高校の授業研究チーム発足へ、事例集め公開授業
 選挙権年齢が18歳に引き下げられることを受け、佐賀県教委は主権者教育の充実へ向け、高校の授業を研究するチームを近く立ち上げる。先進的な事例を集め、現実の政策を教材にするなどして生徒自身が考えて判断できるような授業を目指す。年度内に4校で公開授業を行い、各学校のヒントにしてもらう。研究チームは、公開授業をする高校の教員と県教委の指導主事ら数人で構成する。6月上旬までに立ち上げ、情報収集や授業案作り、実践などの検討を重ねる。公開授業をする学校や時期は未定。これまでも公民の授業で選挙の制度や意義を教えていたが、特別活動や総合的な学習など幅広い枠でもできる複数の授業モデルを作る。話し合いといった生徒自身が合意形成に至るまでの過程を重視し、総務省が作成している模擬選挙の活用なども視野に入れる。県内の高校では、全生徒に総務省と文部科学省が作成した副教材を配布しているほか、全体の約7割が各市町の選挙管理委員会や県弁護士会などから外部講師を招く計画を立てている。主権者教育では学校の政治的中立を守りながら、子どもたちの政治的活動の尊重が求められ、指導の在り方で学校現場から不安の声も上がる。県教委は「まずは生徒に関心を持ってもらう必要がある。これまでにない新しい形の授業が求められており、いろいろな方法を検討したい」としている。

*2-2:http://www.saga-s.co.jp/column/18senkyo/25002/318573
(佐賀新聞 2016年6月3日) はじめの1票 第2部 主権者教育 (5)方向性
■社会への関心、日常から
 「身近な問題にどう関心を持たせるかという一番大事な点が欠落し、教師任せになってしまっている」。県教委が4月に開いた教師向けの研修会で、総務省と文部科学省が発行した主権者教育の副教材の内容に疑問の声が上がった。副教材「私たちが拓(ひら)く日本の未来」は昨年12月、全国の高校に配布された。初年度の発行部数は実に約370万部。政策に関する討論や模擬選挙の進め方などを解説する「実践編」が6割を占め、選挙制度や投票行動の意思決定の過程に重きが置かれている。この方向性に反論するように、佐賀北高(佐賀市)の森勝俊教諭(58)は「主権者教育は普段着の実践でいい」と強調する。公民科の立場から、身近な問題について普段から考えさせ、その関心を社会的課題につなげることを重視してきた。関心を深掘りするために、数年前から取り組んでいるのが「朝コラム」だ。3年生が10分間の朝読書の時間に新聞のコラムや社説を読み、感想をまとめる。明石泰輝さん(17)は「もともと文章は苦手だったが、自分なりに意見が書けるようになった」と効果を感じている。森教諭は「生徒が感じる学校と現実社会の大きなギャップを埋め、行動につなげる意味で投票の機会を生かしたい」。日頃の学習の延長線上に投票行為を位置付ける。「選挙教育」への偏りとともに、本格的な主権者教育が高校から始まることへの批判もある。教育に新聞を生かすNIE活動に取り組む厳木中(唐津市)の光武正夫教頭(50)は「高校には行かない生徒もいる。社会に関心を持つことが主権者教育の原点であり、義務教育の段階から力を入れるべき」と指摘する。佐賀大学大学院学校教育学研究科の平田淳教授(教育行政学)は「学級会でのルール作りなど、学校生活の全てが主権者教育の場であり、学校の外でも自分で意思決定することは多い。自分たちのことは自分たちで決めるという経験を、学校の内外でどれだけ積ませることができるか」。社会の担い手としての主権者を育てる鍵は、生徒の日常にある。

<具体的事例から考える>
*3-1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20160105&ng=DGKKASFS04H7V_V00C16A1MM0000 (日経新聞 2016.1.5) 急病の子 預けやすく、厚労省、保育施設の普及後押し 看護師常駐求めず
 厚生労働省は急な病気になった子どもを一時的に預かる施設の普及を後押しする。対象となるのは民間が運営する「病児保育」と呼ばれる施設で、子どもが風邪で熱を出したが仕事を休めない共働きの親などが利用している。看護師と保育士の配置に関わる規制を緩め、一定の条件を満たせば常駐を不要とし施設の人件費負担を減らす。施設の新設にかかる費用も助成する。子どもをもつ母親などが安心して働ける環境を整える狙いだ。規制緩和と資金支援からなる今回の対策は、安倍政権が掲げる「一億総活躍社会」の実現に向けた取り組みの一環だ。一般の保育所は37.5度以上の熱があったり、湿疹が出たりした子どもは預けられないケースが多い。共働きの家庭では親が仕事を休まなければならず、女性の社会進出の妨げになっている。そこで政府は2020年度までに病児保育の利用児童数を150万人とする目標を掲げたが、今の利用率はその4割弱にとどまる。病児保育の不足が理由で、受け皿の拡大は急務だ。対策では、まず看護師や保育士の配置にかかわる規制を緩める。いまのルールは子ども3人あたり保育士1人と、10人あたり看護師1人の配置を義務付ける。ただ利用する子どもがいないときまで看護師や保育士が常駐すると人件費負担が重くなる。いまは子どもがいないときのルールは明確でないが、看護師や保育士を常駐させなくてよいとする規定を新たにつくる。さらに病院などに併設されている病児保育の場合は、看護師がすぐに駆けつけられる体制をとっていれば子どもを預かっていても看護師の常駐は不要とする。4月をメドに病児保育の運営ルールを定めた自治体向けの実施要綱を見直す。病児保育は採算を取りにくいとされるが、人件費負担が減れば新たに参入する業者も増えると厚労省はみる。同省は施設の増設に向けた補助金も拡充する。現在、補助しているのは人件費など運営費の一部のみ。これに加え4月からは施設の建設費など初期投資の一部も補助して新規参入のハードルを下げる。具体額は2月をメドに決める。また病児保育には一般の保育所で体調を崩した子どもが移ってくることも少なくない。病児保育側が子どもを迎えに行った場合は、交通費や付き添いをする看護師の人件費も新たに支援する。補助金の財源には企業が年金などと一緒に国に納めている「子育て拠出金」を充てる。政府は16年度から拠出金の料率を従業員の給与の0.15%から0.20%に引き上げる方針。これによる840億円近い財源増額のうち、約27億円を病児保育の普及策に充てる。

*3-2:http://qbiz.jp/article/80759/1/
(西日本新聞 2016年2月16日) 空き部屋ホテル、学童保育… 日の里再生へ提案続々 宗像市
 昭和40年代に開発され、現在は高齢化が進む福岡県宗像市日の里団地の再生について、現地調査をした九州大大学院芸術工学研究院の学生が14日、住民約200人の前で研究発表をした。空き部屋をホテルとして活用したり、空き店舗を図書館やギャラリーの複合施設にしたりする夢のあるプランを住民は熱心に聞いていた。学生たちは昨年5月の調査開始以来、団地を歩いて住民へのヒアリングを重ね、課題を絞り込んだ。高齢化率が3割を超え空き部屋も増える一方、緑が豊かで、専門知識のある人材が多いことなど潜在的な価値が高いことも分かった。空き部屋、商業活性化などの項目別に、7人の学生が調査結果と再生プランを提言した。古い集合住宅に学童保育、仕事帰りの保護者が立ち寄るカフェなどを併設する「地域まるごと託児所構想」や、空き部屋を利用して住民が観光客をもてなす「団地民泊構想」などユニークな発想に会場から拍手が起きた。商業活性化について発表した韓国からの留学生、張栄さん(24)は「調査した店の人たちは、どんな街にしたいかという問題意識が高かった。続けて再生に関わりたい」と話した。

*3-3:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10102/253929 (佐賀新聞 2015年11月27日) 浜玉で列車にはねられ子ども死亡、JR筑肥線小浜踏切付近 近くの小3男児か
 26日午後6時ごろ、唐津市浜玉町渕上のJR筑肥線の小浜踏切付近で、子どもが福岡空港発西唐津行き下り普通列車にはねられ、死亡した。現場近くに住む小学3年の男児の行方が分からなくなっており、唐津署は身元の確認を進めている。同署によると、列車の乗務員が子どもをはねたのに気付いて緊急停車し、唐津駅職員を通じて110番した。現場は警報機や遮断機のある踏切の近くだったという。男児の母親が現場の近くでいなくなった男児を探していた。JR九州によると、列車は6両編成で約140人が乗車していたが、けが人はいなかった。約1時間50分後に運転を再開した。事故の影響で上下線21本に最大2時間の遅れが生じ、約4千人に影響が出た。

*3-4:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20150720&ng=DGKKZO89497900Y5A710C1TCR000 (日経新聞 2015.7.20) 年金減額で訴訟、国にも弱み、給付額少ない人どう守る 本社コラムニスト 平田育夫
 厚生年金や国民年金の減額を取り消すよう国に求める訴訟が相次いでいる。寿命が延び、少子化が進んで、今や年金は「百年安心」と言えない。給付を減らさないと制度が持たず現役世代や後世代にツケが回る。だから減額はやむを得ないのだが、実は訴えられた国にも弱みがある。月5万円以下といった少ない年金を、20万円以上など多めの年金と同率で減らすのは酷な話。低年金の人を守れる制度に改めないと必要な給付減額を滞らせることにもなりかねない。訴えたのは全労連傘下の全国年金者組合に加入する年金受給者ら。26都道府県の地裁に提訴、最終的には45都道府県で約3500人の訴訟になるという。彼らは2種類の減額を問題にする。一つは払いすぎの解消。給付額は物価と連動する建前だが、物価下落でも据え置いた期間があり本来の水準より2.5%高くなった。政府はこの分を2年前から段階的に解消した。訴えでは2年前の1%減額分の撤回を求めた。だが訴訟の“本丸”はもう一つのほう。寿命の延びと働き手の減少に対応して給付の伸びを物価上昇率より0.9%低く抑える実質的な減額だ。「マクロ経済スライド」と呼ぶ年金の持続性向上策で、今年4月から開始した。今後30年近く続き、減額幅が約3割になる可能性がある。訴状では減額取り消しを求める理由を様々あげているが、特に強調するのは低年金者への打撃だ。国民年金(基礎年金)だけの人の平均受給額は月5万円で単身者には不十分。少ない年金の減額は「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」をうたう憲法25条に反する―と。なるほど。だが原告のうち国民年金だけの人は数%だ。あとの九十数%は厚生年金や共済年金の受給者。給付額が多めの彼らが自らも減額を免れるため「低年金者への打撃」をだしに使うのならいただけない。厚生年金の平均受給額は月約14.5万円。これは加入者本人の基礎年金と報酬比例年金で、それに配偶者の基礎年金を加えると20万円近い。少し減らしても生存権は守れる。むしろ年金財政の実態からは給付が多すぎる人が大半だ。受給者の増加と保険料を納める人の減少で年金の台所は逼迫。厚生年金の積立金は二十数年後に底をつく恐れがある。国費には頼れないし保険料引き上げもほぼ限界。今の高齢者を含め年約1%ずつ実質給付を減らすマクロ経済スライドを進めるしかない。それが遅れると後の世代は減額幅が大きくなり大打撃を被る。ただし月五万円未満などの少ない年金も減らすべきかは別問題だ。消費増税に伴い低年金者には最大月5千円の支援金を出すが、十分とは言えない。低年金の人は生活保護で補ってもらえるが「資産がないことが原則」などハードルは高い。また国にとっては、税金で賄う生活保護が膨らめば財政がさらに悪化する。年金の制度を改めて最低限の金額を保証できれば、それが一番。なにより、年金減額反対の運動に「低年金者の保護」という口実を与えないために必要だ。外国は収入の少ない高齢者をどう守っているのか。スウェーデンは保険料を財源にした所得比例年金を中心とし、この年金が少ない人に限り税金で加算する。同国の年金庁に聞くと、所得比例年金がゼロの場合でも、単身者で最大月11.4万円受け取れるという。カナダの年金は全額を税金で賄う、いわば基礎年金があり、その上に保険料による所得比例年金が乗る。政府は高所得者からこの“基礎年金”の一部または全部を返還させ、低年金者への加算に回す。所得比例年金が出ない人でも単身者の場合で最大月12.7万円を受け取れる。さて日本にはどんな制度がよいか。保険料の未納や払った期間が短いなどの理由で低年金や無年金になる人も救えるのは、基礎年金の全額(今は半額)を消費税で賄う方式。居住年数つまり消費税を払った年数に応じた金額を支給する。日本経済新聞社は7年前の紙面で日本に40年住んだ人はだれでも65歳から月6.6万円受け取れる制度を提言した。基礎年金の保険料を廃止し代わりに消費税を5%引き上げる。この案を支持する専門家は多い。税金の投入をあまり増やさずに低年金者を守るならカナダかスウェーデンのやり方が参考になる。安倍政権は所得が多い人の基礎年金を減らす方針。それで浮く税金を低年金者に回せばカナダ方式に似てくる。しかし減額対象者の候補は年収850万円超の人で受給者のわずか0.9%。もっと年収の低い人も削減対象にしないと低年金の人に回す余裕は少ない。一方、鈴木亘学習院大学教授の案はこうだ。基礎年金についてはマクロ経済スライドによる減額を停止する。さらに低年金を引き上げ、住宅を持つ人の場合で月6~7万円を保証する。そのため厚生年金の報酬比例部分は今の年0.9%より大幅な率で減らすほか、年金の支給開始年齢引き上げなどで財源を確保する。やり方は様々ありうる。今回の訴訟で原告の主張が通るとは思えないが、これをきっかけに減額反対の機運が盛り上がるかもしれない。低年金の人を守りながら、それ以外の人への実質給付を着実に減らすため制度の手直しが急がれる。


PS(2016.6.20追加):*4-1のように、「国債運用が基本だった年金資金が、運用難でリスク投資に向かい始めた」とのことだが、高リスク高リターンの投資をすれば元本割れするリスクも高いため、年金のように生命にかかわる資産は安全な債券(外国債・地方債を含む)で運用するのが世界の常識である。にもかかわらず、年金資産を余剰資金のように運用してもよいと考えている年金資産の管理者は信頼性に欠けるとともに、このような管理者の無責任な意識がこれまでも年金資産をすってきたのが大問題なのだ。その上に、保険料回収の不完全性や管理の杜撰さ、非正規雇用割合の増加なども問題である。
 また、*4-2のように、30年1日の如く(馬鹿の一つ覚えで)外国の航空会社への航空機リースを行っているが、例えば東日本大震災や熊本地震で破壊された地域に太陽光発電を完備した住宅地の再開発を行ったり、地方の鉄道整備を行ったりなどを同様のリース方式で行えば、地方や日本全体にとってメリットがあり、投下資本の回収が可能で、金融緩和された金が第三の矢として働く。さらに、*5-1のような自治体向け地熱発電や、*5-2のようなEV普及も、日本で始まったがすっかり遅れをとっているので、これらの活用に向けてインフラ整備を行うのも無駄金にならず第三の矢として働く。つまり、政策判断には総合的考察力が必要で、それを培うためには通常科目をしっかり勉強しておくことも重要なのだ。

*4-1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20160620&ng=DGKKASFS04H0H_Z10C16A6MM8000 (日経新聞 2016.6.20) リスク資産に最大6兆円 ゆうちょ銀、運用難で、不動産やインフラ 代替投資、公的年金も7兆円
 国債運用が基本だった貯金や年金などのお金がリスク投資に向かい始める。日本郵政グループのゆうちょ銀行は今後5年程度で国内外の不動産や未公開企業などの代替投資(総合・経済面きょうのことば)に最大6兆円を振り向ける。公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)も今年から7兆円を上限に投資。マイナス金利で国債に依存した運用が難しくなった状況に対応する。今後は運用資産の目利き力やリスク管理が課題になる。国内銀行で最大規模の資産を持つゆうちょ銀と世界最大の機関投資家であるGPIFがリスク資産に投資するのは、運用環境が厳しさを増しているためだ。日銀が2月にマイナス金利政策を導入したことで大部分の国債の利回りがマイナス水準に低下。年明け以降の円高・株安で外国債券や日本株などでの運用も難しくなっている。高リスク高リターンの投資を増やすことで、資産の毀損リスクも高まることになる。半面、国内有数の運用機関が不動産などに投資対象を広げれば、日銀が市中に流す潤沢なマネーが成長分野やインフラにも流れやすくなり、実体経済の活性化が見込める。ゆうちょ銀の運用資産は約200兆円。今年度から海外の不動産やインフラ、未公開企業などへの直接投資を開始。中長期的に収益確保が期待できる案件を選ぶ。代替資産の具体的な構成は今後決めるが、投資先を広げて収益拡大と同時にリスク分散も進める。認可が必要ないファンドを通じた投資は始めているが、不動産などに直接投資するには金融庁と総務省の認可が必要で、申請準備を急ぐ。他の民間銀行と違って融資業務が原則禁止され、これまで国債などで運用してきたが、最近は市場金利の低下を背景に外債などリスクを伴う資産への投資も増やしている。GPIFも運用利回りの向上を狙い、運用対象を広げる。すでにカナダのオンタリオ州公務員年金基金(OMERS)と共同で代替投資を始めているが、ファンドを通じた方法に限られ、手数料負担などで運用効率が高まっていない。厚生労働省は今年夏にも年金部会を開き、運用手法の拡大を容認する政令の追加案を示す。LPS(リミテッド・パートナーシップ)という組合を通じた共同投資で、GPIF自身は個別に投資判断を行わず、投資家として参加する。GPIFの約140兆円の年金資産のうち、代替投資の割合は0.04%とごくわずか。今後は資産の5%(昨年末時点で約7兆円)を上限にリスク運用を増やす。リスク運用を広げる場合、対象資産の選定やリスク管理が重要になる。ゆうちょ銀は1月にリスク管理部門を新設し、約100人を配置。メガバンクからリスク管理の責任者を迎えるなど内部管理体制の強化を進める。GPIFも今年から「オルタナティブ投資室」を設置した。今年秋にも運用リスクを総合的に管理する新システムを導入する。

*4-2:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20160620&ng=DGKKZO03804960Z10C16A6NN7000 (日経新聞 2016.6.20) 三井住友信託銀、航空機リースのファンド 200億円規模で
 三井住友信託銀行は世界の航空会社に航空機をリースするファンドを立ち上げ、国内の投資家から出資を募る。当初の運用総額は2億ドル(約210億円)の見通し。新興国の経済成長や格安航空会社(LCC)の普及で今後も航空機リースは堅調な需要が見込まれ、10%程度の投資利回りを想定する。低金利で運用難が続くなかで、投資家の需要が期待できる。新ファンドは航空会社に航空機をリースする特別目的会社(SPC)の株式を取得し、SPCは外部からの借り入れを活用しながら機体を買う。出資した投資家は航空会社が支払うリース料などを原資として配当を受け取る。ファンドの運用にあたっては、航空機リースの実績があるノーヴァス・アビエーション・キャピタル(スイス)から助言を受ける。運用総額は2億ドル程度を予定するが、投資家の引き合い次第で3億ドルまで増やす可能性がある。運用期間は5年だが、さらに最大3年まで延長できるようにする。
 業界の推計では、世界の航空機は現在の約2万機から20年後には4万機以上に増える。航空会社がリース機を使う比率も約4割から約5割に伸びるとされ、一段の成長が見込まれている。

*5-1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20160620&ng=DGKKZO03804360Z10C16A6NN1000 (日経新聞 2016.6.20) 地熱発電、専門家が助言 資源機構 自治体向けに
 独立行政法人の石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)は6月から地熱発電の開発案件を抱える自治体に地質学などの専門家が助言するサービスを始めた。事業の採算性や環境への影響をデータで示し、地元の理解を得やすくする。政府が掲げる2030年までに地熱発電の規模を3倍以上に増やす目標の達成につなげる。JOGMECは地質や環境などの専門家20人ほどで構成する「地熱資源開発アドバイザリー委員会」を立ち上げた。地熱発電への参入を目指す事業者は増えているが、周辺の温泉組合や住民の理解が得られずに断念するケースが多い。このため調整役の自治体が地元の関係者から開発への理解を得やすいように環境への影響などを分析したデータを提供して実現を支援する。地熱発電は二酸化炭素(CO2)の排出がほぼゼロで政府も拡大を後押ししている。

*5-2:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20160620&ng=DGKKASGM31H2Q_Z10C16A6MM8000 日産、中国で低価格EV 今夏にも、3割安く 東風汽車と共同で
 日産自動車は価格を現行モデルより3割程度抑えた「低価格EV(電気自動車)」を中国市場に投入する。提携先の中国自動車大手、東風汽車集団と共同開発する。中国は大気汚染の改善や産業育成を狙い、国を挙げてEVの普及を進めている。今後、EV市場が急拡大する可能性をにらみ低価格車で需要を取り込む。日産は2014年に「リーフ」を改良したEV「ヴェヌーシアe30」を中国で発売した。今回、車両価格をe30より20~30%安い20万元(約315万円)前後に抑えた新型車を中国で生産し、早ければ夏にも発売する。搭載する電池も含め基幹部品の現地調達を拡大。輸入部品を減らして関税や輸送費などコストを削減し価格を地場メーカーのEVと同水準にする。政府の補助金活用後の実売価格は地域により10万~15万元と、同クラスのガソリン車並みを狙う。日産は低価格EV投入で、EV市場でのシェアを15年の2%から数年で5~10%にする。中国政府は、EVやプラグインハイブリッド車(PHV)を「新エネルギー車」と定め普及を進めている。EV購入者への補助金は中央政府が最大5万5千元。地方政府の別途支給分を含む実質的な補助総額は最大で11万元に達する。一連の補助策で15年に年33万台だった新エネルギー車の販売台数を20年までに累計500万台に増やす。日本や欧米では価格の高さやインフラの未整備が普及のネックとなっているが「中国では国主導で急速に広がる可能性がある」(日産のカルロス・ゴーン社長)という。


PS(2016年6月20日追加):*6-1のように、全国知事会などが参院選公約の評価結果を公表するとわかりやすくてよいが、注目したポイントが限られているので、憲法改正、安全保障法制、特定秘密保護法、TPPなどへのいろいろな立場の専門家や利害関係者からの評価も欲しい。なお、*6-2の安倍農政の評価も具体的でよいが、国民の食生活が変わって誰もが栄養バランスに気をつけている中で、農家が米頼みを続けるのは無理があるとともに、本当の需要を逃している。

     
   全国知事会     実質賃金等    収入増の実感     農政     安全保障法制 
   の公約評価              2016.6.12佐賀新聞   上
 2016.6.20佐賀新聞                 2016.6.20日本農業新聞                   

*6-1:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/324772
(佐賀新聞 2016年6月20日) 全国知事会、参院選公約の評価結果を公表、自民の地方創生を歓迎
 全国知事会は19日、与野党9党が参院選公約に盛り込んだ地方関連施策の評価結果を発表した。自民党が地方創生や国土強靱化(きょうじんか)への取り組みと、分権改革をにらんだ地方財源の確保を明記したことを歓迎。公明党も政府機関の地方移転を掲げたことを評価した。民進党は地方が自由に使える一括交付金の復活を盛り込んだものの、地方分権改革に触れていないと指摘した。共産党には「地方を巡る諸課題について一切触れていない」と厳しい見方を示した。おおさか維新の会が地方分権改革を明記したことに期待を表明。社民党、生活の党、新党改革は地方創生につながる企業の本社移転に触れていない点を批判した。日本のこころを大切にする党は、地方活性化に必要な施策に触れていないとしている。評価特別委員長の飯泉嘉門徳島県知事は、参院選の争点に関して「地方創生や分権改革の議論が薄まっている」と述べ、各党の論戦を訴えた。知事会は5月、地方創生や分権改革の強化など10項目の重点要望をまとめ、各党に公約への反映を要請。重点要望に基づいて参院選公約を評価した。公約評価は政権選択が問われる衆院選は点数で評価するが、参院選では各項目へのコメントにとどめている。

*6-2:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=37969 (日本農業新聞 2016/6/20) [2016年 参院選] 検証「安倍農政」3年半 「攻めの農業」道半ば 米 落ち込み顕著
 22日公示・7月10日投開票の参院選では、3年半の「安倍農政」の是非も問われる。安倍晋三首相は「攻めの農業」に向けて農政改革を進め、輸出額や法人経営は増えたが、農業総産出額や農家の所得は増えていない。また生産基盤の弱体化も止められていない。農水省の統計から検証した。
●輸出、法人増も所得減
 首相は2012年12月の就任以来、アベノミクスの成長戦略の柱の一つに「攻めの農林水産業」を位置付ける。13年6月には、10年間で農業・農村全体の所得を倍増させる目標も閣議決定した。その象徴が輸出だ。農林水産物・食品の輸出額は15年に過去最高の7451億円で、原子力発電所事故の影響も大きかった12年より7割近く増えた。首相は今月、19年に輸出額1兆円とする新たな目標を明示。環太平洋連携協定(TPP)も活用する考えだ。だが食肉や野菜、果実の生鮮農産物に限れば15年の輸出額は383億円で、農家所得増には必ずしも結び付いていない。農業総産出額や、農家の所得に当たる「生産農業所得」は、12年と14年を比べると、いずれも微減した。要因は米だ。14年産の相対取引価格は60キロ当たり1万1967円で、持ち越し在庫などを原因に、12年産より3割近く下落。一方、飼料用米の拡大で生産調整を達成した15年産は同1万3176円に戻している。米消費量の減少も歯止めをかけられず、主食用米の生産数量目標は、12年から16年の間に50万トン減った。13年秋に安倍政権は、18年産から国による生産数量目標の配分の廃止を目指す方針を決めたが、米の需給が安定しなければ、農家所得の減少にも直結する。需給調整の鍵を握る飼料用米の生産量は増えているが、助成金頼みの面もある。農業の生産基盤の縮小も止められていない。農業就業人口は3年で40万人以上減少。安倍政権は「新規就農して定着する農業者」の倍増を目標とするが、微増にとどまる。また担い手への農地集積率を23年度に8割にする目標を掲げ、農地中間管理機構(農地集積バンク)を創設したが、現状ではまだ5割強だ。一方で安倍政権は農外の企業も新たな担い手に位置付ける。農地をリースして参入した一般法人の数は、3年で9割増えた。農地を所有できる農業生産法人(「農地所有適格法人」に改称)も2割近く増。15年の農地法改正では、同法人の農業関係者以外の出資要件などを緩和しており、一層の増加が予想される。ただ、こうした法人が離農者の手放した農地などをどこまでカバーできるかは見通せない。荒廃農地の面積は増え続けており、肉用牛の飼養頭数は3年で20万頭以上減った。15年に閣議決定した新たな食料・農業・農村基本計画では、食料自給率の目標を「実現可能性を重視」して25年に45%としたが、現状は39%を維持するのが精いっぱいだ。

<原発は壮大な無駄遣い>
PS(2016年6月21、23日追加):*7-1の伊藤鹿児島県知事の「日本の置かれた経済状況から、原発はあと30年稼働せざるを得ないというのが正しい」等の発言を聞くと、法学部卒は科学にも工学にも経済学にも弱く、モノを言う時には裏付けを要しないという教育を受けているのではないかと思われる。そして、官僚出身者だからさらに無責任なのかもしれない。しかし、相手候補の元テレビ朝日コメンテーターの三反園氏(58)も「川内原発を一度止める」と訴えているだけで対立軸になっていないため、鹿児島県・宮崎県産の農林水産物が放射能汚染で福島県産と同じになる(これを“公平”と呼ぶ人もいるのが驚き)日も近いと思われて残念だ。そもそも、原発こそ未来に大きな負担を残す無駄遣いであり、*7-2のように、将来世代に対して無責任なものである。

*7-1:http://qbiz.jp/article/89175/1/
(西日本新聞 2016年6月21日) 鹿児島知事が川内の運転延長容認 「あと30年は稼働を」
 鹿児島県の伊藤祐一郎知事(68)は20日、全国の原発で唯一稼働中の九州電力川内原発(同県薩摩川内市)について「あと30年稼働せざるを得ない。日本の置かれた経済状況などからそれが正しい」と述べ、原則40年と定める原発の運転期間の延長を容認する考えを初めて示した。23日告示の知事選公約を発表した記者会見の中で問われ、答えた。原発の運転期間は電力会社が原子力規制委員会の許可を受ければ、1回に限って20年を限度に延長できる。川内原発は1号機が1984年、2号機は85年に運転が開始され、あと8、9年で「期限」の40年を迎える。知事選では伊藤氏が4選を目指すのに対し、新人1人が出馬を取りやめ、無所属の元テレビ朝日コメンテーターの三反園訓氏(58)に一本化。三反園氏側は「川内原発を一度止める」と訴えており、伊藤氏がこれを意識し、原発政策を鮮明にしたとの見方もでている。

*7-2:http://www.the-miyanichi.co.jp/shasetsu/_19857.html
(宮崎日日新聞 2016年6月23日) エネルギー政策
◆脱原発の道筋 活発に論戦を◆
 参院選が公示された。各党は、原発やエネルギー政策に関する公約を掲げている。「徹底した省エネ、再生可能エネルギーの最大限の導入などにより、原発依存度を低減させる」「原発の新設を認めず原発に依存しない社会・原発ゼロを目指す」「40年運転制限を厳格に運用。2030年代原発ゼロに向け、あらゆる政策資源を投入する」などさまざまだが、主要な争点とはなっていない。しかしエネルギーや原発政策は、国の将来を左右する重要課題であり、争点とするにふさわしい。各党は脱原発を望む過半の世論に正面から向き合い、論戦すべきだ。
●政府の計画には矛盾
 参院選公示の直前、原子力規制委員会は、運転開始から40年以上経過した老朽原発の関西電力高浜1、2号機(福井県)の運転延長を認可した。現在の法律は「原子炉を運転することができる期間は40年」と明記している。最大20年、1回だけの延長はあくまでも特例だ。だが今回の措置は、全長約1300キロに及ぶ電気ケーブルの防火対策について、全交換でなく防火シートで包むなどの関電の提案を了承するなど、「特例」にはほど遠い、甘い決定だ。40年ルールを形骸化させ、本来、特例であるはずの長期運転を当たり前のものとすることは、過半の市民が脱原発を求めているという世論に反する。規制委はあらためて40年ルールを徹底し、期間延長はあくまでも例外的だとの方針を明確にすべきである。運転期間延長の背景にあるのは「原発依存からの脱却」を言う一方で、原発を重要なベースロード電源と位置付けて2030年度に電力の20~22%を供給するとした政府の矛盾に富んだ長期計画だ。今後、廃炉になる原発が増えることなどを考えると、多くの原発で運転期間を延長しない限り、この目標の達成は困難だ。「政治からの独立」を掲げる規制委が、この政策に配慮したのではないかとの疑念を抱かざるを得ない。
●将来世代に無責任だ
 原発やエネルギー政策は、将来に大きな影響を与える。長期的視野を持ち、広く合意形成を図りながら決めていくべき重要課題だが、議論は十分と言えるだろうか。東京電力福島第1原発の事故は、国民にリスクの大きさを知らしめ、再生可能エネルギーと省エネを基礎にした、持続可能なエネルギー社会づくりに向けた大改革の必要性を認識させた。それから5年、日本のエネルギー政策が、求められる改革に道を開いたとは言い難い。なし崩し的に原発依存を続けるのか、脱原発に進むのかは不明確なままだ。再生可能エネルギーの拡大に不可欠な電力システム改革も、中途半端だと言わざるを得ない。これでは今なお避難生活を続ける原発事故の被災者に対しても、将来世代に対しても無責任だ。


PS(2016年6月22、24日追加):*8-1のEUと英国の離脱のような海外の政治状況を主権者教育に使うのもよい。何故なら、EUの前身であるEC(ヨーロッパ経済共同体)の父、リヒャルト・ニコラウス・栄次郎・クーデンホーフ=カレルギー伯爵は、母が日本人でミツコという香水の名前にもなっている人だが、EUになってからは金融・財政政策・外交・防衛・治安など国の主権にかかわることまで統一することを要求するようになっており、これは主権の侵害だからで、それに対して英国が国民投票という民主主義の手法で意思決定するのは重要な事例だからである。私自身は、*8-2のような意見が日本のメディアには多いが、国が考えなければならないことは目先の経済や為替レート・株価ではないため、大英帝国と言われたこともある規模の大きな島国である英国の立場で考えれば、ヨーロッパ大陸内の小国とは異なり、何もかもEUに合わせなければならない方がディメリットが大きいと考える。そのため、EUから離脱して、EUとFTA(自由貿易協定)を結べば、ディメリットをなくしてメリットだけをとれるだろう。なお、ヨーロッパ大陸内の小国でも、スイスは金融に秀でた永世中立国という独自性を失わないためかEUには入っておらず、スイスのツェルマットでは20年以上も前から電気自動車と馬車しか走れない規制があり、環境意識が徹底している。従って、スイスはじめヨーロッパは、完全EVのよい市場となるだろう(22日)。
 結局、英国民は、*8-3のように、EUからの離脱を選択した。国民投票の投票率は72.2%、離脱51.8%、残留48.2%で、焦点は移民問題と主権を取り戻すことだったそうだ。若者がEUからの離脱に不安を感じるのは、英国が1973年にECに加盟したためEC・EU時代しか知らないせいだが、新しい世界の経済環境を考えれば、離脱は経済的リスクよりも大英帝国時代の縁を使って速やかにアフリカ・アジア諸国と協調することによる発展可能性の方が大きく、これは北部スコットランドも同じだろう(24日)。

      
    スイスのマッターホルン山麓にあり、電気自動車と馬車しか走れない街、ツェルマット 
   (解説は、http://bizmakoto.jp/makoto/articles/1002/03/news010.html)

*8-1:http://www.saga-s.co.jp/news/national/10201/325469
(佐賀新聞 2016年6月22日) 英、EU離脱の賛否巡り火花、最終盤、各地で訴え
 EU離脱の是非を問う英国の国民投票を23日に控え、ロンドン市内で21日夜、離脱、残留両派の政治家らによる討論会が開かれた。6千人の観衆を前にそれぞれ持論を展開し、火花を散らした。離脱の賛否は依然として拮抗している。選挙管理委員会は21日、国民投票で投票登録をした有権者の総数が4649万人余りになったと発表。態度未定の層を取り込もうと両派は最終盤の訴えを続けており、この日は全国各地で集会を開いたりビラ配りをしたりした。討論会は離脱派から前ロンドン市長のジョンソン下院議員ら、残留派からはカーン現ロンドン市長らの各3人が登壇した。

*8-2:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20160622&ng=DGKKASDZ21I98_R20C16A6MM8000 (日経新聞 2016.6.22)EU離脱なら「英事業見直し」2割
 欧州連合(EU)からの離脱の是非を問う英国の国民投票が23日に実施されるのを前に、日本経済新聞社は21日、「社長100人(緊急)アンケート」を実施した。英国がEU離脱した場合、自社の英国事業の戦略を「見直す」「見直しを検討する」と回答した経営者は約2割に上った。投票結果がわからない段階でも、経営トップが危機感を抱いていることが浮き彫りになった。日本経済新聞社が日本の主要企業の社長(会長などを含む)を対象に実施し、123社から回答を得た。「英国で事業を手掛けている、もしくは事業を計画、予定している」のは96社、78.0%。そのうち17.7%が「戦略見直しを検討する」、2.1%が「見直す」と答えた。対象としては投資の削減、拠点の縮小、人員スリム化が挙がった。離脱票が多かったとしてもすぐEU離脱となるわけではないが、既に戦略見直しを経営者は頭に入れているようだ。全ての経営者に「残留」「離脱」どちらを支持するか尋ねたところ「残留」が71.5%と最も多く、「どちらかといえば残留」も10.6%。「離脱」「どちらかといえば離脱」はゼロで、11.4%の経営者は設問に答えなかった。伊藤忠商事の岡藤正広社長は「離脱となれば金融市場がかく乱され悪影響が及ぶ。他のEU加盟国で反EUの声が高まり欧州分裂につながりかねない」と懸念を示した。日立製作所の東原敏昭社長は「EUが強く結束しオープンな単一市場であり続けることが、欧州の繁栄や日立の事業にとって好ましいと考えている」とコメントした。

*8-3:http://digital.asahi.com/articles/ASJ6R7WSFJ6RUHBI03W.html?iref=comtop_8_01 (朝日新聞 2016年6月24日) 英国がEU離脱へ BBC「確実」と速報、初の脱退例
 23日に投票が行われた欧州連合(EU)からの離脱を問う英国の国民投票で、英公共放送BBCは24日午前4時40分(日本時間午後0時40分)ごろ、開票状況を独自集計した結果、離脱が多数になることが確実になったと速報した。28カ国からなるEUから加盟国が脱退する初の例となる。拡大と深化を進めてきた欧州統合は大きな転換点を迎える。離脱派の英国独立党(UKIP)のファラージ党首は24日午前4時、ロンドン市内の集会で「独立した英国の夜明けが来ようとしている」と述べ、事実上の「勝利宣言」をした。投票は23日午後10時(同24日午前6時)に締め切られ、ただちに開票が始まった。英BBCによると、24日午前5時40分(同午後1時40分)時点で、382地区のうち364地区で開票が終了。離脱が1625万2257票(51・8%)、残留が1513万139票(48・2%)となっている。全国的な集計結果は、24日午前(同午後)にも中部マンチェスター市庁舎で発表される見通し。選管によると、有権者数約4650万人で投票総数は3356万8184票、投票率は72・2%だった。昨年5月の総選挙の投票率66・1%を上回った。開票の結果、労働党支持者が多く、残留派が多いと見られていた中部の工業都市ニューカッスルでは、残留が50・7%、離脱が49・3%と得票率が伯仲。日産自動車が工場を置く近郊のサンダーランドでも離脱が61%を占めるなど、各地で離脱派が予想以上に得票を伸ばした。一方、残留派が優勢とみられていた地区では、投票率が伸び悩んだ。北部スコットランドの主要都市グラスゴーでは残留票が過半数を占めたが投票率は56%台と他地域に比べて低かった。残留派が優勢とされた中部マンチェスターも投票率は60%を下回った。ロンドンを含む英南東部は22日夜から豪雨に見舞われた。投票日の23日も断続的な大雨で浸水の被害が発生したり、交通網が大きく乱れたりした。荒天が有権者の出足を鈍らせた可能性もある。国民投票に向けたキャンペーンで、離脱派は移民問題に焦点を絞り、「EUにとどまる限り移民は減らせない」と主張。「主権を取り戻せ」と訴えた。またEUから出ることで、英議会の主導権を取り戻すべきだと説いた。一方、キャメロン首相が率いる残留派は、経済のリスクを前面に掲げた。オバマ米大統領ら各国首脳も残留を呼びかけた。投票日1週間前の16日に残留支持だった女性下院議員の射殺事件が発生。残留派が巻き返したものの、離脱派の勢いが最後まで伸長した。英国は今後、EU基本条約の規定に従い、2年をかけてEU側と離脱の協定を結ぶ交渉に入る。ただ加盟国の全会一致で交渉期間は延長できる。また英国は欧州の単一市場へのアクセスを失うため、改めてEU側と貿易協定の交渉を行うことになる。今後は、残留を訴えたキャメロン首相の進退が焦点となる。残留派の多い北部スコットランドでは、EU離脱を嫌う住民の間で英国からの独立運動が再燃する可能性もある。


<日本人の若者について>
PS(2016年6月23日追加):*9-1、*9-2、*9-3のように、佐賀新聞は若い有権者の選挙に関するメッセージ・ボードを募集・選抜して掲載したが、*9-1は、よいメッセージだと思う。しかし、*9-2の「①介護職を目指して就職活動中で、福祉分野はどこも人手不足」「②就職先は人間関係が良好なところがよく、若者を使い捨てるような『ブラック企業』は論外」「③初めての選挙に周りでも『行かなきゃ』って盛り上がっており、福祉のこととか関心あるけれど、政治家の言葉って、なんか難しい。もっとかみ砕いて説明して」については、「ブラック企業」の定義はあるものの、医療・看護・介護は9時~5時では終わらない仕事であるため、一人前になる前からこのようなことばかり言っている若者にははじめから期待できない。また、①の状況でも、ハングリー精神を持ち勉強して日本に来る有資格者の外国人は多く、そちらの方がよほどレベルが高い。さらに、③については、離乳食ではあるまいし、新聞や私のブログくらいは読んで理解できるようでなければ主権者としておぼつかない。その上、*9-3については、言論の自由が保証されている民主主国家で「剣を持つなら覚悟を」などという状況があってはならず、仮に私に向かってこれを書いたとすれば、このように女性を過小評価している環境の中で私は男性の3倍の努力をして地位を獲得してきたので、君のようにチヤホヤされて甘ったれたガキには想像もできないくらいシビアなのだと言わざるを得ない。そして、佐賀新聞も女性を過小評価する偏見を持っており、選択が悪い。


  *9-1    *9-2  *9-3     外国人労働者    外国人介護士 外国人労働者の推移
                                                   2016.4.3佐賀新聞  
*9-1:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10105/325442
(佐賀新聞 2016年6月22日) 参院選2016 メッセージボード(3)、=さが選挙チャンネル=
 佐賀新聞社は、若い有権者を対象に、選挙に関するメッセージ・ボード=写真参照=を募集します。ツイッターやフェイスブックの佐賀新聞公式アカウントからも配信します。応募は、メール 18senkyo@saga-s.co.jp に写真や動画を添付し、氏名・郵便番号・住所・電話番号を明記してください。締め切りは7月8日24時。

*9-2:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/325994 (佐賀新聞 2016年6月23日) 「若者にも分りやすい政治を!」 冨田梨奈さん(19)、候補者へ(1)=参院選2016=
 介護職を目指して就職活動中です。福祉分野はどこも人手不足。学校に来る求人票も増えていて、遠くは関東からも届きます。就職先は人間関係が良好なところがいいな。若者を使い捨てるような「ブラック企業」は論外。先生たちは注意して選別してくれているみたいだけれど、もっと政治家も対策に乗り出してくれないと。初めての選挙に、周りでも「行かなきゃ」って盛り上がっています。福祉のこととか関心あるけれど、政治家の言葉って、なんか難しい。もっとかみ砕いて説明して。(唐津市相知町 冨田梨奈さん・佐賀女子短大)

*9-3:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10105/326017
(佐賀新聞 2016年6月23日) 2016さが参院選 メッセージボード(4)、=さが選挙チャンネル=
 佐賀新聞社は、若い有権者を対象に、選挙に関するメッセージ・ボード=写真参照=を募集します。ツイッターやフェイスブックの佐賀新聞公式アカウントからも配信します。応募は、メール 18senkyo@saga-s.co.jp に写真や動画を添付し、氏名・郵便番号・住所・電話番号を明記してください。締め切りは7月8日24時。


PS(2016年7月1日追加):「政治家は若者の関心をどうやって高めるの」などと若者が問い掛けているそうだが、*10-2のように、男女平等の普通選挙権は主権者の権利であって義務ではないため、権利放棄するのは自由であり、権利行使したい人は大人と認めて選挙権を与えられたのだから甘ったれることなく、日頃から政治に関心を持ち論点を整理して正確な判断ができるようにしておくべきだ。そのためには、授業の工夫、議員の政治報告会参加、家族や友人との意見交換などいろいろな方法がある。また、政治家は特定の有権者におべっかを使うことなく、公正に振舞うのがあるべき姿だ。しかし、メディアは、(自分たちがわかっていないらしく)①お天気 ②事件 ③スポーツ ④政治家の些細な金銭問題ばかりを放送し、政治課題に関しては行政の意向に沿ったコメントを流しているにすぎない。そのため、有権者が政治に関わる重要な論点を正確に把握することは困難で、*10-1のように、若者に限らず有権者の政治への関心(→投票率)が低くなるのも当然であり、メディアは本当の民主主義を機能させるためのツールであるにもかかわらず、その役割を十分に果たしていないのが最も重要な問題なのである。

*10-1:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/328971
(佐賀新聞 2016年7月1日) 「こんな結果になるなら投票すべきだった」
 18歳から選挙権が与えられ、初めての国政選挙になった参院選。新たな「主権者」として脚光を浴びる若者は問い掛けます。「大人でさえ投票に行かない時代。政治家は若者の関心をどうやって高めるの」。公示前、高校生らが国会議員に直接質問をぶつけたイベントで、淺川きららさん(17)。若者向けの政策の本気度を問います。各陣営や政党は選挙戦であれこれアピールしているようですが、もともと投票率が低い若年層。ある政党関係者は打ち明けます。「10代の票を試行錯誤して取りに行くのは、選挙戦略として非効率」。若者と政治との距離を縮めるせっかくの機会をふいにしないか。依然として打算で語られがちな政治風土が気掛かりです。海の向こうの国民投票では、英国がEUを離脱する結果に。政治への不満が世界経済をも揺るがします。「こんな結果になるなら投票すべきだった」。残留派で、在外投票を見送った佐賀女子短大准教授のジョナサン・モクスンさん(47)は嘆きます。参院選では、こうした悔いが残らないようにしたいもの。(以下略)

*10-2:http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S21/S21KE000.html (日本国憲法)
第十五条  公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。
 2  すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。
 3  公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する。
 4  すべて選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない。選挙人は、その選択に関し
    公的にも私的にも責任を問はれない。

| 民主主義・選挙・その他::2014.12~ | 03:08 PM | comments (x) | trackback (x) |
2016.6.3 日本の警察や自衛隊は、本当に国民や民主主義を護っているのか?
(1)警察は民主主義を阻害してきた歴史があり、今も阻害していること
 *1-1のように、警察庁長官が全国会議で「買収など選挙の公正を著しく害する事件に捜査の重点を置き、積極的な摘発を図ってほしい」と述べたそうだが、私は、2009年の総選挙で、公職選挙法で適法であるにもかかわらず、選管に届け出ている運動員にアルバイト代を支払ったことを「買収(!?)」とされ、選挙期間中に大々的にメディアで報じられたため打撃的に票が減った。しかし、「買収」とは、金があり金で票を買いたい候補者が行うもので、専門家が顔を見て少し話せば「買収」とするのが妥当か否かはわかる筈であるため、健全な民主主義の発展のためには、警察が取り締まりを過熱させることによって古株の議員に貢献することこそ、むしろ問題にすべきだと考える。

 なお、*1-2のように、佐賀県警も選挙違反取締本部を設置して1,190人体制で取り締まり、ウェブでも選挙違反の情報提供を求めているそうだが、今回の候補者は、1,190人もの警察官をあてて取り締まりを行わなければならないほど選挙違反のリスクが高い候補者とは思えない。そのため、「選挙の自由と公正を確保するため厳正、公平に取り締まる」のではなく、特定の人をターゲットにしていると思われる。

 また、候補者に対し、*1-3のように、県警担当者は「①文書配布 ②看板・ポスターの掲示 で違反とならないよう十分確認して」と呼び掛けたそうだが、①②で細かく候補者を縛ることは、選挙運動をやりにくくして明るくきれいな選挙運動をできなくする。そこでまず選管が言う「明るくない」「きれいでない」選挙とはどういうもので、それに①②が入るのか否かを吟味すべきだ。何故なら、このように候補者の手足を縛って選挙をやりにくくする異常な規則は、他の民主主義国にはなく、候補者をよく知って投票しなければならない有権者(ひいては国)のためにならないからである。

(2)捜査の転換は、暗黒時代への逆戻りだ
 この選挙に先立ち、2016年5月24日、*2-1の刑事訴訟法などの改正案が衆院で可決・成立した。その内容は、①警察と検察に取り調べの一部可視化を全事件の約3%義務付ける ②容疑者や被告が共犯者らの犯罪の解明に協力すれば起訴を見送るなどの司法取引を導入する ③捜査で電話を盗聴したり、メールを傍受したりできる犯罪の対象を大幅に拡大する などで、新たな冤罪を生み、国民のプライバシーを侵害する多くの問題が指摘されていたにもかかわらず、それが改善されることはなかった。

 そのため、*2-2の「刑事司法改革は冤罪を防ぐ原点に立ち返れ」、*2-3の「盗聴拡大、密告で冤罪、改悪刑訴法」というような意見は多く、私も同感である。

(3)警察は、国民の立場に立って国民を護る組織ではないということ
 それでは、民主主義の代表を選ぶにあたって1,190人もの警察官を割り振って取り締まっている警察は、本当に国民の側に立って国民を護っている組織なのかを検討すると、*3-1のように、ストーカーの危険を警察署で訴えていた女性アイドルは刺傷され、警察署はTVドラマとは異なり、「一般相談」と判断して犯罪を予防することができなかった。そして、捜査幹部は「ファン心理とストーカー心理との線引きが難しい」などという言い訳をしており、専門部署まで作ったのはポストの増加目的で、国民の命を護るための専門知識はなかったかのように見える。

 そして、*3-2のように、ストーカー事件は前から起きており、そのたびに「対策研究会」や「人身安全関連事案総合対策本部」などの新組織を作っているが、犯罪は防げていないのが実態だ。

(4)それでは自衛隊は何を護っているのか - 防衛と防災を混同すべきではないこと
 *4-1のように、「佐賀空港への自衛隊新型輸送機オスプレイ配備計画で、若宮防衛副大臣が6月3日に佐賀県庁を訪れ、山口知事らに格納庫や弾薬庫などの施設配置案を示した」そうだが、これを「九州地方の一大防災拠点としての役割、機能を担うことになる」と説明するのはおかしい。何故なら、防災拠点には弾薬庫は必要ではなく、倉庫など別の物が必要だからだ。

 さらに、*4-2のように、陸上自衛隊は宮古島と石垣島のそれぞれ22㌶に駐屯地を設けるそうだが、空自や海自ならともかく、離島に陸自はいらないことから考えても何を目的としているのか不明であり、ポストを増やすべく基地の増設をしているのではないかと思われた。

<民主主義を護っているのではないこと>
*1-1:http://www.saga-s.co.jp/news/national/10203/318312
(佐賀新聞 2016年6月2日) 参院選「積極的な摘発を」、全国会議で警察庁長官
 7月の参院選に向け、警察庁は2日、全国の警察本部で選挙違反の取り締まりを担当する課長らを集めた会議を東京都内で開いた。冒頭、金高雅仁長官は「買収など選挙の公正を著しく害する事件に捜査の重点を置き、積極的な摘発を図ってほしい」と訓示した。今回の参院選から選挙権年齢が18歳以上に引き下げられたことを受け、「新たな有権者層の支持を巡る各陣営の運動が過熱することも予想される」と警戒強化を訴えた。警察庁は同日、庁内に選挙違反取締対策室を設置した。

*1-2:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/318616 (佐賀新聞 2016年6月3日) 佐賀県警、選挙違反取締本部を設置、1190人体制 ウェブで情報提供を
 佐賀県警は2日、参院選(22日公示、7月10日投開票)の選挙違反取締本部を設置した。県警本部と全10警察署の約1190人体制で取り締まる。捜査2課によると、これまでにポスターの掲示方法が不適切で事前運動に当たるとして、1件を警告した。「選挙の自由と公正を確保するため厳正、公平に取り締まる」と話す。県警はウェブサイトに選挙違反の情報提供を受け付ける専用コーナーも設けている。2013年の前回参院選は、公選法違反(投票干渉)で1人を書類送検し、ポスターの掲示違反などで33件を警告した。インターネットを使った選挙運動が解禁されて初の国政選挙だったが、ネットでの違反はなかった。

*1-3:http://www.saga-s.co.jp/senkyo/sanin/30401/318614 (佐賀新聞 2016年6月3日) 参院選佐賀選挙区 立候補説明会に3陣営、自民 福岡、民進 中村、幸福 中島氏
 参院選佐賀選挙区(改選1)の立候補届出事務説明会が2日、佐賀市の県自治会館で開かれ、立候補を表明している自民党の福岡資麿氏(43)、民進党の中村哲治氏(44)、政治団体・幸福実現党の中島徹氏(41)の3陣営が出席した。参院選は22日公示、7月10日に投開票される。県選管事務局が、書類の事前確認や立候補届けの受け付けなど今後の手続きを説明した。県警の担当者は選挙運動の注意点を挙げ「文書の配布や看板・ポスターを掲示をする場合は違反とならないよう十分確認して」と呼び掛けた。県選管の大川正二郎委員長は「公職選挙法にのっとり、明るくきれいな選挙運動を展開してほしい。選挙権年齢が引き下げられるので、若い世代にも政策をしっかり訴えてもらえたら」と述べた。

<捜査の転換>
*2-1:http://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20160525/KT160524ETI090009000.php (信濃毎日新聞 2016年5月25日) 捜査の転換 危うさはらむ法改正
 捜査のあり方を大きく変える刑事訴訟法などの改正案がきのう、衆院で可決、成立した。新たな冤罪(えんざい)を生む、国民のプライバシーを侵害するなど多くの問題が指摘されたのに、改善されることなく見切り発車した。改正の柱は三つある。▽取り調べの可視化(録音、録画)を警察と検察に義務付ける ▽容疑者や被告が共犯者らの犯罪の解明に協力すれば、起訴を見送るなどの恩典を与える司法取引の導入 ▽捜査で電話を盗聴したり、メールを傍受したりできる犯罪の対象を大幅に拡大する―。密室での強引な取り調べが数々の冤罪を生んできた。言った、言わないの争いを法廷で長時間費やしてきた。これらを考えると、可視化自体は取り調べの適正化の担保として評価できる。問題はその対象の狭さだ。殺人や放火など裁判員裁判になる重要事件と検察の独自捜査事件に限られた。全事件の3%程度にすぎない。
<一部可視化は前進か>
 冤罪は痴漢や選挙違反など対象外の事件でも起きている。事件の限定は不合理だ。それでも一歩前進だ、という見方がある。民進党など野党の一部が賛成に回ったのはそのためだ。本当にそうだろうか。可視化されるのは対象事件で逮捕、勾留された容疑者の取り調べだ。逮捕前の任意の取り調べは含まない。実際には、任意の段階で容疑を認めたとして逮捕される例が少なくない。この場合、肝心の自供に至る過程が可視化されない。捜査側に都合のいい部分だけが可視化され、証拠にされる可能性がある。その懸念が表れた例が、先月、被告に無期懲役の判決が出た栃木県の女児殺害事件だ。検察は法施行に先行して被告の取り調べを可視化した。被告は偽ブランド事件で別件逮捕された。この取り調べの中で殺人も初めて自白したとされる。その場面は録画されておらず、殺人での取り調べだけがDVDに収められ、裁判員裁判で再生された。弁護側は、録画されていない部分で取調官に誘導されたと無罪を主張したが「映像に重みがある」との印象を裁判員に与えた。改正法には対象事件であっても取調官が十分な供述を得られないと判断した場合、可視化しなくてもよいなどの例外規定がある。中途半端な可視化は一歩前進どころか、後退する危険をはらむ。全事件を対象に任意調べを含めた全過程の可視化をすべきだ。
<無実の人を巻き込む>
 司法取引は日本で初めて導入される。贈収賄や詐欺、横領などの経済事件や薬物、銃器といった組織的な犯罪が対象だ。末端の容疑者に起訴しないと約束すれば、上部の関与を話しやすくなるかもしれない。それはもろ刃の剣だ。自分の罪を逃れたいために、うそをついて他人を巻き込む。そんな心配も増す。実際、司法取引の“先進国”米国では多発している問題だ。冤罪の2割強は、司法取引での誤った証言が原因との研究報告がある。法案の修正で、容疑者と検察官との取引の協議の場に容疑者の弁護人が必ず立ち会うことになった。注意しなければならないのは、弁護人は容疑者の利益を図る立場にあることだ。無実の他人を巻き込まないかのチェック機能は期待できない。そもそも、罪を犯しても他人を売れば助かるという仕組みが国民の倫理観になじむのか。議論は不十分なままだ。犯罪捜査で電話盗聴などを認める通信傍受法は、17年前に強行採決で成立した。プライバシーが侵害されるとの強い批判を受け、対象を薬物、銃器犯罪など4類型に限定し、通信事業者が立ち会う制約も設けていた。
<プライバシーに懸念>
 今回の法改正では対象を詐欺や盗み、傷害など日常的な犯罪に広げた。しかも、通信内容を暗号化して警察署に電送すれば、立ち会いも不要とした。裁判所の令状が形式だけにならないか。犯罪に関係ある会話かどうかは聴いてみないと分からない。だから通話開始から一定時間聴く「スポット傍受」を繰り返す。これまでに傍受された通話総数の8割余が犯罪に関係のない通話だった。聴かれた方は確かめようもない。第三者の立ち会いがないので恣意(しい)的な傍受が可能になる。例えば、デモで警察とぶつかった時の傷害容疑で市民団体の内部情報を収集したり、相手をだまして特定秘密を取得しようとした詐欺容疑でマスコミの取材源を探ったりすることもできる。刑事法学者らが指摘していることだ。法改正の出発点は、相次いだ冤罪事件を防止することにあったはずだ。わずかな可視化の見返りとして、捜査機関の権限が拡大され、新たな冤罪を生む危険性が増した。大きな矛盾を抱えた法律だ。運用を厳しく監視し、絶えず見直しを求めていく必要がある。

*2-2:http://www.kobe-np.co.jp/column/shasetsu/201605/0009117066.shtml
(神戸新聞 2016/5/25) 刑事司法改革/冤罪防ぐ原点に立ち返れ
 改正刑事訴訟法などが国会で成立し、取り調べを録音・録画する可視化が初めて義務付けられた。大きな一歩だが、冤罪(えんざい)を防ぐという刑事司法改革の原点から見て十分な内容とはとても言えない。焦点だった可視化義務付けは対象事件が極めて限定された。裁判員裁判事件と検察の独自捜査事件で、全事件の約3%にすぎない。取調官が十分な供述を得られないと判断すれば、録音・録画をしなくてもいいという例外規定も設けられた。取り調べの可視化は、任意の事情聴取を含む全捜査過程で実施されなければ、冤罪を防ぐどころか捜査当局の新たな武器になりかねない。そうした危惧を抱かせたのが、4月に宇都宮地裁で無期懲役が言い渡された女児殺害事件の裁判員裁判だ。取り調べの映像が検察側の証拠に使われた。検察側が見せたのはほんの一部だが、裁判員は法廷で無実を訴える被告の姿より、自白の映像を重視した。他に決定的な客観証拠がない中で、有罪を判断する決め手となったとされる。費用の問題があるとはいえ、すべての事件で、すべての取り調べを可視化し、弁護士がチェックする。そうでなければ、かえって真実をゆがめる恐れがある。今回の法改正では司法取引や通信傍受の拡大なども認められた。可視化の義務付けと引き換えに、当局が求めたものだ。司法取引では、容疑者や被告が共犯者の罪を供述したり証拠を示したりすれば、検察は起訴を見送ることや求刑を軽くすることができる。容疑者や被告が捜査当局の描いた事件の構図に沿って供述すれば、第三者を犯罪に巻き込む恐れがある。罪を他人にかぶせることも起こりうる。新たな冤罪を生むようなことになれば、何のための改革なのか。通信傍受は通信業者らの立ち会いがなくても可能になった。乱用やプライバシー侵害の恐れもある。可視化は限定され、捜査の武器は増える。当局に都合のいい形で法改正が進んだと言わざるを得ない。「可視化して 防げ罪なき 人の罪」。刑事事件の取り調べの全面可視化PRで、大阪弁護士会が3年前に募集した川柳の大賞作品だ。冤罪防止の原点を見据え、検証を重ねるとともにさらなる法改正に取り組むべきだ。

*2-3:http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2016-05-25/2016052501_03_1.html 盗聴拡大、密告で冤罪、改悪刑訴法が成立、衆院本会議
 盗聴法拡大・刑事訴訟法改悪案が24日、衆院本会議で採決され、自民、公明、民進、おおさか維新などの賛成で成立しました。日本共産党と社民党が反対しました。日本共産党は、捜査機関の盗聴自由化、司法取引導入、取り調べの部分的録音・録画を柱とした違憲の治安立法だと主張してきました。盗聴法拡大では、捜査官が犯罪に無関係な通信を根こそぎ盗み聞きすることが可能になります。市民のプライバシー情報がひそかに侵害され、あらゆる警察活動に利用されうることになります。改悪刑事訴訟法は、取り調べの部分録画が盛り込まれたことで、捜査官が強要した虚偽自白の録画が、有罪立証の証拠に使われ、司法取引の導入では密告によって他人を罪に陥れる危険があります。施行は、部分録画が3年後、司法取引は2年後、盗聴法の拡大は6カ月後です。日本共産党は、乱用を許さない国会内外のたたかいはこれからだと呼びかけています。

<警察は国民を護っているのではないこと>
*3-1:http://digital.asahi.com/articles/DA3S12374758.html
(朝日新聞 2016年5月25日) 警察、ストーカー対応せず SNSは対象外 アイドル刺傷
 冨田さんを刃物で襲ったとして殺人未遂容疑などで逮捕、送検されたのは京都市右京区太秦中筋町の会社員岩埼(いわざき)友宏容疑者(27)。捜査関係者によると、冨田さんは5月9日に武蔵野署を訪れ、岩埼容疑者の名前を挙げて「ツイッターで執拗な書き込みがされている」と相談。書き込み内容を印刷した紙を署の担当者に渡し、「友達にまで迷惑をかけているから、やめさせてほしい」と訴えた。署では書き込み内容を確認した上で「一般相談」と判断したという。ストーカー規制法では、電話やメールを執拗に繰り返す行為を「つきまとい等」として規制しているが、ツイッターなどSNSを使った同様の行為は対象としていない。警察庁の有識者会議は2014年、SNSによる行為も対象に加えるよう提言している。岩埼容疑者が送ったとみられるツイッターの書き込みは、冨田さんのツイッターに直接送るものだった。送信は1月18日に始まり、冨田さんが送信を受け付けない「ブロック」を設定する4月28日まで、101日間で計340件に上っていた。岩埼容疑者は、冨田さんへのファンレターで自分の名前や住所を伝えており、冨田さんは署へその住所も伝えたが、署は電話での連絡ができなかったため接触していなかったという。
■専門部署、生かされず
 ストーカー対策をめぐっては、2013年10月に東京都三鷹市の女子高校生が元交際相手に殺害された事件で、事前にストーカー行為の相談があったのに防げなかったことから、警視庁が新たな取り組みをまとめ、現在の「人身安全関連事案総合対策本部」となる部署も新設した。三鷹市の事件を教訓に、警視庁は、警察署がストーカー相談を受けた場合、新設された対策本部の専門チームに報告し、そこで事態の危険性や切迫性を評価することにした。しかし今回は、女性の訴えを受けた武蔵野署が「ストーカー相談」として扱っていなかったため、署から対策本部への報告はなかったという。ある捜査幹部は「憧れるアイドルに近づきたいというファン心理と、ストーカーの心理との線引きは難しく、一般人同士の関係性と比べて判断しにくいケースもある」と話す。5月4日には、冨田さんの母親が、岩埼容疑者の自宅を管轄する京都府警右京署に「どう対処すべきでしょうか」と電話で相談。署員は、冨田さんの自宅近くの警察署に相談するよう伝えたという。警視庁は今回の対応について、「ただちに相談者の身に危険が及ぶ可能性は低いと判断した」と説明。今後、今回の対応が適切だったかどうかを検証するという。

*3-2:http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160530-00000050-nksports-soci
(日刊スポーツ 2016年5月30日) ストーカー事件被害者兄が語る「GPS監視」方法も
 東京都小金井市で、アイドル活動をしていた私立大3年の冨田真由さん(20)が刺され重体となった事件で、殺人未遂容疑で送検された岩埼友宏容疑者(27)はSNSなどで執拗な書き込みを続けていた。冨田さんは警察に相談していたが、事件は起きた。神奈川県逗子市で2012年に起きた逗子ストーカー殺人事件で殺害された三好梨絵さん(当時33)の遺族で、学識者らで作る「ストーカー対策研究会議」共同代表として活動を続ける梨絵さんの兄(44)に、思いを聞いた。SNSでの書き込みはストーカー規制法の対象外だ。武蔵野署は冨田さんの相談をストーカー事案として扱っていなかった。しかし、岩埼容疑者はブログに「死にたい死にたい」「死ねよ死ねよ」という危険な文言を繰り返し記していた。梨絵さんの兄は「非常に残念だった」と語る。「うちの事件(逗子事件)、三鷹事件の後、本庁の刑事部と生活安全部が一緒に取り組む人身安全関連事案総合対策本部ができた。署で受けたストーカー相談は必ず文書にして対策本部に上げることになった。態勢は前進していたのに。署で相談を受けた署員の1人が、相談本部出身の人だったというのもショックでした」。適切に判断していれば、結果は違っていたかもしれない。兄は「情報を本部に上げていれば防げたかは分からない。ただ、年間2万件を超す相談がある中で、緊急性のある、危ない事案を見抜く能力が重要。警察も対策本部で経験値の高い人材を育てる取り組みを進めていますが、経験が足りていない」と話した。岩埼容疑者は約3年前に都内の当時10代のアイドル、昨年12月には滋賀県の女性とトラブルになり、いずれも警察に相談があった。しかし、事件が起こるまで、今回の相談との関連は把握されていなかった。「加害者は自分を被害者と思っているから繰り返してしまう人が多い。繰り返す人のリストを作り、都道府県警の枠を超えて情報を共有し、場合によってはGPSによる監視という方法もある。人権上の問題で、まだ議論すらされていないが、事件は起きている。社会的な議論が必要だ」。兄は、14年11月にストーカー対策研究会議を立ち上げた。被害者だけでなく、加害者が最悪の犯行に及ぶ前に止めることで加害者を救う視点での研究も進めている。ただ、警察も禁止命令、警告など、逮捕の前に行える手段が限られているのも現状だ。「警察へのバッシングだけでは被害は止まらない。加害者やその家族を、早期に専門のカウンセリング機関につなぐ命令など、逮捕前に加害者にアプローチできる仕組みを増やしていく必要がある」
◆逗子ストーカー殺人事件 2012年11月6日、神奈川県逗子市の自宅アパートで三好梨絵さん(当時33)が、元交際相手の無職の男(当時40)に刺され、死亡。男は首つり自殺した。男は11年6月、神奈川県警逗子署に逮捕され、執行猶予付きの有罪判決を受けた。保護観察中の12年春、再びメールが来て、梨絵さんは署に相談したが、当時メールはストーカー規制法の対象外(13年6月に対象に改正)で署は捜査を断念。同年11月、男は11年の逮捕時に署員が読み上げた住所の一部を頼りに探偵を使って住所を割り出し犯行に及んだ。
◆三好梨絵さんの兄は事件から2年後の14年11月、妹と同じ被害にあう次の被害者を1人でも救いたい思いから、ストーカー事件を法学、心理学、社会学などの研究者の視点で研究するストーカー対策研究会議を立ち上げた。加害者は厳罰だけでは止められないとの思いから、被害者を守る視点のほか、加害者や加害者の家族に早期にアプローチし、問題解決を支援することで犯行を止めるという視点での研究も続けている。

<自衛隊は何を護るのか(防衛と防災の混同)>
*4-1:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/318713 (佐賀新聞 2016年6月3日) 【速報】防衛副大臣「佐賀空港を防災拠点に」知事に説明、オスプレイ配備計画
 佐賀空港への自衛隊新型輸送機オスプレイ配備計画を巡り、若宮健嗣防衛副大臣が3日午前、佐賀県庁を訪れ、山口祥義県知事らに格納庫や弾薬庫などの施設配置案を示した。「九州地方の一大防災拠点としての役割、機能を担うことになる」と配備に向けた新たな根拠を示し、理解と協力を求めた。若宮副大臣は熊本地震で米軍オスプレイも投入された支援活動や自衛隊の救援活動を強調し、「今後の災害に備え、(オスプレイ配備により)九州地方の安心、安全を確保していきたい」と述べた。山口知事は「国防の重要性は認識しているが、県民の安心安全にもかかわる。確認、精査させていただきたい」と答えた。

*4-2:http://www.y-mainichi.co.jp/news/29860/
(八重山毎日新聞 2016年5月25日) 駐屯地面積、宮古と同規模 陸自計画
 石垣島に陸上自衛隊の配備を計画している防衛省は24日夜、市民を対象にした2度目の説明会を石垣市健康福祉センターで開いた。駐屯地の面積について、沖縄防衛局の森浩久企画部長は配備部隊が同じ宮古島の22㌶を例示し、「大きくかけ離れることはない」と記者団に語った。宮古島は700ー800人規模、石垣島は500―600人規模が計画されている。説明会には約200人が出席した。平得大俣東を配備先候補地に選んだ理由について森部長は「軍事的視点があるので具体的な説明はできないが、配備先は平たんで十分な地積、標高が必要。地形的要件を考えた」と回答。具体的な配備時期については「皆さんの理解をいただいて作業が進めば、具体的なスケジュールができると思う」と述べた。今回の説明会は、4月22日の前回説明会で事前に受け付けた質問141項目に対する回答がメーンとなり、会場からは「回答をして説明会をすべきだ。順序が違う。アリバイづくり」「ルールを守るべきだ。そうでないと議論が深まらない」などの批判があった。森部長は「事前に回答をした上で説明会に臨むべきだった。おわびしたい」と陳謝した上で「今回の説明会は市に求められて実施した。この機会にていねいに説明できればと考えた」とした。141項目の質問についてはまだ一部で回答を作成していないため、ホームページ上での掲載時期は現段階では未定という。次回の説明会について森部長は「今後、検討したい」とした。フロアからはこの日も反対、賛成の声が相次いで上がり、やじが飛び交う場面も。「賛成、反対の市民が市民会館大ホールで互いに議論して石垣島の将来をどうするか決めるべきだ」「具体的には住民投票がふさわしい」などの意見も出た。

| 民主主義・選挙・その他::警察が勝手な拡大解釈を行った運動員の逮捕事件 | 02:33 PM | comments (x) | trackback (x) |
2016.5.23 舛添都知事を辞めさせることが目的で都民の感情に訴えた報道は、法律的でも論理的でも民主的でもないこと (2016年5月25、26日、6月1、5、7、10、13、14、15、19日に追加)
 私が、2005年12月に決定した第2次男女共同参画基本計画に、例えば「女性はしとやかで謙虚でなければならず、男性は志と勇気が必要」「女性は文学、男性はエンジニア」というような社会的・文化的に形成された性別(ジェンダー)の強制を禁止する項目を盛り込もうとした時、「それは『男女同室宿泊』や『男女同室着替え』のことか」などという驚くような次元の異なる反論が自民党内の男女共同参画部会でも盛んに出た。その時、参議院議員で隣に座っていた舛添さんに、「こういうことは男性から言ってもらった方が説得されやすいので・・」と発言を頼んだところ、ビシッと的を得た発言をして場をリードしていただいた(これは、経歴や女性遍歴などの背景を知って、より納得できた)。そのため、今回は、本人は言いづらく、私の方がよく知っていて言いやすいことについて援護する。

   
  舛添都知事をめぐる金の流れ   政治資金について        家賃は適切か

    
    出張旅費について        公用車について       都知事記者会見のポイント 
                                         (2016.5.14中日新聞)
(1)舛添都知事が行ってきた政策
 この2年の舛添都知事の政策判断は、*1-1の現代ビジネスの2016年5月10日に、①ロンドンと友好都市協定を締結した ②財政出動よりも構造改革、金融改革、財政出動のいずれも必要である ③アベノミクスの原点は金融緩和政策で日銀はマイナス金利まで導入しているが、いくら金融緩和しても企業のガバナンスが改善しなければ成長のための資金は集まらない などが書かれている。

 このうち、①の友好都市協定はないよりあった方がよいに違いない。また、②の財政出動はドイツが言うとおり構造改革・金融改革があった後に必要ならやることで、日本もこれ以上、無駄遣いで借金を積み増せるような状況ではないと私も考える。さらに、③は、企業のガバナンス以前に②の政府のリーダーシップに問題があり、政府の政策に最適化して利益を挙げようとして、企業のガバナンスは変わるものだ。

 また、東京オリンピックにおける東京都の負担額がうなぎ上りに上がりそうだった時に「待った」をかけたのは舛添都知事で、これは都民の代表としては当然の行為だったが、元自民党森派の長で現在は東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の森喜朗会長とは対立したと思われる。 

 さらに、*1-2のように、東京都は、2016年4月8日、電力小売り事業に参入すると発表し、福岡県みやま市などでつくる電力会社「みやまスマートエネルギー」が、技術やノウハウ面で協力することになった。電力自由化が行われても、再生可能エネルギーのみを使って電力を供給する事業者は少ないので、埼玉県など他県でもやって欲しいところだが、これには舛添都知事の判断があったらしい。舛添都知事は、「今回の取り組みでノウハウを蓄積し、再生エネ由来の電気を供給する事業者を育てていきたい」としているが、これは既得権益のある大手電力会社にとっては都合の悪い意思決定だっただろう。

 従って、全体としての舛添都知事の政策は、日本政府より的確だったものが多いが、政府要人を多く出している旧森派や既得権益を持つ企業・省庁にとっては邪魔だったと考えられる。

(2)メディアは人格批判に終始し、嘘や妬み、不法行為でないことへの法律の拡大解釈が多い
 5月11日発売の週刊文春が報じたのが発端で、*2のように、舛添都知事の資金管理団体「グローバルネットワーク研究会(既解散)」が「会議費」名目で千葉県内のホテルに支出した約37万円が家族旅行に充てられ、政治資金規正法違反(虚偽記載)の“疑い”があると、新聞・テレビは、舛添都知事の政策実行に関する報道に費やした時間とは比較にならない時間を費やして、このことばかりを報道した。

 しかし、私は、都知事としての判断力や実行力を問題にするのではなく、「税金から支出」などとする誤りを含む疑いの段階で公職選挙法違反として派手にしつこく報道して、人格攻撃で引きずりおろそうするのは、都知事を選挙で選んだ有権者を馬鹿にしており、本当の民主主義になっていないと考える。

 また、メディアの記者の質問や番組でのコメントを聞くと、*3-1、*3-2のように、政策や法律・経済には全く触れず、ただ辞任させることのみが目的の結果ありきの低レベルの質問を繰り返しているため、政治的意図がありありとわかり、国民の方が報道の適切性を見抜けるほど賢くならなければならない。

1)出張費について
 最初、報道で、上の写真のように、舛添都知事が海外出張の際にファーストクラスを使ったことが大名旅行として批判されたが、ファーストクラスは外交官が普通に乗っており、サラリーマンが海外出張にビジネスクラスを使うからといって、東京都知事もビジネスクラスを使わなければならない理由はない。つまり、批判の内容が自分と異なるクラスを使っていたというものだが、東京都知事は、そのスケジュールの厳しさや責任の重さから見てサラリーマンクラスではなく外交官クラスだ。ただし、都の職員は、サラリーマンの海外出張であるため、ビジネスクラスを使うのが適切だろう。

 なお、米国では、会社の社長クラスは自家用機を普通に持っており、日本でもトヨタの社長は自家用機を持っておられる。つまり、「時と体力は金なり」という人もいるのであり、すべての人が同じでなければならない理由はない。

2)公用車の使用について
 「公用車での毎週末の別荘通い」というのは、別荘を持っていることが贅沢に見えたのかもしれないが、私は、都内の本宅に本を置ききれずに湯河原に別荘を買って書庫を作り、そこに本を置いている弁護士さんを知っているため、舛添都知事が別荘を持っているからといって、特に贅沢とは思わなかった。

 また、「公用車で別荘に行く」のが公私混同だと思う人もいるかもしれないが、(長いものに巻かれずに)本物の改革をやればいつでも身の危険があるため、SPをつけて公用車で動くのは正当な注意だ。そのため、舛添都知事が毎週末に公用車で別荘に通ったことは公私混同ではなく、都も禁止していない。

3)後援会の収支報告について
 上の図のように、問題となっている舛添都知事の資金管理団体である「グローバルネットワーク研究会」は、2014 年2月の都知事選のために設立された後援会であって政党支部ではない。そして、新党改革本部から舛添氏の参議院比例区第四支部に2014年1月に政党交付金600万円が払い込まれ、そのうち526万円が2014年1月中にグローバルネットワーク研究会に寄付され、新党改革比例区第四支部は同1月末に解散されており、新党改革比例区第四支部の収支報告書は監査済である。そして、参議院比例区第四支部からグローバルネットワーク研究会に寄付する行為は適法であって問題なく、526万円程度の寄付金は3,000万人都市の東京都知事選では、印刷代くらいで終わったと考えられる。

 なお、政党交付金は税金で賄われているため、政治活動に入らないような私的な費用に充当されれば国民は苦情を言う権利があるが、後援会であるグローバルネットワーク研究会には、このほかにも多額の寄付があったらしく、2014年7月の解散時にも4,960万円が残っており、それを新しい後援会である秦山会に寄付してから解散している。政党交付金以外の寄付は、政党支部ではないグローバルネットワーク研究会には個人が行ったものしかなく、それは寄付する個人の所得からなされたものであって、税金から支出されたものではない。

 ただ、政治家個人の後援会への寄付であっても、政党等寄附金特別控除を受けられるので、寄付金控除をとった人はその分だけ税金を負けてもらっている。しかし、寄付金控除をとるためにはグローバルネットワーク研究会が総務大臣もしくは都道府県選挙管理委員会の確認印のある「寄附金(税額)控除のための書類」を発行して、それを添付する必要があるため多くの人がそれを利用したわけではないと思われる(https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1260.htm 参照)。

 つまり、「グローバルネットワーク研究会」が支出した費用の殆どは、税金から支出されたのではなく、舛添都知事誕生を支持した人の懐から出たものである。そして、グローバルネットワーク研究会の解散時にどうすべきかについては特に規則はないため、代表者が決めることができるのだ。

 そのグローバルネットワーク研究会が「会議費」として千葉県内のホテルに支出した約37万円が家族旅行に充てられており、政治資金規正法違反(虚偽記載)の疑いがあると2016年5月11日発売の週刊文春が報じたそうだが、選挙は妻や子も巻き込むため、家族旅行を会議費として事前の打ち合わせや御苦労会をしたとしてもわからなくはない。ちなみに、私は家族に事前の打ち合わせも御苦労会もしないため母から文句を言われていたし、国会議員になって嫁の来手がなくなったとぼやいている人もいた。

4)公職選挙法違反か
 家族旅行は、私的なものであるため税引後所得から行うべきとするのが日本では一般的で、私も基本的にはそう思っている。そして、弁護士である夫の所得税確定申告を税理士である妻が請け負った手数料を弁護士の夫が損金処理したケースでは、夫婦はいかなる場合でも同一世帯だとして税理士である妻の手数料受領と夫の損金算入を否認した判例があるが、私は妻の仕事は無償とする判例は時代にそぐわないと考える。

 何故なら、妻も仕事をする機会を持っているため、他の仕事をせずに夫の仕事を手伝った場合は、夫から何らかの報酬があってしかるべきであり、個人事業主の青色専従者のような制度が政治家の妻にあってもよく、上記の税理士である妻への税務申告手数料は損金算入が認められてよいと思うのだ。

 そして、家族旅行を会議費として処理したのが虚偽記載で公職選挙法違反かと言えば、その旅行でどういう話をしたかによる。もちろん、人の疑いを買うような灰色の行動はしない方がよいが、法律に禁止規定がないため法律違反ではないだろう。

 なお、「資料代」の名目で美術品を購入していたというのは、私は感心しないが、グローバルネットワーク研究会の支出の仕方については、寄付した人が文句を言わなければよいのであって、支出内容や解散時の残余財産処理に関する法律の定めがないため、違法行為にならない。なお、美術品ではなく美術書だとする記事もあるが、それならば東京都のために文化について研究していたとも考えられるので、「資料代」でよい可能性がある。

5)家賃について
 上の図では、税金が舛添氏個人宅の家賃に流れたように書いてあるが、グローバルネットワーク研究会については税金ではなく個人の寄付金を自宅事務所の家賃に充てたものである。そのため、家賃としての価格の適正性は問われるが、税金を横流ししているものではない。なお、新党改革比例区第四支部時代にも同額の家賃を支払っており、こちらは監査を通っているのだから価格の適正性もあるのだろう。

6)婚外子がいるのは不当か
 「週刊ポストの2014年1月24日号に、*4-1のように、結婚3回、離婚2回で子供2人に愛人の子3人で、凄すぎる『女』と『カネ』、現在『隠し子、養育費裁判』係争中」などとプライバシーが曝露されているが、1986年に再婚した相手である片山さつき氏は東大助教授だった舛添氏と見合い結婚し、離婚後に「愛のない結婚で、舛添さんと結婚したことがそもそも間違いだった」と述べておられる。しかし、私は、愛のない結婚の被害者は両方であって片方ではないと思う。

 また、愛人のA子さん、B子さんも、他に選択肢はあったにもかかわらず、相手に妻がいることを承知の上で未婚の母になったのであり、私自身は相手の妻や自分の子のことを考えれば未婚の母になるのは問題だと思うが、近年は少子化を口実にそれを推奨する人もいるわけだ。

 そのような中、バラエティー番組などでこのことを笑っている人たちも、芸能関係の人がついたり離れたりして両親を誇れない悲しい子どもが大量生産されているのを批判したことはないため、政治家へのヘイトスピーチと政治家の汚さをアピールするために批判しているにすぎず、民主主義に関する深い考察や首尾一貫した考えのないことは明らかである。

(3)「表現の自由」をかざしたメディアが、本来の目的である民主主義を護る表現はしていないこと
 私が(1)(2)で書いたことは、*4-2でまとまった記事になっており、舛添都知事が辞任して橋下氏が都知事選に出馬すれば首相にとって一石三鳥の戦略だとされている。そのため、少なからぬ人が舛添都知事の辞任を待っていることは確かだろうが、その根拠は、正しく報道された民主主義の結果ではない。

 なお、舛添都知事の辞任後、大阪から大阪府知事だった橋下氏を立候補させなければならないほど、東京は人材不足ではない。

 また、政治は、人格攻撃による電撃辞任や電撃解散、W選挙やトリプル選挙によってもてあそばれるべきものではない。何故なら、それでは、国民が一つ一つの政策について冷静に選択することができなくなる上、優秀な人は馬鹿らしくて政治家にならなくなるからで、そうなることを望んでいる人は誰だろうか。そして、知事も、よい政策を選択する判断力と実行力を持つことが必要条件であることは言うまでもない。

(4)今後、やるべきこと
 国会議員に「政治とカネ」の問題が浮上する度に、政治資金規正法は改正を重ねて、*3-3のように、2007年12月、国会議員に関する政治団体は1万円以上の支出に関する領収書を公開することとなり、登録政治資金監査人(登録を受けた弁護士、公認会計士、税理士)による政治資金監査も義務づけられた(政治資金規正法第19条の13第1項)。

 しかし、国会議員以外の政治家は5万円以上の支出に関する領収書を公開すればよく、*4-3のように、政治資金監査が義務付けられたのは国会議員関係の政治団体のみであり、その他の政治家には義務付けられていない。そのため、その他の政治家は監査人の指導やチェックを受けることもなく、素人が適当に会計処理しているというのが現状である。

 また、政治資金監査は、①会計帳簿、領収書等が保存されていること ②会計帳簿にその年の支出状況が記載され、会計責任者が会計帳簿を備えていること ③収支報告書は、会計帳簿及び領収書等に基づいて支出の状況が表示されていること ④領収書等を徴し難かった支出の明細書等は、会計帳簿に基づいて記載されていること の4点のみについて行われ、監査人はそれに関する意見表明しかしない。

 監査人は、単式簿記による会計と政治資金規正法からは、この程度のことしか証明できないのだろうが、これでは、監査を受けて適法意見が表明されても政治資金管理団体の会計責任者や代表者は十分に保護されない上、利害関係者(納税者、寄付者)にとっても透明ではない。

 そのため、今後は、すべての政治家の政治資金管理団体の会計を民間企業と同じ複式簿記によるものとし、フル規格の監査で適法意見を表明するように、政治資金規正法を改正するのがよいと考える。

<舛添都知事の政策>
*1-1:http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48618
(現代ビジネス 2016.5.10) 友好都市の先進事例から学ぶこと
 海外出張経費については、批判の声に謙虚に耳を傾け、目下、無駄の削減について検討中であるが、一方で、テロ対策をはじめ多くの分野で成果が上がっていることもまた記しておきたい。昨年、ロンドンのボリス・ジョンソン市長と東京都知事の私は、両都市の友好都市協定を締結したが、それ以来、協力関係のさらなる強化を図っている。この10日には、2012年にロンドンで開かれたオリンピック・パラリンピック大会の警備を担当した元ロンドン警視庁の副総監を都庁にお迎えし、テロ対策についてアドバイスを頂く。スコットランドヤードとの会談の後、警視庁のテロ訓練の現場を視察し、日々精励している警察官を激励する予定である。とくに、羽田の東京国際空港ターミナルにおいては、様々なケースを想定した訓練を行いたいと考えている。26,27日には主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)が開かれるが、東京でも厳戒態勢を敷く。2005年にイギリスのスコットランドで開かれたグレンイーグルズサミットの最中の7月7日、ロンドンで公共交通機関を標的にした同時爆破テロ事件が発生している。サミット開催国の首都である東京もまたテロと無縁ではない。ロンドンの経験に学ぶことは多い。ロンドンでは、ジョンソン市長が、兼任している国会議員職に専念するため任期満了で市長を退任したのを受け、5日に市長選挙が行われた。その結果、最大野党である労働党の下院議員、サディク・カーン氏(45歳)が、与党保守党下院議員のザック・ゴールドスミス氏(41歳)を破って当選した。欧米主要都市で初のイスラム教徒の市長である。イスラム国などによるテロが頻発し、反イスラム感情が高まる中での、今回のカーン氏の勝利は、イギリスの民主主義の成熟度を示す証左でもある。最近、ロンドンでは住宅価格の高騰が続いており、若い世代がマイホームを持つのは不可能な状況である。この問題などを争点化したこともカーン氏がロンドン市民の支持を受けた理由である。その住宅価格の高騰は、とくに海外からの投資によるところが大きい。東京の研究機関によるランキングで世界一の座を占めるだけに、ロンドンは魅力にあふれており、その不動産は格好の投資対象となっている。二位のニューヨーク、三位のパリもまた同様な状況であるが、東京はまだその段階に達していない。だから四位の座に甘んじているのである。これらの都市を訪ね、市長と会談を重ね、活気ある都市作りを視察することは、東京にとっても大いに参考になる。先月訪問したアメリカでは、ニューヨーク、ワシントンDCで、公的住宅のあり方について議論することができた。住宅こそは都市の活気の源であり、今後とも友好都市の先進事例から学びたいと思っている。
●コーポレイト・ガバナンスの改善は東京から
安倍総理は、伊勢志摩サミットの準備のため、議長国首相として欧州諸国を歴訪した。最大の課題は経済政策の調整であるが、安倍首相が積極的に進めようとする財政出動に対して、フランスとイタリアは賛成の姿勢を示したが、ドイツとイギリスはあまり積極的ではない。ドイツのメルケル首相は、「構造改革、金融政策、財政出動の三つとも必要だ」と主張している。安倍首相にとっては、消費税増税を予定通りに行うか否かを判断する材料ともなるだけに、この問題は政治的に微妙である。しかし、経済そのものを見ても、アベノミクスを成功させるためには、さらなる大胆な政策の展開が必要である。メルケル首相が言うように、構造改革、金融改革、財政出動のいずれも必要であるが、とくに日本の場合、経済のグローバル化が進行する中で、企業のコーポレイト・ガバナンスの改善が不可欠である。最近、家電業界など日本企業が外国企業に買収されるケースが話題になることが多いが、それは日本企業のガバナンスに問題があるからである。アベノミクスの原点はベースマネーを増やすという金融緩和政策である。日銀は、マイナス金利まで導入している。しかし、いくら金融緩和をしても、企業のガバナンスが改善しなければ、成長のための資金は集まらない。会社法改正によって、企業のガバナンスを改善する法的仕組みは整っている。たとえば、ライツ・イッシュー(株主割当増資)を使いやすくすることが、企業の増資の選択肢を拡大させる。それは、ダイリュージョン(一株利益の希薄化)を招かずに既存株主の利益を守ることができるからである。企業のコーポレイト・ガバナンスの改善は、まずは東京の企業から始めてもらいたい。そのために、行政ができる支援は躊躇しないし、国際金融センターなどの整備もまた、日本企業の国際競争力を増すことにつながる。先月訪問したニューヨークでは、ウォール街でこの問題について講演し、またNY証券取引所とは協力関係を強化していくことで合意した。官民あげて、成長戦略を前進させるしか日本経済再生の道はない。東京都は、国や他の自治体に先駆けて、日本経済復活への道を歩む決意である。

*1-2:http://qbiz.jp/article/84490/1/
(西日本新聞 2016年4月9日) みやま市が東京都に技術協力 再生エネルギーモデル事業
 東京都は8日、電力小売り事業に参入すると発表した。福岡県みやま市などでつくる電力会社「みやまスマートエネルギー」が、技術やノウハウ面で協力する。都の公益財団法人「東京都環境公社」を通じて、7月から都内の公共施設2カ所への電力供給を始める。都は都内の電力消費量に占める再生可能エネルギーの割合を2030年までに30%程度に高める目標を掲げているが、再生エネのみを使って電力を供給する事業者が都内には少ないのが現状。都がモデル事業として小売りに乗り出すことで、再生エネの利用拡大を図る。公社は今回、バイオマスや太陽光に由来する再生エネの電力を宮城県と都内の2事業者から調達する。みやま社は、昨年11月から公共施設などに電力を供給してきたノウハウや技術を提供。電力の需給調整のほか、再生エネ由来の電力の共同調達などで公社と連携する。公社が調達した電力をみやま市に融通する計画もある。みやま社は業務を受託することで、事業規模の拡大を図る。「電力の地産地消」を掲げるみやま社は、10月にも新電力会社の設立を目指す鹿児島県肝付町なども支援。さらに、九州大と共同で電力小売り事業に参入する自治体向けのソフトウエアの開発を始めており、今後も全国の市町村との連携を広げていく考えだ。この日、記者会見した舛添要一都知事は「今回の取り組みでノウハウを蓄積し、再生エネ由来の電気を供給する事業者を育てていきたい」と述べた。

<人格批判に終始するメディア>
*2:http://digital.asahi.com/articles/ASJ5C3TP6J5CUTIL00X.html
(朝日新聞 2016年5月11日) 会議費で家族旅行と報道 舛添知事「調査指示した」
 東京都の舛添要一知事の資金管理団体「グローバルネットワーク研究会」(解散)が「会議費」名目で千葉県内のホテルに支出した約37万円が、家族旅行に充てられ政治資金規正法違反(虚偽記載)の疑いがあると11日発売の週刊文春が報じた。舛添氏は同日午前、報道陣に対し「事務所に、調べるように指示した。精査が終わればコメントしたい」と述べた。同研究会の政治資金収支報告書によると、研究会は千葉県木更津市の「龍宮城スパホテル三日月」に2013年1月3日に約23万8千円、14年1月2日に約13万3千円を支払っており、支出目的はともに「会議費用」となっている。週刊文春は会議ではなく家族旅行だったとする関係者の証言を紹介し、政治資金規正法違反(虚偽記載)の疑いがあると指摘した。舛添氏は報道陣から自身の記憶ではどうかと問われたが、「不正確なことは言いたくない」と話した。

<法律違反より批判のための批判>
*3-1:http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG20H62_Q6A520C1000000/?n_cid=NMAIL002 (日経新聞 2016/5/20) 舛添都知事、支出問題は弁護士に調査依頼 辞任は否定
 東京都の舛添要一知事は20日の定例記者会見で、政治資金の一部を私的な支出に充てていた問題について、第三者の弁護士に支出が適切だったかどうかの調査を委ねる考えを示した。舛添知事は「公正な目で見てもらう必要がある。第三者にしっかり調査してもらい、改めるところを改めたい」と述べた。調査期間については「できるだけ早くしたい」と述べた。また、自身の進退については「全力を挙げていい仕事をしたい。都民のために尽くしたい」として、辞任を否定した。舛添知事をめぐっては、自身が代表を務める政治団体の政治資金収支報告書の記載に、「資料代」の名目で美術品を購入していたり、「会議費」としたものが家族との旅行が含まれていたりするなど、相次ぎ問題が指摘されていた。

*3-2:http://mainichi.jp/articles/20160521/k00/00m/040/057000c
(毎日新聞 2016年5月20日) 2時間16分間繰り返す「第三者に…」60回以上
 東京都の舛添要一知事は20日の定例記者会見で、政治資金の私的流用を相次いで指摘されていることについて「政治資金規正法に精通した複数の弁護士に(政治資金収支報告書などの)調査を依頼する」と表明した。「第三者に厳しい目で調査いただく」と繰り返すこと60回以上。舛添氏が17日に「20日の定例記者会見で答えたい」と自ら宣言して迎えた2度目の「釈明会見」は2時間16分に及んだが、政治資金の使途などの説明は全て先送りされた。「説明責任は果たした」と強弁した会見から1週間。噴出する「疑惑」を追及された舛添氏は疲れた表情を見せ、口調も弱々しかった。会見場には約170人の報道陣が集まった。薄いグレーのスーツに紫色のネクタイを締めた舛添氏は冒頭の2分間、東京都内の劇場不足対策を説明した。都庁関係者は「文化行政に関心の高い知事が、自ら説明したいと望んだ」と明かす。対策に関する質問が出ないのを見て、舛添氏は手元の資料をそろえると「政治資金についてご心配、ご迷惑をおかけしていることを心から深くおわび申し上げます」と、深々と頭を下げた。その後も「厳しいご指摘をいただいている」「疑念を持たれて恥ずかしい」「真摯(しんし)に反省し改善したい」と述べ、頭を15回下げて反省を強調した。ところが、不透明な政治資金の使途に関する問いには全て口をつぐみ、「政治資金に精通する弁護士に調査をお願いする」「第三者の公正な目で見ていただく」と繰り返した。公用車の使用や一部を政治資金で購入した美術品の保管場所など政治資金以外の問題についても、第三者に調査を委ねるとして説明を拒んだ。恣意(しい)的な公私混同との指摘には「そういう意図はない」と否定したが、政治団体の会計責任者に個人の会計も託した理由を尋ねられても「反省している」「(会計責任者に)精査してもらうため」「システムとしてそうしていた」と言うばかり。市民団体が東京地検に政治資金規正法違反容疑などで舛添氏と会計責任者だった男性の告発状を送付したことに関しては「当局から捜査に協力を求められれば真摯に対応する」と述べた。批判がやまない状況に「私は信頼を失っている」と認め、信頼回復の道筋を問われると「都民のために仕事をしたい」と視線を落としながら答えた。

*3-3:http://mainichi.jp/articles/20160521/ddm/003/010/030000c
(毎日新聞 2016年5月21日) 舛添氏資金問題 疑惑説明は全て先送り 強気の背景に法の不備
 政治資金の不透明な支出などを指摘されている東京都の舛添要一知事は20日の定例記者会見で、第三者に調査を委ねる方針を示す代わりに、具体的な疑問に対する説明を一切拒み、辞職の意思がないことも重ねて強調した。問題の背景には政治資金を巡る制度の不備がある。説明を尽くそうとしない同日の会見を見て、知事選で舛添氏を支援した自民、公明両党からも厳しい声が出始めた。「全力で都民のために仕事をしたい」。舛添氏は20日の会見で謝罪しつつ、知事続投の意思を強調した。さまざまな疑惑が浮かびながらも、こうした強気の姿勢を見せる背景には、今回の政治資金の問題が違法性を問いにくい「支出」に関するものという点がある。国会議員に「政治とカネ」の問題が浮上する度に政治資金規正法は改正を重ねている。ただ、規制の大半は、企業などからの不正献金を防ぐための「収入」についてのことだ。2005年10月の改正では、政治団体間の献金に年間5000万円の上限が設けられた。07年1月以降、松岡利勝農相(当時)ら自民党の閣僚に事務所費の不正支出疑惑が相次いで発覚した。同年2月には民主党の小沢一郎代表(同)の資金管理団体が政治資金で10億円相当の不動産を取得していたことが明るみに出た。これらを機に同年12月、国会議員に関係する政治団体は原則全ての支出の領収書を公開することや不動産取得を一部制限することを柱とした改正法が成立した。支出の中身を「全面公開」させ政治家に「自主規制」を促すのが狙いだった。しかし、その後も政治資金の支出を巡る問題は続く。10年6月、民主党政権の荒井聡国家戦略担当相(同)の政治団体が少女コミックや音楽CD、キャミソールなどの購入費を支出したことが発覚した。自民党政権でも小渕優子経済産業相(同)の資金管理団体が、ベビー用品やブランド衣料品などを購入したことが14年10月に問題となった。政治資金制度に詳しい岩井奉信・日本大教授(政治学)は「使途に規制がないため、問題となった政治家も『運が悪かった』と思うだけ」と指摘する。実際に07年の事務所費問題の後、支出の問題だけで閣僚辞任や議員辞職に至ったケースはなく、議員が謝罪し費用を返して幕引きしている。舛添氏が政治資金から千葉県木更津市のホテル宿泊費を支出した問題などで、市民団体が政治資金規正法違反(虚偽記載)容疑などでの告発状を出した。岩井教授は「本人が『会議を開いた』と言えば罪に問うのは難しい」とみる。その上で「適法なら問題ないということではなく、問われているのは政治活動としての支出の妥当性。舛添氏は説明を尽くし都民との認識のずれを埋める努力をすべきだ」と批判する。一方、税金が原資の政党交付金を巡っても抜け道がある。舛添氏が代表を務める政党支部「新党改革比例区第4支部」は都知事選出馬を控えた14年1月末、支部解散直前に429万円余の政党交付金を舛添氏の別の政治団体に寄付した。政党解党時の政治資金を巡っては自由党党首だった小沢氏が03年9月、解党直前に政党交付金を含む13億円余を自身が管理する政治団体に資金移動していたことが問題となった。政党助成法は政治団体解散後の交付金の残金について「総務相が国庫に返納させることができる」と定めるものの、解散直前の資金移動は対象にならない。小沢氏の政治団体も返金していない。規正法の支出の公表基準は、国会議員と知事の資金管理団体で異なる。舛添氏の場合、参院議員時代は1万円超の支出は全て報告書への記載義務があり、請求されれば領収書を全て開示しなければならなかったが、知事の場合、公開の対象になるのは5万円以上の支出のみ。仮に私的な飲食などに政治資金を支出しても、5万円未満であれば支出の検証は困難になる。
●自公も厳しい姿勢
 20日の舛添氏の会見を受けた与野党の反応は、1週間前の会見の時よりも厳しさを増している。舛添氏を巡るさまざまな問題が発覚した後も静観の構えを続けてきた都議会自民党の幹部は「(記者の質問に)あまり答えていなかったように見受けられた。第三者に調査してもらうと言っていたが、党としては6月の議会で『追及するものは追及する』という立場を取ると思う」と述べた。これまで議会で追及することはないとしてきた都議会公明党の幹部も「所信表明でどう説明するかが全てだ」と厳しい姿勢を見せた。臨時議会の開催を求めている共産党都議団は「(地方自治法に基づく)百条委員会の設置をはじめ、都議会として全容を解明するために全力を尽くす」とし、都議会民進党(旧民主系)の幹部は「本会議で追及せざるを得ない」と冷ややかに語った。国政レベルでも「説明不足」という指摘が相次いでいる。公明党の井上義久幹事長は20日の記者会見で「説明責任を果たしていただきたい」と注文を付けた。与党幹部は「このような質疑応答が毎週の会見や都議会で続けば、都政が滞る」と懸念を示した。ただ、与党は前回の都知事選で舛添氏を支えただけに、表立って進退を問う声は出ていない。自民党の谷垣禎一幹事長は17日の会見で「猛省が必要だ」と苦言を呈するにとどめた。舛添氏が辞職し出直し知事選になれば「自民党に次の知事候補が見当たらない」(同党幹部)という事情もある。これに対し共産党の志位和夫委員長は20日、「都民の不信は非常に強くなっている。都議会でも徹底的な真相究明をやっていきたい」と追及する姿勢を示した。その上で「説明できないなら、(知事の)資格に関わるのは当然だ」と断言した。民進党の岡田克也代表は20日の会見で「舛添氏を評価してきた私からみると、がっかりすることが続いている」と述べた。

<政治>
*4-1:http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q13120650713 (「週刊ポスト2014年1月24日号) 舛添要一の凄すぎる「女」と「カネ」、結婚3回、離婚2回、子供2人に愛人の子3人、現在「隠し子、養育費裁判」係争中』
 首都の顔を決める都知事選挙。有力候補の一人と見られているのが無所属での出馬を表明した舛添要一・元厚労相(65)だ。実は舛添氏、類い稀な男性的魅力を持っているようで、「永田町イチの艶福家」として知られているのだ。舛添氏の最初の結婚は1978年、相手はフランス人女性だった。出会いは、舛添氏が東大法学部政治学科を卒業後、パリ大学研究所やジュネーブ高等国際問題研究所の研究員を歴任したヨーロッパ留学中のことだった。帰国後の1979年、舛添氏は31歳の若さで東大教養学部の助教授に就任。だが、プライベートも順風満帆とはいかず、1981年に破局を迎えている。
1986年に再婚した相手はというと、いまや政治家として全国区の知名度がある片山さつき・参院議員だ。片山氏は大蔵省(現・財務省)入省後、フランス国立行政学院に留学。帰国後の27歳の時、東大助教授の舛添氏とお見合い結婚した。結婚当時は“ミス大蔵省”との呼び声も高く、後に女性初の主計官も務めた。そんな片山氏は結婚生活について、最近のインタビューでこう振り返っている。
<舛添さんと結婚したことがそもそも間違いであったと思います。愛のない結婚をしてはいけないということ。私の人生における大変大きな間違いだった>(『婦人公論』2013年2月22日号)
そう振り返る結婚生活はわずか2年3か月で終わりを告げる。離婚の理由を片山氏はこう打ち明けている。
<慌しく始まった結婚生活でしたが、「平穏」だったのは最初の数週間だけ。「遅く帰ってきやがって!」突然、彼は怒鳴り始めたんです>(『週刊新潮』2010年5月6・13日号)
一旦怒り始めると、舛添氏は怒鳴る、手当たり次第にモノを投げつける、そして、ある時にはいくつものサバイバルナイフを片山氏の目の前にズラーッと並べたこともあったという。
<彼は、ナイフの収集が趣味だったんです。しかも、そのうちの一つの刃先を私に向けたことまであります。(中略)結局、結婚から3か月ほどで、弁護士に離婚を相談しました。すると、弁護士の調査で彼には愛人が、そして彼女が妊娠中であることも分かった>(同前)
その「妊娠中の愛人」を仮にA子さんとしよう。A子さんが東大の学生だった時、舛添氏が指導教官という立場で知り合った。すぐに「もう妻(片山氏)とは別れるから」と舛添氏がA子さんに猛アプローチ。押されるまま付き合い始めたA子さんは1988年、男児を出産した。A子さんの知人が当時の状況を振り返る。「A子さんの存在を知って激怒した片山さんが、バッグに包丁を忍ばせてA子さんと舛添氏がいた部屋に怒鳴り込んできたことがありました。真っ先に部屋を飛び出した舛添氏が逃げ込んだ先は、もうひとりの愛人B子さんの部屋だったそうです」。A子さんの子供を舛添氏が認知したのは1990年。認知するまでの2年間に、B子さんが女児を出産、さらに同時期に他に2人の女性とも交際していたことがわかったという。目まぐるしい女性遍歴の末、舛添氏が15歳年下の現在の夫人である雅美さんと再々婚したのは1996年だ。なお、その前年にB子さんは2人目の女児を出産した。もちろん父親は舛添氏。その後、雅美夫人との間には、2000年に長女、2003年に長男が生まれている。振り返ると、結婚は3回、離婚は2回。2人の愛人が産んで認知した子3人と、雅美夫人との間の子2人を合わせると、舛添氏には計5人の子供がいることになる。

*4-2:http://news.livedoor.com/article/detail/11531554/ (NEWSポストセブン、週刊ポスト2016年5月27日号 2016年5月17日)橋下徹氏が都知事選出馬なら首相にとって一石三鳥の戦略
 舛添要一・東京都知事が絶体絶命のピンチに立たされている。公用車での毎週末の別荘通いや税金を使った海外出張時の大名旅行ぶりへの批判に加え、政治資金で家族旅行をしていたのではといった疑惑が次々発覚、釈明はしたものの都民の不信感は高まるばかりだ。ここに来て都議会自民党関係者からは、6月1日辞任、7月10日に都知事選挙と参議院選挙をWで行なうといった憶測も急浮上してきた。都議会自民党の背後には当然官邸の思惑がある。官邸の思惑通りに舛添電撃辞任によって参院選と都知事選のW選挙となった場合、焦点は新たな「東京五輪の顔」となる都知事候補が誰になるのかだろう。自民党都議の1人は、「知事を辞任させるべきだという声は強いが、ネックは有力な後任が見当たらないこと。都連は参院選の東京選挙区に2人候補を擁立する方針だが、乙武洋匡氏がスキャンダルで出馬断念した後、参院でも2人目の候補がいまだに見つからないというのが実情。ましてや都知事候補となると高い知名度がいる。候補が決まりさえすれば一気に選挙戦に動くことができるのだが」と語る。自民党内の人材難は、前回都知事選で党を除名されていた舛添氏を担がざるを得なかったことが証明している。そこでウルトラCの候補として浮上しているのが「無役」となったあの人だ。政治ジャーナリストの角谷浩一氏はこう見る。「舛添氏を降ろして出直し都知事選となれば、短期決戦だから、有権者にとって顔と名前が一致する知名度の高い候補でなければ勝負にならない。その意味で、大阪府知事と大阪市長を経験し、首長としての経験十分な橋下徹氏の名前が官邸周辺で囁かれています」。橋下氏は「政界を引退する」と大阪市長を退任した後、『おおさか維新の会』には正式に参加せずに現在は弁護士業とテレビ・コメンテーター業を務めているが、安倍官邸、特に菅義偉官房長官との太いパイプを持つことで知られる。そもそも菅氏は橋下氏に政界入りを説得した人物で、橋下氏も引退会見で菅氏を「とんでもない政治家だ」と手放しで絶賛するなど、いまだに強い信頼関係がある。もし、橋下氏が無所属で都知事選に出馬し、安倍政権と自民党が全面支援すれば、知名度からいっても野党側が対抗できる候補を擁立するのは難しいだろう。政治評論家の浅川博忠氏もこう語る。「現在の安倍政権は外交・防衛に力を入れ、世論が求めている社会保障や景気回復がおろそかになっている。アベノミクスの限界も見えてきた。そういう状況の中で参院選と都知事選のダブル選挙になった場合、大都市圏は革新が強い傾向があるため、通常であれば野党にアドバンテージがあると考えられます。ただし、安倍政権が橋下氏を擁立できれば風向きはガラリと与党有利に変わる可能性が高い。橋下氏にはそれだけのインパクトがある。橋下氏の出馬が前提なら、安倍政権にとって都知事選とのダブルは切り札的になるでしょう」。安倍首相は参院選で公明党、おおさか維新などを合わせた改憲推進勢力で3分の2の議席確保を目指している。橋下氏自身は参院選出馬に否定的だが、都知事選に出馬すれば、相乗効果でおおさか維新の参院選での議席の上積みも見込める。首相にとっては参院選のテコ入れと都知事選勝利、改憲勢力の拡大というまさに一石三鳥の戦略だ。橋下氏も憲法改正について「今度の参院選がワン・チャンスだと思っている。泣いても笑っても、ここを逃せば、10年、20年と憲法改正の機会は遠のく」と語るなど首相と同じ考えだ。

*4-3:http://www.soumu.go.jp/senkyo/seiji_s/todokede/answer05.html#q5_4
Q.登録政治資金監査人による政治資金監査制度の概要について教えてください。
A.
I.国会議員関係政治団体(国会議員関係政治団体であった政治団体も含みます。ただし、収支報告書に記載すべき収入・支出がなかった場合はこの限りではありません。)の会計責任者は、平成21年分から、収支報告書を提出するときには、あらかじめ、当団体の支出について、政治資金適正化委員会が行う研修を修了した登録政治資金監査人(同委員会の登録を受けた弁護士、公認会計士、税理士)による政治資金監査を受けることとされています(法第19条の13第1項)。
II.政治資金監査は、
 i.会計帳簿、領収書等が保存されていること
 ii.会計帳簿にその年の支出状況が記載されており、かつ、会計責任者が会計帳簿を備えていること
 iii.収支報告書は、会計帳簿及び領収書等に基づいて支出の状況が表示されていること
 iv.領収書等を徴し難かった支出の明細書等は、会計帳簿に基づいて記載されていること
の4点について政治資金適正化委員会の定める具体的な指針に基づいて行うこととされています。
III.また、国会議員関係政治団体の会計責任者が収支報告書を提出するときには、政治資金監査の結果作成される政治資金監査報告書を併せて提出することとされています(法第19条の14)。


PS(2016年5月25日追加):公私混同はいけないが、過去の田中角栄氏などの事件と比べて金額が桁違いに小さく、政策を左右するような大きな賄賂はないことがわかる。また、政治資金規正法に使途の規定がない以上、罪刑法定主義の民主国家で突然逮捕されることがあってはならず(法律に規定もないのに、その時の都合で逮捕される方がよほど悪い国である)、政治資金規正法を改正して公私混同がなくなるよう使途の範囲を決めたとしても過去に遡って遡及されることはない。そのような中、*5のように、都議団幹部は、「問題は『知事の資質』で、違法かどうかは主眼ではない」と話したそうだが、単なる標的への攻撃ではなく問題の本質を明らかにして解決に導くつもりがあるのなら、①知事・議員の資質の判断基準は何か ②都議はじめ他の議員はこういうことを全くしていないのか についても議論し検証すべきだ。(*ちなみに、私も、いい加減な会計処理をしたことは全くないのに、変な含み笑いをされたり、いちゃもんをつけられたりして、言っている人のレベルの低さに呆れつつムカーッとしたことがある)

*5:http://digital.asahi.com/articles/DA3S12374757.html?ref=pcviewpage
(朝日新聞 2016年5月25日) 舛添氏、別荘近くで政治資金 道路回数券200枚・食品店で2万円…
 東京都の舛添要一知事の政治団体が、舛添氏の別荘がある神奈川県湯河原町周辺で政治資金を繰り返し使っていたことがわかった。一連の問題は、政治資金規正法に支出内容に関する規定のないことが背景にあるが、過去には政治家の責任が問われた事例もある。都議会は25日、実態解明に向けた対応を協議する。舛添氏が代表の「新党改革比例区第4支部」(2014年に解散)の政治資金収支報告書や総務省に提出した領収書によると、支部は12年と13年に湯河原町の食料品店で、計約2万1千円を「消耗品」代として支出していた。この店は食料品のほかに棚一つ分のトイレットペーパーやティッシュ、洗剤を置く程度。店側の関係者は「食料品ばかりなのに(舛添氏が)事務所のものを買うわけがない」と話す。舛添氏は土曜日に妻子と来店することが多かったという。12年5月には同町の衣料品店に「消耗品」代として約1万円を支出していた。この店の関係者によると、年2、3回家族と来店し、大人用の下着や子ども服などを買っていたという。支部は11年4月と12年10月、同町につながる有料道路「真鶴道路」の回数券(100回分)を2回、計3万2千円で買っていた。回数券を使えば、本来の通行料金よりも1回あたり40円安く済む。12年9月にはJR湯河原駅で「乗車券類代」として1万2120円を支出。舛添氏は当時参院議員で、JRなどの無料乗車パスが支給されていた。町には舛添氏の別荘がある。舛添氏の事務所に、別荘周辺の支出や政治活動との関連を質問したが、24日夜までに回答はなかった。
■規正法、使途の規定なし
 一連の政治資金をめぐる問題について、舛添氏は25日に第三者的に調べる弁護士らを選任する。これまで宿泊費などの支出について「政治活動の費用で問題ない」と繰り返してきた。政治資金規正法では、収支報告書に記す支出額の基準は定められているが、支出の内容の是非について規定がない。元検事で同法違反事件を多く手がけた郷原信郎弁護士は「政治資金の支出に関して刑事責任を問われた例は恐らく過去にない。おかしな支出でも『政治活動だ』と強弁されると覆せないし、記載が虚偽だとしても『意図的だ』という立証が難しい」と話す。同法は繰り返し改正されてきたが、主に企業献金など「収入」に関する規制強化だ。「支出」は、松岡利勝農水相(当時)らによる事務所費の不正支出問題が相次いだことを受け、07年に国会議員の関係政治団体が全ての領収書の公開を義務づけられた程度だ。疑惑を受けた対応は様々だ。佐田玄一郎行政改革担当相(同)は06年、活動実体が無い政治団体の活動費約7800万円を計上していた問題で閣僚を辞任した。他方、荒井聰国家戦略担当相(同)の少女コミックやキャミソールなどの購入問題(10年)では、辞任にまで至らなかった。東京経済大学現代法学部の加藤一彦教授は「違法でなかったとしても、政治家としての説明責任はある。都民の信頼を取り戻さなければ、都政運営もできず、辞任が現実味を帯びる」と指摘する。
■都議会が追及へ
 舛添氏の政治資金などの問題を追及する都議会は6月1日に開会する。野党の共産党都議団は25日の議会運営委員会で、強い調査権限を持つ百条委員会の設置を提案する方針を固めた。都議団幹部は「政治資金や高額な海外出張費、公用車での別荘通いを3点セットで調べるべきだ。問題は『知事の資質』。違法かどうかは主眼ではない」と話す。24日には、正副議長や各会派の幹事長らに書面で趣旨を説明した。知事に自身の言葉で説明してもらうため、総務委員会での集中審議も求めるという。都議会民進党など3会派も、舛添氏が「第三者に調査を委ねる」と繰り返した20日の記者会見後に、「信頼を損ねた責任は大きい」などとする談話を出した。一方、舛添氏を知事選で支援した与党の自民、公明は、「まずは6月1日の本会議での所信表明をしっかりと聞く」という姿勢を変えていない。


PS(2016.5.26追加):*6では、①「公私混同」の範囲 ②支出の内容に踏み込む監査制度の導入 が問題になっているが、①については、都知事としての仕事に必要なものは「公」、それ以外のものは「私」 と定義できる。そのため、都知事としての海外出張は紛れもなく「公」であって東京都の予算から出張費が出ており、都知事選のための会議費なら後援会から支出することもあり得る。また、美術書は、都知事としての見識を得て都の文化政策に資する目的であれば「公」であり、個人の趣味による収集に留まるのなら「私」である。なお、自分で車を運転していてわざとぶつけられたり、命を狙われたりすることを避けるため公用車を使用するなど、一般の人には常識の範囲外だが、政治家には正当な注意ということもあるため、要注意だ。 また、②については、収支報告書や使途報告書が単式簿記に基づいて作られていると、都合の悪い費用は掲載せず、その分は収入も少なく計上するという操作が可能であるため、収支報告書や使途報告書を複式簿記による帳簿に基づいて作るよう変更し(会計ソフトをそのように変更すれば会計処理は簡単)、網羅性・検証可能性を備えた上で公認会計士のフル監査を受けるようにすべきだ。これにより、経験のある会計責任者も含めて、会計処理の正確性に気をつけるようになるとともに、多くの議員がそれを行うようになればソフトの値段や監査料も下がる上、国民にとっては透明性が増し、政治家がカネの問題で陥れられることもなくなる。

*6:http://www.nikkei.com/paper/related-article/?b=20160526&c=DM1&d=0&nbm=DGKKZO02787810V20C16A5CR8000&ng=DGKKZO02787890V20C16A5CR8000&ue=DCR8000 (日経新聞 2016.5.26) 舛添氏、強気の背景 政治資金規正法、支出制限難しく 専門家「明確な違法性ない」
 舛添知事を巡る「公私混同」疑惑が広がりをみせるなか、知事は説明責任を果たしていない。その背景には政治活動とプライベートとの線引きを曖昧にできる政治資金を巡る法律の不備がある。米国人画家の作品や裸婦像、掛け軸、美術関連の洋書……。知事の国会議員時代の政治団体の収支報告書に「資料代」や「書籍代」と記されているものには一見、政治活動とは関係がなさそうなものが並んでいる。知事は「美術品の収集が趣味」と公言しているが、政治資金で購入したものについても「海外の方との交流を行う際のツールだ」として法律上の問題はないと強調。専門家の多くも「グレーだが、明確な違法性はない」と指摘する。正月に家族と宿泊した千葉県木更津市内のホテルに「会議費用」として計約37万円を支出したことも「同じ部屋で事務所関係者らと会議をした」と説明し、政治活動の範囲内とする。釈明の背景には政治資金規正法に「支出」の是非の規定がなく、政治家が「政治活動」と主張すれば違法性を問いにくいことがある。規正法が主眼を置くのは不透明な資金が入っていないかをチェックする「収入」の部分で、「支出」については領収書の公開が義務付けられている程度だ。日本大の岩井奉信教授(政治学)は「支出の制限は政治活動の自由の制限につながりかねず、一律の規制は難しい」と指摘する一方で、「このままでは国民の納得は得られず、政治不信を高めてしまう。支出の内容にも踏み込む監査制度を導入すべきでは」と提案している。


PS(2016年6月1日追加):*7で、「『原点』忘れた?舛添都知事 『弱者向いた政治を』→福祉政策に疑問符 『公のために尽くす』→クリーンほど遠く」と題して、1)海外出張が豪華だったこと 2)後援会資金を「私」目的に使用したこと から舛添都知事の全人格を否定しているが、言えることと言えないことをごっちゃにしており、これが日本によくある「だから資格がない」と結論する典型的な方法であるため、その論法が正しいか否かを検証する。
 まず、①については、賄賂をもらってその人に有利な政策を実行したのではなく(これが最も大きな問題)、後援会から「私」目的の金を支出するほど困窮していたと考えられるので、クリーンでないとまでは言えない。また、②③は、舛添氏の言っておられることは、当時は「寝かせきり」が問題になっていたので本当だが、舛添氏(東大法学部卒、政治学者)が厚生労働大臣だった時に厚生労働委員会で阿部知子衆議院議員(東大医学部卒、小児科医)のポイントを突いた質問に的確に応えておられるのを私も聞いていて、医学知識のない法学部卒の人がそこまで的確な答えができるのは自分が経験して問題意識を持っているからに違いないと確信した。そのため、③の「福祉施設の視察が少ない」のが本当であるとしても、都知事は全体の仕事をやらなければならないので、よくわかっている分野に割く時間はむしろ少なくするだろうし、国(財務省・厚労省)の方針が「高齢者から子どもへの予算移動」となっているため、法学部卒の都知事がそれに逆らう理論構成をして結果を出すのは困難だったとも考えられる。さらに、④の「『己を慎み、品行を正しくし』ていないので人格を全否定し、その他のすべてを否定する」論法は、日本ではよく使われるが、「探したら重箱の隅に傷を見つけたので、それを重箱として使えないと宣言する」というのと同様、論理的ではなく感情的であり、主権者や青少年をミスリードすると考える。

*7:http://mainichi.jp/articles/20160531/dde/012/010/003000c (毎日新聞 2016年5月31日) 「原点」忘れた?舛添都知事 「弱者向いた政治を」→福祉政策に疑問符 「公のために尽くす」→クリーンほど遠く
 この人が「東京の顔」とは、情けない。海外への豪華出張や政治資金の使途を巡り、公金感覚の欠如が批判される舛添要一東京都知事。釈明に追われ、6月1日から始まる定例都議会では、進退問題も含め、厳しく追及されるのは必至だ。かつては「首相にふさわしい」とも評価された舛添氏は、政治を志した「原点」をお忘れなのだろうか。
①〓政治は強者のためではなく、弱者のためにある。これが私の政治哲学だ〓
 舛添氏は2014年に都知事に就任した直後に出版した著書「東京を変える、日本が変わる」の中でこう記した。猪瀬直樹前知事が選挙資金の問題で辞任したことに伴う選挙だっただけに、舛添氏に「クリーンな政治」を期待した都民も多かったに違いない。“政治哲学”の「弱者」の2文字に注目するのが、NPO「高齢社会をよくする女性の会」理事長で、東京家政大名誉教授の樋口恵子さん。1990年代後半、「国際政治学者」として活躍していた舛添氏とテレビ番組で一緒になったことが何度もあったという。「彼は00年に介護保険法が施行される前から、認知症の母の介護をしたことで知られ、番組でも体験を話していました。内容はともかく、親の介護に携わる男性が非常に少なかった時代。この頃は『介護の舛添さん』という印象が強かった」。98年には「遠距離介護」の日々をつづった著書「母に襁褓(むつき)をあてるとき」を出版する。おむつを指す「襁褓」をタイトルに入れた著書にはこうある。
②〓自力で歩いていた母が(施設に入所後)、車椅子が不可欠な身となりました。また、おむつなど不要だったのに、「寝たきり」、いや「寝かせきり」老人になってしまい、昼夜を問わずおむつが必要になりました。わが国の高齢者福祉の現状を告発せざるをえません〓
 この著書には北九州市で暮らす母の元へ、東京から月2〜5回通ったとも記している。おむつ代を医療費控除の対象にする際、税務署で領収書以外に「おむつ使用証明書」の提出を求められたり、母の送迎に使う福祉車両購入時に煩雑な手続きを強いられたりしたことも紹介している。00年にみとるまで、遠距離介護は5年間に及んだ。この時点では、舛添氏の視線は真っすぐに弱者に向けられていたのだろうか。舛添氏の名を「全国区」に押し上げたのが、87年から続くテレビ討論番組「朝まで生テレビ!」だ。司会を務めるジャーナリストの田原総一朗さんは「舛添さんは国際政治に詳しく、世論におもねらない発言をする。88年ごろ、僕が東大の助教授だった彼をマスコミの世界に引き込みました」と振り返る。舛添氏が政治の道を歩み始めたのは99年の都知事選から。この時は、その後4期続く石原慎太郎氏に敗れた。01年、参院選比例代表に自民党から立候補し、約159万票でトップ当選。07年には厚生労働相として入閣した。10年の自民党離党後は紆余(うよ)曲折もあったが、14年の都知事選で初当選を果たす。では「政治とカネ」についてはどう考えていたのか。08年の著書「私の原点、そして誓い」をひもとくと、こんな記述があった。
③〓私利私欲を離れて、公のために尽くすという気持ちになる、つまり無私という境地に達しないかぎり政治家になるべきではないという信念を抱いていましたし、今もそれは変わりません。その覚悟がないかぎり、金権腐敗の政治家に堕落する危険性が常につきまとうからです〓
 しかし、である。家族同伴のホテル代や美術品の購入代金などに政治資金を充てていたことが判明。これでは「私利私欲を離れて」いるとは言えまい。前出の樋口さんは「初心を忘れたのか、思ってもいないことを著書に記したか、そのどちらかでしょう。『お年寄りのために』と政治を志した舛添さんには、質実剛健なところを見せてほしかったのですが……」と残念がる。一方、認知症の母を07年にみとるまで、在宅で7年間介護した作家の落合恵子さんはこう問いかける。「介護をすれば誰でも、いや応なく『政治の壁』にぶつかり、『政治を変えなければ』と思います。しかし、舛添さんが都知事になってから、福祉の分野で大きな政策を実現したとの記憶がありますか」。1人暮らしの高齢者の増加と貧困問題、介護ヘルパーの離職率の高さ……。落合さんはこれらの現実を挙げながら、「都知事は、首相に次ぐほどの発言力と決定力を持つはずですが、自身の介護体験が政治に十分生かされていないのでは」と言うのだ。27日の記者会見では、報道陣から「美術館や博物館の視察は多いが、福祉施設の視察が少ないのでは」との質問も出た。舛添氏の答えは「そういうご批判があることも踏まえ、反省すべきは反省し、改めるべきは改めたい」。政治の「原点」に関わる問いに、多くを語らなかった。舛添氏は周囲に「天下を取りたい」と話したこともあるという。田原さんの証言。「天下を取るということは、自民党の政治家にとって、いずれ総裁、首相になること。実際、党内には舛添さんを総裁にという声も上がっていた。10年に党を飛び出さずにとどまっていれば、舛添政権が誕生する可能性もあり得た」。今の舛添氏に対して、田原さんは「国民が怒っているのは、法律違反の有無ではなく公私混同です。まずは2人の弁護士による調査結果を待つが、きちんと説明責任を果たさなければならないだろう」と語る。舛添氏は続投する方針だが、6月の都議会を乗り切れるのかという問題もある。元都職員の佐々木信夫中央大教授(行政学)はこう見る。「与党の自民、公明はジレンマを抱えています。舛添氏に甘い対応を取れば、夏の参院選、来夏の都議選に影響が出かねない。一方、今辞任に追い込めば7月に知事選が行われ、4年後の任期満了と東京五輪が重なってしまう」。こんな政治事情で“延命”しても、状況は険しさを増す。「舛添氏が何を言っても説得力がなく、都庁職員もついてきません。都議会が地方自治法に基づき、調査権限の強い百条委員会の設置で合意したらアウトでしょう」。再び舛添氏の「原点」につながるであろう発言を紹介したい。都庁に初登庁した14年2月、幹部職員を前に明治維新の功労者、西郷隆盛を引き合いにこうあいさつした。
④〓(西郷は)遺訓の中で、「万民の上に位する者、己を慎み、品行を正しくし、驕奢(きょうしゃ)を戒め、節倹を勉(つと)め、職事に勤労して人民の標準となり、下民其(そ)の勤労を気の毒に思ふ様ならでは、政令は行はれ難し」と喝破しています。都庁の職員一人一人が、天に恥じない仕事をするとき、必ずや都政に対する都民の信頼が回復するものと確信しております〓
 「己を慎み、品行を正しくし」という言葉がむなしく響く。多くの都民に愛想を尽かされてしまったトップの前途は厳しい。


PS(2016年6月5日追加):舛添都知事が航空機のファーストクラスや宿泊時にスイートルームを使ったことが問題になっているが、伊勢志摩サミットで、オランド仏大統領は最高級の新館ロイヤルスイート(210平方メートル、1泊21万6千円)に泊まり、オバマ米大統領は2番目に高級な本館ロイヤルスイート(96平方メートル、同17万8200円)に2泊したそうだ。また、食事は、伊勢志摩、三重、日本の食材のすばらしさを提供したメニューだそうだが、これが首脳ではなく、例えばケネディー駐日大使が訪れても、最高のもてなしをして日本のよいところを感じて帰って欲しいと願うのが自然ではないだろうか。
 そして、これは、東京都知事が海外に行った時も同じで、現地の人はやはりそう思うだろうし、都知事が海外の高級ホテルの食事や設備などのもてなしを体験して来る意味もある(ホテルの居室でもぼやっとしていないで仕事するということ)。このようにマスコミが騒ぐ中、都庁に寄せられた苦情や意見が約2万2700件あり、都議会の傍聴席が満員になったそうだが、苦情を言っていない大多数の人は問題にしておらず、都議会の傍聴席がこのようなことでしか満員にならないのは民主主義国としてお寒い限りだ。つまり、政策では議論できず、このようなことでフィーバーして、何が何でも謝罪させたり辞任させたりしたがるメディアこそ、性格が悪い。

*8-1:http://digital.asahi.com/articles/ASJ655K47J65ONFB00T.html?iref=comtop_8_01 (朝日新聞 2016年6月5日)  オバマ氏は2番目、最高級部屋は誰? サミット会場公開
 主要7カ国(G7)首脳会議(伊勢志摩サミット)の主会場、賢島(三重県志摩市)の志摩観光ホテルは5日、舞台となった会場や首脳らが宿泊した客室を報道関係者に公開した。首脳らは5月26、27の両日、新館「ザ ベイスイート」のラウンジや本館「ザ クラシック」のレストランなどで会合を重ねた。ワーキングランチとディナーで使われた直径約3メートルの円卓2台も公開された。最高級の新館ロイヤルスイート(210平方メートル、1泊21万6千円)に泊まったのはオランド仏大統領。オバマ米大統領は、2番目に高級な本館ロイヤルスイート(96平方メートル、同17万8200円)に2泊した。また、同ホテルの樋口宏江・総料理長(44)は会見で「伊勢志摩、三重、日本の食材のすばらしさを提供したい」と心がけたメニューが、首脳らに称賛されたエピソードを披露した。伊勢エビやアワビ、松阪牛を使った26日夕の洋食は、特に伊勢エビクリームスープが好評で、オランド仏大統領からテーブルに招かれ、G7首脳全員に握手を求められた。メルケル独首相にも「あなたがこの夕食を作ったのですか」と聞かれたという。「まさかお声がけいただけるとは。大変光栄で料理人冥利(みょうり)に尽きます」と振り返った。志摩観光ホテルはこれらの部屋に滞在し、同じ円卓でほぼ同様の食事を堪能できる宿泊プランを用意。2人で1泊2食50万~2泊5食100万円で、5日から予約を受け始めた。

*8-2:http://digital.asahi.com/articles/DA3S12388448.html
(朝日新聞 2016年6月2日) 都議会与党も強く反発 舛添知事に「謝罪になってない」
 東京都の舛添要一知事は1日に開会した都議会の所信表明で、政治資金の公私混同疑惑など一連の問題を陳謝し、元検事の弁護士2人による調査について「今議会での審議に間に合うように公表する」とめどを明らかにした。都議会の自民、公明など主要会派は「説明が不十分で納得できない」と反発を強めており、7日の代表質問、8日の一般質問で事実関係を追及する構えだ。会期は15日まで。舛添氏は所信表明25分のうち、およそ3分を問題への対応にあてた。高額との批判が高まっている海外出張費については、航空機のファーストクラスや宿泊時のスイートルームを使わず、経費縮減に取り組むと表明。公用車は「厳格な運用を徹底し、都民の皆様の疑惑を招かないようにする」と述べた。有権者の関心は高く、この日の都議会は、190枚用意された傍聴券がすべて配布され、満員になった。先月31日までに都庁に寄せられた苦情や意見は約2万2700件にのぼっている。
■あきれる傍聴者
 「怒られたから謝った、という感じ。子どもの発言のようだ」。傍聴席で所信表明を聞いた東京都世田谷区の会社員巽(たつみ)一郎さん(55)はあきれた表情で話した。2年前の都知事選で、お金にクリーンなイメージから舛添氏に投票した。「何が悪かったという説明を聞きたかったが、もう信用はない。辞めてほしい」。渋谷区の自営業女性(52)も「淡々と原稿を読んでいて、謝る意思をまったく感じなかった」と憤る。議席の約6割を占め、前回の知事選で舛添氏を全面支援した自民、公明からも不満が噴出。これまでの「静観」から一転、対決姿勢を見せ始めた。「説明は納得できない。言語道断だ。厳しく追及する」。公明の長橋桂一幹事長は都議会後、強い言葉で舛添氏を批判した。自民のベテラン都議は「今日で潮目が変わったかもしれない」と話す。会派内では議会後、「(所信表明は)謝罪になっていない。どうしようもない」という声が相次いだという。「リオデジャネイロ五輪を控えているうえ、次の知事候補を探す時間もない。いますぐ辞めさせるわけにはいかないが、こんな知事を擁立したことをわびる必要はあると思う」。複数の自民、公明都議の事務所には「知事を辞めさせろ」「参院選では投票しない」などの電話が殺到。ある公明都議は「メディアの目が議会に移り、追及がぬるいと思われると自分たちが糾弾される」と危機感を募らせる。総務委員会の集中審議の開催に、与党側からも前向きな声があがりつつある。
■舛添知事の所信表明の発言
 【疑惑や問題】
 発言内容
   *
 【高額な海外出張費】
 航空機のファーストクラスは使用しない
 宿泊施設のスイートルームは使用しない
 随行職員数を最小限にする
   *
 【公用車使用の公私混同】
 厳格な運用を徹底
   *
 【政治資金支出の公私混同】
 本会議(15日まで)の審議に間に合うよう、(第三者に依頼中の)調査結果を公表
■今後の都議会の日程
<7日・代表質問、8日・一般質問> 知事が「第三者」の調査結果を公表か。各会派が追及へ
<9日、13日・総務委員会> 一連の疑惑を審議か。集中審議になれば、知事に出席を求めて一問一答形式で疑惑を追及することも可能に
<15日・閉会> 会期中に開かれた総務委の集中審議が閉会後に継続することも。会期中に集中審議がなくても、閉会後に開かれる可能性も


PS(2016年6月7日追加):私は、元検事の弁護士による報告は90%以上正確だという印象を受けたが、*9-1のうち、「児童の保護者から子どもが悪い言葉遣いをまねると相談を受けて、どのような表現がなされているかを確認するために『クレヨンしんちゃん』を購入した」というのは、他の人はそこまでしないかもしれないが、舛添氏はそこまでやったのかもしれないと考える(理由:私も確認すると思うから)。
 また、政治資金規正法には、政党支部や後援会を解散した場合に残余財産をどうすべきかについての規定はないため、残余財産のすべてを代表者の舛添氏が受け取ったとしても違法ではない。つまり、わかりやすく書けば、リスクを取って、国の補助金を受ける事業を奥さんといっしょに営んでいた事業主が、その事業を解散する時に補助金を返さなくてよいのと同じであるため、この法律の下で何とか探してケチをつけ、本来の都政を停滞させるのはいかがなものかと考える。

*9-1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20160607&ng=DGKKASDG06HEW_W6A600C1CC1000 (日経新聞 2016.6.7) ピザの焼き方・「クレヨンしんちゃん」…購入本、家族向け?
 舛添氏が政治資金で買った書籍の中には趣味が目的と取られかねないものも含まれている。「ピザを焼いて振る舞いながら政治課題について意見を聞いたことがある」――。舛添氏はピザの窯や焼き方に関する本の購入理由を弁護士にこう説明したという。洋書や政治書などの購入リストに交じって「のらくら同心手控帳シリーズ」や「ゼロの焦点」などの小説も。舛添氏はそれぞれ「江戸時代の風俗研究のため」「映画化されたので支援者との話題作りのため」としたが、弁護士は娯楽性が強いことから「適切とは言いがたい」と指摘した。「クレヨンしんちゃん」や「イナズマイレブン」などの人気コミックのタイトルも並ぶ。「児童の保護者から子どもが悪い言葉遣いをまねる」と相談を受けた舛添氏が「どのような表現がされているか確認するため」に購入したという。弁護士は家族のために購入したと受け取られてもやむを得ないと苦言を呈す一方、政治資金の使途に法的な制限がないことを挙げて、いずれの書籍購入も「違法とは言えない」との見解を示した。

*9-2:http://digital.asahi.com/articles/DA3S12396555.html (朝日新聞 2016年6月7日) 舛添氏「けじめ」強調 返金・別荘売却、でも辞任は否定 政治資金調査報告
 「慢心があった」「極めて恥ずかしい行動を心から反省」――。東京都の舛添要一知事は6日、政治資金をめぐる疑惑について、これまでよりていねいな言葉で謝る一方、辞任は否定し、「有権者の判断に任せたい」と繰り返した。都政トップの説明責任は果たされたのか。都民や有識者からは疑問の声も上がった。6日午後4時。約200人の報道陣が詰めかける中、元検事の弁護士2人に舛添氏が同席する形で会見が始まった。「違法ではないが、不適切だった」。政治資金で「豪快ダッチオーブンテクニック」などの本やマンガを購入したことをはじめ、私的な宿泊や飲食などに支出したとの疑惑について、佐々木善三弁護士らが見解を読み上げた。続々と挙がる事例に、舛添氏は終始うつむきがちに耳を傾けた。主にインターネットオークションで100点を超える絵画・版画を購入したことについて、舛添氏は「絵画の知識を深めることで、海外の政治家との関係を緊密にできる」と説明したというが、弁護士は不適切だと判断した。家族で天ぷら屋で飲食費を支出したことなども不適切とされた。適切とされた中にも、「政治資金の支出は避けるべきだった」などと指摘されたものもあった。そば打ちやピザ窯の作り方、金魚の飼い方の本の購入について、舛添氏は「政治家仲間とそばを打ちながら政治談義をしたこともある」などと説明したとされる。しかし、佐々木弁護士は「相応の合理性があるが基本的に個人的趣味の本」とした。一方、2011年に上海で13万9178円で買ったシルクの中国服と書道用品について、佐々木弁護士は「書道の際、この服を着ると筆をスムーズに滑らせることができるとの(舛添氏の)説明は説得力がある」と判断した。書道は趣味だが、政治活動にも役立っており適切だ、との理屈だ。舛添氏は、「違法な点がなく、ほっとしたか」と問われると、間髪を入れず「厳しい指摘を受けているので、汗顔の至りだ」と険しい表情で返した。さらに、不適切とされた支出の返金に加え、神奈川県湯河原町の別荘を売却することを「けじめ」と強調。ただ、有権者は納得すると思うかとの質問には「有権者の判断にお任せしたい」と述べるにとどめた。
■「誠意伝わらぬ」
 舛添氏が国会議員になる前から支援してきた元後援会関係者は「最初の会見で自分の言葉で説明できた問題ばかりだ」と批判する。「高校の時も学年トップの秀才だったから、自分のやることに間違いはないと思うんだろう。誠意が伝わってこないし、本当に反省しているとは思えない」と話した。新宿駅周辺で販売員をする女性(75)も「調査結果は、舛添さんが当初から話していたことを第三者の口から言わせただけ。時間稼ぎにすぎなかった」と切り捨てた。
■解明は不十分、指摘も
 「親しい知人から話があり、舛添氏の秘書に会い、きちんと理解してもらった方がいいだろうと思って引き受けた」。調査した佐々木善三弁護士は6日の会見でこう語った。佐々木氏は、東京地検特捜部副部長や京都地検検事正を歴任し、リクルート事件などの捜査を担当した。現金受領問題が発覚した猪瀬直樹前都知事の弁護も担った。もう一人の森本哲也弁護士も東京地検刑事部などで勤務経験がある。佐々木氏と同じ法律事務所に所属し、東京五輪・パラリンピックの旧エンブレム問題では、選考過程を調べる外部有識者による調査委員会のメンバーを務めた。「疑惑を抱える本人から依頼されて調査を行うことで客観性を保てるのか」。こう質問された佐々木氏は「第三者委員会は基本的にそういうもの。今回は第三者委員会ではないが」とし、「十分(調査を)尽くしたと思っている」と語った。これに対し、コンプライアンスに詳しい国広正弁護士は「都知事という公職者の問題なので、本来は百条委員会が必要だが、それに代わるものは真の意味での第三者委員会。その場合、委員会の役割はステークホルダー(利害関係者)である都民の目線で、知りたい真実を調査することにある」という。今回の報告書では、支出が適切か否かや、法的判断の結果が示されたのみで、肝心な舛添氏の真意が明らかにされていないと指摘。「都民が知りたいのは、舛添氏の現在の反省の弁ではなく、支出時の認識のはずだ」と話す。
■これで終わりではない
 危機管理コンサルタントの白井邦芳さんの話 「不適切だが違法ではない」との調査結果に、舛添知事は「これで辞めずに逃げ切れる」と判断したのだろう。だが、知事は法律やルールの境界線上で政治資金を扱っており、コンプライアンス(法令や社会規範の順守)を重視すべき都のリーダーとしての資質に欠ける。弁護士の調査内容は一定の評価はできるが、知事が自分の費用で依頼しており、透明性や客観性に疑問が残る。これで終わりではなく、今後限られた期間で都議会がどこまで追及できるかが重要だ。


PS(2016年6月9日追加):舛添都知事の政治資金問題について、*10-1、*10-2のように、マスコミは連日、①会議費名目の家族旅行 ②高額な海外出張費 ③公用車の使い方など、参議院議員選挙を前に他に報道すべきことは多いだろうに、舛添氏を辞任させることが目的の悪意のある報道を続けている。しかし、このうち東京都が支出した費用は、②③だけで、これが東京都の規則違反ではなく、理由をきちんと説明できれば東京都民が問題にする理由はない。
 また、①については、「グローバルネットワーク研究会」は舛添氏の後援会で、代表者の意志で使い方を決められるため、仮に「家族旅行」だったとしても違法ではないし、政治資金規正法は領収書の添付しか義務づけていないため、請求書を添付しないのは普通である。その上、舛添氏の奥さんは政治活動で重要な働きをしているので、「夫婦だから私的」とするのもサラリーマンの想像にすぎない。さらに、会議に参加したという出版社社長の名前も、その人がメディアにおしかけられたり、嫌がらせをされたりするのを防ぐため、私であっても言わないだろう。
 なお、これまでの舛添都知事の説明や「別荘の売却」「給与の減額」などの対応はポイントをついていないが、これは、辞めさせることを目的として揚げ足取りをし集中砲火を浴びせている人たちにまともな説明をしてもポピュリズムに基づく変な反論をされてかえって不利になるのを防いだり、政治資金規正法に詳しくないので慎重に対応したりしているためと思われる。なお、政治資金規正法(特殊な法律)に詳しい人は稀だが、少なくとも政治資金規正法を使って批判する人はよく調べてからにすべきだ。

*10-1:http://digital.asahi.com/articles/DA3S12402181.html
(朝日新聞 2016年6月10日) 都議会、集中審議13日・20日 舛添氏政治資金問題
 東京都の舛添要一知事の政治資金の公私混同問題などについて、都議会総務委員会は9日の理事会で、集中審議の日程を13日と、第2回定例会(6月議会)閉会後の20日に決めた。知事を呼び、一問一答形式で疑惑を追及する。一方、共産党は今定例会中に不信任決議案を提出することを決定。他会派にも同調を呼びかける方針。知事を呼ぶことは、総務委理事会の全会一致で決まった。政治資金の私的流用疑惑、高額な海外出張費、公用車の使い方について、事前に質問内容を通告せずに直接質疑する。説明が不十分と判断すれば21日以降も開くことも合意。舛添氏は9日、報道陣に対し「議会の指示に従う」と話した。

*10-2:http://www.sankei.com/politics/news/160510/plt1605100042-n1.html(産経新聞2016.5.10)会議費名目で「家族旅行」と文春報道 舛添氏「質問やめて」 13日の会見で説明へ
 東京都の舛添要一知事の資金管理団体「グローバルネットワーク研究会」(解散)が「会議費」名目で千葉県内のホテルに支出した約37万円が、家族旅行だった疑いがあると週刊文春がインターネットで報じ、舛添知事は10日、報道陣に「今日はちょっと(その質問は)やめていただきたい」と述べ、13日の定例会見で説明する意向を示した。政治資金収支報告書によると、同団体は舛添氏が知事就任前の平成25、26年に木更津市のホテルにそれぞれ約24万円と約13万円を支出。文春は「2回とも会議は行われていません。お子さんを連れて、家族でご利用になりました」とするホテル関係者の証言を紹介。政治資金規正法違反(虚偽記載)の疑いがあると報じた。


PS(2016年6月13日、15日《蚕の写真等》追加):*11のように、上海で購入した2着3万5000円(1着1万7500円)のシルクの中国服を政治資金の私的流用として騒いでいるメディアが多いが、中国を訪れ、中国に敬意を払って、中国の名産を買って帰るのは非難されるべきことではない。さらに、日本ではシルクは女性用の高級品というイメージが強いが、中国では「2着3万5000円」と安く、私も香港に行った人から5000円くらいのシルクのパジャマをもらって「シルクは洗濯しにくいのでは?」と思ったところ、「洗濯機で他のものと一緒に洗ってよい」と書いてあって驚いたことがある。つまり、日本におけるシルクの値段とシルクへの反応が異常で、批判している人の方が「井の中の蛙、大海(世界)を知らず」かもしれないので要注意だ。


 四葉左の3つは日本の伝統的な蚕生産の様子だが、一番右は蛍光を発する蚕だ。蚕は用途が多く、
   餌(例えば、桑とユーグレナの混合粉末飼料)の改良やコンピューターを使った空調管理などを
   行えば、建物の中で完全自動化してコストダウンした大量生産が可能だろう。また、織物や染色 
   もコンピューター親和性が高いので、従来の繭や絹織物産地の研究と進歩に期待する。

*11:http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160610-00000107-dal-ent (デイリースポーツ2016年6月10日)舛添氏「中国服は筆が滑る」と政治的使途を断固主張!背広は筋肉あり「窮屈」
 東京都の舛添要一知事が10日、東京都庁で定例会見を開き、噴出する政治資金の私的流用疑惑などに対する5度目の釈明を行った。この日は「書道の際に着ると筆がスムーズに滑る」ため“政治的使途”だと主張している、中国・上海で購入した2着3万5000円のシルクの中国服について、記者団から激しい突っ込みを受けたが、舛添氏は猛然と反論した。この中国服は、不可思議な政治資金使用の代表作で、記者団から理由があまりに稚拙では?と問われたが、舛添氏は「私は毎日のように書道をやってるんですが、やっぱり中国のシルクのヤツってのは、ここ(脇下や上腕を触りながら)が引っかからないんで、書きやすいんですね」と主張した。「第三者」だとする弁護士の調査時にも実演して説明したという舛添氏は、この日も身振り手振りを交えながら「私は柔道やってるんで、ここ(上腕)がものすごく張ってるんです。ものすごく筋肉があるもんですから、背広ってのは非常に引っかかるというか、どうしても窮屈になる。(中国服は)つるっとしてるんで、そういう意味です」とスーツを触りながら説明した。報道陣から「腕だけの問題か」と聞かれ「基本的にそうです」と返したが、「ならば袖のない服を着れば?」と問われると、「気温が低い時は?」と真顔で聞き返し、会見場に失笑が漏れた。


PS(2016年6月14日追加):確かに舛添氏の最近の答えは、答えになっていない部分もあったが、政局を作るために、法律違反でもない軽微なことで都知事をクビにして再選挙し、次は、それ以上の人を選べるのか疑問だ。日本は、むしろ東京、大阪などの大都市で有名なだけの人が選ばれる傾向にあり、これはマスコミがまともな政策論争をせず、このように歪んだ人格論争ばかりしているからである(公認会計士時代にODAで行った開発途上国の新聞記事の方が、よほどまともなことが書いてあった)。

*12:http://www.saga-s.co.jp/news/national/10201/322420
(佐賀新聞 2016年6月14日) 自民、舛添氏不信任案を協議、都議会の野党各会派は午後提出
 東京都の舛添要一知事の政治資金流用問題で、都議会最大会派で与党の自民党は14日午前、幹部らが知事の不信任決議案の提出に踏み切るかどうかを協議した。都議会の野党各会派は同日午後、議会運営委員会に不信任案を提出する。自民党内では参院選への影響などを懸念し「早期に辞めさせるべきだ」との声が高まっており、与党の公明党は自民党に足並みをそろえる方針だ。野党各会派は不信任案の一本化に向けた調整をする考え。不信任決議案は都議の3分の2以上が出席し、4分の3以上が賛成すれば可決される。会期末の15日に審議される見通し。


PS(2016年6月14日追加):舛添都知事は、北九州の貧しい家から東大に合格して成功したドリームの実現者であるのに、子どもの頃に貧しかったことを批判めいて伝えた報道もあるのは日本人の心の劣化を感じた。また、*13-1のように、舛添都知事が泣いたことを喜び、舛添都知事の子ども(公人ではない)がいじめにあうような報道を流し続けている報道姿勢にも意識の低さを感じている。なお、舛添都知事の子どものいじめを止めない慶応高校や慶応中学もおかしいが、子どもの方は悪いことをしておらず学校の替えもいくらでもあるため、いじめる相手とそれを止めない学校を堂々と論破するくらいのたくましさが欲しい。さらに、舛添都知事は、違法でないことについて悪いことをしたかのようにしつこくメディアで報道され辞職に追い込まれたため、名誉棄損・政治活動の妨害、自分と家族に対する人権侵害で週刊文春などを提訴するのが、本当の政治改革に役立つと考える。なお、私が提訴した時に週刊文春の担当者が言っていたのだが、週刊文春は、いつも複数の訴訟をかかえているそうだ。また、*13-2は、「舛添都政のこの2年余りは及第点をつけられるが、今回の退任劇は“おごり”が生んだもの」としており、その“おごり”とは、「公用車を使った」「スイートルームに泊まった」など、知事として不相応なものではないため、「ビジネスホテルに泊まって“おごり”はないが、都民のためにならない人」よりずっとよいと考える。

*13-1:http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160614-00000156-jij-pol
(時事通信 2016年6月14日) 議長の辞職要求拒否=舛添氏、涙ながらに―都議会
 自らの政治資金流用問題などをめぐる東京都議会の厳しい追及を受け、辞職に追い込まれることが確実な情勢となった舛添要一知事。しかし、川井重勇議長からの辞職要求を受け入れず、「子どものことを考えれば、今すぐにでも辞めたいが、時間を下さい」と、不信任決議案の提出を9月議会まで待つよう涙ながらに訴えた。川井議長は14日午後、不信任案可決を前に、自発的に辞職するよう議会内で舛添氏を説得したが、舛添氏は「応じられない」と拒否した。舛添氏は理事会で「不信任の可決をしたら、(自分が)辞任するか、議会解散の二者択一しかない。(8~9月の)リオデジャネイロ五輪・パラリンピックをやっているときに選挙をやる姿を世界に見せるわけにはいかない」と熱弁。自分の問題に関する報道で子どもがいじめにあっていることなども説明したという。川井議長は「必要に応じて知事に会うことがあると思う」と述べ、閉会日の15日を控え、引き続き舛添氏の説得を続ける意向を示した。共産党都議団の大山とも子幹事長は「解散をちらつかせながら、子どもまで引き合いに出して、不信任案を出すなと言っているようなものだ」と納得できない表情で語った。都庁関係者も「リオを盾に取って議会を脅しているような感じだ」と話した。

*13-2:http://www.nikkei.com/article/DGXMZO03620070V10C16A6AM1000/
(日経新聞 2016/6/15) 舛添都知事、おごりが生んだ退任劇
 政治資金の流用疑惑などが発覚して2カ月弱。211万票の得票で首都のリーダーになった舛添要一知事は急転直下、その座を追われた。「細大漏らさず公開しているし、何ら問題ない」。2014年1月14日に都庁で都知事選への出馬を表明した舛添氏はこう胸を張った。猪瀬直樹氏が辞めた問題に絡み、「政治とカネ」について質問された時である。あれから2年5カ月。本人の言葉とは裏腹に数々の疑惑が浮上し、批判の嵐にさらされた。都庁内で当初ささやかれていたのは「9月以降辞任説」だった。「今回は許してやる」。問題が発覚して早々、都議会自民党の幹部は舛添知事の周辺にこう伝えた。高い知名度が勝利の絶対条件になる都知事選。「勝てる後任候補」が見つからないうえ、今回、辞任に追い込めば、その次の都知事選は20年の東京五輪と時期が重なる。しかし、世論の批判は自民の想像を超えた。給与全額カットという知事の切り札も不発に終わり自民も方針を転換した。知事個人の評価とは別に、舛添都政のこの2年余りは及第点をつけられるだろう。非正規社員の正社員化へ国を上回る対策を打ち出し、障害者雇用にも力を入れた。巨額に膨らんだ五輪施設の建設費も圧縮し、水素社会の実現や国際金融センター構想も進めている。石原都政の負の遺産である新銀行東京も他行との経営統合という形でケリを付けた。舛添都政はバランスが取れている。しかし、股関節症の手術から復帰した昨年4月末ごろから「おごり」が表に出てくる。公用車での別荘や美術館通いが頻繁になったのもこのころだ。都議会から指摘された海外出張の見直しにも腰が重かった。「俺は首都を24時間、預かっている」。そんな自負が生来の強気な性格と相まって、公私混同を助長した。16年度の都予算に関する今年1月の知事査定。「2年後にはどんな成果が出るのか具体的に示せ」。舛添知事はその場に並んだ都幹部に檄(げき)を飛ばした。18年2月の都知事選での再選をにらんだ指示だった。舛添氏は再選後に東京五輪を「首都の顔」として迎え、その先は国政復帰も視野に入れていたに違いない。しかし、自らのおごりが、そうした思いや計算の全てを吹き飛ばした。


PS(2016年6月15日追加):私でさえ「買収した」「逮捕された」などの虚偽の言いがかりをつけられるのであり、“清廉さ”はどうやってでも否定できるものであるため、“清廉さ”のみを重視して「“清廉”に見えるが、知事としての能力に欠ける」という人選こそしないで欲しいと考える。

*14:http://www.saga-s.co.jp/news/national/10201/323075
(佐賀新聞 2016年6月15日) ポスト舛添の調整具体化、自民慎重、民進は清廉さ重視
 与野党は15日、舛添要一東京都知事(67)の辞職決定を受け、後継候補選びへ調整を具体化させた。2014年都知事選で舛添氏を支援した自民党は「政治とカネ」問題で舛添氏ら過去2代の知事が辞職した事態を問題視。7月の参院選に影響するとして、党本部主導での擁立に慎重な声が強い。民進党は、清廉さを重視して人選を進める方針だ。自民党東京都連は15日、緊急幹部会合を17日に開くと所属国会議員らに通知した。人気アイドルグループ「嵐」の桜井翔さんの父親で、17日付で総務事務次官を退く桜井俊氏(62)の名前が取り沙汰されたが、桜井氏は「出るつもりはない」と明言。


PS(2016年6月18日追加):*15-1、*15-2のように、舛添氏が辞職するまで、朝日新聞は最も大きな見出しで辞職を迫っていた。また、テレビ局は全局が不法行為でなかったり、誤解に基づき事実でもなかったりすることに対して非難の世論を煽り、テレビ朝日とTBSは特に熱心だった。そして、辞職後、*15-3のように「水に落ちた犬たたく現象、強まっている」「視聴率は、スポンサーがCMを出稿する際の目安になり、CM契約料金に直結し、他局も流しているので、やめられなかった」などと書いているのは、今後起こりうる名誉棄損と政治活動の妨害に関する訴訟に備える弁解であり、自分たちが本来の「報道の精神」や「責任感」を失って、主権者に悪影響を与えていることを自白したにすぎない。

*15-1:http://digital.asahi.com/articles/DA3S12409002.html (朝日新聞 2016年6月15日) 舛添氏不信任案可決へ 都議会、辞職しない場合 与野党、案を一本化
 東京都の舛添要一知事をめぐる政治資金の公私混同疑惑などの問題で、都議会最大会派の自民党は15日未明、舛添氏への不信任決議案を議会運営委員会理事会に提出した。都議会の各会派は、それぞれが出した不信任案を自民案に一本化し、15日の本会議で審議する。舛添氏が自ら辞職しない限りは、同日午後に可決される見通しだ。不信任案は、123人の在籍議員の3分の2以上が出席し、4分の3の賛成で可決される。可決された場合、舛添氏は10日以内に議会を解散しなければ、失職することになる。舛添氏が議会を解散しても、都議選で新たに選ばれた議会が再び不信任案を可決すれば、舛添氏は失職する。14日午後に開かれた議運委理事会では、与党の公明党や野党の共産党、民進党などが、それぞれ計7本の不信任決議案を提出した。舛添氏に自ら辞職を決断するよう説得していた自民も交渉が難航し、夜になって不信任案を提出した。14日は、舛添氏への説得が続いた。都議会の川井重勇議長(自民)も、主要4会派の要望を受けて理事会前に舛添氏と会談して辞職を促したが、舛添氏は「応じられない」と拒否したという。その数時間後、舛添氏は議運委理事会に出席。一連の問題について陳謝したうえで、不信任案を可決したら今夏のリオデジャネイロ五輪・パラリンピックを前に都政が混乱すると改めて説明。「第3回定例会(9月議会)に私の身柄を託したい」と訴え、13日と同様に不信任案提出の先延ばしを求めた。自民の14日午前の都連の幹部会では、一連の問題に対して世論の批判の矛先が自民に向かいつつあることから、「かばいきれない」との意見で一致したという。だが、不信任案が可決された場合、舛添氏が都議会解散を選択することを警戒。「舛添さんが自分から辞めれば、不信任を出さなくて済む」とし、舛添氏へ辞職を促してきた。舛添氏をめぐっては、政治資金での家族旅行や大量の美術品購入など私的流用疑惑が相次いで発覚。公用車の利用や高額な海外出張も問題となり、13日に都議会総務委員会の集中審議が開かれた。一問一答形式での舛添氏の説明が「不十分」とされ、質疑した6会派のうち自民を除く5会派が辞職を要求した。

*15-2:http://digital.asahi.com/articles/DA3S12410878.html (朝日新聞 2016年6月16日) (転落 公私混同の果て:上)語るほど世論反発、相次ぐ誤算 舛添都知事辞職
 15日の東京都議会。辞職を表明した舛添要一知事はこう語り、頭を下げた。疲れ切ったその顔から、かつて見せていた余裕は完全に消えていた。高額の海外出張費が問題になった4月上旬。「香港のトップが二流のビジネスホテルに泊まりますか? 恥ずかしいでしょう」と香港の記者に語った。公用車での別荘通いを問われても胸を張った。「公用車は『動く知事室』で、電話で報告などを受けている」。風向きが変わったのは5月だった。千葉県木更津市のホテルに家族と泊まった費用に政治資金をあてていたことを、週刊文春が報じた。都庁への抗議は1日千件超に増えた。それでもなお、ホテルで面会した人物については「政治の機微に触れる」と明かさなかった。都幹部は「知事は法律論のうえでは、違法ではないから問題ないと考えていた」と言う。理詰めで議論の相手をねじ伏せてきたが、世論は単純ではなかった。ここに舛添氏の一つ目の誤算があった。テレビのワイドショーが連日、問題を取り上げた。《公費で海外に行くのがうれしいのか。『ファーストクラスで海外』というさもしい根性が気にくわない》《議員の公用車も要らないと思っている》こうした著書での過去の記述が洗い出され、言動との不一致が指摘された。民放関係者は「舛添氏の報道を一度やめたら、同時間帯の他局の番組に視聴率を奪われた。視聴率が取れる話題だった」と明かす。二つ目の誤算は「第三者」による調査だった。「第三者の厳しい目に任せたい」。舛添氏は弁護士に調査を依頼することで打開を図ろうとした。調査の結果、宿泊費と飲食費の計約114万円分などが「不適切」とされたが、「違法とはいえない」と結論づけられた。だが、批判はむしろ強まった。まず、調査の客観性を疑問視する声が出た。政治資金で購入したシルクの中国服について、舛添氏が「書道の際、この服を着ると筆をスムーズに滑らせることができる」と説明したことも判明し、都議らから「あまりに説明が稚拙だ」と非難された。弁護士の態度までもが、ネット上で「逆ギレ」などと揶揄(やゆ)された。舛添氏が世に出たきっかけは、東大助教授時代の1987年に始まったテレビ朝日の討論番組「朝まで生テレビ」だった。保守の立場から、リベラル系の重鎮を相手に論争を挑んだ。司会の田原総一朗さんは「歯切れがよく、論争に負けなかった。何を言えばテレビが使ってくれるのか、よくわかっていた」と振り返る。「だが、今回は『正論』を語れば語るほど都民には弁解にしか映らなかった。論争では相手を負かせるという自信が、どんどん自分を追い詰めてしまった」
     ◇
 舛添氏の公私混同問題から何が見えたのかを検証します。全3回。次回からは社会面に掲載します。

*15-3:http://digital.asahi.com/articles/DA3S12414609.html (朝日新聞、Media Times 2016年6月18日) 舛添氏問題、TV局過熱 情報番組が高視聴率
 東京都の舛添要一知事が辞職に追い込まれた「政治とカネ」の問題。ワイドショーなどの情報番組を中心に、テレビが連日、多くの時間をさいて報じた。各局で異例の高視聴率を記録し、報道が過熱。番組制作の現場で、何が起きていたのか。
■「水に落ちた犬たたく現象、強まっている」
 フジテレビ系「直撃LIVEグッディ!」1部は疑惑追及の場になった都議会の集中審議を伝えた13日、平均視聴率が前4週平均から2・5ポイントアップし、昨年3月の放送開始以来最高の5・6%を記録した。同時間帯の日本テレビ系「情報ライブ ミヤネ屋」も、TBS系「ゴゴスマ・GOGO!Smile!」もそれぞれ2ポイント以上アップし、10・1%、4・9%だった(いずれも関東地区、ビデオリサーチ調べ)。ある情報番組のディレクターが手応えを感じ始めたのは、舛添氏が家族で泊まった千葉県内の温泉ホテルに会議費名目で約37万円を支出していたことを報じた5月からだ。公用車での別荘通い、政治資金での美術品購入……。「辞任を決意するまで日に日に数字が上がった」。別の民放プロデューサーは「関東以外の系列局でも視聴率が上がった。視聴者にわかりやすい問題で、まさにキラーコンテンツだった」と振り返る。なぜ、こんなに注目を集めたのか。図らずも記者会見や議会審議が放送時間に重なり、連日、舛添氏がカメラの前に登場したことが高視聴率を下支えした。番組側は、生中継でとにかく舛添氏の「生の声」を放送することを意識したという。発言を切らずに流したほうが視聴率が伸びたといい、その変遷や疑惑の内容をフリップにまとめて紹介した。ある民放プロデューサーは「舛添氏は何度もカメラの前に登場してくれて助かった。ふつう『渦中の人』はあそこまで出ませんから」。同じ「政治とカネ」の疑惑を追及された甘利明・前経済再生相は療養が必要になり、公の場から姿を消した。舛添氏自身が「怒りの燃料」を投下したとみる民放のチーフプロデューサーもいる。「疑惑を認めない彼のスタンスに対して、人々は自分の生活に引きつけて怒り、もっと知りたいという欲求を高めていった」。各局は、論点を整理し、面白く、分かりやすく伝えようとした。TBS系では、舛添氏がシルクの中国服を政治資金で購入した問題で、実際に書家に中国服を着てもらい「書道の際に着ると筆がスムーズに進む」との舛添氏の弁明を検証。「グッディ!」は集中審議の際、「あなたならどう攻める?」との字幕を出し、舛添氏の答弁に納得できたか、視聴者にツイッターで回答を求めた。連日、報じるなか、ある民放のディレクターは「さすがに放送はもういいだろう」と思った。ところが視聴率は伸び続けたという。視聴率は、スポンサーがCMを出稿する際の目安になり、CM契約料金に直結する。「他局も流しており、やめられなかった」。一連の報道について、服部孝章・立教大名誉教授(メディア法)は「消費増税の先送りや待機児童問題、五輪誘致の贈賄疑惑など報じるべきことが他にあるのに、メディアがわかりやすいスキャンダリズムに走り、軽重が逆転してしまった」とみる。舛添氏は辞任に追い込まれたが、疑惑の全容解明はならなかった。2014年にゴーストライターの存在が発覚し、批判報道が過熱した作曲家・佐村河内(さむらごうち)守氏を取り上げた映画「FAKE」が公開中の映画監督、森達也さんは「舛添氏の問題はあまりに身近で分かりやすく、たたきやすかった。タレントの不倫報道もそうだが、『水に落ちた犬をたたけ』という現象が以前より強まっている」と指摘する。


PS(2016年6月19日追加):法律違反で懲戒免職されるわけでもないのに、*16-1のように、「退職金を辞退せよ」「給料を辞退せよ」などと言うような主権者を育ててはならない。何故なら、「1日24時間、土日も拘束されよ」とも言っており、重責を負って長時間労働している政治家に対して労働基準法からかけ離れた幼稚な要求をして、金持ちや政治家の家系の出身者しか政治家になれないような状況を作っており、そのツケは必ず都民や国民自身にまわってくるからだ。
 例えば、*16-2は、国会議員の家系で金持ちだが、あまり勉強していないらしく教養のない麻生氏は、「①カネは一切息子や孫が払うものと思って使いたい放題使ってましたけど、ばあさんになったらああいう具合にやれるんだなと思いながら眺めてました」「②貯蓄より消費が重要で、金は使って回さないとどうにもならない」「③90歳で老後心配、いつまで生きてるつもり」などと述べておられる。しかし、①は高齢女性を馬鹿にしており、祖母に対してさえ敬愛の念を持たず相手の立場でものを考えられないことや、特殊な環境にいる高齢女性のみを見て全体を判断している点で論理になっていない。また、②は、使いたい放題使っていたとして高齢女性を馬鹿にしていたのとは正反対に無駄遣いの奨励を行っており、一つの話の中にさえ矛盾がある。そして、③は、確かに90歳というのは既に老後であるため老後の心配をしなければならないのはおかしいが、それをさせているのは麻生財務大臣はじめ関係省庁であり、「社会保障費がかかるから早く死ね」と言うのは、教養のなさが見識の低さとなって現れたということだ。

*16-1:http://mainichi.jp/articles/20160616/k00/00e/040/213000c?fm=mnm
(毎日新聞 2016年6月16日) 退職金2200万円、都民「辞退したら…」
 東京都の舛添要一知事の辞職が決まり、来月中にも都知事選が実施されることになった。首都の「顔」が2代続けて「政治とカネ」の問題で辞職した東京。都によると、舛添氏には都条例に基づき約2200万円の退職金が支払われる予定で、都民には次のリーダーへの希望と舛添氏への批判の声が交錯した。辞職決定から一夜明けた16日、舛添氏は午前10時過ぎに登庁した。薄いグレーのスーツ姿で、報道陣の問いかけにも真っすぐ前を向いて口を結び、足早に知事室に向かった。都によると、知事の退職金は退職した時点での給料月額(145万6000円)に在職月数(2年5カ月)をかけた額の52%で、退職から1カ月以内に支払われる。東京都大田区のJR大森駅前の商店街。青果店従業員の女性(52)は「次はお金にクリーンな人がいい。でも、政治家というのはクリーンではいられないのかしら」とうんざりした表情。退職金が支払われることに驚き「誠意があるなら辞退するのが男らしい引き際じゃないかと思う」と話した。総菜店経営の男性(58)は「辞めるのは仕方ないが(50億円とされる)都知事選の費用がもったいない」とぼやき「次はお金にきれいな人がいい」。退職金については「これだけ世間を騒がせたのだから、半分くらい置いていってほしい」と訴えた。寝具店従業員の男性(59)は「都知事は2代続いてお金に絡んだ問題で辞めている。次は政治家という仕事に奉仕の感覚のある人がいい」と望んだ。

*16-2:http://digital.asahi.com/articles/DA3S12416478.html
(朝日新聞 2016年6月19日)「90歳で老後心配、いつまで生きてるつもり」 麻生副総理が発言
 自民党の麻生太郎副総理兼財務相が17日、北海道小樽市での講演で「90歳になって老後が心配とか、わけの分かんないこと言っている人がこないだテレビに出てた。オイいつまで生きてるつもりだよと思いながら見てました」と語った。麻生氏自身も75歳だが、高齢者への配慮に欠けた発言として批判が出ている。麻生氏はこの日、小樽市の党支部会合で「1700兆円を超える個人金融資産があるのに消費が伸びていない」などと指摘する中で「90歳の老後」に言及した。自らの祖母が91歳まで元気だったと紹介し、「カネは一切息子や孫が払うものと思って、使いたい放題使ってましたけど、ばあさんになったら、ああいう具合にやれるんだなと思いながら眺めてました」とも語った。貯蓄より消費が重要として「金は使って回さないとどうにもならない」とも述べた。麻生氏の発言に対し、民進党の岡田克也代表は大分県由布市で「国は年金や医療、介護制度で、高齢者の不安に応えなければならない。私は非常に怒っている」と批判した。

| 民主主義・選挙・その他::2014.12~ | 04:05 PM | comments (x) | trackback (x) |
2015.3.29 主権者は、どういう人を議員に選んだのか? また、その理由は? (2015年3月30日、31日、4月2日、9日に追加あり)
    
  日米中の  購買力平価による   購買力平価で見た   日本の債務残高  出生時代別 
  名目GDP  一人当たりGDP    GDP順位の変化                 人口割合

I.無駄遣いは、こちら
(1)人の痛みを思いやり、よりよい解決策を考えるべき
 *1-1のように、2015年3月24日、「国が投入した巨大なブロック塊がサンゴ礁を破壊している問題で、翁長雄志知事は沖縄防衛局に対し、海底ボーリング調査など全ての海上作業を30日までに停止するよう指示し、『腹は決めている』と述べた」とのことだが、翁長知事の決意は、最近のすべての選挙で示された沖縄の民意である。しかし、菅官房長官は、「全く変更せず、粛々と進める」と述べたので、私もうんざりした。何故なら、日本が民主国家なら、ここは“粛々”と進めるべき場所ではないからである。

 しかし、*1-2のように、2015年3月28日、沖縄県が出した名護市辺野古海域での作業停止指示に、中谷防衛庁長官は「正当な手続きが済んでいる」と述べ、沖縄防衛局は不服として農水省に申し立て、その審査請求書には沖縄県内世論の大多数が辺野古移設に反対していることには触れずに「(作業停止は)普天間の返還遅れに直結し、周辺住民が騒音にさらされ続けることになる」とするなど、一方的な主張が目立つとのことである。

 そして、*1-3のように、農相は、2015年3月28日、「翁長氏の指示には正当性がない」として、沖縄県知事による米軍普天間飛行場移設先、名護市辺野古沿岸部で作業を進める沖縄防衛局への作業停止指示の効力を止める意向を固めたそうだ。

 しかし、私は、*1-4のように、名護市辺野古への移設については、これまでの経緯を見ればわかるとおり、政府は他の移設先を探すべきだと考える。中谷防衛庁長官が根拠としている「正当な手続き」の重要な一部である仲井眞知事の承認には、どう見ても国の恫喝による強制があったと思われた。そのため、菅官房長官が「翁長氏の指示は違法性が重大かつ明白で無効だ」と批判しているのは、日本の民主主義と公正性にかんがみて、どちらがおかしいのかをもっと大きな視野で司法に問うべきことになる。

 そして、現在は本当に必要な公共工事が目白押しであるとともに、埋め立ては無駄遣いで環境を壊し、硫黄島などの離島を提供する方が合理的であるため、米軍海兵隊の機能や何の抑止力になりうるのかなど、今一度、冷静に考えて結論づけた方がよい。

(2)原発にのみ税金から膨大な補助をすることにより、最もよい技術を残していく自然淘汰を阻害して
   いるのが日本の政治家・行政官であり、これらに、どういう人材が就いているのかが問題
    
 原子炉内部を  汚染水対策の   放射性物質の取扱い失格       もんじゅ  さらに原発保護
 今頃透視して   無駄遣い                         重要配管点検漏れ 
メルトスルー確認
   
 経産省と電力会社を中心として、原発への無駄遣いが目に余る。そして、既に起こってしまったフクシマ事故については、保障せざるを得ないが、40年も稼働しながら補助の継続を必要とするような技術は、使い物にならない。

 そのような中、*2-1のように、会計検査院の調査で、東電は2014年3月までに廃炉・汚染水対策として3455億円を支出し、そのうち約700億円は、除染装置の機能不全で無駄になったそうだ。処理水を溜めるために160億円かけて設置したボルト締め型のタンクは現在造り直しており、21億円で整備した地下貯水池も処理水漏れで使えなかったが、これらは、放射性物質をあまりにも甘く見ていた結果だ。

 さらに、汚染水を凍らせて止水する狙いで、海側の地下トンネルにたまった高濃度汚染水の抜き取りに向けた実証実験を子会社の東京パワーテクノロジーに1億円で委託したが、汚染水は凍らず作業員が手作業で氷を投するという、ちょっと考えれば事前にわかる馬鹿な結果となった。

 また、*2-2のように、会計検査院の試算によれば、国が東電に支援する9兆円を全額回収するには30年超かかる可能性があり、国は東電が事業利益から出す特別負担金や東電株式(1兆円相当)の売却益などで回収する計画だが、検査院は「高価格での東電株式売却は確実でない」と指摘している。

 その上、*2-3のように、経産省、「もんじゅ」の技術開発費1401億円を原発コストに含めず、原発のコストは他のエネルギーよりも安いと主張する。しかし、太陽光発電の開発費はシャープが拠出し、これが通常の製品であって開発費はコストの一部であるため、コスト比較に不公正があるのだ。また、「事故の発生確率は約40年に1回」「原発の安全対策をしているのに事故リスクが下がらないのは、つじつまが合わない」「前回も世界最高水準の安全対策をとることが前提だったため、確率を変えるのは反対だ」というように、事故の確率に関する科学性のなさも問題で、これが原発力ムラのレベルなのだ。

 そのような中、*2-4のように、経産省は、原発再稼働と電力自由化を睨み、電力会社が独占してきた原発の安い電気をだれでも売れるように、原発由来の電力を新電力に供給することを義務付けるそうだ。それは、今後、原発への公的な支援拡大が避けられず、世論の支持を得るためだそうだが、その公的支援は、最も優れた発電方法に淘汰していくことを邪魔し、最もコストが高くて危険な原発を温存する、逆効果の無駄遣いなのである。

II.国は、国民が保険料を支払ってきた基金の受託者であるため、正当な注意なき管理による不足分を、委託者である国民(受け取る高齢者)に、しわ寄せすることは許されない。
    
   年金制度      マクロ経済スライド 2014.11.28朝日  介護保険料値上げ

(1)インフレ政策の罪
 *3-1のように、黒田日銀総裁が「秋以降に物価上昇率が加速する」と述べたように、政府と日銀は、脱デフレを目的して金融緩和による物価上昇政策(つまり、インフレ政策)を行っている。それは、2015年度末にかけて2%の物価上昇目標を達成して堂々と消費税増税を行うため、及び、*3-2のように、「マクロ経済スライド(意味のない名前だ)」を適用し、物価上昇で実質年金支給額を目減りさせる目的があり、ここに高齢者の生活に対するやさしさや配慮は全くない。そして、これは、高齢者の犯罪が増えている原因である。

 *3-1によれば、黒田氏は、「①全国消費者物価指数が原油安の影響を受けて、0%程度の低い上昇率にとどまる可能性がある」「②(物価の伸び悩みが賃金改善を遅らせる)悪循環につながる懸念は払拭された」「③外国為替相場の円安の定着で輸出が持ち直し、経済全体がうまく回り始めた」としたそうだが、これらはすべて経済学的におかしく、それをまともに批判できるメディアがないのも驚きだ。

 実際には、この金融緩和による物価上昇政策(つまり、インフレ政策)の影響で、円ドルレートは80円前後から120円前後になったため、我が国のドル換算GDPは単純に2/3になった。また、物価上昇した分だけ国民の購買力は低下し、購買力平価で見た一人当たりGDPは左から2番目の図のとおりだ。それにもかかわらず、こうしなければ輸出や企業立地が増えずに③の状態であり、国家財政も大赤字なのであれば、それが日本経済の実力と言わざるを得ないが、そうなってしまった大きな理由に、Iに記載した政治・行政の誤った政策による付加価値を上げる新産業への妨害や生産性の低い雇用、投資がある。

 なお、②の「デフレでは賃金が減り、デフレスパイラルに陥る」と言っている人は多いが、付加価値を高くできない無駄な投資をしている日本経済の実力では、日本全体として実質賃金が上がるわけはない。また、百歩譲って実質賃金が上がったとしても、上の右図のように人口の30%を占める高齢者の年金所得が減り、生活にさえ困っている状態なのだから、高齢者は節約モードに入って、①の原油安は福音でこそあれ、国内需要が増えて経済が活性化することにより物価が上昇をするなどということはない。

 なお、経済学の理論上も、GDPの一定割合の投資ができるためには、同じ割合の貯蓄が必要であるため、現在の政策では、生産性を上げる民間投資も民間貯蓄も減るしかないのである。

(2)政府が低所得の高齢者からむしりとる政策は破廉恥で、若者の倫理観にも悪影響を与えている
 *3-2のように、物価が上昇に転じても、年金抑制策「マクロ経済スライド」機能して、公的年金はこれまでのように増えなくなり、これにより実質年金額が下がるため、現在及び将来の実質年金支払額が減ることになるが、最低年金の底上げは先送りされており、これこそが、最も大きなインフレ政策の目的であろう。そして、高齢者が負担する介護保険料も上がっており、「年寄りは(若者に負担をかけずに)早く死ねということか」と言われても否定できない破廉恥な状況なのである。

 その上、*3-3のように、政府は、子への「結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置」「教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税措置」「住宅資金贈与の非課税制度」などを創設し、高齢者から子や孫への教育・住宅資金の贈与を奨励している。しかし、高齢者の貯蓄は働けなくなった後の生活費であるため準備があるのが当然であり、贈与した祖父母が年を取った時に資金不足に陥ったり、子や孫が一時的に分不相応な出費をしたり、また格差の固定化の問題があったりするのである。

(3)では、どうすればよいのか
 年金については、2012年12月18日、2014年5月5日始め、このブログの「年金・社会保障」のカテゴリーに、これ以外なら不公正になると思われる唯一の提案を何度もしてきた。つまり、国は、年金制度を積立方式に戻して退職給付会計を採用し、年金基金のずさんな管理を改め、これまでのずさんな管理・運用で足りなくなっている積み立て分は国債で賄い、その国債は次世代までかけて返済することとして、暮らしていける年金給付を行うべきなのである。

 それにより、政府に邪魔されずに市場が機能して、無駄な公共事業で悪循環になることもなく景気が回復し、高齢者が必要とする製品が売れて本物の需要が喚起され、高齢化社会で必要とされる新製品や新技術の開発が進むのである。

III. その他
(1)外国人を労働力と認めず、技能実習生とする差別
 *4に、外国人技能実習制度の対象職種として、新たに介護分野を加える方針を厚生労働省が固め、それは、介護現場の深刻な人手不足によると記載されている。しかし、私も、技能実習制度の名の下に、労働者を最低賃金を下回る低賃金などの劣悪な条件で雇用するのは、介護制度にプラスでないばかりか、外国人に対する人権侵害だと考える。

 これは、国連や米国から「人身売買」などと厳しく批判され、日弁連も制度の廃止を求めているものであるため、厚労省はじめ政府がブラック企業のようにならないためには、早急に見直して正当な外国人の雇用を進めるべきである。

(2)カジノ解禁で博打国家へ(!?)
 その上、*5のように、自民、維新、次世代の3党がカジノ法案を国会に再提出しようとしているのは、もともと自民党系のこの3党であれば予想外というわけではないが、カジノは法律で禁じられている博打であることを考えれば、全く見識に欠ける。

 また、観光目的といっても、日本は、カジノがなければ面白くないような場所ではない上、カジノで巻き上げられてよい思い出を持って日本を後にする外国人はいないため、国益にもならない。

IV. 結論
 ここまで見て、私には、日本では若いヤマト人男性の幸福しか追求されておらず、他の人はそのために犠牲になるべきだという前提があるように見えた。これは、日本国憲法前文の「われらは、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」、同13条の「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」に違反しており、先進国の常識にもあわない。

 それにもかかわらず、“主権者”がそういう人を為政者に選ぶ事態となった理由についても問題にすべきであり、経済学を本当の意味では理解しておらず、空気を読んで報道することしかできない人が、メディアとして「言論の自由」「報道の自由」など語る必要はないし、その資格もないと考える。

<環境破壊と公共工事による無駄遣い>
*1-1:http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-240804-storytopic-11.html (琉球新報社説 2015年3月24日) 新基地停止指示 安倍政権は従うべきだ 知事判断に正当性あり
 目の前に横たわる不条理に対し、冷静に法理を尽くし、粛々と是正を求める権限行使である。沖縄の尊厳を懸けた安倍政権との攻防は新たな局面を迎えた。名護市辺野古への新基地建設に向け、国が投入した巨大なブロック塊がサンゴ礁を破壊している問題で、翁長雄志知事は沖縄防衛局に対し、海底ボーリング(掘削)調査など全ての海上作業を30日までに停止するよう指示した。作業停止を拒む政府に対し、翁長知事は「腹は決めている」と述べた。埋め立て本体工事の基盤となる岩礁破砕許可も取り消される公算が大きくなった。
●「主権」はどこへ
 翁長知事は安慶田光男、浦崎唯昭の両副知事と共に会見した。新基地建設阻止に向けた不退転の決意を県内外に示す狙いがあろう。「沖縄のことは沖縄が決める」。われわれは地方自治の原則に根差した知事の決断を強く支持する。問題を整理しよう。国は新基地建設に抵抗する市民を排除するため、埋め立て海域を取り囲む臨時立ち入り制限区域を設けた。その上で、埋め立てを承認した仲井真弘多前知事から昨年8月に岩礁破砕の許可を得た。広大な臨時制限区域を示す浮標灯を固定する重りとして、沖縄防衛局は海底に最大160キロの鋼板アンカー248個を設置したが、大型台風で120個が流出した。消えたアンカーの代わりにしたブロック塊の重量は10~45トン、低く見積もっても当初のアンカーの62~280倍に及ぶ。環境保全に背を向けた常軌を逸した対応だ。埋め立て海域とは関係ない海域で巨大なブロックがサンゴ礁を無残に押しつぶしている。「無許可行為」が確認されれば、岩礁破砕許可取り消しなどを命じることができる。知事の作業停止指示には環境破壊を防ぐ法的正当性がある。一方、県は臨時制限区域内で、サンゴ礁の破壊の有無を調べる立ち入り調査を申請したが、米軍は「運用上の理由」を挙げ、不許可にした。だが、沖縄防衛局は連日、潜水調査を実施しており、運用上の理由は成り立たない。防衛省や外務省は県の調査実現の仲介さえしようとしない。狭量な二重基準が極まっている。安倍政権と米軍が気脈を通わせた県排除の構図だ。日本国内の環境を守るための調査さえかなわないなら自発的な「主権喪失」と言うしかない。安倍晋三首相が国会などで連呼してきた「主権」は沖縄では存在しないかのようだ。
●低劣な品格あらわ
 「全く問題はない」。沖縄の基地負担軽減を担当しているらしい菅義偉官房長官はこの日も硬い表情で断定調の「全く」を再三口にした。強気一辺倒の物言いには、沖縄を敵視する響きがある。見たくない現実から目を背け、都合のよい事情だけ取り入れて強がり、恫喝する。仲井真前知事による埋め立て承認にすがりつき、沖縄の民意を問答無用で組み敷くことしか打つ手がないことの表れだ。子どもじみた心性が際立つ。民主主義の価値を損なう政権の低劣な品格が映し出されている。沖縄の民意は「普天間固定化ノー、辺野古新基地ノー」だ。掘削強行や人権無視の過剰警備など、安倍政権のやることなすことが沖縄社会の反発を強める悪循環に陥っている。「辺野古移設か、固定化か」という脅しも沖縄に基地を押し込める差別を助長している。普天間飛行場は戦後、米軍が民有地を強制接収して造った。奪われた土地にできた基地を動かす先がなぜ県内なのか。かつて県内移設を認めていた県民も根本的な疑念を深め、今は総じて7割超が反対している。普天間飛行場を抱える宜野湾市でも民意は鮮明だ。昨年の県知事選と衆院選で危険性除去を訴えた仲井真前知事と自民党現職は大差をつけられた。民主主義を重んじる正当性は沖縄にある。安倍政権は工事停止指示を受け入れるべきだ。追い込まれているのは政権の側である。

*1-2:http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-241032-storytopic-11.html
(琉球新報社説 2015年3月28日) 防衛局不服文書 沖縄の痛み感じ県外移設を
 米軍普天間飛行場の移設計画をめぐり県が出した名護市辺野古海域での作業停止指示について、沖縄防衛局が不服として農水省に申し立てた審査請求書などの内容が明らかになった。県内世論の大多数が辺野古移設に反対していることには触れず「(作業停止は)普天間の返還遅れに直結し、周辺住民が騒音にさらされ続けることになる」とするなど、一方的な主張ばかりが目立つ。そもそも国の機関が別の国の機関に行政不服審査法に基づく審査請求や執行停止を申し立てられるのか。同法は第1条で国民に不服申し立ての道を開き「国民の権利利益の救済を図る」ことをうたっている。つまり申し立ての当事者は国民だ。国ではない。防衛局は「特権的立場あるいは優越的地位」ではなく「一般私人と同様の立場」で申し立てたと弁明した。防衛省と農水省という政府の身内同士が申立人と審査人の立場になることは疑問だ。「特権的」「優越的」にないと主張するのもあまりに苦しい弁明だ。公正、公平な判断が出る環境が担保されていると誰が思うだろうか。防衛局は岩礁破砕を「海域における地殻の隆起形態を変化させる行為」と記し「サンゴ礁にまで発達したとは認められないサンゴ類をき損する行為は規制の対象とならない」と自論を展開している。サンゴ礁とはサンゴの群落を指す。コンクリートの下敷きになっていたのは複数のサンゴ類だ。小規模ながらも群落を形成しており、これをサンゴ礁から除外することが果たして妥当なのか。群落でないサンゴ類だとしても、岩礁に含まれないから破砕しても構わないという主張は極めて乱暴だ。普天間移設についても名護市辺野古が「唯一の解決策」と記した。中谷元・防衛相は大臣就任前に学生のインタビューに答え、普天間飛行場の県外移設について「理解してくれる自治体があれば移転できる」と断言していた。「唯一」でないことを防衛相自身が認めている。詭弁を繰り返すのはもうやめるべきだ。意見書を出した翁長雄志知事は辺野古移設を強行する政府について「沖縄県民の痛みを感じない、感じようとしない」と批判した。正しい指摘だ。国がすべきは執行停止や審査請求を申し立てることではない。県民の痛みを受け止め、県外移設を真剣に検討すべきだ。

*1-3:http://www.saga-s.co.jp/news/national/10201/171259
(佐賀新聞 2015年3月28日) 農相、県の停止指示「無効」へ、辺野古作業、30日にも発表
 林芳正農相は28日、沖縄県の翁長雄志知事による米軍普天間飛行場(宜野湾市)の移設先、名護市辺野古沿岸部で作業を進める沖縄防衛局への作業停止指示の効力を止める意向を固めた。県が農相に提出した意見書を精査する作業を進めた上で、30日にも発表する。沖縄県は27日に提出した意見書で、防衛局が翁長氏の指示の効力を止めるため農相に提出した執行停止申立書は「不適法であり、却下されるべきだ」としていた。林農相は、「翁長氏の指示には正当性がない」とする防衛局側の主張の方が妥当との判断に傾いた。知事の指示の効力が停止されれば、防衛局は作業を継続できることになる。

*1-4:http://www.topics.or.jp/editorial/news/2015/03/news_14275014549174.html (徳島新聞社説 2015年3月28日) 辺野古移設で対立 政府は沖縄の声を聞け
 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設をめぐり、政府と沖縄県の争いが全面対決の様相になってきた。翁長雄志知事が、辺野古沿岸部での海底ボーリング調査を停止するよう指示したのに対し、政府は無視して作業を続けている。双方は法廷闘争も辞さない構えだ。このままでは対立が決定的になり、修復できなくなる恐れがある。ここまで事態が悪化した原因は、沖縄の声を聞かず、強引な手法をとってきた政府の側にあろう。政府は作業を中止し、県との話し合いを始めるべきだ。翁長知事は、指示から7日以内に作業を停止しなければ、海底の岩石採掘などの岩礁破砕に関する許可を取り消すと警告している。作業停止の期限は今月30日である。知事が停止を指示したのは、防衛省がボーリング調査のため投入した大型コンクリート製ブロックが、岩礁破砕の許可区域外でサンゴ礁を傷つけている可能性が高く、作業を止めて県が調査する必要があると判断したためだ。県は、岩礁破砕許可が取り消されれば、防衛省はボーリング調査を続行できなくなると主張している。これに対して防衛省は、県の破砕許可は不要と反論。対抗措置として、行政不服審査法に基づき、指示の執行停止を求める申立書などを林芳正農相に提出した。菅義偉官房長官は「翁長氏の指示は違法性が重大かつ明白で無効だ」と批判する。だが、県の潜水調査では、1カ所でサンゴ礁の損傷が確認されている。他の地点も確かめ、問題があれば是正させたいというのは県として当然ではないか。防衛省は昨年8月にボーリング調査を始め、翌9月に中断した後、今月再開した。翁長知事は、前知事による埋め立て承認の是非を検証する有識者委員会を1月に設置し、検証が終わるまで調査を再開しないよう求めていた。それを一顧だにせず、抗議する人たちを力で排除しての強行だった。乱暴なやり方に「これが民主主義なのか」と県民から怒りの声が上がったのはもっともだろう。菅官房長官は「わが国は法治国家だ」「法令に基づき、粛々と工事を進める」としている。しかし、前知事が公約に背いて踏み切った辺野古の埋め立て承認は、昨年11月の知事選で大敗を喫したことで県民からノーを突き付けられた。昨年の名護市長選と衆院選でも、移設賛成派は完敗した。沖縄の民意は明確に示されている。それを無視して進めることが正当な方法といえるだろうか。翁長知事は就任後、安倍晋三首相と菅官房長官に一度も会えていない。安倍首相はきのうの参院予算委員会で「国と地元がさまざまな取り組みについて連携を深めていく中で、翁長氏との対話の機会も設けられると考えている」と述べた。首相は中韓両国首脳との会談開催をめぐり、前提条件を付けるべきではないとし、対話のドアは常にオープンだと強調している。その姿勢を沖縄に対しても貫いてもらいたい。地元の理解と協力を得ようとするなら、まずは県民の声に耳を傾けるべきである。

<原発には税金から多額の補助をして技術進歩を阻害>
*2-1:http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2015032402000121.html (東京新聞 2015年3月24日) 汚染水対策700億円無駄に 東電 除染装置不具合など
 東京電力が福島第一原発事故の汚染水対策に投入した一部の除染装置などが十分に機能せず、約七百億円が無駄になっていたことが、会計検査院の調査で分かった。検査院によると、東電は二〇一四年三月までに廃炉・汚染水対策として三千四百五十五億円を支出した。東電はこれまで対策費用の内訳を「個別の契約内容」として明かしていない。最も多額なのは、一一年四月に仏アレバ社など六社と三百二十一億円で契約した除染装置。汚染水の放射性セシウムを薬剤で分離して濃度を下げる。だが処理効率が悪く、高濃度の汚泥が発生する問題もあり、三カ月動いただけだった。日立GEニュークリア・エナジーや東芝などと百八十四億円で契約した、処理水を蒸発させて塩分を取り除く装置も問題視された。水漏れが相次ぎ、五~四十四日しか動かなかった。処理水をためるため百六十億円かけて設置したボルト締め型タンクは一三年八月に三百トンの水が漏れた。二十一億円をかけ整備した地下貯水池も一三年四月に処理水漏れが起き、使えなくなった。海側の地下トンネルにたまった高濃度汚染水の抜き取りに向けた実証実験を、子会社の東京パワーテクノロジーに一億円で委託。汚染水を凍らせて止水する狙いだったが、実験のようには凍らず、作業員が手作業で氷を投入した。東電は一二年七月に実質国有化され、会計検査院が国会の要請で東電の経営合理化の状況などを調べた。調査結果の公表は一三年十月に続き二回目。東電の小林照明原子力・立地本部長代理は「設備は事故発生以降、発電所を安定的に保つためのもので、不要とは考えていない。機能は発揮していたのではないか」とコメントした。

*2-2:http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS23H3H_T20C15A3PP8000/
(日経新聞 2015/3/23) 東電への支援金9兆円、回収まで30年超 会計検査院試算
 会計検査院は23日、東京電力への検査結果を公表した。東電が2014年に政府の認定を受けた新総合特別事業計画(再建計画)を検証した。福島第1原子力発電所事故の賠償スキームで、国が東電に支援する9兆円を全額回収するには30年超かかる可能性があると試算した。東電は電力各社と政府が出資する原子力損害賠償・廃炉等支援機構を通じて国から9兆円の資金援助を受けている。国は、東電が事業の利益から出す特別負担金や、機構が引き受けた東電株(1兆円相当)の売却益などで回収する。再建計画では、東電株売却は2020年代半ば以降の実施予定だが、国の回収までの期間は示されていない。検査院は東電の平均売却価格(1株750~1350円)などの条件を変え、6通りを試算した。その結果、最短で18年後の32年度末、最長で30年後の44年度末と算出した。東電株は現状は500円以下で推移しており、検査院の担当者は「さらに長期化する可能性がある」としている。除染費用(2.5兆円)は株売却益でまかなう計画だが、平均売却価格が1050円になる必要がある。検査院は「企業価値の向上に東電が取り組むのは当然だが、高価格での売却は確実でない」と指摘した。

*2-3:http://digital.asahi.com/articles/ASH3V4RPMH3VULFA00W.html?_requesturl=articles%2FASH3V4RPMH3VULFA00W.html&iref=comkiji_txt_end_s_kjid_ASH3V4RPMH3VULFA00W (朝日新聞 2015年3月27日) 「もんじゅ」技術開発費、原発コストに含めず 経産省
 原発の発電コスト計算から高速増殖炉の原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)の技術開発費が除外される見通しとなった。経済産業省が26日開いた、原発や再生可能エネルギーなど電源ごとの発電コストを再検証する「発電コスト検証ワーキンググループ(WG)」で、方針に異論が出なかったためだ。この日のWGでは、将来に向けた研究費は、いまの発電コストに含めるべきではないとの意見でまとまった。前回2011年の民主党政権下では、それまで含んでいなかった原発立地のための交付金や研究費といった「政策経費」も加えることにした。この時の政策経費は、11年度の予算をもとに年間3182億円かかると試算して、発電コストは1キロワット時あたり1・1円上昇した。このうち「もんじゅ」を含めた将来に向けた技術開発費は1401億円と半分近くを占めた。今回の算定で使われる今年度予算では、「もんじゅ」を運営する日本原子力研究開発機構の運営交付金が955億円などとなっており、こうした費用が除外の対象になるとみられる。今後、経産省は除外する費用を積み上げるが、前回の1キロワット時あたり8・9円以上とした原発コストの押し下げ要因になる。一方、前回試算で「約40年に1回」とした事故の発生確率は結論が出ず、これからの焦点になる。委員からは「原発の安全対策をしているのに事故リスクが下がらないのは、つじつまが合わない」とする意見や、「前回も世界最高水準の安全対策をとることが前提だった。確率を変えるのは反対だ」という意見もあり、割れた。

*2-4:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20150324&ng=DGKKASFS23H5J_T20C15A3MM8000 (日経新聞 2015.3.24) 原発の電気、新電力へ、経産省方針、小売り競争促す 取引所に供給 義務付け
 経済産業省は原子力発電所が7月にも再稼働するのをにらみ、原発でつくった電気を電力小売りに新規参入する企業(新電力)も調達できるようにする。大手の電力会社に原発の電気を卸電力取引所(総合2面きょうのことば)に供給するよう事実上、義務づける。電力会社が独占してきた原発の安い電気をだれでも売れるようにし、電力小売りの競争を促す。九州電力川内原発1号機(鹿児島県)は7月にも再稼働する。経産省はそれに合わせて、まず原発を再稼働した電力会社に余った電気を日本卸電力取引所(東京・港)に供給するよう指導する。いまも新電力は卸電力取引所で電気を調達できる。しかし原発の停止で電力が不足しており、電力会社から取引所への電気の供給は限られる。2016年4月には工場など大口の需要家だけでなく、家庭向けの電力小売りも自由化される。経産省は取引所への供給を増やし、電気料金の引き下げにつなげる考えだ。政府はいまの国会に「電力市場監視委員会」の設置法案を提出している。成立すれば、同委員会は今秋にも発足する。電力会社が原発の安い電気を取引所に流していなければ、同委員会が是正を勧告する。安い電気の供給がすすまなければ、経産省が改善命令を出せるルールをつくる。足元の取引所での売買価格は1キロワット時あたり10~15円なのに対し、原発の発電コストは数円程度とされる。安価なコストを反映した電気が取引所に流れれば、売買価格の低下が期待できる。同委員会は余った電気のうち、どれだけの割合を市場に供給しているかも調べる。「電力会社は余剰となった電気の3割を市場に流すべきだ」(新電力のエネット)との意見も上がっている。仮に供給量が少なければ、一定量を取引所に供給するよう義務づける法整備に乗り出す構えだ。経産省が原発でつくった電気を新電力に開放するのは、原発の再稼働で電力会社だけが得をしないようにするためだ。再稼働で電気料金は下がる見通しだが、安い電気を電力会社だけが独占すれば新電力の参入余地は限られる。経産省は将来、大手電力会社に原発で生んだ電気を原則すべて市場に供給させることも検討する。今後、原発への公的な支援の拡大は避けられず、世論の支持を得るには原発の活用で電気料金を引き下げる必要があるからだ。12兆円超とされる使用済み核燃料の再処理費用は現在、原発を抱える電力会社がほとんどを負担している。新電力との競争がすすめば、電力会社は必要額を払えなくなるおそれもある。経産省は新電力が負担する再処理費用を増やす制度の導入も視野に入れている。

<倫理観なき高齢者いじめ>
*3-1:http://qbiz.jp/article/59046/1/
(西日本新聞 2015年3月28日) 「秋以降に物価上昇率が加速」 黒田日銀総裁
 日銀の黒田東彦総裁は28日、TBSのBS番組に出演し、物価動向に関して「秋以降、上昇率が加速していくと思う」と述べ、2015年度末にかけて2%の物価上昇目標を達成できるとの認識をあらためて示した。27日に発表された2月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く)は、原油安の影響を受け、消費税増税の影響を除くと前年同月から横ばいとなった。黒田氏は原油安の影響がなくなるまで「0%程度の低い上昇率にとどまる可能性がある」と説明した。黒田氏は、外国為替相場の円安の定着で輸出が持ち直しており「経済全体がうまく回り始めた」とも指摘した。「(物価の伸び悩みが賃金改善を遅らせる)悪循環につながる懸念は払拭された」と強調した。

*3-2:http://mainichi.jp/select/news/20150208k0000e040125000c.html
(毎日新聞 2015年2月8日) 「マクロスライド」:初適用 低年金層対策、置き去り
 4月以降、公的年金はこれまでのように増えなくなる。物価が上昇に転じ、デフレ下で凍結されてきた年金抑制策「マクロ経済スライド」が初めて機能するためだ。今後も物価の上昇基調が続けば、若者が将来受け取る年金はひと息つく半面、低年金のお年寄りは打撃を受ける。にもかかわらず、セットで進めるはずの年金の底上げ策は先送りされようとしている。
◇月6万円 「1%抑制でも死活問題」
 「家計は今までもギリギリ。物価が上がっても年金がほとんど増えないのでは生活できない」。東京都足立区の都営住宅で1人暮らしをする田中実さん(78)は、物価が2.7%増なのにマクロ経済スライドによって年金は0.9%増にとどまることに肩を落とす。毎月の収入は約6万円の国民年金(基礎年金)と、5万〜6万円のパート代。以前は家賃や光熱費を払っても余裕があったのに、消費増税や値上げのあおりでスーパーに行く回数は減り、商品は「本当に必要か」と吟味してから買い物カゴに入れるようになった。パートは週3回。真冬の今も、朝から夕方まで室温8度の冷蔵室で野菜を詰める作業だ。生活費だけでなく、趣味の囲碁と手芸教室に通う費用をひねり出すため10年前から頑張ってきた。それが今やパート代の多くは生活費に消える。田中さんはいずれ働けなくなる時に備え、毎月少しずつ蓄えてきた。だがそれもできなくなった。収入減を思うと、風邪をひいてもパートは休めない。「年寄りは体を壊して早く死ねということか。年金額が低い人にとっては、1%の抑制でも死活問題です」。2014年度の国民年金は満額で月6万4400円。15年度はマクロ経済スライドが響き、6万5008円と608円増にとどまる。スライドの期間は43年度まで約30年続く。この間、年金の伸びは物価や賃金の伸びに追いつけず、実質価値が下がり続け、現役との収入格差も広がる。とりわけ国民年金は今より3割も目減りする。マクロ経済スライドの影響は、障害年金で暮らす人にも及ぶ。さいたま市の実家に1人で住む統合失調症の女性(48)は、精神障害者として月6万4400円の障害基礎年金を受けている。千葉にいる両親が蓄えを崩して光熱費や食費の一部を助けてくれ、どうにか生活できているという。

*3-3:http://biz-journal.jp/2015/01/post_8549.html (畠中雅子/ファイナンシャルプランナー・高齢期のお金を考える会 2015.01.12) 教育・住宅資金の一括贈与の罠?祖父母は生活困窮、子・孫は分不相応な出費で家計逼迫
 今年1月、相続税の基礎控除が引き下げられた。そのことを受けて相続増税に関する話題が盛り上がりを見せているが、相続と関連の深い贈与税の制度についても、さまざまな改正が行われている。例えば、2015年度の税制改正大綱の中には、「結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置の創設」とある。それは今年の4月から適用される。この制度は、結婚および子育てについて、親や祖父母から1人につき1000万円まで(結婚費用は300万円まで)の資金を、非課税で贈与できるとするもの。利用するには、金融機関に信託する必要があるようだ。税制改正大綱には「払い出した金銭を結婚・子育て資金の支払いに充当したことを証する書類を金融機関に提出しなければならない」と書かれている。書類としては、結婚式場に支払った金額の領収証や妊婦健診費、出産費用の領収書などが必要になるとみられる。この制度を利用できるのは19年3月末までの予定となっており、贈与を受けた人が50歳となった時点、あるいは死亡した時点で金融期間との信託契約が終了し、残額について贈与があったものとして贈与税の計算をすることになっている。
●教育資金の一括贈与は延長、住宅資金の贈与も拡充
 すでにスタートしている「教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税措置」についても、19年3月末までの延長が決まった。こちらは、学校をはじめとした教育機関に支払う学費などの教育費として使うことを目的に、最高1500万円まで非課税で贈与できる制度である。さらには、一定額までの住宅資金を非課税で贈与できる「住宅資金贈与の非課税制度」についても、昨年の制度より拡充されている。まさに、親から子へ、祖父母から孫へと、「贈与制度をどんどん利用してほしい」といった大盤振る舞い状態となっている。個人的には、これらの制度に文句があるわけではない。ただし、きちんと制度の内容を理解してライフプランを立てた上で利用しなければ、贈与した側もされた側も後悔する可能性が出てくると考えている。教育資金一括贈与の制度が施行された当初は、手続き書類が不足するほど申し込みが殺到した。手数料などが無料になる期限を設けたことが要因だ。しかし、冷静に考えてみれば、教育資金のように生活に必要な資金を祖父母が出したとしても、もともと贈与税は課せられていない。あまりに分不相応な援助まで非課税になるとは言い切れないが、一般的な進学コースの場合、祖父母に援助してもらうのは以前からよくあることで、贈与税の対象になるわけではない。また妊娠・出産に関しても、公的サポートは充実してきており、高額な費用は必要なくなった。例えば、妊婦健診は全国どの自治体でも14回分の助成が受けられる上、別の補助制度を備えている自治体も少なくない。出産に関しても、健康保険から病院へ出産育児一時金を支払ってもらえる「直接支払制度」が主流になっているため、妊娠期から出産にかけての自己負担額は10万円に満たないのが一般的だ。妊娠・出産費用は、各種の助成が拡充したことで負担はかなり軽くなっており、親から多額の助成を受ける必要があるとはいいにくい。
●援助によって生活が壊れることも
 教育資金を一括贈与で援助してもらった若い夫婦が、別のところでお金を使ってもらおうという狙いなのだろうが、これらの制度にはライフプランの視点から2つの問題がある。一つは、贈与した祖父母が年を取った時に、資金不足に陥るかもしれないリスク。相続税対策が必要な資産家が、この制度を利用して相続資産の減少を目指すのは合理的な選択だ。しかし、金融資産が5000万円以下の家庭で、1000万円を超えるような援助をしてしまうと、自分たちが後期高齢者になる頃になって、「子や孫にやりすぎた」と後悔するケースも出てくるはずだ。一方の子ども側を見ても、分不相応な習い事や塾代を掛けているケースが目に付くようになった。「教育資金としてお金をもらったから、使い切らなくてはいけない」と考えている人もいるが、使い切るという感覚には疑問を感じる。また、子どもが小さく家計が楽な時に財布の紐を緩めることにもなりかねない。自分たちの収入に見合わないほど多くの教育費をかけてしまった場合、将来の家計にとって重荷となる可能性がある。自分たちの収入では私立学校に子どもを入学させることが難しいのに、祖父母の援助を受けて進学しても周囲との生活レベルの差は大きく、次第に息苦しくなるだろう。また、無理して塾に通わせるなど教育資金を底上げしてしまうと、自分たちの老後資金を貯められないリスクも出てくるはずだ。もう一つは、格差の問題。裕福な親や祖父母を持つ恵まれた家庭も確かにあるが、老後の生活設計の相談現場では、親の懐事情は厳しさを増している。「自分たちの老後すらおぼつかない高齢者世帯」と、「相続対策の一環として、余裕部分を下の世代に継承していきたいと考える高齢者世帯」との格差が固定化されてしまう可能性も、これらの制度は秘めている。

<外国人技能実習制度>
*4:http://www.shinmai.co.jp/news/20150130/KT150129ETI090009000.php
(毎日新聞 2015年1月30日) 介護に外国人 実習制度拡大は筋違い
 外国人技能実習制度の対象職種として、新たに介護分野を加える方針を厚生労働省が固めた。2015年度中を目指している制度改定に盛り込む。背景にあるのは、介護現場の深刻な人手不足だ。しかし、実習制度の拡大で対応することは問題がある。制度の趣旨にそぐわないだけでなく、介護職の待遇改善を妨げたり、介護の質が低下したりすることにもつながりかねない。再考すべきだ。実習制度は、開発途上国などの労働者が一定期間日本で働いて技術を習得し、母国の発展に役立ててもらう目的で1993年に創設された。本来、日本国内の人手不足を補うための制度ではない。一方で、製造業などの現場で「安い労働力」を確保するためにこの制度が利用されている実態がある。過酷な環境に置かれている実習生も少なくない。最低賃金を下回る低賃金での長時間労働、残業代の不払い、雇い主によるセクハラなどが後を絶たない。実習生は来日前に多額の手数料を借金していることも多く、ひどい扱いをされても泣き寝入りしているという。こうした実情は、国連や米国から「人身売買」などと厳しく批判されてきた。日弁連は制度の廃止を求めている。厚労省による13年の調査では、受け入れている事業所の8割で労働関連法違反があった。目的と実態がかけ離れた制度の拡大は、劣悪な条件で働く外国人をさらに増やすことになりかねない。高齢化に伴い、25年に介護職は最大250万人が必要と推計されている。一方、確保できるのは220万人の見込みで、30万人不足する可能性がある。外国の人材の活用を求める声は介護現場からも上がっている。08年からは、経済連携協定(EPA)に基づく外国人の受け入れも始まったが、日本語の習得の難しさもあり、人手不足を補うほど広がってはいない。介護職の平均賃金は全産業に比べ月額で10万円ほど低い。それが人手確保がままならない要因となっている。待遇を改善し、国内で働き手を増やすことが、何より優先して取り組むべき課題だ。それでも足りない場合に、外国人を労働者として受け入れるかどうか。社会全体でしっかりと議論していく必要がある。介護は人を相手にする仕事だ。言葉を含め、担う能力の育成も欠かせない。人手不足解消のめどが立たないからと、実習制度に安易に頼ってはならない。

<カジノ解禁で博打国家へ>
*5:http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS21H1S_R20C15A3PE8000/
(日経新聞 2015/3/21) カジノ法案、自民など再提出へ 公明の対応焦点
 自民、維新、次世代3党は月内にもカジノを中心とした統合型リゾート(IR)を推進する法案(カジノ法案)を国会に再提出する。観光客誘致の起爆剤としてカジノを解禁し、政府に運営ルールなどの法整備を求める内容だ。慎重論が根強い公明党の対応が焦点で、同党内には自主投票として採決を容認してもいいとの声も出ている。超党派の国会議員でつくる「国際観光産業振興議員連盟」(会長・細田博之自民党幹事長代行)が月内にも総会を開き、カジノ法案を了承する。自民党など3党が衆院に議員立法として提出し、内閣委員会か国土交通委員会で審議入りし、会期内の成立を目指す。法案は施行後1年以内に、政府にカジノ運営などのルールなどを定めた法案を提出するよう義務付けている。ギャンブル依存症や青少年への悪影響への対策は盛り込んでおらず、政府に入場基準などの具体策の検討を委ねる。運営事業者は内閣府の外局に設置する管理委員会が管理する。カジノ解禁は安倍政権が成長戦略の柱と位置付けており、2020年の東京五輪でのカジノ施設の開業を目指している。ただ、公明党などが「依存症対策などが十分でない」と慎重姿勢を崩さないため、2013年秋の臨時国会の法案提出後、継続審議や廃案となってきた。超党派議連の幹部は「今国会も成立見送りとなれば20年開業は厳しくなる」と述べており、公明党などとの調整を急ぐ考えだ。


PS(2015.3.30追加):環境省の除染マニュアル(https://www.env.go.jp/jishin/rmp/fiscal/subsidy01/04_qa.pdf 参照)によると、0.23マイクロシーベルト/時(年間被曝線量2ミリシーベルト/年、年間追加被曝線量1ミリシーベルト/年)を超える場所を除染するとなっているが、国際基準は住民の年間被曝線量は1ミリシーベルト/年以下であり、住民の健康を守る目的から見て、環境省の基準はずる賢く甘い。また、放射性物質は空間を浮遊しているのではなく、地面に落ちて風で舞い上がるため、空間よりも地面付近の方が放射線量が高い。さらに、森林や湖沼の底は除染しないことになっている上、*6のように、地方自治体の負担による除染費用を東電が支払う姿勢がないというのも問題外である。

*6:http://qbiz.jp/article/59070/1/
(西日本新聞 2015年3月30日) 東電除染費払わず 市町村分の746億円
 福島第1原発事故後、市町村が実施した除染費用として国が2月末までに東京電力に請求した761億円のうち、東電側が約2%しか応じず、残る746億円の支払いを事実上拒否していることが29日、環境省への取材で分かった。一方、国直轄除染分は基本的に応じており、対応が分かれていることが浮き彫りとなった。除染関連費用は国がいったん立て替え払いした後、東電に請求する仕組み。東電の支払いが遅れれば、利息分は税金で賄われるため国民負担の増加につながる。環境省は「全て法律に基づき東電に請求しており、引き続き全額支払いを求めていく」と反発している。除染関連費用は2011年8月に成立した特別措置法により、東電が負担すると規定。政府は14年度までに約1・4兆円(うち市町村分は約6300億円)を計上した。環境省は金額が確定し書類がそろった除染事業について、12年11月から定期的に東電に請求している。今年2月末までに市町村分として761億円を求めたが、東電は最初の請求分の一部である15億円に応じた後は支払っていない。一方、国直轄分として請求した925億円については約86%の799億円を支払っている。特措法に基づく除染は福島県など東北と関東の8県が対象で、関連費用は総額2・5兆円の見込み。放射性物質による汚染が深刻な第1原発周辺の11市町村は国が直轄で除染し、これまでに4市町村で終了。それ以外の99市町村は各自治体が地域の実情に応じて実施することになっているが、完了したのは18市町村のみだ。原発事故に伴う除染 福島の原発事故で飛散した放射性物質が付着した土壌を取り除き、建物や道路の表面を洗浄する。福島第1原発周辺の避難区域は国が直轄で除染を実施。それ以外は、年間追加被ばく線量1ミリシーベルトから試算した空間線量毎時0・23マイクロシーベルトを超える地域を国が指定し、市町村が除染を実施する。除染の枠組みを定めた特別措置法は東京電力が除染費用全てを負担すると明記しているが、除染廃棄物を保管する中間貯蔵施設については国が負担する。


PS(2015.3.31追加):ここまでの対立になったのは、沖縄が県を挙げて普天間移設を反対していたにもかかわらず、本土のメディアが*7のように、「①普天間基地は住宅密集地にあり、米軍機の墜落事故などがあれば大惨事を招きかねないので、人口が比較的少ない同県名護市に移設するというのが日米両政府の合意だ」「②沖縄県は2013年、移設予定地である名護市辺野古沿岸部の埋め立て工事を許可し、この手続きは合法的に進められた」「③行政には一定の継続性が必要である」などを代表とする政府の説明をずっと流し続けていたため、本土の人は正確には沖縄の意見を知らず、知っている人も多くが無視していたことに原因がある。
 しかし、①については、辺野古を埋め立てるのがBestの選択肢ではなく、米国は日本がよりよい提案をすれば合意するため当たらない上、②の手続きについても、2013年の仲井眞前知事の承認自体が、日本政府からの何らかの脅迫・強制があって仲井眞前知事がそれまでの言動とはうって変わって突然許可したものだ。そのため、沖縄県民は辺野古の埋め立てを争点に知事選を行い、承認した自民党推薦の仲井眞前知事を落として翁長新知事が誕生したのであり、翁長新知事が当選時から「あらゆる手段を用いて移設を阻止する」と述べているのは、民意を基盤にした公約の実行であり、筋の通った行為だ。
 また、③についても、行政の継続性を理由に、何十年、いや何百年経っても同じことを言って時代の変化や技術進歩やそれに伴う価値観の変化についていけなかった愚鈍さ(stupidity)が、これまで国民の生命や財産に深刻な被害を与えた日本政府の数々の失政の原因だったことを忘れてはならない。

*7:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20150331&ng=DGKKZO85074600R30C15A3EA1000 (日経新聞社説 2015.3.31) 普天間移設を法廷で争うのは筋違いだ
 米軍普天間基地の移設を巡る国と沖縄県の対立が法廷に持ち込まれそうだ。同じ行政の側にありながら、司法の場で主張をぶつけ合うことに違和感を禁じ得ない。歩み寄りの余地はないのか。早期に話し合いの場を持ってほしい。同県宜野湾市の普天間基地は住宅密集地にあり、米軍機の墜落事故などがあれば大惨事を招きかねない。そこで人口が比較的少ない同県名護市に移設するというのが日米両政府の合意だ。沖縄県は2013年、移設予定地である名護市辺野古沿岸部の埋め立て工事を許可した。この手続きは合法的に進められたし、行政には一定の継続性が必要である。知事が交代しても移設は見直さないという国の方針は理解できる。沖縄県の翁長雄志知事が出した基地工事の停止命令は、水産資源保護法という工事とは直接関係ない法律に基づくものだ。知事は昨年の当選時から「あらゆる手段を用いて移設を阻止する」と語ってきたが、こうしたやり方は筋違いである。農水省が知事の停止命令の是非を審理する間、命令の効力をいったん無効にすると林芳正農相が判断したのはもっともだ。ただ、法的に正しいからとかたくなな対応でよいのかはよく考える必要がある。安倍晋三首相も菅義偉官房長官も昨年の知事選後、翁長知事と一度も会っていない。こうした対応が基地移設に賛成の県民の心証まで害していないだろうか。農相の発表を受け、翁長知事は「腹を据えて対応する」と表明した。県が埋め立ての前提となる岩礁破砕許可を取り消し、対抗して国がその取り消しを求めて裁判所に提訴する形で法廷闘争に突入する可能性が高まっている。これと似た事例が1995年にあった。米軍用地の収用に必要な代理署名を当時の大田昌秀沖縄県知事が拒んだことだ。最高裁まで争って国が勝訴したが、このときに生じた国と県民の溝がいまに至る普天間問題の遠因になっている面もある。基地はただつくればよいのではない。周辺住民の理解がなければ円滑な運用は難しくなる。菅長官は「辺野古移設の原点が何であるかということが、沖縄県民や国民に説明が行き届いていない」と述べたが、それを説明するのは政府の責任である。裁判で争わなくてよい努力をまずすべきだ。


PS(2015.4.2追加):*8-1のように、オランダでは広い面積で太陽光発電できる道路を開発しているのに、最初に太陽光発電を発明した日本では、*8-2のように、太陽光発電はコストが高いと言い張って、政府が2030年の電源構成比率を原発で2割確保し、原発・石炭火力・水力・地熱を合わせて約6割に増やすそうだ。これが、日本の為政者の馬鹿さ加減なのである。

*8-1:http://www.afpbb.com/articles/-/3031665
(国際ニュース 2014年11月13日) 世界初、太陽光発電する道路が開通 オランダ
 オランダで12日、世界初となる太陽光発電機能を備えた自転車専用道路が試験的に開通した。最終的には車道でも応用することが考えられる画期的なプロジェクトだという。この自転車専用道路、通称「ソーラロード(SolaRoad)」には、強化ガラスで覆われた太陽光電池パネルを利用した縦2.5メートル、横3.5メートルのコンクリート製モジュールが使われている。事故を避けるため、ガラスの表面には特殊な滑り止め加工が施されているという。道路の太陽電池で発電された電気は現在、国の電力網に流されているが、将来の計画では、この電力を利用して街路灯を点灯させることも検討されている。プロジェクトの開発に参加した物理学者、ステン・デウィット(Sten de Wit)氏は、路面から直接充電を行う「非接触型充電」の機能を利用して、電動自転車や電気自動車に電力を供給できる日が来るに違いないと話している。同氏はAFPの取材に「プロジェクトの着想は、オランダ国内を走る約14万キロに及ぶ道路だった。その面積は建物の屋根をすべて合わせたよりもはるかに大きい」と語った。また「自転車専用道路は、国内に2万5000キロある」としながら、「プロジェクトの持つ本当の潜在能力が解き放たれるのは、自転車専用道路だけでなく、自動車が利用する道路にもこれが適用される時だ」と述べている。ソーラー自転車専用道路は稼働から16日が経過した。この間の発電電力量は140キロワット時で、洗濯機の稼働約140回分に相当するとソーラロードの広報担当者は説明した。主に研究費に充てられたとされるプロジェクトの費用は、現時点で約300万ユーロ(約4億3000万円)に上っているが、ソーラロードは道路1キロ当たりでの費用については明言を避けた。同国のヘンク・カンプ(Henk Kamp)経済相は12日、首都アムステルダム(Amsterdam)北部にある通行量の多い自転車道に試験的に設置された約70メートルのソーラロードを自転車で走行。AFPの取材に対し、「持続可能エネルギーに関しては、オランダは極めて意欲的に取り組んでいる。この革新的技術もその重要な一環だ」と述べ、人口1700万人、自転車約1800万台のオランダでは、持続可能エネルギーの使用量を2020年までに3倍に増やし、2050年までにカーボンニュートラルならぬ「エネルギーニュートラル」になることを望んでいるとした。デウィット氏によると、ソーラロードは今後2年間にわたり、1日に約2000台の自転車が通る道で試験を行う予定。電動の自動車や自転車の台数が増加傾向にある中、国内道路を対象としたソーラロードの商業化を今後5年以内に実現することが、プロジェクトの目標だとしている。「大規模なスケールで適用可能な製品を5年以内に提供できると強く確信している」とデウィット氏は説明した。

*8-2:http://qbiz.jp/article/59471/1/
(西日本新聞 2015年4月2日) 政府、原発比率2割確保へ 電源構成比率
 政府が議論している2030年の電源構成比率をめぐり、原発で2割を確保する見通しとなったことが2日、分かった。政府と与党は原発と石炭火力、水力と地熱を合わせた「ベースロード電源」の比率を現在の約4割から約6割に増やす方向だが、石炭火力と水力、地熱を大きく伸ばすのは難しい状況であるためだ。政府と与党はこれまで30年の原発比率について15〜20%を軸に検討する方向だったが、原発の活用を進める姿勢が一段と鮮明になった。東日本大震災前はベースロード電源の割合は6割程度で推移し、原発は全体の約3割だった。


PS(2015年4月9日追加):「“粛々”という言葉さえ使わなければよいだろう」などと、自らの傲慢さと差別に対する指摘をわざと矮小に解釈し、米国に働きかけて辺野古移設を確定させようとする態度は国益を見失っている。やはり、自民党に勝たせすぎたのはよくなかったようだ。

*9:http://www.saga-s.co.jp/news/national/10201/174940
(佐賀新聞 2015年4月9日) 首相、辺野古移設に決意、米国防長官と会談
 安倍晋三首相は8日、カーター米国防長官と官邸で会談し、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設に関し「確固たる決意の下に進めていく」と強調した。集団的自衛権行使を可能とする安全保障法制整備への意欲も表明した。これに先立ち菅義偉官房長官もカーター氏と官邸で会い、沖縄県の米軍嘉手納基地(嘉手納町など)より南に位置する米軍施設・区域の返還計画の前倒しを要請した。カーター氏は「引き続き沖縄の負担軽減に協力する」と応じた。

| 民主主義・選挙・その他::2014.12~ | 01:51 PM | comments (x) | trackback (x) |
2014.12.19 選挙制度改革の必要性について ← 男性が多い世襲政治の価値観から脱皮すべき (2014年12月21日、24日に追加あり)
              
2014.12.11日本農業新聞 2014.12.14日経新聞 2014.12.11、12佐賀新聞
   
(1)民主主義になっていない選挙
 *1-1に、日経新聞が、「①有権者の半数が棄権」「②無党派層は分散して組織政党が有利になった」としているが、①②から、棄権した人には、1)一般有権者の実態に全く合わない政策を並べている政党や実行力に疑問がある政党ばかりで、どの政党も負託に堪えないと思った人 2)普段から政治に関心がないためサボった人  の二種類があるだろう。

 しかし、*1-2のような50%程度の低投票率でも、菅義官房長官が「私どもは当然(信任を)受けたと思っている」と述べているとおり、選挙結果は公約にお墨付きを与えることになり、これが民主主義なのである。しかし、これによって、本当はもっと賢い方法があるにもかかわらず、i)消費税率を上げ ii)年金給付額を減らし iii)保育・介護が不足しているにも関わらず社会保障を削減し iv)ばら撒くことが目的の公共工事を増やし v)原発に無駄使いして vi)高齢者福祉を高齢者の既得権益などと呼ばせる 倫理観に欠けた政治が信を得たことになった。しかし、この見せかけだけの民主主義は、官にとっては、自らがやりたい政策に政治がお墨付きを与える制度になっているため、むしろ変えたくないものなのである。

 そのため、*1-3のように、「今回の選挙結果で安倍政権が信任されたと民意をはき違えては困る」という論調のメディアも少なくなかったのは、せめてもの救いだ。

     
     2014.12.12、13日本農業新聞     2014.12.10、13佐賀新聞 

(2)世襲議員と男性議員ばかりの害
 *2-1の麻生副総理兼財務相は、大久保利通、牧野伸顕、吉田茂(祖父)、麻生多賀吉(父)が祖先の世襲の中の世襲議員で、先日、「①子どもを産まないのが問題だ」と発言した。これは、自民党の公約よりもかなり遅れた価値観だが、菅官房長官は、これを「②全く問題ない」と擁護し、麻生副総理兼財務相は、問い詰められた後に「③保育施設などの不足で産みたくても産めないのが問題との趣旨だった」と釈明した。しかし、麻生氏は総理大臣の時に、子どもを産んだという理由で、小渕優子氏を少子化対策・男女共同参画担当大臣に任命しており、麻生氏の本音は①なのである。

 そのような麻生家では、妻の価値は子どもを産むことで、その他の価値は付属にすぎないのだろうが、少子化対策・男女共同参画担当大臣としての適格性を持てる知識や見識を、子どもを産んだだけで持てるわけはなく、逆に、子どもを産まなくてもそういう知識や見識を持っている人は多い。しかし、自民党は、①②のような価値観の議員が多いため、まだまともな介護や子育て支援制度ができていないのである。

 なお、小渕優子氏は、子どもを産んでも支障なく国会議員や大臣を務め続けていられるのだから、子育ての大部分を誰かにやってもらっているに違いない。これは、普通の働く女性から見れば、殆どの男性議員と同様、子育てをやったとか、仕事と子育てを両立したとか言えるようなものではない。

 しかし、このように行政の政策を鵜呑みにする世襲議員や男性議員が高い割合を占める中で政策を決めると、*2-2のように、①人口1億人を維持することが不可欠(イノベーション、女性・外国人の雇用、定年延長、失業率などを無視しており、根拠なし) ②そのためには2040年に出生率2.07が必要(人口置換水準を線形で計算しているため、計算間違い) ③合計特殊出生率を1.8まで引き上げることが、まず目指すべき水準と明記(女性の自己決定権を無視した出産の押しつけという人権侵害に疑問を持たない体質) などという政策を推し進めることになるのである。

 そして、このビジョンが「人口減で国としての持続性すら危うくなる」という危機感に基づいているのは、環境を壊し、原発を推進し、食料やエネルギーの大半を他国に依存しながら、結論を導くためにあからさまなこじつけをしているところが、悲劇を超えて滑稽ですらある。つまり、これらを総合的に考えて解決できる総合力を持たない人が、政治や行政システムの中で意思決定しているのが、現在の日本の最も大きな問題なのである。

(3)選挙制度改革の必要性
 2014年12月14日投開票の総選挙では、小渕優子氏や小泉進二郎氏が早々に当選を決めたと、NHKなどのメディアが何度も何度もその状況を放送していたが、これらの世襲議員の選挙区では、対立候補が共産党からしか出ていなかったため、早々に当選が決まるのは当たり前であり、実際には公示日に候補者が確定した時には、選挙戦は終わっていたのである。

 これは、強力な対立候補と選挙戦を繰り広げざるを得ない立場の世襲でない候補者とは対照的で、それでも、この2人の映像が何度も流されたのは、これらの世襲議員には裏で何かの力が働いていたからにほかならない。そして、日本の政治は、こうやって世襲議員を大量に当選させ、大臣や総理大臣にしていく仕組みになっているが、これでよい筈はないのだ。

 それでは何故、世襲議員が当選に有利かと言えば、下のような理由がある。
  1)先代の後援会や慣れた秘書などの地盤を引き継ぐため、有力な選挙基盤が最初からある
  2)先代の地盤には、地元の首長・県議・市議などに先代の親派が多いため、候補者調整や
    選挙応援で有力である
  3)小選挙区では、地元への利益誘導が重要であるため、1)2)の総合力が力を発揮する

 では、これでいいのかと言えば、一般に一代目より二代目、三代目となるにつれ、世の中に矛盾を感じてそれを変えるために政治家になろうと志した人ではなくなるため、人物が小さくなってよくない。では、どういう選挙制度にすればよいのかと言えば、数を減らせばマイノリティーの政党や女性当選者が減って多様性が減るという副作用があり、国民にとっては数を減らせばよいわけでもない。

 そこで、私は、衆議院は、小選挙区制か中選挙区制で比較的狭い範囲の地域を地元として、地域の代表を議員として選び、これをチェックする立場の参議院は、狭い地元への利益誘導よりも国全体の視点を重視させるとともに一票の格差を完全になくすため、全員を全国区の得標順にするのがよいと考える。ただ、こうしても、本当に政治家にすべき人が選ばれるか否かは、やはり有権者と有権者に正確な情報を流すべきメディアの見識次第になる。

<民主主義と今回の総選挙について>
*1-1:http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS14H1E_U4A211C1PE1000/
(日経新聞 2014/12/15) 漂う有権者 半数が棄権 無党派層は分散、組織政党有利に
 衆院選は与党がひとまず勝利をおさめた。安倍晋三首相が有権者から一定の期待を集める一方、野党は政権批判票を多く取り込めなかった。有権者の関心が高まらず、投票率は過去最低を更新。有権者の半数が棄権する状況は、組織力で勝る自民や公明、共産各党に有利に働いた。特定の支持政党を持たない無党派層の多くは棄権したとみられるが、1票を投じた無党派層は分散した。現行の小選挙区比例代表並立制が導入された1996年以降、自民が最も多い議席を得たのは小泉純一郎首相時代の2005年衆院選の296議席だった。情勢調査ではそれに迫る勢いを一時示していた自民だが、結局は公示前勢力を下回った。それでも政権側は信任されたという認識だ。菅義偉官房長官は14日夜のTBS番組で「私どもは当然(信任を)受けたと思っている」と述べた。減らしたとはいえ、291の獲得議席は過去の衆院選と比較しても高い水準にはある。各選挙区で1人しか当選できない小選挙区制は、得票率の差はわずかでも勝敗を大きく分ける。自民の小選挙区の得票率は約48%だが、全295選挙区の約76%の議席を確保した。野党の得票率は民主党が2割強、共産が1割強、維新の党が1割弱。05年、09年、12年と4回連続で1党に大きく振れる「雪崩」現象を招いた。与党勝利を後押ししたのは投票率の低下だ。小選挙区の投票率は過去最低だった前回12年の59.32%を下回る見通しで、組織型政党に追い風になった。企業・団体や個人後援会を基盤とする自民のほか、創価学会を支持母体とする公明や、固い支持層を持つ共産はいずれも好調な戦いだった。なぜ投票率が低かったのか。東大の境家史郎准教授(政治学)は「有権者の投票参加につながるような明確な争点や対立軸がなかった。安倍政権が争点に掲げた消費増税延期の是非も主要政党に大きな差はなかった」と指摘する。報道各社の情勢調査で自民の優勢が伝わり、政権交代の可能性が低いとみた有権者が投票意欲を一層低下させた、との見方も示す。今回の衆院選はインターネットを使った選挙運動の解禁後、補欠選挙を除いて初めての衆院選になった。13年参院選に続いて若年層の関心が高まるのか注目されたものの、効果は限定的だったとみられる。無党派層はどう動いたのか。投票行動論が専門の早稲田大の田中愛治教授は「多くが投票に行かなかった公算が大きい。無党派層はあまり風を起こさなかった」とみる。自民に無党派層を引き付ける力は弱い。民主政権時に味わった民主への失望は有権者の意識に残り、維新は前身の日本維新の会が分裂するなど、第三極の離合集散にも不信を抱いていると分析する。共同通信社の出口調査で「支持政党なし」と答えた無党派層に投票先を聞いたところ比例代表で21.1%が自民に投票した。民主は20.8%、維新は21.7%、共産は17.7%だった。公明7.4%、次世代の党3.9%、社民党3.2%、生活の党2.9%と続いた。小選挙区では自民31.7%、民主28.5%、共産18.8%、維新11.2%の順だった。自民は無党派層からも一定の票を獲得した。ただ、投票所に足を運び、自民を選んだ無党派層は「ほかよりはまし」という消極的な理由だった可能性がある。比例代表での政権批判票の「受け皿」は民主、維新、共産に分散した。無党派層を頼った民主は思うようには取り込めなかった。

*1-2:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20141215&ng=DGKKZO80907900V11C14A2PE1000 (日経新聞 2014.12.15) 民主主義 迫る危機 投票率低迷、政治に不信
 衆院選の投票率が過去最低に落ち込む見通しになった。投票したくても、1票を投じたい政党や候補者が見つからない。有権者の多くはそんな政治不信を抱き、漂流している。議会制民主主義の正統性を揺るがしかねない危機が迫っている。棄権した人にはそれぞれの事情があるだろう。だが、議会制民主主義は、主権を持つ国民が選挙に参加して代表を議会に送ることで、民意が国政に反映される仕組みだ。憲法の規定で参院より優越される衆院で、投票率が50%に近づいたのは、極めて深刻な事態といえる。投票率は若い世代ほど低くなる傾向があり、今回も若者の投票率が一段と下がった可能性がある。投票所に足を運んだ割合の大きい高齢者を政党や政治家が政策決定などで配慮する「シルバー民主主義」の恐れが強まる。高齢者の既得権益が守られ、大胆な社会保障改革に踏み込みにくくなれば、ツケを払わされるのは投票に行かなかった若者だ。消費税率引き上げを延期する是非を問いかけて衆院解散・総選挙に踏み切った安倍晋三首相に、有権者が「解散の大義が分からない」と戸惑ったのは事実だ。だが、自民党に代わる政権の選択肢を示せなかった野党、とりわけ民主党が問われる責任は重い。小選挙区制を主体とした衆院選は本来、政権と首相を有権者が選択する選挙である。それなのに民主は候補者が198人と過半数(238)にも届かず、政権交代を目指す目標を早々とあきらめてしまった。政権交代につながる可能性のある野党第1党がなければ、選挙が緊迫感を欠くのは当たり前だ。野党が再生しなければ、日本の民主主義それ自体が漂いかねない。特定の支持政党を持たない「無党派層」の膨張に政治家はより危機感を抱くべきだろう。日本経済新聞社の世論調査では、7月に全体の47%に達し、かつてない水準にまで高まっていた。既存政党への警鐘は鳴らされていた。主要政党は投票年齢を20歳以上から18歳以上に引き下げることにしている。投票率を上げようと有権者や将来の有権者である子どもたちへのキャンペーンを強めたり、投票所を増やしたりする提言が浮かぶ。しかし、こうした努力をいくらやったとしても、政党側の魅力が乏しいままならば、有権者が投票に行かなくなる問題の根源は解消しない。

*1-3:http://www.kobe-np.co.jp/column/shasetsu/201412/0007586579.shtml
(神戸新聞 2014/12/16) 安倍政権継続/民意をはき違えては困る
衆院選から一夜明け、引き続き政権を担う安倍晋三首相が会見した。与党圧勝の選挙結果について「アベノミクスをさらに前進せよ、との国民の声だ」と述べ、政権が信任を得たとの認識を強調した。不意打ちの解散を仕掛け、経済政策の単一争点化に成功し、全議席の3分の2を超える巨大与党を維持した。思惑通りの展開といえるだろう。来年9月の自民党総裁選で再選され、さらに3年間政権を担うとの見方が有力だ。長期政権を視野に入れる首相にとって、最大の政治課題が安全保障法制の見直しであり、憲法改正であることは間違いない。案の定、会見では集団的自衛権の行使容認と関連法整備にも「国民の支持を得た」と主張し、憲法改正にあらためて意欲を示した。だが、いずれも選挙戦では与党が深入りを避けてきた問題だ。自民党の公約に「集団的自衛権」の文言はない。菅義偉官房長官は解散直前、行使を認める閣議決定や特定秘密保護法の是非については争点化に消極的だった。世論を二分する重要政策を正面から問わず、選挙に勝ってしまえば思い通りにできるかのように振る舞うのは国民を欺くことになる。民意をはき違えてはならない。自民候補が小選挙区で全敗した沖縄県の選挙結果を、首相がどう受け止めるかも焦点だろう。政府が進める米軍普天間飛行場の辺野古移設に対して県民ははっきり「ノー」の意思表示をした。だが首相は「唯一の解決策であり、考えに変化はない」とし、移設を進める構えを崩さなかった。地域の民意を無視して強引に突き進めば、問題はこじれ、世論の反発を招いて政権の致命傷になりかねない。一度立ち止まり、異論にも耳を傾ける姿勢が要る。今回の選挙で国民の多くが求めたのは「景気回復」である。首相は宿願達成に前のめりにならず、約束した経済対策に全力を挙げるべきだ。安倍政権を暴走させないためには野党の立て直しが急務だ。野党第1党の民主党の責任は大きい。海江田万里代表は議席を失い辞任を表明した。後任選びとともに安倍政権への対抗軸を明確にする必要がある。党内の議論を尽くし、国民の信頼回復に努めねばならない。

<この発言の本音はジェンダーである>
*2-1:http://www.saga-s.co.jp/news/national/10202/133847
(佐賀新聞 2014年12月9日)麻生氏が釈明「誤解招いた」、産まない発言、菅氏擁護
 麻生太郎副総理兼財務相は9日の閣議後の記者会見で、少子高齢化に伴う社会保障費増に絡み「子どもを産まないのが問題だ」とした発言に関し「誤解を招いた」と述べ、不適切な表現だったとの認識を示した。麻生氏の釈明を受け、菅義偉官房長官は「全く問題ない」と擁護したが、上川陽子法相は「閣僚はいかなる状況でも、理解してもらえる発言をすべきだ」と苦言を呈した。麻生氏は、保育施設などの不足で産みたくても産めないのが問題との趣旨だったと釈明し「きちんと説明するのを省いてしまった。時間をかけるべきだった」と述べた。

*2-2: http://digital.asahi.com/articles/ASGDL52NJGDLULFA01Q.html?_requesturl=articles%2FASGDL52NJGDLULFA01Q.html&iref=comkiji_txt_end_s_kjid_ASGDL52NJGDLULFA01Q (朝日新聞 2014年12月19日) 人口1億人維持には… 「40年に出生率2.07必要」
 政府の人口減対策と地方創生の方針となる「長期ビジョン」と、2020年までの施策を盛り込んだ「総合戦略」の原案が明らかになった。1人の女性が生涯に産むと見込まれる子どもの数である合計特殊出生率を1・8まで引き上げることが「まず目指すべき水準」と明記し、2030年に達成する想定にした。政府が目標に掲げる「50年後に総人口1億人」が確保される出生率の推計として「2040年に2・07」との仮定も示した。政府は出生率を「数値目標」とは位置づけていないが、達成水準を数値で示すことは有識者から「出産の押しつけ」といった指摘もあり、議論を呼びそうだ。13年の出生率は1・43だった。ビジョンの原案では、出生率について「若い世代の結婚・子育ての希望が実現すれば、1・8程度の水準まで向上することが見込まれる」と説明した。「子供を何人欲しいか」という厚生労働省の調査結果をもとにした民間の試算を参考に、政府が算出した数字だ。また、人口規模が長期的に維持される「人口置換水準」(現在は2・07)についても、「将来いつかの時点で回復することが必須の条件」とした。そのうえで、出生率が30~40年ごろに人口置換水準まで回復すれば、「50年後の60年に総人口1億人」が確保されるとのシナリオを示した。その推計で、出生率が「20年に1・6、30年に1・8、40年に2・07が達成されるケース」と仮定していることにも触れた。ただ、数値明記への批判にも配慮して「結婚や出産はあくまでも個人の自由な決定に基づくもので、個々人の決定にプレッシャーを与えるようなことがあってはならない」とも記した。ビジョンは人口減で「究極的には国としての持続性すら危うくなる」と危機感を表明。人口減に歯止めをかける「積極戦略」と、人口減に対応した社会に再構築する「調整戦略」を同時に進める方針を示した。とりわけ①東京一極集中の是正②若い世代の就労、結婚、子育ての希望の実現③地域特性に即した課題解決――に取り組むとした。「総合戦略」の原案はその具体策として、地方が自由に使える交付金の創設といった施策と、「地方への人材還流と人材育成を20年までに10万人」などとする数値目標を盛り込んだ。


PS(2014.12.21追加):下のグラフのように、今回の総選挙の投票率は59.32%で戦後最低であることが問題だとする論調が多い。しかし、投票率は、①1928年の男子普通選挙導入時にそれまでの85~95%から75~85%くらいに下がり ②1945年の男女普通選挙実現時に70~75%くらいに下がり ③小選挙区制導入後、60~70%の間を推移していたが、最近、また下がったのである。これを世代毎にみると、若い世代ほど投票率が低く、①②から「母集団の増加とともに棄権する人は増えるが、普通選挙の有難味がわかっている世代は投票に行く確率が高い」、③から「小選挙区制による無力感と支持政党なしという理由が加わった」「普通選挙の有難味を意識しない世代の割合が増えた」と分析できる。
 基本的には、*3の日本国憲法に書かれているとおり、選挙権は権利であって義務ではないため、棄権するのは自由である。しかし、「政治にかかわらないのが美徳でスマート」という主権在民とは相いれない価値観が広く存在するのは問題であり、これらの人々は国や地方自治体の意志決定を他人に委ねているわけだ。そのため、オーストラリアのように、こういう価値観がなくなるまで、例えば10年という時限立法で、やむを得ない理由がないのに選挙権を棄権した人からは1人1万円の罰金をとる方法が考えられる。そうすると、総選挙の場合は、約5000万人の有権者のうち約1500~2000万人が棄権し、1500~2000億円の収入がある。2回連続して棄権すれば2万円、3回連続して棄権すれば3万円と値上げしてもよい。そして、この収入を選挙費や民主主義のコストに充てるのはどうだろうか。もちろん、地方自治体の選挙については、罰金はその地方自治体の収入にすべきだろう。

   

*3:http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S21/S21KE000.html (日本国憲法)
第十五条  ①公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。 ②すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない。 ③公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する。 ④すべて選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない。選挙人は、その選択に関し公的にも私的にも責任を問はれない。


PS(2014.12.24追加):*4の論調は、①高齢者から若年層への世代間資産移転を促す税優遇制度の拡大を行い、個人消費の活性化に繋げる ②非課税贈与制度の拡充で消費増税後に低迷する住宅市場のてこ入れを図る ③この税制改正で、個人金融資産1650兆円の大半を持つ高齢者から消費が旺盛な若年層に資産を移し消費拡大に繋げる という内容で、自民党内部の会議でよく発言されるものだが、私は、これは、金持ちか世襲の男性議員が大半を占めるからこそ出てくる政策の間違いだと思う。
 何故なら、①については、若年層のみ個人消費が盛んであるように思っており、高齢者は通常の消費の上に医療・介護・家事支援などの新たな消費を大きな金額で必要とするという一般消費の実態を理解していない、また、②のように、消費税増税と産業の支援しか考えておらず、生活向上の視点がない、さらに、③のように、高齢者が個人金融資産1650兆円の大半を持つため、高齢者から若年層に資産を移せば消費拡大に繋がるという程度の考慮しかない からである。
 しかし、高齢者が個人金融資産を持っているのは、働けなくなってから医療・介護で多額の支出が生じるため必要に迫られてのことであり、普通は、それは働ける期間にこつこつと貯めてきたものだ。にもかかわらず、「高齢者は個人金融資産の大半を持つから、高齢者から若年層に資産を移せ」というのは、余程の金持ちで自らは介護サービスを必要とせず、親から低い相続税・贈与税で金をもらうことしか考えず、生涯所得・消費・貯蓄の関係については考えたこともない人にしか思いつかない愚策である。

*4:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20141224&ng=DGKKASFS23H2E_T21C14A2NN1000 (日経新聞 2014.12.24) 若者に資産移転 消費促す、子育て贈与非課税/子ども版NISA 税制改正作業が大詰め
 2015年度税制改正の議論が大詰めを迎えている。子育て資金の贈与を非課税にする制度や子ども版の少額投資非課税制度(NISA)など、高齢者から若年層に資産移転を促す仕組みを盛り込み、個人消費の活性化につなげる。法人実効税率は15年度の引き下げ幅を2.4%台にする方向で最終調整を進める。自民、公明両党の税制調査会は30日に税制改正大綱をまとめる。15年度改正の柱の一つは、世代間移転を促す税優遇制度の拡大だ。子や孫に教育資金を一括贈与した場合、1人あたり1500万円まで贈与税が非課税になる制度の期限を15年末から18年度末まで延長する。入学金や授業料などに限っていた使い道も、留学渡航費や定期券代などに広げる。少子化対策として20歳以上の子や孫に結婚、出産、子育てに使う資金を贈与した際の非課税制度も15年度に創設する。期限は18年度末。株式投資などの運用益が非課税になるNISAは16年から子ども版をつくる。親や祖父母が20歳未満の子や孫の代理で専用口座を作って投資する場合、年80万円までの投資が非課税になる。非課税の贈与制度で消費増税後に低迷する住宅市場のてこ入れも図る。最大1000万円まで認めている住宅資金の非課税贈与制度は15年から最大1500万円に拡充。17年4月に予定する消費再増税に向け、最大3000万円に拡充する案も検討している。こうした税制改正を通じ、個人金融資産1650兆円の大半を持つ高齢者から、消費が旺盛な若年層に資産を移し、消費拡大につなげる。消費喚起策では、急増する外国人旅行者が免税店を使いやすくなる仕組みも導入する。店舗ごとに必要だった免税手続きをショッピングセンターや商店街では1カ所で済ませられるようにする。外航クルーズ船の寄港に合わせて仮設の免税店を出す場合の手続きも簡素化する。安倍政権の成長戦略の柱で、最大の懸案だった法人税改革も盛り込む。現在35.64%(東京都)の法人実効税率を15年度は33%台に下げる方向で調整。所得ではなく給与総額などを基に課税する外形標準課税の拡大など大企業への課税強化で財源を確保する。企業が関連会社から受け取る配当への課税強化や研究開発減税の縮小も進める。初年度の税率の下げ幅を大きくする先行減税で企業の負担を減らす。

| 民主主義・選挙・その他::2014.12~ | 04:27 PM | comments (x) | trackback (x) |
2014.11.28 社会進出を果たした女性をステレオタイプに愚弄する記事は、名誉棄損かつ人権侵害であって、表現の自由、言論の自由のらち外である。そのため、単に見識が低いだけで公益性はない。 (2014.11.29に追加あり)
   
                     この事件の経緯
(1)産経新聞前支局長の朴大統領名誉毀損事件の概要
 *1-1、*1-2に書かれているように、2014年8月3日に産経新聞のウェブサイトに掲載された記事で、韓国の朴槿恵大統領の名誉を毀損したとして情報通信網法違反(名誉毀損)で在宅起訴された産経新聞の加藤前ソウル支局長(48)に対する公判がソウル中央地裁で開かれ、検察が起訴状の要旨を朗読したところ、加藤前ソウル支局長は「①大統領を誹謗する意図は全くない」「②韓国には深い愛情と関心を持っている」「③韓国国民の朴大統領への認識をありのままに日本の読者に伝えようとしたものだ」と述べたそうだ。

 しかし、産経新聞のウェブサイトの内容は、客船セウォル号が沈没した2014年4月16日に、「朴大統領の所在が7時間にわたって連絡がとれず、その間、元側近の男性と密会していた」という虚偽の噂を長期間掲載したもので、韓国紙・朝鮮日報のコラムを紹介した形をとりつつ、さらに証券街の関係筋の話として「朴大統領と男性の関係に関するものだ」と強調して記載したものである。

 しかし、メディアが、①増幅した虚偽内容を記載し、名誉棄損で訴えられた時には誰かの話として免罪の理由にする ②政治家の批判は、権力に抗する表現の自由、言論の自由の範囲内だとして逃げる のは、私も週刊文春に嘘記事を書かれて訴訟した時、同じ反論があったので経験済みであり、ステレオタイプの逃げ方だが、日本の裁判所も、「表現の自由、言論の自由は、人権侵害・名誉棄損・侮辱に優先しない」という判決を出している。また、これは、メディアの本物の表現の自由、言論の自由の使い方ではなく、こんなことしか書けないのを、日本のメディアは恥ずかしくないのだろうか。

(2)朴槿恵大統領が「重要な時に男性と私的な密会をしていた」という嘘記事は、公益にあたるか
 *2のように、韓国の検察が、「コラムの内容は客観的な事実と異なり、大統領を誹謗した」と主張したのに対し、産経新聞の加藤前ソウル支局長は、「誹謗する意図はなく、報道は公益性がある」と主張する構えで、「①誹謗中傷の意図があったか」と「②公益性が認められるか」が争点になる。

 このうち、①の「誹謗中傷の意図があったか」については、子どもではあるまいし、プロの記者と報道機関であれば、「誹謗中傷の意図はないのに誹謗中傷になってしまった」などという言い訳は無用であり、産経新聞という組織と記者なら、そのくらいの見識と判断力を持って行動するのが当然である。

 また、②の「『朴大統領の所在が7時間にわたって連絡がとれず、その間、元側近の男性と密会していたとの噂がある』という虚偽の記事を長期間にわたって産経新聞のウェブサイトに掲載し続けたことは公益に当たるか」という問題については、公益に当たる有用な情報だと考える人は日本人でも少ないし、そのような侮辱的行動は日韓双方にとって有害であり、独身女性と言えば「重要な時に男性と私的な密会していて仕事が疎かになった」などと報じるのは、女性蔑視を利用したセクハラを含む批判である。

(3)朴槿恵大統領の評判を落とす目的の誹謗中傷でなければ、何が目的だったのか
 この件に対し、産経新聞は「朴槿恵大統領の意思について、今後の公判で確認する必要がある」「朴槿恵大統領が加藤前支局長の処罰を望むのか」などが明らかにされていない “被害者”の意思不明の異例の名誉毀損裁判としているが、このような嘘記事を書かれて朴槿恵大統領が喜んでいるわけがなく、朴大統領は考慮して自分の発言を控えているにすぎないだろう。それを、朴大統領自身は産経新聞の加藤前ソウル支局長のコラムを喜んでいるなどと考えているとしたら、セクハラの定義すらわかっていない異様な報道機関であり、猛烈な反省が求められる。

 これに対し、大統領府の尹斗鉉(ユン・ドゥヒョン)広報首席秘書官が、2014年8月上旬、「民事、刑事上の責任を最後まで問う」と表明し、11月に国会で大統領府の金淇春(キム・ギチュン)秘書室長が「言論、出版の自由はとても重要だが、韓国憲法21条にある通り、虚偽によって他人の名誉を侵害する自由はない」と主張しているのはまことに尤もであり、日本でもそうである。

 そのため、*3-2のように、産経新聞は、「保守系団体のメンバーが、法廷で大声をあげて退廷させられた」「加藤前支局長の乗った車に生卵を投げつけた」として、怒っているのは保守系団体のメンバーだと決めつけて書いているが、短時間で「怒っているのは保守系団体のメンバーだけだ」と確認できたわけがない。そして、「大統領の名誉が優先か、言論・報道の自由が守られるべきか」という誤った争点に導こうとしているが、言論の自由や報道の自由は真実の情報であって初めて価値のあるものであるため、この争点の設定の仕方自体が合理化を図るための意図的なものである。

 従って、侮辱する記事を書いて反省のかけらもない産経新聞に対し、「加藤達也、韓国国民に謝れ」「加藤を拘束せよ」などと叫んで前支局長非難するプラカードを掲げたり、加藤前支局長の乗った車に卵を投げつけ、ボンネットに横たわり、「謝罪」を迫る紙を車体に貼り付けた気持ちはよく理解できる。しかし、このような人間に卵を投げつけてはもったいないので、牛か豚の糞でよい。

(4)これは日韓関係の問題ではなく、産経新聞の問題である
 *2のように、「この問題を巡り、日本政府は韓国政府に対し、『報道の自由や日韓関係の観点から、極めて遺憾で深く憂慮している』との立場を伝えた」そうだが、本来なら、ここで日本政府は関係がなく、これはあくまで産経新聞の問題である。

 しかし、あまりにも産経新聞に偏り、迅速な日本政府の発言を見ていると、都合の悪い朴大統領の発言力を低下させたり、排除したりする意図があって、そのために産経新聞を使ったかのように見えた。

 なお、*2には、国際的なジャーナリストの団体“国境なき記者団”も「報道機関が政治家の行動に疑いを持つのは普通のことだとして、韓国政府の対応を批判している」と書かれているが、民主主義の国でメディアが真実の報道をしなければ、その疑いが政治を正しい方向に導くことは決してないのを、ジャーナリストは肝に銘じるべきである。

*1-1:http://mainichi.jp/select/news/20141127k0000e030179000c.html
(毎日新聞 2014年11月27日) 韓国:産経前支局長が無罪主張 朴大統領名誉毀損の初公判
 【ソウル澤田克己、大貫智子】産経新聞のウェブサイトに掲載されたコラムで朴槿恵(パククネ)大統領の名誉を毀損したとして、情報通信網法違反(名誉毀損)で在宅起訴された同社の加藤達也前ソウル支局長(48)に対する公判準備手続きが27日、ソウル中央地裁で開かれた。検察が起訴状の要旨を朗読し、被告による起訴内容の認否も行われた事実上の初公判。加藤前支局長は「大統領をひぼうする意図は全くない」と述べ、起訴内容を否認し無罪を主張、全面的に争う姿勢を示した。法廷で加藤前支局長は用意した紙を読み上げ「韓国には深い愛情と関心を持っている」と強調。「韓国国民の朴大統領への認識をありのままに日本の読者に伝えようとしたものだ」と、ひぼうする目的だったとする検察側の主張を否定した。この日は日韓の記者ら約70人が傍聴し、座りきれず立ったままの人も多かった。開廷直後に男性が「大韓民国国民に謝罪しろ」と大声で叫び、連れ出される場面もあった。次回公判は12月15日の予定。コラムは、8月3日にウェブサイトに掲載された。客船セウォル号が沈没した4月16日、朴大統領の所在が7時間にわたって不明で、その間に男性と密会していたとのうわさがあるという韓国紙・朝鮮日報のコラムを紹介。さらに証券街の関係筋の話として、うわさを「朴大統領と男性の関係に関するものだ」と書いた。検察は起訴状で、コラムで名指しされた男性と朴大統領を被害者だと指摘。「被告は、被害者たちをひぼうする目的で、情報通信網を通じて公然と虚偽の事実を広めて被害者たちの名誉を毀損した」としている。加藤前支局長は10月1日付で東京本社勤務の辞令が出たが、韓国当局が8月から出国を禁じているため帰国できずにいる。弁護側は出国禁止措置の解除を要請しているが、公判中も出国禁止措置を継続することができる。このため今後も相当の期間、帰国できない可能性が高い。韓国の法曹関係者によると、名誉毀損事件の1審は通常、初公判から判決まで8カ月程度かかる。上告審まで争った場合、最終的に決着がつくまでに1年以上が見込まれる。さらに今回は「政治的な案件なので普通よりも長引く可能性がある」という。

*1-2:http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00281586.html
(FNN 2014.11.27) 産経新聞前ソウル支局長、事実上の初公判で罪状を否認
 韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領の名誉を傷つけたとして、在宅起訴された産経新聞の前ソウル支局長の事実上の初公判が、27日午前に行われ、前支局長は罪状を否認した。加藤達也前支局長(48)を乗せた車は、27日午前、裁判所をあとにしたが、市民団体が卵を投げつけるなどの混乱が生じた。しかし、裁判は粛々と進行し、加藤前支局長は、はっきりと「大統領個人を誹謗(ひぼう)する趣旨はない」と起訴事実を否認した。この裁判は、産経新聞の加藤達也前ソウル支局長が、セウォル号事故当日の朴槿恵大統領の対応について書いたコラムが、「元側近の男性と会っていたのではないか」との虚偽の事実で、朴槿恵大統領の名誉を傷つけたとして、情報通信網法の名誉毀損(きそん)の罪で、在宅起訴されたもの。午前10時から始まった裁判は、日本や韓国のマスコミが法廷を埋め尽くす熱気に包まれ、人定質問や証拠申請などの手続きが行われた。そして、開廷から1時間余りたって、意見陳述を求められた加藤前支局長は、「セウォル号事故当時の大統領をめぐる現象を、ありのままに伝えるもので、朴大統領個人を誹謗する趣旨はありません。法と証拠で、厳正に裁判が進行されることを望みます」などと述べた。裁判では、記事が大統領の名誉を傷つける目的で書かれたものか、記事の真実性などが主な争点となるが、前支局長側は、記事には公益性があり、また、男女関係を断定的に書いたわけではないなどと主張する方針。報道の自由をめぐり、批判が相次ぐ中、起訴を強行。日韓関係にも影を落としたこの裁判は、長期化が予想されるが、記事の公益性や趣旨をめぐり、双方の攻防が繰り広げられることになる。

*2:http://www3.nhk.or.jp/news/html/20141127/t10013517671000.html
(NHK 2014年11月27日) 産経新聞前ソウル支局長 27日に初公判
 韓国のパク・クネ(朴槿恵)大統領の名誉を傷つけたとして在宅起訴された産経新聞の前ソウル支局長の初公判が27日、ソウルの裁判所で開かれ、前支局長は起訴された内容を否認し、争う姿勢を示す見通しです。産経新聞の加藤達也前ソウル支局長(48)はことし8月、産経新聞のウェブサイトに掲載されたコラムで、パク・クネ大統領が4月の旅客船沈没事故当日、7時間にわたって所在不明だったと伝えた韓国の新聞を引用するとともに、特定の男性とのうわさなどを紹介し、インターネットを使って名誉を毀損した罪に問われています。27日午前、ソウル中央地方裁判所で開かれる初公判で、前支局長は起訴された内容を否認し、裁判で争う姿勢を示す見通しです。裁判では「コラムの内容は客観的な事実と異なり、大統領をひぼうした」と主張する検察側に対し、前支局長は「ひぼうする意図はなく、報道は公益性がある」などと主張する構えで、ひぼう中傷の意図があったかや、公益性が認められるかが争点になるとみられます。この問題を巡り、日本政府は韓国政府に対して「報道の自由や日韓関係の観点から、極めて遺憾で深く憂慮している」との立場を伝えたほか、国際的なジャーナリストの団体「国境なき記者団」も「報道機関が政治家の行動に疑いを持つのは普通のことだ」として、韓国政府の対応を批判しています。

*3-1:http://news.livedoor.com/article/detail/9512463/ (産経新聞 2014年11月27日) 産経前支局長公判 “被害者”朴大統領の意思は…不明のまま異例の名誉毀損裁判
 【ソウル=藤本欣也】産経新聞の加藤達也前ソウル支局長の弁護側は27日、名誉を毀損されたと検察側が主張する朴槿恵(パク・クネ)大統領の意思について、今後の公判で確認する必要があるとの見解を提示した。加藤前支局長の処罰を望むのかなど、朴大統領自身の被害者としての考えが明らかにされていないためだ。朴大統領に対し、証人としての出廷や意見書の提出などを求める選択肢があるが、弁護側は検察側の対応も見極めながら法廷戦術を決定する。今回のケースが一般の名誉毀損と異なるのは、被害者とされる朴大統領が、問題となっている加藤前支局長のコラムについてどう考えているのか、また、加藤前支局長の処罰を望むのか否かなどに関して全く分からない点だ。起訴状にも一切触れられておらず、検察側は、被害者の意思が分からないまま名誉毀損での起訴に踏み切った形となっている。こうした異例の事態が起き得るのは、韓国では法律上、第三者が名誉毀損で告発できるためだ。日本を含め多くの国は、被害者本人の告訴がなければ名誉毀損で起訴できないという親告罪を適用している。今回のケースでは3つの市民団体が、加藤前支局長のコラムによって朴大統領の名誉が毀損されたとしてソウル中央地検に告発したのが契機となった。コラムに対する朴大統領側の見解としては、大統領府の尹斗鉉(ユン・ドゥヒョン)広報首席秘書官が8月上旬、「民事、刑事上の責任を最後まで問う」と表明。11月には国会で大統領府の金淇春(キム・ギチュン)秘書室長が「言論、出版の自由はとても重要であるが、韓国憲法21条にある通り、虚偽によって他人の名誉を侵害する自由はない」と主張している。弁護側はこれらに関し、「あくまでも大統領府という国家の一機関の見解にすぎない。被害者は大統領府ではなく朴大統領個人」との立場を取っている。今後の公判では、朴大統領の意思をどのように確認するのかが焦点の1つとなる。韓国の司法は、国内世論の動向に敏感で影響を受けやすい。弁護側は、検察側の対応のほか、世論の動向も考慮に入れながら判断することにしている。韓国の名誉毀損では、被害者が処罰を望まない意思を示した場合、裁判所は公訴を棄却し公判は終結することになる。

*3-2:http://www.sankei.com/world/news/141127/wor1411270032-n1.html
(産経新聞 2014.11.27) 一時騒然、退廷した前支局長の車に生卵投げつける 韓国保守系団体
 【ソウル=名村隆寛】大統領の名誉が優先か、言論・報道の自由が守られるべきか。産経新聞10+ 件の加藤達也前ソウル支局長が朴槿恵(パク・クネ)大統領の名誉を毀損(きそん)したとして、罪を問われた裁判の事実上の初公判が27日、開かれた。保守系団体のメンバーらは、法廷で大声をあげて退廷させられたほか、加藤前支局長の乗った車に生卵を投げつけるなど、裁判10+ 件所の内外は一時騒然とした。ソウル中央地裁には、日韓の報道関係者に加え、産経新聞を批判する保守系団体のメンバーら100人以上が集まった。外国人記者を法廷に立たせて、名誉毀損の罪に問うという異例の裁判。午前10時の開廷を前に加藤前支局長は入廷。約30席の傍聴席はすでに満席で、約40人が立ったまま傍聴した。韓国でも裁判所の敷地内の示威行為は禁止されている。しかし、保守系団体のメンバーらは傍聴席に入り、「加藤達也、韓国国民に謝れ」「加藤を拘束せよ」などと叫び、前支局長非難するプラカードを掲げるなどして、複数の男性が退廷を命じられた。加藤前支局長は裁判官や検察の発言にメモを取りながら聞き入り、公判の最後にはっきりした口調で意見陳述を行った。公判は1時間あまりで終了したが、団体メンバーらは裁判10+ 件所を出ようとする加藤前支局長の乗った車を取り囲み、複数の卵を投げつけ、ボンネットに横たわるなどして通行を妨害。「謝罪」を迫る紙を車体に貼り付けて気勢を上げた。


PS(2014.11.29追加):*4のように、韓国の原発付近で甲状腺がんを発症した223人が集団提訴したそうだ。日本ではこじつけのような解説が横行しているが、今後のためには、日本でも泣き寝入りしてうやむやにするのではなく、本当の因果関係を訴訟で明確にした方がよいと考える。

*4:http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141128-00000031-xinhua-cn (YAHOOニュース 2014年11月28日) 韓国の原発付近住民、甲状腺がん患者223人が集団提訴―中国メディア
 27日付の韓国聯合ニュースによると、韓国各地の原子力発電所付近で生活する住民のうち、甲状腺がんを発症した223人が27日、韓国水力原子力発電会社を相手取り、慰謝料を求める訴えを提起した。環球網が伝えた。韓国では10月にも、釜山市機張郡の古里原発付近で生活する住民らが同社を相手に裁判を起こしている。釜山市の8つの市民団体が古里、月城、韓光、韓蔚原発から8~10キロ以内で3年以上生活している住民を集めて集団提訴した。裁判所は一審で、同社に1500万ウォンの支払いを言い渡したが、原告側は患者の配偶者に200万ウォン、子どもに対しても1人当たり100万ウォンの賠償も求め、上訴した。釜山市環境運動協会の崔秀英会長は「これほど多くの住民が集団提訴するとは思わなかった。原発付近の住民が受ける影響は想像以上だ」と話している。

| 民主主義・選挙・その他::2013.12~2014.11 | 12:39 PM | comments (x) | trackback (x) |
2014.11.23 安部政権への「ぬきうちテスト解散」で争点にすべき事項は、「解散の是非」ではなく「日本の進路」である。 (2014.11.24、25に追加あり)
      
フクシマによる汚染  パブリックコメントの内容    川内原発について 再稼働の流れ

 今回の衆議院解散について、安部首相は外国から日本に帰ってくるまで、「解散するつもりはない」と言っておられたが、帰ってきたら解散風が吹いていたので、それに従って解散したと言える。そのため、野党が「解散の是非」を論点にするのは間違っている。

 しかし、安部首相が「①決められる政治になった」「②これまで真っ暗な道を通っていたが、やっと明るさが出てきた」と頻繁に述べておられることについて、私は、①については、間違ったことを決められるよりは決められない方が余程よいと思うし、②については、これまで真っ暗だったかどうかは疑問があり、現在の薄日も名目であって実質ではないし、実質の明るさが出るためには準備期間が必要であることを考えれば、賛成できない。

 そのため、今回の解散を名付ければ、安部政権への「ぬきうちテスト解散」と言うことができ、安定多数をとって安心していた安部政権のこの2年間の実績が問われるべきである。ただし、この2年間に行われたことは、安部首相の意向によるものばかりではないため、アベノミクスとして一括するよりも、テーマ毎に是非を判断すべきだ。

 なお、有権者が、「政策が一致している政党に投票するか否か」については、「生意気に見えるから入れない」「お祭りに来たから入れる」「観劇会に連れて行ってもらったから入れる」などというようなこともあるため問題は残るものの、次の点は、争点にして判断して欲しいと考えている。

       
   特定秘密保護法        TPP       農協改革   アベノミクス

(1)原発再稼働の是非(このブログの「原発」「内部被曝・低線量被曝」のカテゴリーに詳しく記載)
 自民党政権になって、エネルギー基本計画で重要なベースロード電源とされた原発は、再稼働の準備がどんどん進められ、再生可能エネルギーは危機に瀕している。しかし、エネルギー基本計画を作成するにあたって、パブリックコメントとして国民から寄せられた意見では、原発維持・推進は1.1%しかなく、原発廃止が94.4%を占め、それはエネルギー基本計画作成前には公表されなかった。原発廃止意見の根拠は、①地震国で安全ではない ②使用済核燃料の処分場がない ③火山噴火予知ができない ④避難ができない などである。

(2)特定秘密保護法の是非(このブログの「特定秘密保護法関係」のカテゴリーに詳しく記載)
 特定秘密保護法が制定され、理由もわからないまま逮捕され厳罰に処せられる可能性が出てきたため、刑法研究者が、速やかな廃止を求める抗議声明を発表した。その声明は、①何が特定秘密かが極めてあいまいで罪刑法定主義の原則に反し違憲 ②特定秘密の内容が明らかにされないまま公判が開かれれば、憲法82条の裁判公開原則に反する、など刑事法の観点から問題点を指摘しており、一橋大名誉教授、九州大、北海道大、大阪大などの教授や弁護士らが名前を連ねている。それでも特定秘密保護法を施行するのか、また、それは何のためかなのかを問題にすべきである。

(3)TPP、農協改革の是非(このブログの「環太平洋連携協定」「農林漁業」のカテゴリーに詳しく記載)
 TPPは農業にダメージを与え国家主権を害するものだが、自民党は公約を曖昧にしてTPPや農協改革を進めてきた。これは、経済産業省の意向が強く働いているからだろうが、地域の産業として、農林漁業や食品産業は重要であるため、守らなければならない。また、農協改革も実態に合っていないため、ここで「No」の意志表示をすべきだ。

(4)消費税増税の是非(このブログの「消費税増税問題」のカテゴリーに詳しく記載)
 消費税増税の是非については、昨日も記載したとおり、ここで明確に「No」の意志表示をすべきだ。

(5)年金・社会保障削減の是非(このブログの「年金・社会保障」のカテゴリーに詳しく記載)
 社会保障は、街づくりや中食産業の工夫により、サービスを維持しながらある程度削減することが可能だが、年金、医療保険、介護保険を削減されれば生活できなくなる人が多い。これは、副総理の麻生財務大臣や世襲議員にはピンとこない人が多いため、国民が、ここで明確な「No」の意志表示をすべきだ。

(6)普天間基地問題の是非(このブログの「普天間基地問題」のカテゴリーに詳しく記載)
 このブログの2014年11月17日にも記載したとおり、在日米軍施設の74%が集中する沖縄に、辺野古沖を埋め立てて新たな米軍基地をつくることは、保守分裂までして行われた今回の沖縄県知事選挙で明確に反対の意志が示された。しかし、政府はその選挙結果にもかかわらず、辺野古移設を進めると明言しており、民主主義国家としていかがなものかと思われるため、国政選挙でも論点として、「No」の意志表示がなされなければならない。

(7)集団的自衛権行使の是非(このブログの「安全保障」のカテゴリーに詳しく記載)
 日本国憲法は最高法規であるため、日本がどこまで集団的自衛権を行使できるかは、憲法の範囲内に決まっているが、いろいろと迷案が出ているので、ここで明確にすべきである。

(8)国民主権と憲法改正の是非(このブログの「日本国憲法」「民主主義・選挙」のカテゴリーに記載)
 自民党は憲法改正の準備に入っているため、この議論も重要である。

*1:http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2014112102000125.html
(東京新聞 2014年11月21日) 安倍政治を問う 衆院きょう解散
 安倍晋三首相は二十一日、衆院を解散する。二〇一二年十二月の第二次安倍政権発足後、約二年間にわたって進めてきた政策が審判を受ける。くらしへの影響が大きいアベノミクスと呼ばれる経済政策、憲法解釈の変更で集団的自衛権の行使容認に踏み切った安全保障政策、再稼働を進める原発政策は、日本の針路を大きく左右する三つの岐路として、その是非が問われる。政府は二十一日午前の閣議で、各閣僚が解散の閣議書に署名。午後一時開会予定の衆院本会議で伊吹文明議長が解散詔書を朗読し、衆院は解散される。政府はこの後の臨時閣議で「十二月二日公示、十四日投開票」の選挙日程を正式決定する予定。衆院選は、自民、公明両党が大勝し、民主党から政権を奪還した一二年十二月以来二年ぶり。首相は二十日、都内で開かれた商工会全国大会で「私たちが進めている成長戦略が正しいのか、ほかに道があるのか、選挙戦を通じ明らかにしていく」と述べ、アベノミクスの継続の是非を問う考えを示した。与党は近く円安対策などを柱とした経済対策をまとめ、選挙戦で実現を訴える。一方、民主党の海江田万里代表は都内で記者団に「アベノミクスによる格差の拡大と固定化はあってはならない。(安全保障政策で)社会がきな臭い方向に行かないように押しとどめる」と安倍政権と対峙する考えを示した。衆院選公示が迫る中、野党は他党と競合する選挙区の調整や公認候補の選定作業を加速。一部では離党して民主党に合流する動きが表面化した。首相は十八日、消費税率の8%から10%への引き上げを一七年四月まで一年半延期すると明言。「国民生活に密接に関わる税制を変更する以上、速やかに信を問うべきだ」として二十一日に衆院を解散する。首相は与党で過半数(二百三十八議席)を下回れば退陣する考えを表明した。

*2:http://mainichi.jp/select/news/20141121k0000e010232000c.html
(毎日新聞 2014年11月21日) 衆院:解散、総選挙へ…アベノミクス問う 12月2日公示
 衆院は21日午後1時からの本会議で解散された。衆院選は「12月2日公示−14日投開票」の日程で行われる。衆院解散は2012年11月16日に民主党政権の野田佳彦首相(当時)が行って以来2年ぶり。安倍晋三首相は、今年4月の消費税率8%への引き上げ以降、経済が低迷していることを受け、来年10月予定の10%への引き上げを1年半先送りすることを決めた。衆院選では、政権の経済政策「アベノミクス」継続の是非のほか、集団的自衛権の行使容認などが大きな争点となる。首相は21日朝、首相官邸で記者団から「解散に臨む気持ちは」と問われたが、「おはよう」と右手を挙げるにとどめ、閣議前の写真撮影の際も硬い表情のままで無言だった。閣議では、全閣僚が閣議書に署名し、憲法7条に基づく解散詔書を決定。「大義なき解散」との批判を念頭に、菅義偉官房長官はその後の記者会見で、「首相はデフレ脱却と経済再生に強い意欲を持っている。解散後に首相が会見して説明する」と述べた。午後の衆院本会議で、伊吹文明議長が解散詔書を読み上げ、解散。民主党は「解散に大義がない」として、慣例となっている「万歳」をしなかった。維新も起立のみで万歳はしなかった。野党各党は今回の衆院解散・総選挙を「延命をはかる解散」と批判している。政府はその後の臨時閣議で、衆院選の日程を正式に決める。首相は就任後の昨年3月、毎日新聞の世論調査で内閣支持率70%を獲得。同7月の参院選で勝利して衆参両院の「ねじれ」を解消した。その後も安倍政権は、堅調な支持率と衆参で多数を占める自民党の「1強多弱」を背景に、安定した政権運営を進めてきた。経済政策では、(1)大胆な金融政策(2)機動的な財政政策(3)民間投資を喚起する成長戦略−−をアベノミクスの「三本の矢」として進め、株価は上昇した。一方、消費税率8%への引き上げを昨年10月に決定し今年4月に実施して以降は、経済が低迷。首相は景気回復の遅れを理由に、今月18日の記者会見で消費税率10%への引き上げを17年4月まで1年半先送りすると明言。そのうえで「国民生活に重い決断をする以上、速やかに国民に信を問う」と衆院解散の意向を表明した。エネルギー政策では、首相は「安全が確認された原発を再稼働する」と訴え、原子力規制委員会の審査を後押ししてきた。

*3:http://qbiz.jp/article/50442/1/
(西日本新聞 2014年11月22日) 衆院選の争点、世論を二分する4テーマ
 12月2日に公示される衆院選は、2年間の「安倍政治」を問う選挙になる。国民の間で意見が分かれ、日本の将来に大きく関わる(1)アベノミクス(2)安全保障(3)エネルギー(4)社会保障−の4テーマについて、第2次安倍内閣の実績やこれからの課題を検証し、選挙戦の争点を展望する。
■アベノミクス
<デフレ脱却には道/都市部に偏る恩恵>
 衆院選での最大の争点が、安倍内閣の経済政策「アベノミクス」だ。政府、与党が株価や賃金上昇などの成果を強調する一方、4月の消費税増税の影響が長引き、7〜9月期の国内総生産(GDP)が2四半期連続のマイナス成長となるなど、評価は分かれる。「企業がしっかりと収益を上げれば、雇用を増やし、賃金を上げることができる。その好循環を回していく、これがアベノミクスなんです」。安倍晋三首相は衆院解散した21日の会見で、雇用や賃金などの指標を挙げ、成果を自賛した。最大の課題だったデフレからの脱却に光が差してきたのは間違いない。9月の全国消費者物価指数は前年同月比3・0%上昇し、16カ月連続のプラス。消費税増税分を除くと1・0%の上昇で、日銀目標の2%には及ばないが、緩やかな上昇が続いている。雇用でも9月の有効求人倍率が1・09倍と、バブル後の最高(1・10倍)と肩を並べた。2012年12月の第2次安倍内閣発足時と比較すると、日経平均株価は約7千円上昇、円相場は1ドル=85円台から117円台まで円安が進んだ。10月の貿易統計で輸出は金額、数量とも2カ月連続で前年同月を上回り、財務省は「海外需要に加え、円安の影響も出ている」と分析する。
   §   §
 一方、アベノミクスの恩恵にあずかっているのは、大企業や都市部などに偏り、地方や家計に及んでいないという指摘は根強い。9月の消費支出は5・6%減で、消費税が引き上げられた4月以降、マイナスが続いている。物価上昇分を除いた実質賃金は9月も3・0%減と15カ月連続のマイナス。消費税増税を含めた物価上昇に賃金が追いつかず、消費が伸び悩むという図式だ。地域経済の力不足も顕著だ。10月の百貨店売上高は東京や大阪など大都市圏が前年同月比0・9%減だったのに対し、地方は4・8%減と落ち込みが激しかった。14年9月中間決算でも、好業績だったのは円安を追い風にした輸出関連の大企業が中心で、内需関連や地方の中小企業は輸入原材料や燃料費高騰に苦しむ。明治安田生命保険の小玉祐一チーフエコノミストは「円安による物価上昇や、厚生年金保険料の引き上げなどで、家計の負担は拡大している。物価の推移を見る限り、日銀の追加緩和が効く見通しも立てがたい」と指摘した。
■安全保障
<武力行使、歯止め焦点>
 安倍晋三首相は7月、集団的自衛権の行使を容認する憲法解釈変更を閣議決定した。これまで、日本への武力攻撃があった場合のみ自衛隊が武力行使できると解釈してきたが、「国民の権利が根底から覆される明白な危険」がある場合、他国への武力攻撃であっても、自衛隊の武力行使を可能とした。だが、「明白な危険」の範囲については、与党内でも温度差がある。例えばペルシャ湾ホルムズ海峡のシーレーン(海上交通路)で行う機雷掃海について、首相は「可能」とする立場だが、公明党は慎重姿勢を崩していない。日米両政府は、自衛隊と米軍の協力や役割分担を定めた日米防衛協力指針(ガイドライン)の改定作業を年内に終える予定だったが、来春以降に先送りした。集団的自衛権を含む安全保障法制も、来年の通常国会後半で審議される。両者は密接に関係しており、自衛隊の武力行使に適切な「歯止め」をかけられるか否かが大きな焦点となる。国家機密の漏えいに厳罰を科す特定秘密保護法は昨年12月、与党の強行採決で成立。選挙期間中の12月10日に施行される。指定する秘密の拡大解釈や恣意的な運用に対する懸念は強い。政府が設置する監視機関の権限も不十分で、実効性に疑問が残ったままだ。首相は18日のテレビ番組で「(秘密保護法によって)報道が抑圧されるような例があったら私は辞めます」と明言したが、廃止法案が成立しない限り同法は続く。たとえ首相が辞任しても事態は改善しない。
■エネルギー
<再稼働、さらに加速へ>
 安倍内閣は、今年4月に策定した新たなエネルギー基本計画で「重要なベースロード電源」と位置付けた原子力発電所の再稼働を推進する姿勢を鮮明にしている。21日の閣議後会見でも、宮沢洋一経済産業相が「安全性が原子力規制委員会で確認されたものについては再稼働を進めるという方針でやってきたし、(衆院選の)公約に明記しないといけない」と強調した。東京電力福島第1原発事故を教訓にして策定された新規制基準に基づき進んでいる規制委の審査は、1番手の九州電力川内原発(鹿児島県薩摩川内市)が地元同意を得て、年明けに再稼働する見込み。関西電力の高浜原発(福井県)や大飯原発(同)、九電玄海原発(佐賀県玄海町)も進んでおり、来年はさらに再稼働が加速しそうだ。一方、基本計画で「導入を最大限加速する」とした再生可能エネルギーの先行きには暗雲が漂う。九電など大手電力会社5社は9月、太陽光発電など再生エネの送電網への接続申し込みが許容量を超えたとして、契約手続きを中断。国が検証作業を進めているが、申し込みの全てが接続できるかどうかは不透明だ。福島第1原発の事故は今も収束せず、10万人以上が避難生活を強いられる中で進む原発回帰。火力発電中心となり、家庭向けの電気料金が震災前より約20%上昇しているのも事実だ。国民生活や企業活動を支えるエネルギーの将来像が問われる。
■社会保障
<過重労働、根強い懸念>
 雇用労働では安倍政権が進める規制緩和の是非、社会保障では制度維持に向けた負担増の在り方が問われる。臨時国会では、企業が派遣労働者を受け入れる期間の制限をなくす法案が廃案になった。政権は多様な働き方を支援すると主張したが、野党は不安定雇用が広がると批判した。政権は労働時間規制の適用を除外する「ホワイトカラー・エグゼンプション」の導入を目指しており、過重労働に歯止めがかからなくなるとの懸念が根強い。政権は、医療では75歳以上の一部に実施している保険料の特例軽減措置の廃止や、入院食費の増額を検討している。介護では、特別養護老人ホームの相部屋の利用料引き上げ、年金では少子高齢化に応じて年金水準を徐々に抑制する仕組みの強化などを議論している。

*4:http://www.nikkei.com/article/DGXLZO80040280S4A121C1MM8000/
(日経新聞 2014/11/22) アベノミクス争点 衆院解散、12月14日総選挙
 衆院が21日の本会議で解散され、与野党は「12月2日公示―14日投開票」の衆院選に向けて事実上の選挙戦に突入した。安倍晋三首相(自民党総裁)は記者会見で、自らの経済政策アベノミクスの継続を問う考えを表明。雇用の増加や賃金水準の上昇などの成果を訴えた。野党側は経済格差が拡大したとして持続性と効果に疑問を呈し、対決姿勢を強めている。日本経済新聞社の調べによると、21日夜時点で立候補予定者は与野党で約1千人。1票の格差是正で小選挙区は5減り、今回の衆院選は小選挙区295、比例代表180を合わせた定数475議席を与野党が争う。首相は21日の記者会見で「アベノミクス解散だ。アベノミクスを前に進めるのか、それとも止めてしまうのか、それを問う選挙だ」と強調した。「100万人以上の雇用増」を成果に挙げた。「アベノミクスが始まって行き過ぎた円高が是正された」とも主張。円安による物価高については「経済対策でしっかり対応していく」と述べた。都市と地方の格差拡大に触れ「まだまだ厳しい地方経済に景気回復の暖かい風を送り届けてこそ、アベノミクスは完成する。この道しかない」と理解を求めた。2015年10月に予定していた消費税率10%への引き上げを17年4月に延期すると改めて説明。「今回のような景気判断による再延期は行わない」と断言した。「野党が皆同意しているから選挙の争点ではないといった声があるが、それは違う。いつから引き上げるべきなのか時期を明確にしていない」と批判した。再増税延期で社会保障を充実させる政策スケジュールの見直しが必要との認識を示す一方、待機児童解消を目指す子ども・子育て支援の新制度を来年4月から予定通り実施する考えを示した。民主党の海江田万里代表は記者団に「アベノミクスが持続的、安定的な経済成長につながるのか」と疑問を投げかけた。維新の党の江田憲司共同代表は「成長戦略の骨抜きが景気失速の最大の原因」と指摘した。次世代の党は金融政策に過度に依存しているとして軌道修正を求めている。
■アベノミクス、2年の評価は
 安倍晋三首相は衆院選でアベノミクスの是非を問うと力説した。2012年12月の政権発足後、金融緩和と財政支出、成長戦略の「3本の矢」でデフレからの脱却を目指してきたが、成果は道半ばだ。行き過ぎた円高の修正によって雇用や所得の改善につながったものの、個人の消費や企業の投資が増え続ける好循環には至っていない。第1の矢、日銀による大規模な金融緩和の効果は円高の修正だ。12年2月に一時1ドル=76円台となった円相場は14年11月に1ドル=118円台と、5割も円安になった。輸出企業の収益が高まり、大手製造業は今期も海外で稼いで最高益をうかがう勢いだ。企業収益の改善は株高にもつながった。第2の矢である財政支出も、政府債務が増したものの景気は押し上げた。2.2%だった13年度の実質成長率は0.7ポイント分が公共投資による押し上げ効果だ。雇用環境は人手不足とも指摘され、完全失業率も3%台まで下がった。今春の大企業の賃上げ率は、15年ぶりに2%台の伸び率となった。ただ4月の消費税率8%への引き上げ分を差し引くと、家計の購買力である「実質賃金」は減っている。輸出企業にはプラスに働く円安も、輸入企業や家計にとっては原材料や食料品の値上がりにつながる。第3の矢である成長戦略は、規制緩和などで企業活動を後押しするとしていた。医療や農業などの「岩盤規制」の突破も狙ったが、実現した政策はまだ少ない。企業側の要望が強い法人実効税率の引き下げも、詰めの議論は途上だ。日本経済の実力を示す潜在成長率は労働力人口の減少などで0%台半ばとされ、政権発足後も伸びていない。日本経済は4月の消費増税後、2四半期続けてマイナス成長になるなど立て直しは道半ばだ。消費再増税の先送りによって財政再建も遅れている。医療や介護、年金といった社会保障分野の歳出見直しは不可欠だ。

*5:http://qbiz.jp/article/50434/1/ (西日本新聞 2014年11月22日) 【景気変調〜アベノミクスの行方】(5)建設 人手不足の長期化深刻
 「実家に帰って農家になります」。今年9月、福岡市内の建築足場会社で、10〜20代の職人3人が相次いで辞表を出した。「給料はがんばって出していたが、今の若い人は建設業に魅力を感じてくれない。頭が痛い」と社長。過剰な業務による事故を防ぐには依頼の一部を断るしかない。外国人技能実習生の活用に向けた検討も始めた。今年9月の九州・沖縄8県の有効求人倍率は0・91。バブル期直後の1991年12月以来の高水準だ。特に建設業界は全国的な人手不足が続く。福岡労働局によると、福岡県の建設・採掘業の有効求人倍率は、比較可能な2012年4月以降、1・0倍を超えている。直近の14年9月は、働き口が求職者の2倍以上あることを示す2・12。他県もほぼ同じ傾向という。東日本大震災の復興工事や東京五輪に向けた工事が増え、東北や首都圏に職人が集まっていると言われるが、大本は、就労者の高齢化と若手の減少が同時に進む慢性的な問題だ。中高年が退職期に差し掛かり、今後、さらに深刻化するとみられている。
■大型工事に遅れ
 人手不足により人件費は上昇。円安による資材高とも相まって、各地で大型工事の遅れが散見される。来春の開業に向け、大分駅ビルの建設が進む大分市中心部。駅前の一等地にあった商業施設、大分パルコ(11年に閉店)の跡地は、今年7月から暫定的に駐車場になっている。15年度に完成予定だった大分中村病院(大分市)の新病院建設が、遅れる見通しになったためだ。同病院が、周辺道路の車線減との調整などと並んで原因に挙げるのが、当初の予算から2、3割高くなりそうな建設費。後藤昌一事務長は「早く建てたいが、理想の病院を建てるには慎重に進めた方が得策と判断した」と語る。
■高校生に見学会
 長崎県では8月、県庁舎の建て替え工事の入札で、参加業者が示した金額が県が算出した予定価格を上回り、落札業者が決まらなかった。「公共工事の単価は相場を反映するのが遅く、業者は民間工事を優先しているのでは」と業界関係者。26日にある2回目の開札を前に、県の担当者は「今度こそ決まってほしい」。人手不足解消に向け、竹中工務店九州支店(福岡市)は今年から、建設中のマンションで高校生や専門学校生向けの見学会を始めた。現場の作業を見せて興味を持ってもらう狙い。参加した41人のうち6人が来春から建設業界への就職を決めたという。牧旨之調達部長は「現状のままでは日本の建築技術は衰退する。後継者を増やすには、長い目で見た取り組みが必要」と力を込めた。景気変調の中で、人手不足など長期的な課題も抱える九州経済。アベノミクスの行方が問われている。


PS(2014.11.24追加):秘密保護法の施行には、*6のように、民主主義や三権分立を護る見地からの反対が多く、それだけ重要な問題なのである。
    
           特定秘密保護法の内容              *6より
*6:http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014111801001716.html
(東京新聞 2014年11月18日) 秘密保護法施行やめて、市民訴え 国会前、日弁連集会も
 12月10日施行の特定秘密保護法に反対する市民団体が18日、東京・永田町の国会前で「国民の知る権利を奪う」と法廃止や施行延期を求めてシュプレヒコールを上げた。国会内では日弁連主催の集会も開かれ「恣意的な秘密指定がされる恐れがある上、国会の監視機能が制限され、三権分立がゆがめられる可能性もある」との指摘が出た。国会前では約130人の市民が「秘密保護法を施行するな!」と書いた横断幕やプラカードを掲げ「情報は市民のもの」「安倍政権の暴走を止めよう」と声を上げた。施行延期などを求める安倍晋三首相宛ての要請書を内閣府に提出した。


PS(2014.11.24追加):TPPに関しては、*7-1のように、農業など眼中にない日経新聞や経団連会長は「TPPの実現は日米関係のさらなる強化に資する」としており、農業を真面目に考えている日本農業新聞や専門家は、*7-2のように、「『日本農業は一人負けで、参加国の輸出増の70%を背負い込む』と米農務省がTPPの効果を試算している」と述べている。だからこそ、米国等はTPPに積極的なのであり、日本は農業を既に古くなっている形の貿易や能力なき外交の生贄にしてはならないのである。

       
  TPPの参加国  農業の今後の懸念とこれまでの交渉実績    ISD条項
*7-1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20141113&ng=DGKKASFS13H0A_T11C14A1EAF000 
(日経新聞 2014.11.13) 経団連会長、「TPP早期合意実現を」 日米財界人会議が開幕
 日米の経営者が経済問題などを話し合う日米財界人会議が13日、東京都内のホテルで開幕した。経団連の榊原定征会長は講演で、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉について「TPPの実現は日米関係のさらなる強化に資する」と強調した。年内の大筋合意は断念しているが「年明け以降、できる限り早く合意が実現されるよう日米の政治のリーダーシップに期待したい」と語った。会議には、菅義偉官房長官やケネディ駐日米大使が出席した。景気認識に関し榊原氏は、輸入コストの増加など下押し圧力に注意が必要だが「先行きを過度に悲観する必要はない」と指摘した。消費税10%への引き上げは、予定通り実行すべきだと重ねて強調した。

*7-2:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=30768 
(日本農業新聞 2014/11/12) 日本農業 一人負け 参加国の輸出増 70%背負い込む 米農務省がTPP試算
 米農務省は、環太平洋連携協定(TPP)合意で2025年までに関税が完全撤廃になった場合、交渉参加12カ国の農産物貿易がどう変わるのかを予測した報告書をまとめた。合意によって米国農業は輸出額を最も増やす。一方、参加国全体の輸出増加額の70%は、その輸出先となる日本に押し付けられ、日本農業がほぼ一人負けになると見込んでいる。報告書は、米農務省経済分析局の専門家らがまとめた。各国が既に参加している自由貿易協定などを加味した「通常」と、関税や関税割当を完全撤廃した「TPP」シナリオを比べた。「TPP」シナリオで合意すると、参加国の農産物貿易は6%、計85億ドル(1ドルは約116円)増えると予測する。うち33%に相当する28億ドルを米国が獲得する。これに対し、日本の輸出増加分は、加工品を中心に8300万ドル。参加国全体の輸出増額分のわずか1.4%に過ぎない。一方、参加国の輸出増加額の70%に当たる58億ドル分は、輸入という形で日本が背負い込む。日本の輸入額が増える品目は、食肉が半分を占め、米を含めた穀物、その他の加工品、酪農製品などが続く。日本には貿易収支の面で「焼け石に水」にもならない。安倍政権が20年までに食品輸出額を1兆円に倍増する計画は、この試算からは完全に無視された形だ。報告書が示す日本農業への影響は、これまで日本政府などが試算したものに比べ、極めて小さい数字に抑えられている。例えば米について、日本政府が32%の生産額の減少を見込むのに対し、米農務省試算は3%減に過ぎない。砂糖の生産額は100%無くなるとの予測に対し、わずか2%の落ち込みと見込む。こうした“軽い”減産予測を基に報告書は「TPPで関税を撤廃しても日本農業生産額への影響は大きくない」などと指摘。TPP交渉で日本が関税撤廃に踏み切るよう背中を押した。日本政府の試算と大きく異なるのは、米農務省試算が関税以外の豚肉の差額関税制度や砂糖の価格調整制度などを織り込んでいないことが大きい。報告書の執筆に当たった米農務省関係者の一人は「国際市場で日本向けに輸出できる数量が十分に手当てできないこと、日本の消費者が国産志向を持っていることなどが米日の試算で影響が異なった原因だ」と説明する。
●生産への影響評価不十分 東京大学大学院教授 鈴木宣弘氏に聞く
 米農務省がまとめたTPPの試算に対する見方について、東京大学大学院の鈴木宣弘教授に聞いた。農務省は中間選挙での共和党の勝利を見込んで、このタイミングで試算を提示したと考えられる。共和党は徹底した自由貿易推進の立場をとっており、TPPでさらに徹底した農産物の関税撤廃を日本に迫るだろう。域内の農産物輸入増加分の7割を日本が負担する「一人負け」なのに、国内生産はほとんど減らないという試算は極めて恣意的である。この種の試算では安い輸入品が入ってきても国産品は「別物」で、国内生産はあまり影響を受けない。輸入と国産の代替性を現実的な水準に変更すれば、試算結果は大きく変化する。日本産米に匹敵するジャポニカ米の供給余力を現時点での生産量で評価しているのが問題だ。主産地のカリフォルニア州は水が不十分で余力が小さいとしても、アーカンソー州は水が豊富である。ビジネスチャンスが日本で生じれば、同州ではジャポニカ米に切り替えられる。ベトナムでもジャポニカ米はすでに60キロ当たり1200円程度で生産され、「コシヒカリ」を欧州に輸出している。日本の米農家の現地検証では、日本と同等の品質米も同4000円程度で生産可能だ。日本の商社などもTPPを見越した準備を始めている。中長期的な供給余力と低い生産コストを考慮すれば、農務省の試算結果とは全く異なり、日本の農業生産への影響はもっと大きくなる。


PS(2014.11.25追加):原発の安全性について、鹿児島県の伊藤知事は、*8-1のように、「もう命の問題なんか発生しない」と明言して川内原発の再稼働に同意したが、原発が事故を起こせば、癌、白血病、心臓病等の疾患が増えるのは当たり前だ。これについて、*8-2で、英国出身の放射線生物学者キース博士(73)が、11月24日、「国連科学委員会の報告書が掲載している被曝線量でも癌の過剰発生は予測され、国連科学委員会は、透明性、独立性を欠いて非科学的であるため解散すべきだ」としている。私は、キース博士の方が、勇気を持って、公正でまっすぐな意見を言っていると考える。

*8-1:http://mainichi.jp/select/news/20141108k0000m040112000c.html
(毎日新聞 2014年11月8日) 川内原発再稼働同意:「命の問題発生せず」鹿児島知事
 原発の立地県として初めて、鹿児島県の伊藤祐一郎知事と県議会が7日、九州電力川内原発(鹿児島県薩摩川内市)の再稼働に同意した。原発事故への不安が根強い中、伊藤知事は国の新たな規制基準とそれに基づく九電の対策を高く評価し、「もう命の問題なんか発生しない」と明言。しかし、再稼働に反対する県民は「安全神話の復活だ」と猛反発している。両者の主張は相いれないまま、知事判断で再稼働の地元手続きは完了した。「やむを得ない」。伊藤知事は7日、県議会が再稼働陳情を採択した後に記者会見を開き、自らも同意したことについてこの言葉を連発した。伊藤知事はこれまで、再稼働の必要性を訴えつつ「脱原発に向かって模索する」とも主張してきた。今回、再稼働に同意したことに、伊藤知事は「国民生活のレベルを守り、わが国の産業活動を維持する上で(原発は)重要な要素だ」と理解を求め、「わが国の当面の判断として原発を活用する以外に道がない。安全性がある程度約束されるのであれば、それがベターだ」として「やむを得ない」の理由を説明した。一方、原発事故への不安については「福島であれだけの不幸な事故が起きた。安全神話が全部崩れたのは確かだ」との認識を示しながらも、原発事故後に設けられた国の新規制基準を高く評価。原子力規制委員会の指針や九電の評価を引用し、事故が起きても原発から5.5キロの放射線量は毎時5マイクロシーベルトだとした上で「避難の必要がない。普通に生活してもいい」と述べ、「もし福島みたいなことが起きても、もう命の問題なんか発生しない」と明言した。福島の事故は収束せず、避難計画の実効性や火山対策にも疑問の声が上がる中での再稼働同意に、納得のいかない住民は多い。この日、県庁には全国各地から再稼働反対を訴える400人以上が集まり、県議会の傍聴席を埋めた。午前10時の開会前から「再稼働にどんなメリットがあるのか」などのヤジが飛んだ。しかし、県議会(定数51、欠員2)は自民県議団が33人を占め、再稼働を進める政府・自民党本部の方針に従えば、再稼働陳情が採択されるのは必然だった。反対討論を行った柳誠子県議(県民連合)も「歴史に禍根を残す一日」と無念さをにじませた。

*8-2:http://digital.asahi.com/articles/ASGCR4HRLGCRUGTB002.html?_requesturl=articles2FASGCR4HRLGCRUGTB002.html&iref=comkiji_txt_end_s_kjid_ASGCR4HRLGCRUGTB002 (朝日新聞 2014年11月25日)「国連科学委は非科学的」 元WHO欧州地域顧問
 旧ソ連・チェルノブイリ原発事故の健康影響調査などに携わってきた英国出身の放射線生物学者キース・ベーバーストック博士(73)が24日、東京都内で朝日新聞記者の取材に応じた。東京電力福島第一原発事故後のがんの増加に否定的な報告書を出した国連科学委員会(UNSCEAR)を「透明性、独立性を欠き非科学的」と批判し、「解散すべきだ」と訴えた。博士は取材に対し、科学委が今年4月に発表した福島第一原発事故の影響についての報告書で「被曝によるがんの増加は予測されない」などとしたことに、報告書が掲載している被曝線量でも「がんの過剰発生が予測される」と反論した。たとえば報告書は事故から約1年半後までに原発敷地内で働いた作業員で10ミリシーベルト以上被曝した人は1万人近くいるとしており、これだけで50人近くのがんが増えると主張した。科学委の中立性にも疑義を訴えた。理由として、原子力推進計画をもつ国が委員を指名し、科学委に資金提供している▽委員の原子力産業内での雇用履歴が公表されず、放射線リスク評価の際の利益相反がないことの宣誓書が添付されていない――などをあげ、「利権からの独立もなく、科学の名に値しない偏向した報告書だ」と述べた。博士はWHO勤務時代、原子力を推進している国際原子力機関(IAEA)から「常に介入圧力を感じていた」と語った。福島第一原発事故に関する報告書が公表まで3年以上もかかったことに疑問を呈し、内部情報をもとに「結論を巡る批判やIAEAなど他の国連機関の影響」の可能性を指摘した。博士はチェルノブイリ事故の被災地での甲状腺がんの増加をいち早く指摘。世界保健機関(WHO)欧州環境健康センターで放射線公衆衛生地域顧問などをつとめてきた。今回、原発事故に関する「市民科学者国際会議」を主催する市民団体の招きで来日した。


PS(2014.11.25追加):憲法改正論者の論拠は、*9のように、「現行憲法は占領下で制定されたので、日本国民が憲法を定めるべき」というのが多い。しかし、私は、日本の内部で改正すれば、小さな変革はできても、ここまで大きな民主化や男女平等への革命的変革はできなかったと考える。そのため、憲法を改正すれば、国民にとって(ここが重要!)良くなるのか悪くなるのかをしっかり議論すべきであり、私自身は、自民党の改正案よりも現行憲法の方が、ずっとヒューマニズムに富み見識が高いため、まず、この憲法を守るべきだと考えている。
      
 自民党改正手続案  自民党改正草案  一般へのアンケート(有権者も勉強が必要)

*9:http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2014111702000203.html
(東京新聞 2014年11月17日) 衆院憲法審が盛岡で公聴会 改正国民投票法議論
衆院憲法審査会は17日、盛岡市で大学教授や弁護士ら5人による地方公聴会を開いた。改正国民投票法の施行を受けたもので、憲法改正に対し賛否の意見が出た。衆院事務局によると、憲法審査会としての地方公聴会開催は初めて。宮城県議の相沢光哉氏は「現憲法は占領下で制定された。(衆参両院それぞれで総議員の3分の2以上の賛成が必要となる)改憲の発議要件は緩和されるべきだ」と主張。弁護士の小笠原基也氏は「改正国民投票法は採決までの経緯で十分な議論がなく、廃止すべきだ」、岩手県生活協同組合連合会会長理事の加藤善正氏は「改憲の必要性を感じるのは国民の少数だ」と述べた。日本大名誉教授の小林宏晨氏は「閣議決定による集団的自衛権の行使容認解釈は、国連憲章に近づいており、非常に良い方向だ」と指摘した。

| 民主主義・選挙・その他::2013.12~2014.11 | 03:23 PM | comments (x) | trackback (x) |
2014.11.9 私に対する虚偽のブログ記載による侮辱は大きな実害があり、Googleに削除要請しても削除されなかったのだということ
(1)私がネットで侮辱され続けた事例
 私は身に覚えのない「選挙違反」「逮捕」「ky」「語録」などの名目で、5年以上に渡り、Google やYAHOO の検索機能で、*1-1や*1-2のようなサジェストを行われ続けている。そして、これは人格権の侵害であり、名誉棄損で侮辱以外の何物でもないため、まず、2012年12月26日に、週刊文春記事については根拠がない旨の東京高裁判決を得た。また、運動員の逮捕については、警察は何とか罪にして私と関連づけようとしていたが、そうはならなかった。従って、これは、私の選挙違反でも逮捕でもなく、逮捕された本人は「もう静かにしていたい」と言っているため、再審の請求もできないものである。

 そのためGoogle日本法人に、①ky・文春・語録は事実無根の記載であり、東京高裁で名誉棄損・侮辱が認められていること ②選挙違反や逮捕は私ではないこと を理由に、内容証明郵便でこのようなサジェスト表示の削除を要請したところ、1)検索機能で掲載されたものは機械的に抽出されたものであり、Googleが掲載したものではない 2)検索機能は米国で管理しているため、日本法人は関係ない 3)社内のプライバシーポリシーに照らして削除に該当する事案ではない などを理由に削除を断られた。そして、現在まで5年以上に渡り、人格権の侵害と名誉棄損を行われ続けているのである。

 また、YAHOOも、*1-1のように、選挙違反、語録などの事実でない名誉棄損のサジェストを行って、私の人格権を侵害し、名誉棄損を行い続けていることは同様だが、これは、Googleよりも少し穏やかだったため、現在のところ、まだ削除要請をしていない。

 そして、私が、このブログの「週刊文春の名誉棄損事件に勝訴」「Googleの検索機能などインターネットによる名誉棄損関係」「強引な運動員の逮捕」などのカテゴリーに記載しているように、ky、語録、選挙違反、逮捕のいずれも、「キャリアのある女性は性格が悪い」「女性は馬鹿で的外れ」というような古くて変な“常識”を、まるで事実ででもあるかのように作り上げている点で、社会進出を果たした女性に対する女性蔑視を利用した侮辱なのである。

 その結果、これらのサジェスト表示による私の損害は、何か悪いことでもしたかのように思われた実害といろいろな機会を奪われた機会費用を含めると、非常に大きなものがある。

(2)ネット投稿、サジェスト機能の削除要求に対する日本の裁判所の態度
 私と全く同様に、名誉棄損のネット投稿やサジェスト機能で損害を受けた人がおり、*2-1のように、犯罪行為に関与したとする中傷記事がネットに掲載され、フルネームで検索すると犯罪行為を連想させる単語が関連ワードとして表示され、それによって勤務先では退職に追い込まれ、その後の就職でもその中傷記事について言及されて内定を取り消された日本人男性が、その表示の差し止めを求めて提訴した事件で、Googleは「機械的に抽出された単語を並べただけで、プライバシーの侵害には当たらない」と主張したが、東京地裁は日本人男性の主張を認めた。

 それにもかかわらず、削除権限を持つ米Googleは、2014年3月28日の時点では、「日本の法律で規制されることではない」「社内のプライバシーポリシーに照らして削除に該当する事案ではない」として東京地裁の決定には従わないとしている。しかし、ネットなら何をしてもよいという発想は異常だ。

(3)2014年5月のEU司法裁判所の決定を受けて、米Googleがやっと削除
 EUでは、*3-1のように、2014年5月にEU司法裁判所が「忘れられる権利」を初めて認定し、ネット上の個人情報を削除すべきだとした。これを受け、米Googleは、欧州の利用者を対象に、検索結果に含まれる自分に関する情報の削除要請を受け付けるサービスを始めたそうだ。

 そして、*2-2のように、東京地裁は、日本人男性の仮処分申請について、2014.10.9になって初めて、「インターネットの検索サイト『Google』で自分の名前を調べて犯罪に関係したかのような記事リンクが現れたとき、米Googleは検索結果の一部を削除しなければならない」という命令を出した。

 これにより、東京地裁は、「検索結果自体が男性の人格権を侵害している」と認定して削除を命令したそうだが、もし欧州連合(EU)で同様の司法判断が出ていなければ、日本の裁判所が、米国のGoogle相手にこのような命令を出すか否かは危うかった。しかし、この東京地裁のGoogleへの検索結果削除命令で、検索結果に表示された記事のタイトルや要約も、人格権侵害の内容によって削除を命令できるという裁判所の考え方が確立されつつあるとの見方が専門家の間で強まったのはよいことである。

 これを受けて、Google日本法人は、*2-3のように、「裁判所の決定を尊重して仮処分命令に従う」とし、検索結果を削除する方針を明らかにした。男性側は「名前で検索すると、自分と関係のない犯罪行為を連想させる記事が多数表示される」として、検索結果237件の削除を求めて仮処分を申請していたが、東京地裁はこのうち122件が「男性の人格権を侵害している」と認め、Googleに削除を命じる決定を出したそうだ。しかし、裁判所の判断で人格権を侵害するものではないとされても、名誉棄損に関する裁判所の判断は一般社会から見るとかなり甘いため、一部を残したままでは効果が減殺されるだろう。

 このような中、*2-4のように、インターネットの掲示板で誹謗中傷されたとして投稿者の情報開示や投稿の削除をプロバイダー(接続業者)やサイト運営管理者に求めるなど、ネット関係の仮処分申し立てが激増しているのは、私の事例でも損害が大きいため、よくわかる。

 しかし、プロバイダーへの被害者からの要請で問題の投稿が削除されても、被害者に探しにくい場所で誹謗中傷の投稿が繰り返されれば、被害を防ぐことはできない。そのため、このような犯罪を防止し、損害賠償請求できるようにするためには、投稿者及び投稿目的の特定と有罪化が必要だ。

 なお、*3-3のように、YAHOOは「個人情報の保護と知る権利を踏まえ、実際にどういった事例が削除に値するか」などの意見を聞く有識者会議を設置して論じているそうだが、自分たちに都合よく範囲を狭めたIT会社内のルールやIT業界内のルールでは、このような人格権の侵害や名誉棄損事件をなくすことが不可能なことは、これまでの経験から明白である。そのため、IT上での言論の自由、表現の自由も、憲法の人権侵害などに優先しないことを、IT関係者にも認識させるべきだ。

(4)ネットでは犯罪が横行し、その監視に高額をとるという反社会的な販売法が横行している
 ネットや検索サイトであくどい誹謗中傷を行い、人格を傷つけて就職の機会を奪ったり、損害を与えたりするのは反社会的行為である。しかし、現在は、その犯罪的行為を行った人は野放しにされ、被害者が泣き寝入りせざるを得ない状況だ。

 そして、これを監視するためには、*4のように、被害者の方がネット監視料を月に数万円以上も支払わなければならず、不合理この上ない。また、パソコンの「ウイルス感染」も、実際には生物学上のウイルス感染ではなく、人間が作った悪意あるプログラムの侵入であるため、これを作ってばらまく行為は罰せられるのが当然であるにもかかわらず、いかにも自然にあるウイルスであるかのように、ユーザーにアンチウイルスソフトを買わせたり、ウィンドウズPXはサポートしないという販売方法を行ったりして、時間と資源の無駄遣いをさせているのである。もうIT業界も、このような反社会的行動はやめるべきだ。

<私がネットで侮辱され続けた事例>
*1-1:YAHOOの検索機能で「広津素子」を探すと・・
http://search.yahoo.co.jp/search;_ylt=A7dPR3T6OYFUPgIADkOJBtF7?p=%E5%BA%83%E6%B4%A5%E7%B4%A0%E5%AD%90&search.x=1&fr=top_ga1_sa&tid=top_ga1_sa&ei=UTF-8&aq=&oq=&afs=
  広津素子
  広津素子 選挙違反
  広津素子 語録
  広津素子 公認

*1-2:Googleの検索機能で「広津素子」を探すと・・
http://goodkeyword.net/search.php?formquery=%E5%BA%83%E6%B4%A5%E7%B4%A0%E5%AD%90
  広津素子 G B Y
  広津素子 語録 G B Y
  広津素子 選挙違反 G B Y
  広津素子 逮捕 G B Y
  広津素子 ツイッター G B Y
  広津素子 原発 G B Y
  広津素子 公認 G B Y
  広津素子 画像 G B Y
  広津素子 G B Y
  広津素子 語録 G B Y
  広津素子 選挙違反 G B Y
  広津素子 逮捕 G B Y
  広津素子 ツイッター G B Y
  広津素子 原発 G B Y
  広津素子 公認 G B Y
  広津素子 画像
*G B Yは、「God Bless You (幸運を祈る、神の祝福がありますように、感謝をこめてさようなら)」という意味らしい。ただし、Googleでは、現在は下のようになっているが、kyと文春も根拠がないため、既に東京高裁で勝訴済である。
  広津素子
  広津素子 ky
  広津素子 文春

<日本における事例>
*2-1:http://news.nicovideo.jp/watch/nw224079 (ニコニコニュース 2012年3月28日) Googleが「日本の法律には従わない」と宣言 注目の「サジェスト機能」裁判の行方は
 Googleの検索フォームに文字を入力すると、途中から文字の入力を補足したり関連ワードが表示される「サジェスト機能」。先日、この機能によって名誉を傷つけられたとして表示差し止めを求めていた日本人男性の申請が東京地裁で認められた。男性側によると、男性が犯罪行為に関与したとする中傷記事がネット上に掲載されるとともに、フルネームで検索すると犯罪行為を連想させる単語が関連ワードとして表示されるようになった。その関連ワードを含めて検索すると、中傷記事が掲載されたサイトが表示される。それによって当時の勤務先で特に思い当たる節もないのに退職に追い込まれ、その後の再就職でも中傷記事について言及されて内定を取り消される事態が相次いだという。男性は中傷記事を掲載したサイトに削除を求める訴訟も起こしており、請求が認められたケースもあった。だが、中傷記事が1万件以上も拡散していることから、個別訴訟が不可能になったためにGoogleに対応を求めるに至った。Google側は「機械的に抽出された単語を並べただけでは、プライバシーの侵害には当たらない」と主張し、法廷での争いとなった。今回の東京地裁の決定に基づき、男性はGoogleに関連ワードを22日までに削除するよう求めたが、削除権限を持つ米Googleは「日本の法律で規制されることではない」「社内のプライバシーポリシーに照らして削除に該当する事案ではない」として決定に従わないと回答した。このニュースに対して、ネット上では男性側に同情する反応が多い。近年は企業の採用担当者がネットで就職希望者の身辺調査をするケースもあることから、「もし自分が同じ立場になって就職できなくなったらと思うと心配」などといった意見が上がっていた。今回の男性のケースとは違うが、レイプ事件を起こした某有名大学の学生サークルのメンバーが、就職用にSEO対策会社に依頼して事件と関係のないページが検索上位にくるようにしたというウワサがあるほど、ネットの検索結果は無視できない状況になっている。また、ネットのデマ情報によって殺人犯の一味に仕立て上げられたお笑い芸人・スマイリーキクチの騒動を引き合いに出して「勝手に犯罪者扱いとか怖すぎだろ」といった声もあった。
一方で、問題があるのは中傷記事を掲載したサイトであり、Googleを責めるのは筋違いだという意見も目立つ。確かに、Googleは機械的に抽出した関連ワードを提供しているだけであり、直接的に男性の名誉を傷つけているわけではない。ネットに慣れ親しんでいる人ほど、今回の件でGoogle側に非があるようには思えないのではないだろうか。むしろ、外部からの要求によって意図的に関連ワードを操作してしまう方が、問題があるように思える。しかし、東京地裁は男性の訴えを全面的に認めている。この司法裁定に今一つピンとこないネット利用者が多いのは、ネットの実情と現行の法律が噛みあっていない証拠といえるだろう。現行法がネットに追いついていないことに加え、法律をつくる政治家や識者のネットへの理解が不足していることも、この状況をつくり出した要因である。だが、Google側の対応にも一抹の不安を感じる。Googleの検索エンジンはYahoo!にも採用されており、日本の検索サイトのシェアを事実上独占している。にもかかわらず、「日本の法律には縛られない」と堂々と宣言しているというのは、考えようによっては恐ろしい。Googleが日本の法律よりも社内規定を優先すると公言したという事実は、日本の法律の不備とGoogleの存在が大きくなりすぎたネットの歪みを象徴する出来事ではないだろうか。

*2-2:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20141020&ng=DGKDZO78582660Y4A011C1TCJ000 (日経新聞 2014.10.20) グーグル検索結果の削除命令 記事タイトル・要約も対象 東京地裁、人格権に配慮
 インターネットの検索サイト「グーグル」で自分の名前を調べて犯罪に関係したかのような記事リンクが現れたとき、米グーグルは検索結果の一部を削除しなければならない――。日本人男性が求めた仮処分申請について東京地裁は9日、こんな命令を出した。欧州連合(EU)でも同様の司法判断が下されてから間もないだけに関心が高まっている。今回の事案は、自分の名前を検索すると反社会的集団に関わった過去を暴露する記事が多数表示された日本人男性が、記事のタイトルと要約の削除をグーグルに命じるよう申し立てた。記事の発信者に直接削除を求めることもできるが手続きに時間がかかるため、グーグルの検索結果にタイトルなどが表示されないようにして、記事そのものの削除に近い効果を得ようとした訳だ。東京地裁は一部の記事について「検索結果自体が男性の人格権を侵害している」と認定、削除を命令した。これまでも裁判所は場合によっては削除を命ずる姿勢を示していて、検索サイト運営会社に対してプライバシーや名誉を毀損する記事のタイトルなどを削除する義務を認めた例はある。ただ、グーグルなど検索サイト運営会社は、記事自体を提供しているわけではない。膨大な検索結果のタイトルと要約の事前チェックは現実的でないことや、グーグルが自主的に削除申請を受け付けていることなどもあり、削除命令までは至らないケースが多かった。今回、申立側が参考にしたのが、5月に欧州司法裁判所が下した判決だ。スペイン人男性が10年以上前の社会保険料未納に関する記事のタイトルなどを検索結果から削除するようグーグルに求めた訴訟で、男性の申し立てを認めた。ネット上での「忘れられる権利」の行使を認めた判決として話題になった。欧州司法裁の判決では、グーグルが個人情報の管理者に該当するかを検討、同社を「コンテンツのプロバイダー」と表現した。申立側はこうした考え方を参考に「検索結果も記事そのものと同様のコンテンツ」(代理人の神田知宏弁護士)と判断。コンテンツを管理するグーグルには違法なコンテンツを削除する義務、つまり検索結果を削除する義務があると訴えた。忘れられる権利は「人格権侵害行為への差し止め請求権がそれに当たる」(同)として、日本にも同様の権利があるとの考え方に立った。東京地裁が扱う損害回避のための仮処分事件の半数以上をネット関連事件が占める。今回、東京地裁がグーグルに検索結果の一部削除を命じたことが明らかになり、検索結果に表示された記事のタイトルや要約も、人格権侵害の内容によって削除を命令できるという裁判所の考え方が確立されつつあるとの見方が専門家の間で強まっている。欧州ではすでにグーグルに14万件を超える削除依頼が殺到している。急拡大するネット上での表現の自由と知る権利、人格権のバランスをどうとったらよいのか。個々の検索サイト運営会社の対応に任せるだけでなく、社会的なルールづくりも求められそうだ。

*2-3:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20141023&ng=DGKDASDG2202Y_S4A021C1CC1000 (日経新聞2014.10.23)グーグル 削除応じる 検索結果「裁判所の決定尊重」
 インターネット検索サイト「グーグル」に表示される不名誉な内容の投稿記事で日本人男性の人格権が侵害されているとして、東京地裁が検索結果の一部削除を命じた仮処分で、グーグル日本法人は22日、「裁判所の決定を尊重して仮処分命令に従う」として検索結果を削除する方針を明らかにした。男性側の神田知宏弁護士は22日までに、削除対象の大部分が既に表示されなくなっていることを確認した。グーグル側が削除に応じない場合に制裁金の支払いを求める「間接強制」を21日に地裁に申し立てたが、神田弁護士は「完全に削除されたことが確認できれば、間接強制の申し立ては取り下げることになる」としている。男性側は「名前で検索すると、自分と関係のない犯罪行為を連想させる記事が多数表示される」として、検索結果237件の削除を求めて仮処分を申請。東京地裁は今月9日、このうち122件が「男性の人格権を侵害している」と認め、グーグルに削除を命じる決定を出した。神田弁護士は「依頼者の男性も喜んでいた。今回のグーグルの判断を歓迎したい」と評価した。一方、仮処分で削除請求が却下された残り115件についても「どのような手続きで削除請求できるか検討したい」としている。

*2-4:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20141027&ng=DGKKZO78916540X21C14A0CR8000 (日経新聞 2014.10.27) ネット投稿削除など請求 仮処分申し立て4年で20倍、東京地裁 昨年711件 SNSトラブル増映す
 インターネットの掲示板で誹謗中傷されたとして投稿者の情報開示や投稿の削除をプロバイダー(接続業者)やサイト運営管理者に求めるなど、ネット関係の仮処分申し立てが激増している。東京地裁が2013年に扱ったのは711件で、4年前の20倍以上になったことが地裁関係者への取材で分かった。関係者によると、東京地裁が09年に扱ったネット関係の仮処分は計33件で、仮処分申立総数の3%に満たなかった。しかし、10年に175件、11年に499件、12年は736件と増加。13年の711件は仮処分申立総数の40%近くを占めた。13年の711件の内訳は、名誉毀損やプライバシー侵害の状態を解消するための「投稿記事の削除」が247件、損害賠償請求訴訟を起こす前段階としての「発信者(投稿者)情報の開示」が290件、通信記録保存のための「発信者情報の消去禁止」が174件だった。仮処分申し立てが増えたのは、会員制交流サイト(SNS)などの普及でトラブルが増加したのと、対処する手続きが周知されたのが主な理由。02年施行のプロバイダー責任制限法では被害者は投稿者の情報開示や記事の削除をプロバイダーなどに直接請求できるが、司法手続きを取らざるを得ない実情があるとみられる。ネット事情に詳しい弁護士によると、プロバイダーへの要請で問題の投稿が削除されても、誹謗中傷の投稿は繰り返されることが多く、再発防止と損害賠償請求のため投稿者の特定を望む被害者が増えている。また、プロバイダーは記事の削除に応じても、投稿者の氏名やネット上の住所に当たるIPアドレスの開示は拒むことが多いという。

<EUの判断と行動>
*3-1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20140821&ng=DGKDASDZ13048_T10C14A8MM8000 (日経新聞2014.8.21)Google全ての情報を手中に それは正義か邪悪さか
 7月末、ベルギーのブリュッセル。米グーグルのスマートフォン(スマホ)向け基本ソフト(OS)「アンドロイド」を巡り、欧州連合(EU)の独禁当局が年内にも正式な調査に乗り出すとの情報が駆け巡った。世界シェア8割の圧倒的な地位を利用して、グーグルが検索や地図など自社のサービスを優先していないか、他社を排除していないか――。欧州委員会が、端末メーカーなどに質問状を送ったのが発端だった。イノベーションの旗手として世界中から称賛されるグーグル。その一方で、あらゆる情報が一企業の手に集まることへの警戒感も強まっている。5月にはEU司法裁判所がネット上の個人情報を削除できる「忘れられる権利」を初めて認定。グーグルに対し、同社をプライバシー侵害で訴えていたスペインの男性の過去の報道内容へのリンクを検索結果から削除するよう命じた。グーグルは「『知る権利』とのバランスを欠く」(会長のエリック・シュミット、59)と反発したが決定は覆らず、5月末からEUの利用者を対象に削除要請の受け付けを始めた。欧州で厳しい目にさらされる一方、米国では昨年初めまで2年近く続いた米連邦取引委員会(FTC)による独禁法調査をほぼ無傷で乗り切った。「勝因」は1990年代に米司法省と全面戦争を繰り広げた米マイクロソフト(MS)に学んだことだったとされる。7月、米ワシントンで上下両院の議員らを招いた盛大なパーティーが開かれた。100人以上のスタッフを抱えるグーグルの新たなワシントン事務所のお披露目だった。同社の2013年のロビー活動費は1406万ドル(約14億円)とハイテク企業で最大。当局との対決姿勢をあらわにしたMSとは対照的に、グーグルはワシントンの流儀をいち早く身に付けた。ただ米国内ですら、したたかに立ち回るグーグルに対する警戒の声が上がる。米ジョージタウン大学教授のマーク・ローテンバーグ(54)は「ワシントンでの影響力が大きくなりすぎた結果、彼らの存在がネットの未来にどんな影響を及ぼすのか政策論議の機会が奪われている」と懸念する。5月14日に開かれた定時株主総会。会場からは4月に実施した無議決権株の発行を巡り、株主から批判の声があがった。グーグルは04年の上場時、共同創業者の2人と会長ら経営陣の一部に議決権が通常の10倍ある特殊株を交付し、強い支配力を与えた。今回発行した特殊株は議決権がゼロ。創業者らの影響力を維持しつつ、株式交換によるM&A(合併・買収)などをしやすくするためだが、「一般株主の声がますます届かなくなる」との不満がくすぶる。この10年、グーグルが生み出したサービスは消費者をとりこにし、投資家は成長物語に酔いしれた。ただその物語に疑念が芽生え人々の心が離れていけば、築き上げたものが崩れ去るのに時間がかからないことは歴史が証明している。「Don’t be evil(邪悪になるな)」。10年前に交わした株主との約束を貫けるか。世界の目が注がれている。

*3-2:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20140531&ng=DGKDASGM3100R_R30C14A5MM0000 (日経新聞 2014.5.31)
グーグル、欧州で個人情報削除に対応 「忘れられる権利」受け
 インターネット検索最大手の米グーグルは30日、欧州の利用者を対象に検索結果に含まれる自分に関する情報の削除要請を受け付けるサービスを始めた。欧州連合(EU)司法裁判所(ルクセンブルク)がプライバシー保護の観点から、ネット上の個人情報の削除を求める「忘れられる権利」を認める判決を出したことに対応する。欧州に限定した措置だが、日本でもネット上の個人の権利を巡って議論が高まる可能性もありそうだ。グーグルは専用サイトを開設し、削除要請の受け付けを始めた。希望者は削除してもらいたいサイトのリンクとその理由を明記し、氏名やメールアドレス、写真付きIDなどとともに申請する。グーグルは同社幹部や外部の専門家で構成する委員会を新設。申請内容について、削除するかどうかを1件ずつ慎重に判断する。削除されるのは欧州域内のグーグルサイトの検索結果に表示されるリンクのみで、リンク先の情報自体は残る。10年以上前に所有不動産が競売にかけられたことを報じた新聞記事へのリンクを巡り、スペインの男性が自分の名前の検索結果に今も表示されるのはプライバシーの侵害だとしてグーグルを提訴していた。EU司法裁判所は5月13日、この裁判で、個人の「忘れられる権利」を認定。新聞掲載時の目的と時間の経過などを考慮して、情報が「不適切、もはや重要でない、行き過ぎている」場合には削除を求められるとして、男性の情報へのリンクを削除するよう命じた。EUはプライバシー保護を重視し、情報保護に関する規則に個人の「忘れられる権利」を明記する方針。同判決はこれを先取りして権利を認めた格好だ。グーグルは「知る権利とのバランスを欠く」と反発していた。

*3-3:http://qbiz.jp/article/49391/1/
(西日本新聞 2014年11月7日) 検索めぐりヤフーが有識者会議 「忘れられる権利」で
 インターネット検索大手のヤフーは7日、ネット上に残る過去の個人情報を削除するよう求める「忘れられる権利」の意識の高まりを受け、検索のあり方を検討する有識者会議を設置すると明らかにした。会議の意見を聞き来年3月までに方向性を示す。新たなルール作りに発展すれば、国内のIT業界にも影響を与える可能性がある。会議には法学者や弁護士が参加する予定で、今月11日に初会合を開く。個人情報の保護と知る権利を踏まえ、実際にどういった事例が削除に値するかなどの意見を聞く。ヤフーは犯罪行為などを除き、これまで個人から削除の要請があっても、原則として応じていない。

<ネット犯罪への対応策>
*4:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20140625&ng=DGKDZO73288440V20C14A6EAC000 (日経新聞 2014.6.25) ネット監視、月数万円から、情報拡散や「炎上」防ぐ
 ツイッターやフェイスブックを通じ、個人がインターネットで情報発信する機会が増えるのに伴いトラブルも目立ってきた。個人情報が公開されたり、個人に関するネガティブな情報が書き込まれたりするのが一例だ。ネット上の個人情報の流出や誹謗(ひぼう)中傷は企業だけの問題ではない。個人でできる対策を調べてみた。「自分のパソコンから写真が流出してネット上にさらされている」。ネット上の中傷やネガティブ情報の対策を手がける企業に、個人からこんな相談が持ち込まれた。自宅のパソコンがウイルスに感染、写真が勝手に公開され多くのサイトに転載されてしまったという。この会社は相談者に写真が掲載されたいくつかのサイトを特定して伝えた。ただ、すべてのサイトからの削除は難しかったため、新たに自身のサイトを立ち上げてもらい、そこで公開しても構わない情報を発信した。サイトの更新を頻繁にすることで、検索結果の上位に写真が掲載された問題のサイトが出にくくなるようにしたという。ネット上のネガティブな情報は主に個人がブログやSNSで発信。それが拡散し、グーグルなどの検索結果として表示されることもある。風評被害対策サービスは、ネット上の評判などを気にする企業が使い始めた。5年前に本格的にサービスを始めたシエンプレ(東京・中央)の桑江令氏は「最近は主婦や大学生、社会的地位のある個人からの相談も増えてきた」と話す。サービス提供会社は事実関係を確認したあと、どのサイトやSNSに掲載されているかを調べ、サービスの運営会社やサイト所有者に本人から連絡してもらう。グーグルの削除ポリシーには「具体的な危害がユーザーに及ぶ可能性があると判断すれば削除を行います」とある。ツイッターにも攻撃的なユーザーを報告するためのフォームがある。だが、各社とも原則的に「情報は発信者のもの」という立場。中傷やいやがらせは「事実かどうか判断できない」(ヤフー)ため対応が難しい。サイト所有者などが削除しない場合は「本人が情報を発信し、信頼できるものをネット上に提供するしかない」(ウェブ関連企業、ジールコミュニケーションズ=東京・港=の藪崎真哉代表取締役)。価格は相談から対策まで1回あたり5万円から。最近は「炎上」する前にチェックする動きも広がる。ネット上の投稿監視を手掛けるイー・ガーディアン営業部の竹口正修氏は「従業員がトラブルに巻き込まれるのを防ぎたい企業が多い」と話す。監視はあらかじめ決めたキーワードがツイッターなどで話題になったときにチェックするプランで月10万円から。目視で確認するキーワードの数などで料金が変わる。いったん炎上すると「個人情報が半永久的にネット上に残り個人にとってリスクが大きい」(イー・ガーディアンの竹口氏)。ネットの発言は、瞬時に世界中で表示されることを忘れずに便利なツールとつきあっていきたい。

| 民主主義・選挙・その他::Google・YAHOOの検索サジェッション機能など、インターネットによる名誉棄損と人権侵害 | 04:53 PM | comments (x) | trackback (x) |
2014.11.3 議員の収支計算書・使途報告書におけるシステム上の問題点について ― 小渕元経産大臣の収支報告書・使途報告書に関する会計及び監査から
   

(1)小渕優子元経産相の会計は、どこがおかしいのか
 *1、*2によれば、小渕元経産相の後援会等が、観劇会や野球観戦費用の一部を負担して数千万円を支出し、その会費収入は一部しか政治資金収支報告書に記載されておらず、2012年の観劇会では政治資金収支報告書に収支の記載が全く無いことが判明したため、後援会等がその費用を支出したのなら公職選挙法違反、参加費を集めたのに記載しなかったのなら政治資金規正法違反になるそうだ。

 そこで、小渕元経産相が引責辞任し、「自分自身も収支の食い違いに疑念を持っているので関係のない税理士や弁護士を入れて調査してもらう」と話していたが、数千万円単位の金が動く自分の後援会等の大きなイベントや政治資金収支報告書に関することを全く知らないというのは、やはり変である。

 そのような中、*3のように、小渕氏の元秘書で、父の恵三元首相時代から地元で秘書団を束ねて実務を仕切っていた前中之条町長の折田氏に東京地検の捜査が入り、小渕優子後援会の「会計責任者」と記載されていた男性は、朝日新聞の取材に「①1年に1回、群馬県高崎市の事務所に印鑑を押しに行くだけだった」と証言しているそうだ。そして、折田氏もこれらの政治団体について「②私が会計をチェックし報告書を作成・提出した」「③(自分が)実質的な総責任者だ」「④町長になった後も生涯小渕の秘書として仕え、政治団体の会計をチェックしてきた」「⑤小渕氏は何も知らないし、悪くない」と説明している。

 しかし、ここでまず異常なのは、会計責任者という重い責任のある人が、①のように「1年に1度、印鑑を押しに行くだけだった」という名板貸しだったことで、経理部長が1年に1度印鑑を押しに行くだけという会社がないのと同様、議員の収支報告書やその会計責任者という地位を甘く見すぎており、②③④の実態であれば、本来は前中之条町長の折田氏を会計責任者にしなければならない筈である。また、小渕氏が支部長や代表者となっている団体の内部統制を整備し、重要なことを把握しておくのは、小渕氏自身の責任であり、知らないことも問題であるため、⑤の説明は適切ではない。

(2)政党支部や議員関連団体への複式簿記導入の必要性
 誰かにとって不都合な政治家を排除するために、公職選挙法や政治資金規正法でひっかける手法が用いられることは多く、そういう状況では、政治家はしっかりした仕事ができず、それは国民にとっても不幸である。そのうち、公職選挙法は、都合の悪い政治家をひっかける目的の変な規定が多い法律であるため、欧米などの民主主義先進国に倣って本当の民主主義をやりやすいように変更する必要がある。

 また、政治資金規正法は単式簿記によっており、小渕氏の秘書で前中之条町長の折田氏が言っていた「帳尻を合わせる」ということが常時行われている会計システムであるため、慣れた議員秘書ほど、変な処理が身についている人が多い。そのため、当然のこととしてクリアな会計処理を行うようにするためには、政治資金を通常の企業と同じ複式簿記で記帳し、網羅性・検証可能性を担保するとともに、資産・負債も正確に計上しやすくすべきである。

 複式簿記で網羅性・検証可能性が担保されていなければ、監査人が監査しても保証できないため、せっかく監査を導入しても通常の適法性、適正性意見を表明することはできない。すると、議員は監査証明を経たにもかかわらず、事前の内部統制も利かない上、秘書が内緒で行った予期せぬ不備を指摘されて責任を追及されるというような、大きなリスクを背負うことになる。

 つまり、網羅性・検証可能性のある複式簿記によるまともな会計処理を行い、監査人から適法性、適正性意見を得ておくことは、国民のためであると同時に、議員のリスク管理にも資するのである。

(3)網羅性・検証可能性のある正確な会計処理と包括監査の必要性
 このブログの2014年10月20日にも記載した平成21年1月1日から国会議員のみに限定して義務付けられた政治資金監査では、監査人は、*5のように、政治資金監査マニュアルに従った監査を行い、「国会議員の政党支部や後援会関係の支出が領収書等の証憑に従って会計帳簿に記載され、保存されていた」ということしか証明しない。そのため、収入部分や支出の適切性・適法性には関知していない。

 しかし、ここまで限定的な監査では、監査後も、収支報告書の適正性、適法性を非常に限定的にしか証明することができず、通常業務における内部統制の役にも立たない。そのため、今後は国会議員だけでなく地方議員や首長の関係団体も通常の企業と同じ複式簿記により網羅性・検証可能性のある会計処理を行って政治資金報告書を作成し、監査人(知識と経験により培われる監査能力の観点から公認会計士に限定すべき)から適法性、適正性意見を得て、国民に明瞭に開示するよう制度変更すべきである。

(4)松島元法相のうちわは寄付にあたり違法か(?)
 松島みどり法相は、地元東京14区のお祭りに、必ずトレードマークの赤の服を着て出かけるのを選挙対策にしておられる。そのお祭りで「うちわ」を配り、民主党の蓮舫議員から「寄付にあたり違法だ」と追及されて、「うちわのような形をしているが、討議資料だ」と反論されているのを見て、私はあっけにとられた。しかし、よく考えると、確かに蓮舫さんのSexyな写真ならともかく、松島さんのまんがや政策が書かれている「うちわ」はもらった人にとって有価物ではなく、もらった人が議員や政策についてコメントし合う機会を作るのであれば、討議資料と言えなくもない。

 それよりも本当の問題は、東京ではサラリーマンが多く、1年で1/3の人口が入れ替わるため、地元選出の国会議員の名前すら知らない人が多く、街づくりや政策をテーマに国政報告会を開くより、赤い服を着てお祭りに出かけ、うちわを配った方が名前と顔を覚えてもらえることである。松島氏は、その民主主義の成熟度に合わせて、選挙対策の広報をしているにすぎない。

*1:http://digital.asahi.com/articles/ASGBK5SR5GBKUTIL04B.html?ref=reca
(朝日新聞 2014年10月18日) 複数の観劇会で収入記載なし 小渕氏団体、法抵触疑いも
 小渕優子経済産業相の後援会などが、後援会員らの観劇会費用の一部を負担した疑いが出ている問題で、後援会などが2008年と09年に観劇費計約2700万円を支出しながら、会費収入が政治資金収支報告書に記載されていないことがわかった。また12年の観劇会では報告書に収支の記載が全く無いことも判明。全額を肩代わりしたのであれば公職選挙法違反の疑いが、参加費を集めたのに記載しなかったのであれば、政治資金規正法に抵触する可能性がある。小渕氏は国会では07年以降、毎年観劇会を催していると説明。17日には「参加者は実費を払っていると承知している」と述べた。08年と09年に観劇会の会場となった明治座(東京)に「観劇代」などを支出したのは、「小渕優子後援会」「自民党群馬県ふるさと振興支部」「自民党群馬県第五選挙区支部」「未来産業研究会」の4団体。4団体の収支報告書には、08年に計約994万円、09年には計約1703万円の支出が記載されている。一方で、参加費収入の記載はなかった。朝日新聞は小渕氏の事務所にこの点を問い合わせたが「(質問が)多岐にわたり、調査している」との回答だった。観劇会をめぐっては、12年にも開かれたのに、同年の収支報告書に収支の記載が全く無いことも判明。17日の衆院経済産業委員会で野党議員から「政治資金規正法違反では」と指摘を受けた。小渕氏は12年も会を開いたと認めたうえで、「収支の記載がないのは今回知った」と答弁。また、自身もその会に参加しており、「(後援会と支部以外の)他の団体が主催したということは、私が知る限りはない」と答えた。09年と12年には小渕氏が立候補し、当選した衆院選が実施されている。小渕氏は17日の経産委員会で、過去の観劇会では、後援会などが1人あたり「1万~1万2千円」の会費を集めていると説明。一連の問題について「知らなかったでは済まされないとの思いだ」と陳謝するとともに、観劇会の開催状況や会費、参加人数などを示す資料を週明けにも、国会に提出する考えを示した。

*2:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11412434.html?iref=reca
(朝日新聞 2014年10月20日) 小渕経産相辞任、政治資金問題で引責 松島法相も辞任
 小渕優子経済産業相と松島みどり法相は20日、安倍晋三首相に辞表を提出し、受理された。小渕氏には、後援会が会員向けに開いた観劇会の収支が食い違っている問題が浮上。松島氏は選挙区内で「うちわ」を配ったことが野党の追及を受けていた。「女性の活躍」を掲げる安倍政権の女性閣僚が1日で2人辞任する事態は、安倍政権への大きな打撃となる。小渕氏は辞表提出後、経済産業省で記者会見し、「本来やらなければならない審議に大きな影響を与えたことを重く受け止めている。大変お騒がせし、心からおわび申し上げる」と陳謝。「自らの問題によって、政策が停滞することは許されない。大臣の職を辞し、しっかり調査をしたい」と辞任を正式に表明した。一方で「議員として、しっかり政治家としての説明責任を果たしていきたい」とも語り、議員辞職については否定した。首相への報告については、「私から、このようなことになったことに、総理におわびを申し上げた」と説明。首相の言葉については「総理にうかがってもらいたい」と述べるにとどめた。収支が食い違っていることについては、「収入と支出において実態があったのか、私自身大きな疑念を持った。関係のない税理士や弁護士を入れて調査してもらうことにした」とした。首相は20日、経産相臨時代理として、高市早苗総務相をあてることを決めた。後任の経産相については、閣僚経験者らを軸に検討を進めている。菅義偉官房長官は20日午前の記者会見で、「小渕氏から総理に辞表を提出し、総理は受理した。小渕氏から『自らの問題によって国政の遅滞をもたらすことは許されないので大臣の職を辞することにした』と発言があったと聞いている。大変残念だが、総理は大臣の意思を尊重し、辞表を受け取られたと思う」と説明。「任命責任については総理ご自身がお話しになることだろうと思うが、安倍政権としては国政の遅滞のないように速やかに後任を選任し、山積する政治課題に全力で取り組む」と述べた。第1次安倍内閣では「政治とカネ」や失言を原因とした閣僚の辞任や途中交代が相次ぎ、政権の失速につながった。こうしたことから、政府・自民党には、「進退の判断が長引くと安倍政権に影響する」(自民党参院幹部)との早期幕引き論が急速に広まった。だが、40歳で重要閣僚の経産相に抜擢(ばってき)され、5人の女性閣僚の中でも注目されていた小渕氏の辞任は、高い支持率を維持してきた安倍政権へのダメージは避けられない。
■観劇会巡り「大きな疑念」
 小渕氏はこの日の会見で、地元の支援者らが参加する「観劇会」をめぐる自身の後援会などの収支の食い違いに関し、「大きな疑念があると言わざるを得ない」と述べ、政治資金規正法上、問題があると認めた。一方で、後援会などが収支の差額を補填(ほてん)し、支援者に利益を供与していたのではないかとされる公職選挙法上の問題については、「参加者から全額集めている」と否定した。問題は主に5点。このうち観劇会は、後援会など四つの政治団体の政治資金収支報告書で収入より支出が大きく上回り、差額を後援会などが補填した疑いが指摘されたうえ=表(1)=、観劇会を開いていたのに、2012年の政治資金収支報告書には収支そのものが、08、09年には支出のみで収入の記載がない=表(2)=ことが、判明している。朝日新聞の調べでは、05~11年に、収入計約1200万円に対し、支出は計約6500万円で、差額は計約5300万円に上った。この2点について小渕氏はまず、観劇会1回につき1千人前後の参加者から1万1千~1万2千円ずつの参加費を全員から集めていたとして、差額の穴埋めは否定。地元の一部の地区で集めた参加費を入金した口座の通帳を示した。一方で、集めた参加費が収支報告書に正しく書かれていない点は認め、12年には何の記載もない点も「大きな疑念がある」とした。記載内容が実際の収支と異なる場合、政治資金規正法の虚偽記載にあたる。後援会などをめぐっては観劇会と同様、後援会員らを招いた野球観戦=表(3)=の収支も食い違っているが今回は触れられなかった。一方、小渕氏の資金管理団体「未来産業研究会」など3団体が、義兄の経営する服飾雑貨店などからネクタイやハンカチなどを買ったこと=表(4)=や、同研究会が乳幼児用品やネギなどを購入していた点=表(5)=については野党が「公私混同では」と指摘。小渕氏は今回も改めて「公私の区別はしっかりつけている」との認識を示した。会見では、小渕氏の写真入りラベルが貼られたワインが、地元事務所から群馬県内の男性に贈られたとされる問題も指摘された。小渕氏は「今日知った。調査したい」と明言を避けた。
■小渕氏をめぐる問題と20日の会見での説明
(1)「小渕優子後援会」などが後援会員の観劇費用を一部負担か。公職選挙法違反では?
 昨日までの調査では参加者が全員1万1千~1万2千円の実費を払っていることを確認している→補填については否定
(2)2012年の観劇会の収支の記載が政治資金収支報告書にない。08、09年は収入の記載がない。政治資金規正法違反では?
 収支報告書の記載には大きな疑念がある→08、09、12年のみならず、差額が生じている年も虚偽記載の可能性
(3)東京ドームでの後援会員の野球観戦費用も一部負担。公職選挙法違反では?
 記者会見では触れず
(4)資金管理団体などが親族企業からネクタイなどを購入。公私混同では?
 政治活動の経費として認められるものと思っている→小渕氏は問題なしとの認識
(5)資金管理団体などが親族企業からネクタイなどを購入。公私混同では? 資金管理団体が乳幼児用品や服、下仁田ネギなどを購入。政治資金で私物を買ったのでは?
 (乳幼児用品は)支援頂いている方の出産祝い。公私の区別はしている。(ネギは)地元の名産品。県外の方へ送っている
■松島法相も辞任
 松島氏は20日午後に首相官邸を訪れ、辞表を提出した。選挙区内で「うちわ」を配った問題に関して東京地検に告発状が出るなど、法務委員会での追及が強まっていた。周辺には「自らの問題で法案が通らないことは耐えられない」と伝えており、政権運営への影響を考えて判断した模様だ。松島氏をめぐっては今月7日の参院予算委員会で、民主党の蓮舫氏が松島氏の似顔絵や政策が書かれた「うちわ」を選挙区内のお祭りで配っていたことを「寄付にあたり違法だ」と追及。松島氏は「うちわのような形をしているが、討議資料だ」と反論したが、民主党の階猛副幹事長は17日、公職選挙法違反(寄付の禁止)の疑いがあるとして東京地検に告発状を提出した。安倍政権は当初、「たいした話ではない」(官邸幹部)と問題視しない姿勢を示していた。しかし、野党が攻勢を強めていることから、政権のダメージを最小限に抑えるよう小渕氏と同じタイミングでの辞任を認めたものとみられる。

*3:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11430925.html
(朝日新聞 2014年10月31日) 「大番頭」への捜査、焦点 小渕氏元秘書宅を捜索 東京地検
 小渕優子・前経済産業相の不明朗な資金処理問題は30日、東京地検特捜部が強制捜査に踏み切る事態へ発展した。特捜部は、小渕氏の元秘書で前群馬県中之条町長の折田謙一郎氏の関係先を中心に捜索。折田氏は小渕氏の父・恵三元首相(故人)時代から地元で秘書団を束ね、実務を仕切る「大番頭」的な存在だったという。特捜部は、問題解明のキーマンとみて捜査を進めているとみられる。この日、中之条町の小渕氏の後援会事務所で家宅捜索に立ち会った折田氏は捜索終了後、報道陣に「調査中ですのでコメントは控えるように言われています。大変お騒がせして申し訳ありません」とだけ述べ、車に乗り込んで立ち去った。一連の問題は、小渕氏の地元の支援者らが参加していた「観劇会」をめぐり、「小渕優子後援会」や「自民党群馬県第五選挙区支部」などの政治団体の政治資金収支報告書に記載されていた支出が、収入を大きく上回っていたというもの。この日の捜索先も折田氏の自宅のほか、後援会や支部の事務所だった。後援会の「会計責任者」だった男性は、これまでの朝日新聞の取材に「1年に1回、群馬県高崎市の事務所に印鑑を押しに行くだけだった」と証言。折田氏もこれら政治団体について「私が会計をチェックし、報告書を作成、提出した」「(自分が)実質的な総責任者だ」と説明している。折田氏は、恵三氏、優子氏と2代にわたり、30年以上秘書を務めた。2008年に秘書を退き、12年1月に町長に当選した。ただ、「町長になった後も生涯小渕の秘書として仕え、政治団体の会計をチェックしてきた」とも説明している。このため特捜部は、折田氏が問題の収支の差額について事情を知っている可能性があるとみて、29日までに任意で事情聴取し、30日に家宅捜索に踏み切った。小渕氏は「税理士や弁護士を入れて調査する」と表明。だが、「証拠隠滅の可能性も否定できない」(検察幹部)として、特捜部は調査結果を待たず、資料を早期に集める必要があると判断したとみられる。折田氏は、小渕氏が経産相の辞任を表明した20日、自らも町長の辞表を提出。「小渕氏は何も知らないし、悪くない」と語った。

*4:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20141102&ng=DGKKASFS01H0O_R01C14A1PE8000
(日経新聞 2014.11.2) 自民、新人に「議員の基本」 政治資金問題受け指導強化 秘書向け研修も
 自民党執行部が新人議員とその秘書に対する教育・指導を強化している。閣僚の政治資金問題を受けたもので、衆院当選1回生120人の秘書を対象とした政治資金の研修会を開催する見通しになった。茂木敏充選挙対策委員長は新人議員を集め、選挙への心構えなど議員活動の基本から教える会合を始めた。秘書の研修会は政治資金収支報告書を記す際の注意点などがテーマとなるもよう。次期衆院選で新人議員が再選するには脇を締める必要があると考えたためで、谷垣禎一幹事長も「スタッフを教育しなければ対応できない」と強調する。茂木氏による直接指導は新人議員を地域ごとに分けて随時開く。「選挙区を全部回るのではなく、『ここは』という地元有力者をまず重点的に回るように」「できるだけ見通しの良い交差点にポスターを貼れ」。10月の第一回会合では活動の初歩を徹底させることからスタートしたという。

*5:http://www.zeipabusa.org/public_img/topics/081218keisyakusyo.pdf#search='%E6%94%BF%E6%B2%BB%E8%B3%87%E9%87%91%E5%8F%8E%E6%94%AF%E5%A0%B1%E5%91%8A%E6%9B%B8+%E7%9B%A3%E6%9F%BB%E6%84%8F%E8%A6%8B+%E3%81%B2%E3%81%AA%E5%9E%8B'
政治資金監査契約書
 委嘱者○○と受嘱者○○は政治資金規正法(以下「法」という。)に定める政治資金監査業務(以下「本業務」という。)につき、以下のとおり契約するものとする。
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