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2016.7.8 日本国憲法を変えたい勢力は、①何のために ②何を改正しようとしているのか ③改正した場合の効果 について正面からの説明が必要である - 日本国憲法、自民党改正草案の「前文」「天皇」「憲法改正要件」「緊急事態条項」「道州制」について (2016年7月11、13日に追加あり)
       
2016.7.8西日本新聞 憲法改正必要論の理由 憲法改正要件国際比較 日本国憲法に署名した人 

    
  憲法改正   自民党憲法 自民党憲法改正案    日本国憲法は     憲法改正世論調査
   手続き  改正案のポイント 緊急事態条項  今でも最先端であること

(1)「自民党憲法改正草案」は、改正ではなく改悪である
1)敗戦後の占領下で作られたから悪いわけではないこと
 今回の参議院議員選挙では、上の一番左の表のように「日本のこころ(自民党の中でも右だった人の分派)」が、「占領下で制定された日本国憲法をまるごと変えて自主憲法を制定したい」という憲法改正理由を書いており、これが憲法改正を強く主張する勢力の本音だ。この発想は自民党も同じであるため、上の左から2番目の表のように憲法改正理由の第一に、「敗戦後の占領下で作られ、日本国民の自由な意思を反映していないので、国民の手によって憲法を制定する」というのがあがっているわけだ。

 そして、自民党が、平成24年4月27日に総務会を通して党として決定した憲法改正草案(https://jimin.ncss.nifty.com/pdf/news/policy/130250_1.pdf 参照)は、結論から言ってひどい改悪だと考える。分量が多いため、今日は国の形を現す最も重要な部分である「前文」と「天皇の地位」を中心に記載するが、他の部分にも戦前への郷愁が散見される。

2)前文について
 日本国憲法の前文は、*1-1のように、「①日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、・・主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する」「②国政は、国民の厳粛な信託によるもので、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する」「③日本国民は、恒久の平和を念願し、・・平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」「④われらは平和を維持し、・・国際社会において名誉ある地位を占めたいと思ふ」「⑤われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」としており、現在でも通用する立派なものである。

 この文章中にある「公正と信義に信頼して」という文章はテニヲハの使い方が誤りだと言う人もいるが、私は、文語調で訳した法律用語であるため、違和感を感じない。

 そして、ここで重要なのは、「国政は国民の信託によるもので、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その結果生じる福利は国民が享受する」というように、国民を主人公とする徹底した国民主権が述べられていることである。つまり、国民が主であり、国という組織を主として国民が国という組織のために尽くすのではない民主主義の発想が明確に記されており、日本国憲法は、第二次世界大戦とその敗戦で多くのものを失ったが、唯一得ることができた資産だと私は考える。*1-2の日本国憲法原文(The Constitution Of Japan)が、「We, the Japanese people, 」や「We」を主語としているのを見れば、一人一人の国民が主体であることがさらに明確になる。

 一方、自民党憲法改正草案は、*1-3のように、「①日本国は、長い歴史と固有の文化を持ち、国民統合の象徴である天皇を戴く国家である」「②日本国民は、国と郷土を誇りと気概を持って自ら守り」「③基本的人権を尊重するとともに、和を尊び、家族や社会全体が互いに助け合って国家を形成する」「④自由と規律を重んじ、美しい国土と自然環境を守りつつ、教育や科学技術を振興し、活力ある経済活動を通じて国を成長させる」「⑤日本国民は、良き伝統と我々の国家を末永く子孫に継承するため、ここに、この憲法を制定する」としている。

 しかし、①は国を主体とする国家の成り立ちに関する自慢話が多すぎ、これについては科学的・文化的に正確な歴史書で述べるべきである。また、②で国民は国と郷土(いずれも組織)を守るための存在になり下がり、③は基本的人権を尊重するとさらっと書いてはいるものの、和を尊び家族や社会全体が互いに助け合って国家を形成することこそ大切だとして個人の人権に制限を加え、④は国民の福利より国を成長させることが重要だというメッセージを発している。そして、⑤では、国民を国家存続のための道具と位置付けている。つまり、自民党憲法改正草案は、国が主であり、国の存続のためとして国民の福利をないがしろにし、「国民の国民による国民のための政治」という資産がなくなっているのである。

 つまり、占領下だったからこそ国民同士が争うことなく大きな改革をして国民主権にできた日本国憲法を、100%とまでは言わないにしても、国を主にしてかなり戦前回帰させているため、自民党憲法改正草案は改悪なのである。

3)天皇について
 日本国憲法における天皇の地位は、*2-1のように「日本国の象徴であり、日本国民統合の象徴」とされているが、自民党憲法改正草案における天皇の地位は、*2-2のように「日本国の元首であり、日本国及び日本国民統合の象徴」とされ、「元首」という言葉が加わっている。

 国家元首(英訳:head of state)とは、対外的に代表権を持つ存在であり、大日本帝国憲法では第4条で天皇を元首と規定していたが、日本国憲法には天皇を元首とする規定はなく、国事行為に関する規定があるのみだ。国民主権の国で世襲による天皇を対外的代表権を持つ存在である“元首”と位置づけるのは矛盾であり、これも自民党憲法改正草案の戦前回帰であるため、とても賛成できない。

(2)改憲論議は、現在の憲法をしっかり護り、その考え方が国民に浸透してからにすべきである
 東京新聞によると、*3のように、安倍首相は「ニコニコ動画」の党首討論会で、「参院選の結果を受け、どの条文を変えていくか、条文の中身をどのように変えていくかについて議論を進めたい。次の国会から、自民党総裁として憲法審査会をぜひ動かしたい」と述べられたそうだ。憲法改正は自民党にとっては結党以来の党是であり、自民党憲法改正草案は安倍首相が作ったものではなく、自民党憲法改正推進本部(本部長・保利耕輔衆院議員《当時》)が作ったものである。

 私は「いくらなんでも天皇が元首とは・・」と思ったので、地元の離島関係の会合で保利浩輔氏にお会いした時に、「天皇が元首というあの憲法改正草案は、いくらなんでも駄目ですよ」と言ったところ、保利耕輔衆院議員(当時)は「今までと同じことをするんだし、(自民党の)総務会も通ったもん」と言っておられたので、この憲法改正草案には憲法改正に執着する自民党議員の考え方が多く含まれていると考える。

 従って、野党の「安部政権の下での憲法改正に反対する」という批判は、感情論に終始して問題を矮小化している。私は、日本人が日本国憲法を本当に遵守し、そのよさを理解した上で、それよりもよい方向に改正できる時がくるまで、憲法改正は止めるべきだと考える。

<憲法前文の比較>
*1-1:http://www.houko.com/00/01/S21/000.HTM (日本国憲法)
前文 日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものてあつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。

*1-2:http://japan.kantei.go.jp/constitution_and_government/frame_01.html (THE CONSTITUTION OF JAPAN)
 We, the Japanese people, acting through our duly elected representatives in the National Diet, determined that we shall secure for ourselves and our posterity the fruits of peaceful cooperation with all nations and the blessings of liberty throughout this land, and resolved that never again shall we be visited with the horrors of war through the action of government, do proclaim that sovereign power resides with the people and do firmly establish this Constitution. Government is a sacred trust of the people, the authority for which is derived from the people, the powers of which are exercised by the representatives of the people, and the benefits of which are enjoyed by the people. This is a universal principle of mankind upon which this Constitution is founded. We reject and revoke all constitutions, laws, ordinances, and rescripts in conflict herewith.
 We, the Japanese people, desire peace for all time and are deeply conscious of the high ideals controlling human relationship, and we have determined to preserve our security and existence, trusting in the justice and faith of the peace-loving peoples of the world. We desire to occupy an honored place in an international society striving for the preservation of peace, and the banishment of tyranny and slavery, oppression and intolerance for all time from the earth. We recognize that all peoples of the world have the right to live in peace, free from fear and want.
 We believe that no nation is responsible to itself alone, but that laws of political morality are universal; and that obedience to such laws is incumbent upon all nations who would sustain their own sovereignty and justify their sovereign relationship with other nations.
 We, the Japanese people, pledge our national honor to accomplish these high ideals and purposes with all our resources.

*1-3:http://www.saga-s.co.jp/senkyo/sanin/30402/320758 (佐賀新聞 2016年6月9日) 自民党憲法改正草案全文(抜粋)
自民党が2012年に発表した憲法改正草案は11章、102条から成る。前文など、日本国憲法を大幅に手直しした部分が少なくない。日本国憲法とともに、その全文を紹介する。
■自民党憲法改正草案全文
 (前文)
 日本国は、長い歴史と固有の文化を持ち、国民統合の象徴である天皇を戴く国家であって、国民主権の下、立法、行政及び司法の三権分立に基づいて統治される。我が国は、先の大戦による荒廃や幾多の大災害を乗り越えて発展し、今や国際社会において重要な地位を占めており、平和主義の下、諸外国との友好関係を増進し、世界の平和と繁栄に貢献する。日本国民は、国と郷土を誇りと気概を持って自ら守り、基本的人権を尊重するとともに、和を尊び、家族や社会全体が互いに助け合って国家を形成する。我々は、自由と規律を重んじ、美しい国土と自然環境を守りつつ、教育や科学技術を振興し、活力ある経済活動を通じて国を成長させる。日本国民は、良き伝統と我々の国家を末永く子孫に継承するため、ここに、この憲法を制定する。

<天皇についての比較>
*2-1:http://www.saga-s.co.jp/senkyo/sanin/30402/320757 (佐賀新聞 2016年6月9日) 日本国憲法(抜粋)
  第一章 天皇
第一条 天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する
      日本国民の総意に基く。
第二条 皇位は世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。
第三条 天皇の国事に関するすべての行為には内閣の助言と承認を必要とし、内閣がその責任を負ふ。
第四条 天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する権能を有しない。
      天皇は、法律の定めるところにより、その国事に関する行為を委任することができる。
第五条 皇室典範の定めるところにより摂政を置くときは、摂政は、天皇の名でその国事に関する行為を
      行ふ。この場合には、前条第一項の規定を準用する。
第六条 天皇は、国会の指名に基いて、内閣総理大臣を任命する。
      天皇は、内閣の指名に基いて、最高裁判所の長たる裁判官を任命する。
第七条 天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。
 一 憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。
 二 国会を召集すること。
 三 衆議院を解散すること。
 四 国会議員の総選挙の施行を公示すること。
 五 国務大臣及び法律の定めるその他の官吏の任免並びに全権委任状及び大使及び公使の信任状
   を認証すること。
 六 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を認証すること。
 七 栄典を授与すること。
 八 批准書及び法律の定めるその他の外交文書を認証すること。
 九 外国の大使及び公使を接受すること。
 十 儀式を行ふこと。
第八条 皇室に財産を譲り渡し、又は皇室が、財産を譲り受け、若しくは賜与することは、国会の議決に
      基かなければならない。

*2-2:http://www.saga-s.co.jp/senkyo/sanin/30402/320758 (佐賀新聞 2016年6月9日) 自民党憲法改正草案(天皇) 
第一章 天皇
 (天皇)
第一条 天皇は、日本国の元首であり、日本国及び日本国民統合の象徴であって、その地位は、
      主権の存する日本国民の総意に基づく。
 (皇位の継承)
第二条 皇位は世襲のものであって、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。
 (国旗及び国歌)
第三条 国旗は日章旗とし、国歌は君が代とする。
 2 日本国民は、国旗及び国歌を尊重しなければならない。
 (元号)
第四条 元号は、法律の定めるところにより、皇位の継承があったときに制定する。
 (天皇の権能)
第五条 天皇は、この憲法に定める国事に関する行為を行い、国政に関する権能を有しない。
 (天皇の国事行為等)
第六条 天皇は、国民のために、国会の指名に基づいて内閣総理大臣を任命し、内閣の指名に基づいて
     最高裁判所の長である裁判官を任命する。
 2 天皇は、国民のために、次に掲げる国事に関する行為を行う。
 一 憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。
 二 国会を召集すること。
 三 衆議院を解散すること。
 四 衆議院議員の総選挙及び参議院議員の通常選挙の施行を公示すること。
 五 国務大臣及び法律の定めるその他の国の公務員の任免を認証すること。
 六 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を認証すること。
 七 栄典を授与すること。
 八 全権委任状並びに大使及び公使の信任状並びに批准書及び法律の定めるその他の外交文書を
    認証すること。
 九 外国の大使及び公使を接受すること。
 十 儀式を行うこと。
 3 天皇は、法律の定めるところにより、前二項の行為を委任することができる。
 4 天皇の国事に関する全ての行為には、内閣の進言を必要とし、内閣がその責任を負う。ただし、
    衆議院の解散については、内閣総理大臣の進言による。
 5 第一項及び第二項に掲げるもののほか、天皇は、国又は地方自治体その他の公共団体が
    主催する式典への出席その他の公的な行為を行う。
 (摂政)
第七条 皇室典範の定めるところにより摂政を置くときは、摂政は、天皇の名で、その国事に
    関する行為を行う。
 2 第五条及び前条第四項の規定は、摂政について準用する。
 (皇室への財産の譲渡等の制限)
第八条 皇室に財産を譲り渡し、又は皇室が財産を譲り受け、若しくは賜与するには、法律で
     定める場合を除き、国会の承認を経なければならない。

<憲法改正手続き>
*3:http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201606/CK2016062002000120.html (東京新聞2016年6月20日)安倍首相「次の国会から改憲議論」 参院選後 具体的に条文審査
 安倍晋三首相は十九日、インターネット動画中継サイト「ニコニコ動画」の党首討論会で、改憲について「参院選の結果を受け、どの条文を変えていくか、条文の中身をどのように変えていくかについて、議論を進めていきたい。次の国会から憲法審査会を動かしていきたい。自民党の総裁としてぜひ動かしたい」と秋の臨時国会から、衆参両院に設置されている憲法審査会で、具体的な改憲項目の議論を与野党で進めたい考えを示した。首相は在任中の改憲に意欲を示している。首相の自民党総裁としての任期が切れる二〇一八年九月までに改憲の国民投票を終えるためには、来年秋の臨時国会で原案を審議し、発議する必要がある。そのためには、今年後半から国会で議論を始め、来年前半の通常国会までに原案をまとめる必要がある。参院選で与党が改憲の争点化を避けていると野党側が批判したのに対し、首相は「(改憲は)自民党結党の精神。選挙で争点とすることは必ずしも必要はない」と反論。「私たちは党草案を示しており、何も隠していない」と強調した。一方、公明党の山口那津男代表は「改憲について、国民に問いかけるほど議論が成熟していない。議論を深めて国民の理解を伴うようにしなければならない」と慎重な議論を求めた。民進党の岡田克也代表は「立憲主義を理解している首相でないと、非常に危ない。(首相は)最後は力で押し切る。改憲はよほど慎重でなければならない」と首相をけん制した。改憲には原案を衆院百人以上、参院五十人以上の賛同で提案。その後、両院の憲法審査会で審査した後、衆参の本会議でともに三分の二以上の賛成で可決し、国民に発議しなければならない。発議後、六十~百八十日以内に国民投票が行われ、承認には過半数の賛成が必要となる。討論会には、首相を含む与野党九党の党首が参加した。


<憲法の改正要件について>
PS(2016年7月11日追加):参院選の結果、*4-1のように、参議院でも改憲勢力が3分の2を超えた。「改憲項目が異なるので3分の2を超えても問題ない」とする勢力もあるが、両院で3分の2を超えると、*4-2の憲法改正要件を緩和するという姑息な改正を行うことも可能となり、上の図のようにこれを改正項目の一つとする人もいるため要注意だ。なお、我が国の憲法改正回数は0だが、それは国民が憲法改正の必要性を感じなかったからで我が国の憲法改正要件が世界の中で特に厳しいからではない。

*4-1:http://www.saga-s.co.jp/news/national/10201/332433
(佐賀新聞 2016年7月11日) 議席確定、改憲勢力で3分の2超、野党共闘及ばず
 第24回参院選は11日午前、全121議席が確定した。安倍晋三首相(自民党総裁)が目指す憲法改正に賛同する改憲勢力は、非改選議席と合わせ165議席となり、国会発議に必要な全議席の3分の2(162議席)を超えた。自民党は55議席、公明党は14議席へ伸ばし、与党で改選過半数(61議席)を上回り、勝利した。民進党は32議席。民進、共産、社民、生活の野党4党は32の改選1人区で候補を一本化し、3分の2阻止へ共闘したが及ばなかった。おおさか維新の会は7議席、共産党は6議席で伸長した。自民党は無所属1人を追加公認したが27年ぶりとなる単独過半数に届かなかった。

*4-2:http://www.saga-s.co.jp/senkyo/sanin/30402/320757
(佐賀新聞 2016年6月9日) 日本国憲法全文(抜粋)
 第九十六条 この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、
          国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は
          国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。
          憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を
          成すものとして、直ちにこれを公布する。


<緊急事態条項と道州制について>
PS(2016年7月13日追加):上の下の段の左から3番目の表、*5-1、*5-2のように、自民党憲法改正草案は「緊急事態条項」を新設し、①武力攻撃 ②内乱 ③大災害 の時に、内閣総理大臣は国会の事後承認で緊急事態を宣言でき、緊急事態が宣言された時は、基本的人権を最大限尊重はするものの何人も国や公的機関の指示に従わなければならないとのことである。しかし、最も賛同を得やすい③でさえ、内閣総理大臣が緊急事態を宣言するより地方自治体が最前線で救援を行い、国は最前線から必要と言われるものを援助した方が効果的だという意見が多い。まして、①の武力攻撃はどういう理由で起こり、その時に何をすることが想定されているのか、②はどういう状態を内乱(犯罪とは異なる)と定義して国が鎮圧するのか について説明する必要がある。全体から見ると、「緊急事態条項」は、民主主義・基本的人権の尊重・平和主義という日本国憲法の三大原則から離れており、戦前の戒厳令や国家総動員法を思わせるため、決して入れるべきではないと私は考える。
 さらに、*5-2で触れられている道州制については、地方自治法を改正して県が合併すればよいため、憲法改正はいらない。しかし、北海道、九州、四国については道州の区切りに異論が出にくいものの、他地域については堺目をどこにするかについても異論が出やすい。そのため、まとまりになれる県が先に合併していくのがよいだろうが、県が合併したくない場合は道州制は成立しない。

*5-1:http://qbiz.jp/article/90492/1/
(西日本新聞 2016年7月11日) 改憲 まず9条以外 緊急事態条項 参院改革 環境権
●抵抗少ない項目から議論
 憲法改正論議の対象項目として、大規模自然災害時の国会議員任期延長を含む「緊急事態条項」新設や、参院選の合区解消に向けた参院改革などが浮上している。自民党は「本丸」の9条改正について、憲法の基本原則である平和主義に関わるため野党や国民の抵抗感が強いと判断。最初の改憲対象にはせず、比較的理解を得やすいと思われる項目で改憲の「実績」をつくりたい考えだ。自民党は昨年5月の衆院憲法審査会で緊急事態条項以外に、良好な自然環境を享受する権利の「環境権」、野放図な国の借金拡大を防いで財政の健全性を確保する「財政規律条項」の新設を提示した。首相が今秋の臨時国会から開始したい意向を示した衆参両院憲法審査会の議論でも、引き続き候補になるとみられる。自民党改憲草案の緊急事態条項は、国会議員任期延長以外に(1)首相による緊急事態宣言発出(2)内閣への権限集中(3)国民に国の指示に従うよう義務付け−などを規定。自然災害以外に他国からの武力攻撃、内乱時も列挙した。野党や弁護士会からは、過度な人権制限や政府による乱用の危険性が指摘されている。合区解消は、「1票の格差」に関係なく、改選ごとに各都道府県から参院議員を選出する趣旨の条文を盛り込むべきだとの主張だ。今回の参院選から鳥取・島根、徳島・高知の二つの合区が導入され、自民党参院議員や地方自治体が「地方切り捨てにつながる」と強く批判している。おおさか維新の会が改憲項目として参院選で公約した道州制導入を含む「統治機構改革」なども、議論の対象になる可能性がある。
 ◇  ◇
●壁高き改憲 世界では実現、ドイツ60回 米国27回 フランス24回
 世界の多くの国は日本と同様、憲法改正に一般の法律よりも厳格な手続きを定めている。高いハードルを乗り越えて改正にこぎ着けた回数や具体例は、国によってさまざまだ。ドイツでは、旧西ドイツで1949年に制定された憲法を「基本法」と呼ぶ。議会事務局によると、改正は旧西ドイツ時代に36回、東西統一後に24回の計60回に上る。「文化財の国外流出防止」を国の義務とするといった、日本では一般の法律で規定するような内容も基本法に盛り込まれていることが、改正が多い理由の一つ。ナチス時代の反省から、人権尊重などを定めた条文は改正できない。世界最初の近代的成文憲法である米合衆国憲法は、1787年に制定された。これまで27回修正され、奴隷解放や婦人参政権のほか、銃所持の権利を保障するとされる「武装の権利」などを明文化した。修正には連邦議会で上下両院の出席議員の3分の2以上が賛成した上で、全米50州の州議会のうち、4分の3以上の賛成が必要。超党派の幅広い支持が最低条件となるため、容易ではない。1958年に制定されたフランス現行憲法の改正は24回。これによって大統領直接選挙制などが実現した。

*5-2:http://www.saga-s.co.jp/senkyo/sanin/30402/320758 (佐賀新聞 2016年6月9日) 自民党憲法改正草案全文 (第九章 緊急事態 《抜粋》)
(緊急事態の宣言)
第九十八条 内閣総理大臣は、我が国に対する外部からの武力攻撃、内乱等による社会秩序の混乱、
        地震等による大規模な自然災害その他の法律で定める緊急事態において、特に必要が
        あると認めるときは、法律の定めるところにより、閣議にかけて、緊急事態の宣言を発す
        ることができる。
      2 緊急事態の宣言は、法律の定めるところにより、事前又は事後に国会の承認を得なけれ
        ばならない。
      3 内閣総理大臣は、前項の場合において不承認の議決があったとき、国会が緊急事態の
        宣言を解除すべき旨を議決したとき、又は事態の推移により当該宣言を継続する必要が
        ないと認めるときは、法律の定めるところにより、閣議にかけて、当該宣言を速やかに
        解除しなければならない。また、百日を超えて緊急事態の宣言を継続しようとするときは、
        百日を超えるごとに、事前に国会の承認を得なければならない。
      4 第二項及び前項後段の国会の承認については、第六十条第二項の規定を準用する。こ
        の場合において、同項中「三十日以内」とあるのは、「五日以内」と読み替えるものとする。
(緊急事態の宣言の効果)
第九十九条 緊急事態の宣言が発せられたときは、法律の定めるところにより、内閣は法律と同一の
        効力を有する政令を制定することができるほか、内閣総理大臣は財政上必要な支出その
        他の処分を行い、地方自治体の長に対して必要な指示をすることができる。
      2 前項の政令の制定及び処分については、法律の定めるところにより、事後に国会の承認
        を得なければならない。
      3 緊急事態の宣言が発せられた場合には、何人も、法律の定めるところにより、当該宣言
        に係る事態において国民の生命、身体及び財産を守るために行われる措置に関して発
        せられる国その他公の機関の指示に従わなければならない。この場合においても、
        第十四条、第十八条、第十九条、第二十一条その他の基本的人権に関する規定は、
        最大限に尊重されなければならない。
      4 緊急事態の宣言が発せられた場合においては、法律の定めるところにより、その宣言が
        効力を有する期間、衆議院は解散されないものとし、両議院の議員の任期及びその選挙
        期日の特例を設けることができる。

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2016.7.5 日本国憲法は、同性婚を禁止しておらず環境権も含んでいるため加憲の必要はなく、地域主権・議員の選出方法・裁判所の違憲立法審査権行使にも憲法改正は不要であること (2016年7月5、9、10日《図表を含む》に追加あり)

       2015.4.28朝日新聞       2015.5.3朝日新聞     2014.12衆院選時の  
         有権者の意見                        憲法改正賛否 集団的自衛権賛否

 
 2016.6.26佐賀新聞   2016.6.28            2016.7.1日経新聞
                  西日本新聞

 *1-1のように、「憲法をめぐる議論は9条に集中しがちだが、『同性婚』や『環境権』などの新しい権利も憲法と深く関わる」として、同性婚や環境権などの加憲を餌に、一気に憲法改正を進めようとする勢力もあるため、同性婚を認めたり、環境を守ったりするのに加憲は不要であることについて述べる。

 なお、下の段の一番左のグラフのように、今回の参院選で憲法改正を重視する人の割合は低いが、憲法は、日本が今後どういう方向に進んで行くかの羅針盤であるため、最も重要なテーマだ。

(1)環境権や同性婚の加憲は不要である
1)同性婚について
 *1-1に「憲法24条は同性婚の禁止を意味するかが議論になっている」と書かれている。しかし、*2のように、日本国憲法24条は、「1項:婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により維持されなければならない」「2項:配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して制定されなければならない」としている。

 この憲法24条の立法趣旨は、それまで大日本帝国憲法(明治憲法)の家制度の下で、本人同士の意志とは関係なく決められることが多かった結婚相手を、個人の尊厳と両性の本質的平等に基づいて民法を定めて具体化せよということであり、まさにライフスタイルに関する「自己決定権」を認めたものである。

 では、「両性」とは男女でなければならないかと言えば、日本国憲法成立当初は男女しか意図していなかったかもしれないが、「両性」は異性でなければならないとは書かれていないため、夫婦役をする2人が同等の権利を有することを基本とし、個人の尊厳を維持しながら相互協力により婚姻関係を維持すればよく、同性婚を禁止しているのではないと解せられる。

 しかし、現在の日本は過度のジェンダー(生物学的ではなく社会的に要請される「男らしさ」「女らしさ」)を要求するため、それと正面から闘えない人は、性同一性障害でなくても性同一性障害のような気になってしまうのではないかと私は危惧している。しかし、ともかく同性婚のために憲法を改正する必要はなく、例外として民法に同性婚を書き加えればよいだろう。

2)環境権について
 私は、結論から言って、*1-1のように、「環境権」を憲法に加える必要はないと考える。何故なら、憲法25条は、「1項:すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」「2項:国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」と定めており、国民が健康で文化的な生活を営むためには、良好な環境の維持が不可欠だからだ。

 また、*3の環境基本法は、①国民が健康で文化的な生活を確保するためには環境保全が不可欠であると明確に述べ ②人の活動により環境に負荷をかけること(公害を出すこと)を禁止し ③事業者は事業活動を行うに当たって、煤煙、汚水、廃棄物等の処理を適正に行い、公害を防止して自然環境を適正に保全するために必要な措置を講ずる責務を有するとし ④環境への負荷の少ない持続的発展が可能な社会の構築が必要 としているので、Perfect(完全)に近い。

 そのため、現在、環境に悪いことがまかり通っているのは、法律が不備なのではなく、環境を守るという意識が薄いからにすぎない。従って、これは、憲法を改正したから変わるというものではなく、国民が自らの健康で文化的な生活を護るために環境を守るという意識を高めなければならないのだ。

(2)原発事故と健康被害、及び、それを隠すためにさらに環境破壊を行う環境意識の低さ
 *1-2のように、日本と米国の専門家は、福島原発事故で漏洩した放射能汚染物質は太平洋をまたぎ、北米西海岸に影響を及ぼしていると発表したそうだ。そして、東京海洋大学副学長、日本海洋学会副会長の神田穣太氏は、「セシウム137が福島原発事故の放射能漏れの最も中心的な物質で、1−2万テラベクレルが海洋に流出した」とし、この数値を5万テラベクレルと見積もる研究者もいるそうだ。そして、1万5000テラベクレルは、広島原爆168発分とのことである。

 そして、「福島原発事故の海洋への影響は、空前絶後」で、この放射能汚染に関して日本はすでに多くの調査結果を出しているそうだが、メディアは、一般の人が見る時間には、この事実を報道していない。

 また、*1-3のように、東京電力福島第一原発事故事故後、子どもたちの甲状腺検査を進めてきた福島県は有識者による検討委員会などで、罹患統計から推定される有病数に比べ「数十倍のオーダーで多い甲状腺がんが発見されている」と認めながら、科学的とは言えない根拠で「放射線の影響とは考えにくい」と主張しており、憲法にも環境基本法にも違反している。

 その上、*1-4のように、環境省の有識者検討会が、放射性物質濃度が基準以下となった除染土(放射性セシウム濃度が1キログラム当たり5千~8千ベクレル以下)を全国の公共工事で使うとする再利用方針案を大筋で了承したそうで呆れた。何故なら、コンクリートで枠を作って漏れ出さないようにし、もともと放射性物質濃度の高い場所の防潮堤に使うならまだしも、汚染土を全国の道路などの公共工事に使って拡散すれば、工事中の作業員や周辺住民の環境からの年間被曝線量が1ミリシーベルト以下であったとしても、地下水に溶けて長期間日本全国を汚染するからだ。

 その効果は、「日本全国で心臓病や癌が増えているので、心臓病や癌が増えた理由は原発事故のせいではなく高齢化のせいだ」と言うことができるようになるという恐ろしいものだが、大手メディアは、お天気、災害、テロ事件、舛添氏の政治資金問題の表面的な追求ばかりを行い、このような事実の報道はしていない。

<現在の状況>
*1-1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20160703&ng=DGKKASDG02H7X_S6A700C1CR8000 (日経新聞 2016.7.3) 「9条以外も議論して」 同性婚や環境権 憲法めぐり当事者ら
 参院選は与党などが改憲を発議できる議席数を確保するかどうかが焦点の一つ。憲法をめぐる議論は9条に集中しがちだが「同性婚」や「環境権」などの新しい権利も憲法と深く関わる。改憲の是非は別として、当事者たちは選挙を機会にこうしたテーマの議論が深まることを期待している。
■国に拒まれたみたい
 「婚姻届が受理されないのは、国から『あなたたちの関係はダメ』と拒まれるようなもの。少数派も尊重してほしい」。自らレズビアンだと公表し、昨年4月に女性同士で結婚式を挙げたタレントの一ノ瀬文香さん(35)は訴える。憲法は24条で「結婚は両性の合意のみに基づく」と規定すると同時に、14条では性差別を禁じている。これが同性婚の禁止を意味するかが議論になっている。民法に同性婚の規定はない。国の研究班が昨年実施した意識調査では、同性婚の法制化に「賛成」「やや賛成」は計51%で反対を上回ったが、20代は71%が賛成なのに70代は24%と、賛否は世代で大きく割れている。一ノ瀬さんは同性婚をきっかけに、憲法に関心を寄せるようになった。「改憲せず民法改正で同性婚を実現すべきだ」との立場だが、多くの人が議論することが大切と考えている。「憲法や民法を通じて、少数者や多様性を尊重することを皆が考えてほしい」と話す。
■新章設置訴え
 大気や水、日照など良好な自然環境を享受できる「環境権」。環境問題に取り組むNPO「環境文明21」は憲法に環境専門の新章を設け、基本原則のひとつにすべきだと訴える。共同代表で環境庁出身の加藤三郎さん(76)は「昨年末の第21回気候変動枠組み条約締約国会議(COP21)で採択されたパリ協定は、覚悟を決めて環境問題に取り組むよう世界に求めた」と強調。「国内の環境問題を巡る議論は以前より低調だ。この機会に改めて活発な議論を促したい」
■広がる新たな権利
 中絶や尊厳死、ライフスタイルなど、一定の個人的事柄を公権力の干渉を受けることなく、幅広く自分で決められるとする「自己決定権」を憲法で認めるべきだとの意見もある。衆参両院の憲法審査会では、自己決定権を憲法上の権利として明記すべきだとの意見が出た。一方で、明文規定がないことがこうした権利の実現にとって障害になっているわけではないとの声もあり、議論の方向性は明確になっていない。木村草太・首都大学東京教授は「憲法には9条以外にも様々なテーマがあり、日常生活と密接につながっている。どんな国にしていくかという理念を考えることが、憲法改正について考えることになる」と話す。

*1-2:http://japanese.china.org.cn/jp/txt/2016-05/26/content_38539636.htm (中国網日本語版 2016年5月26日) 福島原発事故、原爆168発分のセシウムが漏えい 太平洋全体にほぼ拡散へ
 日本と米国の専門家は、福島原発事故から5年が経過するが、漏えいした放射能汚染物質は潮の流れにより太平洋をまたぎ、北米西海岸に影響を及ぼしていると発表した。東京海洋大学副学長、日本海洋学会副会長の神田穣太氏によると、セシウム137は福島原発事故の放射能漏れの最も中心的な物質で、1−2万テラベクレルが海洋に流出したという。この数値を5万テラベクレルと見積もる研究者もいる。ベクレルは放射性物質の計量単位だ。厚生労働省は福島原発事故後、安全に食用できる野菜・穀物・肉類などの食品中の放射性物質の新たな基準値を、1キロ当たり500ベクレルとした。1テラベクレルは1兆ベクレル。日本政府は2011年に発表した報告書の中で、福島原発の原子炉3基が放出したセシウムは1万5000テラベクレルに達するとしていた。米国が第二次大戦中に広島に投下した原爆は、89テラベクレルのセシウムを放出していた。1万5000テラベクレルは、広島の原爆168発分だ。しかし日本政府内には、原爆を福島原発が放出した放射性物質と、単純に比較することはできないとする観点もある。神田氏によると、太平洋東部のセシウム濃度は西部より高めとなっている。これはセシウムが潮の流れにより、米国西海岸に到達したことを意味する。多くの専門家が同じ観点を持つ。福島原発事故後まもなく、日本原子力研究開発機構の中野政尚研究員が行った研究によると、セシウムは潮の流れにより5年後に北米に到達し、10年後に一部がアジア東部に回帰し、30年後に太平洋全体にほぼ拡散するという。福島大学環境放射能研究所の青山道夫教授も2015年、1年内に約800テラベクレルのセシウムが北米西海岸に到達すると予想していた。北米の科学界は、すでに実地調査によりこれを裏付けている。米国科学アカデミー紀要が昨年掲載した、カナダのベッドフォード海洋学研究所の報告書によると、北米西海岸で福島原発事故による放射性物質が検出されている。米ウッズホール海洋研究所の専門家は、「1986年のチェルノブイリ事故による放射能漏れは福島原発事故の10倍だが、海洋への影響は後者の方が大きい。漏えいした放射性物質の8割が海に入ったからだ。福島原発事故の海洋への影響は、空前絶後と言える」と指摘した。この放射能汚染は、魚介類と海の生態系に影響を及ぼす恐れがある。日本はすでにこれに関する、多くの調査結果を出している。

*1-3:http://digital.asahi.com/articles/ASJ4H3JLHJ4HUGTB007.html
(朝日新聞 2016年4月18日) 福島)甲状腺がんの県見解、ロ報告書と矛盾 尾松氏講演
 チェルノブイリ原発事故から30年の26日を前に、「避難の権利」を明記したチェルノブイリ法を日本に初めて体系的に紹介したロシア研究者の尾松亮氏がこのほど、東京都内で講演した。「ロシア政府報告書」を取り上げ、県や県立医大が県内の小児甲状腺がんの「多発」について原発事故の影響を否定する論拠にした「チェルノブイリ後の事実」とは異なる事実が報告されている、と指摘した。東京電力福島第一原発事故事故後、子どもたちの甲状腺検査を進めてきた県は有識者による検討委員会などで、罹患(りかん)統計から推定される有病数に比べ「数十倍のオーダーで多い甲状腺がんが発見されている」と認めつつ、「放射線の影響とは考えにくい」と主張。その論拠として、チェルノブイリ事故後に甲状腺がんが多発したのは①事故から5年後②5歳以下であるのに対し、福島では①がん発見が1~4年で早い②事故当時5歳以下の発見がない③被曝(ひばく)線量がはるかに少ない――などとしてきた。2011年発表のロシア政府報告書を詳細に検討した尾松氏は、報告書の内容が、県側の説明と「大きく食い違う」と批判。同報告書では甲状腺がんは①事故翌年から著しく増え(年平均1・7倍)、4~5年後にさらに大幅に増加②事故時5歳以下に急増するのは事故約10年後で彼らが10代半ばになって以降③被曝推計の最高値比較では大差があるが、低線量被災地でも増加――などと分析していることを明らかにした。そのうえで尾松氏は「現時点でデータは少ないが、チェルノブイリ後の10代での増え方などは違いより類似が目立つ」とし、「先例となる被災国の知見をゆがめて伝えることで、教訓を生かせなくなるのではないか」との懸念を表明した。

*1-4:http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2016060701001850.html
(東京新聞 2016年6月7日) 公共工事で除染土を再利用へ 全国の道路、防潮堤に
 東京電力福島第1原発事故に伴う除染廃棄物の減量と再利用に向けた環境省の有識者検討会は7日、東京都内で会合を開き、放射性物質濃度が基準以下となった除染土を全国の公共工事で使うとする再利用の方針案を大筋で了承した。近く同省が正式決定する。方針案によると、管理責任が明確で、長期間掘り返されることがない道路や防潮堤などの公共工事に利用先を限定。工事中の作業員や周辺住民の年間被ばく線量が1ミリシーベルト以下となるよう、用途や期間に応じて放射性セシウム濃度を1キログラム当たり5千~8千ベクレル以下と定めた。

<日本国憲法の規定>
*2:http://www.jicl.jp/kenpou_all/kenpou.html 日本国憲法(抜粋)
第二十四条 婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、
        相互の協力により、維持されなければならない。
      2 配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他
        の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して制定されなけ
        ればならない。
第二十五条 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
      2 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進
        に努めなければならない。

<環境基本法>
*3:http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H05/H05HO091.html 環境基本法 (平成五年十一月十九日法律第九十一号) 最終改正:平成二六年五月三〇日法律第四六号
第一章 総則
(目的)
第一条  この法律は、環境の保全について、基本理念を定め、並びに国、地方公共団体、事業者及び国民の責務を明らかにするとともに、環境の保全に関する施策の基本となる事項を定めることにより、環境の保全に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に寄与するとともに人類の福祉に貢献することを目的とする。
(定義)
第二条  この法律において「環境への負荷」とは、人の活動により環境に加えられる影響であって、環境の保全上の支障の原因となるおそれのあるものをいう。
2  この法律において「地球環境保全」とは、人の活動による地球全体の温暖化又はオゾン層の破壊の進行、海洋の汚染、野生生物の種の減少その他の地球の全体又はその広範な部分の環境に影響を及ぼす事態に係る環境の保全であって、人類の福祉に貢献するとともに国民の健康で文化的な生活の確保に寄与するものをいう。
3  この法律において「公害」とは、環境の保全上の支障のうち、事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁(水質以外の水の状態又は水底の底質が悪化することを含む。第二十一条第一項第一号において同じ。)、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下(鉱物の掘採のための土地の掘削によるものを除く。以下同じ。)及び悪臭によって、人の健康又は生活環境(人の生活に密接な関係のある財産並びに人の生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境を含む。以下同じ。)に係る被害が生ずることをいう。
(環境の恵沢の享受と継承等)
第三条  環境の保全は、環境を健全で恵み豊かなものとして維持することが人間の健康で文化的な生活に欠くことのできないものであること及び生態系が微妙な均衡を保つことによって成り立っており人類の存続の基盤である限りある環境が、人間の活動による環境への負荷によって損なわれるおそれが生じてきていることにかんがみ、現在及び将来の世代の人間が健全で恵み豊かな環境の恵沢を享受するとともに人類の存続の基盤である環境が将来にわたって維持されるように適切に行われなければならない。
(環境への負荷の少ない持続的発展が可能な社会の構築等)
第四条  環境の保全は、社会経済活動その他の活動による環境への負荷をできる限り低減することその他の環境の保全に関する行動がすべての者の公平な役割分担の下に自主的かつ積極的に行われるようになることによって、健全で恵み豊かな環境を維持しつつ、環境への負荷の少ない健全な経済の発展を図りながら持続的に発展することができる社会が構築されることを旨とし、及び科学的知見の充実の下に環境の保全上の支障が未然に防がれることを旨として、行われなければならない。
(国際的協調による地球環境保全の積極的推進)
第五条  地球環境保全が人類共通の課題であるとともに国民の健康で文化的な生活を将来にわたって確保する上での課題であること及び我が国の経済社会が国際的な密接な相互依存関係の中で営まれていることにかんがみ、地球環境保全は、我が国の能力を生かして、及び国際社会において我が国の占める地位に応じて、国際的協調の下に積極的に推進されなければならない。
(国の責務)
第六条  国は、前三条に定める環境の保全についての基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、環境の保全に関する基本的かつ総合的な施策を策定し、及び実施する責務を有する。
(地方公共団体の責務)
第七条  地方公共団体は、基本理念にのっとり、環境の保全に関し、国の施策に準じた施策及びその他のその地方公共団体の区域の自然的社会的条件に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。
(事業者の責務)
第八条  事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動を行うに当たっては、これに伴って生ずるばい煙、汚水、廃棄物等の処理その他の公害を防止し、又は自然環境を適正に保全するために必要な措置を講ずる責務を有する。
2  事業者は、基本理念にのっとり、環境の保全上の支障を防止するため、物の製造、加工又は販売その他の事業活動を行うに当たって、その事業活動に係る製品その他の物が廃棄物となった場合にその適正な処理が図られることとなるように必要な措置を講ずる責務を有する。
3  前二項に定めるもののほか、事業者は、基本理念にのっとり、環境の保全上の支障を防止するため、物の製造、加工又は販売その他の事業活動を行うに当たって、その事業活動に係る製品その他の物が使用され又は廃棄されることによる環境への負荷の低減に資するように努めるとともに、その事業活動において、再生資源その他の環境への負荷の低減に資する原材料、役務等を利用するように努めなければならない。
4  前三項に定めるもののほか、事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動に関し、これに伴う環境への負荷の低減その他環境の保全に自ら努めるとともに、国又は地方公共団体が実施する環境の保全に関する施策に協力する責務を有する。
(国民の責務)
第九条  国民は、基本理念にのっとり、環境の保全上の支障を防止するため、その日常生活に伴う環境への負荷の低減に努めなければならない。
2  前項に定めるもののほか、国民は、基本理念にのっとり、環境の保全に自ら努めるとともに、国又は地方公共団体が実施する環境の保全に関する施策に協力する責務を有する。
(環境の日)
第十条  事業者及び国民の間に広く環境の保全についての関心と理解を深めるとともに、積極的に環境の保全に関する活動を行う意欲を高めるため、環境の日を設ける。
2  環境の日は、六月五日とする。
3  国及び地方公共団体は、環境の日の趣旨にふさわしい事業を実施するように努めなければならない。
(法制上の措置等)
第十一条  政府は、環境の保全に関する施策を実施するため必要な法制上又は財政上の措置その他の措置を講じなければならない。
(年次報告等)
第十二条  政府は、毎年、国会に、環境の状況及び政府が環境の保全に関して講じた施策に関する報告を提出しなければならない。
2  政府は、毎年、前項の報告に係る環境の状況を考慮して講じようとする施策を明らかにした文書を作成し、これを国会に提出しなければならない。
第十三条  削除
   第二章 環境の保全に関する基本的施策
    第一節 施策の策定等に係る指針
第十四条  この章に定める環境の保全に関する施策の策定及び実施は、基本理念にのっとり、次に掲げる事項の確保を旨として、各種の施策相互の有機的な連携を図りつつ総合的かつ計画的に行わなければならない。
一  人の健康が保護され、及び生活環境が保全され、並びに自然環境が適正に保全されるよう、大気、水、土壌その他の環境の自然的構成要素が良好な状態に保持されること。
二  生態系の多様性の確保、野生生物の種の保存その他の生物の多様性の確保が図られるとともに、森林、農地、水辺地等における多様な自然環境が地域の自然的社会的条件に応じて体系的に保全されること。
三  人と自然との豊かな触れ合いが保たれること。
    第二節 環境基本計画
第十五条  政府は、環境の保全に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、環境の保全に関する基本的な計画(以下「環境基本計画」という。)を定めなければならない。
2  環境基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
一  環境の保全に関する総合的かつ長期的な施策の大綱
二  前号に掲げるもののほか、環境の保全に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項
3  環境大臣は、中央環境審議会の意見を聴いて、環境基本計画の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。
4  環境大臣は、前項の規定による閣議の決定があったときは、遅滞なく、環境基本計画を公表しなければならない。
5  前二項の規定は、環境基本計画の変更について準用する。
    第三節 環境基準
第十六条  政府は、大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染及び騒音に係る環境上の条件について、それぞれ、人の健康を保護し、及び生活環境を保全する上で維持されることが望ましい基準を定めるものとする。
2  前項の基準が、二以上の類型を設け、かつ、それぞれの類型を当てはめる地域又は水域を指定すべきものとして定められる場合には、その地域又は水域の指定に関する事務は、次の各号に掲げる地域又は水域の区分に応じ、当該各号に定める者が行うものとする。
一  二以上の都道府県の区域にわたる地域又は水域であって政令で定めるもの 政府
二  前号に掲げる地域又は水域以外の地域又は水域 次のイ又はロに掲げる地域又は水域の区分に応じ、当該イ又はロに定める者
イ 騒音に係る基準(航空機の騒音に係る基準及び新幹線鉄道の列車の騒音に係る基準を除く。)の類型を当てはめる地域であって市に属するもの その地域が属する市の長
ロ イに掲げる地域以外の地域又は水域 その地域又は水域が属する都道府県の知事
3  第一項の基準については、常に適切な科学的判断が加えられ、必要な改定がなされなければならない。
4  政府は、この章に定める施策であって公害の防止に関係するもの(以下「公害の防止に関する施策」という。)を総合的かつ有効適切に講ずることにより、第一項の基準が確保されるように努めなければならない。
    第四節 特定地域における公害の防止
(公害防止計画の作成)
第十七条  都道府県知事は、次のいずれかに該当する地域について、環境基本計画を基本として、当該地域において実施する公害の防止に関する施策に係る計画(以下「公害防止計画」という。)を作成することができる。
一  現に公害が著しく、かつ、公害の防止に関する施策を総合的に講じなければ公害の防止を図ることが著しく困難であると認められる地域
二  人口及び産業の急速な集中その他の事情により公害が著しくなるおそれがあり、かつ、公害の防止に関する施策を総合的に講じなければ公害の防止を図ることが著しく困難になると認められる地域
(公害防止計画の達成の推進)
第十八条  国及び地方公共団体は、公害防止計画の達成に必要な措置を講ずるように努めるものとする。
    第五節 国が講ずる環境の保全のための施策等
(国の施策の策定等に当たっての配慮)
第十九条  国は、環境に影響を及ぼすと認められる施策を策定し、及び実施するに当たっては、環境の保全について配慮しなければならない。
(環境影響評価の推進)
第二十条  国は、土地の形状の変更、工作物の新設その他これらに類する事業を行う事業者が、その事業の実施に当たりあらかじめその事業に係る環境への影響について自ら適正に調査、予測又は評価を行い、その結果に基づき、その事業に係る環境の保全について適正に配慮することを推進するため、必要な措置を講ずるものとする。
(環境の保全上の支障を防止するための規制)
第二十一条  国は、環境の保全上の支障を防止するため、次に掲げる規制の措置を講じなければならない。
一  大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染又は悪臭の原因となる物質の排出、騒音又は振動の発生、地盤の沈下の原因となる地下水の採取その他の行為に関し、事業者等の遵守すべき基準を定めること等により行う公害を防止するために必要な規制の措置
二  土地利用に関し公害を防止するために必要な規制の措置及び公害が著しく、又は著しくなるおそれがある地域における公害の原因となる施設の設置に関し公害を防止するために必要な規制の措置
三  自然環境を保全することが特に必要な区域における土地の形状の変更、工作物の新設、木竹の伐採その他の自然環境の適正な保全に支障を及ぼすおそれがある行為に関し、その支障を防止するために必要な規制の措置
四  採捕、損傷その他の行為であって、保護することが必要な野生生物、地形若しくは地質又は温泉源その他の自然物の適正な保護に支障を及ぼすおそれがあるものに関し、その支障を防止するために必要な規制の措置
五  公害及び自然環境の保全上の支障が共に生ずるか又は生ずるおそれがある場合にこれらを共に防止するために必要な規制の措置
2  前項に定めるもののほか、国は、人の健康又は生活環境に係る環境の保全上の支障を防止するため、同項第一号又は第二号に掲げる措置に準じて必要な規制の措置を講ずるように努めなければならない。
(環境の保全上の支障を防止するための経済的措置)
第二十二条  国は、環境への負荷を生じさせる活動又は生じさせる原因となる活動(以下この条において「負荷活動」という。)を行う者がその負荷活動に係る環境への負荷の低減のための施設の整備その他の適切な措置をとることを助長することにより環境の保全上の支障を防止するため、その負荷活動を行う者にその者の経済的な状況等を勘案しつつ必要かつ適正な経済的な助成を行うために必要な措置を講ずるように努めるものとする。
2  国は、負荷活動を行う者に対し適正かつ公平な経済的な負担を課すことによりその者が自らその負荷活動に係る環境への負荷の低減に努めることとなるように誘導することを目的とする施策が、環境の保全上の支障を防止するための有効性を期待され、国際的にも推奨されていることにかんがみ、その施策に関し、これに係る措置を講じた場合における環境の保全上の支障の防止に係る効果、我が国の経済に与える影響等を適切に調査し及び研究するとともに、その措置を講ずる必要がある場合には、その措置に係る施策を活用して環境の保全上の支障を防止することについて国民の理解と協力を得るように努めるものとする。この場合において、その措置が地球環境保全のための施策に係るものであるときは、その効果が適切に確保されるようにするため、国際的な連携に配慮するものとする。
(環境の保全に関する施設の整備その他の事業の推進)
第二十三条  国は、緩衝地帯その他の環境の保全上の支障を防止するための公共的施設の整備及び汚泥のしゅんせつ、絶滅のおそれのある野生動植物の保護増殖その他の環境の保全上の支障を防止するための事業を推進するため、必要な措置を講ずるものとする。
2  国は、下水道、廃棄物の公共的な処理施設、環境への負荷の低減に資する交通施設(移動施設を含む。)その他の環境の保全上の支障の防止に資する公共的施設の整備及び森林の整備その他の環境の保全上の支障の防止に資する事業を推進するため、必要な措置を講ずるものとする。
3  国は、公園、緑地その他の公共的施設の整備その他の自然環境の適正な整備及び健全な利用のための事業を推進するため、必要な措置を講ずるものとする。
4  国は、前二項に定める公共的施設の適切な利用を促進するための措置その他のこれらの施設に係る環境の保全上の効果が増進されるために必要な措置を講ずるものとする。
(環境への負荷の低減に資する製品等の利用の促進)
第二十四条  国は、事業者に対し、物の製造、加工又は販売その他の事業活動に際して、あらかじめ、その事業活動に係る製品その他の物が使用され又は廃棄されることによる環境への負荷について事業者が自ら評価することにより、その物に係る環境への負荷の低減について適正に配慮することができるように技術的支援等を行うため、必要な措置を講ずるものとする。
2  国は、再生資源その他の環境への負荷の低減に資する原材料、製品、役務等の利用が促進されるように、必要な措置を講ずるものとする。
(環境の保全に関する教育、学習等)
第二十五条  国は、環境の保全に関する教育及び学習の振興並びに環境の保全に関する広報活動の充実により事業者及び国民が環境の保全についての理解を深めるとともにこれらの者の環境の保全に関する活動を行う意欲が増進されるようにするため、必要な措置を講ずるものとする。
(民間団体等の自発的な活動を促進するための措置)
第二十六条  国は、事業者、国民又はこれらの者の組織する民間の団体(以下「民間団体等」という。)が自発的に行う緑化活動、再生資源に係る回収活動その他の環境の保全に関する活動が促進されるように、必要な措置を講ずるものとする。
(情報の提供)
第二十七条  国は、第二十五条の環境の保全に関する教育及び学習の振興並びに前条の民間団体等が自発的に行う環境の保全に関する活動の促進に資するため、個人及び法人の権利利益の保護に配慮しつつ環境の状況その他の環境の保全に関する必要な情報を適切に提供するように努めるものとする。
(調査の実施)
第二十八条  国は、環境の状況の把握、環境の変化の予測又は環境の変化による影響の予測に関する調査その他の環境を保全するための施策の策定に必要な調査を実施するものとする。
(監視等の体制の整備)
第二十九条  国は、環境の状況を把握し、及び環境の保全に関する施策を適正に実施するために必要な監視、巡視、観測、測定、試験及び検査の体制の整備に努めるものとする。
(科学技術の振興)
第三十条  国は、環境の変化の機構の解明、環境への負荷の低減並びに環境が経済から受ける影響及び経済に与える恵沢を総合的に評価するための方法の開発に関する科学技術その他の環境の保全に関する科学技術の振興を図るものとする。
2  国は、環境の保全に関する科学技術の振興を図るため、試験研究の体制の整備、研究開発の推進及びその成果の普及、研究者の養成その他の必要な措置を講ずるものとする。
(公害に係る紛争の処理及び被害の救済)
第三十一条  国は、公害に係る紛争に関するあっせん、調停その他の措置を効果的に実施し、その他公害に係る紛争の円滑な処理を図るため、必要な措置を講じなければならない。
2  国は、公害に係る被害の救済のための措置の円滑な実施を図るため、必要な措置を講じなければならない。
    第六節 地球環境保全等に関する国際協力等
(地球環境保全等に関する国際協力等)
第三十二条  国は、地球環境保全に関する国際的な連携を確保することその他の地球環境保全に関する国際協力を推進するために必要な措置を講ずるように努めるほか、開発途上にある海外の地域の環境の保全及び国際的に高い価値があると認められている環境の保全であって人類の福祉に貢献するとともに国民の健康で文化的な生活の確保に寄与するもの(以下この条において「開発途上地域の環境の保全等」という。)に資するための支援を行うことその他の開発途上地域の環境の保全等に関する国際協力を推進するために必要な措置を講ずるように努めるものとする。
2  国は、地球環境保全及び開発途上地域の環境の保全等(以下「地球環境保全等」という。)に関する国際協力について専門的な知見を有する者の育成、本邦以外の地域の環境の状況その他の地球環境保全等に関する情報の収集、整理及び分析その他の地球環境保全等に関する国際協力の円滑な推進を図るために必要な措置を講ずるように努めるものとする。
(監視、観測等に係る国際的な連携の確保等)
第三十三条  国は、地球環境保全等に関する環境の状況の監視、観測及び測定の効果的な推進を図るための国際的な連携を確保するように努めるとともに、地球環境保全等に関する調査及び試験研究の推進を図るための国際協力を推進するように努めるものとする。
(地方公共団体又は民間団体等による活動を促進するための措置)
第三十四条  国は、地球環境保全等に関する国際協力を推進する上で地方公共団体が果たす役割の重要性にかんがみ、地方公共団体による地球環境保全等に関する国際協力のための活動の促進を図るため、情報の提供その他の必要な措置を講ずるように努めるものとする。
2  国は、地球環境保全等に関する国際協力を推進する上で民間団体等によって本邦以外の地域において地球環境保全等に関する国際協力のための自発的な活動が行われることの重要性にかんがみ、その活動の促進を図るため、情報の提供その他の必要な措置を講ずるように努めるものとする。
(国際協力の実施等に当たっての配慮)
第三十五条  国は、国際協力の実施に当たっては、その国際協力の実施に関する地域に係る地球環境保全等について配慮するように努めなければならない。
2  国は、本邦以外の地域において行われる事業活動に関し、その事業活動に係る事業者がその事業活動が行われる地域に係る地球環境保全等について適正に配慮することができるようにするため、その事業者に対する情報の提供その他の必要な措置を講ずるように努めるものとする。
    第七節 地方公共団体の施策
第三十六条  地方公共団体は、第五節に定める国の施策に準じた施策及びその他のその地方公共団体の区域の自然的社会的条件に応じた環境の保全のために必要な施策を、これらの総合的かつ計画的な推進を図りつつ実施するものとする。この場合において、都道府県は、主として、広域にわたる施策の実施及び市町村が行う施策の総合調整を行うものとする。
    第八節 費用負担等
(原因者負担)
第三十七条  国及び地方公共団体は、公害又は自然環境の保全上の支障(以下この条において「公害等に係る支障」という。)を防止するために国若しくは地方公共団体又はこれらに準ずる者(以下この条において「公的事業主体」という。)により実施されることが公害等に係る支障の迅速な防止の必要性、事業の規模その他の事情を勘案して必要かつ適切であると認められる事業が公的事業主体により実施される場合において、その事業の必要を生じさせた者の活動により生ずる公害等に係る支障の程度及びその活動がその公害等に係る支障の原因となると認められる程度を勘案してその事業の必要を生じさせた者にその事業の実施に要する費用を負担させることが適当であると認められるものについて、その事業の必要を生じさせた者にその事業の必要を生じさせた限度においてその事業の実施に要する費用の全部又は一部を適正かつ公平に負担させるために必要な措置を講ずるものとする。
(受益者負担)
第三十八条  国及び地方公共団体は、自然環境を保全することが特に必要な区域における自然環境の保全のための事業の実施により著しく利益を受ける者がある場合において、その者にその受益の限度においてその事業の実施に要する費用の全部又は一部を適正かつ公平に負担させるために必要な措置を講ずるものとする。
(地方公共団体に対する財政措置等)
第三十九条  国は、地方公共団体が環境の保全に関する施策を策定し、及び実施するための費用について、必要な財政上の措置その他の措置を講ずるように努めるものとする。
(国及び地方公共団体の協力)
第四十条  国及び地方公共団体は、環境の保全に関する施策を講ずるにつき、相協力するものとする。
(事務の区分)
第四十条の二  第十六条第二項の規定により都道府県又は市が処理することとされている事務(政令で定めるものを除く。)は、地方自治法 (昭和二十二年法律第六十七号)第二条第九項第一号 に規定する第一号 法定受託事務とする。
   第三章 環境の保全に関する審議会その他の合議制の機関等
    第一節 環境の保全に関する審議会その他の合議制の機関
(中央環境審議会)
第四十一条  環境省に、中央環境審議会を置く。
2  中央環境審議会は、次に掲げる事務をつかさどる。
一  環境基本計画に関し、第十五条第三項に規定する事項を処理すること。
二  環境大臣又は関係大臣の諮問に応じ、環境の保全に関する重要事項を調査審議すること。
三  自然公園法 (昭和三十二年法律第百六十一号)、農用地の土壌の汚染防止等に関する法律 (昭和四十五年法律第百三十九号)、自然環境保全法 (昭和四十七年法律第八十五号)、動物の愛護及び管理に関する法律 (昭和四十八年法律第百五号)、瀬戸内海環境保全特別措置法 (昭和四十八年法律第百十号)、公害健康被害の補償等に関する法律 (昭和四十八年法律第百十一号)、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律 (平成四年法律第七十五号)、ダイオキシン類対策特別措置法 (平成十一年法律第百五号)、循環型社会形成推進基本法 (平成十二年法律第百十号)、食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律 (平成十二年法律第百十六号)、使用済自動車の再資源化等に関する法律 (平成十四年法律第八十七号)、鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律(平成十四年法律第八十八号)、特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律 (平成十六年法律第七十八号)、石綿による健康被害の救済に関する法律 (平成十八年法律第四号)、生物多様性基本法 (平成二十年法律第五十八号)及び愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律 (平成二十年法律第八十三号)によりその権限に属させられた事項を処理すること。
3  中央環境審議会は、前項に規定する事項に関し、環境大臣又は関係大臣に意見を述べることができる。
4  前二項に定めるもののほか、中央環境審議会の組織、所掌事務及び委員その他の職員その他中央環境審議会に関し必要な事項については、政令で定める。
第四十二条  削除
(都道府県の環境の保全に関する審議会その他の合議制の機関)
第四十三条  都道府県は、その都道府県の区域における環境の保全に関して、基本的事項を調査審議させる等のため、環境の保全に関し学識経験のある者を含む者で構成される審議会その他の合議制の機関を置く。
2  前項の審議会その他の合議制の機関の組織及び運営に関し必要な事項は、その都道府県の条例で定める。
(市町村の環境の保全に関する審議会その他の合議制の機関)
第四十四条  市町村は、その市町村の区域における環境の保全に関して、基本的事項を調査審議させる等のため、その市町村の条例で定めるところにより、環境の保全に関し学識経験のある者を含む者で構成される審議会その他の合議制の機関を置くことができる。
    第二節 公害対策会議
(設置及び所掌事務)
第四十五条  環境省に、特別の機関として、公害対策会議(以下「会議」という。)を置く。
2  会議は、次に掲げる事務をつかさどる。
一  公害の防止に関する施策であって基本的かつ総合的なものの企画に関して審議し、及びその施策の実施を推進すること。
二  前号に掲げるもののほか、他の法令の規定によりその権限に属させられた事務
(組織等)
第四十六条  会議は、会長及び委員をもって組織する。
2  会長は、環境大臣をもって充てる。
3  委員は、内閣官房長官、関係行政機関の長及び内閣府設置法 (平成十一年法律第八十九号)第九条第一項 に規定する特命担当大臣のうちから、環境大臣の申出により、内閣総理大臣が任命する。
4  会議に、幹事を置く。
5  幹事は、関係行政機関の職員のうちから、環境大臣が任命する。
6  幹事は、会議の所掌事務について、会長及び委員を助ける。
7  前各項に定めるもののほか、会議の組織及び運営に関し必要な事項は、政令で定める。
   附 則
 この法律は、公布の日から施行する。ただし、第四十三条及び第四十四条の規定は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
   附 則 (平成一一年七月一六日法律第八七号) 抄
(施行期日)
第一条  この法律は、平成十二年四月一日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
一  第一条中地方自治法第二百五十条の次に五条、節名並びに二款及び款名を加える改正規定(同法第二百五十条の九第一項に係る部分(両議院の同意を得ることに係る部分に限る。)に限る。)、第四十条中自然公園法附則第九項及び第十項の改正規定(同法附則第十項に係る部分に限る。)、第二百四十四条の規定(農業改良助長法第十四条の三の改正規定に係る部分を除く。)並びに第四百七十二条の規定(市町村の合併の特例に関する法律第六条、第八条及び第十七条の改正規定に係る部分を除く。)並びに附則第七条、第十条、第十二条、第五十九条ただし書、第六十条第四項及び第五項、第七十三条、第七十七条、第百五十七条第四項から第六項まで、第百六十条、第百六十三条、第百六十四条並びに第二百二条の規定 公布の日
(環境基本法の一部改正に伴う経過措置)
第二十七条  施行日前に第五十三条の規定による改正前の環境基本法第十七条第三項の規定により内閣総理大臣の承認を受けた公害防止計画は、第五十三条の規定による改正後の同法第十七条第三項の規定により内閣総理大臣の同意を得た公害防止計画とみなす。
(国等の事務)
第百五十九条  この法律による改正前のそれぞれの法律に規定するもののほか、この法律の施行前において、地方公共団体の機関が法律又はこれに基づく政令により管理し又は執行する国、他の地方公共団体その他公共団体の事務(附則第百六十一条において「国等の事務」という。)は、この法律の施行後は、地方公共団体が法律又はこれに基づく政令により当該地方公共団体の事務として処理するものとする。
(処分、申請等に関する経過措置)
第百六十条  この法律(附則第一条各号に掲げる規定については、当該各規定。以下この条及び附則第百六十三条において同じ。)の施行前に改正前のそれぞれの法律の規定によりされた許可等の処分その他の行為(以下この条において「処分等の行為」という。)又はこの法律の施行の際現に改正前のそれぞれの法律の規定によりされている許可等の申請その他の行為(以下この条において「申請等の行為」という。)で、この法律の施行の日においてこれらの行為に係る行政事務を行うべき者が異なることとなるものは、附則第二条から前条までの規定又は改正後のそれぞれの法律(これに基づく命令を含む。)の経過措置に関する規定に定めるものを除き、この法律の施行の日以後における改正後のそれぞれの法律の適用については、改正後のそれぞれの法律の相当規定によりされた処分等の行為又は申請等の行為とみなす。
2  この法律の施行前に改正前のそれぞれの法律の規定により国又は地方公共団体の機関に対し報告、届出、提出その他の手続をしなければならない事項で、この法律の施行の日前にその手続がされていないものについては、この法律及びこれに基づく政令に別段の定めがあるもののほか、これを、改正後のそれぞれの法律の相当規定により国又は地方公共団体の相当の機関に対して報告、届出、提出その他の手続をしなければならない事項についてその手続がされていないものとみなして、この法律による改正後のそれぞれの法律の規定を適用する。
(不服申立てに関する経過措置)
第百六十一条  施行日前にされた国等の事務に係る処分であって、当該処分をした行政庁(以下この条において「処分庁」という。)に施行日前に行政不服審査法に規定する上級行政庁(以下この条において「上級行政庁」という。)があったものについての同法による不服申立てについては、施行日以後においても、当該処分庁に引き続き上級行政庁があるものとみなして、行政不服審査法の規定を適用する。この場合において、当該処分庁の上級行政庁とみなされる行政庁は、施行日前に当該処分庁の上級行政庁であった行政庁とする。
2  前項の場合において、上級行政庁とみなされる行政庁が地方公共団体の機関であるときは、当該機関が行政不服審査法の規定により処理することとされる事務は、新地方自治法第二条第九項第一号に規定する第一号法定受託事務とする。
(手数料に関する経過措置)
第百六十二条  施行日前においてこの法律による改正前のそれぞれの法律(これに基づく命令を含む。)の規定により納付すべきであった手数料については、この法律及びこれに基づく政令に別段の定めがあるもののほか、なお従前の例による。
(罰則に関する経過措置)
第百六十三条  この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(その他の経過措置の政令への委任)
第百六十四条  この附則に規定するもののほか、この法律の施行に伴い必要な経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)は、政令で定める。
2  附則第十八条、第五十一条及び第百八十四条の規定の適用に関して必要な事項は、政令で定める。
(検討)
第二百五十条  新地方自治法第二条第九項第一号に規定する第一号法定受託事務については、できる限り新たに設けることのないようにするとともに、新地方自治法別表第一に掲げるもの及び新地方自治法に基づく政令に示すものについては、地方分権を推進する観点から検討を加え、適宜、適切な見直しを行うものとする。
第二百五十一条  政府は、地方公共団体が事務及び事業を自主的かつ自立的に執行できるよう、国と地方公共団体との役割分担に応じた地方税財源の充実確保の方途について、経済情勢の推移等を勘案しつつ検討し、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
第二百五十二条  政府は、医療保険制度、年金制度等の改革に伴い、社会保険の事務処理の体制、これに従事する職員の在り方等について、被保険者等の利便性の確保、事務処理の効率化等の視点に立って、検討し、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。
   附 則 (平成一一年七月一六日法律第一〇二号) 抄
(施行期日)
第一条  この法律は、内閣法の一部を改正する法律(平成十一年法律第八十八号)の施行の日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
二  附則第十条第一項及び第五項、第十四条第三項、第二十三条、第二十八条並びに第三十条の規定 公布の日
(職員の身分引継ぎ)
第三条  この法律の施行の際現に従前の総理府、法務省、外務省、大蔵省、文部省、厚生省、農林水産省、通商産業省、運輸省、郵政省、労働省、建設省又は自治省(以下この条において「従前の府省」という。)の職員(国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第八条の審議会等の会長又は委員長及び委員、中央防災会議の委員、日本工業標準調査会の会長及び委員並びに これらに類する者として政令で定めるものを除く。)である者は、別に辞令を発せられない限り、同一の勤務条件をもって、この法律の施行後の内閣府、総務省、法務省、外務省、財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省若しくは環境省(以下この条において「新府省」という。)又はこれに置かれる部局若しくは機関のうち、この法律の施行の際現に当該職員が属する従前の府省又はこれに置かれる部局若しくは機関の相当の新府省又はこれに置かれる部局若しくは機関として政令で定めるものの相当の職員となるものとする。
(別に定める経過措置)
第三十条  第二条から前条までに規定するもののほか、この法律の施行に伴い必要となる経過措置は、別に法律で定める。 (以下略)


<地域主権は憲法改正を要しないこと>
PS(2016.7.5追加):「地域主権のために憲法改正が必要」と主張して憲法改正にこぎつけようとしている勢力もあるが、*4-1のように、日本国憲法は、第92条で「地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて法律で定める」としており、これにより地方自治法が定められている。そのため、地域主権にしたければ地方自治法を改正すればよいのだが、*4-2のように、地方自治法はかなり地域主権であり、問題があるとすればその大部分は運用にあるだろう。 

*4-1:http://www.cc.kyoto-su.ac.jp/~kazyoshi/constitution/jobun/chap08.html (日本国憲法)  第8章 地方自治
第92条(地方自治の基本原則)
地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。
第93条(地方公共団体の機関、その直接選挙)
1.地方公共団体には、法律の定めるところにより、その議事機関として議会を設置する。
2.地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が、直接これを選挙する。
第94条(地方公共団体の権能)
地方公共団体は、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能を有し、法律の範囲内で条例を制定することができる。
第95条(特別法の住民投票)
一の地方公共団体のみに適用される特別法は、法律の定めるところにより、その地方公共団体の住民の投票においてその過半数の同意を得なければ、国会は、これを制定することができない。

*4-2:http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S22/S22HO067.html (地方自治法)
第一編 総則
第一条  この法律は、地方自治の本旨に基いて、地方公共団体の区分並びに地方公共団体の組織及び運営に関する事項の大綱を定め、併せて国と地方公共団体との間の基本的関係を確立することにより、地方公共団体における民主的にして能率的な行政の確保を図るとともに、地方公共団体の健全な発達を保障することを目的とする。
第一条の二  地方公共団体は、住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うものとする。
2  国は、前項の規定の趣旨を達成するため、国においては国際社会における国家としての存立にかかわる事務、全国的に統一して定めることが望ましい国民の諸活動若しくは地方自治に関する基本的な準則に関する事務又は全国的な規模で若しくは全国的な視点に立つて行わなければならない施策及び事業の実施その他の国が本来果たすべき役割を重点的に担い、住民に身近な行政はできる限り地方公共団体にゆだねることを基本として、地方公共団体との間で適切に役割を分担するとともに、地方公共団体に関する制度の策定及び施策の実施に当たつて、地方公共団体の自主性及び自立性が十分に発揮されるようにしなければならない。(以下略)


<議員定数の都道府県割も憲法改正を要しないこと>
PS(2016年7月9日追加):*5-1のように、「自民党が各都道府県から改選ごとに少なくとも一人の参院議員を選出できるよう憲法改正することを盛り込む」とのことだが、*5-2のように、憲法は第43条で「両議院は全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する」「両議院の議員定数は法律でこれを定める」、及び、第44条で「両議院の議員及びその選挙人の資格は法律でこれを定める」「人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によつて差別してはならない」と規定しているだけで、地域による一票の重み格差(差別?)については言及していないため、議員定数の都道府県割を目的とする憲法改正は不要であり、公職選挙法を変更すれば足りる。そのため、何でも憲法改正に結び付けようとしているのは見苦しく、このような主張をする人は日本国憲法を読んだこともないのかと思われる。

*5-1:http://www.sankei.com/politics/news/160404/plt1604040023-n1.html (産経新聞 2016.4.4) 「参院議員は都道府県から必ず1人選出」 自民党が参院選公約に盛り込みへ 憲法改正案に規定を追加
 自民党が夏の参院選公約に、各都道府県から改選ごとに少なくとも一人の参院議員を選出できるよう憲法を改正することを盛り込む検討を始めたことが3日、分かった。「一票の格差」是正に向け、今回の参院選から一部選挙区が合区されることに対し、党内に「地方の声がかき消される」との懸念が根強いことから、安倍晋三政権が掲げる「地方創生」と合わせて参院選で訴える方針だ。夏の参院選では、改選1人区だった鳥取、島根、徳島、高知4県が、それぞれ「鳥取・島根」「徳島・高知」の2選挙区に合区される。自民党は2選挙区でともに現職の青木一彦氏(島根)と中西祐介氏(徳島)を擁立するが、合区のままの選挙が続けば、1人も参院議員を選出できない県が出る可能性がある。

*5-2:http://www.saga-s.co.jp/senkyo/sanin/30402/320757 (佐賀新聞 2016年6月9日) 日本国憲法全文(抜粋)
第四章 国会
第四十一条 国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。
第四十二条 国会は、衆議院及び参議院の両議院でこれを構成する。
第四十三条 両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する。
         両議院の議員の定数は、法律でこれを定める。
第四十四条 両議院の議員及びその選挙人の資格は、法律でこれを定める。但し、人種、信条、性別、
         社会的身分、門地、教育、財産又は収入によつて差別してはならない。
第四十五条 衆議院議員の任期は、四年とする。但し、衆議院解散の場合には、その期間満了前に
         終了する。
第四十六条 参議院議員の任期は、六年とし、三年ごとに議員の半数を改選する。


<裁判所の違憲立法審査権行使にも憲法改正は不要であること>
PS(2016年7月10日追加):*6-1のように、おおさか維新の会は「憲法の恣意的解釈を許さないため憲法裁判所の設置が必要」としているが、*6-2のように、現行憲法は第81条で「最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である」と規定している。そして、*6-3のように、「個別の法律などについて抽象的に憲法違反を訴えることはできない」と制限していることこそ憲法違反であり、裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを判定すべきなのだ。なお、政府の意向を受けるため最高裁判所でさえできないこと(実は、これは三権分立違反だが)は、憲法裁判所などという小さな組織を作れば、さらに政府の意向に沿った決定しかできなくなるだろう。

*6-1:http://digital.asahi.com/articles/DA3S12418837.html
(朝日新聞 2016年6月21日) 参院選公約(要旨) おおさか維新の会 (抜粋)
◆憲法改正し教育無償化
■古い政治を壊す。新しい政治を創る。
1 憲法改正で教育無償化、道州制含む統治機構改革、憲法裁判所設置
 教育無償化を憲法で規定、国に予算措置と立法を義務づけ▽自治体を広域自治体の「道州」と「基礎自治体」の二層制にする▽恣意的憲法解釈を許さない憲法裁判所を設置

*6-2:http://www.saga-s.co.jp/senkyo/sanin/30402/320757
(佐賀新聞 2016年6月9日) 日本国憲法全文(抜粋)
第八十一条 最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である。

*6-3:https://kotobank.jp/word/%E9%81%95%E6%86%B2%E7%AB%8B%E6%B3%95%E5%AF%A9%E6%9F%BB%E6%A8%A9-431676 (朝日新聞 2013..5.3 朝日新聞掲載「キーワード」の解説より) 違憲立法審査権
 法律や行政行為が憲法に違反していないか審査する権限。日本では、憲法81条により、最高裁に最終的な権限が与えられていることから、最高裁は「憲法の番人」とも呼ばれる。この規定により、地裁や高裁も憲法判断できる。日本の場合、個別の法律などについて抽象的に憲法違反を訴えることはできないとされており、具体的な争いの中で合憲・違憲が判断される仕組みになっている。

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2016.6.26 日本国憲法や教育基本法を護ることが重要で、教育の無償化に憲法改正は不要であること ← 日本国憲法、教育基本法と教育について (2016年6月27、28日、7月2、3日に追加あり)
     
2016.6.20 働き手の比率低下 2016.5.31   女性の労働力率      2015.5.31  
 東京新聞               日経新聞                      佐賀新聞

 
   上  高校進学率      65歳以上の   産業別・国籍別外国人労働者数 日本の難民認定数
(97%超の人が高校に進学) 労働力率世界比較                    2015.9.4朝日新聞

 「憲法は権力のみを縛るもので、国民を縛るものではない」と主張する勢力があるが、これは日本国憲法になるべく影響されずに国政を進めたいと考えた日本国憲法導入当初の人たちが法学部教育を通じて行った解釈の拡散ではないかと、私は考える。

 何故なら、具体的事例として、*1-1の憲法第26条2項に定められているとおり、「すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ」とされ、憲法は義務を設けて国民をも明確に縛っているからだ。また、日本国憲法は、「義務教育は、これを無償とする」と定めているが、「義務教育以外は有償でなければならない」とは定めていないため、教育を無償化するのに憲法改正は不要である。それどころか、*1-2の教育基本法には「教育の機会均等」が定められており、消費税増税とは関係なく、誰もが教育を受ける機会を保証されなければならないことになっている。

 さらに、「憲法改正しない」というのも明確な代替案であるため、「憲法改正草案を出していない党は代替案を示していない」という批判は当たらない。つまり、各政党、行政、メディアなどが主張している議論には事実に反するものが多いため、主権者たる国民はしっかり勉強して騙されないようにチェックしなければならないのである。

 なお、*1-2の日本国憲法の理念から導かれた教育基本法はPerfect(完全)であり、憲法改正の理由に教育の無償化を掲げるのは、「消費税を社会保障財源にする」と主張するのと同様、憲法改正を進めるためのごまかしにすぎない。私は、教育については、まず日本国憲法と教育基本法の理念をしっかり実現することこそ、最も重要だと考える。

<*立憲主義(https://kotobank.jp/word/%E7%AB%8B%E6%86%B2%E4%B8%BB%E7%BE%A9-148946) 法の支配 rule of the lawに類似した意味を持ち、権力保持者の恣意によってではなく、法に従って権力が行使されるべきであるという政治原則をいう。狭義においては、特に政治権力を複数の権力保持者に分有せしめ、その相互的抑制作用を通じて権力の濫用を防止し、もって権力名宛人の利益を守り、政治体系の保全をはかろうとする政治原則>

(1)義務教育と無償化の範囲
 *1-3に書かれているとおり、保育所や学童保育の待機児童は子育て問題の一部にすぎず、大学や塾などの教育にかかる費用は増加し、インフレと比較して賃金上昇率は低く、実質賃金が下がって子育ての経済的負担は大きく、第二子、第三子となるにつれて高くなる児童手当は子の生活費に差をつけており金額も少ない。また、非正規労働者には、奨学金の返済も負担である。

 しかし、産業の付加価値を上げられず、その結果として一人当たりの分配が小さくなるのは、労働者の教育の不十分さ(単なる学歴を言っているのではない)とイノベーション不足に由来するところが大きい。その上、教育費が高くなれば、親の貧富の差が子の教育格差となり、十分な教育費を出せない親の子はハンディを背負って、次世代もまた貧しい生活を強いられるという悪循環になる。

 そのため、私は以下のことを提案する。
  1)学校外教育費の負担を減らすため、公教育を充実させること
  2)義務教育を3歳~18歳までとし、幼児教育と高校教育を義務教育として無償化すること
    学校の幅広い選択権を保護者に与え、教育内容は前倒しして、飛び級も可能にすること
  3)保育園は0~2歳とし、この間も生活習慣や外国語などの家庭ではできない教育を行うこと
  4)貸与型ではなく給付型の奨学金を増やし、条件を満たす人は大学や大学院も無償にすること

(2)財源 ← 教育は投資であり、社会保障と同様、財源が消費税でなければならない理由はない
 民進党の公約では、*1-4のように、①消費税増税を2年間再延期するかわりに行政改革を徹底して財源を捻出し社会保障を充実させる ②返済不要の給付型奨学金創設など「人への投資」で経済成長を図る としている。私は、行政改革を徹底すれば消費税を増税しなくても社会保障費や教育費は出る上、教育を充実させて教育された人材を有効に使えば産業の付加価値を上げることができるため、消費税増税は不要であると考える。

 何故なら、よく勉強した人材は、*1-5の「朝三暮四」のような算術でしかものを考えられないのではなく、「消費税を増税しないから社会保障財源がない」「痛みがあるからよい改革だ」「国会議員が身を切ったから増税を飲む」などの馬鹿な詭弁を信じない、論理性や創造力を持った人材になれるからである。

(3)小・中・高校について
 馳文科大臣は、*2-1のように、かつての「ゆとり教育」には戻らないとする見解を公表したが、これは、公教育を充実して貧しい家庭の子にも十分な教育を受けさせるために重要なことだ。知識は思考するためのツールとして不可欠であるため、仮に小・中・高の教育関係者が、「『ゆとり教育』か『詰め込み教育』かといった選択しかできないとすれば、それこそが重要な問題である。

 なお、日本に限らず、親を失って学校に行きたくても行けない子もいる。そのため、*2-2のように社会奉仕活動を重視するライオンズクラブの会員のような人たちが、外国からでも親のない子を引き取ってもう一人(もしくは兄弟・姉妹)を育てる取り組みを進めれば、①不幸な子が減り ②少子化による労働力減少の影響が緩和でき ③育った子どもたちが生まれた国と日本との懸け橋になる。そして、その里親の負担を軽くするためにも、やはり義務教育を3歳~18歳までとして無償化し、給付型の奨学金を増やして大学や大学院も無償で行けるようにすることが必要なのである。

(4)大学について
 *3のように、東京大学など東京都内の有名5大学で、今春の入試合格者の75~55%を首都圏の高校出身者が占め、その比率は30年間で約1.4倍に増えており、理由は、①公教育のゆとり化の結果、塾や受験指導に力を入れる男女別学の私立中高一貫校が多い都市部の子が学力習得に有利になったこと ②地方からの進学者の経済的負担増(家賃を含む) などだそうだ。

 これは、中央省庁(農水省、国土交通省、総務省、経産省、厚労省、財務省、内閣府を含む)、大企業、大手メディアなどにも首都圏の男女別学の私立中高一貫校出身者の採用が増えるという結果をもたらし、政策作成やメディアの論調に歪みをきたしている。そのため、地方は、それ以上、ゆとりを追求している場合ではないことを忘れないで欲しい。

(5)職場において
 *4-1の三菱自動車の燃費偽装事件は、燃費のよさで税金を軽減するという馬鹿な制度に根本的原因があると思うが、(空気を読んでか)それを誰も正面から指摘することなく長期間机上で不適切な測定をし続けたのは、エンジニアのあるべき姿ではない。しかし、何かそうさせてしまうものが、現在の教育や企業の指揮命令系統の中にあると思われ、その本質が問題であるため、社長が引責辞任すれば問題解決するというものではないだろう。

 なお、*4-2のように、女性研究者の国際的人材ネットワークの創設が行われるそうだが、研究開発においても女性の視点は重要であるため、(30~60年遅れではあるが)「男女差に対する偏見の解消」や「女性研究者を活躍させる職場環境の整備」は大切だ。島尻担当相は「仕事と家事の両立で困っている日本のリケジョ(理系女性)に海外のロールモデルを示せば大いに刺激になる」などとしているが、実際には、日本女性の意識が低いのではなく女性を育成する環境がなかったことがポイントで、家事・子育てもハードワークで第一線の仕事と両立するのは困難であるため、海外と同様に、女性を差別しない職場環境を整え、お手伝いさんを雇って家事・子育ての負担を軽減しやすくするのが効果的である。

*1-1:http://www.mext.go.jp/b_menu/kihon/about/a002.htm
(日本国憲法より抜粋)
第23条  学問の自由は、これを保障する。
第26条  すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を
      有する。
2  すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。
   義務教育は、これを無償とする。

*1-2:http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H18/H18HO120.html
教育基本法より抜粋 (平成十八年十二月二十二日法律第百二十号)
●前文
 教育基本法(昭和二十二年法律第二十五号)の全部を改正する。我々日本国民は、たゆまぬ努力によって築いてきた民主的で文化的な国家を更に発展させるとともに、世界の平和と人類の福祉の向上に貢献することを願うものである。我々は、この理想を実現するため、個人の尊厳を重んじ、真理と正義を希求し、公共の精神を尊び、豊かな人間性と創造性を備えた人間の育成を期するとともに、伝統を継承し、新しい文化の創造を目指す教育を推進する。ここに、我々は、日本国憲法の精神にのっとり、我が国の未来を切り拓く教育の基本を確立し、その振興を図るため、この法律を制定する。
●第一章 教育の目的及び理念
(教育の目的)
第一条  教育は、人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない。
(教育の目標)
第二条  教育は、その目的を実現するため、学問の自由を尊重しつつ、次に掲げる目標を達成するよう行われるものとする。
一  幅広い知識と教養を身に付け、真理を求める態度を養い、豊かな情操と道徳心を培うとともに、健やかな身体を養うこと。
二  個人の価値を尊重して、その能力を伸ばし、創造性を培い、自主及び自律の精神を養うとともに、職業及び生活との関連を重視し、勤労を重んずる態度を養うこと。
三  正義と責任、男女の平等、自他の敬愛と協力を重んずるとともに、公共の精神に基づき、主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度を養うこと。
四  生命を尊び、自然を大切にし、環境の保全に寄与する態度を養うこと。
五  伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと。
(生涯学習の理念)
第三条  国民一人一人が、自己の人格を磨き、豊かな人生を送ることができるよう、その生涯にわたって、あらゆる機会に、あらゆる場所において学習することができ、その成果を適切に生かすことのできる社会の実現が図られなければならない。
(教育の機会均等)
第四条  すべて国民は、ひとしく、その能力に応じた教育を受ける機会を与えられなければならず、人種、信条、性別、社会的身分、経済的地位又は門地によって、教育上差別されない。
2  国及び地方公共団体は、障害のある者が、その障害の状態に応じ、十分な教育を受けられるよう、教育上必要な支援を講じなければならない。
3  国及び地方公共団体は、能力があるにもかかわらず、経済的理由によって修学が困難な者に対して、奨学の措置を講じなければならない。
●第二章 教育の実施に関する基本
(義務教育)
第五条  国民は、その保護する子に、別に法律で定めるところにより、普通教育を受けさせる義務を負う。
2  義務教育として行われる普通教育は、各個人の有する能力を伸ばしつつ社会において自立的に生きる基礎を培い、また、国家及び社会の形成者として必要とされる基本的な資質を養うことを目的として行われるものとする。
3  国及び地方公共団体は、義務教育の機会を保障し、その水準を確保するため、適切な役割分担及び相互の協力の下、その実施に責任を負う。
4  国又は地方公共団体の設置する学校における義務教育については、授業料を徴収しない。
(学校教育)
第六条  法律に定める学校は、公の性質を有するものであって、国、地方公共団体及び法律に定める法人のみが、これを設置することができる。
2  前項の学校においては、教育の目標が達成されるよう、教育を受ける者の心身の発達に応じて、体系的な教育が組織的に行われなければならない。この場合において、教育を受ける者が、学校生活を営む上で必要な規律を重んずるとともに、自ら進んで学習に取り組む意欲を高めることを重視して行われなければならない。
(大学)
第七条  大学は、学術の中心として、高い教養と専門的能力を培うとともに、深く真理を探究して新たな知見を創造し、これらの成果を広く社会に提供することにより、社会の発展に寄与するものとする。
2  大学については、自主性、自律性その他の大学における教育及び研究の特性が尊重されなければならない。
(私立学校)
第八条  私立学校の有する公の性質及び学校教育において果たす重要な役割にかんがみ、国及び地方公共団体は、その自主性を尊重しつつ、助成その他の適当な方法によって私立学校教育の振興に努めなければならない。
(教員)
第九条  法律に定める学校の教員は、自己の崇高な使命を深く自覚し、絶えず研究と修養に励み、その職責の遂行に努めなければならない。
2  前項の教員については、その使命と職責の重要性にかんがみ、その身分は尊重され、待遇の適正が期せられるとともに、養成と研修の充実が図られなければならない。
(家庭教育)
第十条  父母その他の保護者は、子の教育について第一義的責任を有するものであって、生活のために必要な習慣を身に付けさせるとともに、自立心を育成し、心身の調和のとれた発達を図るよう努めるものとする。
2  国及び地方公共団体は、家庭教育の自主性を尊重しつつ、保護者に対する学習の機会及び情報の提供その他の家庭教育を支援するために必要な施策を講ずるよう努めなければならない。
(幼児期の教育)
第十一条  幼児期の教育は、生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものであることにかんがみ、国及び地方公共団体は、幼児の健やかな成長に資する良好な環境の整備その他適当な方法によって、その振興に努めなければならない。
(社会教育)
第十二条  個人の要望や社会の要請にこたえ、社会において行われる教育は、国及び地方公共団体によって奨励されなければならない。
2  国及び地方公共団体は、図書館、博物館、公民館その他の社会教育施設の設置、学校の施設の利用、学習の機会及び情報の提供その他の適当な方法によって社会教育の振興に努めなければならない。
(学校、家庭及び地域住民等の相互の連携協力)
第十三条  学校、家庭及び地域住民その他の関係者は、教育におけるそれぞれの役割と責任を自覚するとともに、相互の連携及び協力に努めるものとする。
(政治教育)
第十四条  良識ある公民として必要な政治的教養は、教育上尊重されなければならない。
2  法律に定める学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならない。
(宗教教育)
第十五条  宗教に関する寛容の態度、宗教に関する一般的な教養及び宗教の社会生活における地位は、教育上尊重されなければならない。
2  国及び地方公共団体が設置する学校は、特定の宗教のための宗教教育その他宗教的活動をしてはならない。
●第三章 教育行政
(教育行政)
第十六条  教育は、不当な支配に服することなく、この法律及び他の法律の定めるところにより行われるべきものであり、教育行政は、国と地方公共団体との適切な役割分担及び相互の協力の下、公正かつ適正に行われなければならない。
2  国は、全国的な教育の機会均等と教育水準の維持向上を図るため、教育に関する施策を総合的に策定し、実施しなければならない。
3  地方公共団体は、その地域における教育の振興を図るため、その実情に応じた教育に関する施策を策定し、実施しなければならない。
4  国及び地方公共団体は、教育が円滑かつ継続的に実施されるよう、必要な財政上の措置を講じなければならない。
(教育振興基本計画)
第十七条  政府は、教育の振興に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、教育の振興に関する施策についての基本的な方針及び講ずべき施策その他必要な事項について、基本的な計画を定め、これを国会に報告するとともに、公表しなければならない。
2  地方公共団体は、前項の計画を参酌し、その地域の実情に応じ、当該地方公共団体における教育の振興のための施策に関する基本的な計画を定めるよう努めなければならない。
●第四章 法令の制定
第十八条  この法律に規定する諸条項を実施するため、必要な法令が制定されなければならない。
   附 則 抄
(施行期日)
1  この法律は、公布の日から施行する。

*1-3:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/322021 (佐賀新聞 2016年6月12日) 収入増「実感ない」85% 地方ほど高い割合、子育て世代、大きな経済負担 全国面接世論調査
 アベノミクスの一環として経済界に賃上げを求めてきた安倍政権だが、2012年12月の第2次政権発足以降に給与などの収入が増えたという実感がないと答えた人は「あまりない」も含め85%に上った。地方ほどこの割合は高まり、景気が回復したとの感覚が得られていない現状が浮き彫りとなった。収入増の実感がないと答えた割合を衆院比例代表のブロック別にみると、四国が94%で最も高かった。中国は92%、東北は91%と高かった。収入が増えたとの実感があると答えた人は「ある程度ある」も含め全体で13%だった。ブロック別では東京の19%が最高で、南関東、近畿がいずれも16%。景気回復を感じている人は大都市圏に偏っていた。政権発足以降に経済格差が広がったと思うかどうかを尋ねると「変わらない」が59%で最も多くを占めた。「広がった」は36%で、「縮まった」との回答は2%しかなかった。経済格差の認識について年代別に見ると、年齢層が高くなるほど格差が広がっていると感じていた。「広がった」と答えた人は、中年層(40~50代)は34%、高年層(60代以上)は44%だった。一方、若年層(20~30代)では「変わらない」が72%にまで高まり、「広がった」という人は25%だった。
■子育て世代大きな経済負担
 池本美香・日本総研主任研究員の話 子育て支援などの少子化対策を社会保障の重要項目に挙げた人が増えたのは、待機児童や保育所建設中止の問題が昨今大きく報道されたことが背景にあるのだろう。しかし、保育所不足は少子化や子育て問題の一部にすぎない。大学や塾など教育にかかる費用は増加の一途だが、世帯収入は伸びておらず、子育て世代は経済的負担に苦しんでいる。具体的な支援策に「施設整備」と並んで「費用の負担軽減」を求める人が若年層に多いのはその現れだ。「奨学金を返すのに精いっぱいで結婚や子育てなんて考えられない」という声もよく聞く。貸与型ではなく給付型の奨学金を増やしたり、学校以外の教育費負担を減らしたりするなどの思い切った支援や若い世代が安定した収入が得られるような雇用対策が必要だ。

*1-4:http://www.saga-s.co.jp/news/national/10201/322370
(佐賀新聞 2016年6月14日) 民進、行革徹底で社会保障充実、成長目指し「人への投資」
 民進党が参院選で掲げる公約の全容が13日、判明した。消費税増税の2年再延期を表明。行政改革を徹底して財源を捻出し、社会保障を充実させると強調した。憲法9条改正に反対し、安全保障関連法の撤回も求めた。党独自の経済政策として返済不要の給付型奨学金創設など「人への投資」で経済成長を図る一方、大企業や富裕層に税負担を求め、格差を是正する姿勢を打ち出した。アベノミクスに対抗し、経済政策を前面に押し出すことで、安倍晋三首相の「経済対案がない」という批判をかわす狙いがあるとみられる。

*1-5:http://digital.asahi.com/articles/DA3S12416400.html
(朝日新聞社説 2016年6月19日)参院選 社会保障の将来 給付と負担の全体像を
 たくさんの猿を飼っている人が、家計が苦しくなって餌のトチの実を減らすことにした。朝は三つ、夕方に四つ与えると言うと猿たちが怒ったので、朝に四つ、夕方は三つにすると言ったら喜んだ。「朝三暮四」の由来になった中国の寓話だ。目先を変えて言いくるめるたとえである。参院選での社会保障をめぐる議論もさながらこの話のようだ。各党は選挙公約で「充実策」を競い合う。その先にある「痛み」を覆い隠すように。だが、そんなその場しのぎは有権者に見透かされるだろう。むしろそうした姿勢が、制度への不信や将来への不安を高め、消費を冷やし、経済低迷の一因となっているのではないか。「子育て世帯を支援していく決意は揺らぎません」。消費増税の再延期を表明した記者会見での安倍首相の言葉だ。「アベノミクス」の成果と誇る税収の増加分を使い、保育や介護の「受け皿」を増やし、保育士と介護職員の賃金アップに優先して取り組むという。
■財源危うい「充実」
 だが、保育所を増やせば運営費として毎年約1千億円がかかる。保育士や介護職員の待遇改善には年に約2千億円が必要とされる。景気次第の税収増は、安定した財源とは言えない。そもそも子育て支援では、「税と社会保障の一体改革」で決めた施策が置き去りになっている。消費税収などを財源に保育士の配置を厚くするといった充実策を進めるはずなのに、いまだに財源のあてがない。子育てだけではない。低所得者の介護保険料の負担を軽くする、無年金の人を減らすといった対策も、消費増税の再延期で宙に浮いている。国民は今、さまざまな不安を感じている。子育て、医療や介護、雇用、貧困・格差の拡大……。これらを解消していくために社会保障を立て直す。そのために必要な財源を確保する。一体改革で示した対策は国民への「約束」であり、いずれも喫緊の課題ではなかったのか。約束をなし崩しにしているのは、首相が率いる自民党だけではない。一体改革をともにまとめた公明党や民進党も消費増税の延期に賛成し、安定した財源のめどがないままにもっぱら充実策を言っている。置き去りになっているのは、充実・強化の約束だけではない。少子高齢社会のもとで制度をどう維持していくかという議論が一向に聞こえて来ない。
■高まる抑制の圧力
 日本の総人口が減っていく一方で、2025年には「団塊の世代」が75歳以上になり、社会保障費は増えていく。医療費は今より約1・4倍、介護費は約1・9倍に膨らむと見込まれている。国の財政は国債発行という将来世代へのつけ回しに頼っており、国の借金は1千兆円を超えてなお増え続ける。社会保障費は政府予算の約3割を占め、財政難と表裏の関係にある。一体改革では、消費税の増税分をすべて社会保障に充てるとされたが、その大半は借金が増えるのを抑えるのに使われ、新たな「充実策」には約1%分しか回らない。社会保障を支える財政の状況はそれほど厳しい。さらに、消費税率を10%にしてもそれだけでは借金の増加は止まらない。安倍政権は、社会保障費の毎年度の増加を高齢化に伴う「自然増」程度に抑える目標を掲げている。そのための方策として、高齢者の医療費の負担増、介護保険の利用者負担の引き上げ、要介護度の低い人へのサービスの見直しなどが検討課題に挙がっている。しかし本格的な議論は参院選後に先送りされた。
■政治の役割は何か
 選挙では充実ばかり唱え、終わった途端に負担増や給付減を言い出すのか。そんなやり方は、政治や社会保障への国民の不信を強めるだけだろう。制度のほころびを繕い新たなニーズに対応する。全体の費用はできるだけ抑えていく。これをどう両立させるのか。経済的に余裕のある人には、高齢者であっても負担を求める流れは加速するだろう。だが、それにも限界はある。これ以上の給付の抑制・削減が難しければ、国民全体でさらなる負担増も考えねばならない。既存の制度をどう見直し、限りある財源をどこに振り向けるのか。必要な財源をどうやって確保していくか。選択肢を示し、合意を作っていくことは、まさに政治の責任だ。税・社会保障一体改革は、与野党の枠を超えて「給付」と「負担」の全体像を示し、国民の理解を得ようとする「覚悟」だったはずだ。だが、参院選に臨む3党の姿勢は一体改革の土台を自ら掘り崩すかのような惨状である。このままずるずると「一体改革前」へと後戻りしていくのか、それとも踏ん張るのか。3党の責任はとりわけ重い。

<小・中・高校>
*2-1:http://mainichi.jp/articles/20160510/dde/041/100/065000c
(毎日新聞 2016年5月10日) 馳文科相、「脱ゆとり」を宣言 次期指導要領 「知識軽視」誤解解く
 馳浩文部科学相は10日、今年度中に予定されている次期学習指導要領改定に向け、授業内容を減らしたかつての「ゆとり教育」には戻らないとする見解を公表した。次期指導要領では、児童・生徒が討論や体験などを通じて課題を探究する学習形態「アクティブ・ラーニング」の全面的な導入を目指しているが、教育関係者の一部から「ゆとり教育の理念を復活させる」と誤解されていることを受けた対応という。馳氏は10日の閣議後の記者会見で「『ゆとり教育』が『緩み教育』というふうに間違った解釈で現場に浸透してしまった。どこかで『ゆとり教育』との決別宣言を明確にしておきたいと思った」と話した。馳氏は「教育の強靱(きょうじん)化に向けて」と題する見解で「学習内容の削減を行うことはしない」と強調。「『ゆとり教育』か『詰め込み教育』かといった、二項対立的な議論には戻らない。知識と思考力の双方をバランスよく、確実に育む」とした。そのうえでアクティブ・ラーニングについて「知識が生きて働くものとして習得され、必要な力が身につくことを目指すもの。知識の量を削減せず、質の高い理解を図るための学習過程の質的改善を行う」と説明している。指導要領の改定はほぼ10年ごとに実施される。前回の2008年は、詰め込み教育の反省で1970年代から軽減されてきた授業内容を約40年ぶりに増やし、「脱ゆとり」と呼ばれた。今年度改定される指導要領では、思考力や表現力の育成を重視する方針だが、これが一部で「知識の軽視」との誤解を招いており、改めて文科省としての考え方を示したという。

*2-2:http://qbiz.jp/article/89285/1/
(西日本新聞 2016年6月22日) ライオンズクラブ活動紹介パネル展 福岡市・天神
 福岡市で24日に開幕する「第99回ライオンズクラブ国際大会」にちなんで、クラブの活動を紹介するパネル展が21日、福岡市・天神のエルガーラ・パサージュ広場で始まった=写真。県内116団体のクラブの歴史のほか、献血や青少年育成など社会奉仕活動を約120枚のパネルで説明。岩田屋本店本館7階では22日から、来年創立100周年を迎えるライオンズクラブ国際協会の取り組みを紹介するパネル展も開催される。いずれも国際大会が閉幕する28日まで。国際大会は福岡ヤフオクドーム(中央区地行浜)をメイン会場に、国内外から約3万8千人が訪れる。パネル展の問い合わせは大会ホスト委員会事務局=092(407)8199=へ。

<大学>
*3:http://digital.asahi.com/articles/DA3S12337211.html
(朝日新聞 2016年5月1日) 東京5大学合格、大半が首都圏高 東大・早慶など、30年で1.4倍
 東京大など東京都内の有名5大学で、今春の入試合格者の75~55%を首都圏の高校出身者が占め、30年間で約1・4倍に増えていることがわかった。下宿生の経済負担増などが背景にあるとみられる。地方出身者の東京離れを食い止めようと、大学側は奨学金新設などの対策を始めている。進学情報誌を発行する大学通信と毎日新聞出版は毎年、主要大学の出身高校別合格者を調査。1986年と2016年のデータ(16年分は朝日新聞出版も調査に参加)を元に、東大、東京工業大、一橋大、早稲田大、慶応義塾大の合格者(早大と慶大は一般入試のみ対象)を分析した。その結果、首都圏(東京都、埼玉、千葉、神奈川県)の高校出身者は、東大は86年の47・3%に対し今春は55・2%。ほかは東工大61・6%→74・7%▽一橋大44・7%→69・4%▽早大51・8%→73・9%▽慶大56・0%→72・6%と、いずれも増えていた。東京地区私立大学教職員組合連合の15年度の調査では、都内で下宿する私大生への平均仕送り月額は86年度比で16%減少。一方で家賃は76%上がった。また、受験指導に力を入れる学校が多い私立中高一貫校は、全国の約4割が首都圏にある。高校関係者や専門家からは、こうしたことが影響しているとの指摘がある。学生の画一化などを懸念する大学側は、地方出身者の確保策に乗り出した。早大や慶大は近年、地方出身者向けの奨学金制度を新設している。

<職場>
*4-1:http://digital.asahi.com/articles/DA3S12364251.html
(朝日新聞 2016年5月19日) 三菱自社長、引責辞任へ 燃費偽装、新たに5車種
 三菱自動車は18日、すでに燃費偽装が発覚している軽自動車の4車種(日産自動車向け含む)のほか、新たに5車種でデータを机上計算する偽装があったと発表した。不適切な測定をしていた車種を含め、軽4車種を含む13車種のうち12車種で問題があった。相川哲郎社長と中尾龍吾副社長は、6月24日の株主総会日付で引責辞任する。相川氏は「不正があった開発部門に長く在籍してきた。その風土で育った私が社長として残っていては、改革の妨げになる」と辞任理由を語った。軽4車種以外の販売は続ける。燃費を測り直したところカタログ値との隔たりが最大3%ほどにとどまったとして、中尾氏は「お客さまに迷惑をかけるレベルではない」と述べた。三菱自によると、新たに偽装がわかった5車種は、人気のスポーツ用多目的車(SUV)やミニバン。法定の実走試験を省き、机上の計算によって燃費測定の元データとなる「走行抵抗値」を出していた。「RVR」は別のセダンのデータを元に机上計算。「アウトランダー」「パジェロ」「(プラグインハイブリッド車の)アウトランダーPHEV」と「デリカD:5」のガソリン車は、車体に所定の重さを加えない軽い状態で実走試験をし、机上計算でデータを補正した。さらに「パジェロ」のガソリン車では、空気抵抗が小さい別の車のデータを流用する偽装も見つかった。また、これらと一部重複する6車種では、国の定めと違う不適切な方法で走行抵抗値を測定。試験日や天候も、国土交通省に事実と違う報告をしていた。生産・販売を止めている軽4車種では、三菱自本社の性能実験部幹部が、子会社「三菱自動車エンジニアリング」の管理職にデータ不正を指示していたことを正式に認めた。相川氏の後任社長は未定。今月12日に日産との資本業務提携で基本合意しており、年内をめどに34%の出資を受けて日産傘下に入る方針。その後、新たな経営陣で再建をめざす。益子修会長兼最高経営責任者(CEO)は「新体制が誕生するまで現職にとどまる」としつつ、その間の報酬はすべて自主返納するという。

*4-2:http://mainichi.jp/articles/20160515/k00/00m/040/112000c
(毎日新聞 2016年5月15日) 「リケジョ」人材ネット創設へ
 15日に茨城県つくば市で開幕する主要7カ国(G7)科学技術相会合の共同声明に、女性研究者に特化した国際的な人材ネットワークの創設が盛り込まれる見通しであることが分かった。議長を務める島尻安伊子科学技術担当相が14日、毎日新聞などの取材に明らかにした。同会合では「保健医療」「海洋の未来」など六つのテーマが議論される。このうち「次世代の人材育成」の議題について、島尻担当相は研究人材の多様性確保の観点から、女性研究者を支える国際協力の必要性を強調。17日にまとめる共同声明「つくばコミュニケ」に、▽国際人材ネットワーク作りの支援▽女性研究者の模範例の共有▽男女差に対する偏見解消▽女性研究者が活躍できる政策や職場環境の整備−−を盛り込む考えを示した。国際人材ネットワークでは、海外の企業や研究機関の採用情報などを共有し、行き来しやすくする仕組みを整えることで、女性研究者のキャリアアップにつなげてもらうという。科学技術分野では、男性に比べ女性の割合が少ない国が大半。日本の女性研究者は約13万人で、20年前からほぼ倍増したが、全体に占める割合は2014年で14.6%と国際的に最低レベル。英国(37.8%)やイタリア(35.5%)など同会合参加国と比べ著しく低い。島尻担当相は「仕事と家事の両立などで困っている日本のリケジョ(理系女性)に海外のロールモデルを示せば大いに刺激になるし、国内の対策にも生かせる」と話した。


<給食費と食育・食器>
PS(2016年6月27日追加):*5のように、公立小中学校の給食費は無償化してよいと私も思うが、文科省は「財源や給食を実施していない自治体との公平性を考える必要がある」として、いつものとおり最悪に合わせる形の公平性を主張している。しかし、「給食は食育にも活用されており、教材でもある。無償とする義務教育の範囲に給食を入れるべきだ」というのは尤もだ。また、食育には食材だけでなく食器の使い方も含まれるため、磁器による食器の画像を掲載しておく。

  
   従来の食器              強化磁器の食器           佐賀県鳥栖市の食器
(エサの入れ物のようだ) (強化磁器はよいが、模様がイマイチだにぱっ)   (トレイ以外はGood)

*5:http://qbiz.jp/article/89584/1/
(西日本新聞 2016年6月27日) 給食費、負担に地域差 九州の市町村、3割が補助制度
 公立小中学校の給食費について2015年度、九州7県の全233市町村の約3割、64市町村が全額または一部を補助していることが西日本新聞のまとめで分かった。人口減対策で子育て環境を整えようと補助制度を導入する自治体は増加傾向にある一方、食材費高騰から値上げも相次いでおり、負担の二極化が進んでいる。保護者からは地域間格差の是正、一律無償化を求める声も出ている。九州の各県教育委員会によると、64市町村は生活保護や就学援助とは別に、すべての小中学生無料や、小1と中1が無料、第2子以降は半額などの補助制度を設けている。県別では鹿児島が21市町村と最も多く、熊本(15市町村)、福岡(14市町村)、宮崎(6町村)、佐賀(5市町)、長崎(3市町)と続いた。大分はゼロだった。制度導入の背景には、人口減少に対する自治体の危機感がある。民間提言機関による「消滅可能性都市」に含まれる佐賀県太良町。手厚い支援で子育て世代の流入と流出防止を図ろうと、15年度に全額無償に踏み切った。16年度も制度を新設、拡充する自治体は増え、福岡県古賀市は第3子以降を無償化(これまでは半額)。熊本県人吉市も全ての児童生徒に対する月額千円の補助を始め「最終的には全額補助が目標」(担当者)という。宮崎県小林市は、ふるさと納税を財源に半額補助に乗り出している。一方、給食費は近年の消費税増税や食材費の上昇を受けて値上がり傾向にある。文部科学省の調査によると、14年度の平均月額給食費は小学校4266円、中学校4882円。5年前に比べてそれぞれ153円、200円上がった。福岡市は15年度、小学校で300円増の月額4200円、中学校は400円増の同5千円に値上げした。中1と小4の母親(40)=福岡市西区=は「わずかな値上げでも毎月必要な給食費は負担感が大きい。地域によって異なるのは不公平でおかしい」と疑問の声を上げる。一律無償化について、文科省健康教育・食育課は「財源や給食を実施していない自治体との公平性を考える必要がある」との姿勢。名古屋大大学院の中嶋哲彦教授(教育行政学)は「給食は食育にも活用されており、教材でもある。無償とする義務教育の範囲に給食を入れるべきだ」と指摘している。学校給食 公立小中学校では、学校給食法に基づき学校を設置する各自治体などが実施。食材費は保護者負担、給食にかかる施設整備や人件費は自治体の負担と定めている。文部科学省によると、公立の小学校の99.7%、中学校の93.7%で実施(2014年度)。また、同省の12年度の抽出調査では、児童生徒の0.9%が給食費を納めておらず、その理由の6割は「保護者の責任感や規範意識の問題」、3割が「保護者の経済的な問題」などとなっている。政府の経済財政諮問会議の民間議員は4月の同会議で、給食費の免除制度を充実させるよう政府に提言している。

<IT教育とデジタル教科書>
PS(2016年6月27日追加):*6-1のように、タブレット端末の導入が全3学年に行き渡った佐賀県の県立高で来年度以降に導入する学習用パソコンをキーボード付にするかどうか検討する会合が開かれたそうだが、キーボード操作は、(日本に限らない)大学に進んだり、会社で仕事をしたりして文章を書く時に必要不可欠であるため、キーボード操作にも慣れさせておくことを、私は薦める。
 そのような中、*6-2のように、生徒の上達と比較して、情報を管理する「校務支援システム」のセキュリティーは甘すぎたらしく、「最先端の佐賀県システムが破られた」として文科省担当者がショックをあらわにしたそうだ。しかし、小中学生3万4,739人、高校・特別支援学校などの県立学校生5万6,590人、教職員7,987人という大量の個人情報をまとめて保存し、校外からアクセスできるシステムにしておくのは、個人情報の意味やセキュリティーについてあまりにも疎すぎると言わざるを得ない。
 なお、*6-3のように、最近は「デジタル教科書」があり、私も雑誌「ニュートン」が作ったデジタル教科書で地球46億年の大陸移動や日本列島ができる様子を動画で見たことがあり、とてもわかりやすくて最近の生徒を羨ましく思ったほどだ。しかし、デジタル教科書は紙の教科書のようにめくったり全体を一覧したりすることはできないため、紙の教科書と併用するのがよいと考える。

*6-1:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/320345
(佐賀新聞 2016年6月8日) 県立高の使用端末、次期機種選定で会合
 生徒一人一人へのタブレット端末の導入が全3学年に行き渡った県立高について、来年度以降に導入する学習用パソコンの在り方を協議する専門委員会の初会合が7日、佐賀県庁で開かれた。学校現場の意見を踏まえながら次期機種選定に向け、秋ごろ佐賀県教委に提言する。専門委は藤原久嗣県情報統括監や学校長ら7人で構成。渡辺健次・広島大大学院教授が委員長を務める。機種の選定はせず、キーボード付きのタブレットで続けていくかどうかや、OS(基本ソフト)は何にするかなどを論議する。委員からは「英語のリスニング学習で効果的に使われている」「工業系資格試験対策で作業手順を何度も動画で確認できる」といった事例が報告された。「今まで構築した教材がそのまま使えるか不安」と現行機種を望む声や、使い勝手向上のため変更してもよいとする意見も紹介された。渡辺委員長は「県民の中には導入を『やめろ』という意見もあるかもしれない。必要性を説明するためには、ICT利活用を県の教育目標でどう位置付けるか、もう一度確認しないといけない」と語った。

*6-2:http://mainichi.jp/articles/20160627/k00/00e/040/156000c
(毎日新聞 2016年6月27日) 「最先端の佐賀県システム破られるとは」
●文科省担当者はショックをあらわに
 「ICT(情報通信技術)化が最も進んでいる佐賀県のシステムが破られた。とても驚いている」。佐賀県立高校の生徒の成績などが流出した事件で、文部科学省の担当者はショックをあらわにした。同省は27日、佐賀県教委に事実関係の早急な報告を求めた。全国の公立小中高校の普通教室に設置されている電子黒板の整備率(2015年3月時点)は全国平均が9%なのに対し、佐賀県は76.5%で全国1位。パソコンの整備状況も生徒2.6人に1台と全国トップで、国が第2期教育振興基本計画(13〜17年度)で定める目標の3.6人に1台を唯一超えており、ICT化の先進地域として知られていた。同省によると、児童や生徒の学籍や成績などの情報をコンピューターで管理するシステムは「校務支援システム」と呼ばれ、各地の学校で導入が進んでいる。教職員同士が情報を共有することできめ細かな指導をしたり、教員の校務負担の軽減を図ったりするメリットがあるとされる。佐賀県のシステム「SEI−Net(セイネット)」は全国に先駆けて13年度から導入された。学校側が授業支援のためのデジタル教材を提供し、児童生徒が家庭でダウンロードして予習や復習に利用したり、ネット経由で相談に乗ったり、学校行事の確認をしたりすることも可能にしていた。佐賀県教委によると、このシステムには5月1日現在で小中学生3万4739人、高校や特別支援学校などの県立学校生5万6590人、教職員7987人の情報が登録されていた。教職員が成績や住所などの個人情報にアクセスするには、校内ネットワークに接続したうえでIDとパスワードを入力する必要がある。児童生徒はIDとパスワードを入力すれば、校外からでもネットに接続して、自分のテスト結果や電子教材などは閲覧できるという。

*6-3:http://www.saga-s.co.jp/news/national/10206/318376
(佐賀新聞 2016年6月2日) デジタル教科書、20年度から、当面は紙と併用、文科省中間案
 文部科学省の有識者会議は2日、タブレット端末などを使う「デジタル教科書」を、次期学習指導要領が実施される2020年度から、紙の教科書と併用する形で導入するとの報告書の中間まとめ案を大筋了承した。4月に示した案から大きな変更はなかった。年内に報告書をまとめる予定。当面は紙の教科書を基本とし、単元によってデジタル版だけを使う形を認める。教育効果や健康への影響などを調べた上で、教育委員会の判断で紙かデジタル版のどちらかを選ぶ制度も将来的には考えられるとした。


<社会科の学び方>
PS(2016.6.28追加):*7で公民科が適切に教えられるのか否かは不明だが、日本国憲法の理念は正しく教えるべきである。また、地理と歴史は相互関係が深く、時代によって国境線も変化し、日本は古代から世界と無関係に存在していたわけではない。そのため、日本史と世界史を総合的に学習するのは真実を理解するためによいことで、そうすることによって社会科が単なる暗記科目ではなく、人類の歴史の壮大な物語として理解できるだろう。

*7:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20160628&ng=DGKKASDG27HDD_X20C16A6CR8000 (日経新聞 2016.6.28) 現代社会を廃止 高校必修、公共・歴史総合に 次期指導要領で中教審案
 中央教育審議会の専門部会は27日、2022年度以降に導入する高校の次期学習指導要領の地理歴史・公民について、科目の構成やおおまかな学習内容を取りまとめた。公民科は選挙権年齢の18歳への引き下げを踏まえ「公共」を新設。法律や経済の仕組みに加え、社会保障の現状などを学び問題点を理解する。学習内容が重複する「現代社会」は廃止する。地理歴史科は近現代史の理解度が低いことから、18世紀以降を中心に日本史と世界史を関連づけて学ぶ「歴史総合」を新必修科目とする。近代化やグローバル化の流れを学習の中心に据える。近代以前の歴史も含めてより深く学習する「日本史探究」「世界史探究」は選択科目とする。「地理総合」も新たに必修科目に。環境問題など、全世界が直面する共通の課題と国際協力の在り方などを学ぶ。地図情報をコンピューターで加工する「地理情報システム(GIS)」の使い方も学習する。選択科目の「地理探究」は世界の民族・宗教や産業、資源などをより深く知ることを目指す。現行の学習指導要領では、公民科は「現代社会」1科目か「倫理」「政治・経済」の2科目が必修。地理歴史科は「世界史A」「世界史B」から1科目、「日本史A」「日本史B」「地理A」「地理B」から1科目が必修となっている。


<地方の人手不足>
PS(2016年7月2、3日追加):*8-2の高齢化率が高いという結果は、出生率や死亡率の統計を見れば1980年代から予想できたことで、その原因を究明して政策を作るのが当然だったわけである。しかし、*8-3の人手不足をカバーする方法もあり、それは日本人女性や高齢者を採用したり、雇用が不足している国から外国人労働者を採用したりすることだ。そのため、外国人労働者の生活基盤を準備した上で、九州でまとまって海外募集を行ってはいかがかと考える。なお、社会保険の観点から、女性・高齢者・外国人労働者も正規労働者として人権をないがしろにしない採用をすべきだ。

     
主な企業の外国人採用     高齢者の雇用条件     女性管理職比率   給与・雇用・議員数 
2016.5.3西日本新聞    <同一労働同一賃金?>   <何とかかんとか言って日本の職場
                                       における男女平等度は低いので、
                                       *8-1の憲法27条、労働基準法、
                                       男女雇用機会均等法を護るべきだ>

*8-1:http://www.jicl.jp/kenpou_all/kenpou.html 日本国憲法(抜粋)
第二十七条 すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ。
2 賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める。
3 児童は、これを酷使してはならない。

*8-2:http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS29H27_Z20C16A6000000/?n_cid=NMAIL002 (日経新聞 2016/6/29) 全都道府県で子供より高齢者多く 15年国勢調査人口
 総務省は29日、2015年国勢調査の抽出速報集計結果を公表した。65歳以上の高齢者人口は10年の前回調査比で14%増の3342万人となり過去最高だった。高齢者の割合は26.7%で、5年前の調査に続き世界各国で最も高い。15歳未満の子ども人口の割合も12.7%と過去最低で、調査開始以来初めて全都道府県で高齢者人口が子ども人口を上回った。労働力人口は5年間で294万人減少した。15歳以上人口に占める働く意欲のある人の比率である労働力率は59.8%と10年比1.4ポイント低下した。少子高齢化により全体の就労者が減るなか、女性の労働力率は49.8%と0.2ポイント上昇した。女性は25~29歳の労働力率が初めて8割を超え、35~39歳も72.4%と4.4ポイント上昇。出産による退職などで女性の30歳代の労働力率が下がり、育児後に再び上昇する「M字カーブ」の底が上昇した形だ。

*8-3:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/329364
(西日本新聞 2016年7月2日) 豊かさはどこに(上)雇用 人材確保に悩む中小企業
■大手の求人増、経営に逆風
 「自動車メーカーが押し上げ、大手企業の夏のボーナスは過去3番目の高水準です」。喜々として伝えるテレビのアナウンサーに、佐賀市の自動車部品メーカーの専務(35)はいら立ちを隠さなかった。「うちの社員が変に期待してしまうから、こんなニュースは流してほしくない」。これ以上、賃上げをする余力がないことを強調した。安倍政権の経済政策「アベノミクス」は円安を誘導し、自動車メーカーなど輸出企業の業績を回復させた。その孫請け企業が潤う「トリクルダウン効果」はあったのか。「何も恩恵はない」と専務。コスト削減ばかり求められ、受注単価は横ばいか微減。受注量はリーマンショック前の水準にすら戻っていない。むしろ円安で原材料費が10%値上がりし、利幅は目減りしている。安倍晋三首相が参院選で強調する雇用改善。佐賀労働局によると、県内の5月の有効求人倍率は1・11倍で、バブル期の水準までに回復した。6カ月連続で1倍を超える。年度別にみても、アベノミクスが始まった2012年から急速に数値は上向いている。自動車部品メーカーの専務はそれも実感できずにいる。毎年数人採用してきた新入社員は期待をかけて仕事を丁寧に教えても、半年たたずに辞めてしまう。「ものづくりに魅力を感じず、楽で給料がいい業種に移ってしまうのか」。若手の引き留め策で新たな手当を導入し、月給を最大28万円に引き上げた。それでも求人票には反応がない。今春卒の高校生の県外就職率は44・3%。過去10年で4番目に高い水準となった。佐賀市内の高校の進路担当教諭は2年前から、大手・中堅の製造業、建設業の求人が県外から急増していると明かす。「保護者が安定を求めるからなのか、優秀な学生ほど大企業に挑戦したがる」と説明する。先の自動車部品メーカーの従業員は約20人で、平均年齢は30代後半。一人前に育てるには5年かかり「50代の工場長がしっかりして、仕事が回る今のうちに技術を継承したいのだが…」と専務は危機感を口にした。派遣社員は短い期間で入れ替わるため育成が難しいだけに、産業用ロボットの導入を本気で検討し始めた。人材不足は製造業だけの問題ではない。佐賀市のIT企業は、年3回の会社説明会を倍に増やした。社員だけでは対応できなくなり、外部に業務委託せざるを得なくなった。経営幹部はコストがかさむ現状に「首都圏の雇用改善が私たちの足かせになっている」と困惑する。円安の恩恵を享受してきた大企業も、英国の欧州連合(EU)離脱で風向きが変わった。県内の大手電子部品メーカーは「円高が1円進むだけで6億円の利益が吹き飛ぶ。コスト削減に努める以外に方法はない」。為替リスクに左右される無常感を口にした。


PS(2016年7月3日追加):*9に、「現代の学校教育では美術、音楽の時間がないがしろにされており、活動は実質20分程度で芸術は育たない」と書かれているが、義務教育を3歳から始めれば時間にゆとりがあるため、適時に適切な時間を芸術やスポーツにも当てることができる。しかし、現在、学んでいる知識や服飾技術などもすべて人類の文化に入るため、*9で言う「文化」とは具体的に何なのか書いてなければわからない。また、世界の第一線で活躍できる人を育てるには、時間さえとればよいというものではなく、ベースを教える指導者も本物でなければならない。そのため、児童・生徒に時間の無駄をさせず、その魅力を教えて効果を上げられる人材を、日本人に限らず探してきて揃えるべきだと考える。

*9:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/329649
(佐賀新聞 2016年7月3日) 候補者へ(11) 文化教育の充実を
 現代の学校教育では美術、音楽の時間がないがしろにされている。40分授業なら準備、後片付けもあって活動は実質20分程度。そんなんじゃ芸術は育たない。このような状況は家庭にも悪影響を及ぼし、子どもたちから文化の芽を摘む。世界の第一線で活躍する芸術家を育てるには、まずはベースから。家庭でも文化を愛する教養が育まれるような素地をつくらないと。フランスがそうであるように、芸術は世界中から人を呼び寄せる経済的資源になり得る。芸術や文化に敬意を払う政策を願いたい。

| 日本国憲法::2016.6~ | 03:19 PM | comments (x) | trackback (x) |
2015.6.26 マイナンバー制度による国民の管理しすぎは人権侵害に繋がるということ
   
       2015.6.11西日本新聞     非正規社員数の増加  2015.6.20日経新聞
                                 上
    (注:男女の均等待遇を義務化した改正男女雇用機会均等法が1997年に成立し、
       1999年4月に施行された後の2000年から、派遣社員が目立って増加した)

(1)マイナンバーのリスクについて
1)マイナンバー制度とは
 *1-1に書かれているとおり、政府が導入を決めたマイナンバーは、国民一人一人に番号を割り当て、税・年金・医療・介護等の情報を一括して管理する制度である。最初は、社会保障・税・災害などの3分野に限定していたが、改正法案では、予防接種・検診情報・預金口座への適用を盛り込み、将来は、戸籍・パスポート・証券分野まで拡大を目指すそうだ。

 しかし、プライバシーは、一度漏れたら「覆水盆に返らず」で、頭を下げられたからといって損害が回復するものではなく、多くの情報をまとめればまとめるほどそれが漏れた時の被害は大きい上、その情報を入手したいという動機づけは等比級数的に大きくなる。さらに、その情報を取り扱う人は、日本年金機構から大量の個人情報が流出した事例を見ればわかるように、非正規雇用・派遣社員・契約社員が多い上、正規職員の危機意識も高くはなく、サイバー攻撃の技術と対策はいたちごっこなのだ。

 なお、*1-2のように、日本年金機構は社会保険庁時代から、国民が支払った年金保険料が記録にない「消えた年金」問題があったり、*1-3のように、国民年金の納付率を60%台のまま放っておいたりなど、民間企業では考えられないずさんさがあるが、第一次安倍政権時代にはこれを回復しようとしていたのであるため、これらについて安倍首相が悪いわけではない。この頃、(私の提案で)本人に確認するための年金特別便や年金定期便が送られ始めたことを国民は知っている筈だ。つまり、日本年金機構に、「年金資産は国民から預かった大切な資産だ」という意識が乏しいのが原因であり、その時、たまたまトップにいた政治家を叩いても改善はできないのである。

 それにもかかわらず、*1-6のように、経団連会長は、「マイナンバー制度は生活の利便性と経済性を考えると非常に重要。計画通り遅滞なく進めてほしい」と述べたそうだが、*1-3のように、東京商工会議所もサイバー攻撃を受けて大量の個人情報が流出しており、私は、マイナンバー制度の枠組みと広すぎる連結範囲を見直して、少なくとも税・年金・金融などの所得把握系と医療・介護・教育・保育・生活保護などのサービス給付系の社会保障は、番号を分けるべきだと考えている。

2)マイナンバー制度で、個人情報の守秘義務は保たれるのか 
 *1-4のように、サイバー攻撃は日々巧妙化し、情報セキュリティーを維持するためのシステム構築は非常に遅れており、個人情報が漏れれば、憲法で保障された人権を侵害する可能性が高い。また、情報処理推進機構(東京)の調査によると、2013年度にウイルスに感染、または発見した企業の割合は約7割に上り、情報セキュリティー大学院大の田中教授は「コンピューターウイルスに感染することは避けられず、適切な処理で実害を防ぐことが重要」としている。

 しかし、サイバー攻撃への対策は、攻撃そのものよりも一歩遅れるのが通常である上、完璧な防護システムを作っても人的な情報漏出はなくならない。そのため、個人情報に関する守秘義務が護られるためには、個人情報にアクセスできる人をその情報の重要性と意味が理解できる専門的担当者に限定して守秘義務を課すべきなのである。例えば、市役所の職員、税務職員、年金保険機構の職員、金融機関の職員などが、医療に関する個人情報にアクセスする可能性があるような制度にするのは間違いであり、介護職員に医療情報を開示する場合でさえ、本当に必要な担当者に限定すべきなのである。

3)では、どういうシステムにすべきか
 日本年金機構の事例で述べると、①データベースをインターネットに接続しない ②地方支部との接続は専用線で行う ③個人情報の意味を理解し守秘義務を守れる担当者を使い、非正規社員、アルバイト、派遣社員などの流動性の高い社員を守秘義務のある情報に近づかせない ④守秘義務のある情報の取り扱いに関するマニュアルを定めた上で職員の教育を徹底する などが考えられる。

 これに対し、*1-5のように、標的型攻撃を受けてから、①初期潜入 ②侵入範囲拡大 ③端末内の情報の窃取の3段階に分けて各段階で不正通信の遮断の方法を示し、④事後的に攻撃者を特定しやすくするため、インターネット接続事業者に接続通信履歴を最長1年保存するよう要請する などとしているのは、「国民の情報漏出は、覆水盆に返らずの人権問題である」という意識に欠けており、甘すぎる。

(2)高齢者福祉削減が目的の負担増・給付減について
 *2-1のように、マイナンバー制度を活用して医療費の高所得者負担増が検討されており、金融資産の保有状況を考慮した仕組みを検討して、医療費や介護サービスの利用料に関して、高所得者に負担増を求めるそうだ。しかし、所得の再配分は、所得税・相続税・保険料の支払いで果たされるため、(保育料もその例だが)同一のサービスを提供する時に利用者の負担額を変えるのは、税や保険料の二重負担となって理論的に誤りである。

(3)医療費などの社会福祉と税の連結の妥当性について
 *2-2のように、日経新聞でマイナンバー制を使って医療費控除の領収書を不要にすると書かれている。これは、税務当局がマイナンバー(税と社会保障の共通番号?)でひも付けられる健康保険のデータを使うことでのみ実現するが、本人の許可なく税務当局が健康保険のデータを閲覧できるようにすると、(1)2)で述べた問題が生ずるので、適切ではない。

<政府のセキュリティー意識>
*1-1:http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-244338-storytopic-11.html
(琉球新報社説 2015年6月16日) マイナンバー 拙速な導入は危な過ぎる
 政府が安全性を強調すればするほど、疑念は膨らむ。立ち止まって考えるべきではないか。国民一人一人に番号を割り当て、税や年金などの情報を管理するマイナンバー制度の法改正案が国会で審議中だ。マイナンバー法は2013年に成立し、来年1月に運用開始の予定だが、政府は運用前に適用範囲を拡大する法改正案を提出した。当初は社会保障と税、災害の3分野に限定していた。だが改正法案では予防接種や検診の情報、預金口座への適用も盛り込んだ。安倍晋三首相は「(将来は)戸籍、パスポート、証券分野までの拡大を目指す」とまで言い切った。日本年金機構から大量の個人情報が流出したばかりだ。新たに適用を目指す分野は個人にとって秘匿したい分野ばかりである。ひとたび流出すれば被害はこれまでと比較にならないほど甚大だろう。政府は「仮に一つの機関から漏えいしても他の情報が芋づる式に漏れる制度設計にはなっていない」と説明する。だがこうした情報漏えいはいつも対策と攻撃のいたちごっこだ。現状では芋づる式に引き出せないとしても、未来永劫(えいごう)そうだとは限らない。情報が関連づけられれば、それだけリスクが高まると見るのが自然ではないか。現状でも、例えば一部情報を基に偽造免許証が造られることもあるのは、過去の犯罪で実証済みだ。偽造免許証を基に住所などの情報を書き換えれば、本人に成り済ますことも可能である。対象情報の大幅拡大は危険過ぎる。年金機構は制度の中軸ともいえる機関だ。そこからですら簡単に流出したのである。過去には財務省、農水省、外務省からも流出した。今後は絶対に流出しないなどと、どうすれば信じられるだろう。加えて、今後は民間分野も対象になる。企業にとって対策は人手や資金の面で負担が重い。県内企業でも現時点で対策を取っているのは2割にすぎず、情報漏えい防止策に限れば0%だ。こんな状態で拙速に導入する必要がどこにあろう。プライバシーは「覆水盆に返らず」である。ひとたび流出すれば被害の完全な回復は不可能だ。サイバー攻撃が巧妙化する現在、もはや攻撃は防ぎ得ないとの前提に立つべきだ。国民を守れない制度の安易な導入は許されない。法改正は見送り、来年の施行も延期して必要性をもう一度吟味すべきだ。

*1-2:http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2015060302000136.html
(東京新聞 2015年6月3日) 「消えた年金」幕引き直前 国民の不信 再燃も
 安倍政権は日本年金機構の年金情報約百二十五万件の外部流出に神経をとがらせている。第一次安倍政権は、支払った年金保険料が記録にない「消えた年金」など年金記録問題が打撃になって退陣した。記録回復に向け設置した組織を廃止する矢先の新たな問題発覚に対し、安倍政権は官邸主導で対応する方針だ。菅義偉(すがよしひで)官房長官は二日の記者会見で「機構の認識の甘さがあった。責任は免れない」と批判した上で「受給者の皆さんになりすましなどで迷惑を掛けないよう、政府を挙げて対応策に全力で取り組んでいる」と検証委員会などを立ち上げ、原因究明や再発防止策を徹底する考えを強調した。機構を所管する厚生労働省任せにせず官邸主導で問題解決に乗り出すのは、安倍政権にとって年金問題は苦い記憶があるためだ。第一次政権の二〇〇七年、持ち主不明な「宙に浮いた年金」約五千万件などの年金記録問題が発覚。旧社会保険庁の不祥事が次々と明るみに出る中、政権の対応が遅れ国民の不信が高まった。安倍首相は「最後の一人まで記録をチェックし年金を支払う」と理解を求めたが、同年の参院選で惨敗し退陣につながった。国民からの記録回復の申し立てを審査する総務省の第三者委員会は六月末で廃止する。「消えた年金」問題に幕引きを図ろうとしていたところだけに、今回の情報流出がきっかけとなって、国民の年金不信が再燃する可能性がある。国民一人一人に番号を割り振るマイナンバー制度でも、情報流出への懸念が高まる。一六年一月の制度開始に向け、国会で審議が進むマイナンバー法改正案に関し、菅氏は「今回の件はあったが、対応策を取る中で、早期成立に努力していきたい」と述べた。
◆情報流出問題をきょう集中審議
 衆院厚生労働委員会は二日の理事懇談会で、日本年金機構の年金情報が流出した問題に関し、三日に集中審議を実施すると決めた。民主党など野党は塩崎恭久厚労相らの監督責任や、日本年金機構の対応などを厳しく追及する構えだ。与党は当初、審議中の労働者派遣法改正案の質疑を求めたが、情報流出の実態解明を優先すべきだとの野党の主張を受け入れた。

*1-3:http://www.saga-s.co.jp/news/national/10201/201663
(佐賀新聞 2015年6月26日) 国民年金の納付率60%台、2年連続、14年度
 厚生労働省は26日、2014年度の国民年金保険料の納付率は63・1%で前年度から2・2ポイント改善したと発表。2年連続で60%台に乗り、上昇は3年連続。景気の回復に加えて、未納者への督促強化が上昇に結び付いたとしている。ただ、所得が低く納付の全額免除や猶予を受けている人が加入者全体の3分の1に当たる602万人いる。免除者などを含めて計算した実質的な納付率は40・6%にとどまる。全都道府県で13年度よりも納付率が上昇。島根の76・7%が最も高く、新潟75・3%、富山74・4%と続いた。最低は沖縄の45・2%で、大阪54・0%、東京58・8%だった。

*1-4:http://qbiz.jp/article/64147/1/
(西日本新聞 2015年6月10日) 標的拡大、遅れる防御 サイバー攻撃巧妙化、東商PC感染
 東京商工会議所が日本年金機構と同じくメールを使ったサイバー攻撃を受け、大量の個人情報が流出した。石油連盟も同様の攻撃を受けていたことが発覚、ハッカーの標的は省庁や大企業から業界団体や中小企業に広がってきた。手口も巧妙化し、防御策は追い付いていないのが実情だ。
@標的型メール
 「職員への教育が不足していたと言わざるを得ない」。10日に記者会見した東商の高野秀夫常務理事は、沈痛な表情で謝罪した。東商の会員は主に中小企業で、情報セキュリティー対策が十分でない会社も多い。東商はサイバー攻撃の防止策などのセミナーを開き、専用窓口も設けて会員を指導してきた。それだけに、今回のウイルス感染は「恥ずかしい」(担当者)との声が漏れる。特定の部署や職員を狙いウイルスを忍び込ませたメールを送る「標的型メール」は、年金機構に対する攻撃と同じ。受け取る側の業務に関連した表題や内容に偽装しているため、不用意に開けてしまうことが多い。東商では個人情報を保管するファイルにパスワードが設定されていなかったという甘さもあった。
@踏み台に利用
 東商や石油連盟のような業界団体は、多くの加盟企業や関係者の名簿を保有、管理している。情報セキュリティーの専門家の間では、攻撃者はそうした情報が狙いだったとの見方が出ている。また、攻撃対象は中小企業にも広がっている。大企業と取引がある一方で、セキュリティー対策は大企業より甘いとされ、中小を「踏み台」に大企業のシステムへの侵入を図るといわれる。独立行政法人の情報処理推進機構(東京)の調査によると、2013年度にウイルスに感染、または発見した企業の割合は約7割に上る。従業員300人未満の企業に限っても6割弱と高水準で、企業規模にかかわらず被害は広がっている。中でも、同機構に寄せられた標的型メールに関する相談件数は、13年の97件から14年は509件と5倍以上になった。「同僚や取引先からのメールを装うなど、開封させるための文面が巧妙になっている」と同機構は指摘する。
@「感染不可避」
 菅義偉官房長官は10日の記者会見で「(東商が)原因の分析や対処をしっかりするように、経済産業省を通じて指導していく」と述べた一方、「政府も気を引き締めて対応していく必要がある」と強調した。国会では連日のように年金情報流出問題の集中審議が開かれ、再発防止策を求める声も強い。情報セキュリティ大学院大の田中英彦教授は「コンピューターウイルスに感染することはもはや避けられない。いかに早く、適切な処理で実害を防ぐかが重要だ」と話す。攻撃を受けた企業や組織は、積極的に情報を開示すべきだとも田中氏は指摘する。「攻撃が広範囲に及び、類似の手口やウイルスが見つかることもある。サイバー攻撃対策は、官民一丸で取り組まなければならない」
◆セミナー名簿など1.2万人分の情報流出
 東京商工会議所は10日、延べ1万2139人分の会員企業の個人情報が流出した恐れがあると発表した。ウイルスに感染した電子メールの添付ファイルを開封したことが原因とみられる。警視庁公安部は不正指令電磁的記録供用容疑などを視野に捜査を始めた。東商の高野秀夫常務理事は東京都内で記者会見し「多くの方々に迷惑、心配をかけ、深くおわびする」と謝罪した。サイバー攻撃の一種で、メールに添付されたファイルを開くとウイルスに感染する「標的型攻撃」とみられる。日本年金機構(東京)の年金情報が大量に外部に流出した問題もウイルスメールが原因だった。流出した疑いがある個人情報は氏名や住所、メールアドレスなどで、銀行の口座番号といった金融関連の情報はないという。東商の国際部が主催したセミナーの参加者名簿が主体で、一部に会員企業以外の個人も含まれる。東商によると、ウイルスメール1通が送られ、職員1人が開封し、この職員のパソコン(PC)1台が感染した。5月11日にセキュリティー関連の専門機関から不審な信号を検知したと指摘を受け調査を依頼。22日に感染が判明した。6月3日に警視庁丸の内署に相談した。東商は東京23区内の中小企業が加盟する経済団体で会員数は3月末現在で約7万7千。経営支援や政策提言などを業務としている。

*1-5:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20150622&ng=DGKKASFS22H0M_S5A620C1MM0000 (日経新聞 2015.6.22) 情報盗むメール、全機関で遮断 政府がサイバー新防衛策 通信事業者は履歴を最長1年保存
 日本年金機構から年金情報が流出した問題を踏まえた政府のサイバー対策が明らかになった。攻撃者がコンピューターから情報を抜き出すウイルスを秘めた「標的型メール」を送った場合、それを遮断する措置を特殊法人を含めたすべての政府機関に徹底させる。政府が月内にも閣議決定するサイバーセキュリティ戦略に盛り込む。年金情報の流出問題では日本年金機構の職員がインターネットに接続した端末で個人情報を扱うなど情報管理の甘さが指摘されている。政府機関向けの対策は内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)が指針を作成。各省庁だけでなく日本年金機構など特殊法人や独立行政法人にも順守するよう求める。指針は政府機関の端末がウイルス感染したことを前提とし、端末から情報が流出しないよう対策の手立てを示す。具体的には、標的型攻撃を(1)初期潜入(2)侵入範囲拡大(3)端末内の情報の窃取――の3段階に分け、各段階で不正通信の遮断の方法を示す。攻撃者がファイアウオールを破って機関内のパソコンに侵入した場合、ほかのパソコンと遮断する手法を示している。政府は攻撃者を特定しやすくするため、インターネット接続(プロバイダー)事業者には、個人利用者がインターネットに接続した通信履歴を最長1年保存するよう要請する。総務省の指針を月内にも改正する。ネットに接続する際に必要となるIPアドレスをプロバイダー事業者が割り当てた記録を消去しないよう求める。保存期間は原則として半年、必要に応じ1年とする。

*1-6:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20150609&ng=DGKKASFS08H4T_Y5A600C1EE8000 (日経新聞 2015.6.9) 経団連会長「計画通りに」
 経団連の榊原定征会長は8日の記者会見で、日本年金機構の個人情報流出問題に関して「まさにあってはならない問題。国民への説明をしっかり果たしてほしい」と強調した。今年秋に個人番号の通知が始まる社会保障と税の共通番号(マイナンバー)制度については「生活の利便性と経済性を考えると非常に重要。計画通り遅滞なく進めてほしい」と述べ、年金問題の悪影響が広がることがないように、政府に万全な対応を求めた。

<高齢者福祉が標的の負担増・給付減>
*2-1:http://www.saga-s.co.jp/news/national/10201/198237
(佐賀新聞 2015年6月16日) 医療費、高所得者の負担増検討、骨太方針の原案判明
 政府が策定している経済財政運営の指針「骨太方針」の原案が16日、分かった。医療費や介護サービス利用料に関し、高所得者に負担増を求める方向性を明記。国民に番号を割り当てるマイナンバー制度を活用し「金融資産の保有状況を考慮した仕組みを検討する」ことも盛り込んだ。2020年度の財政健全化目標に向けて、経済成長による税収増と歳出抑制策の両面を挙げたものの、歳出に関する具体的な数値目標は明記を見送る。政府は22日の経済財政諮問会議で示し、月内に閣議決定する。富裕層の負担アップは17年の消費税再増税を控え、幅広い層への影響を避けながら財政再建を進めるのが狙い。

*2-2:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20150619&ng=DGKKASFS30H76_Y5A610C1MM8000 (日経新聞 2015.6.19)
医療費控除 領収書不要に、17年メド、マイナンバー活用
 政府は家族の医療費が一定額を超えた場合に税負担を軽くする医療費控除(総合2面にきょうのことば)を使いやすくする。現在は1年分の領収書を保存、確定申告の際に提出しなければならないが、税と社会保障の共通番号(マイナンバー)制度で集積する医療費のデータを使うことで、大半の領収書は出さなくてよくなる。インターネットで手続きする場合でも領収書の内容を入力する必要がなくなる。2017年夏をメドに始める。6月中にまとめる新しい成長戦略に盛り込む。来週、加藤勝信官房副長官を座長とする政府の検討チームが発表。財務省は医療費控除の法令改正の準備に入る。医療費控除の対象になるのは、1年間の家族の医療費から保険で補填された額を引いた額が10万円を超える場合だ。基準から超えた額を所得から差し引き、課税所得を減らせるため、税負担が減るメリットがある。現在は領収書の保存の煩わしさや医療機関名や投薬の内容、自己負担額などの入力の手間が面倒で、申告を諦めている人が多いという。毎年約700万人が使っているが大幅に増えそうだ。領収書を不要にする役割を果たすのがマイナンバー。17年夏までに健康保険のデータが、マイナンバーにひも付けられる。これが今回の仕組みの土台となる。現在は国民健康保険や健康保険組合から郵便などで届く「医療費通知」が、マイナンバーの個人用サイト「マイナポータル」に送られるようになる。利用者はこのデータを税務署にネット経由で送れば、領収書を出さなくてよくなる。ドラッグストアで購入した市販薬の代金や、通院のためのタクシー代なども医療費控除の対象だが、医療費通知からは漏れるため、これまで通り、領収書の保存と提出が必要だ。厚生労働省はこれにあわせて健保加入者に通知する医療費通知の基準を統一する。税務署がネット経由で受け取った医療費通知に対応できるようにするためだ。マイナンバーは10月から通知を開始。来年1月に導入する。17年7月からは国や地方自治体の情報を連携する。日本年金機構の情報流出問題で、年金分野へのマイナンバーの適用が遅れる可能性はあるが甘利明経済財政・再生相は「全体のスケジュールは予定通り進める」としている。政府は多額の税金をかけて構築するマイナンバーを有効活用するため、医療費控除以外の利便性向上策も併せてまとめる。低所得者や学生らが国民年金の保険料の減免手続きをする際、マイナンバーの個人用サイトから簡単にできるようにする。税と年金保険料の納付はネット上で、クレジットカードで一括でできるようにする。

| 日本国憲法::2013.4~2016.5 | 03:45 PM | comments (x) | trackback (x) |
2015.6.15 論点を間違えている集団的自衛権に関する批判、及び安保関連法案は解釈改憲ではなく違憲であること (2015年6月16、24、26日、7月15日に追加あり)
       
安保法制案の全体像   同組立   想定事例(??)      憲法9条 

(1)集団的自衛権の定義
 *1-1、*1-2のように、集団的自衛権とは、国連憲章第51条で加盟国に認められている自衛権の一つで、ある国が武力攻撃を受けた場合、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、密接な関係にある他国が共同して防衛にあたる権利で、行使に当って国連加盟国がとった措置は、直ちに安全保障理事会に報告しなければならないとされている。

 そのため、日本も主権国として国連憲章第51条により個別的及び集団的自衛権の双方をを有しているが、憲法9条で戦争放棄と戦力不保持を規定しているため、これまで集団的自衛権は憲法の容認する自衛権の限界を超えると解され、行使しないとされてきたのだ。

 そして、*1-1のように、平成26年(2014)7月に自公連立政権の閣議決定により従来の憲法解釈を変更して、一定の要件を満たした場合に集団的自衛権の行使を容認する見解が示されたとされ、武力行使が許容される要件には、①日本と密接な関係にある他国への武力攻撃により日本の存立が脅かされ、国民の生命・自由・幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある ②日本の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がない ③必要最小限度の実力を行使すること が挙げられた。

 私は、「日本も主権国として国連憲章第51条により個別的及び集団的自衛権の双方を有しているが、憲法9条の範囲内でのみそれを行使することにしている」というのが正しいと考える。

(2)それでは、憲法9条の範囲内とはどこまでか(ここが重要)
 結論から言って、日本の領土・領海・領空を占領する目的で武力攻撃が行われた場合には自衛権を行使することができ、それは個別的であるか集団的であるかを問わないと考える。つまり、警察官が駆けつけてくるまで夫と協力して自分の家に入った強盗とは闘うが、隣の家やまして遠くの家に出かけて行ってまでは闘わないということだ。

 しかし、これまで個別的自衛権のみが憲法9条の範囲内だと主張されていたのは、「集団的自衛権=日本が外国を護るために外国で闘うこと」と解釈されていたからであり、日本を護るのを外国に手伝ってもらうことや隣近所と力を合わせて日頃から周辺を警備しておくことを集団的自衛権行使の範囲に入れていなかったからである。

 なお、*1-3のように、公明党は6月12日に集団的自衛権を使える範囲を日本周辺の有事に限定したうえで認めるかどうかの検討を始めたそうだが、私も、現行憲法下では、日本の領土・領海・領空を武力攻撃された場合と力を合わせて周辺を警備する場合に限るべきだと考えている。

(3)審議中の安保関連法案は、解釈改憲ではなく違憲である
 *1-2の国連憲章により、日本も主権国家として国連憲章第51条により個別的及び集団的自衛権の双方を有しているが、日本国憲法9条の範囲内でのみその行使は容認され、それは専守防衛であるため、*2-1のように、現在審議中の安保関連法案は違憲である。

 また、憲法は最高法規であり一般法より上位であるため、*2-2のように、下位法で改憲することは許されない。しかし、私は、現在の自民党の「憲法改正草案」はお粗末な上、変更点が多岐にわたり、改正後の国家観は現行憲法よりも劣るため、これなら憲法の変更はしない方が余程よいと思っている。

 憲法変更の理由とされている「現行憲法は敗戦後に短期間で作られ連合国に押しつけられた」というのは事実とは異なり、日本国内では英語を学ぶことすら禁止されていた終戦前から、連合国は終戦後の統治を考えて日本文化を調べあげ草案を練っていたことを、ルース・ベネディクトが著書「菊と刀」にかなり正確な日本文化の分析とともに記載している。そのため、8日間くらいの短期間で作ったものではなく、連合国が理想とする国民主権、基本的人権の尊重、平和主義のようなわが国の終戦前と比べれば民主主義への革命的な変更が憲法に織りこまれ、これらは敗戦でなければフランスなどのように国民同士が血を流して闘いとらなければならなかった理想的規範なのである。

 なお、「孫子の兵法」で有名な孫子も、「敵を知らず己を知らざれば百戦あやうし。敵を知り己を知れば百戦百勝す」「百戦百勝は善の善なるものに非ず。戦わずして人の兵を屈するは善の善なるものなり」などの現代にも通じる有名な言葉を遺している。

(4)国民の意見
 *3-1のように、集団的自衛権行使を容認し、自衛隊の活動範囲を広げる安保関連法案への反対を訴える集会やデモ行進が2015年6月13日、九州各地であった。また、*3-2のように、長野駅近くで、赤いスカーフやTシャツ、帯などを身に着けた女性約70人がデモ行進し、憲法を学ぶ会もできている。さらに、*3-3のように、神奈川県内の鉄道やトラック、港運などの労働者でつくる労働組合「神奈川県交通運輸産業労働組合協議会(神奈川交運労協)」も、同日、「われわれは戦争のための輸送はしない」と訴えながらデモ行進している。

(集団的自衛権とは)
*1-1:https://kotobank.jp/word/%E9%9B%86%E5%9B%A3%E7%9A%84%E8%87%AA%E8%A1%9B%E6%A8%A9-77203 【集団的自衛権】
 国連憲章第51条で加盟国に認められている自衛権の一。ある国が武力攻撃を受けた場合、これと密接な関係にある他国が共同して防衛にあたる権利
[補説]日本は主権国として国連憲章の上では「個別的または集団的自衛の固有の権利」(第51条)を有しているが、日本国憲法は、戦争の放棄と戦力・交戦権の否認を定めている(第9条)。政府は憲法第9条について、「自衛のための必要最小限度の武力の行使は認められている」と解釈し、「個別的自衛権は行使できるが、集団的自衛権は憲法の容認する自衛権の限界を超える」との見解を示してきたが、平成26年(2014)7月、自公連立政権下(首相=安倍晋三)で閣議決定により従来の憲法解釈を変更。一定の要件を満たした場合に集団的自衛権の行使を容認する見解を示した。武力行使が許容される要件として、(1)日本と密接な関係にある他国への武力攻撃により日本の存立が脅かされ、国民の生命・自由および幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある、(2)日本の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がない、(3)必要最小限度の実力を行使すること、を挙げている。

*1-2:https://www1.doshisha.ac.jp/~karai/intlaw/docs/unch.htm
国際連合憲章(要点のみ)
署名
1945年6月26日(サン・フランシスコ)
効力発生
1945年10月24日
日本国
1952年3月20日内閣決定、6月4日国会承認、6月23日加盟申請、
1956年12月18日効力発生、12月19日公布(条約第26号)
 われら連合国の人民は、われらの一生のうちに二度まで言語に絶する悲哀を人類に与えた戦争の惨害から将来の世代を救い、基本的人権と人間の尊厳及び価値と男女及び大小各国の同権とに関する信念をあらためて確認し、正義と条約その他の国際法の源泉から生ずる義務の尊重とを維持することができる条件を確立し、一層大きな自由の中で社会的進歩と生活水準の向上とを促進すること、並びに、このために、寛容を実行し、且つ、善良な隣人として互に平和に生活し、国際の平和及び安全を維持するためにわれらの力を合わせ、共同の利益の場合を除く外は武力を用いないことを原則の受諾と方法の設定によって確保し、すべての人民の経済的及び社会的発達を促進するために国際機構を用いることを決意して、これらの目的を達成するために、われらの努力を結集することに決定した。よって、われらの各自の政府は、サン・フランシスコ市に会合し、全権委任状を示してそれが良好妥当であると認められた代表者を通じて、この国際連合憲章に同意したので、ここに国際連合という国際機関を設ける。
第1章 目的及び原則
第1条〔目的〕
国際連合の目的は、次の通りである。
1 国際の平和及び安全を維持すること。そのために、平和に対する脅威の防止及び除去と侵略行為その他の平和の破壊の鎮圧とのため有効な集団的措置をとること並びに平和を破壊するに至る虞のある国際的の紛争又は事態の調整又は解決を平和的手段によって且つ正義及び国際法の原則に従って実現すること。
2 人民の同権及び自決の原則の尊重に基礎をおく諸国間の友好関係を発展させること並びに世界平和を強化するために他の適当な措置をとること。
3 経済的、社会的、文化的又は人道的性質を有する国際問題を解決することについて、並びに人種、性、言語又は宗教による差別なくすべての者のために人権及び基本的自由を尊重するように助長奨励することについて、国際協力を達成すること。
4 これらの共通の目的の達成に当って諸国の行動を調和するための中心となること。
第2条〔原則〕
この機構及びその加盟国は、第1条に掲げる目的を達成するに当っては、次の原則に従って行動しなければならない。
1 この機構は、そのすべての加盟国の主権平等の原則に基礎をおいている。
 すべての加盟国は、加盟国の地位から生ずる権利及び利益を加盟国のすべてに保障するために、この憲章に従って負っている義務を誠実に履行しなければならない。
2 すべての加盟国は、加盟国の地位から生ずる権利及び利益を加盟国のすべてに保障するために、この憲章に従って負っている義務を誠実に履行しなければならない。
3 すべての加盟国は、その国際紛争を平和的手段によって国際の平和及び安全並びに正義を危うくしないように解決しなければならない。
4 すべての加盟国は、その国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎まなければならない。
5 すべての加盟国は、国際連合がこの憲章に従ってとるいかなる行動についても国際連合にあらゆる援助を与え、且つ、国際連合の防止行動又は強制行動の対象となっているいかなる国に対しても援助の供与を慎まなければならない。
6 この機構は、国際連合加盟国でない国が、国際の平和及び安全の維持に必要な限り、これらの原則に従って行動することを確保しなければならない。
7 この憲章のいかなる規定も、本質上いずれかの国の国内管轄権内にある事項に干渉する権限を国際連合に与えるものではなく、また、その事項をこの憲章に基く解決に付託することを加盟国に要求するものでもない。但し、この原則は、第7条に基く強制措置の適用を妨げるものではない。
(中略)
第51条〔自衛権〕
 この憲章のいかなる規定も、国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない。この自衛権の行使に当って加盟国がとった措置は、直ちに安全保障理事会に報告しなければならない。また、この措置は、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持又は回復のために必要と認める行動をいつでもとるこの憲章に基く権能及び責任に対しては、いかなる影響も及ぼすものではない。
(以下略)

*1-3:http://digital.asahi.com/articles/ASG6D64K7G6DUTFK017.html
(朝日新聞 2014年6月13日) 集団的自衛権、公明に限定容認論 72年見解を根拠に
 公明党は12日、集団的自衛権を使える範囲を日本周辺の有事に限定したうえで認めるかどうかの検討を始めた。党幹部の中に、集団的自衛権の行使を朝鮮半島有事など極めて狭い範囲に限ることで、党内や支持者の理解が得られないかとの意見が出始めたためだ。ただ、行使容認そのものに慎重な意見もなお根強く、党内がまとまるかは予断を許さない。山口那津男代表、北側一雄副代表ら幹部は12日、国会内などで断続的に集団的自衛権の行使を認めるかどうかを協議した。1972年に自衛権に関する政府見解で「国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底からくつがえされるという急迫、不正の事態」に限り自衛措置が認められるとした部分を根拠に、集団的自衛権が使えるか議論することにした。与党協議のメンバーの一人は、使える場合を「生命や権利が根底から覆される」という日本人に直接影響が出るケースに限定することで、政府が示した朝鮮半島有事から避難する邦人を乗せた米輸送艦を守る事例だけが容認されるとみる。別の幹部も「首相が想定する米国に向かう弾道ミサイルの迎撃や、中東のホルムズ海峡での機雷除去はできなくなる」と話す。だが、72年の政府見解は同時に、「集団的自衛権の行使は憲法上許されない」と結論づけている。公明が、限定的とはいえ見解を行使の根拠とすれば矛盾することになる。安倍晋三首相が集団的自衛権の行使へ、今国会中の閣議決定を指示したことから、公明内には「反対するだけではすまない」(幹部)との声も上がっており、限定的な容認を検討することにした。政府・自民内には、公明内に容認に向けた動きが出てきたことから、22日が会期末の今国会中の閣議決定見送りを容認する意見も出ている。

<解釈改憲ではなく違憲>
*2-1:http://www.shinmai.co.jp/news/20150611/KT150610ATI090029000.php
(信濃毎日新聞 2015年6月11日) 安保法案「法治国家として危うい」 日弁連、19日に反対要請
 日本弁護士連合会の村越進会長(64)=上田市出身=は10日、都内で信濃毎日新聞の取材に応じ、今国会で審議中の安全保障関連法案に反対するため、長野県弁護士会など全国52の弁護士会の会長がそれぞれの地元選出国会議員に法案廃案を訴える一斉要請を19日に行うと明らかにした。日弁連は18、19日に都内で理事会を開く予定。これに合わせて各弁護士会長が法案反対の声明などを携えて衆参両院の議員会館を回る。日弁連が安全保障関連法案について反対の国会議員要請を行うのは初めて。村越会長は「弁護士会は会員それぞれの政治的信条を超えて、立憲主義を守る法律団体として法案は違憲だと考えている」と強調。衆院憲法審査会で自民党推薦を含む憲法学者3人が関連法案を「違憲」と明言した意味は重いとし、「その法案が国会多数の賛成で通ってしまうことになれば最高法規としての憲法の意義が失われる。法治国家として危うい」とした。政府に対しては「改憲論者も含め、政府解釈を理解した上で違憲だと指摘した。政府は自分たちの解釈はこうだと繰り返すのではなく、憲法学者の意見を真摯に受け止めるべきだ」と求めた。憲法審査会での憲法学者の発言をきっかけに、各論に入りつつあった国会審議が「そもそも合憲なのか違憲なのか、原点に立ち返ったのは好ましい」とし、「さらに議論が深まることを期待したい」と述べた。

*2-2:http://www.kobe-np.co.jp/column/shasetsu/201505/0008016555.shtml
(神戸新聞社説 2015/5/12) 2段階改憲/「お試し」と呼ぶしかない
 自民党は、大災害などに備える緊急事態条項と環境権、財政規律条項の3項目について改憲を優先的に議論してはどうかと提案した。改憲の本命は9条だが、その前に各党の協力を得やすい項目に絞って実現を目指す2段階戦略を描いている。9条改正への抵抗感を和らげ、国民に改憲に慣れてもらう。そんな狙いが透けて見える。「お試し改憲」と呼ぶしかない。自民党の船田元・憲法改正推進本部長は「全ての憲法改正は真剣だ」と「お試し」を否定する。だが、「各党が関心事項として挙げているところから議論を始めるのは自然な流れ」とし、国論を二分する9条を後回しにしたことは認めている。9条改正の正面突破を避けるやり方はこれまでも繰り返されてきた。安倍晋三首相は第2次政権が発足した直後、憲法改正の国会発議要件を緩和する96条改正に意欲を示した。中身の議論を棚上げし、改正手続きのハードルを下げる。強引な戦術には国民の反発が強く、撤回するしかなかった。一方、政府は昨年7月の閣議決定で9条の解釈を変更し集団的自衛権の行使を容認した。それを反映した安全保障関連法案を国会に提出する構えで、憲法の空洞化も同時に進んでいる。審査会では、維新の党が緊急事態条項について「早急に検討すべき」とし、次世代の党も同調した。民主党は、「押しつけ憲法」を改正の理由とすることについて、「議論の前提として各党の考え方を確認すべき」とけん制し、「お試し改憲」も批判した。共産党は「国民の多数は憲法改正を求めていない」と反対する。公明党は環境権など新しい権利を加える「加憲」を主張しているが、審査会では「冷静かつ慎重な議論を進めるべきだ」と、改憲論議の加速化にはくぎを刺した。改正の発議には衆参両院の3分の2以上の賛成が必要になる。そのため自民党は公明党や野党と一致できる枠組みづくりを優先させる。2017年の国会発議などとスケジュールが語られ、改憲ありきの姿勢が目立つ。議論が深まる前に「簡単なところから」と「お試し」を画策する。あまりに危うい動きだ。

<国民は>
*3-1:http://mainichi.jp/select/news/20150614k0000m040062000c.html
(毎日新聞 2015年6月13日) 安保法制:九州各地で反対集会「戦争法案いらんばい」
 集団的自衛権の行使を容認し、自衛隊の活動範囲を広げる安全保障関連法案への反対などを訴える集会やデモ行進が13日、九州各地であった。福岡県弁護士会は、福岡市中央区の市民会館で「憲法違反の集団的自衛権に反対する市民集会」を開き、弁護士200人を含む約1700人が参加した。日本弁護士連合会憲法問題対策本部の伊藤真副本部長が講演。集団的自衛権の行使が容認されれば、交戦権を認めていない憲法9条が空文化されると指摘して「どんな国にしたいのかは私たち自身が決めること。憲法の番人は私たち国民だ」と訴えた。集会後は市内中心部をデモ行進し、「戦争法案いらんばい」とシュプレヒコールした。佐賀県鳥栖市では、市民団体が主催する「戦争立法に反対する学習会」があり、約30人が参加した。同県弁護士会の東島浩幸弁護士が集団的自衛権について「行使したら国際紛争の当事国となり、相手から攻撃を受ける可能性がある」と指摘した。参加した鳥栖市の無職、山元睦美さん(63)は「戦争は絶対にいけない。外交で解決していくべきだ」と話していた。一方、長崎県佐世保市では、陸上自衛隊相浦駐屯地と海上自衛隊佐世保教育隊などの約630人が商店街をパレードした。恒例行事で新入隊員の市民へのお披露目が目的だが、佐世保地区労などはパレードに反対する集会を開催。参加者約100人は「戦争にいかせたくありません」などのプラカードを掲げた。今夏までに安保関連法案の成立を目指す政府に対し、地区労の豊里敬治議長は「政府は隊員の命や人権をもっと見つめるべきだ」と批判した。

*3-2:http://www.shinmai.co.jp/news/20150614/KT150613FTI090002000.php
(信濃毎日新聞 2015年6月14日) 安保法案論議 母親立つ 県内 デモや憲法学ぶ動き
 安倍政権が安全保障関連法案の早期成立を目指す一方、法案に反対の意思表示をしたり、憲法を学び直したりする動きが長野県内の女性たちに広がっている。国会審議では複雑な法解釈や主張が飛び交うが、女性たちは子どもを産み、育てる立場から、基本となる憲法や集団的自衛権について理解を深めようとしている。13日は、同法案に反対を訴える女性たちが長野市でデモ行進した。「女は戦争を許さない」「子どもを守ろう」。この日、同市の長野駅近くをデモ行進したのは、赤いスカーフやTシャツ、帯などを身に着けた女性約70人。新日本婦人の会県本部などが呼び掛けた「レッドアクション」で、1970年代にアイスランドの女性たちが地位向上を求めて赤いストッキングを履いた運動をモデルに全国に広がっているという。「安倍首相は『徴兵制は絶対にない』と言うけれど、20年後はどうか」。参加した市内の会社員女性(31)は3人の男の子を育てる。「子どもの将来を考えると、米国の戦争に協力できるような法案には反対したい」と話した。長野市では昨年6月、憲法を学ぶ「自分で考えるために学ぶ会」ができた。東京電力福島第1原発事故を機に子どもの食の安全を考えてきた母親らが、集団的自衛権の行使容認に疑問を感じて発足。ほぼ毎月学ぶ会を開き、10人ほどで憲法と自民党の改憲草案を読み比べている。会員の西林薫さん(37)も2児の母。「最低限の力として自衛隊は必要」と考えるが、自民党が改憲草案で「国防軍」と記したことに不安を感じた。安保関連法案の説明で、政府が中東・ホルムズ海峡の機雷掃海が可能になると例示したことも、「資源獲得のために武力を使っていいのか」と疑問。「今までいかに政治を『お任せ』してきたか分かった。母親として見過ごせない」と話した。6歳と2歳の男児を育てる松本市職員の今井留衣さん(39)は、信州大大学院法曹法務研究科の成沢孝人教授(憲法学)を講師に7月11日から全5回の憲法学講座を開こうと準備を進めている。子どもの未来に関わると感じて安保関連法案の国会中継を見るようになった。ただ、法案の合憲性論議では「72年政府見解」「砂川事件判決」といった言葉が飛び交い、「よく分からないことばかり」。ママ友との話題にもなりにくい。「賛否を決める前にまずお父さん、お母さんが気楽に学び合える場をつくりたい」と意気込んでいる。下伊那郡阿智村では昨年10月、40~70代の女性10人ほどが「女性のための平和学習会」をつくった。今年5月下旬には憲法や集団的自衛権を分かりやすく解説する紙芝居を発表。老人クラブや婦人会の会合で上演している。事務局の原佐代子さん(68)は「紙芝居を見たお年寄りから『孫を戦争に取られないか心配』との声を聞く。子育て教室などでも上演したい」と話している。

*3-3:http://news.nifty.com/cs/domestic/societydetail/kanaloco-20150614-102526/1.htm (niftyニュース 2015年6月14日) 横浜で安保法案反対デモ 「武器運びたくない」
 県内の鉄道やトラック、港運などの労働者でつくる労働組合「神奈川県交通運輸産業労働組合協議会(神奈川交運労協)」は13日、国会で審議中の安全保障関連法案に反対するデモを横浜市内で行った。参加者は「憲法違反の戦争法案を許すな」「われわれは戦争のための輸送はしないぞ」と訴えながら約2キロを練り歩いた。デモに先立つ集会では、憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使容認に批判が集まった。安保政策における専守防衛の基本を大転換させた解釈改憲が新たな安保法制の前提となっていることから、神奈川交運労協の本間秀明議長は「安倍政権は勝手な憲法解釈を国民に押しつけようとしている。これを許せば、日本は戦争国家になってしまう」と強調した。デモには約720人が参加(主催者発表)し、トラック運転手の男性(49)は「戦争に使う武器をわれわれが運ぶことになるかもしれない。そうした仕事はしたくない」と切実さを込めて話した。別のトラック運転手の男性(59)は「(集団的自衛権が行使できるよう安保法制を)変えたいのなら、国民に問うという手順を踏むべきだ」と批判した。


PS(2015年6月16日追加): *4-1、*4-2のように、自民党は、他国からの武力攻撃や大災害・感染症の際に、首相の権限を強化する緊急事態条項を衆院憲法審査会などで最優先に議論する方針を固めたそうだが、他国からの武力攻撃と災害・感染症は全く性質の異なる事態であるため、①何を緊急事態とするのか ②その際の首相の権限をどう強化するのか ③それがBestな方法なのか について議論すべきだ。何故なら、それによって、自民党が本音では何をしたいかがわかるからである。

*4-1:http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2015052301001447.html
(東京新聞 2015年5月23日) 緊急事態条項を最優先 憲法改正、自民党方針 
 自民党は憲法改正に関し、他党の賛同が得やすいとみる緊急事態条項、環境権、財政規律条項の中で緊急事態条項を衆院憲法審査会などで最優先に議論する方針を固めた。自民、公明両党内に慎重論がある他の2項目に比べ、合意形成が見込めると判断した。自民党幹部が23日、明らかにした。26日に審議入りする安全保障関連法案をめぐり与野党対立の激化が予想され、審査会での改憲議論は停滞する可能性もある。緊急事態条項は、大災害や他国からの武力攻撃の際、首相の権限を強化することなどが柱。

*4-2:http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2015052701001671.html
(東京新聞 2015年5月28日) 参院憲法審、改正で各党が見解 自民、緊急条項新設訴え
 参院憲法審査会が27日、国会内で開かれ、各党が憲法改正をめぐり見解を表明した。自民党が最優先で議論を進めたいとしている大規模災害などに対応する緊急事態条項について、同党はあらためて必要性を訴えた。他の党からは、一定の理解を示しつつも、慎重論議を重ねるべきだとの意見が出た。自民党の佐藤正久氏は「緊急事態には、外国からの攻撃や感染症などが想定される。個別の法律で対処するのは限界がある」と主張。緊急事態条項の憲法明記へ議論を急ぐよう求めた。公明党の西田実仁氏は、同条項を取り上げる必要性は認めた上で「人権制限が行われる懸念がある」と指摘。


PS(2015年6月24日追加): *5のように、(他地域も同様だろうが)長野県内の36市町村議会が、国会審議中の安全保障関連法案について廃案や慎重審議を求める意見書案を可決したそうで、私は、こちらの方が正しいと考える。特に原発や使用済核燃料をかかえている市町村議会の意見を知りたい。

*5:http://www.shinmai.co.jp/news/20150624/KT150623ATI090031000.php
(信濃毎日新聞 2015年6月24日) 県内意見書可決 計36市町村会に 安保法案「反対」「慎重に」
 中野市、千曲市、上伊那郡箕輪町、木曽郡上松町、東筑摩郡朝日村、下水内郡栄村の6議会は23日、国会審議中の安全保障関連法案について廃案や慎重審議などを求める意見書案を可決した。安倍晋三首相らに提出する。県内市町村議会の6月議会で同様の可決は少なくとも36件になった。中野市議会は議員提出の「国民的合意のないままに、安全保障体制の見直しを行わないことを強く求める」意見書案に、議長を除く19人中18人が賛成。安保法制の整備は「国際紛争の場に自衛隊を派遣するということ」とし、「憲法9条に逸脱している」と主張している。千曲市議会は、十分な国民的議論と国会での慎重審議を求める議員発議の意見書案を全会一致で可決した。「国民の間には政府の考える『(集団的自衛権の)行使の対象・範囲』など具体的な事例に対して、十分な理解が得られていない」としている。箕輪町議会は、法案の今国会での成立断念を求める意見書案を全会一致で可決。「自衛隊が戦争に巻き込まれる」「歯止めのない自衛隊の海外活動が展開される」といった不安が広がっていると主張している。上松町議会は法案の撤回・廃案を求める意見書案を全会一致で可決。法案は「戦争を放棄した平和国家日本の在り方を根本から変えるもので、容認できない」とした。朝日村議会は、慎重審議を求める議員発議の意見書案を全会一致で可決した。「国の根幹に関わる重要法案にもかかわらず、現在国民の間で十分理解されているとは考えられない」とし、「今国会での強行成立は避け、広く国民の合意を形成するよう要請する」としている。栄村議会は法案の慎重審議を求める意見書案について、議長とこの日欠席した議員を除く10人全員が賛成。「拙速な議論ではなく、徹底的な審議と多面的な検討」を求めている。一方、下伊那郡阿智村議会は、沖縄県名護市辺野古への米軍基地移設問題に絡み、地方自治の尊重を政府に求める意見書案を全会一致で可決した。沖縄県民が移設に反対の意を表しているのに「国の姿勢は県民の自主性や自立性を尊重しているか疑問」としている。県内市町村議会での6月定例会で同様の可決は少なくとも4町村となった。


PS(2015年6月26日追加): *6-1、*6-2のように、百田氏が、集団的自衛権の行使容認に賛成の立場を表明した上で「沖縄の2つの新聞はつぶさないといけない。沖縄のどこかの島が中国に取られれば目を覚ますはずだ」と主張した見識の低さには呆れる。木原稔議員は通常はリベラルな人なのだが、講師に百田氏を招いた責任はあるだろう。そして、「憲法改正に悪影響を与えている番組を発表し、スポンサーを列挙し、経団連に働きかけて広告料収入がなくなるようにしてマスコミを懲らしめて欲しい」と発言した人の方が重大な問題であり、その人も国民に選出された現職の国会議員であるため、その人の名前を報道するか、この人たちにTVの前で話をさせるのがよいと考える。何故なら、主権者である国民は、事実(ここが重要)を知って選択と判断をすべきであり、メディアはそのためのインフラだからだ。
 
*6-1:http://www.asahi.com/articles/ASH6T5W6FH6TUTFK00X.html
(朝日新聞 2015年6月25日) 「経団連に働きかけ、マスコミ懲らしめを」 自民勉強会
 安倍政権と考え方が近い文化人を通し、発信力の強化を目指そうと、安倍晋三首相に近い若手議員が立ち上げた勉強会「文化芸術懇話会」(代表=木原稔・党青年局長)の初会合が25日、自民党本部であった。出席議員からは、広告を出す企業やテレビ番組のスポンサーに働きかけて、メディア規制をすべきだとの声が上がった。出席者によると、議員からは「マスコミを懲らしめるには広告料収入がなくなるのが一番。経団連に働きかけて欲しい」「悪影響を与えている番組を発表し、そのスポンサーを列挙すればいい」など、政権に批判的な報道を規制すべきだという意見が出た。初会合には37人が参加した。官邸からは加藤勝信官房副長官が出席し、講師役に首相と親しい作家の百田尚樹氏が招かれた。同会は作家の大江健三郎氏が呼びかけ人に名を連ねる「九条の会」などリベラル派に対抗するのが狙い。憲法改正の国民投票まで活動を続けたい考えだという。

*6-2:http://www.nikkansports.com/general/news/1497679.html
(日刊スポーツ 2015年6月25日) 百田尚樹氏「沖縄の2つの新聞はつぶさないと」発言
「文化芸術懇話会」の初会合で講演する作家の百田尚樹氏(右)(共同) 安倍晋三首相に近い自民党の若手議員約40人が25日、憲法改正を推進する勉強会「文化芸術懇話会」の初会合を党本部で開いた。安全保障関連法案に対する国民の理解が広がらない現状を踏まえ、報道機関を批判する意見が噴出した。講師として招いた作家の百田尚樹氏に助言を求める場面も目立った。出席者によると、百田氏は集団的自衛権の行使容認に賛成の立場を表明した上で、政府の対応について「国民に対するアピールが下手だ。気持ちにいかに訴えるかが大事だ」と指摘した。出席議員からは、安保法案を批判する報道に関し「マスコミをこらしめるには広告料収入をなくせばいい。文化人が経団連に働き掛けてほしい」との声が上がった。沖縄県の地元紙が政府に批判的だとの意見が出たのに対し、百田氏は「沖縄の2つの新聞はつぶさないといけない。あってはいけないことだが、沖縄のどこかの島が中国に取られれば目を覚ますはずだ」と主張した。懇話会は木原稔青年局長が代表で、首相側近の加藤勝信官房副長官や萩生田光一・党総裁特別補佐も参加した。出席者の一連の発言について、自民党中堅は「自分たちの言動が国民からどのような目で見られるか理解していない。安保法案の審議にマイナスだ」と指摘。公明党幹部は「気に入らない報道を圧力でつぶそうとするのは情けない。言葉を尽くして理解を求めるのが基本だ」と苦言を呈した。


PS(2015年7月15日追加):違憲の法律は安保関連法案だけでなく、他にも多い。そのため、現在は限定的にしか運用されていない違憲立法審査権(法律・命令・規則・処分が憲法に適合するか否かを審査する裁判所の権限で、最高裁判所が終審裁判所)を使いやすくし、三権分立がもっと有効に働くようにして、問題のある一般法を見直すべきである。

*7:http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2015071502000125.html
(東京新聞 2015年7月15日) 反安保 大学にも拡大 「憲法を無力化」「今声上げねば」
 安全保障関連法案に反対する動きが各地の大学に広がっている。「民意や立憲主義に反し、戦争につながる」と教員有志が危機感を募らせ、緊急声明や集会を重ねている。十四日は市民団体や学者グループによる声明も相次いだほか、実戦となる恐れもあったイラクへの自衛隊派遣の検証を求める声も上がった。十四日昼、東京都港区の明治学院大の教室で「声明を語る会」が開かれ、教職員と学生ら計二十人が集まった。教員有志十五人は六日、「憲法の平和主義が無力化される」と法案への反対声明を発表。学内に掲示し、百七十人超の賛同人を集めている。「語る会」はこの日を含め四回開催。昼休みにランチを食べながら、日本の戦後責任や九条、言論への圧力といった問題をテーマに挙げた。今後も続ける予定で、呼び掛け人の猪瀬浩平准教授(文化人類学)は「法案は多様な問題を含む。開かれた対話の場としての大学の役割を果たせれば」と語る。国会審議が本格化した六月から、法案に反対する大学有志の声明が出始め、東京大でも今月十日、学生や教職員、OBらによる抗議集会に三百人が集まった。国際基督教大の稲(いな)正樹客員教授(憲法)は十三日、政治学、国際関係学の異分野の三人で声明を発表。「法の支配の根本が覆される事態。今声を上げなくては、研究を続けてきた意味がない」と危機感を募らせる。立命館大の法学部と法科大学院の教員有志六十四人も同日、「戦争準備法の性格を持つ」と法案に反対する声明を発表。他学部の教員が入り、全学で賛同を募る活動もインターネットで始まった。憲法学者の多くが「違憲」とする法案を強行しようとする政権の動きに、小松浩教授(憲法)は「専門知を軽視し、学問を侮辱する政権への憤りが広がっている」と厳しく批判した。東京学芸大の教員有志七十八人は十四日、法案の撤回を求めて緊急アピールを発表。とりまとめた教育学部の及川英二郎准教授(近現代史)は「強行採決を何としても阻止したいと賛同を募った」。十六日に学内集会を開く。
◆学者9000人「廃案を」「採決反対」市民団体 
 ■「安全保障関連法案に反対する学者の会」は14日、緊急要請行動として会の呼び掛け人14人が
   衆院特別委員会の自民、公明、民主、維新、共産各党の理事や委員の議員室を衆院議員会館に
   訪ね、強行採決せず廃案とするよう訴えた。参加したのは佐藤学・学習院大教授(教育学)ら。
   思想家の内田樹氏ら4人は与党側筆頭理事を務める江渡聡徳前防衛相(自民)の議員室を訪れ
   「9000人以上の学者が法案に我慢しきれず反対の意思表示をしている事実を重く受け止めて
   ほしい」と秘書に伝えた。社会学者の上野千鶴子氏は江渡氏の議員室を訪ねた後に「憲法に違反
   する法律をつくったら、立法府まるごと、議員全員が憲法違反を犯すことになりますよ」と強調した。
   会には6月の発足からこの日までに、呼び掛け人61人、賛同者9766人の計9827人の学者が
   名を連ねている。
 ■海外で人道支援や協力活動をする団体の有志がつくった「NGO非戦ネット」は14日、自衛隊が
   海外で武力を行使すれば、非政府組織(NGO)の活動環境は著しく危険になるなどとして、安全
   保障関連法案の採決に反対する声明を発表した。声明では、安保法案は日本を戦争ができる国
   にしようとするもので、憲法の平和主義に反すると指摘。非軍事の国際貢献が必要だとしている。
 ■市民団体のピースボート(東京)と韓国の環境NGO「環境財団」は14日、安全保障関連法案の
   採決に反対する共同声明を出した。声明は「憲法解釈を変えて集団的自衛権行使を容認する
   ことは相互不信を増幅し、アジアの緊張を高める」と政府を批判。近隣諸国の市民の声に耳を
   傾け、立憲主義を尊重するよう求めている。

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2014.6.3 集団的自衛権は、どこまで認められるのか (2014.6.4追加あり)
(1)日本国憲法について
1)憲法9条の解釈の変遷
 *1-1のように、日本国憲法は、前文で「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し」として主権在民であることを明確化しており、英文のオリジナルは、「We ,the Japanese people,~」で始まるため、国民が主語であり主体であることが、より明確である。

 また、憲法9条1項では、「戦争と武力行使を、国際紛争を解決する手段としては、永久に放棄する(戦争放棄)」とし、同2項で「この目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は保持しない、国の交戦権も認めない(戦力不保持)」としている。

 憲法9条の解釈の変遷は、*1-2に記載されているとおり、1959年に最高裁判決が出た砂川事件の時代には、一審の東京地裁は「安保条約での米軍駐留も憲法9条に反する」としたのに対し、最高裁が、「安保条約や在日米軍については高度の政治性を有し、司法裁判所の審査にはなじまない」として判断を避け、「日本は、主権国として持つ固有の自衛権は否定されていない」とした。つまり、この時代は、憲法9条に照らして、安保条約や自衛権の存在も争われていたことがわかる。そして、戦力である自衛隊は、1954年7月1日に、「我が国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、直接侵略及び間接侵略に対し我が国を防衛することを主たる任務とし、必要に応じ、公共の秩序の維持に当たるもの」として設立された。私は、「必要に応じて公共の秩序の維持に当たる」の具体例がどういうものか、昔の憲兵のようなものでないのかは、確認しておきたい。

 一方、*1-3の東京弁護士会会長声明は、「砂川判決は、たとえ個別的自衛のためであっても戦力を持てるかどうかについては判断していない」「ましてや個別的自衛権とは異なる集団的自衛権を肯定しているなどとは言えない」「砂川判決は駐留米軍が戦力にあたらないと判断しただけである」「岸信介首相(当時)も、砂川判決直後の1960年(昭和35年)3月31日の参議院予算委員会において、『集団的自衛権は日本の憲法上は、日本は持っていない』と答弁している」としている。

2)自主憲法であることは重要な要素か
 日本国憲法は、昭和20年(1945年)8月15日のポツダム宣言受諾後、連合国軍の占領中に連合国軍最高司令官の監督の下で「憲法改正草案要綱」が作られ、昭和21年(1946年)11月3日に公布されて、翌年の昭和22年(1947年)5月3日から施行された。この経緯から、「日本国憲法は日本国民が自主的に作った憲法ではないので自主憲法を作ることこそ重要だ」と主張する人がおり、自主憲法の制定は自民党の党是とされている。しかし、自民党員や自民党議員も現行憲法下で生まれた人が多いため、全員が自主憲法の制定が必須と思っているわけではないだろう。

 私自身は、無所属だが、自民党の憲法改正草案(https://www.jimin.jp/policy/policy_topics/pdf/seisaku-109.pdf 参照)より現行憲法の方が格調高く、国民主権、基本的人権の尊重、平和主義の理念を高らかに謳っており、よいと思う。現行憲法は、民主主義を獲得するために苦労してきた欧米諸国が敗戦国としての日本に強制したからこそできた理想の憲法であるため、自民党の憲法改正草案のようなものが出てくるようなら、日本が憲法改正を語るのは、かなり時期尚早だと考える。

(2)自衛権について
1)個別的自衛権・集団的自衛権と自衛権の関係
 憲法改正を行えば、どういう憲法になるかわからないため、憲法改正はせず、自衛権の中に個別的自衛権と集団的自衛権があり、どちらにしても、日本は最高法規である日本国憲法により、真に自衛に属する武力行使以外は行わないとするのが妥当だと考える。これは、ご都合主義の憲法解釈の変更と言うより、憲法解釈の進化と考えてよいのではないだろうか。

 もちろん、日本国憲法の98条で、「この憲法は国の最高法規であり、これに違反する法律、命令、詔勅、国務行為は効力を有しない(憲法の最高法規性)」としているので、日本国憲法違反の法律、命令、詔勅、国務行為は効力を有しないのであり、このブログの2014.3.6に記載したとおり、日本の領土・領海が直接攻撃された場合のみ、集団的自衛権も行使できると考えるのが妥当だろう。

2)集団的自衛権、集団安全保障、日米安全保障条約の関係
 *2-1に書かれているように、政府が「基本的な方向性」に盛り込む予定の事例が下のようになったとのことであるため、私の感覚から○、×、△(日本領土の自衛に資するものか否かの判断を要す)をつけると、下のようになる。
 【集団的自衛権】←下の事例の中には、日本領土の自衛に資するものがないため、○はない。
  ●公海上で米艦船への攻撃に対する応戦 △
  ●米国に向かう弾道ミサイルの迎撃 △
  ●日本近隣で武力攻撃した国に武器を供給するために航行している外国船舶への立ち入り検査 △
  ●米国を攻撃した国に武器を提供した外国船舶への検査 △
  ●日本の民間船舶が航行する外国の海域での機雷除去 ×
  ●朝鮮半島有事の際に避難する民間の邦人らを運ぶ米航空機や米艦船の護衛 × 
 【集団安全保障】←但し、「国際平和活動」の定義は厳格にすべきである。
  ●国際平和活動をともにする他国部隊への「駆けつけ警護」など自衛隊の武器使用 ○
  ●国際平和活動に参加する他国への後方支援 ○
 【グレーゾーン事態】←領土、領海への進入対処こそ自衛であり、グレーゾーンではないだろう。
   また、結果を確実にするためには、これこそ集団的自衛で行うべきである。
  ●日本の領海に侵入した潜水艦が退去要請に応じない場合の対処 ○
  ●日本領土の離島に上陸した武装集団への対処 ○ (←上陸させないことの方が先だ)

 *2-2で、「安倍晋三首相や自民党幹部が限定的な行使容認を目指す姿勢を強調しており、『必要最小限』だから心配は要らない」と言っており、「必要最小限」の範囲は日本国憲法9条1項に記載され、98条には「憲法に違反する法律、命令、詔勅、国務行為は効力を有しない」と記載されているのだから、首相がどう答弁しようと、集団的自衛権の範囲が止めどなく広がることは不可能であり、それを監視するのはメディアと国民の役割だ。なお、このような状況であるから、わが国では、日本国憲法を改正する前に、現行憲法に照らしてものを考え、違憲立法でないか、既存の法律をReviewする必要がある。

(3)日本はリスク管理できる国か
 *3のように、神戸新聞が社説で、「集団的自衛権、首相は行使のリスク語れ」と記載しているが、日本が安保条約を締結している米国を守るためなら何でもするような国になれば、日本も米国と同様、世界で一番狙われる国になるだろう。しかし、日本には、林立して使用済核燃料を大量に補完している原発、集中した石油施設や工業地帯など、戦争になればリスクの高い場所は枚挙に暇がない。

 また、人材も、原発事故や尖閣諸島での航空機の異常接近を想定外や不測の事態と説明したり、北方領土の返還に前向きで日本通のプーチン大統領を欧米と一緒になって制裁したりしている思考力であるため、残念だが、これでは自衛戦でも武力行使はおぼつかないと考える。

*1-1:http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S21/S21KE000.html 
日本国憲法 (昭和二十一年十一月三日公布)
  (われわれ)日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。
 日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。 日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。
(中略)
  第二章 戦争の放棄
第九条  日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
○2  前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
(中略)
第九章 改正
第九十六条  この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。
○2  憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する。
   第十章 最高法規
第九十七条  この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試錬に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。
第九十八条  この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。
○2  日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。
第九十九条  天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。

*1-2:http://digital.asahi.com/articles/ASG526SMMG52UTFK00W.html?ref=reca
(朝日新聞 2014年5月6日) 「国の存立脅かされる」事態とは 中東での行使も想定
 政府が集団的自衛権を使う際の新たな要件として検討する「我が国の存立が脅かされる」事態とは、どんなケースなのか。具体性に欠け、自衛隊が活動できる範囲に「歯止め」がかからない恐れがある。政府が検討にあたって最も重視する最高裁判決にも、公明党や憲法学者から解釈の仕方に疑問の声があがる。新たな要件では、自衛隊の活動範囲をできるだけ縛らないようにする――。これまで政府が示してきた事例や発言からは、そうした姿勢が透けて見える。首相の私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)。政府側がこの中で、ペルシャ湾・ホルムズ海峡を念頭に置いた機雷除去を「我が国の存立」を脅かす可能性のある事態として持ち出したことがある。ホルムズ海峡は日本が輸入する原油の8割が通過する。政府側は懇談会に「機雷が放置されれば、我が国の経済及び国民生活に死活的な影響があり、我が国の存立に影響を与えることにならないか」と問題提起した。委員らはこうした事態では、集団的自衛権を行使すべきだと賛同した。中東のような日本から遠く離れた場所で発生した他国への攻撃でも、政府が「我が国の存立」にかかわると判断すれば集団的自衛権を行使する。その可能性を示した議論だった。安倍晋三首相も先月8日のBS番組で、遠隔地での集団的自衛権の行使について、「例えば日本人を守ると考えた時、近くなら守るが(地球の)裏側なら助けに行かないのか」と述べ、含みを残した。これまでの3要件は、武力行使の基準がはっきりしていた。日本が直接攻撃されたときに限られ、「急迫不正の侵害」がいつ発生したと政府が判断するかも、具体的な国会答弁が積み重ねられてきた。例えば、北朝鮮を念頭に置いた弾道ミサイルについての国会答弁。政府は、日本に向けて発射された時点で、日本への武力攻撃が発生したと判断する、としている。また、相手国から「東京を火の海にしてやる」などの表明があって、ミサイルの燃料が注入され、ミサイルが発射できる態勢になった場合についても「武力攻撃の着手」と認め、個別的自衛権の発動が許されることもありうるとしてきた。一方、集団的自衛権は「憲法上認められない」としてきたこともあり、どういう場合に行使が許されるか、政府の公式な見解はない。政府が想定するのは、ホルムズ海峡に加えて、朝鮮半島有事だ。朝鮮半島で戦闘が拡大すれば、北朝鮮が日本国内の米軍基地をミサイル攻撃するなど、「日本有事」につながる可能性がある。そのため、米国や韓国への攻撃を「我が国の存立が脅かされる」事態と判断するケースもありうる、という理屈だ。だが、具体的にどの時点でそう判断するのかは不透明だ。
■「砂川判決」根拠に、公明は反発
 新たな要件の背景にあるのが、1959年、米軍駐留の合憲性が問われた「砂川事件」での最高裁判決だ。判決では「自衛権」について「自国の平和と安全を維持しその存立を全うするために必要な自衛のための措置」と定義した。自民党の高村正彦副総裁は今春、「判決は必要最小限の措置であれば、集団的自衛権も排除されないとしている」と主張しはじめた。最高裁判決では、「集団的自衛権」という文言はないが、45年制定の国連憲章では個別的、集団的自衛権双方を規定しているため、「当時の裁判官が、集団的自衛権を全く視野に入れていなかったとは考えられない」という。しかし、集団的自衛権に直接言及していない最高裁判決を、行使の根拠にするには無理がある、という意見も根強い。公明党の山口那津男代表は「判決のころは自衛隊が発足して間もないころで、日米安全保障体制が憲法違反という人も多かった。当時、集団的自衛権を視野に入れて判決が出された、という人はいなかったと思う」と指摘する。改憲論者である小林節・慶応大名誉教授も「30年以上憲法学者をやってきたが、集団的自衛権の論議で、砂川事件は教わったこともないし教えたこともない。自民党が苦し紛れにやっている」と批判している。
    ◇
〈砂川事件の最高裁判決〉 東京都砂川町(現立川市)の旧米軍立川基地の拡張に反対した7人が基地に入り、日米安保条約に基づく刑事特別法違反に問われた事件で1959年に言い渡された。一審の東京地裁は安保条約での米軍駐留は憲法9条に反するとして全員無罪としたが、最高裁が破棄した。安保条約や在日米軍については「高度の政治性を有し、司法裁判所の審査には原則としてなじまない」と判断を避けた。日本の自衛権については「主権国として持つ固有の自衛権は何ら否定されたものではない」「(国の)存立を全うするために必要な自衛のための措置をとりうる」と言及した。

*1-3:http://www.toben.or.jp/message/seimei/post-357.html (東京弁護士会 2014年5月2日) 砂川事件判決を集団的自衛権の根拠とすることに反対する会長声明
 砂川事件最高裁判決を根拠として、集団的自衛権の行使を容認する動きが伝えられる。すなわち、同事件の最高裁判決に「自国の平和と安全を維持しその存立を全うするために必要な自衛のための措置をとりうる」とあることを根拠に、「最高裁は、わが国の存立を全うするのに必要な範囲で、個別的か集団的かという区別をせずに自衛措置を認めている」として、集団的自衛権の限定容認を正当化しようとする試みである。しかし、当会は、法律家団体として、集団的自衛権の行使を容認する根拠に砂川判決を援用することは余りにも恣意的な解釈であって、不適切であると考える。砂川事件は、1957年(昭和32年)、米軍が使用する東京都下の砂川町にある立川飛行場の拡張工事を始めた際に、工事反対派のデモ隊が乱入し、旧日米安全保障条約第3条に基づく行政協定に伴う刑事特別法違反として起訴された事件である。争点は、旧安保条約に基づく米軍の駐留が憲法9条2項の「戦力」にあたるかどうかであった。
 最高裁判所は、駐留軍が憲法9条2項の「戦力」に該当するから違憲だとした一審の東京地方裁判所の判決を取消し、次の理由で事件を差し戻した。第1に、「戦力」とは「わが国自体の戦力を指し、外国の軍隊は、たとえそれがわが国に駐留するとしても、ここにいう戦力には該当しない」から駐留米軍は「戦力」にあたらない。第2に、駐留の根拠となる旧日米安保条約は高度の政治性を有するものであって、一見極めて明白に違憲無効であると認められない限り、司法裁判所の審査には馴染まない。砂川判決が示したのは、この2点である。
 一般に、判決文として示されたなかで判例として拘束力をもつのは、判決の結論を導く直接の理由付けであり、それ以外は傍論であって拘束力を持たない。砂川判決は、第1の判断の過程で「わが国が主権国として持つ固有の自衛権は何ら否定されたものではなく」、「わが国が、自国の平和と安全を維持しその存立を全うするために必要な自衛のための措置をとりうることは、国家固有の権能の行使として当然のことといわなければならない。」と述べているが、それは、米軍が日本に駐留していることと国家固有の自衛権が矛盾しないことを傍論として説明したものに過ぎず、先の第1、第2のいずれの結論の根拠となるものではない。このような傍論を安易に一般化し、それを最高裁判所の判決の趣旨であるかのように主張することは、判決の引用の仕方としては恣意的とのそしりを免れない。そのことは、1976年(昭和51年)3月30日参議院予算委員会の答弁において、高辻正己内閣法制局長官(当時)が砂川判決が駐留米軍の合憲性以外のことについて判断を下していないと明言していることからも明らかである。しかも最高裁判決が傍論において「固有の自衛権」として認めているのは、「他国」ではなく「自国の平和と安全を維持しその存立を全うするために必要な」限りでの自衛権であるから、それは個別的自衛権にほかならない。他方、砂川判決は、たとえ個別的自衛のためであっても戦力を持てるかどうかについてはあえて判断していないのであって、ましてや個別的自衛権とは異なる集団的自衛権を肯定しているなどと言えないことは明らかである。それゆえ、岸信介首相(当時)も、砂川判決直後の1960年(昭和35年)3月31日の参議院予算委員会において、「集団的自衛権は日本の憲法上は、日本は持っていない」と答弁しているのである。以上のように、砂川判決は駐留米軍が戦力にあたらないと判断したに留まり、自衛権について触れた傍論が認める「固有の自衛権」もあくまでも個別的自衛権を指すだけであり、集団的自衛権を含んでいない。したがって、砂川判決を根拠として集団的自衛権を認める余地はないのである。当会は、砂川事件最高裁判決の趣旨を歪曲して集団的自衛権行使容認の根拠とすることに強く反対する。

*2-1:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11131666.html (朝日新聞 2014年5月13日) 政府、行使事例提示へ 「基本的な方向性」の概要判明 集団的自衛権
 他国を守るために武力を使う集団的自衛権の行使容認をめぐり、政府が与党に示す事例集の概要が分かった。集団的自衛権では朝鮮半島有事の際に避難する民間人を運ぶ米艦船の防護を例示。さらに尖閣諸島での中国との対立を念頭に、有事に至らない「グレーゾーン事態」の法整備も求めている。行使容認に慎重な公明党や世論を引き込む狙いがある。安倍晋三首相は、行使を認める憲法解釈の変更を閣議決定で行う考えだ。しかし、ときの政権の意向で憲法の根幹である9条の解釈が変えられることには、公明党や世論の中にも強い懸念がある。首相側は週内に、事例集を中心にした「基本的な方向性」を与党に示して検討を要請。閣議決定に向けた具体的な手続きに踏み出す。首相側が示す事例は、集団的自衛権に加え、国連の加盟国が一致して制裁を加える「集団安全保障」、相手国から武力攻撃を直接受けていない「グレーゾーン事態」の3分野に及ぶ。これまで政府は、米国に向かう弾道ミサイルの迎撃などの事例を示してきたが、公明党の理解を得るために、新たな事例を追加することが明らかになった。例えば、集団的自衛権では、朝鮮半島有事の際に、韓国から避難する邦人ら民間人を運ぶ米航空機や米艦船を自衛隊が護衛する事例だ。さらに「グレーゾーン事態」では、尖閣諸島での中国との対立を念頭に、離島に上陸した武装集団への対処を追加することもわかった。これは公明党が「集団的自衛権より先に検討すべきだ」と主張している。首相側が打ち出す「基本的な方向性」は当初、「政府方針」と呼んでいた。しかし、公明党からの反発に加え、政府内にも「政府の考えを押しつけるイメージになる」(関係者)との意見があり、名称を変えることにした。首相の私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)は週内に、行使容認を政府に求める報告書を提出。これを受け、首相は「基本的な方向性」を同日にも示す。与党はこれを受けて協議を始める。
■政府が「基本的な方向性」に盛り込む予定の事例
【集団的自衛権】
●公海上で米艦船への攻撃に対する応戦
●米国に向かう弾道ミサイルの迎撃
●日本近隣で武力攻撃した国に武器を供給するために航行している外国船舶への立ち入り検査
●米国を攻撃した国に武器を提供した外国船舶への検査
●日本の民間船舶が航行する外国の海域での機雷除去
○朝鮮半島有事の際に避難する民間の邦人らを運ぶ米航空機や米艦船の護衛
【集団安全保障】
●国際平和活動をともにする他国部隊への「駆けつけ警護」など自衛隊の武器使用
●国際平和活動に参加する他国への後方支援
【グレーゾーン事態】
●日本の領海に侵入した潜水艦が退去要請に応じない場合の対処
○離島に上陸した武装集団への対処
 【注】●は政府がこれまで安保法制懇に示した事例。○は今回、新たに追加された事例。

*2-2:http://www.nishinippon.co.jp/nnp/syasetu/article/91830
(西日本新聞 2014年5月31日) 集団的自衛権 早くも広がる行使の範囲
■安全保障を考える■ 
 集団的自衛権について、安倍晋三首相や自民党幹部は、限定的な行使容認を目指す姿勢を強調している。これまでの枠は破るが、「必要最小限」だから心配は要らない‐という論理である。しかし一方で、「必要最小限」の範囲が止めどなく広がり、やがては日本が大義のない戦争に参加することになるのではないか、と不安に思う人々もいる。今週、国会で集団的自衛権に関する本格的な論戦が始まった。国会審議での安倍首相の答弁を聞く限り、「行使の範囲拡大」の懸念は一層強まったといえる。象徴的なのは、首相が記者会見で持ち出した「米艦による邦人退避」の事例だ。朝鮮半島有事を念頭に、在留日本人を日本に向けて輸送中の米艦船を自衛隊が防護するため、集団的自衛権の行使を容認すべきだと主張している。各党の委員がこの事例を突っ込んで質問したところ、首相は「日本人が乗っていないから駄目だということはありえない」「米国の船以外は駄目だと言ったことはない」などと述べ、日本人が乗船していない艦船や、米船籍以外の船舶も防護の対象とする考えを示した。首相は論議開始早々、自ら示した事例の範囲を大きく広げた。また、野党の委員が「自衛隊が戦闘地域に行ってはならないという歯止めは残すのか」と質問すると、首相は「(戦闘、非戦闘)地域の概念にはさまざまな議論があった。さらに精緻な議論をする必要がある」と答え、自衛隊が活動可能な「非戦闘地域」の概念を拡大する可能性を示唆した。「日本人を守る」という事例を前面に押し立てて集団的自衛権の行使を認めさせ、その後は状況に応じていくらでも行使の範囲を広げていく‐。それが首相と自民党の戦略なのだろうか。集団的自衛権の行使容認論者の中にも「歯止め」の重要性を訴える人は少なくない。「必要最小限」とは具体的に何なのか、国会でもっと掘り下げて議論してほしい。

*3:http://www.kobe-np.co.jp/column/shasetsu/201405/0007008398.shtml
(神戸新聞社説 2014/5/31) 集団的自衛権/首相は行使のリスク語れ
 集団的自衛権をめぐる集中審議が衆参両院で行われた。安倍晋三首相が行使容認に向けた憲法解釈変更の検討を表明して初の国会論戦だ。議論の焦点は、なぜ今、集団的自衛権の行使が必要なのか、それを憲法解釈の変更で認めていいのか、この2点に集約される。戦後日本が掲げてきた平和主義の大転換につながる問題だ。国民には慎重な意見が多く、わずか2日間の審議で懸念を解消するのは難しい。引き続き国会の場で議論を尽くす必要がある。安倍首相は、日米同盟を維持するために集団的自衛権の行使が必要だと繰り返したが、想定する事例の矛盾点を突かれると曖昧な説明に終始した。「行使容認ありき」の前のめりの姿勢があらわになった格好だ。
 例えば「有事に邦人を乗せた米艦の防護」は、首相が記者会見でパネルを使い「日本人の命を守れなくてよいのか」と熱弁を振るった事例だ。ところが国会答弁では「日本人が乗っていなければ駄目ということはない」「米国以外の船は駄目とは言っていない」などと軌道修正した。中東のホルムズ海峡を念頭に、海上交通路の機雷除去にも集団的自衛権を使う必要があるとの認識を示した。憲法解釈で禁じられてきた「他国の武力行使との一体化」の制限緩和を検討する方針も示した。自衛隊の活動範囲が海外へ、戦闘地域へと際限なく拡大する恐れがある。実際に武力行使するかどうかは「時の内閣が総合的に判断し、慎重に決断する」とも述べた。行使は「限定的」「最小限度」とするが、具体性に欠ける。これでは時の政権を縛る明確な歯止めはないも同然だ。安倍首相は集団的自衛権を行使しなければ国民の命を守れない、と強調する。一方で、行使に伴うリスクについては一切語ろうとしない。他国のために自衛隊員が血を流し、戦争当事国とみなされて国民が危険にさらされる。本当に行使容認に理解を得たいなら、首相はこうした可能性についても国民にきちんと説明すべきだ。政府は年末の日米防衛協力指針見直しまでに閣議決定するスケジュールを描くが、答弁を聞けば聞くほど疑問が膨らむ。国会審議で徹底的に問題点を洗い出さねばならない。政権の暴走に歯止めをかける国会の存在意義が問われている。


PS(2014.6.4追加):下図及び*4のように、政府は、国際協力で、「戦闘地域」での多国籍軍等への自衛隊による後方支援範囲を大幅に広げる見直し案を示し、(1)支援する他国部隊が戦闘を行っている (2)提供する物品・役務が戦闘行為に直接使われる (3)支援場所が戦闘現場である (4)支援内容が戦闘行為と密接に関係する を掲げ、この4基準のすべてに該当しない限り、後方支援ができるとしたそうだが、何故、それでよいのかは説明がない。実際には、誰から見ても(敵から見ても)、平和主義の国が行う国際協力だという認識が共有できなければ、世界に敵を増やして、平和主義でいられなくなる。そのため、(1)~(4)の一つでも該当すれば、後方支援はしないという方向の方がよいと考える。

   
     *4の記事より
*4:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20140604&ng=DGKDASFS0304N_T00C14A6PP8000
(日経新聞 2014.6.4) 安保法制、新たな火種 「戦闘地域」でも後方支援、公明反発「事例で説明を」
 政府は3日、自民、公明両党の安全保障法制見直しに関する会合で、国際協力で多国籍軍などへの自衛隊による後方支援範囲を大幅に広げる見直し案を示した。従来は認めていなかった「戦闘地域」での活動も可能となる内容。反発した公明党は、政府が想定する支援の具体例を示して説明するよう求める構え。政府・自民党は焦点の集団的自衛権の論議に入る前に、新たな火種を抱えた。政府は3日の「安全保障法制整備に関する与党協議」で新しい基準を示した。(1)支援する他国部隊が戦闘を行っている(2)提供する物品・役務が戦闘行為に直接使われる(3)支援場所が戦闘現場(4)支援内容が戦闘行為と密接に関係する――を掲げ、この4基準にすべて該当しない限りは原則、後方支援ができるとした。単純に解釈すれば、自衛隊が戦闘地域に出向いて他国軍に水や食糧を提供したり、負傷兵を治療したりするなど幅広い支援が可能となる。新基準でも認められないのは、戦闘中の他国軍に現場で武器弾薬を直接渡すことなど極めて限定的なケースになる見通しだ。政府は過去の自衛隊の後方支援では「活動は非戦闘地域に限る」との制約をかけてきた。憲法9条が海外での武力行使を禁じているためだ。戦闘中の場所で他国軍に支援することは「他国の武力行使と一体化する」と見なし、憲法違反になるとの解釈をしている。政府は他国の武力行使と一体化する活動を認めないとの解釈を維持。そのうえで「戦闘地域」と「非戦闘地域」など曖昧な概念で線を引いて「一体化か否か」を判断してきた従来の基準を見直す。政府関係者は「新しい概念で線引きを明確にして自衛隊の活動範囲を広げるべきだ」と訴える。公明党の北側一雄副代表は協議後、記者団に「新基準では相当広い支援ができるようになる」と自衛隊の野放図な活動拡大に懸念を表明。党幹部は戦闘地域での支援は認められないと強調した。自民党にも戸惑う声が上がった。幹部の一人は「自衛隊派遣のリスクが大きくなり国民から理解を得られるか分からない」と漏らした。公明党の理解を得やすいと考えてきた分野でも火種が生じたことに頭を抱える。自公は3日、週1回ペースだった協議回数を増やすことを確認。安保法制見直しで掲げた15事例のうちまだ1事例も対処方針で合意しておらず、安倍晋三首相が意欲を示す集団的自衛権の行使容認に関する事例は議論にも入れていない。このままでは公明党がさらに議論に時間をかけるのは必至だ。政府内には支援の拡大範囲を抑える軌道修正を図るべきだとの声も出ている。

| 日本国憲法::2013.4~2016.5 | 04:55 PM | comments (x) | trackback (x) |
2014.3.6 集団的自衛権は、現行日本国憲法下でどこまで認められるか (2014.3.7追加あり)
   
 *2-3より             (図をクリックすると大きくなります)

(1)日本国憲法9条と集団的自衛権の関係について
 私は、日本国憲法は世界に誇れる立派な憲法で、その三大原則である基本的人権の尊重、国民主権、平和主義及び男女平等は、国内からでは実現できなかったものであるため、太平洋戦争で得た唯一最大の財産だと思っている。

 そして、*1のように、日本国憲法の9条1項には「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」と規定され、2項には「前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」と規定されている。

 このうち、「国際紛争を解決する手段としての戦争を永久に放棄する」というのは、放棄していない戦争があるということだが、それは、国際法上認められている自衛戦争(自国の領土を攻められた時に守る戦争)である。その自衛のやり方に、個別的自衛と集団的自衛があるため、私は、日本の領土を攻められた時に守る目的の集団的自衛は現行憲法でも認められていると思う。ただし、2項の戦力不保持は、1954年、自衛隊が発足した日に形骸化したのだが、自衛戦争目的ということで合理化されているのだ。

(2)日本はどこまでの集団的自衛権なら行使できるのか
 *2、*3に賛否と経過が記載されているが、現行の日本国憲法の下で日本が行使できる集団的自衛権は、日本の領土を攻められた時に守る権利を行使するための戦争だけであって、他国を守るために集団的自衛権を行使することはできないと解するのが自然であり、これがけじめだと、私は思う。

(3)具体的事例で考える
   
       ウクライナとロシア           尖閣諸島         北朝鮮
1)ロシアに対する態度はどうあるべきか
 *4-1のように、ウクライナもクリミアも内部に異なる民族を抱えているので気の毒だが、仮にロシアがウクライナに軍を投入することを決定してヨーロッパ諸国や米国と対立したとしても、日本はそれにかかわるべきでない。

 何故なら、国連安全保障理事会で決議が行われたとしても、イラク戦争のような欧米の我田引水のようなこともあるし、日本は自らそれを判別した上で先見の明ある公正な態度を決定できる国ではないからである。その理由は、日本が島国であり、国内に多様な民族や文化のぶつかり合いを抱えた上でそれをまとめた経験がないためか、視野の狭さがあるからだ。そのため、ウクライナとロシアの件では、憲法9条に基づき、日本は中立でいるのが正解だろう。

2)中国が尖閣諸島に侵攻する場合はどうすべきか
 *4-2のように、中国は、沖縄県石垣市の尖閣諸島久場島沖の接続水域内を中国海警局の公船「海警」2隻に航行させ、世界に尖閣諸島は中国の領土であることをアピールしている。これに対し、日本は海上保安庁の巡視船が領海に入らないよう警告したりしているものの、日本政府は太平洋戦争の歴史を否定したり、日本国憲法をアメリカから押し付けられたという理由で“改正”しようとしたりしているため、他のことで同盟国を敵にしており、肝心の尖閣諸島に関する広報戦で中国に完敗している。

 しかし、尖閣諸島は沖縄県石垣市であり、間違いなく日本の領土であるため、ここを自衛するのは憲法9条にも反せず、集団的自衛権も認められる筈だが、アメリカの態度は中国と対立したくないため曖昧で、肝心のところで日米安保条約や集団的自衛権が生きていないが、日本は、台湾とも協力しながら、あらゆる方法で目的を達するべきである。

3)北朝鮮の場合はどうか
 *4-3のように、安倍首相は、「米国が北朝鮮に攻撃された場合、日本が北朝鮮に武器弾薬を運ぶ船に強制的な検査を可能にすべき」と答弁したとのことだが、米国が北朝鮮に攻撃されるのは日本の領土を侵害されるものではないため、そもそも日本国憲法9条に合致した集団的自衛権の行使ではないし、米国は、世界の警察と自負していろいろな国で戦争をしているため、米国が攻撃されるのにいちいち日本がつき合っていたら、日本は、世界一戦争をする国となってしまう。

 そして、*4-4のように、名古屋高裁も、自衛隊が行う補給活動や米兵の輸送もまた「武力行使」「戦闘行為」と認定し、憲法9条に違反するとしており、こちらの方が常識的でわかりやすい判断だ。

(4)日本における原発等の危機管理について
 *5のように、ウクライナのデシツァ外相は、原発などの核施設防護について、欧州連合(EU)や北大西洋条約機構(NATO)に協力を要請する書簡を送り、治安の悪化で「チェルノブイリ原発事故のような核災害が起きることは誰も望んでいない」と指摘したそうだが、日本にも54基もの原発があり、それぞれの使用済核燃料プールには使用済核燃料が大量に保管されている。これらは、冷却装置が働かなくなっただけで大惨事になるものであるため、日本は、戦争の「せ」の字を語る前に、使用済核燃料を迅速に処分すべきである。

*1:http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S21/S21KE000.html
日本国憲法 (昭和二十一年十一月三日公布)  <関係個所のみ>
前文
 日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。
 日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。
 われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。
 日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。
第二章 戦争の放棄
第九条  日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
 2  前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
第三章 国民の権利及び義務
第十条  日本国民たる要件は、法律でこれを定める。
第十一条  国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。
第十二条  この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。
第十三条  すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
第十四条  すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

*2-1:http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2014021100231
(時事ドットコム 2014/2/11) 憲法解釈、閣議決定で変更=集団自衛権容認へ首相方針
 安倍晋三首相は11日、集団的自衛権の行使を可能にするための憲法解釈変更について、閣議決定により行う方針を固めた。政府の安全保障政策に関わる重要な意思決定で、これに伴い法改正も予定しているため、拘束力の強い形で政府見解を確立する狙いからだ。ただ、閣議決定には全閣僚の署名が必要で、行使容認に反対する公明党の太田昭宏国土交通相の対応が焦点になりそうだ。首相は5日の参院予算委員会で、集団的自衛権の行使容認に向け想定する手順について、(1)憲法の解釈変更(2)行使のための根拠法の整備 (3)行使するかどうかの政策的判断 の3段階と説明した。具体的には、政府の有識者会議が4月にまとめる提言を踏まえ、与党内調整を経て6月22日までの今国会中に解釈変更を閣議決定。秋の臨時国会で自衛隊法など関連法の改正を目指すとみられる。これに対し、公明党は「現状の憲法解釈を今直ちに変えなければいけないという認識は持っていない」(井上義久幹事長)などとして解釈変更に反対する構えを崩していない。太田国交相は5日の参院予算委で、与党内や国会での与野党間の論議を見守る考えを示すにとどめている。内閣法制局によると、政府が過去に憲法解釈を変更したのは、当初は文民としていた自衛官を、1965年に文民ではないと変えた1例のみ。その際は、当時の高辻正己内閣法制局長官が衆院予算委員会で「自衛官は文民にあらずと解すべきだ」と答弁し、続けて佐藤栄作首相が「法制局長官の答弁した通り」と答弁、これを追認した。

*2-2:http://www.saga-s.co.jp/news/global/corenews.0.2641106.article.html
(佐賀新聞 2014年3月1日) 集団的自衛権で個別法10超改正 / 政府方針、秋の臨時国会で
 政府は、集団的自衛権の行使を可能にするため、秋の臨時国会で有事に備える武力攻撃事態法や自衛隊法など10本を超える既存の個別法を改正する方向で調整に入った。行使容認の理念を盛り込む新法として想定していた「国家安全保障基本法」の制定は当面先送りする方針だ。政府関係者が1日、明らかにした。安倍政権は4月に安全保障に関する有識者懇談会(安保法制懇)から集団的自衛権の行使容認に向けた報告書を受け取り、6月22日の今国会会期末までに行使できないとしてきた従来の憲法解釈変更を閣議決定。その後、必要な法整備を図る段取りを描いている。

*2-3:http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2014030602000129.html (東京新聞 2014年3月6日) 自衛権3要件 拡大検討 首相表明で揺らぐ専守防衛
 安倍晋三首相は五日の参院予算委員会で、集団的自衛権の行使を容認するための解釈改憲に向けて、自衛隊の武力行使を限定した「自衛権発動の三要件」の拡大解釈を検討していると明らかにした。専守防衛の基本方針を具体化した三要件が変更されれば、憲法の平和主義の理念は大きく揺らぐ。 (後藤孝好)
Q 三要件って何?
A 他国から攻撃を受けた際、自国を守るための武力行使を抑制的に認めた憲法解釈だ。(1)わが国に対する急迫不正の侵害がある(2)これを排除するために他の適当な手段がない(3)必要最小限度の実力行使にとどまる-の三つを満たす場合しか、武力行使ができない。
Q いつからあるのか。
A 一九六八年、当時の内閣法制局長官が国会答弁で、憲法に基づいた自衛権の範囲の政府解釈として三要件を示した。その後の歴代政権も長年、解釈を維持してきた。
Q 集団的自衛権との関係は。
A 自分の国ではなく友好国が攻撃された時、一緒に武力行使する集団的自衛権は「わが国に対する急迫不正の侵害」には当たらず、「必要最小限度の実力行使」も超えているとして、憲法上行使が禁じられていると歴代政権は解釈してきた。
Q 首相はどこを変えようとしているのか。
A 首相は参院予算委で「『わが国に対する急迫不正の侵害』に至らなくても、事実上、わが国の生存権に大きな影響があるのではないかということも議論している」と指摘した。礒崎(いそざき)陽輔首相補佐官も五日の討論会で「必要最小限に入る集団的自衛権は何か、今、検討している」と表明した。
 「急迫不正の侵害」の対象を「わが国または密接な関係にある国」などとして他国への攻撃でも日本の武力行使を容認し、「必要最小限度の実力行使」に集団的自衛権の行使も含めようとしているようだ。
Q 大きな方針転換になる。
A 拡大解釈で武力行使のハードルが下がれば、自衛隊が海外の紛争地に出向いて、なし崩し的に戦闘に参加することにもなりかねない。

*3-1:http://mainichi.jp/opinion/news/20140212k0000m070079000c.html
(毎日新聞社説 2014年2月12日) 集団的自衛権の行使 今は踏み出す時でない
 集団的自衛権の行使を容認するための憲法解釈変更をめぐる議論が、国会で始まった。安倍政権は集団的自衛権を行使できるとした上で、政権の政策判断や関係する法律、国会承認によって歯止めをかけ、限定的に行使する方針を今国会中にも閣議決定するとみられている。しかし、安倍政権の外交姿勢や歴史認識を見ていると、いったん集団的自衛権の行使を認めてしまえば、対外的な緊張を増幅し、海外での自衛隊の活動が際限なく拡大され、憲法9条の平和主義の理念を逸脱してしまうのではないか、との危惧を持たざるを得ない。行使容認が日本の総合的な国益にどんな結果をもたらすか、慎重に考える必要がある。
◇政権の外交姿勢に懸念
 私たちは、冷戦期とも冷戦後とも異なる複雑な時代を生きている。2010年代に入って中国の経済的・軍事的な台頭が顕著になり、米国から中国へのパワーシフト(力の変動)が進行している。日本や国際社会を取り巻く脅威の内容も大量破壊兵器や弾道ミサイルの拡散、テロ、サイバー攻撃など多様化している。こうした安全保障環境の変化を踏まえ、安倍政権は、国際協調主義に基づく「積極的平和主義」を基本理念に掲げた。積極的に国際社会の平和と安定に寄与することにより、日本の平和と国益を守るという。集団的自衛権の行使容認もそのために必要なことだと位置づけられている。安保環境変化への安倍政権の問題意識は、私たちも理解する。日本が集団的自衛権を行使することで、朝鮮半島有事への効果的対応が可能になる側面はあるだろう。安倍政権には中国の軍備拡張や海洋進出に対する日米同盟の抑止力を強化する狙いもあるようだ。だが、さまざまな観点から私たちは、集団的自衛権の行使容認に今踏み出すべきではないと考える。安倍晋三首相の私的懇談会の議論では、行使が想定される具体例として、公海上で自衛隊艦船の近くで行動する米軍艦船の防護、米国向け弾道ミサイルの迎撃、シーレーン(海上交通路)の機雷除去、周辺有事の際の強制的な船舶検査(臨検)などがあがっている。「今の憲法解釈のままでは、こうしたこともできない」事例として集められたものだ。だが現実には、これらの活動だけを限定して行うのは難しい。戦闘地域で機雷除去や臨検を行えば、国際法上は武力行使と見なされる。他国軍から反撃され、双方に戦死者が出ることも覚悟しなければならない。

*3-2:http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014030502000131.html (東京新聞 2014年3月5日) 作家ら「解釈改憲に反対」 「戦争させない委員会」結成
 安倍政権が意欲を示す憲法の解釈変更による集団的自衛権の行使容認に反対する作家や学者らが四日、東京・参院議員会館で「戦争をさせない千人委員会」の発足集会を開いた。憲法学者の奥平康弘東大名誉教授やルポライターの鎌田慧さんら八十七人が呼び掛け人となった。記者会見で奥平氏は「解釈改憲は憲法改正と同じ。内閣の解釈で九条をないがしろにしてはならない」と訴えた。鎌田氏は「戦争前夜が迫っている。政党や労組だけでなく、運動のネットワークを広げたい」と語った。作家の雨宮処凛(あまみやかりん)さんは「(安倍政権が)本性をむき出しにした。この国を根本からものすごいスピードで変えようとしている」と指摘。「九条が空文化する方向への動きが加速している」と危機感をあらわにした。会見に先立つ集会には約百二十人が出席。「戦争準備を進め、秘密国家をつくろうとする政府への批判行動を強める」とのアピールを出した。委員会は各都道府県で同様の組織をつくり、署名や国会要請行動をする。他の呼び掛け人は作家の落合恵子さんや評論家の佐高信さん、俳優の菅原文太さんら。

*4-1:http://www.saga-s.co.jp/news/global/corenews.0.2641102.article.html
(佐賀新聞 2014年3月2日) ロシア、軍投入決定 / 欧米との対立決定的
 【モスクワ、キエフ共同】ロシアのプーチン大統領は1日、ロシア系住民の保護を理由に、ウクライナに軍を投入する方針を表明、憲法の規定に従い上院の同意を求め、全会一致で承認された。ウクライナの政変で生じた混乱に乗じ、公然と軍事行動に踏み切る立場を鮮明にしたことで、欧米との対立は決定的となる見通しだ。部隊はロシア系住民が多いウクライナ南部クリミア自治共和国に投入するとみられる。ロシアが国外で軍事行動に踏み切るのは、2008年にグルジアから独立を求める南オセチアを支援する名目で軍事介入して以来。国連安全保障理事会は日本時間2日午前、緊急協議を開催する。

*4-2:http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140304-00000445-yom-soci
(読売新聞 2014年3月4日) 尖閣接続水域に中国「海警」2隻…海保警告
 第11管区海上保安本部(那覇市)によると、4日午前9時現在、沖縄県石垣市の尖閣諸島・久場島沖の接続水域(領海の外側約22キロ)内を、中国海警局の公船「海警」2隻が航行している。海上保安庁の巡視船が、領海に入らないよう警告している。

*4-3:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11011742.html?iref=comkiji_redirect
(朝日新聞 2014年3月5日) 北朝鮮を念頭、「米有事に臨検」 集団的自衛権で首相
 安倍晋三首相は4日の参院予算委員会で、集団的自衛権行使の具体例として、米国が北朝鮮に攻撃された場合を念頭に「攻撃した国(北朝鮮)に武器弾薬を輸送している日本の近傍を通っている船を臨検できなくていいのか」と答弁した。北朝鮮へ武器弾薬を運ぶ船に対する強制的な検査を可能にすべきだとの考えを示したものだ。社民党の福島瑞穂氏が「朝鮮半島有事で米国が攻撃されている時、日本も有事に参加する可能性があるのか」と質問したのに答えた。首相は「朝鮮半島で自衛隊が活動することは想定していない。米国を攻撃するための武器弾薬が運ばれている中、私たちはそれを阻止する能力がある」とも答弁し、日本の役割として臨検を強調した。米国が攻撃された場合、北朝鮮に武器弾薬を運ぶ船への臨検を可能にするには、集団的自衛権の行使に加え、強制力を持って警告射撃などをできるよう武器使用基準を緩和することも必要になる。

*4-4:http://asahisakura.nobody.jp/nagoyakousaihanketukakutei.htm
(2008年4月17日) 4.17名古屋高裁・自衛隊イラク派兵違憲判決
 1422名が提訴した「自衛隊イラク派兵差止訴訟」の控訴審判決が名古屋高裁で出された。
判決は歴史的なものである。
1、本判決は「自衛隊派兵の撤退」という控訴人の主張を直接に認めたものではない。しかし画期的な意義を有する内容である。
 第1に、自衛隊機が発着するバグダッドを「戦闘地域」、自衛隊が行う米兵の輸送を「武力行使」とそれぞれ認定し、政府の憲法解釈を前提としても、自衛隊のイラク派兵は「特措法」と憲法9条に違反するとした。判決は「現代戦において輸送等の補給活動もまた戦闘行為」と断じ、「非戦闘地域」規定のあいまいさを突くもので、今後の自衛隊派兵反対運動に強力な根拠を与えるものである。第2に、控訴人の主張する憲法前文の「平和的生存権」を「憲法の基本的精神や理念を表明したに留まるものではない」とし、9条とあわせ「裁判所に対してその保護・救済を求め法的強制措置の発動を請求しうる」具体的な権利としたことである。昨今、「前文」や9条、さらには25条「生存権」も、たんなる理念にすぎないという論調がはびこるなかで画期的である。改憲阻止運動にとっても重要な光明といってよい。第3に、自衛隊とその活動の違憲性を問う裁判では、長沼ナイキ訴訟札幌地裁の自衛隊違憲判決をのぞいて、司法は全て判断を逃げてきた。それが「平和的生存権」に立脚し高裁レベルで真正面から自衛隊の具体的な活動とイラクの状況を精査し、違憲との判断をくだしたのも画期的である。2、名古屋高裁違憲判決は、3.13鉄道運輸機構東京地裁判決、4.11立川ビラ配布事件最高裁判決と、司法の義務を放棄した反動判決が続く中で、限りない勇気を与えるものである。それは全国各地で幾度負けてもくりかえされてきた違憲訴訟の成果である。私たちは判決を武器に憲法闘争をさらに前進させよう。当面、自衛隊海外恒久派兵法制定の動きを止めさせよう。あきらかな武力行使と司法が判断した「後方支援」も「戦闘地域」のあいまいさも、すべて「恒久派兵法」の根幹をなしている。自民党・公明党に、「恒久派兵法」与党案策定のプロジェクトを始動させてはならない。民主党は継続審議となっている同党の「テロ根絶措置法案」をとりさげるべきである。

*5:http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2014030400544 (時事ドットコム 2014/3/4) 核施設防護で協力要請=EUなどに書簡-ウクライナ
 ウクライナのデシツァ外相は3日、原子力発電所などの核施設の防護について、欧州連合(EU)や北大西洋条約機構(NATO)に協力を要請する書簡を送ったことを明らかにした。地元通信社が報じた。EUなどの回答を待っている段階だという。具体的にどのような支援を求めたのかは不明だが、治安悪化を受けた措置とみられる。外相は「チェルノブイリ原発事故のような核災害が起きることは誰も望んでいない」と指摘した。ウクライナにはフメリニツキー、ザポリージャなど四つの原発があり、国内全発電量の約半分のシェアを占めている。ロシアによる占拠が進んでいるクリミア半島に原発はない。


PS(2014.3.7追加):*6のように、内閣法制局元長官の阪田氏から、「集団的自衛権行使を認めようとする憲法解釈の変更に反対」という意見があった。これまでの経緯があるのかも知れないが、私は、憲法9条2項については、憲法改正なき超解釈がなされていると思う。

*6:http://digital.asahi.com/articles/ASG3662WZG36UTFK00R.html?iref=comkiji_redirect (朝日新聞 2014年3月6日) 法制局元長官、再び政権批判 憲法解釈変更に反対
 内閣法制局の阪田雅裕・元長官が6日、都内の日本記者クラブで会見し、憲法解釈の変更で集団的自衛権の行使を認めようとする安倍政権を改めて批判した。「(改憲)手続きが面倒くさいから解釈(変更)というのは憲政の王道では決してない」と述べ、国民投票を経る憲法改正で臨むべきだとの考えを強調した。阪田氏は行使を認める解釈の変更を「解釈の域を超えている。無視に近い」と批判。海外での自衛隊の武力行使につながるおそれもあり、「大きな転換で国民の覚悟もいる」と述べた。「(内閣法制局は)理屈をしっかりと申し上げることができるかどうかが全てだ。そこが失われたら、法制局が国会でなにを言おうと『政府の使い走りをやっているだけだ』と見られてしまう」とも述べ、解釈変更に関わることで内閣法制局への信頼が損なわれかねないとの懸念を示した。

| 日本国憲法::2013.4~2016.5 | 11:03 AM | comments (x) | trackback (x) |
2013.11.12 遺産相続における婚外子の取り分は、本当に憲法の法の下の平等に反するのか?
   

(1)私が、この最高裁判決に反対である理由
 *1に書かれているように、最高裁は2013年9月に、婚外子の相続格差について、(1)日本社会に法律婚制度は定着しているが、家族の形態は多様化している (2)父母が婚姻関係にないという子にとって選択の余地がない理由で不利益を及ぼすことは許されないとの判断を示し、婚外子の遺産相続分を嫡出子の半分とする民法の規定を、憲法14条が保障する法の下の平等に反するため、違憲とした。

 しかし、私は、この判決は家族の定義を変更し、法律婚の意義を弱めさせるものであるため、その家族の定義の変更が妥当か否かについて、先に議論すべきだと考える。

 私が、リベラルであるにもかかわらず、こういうことを書く理由は、婚外子差別をなくすことを歓迎しているのは、「多様な家族を認めることによる少子化対策」を建前として掲げながら、本音は愛人を持ちたいおじさんたちであり、被害者は、まさに、そこに生まれてくる子どもとその母親であるため、そういう人を増やしたくないからだ。

 子どもを主体として考えれば、子どもは少子化対策のために生まれてくるわけではなく、生まれてきた以上は、両親や祖父母に愛されて育まれる権利がある。それにもかかわらず、法律を無視して子をもうけるカップルは、双方の子に対して無責任である。そうしてできた婚外子が相続のみを平等とされても、両親や祖父母に愛されて育まれることができない宿命の子を増やす結果となり、それはどうかと思うのだ。また、子育ては夫婦で行っても大変なものであるため、子育てを、婚外子を持った母親だけに託すのも、子とその母の両方に対して無責任である。

(2)現行憲法では、立法、行政、司法は三権分立であり上下関係はない
 *1に、「行政に当たる政府は『立法的な手当ては当然。可能な限り早く対応すべきだ(菅官房長官)』として、今国会での民法改正を目指している」と書かれているが、立法府が司法判断に従って法改正の義務を負っているとすれば、立法より司法の方が上であるということになり、おかしい。

 しかし、現行憲法では、立法、行政、司法は三権分立で上下関係はないため、司法判断の妥当性も議論して、法改正に組み込むべきだろう。

(3)民法の相続規定は、本当に現行憲法違反なのか
 最高裁は、相続分を法律婚の子(嫡出子)の半分とする*4の民法900条4項最終部分の規定を憲法14条違反で違憲と判断したが、*3のように、憲法14条は「すべて国民は法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において差別されない」と書かれており、これは、誰であっても、現存する法律が平等に適用され、人種、信条、性別等によって差別されないと定めているにすぎない。

 その現存する法律が民法900条4項であり、「ただし、嫡出でない子の相続分は、嫡出である子の相続分の2分の1とし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の2分の1とする」という部分なのだ。しかし、これを読めばわかるように、父母(法律上の妻)の双方を同じくしない子(連れ子など)の相続分が、父母の双方を同じくする子の相続分の二分の一とされているのであって、婚外子のみを差別しているのではない。そのかわり、婚外子の実母の財産を、法律婚の子が相続することもできないのである。

 また、被相続人にその意思があれば、婚外子でも、民法902条の遺言や903条の特別受益者として被相続人から遺贈を受けたり、養子縁組して受贈することもできる。そのため、複雑な家族が増えた現在、民法の相続関係については、こうするしかなく、婚外子についても、父母の双方を同じくしていないという意味で平等だと思う。

(4)それでは、どう改正すればよいか
 私は、共働き夫婦を中心とした現在の核家族においては、むしろ民法900条の配偶者と直系尊属、兄弟姉妹が同順位の相続人であることに違和感を覚える。何故なら、夫婦の財産は、先祖から受け継いだものではなく、夫婦で築き上げたものである場合が多いからだ。

 そのため、改正するのであれば、全額を法律上の配偶者が相続することを原則とし、被相続人を介護をした人に、特別の配慮をするのが公正だと考える。その配偶者も亡くなった後には、再度、その配偶者を介護した人に特別の配慮をした上で、残りを子どもに相続させればよいだろう。このやり方で異議のある家族は、遺言により、あらかじめ遺産の分け方を指定しておけばよい筈だ。

*1:http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2013103102000120.html
(東京新聞 2013年10月31日) 婚外子、民法改正に異論続出 自民、司法判断軽視
 結婚していない男女の間に生まれた子(婚外子)と結婚している夫婦の子(嫡出子)の遺産相続を同等にする民法改正案に、自民党内で反対意見が相次いでいる。最高裁は婚外子の遺産相続分を嫡出子の半分とする民法の規定を違憲と判断している。立法府の一員として、法改正の義務を負っているにもかかわらず、自民党保守派議員の司法を軽んずる姿勢が目立っている。
 最高裁は九月、親が結婚しているかどうかで遺産相続の取り分が異なる民法の規定を「憲法一四条が保障する法の下の平等に反する」と判断した。
 政府は「立法的な手当ては当然。可能な限り早く対応すべきだ」(菅義偉(すがよしひで)官房長官)として、今国会での民法改正を目指している。
 ところが、自民党の保守派が政府に「待った」をかけた。民法改正は「家族制度を崩壊させる」というのが大きな理由だ。三十日の参院政策審議会では、出席者から「婚外子をどんどん認めていくと、法律婚の割合が減る」との懸念が相次いだ。「最高裁の決定は踏み込みすぎだ。民法の規定は国民感情に沿ったものだ」と、司法判断に異を唱える意見さえ飛び出した。自民党は改憲草案に「家族の尊重」を明記。党内の保守派は、現行憲法より、党の改憲案の方が正しいとの思いが強い。西田昌司参院議員は会合で「最高裁はわれわれの常識とは違うが、現行憲法を結びつけると今回の決定になる。現行憲法が間違っている」と言い切った。保守派の高市早苗政調会長も最高裁決定について「私個人の主張とは相いれない」と疑問を示す。一方で「違憲とされた民法の条文を放置すると、世の中が混乱する」と指摘。改正案の了承手続きを速やかに終えたい考えだが、「もっと議論に時間をかけるべきだ」との声を無視できないでいる。
 公明党は早期の法改正を強く訴えている。石井啓一政調会長は三十日の記者会見で「最高裁決定を重く受け止め、法的措置を取ることが国会本来の在り方だ」と述べた。

*2:http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS12001_S3A111C1MM0000/?dg=1
(日経新聞 2013/11/12) 婚外子の相続格差なくす 民法改正案を閣議決定
 政府は12日の閣議で、結婚していない男女間に生まれた婚外子(非嫡出子)の遺産相続に関する格差規定を削除する民法改正案を決定した。最高裁が相続分を法律婚の子(嫡出子)の半分とする民法の規定を違憲と判断したのを受けた措置。改正案は与野党の賛成で、今国会中に成立する見通しだ。改正案は民法900条の「嫡出でない子の相続分は、嫡出である子の相続分の2分の1とする」との規定を削除する内容。改正案が成立すれば、婚外子と嫡出子の相続分は原則として同じになる。
 法務省は当初、民法改正案と併せ、出生届に嫡出子か婚外子かを記載するよう義務付けた規定を削除する戸籍法改正案も提出する方針だった。しかし自民党法務部会で一部の保守系議員が「家族制度が崩壊する」などと反発。民法改正案は了承されたが、戸籍法改正案の提出は見送られた。
最高裁は9月、婚外子の相続格差について(1)日本社会に法律婚制度は定着しているが、家族の形態は多様化している(2)父母が婚姻関係にないという子にとって選択の余地がない理由で不利益を及ぼすことは許されない――との判断を示した。

*3:http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S21/S21KE000.html  (憲法)
第十四条  すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
2 華族その他の貴族の制度は、これを認めない。
3 栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。

*4:http://www.ron.gr.jp/law/law/minpo_sz.htm (民法)
第二節 相続分
(法定相続分)
第九百条 同順位の相続人が数人あるときは、その相続分は、次の各号の定めるところによる。
一 子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各二分の一とする。
二 配偶者及び直系尊属が相続人であるときは、配偶者の相続分は、三分の二とし、直系尊属の相続分は、三分の一とする。
三 配偶者及び兄弟姉妹が相続人であるときは、配偶者の相続分は、四分の三とし、兄弟姉妹の相続分は、四分の一とする。
四 子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。ただし、嫡出でない子の相続分は、嫡出である子の相続分の二分の一とし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の二分の一とする。
第九百一条 (略)
(遺言による相続分の指定)
第九百二条 被相続人は、前二条の規定にかかわらず、遺言で、共同相続人の相続分を定め、又はこれを定めることを第三者に委託することができる。ただし、被相続人又は第三者は、遺留分に関する規定に違反することができない。
2 被相続人が、共同相続人中の一人若しくは数人の相続分のみを定め、又はこれを第三者に定めさせたときは、他の共同相続人の相続分は、前二条の規定により定める。
(特別受益者の相続分)
第九百三条 共同相続人中に、被相続人から、遺贈を受け、又は婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けた者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与の価額を加えたものを相続財産とみなし、前三条の規定により算定した相続分の中からその遺贈又は贈与の価額を控除した残額をもってその者の相続分とする。
2 遺贈又は贈与の価額が、相続分の価額に等しく、又はこれを超えるときは、受遺者又は受贈者は、その相続分を受けることができない。
3 被相続人が前二項の規定と異なった意思を表示したときは、その意思表示は、遺留分に関する規定に違反しない範囲内で、その効力を有する。

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2013.11.9 天皇の政治利用禁止は、太平洋戦争や明治維新による革命など、国論を二分する場合の話ではないのか?原発事故の現状を手紙に書いた一参議院議員である山本太郎議員の行為は政治利用に入るのか?
    
  神武天皇        持統天皇         明治天皇

(1)天皇の政治利用の歴史
 *4に書かれているように、わが国の歴史を見れば、明治維新というわが国の近代化革命では、NHKの大河ドラマ「八重の桜」でも語られているように、トリックのような天皇の政治利用で革命が進められた。その天皇の政治利用の排除が明文化されたのは、太平洋戦争後の日本国憲法からである。日本史上、それ以前は、今ほど明確に天皇の政治利用の禁止が明文化されていたわけではなかったのだから、「天皇の政治利用」の範囲を広げすぎずに、その定義を明確にする必要があるだろう。

(2)山本太郎議員の行為について(小さなことへの懲罰が好きで、大きなことを見逃している方々へ)
 *1によれば、「園遊会で天皇陛下に手紙を渡した無所属の山本太郎参院議員に、参議院議長が厳重注意した上で皇室行事への出席自粛を求める案を提示する方針を固めたが、これは参院の正式なルールに基づく処分ではなく異例であり、野党も同調する見通し」とのことだ。しかし、日本は罪刑法定主義であるのに、法律で罪とされていないものを懲罰するのは法治国家であることを放棄したことになるし、日本は罪刑法定主義の法治国家であることを知らない人がいたとすれば、それこそ「非常識」である。

 具体的な行為についても、*2に書かれているように、「園遊会で天皇陛下に手紙を手渡した」ことが「非常識な行為」として処分に値するとされているが、山本太郎議員は天皇陛下に爆弾入りの手紙を手渡したわけではなく、*4に記載されているように、原発事故による健康被害や事故収束作業に当たる作業員の健康状態を書いた手紙を手渡したに過ぎないため罪はないと私は思う。「原発事故という政治的テーマについて天皇に何らかの観念を持ってもらおうとするのは、政治利用になりかねない危うさをはらむ」との、(たぶん)原発推進派の意見もあるが、そういう事実や意見があることを知った上で、どう振舞うかは天皇が決めることであり、宮内庁が宛名の人に手紙を渡さなかったというのも変である。

(3)開かれた皇室との矛盾
 私が衆議院議員だった2006年10月末に、佐賀県で「第26回全国豊かな海づくり大会」が開かれ、天皇・皇后両陛下が佐賀県を来訪され、近くでお会いしたことがある。その時、皇后陛下に「あなたがここの国会議員なの。頑張ってね」とお声をかけていただき、その驚くほど澄んだ声とお言葉に感激したが、欲を言えば、単に「大変ですね」「頑張って下さい」というフレーズだけではなく、現状を理解した一言があればもっとよかったと思う。そして、そういう現状把握は、宮内庁が、天皇宛てに参議院議員が書いた手紙すら渡さないという状況では無理だろう。

 そのため、私も、「国会議員が天皇に手紙を渡したら不敬罪もの」と言う非難には、違和感を覚える。何故なら、それは「開かれた皇室」と矛盾するからだ。*4には、参議院議長の山崎正昭氏が、「参議院議員として自覚を持ち、院の体面を汚すことがないよう肝に銘じて行動してほしい」と国会内に山本氏を呼んで諭したと記載されているが、参議院議員は元は貴族院議員である。TPOはあるかも知れないが、山崎氏の説諭は、参議院議員として卑下しすぎではないのか。

*1:http://www.saga-s.co.jp/news/global/corenews.0.2577760.article.html (佐賀新聞 2013年11月6日) 山本氏に皇室行事出席の自粛要求 / 参院、自民処分案に野党も同調へ
 自民党は6日、園遊会で天皇陛下に手紙を手渡した無所属の山本太郎参院議員の処分に関し、山崎正昭参院議長が厳重注意した上で皇室行事への出席自粛を求める案を提示する方針を固めた。共に参院の正式なルールに基づく処分ではなく異例。野党も同調する見通しだ。自民、民主両党の議運委筆頭理事が6日、国会内で会い、自民党側が民主党側に打診した。7日午後の参院議院運営委員会理事会で正式に提案する。処分が決定すれば、7日中にも山崎議長が山本氏に伝え、8日の参院本会議で報告する。

*2:http://www.saga-s.co.jp/news/global/corenews.0.2578169.article.html
(佐賀新聞 2013年11月7日) 参院、山本太郎氏の処分を確認 / 8日に具体案
 参院議院運営委員会は7日の理事会で、園遊会で天皇陛下に手紙を手渡した無所属の山本太郎参院議員への対応を協議し「非常識な行為」として処分する方針を確認した。具体的な処分案は8日午前に再協議する。自民党は、山崎正昭議長が厳重注意した上で皇室行事への出席自粛を求めるとの処分案を各党に示す方針を固めている。この日の理事会で提示する方向だったが、党内に「軽すぎる」との異論もあり、調整のため提案を見送った。理事会では、自民党が「山本氏は自ら出処進退を明らかにすべきだ。議員辞職を促したい」と強調した。

*3:http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-214924-storytopic-11.html
(琉球新報 2013年11月7日) 山本議員手紙 議席返上の必要はない
 秋の園遊会で天皇陛下に手紙を手渡した山本太郎参院議員の行動が波紋を呼んでいる。軽率な行動は批判を免れないにせよ、「不敬罪もの」といった猛烈な非難ぶりには違和感を禁じ得ない。明治憲法下に逆戻りしたかのような時代の空気に不安を覚える。67万人から負託を受けた国会議員が職を辞するほどの問題なのか。辞職要求は均衡を失している。議席返上の必要はない。皇室と政治との距離について、冷静に議論すべきだ。
 山本氏は「原発事故による子どもの健康被害や事故収束作業に当たる作業員の健康状態を知ってほしかった」と説明し、政治利用との意図は否定した。だが、原発事故という政治的テーマについて天皇に何らかの観念を持ってもらおうとするのは、政治利用になりかねない危うさをはらむ。近世の「直訴」のようで、国民主権を定める憲法とも相反する。やはり軽率な行為であろう。とはいえ、閣僚や与党から議員辞職の大合唱が起こることには強い違和感を覚える。
 安倍政権は4月の「主権回復の日」式典に天皇・皇后両陛下を出席させた。「天皇陛下万歳」の掛け声とともに安倍晋三首相は壇上で万歳をした。沖縄からの強い反発が起きた式典の強行はまさに政治的行為であり、天皇出席を求めたのは政治利用ではないのか。9月の国際オリンピック委員会総会への高円宮妃久子さまの出席は、下村博文文科相が宮内庁に強く働き掛けた。政治利用だとの批判が起きたが、その下村氏が山本氏に辞職を求めるのは皮肉だ。政権の行為は不問に付す一方で、山本氏をことさらあげつらうのは公平ではない。市民派として登場し、反原発を掲げて当選した山本氏は政権には目障りなはずだ。そんな議員の職を天皇の威光を借りて奪おうとすることこそ、逆に天皇の政治利用ではないか。
 そもそも山本氏の行為は、不適切ではあるが、法規に抵触するわけではない。その行為一つで有権者の負託を即、無効とするのは、「不敬罪」を設けた明治時代と同じ発想ではないか。その発想自体が危険である。脱原発の世論を一顧だにしない政府の姿勢への絶望が、山本氏にそんな行動を取らせたのだとしたら、理解できなくもない。その閉塞感を打破する回路をどう構築するかも、政治の課題であろう。

*4:http://mainichi.jp/select/news/20131109k0000m010130000c.html
(毎日新聞 2013年11月8日) 山本太郎氏処分:天皇の「政治利用」議論深まらず 
 秋の園遊会で山本太郎参院議員(無所属)が天皇陛下に原発事故の現状を訴える手紙を手渡した問題は8日、山崎正昭参院議長が山本氏を厳重注意し、皇室行事の出席を禁止する処分を伝え、ひとまず決着した。与野党は前例のない山本氏の行動を「非常識な行為」と位置付けたものの、調整は「懲罰」に傾き、政治的に中立な天皇の「政治利用」に関する論議は深まらなかった。
 「参院議員として自覚を持ち、院の体面を汚すことがないよう肝に銘じて行動してほしい」。山崎氏は8日昼、国会内に山本氏を呼び、こう諭した。山本氏は「猛省している」と陳謝した。これまでに山本氏は手紙を手渡した理由として、福島第1原発事故に関して「子供たちの健康被害、原発作業員の労働環境の実情を伝えたかった」と述べ、「政治利用ではない」と釈明していた。
 憲法は国民主権を原則としており、4条で「天皇は国事行為のみを行い、国政に関する権能を有しない」と定めている。しかし、山本氏の行動は原発事故対応という政治課題に天皇陛下を巻き込んだともいえ、「文書を手交すること自体が政治利用ではないか」(石破茂自民党幹事長)との批判が浮上。自民党からは自発的辞職を求める強硬論も出ていた。
 ただ、前例のない事態のため、政治利用に該当するかどうかまで踏み込んだ議論に至らないまま、結論までに1週間を要した。参院議院運営委員会の理事会では「憲法などに照らして懲罰には値しない」(共産党)として、厳罰処分には慎重な意見もあった。皇室の政治利用を巡っては、これまでも議論が続いてきた。高円宮妃久子さまの9月の国際オリンピック委員会(IOC)総会への出席や、天皇陛下が出席する形で4月に安倍政権が開いた「主権回復・国際社会復帰を記念する式典」は、いずれも政権の意向や要望に沿ったもので、野党側は「政治利用に当たる」と批判している。
 昭和史や皇室の歴史に詳しいノンフィクション作家の保阪正康さんは「山本氏の行動は国会議員の資質に欠けるが、政治利用というのは一定勢力による行為を言い、今回は違う」と指摘。その上で「一部で処分を議論するより、皇室と政治のあり方について山本氏に所信を述べさせるなど、国会全体で議論すべきだった」と話した。

| 日本国憲法::2013.4~2016.5 | 01:25 PM | comments (x) | trackback (x) |
2013.11.6 特定秘密保護法案と自民党の2012年憲法改正案の関係は如何?
       
  ICRPの被曝限度  2013.10.25河北新報  2013.11.2東京新聞
    (上のようなものまで「特定秘密」にならないでしょうね?)

(1)2012年の自民党憲法改正草案のポイント
 *3には図が添付されており、自民党憲法改正草案の前文は、2005年案では現行憲法と同様に「日本国民は」で始まるが、2012年案では「日本国は」で始まると書かれている。これは、政府は、日本国民の福利を最大にするためではなく、日本国の威信を第一に考えるという変更だ。

 また、基本的人権の不可侵と永久性(憲法97乗)も、2005年案では現行憲法通りだが、2012年案では11条と重複するとして削除している。しかし、これは、他国では、革命や内戦をして血を流して手に入れた基本的人権を、わが国は第二次世界大戦の敗戦によって日本国憲法で念には念を入れて与えられたにもかかわらず、やすやすと捨て去ってしまう戦前回帰だ。

 なお、私は、このようにリベラルであるため、自民党参議院議員の片山さつき氏や西田昌司氏などから、保守本流ではないと言われたことがある。それでは、そこで言う「保守」と「本流」の定義を聞かせてもらいたいところだ。

(2)2012年の自民党憲法改正草案と特定秘密保護法案との関係
 2012年の自民党憲法改正草案では、主権在民や民主主義の意識が弱まり、天皇は象徴ではなく元首と明記されている。そして、(1)のように、国民の福利よりも日本という国家の威信を大切にして、そのためには基本的人権や知る権利も制限するという態度なのであり、2012年の自民党憲法改正草案と特定秘密保護法案は、関連していると思う。そのため、私は、*1、*2に賛成だ。

 そして、*4の特定秘密保護法案の目的の項目では、「我が国及び国民の安全確保に係る情報の重要性」「高度情報通信ネットワーク社会の発展に伴う漏えいの危険性」等が指摘されているが、これならば、日本政府は、今まで平和ボケでまともなセキュリティーを行っておらず、どの情報もダダ漏れだったことを管理上反省すべきなのであって、法律で特定秘密の指定や取扱者の制限などを定めて漏洩を防止するような大げさなことはない。例えば、どの会社も、人事情報や特許のある製造法は秘密扱いで、それにアクセスできる従業員を限定しているのと同じ管理をすればよいことである。

 また、「安全保障に関する情報のうち特に秘匿することが必要なもの」についても、その判断者のみが情報を知っているのであれば、どうにでもなることが目に見えているし、秘密にした情報の記録は、今でも作っておかなければ、開示すべき時が来ても開示して国民の知る権利に応えることはできない。

 そのため、第三条の「行政機関の長が所掌事務に係る情報で秘匿することが必要として特定秘密としたいもの」は、現在の法律でも守られており、それ以上に知る権利を制限して人権侵害を招く可能性の高い法律はいらないと、私は考える。各メディアも、2012年の自民党憲法改正草案と特定秘密保護法案との関係、日本はどういう国でありたいかという視点からの分析もしてもらいたい。

*1:http://www.asahi.com/paper/editorial.html?ref=com_gnavi#Edit1
(朝日新聞社説 2013年 11月 6 日) 秘密保護法案―社会を萎縮させる気か
 秘密をつかんでいなくても、だれかと秘密を得ようと話し合った。それだけで処罰される。国民の知る権利を侵す懸念が強い特定秘密保護法案には、そんな内容も盛り込まれている。共謀罪といわれるものだ。この法案は、秘密に接する人たちだけを監視の対象にするわけではない。ふつうの市民の暮らしをめぐる調査活動も違法となりかねない。法案そのものが社会を萎縮させてしまう。とりわけ共謀罪は、犯罪が起きていなくても、複数の人が合意すれば成立する。秘密保護法案の場合、政府が指定した情報の漏洩や取得を「共謀」することを、未遂、教唆、扇動とともに処罰の対象にしている。
 日本の刑事法は、犯罪は実行されて初めて罰することを原則にしている。予備、陰謀の罰則規定はあっても、内乱罪などの重大な犯罪に限られてきた。だが、今回の法案にある共謀は、未遂や予備よりさらに実行から遠い段階の行為だ。しかも何をもって共謀があったと判断するか線引きは難しく、恣意的に使われかねない。人が意思を通じ合ったことをもって処罰する手法は、戦前、戦中は、政府と違う考え方を持つ人たちへの弾圧に使われた。心の中のことで人を処罰できれば、権力に都合の悪い人を訴追するのはいとも簡単だ。治安維持法下の苦い教訓であり、だからこそ戦後の社会は共謀を犯罪とすることに抑制的だった。
 だが、政府は2003年以降、国際的な組織犯罪を防ぐ条約の批准に向け、600以上の犯罪に共謀罪をつくる法案を3回、国会に出した。野党や市民団体の反対だけでなく自民党の一部にも乱用への懸念があり、すべて廃案に終わった。秘密の保護をめぐる共謀罪に前例がないわけではない。01年の自衛隊法改正の際に設けられた。だが、その対象は狭い防衛秘密の漏洩に限られている。今回の法案のもとで秘密指定される情報の範囲はずっと広い。
 たとえば、原発の安全性や、在日米軍の事故の調査など、安全や人権にかかわる情報や真実に近づこうとする営みは市民の間でも日常的に行われている。共謀罪の規定のもとでは、そうした重要な事実に迫ろうと打ち合わせた段階で法に触れることになりかねない。当局が実際に法をどう適用するかは見通せない。はっきりしているのは、秘密をめぐるさまざまな罰則をあれこれ張り巡らせることが、国民が真実を知ろうとする動きを牽制し、鈍らせる悪弊を生むことだ。

*2:http://www.shinmai.co.jp/news/20131104/KT131102ETI090015000.php
(信濃毎日新聞 2013年11月4日) 司法の闇 市民が逮捕される日
 201X年11月の早朝。長野市はヘリコプターのごう音と振動に包まれた。多くの住民が驚き目を覚ました。平和運動を進める団体の代表Aさんもその一人だ。窓を開けて上空を見上げると十数機の自衛隊ヘリが北に向かっていた。県庁に問い合わせたが「訓練の連絡は来ていない」との返事。「住民に何も知らせず、大掛かりな飛行訓練をするのは問題だ」と感じたAさんは、仲間2人とヘリの離陸地点とみられる隣県の陸自旅団に抗議に訪れた。具体的な飛行訓練計画を明らかにするよう求めるAさんに担当者は「答えられない」の一点張り。業を煮やしたAさんは語気を強めて「なぜ言えないんだ。住民は迷惑している。問題にしてやるぞ」と迫った。担当者は押し黙ったまま。Aさんたちは何の成果も得られないまま引き揚げた。
<ある日突然、捜査員が>
 数日後の朝、Aさんの自宅を捜査員が訪れ、逮捕状を示した。「罪名 特定秘密保護法違反」―。防衛や外交などの情報を秘密指定して、それを漏らしたり、取得したりする行為を罰する特定秘密保護法案。政府が今国会に提出した法案が成立、施行されると、こんな事態も起こり得る―。自衛隊の活動を調査している県護憲連合事務局長の布目裕喜雄さんや、刑事訴訟法が専門の大出良知・東京経済大現代法学部長(九州大名誉教授)は危惧する。防衛分野の秘密指定範囲は「自衛隊の運用」などと大ざっぱだ。具体的に何が指定されたか国民には知らされない。市民が知らず知らずのうちに法に抵触。裁判になっても、証拠自体が秘密扱いで審理され、有罪判決が出る恐れがある。大出教授の話を参考に、判決までの流れを想定し、法案の危険性を考える。現行の国家公務員法や自衛隊法でも秘密を漏らすと処罰される。今回の法案は秘密を得た側も処罰されるのが特徴だ。だましたり、暴行したり、脅迫したりして、特定秘密に指定された情報を取得した場合、最高で懲役10年の罰則がある。未遂も対象。秘密を漏らすようそそのかしたり、あおったりしても最高5年の懲役刑だ。Aさんが問題にしたのは、実は日本海有事に備えた自衛隊員の大量輸送訓練で、防衛相が秘密指定していた。Aさんは、それを脅して取得しようとした罪(未遂)に問われ、起訴された。
 裁判が始まった。Aさんは「脅していないし、求めたものが特定秘密とは知らないので、犯罪の故意がない」などと無罪を主張した。ところが、一番肝心な証拠が開示されない可能性が高い。
<証拠は裁判でも秘密>
 “前例”がある。6年前に発覚したイージス艦情報流出事件の裁判だ。特別防衛秘密(特防秘)を別の自衛官に漏らしたとして海上自衛官が逮捕、起訴された。1954(昭和29)年施行の日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法違反の罪で初めての起訴だ。検察側は「機密は裁判所にも明かすことはできない」と、機密部分を黒塗りした資料を証拠提出した。裁判長は資料に「極秘」の記載があることなどから特防秘に当たると「推認」できるとし、有罪判決を出した。
この事件で主任弁護人を務めた田中保彦弁護士は「(秘密を取得した方も罰せられる)今回の法案では、被告がどんな情報を取得したかを聞いた弁護人も罪に問われる危険がある」と指摘する。Aさんの裁判も同様に進む。訓練の名称自体も秘密なので、検察側が出す証拠の題名さえこんなものになりそうだ。「■■■■■■■■にかかわる■■■■■■■■■■の計画」。計画の内容は全面黒塗りだ。裁判長は、資料に「特定秘密」と記されていることや防衛省担当者の証言から特定秘密と推認できると判断。こんな判決を出す。被告人を懲役5年に処する
<人権侵害の恐れ>
 争点について判決は▽「問題にしてやる」との言葉が「害悪の告知」に当たるなど、脅迫と認められる▽特定秘密の範囲は「自衛隊の運用」と法律に示されており、被告人には、求めた情報がこの秘密に当たるかもしれないという認識(概括的故意)があった―と示した。情状では、反省していないとの指摘も。未遂なので、最高刑にはならなかったが、懲役3年を超えるので執行猶予が付かず、実刑に―。あくまで仮定の話だが、ここから浮かび上がるのは、自分のした行為が本当に犯罪になるのかすら確認できず、弁護活動も制限され、市民が犯罪者にされてしまう恐れだ。法案は、国民の知る権利を侵害するだけでなく、憲法に保障された基本的人権さえ危うくする。成立させてはならない。

*3:http://www.geocities.jp/le_grand_concierge2/_geo_contents_/JaakuAmerika2/chunitiKensho130713.htm#top 自民改憲草案05年案と比較-保守離れ懸念 タカ派色前面-国防軍/「基本的人権」97条削除-党内に見直し論首相も修正言及
 「自主憲法の制定」を党是とする自民党は参院選で党独自の改憲草案を掲げる。しかし、草案は昨年、民主党に政権を奪われていた野党時代につくったもので、実現可能性よりも支持層を意識したタカ派色が濃い内容だ。これに対し、他の改憲政党には「幅広い支持を得るのは難しい」との声が広がり、自民党内で見直し論が浮上する。同党が二〇〇五年につくったもう一つの改憲草案と比較しながら、問題点を検証した。(政治部・岩田仲弘、岩崎健太朗)
■特徴
 自民は政党の中で唯一、条文形式の改憲草案を持つ。現在の草案は昨年四月に作成されたが、小泉政権時代の〇五年十一月にも改憲草案を発表。二つの草案を比べると、現在の草案の特徴が浮かび上がる。自民が最もこだわる九条改憲について、〇五年の改憲案は「自衛軍を保持する」としていたが、現在の草案は「国防軍を保持する」と表記している。国防軍も自衛軍も、自衛隊を「軍」として位置づけることに変わりはないが、自衛軍が現在の自衛隊を軍隊として「追認」するイメージに対し、国防軍は自衛隊を「普通の軍隊」に変え、専守防衛など防衛政策の転換まで想起させる。「自衛軍」よりも軍事色が強い。
 また、現在の草案は家族を社会的な単位とし、助け合い義務を規定している。〇五年の草案には盛り込まれていなかった条文で、自民を支持する保守層が抱いている伝統的な価値観を強く意識した。
 さらに、基本的人権を「侵すことのできない永久の権利」と定めた九七条を削除。基本的人権の尊重を明記した十一条と趣旨が重なるためとの説明だが、九七条は憲法の根幹部分で、野党は「(安倍普三首相は)日本をどういう社会にしようとしているのか」などと批判している。この延長線として、基本的人権の一つである表現の自由について「公益及び公の秩序を害することを目的とした活動」などを認めない規制を設け、〇五年草案よりも国民の義務規定を増やしている。
■怖さ
 なぜ自民の改憲草案は変質したのか。現在の草案作成時、自民は〇九年の衆院選で民主党に敗れ、野党に転落していた。「自民党らしさ」を前面に出すことで、離れていった保守的な支持層を取り戻し党勢を回復することを最優先に考えていた。〇五年当時、自民の参院議員として草案作成の中心的な役割を果たした新党改革の舛添要一代表は「国防軍と書いたら三分の二を取れないが、自衛軍なら公明党を含めて取れる。一日も早く改憲を実現するために知恵を働かせた」と振り返る。〇五年案は政権与党として改憲の実現性を考え、国民に改憲を発議するために必要な衆参両院での「三分の二」の賛成を得ることに配慮したが、野党時代につくった現在の草案は保守派への受けが先に立ち、「実現性」の発想が乏しいとの指摘だ。改憲を目指す自民、みんな、日本維新の会の三党は昨年暮れの衆院選で、議席の三分の二を確保した。仮に今回の参院選で三分の二を獲得すれば改憲発議が可能になるが、こうしたときに幅広い理解を得にくい改憲草案を掲げるという皮肉な結果をもたらした。
 現在の草案に対し、みんなの党の渡辺喜美代表は「国民の義務を強調するところに国家主義的なDNAを感じる」と指摘。維新の橋下徹共同代表も「公権力を前面に出し過ぎて怖い」と批判する。このため、首相は柔軟姿勢に転じ、「自民党の案で、ここを修正すればいいというなら考えていきたい」と草案の修正に言及。磯崎陽輔・党憲法改正推進本部事務局次長も「草案はあくまで党の目標。一字一句これでなければだめという考えはない」と強調している。

*4:http://www.tokyo-np.co.jp/feature/himitsuhogo/zenbun.html
(東京新聞 2013年10月25日) 【特定秘密保護法案全文】
 第一章 総則
 (目的)
 第一条 この法律は、国際情勢の複雑化に伴い、我が国及び国民の安全の確保に係る情報の重要性が増大するとともに、高度情報通信ネットワーク社会の発展に伴いその漏えいの危険性が懸念される中で、我が国の安全保障に関する情報のうち特に秘匿することが必要であるものについて、これを適確に保護する体制を確立した上で収集し、整理し、及び活用することが重要であることに鑑み、当該情報の保護に関し、特定秘密の指定及び取扱者の制限その他の必要な事項を定めることにより、その漏えいの防止を図り、もって我が国及び国民の安全の確保に資することを目的とする。
 (定義)
 第二条 この法律において「行政機関」とは、次に掲げる機関をいう。
 一 法律の規定に基づき内閣に置かれる機関(内閣府を除く。)及び内閣の所轄の下に置かれる機関
 二 内閣府、宮内庁並びに内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)第四十九条第一項及び第二項に規定する機関(これらの機関のうち、国家公安委員会にあっては警察庁を、第四号の政令で定める機関が置かれる機関にあっては当該政令で定める機関を除く。)
 三 国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第三条第二項に規定する機関(第五号の政令で定める機関が置かれる機関にあっては、当該政令で定める機関を除く。)
 四 内閣府設置法第三十九条及び第五十五条並びに宮内庁法(昭和二十二年法律第七十号)第十六条第二項の機関並びに内閣府設置法第四十条及び第五十六条(宮内庁法第十八条第一項において準用する場合を含む。)の特別の機関で、警察庁その他政令で定めるもの
 五 国家行政組織法第八条の二の施設等機関及び同法第八条の三の特別の機関で、政令で定めるもの
 六 会計検査院

 第二章 特定秘密の指定等
 (特定秘密の指定)
 第三条 行政機関の長(当該行政機関が合議制の機関である場合にあっては当該行政機関をいい、前条第四号及び第五号の政令で定める機関(合議制の機関を除く。)にあってはその機関ごとに政令で定める者をいう。第十一条第一号を除き、以下同じ。)は、当該行政機関の所掌事務に係る別表に掲げる事項に関する情報であって、公になっていないもののうち、その漏えいが我が国の安全保障に著しい支障を与えるおそれがあるため、特に秘匿することが必要であるもの(日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法(昭和二十九年法律第百六十六号)第一条第三項に規定する特別防衛秘密に該当するものを除く。)を特定秘密として指定するものとする。
 2 行政機関の長は、前項の規定による指定(附則第四条を除き、以下単に「指定」という。)をしたときは、政令で定めるところにより指定に関する記録を作成するとともに、当該指定に係る特定秘密の範囲を明らかにするため、特定秘密である情報について、次の各号のいずれかに掲げる措置を講ずるものとする。
 一 政令で定めるところにより、特定秘密である情報を記録する文書、図画、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録をいう。以下この号において同じ。)若しくは物件又は当該情報を化体する物件に特定秘密の表示(電磁的記録にあっては、当該表示の記録を含む。)をすること。
 二 特定秘密である情報の性質上前号に掲げる措置によることが困難である場合において、政令で定めるところにより、当該情報が前項の規定の適用を受ける旨を当該情報を取り扱う者に通知すること。
 3 行政機関の長は、特定秘密である情報について前項第二号に掲げる措置を講じた場合において、当該情報について同項第一号に掲げる措置を講ずることができることとなったときは、直ちに当該措置を講ずるものとする。
<「続き▽」をクリックすると、全文が出てきます>

続き▽
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