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2012,10,13, Saturday
*1の記事より *1のように、福島第一原発で格納容器内に特殊カメラを入れて調査した結果、1号機で最大9800ミリシーベルトと極めて高い数値が計測されたそうだが、木星からでも画像を送ってくる時代に、1年7カ月後の今頃やっと、事故現場にカメラが入って調査できたというのがおかしい。もちろん、調査の結果は、1~3号機までメルトダウンし、下のコンクリートに達しているから、地震と溶融核燃料の影響で、下のコンクリートも損傷して放射性物質が水に溶けて海に漏れ出している可能性が高い。 このような事故の結果、*2のように、福島第一原発から200km以上離れた埼玉県秩父市の山林で、事故から1年7カ月後の2012年10月9日に採れた野生キノコから、1kg当たり110ベクレルの放射性セシウムが検出されたそうだ。秩父山地は、埼玉県の西側に位置するため、ここでさえ汚染されているようであれば、埼玉県全域が汚染されていると考えてもおかしくないし、秩父山地は水源だから深刻だ。 このように、福島第一原発事故では、首都圏も汚染され、首都圏の農作物にも被害を与えている。近くの川や海の魚は大丈夫なのだろうか。埼玉県の農産物も美味しいのだが、放射性物質の検査が杜撰であるため、これ以上の内部被曝・低線量被曝を避けるには、産地により食品を選択するほかなくなり、消費者はもとより、農林漁業に打撃となる。そして、これが、原発事故なのである。 *1:http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/nucerror/condition/list/CK2012101302000163.html (東京新聞 2012年10月13日) 【福島第一原発の現状】格納容器内 最大9800ミリシーベルト 1号機 特殊カメラなど入れ調査 (ポイント)今週(六日~十二日)の福島第一原発では、1号機の格納容器内部の調査があった。放射線量は容器内につながる配管で毎時一万一一〇〇ミリシーベルト、内部で最大同九八〇〇ミリシーベルトと極めて高い数値が計測された。人間が四十分間浴びると確実に死亡する値。あらためて今後の廃炉作業の厳しさを示した。東電は九、十の両日、広範囲をゆがみなく撮影できる特殊カメラや線量計などを入れて内部を調べた。 *2:http://www.tokyo-np.co.jp/article/saitama/20121013/CK2012101302000110.html (東京新聞 2012年10月13日) 皆野のサクラシメジ 国基準値超え出荷自粛要請 (ポイント)埼玉県は十二日、皆野町の山林で九日に採れた野生キノコのサクラシメジから、国の基準値(一キログラム当たり一〇〇ベクレル)を超える一一〇ベクレルの放射性セシウムが検出された、と発表した。県は、町とJAちちぶ(秩父市)に対し、町内の野生キノコ全種類の出荷・販売自粛を要請した。本年産の野生キノコで基準値を超える放射性セシウムが検出されたのは、九月末に横瀬町で採れたウズハツ以来。
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2012,10,12, Friday
*1、*2の記事で、住民の健康や命に関して如何に行政がいい加減かがわかる。産地偽装も困るが、缶詰めや総菜などの加工食品になると、殆どが原材料の産地さえ記載されておらず、健康や命をかけて食べて協力すべきものではないから、その食品はすべて食べないという選択をするほかない。
何故、そこまでして原発事故の影響や危険性をひた隠しに隠すのかは、*3でわかったような気がする。そして、もちろん、原発関連事業についている膨大な利権に群がっている人たちも多い。 日本国憲法25条に、「①すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する ②国は、すべての生活部面について、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」と定められている。同じアメリカ主導でも日本国憲法は立派である。しかし、原発がからむとこれも機能していない。そのため、核融合の研究が始まったそうではあるが、これからどれだけ失敗や巨大事故を起こすか知れたものではない核融合は太陽に任せ、太陽光発電でそのエネルギーを電気に変えて、地球では早々に原発を店じまいをするのが賢明だと、私は思っている。 *1:http://mainichi.jp/area/fukushima/news/20121010ddlk07040304000c.html (毎日新聞地方版 2012年10月10日) 産地偽装:ネギを県外産と 三春の学校給食に納入、青果業者を書類送検 /福島 田村署は9日、三春町の学校給食用などのネギを「県外産」と偽って納入したとして、同町の青果店経営者(49)と元従業員(38)の男2人と、同店を不正競争防止法違反(誤認惹起)の疑いで地検郡山支部に書類送検した。町によると、同店は昨年4月ごろから発覚する今年2月末までの約11カ月間、ネギやホウレンソウなどの野菜を県外産と偽って納入し続けていた。県警によると、福島第1原発事故後、食材の産地偽装事件の摘発は初めて。動機について「納入先から県外産を求められたが、高騰して品薄になった」と供述しているという。直接の容疑は、今年1月10〜20日、三春町の小中学校などに地元産ネギ約50キログラムを納入した際、「茨城産」「千葉産」と偽って代金2万円で販売した疑い。同時期に町内の老人施設にも産地を偽ってネギ約1・7キログラムを納入した疑いもある。納入先の町によると、経営者が今年2月下旬、「インターネット上に産地偽装を告発する書き込みがある」と町に自己申告して発覚。同店は震災前から給食用の野菜を納入していた町内大手だった。町は給食食材の放射線検査を始めた昨年11月以降については「安全が確保されていた」とし、これまで健康不安などを訴えた生徒らもいないという。 *2:http://mainichi.jp/select/news/20121005k0000m040113000c.html (毎日新聞 2012年10月5日)福島健康調査:「結論ありき」県民憤り…検討委「進行表」 東京電力福島第1原発事故を受けて福島県が設置した県民健康管理調査の検討委員会で、県が委員らと事前に調整していたことを示す「議事進行表」の存在が明らかになった。内部被ばく調査の結果については「結語」として「相当に低い」との発言予定を記し、問題となりそうな話題については「そらして下さい」と要望。A4判2枚の文書には県による「振り付け」とも受け取れる記載が列記され、県民らは不信感を募らせている。 ◇議論の場、意見出ず 「不気味なほど意見が出ない。おかしい」。福島市内の市民団体「子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク」はメンバーが検討委を傍聴しているが、代表の佐藤幸子さん(54)は検討委の議論にそんな疑問を抱いていたという。検討委の前日に委員らに送られた進行表には、浪江町と飯舘村、川俣町山木屋の3地域で120人を対象にした内部被ばく調査についての記載がある。調査結果への見解は翌日の検討委で議論されるはずなのに、議事進行における「結語」として「内部被ばくは合計しても1ミリシーベルト未満で、相当に低いと評価」などと記されていた。また、内部被ばくの検査手法を巡り「WBC(ホールボディーカウンター)の今後の普及とGe半導体(ゲルマニウム半導体検出器)の逼迫(ひっぱく)状況(牛肉等)を考えると、尿検査でWBCを代替えするのは困難ではないか」との記載もあった。尿検査はホールボディーカウンターと呼ばれる大型機器を使った検査より放射性物質の量を正確に調べられる一方、かなりの量の試料が必要とされ、手間がかかるとされる。また、尿検査に使用されるゲルマニウム半導体検出器は、牛肉などの検査にも使われている。同ネットワークは事故直後から尿検査の導入を訴えているのに対し、県は県議会などで慎重な姿勢を示し続けている。佐藤さんは「やっぱり、結論ありきの議論だったのか」と憤りを隠さない。また、進行表のうち調査の進捗(しんちょく)状況を巡る項目では、問題視された「緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)」の話題をできるだけ避けるよう要望。仮に話題になった場合には、別の委員会で検討するとして話題をそらすよう求めていた。 *3:http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2012101102000168.html (東京新聞社説 2012年10月11日) これからの原子力政策 民主・公開を求める 原発推進の時代は終わり、原子力委は役目を終えた。原子力政策は、社会的合意と科学的検証に耐えねばならない。そのために民主・公開を強く求める。六法全書をひもといてみる。一九五五年十二月に制定された原子力基本法。第一条には「この法律は、原子力の研究、開発及び利用を推進することによって、将来におけるエネルギー資源を確保し、学術の進歩と産業の振興とを図り…」とある。 ◆利用以外は考えない これに基づき、翌五六年一月一日、総理府(現内閣府)の中に、原子力委員会が設置された。 法の条文通り、原子力の開発と利用を進めるための組織であり、原発推進を妨げることになるような役柄は、はじめから想定していない。ただし、原子力の研究開発と利用について、「民主的な運営の下に、自主的にこれを行うものとし、その成果を公開し…」(第二条)とうたっている。科学界の要請で盛り込まれた「民主・自主・公開」の三原則が、迷走・暴走に歯止めをかけるはずだった。言うまでもなく日本は、世界唯一の被爆国である。だが、被爆国、敗戦国だからこそ、成長と進歩、それをもたらす科学に対し、逆説的にあこがれも持っていた。その二年前には、アイゼンハワー米大統領が国連総会で、原子力の平和利用を提唱していた。日本はこの時、米国のエネルギー戦略下に組み入れられた。基本法も委員会も、いわばその受け皿だった。はじめから「自主」など存在しなかったのだ。原子力委発足時の委員には、経団連会長(昭和電工会長)の石川一郎、経済学者(東大教授)の有沢広巳、物理学者(学術会議・原子力問題委員会委員長)の藤岡由夫の三氏、そして、日本人初のノーベル賞受賞者、湯川秀樹博士も請われ、非常勤で名前を連ねた。しかし湯川博士は、自前の研究を積み上げず、安全性も十分確かめず、米国からの輸入に頼って商業炉の稼働を急ぐ拙速さに嫌気が差して、一年で辞任した。その後原子力開発の国産化が顕著になるにつれ、委員会を含め官、産、学等の“原子力ムラ”が形成された。現在、原子力委は、首相が任命する五人の委員で構成される。最大の仕事は、五年に一度、向こう約十年間の原子力政策のあり方を示す「大綱」を作ることである。法律的にも歴史的にも、利用推進のための道筋を示す場所となってきた。アクセルはあるがブレーキがないクルマのように。 ◆不信と不安の温床に だとすれば、原子力利用のブレーキになるような大綱は作れない。国として曲がりなりにも原発ゼロをうたった以上、原子力委は、もう役目を終えたのだ。本家米国の原子力委員会は七五年に廃止され、開発部門はエネルギー省に吸収されている。今後、原子力政策の根幹は、関係閣僚らでつくる政府のエネルギー・環境会議が担うという。ところが、3・11以降も絶えない不祥事、不手際に国民は驚き、不信を抱いている。福島原発事故のあと、原子力委の近藤駿介委員長は「ゼロからの出発で新大綱を議論する」と訴えていた。ところが、その近藤氏自身が新大綱の見直し作業の中で、策定会議の委員のうち、電力関係者ら原発推進側だけを集めた秘密会に出たことが発覚した。経済産業省や電力関係者だけに事前に会議の議案を示し、大飯原発3、4号機再稼働の妨げになるような議案を外す「議案隠し」も明るみに出た。基本法がうたう民主・公開の精神はみじんもなく、推進派だけで政策をコントロールできるという仕組みが見て取れる。エネ環会議への不信も深まっている。「原発ゼロ」の看板だけは掲げたものの、実現への道筋や具体策はなお、あいまいである。それどころか、大間原発新設工事の再開を認めるなど、民意とも自らの政策とも、矛盾するようなことばかりが目立つ。政策自体が定まっていないのだ。 ◆店じまいをするために 地震国日本には使用済み核燃料の処分地は見つからず、それなら原発は減らしていくしかない。このような負の遺産を清算するには、国民や地域の全面的な協力、参加を得ることが欠かせない。3・11後の原子力政策は、利用推進ではなく、原発をどう減らしていくか、廃炉も含めて後始末をどうするかがやはり基本になるだろう。エネ環会議が担うにしろ、新組織をつくるにしろ、民主と公開の原則を徹底させた決め方が必要になる。原子力をどうするかは、結局国民が決めるのだ。
| 原発::2012.9~10 | 09:11 AM | comments (x) | trackback (x) |
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2012,10,10, Wednesday
*1の記事のように、ソ連国内で東欧の社会主義諸国民主化の契機となったペレストロイカ(改革)とグラスノスチ(情報公開)などの大改革を断行したミハイル・ゴルバチョフ元ソ連大統領が、「核兵器をどうすればよいか。その答えは一掃だ」と語っているのは、さすがに世界のリーダーとしてふさわしい人だったのだと実感した。そういう人だからこそ、鉄のカーテンを開けたペレストロイカ(改革)とグラスノスチ(情報公開)を遂行することができたのだろう。
ところで、米国の原子力空母や原子力潜水艦など、戦争になれば攻撃され撃沈される可能性の高い道具に、原発と同じ仕組みの原子力エネルギーが使われているのは問題である。なぜなら、撃沈された後の核燃料の回収や、海を汚染して環境や水産業を台無しにすることが考慮されていないからだ。 エネルギーにはいろいろあり、水素燃料や進みながら波動を電気エネルギーに変えるなど、環境に負荷をかけない新技術も多いので、船に原子力エネルギーを使うのも、もう辞めてもらいたい。 PS(10月11日広津追加): 一方、日本の野田首相は、*2の記事のとおり、消費税増税は不退転の決意で行ったが、電力改革には及び腰である。ここで日本国民は、ゴルバチョフ氏を「夢見るKY」と評し、野田首相を「現実的、堅実で経済がわかっている人」などと評してはならないと思うが、現実はどうか? そして、その価値観ないし”常識”は、何が起源なのかを考えるべきである。 *1:http://www.afpbb.com/article/war-unrest/2906681/9657034 (AFP BBニュース 2012年10月9日) 「核兵器の全廃を」 ゴルバチョフ氏、条約批准しない米国を批判 ミハイル・ゴルバチョフ(Mikhail Gorbachev)元ソ連大統領は8日に公開されたインタビューで核兵器の全廃を呼び掛け、またこの問題にほとんど取り組んでいないとして米国を真っ向から批判した。ゴルバチョフ氏は、ウィーン(Vienna)に本部を置く包括的核実験禁止条約機関(CTBTO)準備委員会の動画インタビューの中で「核兵器をどうすればよいか。その答えは、一掃だ」と語った。また「あらゆる国の軍事的優位に立つ超軍備国は、今もなおアメリカだ。そしてアメリカは(核兵器の)問題を避けている」と米国を厳しく批判した。インタビューは9月4日にロシア語で行われた。動画には英語の字幕が付けられ、1986年10月11~12日に行われたレイキャビク・サミットの記念日を前に、準備委のウェブサイトで公開された。1986年のレイキャビク・サミットでは、冷戦中だった米国と旧ソ連の指導者、ゴルバチョフ書記長(当時)とロナルド・レーガン(Ronald Reagan)大統領が核軍縮を話し合い、準備委によると「核兵器全廃の合意まであと少しのところ」だった。現在、核兵器保有国は推定2万基の弾頭を持っていると、ゴルバチョフ氏は語る。「われわれの文明をわずか数日で文字通り葬り去るのに十分な量だ」 包括的核実験禁止条約(CTBT)にはおよそ200か国が署名したが、米国や中国、インド、イラン、イスラエルなどの主な核保有国がまだ批准していない。「現状が続くことを許してはならない。核実験の全面中止を定めた条約が効力を発揮しなければならない」とゴルバチョフ氏は呼び掛けた。 *2:http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/327806 (西日本新聞社説 2012年10月6日) 原発再稼働 ぶれない姿勢は今は昔に 消費税増税では一貫していた野田佳彦首相だが、原子力政策では勝手が違うようだ。どうも政権の腰が定まらない。定期検査のために運転を停止した原子力発電所の再稼働の是非について、誰が最終的に判断するのか。関係者の説明は食い違う上に、歯切れが悪い。先月21日に民主党代表に再選された野田首相は、直後の記者会見で「原子力規制委員会が安全基準をまとめ、それに基づき判断する。規制委が主導的役割を果たすのが基本ルールだ」などと述べた。同28日、枝野幸男経済産業相は記者会見で「安全性について規制委からゴーサインが出て、地元自治体の了解が得られれば(その原発を)重要電源として活用するというのが政府の方針」と述べた。 では、地元の了解は誰が取るのか。経産相は「事業者がやる」と答えた。再稼働の責任を規制委に押し付けるような発言に、田中俊一委員長は懸念を抱いたのだろう。今月3日の第3回委員会で、この問題を取り上げ、規制委は安全性を判断するが、その原発を稼働すべきとか、稼働してほしいとかと説得・説明する役割はないとあらためて強調した。「安全だから動かしましょう」と規制委が旗を振るのでは、経済産業省原子力安全・保安院の轍を踏むことになる。そんな田中委員長の懸念はもっともだ。規制委は新たな安全基準をつくる。最新の知見を常に取り入れながら、考え得る最も厳しい基準で安全審査を行い、技術的に危険性が十分に低くなっていることを確認するのが規制委の仕事である。これは原発事故がゼロになることを意味しているのではない。人知を尽くしても防げないことがある。そんな事故の責任まで規制委は取れないというのだ。 原発を安全に動かす。事故を起こさない。一義的には事業者の責任である。だが、大事故が起きれば事業者の手には負えなくなる。東京電力福島第1原発事故をみれば、はっきりしている。最終的には国が全面的に支えるしかない。事業者が地元自治体の了解を得るというが、地元の範囲はどこまでなのか。原発が現にある市町村と道県だけか。周辺自治体も含むならどこまでか。そもそも事業者が「規制委が安全を確認しました」と言っても、それで納得できるのか。国が最終的に安全を保証してほしい、責任を持ってほしい。地元から、こうした要望が出ることは十分予想できる。野田首相の発言は、規制委の独立性、中立性を強調する趣旨で、別に責任逃れをするつもりはなかったともとれる。しかし、その後の藤村修官房長官の記者会見での説明も、規制委が安全を確認し、事業者が地元の理解を得ての再稼働が基本であることを繰り返している。どこか逃げ腰の印象なのだ。そう感じるのは原発を含むエネルギー政策をめぐる揺らぎがあるからだ。消費増税と違い、脱原発では野田政権の本気度が読み取れない。ぶれては誰も信用しない。
| 原発::2012.9~10 | 11:04 AM | comments (x) | trackback (x) |
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2012,10,09, Tuesday
2012年9月15日にも記載したが、*1のように、原発推進派として度々登場する経団連の米倉会長は、下のような人である。つまり、法学部卒業であるため、物理・生物に詳しいわけではなく、太陽光発電でエネルギーを作り出すメカニズムは知らず、*2の事例のように核の生物に与える深刻な影響も過小に考えていると思われる。その上、現在75歳という世代であれば、理科系の人でも太陽光発電でエネルギーを作り出すメカニズムは勉強していない世代だ。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B1%B3%E5%80%89%E5%BC%98%E6%98%8C <略歴> 1937年3月:兵庫県神戸市長田区生まれ(現在75歳) 1960年3月:東京大学法学部卒業 1960年4月:住友化学工業(現住友化学)入社 2009年:住友化学代表取締役会長就任 2010年1月:日本経団連会長就任 それにもかかわらず、米倉氏は、経団連会長として力を持っているわけである。この人材配置が、わが国の技術が、経営で、国際競争力に負ける大きな原因だ。また、経団連と一蓮托生の経済産業省も、上には東大法学部卒、経済学部卒が多く、少しいる理科系の人は技官である。 つまり、「自然エネルギーで間にあうわけがない、原子力がどうしても必要だ」と強く言っている人たちは、殆どが生物・物理に弱く、エネルギー生成のメカニズムも核の生物に与える影響もよく知らない人たちなのである。知らない100人と知っている1人のどちらの判断が正しいかは言うまでもない。問題は人材配置だ。 *1:http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS09009_Z01C12A0EB2000/ (日経新聞 2012/10/9)経団連、自民と政策対話 「30年代原発ゼロ」見直し 経団連は9日午前、都内で安倍晋三総裁ら自民党新執行部との政策対話を開いた。「2030年代に原発稼働ゼロ」を掲げる民主党政権のエネルギー政策について、見直しが必要との見解で一致した。経団連の米倉弘昌会長は「成長戦略や経済連携も、だいたい我々と同じ考え方だと思う」と語った。内閣を改造した政府・与党に先立つ格好で、野党と公式に会った。会合の時間は約75分と予定を超えた。経団連からは米倉会長ら14人が出席。自民党は安倍総裁や石破茂幹事長らが出席した。 「30年代原発ゼロ」に反対する経団連側は会合で、政府のエネルギー政策を「責任ある政策とはいえない」と批判した。そのうえで「中長期の責任あるプランを示してほしい」と訴えた。安倍総裁は「原発比率は下げるが、30年代にゼロにする考え方は採らない」との考えを示した。外交政策に関しては、米倉会長が「中国との関係悪化が経済や企業活動に大きな影響を及ぼしている」と現状を説明。安倍総裁は「日米同盟関係が民主党政権によって毀損されたことに大きな問題がある。日米同盟関係を回復する」と語った。経団連が自民党と公式に政策対話を開くのは昨年の11月以来。05年の衆院選では支持を明言するなど、自民党とは近い。今回の会合は次期衆院選後の自民党の政権復帰をにらみ、政策対話を通じて両者の距離を縮める狙いがある。 *2:http://mainichi.jp/select/news/20121005k0000m040112000c.html (毎日新聞 2012年10月5日) 福島健康調査:委員発言、県振り付け…検討委進行表を作成 東京電力福島第1原発事故を受けて福島県が実施中の県民健康管理調査について専門家が議論する検討委員会を巡り、委員が発言すべき内容などを記した議事進行表を県が事前に作成していたことが分かった。調査結果への見解における「結語」(結びの言葉)が記され、「SPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)再現データの質疑に終始しない」と求める記載もあった。県の担当者は毎日新聞の取材に「そうしたものを作ったかもしれない」としつつ、内容に対する明確な回答はなかった。検討委を巡っては、本会合の前に秘密裏に「準備会」(秘密会)を開き、調査結果に対する見解をすり合わせた上で、本会合でのやりとりを事前に打ち合わせていたことが判明している。この問題が取り上げられた3日の県議会で村田文雄副知事は「意見などをあらかじめ調整した事実はない」と答弁したが、進行表には「○○先生と要調整」(○○は委員の実名)との記載もあった。 毎日新聞が取材で確認したのは「第3回『県民健康管理調査』検討委員会 進行」と題された文書。関係者によると、県保健福祉部の担当者が作成し、昨年7月24日に開かれた第3回検討委の前日の同23日に委員らに送られた。それ以前の同17日には秘密会を開いたことが分かっている。文書はA4判2ページ。「取扱注意」と記され、議事内容や進行を記載している。このうち「ホールボディカウンターと尿(内部被ばく)検査結果について」と題した項目では「結語」として「セシウム134及び137による内部被ばくについては、合計しても1ミリシーベルト未満であり、相当に低いと評価。他の地域の住民では、さらに低いと思われる」との発言予定が記されていた。調査の進捗(しんちょく)状況を巡る項目では国や県が有効活用しなかったとして問題視された「SPEEDI」に言及。「SPEEDI再現データ(3月15日の課題)の質疑に終始しない。(SPEEDIの話題のみが着目される可能性あり、そうならないよう願います。そうなった場合は、『線量評価委員会』で検討とそらして下さい。)[○○先生と要調整]」などと記載されていた。
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2012,10,07, Sunday
*1によれば、核実験の影響で過去最高を記録した1963年6月の50倍以上のセシウム137が、つくば市に降り、福島原発から海に流れ出たセシウム137とセシウム134は、それぞれ少なくとも3500テラベクレルということだが、これは大変なことである。つくば市だけがクローズアップされるのは、ここには研究施設が多く、計測されているからだと思われる。一方、埼玉県は、つくば市や千葉より福島第一原発に近い場所もあるにもかかわらず、あまり計測していないため話題にならない。計測すらしないのは最も危険なことだが、これを観測してきた気象研は、今年度予算が突然凍結され観測中断を迫られ、今回の結果は、それを無視して観測を続けた研究者の努力で得られたものだそうである。これが、国の態度だ。
また、*2のように、千葉県柏市は、ホットスポットは「住むにはためらう地域」と答えた人が69.8%に上るそうだが、埼玉県は半分以上の地域が千葉県柏市よりも福島第一原発に近いのに、計測すらされず問題になっていない。その上、*3のように、「市民と科学者の内部被曝問題研究会」が、福島県内では、空間線量を測るモニタリングポストの値が意図的に低く抑えられている可能性があるという調査結果を公表した。 つまり、政府や自治体は、①放射線量を計測しない ②正確に計測するので原発維持の邪魔になると考えた研究所には予算を与えない ③計測する場合には、値が低く出るようにする ということをやっているわけである。そして、これが原発維持派の本質であるため、そもそも原子力を扱う資格は全くない人たちであり、決して原発を動かしてはならないのだ。 *1:http://plaza.rakuten.co.jp/kodomoansinmirai/diary/201112020002/ (「子どもの未来を考える会 嵐山」2011年12月2日 ) 3月に降ったセシウム、過去最高の50倍超・千葉のキセノン濃度40万倍に 気象庁気象研究所(茨城県つくば市)は1日、福島原発事故で放出され、3月に観測したセシウム137は1平方メートル当たり3万ベクレル弱(暫定値)で、核実験の影響で過去最高を記録した1963年6月の50倍以上だったと発表した。船を使った調査で、北太平洋上に広く降ったこともわかった。つくば市に降ったセシウム137は4月には数十分の1に減り、夏には1平方メートル当たり数十ベクレルとチェルノブイリ事故後のレベルになったという。環境・応用気象研究部の五十嵐康人室長は「福島原発事故前の水準に下がるまで数十年かかるのでは」と話している。過去最高値は同550ベクレル(移転前の東京都で観測)。4~5月に海水を採った調査では、福島原発から大気中に出た放射性物質は北太平洋上の広範囲に降り注いだことがわかった。米西海岸近くでも降っていた。大気中から降るものとは別に、福島原発から海に流れ出たセシウム137とセシウム134は、それぞれ少なくとも3500テラベクレルと試算した。表層では北太平洋を東へ広がり、その後潜り込んで南西に流れ、中層の流れにのったものの一部は20~30年後に日本沿岸に戻ると予測している。地球化学研究部の青山道夫主任研究官は「北太平洋全域の継続調査が必要」と話している。核実験の影響を監視するため、気象研は1954年から放射能を観測してきたが3月末、今年度予算が突然凍結され、観測中断を迫られた。今回の結果は、それを無視して観測を続けた研究者の努力で得られたものだ。 *2:http://www.chibanippo.co.jp/c/news/local/103392 (千葉日報 2012年10月2日) 3割超「柏は特に高い」 放射線量・首都圏在住者アンケ ホットスポット不安根強く 東京電力福島第1原発事故に伴い市内の除染に取り組む柏市は1日、首都圏在住者を対象に「周辺よりも空間放射線量の高い地域(ホットスポット)」に関するアンケート調査の結果を発表した。回答者の3割超が柏市を「空間放射線量が特に高い地域」と答える一方、ホットスポットは「住むにはためらう地域」と答えた人が69.8%に上るなど、ホットスポットへの不安が根強く残っていることが分かった。「周辺よりも空間放射線量が特に高いと感じる地域」を首都圏の36市区から1カ所選択する質問で、柏市は全体の32.8%と最も多く、2位(茨城県内の市)を26.1ポイント上回った。秋山浩保市長は「一部から厳しい印象を持たれている」とした上で、市の除染への取り組みを強調。「子ども関連施設は基準にこだわらず、徹底した除染が必要。国も財政支援を行うべきだ」と話した。 *3:http://www.asahi.com/national/update/1005/TKY201210050360.html (朝日デジタル 2012年10月5日) 「福島の線量、意図的に低く公表か」 「市民と科学者の内部被曝問題研究会」は5日、東京都内で記者会見し、福島県内で空間線量を測るモニタリングポストの値が意図的に低く抑えられている可能性があるとの独自の調査結果を公表した。 研究会は今年、文部科学省が設置したモニタリングポスト約100カ所の近くで空間線量を測った。この結果、公表されているモニタリングポストの値より平均して10~30%高かったという。ポストから10メートルほど離れた所では、平均で40~50%高かったという。研究会の矢ケ崎克馬・琉球大学名誉教授(物理学)は「値を低くみせるために、モニタリングポストの周りは除染を徹底したり、数値を操作したりしているのではないか」と話した。文科省原子力災害対策支援本部は「意図的に低くみせるようなことはしていない。周辺が除染されたモニタリングポストの情報は福島県のホームページで公開している」としている。 (2012年10月10日広津追加) *4のように、福島第1原発事故直後の福島県の初動対応について、福島県は「責任の所在を明確にすることが目的ではない」とする無責任ぶりで、SPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)については、原発の立地県であるにもかかわらず、「予測結果を電子メールで受信したのに削除した」などといううかつさであり(本当に過失か?)、「予測結果の取り扱い方針がなかった」と、県庁の職員なら多くの人がその存在を知り重要性を認識しておくべきツールに対してその認識がなく、取り扱い指針がなければ利用すらできないなどと言い、さらには、事前には取り扱いの方針がないことについての質問も行っていなかったわけである。そういうところが、原発立地県としての資格も資質もないが、それにより関東まで含む多くの住民に無用な被曝をさせて、どれだけ迷惑をかけたかわかっているのか・・。 *4:http://www.minyu-net.com/news/news/1010/news8.html (福島民友ニュース 2012年10月10日) 福島県、事故調の指摘追認 震災・原発の初動責任 福島県は9日、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故直後の県の初動対応について内部で検証した結果をまとめ、公表した。緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)予測結果の情報共有・情報管理の不備、入院患者ら要援護者に対する避難支援の想定不足など、政府や国会の事故調査委員会から指摘された初動対応の責任を追認。一方で、物資調達の不備や屋内退避指示根拠の不明確については国の責任と指摘した。6項目の課題をまとめた。県は「責任の所在を明確にすることが目的ではなく、今後の災害対策に反映させることが目的」とし、県の初動対応の検証としては、あまりにも具体性や客観性に乏しい内容。「災害対応体制」では「国、県、市町村相互の複合災害への備えが不十分だった」と根本的な要因を示し、県各部局の役割分担が不明確で業務重複などの混乱が生じたとした。SPEEDI問題は、予測結果を電子メールで受信したのに削除した対応の不備を認め、予測結果の取り扱い方針がなく、災害対策本部内の指揮命令系統が不明確だったことを原因として挙げた。
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2012,09,26, Wednesday
*1のように、「原発がゼロになると玄海町の旅館が全滅し災禍である」という論調が出てきた。しかし、*2、*3を見ればわかるように、原発は事故が起こった時の生物に対する影響が大きく、それは、人間が一時的に避難すれば足りるという性格のものではない。
また、今まで満室だった旅館やビジネスホテルは、原発の定期検査によるものであり、これは電気料金として消費者が支払っていたもので、他の発電方法ならかからないものである。そして、原発の危険性は、本当は福島原発事故が起こる前からわかっていたことだが、事故が起こるまでは、このように雇用や電力供給を理由に反論されると、強く主張することが難しかったのである。 そのため、*4のように、今が、原発から他のエネルギーへの転換を行うチャンスだ。玄海町は、風光明媚なリアス式海岸が広がり、良好な釣り場が多く、農業・漁業が盛んで、元寇が襲来して最近元寇船が発見された鷹島に近い場所である。また、玄海町を通って、伊万里市、松浦市まで筑肥線を複線で延長すれば、九州一の繁華街である福岡市中心部のベッドタウンにもなりうる距離なので、21世紀の現在としては、こちらを進めて素敵な街づくりをしてもらいたい。 *1:http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120924/dst12092408470003-n1.htm (産経新聞 2012.9.24) 「原発ゼロ」がもたらす災禍 困窮する玄海町「近いうちに旅館は全滅…」 (ポイント)九州電力の主力発電所である玄海原子力発電所(佐賀県玄海町)は、玄界灘に突き出た巨大な岩盤の上にその威容を誇る。周囲には風光明媚(ふうこうめいび)なリアス式海岸が広がり、良好な釣り場も多い。だが、原発の入り口となる国道204号沿いに軒を連ねるホテルや旅館は閑散としていた。「3月頃まではどこもほぼ満室で地元の方々に手伝ってもらっても手が足りないほどだったんですが…」。家族3人と従業員2人で旅館とビジネスホテルを切り盛りしてきた小豆朋行さん(53)は、真っ白な宿泊客帳簿をめくりながらため息をついた。町内の宿泊施設16軒すべてが同じような経営危機に陥っているという。原子炉は通常、13カ月間連続運転し、運転停止後に2~3カ月間の定期検査を義務づけられる。4基の原子炉を有する玄海原発では、年の半分はいずれか1基が常に定期検査を行ってきた。これに伴う技術者や臨時作業員は1基につき約1千人。遠方からきた作業員らは当然近くに宿泊する。だからこそ特別な名所もなければ行楽地もない人口6400人の町で16軒の宿泊施設が経営を続けることができたのだ。 *2:http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2012092202000122.html (東京新聞 2012年9月22日) 事故翌日 双葉町1590マイクロシーベルト (ポイント)福島県が21日、東京電力福島第一原発事故が起きた2011年3月11日から同31日までの、放射性物質の飛散状況をモニタリングポストで観測した結果を公表した。空間放射線量の最大値は、原発から北西に約5.6キロの双葉町上羽鳥で、12日午後三時に毎時1590マイクロシーベルトを記録した。県によると、原発の敷地外ではこれまでで最も高い。一般の人の被ばく線量限度は年間一ミリシーベルト(1000マイクロシーベルト)で、これを一時間で超える数値。事故の状況が悪化する中、1号機では12日午前に格納容器の圧力を下げるための蒸気排出(ベント)作業を開始。午後2時半ごろ、格納容器の圧力が低下し、午後3時36分ごろ水素爆発した。1590マイクロシーベルトを記録したのは爆発の前で、県は「爆発の前から放射性物質が漏れ出していたと考えられ、風向きが影響した可能性がある」としている。福島県は原発周辺25カ所のモニタリングポストについて、震災や津波で通信回線が途絶えたり、電源喪失したりした箇所があったため、データの回収を進めていた。 *3:http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012092101001221.html (東京新聞 2012年9月21日) 福島県大熊町「5年間帰らない」 議会が決定、苦渋の決断と町長 福島県大熊町議会は21日、東京電力福島第1原発事故で役場機能を移した同県会津若松市で9月議会本会議を開き「5年間は帰町しない」とした町の第1次復興計画案を可決した。福島第1原発がある大熊町は、町民約95%が住む地域が長期避難を余儀なくされる「帰還困難区域」に再編される見通し。残された地域だけでは生活が成り立たないとして「5年間は帰町しない」と明記した。区域再編は10月以降になる見通し。渡辺利綱町長は議会終了後の取材に「苦渋の決断をせざるを得なかった。5年間は帰るための環境整備に努める」と述べた。 (共同) *4:http://www.saga-s.co.jp/news/ronsetu.0.2292250.article.html (佐賀新聞 2012年9月23日) エネルギー政策 原発ゼロは夢想か 政府が打ち出した「2030年代に原発ゼロ」を目指す方針が早くも揺らいでいる。目標を掲げた新たなエネルギー戦略が多くの矛盾をはらんだ“生煮え”で、原発維持派、脱原発派双方から批判にさらされ、関係自治体や欧米の反発、懸念も招いている。財界を中心に非現実的と根強い反対があるが、果たして「原発ゼロ」は夢想にすぎないのだろうか。問題の解決を先送りしないと明言した野田佳彦首相の決意と覚悟が、今こそ問われている。政府は新戦略の公表5日後の19日、今後のエネルギー・環境政策について閣議決定した。そこには「2030年代に原発ゼロ」や「原発に依存しない社会」という文言は見あたらず、「新戦略を踏まえて」という表現にとどまった。新戦略自体が参考文書扱いというのでは、首相が「骨抜き」批判に反論しても、いかにも後退した印象だ。さらには「柔軟性を持って不断の検証と見直しを行いながら遂行する」という“霞が関文学”であいまいさを助長させている。前倒しで積極的に進めることも、逆に先送りや後退させることも「見直し」には違いなく、どちらへ進むかが不透明なのだ。エネルギー政策は日本の将来を左右する、重大な政策である。大転換にあたり、閣議決定の表現が弱められたのは、関係自治体や原子力協定を結んでいる米国などに配慮した結果とみられる。だが、政府がここでふらついていては、甚だ心もとない。 玄海原発(東松浦郡玄海町)を抱える佐賀県の古川知事は政府方針を受け入れるつもりだが、「国として決めたはずのものが揺らいでいる。何をよりどころに議論していいか分からない」と困惑を隠さない。昨年、菅直人首相時に玄海の再稼働で振り回された苦い経験もあって、ぶれない明確な道筋を望むのは当然である。そもそも疑わしくしているのが新戦略の中身である。ゼロを目標に掲げる一方、原発維持が前提の核燃料サイクルを継続している。使用済み核燃料の行き場を考えれば、その方策が見いだせない中では問題の先送りにすぎない。東日本大震災後、建設を中断した原発の建設再開を容認する姿勢を示したことも新・増設を認めない原則から外れ、不信に拍車をかけた。 原発を維持したい経済界などからは産業の空洞化や電気料金の大幅値上げ、電力供給の不安定さなど脱原発が「できない理由」が並べられた。一方で、原発を減らせば、その代替となる再生可能エネルギーの技術革新、開発が必要となる。さらには廃炉事業が当然始まる。これらは長期間にわたり関連産業の需要が約束された大きな成長分野と考えるのは安直だろうか。震災前の暮らしぶりを見直さず、経済成長のためなら、あまねくエネルギーを使い続ける。もはやそのような社会が当たり前でないことは、多くの人が肌で感じている。今後は人口減社会でもある。将来の電力需要が増え続けるとは考えにくい。それでも地震列島の日本で原発が何十基も稼働しなければならない理由は見出しにくい。野田首相は原発ゼロ実現の取り組みは「極めて困難なチャレンジであっても、先送りできない」と述べた。その言葉が総選挙目当てでないことを信じたい。
| 原発::2012.9~10 | 09:52 AM | comments (x) | trackback (x) |
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2012,09,22, Saturday
放射性物質の拡散に関して風向きを考慮して予測するシステム「SPEEDI」の計算結果を使わず、やるべき時にすぐ作動するベントの仕組みにもなっておらず手動でしか動かなかったことなど、原発は、事故に対する準備や対応がまともに行われておらず、住民の健康や命を軽く見ており、土壌や海、農林水産物をも大きく汚染することが、あらためて明らかになりました。何と弁解しても、「風評被害」だと言い逃れようとしても、すでに多くの人がそれを見抜いています。
そして、*1は、2012/9/22に初めて見た情報ですが、避難のために最も必要な2011年3月12日~20日という時期にそれを隠して住民に無用な被曝をさせ、罪の意識も感じていない人など、そもそも原発を扱う資格がありませんし、関東在住の人でもたまったものではありません。 そして、*2のように、新しくできた原子力規制委員会は、東電福島第1原発の周辺で観測された放射線量データを公開できず、「立ち上げ準備に注力し、発足後のことに考えが回っていなかった」などと、また「想定外」と同じレベルの弁解をしていますが、人が一人しかいないわけじゃあるまいし、これで原子力規制委員会は、一寸先のことも考えられず、東電、原子力保安院の延長であることを証明したようなものです。データを公開できないのは、公開できるような値ではないからではないですか? *1:http://www.minpo.jp/news/detail/201209223792 (福島民報 2012/9/22) ベント作業で放射能漏れか 風向き影響の可能性 福島県が20日公表した東日本大震災直後のモニタリング結果では、水素爆発を起こした東京電力福島第一原発の北側で昨年3月12日に、南側で15日に空間放射線量のピークを迎えていることが分かった。県は第一原発の水素爆発やベント作業、当時の風向きが影響したとみている。 空間放射線量が最大値だった双葉町上羽鳥の毎時1590マイクロシーベルトは、1号機が水素爆発する直前の12日午後3時に測定された。1号機では同日午前に原子炉の圧力を下げるためにベント作業が行われ、午後3時36分に水素爆発が起きた。県は「爆発前からベント作業などで放射性物質が漏れていたと考えられ、風向きが影響した可能性がある」としている。上羽鳥では13日午前零時に毎時100マイクロシーベルトを割り込んだ。一方、第一原発南側の富岡町夜の森では15日午前2時に毎時186マイクロシーベルトを記録した。各測定地点の空間放射線量は全体として、第一原発の北側で12日に上昇し、南側では15日ごろまで大きな変動がない。県は「当時の風向きなどと整合性がある」と分析している。昨年1月6日から90日間の積算線量では、原発敷地の境界を除いて大熊町夫沢中央台の150.62ミリシーベルトが最大だった。降下物の核種分析では大熊町大野で、1カ月間で一平方キロ当たり560万メガベクレル(メガは100万倍)のセシウム137が検出された。県は原発周辺の25カ所のモニタリングポストについて、震災で通信回線の断線や電源喪失、津波による流出があったため、データの回収を進めていた。今後、さらにデータを精査し、当時の事故や避難の状況と照らし合わせる作業を行う。 *2:http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012092101001169.html (東京新聞 2012年9月21日) 規制委、放射線データ公開できず HP上で、発足初日から 原子力規制委員会が東京電力福島第1原発の周辺で観測された放射線量データを、発足初日の19日からホームページで公開できていないことが21日、分かった。委託業者との契約内容に問題があったためで、規制委の事務局は「これまで立ち上げ準備に注力し、発足後のことに考えが回っていなかった」と頭を抱えている。公開できていないのは原発周辺の海水に含まれる放射性物質濃度や、陸域の放射線量データで、東電と福島県がそれぞれ測定。21日午前の時点で公開されていない。
| 原発::2012.9~10 | 04:01 PM | comments (x) | trackback (x) |
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2012,09,15, Saturday
*1の記事より パブリック・コメントの結果 これらでOK、経済波及効果大 *1のように、政府が、2030年代での原発ゼロを目標に決定したと表現したのは、官邸前デモが全国的に広がり、パブリック・コメントの結果や討論型世論調査の結果は脱原発が多数であり、衆議院議員選挙前でもあるため、国民の意志を無視できなくなったからであろう。しかし、政府決定によれば、実際には、2030年時点での原発依存度は15%であり、パブリック・コメントの結果や討論型世論調査の結果に反して、あらかじめ予定していた15%シナリオを進んでいるのである。15%シナリオは、1%の支持しかなかったのにである。そして、このことは、政府決定の具体的内容がファジーで、いつでも原発推進に変更できるようになっていることからも明らかである。 そして、野田佳彦首相は、会議後、「見通せない将来について確定的なことを決めるのはむしろ無責任だ」と説明したそうだが、ならば、パブリック・コメントの選択肢の設定そのものが始めからおかしかったことになる。仮に、15%シナリオが多数意見だったとすれば、「国民は冷静だ」と言って、そう決めたことが容易に推測できるにもかかわらずだ。 また、政府が2030年代での原発ゼロを目標に決定したというのが意味を持たない証拠には、*2のように、枝野大臣が、建設休止中の大間原発について、「既に出した許可を変更するつもりはない」と述べ、建設再開を容認する方針を示したこともある。それは、何のための原子力規制委員会なのか、再度、疑問を感じさせるものだ。つまり、原子力規制委員会は、経済産業省の言うなりに動く機関だと言っているようなものである。巨大な嘘やまやかしは、もう、いい加減にしてもらいたい。原発への無駄な投資や国からの交付金等を廃止すれば、新エネルギーを普及する資金は、その何分の1かですむのだ。 そのような中、*3、*4のように、経済産業省の息のかかった方面から、全部解決できる使い古された理屈を使って、早速、原発ゼロの方針にクレームがついた。つまり、政府の覚悟とリーダーシップで反対者を説得できるか否かが、現在、最も重要なポイントとなっており、それが、今後の日本経済を左右するのだが、先を見通せない人が意志決定しているため、右往左往して時間を無駄にしているのだ。そして、ここが、我が国の最も重要なネックである。 *1:http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012091590070538.html (東京新聞 2012年9月15日) 脱原発 国民意思から後退 「30年代ゼロ目標」決定 (ポイント)政府は十四日、今後の原子力政策をめぐり、関係閣僚らによるエネルギー・環境会議を開き、二〇三〇年代の原発ゼロを明記した「革新的エネルギー・環境戦略」を決定した。しかし、使用済み核燃料から新たな核燃料をつくる再処理事業は不要になるにもかかわらず、続けることを決めた。原発の稼働は原則四十年に制限するが、安全が確認されれば期間内は「重要電源」として再稼働を認め、三〇年時点での原発依存度は実質的に15%になる。 多くの国民が求めたすべての原発からの脱却を含め、三〇年までの稼働ゼロから大きく後退し、戦略には判断の先送りや矛盾を抱える内容が多い。だが、野田佳彦首相は会議後、「見通せない将来について確定的なことを決めるのはむしろ無責任だ」と説明した。 原発の運用は▽四十年運転制限を厳格に適用▽原子力規制委員会で安全が確認されたものは「重要電源」として再稼働▽新設や増設はしない-ことを原則とした。二〇〇〇年代に入り運転を始めた中部電力浜岡5号機(静岡県)や北陸電力志賀2号機(石川県)など五基は、三九年時点で稼働四十年を迎えない。エネ環会議議長の古川元久国家戦略担当相は「ゼロにする努力をする」と述べるにとどめ、廃炉の明言を避けた。中国電力島根3号機など建設中の原発も「個別のものは決めてない」と稼働に含みを残した。また、核燃料サイクル政策自体の判断も先送りにした。サイクルの中核となる高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県)は、「年限を区切り使用済み核燃料処理の研究に使う」としたが、終了時期を定めなかった。使用済み核燃料再処理工場などサイクル関連施設を受け入れてきた青森県を「最終処分地にしないとの約束は厳守する」と強調。一〇年時点で発電電力量が千百億キロワット時だった再生可能エネルギーは、設置手続きの簡素化や送電網の強化などで三〇年までに三倍に拡大する計画を盛り込んだ。 *2:http://www.toonippo.co.jp/news_too/nto2012/20120915103356.asp (東奥日報 2012年9月15日) [速報]枝野大臣、「大間原発」を容認 枝野幸男経済産業相は15日、青森市内で行われた原子力関連施設立地自治体の首長との会談で、建設休止中の大間原発をめぐり「既に出した許可を変更するつもりはない」と述べ、建設再開を容認する方針を示した。核燃料サイクル事業継続により、むつ市に建設中の使用済み核燃料中間貯蔵施設、プルサーマル計画についても従来通り進めるとした。 *3:http://mainichi.jp/select/news/20120914k0000m020097000c.html (毎日新聞 2012年9月13日) 原発ゼロ方針:経団連会長が不快感 (ポイント)経団連の米倉弘昌会長は13日、東京都内で記者団に対し、政府が2030年代の原発稼働ゼロを打ち出す方向になっていることについて「とてもじゃないが了承しかねる」と強い不快感を示した。米倉会長は同日午前、野田佳彦首相に電話で再考を求めたと説明。米倉会長は、原発ゼロを決めた場合、電気料金の高騰だけでなく、原発開発で連携する米国との関係まで悪化させかねないとし「選挙で揺れ動くのではなく、もっと真剣に日本の行方を考えていただきたい」と訴えた。 **経団連 米倉弘昌会長について** http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B1%B3%E5%80%89%E5%BC%98%E6%98%8C <略歴> 1937年3月:兵庫県神戸市長田区生まれ(現在75歳) 1960年3月:東京大学法学部卒業 1960年4月:住友化学工業(現住友化学)入社 2009年:住友化学代表取締役会長就任 2010年1月:日本経団連会長就任 <福島第一原子力発電所事故についての主張> 2011年3月11日に発生した福島第一原子力発電所事故について、「1000年に1度の津波に耐えているのは素晴らしいこと。原子力行政はもっと胸を張るべきだ」と述べ、国と東京電力を擁護した。また、「東電は(地震と津波による)被災者の側面もあり、政府が東電を加害者扱いばかりするのはいかがか」と指摘。東電への責務を求めず、免責を訴えた。 *4:http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2012091102000104.html (東京新聞 2012年9月11日) 政府、エネ政策公表延期 米が懸念表明 (ポイント)クリントン米国務長官は八日、ロシア・ウラジオストクでの首相との会談で、日本の原発政策への「関心」を表明。首相は会談後、「(米国と)緊密に意思疎通しなければならない」と記者団に語った。日米両政府は原子力の平和利用を目的とした日米原子力協定を結び、日本に技術協力している。日本が原発ゼロを打ち出せば、米国の原発政策にも影響を与える。また、日本のメーカーと共同で原発を開発・製造している米国内のメーカーも影響を受ける。クリントン氏の「関心」は、協定を盾に内政課題に介入していると受け取られても仕方がない。日米の原子力関係に詳しい吉岡斉九州大副学長は「クリントン氏のニュアンスはやや弱い懸念で、さほど重くない。むしろ日本の原発関係者が下心を持ち、過剰反応的に振る舞い原発維持の口実に使っている」と批判する。 *5:http://sankei.jp.msn.com/world/news/120914/erp12091422180004-n1.htm (産経ニュース 2012.9.14) 【原発ゼロ】「支援できる」脱原発のドイツは協力を表明 (ポイント) 「2030年代に原発稼働ゼロ」を目指すとした日本政府の決定を受け、ドイツ政府報道官は、14日の記者会見で、「経験を交換したり、助言したり、互いに支援できる幅広い分野があるだろう」と述べ、「脱原発」の実現に向け、日本と協力していく用意があることを明らかにした。
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2012,09,13, Thursday
*1よりストロンチウム調査 原発事故に関する報道の嘘 *1のストロンチウム土壌汚染が、「原発事故による汚染と判断された場所はなく、過去の大気圏核実験によるもの」とは、いい加減だろう。埼玉県の私の自宅は、部屋の中で0.2μsV/hあるが、それは原発事故以後のことだ。また、埼玉県の場合、*1の図では一箇所しか計測しておらず、*2の図でも3か所くらいしか計測していない。つまり、殆ど計測しておらず、計測した場所もアリバイ的な検査にとどまる。 そして、埼玉県は、瓦礫の広域焼却処理を、やり放題である。そのため、埼玉県の人に「どうして平気なんですか?」と聞いたところ、「焼却したらなくなるんじゃないんですか?」と答えた。「いえ、焼却しても、形を変えてあちこちに拡散するので、放射性物質は焼却するのではなく、閉じ込めるのが原則です。」と答えたら、「それは、大変じゃない!」とのことでした。正しい知識や情報がないと、知らない人は本当に知らずに被害を拡大させてしまうのに、何ということでしょうか。 *1:http://www.asahi.com/science/update/0912/TKY201209120490.html (朝日新聞 2012年9月12日) ストロンチウム土壌汚染、10都県で原発事故の影響なし 東京電力福島第一原発の事故で放出されたストロンチウムについて調査していた文部科学省は12日、土壌の汚染マップを公表した。調査した10都県の60カ所で原発事故による汚染と判断された場所はなく、過去の大気圏核実験によるものとしている。 調査は、大気中の放射線量が毎時0.2マイクロシーベルト以上の地域がある10都県(岩手、宮城、福島、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、山梨)の50カ所と、昨年6月の調査で放射性セシウムに対するストロンチウムの割合が比較的高かった福島県相馬市の10カ所の土壌を調べた。 ストロンチウム90の最大値は福島県西郷村の1平方メートルあたり130ベクレル。19カ所では検出されなかった。最近11年間(1999~2009年)で国内で観測された最大値950ベクレル(04年、茨城県)をいずれも下回った。 *2:http://www.s.affrc.go.jp/docs/press/120323.htm (農林水産省 平成24年3月23日 プレスリリース) 「農地土壌の放射性物質濃度分布図」の作成について 農林水産省は、福島県及びその周辺15都県を対象に、「農地土壌の放射性物質濃度分布図」を作成しました。 濃度分布はこれまでの航空機モニタリング等で得られた空間線量率の分布とほぼ同様の傾向を示しました。また、自治体レベルでの農地土壌の詳細な濃度分布が明らかになったので、今後の除染や現場での営農への活用を進めていきます。 <作成の目的> 東京電力福島第一原子力発電所の事故により、放射性物質に汚染された農地の除染など今後の営農に向けた取組を進めるためには、農地土壌がどの程度放射性物質に汚染されているかを把握することが必須です。 このため、農林水産省は、昨年8月30日に公表した福島県周辺6県の農地土壌の放射性物質濃度分布図(農地土壌濃度分布図)(以下「23年公表分布図」という。)を、今回、さらに調査範囲を拡大し、より精緻な農地土壌濃度分布図の作成に取り組みました。 <農地土壌濃度分布図の作成の詳細> 農地土壌濃度分布図は、農林水産省が独立行政法人 農業環境技術研究所に委託し、以下の手順に従い作成しました。 1 対象区域 23年公表分布図に記載した6県(宮城県、福島県、栃木県、群馬県、茨城県、千葉県)に調査地点を追加し、さらに9都県(岩手県、山形県、埼玉県、東京都、神奈川県、新潟県、山梨県、長野県、静岡県)を加えた15都県の農地土壌を対象としました。 2 調査地点 福島県で約2,200 地点(警戒区域を含む)、他の14都県では計約1,200 地点の総計約3,400 地点(23年公表分布図では約580地点)を調査地点としました。農地土壌の採取地点の選定などについては、15都県の協力を得ました。それぞれの都県の調査地点数は、別添1 農地土壌分布図調査総括表を参照ください。 3 農地土壌の採取 放射性物質濃度の測定に用いる農地土壌の試料は、調査地点ごとに一つのほ場から採取しました。具体的には、ほ場での平均的な値を得るため、ほ場に対角線を引きその交点1点、対角線の交点と各頂点との中点4点の計5箇所から、放射性物質が耕起によってかくはんされる深さや農作物が根を張る深さを考慮して、地表面から約15cmの深さまでの土壌を採取しました。採取した5点の土壌試料は、一つのビニール袋に入れてよく混合しました。 4 分析の対象核種 ゲルマニウム半導体分析装置を用いて放射性セシウム(Cs-137、Cs-134)の濃度を測定しました。 農地土壌濃度調査地点図等には、Cs-137とCs-134濃度の合計を表示しました。 5 分析値の補正 分析に使用した農地土壌の試料については、その採取時期が23年4月から24年2月と分散しているため、放射性セシウムの減衰量を考慮し、基準日(平成23年11月5日)を設定して実測値を補正し、それを農地土壌濃度調査地点図等に表示しました。 なお、基準日は、文部科学省が実施している航空機モニタリングデータの基準日と同じ日に設定しました。 6 地図上での農地土壌濃度の表示 地図上に、農地土壌の調査地点とその地点で採取した農地土壌の放射性セシウムの分析値(補正後)を表示しました。15都県全体の農地土壌放射性物質濃度調査地点図(調査地点全域)は別添2をご参照ください。 7 空間線量率からの農地土壌の放射性物質濃度の推計 農地土壌の放射性セシウム濃度と農地上の空間線量率との間には一次の相関関係がありました。これを活用して、文部科学省が実施した航空機モニタリングの空間線量率データから農地土壌の放射性セシウム濃度を推計し、調査地点以外の農地土壌の放射性セシウム濃度を地図に表示しました。なお、推計した放射性セシウム濃度の値と実測値との間には、一定の誤差が生ずる場合があります。 農地の分布は、独立行政法人農業環境技術研究所が2010年に作成・公開した農地土壌図(2001年の農地の分布状況を反映)から作成しました。15都県全体の農地土壌放射性物質濃度分布図(調査地点全域)は別添3をご参照ください。推計の結果、5,000Bq/kgを超える農地土壌の面積は、昨年8月公表時点の約9,100ha(牧草地を除き約8,300ha)とほぼ同程度の、約8,900ha(牧草地を除き約8,100ha)と推定されました。 8 農地土壌の放射性セシウム濃度の範囲の設定 農地土壌濃度分布図では、濃度分布の傾向を表わすため、濃度に応じて7段階に範囲を区切り、 段階ごとに色分けして農地土壌の放射性セシウム濃度を表示しました。 濃度の範囲を設定するに当たっては、調査地点全体での放射性物質濃度の範囲(不検出~約20万 Bq/kg)、農地の除染技術の適用の考え方及び濃度の値の桁数(1,000、10,000)等を勘案しました。 <結果の概要> 1.結果と考察 1) 調査地点数を増やした今回の農地土壌濃度分布図により、23年公表分布図において相対的に高い濃度を示した調査地点の周辺の地点や、同分布図よりも広範な範囲の濃度分布が明らかになりました。この中で、警戒区域内等において23年公表分布図より濃度の高い地点が一部あったものの、今回の調査範囲における農地土壌の濃度分布は、基本的にはこれまでのモニタリング調査や航空機モニタリングで得られた空間線量率の分布とほぼ同様の傾向を示すことがわかりました。 2) 対象となった都県の都県別の分布図とともに、福島県については市町村別の分布図を作成しました。より詳細な分布を示すことにより、今後の除染や営農指導に資するものと考えられます。 3) 農地上1mの高さの空間線量率と農地土壌中の放射性セシウム濃度との間には、その土質や農地の状態に応じて一定の相関があることが判明しました。これを踏まえ、簡便に測定できる空間線量率から、農地土壌中の放射性セシウム濃度を簡易的に算定する方法(別添4)を提示しました。一定の誤差はありますが、営農現場でおおよその濃度を把握する際に役立つものと考えられます。 2.農地土壌放射性物質濃度分布図等のデータについて 今回作成した各県ごとの(福島県においては市町村ごとのものも含む)農地土壌放射性物質濃度調査地点図、農地土壌放射性物質濃度分布図、実測値等分析値データ、放射性セシウム濃度の簡易算定法は、以下のURLに掲載しております。http://www.s.affrc.go.jp/docs/map/240323.htm <今後の取組> 農地土壌濃度分布図を作成したことにより、より広範囲の地域について濃度を把握できましたので、今後は、除染や現場での営農への活用を進めていくとともに、この推移を把握するための調査を進めることとしています。
| 原発::2012.9~10 | 10:26 AM | comments (x) | trackback (x) |
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2012,09,11, Tuesday
*1のとおり、原子力規制委員会委員長として田中俊一(元日本原子力研究開発機構委員長代理)、委員として中村佳代子(日本アイソトープ協会プロジェクトチーム主査)、更田豊志(日本原子力研究開発機構原子力基礎工学研究部門副部門長)、大島賢三(元国連大使)、島崎邦彦(地震予知連絡会会長)の計5人を首相の権限で19日に任命すると書いてある。
しかし、原発の安全規制を担う原子力規制委員会にしては、安全に詳しい専門家は一人も入っておらず、原子力の専門家3人と地震の専門家1人、外国対応のための元国連大使1人という構成なのである。もちろん、専門家でなければ詳しくないので役に立たないが、安全を守る原子力規制委員会であれば、何が危険なのかを判断して規制を作ることができる専門家が重要なので、原子力災害に詳しい疫学の専門家や医師が入っていなければならない。 そのため、この人事構成とごり押しの人事決定を見て、原子力規制委員会は、厳しく安全対策をするというアリバイを作って、国民や外国から文句を言わせないようにしながら、原発を推進するための組織であると見た。つまり、福島原発事故の後も、原発のためには人命や健康を犠牲にしてもよく、シビア・アクシデントは想定しないという考え方が継続されており、パラダイムは何ら変っていないということである。こういう発想だから、原子力を扱う資格がないのに。 NHKのHPより、原子力規制委人事案反対デモ(経産省前) *1:http://mainichi.jp/select/news/20120911k0000e010203000c.html (毎日新聞 2012年9月11日) 原子力規制委員会:19日発足を閣議決定、首相5氏任命 政府は、原子力規制委員会を19日に発足させるため、11日午前の閣議で、新たに原発の安全規制を担う原子力規制委員会を19日に発足させることを決め、関連の政令を閣議決定した。委員長に就任する田中俊一・高度情報科学技術研究機構顧問ら委員計5人の人事は国会の同意が得られていないため、規制委設置法に基づき、首相の権限で19日に任命する。 事務局となる原子力規制庁の長官や職員人事などの準備を進めるため、政府は11日付で田中氏と、委員候補の中村佳代子・日本アイソトープ協会プロジェクトチーム主査▽更田豊志・日本原子力研究開発機構原子力基礎工学研究部門副部門長▽大島賢三・元国連大使▽島崎邦彦・地震予知連絡会会長−−の計5人を内閣官房参与に任命した。 人事は国会の同意を得ていないが、細野豪志環境相は11日午前の記者会見で「発足が9月26日までという法律上の規定があり、原子力緊急事態に依然としてあることを考えれば、早期に発足をさせなければならない。法律の根拠に基づいたもので、手続きに問題はない」と語った。
| 原発::2012.9~10 | 07:57 PM | comments (x) | trackback (x) |
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