■CALENDAR■
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  
<<前月 2018年08月 次月>>
■NEW ENTRIES■
■CATEGORIES■
■ARCHIVES■
■OTHER■
左のCATEGORIES欄の該当部分をクリックすると、カテゴリー毎に、広津もと子の見解を見ることができます。また、ARCHIVESの見たい月をクリックすると、その月のカレンダーが一番上に出てきますので、その日付をクリックすると、見たい日の記録が出てきます。ただし、投稿のなかった日付は、クリックすることができないようになっています。

2018.8.21 過疎地を含む地方を走るJRとその収益構造
(1)JR北海道の現状と解決策
1)JR北海道の改善策について
 石井国交大臣は、2018年7月27日、*1-1、*1-2のように、2019~20年度に400億円台の財政支援を実施することを決め、監督命令を出して経営改善策の着実な実行を指示し、北海道新幹線の札幌延伸後の2031年度中の経営自立を目指して、①外国人客を誘致するための観光列車の充実 ②不動産業など鉄道以外の部門の強化による収益増加と不採算路線のバス転換などのコスト削減を徹底するよう求めたそうだ。

 記事による改善策を見る限り、JR北海道の改善策はJR九州が行って成果を上げてきた内容と似ている。ただし、JR北海道は民営化していないため、経営に国交省が口を出し、営業センスのない選択をする場合があるのが、他のJRと異なる。国交省が営業センスのない事例は、国際線の成田と国内線の羽田を離れた場所に造って乗り換えを不便にしたり、羽田に行くのに浜松町からモノレールに乗らなければならないような不便な連結にしたりして、空港の利便性を損なう設計をしていることである。

 そのため、私は、北海道の自然や食を背景に持つJR北海道は、本当は素晴らしい潜在力を持っており、早々に民営化して、持ち株会社が鉄道子会社・旅行子会社・運輸子会社・不動産子会社・送電子会社などを所有する形にした方がよいと考える。また、空港には、新幹線と在来線の両方か、少なくとも在来線が乗り入れるべきである。

2)再エネと送電網
 大手電力は、*1-3のように、不当な顧客の囲い込みをしているだけでなく、*1-4のように、送電線の容量不足を理由に、再エネで発電された電力の買取制限を行って、再エネの普及を遅らせている。

 そのため、*1-4の送電網整備には、鉄道会社の敷地に鉄道会社が送電線を敷設して送電料をもらう仕組みを取り入れるのがよいと考える。何故なら、既にあるインフラを利用して最も安価に送電線を敷設でき、農地で発電された電力を消費地に送って送電料をもらい、廃線にする鉄道を最小にすることができるからだ。また、環境や景観に注意しながらも、農地で発電できれば農業補助金を減らすことが可能だ。

(2)JR九州について
 JR九州の場合は、*2-1、*2-2のように、東証1部に上場でき、「不動産事業」が快走を演出したそうだ。JR九州は、首都圏からはJR北海道と同じくらいの距離だが、鉄道事業を行っているメリットを活かし、運輸サービス・駅ビル・不動産などの事業を行って、現在のニーズに応えているのが成功の秘訣だ。

 そのため、今後、送電事業も行うとすれば、「JR九州」という社名も変更した方が利害関係者にわかりやすいと思われる。

(3)地方の新幹線について
 新幹線については、JR北海道はフル規格でスムーズに進んでいるため、*3のJR九州のようなフル規格化に関する議論はなく、簡単に見える。

 しかし、並行在来線を廃止すると、確かに生活の足が損なわれるため、市営地下鉄やバスを走らせるなどの代替案が必要だろう。

<JR北海道について>
*1-1:http://qbiz.jp/article/138246/1/ (西日本新聞 2018年7月27日) JR北海道に経営改善指示 国交相が監督命令
 石井啓一国土交通相は27日、JR北海道にJR会社法に基づく監督命令を出し、経営改善策の着実な実行を指示した。北海道新幹線の札幌延伸後の2031年度中の経営自立を目指し、収益増加とコスト削減を徹底するよう求めた。JR北海道の島田修社長は、国交省で藤井直樹鉄道局長から命令書を受け取り「重く受け止め、不退転の決意で経営改善に取り組む」と述べた。監督命令では、19年度から30年度までの長期計画を定め、外国人客を誘致するための観光列車の充実や、不動産業など鉄道以外の部門の強化を求めた。国交省が計画の進み具合や効果を3カ月ごとに検証し、結果を公表する。同社への監督命令は、レール検査数値の改ざん問題などを受けて出した14年1月に続き2回目。経営改善の取り組みを怠った場合、取締役らに100万円以下の過料が科される。

*1-2:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO34295450X10C18A8ML0000/ (日経新聞 2018/8/20) JR北に国が問う覚悟、長期援助拒み2年で成果迫る
 経営再建中のJR北海道に対し国土交通省は7月、2019~20年度に400億円台の財政支援を実施すると表明した。期限を設けてさらに身を切る改革を求め、同社への監視を強める新たな体制を敷く。過去に何度も国から支援を受け、待ったなしの状況にあるJR北は、この2年間で収益改善への覚悟が問われる。改革の行方は地域の足に影を落とす。「経営自立への取り組みを着実に進めることを求められたのを重く受け止める。不退転の覚悟で取り組む」。JR北の島田修社長は7月27日、国土交通省での記者会見で語った。これに先立ち、同省は同社にとって2度目となる行政処分「監督命令」を発令。事実上、経営を監視下に置いた。国が異例の2度目の監督命令を出したのは、度重なる支援に関わらず、一向に経営が改善しない体質にしびれを切らしたからだ。例えば直近では16年度から設備投資や修繕のために計1200億円を拠出。にもかかわらず同社の18年3月期の連結営業損益は過去最大の416億円の営業赤字と業績は悪化している。JR北は北海道新幹線の札幌延伸を予定する30年度まで12年間の財政支援を求めていた。新幹線が札幌までつながれば利用が拡大し収益に貢献するとの想定に基づく。国はこれを拒み、支援をまず20年度までとした。JR北が求める21年度以降の支援には関連法の改正も必要で、「国民の理解を得られるか」(同省幹部)が壁となる。そこで国は2年間と期限を区切り、JR北に「目に見える成果」(石井啓一国交相)を上げるよう求めた。たとえ再び税金を投入するとしても、広く納得を得られる実績が不可欠だからだ。島田社長は「改善のプロセスを確認してもらえるものを出すことが大切だ」とし、財政支援を踏まえた収支見通しや経営自立への行程表を早期に示す考え。国交省はこれらが「絵に描いた餅になってはいけない」とし、経営改善への具体策も求めている。国交省の求める「目に見える成果」とは何か。収益改善にはコスト削減と増収策が条件となる。コスト削減の最たるものが不採算路線の廃線だ。JR北は列車を走らせるだけで年間約160億円もの赤字を生む13区間を抱えている。国交省は特に利用が少ない5区間のバスへの転換を求める。その道筋を付けるため、沿線自治体などと協議を急ぐ必要がある。増収策では遊休地を生かした不動産事業などで稼ぐ力を付けつつ、急増する訪日客をどう鉄道利用に結び付けるかという視点が重要になる。約20年ぶりとなる運賃引き上げも視野に入れる。地域を巻き込んだ利用促進策も欠かせない。道東の釧網線(東釧路―網走)では、高速バス大手のウィラー(大阪市)が9月から同区間の鉄道と沿線駅を発着するバスが乗り放題になる乗車券を販売する。根室線(釧路―根室)では根室市がふるさと納税サイト運営会社と鉄路存続へ寄付金を募り始めた。だが、こうした試みは限定的だ。地元治体の主体性も欠かせない。国交省は地域との連携策として、区間ごとの利用目標の設定を例に挙げる。地域で一定の時期を定め、輸送人員や駅の利用者を何人増やすかなどの数値目標を掲げ、検証も交えながら集客を進めるというもの。豪雨災害からの全線復旧を目指す福島県の只見線は同様の取り組みを始めた。これら「宿題」と引き換えに得た国の支援を、JR北は設備増強などに生かす。不採算路線のうち維持を検討する8区間では、地元自治体が国と同水準の費用を負う条件で施設や車両を改修。道内外との物流を支えるJR貨物が走行する区間の設備修繕も進める。支援が一時の赤字穴埋めに終わらぬよう、国交省は四半期ごとに進捗を検証するなど目を光らせる。「2年間で目に見える成果を出す」。島田社長は国交省の監督命令発令後の記者会見でこう繰り返した。JR北は有言実行を迫られている。
■廃線対象の沿線自治体、対応に濃淡
 JR北海道が利用者の少なさから「単独では維持困難」とする留萌線の深川―留萌間にある石狩沼田駅。昼間に降りるのは地元の高校生と高齢住民の数人だけで、夕方には人気もなくなる。沼田町の玄関口としては寂しい光景だ。無人の駅舎内では「駅の利用実績を確保することが必要」と張り紙が訴えていた。同区間を含む5区間が廃線によるバス転換を迫られているが、沿線自治体との協議には濃淡がある。石勝線夕張支線(新夕張―夕張)は夕張市が2019年4月の廃線に合意。札沼線(北海道医療大学―新十津川)も沿線自治体が廃線容認へ調整を進める。日高線(鵡川―様似)は自治体側が道路も線路も走れる「デュアル・モード・ビークル(DMV)」など新交通の導入を断念し、バス転換も選択肢とした。一方で留萌線(深川―留萌)は路線維持を求める沿線4市町が「JR側からの説明を待つ」として受け身の姿勢。根室線(富良野―新得)は、16年夏の台風被害で東鹿越―新得間が不通となっていることもあり、早期復旧と路線維持をめざす住民運動が展開されている。いずれもJR北と直接協議に進んでいない。ただ、JR北への財政支援に際し、国土交通省は不採算路線のバス転換を推し進めるよう促した。留萌市の中西俊司市長も「現時点での国の姿勢と重く受け止める」と話す。赤字路線への国の直接的な支援が望み薄となった今、道内自治体も地域交通をどう守っていくかが問われている。

*1-3:http://qbiz.jp/article/139362/1/ (西日本新聞 2018年8月17日) 電力の不当な顧客囲い込み規制へ 大手と新電力の競争促進、経産省
 経済産業省が大手電力による不当な顧客囲い込みの規制に乗り出すことが17日、分かった。新電力に契約を切り替えようとする情報を利用し、安い料金プランを提示して引き留める「取り戻し営業」が対象。情報の「目的外利用」として電気事業法上の問題行為に位置付ける。大手と新電力の健全な競争促進に向け、年内にも指針案の取りまとめを目指す。電力小売りの自由化により、大手と新電力の競争は激化している。企業は家庭と比べて大量の電力を使うため、電力会社にとって収益への寄与が大きい。世耕弘成経産相は「できるだけ早く公正な競争条件を整えたい」と話している。取り戻し営業が問題視されていることについて大手電力は「新電力側のうがった見方だ。切り替えの情報を転用しないように、社内で契約管理と営業の部門で情報共有できない仕組みになっている」と反発している。新電力は顧客から契約先の切り替えの申し込みがあると、電力広域的運営推進機関(広域機関、東京)のシステムを使い、顧客に代わって大手電力に対し契約解除を取り次ぐのが一般的だ。大手電力は広域機関から連絡を受け、契約解除の手続きを行う。ただ機器工事のため新電力が供給を始めるまで最大2カ月程度の時間がかかる。その間に大手が大幅な割安料金を提示すれば、顧客に切り替えを思いとどまらせ、契約をつなぎとめることも可能だ。経産省が7月に開いた有識者会議では、大手電力による取り戻し営業の問題が取り上げられた。有識者の委員は割安な料金の提示は「不当廉売」に当たる可能性があると指摘し、「独禁法と(電力を適正に取引するよう求めている)電気事業法の二重の面で問題になる」と批判した。

*1-4:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20180508&ng=DGKKZO30155150X00C18A5PP8000 (日経新聞 2018年5月8日) 送電網整備へ「財政支援を」 自民委が再生エネ提言案
 自民党の再生可能エネルギー普及拡大委員会(委員長・片山さつき参院議員)は、太陽光や風力など再生エネの普及に向け送電網の整備に財政支援を求める提言案をまとめた。送電網不足が導入を阻んでいるとして、財政投融資などの活用で整備を促すよう求める。8日に開く同委員会の会合で示し、政府と党執行部に申し入れる。電力大手が持つ送電網の空き容量が減り、再生エネの発電事業者が電気を送れない事態が起きている。

<JR九州の場合>
*2-1:https://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ25H80_V21C16A0000000/ (日経新聞 2016/10/25 ) JR九州上場、快走演出した「不動産事業」
 九州旅客鉄道(JR九州)が25日、東京証券取引所第1部に上場した。朝方から買い注文が膨らみ、取引開始から30分ほどたって付けた初値は3100円と、売り出し価格(公開価格、2600円)を19%上回る水準。ひとまずは順調な「走り出し」といえそうだが、人気の背景を探ると、少し気掛かりな点も浮かび上がる。
■営業利益でみると「不動産会社」
 「現在は運輸サービス事業と駅ビル・不動産事業の利益がそれぞれ全体の4割。しばらくの間はこの構成で成長を目指す」。青柳俊彦社長は午前中、経済専門チャンネルの番組に出演し、成長のけん引役として不動産事業への期待感を隠さなかった。JR九州は社名の通り、鉄道事業が主力ではあるが、実は不動産事業が孝行息子。九州新幹線をはじめとする鉄道事業は2017年3月期にひとまず黒字化する計画だが、営業利益でみると連結全体の4割にすぎない。残る6割のうち、4割分を稼ぐのが駅ビル不動産事業。営業利益でみれば、鉄道事業と同じ規模なのだ。JR九州はJR博多駅の駅ビル「JR博多シティ」(福岡市)や4月に開業したオフィスビル「JRJP博多ビル」(同)など駅前の不動産を活用した商業施設や賃貸用不動産を運営しており、今後も駅ビルや駅ナカを開発していく方針を示す。保有不動産の収益力を高めるというストーリーは、東日本旅客鉄道(JR東日本)や東海旅客鉄道(JR東海)が歩んできた成長路線と重なる。初値時点でのJR九州の時価総額は4960億円と1兆~3兆円に達する、他のJR3社と比べると小粒だが、割安なJR九州に投資する理由は十分にある。
■不動産マネーの「逃げ場」にも
 完全民営化で経営の自由度が高まれば、成長のけん引役である駅ビル運営で大規模投資や他社との連携などに踏み切りやすくなる。楽天証券の窪田真之氏も、「高収益の駅ビル不動産事業は、これからさらに利益を拡大する余地がある」と指摘する。JR九州株の初値は、不動産事業への「期待料込み」ともいえる。実際、日本株の運用担当者の間では、「国内外の機関投資家がJR九州の不動産事業に注目して投資しようという動きも出ていた」という。そして、もう一つのJR九州にとっての追い風も吹いたのかもしれない。日本国内の不動産に向かっていた投資マネーの変調だ。ここ数年来の不動産価格の高騰で、投資額に見合う利回りを得にくくなっており、今年1~9月の累計で海外勢や国内の事業法人は不動産をこぞって売り越した。行き場を失った不動産への投資資金が向かいやすいのは、流動性が高く、一時期に比べて過熱感が薄れた不動産投資信託(REIT)や株式。つまり、巨大な投資マネーの流れの中で、JR九州株が資金の「一時的な逃げ場」になったのかもしれない。
■初値は「追い風参考記録」か
 もっとも、期待通りの水準だった初値が「追い風参考記録」になる恐れもある。JR九州が自社で保有する不動産は九州地方が中心で、東京や東海地域の一等地に資産を持つJR東日本やJR東海とは異なるからだ。不動産市況の過熱感が想定外に強まれば、新規の案件の取得や開発にかかるコストが膨らむ。今後、九州より不動産市場が大きな首都圏、成長著しいアジア地域で不動産ビジネスを拡大したとしても、リスクは消えない。25日のJR九州株は初値に比べて178円(5.7%)安い2922円で午前の取引を終えた。シナリオ通りに不動産事業を伸ばし、JR東日本など旧国鉄民営化の成功事例に加われるだろうか。

*2-2:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO30336810Q8A510C1LX0000/?n_cid=SPTMG002 (西日本新聞 2018/5/10) 九州が最高益 前期最終、鉄道の採算性なお課題
 JR九州が10日発表した2018年3月期の連結決算は、純利益が前の期比13%増の504億円と過去最高だった。運輸サービスや不動産などほぼ全ての部門で営業増益だった。主力の鉄道事業は2期連続の黒字を確保したが、16年3月期に実施した費用圧縮の会計処理の効果が大きい。処理前の基準では20億円の赤字に相当し鉄道事業の採算性はなお課題だ。売上高は8%増の4133億円だった。訪日客の増加などに伴う新幹線の旅客増や、熊本地震直後の減少の反動で鉄道収入が増えた。キャタピラー九州の連結子会社化も寄与した。営業損益では運輸サービス事業が14%増の292億円。不動産賃貸収入が増えた駅ビル・不動産業も232億円と2%増えた。営業利益、経常利益ともに5期連続で過去最高を更新した。ただ主力の鉄道事業の採算性にはなお課題が残る。16年3月期に5268億円分の固定資産を減損処理し、減価償却費を大幅に減らした。だが鉄道は毎年の安全投資が欠かせず、再び減価償却費が膨らむのは避けがたい。20年3月期からは国から受けていた固定資産税の減免措置もなくなり、さらに利益を圧迫する。青柳俊彦社長は「ローカル線の赤字はむしろ拡大している」と強調した。九州北部豪雨の影響で一部不通となっている日田彦山線では、復旧費用の算出や負担方法に関する自治体との協議が続いている。業績好調を受けJRの負担を求める自治体側の圧力が強まる可能性もあり、慎重な姿勢をみせた。
          ◇
 JR九州は10日、車両整備や駅構内業務などを手掛ける子会社3社を再編すると発表した。7月1日付で、JR九州メンテナンス(福岡市)が車両整備やビル設備管理部門を分割し、ケイ・エス・ケイ(同)が承継。社名は「JR九州エンジニアリング」に変更する。様々な駅業務を担うJR九州鉄道営業(同)をJR九州メンテナンスが吸収合併し、社名は「JR九州サービスサポート」とする。

<地方の新幹線>
*3:http://qbiz.jp/article/139384/1/ (西日本新聞 2018年8月18日) フル規格化、佐賀県市長会は要望見送り 新幹線西九州ルート
 佐賀県市長会(会長・秀島敏行佐賀市長)は17日、嬉野市で会合を開き、九州市長会(10月)に提案する事項などを協議した。武雄、嬉野両市から出されていた九州新幹線西九州(長崎)ルートの全線フル規格化を求める要望は見送った。会合の後、嬉野温泉駅(仮称)の建設現場を市長会として初めて見学した。会合では、新幹線を巡る各市の温度差が浮き彫りになった。橋本康志鳥栖市長は「フル規格になれば、長崎線全体が並行在来線となり、生活の足としての機能が損なわれる恐れがある。整備ルートも未定で、いつできるか不透明だ」と指摘。秀島市長が「市長会として見解をまとめられる状況にない」と述べた。武雄市の小松政市長は「引き続き議論する場を設けてほしい」と呼び掛けた。会合は、山口祥義知事に提出する要望書の取りまとめが主な議題で、JR九州の交通系ICカードの導入促進やスクールカウンセラーによる相談体制充実などを求める計26項目を決めた。30日に提出する。駅建設現場の視察では、市長たちは高架橋へ上り、鉄道・運輸機構の職員から土木工事が終わり、レールを敷設し、駅舎建設に向け着手する段階との説明を受けた。嬉野市の村上大祐市長は「実際に現場を見てもらい、新幹線について考えてもらうきっかけになったのでは」と話した。

| 経済・雇用::2018.1~ | 05:20 PM | comments (x) | trackback (x) |
2018.7.26 日本経済と外国人労働者 (2018年7月27、28、30日に追加あり)
    
2018.7.26西日本新聞  外国人労働者推移(国籍別)  中間管理職の月給比較

(1)外国人労働者の受入拡大について
 政府は、*1-1のように、特に人手不足が深刻な農業・介護・建設・宿泊・造船で外国人の就労を認める新たな在留資格の創設について、2019年4月を目指して準備を進めていたが、他業界からも外国人労働者受入を求める声が上がっていることを受けて、*1-3のように、水産・食品加工・外食・製造業など、さらに約10分野を対象に加える方針だそうだ。

 日本には、既に外国人労働者に支えられている産業も多く、外国人労働者を使うという選択肢があれば、これまでに海外に出ていってしまった産業のうち、国内で製造できるようになるものも多いため、生産年齢人口が減少して人手不足になる局面で規制緩和を行うのは良いと思う。

 また、介護は、*1-2のように、1万人の受入をベトナム政府と合意し、数値目標方式をインドネシア・カンボジア・ラオスなどにも広げて人材を確保するそうだが、こうなると、日本では、介護や生活支援を、①出産時 ②病児 ③退院直後 などを含む全世代に広げることが可能になる。また、他の国でも介護保険制度を作り、条約で相互に同様のサービスを受けられるようにすると、助かる人が多いだろう。

 もちろん、外国人労働者も生活者でもあるため、受入拡大のためには、環境づくりが必要だ。しかし、「来日後1年内に日本語で日常会話ができる『N3』の能力を得なければ帰国」というのは厳しすぎ、私は介護に日本語は不可欠でないため、「N3」のレベルに達しなかった人でもチーム介護の1員として働けば、帰国しなければならないほどではないと考える。

 なお、*1-3に書かれている「入国管理庁」の新設については、最近、「○○庁」の新設が多いが、これは行政改革の趣旨に反する。そのため、本当に「庁」を作る必要があるか否かについては、検証を要する。

(2)おかしな反対論
 日経新聞が、2018年7月26日、*2-1に、「政府が外国人の受け入れ拡大を表明しているので、①安い賃金で働く外国人が増え ②物価の下押し圧力になりかねない」としている。

 しかし、①のような外国人を日本に受け入れなければ、その企業は賃金の安い外国に移転するか、廃業するかして、日本の産業はますます空洞化する。また、②のように、「物価を上げることが目的」というのは、日本国民や日本経済のためになる政策ではない。何故なら、日本が自由貿易をする限り、高コスト構造の日本製品ではなく、安い賃金の国の安価な製品が売れるグローバルな時代になっているからである。その時、技術は生産している場所で発達するため、輸出国の製品が次第に良くなり、日本からは技術が消える。

 そのため、*2-2のように、「人手不足はバブル時代以来の水準だが、当時と大きく違うのは消費も国内総生産(GDP)もほとんど増えていない」というのは、年金生活者も含めて収入が増えない以上、物価を上げれば購入数量が減るからで、当然のことである。

 従って、少子高齢化で日本の産業や総人口を支える労働力が不足するのなら、外国人労働者を受け入れればよく、働く能力も意欲もある高齢者や女性に雇用を保障するためには、年齢や性別による差別を禁止をすればよい。つまり、「物価上昇」や「インフレ率の目標達成」こそ、変な目標なのである。

(3)外交と経済
 日経新聞が実施した2018年度の「研究開発活動に関する調査」で、*3-1のように、回答企業の43.9%が日本の科学技術力が低下していると指摘したそうだ。その理由は、中国やインドなど新興国の台頭で、10年後の研究開発力はインドや中国が日本を抜くと予想されているそうだが、どちらも人口が多く、熱心に教育を行い、開発された技術の採用判断に無駄がない。それが、油断して無駄遣いばかりしている日本との違いである。

 また、「企業は研究分野の選択と集中が必要だ」としているが、誤った選択と集中は大きな発見を見過ごす場合がある。そのため、的確な判断と予算付けが必要なのだが、これは官僚がやるのではなく、意識の高い専門家の助言を得る必要がある。

 なお、日本で外国人労働者の受け入れに反対している人が、*3-2のトランプ大統領の ①米国第一主義 ②保護主義 ③雇用の確保 ④国境管理の厳格化 をのべつまくなく批判し続けてきたのは自己矛盾である上、我が国の外交にも悪影響を与えてきた。私は、どの国にも産業政策はあり、その国に必要な産業は育てなくてはならず、既にいる国民の雇用も守らなければならないため、「日本は特別な国」という発想は甘えだと考える。また、雇用の確保や国境管理は日本の方がずっと厳しく、かなり制限された外国人労働者の受け入れでさえ、*2-1、*2-2のような反論が出ているということを忘れてはならない。

<外国人労働者の受入拡大>
*1-1:https://www.agrinews.co.jp/p44690.html (日本農業新聞 2018年7月25日) 外国人就労新在留資格 来年4月に創設へ 受け入れ業種拡大も 首相指示
 政府は24日、外国人労働者の受け入れ拡大に向けた初の関係閣僚会議を首相官邸で開いた。安倍晋三首相は、人手不足が深刻な業種で外国人の就労を認める新たな在留資格の創設ついて、「来年4月を目指して準備を進めたい」と述べ、検討を加速するよう指示。今後、外国人の受け入れ対象業種について、従来検討してきた農業や介護など5業種以外にも広げることや、外国人の在留管理を一元的に担う官庁の立ち上げも検討する。政府は6月に決めた経済財政運営の基本方針「骨太の方針」に新たな在留資格の創設を盛り込んだ。一定の技能、日本語能力を問う試験に合格した外国人を対象に、通算5年を上限に就労を認める。3年間の技能実習の修了者は試験を免除する。秋の臨時国会に関連法案を提出する方針だ。閣僚会議には安倍首相の他、上川陽子法相、斎藤健農相らが出席。安倍首相は「法案の早期提出、受け入れ業種の選定などの準備を速やかに進めてもらうようお願いする」と述べた。法務省には、増加が見込まれる在留外国人の管理を行うため、組織の抜本見直しを指示した。受け入れ業種の選定では、政府は、特に人手不足が深刻な農業、介護、建設、宿泊、造船を念頭に検討を進めてきた。一方、水産業や食品関連業など他の業界からも受け入れを求める声が上がっていることを受け、業種の追加も検討。政府は関連法の成立後に決める受け入れの基本方針で、具体的な基準を示し、年内にも受け入れ業種を正式決定する見通しだ。

*1-2:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20180725&ng=DGKKZO33346320U8A720C1MM8000 (日経新聞 2018年7月25日) 介護人材1万人受け入れ ベトナムと合意、政府20年目標、インドネシアにも打診
 政府はベトナム政府と同国からの介護人材の受け入れ拡大で合意した。政府は1年以内に3000人、2020年夏までに1万人の数値目標を設け、ベトナム側もこれに協力する。期限と受け入れ数を掲げ、環境整備を急ぐ。介護分野の人手不足は深刻で、今回の数値目標方式をインドネシアなど他国にも広げ、介護人材を確保する。政府の健康・医療戦略推進本部(本部長・安倍晋三首相)がベトナムの労働・傷病兵・社会問題省と6月に日本への介護の人材受け入れ促進で合意したことが判明した。首相は24日、外国人労働者の受け入れ拡大への環境づくりを関係閣僚に指示した。日越首脳は年内にも介護・医療で日本とアジア各国が協力を進める「アジア健康構想」で覚書を結ぶ見通し。介護人材の受け入れ強化も柱の一つにする。政府はインドネシアやカンボジア、ラオスなどからも受け入れ拡大を進める。ベトナムからの人材の受け入れは昨年11月から介護分野でも始まった外国人技能実習制度を活用する。日本語試験で、ある程度日常会話ができる「N4」の能力を持つ人を対象に最長5年の滞在を認める。技能実習を修了した人はさらに最長5年の就労資格を得られる新制度も創設する。介護の技能実習制度の利用者はまだ数人しかいない。来日後1年内に、日本語で日常会話ができる「N3」の能力を得なければ帰国しなければいけない。学習費用の自己負担が重荷になり、来日に二の足を踏むためだ。政府はベトナム人の学習費用を支援し、高齢者の「自立支援」の手法も学べる優良法人を選ぶ。日本人と同様の給与水準も保証。第1弾で12業者を選定した。12業者で3千人を受け入れられる。ベトナム政府もまず6つの優良業者を人材を送り出す機関として認定する。現在、介護人材は経済連携協定(EPA)を通じて来日している。08年~17年の累計で約3500人で、新たに3千人来日すれば、海外の人材はほぼ倍になる。政府の予算で実施するEPAによる受け入れ拡大には限界があり、政府は今後、技能実習制度を活用する。経済産業省によると15年に日本の介護人材は4万人足りなかった。外国から1万人来ても3万人超足りない。35年には人材不足は79万人に達するという。人手が足りないことを主因に15~17年度に全国で整備された特別養護老人ホームは計画の7割にとどまる。国際的な人材獲得競争は激しい。韓国は外国人労働者の人数の枠を決めて受け入れを進める。日本も数値目標を定めて受け入れ拡大を目指すものの、外国人技能実習制度で一定の条件を定めているため、簡単に人数が伸びるかはわからない。

*1-3:http://qbiz.jp/article/138036/1/ (西日本新聞 2018年7月25日) 「外国人就労」10分野追加 新在留資格で外食、製造、漁業 政府方針 「入国管理庁」新設も検討
 人手不足を補うために外国人の就労を認める新たな在留資格に関し、政府が、これまで想定していた介護など5分野だけでなく、外食産業や製造業などさらに約10分野を対象に加える方針であることが分かった。実質的に単純労働の分野にも門戸を広げる。安倍晋三首相は24日の関係閣僚会議で、来年4月からの制度開始に向け、準備を加速するよう指示。上川陽子法相は同日の記者会見で、法務省の組織改編で「入国管理庁」のような新たな官庁を設置する検討に入ったことを明らかにした。新資格の受け入れ業種で想定していた5分野は、建設、介護、農業、宿泊、造船。政府関係者によると、これに加え、製造業では金属プレスや鋳造などの金属加工業を追加する方針。非製造業でも、食品加工業や漁業などを追加し、10分野ほど増やす方向で検討しているという。いずれも重労働で人手不足が深刻な分野。各省庁が業界の要望も聴き、受け入れ業種の詳細を詰める。閣僚会議で首相は「法案の早期提出、受け入れ業種の選定などの準備を速やかに進めてほしい」と指示。「外国人を社会の一員として受け入れ、円滑に生活できる環境整備をすることが重要な課題だ」と述べた。新たな在留資格創設により、国内で暮らす外国人は大幅な増加が見込まれる。政府が「入国管理庁」の新設を検討するのは、外国人に対する日本語教育や医療面などでの支援のほか、出入国管理の体制強化が必要になるからだ。この日の閣議では、法務省に受け入れ体制整備に向けた総合調整権限を与えることを決めた。上川氏は会見で「(法務省の)入国管理局を抜本的に組織改編し、入国管理庁のような外局を設けることも含め、検討を進める」と述べた。新たな在留資格では、在留期間は最長5年とし、家族の帯同は認めない。日本語能力や技能に関する試験を実施する一方、技能実習の修了者は試験を免除する。政府は来年4月の制度開始に向け、今秋に想定される臨時国会に入管難民法改正案を提出する方針。
   ◇   ◇
●人手確保へ見切り発車 体制、支援策 これから
 政府は、新たな在留資格による外国人労働者の受け入れを、当初想定の5分野からさらに10分野ほど増やし、一気に拡大する。2025年ごろに約50万人の受け入れが必要と試算してきたが、さらに数十万人単位での受け入れが見込まれる。人手不足の解消が期待される半面、来年4月に迫る制度開始に向けた政府の受け入れ体制や外国人への支援策は検討が始まったばかり。外国人政策は国の在り方を大きく変えるだけに、“見切り発車”への不安は拭えない。「既に外国人なしに成り立たない業種は多い。少子高齢化を見据えれば、今やるしかないんだ」。30年までに700万人超の働き手が減るとされる中、政府関係者は、受け入れ拡大を急ぐ理由をこう強調した。政府が受け入れ方針に転じた外食産業などのサービス業は現在、日本語学校などで学ぶ多くの外国人留学生が支えている。製造業でも、技術習得を名目にした技能実習生が重労働を担っている。いずれのケースも就労時間などに制約があるため、政府は就労を目的とした新資格で正面から外国人を受け入れ、より効率的に長時間、働いてもらいたいという狙いがある。人手不足に悩むのは、地方の中小企業や農家など自民党を支えてきた層とも重なる。新制度の開始を急ぐ背景には、来年の統一地方選や参院選を控える政権の思惑もにじむ。政府は24日、外国人との共生を目指し、日本語教育の充実や相談窓口の整備などを盛り込んだ「総合的対応策」の案を示したが、法務省関係者は「正直に言うと、これまでと同じ言葉を並べただけ」と漏らす。新設を検討する「入国管理庁」も、大掛かりな組織改編が必要になる。政府内には、建設業など実質的な単純労働の分野で多くの外国人を受け入れれば、景気悪化時に職を失った日本人とのあつれきが生まれるとの懸念も根強い。現行の技能実習制度を巡っても、人手不足の解消を求める業界団体の要望を受ける形で、制度が始まった1993年の17業種から、17年12月時点で77業種へとなし崩し的に対象を拡大。低賃金で長時間労働を強いるなどの問題が指摘されてきた。支援団体などからは「外国人がモノ扱いされることがないよう、丁寧な制度設計をしてほしい」と求める声が上がっている。

<おかしな反対論>
*2-1:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20180726&ng=DGKKZO33417090V20C18A7EE8000 (日経新聞 2018年7月26日) 上がらぬ物価を探る(3)外国人増、賃金伸び鈍化 高収入の人材少なく
 6月半ば、大阪府東大阪市の工場ではベトナム人やインドネシア人らが朝から金属部品を熱心に磨いていた。京セラに燃料電池、マツダに自動車の部品などを納める従業員約110人の三共製作所。製造にかかわる働き手は実に約6割が外国人の技能実習生だ。
●人件費の調整弁
 「人手不足を解消し固定費を下げるには外国人を増やすしかなかった」。同社の松本輝雅社長はこう語る。「技術を学んで母国でいかしたい」。こう話す23歳のネパール人実習生、シグデル・ススマさんの月収は15万円ほどだ。厚生労働省の調べでは日本で働く外国人は2017年に128万人だった。日本の就業者全体の2%。この5年で人数も割合も倍増した。BNPパリバ証券によると12年から17年にかけては外国人の留学生と技能実習生は合計で30万人弱増えた。一方専門的な資格をもつ人材は10万人強しか増えていない。同社の河野龍太郎氏は「留学生や技能実習生が人手不足を背景にコンビニや工場などで安い賃金で働いている。日本の労働需給が逼迫しても賃金が上がらないのはこうした外国人労働者が増えたことが一因だ」と指摘する。
●平均月収13万円
 大和総研によると、日本の常用雇用者4926万人の平均月収は35万4855円なのに対し、外国人の技能実習生は同13万円ほどだという。日銀の簡易な推計でも、技能実習生の時給は約800円にすぎず、日本人のパート時給などよりも安いとみている。5月の完全失業率は2.2%と25年ぶりの低さだったが賃金の足取りは鈍い。政府は外国人の受け入れ拡大を表明している。政府関係者は「官邸が介護の人手不足に業を煮やして決めた。将来は年間20万人規模の受け入れが目安」と明かす。安い賃金で働く外国人は確実に増える。物価の下押し圧力になりかねない。

*2-2:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20180726&ng=DGKKZO33414870V20C18A7EN2000 (日経新聞 2018年7月26日) 外国人労働者受け入れの是非
 政府は外国人労働者の在留資格の基準を緩め、就労を促進しようとしている。人手不足が特に深刻な農業や建設に外国人労働者で対応しようという意図だ。本当のところ、日本は人手不足なのか。データをみると、実際に雇用数は拡大し、労働市場が逼迫して完全失業率も低下している。人手不足はバブル時代以来の水準という声さえある。しかし、当時と大きく違うのは、消費も国内総生産(GDP)もほとんど増えていないということだ。完全失業率とは、労働人口のうち全く働いていない者の割合だ。1時間でも働いていれば完全失業者にはならない。つまり、数字上の失業率が減っても、雇用の中身が劣化していれば、生産は増えない。実際、GDPが増えていない以上、実労働時間は増えていないはずだ。もし増えているなら、効率が低下しているということだ。望ましいことではない。そもそも消費が増えていない以上、生産量を増やしても意味がない。こうした状況で利益を確保するなら、賃金を抑えるしかない。そのための外国人労働者導入だ。そんな目先の話ではなく、少子高齢化によって、総人口を支えるための労働力が不足するから、外国人労働者の導入は絶対に必要だという見方もある。実際、総人口当たりの64歳までの労働人口の比率をみると、減少傾向にある。ところが、同じ比率を65歳以上まで含めて計算すると増えている。これは寿命が延び、働く能力も意欲もある高齢者が増えているからだ。高齢者は支えられるだけでなく、支える側にもなる。雇用と景気の健全な回復は需要が伸び、必要な生産量が増えてはじめて可能だ。それが賃金の上昇につながり、物価も上昇して、ようやくインフレ率の目標達成が視野に入る。ところが需要は回復していない。限られた需要で利益を確保しようと、低賃金で働かせることを考える企業もある。手っ取り早いのは外国人労働者だ。実際、外国人労働者の劣悪な雇用状態が問題になっている。経済停滞の原因は需要の伸び悩みにある。低賃金の維持ばかり考え、雇用の質を落として労働者を確保しても、数字上の雇用が改善するだけだ。需要が伸びなければ景気の本格回復はない。

<外交と経済>
*3-1:https://www.nikkei.com/article/DGKKZO33416300V20C18A7TJ2000/ (日経新聞 2018/7/26) 「日本の技術力低下」43% 本社調査 10年後、中印と逆転も
 日本経済新聞社が実施した2018年度の「研究開発活動に関する調査」では、回答企業の43.9%が日本の科学技術力が低下していると指摘した。上がったとの見方は289社中10社にとどまった。中国やインドなど新興国の台頭が理由で、10年後の研究開発力ではインドや中国が日本を抜くと予想する。現状と10年後の研究開発力を、国別に5点満点で評価してもらった。現状について、インドは平均3.0、中国は3.5と日本の3.8より低い。だが、10年後にはインドは3.8、中国は4.3で日本の3.7を上回った。業界別でみると自動車・自動車部品では、中国が日本や米国を上回り、欧州に次ぐ実力になるという結果だった。日本の科学技術力の低下を指摘しているのはITや機械・エンジニアリング・造船、素材で多く、いずれも50%を超えた。文部科学省科学技術・学術政策研究所によると、研究の質の高い研究論文数は2013~15年平均で日本は世界9位。10年前の4位から急落した。10年前には6位の中国が米に次ぐ2位に上昇した。論文は5~10年後の国の科学技術力を映す先行指標といわれており企業も危機感を強めている様子がうかがえる。こうした状況への対策として各企業が挙げたのは研究分野の選択と集中、企業と大学が共同で研究を進める産学官連携だ。国内での連携については47.1%、海外での連携については36.7%の企業が増やす方針を示した。徹底できるかが今後のカギを握りそうだ。だが国内大学との連携について、企業の44.6%は「迅速な成果を期待できない」などと問題点を指摘した。政府は大学改革をてこにイノベーション創出を目指すが、学問の自由が失われることに大学側の反発も強くどこまで進むか不透明だ。このままでは、米中との差が広がりかねない。

*3-2:https://www.nikkei.com/article/DGXLASGM21H33_R20C17A1EB1000/ (日経新聞 2017/1/21) 各国メディア、トランプ氏の政策疑問視
 米国の第45代大統領にドナルド・トランプ氏が20日就任したことを受け、米国や世界のメディアは就任式の模様や今後の国際情勢の展望を詳報した。米メディアはトランプ氏の就任演説が既存の政治・社会の批判に終始した点を疑問視した。国外では欧州やメキシコのメディアが「米国第一」の姿勢を不安視する一方、ロシアメディアは米国との関係改善への期待を報じた。米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)が注目したのは「エスタブリッシュメント(支配階級)の拒絶を続けるトランプ氏の姿勢」だった。これまでの米大統領は改革を主張しつつ、ある程度、そうした層と付き合ってきたことを指摘。「トランプ氏はどうやって彼らと協力して国を治めるつもりなのだろうか」と、就任演説で示された政策方針に疑問を呈した。一方、ワシントン・ポスト(電子版)はトランプ氏の演説内容が、都市犯罪や雇用の流出など米国の現状に対する非難に終始したと指摘。「オバマ前大統領の民主党政権から共和党政権への移行というより、新しい形の独立した権力や政治を作ると話しているようだった」と評した。英紙ガーディアン(電子版)はトランプ氏が言及した「米国第一」について「オバマ政権の多国間主義に代わる、外交・安全保障政策の中核になることがはっきりした」と述べた。その上で「米国の核兵器や通常戦力を強化するが、他国の防衛や海外の紛争解決のために使う意志は薄いということだ」と読み解いた。仏紙ルモンド(電子版)は就任演説を冷静に報じつつも、米国だけでなくフィリピン、ドイツ、英国でも反トランプのデモがあったことを「世界中でデモ」との見出しで紹介。警戒感が米国外にも広く高まっていることを指摘した。トランプ氏を批判的に報じてきた独紙フランクフルター・アルゲマイネは米欧関係が「複雑になる」と断じた。独誌シュピーゲルはトランプ氏が就任演説で「反対派との闘争を宣言した。世界に不安が広がった」などと指摘した。メキシコの主要各紙の電子版は、新政権の写真や記事で埋め尽くされた。「トランプ氏、環太平洋経済連携協定(TPP)からの離脱、北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉、壁建設を繰り返す」(フィナンシエロ紙)のように関心の高い通商・移民政策に関しての記事が大半を占めた。中国の国営新華社などは就任を速報し、関心の高さを示した。新華社は「米国第一主義を主とし、保護主義を基調とする就任演説」だと指摘。雇用の確保や国境管理の厳格化に関する発言を伝えた。米大統領就任の際の反対派デモ活動がこれまでにない規模だったことにも触れた。ただ、中国国営中央テレビは就任式の様子を中継しなかった。就任演説で中国への批判が出る可能性を懸念した可能性がある。ロシアの国営テレビ「ロシア1」は1時間半のニュース番組枠で40分以上を割いて就任式を伝えた。「(ロシアとの関係改善を主張する)トランプ氏は大統領選での勝利以来、圧力にさらされてきた」「米メディアはロシアとの関係を巡る疑惑を執拗に取り上げ、式典を台無しにしようとした」などと批判の矛先を米メディアに向けた。韓国・聯合ニュースは米韓関係について「(トランプ政権が)防衛費負担の引き上げや、米韓自由貿易協定(FTA)の見直しを要求すれば、同盟が揺れる可能性がある」と分析。中国製品に高い関税をかければ米中の対立が深まって「朝鮮半島に影響が及ぶ可能性が非常に大きい」との見方も示した。

<上海のリニアモーターカーと蘇州刺繍>
PS(2018年7月27、30日追加):公認会計士協会埼玉会の親睦兼視察旅行で、3日間、上海に行ってきた。帰路に、龍陽路から浦東空港まで*4-1のリニアモーターカーに乗り、最高時速は300 km/hだったが、10分程度で空港に到着した。確かに、横幅が広く座席配置は6列で新幹線より1列多く、日本のように地下を走るのではなく、地上を走る設計なので景色がよかった。シートの青色カバーは、モノレール程度の感覚だった。中国は、2001年 3月1日に、このリニアモーターカーの建設を開始し、2004年1月1日には商業運行を開始しているのだから迅速だ。そのほか、上海近郊の道路は6~8車線となっており、高層ビルが立ち並び、長期の街づくり計画もよいと思われた。「百聞は一見に如かず」と言うため、見聞に行かれるとよいと思う。「羽田空港⇔上海浦東空港」は3時間、「福岡空港or九州佐賀国際空港⇔上海浦東空港」なら2時間弱の飛行距離である。
 なお、*4-2のように、九州佐賀国際空港から台湾の格安航空会社LCCが運航し始め、「佐賀⇔台北」での搭乗利用が2018年7月29日にスタートしたそうだ。九州は、これから中産階級の人口が20億人に達するアジア諸国に東京より近いため、他も含めてアジアの航空会社が乗り入れると、次の展開が見えてくるだろう。


     上海のリニアモーターカー           蘇州刺繍

(図の説明:上海のリニアモーターカーと蘇州刺繍の写真。蘇州刺繍は薄い絹地に裏と表で別の図案を刺繍したものや、日本の帯や着物地があったのは驚きだった。日本の光る絹糸をここに輸出すると、面白い製品ができそうだ)

*4-1:http://flyfromrjgg.hatenablog.com/entry/shanghai_linear_maglev (イケてる航空総合研究所 2016.9.11) 上海に行ったらリニアモーターカーに乗れ!
 上海浦東から上海市内に出る最速の方法はリニアモーターカーです。おおっと、リニアモーターカーは和製英語でしたね。英語では「マグレブ」って言うんでした。さぁ、マグレブに乗って上海の街へと繰り出しましょう。ん~やっぱり「マグレブ」って日本語で呼ぶことに違和感があります。「リニア」って呼んだ方が日本語ではしっくりきます。ということで、自分で「マグレブ」が正しいと言っておきながら「マグレブ」は使わずに「リニア」を使うことにします。日本にリニアが開業したあかつきには、きっと「リニア」が世界標準になりますので…。
●片道50元で龍陽路まで
 リニアに乗るには発券カウンターで「往復(Round Trip)」か「片道(One Way)」かを伝えるだけです。片道は50元(750円)。往復で買うと片道40元となり往復で80元(1,200円)となります。乗車時間は7~8分なのに片道750円は高い気がしてしまいますが、速いんだから仕方ありません。距離で考えれば結構長い距離を走っていますので、合理的な値段と言えば合理的な値段です。切符はここで買いましょう。リニアの終点は龍陽路(ロンヤンルー)。上海市内と言ってもあまり中心部には近くないです。上海の中心部に行きたい場合は、龍陽路から地下鉄かタクシーに乗らなければいけません。龍陽路から延伸する計画があったようですが、上手く話が進まずに開業から12年経った今でも開業区間は空港から龍陽路までです。もう少し中心部まで言ってくれたら随分と便利になると思うんですけどね。ホームは待合室の下にあり、時間まではホームに入れません。僕が乗った朝9時台は20分間隔の運行で、たまたま前の列車が出た直後とあり、20分も待たされることになりました。いくら速いと言っても20分も待たされるとせっかくの高速移動が無駄になっちゃいますよね。運行間隔がもう少し短かかったらなぁと思います。
●未来鉄道リニアらしからぬ車内
 リニアが入線してきました。地下鉄並の大きさを想像していると意外と横幅が広くて焦ります。1両の長さも結構長く、地下鉄並の長さを想定しているとかなり長く感じます。車内に足を踏み入れると、豪華なのか質素なのか分からない雰囲気にやや違和感を覚えます。照明や壁などの内装はそこそこなんですが、シートがダサ過ぎるんです。「何?この青色のカバー被ったシート?」ってな感じでお世辞にも格好いいシートとは言えません。座席配置は3-3で新幹線よりも1列多いです。シートは回転させることはできず、前向きの座席と後ろ向きの座席がちょうど真ん中で向かい合う方式を採っています。グループで座る場合はここが一番快適でしょう。シートピッチは意外と狭いです。基本的にガラガラですので、もう少しシートピッチを広くして欲しいと思います。本当に窮屈なんですよ。未来鉄道のリニアのはずなのにシートピッチはLCC並。何回乗ってもシートピッチだけは大きな違和感を覚えます。
●最高時速は430km/h
 浦東空港から龍陽路までの所要時間は約8分。最高時速は430km/hです。ただ、430km/hと言っても最高時速が出ている時間は30秒程度で、残りの時間は加減速に使われておしまいです。しかしやはり加速していくのは気持ちが良いもので、僕は最初の加速フェーズがたまらなく好きです。そして430km/hに達するとかなり速いと感じます。また減速していくのも面白くて200km/hくらいになると異常に遅く感じるんです。加速していく過程の200km/hと減速していく過程の200km/hは、まるで速さの感覚が違うんですよ。相対的な感覚ってホント不思議ですよねぇ。龍陽路に到着しました。わずか8分の高速移動体験でした。「もう終わりかよ」ってな感じです。降りるとこんな風。リニアの龍陽路駅は地下鉄の龍陽路駅と繋がっており、ガラスの向こう側は地下鉄からの人波です。5月1日に行った時の1日目の上海滞在は時刻表上で約6時間半。9時に着いて15時半には次の目的地へ出発します。上海市内で観光できる時間はそんなに長くはありません。それで急いでリニアに乗ったというわけです。
●最高時速300km/hのときもある
 そして空港に戻る時にもリニアに乗ることにしました。20分間隔の運行ではタイミングって非常に重要ですね。8分の所要時間で20分待つのは何だか不合理な気がします。こいつ、結構可愛いヤツなんです。この時の最高時速は301km/h。理由は分かりませんが、たまにこういうことがあるみたいですね。300km/hでも十分に速いんですが、行きの430km/hと比べたらうんと遅いです。300km/hですと中国新幹線よりも遅いことになりますから…。行きよりも遅い300km/hで走った割には、そんなに所要時間が変わることもなく空港に到着。430km/h出してる時間が短いですので影響も少ないんです。
●リニアは一種の観光スポット
 最後に。最高時速430km/hのリニアモーターカー。ここまで速い地上鉄道に乗れるのも世界で上海くらいなもんです。上海リニアは一種の観光スポットだと思って下さい。現地ではあんまり人気のないところが、観光スポット的な感じがします。僕は何度上海に来てもこれに乗りたくなってしまうんです。速い乗り物って無性に乗りたくなりません?何だか鉄道の速度で430km/hと聞くと未体験ゾーンな気がして何だかウズウズしちゃうわけです。そんなわけで、上海に行ったのなら乗ったことがあってもなくてもリニアに乗りましょう。

*4-2:https://www.saga-s.co.jp/articles/-/252338 (佐賀新聞 2018年7月30日) 佐賀空港の台北線、佐賀からの搭乗スタート
 台湾の格安航空会社(LCC)タイガーエア台湾が運航する佐賀-台北線で、佐賀空港からの搭乗利用が29日、スタートした。従来、台湾からのツアー客を対象に運航していたが、佐賀空港から出発する人も利用できるようになった。カウンター前では、第1便となる午後12時30分発の搭乗手続きのため、日本国内での観光を終えた台湾の家族連れらでごった返した。佐賀空港での記念式典で山口祥義知事は「佐賀からの利用が可能になり、台湾の人は佐賀と近くなったと実感しているのでは」と歓迎の言葉を述べた。タイガーエア台湾の張鴻鐘董事長は、昨年6月から始まったツアー客限定のチャーター便の就航に至る経緯を振り返り「台北-佐賀間の定期便就航の手続きは最終段階にある。台北への第1便には当然、山口知事に乗ってもらうつもり」と話し、関係者の笑いを誘った。佐賀を中心に4日間、家族4人で観光地を巡った台北市の林芊彣さん(15)は「唐津城と祐徳稲荷神社が印象に残った」と話した。日本には数え切れないほど訪れたといい「佐賀を含め、日本と台湾を結ぶ拠点が多くなるのは喜ばしい」と笑みを浮かべた。台北便は週2往復で、木曜と日曜に運航している。

<豪雨被害から将来を見据えた安全な街づくりへ>
PS(2018/7/28追加):*5-1のように、記録的豪雨を含む大雨被害があった西日本地域に「激甚災害の指定」を行って復旧事業の補助率を上げるそうで、大災害が発生した地域が激甚災害の指定を受けて補助率を上げてもらえるのは有難いものの、激甚災害の指定は、「復旧事業」に限られているのが問題だ。何故なら、例えば、広島県倉敷市のように、住宅地が天井川の底より低い場所にあり、堤防だけが頼りなどというセキュリティーを無視した街づくりをしている場所に、年中復旧費用を出しているほど我が国の財政はゆとりがないため、少子高齢化して人口が減少している現在、住宅地には高い安全な場所だけを選び、災害リスクのある地域は農漁業地帯にするなど、激甚災害の指定は「復旧」に限らず「街づくり」をも応援しなければならないからだ。具体的には、住宅地は高所に作って一戸建てやマンションを分譲し、これまでの住宅と等価交換できるようにすればよく、高齢世帯は介護サービス等を受けやすい便利なマンションに移るのがよいと思われる。
 なお、*5-2のように、農業も甚大な被害は受けるのだが、住宅と比較すればやり直しが効く被害だと言える。そのため、専門家のアドバイスを受けながら、その土地にあった農産物の再配置を考えるのがよいだろう。

   
      2018.7.14朝日新聞          土砂と災害ゴミ

(図の説明:災害に遭われた方々にはお見舞い申し上げるが、自然条件から考えて災害に遭いやすい地域で、今後も同じことが起こり易い場所が多いように見える。そのため、必要な場所は災害ゴミと土砂を使って埋め立てたり、住宅は高台に移転したりするなど、国民の努力と血税が「賽の河原の石積み」にならないような復興計画を立てるべきだ)

*5-1:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO33321010U8A720C1EAF000/ (日経新聞 2018/7/24) 西日本豪雨を激甚災害指定 政府、復旧事業の補助率上げ
 政府は24日、西日本を襲った記録的豪雨を含む大雨被害の激甚災害指定を閣議決定した。指定は27日付。国から被災自治体の復旧事業に対する補助率を1~2割程度引き上げる。自治体の財政負担を軽くし、道路や河川、農地などの復旧事業を後押しする。指定対象は梅雨前線の停滞などに伴う被害。地域は限定せず、西日本豪雨より前に発生した北海道の大雨被害も含む。公民館や学校といった公共施設の復旧事業も支援する。被災した中小企業の借り入れを債務保証する「災害関係保証」を適用し、資金繰りを支える。激甚指定は従来、数カ月かかることもあった。政府は昨年12月に運用を見直し、最速1週間程度で指定見込みを公表できるよう改めた。安倍晋三首相は15日、運用改善後初となる指定見込みを公表。21日に広島県を視察した際、24日の閣議決定を表明した。激甚災害は政府の中央防災会議が定めた基準に基づき指定する。復旧に必要となりそうな費用の額などを踏まえ、判定する仕組み。近年では、2017年6~7月にかけての九州北部豪雨や16年の熊本地震を指定した。

*5-2:https://www.agrinews.co.jp/p44709.html (日本農業新聞 2018年7月27日) 西日本豪雨 ミカン島の被害甚大 若手 逆境に再興誓う 松山市
 西日本豪雨は、新規就農者や若い後継者の田畑を直撃した。若手農家とともにブランド化を進めてきた矢先の大被害に、産地は苦境に立たされている。松山市の興居島では、通行止めの解消など生活環境の復旧に伴い、農業被害が次々と明るみになっていく厳しい現実の中、若手らは消防団の活動に励む。つらい気持ちを抑え「ミカンの島を必ず復興する」と誓う。
●園地復旧 「一歩ずつ」
 「甘平」「紅まどんな」「せとか」など愛媛県が誇る中晩かんの木が根こそぎになる土砂崩れが各地で発生した松山市泊町。研修を経て4月に就農したばかりの川根勝弘さん(45)の園地も半分が被害に遭った。同町には30、40代の若手農家が毎年増えていた。JA松山市に出荷する仲間とともに、安定収入が見込める「紅まどんな」で勝負をかけようとしていた矢先の大打撃だった。川根さんは水槽まで流される豪雨の猛威を目の当たりにした。「まだ生きている木もあるが、パイプも水源も被害に遭い、防除も摘果もできない。どうすればいいのか」と落ち込む。川根さんら若い農家は連日、消防団活動に出向く。あまりの打撃に離農を口にする高齢者もいるという。園地の面積が小さく高齢化が進む同町では、規模拡大が難しい。かんきつは木を植えて収入が見込めるまで年数を要し、並大抵の努力では復旧できないことは川根さん自身が痛感している。それでも「ここまでブランドをつくってきた。一人じゃない。一歩ずつ頑張れば5年、10年と時間はかかっても復活できる」と園地に向かう。
●先輩農家と手携えて
 松山市由良町は代々、急傾斜地を切り開いてミカンを作ってきた。近年は、JAえひめ中央と農家が団結して「紅まどんな」などを地域ぐるみで栽培。そんな、小さくても光る産地を豪雨が襲った。同JA経営支援課の林諭さん(40)は「後継者が多く、産地を挙げて高級かんきつを生産する目標に向けて盛り上がっていた」と肩を落とす。1・5ヘクタールを栽培する坂本和久さん(35)は、伊予カンの園地が崩れ、水源の池が流され、「紅まどんな」のハウスも被害に遭った。島の至る所が被害に見舞われ「これから帰ろうとする若者の足止めになるのが心配。農業には自然災害のリスクがあると教訓にするしかない」と冷静に語る。坂本さんら若手農家は連日、消防団活動や復旧に泥まみれで作業する。そんな若者の姿に、地域の年配者らも「若い後継者のためにも踏ん張ろう」と考えている。「島の若い農家が重機で道路の土砂を取り除き、行けるようになった園地もある。泣いてばかりはいられない」と農家の石田六一郎さん(75)。農家の山岡建夫さん(66)は「後継者世代の被害も深刻。だが、若者のためにも水や防除を何とかしたい」と繰り返す。JAの林さんは「農業がないと地域は成り立たない。水害前、地域は活気に満ちていた。若者と先輩農家が手を携え復旧する」と力を込める。

| 経済・雇用::2018.1~ | 07:48 PM | comments (x) | trackback (x) |
2018.5.14 経済と環境の必然性から見た自動車、エネルギー、医療・介護の進路 (2018年5月15、16、19、20、21日に追加あり)
     
        2018.5.12日経新聞     2018.5.10、2018.5.13日経新聞  

(図の説明:日産とルノーはどちらがグループの利益に貢献しているかという論調になっているが、経営方針を間違わずに必要な投資を行うことが最も重要である。そして、日産・ルノー組の成功は、日本人でないゴーン社長の経営方針決定による成功によるため、今後とも日産の経営陣がイニシアティブをとらないのが成功への道だろう。しかし、再生医療に関しては、多くのヒト幹細胞候補があって次々と応用に供せられているため、集中と選択をするのはまだ早すぎる)

    
        2018.5.13東京新聞           2018.5.10日経新聞

(図の説明:経産省の次期エネルギー基本計画骨子案は、再エネの普及が世界より大きく遅れ、世界では手終い始めている原発に20%以上も依存をしようとしており、経産省の思考停止が明らかだ。そのため、経産省に任せておいては、中国はじめアジア諸国にも遅れることになる)

(1)自動車の進路は明確であること
1)競争ルールの変化とライバルの増加
 自動車の競争ルールは明らかで、「①地球環境の維持目的から、アジアだけでなくアフリカ大陸まで自動車が普及しても環境を汚さないこと」「②少子高齢化の進行から、自動運転や高度な運転支援を行えること」が、必要条件になる。

 そのような中、2018年3月期に過去最高益を更新したトヨタ自動車の豊田社長は、*1-1のように、「ライバルも競争ルールも変わり、生死をかけた闘いであり、テクノロジーカンパニーは我々の数倍のスピード、豊富な資金で新技術に投資を続けている」としているが、これは日本では20年前から予測できたことであるため、最初からEVとFCVに集中投資していれば、遅れることはなかった筈だ。

 また、コストには、コスト削減と原価低減があり、コスト削減は既にある技術を改善して地道にコストを減らすことで、これはトヨタはじめ日本企業のお家芸だ。一方、原価低減は、スキームを変えて劇的にコストを減らすことで、例えばガソリンエンジンをやめてEVにしたり、原発や化石燃料をやめて再エネに替えたりすることなどであり、コスト削減効果がずっと大きい。

 しかし、日本政府や日本企業は、自らスキームを変えて原価低減する判断をすることができず、他国がやって初めてあわてて追いつこうとする(これは、日本における文系への理数教育の不十分さによるだろう)。EVのケースでも、私が1995年頃にEVの提案をした後、すぐEVの開発・販売を行う決断をしたのはゴーン氏率いるルノー・日産組であり、日本人を社長とする他の自動車大手は、燃費の改善やハイブリッド車でお茶を濁した。

 そして、現在は、*1-4のように、「日産・ルノーはどちらが牽引役か」という問いになっているが、先見の明ある判断こそが無駄な開発コストをかけずに収益力を上げる重要な要素であるため、ルノーの方が牽引役としてふさわしく、ゴーン氏の任期が切れる時期を視野にしているのなら、再度、フランスから優秀なCEOを招くのが、双方が納得できる有効な方法になろう。
 
 なお、EV・FCV・自動運転・再エネによる自家発電などの技術を確立すれば、*1-3のような鉄道も含め、移動手段全体をもっと合理的にできる筈だ。そのため、このエネルギー変革は、自動車会社・JR・地域にとって、大きなチャンスにすることが可能である。

2)世界の市場へ
 *1-2のように、トヨタが総力戦でアフリカ大陸の開拓を始めたのは面白い。アジアの次はアフリカであるため、アフリカの豊かな自然を壊さないように、アフリカでハイウェイや高速鉄道を整備しながら、EV・FCVやそれらの電車を走らせ、太陽光・地熱などの再エネ発電で経済を進めればよいと考える。つまり、日本で行った途中の試行錯誤は省略してよいのだ。

 また、自動運転には地図が不可欠だが、日本にはパイオニアなどのナビを作る会社やゼンリンなどの正確な地図を作る会社もあり、自動運転車の必需品となる地図は、世界をグーグルに独占させなくても、現在ある地図を世界地図に変えれば、既存の技術で世界市場が視野に入る。

(2)研究開発の遅れと武田薬品のシャイアー買収
1)先進技術を獲得することの重要性
 日本は、*1-5のように、再生医療分野の応用研究に関する特許出願で、欧米・中国・韓国の後じんを拝しているそうだが、再生医療の応用研究を始めたのは1995年頃であり、経産省・厚労省・文科省が協力して本格的に始めたのは、私が衆議院議員をしていた2007年頃のことであり、どちらもそれを言い出したのは私であり、世界の先を行っていた。

 にもかかわらず、現在、日本の特許出願や論文が欧米中韓を下回っているのは、①iPS細胞以外の再生医療を排除したので、iPS細胞以外の研究者は国内で研究しにくくなり、外国に脱出して研究している人もいること ②常識や多数を善とする先端科学とは反する価値観を浸透させたこと ③日本のメディアが、科学とは無関係の自らの基準で論文を叩きすぎたこと ④勉強しないことや理数系に弱いことをファッションにする傾向があり、理数系の勉強を疎かにしたこと などが原因だ。

 しかし、ルノーが日産と合併したいと考えるのは、日産・三菱がEVやFCVの技術を持っているからであり、武田薬品のシャイアー買収のように、遅れたから低金利の金にモノを言わせて買収し、技術を獲得しようという試みは、相手会社に歓迎されないのでうまくいかない。つまり、自らが得意分野を持っていない提携や買収は相手会社に歓迎されず、高い買い物になって買収価格も回収できないケースが多いのである。

2)武田薬品のシャイアー買収について
 武田薬品が、*1-6のように、アイルランドのシャイアーを総額7兆円弱の過去最大金額で買収したとして新聞が大騒ぎしていたが、やはり裏に投資銀行の暗躍があり、この案件は、関係者の利益が最大の目的で成立したのではないかと思われた。

 何故なら、シャイアーが開発して特許を持っているのは難病薬であるため、利益率がいいと言っても大量に売れるわけではなく、それが総額7兆円もの買収価格に相当するかどうか不明だからである。

 日本企業は、金融緩和で低金利の金にモノを言わせ、持たぬ技術を獲得するために敵対的M&Aを行って得意になっていることがあるが、そのようにして失敗した事例に、東芝のウェスティングハウス買収がある。そのため、せっかくよい製品を持っている武田薬品が似た運命を辿らないことを、私は希望している。

(3)日中韓首脳会談
 安倍首相と李克強首相が、*2-1のように、経済を軸とした実務レベルの合意を行って日中両国の雪解けを演出したのはよかったのだが、尖閣諸島問題は棚上げにしてそのままだった。

 また、会談後の共同記者発表で、安倍首相は「日本と中国が力を合わせてアジアの旺盛なインフラ需要に応えていく」と述べられ、李首相も「中日は世界の主要経済大国だ。共に国際貿易の自由化を守り、経済グローバル化の発展を推進することで合意した」と語られ、よいことだ。

 しかし、*2-2のように、中国の李克強首相は、日本の経済界が東京都内で開いた歓迎レセプションで、「日中両国は世界の主要経済国として、保護主義に反対し自由貿易を守る責任がある」と述べられたそうで、それは尤もなことではあるが、既に中国が食品・EV・太陽光発電などで対日輸出の方が多くなる状況であることを考えると、油断していた日本は、米国と同様、自由貿易を喜んでばかりいる立場ではない。

 なお、李首相が、「日中が連携して世界経済の発展に貢献すべきだ」「『一帯一路(現代版シルクロード)』と日本を繋ぎたい」と述べられたのにも、私は賛成だ。

(4)エネルギーの転換
 *4-1、*4-2のとおり、現在は、再生可能エネルギー(再エネ)を拡大するエネルギー計画の方針転換に踏み込むべき時だが、経産省は、次期エネルギー基本計画の骨子案で、「原発依存度を下げる」としながら「原発は重要なベースロード電源」と位置付けて2030年度の原発の発電割合を20〜22%としており、自己矛盾だらけで本気度が感じられない。

 世界は、既に再エネへのシフトに舵を切っており、やっぱり日本は遅れた。しかし、私は、フクイチ事故後、速やかにこのブログにその解決策を記載しており、それは、全体から見て唯一の解決策であるため、世界は「パリ協定」でその解決策を速やかに取り入れ、再生エネの普及と価格低下を実現して、論理ではなく感情で突っ走った日本は時代遅れになったわけである。

 また、技術進歩により再エネの普及割合は経産省の予想を超えるスピードで進んでいるため、経産省が長期的な電源毎の発電割合を決めるのは、むしろ再エネの普及を妨げる。そのため、できるだけ、再エネを推進する方針で原発の再稼働を控えればよいのだ。そのために必要な原発地元への支援も、フクイチ事故後すぐにこのブログに記載している。

 なお、*4-3のように、小泉元首相も「原発支援のカネを自然エネルギーに向ければ、原発が供給していた30%程度の電力は、10年で自然エネルギーによって供給でき、将来、全電源を自然エネルギーにできる」と言っておられるが、まさにそのとおりで、電源こそ選択と集中を行うべき時期なのである。

(5)医療・介護の一部産業化
 介護制度についても、*3-1のように、「2025年には未曽有の超寿社会になるため、医療や介護サービスの需要が急増して費用も大幅に膨らむ」というような報道が多い。しかし、70代後半になると足腰が弱って介護を必要とする機会が増えるのは、65歳前後で定年を迎えて運動量・緊張感ともに減るからで、退職年齢を70歳以上に上げるか、定年を無くすかすれば医療・介護費は減るだろう。

 また、①1人暮らし ②高齢者数の増加 ③医療・介護費の増大 も課題とされることが多いが、これを問題としか捉えない点が、厚労省はじめ政府リーダーの頭の悪さだ。何故なら、人口の年齢構成が変われば市場のニーズが変わるのは当然であり、日本はこの意味で中流階級の多い課題先進国であるため、必要とされるサービスを的確に供給すれば、上記の中国はじめ世界で歓迎される新しい産業を作ることができるからである。

 そのためには、政府の社会保障だけでなく、*3-3のセコムの見守りサービス・ホームサービスや、*3-4の東急グループが知識とノウハウを結集して作る誇りをもって住める上質なシニアレジデンスのように、民間企業の知見と実行力がモノを言うため、政府・自治体は、これらを後押しするのもよいと思われる。

 なお、「若者が足りない」という発言もよく聞くが、*3-2のように、広い視野で外国人の受け入れを一般的に行えば、国民負担増なく、世界と日本の問題を同時に解決できるのである。

<自動車の進路>
*1-1:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20180510&ng=DGKKZO30285370Z00C18A5EA2000 (日経新聞 2018年5月10日) トヨタ、異業種と生存競争 社長「ルール変わった」 研究開発、今期も1兆円超
 トヨタ自動車は2018年3月期に過去最高益を更新し、19年3月期も底堅い業績が続く見通しだ。それでも豊田章男社長は9日、「ライバルも競争のルールも変わり、生死をかけた闘い」などと事業環境の厳しさを強調した。今期の研究開発費と設備投資の合計額は2兆4500億円と、11年ぶりに過去最高を更新する。自動運転など新たな領域で、海外IT大手など異業種の巨人との競争に備える意味合いがある。「テクノロジーカンパニーは我々の数倍のスピード、豊富な資金で新技術に投資を続けている」。東京本社(東京・文京)での決算説明会で、豊田社長の論点は「未知の世界」という競争環境、「お家芸」である原価低減、トヨタ生産方式の徹底など多岐にわたった。成果が出るまで時間のかかる自動運転や電動化、コネクテッドカー(つながる車)への投資が増え、経営方針を正確に理解してもらう必要があるためで、説明会は2時間超と異例の長さになった。19年3月期の研究開発費は1兆800億円と2年連続で過去最高で、次世代技術には35%を費やす。設備投資額との合計は5年前と比べて3割増やす。3月にはデンソー、アイシン精機と自動運転を開発する新会社を設立。元グーグル幹部をトップに据え、数年で3000億円以上を投じる。6月には主力車を刷新し、コネクテッドカーの市販車を公開することも明らかにした。トヨタの視線の先にあるのは海外IT大手の姿だ。米グーグルは米国で地球200周分の公道テストを終え、年内に世界初の無人輸送サービスを始める計画。中国の百度(バイドゥ)も、独ダイムラーなど世界企業約50社と組んで、自動運転開発「アポロ計画」を進める。自動運転などの新領域が主戦場となり、研究開発にどれだけの金額を投入できるかが今後の競争力を左右する。企業財務のデータベース、QUICKファクトセットでみると直近1年間のトヨタの研究開発費は約94億ドル。ダイムラーや独BMWを上回り、自動車業界では高い水準にある。ただ、海外IT大手との比較では安心はできない。米アップルは約127億ドルと自動車業界で研究開発費が最大の独フォルクスワーゲン(VW)に迫り、グーグルは約177億ドルとトヨタの2倍近い規模だ。研究開発費などの原資となる現金創出力(営業キャッシュフロー)でも差がある。トヨタは365億ドルとVW(約29億ドル)などを突き放し、自動車業界では抜きんでている。しかし、グーグル(約391億ドル)にはとどかず、アップル(約674億ドル)ははるか先を行く。「トヨタの真骨頂はトヨタ生産方式と原価低減の2つ。未来を生き抜くために徹底的に磨く」。研究開発費や投資の拡大が避けられないだけに、既存車種の開発や生産の方法の見直しには今まで以上に力を入れる。トヨタ生産方式をさらに徹底するため、提携したスズキやマツダのノウハウも吸収していく。4月には子会社の日野自動車がVWの商用車部門と次世代技術などで提携。「まさか乗用車のライバルと合意するとは」(トヨタ系部品首脳)と衝撃が走った。大きな転換期を「100年に一度の大チャンスととらえ、これまでにない発想でチャレンジする」(豊田社長)という。

*1-2:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO29917750X20C18A4940M00/ (日経新聞 2018/5/7) 最後の「辺境」 総力戦でアフリカ開拓(トヨタの未来)
 南アフリカ共和国のダーバンにあるホテル。アフリカの約40カ国をカバーするトヨタ自動車の販売代理店の代表者が3月に集まった。「顧客に近づいて強みを伸ばしていこう」。アフリカ本部トップの今井斗志光常務役員は代表者会議で檄(げき)を飛ばした。今井氏は1月、豊田通商からトヨタに役員として招かれた異色の経歴を持つ。豊田通商でアフリカ事業に約30年関わってきた。「中長期でトヨタをさらにアフリカで強くして欲しい」。今井氏が昨年11月、トヨタの豊田章男社長から言い渡されたミッションの一つがアフリカ攻略だ。アフリカの人口は2050年に25億人と中国を抜く規模に拡大する見込み。新車市場はまだ年間約120万台だが、人口増と経済発展で将来は巨大市場に育つと予測される。トヨタの販売台数はアフリカでまだ約20万台と、グローバルの約2%にとどまるが存在感は大きい。これから本格的に車の普及期に入る地域でマーケットリーダーの地位を守っていけるかはトヨタの未来の成長力を左右する。「フリートデー」と呼ぶイベントが数回に分けて南アフリカで昨年開かれた。アフリカの一般消費者にとって車は高根の花で、新車を買うのは政府や企業、非政府組織(NGO)が中心。こうした顧客を50団体ほど招き、工場やテストコースを見てもらう。フリートデーはトヨタや豊田通商など「オールトヨタ」で実施した初のイベントで優良顧客にトヨタをより身近に感じてもらい、ブランド力を高めるのが狙いだ。トヨタがアフリカで事業を始めたのは1950年代後半と早い。南アフリカなどに多目的スポーツ車(SUV)「ランドクルーザー」を輸出したのが始まりだ。62年には南アフリカで工場を稼働させ、地道にアフリカ各地に販売、サービス拠点も整備していった。自然が豊かなアフリカでは車の故障が命に関わるアクシデントになる。「頑丈で壊れにくい」といった評判が広がり人気となった。今井氏は「アフリカでは多くの人がトヨタ車を買いたいと言い、それを裏切ってこなかった。信頼の『残高』が高いと思う」という。ただアフリカでは中国や韓国勢の参入も相次ぎ、競争は激化している。車のシェアなど新サービスの浸透も予測され、従来の延長線ではない戦略も必要だ。「ウーバーのドライバーになるなら、トヨタ車はどうだい」。米ウーバーテクノロジーズがケニアに設けた拠点。ここでウーバーに新規登録する運転手に試験的に中古車を売り込んでいるのは豊田通商グループのトヨツウオートマートケニアだ。アフリカでは固定電話を飛び越え、スマートフォンが普及した。先回りしてニーズを取り込む。トヨタの新興国での存在感は東南アジアを除けば十分ではない。巨大市場に育った中国やインドでは出遅れが目立ち、巻き返しを急ぐ。そうした中、アフリカは長い年月をかけて市場を切り開き、開拓者としての強さを残す地域。試行錯誤を重ねながら「最後の辺境」で勝ち抜けるか。オールトヨタの総力戦が続く。

*1-3:http://qbiz.jp/article/133601/1/ (西日本新聞 2018年5月11日) JR九州が過去最高益 鉄道の収益も改善 3月期連結
 JR九州が10日発表した2018年3月期連結決算は、訪日外国人客の増加を受け鉄道旅客運輸収入が増えたことなどで、売上高が前期比8・0%増の4133億7100万円だった。経常利益が10・7%増の670億4500万円、純利益が12・6%増の504億1千万円となり、売上高、利益ともに過去最高だった。
新幹線利用客の増加や熊本地震の反動などで鉄道旅客運輸収入が46億円増加したほか、キャタピラー九州の連結子会社化などにより増収となった。九州豪雨や台風18号の災害による特別損失を38億円計上したものの、熊本地震があった前期より特別損益は改善した。単体の鉄道事業は282億円の営業利益を確保。株式上場に伴う経営安定基金の取り崩しなどによる利益押し上げ効果を除くと、実質的には約20億円の赤字だったが、増収や効率化で前期より大幅に改善した。青柳俊彦社長は記者会見で「ローカル線の赤字はさらに拡大している」とし、地方路線はなお厳しい状況にあると説明。自治体などの理解を得るため「鉄道事業の収支構造をある程度、お話しすることになるのではないか」と述べ、路線別の収支などを公表する可能性を示唆した。時期は未定としている。次期は、鉄道事業の減価償却費増加などにより、増収減益を見込む。

*1-4:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO30433100S8A510C1EA5000/?nf=1 (日経新聞 2018/5/12) ルノー・日産、主従は? 資本の論理か「実力」か
 仏ルノーが資本提携先の日産自動車からの利益を支えに業績を回復させている。ルノーの連結純利益に占める日産からの貢献分は5割を超えた。両社には資本関係を見直す構想も浮上しているが、どちらが連合のけん引役なのか考え方に相違がある。資本の論理か企業の実力か――。巨大自動車連合が新たな経営形態を模索する上で亀裂が生じる可能性がある。「あらゆる選択肢を排除しない」。両社の会長を務めるカルロス・ゴーン氏は、ルノーの最高経営責任者(CEO)としての任期が切れる2022年までに連合の新しい枠組みを築く意向を示す。背景には「日産をルノー傘下にしっかり組み込み、両社の関係を不可逆的なものにする」という仏政府の意向がある。ルノーと日産は99年に資本提携し、三菱自動車を加えた3社で連合を組んでいる。ルノーは日産に43%、日産もルノーに15%それぞれ出資しており、日産は三菱自株式の34%を保有する。ルノーは欧州債務危機などで業績が低迷した時期があったが、14年12月期以降は4期連続で連結純利益が増えた。株価も上昇し、13年末に約2兆2000億円だった時価総額は足元で約3兆4千億円と、一時は2倍近い開きがあった日産に近づきつつある。一見、ルノー本体の快走による好循環に見えるが、実は業績拡大を陰で支えているのは日産への出資から得た「持ち分法投資利益」だ。ルノーの純利益に占める日産からの利益の割合を有価証券報告書などをもとに計算(一部日経推定含む)すると、17年12月期のルノーの純利益51億ユーロ(約6600億円)のうち、約5割を日産からの利益が占める。13年12月期からの5カ年でみても、毎年5割以上を日産分が占め、多い年では純利益の全てを日産から得ている年もあった。日産株から受け取る配当金も巨額だ。日産は17年3月期に900億円近くをルノーに支払った。ルノーにとって日産は自動車産業のパートナーという立場を超え、「経営上もはや欠くことのできない存在」(外資系証券アナリスト)といえる。そのため、資本の論理でいえば43%を出資するルノーが企業連合の盟主になるが、日産からしてみると、ルノーの業績を支えている稼ぎ頭の「我こそが主役」という意識が強い。17年の販売台数も日産の581万台に対しルノーは376万台。ある日産幹部は「企業としての力は当社の方が上だ」と言い切る。日産とルノーが資本関係を見直す検討をしている背景には、ルノーに15%を出資する筆頭株主の仏政府からの圧力があるとされる。仏政府からすれば、時価総額が日産に近づきつつある今こそ、経営統合などルノー主導での日産の取り込みに絶好のタイミングと見ていてもおかしくない。日産の西川広人社長兼CEOは「会社ごと一体化することにメリットは見えない」と合併などの経営統合には慎重姿勢だ。新たな経営形態の骨格が固まるには水面下での綱引きがしばらく続きそうだ。

*1-5:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20180513&ng=DGKKZO30433300S8A510C1EA1000 (日経新聞 2018年5月13日) 再生医療 応用で見劣り 日本の特許出願・論文、欧米中韓下回る
 iPS細胞をはじめとする再生医療分野で、応用研究に関連する特許出願では日本が欧米や中国、韓国の後じんを拝していることが、特許庁による調査で分かった。再生医療の国内市場規模は2030年には1兆8000億円になるとの試算もある。知的財産をおさえられると、将来的に市場を奪われかねない実態が浮き彫りになった。同庁は新産業につながる注目技術について、特許出願や学術論文の状況を調べる技術動向調査を毎年実施。今回は再生医療につながる「ヒト幹細胞」関連技術や電気自動車(EV)に使う蓄電池「リチウム2次電池」など12テーマを調べた。調査結果は14日発表する。ヒト幹細胞は様々な細胞に分化し、傷ついた組織や臓器の機能を戻す。07~15年では、幹細胞の分離精製・増殖など基礎技術の出願数は日本は米中と拮抗したが、細胞移植など応用に関する「再生医療・細胞治療」は米国は日本の約5倍、中国が約2倍に達し、欧州と韓国も日本を上回った。米中はiPS細胞より実用化で先行する胚性幹細胞(ES細胞)で応用技術を開発。同庁は「iPS細胞による再生医療産業の発展に影響する可能性がある」と分析する。論文数では出願者のランキング(07~15年)はトップは米カリフォルニア大学。仏国立保健医学研究機構、韓国のソウル大学校が続き、iPS細胞を発明した山中伸弥教授が所属する京都大学は8位だった。特許取得が現状の研究開発力を示すなら、学術論文は5~10年先の中長期の研究開発力を占う指標。日本の競争力に陰りが出ている。EVの走行距離を高める次世代電池として期待される「リチウム2次電池」の調査でも、日本の遅れが懸念された。リチウムイオン電池より性能が高い全固体電池は顕著だ。中核となる電解質材料に関する特許出願で酸化物系や硫化物系などを含めると日本は09~15年で1243件と222件で2位の韓国の6倍近く特許を出願するなど他国を圧倒した。トヨタ自動車は硫化物系、酸化物系ともに世界の主要企業を上回った。ただ中長期の研究力を測る論文数では日本は米や欧州、中国より少なかった。酸化物系は12~13年こそ日本の論文数は多いが、14年に米や中国、韓国とほぼ同じ水準。16年は米と欧州の論文数の半分。硫化物系は日本勢が16年も1位だが、米や欧州、中国、韓国との差は縮んできている。リチウム2次電池全体で見ても、出願者ではトヨタが2位、パナソニックが3位など日本が健闘するが、論文になると状況は変わる。12~16年の論文では1位の中国科学院から4位の清華大学まで中国勢が上位を独占。10位以内に中国籍の機関が8つ入る一方、日本は1つも入っていない。

*1-6:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20180510&ng=DGKKZO30251050Z00C18A5EE9000 (日経新聞 2018.5.10) 武田メガ買収 投資銀が陰の主役、助言役、有力日米6社が獲得 野村とゴールドマン主導
 武田薬品工業によるアイルランド製薬大手シャイアーの買収は、日本のM&A(合併・買収)史を塗り替える案件になる。買収総額は7兆円弱と日本企業のM&Aで過去最大。舞台裏では案件獲得を狙う投資銀行の攻防があった。最終的に助言役に名を連ねたのは「オールスター」とも呼ぶべき日米の有力6社。欧州勢は苦杯をなめ、明暗をわけた。グローバルな再編を繰り返してきた製薬業界。日本勢は蚊帳の外に置かれてきたが、武田がついに社運を懸けて動いた。水面下で案件を主導したのが、国内証券最大手の野村ホールディングスだ。主幹事として築いた武田との長年の関わりを武器に、新株発行と現金を組み合わせた買収の仕組みを整えた。野村は昨年度のM&A助言の国内ランキングで首位だった。今回の1件だけで、野村が昨年度手がけたM&A総額(6兆7千億円)に並んだ。この巨額買収に関われたかどうか。投資銀行業界に与える影響は甚大だ。武田側には米JPモルガン・チェースも付いた。外貨調達など資金面でも支援する。フランス出身の武田のクリストフ・ウェバー社長が信頼を置くフランス人バンカーが在籍する米エバコアも助言役に入った。買収交渉はシャイアーが米国本社を置く米ボストン近郊、アイルランド、英国ロンドンなどを舞台に行われた。投資銀行が仲介し頻繁に国際電話をつないで詳細を詰めていったようだ。シャイアー側に付いたのはゴールドマン・サックス、シティグループ、モルガン・スタンレーの米大手3社。中でもゴールドマンが交渉を主導した。M&A助言業務は「売り手」の会社に付くのが鉄則。交渉が頓挫しない限り、確実に案件をものにできるからだ。投資銀6社が受け取る報酬総額は空前の200億円規模になる可能性もある。シャイアー買収を巡って武田と争ったアイルランド製薬大手アラガンは、買収検討を表明後に株価が急落。わずか数時間後に提案を取り下げた。米国勢で漏れたバンクオブアメリカ・メリルリンチはアラガンに助言していた。UBSやドイツ銀行といった欧州勢も苦杯をなめた。製薬業界では対抗提案が出ることも少なくない。ただ今回は日米6社が武田案件に関与し、競合他社が即座に対抗案を出すのが難しくなっている面もある。武田の買収がもたらす恩恵は助言業務以外にも広がる。約3兆円のつなぎ融資の後に想定される社債などの引き受けを巡り、すでに投資銀各社の動きが激しい。ただ、先行きは予断を許さない。巨額買収の負担を嫌気し武田株は年初来高値の1月中旬から3割強下げた。株主の支持を得られるかは不透明。今回は買収成立時に得られる成功報酬の比率が高いとされているのも難しい案件の証しだろう。日本企業では珍しい株式交換を活用し、巨額の買収に乗り出した武田。ある投資銀の幹部は「無事に成立すれば、成長を加速させる日本企業の大型M&Aへの道を開く」と期待を寄せる。

<日中韓首脳会談>
*2-1:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20180510&ng=DGKKZO30285630Z00C18A5PP8000 (日経新聞 2018年5月10日) 日中、急速に「雪解け」 トランプ氏への危機感 後押し、自由貿易で連携強調 元建て債券の投資緩和
 安倍晋三首相と中国の李克強(リー・クォーチャン)首相は9日の会談で、経済を軸とした実務レベルの合意を成果として並べ、日中両国の雪解けを演出した。保護主義を強めるトランプ米大統領への危機感が、結果的に日中の関係改善を加速した形だ。ただ、両首相は、沖縄県・尖閣諸島をめぐる問題や歴史問題など両国間に横たわる火種は素通りした。安倍首相と李首相は9日の会談で、経済分野での連携姿勢を強調した。日本の金融機関が人民元建てで中国の株式や債券に投資する際の規制緩和や、日本産食品の輸入規制緩和に向けた協議体設立など合意事項をずらりとそろえた。2012年に日本政府が踏み切った尖閣諸島の国有化を機に、日中関係は「戦後最悪の状況」(日中外交関係者)に陥った。今回の合意は、関係が実務協力を進める段階まで回復したことを示す。急速な関係改善を後押ししたのはトランプ米大統領の「米国第一」の姿勢だ。中国は貿易問題などでの緊張を受け、日本を含む近隣国との関係修復を急いでいる。安倍首相には秋の自民党総裁選をにらみ外交成果を打ち出したい思惑があり、両国の利害が一致した。両首相がアピールしたのが経済協力だ。安倍首相は会談で「戦略的互恵関係の下、全面的な関係改善を進め、日中関係を新たな段階へ押し上げていきたい」と表明。会談後の共同記者発表では「日本と中国が力を合わせてアジアの旺盛なインフラ需要に応えていく」と述べた。李首相も「中日は世界の主要経済大国だ。共に国際貿易の自由化を守り、経済グローバル化の発展を推進することで合意した」と語った。 日中間で停滞していた金融協力で踏み込んだ。中国には機関投資家を対象に、元建てでの中国の株式や債券への投資を認める人民元適格外国人機関投資家(RQFII)の投資枠がある。取得しているのはアジアや欧米など10以上の国・地域で、日本の金融機関は政治情勢などを理由に与えられていない。今回の首相会談で2千億元(3.4兆円)の投資枠の付与で合意した。中国は外資の投資に規制をかけているが、RQFIIの枠を得た金融機関は新規株式公開(IPO)などに参加できる。枠を得ようとするメガバンクや証券会社などの動きが活発になる見通しだ。両国の通貨交換(スワップ)協定の再開に向けた協議入りでも合意。同協定は金融危機時などに互いに通貨を融通しあう仕組みだ。市場の混乱などで元の調達が難しくなった際、日銀を通じて調達できるようになる。第三国へのインフラ輸出でも協力。アジア開発銀行(ADB)の試算によると、アジアのインフラ需要は年1.7兆ドル(約185兆円)。両国は電力や交通、デジタル分野の輸出拡大に向け、企業経営者や関係閣僚による新たな枠組みをつくることで合意した。ただ、自由貿易の推進も、各論に入れば温度差がある。中国が震源とされる鉄鋼の過剰生産について、世耕弘成経済産業相は9日午前、中国の鍾山商務相に「市場歪曲(わいきょく)的な措置の除去が重要」と是正を求めた。知的財産の侵害問題でも、中国が外資企業に事実上、強制的な技術移転を求める制度などを温存している。

*2-2:http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2018051001001290.html (東京新聞 2018年5月10日) 【経済】日中両国で保護主義反対を 李首相が連携呼び掛け
 中国の李克強首相は10日、日本の経済界などが東京都内で開いた歓迎レセプションで「日中両国は世界の主要経済国として、保護主義に反対し、自由貿易を守る責任がある」と述べ、日中が連携して世界経済の発展に貢献すべきだと強調した。李氏は「(中国の現代版シルクロード構想)『一帯一路』と日本の成長戦略をつなぎ合わせたい」とも述べた。中国は、保護主義色を強めるトランプ米政権との間で貿易摩擦が激化する中、貿易や投資の面で日本との連携を強化したいとの思惑がある。「一帯一路」の日本への協力呼び掛けは、インフラ建設などで両国間の協力を深め、同構想を推進させたい考えがある。

<医療・介護の一部産業化>
*3-1:http://qbiz.jp/article/133273/1/ (西日本新聞 2018年5月7日) 2025年、未曽有の「超寿社会」 団塊の世代は全員75歳以上に 医療、介護費10年で膨脹
 今から7年後の2025年。人口に占める65歳以上の割合が3分の1に近づき、お年寄りの10人に6人は後期高齢者という未曽有の局面を迎える。「超寿社会」とでも呼ぶべき新たな時代だ。膨張する医療や介護の費用。急がれる認知症や孤独死への対策。18年度は政府のさまざまな取り組みが動きだす重要な節目だ。日本が直面する「2025年問題」を考える。
Q 「2025年問題」とは。
A 2025年は戦後の1947〜49年に生まれた「団塊の世代」全員が75歳以上に
  なる年です。第1次ベビーブーム世代とも呼ばれ、2015年の国勢調査によると
  約638万人。突出して人口の多いこの世代の高齢化が進むため、医療や介護サー
  ビスの需要が急増し、費用も大幅に膨らむと懸念されています。
Q なぜ75歳に着目するのでしょう。
A 個人差はあるものの、一般的には70代後半になると病気がちになり、足腰が
  弱って介護を必要とする機会が増えます。75歳以上は「後期高齢者」と位置付
  けられ、国の医療保険制度も別立ての仕組みになっています。高齢者の定義は
  65歳以上とされていますが、14年のデータによると65〜74歳の1人当たり
  年間医療費は平均で55万4千円なのに対し、75歳以上では90万7千円と1・6
  倍に。介護費も5万5千円から53万2千円と、10倍近くに跳ね上がります。
Q 1人暮らしや認知症の高齢者の増加も課題になりそうです。
A 未婚のまま老後を迎える人も増え、25年には65歳以上の5分の1は1人暮らし
  になります。認知症の高齢者は6年前のデータでは全国に462万人でしたが、
  25年には700万人程度まで増えるとみられています。1人暮らしだと家族が
  介護するのは難しいですし、認知症の人の介護には多くのマンパワーが必要で
  す。独居と認知症の増加により、高齢者人口の伸び以上に必要とされるサービス
  の量が増える可能性があります。
Q 医療や介護の費用はどこまで膨らむのでしょうか。
A 政府の推計では、25年度に年金や子育て費用も含め、社会保障給付費は
  148兆9千億円に上ります。このうち、医療には54兆円、介護に19兆8千億円
  を要します。15年度と比べると、医療は1・4倍、介護は1・9倍に膨らむ計算で、
  医療と介護がいかに社会保障費を押し上げるかが分かります。
Q 少子化も進んでいますし、社会保障の費用を誰が負担するのか難しい時代になりますね。
A はい。25年の高齢化率(総人口に占める65歳以上の割合)は30%。75歳
  以上だけでも2180万人で18%に上ります。「高齢者の高齢化」が進み、現役
  世代の負担の重さに拍車がかかります。1人の高齢者を税金や保険料で支える
  のに、1960年代は20〜64歳が9・1人の「胴上げ型」だったのが、2025年には
  1・8人で支える形となり、50年代には支え手が1・2人しかいない「肩車型」に
  なると説明されることがあります。そこで政府は、支え手を増やそうと女性の就労
  や高齢者の長期雇用を促しています。一部には外国人労働者の活用拡大を
  主張する声もあります。
    ◇   ◇
●人材確保へ待遇改善を 清家篤・慶応大客員教授
 2025年問題が深刻なのは、高齢者の増加で医療や介護の費用が加速度的に膨らむ点だ。年金の給付は受給者数に比例して伸びていくだけだが、医療・介護分野では、病気や要介護になりやすい75歳以上の後期高齢者の増加によって、給付は高齢者全体の増加率を上回るペースで増える。医療や介護は単なるお金の問題だけでなく、医師や看護師、介護福祉士といった人材を確保しなければならない点で、年金よりもずっと難しい。彼らが気持ちよく働いてもらう上で必要な人材育成や待遇改善を抜きにサービスの充実はあり得ず、そのための財源の確保は欠かせない。「介護離職」への対応も強化していく必要がある。自分の親や配偶者の親、あるいは配偶者の介護は切実な問題。仕事を続けたくても、介護サービスの供給が追いつかなければ、離職を余儀なくされる。労働者本人はもちろん、企業にとっても痛手だし、何よりも働き手が減るのは大きな社会的損失だ。何も手を打たなければ、これから30年までに800万人もの労働力人口が減少するとの推計もある。働く意思と能力のある人たちが、年齢にかかわりなく能力を発揮できる生涯現役社会をつくる。これが、豊かさと活力を維持していく鍵になる。高齢者や女性の就労を促進すると同時に、外国人雇用を広げることも視野に入ってくるだろう。
    ×   ×
*清家篤(せいけ・あつし) 慶応大商学部客員教授、日本私立学校振興・共済事業団理事長。専門は労働経済。2009〜17年、慶応義塾長。政府の社会保障制度改革国民会議で会長を務めた。1954年生まれ。東京都出身。

*3-2:https://www.agrinews.co.jp/p43816.html (日本農業新聞 2018年4月16日) 外国人受け入れ 労働環境 他産業並みに
 愛知県、新潟市、京都府は国家戦略特区制度を活用し、外国人労働者の受け入れを始める。より良い人材の確保と雇用後の混乱を避けるためには、農業も他産業並みの労働環境・条件にしていく必要がある。全国に先駆けた取り組みで、内閣府や自治体などで構成する「適正受入管理協議会」が設置され次第、受け入れが始まる見通しだ。懸念されるのは、特区の仕組みとこれまでの技能実習生とは、割増賃金、休日などの労働条件が違うことだ。認識不足のまま受け入れた場合、現場での混乱が心配される。国内の労力不足が深刻化する中、外国人に産業を支えてもらおうと各地で受け入れが進んでいる。法務省が発表した2017年末の在留外国人の数は前年比7・5%増の256万人で過去最多を更新した。農業分野も、今や大規模な産地ほど外国人の力なしに成立しない状況になっている。国家戦略特区制度を活用して外国人労働者の受け入れを表明した愛知県は、18年度予算に農業支援外国人受入事業308万円を計上。出身地の母国語に対応できる電話相談窓口を設け、長期雇用できる環境を整えることで“強い農業”の実現につなげたい考えだ。留意すべきは、特区制度を利用して農業現場で働く外国人労働者と技能実習生とは労働条件に違いがあることだ。労働基準法では、休憩時間を除き1日8時間、1週40時間までと法定労働時間を設けている。だが、農業は気象条件に左右されやすく、悪天候の日や農閑期に休みが取れるため、この規定の適用除外となっている。つまり、1日8時間を超えて働かせてよいなど、労働時間や休日、休憩を自由に設定できる。所定の労働時間を超えた場合は超過分の賃金を払う必要はあるが、法律で定めた「割増賃金」を払う必要はない。一方、技能実習生は「労働生産性の向上のために、適切な時間労働管理を行い、他産業並みの労働環境を目指していくことが必要」(農水省就農・女性課)との観点から、法に準拠した労働時間や休憩、休日などが求められ、残業した場合も割増賃金を支払う必要がある。特区雇用の外国人と外国人実習生の間に、割増賃金の支払いをはじめとする労働条件の差を持ち込んだ場合、現場が混乱する恐れがある。農業法人などで働く日本人の労働者も同様だ。農業の労務管理に詳しい特定社会保険労務士の入来院重宏氏は「雇用確保に向け、最近では農業でも1日8時間を超えて労働させた場合などは割増賃金を支給するケースが増えている」と指摘する。農水省で農業の働き方改革について検討が始まり、他産業並みの労働条件に見直す動きも相次いでいる。農産物を購入する消費者を含めて「安ければいい」という考えを根本的に改める時にきているのではないか。

*3-3:https://www.secom.co.jp/lp/hs/s14/?utm_source=yahoo&utm_medium=cpc&utm_campaign=AG502yss&wapr=5adf286e セコム見守りサービス、セコムホームサービス 

*3-4:http://www.tokyu-welina.jp/ 東急ウェリナ、東急電鉄のシニアレジデンス
シニア世代の皆さまに安心で心豊かな人生を過ごしていただきたい。東急ウェリナは、東急電鉄の100%子会社である東急ウェルネスが運営するシニアレジデンスです。東急電鉄は、これまで街づくりを事業の根幹に置き、長年にわたって沿線に暮らす人々の生活に密着した様々なサービスを提供してきました。そんな東急電鉄が街づくりの集大成として掲げた事業がシニアのための住まい、生活区間の提供です。「この国の発展を担ってこられたシニア世代の皆さまに安心で心豊かな人生を過ごしていただきたい。『終のすみかとしてここを選んでよかった』と思っていただける住まいとしたい」。それが私たち東急ウェリナの使命と捉え、東急グループの知識とノウハウを結集し、住む方が誇りをもってお住まいいただける上質な住環境をお届けいたします。

<エネルギーの転換>
*4-1:http://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20180430/KT180428ETI090006000.php (信濃毎日新聞 2018年4月30日) エネルギー計画 方針転換に踏み込む時
 方針転換を先送りにした計画では、エネルギー安定供給の要請に応えられない。
経済産業省が有識者会議に示した次期エネルギー基本計画の骨子案である。国の中長期的なエネルギー政策の指針となる。原発依存度をどう下げるか。再生可能エネルギーをどう拡大するか。道筋を示していない。計画は3年ごとに見直される。いまの計画は、2030年度の原発の発電割合を20〜22%、再生エネを22〜24%としている。骨子案は、これを据え置いている。原発は12年の原子炉等規制法の改正で、運転開始後40年の廃炉が原則になった。現在ある原発は老朽化が進む。ルールを徹底すると、30年の原発比率は2割を大きく下回ると指摘されている。据え置かれた原発の割合を達成するには、新増設や運転延長が前提となる。福島第1原発事故を踏まえれば、安全面からも認められない。世論の批判が強い原発を温存するのに加え、「重要なベースロード電源」との位置付けも踏襲している。原発が低コストとする根拠も揺らいでいる。事故後に厳しくなった国の新規制基準に対応するには、大規模な安全対策が必要だ。仮に20年の運転延長が認められても、最長60年で廃炉になる。出力が小さい原発ほど採算は合わない。四国電力伊方2号機など、採算面から廃炉を選ぶ事例も増えている。骨子案は原発の「再構築」を提言しているが、具体的内容がはっきりしない。これではエネルギー政策の指針の役目は果たせない。新増設は経済面からも厳しくなっている現実を直視すべきだ。次期計画は、2050年に温室効果ガスを8割削減する国際公約に対応する必要がある。このため、30年に加え、50年に向けた長期戦略を含む内容となる。骨子案は太陽光や風力などの再生エネについて、主力電源化を進めると明記した。一方、50年の発電割合目標を示すことは見送った。本気度が疑われる。原発が実質的に高コスト化する一方で、再生エネへのシフトは世界的な潮流となっている。日本は立ち遅れている。再生エネの普及に向けた課題解決には、公正な競争を促す電力市場の整備や、送電網の適正な運用といった取り組みが欠かせない。原発依存から脱却して再生エネに比重を移す―。政府は、転換方針を計画でより具体的に打ち出していくべきだ。

*4-2:http://www.kyoto-np.co.jp/info/syasetsu/20180429_3.html (京都新聞社説  2018年4月29日) 再生エネ転換  主力電源化へ具体策示せ
 経済産業省が新しいエネルギー基本計画の骨子案を策定した。再生可能エネルギーの「主力電源化」を初めて盛り込む一方、原子力や火力発電も温存し、時代遅れの感は否めない。太陽光や風力といった再生エネへの転換を急ぐ世界的な潮流に日本だけが取り残されてはなるまい。経産省の有識者会議がまとめた2050年を見据えたエネルギー長期戦略の提言を踏まえ、30年に向けた指針に加え、50年への戦略を示した。新計画は今夏にも閣議決定される。温暖化対策の国際枠組みである「パリ協定」に基づき、日本は50年に温室効果ガスの排出量を8割削減する目標を掲げている。脱炭素化に向けて、これまで軽視されがちだった再生エネ転換に本腰を入れる姿勢は一歩前進であり、評価できる。だが長期的な電源ごとの発電割合や具体的な道筋は示さなかった。技術革新の進展の予想は難しいとはいえ物足りない。日本は原子力や火力を重視してきたため、再生エネの発電比率は15年で14・6%にとどまり、イタリア39・8%、スペイン35・3%、ドイツ30・6%などに比べ遅れが際立つ。コスト面でも16年に欧州平均で1キロワット時当たり10円の太陽光発電費用が日本では20円と割高だ。再生エネ転換の遅れを取り戻すには、価格引き下げや安定供給への技術開発が鍵となる。発電効率の向上に加え、発電量が天候に左右されやすいため需給の調整技術や高性能な蓄電池の開発、電力需要の大きい都市部への送電網の増強-といった課題を一つずつ着実に解決していかねばならない。最も疑問符が付くのは原発の将来像だ。東京電力福島第1原発事故後、脱原発を求める世論は根強く、「原子力政策の再構築」を掲げた。「可能な限り依存度を低減する」という現行の政府方針を維持して原発の新増設にも言及しなかったものの、安全性の高い原子炉の開発や核燃料サイクル政策を進めるという。原発のあり方が曖昧な状況が今後も続きそうだ。国内産業は発電コストの安い原発抜きに海外と勝負できないとの経済界の意向が透ける。だが福島事故後、安全対策費用がかさむ原発は割安な電源と言い難い。脱原発を鮮明にしてこそ、原発に頼らない新技術の開発や投資も強い動きとなろう。「化石燃料の効率的・安定的利用」にも固執した。効率の悪い石炭火力を廃止してCO2の排出が比較的少ないガス火力への移行は当然だが、火力発電の温存は脱炭素化に逆行する。これとは別に政府は先日、本年度から5年間程度で取り組む第5次環境基本計画を閣議決定した。環境省主導で再生エネ活用を推進する方針だが、経済活動への影響を懸念する経産省の戦略とは相いれない。双方の整合性が欠かせない。新計画でも再生エネの発電割合を30年度に22~24%という目標は据え置くが、原子力や火力に過度に依存していては再生エネへの転換は進まない。国際水準に比べて遜色なく、国民の理解を得られる再生エネ戦略の道筋を明確に示すべきだ。

*4-3:http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201805/CK2018051302000140.html (東京新聞 2018年5月13日) 【政治】<原発のない国へ>全電源、自然エネにできる 小泉純一郎元首相インタビュー
 小泉純一郎元首相(76)が本紙のインタビューに応じ、原発事故後も原発稼働を前提とする安倍政権のエネルギー政策を「反省がない」と批判するとともに、「原発支援のカネを自然エネルギーに向ければ、原発が供給していた30%程度の電力は10年で自然エネルギーで供給でき、将来、全電源を自然エネルギーでできる国になる」と、原発稼働を直ちにやめ、自然エネルギーへの転換を促進すべきだとの考えを強調した。小泉氏は「首相の権限は強い。もし首相が(原発ゼロを)決断すれば、自民党はそんなに反対しない」と政治決断を求めるが、安倍晋三首相では「やめられない」とも述べ、原発ゼロの実現には首相交代が必要だとの考えを強調した。原発ゼロの実現を期待できる政治家として河野太郎外相の名を挙げた。自らが進める原発ゼロに向けた運動と野党との連携については「自民党の首相がそういう(原発ゼロの)決断をすれば、野党は黙っていても喜んで協力する」と否定した。小泉氏は福島第一原発事故後、「安全で、コストが一番安く、永遠のクリーンエネルギーだという原発推進論者の三つの大義名分がうそだと分かった」と指摘。「(原発事故後の)七年間(事実上の)原発なしで一日も(大きな)停電がない。原発ゼロでやっていけることを証明している」と、原発ゼロは即時可能だと強調した。また、使用済み核燃料の最終処分場建設の見通しが立っていないことに関し、「処分場を見つけられない原発を政府が認めることが不思議で仕方がない」と厳しく批判した。使用済み燃料を再処理して、燃料として再利用する核燃料サイクル事業は「破綻している。永遠の夢の原子炉と言われたもんじゅは故障で幻の原子炉になった。まさに無駄遣いだ」と撤退を提唱した。安倍政権が進める原発輸出政策については「危険性があり、自分の国で(原発建設が)できないから外国に売り込もうとする発想が分からない」と批判。潜在的な核抑止力になるとして原発を推進する意見には「なんで抑止力というのか分からない。日本が核兵器を持てるわけがない。そういうことを言う人の理論が分からない」とした。このインタビューは十一日午後、東京都品川区の城南信用金庫本店で行われた。
<こいずみ・じゅんいちろう> 1972年の衆院選で初当選、連続12期務める。厚相、郵政相を歴任し、2001年に首相就任。戦後4位となる5年5カ月の長期政権を築いた。09年に政界引退。東京電力福島第一原発事故後、原発ゼロを訴えて講演活動を続ける。近著に「決断のとき-トモダチ作戦と涙の基金」。76歳。
◆世界2040年に再生エネ66%予測
 2011年の東京電力福島第一原発事故後、国内の全ての原発が運転を停止した。しかし政府は再稼働を急いでおり、現在は関西電力大飯原発(福井県おおい町)など5基が稼働中。発電に占める原発の割合は16年度には1.7%に低下したが、政府はこの数値を30年度には20~22%に高める目標をエネルギー基本計画で示している。政府は来月下旬にも決める新たな基本計画でも、この数値を維持する方針だ。一方、海外では福島の原発事故後、ドイツ、韓国が原発ゼロ政策に転換。依存度引き下げを目標に掲げる国も相次ぐ。米情報会社ブルームバーグ・グループによると、40年時点で世界全体の発電に占める原発の割合は3.5%に低下。逆に、再生可能エネルギーは66.3%に上がる見通し。

<対馬・沖縄の開発について>
PS(2018年5月15日追加):*5-1には、人手不足で新たに福岡から2人を雇い、近くに従業員用アパートを建てる計画だと書かれているが、韓国語のできる日本人より日本語のできる韓国人の方が多いため、日本語のできる韓国人を雇用した方が早いし、韓国人のニーズを把握しやすいのではないだろうか。さらに、対馬に来れば日本のものは何でも買えたり、日本の最先端医療・リハビリ・介護などを利用できたりするようにしておけば、中国・韓国などから買物や治療目的で定期的に来る人も増えるだろう。
 なお、*5-2の沖縄は、観光客は増えたものの在日米軍専用施設がまだ約70%も存在し、県民本位の経済開発になっていない。そのため、どうすれば長所を伸ばして県民本位の発展ができるかについて、内閣府特命担当大臣(沖縄及び北方対策、海洋政策)の福井氏を交えて沖縄開発総合計画を作り、実行すればよいと考える。福井氏は、国土交通省出身で沖縄担当大臣になる前に海洋基本法を中心となって作られ、地盤の高知県でも同じように地域振興の問題を解決しようとしておられるので、こちらから行った方が話が速いと考える。

*5-1:http://qbiz.jp/article/132240/1/ (西日本新聞 2018年4月20日) 韓国人客26万人に焦る過疎の町 「商機」でも…店、人手不足 対馬の玄関口・比田勝港
 近年、観光地として韓国人に人気の長崎県対馬市で、急増する旅行者の受け入れ態勢づくりが追い付かないでいる。特に北部の玄関口、比田勝(ひたかつ)港周辺では観光客向け施設や店舗が足りず、働き手不足にも悩む。地元の商工会は「韓国人観光客を照準にした創業相談も増えているが、十分なサービスを提供するには程遠い状況」と、過疎の町に訪れた商機を生かせない現状に気をもむ。比田勝から韓国・釜山までは直線距離で50キロ余り。日韓の5社が高速船を運航し、最短1時間10分で結ぶ。韓国人観光客が増える契機となったのが2011年3月の東日本大震災。韓国で日本への観光旅行が敬遠される中、同年10月にJR九州高速船(福岡市)が比田勝−釜山に「ビートル」の定期航路を開設すると、韓国人に「近場の対馬なら」という機運が広がり、手頃で自然豊かな海外旅行先として人気となった。11年まで年間2万人前後だった比田勝港への入国者数は、12年に約8万人と激増。その後も年々増え続け、17年は26万人余りが比田勝港から入国し、対馬市への総入国者の72%が利用、対馬中心部の厳原港より約16万人も多かった。だが、比田勝地区周辺は人口1500人程度の過疎の町。そこに出国者も含めると、多い日で3千人前後の韓国人が行き来するため、既存の店舗や施設ではとてもさばききれない。韓国人観光客向けの新規店舗を開業しても、地元には働き手がなく、韓国語を話せる人材も皆無に等しい。港近くにある創業70年のすし店「みなと寿し」では毎日、昼時に行列ができる。客の急増を受け、昨年春に20代の職人を福岡市から呼び寄せた。「まだ人手は足りないが、地元に雇える人もいない」と3代目店主の武末智彦(のりひこ)さん(42)。5月までに新たに福岡から2人を雇い、近くに従業員用アパートを建てる計画だ。今月27日には、比田勝港国際ターミナル前に、地域初のコンビニ「ポプラ」が開店予定。フランチャイズ契約するJTC(福岡市)によると「当初、求人への反応は鈍かったが、何とか開店できる形を整えた」と、従業員5人を確保した。ただ、年中無休の店舗を運営するには「ぎりぎり」で、求人を継続するという。対馬市商工会上対馬支所ではハングル講座も開かれている。4月に支所長となった山岡審司さん(55)は比田勝出身。子どもの頃から過疎化が進む故郷を見てきただけに「町の変化には驚くばかり。このチャンスを逃さないよう、対応策をしっかりと考えたい」と話している。

*5-2:https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-718771.html (琉球新報社説 2018年5月15日) 日本復帰46年 沖縄振興の根本的転換を
 1972年の5月15日、沖縄は日本に復帰した。その前年の71年11月、沖縄国会と言われた第67臨時国会に、琉球政府の屋良朝苗行政主席は復帰措置に関する建議書を提出した。建議書は「はじめに」の項で「基地のない平和の島としての復帰」を望んだ。復帰後も改善されない最も大きな障害は米軍基地の存在だ。在日米軍専用施設の集中度は復帰時の約75%から約70%に減るにとどまり、整理縮小は進んでいない。2016年の米軍属女性暴行殺人事件、米軍普天間飛行場所属の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの名護市安部墜落、17年の普天間第二小学校への米軍ヘリ窓落下事故など事件事故が頻発し、県民の命が脅かされている。しかし基地の負担を軽減するどころか、安倍政権は普天間飛行場の名護市辺野古への新基地建設を強行している。沖縄県知事が明確に反対し、新基地建設の賛否が争点となった全県選挙ではほぼ反対の候補者が当選した。建議書が掲げた「地方自治の確立」は、新基地建設を強行する政府によって妨げられている。建議書は「県民本位の経済開発」も掲げた。本土に比べて大きく立ち遅れた沖縄の振興策として、約10兆円の「振興開発費」が投下された。確かに道路や港湾などインフラは大きく進んだ。しかし県民所得は全国平均の約7割、失業率は全国ワーストといった貧しさの部分は解消していない。子どもの貧困率は全国平均の2倍に上る。保育サービスが貧弱で、待機児童が多く、保育料は高い。離島の過疎化も深刻だ。過去の沖縄振興は社会資本整備に偏り、教育福祉施策を充実させる努力を怠ってきた。沖縄振興の仕組みを根本から見直す必要がある。12年に始まった沖縄振興一括交付金は、地域主権に基づいた沖縄の裁量による予算との当初の意義付けは失われ、基地政策の見返りで予算の多寡が決まる、国にとって都合のよいものとなってしまった。それが沖縄振興のゆがみを増幅している。復帰と同時に始まった沖縄振興開発特別措置法に基づく沖縄振興計画は第5次の折り返し点を過ぎた。私たちは第5次の終わりと、次の沖縄振興の仕組みを真剣に論議し、真の「県民本位の経済開発」を考えねばならない時期に来ている。建議書が挙げた新生沖縄像は、国家に押し付けられるのではなく、自らの未来を自らが決めるという姿だ。苛(か)烈(れつ)な沖縄戦と米国統治による圧政を経験した呻吟(しんぎん)の中から生み出された県民全体の願いと言えよう。自立と自律。これを実現することこそ、次世代に対する私たち世代の責任だ。沖縄自治構想会議は「沖縄エンパワーメント」と題した構想を発表し、沖縄振興と自治の在り方の根本的転換を提唱している。沖縄の将来について考える日としたい。

<経産省の阿保ぶり>
PS(2018年5月16日追加):経産省は、*6のように、2030年に向けて中長期的エネルギー政策の方向性を示す「第五次エネルギー基本計画」の素案を公表したが、その内容は、①再生可能エネルギーの主力電源化を打ちだし ②原発への依存度を可能な限り低減するとしながら ③原発を「重要なベースロード電源(?)」と位置付けて ④2030年度に目指す電力量のうち20~22%を原発で賄うとする電源比率の目標を維持する(??) というものだ。しかし、2030年度に20~22%なら現在よりもずっと高い比率であるため、原発への依存度を可能な限り低減するという内容と、完全に矛盾する。つまり、環境・エネルギー政策・地域経済のいずれも、経産省を当てにしてはならないということになる。

*6:http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201805/CK2018051602000255.html (東京新聞 2018年5月16日) 【経済】原発のない国 機運高まる中 エネ計画 原発推進鮮明
 経済産業省は十六日、二〇三〇年に向けた中長期的なエネルギー政策の方向性を示す「第五次エネルギー基本計画」の素案を公表、審議会に示した。原発については「重要なベースロード(基幹)電源」と位置付けるとともに、「原子力政策の再構築」を掲げ、再稼働や核燃料サイクル、原発輸出などの推進姿勢を明示した。基本計画は三~四年に一回、見直す。三〇年度に目指す電力量のうち、原発で20~22%をまかなうとする電源比率の目標は維持する。目標達成には、原子力規制委員会で審査中の全原発でも足りない三十基程度が必要とされ、実現性を疑問視する声は根強い。素案は原発に関し「可能な限り依存度を低減」としつつも、再稼働を進めるという従来の方針を踏襲。今回は新たに、五〇年までに温室効果ガスを大幅に削減するための「実用段階にある選択肢」との位置付けも加えた。高速増殖原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)の廃炉などで実現が見通せない核燃料サイクルも、推進姿勢を変えなかった。新増設は明記しなかったが「安全性・経済性・機動性に優れた炉の追求」を掲げ、その余地を残した。一方、再生可能エネルギーは主力電源化を打ちだし、送電網への受け入れ強化や不安定さを補う技術などの課題解決を進める。ただ、委員から「主力電源にするなら目標も変えるべきだ」との意見が出ていた三〇年度時点の目標は、従来の22~24%に据え置いた。経産省は素案を取りまとめ、与党と調整した上でパブリックコメント(意見公募)を実施し、六月末にも閣議決定したい考えだ。
◆4年の変化反映せず
 経済産業省のエネルギー基本計画の素案は、二〇一四年以来四年ぶりの見直しをうたいながら、この間の情勢変化に正面から向き合ったとは言えない内容となっている。東京電力福島第一原発事故以降、再稼働した原発は八基で、一六年度の電力量に占める原発の割合は1・7%。三〇年度の目標の20~22%を実現するには、稼働から四十年たった古い原発を十数基、運転延長したり、原発を新設したりすることが必要となる。どちらも実現性に乏しい。福島の事故以降、原発の安全対策規制が強化され建設費用は増加。工期の遅れも常態化している。米原発大手ウェスチングハウス・エレクトリックは、米国で原発新設の工期遅れを繰り返し一七年三月に破綻。三菱重工業などがトルコで進める原発計画は、総事業費が当初想定の二倍の四兆円以上に膨らむとみられ、伊藤忠商事が三月に撤退した。日立製作所が進める英国の原発新設も総事業費が三兆円規模に膨らむことから、支援を巡る英政府との協議が難航している。一方、再生可能エネルギーはコスト低下と導入拡大が進む。一七年の太陽光発電の平均入札価格は一〇年の三分の一以下の十一円に低下。一五年には累積設備容量で風力発電が原発を超え、一七年には太陽光発電も原発を追い抜いた。この四年の変化を踏まえれば原発の目標を下げ、再生エネの目標を引き上げるのが自然だ。だが、両方とも変えずに据え置くという経産省の姿勢からは、原発の存続を目指す意図が透けてみえる。

<風力発電機の改良>
PS(2018年5月19日追加):*7-1のように2重羽根にするよりも、扇風機のような6枚羽にした方が、安価で風をエネルギーに変える力が強いのではないだろうか。また、①鳥を巻き込まない ②音や低周波を出さない などの環境に配慮したスマートな構造にすることは必要不可欠で、それには、農協などの身近に需要のあるところと組んで農家の要望を取り入れて改良し、よいものができれば、これも日本だけでなく世界で売れる製品になると考える。
 なお、風力発電機に監視カメラを付けて見張り役も兼ねさせ、*7-2、*7-3のように人間が相手の場合は警察やセコムなどが駆けつけて逮捕し、*7-4のように、有害鳥獣が相手の場合は捕獲するか、DNAに嫌だと刻みこまれた天敵の鳴き声を発して追い払うかするシステムにすればよいのではないだろうか。


*7-1より             その他の工夫型風力発電機

*7-1:http://qbiz.jp/article/134170/1/ (西日本新聞 2018年5月19日) 電力新時代:2重羽根で発電に新風 元九大生起業のベンチャーが実用化 小型「風洞」も今夏販売
 風力発電機の羽根を前後2重にして発電効率を高める装置を開発したベンチャー企業「日本風洞製作所」(福岡県久留米市)が、第1号の製品を納品した。開発の過程で生まれた小型の風洞試験装置も商品化のめどがついて今夏に販売開始予定。新しい発想の製品で“風”を巻き起こすか注目される。同社は、九州大で風車の研究をしていたローン・ジョシュアさん(23)=長崎市出身=が在学中の2016年に起業した。羽根を2重にすると風を受け止めやすく有効に使える一方、前後の羽根の回転数が異なり、エネルギーを発電機にうまく伝えにくい課題が生じる。ローンさんは動力を統合して効率よく伝える装置を考案、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成を受けて実証試験をした後、17年から受注生産を始めた。第1号は高さ4メートル、羽根の直径2・2メートル、出力1キロワットの風力発電機を2基。2月末、福岡市東区の原看護専門学校の屋上に取り付けた。年間の総発電量は同等サイズの発電機の約2倍を見込み、駐車場の照明などに利用する。風車は強風による故障が課題だが、風速25メートル以上になると自動で風車を倒して保護する最新のシステムも取り入れた。今後は出力5キロワットや20キロワットなど製品の大型化を進める。既に西日本シティ銀行などが設立したファンドや一般企業から開発資金を調達。汎用(はんよう)の部品も活用し、導入経費を抑え「通常よりコストパフォーマンスが50%高い風車を売りにする」とローンさんは意気込む。風車研究の一環で造った風洞試験装置も注目されている。人工的に風を起こして空気抵抗を測る装置で、高さ、幅ともに1・5メートルほどに小型化したのが特徴。大学や大手企業が持っているこれまでの風洞装置は一戸建て住宅ほどの大きさがあったという。空気抵抗が重要な自転車産業の見本市に17年に出展したところ、約100社から問い合わせがあり、受注にもつながった。「研究開発に使いたいという需要が多い」とローンさん。風洞と風力発電機の相乗効果にも期待する。

*7-2:https://www.agrinews.co.jp/p43677.html (日本農業新聞 2018年3月31日) 果樹盗難 感知、警告 山梨・JAこま野と富士通がシステム 市内全域に導入
 JAこま野と富士通、富士通アイ・ネットワークは、4月から果樹盗難抑止システムの運用を始める。JAが管轄する南アルプス市内全域で導入。ここまで広範囲の導入は全国初の試みだ。果樹園への不審者の侵入を感知し、サイレンなどで警告することで果樹の盗難被害を減らす狙い。電源は太陽光発電を利用により、低コストで稼働できる。JAの依頼で富士通などが3年前から開発に取り組んできた。遠赤外線センサーで直径30メートルの範囲を360度監視、侵入者を感知すると威嚇音と赤色灯で警告し、園主にはメールで通知する。小動物などによる誤作動を防ぐため、水平方向と下方向に向けた二つの遠赤外線センサーを組み合わせて対応する。JAは30台を用意し、希望する農家に月額のリース契約で貸し出す予定。農家は盗難の危険がある収穫期だけ契約できるため、費用負担の軽減につながる。JAの小池通義組合長は「多くの農家に利用してもらい、防犯センサーがあるという情報が広まることで、盗難防止につなげたい」と期待を込める。JAは組合員向けの説明会を開き、順次農家へのリースを開始する。園地での使用を考えて電源はソーラーパネルで発電、消費電力の少ない無線方式を導入。太陽光がなくても4日間は稼働できる。設置や移動が簡単なため、収穫時期に合わせて、園地を移動させて使うこともできる。オプションで気温や湿度を計るセンサーの取り付けも可能で、さまざまなデータ管理ができる。28日には、JA本所で「果樹盗難抑止サービス導入に関する協定」の調印式を開いた。

*7-3:https://www.agrinews.co.jp/p44091.html (日本農業新聞 2018年5月17日) 野菜盗難相次ぐ 被害者落胆 「栽培やめる」 宮崎県延岡市
 宮崎県延岡市で、野菜の盗難が相次いでいる。収穫直前の野菜を、時期を見計らったかのように盗む手口だ。被害に遭った農家は「悔しい。苦労を踏みにじる行為で許せない」と口をそろえる。「栽培をやめる」と意欲をなくす人も出ており、野菜泥棒が地域農業の大きな問題になっている。同市大貫町の富山重利さん(82)は11日、JA延岡の直売所「ふるさと市場」に出荷する直前だったニンニク30本以上を盗まれた。午前7時ごろに畑に行き、ニンニクがごっそりなくなっている光景にがくぜんとした。富山さんは50アールの畑でブロッコリーやエダマメ、レタスなどを通年栽培する。以前から盗難に遭っていたが、今年に入り度重なる盗難に悩まされるようになった。富山さんは「自転車で周辺を見回っているような不審な人物を見掛けた。近所の人たちも知っている。証拠がないので何とも言えないが」と、やるせない表情だ。すぐに警察に相談し、「自分でも看板を設置するなど対策をしてほしい」とのアドバイスを受けた。畑の周囲にネットを張ったが、「無駄な労力と経費。今後も続くようなことがあれば、被害届を出す」と話す。また、出荷前の野菜を何度も盗まれた同市片田町の70代の女性は「1、2個程度なら諦めもつくが、大量に持って行かれるとやる気がなくなる」と話す。軽トラックなどを使った大胆な手口という。「もう気力もなえた。栽培中の野菜もあるので年内は農業を続けるが、その後はやめようと思う」と肩を落とす。野菜だけでなく、肥料を入れるバケツや、トラクターなどを圃場(ほじょう)に入れる際に使う農機ブリッジなどの資材を盗まれる被害もある。

*7-4:http://www.saga-s.co.jp/articles/-/213180 (佐賀新聞 2018年5月19日) 有害鳥獣の駆除学ぶ 行政、農業関係者ら、上峰町で11人
 上峰町の有害鳥獣対策講習会が1日、野生獣類捕獲技術研修センター(みやき町)であった。行政関係者や農業者、地域住民、狩猟免許所持者ら11人が、狩猟と有害鳥獣駆除の違いやわなの構造などについて知識を深めた。上峰町は昨年11月、狩猟免許取得費用に補助金を出すなど、有害鳥獣駆除に力を入れている。講習会は有害鳥獣の「捕獲駆除隊」発足に向け、関係者の知識や技術の向上を目指そうと開き、今後も月1回程度実施する予定。同町と連携協定を結ぶ捕獲用品開発製造の「三生」(鳥栖市)の和田三生社長が講師を務めた。講習会では、和田社長が狩猟と有害鳥獣駆除の違いについて、「有害駆除は農業や林業に被害があった場合の緊急避難的な捕獲で、短期間で終息させるのが大事」などと説明。わなの性能に加え、それを使う人の技術力が重要だと強調した。また、同社が開発・製造したイノシシや小動物用の箱わなを見学。参加者はわなの構造や、動物がかかった時の器具の動きなどを興味深く観察した。自ら狩猟免許を取得し、講習にも参加した武広勇平町長は「箱わなの種類が数多くあるなど知らないことばかり。有害鳥獣の被害軽減に向け、駆除のICT化などにも取り組みたい」と話した。上峰町内の狩猟免許所持者は現在5人。イノシシやカラスによる農作物への被害が増加しているほか、水路や法面の破壊も問題となっており、町によると被害額は年間数百万円に上るという。

<中国の壮大な都市計画と日本>
PS(2018年5月20、21日追加):中国は、*8-1のように、「1000年の大計画」として次世代の先端技術を活用した自動運転のスマートシティーを北京の南西約100kmの農村に作るそうで、計画性なく掘ったり埋めたりして無駄遣いしながら進歩していない日本と違い、計画が壮大で羨ましい。ただ、道路や鉄道などの交通インフラを地下に作ると、走りながら街を見て暗黙知の情報を得たり、景色を見たりする楽しみがなくなるのは残念だ。日本の場合は、定期的に地震・津波が来るため地下は危険であり、3階建ての道路網・鉄道網を作った方がよいと思う。
 なお、こうなると、産業だけでなく街づくりや環境も中国の方がよくなり、*8-2のように、「日本語を勉強して日本で技術を学んだのは損だった」という結果になる。そのため、これからも外国人に来てもらえる国であるためには、外国人差別を止め、労働者として働く資格を与え、技能の資格取得者には高度な専門性を持つ人材と同様に永住資格を認めるべきである。
 また、*8-3のように、トラックのドライバーが不足し、情報誌で求人しても反応がなく、廃業や事業売却を余儀なくされる業者もあるそうだが、ニューヨークでタクシーに乗るとインドやバングラデシュ出身の運転手が多い。トラックは、(和英両用の)ナビと運転技術があれば、日本語がうまくなくても運転できるため、運転手にも外国人を採用したらどうかと考える。


  *8-1より                        *8-2より

(図の説明:中国は、北京市近郊に2035年に1000年の大計画で未来都市を作り上げるそうで、全体としては魅力的だが、自動車道や鉄道が地下に埋設されて風景を楽しむことができなくなるのは残念だ。日本の場合は、地震・津波の多い国であるため、地下は危険であり3階建くらいの道路・鉄道網がよい。どちらにしても、世界では人口ボーナスがあるうちに外国人労働者を入れなければ、それぞれの国が少子高齢化社会になってからでは外国人労働者も来ないだろう)

*8-1:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20180520&ng=DGKKZO30735500Z10C18A5MM8000 (日経新聞 2018年5月20日) 中国、自動運転の新都市 2035年にも、新・開発独裁 米と覇権争い
 中国が自動運転のアクセルを踏み込む。北京市近郊に2035年につくり上げる習近平(シー・ジンピン)国家主席肝煎りの未来都市で、個人の乗用車を世界で初めて全て自動運転にする。共産党がすべてを取り仕切り、インフラや法制度を整え技術も磨く。経済大国になってもなお国家主導で産業振興を進めようとする中国。企業の自由競争を前提にイノベーションで世界をリードしてきた米国に、「新・開発独裁」で中国が挑む構図が鮮明になってきた。新しい都市「雄安新区」は「千年の大計画」として昨年発表した壮大なプロジェクトだ。北京から南西約100キロメートルの河北省の農村につくり、次世代の先端技術を活用したスマートシティー(環境配慮型都市)にする。22年に基礎インフラを整え、最終的な面積は東京都に匹敵する2千平方キロメートル規模。将来の人口は200万人以上を見込む。総投資額は2兆元(約35兆円)との試算もある。
●個人用の全車に
 政府が4月に発表した新区の計画概要などによると、人工知能(AI)を駆使して自動運転を実現するモデル地区を設けて関連産業を振興する。計画の草案づくりに参加した徐匡迪・元上海市長は「道路や鉄道などの大部分の交通インフラは地下に構築する」と語る。その道路では「公共交通を中心に据え、個人が使う車は自動運転車で補完的役割を担う」と新区の建設計画のトップを務める陳剛・同区党工委書記は明らかにした。まっさらな土地に自動運転車を前提に設計する新しい都市は、非自動運転車や歩行者が入り交じる既存インフラとの調和という課題と無縁だ。未来都市のモデルとして世界への誇示をもくろむ。米アリゾナ州では3月に公道で実験中だったウーバーテクノロジーズの自動運転車が歩行者をはねて死亡させる事故が発生し、想定外の条件への対応の難しさを浮き彫りにした。世界各国ではドライバーの注意や監視を前提とするジュネーブ条約やウィーン条約が足かせになり、自動レベルの高い車を実用化する法制度の整備がままならない。中国は両条約とも批准しておらず、共産党がこうと決めれば法規制などの環境は一気に整う。現在の中国の自動運転技術の水準は、中国長安汽車集団が4月に公開した新車に搭載した加減速などを支援する「レベル2」程度とみられる。17年秋に「レベル3」の機能がある高級セダンを発売した独アウディなど日米欧勢に遅れており、政府主導で開発の速度も上げる。国家プロジェクトの認定を与えたネット大手、百度(バイドゥ)は、雄安新区ができる河北省政府とAIなどを取り入れた運転技術の研究を開始。交通インフラと自動運転を一体で開発するのが特徴で、3月には中国国有通信大手、中国電信集団(チャイナテレコム)などと共同で次世代高速通信規格「5G」を使う実証試験を始めている。国家総動員ともいえる体制で開発する自動運転車と関連インフラを世界に広める構想を掲げる中国に、米国は警戒をあらわにしている。通商政策担当のナバロ大統領補佐官は「中国はAIや自動運転など未来の産業の支配をもくろんでいる」と指摘。中国との貿易摩擦の主題を赤字削減からハイテク分野での覇権抑え込みに移している。米国は知的財産侵害のほか、補助金などの政府の政策も激しく批判。両国の対峙は「自由主義対国家主義」の様相だ。
●群がる海外大手
 経済発展の途上にある国家が国民の民主的な政治参加を制限して急速な成長と近代化を実現する開発独裁は、1960年代からアジアや南米にみられた。多くは発展とともに民主主義国家に移行したが、中国は例外だ。世界第2位の経済大国になりながら一党独裁の共産党の号令で国有、民間を問わずに企業が目標実現へ一斉に動く新・開発独裁は、自由主義陣営からは異質に映る。それでも海外の自動車・IT(情報技術)大手は中国に群がる。百度が主導する開発プロジェクトには米フォード・モーター、独ダイムラーに加え、米インテル、米エヌビディア、米マイクロソフトなどが並ぶ。中国も先端技術導入や海外展開をにらみ外国企業の参加を呼び掛けている。中国の17年の新車販売台数は世界首位の2887万台。2位の米国の1.7倍、日本の5.5倍に達する。知財侵害への警戒はあっても「政府の強い後押しで自動運転の実現に向けて進む世界最大市場を無視できない」。ある海外自動車大手の幹部は打ち明けた。

*8-2:http://qbiz.jp/article/134211/1/ (西日本新聞 2018年5月20日) 外国人就労受け入れ拡大に政府転換 新資格の創設着手 骨太に明記へ
 政府は、人手不足が深刻な分野の労働力を補うため、外国人の受け入れ拡大へ大きくかじを切る。最長5年間の技能実習を終えた外国人が、さらに5年間働ける新たな在留資格「特定技能(仮称)」の創設に着手。高い専門性があると認められれば、その後の長期雇用を可能とすることも検討している。従来の技能取得という名目から、就労を目的とした受け入れ施策に転換する。6月に決定する「骨太方針」に外国人との「共生」を初めて盛り込み、日本語学習教育の支援などにも取り組む方針だ。現行制度では、高度な専門性を持つ人材を除き、外国人労働者を積極的に受け入れていない。農業やサービス業などの分野で、技術取得を名目とした技能実習生や留学生がアルバイトで対応しているのが現状だ。政府が検討する新たな在留資格「特定技能(仮称)」は就労を目的とする制度。農業、介護、建設、造船などの分野が対象となる。現行の技能実習の修了者だけでなく、各業界団体が実施する日本語能力や専門技能に関する試験に合格すれば資格が与えられる。政府は新たな在留資格の導入を前提に、目標とする外国人労働者数を試算。介護分野は毎年1万人増、農業分野では2017年の約2万7千人が23年には最大10万3千人に大幅に拡大すると試算。建設分野で17年の約5万5千人を25年時点で30万人以上に拡大、造船分野は25年までに2万1千人を確保することが必要としている。外国人観光客の急増により、地方の旅館やホテルを中心に人手不足が深刻化している宿泊業も技能実習の対象に追加する方針。今年3月時点で、留学生のアルバイトなど約3万8千人が働いているが、30年までにさらに8万5千人を確保したい考えだ。また、大学や専門学校を卒業した留学生が就労できる分野の拡大や、在留資格手続きの簡素化なども検討している。外国人が増加することで、地域での孤立やトラブルも予想される。政府は、外国人の仕事や生活が充実するよう、相談体制強化や日本人との交流促進などにも力を入れる。
   ◇   ◇
●「開国」に欠かせぬ共生 
 【解説】 政府が「労働開国」に踏み切る背景には「外国人をどれだけ受け入れるかではなく、どうすれば来てもらえるかという時代になってきた」(官邸筋)との危機感がある。人口減と少子高齢化が進む日本だけでなく世界各国で人手不足が深刻化し、人材の争奪戦が過熱しているためだ。これまで安倍晋三首相は「いわゆる移民政策は取らない」と繰り返してきた。現実は「裏口からそっと入れて人手不足を補うのが国策」(与党議員)だった。外国人労働者は昨年10月までの1年で約20万人も増え、約128万人と過去最多を記録した。うち4割は途上国からの留学生のアルバイトと、技術の海外移転が目的の技能実習生だ。いずれも建前上は「学びたい人」で、留学生に就労時間の制限があるなど労働者の権利が制限されている。こうした建前と現実のひずみが、不法就労や過酷労働の温床となってきた。実習生の就労や長期雇用を可能にする制度の創設、大学や専門学校を卒業した留学生の就労拡大…。学びたい人から働きたい人へ、スムーズに転換できるよう制度を整備しつつ、徐々に「開国」していく狙いだ。一方で外国人に「来てもらえる国」となるには、労働者としてだけでなく、生活者として受け入れる施策が車の両輪となる。実習生は職場移転の自由や家族帯同が認められていない。長期就労に道を開くなら許可すべきだ。日本語教育や多言語対応の相談窓口の充実も欠かせない。出入国管理を含む政策を一元的に担う「外国人庁」創設、課題を地域で把握して対応する自治体の部署の整備も求められる。他人の不幸の上に自分の幸福を築くような「移民ネグレクト(放置)」に終止符を打ち、共生の施策を政府が打ち出せるか、注視したい。

*8-3:http://qbiz.jp/article/133881/1/ (西日本新聞 2018年5月21日) ドライバー不足深刻 福岡・筑後地区で県トラック協会 人材確保へ初の合同説明会
 運輸、物流業界を支えるドライバー不足が全国的に深刻さを増している。福岡県筑後地区でも同様の悩みを抱えており、県トラック協会久留米分会は20日午後1〜4時、久留米市東合川の「地場産くるめ」で、初の「求人転職合同説明会」を開く。未経験者にも対象を広げて人材確保を図る。
●情報誌に求人、反応なし、廃業、事業売却の業者も
 説明会には、久留米市や小郡市、うきは市などに事業所がある22社が参加予定。求人する職種はドライバーに限らず、整備、クレーン作業、倉庫内作業、一般事務など幅広い。対象は、20〜60代の正社員採用やアルバイトを希望する男女。普通免許しか持っていない場合でも、採用後に中型や大型免許などを取得できる助成制度があるという。北野運輸(久留米市)の堀江藤樹社長は「ハローワークや情報誌に求人を出しても、電話一本来ない。状況は深刻。5年後はどうなるか…」と語り、業界全体の行方に危機感を募らせる。40人いるドライバーの平均年齢は48歳で、年々、高齢化が進む。将来への不安や後継者不足から、廃業や事業売却に踏み切る同業者も増えているという。ブリヂストンの工業製品を主に扱う「チクホー」(同)では、高校新卒者の採用を始めた。以前は経験者の中途採用が中心だったが、それでは人が集まらず、大型免許が取得できる21歳まで、働きながら免許取得にかかる費用を補助している。「今は免許がないのが当たり前。高卒の新人を4年かけて育てています」(村田潤一郎社長)という。新たに車両を増やそうとしてもドライバーを確保できるめどが立たず二の足を踏んだり、長距離の運送の人繰りが難しくなったりと、経営への影響も出ているという。特に若い世代のドライバーの層が薄く、村田社長は「本人よりも、親の世代に3K(きつい、汚い、危険)や、(映画の)トラック野郎のイメージがあって、いい顔をされない」と明かす。帝国データバンク福岡支店の今年1月の調査によると、九州・沖縄の企業で、正社員の従業員が不足していると回答した割合は52・8%で、過去最高を更新した。業種別の「運輸・倉庫」では56・8%だった。説明会は参加無料。事前予約や履歴書は不要。問い合わせは久留米分会=0942(40)8701。

| 経済・雇用::2018.1~ | 01:13 PM | comments (x) | trackback (x) |
2018.4.22 データは、集め方、解釈、使い方が重要で、そのためには、その分野に関する総合的な知識が必要なのである ← しかし、みんなで考えれば、よい解決策も出るだろう (2018年4月23、25、26、27、28、30日、5月2、3日追加)
   
  名目と購買力平価によるGDP      欧州・中国・日本の電源構成
                       2018.4.17、14東京新聞   

(図の説明:日本は物価水準が高いため、名目GDPでは中国との差が小さいが、購買力平価換算では中国との差が大きい。また、日本は、最も自国に有利で環境にも良いエネルギーである再生可能エネルギーの採用を進めず、電源構成に占める再エネ割合はヨーロッパだけでなく中国よりも小さい上、今後の普及計画も見劣りする)

   
 アジアの再エネ  世界の再エネ  日本のレアアース      原発再稼働への
  導入ペース   普及と電力価格               九州電力の執念 
  2018.4.19   2018.4.15    2018.4.19        2018.4.21
  日経新聞     東京新聞    西日本新聞        西日本新聞

(図の説明:世界は、再エネの普及時代に入り、それに伴って電力価格が下がっている。また、アジアの再エネ普及は他地域を上回っている。日本は、南鳥島付近の海底にレアアースが大量に存在することがわかり、21世紀の電源構成を邪魔する者は、現在は既得権益者しかいない)

(1)経済発展には総合的知識に基づいた計画性が必要であること
1)中国の出資規制緩和について
 中国は、1992年10月の14回党大会以降、市場経済に基づく社会主義(社会主義市場経済)と世界経済への参入に進路を明確化し、*1-1、*1-2のように、外資系企業が中国へ進出する際には、中国企業(もしくは個人)と合弁させ、外国資本の出資割合は50%以下しか認めなかった。これは、中国が市場を開放するにあたって自国の産業を育成するためで、技術を吸い尽くしていらなくなった外資は、追い出すこともできるようにした。私は、この頃、中国に進出する日本企業のケアをするために中国の外資規制を調査して、その巧みさに感心して唸った。
 
 その中国政府は、2018年4月17日、乗用車分野への外国企業の出資規制を、2018年中にEVなどの新エネルギー車、2020年にトラックやバスなどの商用車、2022年に乗用車で撤廃すると発表した。しかし、今や中国の新エネルギー車は国際競争力を持っており、新エネルギー車で出遅れた日本や米国の自動車メーカーにとっては、特に事業拡大の機会にはならないだろう。日本の経産省は、馬鹿の一つ覚えのように自由貿易のみを提唱しているが、1980年代と同様、日本の自動車産業の方が進んでいると考えている点が思考停止で甘い。

 しかし、中国政府は、2018年末までに造船・航空機の外資規制も撤廃するそうで、これらはまだ世界中でガソリン・エンジンを使っているため、日本が新エネルギー製品を投入すればリードできそうだが、日本の経産省は現状維持に汲々としており、環境でリードしようという先進的な意気込みがない。 
 
2)再エネに関する日本の遅れ
 また、中国では、*1-3のように、政府が2007年に再エネ拡大計画を立てて再エネが急速に増え、2017年の発電に占める再エネ割合は約33%となり、2050年には再エネを中心にするそうだ。また、世界1位、2位の企業を含めて200社以上の太陽光発電機器メーカーが激しく競い合い、値下げ競争をしているため、太陽光電力の価格が下がっているとのことである。

 さらに、日本の東電福島第一原発事故を受けて中国政府が原発の建設計画を大幅に見直し、2013年以降、原発の新規建設計画を承認しておらず、2050年には大半の電気を再エネで賄い、EVも再エネで動くことになるそうで、これは、私が、1995年前後に、日本で(もちろん世界でも)最初に提唱し、馬鹿者どもの逆噴射でつぶされたことだった。

 また、再エネは、*1-4のように、アジアでも急伸し、世界全体の伸び率の5割を大きく上回って5年で倍増しており、それを牽引しているのは中国とインドとのことだ。また、アラブ首長国連邦(UAE)やサウジアラビアなどでは、100万キロワット以上のギガソーラーが相次いで建設されており、エネルギーの脱炭素化と脱原発は進むであろう。

 しかし、日本では、*1-5のように、25年経ってもまだ「再エネを主力電源にするには技術上の課題がある」などとしているが、競争力はやっている人につき、やらない人にはつかないので、最初から見極めることなどできない。そもそも、20~25年もの間、「再エネは自然条件による変動の大きい」などとして解決策を講じず、それを解決しないのも論外である。

 さらに、日本の場合は、*1-9のように、大手電力会社が自らの経営のために原発再稼働を望み、まだ原子力か火力で発電することしか考えず、*1-6のように、「送電線に空き容量がない」として再エネ電力の送電を拒んで、新規参入してきた再エネ事業者を破たんさせてきた。このシステムは、日本で起業が少なく、*1-8のようにイノベーションが進まない理由の一つである。

3)レアアース
 希少金属のレアアース等は、自動車産業、電子産業を始めとして広い分野で使われ、現在の先端技術に不可欠な資源だが、その殆どは中国で産出されている。そして、経産省は「資源は輸入するもの」という頭を切り替えられず、日本の先端産業は中国の意図次第で左右されるようになっている。

 そのような中、*1-7のように、海洋研究開発機構や東大のチームが、日本の排他的経済水域内の南鳥島沖にレアアース等が1600万トン超埋蔵されているとの推計を発表した。国としてやればすぐできるのに、相変わらず「現時点で利用できる見通しは立っていない」「今後10年で採掘技術を開発する」など、国の真剣さがないわけだ。

4)化粧品の「爆買い」と品切れ
 このようにぼけっとしていながら、*1-10のように、中国人客が「爆買い」して中国で転売されるとして、ブランドイメージ低下を懸念して、日本の化粧品メーカーが顧客に購入個数の制限を求めたそうだ。

 しかし、同じアジア人であるため、化粧品に望まれることが近く、今は売れるのが当たり前の時で、これは有難いことであって、今のうちに中国に販売ルートを作って必要な特許を取り、ブランドイメージを打ち立てなければならないにもかかわらず、「アルバイトを使って買い占めた」「化粧品の爆買い」などと客を馬鹿にしたり、購入禁止にしたりしている。そんな態度では、それに近いものが中国で安く生産され、日本人もそちらを買うようになるだろう。
 
 つまり、日本人は、日本人を持ち上げるために、中国などの中進国や後進国の人を馬鹿にすることが多いが、実際には、日本は、1980年代から30年に渡って進んでいないことに、謙虚に気付くべきである。

(2)教育研究の重要性
1)研究とイノベーション
 全米科学財団(NSF)がこのほどまとめた報告書で、*2-1のように、科学技術の論文数で中国が米国を上回り世界1位となったそうだ。2016年に発表された論文数は、中国が約43万本で約41万本の米国を抜き、3位以下は、インド、ドイツ、英国で、日本は6位だった。

 研究はイノベーションに直結するため、研究者の質と量の確保が重要なのだが、日本だけ研究論文数が13%減っているのである。これは、「勉強だけできても」などと無意味な比較をしたり、理数系教育を疎かにしたり、研究者をポスドクにして冷遇したりしたせいで、*2-2のように、過度に不正を言い立てて研究者の地位を魅力ないものにしたことも一因だろう。

2)個人情報の利用はどこまで認められるか
 日経新聞は、*2-4のように、「データの世紀だ」「データは情報資源だ」「データを集めろ」「データは新たな石油だ」などと言っているが、データは、①誰が ②何の目的で ③どういう集め方をして ④どのように比較したりトレースしたりして結果を出すか についてきちんと計画していなければ、ただのゴミだったり、個人情報の不正利用になったり、監視社会を作ったりする。私は、誰かが失敗するまで、それがわからないのを不思議に思う。

 そして、*2-5のように、8700万人の会員情報を不正流出させた米フェイスブックのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者は、米議会上院の公聴会で証言して全面的に謝罪したが、利用者の個人情報を利用して利益を得る組織はフェイスブックだけではない。また、*2-6のように、利用者の個人情報を悪用するのもIT関連企業だけではなく、コンピューターウイルスの作成者でさえ野放しになっている現在、悪用の防止は不可能である。

 そのため、欧州では2018年5月に、企業などに個人情報の厳格な扱いを義務づける「一般データ保護規則」が施行されるそうで、日本も、欧州や米国などの先進国並みに個人情報保護を重視すべきだ。

(3)データ分析と研究
 日立製作所・ヤマトホールディングスなどの大手企業9社が、*3-1のように、データ分析の専門家「データサイエンティスト」の育成に乗り出し、そのデータサイエンティストには統計学に加え、データを取捨選択して問題解決につなげる能力も求めるそうだ。

 しかし、問題解決は、その分野の十分な知識がなければできないため、それぞれの分野(例えば、医学・薬学・マーケティングなど)の人がデータ分析の知識を持つべきなのであり、“データ分析のプロ”が問題解決をできるわけがない。また、“統計学を専門に教える大学”で、統計学しか勉強しなかった人が、どういう問題なら解決できるのか疑問だ。

 さらに、*3-2のように、日本の科学研究の実力が急速に低下しているのは、科学者や研究者を大切に育成しなかったことが原因である。そして、政府支出を評価する「独立財政機関」を設置しても、そこが正しい評価をできなければ、天下り先として政府支出がさらに増えるだけで、「政府研究開発投資はGDP比の1%にすることを目指す」というような支出金額の目標しか立てられないのであれば、単なる無駄遣いになるだろう。

 それでは、何故、そのようなお粗末な結果になってしまっているのかと言えば、*3-3の「全国学力テストの小6と中3で、これまで国語と算数・数学しかテストしていなかったが、3年ぶりに理科を加えて3教科で実施する」というように、近年、勉強することをないがしろにしているからである。

 そう言う理由は、上に書いたように、イノベーションのもとになる研究があっても、経営者・官僚・政治家・メディア・国民などがその価値を認めて前に進める態勢をとらなければ、イノベーションの種を殺してしまうからで、そのためには、文系・理系を問わず、必要な知識を持っておくことが必要不可欠だからである。

(4)データの読み方


  平均寿命の推移    医師数/人口1000人     GDPの推移  家電普及率推移

(図の説明:日本人の平均寿命は、1950年には男58.0歳、女61.5歳だったが、1965年まで急激に上昇し、その後2010年までは少し緩やかなカーブで上昇している。そして、2011年の東日本大震災で短縮したが、その後、さらに緩やかなカーブで上昇し始め、90歳~100歳の間で収束するように見える。1965年までの急激な上昇は、栄養状態・衛生状態の改善により乳児死亡率(0歳で死亡するため平均値を下げる)が減ったためだと言われている。その後、1965~2010年のカーブは少し緩やかになって漸増している。この平均寿命のカーブは、人口1000人当たりの医師数のカーブより、人口一人当たりのGDPのカーブや洗濯機・冷蔵庫などの家電普及率のカーブに似ている。そのため、長寿には、まず十分でバランスの良い栄養による体力づくりや清潔さが必要で、それでも病気になった場合に医師が関与して治癒させることが大切だということがわかる。なお、2011年の東日本大震災を境に寿命の伸びが緩やかになり、これを生活習慣病が原因だとする人もいるが、生活習慣病だけが原因なら1990年頃から寿命の伸びが緩やかになってよかった筈だと思うので、死亡原因別の死亡率推移も比較すべきだ)

1)県毎の平均寿命・健康寿命の比較
 2015年の都道府県別平均寿命は、滋賀県が長野県を抜き、男性が全国1位、女性が4位となって、長野県は30年ぶりに男性トップを奪われたそうだ。*4-1のように、どちらも健康を重視していることには変わりないが、県ごとに原因追及を行って対策を講じるのはよいことだ。

 また、*4-2のように、男女を合わせた平均寿命を1990年と2015年で比べると、都道府県の格差は広がっており、2015年トップの滋賀県(84.7歳)と最下位の青森県(81.6歳)は3.1歳の差があるそうだ。そのため、生活習慣(喫煙、食生活など)の見直しは必要で、都道府県間の格差分析は生活環境や実態の違いを把握するのに有効だろう。

2)介護保険制度について
 厚労省は、*4-3のように、介護が必要な高齢者の身の回りを世話する「生活援助」について、平均以上の利用回数になる介護計画を市町村に届けるよう義務づけ、過剰な利用を洗い出し、本人の自立支援や重度になるのを防ぐ中身かどうか検証するそうだ。

 しかし、何が過剰かの判断は重要で、生活援助を減らすと新たに施設に入らなければならない高齢者も出るため、施設を増やして高齢者を収容した方が安上がりで高齢者のQOLが高くなるのか否か熟考すべきだ。何故なら、月30~40回(1日1~2回)と生活援助の利用回数が多い高齢者というのは、甘えている人というより、重篤だが自宅で過ごそうとしている独立性の高い高齢者だと思われるからである。

 なお、介護サービスの需要は実需であり、介護保険制度は始まって20年未満であるため、介護給付費が2025年にかけて現状の2倍の20兆円規模まで膨らむと予想されるのは全く自然で、生活援助が給付費の1%程度であるにもかかわらず無駄遣いを指摘する声が多いのは、「家事は仕事のうちに入らない楽なものである」と考える人が少なくないからだろう。しかし、多くの老夫婦世帯で生活援助は必要不可欠であるし、男性だけが残った世帯ではさらに重要になっている。

 そのため、生活援助のより安価な担い手を確保したり、保険適用と保険不適用(自由)の混合介護をやりやすくして、安いから頼むのではない実需を探って適正額を決め、必要と認められるものは速やかに保険適用にしていくのがよいと考える。

 なお、*4-4のように、介護保険料を8割の自治体で上げ、健保組合は全国の約1400組合のうち3割が2018年度に保険料率を引き上げたので、給付抑制が必要だとする意見がある。しかし、現在の介護保険料は40歳以上からしか徴収していないため、まず受益者である働く人すべてから介護保険料を徴収するように改正し、価格の高すぎる機材の必要性とその価格の見直しから始めるべきだ。

<経済発展への総合的知識の必要性>
*1-1:http://qbiz.jp/article/132030/1/ (西日本新聞 2018年4月17日) 中国、車の外資規制撤廃へ EV18年、乗用車22年に
 中国政府は17日、乗用車分野への外国企業の出資規制を、2022年に撤廃すると発表した。現在は現地合弁企業に対する50%までの出資しか認めていないが、この規制を取り除く。電気自動車(EV)などの新エネルギー車は18年中に、商用車では20年に、それぞれ出資規制を撤廃する。日本の自動車メーカーにとっては、中国事業拡大のチャンスになりそうだ。自動車分野の規制緩和は、米国や日本が強く求めてきた。米中貿易摩擦などで中国市場の閉鎖性への批判が高まる中、基幹産業である乗用車分野の開放策を打ち出すことで、改革・開放政策の継続を印象付ける狙いだ。中国政府は、ガソリン車などを含む乗用車での撤廃により、自動車業界での出資規制は全てなくなると説明している。中国の習近平国家主席は10日の演説で、改革・開放政策を進めるために自動車などの分野で市場開放に取り組む姿勢を示していた。

*1-2:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20180418&ng=DGKKZO29492320X10C18A4MM8000 (日経新聞 2018年4月18日) 中国、車の外資規制撤廃 22年に、市場開放アピール
 中国政府は17日、外資系自動車メーカーの乗用車分野の出資規制を2022年に撤廃すると発表した。同年までに電気自動車(EV)や商用車など自動車産業の外資規制をすべて撤廃する。米国との貿易摩擦をにらみ、市場開放をアピールするのが狙い。世界最大の自動車市場で日本勢を含む外資メーカーの経営戦略の自由度が高まりそうだ。国家発展改革委員会が新しい政策を発表した。習近平(シー・ジンピン)国家主席が10日に博鰲(ボーアオ)アジアフォーラムで表明した自動車産業などの外資規制の緩和方針を受け、自動車の分野別にロードマップを明らかにした。これまでは外資の出資は50%が上限だった。外資規制撤廃の時期は、18年中にEVなどの新エネルギー車、20年にトラックやバスなどの商用車、22年に乗用車とする。中国政府が17年4月に発表した自動車産業の中長期発展計画では「25年までの外資規制の緩和」としており、時期を前倒しするとともに撤廃にまで踏み込んだ。過半出資にこだわって中国進出が難航する米電気自動車メーカー、テスラなどを後押しする狙いとみられる。新エネ車を除き原則2社までだった中国での自動車生産の合弁会社数の制限も22年に撤廃する。中国政府の新しい外資規制撤廃で、日本勢を含む外資メーカーは中国市場での経営の自由度が高まる。一方、外資系自動車大手幹部は「中国側の協力を得られなくなると中国事業にマイナスに働くので、出資比率の引き上げは慎重に考える必要がある」と漏らす。具体的な規制緩和の扱いについても「これから公表される詳細な細則などをみないと分からない」(外資系メーカー幹部)との指摘もある。中国政府は自動車以外でも、18年末までに造船、航空機製造の外資規制を撤廃する。すでに公表した金融以外でも、18年以降にエネルギーや資源、インフラ、交通、流通分野で規制緩和を順次進める方針を打ち出した。中国の新車販売台数は17年で2887万台。世界2位の米国の1.7倍、日本の5.5倍に達する。乗用車を中心に独フォルクスワーゲン(VW)、米ゼネラル・モーターズ(GM)、日産自動車、ホンダ、トヨタ自動車が合弁で生産するブランドが上位を占める。規制緩和によって中国市場で外資と中国メーカーの競争が進み、業界再編が進むとの見方も出ている。

*1-3:http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201804/CK2018041402000147.html (東京新聞 2018年4月14日) 【経済】<原発のない国へ 世界潮流を聞く> (1)中国「50年には再生エネ中心」
◆中国国家気候変動戦略研・李俊峰教授
 世界各国で太陽光、風力など再生可能エネルギーが飛躍的な拡大を続けている。日本政府が依然、原発を基幹電源として位置付け、再生エネルギーが伸び悩んでいるのと対照的だ。世界潮流から何を学ぶべきか。国内各地の再生エネ導入の現場をルポした第一部に続き、研究者やビジネスマンなど世界の専門家たちにエネルギー事情の最前線を聞く。
-中国の再生エネの導入状況は。
 「中国政府が二〇〇七年に再生エネの拡大計画を立ててから、再生エネが急速に増えており、一七年の発電に占める再生エネの割合は計約33%に増えている。これまでは水力、風力の割合が大きかったが今後は太陽光が急増する。二〇年の目標は35%だが、前倒しで達成できるかもしれない。経済政策を立案する国家発展改革委員会は三〇年の目標として、温室効果ガスを排出しない非化石電力である再生エネと原子力で電気の50%超を賄うことを掲げている。原子力はこのうち5%にも満たないだろう」
-再生エネ増加の背景は。
 「技術が進歩し、大量生産が可能になった。太陽光発電用のパネルなど設備投資費用は〇七年から十年間で八分の一まで下がり、いまも急速に下がり続けている」
「これに伴い発電費用は下がるので、電力会社が発電会社から買い取る際の固定価格も大規模太陽光は今年は一キロワット時当たり〇・五五元(九・二円)まで下がっている。これも日本(本年度十七円)の半額だ。二五年には石炭より安くなり、買い取り制度そのものが不要になるだろう」
-なぜそれほど設備投資費用が下がっているのか。
 「太陽光発電設備を作るメーカーが激しく競っているためだ。中国では太陽光メーカーは世界一、二位の企業を含め二百社以上がひしめき合っている。いまや中国メーカーが世界の太陽光生産の70%を占める。風力タービンのメーカーも二十社以上ある。受注を巡って値下げ競争が起きている」
-原発政策は。
 「中国政府は日本の東京電力福島第一原発事故を受け、原発の建設計画を大幅に見直した。一三年以降は新規の建設計画を承認していない。すでに建設中の原発はあるが、二〇年時点の原発の設備容量の目標はもともとの百二十ギガワットから半分以下の五十五ギガワットに大幅に下方修正している」。「建設途上にある国産原子炉が成功すれば、流れが変わるかもしれないが、原発の問題は高い建設費用と安全性だ。人口が大きい中国ではどこに建てたとしても集住地域が近くにあり、安全面のリスクが高い。中国の国土は広いが、最終処分場をつくるメドもたっていない」
-中国は自動車もガソリン車から電気自動車(EV)に転換する計画を発表しているが、発電以外の計画は。
 「二〇五〇年には大半の電気を非化石電力で賄うことになり、再生エネが中心になっているだろう。EVの電気も再生エネで賄うことになる」
<り・しゅんほう> 中国国家気候変動戦略研究・国際協力センター教授。同センターはエネルギー政策を研究し政府に助言している。過去には中国の国家戦略を立案する国家発展改革委員会のエネルギー研究所副所長も務め、政府の再生エネの関連法や中長期計画の立案に携わった。

*1-4:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20180419&ng=DGKKZO29568160Z10C18A4MM0000 (日経新聞 2018年4月19日) 再生エネ、アジアで急伸 5年で倍増、中国けん引
 再生可能エネルギーの導入がアジアで急拡大している。国際再生可能エネルギー機関(IRENA)の調べによると2017年末の発電容量は5年でほぼ倍増。世界全体の伸び率の5割を大きく上回った。太陽光発電を推進する中国やインドの伸びが大きい。環境意識が強い欧州などに加えアジアでも採用が増え、世界で再生エネの存在感がいっそう高まりそうだ。17年末の再生エネの発電容量は21億7900万キロワットだった。発電方式別では水力が53%、風力が24%、太陽光が18%と続く。太陽光の構成比が過去5年で約2.6倍となり、伸びが大きい。けん引するのが中国で、太陽光が5年で36倍に増えた。13年に再生エネを高い価格で買い取る制度を導入して大気汚染の一因とされる石炭火力発電を抑制。太陽光発電施設の新設が相次ぎ、中国資本の太陽電池メーカーも育った。太陽光発電はパネルの価格下落で発電コストが5年で約半分に下がったうえ「風力ほど設置や運営のノウハウが要らない」(自然エネルギー財団の大林ミカ氏)。中国では17年も16年に比べ68%増えるなど増加率は高水準が続く。水力発電も過去5年で36%増えた。足元で再生エネの導入が急速に進んでいるのがインドだ。17年の増加率は18%と、比較可能な01年以降で最高となった。ソフトバンクグループが合計2千万キロワットの再生エネ発電所を建てる計画を掲げ、17年4月に一部設備が稼働した。日本では過去5年で2.1倍に増えた。増加分の96%が太陽光だ。発電容量の地域別構成比はアジアが42%、欧州が24%だ。欧州も過去5年で30%増えたが伸び率はアジアより低かった。国際エネルギー機関(IEA)によると、再生エネが世界の総発電量に占める比率は16年に24%に高まった。40年には再生エネの発電量が2.6倍に増え、総発電量の40%に高まるとみている。アラブ首長国連邦(UAE)やサウジアラビアなどでは100万キロワット以上の太陽光発電施設「ギガソーラー」が相次いで建設されている。

*1-5:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20180411&ng=DGKKZO29216810Q8A410C1EE8000 (日経新聞 2018年4月11日) 再生エネ「主力」へ技術課題 2050年戦略、競争力見極め難しく
 経済産業省は10日、省内の有識者会議で2050年に向けた国の長期エネルギー戦略の提言を取りまとめた。太陽光や風力など再生可能エネルギーを「主力電源」にする目標を明記した。ただ再生エネを主力にするには技術的な課題も多い。火力なども含めてどの電源や技術に経済性や競争力があるのか、今後も難しい見極めが迫られる。今夏をめどに閣議決定するエネルギー基本計画に反映する。再生エネを主軸としつつ蓄電池や火力、原子力など多様な技術や電源を組み合わせて変化に対応できるようにする。エネルギー情勢を客観的に分析し、最適な選択に向けた判断材料を示す新組織も設立する。再生エネは海外に比べて高コストから脱却できておらず、発電システムの一層の効率化を事業者に促す。再生エネの大量導入を受け入れられる送配電網の整備も課題。天候や季節で出力が変動する弱点を補うためには、火力発電など他の手段の活用も必要になる。それぞれに技術的な課題が多く50年の明確なエネルギー構成は示せなかった。原子力は依存度を低減する方針を明記する一方、「脱炭素化の選択肢」として「安全性や経済性、機動性に優れた炉の追求」も続ける。10日の会議では原子力について、「地球温暖化への対応を考えると依存度低減は合理的ではない。逃げてはだめだ」(コマツの坂根正弘相談役)といった意見が出た。一方で「推進しないほうがいい」(イーズの枝広淳子代表取締役)との異論もあり、明確な方向付けはできなかった。

*1-6:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20180418&ng=DGKKZO29496450X10C18A4EE8000 (日経新聞 2018年4月18日) 再生エネ拡大へ、送電線空き活用 経産省会議が対応策
 再生可能エネルギーの普及拡大を議論する経済産業省の有識者会議は17日、発電コストの低減策や、送電線の空き容量を柔軟に運用するルールなどを盛り込んだ対応策の骨子をまとめた。今夏にも改定するエネルギー基本計画に反映する。有識者会議は送電線の利用ルールを見直し、使える容量を拡大する「コネクトアンドマネージ」を2018年度から順次導入する方針を示した。空き容量をどこまで活用できるかを今後、経産省と電力会社で詰める。自然条件による変動の大きい太陽光や風力などの再生エネを大量に導入する場合、電力の需給バランスを保つ方法を確保する必要がある。骨子では蓄電池や水素などのコスト低減を目指し、技術開発を加速する方針も明記した。政府は2030年度に再生エネ比率を22~24%にする目標を掲げている。再生エネを主力電源とするためには、詳細な制度づくりや技術開発に課題が残る。

*1-7:http://qbiz.jp/article/132184/1/ (西日本新聞 2018年4月19日) 南鳥島沖の深海に希土類1000万トン超 世界消費の数百年分
 海洋研究開発機構や東京大のチームは、太平洋の南鳥島沖の深海底で見つかったレアアース(希土類)を含む泥の濃度を調査した結果、2500平方キロの範囲で埋蔵量が1600万トンを超すとの推計を発表した。周辺は日本の排他的経済水域(EEZ)内で、世界で消費されるレアアースの数百年分に相当する大量の資源だとしている。ただ実用レベルの採掘技術が存在しないため、現時点で利用できる見通しは立っていない。東京大の加藤泰浩教授は「企業や研究機関と検討を進め、今後10年で実際に使える採掘技術を開発したい」と話している。チームはこれまでに南鳥島沖の水深約5千メートルの海底にジスプロシウムやイットリウムなどを含む泥が2500平方キロにわたって広がっているのを発見している。調査船で25カ所の海底を掘削して泥に含まれるレアアースの濃度を調べると、北西部の約100平方キロで特に濃度が高かった。この海域だけで120万トン、全体では1600万トンを超す埋蔵量があると推定される。泥に含まれる粒状の生物の骨や歯には多くのレアアースが含まれ、それらをすくい上げて回収することで採掘コストを抑えることができるとチームはみている。

*1-8:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20180411&ng=DGKKZO29236340Q8A410C1CR8000 (日経新聞 2018年4月11日) イノベーション、日本勢創出難しく 研究者3000人調査 「国際的成果少ない」26%
 文部科学省科学技術・学術政策研究所は10日、日本の産学の研究者約3000人を対象とした意識調査の結果を発表した。国際的に突出した成果が日本から出ているか、との質問では回答者の26%が前回調査に比べて状況が悪化していると回答した。政府は画期的な研究成果をイノベーションにつなげて経済成長を実現する方針だが、研究現場の認識と大きな開きがあることがうかがえる。同研究所は、研究現場の意識変化を継続的に追う目的で2016年に調査を初めて実施。17年末に同じ回答者を対象に2回目の調査を実施して1回目と比較。対象者は大学や公的研究機関に所属する約2100人、企業に所属する約700人で回答率は92.3%だった。国際的に突出した成果が生み出されているかとの質問は26%が前回よりも悪化しているとした。変化なしは68%で、改善したとするのは5%だけだった。状況を10点満点にすると回答者の平均は大学所属の研究者が4.1と前回に比べ0.58ポイント低下、産業界も0.5ポイント減の4だった。研究成果がイノベーションにつながっているかという質問でも20%の回答者が悪化とした。ポイントも大学で0.4ポイント低下の4.1、産業界は0.29ポイント減の3.3だった。日本の研究状況が悪化している理由として、中国やインドの台頭による国際的な地位低下、学術論文の動向などを挙げた。ベテラン研究者の固定観念が若手研究者の自由な発想を妨げているのではとの回答もあった。ノーベル賞の受賞などは近年目立つものの、過去の蓄積によるもので今後は研究力が落ちる一方という意見も多かった。

*1-9:http://qbiz.jp/article/132329/1/ (西日本新聞 2018年4月21日) 九電、社長交代で成長戦略へかじ 原発4基実現へ、経営再建にめど
 九州電力のトップが約6年ぶりに交代する人事が固まった。2011年の東京電力福島第1原発事故後、大きく傷んだ経営を立て直す環境づくりに一定のめどがついたことが背景にある。今後、重要度が増すのは成長戦略。瓜生道明社長から後を継ぐ池辺和弘氏が、成長の歩みをどのように進めるのかが焦点だ。原発の長期停止による火力発電の燃料費負担増加で、九電の財務は急激に悪化。2012年3月期から4年連続で赤字を計上し、有利子負債は約1・5倍に膨らんだ。収支改善と電力の供給力確保が喫緊の課題となる中、瓜生氏は原発再稼働を推進。川内原発1号機(鹿児島県薩摩川内市)は福島事故後で全国第1号となった。並行して経費削減を徹底。16年の電力、17年のガスと続いた小売り全面自由化、20年の発送電分離に向けた「カンパニー制」導入など、重要課題への対応も指揮した。3月の会見では「嫌というほど濃密な6年間だった」と振り返った。最後の大きな課題が川内1、2号機と玄海3、4号機(佐賀県玄海町)の原発4基体制の実現。玄海3号機が蒸気漏れで一時発送電が停止になったものの、4号機の再稼働への影響は抑えられ、「経営の大きな節目」(九電幹部)を乗り越える見通しがついた。役員の序列では10人抜きで社長に昇格する池辺氏。昨年6月に22人抜きで取締役常務執行役員に就いた後は、若手社員のアイデアや他社技術を活用した新規事業創出に携わり、トップとして成長戦略を進めるための布石との見方もあった。一方、財務は好転しているとはいえ、自由化で競争は激化し、経営環境はなお厳しい。池辺氏も策定に関わった中期的な財務目標では連結の経常利益を17〜21年度の平均で1100億円以上などと掲げるが、社内でも「かなり高い目標」との見方がある。池辺氏は2月、役員制度の見直しに関する記者会見で「意思決定の迅速化が重要」と語った。九電が目指す「日本一のエネルギーサービスを提供する企業グループ」実現のためには、スピード感ある対応が鍵を握る。

*1-10:https://digital.asahi.com/articles/ASL3Z52XCL3ZULFA00Z.html (朝日新聞 2018年3月31日) 化粧品「爆買い」制限広がる 品切れ・海外への転売懸念
 化粧品メーカーが顧客に商品の購入個数の制限を求める動きが広がっている。訪日客向け販売の急増による品切れや、一部が海外で転売されていることが背景にある。訪日客への販売増で業界は好調だが、品切れによる既存顧客への悪影響や、転売によるイメージ低下の懸念から、購入制限を求めざるを得なくなっている。
●「バイト20人で買い占め」 化粧品「爆買い」の実態
 ファンケルは2月、メイク落とし「マイルドクレンジングオイル」の購入個数を「1週間に1人10個まで」とする日中2カ国語の顧客向け通知を直営店に出した。中国人客が「爆買い」したとみられる商品が現地で転売される例が見つかり、ブランドイメージ低下を懸念した。コーセー子会社のアルビオンは昨年末から、「アルビオン」ブランドの乳液の購入を1日1個に制限。ネットに顧客向けの「お願い」を日中英3カ国語で出した。訪日客への販売増で生産が追いつかなくなったという。資生堂は2月ごろから、銀座の百貨店などで「SHISEIDO」ブランドの美容液の購入を1日1個に制限。店頭に営利目的購入を禁じる日中英3カ国語の掲示も出した。制限は「多くのお客様に届けるため」(広報)という。購入制限は訪日客増とともに2015年ごろから目立ち始めた。最近は対象商品が増え、1回あたりの個数の上限も減らす傾向にある。訪日客向けが好調で、資生堂とポーラは直近の決算で営業利益が過去最高、コーセーも最高益の見込みだが、急増した販売の「副作用」が購入制限という形で表面化している。

<データと研究>
*2-1:https://www.sankei.com/world/news/180125/wor1801250041-n1.html (産経新聞 2018.1.25) 科学・工学分野の論文数、中国が初の首位 米国抜く 日本6位 米財団調査
 各国の科学技術力の分析に当たる全米科学財団(NSF)がこのほどまとめた報告書で、科学技術の論文数で中国が初めて米国を上回り世界首位となったことが分かった。日本は6位となり、新興国ではインドにも追い抜かれており、科学技術立国としての基盤低下が懸念されそうだ。報告書はNSFが2年ごとにまとめている。2016年に発表された論文数は中国が約43万本となり、米国の約41万本を抜いた。3位以下はインド、ドイツ、英国が続き、日本は6位と低迷した。7位以下はフランス、イタリア、韓国。報告書がまとめた統計によると、直近10年間の国別の論文数の推移は、中国が約124%増と大きく飛躍。インドも182%増と伸び、新興国の躍進が著しい。日本は13%減った。米国が7%増、欧州連合(EU)域内は28%増だった。論文数を分野別にみると、中国は工学分野で欧米を上回ったが、医学・生物学分野では米国などが優位を保った。中国は科学研究の底上げのため、民間を含む研究開発費を増加させている。論文数増加は、こうした事情が背景にあるとみられる。

*2-2:https://digital.asahi.com/articles/ASL454HRCL45PLBJ005.html?iref=comtop_8_03 (朝日新聞 2018年4月12日) 研究不正、大学教育で防げ 「インチキ論文」見破り方も
 東京大分子細胞生物学研究所や京都大iPS細胞研究所など、著名な機関で研究をめぐる不正が相次いでいる。国は大学や研究機関に対して、ビデオ教材などによる不正防止教育を求めているが、効果はいま一つだ。そうした中、危機感を募らせた大学の間では、学生たちが不正に手を染めないようにと、独自の教育プログラムを取り入れる試みが広がり始めている。「どこが、どう怪しいのか。どう修正すべきか。考えをまとめてください」。滋賀県立大の高倉耕一准教授(生態学)が、学生たちに呼びかけた。受講する十数人の学生が持ち寄ったのは、健康器具や化粧品などのチラシ。他社製品との違いをアピールする言葉が並ぶ。「事例紹介ばかりで、肝心のデータがない」「グラフの目盛りを操作して効果を大きく見せている」。学生たちが、互いに意見をぶつけあう。大学院の「環境研究倫理特論」という授業のひとコマだ。
●不正見抜くソフトの使い方も
 「身近なチラシの観察は、自分が不正に手を染めず、上からの不正の指示に批判的に対処するためのトレーニングです」と高倉さん。この授業は昨秋から今年2月まで15回行われ、学内外の9人が講師を務めた。「インチキ論文」を見破る技術として、画像の切り貼り・使い回しや不正な統計処理などを見抜くソフトの使い方を教えたり、過去の研究不正の裁判記録を読み解いたりした。「特論」を企画した原田英美子准教授(植物科学)は、主任教授などの上司が指示し、若手を巻き込んで組織的に行われる「トップダウン型」の不正を念頭に置いたという。若手は生活のために、人事権者の理不尽な指示に従わざるを得ない。「学生には怪しい論文や研究室を見抜く目を持ち、近づかないようにしてほしい」と話す。互いに意見を出し合って問題の解決策を探るアクティブ・ラーニング(参加型)の授業は学生に好評で、今秋にも同様のプログラムを予定している。
●過去の不正を題材に議論
 東京工業大でも、大学院の修士課程で、選択科目として研究倫理の講義を行っている。2016年度は約290人、17年度は約240人が受講した。座学のほか、ほぼ毎回グループ討議を行う。過去の不正事例を題材に「科学者が重視すべき価値」、「不正が起きた原因や背景」などについて、学生同士で話し合う。講義を担当した東工大の札野順教授(科学技術倫理)は「論文の作成・出版は、本来、研究成果を共有し、研究をより進める手段にすぎない。しかし、それ自体が目的化していることが不正の背景にある」と指摘する。「研究する意味や目的を正しく知れば不正はおのずと減るはず」。19年度からは、対象を学部1年生から博士課程までに拡充する計画だ。
●「不安定な雇用環境が背景」指摘も
 京都大iPS細胞研究所で1月に発覚した研究不正は、任期付きで採用された30歳代の研究者が起こした。成果を出さないと次のポストが得られない若手の不安定な雇用環境が、不正の背景として指摘されている。若手だけでなく、研究代表者らも、国からの補助金が減り続ける中で予算獲得の強い圧力の下にある。科学界全体が過度の成果主義にさらされている。研究不正の防止に特効薬はなく、海外でも大きな課題となっている。東京大医科学研究所の技術専門職員で、日本医療研究開発機構の主査として海外の事例を調査した池上徹さんによると、たとえばカリフォルニア大学のある教員は、「倫理、および『生き抜く』術」と題した討議やロールプレー(役割演技)などのプログラムを導入。研究倫理上問題となる具体的な状況を参加者たちが自ら設定し、論文の責任著者、研究グループの代表者、雑誌の編集者、資金を出した機関の人などの立場で対応を演じ合う。研究者として生き残るため、正解のない問題に対して、自分ならどうするかを考えてもらう試みだ。他大学の教員らの間でも、同様の取り組みが草の根的に広まりつつあるという。
●文科省の不正防止教育「不十分」
 日本では文部科学省が、国の研究費を受ける条件として、不正防止教育を大学などに課している。ただ、ビデオ教材を視聴する「eラーニング」が中心で、不正防止には不十分との指摘は多い。一方、東工大や滋賀大のように教育カリキュラムに組み込む大学独自の参加型のプログラムは、まだ全国でも数えるほど。国立大学の法人化を機に、国からの運営費交付金が減り、新たな教育プログラムに必要な専門の教員を雇う十分なお金が大学側にないという事情もある。池上さんは「研究倫理を、大学の研究教育の一分野として確立する必要がある。そのための予算と教員の措置は、ぜひとも必要だ」と指摘する。

*2-4:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20180403&ng=DGKKZO28878060S8A400C1MM8000 (日経新聞 2018年4月3日) データの世紀 情報資源、世界を一変、始まった攻防(1)人体から宇宙まで 企業・国、先頭競う
 世界各地で毎日、企業の活動や個人の行動などから膨大な量のデータが生み出される。つぶさに分析すれば成長の原動力になる「新たな資源」だが、人の行動を支配しうるリスクも抱える。企業や国を巻き込んだ攻防も始まり、世界はデータの世紀に入った。3月27日。英下院の委員会に、赤く染めた短髪にスーツ姿の男性が現れた。米フェイスブックで約5千万人分のデータが不正流出し米大統領選の選挙工作に使われた疑いが浮上。男性は問題を内部告発した英データ分析会社、ケンブリッジ・アナリティカの元社員だ。この会社は流出データの提供を受けていた。証言に費やされた時間は延々、3時間半。米国では大統領選への関与が注目されている。一方、英国で議論を呼んだのは、委員の質問に淡々と答えていたこの男性が、2016年の英国の欧州連合(EU)離脱を問う国民投票にも関与していたと示唆したことだ。委員「もしその関与がなかったら?」。男性「国民投票の結果は、違っていたかもしれません」
●「新たな石油」
 データ分析は個人の行動をも動かす領域にまで高度化した。全世界のフェイスブックの利用者は月間20億人以上。「フェイスブック上での反応を分析して広告を打てば、消費者を大きく動かせる」。米コロンビア大学のサンドラ・マッツ准教授らの研究では、「いいね!」ボタンの押し方などから得た嗜好に沿ってその個人に合った化粧品の広告を流すと「購買数は54%増えた」という。全世界で1年間に生み出されるデータの量は既にギガ(10億)の1兆倍を意味する「ゼタ」バイトの規模に達する。米調査会社IDCの予測では、25年に163ゼタバイトと16年比10倍に増える。これは全人類一人一人が、世界最大の米議会図書館の蔵書に相当するデータを生み出すような規模だ。ネットの検索履歴や車の走行情報が新サービスを生み、経済や政治のデータがマネーを動かす。「データは新たな資源」「新たな石油」。米インテルやIBM、中国アリババ集団などIT(情報技術)大手の経営者は口をそろえる。限りある石油と違い猛烈な勢いで膨張するデータを、世界中の企業が吸い上げる。宇宙からは、モノの動きを見逃すまいと人工衛星の「目」が光る。港のタンカーの出入りやスーパーの駐車場の稼働状況から、公式情報より早く経済の動向を予測。データを駆使するヘッジファンドが利益を上げる。「全世界を毎日撮影する」。日本でも超小型人工衛星開発のアクセルスペース(東京・中央)が18年秋、大きさ数十センチメートルの衛星を3基打ち上げ、最終的に50基に増やす。「衛星画像を様々なデータなどと組み合わせて分析すれば、ビジネスになる」(中村友哉社長)
●病気リスク軽減
 データは命をも救いうる。米アルファベットは17年4月、傘下企業を通じ1万人の心拍などの健康情報を少なくとも4年間集めるプロジェクトを始めた。日本でも内閣府と東京大学や京都大学が共同で18年6月から、あらゆるモノがネットにつながる「IoT」技術を使い生活環境と血圧の関係を即時測定する実証実験を始める。病気リスクの軽減が狙いだ。20世紀を石油の世紀とすれば、21世紀はデータの世紀。その先頭を走るのがグーグルやアップルなど「GAFA」と呼ばれる米IT4社だ。合計時価総額は10年代前半、かつて「セブン・シスターズ」と呼ばれた石油大手4社を逆転した。急拡大ぶりは、勃興時の石油産業の姿にも重なる。石油の大量供給は世界で自動車産業の発展をもたらした。一方、巨大化の弊害も指摘された。ジョン・ロックフェラー氏らが19世紀後半に設立したスタンダード石油は1911年に反トラスト法(独占禁止法)で分割。後に栄えたエクソンやテキサコなど巨大7社も、今は4社に集約された。現在は、肥大化したGAFAに対する逆風が世界で強まる。歴史は繰り返す。データの世紀が問いかけるのは、産業構造の転換や企業間の攻防にとどまらない。石油の世紀には、石油輸出国機構(OPEC)が誕生。中東諸国による石油支配を生み出し、石油危機を通じて先進国経済を大きく揺さぶった。そのアキレスけんを守ろうと米国が同地域に軍事介入する結果となった。データの世紀は米国1強にもみえる。だが世界のルールと一線を画す独自政策で、官民を挙げて世界中からデータの収集にかかる中国のような国もある。ロシアもデータの力で世界を揺さぶる。「宗教や民族や国家といった従来の枠組みに代わり、情報を軸とした新たな世界秩序の構築が始まる」。慶応義塾大学の山本龍彦教授は、そう予言する。その行き先を、まだ誰も知らない。

*2-5:https://digital.asahi.com/articles/DA3S13446853.html (朝日新聞 2018年4月12日) FB全面謝罪、議会追及かわす 情報流出でザッカーバーグ氏、米公聴会証言
 米フェイスブック(FB)のマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)が10日、米議会上院の公聴会で証言し、最大8700万人の会員情報が不正流出した問題について全面的に謝罪した。だが、利用者の個人情報を利用して収益をあげる巨大IT企業の事業モデルそのものへの不信感は拭えていない。(ワシントン=香取啓介、青山直篤、江渕崇)
■対策講じ、低姿勢貫く
 ダービン議員「昨日どこのホテルに泊まったか教えてくれませんか?」。ザッカーバーグ氏「ここでは明らかにしたくありません」。ダービン氏「これがプライバシー。FBが集めている情報なのです」。公聴会では上院定数の半数近い44人の議員が次々と質問。追及は5時間近くにわたった。普段のTシャツ姿ではなく、紺色のスーツに水色のネクタイを締めて臨んだザッカーバーグ氏。「我々は会社を経営する上でたくさんの間違いを犯してきました」などと対策の遅れや不十分さを謝罪し、低姿勢を貫いた。「世界の人々をつなぐ」との理想を掲げるFBは、誰でも無料で使える。その代わり、利用者がインターネット上に出す個人情報を元にして広告主に広告スペースを提供し、収入を得る。創業14年で、利用者は世界で20億人を超えた。情報の不正流出が発覚したのは3月。アプリを通じて利用者の個人情報が抜き取られ、2016年の米大統領選でトランプ陣営を支援した英選挙コンサル会社に不正利用された疑惑が持ち上がった。偽ニュースの拡散を許し、選挙への介入を招いたとの批判もある。FBは先週来、アプリ開発者の情報へのアクセス制限や広告表示の自主規制など、対策を発表。議員からは政府による規制に関する質問も相次いだが、ザッカーバーグ氏は「正しい規制なら歓迎する」と応じ、論戦にならないようにした。広告なしの有料版を検討しているか問われると「広告モデルが10億人単位の人々にサービスを届ける唯一の道だ」と答えた。追及をかわしたかにみえるザッカーバーグ氏だが、不信感はくすぶっている。「使命よりも広告の価値を上位に置く事業モデルなのに、米国人のプライバシーを守るために自らの意思で本当に変われるとどうして信じられるだろうか」。ハッサン上院議員はこう問いかけた。
■規制強化求める声も
 問題が深刻になった背景には、米巨大IT企業が情報や富を独占し、米政治や社会がその悪影響への懸念を強めていることがある。米調査会社によると、フェイスブックとグーグルだけで昨年の米デジタル広告市場の6割以上を稼ぎ、寡占度合いは年々高まる。欧州に比べ、独占に甘い競争政策をとってきた米国だが、今回の問題を契機に流れが変わる可能性はある。欧州では5月、企業などに個人情報の厳格な扱いを義務づける「一般データ保護規則」が施行される予定で、ザッカーバーグ氏も順守を誓った。米国でも同様の厳しい規制が必要だとする見方が出ている。ニューヨーク大学のロバート・シーマンズ准教授は「データの収集や利用について人々が注意を払うきっかけになった。消費者が完璧なプライバシーを得ることはできなくなっている」と話す。

*2-6:http://www.saga-s.co.jp/articles/-/204114 (佐賀新聞 2018年4月12日) FB悪用対策「不十分」
 米交流サイト大手フェイスブック(FB)のマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は10日、個人情報の不正利用やFBを通じたロシアの米大統領選介入など一連の問題について、対策の不備を認めて陳謝した。「悪用防止に十分な対応をしていなかったのは明らかだ。私の過ちで、申し訳ない」と述べた。上院司法委員会と商業科学運輸委員会の合同公聴会に出席した。サイト利用者保護のため、偽アカウントや投稿内容を確認する要員を年内に5千人増やし、約2万人にすると表明。個人情報の収集や利用に関し、規制強化の必要性を指摘する議員らに「正しい規制であれば歓迎する」と一定の理解を示した。一連の問題でのザッカーバーグ氏の議会証言は初めて。反省の姿勢を強調し、イメージ悪化や利用者離れの食い止めを図った。株式市場では再発防止策の説明が評価され、FBの株価は前日と比べ、4・5%上昇した。ザッカーバーグ氏は、モラー特別検察官によるロシア疑惑捜査にFBが協力中だと明らかにした。自身は聴取を受けていないと語った。最大8700万人分の利用者の個人情報を不正取得した英政治コンサルティング会社ケンブリッジ・アナリティカについて、2015年に情報削除を要求したが実際は消されず、確認が足りなかったと責任を認めた。同社は16年米大統領選でトランプ陣営のために個人情報を使ったとされる。大統領選中にFBに虚偽情報を投稿していたロシア企業インターネット・リサーチ・エージェンシーに関し「約470のアカウントやページがあり、約8万件の投稿をしていた。約1億2600万人が影響を受けたと推定される」と説明した。

<研究とデータ分析>
*3-1:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20180402&ng=DGKKZO28858360R00C18A4MM8000 (日経新聞 2018年4月2日) データ分析のプロ、産学で育成 日立など9社、5大学と
 日立製作所やヤマトホールディングスなど大手企業9社がデータ分析の専門家「データサイエンティスト」の育成に乗り出す。東京大学など5大学と組み、企業が持つビッグデータを使った大学院生の育成プログラムを始める。産業のデジタル化と人工知能(AI)の導入が進むなか、データを扱える専門家の層の厚さは企業の競争力を左右する。産学が手を携え実践的な専門家を育てる。データサイエンティストには数値の規則性を探り出したりする統計学に加え、データを取捨選択して問題解決につなげる能力も求められる。業界ごとの課題を理解し企業のエンジニアと意思疎通することも要求される。フリーマーケットアプリ大手のメルカリ(東京・港)ではデータサイエンティストが利用履歴などをもとに、サイト画面の改善や顧客動向の予測につなげている。パナソニックは17年、製品の故障予測などを目指し、優秀なデータサイエンティストが在籍する米企業を数十億円で買収した。日本では統計学を専門に教える大学が少ないなど、育成体制に課題があった。課題解決に向け「一般社団法人サーキュラーエコノミー推進機構」を立ち上げた。日立やヤマトに加え、アステラス製薬、NTTドコモ、MS&ADインシュアランスグループホールディングスなどが参画。元経済産業事務次官の望月晴文氏が代表理事に就いた。推進機構は東大、京都大など5大学と育成プログラムを立ち上げ、大学院生を対象に7週間、データの分析手法を教える。まずは特定の研究室の学生が原則費用負担なしで受講できるようにする。初年度は20~30人を育成し、早期に年間100人体制に増やす。プログラムは参画する事業会社の持つデータを使い、経営課題を解決する人材の確保にもつなげる。物流会社の配送ルートの策定や新薬候補物質の探索方法といったテーマが浮上しているようだ。大学側はプログラムを授業の一環として組み込んだり、単位認定したりすることを検討する。データサイエンティストは争奪戦が激しく、求人情報大手が扱う求人は1年間で6倍近くに増えた。

*3-2:https://toyokeizai.net/articles/-/176110? (東洋経済 2017年6月16日) 日本の科学研究の実力が急速に低下している、政府支出を評価する「独立財政機関」の設置を
末廣 徹 : みずほ証券 シニアマーケットエコノミスト
 2017年度版の「科学技術白書」(6月2日政府、閣議決定)によると、主要な科学論文誌に発表された論文のうち、引用された件数の多い論文の国別順位で、日本はこの10年間で4位から10位に下がっており、基礎研究力の低下が著しいと指摘されている。すでに日本の基礎研究力の低下は議論されており、政府は4月に行われた総合科学技術・イノベーション会議(議長は安倍晋三首相)で名目GDP(国内総生産)600兆円の達成に向け、技術革新を推進するための研究開発への投資額を来年度から3000億円上積みする方針を固めた。生産性向上のためには科学技術のブレークスルーが必要となるが、日本の財政を考えると大盤振る舞いできる状況にはない。第5期科学技術基本計画で示されている「(政府研究開発投資は)対GDP比の1%にすることを目指す」を中心に議論せざるをえないため、研究開発投資の金額を増やすためにはGDPを増やす必要がある。これはつまり、「高い経済成長をするためには高い経済成長が必要である」と言っていることになり、とても苦しい状況だ。3月23日に英国の科学誌『ネイチャー』(Nature)は「日本の科学成果発表の水準は低下しており、ここ10年間で他の科学先進国に後れを取っている」と発表した。世界の8000以上の大学や研究機関における研究を指数化したNature Index(科学論文の本数を指数化したもの)において、日本の論文の割合が2012年から2016年にかけて6%低下したという。指数の水準は米国、中国、ドイツ、英国に続く5位につけているが、2~4位の国とは距離が拡大しつつある。(以下略)

*3-3:http://qbiz.jp/article/131976/1/ (西日本新聞 2018年4月17日) 全国学力テスト、小6と中3で実施 理科加え3教科、7月に結果公表
 小学6年と中学3年の全員を対象にした文部科学省の「全国学力・学習状況調査」(全国学力テスト)が17日、一斉に行われた。国語と算数・数学に加え、3年ぶりに理科を加え3教科で実施し、計約213万4千人が参加。結果は7月に公表する。参加は小学校1万9629校の約107万2千人と、中学校1万80校の約106万2千人。国公立は全校で、私立の参加率は49・8%。東日本大震災で事実上実施できなかった2011年度を除き、今回で11回目となる。同時に子どもたちに学習意欲や生活習慣などを尋ねる質問調査も実施し、さまざまな分析に役立てる。

<データの読み方>
*4-1:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20180402&ng=DGKKZO28791810Q8A330C1TCC000 (日経新聞 2018年4月2日) 寿命 データ活用で延ばす、滋賀県、長野抜き男性1位に 課題見つけ改善策具体的に
 2017年12月に厚生労働省が発表した15年の都道府県別平均寿命で、滋賀県が男性で全国1位、女性で4位となり、長寿県として注目を集める。30年ぶりに男性トップを奪われた長野県は、滋賀県との違いをデータ分析した報告をまとめ、5年後の首位奪還を目指す。全都道府県で平均寿命と健康寿命は延びているものの、データ分析を踏まえた食事、喫煙、運動など生活習慣病の長期的な対策などによって明暗が分かれている。「一に健康、二に健康、三に健康。健やかな滋賀をつくろう」。滋賀県の三日月大造知事は18年1月、年頭の記者会見で「健康」を繰り返して強調し、医療・福祉・保健のネットワーク基盤の拡充と同時に、ビッグデータを活用して取り組むことを宣言した。
●もとは平均以下
 同県は15年の都道府県別の平均寿命で、男性が81.78歳で初めて全国トップになった。女性も87.57歳で4位。三日月知事は「滋賀県民は長生きだと注目された」と喜ぶ。もともと長寿県だったわけではない。約50年前の1965年時点では滋賀県の男性の平均寿命は67.26歳で、全国平均(67.74歳)を下回って全国27位。女性も72.48歳で全国平均(72.92歳)より低く、全国31位にとどまっていた。転機は約30年前から本格的に取り組んだ生活習慣病対策だ。その一つが86年から始めた「滋賀の健康・栄養マップ」調査だ。当時、県民の食事や生活習慣に関するデータは十分に把握できていなかった。「県の情報処理システムが改善され、大きなデータを扱えるようになり、県独自に初めて実施した」(県健康寿命推進課)。5年に1度の調査で県内の地域ごとに県民の健康状態を分析。データに基づき、栄養バランスや運動、余暇、虫歯予防の大切さを伝えるガイドブックを作り、県内全世帯に配った。「健康への1%投資運動」として、1日24時間の1%となる15分程度を散歩や体操など運動に充てることを具体的に県民に呼びかけた。県健康寿命推進課は「主体的に健康づくりに取り組む県民が増えるきっかけにつながった」とみる。喫煙率も男性は5割超だったが、県の計画で2001年に「喫煙率を半減させることが望ましい」と努力目標を設定。数値目標を掲げる自治体は珍しかったが、禁煙か完全分煙を行っているとして登録した飲食店を「受動喫煙ゼロのお店」と公表して後押しした。その結果、喫煙率は激減し、16年に男性で20.6%と全国で最も低い県となった。対策の広がりとともに県の平均寿命の順位は上昇した。男性は05年、10年の調査で2位、今回(15年)調査で初めて1位になった。女性も05年に13位で全国平均を上回り、10年は12位、今回は4位に食い込んだ。
●健康寿命も長く
 自立した生活を過ごせる健康寿命も滋賀県は長い。東京大学大学院の国際保健政策学教室と米ワシントン大学の共同調査によると、滋賀県は男女合わせた健康寿命は15年までの25年間で4.1歳延び、福岡、佐賀と並び全国で最も延びた。「滋賀県と比べ、働き盛り世代で運動習慣のある人が少ない」。0.03歳の僅差で男性の平均寿命トップから30年ぶりに陥落して2位だった長野県は「長野県の健康課題~平均寿命男性1位の滋賀県との対比から」という報告をまとめた。働き盛り世代の運動不足のほか、滋賀県と比べて食塩の摂取量や喫煙者も多いことがトップ陥落の主因として、18年1月中旬に開いた健康づくり推進県民会議で報告を公表。データで課題を明確にし、県民に健康づくりを呼びかけていく。生活習慣病対策を放置すると、平均寿命に大きく響く。長寿県で知られていた沖縄県は00年の調査で女性はトップを維持したが男性は前回調査の4位から一気に26位まで転落。40~50代の脳卒中や糖尿病による死亡率の高さが原因だった。平均寿命が延びても、健康寿命が延びなければ、寝たきりの高齢者が増え、医療・介護費の大幅増になるだけだ。寿命を延ばすための生活習慣病対策は同じ県内でも地域で異なる。財政に限りがある中、データ分析で不十分な分野を見直し、有効な対策を地域ぐるみで採り入れる工夫が必要だ。

*4-2:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20180402&ng=DGKKZO28791850Q8A330C1TCC000 (日経新聞 2018年4月2日) 地域格差、最大で3.1歳 「喫煙対策 強化が必要」
 男女を合わせた平均寿命を1990年と2015年で比べると、都道府県の格差は広がっている。両年とも全国平均以上だったのは19都府県あり、逆にいずれも平均未満だったのは18道府県と二極化している。平均以上から平均未満に転落した県、平均未満から平均以上に改善した県もそれぞれ5県あった。男女合わせた都道府県ごとの寿命のデータは、東京大学大学院の国際保健政策学教室が米ワシントン大と共同で分析した。調査によると、1990年に男女合わせた平均寿命が最も長い長野県(80.2歳)と最も短い青森県(77.7歳)の差は2.5歳だったが、2015年にはトップの滋賀県(84.7歳)と最下位の青森県(81.6歳)の差は3.1歳。25年間で差は0.6歳広がった。健康寿命も1990年に最も長い長野県(71.5歳)と最も短い高知県(69.2歳)の差は2.3歳だったが、2015年にはトップの滋賀県(75.3歳)と最下位の青森県(72.6歳)の差は2.7歳で、0.4歳拡大した。分析した東大大学院の渋谷健司教授は「喫煙対策は強化する必要がある。男女とも食生活の見直しも不可欠」と指摘。「今後、都道府県格差をさらに詳しく分析し、実態を踏まえた対策が必要」と話している。

*4-3:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20180403&ng=DGKKZO28902210S8A400C1MM8000 (日経新聞 2018年4月3日) 生活援助 使いすぎ抑制 厚労省 介護計画、月30~40回で届け出
 厚生労働省は介護が必要な高齢者の身の回りを世話する「生活援助」について、平均以上の利用回数になる介護計画(ケアプラン)を市町村に届けるよう義務づける。過剰な利用を洗い出し、本人の自立支援や重度になるのを防ぐ中身かどうか検証する。介護費用の膨張を抑制する狙い。4月中にも正式に決定し、10月から始める。生活援助は介護が必要な高齢者の家を訪問し、掃除や調理、買い物など身の回りを世話する訪問介護サービスの一つ。自己負担は1回数百円と安価に利用できる。その半面、平均を大きく上回る過剰利用が問題視される。厚労省は、利用回数が平均を大きく上回る場合、ケアプランをつくるケアマネジャーに届け出を義務づける。市町村は「必要以上の利用になっていないか」「他のサービスで代替できないのか」などの観点からプランを検証。必要に応じて変更を求める。対象は介護の必要性の度合いで異なるが、おおむね月30~40回前後の利用とし、対象者は年間で数万人規模に上るとみられる。2016年9月のデータによると、生活援助の利用者(48万5千人)は月間平均で11回程度使っている。そのうち31回以上の利用者が2万5千人を占め、100回を超える例もあった。介護給付費は25年にかけて現状の2倍の20兆円規模まで膨らむと予想される。生活援助は給付費の1%程度だが、無駄遣いを指摘する声も多い。定額制の別のサービスがあるのに生活援助を使ったり、生活援助を使いすぎて本人の自立がかえって難しくなったりしていると指摘され、効率化が急務だ。利用回数の上限設定や軽度者の対象除外の是非も議論になっている。厚労省は、不足する生活援助の担い手の育成も始める。新設の短期研修を受ければ、利用者の自宅を訪問して生活援助できる資格を与える。

*4-4:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20180419&ng=DGKKZO29537990Y8A410C1MM8000 (日経新聞 2018年4月19日) 介護保険料 止まらぬ上昇、自治体の8割上げ/健保も3割 給付抑制が急務
 介護保険料の引き上げが広がっている。日本経済新聞の調べでは、65歳以上の介護保険料は8割の市区町村で上がった。現役世代が加入する企業の健康保険組合では、全国の約1400組合のうち3割が2018年度に保険料率を引き上げた。介護給付費は過去10年間で57%増え、医療費の伸びを大きく上回る。介護保険制度(総合2面きょうのことば)の維持には給付抑制が課題だ。65歳以上の介護保険は市区町村や広域連合が運営する。保険料は介護サービスに必要な費用の見通しなどをもとに自治体が3年ごとに見直す。18~20年度の基準月額を15~17年度より引き上げた自治体は全体の8割。月額6000円を超える自治体は前期の1割強から4割に増えた。制度が始まった00年度の全国平均は2911円で2倍の水準にあたる。7000円超の自治体も50を上回り、3倍以上になった。基準月額が最も高かったのは福島県葛尾村。9800円と前期から3割引き上げた。「東日本大震災の避難生活の影響もあってか、村内の要介護認定率が高まっている。人口減少で被保険者の数自体も限られている」(住民生活課)。東京都は8700円の青ケ島村、大阪府では大阪市の7927円が最も高かった。最も低かったのは北海道音威子府村で前期と同じ3000円に据え置いた。「村には介護サービスが乏しく給付が少ない。住民も介護が必要になる前にサービスが充実する都市部に転出していく」(住民課)という。40~64歳の会社員らが負担する介護保険料は18年度の月平均が5723円。10年前に比べ45%増えた。特に収入の多い大企業で負担が増している。18年度に保険料率を引き上げたのは450程度で健保全体の3割を占める。JRグループ、ファーストリテイリング、新日鉄住金などの健保が引き上げた。要因は健保加入者の平均収入に応じて、介護納付金の負担額を決める「総報酬割」の導入だ。17年度から段階的に導入しており、20年度に完全実施する。厚生労働省の試算では導入前に比べ、平均で月700円程度の負担増になる見込みだ。社会保険料の負担が増えれば、賃上げ効果が薄まる可能性もある。介護給付費は15年度で約9兆円。10年間で57%増えた。この間の国民医療費の伸びは3割弱だ。一定の給付抑制策は欠かせない。例えば、軽度な要介護者向け料理などの生活援助サービスは一部の利用者が月100回以上使う例がある。回数制限など抜本的な見直しが必要になる。今後の見通しも厳しい。「団塊の世代」が全員75歳以上となる25年度には、65歳以上の保険料はさらに上昇する。沖縄県と大阪府は9000円を超えると推計。東京や京都、石川など11都府県が8000円以上を見込む。保険料は年間で10万円の大台が迫ってくる。調査は日本経済新聞社が4月上旬、全国1571の市区町村などの保険者をまとめている都道府県を対象に実施。広島県を除く46都道府県が回答した。25年度の推計は31都道府県が答えた。

<原発は地球では過去のエネルギー>
PS(2018年4月23、25、28日追加):*5-1のパナソニックのように、新興国や途上国に、教育や地場産業創出の支援として太陽光発電・蓄電システムや照明を寄贈するのはよいことで、パナソニックや日本のよいイメージを新興国や途上国の人に定着させることもできる。
 一方、*5-2のように、日本の経産省有識者会議は「再生可能エネルギーを主力電源にする」という提言をしたが、「原発は温暖化対策のための選択肢として維持し続ける」という姿勢を変えなかった。しかし、公害は二酸化炭素の排出だけでなく、原発によるものもあるため(そんなことも知らずに、気を付けている人に対して、「風評被害」「ポピュリズム」などと言っているのが呆れる)、日本政府は世界に遅れている。また、現在は原発0でも電力に困らないため、可能な限り低減するなら原発は0になるのに、*5-5のように、経産省は新エネルギー基本計画骨子案を示し、再エネを主力電源化するが原発は脱炭素化の選択肢として「可能な限り依存度を低減する」としている。
 なお、*5-3のように、九電は、管内で再稼働を目指していた原発4基全ての再稼働のめどが立ったことで経営を刷新し、新しい取締役常務執行役員の池辺和弘氏は「エネルギーサービスで日本一の会社にしたい」と意気込んでいるそうだ。しかしながら、こういう判断では、世界進出も日本一も難しいと、私は考える。何故なら、*5-4のように、原発輸出は福島原発事故で状況が一変して、多くの原発関連会社が①採算悪化 ②破綻 ③撤退 しているので、もし九電がアフリカでインフラ整備に進出するとすれば、日本と同じ段階を踏む必要はなく、初めから地熱・太陽光等の再エネを基本とした方が世界の潮流に乗っており、感謝されるからだ。

 
 爆発直後の原発  何年も野積みされている除染土  増える汚染水タンク 原発輸出状況
           福島第一原発事故の現実              *5-4より

(図の説明:福島原発事故は過小報道されたが、実際は広い地域が放射性物質で汚染され、その除染土は今でも野済みされたままである。また、汚染水は完全には除染できないため、タンクに溜まっていくばかりだ。もちろん、核廃棄物の最終処分場もない。このように何の解決もできず、国の補助金で成り立っているにもかかわらず、安いから今後も原発を稼働させるというのは、環境と国の財政負担を無視した姿勢である)

*5-1:http://qbiz.jp/article/132436/1/ (西日本新聞 2018年4月23日) パナ、太陽光発電で開発支援 100周年で途上国に
 パナソニックは23日、創業100周年に合わせてアジアやアフリカなどの新興国や途上国を対象に、太陽光発電システムを活用した教育や地場産業の創出といった開発支援を始めたと発表した。十分な電力供給のない地域に太陽光発電・蓄電システムや照明を寄贈するなどして、地域の発展や貧困解消を目指す。まずインドネシア、ミャンマー、ケニアの3カ国で、現地で活動する非政府組織(NGO)などと共同で支援を開始し、対象国・地域を順次拡大する。寄贈したシステムは家庭や学校、集会場の明かりとして使ってもらったり、発電した電気を活用して農産物や水産物の加工といった産業づくりに役立ててもらったりする。パナソニックは、これまでも電力供給のない地域に太陽電池付きの小型照明を寄贈する「ソーラーランタン10万台プロジェクト」を実施。2013年以降、30カ国で10万台以上を無償提供している。

*5-2:http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2018042302000131.html (東京新聞社説 2018年4月23日) 再生可能エネ 主役に起用するのなら
 「再生可能エネルギーを主力化する」-。経済産業省の有識者会議からの提言だ。風力や太陽光を電力の未来を担う主役に据える、というのなら、それなりの舞台と待遇を用意すべきではないか。風力や太陽光といった再生可能エネルギーを「主力電源」にすると持ち上げる一方で、原発は温暖化対策のための「選択肢」として維持し続ける-。二〇五〇年のエネルギー政策はどうあるべきかを考える、経済産業省の有識者会議による提言だ。風力や太陽光は増やしましょう。だが原発に関しても、依存度は小さくするが、なくすわけではないという。相変わらず、どっちつかずと言うしかない。第一に「主力電源」という位置付けが、よく分からない。四年前に閣議決定された国の第四次エネルギー基本計画でも、再生可能エネは「有望かつ重要な低炭素の国産エネルギー」と位置付けられて、最大限、導入を加速するとされてきた。政府は現在、三〇年時点の再生可能エネの比率は、原発とほぼ同じ、22~24%と決めている。“先進国”と言われるドイツは、五〇年までに消費電力の少なくとも80%を再生可能エネルギーで賄う目標を掲げている。そのために、太陽光と風力を最優先で利用してもらい、足らない分を揚水発電やバイオマス発電などで補うよう、電力の供給体制も変えてきた。「主力電源」とうたうからには、少なくとも現行を大幅に上回る導入の数値目標、そして、基幹送電線への優先接続など給電システムの改革案を具体的に明示すべきなのである。送電網の拡充などに時間と費用がかかるという意見もある。しかし、3・11を経験し、原発の新増設は、もう不可能と言っていい。老朽化していく原発に膨大な費用を投じて安全対策を施しながら、あと三十年、恐る恐る使い続けていくよりは、はるかに安上がりかつ合理的ではあるまいか。原発維持は、温室効果ガスの排出をなくしていくためだという。しかし、原発の燃料であるウランの採掘などの過程で、かなりの二酸化炭素(CO2)が排出されるという指摘もある。再生可能エネ普及の加速こそ、脱炭素化の王道でもあり、世界の主流なのである。「脱炭素化のため」と言われても、原発維持の口実にしか聞こえない。

*5-3:http://qbiz.jp/article/132437/1/ (西日本新聞 2018年4月23日) 再稼働めどで九電社長交代 昇格の池辺氏「日本一の会社に」
 九州電力は23日、瓜生道明社長(69)の後任に取締役常務執行役員の池辺和弘氏(60)を昇格する人事を発表した。管内で再稼働を目指していた原発4基全ての再稼働のめどが立ったことで経営を刷新する。6月就任予定で社長交代は6年ぶり。福岡市で記者会見した池辺氏は「エネルギーサービスで日本一の会社にしたい」と意気込んだ。瓜生氏は代表権のある会長に就く。貫正義会長(73)は相談役に退く見通し。瓜生氏は池辺氏を後任の社用に抜てきした理由について「知識もあるが、視野の広さが突出している。今後の難局を乗り越えられる」と述べた。池辺 和弘氏(いけべ・かずひろ)東大卒。81年九州電力。執行役員を経て17年6月から取締役常務執行役員。大分県出身。

*5-4:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20180425&ng=DGKKZO29808960V20C18A4EA2000 (日経新聞 2018.4.25) 原発輸出 福島の事故で状況一変
▽…安倍政権は原子力発電所の海外展開を成長戦略の柱に位置づける。民主党政権時代の2009年、アラブ首長国連邦(UAE)の原発新設計画で有力視されていた日立製作所と米ゼネラル・エレクトリック(GE)の企業連合が、官民一体で取り組んだ韓国勢に受注競争で敗れたのがきっかけになった。▽…11年の東京電力福島第1原発の事故を機に状況が変わる。10年にベトナムの原発計画で三菱重工業などが受注する方針が固まったが、ベトナム政府が16年、財政難などを理由に計画中止を決定。トルコ・シノプの原発計画も当初は東芝と東京電力の企業連合が受注する予定だった。▽…国内だけでなく、ドイツやスイス、韓国など脱原発を掲げる国が増え、世界的に需要増は見込めない。仏原発大手、アレバ(現フラマトム社)は原発計画の遅れから採算悪化に陥り、仏政府主導で経営再建を選んだ。東芝も米原発子会社ウエスチングハウスの経営破綻を機に海外事業から撤退。新設計画の先細りに加え、供給体制の弱体化が起きるなど状況が大きく変わっている。

*5-5:http://qbiz.jp/article/132909/1/ (西日本新聞 2018年4月28日) エネルギー基本計画の骨子案を提示 「再生」導入加速促す
 経済産業省は27日、新しいエネルギー基本計画の骨子案を有識者会議に示した。再生可能エネルギーの導入を加速して主力電源化する一方で、原発を「脱炭素化の選択肢」として今後も活用していくのが柱。5月に原案をまとめ、夏にも政府が閣議決定する。基本計画は、これまで2030年に向けた方針を示してきたが、50年を見据えた長期的な視点を取り入れた。地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」で、50年に温室効果ガスを8割削減する目標を掲げており、その達成を目指す。骨子案では、再生エネの発電コストを下げ、余った電気をためる蓄電池などの技術開発を進める。原発については、可能な限り依存度を低減する方針を維持したものの、原発発電比率など50年段階での数値目標は示さなかった。会議では、原発の新増設が明記されていない骨子案に対し、原発推進派の委員から「原発の位置付けがはっきりしない」などと批判が相次いだ。脱原発派の委員からも「原発低減の文言は残っているが、(具体的な)施策が盛り込まれていない」との声が上がった。

<電力へのエネルギーシフト>
PS(2018年4月25、26、27日、5月3日追加):世界最大級の北京国際自動車ショーの報道向け公開が始まり、*6-1のように、世界14カ国・地域から計1200社余りが参加して1000台以上の自動車が展示される見通しで、中国はEVを機にゲームチェンジを図る狙いが伺えるそうだが、中国の政策ならそれが可能だろう。しかし、世界でEV車に変えることは、中国・インドが本格的に市場参入してきた1995年前後に私が日本の経産省に提案したが、日本メーカーは日産自動車以外はEVを作らず、ハイブリッド車でお茶を濁したのである。そして、日本における最初の“空気”は「EVは音がしないから危険だ」「EVは走行距離が短い」などとEVをくさすものばかりで、それを改善しようという努力はなかった。つまり、何に対しても、日本人は、“その場の空気を読む”だけの役立たずが多く、「空気を変えよう」とか「空気をきれいにしよう」と志す人が「変人」や「発達障害」扱いされてイノベーションを阻害するのである。
 そのような中、*6-2のように、安川電機がワイヤレス充電できる電動船を世界で初めて開発したのはよかった。電動タイプを漁船に利用すれば、離島なども地域で発電した電力で操作性の良い漁船を使うことができ、電動タイプを大型船に利用すれば港の水をきれいすることができる。そのため、これは、欧州や中国だけでなく、日本でも普及を推進すべきである。なお、「乗り物が電動化すれば産油国が困るのでは?」と高いエネルギー代を支払いながら言っているド阿呆な日本人もいるが、*6-3のように、サウジアラビア政府は、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子の指揮下で脱石油依存の経済改革を進めており、こちらは技術協力した方が感謝される。
 また、日欧の自動車大手は、*6-4のように、中国でEVの現地生産を広げるそうで、特に独BMWのように次世代EVを先行投入するのは競争に勝つための英断だ。日本でもEV化が最も遅れている自動車大手のホンダは、2018年に合弁会社の広汽本田が中国初となるEV生産を開始するそうだが、私の夫は日本でホンダ車に乗っており、そろそろ買い変え時期だが何度も買い変えたくはないのでホンダが日本でEVを発売するまで待っており、私は最近のホンダの動きにとろさを感じている。社内で煮詰まっていると変化できないので、ホンダならBMW・ボルボ等と出資関係を持って取締役を交換してはどうかと考える。
 ジョイントベンチャー(JV)の好事例は、*6-5の富士写真フイルムと英国ゼロックス社の合弁により1962年に創立された「富士ゼロックス(株)」で、ゼロックスの謄写に関するアイデアと富士写真フイルムの確かな写真技術が組み合わさって優秀なコピー機ができている。しかし、富士フイルムホールディングスが米事務大手ゼロックスを全部買収しようとすると、株主から提訴されたりする上、いらぬ部分まで買うことになる。そのため、私は、新ビジネスに有用な部分だけ出し合って新会社を作り、持株会社の下につけた方が双方の株主が納得する上、新会社の階層が浅くて風通しがよく、経営しやすいのではないかと考える。
 なお、*6-6のように、パナソニック、天津力神電池などが数年内に中国で始まるEV電池市場の争奪戦を始めたそうだが、日本は1995年頃からEV電池の開発をしていたのに、日系電池メーカーが何度も戦略転換を強いられるような逆噴射が多く、今頃、あわてて争奪戦に加わっていることが情けない。同じかそれ以上の技術なら、物価水準の低い中国産の方が安くてよいに決まっており、これが変化を嫌がる体質と高コスト構造が日本の製造業を外国に追い出した理由なのである。


*6-4より 北京国際自動車ショー(左から、日産、トヨタ、ホンダ、比亜迪のEV)  

*6-1:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO29814760V20C18A4MM0000/?nf=1 (日経新聞 2018/4/25) 中国、EVで覇権狙う 北京自動車ショー開幕
 世界最大級の自動車展示会、北京国際自動車ショーの報道向け公開が25日午前に始まった。電気自動車(EV)に傾斜する中国メーカーに加え現地で一定の生産比率を義務付けられる日米欧勢も電動技術を誇示した。エンジン車では先進国の壁を越えられなかった中国がEVを機にゲームチェンジを図る狙いが展示からうかがえる。世界14カ国・地域から計1200社余りが参加し、展示する自動車は1000台を上回る見通し。このうち新しいEVとプラグインハイブリッド車(PHV)だけで170台が出展される。会場は中国勢のEVが目立つ。北京汽車集団傘下の北京新能源汽車は人工知能(AI)でエネルギー効率や安全性を高めた車種を披露。北京汽車の徐和誼董事長は「EVやPHVを成長戦略の中心とし世界トップクラス入りを狙う」と話した。日本車では日産自動車が中国で生産するEVを2018年後半に現地で発売すると発表した。トヨタ自動車は20年までに新たに10の電動車を中国で追加する計画を明らかにした。開幕に先立ち独フォルクスワーゲン(VW)のヘルベルト・ディース社長は「中国は世界の自動車産業のカギとなる市場だ」と強調した。中国政府の統計によると、17年のEVとPHVの世界販売台数は142万台。このうち中国は55%を占め78万台と2位の米国の約3.5倍に相当するという。メーカー別でも13万台の比亜迪(BYD)のほか北京汽車と浙江吉利控股集団の年間販売が10万台規模に達した。先進国メーカーでは米テスラが10万3千台で日産自動車は7万3千台。中国勢の販売は大半が現地だが物量の実績で日米欧メーカーに優位に立っている。中国政府は大気汚染や渋滞の対策としてガソリン車の規制を強め、市場が広がった。これを受け現地大手がこぞってEVやPHVに参入し完成車や専用部品を手掛ける300社ものスタートアップが勃興している。将来の基幹産業の芽が育ち、苗●(つちへんに于)・工業情報化相は「市場としての世界一は3年連続だ」と胸を張る。19年にはEVやPHVで一定比率の生産を義務付ける。巨大市場をバックに外資が技術を持ち込まなければ売らせないという得意の誘導策を持ち出した。EVなどで一定比率を生産できないメーカーはクリアしている競合の余剰分を「クレジット」として買い入れないとガソリン車の生産制限を受ける可能性がある。EVの現地生産で出遅れれば成長が難しくなる。一方、50%までとしている自動車メーカーへの外資出資ルールは22年までに全廃する。目指すのは米テスラをはじめとするEVメーカーの誘致だ。規制の強化と緩和の両面の取り組みで中国にEV工場を引き込もうともくろむ。「ガソリン車では外資にかなわなかったがEVでは接近した勝負になる」。工業情報化省幹部は言う。部品点数が減るEVでは先進国メーカーと横一線で開発をスタートできると読む。多くの中国メーカーは出資規制緩和で外資と競うようになる。自動車ショーでは中国勢がその水準に達しているか否かを世界の競合が見定めようとしている。

*6-2:http://qbiz.jp/article/132575/1/ (西日本新聞 2018年4月25日) 世界初、電動船ワイヤレス充電 安川電機が開発 プラグ接続不要、煩雑さ軽減
 安川電機(北九州市)は24日、電気で動く「電気推進船」向けの非接触型(ワイヤレス)充電システムを世界で初めて開発したと明らかにした。欧州を皮切りに中国などで本格販売を始める。二酸化炭素(CO2)削減を目的とした欧州の環境規制などで電気推進船の導入拡大が見込まれており、充電システムを含む船舶関連事業を新たな収益事業の一つに育てる構えだ。電気推進船はバッテリーにためた電気で動く「電気タイプ」と、重油などを使い船内の発電機でモーターを動かす「ハイブリッドタイプ」があり、同社のシステムは電気タイプ向け。港の岸壁に送電設備を設置し、受電設備のある船が近づくと、電気を供給する仕組み。バッテリーに充電して推進用のモーターを動かすほか、船内の照明や空調などの電気設備に利用する。現在は岸壁の充電スタンドからプラグを接続して給電しており、システム導入で充電の煩雑さの軽減が図れる。国土交通省によると国内の電気推進船は現在33隻。ディーゼルエンジンの船舶に比べ揺れが少ないため、多くが旅客船として活用されているという。環境面に加え、大型のエンジンが不要で船内の空きスペースが増えるなどのメリットもあり、欧州や中国でも小、中型の観光船や貨物船に導入され、大型化に向けた研究開発も進んでいる。安川電機は2020年に欧州で船舶に対する排ガス規制が強化されるため、電気推進船の導入が進むと予想。16年に買収したフィンランドの船舶エンジン機器メーカー「バルチラ社」の船舶用電気推進装置部門のノウハウと、自社のコンバーター技術を融合させ、今回の充電システムを開発したという。18年2月期に10億円弱だった船舶事業売上高を、21年2月期には80億円まで伸ばすことを目指す。扇博幸システムエンジニアリング部長は「技術を強みに競争力を高め、新たな分野を開拓していく」と話した。

*6-3:http://qbiz.jp/article/132599/1/ (西日本新聞 2018年4月25日) サウジ、石油外収入1.2兆円 脱依存へ数値目標
 サウジアラビア政府は24日、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子の指揮下で進める脱石油依存の経済改革で、国営企業の民営化などにより2020年までに石油以外の収入として90億ドル〜110億ドル(約9800億〜1兆2千億円)を達成することを柱とする計画文書を発表した。ロイター通信などが報じた。サウジ政府は世界最大の石油企業である国営サウジ・アラムコの新規株式公開を目玉に、石油依存からの脱却を目指す経済構造改革「ビジョン2030」を推進中。今回の文書は20年までの数値目標を示しており、最大1万2千人の雇用創出も盛り込んだ。

*6-4:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20180426&ng=DGKKZO29830190V20C18A4EA2000 (日経新聞 2018年4月26日) トヨタ、自社開発EVを中国生産 20年発売 北京自動車ショー 日産・BMWも現地投入
 日欧の自動車大手が中国で電気自動車(EV)の現地生産を広げる。トヨタ自動車は25日に開幕した北京国際自動車ショーで、自社開発のEVを中国で生産して2020年に発売する戦略を示した。独BMWなどは次世代EVを先行投入する。中国は世界最先端のエコカー市場になり重要度が一段と高まる。「EVを他地域に先駆けてやっていく」。トヨタ自動車の中国本部長、小林一弘専務役員は同日、モーターショー会場でこう述べた。自社開発EVを中国で現地生産することを初めて示した。中国政府は19年にEVなどを一定比率生産することを義務付けた。これに対応できないメーカーは対応済みの競合メーカーの余剰分を「クレジット」として買い入れないとガソリン車の生産制限を受ける可能性がある。トヨタは中国の合弁相手2社からEVを調達し、19年にも販売することを検討していた。中国のEV市場拡大と規制強化をにらみ、現地生産に踏み切る。「カローラ」と「レビン」のプラグインハイブリッド車(PHV)を19年から現地生産で発売する。20年までにPHVやEVなど新たに電動車10車種を追加し、電動車の中核部品の現地生産も進める考えを示した。日産自動車はトヨタに先駆けて、中国で生産するEVを18年後半に現地で発売する。ホンダも18年に合弁会社の広汽本田が中国初となるEVの生産を開始。19年にはもう一つの合弁会社の東風本田でもEVの生産を始める計画だ。EVシフトで先行する欧州メーカーも中国で生産・開発を強化する。独BMWはEVやPHVの「iシリーズ」から多目的スポーツ車(SUV)の「iX3」のコンセプト車を初公開した。20年に中国で世界に先行して発売する計画。中国以外の発売は未定で現地生産も予定する。ハラルト・クリューガー社長は「(iX3は)ゲームチェンジャーになる。中国はあらゆる車で先行する」と話した。独フォルクスワーゲン(VW)は21年までに中国の6工場でEVなど電動車の生産を始める。22年までに中国で電動化や自動運転、コネクテッド技術などへの投資に150億ユーロ(約2兆円)を充てる方針を発表した。全世界で340億ユーロ(約4兆6600億円)の投資を計画するうち、4割以上を中国に投じる計算だ。中国の吉利傘下のスウェーデンの自動車大手、ボルボ・カーも25年までに販売台数の半分をEVにすると発表した。

*6-5:http://qbiz.jp/article/132867/1/ (西日本新聞 2018年4月27日) ゼロックス買収交渉再開か 富士フイルム、ロイター報道
 富士フイルムホールディングス(HD)による米事務大手ゼロックスの買収計画を巡り、ロイター通信は26日、米ゼロックス側がニューヨークの裁判所に富士フイルムHDとの交渉再開を伝えたと報じた。関係者の話としている。米ゼロックスは、計画が富士フイルムHD側に有利な内容だとして反対する米国の物言う株主から提訴されている。富士フイルムHDが1月に発表した買収計画は、米ゼロックスと合弁子会社の富士ゼロックスを経営統合させ、米ゼロックス株の過半を取得する内容。今年7〜9月期の手続き完了を目指すとしていた。ペーパーレス化が進む事務機市場で生き残るための大型再編が狙い。

*6-6:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO30095740S8A500C1XA0000/ (日経新聞 2018年5月3日、日経産業新聞 2018年5月2日) 「EV電池」争奪戦前夜、最大手パナも正念場
 中国で数年内に始まると確実視されるのが、電気自動車(EV)電池市場の争奪戦だ。中国政府の政策変更で日本勢が苦しんできた中国勢優位のハンディは解消に向かう。野心的な中国メーカーの追い上げを許すまいと、世界首位のパナソニックも将来の市場拡大に備える。日中企業同士のつばぜり合いがにわかに激しさを増してきた。北京市内から南東方面に2時間ほど車を走らせると、中国電池大手、天津力神電池の本社が見えてくる。力神は中国国有企業の傘下で、1997年に創業。米アップル、米デル、韓国サムスン電子グループ、華為技術(ファーウェイ)など向けにパソコンやスマホの電池を供給してきた。2019年に始まる新エネルギー車(NEV)規制では自動車メーカーが一定比率のEVやPHVなどNEVの製造・販売を義務付けられる。大量の電池を確保できるかは死活問題。力神のある社員は「日本車向けにまだ実績はないが、検討中の話はある」と明かす。
■驚異的な成長曲線、中国勢が大増産
 力神は車載電池では12年に電動バス向けの供給を始めたにすぎない新興メーカーだが、驚異的な成長曲線を描く。17年には車載用と民生用を合わせた電池の生産能力で10ギガワット時に到達した。すべてが車載向けではないが「電気自動車(EV)需要の高まりに対応するため、20年には30ギガワット時、25年には60ギガワット時まで伸ばしていく」(同社)と威勢が良い。世界首位のパナソニックが米テスラとネバダ州に建設した巨大電池工場「ギガファクトリー」の能力が35ギガワット時。中国新興メーカーの工場のスケールの大きさがわかる。「将来EVブームに本当に火がつけば、大きな電池のキャパが必要になる。例えば(2000億円前後を投資した)ギガファクトリーが10個分くらい。そのときが本当の勝負。そのときに勝てるよう準備を進めていきたい」。パナソニックの津賀一宏社長は電池事業の将来像をこう語る。
■政策変更で日本勢にも勝機
 ただ近年、日系電池メーカーは何度も戦略転換を強いられてきた。日産自動車はNECと共同出資した車載電池子会社を中国の投資ファンドに売却。GSユアサは独ボッシュなどとの車載電池セル開発の合弁会社を解消した。パナソニックはトヨタと協業検討する形で、テスラ傾倒のリスクを分散する方針に転じた。防戦一方の展開を強いられる要因だったのが、中国の自国優位の政策だった。ただ政府が補助金を与える電池メーカーを選ぶ「ホワイトリスト」制度が事実上形骸化した。ホワイトリストに代わって16年ごろから始まった現在の電動車向け補助金制度は、日系電池メーカーの電池を搭載した車も対象になりそうだ。日系や欧米の自動車メーカーによるNEVの製造・販売は19年から本格化する見込み。トヨタ自動車は4月25日に開幕した北京国際自動車ショーで、自社開発のEVを中国で生産して20年に発売する戦略を明らかにした。ホンダもEVやプラグインハイブリッド車(PHV)など20車種超を25年までに投入する計画を発表。中国でのビジネスチャンス拡大の可能性は大きく広がってきた。中国勢は強気の投資計画をぶち上げる。中国電池最大手の寧徳時代新能源科技(CATL)は20年に50ギガワット時規模まで増産する計画を発表。NEVへの対応を急ぐ日系自動車などグローバルメーカーへの供給拡大をもくろむ考えが透ける。日本も負けていない。出荷量ベースで自動車向けリチウムイオン電池世界首位のパナソニックは、大連工場(遼寧省)で3月から車載用リチウムイオン電池の量産出荷を始めた。まずは北米向け出荷から始めたが「早ければ年内にも中国合弁向けに出荷を始める」(車載担当の久田元史氏)と、鼻息は荒い。1年後に控えるNEV規制という号砲は、従来の完成車メーカーと電池メーカーの序列を変える可能性すら秘める。パナソニックを筆頭とする「日の丸電池」にとっては難しいかじ取りを迫られる半面、最大のチャンスにもなる。

<バラマキ外交と国民負担増>
PS(2018年4月30日):*7-1のように、世耕経産相が北極圏ヤマル半島で昨年末に生産を始めた液化天然ガス施設や積出港の視察でロシアを訪問し、日本のLNG購入や事業出資で日ロ経済協力計画を進める方針とのことである。しかし、購買力平価によるGDPも技術力(分野によっては日本より上)もさほど変わらないロシアからLNGを高く買うことで、エネルギーのために国富を流出させて経済協力しようという頭は20~30年古い(もちろん、他より高く買えば売る国からは喜ばれるが、それは売る側には能力があるが買う側は馬鹿ということだ)。
 一方で、*7-2のように、日本にも「メタンハイドレート」という天然ガス資源が無尽蔵に存在し、既にガス生産に成功しており、こちらなら国富が国内で循環して海外に出ない。エネルギーとしてなら、水素や再エネによる電力の方が公害を出さないため優れているが、天然ガスを使うのなら国産を使うべきだ。
 また、日本政府は、これだけ無能な放漫経営をして国民に負担をかけながら、福祉となると、*7-3のように、財政逼迫として負担増・給付減を続けている。そのため、政府・メディア関係者は、憲法改正を言う前に、まず現在の日本国憲法(特に第25条)をよく理解すべきだ。

*7-1:http://qbiz.jp/article/132952/1/ (西日本新聞 2018年4月29日) 北極LNG事業に日本参加を期待 ロシア閣僚、世耕経産相を案内
 世耕弘成経済産業相は29日、北極圏のロシア北部ヤマル半島で進む天然ガス開発で、昨年末に生産を始めた液化天然ガス(LNG)施設や積み出し港を視察するため、ヤマロ・ネネツ自治管区サベッタを訪れた。日本のLNG購入や事業出資に期待するロシアのオレシキン経済発展相が案内した。「ヤマル」は「サハリン2」に続くロシアで2番目のLNG事業。ロシア天然ガス大手ノバテクが主導し、フランスのトタル、中国石油天然ガス集団(CNPC)も出資するが、日本側の購入契約はない。ノバテクは2022年以降に予定する新たなLNG事業「北極2」に出資するよう日本に促している。ヤマルの生産能力は年550万トン。19年には1650万トンに増やし、サハリン2を上回る見通し。近隣の北極2も同等の巨大事業で、日本政府は「LNGの一大供給源」になると注目している。ノバテク幹部は29日、世耕氏や同行した日本企業幹部らに対し、北極2について説明。ただ北極2は、冬に氷で覆われる北極海航路を使うため、輸送コストや供給の安定性に問題がある。また、日本勢が出資し日本の輸入の約1割を占めるサハリン2も生産拡大を検討中で、北極2と競合する恐れがある。世耕氏は28日、モスクワでシュワロフ第1副首相らと会談した。5月下旬に予定される安倍晋三首相のロシア訪問に向け、日ロ経済協力計画を進め、成果にする方針だ。

*7-2:http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1705/09/news077.html (スマートジャパン 2017年5月9日) 自然エネルギー:夢の国産天然ガス資源「メタンハイドレート」、4年ぶりにガス産出に成功
 日本近海の海底に分布し、国産の天然ガス資源として期待されている「メタンハイドレート」。資源エネルギー庁が愛知県と三重県の沖合で進めているメタンハイドレートら天然ガスを取り出す海洋試験で、4年ぶりにガス生産に成功した。メタンハイドレートは天然ガスの主成分であるメタンと水が低温かつ高圧の状態で結晶化した物質で、地球上では極地や深海にのみ存在する。過去の政府の調査で東部南海トラフ海域には、メタンに換算して約1.1兆m3の砂層型メタンハイドレートが存在すると推定されている。これは日本の2015年のLNG輸入量に換算して、約11年分に相当する量だ。国内で消費するLNGのほとんどを海外からの輸入に頼る日本にとって、メタンハイドレートを資源として利用できるようにするメリットは大きい。ポイントは、水深1000m以深のさらに海底下数百mに分布するメタンハイドレートから、いかに天然ガスの主成分であるメタンガスを取り出すかだ。深海の地層の中に固体として存在するメタンハイドレートをエネルギーとして利用するには、分解してメタンガスと水に分け、さらにメタンガスだけを回収する必要がある。資源エネルギー庁は2013年3月に今回と同じ愛知県と三重県の沖合にある第二渥美海丘で、メタンハイドレートからメタンガスを生産する第1回の海洋産出試験を実施している。地球深部探査船「ちきゅう」を使用して約6日間にわたってメタンガスを連続生産することができた。そして2017年4月7日から4年ぶりとなる第2回の海洋産出試験を実施し、5月4日の10時頃にメタンガスの生産を確認できた。第2回の試験では、第1回と同様に「減圧法」という手法でメタンハイドレートからメタンガスを取り出している。これは坑井内の圧力を減少させてメタンハイドレートを分解する方法だ。この他には坑井内に温水を循環させてメタンハイドレートを加温て分解する「温水循環法」などがある。減圧法で課題となるのが、出砂対策だ。第二渥美海丘にある砂層型と呼ばれるメタンハイドレートからメタンガスを取り出すと、同時に砂が出てくる。第1回の試験ではこの砂がパイプつまるトラブルが発生したため、当初の予定より早く生産を打ち切らなくてはならなかった。そこで今回は異なる出砂対策を施した2本の生産用坑井を用い、まず一方の坑井で3~4週間程度のガスの連続生産を行うことが1つの目標となっている。次にもう一方の坑井において、1週間程度のガスの連続生産を試みる。試験は2016年6月下旬頃まで行う予定だ。

*7-3:https://www.agrinews.co.jp/p43861.html (日本農業新聞論説 2018年4月21日) 改正介護保険法 利用者に不安与えるな
 改正介護保険法が4月、スタートした。介護保険財政の逼迫(ひっぱく)は深刻な現実だが、給付費削減へ向けて利用者や事業者に負担を求めるだけでは課題は解決しない。「介護の社会化で生活の質を高める」という創設の原点に立ち返って、「地域福祉」の在り方を考える必要がある。今回の制度改定は「2025年問題」への対策が柱。自己負担額の見直しや、介護予防を強化し「自立支援」に積極的に取り組む事業者への報酬を手厚くすることなどが特徴だ。「2025年問題」とは、団塊の世代が75歳以上となって超高齢社会が到来し、介護や医療など社会保障の給付と負担が一段と増すことを指す。25年には、75歳以上が約2200万人になるという推計があり、総人口に占める割合は2割。1割だった10年に比べると、急速に高齢化が進んでいく。この問題を視野に入れた主な改正のポイントは、自己負担額での3割負担の導入や、介護予防による「自立支援」を重視したことだ。医療との連携や、リハビリテーションの強化で介護不要な状態までの改善を目指し、成果を上げた事業者へ報酬を手厚くする。だが、事業者が改善の見込みがある人だけを選んだり、保険料を払っても望むサービスを受けられなくなったりする懸念がある。身体的な介護予防に力点を置いた場合、認知症の人への支援はどうするのかなど、さまざまな課題がある。介護保険制度は2000年にスタート。背景にあったのは、①家族介護で特に女性に重い負担がかかる②在宅介護ができないと病院へ(社会的入院)③病院で尊厳が軽視される──といった社会状況だった。制度導入前、介護は家族内の問題であり、“できれば家の奥に隠しておきたいこと”だった。取材を受けてくれる家族を探すのも困難だった。公的介護サービスが当たり前になっている現在と比べると、制度が定着していることを実感する。状況は明らかに改善した。一方で、3年ごとに行われる制度の見直しが財政面にばかりに目が向くきらいがある。制度の安定的な運用は重要だが、「高齢者自らがサービスを選び、決定することで尊厳が守られる」とした制度の理念を置き去りにするようなことは許されない。介護サービスを必要とする高齢者が安心して利用できる制度が「尊厳」の出発点となる。介護の目的は食事や排せつ、入浴などの支援(サービス提供)だけにあるのではない。人と人の良い関係に基づいた支援により、人間らしい生活を送ることにある。地域に密着したJAの強みは、このような関係性を築いてきたことだ。地域の食と農を生かし、女性部パワーを活用したきめ細かな対応で、利用者に喜ばれる高齢者支援活動を続けていきたい。

<自然を知って活用すべき>
PS(2018/5/2追加):*8-1のように、今治市の松山刑務所大井造船作業場から脱走した平尾受刑者は尾道市の向島から泳いで本州に渡ったそうだが、警察もメディアも流れが速く水温が低いので島内での潜伏を有力視して、警察犬も導入し延べ1万5000人(日当1万円とすると、人だけで1.5億円)を投じて向島内を捜索していた。しかし、尾道水道は最も狭い所で200メートルしかなく、満潮・干潮間の潮目が変わる時には流れが止まり(この潮流変化を利用したのが「壇ノ浦の戦い」で、源氏が平家に勝った戦法である)、泳ぐとエネルギーを使って暑くなるのでこのくらいの水温は問題なく、私でも泳いで渡ることができる。そのため、海辺で育った男性なら潜って渡ることも可能だろうと、私は思っていた。しかし、警察やメディアは、「季節や日によっては潮の流れが速い」などと言って、1日に2回ある満潮・干潮間の潮流の停止を未だ知らないようである。この警察やメディアの問題点は、地元の人に聞けばすぐわかる情報を入手せず、自然に関する知識もないため、判断が誤っているということだ。そして、これは、警察やメディアに限らず農水省・国土交通省の官僚や裁判官にもそういう人が多いため、根の深い問題なのである。ただ、この事件が長期間報道されたおかげで、この地域は島が多く流れの早くなる場所も多いため潮流発電に向いており、オリーブやアーモンドなど地中海のような作物を植えて、計画的に都会や海外から新しい住民を呼び寄せたらよいということもわかった。
 このような中、*8-2のように、佐賀、福岡、熊本3県の漁業団体は1日、福岡高裁が示した開門に代わる100億円基金案による和解を「強く期待する」との統一文書を発表したそうだが、確かに本質ではなく策略でゲームのように国を動かそうとする官僚や政治家は多い。しかし、人間は自然の代弁者にすぎないため、このやり方では、人間は動かせても自然の仕返しを受けるだろう。私も、この状況なら、調整池からの排水が有明海に行き渡るようにこまめに排水する必要があると思うが、それは潮受け堤防の排水口に発電機をつけて干満差6メートルの海で満潮・干潮毎に発電しながら行えば、ポンプを使うよりも排水のメリットが出て、安価にこまめな排水ができると考える。

*8-1:https://www.jiji.com/jc/article?k=2018050100122&g=soc (時事通信 2018/5/1) 「泳いだ」海、最短200メートル=逃走経路の解明急ぐ-受刑者脱走 
 愛媛県今治市の松山刑務所大井造船作業場から受刑者の平尾龍磨容疑者(27)が脱走し22日ぶりに逮捕された事件で、県警などは1日、逃走経路などについて本格的な捜査を始めた。平尾容疑者は潜伏していた広島県尾道市の向島から「泳いで本州に渡った」と供述。対岸の同市内までは最短距離で200メートルほどで、泳いで渡ることは可能という。向島は広さ約22平方キロメートル。山林に覆われ、空き家が1000戸以上点在する。広島、愛媛両県警は、平尾容疑者が脱走した4月8日から延べ1万5000人を投じて捜索。同24日には、島北部の防犯カメラに平尾容疑者とみられる男が映っていたことが分かった。両県警は、島内の港や本州につながる道路で検問を実施していることや、海水の温度が15度前後と低いことから、島内での潜伏を有力視していた。平尾容疑者は、向島と本州の間にある尾道水道を泳いで渡ったとみられる。尾道海上保安部によると、尾道水道は最も狭い所で200メートルほど。季節や日によっては潮の流れが速いが、「泳ぎの得意な人なら、泳ぎ切ることはできる。場所を選べば渡れる」という。平尾容疑者は向島で「空き家に潜伏していた」と供述。逮捕された際は、脱走時と異なる衣服を着ていた。現金などを盗みながら空き家を転々としていた可能性があり、両県警は足取りを詳しく調べる。愛媛県警は1日午後、平尾容疑者を送検した。

*8-2:http://qbiz.jp/article/133103/1/ (西日本新聞 2018年5月2日) 佐賀県漁協が諫干「非開門」容認に転換 原告の漁業者側は反発
 国営諫早湾干拓事業(長崎県諫早市)の潮受け堤防開門を巡る訴訟の和解協議に関し、佐賀、福岡、熊本3県の漁業団体は1日、福岡高裁が示した開門に代わる100億円基金案による和解を「強く期待する」との統一文書を発表した。佐賀県有明海漁協は100億円基金案に一貫して反対してきたが、容認にかじを切った形だ。訴訟当事者の漁業者側の孤立化は必至だが、和解協議を拒否する姿勢を崩しておらず、和解成立が厳しい状況に変わりはない。3県の漁業団体は訴訟の当事者ではないが、基金を運営する立場。統一文書では「高裁が示した開門しない前提の和解協議を進めて欲しいとの考えで一致」と明記し、国の基金案とともに有明海再生事業の継続やこまめな排水の確実な実施、基金とは別枠での排水ポンプの増設を和解協議で取り上げるよう求めている。佐賀県の漁協では諫早湾に近い西南部5支所が、干拓による漁業被害を訴えており、開門調査を求める意見は根強いが、統一文書の文言調整については4月24日の運営委員長会議で執行部に一任されていた。福岡、熊本の漁業団体トップと1日に福岡県柳川市で会見した佐賀県有明海漁協の徳永重昭組合長は、報道陣に方針転換かどうかを問われ「裁判所が開門しないことを前提に勧告しているので、そう捉えざるを得ない」と説明。「有明海再生に向け、いろんな意味で弾みがついてほしい」と話した。一方、漁業者側の馬奈木昭雄弁護団長は統一文書について「和解実現を望む思いは受け止めるが、非開門を前提とする和解案は明らかに間違っている」と強調し、従来通り和解協議を拒否する考えを示した。3県漁業団体は8日、統一文書を斎藤健農相に提出する方針。判決期日は7月30日。
   ◇   ◇
●開門見えず苦肉の容認 「和解拒めば基金逃す」 国予算でも揺さぶられ
 「福岡高裁が示した和解の実現を強く期待する」。国営諫早湾干拓事業の開門を巡る訴訟の和解協議に関し、佐賀県有明海漁協が1日、開門によらない和解を容認する姿勢に転じた。湾の潮受け堤防が閉め切られて21年。これまで開門断念につながるような選択は突っぱねてきた。何が契機となったのか。
■福岡、熊本に歩調
 和解案容認派の福岡、熊本両県の漁業団体に、佐賀も歩調を合わせた。
3県のトップが顔をそろえ、統一文書を発表した1日の記者会見。佐賀の徳永重昭組合長は「ここ(統一文書)に書いていることが全て」と険しい表情を浮かべた。一方で、福岡高裁が和解勧告で示した開門に代わる基金案については最後まで言及を避けた。佐賀には、国に開門を求める裁判の原告漁業者や諫早湾の近くで赤潮被害に苦しむ漁業者がいる。これが福岡、熊本の漁業団体との「最大の違い」(漁協幹部)で、非開門の和解案を拒んできた理由だ。
しかし、漁協幹部や県関係者には懸念が広がっていた。昨年4月に「開門しない」と方針決定した国に反発し続ければ「予算を削られかねない」。2018年度政府予算では、開門調査を命じた10年の確定判決後、農林水産省が計上してきた開門準備経費が消えた。毎年約18億円を計上する有明海再生事業も「国の予算は単年度ごとに決まる」(農水省)と見直しに含みを持たせる。
■漁業者から不安
 「開門」を求める佐賀の有明海西南部の漁業者からも「基金案を拒み続けたら開門も基金も逃しかねない」との声が出てきた。7月に予定される福岡高裁判決は和解勧告を踏まえ「非開門の決断が下される」とみられているためだ。国の“揺さぶり”に呼応するように、福岡、熊本両県の漁業団体が佐賀説得に動いた。佐賀県漁協内部は「原告団の一部がいるのに、容認は口が裂けても言えない」「福岡、熊本から『俺たちの気持ちをくんでほしい』と言われる」との意見が交錯。板挟みとなった。
■「包囲網」が完成
 こうした状況に佐賀県も現実路線に転じた。これまで開門を求め「漁業者に寄り添う」としてきた山口祥義知事は今、「漁協に寄り添う」と県漁協の組織決定に重きを置く。県幹部も、諫早湾を閉め切った調整池からの小まめな排水で有明海が再生すれば「開門調査に代わりうる」と3月の県議会で説明。地元県議は「県の対応は以前とまったく変わった。高裁の和解勧告が引き金になった」と憤る。決着を急ぎたい国は判決ではなく、和解による解決を望んでいるが、原告漁業者が協議を拒んでいる。佐賀県漁協の「和解容認」で、原告を協議のテーブルへ引っ張り出す“包囲網”が完成したといえる。「ニンジンをぶら下げて(相手を)動かす。国には策士がいる」。佐賀県漁協の幹部は歯がみした。

| 経済・雇用::2018.1~ | 03:35 PM | comments (x) | trackback (x) |
2018.3.9~11 働き方改革・雇用・人口減少など (2018年3月12、15、17、19、20、21日に追加あり)
(1)働き方改革・裁量労働制・高度プロフェッショナル制度について

    
   2018.1.22日経新聞     2017.8.24、2018.2.15東京新聞 2018.2.24佐賀新聞

1)裁量労働制について
 「裁量労働制は、i)平均的な方で比べれば ii)一般労働者より勤務時間が短い というデータもある」等と政府は答弁してきたが、*1-1-1のように、i)の「平均」は、統計的に求めた平均値でも最頻値でもなく(この統計学は小学校で勉強済)、企業が勝手に選んだ者だった。また、ii)の根拠となったデータは、裁量労働制で働く労働者と一般労働者への質問内容が異なり、比較できるシロモノではなかった。

 これに対して、日経新聞は、*1-1-2のように、「①政争している場合か」「②一人ひとりの能力を最大限に生かし、生産性を高める多様な働き方ができる土俵づくりを急がなければならない」「③日本の1人当たり労働生産性は経済協力開発機構(OECD)加盟35カ国の中で21番目と欧米諸国に劣後したままだ」「④反対があるから延期するでは、あまりに稚拙」等と反論した。

 確かに、誰かを辞めさせるための政争の具としてのみ追及する党には眉をひそめる点もあるが、重要なのは、本当に裁量労働制の下で働く労働者が一般労働者よりも仕事の進め方や労働時間を自分で工夫でき、モチベーションが上がって生産性を上げられているかどうかである。これについては、経産省・経団連など企業側の要請で裁量労働制を拡大するために、厚労省が故意に結果ありきの非科学的な調査をしたことが明らかで、裁量労働制を拡大すれば本当に労働生産性が上がるわけではない。そして、小学校でも習うような統計を国会議員も中央省庁の役人も理解しておらず、議論のツールにできていない状態こそが、日本の労働生産性の低さを招いているのである(ちなみに、医学・薬学の分野では、当然のこととして正確な調査と統計処理を行うため、私はじめ医学部卒の人なら、30分も話を聞けばいい加減な調査をしたことがわかる)。

 そして、安倍首相は、*1-1-3のように、裁量労働を巡る残業データに異常な数値117件が見つかった問題を受け、衆院予算委員会で聞き取った1万件超の全データを再精査すると表明されたが、これは、データの誤入力や聞き取りミスのような小さなミスではなく、調査そのものが真実を知る目的で科学的に設計されたものではないという大きな問題であるため、やるとすれば科学的に設計した調査をやり直さなければならないのだ。

 そのため、この状況は、加藤厚労大臣が引責辞任すればすむような問題ではなく、法律を変更すればよりよくなるという実証もないのに変更して改悪する事例で、国民の経済活動を政府が邪魔しているものだ。加藤厚労相は東大法学部卒で大蔵省出身の典型的なエリートだが、それでも、いい加減な調査に基づいた効能より害の方が大きそうな法律変更であることを理解してストップをかけることができなかったのだから、首相や担当大臣を変えればすむような問題ではなく、他の人がやっても同じかそれ以下のことしかできないかもしれないという問題なのである。

 これは、東大はじめ、他国の法律を翻訳することしかやってこなかった法学部教育に問題があるからで、多くの官僚を出している東大は、事実を正確に調査・分析してから法律変更する法学部教育に率先して改めるべきである。そして、これは、事実の科学的調査と法律の変更、法律変更後の影響のフォローアップなどを卒論で経験させれば簡単にできるものだ。

 そのため、私は、*1-1-4の佐賀新聞の「裁量労働制を削除して、議論を一からやり直せ」という佐賀新聞の記事が正しいと考える。また、高度プロフェッショナル制度も、本当に仕事の進め方や労働時間を自分で管理できる人だけが対象になっているわけではないため、なくすのがBetterで、現在の労基法のように自ら仕事を管理できる立場の管理職に残業手当がつかなければ十分だろう。

2)高度プロフェッショナル制度について
 高度プロフェッショナル制度の対象も、①研究開発・金融・コンサルタントなどの高度な専門的知識を要する業務に就く年収1075万円以上の労働者で ②労働者本人が希望し ③職務の範囲を明確にする などの要件をみたせば、労働者が労働時間管理の対象から外れる制度だ。

 しかし「高度な専門的知識を要する業務に就く年収1075万円以上の労働者だから、必ず経営者との交渉力があって希望が通る」とは限らない。また、何故、研究開発・金融・コンサルタントを、高度な専門的知識を要する業務と定義したかも不明だ。

 つまり、“高度な専門的知識を要する業務”としたことで納得したような気になっている人が多いが、これら専門職の人も最初から高度なわけではなく、仕事をしながらOn the job trainingを積んで次第に高度になっていくものだ。その典型例は、*1-2-1の医師で、医師国家試験を通ったからといってすぐ高度と言えるわけではなく、多くの事例に遭遇しながら先輩医師の指導を受け、経験を積み重ねることによって、次第に“高度”になっていくものである。

 そのため、私は、年収要件をつけ職業の特定をしたから残業代は0でよいというのは間違いで、*1-2-2のように、生産性を重視する経済界の要請で2015年4月に国会提出された高度プロフェッショナル制度は、働く人の視点に立てば働き方改革法案から削除すべきだと考える。

3)では、何が不十分なのか
 労働基準法は、第2次産業の労働者を主な対象として昭和22年に制定された法律で、当時はベルトコンベアーで運ばれてくる部品を組み立てるなど労働時間と成果が一致する働き方をしている人が多く、状況に合っていた。しかし、そうでない労働者が増えた現在では、能力評価の視点も加わり、労働時間の長さではなく成果で労働者の待遇を決めるニーズが増えたということに、私も賛成だ(https://bengoshihoken-mikata.jp/archives/1568 参照)。

 しかし、成果によって労働者の待遇を決めるために必要なことは、裁量労働制や高度プロフェッショナル制度のような残業代を0にする法律ではなく、公正に実績を評価して賃金や昇進に反映させる仕組みだ。しかし、日本人は、自ら経験のない人が多いせいか、上から下まで公正な実績評価を苦手とする場合が多く、(3)3)で書くとおり、うまく機能しないのである。
 
(2)人口減少と労働力


     世界の人口       日本の人口推移   老齢年金の額  働きたい高齢者

 「少子化の影響により、産業界では現役世代の人口減少が既に深刻な労働力不足をもたらしている」「対処法としては、①ITなどによる省力化 ②国内の潜在労働力の活用 ③外国からの移入 の3点が挙げられる」と、*2-1で、西日本新聞が記載している。

 しかし、これまでは、生産年齢人口の男性のポストを増やすために、分けない方がよい職務を細切れに分け、女性や高齢者を何とか辞めさせようとし、外国人に門を閉ざしてきたのだ。そのため、まず、65歳定年制を無くして働きたい人は働けるようにすれば、支える側から支えられる側に移る人が減るとともに、健康寿命が延びて医療費・介護費の増加を抑制できる。

 また、細かすぎる職務の区割りを適切にして、もう少し広い視野で仕事ができるようにすべきであるとともに、これまで女性は働かない方がよいかのように言われ、専業主婦への不可逆的移動圧力が社会的にあったが、働きたい女性が気持ちよく働ける社会環境を作れば、労働力不足の解消に確実に役立つだろう。

 さらに、現在は、外国人労働者なしでは日本社会は回らなくなったと言われるほどだが、地球全体は人口が増えすぎて困っている状況であるため、日本は入国した外国人労働者を正規の労働者と認めて労働基準法を適用すべきだ。そして、高齢者・女性・外国人労働者などの多様な人材が活躍している方が、それらの人々のニーズを知ってビジネスに繋げやすいのである。

 なお、*2-2のように、九州生産性本部は、「2017年度 人事部門の抱える課題とその取り組みの実態調査」の結果、「企業や団体が直面している課題は優秀な人材の確保・定着」「人手不足が深刻」と回答した割合がどちらも70%前後あったことを明らかにした。その影響は、「技術継承ができない(55.8%)」「商品・サービスの質の低下(29.6%)」「失注の増加(22.6%)」などだそうだ。

(3)これまで労働市場から締め出していた潜在労働力の活用
1)高齢者の雇用
 政府は、*3-1のように、高齢者施策の指針となる高齢社会対策大綱を閣議決定した。その内容は、65歳以上を一律に高齢者とみることをやめ、公的年金の受給開始時期を70歳超も選択できるようにし、高齢者の就労を促すことを狙って、年齢にかかわらず柔軟に働ける環境を整備することだそうだ。

 しかし、65歳を過ぎてから新規雇用・再雇用される高齢者の70%がパートなどの非正規で、正規は女性19%、男性35%しかいない。これでは、高齢者が安心して気持ちよく働ける状態からは程遠く、それさえ改善すれば働いた方が年金を受給するよりも高額の所得を得られるため、高齢者も文句はないだろう。それより、「高齢者=不健康」「高齢者=ボランティア活動で満足すべき」などと決めつけるのは、年齢による差別である。そして、社会貢献する必要がある人に年齢制限はなく、慣れた仕事を通した社会貢献が最も強力である。

 また、九州経済調査協会は、*3-2のように、九州のニュータウンの調査を行い、2015年の高齢化率(65歳以上)は20.8%で、九州全体の高齢化率28.0%は下回ったが、30%を超えるニュータウンも少なくなく、再生に向けた支援や取り組みが必要だとした。古い「ニュータウン」は便利な場所にあり、似たような世代の人が購入しているため、保育・教育・介護などのニーズが一斉に変化するのが特徴だ。しかし、訪問診療・訪問看護・訪問介護は、同じニーズの人が集まった場所の方が効率的にできるため、便利な場所にあるニュータウンは、容積率の制限を緩和して高さを増し、従来の住民は無料で新築に住み替えることができる形で建て替えて、新たな住民も募集してはどうかと、私は考える。

2)女性の雇用


 2018.3.7 2018.2.28 2017.12.25  65歳以上の介護保険料  大学別平均年収
    日経新聞      東京新聞

 世界経済フォーラムが発表したジェンダーギャップ指数について、*4-1のように、日本弁護士連合会会長が「①日本は、調査対象144カ国中114位と前年より順位を落とした」「②日本は、健康1位、教育74位という女性の現状よりも、経済114位、政治参画123位など女性の地位で順位が低い」「③特に国会議員の男女比は129位、閣僚の男女比は88位と大幅に低いが、女性の政治参加は、あらゆる分野における女性の地位向上の必須条件である」「④経済は若干改善したものの、給与格差、管理職や専門職での男女比が100位以下と低い」「⑤女性活躍推進法の完全施行で女性活躍は大きなうねりになった」等の談話を公表している。

 このうち①②③④については、他国は本気で努力しているのに、日本は「形だけ」や「やっているふり」をしている地域・職種が多いため、次第に置いて行かれたものである。また、⑤については、(私が資料を付けて手紙で頼んだ)安倍首相はじめ何人かの国会議員の力が大きい。

 さらに、*4-2のように、政府が上場企業に女性取締役の起用を促すため、改定予定のコーポレートガバナンス・コードで取締役会に女性がいない企業は投資家に理由を説明するよう求めたのはよいことだが、こうすると、*4-3のように、候補者が少ない(又は、いない)という言い訳が必ず出てくる。

 しかし、最初の男女雇用機会均等法施行は1985年で、男女の雇用機会均等を努力義務から義務に変更した改正男女雇用機会均等法施行は1999年であるため、現在も女性取締役候補者が少ないと言う企業は、最初の14年間は女性を育てる努力をせず、後の19年間は脱法行為をしており、その間、労働基準監督署もそれを見て見ぬふりしていたということになる。

 なお、女性に取締役となる資質がないわけでないことは、他国との女性取締役比率の比較を見れば明らかで、日本では、能力ある女性もさまざまな社会的圧力や社会環境によって昇進を妨げられたり、離職したりしたのだということを、世界経済フォーラムのジェンダーギャップ指数は物語っているのである。

 しかし、女性が取締役となる資質を有するには、仕事を継続して男性と同レベルの知識や経験を有していなければならず、その妨げになっているのは、*4-6のような保育所・学童保育施設の不備、*4-4のような介護負担による離職などだ。つまり、女性に家事負担を押し付け、その家事負担を支えるインフラは心もとないわけである。

 にもかかわらず、*4-5のように、「40歳以上からしか介護保険料を徴収しない」「高齢者の介護保険料を上げる」「介護サービスを減らす」などと言うのは、自分は介護を担当しないと考えている男性の視点であり、まさに国会議員や閣僚に女性が少なく、女性のニーズを政治に織り込めていない例になっている。

3)成果主義(=能力主義)の採用について
 それでは、0歳から保育所に預けられた子どもの発育は、祖父母・父母・叔父・叔母などを含む家族が見ていた場合と比べてよいか否かについては、(私は、3歳児神話を信じているわけではないが)1人の子どもを複数の家族が暖かいまなざしで見守っている場合と複数の0歳児を保育士が仕事で見守っている場合では、その子の注目のされ方・愛情の与えられ方・手のかけられ方は違うと考える。

 その違いが子どもに与える影響は、正確な調査をしなければわからないが、やり方によっては、家族ではできないプロの教育を保育所・幼稚園・児童館などはできる可能性もあるため、子どもにとってどれが一番よいかは、場合によって異なるだろう。

 そのような中、女性は出産や夫の転勤を機に離職や転職を迫られることが多いので、*4-7のように、勤務年数ではなく公正な成果の測定による「成果型(=実績主義or能力主義)」で給料を払ってもらわなければ大損なのである。一方、男性は、1つの会社で勤め上げることが可能な人が多いため、年齢が高くなるほど年功序列型が得なわけだが、それができるなら女性も年功序列の方が楽でよいに違いない。

 しかし、公正に成果を測定して「成果型(=実績主義or能力主義)」で給料を支払う仕組みこそが、労働者を年齢・性別・学歴・国籍などの属性で決めつけずに、高齢者・女性・外国人が気持ちよく活躍できる社会を作るための必要条件なのである。なお、転勤が多い人は、いつも慣れない仕事をしているため、本当は労働生産性が低いと思われる。

(4)外国人労働者の雇用
 厚労省は、2018年1月26日に、*5-1のように、「2017年10月末時点の外国人労働者数が127万8,670人で、日本の雇用者総数の約2%を占める水準だった」と発表した。国籍は、中国が全体の29.1%、ベトナムが18.8%、フィリピンが11.5%で、立場は技能実習生と留学生が多く、専門的・技術的分野もいたそうだ。

 日本の外国人労働者の受入体制は遅れており、政府は単純労働者の受け入れを認めていないが、私は、企業・農協・漁協・森林組合・人材派遣会社等を通して、雇用のある単純労働者を受け入れれば、海外に出てしまった第一次・第二次産業を地方で再生することも可能だと考える。

 そのような中、政府は、*5-2のように、国家戦略特区に指定した新潟市、愛知県、京都府で外国人の農業就労を解禁する方針を固めたそうだが、「①国家戦略特区のみに限定」「②1年以上の農業実務経験が必要」「③農業に関する専門知識や技術を持つことも条件」「④受け入れる人材は、農作業に必要な日本語を話せる外国人」「⑤受入期間3年以内」などの規制をするそうで、本当に受け入れる姿勢とは思えない。また、独立して農業をやるわけではなく、企業・農協・農業生産法人などの従業員として農業やその関連産業に従事するのであれば、この①~⑤は、双方のニーズに合わない規制だ。

 ただ、合計特殊出生率が2016年で1.44人の日本人の中に同出生率が3~6人の異民族が移住してくると、次世代は2~4倍の割合になる(例えば、1世代目が10%なら2世代目は20~40%になる)。これは米国で実際に起こっており、ドイツのメルケル首相も難しい立場に立たされている事象であるため、移住総数や出生率には注意しなければならないだろう。

<働き方“改革”・裁量労働制・高度プロフェッショナル制度>
*1-1-1:https://digital.asahi.com/articles/DA3S13368806.html (朝日新聞社説 2018年2月21日) 裁量労働制 政府の説明は通らない
 もともと比べられないデータを比べ、国会で説明したのはまずかった。しかし政策の中身には影響がないから、法案は予定通り、近く国会に出す。安倍首相の国会答弁とその撤回を巡って論戦が続く裁量労働制の適用拡大について、政府の姿勢をまとめれば、こうなる。こんな説明は通らない。野党が求める通り、政策論議の基礎となるしっかりしたデータをそろえてから議論するのが筋だ。問題となっているのは、あらかじめ定めた時間を働いたとみなす裁量労働の人と、一般の労働者の1日の労働時間を比べたデータだ。「裁量労働制の拡大は長時間労働を助長しかねない」と懸念する野党に対し、首相は1月末の国会答弁でこのデータに基づき「平均的な方で比べれば一般労働者より短いというデータもある」と反論した。しかし、裁量労働の人と一般労働者では質問内容が異なり、両者は比較できないものだった。厚生労働省によると、調査の担当者とは別の職員が15年に野党への説明資料として作り、国会審議でも使われてきた。あくまでミスだったという。だが、こんな重要な資料を大臣に報告もせず職員が勝手に作るとは、にわかに信じがたい。誰の指示で、どんな意図で作られたのか。徹底的に解明することが不可欠だ。問題となった比較データそのものは、裁量労働制拡大を検討した厚労省の労働政策審議会には示されていない。従って法改正を進めることに問題はない。政府はそう強調する。しかし政府はこのデータを、長時間労働への懸念に反論する支えとしてきた。誤った説明を繰り返し、賛否が分かれる論点の議論を尽くさずにきたこと自体が、大きな問題である。疑問に答える先頭に立つべきは、行政の責任者である首相だ。裁量労働を広げても心配ないと言わんばかりだった基本認識が問われる。ところが首相は「厚労省から上がってきた答弁(案)にデータがあったから、紹介した」「すべて私が詳細を把握しているわけではない」と、ひとごとのようだ。データ比較は不適切だと厚労省が認識したのは、最初の首相答弁から4日後の今月2日。7日には加藤厚労相に報告されたのに、首相が答弁を撤回したのは14日だった。2週間近くも問題が放置されたことになる。政府の対応はあまりに鈍く、国会軽視もはなはだしい。こんな状況で、法案を国会で審議するわけにはいかない。政府に再考を求める。

*1-1-2:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20180222&ng=DGKKZO27219470R20C18A2EA2000 (日経新聞 2018年2月22日) 政争している場合か
 なぜこうも時間ばかりが費やされるのだろうか。政府は野党の反発を踏まえて働き方改革関連法案を修正し、裁量労働制の拡大など大半の制度の施行を1年遅らせる検討に入った。日本は人口減で働き手が減る。人工知能(AI)の登場で従来通りの働き方は通用しなくなる。一人ひとりの能力を最大限に生かし、生産性を高める多様な働き方ができる土俵づくりを急がなければならない。働き方改革を政争の具にしている場合ではない。日本生産性本部によると、日本の1人当たり労働生産性は経済協力開発機構(OECD)加盟35カ国の中で21番目と欧米諸国に劣後したままだ。そんな状況にもかかわらず、裁量労働制の拡大も脱時間給制度導入も3年前の国会で提案されながら、審議もされずにずるずると今に至っている。野党などの「かえって長時間労働を助長する」といった批判が強かったためだ。そのような声には長時間労働を防ぎ、労働者の健康を守る仕組みづくりで対応するのが筋。「反対があるから延期する」では、あまりに稚拙ではないだろうか。仕事の進め方や労働時間を自分で工夫し、モチベーションを上げ、生産性を上げられる人は少なくないはずだ。そういう人たちには制度面で後押しし、日本の成長につなげる必要がある。マイナス面を是正し、プラス面を生かす議論こそが求められている。働き方改革の法案には長時間労働の是正や同一労働同一賃金なども盛り込まれている。「多くを詰め込んだ一つの法案にまとめるのは乱暴」との批判もあるが、世界的に進む大きな環境変化に、大きな対応の素地をつくっておくのは間違いではない。すべての世代が性別に関係なく、生き生き働ける環境は欠かせない。改革に「待った」をかけ続けるだけでは何も進まない。

*1-1-3:https://mainichi.jp/articles/20180223/k00/00m/010/124000c (毎日新聞 2018年2月22日 ) 裁量労働制:安倍首相「全データ1万件超を再精査」
衆院予算委で表明 加藤厚労相の引責辞任を否定
 安倍晋三首相は22日の衆院予算委員会の集中審議で、裁量労働を巡る残業データに異常な数値117件が見つかった問題を受け、個々の事業場から聞き取った1万件超の全データを再精査すると表明した。加藤勝信厚生労働相の引責辞任は否定し、裁量労働制の拡大を含む働き方改革関連法案を今国会へ提出する方針も変えないとした。一方で加藤氏は、法案の内容を「妥当」と結論づけた厚労省の労働政策審議会(労政審)で、一般労働と裁量労働の労働時間を比べた議論はしていなかったと明らかにした。「長時間労働が問題だという認識は、(労政審の)各委員にあった」と釈明したが、裁量労働制の拡大に反対する野党は「根拠のない法案だ」と撤回を要求。政府が月内を予定した法案の提出は3月以降にずれ込む見通しだ。首相は予算委で、異常なデータについて「改めておわびする」と陳謝。データの基になった調査票が厚労省の倉庫から発見されたことを受け、「調査票と(それを基に)入力したデータを突き合わせ、精査しなければいけない」と述べた。再精査の期限は「1万件以上あり、いつまでにとは言えない」とした。加藤氏は調査票の現物を国会へ提出する考えを示した。問題になった「2013年度労働時間等総合実態調査」は、全国の1万1575事業場から労働基準監督官が聞き取りなどを実施。厚労省は21日に異常な数値が117件(87事業場)見つかったと発表した。野党は働き方改革法案が「間違ったデータに基づいていた」とし、労政審で議論をやり直すよう要求。だが加藤氏は「(異常があったのは)主たるデータではない。全体として結論は変える必要がない」と拒否した。 予算委では与党議員からも、「(首相が答弁を撤回した)性格の異なるデータ比較は極めて不適切だ。猛省を促す」(公明・佐藤茂樹氏)と政府の対応に批判が相次いだ。首相は法案に盛り込む裁量労働制の拡大に関し、(1)労使の合意や労働者本人の同意が前提(2)みなし労働時間と実態がかけ離れた場合は、適切に指導する(3)対象を限定し、営業職全体に広がるという懸念を払拭(ふっしょく)する--などとして理解を求めた。

*1-1-4:http://www.saga-s.co.jp/articles/-/187727 (佐賀新聞 2018年3月2日) 裁量労働制の削除、議論を一からやり直せ
 政府が今国会の最重要法案と位置付ける働き方改革関連法案を巡り、安倍晋三首相は「不適切データ」の発覚によって批判が噴出した裁量労働制の拡大を削除すると正式に表明した。骨格部分の切り離しは政権への大きな打撃となるが、世論の反発が強まれば、9月の自民党総裁選での連続3選に影響すると判断したとの見方も出ている。裁量制拡大は罰則付きの残業時間規制、非正規労働者の処遇改善に向けた同一労働同一賃金、高収入の一部専門職を労働時間規制から外す高度プロフェッショナル制度(高プロ)と並ぶ4本柱の一つ。政府は残り三つの柱は維持して今国会に法案を出し、成立を目指す方針を変えていない。だが裁量制の断念で法案に対する不信や不安は拭いがたいものになった。もともと8本の法案を一本化し、労働環境の改善に資する規制の強化とともに緩和も実現させようというやり方に野党や労働組合は強く反対していた。さらに規制強化について、経済界の要望から中小企業の残業規制を1年延期する修正案が用意されるなど改革の後退に不満が募っている。残業規制が施行後5年間猶予される医師や建設業労働者らの懸念も根強い。裁量制を除外してしまえば、あとは予定通りにというわけにはいかない。規制強化と緩和の切り離しも含め、議論を一からやり直すべきだ。実際に働いた時間ではなく、あらかじめ決められた時間に基づいて賃金を支払う裁量労働制の対象業務拡大を巡っては野党が「長時間労働を助長し、過労死を増やしかねない」と批判。安倍首相は1月末に厚生労働省の裁量労働データを持ち出して「裁量労働制で働く人の労働時間は一般労働者より短いというデータもある」と反論した。ところが野党の追及で、一般労働者に「1カ月で最も長く働いた日の残業時間」を聞き、裁量制で働く人には単に1日の労働時間を尋ねるという不適切な調査手法が明らかになり、首相は答弁を撤回。その後も「異常値」が次々に発覚した。政府が盛んに強調した裁量制の労働時間縮減効果を支える根拠が崩れたのだから、今回の削除は当然だ。ただ問題はまだまだある。まず野党が「残業代ゼロ法案」と批判する高プロの導入。高収入の金融ディーラーや研究開発職などは時間外労働をしても割増賃金をもらえなくなるが、どれくらいの人に影響が及ぶのか、はっきりしない。サービス残業の実態についても厚労省は調査していない。さらに働く人のためになるはずの残業規制では、中小企業に限って適用を1年延期する修正案が先に厚労省から自民党に提示されている。やはり中小の同一労働同一賃金や残業代割増率引き上げも遅らせる。「人手不足に残業規制が重なると、労働力が確保できなくなる」との経済界の訴えが反映された。もう一つ忘れてはならないのは、医師や建設業労働者は残業規制の適用が施行後5年間猶予されることだ。厚労省の調査でも医師は長時間労働を余儀なくされ、建設業については2020年東京五輪・パラリンピックに向け労働環境が厳しくなることが予想される。どうすれば、過重労働や過労死をなくせるか、本当に働く人のためになるのかという根本に立ち返り、制度設計について議論を尽くすべきだ。

*1-2-1:http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201802/CK2018022402000152.html (東京新聞 2018年2月24日) 医師の長時間労働 特定機能病院7割に勧告
 大規模病院で違法残業や残業代の未払いが相次ぎ発覚している問題で、高度医療を担う全国八十五の特定機能病院のうち、七割超の六十四病院で労働基準法違反があったとして労働基準監督署が是正勧告し、少なくとも二十八病院に複数回の勧告をしていたことが二十三日、明らかになった。共同通信が二〇一三~一七年の関係資料を入手した。藤田保健衛生大病院(愛知県)など五病院に関しては勧告が四回繰り返され、労使協定(三六協定)の未締結や労基署への無届けを指摘された病院も六病院あった。勤務医らの長時間労働の根深さが裏付けられ、医師の働き方改革の議論に影響がありそうだ。勧告を受けた病院や運営法人の中には、三六協定の上限時間を引き上げることで違反状態を解消しようとする病院もあった。がん研究会有明病院(東京都)を運営するがん研究会は、三六協定に基づく医師の残業上限(月八十時間)を超える残業をさせたなどとして一六年十二月に勧告を受け、「過労死ライン」とされる百時間を大幅に上回る百五十五時間を上限とする協定を結び直していた。四回の勧告があったのは藤田保健衛生大、奈良県立医大、山口大、愛媛大、長崎大の各病院。長崎大病院は、時間外労働に関する労使協定の上限時間(月八十時間)を超える月九十五時間の残業をさせたなどとして一三年三月に是正勧告を受け、一七年六月までほぼ毎年、違法残業か割増賃金の未払いで勧告を受けた。未払い分は既に支払ったという。藤田保健衛生大のほか、千葉大、日本医大(東京都)、横浜市立大、京都府立医大の各病院と静岡県立静岡がんセンターは、医師らとの間に三六協定を結んでいなかったり労基署に届け出ていなかったりしたにもかかわらず残業させたとして勧告を受けた。いずれも現在は協定を結び、届け出もしているとしている。医師の長時間労働は、診療の求めを原則拒めないと医師法が規定する「応召義務」も一因とされ、厚生労働省の検討会が在り方について議論。患者への説明など一部の業務を他の職種に任せるタスク・シフティング(業務移管)の推進を柱とした緊急対策をまとめた。
◆是正勧告を受けた関東の21特定機能病院
【東京】
杏林大学医学部付属病院
慶応義塾大学病院
がん研究会有明病院
昭和大学病院
帝京大学医学部付属病院
東京医科歯科大学医学部付属病院
東京医科大学病院
東京慈恵会医科大学付属病院
東京大学医学部付属病院
東邦大学医療センター大森病院
国立国際医療研究センター病院
日本医科大学付属病院
日本大学医学部付属板橋病院
【神奈川】
北里大学病院
横浜市立大学付属病院
聖マリアンナ医科大学病院
東海大学医学部付属病院
【千葉】
千葉大学医学部付属病院
国立がん研究センター東病院
【栃木】
独協医科大学病院
【茨城】
筑波大学付属病院

*1-2-2:http://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20180302/KT180301ETI090007000.php (信濃毎日新聞 2018年3月2日) 働き方改革 高プロ創設も切り離せ
 安倍晋三首相が今国会に提出予定の働き方改革関連法案から、裁量労働制の対象拡大の部分を切り離すことを決めた。実際の労働時間に関係なく、あらかじめ決めた時間を働いたとみなし、賃金を支払う制度である。労働時間に応じた残業代を支払う必要がないため、長時間労働を招く懸念が付きまとう。政府は裁量制で働く人たちの労働時間や業務量の変化などを調査せずに、対象拡大を法案に盛り込もうとした。影響が不明のまま審議することはできない。法案作成に使った厚生労働省の調査も、調査目的が違う上、大量の異常値が見つかった。法案から切り離すのは当然だ。安倍首相は裁量制の実態調査を実施する方針を示している。慎重かつ厳密に行わなければならない。厚労省調査のデータ異常の原因を突き詰め、手法を改善しなければ信頼性は保てない。調査結果だけでなく、すべてのデータも最初から公表するべきである。関連法案には容認できない点がまだ残る。最大の問題は「高度プロフェッショナル制度(高プロ)」創設である。労働基準法上、労働時間の上限は週40時間、1日8時間とされ、超えた場合は時間外労働として残業代を支払う必要がある。残業代には働かせすぎた会社に対するペナルティーの意味がある。高プロは、収入1075万円以上で「高度な専門的知識を必要とし、労働時間と成果の関連が高くない」仕事の人を、この規制から外す。安倍首相は「柔軟な働き方を可能にする」と述べている。果たしてそうだろうか。どんな長時間労働も労働者の判断として扱われ、残業代はない。企業の刑事責任が問われる範囲は狭くなる。会社から過大な成果や仕事を求められる心配もある。法案に設けられている健康確保措置も十分ではなく、過重労働に歯止めがかからないだろう。経営者には年収要件の引き下げを求める声もある。導入後、対象が拡大していく懸念は拭えない。高プロ創設は、生産性を重視する経済界の要請で2015年4月に国会提出された。過労死を増やすとして野党が反対し、審議入りが見送られてきた経緯がある。単独では難しいからといって、労働団体が要望してきた残業規制などとセットにして成立を図るのは認められない。安倍首相がいう「働く人の視点に立つ働き方改革」が真実なら、法案から削除するべきである。

<人口減少と労働力>
*2-1:https://mainichi.jp/articles/20180109/ddm/005/070/038000c (毎日新聞社説 2018年1月9日) 論始め2018 人口減少と労働力 従来の枠組みを超えよう
 2017年に生まれた子どもは推計94万人で、過去最少となった。死亡数から出生数を引いた「自然減」は40万人を超える。これはまだ序の口で、25年には64万人、40年は89万人、60年には94万人が1年間に減っていく。人口の少ない県や政令市が毎年一つずつ消えていくようなものだ。産業界では現役世代の人口減少がすでに深刻な労働力不足をもたらしている。20年には416万人が不足するとの試算もある。従来の枠組みを超えた取り組みが必要だ。労働力不足への対処法としては、(1)ITなどによる省力化(2)国内の潜在労働力の活用(3)外国からの移入--の3点が挙げられる。ITを使った事務の省力化は医療や介護の現場でも少しずつ進んでいる。膨大な情報を瞬時に処理できる人工知能(AI)や、力仕事を人に代わって行うロボットも期待される。しかし、AIやロボットでは置き換えることが難しい仕事も多い。
●「65歳定年」の見直しを
 現在は働いていない高齢者や専業主婦は貴重な潜在労働力だ。各種統計で使われている「生産年齢人口」(15~64歳)は、50年には約2500万人も減るとされている。しかし、「生産年齢」と言っても、現在は10~20代前半で働いている人は少ない。むしろ65歳を過ぎても働いている人の方が多い。今後も65歳以上の人口は増えていく。日本人の健康寿命は延びており、65歳で定年とする制度や慣行の見直しが必要ではないか。元気で働く意欲のある高齢者、高学歴で専門職のキャリアがありながら育児や介護のため離職している女性などが働けるようになれば、労働力不足の解消に大きく貢献するだろう。自宅や近くのオフィスで働くテレワークを導入する企業も増えている。さまざまな事情で通勤が難しい人の活用も進めていくべきだ。問題は外国人労働者である。一昨年、日本で働く外国人は初めて100万人を超えて108万人となった。特に多いのがアジア諸国からの技能実習生や就労目的の留学生だ。技能実習生は約21万1000人、留学生は約20万9000人で、それぞれ前年より25%も増えた。都市部のコンビニ店ではアジア系留学生の働く姿がよく見られる。彼らの存在なしでは日本の社会は回らなくなったと思えるほどだ。技能実習制度は「開発途上国への技能移転」を名目に1993年に始まった。小さな繊維関係の会社や農業・漁業などで働く人が多い。一部を除けば、日本人がやりたがらない過重労働や危険な仕事を担っており、労働者としての権利保障の枠外に置かれているのが実態だ。実習生はブローカーに多額の仲介料や保証金を取られる上、日本に滞在できるのは原則3年。決められた会社でしか働けないため、低賃金で劣悪な職場環境に不満があっても転職ができない。
●矛盾多い外国人労働者
 こうした技能実習制度は国内外から強い批判を浴びてきた。政府は受け入れ期間の3年から5年への延長、実習生からの保証金や違約金の徴収禁止などに取り組んでいる。17年には「外国人技能実習機構」を新設し、実習計画のチェックを厳しくすることにした。それでも政府の基本姿勢は、日本への定住は認めず、安価な労働力として活用する、という枠内にとどまっている。生活習慣や宗教・文化の異なる集団が大量に国内に流入し、定住することで生じる摩擦を警戒する意見は根強い。労働力不足を補うために拙速な政策変更を行えば混乱が生じることにもなるだろう。ただ、現行の技能実習や留学の制度は、本来の目的とかけ離れている。働き手不足を補ってくれる貴重な戦力なのに、制度の隙間(すきま)で使い捨てにしているのも同然ではないか。少なくとも、労働者として認められる最低賃金や労働時間のルールを実習生らにも適用すべきである。最近では中国沿岸部の上海など、日本より賃金が高い都市も出てきた。韓国やタイで働くベトナムやミャンマーの労働者も増えている。このままでは日本を訪れる外国人労働者はいなくなるのではないか。日本の社会が人口減で縮小し、活気を失わないためには、これまでの発想を変えるべきだ。高齢者や女性、外国人労働者など多様な人材が活躍できる社会を目指したい。

*2-2:http://qbiz.jp/article/129128/1/ (西日本新聞 2018年3月3日) 7割が人手不足「深刻」 九州生産性本部調査 技術継承に懸念
 九州生産性本部(会長=田中優次西部ガス会長)は2日、2017年度「人事部門の抱える課題とその取り組みの実態調査」の結果を発表した。企業や団体が直面している課題として最も多かったのは「優秀な人材の確保・定着」の69・1%で、人手不足について「深刻化している」「やや深刻化している」と回答した割合も70・7%に上った。調査は昨年11〜12月、九州7県の企業・団体を対象に実施し、328件の回答を得た。人手不足が「深刻化」「やや深刻化」と答えた企業・団体に、その影響を尋ねると「技術継承ができない」(55・8%)が最も多く、「商品・サービスの質の低下」(29・6%)▽受注に失敗するなど「失注の増加」(22・6%)▽「利益の減少」(19・9%)−が続いた。18年春新卒の採用活動で「予定通り採用できなかった」と答えたのは36・7%で、前年調査に比べ4・5ポイント上昇。19年春の新卒採用を増やすのは22・0%に倍増した。働き方改革には8割以上取り組んでおり、具体的には「長時間労働の管理・是正」(90・0%)や「育児休業や短時間勤務など子育て世代の支援」(63・6%)が多かった。「テレワークなどの在宅勤務」「副業・兼業の容認」は数%にとどまり、同本部は「想定よりも取り組む企業が少なかった」としている。

<高齢者の雇用>
*3-1:https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-669102.html (琉球新報社説 2018年2月21日) 高齢社会対策大綱 「老後の安心保障」基本に
 政府は高齢者施策の指針となる高齢社会対策大綱を閣議決定した。65歳以上を一律に高齢者とみることを見直し、公的年金の受給開始時期を70歳超も選択できるようにする。高齢者の就労を促すことを狙い、年齢にかかわらず柔軟に働ける環境の整備を打ち出した。高齢者を一律で65歳以上とみる考え方は、確かに現実的ではない。高齢でも自立生活が送れる「健康寿命」は男性71・19歳、女性74・21歳である。厚生労働省が2016年に実施した調査では「高齢者だと思う年齢」の質問に「70歳以上」との回答が41・1%で最も多かった。日本老年学会なども17年に「高齢者」の定義を現在の65歳から10歳引き上げて75歳以上に見直し、前期高齢者の65~74歳を「准高齢者」として社会の支え手と捉え直すよう求める提言を発表している。一方、16年版厚生労働白書によると、60歳以上を対象にした調査で65歳を超えても働きたいと7割が希望しているものの、実際に働いている人は2割にとどまっている。厚労省の調査では、昨年1月から7月までに65歳を過ぎてから新たに雇用、または再雇用された高齢者約65万人のうち、70%がパートなどの非正規だった。正社員は女性19%、男性35%でしかない。現状は「年齢にかかわらず柔軟に働ける環境」には程遠い。その改善は急務である。高齢者の年齢を見直す大きな理由の一つに年金支給額の抑制があるのは確実だ。25年には全人口の3人に1人が65歳以上で占める。働き盛りの世代が高齢者を支えることを前提につくられた年金制度は、現行のままでは維持できなくなってきている。受給開始を70歳以上も選択できるようにしたのは「選択肢の幅を広げる」(加藤勝信厚労相)ためではない。幅を広げることで、早めに受給する人への支給額を減らし、全体として支給額を抑制するのが目的である。国は年金支給水準を抑制する政策を既に実施している。支給額をこれ以上、減額することは断じて認められない。安倍晋三首相は高齢社会対策会議で「高齢化はますます進行し、地方人口の減少も見込まれている。全ての世代が幅広く活躍できるような社会を実現することが重要だ」と述べた。安倍首相が言う「活躍」とは、働くことで日本経済に貢献することなのだろう。強い違和感を禁じ得ない。加齢や障がいが原因で働けない高齢者もいることを忘れてはいないか。それぞれの立場で、社会に貢献できることはあるはずである。高齢者の雇用確保も重要である。だが、高齢者施策の基本は「老後の安心」を保障することである。就労促進と併せ、支えが必要になったときに安心して暮らせる仕組みを充実させなければ、超高齢社会は乗り越えられない。

*3-2:http://qbiz.jp/article/129402/1/ (西日本新聞 2018年3月8日) ニュータウンの高齢化率2割超 40%近い地域も 九経調調査
 九州経済調査協会(福岡市)が行った九州のニュータウンに関する調査によると、2015年の高齢化率(65歳以上)は20・8%(推計値)だった。九州全体の高齢化率28・0%を下回ったが、30%を超えるニュータウンも少なくなく、再生に向けた支援や取り組みが必要としている。国土交通省が13年度に作成したニュータウンリスト(対象は計画戸数が千戸以上もしくは計画人口3千人以上など)と国勢調査を組み合わせて推計し、3月の九州経済調査月報でリポートとしてまとめた。県別でみると鹿児島、長崎、宮崎、大分で高齢化率が20%を超えた。九経調によると、この4県は1960〜70年代に開発されたニュータウンが多く、鹿児島県では40%に迫る地域も複数あった。福岡県は1980年代以降も開発が進んだこともあり、高齢化率は九州平均を下回った。ただ福岡市東部から宗像市にかけたエリアのほか、大野城市や北九州市小倉北区、小倉南区などで高齢化率が30%を超えるニュータウンが目立った。九経調の竹下和希研究員は「全てのニュータウンで若者の流入を前提とした再生を期待するのは困難」と指摘。リポートでは団地住民が農業を通じてにぎわいを生み出している福岡県宗像市の「日の里ファーム」を紹介し、「高齢者を地域の担い手として位置付け、生きがい創出に重点を置くなど、多様な再生が必要になる」としている。

<女性の雇用>
*4-1:https://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2017/171201.html (日弁連会長声明 2017年12月1日 日本弁護士連合会会長 中本和洋) 世界経済フォーラムのジェンダーギャップ指数に対する会長談話
 世界経済フォーラム(WEF、本部・ジュネーブ)は、2017年11月2日、同年の世界各国の男女平等の度合を指数化した「グローバル・ジェンダー・ギャップ」を発表した。日本は、調査対象144か国のうち、114位と前年より3つ順位を落とし、過去最低となった。2015年が101位、2016年が111位と年々順位を落としている。ジェンダーギャップ指数は、女性の地位を、経済、政治、教育、健康の4分野で分析し、ランク付けしているが、日本は、経済114位、政治参画123位であるのに対し、教育74位、健康1位と分野間のばらつきが大きい。特に、女性の地位改善の鍵ともいうべき政治分野が最も順位が低く、国会議員の男女比が129位、閣僚の男女比は昨年の50位から88位と大幅に落ち込んでいる。生活の基盤となる経済は昨年の118位から若干改善したが、給与格差、管理職や専門職での男女比は、いずれも100位以下と低い。教育の分野では、初等・中等教育や識字率が1位であるため、教育全体では74位であるが、高等教育は101位といまだに低い水準にとどまっている。日本政府は、「すべての女性が輝く社会づくり」をその重点課題に掲げ、2017年6月6日には「女性活躍加速のための重点方針2017」を明らかにした。その中で、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律が完全に施行されてから1年余りが経過し、「女性活躍は大きなうねりになっている」との現状認識を示し、また女性活躍の実現に不可欠な働き方改革の取組を今後も強力に進めるとしている。しかし、2017年のジェンダーギャップ指数は調査が始まってから過去最低の順位を記録しており、上記施策が十分に成果を上げたとは言いがたい。国民の半数を占める女性の意見が十分に反映されてこそ、男女平等の視点を有する各種施策の立案が可能となることから、女性の政治参加は、あらゆる分野における女性の地位向上のための必須の条件である。当連合会においても、会内における男女共同参画の重点課題として、意思決定過程への女性会員の参画拡大に取り組んでいるところである。また、高等教育における格差解消は、社会に出てからの経済分野や政治分野における男女格差の改善に大きな影響を及ぼすことから、政府の掲げる女性活躍推進における有効な布石となるはずである。したがって、当連合会は、日本政府に対し、2017年のジェンダーギャップ指数の順位が過去最低となった事実を厳粛に受け止め、女性活躍を更に推進するために、働き方改革の取組にとどまらず、女性の政治参加及び高等教育における男女格差解消を重点課題とし、我が国のあらゆる分野にはびこっている性差別を根絶するためのより実効性のある具体的措置、施策を早急に講じるよう求めるものである。

*4-2:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO27450860X20C18A2SHA000/ (日経新聞 2018年2月28日) 女性取締役増を統治指針に 政府方針、企業に説明責任
 政府は上場企業に女性取締役の起用を促す。今春に改定するコーポレートガバナンス・コード(企業統治指針に方針を示し、取締役会に女性がいない企業は投資家に理由を説明するよう求める。上場企業の役員に占める女性の割合は、欧米は2~3割だが日本は4%弱にすぎない。国際標準に近づける仕組みづくりが急務だった。同指針は東京証券取引所が上場企業向けに定める企業統治の規範で、取締役会のあり方や役員報酬の決め方などを規定する。強制力はない。金融庁は3月にも、有識者を交えた同庁の会合で指針の改定案を示す。「ジェンダーや国際性の面を含む多様性」を求める規定を盛り込む。パブリックコメント(意見公募)を経て5月中に改定案を固め、それを踏まえ東証が導入する予定だ。指針の実効性を高めるため、新たに「投資家と企業の対話ガイドライン」をつくる。社内・社外の取締役に関して「ジェンダーや国際性の面を含む多様性を十分に確保した形で構成されているか」「取締役として女性が選任されているか」を企業に問う内容だ。ガイドラインにも強制力はないが、女性取締役を起用しない上場企業は、決算説明会や投資家向け説明会などで機関投資家や株主、マスメディアなどに理由を明らかにする必要が生じる。内閣府の資料によると、監査役なども含む「役員」に占める女性の割合は、日本の上場企業は2017年に3.7%。15年のフランスの34.4%や英国の23.2%、米国の17.9%などに比べ、圧倒的に少ない。欧州では役職の一定数を女性に割り当てる「クオータ制」の導入で女性登用が制度化されている。03年にノルウェーが採用後、フランスやドイツ、イタリアなどに広がった。多くの国では役員への女性登用の水準を3~4割としており、満たさない企業に罰金などの処分を科す国もある。自主的な取り組みもある。英国では女性役員比率を3割以上に引き上げることを目指す上場企業でつくる「30%クラブ」がある。米国やカナダなどに支部があり機関投資家なども加盟できる。日本は政府の男女共同参画基本計画で20年までに上場企業の女性役員の割合を10%以上にする目標を掲げている。安倍晋三首相は13年に上場企業の役員のうち1人は女性を起用するよう経済界に要請。15年には有価証券報告書で女性役員比率を示すよう義務付けていた。同指針を改定するのは、15年に導入して以来、初めてとなる。女性活躍や多様性の確保に加えて、今回の改定では社外取締役の増員も検討する。現行の指針の「2人以上」を「3分の1以上」に変更する方針だ。安倍政権は、日本企業の国際競争力を高める重要施策としてコーポレートガバナンスの強化を進めてきた。こうした施策を盛り込んだ指針を導入した後、外国人投資家の日本株の保有比率は上昇している。16年度の保有比率も30.1%と、15年度比で0.3ポイント上がった。海外勢の保有額は約174兆7000億円と同時期に13%増えた。

*4-3:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO27457780X20C18A2EE8000/?n_cid=SPTMG002 (日経新聞 2018年2月28日) 候補少ない女性取締役、人材争奪戦も
 政府が女性取締役の起用を求めることで取締役会の顔ぶれが多様になれば、企業統治が前進し機関投資家の投資マネーを呼び込みやすくなる。一方で女性の役員は候補者が少なく、現在でも複数の企業で役員を兼任する事例は珍しくない。女性取締役の起用が広がれば人材の獲得競争が一段と激しくなりそうだ。コーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)に強制力はないが、企業は実質的に説明責任を負う。指針改定で取締役に女性を起用する企業が増える可能性は高い。日本企業の取締役会は多くの場合、生え抜きの中高年男性で構成され多様性に欠けるとの批判があった。経営コンサルティングのエゴンゼンダー(東京・千代田)の佃秀昭社長は「取締役会に女性を迎えれば長年の慣習にとらわれない議論ができる」と指摘する。年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)や米運用会社のJPモルガン・アセット・マネジメントなども女性比率の引き上げを求めている。女性取締役の起用が進めば機関投資家が投資しやすくなり、株式市場の活性化につながる。ただ、企業にとっては候補者探しが課題だ。厚生労働省の雇用均等基本調査によると16年度の女性管理職の比率は12.1%だった。部長相当の役職では6.5%にとどまる。生え抜きの女性役員を登用するには女性の管理職を一段と増やす取り組みが欠かせない。社外で探すのも簡単ではない。ガバナンス助言会社プロネッド(東京・港)の昨年7月の調査によると、東証1部上場企業の社外役員(監査役含む)を4社以上兼任する女性は12人いた。弁護士や大学教授といった経歴が多く「これらの職種では獲得競争が激しくなる」(酒井功社長)。労務行政研究所の調査では2016年度の社外取締役の年間報酬は平均で669万円だった。候補者の争奪戦が激しくなれば報酬が一段と高くなる恐れもある。この調査では女性の社外役員を選任する企業の割合は株式時価総額1兆円以上の企業で71%なのに対し100億円未満では16%で、企業規模により対応に差が生じる可能性もある。

*4-4:http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201712/CK2017122502000209.html (東京新聞 2017年12月25日) 「介護離職考えた」半数 管理職 業務との両立悩む
 介護を経験した管理職の半数近くが、退職を検討したことが人材会社アデコの調査で分かった。60%以上が公的な介護休暇・休業や社内制度を利用しづらいと感じていることも判明。「業務に支障が出る」などとして仕事との両立に悩む姿が浮かんだ。政府は介護離職ゼロを目指しているが、実現の見通しは立っておらず、働き続けるための環境整備が緊急に求められそうだ。企業の管理職は介護と仕事の両立を迫られる可能性が高い年代。調査は十月、親族を介護した経験がある部長職、課長職六百人を対象にインターネットで実施した。介護離職について20%が「何度も考えた」、28%が「一、二回考えた」と回答。「考えたことは一度もない」は53%だった。離職を考えた人の理由で最も多かったのは「体力・精神的な負担や不安」で、考えたことがない人は「収入面での不安」が多かった。介護で会社を休んだことがある四百二人が利用した制度を複数回答で尋ねたところ、最多は有給休暇で88%。育児・介護休業法で定められている介護休暇は16%、介護休業はわずか3%だった。同社は「介護休暇中は無給の企業が多く、雇用保険から給付金が支給される介護休業も事前の手続きがハードルになっている」と分析している。社内制度では半日・時間単位休暇の利用が多かったが、「制度自体がない」との回答も目立った。「介護関連制度が利用しづらい」と答えた人は63%。理由は「自身の業務に支障が出る」「部下の業務に支障が出る」「介護を理由に休みを取る管理職がいない」などだった。介護に携わる部下がいる二百八十四人のうち92%が「部下を支援したい」と回答したが、「実際に支援できた」と答えたのは74%だった。
 ◇ 
 四捨五入のため、合計は100%になりません。

*4-5:http://www.saga-s.co.jp/articles/-/189884 (佐賀新聞 2018年3月7日) 介護保険料6千円超が65%、4月から85%の44市区で増額
 4月に3年ぶりに改定される65歳以上の高齢者の介護保険料(基準額)について、都道府県庁所在地(東京は都庁のある新宿区)と政令指定都市の計52市区のうち65%の34市区で月額6千円を超す見込みであることが7日、共同通信の調査で分かった。85%に当たる44市区で引き上げられ、据え置きは8市にとどまる。多くの自治体で値上げするのは、高齢化の進行で介護サービスの利用が増え給付費が増加することや、事業者に支払う報酬が4月から0・54%引き上げられるため。介護施設の整備を進めていることも影響した。

*4-6:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20180105&ng=DGKKZO25320040U8A100C1EE8000 (日経新聞 2018.1.5) 保育ニーズ、正確に把握 厚労省、申込者以外も推計
 厚生労働省は待機児童の解消をめざし、保育のニーズの実態把握を正確にする。2018年度から、これまで集計してきた保育所の申込者数とは別に「保育所への入所が必要だが申し込まなかった」といったケースを含め把握する。市町村ごとに見込み数を集め、厚労省が公表する。原則、すべての市区町村を対象にする。待機児童がいる自治体だけでなく、今はいなくても保育ニーズの増加が今後想定される場合も対象にする。厚労省は「子育て安心プラン」で、20年度末までに新しい保育定員枠32万人分を整備する方針を示している。民間調査では、保育所を利用できなかった親の4割が申し込みをしていない。申込者だけでは保育需要を把握できないことが浮き彫りになっている。18年度からは毎年度、推計の中で実際には申し込みに至らないケースを把握し、実態との差があれば原因を分析する。需要の推計や実績は厚労省が市区町村ごとに一括して公表する。厚労省は実態の「見える化」を促し、自治体が需要の過小評価などによって、待機児童数を少なく見せることがないようにする。政府が保育の定員枠を増やすための予算確保をしても、需要が多い地域に局所的に保育所が足りないミスマッチや、保育需要の適正な把握がされなければ待機児童の解消にはつながらない。

*4-7:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20150105&ng=DGKKZO81541250U5A100C1M10700 (日経新聞 2015.1.5) 働く意識、多様化進む 男性は「年功序列」 / 女性は「成果型」
 働き手の仕事に対する意識は世代や性別で多様化している。年齢に応じて給料を払う「年功序列型」と、働きに応じて支払う「成果型」のどちらの賃金制度がいいか尋ねたところ、全体ではほぼ半々だったが、男性は年齢が高くなるほど年功型を好み、女性は成果型を支持する傾向があった。年功を支持する男性は20代が52.9%、50代は63.5%。大企業の中高年男性は1つの会社で勤め上げる人が多い。残業や転勤に耐えた長年の貢献に報いてほしいという意識が強い。一方、女性は転職経験がある人が58.8%と男性(40.7%)より高く、短期間の実績が給与につながる成果型に支持が集まった。女性は夫の転勤や出産を機に離職や転職を迫られやすい。男性に比べ会社への帰属意識が低く、生活環境の変化などに合わせて転職する人が少なくない。海外勤務志望については、働く人の78.2%が「海外で仕事をしたいと思わない」と答え、内向き志向が強かった。主な理由(3つまで選択)は「語学力に自信がない」が65.7%と最も多く、「治安が悪い」(45.8%)、「国内でもやりがいのある仕事はできる」(40.8%)と続いた。大手企業を中心に海外で働くグローバル人材の需要が高まっている一方、働く側の多くは国内を出たがらないようだ。年代別では、20~30代で「海外で仕事をしたい」と答えた人が24.6%と40代(21.6%)を上回り、若い層の海外志向はやや高い。大学教育の国際化対応で、英語での授業や海外留学が一般的になっていることもありそうだ。

<外国人の雇用>
*5-1:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20180127&ng=DGKKZO26189750W8A120C1EA4000 (日経新聞 2018.1.27) 外国人労働者 最多に 10月末127万人、5年で60万人増 人手不足の職場補う
厚生労働省は26日、2017年10月末時点の外国人労働者数が127万8670人だったと発表した。前年同期から18%増え、増加は5年連続。企業の届け出を義務化した07年以降で過去最高を更新した。製造業で働く技能実習生やサービス業で働く留学生らの増加が目立ち、人手不足が深刻な職場を外国人で補う構図が強まっている。外国人労働者の数は12年から急激に増加し、5年間で約60万人増えた。日本の雇用者総数の約2%を占める水準だ。外国人を雇う事業所の数も、前年同期比12.6%増の19万4595カ所と過去最高になった。国籍別にみると、中国が37万2263人で全体の29.1%を占める。ベトナムの18.8%、フィリピンの11.5%が続いた。伸び率はベトナムが最も高く、前年同期と比べて約4割増えた。資格別にみると、労働現場で外国人労働者を実習生として受け入れる技能実習制度の在留資格が25万7788人、留学が25万9604人だ。ともに2割以上増えた。高度人材などの「専門的・技術的分野」も23万8412人と18.6%増。技能実習の8割近くが製造業か建設業で、留学の半数以上が卸小売業かサービス業で勤務している。日本での受け入れ体制整備は遅れている。政府は高度人材の受け入れに前向きだが、単純労働者の受け入れは認めていない。技能実習制度や留学生として事実上の単純労働者が急増しているのが実態だ。外国人を活用したいという企業も増えているものの、実習生の数や年数には限度がある。

*5-2:http://qbiz.jp/article/129389/1/ (西日本新聞 2018年3月7日) 新潟など3特区で外国人就農解禁 高齢化で人手不足が深刻化
 政府が国家戦略特区に指定している新潟市、愛知県、京都府の3自治体で外国人の農業就労を解禁する方針を固めたことが7日、分かった。1年以上の農業実務の経験を持つことが条件で、受け入れ期間は通算3年を上限とする。国内農業は高齢化が進んで人手不足が深刻化しており、経験や技能のある即戦力を海外から呼び込んで現場を活性化する狙いがある。外国人の就農は昨年9月施行の改正国家戦略特区法で認められた。この3自治体が第1弾となる見通しで、9日にも特区諮問会議を開いて決定する。特区で効果が確認された場合は、全国に広げることも検討する。受け入れる人材は、実務経験に加え、農作業に必要な日本語を話せる外国人の中から選ぶ。農業に関する専門知識や技術を持つことも条件とし、外国人に働きながら技術を学んでもらう技能実習制度とは区別する。対象者は人材派遣会社と雇用契約を結び、各地の農業生産法人や農家へ派遣される。農作業だけでなく、農作物の加工・販売を手掛ける「6次産業」にも従事できる。技能実習制度を巡っては、過重労働や賃金不払いが問題となっている。特区の就農受け入れではこうしたトラブルを防ぐため、日本人と同水準の賃金を保証。人材派遣会社に対し、受け入れ先での雇用状況を確認した上で、政府や自治体でつくる協議会に報告することを義務付ける。


<役所の労働生産性と資本生産性>
PS(2018年3月12、17、20日追加):労働生産性を高めることは常識となったが、資本生産性(資本1円投入あたりの生産量)については、未だ無視されている。しかし、*6-1-1のように、岩手県陸前高田市で10mかさ上げされた宅地(総費用:1,400億円、造成面積:約300ヘクタール)の引き渡しが始まったが、かさ上げした宅地は空き地が目立つそうだ。それは当然のことで、*6-1-2のように、陸前高田の津波は、海岸から約500メートルにあるガソリンスタンドで15.1mを記録しているため、10mしかかさ上げされていない地盤の弱い埋立地は安全ではないからである。そのため、国民が本来の所得税に2.1%上乗せして「東北の復興のため」にと黙って支払った復興特別所得税によるこの事業の資本生産性は0に近い。また、*6-1-1には、高台移転が間違っていたかのように書かれているが、津波高に対して十分な高さのある地盤の強い山側に移転する高台移転と、15m以上の津波が来る地域で10mしかかさ上げされていない地盤の弱い埋立地を作ることとは全く異なる。これを、事前に考えなかったのは、心のこもった復興ではなく、ヘリコプター・マネー(税金の無駄遣い)だったからである。
 さらに、*6-1-1は、女川町が公共施設や市街地を、元のJR女川駅周辺に集約したのがよいことであったかのように書いているが、女川町では、*6-1-3のように、17m超の津波に襲われ谷状の町が壊滅して、高台にある病院の1階部分も津波で激しく損傷したのだ。次の津波が来たら、また同じことを繰り返して、国民から復興税をとるつもりだろうか。しかし、次の災害時は、わかっていてやったことなので、自己責任にしてもらいたい。 怒
 その上、気仙沼市の大谷海岸地区では、*6-2-1のように、宮城県が55億円の予算で海抜9.8メートルの防潮堤を整備するそうだが、気仙沼市の津波の高さは20メートルを超えていたため、背後地約4.0haを防潮堤と同じ高さにかさ上げしても、陸前高田市と同様、誰も使わないだろう。それでも10m弱の防潮堤を作り、10mかさ上げすればよいと考えるのは愚かとしか言いようがなく、この事業の資本生産性はマイナスである。何故なら、役に立たないだけではなく、*6-2-2のように、生態系と景観を破壊するからだ。
 なお、津波の危険性だけでなく、福島第1原発事故による放射能汚染も環境を破壊し住民が近寄ることすら困難にして先が見えないが、*6-3-1の凍土遮水壁もまた金を使うことが目的の資本生産性の低い支出だった。原子力規制委員会は、国の基準以下に薄めて汚染水を海に放出する必要があるなどとしているが、2倍に薄めて2倍の分量を放出すれば放射性物質の放出量は変わらないため薄めることに意味はなく、こういう発想をする人たちが放射性物質汚染に対する注意を風評被害と呼ぶのは、あまりにもおこがましい。
 その上、原発立地自治体は、平時でも、*6-3-2のように、原発の再稼働や定期検査で作業員が来たり(この時、宿泊)、重機で工事をしたりして原発需要がある上、迷惑料である電源開発促進税などが入るが、それらは消費者が電力料金に含めて支払っているのだ。そして、今後も新たなテロ対策施設の建設が控えるとしているが、世界は卒原発の時代で、*6-3-3のように、東日本大震災前後から新燃岳の噴火や大地震が増えているにもかかわらず火山噴火のリスクを低く想定しているため、それこそ集中と選択で電源を自然エネルギーに移行し、玄海町は農産物・海産物・関連工業品やサービスにシフトするのがよいと考える。
 九電は、既にインドネシアで世界最大規模のサルーラ地熱発電に参画しており(http://www.kyuden.co.jp/press_h170322-1.html 参照)、また、*6-3-4のように、九電工がインドネシアのスンバ島で太陽光発電と蓄電池を組み合わせて電力を安定供給する「エネルギーマネジメントシステム(EMS)」の実証事業を始めたくらいで、再生可能エネルギーを活用した“地産地消”の電力供給も既にできる状況になり、これらは、「(日本を含む)世界中どこでも通用する技術」なのである。
 しかし、*6-3-5のように、佐賀地裁は、九電玄海原発3、4号機運転差し止めを求める仮処分の申し立てを退け、「原発なくそう! 九州玄海訴訟」本訴訟の原告団長元佐賀大学長の長谷川照さん等が「国内や世界の情勢を考えると司法は遅れている」と嘆かれた。司法は、内容だけでなく、お白洲で裁くような作りであり、明治時代から形式を変えていないのも遅れている。

*6-1-1:https://digital.asahi.com/articles/DA3S13398484.html (朝日新聞 2018年3月12日) (東日本大震災7年)高台移転に時間、戻らぬ被災者 大事業難航、戸数35%減
 東日本大震災の被災地でまちづくりが縮んでいる。宅地造成による住宅の計画戸数は約1万8300戸と、5年前の計画から35%減少した。復興までの期間が長引き、別の場所に居を構える選択をした住民が少なくないためだ。今後の震災を想定し、こうした教訓をいかす取り組みも始まっている。岩手、宮城、福島3県の自治体が実施する高台移転(防災集団移転や土地区画整理事業によるかさ上げなど)について、復興庁の資料を元に集計した。2012年12月時点で約2万8100戸だった高台移転による住宅の計画戸数は、17年9月時点で約1万8300戸(12年比35%減)。岩手が約7500戸(同26%減)、宮城が約9千戸(同42%減)、福島が約1900戸(同26%減)だった。
■陸前高田、用地交渉も壁
 津波で市街地が壊滅した岩手県陸前高田市。今年1月、かさ上げされた市の中心部で宅地の引き渡しが始まった。総費用1400億円、造成面積は東京ドーム64個分の約300ヘクタール。被災地最大となる住まいの再建事業はようやく出口に差し掛かった。だが、かさ上げした新たな宅地はいま、空き地が目立つ。市が行った最新の意向調査では、いまだ利用予定がない宅地は6割。長い歳月を要したことで、完成を待ちきれない人たちは別の地に住まいを求めた。上部徳七さん(88)は震災から5年後、内陸部に土地を購入して自宅を再建した。妻(86)とみなし仮設のアパートで暮らしていたが、かさ上げ部の宅地の引き渡しは2018年度の後半と伝えられた。「死ぬ前に一刻も早く家を建てたかった」と振り返る。復興事業に時間がかかったのはなぜか。市は山を削って高台移転を進めたほか、津波にのまれた旧市街地を10メートル前後かさ上げすることを決め、住民の私有地に宅地や道路を再整備する区画整理事業を活用した。大がかりな事業に最初から壁が立ちはだかる。まずは用地だ。地権者約2200人と交渉するため、北海道から長崎の離島まで足を運んだ。工事が始まってからも復興工事の集中や東京五輪関連の建設需要で資材や人手が不足した。時間が経つにつれ、かさ上げ同様、高台での住宅再建を望む被災者も減少。計画を見直し、区画数を縮小していった。結局、全体の事業認可は震災から3年後。すべての宅地ができるのは、計画から2年遅れの20年度の見通しだ。戸羽太市長は「5年ぐらいのスパンなら待ってくれる住民もいた。スピード感を持ってやらないと人の気持ちが変わって外に出て行ってしまう」と話す。
■「以前と同規模、非現実的」 女川、駅前に市街地集約
 被災地で人口流出が続く中、その現実を踏まえて計画を進める自治体もある。宮城県女川町。建物全体の8割以上が被害に遭い、人口は約6割に減少した。「震災の被害は人口減を加速させる」。そう考えた町は、地元企業と連携し、公共施設や市街地をJR女川駅周辺に集約。住宅約1420戸(12年12月)の計画を、昨年9月までに760戸に修正した。新たに造った交流センターの面積は被災した公民館の約7割にとどめた。「被災前と同規模の街を造るのは現実的ではない」と町の担当者は説明する。
■将来の被災想定、復興にも備え 次の街の姿、住民と共有
 南海トラフ地震の被害が想定される地域では、東日本大震災の教訓を踏まえた対策が始まっている。行政が住民とともに被災後の復興を考える「復興事前準備(事前復興)」だ。和歌山県は2月、「復興計画事前策定の手引き」をまとめた。東日本大震災では復興計画策定まで9カ月、そこから住民の合意を得て事業認可まで2年半という事例があった。時間がかかれば人口の流出を招くため、手引きは、街を高台で再建するのか、防潮堤を強化し、かさ上げして再建するのか、といった災害後の街の姿を、普段から行政と住民が共有することが重要と指摘。市町村には復興事業で使う用地に関し、地権者や境界の把握、埋蔵文化財の発掘調査などを済ませておくよう求めている。県の担当者は「被災から1年以内の事業着手も不可能ではない。住民参加型で市町村ごとに復興計画を作りたい」と話す。
■<視点>人口減前提の区画整理を
 土地区画整理事業で造ったまちに空き地が生まれることは懸念されていた。もともと高度経済成長期に都市部で頻繁に使われた手法だ。社会全体の人口が増えるため、宅地や公共用地の再整備に時間がかかっても、土地の利用が進むことを前提にしている。東北の多くは震災前から人口減と高齢化に悩む過疎のまちだった。震災で人口流出は加速し、時間がかかるかさ上げ工事での再建を待てない高齢者は多かった。人口増を前提とした区画整理は手法としてそぐわなかったが、当時はこれほど大規模なかさ上げと土地の造成ができる制度は、区画整理以外に用意されていなかった。人口減の時代、このままでは次の災害でも、同じような空き地を生み出すことになりかねない。東日本大震災の事例を検証し、より短期間で宅地や公共用地を造成できる制度のあり方を考えるべきだ。

*6-1-2:https://www.iwate-np.co.jp/article/2018/1/16/1642 (岩手日報 2018/1/16) 津波高さ示す看板撤去へ 陸前高田のガソリンスタンド
 東日本大震災で陸前高田市を襲った巨大津波の高さを示す同市高田町のガソリンスタンドの看板が、夏までに撤去される見通しになった。周辺の道路や土地がかさ上げされてスタンドが移転するためで、運営会社は津波の恐ろしさを伝える貴重な資料として市に保存を働き掛ける考えだ。スタンドは海岸から約500メートルにある「オカモトセルフ陸前高田」。津波で事務所は流失したが、2012年に同じ場所で営
*9-2業を再開した。看板は一部がへこんだり、はがれたりしたため補強工事を施し、津波到達地点を示す矢印と「津波水位15・1M」の文字を記した。スタンドは今年7月ごろ市内の別の場所に移転する予定。看板の移設も検討しているが、市などによると、屋外広告の面積を規制する県条例に抵触するため困難という。運営会社の担当者は「被害の大きさを感じられる看板。何とかして保存したい」と話している。

*6-1-3:https://www.nikkei.com/article/DGXNASFK05015_V00C11A4000000/ (日経新聞 2011/4/5) 高台の病院を襲った17m超の津波、宮城県女川町
 岩手県大船渡市から宮城県石巻市にかけて三陸沿岸の建物の被害を見て回った。なかでも、津波の破壊力という点で強く印象に残ったのが、宮城県女川(おながわ)町だ。女川町は石巻市の東側にある港町。県外の人にとっては、「女川原子力発電所のある町」といったほうが分かりやすいかもしれない(発電所の敷地は女川町と石巻市にまたがっている)。同原発は2011年3月11日の震災発生時に停止し、今のところ放射線漏れなどの被害は報告されていない。それもあって、一般メディアで女川町の津波被害に関する情報は少ない。しかし、建築・土木関係者は、この町で起きたことを知っておくべきだろう。下の写真を見てもらいたい。女川港を東に望む女川町立病院の駐車場付近から見た、女川町の街並みと病院の建物だ。谷状の町が津波でほぼ壊滅してしまっていることに驚かされる。それにも増して驚かされるのが、高台の上に建つ病院の1階部分が津波で激しく損傷していることだ。

*6-2-1:http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201801/20180121_13016.html (河北新報 2018年1月21日) 気仙沼・大谷海岸、復活へ一歩 防潮堤工事始まる 21年度には海水浴場再開へ
 東日本大震災で被災した宮城県気仙沼市本吉町の大谷海岸地区で、宮城県が海抜9.8メートルの防潮堤を整備し、気仙沼市が背後地に「道の駅」をつくる復旧工事が20日、始まった。砂浜が失われるとして、県が当初計画した防潮堤は住民が反対し、見直しを実現させた。位置を内陸に移し、国道との「兼用堤」とする工事は2020年度に完了し、21年度には海水浴場が再開する。防潮堤(長さ約680メートル)は見た目の高さが6~7メートル。国道の約980メートル区間を9.8メートルまでかさ上げして防潮堤の役目も持たせる。海側は緩やかな傾斜で階段を付け、海水浴客が休憩できるようにする。事業費は約55億円を見込む。市は背後地約4.0ヘクタールを防潮堤と同じ高さにかさ上げし、道の駅「大谷海岸」を復旧させる。事業費は25億円で20年度内の完成を目指す。県は当初、砂浜に防潮堤を築く計画を立てたが、住民が強く反発。地元の街づくり団体が建設位置を内陸に移し、国道との兼用堤とする対案を市に提出し、県が見直した。今回の工事で震災前と同じ約2.8ヘクタールの砂浜が確保される。現地であった着工式には県、市の関係者ら約90人が出席。くわ入れなどで工事の安全を祈った。山田義輝副知事は「砂浜を確保するために地域が一体となり、希望がある計画ができた」とあいさつ。菅原茂市長は「海水浴場と道の駅の復活、国道からの景観の確保を維持することができた」と強調した。大谷海岸の大谷海水浴場は環境省の「快水浴場百選」にも選ばれ、震災前の10年は約6万5000人が訪れた。ピーク時の1975年には約43万5000人でにぎわった。大谷地区振興会連絡協議会の鈴木治雄会長は「多くの行楽客でにぎわう、最高の海水浴場になるだろう」と歓迎。大谷里海(まち)づくり検討委員会の芳賀孝司副会長は「かつての大谷のにぎわいを取り戻す」と話した。

*6-2-2:https://www.nikkei.com/article/DGXNZO74004420Z00C14A7X93000/ (日経新聞 2014/7/12、日経産業新聞 2014年7月10日付) 巨大防潮堤、被災地で反対運動 議論に住民不在
 宮城県気仙沼市にある小泉海岸は白砂青松の砂浜で、環境省の「快水浴場百選」にも選ばれた浜辺である。ここに高さ14.7メートルと日本一の巨大防潮堤が計画され、物議をかもしている。底辺は90メートルにも及び、砂浜を覆いつくさんばかりだ。
■景観・生態系の破壊を疑問視
 小泉海岸は東日本大震災の津波で海岸線が200メートルも後退し、砂浜や松林が消失した。そこに事業費230億円の巨大防潮堤が計画された。「震災直後、高台移転とセットだと誤解して、防潮堤を受け入れざるを得ないと思った住民が多かった。今は防潮堤によって美しい海と暮らしが分断されるのが辛い」。地元の阿部正人氏らは巨大防潮堤に反対を訴えている。小泉海岸のように、被災地では巨大防潮堤に反対する住民運動が起きている。国は約1兆円を投じ、600カ所に総延長400キロメートルの防潮堤を整備する計画だ。しかし、高台移転で人が住まなくなる地域に巨額を投じて防潮堤を造ることや、景観や生態系が破壊されることを疑問視する声が高まり、建設を中止したり高さを下げたりする動きが広がっている。こうした中で国は6月4日に海岸法を15年ぶりに改正。海岸の防災・減災対策を検討する際に、住民や学識経験者が参加する「協議会」を都道府県が設置できるという新制度を打ち出した。これまで国や都道府県が決めていた防災・減災の方法を、今後は市民や研究者などが参加して決定できる。国の海岸行政の大転換でもある。「既に決定した計画への住民参加を狙ったものではない」(国土交通省)が、防潮堤建設に影響を与えるのは間違いない。そもそも巨大防潮堤に各地で反対運動が起きているのは「計画作りに住民が参加できなかったことが一因」と九州大学の清野聡子准教授は指摘する。震災後、国は地震の規模と津波をシミュレーションし、湾ごとに津波の高さを弾き出した。この数字を受けて県が防潮堤の高さを決めた。しかし「波が来る方向や浜辺近くの地形、河川の有無で津波の高さは変わるのに、細かな条件を入れずに国はシミュレーションした。本来なら地元住民にも加わってもらい、津波の遡上の仕方など過去の知見を生かすべきだった」と清野准教授は指摘する。このように国の計算結果には幅があった。その過程を住民にほとんど公開しないまま、数字だけが一人歩きしてしまったのである。
■住民による津波の測量も可能に
 震災から3年たって、小泉海岸には砂浜や干潟が復活し、豊かな生態系が戻りつつある。未来に残す故郷の風景をもう一度住民同士で話し合ってもらいたいと、首都大学東京の横山勝英准教授は被災地図に防潮堤をCGで合成した画像を作成した。防潮堤ができた後の町の様子を実感してもらうためだ。そこには防潮堤が要塞のように町を囲む姿が浮かび上がる。横山准教授は防潮堤を低くして陸側にセットバックし、海側の砂浜や汽水域を保全する方が、防災上も環境上も効果があると代替案を提案する。清野准教授は海岸法の改正により住民参加の法定協議会ができることを評価し「予算も付き、住民による津波の測量も可能になるだろう」という。建設が始まった巨大防潮堤の見直しにも弾みが付きそうだ。

*6-3-1:https://mainichi.jp/articles/20180303/ddm/005/070/041000c (毎日新聞社説 2018.3.3) 福島第1原発の凍土遮水壁 費用に見合う対策なのか
 東京電力が、福島第1原発で土壌を凍らせ地下水の流入を防ぐ「凍土遮水壁」の効果を初めて試算した。汚染水の発生削減効果は1日約95トンで、効果は限定的だとみられる。政府と東電は、凍土壁を汚染水対策の切り札と位置付け、国費約345億円が投入された。凍結の維持にも毎年十数億円かかる。費用に見合った効果が出ているのか。政府には、しっかりと検証し、今後の汚染水対策に生かす責務がある。凍土壁は1~4号機の建屋の周囲(全長約1・5キロ)に約1500本の凍結管を地下30メートルまで打ち込み、冷却液を循環させて造る。2017年11月に凍結作業をほぼ終えた。東電の発表によれば、雨水や地下水に起因する汚染水の発生量は、凍結後の3カ月間平均で1日約110トンだった。凍結前の15年冬に比べると約380トン減少していた。東電は、地下水をくみ上げる井戸を設置したり、雨水の浸透を防ぐために敷地を舗装したりする対策も同時に実施している。380トン削減はこうした対策を合わせた結果で、凍土壁による削減効果は、あくまでもその一部に過ぎない。それでも東電は、凍土壁などの成果で「建屋に地下水を近づけない水位管理システムが構築された」という。認識が甘くはないか。今回、汚染水の発生量を比較したのは降水量が少ない冬場だ。台風の接近が相次いだ昨秋には、降雨で汚染水の発生量が急増した。より長期間の評価が欠かせない。建屋の東側にはケーブルや配管を通すトンネルがある。そこには凍結管が入っておらず、凍土壁で地下水を完全に遮断することはできない。現状では、汚染水の発生がいつ止まるのか、分からないままだ。汚染水は「多核種除去装置」で浄化するが、放射性物質の一種のトリチウムだけは除去できない。浄化後の処理水は原発敷地内のタンクに貯蔵されており、20年度までしかタンクの増設計画は示されていない。原子力規制委員会は、国の基準以下に薄めて海に放出する必要があるとの立場だが、漁業関係者などの間では風評被害への懸念が根強い。処理水をどう処分するのかのめどが立たない限り、汚染水対策はいつ行き詰まってもおかしくない。

*6-3-2:http://qbiz.jp/article/129830/1/ (西日本新聞 2018年3月15日) 玄海再稼働で再び町に特需 「原発あるから」依存なお 廃炉時代の自立模索も
 6年余り全基停止していた九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)の3号機が23日にも再稼働する。貧しい農漁村だった玄海町に原発建設計画が浮上したのは半世紀ほど前。以来、町は原発の受け入れと引き換えに経済的恩恵を受けてきた。東京電力福島第1原発事故を経てもなお、原発への依存は続く。「廃炉の時代」をにらみ、自立の道を探る動きも出ている。玄海原発の敷地に、作業員を乗せた大型バスが次々と乗り入れる。正門から数百メートル離れた場所にはショベルカーなどの重機が並び、新たな安全対策で手狭になった敷地を拡大する造成工事が急ピッチで進む。福島の事故から約9カ月後の2011年12月、玄海原発は全4基が停止した。大きな打撃を受けた町の経済は今、「再稼働特需」で息を吹き返しつつある。原発から南東へ約1キロ。溝上孝利さん(59)が営む民宿「要太郎」も原発停止後、宿泊客がぱたりと途絶えた。再び客が戻り始めたのは、再稼働に向けた安全対策が始まった13年ごろから。客室稼働率は停止以前より3割ほど増えた。この間、溝上さんは原発関連以外の収入を増やそうと、町のふるさと納税の返礼品となる海産物を販売したり、高校生のスポーツ合宿誘致に力を入れたりしてきた。「豊かな自然や食を生かして暮らしていけるよう、変えんといかん」。一方、原発では今後も新たなテロ対策施設の建設が控える。いずれ定期検査も行われ、作業員らでにぎわう。「やっぱり原発があるから町は大丈夫だ」。町民から、そんな声も漏れる。
     **
 原発の稼働と町の財政は直結する。18年度一般会計予算案の歳入は、国の交付金など原発関連が6割。原発停止に伴う税収減で17年度、23年ぶりに地方交付税(普通交付税)を受け取る「交付団体」になったが、「再稼働すれば税収が回復し、19年度は不交付団体に戻る」(岸本英雄町長)。町議会は昨年9月の選挙で、原発推進派が全議席を占めた。年内にも改定される国のエネルギー基本計画に、原発の新増設を明記するよう求める意見書案を19日の本会議で可決する。「意見書は原発立地町の責任だ」と町議会の脇山伸太郎総務文教委員長。原発に世論の厳しい視線が注がれる中、増設にこだわる背景には「税収減につながる1号機の廃炉決定がある」とみる町民もいる。「原発がある町から、原発“も”ある町へ」。岸本町長が唱えてきたキャッチフレーズだ。実際には町も町議会も、原発に依存する姿勢を変えていない。
     **
 町民の受け止め方は一様ではない。福島の事故で、原子力災害への不安は以前より高まっている。町の人口は1955年に9720人だったが、今年2月現在、5717人に減った。原発の恩恵を受けつつ、過疎化に歯止めはかからない。町とは対照的に、自立を模索する動きもある。農家や商業関係者が16年、町おこしチーム「Genkai Hot Runner(GHR)」を結成した。「若い人が減り、このままでは町が寂れる」。代表の世戸耕平さん(38)は危機感をあらわにする。目を付けたのはイチゴやハウスミカンなどの農産品だ。原発補助金を活用し、佐賀県内有数の産地になった。隣接する唐津市の飲料メーカーと共同でイチゴやミカンを使ったサイダーを商品化し、年間2千本を出荷。福岡市内にアンテナショップの開業も目指す。「原発があったから産地になれた」。GHRメンバーでイチゴ農家の渡辺高広さん(54)は言う。「でも、原発の増設は現実的には無理。地域が自立して生きていけるようにしなければ」

*6-3-3:http://qbiz.jp/article/130026/1/ (西日本新聞 2018年3月17日) 【玄海再稼働】原発まで130キロ阿蘇火山リスクは? 九電→破局的噴火の予兆わかる 専門家→データに限界、予測困難 安全性の見方定まらず
 原発に対する火山の危険性が注目されている。広島高裁は昨年12月、熊本県の阿蘇カルデラの噴火リスクを理由に四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)の運転差し止めを決定。群馬県の草津白根山や宮崎、鹿児島県境の霧島連山・新燃岳(しんもえだけ)など各地の火山で噴火も相次ぐ。再稼働が間近に迫る九州電力玄海原発3号機(佐賀県玄海町)と阿蘇カルデラの距離は、伊方原発とほぼ同じ約130キロ。安全性に問題はないのか。噴火の想定が難しいこともあり、見方は分かれる。原子力規制委員会は火山対策指針として「火山影響評価ガイド」を策定。原発から160キロ以内の火山を対象に、安全性確認や対応策を電力会社に求めている。九電は玄海原発に関し、阿蘇カルデラや雲仙岳、九重山など17火山を「将来活動の可能性がある」と判断。その上で、過去の噴火履歴や地質調査を根拠に、いずれも原発が稼働している今後数十年の間に火砕流が発生しても原発敷地内には達しないと結論づけた。火山灰が到達する可能性はあるが、降灰時も非常用発電機が機能を維持できるように昨年11月、吸気口にフィルターを設けた。広島高裁が指摘した「破局的噴火」のリスクについては、九州で過去に破局的噴火を起こした五つのカルデラを調査。約9万年前に阿蘇カルデラで発生した破局的噴火では山口県付近まで火砕流が到達したとされるが、活動周期や地下のマグマに関する文献から「破局的噴火の直前の状態ではない」とする。大規模噴火を起こすマグマの動きは地殻変動や地震を引き起こすことから「破局的噴火の予兆は捉えられる」と九電の瓜生道明社長は説明する。
     **
 一方、火山の専門家は噴火予測の難しさを指摘。東京大地震研究所の中田節也教授は噴火履歴に関するデータは限られており「巨大噴火の想定には限界がある」と語る。火山影響評価ガイドについては「立地選定の情報にするなら分かるが、既存の原発の安全性審査に用いるのは違和感がある」と疑問を呈す。熊本県阿蘇市にある京都大火山研究センターの大倉敬宏教授は、阿蘇カルデラで巨大噴火が起こる可能性は当面は低いとの認識を示しつつ「観測データから噴火の前兆はある程度捉えられるが、規模や時期まで予測するのは難しい」と話す。九電は「できるだけ多角的に捉えることが重要」とモニタリングを強化する方針だ。ただ、破局的噴火は九州全域に大被害をもたらすような規模。両教授とも「原発だけの問題ではなくなる。噴火規模をどこまで想定するか国民的な議論も必要」とする。

*6-3-4:http://qbiz.jp/article/129814/1/ (西日本新聞 2018年3月15日) インドネシアで「地産地消エネ」 九電工が実証開始 送電手段ない離島で活用
 九電工(福岡市)がインドネシアのスンバ島で取り組む、太陽光発電と蓄電池を組み合わせて電力を安定供給する「エネルギーマネジメントシステム(EMS)」の実証事業が始まった。基幹送電網の整備が進んでいない離島で、再生可能エネルギーを活用した“地産地消”の電力供給を図るもので、他地域にも広がるか注目を集める。スンバ島は首都ジャカルタから東に約1400キロに位置。面積は九州の約3分の1、人口は約50万人。九電工によると、近年は観光地として注目されており、電力需要は増加傾向にあるという。島内の電力は主にディーゼル発電機を利用しており、二酸化炭素(CO2)の排出や燃料費が課題。インドネシア政府は島を再エネ導入のモデル地域と位置付けて出力500キロワットの太陽光発電所を整備したものの、出力が不安定で十分な電力供給ができていなかった。九電工のEMSは、双方向通信が可能な電力計で需給の状況を把握し、発電や蓄電を制御。雨天時や夜間など発電が止まる時間帯でも安定的に電力を供給できる。「蓄電池まで含めて全てのデータを集約して一体的に制御できるシステムは珍しい」と九電工国際事業部の松村敏明担当部長。昨年、特許を取得している。スンバ島の実証事業は、環境省が海外で展開する補助事業として実施。200キロワット時の電力を昼間の6時間供給する計画で、1月から本格運用が始まった。今のところ、安定した電力供給が続いているという。蓄電には鉛蓄電池を使用。日本で一般的なリチウム電池と比べコストが3分の1程度に抑えられる上、扱いやすい。寿命の短さが課題だったが、2系統の供給系統を交互に使って充放電の効率を上げることで、最大20年ほど使える計算になるという。通信技術を生かし、遠隔地で運用できる点も現地で高く評価されている。稼働状況は九電工の本社で監視。現地での作業は定期的な設備の清掃や点検程度で、維持費用も抑えられる。10年ほど運用すれば初期投資を回収できると見込む。有人の離島が数千に上るインドネシアは電力供給網の整備が遅れている。スンバ島の実証事業は低コストで電力の安定供給に道を開くと期待される。九電工は無電化地域を想定してEMSを開発した。松村部長は「世界中どこでも通用する技術」と語り、海外での受注拡大も見据える。

*6-3-5:http://mainichi.jp/articles/20180320/k00/00e/040/287000c (毎日新聞 2018年3月20日) 玄海原発:「司法は遅れている」申立人の元佐賀大学長
●運転差し止め認めず
 佐賀地裁が20日、九州電力玄海原発3、4号機(佐賀県玄海町)の運転差し止めを求める仮処分の申し立てを退けた。九電は予定通り23日に3号機を再稼働できることになり、司法に望みを託した申立人らは「裁判所に声が届かなかった」と肩を落とした。「原発がどれだけ時代遅れか司法は気づいてくれない」。市民団体「原発なくそう! 九州玄海訴訟」の関係者が「不当決定」と書かれた垂れ幕を掲げると、佐賀地裁(佐賀市)前に詰め掛けた申立人らからはため息が漏れた。弁護団の板井優弁護士は「不当決定というよりも、これは違法だ」と憤りを見せた。申立人の一人で福岡市東区の立川由美さん(47)は「いくらこういう決定が出ようと、私たちは絶対にあきらめない」と涙を流した。今回の決定をした裁判長は、別の市民団体による同様の仮処分の申し立てについても、昨年6月に却下している。申立人の一人で元佐賀大学長の長谷川照(あきら)さん(79)=佐賀市=は立ちはだかった司法の壁に「国内や世界の情勢を考えると司法は遅れている」と嘆いた。早稲田大理工学部と京都大の大学院で原子核理論を学んだ。戦後復興の中で核の平和利用が議論されていた時代。大学の友人たちは原子力関連の企業に就職していった。長谷川さんにも企業から声がかかったが「平和利用と言っても、人命より金を優先するようになる」と考え、大学で学び続ける道を選んだ。6年間務めた学長を2009年9月に退任した後の11年3月、東日本大震災で津波被害を伝える映像に衝撃を受けた。子供の時に千葉で体験した空襲の記憶を思い起こした。「空襲では自宅も燃えた。がれきが残った様子やぽつんと電車がある様子が重なった」。津波は東京電力福島第1原発事故を引き起こした。「やっぱり原発はやめておいた方がいい」と感じた。原発訴訟に関わる弁護士に声をかけられ、12年1月、「原発なくそう! 九州玄海訴訟」の結成に参加。玄海原発の操業差し止めを求める本訴訟の原告団長に就いた。司法で原発を止めるのは「相当運がよくないと難しい」と考えているが、まだ本訴は続いている。「福島の事故は収束していない。再生可能エネルギーに転換しないといけない」。そう語気を強めた。


PS(2018年3月15日追加):*7のように、麻生財務相が、①佐川氏を呼び捨てにしたことを批判しつつ ②組織のトップが責任を足らなければ示しがつかない とするいくつかの記事を見たが、メディアは、こんな自己矛盾にも気がつかないのだろうか。②のように、「財務相トップの麻生氏が責任をとるべき」と言うのなら、同じ組織の人について外部の人に話す時は、①のように、謙譲の意味で呼び捨てにするのが正しい日本語で、これは、毎日新聞の社長が従業員のことを第三者に話す時に、様やさんを付けないのと同じである。
 また、②のように、「トップが必ず責任を足らなければならないか」については、日本では戦国時代に高松城開城と当主の切腹をもって毛利家と羽柴秀吉が和睦して以降、トップが責任をとって部下を助けることを美談としてきた。しかし、現在の経営学では「権限なきところに責任なし」というのが常識で、権限を持って指示した人に責任があり、権限がなく指示する立場でもない人に責任はない。そのため、事実を明らかにしなければ責任の所在は明らかにならない筈だが、何でもいいからトップが頭を下げ、引責辞任すればよいという日本の習慣は、むしろ問題をうやむやにして改善に向かわせないのである。
 なお、私は麻生財務相と仲がいいわけではないが、この際、複式簿記による公会計制度を導入して国の資産や税収の使い方をガラス張りにするのは、民間企業の社長出身で腕力のありそうな麻生氏が適任ではないかと思っている次第だ。 

*7:https://mainichi.jp/articles/20180314/k00/00e/010/275000c?fm=mnm (毎日新聞 2018年3月14日) 森友文書改ざん:「佐川が…」責任転嫁に躍起 国会審議
 「森友学園」(大阪市)との国有地取引に関する決裁文書の改ざん問題で、財務省が「書き換え」を認めてから初めての国会審議が14日始まった。野党が欠席する中、政府・与党からは、理財局長だった佐川宣寿前国税庁長官に責任を押し付けるような発言が相次ぎ、識者からは「国民の理解は得られない」と批判の声が上がった。「(佐川氏の)答弁が誤解を受けることのないようにした。『そんたく』した話ではない」。14日午前の参院予算委員会。自民党の西田昌司氏から、財務省が文書を削除するなどした理由を問われた麻生太郎財務相は言い切った。佐川氏を呼び捨てにし、「書き換えは本省の利害で行われたもの。(政治家の)不当な圧力はなかった」と繰り返し、自身や安倍晋三首相らの関与がなかったと強調した。「書き換えは佐川氏が自分に不都合なことを直したこと。自分のためにやった」「(削除された内容は)公表しても問題ない文書。書き換えにより、かえって(首相の)ご夫人や総理が迷惑を受けた」。西田氏の質問にも、改ざんの責任を同省に求めようとする思惑がにじむ。西田氏の矛先は、学園の籠池泰典前理事長にも向けられた。補助金の不正受給による詐欺罪などに問われていることを強調。昨年3月の証人喚問で、事実と異なる証言をしたなどとして「まさに詐欺の語り口。(国有地売却問題は)詐欺で容疑を受けた人が首謀した事件だ」と断じた。安倍首相も、決裁文書から削られた妻昭恵氏に関する記述について「(記載された発言は)籠池さんが(近畿財務局に)語ったこと」などと述べ、「書き換え前の文書を見ても、私や妻が関わっていないということは明らか」と断言した。質疑を通じ、改ざんなどの責任を財務省や籠池氏にとどめようとする政府と与党の「連係プレー」を印象づけた。政治アナリストの伊藤惇夫さんは「政府が佐川氏や財務省理財局に責任を押し付けようとしているのは見え見えで、このままでは国民の理解を得られない」と批判。「与党側に『重要法案の審議が進まない』という声があるが、そもそも森友問題を1年間もうやむやにしてきたのは政府・与党だ。こういう事態に陥った以上、与党側が佐川氏や昭恵氏の国会招致に応じなければ議論は進まないだろう」と語った。


PS(2018年3月19日追加):*8のように、全自動編み機の島精機製作所の株価が、アジアの賃金上昇や省人化の流れで急騰したそうだが、これは、課題先進国の日本が課題を解決する製品・サービスを作って、20~30年後に他のアジア諸国で売れ始めた良い例だ。私は、全自動織機やプリント型自動染色機も日本国内に生産拠点を戻すことができ、しばらくすれば他国でも売れ始めると考えている。

*8:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20180319&ng=DGKKZO28300750Z10C18A3ENI000 (日経新聞 2018年3月19日) 島精機 全自動編み機、中国で好調、ゴールドマン報告書追い風
 全自動編み機を手掛ける島精機製作所の株価が16日、急騰した。一時は前日比860円(13%)高の7620円をつけた。終値は10%高の7440円。日経平均株価が反落するなか、東証1部の値上がり率で4位に入った。ゴールドマン・サックス証券が15日、新規にリポートを出したのがきっかけだ。ゴールドマンは15日付で、島精機の投資判断を3段階で最上位の「買い」、目標株価を1万円として調査を始めた。担当アナリストの劉京元氏は「アジアの賃金上昇や省人化の流れを見ると、成長余地は大きい」と指摘する。すでに島精機をカバーする証券会社は6社。そのうち大和証券と岩井コスモ証券の2社が目標株価を算出し、いずれも7500円に設定する。ゴールドマンが高い目標株価を掲げたのを受けて、機関投資家や個人に買いが広がった。島精機はニットなどを全自動で編む機械を世界で唯一、開発する。値段は一般の編み機に比べて約4倍と高価だが、人件費の高騰する中国などで販売が伸びている。2018年3月期は連結売上高が前期比17%増の730億円、純利益は39%増の100億円を見込む。岩井コスモの大西等氏は「為替の円高はリスクだが、中国市場で利益率の高い製品が普及期に入ったのはプラスだ」と評価する。今期の予想PER(株価収益率)は27倍とミシン大手のJUKI(13倍)より高い。ただ、17年4~12月期の純利益は通期計画の9割に達し、業績の上振れ期待が強い。今後の成長戦略が明確になれば、株価は一段高となる可能性もある。


PS(2018年3月20日追加):*9-1のように、JR鹿児島中央駅西口地区再開発を巡り、鹿児島県が市道の拡幅に必要な測量調査を1年以上拒否し続けているとのことだが、新幹線の駅ができると通院圏や購買圏が沿線に広がるため、再開発するチャンスである。長崎市新大工町一帯の再開発は、*9-2のように、長崎玉屋の田中丸氏が中心になって市と協力し、「国内外の観光客が楽しめる」「地域の可能性を発揮する」などのコンセプトで21世紀型の街づくりが進んでいる。鹿児島市の場合は、郵便局も協力すれば広いエリアの再開発ができるため、京都駅などを参考に鹿児島の長所を出せばよいと思われる。さらに、新しいマンションには、*9-3のようなAIスピーカーを装備すれば、自宅療養や一人暮らしの高齢者の役にも立つだろう。

    
   *9-1より      *9-2より    西日本新聞2018.1.21
  鹿児島市のケース     長崎市のケース    福岡市のケース

*9-1:http://qbiz.jp/article/130192/1/ (西日本新聞 2018年3月21日) 進まぬ再開発事業 JR鹿児島中央駅西口 県が道路測量拒否 JR九州の計画に影響も
 鹿児島市のJR鹿児島中央駅西口地区再開発を巡り、土地を所有する鹿児島県が市道の拡幅に必要な測量調査を1年以上拒否し続けている。市は再開発に伴う道路整備は欠かせないとしているが、実現の見通しは立たない。既にビル建設計画を進めているJR九州は、事業進捗(しんちょく)に影響が出る恐れもあるとして、県の対応に気をもんでいる。西口地区には県が約1万平方メートル▽JR九州が8500平方メートル▽日本郵便(JP)が5700平方メートル▽市が700平方メートル−をそれぞれ所有。4者は2006年、11年の九州新幹線全線開通を見据え、計2万5千平方メートルの一体的な開発を目指して連絡会を発足した。09年にはコンベンション施設やホテルなど望まれる機能の基本規模を提示。概算工事費などの調査報告書をまとめたが、周辺で同種施設の民間開発が相次いだため協議は停滞し、14年8月に個別活用を含め幅広く検討する方針に転換した。JR九州は16年8月、所有地に商業ビルやマンションを建設する計画を発表。市も17年1月の連絡会で、再開発区域内で市道拡幅などの道路整備を提案した。拡幅時には所有地の一部提供が想定され、JRとJPは受け入れたものの、県だけは「現有地を確保したい」として応じず、連絡会も以降開かれていない。県の姿勢にJR九州幹部は「困った」と戸惑う。既に敷地内の建物の解体を始めており「県があと半年テーブルにつかなければ、着工や開業が計画より遅れるかもしれない」と危ぶむ。
     ▽△
 県は3月県議会で、所有地について「県民にとって最も望ましい利活用方法を検討中」と繰り返し、方針を示す時期も明らかにしなかった。県議の一人は「県民の貴重な財産。何年も『検討しています』だけでは納得できない」と批判する。表向きは活用方針を検討中とする県だが、腹案があるとの見方は強い。老朽化した県立総合体育館の建て替え地だ。県は有識者の検討委員会を設置し、市中心部を想定したアリーナ的施設整備が望ましいとする提言を2月に受けた。西口の土地は提言に符合する。新体育館構想は県から非公式に連絡会側に伝えられているという。県の構想を進めるには県所有地だけでは手狭。残り3者の協力が不可欠だが、JR九州幹部は「50年に一度の開発で計画を変えるつもりはない」と話し、JPも取材に「(現在の施設を)今後も活用する方針だ」と答えた。再開発の行方は見通せない。
:http://qbiz.jp/article/130201/1/ (西日本新聞 2018年3月21日) 九州の都市再開発、新大工町再開発図を公表 市長「観光客楽しめるよう」 組合「可能性を発揮したい」
 長崎市新大工町一帯の再開発を進める「新大工町地区市街地再開発組合」(田中丸弘子理事長)が20日、田上富久市長に事業の進捗(しんちょく)状況を報告、2021年度に完成予定の再開発ビルのイメージ図を示した。田上市長は「国内外の観光客が楽しめるようにしてほしい」と要望、田中丸氏は「地域の可能性を発揮したい」と述べた。組合によると、地元商店街の雰囲気も大切に、長崎の食文化体験ゾーンも手掛ける考えという。一帯は長崎玉屋の閉店に伴って再開発に向けた動きが始まり、14年1月に準備組合が発足。4年がかりで協議を進め、今年2月の本組合設置にこぎ着けた。組合の事業計画によると、旧長崎玉屋ビルがある北街区3800平方メートルに26階建て複合ビルを建設。地下1階に駐車場、1〜3階に商業施設を配し、4〜26階は分譲マンション大手の大京グループ(東京)が購入して販売する。国道34号を挟む南街区1300平方メートルは12階建て駐車場ビルを建設し、11〜12階はオフィスとする。総事業費は163億円。再開発を契機に市は二つの再開発ビルをつなぐ歩道橋を掛け替える。国と県は長崎電気軌道・新大工町停留所の西側に横断歩道を設けてスロープでつなぎ、車いすでも乗降可能なバリアフリー構造とする方針。

*9-3:http://qbiz.jp/article/130111/1/ (西日本新聞 2018年3月20日) 九電がAIスピーカー参入 家電操作や節電アドバイス
 九州電力は、人工知能(AI)搭載の対話型スピーカーを使った新サービスを今夏から始める。さまざまなものをインターネットでつなぐIoT技術を生かし、家電の操作や節電アドバイス、防犯などができるようにする。AIスピーカー製造の技術を持つ企業と協力して独自の端末を開発。利用者の話し掛けに応じてサービスを提供する。蓄積したデータを端末が分析し、各家庭に合わせた電化製品の自動制御もできるという。19日には、スピーカーがアニメキャラクターの音声で応答するサービスを導入すると発表。第1弾として「妖怪ウォッチ」のウィスパーを起用する。利用者の指示に「了解でうぃっす!」などと答える。24、25日に東京であるアニメイベントで披露し、今後、キャラの追加を検討するという。電力の小売り全面自由化で競争が激化する中、利便性の高いサービス提供で顧客獲得につなげる。毎月利用料を徴収する料金体系を予定しており、新たな収益源をつくる狙いもある。料金や開始時期は今後詰める。無料モニターも募集する予定。

| 経済・雇用::2018.1~ | 04:24 PM | comments (x) | trackback (x) |
2018.1.29 高齢化した成熟国家では、医療・介護などの福祉サービスは実需であること (2018年1月30、31日、2月1、2、3、4、7、10日に追加あり)
   
      日本の人口構成の変化               *3-3より

(図の説明:日本の年齢階層別人口は、1番左と左から2番目のグラフのとおり、高齢者の割合が増えて、収入構造《賃金・年金》と需要構造が変わった。つまり、全収入に占める年金収入の割合が増え、高齢者向けサービスの実需が増加したのだ。にもかかわらず、政府は、高齢者向けサービスを削減し、インフレによって高齢者の資産移転を行ったため、不要な需給ギャップが生じ、GDPの伸びも抑制された。こういう不要なことをしなければ、高齢化社会で真に必要とされる財・サービスの開発と供給が進み、それは今後、世界で必要とされた筈である。なお、何歳まで健康かという問題については、左から2番目のグラフで同年齢の人口が急カーブで減り始める頃までと思われ、健康状態は人によって異なるため階段状になっているわけである)

  
  購買力平価による各国GDPの推移    日本の実質・名目賃金と消費者物価指数

(図の説明:その需給ギャップを解消するためとして、インフレ政策を行い、生産性の低い政府支出に多くの予算を配分し、実需を抑制したため、購買力平価で比較して日本のGDPの伸びは先進国・開発途上国を合わせて最低になった。また、インフレ政策で実質賃金の伸びもマイナスになっている《年金支給額は当然マイナス》が、これは国民を主体としない政策の結果である)

(1)医療について
1)医師の長時間労働と医師の時給
 *1-1、*1-2のように、杏林大学医学部付属病院が36協定を超えて医師に残業させ、残業した時の割増賃金も不十分だったとして三鷹労基署から是正勧告・改善指導を受けたり、北里大学病院の36協定の結び方が不適切で「協定が無効だ」と労基署から指摘されたりしているが、医師には応召義務があり、(役所と違って)9時~5時の勤務時間には入らないことも多々ある職種であるため、これに近いことはどの病院でも行われていると思われる。また、残業代を請求できる医師ばかりではないため、医師の時給はかなり低くなるだろう。

 それでは、労働基準法を順守する上で必要な医師数は確保できるのかと言えば、例えば、*1-3のように、正常出産でも「9時~5時」の間に子どもが生まれるとは限らない産婦人科で、医師数を確保できていない。産婦人科医を増やすことも必要だと言われているが、*1-6のように、地域や診療科間で医師数は偏在しており、外科系や産婦人科は医師数が減っている診療科なのである。

 外科の医師数が減る理由は、手術が長引いたり、重篤な患者の治療を行ったりするため、医師の労働が過重になるからだが、だからといって、*1-4のように、救急患者が「たらい回し」にされて治るものも治らないという事態になってはならない。これを解決するには、医師個人の善意に依存して医師に重労働を課し命を削らせてきた現在の医療政策を改め、十分な数の医師を配置して無理なく診療できる組織体制を作ることが必要で、そのためには、診療報酬削減一辺倒の現在の医療政策を改めなければならない。

2)女性医師割合の増加で起こったこと

  
     2018.1.28東京新聞    女性の医師割合及び医師国家試験合格者割合の推移

 医師国家試験合格者に占める女性割合は次第に増加し、2014年は31.8%となり、これに伴って医療機関で働く2016年末の女性医師数は、*1-5のように、6万4305人で全体の21%となった。男女比は年齢層が若いほど女性の割合が高く、29歳以下は35%、30代は31%を占め、20年前と比べると29歳以下も全世代で8%高くなったそうで、私はよいことだと考える。

 また、私は、女性だからといって妊娠・出産を機に離職して職場復帰しない人はむしろ少なく、そのために男女雇用機会均等法で育児休業等が定められているのだと思うが、女性医師は結婚後のことも考えて過重労働を強いる診療科を敬遠し、無理の少ない診療科に集まる傾向があるそうだ。それもあって、地域や診療科による医師の偏在が起こっているため、希望者の少ない地域や診療科は、担当する医師を厚遇する必要があるだろう。

(2)介護について

  

(図の説明:介護保険制度は、導入されて17年しか経過しておらず、全世代型になっていないため不完全だが、著しい伸びが見込まれている。これは、核家族化した高齢化社会を迎えた日本で、本当に必要とされている実需だからだ)

   
  2018.1.27日経新聞   2017.6.27読売新聞     2018.1.27東京新聞 

(図の説明:政府は、その実需を無駄遣いであるかのように抑制することに努めているが、身体が動かなくなった人が自宅で暮らすには家事支援も必要であるため、少なくとも混合介護を認めるべきであろう)

 介護保険制度は、1995年前後に私が提案し、1997年の国会で制定された介護保険法に基づいて、2000年4月1日に施行され、2000年時点で184万人だった介護保険制度の利用者は、2025年には657万人になると予想されている。これだけ利用者が増加するのは、核家族の多い成熟した高齢化社会の日本で、合理的な介護サービスは必要性の高い実需だからにほかならない。

 厚労省は、*2-1のように、自立支援や重度化を防ぐ取り組みに報酬を手厚くし、医療との連携拡大を促すそうだが、このうち医療と介護の連携は当然のことで、自立支援に頑張った事業者が報われる仕組みは必要であるものの、どうしても自立できないから介護サービスを利用している人も多いため、*2-2、*2-3のように、介護報酬の改定は、利用者の生活の質の向上に資する利用者本位のもので、無理に自立を押しつける改定であってはならないと考える。

 日経新聞は、「介護サービスは生産活動ではなく無駄遣い」と見做しているせいか、*2-5のように、「給付の効率化、給付削減が不十分」という記載が多い。しかし、核家族化した高齢化社会の日本で、介護サービスは必要性の高い実需であるため利用者の増加があるのであり、やみくもな介護費の抑制はむしろGDPを落とす。

 そのため、私は、医療・介護は保険適用分と自己負担分を作って混合でサービスを受けることを可能にし、自己負担でも多くの人が購入するサービスは、順次保険適用にしていくのがよいと考える。そうすれば、保険適用を前提とした日本だけ不当に高い価格付けはなくなるだろう。

 なお、東京新聞は、*2-4のように、「介護の見直しに、必要性を増す担い手の確保策が十分か疑問が残る」という記事を書いており、これらはしっかりと考慮されなければならない。

(3)年金と高齢者雇用
 日本老年学会などは、*3-1のように、医療の進展や生活環境の改善により、10年前に比べて身体の働きや知的能力が5~10歳は若返っていると判断し、現在65歳以上とされている高齢者の定義を75歳以上に見直すよう求める提言を発表した。

 そのため、75歳まで働ける人は、*3-2のように、年金受給開始を75歳からに選択することもでき、年金支給開始年齢を遅らせた人は毎月の受給額が増える制度を拡充し、定年延長など元気な高齢者が働ける仕組み作りも進めるのはよいと考える。働いている人の方が認知症にならず、身体も元気でいられるので、介護サービスを使わずにすみ、多面的なメリットがある。

 そのような中、*3-3に、日経新聞が、「2008年のリーマン・ショック以降、先進国を苦しめてきた『需要不足』と呼ばれる状態が約10年ぶりに解消される見通しとなり、米国の景気回復を追い風に貿易や投資が刺激され、需要が増えている」としているのには驚いた。

 何故なら、未だに日本の需要を米国輸出とそのための投資に頼っているが、これは先進国ではなく低賃金を使った製造業による輸出に頼る開発途上国の発想であり、この前提は戦後すぐの日本には正しかったかも知れないものの、現在には全く当てはまらないからである。現在は、福祉サービスなどの内需を満たす方向で需要を作り出すのが、国民を豊かにするための正道だ。

 なお、東日本大震災の復興需要があり、福祉サービスの担い手も足りないため、金融緩和しなくても失業率を最低水準にし、さらに人手が足りない状態を作ることはできたと思われる。にもかかわらず、金融緩和とインフレ政策で実質賃金を下げたことは、不問に付されるべきでない。

 また、「失業率が下がるほど物価が上がるという相関関係は、右肩下がりの“フィリップス曲線”に示されるが、日本や米国は失業率が完全雇用と考えられている水準を下回っている割に物価の反応が鈍い」とも書かれているが、過去に米国で観測されたフィリップス曲線を出すまでもなく、実質賃金や実質年金が下がれば需要が減る上、現在の需給は国内だけでなく開発途上国も含めた世界市場で調整されているため、安い賃金で働く開発途上国が市場経済に参入してくる限り、物価は上がらない。これは、1990年以降の米国でも観測されていることであり、賃金の高い先進国は別の豊かさを考えるべきなのである。

<医療>
*1-1:https://digital.asahi.com/articles/DA3S13322983.html (朝日新聞 2018年1月20日) 杏林大の医師、長時間労働 月100時間超の例も 労基署が是正勧告
 東京都三鷹市の杏林大学医学部付属病院が、労使間の時間外労働の取り決め(36協定)を超えて医師に残業させ、残業した時の割増賃金も不十分だったとして、設置者の杏林学園が三鷹労働基準監督署から是正勧告と改善指導を受けていたことが分かった。杏林大は「勧告を真摯(しんし)に受け止める」としており、働き方の見直しに着手。医師数百人に不足分の賃金数億円を支払ったとしている。杏林大などによると、勧告と指導は昨年10月26日付。杏林大は就業規則と協定で、医師について週39時間の所定労働時間、月最大70時間の残業時間を定めているが、労基署の調査では約700人の医師のうち約2%が「過労死ライン」とされる残業80時間を超え、100時間を超える医師も数人いたという。労働基準法が定める、残業に対する割増賃金も一部の医師について法定の割増率を下回っていた。杏林大は昨年末、同年4~9月の不足分を対象者に支払ったという。長時間労働の理由について、杏林大は朝日新聞の取材に「医師には(治療を求められたら拒めない)応召義務があり、患者側に立って丁寧な診療をしたり、手術が予想以上に長引いたりすることがある」などと説明している。割増賃金については、法定割増率を下回る別の手当を支払っていたという。同病院は高度な医療を提供する施設として国が承認する全国85の「特定機能病院」の一つ。2016年度の外来患者は約64万9千人、入院患者は約29万5千人に上る。医師の長時間労働や勤務管理を巡っては、聖路加国際病院(東京都中央区)や北里大学病院(相模原市)なども労基署から是正を求められていることが明らかになっている。厚生労働省は有識者会議で医師の働き方についての議論を進めており、18年度末までに具体案を取りまとめる予定だ。

*1-2:https://digital.asahi.com/articles/DA3S13318146.html (朝日新聞 2018年1月18日) 北里大病院、勤務ずさん管理 医師の労働時間定めず、36協定不適切
 北里大学病院(相模原市)が、医師らを残業させるために必要な労使協定(36〈サブロク〉協定)の結び方が不適切で、協定が無効だと相模原労働基準監督署(同)から指摘されていたことがわかった。医師の勤務時間を就業規則で定めずに違法な残業をさせていたなどとして、労働基準法違反で是正勧告や改善指導も受けており、大病院のずさんな労務管理の実態が明らかになった。勧告や指導は昨年12月27日付。法定労働時間を超えて病院職員を働かせるには、労働者の過半数で組織する労働組合か、労働者の過半数代表者と36協定を結び、残業の上限時間などを定める必要がある。北里大病院の関係者によると、病院には労組がなく、各部門の代表が集まる「職員代表の意見を聴く会」で過半数代表者を選び、残業の上限を「月80時間」などとする36協定を代表者と結んでいた。だが、各部門の代表になるには所属長の推薦が必要なうえ、人事担当の副院長ら幹部が過半数代表の選出に関わっていた。このため選出の手続きが労基法の要件を満たさないと指摘されたという。2千人以上いる職員の残業が違法状態にあったことになり、この点でも是正勧告を受けた。また、同病院は「勤務時間管理規程」に従って職員の勤務を管理し、所定労働時間は週38時間とする▽残業させる場合は責任者の承認を必要とする――ことなどを定めているが、医師や管理職をこの規程の「適用除外」にしていた。北里大病院は全国に85ある、高度な医療を提供する「特定機能病院」の一つ。2016年10月時点で医師約600人が勤務しているが、始業・終業の時刻や所定労働時間、休日についてのルールがない状態で働かされていたことになる。同病院の職員によると、職員の出退勤時間を打刻するタイムカードはあるが、医師の多くは出勤か退勤のどちらか一方のみを打刻するよう病院側から指導されていたという。長時間労働が長年常態化していたとの声もある。医師がどれだけ残業したかの十分な記録がないため、違法残業の時間や未払い残業代の規模の把握も難しいとみられる。残業時間の上限規制の導入を目指す政府は、医師への規制適用を5年をめどに猶予する方針だ。だが、組織ぐるみともみられかねない大病院の不適切な労務管理が明るみに出たことで、勤務医の労働環境の改善を急ぐよう求める声が強まるのは必至だ。

*1-3:https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20171108-OYTET50038/ (読売新聞 2017年11月8日) リスクの高い出産に対応する病院、6割が産科医不足
 リスクの高い出産に対応する総合周産期母子医療センターの約6割が労働基準法を順守する上で必要な産婦人科医を確保できていない、とする初の推計を日本産婦人科医会がまとめた。宿直や休日の日直の限度回数を超えた勤務が常態化している恐れがあるという。労基法では、労働基準監督署の許可があれば、労働時間の規制外となる宿直や日直を認めている。厚生労働省は通知で、1人につき宿直は週1回、日直は月1回が限度としている。同センターは、合併症のある妊産婦や新生児の集中治療を行う医療機関で、全国に107施設が指定されている。原則24時間、複数の産婦人科医の勤務が要件だ。同医会では、通知と要件に従った場合の宿直・日直体制には16人が必要と試算。今年6月、同センターの人員体制を調査したところ、107施設中66施設(62%)で産婦人科の常勤医が16人未満だった。非常勤医を加えても56施設(52%)が16人に達しなかった。実際は、高齢や妊娠・育児中などで宿直・日直を免除、軽減される医師も多い。16人以上いても、限度回数を超えている医師がいる可能性がある。産婦人科医不足を巡っては、同センターなど地域の基幹病院に医師を集めて、勤務負担を減らす対策が進む。同医会の中井章人常務理事は「さらに集約化を図るとともに、産婦人科医を増やす方策も必要だ。地域や診療科間での医師の偏在解消が急務だ」と話している。

*1-4:https://dot.asahi.com/dot/2017112200086.html?page=1 (AERA 2017.11.24) 救急患者「たらい回し」の裏側 断らざるを得ない当直医の窮状とは、連載「メディカルインサイト」
 11月7日、香川県内の県立病院で昨年度、時間外労働が2千時間を超える勤務医がいたことが報じられた。県は背景に医師不足があるとし、医師確保に努めているという。だが、「妙案はない」とも。現役の医師であり、東京大学医科学研究所を経て医療ガバナンス研究所を主宰する上昌広氏は、著書『病院は東京から破綻する』で、医師不足が原因で患者を受け入れられない病院側の実情を、自身の経験をもとに打ち明けている。
     *  *  *
 2013年1月、埼玉県久喜市で救急車を呼んだ75歳(当時)の男性が、県内外の25病院から合計36回、受け入れを断られ、最終的には県外の病院で死亡しました。典型的な「救急患者のたらい回し」です。亡くなった患者さんのご冥福をお祈りすると同時に、医師も患者受け入れが嫌で断っているのではないことをお伝えしたいと思います。埼玉県は日本で最も人口あたりの医師の少ない地域の一つです。私自身の経験から考えても、埼玉県の病院の当直医師が、全ての救急車を受け入れることは不可能です。私は1995年から2001年まで、大宮赤十字病院(現さいたま赤十字病院)の内科・循環器科に常勤、非常勤医師として勤務しました。06年から現在に至るまで、埼玉県北部に存在する行田総合病院に内科非常勤医師としても勤務しています。大宮赤十字病院に勤務していた頃、私は20代でした。1人でも多くの患者を診ようと、先輩医師に当直業務をかわってもらうことも珍しくありませんでした。当時の大宮赤十字病院では、内科は一般内科1人と循環器科1人の2人当直体制でした。周辺の医療機関と比較して、恵まれていたと思います。三次救急を受け入れる地域の基幹病院だったため、次から次に救急車がやってきました。一睡もできないことも珍しくありませんでした。その後、都内の虎の門病院や国立がんセンター中央病院(当時)に勤務し、当直業務をこなしましたが、大宮赤十字病院との違いに啞然としたことを覚えています。大宮赤十字病院では、心肺停止から急性心筋梗塞、脳卒中までの患者を引き受けていました。こうした患者は早期の対応が求められます。たとえば、心筋梗塞の患者が来たら、すぐに検査や治療を指示し、同時に緊急カテーテル検査を行うか判断しなければなりません。判断に困るときは、先輩医師に電話して、指示を仰ぎました。心臓カテーテル検査を実施すると決めれば、他の先輩医師にも電話して、緊急来院をお願いしました。彼らが来てから検査に入ることもありました。このような重症患者に対応している間は、別の患者を診ることは不可能です。脳卒中や心筋梗塞など、迅速な対応が必要な患者の場合は、救急隊から連絡を受けても、「申し訳ない」と思いながら、お断りしたことが何度もあります。これが、当直医の立場から見た「救急患者のたらい回し」の実態なのです。
■「緊急受け入れ病院」制度の限界
 埼玉県は、救急車の「たらい回し」を防止するため、14年4月には全ての救急車にタブレット端末を設置し、15年2月には「緊急受け入れ病院」を4ヵ所から12ヵ所に増やすことを決定しました。「緊急受け入れ病院」制では、埼玉県が認定する施設で、受け入れを2回断られた患者に対し、3回目で必ず対応することが義務づけられます。埼玉県によれば、タブレット端末の導入により、受け入れ照会が4回以上の「たらい回し」患者は14%減少したそうですが、この程度では問題は解決するとは思えません。「緊急受け入れ病院」を指定し、補助金と引き替えに救急車を引き受けさせても、他の患者を治療している間、病院のベッドで待ってもらうことになります。結局、救急隊の代わりに当直医に責任をなすりつけるだけです。脳卒中や心筋梗塞の治療は時間との戦いです。こうした形骸的な対応は患者にとって決していいことではありません。医師不足が深刻な千葉県や埼玉県で、「救急患者のたらい回し」を減らすには、医師を増やすしかありません。ところが、それが困難です。医師会や医学部経営者など既得権者の思惑が絡むからです。既得権を打破するには、市民が問題を認識し、既得権者を批判する必要があります。そうすれば行政や政治は動かざるを得なくなります。
※『病院は東京から破綻する』から抜粋

*1-5:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20180129&ng=DGKKZO26119940V20C18A1TY5000 (日経新聞 2018.1.29) 女性医師、働き続けやすく、東京女子医大 育児での離職者再研修/総合メディカル モール設立開業を支援
 遅れていた女性医師のキャリアと出産・育児との両立を後押しする動きが広がっている。20代では医師の3割超が女性になった。日本の医療を支えるために女性の活躍は不可欠で、復職支援や働き続けやすい環境づくりを進める。「この1、2年で症状が変わったことはありますか」。東京女子医科大学病院(東京・新宿)の総合診療科で1月上旬、山口あけみ医師(40)が精密検査に訪れた男性を診察していた。山口さんは2017年秋、約10年間の専業主婦生活から、非常勤医師として医療現場に復帰した。同大学卒業後、付属の医療機関に勤めていたが、4年目に夫の仕事の都合で米国に引っ越すため離職した。現在4~10歳の2男2女を育てている。17年1月の帰国を機に、医師の仕事を通じて社会に役割を持ちたいと復帰を願ったものの、長く現場を離れ不安があった。「仕事を忘れているのでは」「ミスを起こしてしまったら」。後押ししたのが同大の女性医師再研修部門が提供する「再研修―復職プロジェクト」だった。原則3カ月で希望者の要望に沿った頻度、内容の研修をする。制度は06年度に始まり、結婚や育児などで医療現場から離れた女性医師が対象だ。卒業校は問わない。17年1月までに233人が相談し、96人が研修を受けた。休職していた相談者のうち75%が復職した。山口さんは子育てとの両立を考え週1度、総合診療科で研修した。指導医にアドバイスをもらいながら実際に診療をして「自分にもできる役割がある」と前向きになれたという。再研修部門の唐沢久美子部門長は「キャリアが多様化し、一旦離職する医師も増えた。復職したいときに相談できる人がいないことが課題。人材という宝を掘り起こす必要がある」と話す。厚生労働省によると医療機関で働く16年末の女性医師数は6万4305人で全体の21%。ただ男女比は年齢層が若いほど女性の割合が高く、29歳以下は35%、30代は31%を占める。20年前と比べると29歳以下も、全世代でみても8ポイント高くなった。日本医師会の今村定臣常任理事は「女性には妊娠・出産など男性と異なるライフステージがあるが、女性に働いてもらわなければ医療現場は立ちゆかなくなる」と指摘。医師会は厚労省から委託を受け、就業希望者に医療機関を無料で紹介する「女性医師バンク」をつくった。一方、08年から子育てや介護中の医師らに基本3年間の「キャリア支援制度」を提供するのが岡山大学病院(岡山市)。それまでの定員と別に応募医師を配置する。勤務時間や頻度が比較的自由になる。制度利用後は大学病院で常勤復帰したり、地域の病院に就職したり。希望者が増え、来年度からは受け入れ可能時間を増やす予定だ。働き方改革も進む。久留米大学病院(福岡県久留米市)は18年度、小児科のワークライフバランスを進める取り組みを、他科に紹介し広げる意向だ。ママさん医師が活躍中の小児科は13年末から土日にしっかり休めるよう体制を整備。休日にも主治医が担当患者の見回りやガーゼ交換をしていたのを、基本的に全て当直医が対応するよう変更した。入院患者らに対応する医師約20人の土日の平均勤務時間は、1日平均3.5時間から2.7時間に減少。患者から大きな不満はないという。キャリア支援を担当する一人、守屋普久子医師は「結婚出産を控える若手の女性医師が増える中、働き続けやすい環境作りが必要。大学病院で人材が不足すれば地域に医師を派遣できなくなる可能性もあり、地域医療に影響を及ぼしかねない」と話す。働く場を自ら作ることで子育てとの両立を図ろうとする試みもある。医療コンサルティング大手の総合メディカルは開業を希望する女性医師向けに19年4月に複数のクリニックが集まる「女医モール」の開業を都内2カ所で目指す。社内に女性社員主体の「JOY☆Working Team」を設け、医師の募集や開業地の選定に当たる。将来は子育て中の女性がワークシェアできる体制の医療モール開設も目指す。保育園と小学校に通う3人の子を育てながら首都圏の病院に勤める40代女性医師は開業を検討中だ。同医師は「自宅近くで開業できれば、子どもの下校後にクリニックで宿題をさせるなど、そばにいられる」と話す。今は父母の力も借りながら午前8時半~午後5時半を定時として働くが、緊急時には突如の時間外勤務や深夜の対応が必要なことがある。いつまでこの生活を続けられるか不安を感じるそうだ。ただ、「これまで約20年キャリアを積んで来られたのは、大学や患者さんから多くの機会を与えられてきたから。医師として返し続けることが使命」と強調する。医療に携わり続ける気持ちは変わらない。

*1-6:http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2018012801001532.html (東京新聞 2018年1月28日) 専門医研修、地方は低迷 外科「10人未満」27県
 若手医師に分野ごとの高度な知識や技術を身に付けてもらうため、4月から新たに始まる専門医養成制度で、医師が希望する研修先が大都市に集中し、地域に大きな偏りがあることが28日、分かった。外科は東京での研修希望者が170人に上る一方、青森、高知など27県は10人未満、内科でも9県が15人以下だった。指導医の数など、研修機関としての基準を満たす病院が地方に少ないことが背景にある。新たな制度は大学の医学部教授や公的機関の代表で構成する一般社団法人「日本専門医機構」(2014年設立)が運営。研修先登録結果は同日までに機構が公表した。

<介護>
*2-1:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20180127&ng=DGKKZO26194380W8A120C1EA3000 (日経新聞 2018.1.27) 介護自立支援、報酬手厚く、重度化防止も対象 医療と連携拡大促す
 厚生労働省は26日、4月から適用する介護保険サービスの新しい料金体系(介護報酬)を公表した。介護を受ける人の自立に向けた支援や、重度化を防ぐ取り組みに報酬を手厚く配ることが特徴だ。効率化に向け残された課題は多い。介護報酬全体の改定率は、昨年末の2018年度予算編成の過程でプラス0.54%と決まった。保険料などを除く国費ベースでは支給額が約140億円増える。同日の社会保障審議会(厚生労働相の諮問機関)の分科会では、報酬の増額分をどこに配分するかや、どのサービスを効率化するかの詳細を固めた。柱の一つである自立支援は、食事や入浴、歩行といった日常動作が通所介護(デイサービス)を通じて改善できた事業所に対して報酬を加算する。外部のリハビリ専門家や医師と協力した重度化防止の取り組みにも報酬を厚くする。適切な支援を通じ、服の脱ぎ着が自分でできるようになったり、不安定だった歩行がしっかりとした足取りになったりする例がある。介護事業者の間でも「やり方次第で要介護度が改善する人は多い。頑張った事業者が報われる仕組みが必要」との声が根強くある。要介護度が改善すれば生活の質が向上し、給付費も少なくて済む。今回の取り組みはその第一歩だが、加算額はわずかなため「自立支援のインセンティブとしては不十分」(介護事業者)との指摘が早くも出ている。自立支援などを重視する背景にあるのは、逼迫する介護保険財政だ。制度を施行した2000年度と15年度を比べると給付額は約3倍の9兆円、要介護認定者数は倍近くの445万人まで増えた。自立支援を通じて状態改善を促し、給付額の増加幅を抑える。今回の報酬改定では医療との連携拡大への評価も盛り込んだ。特別養護老人ホームでは終末期のみとりに対応するため、夜間や早朝に医師が駆け付ける態勢を充実させた施設への報酬も増やす。みとり対応が特養で可能になれば、病院への救急搬送などが必要なくなる。高齢者の「薬漬け」が問題となる中、かかりつけ医と連携した「減薬」への加算も新設する。介護施設と病院間で、利用者の状態について緊密に情報を共有することも促す。今回は報酬全体が増額となるため、事業者にとっては収益上プラスとなる面があるが、利用者の負担は増える場合がある。厚労省の試算によると、通所介護を週3回、訪問介護を週2回利用している場合、1カ月あたりの総費用は訪問介護分で5万2900円から5万5290円へと5%弱増える。自己負担を1割とすると200円超負担が増える。通所介護では自己負担は50円ほど増える。特養のモデルケースの場合、総費用は1カ月28万1040円から28万8730円へと8000円程増える。自己負担も800円近く増えることになる。今回は介護職員の負担軽減につながる情報通信技術(ICT)の活用促進策は一部にとどまった。特養の見守りセンサー導入で夜勤対応に関する加算を取りやすくするほかには目立った施策はない。

*2-2:https://digital.asahi.com/articles/DA3S13335157.html (朝日新聞社説 2018年1月29日) 介護報酬改定 利用者本位を忘れずに
 介護保険サービスで、事業者に支払われる介護報酬の4月からの改定内容が決まった。大きな特徴は、利用者の自立支援や重度化防止につながる取り組みに対し、重点的に報酬を手厚くしたことだ。リハビリを強化・充実するほか、通所介護(デイサービス)で、日常生活で使う身体機能が維持・改善される利用者が多い場合に「成功報酬」を加算する仕組みを入れる。特別養護老人ホームなどでは、排泄(はいせつ)で介助が必要な人の「おむつ外し」を支援する取り組みも評価する。身体機能が改善したり、自分でトイレに行ったりできるようになれば、利用者の生活の質の向上につながるだろう。一方で、利用者が望まないサービスを事業者が強いたり、改善が見込めそうな軽度の人ばかり選んだりしないかという懸念もある。十分留意したい。今回の改定には、高齢化が今後ピークを迎えるなかで、介護費用の伸びを抑える狙いもある。経済界などからは、給付の抑制策が不十分だとの不満も聞かれる。厳しい介護保険財政への目配りは必要だ。ケアプランを作るケアマネジャーの能力と中立性を高める工夫など、無駄をなくす努力も続けねばならない。同時に、利用者が自分らしく暮らすことを支えるという、介護保険の理念を見失ってはならない。調理や掃除といった生活援助サービスについて、財務省などは利用回数に上限を設けるよう求めていたが、導入は見送られた。利用が平均を大きく上回る場合は自治体が設ける専門職らの会議で検証し、必要があれば改善を促すことになった。利用回数が多い人には、ひとり暮らしや認知症の人も少なくないとされる。個々の事情をよく考慮してほしい。介護人材の待遇改善も、引き続き待ったなしである。今後の消費増税分を活用した改善策が検討されているため、今回の改定では具体策は限られる。しかし、介護報酬が全体として6年ぶりにプラス改定とされたのは、待遇改善による人手不足解消が喫緊の課題であることに配慮したからだ。事業者は肝に銘じてほしい。利用者のニーズにあった質の高い介護サービスを提供することは、「介護離職ゼロ」を実現するための基本である。そのためには、サービスのあり方だけでなく、税金投入や保険料を納める制度の担い手拡大など、負担増を視野にいれた議論も避けるべきではない。

*2-3:https://373news.com/_column/syasetu.php?storyid=89990 (南日本新聞社説 2018年1月28日) [介護報酬改定] 自立の「押しつけ」懸念
 利用者の意思に関係なく、自立を押しつけるようなことがあってはならない。厚生労働省が2018年度からの3年間、介護保険サービス事業所に支払う介護報酬の改定方針をまとめた。事業所が外部の医師らと連携して身体機能の回復に取り組んだ際の報酬を手厚くするほか、通所介護(デイサービス)で利用者の状態が改善すると加算する「成果型」の報酬が新設される。身体機能が回復すれば、生活の質の向上が期待できる。手厚いケアが必要な高齢者の増加を抑えられれば、増大する介護費用の抑制にも効果があるだろう。介護の総費用は18年度予算ベースで11兆円超に上る。団塊世代が全員75歳以上になる25年、日本は全人口の3人に1人が65歳以上という超高齢化社会に突入する。持続可能な制度とするために、費用の抑制は不可欠である。今回の改定は、医療機関に支払われる診療報酬との同時改定だ。夜間や早朝に医師が駆けつける態勢を整えた特養への加算を新設するなど、医療、介護の連携強化を目指すのも理解できる。ただ、介護保険制度の原点は利用者が目指す生活を補助することなはずだ。治すことを目的とする医療とは異なることも忘れてはならない。要介護度が重度の高齢者の増加を防ぐのは、厚労省のここ数年の方針だ。昨年の法改正では住民の要介護度の維持・改善に取り組み、成果を上げた自治体に財政支援をする交付金創設が決まった。事業所への成果報酬もこの一環といえる。利用者の要介護度が上がれば、事業所への介護報酬は上がる。逆に高齢者の状態が改善すれば、事業所の収入は減ることになる。事業所の努力が報われない今の仕組みは、確かに改善した方がいい。だが、成果報酬目当てで利用者にリハビリを強制する事業所が出ないとは限らない。国や事業所が機能回復に重点を置きすぎて、利用者の希望や実情が置き去りになるようでは本末転倒だ。訪問介護のうち掃除や調理などの「生活援助」については、市町村がケアプランを検証する仕組みを設けるなどの利用抑制策が盛り込まれた。軽度の利用者がヘルパーを家政婦代わりに使っている一部の例が問題視されているのは確かだ。しかし、定期的なヘルパー訪問は高齢者の見守りという意味合いも大きい。離れて暮らす家族の安心につながる役割に十分配慮する必要がある。

*2-4:http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2018012702000132.html (東京新聞社説 2018年1月27日) 介護の見直し 担い手の確保忘れずに
 三年に一度の介護報酬の見直しの内容が公表されサービスメニューが出そろった。超高齢社会を支えるための改定が行われるが、必要性を増す担い手の確保策が十分なのか、疑問が残る。介護報酬は、事業者に介護保険などから支払われる報酬で、いわばサービスの価格表だ。公的価格で国が定め、二〇一八年度から実施される。増やしたいサービスは価格を上げ取り組む事業者を増やすことを狙う。増える高齢者の在宅生活を支えるためのサービスの充実、自立した生活を支える介護予防やリハビリテーションの強化を図る。特に、今回は二年に一度の医療の診療報酬も改定される。同時改定を利用した医療と介護の連携メニューも並ぶ。在宅での医療ケアを担う看護職員の活躍の場が広がる。介護職員が医療機関や主治医との利用者情報の共有を進める。メニュー充実の方向はいいが、介護を担う人材の確保の視点を忘れてはならない。今改定では、訪問介護のうち生活援助について、研修を受けた幅広い人材の参入を図る。今担っている介護福祉士など専門性のある職員は身体介護に集中してもらうためだ。元気な高齢者が新たな担い手になれるが、介護の質を維持するため研修内容の十分な検討は欠かせない。人材確保が難しく地域のニーズに合わないなどの理由で広がらないサービスがある。一二年度に在宅を二十四時間支える訪問介護・看護サービスが始まった。在宅介護の“切り札”と期待されたが、一六年度で利用者は一日当たり一万三千八百人。今改定でも要件を緩和して事業者の参入を促すが、当初見込みの二五年度に一日当たり十五万人の達成は厳しいのではないか。サービスをつくっても担い手がいなければ普及しない。厚生労働省によると、一六年の介護職員の月給は全産業平均より約十万円低い。待遇改善は報酬改定の中でも進められているが、十分なのか。今改定では実施されない。春闘で賃上げが決まれば他産業とさらに差が開く。今後は、一九年秋に消費税率が10%に引き上げられた際、増税分を活用して一千億円を充てる予定でそれを待たなければならない。二五年度には三十八万人の介護職人材が不足するといわれる。介護ロボットの活用による負担軽減策も同時に広げながら、人材確保を進める必要がある。

*2-5:https://www.nikkei.com/paper/related-article/?b=20180127&c=DM1&d=0&nbm=DGKKZO26194380W8A120C1EA3000&ng=DGKKZO26194110W8A120C1EA3000&ue=DEA3000 (日経新聞 2018.1.27) 給付の効率化は不十分
 介護報酬全体の改定率が6年ぶりのプラス改定となった。大規模な通所介護事業所や家事援助サービスの報酬引き下げ、福祉用具レンタルへの上限価格設定など複数の効率化策をそろえたが、給付のムダを抑える半歩にすぎない。医療や年金を上回るスピードで増える介護費の抑制には力不足だ。焦点の一つとなっていたのが、利用者の自宅で調理や掃除を手掛ける「生活援助」と呼ばれるサービスの効率化だ。財政制度等審議会で月100回を超えるような頻繁な利用が問題視され、上限回数を設けるなど何らかの制限をかけるべきだとの声が上がった。最終的には上限設定は見送られ、代わりに平均を大きく上回る利用には市町村による一定のチェックが働く仕組みになったが、どこまで機能するかわからない。比較的収益率が高いとされる大規模な通所介護事業所の報酬も減らされる。ただ、これについては事業者から「規模拡大による経営効率化の動きを妨げる」との指摘も出て、改定にちぐはぐな面が否めない。介護給付費は2025年度に現在の2倍の約20兆円まで増えるとの推計もある。「どこまで社会保険で面倒を見るかの議論をしないと、際限なく給付が増えかねない」(大和総研・鈴木準政策調査部長)との懸念が広がっている。

<年金と高齢者雇用>
*3-1:https://www.nikkei.com/article/DGXLAS0040011_V00C17A1000000/ (日経新聞 2017/1/5) 75歳で高齢者、65歳は「准高齢者」 学会提言
 日本老年学会などは5日、現在は65歳以上と定義されている「高齢者」を75歳以上に見直すよう求める提言を発表した。医療の進展や生活環境の改善により、10年前に比べ身体の働きや知的能力が5~10歳は若返っていると判断した。前期高齢者とされている65~74歳は、活発な社会活動が可能な人が大多数だとして「准高齢者」に区分するよう提案。社会の支え手と捉え直すことが、明るく活力ある高齢化社会につながるとしている。65歳以上を「支えられる側」として設計されている社会保障や雇用制度の在り方に関する議論にも大きな影響を与えそうだ。平均寿命を超える90歳以上は「超高齢者」とした。提言をまとめた大内尉義・虎の門病院院長は「高齢者に対する意識を変え、社会参加を促すきっかけになってほしい」と述べた。学会は、お年寄りの心身の健康に関するさまざまなデータを解析。身体の働きや知能の検査結果、残った歯の数などは同一年齢で比べると年々高まる傾向にあり、死亡率や要介護認定率は減少していた。内閣府の意識調査でも、65歳以上を高齢者とすることに否定的な意見が大半で、男性は70歳以上、女性は75歳以上を高齢者とする回答が最多だったことも考慮した。准高齢者は、仕事やボランティアなど社会に参加しながら、病気の予防に取り組み、高齢期に備える時期だとした。

*3-2:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20180117&ng=DGKKZO25752900W8A110C1MM8000 (日経新聞 2018.1.17) 年金受給開始 70歳超も、政府検討 選択制、額は上乗せ 高齢者に就労促す
 政府は公的年金の受け取りを始める年齢について、受給者の選択で70歳超に先送りできる制度の検討に入った。年金の支給開始年齢(総合2面きょうのことば)を遅らせた人は毎月の受給額が増える制度を拡充し、70歳超を選んだ場合はさらに積み増す。高齢化の一層の進展に備え、定年延長など元気な高齢者がより働ける仕組みづくりも進める方針だ。2020年中にも関連法改正案の国会提出を目指す。政府が近くまとめる高齢化社会に関する大綱に「70歳以降の受給開始を選択可能とする制度を検討する」と盛り込む。政府が70歳超を選択肢として明示するのは初めて。大綱には、ハローワークに高齢者の再就職支援の窓口を増やしたり、起業をめざす高齢者を事務手続きや融資の面で支援したりする方針も示した。定年延長や継続雇用をする企業への助成制度の活用も明記した。現在の公的年金制度では、受け取り開始年齢は65歳が基準だ。受給者の希望に応じて、原則として60~70歳までの間で選択できる。受け取り開始を65歳より後にすれば毎月の受給額が増え、前倒しすれば減る仕組みだ。現行制度では、受給開始を65歳より後にすると、1カ月遅らせるごとに0.7%ずつ毎月の受給額が増える。例えば66歳で受け取り始めた場合、65歳から受け取るよりも月額で8.4%上乗せされる。いまの上限の70歳まで遅らせた場合は、受給額は同42%増える。70歳を超えてから受け取り開始を認める制度にする場合、70歳超の部分は65~70歳で受け取り始める場合の上乗せ(いまは0.7%)よりも高い上乗せ率にする方針だ。現行制度でも70歳超で受け取り始めることはできるが、70歳超の受給額の加算は対象外だった。受給開始年齢の上限は、いまの70歳から75~80歳程度に引き上げることを想定している。上限を定めた国民年金法と厚生年金保険法を改正する方針だ。制度が発足した当初、厚生年金の受給開始年齢は55歳(国民年金は65歳)だった。政府は高齢化に伴い、徐々に引き上げてきた。さらに開始年齢の上限を上げる場合、年金財政に影響が及ばないよう設計する方針。先送りで支給が不要になる分を、その後の受給額上乗せの財源に充てる。年齢の上限や増額率などは、厚生労働省の社会保障審議会年金部会で議論し、19年中に具体化する。受け取り開始年齢をめぐっては、17年に内閣府の有識者会議が引き上げを提言。自民党のプロジェクトチームも同様の方針をまとめていた。大綱にはこのほか、20年代初頭までに介護施設やサービスの受け皿確保を通じて介護離職をゼロにする目標などを盛り込んだ。安倍晋三首相をトップとする高齢社会対策会議の議論を経て、月内にも閣議決定する。

*3-3:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20180128&ng=DGKKZO26238120X20C18A1MM8000 (日経新聞 2018.1.28) 先進国、需要不足解消へ、今年、10年ぶり 経済、なお浮揚力欠く
 2008年のリーマン・ショック以降、先進国を苦しめてきた「需要不足」と呼ばれる状態が今年、約10年ぶりに解消される見通しとなった。米国の景気回復を追い風に貿易や投資が刺激され、需要が増えている。だがデジタル経済化に伴う経済の変質などの構造問題で物価の伸びも鈍い。金融緩和に頼らず、浮揚力を高めていけるか。主要国の経済運営は、なお難しいかじ取りを迫られている。国際通貨基金(IMF)の推計によると、日米欧などの先進39カ国はリーマン危機直後の09年、国内総生産(GDP)の3.9%にあたる1.5兆ドル(約163兆円)の需要不足に陥った。急激な需要減は大量の失業を招き、企業の設備投資も急減。だが、先進各国の経済対策で需要不足は徐々に解消に向かい、18年には0.1%と小幅ながらプラスに転じる見通しだ。
●失業率も最低水準
 経済は何年もかけて大きな波を打つように変動しており、この「景気循環」と呼ぶ流れを判断する目安が「需給ギャップ(総合2面きょうのことば)」だ。需要が不足すると経済活動が停滞して物価を下押しするデフレ圧力が強まるため、各国は金融緩和や財政出動で需要を喚起する。リーマン・ショック後の危機対応に伴う相次ぐ追加財政支出で、17年の先進国の政府債務残高は50兆ドル(約5500兆円)強と10年間でおよそ7割も増えた。13年には主要7カ国(G7)の全てが需要不足だったが、18年にはドイツが1.0%、米国が0.7%の需要超過になる見込み。専門家の間では超過の幅も順調に広がるとの分析が多い。日本は09年に7.3%だった需要不足が0.7%まで縮小しており、日銀の試算ではすでにプラスに転じている。背景には世界経済の同時成長がある。米国は3次にわたる大規模な量的金融緩和や減税で回復の足取りを強め、景気拡大は9年に及ぶ。数年前まで停滞感のあった欧州や中国も持ち直し、建設機械や電子部品の貿易も急回復中だ。17年の世界の貿易量は4.7%増と16年(2.5%増)から勢いを増し、危機から10年を経て世界経済の現状は「大いなる安定」ともいわれる。経済の活動水準が上がって雇用が逼迫し、先進国の失業率も5%台半ばと00年以降の最低レベルだ。IMFは22日、18年と19年の世界成長率見通しをともに3.7%から3.9%へと上方修正した。過去5年、先進国の物価上昇率の平均は中央銀行が目標とする2%を下回ってきた。経済学のセオリー通りなら、需要超過の下で物価や賃金にも上昇圧力がかかってきてもおかしくない。実際、欧米では物価が少しずつ上向く兆しが出ており、IMFは19年に2%を上回るとの見通しを立てるなど強気だ。米連邦準備理事会(FRB)は18年のシナリオとして3回の利上げを見込む。欧州中央銀行(ECB)も今月から資産購入を減らし、正常化を探り始めた中銀の一挙一動に市場は敏感に反応している。米長期金利は年明け以降、米税制改革や原油高に伴うインフレ期待を先取りするように上昇傾向をたどった。もし物価が予想以上のペースで上がり始めれば、利上げのテンポも速めざるを得なくなる。問題は、経済がそうした引き締めに耐えられるほど強固になったのかどうかだ。世界最大のヘッジファンド、ブリッジウォーター・アソシエーツ創業者のレイ・ダリオ氏は「FRBが1~1.25%の(追加)利上げをすれば資産価格は下落する」と話す。米国の株価や不動産には過熱感もみえ、調整が始まれば世界に波及する恐れがある。低金利で均衡を保っているグローバル経済が、一瞬にして変調を来すリスクと背中合わせだ。
●構造問題には課題
 物価上昇には懐疑的な見方も多い。世界的なデジタル経済の拡大と人口の高齢化、政府債務の増大――。「循環的な面では危機の後遺症がほぼなくなるものの、構造的な成長力の弱さは払拭されていない」。みずほ総合研究所の門間一夫氏はこう語る。失業率が下がるほど物価が上がるという負の相関関係は、右肩下がりの「フィリップス曲線」に示される。危機後はこの連動性が薄れ、日本や米国は失業率が完全雇用と考えられている水準を下回っている割に物価の反応が鈍い。オンラインショッピングの普及や機械化で賃金が抑えられるといった歴史的な構造変化が進んでいるためで、2000年に3%弱だった先進国の潜在成長率は金融危機後に1%強に低下し、いまも1%台半ばだ。経済の実力が弱いままだと、次の景気後退期が来るのが早まる恐れがある。需給ギャップが10年ぶりプラスとはいえ、中国や新興国との競争激化などで先進国がかつてのような成長トレンドを描くのは難しい。サマーズ元米財務長官が唱えた「長期停滞論」に重なるもので、各国当局者の戸惑いは消えない。この先、需要超過の勢いや物価、利上げテンポなど様々な景気の変数がどう推移するのか。世界経済が安泰といえる状況にはまだ遠い。

<サービス付高齢者住宅>
PS(2018.1.30追加):*4のように、三菱地所が老人ホームを開発したり、東急不動産・東京急行電鉄などが共同で高齢者住宅の複合開発に着手したり、野村不動産がシニア住宅を供給する目標を掲げたりしているのは、アクションが速くて感心する。しかし、有料老人ホームはマンション用地より手狭でよいというのは疑問が残るし、高齢者住宅は、サービスも付けられるようにした方がよいと考える。

*4:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20180130&ng=DGKKZO26271860Z20C18A1TJ2000 (日経新聞 2018.1.30) 三菱地所、老人ホーム開発、大手各社、高齢者住宅に的 狭い敷地を有効活用
 三菱地所が有料老人ホーム開発に参入する。主に東京23区で物件を開発して運営会社に賃貸する。東急不動産も東京急行電鉄などと共同で横浜市で分譲マンションと高齢者向け住宅の複合開発に着手した。不動産大手は市況の見通しが不透明になる2020年の東京五輪以降も見据え、安定した収益が見込める高齢者向け住宅事業を強化している。三菱地所はグループで住宅事業を担う三菱地所レジデンスを通じて参入する。有料老人ホームはマンション用地としては手狭な約1千平方メートル前後の敷地でも建てられることから、開発の柔軟性と収益性は高いと見ている。第1弾として老人ホーム運営のチャーム・ケア・コーポレーションが東京都区部で展開する物件を開発。チャーム社が物件を賃借して2019年春に開業する。物件は地上5階建てで、48室規模となる予定だ。当面は年間1~2棟の老人ホームを開発し、物件の賃貸や売却で15億~20億円規模の売り上げを目指す。地所レジは16年春に開発チームを発足させ、今年度から専属の社員を置いた。東急不動産は昨年、東京都世田谷区で分譲マンション「ブランズ」やシニア住宅「グランクレール」を複合開発した「世田谷中町プロジェクト」を開業したが、第2弾として横浜市緑区の十日市場で同様のプロジェクトを進める。東急電鉄やNTT都市開発の3社共同事業として展開。19年内の開業を目指し、分譲マンションと高齢者住宅を複合開発する。東急不は世田谷や横浜に次ぐ案件開発も模索している。政府は25年に高齢者人口に対する高齢者住宅の整備率を4%、146万人に高める目標を掲げているが、足元では2%程度にすぎない。野村不動産はシニア住宅の供給拡大が不可欠とみて、昨年10月に千葉県船橋市で介護が必要な人や健康な高齢者を対象にした住宅「OUKAS(オウカス)」の1号案件を開業。今後も千葉市や横浜市などでも順次施設を開業する方針で、向こう10年間で40棟、5千戸規模のシニア住宅を供給する目標を掲げている。

<ド阿保の発想>
PS(2018年1月31日、2月2日追加):日経新聞記者がどういう話の持って行き方をしたのかが疑問だが、*5-1のように、「原油から水素を取り出し、燃料を使って船で運んでくる」というのは、発想が悪すぎる。その上で、「石炭火力で作った電力や原油から作った水素でEVやFCVを動かしたら環境への負荷は減らない」などと言う人がいるが、これにはサウジアラムコのアミン社長も唖然とするだろう。サウジのムハンマド皇太子が原油の販売収入に頼った経済を見直す改革を進めているのは、サウジに石油化学製品などを作る会社や技術を誘致するという意味であり、原油から水素を作ることではないのである。なお、日本は、自然エネルギー由来の電力が余り始めて水も豊富であるため、その電力で水を電気分解すれば100%クリーンな水素と酸素が容易に得られる状況であり、このようにして国富をサウジに移転する必要はない。
 また、今日の予算委員会の質問で、「再エネを接続すると再エネ賦課金がかかり、電力消費者に負担になる」と言っていた委員がいたが、私の家の2018年1月の東電の再エネ賦課金は1,950円(10.0%)で、その他の部分が17,429円(90%)であり、17,429円の中には、①火力発電の燃料費 ②稼働していない原発や稼働率の低い発電所を含む従来の発電設備の減価償却費 ③種々のメンテナンス費用 ④事務費 ⑤原発事故処理費 等が含まれているのであり、従来の発電コストは決して安くない。そして、そもそも発電コストを正しく比較するには、発電方法毎に発生した原価の実績を正確に計算する必要がある。
 上のような理由で日経新聞記者のド阿保ぶりにはまいったが、*5-3のように、「九州水素・燃料電池フォーラム&水素先端世界フォーラム2018」が福岡市であり、九大の佐々木副学長が「経済と環境を両立させるキーテクノロジーが水素だ」と語られたり、九州の自治体や民間企業が水素社会の実現に向けた取り組みをしたりしているのは期待を持つことができる。2020年の東京オリンピックは、世界の人々を水素社会の幕開けに招待したいので、是非、オリンピック前に花開かせてもらいたい。

*5-1:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20180131&ng=DGKKZO26352050R30C18A1MM8000 (日経新聞 2018.1.31) サウジアラムコ、次世代エネで日本と協力、社長会見 脱・原油へ水素製造
サウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコのアミン・ナセル社長兼最高経営責任者(CEO)は都内で日本経済新聞記者と会見した。原油販売への依存を減らすため、原油から水素を取り出す技術で日本企業と協議に入ったと明らかにした。アジアで石油化学工場などへの投資も加速する。史上最大規模となる新規株式公開(IPO)は「2018年後半をめどに実行する」と言明した。サウジはムハンマド皇太子が旗振り役となり原油の販売収入に頼った経済を見直す改革を進めている。アラムコ株を最大5%上場して1000億ドル(約11兆円)を調達し、民間企業の育成に投じる計画だ。アラムコは世界の原油生産の1割近くを握り、売り上げの大半を原油販売に依存する。ナセル氏は「原油相場は健全な需要に支えられている」と話し、年内に供給過剰が解消するとの見通しを示した。だが英仏が将来のガソリン車販売を禁じる方針を打ち出すなど脱化石燃料の流れは加速している。このため将来の柱の一つとして温暖化ガスを排出しない水素の利用拡大に向け「原油から水素を取り出す技術の実用化を日本企業と議論している」と述べた。水素は環境への負荷が低い次世代エネルギーの中核となると期待されている。燃料電池車や発電への利用が見込まれ、水素関連のインフラ市場規模は50年に約160兆円になるとの試算がある。アラムコは豊富な埋蔵量を誇る原油から水素をつくることで、将来も原油から収益を得ると同時にエネルギー大国としての地位の維持を目指す。関係者によると、経済産業省系の日本エネルギー経済研究所が日本側の窓口になる。日本は官民を挙げて水素産業の育成を進め、トヨタ自動車や川崎重工業、千代田化工建設などが水素ビジネスの実用化をリードする。アラムコと日本側はすでに実務者級の協議を複数回実施。年内にサウジ国内の試験プラント設置に向けた事業化調査で合意を目指している。足元では原油をガソリンや化学製品に加工して販売する体制の整備を急ぐ。ナセル氏は「エネルギーと化学の複合企業となる」と強調。需要が拡大するアジアに照準を絞り、マレーシアやインドネシアで石油化学工場や製油所に投資する。「インドは重要な市場だ」とも強調した。同国の石油需要は40年まで年率3.3%成長を続ける見通しで「複数の企業と製油所開設に向けて協議中だ」と明かした。今年後半を目指すIPOによる資金調達額は過去最大だった中国のアリババ集団(約250億ドル)を大幅に上回る見通し。ニューヨークやロンドン、香港に加え東京市場も誘致に名乗りをあげる。ナセル氏は「上場市場は政府が最終的に決める」と述べるにとどめた。
*アミン・ナセル氏 1982年キングファハド鉱物資源大学を卒業、サウジアラムコ入社。開発・生産担当の上級副社長を経て、2015年から現職。

*5-2:http://qbiz.jp/article/127215/1/ (西日本新聞 2018年1月31日) 電力7社、燃料高で減益 市場の自由化で顧客流出も
 電力大手10社の2017年4〜12月期連結決算が31日出そろい、北陸、四国、沖縄3電力を除く7社の経常利益が前年同期比で減少した。火力発電の燃料となる原油や液化天然ガス(LNG)の価格が上昇し、利益を押し下げた。市場の自由化に伴う顧客の流出も響いた。燃料費は関西電力を除く9社で上昇し、東京電力ホールディングスなど2割程度増える企業が目立った。北海道電力は経常利益が半減し、中部電力は26・2%、東北電力は18・2%、東電は10・4%それぞれ減少した。一方、関電は3・1%の減益にとどまった。高浜原発3、4号機(福井県)の稼働で火力燃料費を抑制できた。四国電力は伊方原発3号機(愛媛県)の運転によって他の電力への販売が増え、経常利益は約3・4倍となった。沖縄電力は修繕費の低減などで17・0%増益。北陸電力も増益だったが、燃料費がかさんだため純損益は2年続けて赤字となった。売上高は、燃料高騰に伴う料金単価の上昇により10社全てで増えた。18年3月期予想は北海道、中国、四国3電力を除く7社が経常減益を見込む。

*5-3:http://qbiz.jp/article/127324/1/ (西日本新聞 2018年2月2日) 「水素社会」実現へ福岡でフォーラム
 水素エネルギーの普及促進策などを考える「九州水素・燃料電池フォーラム&水素先端世界フォーラム2018」(九州経済産業局、九州大など主催)が1日、福岡市であり、水素関連企業や大学関係者など約460人が参加した。九州大の佐々木一成副学長が「脱炭素・水素エネルギー社会実現への産学官地域連携と将来展望」と題して基調講演。「経済と環境を両立させるキーテクノロジー(主要技術)が水素だ」と語り、低コストで水の電気分解ができる技術や燃料電池の発電効率化に向けた開発が進んでいる現状などを紹介した。自治体や民間企業などの担当者による講演もあり、水素社会の実現に向けたさまざまな取り組みが報告された。

<外国人労働者>
PS(2018年2月1、3日追加):人口減少を問題視する論調が多いが、団塊の世代が働き盛りだった昭和50年代には、生産年齢人口の男女に対して十分な職場を作れなかったため、女性には仕事での達成を遠慮してもらって家事・育児に専念させていた経緯がある。そのため、昭和50年代の女性の労働力率は低く、1979年に国連総会で国連女子差別撤廃条約が採択され、日本も1985年に批准し、我が国でも男女雇用機会均等法が制定されて後、次第に女性の労働力率が上がってきたのである。従って、生産年齢人口の減少で女性や高齢者がフルに働いても失業率が低くなったのは一つの進歩と言わざるを得ず、*6-1の「動員型」の達成は、憲法27条1項の「すべて国民は勤労の権利を有し義務を負う」という条文から当然やらなければならないことである。しかし、労働力生産性(労働力人口1人当たりの生産性)も上げなければ、賃金や報酬を上げることはできないため、教育・訓練による労働の質の向上、技術革新の導入等が必要で、これも生産年齢人口の減少に伴う機械化・大規模化や教育水準の上昇で可能になった面がある。
 しかし、日本は、まだ外国人労働者を締め出している国だ。例えば、*6-2のようなフィリピン人女性が家政婦として働いているような国では、*1-5のように女性医師が仕事を辞める必要はなく、複数の家政婦を雇って子育て期を乗り切っている。これを、「女性間の不平等」などと馬鹿なことを言って高度専門職の女性も社会的に家に閉じ込めようとしたのが日本であるため、その原因を追究して猛省するところから始めなければ論点がずれ続けるのである。
 なお、*6-3のように、農業はロボット化やICT化などスマート農業による労働力軽減を行っても労働力不足が深刻になるそうで、外国人労働者を受け入れることが必要だ。そのためには、農協や農業法人を受け皿にすることができ、外国人の人権や権利を守りながら、異なる文化の接触で今までなかった製品が生まれるような形で外国人労働者を受け入れるのが望ましい。

 

(図の説明:1番左のグラフのように、日本は世界の中で失業率の低い国である。また、左から2番目のグラフのように、国内の失業率には変化があるが、正規雇用に適用される改正男女雇用機会均等法《1999年4月1日施行》、介護保険法《2000年4月1日施行》が導入された後、2000年代前半に失業率が5%代に上がり、非正規雇用《=非常勤》が増えた。さらに、左から3番目のグラフのように、女性の労働力率は次第に上がり、M字カーブは薄くなったが、今でも女性は非正規が多い。また、1番右の図のように、現在、日本は外国人の単純労働者を受け入れていない)

*6-1:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20180127&ng=DGKKZO26189740W8A120C1EN2000 (日経新聞 2018.1.27) 人口オーナス第2幕に備えよ
 少子化・人口減少が進むと、経済・社会を支える生産年齢人口(15~64歳)が絶対数でも、人口に占める比率としても減少・低下する。いわゆる「人口オーナス(重荷)」現象である。この人口オーナスの中にあって、持続的な成長を維持するためには「生産年齢人口1人当たりの生産性(生産年齢人口生産性)」を高めるしかない。生産年齢人口が5%減っても、生産年齢人口生産性が5%上昇すれば、人口オーナスの負の影響を帳消しにできる。実際はどうだったか。2012年度と、政府見通し数値を用い17年度を比較してみよう。この間、生産年齢人口は5.3%も減少したが、実質GDPは7%増大した。生産年齢人口生産性が13%も上昇したからだ。すると、日本経済は人口オーナスを生産性の上昇で克服してきたことになる。しかし話はそう簡単ではない。この生産年齢人口生産性を引き上げるには2つの道がある。一つは、生産年齢人口との対比でみた労働力人口の比率(労働力率)を引き上げることであり、もう一つは、「労働力人口1人当たりの生産性(労働力生産性)」の引き上げである。前者は働いていなかった女性、高齢者が働くようになることであり、いわば動員型の道である。後者は、働く人がより効率的に働くようになることであり、教育・訓練による労働の質向上、技術革新の導入、生産性の高い分野への労働移動などによってもたらされる効率性向上型の道である。再び12~17年度を振り返ると、女性や高齢者の参入増で労働力率は8.4%上昇した一方、労働力人口生産性は4.1%の上昇にとどまった。つまり、近年、人口オーナスの悪影響を克服できたのは、主に動員型によるものだったわけだ。人口オーナス第1幕は動員型による生産年齢人口生産性の上昇で乗り切ってきた。だが、女性や高齢者の参入は近く限界に達するだろう。女性労働力のM字カーブは解消傾向だし、もともと高水準だった高齢者の就業率をさらに引き上げることは次第に難しくなる。動員型が限界に達した後の人口オーナス第2幕においては、効率性向上型による労働力生産性の上昇が必須となる。今からそれが実現できるような働き方改革を進めていくべきである。

*6-2:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20180130&ng=DGKKZO26271910Z20C18A1MM8000 (日経新聞 2018.1.30) 共生への鍵(1)いずれ誰も来ない国に、競争力 見つめ直そう
 人口減で日本の働き手が減る構図が続く限り、年々増える外国人労働者は存在感を高める。国際的な人材獲得競争を見据えてどのように受け入れていくべきか。共生の輪を紡ぐ方策を探る。中国・上海市内には多くのフィリピン人女性が家政婦として働く。マリア・トマスさん(仮名、38)は「子供たちと離れるのはつらいが、家族を支えなくてはいけない」。月収は約8千元(約14万円)。日本で働いた経験があるが「日本よりも2割多い。中国の方が条件がずっと良い」。中国の平均年収(2015年)は6万2千元と20年前の12倍。就労を認めない中国に旅行ビザで入国する不法滞在の状態だ。地元メディアによると中国本土のフィリピン人家政婦は約20万人。あっせん業の男性は「ビザなど規制が緩和されれば殺到するだろう」と話す。中国93%増、韓国444%増――。国連統計によると00年から15年間で外国出身者の人口は日本で21%増だが近隣国も軒並み増えた。経済成長によりアジアで働く労働者の賃金もうなぎ登りだ。日本貿易振興機構の16~17年の調査を10年前と単純比較すると、一般工職の月給はインドネシア・ジャカルタが2倍近く増え、ベトナム・ハノイも3割上昇。日本の半分に満たない都市も多いが、格差は徐々に縮まる。いわゆる単純労働でも受け入れに制約ばかりが目立てば、いずれ選ばれない国になりかねない。日本に技能実習生を最も多く送り出すベトナム。ルオン・バン・ベトさん(27)は実習生として日本に行くのをやめ、台湾を出稼ぎ先に選んだ。技能取得が名目の実習制度では滞在が原則3年間で、台湾の方が長く滞在できると考えた。実習生を日本に派遣する機関の代表、レ・チューン・ソンさん(32)は「今後5年は日本に行きたがる若者が伸びるだろうが、その先はどうなるか」。こんな思いを日本側に伝えている。日本は15年から25年までの10年間で15~64歳の男性人口が270万人減る。これを補う高齢者や女性の就労も限界が近い。25年には団塊の世代が全て75歳以上になる。各年齢層の労働参加率の上昇ペースが2倍に速まり、女性の参加率が男性並みになっても、就業者数は25年をピークに減少に転じるとの試算もある。外国人材に三顧の礼で来てもらわなければいけない時代が現実味を帯びる。待っていても経済力が引き寄せるというのはもはや幻想だ。官民ともに外国人の立場になって魅力を売り込む知恵を練り上げる必要がある。起業をめざす人材にビザを認める特区となった福岡市では、手厚い支援体制で20人超が会社を起こした。「起業の準備期間が半年というのは短い。1年にしてくれれば」。フランス人のトマ・ポプランさん(29)の注文にも国が対応を検討中だ。受け入れ分野を一気に広げるのが難しくても、こうした取り組みは日本の競争力を引き上げる。意欲と質の高い外国人材を得るために、残された時間は少ない。

*6-3:https://www.agrinews.co.jp/p43091.html (日本農業新聞論説 2018年1月24日) 農業労働力不足 施策総動員で対応急げ
 空前の人手不足が、農業生産基盤の弱体化に拍車を掛けている。この先、日本の食と農を誰が支え、担うのか。主役は若い就農者。新技術活用や広域での農作業受委託も欠かせない。外国人材の位置付けも課題だ。施策、人、IT、先進ノウハウを総動員して、労働力不足に対応しなければ農業に未来はない。政府は「農業の成長産業化」を目指すが、担い手や労働力不足という構造問題抜きには語れない。今国会の柱「働き方改革」論戦の重要テーマだ。わが国の基幹的農業従事者数は160万人弱(2016年)。10年で3割約65万5000人減った。しかも65歳以上が65%を占め減少は加速していく。半面、明るい兆しも。新規就農者は2年連続で6万人(16年)を超え、49歳以下は3年連続で2万人超えとなった。法人経営体の増加を受け、雇用就農者の伸びが堅調だ。だが減少には全く追い付いておらず、絶対数の不足は深刻さを増す。それを端的に表すのが有効求人倍率(16年)。米麦や園芸で1・63、畜産で2・34。全産業平均の1・25を上回り、求人しても人が集まらない状況だ。特に法人経営の従業員や実習生、個人経営では農繁期のパート、農作業受託組織はオペレーターなどの人材が不足している。経営形態が個人経営から法人経営へと移行していく中で、雇用問題は経営問題に直結する。地域農業にとっても生産基盤を維持できるかの瀬戸際にある。日本農業法人協会、JA全中など全国連と全国農業会議所で組織する農業労働力支援協議会が昨年末、農業人材・労働力不足への対策を提言にまとめたのは、こうした危機感が背景にある。提言は「労働力不足解消に向けた対策の拡充」と、外国人技能実習制度の改善など「外国人の活用」に大別される。対策では就農環境の整備、広域での農作業受委託の仕組み作り、省力化技術の開発などを挙げ、行政や各団体の役割、関係機関との連携を明記。新規就農者増加の流れを着実なものにし、将来が見通せる経営の安定化を図ることが、問題解決の本筋である。併せて、ロボット農業技術や情報通信技術(ICT)などスマート農業による労力軽減、省力化を急ぐべきだ。外国人技能実習生については、昨年末施行の技能実習法で監理団体の許可制や実習生の保護強化など適正な運用を求めており、提言でも新制度の定着をうたう。併せて、複数の経営体や通年実習など運用面の改善を要望するが、技術移転の本旨に沿った運用に徹するべきだ。国家戦略特区を活用した外国人材の受け入れ拡大も提言したが、体制や法制度整備などを課題に挙げる。コスト優先の単純労働拡大に安易に走ることなく、外国人の権利保護、人権尊重など社会的・文化的側面も含め、この課題に向き合うべきだ。労働力問題は社会と農業の持続可能性を問い掛けている。


<惨めで悲しすぎる最期>
PS(2018.2.4追加):*7-1、*7-2の札幌共同住宅で入居者の男女11人が亡くなった火災では、建物の1階中央部に灯油ポリタンクが置いてあり、各部屋に灯油ファンヒーターが設置されていたそうだが、これなら高齢者の多い居住者のうち誰が失火してもおかしくないため、周辺住民を含む全員にとって危険な造りだったと言わざるを得ない。また、これは旅館だった建物を借りて生活保護受給者らを受け入れ、住居や就職先が見つかるまで一時的に居住させていたもので月3万6千円だったとのことだが、生活困窮者は家賃の安い公営住宅に入れて必要な人には介護や生活支援を行ったり、老人ホームに収容したりするくらいのことはすべきだ。

*7-1:https://www.hokkaido-np.co.jp/article/161078 (北海道新聞 2018.2.2) 札幌の共同住宅火災、火元は1階か 付近に灯油ポリタンク
 1月31日午後11時40分ごろ、札幌市東区北17東1、生活困窮者の支援を目的とした木造2階建て共同住宅「そしあるハイム」(16人入居)から出火し、入居者とみられる男女計11人が死亡した火災で、階段のある1階中央部分の燃え方が激しく、階段付近には暖房用の灯油入りポリタンクが置かれていたことが2日、関係者への取材で分かった。札幌市消防局などは何らかの火が灯油に引火し、短時間のうちに住宅全体に燃え広がったとみて出火原因を慎重に調べている。共同住宅は路上生活者らを支援する札幌の合同会社「なんもさサポート」(藤本典良代表)が運営。生活困窮者が新たな住居や就職先を見つけるまで一時的に受け入れていた。同社などによると、共同住宅は元旅館で築約50年が経過していたという。消防は老朽化に加え、厳冬下の空気の乾燥なども重なり、火の勢いが増したとみている。道警は1日午後から現場検証を開始。消防によると、燃え方が激しい1階中央部分の付近には調理場があるが、当時、火を使っていなかった。藤本代表によると、各部屋には灯油ファンヒーターが設置されていた。同社関係者によると、1階中央部分の階段付近には普段、ヒーターへの給油用の灯油入りポリタンクが置かれていたという。1階東側の物置でも複数の灯油入りタンクが保管され、火災現場からは焼けたポリタンクが数個見つかったという。
■安否確認ができていない方々
 道警は1日、札幌市東区の「そしあるハイム」の火災で、安否の確認ができていない40~80代の住人11人を発表した。名前と年齢は次の通り。
▽竹内正道さん(85)▽森ハナエさん(82)▽渡辺静子さん(81)▽大友靖男さん(78)▽沢田昌子さん(76)▽今井栄友(えいとも)さん(72)▽渋谷新一さん(72)▽川勝正幸さん(67)▽湯浅隆之さん(66)▽白府幸光(しらふゆきみつ)さん(61)▽西山被佐雄(ひさお)さん(48)

*7-2:http://www.saga-s.co.jp/articles/-/177275 (佐賀新聞 2018.2.4) 札幌共同住宅火災、より踏み込んだ支援を
 生活保護受給者らの自立支援を目的とする札幌市の共同住宅が全焼し、11人が死亡した。築50年ほどの老朽化した木造の建物はあっという間に炎にのまれた。16人いた入居者の大半は高齢で身寄りもなく、中には介護を必要とする人もいた。1人1部屋で各部屋には火災報知機があったが、スプリンクラーは設置されていなかったという。厚生労働省によると、生活困窮者向けの「無料・低額宿泊所」は、全国で530カ所以上が自治体に届け出て、約1万5千人が利用している。一方、無届けの施設も1200カ所余りが確認されており、約1万6500人が身を寄せている。火災が起きた札幌の住宅は無届けの一つだった。近年、こうした施設で火災が相次ぎ、犠牲者が後を絶たない。支援団体などが築40~50年の木造の建物を改装し、安い家賃で困窮者らを受け入れることが多いが、防火対策を充実させるのが難しいという。資金的余裕がなく、夜間に人を配置するといった対策を取れば家賃に跳ね返り、住まいを必要とする人たちが住みにくくなるからだ。厚労省は宿泊所について、防火態勢や個室面積の最低基準を定めるなど規制を強化する方針を固めている。無届け施設の実態把握も急がなければならない。さらに多くの施設に対して資金的にも人的にも、より踏み込んだ支援を行う必要がある。火災で11人が亡くなったのは札幌市東区の「そしあるハイム」。市内にある合同会社が以前は旅館だった建物を借りて運営。住居や就職先が見つかるまで一時的に生活保護受給者らを受け入れ、16人が保護費などから月3万6千円を支払っていた。各部屋に石油ファンヒーターがあった。昼間は職員が常駐しているが、火災が発生した深夜の時間帯は不在だった。ハイムでは入居者に食事を提供していたことなどから、市は無届けの有料老人ホームに当たる可能性があるとみて調査する。法律で定められる防火対策は建物の用途や規模により異なるが、有料老人ホームであれば誘導灯などの設置を求められ、自力避難の難しい入所者が一定割合を超える場合はスプリンクラーの設置も義務付けられる。市はこれまで4回にわたりハイムに調査票を送付した。だが回答はなく、実態を把握できなかったという。運営会社が防火対策の費用がかさむのを懸念し、応じなかったとの見方も出ている。秋田県横手市では昨年8月、精神障害者を多く受け入れていた木造アパートが全焼し、5人が死亡。2015年5月には、宿泊者の大半が生活保護受給者だった川崎市の簡易宿泊所の火災で11人が亡くなるなど、惨事が相次いでいる。建物が古く、狭い居室が密集する構造であるため、火災に見舞われると、被害が拡大しやすいとされる。ただ困窮者向け施設を必要とする人はこれからも増えるだろう。厚労省が16年に実施した調査では、住まいのない困窮者は首都圏を中心に03年の2万5千人余りから約6200人にまで減少したが、高齢化と長期化という傾向が見て取れる。そうした人たちの住まいの安全をどう確保していくか。規制強化の一方で、施設への財政支援はもとより、施設の職員がいなくなる夜間に地域の協力を得て人員を派遣するような仕組みを整えることも求められよう。

<防衛の無駄遣い>
PS(2018年2月7日追加):*8-1のように、佐賀県神埼市の住宅に陸自攻撃ヘリが墜落し、原子力燃料も飛散そうだが、政府は「佐賀空港の西側に陸自オスプレイ17機・ヘリ50機を移駐する計画を基本的に変えない」としているそうだ。しかし、この計画は、①田畑をつぶし ②海苔養殖が盛んな有明海を汚す危険性がある上、 ③佐賀空港に配備する機体は、長崎県佐世保市の陸自相浦駐屯地に新設する離島防衛部隊「水陸機動団」と連携運用を予定しているそうで、無駄遣いにも程がある。特に、③については、尖閣諸島を中心とする離島防衛部隊を長崎県と佐賀県という離れた場所で運用し、離島防衛に海自・空自ではなく陸自の水陸機動団とこのようなヘリを使って“攻撃する”という設定自体が合理的でない。また、戦争の道具に原子力を使用すれば墜落・撃沈時に周囲を汚染するため(まさか、想定外ではあるまい)、離島防衛の旗を掲げても必要最小限の費用で環境を汚さない有効な方法を考えるべきである。しかし、NHKは、このような議論も行われている予算委員会を放送せず、よくあることなのでとっくの昔に解決していなければならない*8-2のような積雪被害と角界のゴシップ(??)ばかりをしつこく報道し、重要な論点を国民の目から隠しているのが問題だ。そして、以上のような政策をとりながら、国民の生命・財産を護ることを大切にしているとは、とても言えないのである。

*8-1:http://qbiz.jp/article/127598/1/ (西日本新聞 2018年2月7日) 墜落「最悪のタイミング」 防衛省、オスプレイへの影響懸念
 佐賀県神埼市の住宅に陸上自衛隊AH64D攻撃ヘリコプターが墜落した事故で、小野寺五典防衛相は6日、佐賀空港への陸自オスプレイ配備計画への影響について「予断することは差し控える」と述べるにとどめた。政府筋は「計画は基本的に変えない」とするが、影響が出るのは必至とみられる。防衛省内には「最悪のタイミングだ」と嘆く声が広がっている。計画では、佐賀空港の西側に2019年度以降、陸自オスプレイ17機や今回墜落した機体が所属する陸自目達原(めたばる)駐屯地(佐賀県吉野ケ里町)のヘリ50機が移駐する。佐賀県の山口祥義知事は昨年7月に計画受け入れに前向きな姿勢を示したが、米軍オスプレイの相次ぐ事故で判断を保留している。防衛省幹部は「米軍ヘリの不時着問題があった沖縄県名護市長選を乗り越えたので、佐賀県の陸自オスプレイ配備も進められると思っていたが、最悪のタイミングだ」。その上で「地元は反発ムードが高まるだろう」と声を落とした。佐賀空港配備の機体は、3月に陸自相浦駐屯地(長崎県佐世保市)に新設する離島防衛部隊「水陸機動団」と連携運用を予定しており、計画見直しは考えていない。「ただでさえ理解が進んでいないのに、丁寧に説明していくしかない」(政府高官)と、引き続き理解を求めていく方針だ。
   ◇   ◇
●目達原の全ヘリが飛行見合わせ
 陸上自衛隊は6日、墜落、炎上したAH64D攻撃ヘリコプターが所属する目達原駐屯地の約50機の全ヘリについて、5日夕の事故後、飛行を見合わせていることを明らかにした。事故を受けて、自衛隊が運用する全てのヘリを整備点検しているためという。佐賀県で唯一の陸自駐屯地で、陸自西部方面航空隊や第4師団第4飛行隊が所属している。
   ◇   ◇
●佐賀県知事が現場視察 「けがの女児支える」
 佐賀県の山口祥義知事は6日午前、陸上自衛隊ヘリコプターが墜落した同県神埼市千代田町の事故現場を視察した。同市の松本茂幸市長も同行した。山口知事は「ここは住宅地で小学校や幼稚園もあり、憂慮すべき状況」と述べた。墜落した民家の家族と面会後、けがをした女児について「かなりショックを受けていると聞いた。全力で支えていくと話した」と記者団に明かした。これに先立ち、6日未明、現地派遣された大野敬太郎防衛政務官は県庁で副島良彦副知事と会談し「心からおわび申し上げる。原因究明、再発防止に全力を挙げたい」と陳謝。副島副知事は「県民の不安が高まっている」と述べ、原因調査に万全を期すよう求めた。

*8-2:https://digital.asahi.com/articles/ASL272JM7L27PTIL004.html?iref=comtop_8_01 (朝日新聞 2018年2月7日) 真っ白な世界、立ち往生する大型車 記者が見た雪の福井
 目の前は、空と地上との境界がわからないほど真っ白な世界が一面に広がっていた。7日午前7時ごろ、通行止めの国道8号を迂回(うかい)し、福井県あわら市の県道周辺の光景を見た。点在する住宅は、1階の半分くらいまで雪に埋もれていた。他は雪のじゅうたんがぎっしり。田畑か道路か、駐車場か。大阪出身で土地勘のない私には見当もつかない。福井市内に向かう主要な県道はある程度除雪され、車道と歩道の間に積み上げられた雪が巨大な壁となり、歩行者の姿が見えない。車はゆっくり進んだが、路上の雪の塊に乗り上げると、車体は身体が浮き上がるほど上下左右に大きく揺れた。道路脇には、大型トラックがあちこちで立ち往生。屋外駐車場の車は雪にすっぽり包まれ、巨大な蚕の繭が並んでいるようだ。車の窓越しにみると、除雪作業の住民たちの姿がある一方、完全に玄関が開かないほど雪に埋もれている民家もある。高齢者が除雪できる積雪量ではない。自然の脅威をまざまざと見せつけられる光景だった。福井市のえちぜん鉄道職員の鈴木和緒(かずお)さん(66)は7日午前8時半から、自宅前の除雪作業をしていた。高齢の母と妻と3人暮らし。「子ども3人は県外にいるから除雪作業は1人でやるしかない。(最大196センチの積雪を記録した1981年の)『56豪雪』も経験したが、それ以来の雪の量だ」と驚いていた。「福井の国道で1千台の車が立ち往生している」との一報で、私は6日午後2時、大阪市内を四輪駆動車で出発した。同日夕には福井県鯖江市の北陸自動車道の鯖江インターチェンジを降り、国道や県道を通って福井市内を北上し、あわら市にたどり着いた。福井市内は車が流れず、約20キロの道のりを進むのに3時間半。北陸道を降りた直後の国道8号では、30分ほど車が前に進まず、「立ち往生してしまったのではないか」とひやひやした。福井市内のコンビニエンスストアにも立ち寄ったが、パンやおにぎりといった食料品はほぼ完売。ガソリンスタンドではタンクローリーが来ないため、1台につき給油は20リットルまでという制限を設けていた。

<服育について>
PS(2018年2月10日追加):*9の銀座の中央区立泰明小で、8万円超のアルマーニ監修の服を標準服に決めたそうだが、小学生はすぐ大きくなるため、何回も買い変えなければならず、保護者には負担ではないだろうか。私は服育もある程度は大切だと思うが、下の1番左のアルマーニの標準服は、真ん中の学習院や右端の星野学園の制服と比較して特にデザインが優れているようには見えない。それより銀座の小学校なら、卒業生や保護者にもデザイナーがいる筈なので、かわいい夏服・冬服のデザインをいくつか出してもらい、その中から一番良いものを選んで、銀座ユニクロを通して日本の季節や子どもに適した生地で安く縫製してもらう方が賢いと考える。いくつかの区立小学校で同時に採用すれば、さらに安くなるし・・。

       
  2018.2.10佐賀新聞  学習院小学校 お茶大附属小学校     星野学園 

*9:http://www.saga-s.co.jp/articles/-/180125 (佐賀新聞 2018年2月10日) アルマーニ制服校長「変えない」、銀座の区立小
 高級ブランド「アルマーニ」が手掛けた制服を標準服として今春から採用することにした東京・銀座の中央区立泰明小学校の和田利次校長は9日、区役所で記者会見を開き「これまでより高額になるが、ご理解いただき購入してほしい。(採用を)変える考えはない」と述べた。一方で「各家庭に相談して進めてくれば良かったと反省点を持っている」とも話した。和田校長は採用した理由について「銀座の町の学校として発展していくために、ブランドの力をお借りするのも一つの方法と思った」と説明。「学校として統一性ある服を着ながら、同じ学舎で子どもたちが過ごすこともいいのではないかと考えた」と強調した。アルマーニが制服のデザインを監修しており、上下の服にシャツ、帽子、バッグなどを含めると、保護者の負担は8万円を超える場合もある。和田校長は高額な価格に「本校の保護者ならそれぐらいは出せるのではないかと思った。泰明小でなければこういう話は進めない」と語った。

| 経済・雇用::2018.1~ | 05:43 PM | comments (x) | trackback (x) |

PAGE TOP ↑