左のCATEGORIES欄の該当部分をクリックすると、カテゴリー毎に、広津もと子の見解を見ることができます。また、ARCHIVESの見たい月をクリックすると、その月のカレンダーが一番上に出てきますので、その日付をクリックすると、見たい日の記録が出てきます。ただし、投稿のなかった日付は、クリックすることができないようになっています。
2014,11,28, Friday
この事件の経緯 (1)産経新聞前支局長の朴大統領名誉毀損事件の概要 *1-1、*1-2に書かれているように、2014年8月3日に産経新聞のウェブサイトに掲載された記事で、韓国の朴槿恵大統領の名誉を毀損したとして情報通信網法違反(名誉毀損)で在宅起訴された産経新聞の加藤前ソウル支局長(48)に対する公判がソウル中央地裁で開かれ、検察が起訴状の要旨を朗読したところ、加藤前ソウル支局長は「①大統領を誹謗する意図は全くない」「②韓国には深い愛情と関心を持っている」「③韓国国民の朴大統領への認識をありのままに日本の読者に伝えようとしたものだ」と述べたそうだ。 しかし、産経新聞のウェブサイトの内容は、客船セウォル号が沈没した2014年4月16日に、「朴大統領の所在が7時間にわたって連絡がとれず、その間、元側近の男性と密会していた」という虚偽の噂を長期間掲載したもので、韓国紙・朝鮮日報のコラムを紹介した形をとりつつ、さらに証券街の関係筋の話として「朴大統領と男性の関係に関するものだ」と強調して記載したものである。 しかし、メディアが、①増幅した虚偽内容を記載し、名誉棄損で訴えられた時には誰かの話として免罪の理由にする ②政治家の批判は、権力に抗する表現の自由、言論の自由の範囲内だとして逃げる のは、私も週刊文春に嘘記事を書かれて訴訟した時、同じ反論があったので経験済みであり、ステレオタイプの逃げ方だが、日本の裁判所も、「表現の自由、言論の自由は、人権侵害・名誉棄損・侮辱に優先しない」という判決を出している。また、これは、メディアの本物の表現の自由、言論の自由の使い方ではなく、こんなことしか書けないのを、日本のメディアは恥ずかしくないのだろうか。 (2)朴槿恵大統領が「重要な時に男性と私的な密会をしていた」という嘘記事は、公益にあたるか *2のように、韓国の検察が、「コラムの内容は客観的な事実と異なり、大統領を誹謗した」と主張したのに対し、産経新聞の加藤前ソウル支局長は、「誹謗する意図はなく、報道は公益性がある」と主張する構えで、「①誹謗中傷の意図があったか」と「②公益性が認められるか」が争点になる。 このうち、①の「誹謗中傷の意図があったか」については、子どもではあるまいし、プロの記者と報道機関であれば、「誹謗中傷の意図はないのに誹謗中傷になってしまった」などという言い訳は無用であり、産経新聞という組織と記者なら、そのくらいの見識と判断力を持って行動するのが当然である。 また、②の「『朴大統領の所在が7時間にわたって連絡がとれず、その間、元側近の男性と密会していたとの噂がある』という虚偽の記事を長期間にわたって産経新聞のウェブサイトに掲載し続けたことは公益に当たるか」という問題については、公益に当たる有用な情報だと考える人は日本人でも少ないし、そのような侮辱的行動は日韓双方にとって有害であり、独身女性と言えば「重要な時に男性と私的な密会していて仕事が疎かになった」などと報じるのは、女性蔑視を利用したセクハラを含む批判である。 (3)朴槿恵大統領の評判を落とす目的の誹謗中傷でなければ、何が目的だったのか この件に対し、産経新聞は「朴槿恵大統領の意思について、今後の公判で確認する必要がある」「朴槿恵大統領が加藤前支局長の処罰を望むのか」などが明らかにされていない “被害者”の意思不明の異例の名誉毀損裁判としているが、このような嘘記事を書かれて朴槿恵大統領が喜んでいるわけがなく、朴大統領は考慮して自分の発言を控えているにすぎないだろう。それを、朴大統領自身は産経新聞の加藤前ソウル支局長のコラムを喜んでいるなどと考えているとしたら、セクハラの定義すらわかっていない異様な報道機関であり、猛烈な反省が求められる。 これに対し、大統領府の尹斗鉉(ユン・ドゥヒョン)広報首席秘書官が、2014年8月上旬、「民事、刑事上の責任を最後まで問う」と表明し、11月に国会で大統領府の金淇春(キム・ギチュン)秘書室長が「言論、出版の自由はとても重要だが、韓国憲法21条にある通り、虚偽によって他人の名誉を侵害する自由はない」と主張しているのはまことに尤もであり、日本でもそうである。 そのため、*3-2のように、産経新聞は、「保守系団体のメンバーが、法廷で大声をあげて退廷させられた」「加藤前支局長の乗った車に生卵を投げつけた」として、怒っているのは保守系団体のメンバーだと決めつけて書いているが、短時間で「怒っているのは保守系団体のメンバーだけだ」と確認できたわけがない。そして、「大統領の名誉が優先か、言論・報道の自由が守られるべきか」という誤った争点に導こうとしているが、言論の自由や報道の自由は真実の情報であって初めて価値のあるものであるため、この争点の設定の仕方自体が合理化を図るための意図的なものである。 従って、侮辱する記事を書いて反省のかけらもない産経新聞に対し、「加藤達也、韓国国民に謝れ」「加藤を拘束せよ」などと叫んで前支局長非難するプラカードを掲げたり、加藤前支局長の乗った車に卵を投げつけ、ボンネットに横たわり、「謝罪」を迫る紙を車体に貼り付けた気持ちはよく理解できる。しかし、このような人間に卵を投げつけてはもったいないので、牛か豚の糞でよい。 (4)これは日韓関係の問題ではなく、産経新聞の問題である *2のように、「この問題を巡り、日本政府は韓国政府に対し、『報道の自由や日韓関係の観点から、極めて遺憾で深く憂慮している』との立場を伝えた」そうだが、本来なら、ここで日本政府は関係がなく、これはあくまで産経新聞の問題である。 しかし、あまりにも産経新聞に偏り、迅速な日本政府の発言を見ていると、都合の悪い朴大統領の発言力を低下させたり、排除したりする意図があって、そのために産経新聞を使ったかのように見えた。 なお、*2には、国際的なジャーナリストの団体“国境なき記者団”も「報道機関が政治家の行動に疑いを持つのは普通のことだとして、韓国政府の対応を批判している」と書かれているが、民主主義の国でメディアが真実の報道をしなければ、その疑いが政治を正しい方向に導くことは決してないのを、ジャーナリストは肝に銘じるべきである。 *1-1:http://mainichi.jp/select/news/20141127k0000e030179000c.html (毎日新聞 2014年11月27日) 韓国:産経前支局長が無罪主張 朴大統領名誉毀損の初公判 【ソウル澤田克己、大貫智子】産経新聞のウェブサイトに掲載されたコラムで朴槿恵(パククネ)大統領の名誉を毀損したとして、情報通信網法違反(名誉毀損)で在宅起訴された同社の加藤達也前ソウル支局長(48)に対する公判準備手続きが27日、ソウル中央地裁で開かれた。検察が起訴状の要旨を朗読し、被告による起訴内容の認否も行われた事実上の初公判。加藤前支局長は「大統領をひぼうする意図は全くない」と述べ、起訴内容を否認し無罪を主張、全面的に争う姿勢を示した。法廷で加藤前支局長は用意した紙を読み上げ「韓国には深い愛情と関心を持っている」と強調。「韓国国民の朴大統領への認識をありのままに日本の読者に伝えようとしたものだ」と、ひぼうする目的だったとする検察側の主張を否定した。この日は日韓の記者ら約70人が傍聴し、座りきれず立ったままの人も多かった。開廷直後に男性が「大韓民国国民に謝罪しろ」と大声で叫び、連れ出される場面もあった。次回公判は12月15日の予定。コラムは、8月3日にウェブサイトに掲載された。客船セウォル号が沈没した4月16日、朴大統領の所在が7時間にわたって不明で、その間に男性と密会していたとのうわさがあるという韓国紙・朝鮮日報のコラムを紹介。さらに証券街の関係筋の話として、うわさを「朴大統領と男性の関係に関するものだ」と書いた。検察は起訴状で、コラムで名指しされた男性と朴大統領を被害者だと指摘。「被告は、被害者たちをひぼうする目的で、情報通信網を通じて公然と虚偽の事実を広めて被害者たちの名誉を毀損した」としている。加藤前支局長は10月1日付で東京本社勤務の辞令が出たが、韓国当局が8月から出国を禁じているため帰国できずにいる。弁護側は出国禁止措置の解除を要請しているが、公判中も出国禁止措置を継続することができる。このため今後も相当の期間、帰国できない可能性が高い。韓国の法曹関係者によると、名誉毀損事件の1審は通常、初公判から判決まで8カ月程度かかる。上告審まで争った場合、最終的に決着がつくまでに1年以上が見込まれる。さらに今回は「政治的な案件なので普通よりも長引く可能性がある」という。 *1-2:http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00281586.html (FNN 2014.11.27) 産経新聞前ソウル支局長、事実上の初公判で罪状を否認 韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領の名誉を傷つけたとして、在宅起訴された産経新聞の前ソウル支局長の事実上の初公判が、27日午前に行われ、前支局長は罪状を否認した。加藤達也前支局長(48)を乗せた車は、27日午前、裁判所をあとにしたが、市民団体が卵を投げつけるなどの混乱が生じた。しかし、裁判は粛々と進行し、加藤前支局長は、はっきりと「大統領個人を誹謗(ひぼう)する趣旨はない」と起訴事実を否認した。この裁判は、産経新聞の加藤達也前ソウル支局長が、セウォル号事故当日の朴槿恵大統領の対応について書いたコラムが、「元側近の男性と会っていたのではないか」との虚偽の事実で、朴槿恵大統領の名誉を傷つけたとして、情報通信網法の名誉毀損(きそん)の罪で、在宅起訴されたもの。午前10時から始まった裁判は、日本や韓国のマスコミが法廷を埋め尽くす熱気に包まれ、人定質問や証拠申請などの手続きが行われた。そして、開廷から1時間余りたって、意見陳述を求められた加藤前支局長は、「セウォル号事故当時の大統領をめぐる現象を、ありのままに伝えるもので、朴大統領個人を誹謗する趣旨はありません。法と証拠で、厳正に裁判が進行されることを望みます」などと述べた。裁判では、記事が大統領の名誉を傷つける目的で書かれたものか、記事の真実性などが主な争点となるが、前支局長側は、記事には公益性があり、また、男女関係を断定的に書いたわけではないなどと主張する方針。報道の自由をめぐり、批判が相次ぐ中、起訴を強行。日韓関係にも影を落としたこの裁判は、長期化が予想されるが、記事の公益性や趣旨をめぐり、双方の攻防が繰り広げられることになる。 *2:http://www3.nhk.or.jp/news/html/20141127/t10013517671000.html (NHK 2014年11月27日) 産経新聞前ソウル支局長 27日に初公判 韓国のパク・クネ(朴槿恵)大統領の名誉を傷つけたとして在宅起訴された産経新聞の前ソウル支局長の初公判が27日、ソウルの裁判所で開かれ、前支局長は起訴された内容を否認し、争う姿勢を示す見通しです。産経新聞の加藤達也前ソウル支局長(48)はことし8月、産経新聞のウェブサイトに掲載されたコラムで、パク・クネ大統領が4月の旅客船沈没事故当日、7時間にわたって所在不明だったと伝えた韓国の新聞を引用するとともに、特定の男性とのうわさなどを紹介し、インターネットを使って名誉を毀損した罪に問われています。27日午前、ソウル中央地方裁判所で開かれる初公判で、前支局長は起訴された内容を否認し、裁判で争う姿勢を示す見通しです。裁判では「コラムの内容は客観的な事実と異なり、大統領をひぼうした」と主張する検察側に対し、前支局長は「ひぼうする意図はなく、報道は公益性がある」などと主張する構えで、ひぼう中傷の意図があったかや、公益性が認められるかが争点になるとみられます。この問題を巡り、日本政府は韓国政府に対して「報道の自由や日韓関係の観点から、極めて遺憾で深く憂慮している」との立場を伝えたほか、国際的なジャーナリストの団体「国境なき記者団」も「報道機関が政治家の行動に疑いを持つのは普通のことだ」として、韓国政府の対応を批判しています。 *3-1:http://news.livedoor.com/article/detail/9512463/ (産経新聞 2014年11月27日) 産経前支局長公判 “被害者”朴大統領の意思は…不明のまま異例の名誉毀損裁判 【ソウル=藤本欣也】産経新聞の加藤達也前ソウル支局長の弁護側は27日、名誉を毀損されたと検察側が主張する朴槿恵(パク・クネ)大統領の意思について、今後の公判で確認する必要があるとの見解を提示した。加藤前支局長の処罰を望むのかなど、朴大統領自身の被害者としての考えが明らかにされていないためだ。朴大統領に対し、証人としての出廷や意見書の提出などを求める選択肢があるが、弁護側は検察側の対応も見極めながら法廷戦術を決定する。今回のケースが一般の名誉毀損と異なるのは、被害者とされる朴大統領が、問題となっている加藤前支局長のコラムについてどう考えているのか、また、加藤前支局長の処罰を望むのか否かなどに関して全く分からない点だ。起訴状にも一切触れられておらず、検察側は、被害者の意思が分からないまま名誉毀損での起訴に踏み切った形となっている。こうした異例の事態が起き得るのは、韓国では法律上、第三者が名誉毀損で告発できるためだ。日本を含め多くの国は、被害者本人の告訴がなければ名誉毀損で起訴できないという親告罪を適用している。今回のケースでは3つの市民団体が、加藤前支局長のコラムによって朴大統領の名誉が毀損されたとしてソウル中央地検に告発したのが契機となった。コラムに対する朴大統領側の見解としては、大統領府の尹斗鉉(ユン・ドゥヒョン)広報首席秘書官が8月上旬、「民事、刑事上の責任を最後まで問う」と表明。11月には国会で大統領府の金淇春(キム・ギチュン)秘書室長が「言論、出版の自由はとても重要であるが、韓国憲法21条にある通り、虚偽によって他人の名誉を侵害する自由はない」と主張している。弁護側はこれらに関し、「あくまでも大統領府という国家の一機関の見解にすぎない。被害者は大統領府ではなく朴大統領個人」との立場を取っている。今後の公判では、朴大統領の意思をどのように確認するのかが焦点の1つとなる。韓国の司法は、国内世論の動向に敏感で影響を受けやすい。弁護側は、検察側の対応のほか、世論の動向も考慮に入れながら判断することにしている。韓国の名誉毀損では、被害者が処罰を望まない意思を示した場合、裁判所は公訴を棄却し公判は終結することになる。 *3-2:http://www.sankei.com/world/news/141127/wor1411270032-n1.html (産経新聞 2014.11.27) 一時騒然、退廷した前支局長の車に生卵投げつける 韓国保守系団体 【ソウル=名村隆寛】大統領の名誉が優先か、言論・報道の自由が守られるべきか。産経新聞10+ 件の加藤達也前ソウル支局長が朴槿恵(パク・クネ)大統領の名誉を毀損(きそん)したとして、罪を問われた裁判の事実上の初公判が27日、開かれた。保守系団体のメンバーらは、法廷で大声をあげて退廷させられたほか、加藤前支局長の乗った車に生卵を投げつけるなど、裁判10+ 件所の内外は一時騒然とした。ソウル中央地裁には、日韓の報道関係者に加え、産経新聞を批判する保守系団体のメンバーら100人以上が集まった。外国人記者を法廷に立たせて、名誉毀損の罪に問うという異例の裁判。午前10時の開廷を前に加藤前支局長は入廷。約30席の傍聴席はすでに満席で、約40人が立ったまま傍聴した。韓国でも裁判所の敷地内の示威行為は禁止されている。しかし、保守系団体のメンバーらは傍聴席に入り、「加藤達也、韓国国民に謝れ」「加藤を拘束せよ」などと叫び、前支局長非難するプラカードを掲げるなどして、複数の男性が退廷を命じられた。加藤前支局長は裁判官や検察の発言にメモを取りながら聞き入り、公判の最後にはっきりした口調で意見陳述を行った。公判は1時間あまりで終了したが、団体メンバーらは裁判10+ 件所を出ようとする加藤前支局長の乗った車を取り囲み、複数の卵を投げつけ、ボンネットに横たわるなどして通行を妨害。「謝罪」を迫る紙を車体に貼り付けて気勢を上げた。 PS(2014.11.29追加):*4のように、韓国の原発付近で甲状腺がんを発症した223人が集団提訴したそうだ。日本ではこじつけのような解説が横行しているが、今後のためには、日本でも泣き寝入りしてうやむやにするのではなく、本当の因果関係を訴訟で明確にした方がよいと考える。 *4:http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141128-00000031-xinhua-cn (YAHOOニュース 2014年11月28日) 韓国の原発付近住民、甲状腺がん患者223人が集団提訴―中国メディア 27日付の韓国聯合ニュースによると、韓国各地の原子力発電所付近で生活する住民のうち、甲状腺がんを発症した223人が27日、韓国水力原子力発電会社を相手取り、慰謝料を求める訴えを提起した。環球網が伝えた。韓国では10月にも、釜山市機張郡の古里原発付近で生活する住民らが同社を相手に裁判を起こしている。釜山市の8つの市民団体が古里、月城、韓光、韓蔚原発から8~10キロ以内で3年以上生活している住民を集めて集団提訴した。裁判所は一審で、同社に1500万ウォンの支払いを言い渡したが、原告側は患者の配偶者に200万ウォン、子どもに対しても1人当たり100万ウォンの賠償も求め、上訴した。釜山市環境運動協会の崔秀英会長は「これほど多くの住民が集団提訴するとは思わなかった。原発付近の住民が受ける影響は想像以上だ」と話している。
| 民主主義・選挙・その他::2013.12~2014.11 | 12:39 PM | comments (x) | trackback (x) |
|
2014,11,23, Sunday
フクシマによる汚染 パブリックコメントの内容 川内原発について 再稼働の流れ 今回の衆議院解散について、安部首相は外国から日本に帰ってくるまで、「解散するつもりはない」と言っておられたが、帰ってきたら解散風が吹いていたので、それに従って解散したと言える。そのため、野党が「解散の是非」を論点にするのは間違っている。 しかし、安部首相が「①決められる政治になった」「②これまで真っ暗な道を通っていたが、やっと明るさが出てきた」と頻繁に述べておられることについて、私は、①については、間違ったことを決められるよりは決められない方が余程よいと思うし、②については、これまで真っ暗だったかどうかは疑問があり、現在の薄日も名目であって実質ではないし、実質の明るさが出るためには準備期間が必要であることを考えれば、賛成できない。 そのため、今回の解散を名付ければ、安部政権への「ぬきうちテスト解散」と言うことができ、安定多数をとって安心していた安部政権のこの2年間の実績が問われるべきである。ただし、この2年間に行われたことは、安部首相の意向によるものばかりではないため、アベノミクスとして一括するよりも、テーマ毎に是非を判断すべきだ。 なお、有権者が、「政策が一致している政党に投票するか否か」については、「生意気に見えるから入れない」「お祭りに来たから入れる」「観劇会に連れて行ってもらったから入れる」などというようなこともあるため問題は残るものの、次の点は、争点にして判断して欲しいと考えている。 特定秘密保護法 TPP 農協改革 アベノミクス (1)原発再稼働の是非(このブログの「原発」「内部被曝・低線量被曝」のカテゴリーに詳しく記載) 自民党政権になって、エネルギー基本計画で重要なベースロード電源とされた原発は、再稼働の準備がどんどん進められ、再生可能エネルギーは危機に瀕している。しかし、エネルギー基本計画を作成するにあたって、パブリックコメントとして国民から寄せられた意見では、原発維持・推進は1.1%しかなく、原発廃止が94.4%を占め、それはエネルギー基本計画作成前には公表されなかった。原発廃止意見の根拠は、①地震国で安全ではない ②使用済核燃料の処分場がない ③火山噴火予知ができない ④避難ができない などである。 (2)特定秘密保護法の是非(このブログの「特定秘密保護法関係」のカテゴリーに詳しく記載) 特定秘密保護法が制定され、理由もわからないまま逮捕され厳罰に処せられる可能性が出てきたため、刑法研究者が、速やかな廃止を求める抗議声明を発表した。その声明は、①何が特定秘密かが極めてあいまいで罪刑法定主義の原則に反し違憲 ②特定秘密の内容が明らかにされないまま公判が開かれれば、憲法82条の裁判公開原則に反する、など刑事法の観点から問題点を指摘しており、一橋大名誉教授、九州大、北海道大、大阪大などの教授や弁護士らが名前を連ねている。それでも特定秘密保護法を施行するのか、また、それは何のためかなのかを問題にすべきである。 (3)TPP、農協改革の是非(このブログの「環太平洋連携協定」「農林漁業」のカテゴリーに詳しく記載) TPPは農業にダメージを与え国家主権を害するものだが、自民党は公約を曖昧にしてTPPや農協改革を進めてきた。これは、経済産業省の意向が強く働いているからだろうが、地域の産業として、農林漁業や食品産業は重要であるため、守らなければならない。また、農協改革も実態に合っていないため、ここで「No」の意志表示をすべきだ。 (4)消費税増税の是非(このブログの「消費税増税問題」のカテゴリーに詳しく記載) 消費税増税の是非については、昨日も記載したとおり、ここで明確に「No」の意志表示をすべきだ。 (5)年金・社会保障削減の是非(このブログの「年金・社会保障」のカテゴリーに詳しく記載) 社会保障は、街づくりや中食産業の工夫により、サービスを維持しながらある程度削減することが可能だが、年金、医療保険、介護保険を削減されれば生活できなくなる人が多い。これは、副総理の麻生財務大臣や世襲議員にはピンとこない人が多いため、国民が、ここで明確な「No」の意志表示をすべきだ。 (6)普天間基地問題の是非(このブログの「普天間基地問題」のカテゴリーに詳しく記載) このブログの2014年11月17日にも記載したとおり、在日米軍施設の74%が集中する沖縄に、辺野古沖を埋め立てて新たな米軍基地をつくることは、保守分裂までして行われた今回の沖縄県知事選挙で明確に反対の意志が示された。しかし、政府はその選挙結果にもかかわらず、辺野古移設を進めると明言しており、民主主義国家としていかがなものかと思われるため、国政選挙でも論点として、「No」の意志表示がなされなければならない。 (7)集団的自衛権行使の是非(このブログの「安全保障」のカテゴリーに詳しく記載) 日本国憲法は最高法規であるため、日本がどこまで集団的自衛権を行使できるかは、憲法の範囲内に決まっているが、いろいろと迷案が出ているので、ここで明確にすべきである。 (8)国民主権と憲法改正の是非(このブログの「日本国憲法」「民主主義・選挙」のカテゴリーに記載) 自民党は憲法改正の準備に入っているため、この議論も重要である。 *1:http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2014112102000125.html (東京新聞 2014年11月21日) 安倍政治を問う 衆院きょう解散 安倍晋三首相は二十一日、衆院を解散する。二〇一二年十二月の第二次安倍政権発足後、約二年間にわたって進めてきた政策が審判を受ける。くらしへの影響が大きいアベノミクスと呼ばれる経済政策、憲法解釈の変更で集団的自衛権の行使容認に踏み切った安全保障政策、再稼働を進める原発政策は、日本の針路を大きく左右する三つの岐路として、その是非が問われる。政府は二十一日午前の閣議で、各閣僚が解散の閣議書に署名。午後一時開会予定の衆院本会議で伊吹文明議長が解散詔書を朗読し、衆院は解散される。政府はこの後の臨時閣議で「十二月二日公示、十四日投開票」の選挙日程を正式決定する予定。衆院選は、自民、公明両党が大勝し、民主党から政権を奪還した一二年十二月以来二年ぶり。首相は二十日、都内で開かれた商工会全国大会で「私たちが進めている成長戦略が正しいのか、ほかに道があるのか、選挙戦を通じ明らかにしていく」と述べ、アベノミクスの継続の是非を問う考えを示した。与党は近く円安対策などを柱とした経済対策をまとめ、選挙戦で実現を訴える。一方、民主党の海江田万里代表は都内で記者団に「アベノミクスによる格差の拡大と固定化はあってはならない。(安全保障政策で)社会がきな臭い方向に行かないように押しとどめる」と安倍政権と対峙する考えを示した。衆院選公示が迫る中、野党は他党と競合する選挙区の調整や公認候補の選定作業を加速。一部では離党して民主党に合流する動きが表面化した。首相は十八日、消費税率の8%から10%への引き上げを一七年四月まで一年半延期すると明言。「国民生活に密接に関わる税制を変更する以上、速やかに信を問うべきだ」として二十一日に衆院を解散する。首相は与党で過半数(二百三十八議席)を下回れば退陣する考えを表明した。 *2:http://mainichi.jp/select/news/20141121k0000e010232000c.html (毎日新聞 2014年11月21日) 衆院:解散、総選挙へ…アベノミクス問う 12月2日公示 衆院は21日午後1時からの本会議で解散された。衆院選は「12月2日公示−14日投開票」の日程で行われる。衆院解散は2012年11月16日に民主党政権の野田佳彦首相(当時)が行って以来2年ぶり。安倍晋三首相は、今年4月の消費税率8%への引き上げ以降、経済が低迷していることを受け、来年10月予定の10%への引き上げを1年半先送りすることを決めた。衆院選では、政権の経済政策「アベノミクス」継続の是非のほか、集団的自衛権の行使容認などが大きな争点となる。首相は21日朝、首相官邸で記者団から「解散に臨む気持ちは」と問われたが、「おはよう」と右手を挙げるにとどめ、閣議前の写真撮影の際も硬い表情のままで無言だった。閣議では、全閣僚が閣議書に署名し、憲法7条に基づく解散詔書を決定。「大義なき解散」との批判を念頭に、菅義偉官房長官はその後の記者会見で、「首相はデフレ脱却と経済再生に強い意欲を持っている。解散後に首相が会見して説明する」と述べた。午後の衆院本会議で、伊吹文明議長が解散詔書を読み上げ、解散。民主党は「解散に大義がない」として、慣例となっている「万歳」をしなかった。維新も起立のみで万歳はしなかった。野党各党は今回の衆院解散・総選挙を「延命をはかる解散」と批判している。政府はその後の臨時閣議で、衆院選の日程を正式に決める。首相は就任後の昨年3月、毎日新聞の世論調査で内閣支持率70%を獲得。同7月の参院選で勝利して衆参両院の「ねじれ」を解消した。その後も安倍政権は、堅調な支持率と衆参で多数を占める自民党の「1強多弱」を背景に、安定した政権運営を進めてきた。経済政策では、(1)大胆な金融政策(2)機動的な財政政策(3)民間投資を喚起する成長戦略−−をアベノミクスの「三本の矢」として進め、株価は上昇した。一方、消費税率8%への引き上げを昨年10月に決定し今年4月に実施して以降は、経済が低迷。首相は景気回復の遅れを理由に、今月18日の記者会見で消費税率10%への引き上げを17年4月まで1年半先送りすると明言。そのうえで「国民生活に重い決断をする以上、速やかに国民に信を問う」と衆院解散の意向を表明した。エネルギー政策では、首相は「安全が確認された原発を再稼働する」と訴え、原子力規制委員会の審査を後押ししてきた。 *3:http://qbiz.jp/article/50442/1/ (西日本新聞 2014年11月22日) 衆院選の争点、世論を二分する4テーマ 12月2日に公示される衆院選は、2年間の「安倍政治」を問う選挙になる。国民の間で意見が分かれ、日本の将来に大きく関わる(1)アベノミクス(2)安全保障(3)エネルギー(4)社会保障−の4テーマについて、第2次安倍内閣の実績やこれからの課題を検証し、選挙戦の争点を展望する。 ■アベノミクス <デフレ脱却には道/都市部に偏る恩恵> 衆院選での最大の争点が、安倍内閣の経済政策「アベノミクス」だ。政府、与党が株価や賃金上昇などの成果を強調する一方、4月の消費税増税の影響が長引き、7〜9月期の国内総生産(GDP)が2四半期連続のマイナス成長となるなど、評価は分かれる。「企業がしっかりと収益を上げれば、雇用を増やし、賃金を上げることができる。その好循環を回していく、これがアベノミクスなんです」。安倍晋三首相は衆院解散した21日の会見で、雇用や賃金などの指標を挙げ、成果を自賛した。最大の課題だったデフレからの脱却に光が差してきたのは間違いない。9月の全国消費者物価指数は前年同月比3・0%上昇し、16カ月連続のプラス。消費税増税分を除くと1・0%の上昇で、日銀目標の2%には及ばないが、緩やかな上昇が続いている。雇用でも9月の有効求人倍率が1・09倍と、バブル後の最高(1・10倍)と肩を並べた。2012年12月の第2次安倍内閣発足時と比較すると、日経平均株価は約7千円上昇、円相場は1ドル=85円台から117円台まで円安が進んだ。10月の貿易統計で輸出は金額、数量とも2カ月連続で前年同月を上回り、財務省は「海外需要に加え、円安の影響も出ている」と分析する。 § § 一方、アベノミクスの恩恵にあずかっているのは、大企業や都市部などに偏り、地方や家計に及んでいないという指摘は根強い。9月の消費支出は5・6%減で、消費税が引き上げられた4月以降、マイナスが続いている。物価上昇分を除いた実質賃金は9月も3・0%減と15カ月連続のマイナス。消費税増税を含めた物価上昇に賃金が追いつかず、消費が伸び悩むという図式だ。地域経済の力不足も顕著だ。10月の百貨店売上高は東京や大阪など大都市圏が前年同月比0・9%減だったのに対し、地方は4・8%減と落ち込みが激しかった。14年9月中間決算でも、好業績だったのは円安を追い風にした輸出関連の大企業が中心で、内需関連や地方の中小企業は輸入原材料や燃料費高騰に苦しむ。明治安田生命保険の小玉祐一チーフエコノミストは「円安による物価上昇や、厚生年金保険料の引き上げなどで、家計の負担は拡大している。物価の推移を見る限り、日銀の追加緩和が効く見通しも立てがたい」と指摘した。 ■安全保障 <武力行使、歯止め焦点> 安倍晋三首相は7月、集団的自衛権の行使を容認する憲法解釈変更を閣議決定した。これまで、日本への武力攻撃があった場合のみ自衛隊が武力行使できると解釈してきたが、「国民の権利が根底から覆される明白な危険」がある場合、他国への武力攻撃であっても、自衛隊の武力行使を可能とした。だが、「明白な危険」の範囲については、与党内でも温度差がある。例えばペルシャ湾ホルムズ海峡のシーレーン(海上交通路)で行う機雷掃海について、首相は「可能」とする立場だが、公明党は慎重姿勢を崩していない。日米両政府は、自衛隊と米軍の協力や役割分担を定めた日米防衛協力指針(ガイドライン)の改定作業を年内に終える予定だったが、来春以降に先送りした。集団的自衛権を含む安全保障法制も、来年の通常国会後半で審議される。両者は密接に関係しており、自衛隊の武力行使に適切な「歯止め」をかけられるか否かが大きな焦点となる。国家機密の漏えいに厳罰を科す特定秘密保護法は昨年12月、与党の強行採決で成立。選挙期間中の12月10日に施行される。指定する秘密の拡大解釈や恣意的な運用に対する懸念は強い。政府が設置する監視機関の権限も不十分で、実効性に疑問が残ったままだ。首相は18日のテレビ番組で「(秘密保護法によって)報道が抑圧されるような例があったら私は辞めます」と明言したが、廃止法案が成立しない限り同法は続く。たとえ首相が辞任しても事態は改善しない。 ■エネルギー <再稼働、さらに加速へ> 安倍内閣は、今年4月に策定した新たなエネルギー基本計画で「重要なベースロード電源」と位置付けた原子力発電所の再稼働を推進する姿勢を鮮明にしている。21日の閣議後会見でも、宮沢洋一経済産業相が「安全性が原子力規制委員会で確認されたものについては再稼働を進めるという方針でやってきたし、(衆院選の)公約に明記しないといけない」と強調した。東京電力福島第1原発事故を教訓にして策定された新規制基準に基づき進んでいる規制委の審査は、1番手の九州電力川内原発(鹿児島県薩摩川内市)が地元同意を得て、年明けに再稼働する見込み。関西電力の高浜原発(福井県)や大飯原発(同)、九電玄海原発(佐賀県玄海町)も進んでおり、来年はさらに再稼働が加速しそうだ。一方、基本計画で「導入を最大限加速する」とした再生可能エネルギーの先行きには暗雲が漂う。九電など大手電力会社5社は9月、太陽光発電など再生エネの送電網への接続申し込みが許容量を超えたとして、契約手続きを中断。国が検証作業を進めているが、申し込みの全てが接続できるかどうかは不透明だ。福島第1原発の事故は今も収束せず、10万人以上が避難生活を強いられる中で進む原発回帰。火力発電中心となり、家庭向けの電気料金が震災前より約20%上昇しているのも事実だ。国民生活や企業活動を支えるエネルギーの将来像が問われる。 ■社会保障 <過重労働、根強い懸念> 雇用労働では安倍政権が進める規制緩和の是非、社会保障では制度維持に向けた負担増の在り方が問われる。臨時国会では、企業が派遣労働者を受け入れる期間の制限をなくす法案が廃案になった。政権は多様な働き方を支援すると主張したが、野党は不安定雇用が広がると批判した。政権は労働時間規制の適用を除外する「ホワイトカラー・エグゼンプション」の導入を目指しており、過重労働に歯止めがかからなくなるとの懸念が根強い。政権は、医療では75歳以上の一部に実施している保険料の特例軽減措置の廃止や、入院食費の増額を検討している。介護では、特別養護老人ホームの相部屋の利用料引き上げ、年金では少子高齢化に応じて年金水準を徐々に抑制する仕組みの強化などを議論している。 *4:http://www.nikkei.com/article/DGXLZO80040280S4A121C1MM8000/ (日経新聞 2014/11/22) アベノミクス争点 衆院解散、12月14日総選挙 衆院が21日の本会議で解散され、与野党は「12月2日公示―14日投開票」の衆院選に向けて事実上の選挙戦に突入した。安倍晋三首相(自民党総裁)は記者会見で、自らの経済政策アベノミクスの継続を問う考えを表明。雇用の増加や賃金水準の上昇などの成果を訴えた。野党側は経済格差が拡大したとして持続性と効果に疑問を呈し、対決姿勢を強めている。日本経済新聞社の調べによると、21日夜時点で立候補予定者は与野党で約1千人。1票の格差是正で小選挙区は5減り、今回の衆院選は小選挙区295、比例代表180を合わせた定数475議席を与野党が争う。首相は21日の記者会見で「アベノミクス解散だ。アベノミクスを前に進めるのか、それとも止めてしまうのか、それを問う選挙だ」と強調した。「100万人以上の雇用増」を成果に挙げた。「アベノミクスが始まって行き過ぎた円高が是正された」とも主張。円安による物価高については「経済対策でしっかり対応していく」と述べた。都市と地方の格差拡大に触れ「まだまだ厳しい地方経済に景気回復の暖かい風を送り届けてこそ、アベノミクスは完成する。この道しかない」と理解を求めた。2015年10月に予定していた消費税率10%への引き上げを17年4月に延期すると改めて説明。「今回のような景気判断による再延期は行わない」と断言した。「野党が皆同意しているから選挙の争点ではないといった声があるが、それは違う。いつから引き上げるべきなのか時期を明確にしていない」と批判した。再増税延期で社会保障を充実させる政策スケジュールの見直しが必要との認識を示す一方、待機児童解消を目指す子ども・子育て支援の新制度を来年4月から予定通り実施する考えを示した。民主党の海江田万里代表は記者団に「アベノミクスが持続的、安定的な経済成長につながるのか」と疑問を投げかけた。維新の党の江田憲司共同代表は「成長戦略の骨抜きが景気失速の最大の原因」と指摘した。次世代の党は金融政策に過度に依存しているとして軌道修正を求めている。 ■アベノミクス、2年の評価は 安倍晋三首相は衆院選でアベノミクスの是非を問うと力説した。2012年12月の政権発足後、金融緩和と財政支出、成長戦略の「3本の矢」でデフレからの脱却を目指してきたが、成果は道半ばだ。行き過ぎた円高の修正によって雇用や所得の改善につながったものの、個人の消費や企業の投資が増え続ける好循環には至っていない。第1の矢、日銀による大規模な金融緩和の効果は円高の修正だ。12年2月に一時1ドル=76円台となった円相場は14年11月に1ドル=118円台と、5割も円安になった。輸出企業の収益が高まり、大手製造業は今期も海外で稼いで最高益をうかがう勢いだ。企業収益の改善は株高にもつながった。第2の矢である財政支出も、政府債務が増したものの景気は押し上げた。2.2%だった13年度の実質成長率は0.7ポイント分が公共投資による押し上げ効果だ。雇用環境は人手不足とも指摘され、完全失業率も3%台まで下がった。今春の大企業の賃上げ率は、15年ぶりに2%台の伸び率となった。ただ4月の消費税率8%への引き上げ分を差し引くと、家計の購買力である「実質賃金」は減っている。輸出企業にはプラスに働く円安も、輸入企業や家計にとっては原材料や食料品の値上がりにつながる。第3の矢である成長戦略は、規制緩和などで企業活動を後押しするとしていた。医療や農業などの「岩盤規制」の突破も狙ったが、実現した政策はまだ少ない。企業側の要望が強い法人実効税率の引き下げも、詰めの議論は途上だ。日本経済の実力を示す潜在成長率は労働力人口の減少などで0%台半ばとされ、政権発足後も伸びていない。日本経済は4月の消費増税後、2四半期続けてマイナス成長になるなど立て直しは道半ばだ。消費再増税の先送りによって財政再建も遅れている。医療や介護、年金といった社会保障分野の歳出見直しは不可欠だ。 *5:http://qbiz.jp/article/50434/1/ (西日本新聞 2014年11月22日) 【景気変調〜アベノミクスの行方】(5)建設 人手不足の長期化深刻 「実家に帰って農家になります」。今年9月、福岡市内の建築足場会社で、10〜20代の職人3人が相次いで辞表を出した。「給料はがんばって出していたが、今の若い人は建設業に魅力を感じてくれない。頭が痛い」と社長。過剰な業務による事故を防ぐには依頼の一部を断るしかない。外国人技能実習生の活用に向けた検討も始めた。今年9月の九州・沖縄8県の有効求人倍率は0・91。バブル期直後の1991年12月以来の高水準だ。特に建設業界は全国的な人手不足が続く。福岡労働局によると、福岡県の建設・採掘業の有効求人倍率は、比較可能な2012年4月以降、1・0倍を超えている。直近の14年9月は、働き口が求職者の2倍以上あることを示す2・12。他県もほぼ同じ傾向という。東日本大震災の復興工事や東京五輪に向けた工事が増え、東北や首都圏に職人が集まっていると言われるが、大本は、就労者の高齢化と若手の減少が同時に進む慢性的な問題だ。中高年が退職期に差し掛かり、今後、さらに深刻化するとみられている。 ■大型工事に遅れ 人手不足により人件費は上昇。円安による資材高とも相まって、各地で大型工事の遅れが散見される。来春の開業に向け、大分駅ビルの建設が進む大分市中心部。駅前の一等地にあった商業施設、大分パルコ(11年に閉店)の跡地は、今年7月から暫定的に駐車場になっている。15年度に完成予定だった大分中村病院(大分市)の新病院建設が、遅れる見通しになったためだ。同病院が、周辺道路の車線減との調整などと並んで原因に挙げるのが、当初の予算から2、3割高くなりそうな建設費。後藤昌一事務長は「早く建てたいが、理想の病院を建てるには慎重に進めた方が得策と判断した」と語る。 ■高校生に見学会 長崎県では8月、県庁舎の建て替え工事の入札で、参加業者が示した金額が県が算出した予定価格を上回り、落札業者が決まらなかった。「公共工事の単価は相場を反映するのが遅く、業者は民間工事を優先しているのでは」と業界関係者。26日にある2回目の開札を前に、県の担当者は「今度こそ決まってほしい」。人手不足解消に向け、竹中工務店九州支店(福岡市)は今年から、建設中のマンションで高校生や専門学校生向けの見学会を始めた。現場の作業を見せて興味を持ってもらう狙い。参加した41人のうち6人が来春から建設業界への就職を決めたという。牧旨之調達部長は「現状のままでは日本の建築技術は衰退する。後継者を増やすには、長い目で見た取り組みが必要」と力を込めた。景気変調の中で、人手不足など長期的な課題も抱える九州経済。アベノミクスの行方が問われている。 PS(2014.11.24追加):秘密保護法の施行には、*6のように、民主主義や三権分立を護る見地からの反対が多く、それだけ重要な問題なのである。 特定秘密保護法の内容 *6より *6:http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014111801001716.html (東京新聞 2014年11月18日) 秘密保護法施行やめて、市民訴え 国会前、日弁連集会も 12月10日施行の特定秘密保護法に反対する市民団体が18日、東京・永田町の国会前で「国民の知る権利を奪う」と法廃止や施行延期を求めてシュプレヒコールを上げた。国会内では日弁連主催の集会も開かれ「恣意的な秘密指定がされる恐れがある上、国会の監視機能が制限され、三権分立がゆがめられる可能性もある」との指摘が出た。国会前では約130人の市民が「秘密保護法を施行するな!」と書いた横断幕やプラカードを掲げ「情報は市民のもの」「安倍政権の暴走を止めよう」と声を上げた。施行延期などを求める安倍晋三首相宛ての要請書を内閣府に提出した。 PS(2014.11.24追加):TPPに関しては、*7-1のように、農業など眼中にない日経新聞や経団連会長は「TPPの実現は日米関係のさらなる強化に資する」としており、農業を真面目に考えている日本農業新聞や専門家は、*7-2のように、「『日本農業は一人負けで、参加国の輸出増の70%を背負い込む』と米農務省がTPPの効果を試算している」と述べている。だからこそ、米国等はTPPに積極的なのであり、日本は農業を既に古くなっている形の貿易や能力なき外交の生贄にしてはならないのである。 TPPの参加国 農業の今後の懸念とこれまでの交渉実績 ISD条項 *7-1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20141113&ng=DGKKASFS13H0A_T11C14A1EAF000 (日経新聞 2014.11.13) 経団連会長、「TPP早期合意実現を」 日米財界人会議が開幕 日米の経営者が経済問題などを話し合う日米財界人会議が13日、東京都内のホテルで開幕した。経団連の榊原定征会長は講演で、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉について「TPPの実現は日米関係のさらなる強化に資する」と強調した。年内の大筋合意は断念しているが「年明け以降、できる限り早く合意が実現されるよう日米の政治のリーダーシップに期待したい」と語った。会議には、菅義偉官房長官やケネディ駐日米大使が出席した。景気認識に関し榊原氏は、輸入コストの増加など下押し圧力に注意が必要だが「先行きを過度に悲観する必要はない」と指摘した。消費税10%への引き上げは、予定通り実行すべきだと重ねて強調した。 *7-2:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=30768 (日本農業新聞 2014/11/12) 日本農業 一人負け 参加国の輸出増 70%背負い込む 米農務省がTPP試算 米農務省は、環太平洋連携協定(TPP)合意で2025年までに関税が完全撤廃になった場合、交渉参加12カ国の農産物貿易がどう変わるのかを予測した報告書をまとめた。合意によって米国農業は輸出額を最も増やす。一方、参加国全体の輸出増加額の70%は、その輸出先となる日本に押し付けられ、日本農業がほぼ一人負けになると見込んでいる。報告書は、米農務省経済分析局の専門家らがまとめた。各国が既に参加している自由貿易協定などを加味した「通常」と、関税や関税割当を完全撤廃した「TPP」シナリオを比べた。「TPP」シナリオで合意すると、参加国の農産物貿易は6%、計85億ドル(1ドルは約116円)増えると予測する。うち33%に相当する28億ドルを米国が獲得する。これに対し、日本の輸出増加分は、加工品を中心に8300万ドル。参加国全体の輸出増額分のわずか1.4%に過ぎない。一方、参加国の輸出増加額の70%に当たる58億ドル分は、輸入という形で日本が背負い込む。日本の輸入額が増える品目は、食肉が半分を占め、米を含めた穀物、その他の加工品、酪農製品などが続く。日本には貿易収支の面で「焼け石に水」にもならない。安倍政権が20年までに食品輸出額を1兆円に倍増する計画は、この試算からは完全に無視された形だ。報告書が示す日本農業への影響は、これまで日本政府などが試算したものに比べ、極めて小さい数字に抑えられている。例えば米について、日本政府が32%の生産額の減少を見込むのに対し、米農務省試算は3%減に過ぎない。砂糖の生産額は100%無くなるとの予測に対し、わずか2%の落ち込みと見込む。こうした“軽い”減産予測を基に報告書は「TPPで関税を撤廃しても日本農業生産額への影響は大きくない」などと指摘。TPP交渉で日本が関税撤廃に踏み切るよう背中を押した。日本政府の試算と大きく異なるのは、米農務省試算が関税以外の豚肉の差額関税制度や砂糖の価格調整制度などを織り込んでいないことが大きい。報告書の執筆に当たった米農務省関係者の一人は「国際市場で日本向けに輸出できる数量が十分に手当てできないこと、日本の消費者が国産志向を持っていることなどが米日の試算で影響が異なった原因だ」と説明する。 ●生産への影響評価不十分 東京大学大学院教授 鈴木宣弘氏に聞く 米農務省がまとめたTPPの試算に対する見方について、東京大学大学院の鈴木宣弘教授に聞いた。農務省は中間選挙での共和党の勝利を見込んで、このタイミングで試算を提示したと考えられる。共和党は徹底した自由貿易推進の立場をとっており、TPPでさらに徹底した農産物の関税撤廃を日本に迫るだろう。域内の農産物輸入増加分の7割を日本が負担する「一人負け」なのに、国内生産はほとんど減らないという試算は極めて恣意的である。この種の試算では安い輸入品が入ってきても国産品は「別物」で、国内生産はあまり影響を受けない。輸入と国産の代替性を現実的な水準に変更すれば、試算結果は大きく変化する。日本産米に匹敵するジャポニカ米の供給余力を現時点での生産量で評価しているのが問題だ。主産地のカリフォルニア州は水が不十分で余力が小さいとしても、アーカンソー州は水が豊富である。ビジネスチャンスが日本で生じれば、同州ではジャポニカ米に切り替えられる。ベトナムでもジャポニカ米はすでに60キロ当たり1200円程度で生産され、「コシヒカリ」を欧州に輸出している。日本の米農家の現地検証では、日本と同等の品質米も同4000円程度で生産可能だ。日本の商社などもTPPを見越した準備を始めている。中長期的な供給余力と低い生産コストを考慮すれば、農務省の試算結果とは全く異なり、日本の農業生産への影響はもっと大きくなる。 PS(2014.11.25追加):原発の安全性について、鹿児島県の伊藤知事は、*8-1のように、「もう命の問題なんか発生しない」と明言して川内原発の再稼働に同意したが、原発が事故を起こせば、癌、白血病、心臓病等の疾患が増えるのは当たり前だ。これについて、*8-2で、英国出身の放射線生物学者キース博士(73)が、11月24日、「国連科学委員会の報告書が掲載している被曝線量でも癌の過剰発生は予測され、国連科学委員会は、透明性、独立性を欠いて非科学的であるため解散すべきだ」としている。私は、キース博士の方が、勇気を持って、公正でまっすぐな意見を言っていると考える。 *8-1:http://mainichi.jp/select/news/20141108k0000m040112000c.html (毎日新聞 2014年11月8日) 川内原発再稼働同意:「命の問題発生せず」鹿児島知事 原発の立地県として初めて、鹿児島県の伊藤祐一郎知事と県議会が7日、九州電力川内原発(鹿児島県薩摩川内市)の再稼働に同意した。原発事故への不安が根強い中、伊藤知事は国の新たな規制基準とそれに基づく九電の対策を高く評価し、「もう命の問題なんか発生しない」と明言。しかし、再稼働に反対する県民は「安全神話の復活だ」と猛反発している。両者の主張は相いれないまま、知事判断で再稼働の地元手続きは完了した。「やむを得ない」。伊藤知事は7日、県議会が再稼働陳情を採択した後に記者会見を開き、自らも同意したことについてこの言葉を連発した。伊藤知事はこれまで、再稼働の必要性を訴えつつ「脱原発に向かって模索する」とも主張してきた。今回、再稼働に同意したことに、伊藤知事は「国民生活のレベルを守り、わが国の産業活動を維持する上で(原発は)重要な要素だ」と理解を求め、「わが国の当面の判断として原発を活用する以外に道がない。安全性がある程度約束されるのであれば、それがベターだ」として「やむを得ない」の理由を説明した。一方、原発事故への不安については「福島であれだけの不幸な事故が起きた。安全神話が全部崩れたのは確かだ」との認識を示しながらも、原発事故後に設けられた国の新規制基準を高く評価。原子力規制委員会の指針や九電の評価を引用し、事故が起きても原発から5.5キロの放射線量は毎時5マイクロシーベルトだとした上で「避難の必要がない。普通に生活してもいい」と述べ、「もし福島みたいなことが起きても、もう命の問題なんか発生しない」と明言した。福島の事故は収束せず、避難計画の実効性や火山対策にも疑問の声が上がる中での再稼働同意に、納得のいかない住民は多い。この日、県庁には全国各地から再稼働反対を訴える400人以上が集まり、県議会の傍聴席を埋めた。午前10時の開会前から「再稼働にどんなメリットがあるのか」などのヤジが飛んだ。しかし、県議会(定数51、欠員2)は自民県議団が33人を占め、再稼働を進める政府・自民党本部の方針に従えば、再稼働陳情が採択されるのは必然だった。反対討論を行った柳誠子県議(県民連合)も「歴史に禍根を残す一日」と無念さをにじませた。 *8-2:http://digital.asahi.com/articles/ASGCR4HRLGCRUGTB002.html?_requesturl=articles2FASGCR4HRLGCRUGTB002.html&iref=comkiji_txt_end_s_kjid_ASGCR4HRLGCRUGTB002 (朝日新聞 2014年11月25日)「国連科学委は非科学的」 元WHO欧州地域顧問 旧ソ連・チェルノブイリ原発事故の健康影響調査などに携わってきた英国出身の放射線生物学者キース・ベーバーストック博士(73)が24日、東京都内で朝日新聞記者の取材に応じた。東京電力福島第一原発事故後のがんの増加に否定的な報告書を出した国連科学委員会(UNSCEAR)を「透明性、独立性を欠き非科学的」と批判し、「解散すべきだ」と訴えた。博士は取材に対し、科学委が今年4月に発表した福島第一原発事故の影響についての報告書で「被曝によるがんの増加は予測されない」などとしたことに、報告書が掲載している被曝線量でも「がんの過剰発生が予測される」と反論した。たとえば報告書は事故から約1年半後までに原発敷地内で働いた作業員で10ミリシーベルト以上被曝した人は1万人近くいるとしており、これだけで50人近くのがんが増えると主張した。科学委の中立性にも疑義を訴えた。理由として、原子力推進計画をもつ国が委員を指名し、科学委に資金提供している▽委員の原子力産業内での雇用履歴が公表されず、放射線リスク評価の際の利益相反がないことの宣誓書が添付されていない――などをあげ、「利権からの独立もなく、科学の名に値しない偏向した報告書だ」と述べた。博士はWHO勤務時代、原子力を推進している国際原子力機関(IAEA)から「常に介入圧力を感じていた」と語った。福島第一原発事故に関する報告書が公表まで3年以上もかかったことに疑問を呈し、内部情報をもとに「結論を巡る批判やIAEAなど他の国連機関の影響」の可能性を指摘した。博士はチェルノブイリ事故の被災地での甲状腺がんの増加をいち早く指摘。世界保健機関(WHO)欧州環境健康センターで放射線公衆衛生地域顧問などをつとめてきた。今回、原発事故に関する「市民科学者国際会議」を主催する市民団体の招きで来日した。 PS(2014.11.25追加):憲法改正論者の論拠は、*9のように、「現行憲法は占領下で制定されたので、日本国民が憲法を定めるべき」というのが多い。しかし、私は、日本の内部で改正すれば、小さな変革はできても、ここまで大きな民主化や男女平等への革命的変革はできなかったと考える。そのため、憲法を改正すれば、国民にとって(ここが重要!)良くなるのか悪くなるのかをしっかり議論すべきであり、私自身は、自民党の改正案よりも現行憲法の方が、ずっとヒューマニズムに富み見識が高いため、まず、この憲法を守るべきだと考えている。 自民党改正手続案 自民党改正草案 一般へのアンケート(有権者も勉強が必要) *9:http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2014111702000203.html (東京新聞 2014年11月17日) 衆院憲法審が盛岡で公聴会 改正国民投票法議論 衆院憲法審査会は17日、盛岡市で大学教授や弁護士ら5人による地方公聴会を開いた。改正国民投票法の施行を受けたもので、憲法改正に対し賛否の意見が出た。衆院事務局によると、憲法審査会としての地方公聴会開催は初めて。宮城県議の相沢光哉氏は「現憲法は占領下で制定された。(衆参両院それぞれで総議員の3分の2以上の賛成が必要となる)改憲の発議要件は緩和されるべきだ」と主張。弁護士の小笠原基也氏は「改正国民投票法は採決までの経緯で十分な議論がなく、廃止すべきだ」、岩手県生活協同組合連合会会長理事の加藤善正氏は「改憲の必要性を感じるのは国民の少数だ」と述べた。日本大名誉教授の小林宏晨氏は「閣議決定による集団的自衛権の行使容認解釈は、国連憲章に近づいており、非常に良い方向だ」と指摘した。
| 民主主義・選挙・その他::2013.12~2014.11 | 03:23 PM | comments (x) | trackback (x) |
|
2014,11,03, Monday
(1)小渕優子元経産相の会計は、どこがおかしいのか *1、*2によれば、小渕元経産相の後援会等が、観劇会や野球観戦費用の一部を負担して数千万円を支出し、その会費収入は一部しか政治資金収支報告書に記載されておらず、2012年の観劇会では政治資金収支報告書に収支の記載が全く無いことが判明したため、後援会等がその費用を支出したのなら公職選挙法違反、参加費を集めたのに記載しなかったのなら政治資金規正法違反になるそうだ。 そこで、小渕元経産相が引責辞任し、「自分自身も収支の食い違いに疑念を持っているので関係のない税理士や弁護士を入れて調査してもらう」と話していたが、数千万円単位の金が動く自分の後援会等の大きなイベントや政治資金収支報告書に関することを全く知らないというのは、やはり変である。 そのような中、*3のように、小渕氏の元秘書で、父の恵三元首相時代から地元で秘書団を束ねて実務を仕切っていた前中之条町長の折田氏に東京地検の捜査が入り、小渕優子後援会の「会計責任者」と記載されていた男性は、朝日新聞の取材に「①1年に1回、群馬県高崎市の事務所に印鑑を押しに行くだけだった」と証言しているそうだ。そして、折田氏もこれらの政治団体について「②私が会計をチェックし報告書を作成・提出した」「③(自分が)実質的な総責任者だ」「④町長になった後も生涯小渕の秘書として仕え、政治団体の会計をチェックしてきた」「⑤小渕氏は何も知らないし、悪くない」と説明している。 しかし、ここでまず異常なのは、会計責任者という重い責任のある人が、①のように「1年に1度、印鑑を押しに行くだけだった」という名板貸しだったことで、経理部長が1年に1度印鑑を押しに行くだけという会社がないのと同様、議員の収支報告書やその会計責任者という地位を甘く見すぎており、②③④の実態であれば、本来は前中之条町長の折田氏を会計責任者にしなければならない筈である。また、小渕氏が支部長や代表者となっている団体の内部統制を整備し、重要なことを把握しておくのは、小渕氏自身の責任であり、知らないことも問題であるため、⑤の説明は適切ではない。 (2)政党支部や議員関連団体への複式簿記導入の必要性 誰かにとって不都合な政治家を排除するために、公職選挙法や政治資金規正法でひっかける手法が用いられることは多く、そういう状況では、政治家はしっかりした仕事ができず、それは国民にとっても不幸である。そのうち、公職選挙法は、都合の悪い政治家をひっかける目的の変な規定が多い法律であるため、欧米などの民主主義先進国に倣って本当の民主主義をやりやすいように変更する必要がある。 また、政治資金規正法は単式簿記によっており、小渕氏の秘書で前中之条町長の折田氏が言っていた「帳尻を合わせる」ということが常時行われている会計システムであるため、慣れた議員秘書ほど、変な処理が身についている人が多い。そのため、当然のこととしてクリアな会計処理を行うようにするためには、政治資金を通常の企業と同じ複式簿記で記帳し、網羅性・検証可能性を担保するとともに、資産・負債も正確に計上しやすくすべきである。 複式簿記で網羅性・検証可能性が担保されていなければ、監査人が監査しても保証できないため、せっかく監査を導入しても通常の適法性、適正性意見を表明することはできない。すると、議員は監査証明を経たにもかかわらず、事前の内部統制も利かない上、秘書が内緒で行った予期せぬ不備を指摘されて責任を追及されるというような、大きなリスクを背負うことになる。 つまり、網羅性・検証可能性のある複式簿記によるまともな会計処理を行い、監査人から適法性、適正性意見を得ておくことは、国民のためであると同時に、議員のリスク管理にも資するのである。 (3)網羅性・検証可能性のある正確な会計処理と包括監査の必要性 このブログの2014年10月20日にも記載した平成21年1月1日から国会議員のみに限定して義務付けられた政治資金監査では、監査人は、*5のように、政治資金監査マニュアルに従った監査を行い、「国会議員の政党支部や後援会関係の支出が領収書等の証憑に従って会計帳簿に記載され、保存されていた」ということしか証明しない。そのため、収入部分や支出の適切性・適法性には関知していない。 しかし、ここまで限定的な監査では、監査後も、収支報告書の適正性、適法性を非常に限定的にしか証明することができず、通常業務における内部統制の役にも立たない。そのため、今後は国会議員だけでなく地方議員や首長の関係団体も通常の企業と同じ複式簿記により網羅性・検証可能性のある会計処理を行って政治資金報告書を作成し、監査人(知識と経験により培われる監査能力の観点から公認会計士に限定すべき)から適法性、適正性意見を得て、国民に明瞭に開示するよう制度変更すべきである。 (4)松島元法相のうちわは寄付にあたり違法か(?) 松島みどり法相は、地元東京14区のお祭りに、必ずトレードマークの赤の服を着て出かけるのを選挙対策にしておられる。そのお祭りで「うちわ」を配り、民主党の蓮舫議員から「寄付にあたり違法だ」と追及されて、「うちわのような形をしているが、討議資料だ」と反論されているのを見て、私はあっけにとられた。しかし、よく考えると、確かに蓮舫さんのSexyな写真ならともかく、松島さんのまんがや政策が書かれている「うちわ」はもらった人にとって有価物ではなく、もらった人が議員や政策についてコメントし合う機会を作るのであれば、討議資料と言えなくもない。 それよりも本当の問題は、東京ではサラリーマンが多く、1年で1/3の人口が入れ替わるため、地元選出の国会議員の名前すら知らない人が多く、街づくりや政策をテーマに国政報告会を開くより、赤い服を着てお祭りに出かけ、うちわを配った方が名前と顔を覚えてもらえることである。松島氏は、その民主主義の成熟度に合わせて、選挙対策の広報をしているにすぎない。 *1:http://digital.asahi.com/articles/ASGBK5SR5GBKUTIL04B.html?ref=reca (朝日新聞 2014年10月18日) 複数の観劇会で収入記載なし 小渕氏団体、法抵触疑いも 小渕優子経済産業相の後援会などが、後援会員らの観劇会費用の一部を負担した疑いが出ている問題で、後援会などが2008年と09年に観劇費計約2700万円を支出しながら、会費収入が政治資金収支報告書に記載されていないことがわかった。また12年の観劇会では報告書に収支の記載が全く無いことも判明。全額を肩代わりしたのであれば公職選挙法違反の疑いが、参加費を集めたのに記載しなかったのであれば、政治資金規正法に抵触する可能性がある。小渕氏は国会では07年以降、毎年観劇会を催していると説明。17日には「参加者は実費を払っていると承知している」と述べた。08年と09年に観劇会の会場となった明治座(東京)に「観劇代」などを支出したのは、「小渕優子後援会」「自民党群馬県ふるさと振興支部」「自民党群馬県第五選挙区支部」「未来産業研究会」の4団体。4団体の収支報告書には、08年に計約994万円、09年には計約1703万円の支出が記載されている。一方で、参加費収入の記載はなかった。朝日新聞は小渕氏の事務所にこの点を問い合わせたが「(質問が)多岐にわたり、調査している」との回答だった。観劇会をめぐっては、12年にも開かれたのに、同年の収支報告書に収支の記載が全く無いことも判明。17日の衆院経済産業委員会で野党議員から「政治資金規正法違反では」と指摘を受けた。小渕氏は12年も会を開いたと認めたうえで、「収支の記載がないのは今回知った」と答弁。また、自身もその会に参加しており、「(後援会と支部以外の)他の団体が主催したということは、私が知る限りはない」と答えた。09年と12年には小渕氏が立候補し、当選した衆院選が実施されている。小渕氏は17日の経産委員会で、過去の観劇会では、後援会などが1人あたり「1万~1万2千円」の会費を集めていると説明。一連の問題について「知らなかったでは済まされないとの思いだ」と陳謝するとともに、観劇会の開催状況や会費、参加人数などを示す資料を週明けにも、国会に提出する考えを示した。 *2:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11412434.html?iref=reca (朝日新聞 2014年10月20日) 小渕経産相辞任、政治資金問題で引責 松島法相も辞任 小渕優子経済産業相と松島みどり法相は20日、安倍晋三首相に辞表を提出し、受理された。小渕氏には、後援会が会員向けに開いた観劇会の収支が食い違っている問題が浮上。松島氏は選挙区内で「うちわ」を配ったことが野党の追及を受けていた。「女性の活躍」を掲げる安倍政権の女性閣僚が1日で2人辞任する事態は、安倍政権への大きな打撃となる。小渕氏は辞表提出後、経済産業省で記者会見し、「本来やらなければならない審議に大きな影響を与えたことを重く受け止めている。大変お騒がせし、心からおわび申し上げる」と陳謝。「自らの問題によって、政策が停滞することは許されない。大臣の職を辞し、しっかり調査をしたい」と辞任を正式に表明した。一方で「議員として、しっかり政治家としての説明責任を果たしていきたい」とも語り、議員辞職については否定した。首相への報告については、「私から、このようなことになったことに、総理におわびを申し上げた」と説明。首相の言葉については「総理にうかがってもらいたい」と述べるにとどめた。収支が食い違っていることについては、「収入と支出において実態があったのか、私自身大きな疑念を持った。関係のない税理士や弁護士を入れて調査してもらうことにした」とした。首相は20日、経産相臨時代理として、高市早苗総務相をあてることを決めた。後任の経産相については、閣僚経験者らを軸に検討を進めている。菅義偉官房長官は20日午前の記者会見で、「小渕氏から総理に辞表を提出し、総理は受理した。小渕氏から『自らの問題によって国政の遅滞をもたらすことは許されないので大臣の職を辞することにした』と発言があったと聞いている。大変残念だが、総理は大臣の意思を尊重し、辞表を受け取られたと思う」と説明。「任命責任については総理ご自身がお話しになることだろうと思うが、安倍政権としては国政の遅滞のないように速やかに後任を選任し、山積する政治課題に全力で取り組む」と述べた。第1次安倍内閣では「政治とカネ」や失言を原因とした閣僚の辞任や途中交代が相次ぎ、政権の失速につながった。こうしたことから、政府・自民党には、「進退の判断が長引くと安倍政権に影響する」(自民党参院幹部)との早期幕引き論が急速に広まった。だが、40歳で重要閣僚の経産相に抜擢(ばってき)され、5人の女性閣僚の中でも注目されていた小渕氏の辞任は、高い支持率を維持してきた安倍政権へのダメージは避けられない。 ■観劇会巡り「大きな疑念」 小渕氏はこの日の会見で、地元の支援者らが参加する「観劇会」をめぐる自身の後援会などの収支の食い違いに関し、「大きな疑念があると言わざるを得ない」と述べ、政治資金規正法上、問題があると認めた。一方で、後援会などが収支の差額を補填(ほてん)し、支援者に利益を供与していたのではないかとされる公職選挙法上の問題については、「参加者から全額集めている」と否定した。問題は主に5点。このうち観劇会は、後援会など四つの政治団体の政治資金収支報告書で収入より支出が大きく上回り、差額を後援会などが補填した疑いが指摘されたうえ=表(1)=、観劇会を開いていたのに、2012年の政治資金収支報告書には収支そのものが、08、09年には支出のみで収入の記載がない=表(2)=ことが、判明している。朝日新聞の調べでは、05~11年に、収入計約1200万円に対し、支出は計約6500万円で、差額は計約5300万円に上った。この2点について小渕氏はまず、観劇会1回につき1千人前後の参加者から1万1千~1万2千円ずつの参加費を全員から集めていたとして、差額の穴埋めは否定。地元の一部の地区で集めた参加費を入金した口座の通帳を示した。一方で、集めた参加費が収支報告書に正しく書かれていない点は認め、12年には何の記載もない点も「大きな疑念がある」とした。記載内容が実際の収支と異なる場合、政治資金規正法の虚偽記載にあたる。後援会などをめぐっては観劇会と同様、後援会員らを招いた野球観戦=表(3)=の収支も食い違っているが今回は触れられなかった。一方、小渕氏の資金管理団体「未来産業研究会」など3団体が、義兄の経営する服飾雑貨店などからネクタイやハンカチなどを買ったこと=表(4)=や、同研究会が乳幼児用品やネギなどを購入していた点=表(5)=については野党が「公私混同では」と指摘。小渕氏は今回も改めて「公私の区別はしっかりつけている」との認識を示した。会見では、小渕氏の写真入りラベルが貼られたワインが、地元事務所から群馬県内の男性に贈られたとされる問題も指摘された。小渕氏は「今日知った。調査したい」と明言を避けた。 ■小渕氏をめぐる問題と20日の会見での説明 (1)「小渕優子後援会」などが後援会員の観劇費用を一部負担か。公職選挙法違反では? 昨日までの調査では参加者が全員1万1千~1万2千円の実費を払っていることを確認している→補填については否定 (2)2012年の観劇会の収支の記載が政治資金収支報告書にない。08、09年は収入の記載がない。政治資金規正法違反では? 収支報告書の記載には大きな疑念がある→08、09、12年のみならず、差額が生じている年も虚偽記載の可能性 (3)東京ドームでの後援会員の野球観戦費用も一部負担。公職選挙法違反では? 記者会見では触れず (4)資金管理団体などが親族企業からネクタイなどを購入。公私混同では? 政治活動の経費として認められるものと思っている→小渕氏は問題なしとの認識 (5)資金管理団体などが親族企業からネクタイなどを購入。公私混同では? 資金管理団体が乳幼児用品や服、下仁田ネギなどを購入。政治資金で私物を買ったのでは? (乳幼児用品は)支援頂いている方の出産祝い。公私の区別はしている。(ネギは)地元の名産品。県外の方へ送っている ■松島法相も辞任 松島氏は20日午後に首相官邸を訪れ、辞表を提出した。選挙区内で「うちわ」を配った問題に関して東京地検に告発状が出るなど、法務委員会での追及が強まっていた。周辺には「自らの問題で法案が通らないことは耐えられない」と伝えており、政権運営への影響を考えて判断した模様だ。松島氏をめぐっては今月7日の参院予算委員会で、民主党の蓮舫氏が松島氏の似顔絵や政策が書かれた「うちわ」を選挙区内のお祭りで配っていたことを「寄付にあたり違法だ」と追及。松島氏は「うちわのような形をしているが、討議資料だ」と反論したが、民主党の階猛副幹事長は17日、公職選挙法違反(寄付の禁止)の疑いがあるとして東京地検に告発状を提出した。安倍政権は当初、「たいした話ではない」(官邸幹部)と問題視しない姿勢を示していた。しかし、野党が攻勢を強めていることから、政権のダメージを最小限に抑えるよう小渕氏と同じタイミングでの辞任を認めたものとみられる。 *3:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11430925.html (朝日新聞 2014年10月31日) 「大番頭」への捜査、焦点 小渕氏元秘書宅を捜索 東京地検 小渕優子・前経済産業相の不明朗な資金処理問題は30日、東京地検特捜部が強制捜査に踏み切る事態へ発展した。特捜部は、小渕氏の元秘書で前群馬県中之条町長の折田謙一郎氏の関係先を中心に捜索。折田氏は小渕氏の父・恵三元首相(故人)時代から地元で秘書団を束ね、実務を仕切る「大番頭」的な存在だったという。特捜部は、問題解明のキーマンとみて捜査を進めているとみられる。この日、中之条町の小渕氏の後援会事務所で家宅捜索に立ち会った折田氏は捜索終了後、報道陣に「調査中ですのでコメントは控えるように言われています。大変お騒がせして申し訳ありません」とだけ述べ、車に乗り込んで立ち去った。一連の問題は、小渕氏の地元の支援者らが参加していた「観劇会」をめぐり、「小渕優子後援会」や「自民党群馬県第五選挙区支部」などの政治団体の政治資金収支報告書に記載されていた支出が、収入を大きく上回っていたというもの。この日の捜索先も折田氏の自宅のほか、後援会や支部の事務所だった。後援会の「会計責任者」だった男性は、これまでの朝日新聞の取材に「1年に1回、群馬県高崎市の事務所に印鑑を押しに行くだけだった」と証言。折田氏もこれら政治団体について「私が会計をチェックし、報告書を作成、提出した」「(自分が)実質的な総責任者だ」と説明している。折田氏は、恵三氏、優子氏と2代にわたり、30年以上秘書を務めた。2008年に秘書を退き、12年1月に町長に当選した。ただ、「町長になった後も生涯小渕の秘書として仕え、政治団体の会計をチェックしてきた」とも説明している。このため特捜部は、折田氏が問題の収支の差額について事情を知っている可能性があるとみて、29日までに任意で事情聴取し、30日に家宅捜索に踏み切った。小渕氏は「税理士や弁護士を入れて調査する」と表明。だが、「証拠隠滅の可能性も否定できない」(検察幹部)として、特捜部は調査結果を待たず、資料を早期に集める必要があると判断したとみられる。折田氏は、小渕氏が経産相の辞任を表明した20日、自らも町長の辞表を提出。「小渕氏は何も知らないし、悪くない」と語った。 *4:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20141102&ng=DGKKASFS01H0O_R01C14A1PE8000 (日経新聞 2014.11.2) 自民、新人に「議員の基本」 政治資金問題受け指導強化 秘書向け研修も 自民党執行部が新人議員とその秘書に対する教育・指導を強化している。閣僚の政治資金問題を受けたもので、衆院当選1回生120人の秘書を対象とした政治資金の研修会を開催する見通しになった。茂木敏充選挙対策委員長は新人議員を集め、選挙への心構えなど議員活動の基本から教える会合を始めた。秘書の研修会は政治資金収支報告書を記す際の注意点などがテーマとなるもよう。次期衆院選で新人議員が再選するには脇を締める必要があると考えたためで、谷垣禎一幹事長も「スタッフを教育しなければ対応できない」と強調する。茂木氏による直接指導は新人議員を地域ごとに分けて随時開く。「選挙区を全部回るのではなく、『ここは』という地元有力者をまず重点的に回るように」「できるだけ見通しの良い交差点にポスターを貼れ」。10月の第一回会合では活動の初歩を徹底させることからスタートしたという。 *5:http://www.zeipabusa.org/public_img/topics/081218keisyakusyo.pdf#search='%E6%94%BF%E6%B2%BB%E8%B3%87%E9%87%91%E5%8F%8E%E6%94%AF%E5%A0%B1%E5%91%8A%E6%9B%B8+%E7%9B%A3%E6%9F%BB%E6%84%8F%E8%A6%8B+%E3%81%B2%E3%81%AA%E5%9E%8B' 政治資金監査契約書 委嘱者○○と受嘱者○○は政治資金規正法(以下「法」という。)に定める政治資金監査業務(以下「本業務」という。)につき、以下のとおり契約するものとする。 <下の「続き▽」をクリックすると条文全体が出ます> 続き▽
| 民主主義・選挙・その他::2013.12~2014.11 | 11:52 AM | comments (x) | trackback (x) |
|
2014,10,20, Monday
2014.10.19朝日新聞 2014.10.19東京新聞 (1)小渕経産相の資金収支問題について *1-1に書かれているように、小渕経産相は地区毎に会費を集め、大型バス26台を連ねて後援会の女性を観劇会に招待し、支援者は、これを年に1度の楽しみにしていたそうだ。会費は、全員から1万2千円ずつ小渕事務所が集めたと言われているが、*1-2のように、支出が収入を大幅に上回っており、小渕事務所から会費以上の利益供与があれば、その金額は公職選挙法が禁じる選挙区内の有権者への買収行為にあたる。また、議員本人も挨拶や話をしているので、その行事を知らなかった筈はなく、今更、調査することはあるまい。 そして、この問題は、*1-3、*1-4に書かれているように、ただ謝って、看板閣僚の傷が浅いうちに大臣を辞任すればよいという話ではなく、真に買収行為があれば公職選挙法違反であり、収支報告書の虚偽記載があれば政治資金規正法違反であるため、その点を明確にすべきなのである。 なお、平成19年12月に政治資金規正法が大きく改正され、平成21年1月1日から国会議員関係政治団体の支出の公開などに関して、会計帳簿の記載、収支報告書の作成は会計責任者に責務が課され、政治資金監査も義務付けられた(http://www.soumu.go.jp/main_content/000077911.pdf#search='%E5%9B%BD%E4%BC%9A%E8%AD%B0%E5%93%A1+%E5%8F%8E%E6%94%AF%E5%A0%B1%E5%91%8A%E6%9B%B8%E7%9B%A3%E6%9F%BB' 参照)。 その制度改正には、私(平成17年~21年:自民党衆議院議員)も参加して監査制度を導入し、平成21年1月1日以降は公認会計士等の監査人(会計のプロ)が収支報告書を監査しているため、本来なら違法性のある行為や妥当でない会計処理は、事前にブロックできなければならない筈なのである。そのため、質問者は担当した監査人にも適法意見を出した理由を聞くべきであり、収支報告書に関する責任は、公務で忙しい議員ではなく会計責任者と監査人にある。 何故なら、一般会社に例えれば、国会議員は営業・技術畑の社長で、会計責任者が経理部長に当たるため、社長は、会計については重要な事項に関しては報告を受けて承認し、知っていなければならないが、細かい事務処理にまでは関与しておらず、経理部長が普段から監査人と相談しながら適切な会計処理をしていなければならないからである。 (2)メディアの報道の仕方と日本の民主主義の危機について *2に、「秘書の一人が、ここでは観劇会の参加者一人ひとりが実費を払ったかどうかを確認している最中と話した」と書かれているが、数千万円にも上る収支差や支出の方針については、今、確認するようなことではなく、計画時もしくは収支報告書の提出前には小渕氏自身の承認を受けておくべきものである。しかし、メディアは、下仁田ネギをもらったためか(?)、この真実を語ることがなかった。 そして、「経産相になった時には、初の女性総理に近づいたとうれしく思った」などと記載しているが、小渕氏が初の女性総理では、他の女性が全員それ以下のようで、たまったものではない。また、「お金にきれいな人というイメージだったので、すごく残念」という点も、国費で支給される政治資金は本物の政治活動だけで赤字になるため、数千万円にも上る支出超過をして後援会を観劇会などのバスツアーに招待できるのは、まさに業界と癒着があり、資金が潤沢だからにほかならず、どういう根拠で、そのようなイメージを持っているのか不明である。 つまり、国民を不幸にする政策を打ち出しても、このようにして当選を重ねているのであり、メディアはこの本質を指摘することができずに、「より若い人が活躍できるように」「子どもを産みやすいように」「今回の問題で辞任するとしたら残念。早く第一線に戻ってきてほしい」等と話す姿が印象的だったなどと記載しているのだ。 なお、「自分が自分が、という目立ちたがりが政治家には多いが、そういうところがみじんもなかった。社会のためにとの思いがとても強い人だ」などと述べた評論家もいるが、政治家は実力主義の社会であり、何をしたかで評価されるのが当たり前で、そのためには誰がやったかを正確に把握しなければ正しい投票行動は起こり得ないものである。つまり、やったことをアピールせずに、観劇会への招待で後援会を固めることこそ、本末転倒で民主主義を後退させるものなのだ。 (3)原発問題の方が、莫大な資金の流れだ 私が、(1)(2)のように思っていたところ、*3の自民党衆議院議員 河野太郎氏のブログの「原発の本当のコストはいくら」という記載が目に入り、そのとおりだと思った。確かに、小渕経産大臣は、議員として政治資金にもおかしなことがあってはならないが、参議院本会議で「原発の発電コストはその他の主要電源のコストと比較しても遜色なく低廉な電源と考えている」と答弁している以上、何故そうなのかを質問されれば、正確に答えることができなければならない。 ここで、官僚の作文をのみこんで答弁するだけでは、男女を問わず、大臣どころか国会議員としても価値がない。いくらTVや後援会の前で「頑張る」「努力する」と頭を下げても、知識と経験に基づいた思考力がなければ、それは実行しようがないのである。 *1-1:http://mainichi.jp/shimen/news/20141019ddm041010068000c.html (毎日新聞 2014年10月19日) 小渕経産相:辞任不可避 観劇会、支援者「年1度の楽しみ」 地区で会費集金/大型バス26台 「観劇会は大勢の人が集まる華やかな場所。年に1度の楽しみにしている支援者も多かった」。今月8日、東京・明治座で開かれた小渕氏の観劇会に出席した群馬県渋川市の女性(72)はそう話す。小渕優子後援会の複数の女性によると、観劇会の準備は夏ごろ始まり、各地区の支持者らに案内チラシを配って希望者を募り、会費を集める。この女性が担当する地区には今年10人の希望者がおり、全員から1万2000円ずつ受け取って小渕事務所の人に渡したという。会費は毎回1万2000円だったといい、地元の秘書に渡したケースもあった。ある地区は今年、当日午前6時半に集合した。群馬県内各地から大型バスが26台用意されていたといい、車内ではお茶菓子とペットボトル入りのお茶が配られた。劇場に到着すると、1、2階はほぼ満席だったという。座席表では1、2階席で約1200席になるため、約1000人は劇場にいたとみられる。公平にするため席は事前にくじ引きで決め、地区ごとに着席した。観劇会は後援会の女性大会として開かれ、会場に着くと後援会幹部らのあいさつから始まる。小渕氏は今年、閣僚就任から間もなかったため欠席したが、子供を連れて登壇した年もあり、その時は「普段お世話になっております。朝早くからご苦労様です」などとあいさつしたという。参加者は劇場内で弁当の昼食をとり、今年は正午から休憩などを挟んで午後3時半まで天童よしみさんの劇と歌謡ショーがあった。その後は真っすぐ群馬へ戻り、午後6時ごろに解散となった。以前は9月に開催し、帰りに巣鴨や浅草に寄る1時間ほどの自由時間があり、買い物などを楽しんだこともあったという。女性は「必要な会費は全額きちんと支払っている。なぜ疑惑を持たれるような収支報告になっているのか見当もつかない」と困惑した表情を浮かべた。ほかの70代の女性部地区役員は「小渕さんはこれまで持ち上げられ過ぎていて、どこかに気の緩みがあったのではないか。この際きっぱりと閣僚を辞め、まだ若いのだから出直した方がいい」と厳しい口調で話した。 ◇小渕氏、言葉少なく 東京都渋谷区の小渕優子氏の自宅前には、早朝から記者やカメラマンが多数詰め、出張のため自宅を出るのを待ち構えた。改造内閣の「看板」として小渕氏を起用した安倍晋三首相の私邸が、約80メートル先にある。出張先は愛知県。三菱重工業の工場で開かれる小型ジェット旅客機の完成記念式典に出る予定だった。しかし「現地での混乱を避ける」(経済産業省)として急きょキャンセル。午後2時20分ごろ、警察官が三角コーンで規制する中、玄関にぴたりと横付けされたワンボックスカーにうつむいたまま無表情で乗り込み、霞が関の経産省へ向かった。玄関口で報道陣の取材に応じたが、その時間は約40秒。「(きょう首相と会う予定は)ありません」。硬い表情だった。「辞任の考えは?」。畳み掛ける質問に、「今やらなければならないことは、政治資金の問題についてしっかり調査すること」と返すのが精いっぱいだった。同省職員によると、小渕氏はその後約3時間半、大臣室にこもっていた。午後6時過ぎ、居残る大勢の報道陣に何度か軽く会釈するそぶりを見せたが、投げかけられた質問に一切応じず、車で立ち去った。式典を欠席したことについて、三菱グループのある幹部は渋い調子で言った。「経産相から直接プロジェクト支援の言葉をいただけるに越したことはないが、我々は民間企業として粛々と事業を進めていくだけだ」。 *1-2:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20141019&ng=DGKDASFS18H0U_Y4A011C1MM8000(日経新聞2014.10.19)小渕経産相、週明け辞任へ、収支問題 調査報告後に 小渕優子経済産業相は18日、関連政治団体の不透明な収支を巡る問題の調査結果を週明けに報告した後、安倍晋三首相に辞表を提出する意向を固めた。すでに首相周辺には辞意を伝えており、首相は小渕氏の辞表を受け入れる方針だ。第2次安倍内閣発足後、閣僚が辞任するのは初めてで、今後の政権運営に影響を与えるのは避けられない。問題になっているのは小渕氏が関係する政治団体「小渕優子後援会」と「自民党群馬県ふるさと振興支部」が開いた支援者向けの「観劇会」の費用だ。両団体の政治資金収支報告書によると、参加者から集めたとみられる収入と劇場側への支出に食い違いがあり、支出が収入を大幅に上回っている。2010年と11年の差額は合わせて約2600万円に上り、参加者が負担すべき差額分を政治団体が肩代わりしていた場合、公職選挙法が禁じる選挙区内の有権者への「寄付」行為にあたる。衆院選のあった12年も観劇会を開いたとみられるにもかかわらず、収支の記載がない。小渕氏は18日、経産省内で記者団に「今、私がやらなければならないことは自身の政治資金に関する問題をしっかり調査することだ」と述べた。一連の問題についての調査結果を週明けの20日にも報告する意向だが、小渕氏自身が「納得できる説明をするのは難しい」と首相周辺に伝えており、調査結果を報告した後、収支問題の責任を取って首相に辞表を提出する方向となった。首相周辺は18日夜、小渕氏の進退について「首相官邸が判断する問題ではなく、小渕氏自身が判断すべき問題だ」と述べ、小渕氏が辞表を提出すれば首相は受け入れるとの見通しを示した。そのうえで「第2次安倍政権になって初めての試練だ。早く決着した方がいい」とも語り、辞任により早期収拾を図るべきだとの認識を示した。首相は後任選びを急ぐ。女性登用を重視した9月の内閣改造で看板閣僚として起用した小渕氏が辞任に追い込まれる事態になったことから、後任は慎重に選ぶ考えだ。 *1-3:http://qbiz.jp/article/48028/1/ (西日本新聞 2014年10月19日) 小渕経産相、辞任不可避 政治資金問題 首相に進退一任 政治団体の不正支出疑惑をめぐり、小渕優子経済産業相の閣僚辞任は18日、避けられない情勢となった。首相周辺によると、小渕氏は進退を安倍晋三首相に一任した。自民党関係者は「傷が浅いうちに辞めさせるのが官邸の判断だ」と語った。首相は同日午後、イタリアから帰国し、そのまま公邸に入って今後の対応を検討した。近く小渕氏と会い、辞任させる方向で最終決断する見通しだ。閣僚が辞任すれば、2012年12月の第2次安倍政権発足後、初めてとなる。9月の内閣改造から1カ月余りで主要閣僚が辞任に追い込まれれば、政権のダメージは大きい。首相の任命責任も問われそうだ。小渕氏は同日、愛知県で開かれる国産初の小型ジェット旅客機「MRJ」の機体完成記念式典に出席予定だったが、「混乱を回避するため」(経産省広報室)としてキャンセルした。午後、都内の自宅から経産省に登庁。記者団から辞任する考えかと問われ、「今、私とその政治資金に関わるさまざまな問題について調査をしっかりやっているということだ」と述べ、進退については言及しなかった。同日中に首相と会う予定も「ない」と答えた。一方、首相はイタリア・ミラノでのアジア欧州会議(ASEM)首脳会議の出席を終え、政府専用機で帰国。公邸から電話で菅義偉官房長官らと対応を協議したとみられる。同日夕、都内の自宅に戻る際、記者団から小渕氏の進退を問われたが、何も語らなかった。与党内では、辞任は不可避との見方が広がっている。だが、小渕氏が辞任すれば、野党側が「うちわ」問題で松島みどり法相への辞任圧力を強める懸念があることから、政府高官の一人は「そんなに早く決める話じゃない」と早期辞任には否定的見方を示した。小渕氏の不正支出疑惑をめぐり、野党は週明け20日の衆院地方創生に関する特別委員会で、さらに追及する構えだ。この場での小渕氏の説明を見て進退を判断すべきだとの声もある。 *1-4:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20141019&ng=DGKDASFS18H0L_Y4A011C1PE8000 (日経新聞 2014.10.19) 首相、早期収拾狙う、小渕経産相の辞表受理へ 看板閣僚の将来配慮 イタリア訪問から帰国した安倍晋三首相は18日、小渕優子経済産業相の関連政治団体の不透明な収支問題の事態収拾に着手した。小渕氏は週明けの調査結果の報告後に辞任する方向で、首相は後任選びも急ぐ。早期辞任により政権運営への打撃を最小限に抑えるとともに、将来の首相候補の一人とも目される小渕氏をこれ以上、批判の矢面に立たせないようにする配慮も働いたとみられる。首相は午後3時すぎに羽田空港に到着し、そのまま首相公邸に入った。政府関係者から小渕氏の問題の経緯について報告を受けるとともに、政府・与党の幹部と電話で今後の対応などを話し合ったとみられる。首相は公邸に1時間ほど滞在した後、私邸に戻った。愛知県への出張をとりやめた小渕氏は午後、経産省にこもった。週明けに予定する関連政治団体や資金管理団体の不透明な収支に関する調査の報告の段取りなどを関係者らと打ち合わせたとみられる。小渕氏は夕方に無言で経産省を後にした。首相周辺は同日夜、まず小渕氏が調査結果を報告するのを待つとしたうえで「第1次安倍内閣では内閣支持率ばかりを気にして判断が遅れたが、今回は国政を遅滞させないことを基本方針にやる」と指摘。調査結果の報告後、速やかに辞任するとの見通しを示した。早期辞任による決着は政権運営への影響だけでなく、小渕氏への配慮もにじむ。女性として最年少で入閣した小渕氏は安倍内閣の看板閣僚であるだけでなく、将来の首相候補の一人と見る向きもある。政府関係者は「この問題で政治家としての小渕優子を殺してはいけない」と早期辞任が望ましい理由を説明する。しかし、小渕氏が辞任しても、新任閣僚をめぐって混乱した事態を直ちに収拾できるかどうかは予断を許さない。「野党はほかの閣僚の問題を追及してくるのではないか」。自民党幹部はこう身構える。第1次安倍政権は「政治とカネ」の問題が絡んだ閣僚の辞任が相次ぎ、支持率低下につながった。閣僚経験者は「小渕氏で前例を作ると、再び『辞任ドミノ』が始まる」と危機感をあらわにし、参院幹部は「副大臣や政務官にも波及する」と警戒する。やり玉に挙がりそうなのが選挙区で討議資料として「うちわ」を有権者に配った松島みどり法相だ。政府高官は「小渕さんと比べれば些末(さまつ)な問題だ」として小渕氏の問題とは分けて考えるとするが、今後も厳しい追及が予想されるだけに「小渕氏と一緒に辞めた方が政権へのダメージは少ない」(閣僚経験者)との見方もある。後任選びは慎重にならざるを得ない。自民党内では「国会会期中であり、後任は経験者か商工族がよい」(自民党幹部)との声が上がる。原子力発電所の再稼働など重要課題を抱えるため「重量級のベテランを起用すべきだ」(党三役経験者)との意見も出ている。 *2:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11409709.html (朝日新聞 2014年10月19日) 小渕氏地元、広がる動揺 「出直して」の声も 後援会などをめぐる「政治とカネ」の問題で、小渕優子経済産業相の辞任論が噴出した。小渕氏の地元・群馬の支援者や、小渕氏の政策に期待した人々の間では18日、戸惑いや落胆が広がった。一方で、「辞任やむなし」の声も上がる。18日夕、群馬県高崎市の住宅街にある小渕氏の後援会事務所。秘書ら数人がいるだけで、訪れる人は少ない。秘書の一人は「ここでは観劇会の参加者一人ひとりが実費を払ったかどうか確認している最中。(進退の話は)まったく聞いていない」。内閣改造で9月3日に大臣に就任した後は、自民党県連の行事で1度、前橋市入りしたほかは群馬に戻っていないという。小渕氏は、後援会などが、支援者らの観劇会費用を一部負担したり、収支を政治資金収支報告書に記載しなかったりしたとの疑いをもたれている。重要閣僚への起用を「首相へのステップ」と喜んだ支援者には、動揺が広がる。後援会幹部の一人は「進退については聞いておらず、何とも言いようがない」と戸惑いを隠せない。ただ、別の後援会幹部は「大臣になれば周囲の目は厳しくなる。まだ若いので、反省するところは反省して、出直してほしい」。県議の一人も「収支報告書の記載が食い違う問題は言い訳できない。長引けば本人や政権の傷が広がるだけ。若いのだから早く辞めて出直した方がいい」と辞任は仕方ないとの考えだ。父の恵三元首相の時代から地区の後援会幹部を務める中之条町の女性(83)は、問題の観劇会にも参加してきたという。「経産相になった時には、初の女性総理に近づいたとうれしく思った。お金にきれいな人というイメージだったので、すごく残念。しっかり説明してほしい」。(吉浜織恵、井上怜) ■福島支援、あの約束は… 少子化や原発問題など、政策面で小渕氏に期待した人たちの失望も大きい。経済評論家の勝間和代さん(45)は、小渕氏が少子化担当相を務めた2008年、政府の少子化対策プロジェクトのメンバーとして知り合った。「より若い人が活躍できるように」「子どもを産みやすいように」と、淡々と話す姿が印象的だったという。「自分が自分が、という目立ちたがりが政治家には多いが、そういうところがみじんもなかった。社会のためにとの思いがとても強い人だ」と話す。政策ののみ込みも早く、有能な政治家だと感じていた。「今回の問題で辞任するとしたら、残念。くじけず、早く第一線に戻ってきてほしい」。福島県川内村の遠藤雄幸村長は先月、経産相就任後に村を訪れた小渕氏に復興策の支援を求めた。原発事故後に村が誘致した工場を視察し、避難先から戻れない子が多い小学校で児童たちと触れ合った。「住民が安心して暮らせるよう支援したい」と約束した小渕氏。「政治家は『知らなかった』という釈明では済まされない。こんなにも早く辞任の話が持ち上がるなんて、がっかりだ」。(藤生明、岡本進) ■政治資金、絶えぬ疑惑 「政治とカネ」をめぐり閣僚が責任を問われるケースは近年も相次いでいる。06年9月発足の第1次安倍内閣。当時の佐田玄一郎行政改革担当相は、関連の政治団体に事務所の実体がないのに、政治資金収支報告書に、事務所費など約7800万円を支出したと記載しているのが発覚。同年12月に辞任した。翌年1月には松岡利勝農林水産相の資金管理団体が、家賃のいらない議員会館に事務所を置いているのに、年間計数千万円の事務所費や光熱水費を計上していたことが発覚。松岡氏は自殺した。後を継いだ赤城徳彦農水相も、実家を政治団体の主な事務所と届けながら、多額の事務所費などを計上していた問題を追及され、辞任に追い込まれた。次の遠藤武彦農水相は自身が組合長を務める農業共済組合に補助金の不正受給疑惑が浮上。9月に辞任すると、まもなく安倍晋三首相も辞意を表明した。民主党政権下では菅直人内閣の11年に前原誠司外相が外国人から違法な献金を受けたとして辞任。野田佳彦内閣でも12年、田中慶秋法相に外国人が経営する企業からの献金が発覚し、辞任につながった。(大西史晃) *3:http://www.taro.org/2014/10/post-1537.php (衆議院議員 河野太郎 2014年10月17日) 原発の本当のコストはいくらか 小渕経産大臣の政治資金に関して、国会でも質問が飛んでいる。もちろん政治資金の流れにおかしなことがあってはならない。しかし、経産大臣に国会で金の話を質問するならば、もっと突っ込みどころがあるはずだ。10月2日の参議院本会議で小渕大臣は、「原発の発電コストはその他の主要電源のコストと比較しても遜色なく低廉な電源と考えています」と答弁している。 本当にそうなのか。 10月8日の参議院予算委員会で、政府は「原発のコストについてはキロワットアワー当たり8.9円以上となっておりまして、その他の電源に比べて低廉なものと認識をしています」と答弁している。これは福島の事故の費用が5兆8000億円であるとして計算された数字だ。2011年のコスト等検証委員会の計算である。この計算の前提は、福島第一原発の1号機から4号機の4基を除く50基の原発がすべて再稼働され、その後、40年間稼働するというものだ。しかし、実際の福島の事故の費用はこれをはるかに超えている。 立命館大学の大島堅一教授の試算では 損害賠償額 4兆9088億円 賠償対応費用 777億円 除染費用 2兆4800億円 中間貯蔵施設1兆0600億円 事故収束費用2兆1675億円 行政対応費用 3878億円 合計 11兆0819億円 原発の発電コストと経産省が称するものにこの費用を加えたものを、50基の原発が40年で発電する電力量で割ると、キロワットアワーあたりの原発の発電コストは9.4円になる。さらに、これを現実的な試算に置き換えてみる。現在、我が国にある50基の原発がすべて再稼働するものとするが、それぞれの原発は建設から40年経ったところで運転を停止するとして計算すると、11.4円になる(大島堅一教授の試算による)。もちろん福島第一原発の5、6号機は再稼働しないし、日本原電の原子炉も再稼働できないだろう。その他にも再稼働しないものは少なからずあるはずだ。だとすると、原発のコストはさらに高くなる。とてもじゃないが「原発の発電コストはその他の主要電源のコストと比較しても遜色なく低廉な電源と考えています」などとは言えない。小渕経産大臣に、国会で、金の質問をするならば、まず、こっちのほうから質問するべきではないか。 ちなみに 損害賠償額 4兆9088億円 電力消費者負担 賠償対応費用 777億円 電力消費者負担 除染費用 2兆4800億円 支援機構の株の売却益を想定* 中間貯蔵施設1兆0600億円 国民負担 事故収束費用2兆1675億円 電力消費者負担 行政対応費用 3878億円 国民負担 *国が1兆円で買った東電の株を3.5兆円で売却し、その利益2.5兆円を充当する。事故費用のうち、東京電力が自らの利益で負担したのは、災害特別損失の10-12年度の合計額1兆259億円と新総合特別事業計画で積み増した1兆円の合計2兆259億円と原子力損害賠償支援機構への特別負担金だけだという(大島堅一教授による)。ちなみに2013年度までの特別負担金は500億円。 PS(2014.10.21追加):*4のように、小渕氏が自分の事務所のことに関して第三者であるかのように、「これまで気付かなかった」「全体像がわからないので、一から調べてもらうしかない」と言うのなら、小渕氏は、これまで自らの政治活動を自分で意思決定して主体的にやってきたのではないことになる。それは、「監督責任が十分でなかった」のではなく、すべてお膳立てしてもらって活動していたにすぎず、政治家として何をやりたいかの主体性すらないことを意味するため、これが何かの「星」ならば、他の女性議員はすべてそれ以下のようで、誰も納得しないだろう。また、「ワインのことは知っているが、選挙区外の方に配っていると思っていた。調査をしたい」というのも第三者的すぎる。 しかしながら、*5をはじめとして、この件によって「女性は・・」と言う論調が出るのは、男性に変な人がいてもすべての男性が変だとは言われないのと同様、論理的ではなく男性中心社会の女性蔑視だ。 *4:http://mainichi.jp/shimen/news/20141020dde041010068000c.html (毎日新聞 2014年10月20日) 安倍内閣:閣僚ダブル辞任(その1) 自民の星、痛い失点 小渕氏「甘かった」 女性5人を「看板」閣僚に起用し、支持率を保ってきた第2次安倍改造内閣の一角が、大きく崩れた。「すべてが甘かった」。小渕優子経済産業相(40)は自身の政治資金疑惑を説明できず、50日足らずでつまずいた。地元で「うちわ」を配り公職選挙法違反の疑いで告発されていた松島みどり法相(58)も同じ日に辞任し、関係者に衝撃が広がった。小渕氏は午前9時40分すぎ、濃紺のスーツ姿で経産省10階の記者会見室に現れた。カメラのフラッシュを浴び、緊張した表情で時折髪に手をやりながら、指摘された疑惑について現段階での調査内容を説明した。地元の下仁田ネギやこんにゃく、ベビー用品、化粧品……。政治資金で買った数々の「物品」について、「会社や団体が経済活動の中で関係者に経費で社交儀礼をするのと同じ」と述べ、政治活動の経費として認められるものだと強調した。政治団体が開いた支援者向け観劇会については、「年間2000人が参加した」とし、集めた実費を管理する通帳や支援者からの申込用紙のコピーの束を一枚一枚、記者団に示した。「入場料は相当安くしていただいている」などと述べ、集金も確実に行われていたと強調した。しかし、肝心の収支の差額の生じた理由については説明できず、「実際の記載には私も大きな疑問がある」と疑惑を認めた。質疑では、この差額を巡る質問が多く出た。時折言いよどみ、宙をにらんで涙をこらえる場面もあった。開催料の負担については改めて自身の関与を否定したが、「なぜこれまで気付かなかったのか」との質問に一瞬顔をこわばらせ、「長年、子供のころからずっと一緒に過ごしてきた信頼するスタッフに管理してもらってきた」。ひと呼吸を置いて「監督責任が十分でなかったと思っている」と、うつむいた。記者の追及はやまない。自身が代表の資金管理団体も、観劇の開催費用を負担していた事実を突きつけられると「全体像がわからないので、(第三者に)一から調べてもらうしかない」とかわすのがせいいっぱい。自身が女性閣僚の目玉と期待されていた点を聞かれると、「私自身は目玉かどうか分からない」とうなだれた。東日本大震災からの福島県の復興については「議員の一人として次の世代のためにしっかりやりたい」とくやしげな表情を見せた。終了間際に、小渕氏は再度、深々と頭を下げた。「私は一から出直そうと思っている」と述べたが、最後には「もう一度、ゼロから信頼を取り戻すよう、出直します」と言い換え、目をうるませた。 ◇ずさん経理に驚きの声 経済産業相を辞任した小渕優子氏が関係する政治団体の政治資金収支報告書では、つじつまの合わない記載が次々見つかり、自身も記者会見で多額の不記載を認めた。「いまだにこんな会計処理をしているのか。信じられない」。政界からも驚きの声が漏れる。問題となった観劇会は小渕氏の支援者ら約2000人が地元・群馬県から大型バスに乗り、東京・明治座で有名歌手らの公演を見る。昼食時には弁当も配られるという。閣僚経験のあるベテラン議員の元秘書によると、小渕氏以外の国会議員も支援者との交流イベントを開いている。「後援会員に知り合いを誘ってきてもらう。支援者を増やす重要な機会」で「国会見学ツアー」などの名称で地元秘書がバスで引率。観劇会同様、日帰り食事付きが一般的だ。元秘書は「昔は議員側が持ち出すのが普通だったが、第1次安倍内閣(06〜07年)で閣僚が次々と辞めた後は改めたはず。各政党は秘書を集め、会計処理に関する勉強会も開いている。小渕氏側の処理は旧態依然としている。ずさん過ぎて信じられない」と語る。識者の見方も厳しい。日大法学部の岩井奉信教授(政治学)は「普通は帳尻を合わせるはずで、事務所の会計がずさんなのか脇が甘いのか」と首をひねる。「複数の団体に収支を分散させたため、各団体が『全体では合っている』と思っていたのかもしれず、ミスのような感じもする」と推測する。 ◇「選挙区外と思っていた」−−ワイン贈呈問題 記者会見では、小渕氏の地元事務所が選挙区内の男性に対し、小渕氏の顔写真などがラベルに印刷されたワインを贈った問題についても質問が出た。小渕氏は「ワインのことは知っているが、選挙区外の方に配っていると思っていた。調査をしたい」と述べた。また、自身の資金管理団体でベビー用品や下仁田ネギ、親族経営の服飾雑貨店などに支出を計上したことについては「政治活動のための贈答品。選挙区内でお配りしたことはないと承知している」と述べた。 ◇オンブズマン、告発状を提出 公選法違反などで 市民オンブズマン群馬(小川賢代表)は20日、小渕優子氏に対する公選法違反(利益供与)と政治資金規正法違反の両容疑の告発状を、東京地検に提出した。同オンブズマンは、小渕氏の地元後援会が支援者向け観劇会の費用の一部を肩代わりした疑いがあり、公選法が禁じる有権者への利益供与にあたると指摘。収入と支出を政治資金収支報告書に正しく記載しなかったとしている。 *5:http://www.nikkei.com/article/DGXLASDC2000E_Q4A021C1EA2000/ (日経新聞 2014/10/20) 女性閣僚が安倍政権の「地雷」 中国国営メディア論評 【北京=大越匡洋】中国の国営新華社は20日、小渕優子経済産業相、松島みどり法相の辞任について「安倍晋三首相が9月の内閣改造で重視した女性閣僚が政権の『地雷』になっている。安倍政権に重大な打撃となる」と報じた。高市早苗総務相らほかの女性閣僚が靖国神社に参拝したことにも触れ「国内外の世論の疑問と非難を引き起こした」と批判した。欧米メディアも20日、女性2閣僚の辞任を相次いで速報した。英紙フィナンシャル・タイムズ(電子版)は「女性の活用で経済を再生しようとしていた安倍政権に打撃となる」と分析。英国放送協会(BBC)も「小渕氏は将来の首相候補とされるが、疑惑が持ち上がった」指摘した。米紙ワシントン・ポストは日本が消費再増税の是非を判断する時期に差し掛かっていることを踏まえ「2人の辞任は難しい時期にある安倍政権に暗い影を落とした」と報じた。
| 民主主義・選挙・その他::2013.12~2014.11 | 09:40 AM | comments (x) | trackback (x) |
|
2014,08,11, Monday
(1)「コピペ=悪」というのは誤りである
*1~*3に書かれているように、新聞は、「コピー&ペースト(略してコピペ)」を批判している。しかし、安倍首相も小保方氏も、文屋(ブンヤ)とは異なり、命をかける本来の仕事は文章を書くことではない。そして、安倍首相の場合は政策を選択して実行するのが仕事であり、小保方氏の場合は新しい研究を完成させることが仕事であって、その手段として、挨拶をしたり、論文で経過報告をしたりしているにすぎない。つまり、文章に命をかけているのではなく、文章は必要なことを伝える手段にすぎないのだ。 そのような中、最近、記者の視点から、*1、*2のように、「コピペ=悪い」という論調が多いが、平和記念式典の歴史的経緯や式典の目的が変わらない以上、そこで述べるべき内容が、毎年、大きく変わるわけはないと、私は思う。何故なら、私も、衆議院議員時代、よく地元の戦没者追悼記念式典で追悼の辞を述べたが、最初にその歴史的経緯や式典の目的をよく調べて最善の追悼の辞を考えておけば、よりよい内容を思いつかない限り、次の年もあまり変更せずに使うことになったからだ。そのため、「コピペ=悪」というのは、国会議員や首相の本当の仕事や行動を知らない“ブンヤ”の発想だと思うのである。 なお、式典で挨拶する時は、事前にその式典の歴史的経緯や目的を調べ、それにあった挨拶をするのが当然で、一日にいくつもの式典や行事に列席して挨拶するために、私は、それらを調べて下書きするところまでは秘書(部下)にさせ、最後にレビューして自分の考えを入れて仕上げ、文責を自分にできるようにしていた。一般社会では、部下に調査や下書きをさせるのは普通だが、それを、私が部下に書かせて自分で書いていないなどという批判があったのは、人を馬鹿にするにも程があると思って呆れた次第だ。 (2)デジタル時代の省力化・効率化はコピペから始まる デジタル社会となり、情報がせっかくデジタルで手に入るようになったのだから、いろいろなHPから情報をとって文章を繋げ、自分のレポートの一部に採用するのは、省力化・効率化の有効なツールである。そのため、「すべてのコピペは悪い」とするのはおかしい。 もちろん、参考文献も示さずに、他人の文章を自分の考えであるかのように書くのはお粗末だが、そういう人は表明したい自分自身の考えのない人であり、最も可哀そうな人である。しかし、自分の考えを表明する前に、一般論の部分をコピペで記述するのは、現在、多くの人が行っている普通の方法であり、私も、コピペで間に合う文章を、いちいち打ち直すような時間の無駄はしない。 (3)研究論文の場合、重要なのは内容・文責・出典の明記だ そもそも、研究論文はビジネス文書とは異なり、内容に新しさがなければ、その論文を出す意味がない。そのため、コピペだけで価値のある論文を書くことはできず、コピペの部分は過去に他の人が書いたことであるため価値がない。つまり、論文の重要な部分は、新しく述べる内容とその科学的根拠、発見者・文責であり、他人の知識や研究を前提として、その上に議論を展開する場合は、前提とした論文や著書について、その出典を明記しなければならないのである。 そのため、小保方氏の論文の冒頭部分が、アメリカ国立衛生研究所(NIH)サイト上にある文章と類似していたとしても、それが一般的な知識であったり、出典が明記されていたりすれば、その論文の肝の部分ではないため、(自分なりに咀嚼して変えておくのが普通ではあるが)問題はない。また、参考文献のリストもコピペだったという批判があるが、前提とした他人の論文や著書を参考文献として記載するのだから、参考文献のリストの一部がコピペになる場合もある。 つまり、*3の批判のうち「コピペ」「流用」については、内容の本丸を科学的に攻めることができずに、手続きにいちゃもんをつけているだけのくだらない批判なのである。しかし、「不適切な加工」というのは、STAP細胞の科学的根拠が怪しくなったため再実験をしているということで、テクニックがあって本人しかできない場合もあるため、本人がやってはいけないということはない。 *1:http://www.saga-s.co.jp/news/national/10201/92466 (佐賀新聞 2014年8月9日) 昨年と酷似、長崎も「コピペ」?首相あいさつに批判続出 原爆投下69年の6日に広島市で開かれた平和記念式典でのあいさつが「昨年のコピペ(文章の切り貼り)」と指摘された安倍晋三首相は9日、長崎市の平和祈念式典でも昨年と酷似した文章を読み上げ、被爆者から「がっかり」「使い回しだ」と批判の声が上がった。長崎市の式典で安倍首相はあいさつの冒頭、「被爆の辛酸をなめた私たちは、にもかかわらず、苦しみ、悲しみに耐え立ち上がり、祖国を再建し、長崎を美しい街としてよみがえらせた」と昨年と同じ言い回しを使った。「被爆68周年」「68年前の本日」の数字部分がそれぞれ「69」に変わっただけだった。 *2:http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2014081002000119.html (東京新聞 2014年8月10日) 「ずさんすぎる」怒り 長崎も文章使い回し? ほぼ半分、昨年と同じ 安倍晋三首相が九日に長崎市で開かれた平和祈念式典で行ったあいさつは、文章のおよそ半分が昨年と同じ表現だった。六日に行われた広島の平和記念式典のあいさつに対しては、「コピペ(文章の切り張り)だ」と批判を受けたが、同じような事態が長崎でも繰り返され、被爆者からは怒りの声が上がった。長崎でのあいさつの冒頭は、原爆の犠牲者を悼み、長崎を復興させた人たちの努力に触れた。この中で昨年と表現が違うのは原爆投下からの年数のみ。昨年のあいさつで「六十八年前」だったのが、「六十九年前」と直されただけだ。核兵器廃絶への誓いを述べる末尾の部分も、昨年とほとんど同じだった。広島でのあいさつが批判された後、加藤勝信官房副長官は「一年一年、中身を吟味しながら、犠牲者や平和に対する思いを盛り込んで作っている」と釈明していた。しかし、長崎でも昨年と同じような表現が目立ったことで、あいさつ文作りがおざなりである印象が強まった。こうした式典でのあいさつは通常、秘書官や担当省庁が作成し、首相が最終的な文言調整を指示して完成させることが多い。施政方針演説などのように閣議決定を経るわけではないため、安易に使い回された可能性がある。長崎の被爆者からは早速、批判が相次いだ。式典後、首相と被爆者五団体との面談では、長崎原爆遺族会の正林克記(まさばやしかつき)会長は、首相に直接「私もちょっとがっかりというか、被爆者みんながびっくりした状態だ」と伝えた。式典で首相のあいさつを聞いた長崎原爆被災者協議会の山田拓民(ひろたみ)事務局長は、本紙の取材に「秘書官が書いたのか首相が書いたのか知らないが、そっくりそのまま読ませる方も読ませる方だし、読む方も読む方だ。ずさんすぎる」と批判。「被爆者のことを少しでも意識していれば、同じあいさつをするわけがない。広島の式典でも追及されたのに、長崎でも繰り返すのはわれわれを侮辱している」と怒りを隠さなかった。 *3:http://diamond.jp/articles/-/51158 (高橋大樹 2014年4月4日) STAP細胞をめぐるコピペ騒動は他人事じゃない!もう一度学びたい「安全なビジネス文書」のつくり方 STAP細胞をめぐる小保方晴子さんへのバッシング報道は、止まることを知らない。今やSTAP細胞の存在自体に疑義が呈されているが、目下小保方さんが真に問われるべきは、故意にせよ過失にせよ、データや文章の「コピペ」「流用」「不適切な加工」などを行ってしまったことのモラルについてだろう。こうした資料やレポートの作成に対する法的、倫理的感覚の欠如は、何も学生や研究者に限ったことではない。ビジネスマンにとっても、他人事ではないはずだ。学者の論文とビジネス文書とでは製作過程も性質も違うが、「人に自分の考えを正しい方法でアピールし、認めてもらう」というコンセプトは同じだ。STAP細胞騒動を教訓にして、新人や若手社員をはじめ、ベテラン社員もいま一度文書のつくり方を学び直してみたらどうだろうか。「コピペ」に頼らず、自分のビジネススキルを最大限に活かすための「安全で刺さるビジネス文書」のつくり方をお伝えしよう。 ●「コピペ」「流用」「不適切な加工」、小保方さんが真に問われるべき責任、いったいなぜ、こんな事態に陥ってしまったのか――。 理化学研究所発生・再生科学総合研究センター 細胞リプログラミング研究ユニットで、研究ユニットリーダーを務める小保方晴子さんが、全ての生体組織と胎盤組織に分化できる多様性を持った万能細胞「STAP細胞」の存在を発表したのは、今年1月のこと。世界的な大発見とあって注目度は大きく、報道が過熱。「割烹着」「女子力」「リケジョ」など、研究成果と直接関係のない分野にまで話題は広がり、「オボちゃんフィーバー」が巻き起こった。ところが2月から3月にかけて、状況は一変。英国の科学誌『ネイチャー』に掲載されたSTAP細胞の論文に関して、ネット上での検証を皮切りに、複数の疑惑が発覚したのだ。一部の画像については不適切な加工や、STAP細胞10+ 件とは関係のない小保方さん自身の博士論文からの流用が、また一部の文章については他者の論文からのコピペ(コピー&ペースト)が指摘されている。さらに、この騒動に乗じて持ち上がったのが、かつて小保方さんが執筆した博士論文の内容の一部が、他の文章からコピペされていたのではないかという疑惑だ。冒頭部分の約20ページが、アメリカ国立衛生研究所(NIH)サイト上にある文章と類似していることが指摘された。これらの疑惑が広まり始めると、報道は一気に小保方さんバッシングへと傾いた。説明を求められた理化学研究所の調査委員会は、3月末に発表した報告書で「小保方さんによる不正行があった」と指摘したが、小保方さんは代理人弁護士を通じて「承服できない」とこれに反論している。
| 民主主義・選挙・その他::2013.12~2014.11 | 01:28 PM | comments (x) | trackback (x) |
|
2014,07,07, Monday
(1)泣けばよいというものではないだろう
*1-1のように、兵庫県の野々村県議(47)が、政務活動費から195回分もの不自然な出張旅費を支出しただけなら、「もしかしたら、温泉地帯の街おこしに一生懸命になって、何度も温泉を訪問したのかも・・」と私は思ったが、支出の理由を説明できずに突然泣きだしたのは、あまりにお粗末で私も呆れた。 呆れた理由は、*1-2や*1-3のように、①粉飾決算の仕方があまりにも稚拙で ②いい大人(それも男)が絶叫して泣いたから である。しかし、近年、男女とも、親しい者の死のように本当に泣くべき場面ではないところで、簡単に大人が泣くことが多くなったのは見苦しい。 そのため、*2のように、兵庫県議会議長が、「議員としての資質に疑問を抱かざるを得ない」として、野々村氏に「辞職すべきだ」との勧告文を手渡したのはもっともで、これだけの粉飾決算を行って、説明できない政務費をすべて返還しただけですまないのは社会常識である。 (2)苦労人だからよいというものでもない あまりにもお粗末な粉飾決算を見せられたため経歴を調べたところ、*3のように、川西市役所を退職後、5回目の立候補で兵庫県議に滑り込んだ苦労人と表現されていた。 「苦労人だからよい」ということもないが、市役所は複式簿記で会計を行って公認会計士監査を受けている所ではないため、こういう空出張や虚偽の経費支出が常態化しており、野々村氏はこれを悪いことだと意識していなかったのではないだろうか。 (3)政治資金報告書の監査について 私は、何かといちゃもんをつけようと狙われているのを知っていたため、2005年に衆議院議員になってすぐから、政治資金の会計に関しては公認会計士の任意監査を受けていた。そうすると、*4のように、政治資金に関する監査が、2007年12月、国会議員にのみ導入された。 報酬を支払っても監査を受けておくメリットは、下のとおりである。 1)会計に強くない会計責任者でも、日頃から監査人に指導してもらい、故意もミスもなくすことができる。 2)政治資金報告書を監査して監査証明をもらう以上、政治資金報告書の適正性について、利害関係の ない独立した監査人に連帯責任を負ってもらうことができるため、説明責任を果たしやすい。 そして、*4に書いてあるとおり、政治資金監査人による政治資金監査は下の4点について行うため、監査人が事前に会計指導し、事後に政治資金報告書をチェックすると、兵庫県の野々村県議のようなことは起こらないのである。これは、とかく上げ足を取られやすい首長や議員にとっても、リスク管理や安全保障になるのだ。 ① 会計帳簿、明細書、領収書等、徴難明細書、支出目的書、振込明細書が保存されていること ② 会計帳簿にその年の支出の状況が記載されており、かつ、会計責任者が会計帳簿を備えていること ③ 収支報告書は、会計帳簿、明細書、領収書等、徴難明細書、支出目的書及び振込明細書に基づいて 支出の状況が表示されていること ④ 徴難明細書、支出目的書は、会計帳簿に基づいて記載されていること 私は、この政治資金監査は、国会議員だけでなく、すべての首長や議員を対象にすべきだと考えている。また、会計も単式簿記ではなく複式簿記に変更すれば、網羅性・検証可能性が増し、ごまかしにくくなるとともに、表示もわかりやすくなって、民主党の小沢氏のようないちゃもんをつけられることがなくなる。そして、複式簿記の方が一般社会の会計基準と同じであるため、誰にでもわかりやすいのだ。 *1-1:http://www.saga-s.co.jp/news/national/10202/80863 (佐賀新聞 2014年7月4日) 県議号泣会見、ネット拡散し波紋、専門家「世界に恥」と批判 兵庫県の野々村竜太郎県議(47)=無所属=が政務活動費から195回分の出張旅費を支出していた問題は、号泣会見の動画がインターネットに出回り、海外にまで波紋を広げた。一方、出張目的などの説明は拒否したままで、専門家は「責任を果たさず世界に恥をさらした」と批判する。「やっと議員になったんです」「世の中を、うおー、世の中を、変えたくて」。1日の釈明会見で野々村議員は突然、右手を机にたたきつけて絶叫、泣きじゃくった。記者が止めるまで約8分間の「独演会」。自ら感情的な質問は受けないと冒頭に宣言していただけに、記者らは言葉を失った。 *1-2:http://www.saga-s.co.jp/news/national/10202/81081 (佐賀新聞 2014年7月5日) 号泣県議、大雨運休でも出張費、申請の信頼性揺らぐ 兵庫県の野々村竜太郎県議(47)=無所属=が政務活動費から195回分の出張旅費を支出していた問題で、議員が西宮市の自宅からJR城崎温泉駅(同県豊岡市)に日帰り出張したと収支報告書に記載している昨年9月2日は、大雨により特急の多くが運休し、日帰りが極めて困難だったことが5日、JR西日本への取材で分かった。野々村議員は、城崎温泉への往復は常に往復1万5340円を申請。号泣した釈明会見では、経路について記憶にないとした上で「出張はグリーン車を使った」と発言。昨年9月2日は普通電車を乗り継ぐなどすれば日帰りできなくはないが、申請額の信頼性が揺らぎ始めた。 *1-3:http://www.saga-s.co.jp/news/national/10201/81493 (佐賀新聞 2014年7月7日) 野々村県議、切手代に175万円、「出張」日に購入も 兵庫県の野々村竜太郎県議(47)=無所属=が政務活動費から不自然な出張費を支出した問題で、議員が2013年度、政務費から切手代に約175万円を支出し、出張したとする日にも購入していたことが7日、収支報告書の記載で分かった。収支報告書によると、野々村議員は主に大阪市や神戸市の金券ショップで切手を約135回購入。城崎温泉(兵庫県豊岡市)に出張したとする昨年8月29日には、大阪と神戸で別々に購入していた。3日連続で2万円以上の切手を購入したり、1日のうちに複数回購入したりしたこともあった。1日の釈明会見では切手代についても説明を拒否した。 *2:http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK0700Y_X00C14A7000000/?n_cid=TPRN0006 (日経新聞 2014/7/7) 野々村県議「辞職も念頭」 兵庫県議会議長が勧告 兵庫県の野々村竜太郎県議(47)=無所属=が政務活動費で不自然な支出をしていた問題で、県議会の梶谷忠修議長は7日、五つある会派の代表者を集め、野々村議員への対応や政務活動費のルールを協議した。野々村議員も出席し、梶谷議長は「説明責任を果たすことができない場合は辞職すべきだ」との勧告文を手渡した。松本隆弘副議長によると、野々村議員は「説明できない政務費はすべて返還する。辞職も念頭に置いている」と話したという。梶谷議長は冒頭、「野々村議員は説明責任を全く果たしておらず、議員としての資質に疑問を抱かざるを得ない」と厳しく批判した。野々村議員に対しては、最大会派の自民党議員らから「辞職すべきだ」との意見が出ていた。収支報告書によると、議員は2013年度、JR博多駅や城崎温泉駅(兵庫県豊岡市)などに同県西宮市から日帰りで計195回往復したとして、約300万円を支出していた。初当選した11年度から同様の支出を続けた。 *3:http://blog.livedoor.jp/tgfuy8371/archives/9175798.html (世界のニュース 2014年07月03日)号泣・野々村竜太郎県議 意外な苦労人、落選の日々、貧乏生活 号泣した兵庫県議野々村氏(47)は、川西市役所退職後、5回目の立候補で兵庫県議に滑り込んだ。 大阪府立北野高校卒業 関西大学法学部卒業 川西市役所に勤務、2007年に退職 高校の後輩の橋下徹に刺激を受けて政治を志した。 退職後は、宅地建物取引主任者として生計を立てた。 2008年7月、兵庫県太子町長選に立候補、最下位で落選 2008年11月、兵庫県西宮市長選に立候補、最下位で落選 2009年7月、兵庫県議補選西宮市選挙区に立候補、最下位で落選 *4:http://www.soumu.go.jp/main_content/000077917.pdf (総務省 政治資金報告書の監査) 国会議員にのみ、2007年12月、議員立法で提案され成立した。 <要点のみ> Ⅳ.政治資金監査 国会議員関係政治団体の会計責任者は、収支報告書を提出する時は、あらかじめ登録政治資金監査人の監査を受け、登録政治資金監査人が作成した政治資金監査報告書を提出しなければなりません。 ※ 「登録政治資金監査人」とは 登録政治資金監査人とは、政治資金監査を行う者として、弁護士、公認会計士、税理士のうち政治資金適正化委員会に登録された者をいいます。政治資金適正化委員会が行う政治資金に関する研修を修了した登録政治資金監査人が、政治資金監査を行うこととされています。 1.政治資金監査の対象となる政治団体 次の政治団体が、政治資金監査の対象となります。 ① 12月31日現在で、国会議員関係政治団体である政治団体 (その年の途中で国会議員関係政治団体となった政治団体も含まれます。) ② 12月31日現在では、国会議員関係政治団体ではないもののその年の途中に国会議員関係政治団体であった政治団体 (ただし、その年の収支報告書に記載すべき収入及び支出があった政治団体 に限ります。) なお、①、②の政治団体について、年の途中に国会議員関係政治団体以外の政治団体の期間があった場合においては、その期間についても政治資金監査の対象となります。 2.監査事項 登録政治資金監査人による政治資金監査は、次の4点について、政治資金適正化委員会が定める具体的な指針に基づいて行うこととされています。 ① 会計帳簿、明細書、領収書等、徴難明細書、支出目的書、振込明細書が保存されていること ② 会計帳簿にその年の支出の状況が記載されており、かつ、会計責任者が会 計帳簿を備えていること ③ 収支報告書は、会計帳簿、明細書、領収書等、徴難明細書、支出目的書及び振込明細書に基づいて 支出の状況が表示されていること ④ 徴難明細書、支出目的書は、会計帳簿に基づいて記載されていること なお、政治資金監査は、国会議員関係政治団体のすべての支出が対象ですので収支報告書において明細の記載が必要とされていない人件費についても、監査の対象となります。 3.政治資金監査に向けた準備 政治資金監査において監査の対象となる次の書面を書面監査が行われる事務所において準備しておかなければなりません。 ○ 収支報告書等の作成の際に基となる書面 ・ 会計帳簿 ・ 支出の明細書 ・ 領収書等(人件費についても対象となります。) ・ 振込明細書(人件費についても対象となります。) ○ 収支報告の際に提出すべき書面(政治資金監査までに作成すべきもの) ・ 収支報告書 ・ 徴難明細書 ・ 支出目的書
| 民主主義・選挙・その他::2013.12~2014.11 | 09:16 PM | comments (x) | trackback (x) |
|
2014,06,20, Friday
ウイルス 個人データ利用 通信傍受 ハッカー (1)「ウィンドウズXP」のサポート終了と特需の性格 *1-1のように、米マイクロソフトの基本ソフト「ウィンドウズXP」のサポートが、2014年4月9日に終了し、その後は安全上の欠陥を修正するソフトの配布がなくなるため、ウイルス感染の危険性が格段に高まるそうだ。私もXPを使っているので被害甚大だが、文書や写真は外部メモリーに保存しているためパソコンにはあまり入っていないにもかかわらず、サポート終了前でも、パソコンのメモリー残高が減り、パソコンの動きが遅くなっていた。これは、使う度に「修正ソフト」を配布され続けたのが原因だろう。 さらに、*1-2の「サポート終了の買い替え特需でパソコン業界が沸いた」というように、買換えでユーザーを不便にし、人を幸福にしない売り方をする商品は、*3のように「自治体担当者が『ウィンドウズを使う限り、振り回され続けるのか』とため息をつく」ように、代替品が見つかり次第、売れなくなるだろう。 (2)野放しになっている「ウイルス」という名の人的犯罪 *1-2のように、サポート終了で情報を盗むウイルスなど安全性を脅かすリスクへの対応を終了し、*2のように「Windows XPのサポートが終了すると、XPを狙った攻撃が増加する恐れがある」そうだ。 また、「脆弱性を狙った攻撃が行われる可能性がある」とも言われているが、それを行っている「ウイルス」は、自然界に存在するウイルスではなく人が作ったものである。ノートンなどの対策ソフトはあるが、そもそもパソコンのウイルスをばら撒くのはれっきとした犯罪であるため、ウイルスを作ったりばら撒いたりした者はしっかり見つけて重罰に処すべきだし、もう、それもできる筈だ。現在は、パソコンが「ウイルス」でやられても器物損壊にしかあたらず賠償額が少ないが、重要な資産はパソコンの中に保存されているデータであり、重要で回復不能なデータが詰まっている人も多いのである。 さらに、「ウイルス対策ソフトを利用していないパソコンのウイルス感染率は、利用しているパソコンの5.5倍」などと言っているが、パソコンやウイルス対策ソフトの販売者がウイルスの制作者に支えられているような構造では困る。 (3)システム・エンジニアとユーザーは価値評価に違いがある *3のように、九州7県の自治体が保有するパソコンの16%に当たる約2万7400台はOSの更新が間に合わず、XP搭載パソコンの4割近くが更新できないそうだ。使い続ければウイルス感染や不正アクセスの危険性が高まると言われているが、このような無駄遣いをさせられるのでは、納税者もたまらない。 なお、私もXPの方が使いやすいと思っており、使い慣れた動作を他の機種に変更させられるのは迷惑だ。その理由は、ユーザーにとってのパソコンは新ソフトになったから価値があるのではなく、使い慣れて早く書け、それまでの蓄積を使える方が価値があるからだ。そして、ここが、新しいソフトを開発すること自体が業績になるシステム・エンジニアやパソコンを売れば儲かる販売店とユーザーのパソコンに対する価値評価の違いである。 (4)通信傍受、ビッグデータ利用、本人の同意なき個人データ利用は許されない *4-1に書かれているように、通信傍受の対象となる犯罪種類を拡大し、現在の4種を大幅に緩める案が浮上したそうだが、通信傍受は憲法で保障された「通信の秘密」に反し、人権侵害や監視社会に繋がるものだ。これまで、ITはできたばかりのツールであるため、ルールが無いのは仕方がないとしてきたが、ITも「通信の秘密」を侵さないものに変えなければ、これ以上の発展はないだろう。 試案は捜査当局が電話、電子メールを傍受できる対象を広げ、組織性が疑われる殺人、放火、詐欺、窃盗などを新たに追加し、運用面では通信事業者の立ち会いは不要としているが、判断するのは捜査側だから、恣意的な解釈がまかり通る恐れは多分にあり、通信事業者の立会がなくなれば、この傾向に拍車が掛かるのは必至である。 また、*4-2に書かれているように、インターネットイニシアティブ(IIJ)や富士通総研などが連携して、個人の買い物履歴などのビッグデータを他社と互いに活用しあう専門組織を5月に設立するそうだ。しかし、個人関連データはれっきとした個人情報であり、「政府が検討しているガイドライン」といっても、通信傍受法と同様、いつ対象を拡大されるかわからない。また、個人の「通信の秘密」や「人権」に配慮されるとも限らないため、注目しておくべきだ。 さらに、*4-3では、政府のIT総合戦略本部の検討会が、2014年6月19日に、インターネット上などに蓄積されている個人関連データの取り扱いルールをまとめた大綱案を示し、本人の同意がなくても匿名化を条件に企業の利用を認めることを明記したそうだが、本人の同意が不要で、企業でも利用できるのであれば、対象がどう拡大されてもわからないため、本人の同意なく勝手に個人情報を利用される恐れが大きい。これは、日本国憲法に反する行為であり、ITだからといって例外にすべきではない。 *1-1:http://www.saga-s.co.jp/news/global/corenews.0.2643897.article.html (佐賀新聞 2014年3月8日) XP、新OS移行に遅れ / 来月サポート終了 米マイクロソフトの基本ソフト(OS)「ウィンドウズXP」は、4月9日にサポートが終了する。だが、中小企業では新OSへの移行の遅れが目立ち、個人はそもそもサポート終了を知らない場合も多い。終了時点でも、国内には少なくとも約750万台のXP搭載パソコンが残る見通しだ。サポート終了後は安全上の欠陥を修正するソフトの配布がなくなり、ウイルス感染の危険性が格段に高まる。残り1カ月となり、日本マイクロソフト(東京)は少しでもXPパソコンを減らそうと追い込みに入った。化粧品に使う香料のメーカー(同)は、約70台あるXPパソコンを今後3年かけて更新するという。 *1-2:http://www.nikkei.com/article/DGXNASDD240KX_U4A220C1EA2000/?dg=1 (日経新聞 2014/2/24)特需に沸くパソコン XP・消費増税後の反動は…、1月出荷台数63.8%増 国内のパソコン商戦が活況を呈している。1月の出荷台数は106万台で前年同月比63.8%増と大幅に伸びた。消費増税前の駆け込み需要に加え、4月に米マイクロソフトが基本ソフト(OS)「ウィンドウズXP」のサポートを終了するため買い替えが急増した。ただ、2つの特需が一巡すれば販売の苦戦は避けられない見通しで、この春が「最後の大商戦」になるとの懸念もある。電子情報技術産業協会(JEITA)が24日に発表した1月のパソコン出荷台数は現在の集計方式になった2007年度以降で1月単月としては最高。前年実績を上回るのは4カ月連続となった。パソコンはタブレット(多機能携帯端末)やスマートフォン(スマホ)に需要を奪われ、12年から出荷台数の前年実績割れが目立っていた。需要急回復の背景にあるのは消費増税とXPのサポート終了。マイクロソフトは4月9日を最後にパソコンOSのXPのサポートをやめる。パソコンが動かなくなるわけではないが、情報を盗むウイルスなど安全性を脅かすリスクへの対応を終了する。このため、昨年後半あたりから法人需要が先行する形で出荷が増えてきた。家電量販店では2月も販売が堅調。関東甲信地方を中心に降った2度の大雪が週末に重なったにもかかわらず、ビックカメラの販売額は前年同月比で2割増のペースだという。同社の売れ筋は10万~15万円のA4サイズのノート型。「XPサポート終了を知らない消費者はまだ多く、3月はさらに需要が伸びる」(ビックカメラ)と見る。需要増を受け、国内最大手のNECパーソナルコンピュータは米沢事業場(山形県米沢市)で2~3割の増産体制を敷く。富士通も島根県の工場などがフル生産。出荷見通しを2度にわたって上方修正した。一方「XP特需」後の見通しは厳しい。タブレットなどに押される構図は変わっておらず、再び苦戦に転じるとの見方が多い。MM総研の中村成希アナリストは「個人向けは4~6月から反動減が始まり、その後、再び増える要素はない。ピーク時の3割減程度で推移する」と予測する。 *2:http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK1602B_W3A410C1000000/?uda=DGXZZO0630724025042010000000 (日経新聞 2013/4/17) マイクロソフト、「サポート終了後のWinXPは狙われる」 「Windows XPのサポートが終了すると、XPを狙った攻撃が増加する恐れがある」。米マイクロソフトにおいて製品や開発プロセスのセキュリティを統括する、Trustworthy Computingチームの責任者ティム・レインズ氏は2013年4月15日、日本マイクロソフトが開催したセミナーにおいて、セキュリティの現状などについて解説した。マイクロソフトでは、セキュリティの最新動向をまとめた「セキュリティ インテリジェンス レポート(SIR)」を半年ごとに公開している。同レポートでは、全世界の6億台以上のコンピューターや同社サービスなどから収集したデータを基に、脆弱性やマルウエア(ウイルス)、迷惑メール、フィッシング詐欺などの動向をまとめている。2012年下半期(7月から12月)のデータをまとめた「セキュリティ インテリジェンス レポート第14版」(英語版)は4月17日に公開予定。その公開に先駆けてレインズ氏は、同レポートの内容を一部紹介した。例えば、同社のウイルスチェックサービス(「悪意のあるソフトウエアの削除ツール」など)を利用したパソコンのうち、ウイルス対策ソフトを利用していないパソコンの割合は24%。台数では2億7000万台に上るとしている。また、ウイルス対策ソフトを利用していないパソコンのウイルス感染率は、利用しているパソコンの5.5倍だという。2014年にサポートが切れるWindows XPのセキュリティについても言及した。レインズ氏によれば、XPのサポートが切れると、XPを狙ったウイルス攻撃は増加する恐れがあるという。現在サポート対象になっているXPは、サービスパック3(SP3)を適用したXP SP3のみ。「XP SP2のサポートが切れた際に、XP SP2のウイルス感染率が上昇したことがあった」(レインズ氏)ため、XP SP3でも同様の傾向が見られる可能性があるとする。また、現時点でもXPを狙ったウイルスが多数存在するので、サポート終了後も、それらが流通し続ける可能性は高いという。今後、Windows Vista以降に向けたフィックス(セキュリティ更新プログラム)が公開された際、攻撃者はフィックスから脆弱性の詳細を調べ、同じ脆弱性がXPにあるようなら、「その脆弱性を狙った攻撃が行われる可能性がある」(レインズ氏)という。 *3:http://qbiz.jp/article/32288/1/ (西日本新聞 2014年2月17日) 九州の自治体、2.7万台更新できず ウィンドウズXP 米マイクロソフトの基本ソフト(OS)「ウィンドウズXP」の製品サポートが終了する4月9日までに、九州7県の自治体が保有するパソコンの16%に当たる約2万7400台はOSの更新が間に合わないことが分かった。XP搭載パソコンの4割近くが更新できない見通し。使い続ければウイルス感染や不正アクセスの危険性が高まるが、予算不足などで対応が追いつかない自治体もある。製品サポート期間中は、セキュリティー対策の新機能が随時更新されているが、終了するとパソコンがウイルスなどの侵入に対して無防備な状態になる。九州7県の県庁で最も対応が遅れているのは長崎県で、保有するパソコン約6100台のうち、XP搭載の約1070台全ての更新が間に合わない。宮崎県は約350台、熊本県は約200台、大分県は約20台でXPを継続使用する。福岡、佐賀、鹿児島各県はサポート期間中に更新を終える。一方、総務省の調査によると、福岡、熊本、宮崎、鹿児島各県内の市町村(政令市を除く)は、XP搭載パソコンの半分以上で更新が間に合わないという。パソコンの入れ替えには1台数万円かかる。サポート終了を見越して計画的に更新している自治体がある一方で、予算措置が間に合わない自治体も。納税や住民情報のシステムがXP対応で、システムの作り替えが必要な自治体からは「こんなに大変な問題とは思わなかった」との声も上がっている。 ◇ ◇ ◆更新費用が重く、無防備に 米マイクロソフトの基本ソフト(OS)「ウィンドウズXP」の製品サポート終了まで2カ月を切ったにもかかわらず、九州の自治体では対応の遅れが目立つ。古いパソコンでも動作が速いXPは行政のシステムに広く浸透し、一気に切り替えるのが難しい側面はあるが、自治体側の見通しの甘さもうかがえる。総務省は2013年から、都道府県を通じて全市町村にXPのサポート終了期限を周知。OSを更新するか、パソコンをインターネットに接続しないよう注意喚起している。製品サポートが終了すると、マイクロソフトが行っていた安全対策がなくなるため、ウイルス感染や、外部からの攻撃による情報流出などの恐れがあるためだ。しかし、ほとんどの自治体のパソコンは3〜5年間のリース契約。契約期限が切れる前に入れ替えると余分な支出を強いられる。宮崎県西都市は保有するパソコン約470台のうち140台がXPを搭載しているが、リース期限前に全てを入れ替えると300万円以上の出費となるため断念。50万円で済む安価なウイルス対策ソフトを追加することで約1年間をしのぐことにした。担当者は「安全性と予算の両方を考えた結果」と説明する。同県日南市では、庁内の窓口で使うパソコン約200台の事務システムがXP対応。システム自体を作り替えるめどが立っていないため、パソコンの入れ替えは4月以降になる。担当者は「ネットに接続せずに使うので危険性はないはず」という。 ●甘い見通し 01年に発売されたXPは、古い型のパソコンでも動作が速いなど、機能性が高いことから、行政機関で長く愛用されてきた。マイクロソフトは2〜3年に1度のペースで新OSを発売しているが、後継OSの「ウィンドウズVista」の発売は06年と間隔が空いた。さらにVistaの動作が不評だったこともあり、XPの切り替えは進まなかった。Vista搭載機を導入した後、再び使い勝手の良いXPにバージョンを下げる自治体もあったという。長崎県はXP搭載パソコンのリース契約が切れた09年、後継のVistaを避けて、あえてXP搭載機を再び導入。大半はリース契約が9月まで続くため、XP搭載の約1070台は全てサポート終了後もそのまま使い続ける予定だ。担当者は「大量に普及した製品なのでサポート期間の延長もあり得ると期待していた」と話すが、計画的にパソコンを更新してきた自治体に比べると、見通しの甘さは否めない。 ●企業も課題 XPの更新が必要なのは企業や個人も同じ。日本マイクロソフトはサポート期間終了に向け、全国の商工会議所と連携してセミナーを開き、企業にOSの移行を促している。自治体と同様に、会計システムなどをXPで構築しているケースが多く、大きな費用負担が掛かることから中小零細企業で対応が遅れがちだ。XPのサポート終了に合わせ、多くの自治体や企業は後継の「ウィンドウズ7」に切り替えている。ただ、7は20年1月、さらに新しい「ウィンドウズ8」も23年1月にはサポートが終了する。サポート期限を見越したセキュリティー対策は今後も必要とみられる。「ウィンドウズを使う限り、振り回され続けるのか」。自治体担当者からはため息が漏れた。 *4-1:http://www.kochinews.co.jp/?&nwSrl=319509&nwIW=1&nwVt=knd (高知新聞 2014年5月2日) 【通信傍受】こんな拡大は許されるか 取り調べ可視化の在り方を議論している法制審議会の特別部会で、見過ごせない問題が扱われている。通信傍受の対象となる犯罪の種類の拡大で、現在の4種を大幅に緩める案が浮上している。通信傍受の対象を限定し、運用も厳格化したのは、根拠となる通信傍受法が、憲法の保障する「通信の秘密」を侵しかねないからだ。国民生活に関わる問題だけに、議論の行方を注視する必要がある。1999年成立の通信傍受法は、法案段階から賛否の論議を呼んだ。通信の秘密のほかにも人権侵害や監視社会への懸念が消えなかった。その少し前には神奈川県警による共産党幹部宅の電話盗聴事件が起きている。こうした懸念を考慮し、通信傍受法は一定、抑制した内容となった。その一つは傍受対象で、傍受できるのは組織犯罪に限った。具体的には薬物犯罪、銃器犯罪、組織的殺人、集団密航の4種とする。もう一つは運用の厳格化だ。傍受の際は通信事業者(電話会社の職員)が立ち会い、傍受した通信はすべて媒体に記録し、その都度、裁判官に提出すると定めた。捜査側からは法の使い勝手に対する不満もあったが、憲法との整合性、国民の懸念を考え、ぎりぎりの線で折り合った内容とも言える。それから15年、特別部会に示された法務省の法改正試案は、もろもろの懸念を忘れたかのようだ。試案は捜査当局が電話、電子メールを傍受できる対象を広げ、組織性が疑われる殺人、放火、詐欺、窃盗などを新たに追加する。運用面では通信事業者の立ち会いは不要、としている。「組織性が疑われる」と判断するのは捜査側だから、恣意(しい)的な解釈がまかり通る恐れは多分にある。立会人がいなくなると、この傾向に拍車が掛かるのは必至だろう。元職員の告発で明るみに出た米国家安全保障局(NSA)の通信傍受疑惑は、他の国々にも広がっている。傍受の対象は国家首脳ばかりではない。大量の個人情報も狙われている。通信傍受をいったん認めると、歯止めをかけるのは容易ではない。今、世界が直面しているのはその現実だ。法制審議会の論議も、通信傍受の負の側面と無関係ではないはずだ。 *4-2:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20140417&ng=DGKDASDZ160FS_W4A410C1MM8000 (日経新聞 2014.4.17) ビッグデータ300社連携、相互利用へシステム共有 開発・販売に活用 インターネットイニシアティブ(IIJ)や富士通総研などが連携し、個人の買い物履歴などのビッグデータを他社と互いに活用しあう専門組織を5月に設立する。自社と他社のデータを組み合わせ、製品開発や販売促進などに生かせる。設立時には約30社が参加し、2017年に300社への拡大を目指す。ビッグデータのビジネス利用に弾みがつきそうだ。ビッグデータの活用には分析のシステムや専門家が必要だが、日本ではすべてを備えている企業は少ない。専門組織はこれらも提供し、各社が活用しきれていないデータの真価を引き出す手助けをする。ビッグデータを交換する専門組織は日本で初めて。精密機器や食品などの大手メーカー、広告、放送、印刷などが参加する。各社は年間30万円を払って組織に加わり、他社が持つビッグデータのリストを見ることができる。これを踏まえて他社にデータ利用を申し込んだり、自社データの提供を持ち掛けたりする。複数のビッグデータを組み合わせると新たなサービスが生まれる。例えば食品メーカーが新製品の評判をアンケートで把握しようとすると時間がかかる。メーカーが持つ出荷データと、IT(情報技術)企業が持つツイッターの分析結果、小売店の販売状況を突き合わせれば、リアルタイムで消費者の反応を知ることができる。これを販促などに生かす。企業間だけではなく、国や自治体が持つ公開データも活用する。専門組織の名称は「データエクスチェンジ・コンソーシアム」。ビッグデータ分析のデータセクション(東京・渋谷)と、ネットを使ったマーケティングを手掛けるデジタルインテリジェンス(同)が母体を設立。IIJや富士通総研など参加企業が運営する。IIJはビッグデータの分析などに使うクラウド環境を構築する。富士通総研はブログなどから収集した24万人分の消費者行動データを参加企業に提供する。データセクションもツイッターなどの分析データを出す。コンソーシアムは設立後も参加企業を広く募る。業種や事業規模などの条件は付けない。弁護士も参加しており、個人の情報を守る共通ルールを設ける。政府が検討しているガイドラインにも準拠する。ビッグデータ活用が盛んな米国では複数の企業がデータ交換を手掛け、顧客企業の間で新たなビジネスやサービスが生まれている。これまでは企業が自社のビッグデータを他社に売却し、消費者の反発を招いたこともあった。専門組織では消費者の疑念を呼ばない仕組みづくりも進め、ビッグデータを事業に生かす。 *4-3:http://www.saga-s.co.jp/news/national/10202/75759 (佐賀新聞 2014年6月19日) 個人データ同意なしで利用可能に、匿名条件、大綱案策定 政府のIT総合戦略本部の検討会は19日、インターネット上などに蓄積されている個人関連データの取り扱いルールをまとめた大綱案を示した。商品の購買履歴など一部のデータは、本人の同意がなくても匿名化を条件に企業の利用を認めることを明記した。個人情報を保護する観点から、不正利用を監視する第三者機関の設置も盛り込んだ。政府は月内にも大綱を正式に決め、個人情報保護法の改正案を来年の通常国会に提出する予定。「ビッグデータ」と呼ばれる膨大なデータを有効活用することで、ビジネスチャンスを広げる狙いがある。ただ、プライバシーをきちんと保護できるかどうかなど、慎重な対応を求める声も上がりそうだ。現行法は、氏名や住所といった個人の特定につながる情報に関し、企業が第三者に提供したり目的外で利用したりする場合は本人の同意を義務付けている。IT技術の進展に伴い、現行法で想定していなかった種類の個人関連データやその活用法が広がっており、ルールを明確化する必要性が指摘されていた。大綱案は、購買やネットの閲覧履歴、スマートフォンで把握できる位置情報などは、個人が特定されないようにデータを加工すれば本人の同意がなくても第三者に提供できるとした。一方、人種や信条といった機微に触れる情報は、第三者への提供禁止を含め、慎重な取り扱いを求めた。また、企業への指導や立ち入り検査の権限を持つ第三者機関を新設し、監督を強化する仕組みづくりを提案した。
| 民主主義・選挙・その他::2013.12~2014.11 | 01:27 PM | comments (x) | trackback (x) |
|
2014,04,04, Friday
(枠のある画像は、クリックすると拡大します) (1)供託金、候補者への支給金などの選挙費用というのが真相だろうが、そのどこが悪いのか? 私は、「みんなの党」が政党要件である所属国会議員5人を満たして成立した2009年8月の総選挙時に、「みんなの党」から佐賀三区及び九州比例1位で立候補させてもらった。その時、「みんなの党」は、できたばかりの政党で、政党交付金などはもらったことがない政党だったため、私は、公認されても選挙費用は出してもらえず、佐賀三区で立候補するための供託金300万円を含め、選挙費用のすべてを自費で賄わなければならなかった。しかし、みんなの党の九州比例で立候補するための供託金600万円だけは、「みんなの党」もしくは渡辺喜美代表個人から支払ってもらった。 このような供託金や候補者の選挙費用に充てる金を、2010年参院選以降の選挙で、渡辺氏がDHCなどから借り入れて候補者に支給していたとすれば、当選した議員の政党交付金からそれを返済するのは合理的であるし、「結いの党」と分党する時に渡辺氏が抵抗したのも理解できる。 また、借入金ではなく寄付金として資金援助してもらって政策で報いる政党もあるため、*1-2のように、DHC会長が、利息や期限を決めず、借用書(契約書)もなく、ある時払いの催促なしという緩い条件で、渡辺氏個人の口座に振り込んで、5億円を貸したのはありうることで、その時点では、その貸借契約に関して双方の合意があったと認定できるだろう。 そして、渡辺氏は、2012年の衆院選では、みんなの党から69人の候補者を擁立したが、そのうち18人しか当選できなかったため、残りの51人の中には落選して供託金が返ってこなかった人もおり、また、落選しても「みんなの党」の支部として事務所を維持するための費用を支給される人もいると思われるので、足りないくらいで返済できないのではないかと思う。 (2)それに、不法行為はあるか? *2には、「仮に借入金を選挙費用に充てながら、選挙運動費用収支報告書に記載しなかった場合は、公職選挙法違反に問われる可能性もある」と書かれているが、選挙運動費用収支報告書に記載しなければならないのは、自分の選挙に使った費用のみであるため、他の候補者のために支払った供託金を渡辺氏の選挙運動費用収支報告書に記載しなくても公職選挙法違反にはならない。 また、比例候補者の供託金は、候補者に配られるのではなく、「みんなの党」として直接支払われるため、各候補者が選挙運動費用収支報告書に記載する必要もない。つまり、渡辺氏にも候補者にも、法律違反は生じない。 (3)それでは、渡辺氏のコメントはどういう意味なのか? 渡辺氏は、*2で、「お金は純粋に個人として借りた。使い道は私の判断で決めてきた。利息も含めて支払いは私個人でしてきた」とのコメントを出されたそうだが、①誰を候補者にするか ②その人に、どこまで資金援助するか ③落選後も事務所維持費用等を補助するか などについて、個人として借り入れて責任を持つのであれば個人で決められるが、「みんなの党」が借り入れて責任を持つのであれば、組織としての議論や意思決定が必要になる。 しかし、情勢を見ながら臨機応変に対応するには、「みんなの党」の党内で議論して意思決定していては間に合わなかっただろうし、適切な判断になったとも限らない。つまり、会社に例えれば、人材の多くない中小企業で、会社の為に自宅まで抵当に入れて借り入れをしているオーナー社長が、無限責任を持って経営判断し、意思決定が早いのと同じだ。 (4)「熊手」とは何か *3に、「公党の代表が8億円もの金を借り入れて、『政治家として生きていくのに必要なもろもろの費用』『酉(とり)の市で大きな熊手を買うこともある』では通らない」と記載されているが、ここで言う熊手とは、金を集めるための熊手ではなく、票を集める熊手だと思う。つまり、小選挙区で多くの候補者を擁立すれば、それぞれの候補者が選挙運動するため、比例代表での得票も多くなるので、金を借りて供託金や選挙費用を支払い、多くの候補者を立てたということだろう。そして、この人たちが当選すれば、政党交付金が増え、党の発言力も増すので、みんなの党にも渡辺代表にもプラスになる。 さらに、「使い道については会議費や交際費、旅費と言葉を濁し、借金のうち約5億5千万円は未返済だが、手元には残っていないというのは、あまりにも不自然な説明と言わざるを得ない」と書かれているが、会社に例えれば、人によって支給金額が異なるため、個人の給料や賞与の金額は、誰にも公表できないのと同じだろう。 (5)選挙運動費用収支報告書など、国会議員が提出する政治資金関連の報告書は既に監査済である 選挙運動費用収支報告書、その他の国会議員が提出する政治資金関連の報告書は、現在、監査証明が必要であり、ガラス張りである(http://www.soumu.go.jp/main_content/000077917.pdf 参照)。 それにもかかわらず、何でも政治家の責任にすればよいと考えるのは、メディアも監査の意味がよくわかっておらず、時代遅れの批判であり、適正意見を書いた専門家である担当監査人に、まず意見を聞くべきである。 (6)このような政治家批判は、国民のためにならない 渡辺喜美氏、小沢一郎氏、猪瀬直樹氏らの政治資金を巡る問題に関する批判は、いずれも巨悪は追及できずに、野党や無所属で金に苦労している改革派政治家の荒探しをして大騒ぎし、働いてるふりをしながら、改革派の力を削いでいるものだ。これは、改革を止めたい勢力には好都合であるため、その勢力よって仕組まれたと考えるのが自然だが、メディアが、したり顔に浅薄な批判をして踊りまくるのは、決して国民のためにはならないし、見苦しい。 また、*4、*5のように、自分たちのために借り入れを行って供託金や選挙費用を支給していた代表に、いざという時、「代表を辞めるべきだ」と言うのは頼りない仲間であり、それでは、メディアに負けて小沢一郎氏に辞任を迫り、その後、回復不能になった稚拙な民主党と同じ過ちを繰り返すことになる。なお、あれだけ嘘のニュースを流して政治の流れを変えたメディアが、小沢氏に対して一言の謝罪もしなかったのには、私は呆れた。 *1:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11064674.html?ref=pcviewpage (朝日新聞デジタル 2014年4月3日) 「供託金払い終えた」 渡辺代表名、DHC会長にメール 5億円入金後 みんなの党の渡辺喜美代表の多額借り入れ問題で、2012年衆院選の前に5億円を貸した化粧品大手ディーエイチシー(DHC)の吉田嘉明会長が、その10日後、「供託金の支払いを終えた」とする渡辺代表名の報告メールを受信していたことがわかった。文面は追加融資を求める可能性にも触れていた。渡辺氏は借入金を選挙費用に充てた可能性を否定しているが、また矛盾点が発覚した。吉田氏が朝日新聞に示したメールによると、「ありがとうございました」と題する報告メールの受信は12年12月1日。依頼を受けて、5億円を渡辺氏の口座に入金した10日後だった。本文には「御礼が遅れてすみませんでした。昨日までに供託金の支払い終わりました。維新との相互承認も昨日発表」「今後、戦略的に投下してまいりますが、不足する可能性がありそうです。その時は何とぞよろしくお願い申し上げます」とあった。16日の選挙後、「お世話になりました」と題したメールが19日に届いた。「おかげさまで選(え)りすぐりの18人が当選しました」「なお、やりくりの方はなんとかなりそうです。本当にお世話になりました。ありがとうございました」と記されていた。吉田氏は「5億円以上は必要なくなった、という意味だろう」と話す。メールのアドレスはいずれも、渡辺氏が従来使っていたものと同じという。供託金は選挙妨害目的の立候補を防ぐために設けられ、一定票に達しないと没収される。衆院選では小選挙区が300万円、比例代表は600万円。12年衆院選でみんなの党は69人を擁立し、うち渡辺氏を含む18人が当選した。仮に借入金を選挙費用に充てながら、選挙運動費用収支報告書に記載しなかった場合は、公職選挙法違反に問われる可能性もある。渡辺氏がみんなの党の候補者に供託金として配ったとすれば、各候補者が報告書に記載する義務が生じる。渡辺氏は朝日新聞の取材に「当時使っていた携帯電話がなく、確認のしようがない。そのようなメールを送った記憶もない」と回答。党のホームページには「たとえそれ(メール)がホンモノであったとしても法律違反は生じません」と記している。 *2:http://digital.asahi.com/articles/ASG3V5WJSG3VUTIL03V.html?iref=comkiji_redirect&iref=comtop_6_06 (朝日新聞 2014年3月27日) 渡辺喜美氏への5億円「利息・期限決めず」 DHC会長 みんなの党の渡辺喜美代表(62)に化粧品大手ディーエイチシー(DHC、東京)の吉田嘉明会長(73)が計8億円を貸したとされる問題で、吉田会長は26日、朝日新聞の取材に応じ、2012年の衆院選前に貸した5億円について、利息や担保、返済方法などを決めていないことを明らかにした。吉田氏は「借用書も送られてこない。お金はあげたようなものだ」と証言した。吉田氏は、預金通帳や銀行の振り込みの受付書を示して説明。それらによると、吉田氏は10年7月の参院選前の6月30日に3億円、12年12月の衆院選前の11月21日に5億円を渡辺氏名義の口座に振り込んだ。いずれも渡辺氏の求めに応じたもので、「選挙に必要な資金」との認識だったという。その後、渡辺氏からは10回にわたり、少ない時で約7万円、多い時で約8千万円が返済されたが、吉田氏が数日前に確認した時点で貸付残高は約5億5千万円に上っていた。借入残高を2億5千万円と記載した12年12月16日時点の渡辺氏の資産報告書とは、大きな食い違いがある。巨額の貸し付けが始まった経緯については、渡辺氏が10年の参院選前に訪ねてきて、「参院選が近づいてきた。資金を借りたい」などと頼まれたと説明。吉田氏が「いくらか」と尋ねると、渡辺氏は「3億円ほど」と語ったという。12年の5億円は、当初は日本維新の会と選挙協力をして100人以上出馬させることを理由に、渡辺氏が「20億円ほどお借りしたい」と要請してきたと証言。維新とみんなの連携が頓挫すると、渡辺氏は「5億円ですむことになった」と伝えてきたという。3億円については、渡辺氏側から利率などが記された借用書が送られてきた。だが5億円の分は借用書が届かず、利息や担保、返済期限などについて渡辺氏と話したことはないという。吉田氏は昨年になって、渡辺氏の政治スタンスに違和感を感じ、支援をやめたと説明。貸し付けを明かした理由について、みんなを離れて結いの党を結成した国会議員の会派離脱を渡辺氏が認めなかったことなどを問題視したと述べた。 ◇ ■「純粋に個人として借りた」 みんなの党の渡辺喜美代表は26日夜、「お金は純粋に個人として借りた。使い道は私の判断で決めてきた。利息も含めて支払いは私個人でしてきた」とのコメントを出した。 ■吉田会長の発言の骨子 ・2010年の参院選前に渡辺氏から「3億円ほど」と貸し付けを求められ、3億円を渡辺氏の個人名義の口座に入金。後日、借用書が渡辺氏側から届く ・12年の衆院選前に渡辺氏から当初は「20億円ほど」、その後に「5億円」を求められ、5億円を同じ口座に入金。借用書はこれまで届かず ・12年の5億円について、利息、担保、返済方法などを渡辺氏と決めず ・渡辺氏はこれまで10回にわたり、8億円のうち約2億5千万円を返済。最近までの貸付残高は約5億5千万円 *3:http://www.kyoto-np.co.jp/info/syasetsu/20140329_3.html (京都新聞 2014年03月29日) 渡辺氏の8億円 「熊手」では納得できぬ 公党の代表が8億円もの金を借り入れて、「政治家として生きていくのに必要なもろもろの費用」「酉(とり)の市で大きな熊手を買うこともある」-では通らない。みんなの党代表の渡辺喜美衆院議員が、化粧品販売会社の会長から2010年の参院選が行われる前月に3億円、12年衆院選の前月には5億円を借りていた。会長は「選挙資金として貸した」と明言している。きのうは、渡辺氏が衆院選前に情勢を記した上で「あと5億円必要です。何とぞご融資を」と懇願するメールを送ってきたことも明かした。だが、渡辺氏の選挙運動費用や政治資金の収支報告書に8億円の記載はない。政治資金規正法や公職選挙法に反する恐れがある。渡辺氏は「個人として借りた。選挙資金や政治資金としては使っていない」と繰り返すが、使い道については「会議費や交際費、旅費」と言葉を濁す。借金のうち約5億5千万円は未返済だが、「手元には残っていない」という。あまりにも不自然な説明と言わざるを得ない。みんなの党は自民党を飛び出した渡辺氏が中心となり、09年に結成した。「脱官僚」「地域主権」を軸に既得権益の打破を掲げ、「第三極」として一時は衆参合わせて36人を有する勢力となった。民主党時代の小沢一郎氏や東京都知事だった猪瀬直樹氏らのカネを巡る問題で、渡辺氏は厳しく指弾していた。それが自らの借り入れ問題で不誠実な釈明を続けるなら、猪瀬氏と何が違うのか。猪瀬氏は知事を辞職し、公選法違反の罪できのう略式起訴された。渡辺氏は党内で弁護士資格を持つ議員に個人口座の通帳を調べてもらうというが、身内同士のチェックでは意味がない。速やかに経緯をオープンにし、8億円の使い道を明示すべきである。昨秋から、渡辺氏は特定秘密保護法や集団的自衛権の行使容認を巡り、安倍晋三首相に同調する姿勢が顕著になっている。20億円を超える政党交付金を受けながら、その配分や党運営にも強引さが指摘されてきた。そうした渡辺氏の手法が、昨年末には江田憲司前幹事長らの大量離党を招いた。この問題の対処を誤れば、党存続の危機に発展しかねない。所属議員は声を上げ、代表の不透明なカネの扱いをただしてほしい。渡辺氏や各議員は保身でなく、有権者の側を向くべきだ。国会も、政治倫理審査会への招致など対応が必要だ。安倍政権はみんなの党との連携を視野に入れていただけに痛手かもしれないが、毅然とした姿勢を求めたい。 *4:http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014033101001774.html (東京新聞 2014年3月31日) みんな幹部が代表辞任要求 借入金で、渡辺氏は続投に意欲 みんなの党最高顧問の江口克彦参院議員は31日、8億円借り入れ問題を抱える渡辺喜美代表と電話で会談し「代表をいったん辞めるべきだ」と要求したことを国会内で記者団に明らかにした。渡辺氏は「出処進退は自分自身で決める。法的な問題はなく、大丈夫だ」と反論し、代表続投に意欲を見せたという。また党メールマガジンで「一点の曇りもない」と違法性を重ねて否定した。党所属議員による辞任要求の表面化は初めて。違法性を否定する渡辺氏は、三谷英弘党倫理委員長に委ねた内部調査で疑惑を晴らしたい考えだが、辞任論が広がれば苦境に立たされそうだ。 *5:http://www.saga-s.co.jp/news/global/corenews.0.2658029.article.html (佐賀新聞 2014年4月6日) みんな、代表進退問題で協議へ / 8日に役員会 みんなの党は8日、定例の役員会を開き、渡辺喜美代表の8億円借り入れ問題について協議する方針だ。党内で代表辞任は不可避との見方が強まっていることを踏まえ、対応を話し合う。浅尾慶一郎幹事長は近く渡辺氏と会い、進退をめぐり協議する見通しだ。地方組織で渡辺氏の責任を問う声が広がるなど、党内の情勢は厳しさを増している。渡辺氏の対応が焦点だが、8日の役員会に出席するかどうかは未定だ。浅尾氏は6日、地元の支持者らとの会合に出席する一方、予定していた行事を一部キャンセルした。渡辺氏は3月27日に取材に応じた後は「体調不良」として公の場に姿を見せていない。
| 民主主義・選挙・その他::2013.12~2014.11 | 05:24 PM | comments (x) | trackback (x) |
|
2013,12,06, Friday
大分合同新聞より
(1)昨夜、民主化のシンボル、マンデラ氏が死去した *4に書かれているように、アパルトヘイト撤廃に尽力して27年も獄中生活をし、出所後に南アフリカ大統領となり、ノーベル平和賞を受賞したネルソン・マンデラ氏が、12月5日夜に死去した。マンデラ氏が迫害を受けながら、すべての人の平等と民主化のために闘ったことは論を待たないが、失われた27年を自由に過ごしていたら、もっといろいろなことができただろう。 (2)一方、日本では、歴史が逆戻りしつつある そして、マンデラ氏が死去した12月5日の夜、日本では、*1、*2のように、日本国憲法が骨抜きにされ日本の民主主義が逆戻りする法案が、参議院の特別委員会で乱暴に可決された。最初にマンデラ氏死去のニュースを知った時、私は、神の意志が働いているような嫌な気がしたが、救いは、日本では、上右の写真や*3のように、すでに民主主義を知っている多くの国民が日本中で抗議行動を起こしていることだった。これが、歴史の歯車が回転して次に進んでいる状態であることは、女性差別と闘ってきた私にはわかるが、最終的にどうなるかは予断を許さない。 (3)公安調査庁が国民の監視をしていた・・ このような中、*5に記載されているように、テロリストなどの治安情報を収集することを口実に、公安調査庁が、原発ゼロを求める抗議行動などを監視していたことが同庁発行の資料で明らかになったそうだ。脱原発官邸前デモは、違法性の判断が厳しかったり、障害を作られたりしたそうだが、テロを口実に国民の監視を行うのは、許されることではない。 *1:http://www.asahi.com/paper/editorial.html?ref=com_gnavi (朝日新聞 2013年12月6日) 特定秘密保護法案―民主主義に禍根を残すな 特定秘密保護法案が、きのう参院の委員会で可決された。廃案や慎重審議を求める野党や多くの国民の声を押し切った採決強行だった。国家公務員法や自衛隊法など、国家機密を保護する法制度はすでにある。それなのに、なぜこれほどまでに無理を重ねて採決にひた走ったのか。単に秘密を守るという目的にとどまらず、それによって政府の権力を強めようという狙いがあるとしか思えない。 ■1強のおごり極まる 成立すれば、公布から1年以内に施行される。このままでは、民主主義の基盤である国民の知る権利に大きな影響が出る。将来に禍根を残すわけにはいかない。7月の参院選で衆参両院のねじれが解消したとき、私たちは社説で安倍首相に「民意とのねじれを恐れよ」と訴えた。自公両党に両院で過半数を与えた有権者の思いは、安定した政治のもと景気回復などに取り組んでほしいというものだった。日本の針路を白紙委任したわけではなく、数の力を振り回してはならないとの趣旨だ。懸念は、最悪の形で現実のものとなった。与党は地方公聴会の翌日に採決に踏み切るなど、なりふり構わぬ国会運営を繰り返した。この間、自民党の石破幹事長は国会周辺での反対活動を「テロ行為」になぞらえた。閣僚なら進退も問われる暴言だ。それでも何事もなかったかのように採決に向かった政権の姿勢は、1強のおごり以外の何物でもない。「丁寧な対話を心掛けながら、真摯(しんし)に国政運営にあたっていくことを誓います」。首相に返り咲いた安倍氏が初めての国会演説でこう語ってから1年もたっていない。この変わりようには驚くばかりだ。自民党に票を投じた有権者のなかには、裏切られた思いの人も多いはずだ。「しばらく選挙はないから」と高をくくったような傍若無人ぶりは、記憶にとどめられるべきだ。 ■行政府に突出した力 情報を制する行政府の力が三権の中で突出して強くなるのは間違いない。不思議でならないのは立法府の姿勢である。みずからの国政調査権を侵しかねない法案に対する異議申し立てが、与党からは聞こえてこなかった。首相ら50人を超える「行政機関の長」が、その裁量でいくらでも特定秘密を指定できる。その情報は数十万にのぼる。そして実務を担うのは官僚だ。膨大な特定秘密が放り込まれる「情報の闇」には、はっきりとした出口がない。米国の国立公文書館のように独立性の強い機関が監察権限を持つ。あるいは議会か裁判所がその役割を担う。そのうえで将来は必ず公開という「秘密の出口」を保証する――。これらは、民主主義の国の秘密保護法制に不可欠の原則である。ところが首相に言わせれば、日本では官僚が指定した秘密を官僚が検証する委員会が、「第三者機関」なのだという。秘密を扱う公務員はプライバシーまで調べ上げられる。相手がだれであっても「漏らせば懲役」のプレッシャーは大きい。罰則の網は、民間人にもかけられる。政府からの請負業務で知った秘密を知人にうっかりしゃべっても、原発や基地の情報を探ろうとしただけでも、処罰される可能性がある。チェック制度が整った米国でさえ、ドイツ首相への盗聴といった情報機関の行き過ぎが明るみに出た。首相は先の党首討論で、「情報保全の法律をつくるのだから、秘密にあたる情報を収集しなければ意味がない」と語った。その真意は何か。よもや米国流の「盗聴国家」になろうというわけではあるまい。 ■知る権利を取り戻せ このままでいいはずがない。きのうの審議で、菅官房長官はさらに新たなチェック機関の設置を表明した。形ばかりの組織にさせてはならない。それは国会の責任だ。情報公開法や公文書管理法の改正も急務だ。民主党は両法の改正案を衆院に出した。情報公開法改正案には、裁判官が文書を調べて開示の可否を判断する「インカメラ審理」が盛り込まれている。公文書管理法改正案は、政府に閣議などの議事録作成と30年後の原則公開を義務づける。さらに内容を高め、成立への努力を尽くすべきだ。自民党と足並みをそろえてきた公明党は、公文書管理法の改正には前向きだ。首相も国会で山口代表の質問に答え、改正の意向を示した。よもや忘れたとは言わせない。秘密保護だけ先行させては、日本は行政府の力ばかりが強いいびつな国になってしまう。そこを正せるかどうか、最終的には主権者である私たち一人ひとりにかかっている。 *2:http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=58328 (沖縄タイムス社説 2013年12月6日) [秘密保護法成立へ]巨大与党暴走の序章だ 国のかたちがいびつにゆがんでいく歴史の転換点に私たちは立っている。そんな悲観的な感慨をぬぐいきれない。特定秘密保護法は自民、公明両党の賛成で参院特別委員会を可決、参院本会議で成立する見通しとなった。野党や世論の批判を無視した強行採決は、巨大与党のおごりをまざまざと見せつけた。拙速さは覆いようもない。担当大臣である森雅子内閣府特命担当相の答弁は二転、三転した。安倍晋三首相は4日の党首討論で、特定秘密の指定・解除をチェックする機関として、「保全監視委員会(仮称)」を内閣官房に新設する方針などを初めて表明。5日午後になって今度は、菅義偉官房長官が特定秘密の指定の妥当性をチェックする「情報保全監察室(仮称)」を内閣府に設置する意向を参院特別委で表明した。 「重要法案」と強調しながら、中身は継ぎはぎだらけなのが実態だ。国会審議の混乱の元凶は、法案の粗雑さにあるといっても過言ではない。政府には当初、強引に採決に持ち込んでも世論やマスコミの反発は限定的との認識があったのではないか。こうした政府の思惑に反して、国民は「知る権利」にかかわる同法案を、暮らしに無関係とは受け取めていない。11月に実施された全国電話世論調査で、同法が成立した場合、国民の「知る権利」が守られるとは思わないとの回答は62・9%に上った。法案への賛成は45・9%、反対は41・1%と割れた。 主権者である国民を置き去りにして、安倍政権はこの国をどこへ導こうとしているのか。想起するのは、麻生太郎副総理兼財務相が7月の都内での講演でこぼした失言だ。麻生氏は、日本の憲法改正論議に関連し、「ドイツではある日気づいたら、ワイマール憲法がナチス憲法に変わっていた。誰も気づかないで変わった。あの手口、学んだらどうか」などと述べた。「ナチス憲法」の表現は、麻生氏の事実誤認だ。実際には、ワイマール憲法の機能を事実上停止させ、ナチス独裁体制を確立させた「全権委任法」と呼ばれる法律の成立過程を指したとみられる。麻生氏は発言後、「喧騒(けんそう)にまぎれて十分な国民的議論のないまま進んでしまったあしき例として挙げた」と弁明した。であれば、麻生氏は「誰も気づかないうちに変わった手口」を日本の政治状況になぞらえ、安倍政権にそうした手段を取らないよう警鐘を鳴らした、とも受け取れる。 特定秘密保護法は、今国会で既に成立した「国家安全保障会議(日本版NSC)創設関連法」と一体運用するための法律だ。これに加え、安倍政権は来年の通常国会で集団的自衛権の行使を可能とする法案成立をもくろんでいる。これらがセットとなれば改憲手続きを経ず、平和憲法は骨抜きにされる。特定秘密保護法は「戦争ができる国」へ改変する安倍政権の基幹政策の序章と捉えるべきだろう。民意は特定秘密保護法の慎重審議を求め続けた。報道、映画関係者や作家、大学教員などのグループが次々と反対の声を上げた。市民が連日、「人間の鎖」をつくり、国会議事堂を取り囲んだ。決して「誰も気づかないうちに変わった」のではなく、与党の横暴が際立つ結果を招いた。 私たちは今、どこに立っているのか。沖縄を舞台にした動きが安倍政権の安保政策の鍵を握る事実に留意したい。ターニングポイントは、米軍普天間飛行場の県外・国外移設に挫折した鳩山政権の退陣だ。民主党政権への不信が保守色を強めた自民を中心とする巨大与党の誕生につながった。尖閣問題の過熱は、安倍政権の日米同盟強化路線と中国包囲政策に国内世論のお墨付きを与えた。こうした流れの中で、県選出・出身の自民党国会議員や自民党県連は、普天間飛行場の名護市辺野古沿岸への移設容認を働き掛けた中央の圧力に屈するかたちになった。沖縄からは安倍政権の本質と危うさがよく見える。なぜか。安倍政権の政策の帰結として、沖縄が紛争の最前線に巻き込まれるリスクを抱えているからだ。沖縄の切実な声が、かき消されることがあってはならない。 *3:http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/himitsuhogo/list/CK2013120602000154.html (東京新聞 2013年12月6日) 【特定秘密保護法案】民意無視 怒りの声 国会周辺 全国から集結 北海道から駆けつけた料理人がいた。原発事故で故郷を追われた人がいた。特定秘密保護法案が参院の委員会で強行採決された五日、国会周辺には朝から廃案を求める人々が集まり、終日、声を上げ続けた。「軍事国家への第一歩」。識者からはそんな懸念の声が出る。良識の府はこのまま、暗い時代への扉を開けてしまうのか。 (大平樹、加藤文、上條憲也) ◆TPP情報も指定? 札幌のシェフ・山田さん(39) 午前八時四十五分ごろ、三十人ほど集まっていた参院議員会館前で、札幌市でイタリア料理店を営む山田賢三さん(39)はマイクを握り「強行採決だけはやめてください」と訴えた。地元選出の国会議員に廃案を要望するため四日に上京した。遺伝子組み換え作物や放射性物質の危険性について、シェフ仲間と勉強会を重ねてきた。「法案が可決されれば、環太平洋連携協定(TPP)や原発が秘密に指定され、情報が出てこなくなるのでは」。地元議員には面会を断られ、せめてデモで思いを伝えようと一泊した。訴えを終えると「店の仕込みを従業員に任せてきた」と、帰路を急いだ。 ◆福島苦しめないで 双葉町から避難・亀屋さん(69) 「福島の人をこれ以上苦しめるのはやめて」。午前十一時五十分ごろ、東京電力福島第一原発事故で福島県双葉町から東京都港区に避難している亀屋幸子さん(69)は、参院議員会館前で訴えた。事故直後、一家九人は財布も持たずにワゴン車二台で避難。今年九月に一時帰宅すると、自宅は荒れ果てていた。四日で避難からちょうど千日。「放射能の拡散予測などの情報隠しは許せない」と憤る。毎週金曜日には、官邸前での脱原発デモに通う。「私たちは放射能で苦しめられたのに、また秘密保護法で苦しめられるのだろうか。好きでデモをしている人なんていない」 ◆窮屈な社会はイヤ 脱原発デモも・折原さん(24) 午後一時、太鼓などをたたいて抗議する「ドラムデモ」が始まった国会正門前で、東京都八王子市のアルバイト折原麻美(まみ)さん(24)は、法案反対のプラカードを高く掲げた。仙台市出身。東日本大震災の際は大学生で、八王子で暮らしていた。「何もできない自分がもどかしかった」。官邸前などでの脱原発デモに参加するようになった。秘密保護法に反対するようになったのはごく最近。「頭を押さえ付けられ、誰も声を上げない社会は、静かだけど窮屈。そんな社会に絶対にしたくない」。数十人ほどだったデモの参加者は一時間で百人以上に膨らんだ。 ◇ ◇ <<午後4時7分ごろ参院委で可決>> ◆慎重審議なく失望 公聴会にも参加・大畑さん(50) 参院特別委での強行採決の報が伝わった午後四時十分すぎ、参院議員会館前にいた人々からは「なぜだ」と落胆の声が上がった。埼玉県志木市のアルバイト大畑豊さん(50)は「きょうは採決をせず、慎重に審議してくれるのでは、と少し期待していた」と肩を落とした。前日には国会周辺で人々が手をつないで廃案を訴えるヒューマンチェーン(人間の鎖)に参加。さいたま市で開かれた参院の公聴会の会場にも足を運んだ。「この法律が成立したら、東電や原発に関する情報が、今まで以上に出てこなくなる。暗黒の法律といってもいいぐらいだ」と語気を強めた。 ◆テロと言わせない 静かな抗議・河野さん(42) 午後八時四十分、参院議員会館周辺の歩道は、強行採決に抗議する人波で埋め尽くされた。そこから少し離れた地下鉄永田町駅の出入り口では、喪服を着た千葉県柏市の会社員河野(かわの)敦さん(42)が、「民主主義」と書いた黒ぶちの紙を持って、ひっそりとたたずんでいた。「石破さんが『大声を上げるのはテロ』と言った。じゃあ逆にサイレント(静か)に抗議をしてやろうと思った」と皮肉を込めた。自身のブログに政治や社会問題のことを書いている。「この法で国民の口がふさがれてしまう」と懸念する。河野さんの姿を見るや、両手を合わせる人の姿もあった。 ◇学者の会 法成立でも反対続ける 特定秘密保護法案の廃案を求める声明を出した団体の関係者らは五日、参院国家安全保障特別委員会で特定秘密保護法案が強行採決されたことを批判。法が成立しても、廃止に向けて長期的に運動を続けていく考えだ。「特定秘密保護法案に反対する学者の会」呼び掛け人の一人、小沢弘明・千葉大教授(歴史学)は「学問の基本は資料の公開と相互批判。これに真っ向から反する秘密保護法は認められない」と、あらためて批判した。学者の会の賛同者は、十一月下旬の結成から一週間で二千六人に。その後二日間で三千人を超えた。ノーベル賞受賞者や芥川賞受賞者、国立大学長ら文系、理系を問わず幅広い学者が名を連ねている。小沢教授は「若手研究者も多くいて、新たな状況が生まれている。どうやって法を実行できないようにしていくか、中長期的に取り組まなくては」と話した。先月二十五日に亡くなった作家の辻井喬(たかし)(本名・堤清二)さんも参加していた「世界平和アピール七人委員会」のメンバーで、写真家の大石芳野さんは「本当に暴力的なやり方だ」と憤る。戦争や内乱状態にある世界各国を取材している大石さんは「不穏な状況の国というのは写真を撮るのが難しくなる。撮ってはいけない場所を知らずに撮影すれば、スパイの疑いをかけられ投獄される」と指摘。「法が成立して今日明日に逮捕されることはなくても、徐々にそういう社会が広がることが怖い」と懸念を示す。「民主主義の国を取り戻すため、長く声を上げ続けなくては」 *4:http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2013120600091 (時事ドットコム 2013/12/6)マンデラ氏死去、95歳=アパルトヘイト撤廃に尽力-ノーベル平和賞・南ア 「マンデラ氏 死去」の記事をお探しですか?最新関連記事が 9 件 あります。 【ヨハネスブルク時事】南アフリカで白人が黒人を差別したアパルトヘイト(人種隔離)政策と闘い、27年もの獄中生活を経て、人種間の融和に尽くしたノーベル平和賞受賞者ネルソン・マンデラ元大統領が5日夜、ヨハネスブルクの自宅で死去した。95歳だった。成人後は、武装闘争に従事し逮捕され、刑務所内でも反アパルトヘイト闘争を指導する戦いの年月。釈放後の晩年は一転して政治家として国家を率い、民族和解を推進した。起伏と波乱に満ちた一生だった。ズマ大統領はテレビを通じてマンデラ氏の死去を発表し、「わが国は偉大な父を失った」と述べた。家族に見守られながら穏やかに息を引き取ったという。 1918年、南ア東部のトランスカイで有力民族テンブ人の名門に生まれた。60年、黒人解放組織「アフリカ民族会議」(ANC)非合法化を受け、ANC軍事部門「民族のやり」を創設し武装闘争を開始。64年、終身刑を宣告された。ケープタウン沖の監獄島ロベン島刑務所で服役中も、ANC合法化などを訴え続けた。90年に当時のデクラーク大統領の黒人融和政策で釈放。黒人支援と南ア民主化を訴え各国を歴訪、この年秋に訪日も果たした。91年にアパルトヘイト終結が宣言されると、ANC議長に就任。黒人と白人の共存を図る交渉をデクラーク大統領と進め、その功績で93年、同大統領と共にノーベル平和賞を受賞した。94年、初の全人種参加の制憲議会選挙でANCが勝利。大統領に選ばれ、99年まで務めた。 *5:http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-12-05/2013120514_02_1.html (赤旗 2013年12月5日) 公安調査庁 原発ゼロ・消費税反対も監視 秘密保護法案への抗議行動をテロ行為と同一視した自民党の石破茂幹事長の発言が批判を呼んでいます。こうしたなか、テロリストなどの治安情報を収集することを口実に活動している公安調査庁が、原発ゼロを求める抗議行動などを監視していたことが同庁発行の資料で明らかになりました。市民による抗議運動を監視して記録していたのは、公安調査庁の「内外情勢の回顧と展望」と題する一連の文書です。文書は同庁が毎年、収集した膨大な国内外の情報に分析を加えて発行しています。 公安調査庁は2012年12月発表の文書で、首相官邸前での抗議行動を取り上げました。「原発をめぐる諸団体の動向」と題する項に、「4月以降は、毎週金曜日に大飯原発3、4号機の再稼働に反対する総理官邸前抗議行動が行われ、再稼働決定(6月)後の1か月間に行われた抗議行動(計4回)には延べ約6万人が集まった」などと書いています。同文書ではほかに、12年6月に消費税増税などに抗議して2万4千人が参加した「怒りの国民大集会」(主催・全労連などでつくる同実行委員会)を取り上げています。巻末資料の一覧表「国内関係主要公安動向」に掲載し、デモ行進の様子を写真で紹介しています。同庁はさらに、こうした市民による政府への抗議運動と日本共産党の共同を問題視。12年10月に官邸前抗議行動に参加した志位和夫委員長、笠井亮衆院議員の写真を載せ、「志位委員長が参加し、大飯原発の再稼働や大間原発の建設再開を『原発ゼロを求める多数の国民の声を無視している』などと批判した」と記録しています。同庁の調査活動をめぐり2000年7月に内部告発で、日本ペンクラブや全国市民オンブズマン連絡会議など広範な市民団体を調査対象としていたことが発覚しました。日本弁護士連合会が違法な調査だと指摘して即時中止を求める警告書を出しましたが、同庁は受け取りを拒否しました。 *公安調査庁 破壊活動防止法の制定に応じて1952年に設置された法務省の外局。人員は約1500人。過去に組織的犯罪をした団体に限らず、合法的に活動していても政府に批判的な政党や労働組合、市民団体などを対象に違法な諜報活動をしています。1988年には、日本共産党本部前のマンション一室に同庁職員がビデオカメラを設置して、党本部に出入りする人を盗撮していたことが発覚しています。
| 民主主義・選挙・その他::2013.12~2014.11 | 07:43 PM | comments (x) | trackback (x) |
|
2013,12,04, Wednesday
(1)違反でないことまで違反とするのは、悪質な冤罪の擦り付けである *1に、「徳洲会グループを巡る公職選挙法違反事件で、徳田毅衆院議員の逮捕された親族らのパソコンや手帳に、昨年の衆院選に絡んで現金を配った相手の氏名や金額が詳細に記録されていた」と書かれているが、テレビ報道されたリストには、国会議員のパーティー券の購入らしい20,000円という金額が並んでいた。国会議員のパーティー券は、薄く広く寄付を集めて政治活動の経費(地元事務所の家賃や水光熱費、印刷代・コピー代、私設秘書の給料などの必要経費)に充てるためのもので、特定の企業から多額の寄付を受けて癒着するのを避ける目的で認められているものであるため、そのような合法なことまで、悪いことをしたかのように報道するのは、不正確な上、意図的である。 また、*1には、「昨年の衆院選に絡んで現金を配った配布先リストには鹿児島県の県議や市議らの名前が記載されていた」「東京地検特捜部などは、集票目的で現金を配っていた疑いが強まったとして・・」などと書かれているが、選挙時に国会議員の政党支部から県議会議員や市議会議員の政党支部に資金を配布することは普通にあり、それは選挙運動の為の電話線を引いたり、選挙活動をしたりする費用であるため、ただちに「集票目的で現金を配った」と想像するのは、短絡的で古い発想だ。 私は、元衆議院議員で選挙を闘ったこともあるためこの常識を持っているのだが、うちの事務所は徳田議員のところと異なり、それほどの資金力や親戚力は無く、そのようなことは全くないため、第三者として、この記事を書いている次第だ。 さらに、*1には、「公選法は選挙目的で有権者や運動員に利益や報酬を供与することを広く買収として禁じている」とも記載されているが、選挙管理委員会に届出をした運動員や労務者については、一定の報酬を支払うことが可能であるため(http://senkyo-navi.net/18/237/001075.html、http://anacap.jugem.jp/?eid=330 参照)、この記述は、公職選挙法違反を変に拡大解釈したものである。そもそも、無報酬でバリバリ働いてくれる人は少ないため、これがなければ選挙は成り立たない。 (2)公職選挙法違反の拡大解釈や言いがかりを防ぐには *1のように「資金はスターン容疑者らがグループ関連企業から引き出した」「このうち2千万円は徳田議員の母親の自己資金」「関係者を通じて奄美地区担当の屋田正彦容疑者に届けられた」としている。これらを現金で受け渡ししたことが、複雑になり疑いを招いているため、公認会計士の私だったら、必ず預金口座を通して送金し、送り先と送金目的を一覧できるように記録して、まさかの時にも無罪の立証ができるようにしておく。 また、発端となった「応援に来た人にボーナスで報酬を支払った」とする事項は、有給休暇を取らせれば問題なかった話だろう。何故なら、それは、自民党の応援団である建設会社や農協が人を出して選挙運動を手伝う時に行っていることで、一般市民が有給休暇をとって意中の候補者の選挙運動を手伝うのを妨げる理由はないからである。 (3)鹿児島2区の衆議院議員選挙に5,000万円は大きいが、金額が大きいから違法とは限らない 鹿児島2区の有権者数は多くないため、確かに5,000万円も選挙費用に使ったというのは大きな金額だが、日本全国の徳洲会から人を呼び寄せて交通費・宿泊代を支払えば、そうなるかも知れない。金額が大きいか否かと使い方が違法か否かは別の問題であるため、使い道の内訳を正確に検討すべきだ。 (4)合法的に「運動員に報酬を支払う約束」をすることもある *3には、「元みんなの党候補に7月の参院選で運動員に報酬を支払う約束をしたとして、公選法違反(買収約束、事前運動)の有罪判決」と記載されており、ここでも運動員に報酬を支払うこと自体がいけないかのように記載されている。 しかし、(1)で述べたように、選挙管理委員会に届出をした運動員や労務者への報酬支払いを選挙後に一括して行う契約をしていれば、「運動員に報酬を支払う約束をした」ことになるため、運動員に報酬を支払う約束したから違法とは限らない。「立候補届け出前の選挙運動をした」ともされているが、これは具体的にどういう選挙運動なのだろうか。犯罪として罪に問うほど深刻なものかどうか、知りたいところだ。 なお、判決理由で、江口裁判官が「国会議員になろうとした者自身の犯行で強い非難を免れない」と述べたそうだが、国民は法の下に平等であることを忘れたのだろうか? (5)特定秘密保護法の使い方 徳田議員は、消費税増税反対、TPP反対、脱原発という主張を持っておられたそうである。このような議員や候補者に対する国策捜査は多い。そして、現在は、もともと常識外れの公職選挙法で取るに足りないことをあげつらって、本物のワルではない人を有罪とする事態が続いているが、特定秘密保護法が成立すれば、逮捕する理由すら不要となり、特定秘密と認定された事項は、*4のように、永久に開示されずに済むため、さらに危ないのである。 *1:http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG0300T_T01C13A2CC0000/ (日経新聞 2013/12/3) 徳田議員姉のパソコンに現金配布先、詳細に記録 徳洲会グループを巡る公職選挙法違反事件で、徳田毅衆院議員(42)=鹿児島2区=の逮捕された親族らのパソコンや手帳に、昨年の衆院選に絡んで現金を配った相手の氏名や金額が詳細に記録されていたことが3日、関係者の話で分かった。配布先リストには鹿児島県の県議や市議らの名前が記載されていたという。東京地検特捜部などは、集票目的で現金を配っていた疑いが強まったとして、徳田議員の姉、スターン美千代容疑者(46)=公選法違反(買収)容疑で逮捕=らを同法違反(買収資金交付)容疑で再逮捕する方針を固めたもようだ。 公選法は選挙目的で有権者や運動員に利益や報酬を供与することを広く買収として禁じているほか、買収の原資となる金品を運動員に渡すだけでも「買収資金交付」として処罰対象となる。違反すれば3年以下の懲役か禁錮、または50万円以下の罰金が科される。複数の関係者によると、スターン容疑者らは昨年11月16日の衆院解散後、選挙区で運動員を指揮する立場にあったグループ幹部、石川一郎容疑者(59)=同=らに少なくとも5千万円を提供。一部が地元県議や企業関係者らに配られた疑いがある。票の取りまとめなどを依頼する「地元対策費」だったとみられる。 資金はスターン容疑者らがグループ関連企業から引き出すなどして調達。このうち2千万円は徳田議員の母親の自己資金とされ、関係者を通じて奄美地区担当の屋田正彦容疑者(69)=同=に届けられたという。関係者によると、スターン容疑者のパソコンや徳田議員の母の手帳には現金の配布先リストなどが残っており、鹿児島県議や選挙区内の市議ら複数の名前や渡した金額が記載されていたという。 特捜部は現金配布に有権者を買収する目的があったとの見方を強め、リストに名前のあった県議や市議らを任意で事情聴取している。特捜部は3日、衆院選で病院職員らを動員し、報酬として計約1億4750万円を支払ったとして、スターン容疑者ら計6人を公選法違反(買収)罪で起訴する方針。議員の任期満了前に結論が出るよう選挙違反事件の審理を迅速に行う趣旨で、起訴から判決までを100日以内に収める「百日裁判」を申し立てる見通しだ。グループ創設者の徳田虎雄元衆院議員(75)も容疑者として在宅のまま調べているが、難病のALS(筋萎縮性側索硬化症)を抱えているため、病状などを慎重に考慮して起訴するかどうかを判断するとみられる。 *2:http://www.saga-s.co.jp/news/global/corenews.0.2591139.article.html (佐賀新聞 2013年12月1日) 特捜部、徳田議員の姉ら再逮捕へ / 5千万支出、買収目的も 徳洲会グループの幹部ら6人が逮捕された公選法違反事件で、徳田毅衆院議員(鹿児島2区)の姉スターン美千代容疑者(46)らが、昨年12月の衆院選対策で関連会社などから約5千万円を支出し、一部が地元政界関係者らへの買収資金に充てられた疑いのあることが1日、関係者への取材で分かった。6人の逮捕容疑となった563人とは別のグループ職員が、選挙運動に派遣されていた疑いのあることも判明。東京地検特捜部などは、公選法違反容疑でスターン容疑者やグループ幹部らを勾留期限の3日に再逮捕する方針。 *3:http://www.nishinippon.co.jp/nnp/national/article/54370 (西日本新聞 2013/11/25) 元みんなの党候補に有罪判決 福岡地裁 7月の参院選で運動員に報酬を支払う約束をしたとして、公選法違反(買収約束、事前運動)の罪に問われた、元みんなの党福岡選挙区の公認候補古賀輝生被告(50)の判決で、福岡地裁は25日、懲役1年6月、執行猶予5年(求刑懲役1年6月)を言い渡した。刑が確定すれば公民権が5年間停止する。判決理由で江口和伸裁判官は「国会議員になろうとした者自身の犯行で強い非難を免れない」と述べた。判決によると、福岡選挙区に立候補した古賀被告は公示前の5月下旬~6月下旬、福岡県内の男性3人に対し、選挙運動の報酬として時給800円や日給1万円を支払う約束をすることで、立候補届け出前の選挙運動をした。福岡選挙区(改選数2)には6人が立候補し、古賀被告は約17万6千票を獲得し、5位だった。みんなの党は、古賀被告を党員資格停止とし、党県支部の全役職を解任している。 *4:http://digital.asahi.com/articles/TKY201312060099.html?iref=comkiji_redirect&ref=com_top6_2nd (朝日新聞 2013年12月6日) 特定秘密「保存期間中に破棄も」 答弁書を閣議決定 安倍内閣は6日の閣議で、特定秘密の廃棄について「秘密の保全上やむを得ない場合、政令などで(公文書管理法に基づく)保存期間前の廃棄を定めることは否定されない」とする答弁書を決定した。長妻昭衆院議員(民主)の質問主意書に答えた。公文書の保存期間は「行政機関の長」が公文書管理法に基づいて定める。今回の答弁書は保存期間満了前の特定秘密であっても、政府が特定秘密保護法に基づいて定める政令の内容次第で廃棄される余地を残したものだ。これまで政府は、保存期間が満了した後であれば、特定秘密に指定された期間が30年以上の情報を除いて、首相の同意を得て廃棄される可能性があるとしている。安倍晋三首相は国会答弁で、特定秘密に指定された期間が30年以上の情報について「すべて歴史公文書として国立公文書館などに移管されるよう運用基準に明記する」とした。
| 民主主義・選挙・その他::2013.12~2014.11 | 12:07 PM | comments (x) | trackback (x) |
|
PAGE TOP ↑