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2014.7.30 教育改革と教えるべき内容について (2014.7.31追加あり)
(1)義務教育の年齢引き下げの方が重要では?
 *1-1のように、2015年度に幼稚園や保育所に通う5歳児から段階的に幼児教育無償化を進める方針だというのは賛成だが、年収360万円未満の世帯だけを対象にするのが適切かどうかは疑問であるし、その目的が子育て世帯の負担軽減だけでは、教育の大計に欠ける。

 私が、このブログの2014.7.18日の25日追加分に記載した通り、凍土壁を作って放射能汚染水を止水する計画は、自然の地下水の分量やこれを凍らせるために必要なエネルギー量、仮に凍らせた場合に周囲に起きる変化を考慮も計算もできない人が集まって考えたものだろう。そして、そういうことが起こる理由は、コンクリートで作られた人工の都市で育ち、暗黙知としての自然の大きさや生態系を知らず、非常に狭い領域の知識だけで試験にパスしてリーダーや技術者になっている人が多いからだと考える。なお、エネルギーや熱交換の基礎は小学校の理科で教えているので、私は、「子どもは遊ぶことが重要で、勉強ばかりしていてはいけない」と言う意見に組みしない。

 つまり、問題は、「人口が都会に集中した結果、コンクリート造りの街を故郷として育ち、暗黙知として壮大な自然を知らない人が、リーダーや技術者の大半を占めるようになった」ということで、それがこのように深刻な結果をもたらしているのだろう。

 そのため、私は、人口が都会に集中しすぎず、田舎で育った子どもも充実した教育を受けられ、リーダーや技術者になりやすい環境を整えることが必要だと考えている。そこで、*1-2のように、小中一貫教育学校の制度化もよいかもしれないが、私は、無駄なく充実した教育を行うために、義務教育を(少なくとも)5歳からに早めて幼稚園と小学校を一体化し、中学校は高校と一体化する方がよいと思う。

 また、*1-3のように、学童保育は現在93万人が利用しており、潜在待機児童は40万人と推計されるそうだが、学童保育の時間を有効に使えば、子どもを自然の中で活動させたり、食育したり、木工を教えたり、予習復習する習慣を身につけさせたり、いろいろなことをやらせることができるので、家庭の教育力格差を補完することができる。そのため、共働き家庭や一人親家庭に限らず、質を良くした学童保育を有効活用するのがよいと考える。

(2)林業と環境教育について
 *2-1に、東洋大学が川越キャンパス敷地内の森林保全活動に取り組む里山支援隊を設立し、下草刈りや伐採を行い、遊歩道を整備して里山再生を目指すそうだが、大学教育でもできることは多い。

 また、*2-2のように、ホームセンターが、3Dプリンターなど最先端のデジタル工作機械を集め、一般に利用してもらう市民向けの“ものづくり工房”を開設したので、必要なものを自分で作るのも面白そうだ。

 さらに、*2-3には、政府の成長戦略の「日本再興戦略」の改訂版で、「豊富な森林資源の循環利用が打ち出された」と書かれているが、現在は、まだ家や家具への日本産木材の利用は進んでいない。しかし最近は、木材もコンピューターを使って組み立てるだけのところまでカットできるため、小学生、中学生、高校生にそれぞれの段階のいろいろな木工を体験させるのがよいと考える。

 例えば、小学生にカットされた木材を使って天敵に見つからない鳥の巣箱を作って設置までさせれば、1)どの鳥が巣箱を使うのか 2)その鳥の天敵は何か 3)どうしたら天敵に襲われない優良な住みかになるか などを勉強して作らなければならないため、立派な理科(生物、生態系)と木工の教育になる。そして、巣箱をかけた子どもは、鳥の産卵や子育てに関心を持って、たびたび観察に出かけるだろう。そうすると、季節に依る植生の移り変わりも自然と眼に入るので、植物に名札をつけておけば、同時に植物の名前を覚えることもできる。

(3)水産業と環境教育について
 *3のように、ニホンウナギが絶滅危惧種と判定され取引規制の材料になりそうだが、日本では、河川を簡単な堤でせき止めて農業用水に使っている場所が多いため、海と川を行き来して産卵する生物は繁殖しにくくなっている。このように、これまで生態系を無視した建設工事や排水が多かったため、これも文科系、理科系を問わず、義務教育で全員に教えておくべき理科(生物、生態系)の内容だ。

(4)食育について
 *4のように、日本マクドナルドは、「チキンマックナゲット」を調達していた中国の食肉加工会社が使用期限切れの食肉を使い、中には色の変わった肉もあったため、中国製をすべて中止してタイ製に切り替えたそうだ。しかし、タイ製ならどのくらい安全なのかもわからないため、日本としては、衛生管理や予防を行う保健所のシステムを、世界に輸出するのがよいと考える。

 もう一つ問題と感じたことは、マクドナルドの製品を食べて育った親が、そのような肉でもまずさを感じずに、美味しいと思って子どもに同じものを食べさせていた点だ。マクドナルドの戦略は、「子ども時代に習慣をつければ一生食べてもらえる」ということだったが、そのようにして育った親が、食品の選択眼を持たず、それを次世代に伝えていることも問題である。

 そのため、学校給食や学童保育で新鮮な食材を提供することによって、子どもの味覚を育てることもでき、それは、やらなければならないことである。

<教育制度改革へ>
*1-1:http://www.saga-s.co.jp/news/national/10202/86710
(佐賀新聞 2014年07月23日) 来年度から5歳児の教育無償化、3閣僚合意、財源が課題
 3~5歳児の幼児教育無償化をめぐり、下村博文文部科学相ら3閣僚と与党実務者が23日、内閣府で会合を開き、2015年度に幼稚園や保育所に通う5歳児から段階的に無償化を進める方針を確認した。下村氏は年収360万円未満の世帯を対象にする案を提示。5歳児全体の22・6%に当たる約22万8千人が対象で、244億円が必要となる。財務省は難色を示しており、年末の予算編成に向け財源や対象範囲をどうするかが検討課題となる。幼児教育無償化は昨年の参院選で自民、公明両党が公約に掲げたほか、政府の教育再生実行会議も段階的無償化を提言している。子育て世帯の負担軽減などが狙い。

*1-2:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20140612&ng=DGKDASDG1103W_R10C14A6EA2000
(日経新聞 2014.6.12) 小中一貫教育を制度化 再生実行会議が素案 16年度にも導入
 学制改革を議論している政府の教育再生実行会議(座長・鎌田薫早稲田大総長)は11日、9年間の義務教育を一体として実施する「小中一貫教育学校」(仮称)の制度化を求める提言素案を示した。幼児教育を段階的に無償化し、義務教育を5歳児から行うことの検討も要請した。7月に提言をまとめ、安倍晋三首相に提出する。
●小中一貫校の制度化で「中1ギャップ」の解消が期待される
 安倍首相はこの日の会議の冒頭で「我が国の未来を創造するといっても過言ではない重要な提言になる」と述べた。下村博文文部科学相は提言を受け、今夏にも「小中一貫教育学校」(仮称)の制度設計を中央教育審議会に諮問し、来年の通常国会で学校教育法を改正したい考え。同学校は早ければ2016年度から制度導入される。素案は、子供の発達の早期化や小学1年生が学習に集中できない「小1プロブレム」、就学環境が変化する中学進学後に不登校が増える「中1ギャップ」などの課題を挙げ、戦後約70年続く「6・3・3・4」の学制を「日本に見合うものとなっているか見直すときである」と指摘した。そのうえで中1ギャップの解消や学力向上のため、小学校と中学校を「6・3」で分ける現行制度とは別に、一つの学校で9年間を通じた教育課程を組む小中一貫教育学校を新たに制度化することを提唱。新制度は設置主体である市区町村が地域の特性に応じて選択できることとし、9年間のカリキュラムも市区町村の判断で「4・3・2」や「5・4」などに柔軟に区切られるようにする。幼稚園や保育所などが担う3~5歳の幼児期の教育も「機会均等と水準の向上を図ることが重要」と改善を求めた。具体策として、幼児教育を段階的に無償化することや、幼稚園教育要領の見直しを提示。5歳児の1年間を義務教育化することの検討も盛り込んだ。仕事と直結する知識や技能を身に付けた人材育成が必要として、現在ある専門学校とは別に、高校を卒業した人に実践的な職業教育を実施する高等教育機関の創設も柱の一つ。大学と同じように学校教育法第1条で定める「学校」として位置付け、国が財政支援する仕組みを想定する。

*1-3:http://www.saga-s.co.jp/news/national/10206/88285
(佐賀新聞 2014年7月28日) 学童保育93万人で最多、潜在待機は推計40万人
 共働き家庭やひとり親家庭の小学生を放課後に学校内や児童館などで預かる学童保育の全国の利用児童数が今年5月1日時点で、前年比4万4782人増の93万3535人となり、過去最多を更新したことが28日、全国学童保育連絡協議会の調査で分かった。2006年の全数調査開始から増え続けており、90万人を超えたのは初めて。自治体が把握している学童保育の待機児童数は、2171人増の9115人。だが同協議会は、本来は希望しながらも親が申請をあきらめるなどした潜在的な待機児童は40万人を超えると推計している。

<林業と環境教育について>
*2-1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20140617&ng=DGKDZO72823890W4A610C1L83000
(日経新聞 2014.6.17) 川越キャンパス 敷地の森林保全 東洋大が「里山支援隊」
 東洋大学は川越キャンパス(埼玉県川越市)の敷地内の森林の保全活動に取り組む「こもれびの森・里山支援隊」を設立した。学生や地域住民に保全活動への協力を呼びかけ、キャンパス内の森林の保全を進める。グラウンドとして使われた用地を里山に再生させる事業にも取り組む。同キャンパスは東武東上線鶴ケ島駅から徒歩約10分の立地で、1958年に用地を取得した。森林面積は6.2ヘクタール。樹木の手入れが行き届かず、森林の中が暗いことなどから、下草の刈り取りや伐採、遊歩道を整備し、キャンパス用地として取得した当時の里山への再生を目指す。月1回程度、森林の再生・保全に関するイベントを企画し、地域住民や学生の参加を募る。

*2-2:http://qbiz.jp/article/42401/1/
(西日本新聞 2014年7月24日) ホームセンター初の「ものづくり拠点」 グッデイの戦略
 「グッデイ」を運営するホームセンター中堅の嘉穂無線(福岡県那珂川町)が、3Dプリンターなど最先端のデジタル工作機械を集め、一般に利用してもらう“ものづくり拠点”を、福岡県太宰府市に開設した。なぜ、ホームセンターがものづくり拠点を設けたのか。このほど、プレオープンした施設を訪ねた。「この施設は、ホームセンターが運営する初の『ファブラボ』です」。おしゃれな内装に真新しい機器が並ぶ施設の名称は「ファブラボ太宰府」。地元の中学生や関係者を招いたプレオープンの今月19日、施設の代表で嘉穂無線副社長の柳瀬隆志氏(38)があいさつで胸を張った。「ファブラボ」は英語を基にした造語で、米国マサチューセッツ工科大学(MIT)の教授が提唱した市民向け“ものづくり工房”のこと。ネットワークは各国に広がり、日本では鎌倉市などにあり、九州でも大分、佐賀県内にある。従来の運営母体は教育機関やNPOが中心。ファブラボ太宰府は、ホームセンターがファブラボに初参入する形となる。施設には、データ通りに自動成形・加工する3Dプリンターやレーザーカッターなどを完備。ホームセンターだから、部品や材料がふんだんにある強みを生かせるのも特徴だ。機器のインストラクターが常駐し、入会金(9月の本格オープンまで無料)と月会費を支払って個人・法人会員になれば定額使用ができる。初心者でも飛び込みでも利用が可能だ。

*2-3:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20140726&ng=DGKDZO74769060W4A720C1EA1000 (日経新聞 2014.7.26) 日本、木材大国への道、成長戦略に「循環利用」、供給増で世界一安い  課題は需要開拓、輸出カギ
 政府の成長戦略の「日本再興戦略」改訂版では、目玉政策の陰に埋もれながらも「豊富な森林資源の循環利用」が打ち出された。戦後の植林材が伐採期を迎え、国産材の供給圧力が高まっている。外国材が中国の買いなどで値上がりし、国産材が世界一安くなる追い風も吹いている。木材業界は相次ぎ国産材の大型工場を建設。“眠れる資源”の活用に動き始めた。徳島県松茂町の徳島阿波おどり空港から車で南へ1時間。小松島港近くに来るとヒノキの香りが漂ってきた。窓の外には巨大な倉庫のような工場があり奥に丸太がうずたかく積まれていた。すてきナイスグループが約15億円かけて建設したナイスグループ徳島製材工場(徳島県小松島市)だ。5月半ばに操業を始め今年度は柱やハリなど2万5200立方メートル(丸太換算)の生産を見込む。ナイスの鈴木淳常務執行役員は「当社は住宅資材の卸中心だったが製造分野に進出した。徳島には社有林もあり植林も行っている。循環型林業を目指したい」と話す。中国木材(広島県呉市)は宮崎県日向市に約40億円を投じ製材工場を建設中だ。8月に試験運転を始め1年で20万立方メートル生産する。同社は米国産丸太の製材最大手だが今後は国産材を強化する。合板でもホクヨープライウッド(東京・文京)などグループ4社が岩手県北上市に工場を建設する。投資額は約68億円で来年2月に稼働の予定だ。ノダも来年初めの稼働を目指し静岡県富士市に約55億円を投じ工場を建設している。行政の補助金を活用し国産材を使う点で共通する。
●半世紀で2.6倍に
 今なぜ国産材なのか。戦後の植林材が伐採期に入り森林蓄積量(2012年)は49億立方メートルと半世紀で2.6倍に急増した。政府は木材自給率(13年は28.6%)を20年に50%にする目標だ。成長戦略の具体策でも板材を直交するように張り合わせたパネルなどの普及を促した。価格面での魅力も高まっている。中国の買い付けや円安・ドル高で外国産丸太価格が上昇し国産に割安感が強まっている。農林水産統計によると、製材用の6月の全国価格は米ツガ丸太で1立方メートル2万5100円だ。国産の杉丸太は1万4000円と44%安い。市場では国産材は「世界一安い」といわれている。外国材はロシア産や東南アジア産で輸出規制が強まるなど供給不安が起きやすい難点もある。ただ、価格が安すぎると弊害も出てくる。森林所有者で組織する全国森林組合連合会の肱黒直次代表理事専務は「丸太価格が上昇しないと間伐、林道整備など造林コストが賄えない」と訴える。売る側と買う側の双方が納得する価格形成への取り組みも欠かせない。今後の課題は需要の開拓だ。日本は人口減で住宅着工の減少が確実視されているだけに、需要を創出しないと製品がさばけない。合板業界は輸入品のシェアが高いコンクリート型枠用やフローリング台板用の販売を強化し始めた。しかし、輸入品の牙城を切り崩すには時間がかかる。需要創出で最大のカギを握るのが輸出だ。すでに丸太輸出は昨年、前年比2.3倍の26万4700立方メートルと過去最高に達した。しかし、産業育成や雇用確保の観点から製材品の輸出をどう増やすかがポイントになる。
●韓国で住宅販売
 すてきナイスグループは昨年末から韓国で日本の伝統工法で建てる木造住宅の販売を開始し4棟を契約した。住宅に使う製材品を日本から輸出する。アジアを中心に住宅を拡販し製材品輸出につなげる考え。合板でもホクヨープライウッドなどの新工場が輸出を視野に入れている。中国木材も「やがて来る国産製材品の輸出時代はコスト競争力の差が勝敗を決める。世界と競争していく覚悟が必要」(堀川保幸社長)という。日本は国土の7割弱が森林。競争力を強化できれば、資源小国の日本が木材資源大国に生まれ変わる日も夢ではない。

<水産業と環境教育について>
*3:http://qbiz.jp/article/39695/1/
(西日本新聞 2014年6月12日) ニホンウナギを絶滅危惧種と判定 IUCN、取引規制の材料に
 国際自然保護連合(IUCN)は12日、絶滅の恐れがある野生生物を評価したレッドリストで、ニホンウナギを絶滅危惧種に分類したと発表した。3ランクある絶滅危惧種の中で2番目に高い「近い将来における野生での絶滅の危険性が高い種」と判定した。レッドリストは生物の生息状況の科学的な評価結果で、掲載されても捕獲や国際取引の規制には直結しない。だが、ワシントン条約で国際取引規制を検討する際の有力な判断材料となる。世界最大のウナギ消費国として日本も漁獲規制など本格的な保護対策を迫られ、食卓にも影響が出る可能性がある。IUCNは、日本の親ウナギの漁獲量は1981年の1920トンから2011年の229トンに減り、稚魚のシラスウナギの漁獲は過去30年間で90%以上減ったことなどから、絶滅の危険が高まっていると判断した。乱獲や生息地の破壊、海流の変化などが理由で、養殖向けのシラスウナギの乱獲が大きな脅威でありながら、依然として各地で乱獲が続いていると警告した。また、インドネシアなどに生息するウナギの一種についても、ニホンウナギの減少に伴って代替種としての需要が高まっており、国際取引が増加傾向にあるなどの問題を指摘した。同様に漁獲量が急減しているヨーロッパウナギは10年、最もランクが高い「ごく近い将来に野生での絶滅の危険性が極めて高い種」となった。

<食育について>
*4:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20140726&ng=DGKDASDZ2506K_V20C14A7TI0000 (日経新聞 2014.7.26) マクドナルド、中国製チキンの販売中止、タイ製に切り替え 「ブランドの信頼守る」
 日本マクドナルドは25日、「チキンマックナゲット」など中国製の鶏肉商品8種類の販売を中止した。同社がナゲットを調達していた中国の食肉加工会社、上海福喜食品(上海市)が使用期限切れ食肉を使っていた問題で、消費者に中国製の鶏肉商品の不安が高まっているためだ。同社から鶏肉商品を仕入れていたファミリーマートも、週末にかけて臨時の消費者の相談窓口を開くなど対応に追われている。
●日本マクドナルドは鶏肉商品をタイ製に切り替えた
 日本マクドナルドは25日午後3時、国内全3100店に対して中国製の鶏肉商品の販売を停止するように一斉に通告した。「すべての『中国製チキン商品』の販売中止を決定しました」。JR東京駅近くのマクドナルドでは店内の立て看板に案内を貼りだした。同店を訪れた32歳の男性会社員は「管理体制がずさんだ」と批判した。同社は鶏肉商品8種類を中国とタイから仕入れていた。中国からは上海福喜以外からも調達していたが、25日ですべて販売を中止しタイ製に切り替えた。店舗によってはタイ製の在庫がなかったり、売り切れたりして販売できなくなる可能性がある。同社は欠品の解消時期を未定としている。中国製は店舗から回収して廃棄する。現時点で中国製の鶏肉商品の取り扱いを再開する予定はない。サラ・カサノバ社長兼最高経営責任者は同日「マクドナルドの中国製チキン商品への懸念が高まっている。ブランドに対する信頼が何よりも大切。お客の信頼に応えるべく努力する」とコメントした。業績への影響は明らかにしていない。余波は広がる。ファミリーマートは上海福喜から仕入れていた「ガーリックナゲット」「ポップコーンチキン」の販売を22日に取りやめた。24日までに消費者から687件の問い合わせがあった。25日も事実確認が続いたため平日だけだったお客様相談室を今週末も開くことを決めた。26~27日の2日間、専用ダイヤル(電話0120.954023)を用意する。上海福喜と取引のない小売・外食企業にも影響が出始めている。日本KFCホールディングスが運営する「ケンタッキーフライドチキン(KFC)」で販売している「オリジナルチキン」はすべて国産鶏。しかし中国のKFCが上海福喜と取引していたことで「日本でも使っていると混同している消費者がいる」(日本KFC)。20日に問題発覚してから客足がやや鈍っており、風評被害を懸念する声も出ている。サークルKサンクスは空揚げやフライドチキンに中国製の鶏肉を使っている。同社は「安全性は確保しているが使用を継続するか今後検討する」としている。首都圏地盤の大手スーパーには「問題の企業と取引しているのか、といった問い合わせが顧客から来ている」という。消費者には中国製の冷凍ギョーザに殺虫剤成分が混入された事件の記憶もまだ残っている。「何度も問題が起きることで『中国産』を敬遠する動きが広がる可能性もある」(同社)とみている。


PS(2014.7.31追加):塾の教育方針は「進学率の上昇」というような短期間で眼に見える成果のみを追求しがちであるため、塾と公教育の連携は、放課後に選択性で行うのがよいと考える。しかし、正規の授業も、塾の選択肢も少なく、前からのんびりしすぎている地方の公立校が「ゆとり教育」を主張すれば、質の高い労働力の確保すらおぼつかないため、正規の公教育も考え方を変えるべきだ。

*5:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20140731&ng=DGKDZO75016610R30C14A7CC1000 (日経新聞 2014.7.31)塾と一体 公教育を改革、佐賀・武雄 子供が意欲的に
 「子供が飽きないような工夫が大切。20年のノウハウには自信がある」。水田に囲まれた佐賀県武雄市立武内小学校。6月末、教員10人が学習塾「花まる学習会」(さいたま市)の高浜正伸代表(55)の話に聞き入った。
●楽しめる教材
 武雄市は4月、市立小学校の授業を巡って学習会との提携を発表。武内小は学習会の教材や指導法を取り入れる「官民一体型学校」のモデル校に指定され、実証研究が始まった。樋渡啓祐市長(44)が旗振り役となって来春の導入を目指す官民一体型学校に、全国から視線が集まる。学校と塾の連携事例は増えているが、塾が担うのは放課後や土曜の補講が大半。「授業という“本丸”には踏み込ませない」(教職員組合関係者)という学校現場の意識は強く、「塾の指導法を授業に取り入れる」(樋渡市長)という構想は例がない。「できたー!」「分かった!」。4月、東京都心の花まる学習会の教室。視察した武雄市の諸石洋之助教育委員長(69)は、子供たちの活発さに目を丸くした。箱を展開した平面図を考えたり、ある法則に従ってマス目に数字を入れたり……。「なぞペー」と呼ぶ独自教材に没頭し、解ければ大きな歓声が上がる。都心の教室に長女(7)を通わせる母親(36)は「考えるのが楽しくて、時がたつのを忘れるみたい」と話す。大学進学予備校のアルバイト教師を経て学習塾をおこした高浜代表の持論は「未知の課題を解く達成感を味わった子供は伸びる」。そのきっかけを与える独自教材のほか、書き写しや計算問題を3~5分の短い間隔で区切る工夫が「今の学校に足りない、子供が意欲的に学ぶ姿につながっている」と武雄市の浦郷究教育長(63)は評価する。全国に11万人いる不登校児と、60万人を超えるニートや引きこもりの若者たち。高浜代表の考えに共感する樋渡市長は、これらの問題を念頭に「学校が楽しくなり、自ら学ぶ姿勢が身につく教育を官だけで担うのは限界」と言い切る。市では出版社と協力して動画の教材を開発し、タブレット端末で児童が学ぶ取り組みも今春スタート。市長が描くのは、武雄を公教育改革のモデルケースにするという青写真だ。ただ、課題もある。市はほとんどの授業に学習会のノウハウを取り入れたい考えだが、独自教材は国語と算数の要素が中心。現場の教員には、少人数制を前提とした指導法が一クラス30人前後の授業に対応できるのか疑問視する声もある。「どんな授業になるか分からない」(小1の母親)といった、保護者の一部にある懸念を払拭することも必要だ。
●地方の危機感
 市は全11小学校のうち、まずは3校程度を官民一体型学校にする予定。武内小の校区の住民は実証研究の結果を待たずに今月14日、立候補の意向をまとめた。背景にあるのは「都会の進んだ教育を受けさせたい」(白浜忠次区長)という地方の危機感。他の校区も高い関心を示す。学習塾の本格参入は、新たな学校教育のカタチとして定着するのか。武雄の挑戦は緒に就いたばかりだ。

 国際化やIT化が急速に進む現代社会。教育分野にも変化の波が押し寄せる。学びの現場を歩き、実相と課題を探る。

| 教育・研究開発::2013.11~2014.7 | 01:31 PM | comments (x) | trackback (x) |
2014.7.18 原発は、無責任と無駄遣いの温床である (2014年7月19日、20日、21日、24日、25日、26日、27日、28日に追加あり)
       
     *1-1より           *3-1より    2014.7.17日経新聞より

(1)原発の新規制基準の問題点
 *1-1に書かれているとおり、原子力規制委員会が7月16日、九電川内原発1、2号機(鹿児島県)が原発の新規制基準を満たしているとする審査結果案を了承したが、事故収束に当たる作業員を守る作業拠点は建設中で、フィルター付きベント設備や、テロに備える第二制御室も未完成で、これらがない段階でも安全性は保たれると判断した。また、米国では、避難計画が機能することが稼働の条件とされるが、規制委は、各自治体が作る避難計画が妥当かどうかは「権限外」として審査していないそうだ。

 しかし、原子力規制委員会の田中委員長は2014年7月16日の記者会見で、*1-3のように、九電川内原発1、2号機(鹿児島県)について「基準への適合性を審査したが、安全とは申し上げない」とした。それならば、監査と同様、①どういう基準に従って審査した結果 ②上のような限定付きで適合を認めた ということを、明確に審査意見書に記載して署名すべきである。

 安倍政権は、*1-2のように、エネルギー基本計画で、新基準を「世界で最も厳しい水準」と明記し、「世界一厳しい新基準で、原子力規制委員会が安全確認したら再稼働する」としていたのだから、限定付きの審査意見に基づき、「世界一厳しい基準だったか」「審査を通れば、再稼働できる状態か」について、再度、判断し直すのが筋である。

(2)再稼働に関する責任回避の構図が見えた
 原子力規制委員会の田中委員長は、*1-3や*2-1に書かれているように、「安全だということは、私は申し上げない」「再稼働は、事業者、地域住民、政府の合意でなされる」と述べている。これにより、提出書類の分量、審査時間の長さ、既に行ってしまった無駄な工事とは関係なく、原発の安全性は担保していないため、再稼働された原発が事故を起こしても、原子力規制委は責任をとらずにすむ。

 また、*2-1のように、安倍政権は、「再稼働に向けて政府一丸となって対応し、できるだけ早く実現したい」としながらも、判断の責任は規制委や電力会社に丸投げしているため、再稼働された原発が事故を起こしても責任をとらなくてすむ。さらに、*2-2で、「立地自治体の理解を得て、再稼働を進める」としているため、再稼働された原発が事故を起こすと、その責任は、規制委、立地自治体、電力会社になる。しかし、フクシマの事例でわかるとおり、原発事故の責任などとれる人はいないため、事故時の損害賠償は、結局、国民負担になる。
 
 さらに、*2-3に書かれているように、経団連、日本商工会議所、経済同友会の経済3団体は、足並みを揃えて、「原発を減らして、低炭素社会にどう向き合うのか」などとまだ言っており、原発停止に伴う電力業界の収益状況や電力料金のことしか考えていないが、これについては、2014年5月26日にこのブログに掲載した大飯原発運転差止請求事件判決で、既に結論が出ている。

(3)人命よりも電力会社の経営優先の構図が見えた
 (1)(2)の状況でも、*3のように、原子力規制委が九電川内原発1、2号機に事実上の「合格」を出したとし、九電幹部は「再稼働に向けてようやく先が見えてきた」と安堵したそうだ。電気事業連合会は、「他の原発の効率的な審査につながることを期待する」と歓迎し、リスクを踏まえた責任回避が、赤字経営に陥った電力会社を救うために行われていることが明らかである。それでよいのだろうか。

(4)原発地元の反応
 *4-1のように、川内原発「合格第1号」は、住民の避難がなおざりにされている。そして、原発の地元は、「国は防災対策を自治体に丸投げせず、自ら担うべきだ」として、責任を国に押し戻そうとしている。つまり、全体として責任回避の連結環になっているのだ。

 また、*4-2のように、フクシマ以降、原発の地元は、立地自治体だけではなく、原発から30キロ圏内だけでもなく、250キロ圏内であることが明らかになっている。

 そして、*4-3のように、「原発から半径30キロ圏にある医療・福祉施設の9割超は、入院患者や入所者の避難計画が未策定で、在宅のお年寄りなどの移動方法や避難先での医療・ケアの確保も見通せない」「原発再稼働の責任は、国が許可するので国がとるべきだ」とされている。しかし、国が責任をとれば、原発事故時は反対した国民も含めて、国民の税金が支出されるが、国民はそれでよいのだろうか?

<新基準の問題点>
*1-1:http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014071702000146.html (東京新聞 2014年7月17日) 川内原発再稼働「適合」 「厳格審査」に穴
 原子力規制委員会は十六日、九州電力川内(せんだい)原発1、2号機(鹿児島県)について、原発の新規制基準を満たしているとする審査結果案を了承した。安倍政権は再稼働への動きを加速させるが、事故対策の一部は未完成で、火山想定などの甘さも指摘されている。事故時に周辺住民が安全に避難できることは最重要の対策だが、審査対象になっていない。世界最高水準どころか「欠落」の多い審査といえる。新基準について、安倍晋三首相は「世界で最も厳しい」と繰り返してきた。十六日、規制委が新基準による初の合格判断を示したことを受け、田中俊一委員長は「(川内原発の安全性は)ほぼ世界最高レベルと思っている」と強調した。だが、川内原発の審査結果案を見ると、本当に世界最高水準の基準による、厳しい審査が行われたのか疑問が多い。非常用電源や冷却設備はそれなりに充実され、事故が起きる可能性は下がったかもしれない。しかし、いざ事故が起きたときに事故収束に当たる作業員を守る作業拠点は建設中で、当面は代替の建物を使う。狭くて水道もなく、トイレも仮設だ。作業員が放射能を浴びた場合、シャワーで洗い流して除染するのが通常だが、川内原発ではウエットティッシュで拭く想定になっている。そんな状態にもかかわらず、規制委は妥当と判断した。放射性物質の放出を千分の一程度に抑えながら、格納容器内の水蒸気を抜いて圧力を下げるフィルター付きベント(排気)設備や、テロに備えて通常の制御室が使えなくなった場合に原子炉の冷却を続けられる第二制御室も未完成だ。規制委は、これらがない段階でも一定の安全性は保たれると判断した。事故時に原発周辺の住民が安全に避難できることは最も重要な対策の一つだ。米国では、避難計画がきちんと機能することが稼働の条件とされるが、規制委は避難基準などの指針は定めたものの、各自治体がつくる避難計画が妥当かどうかは「権限外」として審査していない。

*1-2:http://digital.asahi.com/articles/ASG7J45T4G7JUSPT003.html?ref=reca
(朝日新聞 2014年7月17日) 原発再稼働を問う―無謀な回帰に反対する
 原発事故が日本の政治と社会全体に投げかけた広範な問いはまだ何も答えられていない。ところが再稼働をめぐる議論はいつの間にか、原発の性能をめぐる技術論に狭められた。事故が起きた時の政府や自治体、電力会社の対応や、避難計画のあり方など、総合的な備えはほとんど整っていない。このままで原発を再び動かそうというのは暴挙である。いまだに収束できない事故から何も学ぼうとしない無責任な態度というほかない。原子力規制委員会が九州電力の川内(せんだい)原発1、2号機(鹿児島県)について、新規制基準を満たすとの審査書案を出した。1年前に新基準ができて初めてのことだ。意見公募など手続きはまだあるが、規制委による審査は実質的にヤマを越えた。安倍政権は「規制委の専門的な判断にゆだね、安全と認められた原発は再稼働する」と繰り返している。あたかも規制委の審査が原発の安全確保のすべてであるかのように。現実は違う。あまりに多くの問題点が置き去りにされている。規制委の権限が及ぶ範囲にも、その外側にも、である。このままでは、原子力規制のあり方を多少改めた以外、ほとんど何も変わらず、日本は原発依存に逆戻りしかねない。
■世界一と誇張するな
 安倍政権はエネルギー基本計画で、新基準を「世界で最も厳しい水準」と明記した。閣僚や自民党幹部もたびたび「世界一厳しい新基準で安全確認できたら、再稼働する」と口にしてきた。誇張が過ぎ、原発の安全神話を復活させかねない言動だ。確かに新基準は、地震や津波への設備対策を以前より厳しく求めている。だが、それは有数の地震国である日本の特徴を反映したに過ぎない。事故が起きるおそれを数字で表す手法は、欧米では広く採り入れられているが、新基準はそこまで徹底していない。川内原発で注目された火山噴火対策については、火山学者が疑問を投げかけるなか、手探りの火山監視で対応できるという九電の主張を追認した。本質的に重要なのは、新基準への適合は決して「安全宣言」ではないということだ。規制委の田中俊一委員長は「新基準では事故は起きうるという前提だ」と強調してきた。すなわち、事故対策は規制委だけでなく、電力会社や政府、自治体や住民も本気で考えるべきだと訴えてきたのだが、その多くが手つかずのままだ。
■重要課題が手つかず
 何より、事故の際の避難で、現実的な計画が描けていない。規制委が示した原子力災害対策指針を基に、地元自治体がつくることになっている。いきなり難題を突きつけられた形の自治体側は戸惑っている。原子力政策を国策だとしておきながら、政府はなぜ、避難を自治体に丸投げするのか。再稼働の条件に、避難計画は含まれていない。このまま計画の見通しなしに自治体が安直に再稼働に同意しては、政府も自治体も住民の安全を守る責任を果たしたとはいえまい。置き去りのままの重要課題はほかにもたくさんある。3年前の事故が浮き彫りにした課題を何度でも思い返そう。過酷事故、とくに原発密集地での事故は、おびただしい数の住民を被曝(ひばく)の危険にさらし、膨大な土地を放射性物質で汚しかねない。なのに複数原発が集中立地している問題は、規制委でもまともに議論されていない。防災の重点区域が「おおむね30キロ圏内」に広げられたのに、再稼働への発言権は立地自治体だけでいいのか。福島第一原発の吉田昌郎所長(故人)の証言「吉田調書」では、幹部職員の一時離脱が明らかになった。破局の瀬戸際の対応は電力会社任せでいいのか。
■もっと深い議論を
 根本的な問題は、日本社会が福島第一原発事故を十分に消化していないことだ。関係者や組織の責任を具体的に厳しく追及することもなく、かといって免責して事故の教訓を徹底的に絞り出すこともしていない。未公開の吉田調書に象徴されるように、事故の実相は国民に共有されていない。3年前、私たちの社説は「原発ゼロ社会」を将来目標とするよう提言した。幸いなことに、原発がすべて止まっても大停電など混乱は起きていない。関西電力大飯原発の運転差し止めを命じた福井地裁判決は、「原発停止は貿易赤字を増やし、国富流出につながる」という指摘に対し、「豊かな国土に国民が根を下ろして生活していることが国富だ」と断じた。原発を含むエネルギー政策は経済の観点だけでは語れない。人間と自然の安全を長い未来にわたってどう確保するのか。放射性廃棄物の処分問題も含め、広く深い論議を抜きに原発再稼働を進めてはならない。

*1-3:http://www.47news.jp/CN/201407/CN2014071601001601.html
(47ニュース 2014.7.17) 川内原発、審査で安全性担保せず 原子力規制委員長
 原子力規制委員会の田中俊一委員長は16日の記者会見で、九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県)が再稼働の前提となる審査に事実上合格したことについて「基準の適合性を審査した。安全だということは申し上げない」と述べ、審査は必ずしも原発の安全性を担保したものではないとの認識を明らかにした。地元首長は安全と受け止めており、再稼働に向け地元が受け入れを判断する際に認識の差が課題となりそうだ。田中氏は会見で川内原発について「一定程度安全性は高まったことは評価するが、これはゴールではない。九電はますます努力する必要がある」と説明した。

<責任回避の構図>
*2-1:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11247549.html (朝日新聞 2014年7月17日) (時時刻刻)規制委、見切り合格 川内原発再稼働へ 「安全とは言わぬ」審査に限界
 原発が再び動き出す。東京電力福島第一原発事故の教訓から国の基準や審査は厳しくなったが、再稼働の責任の所在もあいまいだ。安倍政権は原子力規制委員会の判断を強調し、矢面に立つことを避けながら、成長戦略の実現に向け再稼働を進めようとしている。「安全だということは私は申し上げません」。九州電力川内(せんだい)原発の審査書案の公表後、規制委の田中俊一委員長は、審査を通ったとしても事故のリスクは残ることを認めた。さらに「再稼働は事業者、地域住民、政府の合意でなされる」と述べ、規制委は原発が新基準を満たすかどうかだけを判断することを強調した。福島の事故を踏まえ、新基準は事故を前提にした基準へ大きく転換。「起こらない」とされてきたメルトダウンなど重大事故への備えを義務づけた。以前に比べて、審査も厳しくなった。川内は60回の公開審査をし、非公開の実務的審査は1900時間に及んだ。「これじゃあ、何も変わらないじゃないですか」。昨年11月の審査会合では、地震想定を従来並みにとどめた九電に、地震学者の島崎邦彦委員長代理が厳しく指摘する場面もあった。原発では、東日本大震災前からたびたび想定を超える地震の揺れが観測されてきた経緯がある。「これまでの反省をどの程度考えているのか」。他の原発にも軒並み見直しを迫った。設備面でも、最新鋭の北海道電力泊原発3号機ですら、事故時の冷却用の配管が基準を満たさないとして大規模工事を余儀なくされた。ただ、新基準は「新しい原発なら時間と金さえかければクリアできる」(電力会社幹部)といい、高すぎるハードルではない。今ある原発への適用を念頭に作られ、福島のように1カ所に多数の原子炉があってもいいかなど、存廃にかかわる論点は先送りされた。重大事故時の手順も、あくまで想定に過ぎない。審査では、集団食中毒が起きても作業員が確保できるかまで確認したが、思い通りにいくかはわからない。テロなどで原発を操作できなくなった場合の「第2制御室」など5年間猶予されている設備もある。審査は目に見える問題に集中しがちだ。福島第一原発では津波や水素爆発など、軽視されてきた部分のほころびが事故拡大を招いた。田中委員長も「これで人知を尽くしたとは言い切れない」と認める。規制委は、福島の100分の1の放射性物質が放出されるような事故が起きる頻度を、1基あたり100万年に1回以下に抑えることを目標とする。ただ、実際にどれだけの頻度で事故が起きるかを審査書案で示したわけではない。川内原発は巨大噴火に襲われるリスクも指摘され、火山の専門家から「本来建ててはいけない場所」との声も出る。日本学術会議で事故の教訓をまとめた矢川元基・東京大名誉教授は「事故が起きるとこうなるという情報や、リスクを示し、国民みんなで議論しなければならない」と指摘する。
■政権、反省より成長戦略
 安倍政権は再稼働の責任を規制委や電力会社に丸投げするが、「本心」は異なる。安倍晋三首相は昨年5月、国会審議で「再稼働に向けて政府一丸となって対応し、できるだけ早く実現していきたい」と明言。規制委の基準を「世界で最も厳しい基準」と扱い、速やかに再稼働を進める方針だ。13日投開票の滋賀県知事選では、「卒原発」を掲げた三日月大造氏が接戦を制したが、政府高官は「再稼働はやる。原発再稼働はそんなに悩んでいない」。審査が順調に進んでも、再稼働は10月が最速で、夏場の電力需要のピークには間に合わない。だが政権が急ぐ理由は他にある。「原発が稼働していないことによって、4兆円近い国富が毎年海外に流れている。国内で企業が安心をして活動を行うには安定したエネルギーが必要だ」。菅義偉官房長官は16日の会見でそう説明した。原発停止による化石燃料の輸入増大が貿易赤字を拡大させ、電力料金の高止まりが製造現場の海外流出を加速する――。政権は「廉価で安定した電力」が、アベノミクスの成長戦略実現の前提として不可欠だと強調する。ただ、国民の反発が根強い再稼働は、政権運営の打撃になりかねない。再稼働に必要な地元同意の「範囲」もあいまいだ。鹿児島県の伊藤祐一郎知事は、県知事と立地自治体の薩摩川内市長、地元議会の判断とし、他の自治体は不要としている。福島では周辺にも被害が広がったが、周辺をめぐる議論は進んでいない。政権は、規制委の次期委員に、原発推進を担ってきた元日本原子力学会長の田中知・東京大教授を選んだ。政財界から不満があった島崎代理は交代させる。政権には事故の反省もあるが、再稼働への焦燥感の方が強い。政府高官は語る。「川内と同型の(加圧水型炉の)原発の再稼働は早いだろう」

*2-2:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20140717&ng=DGKDASFS16012_W4A710C1MM8000 (日経新聞 2014.7.17) 首相「地元理解得て再稼働進める」
 安倍晋三首相は16日、原子力規制委員会が川内原子力発電所1、2号機(鹿児島県)の安全審査合格を内定したことについて「一歩前進だ。原子力規制委が審査し、安全だと結論が出れば、立地自治体の理解をいただきながら再稼働を進めたい」と述べた。視察先の宮城県東松島市で記者団の質問に答えた。

*2-3:http://qbiz.jp/article/42186/1/
(西日本新聞 2014年7月18日) 経済同友会、「縮原発」転換へ 川内「合格」引き金
 経済同友会は17日、仙台市で開いた夏季セミナーで、原発依存度を下げる「縮原発」方針の見直しを検討することを決めた。原子力規制委員会の審査を受けている九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)の「審査書案」が16日に了承されたこともあり、原発活用を推進する路線に転換する。同友会は東京電力福島第1原発事故後の2011年夏、老朽化した原発を順次廃炉にして再生可能エネルギーの推進を目指す「縮原発」方針を掲げ、政府にエネルギー基本計画の見直しを求めてきた。同友会が原発推進路線に転じることで、経団連、日本商工会議所とともに経済3団体が足並みをそろえることになる。企業経営者など約30人が参加したセミナーでは、「原発を減らして、低炭素社会にどう向き合うのか」などと原発の必要性を訴える声が続出。長谷川閑史代表幹事は「当時は(原発の)再稼働が難しく、縮原発でいかざるを得ない状況だった」と述べた。福岡経済同友会代表幹事を務める九電の貫正義会長も出席し、原発停止に伴う電力業界の収益状況などを報告。会場で取材にも応じ、いち早く「合格」が見えた川内原発の審査について、「ありがたいが、(同意が必要な)地元がどこまでなのかという問題もあり、まだまだ先がある」と述べた。

<人命より電力会社の経営優先の構図>
*3:http://qbiz.jp/article/42105/1/
(西日本新聞 2014年7月17日)  九電「やっと先が見えてきた」
 原子力規制委員会が川内原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)の審査書案を了承したことを受け、九州電力の社内には「再稼働に向けてようやく先が見えてきた」(幹部)と安堵(あんど)感が広がった。審査には想定より大幅に時間がかかったが、2基の再稼働が実現すれば、赤字続きの経営は改善に向かう。九電は玄海原発3、4号機(佐賀県玄海町)も含めた審査対応に引き続き全力を挙げる方針だ。東日本大震災後の原発停止に伴う火力発電燃料費の増大で、赤字経営に陥った九電。昨春には33年ぶりとなる抜本的な電気料金値上げを実施したが、川内、玄海の4基の再稼働が想定より遅れ、赤字をカバーできない状況が続いている。2014年3月期は、人件費も含め大規模な経費削減に取り組んだが、960億円の連結純損失を計上し3年連続の最終赤字。財務状況も急速に悪化しており、8月には政府系の日本政策投資銀行に議決権のない「優先株」を発行して1千億円を調達する異例の資本増強策に踏み切る。しかし、川内の2基が再稼働すれば、九電の年間収支は約2千億円改善する見込み。「川内だけでなく、玄海も動かないと黒字化は難しい」(九電幹部)とされるが、電気料金の再値上げは当面回避するとみられる。玄海の2基が今月の審査会合で、耐震設計の基になる基準地震動が固まり、審査の大きなヤマを越えたのも九電にとっては好材料。九電は川内に続いて玄海を再稼働するシナリオを描くが、川内の再稼働までには地元同意手続きなどのハードルが残る。九電幹部は「川内の再稼働までにあとどれぐらいかかるのかが見えないと、玄海の再稼働も見通せない。地元同意の手続きでは、国が前面に立ってほしい」と話した。
◆安全確保に万全
 九州電力のコメント 当社としては今後とも、原子力規制委員会の審査に真摯かつ丁寧に対応するとともに、さらなる安全性・信頼性向上への取り組みを自主的かつ継続的に進め、原発の安全確保に万全を期していく。
◆電力各社も期待
 原子力規制委員会は16日、九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県)に事実上の「合格」を出し、同原発は秋以降に再稼働する見通しとなった。電力各社は原発の長期停止による収支改善の遅れに焦りを募らせており、自社の原発審査の加速に期待を強めている。電気事業連合会は「他の原発の効率的な審査につながることを期待する」と歓迎した。新規制基準は昨年7月に施行され、審査は当初、半年程度で終了するとみられていた。しかし規制委が、電力会社の津波や地震対策の審査に厳しく臨んだこともあり、最初の審査申請から1年が経過。電力各社はいら立っていた。各社が再稼働を急ぐ背景には、火力発電所の燃料費が膨らみ、業績悪化に歯止めがかからない現状がある。2014年3月期連結決算の経常損益は6社が赤字を計上。合計の赤字額は前期の3分の1程度に縮まったとはいえ、依然として4359億円と巨額だ。
■川内原発 九州電力が鹿児島県薩摩川内市に所有する加圧水型軽水炉(PWR)。1号機(出力89万キロワット)は1984年に営業運転を開始し、7月4日で30年を経過した。2号機(同)は85年から稼働。福島第1原発事故後、1号機は2011年5月、2号機は同年9月から停止中。通常運転時は社員300人強、協力会社の従業員は約800人が従事する。隣接の敷地に13年度に着工する予定だった3号機(出力159万キロワット)は、鹿児島県知事が「建設の手続きの凍結」を表明している。

<原発の地元>
*4-1:http://mainichi.jp/select/news/20140716k0000e040246000c.html
(毎日新聞 2014年7月16日) 川内原発:「合格第1号」住民避難なおざりに 規制対象外
 九州電力川内原発が事実上、原発の新規制基準への「合格第1号」となったが、クリアしたのは設備面でのハード対策に過ぎない。新規制基準と住民避難などの防災対策は、原発の安全確保の「車の両輪」(田中俊一・原子力規制委員長)だが、原子力規制委員会の安全審査では前者を厳しくチェックする一方、後者は規制の対象になっていない。国際原子力機関(IAEA)は、原発事故へ対処する国際基準として「深層防護」と呼ばれる5層にわたる多重的な安全対策を定めている。想定外の事故が起きても住民の被ばくを防ぐ「最後のとりで」である第5層の防災対策は、米国では規制の対象だ。原発を稼働する前にNRC(米原子力規制委員会)の認可を受ける必要がある。だが日本では、東京電力福島第1原発事故後も、第5層の防災対策は依然として対象外だ。住民の避難方法や避難場所などを定める地域防災計画や避難計画は、災害対策基本法に基づき自治体の責任で策定し、政府は策定を「支援」するだけ。川内原発では防災対策の対象となる半径30キロ圏の全9市町が策定を終えたが、規制委を含めた政府は計画の実効性を一切チェックしないままだ。規制委幹部は「国が自治体の業務に口を出すことは立場上できない」と繰り返すが、原子力行政に詳しい吉岡斉・九州大教授は「規模の小さい自治体が独自に対処できる問題ではなく、規制に組み込む法改正が必要だ」と指摘する。福島第1原発事故では、放射性物質の拡散情報が住民に伝わらず、入院患者など災害弱者の避難も遅れ、多くの被ばくや関連死を招いた。原発が国策民営で進められてきたからこそ、国は防災対策を自治体に丸投げせず、自ら担うべきだ。事故の最大の教訓の一つである防災対策を「置き去り」にしたままの再稼働は住民の理解を得られまい。

*4-2:http://qbiz.jp/article/42177/1/
(西日本新聞 2014年7月18日) 九電川内原発の再稼働へ 熊本県知事、30キロ圏外にも「説明を」
 熊本県の蒲島郁夫知事は17日の定例記者会見で、九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)が10月以降に再稼働する見通しとなったことについて「原発から30キロ圏内の住民でなくても敏感になっている状況」とし、再稼働に当たって「政府は、九州全体の人が納得いくような説明をする必要がある」との見解をあらためて示した。県によると、川内原発から半径30キロの緊急防護措置区域(UPZ)に県内は入らないが、水俣市などが約40キロに位置している。また、公害健康被害補償法(公健法)に基づく水俣病の認定申請中であることから、水俣病被害者救済法の救済策に応じなかった人たちを対象に、環境省が何らかの救済措置が取れないか検討すると表明したことに対し「県としてしっかり見守っていく。環境省から県に提案や要望があれば当然、反応していきたい」と述べた。

*4-3:http://qbiz.jp/article/42087/1/
(西日本新聞 2014年7月17日) 避難になお不安 原発の「地元」は
 原子力規制委員会は16日、九州電力川内原発(鹿児島県薩摩川内市)の安全対策を事実上「合格」とした。再稼働に向けた手続きが大きく進んだ形だが、原発から半径30キロ圏にある医療・福祉施設の9割超は、入院患者や入所者の避難計画が未策定。在宅のお年寄りなどの移動方法や、避難先での医療・ケアの確保も見通せない。備えが整わないまま“見切り発車”にならないか。関係者は不安と焦りを募らせる。「再稼働が現実味を帯びるにつれ、不安が膨らんできた」。同県いちき串木野市の主婦(61)は、母親(84)の介護の手を止めて訴えた。母親は認知症で、介護の必要性が最も高い要介護5。会話はできず、車いすのためトイレ、入浴、食事などは手助けが必要だ。主婦は仕事を辞め、原発の南東20キロの自宅で付きっきりで世話している。市の計画では、在宅の障害者は家族と避難する。母親は、主婦が自家用車で同県指宿市の小学校に連れて行くことになるが、渋滞がなくても2時間半かかる。母親が避難所の共同生活に耐えられるとは思えない。福島の事故では避難先で死亡した患者が少なくなかった。考えるほど「避難しない方がいい」と思う。しかし、家に残っても介護用食材やおむつは手に入るのか。医者は来てくれるのか。そして、どのくらい被ばくするのか。不安は尽きない。夫(64)は九電の関連会社員で県外に単身赴任中。「原発が動かず会社の経営は苦しい」と漏らしていたが、主婦は市民団体の再稼働反対署名に応じた。関係自治体によると、30キロ圏内で、同じように自宅で暮らす高齢者や障害者などは約1万4千人に上る。原発から東に8キロ。薩摩川内市の特別養護老人ホームは県の指導で6月下旬、鹿児島市と同県姶良市の老人ホーム2カ所に移転する計画を作った。入所65人全員が自力で動けない。避難には車いすごと積める福祉車両が32台必要だが、施設に4台しかなく、ピストン輸送すれば職員に何度も被ばくを強いる。「どう対応すれば…」。男性事務長(61)は黙り込んだ。原発の南東22キロにある同県日置市の病院は、入院患者の避難計画作りを始めた。「うちは安心、とアピールしたい」と担当者(62)。策定がセールスポイントになるほど、避難への不安は強い。30キロ圏にある244の医療・福祉施設のうち、事故時の避難先が決まったのは10キロ圏の17カ所のみ。定員1万529人の92%は未定のままだ。
◆「経済に活気」/「拙速だ」 住民に賛否
 九州電力川内原発が立地する鹿児島県薩摩川内市では、再稼働に伴う経済活性化への期待と、根強い反発の声が交錯した。「待ちに待った日が来た。きょう(原子力規制委員会の審査に)合格したのなら明日にでも再稼働してほしいくらいだ」。市ホテル旅館組合の福山大作組合長(63)は手放しで喜んだ。市内72団体でつくる「市原子力推進期成会」会長を務める川内商工会議所の山元浩義会頭(71)は「早期に再稼働し、地域経済の活性化と雇用の安定確保につながることを期待する。今後も原発と共存共栄していく」と強調した。薩摩川内市の岩切秀雄市長は「(再稼働に向けた手続きは)大詰めを迎えた。最終的に厳しい基準をクリアすれば、安全と理解している」と語った。一方、地元の脱原発団体など9団体のメンバー約30人は16日、川内原子力規制事務所を訪れ、規制委の田中俊一委員長宛ての抗議文などを提出した。川内原発建設反対連絡協議会の鳥原良子会長(65)は「国は九電の言い分だけを聞いて、住民の側に立っていない。川内が動けば後はずるずるといってしまう。全国の知恵を集め必ず止めたい」と力を込めた。鹿児島市の繁華街・天文館でも同日夕、県内の反原発団体でつくる「ストップ再稼働! 3・11鹿児島集会実行委員会」が抗議集会を開催。荒川譲共同代表は「規制委の基準に適合したからといって、事故の可能性がないわけではない」と訴えた。チラシを受け取った市内の主婦内田英子さん(54)は「十分な避難計画が策定されていないと聞く。再稼働に向かうのは拙速だ」と話した。
◆「避難対策 国関与を」 全国知事会議提言
 佐賀県唐津市で開催していた全国知事会議は最終日の16日、原発事故時の避難対策に国が積極的に関わるよう求める提言をまとめた。県境を越える広域避難の際、国が避難先を調整したり、大規模な備蓄施設を整備したりすることを要望している。佐賀県の古川康知事は会議後、九州電力玄海原発(同県玄海町)の事故に備えた避難計画について「詰めれば詰めるほど課題が出てくる。国も防災に関与してほしい」と述べた。原子力規制委員会が川内原発の「審査書案」を決定したことについては「時間をかけて審査した結果だ。玄海原発も慎重に客観的に審査してほしい」と語った。
◆審査の動向注視
 伊藤祐一郎鹿児島県知事のコメント 今後、(原子力規制委員会の)審査は継続されることから、その動向を注視するとともに、九州電力においては、安全確保に適切な対応をお願いしたい。
◆再稼働、責任は国に 岩切・薩摩川内市長 一問一答
 原子力規制委員会で審査書案が了承された16日、鹿児島県薩摩川内市の岩切秀雄市長は記者会見し「大詰めを迎えた。再稼働の責任は国にある」などと語った。主な一問一答は次の通り。
−再稼働に向けて大きな節目を迎えたが、心境は?
 「いろいろな手続きの関係では大詰めを迎えたと思っている」
−申請してから1年たってまとまった。時間的にはどう思うか。
 「厳重な審査基準を作って、厳重な対応をされたわけでやむを得ないと思う。そのことがかえって大前提とする安全につながるのではないか」
−審査書案がまとまったので川内原発は安全という判断か。
 「厳しい審査基準をクリアしなければ次に進まないとずっと申し上げており、そのように理解している」
−再稼働の責任の所在はどこにあると思うか。
 「それはもう国がとるべきだと思っている。国が許可するわけですから」
−再稼働に対する市長の認識は、2年前の市長選で市民の信託を受けているという考えでいいか。
 「はい、再稼働をすることについてはですね。しかし、それは安全が大前提であり、それに基づいて判断する」
−再稼働の是非の判断時期は?
 「厳しい審査基準をクリアし、国が市民に説明した後、議会の意向を聞いて判断したい。スケジュール的にいつどうなるかは皆目見当がつかない」


PS(2014.7.19):*5のように、麻生財務相の弟である麻生九州経済連合会会長や石原JR九州相談役から料理屋でごちそうになりながら要請されれば、安倍首相は「何とかする」と答えるしかないのかもしれないが、原発事故で損害を受けるのも、原発事故の危険性がよくわかっているのも、この3人ではない。また、菅官房長官は「安全性は規制委の判断」としているが、規制委の田中委員長は、「安全だとは、言わない」と明言している。どうするつもりだろうか。

*5:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20140719&ng=DGKDASFS18024_Y4A710C1EE8000 (日経新聞 2014.7.19) 川内再稼働 首相「何とかする」
 安倍晋三首相は18日夜、福岡市内の日本料理屋で麻生泰九州経済連合会会長、石原進JR九州相談役らと会食した。石原氏らは原子力発電所の早期再稼働を要請。会食後に取材に応じた石原氏によると、首相は原子力規制委員会が新たな規制基準を満たすと認めた九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県)について「川内(原発)は何とかしますよ」と答えたという。安倍政権は規制委が新基準に適合すると認めた原発は再稼働を進める方針。菅義偉官房長官は16日の記者会見で「安全性は規制委に判断を委ねている。個々の再稼働は事業者の判断で決める」と述べていた。


PS(2014.7.20追加):原発事故の際には、立地自治体だけでなく周辺自治体も被害を受けるため、*6-1のように、人口の半数以上が再稼働に反対している自治体もある。また、*6-2では、再稼働に意見を反映させるべき自治体の範囲は、「30キロ圏」の48市町が、「立地自治体のみ」の18市町村を上回っている。そのほか、「安全対策、避難対策のため30キロ圏より広げた方が良い」という意見の市町村もあり、もっともだと考える。

*6-1:http://mainichi.jp/select/news/20140719k0000m040151000c.html
(毎日新聞 2014年7月18日) 川内原発:「周辺住民の意見も聞け」反対署名、半数超
 川内原発から南に約8キロ。鹿児島県いちき串木野市羽島地区は東シナ海に面した半農半漁の小さな集落だ。6月初旬、地区に住む元教員の冨永優(まさる)さん(83)は、隣の薩摩川内市にある川内原発の再稼働に反対する署名用紙を手に、集落を一軒一軒訪ねていた。旧川内市に原発計画が浮上したのは1960年代。旧串木野市の羽島地区では反対の声が強く、冨永さんは仲間と川内市内で反対運動を繰り広げた。「海が汚染されると思った。『原子力の平和利用』と言われたが安全だとは思えなかった」。頭にあったのは、54年にアメリカの水爆実験で被ばくしたマグロ漁船「第五福竜丸」事件のことだった。周囲には漁業で生計を立てている人も多く、人ごとと思えなかった。しかし、84年に1号機の運転が始まり、串木野市民も雇用などで恩恵を受けるようになると、いつしか原発反対の声を上げる人たちは減っていった。再び表立って反対の声を上げる人たちが増えてきたのは、福島第1原発事故の後だ。「絶対再稼働はいかんぞ」。用紙を手渡すと、そう言いながら署名する人たちがいた。原発からいちき串木野市までは最短で約5キロ。有志によって集められた署名は、同市の人口(約3万人)の半数を上回る1万5464人分に上り、6月24日、市長宛てに手渡された。だが、市民の過半数が反対しても、現状では同市が再稼働判断に関与できそうにない。再稼働に前向きな伊藤祐一郎知事が県と薩摩川内市の同意で足りるとの姿勢を崩していないからだ。福島の事故は、被害が立地自治体にとどまらないことを明らかにした。「なぜ再稼働を急ぐのか。周辺住民の意見も聞くべきだ」と冨永さんは憤る。

*6-2:http://mainichi.jp/select/news/20140719k0000m040046000c.html
(毎日新聞 2014年7月18日) 原発再稼働:48市町、地元同意範囲は「30キロ圏」
 毎日新聞が国内全16原発の30キロ圏の市町村に実施したアンケートで、再稼働に意向を反映させるべき市町村の範囲を尋ねたところ、「30キロ圏」と答えたのは48市町で、「立地自治体」とした18市町村を上回った。また再稼働にあたり、計40市町村は国が責任を持って判断すべきだとした。毎日新聞は6〜7月、30キロ圏の全135市町村に聞き、134市町村が回答した。政府は原発の再稼働に必要な地元同意の範囲を示していない。九州電力川内原発1、2号機については、実質的な再稼働の判断は電力会社と立地自治体に委ねられる状況となっており、政治判断はしない方針。アンケートでは、範囲を「30キロ圏」と答えた48市町のうち36市町は、30キロ圏が避難計画作成など防災対策を重点的に充実すべきだとされるUPZ(緊急防護措置区域)であることを理由に挙げた。68市町村は「その他」「無回答」だった。
◇原発30キロ圏市町村が再稼働に意向を反映させるべきだと考える範囲と主な理由
【立地自治体のみ】
<東北電力東通>(電力事業者と立地自治体が結ぶ)安全協定に基づく事前了解を必要とするのは立地自治体のみ(青森県六ケ所村)
<北陸電力志賀>原子力政策の進展には立地自治体の理解が不可欠(石川県志賀町)
<四国電力伊方>誘致したのは立地自治体。広域の意見は県で集約される(愛媛県伊方町)
【30キロ圏】
<東京電力福島第2>原発事故の影響は立地自治体のみならず広範囲に及ぶ(福島県双葉町)
<中部電力浜岡>原発事故が発生した場合、危険を伴うことが予想される(静岡県袋井市)
<関西電力大飯、高浜>立地自治体と同様に大きな被害が及ぶ恐れがある(京都府綾部市)
<九州電力川内>法的な枠組みはなくても、少なくとも防災対策重点区域であるUPZの意見は聞くべきだ(鹿児島県いちき串木野市)
【その他】
<北海道電力泊>原発の安全対策、住民の避難対策を考えると30キロ圏より広げた方が良い(北海道仁木町)
<東北電力東通>範囲を広げすぎると意見の収拾がつかなくなることを懸念(青森県むつ市)


PS(2014.7.21追加):日経新聞は、①原発再稼働できないことが経済成長のアキレス腱になっている ②電力会社が瀬戸際で、行政の姿勢に翻弄されると監査法人も困る ③金融危機に相似 ④電気料金28%上昇 など、またまた脅し文句を使って原発再稼働を推進しようとしている。
 しかし①については、このブログの2014.6.19に記載したように、電力自由化と再生可能エネルギーを進めれば、新しい街づくりや産業のイノベーションが可能であるため、有意義な経済成長ができる。また、2014.5.14のブログに記載したとおり、大飯原発運転差止判決は、関西電力に対して「人格権(人権)は、経済成長とは比較すべきものですらない」としている。そのため、日経新聞記者は、その判決内容を理解した上で記事を書くべきだ。
 また②については、電力会社が瀬戸際なのは、お上頼みの経営体質で経営努力の方向が違うことが原因であり、引き合いに出されている監査法人は、真実が開示されていれば問題はなく、そうでなければ問題であるため、日経新聞記者は、監査について書く以上、会計や監査を理解した上で書くべきだ。
 さらに③については、「今後は、原発を電源としない」と決定すれば、このように我田引水の無理な論理を使わなくても、次の方針を決定できる。
 最後に④については、電気料金の値上がりは、政府(経産省)が、いつまでも日本を資源のない国と決めつけてエネルギーの自給を図らず、電力会社には総括原価方式をとらせてコスト意識もなくすべてを高値買いさせてきたことが原因であるため、これこそが改革すべきことである。

*7:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20140721&ng=DGKDASFS17H1I_Y4A710C1MM8000 (日経新聞 2014.7.21) 成長のアキレスけんに
 「成長戦略のマイナス要因であることは間違いない」。17日夕、甘利明経済財政・再生相が漏らした。原子力発電所の再稼働の遅れについて記者会見で問われた時のことだ。東日本大震災後に電気料金は産業用で3割、家庭用で2割上がった。原発の停止により石油や天然ガスの輸入を大幅に増やしたからだ。再稼働が進まなければ「産業用の電気料金は震災前より5割上がる」と甘利氏は警戒する。
●電力、瀬戸際に
 昨年9月から続く原発ゼロ。電気料金上昇は、投資拡大や賃上げの勢いを鈍らせ、時間とともに経済への影響が深まる。第一生命経済研究所の試算によると、原発ゼロは1年目に0.2ポイント実質経済成長率を下押しするが、2年目には0.4ポイント、3年目には0.5ポイントと影響が拡大する。日本経済は4月の消費増税による落ち込みを乗り越えつつあるが、足腰は強くない。来年10月に消費税率を再び上げるかの決断も迫る。電気料金上昇はアベノミクスのアキレスけん。政府関係者は「再値上げよりリストラを」とけん制するが、電力会社の経営も瀬戸際に追い込まれつつある。 「現状のまま来年4月1日を迎えるなら繰り延べ税金資産の計上は難しい」。関西電力の関係者は今春、公認会計士との勉強会でこんな厳しい指摘を受けた。繰り延べ税金資産は払った税金が将来戻ってくると見込んで計上する会計上の資産。黒字見通しでなければ計上できないが、関電は2014年3月期まで3期連続の最終赤字だ。5000億円の繰り延べ税金資産の計上を認められなくなれば自己資本比率は15%から1ケタ台に落ち、資金調達も難しくなりかねない。「あの時と似ている」。シティグループ証券株式調査部の野崎浩成マネジングディレクターは03年の金融危機を思い出す。当時、りそなグループが資本不足に陥った原因は、会計士が同社の繰り延べ税金資産の計上に厳しい見方を示したことだ。旧あさひ銀行(現りそな銀行)出身の野崎氏は「当時は金融行政がものすごく動いていた。監査法人は行政の姿勢に翻弄された」と振り返る。電力会社の繰り延べ税金資産の計上にも再稼働や値上げの行政判断がからむとみる。
●金融危機に相似
 金融行政が揺れ動いたようにエネルギー政策の腰も定まらない。4月のエネルギー基本計画は、原発は「重要な電源」とする一方、「依存度を低減する」とした。電力危機は金融危機との相似形を描く。16年の電力小売りの全面自由化をにらみ、経済産業省は有識者会議で「自由化と原発の両立」を検討し始めた。欧米では自由化で競争が激しくなると初期投資がかさむ原発の新増設が難しくなったためだ。電気事業連合会の八木誠会長(関西電力社長)は「新たな官民の役割分担を検討してほしい」と語る。足元で再稼働を進めつつ、将来の原発をどう位置付けるか。国は難しい2正面作戦を迫られている。
●電気料金28%上昇
 2010年度から13年度に全国平均の電気料金は企業向けで28.4%、家庭向けで19.4%上がった。
 エネルギー問題研究班が担当しました。


PS(2014.7.24追加):①原発が立地する自治体への年間約1000億円の交付金 ②廃炉費用の一部 ③廃炉後の交付金(?) ④使用済核燃料保管費用 ⑤事故後の処理費 なども、全国民が負担している原発のコストである。それでも、原発は安価なエネルギーと主張して継続していくつもりだろうか。

*8:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20140724&ng=DGKDASDF23H0I_T20C14A7PP8000 (日経新聞 2014.7.24) 原発廃炉の促進策を検討 経産省、地元が倒産増懸念
 経済産業省は古い原子力発電所の廃炉を促す方策の検討に入る。23日に開いた原発をめぐる有識者会議で、老朽原発が立地する自治体から「廃炉で関連企業の倒産が増える」といった懸念が表明されたためだ。国から自治体への交付金の拡充などが焦点となる。年内にも具体策を詰める。古い原発の廃炉問題は2015年にヤマ場を迎える。国内には1970年代に運転を始めた原発が12基ある。特に古い日本原子力発電敦賀原発1号機(福井県)はじめ7基が運転続行するには、15年7月までに原子力規制委員会に申請しなければならない。老朽原発に対する規制委の審査は普通の原発より厳しく、電力会社にとっては安全対策の投資額も大きくなる。今後は老朽原発の廃炉を決める電力会社が相次ぐ見通しだ。現在、原発が立地する自治体には、国が年間で計約1000億円の交付金を配っているが、廃炉すると交付はなくなる。23日の会議には敦賀1号機が立地する福井県敦賀市の河瀬一治市長が出席し、「今まで国策に協力してきて、廃炉になったら(支援が)終わりでは困る」と訴えた。敦賀市と、関西電力美浜原発が立地する福井県美浜町では、東日本大震災後の原発停止により、宿泊や飲食の売上高が計約5.8億円減ったという。敦賀市はじめ原発の立地自治体は、廃炉後の交付金減少を穴埋めする財政支援や、企業誘致のための優遇策を求めた。交付金の財源となる国の電源開発促進税は余力が乏しいため、経産省は慎重に支援策を検討する。


PS(2014.7.25追加):*9のように、やはり凍土壁はできず、トンネルの穴から氷1日5.4トン、ドライアイス1日1トンを投入するそうだが、自然界を流れている地下水の分量は膨大であるため、水道を開放して風呂おけをあふれさせながらコップ一杯の氷やドライアイスを加えているようなもので、事前にこれを計算すらできず、湯水のように金を使って、*10のように、東電への支援は5兆円(消費税年間税収の2.5%分)を突破したのは、わが国の技術者及びその周囲の重大な問題点である。なお、*10には、「今回の追加援助は作物の風評被害の賠償期間延長に対応するのが主な目的」とも書かれているが、食物に人工の核種を含んでいればそれを食べた人は内部被曝するため、風評被害か実害かについては、その科学的根拠を示した上で言葉を選ぶべきで、「わからないから実害は無い」とするのは非科学的すぎる。

*9:http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/nucerror/list/CK2014072402000130.html (東京新聞 2014年7月24日) 氷5トン超 毎日投入 福島第一 難航する凍結止水作業
 東京電力福島第一原発の地下トンネルにたまる高濃度汚染水の抜き取り作業が難航している問題で、東電は二十八日から、トンネルに毎日五トン超の氷やドライアイスを投入する。汚染水の温度を下げ、2号機タービン建屋とトンネルの接続部に氷の壁ができやすくする狙い。タービン建屋との水の行き来をなくしてトンネル内の汚染水を抜かないと、再び重大な海洋汚染を引き起こす危険が残る。これまでの計画では、トンネル内に粘土などを詰めた袋をいくつも置き、凍結液を循環させて袋や周辺の水を凍らせて止水し、汚染水を抜いてトンネルをセメントで埋める予定だった。ところが四月末に凍結作業が始まって以降、一部しか凍らなかったり、凍った部分が溶けたりと不安定な状態が続いている。全体が壁のように凍らないと止水できないため、原子力規制委員会が代替策の検討を指示していた。二十三日に開かれた規制委の専門家会合で、東電は現状の汚染水の水温(一五度)を五度まで下げられれば、全体が凍るとの試算を示した。トンネル上部の穴から氷を一日五・四トン、ドライアイスも一トンを投入することで水温が十分に下がり、凍結液を循環させる管も四本増やすことで達成できそうだとする。それでも凍結しない場合は、袋同士が密着していない部分にセメントなどを流し込んで隙間を埋める作業を、八月下旬から実施。ただセメントが固まれば元に戻せなくなるため、東電はあくまでも最終手段にしたい考えだ。検討会で規制委の更田(ふけた)豊志委員は東電側に「氷の投入という極めて原始的な方法だが、やれることは何でもすぐにやってほしい。お盆のころには結果が分かると思うので、朗報を聞きたい」と話した。

*10:http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/nucerror/list/CK2014072402000131.html (東京新聞 2014年7月24日) 東電支援5兆円突破へ 原賠機構に追加申請
 東京電力は二十三日、福島第一原発事故の被害者への賠償のため、原子力損害賠償支援機構に対し、五千百二十五億九千五百万円の追加支援を申請したと発表した。申請通り認められた場合、機構による支援額は五兆三千十四億三千九百万円となる。今回の追加援助は、作物の風評被害の賠償期間延長に対応するのが主な目的で、このための資金として三千三百八十億円を計上した。このほか住宅修繕や引っ越し費用の賠償の新基準への対応で千六十億円。墓石の修理費用も新たに盛り込んだ。山林などへの賠償方法が今後決まる見通しで、機構による支援額はさらに膨らむ可能性が高い。


PS(2014.7.26追加):離島は再生可能エネルギーの宝庫であるにもかかわらず、*11のように、電力会社の意思で契約を中断もしくは制限でき、その上で、「太陽光発電は基幹エネルギーにはなれない」などと言っているのだ。そのため、発送電分離は必要不可欠で、送電は、発電とは中立の機関が行うべきである。

*11:http://qbiz.jp/article/42679/1/
(西日本新聞 2014年7月26日) 九電が離島の再生エネ契約中断 対馬など、需給崩れ停電の恐れ
 九州電力は25日、長崎の壱岐、対馬など、長崎、鹿児島両県の六つの離島で、再生可能エネルギー発電の固定価格買い取り制度に基づく新規契約を1年程度中断すると発表した。太陽光発電などの導入が進み過ぎれば、大規模停電が生じる恐れがあるためとしている。九電管内では初めての事態で、各家庭の太陽光発電も対象となる。中断するのはほかに鹿児島県の種子島、徳之島、沖永良部島、与論島。他の離島でも、買い取り申し込みが一定に達すれば同様の措置を取る。電力の安定供給のためには需要と供給のバランスが取れていることが必要で、太陽光などの電力買い取りが増えると、供給が過剰になり、停電する恐れがあるという。九電によると、太陽光(出力10キロワット以上)の売電価格が4月に1キロワット時当たり36円から32円に引き下げられるなどしたため、3月中に契約しようと九電への申し込みが殺到。買い取り量が、九電が安定供給のために設けた目安を超える恐れが出てきた。九電は申し込み済みの設備についても出力抑制などを交渉する方針。蓄電池を設置するなど、出力調整に配慮した施設については個別に協議に応じる。固定価格買い取り制度は2012年7月にスタート。家庭や企業が太陽光や風力などで発電した電力を国が決めた価格で電力会社が買い取るよう義務付けた。買い取り価格が高く設定された太陽光が増え電力の安定供給維持が課題となりつつある。


PS(2014.7.27追加):*12には、「事故直後に1号機4階で水が出ていたという作業員の証言は国会事故調の調査で発言を強要するようなことが行われたと聞いている」という北大教授奈良氏の発言が書かれているが、これは、フクイチで津波以前に地震で使用済核燃料プールが壊れて水が漏れたという事実を示すため、日本全国の原発を廃炉にせざるをえなくなる重要な部分だ。

*12:http://mainichi.jp/select/news/20140726k0000e040160000c.html
(毎日新聞 2014年7月26日) 原子力規制委:不適切発言の10秒間、公開動画から削除
 原子力規制委員会は25日、東京電力福島第1原発事故の原因を調べる検討会で、出席していた外部有識者に不適切な発言があったとして、ホームページで公開している会合の動画から発言部分の音声を消去したことを明らかにした。検討会は18日に開催され、消去されたのは奈良林直・北海道大教授の発言。事故直後に1号機4階で水が出ていたという作業員の証言で、国会の事故調査委員会と規制委の聞き取りで異なっていた点について、奈良林教授は「国会事故調の調査で発言を強要するようなことが行われたと聞いている」と述べた。これに対し、国会事故調の元委員から22日、規制委に対し「発言に根拠がない」などと指摘があり、規制委は同日、動画公開を一時中止。奈良林教授も「不適切な発言とも取られかねない」として削除を要請した。このたため、規制委は23日、当該の約10秒間の音声を消し、「発言者から議事録より削除したい旨連絡があった」と注釈をつけて公開した。


PS(2014.7.28追加):*13 に書かれているとおり、新規制基準は住民の安全を保障していないが、それでも命とこれまで積み上げてきた全財産を犠牲にして原発再稼働に同意するか否かは、過酷事故時に被害を受ける全地域の住民で意思決定すべきである。

*13:http://www.saga-s.co.jp/news/national/10208/87998
(佐賀新聞 2014年7月27日) 原発再稼働「強行」と批判、菅元首相、松山で講演
原発再稼働「強行」と批判
 菅直人元首相が27日、松山市内で講演し、原発再稼働の動きについて、原子力規制委員会の新規制基準が住民の命や避難を対象にしていないと指摘した上で「安倍政権は、規制委の審査を満たせばよいとして強行しようとしている」と批判した。菅元首相は、九州電力川内原発(鹿児島県薩摩川内市)が新規制基準を満たしたことに対し「規制委の審査は、付近の住民の命が本当に大丈夫か、安全に退避できるかなどの重要なことが抜けている」と述べた。講演で菅元首相は、東京電力福島第1原発事故の発生後、原子炉への海水注入をめぐる東電とのやりとりなどを約30分にわたり説明した。

| 原発::2014.5~8 | 09:05 PM | comments (x) | trackback (x) |
2014.7.16 水素社会へのエネルギー転換と公害を出さない発電方法への転換を素早くすべき (2014.7.17、18に追加あり)
         
   *1-2より   2014.6.22日経新聞  2014.7.8京都新聞

(1)水素社会への転換を素早くせよ
 *1-1のように、茂木経産相が7月15日、トヨタ自動車の本社を訪れて、2014年度中に市販を予定する燃料電池車(FCV)の試作車に試乗し、「非常に静かで加速もいい」と述べたそうだ。FCVを、「水素社会を実現していく未来の自動車」と位置付けたそうだが、700万円程度の税抜き価格では高すぎるので、300万円台で素早く普及すべきだ。そのくらいの本気度でやらなければ、太陽光発電と同様、これも海外に抜かれるだろう。

 *1-2の「2018年度を目途に、FCVの水素ステーションを100カ所設置する」「水素ステーションの建設費は平均4.6億円かかり、政府が2.8億円を上限に補助金を出す」というのも、遅すぎる対応と補助金頼みの経営で、本気度が感じられない。水素ステーションの設置がそれほど高くしかできないのなら、FCVの水素は、タンクを交換する方式にしてもよいだろう。

(2)発電方法は自然エネルギーで
 *1-3のように、玄海町では、(私のアドバイスで)水を電気分解して水素を生成する実験を2010年から行っていた。しかし、燃料電池車に供給する水素を、化石燃料や原発由来の電力で作れば環境によくないため、今後は、*2-1のような海洋エネルギーなど自然エネルギーで作るべきである。なお、地元漁協は潮流や魚の生態に詳しいため、対象海域を漁業者から推薦してもらい、風力発電機を漁礁に利用したり、漁業に影響を与えない潮流発電機を考案したりするのはよいと思う。

 また、*2-2のように、九州7県の1級河川水系に県などが設置した発電やかんがい目的の利水ダムのうち、全体の3割近い17ダムが国土交通省の定期検査で安全管理上重要な問題があると判定されたそうだ。そのため、必要な改善がされると思うが、これまで利水ダムでは発電していなかったので、ついでに利水ダムでも発電できるようにすればよいと思う。

 なお、*2-3のように、九電工は、経営が悪化している九州電力からの配電線工事の受注が大幅に減少したため、太陽光発電で工事量を補って業績を伸ばしており、蓄積した建設技術を生かして、提案を続けているそうだ。これは、他地域の配電線工事会社にも応用可能である。

(3)原発とは、司法を使って決別するしかない
 *3-1のように、原子力規制委員会が2014年7月16日に、九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県)について、「新規制基準に適合している」とする審査書案を公表したため、今後は、「①新規制基準をクリアしていれば、本当に安全と言えるのか」を、司法を使って明らかにするしかない。また、*3-2には、「国内全16原発の半径30キロ圏にある特別養護老人ホームなど875の介護保険施設のうち、7割にあたる621施設(定員計約3万3000人)で、原発事故時の避難先が決まっていないことが分かった」とも書かれているため、「②実際に新規制基準をクリアしていると言えるのか」も、立法と行政が再稼働に前のめりである以上、司法で明らかにするほかない。

(4)フクシマの実情は、すさまじい人権侵害である
 *4-1のように、東京電力が2013年8月19日に、福島第一原発で実施したがれきの撤去作業で、放射性粉じんが20キロ以上離れた避難区域外の水田に飛散し、さらに50キロ付近まで飛んでいた可能性が高いことが京大研究グループの調査で分かった。これを公表せずに、「福島の農産物は食べて協力すべき」とし、今月下旬に大規模ながれき撤去に入るのに、「1号機を覆うカバーを解体して飛散防止剤をまく」としているのは、殺人行為に近い。

 また、*4-2のように、年間被ばく線量が20ミリシーベルト以下だということで、福島県川内村の避難指示を解除する方針だったが、一般人の被爆線量は世界では年間1ミリシーベルト以下であり、放射線管理区域でも年間5.2mミリシーベルト以下であるため、「20ミリシーベルト以下なら避難指示を解除してよい」とするのは、世界に例を見ない人権侵害である。

 さらに、*4-3のように、福島原発訴訟で争点の「国と東電が第1原発の全交流電源喪失をもたらす津波を予見できたか」に関する証拠を、国は「資料が現存せず確認できない」としていたが、一転、「電力会社から提出された資料があった」と試算報告書の存在を認めたそうだ。やはり、個々に訴訟をしなければ、ある証拠も出ずに、うやむやにされるのだろう。

<水素社会への転換>
*1-1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20140716&ng=DGKDASDF1500U_V10C14A7PP8000 (日経新聞 2014.7.16) 燃料電池車に経産相が試乗 トヨタ本社を訪問
 茂木敏充経済産業相は15日、愛知県豊田市のトヨタ自動車本社を訪れ、同社が2014年度中に市販を予定する燃料電池車(FCV)の試作車に試乗した。経産省は次世代エコカーとしてFCVの普及を後押ししている。茂木経産相は記者団に「隗(かい)より始めよで、経産省でも公用車として使いたい」と述べ、市販後に購入する意向を示した。茂木経産相は1周2キロメートルのテストコースを自ら3周運転し、本社工場内の水素ステーションで充てん作業にも参加した。試乗後、「非常に静かで加速もいい」と感想を述べた。トヨタの豊田章男社長とも懇談。茂木経産相によると、FCVを「水素社会を実現していく未来の自動車」とし、省として購入する考えを伝えた。台数などは明言しなかったようだ。トヨタはFCVを700万円程度の税抜き価格で市販すると表明している。

*1-2:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20140716&ng=DGKDASDZ15093_V10C14A7MM8000 (日経新聞 2014.7.16) JX、水素ステーション100ヵ所 燃料電池車向け、18年度めど 政府、補助金で普及後押し
 JX日鉱日石エネルギーは「究極のエコカー」とされる燃料電池車(総合2面きょうのことば)に、燃料の水素を供給する施設である水素ステーションを2018年度をめどに100カ所設置する。現在の5カ所から一気に増やす。燃料電池車はトヨタ自動車が世界に先駆け14年度中に市販を始める。政府も補助金や規制緩和で後押しする方針で、普及に向けた体制整備が動き出す。燃料電池車は水素と空気中の酸素を反応させて走る。政府は次世代エコカーと位置付け、15年度までに主要都市に水素ステーションを計100カ所整備する計画だが、足元で設置が決まっているのは41カ所。JXエネが100カ所の設置に乗り出すことで、燃料電池車の普及の課題だったインフラ整備が大幅に進む。JXエネは水素ステーションの運営や水素の調達・供給を手掛ける子会社を近く設立する。現在、東京都杉並区や横浜市など5カ所に水素ステーションを設置している。当初14年度中に15カ所に増やすとしていた計画を19カ所に上方修正。15年度までに40カ所にし、その後2~3年で100カ所規模にする考えだ。既存のガソリンスタンドに併設するほか、首都圏や地方の主要都市に水素供給専用の拠点を新設する。水素ステーションにはガソリンタンクの代わりに圧縮した水素を貯蔵する設備を設置。専用の充てん機を使い自動車に水素を供給する。水素ステーションを巡っては14日、岩谷産業が商業用施設を兵庫県尼崎市に開いた。同社は15年度中に計20カ所建設する計画。東京ガスや豊田通商なども都内や愛知県に設置する方針で、今年度内に10カ所程度が開業する見通しだ。実験用では大阪ガスや東邦ガス、大陽日酸、出光興産なども手掛けている。インフラ整備の進展は自動車メーカーにとっても追い風となる。トヨタはまず、都内や名古屋市など水素ステーションが整備される地域で燃料電池車を販売する方針。4人乗りのセダンで価格は税抜きで700万円程度。コスト削減を進め25年ごろには同じ車格のハイブリッド車(HV)並みに価格を抑えたい考え。ホンダも15年中の発売を目指し、5人乗りのセダンの開発を進める。価格は1000万円を切る見通しだ。燃料電池車の普及には、水素ステーションの建設費と車両価格を下げることがカギとなる。政府は平均4.6億円かかる水素ステーションの設置に2.8億円を上限に補助金を出している。今後は車両の購入に200万円程度の補助金を出すことを検討する。水素ステーションの設置費用を引き下げるための規制緩和も進める。水素をためる容器に欧米並みの安い鋼材を使えるようにし、市街地でも設置しやすい基準をつくる。設置費用は「1.5億円安くなる余地がある」(経産省)という。水素ステーションの設置計画の大半が首都圏と愛知県に集中し、関西や九州は整備計画があまり進んでいない。1億~2億円で設置でき、移動も可能な小型施設の普及を支援し、地域間での偏りを減らすようにする。与党内にはステーションで水素を補給する費用も政府が全額補助する案もある。高速道路のサービスエリアへの水素ステーションの設置補助を上積みし、燃料電池車の走行料金を無料にする案も浮上している。

*1-3:http://www1.saga-s.co.jp/news/saga.0.1633240.article.html
(佐賀新聞 2010年5月12日) 玄海町で水素実証実験 水を分解、カートや自転車走らせる
 環境に優しい次世代エネルギーとして注目される水素を実際に社会に生かす実証実験が今秋、佐賀県東松浦郡玄海町の九州電力玄海エネルギーパークで始まる。水を電気分解して水素をつくり、その水素でカートや自転車を走らせる。生成から利用までを集約し、来場者も水素エネルギーを実体験できる。実験は玄海町、佐賀県地域産業支援センター(佐賀市)、民間企業などが取り組む。太陽光や原子力発電の夜間電力で水を電気分解して水素を生成、貯蔵する。園内には水素で動くカートと自転車を2台ずつ配備し、来園者に試乗(無料)してもらう。電気量と水素製造量の関係や水素消費量などの検証も行う。実験は設備整備後の10月下旬から11月上旬に始め、本年度末まで行う。施設は2012年4月に開園を予定する玄海町次世代エネルギーパークに移設して活用する。総事業費は約1億1千万円。国の水素利用社会システム構築実証事業を活用する。玄海町は、環境負荷軽減の取り組みや同パークのPRも兼ね、総事業費のうち設備購入費や工事費など約5900万円を負担する。水素は水や灯油など多様な燃料から取り出すことができ、酸素と反応させれば水と電気が発生する。利用段階で二酸化炭素を排出せず、水が燃料になることから次世代エネルギーとして期待されるが、コスト面などの課題もある。

<自然エネルギーによる発電>
*2-1:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/84206
(佐賀新聞 2014年7月16日) 海洋エネ実証実験場に佐賀を選定 内閣府
 内閣府は15日、地方自治体に公募していた潮流や波力など海洋エネルギーによる発電の実証実験場(実証フィールド)に、佐賀県が提案した唐津市呼子町加部島沖を含む4県6海域を選定した。今後、国の支援で環境整備を進め、関連産業の集積を図る。県は5年間で約7億円の経済効果を見込んでいる。佐賀県は5種類の海洋エネルギーのうち「潮流」と「浮体式洋上風力」に選ばれた。県のプランは地域との協力体制を構築したのが特徴。誘致のために立ち上げた協議会の会長には地元漁協の代表が就き、対象海域も漁業者から推薦した。大型の浮体式風力発電機は漁礁になる可能性があり、将来的には漁協で発電機を運営する案もあるという。今後、国は送電用の海底ケーブルを整備するほか、メーカーや大学の実験装置の維持管理に必要なハード整備などを進める方針。県によると、国から具体的なスケジュールや支援メニューはまだ示されていない。長崎県の五島市や西海市の3海域も潮流と浮体式洋上風力のフィールドに選ばれた。佐賀県新エネルギー課は「予想より多くの海域が選定され、驚いている。メーカーらに対し、魅力あるフィールドとして佐賀を選んでもらう仕掛け作りが重要になる」と話す。今後は国とやり取りしながら、ハード整備の方法やフィールドの管理運営団体の設立を検討していく。国は福島第1原発の事故を受け、再生可能な海洋エネルギーの早期実用化を促進するため、発電の信頼性や耐久性を実験する実証フィールドを全国公募し、7県11海域が提案していた。

*2-2:http://qbiz.jp/article/42006/1/
(西日本新聞 2014年7月16日) 九州の17ダム、安全管理に不備 国交省検査で判明
 国が管理する九州7県の1級河川水系に各県などが設置した発電やかんがい目的の利水ダムのうち、全体の3割近い17ダムが国土交通省の定期検査で安全管理上重要な問題があると判定されていたことが15日、分かった。中でも北山ダム(佐賀市)、瀬戸石ダム(熊本県芦北町、球磨村)、大分県営若杉ダム(由布市)の三つはダム湖に大量の土砂がたまり、機能低下につながりかねないと指摘されていた。定期検査はダム検査規程に基づき実施。2002年度に導入された現行制度では原則3年に1回程度、管理状態などをABCでランク分けする。西日本新聞が関係文書を情報公開請求し分析した結果、対象となる62ダムのうち、大分県6、福岡県5、佐賀県3、熊本県2、鹿児島県1の計17ダムが02〜13年度のいずれかの検査で最も問題のある「A」と判定された。農林水産省が設置した北山ダムは04〜12年度に5回連続でA判定。想定の2・7倍に上る土砂堆積やダム湖周辺のり面の100カ所以上の崩壊、ゲート施設の不良などを指摘された。電源開発(東京)が熊本県の球磨川に設置した発電用の瀬戸石ダムは02〜13年度に計6回の検査結果がすべてA。ダム湖の土砂堆積を問題視され、洪水被害が発生する恐れを指摘された。同社は「真摯(しんし)に受け止め、土砂撤去に取り組んでいる」としている。ダム湖の土砂堆積は水面下のため、対応は遅れがちになるという。土砂堆積などによりA判定を4回受けた若杉ダムは、09〜11年の3年間に土砂のしゅんせつ費用として約6億4800万円を投じていた。ほかにA判定を受けたダムはサイレンなどの設備不良や、維持や操作を適切に行う管理主任技術者の不在などを指摘された。国交省九州地方整備局によると、検査結果に法的拘束力はないが、どのような措置を講じたかの報告は求めているという。河川管理課は「土砂の除去など課題解消に時間がかかるケースもある」としている。

*2-3:http://qbiz.jp/article/41997/1/
(西日本新聞 2014年7月16日) 九電工、メガソーラーで業績アップ
 九電工(福岡市)は15日、大分市日吉原のゴルフ場跡に大規模太陽光発電所(メガソーラー)を建設すると発表した。出力は4万5千キロワットで、九州内で有数の規模。伊藤忠商事(東京)、三井造船(同)と共同で設立した特定目的会社「大分日吉原ソーラー」が運営する。総事業費は約144億円で、同日、みずほ銀行を幹事とする銀行団と融資契約を結んだ。予定地は、三井造船の所有地で、5月末に閉鎖した「日吉原カントリークラブ」跡地。広さは約46万平方メートルで、8月に着工し、2016年3月に営業を始める予定。年間発電量は一般家庭9300世帯の消費量に相当する約5250万キロワット時になる見込みで、全量を20年間、九州電力に売電する。九電工は伊藤忠の呼び掛けで参加したといい、出資比率は伊藤忠50%、九電工30%、三井造船20%。九電工は、稼働中のメガソーラーでは九州で2番目に大きい「鹿児島七ツ島メガソーラー発電所」(出力7万キロワット、鹿児島市)に出資するなど、九州内外で太陽光発電を積極的に展開している。設置場所によって提携先は京セラやオリックスなどさまざま。出資はしないものの、発電所の建設工事を請け負っているケースも多い。太陽光発電は、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度を利用し、安定した収益が見込めることから各社の参入が相次ぐ。九電工も、蓄積した建設技術を生かした提案を続けているという。さらに九電工は、経営が悪化している九州電力からの配電線工事の受注が大幅に減少。このため太陽光発電で工事量を補い、業績を伸ばしている面もある。

<原発との決別>
*3-1:http://mainichi.jp/select/news/20140716k0000e040197000c.html
(毎日新聞 2014年7月16日) 川内原発:「新規制基準に適合」審査書案を公表
 ◇10月以降にも再稼働へ 福島原発事故後で初
 原子力規制委員会は16日、九州電力川内(せんだい)原発1、2号機(鹿児島県)について、「新規制基準に適合している」とする審査書案を公表した。今後、30日間の意見公募などを経て審査書を決定する。川内1、2号機は、東京電力福島第1原発事故の教訓を踏まえ、安全対策を強化した新規制基準をクリアする初の原発となる。再稼働に向けた手続きが本格化するとみられるが、設備の使用前検査なども必要となるため、再稼働は10月以降になる見通しだ。現在、川内1、2号機を含め、12原発19基が規制委の安全審査を受けている。

*3-2:http://mainichi.jp/select/news/20140716k0000m040164000c.html
(毎日新聞 2014年7月16日) 原発事故時:避難先7割未定 30キロ圏の介護施設・病院
 国内全16原発の半径30キロ圏にある特別養護老人ホームなど875の介護保険施設のうち、7割にあたる621施設(定員計約3万3000人)で、原発事故時の避難先が決まっていないことが分かった。同様に838病院中、7.5割の633病院(計約4万床)でも確保されていなかった。原子力規制委員会は16日、九州電力川内(せんだい)原発1、2号機(鹿児島県)の安全審査で事実上の「合格証」となる審査書案を示し、原発の新規制基準に基づく「合格」第1号が決まるが、要援護者の避難が担保されていない実態が浮かんだ。毎日新聞は6〜7月、国が原発事故時に住民に避難を求めることがある範囲として定めている30キロ圏の21道府県と、東京電力福島第1原発事故で避難指示が出ている10市町村を除く125市町村にアンケートを実施。1市を除く124市町村が回答した。国は原発事故を受けて見直した原子力災害対策指針などで、住民の避難計画策定を義務付ける市町村を原発8〜10キロ圏から30キロ圏に拡大。県や市町村の地域防災計画で、施設や病院の管理者に避難計画作成を求めることも定めた。アンケートで住民の避難計画を未作成だったのは4割の49市町村で、うち40市町村を占める宮城、茨城、新潟、静岡、富山の5県では、施設や病院も避難計画を作成しておらず、全377施設と全412病院が避難先を確保できていなかった。反対に、川内原発が立地する鹿児島をはじめ、青森、石川、滋賀、愛媛、長崎の6県では全市町村が住民の避難計画を作成済みだったが、施設や病院の避難先は一部を除いて見つかっていない。「30キロ圏より外は市外になるので、施設や病院の避難先を探すのに、市だけでは調整できない」(鹿児島県薩摩川内市)、「事業者だけで確保するのは難しく、行政が連携して取り組むべき課題になっている」(愛媛県)という。一方、関西電力大飯原発など4原発がある福井など7道府県は、全231施設と全202病院の避難先を確保しているとした。ただし、このうち北海道の一部や鳥取県では、施設からいったん自治体が指定したホテルなどに避難し、特養から特養へといった同種施設に移れるかどうかはその後の道県の調整に任される。

<フクシマの実情>
*4-1:http://digital.asahi.com/articles/ASG7H5SVWG7HUUPI00C.html
(朝日新聞 2014年7月16日) 50キロ先、住宅地にも粉じん 福島第一原発がれき撤去
 東京電力が昨年8月に福島第一原発で実施したがれき撤去作業で放射性の粉じんが20キロ以上離れた避難区域外の水田に飛散した可能性が指摘されている問題で、この時の放射性の粉じんがさらに50キロ付近まで飛んでいた可能性が高いことが京大研究グループの調査で分かった。今後も実施していくがれき撤去作業による汚染が広範囲に及ぶ恐れを示すものだ。調査したのは、京大大学院医学研究科の小泉昭夫教授(環境衛生)ら5人。住民の被曝(ひばく)量を予測するために2012年9月以降、福島県内の住宅地の3地点に空気捕集装置を置いて大気中の粉じんを集め、1週間ごとに放射性セシウム濃度を測定してきた。このうち原発から北西48キロの相馬市で集めた昨年8月15~22日分から、他の時期の6倍を超す1立方メートルあたり1・28ミリベクレルの放射能を検出。北北西27キロの南相馬市では20~30倍だった。西南西22キロの川内村では変化がほぼなかった。小泉教授らは①原発の北西や北北西で放射能濃度が上がり、西南西で変化がほぼないことは当時の風速や風向きによる放射性物質の拡散予測に一致する②大気中から集めた粉じんの粒子は比較的大きく、第一原発のような放射性物質が密集する所に長くあるうちに大きくなったと推測される――などから第一原発でこの時期に行ったがれき撤去で飛散してきたとみている。さらに南相馬市の地点では昨年5、6月にも1度ずつ粉じんのセシウム濃度が急上昇した期間があり、この間にも撤去作業で飛んだ可能性があると分析。小泉教授らは今年3月、「第一原発のがれきが汚染源とも考えられる」とする報告書を環境省に提出していた。東電は昨年8月19日に第一原発3号機で大規模ながれき撤去を実施。20キロ以上離れた南相馬市の水田で収穫されたコメから基準超のセシウムが検出され、農林水産省から飛散防止を要請されていたことが14日の朝日新聞報道で発覚した。東電は記者会見で撤去作業との関係は不明としつつ、「ご迷惑をかけた」と謝罪。当時の放出量はふだんの1万倍以上にのぼり、4時間で最大4兆ベクレル(試算)だったと発表した。東電は今月下旬に1号機を覆うカバーを解体し、大規模ながれき撤去に入る方針だ。飛散防止剤を多くまくとしているが効果は不透明で、詳細な作業日程や放射線量の公表を求める声が出ている。

*4-2:http://www.minpo.jp/news/detail/2014071416850
(福島民報 2014/7/14) 「26日解除」断念 川内の避難指示解除準備区域
 政府は13日、福島県川内村の避難指示解除準備区域(年間被ばく線量20ミリシーベルト以下)の避難指示を26日に解除する方針を断念、延期する考えを示した。同日、同村と郡山市内で開いた住民との懇談会で、住民から生活環境の整備が不十分と、解除への反対意見が相次いだ。政府の担当者は解除時期について「あらためて村と協議し、適切な時期を見定めたい」と述べた。
■村と協議、時期再検討
 村内の懇談会には約60人、郡山市には約20人が参加した。政府側が福島第一原発の廃炉・汚染水対策の現状、事後モニタリングの結果と追加除染などを説明。避難指示解除準備区域の復興状況を説明した上で、26日に解除する方針を伝えた。しかし、住民側から「一部の道路で復旧が終わっていない」「線量が高い所があり不安」「帰ってから仕事がないのに解除は時期尚早」「仮置き場があるままでは帰る気分になれない」といった不安や懸念を示す意見が相次いだ。遠藤雄幸村長は懇談会最後のあいさつで、解除に向けた村の検証委員会が28日にも中間答申をする予定とした上で、「検証委の答申を踏まえて解除時期を判断したい。26日の解除は政府に再考してもらい、もう一度協議する時間が必要と感じた」と述べた。復興庁の熊谷敬統括官も解除しない方針を示した。区域内では、4月26日から3カ月間、帰還のための準備宿泊(長期宿泊)が行われており、25日で期限が切れるため、期間を延長した上で解除時期を再協議する見通し。避難指示解除準備区域の解除と同時に居住制限区域(同20ミリシーベルト超~50ミリシーベルト以下)を避難指示解除準備区域に再編する方針は変えない方針。
■避難指示解除準備区域139世帯
 村内の区域分けは【図】の通り。6月1日現在の人口は1148世帯、2746人で、避難指示解除準備区域は139世帯、275人、居住制限区域は18世帯、54人。
■廃棄物搬出後、地元に返還 中間貯蔵候補地 政府方針
 東京電力福島第一原発事故に伴う除染廃棄物を保管する中間貯蔵施設の候補地について、政府はいったん買い上げて国有化し、全廃棄物を県外の最終処分場に搬出後、地元に返還する案を検討している。自民党の大島理森東日本大震災復興加速化本部長が13日、会津若松市での講演で明らかにした。大島本部長は「さまざまな知恵を政府で考えてもらっている」と語り、案がまとまり次第、佐藤雄平知事や候補地のある大熊、双葉両町長らに説明する考えを示した。自民党県連の「ふくしま再興政治塾」で講演した大島本部長は、中間貯蔵施設の廃棄物が政府の条件通りに30年以内に県外で最終処分された後、施設候補地の取り扱い案について「(候補地は)国の名義になっているが、(県外搬出を終えた)その時には、地元に返すというアイデアを固めつつある」と述べ、故郷への帰還を望む住民に配慮する考えを強調した。一方、候補地の貸借について大島本部長は民法上の借地権の期間は基本的に20年になっており、30年近く廃棄物を借地で保管するのは困難との認識を示した。中間貯蔵施設をめぐっては、最終処分場への移行を懸念し、候補地の貸借を求める地権者の要望は多い。政府は土地返還案の提示によって最終処分場にならないと強調し、地元に理解を求めるもようだ。ただ、政権政党が替われば方針が変更される懸念がある。国有化後に必ず返還するよう法的担保などを求める声は強まるとみられる。
   ◇  ◇
 大島本部長は講演で、今月末にもまとめる復興に関する政府への党提言に関し、「自立」と「コミュニティーの再生」を柱にする考えも明らかにした。
■政府案に具体的コメント避ける 大熊、双葉町長
 大島本部長が中間貯蔵施設建設地を将来的に地元に返還する案を検討していると明らかにしたことについて、建設候補地のある大熊町の渡辺利綱町長は「賃貸借などいろいろな選択肢を検討している中の一つと思う。中間貯蔵後の跡地利用や原状回復の問題などもあり、現時点でどうと言える状況ではない」と語った。双葉町の伊沢史朗町長は「政府から直接聞いていないのでコメントできない」とした。県生活環境部の担当者は「候補地の取り扱いについて、国は住民説明会で出た意見を受け止め、地域振興策などと合わせて迅速に対応してもらいたい」とコメントした。

*4-3:http://www.minyu-net.com/news/news/0716/news7.html
(2014年7月16日 福島民友ニュース) 第1原発・津波試算「資料あった」 国一転、存在認める
 東京電力福島第1原発事故で県内外の被災者約2600人が国と東電に原状回復や慰謝料を求めた「生業(なりわい)を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟の第7回口頭弁論は15日、福島地裁(潮見直之裁判長)で開かれた。争点の「国と東電が第1原発の全交流電源喪失をもたらす津波を予見できたかどうか」の証拠になり得る津波の試算報告書について、「資料が現存せず確認できない」としていた国側は一転、「電力会社から提出された資料があった」と試算報告書の存在を認めた。国側が提出した資料は1997(平成9)年に電力会社が国に提出したとみられるもので、試算された第1原発の津波の高さは敷地高10メートルに近い9.5メートルとされ、「冷却水取水ポンプモーターのレベルを超える数値で、余裕のない状況」と記載。次回は9月16日午後3時から口頭弁論を行う。


PS(2014.7.17追加):*5のように、「自然エネルギー協議会」が「2020年までに20%にする」などの自然エネルギーの導入目標を提言したそうで、その積極性はよいが、根拠のない数値をめくらめっぽう設定するのは、市場経済ではなく計画経済である。もし、目標数値を設定したいのなら、「2020年までに20%以上」というような決め方にすべきだ。なお、自然エネルギーの環境アセスメントは、機材の構造によっては行う必要すらない場合もあるため、一律に規模を決めることはできない。それよりも、原発の環境アセスメントは、半径250kmの範囲で行わなければならず最も重要だが、やったとは思えないため今からでもやるべきだ。

*5:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/84694
(佐賀新聞 2014年7月17日) 自然エネ導入「20年に20%」 協議会、目標提言へ
 佐賀県など36道府県と民間企業でつくる「自然エネルギー協議会」(会長・飯泉嘉門徳島県知事)は16日、唐津市内で総会を開き、自然エネルギーの導入目標値を明確化することを柱とした5項目の政策提言をまとめた。今月中に経産省などに提出する。政府は閣議決定したエネルギー基本計画で自然エネルギーの導入目標を明記していない。提言は、「2020年までに20%にする」などの目標値を設定し、導入加速化を要望した。太陽光発電が急激に伸び、発送電システムへの接続拒否が出ている問題でも系統網の増強なども盛り込んだ。佐賀県の古川康知事は、唐津市沖の海域が海洋エネルギー発電の実証フィールドに選定されたことに触れ、「環境アセスメントをどの程度の規模で行えばいいのかなど必要な対応が決まっていない」と述べ、導入の障害となる規制の改革も求めた。


PS(2014.7.18追加):*6のように、東京農大教授も、昨年産玄米から高い放射性セシウムが検出されたことに気がついて、①原発がれきの撤去でセシウムが飛散したか ②溜め池からの流入と指摘していたそうだ。これを適切に開示して、消費者の内部被曝予防に繋げられないところが問題の一つである。

*6:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=28798 
(日本農業新聞 2014/7/17) 原発がれき撤去でセシウム飛散 玄米基準値超え 東農大教授も指摘 福島で試験 
 東京電力福島第1原子力発電所事故に伴い、福島県南相馬市で昨年秋に収穫された米から基準値を超す放射性セシウムが検出された問題で、東京農業大学の後藤逸男教授らが行った作付け試験でも、昨年産玄米から高い放射性セシウムが検出されていたことが16日、分かった。原因として土壌由来ではなく、がれき撤去の可能性を示唆する格好となった。
●昨年秋に値上昇
 後藤教授は、昨年7月下旬から9月下旬の間に放射性セシウムの蓄積に異変が起きたとみており「がれき撤去が関係あるかもしれない」との見方を示し、「がれきを撤去する際には、放射性物質が絶対に飛散しない対策が必要だ」と指摘する。放射性セシウムの吸収抑制を進めるには、ゼオライトと塩化カリウムの施用が有効とされる。このため後藤教授の研究チームは、試験圃場(ほじょう)でそれぞれ施用量を変えて米を栽培した結果、初年度の2012年産は9月下旬の時点で玄米中のセシウムが、7月下旬の幼穂形成期の茎葉中の値に比べ、最大で5分の1程度だった。13年産の試験では、7月下旬の幼穂形成期の茎葉の値が前年同時期と比べて2分の1~5分の1程度と大幅に低下していた。だが、9月下旬に測った玄米中の値はゼオライトや塩化カリウムの施用量にかかわらず、前年産玄米の1.9~7.8倍と高い値を示し「予測に反して、放射性物質の値が高い」(後藤教授)ことが分かった。前年の試験を踏まえると、後藤教授は「土壌からの吸収ではない」と判断。ため池からの流入か飛散を想定していた。

| 資源・エネルギー::2013.10~2014.10 | 05:20 PM | comments (x) | trackback (x) |
2014.7.15 男性中心で女性蔑視の価値観が、働く女性をやりにくくし、日本に女性リーダーを少なくしている本当の理由である。
    
 *2-2より     2014.7.14日経新聞より   *1-1より

(1)その男性中心の価値観が、働く女性をやりにくくしているのである
 *1-1に、「男性は女性に比べ、ためらうことなく叱っている。(女性の)私にはなぜできないのか」などと女性管理職は部下を叱ることすらできないように表現されているが、これがまさに男性目線の偏見で、女性に失礼であり、女性管理職を少なくしている原因でもある。

 わかりやすい例を挙げれば、帝王切開を新人の産婦人科医にさせようとしたところ、必要な検査をやっていなかったり、間違った薬を使おうとしたりすれば、「馬鹿!何してる!そのくらい勉強しておけ!」と上司である医師から叱られるのは、男性医師でも女性医師でも同じだ。また、上司である医師が男性であっても女性であっても、短時間で必要なコミュニケーションを行う言い方に大きな違いはなく、ここで、女性上司の叱り言葉にくねくね文句を言ってすねるような人は、男性であれ、女性であれ、見込みがない。つまり、叱られるようなことをした人は、周囲に迷惑をかけたことを反省して次から失敗しないようにするのが筋であり、これは、真剣にやらなければならない仕事ならどれも同じだ。

 しかし、*1-1に掲載されている上の右図では、女性上司に対しては、「感情に左右されやすい」「言葉がきつすぎる」「具体策が提案できない」「ねちねちしている」という女性蔑視の先入観をさらけ出し、男性部下には、「プライドを傷つけないよう叱るべき」「期待しているから叱るという気持ちを見せるべき」と男性優位を肯定するように仕向けている。誰が考えてもわかるように、プライドを傷つけられては困るのは女性も同じであるし、仕事で期待されたいのも男女とも同じである。そして、期待していない相手に重要な仕事をさせたり、失敗しても時間をかけて叱ったりするなどという暇な職場は滅多にない。また、失敗して叱られた時に、叱られた人が叱り方に文句を言う筋合いがないのも、どちらが男女でも同じである。

(2)女性のリーダーが少ない理由
 *1-2で佐々木成江准教授が述べているように、「女性が社会進出できない理由を子育て問題に落とし込まれ、幹部に女性が少ないことが根本問題なのに、そこに目が向かない」というのは、私も全く同感だ。そして、幹部に女性が少ない理由には、*1-1のように、既に上司になった女性に対しても、リーダーの資質と矛盾する偏見があり、その偏見を含んだ“評価”や部下の態度が女性上司をやりにくくしているにもかかわらず、メディアを中心とする社会は、まだこのような宣伝をしているということがある。

 それに加えて、STAP細胞という大発見の可能性にかけた小保方さんの採用を杜撰と指摘したり、「50~60代の男性研究者は(若い女性に)免疫がない」「若さやかわいさが(採用の)大きな要因になった」などとしているのも、「免疫」とは人間に対して悪さをするウイルスに対する防御機構であるため、人間の女性に対して使うのは女性を侮辱している上、「能力ではなく、若さやかわいさで採用された」というのは、採用した人とされた人の両方を侮辱している。

 私は、大人であるにもかかわらず小学生のようなスカートをはいてかわいさを演出していた小保方さんを素敵な女性だとは思わなかったし、研究室で割烹着を着ている小保方さんがよいとも全く思わなかったが、超男性社会で働く女性は矛盾した男性の要求にも答えざるを得ないため、小保方さんも苦労していただろうとは思った。しかし、そのようなこととは関係なく、私は、STAP細胞に目を付け、(たぶん)発見した才能は認めるべきで、そういう人材に替えはないと考えている。つまり、女性研究者も才能と実績で公正に評価される時代が来るべきであり、朝日新聞社会部の女性記者が、一連の報道について、「これって男目線じゃないですか」と再考を求めたのは、少し進歩だと感じている。

 なお、*1-2に、「日本では、男性社会で頭角を現す女性は男っぽく、プライベートを犠牲にしているとのイメージが作られてきた」と書かれているが、逆に「幸せに結婚し続けている女性は、仕事の能力がなく社会で活躍していない」というイメージも作られており、どちらも働く女性をやりにくくしている。

(3)2020年までに指導的地位の女性比率を30%以上とする政府の目標は少ないくらいである
 今まで意見を言ったり意思決定したりする女性が少なかったのを増やせば、生活に密着した新しい市場が開けるため、*2-1の「女性の力、成長の礎」というのは本当である。しかし、「まだ眠っている」というのは、これまで少人数で頑張ってきた女性に対して失礼だ。

 なお、「出生率の低迷」自体を問題にする記事も多いが、子どもを持つのは権利であって義務ではないため(世界の常識)、女性が速やかに昇進するなど、仕事で安定して金銭的余裕ができていれば、家事を外部化することができて出生率も上がるだろう。しかし、仕事において女性を差別しないことは、憲法では「基本的人権の尊重」であり、男女雇用機会均等法でも1985年から明記されていることであって、出生率の回復が目的ではない。

 そのような中、*2-2のように、安倍政権は女性の活躍を新しい成長戦略の柱の一つと位置付け、経団連の榊原会長は会員企業約1300社全てに行動計画の策定を要請して、12月に公開するそうだ。政府が、国、地方自治体、企業に対して女性幹部登用の目標や行動計画の策定を義務付ける新法案を国会に提出する方針なのはよいと思う。

 ただ、1999年から施行されている改正男女雇用機会均等法では、「採用・配置・昇進・退職において女性を差別してはならない」と義務化されているのに、経団連の女性の活躍推進委員会委員長が、「企業や業種によって男女の採用人数などが異なり一律の対応は難しい」と説明したのは、これまでそれらの企業が15年間にもわたり、違法行為をしてきたことを暴露しているものである。

 これに対し、厚労省の労働基準監督署は、残業代の不払いや長時間労働については変に強く“監督”してきたが、企業の女性差別を男女雇用機会均等法に基づいて指導監督することはあまりなく、「女性だからという理由で差別した場合は、・・・」としていた。しかし、差別するのに女性だからという理由をつけて差別する企業はないため、実質的には、雇用における女性差別は野放しだったのである。
 
 なお、現在、自動車は、男性中心のユーザーから多くのユーザーが女性の時代となった。そのため、女性が必要と考える機能や女性好みのデザインは女性市場で勝つためのKeyになり、それを実現するためには、意思決定できる立場に女性がいるのがよいため、*2-3のように、トヨタ自動車が数値目標を掲げたのは当然だ。しかし、*3のように、高島屋、資生堂、セブン&アイ・ホールディングス、航空会社、積水ハウス、家電、銀行など、顧客にも従業員にも女性が多い企業で、これまで女性管理職が30%もいなかったというのは、その方が不思議であり、どれだけ女性差別をしていたのかと思う。

 *2-2や*3のように、「女性の登用には、男性も働き方の意識改革が必要」「長時間残業体質からの脱却が必要」などと言われることは多いが、女性であれ、男性であれ、医療関係者や運転手など、通常の時間外に働かなければならない職種は多い。そのため、必要な残業はしなければならないが、効率の悪い働き方をして不要な残業をしていたのであれば、それは企業にとっても過大なコストになっていたのだから、それこそ速やかに変えるべきである。

 *3には、「人口減少で働き手が少なくなったので、女性の活躍を促す取り組みに経済界が本腰を入れ始めた」とも書かれているが、働く権利や職業選択の自由は女性にもあり、性別で差別してはならないことは、日本国憲法や男女雇用機会均等法で定められている。そのため、そこを出発点にすべきだ。しかし、「女性の活躍推進は女性だけのためではなく、企業の競争力を左右する」というのは本当なので、両性とも敬意を払われて気持ちよく働けるようにすべきなのであって、「女性は一時的な補完労働力だから、踏みつけにしてもよい」という考えは論外だ。

 最後に、*3には、「女性管理職を増やす過程で、昇進の機会を逃す男性から反発が出る」「登用された女性の能力が適正に評価されないという不満が出る」などのため、女性登用は定着までに一筋縄ではいかないと書かれているが、これまで学校教育・採用・配置・研修・昇進で女性を差別して男性の機会を確保してきたのだから、30%程度のクウォータ制で男性から反発される理由はなく、これまでの差別の補完程度であると考える。そのような事情なので、女性差別がなくなるまで一時的にクオータ制を導入しても逆差別にはならないだろう。

<日本で女性リーダーが少ない原因>
*1-1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20140714&ng=DGKDZO74180030S4A710C1EL1P00 (日経新聞 2014.7.14) あなたの叱り方、大丈夫?男性は相手見下す態度禁物 女性は感情抑え具体策示そう
 仕事では上司に叱られたり、部下や後輩を叱ったりする場面がつきもの。どちらの立場でも心に負担を感じやすい。ただ、男性と女性で叱り方やその受け止め方には違いがあるとか。違いを知って、後の関係に響かない叱り方を考えよう。東京都内のパン店店長のA子さん(40)は部下らを叱ることが苦手。叱った後に関係がぎくしゃくするのがいやだからだ。感じているのは自分と男性の違い。「男性は女性に比べ、ためらうことなく叱っている。私はなぜできないのか」。医師で作家の米山公啓さんは、男女の特性の違いによると説明する。「男性は勝つことや白黒つけることに快感を覚えがち。叱ることもそのひとつ。一方、女性は迷っていることの答えをはっきりさせたがらない傾向がある」。叱る行為は他人の失敗に「こうすべきだった」と答えを示すこと。そのため難しさを感じる女性がいる、というわけだ。では、苦手な人はどうすればいいか。男性を叱る場合は、相手が納得できる答えを用意するのがポイント。叱る前にじっくり失敗の原因を見極め、防ぐ方法を具体的に伝えることが必要だ。逆に、女性を叱る場合はいきなり答えを示すのは避けた方がよさそう。「女性が求めるのは答えより共感。『こうしろ』ではなく『大変だね』と言う。一緒に悩んであげることが大切」と米山さんは助言する。女性は叱る際に注意したい傾向もある。言葉がきつくなる人が目立つのだ。(以下略)

*1-2:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11231422.html
(朝日新聞 2014年7月9日) 女性のリーダー、なぜ少ない
 STAP報道を見て、名古屋大学大学院生命理学専攻の佐々木成江准教授は「ようやく女性研究者の活躍が目に見える形で出た」と喜んだ。同じ専攻に4人の女性研究者がいる。報道後、地元テレビから「理系女子(リケジョ)の活躍を取材したい」と依頼された。森郁恵教授は即座に応じた。「女性研究者で脳研究拠点を作る計画があり、リケジョブームを利用しようという気持ちがあった」と正直に打ち明ける。取材を受けた森さんと佐々木さんはカメラの前で「画期的な成果」と褒めちぎった。論文不正が明らかになると、2人は「科学者として反省しています」。このせいばかりでなく、番組はいささか後味の悪いものになった。子育てと両立する大変さがことさら強調されていたからだ。10歳の娘がいる佐々木さんは「こうやって、女性が社会進出できない理由が子育て問題に落とし込まれる。(組織の意思決定をする)幹部に女性が少ないことが根本問題なのに、そこに目が向かない」と嘆く。森さんは番組で「結婚も出産もせずにきた」ことがクローズアップされた。1998年に名大助教授になり、2004年に教授に昇格した。「紅一点」状態が変わったのは07年。女性を増やすという国の方針もあり、名大が「女性に限る」公募を始めてからだ。体内時計研究で朝日賞を受けた近藤孝男・名大特任教授は「通常の公募の時は低かった応募女性の研究レベルが、女性限定にしたらガンと上がった」。なぜだろう。公募に応じ、11年に36歳で教授になった上川内あづささんは「『女性のみ』という条件は、応募する気持ちを後押ししてくれた。その条件があることで、自分を候補として認識したと思う。それがなければ、公募情報を見過ごしていたかもしれない」という。これまでの男性中心の採用状況から「応募しても無駄」と、挑戦する前にあきらめてしまう女性が少なくないことをうかがわせるエピソードだ。日本の女性研究者比率は14%。米国の34・3%の半分にも満たない。准教授、教授となるにつれて女性比率は下がる。名大でも女性教授は47人、7・2%だ。92年に理系で初の東大教授となった黒田玲子東京理科大教授は、昔は露骨な差別があったと言う。「公募で東大助教授に選ばれた時は、女に男の学生を教えられるのかと言われた」。今はそんなことを誰も言わない。だが、女性リーダーは少ない。女性限定の公募が必要なのは、日本がまだ過渡期にあるからだ。
■ずさんな採用、「差別」と同根
 STAP細胞の研究不正を検証した、外部の有識者でつくる改革委員会(岸輝雄委員長)は、理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(CDB)の小保方晴子氏の採用を「信じ難い杜撰さ」と指摘した。過去の論文を精査しないなどさまざまな手続きを省略、人事委員会の面接だけで内定したからだ。改革委のメンバーの一人は「理研から見せてもらった書類を総合すると、間違いなく普通ではない人事のやり方がなされたと言える」。人事の焦点が、STAP細胞という大発見の可能性にあったのはもちろんだ。しかし採用に加え、その後の論文のチェックの甘さなどには、彼女の年齢や容姿が影響した、と複数の委員は見る。「50~60代の男性研究者は(若い女性に)免疫がない。若さやかわいさが大きな要因になっていた」。ある委員は語った。CDBには高橋政代氏ら女性の研究室主宰者(PI)が6人いる。32人中19%を占めるが、採用担当の人事委員会の委員7人は全員男性だ。2012年のPI公募で、47人の応募者からの採用は女性2人、男性3人。採用審査には通常賛否両論が出るが、小保方氏の場合は全員が賛成した。採用側に女性がいたら? ある委員は「女性、たとえば高橋(政代)さんらがいたら(採用段階で問題点を)見抜けたかもしれない」という。当の高橋氏は「かわいい小保方さんじゃなかったら、ずいぶん経過は変わっていただろう」と4日の記者会見で語った。改革委の岸委員長は、調査を通じ「男性が女性をフェアに扱っていないと感じた」という。自分自身の研究生活でも、女性の同僚はほとんどいなかった。今回の改革委には2人の女性がいたが、「2人は、審査なしで採用するのは女性を侮辱していると、男性たちに怒っていた」と話す。女性の登用を増やす措置は必要だが、ずさんな審査での特別扱いは別だ。「隠れた意識」はここでは、特別扱いに形を変えた。差別と同根と言えるかもしれない。委員の市川家國信州大学特任教授はこう言った。「振り返ってみれば、女性を対等に扱わない日本の文化が、一連の経過のすべてに表れたようにも見える」
■人物像の報道、どこまで必要
 今年5月。予備校講師の林修氏がキャスターの番組に、朝日新聞のデスクが出演した。林氏はSTAP騒動の報道について「すごいニュースだが、かっぽう着などは不必要な報道だったのでは?」と質問した。報道を振り返る。STAP細胞発見を知らせる1月30日の新聞では、全国紙すべてが理研が公開した研究室での、小保方氏のかっぽう着姿の写真を載せた。科学というとっつきにくい分野に読者に関心をもってもらうため、人物に焦点をあてるのは工夫の一つだ。翌日からはテレビ、週刊誌をはじめ、STAP細胞そのものより、小保方氏自身や人物に焦点を当てた記事や番組も増えていく。捏造疑惑が持ち上がり、小保方氏が開いた4月9日の記者会見を報じた記事で、新聞各紙は写真を大きく扱った。9日の夕刊最終版は各紙すべてが1面に潤んだ目でマイクを持つ小保方氏のアップ写真を掲載。多くのテレビ局が小保方氏の会見を生中継した。朝日も地方に配達する10日付の朝刊の締め切りの早い版(東京本社発行)では、社会面トップ記事に彼女のさまざまな表情を追った4枚の写真を据えた。しかし、社会部の女性記者(31)は「これって男目線じゃないですか」と再考を求めた。様々な世代の男性からも異議が上がった。一方で、2時間半の会見では、最大の当事者である彼女がどのような表情をするのかも注目された。それを伝えるのは新聞の役割で、止めるのは変な抑制という議論もあった。結局、東京本社では小保方氏の姿を遠景で撮った写真1枚に差し替えた。
■「活躍する女性」への思い込み
 武田徹・恵泉女学園大教授(メディア論)の話
 先端科学は報道で伝えるのが難しい。図解しても直感的にわかりにくい。科学者の人となりを紹介して興味を持ってもらうやり方はある。iPS細胞を開発した山中伸弥・京都大学教授の時も、「マラソンが趣味」との報道があった。だから、当初、小保方氏の人物報道に重点が置かれたことは仕方がない面もある。しかし、小保方氏の写真が大きく何枚も報じられ続けたのは異例だった。それは「若い女性」が科学技術の世界にいて、ああいう成果を出すことを意外に感じる、そういう文化に私たちが生きているからだ。それは根拠のない思い込みだ。戦後の日本では、男性社会で頭角を現す女性は男っぽく、プライベートを犠牲にしているとのイメージが作られてきた。メディアもいわば共犯関係。相当気をつけないとその文化に乗っかって報道してしまう。
◆2月2日の朝日新聞3面(東京本社版)「キスでお目覚め『お姫様細胞』」。STAP細胞の作り方を説明した小保方氏自身の言葉に着目したものです。紙面内容を決めるデスク会に出ていた私は、若くてかわいい女性だからこその取り上げ方のように感じました。が、口にしませんでした。私の所属は政治部、男性中心の職場です。東京本社も、デスク会に出席する女性は1割未満。言っても無駄と最初からあきらめていたからです。心にずっとそれがひっかかっていました。今回、「隠れた意識」をテーマにしました。社内にもいろいろな意見があります。この問題はそう単純ではありません。だからこそ取り上げることにしました。これから年間を通じて、女性男性を通じたさまざまな視点から、社会を切り取っていきます。
◆この企画への感想、ご意見をjosei@asahi.comまでメールでお寄せ下さい。

<女性の管理職登用目標>
*2-1:http://www.nikkei.com/paper/article/?ng=DGKDZO73503900Y4A620C1M10900  (日経新聞 2014.6.29) 「Wの未来 世界が競う」 女性の力、成長の礎、日本と世界各国をデータで比較 リーダーを任せよう
 まだ眠っている女性の力を引き出し、経済成長につなげようと、世界の先進各国がしのぎを削っている。そこには出生率の低迷という共通の課題も横たわる。だが、女性の活躍ぶりやそれを支える環境で、日本はどこを取っても世界に大きく後れをとっている。女性が力を発揮できているか――。就業者に占める女性の割合を見ると、ほかの多くの先進国よりも低いが大きく水をあけられているというほどではない。ただ非正規雇用率が高く、管理職で見ると、ほかの国が30%前後から40%強なのに対し、日本は韓国とともに10%ほどだ。さらに取締役での割合を見ると、ノルウェーが40%以上、ほかも10%前後が多いが、日本はわずか1.4%。韓国と並んで極端に低い。「女性の活躍促進」を成長戦略の中核に据える安倍政権は「2020年までに指導的地位(管理職)の女性比率を30%以上にする」目標を掲げるが、多くの国はすでにその先を進んでいる。取締役についても、昨年安倍首相は経済団体に「上場企業に1人は女性役員を」と要請したが、これが達成されたとしても1割にも満たず、各国がクオータ制(割当制)で3~4割を義務付けるのとは大きな差がある。

*2-2:http://qbiz.jp/article/41909/1/
(西日本新聞 2014年7月15日) 女性管理職登用を1300社に要請 経団連、計画策定47社公表
 経団連は14日、女性の役員や管理職への登用に関する自主行動計画を47社が公表し、うち約6割に当たる27社が具体的な数値目標を設けたと発表した。安倍政権は女性の活躍を新しい成長戦略の柱の一つと位置付けており、榊原定征会長は会員企業約1300社全てに行動計画の策定を要請し、12月に公開する。政府は成長戦略で、国や地方自治体、企業に対し、女性幹部登用の目標や行動計画の策定を義務付ける新法案を国会に提出する方針を示している。政府は「2020年に指導的地位に占める女性の割合30%を達成する」と成長戦略に明記。ただ経団連の「女性の活躍推進委員会」の前田新造共同委員長(資生堂相談役)は「企業や業種によって男女の採用人数などが異なり一律の対応は難しい」と説明した。数値目標を公表した27社も、それぞれ経営戦略に基づき独自に設定している。経団連によると、27社のうち20年までに女性管理職3割以上の達成を明確に掲げたのは、資生堂、セブン&アイ・ホールディングス、損保ジャパンの3社だった。トヨタ自動車は現在101人いる女性管理職を20年に3倍、30年に5倍とする。日立製作所は20年度までに女性管理職を2・5倍の千人に増やすとし、全日本空輸は「女性役員2人以上」という数値目標を掲げた。
◆女性登用、活用の取り組みは多様
 男性が育児に携わる場合の支援強化を示すなど、経団連の加盟企業の女性の登用、活用に向けた取り組みはさまざまだ。ただ、現在は体力のある大企業が中心で、今後どれだけ広がるかが注目される。住友化学は2020年までに女性管理職の割合を、課長相当以上の役職では少なくとも現在の3・7%から10%以上に、係長相当は11・6%から15%以上に高める目標を掲げた。実現のために在宅勤務制度の導入や男性の育児参加を促す方針だ。日本生命保険も、女性管理職を18年4月に520人とする目標を定めた。14年4月と比べて約2割増やす計画だ。女性が活躍できる風土づくりの一環として男性の育児休業取得にも力を入れ、13年度には対象者全員が取得したという。日本生命は「しっかり継続していく」(広報)としている。トヨタ自動車は数値目標に加え、理系を目指す女子学生の支援のために奨学金支給や女性エンジニアの出前授業を行う「リケジョ基金・財団」の設立を検討。日本郵船は女性が海外勤務先でも仕事と育児を両立できるよう、今年5月にシンガポールで保育園の優先入園枠を確保した。

*2-3:http://digital.asahi.com/articles/ASG7G52LRG7GULFA018.html?ref=nmail
(朝日新聞 2014年7月15日) 女性登用27社が数値目標 経団連調査、役員企業の6割
 日本企業で女性の役員や管理職は増えるのか。経団連が14日に役員企業47社の女性登用計画をまとめたところ、約6割の27社が「女性管理職を2020年に3倍に」(トヨタ自動車)などの数値目標を掲げた。ただ、女性の登用を増やすには、男性も含めた働き方や意識を変えなければならない。目標の達成に向けた企業の本気度が問われる。経団連は今回、会長や副会長などを出している47社の計画や目標をまとめた。15日には会員企業約1300社に対し、これらを参考にして計画をつくるよう呼びかけ、年内にとりまとめて公表する。ただ、数値目標を入れるかどうかは各企業の判断にまかせる。女性管理職の割合は欧米諸国で軒並み3割を超えているのに対し、日本では約1割にとどまる。経団連がようやく取り組みを強めるのは、女性の登用が遅れているのに加え、安倍政権が成長戦略で「指導的地位に占める女性の割合を30%に引き上げる」という目標をたてたのを意識した側面が強い。数値目標を掲げた27社では、資生堂、セブン&アイ・ホールディングス、損保ジャパンの3社が女性管理職の割合を30%以上にする目標を掲げた。これら27社ではそのために男性管理職の意識改革や、育児休職からの早期復職の支援などを進めるという。数値目標をつくっていない企業も「長時間残業体質からの脱却」「女性版経営スクールなどの研修を進める」などに取り組む計画をたてている。経団連で「女性の活躍推進委員会」共同委員長をつとめる前田新造・資生堂相談役は14日に記者会見し、「企業がグローバル競争を勝ち抜くための重要な経営戦略の一つとして主体的に推進すべきだ」と話した。ただ、計画だけでは十分ではなく、これを実行できるかが課題だ。男性を含めて育児と両立できるように働き方を変えたり、女性管理職が増えることへの社内の反発と向き合ったりしなければならない。政権は国家公務員の採用も3割を女性にする方針をたてている。一方、女性の国会議員や地方議員の割合を増やすための議論は進んでおらず、今後は政治分野での女性登用も問われる。

*3:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11243209.html
(朝日新聞 2014年7月15日) 長時間労働、見直し必須 女性登用、経済界が本腰
 女性の活躍を促す取り組みに、経済界が本腰を入れ始めた。人口減少で働き手が少なくなり、女性の登用は企業にとって戦略上欠かせないからだ。だが、女性が働きやすい職場をつくるためには、日本の長時間労働を改める必要がある。男性中心の企業社会で、摩擦を乗り越える覚悟も問われている。「女性の活躍推進は女性のためではない。人口減少社会を前に、あらゆる人の能力を生かすことが、企業の競争力を左右する」。経団連の女性の活躍推進委員長の前田新造・資生堂相談役は14日の会見で語った。経団連が女性幹部登用の旗を振る背景には、日本の女性管理職の比率が国際的に低いことがある。欧米諸国が軒並み3割を超えるのに対し、日本は1割だ。女性管理職が少ない理由について、厚生労働省所管の研究機関が従業員300人以上の企業に尋ねたところ1036社から回答があり、「採用の時点で女性が少ない」「経験や判断力をもつ女性がいない」などが多かった。一方、管理職への昇進を希望するかを社員にも聞いたところ、希望すると答えたのは男性が6割なのに対し、女性は1割にとどまった。昇進を望まない理由について、女性は「仕事と家庭の両立が困難になる」(40%)が最も多かった。背景には、日本の長時間労働がある。週50時間以上働く人の割合は日本は約3割。英国や米国、フランスなどは1割前後で、3倍にのぼる。女性が昇進への意欲を持ちにくいのは、男性が長時間働き、家事や育児の負担が女性に偏っている現状があるためだ。総務省の11年の調べでは、就学前の子どものいる共働き夫婦(パートなども含む)で、1日の家事や育児などにかける時間の平均は妻約6時間に対し、夫は約1時間。女性管理職を増やすには男女ともに育児や家事を分担しながら、働き方を効率的にするなどして、労働時間を短縮することが欠かせない。
■強制力なし、定着見通せず
 女性登用は世界的な流れだが、定着までには一筋縄ではいきそうもない。女性管理職を増やす過程では、昇進の機会を逃す男性から反発が出たり、「登用された女性の能力が適正に評価されない」という不満が出たりする可能性がある。「逆差別にならないか」(鉄鋼大手のJFEホールディングス)として数値目標をあえてつくっていない企業もある。また、数値目標は強制力がなく、実際に登用が進むかは見通せない。世界には、管理職の女性の割合をあらかじめ決めて強制力をもたせるクオータ(割り当て)制を導入する国もある。ノルウェーは企業に役員の4割を女性にすることを義務づける。東レ経営研究所の塚越学シニアコンサルタントによると、ある大手電機メーカーでは、男ばかりの役員会に女性が入り、議論が一気に活性化した。「女性管理職を増やすことは、会社にとってメリットになる」と塚越氏は指摘する。
■主な企業の女性管理職を増やす目標
 <アサヒグループHD> 21年までに比率を20%に(現在14.8%)
 <コマツ> 16年4月までに5%超に(14年4月は3.6%)
 <商船三井> 20年に8%に(14年7月で5%)
 <住友化学> 20年までに課長相当以上を3.7%から10%以上に
 <積水ハウス> 20年までに200人(5%)に
 <全日本空輸(ANA)> 20年度までに15%に
 <第一生命保険> 16年4月までに20%以上に(14年4月で18.4%)
 <高島屋> 15年度に20%以上に
 <東芝> 15年度に5%以上に
 <東レ> 16年に5%に、20年に数を倍増
 <日産自動車> 17年に10%に
 <日本生命保険> 18年度に520人(14年比20%増)に
 <NTT> 12年度末の2.9%から20年度に6%に
 <ボッシュ> 日本で20年までに10%に
 <三井住友銀行> 20年度末までに20%に(13年度末で10.5%)
 <三菱商事> 20年度までに10%超に
 <三菱東京UFJ銀行> 15年3月末までに役付き者を15%に
  (経団連の資料から。HDはホールディングス。1面で紹介した企業以外の17社)

| 男女平等::2014.7~2015.5 | 01:18 PM | comments (x) | trackback (x) |
2014.7.13 社会保障積立金の運用利回り低迷と日本企業の利益率・配当率低迷の理由など (2014.7.14、16に追加あり)
    
2014.4.2佐賀新聞  2014.6.3佐賀新聞         *6より 

(1)給付削減しか思いつかない政府の“改革”方針はおかしい
 *1-1に書かれているように、厚労省は年金給付水準を物価に関わらず毎年抑制する方針で、その理由は少子高齢化だそうだ。しかし、年金資金が不足した理由は①保険料の集金が杜撰だった ②運用や管理が杜撰だった ③サラリーマンの専業主婦のみ優遇するなど仕組みも悪かった など、厚労省の責任であることは、誰もが覚えている。また、少子化も、働く女性のインフラとなる保育所や学童保育を整備せず、未だに待ち行列が存在する貧弱な状況であり、これもまさに厚労省の責任なのである。

 この厚労省の体質は、社会保険庁が看板を掛け替えて日本年金機構になったからといって変わったわけではなく、誰も責任を取らずに(膨大な年金資産喪失の責任などとれるわけがない)、保険料を支払ってきた年金受給者に責任を押し付けているものであり、このような変更を“改革”とは呼ばない。それにもかかわらず、*1-2のように、「改革先送りこそリスク」として、非科学的な人口推計に基づき、退職給付会計も導入せずに、厚労省に協調する意見を開陳する人が多いのが、我が国の現状なのである。なお、「年金は現役所得の50%を確保すればよい」というのが定説になっているが、ここで想定している現役所得の金額と現役所得の50%でよいという合理的根拠も、私は見たことがない。

 しかし、*1-3のように、高齢者に入る年齢を70歳(もしくは75歳)と変更し、雇用と年金の両方を同時に変えるのなら、平均寿命が伸び、体力ある高齢者も多いので、筋が通る。消費者に高齢者が増えれば、車や家電の設計・説明書の記載にも高齢者の視点が必要なので、単なる労働力不足の緩和を超えた効果があると私は思う。また、働いている方が体力が衰えないため、医療・介護制度にもプラスだ。

(2)政府の医療・介護保険制度“改革”もおかしい
 *2-1では、保険料収入が伸び悩んでいるとして、財源確保の必要性が述べられている。しかし、保険料率引き上げ以前に、①集金もれの回収 ②元手を失わない運用・管理 ③不公正な給付制度の改正 などの改革を行うべきだ。そういう見直しもなく安定財源を確保しても、規模を大きくした無駄遣いが増えるだけである。

 *2-2には、負担増・給付減という介護保険利用者に厳しい医療・介護改革法が成立したと書かれており、患者や要介護者の急増で制度がもたなくなる恐れがあるためだそうだ。しかし、介護保険制度は、1995年頃の私の提案で始まり、1997年に介護保険法が成立して、2000年から施行されたため、まだサービスを充実させるべき時期であり、サービス減や保険料支払者の負担増を議論するような時期ではない。そして、その財源は、現在の「40歳以上の医療保険制度に加入している人」を「医療保険制度に加入している人全員」に広げるべきなのである。

 また、「少子高齢化で需要が減る」という論調もよく見かけるが、人口構成が変われば必要なものが変わるのであり、需要が減るわけではない。そのうちの介護サービスは増える需要であるため、これに対応すべきで、それは今後、世界で増える需要なのだ。にもかかわらず、削減ばかりの政策になるのは、政策を作っている人が介護制度の必要性を感じない人だからだろう。

(3)政府による株価操作
 *3-1のように、約130兆円の国民の年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人が“改革”して、日本株への運用比率を引き上げるそうだ。年金の運用は元手の喪失をなくすため、90%以上は国債などの安全資産で行うのが世界の常識であるにもかかわらず、*3-2のような官製相場のにおいがする日本株への運用割合の増加を提示するのは呆れるほかない。日本の病根はここまで進んでいるわけだ。

 ただ、JRやゆうちょ銀行など、これまでの国有企業が上場するにあたり、年金基金が市場価格で株式を購入するのは、それほどリスクが高くはないかもしれない。

(4)日本企業の実質利益率や株式配当率が低い理由
 *4-1に書かれているとおり、STAP細胞を発見した小保方氏の論文へは、いちゃもんが多く、ついに理研のiPS細胞研究者が、「小保方氏が検証実験に参加するなら、まだ始まっていない患者さんの治療の中止も含めて検討する」とツイッターに投稿し、(長くは書かないが)やはりiPS細胞を伸ばすためのSTAP細胞の否定だということがわかった。何故なら、STAP細胞で再生医療ができるようになれば、こちらの方が副作用がなく優れているため選択され、iPS細胞の研究は不要になるからである。しかし、iPS細胞研究グループの都合でSTAP細胞の発見や開発を妨害する行為は、結局は日本企業の競争力を奪うものであり、このようなことがあってはならない。

 また、*4-2のユーグレナは、家畜や養殖魚の餌として画期的なコスト低減をもたらすと思うが、「次世代航空機燃料」は空に公害をまき散らさない水素にすべきであり、石油類似の液体燃料に固執すべきではない。しかし、燃料は石油に近い液体でなければならないと考える人も多く、これが技術革新をやりにくくしている。

 さらに、事故時に大きな公害をもたらす原発に代替する発電方法は、このブログで何度も提示したが、それにはいちゃもんをつけ、*4-3のように、原発再稼働に固執する論調も多い。このように、過去の固定観念で古い技術にしがみつき、新しい技術の導入を阻むのも、結局は、日本や日本企業の競争力を奪っているのである。

 以上は、本来、技術革新やイノベーションは積極的に行わなければならないのに、それを阻んだり邪魔したりして大切にしない体質が、日本企業の本当の利益率や株価を低迷させている原因であることを示したものである。

<政府の改革方針>
*1-1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20140617&ng=DGKDASFS13054_W4A610C1MM8000 (日経新聞 2014.6.17) 年金、来年度から給付抑制、厚労省、物価下落でも減額 制度持続へ法改正検討
 厚生労働省は公的年金の給付水準を物価動向にかかわらず毎年度抑制する仕組みを2015年度に導入する方針だ。いまの制度では物価の上昇率が低い場合は給付を十分抑制できないが、少子高齢化の進展に合わせて必ず給付を抑える。すでに年金を受給している高齢者にも負担を分かち合ってもらい、年金制度の持続性を高める。少子高齢化にあわせて毎年の年金給付額を抑えるマクロ経済スライド(総合2面きょうのことば)と呼ぶ制度を見直す。15年の通常国会への関連法案提出を目指す。現在のルールではデフレ下では年金を削減できず、物価の伸びが低い場合も、前年度の支給水準を割り込む水準まで減らすことはできない。年金は物価水準に連動して毎年度の給付水準が調整されるが、物価下落以外の理由で名目ベースの年金額が前年度より目減りすることを避けているためだ。今後は物価や賃金の動向に関係なく、名目で減額になる場合でも毎年度0.9%分を削減する方針だ。この削減率は平均余命の伸びや現役世代の加入者の減少率からはじくので、将来さらに拡大する可能性もある。改革後は、例えば物価の伸びが0.5%にとどまった場合、翌年度の年金は物価上昇率から削減率0.9%を差し引き、前年度より0.4%少ない額を支給する。物価がマイナス0.2%のデフレ状況なら、翌年度の年金は1.1%減る。マクロ経済スライドは04年の年金制度改革で導入した。15年度は消費増税の影響で物価が大幅に上昇しているので、現行制度のままでも年金は抑制される。ただ、将来デフレや物価上昇率が低くなった局面では給付を抑えられないので、今のうちに改革を急ぐ方針だ。厚労省が3日に公表した公的年金の財政検証では、年金制度の危うい現状が明らかになった。女性の就労が進まないケースでは、約30年後の会社員世帯の年金水準は現役世代の手取り収入の50%を割り込み、現行制度が「100年安心」としていた前提が崩れる。これから年金を毎年度削減するようになれば、現役世代が老後にもらう年金の水準は改革をしない場合よりは改善される。厚労省の試算では経済が低迷した場合でも、現役収入と比べた給付水準を最大5ポイント引き上げる効果があるという。現役世代は04年の改革に沿って保険料率を毎年着実に引き上げられている。会社員が加入する厚生年金は17年に保険料率が18.3%(これを労使折半で負担)になるまで0.354%ずつ引き上げが続く。改革は現役世代だけでなく、年金の受給者にも着実に負担を求めるのが狙いだが、高齢者の反発で法改正に向けた調整は難航する可能性もある。

*1-2:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20140617&ng=DGKDZO72807670W4A610C1KE8000 (日経新聞 2014.6.17)
改革先送りこそリスク  駒村康平 慶応義塾大学教授
 今月3日、社会保障審議会年金部会から公的年金の財政検証が公表された。5年に1度の財政検証では100年後の経済や人口に一定の想定を置きながら、保険料を2017年度に固定しつつ年金財政の将来見通しを示す。年金財政の持続可能性の要件を満たさない場合、年金制度改革を実行することになっている。その要件とは、モデル世帯の厚生年金(基礎と報酬比例の合計)の所得代替率(現役世代の平均的な手取り額に対する年金の割合)が65歳の受給開始時点で50%を確保できること、おおよそ100年後に1年分の給付に相当する積立金を保持すること、という2点である。
 14年は共済年金と厚生年金の被用者年金一元化のもとでの最初の検証であるほか、13年8月の社会保障制度改革国民会議の報告による指摘に応えるという特徴がある。国民会議は所得に応じた保険料負担が望ましいことや、少子化と長寿化に連動して年金給付水準を引き下げるマクロ経済スライドがもたらす基礎年金の過度の給付水準の低下という課題を挙げた。
 今回の財政検証では、足元の経済成長、将来の経済成長、特に全要素生産性(TFP)の伸びや既婚女性や高齢者の労働力率の上昇などの仮定を組み合わせて8通りの見通しが示された。TFPの伸び率が1983~93年の状態まで経済が回復し、同時に高い労働力率を確保できると想定した5つのケースは50%の代替率を確保したが、そうした想定をしない3つのケースは50%を下回り、改革の必要があるという結果になった。全8ケースの単純平均は47%となった。
 50%を確保したうち最低のケースEと50%を下回るなかでは最高のケースFを比較してみよう。Eでは報酬比例年金の低下幅は5%だが、基礎年金の水準は29%低下する。Fではそれぞれ11%の低下、39%の低下となる。基礎と報酬比例の合計で50%の代替率を維持できるA~Eでさえ、基礎年金の給付水準が30%程度低下する。09年推計と違って基本ケースがないなかで、8つのケースをどう評価するかは論者によって異なるだろう。経済さえ回復できれば年金制度の維持は可能であり、当面改革は必要ないという評価もある。しかし財政検証は、高いTFPの伸びや労働力率の見通しという楽観的な見通しで評価すべきではない。
 今回の検証は、年金制度は直ちに破綻するような状況ではないものの、安心して何もしなくてもよいような状態ではないことを示した。年金財政の安定には保険料の引き上げ、保険料納付期間の長期化、国庫負担の増加という収入面の強化と、マクロ経済スライドによる年金水準の引き下げ、満額年金に必要な納付期間の長期化、支給開始年齢の引き上げなどの支出抑制の対策がある。保険料や国庫負担の引き上げは難しく、事実上、支出抑制策に限られる。
 年金財政を安定させるオプション(選択肢)として厚生労働省は(1)デフレ期のマクロ経済スライド(2)非正規労働者などへの厚生年金の適用拡大(3)国民年金の45年加入制度(現行の20~59歳に加え、60~64歳も国民年金に加入する)の導入――の効果を推計し、いずれも財政安定効果があることが確認された。
 (1)のマクロ経済スライドは現在、インフレ期しか発動されず、デフレになると給付水準は相対的に高止まりし、その財政のツケは将来世代が担う。デフレ期にマクロ経済スライドが発動されると、たとえば1%のデフレ経済では、年金額は1%引き下げられ、さらにマクロ経済スライドによって追加で1%程度引き下げられることになる。厳しいが、世代間の公平性を改善するためには必要である。
 (2)は拡大規模が220万人と1200万人のケースがある。後者なら年金加入者に占める国民年金(1号)加入者の割合は23%から11%に低下する。1号の保険料は定額負担で逆進性の問題があり、未納率も高い。適用拡大は非正規労働者も所得に応じて保険料を支払うことになり、制度的に望ましく、国民会議の指摘に応えることにもなる。
 (3)の45年加入の評価は難しい点もある。現在、60~64歳の被用者の多くは厚生年金に加入しており、保険料負担の点であまり影響はない。表面的な変化は1号被保険者も60~64歳の間、加入するという点であるが、国民年金の任意加入制度の新設とみれば、それほどの効果はない。
 これが強制加入となり、基礎年金の計算対象期間になれば財政効果は複雑になる。基礎年金財政には国民年金と厚生年金から、基礎年金拠出金という、加入数に案分比例した財政負担が投入されている。60~64歳がその計算対象に加わることになる。
 ケースE(デフレ期のマクロスライドなし)を用いて現行制度での予測と比較すると、45年加入により、厚生年金の支出に占める基礎年金拠出金の割合は高まる。他方、厚生年金財政の収入は変化せず、報酬比例部分のマクロスライド期間が1年ほど長期化することになる。
 60~64歳の加入者の増加が見込まれる分だけ国民年金の財政は改善し、マクロスライドは短縮されて基礎年金の水準は回復する。他方、基礎年金の2分の1を賄う国庫負担額も、基礎年金期間が増えることで40年以降、13~15%ほど増えることになる。
 このように45年加入は国民会議が指摘したマクロスライドによる基礎年金の低下の防止策としては有効であるが、自営業者らの60~64歳の未納率が上昇するおそれがあるほか、追加的な国庫負担が必要になるという課題もある。
 基礎年金と報酬比例年金からなる現在の2階建て年金制度の原型は85年の改革で構築されたフレームである。マクロ経済スライドはその形を保ちながら財政規模や給付水準を小さくする効果をもたらした。しかし肝心な基礎年金の水準低下が大きすぎて年金としての機能を失いつつある。
 85年フレームを維持しながら、国民会議が指摘した「基礎年金の水準が低下し続ける」という懸念に応えるのならば、45年加入は有力な改革の選択肢になる。しかし、高所得の年金生活者に対する基礎年金国庫負担分の給付抑制など、ほかにも検討すべき選択肢はある。非正規労働者への適用拡大の徹底や、低所得の高齢者向けの年金生活者支援給付金も組み合わせたうえで年金制度を眺めると、85年フレームの形は次第に変化することになるであろう。
 このほかオプションとしては明示されていないが、基準になる支給開始年齢の引き上げも検討すべきであろう。Gのような厳しいケースでは65歳で代替率の50%割れが発生する。しかし、66歳まで支給開始年齢を引き上げれば、50%の確保は可能になる。開始年齢の引き上げは社会全体の支え手の増加を意味し、医療保険、介護保険の財政改善効果も期待できる。高齢者雇用の改革を伴うため、長い準備期間が必要であり、早めに議論を始めなければならない。
 年金制度は社会・経済の変化に応じて調整や手直しが必要になる生き物である。制度の連続性を維持しながら、他方で、社会経済の変化に対応した柔軟な制度見直しも必要である。国民の反発が厳しいからといって財政の健康診断を軽視し、改革を先送りすれば、改革の選択肢はどんどん減少する。必要な時に必要な改革を断行すべきである。政治の近視眼的行動こそが年金制度の最大のリスクである。
〈ポイント〉
○年金財政は直ちに破綻しないが安心できず
○慎重な想定に基づき支出抑制策の検討急げ
○国民年金の45年加入は将来の国庫負担増も
こまむら・こうへい 64年生まれ。慶大院博士課程単位取得退学。専門は社会保障

*1-3:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20140622&ng=DGKDASDF1600C_W4A610C1NN1000 (日経新聞 2014.6.22) 
「高齢者は70歳から」になれば… 年金・雇用改革を後押し
 いつから65歳以上を高齢者と定義するようになったのだろうか。国連経済社会理事会が1956年にまとめた報告書に由来するとされるが、世界保健機関(WHO)は「国連に標準的な数値基準があるわけではない」という。あれ?だったらいっそのこと「高齢者は70歳以上」という日本独自の基準をつくってしまってはどうか。政府の「選択する未来」委員会もいまの15~64歳という生産年齢人口の定義を「70歳まで」に変えるよう提言した。日本は世界最速で高齢化が進んでいる。注目したいのは、65歳時点の平均余命だ。男性の場合、2012年の18.9年から60年にかけて22.3年、女性は23.8年から27.7年まで延びる。国連の報告書とほぼ同じ時期の55年時点の男性の平均余命は約12年。平均して余命10年あまりを高齢者として迎える期間と考えると、平均余命の延伸にあわせて高齢者入りする年齢を引きあげるのは一理ある。高齢者の体力は向上している。意識も変わった。内閣府が団塊世代に「何歳から高齢者か」と尋ねたところ、「70歳以上の年齢」とこたえた人が約8割を占めたという。高齢者の定義を70歳以上に変えれば、生産年齢人口の厚みは増す。たとえば、生産年齢人口を15~69歳とした場合、40年時点で900万人近くも潜在的な働き手が増える。もちろん60代後半がもっと働いても総人口の減少は止まらないが、工夫しだいで企業にとっては人手不足を和らげる貴重な戦力となる。ポイントは70歳まで働き続けられる環境をいかにつくるかだ。身体機能の低下にあわせて短時間勤務がしやすい働き方や、年功的な賃金体系の見直しも必要だろう。社会保障にも好影響が見込める。高齢者の就業率の高い地域ほど医療費は小さく、元気に働く60代が増えれば医療費の伸びも抑えやすくなる。60代後半が年金をもらう側から保険料をおさめる側にまわれば、年金財政の悪化を緩和できる。年金生活に入る時期を遅らせると個人にも利点はある。みずほ総合研究所の堀江奈保子氏が標準世帯を想定して試算したところ、いまの年金制度の下でも年金の支給開始時期を70歳に繰り下げた場合、65歳を選んだ場合よりも82歳時点で年金受取総額が上回る。その差は90歳まで生きると600万円超になる。「70歳まで現役」という目標を社会で共有できれば、年金や医療、雇用の抜本改革への突破口になる。岩田克彦・国立教育政策研究所フェローは「68歳から70歳程度までの年金支給開始年齢引き上げは不可避」と語る。「75歳まで働いて」とスウェーデンのラインフェルト首相が唱えたのが3年以上前。オーストラリアは最近、70歳まで年金支給開始年齢を引き上げる改革を打ち出すなど、海外の動きは急だ。「70歳まで働ける企業の実現」は、06年当時の小泉純一郎政権で官房長官だった安倍晋三首相が主導した再チャレンジ推進会議が提言した。首相がこの課題に再チャレンジする価値はある。

<政府の医療・介護保険改革>
*2-1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20140617&ng=DGKDZO72807950W4A610C1KE8000 (日経新聞 2014.6.17) 点検・社会保障(3) 高まる公的負担の役割
 社会保障には、年金や医療、介護のように被保険者が納める保険料を財源として給付が行われる社会保険の性格をもつものがある。他方、生活保護のように、公的負担(国及び地方公共団体)により給付されるものもある。前者については、保険料収入だけでなく、公的負担にも依存しているが、給付の増加に対応する形で、保険料率の引き上げが行われている。もっとも、保険料のベースとなる給与の低迷などを背景に保険料収入は伸び悩んでいる。こうしたなか、年金や医療、介護の財源として、公的負担が果たす役割は大きくなっている。2011年度の社会保障給付費全体でみると、公的負担は43.5兆円に達しており、財源の4割近くを占めている。09年度には、長期的な給付と負担の均衡を図り、年金制度を持続可能なものとすることを目的に、基礎年金部分の国庫負担割合は2分の1に引き上げられた。しかし、その安定的な財源を確保することができなかったことから、12年度と13年度には年金特例国債(各2.6兆円)を発行することとなった。このように公的負担の増加は政府支出の増加を通じて、財政赤字を拡大させる一因となっている。社会保障給付の財源を確保するために、今後も保険料率を引き上げ続けることも考えられる。しかし、今後、減少すると見込まれる現役世代に負担の多くを依存する形で制度を維持することには限界があろう。増加が続く社会保障給付の安定財源をいかにして確保するかが課題となっている。

*2-2:http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140618-00000054-asahi-pol
(朝日新聞 2014年6月18日) 介護保険利用者に厳しい大改正 医療・介護改革法成立
 高齢化がピークを迎える「2025年問題」を見据え、医療・介護制度を一体で改革する「地域医療・介護推進法」が18日、成立した。患者や要介護者の急増で制度がもたなくなる恐れがあり、サービスや負担を大きく見直す。とりわけ介護保険は、高齢者の自己負担引き上げなど制度ができて以来の大改正で、「負担増・給付縮小」の厳しい中身が並ぶ。人口減と高齢化が同時に進む日本。医療・介護制度は、高齢者の急増、支え手世代の減少、財政難の「三重苦」に直面する。厚生労働省によると、25年には医療給付費がいまの37兆円から54兆円に、介護給付費は10兆円から21兆円に膨らむ。病院にかかれない高齢患者があふれ、介護保険料は負担の限界を超えて高騰。そんな近未来の予測が現実味を帯びている。サービスを提供する人手の不足も深刻だ。こうしたなかで保険財政立て直しを目指す介護保険分野は、利用者の痛みにつながるメニューが目立つ。負担面では、一定の所得(年金収入なら年280万円以上)がある人の自己負担割合を1割から2割に上げる。低所得者の保険料を軽減する一方、高所得者は上乗せする。高齢者にも支払い能力に応じて負担を求める方向が鮮明だ。

<政府の株価操作>
*3-1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20140616&ng=DGKDASGD1204T_S4A610C1PE8000 (日経新聞 2014.6.16) 動く巨象GPIF(1)株価こそ政権の命綱
 「成長のエンジンとするための具体策を打ち出していく」。5日、ベルギーのブリュッセルで開かれた主要7カ国首脳会議(G7サミット)。首相の安倍晋三(59)は議長役の英首相のキャメロン(47)から経済問題の最初の発言者に指名され、成長戦略を説明した。安倍が具体策の柱としてあげたのは、自身が旗を振る法人実効税率の引き下げと、約130兆円の国民の年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の改革だ。6月中にまとめる新しい成長戦略への自信をアピールした。
  □   □
 サミットへの出発を控えた3日、安倍は首相官邸で厚生労働相の田村憲久(49)に年内を予定していたGPIFの基本構成の見直しを9~10月に前倒しするよう指示した。同日、GPIF運用委員長に就任して以来、市場の注目を集めていた早大教授の米沢康博(63)がインタビューで、日本株の比率を引き上げる意向を示したと伝えられ、日経平均株価は1万5000円台を回復した。「GPIFの話ってこんなに関心があるんだね」。安倍は周囲にこう漏らしている。世界最大級の機関投資家であるGPIF。巨象が少し動いただけでも、周囲は大きく揺れ動く。4月、資産運用業界に衝撃が走った。GPIFが日本株の運用委託を見直し、大半の国内運用会社との契約を解除。日本株運用にもかかわらず、外資系運用会社が10社と委託先の7割を占めることが決まったためだ。「公的年金がこれほど思い切った選抜に踏み切るとは」。米ディメンショナル・ファンド・アドバイザーズの日本代表、ジョン・アルカイヤ(58)は採用されたことを喜びつつ、カタカナの社名が並ぶ委託先リストを見て目を丸くした。公的年金の運用改革は実は2度目だ。最初は1995年。当時は年金福祉事業団だったGPIFが、信託銀行と生命保険会社に「お任せ」の運用を見直し、日本株や海外株に特化した投資顧問会社を初めて採用した。当時を知るアルカイヤは、GPIFの「名付け親」でもある。2001年、米モルガン・スタンレー資産運用子会社の日本法人社長だったアルカイヤに政府関係者が英語名を相談。「分かりやすい名称がいい。ガバメント・ペンション・インベストメント・ファンドでどうか」と即答した。「(国内勢中心の)ホームカントリーバイアスを断ち切り、世界で最も強い会社を選ぶようになった」。アルカイヤの目には今回の改革は真剣だと映る。GPIFは初めから外資系優位を想定していたわけではない。13年4月に運用委託を公募すると、国内外の約60社が名乗りをあげ、約1年にわたる選考過程が始まった。運用部長の陣場隆(54)は当初「日本株運用だから国内勢が多くなる」と予想していた。GPIFには譲れない一線がある。「唯一の使命は運用で国民の年金を増やすこと」。選考が進むにつれて、運用成績がぱっとしない国内勢は姿を消す。海外勢は「独自の運用スタイルを守り、日本株投資で優秀な成績をあげている」。シカゴ、テキサス、シンガポール……。世界の運用会社を訪問し、面談を繰り返した陣場は痛感した。
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 「有識者会議で改善を求められている状況ではあるが、我々がさぼってきたわけではないことを理解いただきたい」。GPIFの運用戦略を練る調査室長の清水時彦(51)は14年4月、金融関連のセミナーで聴衆にこう訴えた。政策研究大学院大教授の伊藤隆敏(63)が座長を務める公的年金改革の有識者会議は13年11月に報告書を公表。国債中心の運用の見直しを筆頭に改革案を提示した。株式運用では東証株価指数(TOPIX)のみだった運用指標(ベンチマーク)を多様化し、新しい指数の採用を求めた。「運用効率を上げるにはTOPIX偏重を脱するしかない」。有識者会議の提言を待つまでもなく、GPIF内部では清水を中心に議論を重ねていた。13年7月に外部に調査を依頼。14年4月、資本効率に着目した「JPX日経インデックス400」を含む新指数に沿った運用を開始した。内なる改革を上回る規模とスピードで、政治からの圧力が押し寄せる。株価を命綱とする安倍政権にとって、株式比率の引き上げを柱とするGPIF改革は成長戦略の目玉だ。しかし年金運用という本来の目的を外れ、目先の株価対策に使われるなら、将来に禍根を残すことになりかねない。
    ◇
 運用改革が大詰めを迎えたGPIF。市場がその一挙手一投足を固唾をのんで見守る世界最大の公的年金の動きを追う。(敬称略)

*3-2:http://www.nikkei.com/money/column/teiryu.aspx?g=DGXNMSFK1303W_13062014000000 (日経新聞 2014.6.16) 
マネー底流潮流フォローする 「官製相場」のにおい、気迷う株式市場
 前週末の日経平均株価は1万5000円台でほぼ高値引け。米国株は週半ばから軟調、円相場も底堅く、外部環境が良好とはいえない中での堅調ぶりだった。成長戦略の発表を前に、市場では「株内閣」と呼ばれる安倍政権がどんな株高カードを切ってくるのか、それとも空砲で終わるのか、見極めるまでは売れないというムードが広がっていた。一方、日経平均を1万4000円から1万5000円に押し上げたのは公的マネーとの見方が強く、足元の堅調さを素直に評価していいものか、疑心暗鬼の市場参加者もいる。政府の成長戦略やイラク情勢・原油価格の動向をにらみながら、今は静かな海外勢が次にどんな動きを見せるかが、今後の相場の方向性を決めそうだ。
■信託銀行、異例の買い上がり
 「今日も信託銀行のバスケット買い。地球防衛軍の出動ですよ」。米国株安などを受けて安寄りした後、午後に急速に切り返した前週末。ある証券会社のベテランは相場の底堅さの理由について、そんな解説をしていた。日経平均は一時1万4000円割れした5月19日からほぼ一本調子で上昇し、6月3日に1万5000円を回復した。外部環境に大きな変化が見られないなかで、この間、一貫して買い手となって上げ相場を主導したのは信託銀行だった。東証発表の投資主体別売買動向によると、信託銀行は5月第1週に買い越しに転じ、第4週(買越額1781億円)から第5週(2499億円)、6月第1週(1112億円)と3週連続で大幅に買い越した。信託銀行の買越額が3週以上続いて1000億円を上回ったのは、2011年8月(第4週から4週連続)以来ほぼ3年ぶり。それだけでも目を引くが、何より異例なのがその買い方だった。通常、公的年金や企業年金などの運用資産を預かる信託銀行は、相場が下がると買って、上がると売るという逆張り型の売買が中心。過去に大きく買い越したのも、リーマン危機時の08~09年など、例外なく相場の下落局面だった。ところが今回、信託銀行は日経平均が1万5000円を回復する過程で買い上がってきた。
■買い手は共済3兄弟か、GPIFか
 信託銀行のその先にいる投資家は誰だったのか――。市場では国家公務員共済組合(KKR)、地方公務員共済組合、私立学校教職員共済の「共済3兄弟」という見方がもっぱらだ。15年10月に予定される3共済と厚生年金との年金一元化を前に、3共済は資産構成の比率も、厚生年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)と横並びの水準に変更する見通し。資産に占める日本株の比率(12年度末時点)はKKR(6.8%)、地方公務員共済(13%)、私学共済(10.5%)と、3共済ともGPIF(14.6%)を下回る。大和証券の熊沢伸悟ストラテジストは「確かなことはわからないが、3共済が株式の比率を上げるためにリバランスを実施した可能性がある」と指摘する。一方、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤戸則弘投資情報部長が唱えるのは「GPIF説」だ。「本来なら基本ポートフォリオの見直しに伴うリバランスはまだ先の話だが、(資産規模が巨大で)急には比率を変えられないため、徐々に株式を買い増し始めているのではないか」という。そういえば、前週は債券市場でGPIFからとみられる大口の国債売りが出て、ひとしきり話題になっていた。このほか、「PKO(株価維持策)ほど露骨ではないが、安倍内閣の思いに配慮してゆうちょ銀行や企業年金連合会なども動いているのでは」(国内運用会社)との声も。真相はやぶの中だが、「安倍内閣は株価を政権維持の重要指標とみているし、演出も上手」(矢嶋康次ニッセイ基礎研究所チーフエコノミスト)といわれるだけに、市場には様々な臆測が飛び交いやすい。誰が買っているにせよ、市場参加者が気になるのは相場の持続性だ。何やら「官製」のにおいがする相場をどこまで信じていいのか、どこまで相場に乗っていいものやらと、市場には気迷いムードも漂っている。仮に共済3兄弟のリバランスがあったとしても、それは一時のこと。国民の資産を預かる公的年金が、相場を買い上がるような買い方を今後も続けるとは思えない。
■カギは海外勢の成長戦略評価
 需給面でここから上を買う可能性がある投資主体は限られそうだ。まず、昨年末の高値の信用期日が間もなく明けて、身動きが軽くなりそうな信用取引の個人。ただ、信用の個人に単独で相場全体を押し上げる力があるわけではない。日経平均が次の目標である1万6000円を目指すには、やはり海外投資家の力に頼るほかない。その海外勢は6月第1週に大きく買い越したが、熊沢氏によると「動いたのは先物を売買するCTA(商品投資顧問)など超短期の投資家。現物株は先物高に伴う裁定取引で買われた面が強い」。グローバル・マクロなどのヘッジファンドや、ロングオンリーと呼ばれる海外年金などに動きはほとんど見られないという。当面、中長期で投資する海外勢が日本株を見直すきっかけになりそうな国内の材料は、安倍内閣の成長戦略しか見当たらない。「成長戦略に対する海外投資家の評価が、相場の今後を占う最大の注目点」との見方が市場のコンセンサスになっている。一方、海外要因として急速に警戒感が強まってきたのがイラク情勢だ。今では石油輸出国機構(OPEC)で第2の産油国となったイラクの混乱は「世界経済に与える影響はウクライナよりはるかに大きい」(藤戸氏)。どれだけ事態が拡大するか、早期に収束するかはわからないが、ヘッジファンドはこれを収益機会にしようと虎視たんたんのはず。すでに米原油先物市場で売買が活発になるなど、イラク情勢の緊迫を機に、しばらく静かだった世界のマーケットが再び動き出す兆しもある。どうやら、公的マネーの動きやサッカーのワールドカップばかりに気を取られてはいられないようだ。ボラティリティー(変動率)の低さに安穏としていた市場が虚を突かれるとき、ショックは意外に大きくなりかねないことにも留意が必要だ。

<本物の利益率上昇と株価上昇を妨げているものは何か>
*4-1:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11222012.html?iref=comtop_pickup_03 (朝日新聞 2014年7月3日) STAP、5カ月で幕 論文撤回 小保方氏、検証に参加
 STAP細胞の論文が2日、英科学誌ネイチャーから撤回され、その発見は発表から約5カ月で根拠を完全に失った。しかし、理化学研究所は、STAP細胞の存在を確認する検証実験を続けており、7月からは、撤回された論文の筆頭著者である小保方晴子ユニットリーダーが参加する事態になっている。論文の撤回で、STAP細胞は仮説のひとつになったが、小保方氏はその存在を主張している。「ないというには本人が参加して、どうしても再現できませんでしたねというまでやることが最善」。理研発生・再生科学総合研究センター(CDB、神戸市)の相沢慎一・実験総括責任者は2日の会見で、「論文を撤回するのに検証実験をする意味があるのか」との問いにこう答えた。撤回に抵抗していた小保方氏が一転、共著者の求めに応じて撤回への同意書に署名したのは6月3日。小保方氏の代理人を務める弁護士は「応じなければ懲戒解雇され、検証実験に参加したくてもできなくなるかもしれないという重圧があった」と説明していた。ただ、STAP細胞には別の万能細胞のES細胞ではないかとの疑義も出ており、小保方氏の参加には批判もある。大阪大学の篠原彰教授(分子生物学)は「小保方氏が疑義に対して何ら説明をしない段階で参加させるべきではない。不正があっても後から確認できればよいという誤ったメッセージを発することになる」と語る。山本正幸・基礎生物学研究所所長(分子生物学)は「論文が撤回されても、研究過程で何が起きていたのかを明らかにする必要がある」と指摘する。
■第三者立ち会い/24時間監視
 CDBが始めたSTAP細胞の存在の有無を検証する実験に参加するため、小保方晴子ユニットリーダーが2日、出勤した。CDBは同日、実験の手順を公表。第三者が立ち会い、2台のカメラで24時間、実験室を監視する。実験室の出入りは電子カードで管理し、細胞の培養機器には鍵をかける。今週中には、実験室の改修を終える見通しだという。CDBによると、小保方氏の検証実験は、丹羽仁史・プロジェクトリーダーらの検証チームが4月から進めている実験とは分けて、別の建物で実施する。CDBが提供したマウスを使って細胞を酸につけ、STAP細胞とされる細胞を作製する段階まで、小保方氏が1人で実験する。作製した細胞をマウスの胚に注入して、万能細胞かどうかを確かめる実験は、技術をもつ別の研究者が担当する。酸につけた細胞に万能性を示す遺伝子の働きがみられない場合、期限に定めた11月末よりも早く、検証を終了する可能性もあるという。万能性が部分的に確認できた場合には、期限の延長を検討する。
■iPS臨床研究、「中止も」投稿 理研・高橋リーダー、即日否定
 iPS細胞を使った世界初の臨床研究について、CDBの高橋政代プロジェクトリーダーは2日、「まだ始まっていない患者さんの治療については中止も含めて検討いたします」と簡易投稿サイト「ツイッター」に投稿した。投稿による混乱を受け、高橋氏は同日夜、「中止の方向で考えているのではない」と否定するコメントを発表した。「慎重にならざるを得ないというのが真意」だったという。高橋氏らの臨床研究は、加齢黄斑変性の患者にiPS細胞で作った網膜の細胞を移植するもの。昨年7月に厚生労働省が承認し、早ければ今夏にも1例目の移植が始まる予定になっている。
◆キーワード
<ネイチャー> 1869年に創刊され、世界的に権威のある科学雑誌の一つ。毎週木曜日に発行される。学術論文のほかに、解説記事やニュース、科学者によるコラムなどもある。掲載される論文は同誌の編集者と各分野の専門家によって審査され、年に約1万本の投稿論文のうち1割以下しか掲載されない。そのため、掲載は研究者にとって高い業績と評価される。

*4-2:http://qbiz.jp/article/41605/1/
(西日本新聞 2014年7月9日) 航空バイオ燃料、20年実現を 日航、ユーグレナなど工程表
 日本航空や全日本空輸、米ボーイング、東京大学などが参加する組織「次世代航空機燃料イニシアティブ」は9日、二酸化炭素(CO2)排出量を大幅に減らすバイオ燃料の2020年の実用化を目指すと発表した。各社が共同で工程表の策定を始めた。来年4月までの取りまとめを目指す。バイオ燃料の開発や普及は世界各地で進められている。日本では33の企業・団体による「次世代航空機燃料イニシアティブ」が5月に発足。工程表はこの組織が中心となって策定する。国交省もオブザーバーとして参加している。日本はバイオ燃料のトウモロコシなどの国内での調達が難しく、家庭ごみなどを原料にする。この組織には、バイオ燃料に使うミドリムシの培養を進め、佐賀市とも共同研究の契約を交わしているユーグレナ(東京)も参加している。

*4-3:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20140625&ng=DGKDASFS2403G_U4A620C1EE8000 (日経新聞 2014.6.25) 
川内原発、再稼働は秋以降、九電、申請書を再提出 電力需給、西日本で厳しく
 九州電力は24日、川内原子力発電所1、2号機(鹿児島県)の再稼働の前提になる審査の申請書を原子力規制委員会に再提出した。申請書の記載ミスで時間を費やしたことが響き、再稼働は秋以降にずれ込むのが確実。1965年以来ほぼ半世紀ぶりに電力需要が最も多い8月に国内で原発が1基も動かないことになり、原発依存度が高い西日本で特に需給は厳しくなる。規制委には現在、9電力会社が12原発19基の審査を申請済み。このうち川内原発は3月に規制委から優先審査の対象に選ばれており、再稼働の第1号になるのが確実だ。ただし審査に最終合格するには、規制委からの指摘事項を踏まえ、まず電力会社が3種類の申請書を提出する必要がある。九電が24日に提出したのは、このうち安全対策の大枠を記した「設計の基本方針」の申請書。九電は4月末に一度提出したが、規制委から42件の記載ミスを指摘され、再提出を求められていた。当初、九電は5月末に再提出できるという見通しを示していたが、規制委から追加確認を求められるなどで修正が申請書全体に広がり、分量が7200ページから8600ページへと膨らんだ。手続きの日程も当初予定から2カ月ほどずれ込んだ形だ。再提出を受けて規制委は今後、合格証明書にあたる「審査書案」づくりの詰めの作業に入る。審査書案ができあがるのは現状では7月上~中旬ごろの見通し。その後、1カ月かけて意見を募るので、審査書がまとまるのは8月下旬ごろにまでずれ込みそう。9月中の再稼働もギリギリの状況で、10月にずれ込む公算が大きくなっている。電力需要は例年8月にピークを迎える。川内原発の審査が長引いたことで今夏は原発が1基も動かない見通しだ。九州電力と、川内再稼働後の九電からの電力融通をあて込んでいた関電の管内で電力需給が厳しくなる。昨夏は動いていた関電大飯原発(福井県)は昨年9月から定期検査で運転を停止。さらに九電管内では大型火力が今夏、事故でフル稼働できなくなった。電力需要に対する供給余力をあらわす「予備率」は関電が1.8%、九電が1.3%。安定供給に最低限必要とされる3%を下回る。自前で十分な電力を確保できない関電と九電は東京電力から計58万キロワットの融通を受けることになった。震災後初となる大規模な融通により、関電と九電の予備率はぎりぎり3%に達する。それでも西日本全体の予備率も3.4%と昨年の5.9%を大きく下回る。電力各社は原発のかわりに火力をフル稼働させている。ただ運転40年超の老朽火力の比率は火力全体の26%に達し、事故による火力の停止件数は震災前から16%増えている。西日本は100万キロワット級の火力が停止すれば供給不足に陥る。安定供給に不安を抱えたまま夏を迎える。


PS(2014.7.14追加):*5のように、年金受給者の立場から記載された記事は少ないが、私が衆議院議員をしている間に地元(佐賀三区)を廻った時、「船賃が払えないので病院に行けない(離島)」「もらっている年金の金額は月に3万円くらいで、家のまわりに畑を作って食べている(一人暮らし)」「孫が来たとき以外はクーラーをつけない」などの声があった。そのため、多くの年金受給者にはこちらが実態だと思うが、「老人は金持ちだから」という理由で、このような政策が押し進められた。私は、このような政策を押し進める政治家や官僚は、見ている相手や住んでいる世界が、狭くて特殊なのだと考える。

*5:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11241558.html (朝日新聞 2014年7月14日) (報われぬ国 負担増の先に)老い、振り向かぬ国 番外編・年金の将来を考える
 「報われぬ国」では、わたしたちの老後は安心なのかを取材しています。その老後を支える一つが年金です。厚生労働省は6月、将来の年金がどうなるかという見通しを発表しましたが、年金はさらに減り、くらしは厳しさを増します。今回は「番外編」として、高齢者のくらしの現場から年金の将来を考えました。
■持病の悪化で家賃払えず
 群馬県でひとり暮らしをする男性(71)は4月、アパートの家主から「家賃をこれ以上滞納したら出ていってもらう」と通告された。それまでに家賃2カ月分の約5万4千円を払っていなかったからだ。2月に持病の糖尿病が悪化し、入院費用がかかってしまった。アパートの契約更新の支払いも重なり、合わせて7万円を特別に出費しなければならず、家賃が払えなくなった。年金は月に約8万9千円もらっている。ここから、家賃を約2万7千円、光熱費を1万円余り、かつて滞納した分を含めた国民健康保険料と介護保険料を合わせて1万円払う。残った生活費は4万円ほど。糖尿病の治療のために病院に週4回通う費用も出さなければならず、生活はぎりぎりだ。食事はできるだけパンと牛乳ですませる。ご飯を炊くときはレトルトのカレーやハヤシライスをかける。まともな食事は月に1回、群馬県内に住む姉が来てつくってくれるときだけだ。「病気がなければやっていけるかもしれないが、そろそろ生活保護を考えてもいい」。数年前に男性の借金を整理してから相談に乗っている司法書士の仲道宗弘(むねひろ)さんはこう感じる。生活保護を受ければ、生活保護で定められた支給水準と年金の差額をもらえるので、年金と合わせて月に10万円前後を受け取れる。さらに通院などの医療費、国保や介護保険の保険料支払いも免除される。男性はトラック運転手として30年近く働き、厚生年金の保険料も払ってきた。その後に独立してからも余裕のあるときは国民年金の保険料を払った。その積み重ねでもらえる年金は、年に約107万円しかない。だが、これは特別に低いわけではない。厚労省が2010~11年に調べたところ、働いていない年金生活者の年収は100万円以下が49%を占める。150万円以下になると、63%にものぼる。このため、年金だけでは暮らせず、生活保護を受ける人は多い。厚労省の11年の調べでは、65歳以上の高齢者で生活保護を受けるのは約64万世帯あり、このうち年金をもらっている高齢者は約37万世帯にのぼる。今年3月には生活保護を受ける高齢者は約74万世帯にふくらみ、生活保護を受ける世帯の半分近くを占める。この3年で高齢者世帯は19%増え、高齢者以外は3%しか増えていない。
■リストラされ狂った人生
 60~70代には、働いていたころにリストラされ、人生設計が狂った人も多い。北関東に住む60代男性は00年代半ばにリストラで会社を辞め、マイホームを手放した。いまは妻と娘と借家で暮らす。マイホームは40代後半のころ、約3千万円の一戸建て住宅を25年ローンで買った。当時は会社も順調でリストラされるとは想像もしなかったが、会社を辞めた途端に行き詰まった。追い打ちをかけたのが、市役所からの請求だ。リストラで家の固定資産税と家族3人の国民健康保険料を滞納していたため、合わせて約50万円の滞納分の支払いを求められた。滞納分には年14・6%(今年から9・2%)の延滞金が加わり、このほかに通常の国保料が月に1万数千円かかる。滞納分と国保料を合わせて月に4万円払わなければならない。男性は「延滞金がかかるので、なかなか滞納分が減っていかない。妻と相談し、無理してでも返そうと思っている」と話す。いまは仕事を二つかけ持ちして月15万円ほど稼ぐ。加えて、厚生年金の一部である「報酬比例部分」が出ているので、それを月7万円ほど受け取る。合わせて月22万円ほどの収入から、6万円の家賃と滞納分や国保料などの4万円をなんとか払う。心配なのは将来だ。65歳から「基礎年金」も受け取れるが、会社を辞めた後に国民年金の保険料を払う余裕がなかったため、月6万円に満たない。逆に65歳になれば仕事の一つは定年になり、もう一つもいつまで働けるかわからない。合わせて月13万円ほどの年金に頼るだけの生活になったとき、家賃や国保料などを払いながら暮らせるのか。この先の人生設計は立っていない。
■制度維持のための「マクロ経済スライド」
 将来の年金はもっと厳しい。厚労省は6月、将来の年金がどうなるかの試算を発表した。安倍政権の成長戦略がうまくいく場合からうまくいかない場合まで8シナリオを示している。このシナリオでわかるのは、たとえ経済成長して現役世代の賃金が上がっても、年金額はそれに追いつけず、高齢者は置き去りにされるという事実だ。厚労省のモデルでは、14年度は現役サラリーマンの手取り月収を平均約34万8千円として、サラリーマンが入る厚生年金は月に平均約21万8千円(夫婦2人分)になっている。現役の月収に対する年金額(代替率)は62・7%の水準だ。試算では、成長戦略が最もうまくいく「ケースA」の場合、30年後の44年度に現役の月収が59万円、年金が月に30万1千円になる。なぜ金額が増えているかというと、物価が年2・0%上がり、現役の賃金が物価より年2・3%上回って伸びる計算だからだ。だが、現役の月収に対する代替率は50・9%に下がる。わかりやすくするため、代替率を使って年金額を14年度の賃金水準に置き換えると、約17万7千円だ。いまの約21万8千円から約2割も下がる。成長戦略がうまくいかない場合の「ケースH」では、55年度に代替率が30%台まで下がる。14年度の賃金水準に置き換えると、13万6千円まで落ち込む。なぜ成長していても年金だけが置き去りにされるのか。これは「マクロ経済スライド」という仕組みを使うからだ。年金を受け取り始める時点で、保険料を払った時より賃金水準が高くなっていても、支給額の引き上げを抑制する。この仕組みを使うのは、年金保険料を払う現役世代が減るため、年金支給額を抑えていまの年金制度を維持しようと考えているからだ。厚労省はこれで100年後も1年間分の年金積立金は確保できるという。安倍政権と日本銀行は物価上昇率を「年2%」にする目標をたてている。だが、年金受給者はこれから物価の上昇からも取り残され、生活は厳しさを増す。さらに、今後は貯蓄が少ない低所得の人たちが増え、非正規で年金保険料を払っていない人も多い。このままでは年金で暮らせるのはゆとりがある人たちで、生活保護に頼らざるを得ない高齢者が増える。厚労省の年金財政は維持できても代わりに生活保護費がふくらむばかりで、低所得者向けを中心に年金のあり方を見直す必要がある。
◇「報われぬ国」は原則として月曜日朝刊で連載します。今回は番外編ですが、第2部の「福祉利権」を今後も続けます。ご意見をメール(keizai@asahi.com)にお寄せください。


PS(2014.7.16追加):*6のように、核家族化が進んで老老介護が増えているため、介護を配偶者だけでこなすのは困難だ。また、最後に残った人には介護する人がおらず、これらは女性であることが多い。つまり、現在の介護サービスのさらなる削減は論外なのである。

*6:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20140716&ng=DGKDASDG15H0Q_V10C14A7EA2000
(日経新聞 2014.7.16) 「老老介護」5割超す 厚労省13年調査、急速な高齢化浮き彫り
 介護が必要な65歳以上の高齢者がいる世帯のうち、介護する人も65歳以上である「老老介護」の世帯の割合が51.2%に達し、初めて5割を超えたことが15日、厚生労働省がまとめた2013年の国民生活基礎調査で分かった。急速な高齢化の進展が改めて浮き彫りになった。調査結果によると、介護保険法で要介護認定された人と、介護する同居人が共に65歳以上の高齢者である老老介護世帯は、10年の前回調査から5.3ポイント増の51.2%となり、01年の調査開始以来、最高となった。介護が必要になった原因のトップは脳卒中で、認知症、高齢による衰弱が続いた。団塊世代の約半数が65歳以上になっていることから、老老介護の世帯は今後も増加が見込まれるとともに、同世帯の高齢化も、より進むとみられる。介護を担う人については、同居する家族が61.6%で前回調査から2.5ポイント低下し、事業者が14.8%で同1.5ポイント増えた。介護する人の約7割は女性で、性別の偏りが見られた。続柄では配偶者、子が共に2割を超え、子の配偶者が約1割だった。介護している人の悩みやストレスの原因を聞いたところ、「家族の病気や介護」を上げる人が最多で、「収入・家計・借金など」や「自由にできる時間がない」を回答する人も目立った。厚労省は「少子化対策とともに高齢者世帯への対策も重要になってくる」と指摘。介護を担っている配偶者や子など家族へのサポートも含めた体制整備が課題となりそうだ。一方、全国の世帯総数は13年6月現在で5011万2千世帯だった。このうち65歳以上の高齢者だけか高齢者と18歳未満の子供だけの「高齢者世帯」は過去最多の1161万4千世帯で世帯総
数の約4分の1を占めた。65歳以上の高齢者が1人でもいる世帯は、2242万世帯で、世帯総数の半数近くに達した。調査は13年6月に全国の世帯から約30万世帯を無作為抽出して実施した。介護の状況は、原則自宅で介護されている約6300人の家族から、世帯の人員構成については約23万4300世帯からの回答から推計した。

| 年金・社会保障::2013.8~ | 03:18 PM | comments (x) | trackback (x) |
2014.7.12 新しい農業改革(?)について (2014.7.18追加あり)
     
   *2-1より    2014.7.6日経新聞より  2014.6.4農業新聞より

(1)改革の基本方針について
 *1-1のように、「①政府は、新しい成長戦略と経済財政運営と改革の基本方針を決めた」「②医療、雇用、農業など関係省庁や業界団体が既得権益を守ろうとする岩盤規制にも切り込んだ」「③第3子以降の出産・育児を重点支援するなど、50年後に人口1億人程度を維持する目標を政府として初めて掲げた」としている。
 
 改革は、「現状は、どういう病根があるから、どういう処方箋を書き、その処方箋の長所短所は?また、その処方箋はBestか否か?」ということを検討して初めて意味があるが、この基本方針の設定過程では説得力のある根拠が示されず、「岩盤規制を壊す」「改革に切り込む」という規制に挑むポーズばかりが目立った。しかし、これでは本物の改革はできない。

(2)農業改革について
 私が国会議員になって、すぐに農業改革を始めたJA佐賀中央会会長の中野氏(全中理事、全農会長)は、*1-2のように、「①農協が自律的に改革することは重要だが、真逆のJA全中廃止が突然出てきて驚いた」「②中央会制度の改革で地域農協の経営自由化を高めるというのは、現場への理解が不足」「③農協は金融保険部門を手放し、営農や販売に集中すべきとの提言がなぜ出てきたか分からない」「④准組合員に事業利用制限を設けるべきとの意見は慎重に議論すべき」「⑤企業の農業生産法人への出資制限緩和は、農地としてずっと使われるならば異論ないが、企業が農業を数年間やってもうからないと判断した時、農地を転売や分譲する恐れを法的に規制せずに企業が農地を所有できるようにするのは反対」と述べている。

 私は、これまでこのブログに記載してきたとおり、①②④⑤には全く賛成であり、③については預金者保護の観点からの改革が必要だと考えている。

 また、*1-3に、農村の高齢化率が2050年には40%以上となり、食料消費も大幅減して問題であると書かれているが、何でも人口減少のせいにすれば誰も責任を取らずに済むかもしれないが、問題解決はできない。農業の場合、本来は魅力的な産業であるにもかかわらず、所得が低いため次世代の参入が少なく、農業従事者が社会的に減少したのが高齢化の理由で、所得の高い農家は次世代を確保している。また、農村の人口減を抑えるためには、農林業を真に儲かる産業にすることが重要だ。

(3)農業において、既に始まっている努力
 農家の所得を増やし、魅力的な産業として農業の振興を計るには、生産性の向上、単位当たり付加価値の上昇が不可欠である。そのため、*2-1のように、100ヘクタール以上の大規模な農場を作り、地域農業の中心的な担い手へ農地集積を加速させるなど、産品にあった方法をとって一人当たりの農業所得を上げる必要があり、そのためには農業従事者の数は減少しなければならない。

 また、*2-2のように、山がちで大規模な農場ができない場所でも、オリーブを栽培して生産から商品化までの6次産業につなげるなど、地域の他産業と連携し、地形や気候を利用して、高付加価値を生み出す産品を作ることも可能だ。

 このほか、*3-2のように、早くから大豆に転作してブランド戦略をとっている佐賀県では、4年連続して県産大豆の1等比率が日本一となり、全国での1等比率が30・4%であるところ、佐賀県の1等比率は78・3%だった。これは、九州農政局が分析しているとおり、JAと県などが生産指導や乾燥調製を徹底して、高品質を維持しているからである。

(4)ブランド戦略
 農林業を農業者にとって儲かる産業にするには、大規模化等によるコスト削減だけでなく、品質を向上させ、その品質を維持することによって高付加価値を得るブランド化が重要である。これは、既に佐賀県では実行に移しているため、佐賀県産大豆の1等比率が日本全国の2倍以上という実績を得ているのであり、これは、佐賀牛や有明海苔などの多くの産品で既に行われている。

 だが、*3-1のように、農水省は、「輸出戦略実行委員会」を設置し、産地を越えて連携する「オールジャパン」の体制をつくろうとしている。しかし、私は、オールジャパン体制では、オーストラリア産牛肉やアメリカ産豚肉のように、価格の安さで勝負する普及品しか作れないと考える。何故なら、消費者が全体に対して持つイメージは、最低品質に合わせられるからで、このやり方の苦い経験は(長くは書かないが)いくらでもある。そのため、お互いが管理可能な地域規模による品質維持とブランド化が適切だ。

(5)TPPに参加しなくても、人口が39%にならなければ食料自給率は100%にならない
 現在、わが国のカロリーベースの食料自給率は39%であり、単純計算すれば、現在1.2億人の日本の人口は4,680万人(1.2億人X39%/100%)にならなければ、食料自給率が100%にならない。もちろん、この間に生産性の上昇や他産業で輸出を行うかわりに食料を輸入することも考えられるが、これからは、工業が日本の独壇場ということはあり得ないため、「少子化=人口減=悪い」だけでは、考慮している要素が少なすぎるのである。

(6)農業周辺の産業について
 *4-1のように、ガソリンや軽油などの燃料価格高騰と景気回復による人件費増が、トラック運送へ悪影響を与え、佐賀県のトラック協会は、「金をばらまきながら走っているようなもの」と窮状を訴えている。私が衆議院議員の時、電気自動車や燃料電池車の話をしていたら、佐賀県のトラック協会会長から、「早く水素燃料の無人運転できるトラックを開発して」と頼まれたが、未だに燃料電池車がくすぶっているのは困ったことだ。トラック輸送している農林漁業などの産業全体に悪影響を与えるため、速やかに実用化して欲しい。

 また、*4-2のように、農水省が新たに開発してほしい農機の種類や価格帯について、「担い手農家」を対象にしたアンケート調査を始めたそうだが、燃料価格の高騰で農業・漁業そのものも打撃を受けている。そのため、農機や漁船の動力を蓄電池や燃料電池に変更したり、温室の加熱システムを工夫したりして安価で提供すべきである。これらの技術は、どこの国でも売れると確信する。

 *4-3のように、JAグループは、再生可能エネルギーの普及を目的に「農山漁村再エネファンド」を創設し、10億円で運営を始めたそうだ。そして、再生可能エネルギーの推進に向け、JA全中、JA全農、農林中金、共済連で事務局体制を整備し、全中は法令対応や優良事例を紹介、全農は太陽光発電の支援をするそうだが、自然エネルギーによる電力を使えば、環境にプラスであるとともに、燃料価格高騰の問題がなくなる。

(7)よい製品を育てるのは、見る目のある消費者と選択を可能にする表示だ
 *5-1のように、全国で小学生に農業を学ばせる動きが広がり、総合学習で米や野菜作りをしているそうだが、農業・漁業は、生物学(生命科学を含む)・生態学・栄養学の知識のかたまりでもあるため、わかっている先生が教えれば、理科や家庭科でも生きた教材となって面白い。また、賢い消費者を育てるのにも役立つ。

 しかし、最近、*5-2のように、消費者庁が食品表示基準の最終案を示し、“現場の負担に配慮”して、小規模事業者などを例外とし、厳しくしないのがよいことであるかのように書かれているが、消費の現場で消費者が選択するためには、加工品も含めて原材料の産地表示も必要であり、栄養表示やアレルギー表示のみに偏ったのは問題だ。また、食品表示で必要な情報が示されなければ消費者は賢い選択をすることができないため、これまで、消費者の賢い選択によって育てられてきた産品の質が落ちる。

 なお、消費者庁が加工食品の栄養表示で小規模事業者を対象から外した理由は、表示コストと労力負担の軽減だそうだが、食品が含む栄養は毎日大きく変わるものではないため、一度栄養士に計算してもらえば長く使える。そのため、そのコストと労力が大きすぎるというのは、やる気がないのを言い訳しているにすぎず、そのような見分けもつかない人が消費者庁や内閣府で基準づくりをリードすべきではない。

<農業政策のチェック>
*1-1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20140625&ng=DGKDASFS24033_U4A620C1MM8000 (日経新聞 2014.6.25) 
成長戦略、実行段階に 閣議決定、首相「好循環、力強く」
 政府は24日夕、首相官邸で臨時閣議を開き、新しい成長戦略と、経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)を決めた。成長戦略は法人減税や「岩盤規制」の改革に踏み出し、実行段階に入る。安倍晋三首相は記者会見で「経済の好循環を力強く回転させ、景気回復の実感を全国津々浦々に届けるのがアベノミクス(総合2面きょうのことば)の使命だ。すべては成長戦略の実行にかかっている」と訴えた。臨時閣議では、規制改革の実行手順を盛り込んだ「規制改革実施計画」も決めた。新成長戦略と骨太の方針はこれに先立ち経済財政諮問会議と産業競争力会議の合同会議で正式に了承された。新成長戦略は昨年まとめた「日本再興戦略」の改定版で、積み残した課題で一定の前進があった。アジアや欧州の主要国に比べて高い法人実効税率(東京都の場合、35.64%)は、2015年度から数年間で20%台に引き下げることをめざすと明示した。首相は「法人税の構造を成長志向型に変え、雇用を確保し、国民生活の向上につなげたい」と述べ、年末までに決める税率や財源は「国際競争に打ち勝つ観点、財政再建の観点から議論したい」と語った。首相は「成長戦略にタブーも聖域もない。日本経済の可能性を開花させるため、いかなる壁も打ち破る」として、医療、雇用、農業など関係省庁や業界団体が既得権益を守ろうとする「岩盤規制」にも切り込んだ。雇用では時間でなく成果に応じ給与を支払う制度を導入。農業では地域農協が創意工夫しやすい仕組みに改め、公的な医療保険が使える診療と使えない診療を組み合わせる混合診療も拡大する。人口減少や少子高齢化による労働力不足を踏まえ、50年後に人口1億人程度を維持する目標を政府として初めて掲げた。第3子以降の出産・育児を重点支援するなど20年までに税制や社会保障で政策を総動員して人口減少に一定の歯止めをかけ持続的成長をめざす。働き手として女性や外国人を重視し、女性の働く意欲をそぐとされる配偶者控除を見直す。途上国の人材が働きながら技能を学ぶ外国人技能実習制度の対象業種を広げ、受け入れ期間も3年から5年に延ばす。首相は「成長戦略は大胆にパワーアップした」と話すが、年末の予算編成や税制改正で詰めるものも多く、具体化がカギを握る。景気の現状について首相は「企業の収益が雇用の拡大や所得の上昇につながる。日本経済は再び自信を取り戻そうとしている」と指摘した。一方で景気回復の遅れが指摘される地方や中小企業にも目配りし、7月にも地方活性化に取り組む「地方創生本部」を新設する。15年春の統一地方選をにらみ、首相は「これからの成長の主役は地方だ」と訴えた。

*1-2:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10103/76318
(佐賀新聞 2014年6月21日) 中野吉實氏に聞く 政府の農協改革
 政府は、農協改革などを含む新たな成長戦略を近く閣議決定する。全国農業協同組合中央会(JA全中)の抜本的な見直し、中央会制度の新制度への移行が盛り込まれる見込み。政府の規制改革会議は当初、JA全中を頂点とする中央会制度の廃止を提言していたが、自民党や農業団体から反発を受けて修正された経緯がある。政府の方針をどう受け止め、自主的な改革を実施していくか。全中理事、全国農業協同組合連合会(JA全農)会長を務める中野吉實・JA佐賀中央会会長に聞いた。
■これまでの農協改革の議論をどうみているか。
 常々、農協が自律的に改革することが重要と考えてきた。ただ、JA全中の廃止が突然出てきたことには驚いた。これまでの農業政策と真逆の方向性だったからだ。農水省はこれまで中央会の指導権限を強化してきたが、これは農協を強くするためだった。中央会が農協の経営状況を把握し、体力の弱い組合を指導したり、合併を進めたりしてきた。1万以上あった農協は現在、700以下。中央会が各農協の意向を調整しながら努力してきた成果だ。
■中央会制度の改革で、地域農協の経営の自由化を高めるとしている。どう受け止めているか。
 現場への理解が不足しているように思う。全中が農協の経営の自由度を阻害したという批判は上がっていない。規制改革会議も具体例は示せなかった。農協が自由に経営を行い、農家の手取りを増やすのは当然のことで、私たちもしっかり考えていきたい。耕作面積を増やせばいいという単純なものではない。6次化による収入増という意見はあるが、加工や販売に専門知識が必要で、一般農家には難しいだろう。オランダのような大規模施設園芸も、安価なエネルギーの確保などの問題があり、導入には時間がかかるだろう。結局は収益を見込める作物を選定し、効率的な栽培法を推進するほかない。農協改革の具体化はこれからだが、私たち自身で農家の所得を向上させる取り組みを考えたい。
■規制改革会議では当初、農協は金融保険部門を手放し、営農や販売に集中すべきとの提言もあった。
 なぜ、こんな主張が出てきたかよく分からない。農協は協同組合であり、相互扶助が理念。貯金・共済事業があったから、赤字になりがちな営農支援に取り組めた。農協経営の自由度を高める役割も果たせた。運用益を生産者のためにもっと使えるようにすべきという意見もあるので、そこは検討したい。
■国は2015年春に農協法の改正案を国会に提出する予定だ。法施行から70年近くたち、農業を取り巻く環境は大きく変化した。何を変更すべきか。
 変更内容は、これから議論を進めたい。法施行時は農家である正組合員ばかりだったが、現在は高齢化に伴う離農などで准組合員が急増した。そのため、准組合員に事業利用制限を設けるべきという意見が一部にあるが、これは慎重に議論した方がいい。地域のライフラインとしての観点があるからだ。JAの給油所や金融機関、スーパーは、企業が採算を見込めずに撤退したような地域にある。無くしたら生活に大きな影響が出る。公的機関などとも話し合って検討したい。
■農地法改正案も提出される予定。企業の農業生産法人への出資制限が緩和される点をどう考えるか。
 農地としてずっと使われるならば異論はない。心配なのは、企業が農業を数年間やってもうからないと判断した時のことだ。農地を転売したり、(住宅)分譲したりする恐れがないだろうか。こうした事例を法的に規制せず、企業が農地を所有できるようにすることには反対だ。

*1-3:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=28473 (日本農業新聞 2014/6/28) 農村の高齢化率 50年には40%以上 食料消費も大幅減 農水省推計
 農水省は27日、食料・農業・農村政策審議会の企画部会(部会長=中嶋康博東京大学大学院教授)で、2050年には平たん部、山間部を問わず農業地帯の高齢化率が40%以上になるとの推計を明らかにした。食料の消費量は12年時点と比べ、最大で4割近く減る。15年度から始まる新たな食料・農業・農村基本計画では、人口減少への対応策をどう示すかが課題になりそうだ。推計は農林水産政策研究所がまとめた。人口や高齢化率は「都市部」と農業地帯の「平地」「中間」「山間」の4種類を予測。国勢調査などに基づき推計した。10~50年の40年間で人口減少や高齢化が最も進むのは山間地域。人口は3分の1に減り、65歳以上の高齢者率は51%に達した。中間地域は高齢化率が44%で、人口は半分程度に落ち込む。高齢化率が最も低くかった平地でさえも、40%に達した。人口は4割減る。食料消費量は総供給熱量で推計した。12年の1日当たり総供給熱量3098億キロカロリーを基準に試算すると、50年には最大で1913億キロカロリーにまで落ち込んだ。約40年間で62%にまで減った。農村人口だけでなく、農産物の消費も減っていくことを踏まえ、中嶋部会長は「農業が単なる食料供給産業になれば成長はない」と指摘。「新たなマーケット拡大をもっと考えるべきだ。あらためて課題を整理する必要がある」と提案した。人口減少と消費に加えて「働き手がいなくなる問題もある」と強調。「農林水産業で人手を確保するのは難しくなっている。人口減少が進めば、もっと問題が深まってしまう。全体の政策を考える上で大きなポイントだ」と指摘した。名古屋大学大学院の生源寺眞一教授は「水田農業では高齢化が進んでいるが、施設園芸や畜産では若い人もいる。就職する形で農業に就く人も増えている。そういう違いを伝えることも大事だ」と強調した。福岡大学の藤井千佐子非常勤講師は、日本創成会議の「40年までに896自治体が消滅する可能性がある」との試算は、「出産可能な女性20~39歳が半分以下に減る」との基準で推計した点に着目。「女性に農業参入してもらうなどの施策はあまり見受けられない。次期計画で対策を明示するべきだ」と提案した。

<具体的行動>
*2-1: http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=28479 (日本農業新聞 2014/6/28)  [農政改革を追う] 稲作再構築へ5地区 100ヘクタール規模 モデル農場指定 熊本県
 熊本県は、地域農業の中心的な担い手への農地集積を加速させるため、100ヘクタール以上の大規模な広域モデル農場づくりに県内5地区を指定した。今年度から運用を始めた農地中間管理機構(農地集積バンク)の機能を最大限活用し、カントリーエレベーター(CE)を核にして水田農業を再構築する。主食用米と米粉用、加工用、飼料用米を品種ごとに団地化して営農を効率化。生産コストの3割削減を目指す。
●用途ごと団地化 生産費を3割減
 モデル農場は「低コストパイロット地区(スーパー重点地区)」と名付け、熊本市城南町、玉名市岱明町、宇土市走潟、多良木町など上球磨地区、嘉島町大島・六嘉地区を指定した。各モデル農場は、県が米の振興方策として複数示す選択肢の中から、地区に適した方向を選び産地づくりに取り組む。主食用米は(1)食味ランキング日本一の強みを生かした良食味型(2)高温に強い温暖化に対応した新品種型(3)減農薬や化学肥料を減らした環境負荷軽減型――の米作りを追求。非主食用米は(1)県産米粉を普及させる米粉用米(2)県産飼料で畜産物の付加価値を高める飼料用米(3)県産米で製造した焼酎のブランド化を図る加工用米――の生産を通じ、水田を有効利用する。また、全てのモデル地区で品種ごとの団地化や作付け時期の分散をし、低コスト農業を実現する。嘉島町は「良食味米(プレミアム米)の団地化」、上球磨地区は「多様な品種の組み合わせ」、宇土市は「米麦の輪作体系」など、地区ごとに特色ある産地を形成し、県全体として多様な米のニーズに対応できるようにする。県は、法人化への合意形成や技術面の指導、農業機械の導入費の助成を通じ支援する考えだ。蒲島郁夫知事は26日の定例会見で「国の成長戦略の農地集積バンクが始動し、県では一歩進んだ取り組みとして大規模な広域農場を新たに育成する。悠久の宝である農地を守り、集積し、ふるさとの景観を 保全しながら、次世代に引き継ぎたい」と抱負を述べた。

*2-2:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10103/82867
(佐賀新聞 2014年7月11日) オリーブを化粧品原料に 唐津で商品化説明会
 唐津オリーブ研究会は12日午後4時から、唐津市の大手口センタービルで、オリーブの栽培・商品化についての説明会を開く。九州普及協会との共催で、同研究会は「唐津市が進めるコスメ構想の中で、化粧品原料に活用できないかを考えたい」としている。オリーブは食用だけでなく、美容にも使え、ミカン同様に温暖な気候が栽培に適しているとされる。全国的には香川県の小豆島が有名だが、九州でも天草や佐世保などで企業が取り組んでいる。唐津オリーブ研究会は今年4月に発足。オリーブ油を搾った残渣(ざんさ)を化粧品の原材料に活用していくのが狙いで、唐津市宇木のミカン畑跡に樹齢3~4年の苗木約160本を植え、来年以降の収穫を目指す。同研究会の山浦康男代表は「オリーブの実を2度使えるという点では、農業者にとっても興味のあるビジネスモデルと思う。生産から商品化までの6次産業につなげたい」と話す。説明会の問い合わせは電話090(5927)7461。

<農水省の輸出戦略とブランド化の矛盾>
*3-1:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=28461
(日本農業新聞 2014/6/27) 輸出戦略委が初会合 産地越え連携体制 農水省
 農水省は26日、農林水産品・食品輸出の司令塔となる「輸出戦略実行委員会」を設置し、第1回会合を開いた。実行委員会は、同省など関係省庁の輸出担当部局や農業団体、米、畜産といった品目別団体の担当者で構成する。農産物輸出はこれまで産地ごとにばらばらで取り組んできたため、産地を越えて連携する「オールジャパン」の体制をつくるのが狙いだ。2020年までに輸出額を1兆円に倍増させる政府目標の着実な達成を目指す。品目ごとに目標達成度を検証し、課題を解決する仕組みを設ける。
●品目別に部会設
 輸出倍増目標の達成に向けて農水省は昨年、「国別・品目別輸出戦略」を策定。米や牛肉など品目ごとに目標額を設定し、輸出が見込める重点地域や達成に向けた課題をまとめた。13年の輸出額は5500億円で過去最高を記録し、今年に入ってからも順調に推移している。ただ、目標までまだ開きがある。このため実行委員会の下に、米や米加工品、青果物、牛肉、茶など個別の戦略を検証する品目ごとの部会を設置。物流の効率化を探る物流部会やイスラム圏への輸出への対応策を話し合うハラール部会、米国向けの輸出課題に対応するFSMA(米国食品安全強化法)部会など、品目を超えて輸出課題を話し合う部会もつくる。実行委員会は、こうした部会で洗い出した課題や取り組み状況をくみ上げ、全体戦略づくりを検討する。日本の統一的な銘柄を活用して発信力を強め、同じ品目でも産地間で出荷時期を調整し日本産を途切れず輸出できるようにする。実行委は、JA全中、JA全農や、畜産、米、茶、花き、日本酒、食品産業、木材、水産の団体の他、経済産業省、国土交通省、厚生労働省などの関係省庁、全国知事会が参加する。委員会は、農業団体など150以上の会員でつくる農林水産物等輸出促進全国協議会の下に設置。構成する生産者団体などに連携した取り組みを促す。26日の会合では、江藤拓副大臣が「目標を立てるだけでは何も解決しない。官民、経済界も一体となって、良い方向に進むように力を貸してほしい」と、オールジャパン体制の構築に意欲を示した。

*3-2:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10103/76319
(佐賀新聞 2014年6月21日) 県産大豆の1等比率日本一 4年連続
 農水省がまとめた2013年産大豆の品質検査結果で、佐賀県の普通大豆の1等比率は78・3%だった。前年に比べると、12・4ポイント減となったが、4年連続で全国1位。県がコメ転作の基幹作物として位置づけており、生産管理を徹底した成果が表れた。農水省によると、品質検査はサンプル調査で行い、外観、水分含有量、病害虫の被害状況などを調べている。県産普通大豆の検査総量は1万4906トンで、このうち1等は1万1670トン。2等は1620トン(10・9%)、3等は1613トン(10・8%)だった。粒ごとの1等比率は、大粒93・2%、中粒76・3%、小粒0・1%。品種別では、フクユタカが87・7%、むらゆたかが74・1%だった。全国の1等比率は30・4%(4万2256トン)。九州農政局は「佐賀県はJAと県などが生産指導と乾燥調製を徹底しており、高品質を維持できている。前年実績を下回ったのは、播種期の長雨で小粒傾向になったことが影響したようだ」と分析している。

<農業関連他産業>
*4-1:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10103/82514
(佐賀新聞 2014年07月10日) 燃料高騰で運送業界悲鳴 景気回復も利益増えず
 ガソリンや軽油などの燃料価格が高騰し、佐賀県内の経済活動に影響が広がっている。記録的な高値となった2008年の水準に迫る勢いで上昇しており、景気回復に冷や水を浴びせかねない状況。運転手不足による人件費増などで経費がかさんでいるトラック業界などからは「利益が確保できない」と厳しい声が漏れる。県内のレギュラーガソリン1リットル当たりの平均小売価格は173円10銭(7日現在)。軽油は同150円50銭と、いずれも08年以来の高値で推移している。消費税増税に加え、産油国イラクの情勢悪化に伴う原油高を背景に、元売り各社が卸価格を引き上げたためだ。トラックなどが使う軽油の販売価格は、5年前に比べて約40円アップ。運送業への影響は大きく、県トラック協会は加盟514社全体で、年間約50億円の負担増になると試算する。長引く景気低迷で、新車導入を先延ばしにするなど経費削減に努めてきた県東部の運送会社は「景気回復でやっと需要が伸びてきたのに、利益は全く増えない」。東京、大阪の2大商圏に遠く、「打撃は大きい。金をばらまいて走っているようなもの」と窮状を訴える。同協会によると、県内で燃料費の上昇分を運賃に転嫁している事業者は1割程度。値上げによる顧客離れを恐れ、全額転嫁したところは全国で1%に満たないという調査結果もある。ただ、景気回復による人件費増が収益悪化に追い打ちを掛ける中、転嫁に踏み切る企業もある。食品や自動車部品などを運ぶ佐賀市の事業者は「このままだと会社が持たない。少しくらい客が逃げても仕方ない」と、月内にも取引企業に値上げを要請するという。漁業者も神経をとがらせる。有明海では、海況悪化や赤潮の早期発生でノリの単価が下落。1番摘み(秋芽)の平均単価は1枚14円台と30年前の3分の1に低迷する一方、漁船に使う軽油価格は2倍以上に膨らんだ。佐賀市川副町の漁業者(49)は「ただでさえ、もうけが減っているのに」と深いため息をつく。5月の県内ガソリン販売量は、前年同月比11・4%減。燃油高騰の影響は、消費者の買い控えという形でガソリンスタンドの経営も直撃している。価格競争の激化で値上げに踏み切れない店も多く、「利益をはき出しながらの過酷な消耗戦が続いている」(県石油商業組合)という。今後の動向について、石油業界では夏の行楽シーズンの需要高まりなどでさらに値上がりするとの見方もあり、幅広い業種や暮らしにダメージが広がる恐れがある。

*4-2:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=28631
(日本農業新聞 2014/7/8) 農機開発 担い手の声 反映 HPでアンケート 農水省 
 農水省は7日、新たに開発してほしい農機の種類や価格帯について農家の要望を取り入れるため、地域農業を中心的に支える「担い手農家」を対象にした初のアンケート調査を始めた。生産現場のニーズに、より即した農機開発を進める狙いで、2015年度からの農業機械等緊急開発事業(緊プロ事業)に生かす。ホームページ(HP)に調査票を掲載し、直接回答を募集。希望者には実証試験にも参加してもらう。同省は「担い手に有益な農機を開発するために、多くの声を寄せてほしい」(生産資材対策室)と呼び掛ける。緊プロ事業は同省が開発機種を定めて、農研機構・生研センターと民間企業などが共同で開発、農機メーカーが商品化する。これまでも都道府県の農業試験場や農業改良普及センターを通じて農家の意見を集めていたが、数が少なく、回答者の経営規模などの分析も十分ではなかった。調査票には、新たに開発を希望する農機について、必要とする理由、求める機能・性能、購入できる価格帯、回答者の経営品目や規模などを記入してもらう。調査で判明したニーズは、まずメーカーや研究機関が持つ技術、ノウハウで対応できるものがあるかを調べる。その上で、年内に開く農業資材審議会農業機械化分科会で、調査結果と、それを踏まえた新たな開発機種の提案を公表する。同省HPの農業機械化対策情報のコーナーに調査票と送付先を掲載している。25日までにファクスかメールで回答する。問い合わせは、同省技術普及課生産資材対策室、(電)03(6744)2111。

*4-3:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=28521
(日本農業新聞 2014/7/1) 再エネファンド創設 地域主導型に出資 JAグループ
 JAグループは30日、再生可能エネルギーの普及を目的に「農山漁村再エネファンド」を創設したと発表した。規模は10億円で運営を始めた。農山漁村や中山間地域に利益の還元が見込める事業体に出資する。2014年5月の農山漁村再生可能エネルギー法の施行を受け、農業・地域の活性化につながるよう後押しする。「農山漁村再エネファンド」は農林中央金庫とJA共済連がそれぞれ5億円を出資して創設した。農林水産業協同投資(株)が運営する。行政や企業、農林水産業者、JAで構成する地域の協議会などがつくる発電事業体に出資する。既に地元企業などが運営している発電事業体への増資にも対応する。地域外の企業が地域関係者と共に取り組む場合も出資対象とする方針だ。出資上限額は資本総額の50%以内。10年間を目途とし、期間の短縮・延長は柔軟に検討する。地域の農林水産業との調和や地域主導の取り組みを重視するため、期間終了後は出資金を地域関係者に譲り渡すことを想定するという。規模は10億円だが、地元のニーズに応じて将来的に30億円まで拡大することも検討している。JAグループは13年8月に、第26回JA全国大会決議に基づき、再生可能エネルギー推進の方針を決定。同ファンドはこれを踏まえて設立した。再生可能エネルギー推進に向け、JA全中、JA全農、農林中金、共済連で事務局体制を整備。全中は法令対応や優良事例紹介など、全農は太陽光発電のノウハウを生かして支援する。県段階でも、地域からの相談に対応する。

<よい食品を選ぶ能力とツール>
*5-1:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=28510
(日本農業新聞 2014/7/1) 小学校の農業学習 市町村ぐるみ 導入広がる
 全国で小学生に農業を学ばせる動きが広がっている。「総合的な学習の時間」の半分を米や野菜作りに充てたり、町が教育用農場を整備したり、地域ごとに知恵を絞る。従来は学校単位での活動が中心だったが、市町村ぐるみで全校・全児童を対象に取り組む例が増えてきた。先行して実践する小学校で、農業に触れた児童が「友達と協力する楽しさ」や「食べ物への感謝」を学べたことに、自治体や教育関係者が注目し、農業学習の背中を押す。
●感謝の心や協調性養う 福島の成功例に注目
 先進事例として知られるのが、福島県喜多方市だ。2007年度から小学校の授業で「農業科」を開始。現在は市内全17校の3~6年が「総合的な学習の時間」の授業70時間のうち35時間を使い、水稲や野菜作りに励んでいる。児童にやりがいを感じてもらうため、作物は種子から栽培。除草や収穫は手作業にこだわる。JA職員などから栽培指導を受けたり、収穫した作物は地域の人と一緒に食べたりと、地域ぐるみの取り組みが特徴だ。児童の感想文には「友達と協力する楽しさを教えてくれた」「食べ物に感謝の気持ちが持てるようになった」といった思いがつづられている。こうした児童の気付きや心の成長が、自治体や教育関係者の注目を集めるきっかけとなっている。
 士別市は「地域資源を学校教育に生かしたい」(教育委員会)と、15年度から小学校の授業に農業を取り入れる。初年度は小学全8校のうち5校で始め、16年度に全校に広げる予定。3~6年の各学年で35時間の授業を行い、児童には水稲や野菜の生産から流通まで幅広く学んでもらう構想だ。同委員会は「手を掛けて農作物を育てることで、根気強さなどを培ってほしい」と期待する。北海道では美唄市も10年度から小学校教育に農業を導入した。生活科などの時間を使い、全5校の全学年で花や水稲などを栽培。市民参加型のシンポジウムも用意し、児童による体験発表会も行っている。
 山口県萩市は、吉田松陰が主宰した「松下村塾(しょうかそんじゅく」にちなみ、「農下村塾(のうかそんじゅく)」と題した事業を昨年度から予算化。小学校全21校で、小学生のうち1年は必ず稲作を行うようにした。同市教育委員会は、授業を通し「地域の良いところや、職業としての農業の魅力を知ってほしい」と狙いを話す。
 学校給食の食材を、児童自ら生産する試みも始まろうとしている。北海道当麻町は今年度、町役場に隣接する農地1.9ヘクタールを買い取り、小学生が稲作などをする食育圃場(ほじょう)に整備する。来年度から地域の農家と協力し、小・中学校全3校の給食で使う米6トンを生産する計画だ。数品種を栽培する予定で、町は「町や農業の歴史を知るきっかけにしながら、味覚教育にもつなげたい」(農林課)と意気込む。

*5-2:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=28439
(日本農業新聞 2014/6/26) 食品表示基準 加工食品で義務強化 消費者庁最終案
 消費者庁は25日、内閣府の消費者委員会食品表示部会で、加工食品の栄養表示義務化の基準などをとりまとめた食品表示基準の最終案を示した。加工食品にはエネルギーやたんぱく質などの表示を義務付ける他、消費税を納めない小規模事業者など例外規定も明記。加工食品と生鮮食品の区分を明確化し、アレルギーの表示ルールも変更する方針だ。ただ、一部制度の見直しをめぐって委員の意見が分かれたため、今後、パブリックコメントや全国で開く説明会で意見を募る。
●アレルギーも変更
 最終案は、2015年6月に施行する「食品表示法」の基準に向けた、たたき台となる。現行の表示制度から大きく変わる点は(1)栄養成分表示の義務化(2)アレルギー表示のルール改善(3)加工食品と生鮮食品の区分の統一――など。加工食品には原則、熱量など栄養表示を義務付けるが、消費税法第9条に規定する課税売上高1000万円以下の事業者、業務用加工食品、食品関連事業者以外は栄養成分を表示しなくてよいとした。また、酒類など一部の加工食品は除く。これまで表記していた「ナトリウム」は「食塩相当量」として表示する。加工食品と生鮮食品の定義も整理した。乾燥させた野菜や果実など食品衛生法で従来、規定のなかった簡単な加工を加えた食品を「加工食品」と明確に位置づけ、アレルゲンや製造所の表示を義務付ける。この他、パンや生クリームなど特定加工食品は廃止しアレルゲンの表示を義務付ける。見直しをめぐって同部会では、JAS法、食品衛生法、健康増進法の3法にまたがる58の現行の表示ルールの一元化を目指し、同部会が3つの調査会を設けて約半年間、検討してきた。同庁は最終案を基に7月にパブリックコメントや全国の主要都市で説明会を開いた後、今秋にも同委員会に基準案を諮問、年内にも同委員会が答申する見通しだ。ただ、この日の会合で、製造者情報の記載を省略できる「製造所固有記号制度」の見直しなどで意見が出たため、委員の提案と同庁の案を併記して一般からの意見を求める。
<解説> 現場の負担に配慮を
 消費者庁がパブリックコメントにかける食品表示基準の最終案は、示された加工食品の栄養表示の義務化について課税売上高1000万円以下の事業者が対象から外された。しかし、6次産業化に取り組む大規模農家にとっては経営を圧迫しかねない。消費者や加工・販売事業者にも混乱が広がる恐れもある。決定に当たっては、現場の課題を丁寧にくみ取り、表示コストと労力負担の軽減に向けた環境整備が求められる。消費税法で線引きした加工食品の栄養表示の義務化を免除する特例範囲は、小規模な事業者らの負担に配慮したものだ。同庁によると、加工食品の表示義務ではおよそ半数の事業者が特例を適用されず、加工品を開発するJAや農業法人の大半は表示義務が課せられる見込みだ。今後は、全加工品の栄養成分の検査負担に加え、表示シールや包装のデザインの変更を余儀なくされる他、直売所などでは表示の有無で混乱が生じるのも懸念される。農業法人などからは「加工事業者の負担が増える一方で、消費者が本当に求めているのか」といった疑問の声も上がる。食品表示法は消費者にとって分かりやすい表示を目指した新基準だが、現場の理解を得られなければ実現しない。農家や地域の創意工夫を伴って加工品が開発、販売されており、開発の努力や意欲に水を差すことがないよう配慮が欠かせない。


PS(2014.7.18追加):私は、(2)に「預金者保護のために、農協の金融改革は必要だ」と記載したが、それは、*6にも書かれているような「金融・保険部門を譲渡して営農や販売に集中する」という目的ではなく、預金者保護や被保険者保護が目的だ。農協の金融・保険部門の譲渡は、農業改革よりもむしろ金融機関や保険会社の要請ではないだろうか。しかし、農協も、事業部門と金融部門の経理をどんぶり勘定にしていると、預金の引き出しや保険金の支払い原資を確保できなくなる可能性が高いため、農協が、一定の地域毎(例えば、道州や県など)に金融子会社を所有してはどうかと思う。農林中央金庫は日本中から金を集めて、他の金融機関と一緒にアメリカのサブプライムローンに貸し出しを行い、その質の悪い貸し出しのために大損害を蒙ったような状況であるため、農協の子会社となる地域金融機関が、地域の農業、街づくり、環境に役立つ貸し出しを率先して行うというスタンスを維持し、それをアピールすれば、預金者の共感を得られて、預金ももっと集まると考える。銀行名は公募すればよいと思うが、例えば、「JABank みどり」とか「あすなろ銀行」とか・・。

*6:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=28802
(日本農業新聞 2014/7/17) [規制改革の論点 3] 農協(2)信用事業 譲渡の是非 見極めて
 規制改革では、単位農協の金融事業についても、大きな改革を求めている。政府の規制改革実施計画によると、単協の信用事業は支店・代理店方式(信連や農林中央金庫に事業を譲渡し、単協に支店を置いたり、単協が代理店になったりして金融サービスを提供する方式)を推進する。既に実質的な代理店方式となる「共同元受方式」を導入している共済事業も、さらに単協の事務負担を軽減する方式を全共連が提供する。いずれも、今年度中に検討して結論を出し、必要があれば通常国会に関連法案を提出するとしている。特に論点になるのが信用事業の支店・代理店方式だ。この狙いを政府は「単協の負担を減らし経済事業に全力投球するため」と説明する。年々強化される国際的な金融規制に対応する負担が増す中、同方式を導入すれば単協は規制を回避できる利点もある。政府は既に同方式を可能にする規定を法律で整備済み。農協系統ではないが、漁協系統では導入が進む。農協系統でも導入を促すために規制改革実施計画では、代理店方式で得られる手数料水準を農林中金や信連に早急に示すことも求める。ただ、同方式に懸念も少なくない。単協は自ら総合事業を行うことで、営農・経済と一体的に個々の農業者の実情に応じたきめ細かな融資対応ができる。支店・代理店になれば定型化された商品だけを扱い、組合員のニーズに応じた柔軟な対応ができず、かえって営農資金などの利便性を損なう恐れがある。支店・代理店方式を導入した場合、単協にどんなメリット・デメリットがあるのか、議論は十分とはいえず、はっきりしない部分も多い。まず丁寧に議論し、そこを明確にする必要がある。また、導入するかどうかはあくまでJAグループ自ら選択することが基本であり、強制されることのないように制度で担保することが欠かせない。

| 農林漁業::2014.2~7 | 02:42 PM | comments (x) | trackback (x) |
2014.7.11 地域と協働した鉄道会社のチャレンジは、地域に見返りのあるものにすべきである。
    
             九州JR駅弁大会入賞作品
(1)東京生まれ、東京育ちで専業主婦を持っている増田氏は、この検討には向かない
 *1-1のように、増田寛也氏が、「①日本は2008年をピークに人口減少に転じ、推計では48年に1億人、2100年には5000万人を下回る」「②日本特有の人口移動で、東京圏に全国から若者が集まり続けるが、どの国も人口が密集する大都市圏の出生率は低い」「③大都市圏に流入した人口が高齢化し、東京圏は40年までに高齢化率35%の超高齢社会となる」「④1万人規模の人口を維持できない市町村は消滅可能性が高く、北海道、青森、山形、和歌山、鳥取、島根、高知の7道県ではこうした市町村の割合が5割を超える」「⑤農業の立て直しも重要」「⑥若者の雇用を守るためにも医療介護機能を集約し、高齢者を誘導して街全体のコンパクトシティー化を進める必要がある」「⑦地方の医療介護を中心としたコンパクト・シティー化に東京も関わり、東京の高齢者の受け皿としていくべき」などとしている。

 しかし、①は、少子化した原因として保育・学童保育など働く女性に必要なインフラ不足を言い始めた頃から、「子どもを産まないのがいけない」とすり替えてアピールするために使っているもので、これまでの厚労省の怠慢を棚に上げ、子どもがいない人に責任をなすりつけている。そして、過去50年、具体的には保育・学童保育の整備すらしてこなかった為政者が、突然、次の50~100年の人口推計を言い始めるのもおかしく、その意図は見え見えで、科学的でない。その結果、結婚するか否か、子どもを産み育てるか否かは個人の自由であるにもかかわらず、*1-2のように、少子化対策について質問中の女性国会議員に男性国会議員が「子どもを産まないと駄目」とヤジったり、*1-3のように、父子家庭の市議が父子家庭への支援策を質問したら「再婚した方がいい」とヤジられたりする事態となったのである。

 ②については、保育・学童保育の待ち行列がなくなったとしても、人口過密地帯で遠距離通勤・高コストの狭い家で育てることのできる子どもの数は0か1なのであり、地方では既に保育・学童保育の待ち行列はなく、通勤時間は短く、広い家に住めるため、教育費の限界を考慮しても、育てられる子どもの数が2か3になるので、事実である。

 しかし、いくら高齢化しても、③⑥⑦のように高齢者をやっかい者扱いし、「受け皿を作って田舎にやれ」という発想は冷たいし、適切でない。さらに、医療介護は若者の雇用確保のためにあるのではなく、それを必要とする人を助けるためにあるので、間違ってはならない。これがわかっておらず、「老人からはむしり取れ」と主張する倫理観のない“有識者”の意見は、老人を食い物にして罪の意識を持たない若者(オレオレ詐欺や老人を騙す詐欺的販売者など)を増やす結果となっている。

 なお、農林漁業やその他の産業を振興して地方都市に若者の雇用ができ、知的刺激なども都会に劣らず得られるようになれば、④のようなことはなくなる。しかし、そのためには、農林漁業など地方固有の産業を儲かる産業にし、新幹線やリニア新幹線の整備などで都会との往来に時間がかからないようにすべきであり、一律なコンパクトシティー化は農林漁業の振興に逆行する。

(2)地域と協働した鉄道会社のチャレンジは、地域に見返りのあるものにすべきである
 *2のように、田園風景を守り旅客を確保するため鉄道会社が農に関心を持ち、JR九州は、観光列車「ななつ星」だけではなく、農業生産法人「JR九州ファーム」を持ち、農業生産や加工・販売を充実させている。同社は「景観を維持するためにも、後継者不足が課題となっている地元農業を支える必要があると考えた」としており、このような地域貢献の意識があるからこそ、JAも技術指導をしたり、地域が協力したりしているわけだ。

 そのような時に、*3のように、地域が協力してせっかく儲かったJR九州株を売却し、その売却益を北海道整備新幹線建設に回すのは見識がない。地域と協力して利益を上げたJR九州株の売却益は、九州で再投資すべきであり、それぞれの地域のJR株式売却益は、それぞれの地域でリニア、新幹線、その他の鉄道関係施設の建設に再投資するのが、今後の地域との協働のためによいと考える。

 なお、JR九州は、上の写真のように駅弁大会を行って九州の農業・漁業に貢献している。2016年度までの上場を目指しているそうだが、関東から見れば、未開発な部分の多い九州鉄道の潜在力は大きいため、駅ビル・不動産開発、リニア、新幹線、その他の鉄道の整備などで、地方に住む不便を解消してもらいたい。それは、結局は、農林漁業の振興や人口政策にもよい影響を与えると考える。

*1-1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20140403&ng=DGKDZO69267240S4A400C1KE8000 (日経新聞経済教室 2014.4.3) 
地方戦略都市に資源集中、増田寛也 元総務相・前岩手県知事
〈ポイント〉
  ○人口減は東京集中と地方消滅が同時に進行
  ○地域の戦略都市は研究機能高め雇用を創出
  ○東京は国際化や高齢者の地方移住も検討を
 日本は2008年をピークに人口減少に転じた。推計では48年に1億人、2100年には5000万人を下回る。人口減少は容易には止まらない。合計特殊出生率は05年以降反転し、12年は1.41まで回復したが、出生数は前年より1万3000人減少した。子どもを産む女性の人数が減ったからだ。鍵を握るのは人口の再生産力をもつ20~39歳の若年女性人口で、9割以上の子どもがこの年齢層から生まれる。第2次ベビーブーム世代(1971~74年生まれ)は外れつつあり、それ以下の世代の人数は急減する。仮に30年に出生率が人口減少を食い止めるのに必要とされる2.1になっても、出生数の減少が止まるのは90年ごろとなる。日本特有の人口移動がこれを加速する。高度成長期やバブル経済期、地方から大都市圏へ大規模な人口移動があった。東京圏は現在も流入が止まっていない。政治・経済・文化の中心として集積効果が極めて高く、首都直下地震のリスクが叫ばれつつも全国から若者が集まり続ける。実に国全体の3割、3700万人が東京一極に集中している。先進各国では大都市への人口流入は収束しており、日本だけの現象だ。どの国も人口が密集する大都市圏の出生率は低く、東京都も1.09と全国最下位である。一極集中が人口減少を加速している。問題は、さらなる大規模な人口移動が起こる可能性が高いことだ。若年層が流出し続けた地方は人口の再生産力を失い、大都市圏より早く高齢化した。今後は高齢者が減り、人口減少が一気に進む。一方、大都市圏は流入した人口がこれから高齢化していく。特に東京圏は40年までに横浜市の人口に匹敵する388万人の高齢者が増え、高齢化率35%の超高齢社会となる。15~64歳の生産年齢人口の割合は6割に低下し、医療や介護サービスの供給不足は「深刻」を通り越し「絶望的」な状況になる。地方から医療介護の人材が大量に東京に引っ張られる可能性が高い。日本の人口減少は東京への人口集中と地方の人口消滅が同時に進む。都市部への人口集中が成長を高めると言われる。短期的には正しいが、長期的には逆だ。高齢者減少と若者流出という2つの要因で人口減少が進み、一定の規模を維持できなくなった地方は必要な生活関連サービスを維持できず消滅していく。東京は当面は人口シェアを高めていくが、やがて地方から人口供給が途絶えたとき、東京もまた消滅することになる。筆者は経営者や学識者有志とともに、国立社会保障・人口問題研究所の「日本の地域別将来推計人口(13年3月推計)」を用いて国土全体を俯瞰し、地域ごとの将来像を推計してみた。現在の出生率が続いた場合、若年女性人口が30年後(40年)に半減する地域は、出生率が2.1に回復しても流出によるマイナス効果が上回り、人口減少が止まらなくなる。このうち一定規模の人口(1万人を想定)を維持できない市町村は「消滅可能性」が高い。結果は人口移動が収束する場合、消滅の可能性が高い市町村は243(全体の13.5%)に対し、人口移動が収束しない場合は523(29.1%)と大幅に増えることがわかった。北海道、青森、山形、和歌山、鳥取、島根、高知の7道県ではこうした市町村の割合が5割を超える。東京と地方のあり方を見直し、人口の社会移動の構造を根本から変える必要がある。若者の東京流出を抑え、東京の高齢者の地方移住を促す。地方では生活関連サービス機能の維持に向け、郊外の高齢者の中心地移住を促進する。国土全体を俯瞰し、地域ブロックごとに戦略的拠点都市を絞り込み、バラマキではなく集中的に投資することが必要になる。「国土の均衡ある発展」でも「多極分散型国土形成」でもなく、地域の特徴を踏まえた戦略的開発とネットワーク化を通して日本全体の総合力を向上していく。
 若者の社会移動対策で必要なのは産業政策の立て直しである。戦略的拠点都市を中心に雇用の場をつくり、若者を踏みとどまらせる「ダム」とする。東京は労働や土地などの生産コストが高く日本の高コスト体質を生んでいる。上場企業の5割が本社を首都に置くような国は日本だけであり、変える必要がある。地方の産業政策としては円高による空洞化を経験した現在、工場誘致には限界がある。若者の高学歴化も視野に、時間はかかっても産業の芽となる研究開発機能の創出に取り組むことが必要だ。政策の一環に人材供給やイノベーション(技術革新)の基盤である地方大学の機能強化を組み込み、インフラなど環境整備と連携させていく。地元で学び、地元で働く「人材の循環」を地域に生み出す。
 農業の立て直しも重要だ。先の推計でも農業振興に成功した秋田県大潟村は消滅を免れる結果となった。職業として農業を志向する若者は増えている。東日本大震災を契機に地元に戻り、IT(情報技術)を生かした農業を始めたり、総務省の「地域おこし協力隊制度」で地方に移住して大学院出のキャリアを生かして地域活性化に貢献したりする事例が各地でみられる。こういう意欲ある若者が活躍できる社会に変えることが、これからの政策の中心となる。
 地方の高齢者対策では生活関連サービスの多機能集約化が必要である。地域ブロックごとに医療介護の戦略拠点をつくり、そこを中心に多様なサービス機能を集約する。直近10年、地方の雇用を支えたのは高齢者の増加に合わせて拡大した医療介護だったが、高齢者が減っていけば広域で医療介護を支えることは難しくなる。若者の雇用を守るためにも医療介護機能を集約し、高齢者を誘導して街全体のコンパクトシティー化を進める必要がある。問題となるのが、自動車での移動を前提に開発された郊外宅地だ。住民が高齢化して運転できなくなり、生活困難者となる可能性がある。中心地への移住を希望しても、不動産に買い手がつかないケースもある。コミュニティーバスなどでの支援も考えられるが、対象区域が拡大していけば、やがて難しくなるだろう。農地中間管理機構の住宅版として郊外住宅地管理機構のようなものをつくって住宅地を借り上げ、若者に安価に提供するような施策を検討する必要がある。
 一方、東京は世界の金融センターとして国際競争力を高め、グローバルに高度人材が集う国際都市にしていくことが望ましい。大学の国際化や企業の雇用多様化をもっと大胆に進めていく必要がある。国際機関の本部機能の誘致も重要だ。現在、日本には約40の国際機関事務所があるが、多くは欧米に本部を持つ機関のブランチにすぎない。
 超高齢化への対策も必要だ。医療介護人材の育成に全力を挙げないと東京はいずれ立ち行かなくなる。地方で余る介護施設の活用を視野に高齢者の地方移住の促進も真剣に取り組むべきだろう。地方の医療介護を中心としたコンパクト・シティー化に東京も関わり、東京の高齢者の受け皿としていくべきだ。老後もできる限り住み慣れた土地で過ごしたいと考える人は多い。元気なときに地方にセカンドハウスを持つことを支援するような施策も必要となる。人口が減れば、国民1人当たりの土地や社会資本は増える。これをいかに有効活用できるかが、これからの日本の豊かさを左右する。国には都市や農地といった行政区分を超え、国家戦略として国土利用のグランドデザインをつくり直すことを強く求めたい。
*増田 寛也 
  略歴(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A2%97%E7%94%B0%E5%AF%9B%E4%B9%9Fより)
  1951年生まれ。
  1970年 - 東京都立戸山高等学校卒業
  1972年 - 東京大学入学
  1977年 - 東京大学法学部卒業。建設省入省
  1982年 - 千葉県警察本部交通部交通指導課長
  1986年 - 茨城県企画部鉄道交通課長
  1993年7月5日 - 建設省河川局河川総務課企画官
  1994年7月1日 - 建設省建設経済局建設業課紛争調整官
  1995年 - 岩手県知事初当選(当時全国最年少43歳)
  2007年8月27日 - 第1次安倍改造内閣で総務大臣

*1-2:http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2014070502000230.html (東京新聞 2014年7月5日) 男女平等 程遠い日本 女性蔑視やじ問題
 東京都議会を舞台にしたやじ問題は波紋を広げ、国会でも自民党の大西英男衆院議員(67)が女性議員に「子どもを産まないと駄目だ」と言い放ったと認めた。非常識な発言は女性の社会進出の遅れを反映しており、未婚や子どもを持たない女性への偏見を浮き彫りにした。同様の問題は他の先進国にも残るが、女性の社会進出が広がるにつれ偏見が薄れる傾向も浮かぶ。米調査機関ピュー・リサーチ・センターの報告によると、米国では四十~四十四歳の女性のうち、出産歴のない人の割合は一九七六年には10%だったが、二〇〇八年には18%とほぼ倍増した。「充実した結婚生活のために子どもは非常に大切」と答えた人は九〇年に65%だったが、〇七年には41%に低下。子どもを産まないという生き方が広がった。その結果「子どものいない女性への世間の目は寛容になった」(報告をまとめた専門家)。米家族・結婚研究センターのスーザン・ブラウン共同所長は「結婚の意義を子育て以外に見いだす女性が増えている」と分析した。女性の大学進学や共働きが増えるにつれ、偏見が後退する構図は韓国でも見られる。かつては儒教文化を背景に、結婚や出産を経験していない女性への風当たりが強かったが今では社会の圧力は表向き後退した。未婚の朴槿恵(パククネ)氏が昨年、大統領に就任する以前から、結婚や出産に関わるやじには厳しい。〇六年には酒席で女性記者にセクハラ行為をした野党議員(当時)に対する辞職勧告決議案が国会で可決された。日本と同じく少子化の危機が叫ばれたフランスでは「女性への出産圧力は強い」(国立人口統計学研究所)。だが、個人の選択を尊重する考えも社会に浸透。リベラシオン紙はやじ問題を「日本社会にはびこる男性優位主義」と批判した。先進国の中でも日本は女性の社会進出が特に遅れている。一四年版男女共同参画白書によると、女性管理職の割合はフィリピン(47・6%)や米国(43・7%)、フランス(39・4%)などの上位国を大きく下回る11・2%。圧倒的な男性優位社会がやじ問題の背景に潜んでいるといえそうだ。

*1-3:http://www.saga-s.co.jp/news/national/10202/82886
(佐賀新聞 2014年7月11日)  「再婚したほうがいい」とやじ、旭川、父子家庭市議に
 北海道旭川市議会の一般質問で、妻を病気で亡くした男性市議が、同じ会派の男性市議から「再婚したほうがいい」とのやじを受けていたことが11日、分かった。やじを受けた保守系会派、市民クラブ所属の木下雅之市議(37)によると、6月25日の本会議で、自身の経験を踏まえて父子家庭への支援策を質問した際、同じ会派の福居秀雄市議(57)からやじがあった。取材に対し福居市議は「『再婚した方がいいね』とつぶやいた。木下市議の境遇を知っており、エールのつもりだったが、議会では不適切だったかもしれない」と釈明した。

*2:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=28548
(日本農業新聞 2014/7/3) 鉄道会社が農に関心 田園風景守り旅客確保
 鉄道各社が農業への関与を深めている。農業経営への参入や沿線の特産品の販路開拓、駅構内での農産物直売など手法はさまざまだが、共通するのは農業・農村の現状に対する危機感だ。鉄道観光の魅力である田園風景の荒廃や沿線の過疎化は、旅客の減少に直結するためだ。農村の活性化は鉄道事業者にとっても、他人任せにできない大きなテーマになりつつある。九州各地を巡る観光寝台列車「ななつ星」の運行を昨年10月から始めたJR九州(福岡市)。豪華な装備やおもてなしに加え、車窓から望む雄大な自然や田園風景を売りに国内外から旅行者を呼び込む。そんな同社が7月1日に発足させたのが、農業生産法人「JR九州ファーム」だ。既に2010年から福岡、熊本、大分、宮崎の4県でニラやサツマイモ、トマト、ピーマン、かんきつ類を栽培してきた。関連会社4社を一本化し、農業生産の他、加工・販売を充実させる。
●野菜を生産、販路の開拓・・・
 畑違いの農業に参入するのには理由がある。観光などで同社の路線を利用する乗客からは「田園の風景が素晴らしかった」など農村景観への好感度が高く、鉄道利用の大きな動機づけになっているという。一方で、農村部では耕作放棄地が増大している現実がある。同社は「景観を維持するためにも、後継者不足が課題となっている地元農業を支える必要があると考えた」と説明。技術指導を受けるJAを通じて農産物を出荷してきた実績を生かし、地域と調和した農業の展開を目指す。長野市と近郊の農業地帯を結ぶ長野電鉄(同市)は、主要駅の改札口や待合スペースに直売コーナーを設け、特産のきのこやリンゴに加え、農産加工品を売る。同電鉄は旅客の減少に伴い、3本あった路線を1本に縮小。最大約70キロあった営業キロ数は、半分の33キロになった。農産物の販売には、地域との結び付きや乗客の利便性を高め、鉄道利用の活性化につなげたいとの思いがある。湯田中温泉や栗の産地として有名な小布施といった沿線の観光地を訪れる客に、ローカル色豊かな鉄道の魅力をアピールする狙いもある。「輸送人員の減少に歯止めをかけるには沿線の活性化が不可欠」と話すのは西日本鉄道(福岡市)。今年5月にスローガン「農業イノベーション~西鉄の第6次産業に向けた挑戦」を打ち出した。福岡県のJA柳川産のイチゴ「あまおう」を使ったスパークリングワインを同県内のワイナリーで製造。6月から始まった首都圏の高級スーパーやJA全農が展開する飲食店、香港での取り扱いの橋渡しをした。特産品を通じて沿線の知名度を高め、観光などで訪れる客の増加につなげる構想だ。こうした取り組みについて、鉄道会社や商社との連携に関わる近畿大学の宇都宮直樹農学部長は「鉄道会社は系列にスーパーやホテルなどの販売先を持つため、比較的農業に取り組みやすい」と指摘。「ただ最終的には 栽培技術力が重要なので、生産者との連携が必要だ」と話す。

*3:http://www.saga-s.co.jp/news/national/10202/81805
(佐賀新聞 2014年7月8日) JR九州株売却で延伸工期短縮、整備新幹線の財源に
 整備新幹線の延伸区間の工期を短縮するための財源として、JR九州の株式を上場し、売却益の一部を充てる案が政府、与党内で浮上していることが8日、分かった。売却益を整備新幹線の建設に回すには旧国鉄債務処理法の改正などが必要なことから、国土交通省は有識者会議の設置を検討している。JR九州と北海道、四国の3社の全株式は、国交省の所管で整備新幹線を建設する鉄道建設・運輸施設整備支援機構が保有している。JR九州は駅ビル、不動産事業などで収益の改善を図っており、2016年度までの上場を目指している。

| 経済・雇用::2014.6~2015.10 | 05:12 PM | comments (x) | trackback (x) |
2014.7.8 原発は廃止の時である (2014.7.9追加あり)
     
        *1-3より           2014.6.26毎日新聞より

(1)原発の新規制基準は、本当に世界一厳しく、十分な基準になったのか?
 *1-1、*1-3に書かれているように、原子力規制委員会は、7月9日か16日に九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県)の合格証となる「審査書案」を提示する方針を固めたそうだが、新規制基準は想定が甘いと言われ、本当に世界一厳しい基準かどうかは、実際に他国の基準と比較した上で判定すべきだ。また、「規制委が開いた審査会合は122回に上る」とも書かれているが、監査の常識から見ると、電力会社が提出した分厚い書類に目を通すだけで審査終了というのは、形だけの審査で安易すぎる。

 そのような中、*1-2のように、昨日、公認会計士協会東京会が主催して、小泉元総理に「日本の歩むべき道」と題して講演していただき、小泉元総理は、「①原子力発電所推進の論理は完全に破たんしている」「②今後も原発ゼロにする国づくりを一歩でも進めていく」「③世界一厳しい安全基準だと政府は主張するが、他国と比較したことはない」「④再稼働できるわけがない」「⑤他の電源に比べて原発コストは安いというのも嘘どころか一番『金くい虫』だ」「⑥最終処分場も原発ゼロ決定後でなければ理解は得られない」という話をされた。私も、①~⑥に全く同感だ。

 また、*1-4のように、民主党の菅元首相も、衆院予算委員会の質問で、「①政府のエネルギー基本計画案は、原発拡大計画だ」「②事故以前と全く変わっていない。反省のかけらもない」「③自治体が安全に避難できないから原発は動かさないでくれと言った場合、再稼働しないのか・・、責任を持たないということがはっきりした」「④原発事故当時、東京中から一人残らず逃げなければならないギリギリの状況だった」と批判されており、これらが、実情や経緯を知っている人の率直な感想だ。

(2)福島第一原発事故後の対応について
 *2-1のように、福島原発事故の影響で拡散した放射性物質を取り除く除染で出た土などを住宅の庭先などに一時的に保管している場所が、福島県内で5万3000か所に上っているが、中間貯蔵施設建設の具体的な目途はたっていないそうだ。原発事故後の対応や政府のエネルギー基本計画を知れば、「政府を信用して協力することはできない」と考えるのは当たり前である。

 また、*2-2に書かれているように、「年間追加(ここがポイント)被曝線量の限度は1ミリシーベルト(=毎時0.23マイクロシーベルト)」とすり替えられて伝えられてきたが、正しくは「年間被曝線量の限度は1ミリシーベルト以下」である。これを今認めているのは、関東地方の線量が下がってきたからだろう。これまでは、毎時0.23マイクロシーベルト(年間2ミリシーベルト)前後だった。

 さらに、*2-3のように、原子力規制委員会の田中委員長は、一般の食品に含まれる放射性物質濃度を1キログラム当たり100ベクレルとした国の基準について「欧州の10分の1以下(の厳しさ)で非常に疑問だ」と述べ、近く設置する放射線審議会で、基準緩和も含めた見直し議論が必要との認識を示したそうだが、外部被曝を受け、内部被曝は空気中のゴミからも受けている場所で、それらがない地域と同じ食品基準でよいわけがない。原子力規制委員会の田中委員長は、原子力発電の専門家ではあっても医学や生物学の専門家ではないため、単純な比較で食品基準の緩和を言い出すべきではない。

 もっと呆れるのは、*2-4の「凍土壁」や汚染水を凍らせ氷の壁を作って止水する莫大な費用をかけた工事だ。これを考えた人は、地下水の分量や流れ方について推測できない人だろうが、地下水の流量と熱交換を考えれば、2か月たった現在も凍らないのが当たり前である。それにしても、いい加減な計画のために莫大な費用を投入している。

(3)このように、原発推進論者の言うことは信用できない
 このように、原発を推進することと税金を使うこと以外は何も考えていない原発推進論者に任せておくと、命がいくつあっても足りないため、*3-1のように、伊万里市の塚部市長は「国は30キロ圏外にまで被害が及んでいる福島原発事故の検証を真剣にやっているのか。立地自治体とか隣接自治体とか地図上の境界で判断するなんてナンセンスだ」と批判しており、そのとおりだ。

 また、*3-2のように、青森県で建設中の大間原発に、津軽海峡を挟んだ対岸にある北海道函館市が建設中止を求めている裁判で、函館市長が「事故が起きると深刻な影響を受ける函館市の同意もないまま、建設を進めるべきではない」と訴えたのも当然である。国や電源開発は、「自治体がこうした訴訟の原告になることは法律上、認められていない」などという手続き論で逃げるのではなく、「何故、いいと思うのか」を論理的に主張すべきだ。

 このような状況であるため、*3-3のように、九州電力川内原発(鹿児島県薩摩川内市)再稼働反対を訴える集会が開かれている。一般市民も、よく考えて意見表明すべきだ。

(4)何故、原発輸出を推進しなければならないのか
 *4-1のように、トルコとアラブ首長国連邦(UAE)に日本から原発の輸出が可能になり、トルコには、安倍首相がトップセールスをして輸出を決めた。また、*4-2のように、「東芝」のグループ会社がブルガリアの原発1基をおよそ5000億円で受注する見通しとなったそうだ。しかし、これは、日本の「原発ゼロ目標」とも矛盾するので、①何故、日本から原発輸出をしているのか ②何故、契約締結に繋がったのか などについて、メディアは明確にすべきである。

<原発政策>
*1-1:http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/140703/dst14070308050001-n1.htm (産経ニュース 2014.7.3) 川内原発に9日にも“合格証” 原子力規制委 再稼働は10月にずれ込みか
 再稼働に向けた安全審査が進む九州電力川内(せんだい)原発1、2号機(鹿児島県)について、原子力規制委員会が早ければ9日にも事実上の合格証となる「審査書案」を提示する方針を固めたことが2日、分かった。計12原発19基の安全審査の申請が出ているが、川内原発は新しい規制基準のもとでの合格第1号になる。今後は意見公募(パブリックコメント)などを経て審査書を確定、さらに地元の同意を得る必要があり、再稼働は10月にずれ込む可能性がある。九電は昨年7月、新規制基準の施行と同時に審査を申請。規制委はこれまで、川内原発だけでも約60回の公開審査会合を開き、昨年9月と今年4月に2度の現地調査を実施した。審査書案は新規制基準に適合しているかを基準項目ごとに記載する。これまでの審査会合で議論になった課題を中心に、規制委の新基準適合性への判定理由が書き込まれる。川内原発で特に大きな課題となったのは、想定される地震の最大の揺れを示す「基準地震動」。九電は当初540ガルで申請したが、規制委の指摘に従い、2回にわたり修正し、620ガルに落ち着いた。想定される基準津波も従来の3・7メートルから5メートルに変更した。ただ、合格の見通しが立ったのは、原発の基本設計や方針を見る「設置変更許可申請」と呼ばれるものであり、そのほか、機器類の詳細を確認する「工事計画認可申請」と、運転管理体制をみる「保安規定変更認可申請」の審査が残っており、すべて終えるのは8月以降になる。その後、鹿児島県や薩摩川内市など地元自治体の同意が焦点となるほか、原発の機器を検査する「使用前検査」が控える。使用前検査も1~2カ月程度かかるとみられる。

*1-2:http://jp.reuters.com/article/mostViewedNews/idJPKBN0FC0VX20140707
(ロイター 2014年 7月 7日) 原発再稼働「できるわけがない」、推進論は完全に破たん=小泉元首相
 即時原発ゼロを訴えてきた小泉純一郎元首相は7日、都内で講演し、原子力発電所推進の論理は完全に破たんしていると述べ、「今後も原発ゼロにする国づくりを一歩でも進めていく」と訴えた。世界一厳しい安全基準だと政府が主張する再稼働基準に異論を唱え、「再稼働はできるわけがない」と反論した。講演で小泉氏はあらためて、2011年3月11日の東日本大震災による東京電力 (9501.T: 株価, ニュース, レポート)福島原発の事故を契機に、「原発ゼロ」に舵を切ったことを説明。いまや「原発推進の論理は完全に破たんしている」と訴えた。安全神話が「嘘」だったことは大事故で判明した。「他の電源に比べて原発コストは安い」との論も「嘘どころか一番の『金くい虫』だ」と反論。「被害の賠償。廃炉までには40年─50年かかること。安全対策。作業員の確保。最終処分場確保にいたってはいまだにない」と述べ、推進論がこれらをコストに入れない「甘さ」を追求した。さらに小泉氏は「国民の税金投入なくして原発は成り立たない。しかも、この負担は、生きている人だけではなく、千年、万年の単位だ。こんな採算のとれない会社はやっていけないと考えるのが賢明な経営者だ」と糾弾した。再稼働にあたって政府が「世界一厳しい安全基準」をもとに判断すると言及している点についても、「米国の原発は住民の避難路を確保していなければ認められない。日本で避難路を作っているところはあるか。ない。これひとつとっても、世界一厳しい安全基準なんて(信じがたい)」と述べ、「再稼働はできるわけがない」と語った。「今後も原発ゼロに向けての国民運動を展開していかなければならない」と訴えた。
<最終処分場、原発ゼロ決定後でなければ理解得られず>
 最終処分場の選定について、「ゼロにすることを決定してからでなければ、国民の協力は得られない。再稼働し、これからまた核のゴミが増える段階で、処分場をつくるのに協力してほしいでは、住民の協力は得られない」とも語り、政治決断を行うにも「原発ゼロ」方針の明確化が不可欠だとの認識を示した。

*1-3:http://mainichi.jp/select/news/20140708k0000m040145000c.html
(毎日新聞 2014年7月8日) 原発新基準:施行1年 想定甘く審査遅れ
 東京電力福島第1原発事故を受け、原発の安全対策を強化した新規制基準が施行されてから8日で1年になる。電力9社が12原発19基で新基準に基づく安全審査を申請したが、福島第1原発と同じ沸騰水型を中心に審査は遅れている。原子力規制委員会は九州電力川内(せんだい)1、2号機について、新基準に適合しているとする審査書案を9日にも示し、事実上の「合格第1号」とする予定だったが、16日以降に先送りすることを決めた。新規制基準では、電力会社の自主的な取り組みに任せていた過酷事故対策を義務付け、地震・津波対策を厳しくした。地震や津波の想定を原発事故前と変えなかった点など、各社の対策の甘さが原因で審査が長期化し、規制委が開いた審査会合は122回に上る。比較的に審査が先行するのは、福島原発と炉の形が違う加圧水型だ。6原発12基が昨年7月に申請を済ませた。規制委は今年3月、地震と津波の想定が最初に確定した川内原発の審査を優先的に進めることを決めた。想定が規制委に認められたのは他に、関西電力高浜3、4号機だけだ。川内1、2号機の審査書案提示を先送りしたのは、田中俊一委員長らが審査書案の精査が必要と判断したためだ。審査書案提示後、意見公募や地元同意の手続きが必要なため、同原発の再稼働は10月以降になる見通しだ。沸騰水型は6原発7基が申請したが、事故時に放射性物質の放出を減らすフィルター付きベント装置の設置が義務化されるなど合格のハードルが高く、審査は進んでいない。南海トラフ地震の津波の来襲が予想される中部電力浜岡4号機や、敷地内に活断層があると規制委の有識者調査団に指摘されている東北電力東通原発など、当面の再稼働が困難とみられる原発の申請も相次ぐ。田中委員長は2日の定例記者会見で、審査の長期化について「(電力会社は)福島の事故が起こったという事実を厳しく受け止める姿勢に欠けている」と批判した。

*1-4:http://digital.asahi.com/articles/ASG2V42FJG2VUTFK004.html?iref=comkiji_redirect&ref=rss
(朝日新聞 2014年2月26日) 菅元首相、W元首相に触発 国会質問で原発政策非難
 民主党の菅直人元首相が26日、衆院予算委員会の分科会で、首相を退任してから初めて国会で質問に立った。東京電力の原発事故で陣頭指揮をとった菅氏は、政府のエネルギー基本計画案にかみつき「原発拡大計画だ」などと非難した。菅氏は、茂木敏充経済産業相に「事故以前と全く変わっていない。反省のかけらもない」と迫った。茂木氏は「前回の計画は菅首相の時に作られ、原発依存率50%とされた。どう考えても方針は大きく変わっている」と反論。自民党議員から「反省するのは民主党だ」とのヤジも浴びた。それでも菅氏は「自治体が安全に避難できないから原発は動かさないでくれと言った場合、再稼働しないのか」と追及。茂木氏が答弁を避けると、「答えないことで責任を持たないということがはっきりした」とやり返した。菅氏が質問に立ったのは本人の希望という。終了後、菅氏は、細川護熙、小泉純一郎の両元首相がタッグを組んだ都知事選に触れ「原発事故当時、東京中から一人残らず逃げなければならないギリギリの状況だった。それが共有されれば、都知事選の結果も異なる結果だっただろう。これまでに負けず発信していく」と語った。

<放射能汚染と国民>
*2-1:http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140606/k10015037141000.html
(NHK 2014年6月6日) 除染土の一時保管 5万か所以上に
 原発事故の影響で拡散した放射性物質を取り除く除染で出た土などを住宅の庭先などに一時的に保管している場所が、福島県内で5万3000か所に上り、去年12月の時点と比べて5000か所以上増えていることが県のまとめで分かりました。福島県内の除染で出た土などについて、国は中間貯蔵施設を建設し、運び込む計画ですが、設置されるまでの間、県内各地の仮置き場や住宅の庭先などで一時的に保管されることになっています。こうした保管場所について、福島県がことし3月末現在で調べたところ、仮置き場は46の市町村の828か所、住宅の庭先に埋めるなどする現場保管が37の市町村に5万3057か所と、合わせて5万3800か所余りに上ることが分かりました。前回、調査した去年12月末時点と比べ、仮置き場は30か所が増えたほか、現場保管については5600か所余りも増えていました。中間貯蔵施設を巡っては、政府が大熊町と双葉町に建設することを計画し、住民への説明会が開かれていますが、建設の具体的なめどはたっていません。福島県生活環境部の鈴木一夫環境回復推進監は「仮置き場の設置促進に取り組み、現場保管している土などを運び込めるようにしたい」と話しています。

*2-2:http://www.minyu-net.com/news/news/0706/news10.html
(福島民友ニュース 2014年7月6日) 「年間1ミリシーベルトこそ長期目標」 除染シンポで環境省
 環境放射能除染学会などは5日、郡山市で「放射能除染のための国際シンポジウム」を開き、参加者が県内で進められている除染の課題や今後の方向性について考えた。シンポジウムは同学会と環境省の主催。はじめに、平岡英治環境省大臣官房審議官が登壇し、県内で行われている除染の状況を説明。除染後の目標値とする年間追加被ばく線量「1ミリシーベルト」を達成するため、政府が目安としてきた空間線量「毎時0.23マイクロシーベルト」について、平岡審議官は「丁寧な説明なく言ってきた経緯があり、国も反省しなくてはいけない」と説明。その上で「毎時0.23マイクロシーベルトではなく、年間1ミリシーベルト以下が長期的な目標だということをしっかり伝えていきたい」と述べた。また計画に基づいた除染終了後、さらに必要箇所を除染したり、継続的なモニタリングや住民の個人線量の把握、健康相談などを行う「フォローアップ」の重要性を強調。「復旧・復興と除染の取り組みを連動し、除染から復興へという流れをつくっていく」と述べた。

*2-3:http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014030501002264.html
(東京新聞 2014年3月5日) 食品の放射性物質基準、緩和検討 規制委員長「厳格さ疑問」
 原子力規制委員会の田中俊一委員長は5日の記者会見で、一般の食品に含まれる放射性物質濃度を1キログラム当たり100ベクレルとした国の基準について「欧州の10分の1以下(の厳しさ)で非常に疑問だ」と述べ、近く設置する放射線審議会で、基準の緩和も含めた見直し議論が必要との認識を示した。放射線審議会は、被ばく線量評価や放射線医学などの専門家10人前後で構成する予定。また田中委員長は、原発事故の発生時に避難を始める放射線量の基準はあるが「(事故収束後に地元に)帰る基準は国際的にも明確じゃない」とし、日本が主導して、新基準を検討する必要があるとの考えを示した。

*2-4:http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140707/k10015815941000.html
(NHK 2014年7月7日) 汚染水十分に凍らず 具体的対策求める
 東京電力福島第一原子力発電所では汚染水が流れ込んでいる地下のトンネルで汚染水を凍らせて氷の壁を作り止水する工事が進められていますが、2か月たった現在も十分に凍っていないことから、原子力規制委員会は東京電力に対し、確実に凍らせる具体的な対策を今月中に示すよう求めました。福島第一原発では、高濃度の汚染水が建屋から「トレンチ」と呼ばれる地下のトンネルに流れ込み、ここから地下水に混ざって海に流れ出しているとみられています。このため東京電力は、ことし4月から2号機のトレンチの入り口に冷却用の配管を打ち込んで1か月程度で汚染水を凍らせ、氷の壁でふたをしたうえで汚染水を抜き取る計画でしたが、2か月たった現在も十分に凍っていません。この問題が原子力規制委員会の専門家の会合で取り上げられ、東京電力は、トレンチ内に汚染水の流れがあることが原因とみられるとしたうえで、対策を行うために汚染水の抜き取りを10月まで3か月延期すると説明しました。しかし、汚染水は1分間に2ミリ程度しか動いていないことから、規制委員会は東京電力に対し、確実に凍らせる具体的な対策を今月中に示すよう求めました。福島第一原発ではこれとは別に、建屋などへの地下水の流入を防ぐため1号機から4号機の周りの地盤を1.5キロにわたって凍らせる「凍土壁」の建設が進められています。このため委員からは「凍土壁も同じような問題を抱えているのではないか」と厳しく指摘されていたほか、凍土壁はトレンチを横切るように設けられることから、建設への影響を懸念する声も上がっています。

<脱原発行動>
*3-1:http://qbiz.jp/article/41446/1/ (佐賀新聞 2014年7月8日) 「原発の“地元”は国が明確に」 伊万里市長、エネ庁審議官らの発言批判
 九州電力玄海原発(佐賀玄海町)の再稼働に同意を求める自治体について、資源エネルギー庁の後藤収大臣官房審議官など3人が玄海町や県、唐津市を挙げ「その他は地元と相談して決めたい」と発言したことについて、伊万里市の塚部芳和市長は7日の定例記者会見で「言語道断。国が地元を明確にして(九電に)踏み込んだ指導をすべきだ」と批判した。後藤氏らは、2日の県議会原子力安全対策等特別委員会に参考人として招致され、議員の質問に答えた。塚部市長は「国は(30キロ圏外にまで被害が及んでいる)福島原発事故の検証を真剣にやっているのか。立地自治体とか隣接自治体とか地図上(の境界)で判断するなんてナンセンスだ」と批判。伊万里市などのように、ほぼ全域が原発から30キロ圏に含まれる自治体は「地元」とすべきだと主張した。一方、九電との安全協定締結交渉については「唐津市並み(の事前説明)の状況まで引き出せた」とした上で「求めているのは立地自治体並み(の事前了解)。この姿勢は貫く」と述べた。

*3-2:http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140703/k10015722261000.html
(NHK 2014年7月3日) 大間原発訴訟で函館市長が意見
 青森県で建設中の大間原子力発電所について、津軽海峡を挟んで対岸にある北海道の函館市が建設中止を求めている裁判が、東京地方裁判所で始まり、函館市長が「事故が起きると深刻な影響を受ける函館市の同意がないまま、建設を進めるべきではない」と訴えました。青森県大間町で建設中の大間原発は、東日本大震災で工事が一時中断しましたが、おととし10月に再開され、事業者の電源開発は運転開始を目指して、ことし秋にも安全審査を申請する準備を進めています。これに対し、津軽海峡を挟んで最も近い場所で23キロの距離にある函館市が、国と電源開発に建設中止を求める訴えを起こし、東京地方裁判所で3日から審理が始まりました。原発の差し止め訴訟で初めて自治体として原告になった函館市は、工藤寿樹市長が法廷で意見を述べ、「ひとたび事故が起きれば自治体としての機能が崩壊してしまう。函館市の同意がないまま建設をするべきではない」と訴えました。一方、国や電源開発は「自治体がこうした訴訟の原告になることは法律上、認められていない」などと主張して訴えを退けるよう求めました。函館市長「国は正々堂々戦うべき」函館市の工藤市長は裁判後の会見で、「被告の主張は姑息であり、裁判を入り口で止めたい考えが見え見えだ。国は原発をどうしてもやりたいなら正々堂々と戦うべきだ」と述べ、国と電源開発側の対応を批判しました。また、原告弁護団の海渡雄一弁護士は、「原発事故が起これば、函館市の財産が失われることになり、その財産権は法律でも保護されている」などと述べ、函館市に訴えを起こす資格はあると強調しました。

*3-3:http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014062801001612.html
(東京新聞 2014年6月28日) 都内の反原発集会に5千人 「再稼働認めない」
 原子力規制委員会が優先的に審査する九州電力川内原発(鹿児島県薩摩川内市)の再稼働反対を訴える集会が28日、東京都内で開かれた。参加者は「川内原発も他の原発も再稼働を認めない」「原発ゼロを推進させよう」と声を上げた。会場の明治公園(新宿、渋谷区)には、主催者発表で約5500人が集まった。ルポライターの鎌田慧さんは「福島のみなさんが苦しんでいる今、再稼働させないのは私たち市民に与えられた責務だ」と強調した。鹿児島県で反対運動に取り組む男性が「(事故時の)避難計画はずさん。川内原発を動かさないために一緒に闘ってほしい」と呼び掛けると、拍手が湧き起こった。

<原発輸出>
*4-1:http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/534417.html
(北海道新聞 2014年4月20日) 原発輸出 無責任すぎる経済優先
 トルコとアラブ首長国連邦(UAE)を相手にした原子力協定が国会で承認された。これで日本から両国への原発の輸出が可能になる。トルコについては、安倍晋三首相のトップセールスで決まった輸出を追認した形だ。国内で原発依存度を可能な限り低減するとしながら、成長戦略として海外へ官民一体で原発を売り込むのは、つじつまが合わない。福島第1原発は汚染水漏れなどのトラブルが続く。収束の見通しが立たない現状で、原発輸出を推進するのはあまりに無責任だ。とりわけ、トルコは世界有数の地震国である。さらに問題なのは、トルコとの協定に、核不拡散の抜け道になりかねない記述が含まれる点だ。日本が同意すれば、トルコはウラン濃縮や、使用済み核燃料からプルトニウムを取り出す再処理ができることになっている。このような核兵器転用につながる恐れのある文言は、UAEとの協定には見当たらない。岸田文雄外相は「日本政府が合意することはない」と釈明した。であれば、疑わしい部分は削除しても構わないはずだ。安倍首相は昨年、トルコを2度も訪問し、三菱重工業などの企業連合が原発4基の建設を受注することが固まった。問題の記述は、トルコ側の要望で入れられたという。これでは、首相がまとめた商談を円滑に進めるために、便宜を図ったと疑われても仕方あるまい。民主党が協定締結承認案の賛成に回ったのも理解し難い。政権担当時に原発輸出を進めたと言う理由で、核拡散の疑いさえある協定を認めるようでは、歯止めとしての役割をなさない。「原発ゼロ目標」とも矛盾する。首相は「過酷な事故を経験したことから安全性に強い期待が寄せられている」と述べ、原発輸出を正当化している。しかし、事故原因すら解明されていないのに、事故の経験まで売り物にする姿勢は、なりふり構わぬ経済優先と映る。政府は複数の国と原子力協定の交渉を行っている。この中に事実上の核保有国であるインドが含まれているのも看過できない。首相が先頭に立って売り込んだ原発が事故を起こせば、日本の責任も追及されるだろう。原発輸出を成長戦略の柱に据える安倍政権の方針は、危険で道義的にも許されない。

*4-2:http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140703/k10015705391000.html
(NHK 2014年7月3日) 東芝 ブルガリアで原発受注へ
 大手電機メーカー「東芝」のグループ会社が東ヨーロッパのブルガリアの原子力発電所1基をおよそ5000億円で受注する見通しとなりました。ブルガリアの原子力発電所を受注する見通しとなったのは東芝傘下の原子力プラントメーカー、「ウェスティングハウス」です。関係者によりますと、受注するのはブルガリアで建設が予定されている原子力発電所で、発電規模は110万から120万キロワット、受注額はおよそ5000億円になるとみられます。また、関係者によりますと、ウェスティングハウスは受注に向けて原発を運営するブルガリアの政府系電力会社の関連会社に対して数百億円の出資を検討しているというということです。大手電機メーカーでは、国内の原発新設が不透明な状況のなか、東芝と日立製作所がそれぞれイギリスで原発を計画している発電会社を買収したほか、日立はリトアニアなどでも受注に向けた交渉を進めていて海外での受注獲得に向けた動きが一段と強まっています。


PS(2014.7.9追加):*5-1のように、原発は膨大な数の作業員を被曝させている。そして、5ミリシーベルト超の被曝をして白血病になったケースでは労災が下りているが、フクシマ原発事故では、一般市民でもそれ以上の被曝をした人は少なくない。さらに、*5-2のように、廃炉時にも高線量を浴びる可能性がある。しかし、*6のように、国は、国策企業による環境破壊に対しては、被害者よりも企業の救済や国の体面を優先する傾向があるため、注意が必要だ。

<原発作業員の被曝>
*5-1:http://digital.asahi.com/articles/ASG384W3RG38UUPI001.html?iref=comkiji_redirect&iref=comtop_6_02 
(朝日新聞 2014年3月9日) 原発作業員1.5万人、5ミリ超被曝 汚染水対策で増加
 東京電力福島第一原発で事故後3年間に働いた約3万人のうち、約1万5千人が5ミリシーベルト超の被曝をしていたことがわかった。作業員の被曝は徐々に減ってきていたが、汚染水問題が発覚した昨夏以降に再び増加。厚生労働省は昨年末に東電を指導したが、被曝対策は今も不十分だ。福島第一原発では1日約3千人が働く。「年50ミリ超、5年で100ミリ超」の被曝で働くことが禁止されるが、この限度内でも健康被害が出ないとは限らない。白血病の労災認定基準は「年5ミリ以上」、放射線管理区域は「年5ミリ超」で、「5ミリ」は被曝管理上の一つの目安だ。東電の集計によると、2011年3月の事故から今年1月までに働いた3万2034人中、累積で50ミリ超を被曝したのは1751人、うち100ミリ超は173人。5ミリ超は半数近い1万5363人に上った。作業員は数カ月単位で働くことが多く、「累積5ミリ」の人の大半は「年5ミリ」の白血病労災認定基準を満たすとみられる。1カ月間で5ミリ超被曝した人は11年3月は2925人だったが、徐々に減って昨年6月は98人に。だが東電が昨年7月に海への汚染水流出を認め、土中の遮水壁などの緊急工事を始めたり、汚染水タンクの見回りを増員したりした後に急増。7月は117人、8月は186人、9月は312人、10月は398人だった。厚労省は被曝が増加に転じたことを問題視し、昨年11、12月に立ち入り調査を実施。放射線遮蔽(しゃへい)板の設置や作業員の短時間交代の徹底を東電に指導した。原子力規制委員会も昨年10月、東電に被曝対策の具体化を指示。東電は今年1月、敷地内の除染▽高線量のがれき撤去▽敷地のアスファルト舗装▽線量表示器50カ所以上、ダストモニター10カ所以上設置▽高線量箇所の遮蔽――を行う考えを示した。ただ完了目標は来年3月で、事故後3年たっても作業環境は改善されていない。東電は「汚染や被曝の元となるがれきの除去をすでに始めている。対策を加速していく」(小野明・福島第一原発所長)としている。

*5-2:http://qbiz.jp/article/32482/1/
(西日本新聞 2014年2月20日)  【廃炉の課題 福島から1】 建屋 作業を阻む高線量
 福島第1原発3号機の薄暗い原子炉建屋の1階にロボットのエンジン音が響いている。粉々のコンクリートやシートを一つずつ取り上げ、コンテナに運ぶ。ロボットに搭載したカメラの映像からは、爆発した3年前の惨状が伝わってくる。ロボットの名前は、はさみがついた二つの腕を持つ「ザリガニ」を意味するスペイン語と、「福島に再び美しい空を取り戻したい」という願いを組み合わせた「アスタコ・ソラ」。日立グループが1年かけて小型の重機を基に無線操作型に改良。昨年7月に廃炉作業に投入された。現場は、原子炉格納容器と厚さ1・5〜2メートルのコンクリート壁で隔てられているものの、放射線量は最高で毎時1シーベルト。人間が10時間で死に至るほどの高さだ。運転手は、「ソラ」のカメラの映像を頼りに別の建物から操作する。モニターを通しては距離感がつかみにくく、微妙な動作も難しい。高い集中力と技術が求められ、運転は30分〜1時間ごとに交代する。人が入れる環境なら約1カ月で終わる作業も、ロボットでは5カ月程度かかる。それでも「ソラ」の開発に携わった日立パワーソリューションズの宇佐美靖浩は「自分たちががれきを撤去しなければ廃炉は次に進めない」と前を向く。
    □    □
 建屋内のがれき撤去は、廃炉に向けた準備工程にすぎない。爆発で壊れた原発の廃炉で最大の懸案は、1〜3号機に残る溶け落ちた核燃料(デブリ)の回収だ。工程では2020年度から順次着手する予定だが、内部の様子もつかめていないのが実情だ。廃炉作業を推進するためにメーカーや九州電力を含む全国の電力会社などで設立した国際廃炉研究開発機構は昨年12月、デブリ回収技術を公募。今年1月末までに約200件が寄せられた。詳細は明らかにしていないが、同機構は「海外からも相当数の募集があった」と手応えを感じている。デブリは原子炉圧力容器を突き抜け、格納容器の底にたまっている。線量は今でも高い上、格納容器の上部から底まで30メートル以上。回収は困難を極める。デブリの形状や位置を確認するための研究に取り組む筑波大や東京大などの研究チームの一人は「原発内部は3年たった今でもブラックボックス」という。東京五輪が開催される6年後を目指す回収着手への道のりは、始まったばかりだ。(敬称略)
    ×    ×
 東日本大震災に伴う東京電力福島第1原発事故から間もなく3年。核燃料の回収が始まり、廃炉がようやく動き始めた。汚染物質の処理や費用などは九州の原発でもいずれ直面する課題だ。福島から現状を報告する。

<水俣病など公害被害者の救済>
*6:http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014070802000126.html
(東京新聞 2014年7月8日) 水俣の叫び 「再稼働反対」 川内原発40キロ圏
 四大公害病の一つ、水俣病が発生した熊本県水俣市は、再稼働審査が優先的に進む九州電力川内(せんだい)原発(鹿児島県薩摩川内市)から四十キロ圏内にある。水俣病患者たちは、東京電力福島第一原発の事故を「水俣病と同じ、国策企業による環境破壊」と位置づけ、厳しいまなざしを向けてきた。今秋にも川内原発が再稼働となる可能性があることに「被害者より企業の救済を優先する国の姿勢は変わっていない」と警鐘を鳴らす。「水俣病被害者互助会」会長の佐藤英樹さん(60)は二〇一一年十一月、被災地支援のため福島県飯舘村を訪ね、手にした線量計の数値に驚いた。出会った地元の老夫婦は「私たちはここに残るが、みんないなくなった。寂しい」と嘆いた。福島第一原発と飯舘村の距離は、水俣市と川内原発の距離とほぼ同じ。「水俣でも飯舘村のようなことが起きかねない」と実感し、再稼働に反対するようになった。妻スミエさん(58)とともに、各地の反対集会に出掛けている。佐藤さんのような原発に反対する水俣病患者は増えている。川内原発からの近さだけでなく、福島の人々が抱える困難に水俣と類似点を感じ、人ごとと思えないからという。水俣病患者は、初確認から五十八年が過ぎた現在でも、賠償を求める訴訟が相次いでいる。「水俣病不知火患者会」会長の大石利生さん(74)は子どものころ、近所の海で採った貝を食べて水俣病を患った。足のけいれんや頭痛、五〇度のお湯でも熱さを感じないほどの感覚障害に長年、苦しんできた。しかし、訴訟で和解が成立する二〇一一年まで、行政からの救済措置は受けられなかった。「国は補償に厳しい基準を設け、被害者の申請をほとんど却下してきた」。その歴史が福島で今、繰り返されているという。「国は水俣病の原因となる排水を出したチッソを守ろうとし、被害者を切り捨てた。福島でも東京電力を守ることばかりに国費を使っている。住民の甲状腺に異常が見つかっても、『原発事故とは無関係』と言い切る。ろくに調べようとしていない。国は同じような過ちを繰り返している」。患者らの声の強まりを、水俣市で三十年以上、原発反対を訴えている永野隆文さん(59)も実感する。今年四月、再稼働に反対する市民団体「原発避難計画を考える水俣の会」を新しく立ち上げると、これまで反対運動を控えていた患者らもメンバーに加わった。「ほかの市民より、水俣病の患者は自分たちの経験、教訓を伝えたいという思いが強い。今まではあまり積極的でなかったが、福島の被害を見て先頭に立ちたいと考える人が増えつつある」
<水俣病> 工場から出たメチル水銀で魚介類が汚染され、食べた人らに起きた公害病。手足の感覚障害や視野が狭まるなどの症状が出る。熊本県水俣市ではチッソ水俣工場が排出源。1956年に初めて患者が確認された。国は73年に救済に乗り出したが、77年に厳しい基準を設け、それ以降は患者認定の申請を大量に退けている。患者側が起こした訴訟では国側敗訴が相次ぎ、国は95年に政治解決策、2009年に特措法による救済策を設けた。患者団体などは現在も救済は不十分としている。


PS(2014.7.9追加): このような中、*7-1のように、経団連の会長が「①安全が確認された原発は、速やかに再稼働すべきで、それが国民全体の願いだ」「②原発停止は、経済成長の大きな足かせになる」「③これ以上の安全措置はないというぐらい万全な態勢を敷いている」などと述べている。
 しかし、①については、フクイチの原因も分からず後始末すらできない中、再稼働は国民全体の願いではなく、その状況は、このブログの2012.9.15に掲載した国民の意見公募、*3-3のような反原発運動、*7-2のような選挙での意思表示等で示されている。また、②については、このブログの2014.6.16に掲載している「福井地裁大飯原発3、4号機差止訴訟判決」で人権(人格権)と経済成長は比較すらすべきでない旨、論理的に述べられている。その上、③には根拠が無い。そのため、このような原発推進発言をする経団連会長は、見識が低いと言わざるを得ない。

<経団連会長の意見>
*7-1:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11231536.html
(朝日新聞 2014年7月9日) 安全確認の原発「再稼働すべき」 経団連・榊原会長
 経団連の榊原定征会長は8日、原発の再稼働について、「安全が確認された原発は、速やかに再稼働すべきだ。国民全体の願いでもある」と述べた。東日本大震災の被災地で、東北電力女川原発(宮城県)の防潮堤工事などを視察した後、報道陣に語った。榊原会長は「老朽化した火力発電所を無理に稼働させている今は綱渡り状態。電気料金は家庭用、産業用とも上昇しており、経済成長の大きな足かせになる」と語り、原子力規制委員会による審査を経たうえで、早期の再稼働が必要との考えを改めて強調した。経団連は、原子力規制委員会による審査の作業を早めるよう求める提言を日本商工会議所と経済同友会と共同発表するなど、繰り返し原発の早期再稼働を訴えている。

<原発再稼働に関する世論>
*7-2:http://www.kyoto-np.co.jp/politics/article/20140708000159
(京都新聞 2014年7月8日) 原発再稼働反対56% 滋賀県知事選世論調査印刷用画面を開く
 原発再稼働の賛否 滋賀県知事選(13日投開票)を前に京都新聞社が県内有権者を対象に実施した世論調査で、福井県内の原発が現行の安全基準をクリアした場合の再稼働について、反対と答えた人が56・6%に上り、賛成の35・2%を上回った。福島第1原発事故を受け、隣県に多数立地する原発に対して安全性や防災対策で依然として不安を抱く有権者が多いことが分かった。調査は3~5日に行い、有効回答者数は1009人だった。再稼働の賛否で「分からない・無回答」は8・2%だった。男性は反対が49・8%、賛成が45・3%と差は小さかったが、女性は反対が63・0%に上り、賛成の25・7%の2倍を超えた。年代別では、反対が最も多いのは60代の64・9%で、30代、50代と70歳以上も55~60%に上った。20代は最も少ない49・3%で、賛成が最高の44・2%だった。同じ世論調査で、知事選の投票時に重視する政策や公約(二つまで選択)では、「原発」を挙げた人が25・1%に上り、福祉・医療、景気・雇用、教育・子育てに次ぎ4番目に多かった。知事選は無所属新人の3候補が争い、元内閣官房参事官の小鑓(こやり)隆史候補(47)は「再稼働は原子力規制委員会の判断に委ねるべき」とした上で、非常時に備えた福井県との連携強化を主張。共産党県常任委員の坪田五久男候補(55)は「停止中の全原発の再稼働を許さず、そのまま廃炉に持ち込むのが現実的」として「原発ゼロ」を訴える。元衆院議員の三日月大造候補(43)は「多重防護が実現しない限り再稼働を認めない」とし、できるだけ早期に原発をなくす「卒原発」を掲げている。

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2014.7.7 号泣県議のお粗末な粉飾決算は、政治資金監査をしていれば防げた筈だ
(1)泣けばよいというものではないだろう
 *1-1のように、兵庫県の野々村県議(47)が、政務活動費から195回分もの不自然な出張旅費を支出しただけなら、「もしかしたら、温泉地帯の街おこしに一生懸命になって、何度も温泉を訪問したのかも・・」と私は思ったが、支出の理由を説明できずに突然泣きだしたのは、あまりにお粗末で私も呆れた。

 呆れた理由は、*1-2や*1-3のように、①粉飾決算の仕方があまりにも稚拙で ②いい大人(それも男)が絶叫して泣いたから である。しかし、近年、男女とも、親しい者の死のように本当に泣くべき場面ではないところで、簡単に大人が泣くことが多くなったのは見苦しい。

 そのため、*2のように、兵庫県議会議長が、「議員としての資質に疑問を抱かざるを得ない」として、野々村氏に「辞職すべきだ」との勧告文を手渡したのはもっともで、これだけの粉飾決算を行って、説明できない政務費をすべて返還しただけですまないのは社会常識である。

(2)苦労人だからよいというものでもない
 あまりにもお粗末な粉飾決算を見せられたため経歴を調べたところ、*3のように、川西市役所を退職後、5回目の立候補で兵庫県議に滑り込んだ苦労人と表現されていた。

 「苦労人だからよい」ということもないが、市役所は複式簿記で会計を行って公認会計士監査を受けている所ではないため、こういう空出張や虚偽の経費支出が常態化しており、野々村氏はこれを悪いことだと意識していなかったのではないだろうか。

(3)政治資金報告書の監査について
 私は、何かといちゃもんをつけようと狙われているのを知っていたため、2005年に衆議院議員になってすぐから、政治資金の会計に関しては公認会計士の任意監査を受けていた。そうすると、*4のように、政治資金に関する監査が、2007年12月、国会議員にのみ導入された。

 報酬を支払っても監査を受けておくメリットは、下のとおりである。
1)会計に強くない会計責任者でも、日頃から監査人に指導してもらい、故意もミスもなくすことができる。
2)政治資金報告書を監査して監査証明をもらう以上、政治資金報告書の適正性について、利害関係の
   ない独立した監査人に連帯責任を負ってもらうことができるため、説明責任を果たしやすい。

 そして、*4に書いてあるとおり、政治資金監査人による政治資金監査は下の4点について行うため、監査人が事前に会計指導し、事後に政治資金報告書をチェックすると、兵庫県の野々村県議のようなことは起こらないのである。これは、とかく上げ足を取られやすい首長や議員にとっても、リスク管理や安全保障になるのだ。
① 会計帳簿、明細書、領収書等、徴難明細書、支出目的書、振込明細書が保存されていること
② 会計帳簿にその年の支出の状況が記載されており、かつ、会計責任者が会計帳簿を備えていること
③ 収支報告書は、会計帳簿、明細書、領収書等、徴難明細書、支出目的書及び振込明細書に基づいて
   支出の状況が表示されていること
④ 徴難明細書、支出目的書は、会計帳簿に基づいて記載されていること

 私は、この政治資金監査は、国会議員だけでなく、すべての首長や議員を対象にすべきだと考えている。また、会計も単式簿記ではなく複式簿記に変更すれば、網羅性・検証可能性が増し、ごまかしにくくなるとともに、表示もわかりやすくなって、民主党の小沢氏のようないちゃもんをつけられることがなくなる。そして、複式簿記の方が一般社会の会計基準と同じであるため、誰にでもわかりやすいのだ。

*1-1:http://www.saga-s.co.jp/news/national/10202/80863
(佐賀新聞 2014年7月4日) 県議号泣会見、ネット拡散し波紋、専門家「世界に恥」と批判
 兵庫県の野々村竜太郎県議(47)=無所属=が政務活動費から195回分の出張旅費を支出していた問題は、号泣会見の動画がインターネットに出回り、海外にまで波紋を広げた。一方、出張目的などの説明は拒否したままで、専門家は「責任を果たさず世界に恥をさらした」と批判する。「やっと議員になったんです」「世の中を、うおー、世の中を、変えたくて」。1日の釈明会見で野々村議員は突然、右手を机にたたきつけて絶叫、泣きじゃくった。記者が止めるまで約8分間の「独演会」。自ら感情的な質問は受けないと冒頭に宣言していただけに、記者らは言葉を失った。

*1-2:http://www.saga-s.co.jp/news/national/10202/81081
(佐賀新聞 2014年7月5日) 号泣県議、大雨運休でも出張費、申請の信頼性揺らぐ
 兵庫県の野々村竜太郎県議(47)=無所属=が政務活動費から195回分の出張旅費を支出していた問題で、議員が西宮市の自宅からJR城崎温泉駅(同県豊岡市)に日帰り出張したと収支報告書に記載している昨年9月2日は、大雨により特急の多くが運休し、日帰りが極めて困難だったことが5日、JR西日本への取材で分かった。野々村議員は、城崎温泉への往復は常に往復1万5340円を申請。号泣した釈明会見では、経路について記憶にないとした上で「出張はグリーン車を使った」と発言。昨年9月2日は普通電車を乗り継ぐなどすれば日帰りできなくはないが、申請額の信頼性が揺らぎ始めた。

*1-3:http://www.saga-s.co.jp/news/national/10201/81493
(佐賀新聞 2014年7月7日) 野々村県議、切手代に175万円、「出張」日に購入も
 兵庫県の野々村竜太郎県議(47)=無所属=が政務活動費から不自然な出張費を支出した問題で、議員が2013年度、政務費から切手代に約175万円を支出し、出張したとする日にも購入していたことが7日、収支報告書の記載で分かった。収支報告書によると、野々村議員は主に大阪市や神戸市の金券ショップで切手を約135回購入。城崎温泉(兵庫県豊岡市)に出張したとする昨年8月29日には、大阪と神戸で別々に購入していた。3日連続で2万円以上の切手を購入したり、1日のうちに複数回購入したりしたこともあった。1日の釈明会見では切手代についても説明を拒否した。

*2:http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK0700Y_X00C14A7000000/?n_cid=TPRN0006 (日経新聞 2014/7/7) 野々村県議「辞職も念頭」 兵庫県議会議長が勧告
 兵庫県の野々村竜太郎県議(47)=無所属=が政務活動費で不自然な支出をしていた問題で、県議会の梶谷忠修議長は7日、五つある会派の代表者を集め、野々村議員への対応や政務活動費のルールを協議した。野々村議員も出席し、梶谷議長は「説明責任を果たすことができない場合は辞職すべきだ」との勧告文を手渡した。松本隆弘副議長によると、野々村議員は「説明できない政務費はすべて返還する。辞職も念頭に置いている」と話したという。梶谷議長は冒頭、「野々村議員は説明責任を全く果たしておらず、議員としての資質に疑問を抱かざるを得ない」と厳しく批判した。野々村議員に対しては、最大会派の自民党議員らから「辞職すべきだ」との意見が出ていた。収支報告書によると、議員は2013年度、JR博多駅や城崎温泉駅(兵庫県豊岡市)などに同県西宮市から日帰りで計195回往復したとして、約300万円を支出していた。初当選した11年度から同様の支出を続けた。

*3:http://blog.livedoor.jp/tgfuy8371/archives/9175798.html (世界のニュース 2014年07月03日)号泣・野々村竜太郎県議 意外な苦労人、落選の日々、貧乏生活
 号泣した兵庫県議野々村氏(47)は、川西市役所退職後、5回目の立候補で兵庫県議に滑り込んだ。
  大阪府立北野高校卒業
  関西大学法学部卒業
  川西市役所に勤務、2007年に退職
 高校の後輩の橋下徹に刺激を受けて政治を志した。
 退職後は、宅地建物取引主任者として生計を立てた。
  2008年7月、兵庫県太子町長選に立候補、最下位で落選
  2008年11月、兵庫県西宮市長選に立候補、最下位で落選
  2009年7月、兵庫県議補選西宮市選挙区に立候補、最下位で落選

*4:http://www.soumu.go.jp/main_content/000077917.pdf
(総務省 政治資金報告書の監査) 国会議員にのみ、2007年12月、議員立法で提案され成立した。
<要点のみ>
Ⅳ.政治資金監査
 国会議員関係政治団体の会計責任者は、収支報告書を提出する時は、あらかじめ登録政治資金監査人の監査を受け、登録政治資金監査人が作成した政治資金監査報告書を提出しなければなりません。
※ 「登録政治資金監査人」とは
 登録政治資金監査人とは、政治資金監査を行う者として、弁護士、公認会計士、税理士のうち政治資金適正化委員会に登録された者をいいます。政治資金適正化委員会が行う政治資金に関する研修を修了した登録政治資金監査人が、政治資金監査を行うこととされています。
1.政治資金監査の対象となる政治団体
 次の政治団体が、政治資金監査の対象となります。
① 12月31日現在で、国会議員関係政治団体である政治団体
(その年の途中で国会議員関係政治団体となった政治団体も含まれます。)
② 12月31日現在では、国会議員関係政治団体ではないもののその年の途中に国会議員関係政治団体であった政治団体 (ただし、その年の収支報告書に記載すべき収入及び支出があった政治団体 に限ります。)
 なお、①、②の政治団体について、年の途中に国会議員関係政治団体以外の政治団体の期間があった場合においては、その期間についても政治資金監査の対象となります。
2.監査事項
 登録政治資金監査人による政治資金監査は、次の4点について、政治資金適正化委員会が定める具体的な指針に基づいて行うこととされています。
① 会計帳簿、明細書、領収書等、徴難明細書、支出目的書、振込明細書が保存されていること
② 会計帳簿にその年の支出の状況が記載されており、かつ、会計責任者が会 計帳簿を備えていること
③ 収支報告書は、会計帳簿、明細書、領収書等、徴難明細書、支出目的書及び振込明細書に基づいて
   支出の状況が表示されていること
④ 徴難明細書、支出目的書は、会計帳簿に基づいて記載されていること
 なお、政治資金監査は、国会議員関係政治団体のすべての支出が対象ですので収支報告書において明細の記載が必要とされていない人件費についても、監査の対象となります。
3.政治資金監査に向けた準備
 政治資金監査において監査の対象となる次の書面を書面監査が行われる事務所において準備しておかなければなりません。
○ 収支報告書等の作成の際に基となる書面
 ・ 会計帳簿
 ・ 支出の明細書
 ・ 領収書等(人件費についても対象となります。)
 ・ 振込明細書(人件費についても対象となります。)
○ 収支報告の際に提出すべき書面(政治資金監査までに作成すべきもの)
 ・ 収支報告書
 ・ 徴難明細書
 ・ 支出目的書

| 民主主義・選挙・その他::2013.12~2014.11 | 09:16 PM | comments (x) | trackback (x) |
2014.7.5 乗り物の環境適合性とエネルギーの転換及び安全性について(2014年7月6日、11日に追加あり)
   
                     *1-2より

(1)まだそんなことを言っている究極のエコカー
 *1-1に、「①福岡県は、地元経済界に呼びかけ官民連携組織を年内に設立して、自治体や企業、タクシー会社にFCVの購入を働きかける」「②水素エネルギー関連の研究開発やビジネス拠点化を進める」「③FCV普及でも実績を積み水素研究先進地としての取り組みをアピールする」等が書かれている。

 もちろん、福岡県のチャレンジは良いが、電気自動車や燃料電池車などのエコカーは、1995年頃、私が経産省に提案し、1997年に日本は京都議定書に調印して、既に20年近くが経過しているのだ。そのため、まだ「FCV普及のハードルが高い」などと言っているのはあまりに遅すぎ、このとろすぎる対応が、わが国企業の低利益率の原因なのである。

 なお、*1-2に書かれているように、中東情勢と円安でガソリンの高値が続き、離島や漁業関係者も困っているそうだが、この話も私が国会議員をしていた2005~2009年の間にもしばしば出ていたので、漁船や離島航路の船を電気船等にして自家発電で賄えば燃料費は無料だというアイデアを出していた。しかし、10年1日の如く同じ愚痴を言って根本原因を解決しようとせず、その結果がこれなのだから、これを機会にエネルギーの転換を進めよということであろう。

(2)国産車に広がらない先進安全機能の装備
 *2-1のように、スウェーデンのボルボが昨年発売した小型車は、297万円でも方向補正機能を標準装備するという安全性能が付き、購入者に次世代の車と感じさせているし、独フォルクスワーゲンの小型車(258万円から)も、日本人購入客の9割が前の車と間隔を空ける機能を備えたタイプを選び、6割は車線維持機能を備えた車を購入するほどであるにもかかわらず、日本車には先進安全機能の装備が広がっていない。(なお、私は、先進安全機能で、塀の向こうを走る見えない車やカーブを曲がって来る列車も察知できるようにして欲しいと考える)

 そして、*2-2のように、改正道路交通法の罰則を強化し、プライバシーの侵害や病気への偏見、高齢者の不便を助長して、地方に住む人の人権を侵害しているのだ。

 つまり、日本では、私がこのブログの2014年4月23日や2014年1月6日などに記載しているように、課題を技術で解決するのではなく、変な規制変更をして、誰かに不便を我慢させたり、プライバシーの侵害をしたりして解決しようとし、人権侵害をした上、技術進歩の機会を逸しているのである。

<環境対応車>
*1-1:http://qbiz.jp/article/41333/1/
(西日本新聞 2014年7月5日) 官民でFCVクラブ 燃料電池車、福岡から後押し
 2014年度内に市販が始まる燃料電池車(FCV)の普及を後押しするため、福岡県は、地元経済界に呼びかけ官民連携組織「ふくおかFCVクラブ」を年内に設立する。自治体や企業、タクシー会社にFCVの購入を働きかけるなど普及の初期段階で積極的に需要を掘り起こす。同県は産学官連携で水素エネルギー関連の研究開発やビジネス拠点化を進めており、FCV普及でも実績を積み上げ、水素研究先進地としての取り組みをアピールする狙いがある。FCVは、燃料の水素を空気中の酸素と化学反応させて発電しモーターで走る。走行中には二酸化炭素(CO2)を排出しない「究極のエコカー」。トヨタは15年度の予定だった発売を14年度内に前倒しし、年内の市販も検討中とされる。ホンダも15年に投入する計画だ。ふくおかFCVクラブはこうした動きを受けたもので、県内の市町村や大学にFCV購入を要請し、水素や環境関連などの事業者やタクシー会社にも導入を働きかける。企業や消費者に魅力や安全性を発信するイベントや試乗会などPR活動を強化する。
 市販当初は、FCV普及のハードルは高いとみられる。政府は、燃料を補給する水素ステーションの整備を首都圏、名古屋、大阪、福岡の四大都市圏で進める方針。福岡・北九州都市圏では15年末までに10カ所開設を目指すが、決まっているのは福岡市と北九州市の計3カ所と遅れ気味。1台700万円程度とされる車両価格も普及のネックになる可能性もある。FCV2台を公用車として実証実験中の同県は14年度にトヨタのFCV2台を購入するほか、タクシー会社に1台につき100万円を助成する予算を5台分確保済み。ふくおかFCVクラブではさらなる支援メニューを検討する。同県商工部新産業振興課は「FCVが街を走っているのを見てもらうことで、良さを分かってもらえる。水素研究の先進地として、FCVの普及を先行させたい」としている。

*1-2:http://qbiz.jp/article/41328/1/ (西日本新聞 2014年7月5日) 
止まらぬガソリン高騰 九州4県で170円突破、消費者に広がる自衛策
 ガソリン価格の値上がりが続いている。経済産業省資源エネルギー庁が2日に発表したレギュラーガソリン1リットル当たりの全国平均小売価格は168・4円(6月30日現在)と10週連続で上昇。石油情報センター(東京)によると、中東の情勢不安と円安が主な原因と見られ、2008年以来の高値水準。全国平均小売価格は7月中にも170円台突破の可能性があるという。離島が多く、石油精製所が大分県内に1カ所しかない九州は、全国平均より高く、影響は深刻だ。燃料費高騰で出漁を控える漁業者も出てきた。「お客さんに『また高くなったね』と言われるのがつらい」。相光石油平尾サービスステーション(福岡市中央区)の下司賢宏店長(39)はどこまで上がるか分からない価格に表情を曇らせる。仕入れ値の上昇分を店頭価格に転嫁しないと赤字になる。しかし、「高くなりすぎると客が来なくなる」。次回の来店時に1リットル当たり3円割引する券を配布するなど、利用者をつなぎ留めるのに必死だ。消費者も高値を実感。洗車に訪れた自動車整備士大場堅太さん(23)=同市博多区=は「最近はなるべく車より燃費の良いバイクに乗るようにしている」。別のスタンドで給油していた自営業の大下誠さん(42)=福岡県春日市=は「毎年、夏には家族でマイカー旅行をしているが、今年は電車で日帰りかな」。福岡市南区の主婦(47)は「満タン給油をやめ、少しでも安くなった時に千〜2千円ずつ補給している」という。カツオ漁が盛んな鹿児島県の枕崎市漁協。魚価低迷に加え、10年前の2倍以上に上昇した燃料費が重くのしかかる。同漁協によると、東北の三陸沖に出るカツオ船はこの10年で半減した。漁協幹部は「数カ月前まで週に3〜4回は出漁していた沿岸漁業も、最近は週2日が限界」と言う。福岡市漁協の野上政昭組合長(76)は「このままでは漁に出たくても出られない」と危機感を募らす。漁師の西嶋博行さん(65)は「網や浮具など石油製品の漁具も2割ほど値上がりしており、“ダブルパンチ”」と肩を落とす。センターによると、高値は当分続く見込み。夏の行楽シーズンを前に九州経済調査協会は「マイカーによる人の移動が減り、観光地をはじめ、全体的に消費活動が落ち込む可能性がある」と分析する。

<先進安全機能>
*2-1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20140705&ng=DGKDZO73812940U4A700C1TI0000 (日経新聞2014.7.5) 200万円台カーにも装備 「安心」技術、普及早い日本
 「仕事で疲れて運転中に眠気が襲うことも。妻も運転するので安全を大事にした」。さいたま市に住む斎藤正浩さん(42)は5月、スウェーデンのボルボが昨年発売した小型車「V40」を買った。前の車と一定の間隔を空ける機能や車線を外れそうになると方向を補正する機能を標準装備。カメラや各種センサーを備え、天候の影響を受けにくいとの触れ込みだ。価格は297万円から。斎藤さんは通勤でも車に乗る。はるかに高い高級輸入車に乗っていたが、「これだけの安全性能が付いてこの価格は安い。次世代の車と感じた」。V40を買った人の過半は45歳以下。景気回復で懐に余裕のできた層が購入しているとみられる。先進安全技術は輸入車が先行している。500万円以上の車種の多くで標準装備。安い車種でも装備が始まっている。
 昨年、輸入車で初めて日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞した独フォルクスワーゲンの小型車「ゴルフ」(258万円から)はオプションも含め、購入客の9割が前の車と間隔を空ける機能を備えたタイプを選び、6割は車線維持機能を備えた車を購入した。ブランド力もある輸入車には多少のコストを追加するのをいとわない消費者が多い。それに比べると小型や軽の人気が根強い国産車では先進安全機能は広がっていない。
 そうした中で取り組みが目立つのが富士重工業。6月の新型車「レヴォーグ」発売に合わせ、カメラを使ったオプション機能「アイサイト」を刷新。車線維持機能を初めて備えたほか、カメラの視野角も広げ、前の車と一定間隔を空ける機能でもより精度を高めた。レヴォーグの価格は266万円から。性能を高めたものの、オプション価格は税別10万円で据え置いた。「購入客の9割がアイサイト付きを選ぶ」(富士重)。日産自動車ではあらゆる速度での追従機能を備えるのは「スカイライン」など高級車が中心。トヨタ自動車やホンダも含め普及価格帯に先進安全機能が標準装備されるのは2015年以降になる。米調査会社のラックスリサーチの予測では、日本の14年の新車販売のうち先進安全技術を備えた車は10%を占める見通し。欧米の4%に比べて高く、20年には97%に達するとみる。日本の消費者の需要が大きいことを示している。日本自動車工業会の13年の調査では、前の車を見つけると自動でブレーキをかける機能に「非常に魅力がある」と答えたのは60歳以上の女性で55%。団塊の世代が60代半ばを迎える中、国産車にもこれまで以上に先進安全機能の搭載を求める声が高まりそうだ。松本正伸が担当しました。

*2-2:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%81%8B%E8%BB%A2%E5%85%8D%E8%A8%B1%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%99%E3%82%8B%E6%AC%A0%E6%A0%BC%E6%9D%A1%E9%A0%85%E5%95%8F%E9%A1%8C
ウィキペディア 運転免許に関する欠格条項問題
<要点>
●虚偽申告の罰則化
 運転に支障の出る病気を故意に隠し免許を取得する者に対して、罰則を設けた改正道路交通法が、平成25年(2013年)6月7日、国会で成立した。癲癇や統合失調症など、病気の虚偽申告をした場合、1年以下の懲役または30万円以下の罰金に処せられる可能性がある。公布から1年以内に施行される。自動車運転死傷行為処罰法が施行された。
●プライバシー侵害
 2002年6月の道交法改正に伴い、申告書への記入内容にて、運転適性相談が必要となった場合、医師の診断書の提出が義務付けられている。病歴はプライバシー情報であり、プライバシー情報を警察が集めることになるとの指摘がある。
●病気への偏見
 2002年6月の法改正の素案段階では、欠格条項に病名が複数盛り込まれていた。素案に含まれていた病名は以下の通り(カッコ内は問題とされる理由)。これは特定の病気に対する偏見を引き起こし、雇用差別などにつながるとの指摘がある。
 ①統合失調症、双極性障害、躁病、重度だと判断されるうつ病、持続性の妄想障害
 ②てんかん(意識障害)
 ③ナルコレプシー(睡眠発作)
 ④脳虚血(意識障害)
 ⑤糖尿病(治療薬の副作用である、低血糖によって引き起こされる意識障害)
 ⑥睡眠時無呼吸症候群(睡眠発作)
 ⑦患者団体の働きかけを受け、法案からは病名が取り除かれている。
●治療の妨げ
 人口密度の低い地方では、車なしには医療機関や社会復帰施設に通いにくい場所が多い。このような地域でこれまで車を使用していた人が新たに欠格となると、治療を妨げることになり、病状の悪化にも繋がる可能性があるとの指摘がある。また、免許がなくなることを恐れて、不調の際にも受診しない人が増えることで、未治療の病気による事故が増えるのではないかとの指摘がある。


PS(2014.7.6追加):(1)の水素を作るためには、当然、火力発電や原子力発電ではなく自然エネルギーを使うべきで、これにより、エネルギーの国産化とエネルギー構造改革による税収増加が可能だ。そのためには、太陽光発電、風力発電、地熱発電がよく知られているが、わが国では、*3のような潮流発電の潜在力も大きいため、漁業や海洋生物に害を与えない形で推進すべきである。

   
                          2014.6.22日経新聞  *3より

*3:http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1405/16/news013.html
(スマートジャパン) 潮流発電を2018年に実用化へ
 環境省が5年間の開発・実証事業島国の日本にとって海洋エネルギーの開発は将来に向けた大きな課題だ。膨大な潜在量が見込まれる海洋エネルギーの中で、環境省は潮流発電に焦点を当てた技術開発プロジェクトを開始する。2018年の実用化を目指して、発電能力が500kW以上の設備を使った実証事業を推進していく。環境省は2014~2018年度の5年間をかけて「潮流発電技術実用化推進事業」を実施する計画だ。潮流発電に必要な要素技術の開発から始めて、海中における実証試験を通じて、2018年までに実用化に向けた発電システムの確立を目指す。初年度の2014年度は5億5000万円の予算を割り当てることにして、5月14日に事業者の募集を開始した。6月13日まで応募を受け付け、6月末に決定する。すでに実施海域が確定していて地元の漁業関係者などから合意を得られていることが応募の条件になる。発電設備は1基あたりの出力が500kW以上になるもので、国内の海域に広く適用できる仕様にする必要がある。日本では瀬戸内海を中心に大量の潮流エネルギーが分布している。瀬戸内海の東にある鳴門海峡から西にある関門海峡までの海域のほか、新潟県や長崎県の半島・離島の周辺にも潮の流れの速い海域がある。これらの海域の中から事業対象が選ばれる可能性が大きい。専門家の試算によると、鳴門海峡だけで原子力発電1基分に相当する100万kW以上の潜在量が見込まれている。潮流発電はイギリスをはじめ欧州で実用化が進んでいるが、日本では取り組みが遅れていた。数少ない実例としては北九州市が2011年度から開始した「関門海峡潮流発電設置推進事業」がある(上の写真)。この実証事業は海中に設置した垂直軸の水車を潮流で回転させて、最大で1.4kWを発電する試みだ。関門海峡に面したニッカウヰスキーの門司工場の桟橋で実施した実証試験では、海峡の中で潮流が遅い場所だったにもかかわらず、風力発電並みの20%を超える発電効率が得られた。潮流は天候の影響を受けにくく、安定した発電量になる利点がある。


PS(2014.7.11追加):小学校の理科で習ったとおり、水素は水を電気分解すればできるし、水素を副産物として出す工場もあるのに、「水素を海外から安く大量調達」とか「車用に高圧で圧縮したり、輸送したりする過程でガソリンより割高になる」などというのは、馬鹿にも程がある。また、いつまでも、政府が燃料電池車の販売に1台200万円も出したり、ステーションの建設に1カ所2億~3億円出したりしなければならないというのもおかしい。さらに、「燃料電池車は簡易なタイプから」というのもやる気がない。つまり、例えば、クラウンに乗っていた人が喜んで燃料電池車に乗り換える必要があるのであり、ガソリンエンジンと動力伝動装置による自動車設計の制約がなくなるため、本当は、それが可能なのだ。そのため、「自動車等の交通機関は、2025年から排気ガスによる公害を出してはならない」と規制するのがよい。

*4:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20140711&ng=DGKDZO74085880R10C14A7EA1000 (日経新聞 2014.7.11) 水素の値段、普及のカギ、燃料電池車、トヨタ年度内に発売 20年、ハイブリッド並みに
 水素と空気中の酸素を反応させて走る「究極のエコカー」、燃料電池車。トヨタ自動車が世界初の量産車を今年度中に約700万円で発売すると発表したが、ガソリン車と比べた費用対効果はどうか。政府の補助金もにらみつつ現状を追った。名神高速道路に近い岩谷産業中央研究所(兵庫県尼崎市)の敷地。14日のお披露目を待つのは水素の充填施設だ。商業用では国内初の燃料電池車用ステーションになる。燃料電池車の発売はまだ先だが、「いつ販売が始まってもいいように準備する」と関係者は言う。国内では同社に加え数社が首都圏、中部、関西、九州で計31の拠点敷設を決め、来年には100カ所まで増やす計画だ。ただ需要見通しがやや不透明だ。トヨタ以外ではホンダが来年、日産自動車が2017年に燃料電池車を発売するが、いずれも月に何千台と生産するわけではなさそう。給油所が3万4000カ所あるガソリン車と違い、インフラ整備が不十分なのが理由だ。
●車かインフラか
 逆にインフラの担い手も生産台数が小規模なら積極投資は難しい。投資額は1カ所あたり5億~6億円で、ガソリンスタンドの5~10倍する。車が先かインフラが先か。鶏と卵のジレンマがこの先に待つ可能性がある。政府は燃料電池車の販売に1台約200万円の補助金を検討する。ステーションの建設にも1カ所2億~3億円を出す方向。20年までは「国が積極的に関与して普及させ世界の先頭を走る」と経済産業省関係者は言う。トヨタの一号車は約700万円。補助金を受ければ500万円前後になる。社用車や公用車の買い替えを予定する大企業、官公庁を主な顧客と想定しており、当面は四大都市圏の施設で乗り切れる可能性はある。ただ、政府が関与するのは100カ所まで。その先は民間で普及させ、事業を継続する必要がある。果たして可能か。財団法人エネルギー総合工学研究所(東京・港)の坂田興部長は「普及のカギは水素の価格」とみる。消費者に燃料電池車に乗り換えてもらうには相応の合理的理由が必要だからだ。水素は今のところ、国内調達が可能で製造原価も安い。だが、供給元の石油会社(製油用に内製)で車用に高圧で圧縮したり、輸送したりする過程でガソリンより大幅に割高になってしまう。経産省は6月に作成した「ロードマップ」で、15年に水素の充填価格をガソリン車と同等、20年ごろにハイブリッド車の燃料コストと同等(ガソリン車の約6割水準)、30年にはハイブリッド車の燃料コストの半分にすることを目標に据えた。製造、輸送、貯蔵と工程の見直しや規制緩和に加え、水素を海外から安く大量調達できるかどうかも模索する。
●「国頼み」色濃く
 ただ、それでも限界があると考える企業はステーションの維持・運営でも「補助金を」と動いているという。ロードマップは25年に「ステーション1000カ所、燃料電池車200万台(累計)」の目標を掲げるが、実現しても車、インフラ、燃料のすべてに補助金が「充填」されれば国頼みの色彩が強まる。コンサルティング会社ローランド・ベルガーの長島聡シニアパートナーは「ガソリン社会が水素社会に短期間で移行するのは至難の業。適した都市を絞り、徐々に浸透させるのが得策」と話す。フランスでは郵便公社が小型燃料電池を補助動力に付けた電気自動車の導入を計画する。既存技術の組み合わせなので、システムもコストも簡便で割安という。要は最初から完成された燃料電池車ではなく、簡易なタイプでまずは市場を創り、「水素社会への理解を社会に醸成する戦略」と関係者は話す。日本の燃料電池車は価格が10年前の10分の1以下(トヨタの場合)と画期的だが、まだ特別な車だ。インフラも採算性もついていけるよう、用途や地域をはっきりさせて普及のきっかけをつかむ。そんな工夫も必要だ。

| 教育・研究開発::2013.11~2014.7 | 08:37 PM | comments (x) | trackback (x) |

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