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2015.2.17 2030年度の電源構成案と原発回帰は、人間と環境を無視し過ぎだ。[この頃、殺人事件の報道ばかりで、原発事故の報道が少ないと思ったら・・] (2015.2.21、3.23に追加あり)
    
2014年8月   2014.5.24   *1-2        海流           中国の原発
パブリックコメント  朝日新聞

(1)経産省の電源構成案
 *1-1のように、日経新聞は2015.2.16に、2030年時点の原子力、火力、再生可能エネルギーなどのエネルギーミックスの議論を政府が始め、「①原発が停止して天然ガスなどの輸入が増え電気料金上昇」「②エネルギー自給率は主要国で最低水準」「③企業も経営環境を見通しにくい」「④現実的な電源比率を決めるときである」「⑤エネルギーを安価に安定供給できるよう、現実を見据えた電源比率の目標を決めるべき」とした。

 しかし、これまでこのブログで詳しく書いてきたように、①は原発のコストを電力会社が負担する運転コストだけに限っており正しくなく、②は太陽光、風力、水素、メタンハイドレートなどの日本にあるエネルギーを開発してこなかったこれまでの経産省の不作為にほかならず、③は原発が再稼働すれば新しいエネルギーにチャレンジしている有為な会社の経営が見通せなくなることなどから、④⑤で原発を重要な電源として位置付けるこじつけのために、①②③を使うのは論理的におかしく無理がある。

 そのような中、*1-7のように、日本学術会議(大西会長)が、「原発から出る核のごみ対策を政府と電力会社が明確化することを原発再稼働の条件にすべき」「高レベル放射性廃棄物の処分問題に進展がないまま再稼働を進める国の姿勢は将来世代に対する無責任」「新増設も容認できない」とする政策提言案をまとめたのは、世論形成や国の政策に影響を与えそうでよかった。ただ、公平性の観点から暫定保管の施設を原発立地地域以外で建設するのが望ましいなどとしているのは、放射能管理区域をいたずらに増やすことになり賛成できない。

(2)中国の行動と日本のふがいなさ
 *1-4では、朝日新聞が、「①中国政府は福島原発事故から5日後の2011年3月16日に、着工前の原発建設を凍結し、新規原発計画の審査も停止した」「②中国は原発大国化に大きくカジを切ろうとしており、発電能力を5年で3倍にする計画」「③高効率で安全性も高いとされる第4世代の高温ガス炉の世界初の実証炉が着工している」「④実用炉は最先端の第3世代の原発も数基、建造する計画」「⑤世界最高の安全基準を採用して、速やかに沿海部の新しい原発建設を始める」と記載している。

 つまり、①のように、中国政府は日本の原発事故から5日後に、着工前の原発建設を凍結し、新規原発計画の審査も停止したのだ。しかし、*1-5のように、意見公募しても、原子力規制委がその意見を無視して「適合」と判断した高浜3・4号機のように、日本が原発再稼働に向けてばく進し始めたのを見て、中国は②の行動をとったのであり、ここが原発事故の被曝国である日本が責任を果たさなかった残念な点である。

 そして、③であれ④であれ、原発が過酷事故を起こす確率が0になることはなく、パワーがあればあるほど事故時の汚染範囲も広い。さらに、中国の沿海部は対馬海流が日本海に向かって流れており、過酷事故が起これば、その汚染水は沿岸諸国にとってとりわけ深刻である上、平時でも海に放出される原発の熱は、漁獲高を減らしている。その理由は、海を温めたり、原発を冷却するために取り込んだ大量の海水に含まれる幼生を高温で殺して放出するためと言われており、これは経験済なのだ。

(3)環境の視点でも原発は最悪であり、世界環境基準が必要であること
 *1-1は、さらに「①国連は温暖化ガス削減目標を示すよう各国に求めている」「②震災の影響で原発が止まり、火力が88%を占めて再生エネルギーも微増に留まった」「③化石燃料の輸入増加で貿易赤字が膨らみ、温暖化ガスの排出も増えた」「④安全性や経済性、環境など多面的な観点から、エネルギー供給のあり方を見直すべき」「⑤化石燃料の多くは政治的に不安定な中東に頼っているため、輸入先の多様化に加え、化石燃料への依存度自体を下げるエネルギー安全保障が要る」「⑥再生エネルギーで、家庭や企業の負担が増した」「⑦電源比率を決めることは、原発をおよそ何基稼働させるか目安を示すことになり、原発建て替えも議論すべき」「⑧電源構成をいま決めることは、その原発再稼働と建て替えの出発点になる」と続ける。

 しかし、①④については環境に悪影響を与える物質はCO2だけではなく、原発事故による放射線被曝の方がずっと人体に有害であることを無視しており、②は再生可能エネルギーの普及を後押しするどころか邪魔しているからにすぎず、③⑤は10年前と全く同じフレーズだが、これまでの経産省・電力会社の行動が原因なのである。さらに、⑥は再生エネルギーで家庭や企業の負担が増し原発の方が安価だというのは真っ赤な嘘であり、①~⑥は、まさに⑦⑧の結論を得るための恣意的な広報や行動の結果にすぎない。そのため、こういうことを書いて自分でおかしいと思わない日経新聞は、論理性・科学性もしくは誠実さに欠ける。

 なお、東京新聞は、*1-2のように、「2030年度の電源構成案60年運転を前提とし、原発は20%に上昇も」と題して「現在は0で、将来も最大でも15%未満にとどまる原発比率を20%前後まで高めるとみられ、原発への依存度を可能な限り引き下げるとしたエネルギー基本計画に逆行する」としている。そもそも、政府が原発や再生可能エネルギー等の構成比率を決めること自体、政府が米・麦・とうもろこしなどの作付面積を決めて国民にできたものを食べろというのと同じ計画経済であり、政府は技術進歩や市場を先んじて考慮することができないため、既に失敗が確認された経済システムなのである。

 さらに、*1-3で朝日新聞は、経産省の作業部会で、将来の電源構成に「原発維持」の声が続々と出ており、委員の構成について「原発偏重だ」などと批判も出ていることを報告している。政府は原発を「可能な限り低減させる」としているが、現在、0でやっているのであるから、このまま再生エネルギーを増やせばよいのだ。しかし、経産省は「原発停止により、エネルギー自給率(12年)が0・9%まで下がった」としており、原発の燃料も輸入品であることを考えれば、経産省の試算は原発に偏っておりおかしい。

 原発の母国である米国では、*1-6のように、シェール革命後には原発の廃炉が続いており、よりよいエネルギーを探したり、それが見つかればすぐに変更したりするのがよい(当たり前の行動だが、日本は、これができないのだ)。そして、日本でも、2016年に電力小売りが自由化され、2020年に総括原価方式が廃止されると、原発を手掛けるのは事業リスクが大きくなるため、経産省は、電力自由化後の原発政策として、原発で発電する電力の販売価格をあらかじめ決めておき、実際に電力市場で取引される価格がそれを下回った場合は、差額分を電気料金に上乗せして利用者から回収したり、原発建設コストの最大8割を政府が債務保証したりすることを検討しているそうだが、そのような金があったら水素を始め再生エネに投入した方が、よほど将来の役に立ち、経済効果があると考える。

(4)新しい世界環境基準に求めること
 *5-1のように、エネルギーで迷走している日本だが、やはり電力供給の主役は石炭火力にはならないだろう。しかし、このように迷走する理由は、国際的な環境規制が、地球温暖化対策として、CO2の排出のみを制限しており、それをくぐりぬけることを国益と考える風潮があるからだ。

 1995年に(私が提案して)できた最初の環境に関する世界基準である京都議定書が、CO2の排出量だけを問題にしているのは、当時は世界基準を導入することが最も重要だったため、皆が受け入れやすい地球温暖化問題のみに限定したからだ。現在では地球環境に関する世界基準は既に導入されているため、地球環境汚染対策のために、地球温暖化防止のみならず放射性物質、有害な化学物質や金属などの空気・水への混入防止を含めて、京都議定書に代わる新しい世界環境基準を作るべきである。

 放射性物質については、*5-2のように、「原発事故から目を背けてはいけない」とする記事があり、*5-3のように、川内原発から風船を飛ばして、過酷事故が起きた際の放射性物質の拡散距離や方向を予測しようとする実験もある。風船飛ばしは2013年7月、2014年4月、2014年10月にも実施され、過去3回は120~150キロ東の宮崎県日南市や都農町、日向市などでも確認され、2015年2月8日の分も9日午後までに、40キロ南の鹿児島市谷山中央など鹿児島県内3カ所から連絡が来たそうだ。つまり、放射性物質が達する地域は、とても30キロ圏内だけにはおさまらないのである。

 佐賀県では、*5-4のように、山口新知事が反原発団体と面会するそうだが、佐賀県の「原発なくそう!九州玄海訴訟」は約1万人の原告を集め、原告団団長の長谷川照氏(京都大理学博士。専門は、原子核理論。佐賀大理工学部教授、理工学部長等を経て、2003~2009年度、佐賀大学学長。http://www.data-max.co.jp/2012/02/08/post_16433_ym_1.html 参照)は原子力の専門家で、代理人の馬奈木昭雄弁護士(水俣病訴訟等の公害問題に専門的に取り組む弁護士。https://www.youtube.com/watch?v=Favxc7e-VPA 参照)は、水俣病はじめ公害に詳しい弁護士だ。そのため、世界一進んだ訴訟をしていると思うので、山口知事は、この2人に会って話を聞き、勉強すべきだ。

(5)フクシマ原発事故の真実の報道と近隣の健康調査が必要
 *2-1のように、福島県は2月12日、フクイチ事故当時18歳以下だった約38万5000人が対象の甲状腺検査で昨年末までに118人ががんや疑いがあると診断されたと発表し、うち手術でがんと確定診断されたのは計87人になったが、これは通常の少なくとも300倍から数千倍とのことである。

 しかし、*2-3に書かれているように、全摘出した人を「確定」と称し、細胞針陽性でこれから手術日程を決める人を「疑い」と称しており、実際にはどちらも「がん発症」なので、ここにもごまかしがある。また、甲状腺検査も含めた県民健康調査を議論する検討委員会の星北斗座長(県医師会常任理事)は、「年齢分布などはこれまでと変化がみられず、原発事故の影響とは考えにくい」とし、「チェルノブイリ原発事故で甲状腺がんが増えたのは事故の3~5年後からだった」「がんが急速に大きくなっているわけではない」としているが、これらは、原因がフクイチ事故でないことを証明する根拠にはならない。

 また、放射性物質は県境で止まるわけではないため、*2-2のように、福島近隣県でも健康調査を実施するように要望が出されているが、*2-3のように、南東北、関東全域にも影響が出ていると考えるのが自然である。

 さらに、*2-4のように、北海道がんセンターの西尾氏が高知市で講演し、「外部被曝は一瞬で体を通り抜ける。内部被曝は体内で放射線がエネルギーを放出し続ける」と内部被曝の危険性を説明し、「政府は外部被曝だけを議論し、内部被曝の問題を全く無視している」と批判されたそうだが、全くその通りだ。また、国が「年間放射線量20ミリシーベルト以下」を避難指示解除の条件としていることについても、「放射線障害防止法で定めている放射線管理区域(年間約5・2ミリシーベルト)より線量が高い。国が法律を犯す異常な事態」と批判されたそうで、同感だ。さらに、チェルノブイリ原発事故と比較し、「チェルノブイリは内部被曝の危険を考慮して『強制避難ゾーン』を設けているが、日本では内部被曝の議論が全く無い」「(内部被曝の危険を)隠蔽する不誠実な対応だ」と政府を断じられたそうだが、これも尤もである。

(6)フクシマの過酷事故への対応
 *3-1のように、東日本大震災発生後、岩手、宮城、福島の被災3県の有権者に知事の初動対応への評価を尋ねたところ、福島県知事の評価が最も低く、それは福島第1原発事故の当事者であることが最大の原因だそうだ。津波被害だけなら、その後、人間が戻れず住めなくなるということはないが、原発の過酷事故は影響が長く続き、住めなくなる地域も多いからだ。これは、初動でリーダーが最前線で汗を流している姿を見せ、頑張っているというアピールをしたか否かよりも、事実が正確に報道されなかったために無用の被曝をさせられたり、現在も被害を受け続けて先が見えず、信頼を失ったりした結果だろう。

 なお、*3-2のように、東電フクシマ原発事故の賠償を裁判外で解決する手続き(原発ADR)は、避難中に死亡した人の慰謝料を算定する際には、原発事故の影響の度合いを「一律5割」と定めた内部文書が存在し、賠償額は「基準額(A)」×「原発事故の影響の度合い(B)」で算定して、Aを訴訟より低額にし、Bを「一律5割」か「例外的に1割にする」と記載しているそうだ。

(7)フクシマの放射能汚染水は現在も垂れ流しの上、溜めたものも太平洋に放出?!
 *4-1のように、東電福島第1原発の建屋周辺の井戸「サブドレン」などから汚染地下水をくみ上げ、浄化後に海に放出する計画で、国と東電は16日、いわき市で漁業者に対して計画の運用方針案を説明し海洋放出への理解を求めたそうだ。しかし、三陸沖は黒潮(日本海流)と親潮(千島海流)がぶつかる地域で、汚染水は県境とは関係なくその辺で混ざり合うため、浄化後といってもトリチウムをはじめ、除ききれなかった放射性物質が混ざっている大量の汚染水を海洋放出するのはどうかと思う。

 そして、*4-2では、「東電によると、建屋近くの井戸から地下水をくみ上げると、周辺の地下水位が下がり、建屋への地下水の流入を抑えられるなどの効果が期待できる」としているが、地下水はすぐに周りから補充されるので、水位が低くなるということはない。また、土壌が事故で汚染されたため、地下水には多くの放射性物質が含まれる上、排水する水の総量が多いため、処理済水がどの程度汚染されているのかも重要な問題だ。

<経産省の電源構成案>
*1-1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20150216&ng=DGKKZO83212720W5A210C1PE8000 (日経新聞 2015.2.16) 現実的な電源比率を決めるときだ
 2030年時点で、原子力や火力発電、再生可能エネルギーをどんな比率で組み合わせて使うか。それを軸にした「エネルギーミックス」の議論を政府が始めた。東日本大震災から4年。原発が停止して天然ガスなどの輸入が増え、電気料金が上昇している。エネルギー自給率は主要国で最低水準だ。企業も経営環境を見通しにくい。エネルギーを安価に安定供給できるよう、現実を見据えた電源比率の目標を決めるときだ。
●温暖化防止へ責務
 震災前の10年度時点で、日本の電力は原発で28%、火力で62%、水力を含む再生エネルギーで10%を賄っていた。だが震災の影響で原発が止まり、13年度時点では火力が88%を占める。再生エネルギーも微増にとどまった。いびつな状況といえる。化石燃料の輸入増加で貿易赤字が膨らみ、温暖化ガスの排出も増えた。安全性や経済性、環境など多面的な観点から、エネルギー供給のあり方を見直すことが欠かせない。電源構成を決めなければならない大きな理由は、今年末にパリで開く国連の会議で20年以降の温暖化ガス削減の枠組みが決まることだ。国連は各国にできるだけ早く削減目標を示すよう求めている。日本も責任ある目標を示さなければならない。数字先行で国民に負担を強いては困る。工場や家庭、運輸など各部門で省エネをどこまで強められるか。電源構成の見通しを持ち、数字を積み上げて議論の基礎にするのが望ましい。エネルギー安全保障の意味も大きい。原油価格は下落基調にあるが、化石燃料の多くは政治的に不安定な中東に頼っている。輸入先の多様化に加え、化石燃料への依存度自体を下げる目標が要る。エネルギーミックスの具体的な数字を詰めるうえでは、主に2つの点で議論を深めてほしい。まず再生エネルギーの導入目標を明確にすることだ。12年に電力会社による買い取り制度が始まり、制度面で課題を残しつつも、導入拡大に弾みがついている。一方で、家庭や企業の負担も増している。経済産業省によれば、このまま増え続けると家庭の電気料金への上乗せ額はいまの月225円から4倍に膨らむ。制度見直しで国民負担を減らし、持続性のある目標を定めるべきだ。もうひとつが原発の位置づけだ。電源比率を決めることは、原発をおよそ何基稼働させるか目安を示すことになる。九州電力川内原発と関西電力高浜原発が原子力規制委員会の審査に合格したが、ほかの原発では見通せない。そんな状況で政府が目安を決めてよいのかという疑念はあるだろう。政府は再稼働の条件として規制委による安全確認と地元による同意を掲げた。政府が原発比率の目標にこだわり、規制委に圧力をかけることは許されない。規制委の独立性と中立性を再確認したうえで、目標を決めるべきだ。原発については、老朽原発の運転延長や建て替えをどうするかも議論を避けて通れない。
●原発建て替えも議論を
 原発の運転期間は法律で原則40年と定められた。これに沿えば30年に運転可能な原発は20基、40年に7基に減る。自然減に委ねれば、30年時点で発電量に占める原発比率は15%に届かない。それで電力を安定供給できるかは未知数で、運転延長や建て替えの選択肢をいま放棄することはできない。個々の原発の運転延長の可否は規制委が判断することで、政府が口出しすべきではない。一方で、建て替えは許認可や地元同意などで10年以上かかり、国が方向性を示すことは不可欠だ。電力市場の自由化が進めば、電力会社が原発の建て替え費用をどう調達するかや電気料金の決め方、人材確保が課題になる。電力改革の制度設計とあわせ、それらをいまから議論しておくべきだ。私たちは東京電力福島第1原発事故の後、5~10年程度をエネルギー政策の「調整と点検の期間」にするよう訴えてきた。その間は再生エネルギーの利用拡大に全力をあげ、エネルギーの主役になり得るか見極めよと主張してきた。将来の電源構成を示すことはいわば「調整」の目標を定めることだ。電源ごとのコストや導入見通しがはっきりしてくれば、目標を「点検」して柔軟に見直せばよい。電源構成をいま決めることは、その出発点になるはずだ。

*1-2:http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2015013102000124.html (東京新聞 2015年1月31日) 2030年度の電源構成案 60年運転前提 原発20%に上昇も
 経済産業省は三十日、将来的な原発や再生可能エネルギーなどの構成比率を話し合う総合資源エネルギー調査会の「長期エネルギー需給見通し小委員会」の初会合を開いた。原発は運転開始から四十年で廃炉にする決まりだが、経産省は六十年まで延ばせる特例の利用を前提にする。現在はゼロで、将来も原則通りなら最大でも15%未満にとどまるはずの原発比率を20%前後まで高めるとみられ、「原発への依存度を可能な限り引き下げる」としたエネルギー基本計画に逆行する。原発の寿命を特例で延ばす手法にも安全を懸念する国民の声が強まる可能性がある。政府が昨年四月にまとめた同計画では原発の目標数値は明記しておらず、小委員会は夏までに二〇三〇年度に目指す原発や再生可能エネルギーなどの構成比率をまとめる。政府は東京電力福島第一原発の事故で、同原発1号機が四十年を超え老朽化していたことなどを重視、一二年の法律改正で運転期間を四十年に区切った。経産省は「現時点で原発の新増設は想定していない」としており、多くの原発が再稼働したとしても時間がたてば自然に原発は減る。同省試算では、火力なども含めた総発電量が一定と仮定すると、原発の占める割合は二八年度に約15%と〇九年度の半分になり、三〇年度はさらに下がる見通し。しかし、原発は原子力規制委員会の特別点検に通れば最長六十年まで運転を延ばせる。安倍政権は原発の維持推進を目指しており、経産省は原発の割合を引き上げるため「延長特例を利用する想定を置く」(同省関係者)方針だ。三十日の初会合でも、経産省が配った資料は「天然ガスなど化石燃料への依存度が急上昇している」など原発の必要性を示唆する内容がほとんど。一方、再生エネルギー計画で21%以上を目指すとした再生エネについては「増やすと電気料金も上がる」と後ろ向きの説明に終始した。会合では委員の橘川武郎一橋大大学院教授が「政府は『原発は可能な限り減らす、再生エネは最大限導入』と言っているのだから、再生エネは(最低でも)30%、原子力は15%ぐらいでないとおかしい」と原発回帰の議論にくぎを刺した。同調査会基本政策分科会委員の福井県の西川一誠知事も「原子力規制委は安全の責任をとらないので、政府が規制委の認めた原発は動かすといっても国民の支持は得られない」と批判した。
<40年廃炉原則> 政府は東京電力福島第一原発の事故を受けて老朽原発の廃炉を進めるため、2012年に原子炉等規制法を改正して原発の運転期間を40年に制限した。しかし電力業界の反発を受け、原子力規制委の「特別点検」に合格すれば最長20年延長できる例外規定も設けた。

*1-3:http://digital.asahi.com/articles/ASH1Z42B7H1ZULFA00P.html
(朝日新聞 2015年2月2日) 将来の電源構成「原発維持」の声続々 経産省作業部会
 原発比率を含む2030年の電源構成(エネルギーミックス)を話し合う経済産業省の作業部会が1月30日、始まった。委員からは将来も原発を維持することを求める意見が相次いだ。経産省は6月までに結論を出したい考えだが、委員の構成について、「原発偏重だ」などと批判も出ている。この日は、これからの電源構成を検討する「長期エネルギー需給見通し小委員会」と、検討結果を報告する上部組織「総合資源エネルギー調査会基本政策分科会」が合同で開かれた。東日本大震災時の10年度の原発の割合は全発電量の28・6%。政府はこれを「可能な限り低減させる」としており、どこまで減らすかが最大の焦点だ。まず、事務局の経産省が、原発の停止により、燃料を輸入に頼る火力発電の急増で、エネルギー自給率(12年)が0・9%まで下がったとして、「危機的である」と強調。電気料金が産業用で約3割、家庭用で約2割上がったことや、二酸化炭素の排出量が急増したことなど、原発停止による悪影響を並べた。分科会の委員として出席した福井県の西川一誠知事は「このままでは大変だ。日本は極端な状態にある」と応じ、原発推進のはっきりした政府の意見表明を求めた。小委員会委員の高橋恭平・昭和電工会長は「原子力を一定のレベルにキープするのが現実的な対応策」。橘川武郎・一橋大大学院教授は「再生エネは30%、原子力は15%ぐらい」と具体的な数字を述べた。「原発ゼロ」を求める意見はなく、今後は15~25%を軸に検討が進みそうだ。原発のリプレース(建て替え)や新増設についても意見が出て、「建て替えの議論は避けて通れない」(増田寛也元総務相)などと、今後の議題にするよう注文がついた。
■委員構成に批判
 一方、議論の進め方には批判も出ている。「電力によった委員構成と言わざるを得ない」。29日の衆院予算委員会。民主党の馬淵澄夫衆院議員は、小委員会のもとに設けられた「発電コスト検証ワーキンググループ(WG)」の委員が偏っていると批判した。WGは、電源構成の議論を大きく左右する各電源の発電コストを再検証するところだ。ところが、WGの委員7人のうち、電力業界などがお金を出している公益財団法人・地球環境産業技術研究機構から2人も選ばれていた。宮沢洋一経済産業相は「個人の経歴、能力を評価して委員に選んだ」として、人選に問題はないとの認識を示した。経産省は27日、電源構成に関する意見募集を開始。今後シンポジウムなども開き、幅広い意見を小委員会の議論に反映するとしている。民主党政権のときは、全国的な意見聴取会や討論型世論調査などの「国民的議論」をへて、「30年代までに原発ゼロ」という方針を決めた。

*1-4:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11597559.html?_requesturl=articles%2FDA3S11597559.html&iref=comkiji_txt_end_s_kjid_DA3S11597559
(朝日新聞 2015年2月12日) 中国、原発大国へシフト 発電能力5年で3倍計画
 中国政府は今年、福島第一原発の事故で凍結した新規の原発建設を本格化させる構えだ。5年で発電能力を約3倍に増やし、世界第2位のフランスに迫る計画。膨らむエネルギー需要と環境対策という課題を抱える習近平(シーチンピン)指導部は、「エネルギー生産と消費の革命」を掲げ、原発大国化に大きくカジを切ろうとしている。中国・北京から南東に約600キロ。1月、黄海に突き出す山東半島の先に広がる造成地で巨大なクレーンが林立していた。石島湾の原発建設現場の守衛は「福島の事故で止まっていた工事が、やっと動き出した」。石島湾では、高効率で安全性も高いとされる「第4世代」の高温ガス炉の世界初の実証炉が着工しているほか、実用炉では最先端の「第3世代」の原発も数基、建造する計画がある。国家発展改革委員会は昨年11月、石島湾などで計6基の新規原発の建設許可を国務院常務委員会に申請。「初の国産第3世代炉」と位置づける原発や実績の乏しい新型炉も含まれるため政府内に慎重論もあるが、原発の安全審査を担う環境保護省核・放射安全センター幹部は「着工は早晩、認められるだろう」。習主席は昨年の党の重要会議で「世界最高の安全基準を採用して、速やかに沿海部の新しい原発建設を始める」と宣言。国務院は2020年に原発の発電能力(発電設備容量)を現在の3倍近い5800万キロワットに引き上げる計画を掲げた。その先には、構想を含め200基を超える建設計画があり、「50年には発電能力4億~5億キロワット」とのプランも語られ始めている。
■炉型混在に懸念
 福島原発事故から5日後の11年3月16日、中国政府は着工前の原発建設を凍結し、新規原発計画の審査も停止した。安全基準を見直すべきだとの意見が政府内でも強まったためだ。各地の原発でストレステストを実施する一方、津波対策や非常時の電源確保のあり方などを見直し、12年10月に「原子力発電安全計画」を策定。原発の着工許可は出すようになったが、福島の事故で凍結されたものが中心で、新規原発の着工は一部にとどまっていた。しかし、エネルギー確保と環境対策という矛盾する課題は、深刻さを増す一方。昨秋、訪中したオバマ米大統領との会談で宣言した「30年ごろまでに非化石燃料の比率を約20%に引き上げる」との公約も、原発抜きに実現は難しい。ただ、安全の確保には懸念も残る。とりわけ国有の3大事業者がそれぞれ米、仏、ロなどの技術を取り入れ、開発を続けた結果、多様な炉型と技術が混在する現状への危惧は根強い。トラブル対応の経験不足や、原発の急増に技術者の人材育成が追いつかない問題なども国内で指摘されている。
◆キーワード
<原発の世代> 次世代の原子炉の開発を議論する国際会議によると70年代に世界中で盛んに建設された商業炉は「第2世代」。東京電力福島第一原発をはじめ日本にあるほとんどの商業炉がこれに当てはまる。現在運転中で最新のものが90年代後半に開発された「第3世代」。2030年以降の実用化を目指し効率や安全性などを高めた高速炉や高温ガス炉など次世代の原子炉を「第4世代」と呼ぶ。

*1-5:http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2015021302000125.html (東京新聞 2015年2月13日) 高浜3・4号機 意見公募 答えず「適合」
 原子力規制委員会は十二日、関西電力高浜原発3、4号機(福井県)が原発の新しい規制基準を満たしているとの審査書を正式に決めた。パブリックコメント(意見公募)には、原発が集中立地する危険性や避難計画の実効性が審査されないことなどに多くの意見や疑問が寄せられた。だが、規制委は、事故が起きても一定レベルに収まると想定して判断する姿勢を変えず、すれ違いが目立った。意見公募には約三千六百件が寄せられた。この日の会合では、主な意見と規制委の見解を併記する資料も公表された。高浜原発が立地する若狭湾周辺には、関電大飯、美浜、日本原子力発電敦賀の三原発、高速増殖原型炉「もんじゅ」もあわせ計十四基が立ち並ぶ。同時多発的に事故が起き、事故収束の要員が不足したり、他の原発から高濃度の放射性物質が飛来し、高浜での作業ができなくなったりする懸念の声も寄せられた。規制委は、各原発で十分な要員や資材を準備しており、「それぞれの炉で独立して事故対応にあたれる」と回答。寄せられた疑問には直接答えなかった。記者会見で、集中立地の問題を問われた田中俊一委員長は「同時多発的に起きても、それぞれのところできちっと対策が取れる」とかわした。東京電力福島第一原発事故では、放射線量が上がったり、水素爆発の危険が増したりして作業員が待避する事態が何度も起きた。「新基準を満たせば、作業に影響がある事故にならないと決めつけているのはなぜか」との問いもあったが、規制委は新基準が求める対策により「作業に支障がないことを確認した」と回答するにとどまった。また、地図上では高浜原発に通じる道路は一本の県道しかなく、必要な外部支援が厳しい事態も起きうる。この懸念に対しては、七日間は支援なしに対応できることが新基準の要求だとして、問題ないとの考えを示した。複数の道があるような記述が回答欄にあったため、規制委や関電に取材すると、「機密」として具体的には明かさなかったが、徒歩による支援要員の投入しか審査していないと答えた。避難計画の実効性を、規制委が審査すべきだとの意見もあったが、田中氏は「そういう(避難の)事態にならないように規制サイドとしてやっている」と説明した。

*1-6:http://mainichi.jp/shimen/news/20150215ddm002020078000c.html (毎日新聞 2015年2月15日) 原発:米で廃炉相次ぐ 日本、電力自由化後に試練 収入不安定化のリスク
 シェール革命の恩恵を受ける米国で原発の廃炉が続いているが、電力販売の完全自由化を控える日本でも、自由化後の原発をどうするかは重要な課題だ。原発は建設開始から発電までに10年程度かかる上、建設などの初期投資は5000億円規模に上る。長期間にわたって安定した料金収入を得られないと、電力会社の経営基盤が揺らぎかねない。電力自由化で価格競争が進むと、事業リスクの大きい原発が敬遠され、手掛ける電力会社が限られるとの見方もある。現在は電力会社が原発に巨額の投資をしても、電気料金で回収できる。原発を含む事業コストに一定の利益を上乗せして電気料金を決める「総括原価方式」という規制で守られているからだ。しかし、2016年に電力小売りが自由化され、20年をめどに総括原価方式が廃止されると、料金で回収できる保証はなくなる。一方で原発は、事故やトラブルで長期停止したり、規制強化で安全対策費用が膨らんだりするリスクも抱える。金融機関が融資を尻込みすれば、原発からの撤退を検討する電力会社が出てくる可能性もある。このため、経済産業省は昨年、電力自由化後の原発政策として、再生可能エネルギー固定価格買い取り制度(FIT)に似た制度を原発に導入する案を示した。原発で発電する電力の販売価格をあらかじめ決めておき、実際に電力市場で取引される価格がそれを下回った場合、差額分を電気料金に上乗せして利用者から回収する仕組みだ。英国が13年に導入した制度をモデルにしている。ただ、「原発版FIT」の価格が高すぎると、企業や家庭の反発を招くのは必至だ。英国の買い取り価格は1キロワット時当たり16・65円(1ポンド=180円換算)で、日本政府が11年に試算した原発の発電コスト「8・9円以上」を大幅に上回る。石炭や液化天然ガス(LNG)火力より割高になる計算だ。反原発派だけでなく、産業界でも「原発稼働のために電気代が上昇すれば本末転倒」との警戒感が根強い。このため政府内では、原発建設コストの最大8割を政府が債務保証する米国の制度を導入することも検討されている。政府は原発や再生エネなど電源ごとの発電比率を示す電源構成(エネルギーミックス)を今夏までに策定する方針で、原発依存度を15〜25%とする方向だ。中長期的に一定の原発依存度を維持するため、老朽原発を廃炉にする代わりに、敷地内での建て替え(リプレース)を容認する可能性が高い。ただ、裏付けとなる原発推進策の具体化は、「誰がどのぐらい原発のコストを支払うか」の難題に関わるため後回しにされている。
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■ことば
◇総括原価方式
 電力会社が電力供給に必要と見積もった費用をすべて回収できるように電気料金を設定する仕組みで、電気事業法で規定されている。燃料費や給与、福利厚生費、発電施設の維持・改修費、減価償却費などの費用に、一定の利益を上乗せして電気料金を決める。電力会社の経営を安定させ、電力の安定供給につなげる狙いだが、コスト削減を促しにくい問題がある。

*1-7:http://qbiz.jp/article/55945/1/
(西日本新聞 2015年2月15日) 「核ごみ対策を再稼働条件に」 日本学術会議、国へ政策提言へ
 学術の立場から国に政策提言など行う日本学術会議(大西隆会長)が、原発から出る「核のごみ」対策を政府と電力会社が明確化することを原発再稼働の条件にすべきだとする政策提言案をまとめたことが14日、分かった。17日に同会議の検討委員会で議論し、3月にも正式に公表する予定で、世論形成や国の政策に一定の影響を与えそうだ。学術会議は2012年にも「核のごみ」政策の抜本的見直しを提言しており、あらためて政府に改善を促す異例の対応。高レベル放射性廃棄物の処分問題に進展がないまま再稼働を進める国の姿勢を「将来世代に対する無責任」と批判しており、新増設も容認できないと強調している。政策提言案は「国、電力会社、科学者に対する国民の信頼は東京電力福島第1原発事故で崩壊した状態で(核のごみの)最終処分地の決定は困難」と指摘。信頼回復や国民の合意形成、科学的知見を深めるため、地上の乾式貯蔵施設で原則50年間「暫定保管」することを提案した。次の世代に迷惑をかけないため、保管開始後30年をめどに処分地の決定が重要としている。さらに負担の公平性の観点から「暫定保管の施設は原発立地以外での建設が望ましい」とし、各電力会社が管内に最低1カ所施設を確保する計画の作成を再稼働の条件として求めている。また、合意形成のために市民も参加して議論を深める「核のごみ問題国民会議」を設置する必要性を強調。再稼働で生じる放射性廃棄物の抑制や上限設定など「総量管理」についても議論すべきだとしている。

<フクシマと近隣の健康調査>
*2-1:http://digital.asahi.com/articles/ASH2D61KJH2DUGTB00S.html?_requesturl=articles%2FASH2D61KJH2DUGTB00S.html&iref=comkiji_txt_end_s_kjid_ASH2D61KJH2DUGTB00S (朝日新聞 2015年2月13日) 福島)甲状腺がん118人に「原発事故影響考えにくい」
 福島県は12日、東京電力福島第一原発事故当時18歳以下の約38万5000人が対象の甲状腺検査で、昨年末までに計118人ががんや疑いがあると診断されたと発表した。うち手術でがんと確定診断されたのは計87人になった。甲状腺検査も含めた県民健康調査を議論する検討委員会の星北斗座長(県医師会常任理事)は、「年齢分布などはこれまでと変化がみられず、原発事故の影響とは考えにくい」とした。チェルノブイリ原発事故で甲状腺がんが増えたのは事故の3~5年後からだったことなどから、昨年度末までの1巡目の検査を、事故前の状態とみなし、今年度始まった2巡目検査の結果と比較して、甲状腺がんが増えるかどうか調べる予定だ。2巡目検査は昨年末までに約7万5000人の結果が判明。8人が、がんや疑いと診断された。昨年10月末時点のまとめより疑いのある人は4人増え、1人は手術でがんと確定した。8人のうち5人は、1巡目の検査では結節(しこり)も何も無いと診断されていた。過去2年以内にがんが発生して大きくなったのではという懸念に対し、検査を担う県立医大の鈴木真一教授(甲状腺外科)は、「がん細胞はある程度の塊にならないと見えないので、前回の検査でまったく何もなかったとは限らない。8人とも1次検査の後の観察では、がんが急速に大きくなっているわけではない」と説明した。

*2-2:http://www.tokyo-np.co.jp/article/chiba/20150117/CK2015011702000148.html (東京新聞 2015年1月17日) 健康調査を求め 環境省に意見書
 東電福島第一原発事故に伴う住民の健康管理をめぐり、野田市は十六日、環境省の指針「当面の施策の方向性(案)」のパブリックコメント(意見公募)に、福島近隣県や野田市なども健康調査を実施するよう求める意見を提出した。指針では、福島県民の健康調査を充実させるとしている一方、同県以外の住民には言及していない。野田、柏、松戸など除染の汚染状況重点調査地域に指定されている県内九市は昨秋、同省に緊急要望書を提出したが、指針に反映されていないため、野田市はあらためて国の責任で甲状腺エコー検査などの実施を求める意見を出した。意見公募の期間は昨年十二月二十二日から一月二十一日まで。柏や松戸も対応を検討している。 

*2-3:http://financegreenwatch.org/jp/?p=41354 (もうすぐ北風が強くなるブログ) 世界最悪となっている福島の小児甲状腺がん発症率 子ども316人に一人発症
 福島の小児甲状腺がんはベラルーシを超える世界最悪の状況になっている。 マスコミは報道しないか、誰も読まないような小さな記事にしている。確定33人、疑い42人の発表自体が姑息な誤魔化し。 全摘出した人を「確定」と称し、細胞針陽性でこれから手術日程を決める人を「疑い」と称している。 当然、正しくはどちらも「発症」である。つまり「発症75人」である。 報道しないか、こうした馬鹿話を小さく記事にする犯罪マスコミである。通常100万人に0.2人とも1人ともいわれる小児甲状腺がん。それが福島は既に概ね300人に一人、通常の少なくとも300倍から数千倍になる。とてつもなく甚大な発症数であることに注意されたい。放射能が県境から消えたではないので、南東北、関東全域にも影響は出ていると考えるのが当然だろう。小児甲状腺がんはあくまで初期の放射性ヨウ素を反映している目安である。その他の多種多様な被曝症状、鼻血から下痢、うつ病、化膿症から知能低下、突然死までが同じように異常な増加、拡大をしていると考えるのが正しいだろう。とくに南東北から関東まで。いまだに、正確な放射性物質の量は把握されていないことを忘れてはいけない。政府の放置によって、世界最悪の放射能汚染に見舞われているのである。廃棄物処理や物流によって全国に拡散を続けているのが現実だ。決して、政府マスコミの馬鹿話に引っかかってはいけない。
●人口がベラルーシの5分の1の福島県で75人
 2011年3月11日の福島第一原発事故発生から3年目、日本では小児甲状腺がんが爆発的に発症しています。チェルノブイリ原発事故後のベラルーシ(人口1000万人)に当てはめれば人口が200万人の福島県の75人とは、375人に相当する無茶苦茶な数字なのです。ベラルーシでは、最悪だったチェルノブイリ事故から9年後の1995年でも発症者は100人を超えていない。福島県は7日、東京電力福島第一原発の事故当時に18歳以下だった子ども(36万人)の甲状腺検査で、結果がまとまった25万4千人のうち75人が甲状腺がんやがんの疑いがあると診断されたと発表した。この25万4千人とは、甲状腺の正式なガイドラインから血流検査など大事な4項目を省略した簡易な一次検査の人数で、精密な二次検査終了者の人数ではないことに注意。(二次検査終了者数は半数程度と思われる)。昨年11月の発表時点よりも、検査人数は約2万8千人、がんは疑いも含めて16人増えたが、今回増えた分だけを分母分子にした小児甲状腺がんの発症率は1750人で1人の割合である。福島県は通常の発症率の数百倍から数千倍の猛烈な数字なのですから、隣接する宮城県茨城県千葉県東京都など他の東日本地域も、当然メルトダウンした福島第一原発の放射性プルーム(放射能雲)が襲来した影響が出ていると判断するべきであろう。本来なら原発事故から3年目程度では、放射能の影響が小さい。いみじくも民主党幹事長だった枝野幸男が何回も繰り返したようにDNAを傷つける放射能は『直ぐには健康に影響しない』のである。一定の時間が経過してから確定的ではなく確率的に被害が出るから、放射能は余計に恐ろしいのである。今の福島県がチェルノブイリ原発事故後のベラルーシと同じ経過を辿るとすると、2020年には1000人以上のとんでもない数字になっている。総人口比では1755人に1人の割合である。小児人口比では316人で1人が小児甲状腺がんが発症するのですから、2020年の日本は暢気に東京オリンピックどころの話では無い。国家存亡の一大事に、政府自民党は東京都知事選挙だのオリンピックだのと、無責任にも程がある話である。

*2-4:http://www.kochinews.co.jp/?&nwSrl=333068&nwIW=1&nwVt=knd
(高知新聞 2015年2月8日) 「内部被ばく無視するな」高知市で北海道がんセンター西尾氏が講演
 東京電力福島第1原発事故の被ばくを考える講演会が7日、高知市内であり、北海道がんセンターの西尾正道名誉院長(67)が内部被ばくの危険性を指摘した上で、「政府は外部被ばくだけを議論し、内部被ばくの問題を全く無視している」と批判した。西尾正道氏は約40年間、がんの放射線治療を行っており、2011年3月の事故以降は福島県内で子どもの甲状腺検査をボランティアで続けている。講演では外部被ばくと内部被ばくについて、「外部被ばくは一瞬で体を通り抜ける。内部被ばくは体内で放射線がエネルギーを放出し続ける」と、内部被ばくの危険性を説明した。ほかにも、国が「年間放射線量20ミリシーベルト以下」を避難指示解除の条件としていることについて、「放射線障害防止法で定めている放射線管理区域(年間約5・2ミリシーベルト)より線量が高い。国が法律を犯す異常な事態」と批判した。チェルノブイリ原発事故とも比較し、「チェルノブイリは内部被ばくの危険を考慮して『強制避難ゾーン』を設けているが、日本では内部被ばくの議論が全く無い」と強調。「(内部被ばくの危険を)隠蔽(いんぺい)する不誠実な対応だ」と政府を断じた。講演はグリーン市民ネットワーク高知などの主催で、高知県人権啓発センターで行われた。

<フクシマの過酷事故時の対応>
*3-1:http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201410/20141015_61008.html
(河北新報 2014.10.15) 大震災知事対応 「初動に不満」福島半数
 東日本大震災の発生後、岩手、宮城、福島の被災3県の有権者に知事の初動対応への評価を尋ねたところ、福島県知事の評価が最も低かったことが14日、東北大大学院情報科学研究科の河村和徳准教授(政治意識論)の調査で分かった。「県レベルの政治を信頼できるか」という問いでも福島県が最も低く、河村准教授は「福島第1原発事故の当事者であることが最大の要因」と分析している。知事の初動対応について「かなり評価する」「ある程度評価する」との回答は宮城が78.1%、岩手が67.6%、福島が39.2%。村井嘉浩宮城県知事が最も高く、佐藤雄平福島県知事に大きく差をつけた。逆に「あまり評価しない」「まったく評価しない」は福島53.2%、岩手24.1%、宮城15.7%だった。知事や県議会など「県レベルの政治を信頼できるか」でも「信頼できる」「やや信頼できる」が宮城57.0%、岩手47.0%、福島35.0%の順だった。「あまり評価できない」「まったく評価できない」は福島が60.2%で最も高く、岩手48.2%、宮城37.0%。県政界全体の評価でも福島が最も低かった。県や市町村職員の初動に対する評価では、「かなり評価する」「ある程度評価する」が宮城67.5%、岩手66.9%、福島47.0%。「あまり評価しない」「まったく評価しない」は福島41.0%、宮城22.5%、岩手22.3%。知事の評価に比べ差は小さいが、福島の評価が低かった。津波被害がメーンの岩手、宮城両県に比べ、福島では津波被害に加え、原発事故の影響が現在も続いており、被災3県の比較調査で全体的に低い評価につながっているとみられる。一方、河北新報社が11、12の両日、福島県の有権者を対象に行った聞き取り調査(回答者200人)では、原発事故から3年半の佐藤県政について「大いに評価する」「評価する」は計59.0%で、「評価しない」「まったく評価しない」(24.5%)を大きく上回った。除染廃棄物を保管する中間貯蔵施設建設問題に道筋を付けた点が、高評価につながったとみられる。調査の方法]日本学術振興会東日本大震災学術調査の一環として、東北大の河村研究室がことし5~8月、岩手、宮城、福島、茨城4県の有権者各1000人を抽出し、調査票を郵送した。各県1000ずつのサンプルに対し、回収率は43%。紙面化に当たり、被害が大きかった東北の被災3県で比較した。
◎動き見えず被災者不安に
<東北大大学院情報科学研究科・河村和徳准教授>
 被災3県の知事比較から思い浮かべたのは、4月の旅客船セウォル号沈没事故で政府対応を誤り、事故前まで60%前後あった支持率を急落させた韓国の朴槿恵(パククネ)大統領の姿だ。初動ではリーダーが最前線で汗を流している姿を見せないと、被災者の安心にはつながらない。「初動の見える化」に失敗した点では、朴大統領も佐藤雄平福島県知事も似ている。福島では「初動の見える化」に失敗した首長が軒並み落選する「現職落選ドミノ」現象が起きたが、根底にあるのは信頼の欠如だ。被災地の知事に最も問われるのは決断力だ。東北大調査で佐藤知事の初動対応への評価は低かったが、震災対応全般を問う河北新報社の調査では高い評価となった。佐藤知事が中間貯蔵問題で「決断」したことに加え、引退を表明したことが影響したのではないか。

*3-2:http://mainichi.jp/select/news/20141017k0000m010048000c.html
(毎日新聞 2014年10月16日) 原発ADR:一律5割の内部文書 文科省が国会提出拒否
 東京電力福島第1原発事故の賠償を裁判外で解決する手続き(原発ADR)を巡り、避難中に死亡した人の慰謝料を算定する際、原発事故の影響の度合いを「一律5割」と定めた内部文書が存在する問題が16日、国会質疑で初めて取りあげられた。参院経済産業委で荒井広幸議員(新党改革)が文書の国会提出を求めたところ、文部科学省の田中正朗審議官は「公開すると支障がある」と拒否。専門家は「不適当な判断だ」と批判している。賠償額は「基準額(A)」×「原発事故の影響の度合い(B)」で算定する。内部文書はAを訴訟より低額にし、さらにBを「一律5割」あるいは「例外的に1割にする」などと記載。これまでに示された137の和解案の約80%が実際に5割以下とされ、慰謝料が低く抑えられている実態が毎日新聞の報道で明らかになっている。他にも多数の内部文書が存在するとされ、荒井議員は全文書の提出を要求。田中審議官は「公にすると手続きの適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある」などとして拒否した。NPO法人「情報公開クリアリングハウス」の三木由希子理事長は「被災者に提供すべき情報。文科省は公にするとどのような支障があるのか具体的に説明しておらず、非公開は不適当」と話した。

<フクシマの汚染水>
*4-1:http://www.minyu-net.com/news/news/0117/news6.html
(2015年1月17日 福島民友ニュース) 漁業者、不満あらわ いわき・地下水放出で説明会
 東京電力福島第1原発の建屋周辺の井戸「サブドレン」などから汚染地下水をくみ上げ、浄化後に海に放出する計画で、国と東電は16日、いわき市で漁業者に対して計画の運用方針案を説明、海洋放出への理解を求めた。参加した漁業者からは「福島県だけに汚染水の始末を押しつけるのか」などと批判した。いわき地区の漁業者を対象とした説明会は3度目。国と東電は昨年12月の説明会での意見に対して見解を述べた。「サブドレンの浄化水は他県や沖合にタンカーで運んで排出すべき」との意見について国側は「安全にもかかわらず、他県や沖合で排出することはかえって安全性に対する疑念や誤解を生む」と答えた。説明会後、東電福島復興本社代表の石崎芳行副社長は、計画の技術的な説明については「会場の雰囲気から一定の理解を得られた」との認識を示す一方で、計画の実行時期については「県漁連内での議論を注視していきたい」とした。

*4-2:http://mainichi.jp/feature/20110311/news/20150121k0000e040214000c.html (毎日新聞 2015年1月21日) 福島第1原発:水処理施設の本格稼働了承 規制委
 原子力規制委員会は21日、東京電力福島第1原発建屋周辺の井戸(サブドレン)からくみ上げた汚染地下水を浄化して海に放出する計画について審査し、水処理施設を本格稼働させて放出することを了承した。しかし、福島県内の漁業関係者らの理解は得られておらず、計画開始のめどは立っていない。東電によると、建屋近くの井戸から地下水をくみ上げると、周辺の地下水位が下がり、建屋への地下水の流入を抑えられるなどの効果が期待できるという。一方、土壌が事故で汚染されたため、地下水には多くの放射性物質が含まれる。東電は規制委に対し、水位の管理方法や、浄化した水の移送、処理済み水の保管などに関する実施計画の認可を求める申請をしていた。また、処理後の水の排水基準を、地下水バイパスの海への排水基準より厳格化することも申請していた。規制委はこの日、いずれの申請も認可することを決めたことから、水処理施設の本格稼働が可能になる。国と東電はこれまで、漁協関係者に対し、排水基準を順守することや、基準値を超えた場合は原発構内のタンクに移送して排水しないことなどを説明している。だが、漁業者の風評被害への懸念は強く、両者の隔たりは大きい。東電は「関係者の理解が得られるまで排水は実施しない」と話している。

<世界の環境基準について>
*5-1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20150212&ng=DGKKZO83078000S5A210C1MM8000 (日経新聞 2015.2.12) エネルギー迫る選択の時(2)CO2削減迷走 求められる野心的目標
 かつて常磐炭田からの石炭積み出しで栄えた小名浜港(福島県)。今は世界から運んできた石炭が埠頭の至る所で山積みだ。「輸入が急増して場所がない。臨時置き場に積み上げている」(国土交通省小名浜港湾事務所)。輸入増に対応するため、沖合では世界最大級の石炭船が接岸できる人工島の造成が進む。荷揚げした石炭が向かう先は東日本各地の石炭火力発電所だ。福島第1原子力発電所の事故を経て石炭火力は復活し、電力供給の主役となる勢いだ。建設計画は全国で35基を超える。「国のエネルギー方針が定まらないのだからコストを考えれば石炭火力しか選択肢はない」(電力会社)。新規参入を目指す異業種による新設計画も相次ぐ。
●石炭は麻薬
 だが経済産業省幹部は「石炭火力は麻薬だ。2030年には閉鎖に追い込まれるかもしれない」と気をもむ。石炭火力はコストは安いが二酸化炭素(CO2)の排出が他の燃料よりずばぬけて多い。温暖化の元凶として国際的な規制の機運が高まっているためだ。昨年12月、ペルーのリマ。温暖化対策の新ルールを話し合う第20回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP20)で日本代表団の顔色はさえなかった。望月義夫環境相と潘基文国連事務総長の異例の会談が実現したものの、国連トップが伝えたのは「早急に削減目標の提出を」という厳しい注文だったからだ。主要国で排出削減目標を示していないのは日本だけだ。CO2排出量は電源構成により大きく変わる。望ましい電源構成である「ベストミックス」の議論が遅れ、目標値を決められないままだ。これまで温暖化対策に背を向けてきた米中まで自主目標を掲げて交渉に乗り込んできた。米国は25年までに温暖化ガス排出を05年比26~28%減、欧州連合(EU)は30年までに1990年比で少なくとも40%減。中国はCO2排出を30年ごろをピークに減らす。日本は石炭火力の計画分だけで20年代半ばの排出が現在から4%近く増える。原発稼働の見通しも立たず、中途半端な削減目標しか示せそうにない。温暖化交渉に詳しい名古屋大学の高村ゆかり教授は「先進国が野心的な目標を示さなければ、途上国は削減義務を受け入れない。対策に後ろ向きだとして国際社会で日本の存在感は低下する」と指摘する。京都の名を冠した議定書をまとめ、省エネ技術で世界を先導してきた日本がいまは交渉の足を引っ張っている。
●国益駆け引き
 COP20では石炭火力にCO2回収装置の設置を義務付ける検討も始まった。石炭火力の発電コストがかさ上げされることになれば日本経済は苦境に立たされる。日本政府は09年に鳩山由紀夫首相(当時)が国際公約に掲げた「20年に90年比25%削減」の目標を震災後に撤回し「20年に05年比で3.8%削減」に後退させた。信用はがた落ちだ。年末の新ルール決定を目指し、各国の国益をかけた駆け引きは激しさを増している。目標提示が遅れたうえにその数値が世界を失望させれば発言力はさらに低下し、不利なルールも受け入れざるを得ない。エネルギー政策の迷走と遅れは命取りになる。

*5-2:http://373news.com/_column/syasetu.php?ym=201502&storyid=63631
(南日本新聞 2015.2.10) [原発事故の処理] 目を背けてはいけない
 東京電力福島第1原発事故の処理が難航するなか、安倍政権が原発回帰を鮮明にしている。九州電力川内原発再稼働に向け昨年秋、鹿児島県に示した政府方針は「事故を真摯(しんし)に反省し、廃炉・汚染水対策と福島の復興・再生に全力で取り組む」とした。これは約束ではなかったのか。将来世代に責任を持つためにも、厳しい現実から目を背けてはいけない。福島県内の除染廃棄物を保管する中間貯蔵施設が双葉、大熊両町で着工し、望月義夫環境相らが内堀雅雄知事に搬入受け入れを早々に要請した。県外で30年以内に最終処分するなど、県が求めた5項目の条件は整いつつある。政府は東日本大震災から丸4年となる3月11日までの搬入開始をめざす。それでも目標から2カ月遅れてのスタートとなる。県内約千カ所の仮置き場から廃棄物が消えるのは、さらに「数年先」になる見通しだ。仮置き場は市民の生活空間を圧迫し、帰還意欲をそいでいるとの懸念が出ていた。除染と復興を加速させる上で、施設の本格稼働は欠かせない。

*5-3:http://www.nishinippon.co.jp/nnp/kagoshima/article/144593 (西日本新聞 2015年2月10日) 川内から最後の風船 放射性物質拡散予測、反原発原告団 [鹿児島県]
 九州電力川内原発(鹿児島県薩摩川内市)で過酷事故が起きた際の放射性物質拡散の距離や方向を風船を飛ばして予測しようと、反原発を唱える市民約50人が8日、原発に隣接する同市の久見崎海岸から風船500個を放った。川内原発稼働停止を国や九電に求めた訴訟の原告団が主催してきた試みで、4回目となる今回が最後になる見込み。風船は環境に害を与えない素材で作られており、ヘリウムガスを充填(じゅうてん)。事務局の電話番号を書いたカードを付けており、拾った人に場所と日時を連絡してもらうことで、落下地点からの拡散範囲や時間を予測する。風船飛ばしは2013年7月、昨年4月、同10月にも実施。過去3回は計30カ所から連絡があり、120~150キロ東の宮崎県の日南市や都農町、日向市などで確認された。8日の分も9日午後までに、40キロ南の鹿児島市谷山中央など鹿児島県内3カ所から連絡が来た。原告団は結果を春夏秋冬のデータとしてそろえ、訴訟に証拠として提出する。

*5-4:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/153846
(佐賀新聞 2015年2月6日) 知事反原発団体と面会意向 前知事の姿勢転換
■対話路線を強調
 佐賀県内で活動する反原発の市民団体が、知事に直接対話の場を設けるよう求めていることに対し、山口祥義知事は5日の定例記者会見で「会う機会を設けていきたい」と述べた。担当課対応を続けてきた前知事の姿勢を転換する意向を示した。反原発の市民団体は再三にわたり、知事に直接面会するよう求めてきた。これに対し、古川康前知事は担当課が団体の話を聞き取り報告する形式で対応し、直接の意見交換はなかった。山口知事は選挙戦を通じ原発再稼働を容認する方向性を示している。会見では「絶対だめだという皆さん方ともぜひ会う機会を設けていきたい」と対話路線を強調した。一方で、「“対話”は互いに誠意を持ち意見を言い合う場」と指摘し、「県民の思いを知事である私に訴える場が長続きするようなやり方を考えていきたい」と協力を求めた。2006年から直接対話を求めてきた「玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会」の石丸初美代表は「何度もお願いしたが、前知事は『意見がかみ合わないから』と私たちの意見を聞いてくれなかった。選挙戦で県民の心に寄り添いたいとしていた山口知事が『会う』としてくれたことに、敬意を表したい」と評価した。また、玄海原発(東松浦郡玄海町)の再稼働に関し「地元同意」の範囲に含めるよう求めている伊万里市の塚部芳和市長との会談も近日中に調整する方針を示した。山口知事は「県民の安全を第一に考えている。会いたい、話を聞いてもらいたいという市長の思いに応えていきたい」と語った。


PS(2015.2.21追加):「原発なくそう!九州玄海訴訟」原告団の唐津地区在住者が中心となって作っている「九州玄海訴訟唐津原告の会」が、*6のように玄海原発事故時の避難計画について、有効性等を尋ねる質問状を唐津市に提出したそうだ。確かに原発事故の避難計画は、①原発事故の影響を小さく見積もり過ぎており ②避難している期間も不明で、③実効性があるとは思えない。そのため、原発再稼働申請された地域の住民は、事故時の避難計画に関して、このように検証していくのがよいと考える。

*6:http://www.saga-s.co.jp/column/genkai_pluthermal/20201/158530
(佐賀新聞 2015年2月20日) 原発避難計画の有効性で質問状 反原発団体
 九州玄海訴訟唐津原告の会(吉田恵子世話人)は19日、九州電力玄海原発(東松浦郡玄海町)の事故に備えた避難計画の有効性などを尋ねる質問状を唐津市に提出した。2週間以内に文書での回答を求めている。質問状は事故時の放射性物質の拡散状況により複数の避難先を設定する必要性や、離島の放射線防護工事の進ちょく状況など15項目を尋ねている。吉田世話人から質問状を受け取った唐津市危機管理防災課の秋山剛輝課長は「質問を整理して文章で回答したい」と応じた。質疑応答では、避難場所を知らない市民が多く、広報の不十分さを訴える意見に対し、秋山課長は「広報が不足していると認識しているので、今後は充実を図りたい」と答えた。原告の会からは「県に対し避難計画の問題点を指摘する姿勢が見られないのは残念」との意見も出た。同原告の会は「原発なくそう!九州玄海訴訟」原告団の唐津地区在住者が中心となってつくっている。


PS(2015.3.22):*7のように、宗教の方から援護射撃があった。つまり、日本の司教団に対し、ローマ法王が、フクイチ原発事故に関して、「人間のおごりと現代文明のひずみの一例」として原発の開発に警鐘を鳴らされたそうだ。また、*8のように、明通寺(小浜市)の中島哲演住職の講演会も開かれるとのことである。私は、科学的見地から、人類が滅んでも地球は痛くも痒くもないが、地球環境が悪くなれば人類は生き残れないため、人間の力の限界を認識すべきだと考えている。

*7:http://mainichi.jp/select/news/20150322k0000m030132000c.html
(毎日新聞 2015年3月22日) ローマ法王:原発は「バベルの塔」 現代文明のひずみ指摘
 フランシスコ・ローマ法王は20日、バチカン(ローマ法王庁)を公式訪問した日本の司教団と会見。東日本大震災の福島第1原発事故に関連し、人間のおごりと現代文明のひずみの一例として原発の開発に警鐘を鳴らした。法王が原発の安全性に言及するのは異例。バチカンは会見の詳細を発表していないが、日本司教団によると、法王は「人間は神の定めた自然のおきてに逆らってはいけない」と指摘。原発を旧約聖書の「バベルの塔」になぞらえ「天に届く塔を造ろうとして、自らの破滅を招こうとしている」と表現し、「人間が主人公になって自然を破壊した結果の一つ」と述べたという。法王は「原発廃止」や「脱原発」には言及していないが、現代文明の抱える課題として懸念を表明した形だ。また、法王は広島、長崎への原爆投下と第二次世界大戦終結から70年を迎えることに触れ、核兵器製造を「人類の悪行」と非難したという。日本司教団は法王が日本に向けた平和のメッセージを発表するよう依頼した。法王は禁教下に信仰を死守した潜伏キリシタンを「指針」とたたえた。キリシタン大名の高山右近(1552〜1615)がカトリックで「聖人」に次ぐ「福者」に認定される見通しで、法王は来年、日本で予定される列福式に「可能なら行きたい」と述べたという。

*8:http://www.tokyo-np.co.jp/article/ibaraki/20150323/CK2015032302000170.html (東京新聞2015年3月23日) 反原発訴える住職の福井・若狭の経験とは 土浦で29日、講演会
 市民グループ「脱原発ネットワーク茨城」は二十九日、福井県で反原発市民運動を続ける明通寺(小浜市)の中島哲演住職の講演会を土浦市川口一の「モール505」二階イベントホールで開く。テーマは「若狭の原発、そして茨城の原発」。中島さんは、十数基の商業用原発が並び「原発銀座」と呼ばれる福井県若狭で、原発が建ち始めた四十五年ほど前から、一貫して原発に反対してきた。東京電力福島第一原発事故から四年の節目に、原発は地域をどう変えていったのか、高浜、大飯原発の再稼働問題、若狭の原発と日本原子力発電東海第二原発(東海村)との関連などについて語る。午後一~三時。参加費千円。会場は、JR土浦駅から徒歩五分。問い合わせは、ネットワーク共同代表の小川仙月さん=電090(5548)3078=へ。

| 原発::2014.10~2015.3 | 03:38 PM | comments (x) | trackback (x) |
2015.1.26 都合の悪いことには目をつぶり、「原発は、公害がなく、安全、安価で、安定的な電力である」という新しい原発神話を作ろうとしているため、ますます原発再稼働は行うべきでない。 (2015年1月30日、2月3日に追加あり)
   
    2015.1.24、25西日本新聞   2014.12.18佐賀新聞 2015.1.26西日本新聞 

(1)既に一般的抽象論の時期は終わりだ
 佐賀県の山口知事は、支持者の相当の努力で知事に当選したが、*1-1、*1-2のように、「玄海原発を視察して正確な情報開示を要請し、互いの信頼関係を築くため、嘘はつかず、風通しのいい関係で、あらゆる事象に対する危機管理を考えていきたい」という程度の一般論を言っているようでは、原発やその関連団体を知らなすぎて心もとない。何故なら、その程度の一般論は、現在では原発地元でなくても日本中で常識であり、本当はフクシマ以前もそうあるべきだったからである。
 
 また、オフサイトセンター(唐津市)や4号機原子炉格納容器内に入り、福島第1原発事故を受けて策定された新規制基準に基づく過酷事故対策などを確認したとのことだが、私は、①一見しただけで何がわかったか ②どれだけの問題点を指摘できたか ③九電の技術者が自分の予想と異なる答えをした時、自分の知識に照らして議論し正しい判断ができるか が重要な問題点だと考えている。

 さらに、視察で移動式大容量ポンプ車、代替緊急時対策所、原子炉建屋の中央制御室・格納容器内の水素再結合装置などの説明を受けたそうだが、どうも反応がのんびりしている。

 そして、*1-6のように、松浦火力も川内火力もダウンして停止するような九電の瓜生社長が、「ハード、ソフト両面から原発事故対策を講じている」と述べても、それをまともに信用できるわけがなく、過酷事故時は、どの範囲の住民が、どこへ、どれだけの期間避難し、誰がどう除染すれば元通りに農業・水産業・製造業・サービス業などを行えるのか、そのためのコストは誰がどう負担するのかを考えておかなければ、原発再稼働などという話には到底ならない筈である。

 なお、*1-3に書かれているように、九電玄海原発の過酷事故を想定した佐賀、長崎、福岡3県合同の原子力防災訓練が5000人の参加で行われたものの、この参加者は原発30キロ圏に住む約27万人のごく一部であり、さらに30キロ圏内だけが被曝するわけではないことは、既にフクシマ原発事故で証明済だ。そして、そのギャップを新しい安全神話で埋めるのはやめるべきである。

 一方、原発で利益を受けていない一般市民は、*1-4のように、原発再稼働に反対して国と九電に玄海原発全4基の操業停止を求めて佐賀地裁に提訴しており、水俣病被害者団体代表の大石さんが、「これ以上、公害被害者を出してはいけない」と訴えたそうだ。水俣病問題では、今でも国や企業が被害者救済の責任逃れを行っており、私もフクシマの現実は、ミナマタと同根の日本の政治・行政の問題点だと考えている。

 さらに、*1-5のように、女優の吉永小百合さんは、福島支援で脱原発の詩を読むなど、自分のできる最大のことをしておられ、いまどきのアイドルとは異なる知性が感じられる。また、山本太郎さんはじめ沢田研二さんなど、芸能界からも脱原発に応援があるのは、世論形成のために頼もしい限りだ。

(2)避難の範囲
 *2-1で、西日本新聞が、佐賀、長崎、福岡3県で九電玄海原発の重大事故を想定した原子力防災訓練が実施され、3県から約5千人が参加したと記載しているが、30キロ圏に居住する約27万人のうち5千人というのは1.8%にすぎず、30キロの同心円で不十分なことは、既にフクシマ原発事故で証明されている。

 そのため、*2-2のように、原子力規制委員会が、「SPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)」を使わない方針を決めたのは間違いであり、まずはSPEEDIの予測で避難した後に、実測してさらに避難範囲を増やしていく必要があるのは、誰が考えても明白だ。それにもかかわらず、「福島事故の教訓として、放射性物質の広がりを正確に予測するのは不可能と分かった」などとして、30キロの同心円内の人しか避難しなくてよいことにするような国を信頼してよいわけがないのである。

(3)行政と政治家の知識レベル
 *3には、原子力防災担当相の望月氏が、川内原発視察時に、ピンクや青の付箋の付いた資料を棒読みし、時折視線を上げながら、「しっかり対策が講じられていた」などと述べ、原子力防災の課題を問われると、ついに言葉に詰まり、同席した小里泰弘副大臣が代わりに答えたことで、「この人に県民の命を委ねて大丈夫だろうか」と書かれている。

 暗記して自分の言葉で答えたから真実で、資料を見て答えたからあやふやで理解していないとは単純に言えないが、地元で原発の取材をしている記者には、わかっていないのも伝わるものだ。私も、適材適所の判断に関して安部政権に疑問を感じることはよくあるが、それが安部政権だけではないのが日本の政治・行政の重要な問題なのである。

(4)経産省の原発・火力びいき
 *4-1のように、経産省は、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)で新たに始める出力規制ルールに対するパブリックコメントの結果をまとめ、3230件の中には反対意見も目立って、一部地域で新ルールの適用を見送るなどの対応が迫られたそうだが、いつまでも「再生可能エネルギーは不安定」として太陽光電力の受け入れを中断しつつ、*4-2、*4-3のように原発を推進するとは、経産省が第三の矢が放たれるのを妨害し、国民負担を増加させているわけである。

 また、そのしわ寄せを高齢者に行い、高齢化社会のニーズである製品やサービスの発展を妨げ、もう一つの第三の矢を折っているのも政府であって、これらは馬鹿というほかない。

(5)電力自由化による新電力の参入を妨害
 *5-1のように、電力自由化で電力会社以外の企業が電力小売りに参入し、新電力として経産省に届け出た企業が2014年末に468社と1年で3.7倍に増え、家庭向けの電力小売りも16年に自由化することを定めた法律が昨年6月に成立して一段と加速したのは安部内閣の功績である。また、「固定価格買い取り制度」は管内閣の実績だ。

 しかし、まだ「販売先に安定して電気を供給するには太陽光など不安定な電源だけでは難しく、電力小売りを始めるハードルは高い」などと言っており、日本企業は工夫も技術進歩もないようだ。また、「家庭向け小売りは送電線や電柱をたくさん使う分、企業が電力会社に払う託送料が高い」などと言うのも、もう電柱の時代でもなく、私がいちいち書かなくてもやり方はいくらでもあるだろう。

 そのような中、*5-2のように、大手電力会社でつくる電事連の八木会長(関西電力社長)が、電気事業法を改正して発送電分離を実施する条件として、①電力の安定供給を損なわない仕組みを整備すること ②原発再稼働が進み電力需給が改善していること などを挙げたそうだ。このように、原発という既得権益を岩盤として自然エネルギーや電力自由化を妨害し、国民に迷惑をかけるのは、いい加減にすべきである。

(6)火山のリスク
 *6-1のように、火山噴火予知連絡会の藤井会長(東京大名誉教授)は、「深層NEWS」で御嶽山の噴火などを例に挙げて火山活動の活発化を指摘し、「(日本列島が)火山の活動期に入ったかもしれない」と注意を呼びかけ、最近の桜島の火山活動については「大規模噴火の予兆とは言えないが、地下にマグマはたまっている。100年前と同じ大規模の噴火が起きる可能性はある」と話し、今の日本は「地震や噴火が相次いだ平安時代とよく似ている」と指摘した。

 また、*6-2のように、阿蘇火山博物館(熊本県阿蘇市)学術顧問で火山学者の須藤氏が、薩摩川内市で講演し、火山灰堆積のリスクや噴火予測の困難さを具体的に指摘して「再稼働を進めるべきではない」と主張しているのだが、東日本大震災の津波高の予告を無視したのと同様、九電と国は、これらすべてを無視して川内原発を再稼働させるつもりだろうか。

<抽象論による判断は危険>
*1-1:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/148605
(佐賀新聞 2015年1月23日) 正確な情報開示要請 山口知事、玄海原発視察
 佐賀県の山口祥義(よしのり)知事は22日、再稼働の前提となる原子力規制委員会の適合性審査が進む九州電力玄海原発(東松浦郡玄海町)と県オフサイトセンター(唐津市)を視察した。4号機の原子炉格納容器内にも入り、福島第1原発事故を受けて策定された新規制基準に基づく過酷事故対策などを確認した。九電の瓜生道明社長とも面会し、正確な情報開示を求めた。冒頭の概要説明で、瓜生社長は「安全性の確保が経営の最重要課題。規制基準にとどまらず、自主的、継続的な安全性向上に取り組んでいく」との考えを伝えた。山口知事は「互いの信頼関係を築くため、うそはつかず、風通しのいい関係で、あらゆる事象に対する危機管理を考えていきたい」と応じた。視察では、非常時に原子炉に冷却水を注入する移動式大容量ポンプ車や指揮所となる代替緊急時対策所のほか、原子炉建屋では中央制御室や格納容器内での水素爆発を防ぐ水素再結合装置などの対策について説明を受けた。過酷事故の際に国と県の現地対策本部が入るオフサイトセンターでは、内閣府原子力防災担当の審議官が非常時の住民避難の考え方などを説明。政府や県、自衛隊など関係機関との連携や放射線のモニタリング態勢も確認した。視察を終えた山口知事は「現場を知ることは、災害対応では極めて重要。原発の見られる部分はすべて見た」としつつ、九電の対策の評価については「まだコメントできる段階ではない」と言及しなかった。その上で、「危機管理はハードはもちろんだが、運用などのソフト面が重要。県の体制を含めて、あらためてチェックしたい」と述べた。

*1-2:http://qbiz.jp/article/54261/1/
(西日本新聞 2015年1月22日) 佐賀新知事「互いにうそつかず」 玄海原発視察、九電に注文
 佐賀県の山口祥義知事が22日、九州電力玄海原発(同県玄海町)を就任後初めて視察し=写真、原子力規制委員会の審査が大詰めを迎えている3、4号機の安全対策を確認した。山口知事は、出迎えた九電の瓜生道明社長に対し「これから信頼関係を築くために約束をしたい。互いにうそをつかず、どこからでも発言できる風通しのいい関係をお願いしたい」と注文した。瓜生社長は「原発は大きな危険性を内包し、安全を守るのが事業者の使命。ハード、ソフト両面から対策を講じている」と強調。知事は、新規制基準に合わせた対策などの説明を受けた後、移動式ポンプ車などを備えた保管エリアや、重大事故時の指揮所となる「代替緊急時対策所」を巡った。山口知事は玄海原発の再稼働について、安全確保と住民の理解を得ることを条件に容認する考えを示している。

*1-3:http://qbiz.jp/article/54437/1/ (西日本新聞 2015年1月25日) 甘い計画、命守れるか 玄海原発合同訓練、再稼働迫るも準備後手
 24日にあった九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)の重大事故を想定した佐賀、長崎、福岡3県合同の原子力防災訓練は滞りなく終わった。ただ、参加者は原発から30キロ圏に住む約27万人のごく一部。実際の事故では相当な混雑が予想されるが、計画は不十分な部分もある。「事故時にうまくいくのか」。参加者からは懸念の声も漏れた。年内の玄海原発再稼働も視野に入る中、残された課題は多い。原発から約3キロにある玄海町の特別養護老人ホーム「玄海園」。この日は入所者役の18人を30キロ圏外の佐賀県多久市と小城市にある高齢者施設に避難させる訓練を行った。車いす利用者には職員1人が付き添い、寝たきりの人には自衛隊員が協力した。古川伸子施設長(58)は「入居者100人のうち自力で歩けるのは10人。全員を避難させるには職員だけでは無理」と不安を語った。事故の発生時間によっては職員も手薄になる。原発から約6キロの同県唐津市の特養ホーム「潮荘」の梅崎充茂施設長(65)は「夜間は職員が4人だけ。呼び寄せても、家族を残して原発に近い施設に来てくれるだろうか」と表情を曇らせた。福祉施設などでの訓練は長崎県と福岡県でも行われたが、長崎県では病院や福祉施設の避難計画が30キロ圏内の全44施設のうち4施設しか策定されていない。訓練に先立つ準備が不十分で、県福祉保健課は「受け入れ先の調整中。策定を急ぎたい」という。道路の渋滞も懸念材料だ。訓練で唐津市鎮西町の住民約30人はバスで約40キロ離れた場所に移動したが、市の計画はマイカーでの避難が原則。車が避難ルートに殺到するのは必至だ。車を持たない人は他の住民との同乗や市や県が手配するバス、タクシーで移動する手はずだが、その人数も手順も定まっていない。車を持たない同市の坂井菊一さん(73)は「避難が遅れないか」と心配する。一方、唐津市の七つの離島では島内に整備した一時退避施設(シェルター)を使った。原発から最短約8・7キロの馬渡(まだら)島では、住民59人が体育館に設置された放射性物質除去フィルター付きのテントに避難する訓練をしたが、テントの収容力は66人分で島民396人の2割にも満たない。計画中の追加工事完成後も収容率は約5割にとどまる。地元区長の浦丸宏さん(73)は「誰が先に入るのか話し合いもできていない。混乱を避けるには、全員が収容できる施設しかない」。長崎県壱岐市の島民約3万人は事態によっては福岡県に全島避難する計画だが、具体的な受け入れ先がまだ決まっていないなど不確定要素もある。福岡県糸島市の離島・姫島から糸島市街地に来た吉田初音さん(62)は「訓練だから落ち着いてできたが、本番は何が何だか分からなくなるはず」と話した。
   ◇   ◇
●30キロ圏外の避難も考慮を
 国の原子力災害対策指針に基づく3県の地域防災計画に沿った今回の訓練は、玄海原発から30キロ圏内を対象とし、その範囲外の被害は想定しなかった。より深刻な事態を考えればさらに広域の避難が必要になるが、取り組みには自治体間で温度差も見られる。福島第1原発事故で指摘されたように、高線量の放射性物質は広範囲に拡散する可能性がある。30キロ圏外にある福岡市はこうした状況を懸念し、市民の50キロ圏外への避難を想定した独自の避難計画を昨年4月に策定したが、今回の訓練には福岡市の計画を考慮した内容はうかがえなかった。事故の際、30キロ圏内の住民の受け入れ先にもなっている福岡市。50キロ圏内に住む約56万人が避難することになれば、混乱が予想される。佐賀県や長崎県の自治体でも、風向きによっては現在の計画が成り立たなくなる事態も起こり得る。全国の原発周辺では30キロ圏外の自治体が避難計画を作る動きが相次いでいるが、玄海原発周辺ではまだ福岡市だけだ。まずは福岡市と福岡県の連携が必要だが、福岡県防災企画課は「国の指針が変わらなければ30キロを超えた計画は考えにくい」という。「想定外」の被害をなくすため、踏み込んだ対策が求められる。

*1-4:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10102/149026
(佐賀新聞 2015年1月24日) 水俣病の被害者 原発訴訟で陳述 佐賀地裁
 原発の再稼働に反対する市民が国と九州電力に玄海原発全4基の操業停止を求めている訴訟の第11回口頭弁論が23日、佐賀地裁(波多江真史裁判長)であった。新たに原告に加わった水俣病被害者団体代表の大石利生さん(74)が意見陳述、原発事故と公害とを重ね合わせながら「これ以上、被害者を生み出してはいけない」と訴えた。大石さんは、水俣病問題で国や企業が現在も被害者救済の責任逃れを図っている実態を示し、「原発事故も市民の安全を軽視して起こるべくして起こった人災。水俣病と同様に実態を隠して被害者を放置し続ける懸念もあり、裁判所は生活と命の重みを受け止めて判断してほしい」と訴えた。また、原告になった評論家の佐高信さんも意見陳述した。

*1-5:http://www.nikkansports.com/entertainment/news/p-et-tp0-20150126-1426386.html (日刊スポーツ 2015.1.26) 吉永小百合、福島支援で脱原発の詩を読む
 女優吉永小百合(69)が、東日本大震災と福島第1原発事故の復興支援のため、9年ぶり4枚目の朗読CD「第二楽章 福島への思い」を3月11日にリリースする。1986年(昭61)から広島、長崎原爆詩の朗読CDを出し続け、今作は、福島県民の「脱原発」への思いなどを読み上げている。取材では、経済優先の安倍政権に疑問を呈した。東日本大震災発生から約4年。福島を思い、吉永が「第二楽章」を作った。「『忘れないで』とメッセージを(世の中に)送り、(被災地に)寄り添って支えたい」という思いからだ。きっかけは、デザイナー三宅一生氏だった。11年7月、広島原爆の被爆者、三宅氏の依頼で原爆詩の朗読を行った際、東日本大震災の被災者、福島市の詩人和合亮一さんの詩を託され、読んだことだった。その後、福島第1原発事故で富岡町から避難した佐藤紫華子(しげこ)さんが、自費出版した詩集「原発難民」を知り、12年4月に福島市で朗読。13年3月に朗読CD制作を考え、昨年10月に制作を始めた。2人の詩に加え、和合さんが10年からプロデュースする福島の小中学生対象の「詩の寺子屋」から詩を選び、吉永の依頼を受けて尺八奏者の藤原道山が音楽を作曲した。終戦間近45年3月生まれの吉永にとって「-福島への思い」は、同じ時代の体験を基に作る初めての朗読CDだ。「(過去3作より)つらい。つらいだけじゃなく福島に戻れるといいという願いもある中、希望が見える詩を選びました」。吉永は「これだけ地震が多い国で原発はやめてほしい」と脱原発を訴える。昨年末には福島第1原発に近い帰還困難地域にマスクを着けて踏み込んだ。「4年で何も変わっていない。除染された土もシートをかけられ、あらゆるところに放置され…想像以上のショック」。その上で、安倍政権に厳しい言葉を並べた。「予算も経済最優先。政治家は福島の復興に対して、どう思っていらっしゃるのか。お金だけ避難している人にあげればいいのか。福島を住めるふるさとに戻すつもりがあるのか…私には見えない。世界でも大変なことが起こり、目を向けてしまえば忘れてしまう」。発売前日3月10日には東京・千駄ケ谷の津田ホールで完成記念朗読会を開く。「(朗読は)生きがい。でも、もう『第二楽章』を出すようなことは起きないでほしい。これで終わりにしたい」。印税は全て被災者のために寄付する。
◆「第二楽章」 吉永が86年から被爆者の体験から生まれた詩の朗読を始め、「(悲劇を)忘れないためにも語り部としておだやかに語り、残す」スタンスから作った朗読CD。97年「第二楽章」(広島編)99年「-長崎から」を発売。06年には、沖縄戦を描いた野坂昭如氏の小説「ウミガメと少年」を朗読した「-沖縄から」をリリース。

*1-6:http://qbiz.jp/article/54161/1/
(西日本新聞 2015年1月21日) 九電、今度は川内火力が停止 松浦火力は復旧も
 九州電力は21日午前、石油火力の川内発電所2号機(鹿児島県薩摩川内市、出力50万キロワット)のボイラーで蒸気漏れが見つかり、運転を停止したと発表した。配管の損傷が原因とみられるが、復旧の見通しは立っていない。26日以降の電力需給状況がやや厳しくなる可能性があり、九電は他電力からの融通の積み増しなどで供給力確保に努めるとしている。九電によると、運転中だった21日午前2時40分ごろ、社員が蒸気漏れを確認し停止。今後、ボイラーを冷却した上で復旧作業に入る。2号機は昨年9月にも、ボイラーの不具合で停止するトラブルが起きている。一方、ボイラー関連装置の不具合で19日に停止した石炭火力の松浦発電所1号機(長崎県松浦市、同70万キロワット)は、応急処置を施した上で20日に通常運転に復帰した。

<避難の範囲>
*2-1:http://qbiz.jp/article/54431/1/
(西日本新聞 2015年1月24日) 玄海原発事故を想定、初の福祉・病院入所者移動も 北部3県訓練
 佐賀、長崎、福岡3県は24日、九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)の重大事故を想定した原子力防災訓練を実施した。合同訓練は2013年11月末以来2度目で、3県から約5千人が参加した。運転中の玄海原発3号機の全電源が喪失し、原子炉の炉心を冷却する機能が失われたとの想定。事故の一報を受けた3県と国は初めてテレビ会議を開き、情報の共有に努めた。課題だった福祉施設の入所者や病院の入院患者の移動訓練も初めて導入。3県それぞれが、原発から30キロ圏内にある施設から圏外の施設に移動する流れを確認した。長崎県壱岐市の住民約30人は海上自衛隊のエアクッション型揚陸艇(LCAC)で博多港を経由して福岡県太宰府市に、佐賀県唐津市の約30人は車で福岡県糸島市に向かった。玄海原発3、4号機は原子力規制委員会の審査が続く。原発から30キロ圏に居住するのは約27万人で、昨年4月に3県が発表した推計では、全員の避難が完了するのに最短で17時間5分かかるとしている。糸島市にバスで避難した唐津市の75歳の女性は「訓練はスムーズにいったが、実際の避難は渋滞や混乱もあるだろうからうまくいくか分からない」と不安そうに話した。

*2-2:http://digital.asahi.com/articles/ASH1M4417H1MUOHB006.html
(朝日新聞 2015年1月22日) 新潟)「SPEEDI使わず避難」方針…住民に残る不安
 原子力規制委員会が、原発で重大事故が起きた際の住民避難の判断に、放射性物質の広がりを予測する「SPEEDI(スピーディ)」(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)を使わない方針を決めて4カ月たった。東京電力柏崎刈羽原発周辺地域で理解が深まったとは言い難く、国は放射線量の実測で避難を判断する態勢を強化するものの、不安視する住民は少なくない。
■「予測の情報、大切」
 「住民避難など防護措置の判断にはSPEEDIの計算結果を使いません」。14日夜、柏崎市内であった住民組織「地域の会」の月例会合。規制委の事務局である原子力規制庁の担当者が、規制委が昨年10月に決めた運用方針を改めて説明した。SPEEDIは、原発事故で放射性物質が放出された際、拡散範囲や濃度を気象条件や地形をもとに予測し、地図上に示すシステムだ。避難指示を判断する要として期待されたものの、原子炉建屋の爆発が相次いだ福島第一原発事故では有効に使えなかった。放射性物質がいつ、どの程度放出されるかを示す「放出源情報」が得られなかったためだ。風向きなどの気象条件は刻々と変化するため、あいまいな放出源情報で計算した拡散予測に基づく避難は、かえって住民の被曝(ひばく)リスクを高めかねない。「福島事故の教訓として、放射性物質の広がりを正確に予測するのは不可能と分かったのです」。国の検証データを示しながら、担当者はSPEEDIが使えない理由を解説した。2012年に策定された国の原子力災害対策指針は、住民の避難を二段階に分けた。被曝の危険が最も高い半径5キロ圏を即時避難区域(PAZ)とし、住民は放射性物質の放出前に先行避難する。一方、5~30キロ圏は避難準備区域(UPZ)とし、住民は屋内退避した後、モニタリングポストで実測した放射線量をもとに避難の判断をする。一斉避難で起こる混乱を避けるのが狙いだが、UPZの住民は屋内退避や避難中に被曝する恐れが高い。このため、SPEEDIの拡散予測を避難指示の判断材料にしたいとする自治体は少なくない。この日の会合でも、住民側から「福島事故時とは違い、大規模な安全対策が進んでいる。放出源情報の把握は可能ではないか」「緊張感の中で暮らす住民にとって、予測に基づく情報発信は大切だ」など運用継続を望む意見が相次いだ。出席した県の放射能対策課の担当者も「県としては、予測と実測の両方を使いたい。再度の活用を検討してほしい」と要望した。規制庁は、フィルター付きベントなどを使って計画的に放出する場合でも、原子炉の状況は刻々と変化するため、放出の数時間前に放出源情報を把握するのは難しいとする。放出直前なら可能だが、その時点でSPEEDIを使っても避難に間に合わないという。モニタリングポストの増設など緊急時のモニタリング態勢を強化しながら、実測に基づく避難の円滑化を図る考えだ。

<行政と政治家の知識レベル>
*3:http://qbiz.jp/article/54222/1/
(西日本新聞 2015年1月22日) 原子力防災担当相の「棒読み」に思う 川内原発視察
 万が一、原発事故が起きた場合、この人に県民の命を委ねて大丈夫だろうか。本当に不安になった。
 九州電力川内原発の過酷事故に供えた防災体制を視察するため、望月義夫原子力防災担当相が19日、鹿児島県を訪れた。伊藤祐一郎知事との会談を終え報道陣の前に現れた望月氏の手には、ピンクや青の付箋の付いた資料が。時折視線を上げながら、「しっかり対策が講じられていた」などと述べたが、ほぼ資料をそのまま読んでいた。その後も報道陣が質問するたび資料に目を落とす。原子力防災の課題を問われると、ついに言葉に詰まり、同席した小里泰弘副大臣が代わりに答えた。小里氏が資料を手にせず詳しく説明したため、望月氏の「棒読み」が一層際立った。原発再稼働には今なお国民の反対が根強い。その要因の一つが、避難計画の実効性への不安だろう。国は再稼働を推進する以上、こうした国民の不安を取り除く責任がある。その作業の先頭に立つのが原子力防災担当相だ。いくら環境相との兼任とはいえ、原発を抱える鹿児島県民の一人としては、もう少し自分の言葉で答えてほしかった。望月氏は「安全神話に基づいてはいけない」とも言った。その意味を自ら重く受け止めてほしい。

<経産省の原発・火力びいき>
*4-1:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11555207.html (朝日新聞 2015年1月17日) 固定買い取り、抑制に異論も 再生エネ、パブコメ3千件 新ルール、一部見送り
 再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)で、経済産業省は16日、新たに始める再生エネの出力抑制ルールに対する意見募集(パブリックコメント)の結果をまとめた。3230件の中には反対意見も目立ち、経産省は一部地域で新ルールの適用を見送るなど対応を迫られた。出力抑制は、火力発電を最大限減らしても、電気があまる時に、太陽光や風力の発電を一時的に止めてもらう仕組みだ。経産省は昨年、太陽光の申し込みが増えすぎて受け入れを中断する電力会社が相次いだため、抑制をしやすくする新ルールを決め、今月9日まで意見募集をしていた。公表された意見には、新たに住宅用の太陽光発電が出力抑制の対象になることに対し、「送電網への負担が小さい家庭用の出力抑制は不要」との指摘があった。経産省は、まだ再生エネの受け入れに余裕のある東京、関西、中部の3電力管内では当分の間、住宅用など50キロワット未満を対象外とすることにした。経産省が専門家と検証した電力各社の接続可能量についても480件の意見が集まり、「すべての原発の再稼働を前提とするのは問題だ」などの疑問が示された。政府がベースロード電源と位置づける原発は太陽光や風力の給電より優先されるため、原発の稼働を見込むと、再生エネの接続可能量が少なくなるからだ。電力会社間で電気の融通に使う地域間連系線の増強などを求める意見も108件あった。
■全原発再稼働が前提
 今回の運用見直しで突出しているのは、原発の優遇ぶりだ。再生可能エネルギーの「接続可能量」は電力需要から原子力、火力、水力など旧来型の発電方式の割り当て分を引いた残り。原発の割り当てが増えれば、その分、接続可能量は減る。接続可能量を公表した電力7社のうち、原発をもつ6社は各自の全原発の再稼働を前提にする。廃炉が見込まれる原発の発電分も、もれなく盛り込んだ。東北電力は、電源開発が青森県大間町に建設中の大間原発からの受電分を盛り込んだうえで、接続可能量を算出した。電源開発は「2021年度の稼働を目指す」とするが、工事が計画通りに進んでも、運転開始は7年後。それまで「空押さえ」状況が続く。福島県エネルギー課の佐々木秀三課長は「空押さえが再生可能エネルギー導入拡大の入り口を塞いでいる」と批判する。中国電力も島根原発1~3号機の発電分をすべて盛り込んだ。しかし、1号機は運転40年を超えて廃炉がとりざたされ、3号機は建設中で運転開始時期は「未定」(中国電)だ。太陽光発電などの事業者には不安が広がる。見直しで、「接続可能量」を超えた事業者には、どれだけ出力抑制を頼んでも、電力会社は補償金を払う必要がなくなるからだ。大分県内で太陽光を手掛ける「ECOW(エコー)」(東京都港区)は、出力抑制されない小水力事業への移行を考えている。橋場崇顕社長は「どれだけ出力抑制されるのか分からないと、事業計画が立てられない」という。会津電力(福島県喜多方市)は、計画中の約1千キロワットの太陽光発電が無補償の対象になる。「東北電力で出力抑制がどれくらいになるかの見通しを示してくれないと、銀行融資が厳しくなる」と折笠哲也常務はこぼす。「出力抑制が無制限になったら、もはやFITと呼べないのではないか」
■FITの見直し案への主な意見と経済産業省の対応
◇論点
 a:主な意見
 b:経産省の対応
     *
◇再生エネの受け入れ可能量
 a:全原発の稼働を前提にした試算は問題だ
 b:電源構成の見通しなどを踏まえ、継続的に再検証する
◇電力会社間の融通
 a:地域間の連系線をもっと活用し、増強もすべきだ
 b:早急に検討していく
◇住宅用太陽光の出力抑制
 a:対象外にすべきだ
 b:東京、中部、関西の3電力管内は当面、対象外にする
◇出力抑制時の補償の撤廃
 a:30日を超えた場合は補償すべきだ
 b:補償費用で国民負担が増えるため、適切ではない
◇監視・情報開示
 a:抑制見込みの事前公表や電力会社に対する監視が必要
 b:事前公表を義務づけ、監視の仕組みを早急に整備する

*4-2:http://www.yomiuri.co.jp/politics/20150116-OYT1T50175.html
(読売新聞 2015年1月17日) 原発比率20%軸に検討…再生可能エネと同程度
 政府が、2030年の国内の発電量に占める原子力発電の割合について、太陽光など再生可能エネルギーと同程度の約20%を軸に検討を進める見通しになった。原発を可能な限り減らすとの方針に沿って、東日本大震災前(10年度)の28・6%から引き下げることになる。今月末から経済産業省に新設する有識者会議で、発電方法ごとにどの程度の割合にするかを示す最適な電源構成(ベストミックス)の議論に着手する。発電方法別のコストなどを検証し、今夏までに結論を出したい考えだ。政府は、14年4月に決めた新しいエネルギー基本計画で、将来の再生エネの割合を「約2割を上回る水準」と決めた。一方、原子力などは決定を先送りしていた。政府内では、「原発を減らしすぎると電力供給に支障が出るが、脱原発の世論を考えると再生エネ以上の活用は難しい」(政府関係者)などの見方が強まっている。宮沢経産相は、原発の割合を30%未満にする意向を昨年10月に表明している。

*4-3:http://www.fukuishimbun.co.jp/localnews/nuclearpower/62359.html
(福井新聞 2015年1月21日) 原発建て替え必要と関西電力副社長 豊松氏「国の方針待ち具体化」
 関西電力の豊松秀己副社長(原子力事業本部長)は20日、年頭のあいさつのため福井新聞社を訪れ、吉田真士社長らと懇談した。古い原発を廃炉にして敷地内に新しい原子炉を設置する建て替え(リプレース)に関して「関電としてリプレースをする必要があると思っているが、国の方針が出た後に具体的に動きだすことになる」と述べた。関電は、運転開始から40年を超える美浜原発1号機(福井県美浜町)の後継機設置の検討に向けた地質調査を2011年1月から着手したが、東京電力福島第1原発事故後に中断している。豊松副社長は「(運転期間の原則40年制限で)原発は減っていき、いずれゼロになってしまう。国の方針として原子力の比率をある程度維持するならば、リプレースは必要」としたが、「国の方向性が明らかにならないと、打って出ることはできない」と話した。原子力規制委員会の安全審査が進む高浜3、4号機(福井県高浜町)の再稼働時期については「電気料金の値上げの申請時に11月ごろと設定したが、できる限り早く動かしたい」と述べた。一方で大飯3、4号機は想定する地震の揺れが安全審査で大幅に引き上げられたため耐震補強工事に時間が掛かるとし、15年度中の再稼働は厳しいとの見通しを示した。立地自治体などと結ぶ安全協定に関しては、福島の事故を踏まえ「災害対策の30キロ圏外も当然情報は知りたいということはあり、覚書を結ぶケースはある」としつつ、「安全協定は立地市町や県が住民の安全を守るために積み重ねてきた歴史や信頼関係の上に立つので、基本的にはその延長上で考えなければならない」と強調した。八嶋康博・取締役常務執行役員、岡田雅彦・常務執行役員地域共生本部長、森中郁雄・常務執行役員原子力事業本部長代理、保田亨・広報室長らも同席した。

<電力自由化による新電力の参入には妨害>
*5-1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20150120&ng=DGKKASFS19H84_Z10C15A1EE8000 (日経新聞 2015.1.20) 電力小売り参入 500社迫る、日立造船など自由化にらむ 電気料金上げ、商機 料金徴収などハードル
 電力会社以外の企業が電力小売りに参入する動きが広がってきた。新電力として経済産業省に届け出た企業は2014年末に468社と1年で3.7倍に増えた。日立造船がごみ焼却施設で発電した電気を4月から販売するなど電気の調達方法も広がっている。電力会社の料金引き上げで相対的に価格が割安になるとみて参入意欲を高めているようだ。新電力の仕組みは00年から始まった。企業が発電所から仕入れた電気を、電力会社の送電線を通じて工場やオフィスに供給する。低コストを生かし、電力会社よりも電気料金を数%安く販売するケースもある。参入は11年の東日本大震災後に増加が目立ち始めたが、家庭向けの電力小売りを16年に自由化することを定めた法律が昨年6月に成立してから一段と加速。月30社のペースで参入が続く。太陽光など再生可能エネルギーで発電した電気の買い取りを電力会社に義務づける「固定価格買い取り制度」も参入を後押ししている。東京商工リサーチの昨年8月の調査では、新電力のほぼ半分が電気や電気機械、設備を扱う業種だった。「太陽光発電などを手がける中小企業の参入が圧倒的に多い」(経産省関係者)。日立造船は4月から、地方自治体が運営する最大50カ所のごみ焼却施設で発電した電気を販売する。ごみ処理で出た熱を活用するごみ発電は、再生エネの買い取り制度の対象。日立造船はもともとごみ発電の施工や運営を手がけており、ノウハウを電力小売りに生かせると判断した。電力会社の再値上げも新電力に参入するきっかけになっている。昨年11月に震災後で2度目の値上げに踏み切った北海道電力の管内では、異業種の参入が目立つ。北海道ガスは4月から自社グループの発電所などを活用して約50施設に電力の供給を始める。北海道電の再値上げ以降は「オール電化をガスに乗り換える動きが増えている」(同社)といい、電気とガスのセット販売も視野に入れる。コープさっぽろ(札幌市)も16年度から再生エネで調達した電気を組合員に販売する。ただ新電力のうち、実際に電気を売る企業は届け出数の1割強、60社程度にとどまる。1年で4割ほど増えたものの、電力小売りを始めるハードルは高い。販売先に安定して電気を供給するには太陽光など発電量が日によって不安定な電源だけでは難しいからだ。参入急増の背景には16年4月に家庭向けの小売りが自由化されることもある。ただ家庭向け小売りは送電線や電柱をたくさん使う分、企業が電力会社に払う託送料が高い。工場など大口向け電気料金のうち託送料が占める割合は1~2割だが、家庭向けでは4割程度に達する場合もある。「各家庭から料金を徴収するのは大変な作業」(大手電力関係者)との指摘もあり、実際にすべての参入企業が販売までこぎつけられるか不透明な部分もある。

*5-2:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11567257.html?_requesturl=articles%2FDA3S11567257.html&iref=comkiji_txt_end_s_kjid_DA3S11567257
(朝日新聞 2015年1月24日) 発送電分離法案、延期規定が必要 電事連会長が認識
 大手電力会社でつくる電気事業連合会の八木誠会長(関西電力社長)は23日の記者会見で、政府が2018~20年をめどに、電力会社の送配電部門を別会社にする「発送電分離」をめざしていることについて、「問題が生じる場合は、実施時期の見直しを含め、柔軟に改革を進める必要がある」と語った。経済産業省は、電気事業法改正案を来週から始まる通常国会に提出する方針で、八木氏の発言は、法案に発送電分離の実施時期を延期できる規定を盛り込む必要がある、との認識を示したものだ。八木氏は、発送電分離を実施する条件として、電力の安定供給を損なわない仕組みを整備することや、原発再稼働が進み、電力需給が改善していることなどを挙げた。その上で、国に対し、こうした課題が「解消したのか確認・検証する必要がある」と注文をつけた。

<火山のリスク>
*6-1:http://www.yomiuri.co.jp/science/20150116-OYT1T50172.html?from=tw (読売新聞 2015年1月16日) 「列島、活動期に入ったかも」…噴火予知連会長
 国の火山噴火予知連絡会の藤井敏嗣会長(東京大名誉教授)が16日夜、BS日テレの「深層NEWS」に出演し、「(日本列島が)火山の活動期に入ったかもしれない」と注意を呼びかけた。藤井会長は、御嶽(おんたけ)山(長野・岐阜県境)の噴火などを例に挙げ、火山活動が活発化していることを指摘。最近の桜島(鹿児島県)の火山活動について「大規模噴火の予兆とは言えないが、地下にマグマはたまっている。100年前と同じ大規模の噴火が起きる可能性はある」と話した。更に伊豆大島や三宅島でも「噴火の準備はできている」と説明。今の日本は「地震や噴火が相次いだ平安時代とよく似ている」と指摘した。

*6-2:http://qbiz.jp/article/54448/1/ (西日本新聞 2015年1月26日) 
再稼働「進めるべきでない」 火山学者須藤氏 薩摩川内で講演 噴火のリスクを訴え
 火山学者の立場で川内原発再稼働の危険性を訴えている阿蘇火山博物館(熊本県阿蘇市)学術顧問、須藤靖明氏の講演会が24日、鹿児島県薩摩川内市であった。火山灰堆積のリスクや噴火予測の困難さを指摘し「再稼働を進めるべきではない」と主張した。須藤氏は、1万3千年前と同規模の噴火で九州電力が最大15センチと想定している川内原発敷地内の火山灰堆積について「15センチ積もる事態になれば、鹿児島市など周辺地域の堆積量は何メートルにもなる可能性がある。原発につながる道路は使えなくなり、原発事故に備えた機材や人員を派遣することは難しくなる」と指摘した。また、巨大噴火の予測について「『前兆現象だった』と噴火後に分かるケースが多く、事前に前兆を捉えて原発を止めるのは難しい」と述べた。講演は、鹿児島市の天文館などで毎週金曜日に再稼働阻止を呼び掛けている市民団体「かごしま反原発連合」が主催。全国で金曜日に反原発集会を続ける100人が聴講した。


PS(2015年1月30日追加):私は、衆議院議員をしていた2006~2009年の間に、佐賀県の7つの離島のすべてを3回以上廻り、国の最前線の資料を配布して農業・漁業・食品・エネルギーなどの産業や医療・介護などについて島の人と懇談会をしたのでアドバイスできるのだが、離島は、高齢化が本土より早く進んでいるため、離島を見れば10年後に本土で必要になるものがわかるくらいである。なお、*7にも書かれているように、離島の要望は、島毎に老人のケア・ハウスや診療所、小学校を作り、人口が少ないため島毎に整備することができないものについては、呼子、名護屋、星賀、湊、千代田町などの本土側連絡船(離島の交通機関)発着場所近くに病院・スーパー・学校などを作って、舟で本土の港に着けばすぐ問題解決できるようにして欲しいということだった。つまり、連絡船と本土の交通機関や主要施設とのアクセスをよくすべきなのだ。なお、救急医療については、ドクターヘリを作ったので既に問題解決できており、イノシシは、困ってばかりいないで資源として使うべきである。
 1)松島:主な特産品はオリーブとウニだが、島が小さいため生産量が少ない。そのため、ブランド化
   するには、他の島でもオリーブやウニを生産してまとまった数量の出荷ができるようにすべきだ。
 2)馬渡島:特産品は特にないが、「野生化した山羊が困りものだ」と言われている。しかし、それなら
   山羊を飼って山羊皮はじめ山羊産物をコスメ構想に利用したり、草取り用に山羊のリースをしたり
   してはどうかと思う。また、野生のてんぐさも減ったとはいえ獲れるため、養殖すればかんてんの
   産地になれると思う。そのため、それらをやる人を公募して育てる必要があろう。
 3)向島:漁港施設は必要だが、本土と近くて人口が少ない島なので、舟で本土に行けば港の近くに小
   中学校があるという形にすればよいだろう。産業はウニがとれたり民宿があったりするので、これを
   伸ばしたいが、オリーブやアーモンド(花は桜に似ており、実がなるので桜より良い)もできそうだ。
 4)離島の住民が目の前にある玄海原発の事故を不安視するのは当然で、海が汚されれば漁業は
   壊滅し、日本海は狭いため太平洋よりも深刻になる。
 5)「一番の心配は原発事故。どこの港からどういう船に乗ってどこに逃げるのか分かっていない」と
   女性が玄海原発への不安を口にすると、山口知事は「この島は目の前に原発がある。気持ちは
   分かります」と言われたそうだが、「気持ちはわかるけど、無用な心配だから無視する」とでも言う
   つもりだろうか?「屋内テントに3日も4日もいられない」と男性が訴えると、「そこは大丈夫」と応じ、
   対策を講じる考えを示したというのも、どういう対策を講じれば大丈夫になると言うのか見もので
   はあるが、無駄遣いはせず、離島に本当に必要なことをして欲しい。
 6)さらに、離島は風力・潮流などの自然エネルギーが豊富であるため、原発をやめて燃料を水素に
   変えれば、離島は資源の宝庫であり、イノベーションが可能だ。そのために電動軽トラが開発さ
   れたのだが、このほか居住性のよい電動船や電動農機具の開発も望まれる。

    
        アーモンドの花と並木                オリーブ畑

*7:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/151182
(佐賀新聞 2015年1月30日) 山口知事、離島3島視察 住民、原発事故への不安訴え
■「避難所整備進める」 唐津市
 山口祥義(よしのり)知事は29日、唐津市の馬渡島など離島3島を訪問した。少子高齢が進む現状や特産品による地域活性化の取り組みなどを視察。3島は玄海原発から10キロ以内と近く、住民との意見交換では原発事故を不安視する声が相次いだ。訪問したのは向島、馬渡島、松島。馬渡島では24日の原子力防災訓練で収容人数や避難環境の問題が指摘された小中学校体育館の屋内テントに入り、「ここで何日も避難するのは厳しい」と感想を述べた。同島では約1時間、住民約30人と意見交換。「一番の心配は原発事故。どこの港からどういう船に乗ってどこに逃げるのか分かっていない」。女性が玄海原発への不安を口にすると、ほかの住民も「訓練では防災無線もよく聞こえなかった」「事故が起きるともう島には戻れないと思う」と率直な思いを話した。山口知事は「この島は目の前に原発がある。気持ちは分かります」と住民の不安に理解を示した。「屋内テントに3日も4日もいられない」と男性が訴えると、「そこは大丈夫」と応じ、対策を講じる考えを示した。3島では休校となっている小学校や漁港施設(向島)、診療所(馬渡島)、特産品化を目指しているオリーブ畑や水産品加工所(松島)なども視察した。住民からは少子化や若年者の流出、救急医療の現状やイノシシによる農作物被害などが報告された。原発再稼働容認の立場を取っている山口知事は、原発事故への不安が相次いだことについて「避難所の整備を進めなければならない。待避所に長くはいられないので、(避難後の)次のアクションの必要性を感じた。声を聞くことができ、しっかりやらなければという思いを強くした」と述べた上で、「4年間の任期でしっかり取り組む覚悟を持つことができた」と視察を総括した。


PS(2015年2月3日追加):*8及び左のグラフのように、佐賀県内の商工会経営指導員1人当たりの巡回指導件数が5年連続で全国一となり、頑張っているため、ここで、今後拡大する市場と経営アドバイスする人材についてコメントする。
  
        *8より            人口ピラミッドの変化     2015.2.2日経新聞より

1)拡大する市場が、成長できる市場である。
 ①真中のグラフのように、高齢者の割合が増え、その高齢者も戦後生まれの人の割合が次第に多く
   なっていくが、この人たちのニーズに合った財やサービスは、未だ十分ではないため、ここは今後
   伸びる市場であり、フロンティアである。そして、これから人口が増える市場をターゲットにすれば
   必ず成長できる。
 ②右の図のように、今後、エネルギーのイノベーションが起こって水素や電力が主体となり、ここでは
   誰もが0からの出発であるため、成長するフロンティア市場になる。
 ③世界では人口増加で食品需要が伸びるため、世界を視野に展開すれば、農漁業は、これから
   成長するフロンティア市場になる。
2)経営アドバイスに必要な人材は、補助金の提案、資金繰りの相談、信用保証など国の支援策をアドバイスする人も大切だが、以下の人も重要であり加えるべきだ。
 ①会計を通してその主体の強みと弱みを把握した上で、改革や改善のアドバイスができる人
 ②市場の視点を持っている人(例えば、地元の人ではなく購入サイドに立つ都会の人や高齢者向けの
   財・サービスの開発が得意な人など)

*8:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10103/152576
(佐賀新聞 2015年2月3日) 経営指導員1人当たり巡回数、5年連続全国一 県内商工会
■負担重く、質向上課題 13年度
 佐賀県内の商工会の経営指導員1人当たりの巡回指導件数(2013年度)は1097件で、5年連続で全国一となった。総件数は4年連続で5万件を超えた。会員企業の経営課題を把握し、改善を指導する貴重な機会になっている一方、指導員が減少しているため、職員の負担は重い。巡回の回数を確保するだけでなく、質の向上が課題になっている。県内17商工会の経営指導員は47人で、13年度の巡回指導の総件数は5万1586件。12年度と比べ約1割減ったものの、1人当たりの件数は全国平均403件の2・7倍と高水準を維持している。約7200の全会員を年に2回巡回するほか、重点会員はさらに4回追加。「全ての経営支援は巡回から」をスローガンに、全県を挙げて取り組んでいる。唐津市鎮西町、肥前町、呼子町と東松浦郡玄海町をエリアとする唐津上場商工会では、経営指導員4人と支援員7人で巡回。毎月第1、第3週に定例巡回を行い、それ以外の週も要望に応じて訪問する。ニーズに合った補助金などを提案するほか、窓口では切り出しにくい資金繰りの相談にも応じている。1月下旬には経営指導員と支援員のペアで、マリンパル呼子を訪問。省エネ設備の導入などを支援する国の補正予算メニューを説明した。中道清成社長(60)は「経営面に限らず、いろいろな情報交換ができる」と巡回指導を評価する。巡回指導の強化は、商工会合併によるエリア拡大が背景にある。「平成の大合併」に伴って商工会数は39から半分以下に減り、商工会との“距離”が広がることを心配する会員の声に応えた。一方で、経営指導員の数は合併前から約3割減り、業務負担は増大。県商工会連合会は本年度の事業計画で、「テーマを持った巡回を実施して質の向上を図る」と方針を掲げた。中道社長は「商工会にあまり足を運ばない会員は、役場のような堅いイメージを持っている。商工会の必要性を理解してもらうには、巡回指導が欠かせない」と訴える。連合会の陣内一博専務理事は「時間があれば巡回するのが商工会の原点。地域密着を貫きたい」と話す。

| 原発::2014.10~2015.3 | 05:01 PM | comments (x) | trackback (x) |
2014.12.28 原発の本当のコスト及び電力需要者・住民の選択権 (2014年12月29日追加あり)
     
   *2-1より     *3-3より     *5より   フクシマ汚染地図 

(1)経産省は、安全でもないのに原発再稼働に向けて圧力をかけていること
 *1-2のように、関電高浜原発3、4号機(福井県)の審査書案を了承したことを受け、原子力規制委員会の田中俊一委員長は12月17日の記者会見で「稼働への条件を満たしているか審査したが、イコール事故ゼロかというと、そんなことはない」と述べている。田中委員長は九電川内原発1、2号機の審査書案を了承した今年7月にも、「安全とは私は申し上げない」と述べているにもかかわらず、政府及び政治家は、「規制委が安全性を確認した原発については再稼働を進めていく」と言っているわけである。これは、事故時の責任をお互いに相手に押し付けて回避する体制をとったことを意味し、国民の命や環境への配慮は不在の姿勢である。

 また、*1-1、*1-3のように、経産省は、再稼働に必要な立地自治体の同意を促すため、原発立地自治体の電源3法交付金を、再稼働した自治体に発電量に応じて重点的に配分し、老朽原発の廃炉後に新しい原子炉を設置するリプレースに触れるなど原発に積極姿勢を打ち出しているが、これはエネルギー基本計画の「原発依存度を可能な限り低減させる」に逆行しており、新エネルギーの発展を妨げる。

 確かに原発が稼働していないのに電源3法交付金を渡すのは不合理だが、原発は、稼働していなくても一歩間違えばフクシマのように大爆発する可能性の高い使用済核燃料を原子炉の近くに大量に保管しているため、使用済核燃料の早急な処理と処理を終えるまでの期間の危険手当は必要だ。そして、このように安全でも低コストでもない原発にしがみついて再稼働させるのは誰にとってもマイナスであり、電源3法交付金を交付するよりも、次のエネルギーに進むためのインフラ整備や消費税の地方税移管を行った方が、原発立地自治体にとっても日本経済の活力にとってもプラスである。

(2)本当の原発発電コストは、決して安くないこと
 *2-1のように、原発の発電コストは世界的には1キロワット時当たり平均14セント(約15円)で、太陽光発電とほぼ同じ、陸上風力発電や高効率天然ガス発電の8.2セントと比べるとかなり高いという試算を、エネルギーの調査機関である米国のブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンス(BNEF)がまとめた。日本政府は、原発の発電コストを2004年に1キロワット時当たり5.9円と試算し、フクシマ原発事故後、これを「コスト等検証委員会」で見直して、事故対策費などを含て8.9円と試算し直した。しかし、ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンスの1キロワット時当たり14セント(約15円)には、事故対策費は含まれていないのである。このほか日本では、税金から支出する地元対策費、廃炉費、使用済核燃料の処分費なども含んでおらず、原発の発電コストは実際よりもかなり低く表わされている。

 なお、再生可能エネルギーの発電コストは、地熱(6.5セント)、小水力発電(7.7セント)、陸上風力(8.2セント)、石炭火力(9.1セント)、天然ガス火力(8.2セント)で、太陽光発電も近年コストが下がって14.9セントとなっているのだ。日本では、海外に比べて高価な国内製機器が使われることから太陽光発電は32.9セントと高いが、BNEFは「安い輸入機器の利用を拡げればコストは低下する」としている。また、風力発電も、日本は機器のコストが高く、稼働率は欧米に比べて低いため、19セントと割高なのだそうで、これらが改善すべき問題だ。

 それにもかかわらず、*2-2のとおり、再来年に導入される電力市場自由化に向け、経産省は総合資源エネルギー調査会原子力小委員会で、原発による電力を、一定期間、固定価格で買い取る新しい原発優遇策を検討しているそうだ。これは、「原発はコストが安い」というふれ込みに反し、新時代に対応して未来を切り開くカネの使い方でもなく、今後の日本経済には全くプラスにならない。私も、原発は、それを作ると他の産業が育たず、公害のない低廉なエネルギーを供給して経済を発展させるというスタンスから全く程遠いものだと考えている。

(3)過酷事故のコスト
 *3-1に書かれているように、東電はフクシマ原発事故の賠償に必要な資金として、政府の原子力損害賠償・廃炉等支援機構から総額4兆5337億円を受け取り、その内容は、被災した宅地、建物、家財道具の賠償、原発事故で収入が減った人への賠償、農作物の風評被害の補償などだそうだ。なお、「実害がない」と証明されたわけでもないのに、「風評被害だ」と決めつけるのは恣意的かつ意図的である。また、東電はこれとは別に、政府から原子力損害賠償法に基づいて、合計で4兆5319億円の賠償金をもらっているそうで、これは消費税2%分の1年間の税収に当たるが、原発事故の被災者がいるため、その補償額は節約できず、国民の税金が湯水のごとく使われているのだ。

 また、まだ補償していないが、*3-2のように、事故直後の検査では「異常なし」だった子供4人が、2巡目の検査で「がんの疑い」とされ、1巡目で、がんの診断が「確定」した子どもが8月公表時の57人から27人増えて84人に、がんの「疑い」は24人(8月時点で46人)にになったことも新たに判明したそうだ。福島県立医大は、「事故による放射線の影響ではない」ということにしたがっているが、事故後に生まれた子どもは罹患率が0であるため、その言い分は無理があろう。

 さらに、原発は、地域住民だけでなく、*3-3のように、作業員にも常時被曝を強いているのであり、フクシマ原発事故では、4号機の核燃料は何とか取り出せたものの、1~3号機は高線量で作業員が近づくことすらできず、除染にも限界がある。そして、これらは後ろ向きの技術であり、カネの使い方なのだ。このような中、「東電は百分の一に汚染が減ると期待したが、五分の一程度までしか下がっていない」などという、原子力業界特有の恐ろしい楽観主義がまた出てきている。

 NHKは、2014年12月21日になって初めて、*3-4のように、フクシマ原発事故で放射性物質が大量放出され、事態が深刻であることを報道した。しかし、「①放射性物質は、核燃料のメルトダウンや水素爆発が相次いだ事故発生当初の4日間ではなく、その後に全体の75%が放出され汚染を深刻化させていたことが分かった」「②放射性物質の大量放出がなぜ長期化したのか原因不明」などと、これまで大量放出を報道しなかったことを正当化している。

 しかし、私がこのブログの2011.7.27に書いたとおり、2011年7月27日の衆院厚生労働委員会参考人質疑で、参考人として招かれた児玉教授(東大先端科学技術研究センター教授 東京大学アイソトープ総合センター長)が、「3月15日に、我々最初に午前9時ごろ東海村で5μシーベルトという線量を経験しまして、それを第10条通報という文科省に直ちに通報いたしました。その後東京で0.5μシーベルトを超える線量が検出されました。これは一過性に下がりまして、次は3月22日に東京で雨が降り、0.2μシーベルト等の線量が降下し、これが今日に至るまで高い線量の原因になっていると思います」と話し、この話と一致するデータが、スイス気象台のHPやドイツの放送で、当時から流れていた。

 事故が起きてから放出された47万テラベクレルという量の放射性物質は、住民や作業員の命と健康に大きな影響を与えることが明らかだ。そのため、知らなかったという言い訳や放送したという言い逃れが重要なのではなく、被曝を回避するために必要な情報を開示して住民の対応に資したのか否かが、最も注目すべき大切なことである。

(4)隠された川及び海洋の汚染
 *4-1のように、フクシマ原発事故で汚染水が連続して海に流され続け、*4-2のように、 米国カリフォルニア州の沿岸部でさえ、フクシマで放出された放射性セシウムが海水から検出される状態になっているが、今後は、フクシマの敷地内で汚染水漏れなどの事故が起きた場合に国際的な原子力事故評価尺度(INES)による評価はしないそうだ。その理由は、要するに、原子力事故評価尺度は壊れていない原発を想定しているため、フクシマは桁違いに大きく、とても適用できないからである。

 また、*4-3のように、フクシマ原発事故の影響で、東京都心部を流れる隅田川は全般的に146~378ベクレルと濃度が高く、川が大きく蛇行し流れが緩いため、底土に高い濃度の放射性セシウムがたまり続けるそうだ。一方、荒川は、河口域では1キログラム当たり300ベクレルを超える汚染が確認されるが、さかのぼっていくと濃度が急速に低下し、河口部から約17キロの江北橋(足立区)では100ベクレルを下回るそうで、「水量と流れのある荒川は、放射性物質が一気に河口部まで運ばれたが、隅田川は流れも緩く、大雨で徐々に海に運ばれていくとしても、濃度が下がるには長い年月がかかる」そうである。

 問題は、フクシマ原発事故により、国際的な原子力事故評価尺度を使うことすらできなくなっている状況であるにもかかわらず、海や川の汚染調査はボランティアに任され、国はまともな調査すら行わず、TVメディアは安全性を強調するだけで、汚染を無視してきたという環境意識の低さである。

(5)まだ場所が見つからない最終処分場
 *5のように、フクシマ原発事故で発生した指定廃棄物の最終処分場建設が行き詰まっているが、これは、名水の里である塩谷町のように全く適さない場所を候補地にするからだ。指定廃棄物等はフクシマで帰還困難区域となった場所に集約して徹底管理するのが、最も合理的で汚染を広げない方法だろう。

(6)再生可能エネルギーの普及を阻んで原発に回帰する経産省
     
     透明な膜の太陽光発電       炭素使用の太陽光発電 レンズ使用の太陽光発電
                  <最近の太陽光発電機器>
 *6-1に書かれているように、経産省は再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度を見直し、電力会社が太陽光発電の事業者に対して補償金を払わずに発電の抑制を無制限に要請できるようにし、抑制の対象設備を小規模な家庭用にも拡大するそうだ。このうち太陽光発電の抑制強化が最も大きいが、この太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーの普及こそが、環境を汚さずにエネルギーを国産化し、燃料費として国富が流出するのを防ぐため、アベノミクス第三の矢の大きな担い手なのである。

 そして、このように、イノベーションを好まない人々が、現状維持のためにあらゆる力を発揮して逆噴射するのが、我が国の生産性を下げ、成長率を低くしている最も大きな原因だ。

 なお、*6-2のように、「太陽光発電で作った電気の買い取り価格を、2015年度は初めに1キロワット時あたり20円台に引き下げる」というのはよいと考える。しかし、これは、太陽光に偏らないようにすることが目的ではなく、太陽光はじめその他の再生可能エネルギー発電機器をコストダウンし、その価格を世界標準以下に下げることを目的とすべきだ。

 さらに、*6-3のように、東京都は「水素社会」向けて前進を始め、燃料電池車普及のための水素ステーションを増やす方針とのことで、他の地域も見習えばよいのだが、2020年の東京五輪時に水素ステーションが東京都内で35カ所というのは目標が低すぎるのではないだろうか。また、水素価格の設定がガソリンと変わらない程度なら需要者にとっては利便性が増さないため、余った電力は発電を抑制するのではなく、水素に変えて水素燃料を安くすべきである。

(7)総選挙で原発や電源構成は争点になっていたか
 総選挙では与党が大勝し、「信任を受けた」として原発推進政策がさらに進んでいるが、*7のように、与党候補者の大半が市民団体「脱原発法制定全国ネットワーク」の原発再稼働の賛否を尋ねたアンケート調査に回答しなかったのだから、与党は原発再稼働の争点化を回避していたと判断できる。

<安全ではないのに原発再稼働に前のめりの経産省>
*1-1:http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014122201001363.html
(東京新聞 2014年12月22日) 原発再稼働の自治体に重点配分 電源交付金、停止は削減方針
 経済産業省が、原発が立地する自治体を対象とする電源3法交付金について、原発が再稼働した自治体に重点的に配分する方向で検討していることが22日、分かった。原発事故後、停止した原発についても稼働しているとみなして一律に配分しているが、2016年度にも重点配分を始める。24日の総合資源エネルギー調査会原子力小委員会で示す中間整理で「稼働実績を踏まえた公平性の担保など既存の支援措置の見直し」という表現で、原発の発電量に応じて配分する必要性を明記する。再稼働に事実上必要な立地自治体の同意が得やすくなる効果が見込まれる。

*1-2:http://mainichi.jp/select/news/20141218k0000m040098000c.html
(毎日新聞 2014年12月17日) 高浜原発基準適合:田中委員長「イコール事故ゼロでない」
 関西電力高浜原発3、4号機(福井県)の審査書案を了承したことを受け、原子力規制委員会の田中俊一委員長は17日の定例記者会見で「稼働への条件を満たしているか審査した。イコール事故ゼロかというと、そんなことはない」と述べた。田中委員長は1例目の九州電力川内(せんだい)原発1、2号機(鹿児島県)の審査書案を了承した今年7月にも「安全とは私は申し上げない」と述べ、政府の「規制委が安全性を確認した原発については再稼働を進めていく」という方針と異なるため物議を醸した経緯がある。高浜原発の審査書案了承までは約1年5カ月かかった。当初は半年程度とされていた審査が長期化したことについて、田中委員長は「(関電は)従来の安全対策で十分という意識から抜けきれず、時間を取ってしまった」と指摘した。

*1-3:http://www.47news.jp/CN/201412/CN2014122401001795.html
(47ニュース:共同通信 2014/12/24) 将来の原発維持に積極姿勢 経産省小委の中間整理
 経済産業省は24日、総合資源エネルギー調査会の原子力小委員会を開き、原子力政策の課題を示す「中間整理」をまとめた。老朽原発の円滑な廃炉を促す一方、廃炉後に敷地内に新しい原子炉を設置する建て替え(リプレース)に触れるなど、将来の原発維持に向けた積極姿勢を打ち出した。政府は示された課題を踏まえ、電力自由化や将来の電源構成の策定も念頭に、具体的な政策の検討に入る。しかし政府のエネルギー基本計画で示した「原発依存度を可能な限り低減させる」方針とは逆行しており、世論の反発も招きそうだ。
(ニュースの言葉)
☆エネルギー基本計画(2014年4月11日)エネルギー政策基本法で政府に策定が義務付けられた、国の中長期的なエネルギー政策の指針。おおむね3年ごとに見直し閣議決定する。電力やガス、石油などエネルギー企業の投資計画にも大きな影響を与える。民主党政権は2010年策定の計画で、地球温暖化防止の観点を重視し二酸化炭素の排出が少ない原発の新増設方針を明記した。原発事故で民主党政権は原発ゼロ方針に転換し基本計画の見直しに着手したが、作業途上で自民党政権に交代した。
☆総合資源エネルギー調査会(2011年10月3日)2001年に設置された経済産業相の諮問機関で、資源エネルギー庁が所管。委員は経産相が任命する。鉱物資源やエネルギーの安定的で効率的な供給の確保や、適正な利用の推進などについて審議する。エネルギーの需給政策について長期的な方向性を示す「エネルギー基本計画」を政府が変更する場合には、経産相が調査会の意見を聞くことが法律で決められている。

<電源別発電コスト>
*2-1:http://www.47news.jp/smp/47topics/e/257032.php (47News 2014/9/17) 【原発の発電コスト】原発の電力、風力より高い 太陽光とも同レベル 米企業系調査機関が試算
 原発の発電コストは世界的には1キロワット時当たり平均14セント(約15円)で太陽光発電とほぼ同レベル、陸上風力発電や高効率天然ガス発電の8・2セントに比べてかなり高いとの試算を、エネルギー問題の調査機関として実績のある米国企業系「ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンス」(BNEF)が16日までにまとめた。東京電力福島第1原発事故後の安全規制強化もあって建設費や維持管理にかかる人件費などが世界的に高騰していることが主な理由。再生可能エネルギーのコストの低下が続く中、原子力の優位性が薄れていることを印象付ける結果となった。2004年の日本政府による試算では、原発発電コストは1キロワット時当たり5・9円だった。BNEFは、原子力やバイオマス、地熱、水力など23の発電手法について、14年上期時点の世界各国の設備費、燃料費、資金調達に必要な債務費などを調べ、施設の耐用年数などでならしたコストを算出した。炉心溶融などの深刻な事故を防ぐための対策強化が求められるようになった結果、原発の発電コストは近年上昇しており、設備利用率を92%と高く見積もっても1キロワット時当たり14セントとなった。地熱(同6・5セント)、小水力発電(同7・7セント)、陸上風力(同8・2セント)などの再生可能エネルギーに比べてかなり割高だった。石炭火力は9・1セント、天然ガス火力は8・2セントだった。原発コストには、放射性廃棄物処分のために電力会社が積み立てている費用を含むが、廃炉費用は含んでいない。太陽光発電は近年、発電コストが下がって14・9セントとなっている。日本では、海外に比べ高価な国内製機器が使われることから32・9セントと高いが、BNEFは「安価な輸入品機器の利用拡大で、コストは低下傾向にある」としている。風力発電も日本は機器コストが高く、稼働率が欧米に比べて低いため、19セントと割高だった。BNEFは、米国大手情報サービス企業「ブルームバーグ」の傘下。原発の発電コスト 日本の原発の発電コストは2004年の政府の審議会の試算で1キロワット時当たり5・3円とされ、他の電源に比べて有利だとされてきた。だが、東京電力福島第1原発事故後に政府の「コスト等検証委員会」で見直しが行われ、事故対策費などを含めると最低でも同8・9円と試算された。今回のブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンスの分析は、同委員会の試算手法とは異なり、事故対策費用などは含んでいない。

*2-2:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11498456.html?_requesturl=articles%2FDA3S11498456.html&iref=comkiji_txt_end_s_kjid_DA3S11498456 (朝日新聞 2014年12月9日) (思想の地層)本当のコスト 何のための原発保護か 小熊英二(歴史社会学者)
 原発の新たな優遇策が検討されている。経済産業省の総合資源エネルギー調査会原子力小委員会で議論されている差額決済契約(CFD)がそれだ。CFDはイギリスで導入された制度で、固定価格での電力買い取りを一定期間保証するものだ。買い取り価格は使用済み核燃料処分や廃炉など、将来費用も含む総コストを勘案して算出される。イギリスで適用が合意された原発は一つだけで、買い取り基準価格は1キロワット時15円ほど。陸上風力発電より高値で、保証期間も35年と長い。原発は初期投資が大きく、市場経済ではコスト回収が保証されない。日本でも再来年に導入される電力市場自由化にむけ、CFDをはじめ、原発保護政策が検討されているのはそのためだ。だがこうした政策を導入することには、様々な異論が出ている。第一に、買い取り価格が電力料金に転嫁され、消費者の負担が増える可能性が高い。報道によると「(日本で)原子力CFDを既存の原発に適用すれば賦課金総額は年間3兆円を超える計算で、現在の電力料金の代替燃料費負担とほぼ同額」である。ある大手製造業幹部は「原発建設にかかわっている企業ならともかく、料金が割高になるのなら原子力発電を再開するメリットはない。もしもCFDが導入されたなら、自家発電量を大幅に引き上げるしかない」と述べている(「原発の『本当のコスト』が見えてきた」選択12月号)。
     *
 第二に、決定過程が不透明である。検討が行われている原子力小委員会には、専門委員として電力会社および原子力事業者が出席している。福島原発事故後に実施されていた審議会のビデオ中継はなくなり、第6回会合までは音声データすら公開されていない。第7回以降は音声のみ公開されたが、「議事録を掲載するまでの暫定的な提供」とされている。中継での公開が行われない理由として、委員長は「この場で意見を言いにくいという方がいらっしゃる」と述べている(大島堅一「さらなる原子力保護政策は許されるか」世界12月号)。
     *
 第三に、こうした政策では、経営努力をしない電力会社の方が有利になる。これも報道によると、中部電力は以前から火力発電の効率化を進め、東京電力も福島原発事故後は「火力部門を成長の柱に立てることになった」。両社は燃料部門を統合し、LNGの国際調達価格を削減することも模索している。それに対し関西電力は、依然として旧来の原発重視を変えず、「原発と心中」する路線をとっているという(特集「電力再編」週刊ダイヤモンド10月11日号)。旧態依然の経営方針を優遇し、新時代に対応する努力に報いない政策では、未来は開けない。合意のない不透明な保護政策は、依存を生み、健全な努力を損なう。茨城県東海村前村長の村上達也氏は、原発が地域にもたらす弊害として、「みんな努力しなくなる」ことを挙げている。「例えば衣料品店、村民の方を向いてません。作業着とか靴とか、原発作業員用のものを仕入れて売ればいい」。「旅館もそう。原発作業員向けだから、雑魚寝で風呂は共同なんだよ」。「個室にするとか、部屋を改装しなきゃダメだって言っていたんだけど、やらない。『改装なんていい。作業員が来るから』ってみんな言いますよ」。結果として「原発を作ると他の産業は育たない」という(村上達也「原発のメリット? デメリットだらけの疫病神だ」ダイヤモンドオンライン2月6日)。衆院選の公示前日の党首討論で、安倍首相は「国民がもう原子力発電は懲り懲りだと思われるのも当然だ。同時に安定的に低廉なエネルギーを供給していく責任がある」と述べた(本紙朝刊12月2日付)。「低廉」ではないことを電力会社と経産省が事実上認めたいま、首相に原発保護が必要なのかを語ってほしい。

<過酷事故のコスト>
*3-1:http://www.yomiuri.co.jp/economy/20141224-OYT1T50082.html
(読売新聞 2014年12月24日) 賠償資金受け取り、総額4・5兆円に…東電
 東京電力は24日、福島第一原子力発電所事故の賠償に必要な資金として、政府の原子力損害賠償・廃炉等支援機構から755億円を受け取ったと発表した。資金の受け取りは35回目で、総額は4兆5337億円。被災した宅地や建物、家財道具の賠償や、原発事故で働けなくなって収入が減った人への賠償、農作物の風評被害の補償などにあてる。東電はこれとは別に、政府から原子力損害賠償法に基づき、1200億円の補償金を受け取っている。19日までに支払った賠償金は約4兆5319億円となっている。

*3-2:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20141224&ng=DGKKZO81242910U4A221C1CR8000
(日経新聞 2014年12月24日) 事故直後「異常なし」の子供4人、がんの疑い 2巡目検査
 福島県の子供を対象に東京電力福島第1原発事故による放射線の影響を調べる甲状腺検査で、事故直後の1巡目の検査では「異常なし」とされた子供4人が、4月から始まった2巡目の検査で甲状腺がんの疑いと診断されたことが23日、関係者への取材で分かった。25日に福島市で開かれる県の検討委員会で報告される。調査主体の福島県立医大は確定診断を急ぐとともに、事故による放射線の影響かどうか慎重に見極める。検査の対象は1巡目が事故当時18歳以下の約37万人で、2巡目は事故後1年間に生まれた子供を加えた約38万5千人。1次検査で超音波を使って甲状腺のしこりの大きさや形状などを調べ、程度の軽い方から「A1」「A2」「B」「C」と判定し、BとCが血液や細胞などを詳しく調べる2次検査を受ける。関係者によると、今回判明したがんの疑いの4人は震災当時6~17歳の男女。1巡目の検査で「異常なし」とされていた。4人は今年4月からの2巡目検査を受診し、1次検査で「B」と判定され、2次検査で細胞などを調べた結果「がんの疑い」と診断された。また、1巡目で、がんの診断が「確定」した子どもは8月公表時の57人から27人増え84人に、がんの「疑い」は24人(8月時点で46人)になったことも新たに判明した。

*3-3:http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/nucerror/list/CK2014122102100005.html (東京新聞 2014年12月21日) 【福島原発事故】1~3号機、阻む高線量 福島4号機、核燃料取り出し終了
 東京電力は20日、福島第一原発4号機のプールに残っていた核燃料4体(未使用)の取り出し作業を報道陣に公開した。事故当時、大量の使用済み核燃料が残り国内外を震撼(しんかん)させた4号機。昨年11月から71回に及ぶ作業が続き、プールは空になった。これで課題の一つは解決されたが、建屋内の放射線量が高い1~3号機を含めた全体の廃炉に向けた作業は続く。前日まで二十六体が残っていたが、別の輸送容器で二十二体が運び出され、最後の四体がプール内で容器に詰められていた。この日公開されたのは、建屋に併設された取り出し用骨組みのクレーンで、四体の入った容器をプールから引き上げる作業。クレーンはプール上に移動し、容器をつかんでゆっくりと上げた。作業員十数人が容器を拭いたり、シートを広げて水滴が落ちないよう保護したりし、容器は三十メートルほど南の除染場に到着。作業は約四十五分で終わった。今後、容器は除染し、ふたを閉めた後、別のクレーンで地上に下ろされ、6号機プールに移される。これが済めば、千五百三十五体あった核燃料はなくなり、4号機のリスクは実質的になくなる。福島第一の小野明所長は「作業員の努力のたまもの。気を緩めず、廃炉を進めたい」と話した。
◆残る難題 除染に限界
 4号機の危険性は取り除かれたが、1~3号機には、炉内に溶け落ちた核燃料、プールには計千五百七十三体が残る。作業できるようどう放射線量を下げ、どう取り出すのか。検討課題は山積している。正念場はこれからだ。比較的早く取り出しに入りそうなのが3号機。建屋上部に積み上がっていたがれきはほぼ除去された。二〇一五年度中の取り出し開始を目指す。しかし、プールのある五階の線量はいまだ高い。床のコンクリートを削り、高圧洗浄し汚染は減ったが、放射性物質は深く床に染みこんだ。東電は百分の一に汚染が減ると期待したが、五分の一程度までしか下がっていない。除染には限界があり、鉛による遮蔽(しゃへい)など追加策が必要になる。1号機は一七年度から取り出す計画だったが、建屋カバーの解体が遅れたこともあり、二年ほど延びることになった。建屋が健全だった2号機は汚染蒸気が充満し高濃度に汚染が残る。高い所だと毎時八八〇ミリシーベルトもある。建屋上部を解体する方向だが、具体策の検討は二年後という。 (荒井六貴)

*3-4:http://www3.nhk.or.jp/news/genpatsu-fukushima/20141221/1836_osen.html (NHK 2014年12月21日) 東京電力 福島第一原発事故 関連ニュース、危機後の大量放出で汚染深刻化
 東京電力福島第一原子力発電所の事故で放出された放射性物質は、核燃料のメルトダウンや水素爆発が相次いだ事故発生当初の4日間ではなく、その後に全体の75%が放出され汚染を深刻化させていたことが、日本原子力研究開発機構の分析で分かりました。政府などの事故調査はこの時期に何が起きていたかを解明しておらず、専門家は「放射性物質の大量放出がなぜ長期化したのか、原因の解明が求められる」と話しています。福島第一原発事故の規模は、放射性物質の放出量からチェルノブイリ原発事故と同じ「レベル7」とされていますが、放出の詳しい全体像は明らかになっていません。日本原子力研究開発機構の茅野政道所長代理らの研究グループは、原発周辺などで観測された放射線量の新たなデータを集め、大気中への放出状況を詳しく分析しました。その結果、事故が起きてから放出がおおむね収まった3月末までに放出された放射性物質の量は47万テラベクレルと推定され、このうち、核燃料のメルトダウンや水素爆発が相次いだ3月15日の午前中までの4日間の放出量は全体の25%で、むしろ、その後の2週間余りで全体の75%を占める大量の放出が続いていたことが分かりました。さらに、当時の気象条件を基に拡散の状況を解析したところ、15日の夕方から深夜にかけて起きた大量放出で、今も帰還困難区域となっている原発周辺の汚染が深刻化していたほか、20日の夜から翌日にかけての放出が関東地方など広範囲に広がり、一部の水道水の汚染などにつながったとみられることが分かりました。今回の分析結果は、事故の進展を食い止められず危機的状態とされた当初の4日間のあとも放射性物質の大量放出を抑え込めていなかったことを示していますが、政府などによる事故調査は当初の4日間に重点が置かれ、その後の放出の原因については解明されていません。茅野所長代理は、「今後の原発事故の防止や事故の早期の収束のためにも、なぜこのような放射性物質の大量放出が長く続いたのかを解明していかなければならない」と話しています。

<隠された川及び海洋の汚染>
*4-1:http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/nucerror/condition/list/CK2014121302000127.html (東京新聞 2014年12月13日) 海に除染水 不安の声
 東京電力福島第一原発では六~十二日、建屋周辺の井戸(サブドレン)から除染した地下水を海に流す計画について、東電と経済産業省が、地元漁業者に二度目の説明会を開いた。過去五回の除染試験で放出基準を下回ったと報告したが、参加者からは不安の声が続出。理解は得られていない。原子力規制委員会は、敷地内で汚染水漏れなどの事故が起きた場合、今後は国際的な原子力事故評価尺度(INES)による評価をしない方針を決めた。福島第一の事故は、INESの尺度で七段階中最悪の「レベル7」と評価されている。尺度は壊れていない原発を想定しており、個々の事故・トラブルを機械的に評価するのは「混乱を生む可能性がある」のが理由という。

*4-2:http://www.asahi.com/articles/ASGCH23ZLGCHUHBI003.html
(朝日新聞 2014年11月15日) 米沿岸で福島原発からの放射性物質を初検出 研究所発表
 米カリフォルニア州の沿岸部で、東京電力福島第一原発事故で放出された放射性セシウムが海水から検出されたと米ウッズホール海洋研究所が発表した。米国での検出は初めて。非常に微量で人体への影響はないとしているが、原発事故から約3年半かけて太平洋を渡ったことになる。同研究所は、ボランティアの協力を得て海水を採取してきたが、8月にカリフォルニア州北部で採取した海水から放射性セシウム134が検出された。セシウム134は通常自然界では検出されず、半減期が2年のため、原発事故時のものと考えられるという。検出したのは1立方メートルあたり2ベクレル以下と、米政府が定める飲料水基準の1千分の1以下の値で「人体にも海洋生物にも影響する値ではない」としている。カナダ西海岸では今年2月に微量を検出したとの研究者の報告があったという。海流の流れ方は複雑なため、放射性物質の拡散の仕方や量の予測にはばらつきがあり、「2、3年後にセシウム値が上がるとの予測もある」としている。

*4-3:http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014121902000133.html (東京新聞 2014年12月19日) 福島事故 放出セシウム 隅田川底土 続く蓄積
 東京電力福島第一原発事故の放射能汚染問題で、本紙が新たに東京の都心部を流れる隅田川の底土を調査したところ、かなり高い濃度の放射性セシウムが長期的にたまり続ける可能性の高いことが分かった。川は大きく蛇行し、流れが緩いことが大きく影響しているとみられる。本紙は首都圏の湖沼や東京湾、福島県の農地などで汚染の調査を続け、今回が六回目。十月から十二月にかけ、隅田川最上流部の岩淵水門(東京都北区)から日の出桟橋(港区)まで八地点(橋では左右両岸)で底土を採取。荒川は九月に実施した河口部に加え、埼玉県秩父市まで採取した。底土は乾燥させた後、それぞれ八時間かけ、セシウムの放射能濃度を測定した。その結果、荒川は河口域で一キログラム当たり三〇〇ベクレルを超える汚染が確認されたが、さかのぼっていくと濃度が急速に低下。河口部から約十七キロの江北橋(足立区)では一〇〇ベクレルを下回り、もっと上流部では五〇ベクレルを下回るレベルだった(詳細は分析中)。一方、隅田川は一四六~三七八ベクレルと全般的に濃度が高く、浅草周辺などの中流域が高かった。水がよどみやすい蛇行部の内側は濃度が高くなる傾向も確認された。測定結果について、独協医科大の木村真三准教授(放射線衛生学)は「水量と流れのある荒川は、放射性物質が一気に河口部まで運ばれた。隅田川は流れも緩く、大雨で徐々に海に運ばれていくとしても、濃度が下がるには長い年月がかかる。今後は半減期が三十年と長いセシウム137が汚染の中心となる。市民が底土に触れる機会は少ないだろうが、水がよどむ部分や河口域がどうなっていくのか、監視が重要になる」と分析した。

<まだ場所が見つからない最終処分場>
*5:http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2014121102000270.html
(東京新聞 2014年12月11日) 最終処分場建設 行き詰まる議論 反発強く候補者明言せず
 東京電力福島第一原発事故で発生した指定廃棄物の最終処分場建設が行き詰まっている。候補地の反発が強く、打開策を見いだすことが難しいためだ。衆院選でも与党候補が賛否を明言しないなど議論は深まらない。地元住民からは「争点とならず、がっかりしている」とため息が漏れる。「ご心配を掛けているが、私は発言を慎んでいる」-。栃木県の建設候補地となった塩谷町を選挙区に抱える自民党現職閣僚は、公示日の二日、さくら市での演説で慎重な言い回しに終始した。同じ選挙区の民主党候補は建設反対の立場を強調、指定廃棄物は福島県の原発周辺に集約すべきだと主張する。ただ発生した県内で処理する方針は民主党政権時代に決めたもので、福島県は一貫して受け入れない意向だ。共産党候補は選定の白紙撤回を訴える。塩谷町は七月に最終処分場候補地に選ばれて以来、風評被害などへの不安から住民ぐるみで反対運動を展開中だ。候補地の近くに名水百選に選ばれた「尚仁沢(しょうじんざわ)湧水」があり、見形(みかた)和久町長は「これだけの自然を壊すことに賛成の町民はいない」と国の選定に憤る。望月義夫環境相は県内処理の方針を見直さない意向を表明しており、各地に仮置きされた指定廃棄物の行く先に見通しは立たない。宮城県では栗原市と大和(たいわ)町、加美町が候補地に挙げられた。環境省は十月、候補地を一つに絞るため現地調査に乗り出したが、住民が道路をふさぐなどしたため中止に追い込まれた。積雪がある間は着手できず、計画は大幅に遅れる見通しだ。宮城県内の選挙区でも、処分場建設問題の論戦は盛り上がらない。加美町で反対運動に加わっている男性会社員(56)は「足元で反対運動が起き、明確な意思表示がしにくいのだろう。選挙結果がどうなっても、反対に向けた長い戦いは続く」と話す。茨城、群馬、千葉の各県でも最終処分場を新設する予定だが、いずれも候補地の選定が進んでいない。

<再生可能エネルギーの普及を阻んで原発に回帰する経産省>
*6-1:http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/581748.html
(北海道新聞社説 2014.12.21) 再生エネルギー 原発依存が普及を阻む
 電力5社が太陽光発電の新たな受け入れを中断していた問題を受け、経済産業省は再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度の見直し案を発表した。電力会社が太陽光発電の事業者に対し、補償金を払わずに発電の抑制を無制限に要請できるようにし、抑制の対象設備を小規模な家庭用にも拡大する内容だ。電力5社のうち、北海道、東北、九州の太陽光発電の受け入れ可能量は、国の認定を受けた設備の半分程度にすぎない。発電の抑制強化を受け、5社は受け入れを再開する見通しだが、事業者は買い取ってもらう量が減り、採算が悪化して計画の変更を迫られる恐れもある。価格面で優遇され、建設が容易な太陽光の急増は当初から予想されており、事態を放置してきた経産省の責任は重大だ。今回の見直しで、発電の抑制方式を1日単位から時間単位に改め、事業者に通信装置の設置を義務付けて遠隔制御を可能にする。天候に左右される太陽光や風力の活用にはきめ細かな制御が前提で、欧州各国では、こうした仕組みは常識だ。対応が遅く、場当たり的と言わざるを得ない。何より、再生エネを普及させるには、明確で高い導入目標と、将来の電源構成比率が不可欠だが、一向に示されない。これなくしては、事業者は展望を持てず、投資をためらうだろう。政府のエネルギー基本計画の再生エネ比率は、2030年に約2割を上回るという極めてあいまいな表現にとどまっている。2割は東日本大震災前の前回計画と同様のあまりに低い水準だ。しかも前回が原発比率を約5割としていたことを考えれば、非現実的とさえ言える。電力会社の再生エネ受け入れ可能量の妥当性にも疑問がある。電源構成比率の議論が先送りされているにもかかわらず、電力各社は保有する原発の稼働を前提に可能量を算定している。これでは、再生エネの導入を最大限加速し、原発依存度を可能な限り低減させるとの政府方針とはあべこべに、原発依存度に合わせて再生エネの枠を絞るようなものではないか。再生エネを「最大限」活用するには、送電網を拡充して受け入れに十分余裕のある大都市圏に送電する必要がある。送電網増強の議論を置き去りにして根本的な解決は図れない。政府の怠慢は目に余る。

*6-2:http://www.nikkei.com/paper/related-article/tc/?b=20141224&bu=BFB (日経新聞社説 2014.12.24) 太陽光価格、20円台に、企業向け買い取り、3年連続下げ 再生エネ偏り是正
 経済産業省は企業が太陽光発電でつくった電気について、電力会社が買い取る際の価格を引き下げる。来年1月から第三者委員会が価格の決定に向けた議論を始め、2015年度は初めて1キロワット時あたり20円台になる見通しだ。3年連続の引き下げで、再生エネルギーの普及が太陽光に偏らないようにする。一方、九州電力と東北電力は来月から太陽光の買い取り手続きを再開する。再生エネの固定価格買い取り制度は12年7月に導入した。再生エネでつくった電気を決まった価格で買い取ることを電力会社に義務づけている。買い取り価格は年度ごとに、有識者がメンバーの調達価格等算定委員会が発電設備導入に伴うコストなどを踏まえて決める。主に企業が参入する出力10キロワット以上の太陽光の価格は13年度、14年度も下げている。太陽光の買い取り価格を下げるのは、政府が認定した再生エネ設備の9割を占めるほど、導入が増えているためだ。経産省は「導入量も考慮した価格算定のあり方を検討すべきだ」との意向を第三者委に伝え、引き下げ方向の検討を促す。価格を引き下げることで、導入が遅れる地熱や中小水力の比重が高まるように誘導する。発電出力が小さい住宅用の太陽光は電力会社が受け入れやすく、災害にも強い利点がある。経産省は住宅用を優先して導入する方針を示し、第三者委も買い取り価格を引き下げるかどうかを慎重に議論する。経産省は18日、認定済みの再生エネを電力会社がより多く受け入れられるようにするため、太陽光などの発電を制限しやすくする新ルールを発表した。無補償で制限できる対象を500キロワット未満に広げ、時間単位で制限できるようにする。買い取り価格が決まった後も設備費が下がるまで発電を始めず、不当な利益を得ようとする事業者らへの対処方針も示した。省令を改正し、15年1月中旬以降に新しい仕組みを導入する。経産省の対応策の公表を受け東北電力は地熱と水力などの買い取り手続きを18日に再開し、来年から太陽光も再開する方針だ。九州も近く地熱などの手続きを再開する。発電制限を頻繁に求められると事業の採算が合わなくなる可能性があり、参入にリスクを伴う。九州電力管内で太陽光発電を手掛ける再生エネ事業者は「現状ではやむを得ない」とため息をつく。福島県の再生エネ事業者は「仮に2カ月の間制限されたら利益がなくなる。稼働率を勝手に電力会社に決められたら売電益を見通せなくなる」と憤った。

*6-3:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20141219&ng=DGKKZO81079940Y4A211C1L83000 (日経新聞 2014.12.19) 都「水素社会」向け前進、燃料電池車普及へ供給基地 五輪時35カ所目標
 東京都で排ガスのないクリーンな「水素社会」を目指す官民の取り組みが動き出した。18日に都内第1号の商用の水素ステーションが練馬区で誕生。15日に世界で初めて発売された燃料電池自動車(FCV)の普及を支える拠点となる。舛添要一知事は水素社会を2020年五輪のレガシー(遺産)にする方針を打ち出しており、補助金も出して整備を促す。練馬区の「練馬水素ステーション」は、東京ガスが既存の天然ガススタンドに併設して整備した。商用ステーションとして国内3カ所目だが、関東地方では初めて。事業費は公表していないが、国から最大1億9千万円の補助を受ける。水素の供給価格はFCVの納車が本格的に始まる年明けにも決める。東京ガスは「ユーザーに受け入れられる価格設定が重要」として、ガソリンと変わらない水準を目指すという。水素ステーションはFCVに欠かせないインフラ。ただ普及初期は利用台数も少なく、採算は厳しい。標準的な建設コストもガソリンスタンドの約5倍の5億円程度かかるとされる。このため経済産業省は標準的なケースで2億2千万円を補助する制度を2013年度に創設。都も歩調を合わせ1億8千万円の補助金を出し、事業者負担をガソリンスタンド並みに抑える。都議会に提出した14年度補正予算案に21億円を計上、当初10カ所の導入支援を想定している。都は自動車メーカーやエネルギー企業などを集めた官民の会議で「水素社会」実現の数値目標も定めた。五輪のある20年に都内でFCV6千台、水素ステーションは35カ所とする。25年には10万台、80カ所に増やす。ここまで拡大すれば、10分程度の走行時間でステーションに到達できるようになるという。都によると14年度末までに水素ステーションは合計4カ所に増える。JX日鉱日石エネルギーが八王子市と杉並区、岩谷産業が港区に開く予定だ。板橋区、千代田区、大田区でも計画があるという。東京ガスは荒川区など2カ所の研究開発用ステーションの商用転用も検討する。舛添知事は18日の都議会での答弁でも水素ステーション誕生に言及。「スピード感をもって、水素社会の実現に向けて我が国をけん引していく」と強調した。

<総選挙で原発や電源構成は争点になっていたか>
*7:http://www.saga-s.co.jp/news/national/10202/134917
(佐賀新聞 2014年12月11日) 与党、原発争点回避か、候補者調査に大半回答せず
 市民団体「脱原発法制定全国ネットワーク」などは11日、衆院選の小選挙区候補者に原発再稼働の賛否を尋ねたアンケート結果を公表した。反対が大半を占めたが、再稼働推進の自民党と、容認姿勢の公明党の候補者はほとんど回答せず、同ネットワークは「与党が原発の争点化を避ける姿が浮き彫りになった」としている。アンケートは全候補者のうち、連絡が取れない3人を除く956人を対象に実施。10日までに360人が回答した。再稼働反対が319人と最も多く、賛成は24人だった。賛否を二択で尋ねたが、その他が17人いた。


PS(2014年12月29日追加):“風評被害”と決めつけられると、「食品中の放射性物質に関する基準が甘くなり、全数検査をしているわけでもなく、検査値の表示もしてないため、需要者は生産地で選んで用心する権利がある」と思うが、確かにフクシマ原発事故で栃木県・群馬県の野菜や宮城県の水産物の売り上げは落ちたと考えられる。そのため、「食べて協力」と強制するのではなく、東電から損害賠償を受けるのが筋だ。

*8:http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014122902000119.html
(東京新聞 2014年12月29日) 茨城の農家、集団請求へ 原発風評被害、賠償継続を
 東京電力福島第一原発事故による風評被害で売り上げが落ちた茨城県西部の野菜農家約二百五十人が、東電の損害賠償の継続を求めて来年三月にも、原子力損害賠償紛争解決センターに裁判外紛争解決手続き(ADR)を申し立てることが分かった。農家による集団申し立ては異例。申し立てを準備しているのは、坂東市や境町、八千代町などでキャベツ、レタス、ネギ、白菜などを生産する野菜農家。原発事故後、東電から賠償金を受け取っていたが、「事故から相当期間が経過し、業績が回復した」などの理由で二〇一三年三月分を最後に賠償を打ち切られていた。窓口となっている原発被害救済茨城県弁護団によると、今回のADRで求めるのは、打ち切り後の一三年四月~今年六月の一年三カ月分の損害賠償。請求総額は十数億~二十億円規模になる見通しだ。茨城県による定期的な検査では一二年以降、県産野菜から放射性セシウムは検出されていない。だが、農家からは「原発事故後に値下がりした地元野菜の価格はまだ戻っていない」といった指摘がある。茨城県の農家らに対する東電の損害賠償打ち切りは一三年秋に二十数件が表面化。橋本昌知事は「不利な条件下で事業者は必死に取り組んでいる」と批判したが、東電側は争いがあればADRで和解する意向を示していた。
<裁判外紛争解決手続き(ADR)> 福島第一原発事故の訴訟を起こさず、損害賠償を東京電力に請求する手続きの一つ。国の原子力損害賠償紛争解決センターに申し立て、受理されると、弁護士などの仲介委員が双方の主張を聞いて和解案を提示する。

| 原発::2014.10~2015.3 | 03:20 PM | comments (x) | trackback (x) |
2014.12.11 それでは、原発交付金がなくなったら、原発立地自治体はどうすればよいのか?   ←  玄海町、唐津市、佐賀県のアジアでの位置と産業創出の事例から (2014年12月15日、16日、18日に追加あり)
  
日韓トンネルの進捗状況(日本政府が馬鹿なことばかりやってカネと時間を浪費している間に)

(1)アジア高速鉄道1万キロ計画に日本はどうかかわるか
 *1に書かれているように、アジアでは高速鉄道計画が実現に向かって動き始め、日本や中国からの売り込み合戦が熱を帯びているそうだ。

 日本が売り込みに成功すればよいと思っているのは私も同じだが、私がここで書きたいのは、日本を、そのアジア高速鉄道1万キロの出発地点にしたいということだ。韓国と北朝鮮の統一が視野に入ってきた現在、日本発のアジア高速鉄道はそれほど遠い夢ではなく、技術はドーバー海峡トンネルなどで既にある。私は、どうせカネを使うなら、このような次に向かって発展性のある投資に使った方が、原発にむやみと交付金をつぎこむよりも、生きたカネの使い方になると考えている。

 なお、韓国では、既に「韓日海底トンネル構想」としてルートの検討も行われており、日本から韓国への最短ルートは、日本側では豊臣秀吉が朝鮮出兵のための基地を作った名護屋(玄海町と唐津市の間に位置する)付近だ。そのため、この近くにアジア高速鉄道の駅ができれば、玄海町、唐津市、佐賀県とも、原発交付金に頼らずにユーラシア大陸と共存しながら産業を発展させることができるようになる。

(2)玄海町・唐津市付近の産業の育成と誘致
   
   *2-2より
     燃料電池車の進捗状況(日本政府は原発に比べて水素燃料に消極的だが)

 *2-1のように、現在、唐津市はコスメティック構想を持ってフランス企業と化粧品産業の拠点を創ろうとしている。この地域は高品質の原料植物を提供できるため、コスメティックバレーのジャメ会長が唐津市を訪れ、ビジネスマッチングに向けて商談を希望するフランス企業のリストを提示したそうで、ジャメ会長は「アメリカ、フランス、日本がリードしているが、中国も急成長を遂げている。日本とは企業だけでなく、大学も含めて専門的な交流を深めていきたい」と述べている。そのため、スピーディに対応して次のステージに繋げるべきである。

 また、*2-2のように、政府は、次世代エコカーの本命とされる燃料電池車の燃料を供給する水素ステーションの規制緩和を行い、その設置コストを半減して、2015年度中に全国100カ所の整備を目指すそうで、セブン―イレブン・ジャパンが来年度からステーションを併設したコンビニエンスストアを出すなど企業の動きも広がってきたそうだ。その上、*2-3のように、現在は水素社会の入り口となっているため、玄海町は、原発の電線を逆に使って自然エネルギーで作られた電力を集め、水素を生成するエネルギー産業を創るのが、このチャンスを活かす道だろう。

 なお、*2-4のように、読売新聞グループは、建設中の仙台工場(宮城県大和町)で、産経新聞社が東北地方で発行する4紙も印刷する合意をしたそうだが、印刷すべき原稿をデジタルデータ化してインターネットやイントラネットで容易に送付できる現在、新聞社の管理部や印刷工場が都市部にある必要はなく、玄海町か西九州自動車道のインターがある北波多に来てもらうべきである。

(3)企業はどういう地域に立地したがるのか
 企業は、法人税が安いことを第一の条件にして、立地地域を選択するわけではない。では、どういう場所を好んで立地を検討するかについては、以下の要素がある。
1)需要のある地域に立地する
 企業は、財・サービスを販売して利益を出すために営業している組織であるため、需要の多い場所に立地するのが、最も合理的な選択となる。また、既存の製品を、販売地域の需要にあわせて進化させるためには、販売地域の近くで優秀な人材を雇用して研究開発を行うのが合理的な選択である。
2)生産コストの安い場所に立地する
 生産コストが販売単価より高ければ、企業は利益を出すことができないため、発展はおろか継続することすらできない。そのため、安価で良質な原材料や労働力を入手しやすい場所に工場を立地させる。
3)その他の経費が安い場所に立地する
 電力、ガスなど、生産に関わる他のコストやインフラの整備状況も考慮して、安価で安定的に入手できる場所を選択する。しかし、アジア諸国に立地した時は、他の要素がまさっていたため、インフラが整備されていなくても自家発電して工場を立地させている。
4)輸送に便利な場所に立地する
 1)~3)のように、販売地域と工場は必ずしも一致しないため、工場でできた製品を安価で確実に販売地域に輸送できる場所に、工場を立地する。
5)教育や生活環境がよい場所に立地する
 企業が立地するためには、他地域から移動してくる人材や現地雇用する労働者がいるため、その要求を満たす教育環境や生活環境が不可欠である。しかし、唐津・玄海地域は、教育に関しては、公立でも既に小中一貫・中高一貫教育となっており、早稲田佐賀中高一貫校も誘致して準備済である。また、生活環境(食品、住居費、海・山・川・田畑などの自然環境へのアクセス)は、都会よりよい。
6)政府が変な規制で制限したり、圧力をかけたりしない場所に立地する
 *2-2のように、政府は、今まで「水素ステーションで7台分の水素しか貯蔵してはいけない」などという規制をしていたわけだが、このように燃料電池車の普及を邪魔する規制があると、高額の研究開発費を使って最初に開発に成功しても、その利益は得られない。そのため、このような政府の妨害がなく、開発のための人材が豊富で、特許権の護られる国で開発することになる。
7)税制
 法人税が安いだけで立地場所を選択する企業はないが、法人税、事業税なども高すぎないことは必要であり、企業誘致したい地方自治体は地方税の優遇を行っている所が多い。
8)その他の要素
 「近くに原発がある」「地震・津波がいつ来るかわからない」などの事故や災害に巻き込まれるリスクも、企業立地には当然加味される。そのため、玄海町は、これを機会に原発をやめ、速やかに使用済核燃料を処分するのが次に繋がる道である。

*1:http://www.asahi.com/articles/ASG9B4HGTG9BUHBI012.html?iref=comtop_6_01 (朝日新聞 ) アジア高速鉄道1万キロ計画始動 日中、売り込みに熱
 アジアで高速鉄道計画が実現へ動き始めた。マレーシアとシンガポールを結ぶ路線は来年にも入札を予定。インドやタイなど、構想段階も含めると計画の総延長は約1万キロに上る。成長するアジアを舞台に、日本や中国などからの売り込み合戦が熱を帯びている。「日本の新幹線は安全なだけではない。時間に忠実に運行していることがすべての強みの原点にある」。マレーシアの首都クアラルンプールで先週開かれた鉄道展示会。講演したJR東日本の小県方樹副会長は、同国の鉄道当局幹部らを前に、こう訴えた。「絶対に落札したい」。小県氏が公言してはばからない、2020年の開業を目指すクアラルンプールとシンガポール間の高速鉄道計画が念頭にあった。約350キロを1時間半で結び、総事業費は400億リンギ(約1兆3千億円)と見込まれている。マレーシア陸上公共交通委員会のカマル最高経営責任者は「来年10~12月には入札ができるだろう」と話す。計画には、中国やフランス、スペインなども関心を寄せる。日本勢はJR東日本、住友商事、三菱重工業などが連携。8月中旬にトップセールスでマレーシアを訪れた太田昭宏国土交通相に各社幹部も同行した。アジアでは、タイ軍事政権が国内2路線の事業を承認。ベトナムではハノイとホーチミン間の一部で部分着工する案が議論されている。インドでも西部のアーメダバードとムンバイ間で着工に向けた調査が進む。米国やブラジルなどにも計画や構想はあるが、経済成長と人口増を背景にアジアに計画が最も集中。各国が売り込みに乗り出す。ただ、日本は07年に開業した台湾に新幹線車両を輸出した以外の実績に乏しい。受注競争を優位に進めるために、車両だけでなく、運行支援や保守・点検も含めてアピールする。アジアの高速鉄道計画をめぐって、攻勢を強めるのが中国だ。今年7月に完成したトルコの高速鉄道の建設に中国企業が参加。雲南省・昆明からラオス、タイを抜けてシンガポールに縦断する総延長3千キロの高速鉄道網を自国主導で建設する構想まで描く。その足がかりとして、財政難のラオスに、7千億円の建設費の融資を検討しているとされる。7月にあったタイ軍事政権との戦略対話でも、タイ国内の高速鉄道網に強い関心を示した。中国企業の建設費は日本の半分ほどとみられ、工期も短い。09年には武漢―広州間(1069キロ)を着工から4年半で開業させた。マレーシアの展示会でJR東日本よりも大きなブースを構えた大手鉄道車両メーカー、中国南車集団の関係者は「価格だけでなく、安全性でも負けない」と話した。
■カギ握る規格争い
 鉄道インフラの輸出で、カギを握るのが、事業の実現可能性などを調べる鉄道コンサルタントだ。日本や中国、欧州では信号や運行管理システムなどの規格が違う。欧州に多いコンサルタントは、欧州の規格に沿った調査をして事業計画を作りあげるため、「その規格で製品を提供する欧州メーカーが有利になる」(鉄道関係者)。先行する欧州勢に対抗して、JR東日本なども鉄道コンサルタント会社を設立。インドやインドネシアの高速鉄道計画で調査業務を受託した。東南アジア諸国連合(ASEAN)は15年に経済共同体の実現を目指す。国境をまたぐ鉄道整備も加速するとみられる。オーストラリア国立大のジェフリー・ウェイド客員研究員は「鉄道網が結ばれれば、規格や運行主体も各国間で統一される可能性がある。受注には各国の総合力が試される」と指摘する。

<産業の育成と誘致>
*2-1:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10103/129723
(佐賀新聞 2014年11月27日) =ワイドスコープ= 動き出す唐津コスメ構想
■仏の会長県内視察 商談企業31社を提示
 化粧品産業の企業誘致課題
 唐津市に化粧品産業の拠点をつくろうと、フランスの協力を得て進む唐津コスメティック構想。世界最大の化粧品産業集積地コスメティックバレーのマーク・アントワーヌ・ジャメ会長が唐津市を訪れ、ビジネスマッチングに向け、商談を希望するフランス企業のリストを提示した。昨年4月に協力連携協定を結んで以来、初めての具体的な提案だけに、唐津側も「後れを取らないように、積極的に提案したい」と意欲を見せている。11月8日から3日間の日程で行われたジャメ会長の視察には、事務部門トップのジャン・リュック・アンセル事務局長も同行。ジャパン・コスメティックバレー(JCC、事務局・唐津市)の会員企業との意見交換のほか、フランス企業との取引も多い化粧品成分分析会社「ブルーム」(唐津市浜玉町)や東松浦郡玄海町の薬草研究所などを見学した。一番の収穫はコスメバレー側が提示した日本企業との商談を希望するフランス企業31社のリスト。アンセル事務局長はJCC会員企業に「私たちはスピード感のある連携を望んでいる。日本側もできるだけ早く、パートナーとなる企業を示してほしい」と訴えた。今年に入り、駐日フランス大使ら要人の唐津訪問が続いており、行政レベルでは関係を強化。ブルームの山崎信二社長は「フランスにとってコスメは国家プロジェクトだけに、動きが速い。この提案で、唐津の構想も大きな一歩が踏み出せる」と歓迎した。フランス側の言葉の端々から伝わってくるのは業界の競争の激しさ。世界2位LVMH(モエ・ヘネシー-ルイ・ヴィトン)グループ事務総長も務めるジャメ会長は「アメリカ、フランス、日本がリードしているが、中国も急成長を遂げている。日本とは企業だけでなく、大学も含め、専門的な交流を深めていきたい」と述べた。コスメバレーの強みは、世界のトップブランドから中小企業まで約350社が連携し、150の商品開発を進めているという研究部門の充実ぶり。ジャメ会長は、プロジェクトへのJCC会員企業の参加も呼び掛けた。天然原料で成功を収めてきただけに、新商品開発へ未知なる東洋の植物に関心は高く、アンセル事務局長は玄海町の薬草研究所で「ここの薬草は、アンチエイジングに使える研究は始まっているか」などと積極的に質問していた。一方、唐津コスメ構想の目標をアジア市場に向けた製造拠点づくりとすると、現在は浜玉町にブルームと、受託製造会社「トレミー」が並ぶだけで、化粧品産業の企業誘致はこれからの大きな課題。市コスメティック産業推進室の八島大三室長は「フランス側もこちらの対応を注視している。これを機にフランスの取引を増やし、アジアにおけるパートナーとして、ウエートを高めることが将来の企業誘致にもつながる」。信頼関係の構築が次のステージへの一歩となりそうだ。

*2-2:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20141210&ng=DGKKASDF09H0Y_Z01C14A2MM8000 (日経新聞 2014.12.10) 水素スタンド、設置費半減、 燃料電池車の普及へ規制緩和 セブン、コンビニ併設20店
 政府は次世代エコカーの本命とされる燃料電池車の燃料を供給する水素ステーションの規制緩和に乗り出す。建築基準や保安規制の緩和で設置コストを半減する。エネルギー各社などの設置計画を後押しし、2015年度中に全国100カ所の整備を目指す。セブン―イレブン・ジャパンが来年度からステーションを併設したコンビニエンスストアを出すなど、企業の動きも広がってきた。ガソリンスタンドに相当する水素ステーションは圧縮器で水素をタンクに詰め、充填機を通じて燃料電池車に供給する。爆発しやすい水素を取り扱う安全規制が足かせとなり、建設予定も含めて首都圏で26カ所、全国で45カ所にとどまっている。高圧ガス保安法や建築基準法の関連12省令を14~15年度中に見直す。タンクにためる水素を増やせるように、水素の圧縮率を高め、現在は燃料電池車7台分しかためられない1カ所当たりの水素の貯蔵量の上限をなくす。より多くの客を受け入れられ、採算がとりやすくなる。圧縮器の保安検査も簡素化する。安全を考慮して水素の充填機と公道との距離は現在8メートル以上が原則だが4メートル以上にする案が有力。太陽電池で発電した電力を使い、その場で水から水素を生成して充填する簡易版ステーションの建設も許可する方針だ。水素ステーションの建設費は1カ所4億~5億円と欧米の2倍の水準だが、規制緩和で20年ごろに半減を目指す。一般のガソリンスタンドの建設費(1億円程度)の2倍程度で済むようにする。規制緩和は水素ステーション建設を加速させそうだ。セブン―イレブン・ジャパンは岩谷産業と組み、水素ステーションを併設したコンビニを出店する。まず15年秋にも東京都と愛知県の2カ所で開業し、17年度までに20店に広げる。エコカーの利用拠点として集客力を高める。水素ステーションの設置費用は岩谷産業が負担し、同社が運営する。コンビニは24時間営業し、水素ステーションは平日の日中に営業する。岩谷産業はセブンの持つ不動産情報や店舗開発ノウハウを活用して立地条件の良い土地を効率よく探す。交通量の多い郊外の幹線道路沿いを中心に出店していく予定だ。JX日鉱日石エネルギーは15年度末までに全国で40カ所、岩谷産業は20カ所の設置を計画しているが、公道から8メートル離すなどの規制を満たす土地を探すことが難しい。「特に都市部で用地選定が難航している」(JXエネ幹部)という。建設条件の緩和でコストを抑制し適地を見つけやすくなり、計画を前倒しで達成できる可能性がある。燃料電池車はトヨタ自動車が15日に新型車「ミライ」を発売し、15年度中にホンダも商品化する予定。普及には水素インフラの整備が欠かせないため、経済産業省は規制緩和に加え、来年度予算で建設費の3分の2程度を補助する予算110億円を要求している。

*2-3:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20141211&ng=DGKKZO80756690Q4A211C1L83000
(日経新聞 2014.12.11) 水素社会実現へ意欲 舛添知事、五輪遺産で外部有識者と意見交換
 東京都の舛添要一知事は10日、2020年の東京五輪のレガシー(遺産)について検討する「レガシー委員会」で外部有識者と意見交換した。水素社会の実現や選手村を中心とした街づくりに関し、内閣府や東京ガス、三井不動産グループの担当者と約1時間にわたって話し合った。舛添知事は冒頭、「東京の街づくりと一体となって五輪を考えないといけない。民間の力と知恵を借りながら、地域の声を集め、街づくりを進める」とあいさつした。同委の次回会合は未定だが、今後も外部有識者を招き、意見交換する計画だ。これに先立ち、舛添知事は同日、東京ガスの千住テクノステーション(東京・荒川)を視察した。都市ガスから水素を作り出す実証試験を見学し、「大会のレガシーとして残れば、大きなエネルギー革命になる」と評価。水素エネルギーの選手村への導入については「夢じゃないなという感じがしている」と述べた。

*2-4:http://qbiz.jp/article/51277/1/
(西日本新聞 2014年12月5日) 読売、産経新聞の印刷受託 来年3月、宮城の工場で
 読売新聞グループ本社は5日、建設中の仙台工場(宮城県大和町)で、産経新聞社が東北地方で発行している4紙を印刷することで合意したと発表した。工場が全面稼働する来年3月から開始する。両社は共同輸送も検討する。印刷を受託するのは産経新聞、サンケイスポーツ、フジサンケイビジネスアイ、競馬エイトの計4紙。仙台工場では、岩手、宮城、山形各県内に配達する読売新聞朝刊やスポーツ報知を印刷する予定で、産経新聞社の分も含めて約20万部となる。読売新聞の仙台工場は東日本大震災で被災し、ことし1月に新工場の建設を始めた。


PS(2014.12.15追加):*3の趣旨には同意するが、今回の衆議院議員選挙は原発が主テーマではなかったため、例えば川内原発再稼働についても、30km圏内の住民や過酷事故で被害が及ぶ範囲の住民が、その地域の同意を不要とした鹿児島県知事をリコールする方法などもあり、このまま再稼働が進むとは限らない。

*3:http://senkyo.mainichi.jp/news/20141215k0000e010417000c.html
(毎日新聞 2014年12月15日) 衆院選:「反原発派の敗北」と独有力誌
 衆院選で自民党が勝利したことについて、ドイツ有力誌シュピーゲル電子版は14日、「反原発派の敗北」として大きく伝えた。ドイツは東京電力福島第1原発事故を受け、2022年末までの「脱原発」を決めている。シュピーゲルは「衆院選での大勝を受け、安倍晋三首相は原発の再稼働をちゅうちょなく進めることができる」と指摘した。一方、世論調査では再稼働に日本の国民の多くが反対しているとして、首相の「原発回帰」の方針は論議を呼んでいると報じた。


PS(2014.12.16追加):西日本新聞の*4の記事は、「①九電は1990年代から地元や国と慎重に調整しながら調査や同意手続きを進めてきた」「②国は、既存原発は新しい基準や審査に基づいて再稼動を認める方針だが、新・増設については依然として定まっていない」などとしているが、①は、慎重に進めた結果、火山や過酷事故の対応も考慮していたとでも言うのだろうか。福島第一原発事故がなくても、立地適正や過酷事故を検討していなければ、「慎重に進めた」という表現は当たらない。また、②は、「新・増設を早くやれ」とでも言いたいのだろうか。それならば、西日本新聞社は、原発立地自治体に移転すればよい。そうでなければ、自分たちは嫌だが、人口の少ない地域の人は原発の被害にあってもよいというメッセージになる。しかし、我が国は、そういう地域で食料生産を行っていることを忘れてはならない。この記事の筆者は、指摘されなければ(されても?)、そのようなことも気がつかないのがレベルが低い。

*4:http://qbiz.jp/article/51891/1/
(西日本新聞 2014年12月16日) 【12月16日】川内原発増設、“幻の決定”(2010年)
 【経済産業省は16日、九州電力の川内原子力発電所(鹿児島県薩摩川内市)3号機の増設計画について、国の重要電源開発地点に指定した。これにより、出力159万キロワットと国内最大の川内原発3号機増設が決定した。九電は2013年度着工、19年度運転開始を目指す。都内で大畠章宏経産相から指定の通知書を受け取った真部利応九電社長は、記者団に「ようやく増設が決まり感無量。安全第一に工事も運転もやっていく」と話した(2010年12月17日付・西日本新聞朝刊3面から)】
 川内原発3号機増設計画について、九電は1990年代から地元や国と慎重に調整しながら調査や同意手続きを進めてきたが、国が正式に「重要電源開発地点」に指定したことで増設が本決まり。当時の社長が「感無量」と安どした節目だった。あとは原子炉設置変更許可など具体的な建設手続きを進めるだけだったが、翌2011年3月、状況は一変する。東日本大震災と福島第一原発事故を受け、「原発推進」のエネルギー政策は揺らぎ、それまでの決定は事実上白紙となった。国は、既存原発は新しい基準や審査に基づいて再稼動を認める方針だが、新・増設については依然として定まっていない。電力会社が国に毎年提出する「供給計画」でも、九電は川内増設の着工時期や稼働時期を「未定」としたままだ。


PS(2014/12/18追加):*5に、「地方への本社移転に税優遇」という記事があるが、税優遇だけでなく、地方は高齢化先進地域であり、地方の生活や自然環境は都会からでは推測できない。そのため、時代にあった新製品を現場で肌で感じて開発するためには、霞が関等に対応する人員だけを東京営業所に残し、本社・研究開発部・製造部を地方に移転するのが有効な産業は多い。

*5:http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS17H6A_X11C14A2MM8000/?dg=1
(日経新聞 2014/12/18) 地方に本社移転、税優遇 社屋投資や転勤で控除、政府・与党 
 政府・与党は17日、企業が本社機能を地方に移転する際、社屋などへの投資額の最大7%を法人税額から差し引けるようにする調整に入った。管理部門など本社機能の移転に伴う社員の転勤などで地方拠点の雇用が増えた場合も、1人あたり最大140万円を税額控除できる。安倍晋三首相が重要政策に掲げる地方創生の目玉として、30日にまとめる来年度の与党税制改正大綱に盛り込む。本社機能の地方移転を進めて雇用を創出するとともに、東京への税収の偏りを修正する。地方からの人口流出を抑え、地方経済の底上げにつなげる狙いだ。国は本社が集中している東京23区などを「移転促進地域」に指定する。三大都市圏などは移転しても税優遇の対象としない「除外地域」とする。移転すれば税優遇を受けられる地域は国や地方自治体が今後、詰める。都道府県は企業誘致をてこ入れする対象地域を決め、市町村とともにどんな業種を誘致するかなどの計画をつくる。計画は国が審査する。新たな税制は移転先のオフィス投資への減税と、移転先での雇用増に合わせた減税措置の2本立てだ。企業が減税の対象となるには、本社拠点を都心から地方に移したり、すでにある地方の拠点を拡充したりするための設備投資や雇用増の計画について、2017年度末までに都道府県から承認を得る必要がある。投資減税では、移転促進地域から本社機能を地方に移す場合、設備投資額の25%を前倒し償却(特別償却)するか、投資額の最大7%の税額控除を受けるかを選べる。移転でなく、地方にある既存の本社機能を拡張する場合も、15%の特別償却か最大4%の税額控除を選べるようにする。控除の上限は法人税額の2割とする。雇用面では、本社機能の地方移転の場合でも、既存の拠点の拡張の場合でも、地方拠点の雇用を増やせば1人あたり50万円を1年限りで法人税額から差し引ける。移転する場合にはさらに、地方拠点で増やした社員1人あたり年30万円の控除を最長3年間受けられる。雇用面の税優遇では、企業は法人全体の雇用者数が前年より5人以上かつ10%以上増えるという条件を満たす必要がある。大企業などが10%増の条件を満たせない場合は、50万円の控除を20万円に減額する。減税の上限は投資減税と雇用減税を合わせて法人税額の3割までとする。例えば、企業が本社機能を移すため、地方の拠点に10億円を投資した場合、税額控除を選べば法人税負担は7000万円軽くなる。地方移転に伴い20人が転勤し、地方拠点で20人を新規雇用すれば、3年間で最大5600万円の控除が得られる。合計で約1億3千万円の税負担軽減となる。

| 原発::2014.10~2015.3 | 10:33 AM | comments (x) | trackback (x) |
2014.12.8 国民は、ここで原発再稼働にNoの意志表示をしなければ取り返しがつかなくなること、及び、原発に関わる核のゴミ処理問題は深刻であること (2014年12月10日、12日に追加あり)
   
 *1-2より        *2-1より          交付金交付先      *3-1より
党別エネルギー政策   廃炉廃棄物の処分       (電源別)       海のセシウム汚染  

(*自民党の政策に、「再生可能エネルギーの持続的推進と国民負担の抑制を両立」と書かれているが、実際には原子力に6,251億円、火力に2,499億円の電源三法交付金が交付されており、太陽光・風力・潮流発電などには全く交付されていない。その上、原子力は、事故処理、廃炉、避難、使用済核燃料の処分にあたって国民が納付した税金を使うため、自民党の説明は我田引水だ)

(1)原発再稼働にNoの意志表示を!
 *1-1、*1-2に書かれているとおり、世論調査では原発再稼働反対が原発再稼働賛成を上回っている原発をめぐって、与野党が主張の違いを鮮明にしており、今後のエネルギー政策に衆院選の投票結果が持つ意味は大きい。そのため、私も原発再稼働には明確に「No」の意志表示をして欲しいと考えている。そして、それは、小選挙区で心に決めた候補者がいたとしても、比例で政党を選択する時に、脱原発を主張する政党を選択することにより可能だ。

 川内原発は、原子力規制委員会が「安全は保証しない」と言っているにもかかわらず、新たな規制基準での適合性審査を終えて地元同意も取り付けたことになっている。また、国民の多くが再稼働に反対であるにもかかわらず、共同通信社の全国電話世論調査では「投票で最重視する課題」について、「原発・エネルギー政策」を選ぶ人は7・7%しかいなかったそうだ。しかし、上記の図表で明らかなように、電源をコストで比較しても、国民が負担している原発のコストは高く、エネルギーに対する交付金を節約して社会保障に回せば、減税しながら社会保障を増やすことさえ可能なのだ。

 なお、機器の進歩や市場メカニズムによるため、将来の電源構成比率を人間が勝手に決めるのは適切ではないが、①自然エネルギー由来の再生可能エネルギーが最も環境負荷が少なく ②100%国産できるエネルギーであり ③地域からカネを持ち出さないエネルギーでもあり ④機器も出そろってきたため、自然エネルギー由来の再生可能エネルギー普及にまい進するのが最も賢い方法である。

(2)核のゴミ処理について ← これで政府や環境省を信用できるか?
 *2-1に書かれているように、使用済核燃料などの高レベル放射性廃棄物の最終処分場も決まっていないが、低レベル放射性廃棄物の処分方法も不透明な部分が多く、2009年に廃炉作業が始まった中部電力浜岡原発1、2号機では「核のごみ」の行き場が決まらないまま、作業が続けられ、廃炉作業に伴って出る約48万トンの低レベル放射性廃棄物は、処分先の目途も立っていないそうだ。

 国の地中埋設基準は甘い上、最も汚染のひどい炉心支持板など原子炉内の構造物などについては詳しい埋設方法も決まっていないが、埋設地を電力会社の責任で選定して日本のあちこちで分散管理すれば、漏れるリスクは大きく、管理コストは高くなる。これは、廃炉方針が固まった九州電力玄海原発1号機も同様だが、後始末の方法も考えずに開始することこそ無責任と言うべきである。

 お粗末な他の事例を挙げれば、*2-2のように、フクシマ原発事故で出た汚染土などを保管するために環境省が福島県大熊、双葉両町に建設する中間貯蔵施設の場合は、地権者の行方が分からず土地契約交渉が進まないそうだが、3年半も経過すれば死亡者や移住者は把握できていなければならない筈で、本当に国や地方自治体がやる気を出せば、地権者を探して特定するのは簡単な筈なのである。

 また、*2-3のように、フクシマ原発事故で出た放射性物質を含む指定廃棄物の最終処分場に、環境省(!)が、豊かな水源に接する栃木県塩谷町を候補地と決めたため、栃木県内のすべての医師会が、、「命の源である水源地を汚染し、未来に残すべき自然環境を破壊し、住民の健康を阻害する可能性のある放射性廃棄物の最終処分場の建設に断固として反対する」という宣言を取りまとめて環境省に提出するそうだ。私も水源の里に放射性物質の最終処分場を造るなど呆れかえっていたため、栃木県の医師会は社会的責任を果たすよいことをしたと思っている。

(3)フクシマの汚染水は3年半垂れ流しで、水産物も汚染されている可能性が高い
 *3-2のように、数百億円かけて「氷の壁」を作り、汚染水を遮断しようとしたのは、(当然のことながら)半年たっても凍らず、氷の壁を断念してトレンチをコンクリートで埋めるそうだ。しかし、コンクリート案についても、リスクの高い汚染されたコンクリートが増えるだけという懸念もあるそうだ。

 また、*3-1のように、2014年12月1日、東京新聞は独協医科大学の木村教授(放射線衛生学)と合同で原発周辺5カ所の海水と海底土(砂)を採取して放射能汚染の状況を調べ、外洋への汚染を確認し、放射性物質は底に沈むため、海底土(砂)で海水よりも汚染度が高くなっていたそうだ。

 「1ベクレルの海水=食品基準の100ベクレルの魚が捕れる可能性」が一つの目安であり、これは決して無視できない汚染だが、東電は原子力規制委員会が定めた「国のモニタリング基準」に沿って海水のモニタリングを行い、日々の公表資料には「検出せず」という記述をしている。原子力規制委事務局の担当者は「高濃度汚染がないか監視するのが目的で、迅速性が求められ、精度が低いとは思わない」としているが、現在のレベルなら、やり方を変えないと信頼できるデータは出ないとのことだ。

<今回の衆院選で原発再稼働は重要な争点>
*1-1:http://www.saga-s.co.jp/column/ronsetsu/132932
(佐賀新聞 2014年12月6日) 2014衆院選 原発再稼働
 今後のエネルギー政策に、衆院選の投票結果が持つ意味は大きい。年明けにも九州電力川内原発(鹿児島県)の再稼働が予定されており、最終的には政府が判断を下すことになるからだ。川内原発はすでに新たな規制基準での適合性審査を終え、地元同意も取り付けている。経済優先の安倍政権は「再稼働を進める」姿勢で、政策変更がない限りは運転再開へと進んでいく。だが、国民の多くは再稼働に慎重だ。今年9月に日本世論調査会が実施した全国面接世論調査では、反対が61%で、賛成の34%を大きく上回っている。東京電力福島第1原発事故以降は、原発を見る目が変わっている。それでもそのまま投票に反映されるわけではない。11月の共同通信社の全国電話世論調査では「投票で最重視する課題は」の問いに、「原発・エネルギー政策」を選ぶ人は7・7%しかいなかった。経済政策や社会保障を重視する人のほうがずっと多い。選挙は政策を単品ではなく、パッケージで選ぶ。だから6割の声がまとまることはない。単品で選んでいなくても、引き続き現政権が過半数を得れば、「再稼働の方針が信任された」とゴーサインを出すだろう。再稼働について、民主党は「責任ある避難計画」、維新の党は「『核のごみ』の最終処分の解決」がなければ、認めない立場だ。次世代の党は原発活用に積極的で、他の野党は一切認めない。福島事故で安全神話も発電コストが安いという神話も崩壊した。原発依存から可能な限り早く抜け出すことが国民の多くの願いだろう。再稼働の是非と一緒に、将来の電源別の構成比率も問いたい。自民党は来年夏までに党としての結論を出す考えで、公約では「原発依存度を可能な限り低減させる」と具体的な目標は示していない。その一方で、4月に閣議決定したエネルギー基本計画では、原発を「重要なベースロード電源」と位置づけており、どの程度維持するのかはっきりしない。公明党は「原発に依存しない社会・原発ゼロ」を目指すとしている。しかし、原発ゼロと再稼働との整合性について、明確な説明をしているとは言い難い。与党は争点化を避けずに、エネルギー計画を有権者に示すべきだ。民主党は与党時代に討論型世論調査などを経てまとめた「2030年代に原発稼働ゼロを実現するようあらゆる政策手段を投入する」を掲げる。維新の党は市場競争で「既存原発はフェードアウト(消滅)」。脱原発を求める他の野党も含め、原発ゼロ実現の道や再生可能エネルギーの拡大など具体的な戦略を掲げる必要がある。現在は原発停止で火力発電の比率が増えているが、このまま続けるわけにもいかない。地球温暖化につながる二酸化炭素(CO2)の排出量が増え、火力発電の燃料費アップに伴う電気料金の再値上げも時間の問題だ。一筋縄ではいかず、推進側にも理由はある。川内が先陣を切れば、条件を満たした原発は次から次に動き出すだろう。安倍政権下の2年間で加速した「原発回帰」を進めるのか、止めるのか。当たり前だが、1票を投じることは、公約実現を後押しする力になると肝に銘じたい。

*1-2:http://qbiz.jp/article/51344/1/
(西日本新聞 2014年12月7日) 【衆院選 公約点検】(4)原発・エネルギー 賛否が分かれる再稼働
 世論調査で反対が賛成を上回る原発再稼働をめぐり、与野党は主張の違いを鮮明にしている。自民党は「原発依存度は可能な限り低減する」としながらも、「重要なベースロード電源との位置づけの下、活用する」と主張。2012年の前回衆院選に比べ再稼働推進に踏み込んだ。公明党は「原発に依存しない社会・原発ゼロを目指す」としながらも、連立与党重点政策では「厳格な規制基準を満たすことを大前提に(再稼働を)進める」と、自民と足並みをそろえた。民主党も新規制基準に適合した原発の再稼働は認める立場だが、国民の生命と財産を守る避難計画に触れ、「責任ある計画がなければ再稼働はすべきでない」と強調。基本スタンスとしては「30年代に原発稼働ゼロとするようあらゆる政策資源を投入する」と、従来の方針を変えていない。維新の党は「既設原発はフェードアウト」との表現で、将来の原発ゼロを目指す。共産党や社民党は、はっきりと再稼働反対を訴える。九州電力など大手電力会社5社が接続手続きを中断している再生可能エネルギーについては、ほぼ全政党が導入拡大を掲げる。自民は「系統問題を克服し、最大限かつ持続的な導入促進と国民負担の可能な限りの抑制とを両立」と主張。民主も「分散型エネルギー推進基本法を制定し、地域の中小企業を支援する」としたが、いずれも具体的な導入拡大策までは踏み込んでいない。自民は将来の電源構成比率について「速やかに示す」と記すにとどめた。原発の依存度低減と再生エネの導入拡大をどこまで進めるのか−。エネルギー政策の議論に不可欠な数値なだけに、「争点隠し」と批判する声もある。

<核のゴミ処理について>
*2-1:http://qbiz.jp/article/51345/1/
(西日本新聞 2014年12月7日) 廃炉、核のごみどこへ 中部電・浜岡原発ルポ 
 老朽原発を廃炉にするか延命させるか、原発の選別に注目が集まっている。政府は古い原発の廃炉を進めることで安全性をアピール、再稼働への理解を得ようとしているが、廃炉に伴い大量に発生する低レベル放射性廃棄物の処分先のめどは立っていない。2009年に廃炉作業が始まった中部電力浜岡原発1、2号機(静岡県御前崎市)では「核のごみ」の行き場が決まらないまま、淡々と作業が続けられていた。浜岡原発の出入り口。2本のポールの間を、トラックがゆっくり通過する。ポールは放射線量の測定器。一定以上の放射線量を感知すると警報が鳴る仕組みで、放射性物質で汚染された廃棄物を誤って敷地外に出さないために設置された。「これまでの作業は順調です」。中部電浜岡地域事務所総括・広報グループの村松立也専門部長が説明する。背後の原子炉建屋の外観は運転中と何ら変わらない。撤去され土台だけが残る重油タンク跡などが、かろうじて廃炉作業中であることを示す。廃炉作業が完了するのは22年後の36年度の見通しで、その間に出る廃棄物は約48万トン。建屋外にあるタンクや変圧器の鉄くずなど9割以上は一般廃棄物と同じように処分や再利用ができるが、原子炉圧力容器や作業で使った手袋など約1万7千トンの低レベル放射性廃棄物が発生する見込みだ。これまでは建屋外の設備撤去を中心に行ってきたため、放射性廃棄物は出ていない。「だんだん原子炉領域に近づく。これまで以上に注意を払って進める」と村松専門部長。来年度以降、原子炉周辺の設備解体など、放射能レベルが高い領域での作業が始まる。
■「玄海」でも
 最終処分場が決まっていない使用済み核燃料などの高レベル放射性廃棄物と同様、低レベル放射性廃棄物の処分方法にも不透明な部分が多い。国は汚染の程度で3種類に分類、地中に埋設する基準を策定したが、最も汚染のひどい炉心支持板など原子炉内の構造物などについては詳しい埋設方法も決まっておらず、原子力規制委員会が規制基準づくりに着手したばかり。さらに埋設地は電力会社の責任で選定しなければならない。中部電は「処分先は未定で、来年3月までに決める」とするが、原発敷地内に埋めるとしても、周辺地域から反発が起きる可能性が高く難航は必至だ。来年10月に運転40年を迎え、廃炉方針が固まった九州電力玄海原発1号機(佐賀県玄海町)の低レベル放射性廃棄物について、九電は「廃炉にしても運転延長にしても、いずれはやってくる課題」との認識を示すにとどまり、明確な処分方針は明らかにしていない。
■行き場なし
 国内の商用原発は浜岡1、2号機に加え日本原子力発電東海発電所、東京電力福島第1原発1〜6号機の計9基で廃炉作業が進む。経済産業省は10月、廃炉の判断を急ぐよう電気事業連合会に要請した。国内では原発7基が運転開始から40年前後経過、本格的な廃炉時代を迎えるが、現状では廃炉が決まり解体が始まっても埋設地が決まらなければ、行き場のない低レベル放射性廃棄物は敷地内で保管し続けるしかない。明治大の勝田忠広准教授(原子力政策)は「再稼働を進めれば使用済み核燃料が増え、廃炉を決めれば低レベル放射性廃棄物が出る。廃棄物問題の議論を避けるべきでなく、真正面から向き合うべきだ」と指摘している。

*2-2:http://mainichi.jp/shimen/news/20141119dde041040020000c.html (毎日新聞 2014年11月19日) 東日本大震災:福島第1原発事故 中間貯蔵の土地契約交渉、地権者の半数連絡つかず 全町避難の大熊、双葉町
 東京電力福島第1原発事故で出た汚染土などを保管するため、環境省が福島県大熊、双葉両町に建設する中間貯蔵施設の土地契約交渉が進まない。避難により、地権者の行方が分からないケースが多発しているためだ。登記簿上の地権者2365人のうち、連絡先が判明したのは1300人程度。目標とする来年1月搬入開始は極めて困難な状況だ。中間貯蔵施設は、第1原発を囲むように両町の帰還困難区域16平方キロに建設予定。今年9月に県が受け入れを表明したのを受け、環境省は登記簿から地権者2365人を抽出したが、登記簿は震災後は更新されておらず、記載の住所も避難前のもの。町に避難先の照会を依頼したが、既に死亡していたり、住民票が町になかったりして、登記簿と町の資料で地権者情報が一致し、避難先が判明したのは1269人だった。判明した地権者には地権者説明会の通知を郵送。このほか、報道などで知り、問い合わせてきた人が30人程いた。通常は建設地を回って住民や隣人から情報を得るが、全町避難が続く現状ではそれもできない。「地権者の理解」を前提に県の受け入れ表明を容認した両町は、こうした現状を問題視。また、説明会に出席した地権者からも土地の補償額などに不満の声が上がっており、両町長は10月23日、小里泰弘副環境相に「地権者への丁寧な説明」を申し入れた。建設受け入れを正式に表明していない両町に配慮し、同省は連絡先が分かっている地権者との個別交渉も自制している。同省の担当者は「町に納得してもらうためにも地権者の7割程度を割り出したい」と話すが、打つ手は乏しい。建設地の行政区長を頼って住民の情報を求めているほか、転送を期待して避難前の住所に通知を送ることを検討中。行方が分からない地権者に代わり、家庭裁判所が選任した弁護士らから土地を買い取るという、民法の「財産管理制度」も視野にあるが、「安易に使えば反発が増すだけ。最後の手段」と話す。環境省は、施設が完成しなくても契約が済んだ土地に汚染土を仮置きする方針。それでも来年1月に搬入を開始するなら、入札など早急に土地整備の手続きに入る必要がある。今月7日、竹下亘復興相が計画の見直しに言及した。同省の関係者は「11月になっても土地が手に入る見通しすら立っていない」と漏らす。正式に搬入開始の延期を決めざるを得ないところまで迫られている。

*2-3:http://www3.nhk.or.jp/lnews/utsunomiya/1093016391.html
(NHK 2014年11月9日) 最終処分場 医師会が反対宣言
 東京電力福島第一原子力発電所の事故に伴って発生した放射性物質を含む指定廃棄物の最終処分場を巡り、栃木県の医師会は、県内の候補地に選定された塩谷町での建設に反対する宣言を取りまとめました。宣言を取りまとめたのは、およそ2100人の医師が加入する県医師会をはじめとした、県内のすべての医師会です。県医師会によりますと、今月1日に県内の医師会の会長らが出席して開かれた会合で、指定廃棄物の最終処分場の県内の建設候補地として国が塩谷町を選定したことが議題となり、これに反対する宣言が全会一致で決議されたということです。宣言は、候補地が豊かな水源に隣接しているとしたうえで、「命の源である水源地を汚染し、未来に残すべき自然環境を破壊し、住民の健康を阻害する可能性のある放射性廃棄物の最終処分場の建設に断固として反対する」と宣言し、これを環境省に提出するのは重要なことだ。

<フクシマの汚染水は、3年半垂れ流し>
*3-1:http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/nucerror/list/CK2014120102100012.html (東京新聞 2014年12月1日) 海洋汚染、収束せず 福島第一 本紙調査でセシウム検出
 東京電力福島第一原発至近の海で、本紙は放射能汚染の状況を調べ、専用港の出入り口などで海水に溶けた状態の放射性セシウムを検出した。事故発生当初よりは格段に低い濃度だが、外洋への汚染が続く状況がはっきりした。一方、東電は精度の低い海水測定をしていながら、「検出せず」を強調する。事故当事者としての責任を果たしているのかどうか疑問がある。本紙は十月二十日、地元漁船をチャーターし、独協医科大学の木村真三准教授(放射線衛生学)と合同で原発周辺五カ所の海水と海底土(砂)を採取。後日、同大の高性能のゲルマニウム半導体検出器を使い、それぞれ二十四時間、八時間かけ計測した。海水はろ過し、ちりなどに付着したセシウムは除去した。結果は図の通りで、水、砂とも港の出入り口が最も濃度が高く、ここから拡散していることがうかがえる。注目されるのは、同地点の海水から一リットル当たり一・〇七ベクレルのセシウムを検出したことだ。「一ベクレルの海水=食品基準の一〇〇ベクレルの魚が捕れる可能性」が一つの目安としてあり、決して無視できない汚染といえる。東電は原子力規制委員会が定めた基準に沿って海水モニタリングをしているが、日々の公表資料は「検出せず」の記述が並ぶ。計測時間はわずか十七分ほどで、一ベクレル前後の汚染はほとんど見逃すような精度しかない。大型魚用の網で小魚を捕ろうとするようなものだ。東電の担当者は「国のモニタリング基準に沿っている」と強調する。原子力規制委事務局の担当者は「高濃度汚染がないか監視するのが目的。迅速性が求められ、精度が低いとは思わない」としている。しかし、かつての高い汚染時なら、精度が低くても捕捉できたが、現在のレベルなら、やり方を変えないと信頼できるデータは出ない。汚染が分からないようにしているのではないかとの疑念を招きかねない。地元、相馬双葉漁協の高野一郎・請戸(うけど)支所長は「何度調べても汚染が検出されなければ、私たちも消費者も安心できる。しかし、国や東電がきちんと調べてくれないと、誰も信用できない」と語った。木村准教授は「高性能な測定機器を使っても、短時間の測定では、国民や漁業関係者から信頼される結果を得られない。海の汚染は続いており、東電は事故の当事者として、汚染の実態を厳密に調べ、その事実を公表する義務がある」と指摘している。

*3-2:http://www.sankei.com/smp/affairs/news/141101/afr1411010007-s.html
(産経新聞 2014.11.1) 「氷の壁」温度10度上昇 福島第1原発 コンクリでの埋設も現実味
 東京電力福島第1原発の海側のトレンチ(地下道)に流れ込む汚染水を遮断するための「氷の壁」が半年たっても凍らない問題で、東電は31日、未凍結部分に止水材投入後も、一部で温度が約10度上昇していたことを明らかにした。全体的に温度は低下傾向にあるとしているが、11月中旬までに止水材投入に効果がないと判断すれば、トレンチをコンクリートで埋め、氷の壁を断念するという。この日の原子力規制委員会による検討会で、東電側が報告した。東電は4月末、凍結管を通して周囲の水を凍らせる氷の壁を導入したものの、氷やドライアイスを投入しても約1割が凍らないため、10月初旬から止水材を入れて未凍結部分を間詰めする工事を実施してきた。間詰め後に温度は一時、マイナス15度近くまで下がったが、10月30日に計測したところ、再び10度近く上昇していたことが判明。東電は「水位が高い所で温度が上昇しており、熱量の流動のデータを見て吟味している」と話し、原因を究明中だという。間詰め工事は10日まで行われる。当初は、凍結止水した上で、汚染水を移送し、トレンチに閉塞(へいそく)材を充填(じゅうてん)する方針だった。氷の壁で止水効果が確認できない場合、トレンチ内の水を抜き取るのではなく、汚染水ごと水中不分離性のセメント系材料で埋める方策に移行することがこの日の検討会で確認された。トレンチには高濃度の汚染水が約1万トン以上滞留しており、津波などによる海への漏洩(ろうえい)が危険視されている。この日の検討会でコンクリ埋設の案について、会津大の角山茂章・教育研究特別顧問が「リスクの高い汚染されたコンクリートが増えるだけだ。かなりの量になると推定できる」と懸念を示した。


PS(2014.12.10追加):このような中、*4のように、鹿児島県の衆院選候補者は、「自民の5人中3人が再稼働に賛成」「再稼働の条件とされる『地元同意』の範囲は、伊藤祐一郎知事が適用した『鹿児島県と薩摩川内市で十分』と明言したのは自民の2人だけ」「現行の避難計画を『合理的』と評価したのは5区の自民前職1人だけで、民主、共産、社民の7人は『ずさん』『机上の空論』と批判した」とのことである。私は、鹿児島県は火山のリスクが高い上、守るべき他産業も多く、既に九州新幹線は開通しているが原発に近くては企業誘致もうまくいかないため、原発は廃炉にして速やかに使用済核燃料を処分するのが、地域の発展のために賢明だと考える。

*4:http://qbiz.jp/article/51516/1/ (西日本新聞 2014年12月10日) 再稼働地元同意「十分」2人のみ 衆院選鹿児島14候補 川内原発アンケート
 西日本新聞社は、政府が新規制基準下で全国初の再稼働を目指す九州電力川内原発が立地する鹿児島県の衆院選5小選挙区立候補者全14人に、再稼働への賛否などをアンケートした。自民の5人中3人が再稼働に賛成、自民と無所属各1人が容認し、維新、共産、社民の計7人が反対した。自民、民主の各1人は賛否を明らかにしなかった。再稼働の条件とされる「地元同意」の範囲は、伊藤祐一郎知事が適用した「県と薩摩川内市」で「十分」と明言したのは自民の2人だけだった。民主、維新、社民の各1人と共産の5人は「不十分」などと批判し、原発30キロ圏への拡大や法的枠組み作りを求めた。アンケートは「再稼働への賛否」「地元同意の範囲は現行で十分か。法的枠組みは必要ないか」「自治体の避難計画への評価」を問い、48字以内の自由記述で回答を得た。自民で再稼働賛成を明言したのは前職3人。「当面の安定的、低コスト電源として賛成」などとした。原発立地選挙区の3区の新人は「エネルギーの現状からやむを得ない」とした。4区の前職は原子力規制委員会を管轄する環境副大臣であることを理由に回答を控えた。反対した野党の7人は「噴火対策が不十分」「使用済み核燃料の処分方法が未定」などと指摘した。地元同意の範囲をめぐっては、1区の自民前職は現行で十分かどうかは答えず「今後充実する努力を」と提案した。3区の無所属前職は「今後は範囲拡大の議論をするべきだ」とした。現行の避難計画を「合理的」と評価したのは5区の自民前職1人だけ。3区の無所属前職は「国が財政面を含め主導を」と国の一層の関与を求めた。民主、共産、社民の7人は「ずさん」「机上の空論」などと批判した。


PS(2014.12.12追加):維新の党が強い大阪以外の選挙区には影響がなくなってからの判決で遅すぎるが、*5のように、大阪地裁が環境省に対して、瓦礫の受け入れを行った自治体名の公開命令を出した。しかし、これは、日本全国の自治体で同じである。

*5:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11502758.html (朝日新聞 2014年12月12日) がれきの受け入れ、自治体名公開命令 大阪地裁、「住民に不安あった」
 大阪地裁の田中健治裁判長は11日、自治体による東日本大震災のがれきの受け入れ検討状況を一部開示しなかった国の処分を取り消し、公開を命じた。自治体名を伏せた環境省に対し、情報公開を求めていた大阪府守口市の市民団体が提訴していた。判決によると、環境省は震災発生から約7カ月後の2011年10月、岩手、宮城、福島の3県と沖縄県を除く都道府県を通じ、市区町村にがれき受け入れの意向の有無を調査。54の自治体が「受け入れを決めた」「検討中」と答えたことを公表したが、自治体名は伏せていた。市民団体の公開請求に対し、環境省は12年5月、「意思決定の中立性が損なわれる恐れがある」として公開しなかった。田中裁判長は「住民には災害廃棄物が放射性物質に汚染されている可能性があるという不安があった」と指摘。開示しない不利益は大きいと判断した。大阪市内で記者会見した市民団体代表の橋本杉子さん(54)は「情報の公開に対する国の姿勢を正した」と評価。環境省は「判決内容を精査し、対応を検討したい」との談話を出した。

| 原発::2014.10~2015.3 | 05:30 PM | comments (x) | trackback (x) |
2014.11.29 原発と火山の噴火について (2014.11.30に追加あり)
     
2014.11.28  2014.6.26   2014.5.1    2014.9.19   阿蘇中岳噴火 
  東京新聞    毎日新聞    西日本新聞    西日本新聞

(1)火山の噴火について
 *1-1に書かれているように、東大地震研究所長で日本火山学会長を務めた火山噴火予知連絡会長の藤井東大名誉教授が、「原発への火山影響予知には限界があり、原子力規制委員会の判断はおかしい」と述べている。具体的には、カルデラ噴火(巨大噴火)は、国内ではおよそ1万年に1度という発生頻度がわかるだけで、切迫度(今後どのくらい大丈夫か)は分からないそうだ。また、約7300年前に鬼界カルデラが噴火した際には、南九州の縄文文化が壊滅し、その後、復興に1000年くらいかかったそうだが、復興できるのは、原発がなく放射性物質がまき散らされなかった場合のみである。

 また、自治体の地域防災計画では、桜島の大正噴火を超える規模の噴火は想定されておらず、原子力規制委員会がまとめた「火山影響評価ガイド」は、「火山の噴火は予知できる」という前提で作られており、「カルデラ噴火が予想されたら核燃料を移動させる」ともしているが、これは火山学者の認識とは全く異なるそうである。

 そして、藤井氏は、「①確率が低いかどうか何も言えないため判定はできず、原発の立地は不可能」「②九電の主張は、たまたまギリシャの論文に載っていたもので、カルデラ噴火のすべてに当てはまるものではないまやかしの論理で不適切」「③噴火規模が大きくなると、前から予兆が分かるというのは幻想だ」としている。また、日本火山学会・原子力問題対応委員会(委員長:石原和弘京大名誉教授)も、規制委に火山影響評価ガイドラインの見直しなどを求める趣旨の提言をまとめたそうだ。

 日本火山学会の原子力問題対応委員会が規制委のガイドライン見直しを求めたことについて、規制委は、*1-2のように、「非常に荒っぽい話だ」と反対の姿勢を示し、「川内原発では、ここ30、40年ではカルデラ噴火はないと判断した」と訴え、「カルデラを含む巨大噴火への対応については『国がきちっと(火山学会の意見を)受け止めなければならない』」としているが、「国が受けとめる」ということの具体的な意味は不明だ。

 このように、新たな火山予知に関する安全神話が作られようとしていた時、小笠原諸島の西ノ島、長野県の御嶽山に続き、*1-3の阿蘇中岳の噴火があり、あらためて人々に火山活動が活発化していることを思い出させたのは、人間にはできない神技のようである。

   
                  小笠原諸島、西ノ島の噴火
(2)再稼働反対について
1)九州電力川内原発について
 *2-1のように、原子力規制委が新規制基準に適合しているとした九電川内原発1、2号機の原子炉設計変更許可について、再稼働に批判的な立場の約1400人が、行政不服審査法に基づき、許可の取り消しを求める異議申し立てをしたそうだ。

 しかし、*2-2、*2-3のように、九電は「川内原発が実際に動くまで気は抜けない」とし、さらに経営安定化のため、玄海原発3、4号機の再稼働を行うつもりだ。しかし、影響を受ける地元自治体は原発30キロ圏内の自治体だけでもないため、強引な再稼働を地元が許してはならない。

 また、*2-4のように、大津地裁に福井県の大飯原発3、4号機と高浜原発3、4号機の再稼働差し止めを求めた仮処分の申請は、2014年11月27日に、「①事故に対応する組織や地元自治体との連携・役割分担、住民の避難計画が何ら策定されていない」「②これらの作業が進まなければ再稼働はあり得ず、原子力規制委がいたずらに早急に、新規制基準に適合すると判断して再稼働を容認するとは考え難い」とし、緊急性がないと判断して仮処分の申請が却下された。これらは、川内原発や玄海原発でも同じ条件だが、それでも原発再稼働の前提となる原子炉設置変更許可は認められているため、安心することはできない。

 これについて、九電玄海原発の操業差し止め請求訴訟の原告団は、*2-5のように、2014年11月27日、「①再稼働差し止めの仮処分申し立てを却下した大津地裁の決定は原発の危険性を否定しているのではない」「②関西電力の高浜原発3、4号機と大飯原発3、4号機は、原発の再稼働が差し迫っていないのが却下の理由である」「③決定は簡単に原発の安全性が認められる状況にはないことを示している」として、電力会社に再稼働しないよう求める声明を出している。

(3)結論
 原発建設当初は、火山の噴火、地震、大津波について、それほど真剣には考慮されていなかったというのが正しいだろう。また、一度過酷事故を起こせば、原発から30km圏内の人が一時的に避難すれば、元に場所に戻って前の生活を取り戻すことができるという甘いものではないことが、今では誰の目にも明らかになっている。

 そのため、再生可能エネルギーや水素エネルギーの技術が進んできた現在こそ、脱原発してエネルギーの転換を図るのが、日本を本当の意味で豊かにする第一歩になる。

<原発と火山について>
*1-1:http://qbiz.jp/article/50235/1/
(西日本新聞 2014年11月20日) 「ミスター火山学」が批判を続ける理由
[藤井敏嗣:03年から火山噴火予知連絡会長。現在は東大名誉教授、NPO法人環境防災総合政策研究機構理事(環境・防災研究所長)、山梨県富士山科学研究所長。専門はマグマ学。1997〜2001年東大地震研究所長、06〜08年日本火山学会長を務めた。福岡県田川市出身。67歳]
 火山噴火予知連絡会会長の藤井敏嗣氏。東京大地震研究所長(現名誉教授)、日本火山学会長などを歴任した「ミスター火山学」。原発の火山影響について、予知には限界があり「原子力規制委員会の判断はおかしい」などと正面から批判を続けている。周辺が「あまりに率直に話しすぎる」という同氏に本紙がインタビュー(実施は11月3日)。発言の背景も交えながら、その詳細をまとめた。
◆カルデラ噴火、国全体で対処を
 「カルデラ噴火(巨大噴火)についてわれわれが分かっているのは、おおよそ1万年に1回という国内での発生頻度だけ。カルデラの半分規模の噴火なら、6000年に1回ぐらい起きている。今のわれわれの能力では、切迫度は言えない。『あと1000年は大丈夫』とかは分からない。その切迫度を読み取る手法を考えないといけない。それには国を挙げて研究体制を整えないと、とても間に合わない。これは原発問題が浮上する前から言ってきたこと」。藤井氏によると、カルデラ噴火の発生で、周辺地域は火砕流などで壊滅的な被害を受ける。最後のカルデラ噴火は縄文時代、約7300年前の「鬼界カルデラ」(鹿児島県南部)。関西で約30センチ、東京近辺で約10センチの火山灰が積もったとされる。想像を超える火山灰が降り積もる重みで、各地の送電線が切れて広域停電が起こり、電車も飛行機も動かない。農作物は全滅し、原発だけの問題ではない、と言うのだ。神戸大の巽好幸(たつみ・よしゆき)教授らが10月末発表した「巨大カルデラ噴火のメカニズムとリスク」の発表資料によると、鬼界カルデラの噴火で「少なくとも南九州の縄文文化は壊滅し、その回復に1000年近くかかったと言われる」という。「日本の株価も暴落し、経済もめちゃくちゃになる。火山学だけでなく、社会学などを含めて国を守るためにどうすればいいのか、研究を急がないといけないと提言した。カルデラ噴火が起きたら、国がつぶれるようなことになるからだ。だけど、まったく(世の中に)動きはなかった」。内閣府の「広域的な火山防災対策に係る検討会」が昨年5月に出した提言のことだ。藤井氏は座長。鹿児島・桜島の大正噴火(1914年)を超えるような大規模、あるいはカルデラなどの巨大噴火への備えを初めて促した。自治体の地域防災計画では、大正噴火を超えるような規模の噴火がそもそも想定されていない。提言のメッセージが世の中に理解されていないことに、藤井氏は不満を抱いていた。原子力規制委員会が、原発に対する基準「火山影響評価ガイド」をとりまとめたのはその直後、同年6月だった。「ガイドラインは予知できる、という前提で作られている。ガイドラインを見てがくぜんとした。われわれの認識とまるで違っていたから。火山の状況をモニタリング(監視)し、カルデラ噴火が予想されたら核燃料を移動させると言うけれど、今のわれわれの能力ではとても分からない。これから先40年(原発の運転期間)以内に何が起きるか予知ができないと、確率が低いかどうかというのは何も言えないわけだから。論理的に言えば、判定できないということなら立地は不可能となるはずだし、念のためにモニタリングしてカルデラ噴火の予兆があったら核燃料棒を片付けるというが、だいたい、何か異常があったとき、それがカルデラ噴火なのか、もっと小さい噴火なのか、ということは、今のわれわれの能力では分からないわけですよ」。カルデラ噴火はあまりに頻度が低く、これまで本格的な研究がなされていなかったが、ようやく噴火の前兆現象を捉える研究が本年度から始まった。西日本新聞も4月23日朝刊1面で、そのことを伝えている。火山学者にとっても、分からないことが多すぎるのだ。火山学の常識に反して見える規制委や九州電力の評価に、藤井氏は我慢がならない。
◆九電の主張「不適切」
 「たまたまギリシャの論文で、カルデラ噴火前の最終期にはマグマが大量に堆積するとあり、九電はそれに引きずられた。規制委も悪のりした。まやかしの論理だ」。九電は2012年に出された論文に基づき、川内原発(鹿児島県薩摩川内市)の運転期間中に、カルデラ噴火が起きる可能性が十分に低い、とした。それを規制委も認めた。紀元前17世紀、ギリシャのサントリーニ火山で発生したカルデラ噴火の噴出物を分析した結果、噴火直前の100年間、地中のマグマだまりへ毎年0・05〜0・1キロ立方メートルのマグマが供給され、地表の隆起が発生していたと推定されるとの内容だ。九電はそれを根拠に、現状で大きな変化が見られないことから、「カルデラ噴火直前の状態ではない」と主張。これに、藤井氏は異論を唱える。「論文は、サントリーニ火山についての研究であり、カルデラ一般に広げることはできない。マグマが供給されても地表の隆起が起こらない可能性もある。公表された論文に対し、反論が出るまで何十年もかかるケースもあり、12年論文に反論がないから正しい、というのは不適切だ。噴火規模が大きくなると、ずっと前から予兆が分かるというのは幻想。規制委の田中俊一委員長も国会でそのような答弁をしたけど、それは違う」。藤井氏の反論は、続く。九電は、南九州のカルデラの平均的な噴火発生頻度を約9万年に1度と整理。ところが、阿蘇カルデラだと2万年、3万年、11万年とバラバラという。さらに、仮にサントリーニ火山を参考事例にすれば、同火山は3500年前(紀元前17世紀)前の噴火のほか、1万8000年前にもカルデラ噴火を起こしており、1万5000年間隔で起きていることになるわけだが、九電は、そのことに関しては一切触れていない、とも批判。川内原発から40キロ、桜島を含む姶良カルデラの噴火から約3万年が経過しているからといって、あと6万年大丈夫というのはあまりに危ない、と指摘する。「カルデラ噴火の切迫度が分からないので、原発を止めろとは言えない。ただ、リスクが残っていて科学的に安全だと言えないことを認めた上で、どうしても電力が必要で動かしたいのなら、そう言うべきだ。科学的に安全だとすべきではない」。
◆火山監視体制はぜい弱
 日本火山学会・原子力問題対応委員会(委員長=京都大の石原和弘名誉教授)は11月2日、規制委に火山影響評価ガイドラインの見直しなどを求める趣旨の提言をまとめた。規制委と火山学会との意見対立が深まる中、田中委員長は記者会見で「とんでもないことが起こるかもしれないということを平気で言わないで、学会をあげて必死になって夜も寝ないで観測し、わが国のために国民のためにがんばってもらわないと困るんだよ」と声を荒らげた。ただ、委員長が言うように、学者が努力すれば済むような現状なのだろうか。「米国、イタリア、インドネシア、フィリピンなどでは国の一元的な監視組織がある。地震火山庁みたいな。地球科学、火山ガス、地殻変動、地質などいろんな分野の研究者がいる。そこで、24時間監視にあたる技術職員がいる。そういう機関がある。日本にだけない。気象庁のいわば素人集団が監視し、大学の研究者もバラバラ。火山をやるのにこういう観測装置が必要だというと、それぞれが買う。効率もよくない。言ってきたが、変わらない。気象庁のデータも、近年まであまりしっかりしたものがなかった」。巨大噴火の監視、研究体制の強化の必要性について、規制委と火山学会の問題意識は同じだ。両者の徹底的な議論を通じ、火山大国の日本が、よりよい方向に向かってほしいのだが。

*1-2:http://qbiz.jp/article/50250/1/
(西日本新聞 2014年11月20日) 規制委、火山学会に再度反論 「国が受け止めを」指摘も
 原子力規制委員会の田中俊一委員長は19日の会見で、日本火山学会の原子力問題対応委員会が規制委のガイドライン見直しを求めていることについて「非常に荒っぽい話だ」と、あらためて反対の姿勢を示した。火山学会は、規制委のガイドラインがカルデラ噴火の前兆が把握可能との前提でつくられていることに関して「現在の知見では予知は困難」と問題視。これに対し、田中委員長は「川内原発ではカルデラ噴火を検討した結果、ここ30、40年ではそういう状況には至らないと判断をした」と訴えた。一方、田中委員長は「火山学会の方も、単なる原子力だけではなく、国の存続に関わる問題であるということを、外に向かって言い始めていると思う」と指摘。カルデラを含む巨大噴火への対応については「国がきちっと(火山学会の意見を)受け止めなければならない」と話した。

*1-3:http://qbiz.jp/article/50655/1/
(西日本新聞 2014年11月27日) ルポ・噴煙やまぬ阿蘇中岳 降り続く灰、すべてが黒一色に
 火山活動が活発化している熊本県・阿蘇山の中岳は、26日も小規模な噴火を繰り返した。火山灰を含む噴煙が活動中の第1火口から噴き上げ、風に流れて、辺りの山々に降灰をもたらした。記者は、中岳と尾根続きの高岳周辺を歩き、その「黒い風景」を見た。午前9時すぎ、標高900メートルにある高岳登山口の仙酔峡(阿蘇市)は灰が降っていた。見上げると、中岳も高岳も霧の中にある。それも、黒い霧だ。山上からの眺めは「黒い雲海」になっているだろう。中岳火口から2〜3キロ離れた仙酔尾根に足を踏み入れる。尾根道は、倒れかかったススキで半ば隠れていた。葉に積もった火山灰が前夜の雨で重さを増し、しなってひれ伏している。足元の溶岩に積もった灰は、雨水で泥状になり、べっとりと靴を重くする。雲に入り、標高1200メートル(7合目)付近で雲海を抜けると、視界がぱっと開けた。右手に、中岳の噴煙が渦を巻くように立ち上っている。ヘルメットがパサパサ鳴る。服に無数の染みが付く。風下側の仙酔尾根を火山灰が襲っていた。口の中で、歯がすれ合うたびに、絶えずジャリジャリと音を出す。噴火の噴出物、恐らく火山灰が口に入るのだろう。これまで降り積もった灰の上に、今日も新しい灰が降る。正午近く、仙酔峡に下りた。3時間足らずの間に、登山口に置いていた車の窓は灰をかぶって真っ黒になっていた。活動はこれから本格化するのか、静まるのか−。
◆噴煙一時1000メートル 95年以来の規模
 福岡管区気象台は26日、熊本県・阿蘇山の中岳第1火口で小規模の噴火が継続していると発表した。同日午前9時には噴煙の高さが千メートルに達した。継続的に多量の噴煙が出ており、気象台によると、1995年以来の規模の噴火という。気象台によると、火口縁のカメラでは、高温の噴出物が炎のように見える火炎現象を断続的に観測したほか、火口縁内に飛散する噴石も見られたという。噴火による降灰は大分県豊後大野市(東約40キロ)、熊本県山都町(南約30キロ)などでも確認されたという。地殻変動も確認されており、気象台は「マグマだまりが膨らんでいる可能性がある」と指摘している。阿蘇山は8月の小規模噴火を受けて、噴火警戒レベルが1(平常)から2(火口周辺規制)に引き上げられた。阿蘇市は火口から半径約1キロの立ち入りを禁止している。気象台は現段階では警戒レベル3(入山規制)への引き上げは検討していないという。

<再稼働反対について>
*2-1:http://mainichi.jp/select/news/20141112k0000e040181000c.html
(毎日新聞 2014年11月12日) 川内原発:1400人が異議申し立て
 原子力規制委員会が新規制基準に適合していると判断した九州電力川内(せんだい)原発1、2号機(鹿児島県)の原子炉の設計変更許可について、再稼働に批判的な立場の計約1400人が行政不服審査法に基づき許可の取り消しを求める異議申し立てをした。規制委が12日、発表した。川内原発の許可への異議申し立ては初めて。規制委は今後、内容の審理をする。

*2-2:http://qbiz.jp/article/49594/1/
(西日本新聞 2014年11月11日) 【川内再稼動】(3)九電 安定経営へ「玄海も」
 「実際に動くまで気は抜けない」−。川内原発の再稼働の地元同意手続きが完了した今も、九州電力社内では緊張感が渦巻く。再稼働の前提となる原子力規制委員会の審査はまだ完全に終わっていない。その先には設備の使用前検査も残る。「手抜かりでもあれば、再稼働が後ずれしかねない」(九電関係者)。九電が昨春の電気料金値上げに際し想定した川内原発の再稼働時期は昨年7月。しかし、「世界最高水準」を掲げる規制委の審査は長期化。申請から約1年2カ月後の今年9月に新規制基準への適合が認められたものの、再稼働時期は想定より大幅に遅れている。九電には、2011年夏の苦い記憶も刻まれている。玄海原発(佐賀県玄海町)の再稼働に向け地元同意手続きを進めたのに当時の民主党政権が原発の安全検査を実施すると唐突に表明。自社の「やらせメール問題」発覚もあり、再稼働は一気に遠のいた。「何があるか分からない」。九電関係者は当時のことを思い起こしつつ、こう気を引き締める。原発全6基の停止で、かつて「九州ナンバーワンの安定企業」とうたわれた九電の経営は様変わりした。火力燃料費がかさみ、14年3月期まで3年連続の最終赤字。昨春は33年ぶりとなる電気料金の抜本値上げに踏み切ったが、原発が想定通りに動かず、燃料費がカバーできない状態が続く。債務超過が現実味を帯び始めた今夏は、日本政策投資銀行から1千億円を調達する資本増強策も余儀なくされた。料金値上げに伴う経費削減で、一般社員の基本給は昨年度から平均5%カット。退職金と企業年金の給付水準を将来的に3割程度減らす制度も来年度に導入する方針だ。社員からは「生活が心配」との声も上がる。料金の再値上げは政府の意向に反して景気の足を引っ張りかねないこともあり、踏み切れないまま今に至る。「経営安定化には原発の早期再稼働を目指すしかない」(幹部)というのが九電の現状だ。川内1、2号機の再稼働にめどが立ち、九電の最優先課題は規制委の審査が大詰めを迎えた玄海3、4号機に移る。この2基が動かないと収支が安定しないからだ。川内の前例が「ひな型」となるため、玄海の今後の審査手続きはペースアップが期待できる。しかし、審査の先に待ち構える地元同意手続きが、川内のように円滑に進むかは不透明だ。九電は、玄海でも立地自治体の佐賀県と玄海町に「地元」の範囲を限りたいのが本音だ。だが、玄海原発から最短12キロの佐賀県伊万里市が立地自治体並みの権限を求めており、原発30キロ圏の自治体で唯一、原子力安全協定を結べていない。塚部芳和同市長は「安全協定を締結しないままの再稼働には反対」と公言している。九電は古川康同県知事の調整力に期待を寄せるが、やらせメール問題の“後遺症”が懸念され、強引なやり方は批判を招きかねない。次なる再稼働をめぐっては波乱含みの展開も予想される。

*2-3:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/130270
(佐賀新聞 2014年11月28日) 玄海原発、審査大詰め 残り52項目、年明け完了か
 九州電力は27日、原子力規制委員会による新規制基準の適合性審査で、玄海原発3、4号機(東松浦郡玄海町)の指摘事項19項目について回答し、規制委側から了承を得た。残りは52項目となり、審査は最終段階を迎えた。玄海原発をめぐっては、すでに地震・津波の審査は完了し、この日はプラント(設備)審査があった。これまでにさらに詳しいデータの提出や、災害時の対応手順などを提示するよう求められていた。審査を担当する規制委の更田豊志委員は「いくつかの項目が残されているものの、およそ数えられるほどになってきた」と最終段階に入ったという認識を示した。今後の見通しについて九電の中村明上席執行役員は、スタッフの体制を挙げて「川内原発に集中している。川内が済み次第、速やかに玄海の審査をしてもらうべく準備する。今後、どの程度の時間がかかるかははっきり言えない」と説明した。審査後、中村氏は「ほとんどの項目を川内原発の審査で答えているので、玄海特有のものを答えていくことになる」と述べ、年内の終了は困難との見通しを示した。

*2-4:http://mainichi.jp/select/news/20141128k0000m040143000c.html
(毎日新聞 2014年11月28日) 原発再稼働差し止め:却下決定「再稼働あり得ない」指摘も
 滋賀、大阪、京都3府県の住民計178人が関西電力に対し、福井県の大飯原発3、4号機と高浜原発3、4号機の再稼働差し止めを求めた仮処分申請で、27日に大津地裁が出した却下の決定は、事故対策などが進んでいない現状を指摘した上で仮処分の緊急性がないと判断した。住民側は、裁判所の認識と再稼働に向けた実際の動きの「ずれ」を批判する一方で、避難計画策定の遅れなどへの言及を一定程度評価した。住民側は「事故で琵琶湖が放射能汚染されれば健康被害は計り知れない」などと主張。関電は「安全性は十分確保されている」として却下を求めていた。決定は、4原発について「事故に対応する組織や地元自治体との連携・役割分担、住民の避難計画などが何ら策定されていない」と指摘。「これらの作業が進まなければ再稼働はあり得ず、原子力規制委がいたずらに早急に、新規制基準に適合すると判断して再稼働を容認するとは到底考えがたい」とした。27日午後に記者会見した住民側代表の辻義則さん(67)は、早急な再稼働を否定した決定理由について「両原発は近く再稼働の前提となる原子炉設置変更許可が認められると見込まれており、社会の一般的な認識に反する」と批判した。一方、決定が避難計画の策定作業などが進まなければ再稼働はあり得ないとしたことを「再稼働にまい進する政府・電力会社の姿勢に対する不信と批判」と評価。住民側代理人の井戸謙一弁護士(60)は「常識的に考えれば、こんな状態で再稼働は容認できないという裁判所のメッセージだ」と述べた。

*2-5:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/130271
(佐賀新聞 2014年11月28日) 玄海訴訟原告団、再稼働中止求める
■「危険性否定していない」
 関西電力の高浜原発3、4号機(福井県高浜町)と大飯原発3、4号機(同県おおい町)の再稼働差し止めの仮処分申し立てを却下した大津地裁の決定に対し、九州電力玄海原発(東松浦郡玄海町)の操業差し止め請求訴訟の原告団は27日、「決定は原発の危険性を否定していない」として、電力会社に再稼働しないよう求める声明を出した。声明では、原発の再稼働が差し迫っていないのが却下の理由になったことや、住民の避難計画も策定されていない実情を示し、「決定は簡単に原発の安全性が認められる状況にはないことを示している」と指摘した。原告団長の長谷川照・元佐賀大学長は「5月の運転差し止めを認めた福井地裁判決と大津地裁の決定は同じ考えに基づいている印象。再稼働させないための良い環境が整いつつある」と述べた。


PS(2014.11.30追加):自然エネルギーの買い取りを拒否した九州電力は、*3のように、総選挙の公示を控えて、「火力発電所のトラブルなどで需給が切迫する恐れ」を理由に冬の節電要請を始めた。これにより、半官半民の地域独占企業の技術進歩の遅れと顧客志向のなさが白日の下に晒されているわけだが、このようなことを繰り返してきたため、九州の消費者は既にガスストーブや石油ストーブを再購入して電力離れを進めた。

*3:http://qbiz.jp/article/50889/1/ (西日本新聞 2014年11月30日) 12月1日から冬の節電要請期間 九州電力管内 来年3月までの平日
 九州電力管内で12月1日、冬の節電要請期間が始まる。数値目標を設けない冬の要請は3年連続で、期間は来年3月末までの平日(年末年始を除く)。九電は原発全6基の停止下でも安定供給に必要な供給力を確保するが、不測の事態に備え「無理のない範囲での節電」を呼び掛ける。九電管内の今冬の需給見通しは、原発停止が続いたまま2011年度並みの厳寒を迎える前提だと来年1、2月の供給予備率は3・0%。他電力からの融通などで最低限必要とされる3%は確保したが、火力発電所のトラブルなどで需給が切迫する恐れがある。川内原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)が再稼働すれば、予備率は大幅に上昇するが、再稼働時期は来年2月以降になる公算が大きい。節電要請の対象時間帯は午前8時〜午後9時。冬の電力使用量は午前8〜11時と午後5〜8時の2回、ピークがあり、ここで空調温度の引き下げなどに取り組めば効果が大きい。 

| 原発::2014.10~2015.3 | 04:03 PM | comments (x) | trackback (x) |
2014.11.26 原発の廃炉について (2014.11.26、27、30に追加あり)
     
     当初の原発発電原価   原発運転修了後の流れ  廃炉の人材育成 
                        日経新聞2014.11.26より  
(1)原発の耐用年数が、16年から40年を経て60年になったとは、あらためて驚きである
 私が衆議院議員だった2006年に、経産省と九州電力の重鎮が議員会館の事務所に来られて、「原発の耐用年数を40年から60年まで可能にしたい」と言われたので、「原発のような危険性のある機械の耐用年数を延ばすのはいけない」と反論した。その時、2人の重鎮は、「絶対に安全です!」と何度も言いきったが、今、調べると、*1のように、原発の税務上の法定耐用年数は最初は16年で、発電コストを安く見せるために40年に延長し、さらに60年に延長できるようにしたと書かれている。しかし、税法上の機械の耐用年数がそこまで実際と乖離しているケースはなく、仮にそこまで乖離していたとすれば、税務上、優遇されていたのである。

 原発の運転延長により、恣意的に原発の高コスト体質が隠され、フクシマ原発事故後の現在も、これに言及するメディアは少なく、新しい安全神話が創造されている。また、*1は、電気事業連合会 が2003年に記載したものとされており(本当?)、「新しい原発に更新すればよい」という受け取り方もできるが、現在は、既に水素や太陽光発電等を使った分散発電が可能になっているため、税務上の優遇や大きな補助金を交付してまで原発を更新する必要はないと考える。

(2)経産省の会計制度見直しで、国ぐるみの粉飾決算はよくない
 *2-1に書かれているように、「経産省は、2014年11月25日、運転開始から40年前後の老朽原発を廃炉にした場合、電力会社側の損失額が1基当たり約210億円になるとの試算をまとめ、電力会社の負担が過大にならないよう会計制度の見直しを進める」とのことだ。

 そして、*2-2、*3に書かれているように、経産省は、「①廃炉費用を安定確保するため、発送電分離後も新規参入組を含む電力小売会社が消費者や企業から徴収する仕組みにするよう廃炉の会計制度を見直す」「②電力会社から分かれた小売会社等が送配電会社に支払う送電線使用料に廃炉費用を上乗せして負担する」としているが、これでは、会計の基本を無視して、経産省ぐるみでおかしな会計処理を推奨していることになる。

 本来、廃炉費用は、原発の稼働開始と同時に廃炉引当金という負債性引当金として引き当てるべきで、廃炉引当金繰入額は原発由来の電力を販売する期の費用とすべきである。そして、廃炉時に廃炉引当金に不足が出れば、それは見積もり誤りであるため、ただちに特別損失の過年度修正損として処理すべきなのだ。それにもかかわらず、経産省は、原発の稼働可能期間を16年から40年、60年と引き延ばそうとし、その間に必要な負債性引当金を引き当てない会計処理を電力会社に許してきたのである。

 しかし、この引当金不足額(原発による過去の発電費用)を、将来の電力消費者に負担させるのは全く筋が通らない。また、原発を使っていない新規参入組の電力小売会社に負担させるのは、不合理である上、市場原理による選択を害する。

 ここで何が悪いのかと言えば、経産省はここまで会計の知識がなく、それでも会計制度をいじり、国を挙げて電力会社の有価証券報告書などによるディスクロージャーを歪めようとしているとともに、市場原理による電力需要者の電源選択を歪めようとしていることである。

(3)今頃、産学官で廃炉に携わる人材を育てる ?! ← 泥縄にも程がある
 *3に、「①東大・東電など協力して産学官で原発廃炉の人材を育てる」「②(そのために)東大、東工大、東北大は14年度に文科省から計2億円弱の補助を受ける」「③東電と情報を共有しながら、ロボットの遠隔操作や放射性廃棄物の管理、地下水処理の手法を教える」「④福島県では日本原子力研究開発機構が来夏以降、廃炉作業を担うロボットの開発を始める」「⑤政府が原発の輸出を後押しするなか、日本の原発産業全体の技術力の底上げ」などが記載されている。

 ここで驚くことは、原発が運転を開始する時には、廃炉の技術はできて見通しが立っていなければならないにもかかわらず、それから40年近く経った現在、①のように「産学官で原発廃炉の人材を育てる」などとアホなことを言っていることだ。これでは、廃炉引当金の引当額も見通せなかっただろうが、関係者が誰もそのことを問題にしなかったのは、さらに驚きだ。

 また、原子力発電を行って多大な収益を上げてきた電力会社は、廃炉計画くらい自分で作っていてもよさそうなものだが、②のように、廃炉のために、文科省が新たに東大、東工大、東北大に年2億円弱の補助金を出すとしており、これは焼け太りであるとともに、なけなしの社会保障を削りながら税金の無駄遣いが過ぎるのである。

 さらに、核燃料がどこにあるかは、放射線の強さを三次元で測定して映像化すればわかるため、③④のロボットは、NHK放送でロボットを使ってフクイチの核燃料のありかを探していたのを見て、ロボットを開発することが目的の行為のように思えた。ロボットのような精密機械は、強い放射線を浴び続ければ故障し、それも放射性廃棄物になるため、ロボット開発は原発とは結びつけずに行った方がよいと思う。

 なお、このように、原発をスタートする時点で、廃炉や最終処分場のことを誰も考えていない国が、世界でも厳しい安全基準を持っているとはとても考えられない。そのため、世界で唯一の被爆国であり、原発事故も経験した日本政府が、税金を使って原発輸出を後押しするのは誤った方向であると考えている。

*1:http://www.nuketext.org/yasui_cost.html
(電気事業連合会 2003年12月?日)原子力発電の発電コスト  
●原発などの発電コストを試算
 2003年12月16日、電気事業連合会は「モデル試算による各電源の発電コスト比較」を公表しました。1999年以来 4年ぶりの試算改訂です。運転年数40年・設備稼働率80%の場合、原子力5.3円/kWh(以下すべて単位同じ)、石炭5.7円、LNG 6.2円となりました。しかし従来の法定耐用年数等で試算すると、運転年数15〜 16年・設備稼働率80%として計算すると、原子力7.3円、 石炭7.2円、LNG 7.0円、となるそうです。さらに有価証券報告書を用いた既存発電所についての試算では原子力 8.3円、火力平均7.3円となるそうです。いろいろな数字が出てきて、いったいどれを信用していいのかわから なくなりますが、要するに、コストというのは試算の前提条件によってかなり変わってくるということなのです。試算結果としての数字は、ある程度の目安にはなると思いますが、どの数字も絶対的なものではありません。この後で詳しく見てみますが、電力会社にしても政府にしても、自分たちの方針(つまり原発の推進)がもっとも有利に見せられるような試算を利用しているということを理解しておかなければなりません。従って問題になるのは、その試算の前提となる条件にどのようなものなのが含まれているのかということです。前提としている条件には、意図的なもの、不合理な点など、多くの問題点が見られます。また、原発の問題には、前提条件に含まれていない隠されたコストが存在することも問題です。こうした問題について、次に見ていきます。
●耐用年数40年 新幹線と原発
 従来原発の"運転年数=耐用年数"は、減価償却の終わる「法定耐用年数」16年でした。しかし、ここ数年、電力会社や経済産業省などは、初期投資が大きく、燃料費の割合が化石燃料に比べて比較的に小さい原発の"耐用年数"を40年として、コスト計算をするようになりました。このことから言えることは、電力会社は原子力発電の経済性をアピールするために、耐用年数を引き上げ、原発を40年も使い続けることを想定しているようです。別の言い方をすれば、原発推進の結論が先にあって、コスト面でそれが都合よく説明できるように、耐用年数を40年に引き上げた、ともいえるでしょう。そうしないと、他の電源とコスト競争で打ち勝つことができません。そのことと実際原発が40年の使用に耐えられるかどうかは別問題。データの出し方からして、40年という数字を出してから、現場に指示をして、実際40年の使用に耐えられるか調べさせたような進め方をしていました。経済性を実証するために安全思想が無視されている、そう言ってもいいかもしれません。例えば、いまから40年前、東京オリンピックが開かれた年に開業したのが東海道新幹線です。今も当時と同じ型の0系と呼ばれる車両が山陽新幹線に走っているようですが、それも開業当初に製造されたものではありません。この形は1985年まで製造されたそうで、今残っているのもまだ20数年経っているに過ぎません。初期のものは老朽化し時代遅れになって、とっくに引退・解体されているはずです。ところが原発の場合は、まさに全く同じ原子炉がそのまま40年も使い続けられようとしています。新幹線は時速200kmを超えるスピードで激しい振動や摩擦にさらされていますが、原子炉はそれよりさらに危険な放射能と高温・高圧に、しかも運転期間中は四六時中さらされているわけです。40年前につくられた新幹線の車両をそのまま時速200kmで走らせ続けるとしたら、整備に当たる技術者は何というでしょう。新幹線と原発なんて直接比較することはばかげているかもしれませんが、4 0年という時間の重荷を理解する例になるとは思います。
●コスト試算のマジック
 このような発電所の耐用年数でコスト比較をする試算方式は、「耐用年数発電原価試算」といって、1986年から採用されています。ところが、その前までは「初年度発電原価試算」という方式が使われていました。両者の違いとその背景を整理してみると、原発をなんとか有利にみせようという意図がよく分かります。
□初年度発電原価試算:
発電所が完成した後1年間の実績を基に電源別のコストを比較しようというもので、建設費、燃料費、および人件費を含む維持管理費を実績値に基づいて作成します。但し、稼働率については比較のため統一し、水力は45%、火力・原子力は70%にしています。
□耐用年発電原価試算:
まず電源別に発電所の耐用年数を決めておき、期間中の燃料費や為替レートの変動を予測し、それをモデルプラントのコストに反映させて比較しようというものです。稼働率などの条件は「初年度..」と同じです。(前述の電気事業連合会の試算では"設備利用率≒稼働率 "80%の条件) 。この違いが何を意味しているか、その背景を見てみましょう。通産省(当時)が最初に試算を発表したのは1979年です。この年イラン革命とその後のイラン=イラク戦争を契機とする第2次オイルショックがはじまり、原油価格が急騰していました。そこで「初年度発電原価試算」方式により、実績をベースに試算して発表を始めたのです。原子力の経済的な優位性を印象づけるにはもってこいの内容でした。ところが、1986年、非OPEC諸国の原油増産により原油は供給過剰となり、原油価格は急落しました。逆オイルショックと呼ばれる状況で、化石燃料を用いた発電は、コスト的に優位になるはずでした。このとき通産省(当時)は発電コスト比較で突然「初年度・・・」方式をやめて、「耐用年数発電原価試算」方式に変更したのです。「発電所のように長期に渡る設備には、使用される燃料価格と為替レートの変動をコスト計算に含めるのがより公平」と通産省は言っていました。新しい試算方式の問題は、燃料価格の見通しとしてIEA(国際エネルギー機関:石油を中心としたエネルギー安全保障を追求している国際的組織)の試算を用いていて、原油価格など常に大幅な値上がりを前提にしています。一方で原子力の燃料はほとんど変化なしとされていますから、長い年月にわたって試算をすれば、化石燃料による発電の方が不利になってしまうのです。そして、前述したように原発の"耐用年数"を40年に引き延ばして、原発のコストをさらに安く見せかけようとしています。
●「試算」は「理想的なモデルプラン」
 「耐用年数発電原価試算」の方式のもう一つの問題は、個々の発電所のコストではなく「モデルプラント」における試算だということです。個々の発電所では、それぞれ立地・建設条件も違うし、燃料の輸送コストなどその他の条件も変わってくるので、電源別に単純に比較することは出来ません。電源種別毎に理想的な「モデルプラント」を想定し、そこに様々な数値を当てはめて試算したものが発表されている数値ですが、実際の個々の発電所のデータは公表していません。具体的な個々の発電所の原価試算はないのでしょうか。実は、各電力会社が原子力発電所を建設する際の手続きとして「電源開発調整審議会」での決定後、通産省(現経済産業省)に「原子炉設置許可申請」を行います。ここで、電力会社は建設しようとする原発の発電原価について試算し、結果を記載することになっています。これも実績ではありませんから、あくまでも予測にすぎません。参考までに、東京電力の原発について、つぎのような原価試算が提出されています。( *注:この年代の試算では耐用年は16年)。この表から見ると、原発の発電原価が一般に公表されている「モデルプラント」を用いた試算に比べてかなり割高であることは明らかです。電力会社自身は、そのことを一番よく知っているはずで、それでも「国策」として推進されている原子力開発に、異論を唱えることが出来ないでいるようです。
●隠蔽体質・・・・原発推進データの信用性
 「原子力発電は安全でしかも経済的」、政府・電力会社は、原発推進の理由としてことあるごとにそういってきました。なかでも原発の経済性は、これまで原子力推進の最も大きな根拠でした。しかし、その根拠を支える議論の透明性は確保されているのか、根本的な信用に疑問を抱かせるようなことがまた一つ明らかになりました。2004年3月参議院予算委員会において,社民党の福島党首の質問に対し,日下資源エネルギー庁長官(当時)は,「日本では(核燃料の)再処理*をしない場合のコストを試算したことはございません」と答弁しました。ところが、7月になって資源エネルギー庁の「ロッカー」から、したはずのない「試算」の資料が出てきたのです。隠されていた資料は,1994年2月4日の総合エネルギー調査会原子力部会核燃料サイクル及び国際問題作業グループにおける議論用参考資料として、事務局が作成した「核燃料サイクルの経済性試算について」というものです。これによると核燃料再処理のコストは再処理をしないで直接使用済み燃料を処分する費用の2〜4倍という結論でした。まるで子供だましのやり方で、この問題の責任の追及はなされないのでしょうか。この試算が隠されている間に、着々と将来計画をたててしまって、再処理を既定路線にしてしまってから肝心の試算を公表する。例えば、「長期エネルギー需給見通し(1998)」や、「エネルギー基本計画(2003)」、それらに基づくさまざまな計画や方針決定に関わる作業が行われてきました。この試算が公表されていたら、路線を巡る議論は別の方向に行っていた可能性もあるでしょう。原子力推進に都合の悪いデータはひた隠しにして、都合の良いデータだけを並べる。もんじゅの事故の時も、昨年の東電の事故隠しの時もそうでしたが、この隠蔽体質はどうしたものでしょう。結局自分たちの信用をおとしめ、原子力は不透明だと宣伝しているようなものです。そのほかの試算・データは存在しないのでしょうか? また、そうして明らかになったデータそのものが果たして信用できるものなのかという疑念も湧いてくるはずです。
●この発電コストに含まれていないそのほかの費用
 これまで見てきたとおり、経済産業省(旧通産省)・資源エネルギー庁のコスト試算そのものが、きわめて意図的に数字を操られていますが、実はそれ以外にも、原子力発電には隠されたコストがあります。大きく分けて次の4つの内容については、本来原子力発電を成立させるために必須の費用となっていますので、厳密な意味では原子力発電のコストに含まれるべきものです。
   ●電気を捨てる"発電所"・・・揚水式発電所
   ●電源三法交付金・・・地元への懐柔策
   ●バックエンド費用
   ●送電費用
それぞれの内容は、リンクが貼ってありますから、該当の項目のところをクリックしてみてください。

*2-1:http://www.47news.jp/CN/201411/CN2014112501001517.html
(47ニュース 2014/11/25) 原発廃炉の損失1基210億円 経産省、会計制度見直し
 経済産業省は25日、運転開始から40年前後の老朽原発7基を廃炉にした場合、電力会社側の損失額が1基当たり約210億円になるとの試算をまとめた。政府は老朽原発の廃炉判断を急ぐよう電力各社に求めており、電力会社の負担が過大にならないよう会計制度の見直しを進める。経産省で同日開かれた、会計制度見直しの有識者会議で示された。電力会社の廃炉決断を後押しするのが狙いで、年内に見直しの方向性を示す方針だ。福島原発事故後、原発運転期間が原則40年と定められた。電力会社は当初想定年数より前で、廃炉か、特別点検を受け運転延長を目指すかの決断を迫られるケースが出てくる。

*2-2:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20141126&ng=DGKKASDF25H1E_V21C14A1PP8000
(日経新聞 2014.11.26) 廃炉費用を安定確保 発送電分離後も 消費者から徴収 経産省検討
 経済産業省は、電力会社が発電、送電、小売りの3事業に分かれた後も原発の廃炉費用を安定確保する検討を始めた。新規参入組を含む電力小売会社が消費者や企業から徴収する仕組みになる公算が大きい。25日の廃炉の会計制度を見直す経産省の有識者会議で議論した。経産省は導入した場合の試算を年内にも示す。現在は電力会社が家庭や企業の電気料金から廃炉を含む原発の運営経費を回収している。同方式は2018~20年に廃止されるため費用負担の仕組みづくりが課題だった。新たな案では、電力会社から分かれた小売会社などが、送配電会社に支払う送電線使用料に廃炉費用を上乗せして負担する。経産省はこの日、運転開始から40年前後の古い原発7基を廃炉したときの電力各社の損失額が1基あたり210億円程度になるとの試算も示した。

*3:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20141126&ng=DGKKASDZ25HND_V21C14A1MM8000 (日経新聞 2014.11.26) 産学官、原発廃炉へ人材 東大・東電など協力 国が補助金 産業の技術基盤を維持
 産学官が共同で原子力発電所の廃炉に携わる人材を育てる。2015年から東京大学や東京工業大学が東京電力などと協力し、特殊な工程を伴う廃炉作業の専門知識を教える。文部科学省は補助金を出す。日本の原発は今後、再稼働か廃炉かの選別が始まる。高度な技術を備えた人材の確保は原発の輸出や安定稼働にも寄与するため、産業基盤の維持につながりそうだ。東大は来秋、原子力工学などを専攻する学生向けに廃炉専門の講座を設ける。東電福島第1原発の廃炉作業を想定し、東電と情報を共有しながらロボットの遠隔操作や放射性廃棄物の管理、地下水処理の手法を教える。九州大学や京都大学、福島工業高等専門学校と遠隔講義などで知識を共有する。東大の学生で年30人、総勢で同100人の受講を見込んでいる。東工大は15年4月に開講する。東電や三菱重工業、東芝などが参加する国際廃炉研究開発機構と協力して、放射線の測定など現場での実験を交える。東北大は15年1月に廃炉に関する情報を交換する研究会を設ける。東大と東工大、東北大は14年度に文科省から計2億円弱の補助を受ける。15年度以降も補助を利用する見込みだ。国内の48基の原発のうち、九州電力川内原発(鹿児島県)など再稼働に向けた動きがある一方、運転年数が40年前後たつ老朽原発は7基ある。40年を超えて運転するには原子力規制委員会の厳しい審査が必要で、関西電力の美浜原発1、2号機(福井県)など5基が廃炉を検討している。老朽原発を廃炉にすると電力会社の損失額は1基当たり210億円程度にのぼり、経済産業省は電気料金に上乗せできる会計制度の導入を検討中だ。福島県では日本原子力研究開発機構が来夏以降、廃炉作業を担うロボットの開発を始める。廃炉を進める様々な取り組みが動きだす一方、原発プラント大手ではベテランの技術者が今後10~15年間でほぼ退職するなど、技術の継承が課題に浮上している。このため産学官で廃炉作業の中核を支える人材を育てる枠組みをつくる。原発の廃炉作業は原子力工学や安全管理など総合的な知識や技術が不可欠で、再稼働でも貢献できる。政府が原発の輸出を後押しするなか、日本の原発産業全体の技術力の底上げにもつながる。日本には廃炉を終えた商用原発はまだない。海外には米国などで約10基あるほか、廃炉を検討・計画している原発が100基以上あるといわれる。今後は海外でも原発の廃炉に必要な技術者のニーズが高まると見込まれる。


PS(2014.11.26追加):*4のように、フクシマ原発事故では、現時点でも既に、国民が4兆5782億円(!!)を負担しているが、これは、*1に書かれている2003年時点の原発コストの試算には含まれていない。そして、今後も、「過酷事故は起きない」とは決して言えないのだ。

*4:http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/nucerror/list/CK2014112602000115.html (東京新聞 2014年11月26日) 【福島原発事故】東電に738億円交付 機構、34回目
 東京電力は二十五日、福島第一原発事故の賠償資金として、原子力損害賠償・廃炉等支援機構から七百三十八億円の交付を受けたと発表した。資金の交付は三十四回目で、累計で四兆四千五百八十二億円となった。東電はこれとは別に政府から原子力損害賠償法に基づく千二百億円を受け取っており、合わせると四兆五千七百八十二億円になった。東電が二十一日時点で支払った賠償金は約四兆四千五百五十三億円だった。


PS(2014.11.27追加):経産省が、電力自由化後に、原発の廃炉費用を事業所や家庭への送配電を請け負う電力会社の利用料金に上乗せして消費者に転嫁する仕組みを導入しようとしている点については、現在及び未来の送配電に関する負担と過去の電力使用に関する負担は異なるため筋が通らない。そのため、このようなことをして電力市場を歪めるのは百害あって一利なしであり、私は、このブログの2011年6月21に、「電力会社の送配電部門は会社にして上場し、旧電力会社から独立させるべき」と記載している。
 もし、それができないのなら、もはや電力会社の送電線はあてにせず、自治体が上下水道と一緒に地下に送電線を埋設して送配電料金をとれば自治体の税外収入になるし、ガス会社がガス管と電線を併設して送配電料金をとる方法もあり、選択肢が多い方が適切な料金になるだろう。
 また、原発の運転期間はもともと16年から40年に延長されたものであるため、40年を経ずに廃炉する原発については、差の期間分の廃炉引当金不足額は国が負担してもよいと考えるが、そのためには合理的な見積もりによる廃炉引当金が原発稼働期間に引き当てられてきたことを前提にすべきだ。

*5:http://mainichi.jp/select/news/20141127k0000m020062000c.html
(毎日新聞 2014年11月26日) 原発廃炉:消費者に負担転嫁導入、検討入り 経産省
 経済産業省は26日、運転終了後の原子力発電所の廃炉費用について、2018〜20年に予定される電気料金の完全自由化後も大手電力会社が消費者に負担を転嫁できる仕組みを導入する方向で検討に入った。発電部門と送電部門を切り離す発送電分離が実施された後、事業所や家庭への送配電を請け負う電力会社の利用料金に上乗せする形で負担を求める案が浮上している。電力自由化後に予想される価格競争に影響されずに廃炉費用を安定して回収できるようにすることで、電力会社による早期の廃炉判断につなげたい意向だ。原発を保有する電力大手は、原発の廃炉費用を年度ごとに分割して計上し、電気料金に上乗せしている。13年7月の制度改正で原発の運転期間が原則40年に限定されたことで、より長期の運転を想定していた老朽原発の廃炉が前倒しされ、電力会社が運転計画期間に分割計上する予定の廃炉費用を前倒しで計上する必要が生じ、多額の損失が生じる可能性が出ている。経産省は、16年7月に運転期限を迎える原発7基を廃炉にした場合、1基当たりの損失は約210億円と試算している。原発の再稼働が遅れて財務が悪化している電力各社は多額の損失計上に慎重で、廃炉が円滑に進まない懸念があった。このため、経産省は、廃炉となった場合も、原発設備の多くを複数年度に分割して計上できるようにし、電力会社の財務が一気に悪化しないようにする方針だ。新たな仕組みの検討を急ぐのは、18〜20年をめどに電気料金の完全自由化が予定され、それに合わせて廃炉費用を電気料金に上乗せする現行の料金制度が廃止されるため。16年の電力小売り全面自由化後、大手電力会社の電気料金だけに廃炉費用が上乗せされた場合、新規参入の電力小売会社が料金設定で有利となる。そうなれば、大手からの顧客流出が進み、廃炉費用の回収に困難をきたしかねない。経産省はこうした懸念を解消することで、大手電力による予定通りの廃炉を後押しする。


PS(2014.11.30追加):*6の記事は、「①脱原発を志向して再生可能エネルギー専門の電力小売会社と契約する消費者にも原発廃炉費転嫁しながら、大手電力が発電コストの相対的に安い原発の再稼働を進めれば競争が成り立たない恐れがある」「②既存の新電力の中には、大手電力に原発で発電した電力の一部を割安な料金で卸販売させるべきだとの意見がある」などとしているが、①をはじめ全体として、原発の発電コストは安いという虚偽の情報を有権者に流しており、②は、脱原発を志向して再生可能エネルギー専門の電力小売会社と契約する消費者の意志と需要を無視するものである。つまり、この記事は、官業(経産省+旧電力会社)が結託した思想をメディアが宣伝しているものだ。

*6:http://qbiz.jp/article/50883/1/
(西日本新聞 2014年11月29日) 自由化後も原発廃炉費転嫁を検討 新規会社の契約者にも負担
 経済産業省は29日、大手電力会社が老朽化した原発の廃炉に取り組むのを支援するため電力小売り全面自由化後も、すべての電力小売り会社の電気料金に廃炉費用を転嫁する方向で検討に入った。費用を確実に確保できる仕組みを整備することで、老朽原発の廃炉を着実に進めたい考え。ただ新規参入の電力小売り会社の契約者にも大手電力の廃炉費用を負担させるのは、公平な市場競争を阻害するとの反対意見も多い。脱原発を志向して再生可能エネルギー専門の小売り会社と契約する消費者からは反発も予想され、激しい議論になりそうだ。大手電力はこれまで廃炉費用を電気料金の中で徴収してきた。2016年4月に電力小売りが全面自由化されると料金競争が激しくなり、廃炉費用を料金に織り込みづらくなると予想される。老朽原発は年々増えるため費用が確保できないと廃炉計画に遅れが出かねないと懸念されている。18〜20年には「発送電分離」で大手電力から送配電部門が切り離され別会社化される。すべての電力小売り会社が送配電会社に託送料を支払い契約者に電気を届けてもらう形になることから、託送料に廃炉費用を上乗せする案が検討されている。この場合、全電力利用者が大手電力の廃炉費用を負担することになる。一方、こうした支援を受けながら大手電力が発電コストの相対的に安い原発の再稼働を進めれば、競争が成り立たない恐れがある。既存の新電力の中には、大手電力に原発で発電した電力の一部を割安な料金で卸販売させるべきだとの意見があり、今後併せて議論が進むとみられる。

| 原発::2014.10~2015.3 | 11:47 AM | comments (x) | trackback (x) |
2011.11.8 原発再稼働に同意が必要な地元の範囲はどこまでか?また、伊藤鹿児島県知事の「日本は資源がないので、原発に代わるエネルギーが出てくるまで、原発を活用するよりほかに道がない」という説明は、勉強不足で古すぎること (2014.12.5に追加あり)
     
       フクシマの汚染範囲           川内原発の背景
(1)そこまで再稼働に積極的なら、鹿児島県知事は原発容認ではなく原発推進そのものである
 *1-1に書かれているように、東京電力の姉川常務は、2014年11月6日の衆院原子力問題調査特別委員会で、民主党の菅直人元首相の質問に対し、原発の再稼働の際に同意が必要な「地元」の範囲は原発の30キロ圏内の自治体と答弁した。菅氏は、「電力会社幹部が30キロ圏内の自治体の了解がなければ再稼働できないと言った意味は非常に大きい」としたそうだが、私も同感である。

 しかし、上図のように、フクシマ原発事故の教訓は、汚染範囲は30キロ圏内の自治体に留まることなく、SPEEDIで示された区域にきわめて近く、甘めに設定された放射線量でも帰還困難区域、居住制限区域になっている自治体が11あり、豊かだったこの地域の農林水産業が壊滅したということである。そして、汚染は、250~300kmにまで及び首都圏を含んでいる。

 それにもかかわらず、*1-2のように、原発再稼働しか頭にない人たちが、フクシマ原発事故はなかったかのように 「再稼働は立地自治体と県の同意で足りる」として原発再稼働を強行しようとしている。鹿児島県の伊藤知事は2014年11月7日の記者会見で、「(再稼働に同意すべき自治体を)一律に拡大すると、原発への理解が薄いところで一定の結論を出すことになり、日本全体をまとめるうえで錯そうするだけで、賢明ではない」と述べたそうだが、鹿児島県や宮崎県の豊かな農林水産業や再生可能エネルギーの可能性よりも原発を選ぶセンスこそ、古くて賢明ではなく、原発利権のカネ欲しさで歪んでいる。

 また、鹿児島県の伊藤知事が、「やむをえない」という表現を使って「日本では原発に代わるエネルギーが出てくるまで、原発を活用するよりほかに道がない」と述べたのは、エネルギーに関するここ10年の変化に対する知識が不足している上、「宮沢経済産業大臣との面談などで、エネルギー政策における原発の必要性や事故が発生した場合に国が責任を持って対処する考えなどが明確に示された」としているのも、国に責任を押し付けながら、交付金をもらって狭い地域の目先の“景気”を優先する判断である。

 さらに、伊藤知事は「安全性の確保については、原子力規制委員会の田中委員長が国会で『世界最高水準の安全性は担保された』と発言し、私としては規制委員会によって安全性が確保されたと考えた」とも言っているが、火山・避難・原子炉の設計で規制基準自体に問題があるとともに、基準に定められていることの猶予も認められているため、実際には世界最高水準の安全性などない。

 なお、*1-4のように、伊藤知事の勧めで九電の瓜生社長と30キロ圏の8首長がトップ会談をし、*1-3のように、市議会が反対している姶良・出水市長も再稼働を容認したが、これは30キロ圏での反乱の拡大を封じる妙案とのことある。しかし、このような悪知恵を考えて総合的判断などというごまかしの言い訳をするよりも、①日本のエネルギー自給率を向上させるためにはどうすればよいのか ②環境破壊しないエネルギーは何か ③安くエネルギーを供給して産業や国民に資するにはどうすればよいのか を考えた方がよほど国益になる。

 一方、朝日新聞が原発30キロ圏の156議会を調査したところ、*1-5のように、42% の議会が「再稼働に異論」があり、交付金をもらっている立地自治体より周辺自治体で再稼働に反対の意見が多かったそうだが、当然のことである。また、人口の多い地域に立地する原発周辺に反対論が強いとのことだが、人口が少なければ原発事故があってもよいわけではなく、人口の少ない地域で日本の食料生産が担われているのを決して忘れてはならない。

(2)原発の事故リスクはゼロではなく、事故が起これば取り返しがつかない
 *2-1のように、川内原発再稼働のための説明会で、原子力規制庁は「事故リスクはゼロではない」と回答しており、「リスクを限りなく引き下げるよう事業者も規制委もできる限りの対策を取る」「新規制基準にはフクシマでの指摘が反映され、福島事故前より原発事故の発生確率は下がっているから安心」と考えるのは、日本の新規制基準には最新技術のコアキャッチャーの設置義務や火山の噴火・避難に関する規定がなく、猶予も認められているため、次なる安全神話にすぎない。

 火山の噴火については、*2-2に書かれているように、気象庁も火山学者も予測困難としており、 鹿児島・宮崎県境の霧島山のえびの高原・硫黄山の周辺は、気象庁が2014年10月24日に火口周辺警報を発表し、宮崎県が防災ヘリで登山者に下山を呼びかけ、えびの市が硫黄山から半径1キロ内への入山規制を決定し、鹿児島県霧島市も登山口5カ所に張り紙をするなどして注意を促しているところである。

 さらに、*2-1で、原子力規制庁は「どんなテロ、航空機衝突でも耐えられるかというと、このままの態勢で防止するのは難しい。テロや戦争で発電所が狙われる可能性があれば、運転を止め、できるだけの対応をしてもらうという法律もある」と述べているが、「日本を攻めるのに原爆はいらず、原発を攻撃すればよい」という大あまなセキュリティーを行っている国が、無制限に集団的自衛権を行使してアメリカ並みに狙われればひとたまりもないことを考慮しておくべきである。

(3)地元説明会と再稼働の決定における鹿児島県の対応
 *3-1のように、鹿児島県の伊藤知事は、川内原発再稼働に関する説明会で「安全対策への住民理解が進んだ」「極めて丁寧な説明で、規制委があらゆるテーマを真剣に検討したことが伝わった」としているが、これでどうして規制委があらゆるテーマを真剣に検討して解決したから安全だと言えるのか不明だ。また、「最終判断は県と薩摩川内市でいい」としているのも再稼働ありきだ。

 そして、*3-2のように、川内原発再稼働に関する説明会の感想は、否定的な回答が47%でほぼ半数だったが、県は「おおむね理解された」としている。識者からは「質問の仕方が作為的だった」と疑問視する声も出ており、鹿児島県は「どの項目も回答者の2〜3割台しか選ばず、12項目の平均は29%だったので、おおむね理解が進んだと判断する」と説明しているが、東京女子大の広瀬名誉教授(災害学)は「少なくとも6割の人には、理解できない内容があったと受け止めるべきだ。何も選択しなかった人の中には棄権した人もいるだろう。結論ありきの分析と言われても仕方ない」と指摘している。さらに、「理解する」と「賛成する」は全く異なる意味である。

 なお、川内原発の再稼働を求める陳情を採択した鹿児島県議会本会議では、*3-3のように、「メリットあるか」「命が大事」として、採択と伊藤知事の閉会挨拶の間、「NO」のプラカードを掲げた傍聴者百数十人から「再稼働反対」のシュプレヒコールが続き、県庁周辺にも反対住民らが集って「脱原発」を訴え、傍聴席では議会が開会した瞬間から「しっかり自分で考えろよ」「そんなに原発にメリットがあるのか」などと怒号が飛び交ったそうだが、鹿児島県にある本当に価値ある大切な産業は原発などではない。

(4)地元説明会と再稼働決定における薩摩川内市の対応
 *4-1のように、鹿児島県薩摩川内市の岩切市長が、2014年10月28日、臨時市議会で、川内原発の再稼働を求める陳情が採択されたことを受けて再稼働への同意を表明した。ここでも傍聴席内外は、再稼働反対を訴える人たちが詰めかけて騒然としたそうだ。

 なお、伊藤知事が、同意が必要な範囲を鹿児島県と薩摩川内市に限ったのは再稼働ありきの意図からで、事故時に被害を受ける地域はそこだけではないため、SPEEDIで汚染が予想される地域はすべて同意が必要だと考える。また、*4-2で、薩摩川内市長が「国の責任の下で再稼働することを立地自治体として理解する」としているのは責任回避以外の何物でもなく、地方自治体として自己決定せずに国に責任を押し付けて頼っているのは情けない。さらに、「原発で日本が経済発展できた」などというのは嘘であり、原発は金食い虫の負の遺産である。

(5)再エネの可能性と電力会社の再エネ発電設備に対する新規接続契約停止
 (1)に記載したように、鹿児島県の伊藤知事は「日本では原発に代わるエネルギーが出てくるまで、原発を活用するよりほかに道がない」と言ったが、*5のとおり、九電に始まり、2014年10月1日現在、北海道、東北、四国、九州、沖縄の5電力会社が、再エネ発電設備に対する新規接続契約を一時的に停止したほど、再エネの可能性は大きい。

 つまり、工夫すればいくらでも電力を作れるにもかかわらず、原発が稼働しなければエネルギーがないという言い訳を主張し続けているのだが、このカビの生えた古臭い説明と原発への無駄遣いにはもう決別して、新しい本当に必要な投資にシフトすべきである。

<同意が必要な地元はどこまでか>
*1-1:http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2014110702000113.html
(東京新聞 2014年11月7日) 原発再稼働「30キロ圏自治体理解必要」 東電常務 衆院委で明言
 東京電力の姉川尚史(たかふみ)常務は六日の衆院原子力問題調査特別委員会で、原発の再稼働の際に同意が必要な「地元」の範囲について「原発の三十キロ圏内の自治体の理解がなければ、再稼働させるには十分ではない」と述べた。電力会社幹部が再稼働の条件として立地自治体以外の「理解」に言及するのは異例だ。今後、全国にある原発の再稼働手続きに影響を与える可能性がある。再稼働への「地元」の同意に関し、法律に明文規定はない。電力会社は従来、原発が立地する道県や市町村と安全協定を結び、両者の同意を事実上の条件としてきた。東京電力福島第一原発事故を受け、原発事故に備えた避難計画を含む地域防災計画の策定を義務付けられる自治体の範囲が、半径八~十キロ圏から三十キロ圏に拡大されたが、電力各社は「地元」の範囲を広げるのには消極的だ。姉川氏は東電の原子力部門トップの原子力・立地本部長や、原発の安全対策などに取り組む「原子力改革特別タスクフォース」の事務局長を務めている。六日の発言は、民主党の菅直人元首相の質問に対する答弁。菅氏は、本紙の取材に「電力会社が三十キロ圏内の自治体の了解がなければ再稼働できないと言ったのは、私が知る限り初めてだ」と指摘。「現状では三十キロ圏内の自治体の了解がないまま、電力会社の裁量で再稼働が進みかねない。電力会社幹部が国会で発言した意味は非常に大きい」と話した。東電は柏崎刈羽原発(新潟県柏崎市、刈羽村)の再稼働に向け、新規制基準への適合性審査を原子力規制委員会に申請しているが、新潟県の泉田裕彦知事は「福島の事故の検証と総括なくして再稼働はありえない」と慎重な姿勢だ。原発の三十キロ圏内には、柏崎市と刈羽村を含めて九市町村がある。原発再稼働に関しては、鹿児島県にある九州電力川内(せんだい)原発で手続きが進んでいる。九州電力は「地元」の範囲を明らかにせず、伊藤祐一郎知事は同意が必要な自治体を県と立地自治体の薩摩川内市のみと説明している。 しかし、三十キロ圏内にある日置、いちき串木野の両市議会は「地元」に両市を加えるよう県に求める意見書を可決。姶良(あいら)市議会も再稼働反対と廃炉を求める意見書を可決している。

*1-2:http://www3.nhk.or.jp/news/html/20141107/t10013033531000.html
(NHK 2014年11月7日) 「立地自治体と県の同意で足りる」
 川内原発の再稼働に同意する考えを示した鹿児島県の伊藤知事は7日の記者会見で、再稼働への同意を求める範囲を立地自治体と県だけでなく、周辺自治体にも広げるべきだという意見があることについて、「一律に拡大すると、原発への理解が薄いところで一定の結論を出すことになり、日本全体をまとめるうえで錯そうするだけで、賢明ではない」と述べ、立地自治体と県の同意で足りるという従来からの見解を改めて示しました。また、「同意」ということばを避け、「やむをえない」という表現を使った理由を問われると、「いろんな意見があるので簡単に同意とは言えない。しかし、日本では少なくとも当面の判断として、原発を活用するよりほかに道がないというか、そのほうが国民全体にとってはベターだ」と述べ、原発に代わるエネルギーが出てくるまでの間は原発を活用せざるをえないという考えを示しました。さらに、同意を決めるプロセスが拙速ではないかとただされたのに対し、「考えられる最大レベルの説明会を開くなどして結論に到達した。周りにいろいろな動きがあるので、あまり時間を空けて判断すると、かえって、いろいろな事態を招くのでやむをえないと思う」と説明しました。今回の判断に至った経緯については、「宮沢経済産業大臣との面談などで、エネルギー政策における原発の必要性や、事故が発生した場合には国が責任を持って対処する考えなどが明確に示された。安全性の確保については、原子力規制委員会の田中委員長が国会で『世界最高水準の安全性は担保された』と発言し、私としては規制委員会によって安全性が確保されたと考えた」などと述べ、総合的な判断だったと説明しました。“安全性に大きな不安はない”また、伊藤知事は記者会見で、川内原発の安全性や避難計画の実効性に大きな不安はないという考えを示しました。このうち、安全性については、「原子力規制委員会は任務に極めて忠実で、相当の時間をかけて安全性を徹底的に追求したと思う。その結果、福島第一原発のような事故が起きても、5キロ余り離れた場所の放射線量は、県の試算で避難が必要な1時間当たり20マイクロシーベルトに達せず、命に関わる問題は発生しない。私はそれを信じる」と述べました。また、事故への備えについて、「避難計画などを含む地域防災体制の整備に、県としても引き続き充実に取り組みたいと考えており、国においても、避難計画のさらなる充実のための支援、確認の継続をお願いしたい」と述べる一方で、住民から避難計画の実効性に懸念が出ていることを問われると、「交通や避難施設の問題を指摘する人がいるが、マイナーなことは心配しなくてよい。5キロ余り離れた地域の放射線量は動く必要がないレベルで、事故の進展を考えると時間もあるし、避難計画が実際に使われる機会はほとんどないと思う」と述べました。

*1-3:http://qbiz.jp/article/48894/1/
(西日本新聞 2014年10月30日) 九電、川内30キロ圏説明開始 姶良、出水市長は再稼働容認
 九州電力の瓜生道明社長は30日、川内原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)の再稼働に向け、同市を除く原発30キロ圏の8市町の首長に対する安全対策の説明を始めた。この日は同県姶良市の笹山義弘市長、同県出水市の渋谷俊彦市長とそれぞれ鹿児島市内で面会し、原発の安全確保に向けた自らの決意や九電の対策などを説明。両市長は社長の説明の内容を評価し、再稼働を容認する姿勢をあらためて示した。30キロ圏の自治体はそれぞれ九電と原子力安全協定を結んでいるが、再稼働の地元同意は立地自治体の薩摩川内市と鹿児島県のみが対象とされる。これに対し、避難計画の対象になる周辺自治体に不満もくすぶっており、再稼働を前に社長が自ら説明に当たろうと、九電側が県の意向も踏まえて、8首長との面会を要請した。面会で瓜生社長は「原子力事業者として、福島第1原発事故の教訓を一層の安全性向上につなげる使命がある」とした上で、周辺自治体と「より緊密な連携を図る」と強調。両市長は電気料金抑制のため再稼働の必要性に理解を示した。瓜生社長は残る6市町長とも11月4日までに面会する予定。

*1-4:http://qbiz.jp/article/48870/1/ (西日本新聞 2014年10月31日) 「議会の意思無視か」 市長の姿勢に批判の声も、川内原発再稼働説明
 川内原発再稼働の地元同意手続きが順調に進む中、30日始まった九電の瓜生道明社長と30キロ圏8首長とのトップ会談。初日の2市長との会談はいずれも約30分で終わり、瓜生社長への激励の言葉も飛び出した。住民や議会の危惧が九電トップに伝えられることはなく、地元からは「肩透かしだ」と不満の声も上がった。「原発が動かないと電力供給はどうなるのか」。姶良市の笹山義弘市長は、再稼働の必要性について持論を展開。「電力の安定供給を頑張ってください」と瓜生社長にエールを送った。出水市の渋谷俊彦市長も「安全意識の向上に向けた強い決意を頂いた。その姿勢で続けてほしい」と理解を示した。瓜生社長が「福島(第1原発事故)のようなひどい状況にはならない」と言い切る場面もあった。瓜生社長にトップ会談を勧めたのは、伊藤祐一郎知事だったという。ある県議は知事の狙いをこう代弁する。「30キロ圏での反乱の拡大を封じる妙案だった」。九電との安全協定では、薩摩川内市と他の8市町との間にランク付けがある。原子炉施設変更をめぐり、県と薩摩川内市は「事前了解」の対象だが、ほかの8市町は「事前説明」か「事前連絡」でよい。このため、知事は一貫して再稼働の条件となる地元同意の範囲を「県と薩摩川内市」に限定してきた。だが、姶良市議会が7月に再稼働反対と廃炉を求める意見書を可決。9月にはいちき串木野、日置の両市議会が同意対象に自分の市を加えるよう求める意見書を可決した。同じ趣旨の陳情は30キロ圏の他の議会でも審議中だ。反乱が広がれば、再稼働は進めづらくなる。一方で同意範囲を安易に広げてしまうと、全国の他の原発の再稼働にまで影響する。「事業者トップが説明する姿をアピールし、反対世論の『ガス抜き』を狙った」と県議は説明する。会談の立会人は、原子力行政を担う県の幹部が務めた。瓜生社長は終了後、報道陣に、30キロ圏自治体との安全協定見直しの可能性を示唆したが、時期や内容に具体的には触れなかった。こうした対応に、姶良市議会の湯之原一郎議長は「議会の意思が無視されたままでいいのか」と憤った。出水市の主婦永池美保さん(52)は「九電社長も県幹部もいる前で、再稼働を急がないでと訴えるチャンスだったのに。市長は市民の意見を代弁していない」と失望を隠さなかった。

*1-5:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11444715.html?_requesturl=articles%2FDA3S11444715.html&iref=comkiji_txt_end_s_kjid_DA3S11444715
(朝日新聞 2014年11月8日) 議会「再稼働に異論」42% 原発30キロ圏、156議会調査
●原発30キロ圏地方議会の意思表示
 安倍政権は川内原発(鹿児島県)以降も、再稼働の前提とする「地元理解」を得られるか。原発半径30キロ圏の156自治体議会が採択した意見書や請願、陳情、可決した決議を通して地元の意向を探ると、東日本大震災の被災地や人口の多い地域で慎重論が強く、立地自治体より周辺部で慎重な傾向が浮かんだ。安倍政権で再稼働第1号となる川内原発では、地元同意の範囲が原発のある薩摩川内市の市長と議会、鹿児島県知事と県議会に限られた。政権は今後の再稼働でも同様の範囲に限る考えだが、周辺部の反発が強まれば、県知事らから同意の取り付けが難しくなる可能性もある。朝日新聞は先月下旬、国が30キロ圏と認定する156自治体(21道府県、135市町村)の議会に、2011年3月の福島第一原発事故以降、再稼働に関する意見書、請願、陳情の採択や決議を行ったことがあるかを尋ねた。その結果、42%の65議会が脱原発、再稼働反対や廃炉、または再稼働の条件として地元同意の範囲拡大などを求めていた。規制委が安全審査を先行させる川内原発以外の5原発(北海道泊、福井県高浜、大飯、愛媛県伊方、佐賀県玄海)30キロ圏では、泊原発以外で議会の反対論は比較的少なく、地元同意が円滑に進む可能性がある。一方、事故のあった福島第一(1月に廃止)、第二の両原発30キロ圏の全13市町村議会と県議会が県内全基廃炉を求めた。「地元同意は無理で、第二原発の再稼働は絶対に不可能」(自民党中堅)との見方が強い。女川原発(宮城県)周辺でも、半数の4市町議会が再稼働反対の意見書を採択した。
■人口多い地域、反対論
 被災地以外でも人口の多い地域に立地する原発の周辺に反対論が強いのが特徴だ。30キロ圏の人口が約96万人と最も多い東海第二原発(茨城県)や、86万人と2番目の浜岡原発(静岡県)の圏内では、再稼働の前提として住民理解や安全対策を求める動きが目立つ。浜岡原発周辺の静岡県藤枝市議会は「絶対的安全対策がなされ、市民の安全と安心が担保されない限り再稼働は認められない」と決議。東海第二原発周辺の茨城県鉾田市議会は意見書で「地域住民の合意がなされないままの再稼働を容認しない」とした。立地自治体の議会と周辺部でも差が出た。立地自治体で再稼働に反対するのは福島県内の5議会だけ。それ以外の28議会は再稼働反対の求めをせず、10議会が原発政策の維持を求めた。周辺部に慎重論が強い背景に、福島事故で放射能の影響が広域に及んだ経緯がある。高浜原発(福井県)から最短約20キロの滋賀県高島市議会は意見書で「今回と同様の事故が発生すれば、当市の被害は甚大」と指摘した上、「周辺自治体の理解が得られるまでは再稼働を認めない」とした。一方、立地自治体に反対が少ないのは、原発停止による地元経済への悪影響を懸念したもので、美浜原発のある美浜町、大飯原発のおおい町、高浜原発の高浜町、敦賀原発の敦賀市も原子力政策の堅持や再稼働を求める意見書を出した。
◆キーワード
<意見書> 自治体議会が地域の意見を国の政策に反映させるため、政府や国会などに提出する文書。議会の意思を示す手段として地方自治法で定められているが、政府や国会側への拘束力はない。また、決議は議会の意思を対外的に表明する手段として行われるが、法的な根拠はない。

<原発の事故リスクはゼロではなく、事故が起これば取り返しがつかない>
*2-1:http://qbiz.jp/article/48464/1/
(西日本新聞 2014年10月25日) 「事故リスク、ゼロではない」 川内原発説明会での規制庁回答
 九州電力川内原発(鹿児島県薩摩川内市)の再稼働をめぐり、9〜20日に原発30キロ圏で5回開かれた住民説明会。原発の新規制基準に照らした原子力規制委員会の審査内容が報告されたが、参加者からは事故の発生リスクや地震、津波対策など質問が相次いだ。5会場での主な質問内容と、原子力規制庁側の回答をまとめた。
−「事故は絶対起きない」と保証できるか。
 「絶対安全とは言えない。リスクをゼロにはできない。だからこそ、リスクを限りなく引き下げるように、事業者も規制委もできる限りの対策を取る」
−福島第1原発事故の原因究明が終わったとは言えないのに、川内原発が新規制基準に適合するとしたのは時期尚早ではないか。
 「福島第1原発事故の事故調査報告書では、安全基準の問題点が指摘された。例えば炉心溶融の防止策が甘いなど。新規制基準にはこうした指摘が反映され、福島事故前より原発事故の発生確率は下がっている」
−事故が起きたら誰が責任を取るのか。
 「一義的には事業者。責任が取れない部分は国が支援する」
−想定する地震の最大の揺れ(基準地震動)を過小評価していないか。川内原発の基準地震動より、はるかに大きな揺れの可能性を指摘する調査結果もある。
 「九電は川内原発について『震源を特定して策定する地震動』として540ガル、『震源を特定せず策定する地震動』として620ガルを想定し、規制委は新規制基準に適合していると認めた。川内原発周辺の断層や地殻を詳細に調べて審査した。最大1340ガルの可能性があるとの知見もあるが、発生確率が低いので基準とする必要はないし、この知見の考え方は規制の中で生かした」
−津波と、台風による高潮が同時に起きたら。
 「川内原発近くの港での観測結果をもとに、津波と満潮、高潮が同時に起きた場合も考慮し、水が来る高さを最大6メートルとして対策を講じている」
−テロ対策は。
 「どんなテロ、航空機衝突でも耐えられるかというと、このままの態勢で防止するのは難しい。テロや戦争で発電所が狙われる可能性があれば、運転を止め、できるだけの対応をしてもらうという法律もある」
−新規制基準には、欧州で取り入れられている最新技術のコアキャッチャー(高温の炉心溶融物を受け止め、近接する貯留部で冷やす設備)の設置義務がない。不十分ではないか。
 「新規制基準は個別の設備や機器の設置を求めるのではなく、事故の発生、拡大防止に必要な機能を定めている。川内原発は、深さ1・3メートルの水で溶けた核燃料を受け止めることで、同様の機能を備えている」

*2-2:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11423777.html (朝日新聞 2014年10月27日) (時時刻刻)火山列島、監視に限界 御嶽山、地震観測でも警戒据え置き
 御嶽山の噴火から1カ月。「前兆」を気象庁、専門家はどう判断し、噴火当日を迎えたのか。火山の観測やデータ分析は大学に頼るが、専門家は少ない。110の活火山とどう向き合うか。御嶽山の噴火後、全国の火山の観測態勢の見直しが始まった。
■気象庁「前兆見極め、困難」
 御嶽山では9月10日に52回の火山性地震が観測されていた。しかし、地殻変動や、マグマや水蒸気が移動する際のかすかな振動である火山性微動は観測されなかった。気象庁は11日午前、警戒レベルを平常の「レベル1」に据え置いたまま「火山性地震が増加。1日に50回を超えたのは2007年以来」とする「解説情報」を発表。火山噴火予知連絡会の委員31人にメールで伝えた。委員で御嶽山の観測を続けている名古屋大の山岡耕春教授には午後5時半に詳細データを送った。午後6時すぎ、山岡教授から「(マグマの動きなどが関係する)低周波地震や火山性微動に注意」と返信があった。予知連会長の藤井敏嗣・東京大名誉教授と副会長の石原和弘・京都大名誉教授は、国際会議でインドネシアに出張中だった。藤井会長は「単発的な地震だろう」と認識、2人の間で話題にならなかったという。火山性地震は13~14日に7~8回にまで減りながらも続き、気象庁は12日と16日に「火山活動の推移に注意」と解説情報を発表、レベル1は維持した。この間、地震の一部に低周波地震が含まれるようになり、17日昼前、山岡教授にメールで伝えた。山岡教授は「予想よりも小さい」と考えた。気象庁は「地震が増えただけで前兆という判断は難しい。他の指標も含めた総合的な判断」と繰り返す。総合的な判断とは「過去の噴火時の経過からの類推」。2007年に御嶽山が水蒸気噴火した際には、約3カ月前から地震が増え、微動も観測された。同庁は「地震が起きても何も起きないことは多く、微動が観測されたら必ず噴火するわけでもない」と説明する。噴火の当日、気象庁では火山担当の職員3人が監視をしていた。午前11時41分から火山性微動が始まったが、噴火は11分後。微動が観測されたら集まって対応を協議する予定だったが、なすすべもなかった。藤井会長は「今になれば前兆だったかもしれないが、活発な地震が数日続いても収まる例はどこの火山でもある。あの時点での予知は難しかった」と話す。
■47火山観測、手厚さに差
 気象庁は110の活火山のうち、47を常時監視するが、火山ごとに観測網の手厚さは大きく異なる。観測機器は大学や研究機関も設置している。文部科学省のまとめでは、2011年に新燃岳が噴火した鹿児島・宮崎県境の霧島山の観測点は計77地点。浅間山は56地点、桜島は80地点、富士山は38地点だ。一方、大雪山は6地点だけ。常時監視の対象外の63火山では、気象庁が火山監視用の地震計を設置しているのは八甲田山(青森)と弥陀ケ原(富山・長野)にとどまり、大学や研究機関も含めて観測点がゼロの火山もある。47火山の観測点は計1121地点、うち気象庁は291地点で、大学(463地点)や国土地理院(284地点)の観測も監視に欠かせない。しかし、大学は長期間噴火していない火山の観測には消極的だ。山岡教授は「研究者は論文を書かねばならず、科学的な興味で機器を設置する。常時観測は国が担うべきだ」と話す。観測していても御嶽山のような水蒸気爆発は、前兆をとらえるのが難しい。そこで、気象庁は予知連内に検討会を設けて、監視強化の検討を始めた。今月24日夜に開かれた初会合では、火山ガスの成分や地下の温度変化の観測にも取り組む方針を確認した。ただ、観測を増やしても、予知できるとは限らない。検討会座長の九州大地震火山観測研究センターの清水洋センター長は「問題は観測結果をどう解釈して防災に役立てるのか。人材育成とセットで考えないといけない」と強調。育成してもポストがなければなり手がおらず、受け皿作りも必要だ。文科省によると、火山観測点の維持や管理に関わる大学の学者は47人。同省で24日に開かれた火山研究のあり方を検討する会議では「火山は100以上ある。研究者が取り組む対象の選択と集中は必然だ」と火山学者から意見が相次いだ。
■霧島・蔵王、注意促す
 活動が活発化している火山は各地にある。気象庁は24日、鹿児島・宮崎県境の霧島山のうち、えびの高原・硫黄山の周辺に火口周辺警報を発表した。宮崎県は、防災ヘリで登山者に下山を呼びかけ、えびの市は硫黄山から半径1キロへの入山規制を決定した。鹿児島県霧島市も、登山口5カ所に張り紙をするなどして注意を促した。宮城・山形県境の蔵王山でも火山性地震や火山性微動を断続的に観測。火口湖面の一部が白く濁っているのも確認された。噴火予知連は23日、「観光や登山で近づく際には十分注意が必要」との見解を示した。東京大地震研究所の中田節也教授は「霧島や蔵王は重点的な観測が必要。ただ、最初に異常に気付くのは、その山に常に接する人たち。御嶽山でも噴火1週間前に硫黄臭がした。地元からの『おかしい』という情報が集まる態勢をつくることが重要だ」と話した。

<地元説明会と再稼働決定における鹿児島県の対応>
*3-1:http://qbiz.jp/article/47939/1/
(西日本新聞 2014年10月17日) 川内原発説明会、鹿児島知事「理解進んだ」
 鹿児島県の伊藤祐一郎知事は17日の定例記者会見で、原子力規制委員会が新規制基準に適合したとした九州電力川内原発(同県薩摩川内市)の審査結果に関する住民説明会について「極めて丁寧な説明で、規制委があらゆるテーマを真剣に検討したことが伝わった」と述べ、安全対策への住民理解が進んだとの認識を示した。説明会は原発30キロ圏5市町のうち4カ所で開かれ、20日のいちき串木野市を残すだけとなっている。 30キロ圏のいちき串木野市と日置市の議会が、地元同意の対象にそれぞれの市を加えるよう求める知事宛ての意見書を可決したことに関しては「最終判断は県と薩摩川内市でいい」と述べ、同意範囲の拡大はしないとの従来方針をあらためて示した。また、知事は再稼働の地元同意手続きをめぐる県議会招集や自身の判断時期について「現段階で明確に言えない」と明言を避けた。

*3-2:http://qbiz.jp/article/48299/1/ (西日本新聞 2014年10月23日) 川内原発説明会、参加者の半数「不満」 県がアンケート結果発表
 鹿児島県は22日、九州電力川内原発(同県薩摩川内市)の再稼働に関する地元同意手続きの一環として、30キロ圏で計5回開催した住民説明会でのアンケートの結果を発表した。説明会の感想は否定的な回答が47%でほぼ半数だったが、県は「おおむね理解された」としている。識者からは「質問の仕方が作為的だった」と疑問視する声も出ている。説明会は9〜20日に原発30キロ圏の5市町であり、原子力規制委員会が「適合」とした川内原発の審査結果が伝えられた。アンケートには出席者の76%の1937人が回答。参加した感想は「良くなかった」24%▽「あまり良くなかった」23%▽「普通」21%▽「まあまあ良かった」18%▽「良かった」13%−だった。地震対策、火山対策など12項目から「理解できなかった項目」を選ぶ設問(複数選択可)では、「原子炉施設の大規模な損壊への対応」を選んだ人が最も多く37%。「放射性物質の拡散を『抑える』対策」が35%で続いた。何も選択しなかった人が40%いた。県は「どの項目も回答者の2〜3割台しか選ばず、12項目の平均は29%だったので、おおむね理解が進んだと判断する」と説明。これについて、東京女子大の広瀬弘忠名誉教授(災害学)は「少なくとも6割の人には、理解できない内容があったと受け止めるべきだ。何も選択しなかった人の中には棄権した人もいるだろう。結論ありきの分析と言われても仕方ない」と指摘した。
   ◇   ◇
■安全審査の説明「必要なら追加」 原子力規制委が言及
 原子力規制委員会の田中俊一委員長は22日、九州電力川内原発の再稼働をめぐり、鹿児島県などが主催し、規制委事務局の原子力規制庁の担当者が出席した住民説明会の追加開催について「必要があればやることになると思う」と前向きな姿勢を示した。説明会では、規制庁職員が川内原発の安全対策が新基準に適合すると認めた理由や経緯を説明。田中委員長は「分かりやすいように丁寧に説明したが、1回でたくさんの人に理解されるものではない」と述べた。

*3-3:http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014110702000243.html (東京新聞 2014年11月7日) 議場内外で怒号「メリットあるか」 「命が大事」
 川内原発の再稼働を求める陳情を採択した鹿児島県議会本会議は、採択と伊藤知事の閉会あいさつの間、「NO」のプラカードを掲げた傍聴者百数十人から「再稼働反対」のシュプレヒコールが続いた。県庁周辺にも反対住民らが集まり「脱原発」を訴えた。知事らの発言がまったく聞こえないほど、激しい抗議だった。議会棟と県庁舎は、県職員や制服姿の警察官らが正面玄関を封鎖し、各フロアの出入り口にも立つなど物々しい雰囲気に。傍聴席は議会が開会した瞬間から「しっかり自分で考えろよ」「そんなに原発にメリットがあるのか」などと怒号が飛び交い、議長の言葉をかき消した。議場の前では再稼働に反対する市民ら四百人以上が集会を開き、再稼働に抗議を繰り返した。傍聴に駆けつけた同県霧島市の看護師、盛園尚利さん(39)は「人の生命にかかわる大事なことが、早く進みすぎる。何が進んでいるのかが認識されないうちに、手続きが進む。国や県が好き勝手やっている」と憤った。

<地元説明会と再稼働決定における薩摩川内市の対応>
*4-1:http://mainichi.jp/select/news/20141028k0000e040200000c.html
(毎日新聞 2014年10月28日) 川内原発:市長、再稼働に同意 議会の賛成採択受け
 国の新規制基準に初めて適合した九州電力川内(せんだい)原発が立地する鹿児島県薩摩川内市の岩切秀雄市長が28日、再稼働への同意を表明した。同日の臨時市議会で、川内原発の再稼働を求める陳情が採択されたことを受け判断した。一方、傍聴席内外は、再稼働反対を訴える人たちが詰めかけ、騒然とした。市議会原発対策調査特別委員会が20日に、早期の再稼働を求める陳情を賛成多数で採択したことを受け、市長が臨時議会を招集していた。この日は特別委員長から審査経過の報告を受けた後、議長と退席者1人を除く24人で採決。再稼働反対陳情10件を不採択とした上で、早期再稼働を求める陳情1件を19対4(棄権1)の賛成多数で採択した。市議会の判断を受け、2年前の選挙で再稼働容認を訴えて再選された岩切市長は臨時市議会後の全員協議会で「再稼働を進める政府の方針を理解する」と述べ、川内原発の再稼働に同意した。
 一連の地元同意手続きで、伊藤祐一郎知事は同意が必要な範囲を県と薩摩川内市に限っており、市が結論を出したことで手続きは県へと移る。県議会にも再稼働反対、賛成の陳情が出されており、27、28日の2日間、原子力安全対策等特別委員会で審査。県議会は、11月初旬にこれらの陳情を採決する臨時会を開く方向で調整している。ただし、再稼働への協力要請のため鹿児島入りする予定の宮沢洋一経済産業相の日程次第で、スケジュールが変わる可能性がある。川内原発1、2号機は、福島第1原発事故後に策定された新規制基準に初めて適合した。現在、川内以外に12原発18基が原子力規制委員会で審査されている。薩摩川内市が立地自治体として初めて同意したことで、他の原発の地元自治体の判断にも影響を与えそうだ。

*4-2:http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014102801001960.html
(東京新聞 2014年10月28日) 川内再稼働に市長も同意 「事故責任、国が負うべき」
 九州電力川内原発が立地する鹿児島県薩摩川内市の岩切秀雄市長は28日、市議会の臨時議会後の全員協議会で「国の責任の下で再稼働することを立地自治体として理解する」とし、再稼働に事実上同意を表明した。その後の記者会見で「日本の経済発展で国が責任を持って再稼働させられる原発は動かしてほしい」と強調。ただ将来的には廃炉が必要との認識も示し、「原発に依存していては日本が成り立たなくなる。次世代エネルギーの研究も進めないといけない」と語った。川内原発で重大事故が起きた際の責任には「一義的には電力事業者だが、最終的には国が負うべきだ」と述べた。

<再稼働は不用で不合理>
*5:http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20141006/272177/?n_cid=nbpnbo_nbotw_bottom&rt=nocnt
 「九電ショック」で早まるバッテリー時代、太陽光発電の早期安定化のカギは「蓄電池」
(2014年10月8日、村沢義久:立命館大学大学院客員教授 1974年東京大学大学院工学系研究科修了。1979年米スタンフォード大学経営大学院修了。2005年から東京大学サステイナビリティ学連携研究機構特任教授として地球温暖化対策を担当。2013年4月から現職)
10月1日現在、北海道、東北、四国、九州、沖縄の5電力会社が、再エネ発電設備に対する新規接続契約を一時的に停止している(家庭用の太陽光[10kW未満]は保留対象外)。発端になったのは九電で、9月24日、既存及び新規の接続回答を数カ月間保留すると発表した。理由は予想を超える接続申し込み量だ。現在までの申し込み分がすべて接続された場合、太陽光・風力の接続量は約1260万kWに達し、冷暖房の少ない春や秋の晴天時には、消費電力を上回ることになる。このままでは、電力の需給バランスが崩れ、安定供給が困難な事態が起こり得る。そのため九電は一時保留することを決め、他の電力会社が続いたのである。特に九電の場合は、新規のみならず、すでに申請済みの案件も保留の対象としたため、建設準備中の業者に衝撃が走った。
●買い取り制度は大成功
 このような動きを受けて、再エネ買い取り制度の見直しを求める声が上がっている。筆者は、見直し自体は必要と思うが、「高値買い取り裏目」「わずか2年で行き詰まり」などのネガティブなコメントは的外れであると考える。実際には、「裏目」でもなく、「行き詰まり」でもない。太陽光発電は、所期のもくろみ通り急成長している。敢えて問題をあげるなら、「期待以上」に成果があがり、多少副作用が出ていることだ。(会員のみのため以下略)


PS(2014.12.5追加): *6のように、川内原発再稼働には鹿児島県の有権者の55%が反対だそうで、電源開発交付金に目がくらんだ知事よりも一般市民の方が合理的な判断をしている。なお、下の写真のように、太陽光発電も、瓦の形をしたり、透明なガラスになったりして建材と一体化してきており、鹿児島県は焼き物やガラスの産地であるため、徹底してこちらを進めた方が21世紀の本物の需要を満たすヒット産業を作ることができるだろう。
   
   *6より                <建材一体型の太陽光発電設備>
                   瓦型     ガラス型ビル壁面設置 ガラス型天井設置 
*6:http://qbiz.jp/article/51246/1/
(西日本新聞 2014年12月5日) 川内原発再稼働、鹿児島の有権者55%反対 本社世論調査
 地元同意手続きが完了した九州電力川内原発(鹿児島県薩摩川内市)の再稼働について、同県の有権者の55・7%が反対の考えであることが、西日本新聞社が衆院選公示に合わせて2〜3日に実施した電話世論調査で分かった。反対の比率は2012年の前回衆院選時、昨年の参院選時より増えた。伊藤祐一郎知事は同意の理由に「県民の一定の理解が進んだ」ことを挙げたが、立地県の有権者には不安がなお根強いようだ。調査によると、再稼働に「反対」は35・9%、「どちらかといえば反対」は19・8%。「賛成」は18・1%、「どちらかといえば賛成」は19・9%で計38・0%。反対派が賛成派より17・7ポイント多かった。12年12月の前回衆院選時は「政府が安全性を確認した原発の運転再開」を調査し、反対派は47・3%で、賛成派は40・7%。昨年7月の参院選時は「原発再稼働」を尋ね、反対派が48・7%、賛成派が45・2%だった。今回の調査では、男女別では女性の反対派が60・2%、男性は50・2%で、女性の方が再稼働への拒否感が強い傾向が出た。原発の立地する薩摩川内市では賛成派が44・2%、反対派が49・4%で、県全体より賛成派が多かった。支持政党別では、再稼働を推進する自民の支持層は賛成派が50・9%で反対派の43・9%を上回った。一方で公明支持層は反対派が46・5%、賛成派が37・1%で、与党支持層で賛否がねじれた。野党支持層では民主の77・8%、維新の65・3%、共産の88・1%、生活の77・9%、社民の76・7%がいずれも反対派だった。次世代の党の支持層は70・6%が賛成派。この調査結果をどう受け止めるか、県原子力安全対策課は取材に「コメントしない」とした。資源エネルギー庁原子力発電立地対策・広報室は取材に「疑問点を丁寧に説明し、再稼働への理解を求めたい」とした。調査はコンピューターで無作為に電話番号を発生させて電話をかける方式で実施、1403人から回答を得た。

| 原発::2014.10~2015.3 | 09:10 PM | comments (x) | trackback (x) |
2014.11.5 なぜ原発にこだわり、再生可能エネルギーに重点を移せないのかが重要なポイントだ (2014年11月6日、7日、9日に追加あり)
         
    赤旗         2014.6毎日新聞 2014.10西日本新聞 *3-3より  

(1)世界はあるべき方向に動いた
 *1-1のように、EUは2014年10月23日~24日未明にかけて開催した首脳会議で、2030年までに温暖化ガスの排出量を1990年比で40%削減する目標で合意したそうだが、日本は、最初に電気自動車や燃料電池車を実用化したにもかかわらず、10月24日午後に2030年までの削減目標を話し合う環境省と経済産業省による有識者会議の初会合を開くのだそうで、これによっても、日本の政治・行政の限界が明白にわかる。

 そして、EUの首脳会議では温暖化ガスの排出量だけではなく、再生可能エネルギー比率やエネルギー効率の改善でも合意がなされ、ドイツのメルケル首相は「環境保護と競争力の維持を両立させることが必要」との見識を示されたそうだ。そのため、2015年のCOP21では、フクイチ事故で原発公害による環境破壊の大きさ・深刻さを身をもって体験した日本は、原発を使わずにEU以上の目標を達成する取り組みを約束すべきだ。

 また、*1-2のように、IPCCも2014年11月2日、地球温暖化の深刻な悪影響を避けるため、21世紀末には温室効果ガスの排出量をほぼゼロにする必要があると指摘した統合報告書を発表した。その達成への代表的な道筋として、温室効果ガスの排出量を2050年までに2010年比で40〜70%削減し、今世紀末にゼロにする方法を示したとのことだが、これは、交通機関や使用するエネルギーを再生可能エネルギー由来の電力か水素に変更すれば、2050年まで待たずとも容易に達成できる。

(2)日本の政治及び政策には、環境の視点と先見の明がない
 このような中、フクイチ原発事故を経験し、まだ汚染水を垂れ流しながら収束の目途すら立っていない日本で、*2-1のように、宮沢経産相が10月23日、将来の国内の全発電量に占める原子力発電の割合について3割を下回る水準にする考えを示したそうだが、政府は、原発への依存度を可能な限り低減させるとしており、現在は原発が稼働していないのであるから、このまま原発を稼働させずに、エネルギーを再生可能エネルギー由来の電力や水素に変えていくのが、国民にとって最も安価で安全でクールな方法である。

 そのため、先見の明なき日本政府が、まるで計画経済ででもあるかのように、原子力や火力などの古いエネルギーを主体としたエネルギーのベストミックスを決めるなどということは、やめるべきである。

 さらに、*2-2のように、自民党は、原発推進を鮮明にして地元説得を復活したそうだが、*2-3の次世代型原子炉の原理である核融合は、地球から十分遠い距離にある太陽がずっと前から行っており、太陽光発電は太陽で行われている核融合エネルギーを利用しているものである。そのため、現在の原発でも大規模な公害を出して収拾できない人類が、他にクールな方法がいくらでもあるのに、発電のために地球上で核融合をやる必要はない。

 その不要な原発を推進するために、*2-4のように、政府は2014年10月24日、原発事故が起きた場合の損害賠償金の一部を各国の拠出で補う「原子力損害補完的補償条約」の締結承認案と関連法案を閣議決定し、これにより、原発事故発生時は、①過失の有無を問わず原子力事業者が賠償責任を負い ②原発メーカーは免責され ③事故発生国に一定額(約470億円)以上の賠償を義務付け ④これを超えた場合は各国の拠出金で賠償の一部を補完する国際的な賠償枠組みを構築するそうである。

 しかし、①②は、製造物責任法に照らして異常な扱いである。また③は、立地国の国民が莫大な費用を負担することになる以上、原発立地国は原発の立地や再稼働そのものを論点とした国民投票による賛成多数を要すると考える。さらに④までするには、拠出金を出す国の国民が納得できる説明が必要だ。

(3)強引な川内原発再稼働に見える日本の政治における環境と国民の軽視
 *3-1のように、九電川内原発再稼働に向け、宮沢洋一経済産業相(東大法学部卒、旧大蔵省出身)と自民党の細田博之幹事長代行(東大法学部卒、旧通産省出身)が11月3日に鹿児島県に行き、「事故が起きても国が対処する。これは約束だ」と、伊藤鹿児島県知事(東大法学部卒、総務省出身)や鹿児島県議会に理解を訴え、再稼働説明会の参加者がほぼ半数否定的であるため、住民の再稼働への批判をそらしたい伊藤知事は、会談後の記者会見で4度にわたり「感謝」の言葉を使ったそうだ。

 また、*3-2のように、川内原発の再稼働を巡って九電の瓜生道明社長と川内原発周辺8市町の首長が会談し、再稼働の同意が必要な自治体に含めてほしいといった要望や再稼働への異論は出ず、瓜生社長は終了後「一定の理解は得られたのではないか」と述べたそうだが、上の西日本新聞の図のように市議会の意見はそうではない。

 さらに、*3-3のように、環境省が認定する「環境カウンセラー」に受講が義務付けられる研修で、九州地方環境事務所は、川内原発再稼働を目指す九電の広報担当を講師として原発の必要性を説明する講習を計画しているそうで、これは日本だけでなく世界の潮流から見ても異質だ。そのため、森林保全などの活動に取り組む環境カウンセラーの女性が「とてつもない環境破壊をしたのは原発。世界が再生可能エネルギー導入に注力する中で、こんな講習をやっていては世界から冷笑される。真っ先に再生エネの買い取りを中断した九電を講師とする感覚も信じがたい」と怒ったのは、全く同感である。

(4)川内原発への火山の影響
 *4のように、日本火山学会の原子力問題対応委員会(委員長・石原和弘京都大名誉教授)は、11月2日、福岡市で開いた会合で、原発への火山の影響を評価する原子力規制委員会のガイドライン見直しを求める提言をまとめ、カルデラ噴火を含む巨大噴火の把握方法が確立されていないにもかかわらず、電力会社の監視(モニタリング)によって前兆の把握は可能としている点について「可能性、限界、曖昧さが十分に考慮されるべきだ」としたそうだ。

 また、石原委員長は、九電川内原発(鹿児島県薩摩川内市)の新規制基準適合が認められたことについて「疑問が残る」と言明し、「今後も噴火を予測できる前提で話が進むのは怖い話だ」と早期の見直しを求めたそうである。

(5)特定の人の利権を優先すれば、政治は歪むということ
 *5-1のように、衆議院議員の河野太郎氏が、2014年7月25日、自らのブログに「電力の自由化は安倍内閣の三本目の矢の目玉の一つだが、電力会社が必死にサボタージュをしようとしている」旨、書かれている。

 また、*5-2のように、九電は、4年連続最終赤字のため原発の早期再稼働に全力を尽くすそうだが、ここで忘れてはならないのは、電力会社にとって原発再稼働が利益を生むのは、上の左図のように、莫大な費用を国民が直接負担しているからである。

 この西日本新聞記事には、「川内原発が再稼働しても通期業績への影響は限定的で、玄海の本年度中の再稼働はまだ見通せないため、通期で黒字化できるかはなお微妙だ」と書かれているが、電力会社の黒字のために国民が甚大な環境破壊リスクに耐えなければならない理由はないのである。

<世界の潮流>
*1-1:http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM24H10_U4A021C1MM0000/?dg=1 (日経新聞 2014/10/24) EU、温暖化ガス30年までに4割削減 首脳会議で合意
 欧州連合(EU)は23日から24日未明にかけて開いた首脳会議で、2030年までに温暖化ガス排出量を1990年比で40%削減する目標で合意した。他の主要国に先駆けて20年以降の積極的な目標を掲げることで、国際的な議論をリードする狙いがある。日本も24日午後に30年までの削減目標を話し合う環境省と経済産業省による有識者会議の初会合を開く。首脳会議では温暖化ガスの排出量だけでなく、30年までに再生可能エネルギーの比率を全体の27%以上にすることや、エネルギー効率を当初予測より27%改善させることでも合意した。ポーランドなど一部の東欧諸国は慎重な姿勢をみせていたが、低所得国を支援することなどで折り合った。ドイツのメルケル首相は合意に向け「環境保護と競争力(の維持)を両立させることが必要だった」との認識を示した。温暖化対策を巡っては、全ての国が2015年末にパリで開催予定の国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)で20年以降の新たな枠組みを構築することを目指している。これに関連し、自主削減目標はできる限り来年3月までに示すように求められている。バローゾ欧州委員長は「主要国はEUの野心的な取り組みに追随する必要がある」と述べ、日米中なども同様に積極的な目標を示すように呼びかけた。EU内では、石炭への依存度が高いポーランドを筆頭に経済発展途上の東欧諸国が大幅な温暖化ガスの削減目標に抵抗してきた。首脳会議では、発展途上の加盟国に対して、適切な目標設定や資金支援などを通じて、経済成長に過度な負担がかからないようにする支援策を導入することでも合意した。

*1-2:http://qbiz.jp/article/49047/1/ (西日本新聞 2014年11月3日) 温室ガス、今世紀末ゼロに IPCC統合報告書、対策強化迫る
 国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は2日、地球温暖化の深刻な悪影響を避けるために、今世紀末に温室効果ガスの排出量をほぼゼロにする必要があると指摘した統合報告書を発表した。報告書の改定は7年ぶり。今の排出が続けば、グリーンランドの氷床が千年以上かけて解け、海面が7メートル上昇するような「不可逆的な悪影響」をもたらす恐れがあるとして、早急な対策強化を求めた。また来年末に合意を目指す温暖化対策の新国際枠組み交渉で焦点となる、当面の排出削減水準に関連し、人類に許される二酸化炭素(CO2)排出量は残り1兆トンと上限があることを初めて示した。国内で検討が始まった2020年以降の削減目標も、報告書に照らして妥当か、厳しく評価されることになりそうだ。報告書によると、産業革命前からの気温上昇を2度未満に抑えるとの国際目標を達成するためには、今後の累積CO2排出量を1兆トン以下に抑える必要がある。達成への代表的な道筋として、温室効果ガスの排出量を50年までに10年比で40〜70%削減し、今世紀末にゼロにする方法を示した。目標実現には再生可能エネルギーの導入などさまざまな方法があり、技術的には火力発電所からのCO2を回収し地中などに貯留する「CCS」の重要性を明示。対策が経済に与えるマイナスの影響はごくわずかで、対策が遅れるほど後で高いコストがかかるという。対策を強化しなければ、今世紀末には20世紀末と比べ平均気温が最大4・8度、海面水位が最大82センチ上昇する恐れがあると予測。海洋酸性化も進むと警告した。気温の変化に追いつけない生物は絶滅の危機にさらされ、穀物生産や魚類の分布が変わるなどして食料の安全保障が脅かされる。気候変動に伴い水害や高潮などで移住を強いられる人が増え、貧困の悪化などから紛争が起こる恐れを指摘した。

<先見の明なき日本の政策>
*2-1:http://www.yomiuri.co.jp/politics/20141023-OYT1T50105.html?from=tw
(読売新聞 2014年10月24日) 原発比率は3割未満に…経産相、具体的水準示す
 宮沢経済産業相は23日、読売新聞などのインタビューに応じ、将来の国内の全発電量に占める原子力発電の割合について「(東日本大震災前の水準の)3割を目指すことには絶対にならない」と述べ、3割を下回る水準にする考えを示した。政府は「原発への依存度を可能な限り低減させる」としているが、閣僚が具体的な水準を示したのは初めて。宮沢氏の発言は、震災前の水準近くまで原発を再稼働させることを容認する意向を示したともいえる。政府は来年中に原子力や火力などそれぞれの電源でどのくらいの電力を賄うのかを示す「最適な電源構成」(ベストミックス)を決める予定だ。これに3割未満となる数値目標を盛り込む意向とみられる。震災前の原発比率は28・6%だった。現在は原発が稼働していないためゼロ%。宮沢氏は、3割未満にする理由について「今後、廃炉になる原子炉も出てくる」と説明した。今後、一定の原発の再稼働が進む一方で、稼働から40年超の老朽原発の多くが廃炉となり、さらに原発の新増設は難しいと見ているためだ。

*2-2:http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/nucerror/list/CK2014092702000195.html (東京新聞 2014年9月27日) 自民、原発推進鮮明 地元説得へ党調査会復活
 自民党は二十六日の総務会で、三十一の調査会と二十二の特別委員会の人事を了承した。調査会では「原子力政策・需給問題等調査会」と「食料産業調査会」を新設。原子力調査会は、今冬にも予定される原発再稼働に備え、地元の説得にあたる。一年九カ月ぶりに、同党内に原発推進組織が復活した。原子力調査会の会長は、党税調会長で、次世代型原子炉とされる高温ガス炉推進議連顧問でもある額賀福志郎氏。再稼働を推進する小渕優子経済産業相が所属する派閥の会長でもあり、党側から支援する。自民党には「電源立地及び原子力等調査会」があったが、二〇一二年末の政権復帰に合わせ、「資源・エネルギー戦略調査会」に改組された。再び、原子力調査会だけ分離独立させる。経産省は今月、原子力規制委員会の安全審査を通過した九州電力川内原発一・二号機(鹿児島県)について、再稼働を進める方針を立地自治体に伝達した。川内のほか、関西電力高浜原発(福井県)や九電玄海原発も安全審査を通過すれば、再稼働させる予定。

*2-3:http://www.nikkei.com/article/DGXMZO75649390U4A810C1000000/
(日経新聞 2014/8/16) 夢の核融合発電 実験設備でうねる「大蛇」の正体
■銀色にうねる真空トンネル
 実験棟に入ると、銀色に輝く複雑そうな巨大装置が所狭しと並んでいた。「大型ヘリカル装置」という実験設備だ。プラズマを発生させる真空容器はドーナツ状で、直径8メートル(装置外径は13.5メートル)。そこから放射状に飛び出す突起のように、加熱装置、冷却装置など各種装置が取り付けられている。現在、11月の実験再開に向けてメンテナンス中だ。その内部は、くねる金属製パイプがいぶし銀のように光るトンネルだった。さながらSFに登場する近未来都市のような印象だ。実験時には超電導磁石を使うためマイナス270度まで冷やされ、内部は真空にされる。この真空トンネル内に宙に浮かすようにプラズマを発生させる。不純物のない状態を保つためメンテナンス作業も半導体工場のようなクリーンルーム用作業服を着用する。この装置を使って核融合に必要な超高温プラズマの磁場閉じ込めの研究を続けているのが、大学共同利用機関法人「核融合科学研究所」。1998年に実験を開始した。真空トンネルは、うねる2匹の大蛇がドーナツをらせん状に取り巻くような形をしている。ドーナツに多数のリングを取り付けるように、プラズマを閉じ込める磁石を取り付けるトカマク方式が世界の主流だが、日本独自のヘリカル(らせん)方式で挑んでいるため独特の形状をしている。
■太陽より熱い1億2000万度を目指して
 核融合とは、水素など軽い原子核を融合して重い原子核を作り出す原子核反応。その際、質量がわずかに減少し大量のエネルギーを放出する。太陽のエネルギー源でもあり、これを地上で再現できれば無限のエネルギーが取り出せるとして各国で研究が進められてきたが、長年の研究にもかかわらず実現には至っておらず、最近の新エネルギーの議論でも取り上げられることが少なくなっていた。核融合を地上で再現、持続させるには、超高温・高密度などの3条件を同時達成する必要がある。核融合点火に必要な温度は1億2000万度。太陽の中心1500万度よりもはるかに高温だ。核融合科学研究所では昨年、9400万度を達成、またプラズマを持続させた時間も2300万度のプラズマだが48分間維持することに成功、目標に一歩近づいた。核融合研究所は現在、水素を使って研究しているが、2016年から重水素を使った実験を始める計画。重水素を使うと水素よりも1.4倍の高温を出せることが海外の研究でわかっており、2、3年で目標の1億2000万度の達成を目指す。

*2-4:http://mainichi.jp/select/news/20141024k0000e010173000c.html
(毎日新聞 2014年10月24日) 原発:賠償金拠出法案を閣議決定 メーカー免責を後押し
 政府は24日、原発事故が起きた場合の損害賠償金の一部を各国の拠出で補う「原子力損害補完的補償条約」の締結承認案と関連法案を閣議決定した。今国会中の承認を目指す。条約は事故発生時、過失の有無を問わず、原子力事業者が賠償責任を集中して負うとする。一方、原発メーカーは免責されるため、日本の原発輸出を後押しする環境整備との批判もある。事故発生国には一定額(約470億円)以上の賠償を義務付け、これを超えた場合は各国の拠出金で賠償の一部を補完する国際的な賠償枠組みを構築する狙いがある。日本の拠出金は現状では約40億円。

<川内原発再稼働へ>
*3-1:http://qbiz.jp/article/49056/1/ (西日本新聞 2014年11月4日) 再稼働 必死のお膳立て 宮沢経産相鹿児島入り 「事故、国が責任持ち対処」 県は責任回避へ渡りに船
 「事故が起きても国が対処する。これは約束です」−。九州電力川内原発の再稼働に向けて、宮沢洋一経済産業相と自民党の細田博之幹事長代行が3日、鹿児島県入りし、伊藤祐一郎知事や県議会に理解を訴えた。再稼働へ残る関門が県議会と知事の地元同意になった中、再稼働を急ぐ政府、与党が一体となって“お膳立て”に動いた。住民に渦巻く再稼働への批判をそらしたい県側とも思惑が一致した形だ。「おいでいただき感謝します」。宮沢経産相を出迎えた伊藤知事は会談後の記者会見で4度にわたり、「感謝」の言葉を使った。面会した池畑憲一議長ら県議4人もそろって「わざわざありがとうございます」と握手。地元同意の露払い役を務めることになった宮沢経産相を歓待した。「万が一事故が起きても、国が責任を持って対処する」。宮沢経産相は伊藤知事に国の責任を強調。「鹿児島県には長年にわたり原子力政策にご協力いただき、感謝申し上げる」と配慮も見せた。政府内には、原発停止が長期化することへの警戒感が強まっている。昨年7月に始まった原子力規制委員会の審査が予想以上に長引き、原発依存度が高かった電力会社の経営は軒並み悪化。電気料金の値上げの動きが相次ぎ、東日本大震災前に比べて電気料金は全国平均で家庭向けが約20%、企業向けが約30%上昇した。消費税増税の影響で、景気回復を目指す「アベノミクス」の足元がふらついているところに、電気料金の負担増がさらに足を引っ張りかねない。こうした懸念を背景に、宮沢経産相は「電気料金の負担増で企業から悲鳴が上がっている」と訴えた。また、自民党県議団に再稼働への協力要請をした細田幹事長代行は「県議団の要望は党本部に伝える。安倍総理にもみなさんのご苦労に応えるよう伝える」と終始、低姿勢だった。県連幹部は「これで造反は抑えられる」と満足そうに語った。小渕優子前経産相が「政治とカネ」の問題で辞任した問題も、浅い傷で済んだ形だ。経産省幹部はこう言い放った。「政府の最重要課題は原発再稼働。誰が大臣でも現地に入ってもらうことになっていた」。鹿児島県庁前ではこの日、厳重な警備体制の中、再稼働に反対する市民約70人がのぼりや横断幕を掲げて宮沢経産相を待ち受けた。県が開いた再稼働説明会の参加者の感想は、ほぼ半数が否定的だったことなどを踏まえ、鹿児島市の「反原発・かごしまネット」の杉原洋さん(66)は「国も知事も県議会も、県民の意見を無視して手続きを進めている。鹿児島県民がみんな賛成だと思われては困る」と訴えた。

*3-2:http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS04H34_U4A101C1EE8000/?dg=1
(日本経済新聞 2014/11/4) 川内原発、再稼働に異論出ず 九電社長と周辺市町会談
 九州電力川内原子力発電所(鹿児島県薩摩川内市)の再稼働を巡り、同社の瓜生道明社長と周辺8市町の首長との会談が4日終わった。再稼働の同意が必要な自治体に含めてほしいといった要望や、再稼働への異論は出ず、瓜生社長は終了後「一定の理解は得られたのではないか」と述べた。一方、鹿児島県議会で最大会派の自民党県議団は4日、総会を開いた。原発から30キロ圏の選出県議から住民の不安を訴える意見があり、5日に再び総会を開いて再稼働に対する意見を集約する。

*3-3:http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014110490071057.html (東京新聞 2014年11月4日) 国認定 環境カウンセラー 「原発の必要性」研修計画 講師は九電広報担当
 環境問題への意識を高めてもらおうと、環境省が認定する「環境カウンセラー」に受講が義務付けられる研修で、九州地方環境事務所(熊本市)が、原発の必要性を説明する講習を計画していることが分かった。講師は川内(せんだい)原発(鹿児島県)の再稼働を目指す九州電力の広報担当で、違う立場の講師は招かれない。一方的とも取れるやり方に、現役カウンセラーから疑念の声が上がる。研修は、環境省の出先機関である地方環境事務所計八カ所で十一~十二月に開かれるが、十一月十七日開催の九州での内容は異質さが際だっている。九州地方環境事務所によると、午前中は、受講者全員が九州大教授による「放射能と放射線の基礎知識」と題する講演を聴く。午後は四分科会に分かれ、それぞれ講師を囲み議論する。参加申し込みのある四十人のうち、約三十人が出席する第一分科会のテーマは「原発の必要性」。九電の広報担当者が、原発は電力の安定供給や二酸化炭素削減に役立ち、環境問題の「回答」になると強調するという。残る三分科会のテーマは地球温暖化や生物多様性、大気汚染。グループ討論の中で、九電の言い分とは違う結論に流れる可能性もあるが、第一分科会を選んだ人は、原発関連の内容しか学ばないことになる。九州以外の環境事務所での研修内容は、バイオマス熱利用や環境教育など。福島会場は現地の最大の環境問題である放射能汚染がテーマで「完了が見えない現場」として除染問題を議論する。本紙の取材に、九州地方環境事務所の担当者は「誘導する意図はない。川内原発の再稼働にからめて時事的な問題を扱った。九電の話を聞いて『考え方は違う』という議論が起きるかもしれない」と話した。環境省環境教育推進室は「内容を承知していないので答えられない。今回の研修は『持続可能な開発』のための視点を入れてもらいたいという依頼はしたが、原発の必要性をテーマにするようには言っていない」とコメントした。一方、森林保全などの活動に取り組んできた環境カウンセラーの女性(67)は「とてつもない環境破壊をしたのは原発。世界が再生可能エネルギー導入に注力する中で、こんな講習をやっていては世界から冷笑される。真っ先に再生エネの買い取りを中断した九電を講師とする感覚も信じがたい」と怒った。
<環境カウンセラー>学校や地域の環境学習で講師を務めたり、企業の環境保全活動のアドバイス役を担う。国家資格ではないが、環境分野での活動実績が4年以上ある人を対象に、環境省が論文と面接で審査し、合格すると登録される。昨年度の合格率は約35%。登録期間は3年で更新手続きが必要。最初の更新には、今回のような研修の受講を義務付けられる。生態系や公害、資源・エネルギーなど12分野で約3800人が登録されている。

<川内原発への火山の影響>
*4:http://qbiz.jp/article/49048/1/ (西日本新聞 2014年11月3日) 原発審査基準見直し要請 火山学会委「川内の適合も疑問」
 日本火山学会の原子力問題対応委員会(委員長・石原和弘京都大名誉教授)は2日、福岡市で開いた会合で、原発への火山の影響を評価する原子力規制委員会のガイドライン見直しを求める提言をまとめた。カルデラ噴火を含む巨大噴火の把握方法が確立されていないにもかかわらず、電力会社の監視(モニタリング)によって前兆の把握は可能としている点について「可能性、限界、曖昧さが十分に考慮されるべきだ」としている。会合後、取材に応じた石原委員長は、このガイドラインに基づいて九州電力川内原発(鹿児島県薩摩川内市)の新規制基準適合が認められたことについて「疑問が残る」と言明。「今後も噴火を予測できる前提で話が進むのは怖い話だ」と早期の見直しを求めた。提言は、桜島の大正噴火を1桁上回る規模の巨大噴火の予測と監視に関するもの。巨大噴火の対応策については「関係省庁を含めた協議の場を設ける必要がある」と指摘。その結果を踏まえ「原発の安全性向上に活用するのが望ましい」などとし、規制委主導で議論が進むことをけん制した。提言は今後、学会ホームページに掲載する予定。

<電力会社の利権>
*5-1:http://www.taro.org/2014/07/post-1502.php
(衆議院議員 河野太郎 2014年7月25日) 電力会社の利権を守る戦い
 電力の自由化は安倍内閣の三本目の矢の目玉の一つだ。が、電力会社が必死にサボタージュをしようとしている。例えば楽天リサーチによるインターネット調査によれば、男性の25%、女性の33%が「電気代に関わらず原発を保有する従来の電力会社を選択したくない」と答えている。数字はともかく、それなりの数の消費者が自由化されれば電力の購入先を変えたいと思っているのはまちがいないだろう。そこで問題になるのは、携帯電話を乗り換えるようにワンストップで電力会社を乗り換えられるようになるかどうかだ。専門家によれば、乗り換えは簡単で、自宅の電力のメーターの番号を新しい電力会社に通知すれば手続きは終わるそうだ。しかし、これに既存の電力会社が難色を示し、なりすましの恐れがあるからきちんと確認ができるようにしないとだめだと主張している。そもそも現在の電力のメーターは、検針員が確認をするために屋外に設置され、そのために雨風をしのぐためのスペックが必要になっている。屋外の人の目に触れるところに設置してあるメーターだと、誰でも番号を読み取って、なりすますことができるから、様々な対策が必要だというのが既存勢力の主張らしい。しかし、現在の通信環境であれば、屋内の配電盤に小さいメーターを設置し、データを飛ばせばよいので、誰でも番号を読み取ってなりすますことができないようにすることは簡単だ。もう一つの問題は、電力会社が作ろうとしているスマートではないメーターだ。家庭用を中心とした低圧のスマートメーターを、電力会社はバケツリレー方式、俗にいうマルチホップ方式と呼ばれるものでやろうとしている。三十分間の電力使用量をはじめとするデータを、次の四時間以内に送りますという仕様だ。電力消費量のデータが四時間経たないとわからなければ、ピークカットに役立たない。現状でも大口の高圧のデータは、三十分間のデータを次の三十分の間に送ることができる。高圧でできることを低圧ではやらないというのはおかしい。しかも電力会社は、電力の小売り会社に対して電力に関して需要と供給が三十分同時同量になることを求め、そこに差が出てくるとペナルティーを課している。それなのにデータがリアルタイムに取れないシステムをつくろうというのは...。電力料金の計算は、関東と関西で違う。関東ではブレーカー値に基づいた基本料金があり、それに従量料金が加わってくる。ブレーカーによって最大電力量が決まる。関西ではブレーカー値がなく、最低料金に従量料金が加わって料金が決まる。スマートではないメーターの統一仕様にはブレーカー値が入っていない。電力会社は、今までのやり方を踏襲したいだけで、新しくどんなサービスができるようになるかという視点でスマートメーターの仕様をつくっていない。電力自由化に必要なスマートなメーター、スマートなグリッドに作り替える必要がある。経産省は、どうやら電力自由化と言いながら、こうしたことを見て見ぬふりしている。経産大臣は、総理を見ているのか、電力業界を見ているのか。

*5-2:http://qbiz.jp/article/48989/1/ (西日本新聞 2014年11月1日) 九電、4年連続最終赤字「原発の早期再稼働に「全力」 9月中間連結
 九州電力が31日発表した2014年9月中間連結決算は、原発全6基の停止に伴う火力燃料費が収支を圧迫し、中間期として4年連続の最終赤字となった。ただ、再稼働の前提となる原子力規制委員会の審査が最終盤に入った川内原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)は地元同意を経て今冬にも再稼働する見込みで、玄海原発3、4号機(佐賀県玄海町)も審査のヤマ場を越えつつある。この4基が再稼働すれば経営は劇的に好転することから、九電は再稼働の早期実現に向けて引き続き全力を傾ける構えだ。中間決算は、昨春の電気料金値上げの効果で増収となり、経常損益の赤字幅も前年同期より57%圧縮したが、資産売却の特別利益が減ったことから最終赤字幅はほぼ前年並みだった。中間配当は3年連続で見送り。通期の損益予想は、原発再稼働時期が不透明なことを理由に公表を見送った。昨春値上げした電気料金の原価に織り込まれている経費削減(単体ベース)は、設備修繕費の先送りなどで1430億円を達成。本年度計画(1350億円)を既に上回り、前年同期と同水準となった。8月に日本政策投資銀行を引受先とする議決権がない優先株を発行し1千億円を調達したため、財務の健全性を示す自己資本比率(連結)は9月末時点で11・6%と3月末より1・1ポイント改善。東日本大震災前と比べると低水準であることに変わりないが「現時点で優先株の追加発行などは考えていない。資金調達は何とかできている」(瓜生道明社長)。原発4基の再稼働への道筋がおぼろげながらも見え始め、経営の先行きにも薄日が差しつつある。原発再稼働に伴う収支改善効果は、川内の2基で月200億円、玄海の2基で月300億円と見込まれる。だが、川内が再稼働しても通期業績への影響は限定的で、玄海の本年度中の再稼働はまだ見通せない。通期で黒字化できるかはなお微妙だ。


PS(2014.11.6追加):*6のように、「火山の噴火予測の限界などを考慮していないので、原子力規制委員会の審査基準を見直すべきだ」と日本火山学会の委員会が提言したのであれば、審査基準が不備だったのだから、これを見直すべきだ。何故なら、不備な審査基準に従った審査を通っても、安全は保証されないからである。
 これに対し、田中委員長が「①とんでもないことが起こると平気で言わず ②必死になって夜も寝ないで観測して頑張ってもらわないと困る」と語ったのは支離滅裂だ。何故なら、①は言わなければならない客観的事実で、②は原発のために噴火予知することを目的として火山学者になった人はおらず、夜も寝ないで観測すれば“過労死”となり、これを権力で強要すればパワハラになるからである(笑)。

*6:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11440613.html?_requesturl=articles%2FDA3S11440613.html&iref=comkiji_txt_end_s_kjid_DA3S11440613
(朝日新聞 2014年11月6日) 「火山、寝ないで観測して」 原子力規制委員長、学会提言に反論
 巨大噴火の予測を巡り、原子力規制委員会の審査基準を見直すべきだとした日本火山学会の委員会の提言について、規制委の田中俊一委員長は5日の定例会見で、「今さらそんなことを言うのは、私にとっては本意ではない」と述べた。巨大噴火は、九州電力川内原発(鹿児島県)の審査で論点になった。九電は審査で、稼働期間中に巨大噴火が起こる可能性は十分低く、起こるとしても変化をとらえて事前に核燃料を運び出すとし、規制委も審査基準を根拠に追認した。この基準が噴火予測の限界などを考慮していないとして、火山学会は見直しが必要とする提言を出した。これに対し田中委員長は「とんでもないことが起こると平気で言わず、必死になって夜も寝ないで観測してがんばってもらわないと困る」と語った。


PS(2014.11.7追加):*7の記事については、国際エネルギー機関のマリア・ファンデルフーフェン事務局長は経産省と繋がりが深く、「日本は原発の早期再稼働を」等は申しあわせた発言であることが明らかである上、日経新聞は、記者の質問の仕方や記事の編集方針も原発推進である。
 その上、「日本が太陽光発電に資金をつぎ込みすぎているのは明白だ」とも言ったとのことだが、それなら、①これまで原発に電気料金と国費をいくらつぎ込んできたか ②これまで太陽光発電に電気料金と国費をいくらつぎ込んできたか ③これからそれぞれにいくらつぎ込まなければならないか という同次元の比較をしておくべきだが、これら客観的で同次元の比較は日本では全くなされていないのだ。
 つまり、ただ“権威”を借りて言わせているだけであり、こういうことを続けていると、国際エネルギー機関と経産省の“権威”がなくなるだけである。

*7:http://www.nikkei.com/article/DGXLASDF06H12_W4A101C1EE8000/
(日経新聞 2014/11/6) IEA事務局長「日本は原発の早期再稼働を」
 国際エネルギー機関(IEA)のマリア・ファンデルフーフェン事務局長は6日、日本経済新聞に対し「日本が原子力発電所を早期再稼働できることを願う」と述べた。ファンデルフーフェン事務局長は液化天然ガス(LNG)の国際会議に出席するため来日した。日本が東日本大震災以降、火力発電の燃料として高値のLNGを輸入していることを踏まえ「LNGはいずれ売り手市場から買い手市場になる」と指摘した。米国産の割安なシェールガスなどで世界的にLNGの需給が緩むほか、原発や石炭火力、再生エネなど他のエネルギー源との競合で、LNG価格が今後下がるとの見通しを示した。再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度については、「日本が太陽光発電に資金をつぎ込みすぎているのは明白だ」と断じた。そのうえで「ドイツの制度改正を見習い、買い取り量などに規制をもうけるべきだ」と指摘した。


PS(2014.11.9追加):私は前からこのブログに記載しているが、*8のように、疫学の専門家である津田教授も「①累積100mSV以下の被曝でも癌は発生する」「②WHOが2013年の報告書で福島県で甲状腺癌や白血病が増える可能性があると予想している」「③その事実が知らされていないため、放射線から身を守るための建設的な議論がストップしている」「④放射能は県境で遮断されるわけではない」とされており、こちらが医学の常識だ。そして、「都合の悪いことは隠す」という日本政府の態度は、すべての事柄で同じであり、物事の根本的な解決を阻んでいる。

*8:http://www.tokyo-np.co.jp/article/tochigi/20141108/CK2014110802000179.html (東京新聞 2014年11月8日) 原発事故の健康影響「検査態勢の充実必要」 国見解否定の津田教授講演
 東京電力福島第一原発事故後の健康影響を考える集会が六日夜、宇都宮市の県総合文化センターで開かれ、「ただちに健康影響はない」とする政府見解に異を唱えてきた津田敏秀・岡山大大学院教授(環境医学)が講演した。県内外の医療関係者や放射線に関心がある市民ら約六十人が耳を傾けた。講演は、全国の医師や研究者が集まる「日本公衆衛生学会」(五~七日)の自由集会内で行われた。津田教授は、疫学の専門家である立場から、チェルノブイリの原発事故後のデータなどを基に、国の有識者会議などが支持している「(累積で)一〇〇ミリシーベルト以下の被ばくでは、がんの増加が確認されていない」という見解を否定した。世界保健機関(WHO)が二〇一三年の報告書で、福島県で甲状腺がんや白血病が増える可能性があると予想していることも報告。「こうした事実が知られていないため、放射線から身を守るための建設的な議論がストップしている」と警鐘を鳴らした。福島県に隣接する栃木県についても「放射能は県境で遮断されたわけではない」と、検査態勢を充実する必要性を主張。健診だけでは受診率が下がるため、全市民に手帳を配布するなどして、経過を記録しやすくする方法を提案した。


PS(2014.11.9追加):栃木県塩谷町の最終処分場候補地に選定された場所は、豊かな水源の里である。そのため、人間の健康、環境、生物に詳しい栃木県内のすべての医師会が、「命の源である水源地を汚染し、未来に残すべき自然環境を破壊し、住民の健康を阻害する可能性のある放射性廃棄物の最終処分場の建設に断固として反対する」と宣言し、この宣言を環境省に提出するのは重要なことだ。

*9:http://www3.nhk.or.jp/lnews/utsunomiya/1093016391.html
(NHK 2014年11月9日) 最終処分場 医師会が反対宣言
 東京電力福島第一原子力発電所の事故に伴って発生した放射性物質を含む指定廃棄物の最終処分場を巡り、栃木県の医師会は、県内の候補地に選定された塩谷町での建設に反対する宣言を取りまとめました。宣言を取りまとめたのは、およそ2100人の医師が加入する県医師会をはじめとした、県内のすべての医師会です。県医師会によりますと、今月1日に県内の医師会の会長らが出席して開かれた会合で、指定廃棄物の最終処分場の県内の建設候補地として国が塩谷町を選定したことが議題となり、これに反対する宣言が全会一致で決議されたということです。宣言は、候補地が豊かな水源に隣接しているとしたうえで、「命の源である水源地を汚染し、未来に残すべき自然環境を破壊し、住民の健康を阻害する可能性のある放射性廃棄物の最終処分場の建設に断固として反対する」としています。栃木県医師会などは、この宣言を、近く環境省に提出することにしています。

| 原発::2014.10~2015.3 | 12:23 PM | comments (x) | trackback (x) |
2014.10.22 川内原発再稼働は合理的ではなく、原発のコストも安くないということ
     
 原発のコスト       廃炉費用の負担について

(1)川内原発は、再稼働ありきの形式的手続ではいけない
 *1-1のように、川内原発の安全審査に関する住民説明会が行われたが、新規制基準は自然災害やテロ対策、放射性物質拡散防止を求めているものの、それはまだ実践されていない。また、原子力規制庁担当者は、「100%安全とは言えない」と繰り返すが、原発の場合は、事故時の影響が膨大であるため、100%安全でなければ稼働は許されない。

 しかし、川内原発再稼働に関する住民説明会での質疑は、技術的な審査に関するものだけで、避難計画や地元同意の範囲など住民の関心が高い事項が受け付けられず、インターネット中継も禁止されたため、説明会の様子を視聴できたのは薩摩川内市の人口の1%に限られたそうだ。薩摩川内市の岩切市長は、「規制庁は細かく説明してくれた」と評価し、住民説明会の追加開催を否定したそうだが、日本全国の住民が、より丁寧な質疑を望んでいる。

 なお、*1-2のように、新規制基準への適合性審査に合格した九電川内原発について、鹿児島県と鹿児島県内の5市町で開いた住民説明会では、A4判両面印刷のアンケート用紙が配られたが、設問はわずか6つで、そのうち3つは性別など回答者の属性を尋ねる内容であり、原発に関わるのは説明会で理解できなかった項目を選ぶ1問だけだったそうだ。そして、再稼働への意見を聞く設問は全くなく、鹿児島県は「理解不足の項目を確認し、情報提供の方法を検討する(原子力安全対策課)」と説明しているが、内容の理解と再稼働の支持は同義ではないのに、鹿児島県の住民は馬鹿にされたものである。

 こうした行政の姿勢は「再稼働ありき」で住民を原発の議論から遠ざけ、立地自治体の薩摩川内市以外での原発30キロ圏(本当は、30キロ圏内だけが地元でもない)の4会場は参加希望者が定員の4~8割程度で、さつま町は定員の半数にも満たなかったそうだ。そして、その中には「いくら意見を言っても無駄」「公開討論会を開いてほしい」「住民投票をやるべきだ」などの意見がある。

 また、*1-3のように、薩摩川内市での住民説明会は、「良くなかった」という意見が約5割で、「良かった」の約3割を上回った。そして、*1-4のように、薩摩川内市議会の特別委員会には、再稼働に反対する市民ら約70人が傍聴に詰めかけ、約40人が傍聴席の抽選から漏れて市側と小競り合いになり、熊本県水俣市の会社員は、「再稼働は薩摩川内市だけの問題ではない。傍聴希望者を全て受け入れて審議すべきだ」と話したとのことである。 

(2)薩摩川内市議会、薩摩川内市長の動向について
 薩摩川内市は、*1-5のように、10月28日に臨時議会を開いて、再稼働をめぐる賛成と反対の陳情が採決され、賛成の陳情が採択される見通しで、これを受けて岩切市長も同日中に再稼働への同意を表明する見込みとのことだ。岩切市長は20日の記者会見で「再稼働は市民の元気を取り戻す一つの方法」と述べたそうだが、原発にそのような前向きな発言ができるのは、私には、不勉強で無責任としか思えないが、これが現在の鹿児島県の状況である。

(3)原発から出る高レベル放射性廃棄物の最終処分について
 *2に書かれているように、原発から出る高レベル放射性廃棄物の最終処分に関して、日本学術会議が「新たに生じる放射性廃棄物の対策が曖昧なまま、原発を再稼働するのは将来世代に対し無責任」と指摘しており、これには賛成だ。しかし、「原発に対する現在世代の責任を強調している」ことについては、責任は現在世代の全員にあるのではなく、強引に原発を進め再稼働に積極的な人たちにあることを明確にすべきだ。何故なら、電気を使った人にも責任があるという意見もあるが、電気は原発でしか作れないわけではなく、需要者には発電方法の選択権がない地域独占システムだったからである。

 また、日本学術会議は、「暫定保管を各電力会社の管内とし、保管する期間は一世代に相当する30年を一区切りとした」とのことだが、①拡散して保管することによるリスク増大 ②分散して保管することによる費用増大 ③保管にかかる総予算 ④諸外国の事例 を明らかにすべきである。そして、拡散した暫定的保管にカネをかけ、さらに最終処分場にカネをかけた場合、全体として原発のコストはいくらになるのかを考えるべきである。私は、そのカネと労働力を最大限節約して、本当に将来の地域振興に役立つインフラに投資した方が、根本的に地方の問題を解決する手段になると考えている。

(4)原発事故の賠償金について
 *3に書かれているとおり、フクシマ原発事故で、原発が事故を起こせば巨額の賠償金が必要になることが分かったのに、事故への備えが不足したまま、九電川内原発が再稼働に向かうことになっており、これを現在世代全員の責任にされてはたまったものではない。さらに、原発の輸出促進を狙った「原子力損害の補完的補償に関する条約」も国民負担になっており、とんでもない話だ。

 福島事故では、11兆円を超える損害が生じる見通しだが、現行の原賠法による事故の備えは1200億円の保険金だけで、福島事故の不足分は国が一時的に肩代わりした。しかし、本来は、私的企業である電力会社が責任を持つべきであり、損害賠償のためには保険掛金を拡充すべきなのである。

(5)廃炉について
 *4-1、*4-2に書かれているように、運転開始から39年の玄海原発1号機を廃炉にするか、存続して再稼働させるかを検討しているそうだが、原発のように絶対に事故を起こしてはならない固定資産の耐用年数を、延長申請すれば40年から60年まで延長できるとするのが、そもそも乱暴すぎる。そのため、検討するまでもなく廃炉にすべきだ。

(6)原発解体費が4割も不足しているとは・・
 *4-3に書かれているように、原発の解体費が4割不足しているそうだが、解体費用や廃炉費用は発電して電力を供給している期間に廃炉引当金(そもそも“積立金”という認識が誤り)を積み、毎年の引当金繰入額は、発電費用として電気料金で回収するのがあるべき会計処理である。そのため、現在、引当金が6割に満たないのであれば、これまで電力会社は解体費の見積もりを誤っていたことになる。

 もし、予定外の廃炉による巨額の損失があれば、それは特別損失として一括処理するのがあるべき会計処理だが、災害によるものは、臨時巨額の損失として繰り延べ、できるだけ早く償却する方法もある。しかし、それは、5年以内に償却するのが普通であり、10年という事例は他にはない。

 また、電力会社が負うべき解体費用を国民に転嫁するのは、(国策変更で予定外に早く廃炉する部分を除き)筋が通らない。そのため、解体費用を負担できないのなら、原発のコストは安くないのだから、早々に原発から撤退するのが普通の経営判断である。

(7)最終処分場について
 高レベル放射性廃棄物の最終処分に関する費用も、発電して電力を供給している期間に高レベル放射性廃棄物処理引当金を積み、毎年の引当金繰入額は、発電費用として電力料金に入れるべきだったのであり、ここまで含めて安くなければ、「原発のコストは安い」と主張することはできない。

 そして、最終処分場建設費も、本来は電力会社が負うべき処理費用を国民に転嫁しようとしているもので、それは筋が通らない。もし、その費用も負担できないようなら、原発のコストは決して安くはないため、国民にこれ以上の迷惑をかけないよう、早々に原発から撤退すべきである。

          
 使用済核燃料保管量  除染と中間貯蔵       最終処分場

*1-1:http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201410/20141020_13007.html (河北新報 2014.10.20) 質疑打ち切りに反発/(上)住民説明 内容限定不安消えず/再稼働の行方・九州川内原発ルポ
 川内原発の安全審査に関する住民説明会。会場では安全性への不安の声が相次いだ=9日、鹿児島県薩摩川内市 鹿児島県薩摩川内市にある九州電力川内原発が国の新規制基準適合性審査(安全審査)に合格し、国内第1号となる再稼働に向けた手続きが着々と進む。福島の事故で増幅された地域の不信と不安に、自治体はどう向き合おうとしているのか。住民説明会が開かれた現地を訪れ、東北での課題を探った。(原子力問題取材班)
<何のため>
 1時間の質疑を終えて残ったのは反発と不満だった。薩摩川内市で9日夜にあった住民説明会。「何のために開催したのか。もっと丁寧に市民の声を聞くべきだ」。終了後、原発から12キロの地域で自治会長を務める川畑清明さん(58)が吐き捨てるように言った。説明会は再稼働への同意、不同意の判断を迫られる県と市が共催した。地元住民への説明は法的に定められていないものの、理解促進を目的に独自に企画された。2013年7月施行の原発新規制基準は、自然災害やテロの対策、放射性物質の拡散防止を求めている。福島の事故を踏まえて基準が厳格化されたとはいえ、住民の不安解消は容易ではない。「絶対安全には到達できない。できるだけリスクを抑える審査をした」。原子力規制庁担当者の発言に、満席の会場がざわめく一幕もあった。質問に立った女性の一人は「福島の事故が収束しておらず、説明に説得力があると思っているのか」と詰め寄った。住民が原発再稼働と向き合う貴重な機会のはずが、質疑は途中で打ち切られた。内容は原則、審査結果に関するものに絞られた。避難計画や地元同意の範囲など、住民の関心が高い事項は受け付けられなかった。開催は原発30キロ圏を含む5市町で各1回限り。薩摩川内市の場合、出席できたのは約1000人。全人口の1%にとどまった。
<市長は評価>
 十分な対話が尽くされたとは言い難いものの、行政サイドは再稼働に向けた地元手続きを着々と進めている。川内原発をめぐる焦点は、既に首長や地方議会の判断に移ろうとしている。一夜明けた10日、記者会見した岩切秀雄市長は「規制庁は細かく説明してくれた」と評価。次は「市議会の意向を聞く」と語り、住民説明会の追加開催は否定した。現在、東北電力の女川原発2号機(宮城県女川町、石巻市)と東通原発1号機(青森県東通村)も安全審査を受けている。基準を満たしていると判断されれば、地域で原発の是非をめぐる議論が再燃するのは必至だ。先行する鹿児島の動向は参考事例となる。深刻な原発災害が今も続く中、どんな対応が東北で求められるのか。より丁寧な住民説明が欠かせないのは明らかだ。立地自治体となる宮城県の担当者は「(放射性物質の飛散など)福島の事故の影響が及んでいる。手続きを慎重に検討したい」と話している。川内原発]加圧水型軽水炉(PWR)の1号機が1984年、2号機が85年に営業運転を開始した。出力はともに89万キロワット。東日本大震災後、2011年9月までに2基とも運転を中止した。運営する九州電力は13年7月、原子力規制委に適合性審査を申請。ことし9月に全国で初めて適合が認められた。

*1-2:http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201410/20141021_13011.html (河北新報 2014年10月21日) 是非問う機会設けず/(中)民意集約/「結論ありき」批判も/再稼働の行方・九州川内原発ルポ
<同意の思惑>
 国の新規制基準適合性審査(安全審査)に合格した九州電力川内原発。鹿児島県などが県内5市町で開いた住民説明会では、A4判両面印刷のアンケート用紙が配られた。設問はわずか六つで、うち三つは性別など回答者の属性を尋ねる内容。原発に直接関わるのは1問しかなかった。それも「(地震や津波対策など)説明会で理解できなかった項目」を選ぶだけ。再稼働への意見を聞く設問は全くない。集計結果がどう活用されるかも見通せない。県は「理解不足の項目を確認し、情報提供の方法を検討する」(原子力安全対策課)と説明するにとどまる。本来、審査結果に対する理解と再稼働支持は同義ではない。アンケート項目の乏しさには「審査内容への理解が進めば再稼働に同意できる」との県の思惑が透けている。
<低い出席率>
 こうした行政の姿勢は「再稼働ありき」と映り、住民を原発議論から遠ざける恐れがある。説明会の全5会場のうち、定員を超す応募があったのは立地自治体の薩摩川内市だけ。原発から半径30キロ圏の4会場は希望者が定員の4~8割程度。平日の夜間開催という事情を勘案しても、高い出席率とは言い難い。さつま町は定員の半数に満たなかった。町内で眼鏡店を経営する山内義人さん(63)はあえて出席を見送った一人だ。「再稼働の是非で激論を交わすべきだが、行政側は強引に手続きを進めてしまっている。意見をいくら言っても無駄だ」。山内さんは諦め顔を見せた。「公開討論会を開いてほしい」「住民投票をやるべきだ」。複数の会場でこうした意見も出たが、県側は否定的な姿勢を崩さなかった。説明会について、伊藤祐一郎鹿児島県知事は「一般的な形では理解が進んだ」と話す。住民の意見を集約する機会がないままに、再稼働をめぐる手続きは最終局面を迎えようとしている。
<有志尋ねる>
 経済性や安全性など、原発を評価する住民の尺度は一様ではない。同意、不同意の判断を迫られる自治体は、多様な価値観をくみ取る努力が欠かせない。東北では再稼働の判断に向けた取り組みが進む。東北電力女川原発の地元、宮城県女川町の町議有志が今、2500世帯を対象に女川原発再稼働の賛否を尋ねている。12月には県と町に結果を報告する。企画者の一人、高野博町議(71)は「原発は一般の行政課題と異なる。首長や議員だけで決められる問題ではない」と指摘する。

*1-3:http://qbiz.jp/article/48068/1/
(西日本新聞 2014年10月20日) 川内の住民説明会 「良くなかった」5割
 九州電力川内原発の再稼働をめぐる陳情審議があった20日の鹿児島県薩摩川内市議会特別委員会で、市が原発の安全性に関する住民説明会出席者へのアンケート結果を説明した。説明会の感想は、「あまり良くなかった」(34%)と「良くなかった」(14%)を合わせると約5割で、「まあまあ良かった」(23%)と「良かった」(8%)の合計の約3割を上回った。「普通」は22%だった。説明会はほかに原発30キロ圏4市町であり、20日夜の同県いちき串木野市で終了する。伊藤祐一郎知事はアンケート結果を同意判断の材料にするとしているが、立地自治体の薩摩川内市で否定的な傾向が出たことで、ほかの4市町の結果が注目される。薩摩川内市の説明会は9日、市民を対象に開かれ、736人がアンケートに回答した。理解できなかった項目を選択する設問(複数回答可)では、「原子炉施設の大規模な損壊への対応」が25%、「自然現象および人為事象の想定と対策」が19%だった。何も選択しなかった人が52%いたが、市は「(全般的に)理解できなかったから印も付けられなかったのではないか」と説明した。 

*1-4:http://qbiz.jp/article/48069/1/
(西日本新聞 2014年10月20日) 市議会特別委、傍聴求め紛糾
 川内原発再稼働をめぐる陳情の採決があった20日の鹿児島県薩摩川内市議会の特別委員会には、再稼働に反対する市民ら約70人が傍聴に詰めかけた。約40人が傍聴席の抽選から漏れて市側と小競り合いになり、混乱した。傍聴席は30しかなく、議会側は抽選に漏れた人には審議状況を音声中継する別室を準備した。市民は「重大な問題なのになぜ傍聴を制限するのか」と反発し、議会事務局の職員に詰め寄った。特別委が始まると、傍聴席から大声で抗議した男性1人が橋口博文委員長に退室を命じられた。午前11時ごろから再稼働をめぐる陳情審理が始まると、市民約30人が委員会室前の通路を占拠。委員会室に向けて「再稼働反対」と繰り返し、市議会事務局の職員とにらみ合いを続けた。退室を命じられた熊本県水俣市の会社員永野隆文さん(60)は「再稼働は薩摩川内市だけの問題ではない。傍聴希望者を全て受け入れて審議すべきだ」と話した。 

*1-5:http://qbiz.jp/article/48205/1/
(西日本新聞 2014年10月22日) 薩摩川内市が28日臨時議会 鹿児島
 九州電力川内原発がある鹿児島県薩摩川内市の岩切秀雄市長は21日、臨時議会を28日に招集すると告示した。再稼働をめぐる賛成と反対の陳情が採決され、賛成の陳情が採択される見通し。これを受け、岩切市長も同日中に再稼働への同意を表明する見込みだ。福島第1原発事故を教訓に原発の新規制基準が施行された昨年7月以降、原発立地自治体が再稼働にゴーサインを出すのは初めてとなる。この後、再稼働に向けた地元同意手続きの焦点は、県議会と伊藤祐一郎知事の判断に移る。薩摩川内市議会は、20日の特別委員会の再稼働賛成陳情採択を受け、21日に議会運営委員会を開いた。瀬尾和敬議長が「特別委の審査終了を受け、市議会として意思を示す必要がある」と臨時議会の招集請求を諮り、全会一致で認めた。市議(26人)の過半数は取材に対して、再稼働に同意する意向。岩切市長は20日の記者会見で「特別委の判断を高く評価する。再稼働は市民の元気を取り戻す一つの方法」と述べて再稼働に前向きな姿勢を示している。

<核のゴミ処理について>
*2:http://www.sanyonews.jp/article/83861/1/?rct=shasetsu
(山陽新聞 2014年10月18日) 核のごみ報告書 再稼働ありきへの警告だ
 原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分に関し、「学者の国会」と呼ばれる日本学術会議が二つの分科会の報告書を公表した。新たに生じる放射性廃棄物の対策が曖昧なまま、原発を再稼働するのは「将来世代に対し無責任」などと指摘している。原発の再稼働に向けた動きが本格化する中、核のごみの処分をめぐっては全く見通しが立っていない。国は、今回の報告書を科学界からの警告として重く受け止めるべきである。日本は、使用済み核燃料を再利用する核燃料サイクルを国策として進めてきた。だが、中核となる高速増殖炉もんじゅ(福井県敦賀市)はトラブル続きで、運転再開のめどが立たないなど、核燃料サイクルは事実上、破綻している。一方で、核のごみの処分方法や最終処分地は決まらず、手詰まりの状況にある。このまま原発の再稼働を進めれば、核のごみは増え続けるばかりだろう。2010年に国の原子力委員会から審議依頼を受けた日本学術会議は12年9月、廃棄物を回収可能な場所で「暫定保管」し、その間に最終処分の進め方について国民の合意を得るべきだと国に提言していた。今回の報告書はその提言をより具体化した。注目されるのは、原発に対する「現在世代の責任」を強調していることだ。暫定保管を各電力会社の管内とし、保管する期間は、一世代に相当する30年を一区切りとした。その間に長期的な政策選択について判断することを求めている。暫定保管の期間について、12年の提言では「数十年から数百年程度」と幅が広かった。今回の報告書では、保管期間があまりに長いと、廃棄物を生みだした世代の関与や責任が曖昧になる恐れがある一方、期間が短すぎれば、科学的知見や技術開発が進展せず社会的合意もできない、と指摘した。保管期間を30年間と具体的に示すことで、現在世代が責任を果たすよう強く促したといえよう。暫定保管の施設については、電力各社がそれぞれの配電圏域内で建設することを社会的な議論の出発点とするよう求めている。その上で、原発の再稼働に伴って新たに発生する放射性廃棄物に関して、対策を曖昧にしたままの再稼働は「将来世代に対する無責任を意味し、容認できるものではない」と断じた。報告書は、廃棄物の暫定保管や、発生量に上限を定める総量管理について社会的な合意形成を図るためには、中立公正な組織を設ける必要性も強調している。日本学術会議は報告書を基に、年内にも新たな提言としてまとめる方針だ。政府は原発再稼働ありきでなく、核のごみ処分に関する国民的な議論の喚起に向け、取り組みを主導していくべきである。

<原発事故の賠償金について>
*3:http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/nucerror/list/CK2014101902100005.html (東京新聞 2014年10月19日) 【福島原発事故】原発賠償金「備え」放置 臨時国会 抜本改正見送り方針
 政府が臨時国会で原子力損害賠償法の抜本改正を見送る方針を固めたことが分かった。東京電力福島第一原発事故で、原発が事故を起こせば巨額の賠償金が必要になることが分かったのに、政府は、資金的な備え不足や、国と電力会社が責任をどう分担するのかの議論を避けた。このままでは備えが不足したまま、九州電力川内(せんだい)原発が再稼働に向かうことになる。政府は十一月末まで開かれる臨時国会に、原賠法の一部改正案を提出する考えだが、原発の輸出促進を狙った「原子力損害の補完的補償に関する条約」(CSC)の承認に必要な文言修正など、部分改正にとどめる。文部科学省の担当者は本紙の取材に「(必要な備えのあり方など)基本的な問題については、CSCの後で議論することになる」と、抜本改正を先送りすることを認めた。福島事故では、十一兆円を超える損害が生じる見通し。しかし、現行の原賠法による事故の備えは一千二百億円の保険金だけ。福島事故では不足分を国が一時的に肩代わりし、制度の不備を取り繕ったものの、資金量は東電対応で手いっぱいだ。日本がCSCに加盟すると、米国などの加盟国が賠償金を支援する仕組みもある。ただし、文科省の試算では、もし日本で再び重大事故が起きた場合、日本が得られる支援金は七十億円ほど。備えるべき兆円単位の被害額に比べると、ほとんど対策にはならない。本来なら、電力会社と国はどこまで責任を分担するのかや、保険金額を拡充できないのか、などの検討が不可欠。しかし、政府は六月と八月に原賠制度の見直しを議論する副大臣会議を開いたものの、実質的に議論はしていない。

<廃炉について>
*4-1:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/115189
(佐賀新聞 2014年10月16日) 廃炉か存続か迫る期限 玄海原発1号機運転39年
 九州電力玄海原発1号機(東松浦郡玄海町)が15日、運転開始から39年を迎えた。原則40年の運転期限まであと1年と迫り、九電は廃炉とするのか、存続して再稼働させるのか、検討を進めている。存続するには来年7月までに運転延長を申請する必要があるが、福島第1原発事故後の新規制基準をクリアするには巨額の設備投資は避けられず、3年連続赤字の九電としては高いハードルとなる。立地する玄海町の岸本英雄町長は運転延長を望みつつ、投資額の多さに廃炉もやむを得ないとの認識を示す。九電の判断が注目される。玄海1号機は出力55万9千キロワットで、2011年3月の福島の原発事故後、同年12月に定期検査のため運転を止め、2年10カ月にわたり冷温停止状態が続いている。今月10日には今後10年間の保守管理方針を原子力規制委員会に申請した。規制委は昨年7月に定めた新規制基準で、運転期間を原則40年と制限し、例外として1回、最大20年間の延長を可能としている。運転を延長する場合、期限の1年~1年3カ月前までに申請する必要がある。ただ、玄海1号機など全国の7基は特例で申請手続きが16年7月まで猶予され、それまでに審査を終えるには来年7月までに申請しなければならない。九電の瓜生道明社長は当初、今秋の判断を示唆していたが、来年4~6月への先送りを言明している。運転延長には、新基準の厳しい審査に合格しなければならない。最大の課題とみられるのが、新基準に適合しない可燃性の電源ケーブルの取り扱いだ。現在、延焼防止剤を塗って対応しているが、不燃性・難燃性への交換を求められると、巨費と多大な時間を強いられる可能性がある。どれだけ延長を認められるかも見通せず、費用対効果をどう判断するかが焦点となりそうだ。「50年運転」が持論の岸本町長は町財政や経済をにらみ、九電の判断を注視する。「私が社長なら膨大な投資をしても費用対効果が見込めないので廃炉にする」と語る。その上で「電力の安定供給のためには、リプレース(置き換え)で廃炉と同時に新設すべきだが、原発を取り巻く状況では困難」と指摘する。廃炉する場合、立地町への交付金新設を国に求める。規制委が運転延長を最終判断する際は「原発構内に入り、コンクリートの状況など確認して立地自治体の責任者として意見を言いたい」と注文する。また再生可能エネルギーの買い取り契約申請殺到で想定を上回る供給過剰の状況が発生し、九電は新規の契約手続きを中断している。「原発の再稼働を見越し、今後どれだけの買い取りが可能かどうか見極める」と説明しており、原発が再稼働すれば、さらに供給過剰が拡大し、買い取り制限につながりかねない。買い取り中断も絡み、九電は悩ましい判断を迫られている。

*4-2:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11407627.html
(朝日新聞 2014年10月18日) 経産相「早く判断を」 40年超原発、延長か廃炉か
 小渕優子経済産業相は17日、電気事業連合会の八木誠会長(関西電力社長)と会談し、運転開始から40年を超える原発について、運転延長するか廃炉にするかの判断を早期に示すよう指示した。経産省は電力業界からの回答を踏まえ、廃炉を決めても巨額の損失がでないよう会計ルールを見直すなど、支援策で一定の方向性を年内に打ち出す。政府は東日本大震災後、原発の運転は「原則40年」と定めた。例外として1回に限り、最長20年の延長が認められており、原子力規制委員会への延長申請が必要になる。対象となる原発は、関電の美浜1、2号機(福井県)、九州電力の玄海1号機(佐賀県)、中国電力の島根1号機など7基で、期限は来年7月に迫っている。国が老朽化した原発の廃炉を進める姿勢をはっきりと示すことで、原発再稼働を加速させる環境づくりをすすめたい考え。会談で小渕氏は「地元経済、事業者の財務への影響などの課題があり、政府としてもしっかり必要な対策を検討する」とも述べた。経産相からの指示について、八木氏は記者団に、「できるだけ早く回答したい」と話した。今後、延長申請が迫る7基を持つ関電、九電、中国電などに廃炉判断を促し、電事連として国にまとめて回答する考えだ。

*4-3:http://qbiz.jp/article/48036/1/ (西日本新聞 2014年10月20日) 原発解体費4割不足 廃炉後も電気料金で穴埋め 電力9社積立金調査
 原発を保有する電力9社に義務付けられている解体費用の積立金が、今年3月末時点で見積額(計2兆6千億円)の6割に満たないことが分かった。積立金は電気料金に含まれ、利用者から徴収。原発解体をめぐっては放射性廃棄物の処分法が決まっておらず、解体費用が見積額を上回る可能性もある。電力各社はこれから相次ぐ原発の解体を控え、電力自由化後も追加負担を国民から徴収できる仕組みづくりを国に要望。解体費用が上振れすれば、発電コストが安いとされる原発の優位性はさらに揺らぐ。原発解体費用の積み立て状況は、西日本新聞がこのほど、9社に実施したアンケートで判明。それによると、解体費用の積立金は見積額の約56%の1兆4800億円。これまでは、運転期間中に稼働実績に応じて積み立てる制度だったが、東京電力福島第1原発事故後、運転が長期停止しているため、積み立て計画に遅れが生じている。このため経済産業省資源エネルギー庁は昨秋、運転を終了し、廃炉を決めても電気料金から、その後10年かけて徴収できる会計制度に改めた。積立金が不足する実態に合わせるため、制度を変更する原発優遇策。九州電力は、現状で年間約50億円を料金に折り込むことが認められている。そうした配慮がなされたものの、電力各社はその後の国の審議会で「解体費用が上振れする可能性がある」と懸念を表明。原子炉や制御棒といった放射性物質の付着レベルが高い廃棄物などは地中で300年程度の管理が必要とされるのに、処分場も決まっていないためだ。解体費用の見積額を上回る追加負担が出た場合、国民から徴収できるよう国に求めた。さらに廃炉が決まれば、使用中の核燃料や、タービンなどの発電設備が資産価値を失い、現状では電力各社は、減価償却できていない分を特別損失として一括して会計処理しなくてはならない。原則40年の運転期限が迫る玄海原発(佐賀県玄海町)1号機など、老朽化した全国7基の廃炉判断が間近に迫る中、各社は、損失計上せず、料金として徴収して自社負担とならない仕組みを国に要望中だ。
●負担できぬなら撤退を
 立命館大の大島堅一教授(環境経済学)の話 
電力業界は「原発のコストは安い」と主張する一方で、本来業界が背負うべき解体費用の追加負担などを、国民に転嫁しようとするのはおかしな話だ。負担を負えないのなら、事業から撤退するというのが普通の経営判断だ。国は、原発を極端に特別扱いしていることを、国民にきちんと説明すべきではないか。

| 原発::2014.10~2015.3 | 02:53 PM | comments (x) | trackback (x) |

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