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2013,10,30, Wednesday
2013.10.28東京新聞 2013.9.27朝日新聞 (1)再生可能エネルギーは、何故、今まで普及しなかったのか *1に、九州・沖縄・山口9県の知事でつくる九州地方知事会議が、再生可能エネルギーの利用について国の規制緩和を求める決議を採択したと書かれており、このように問題点を洗い出して、必要な規制緩和、電力自由化、電力市場独占の廃止を求めていくことは重要だと思う。ただ、農地の転用は、むやみに行って食料自給率を下げないようにしてもらいたいし、「電気さえ起こせばよい」という発想で、低周波による人間に対する被害や景観の悪化がないようにすべきである。 なお、今まで、再生可能エネルギーの普及が抑えられてきた理由は、送電線が電力会社に帰属し、電力会社の裁量で送電拒否を行うことができたからである。そのため、発送電分離は必要不可欠だ。 (2)発電するのに、原子力の代替は天然ガスしかないと考えるのは科学的レベルが低い *2の電気事業連合会の電力レポートは、「我が国の原子力発電所の大半が停止し、その電力供給低下を埋めるために火力発電所をフル稼働させ電力の安定供給をかろうじて確保しているが、その結果、火力発電用燃料の輸入増加による供給コストが大幅に上昇し、2012年の貿易赤字が過去最大の6兆9000億円を上回った」「原子力発電を順次利用停止した時、CO2排出抑制のため、不足となる電源をすべて天然ガス火力で賄う場合・・・」と書いている。 要するに、電気事業連合会は、①原子力に代替するエネルギーは輸入火力しかない ②火力発電用燃料の輸入増加による供給コストで貿易赤字が過去最大の6兆9000億円を上回った ③火力発電は、CO2の排出も問題である としているが、これは、政府と独占企業による原発再稼働のための論理だ。何故なら、私が、このブログの2012.7.15に「環境・脱原発・増税なき財政再建・経済成長を同時に実現する方法はある」等で記載したように、全体を総合的に考えれば、より賢明な方法があるからだ。 さらに、ドイツのように、再生可能エネルギーを2000年頃から準備して普及し始め、国内産のLNGを開発していれば、国産のクリーンエネルギー資源で発電できるため、CO2の排出量目標を達成できた上、火力発電用燃料の輸入増加で貿易赤字が過去最大の6兆9000億円を上回ることもなく、国富の多大な海外流出を心配する必要はなかったのである。しかし、経済産業省は、日本は資源のない国であるとして、「安いから(!?)」という理由で、どうしても輸入燃料を買うことに固執してきた。 (3)それでは、原発のコストは本当に安かったのか *3によれば、「東京電力福島第1原子力発電所周辺の除染・賠償費用を国が分担する見通しになり、その廃炉、汚染水、除染、中間貯蔵施設まで負担すれば10兆円規模に膨らむ可能性がある」とのことである。さらに、廃炉、中間貯蔵施設、最終処分場などは、福島第1原子力発電所のみが必要とする費用ではなく他の原発でも必要となる費用であり、福島第1原子力発電所事故の後始末も本当に10兆円で収まるか否か不明だ。仮に、全体で30兆円かかるとしても、消費税1%(約2兆円)分の15倍である。 つまり、私が、このブログの2012.9.2を始めとして、原発のカテゴリーにずっと書いてきたとおり、原発のコストは安いどころか膨大であり、他の発電方法の方がバラ色なのである。 (4)健康診断、食事管理、個人線量把握は、除染にかわる「対策」になるのか *3には、「除染そのものの効率化も欠かせず、除染は放射線量から身を守る一つの手段にすぎないため、健康診断、食事管理、個人線量把握など多くの対策を組み合わせるほうが現実的だ」と書かれている。しかし、健康診断は必要ではあるが、癌や白血病などが発症・進行していないかどうかをチェックする手段にすぎず、健康診断をしたからといって、なってしまった病気を治せるわけではない。 また、食事管理は、放射性物質を含まない食事をするために重要だが、このブログの2013.10.26に記載したとおり、わが国の安全基準は緩く、外部被曝と内部被曝の両方の影響が重なることを加味しておらず、すべての食材を測っているわけでもないし、特に海産物の測り方は甘い。 さらに、個人線量の把握は重要だが、事故直後から線量の計測を始めておかなければ、累積線量は把握できないため、事故後、すぐに住民に線量計を渡すくらいのことは、国としてやるべきだったし、できた筈だ。そして、そもそも、国や地方自治体が、空間線量だけではなく、地表や線量の高くなりやすい箇所を測っていないのは、本気で放射線防護をしようとしていないからであり、二の句がつげないのである。 *1:http://qbiz.jp/article/26121/1/ (西日本新聞 2013年10月29日) 再生可能エネ規制緩和を要求 九州知事会議が決議 九州・沖縄・山口9県知事でつくる九州地方知事会議が28日、佐賀市で開かれ、地熱や太陽光、風力発電といった再生可能エネルギーの利用について国の規制緩和を求める決議を採択した。温泉が多く日照時間が長い九州の特性を生かし、エネルギー資源の円滑な活用を図る狙い。九州地方知事会長の広瀬勝貞大分県知事は「再生可能エネルギーは九州で一番ホットなテーマ。経済界とともに利用と産業化を推進したい」と述べた。具体的には、国立・国定公園で地熱発電を行う際の許可基準の明確化▽太陽光発電に使う土地の農地転用の許可基準緩和▽風力・洋上風力発電を実施する際の環境影響評価の手続き迅速化−などを求める。地方分権改革の推進など他の決議とともに11月、国に提出する予定。会議ではほかに、70歳まで現役で働ける社会づくりを9県で連携して進めることを福岡県が提案し、就業支援策や国への提言内容を検討する研究会を設置する方針を確認した。 *2:http://www.fepc.or.jp/library/report/__icsFiles/afieldfile/2013/02/14/report_20130214.pdf#search='%E7%99%BA%E9%9B%BB%E7%94%A8%EF%BC%AC%EF%BC%AE%EF%BC%A7' (電力中央研究所電気新聞ゼミナール 2013年2月4日) 電気事業連合会:電力レポート 「天然ガス火力発電は原子力発電を代替することはできるか?」。東日本大震災により、我が国の原子力発電所の大半が停止している。原発の停止による電力供給低下を埋めるために、天然ガスを中心とする火力発電所を緊急的対応措置としてフルに稼働させ、電力の安定供給をかろうじて確保しているのが実情だ。だが、その結果として火力発電用燃料の輸入増加による供給コストの大幅な上昇、2012年の貿易赤字が過去最大の6兆9000億円を上回るという、日本経済や国民生活に大きな影響を及ぼしている。ここでは、中長期的な視点から原子力発電を順次利用停止したとき、CO2排出抑制のため、不足となる電源をすべて天然ガス火力で賄う場合に生じる課題について考えてみたい。(以下略) *3:http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS2803K_Y3A021C1EA2000/ (日経新聞 2013/10/29) 膨らむ除染・賠償、10兆円規模に 東電の負担限界 国が一部負担、財源はこれから 東京電力福島第1原子力発電所周辺の除染費用を国が分担する見通しになったことは、すべての事故処理や賠償の費用を東電が負担する仕組みが限界にきていることを示す。だが、国費投入には与野党に異論も根強い。財源も固まっておらず、今後の議論には曲折もありそうだ。除染費用のすべてを東電に請求する現行の枠組みを見直す根拠として、政府関係者が着目したのは除染特措法45条だ。「国は費用の支払いが円滑に行われるよう必要な措置を講ずる」。政府・与党はこの条文を活用し、国が費用を分担する仕組みの導入を探っている。背景にあるのは、事故処理や賠償の負担で行き詰まりつつある東電の経営問題だ。東電はすでに3兆円の賠償を支払ったが、賠償額はさらに膨らむ見通し。賠償資金は国が無利子で貸しているが、東電が利益から将来返済する。廃炉、汚染水、除染、中間貯蔵施設まで負担すれば10兆円規模に膨らむ可能性がある。東電の試算によると、10兆円の返済には46年かかる。巨額の負担にあえぐ東電をそのまま放置すれば、汚染水対策や除染で後手に回る状況が続きかねない。浮上してきた案は、計画済みの除染は「賠償」として東電が、追加で発生する除染や中間貯蔵施設の建設費用は「復興」として国がそれぞれ負担する仕組みだ。 国が負担する際の財源はハッキリしない。電源開発促進税などを原資とするエネルギー対策特別会計で少しずつ払う案が有力だが、収入が年1兆円しかないエネ特会の負担は軽くない。電源開発促進税を増税すれば電気料金上昇につながる。除染そのものの効率化も欠かせない。被災地では「除染で追加被曝(ひばく)線量が年1ミリシーベルトに下がるまで帰還できない」との声があるが、除染は放射線量から身を守る一つの手段にすぎない。健康診断、食事管理、個人線量把握など多くの対策を組み合わせるほうが現実的だ。今後は原子力損害賠償法の見直しも課題として浮上する可能性がある。米国やフランスでは事故を起こした事業者の負担の上限が法律に明記されている。日本の原賠法は事業者の負担が青天井なうえ、規制する側の国の責任もあいまい。安倍晋三政権は安全性を確認した原発を動かす方針。今の原賠法のままでは電力会社が大きなリスクを背負ったまま再稼働を迫られる点も見逃せない。 PS:*4の2015年をめどに全国規模で電力需給を調整するという「広域系統運用機関」は、地域独占を経済産業省主導の独占に変えるにすぎない。また、2016年を目途に電力小売りへの参入を全面自由化するのはよいが、この時点で「発送電分離」ができていなければ、電力小売り参入自由化は、お題目だけとなる。さらに、2018~2020年を目途に大手電力の発電部門と送配電部門を別会社化するだけで資本関係が切れていなければ、新電力が自由に電力小売りに参入することはできないため、意味のある「発送電分離」にならず、電力改革はできない。 *4:http://qbiz.jp/article/26248/1/ (西日本新聞 2013年10月30日) 電力改革法案が審議入り 今国会で成立見込み 電力システム改革に向けた電気事業法改正案が30日、衆院経済産業委員会で審議入りした。改正案は先の通常国会で成立直前まで審議が進んだが、時間切れで廃案になった。衆参両院の「ねじれ」が解消した今国会で早期成立が見込まれる。電力改革は、大手電力による地域独占体制を見直して新規事業者の参入を促し、競争を通じて電気料金の値下げやサービス向上につなげる狙いがある。改正案では改革の第1段階として、2015年をめどに全国規模で電力需給を調整する「広域系統運用機関」を設立する。広域系統運用機関は電力不足を起こさないため、ある地域の需給が厳しくなった場合、他の地域の電気事業者に発電量の積み増しや電気の融通を指示する権限を持つ。改正案の付則には、16年をめどに電力小売りへの参入を全面自由化し、18〜20年をめどに大手電力の発電と送配電部門を別会社化する「発送電分離」を実現するまでの改革工程を明記した。
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2013,10,28, Monday
尖閣諸島 尖閣諸島の位置 (1)集団的自衛権の行使について、何のための憲法解釈変更か 私は、「日本国憲法9条の平和主義は大切で、集団的自衛権を認めれば、湾岸戦争、イラク戦争のように、アメリカが出兵する時に日本も出兵するなどということになりかねないため、集団的自衛権は認めない方がよい」と考えていた。しかし、尖閣諸島の例のように日本の領海に他国が侵略してきたような場合には、集団的自衛権を認めなければ、応援してくれる同盟国に悪すぎると、2006年頃、考え直した。 私が考え直したきっかけは、元防衛庁長官の愛知和夫氏に「集団的自衛権も、認めていいものと悪いものがあると思うんだ」と言われたことである。つまり、確かに憲法9条1項は、『国権の発動たる戦争と国際紛争を解決する手段としての武力行使を永久に放棄する』と述べているが、自衛のための戦争までは否定していないと解釈されており、それならば、自衛戦争で集団的自衛権を行使するのは許されるのではないかということだ。 (2)認められる集団的自衛権の範囲 1)尖閣諸島の防衛は、集団的自衛権の範囲か 尖閣諸島の防衛について、中国との戦争を回避したいアメリカは、「現在の尖閣諸島の施政権が日本にあることは認めるが、領有権が日中どちら側に帰属するかは、アメリカの関知するところではない。つまり、実効支配している限りは、尖閣諸島は日本の領有だが、実効支配が中国に代わった場合には、施政権は中国に移る」という態度だ。 これでは、何のための日米安全保障条約かわからないが、まず、アメリカは日本が領有権を有している場所に関しては、日米安全保障条約の範囲内だとしているわけである。この時、もしアメリカが尖閣諸島を守るための行動をした場合には、日本も集団的自衛権が認められなければおかしい。 2)米国がシリアに出兵した場合、集団的自衛権の範囲か 政府・与党内には、米国がシリアに出兵した場合、集団的自衛権の範囲内だと言った人もいたが、これは日本国憲法違反だ。そして、イギリス、ドイツは米国から同調するように言われても、国内で議論して反対が勝れば断るという独立した民主主義国家の基本を持っているが、わが国の政府は、国民の意思を無視しても米国から言われるままに動くという特性を持っていることを考えれば、憲法9条1項は功を奏しており、このような場合に集団的自衛権を認める解釈をしてはならないだろう。 3)アルジェリア石油施設襲撃テロ事件に出兵し、日本人を守るために自衛隊がアルジェリア軍と共同して闘うのは、集団的自衛権の範囲か アルジェリア石油施設襲撃テロ事件のような場合に、日本人を守るために自衛隊がアルジェリア軍と共同して闘うのは、資源獲得のための侵略戦争と紙一重になりかねない難しさがある。私は、このような場合は、アルジェリア軍に任せるべきで、そもそも地元の人から喜ばれない海外資源を調達するよりも、わが国領海内の海底資源を開発すべきだと考えている。 4)国連平和維持活動(PKO)に参加した自衛隊の集団的自衛権は認めるべきか イラク戦争でわかったことは、どちらが正義かわからなかったということである。そのため、わが国が、これを判断する独立国家の基本を持っていない以上、武力を行使せずにすむ地域での平和維持活動のみに専念するのがよいと思う。それで文句を言う国はないだろう。 5)公海上で自衛隊艦船の近くにいる米艦が攻撃された場合の防護は集団的自衛権の行使になるか *1に書かれている「公海上で自衛隊艦船の近くにいる米艦が攻撃された場合の防護」については、どういう理由でそうなったかによって異なる。例えば、尖閣諸島防衛のための戦争であれば集団的自衛権の範囲になるし、米国独自の判断による他国との戦争であれば加担してはならない。テロや海賊からの攻撃であれば協力することになるだろうが、何でも“テロ”や“海賊”とする正当化には気をつけるべきだ。 6)米国に向かうかもしれない弾道ミサイルへの迎撃は集団的自衛権の行使に当たるか *1によれば、「米国に向かうかもしれない弾道ミサイルの迎撃は技術的に不可能との指摘もある」とのことだが、その前に、日本の自衛に関係があるか否かで判断すべきだ。 (3)結論 私は、日本国憲法9条は、世界に誇るべき平和主義の理念が入っていると考える。しかし、自衛はしなければならず、また、そのための自衛軍も所有しているのだから、自衛のための集団的自衛権のみは認めるべきだし、自衛軍の存在もきちんと憲法に明記した方がよいと思う。 *1:http://mainichi.jp/opinion/news/20130918k0000m070139000c.html (毎日新聞社説 2013年9月18日) 集団的自衛権 何のために論じるのか 安倍政権は、集団的自衛権の行使を可能にするための憲法解釈の変更に向け、有識者会議「安保法制懇」の議論を7カ月ぶりに再開した。安倍晋三首相は会合で、「憲法制定以来の変化を直視し、新しい時代にふさわしい憲法解釈のあり方を検討していく」とあいさつした。しかし、これまでの推移からは、肝心な何のための行使容認か、行使容認がアジア太平洋地域の安全保障にどう寄与するのかが見えない。歴代政権は、日本は国際法上、集団的自衛権を有しているが、憲法9条のもとで許容される必要最小限度の自衛権の範囲を超えるため行使できない、と解釈してきた。有識者会議の座長代理・北岡伸一国際大学長は、憲法9条のもとで許される必要最小限度の自衛権行使の中に、集団的自衛権も含まれるというのが持論で、歴代政権の「誤った解釈を正す」と公言している。内閣法制局の長官経験者たちからは、必要ならば真正面から憲法改正を論じるべきだと反発があがっている。行使容認の目的、憲法の解釈変更か改正かの手法、地理的条件や対象国を含む容認の範囲、歯止めなど、政府内の見解はまだまとまっていないようだ。 議論が整理されない原因の一つは、何のために行使容認を目指すのかが、具体的政策論として明確に示されていない点にある。第1次安倍政権時に今回とほぼ同じメンバーが議論してまとめた報告書は、(1)公海上で自衛隊艦船の近くにいる米艦が攻撃された場合の防護(2)米国に向かうかもしれない弾道ミサイルの迎撃−−などについて、集団的自衛権の行使を認めるよう求めた。今回は、類型を拡大して行使を容認する方向で議論されている。しかし(1)は、日本有事ならば自衛隊は個別的自衛権の範囲で対応できるし、そうでなくても米軍が自身で守る態勢をとっていない可能性はほぼない、との意見も根強い。(2)は技術的に不可能との指摘もある。それ以外に想定しているというのなら、どんなケースなのか。現実味の乏しいシナリオをもとに、日米同盟強化の姿勢を示すために議論をしているのではないか。そんな疑問が一部専門家の間からも指摘されている。首相にはおそらく、北朝鮮の核開発や中国の海洋進出の一方、米国の力が相対的に低下するなか、日本は自らの役割を増強する必要がある、という問題意識があるのだろう。しかし、こんな状態では中国、韓国はおろか、国民に理解してもらうのも難しいのではないか。首相はまず行使容認の目的は何か、どんな効果があるのかを、きちんと国民に説明する責任がある。 *2:http://qbiz.jp/article/25027/1/ (西日本新聞 2013年10月9日) 尖閣諸島 「棚上げ」合意はあったのか否か 日本政府による沖縄県・尖閣諸島の国有化から1年余。日中関係が冷え込む中、1972年の国交正常化交渉の過程で尖閣諸島問題をめぐって両政府間に「棚上げ」の合意があったか否かをテーマにした講演会が11月13日、福岡市で開かれる。九州の経済人や文化人でつくる「九州日中クラブ」(代表・石原進JR九州会長)の主催。尖閣諸島をめぐり日本政府は「歴史的にも国際法上も固有の領土。領土問題は存在せず、棚上げもない」との立場。中国政府は「棚上げ」を首脳会談の開催条件とし、こう着状態が続いている。こうした中、72年当時、外務省条約課長だった栗山尚一・元駐米大使は「解決しないことで当面の解決策とする黙示の了解があった。これを棚上げと呼んだ」とする論文を発表した。一方、池田維・元外務省アジア局長は「棚上げしようという合意はこれまで日中間に存在したことがない」と栗山論文を全面否定する論文を発表、外務省OBの見解も割れている。講演会は11月13日午後2時から福岡市・天神の福岡国際ホール(西日本新聞会館16階)で。日中協会の白西紳一郎理事長が一連の論文の背景を解説、「尖閣諸島問題 領土ナショナリズムの魔力」の著者で共同通信客員論説委員の岡田充さんが「尖閣諸島問題で誰が本当のことを言っているのか」と題し講演する。参加費2千円。申し込みは九州日中民間文化交流協会・山口恵さん=ファクス092(281)7488。問い合わせは同協会の張晶さん=090(1084)5659。 *3:http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2013092800216 (時事ドットコム 2013/09/28) 駆け付け警護容認を=小野寺防衛相 小野寺五典防衛相は28日、宮崎市内で講演し、国連平和維持活動(PKO)に参加する自衛隊が、攻撃された他国部隊要員や邦人を守る「駆け付け警護」について「自衛隊はPKOを盛んに海外でしているが、日本のNGOが武力集団に危害を加えられているときに駆け付けて救ったりできない。今のままの解釈でいいのか」と述べ、憲法解釈を変更して容認すべきだとの考えを示した。 *4:http://digital.asahi.com/articles/TKY201309140046.html (朝日新聞 2013年9月14日) 「集団的自衛権、必要なら遠くも行く」石破・自民幹事長 ■石破茂・自民党幹事長 (集団的自衛権は)誰も米国だけを相手にするとは言っていないし、攻撃する国が極東と限っていない。集団的自衛権は、国連の概念であって、地理的にどうのこうの、相手がどうのこうのじゃない。必要であれば遠くでも行くし、必要でなければ近くでも行かない。例えば東南アジア。フィリピン、マレーシア、どこかの国が攻撃を受けた。そこが日本にとって死活的に重要。そういう場合に知らん顔、そういうときは米国が出て行く。そういうことで本当にやれるのか。
| 外交・防衛::2013.1~2014.8 | 05:23 PM | comments (x) | trackback (x) |
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2013,10,26, Saturday
*5の表3 2013.9.30放射線量 2013.10.1朝日新聞より (1)許容される線量基準は、本当に「年間1~20 mSv」か *1に書かれているように、国際原子力機関(IAEA)が、「年間追加被曝線量を1ミリシーベルト(以下“mSv”)とする政府の長期目標は、必ずしも達成する必要はなく、環境回復に伴う利益と負担のバランスを考えて最適化すべき」「住民との同意を得ながら復興対策とともに資金を適切に配分するのが重要」と報告したそうだが、IAEA除染専門家チームのフアン・カルロス・レンティッホ団長は、IAEA核燃料サイクル・廃棄物技術部長で、核燃料サイクルを再開したい原子力畑の人であり、人間に対する核物質の影響に詳しい医学や疫学の専門家ではない。 また、除染費用という負担を負うべき東電・国は、除染による利益を受けるべき住民とは別の主体である。そのため、環境回復に伴う利益と負担のバランスをとれば、東電・国の利益の為に住民に負担を強いることになり、不公正だ。これを解決するには、まず、年間1~20mSvの地域の住民には移住の権利を与え、そのためのコストと逸失利益は、東電・国が負担すべきである。 さらに、*2によれば、IAEAの報告を受けて、原子力規制委員会の田中俊一委員長が、10月23日の記者会見で「(1mSvという数字が)いつの間にか独り歩きしている」と、年間被曝線量限度1mSvは不当であるかのような見解を述べているが、1mSv未満というのは、*5のICRPの2007年勧告で、「平常時の一般人年間被曝線量限度は1mSv未満」と定められていることによるものだ(上図左)。そして、医療で放射線を使う場合のように、個人の中で便益がまさっている場合にのみ、それ以上の被曝を許容するものであるため、政府に都合のよい解釈が目に余る。 (2)日本の安全基準は信頼できるのか このように、「一般人の年間被曝線量限度」という健康や命に最も重要で測りやすい基準でさえ、除染費用とのバランスで(!)、なし崩し的に緩められようとしている。そして、食物や空気から受ける内部被曝の影響は、この年間被曝線量限度には含まれておらず、身体には、さらなる大きな負荷がかかっているが、内部被曝に関する基準も、経済性とのバランスを取った科学的根拠のないものだ。 その上、*3の「本来は、庭先など野外と居間など屋内の線量を実際に測って比較すべきだが、そうしていなかった」というように、命にもかかわる帰還目安線量の算出が意図的であり、精度が低い。 もちろん、*3の「実測もせずにIAEAの結果と合わせるような測り方をした」、*4の「福島原発で被曝した人の因果関係を否定して労災を認めなかった」等のように、政府が決めた安全基準外の状況では原発事故との因果関係を否定すれば、一応、「日本の安全基準は正しかった」という結論にすることはできる。 しかし、これは、科学的常識から程遠く、自然科学のいろいろな角度から自然現象を調査すれば、隠蔽したことまで含めて、すぐに明るみに出る行為だ。自然現象の結果が出てからでは遅いけれど・・。 *1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20131022&ng=DGKDASGG2102J_R21C13A0MM8000 (日経新聞一面 2013.10.22) 年1ミリシーベルトの除染目標達成「必ずしも必要ない」 IAEA報告 東京電力福島第1原発事故に伴う除染の状況を検証した国際原子力機関(IAEA)の専門家チームは21日、報告書(暫定版)をまとめた。年間追加被曝線量を1ミリシーベルトとする政府の長期目標について、「必ずしも達成する必要はない。環境回復に伴う利益と負担のバランスを考えて最適化する必要がある」と指摘。住民との同意を得ながら復興対策とともに資金を適切に配分するのが重要だとした。報告書は同日、石原伸晃環境相に提出した。環境省は報告書を踏まえて住民の健康管理などを含めて今後の除染のあり方を検討する。国際的に許容される線量基準は1~20ミリシーベルトで、日本政府は1ミリシーベルトを目標に設定。同省は2013年度まで除染に1兆円を超す資金を投じている。政府は国直轄で行う福島県内の除染の完了時期を年内に示す方針だ。報告書は今後活動を改善するための8つの助言をまとめた。「環境回復活動が良好に進捗している」とし、政府の除染活動をおおむね評価した。ただ除染作業が遅れている。除染が終わった地域でも線量が十分に下がっていない地域もあり「年間1ミリシーベルトの追加被曝線量は、除染活動のみによって短期間に達成できるものではないことをもっと住民に説明すべきだ」と強調した。 *2:http://www.saga-s.co.jp/news/global/corenews.0.2570666.article.html (佐賀新聞 2013年10月23日) 年1ミリシーベルト「独り歩き」 / 被ばくで田中規制委員長 東京電力福島第1原発事故に伴う除染で国が掲げる長期目標の年間追加被ばく線量1ミリシーベルトに関し、原子力規制委員会の田中俊一委員長は23日の記者会見で「(1ミリシーベルトという数字が)いつの間にか独り歩きしている」と述べた。除染を支援するため来日した国際原子力機関(IAEA)専門家チームのフアン・カルロス・レンティッホ団長が21日、年間1ミリシーベルトについて「必ずしもこだわる必要はない」と述べた見解を容認した形。 *3:http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013101302000097.html (東京新聞 2013年10月13日) 福島除染・帰還目安線量 算出精度に疑問 東京電力福島第一原発事故で汚染された地域で、家が放射線を遮る効果を、国がまるで環境の異なる場所の調査で計測した値を基に、算出していたことが分かった。放射線量は除染や住民帰還の目安になるが、この算出方法ではデータのばらつきが大きく、専門家も精度を疑問視している。国は、住民が避難先から帰る目安として、当面の被ばく線量を年二〇ミリシーベルト以下とし、長期的には年一ミリシーベルト以下としている。これらの目安は、除染を進めるかどうかの判断にも使われている。 問題なのは、被ばく線量を推定する際に重要となる家屋の遮へい効果の数字だ。国際原子力機関(IAEA)は、鉄筋コンクリートなら屋外の放射線を九割、木造家屋なら六割カットするとしているが、国は日本でも当てはまるかどうかを、独立行政法人日本原子力研究開発機構に調査を委託。機構は調査で、この値の正しさを確かめたという。機構はまず、福島県川俣町の五軒で、野外と屋内の窓際の線量を計測、窓際でどれくらい線量が減るかを調べた。その上で、福島市や伊達市など三市二町の百五軒について、窓際の数値から野外の数値を推計し、屋内で測った数値と比べ、家屋の遮へい効果がIAEAの値とほぼ同じと結論づけていた。 本来は、庭先など野外と、居間など屋内の線量を実際に測って比較すべきだが、そうしていなかった。統計数理研究所(東京)の石黒真木夫(まきお)特命教授によると、機構の調査方法は実測できない理由があるような場合はあり得る手法だが、川俣町のデータは少なすぎる。家によって、遮へい効果の数値が大きくばらついていることに注意する必要があるという。機構の担当者は、野外に多くの線量計を長く置くのは管理が難しいと説明。その一方、「集めたデータがまだ少なく、六割減という数値は、絶対的なものではない」とした。本紙は今年八、九月に福島県田村市や川俣町、楢葉町などの二十六軒で実測。木造家屋の遮へい効果は二割ほどとの結果を得た。計測に協力した住民たちは「避難先から帰るかどうかは、十分信用できる根拠を基にして決めたい」と語った。だが、国は本年度も機構に委託し、同様の手法で福島県内の二百軒で測り、家屋が遮る割合を算出するという。 <国の被ばく線量の推定>毎時0・23マイクロシーベルト(1マイクロシーベルトは1ミリシーベルトの1000分の1)であれば、自然界から受ける放射線を加味しても、一般人の被ばく線量限度の年1ミリシーベルトにおさまるとされる。1日のうち野外に8時間、屋内に16時間滞在する生活パターンを想定し、屋内(木造)にいれば野外の線量は6割カットされることが前提になっている。除染でも住民の帰還でも、国の長期目標の重要な目安となっている。 *4:http://www.hokkaido-np.co.jp/news/dogai/499044.html (北海道新聞 2013/10/20) 福島原発で被ばく、労災認めず 厚労省、がんとの因果関係否定 東京電力福島第1原発事故の収束作業に従事した後、がんを発病したのは作業中の放射線被ばくが原因だとして労災申請した男性に対して厚生労働省が、発病は被ばくが原因ではないとして労災を認定しない決定を下していたことが19日分かった。福島事故後の原発作業員の労災申請で、被ばくとがんの因果関係をめぐる厚労省の判断が出たのは全国初。福島事故の収束作業に従事して発がんし、被ばくを理由に労災申請したのは全国で4人おり、このうちの1人。残り3人は申請に対する決定が出ておらず、このうち1人の札幌市在住の男性(55)は作業当時の様子などについて北海道新聞の取材に応じ、本紙が今月6日の朝刊で報じた。複数の関係者によると、労災が認定されなかったのは福島県外から福島第1原発に働きに来た男性。居住地や年齢は明らかになっていない。作業従事後にがんの一種である悪性リンパ腫を発症し、昨年9月以降に労災を申請していた。今年9月下旬に厚労省が開いた専門家による検討会で、《1》被ばく線量が労災認定の基準以下である《2》被ばくから発症までの期間が短い―と、被ばくと発症の因果関係を否定。これを受け今月10日に富岡労基署(仮事務所・福島県いわき市)が労災を認めないと決定。本人にも通知したという。<北海道新聞10月20日朝刊掲載> *5:http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_No=09-04-01-05 (2012年2月)ICRPによって提案されている放射線防護の基本的考え方 <本文> 国際放射線防護委員会(ICRP)は放射線防護の目的を以下のように定義している。 (1)放射線被ばくを伴う行為であっても明らかに便益をもたらす場合には、その行為を不当に制限する ことなく人の安全を確保すること。 (2)個人の確定的影響の発生を防止すること。 (3)確率的影響の発生を減少させるためにあらゆる合理的な手段を確実にとること。 ICRPはこれらの目的を達成するために、放射線防護体系に、正当化、最適化、線量限度という三つの基本原則を導入することを勧告している。 1.放射線防護の基本理念の変遷 (略) 2.1977年勧告以降の放射線防護の基本的な考え方 (1)1977年勧告(ICRP Publication 26) (略) (2)1990年勧告(ICRP Publication 60) (略) (3)2007年勧告(ICRP Publication 103) 主要な特徴として以下が挙げられる。(a)放射線荷重係数と組織荷重係数を更新した。(b)正当化、最適化、線量限度の適用という三つの基本原則を維持した。(c)行為と介入による防護の方法から状況に基づく方法に転換し、計画被ばく状況、緊急時被ばく状況、現存被ばく状況というすべての制御可能な被ばく状況へ三つの基本原則を適用した。(d)計画被ばく状況における実効線量と等価線量に対して1990年勧告の線量限度(表3)を維持した。(注:計画被ばく状況とは計画的に線源を導入または操業することによる被ばく状況、緊急時被ばく状況とは不測の事態または悪意の行為から生じる予期せぬ被ばく状況、現存被ばく状況とは自然放射線による被ばくや過去の行為の結果として存在する被ばく状況をいう。) また、2003年に刊行されたICRP Publication 91(A Framework for Assessing the Impact of Ionising Radiation on Non-Human Species)を踏まえ、「環境の放射線防護」の考え方を導入し、人以外の動物、植物についても参考動物と参考植物を選定して防護体系を構築する必要性を求めた。 なお、2007年勧告では主文書Publication 103は1990年勧告の報告文書に比べて簡素化され、付帯文書で個別分野に対する詳細な勧告を行う方式が採用された。例えば、医療分野における放射線防護に関してはPublication 105に詳細にまとめられている。 3.環境放射線被ばくの制限に対する考え方 (以下略)
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2013,10,19, Saturday
(1)日本は、まだ女性が最前線で活躍する社会に生まれ変わってはおらず、努力を始めたにすぎない *1、*2によれば、安倍晋三首相は、「米ニューヨークでの国連総会で一般演説を行い、日本社会で女性の活躍の場を増やす」と言われたそうで、安倍首相が女性の活躍を全面的にサポートしてくれているのは、よいことだと思う。臨時国会の所信表明演説でも、そう言っておられたので、女性の活躍をバックアップしようとしておられるのは確実だろう。 しかし、*1の世耕官房副長官の「女性が最前線で活躍する社会に日本は生まれ変わってきていると訴えることが重要なポイント」というのは、議員、民間企業の役員、裁判官などの意思決定する立場にいる女性の割合が著しく低い状況を考えれば、事実から程遠い“アピール”である。また、この発言は、「最前線で活躍できていない女性は、本人の努力不足だ」と言っているのと同じであるため、これまで差別されてきた日本女性に対して失礼でもある。 何故なら、*4のように、佐賀県で、国の「均等・両立推進企業表彰」が行われ、「意欲や能力のある人材活用を推進し、5年前まで男性社員だけだった設計、営業の両部門に女性を採用し、同じ部門に女性を複数配置して孤立を防いでいる」などの取組みをしたとして、佐賀市の松尾建設が、均等推進企業部門の佐賀労働局長奨励賞に選ばれたという程度だからである。つまり、これは、5年前まで男性社員だけだった設計、営業の主要部門に女性を採用・配置したというだけの話であり、女性が主要部門の部長や取締役になったという話ではないからだ。しかし、人材としての女性は、私の学生時代(40年くらい前)から東大の建築学科にもおり、一級建築士も多いため、この落差はまさに採用・配置による女性差別によるもので、第一次男女雇用機会均等法も1985年には成立していたことを、私は証言する。 (2)女性管理職を増やす取り組みは、短時間勤務ではないだろう *2では、「女性管理職増加のためには、『短時間勤務の拡充』が必要と考える人が7割であり、女性は結婚や出産などのタイミングで退社するケースが多く、女性の管理職はまだ少数」と記載されている。 しかし、実際には、管理職予備軍の女性は、結婚のタイミングで退社するような寿退社願望の人はおらず、出産や子どもの小学校入学のタイミングで仕方なく退社しているのである。その理由は、仕事を続けたかったが、保育所や学童保育がないため退社を余儀なくされたというものであり、保育所や学童保育不足の問題は、私が学生の頃(40年くらい前)から指摘されていた。また、仕事を続けるために、DINKSや独身を選択した人も多いため、女性の結婚・出産が女性管理職が少ない理由ではない。 また、私は、管理職予備軍の女性が、短時間勤務を望んでいるとも思わない。何故なら、例えば、大学病院に勤務する女性医師が、管理職である教授にまでなりたければ、短時間勤務どころか、他の人よりも診療や研究に励んで、多くの知識と経験を得なければならないからである。これは、弁護士、公認会計士、議員、官僚、記者、その他の職種でも同じであり、実力や実績で評価される場合の必然だ。 (3)女性に、無償労働、低賃金労働を強いる発想が女性の昇進を阻んでいるのだということ *3に記載されているように、「家事や買い物、育児、ボランティアなどに充てられた『無償労働』を金額に換算すると、2011年は約138兆5千億円に上ることが内閣府の推計で分かり、その無償労働の8割を女性が占めた」そうである。確かに、女性に対して、無償労働、低賃金労働を強いる社会的圧力(私の場合は、夫からは全くない)があり、これがある限り、女性が男性と同じ以上の実績をあげ、その実績を公正に評価されて管理職になることは難しいだろう。これが、「ガラスの天井」と呼ばれるガラスの正体だが、「日本では、強靭で、はっきり見えるので、ガラスではなくコンクリートだ」と言う人もいる。 そのため、私も、内閣府と同様、女性が社会進出して、家事・育児・介護の一部を外部委託すれば、労働人口が増え、産業も増えるので、産業振興して経済成長につながると考える。そして、これは、ニーズもないのに無理矢理行う産業振興ではなく、ニーズに合った財・サービスを提供するという、人を幸福にしながら行う産業振興なのである。 *1:http://digital.asahi.com/articles/TKY201309230423.html?ref=pcviewpage (朝日新聞 2013.9.24)女性重視を強調へ 安倍首相、国連演説で 安倍晋三首相は23日、カナダ、米国を訪問するため政府専用機で羽田空港を出発した。首相は米ニューヨークでの国連総会で一般演説を行い、日本社会で女性の活躍の場を増やす姿勢をアピール。シリア問題をめぐる難民支援にも積極的に関与する方針を示す。首相は出発前、同空港で記者団に「シリア問題に対する貢献と日本政府の女性重視の姿勢を世界に発信したい」と強調。世耕弘成官房副長官は同日夜、BS日テレの番組で、首相の国連演説について「日本は、決して右傾化するつもりもないし、歴史認識でいろいろ言われているが、女性が最前線で活躍する社会に日本は生まれ変わってきていると訴えることが重要なポイントになる」と述べた。首相はまた、消費増税に備えた経済対策で復興法人税を来春に1年前倒しで打ち切る方針について「復興のための予算は確保していくというのが当然の前提だ」と述べ、同税の撤廃に与野党から批判が出ていることに反論した。首相はカナダでハーパー首相と会談し、米国でオランド仏大統領や国連の潘基文(パンギムン)事務総長と会談。岸田文雄外相も23日、国連総会などに出席するため離日した。 *2:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20130924&ng=DGKDZO60088270U3A920C1TJC000 (日経新聞 2013.9.24) 女性管理職増加へ、「短時間勤務の拡充」7割 多くの企業が、女性が働き続けやすい仕組みを整えている。女性管理職を増やす取り組み(複数回答)として「短時間勤務制度の拡充」(72.6%)、「産休・育休明けの復職支援体制の拡充」(67.1%)などが上位にあがった。女性は結婚や出産などのタイミングで退社するケースが多く、女性の管理職はまだ少数派といえる。現在の課長以上に占める女性の割合は「5%未満」が73.3%を占め、40%以上との回答はゼロだった。政府は産業界に対して、積極的な女性登用を働き掛けている。成長戦略では「女性役員を上場企業に1人」といった目標を数値化している。自民党の政策提言では、指導的な立場につく女性の比率を2020年までに30%にするとうたっている。ただ、性別に関係なく実力主義で登用するとして数値目標には慎重な姿勢の企業が多い。「女性比率や人数などの数値目標の設定」に取り組んでいる企業は26.7%にとどまる。数値目標を設定していても「10%未満」としている企業が3割強に上った。 *3:http://qbiz.jp/article/24360/1/ (西日本新聞 2013年9月30日) 家事、育児…年138兆円 内閣府が「無償労働」推計 家事や買い物、育児、ボランティアなどに充てられた「無償労働」を金額に換算すると、2011年は過去最高額の約138兆5千億円に上ることが、内閣府の推計で分かった。名目国内総生産(GDP)の約3割に相当し、無償労働の8割を女性が占めた。内閣府は「女性の社会進出が進み、家事や育児の一部を企業や保育所などに任せれば、産業が振興して経済成長につながる可能性がある」と指摘している。無償労働の中で「家事全般」が最も高く約88兆6千億円。買い物は約27兆2千億円、育児は約14兆8千億円、介護は約3兆4千億円だった。ボランティアなど社会活動は約4兆5千億円。推計は、生活時間の配分などを調べる総務省の「社会生活基本調査」を基に、男女別、年代別の賃金や人口を反映させて算出した。政府は1981年分から5年ごとに結果を集計。高齢化が進み、推計算出に高い賃金を使う年代が増えているため、01年は約128兆8千億円、06年は約131兆9千億円と、無償労働額は毎回増えている。 *4:http://www.saga-s.co.jp/news/saga.0.2563064.article.html (佐賀新聞 2013年10月11日) 松尾建設に奨励賞 女性採用や長期休暇促進 女性の雇用促進や、仕事と育児・介護の両立支援に取り組んでいる企業を対象にした国の「均等・両立推進企業表彰」で、佐賀市の松尾建設(松尾哲吾社長)が、均等推進企業部門の佐賀労働局長奨励賞に選ばれた。 同社は意欲や能力のある人材活用を推進し、5年前まで男性社員だけだった設計、営業の両部門に女性を採用。従業員721人のうち女性は88人で、同じ部門に女性を複数配置して孤立を防いでいるほか、長期休暇の取得も促進している。厚生労働省の情報ポータルサイトでは女性の採用や職域拡大、継続就業を支援する具体策を提示しており、西村公子局長は「男性社会のイメージが強い建設業界での積極的な取り組みは他企業の模範となる」と評価する。10日に表彰式があり、同社の西久保孝幸管理本部長は「多様化する顧客ニーズに対応するため、女性に限らず誰でも活躍できる職場づくりをさらに進めていきたい」と話した。 表彰は1999年度から厚労省と佐賀労働局が毎年行っており、県内企業の受賞は2006年度以来7年ぶり。
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2013,10,18, Friday
尖閣での巡視船と中国漁船の衝突 玄海原発 福島第一原発事故現場 (1)特定秘密の範囲はどこまでか *1に、国民の「知る権利」や「報道・取材の自由」への配慮が明記されたため、公明党が秘密保護法最終案を了承し、今国会で成立の可能性と書かれている。*2に、この法案のきっかけは、2010年、尖閣諸島沖で起きた巡視船と中国漁船の衝突映像のインターネット流出事件だと記載されているが、この法律が成立すれば、「原発ホワイトアウト」という告発小説を書いた現役キャリア官僚もこれに該当するのだろう。そのため、秘密保護法で、このような情報流出源を罰しようという行為は、確かに怖い。 また、*2、*3、*4に記載されているように、秘密保護法案は、(1)防衛(2)外交(3)特定有害活動防止(4)テロ活動防止の4分野に関し、武器、弾薬、航空機の数量や性能など具体的な特定秘密を挙げているが、「その他の重要な情報」との文言も盛り込まれているため、政府にとって不都合な情報は何でも秘密にできる。さらに、「特定有害活動」や「特定秘密」の範囲は行政の裁量で決めることができるため、福島第一原発事故、原子力政策、防衛、TPPなど、あらゆる問題を政府の都合で対象にできる。 そして、*5には、自民党の石破幹事長が、特定秘密保護法案について、「これから先、世界のあちこちでテロリストやテロ国家が出てくる危険性がある。その時に一番大事なのは情報だ」と訴えられたそうだが、それでは、主権者である国民の判断のために重要な情報である「実は、原発はテロには対応できていない」ということも特定秘密として国民に知らせてはならないのだろうか。それは、逆だと思うが。 仮に、特定秘密保護法が制定されるとしても、何が特定秘密に当たるのかについて、国会で徹底した議論の上、限定列挙にしなければ、日本は危なくて重要なことは何もしゃべれない暗黒国家になるだろう。 (2)日本国憲法に規定されている民主主義と主権者の「知る権利」 *4に、「特定秘密を判断する主体として有識者会議を設置するが、会議の主な役割は指定の統一基準に意見を述べることに限られ、実際の指定が妥当かどうかはチェックせず、政府に都合のいい判断を排除する仕組みになっていない」と書かれている。私も民主主義は、「主権者たる国民が、状況を知った上で投票行動により決定するもの」であるため、「知る権利」や「(まともな)報道の自由」は配慮されるものではなく、日本国憲法から導き出される国民の当然の権利だと考える。 また、*6の日本弁護士連合会会長声明に記載されているように、この法案は、パブリックコメントの期間を僅か2週間しか設けないという国民不在の手続を強行して国民主権をないがしろにする手法をとり、国会議員に特定秘密が提供された場合でも、国会議員がその情報を議員活動で利用できるか否かについて不明確なままだそうだ。そうすると、国会議員が、主権者である有権者に国政報告をした後で、「それは特定秘密保護法違反だった」とされる可能性すらあり、公職選挙法や税法とともに、主権者である国民を代表する国会議員を行政が支配する強力なツールになるため、日本国憲法で保証された民主主義を揺るがすものである。 (3)内部告発者を守ることはできるのか *2によれば、処罰対象は公務員だけでなく、「秘密」を取得した民間人や国会議員も含むため、民主主義国家の情報公開に逆行し、主権者である国民の「知る権利」を侵害する。さらに、*4に書かれているように、これを漏らした公務員らに対し、罰則として最長10年の懲役が科せられるが、何が特定秘密に当たるかは漠然としている。 そして、防衛は「自衛隊の運用」、外交は「安全保障に関する外国政府との交渉」といった具合であるため、何の限定もないに等しく、行政機関の長の判断次第で、いくらでも特定秘密に指定することができる。また、その指定が妥当かどうかをチェックする公正で強力な主体はないため、有益な情報を開示した者を守ることもできない。 (4)秘密保護法施行の影響 仮に行政内部で特定秘密指定に疑問を持つ公務員がいても、同僚に相談することすらできず、情報を知り得た国会議員も、主権者たる有権者への国政報告どころか党内で議論を交わすことすらできない。そのため、秘密保護法が施行されれば、日本は、言論統制で萎縮した警察国家になりそうである。 PS(2013年10月23日追加):*7で記載されているように、広範な国の情報が行政の一存で特定秘密に指定できることになれば、国民の知る権利が侵され、憲法で定められた主権在民が機能しなくなるとともに、人権侵害も容易になって基本的人権が脅かされる。そのため、私も、この法律の制定に反対なのだが、*8のように、国民の代表である国会が政府の監視役にならなくなるという国会自身が憲法で与えられた役割や権利を放棄し、議院内閣制を形骸化させる法律でもあるため、国会で党議拘束をかけず、議員の良識に従って採決して否決する方法もあろう。 *1:http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013101801000948.html (東京新聞 2013年10月18日) 公明、秘密保護法最終案を了承 今国会成立の可能性 公明党は18日、機密を漏らした公務員らへの罰則強化を盛り込んだ特定秘密保護法案に関するプロジェクトチーム(PT)で最終的な法案を了承した。同党の修正要求を踏まえ国民の「知る権利」や「報道・取材の自由」への配慮が明記された。公明党は22日の政調全体会議で手続きを終える。政府は25日に閣議決定し、国会へ提出する。今国会で成立する可能性が強まっている。PTでは、礒崎陽輔首相補佐官が、公明党が求めた閣議の議事録作成と公開を義務付ける公文書管理法改正に関し「調整をして前向きに検討したい」と説明した。 *2:http://www.y-mainichi.co.jp/news/23494/ (八重山毎日新聞社説 2013年10月15日) 揺れる国民の知る権利 第66回新聞週間に思う ■問題多い秘密保護法案 きょうから第66回新聞週間がスタートする。国内情勢はこじれた韓国や中国との外交、一触即発の尖閣問題、いまだ抑止できない福島原発の汚染水流出など、難題が山積している。その中で、政府の「特定秘密の保護に関する法律案」(秘密保護法)の国会提出準備が、着々と進められていることに強い懸念が生じている。同法は外交や防衛などに関わる秘密を漏えいした公務員らの罰則を強化して、国を守ろうというものだ。法案のきっかけは、2010年に石垣市の行政管轄・尖閣諸島の沖合で起きた巡視船と中国漁船の衝突映像のインターネット流出事件とされる。元海上保安官がネットに流出させたのが法制定の理由らしい。しかしこの問題は国内法に基づき、逮捕した中国船長を粛々と処理すべき事件だ。それを内部情報が漏れたからといって、新法で情報流出源を徹底的に追及し、罰しようという行為は空恐ろしいものがある。秘密事項が抽象的なあいまい表現では、国に都合の悪いものはすべて闇に葬られかねないのである。 ■あいまいな特定秘密 国民が関心の高い消費税3%引き上げの陰で、秘密保護法はややもすると身近な問題と思われにくいかもしれない。しかし同法が制定すれば国民の関心の高い福島原発をはじめとする原子力政策、防衛、TPPなど、あらゆる問題が政府の都合で「特定秘密」にされる可能性があるのだ。秘密保護法の法案概要は「防衛」「外交」「安全脅威活動の防止」「テロ活動防止」の4分野のうち、国の安全保障に著しい支障を与える恐れがあり、秘匿の必要性が特に高い情報を行政機関の長が「特定秘密」に指定するとしている。だが、何が特定秘密に当たるかをチェックする仕組みがないうえ、不都合な情報を恣意(しい)的に指定したり、国民に必要な情報まで秘匿したりする手段に使われる疑念は依然として残っている。何を「秘密」とするかは行政側の裁量で決められ、処罰対象も公務員だけでなく、「秘密」を取得した民間人も範囲となり、情報公開に逆行、国民の「知る権利」を侵害する恐れがある。 ■沖縄は秘密だらけ 「秘密」に関し、沖縄に住む私たちは日米安全保障に伴い、さまざまな問題を経験してきた。1971年の沖縄返還協定をめぐって、取材上知り得た機密情報を国会議員に漏らしたとして、当時の毎日新聞社政治部記者・西山太吉氏らが国家公務員法違反で有罪となった沖縄密約事件があり、またオウム真理教のテロ事件で、多くの国民に知られた化学兵器のサリンが、沖縄に保管されていたことも明らかになった。いまなお沖縄の米軍情報は機密扱いが大半で、一方的に通知されることが通常化している。県内マスコミが情報公開を訴え続けているのも、周知の通りだ。このような状況下では、仮に普天間基地などが防衛上の特定秘密とされるとどうだろう。公務員は罰則を恐れて口をつぐみ、重大な問題が生じていても内部告発は得られない。取材は困難を極め、重要な情報を入手した記者が逮捕される可能性も否定できない。この秘密保護法をめぐって日本新聞協会や日本弁護士会は「民主主義の根幹である国民の知る権利が損なわれる恐れがある」と反対を表明している。自公政権が圧倒的な数を得たいま、法案採決は容易だ。それだけに懸念の声をあげなければならない。 *3:http://www.asahi.com/paper/editorial.html?ref=com_gnavi#Edit1 (朝日新聞社説 2013年 9月 19 日) 秘密保護法案―知る権利はつけ足しか 安倍政権が、秋の臨時国会に提出する特定秘密保護法案に、「知る権利」と「報道の自由」の明記を検討している。知る権利や報道の自由は国民の重要な権利であり、憲法で保障されたものと考えられている。だが、その理念を法案に加えるからといって、それが実際に担保されるわけではない。秘匿する情報の際限ない拡大を防ぐ具体的な仕組みがなければ、いくら「知る権利」を強調したところで、かけ声だけに終わるのは明白だ。そもそも法案は数々の問題を抱えている。秘匿対象は防衛、外交、スパイ、テロの4分野。行政機関の長が、国の安全保障に著しく支障を与えるおそれがある情報を「特定秘密」に指定する。これを漏らした公務員らに対して、罰則として最長10年の懲役が科せられる。何が特定秘密になるのか。法案別表で示すとしているが、概要段階での別表の書きぶりは漠然としている。防衛は「自衛隊の運用」、外交は「安全保障に関する外国の政府との交渉」――といった具合だ。なんの制限もないに等しい。行政機関の長の判断次第でいくらでも、特定秘密に指定することができてしまう。指定が妥当かどうか、チェックする機能はあまりにも乏しい。仮に行政内部で、指定に疑問を持つ公務員がいても同僚らに相談することはできない。国会議員も法案の対象になるので、秘密を知り得た国会議員は党内で議論することもできないことになる。 米国には秘密指定に関する「省庁間上訴委員会」という制度があり、情報保有者からの秘密指定に関する訴えの裁定にあたる。また、情報公開制度は、大統領の携帯メールの内容でさえ将来的には公開対象となるほど徹底している。こうした仕組みを検討することなく、政権は「秘密保護」にひた走っているようにみえる。「知る権利」を明記した情報公開法改正案が昨年、廃案になった。秘密漏洩を阻止したいというのなら、情報公開も一対のものとして充実させなければならない。それでこそ、「知る権利」は担保される。法案の概要をめぐって一般から意見を求めるパブリックコメントは、わずか15日間で打ち切られた。これだけ問題のある法案なのに短すぎる。国民の懸念を押し切ってまで新たな法制化が本当に必要なのか。安倍政権は根本から考え直すべきだ。 *4:http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-213978-storytopic-11.html (琉球新報社説 2013年10月18日)秘密保護法案 民主主義の破壊許されぬ 政府と公明党は機密を漏らした公務員らへの罰則強化を盛り込んだ特定秘密保護法案の修正に基本合意した。国民の安全を確保することを名目にしているが、実態は政府の思うがままに情報を秘密指定して、永久に国民の目に触れさせないようにできる情報隠蔽法にほかならない。 なぜこの時期なのか。政府は「情報漏えいの可能性が増大している」と強調するが、近年の漏えい事件で公務員が実刑になったのは1件だけ。既に再発防止策はとられているので、あえて秘密法を制定する事情は存在しないはずだ。特定秘密の対象は(1)防衛(2)外交(3)特定有害活動防止(4)テロ活動防止-の4分野に関する項目。武器、弾薬、航空機の数量や性能など具体的な特定秘密を挙げつつ「その他の重要な情報」との文言が盛り込まれている。「その他」を挿入することによって政府にとって不都合な情報は何でも秘密にできる。 ではだれが特定秘密を判断するのか。政府は行政機関が都合よく指定するのを防ぐために有識者会議を設置するという。しかし会議の主な役割は指定の統一基準に意見を述べることに限られ、実際の指定が妥当かどうかはチェックしない。政府に都合のいい判断を排除する仕組みになっていない。専修大学の山田健太教授(言論法)は「戦後の憲法体系の理念に反する」と指摘している。かつて日本は軍機保護法をはじめ、政府の情報に国民を近寄らせない法制を敷いていた。「漏らす者とともに、かぎ回る者を罰する法体系」(山田氏)だ。軍機保護法下で朝日新聞記者だったむのたけじさんは「新聞社自体が自縄自縛に陥った」と語り、記者が自己規制して国家の行為に異を唱えられなくなったと証言している。その反省から現行憲法の下では表現の自由、知る権利が保証されている。 秘密法案修正に際し「知る権利」や「報道の自由」への配慮と、取材活動に関して「著しく不当でない限り」原則として罰則の対象外とすることした。おかしな話だ。知る権利や報道の自由は配慮されるものではなく当然の権利だからである。特定秘密の指定期間は5年だが更新可能で、指定期間が終わっても情報保存と公開のルールはなく、破棄される可能性すらある。国民主権、民主主義を破壊するような法案提出は許されない。 *5:http://www.nishinippon.co.jp/nnp/politics/article/46158 (西日本新聞 2013年10月14日) 石破氏「国家独立に不可欠」 秘密保護法案で 自民党の石破茂幹事長は14日、茨城県常陸太田市で講演し、機密を漏らした公務員らへの罰則を強化する特定秘密保護法案について「本当の情報を手に入れ、国家の独立を守るためにやらなければならないことだ」と述べ、15日召集の臨時国会で成立させるべきだと重ねて強調した。同時に「日本に何か教えたらあっという間に皆にばれてしまう、となればどの国も本当のことを教えてくれない」と指摘。「これから先、世界のあちこちでテロリストやテロ国家が出てくる危険性がある。その時に一番大事なのは情報だ」と訴えた。 *6:http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2013/131003.html (日本弁護士連合会 2013年10月3日) 特定秘密保護法案に反対する会長声明 政府は、9月26日、特定秘密保護法案(以下「本件法案」という。)の内容を明らかにした。この時期の公表は、秋の臨時国会への提出及び成立を目指したものである。当連合会では、民主党政権下において情報公開法の改正と併せて秘密保護法制に関する検討が始められた当初から、秘密保護法制の立法化に対しては疑問を呈し、法案の国会提出に強く反対してきた。そして、同月3日から始まった特定秘密保護法案概要に関するパブリックコメントにも、同月12日に当連合会として法案概要の問題点を詳細に指摘した意見書を提出した。 本件法案には、手続面及び内容面において重大な問題がある。本件法案の内容は、統治機構の在り方、国民主権及び国民の諸権利に重大な影響を与えるものであるにもかかわらず、政府は、この問題について国民に秘したまま7年以上にわたり水面下で検討しながら、ようやく1か月前に突如法案の概要を示し、更にまたパブリックコメントの期間を僅か2週間しか設けないという国民不在の手続を強行した。国民主権の否定につながるこのような手法は断じて許されるべきではない。それにもかかわらず、パブリックコメントには、約9万件の意見が寄せられ、しかも、約8割が法案概要に反対するものであったとのことである。政府としては、パブリックコメントに寄せられた意見を分析し、法案の内容を再検討し、さらには法案の提出の断念をも検討すべきであった。ところが、パブリックコメント終了後わずか12日目に本件法案を公表した。寄せられた国民の意見を検討できるはずもなく、またこれを子細に検討し法案に反映させようとの姿勢は全く窺えない。そして、本件法案の内容をみても、当連合会が指摘した問題点がそのまま残されている。すなわち、特定秘密の範囲が広範かつ不明確で、違法秘密や疑似秘密(政府当局者の自己保身のための秘密)の危険性もそのままであり、適性評価におけるプライバシー侵害の問題や、重罰化、共謀・独立教唆の処罰による取材活動の萎縮や知る権利の制約の問題も解消されていない。 また、行政機関の長が特定秘密情報を提供することができる要件について、国会の議院等(以下「国会等」という。)に対しては、行政機関の長の幅広い裁量権が規定されているのに対して、外国の政府や国際機関に提供する場合については、国会等への提供の場合よりも明らかに緩やかなものになっている。そのうえ、国会等に特定秘密を提供した場合に、議員がその情報を議員活動でどのように利用できるかについても不明確なままであり、これでは、国会が国権の最高機関であることを無視するものというほかない。全国民を代表する国会議員によって構成される国会が行政を監視するのではなく、逆に行政によって国会が支配されかねない構造となっており、わが憲法下の統治機構の在り方を根底から蝕むものである。 また、警察庁長官が、都道府県警察が保有する特定秘密の提供を求めることができるものとしている。これは、警察組織の更なる中央集権化を推し進める役割を果たし、戦後の警察組織の民主化を大きく後退させることにつながりかねない。 一方、法案の第20条に「報道の自由」に配慮する旨の規定が盛り込まれたが、「報道の自由」は判例上確立しているから、その文言を改めて規定する意味は特にないのであって、幅広い処罰規定を設け、過失犯まで処罰するという本件法案の重罰化がもたらす憲法の保障する自由権に対する深刻な萎縮効果は何ら拭えないのである。 このような法案は、今国会に提出されるべきではない。その前に、重要な公的情報を適正に保管するための公文書管理法の改正、及び国民の知る権利を充実させるための情報公開法の改正こそが行われるべきである。 2013年(平成25年)10月3日 日本弁護士連合会 会長 山岸 憲司 *7:http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2013101902000125.html (東京新聞 2013年10月19日) 秘密保護法案 人権脅かす 憲法学者24人反対声明 憲法・メディア法学者二十四人が呼び掛け人となり、特定秘密保護法案に反対する声明をまとめた。賛同者を募り、近く発表する。刑事法研究者百二十三人も同様の声明を準備している。政府は来週の閣議で法案を決定したい考えだが、法律専門家の間で反対の声が広がっている。 憲法・メディア法学者の反対声明の呼び掛け人には奥平康弘東京大名誉教授をはじめ、山内敏弘一橋大名誉教授、石村善治福岡大名誉教授、森英樹名古屋大名誉教授、田島泰彦上智大教授ら著名な研究者が名を連ねた。声明は、特定秘密保護法案について「重要で広範な国の情報が行政の一存で指定されることで、国民の知る権利が侵害される」と批判。秘密保護の強化は集団的自衛権の行使容認や自民党草案による改憲の流れと一体と分析し、「基本的人権、国民主権、平和主義の憲法の基本原理を踏みにじる危険性が高い」と反対の理由を説明している。刑事法研究者の声明は日本刑法学会元理事長の村井敏邦一橋大名誉教授ら二十三人が呼び掛け人となり、賛同者を募った。声明は、戦前の秘密保護法制が言論統制の柱になったと指摘。裁判官も秘密自体を確認できないため、適正な刑事手続きが保障されないとして「基本的人権の尊重などの憲法の基本原理を脅かし、刑事法の人権保障も侵害する恐れが大きい」と指摘している。 *8:http://www.tokyo-np.co.jp/feature/himitsuhogo/news/131009.html (東京新聞 2013年10月9日) 【点検 秘密保護法案】 <6>国会 政府監視 自ら放棄 政府が指定する「特定秘密」は、憲法で「国権の最高機関」と位置づけられる国会や国民の代表である国会議員でも原則として中身を知ることはできず、議論もできない。国会には憲法で定められた国政調査権があり、政府は「正当な理由」なく資料提出要求などを拒否できないが、今回の法案は国政調査権より「国の安全保障に著しい影響がある」として、秘密保全を優先している。閣僚などの政務三役は特定秘密を扱えるが、漏えいすれば罰則の対象になり、公務員と同じく最高懲役十年。同じ政党の同僚議員に教えることもできず、議論さえできない。法案では、例外として、非公開の委員会など(秘密会)に提供できるとしている。出席した国会議員がその情報を漏らせば、最高懲役五年だ。ただ、議員の調査活動を補佐する秘書や政党職員に伝えた場合が違法になるかどうかは決まっていない。 さらに問題を複雑にしているのは、「両議院の議員は、議院で行った演説、討論について、院外で責任を問われない」と規定する憲法五一条との関係だ。例えば、秘密会で特定秘密を知った議員が国民に伝えるべきだと判断し、本会議や委員会で明らかにしても罪にならない。政府から見れば秘密会の意味がなく、最初から特定秘密を提供しなくなる恐れがある。 法案に反対する伊藤真弁護士は「国会が行政を監督するのに必要な情報を得られなくなり、議院内閣制は崩れてしまう。情報を持つ者が、持たない者を支配する『官僚政治』が進み、国民が主人公の国ではなくなる」と警戒する。重要な情報が「特定秘密」にされてしまえば、国民の代表が政府を監視する国会の機能は削(そ)がれ、政府の歯止め役にならない。国会がこの法律を成立させることは、自らの手で憲法で与えられた役割や権利を放棄することになりかねない。
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2013,10,17, Thursday
(1)議員や候補者の「お祭り廻り」と「お盆廻り」
*1で、自民党の石破茂幹事長が、「お盆にはお祭りもある。とにかく参院選のお礼回りをしなさい」等、新人議員に発破をかけられたそうだが、これは、自民党議員が地元で普通にやっていることである。このほか、地元の式典や会合に出席する、自分の国政報告会や座談会を開くなど、地元の人に浸透するように心がける。 もちろん、地元の式典や会合に出席したり、一度その地域のお祭りに参加したりするのは、地元に関する知識を増やすことになるし、また、自分の国政報告会や座談会を開いて地元の人の声を聞くのは、当然、次の政策作成の基礎として重要である。 しかし、お祭り廻り、お盆廻りに励むのは、議員の政策作成とは関係がなく、むしろ、それらに時間を使っている分だけ、本当の議員の仕事である政策作成に必要な時間をとられている。しかし、お祭り廻りやお盆廻りをする候補者の方が選挙で当選しやすく、国民は、政策作成に熱心な人より、お祭り廻りやお盆廻りでよく見かける人を議員に選んでいるというのが、現在のわが国の民主主義の実態であるため、ここは、有権者の方が考え方を変えるべきである。 (2)それでは誰が政策を作っているのか 麻生財務大臣が「官僚をうまく使え」とよく言っているように、確かに、官僚がいろいろな意見をまとめて政策や法律案を作っている場合が多い。しかし、官僚は、政治家に使われてそれをやっているというよりは、政治家を使って自分たちが作った政策を法律にして「決めている」と言う方が正しい。例えば、消費税増税(財務省)、TPP(経産省)、原発推進(経産省)などがその例であり、与党の政治家がそのつもりでなくても、いろいろな手段でその方向に持っていかれるわけである。そして、官僚が、「自分たちの政策を、速やかに決める政治」を望んでいるのである。 しかし、日本のメディアは、官僚が作った政策や法律案を成立させるのが、「『決める政治』で与党の責任だ」という言い方をする場合が多く、これは、民主主義という観点から見て本末転倒だ。 (3)新人議員は全員無知だとするメディアの論評について *1のように、「郵政選挙で大量当選した『小泉チルドレン』の初当選組83人が自由奔放な言動で批判を浴び次の衆院選で激減した」や「小沢チルドレンは・・・」というように、メディアは、大量に当選した新人議員を“チルドレン”と称し、「全員無知であるにもかかわらず、風にのって当選した起立要員にすぎない」というような議員を馬鹿にしたメッセージを発し続けてきた。 しかし、新人は全員無知という発想は、終身雇用・年功序列の前提に基づいた間違いである。例えば、15年間弁護士として働いた人が新人国会議員になれば、15年間国会議員を続けてきた人よりも、法務関係の事象には詳しい。また、15年間医者であったり、15年間公認会計士であったりした人も、その分野については、15年間議員を続けてきた人よりも詳しいのである。つまり、前のキャリアは職業が変っても知識や経験として加算されるべきなのだが、日本では、「職業が変わって”新人”になれば、誰でも0からのスタートだ」と考える人が多い。これは、日本が終身雇用・年功序列を建前としていた時代の幻想で、世界標準からは程遠いのだが、日本のメディアは、拡声器よろしくそう言い続け、新人議員の信頼性を損ってきたのである。 (4)世襲議員とアピールについて フクイチ3号機爆発 爆発現場 爆発後の現場に入る人々 世襲議員の一例として小泉進次郎議員を挙げれば、小泉純一郎元首相の後援会や秘書団を引き継いでいるらしく、選挙にゆとりがあり、当選当初から何かにつけ根回しも良くて、優遇されているように見えた。そう言う私も、ゆとりのある世襲議員のお世話になることが多かったが。 また、進次郎議員は、毎月11日に他の国会議員を引き連れて福島県を訪れたり、*2に記載されているように除染したりしたそうだが、交通費を国費で支払って国会議員が何度も訪れながら、*3、*4のようなことを解決もせず、今頃*2のように「事故の影響で避難した人たちが戻れる環境をどうつくるかを考えなくてはならない」などと語っているのは、何度も福島県を訪れていたのが問題意識のない「お盆廻り(月命日参り)」と同レベルのアピールにすぎなかったという証拠だ。しかし、国会議員に要求されるのは、ほんの少しを自ら除染することではなく、本物の除染・避難・健康管理・復興を早急に進めることだった。 が、そうやって国会議員という地位を確保し、「官僚の作った政策を決める」という、三権分立ではなく行政の下にある立法という構図を作っているのが、現在の日本における民主主義の成熟度である。 *1:http://career.pjin.jp/news/2013/08/08-01.php (キャリア@PRO人 2013年8月 8日) 熱血「石破教官」新人議員に心得 夏休みの"宿題"も 「お盆にはお祭りもある。とにかく参院選のお礼回りをしなさい」。「地元では社長さんだけでなく、従業員や受付の人も大事にしなさい」。繰り上げ当選した堀内恒夫氏を含め35人(衆院くら替え当選組3人を除く)が出席した7日の自民党参院新人研修会。石破茂幹事長の野太い声が会場に響きわたり、新人議員は真剣な表情で聞き入った。 ●ミニ集会の開催や地方議員との緊密な連携など「選挙活動」のノウハウを丹念に指南した「石破教官」。 先に訓示した安倍晋三首相(党総裁)が「たじろぐ自民党であれば党の終わりを示すことになる。皆さんは改革を進める中核になってほしい」と笑みを浮かべながらエールを送ったのとは対照的だった。石破氏の熱血指導の理由は、大量当選と落選を繰り返す「振り子現象」から脱皮することにある。念頭にあるのは平成17年の郵政選挙で大量当選した「小泉チルドレン」。当時の初当選組83人が自由奔放な言動で批判を浴び、21年の衆院選で激減したからだ。党内統治の観点から、にらみを利かすことも忘れなかった。石破氏は「何を言ってもいい。だが、その代わり(党として)決まったら一丸となって行くのだ」とクギを刺した。アドバイスと同時に"宿題"も課した。党憲法改正草案の策定経緯やポイントを記した「Q&A」形式の冊子を配り、熟読するよう指示。昨年の衆院選で当選した新人とほぼ同じ内容の研修だったが、リポート提出などは課さなかった。参院議員は任期6年。衆院と異なり解散がない。それだけに地元活動をおろそかにしないようにという指導に力点を置いたわけだ。石破氏は参院選中、候補者の名前や顔を暗記するための「単語カード」も作成した。新人が大量当選した昨年の衆院選後にも作成した単語カードの、参院版といえる。党内からは「ポスト安倍」を見据えた石破氏の言動に注目が集まるが、本人は「幹事長の最大の仕事は選挙」と自らに言い聞かせている。 *2:http://www.saga-s.co.jp/news/global/corenews.0.2564228.article.html (佐賀新聞 2013年10月13日) 小泉復興政務官が福島視察 / 風評被害対策を後押し 小泉進次郎復興政務官は13日、福島市のリンゴ農家を視察し、東電福島第1原発事故による風評被害対策について「(福島県産品を)多くの人に味わってもらえるようしっかり後押ししたい」と述べた。視察したのは、阿部幸弘さん(59)の果樹園で、小泉氏が自民党青年局長だった昨年2月に除染を手伝ったことがある。この日は、阿部さんの案内で果樹園を見て回り、実ったリンゴをほお張ると「本当に甘い」と笑顔を見せた。小泉氏は視察後、原発事故の収束に向けた政府の取り組みに関して「事故の影響で避難した人たちが戻れる環境をどうつくるかを考えなくてはならない」と記者団に語った。 *3:http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013101101002281.html (東京新聞 2013年10月11日) 被災者支援限定に過半数が疑問 基本方針で復興庁発表 復興庁は11日、東京電力福島第1原発事故の避難者らを援助する「子ども・被災者支援法」の基本方針案に4963件の意見が寄せられ、このうち「支援対象地域」を福島県内33市町村に限ったことへの疑問や見直しを求める意見が2707件あったと発表した。復興庁は基本方針案を8月30日に発表し、9月23日まで意見を公募した。これを踏まえて政府は11日、対象地域以外でも、除染や健康診断実施などの対象になり得ることを新たに明記した基本方針を閣議決定したが、対象地域の範囲は見直さなかった。 *4:http://digital.asahi.com/articles/TKY201310160927.html?iref=comkiji_redirect (朝日新聞 2013年10月17日) 除染予算、4分の3使われず 福島第一周辺の国直轄分 検査院調べ 福島第一原発周辺の放射線量が高い地域の環境省の除染事業をめぐり、会計検査院が昨年度までの予算約3228億円の執行状況を調べたところ、76・6%にあたる約2472億円が使われなかったことがわかった。汚染された土壌の置き場所がない、などの理由だ。また除染費用は東電に請求しているが、支払われたのは請求額の2割に満たないという。環境省は、この事業を今年度中に終えるとしていた計画を9月に撤回するなど見通しの甘さが指摘されているが、予算面からも改めて浮き彫りになった。この除染事業は、原発周辺の福島県内11市町村内の避難指示区域を「除染特別地域」として国直轄で実施する。ただ、住民の同意が得られず、土壌の仮置き場の確保などが難航しているため除染が進んでいない。今年7月末現在、田村市、楢葉町、川内村は仮置き場の必要面積を確保したが、浪江町0%、飯舘村15・2%、南相馬市18・0%など7市町村は5割未満にとどまる。除染を行う土地や家屋の所有者らとの交渉も、浪江町で12・8%、南相馬市で27・8%、飯舘村で29・6%しか済んでいない。環境省は取材に「地元住民の理解を得ながら、適切に除染が進むよう努めていきたい」と話している。一方、除染事業の費用は「放射性物質汚染対処特措法」に基づいて、国直轄分に限らず、各自治体分も含むすべてを東電が負担することになっている。今年度までに組まれた除染事業の予算総額は1兆2874億円にのぼり、今後も増え続ける見通しだ。同省はこれまでに除染が終了した分の約404億円を東電に請求したが、東電からは約67億円(16・7%)しか支払われていない。特措法は東電に「速やかに支払うよう努めなければならない」と求めているが、検査院によると、東電は「証拠の確認が完了していない」「特措法の定める支払いの範囲か判断できない」などとして支払いを拒んでいるという。東電は取材に「合意できたものは支払っている。詳細は環境省との交渉であり、回答は控えたい」としている。
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2013,10,14, Monday
2013.8.1農業新聞 ハウスのソーラー発電 2013.8.5日経新聞 風リング風車 (1)ゴミ焼却のCO2にも使い道があった *1は、佐賀市の清掃工場の排ガスから二酸化炭素(CO2)を取り出す実験装置が稼働したという記事で、エネルギーとは関係ないが、今まで捨てていた迷惑物質を利用するというアッパレな実験であるため紹介する。確かに、CO2は光合成に必要な物質であり、農業用ハウスで農作物の成長促進や糖度・収量のアップに期待できそうだし、藻類の培養に役立てることもできるだろう。塩化水素やダイオキシンなどの有害物質が混入しない純度の高いCO2を取り出すようにしてもらいたい。秀島市長の「今まで利用されることが少なかったCO2に価値を見いだし、新たな産業を創造することで雇用を創出し、地域振興を図りたい」という考え方にも賛成だ。 (2)ゴミ焼却熱による発電 *2に書かれているように、ごみ焼却時に電気を作る「ごみ発電」も、効率よく電気を安定供給でき、1キロ・ワット時あたり17・85円の固定価格買い取り制度による売電収入が得られるようになったため、新エネルギーとして期待されている。同時に、ごみから出る灰、金属、ガラスなどを完全に溶融し、路盤材などに利用できるスラグとメタルに資源化するというのはアッパレだ。さらに、「ごみ焼却炉」近くの家には、温水を供給することも可能だろう。環境省も、ごみ焼却で出る熱を有効利用する施設を自治体などが建設する際、一定要件を満たすものを「高効率」施設として交付金を拠出するとのことである。ゴミの資源化を行う自治体は、副収入が出る筈だ。 (3)太陽光・風力などの自然エネルギーを馬鹿にすべきではない *3によれば、太陽光・風力発電を合わせた供給力244万kWは、原子力発電所で唯一稼働していた関西電力の大飯発電所3・4号機の合計出力236万kWを上回ったそうである。しかし、「固定価格買取制度により、太陽光を中心に全国各地で再生可能エネルギーによる発電設備が増え続け、2014年の夏も供給力が大幅に伸びることは確実だが、電力会社が発電事業者などから買い取る電力は通常よりもコストが高く、その差額は電気料金に上乗せされる」と記載されている。これに対して、私は、原子力には平時でも毎年5,000億円の国費を投入しているのに、太陽光・風力などの国産自然エネルギーの固定価格買取については、すべて電力需要者の負担として原子力と比較するのは、正確な比較にならず、不公正だと思う。 また、*5に記載されているように、「政府は電力システム改革で2016年をめどに、家庭向けを含む電力小売りを自由化する方針」であるならば、その時までに、家庭や企業が本当に自由に電力を選べるように、発送電分離が不可欠である。そうでなければ、旧来の電力会社の経営に影響のない範囲までしか新電力の送電は認められないだろう。なお、「自前の発電設備を持つ企業の参入などで、新電力の供給力が増えれば、電力会社の地域独占が崩れる」と書かれているが、地域独占は独占と同じであるため、独占禁止法上及び公正取引法上、独占が崩れることこそ望ましいのである。 (4)農業での太陽光発電 *4では、最新の農業資材を展示する「第3回国際農業資材EXPO(アグリテック)」が、2013年10月9日に幕張メッセで開幕し、太陽光発電や情報技術(IT)農業関連の資材などが注目を集めたそうだ。農業者が太陽光発電に協力すれば、持っている土地・家屋が広いだけに、太陽光発電の普及が加速されることが期待できる。 しかし、私は、農業者は農業が主体であるべきなので、圃場に全く影響を与えない形での太陽光・風力発電を進めたいし、それができるような発電機を作るべきだと考える。例えば、①畜舎の屋根に設置して畜舎の空調を行った上、余剰電力を売る ②ハウスに透明な太陽光発電機を取り付けてハウスの温度管理をした上、余剰電力を売る ③圃場の日差しに影響を与えない太陽光発電機を作る などである。 つまり、太陽光発電機も、そろそろ「発電しさえすればよい」というコンセプトから、「発電効率が高く、見栄え、その他の機能も備えている(損なわない)」というコンセプトに変わるべきなのだ。 *1:http://www.saga-s.co.jp/news/saga.0.2558985.article.html (佐賀新聞 2013年10月3日) 排ガスからCO2回収 佐賀市清掃工場 佐賀市清掃工場(高木瀬町)に導入した排ガスから二酸化炭素(CO2)を取り出す実験装置が2日、稼働した。清掃工場から排出されるCO2を分離回収し、CO2は農作物の成長促進や藻類の培養に役立てる実証実験の第一歩。東芝や九州電力、焼却炉の運転管理を担当する荏原環境プラントなどとの共同研究で、ごみ焼却場では国内で初めてのCO2分離回収実験が本格スタートした。実験は東芝が担い、1日当たり10~20キログラムのCO2を回収する。2009年から福岡県大牟田市の火力発電所で稼働している実験プラントの技術を応用した。装置内では、CO2を吸収する特殊な液体と排ガスを混合。CO2だけを取り込んだ液体を加熱することで、純度99%以上のCO2を得られるという。約半年間をかけ、塩化水素やダイオキシンなどの物質が含まれていないCO2が回収できることを確認する。安全性や純度の確認と並行して、2014年度末にかけては回収コストの評価や利活用方法の調査研究を進める。糖度や収量アップに効果が期待される農業用ハウスでの活用や、バイオジェット燃料としての可能性も注目されている藻類の培養への活用を模索している。稼働式で、秀島敏行市長は「今まで利用されることが少なかった二酸化炭素に価値を見いだし、新たな産業を創造することで雇用を創出し、地域振興を図りたい」とあいさつ。東芝の油谷好浩常務は「地球温暖化などの問題が世界的規模で顕在化している。今回の取り組みなどを通し、持続可能な社会の推進に貢献していきたい」と述べた。 *2:http://www.yomiuri.co.jp/eco/feature/20121025-OYT8T00714.htm (2012年10月29日 読売新聞) ごみ発電 効率性に熱視線 ●有機物ガス活用 地域の安定電源へ ごみから電気を生み出す「ごみ発電」への期待が高まっている。東日本大震災以降、新たなエネルギー源として効率よく電気を安定供給できる長所に加え、固定価格買い取り制度による売電収入ももたらされるようになったからだ。 ●「迷惑施設」で発電 「本格的に稼働すれば約5億円の売電収入を見込めます」。今月試験運転を始めた堺市クリーンセンターの臨海工場(堺市堺区)で、神沢泰博・市環境施設課長の言葉には期待がこもる。公共事業に民間資金を生かすPFI方式による特別目的会社が市の委託を受けて運営する同センターは、最新のごみ発電施設だ。ごみから出る灰、金属、ガラスなどを完全に溶融し、路盤材などに利用できるスラグと、メタルに資源化するだけでなく、有機物から出るガスでもれなく発電する。迷惑施設のイメージが強いごみ処理施設から資源や電気が生み出されるのだ。発電効率は全国平均の約1・6倍。来年4月に本格稼働すれば、市の一般廃棄物の半分近い年間14万トンを処理でき、約2万世帯分に相当する電気を生み出す。市は、蒸気タービンとガスタービンを組み合わせて発電効率を22・5%に高めたスーパーごみ発電施設も1997年から稼働させており、こちらは年間約4億円の売電収入がある。だがガス代が年々高騰し、2011年度は売電収入約4億2000万円に対し、ガス代が約3億円かかるようになり、もうけは少ない。発電技術や金属材料の進歩でガスがなくても高効率で発電できるようになったのが臨海工場で、市は今年度、老朽化した既存のスーパーごみ発電施設も改造して、この方式へと変換する。 ●優遇措置 環境省は、ごみ焼却で出る熱を有効利用する施設を自治体などが建設する際、発電効率など一定要件を満たすものを「高効率」施設として交付金を拠出。東日本大震災後の電力不安などから、来年度は特別重点枠に位置づけ、159億円を予算要求している。同省によると、全国1221のごみ焼却施設のうち発電しているのは約4分の1にあたる306施設。全国的にごみ焼却施設の数は減ってきているが、発電設備を備える施設の割合は増えており、2010年度の総発電量は約72億キロ・ワット時。1世帯あたりの年間電気消費量を3600キロ・ワット時として計算すると約199万世帯分に匹敵し、地域の安定電源としての期待が高まっている。 ●売電が後押し 7月1日に始まった再生可能エネルギーの「固定価格買い取り制度」の対象になったことも今後の追い風となりそうだ。一般廃棄物などを燃やして発電した場合はバイオマス発電となり、その買い取り価格は1キロ・ワット時あたり17・85円。堺市の場合、制度導入後の売電収入は1・5倍程度に上がるという。廃棄物やリサイクル問題に詳しい田中勝・鳥取環境大サステイナビリティ研究所長(廃棄物工学)は「広域処理を目指し、複数の自治体で大規模で高効率のごみ処理発電施設を運営すれば、売電収入の増加も見込め、経済負担も少なくてすむ。地域の電力危機解消にもつながっていく」と話す。 *3:http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1310/09/news009.html 夏のピーク時に太陽光と風力で244万kW、原発2基分を供給 電力会社9社が太陽光発電と風力発電によって供給する電力が増えている。2013年夏の電力需要がピークになった時間帯の実績を集計した結果、太陽光と風力の合計で244万kWに達した。原子力発電所の2基分に相当する規模で、再生可能エネルギーが原子力を代替する状況が進んできた。政府の電力需給検証小委員会が2013年夏の実績をまとめたもので、各地域で需要がピークに達した日時の太陽光発電と風力発電の供給力を9つの電力会社ごとに集計した。太陽光発電では東京電力の管内で最大需要日の8月9日に56万kWを供給したのが最高だった。次いで中部の51万kW(8月22日)、関西の44万kW(同)の順に多かった。いずれも委員会が事前に予測した数値を2倍前後も上回っており、予想以上の伸びになっている。九州だけは予測値を下回ったが、最大需要日の8月20日のピークが夕方の16時台にずれこんだことが要因だ。供給対象になった太陽光発電設備の最大出力を9つの電力会社で合計すると876万kWにのぼった。ピーク時の設備利用率(最大出力に対する実際の出力)を計算すると25%になり、太陽光発電の標準値である12%の約2倍を発揮した。一方の風力発電によるピーク時の供給力は9電力会社を合わせて24万kWになった。最大は九州の5.1万kWで、次いで四国の4.8万kW、東北の4.1万kWと続く。対象設備の最大出力は合計で260万kWになり、設備利用率は9%と低い。晴天時には風が弱いことが多く、夏のピーク需要には風力よりも太陽光の効果が大きいことがわかる。前年の2012年夏には太陽光が121万kW、風力が13万kWだったことから、2013年の夏は太陽光と風力ともに2倍近くに増加した。両方を合わせた供給力244万kWは、原子力発電所で唯一稼働していた関西電力の大飯発電所3・4号機の合計出力236万kWを上回っている。固定価格買取制度によって、太陽光を中心に全国各地で再生可能エネルギーによる発電設備が増え続けている。2014年の夏も供給力が大幅に伸びることは確実である。ただし電力会社が発電事業者などから買い取る電力は通常よりもコストが高く、その差額は電気料金に上乗せされる。2013年度は全国平均で電力1kWhあたり0.1円程度だが、再生可能エネルギーによる電力の供給量に合わせて今後は増加していく見通しだ。 *4:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=23853 (日本農業新聞 2013/10/10) 農業資材EXPO開幕 「ソーラーほ場」紹介 最新の農業資材を展示する「第3回国際農業資材EXPO(アグリテック)」が9日、千葉市の幕張メッセで開幕した。リードエグジビションジャパンの主催。前回より出展が増えた太陽光発電や情報技術(IT)農業関連の資材などが注目を集めた。扇港電機(三重県四日市市)は、太陽光発電をしながら稲作ができる「ソーラーほ場」を紹介した。農地の一時転用許可を取った同県伊賀市の水田10アールで今年、「コシヒカリ」を栽培。96キロワットの容量のパネル400枚で発電しながら日照率63%を確保し、収量は地域平均の8割だった。架台下の高さが3メートル、1ユニット81平方メートルで機械作業による稲作が可能。支柱は20センチ角の鉄骨に亜鉛溶融メッキなどを施し、耐久性を高めた。同社は「稲作で太陽光発電ができるのはあまりない。売電収入は地域によるが、10~12年で回収できる」と説明する。容量48キロワットの場合、コストは基礎とパネルで10アール当たり2400万~2600万円。他にメンテナンスなどの費用がかかるという。アグリテックには350社、団体が出展。11日までの期間中、同時開催の展示会と合わせて3万人の来場を見込む。 *5:http://qbiz.jp/article/24962/1/ (西日本新聞 2013年10月9日) 新電力、存在感高まる 九電から離脱加速 九州電力が4月に企業向け電気料金を値上げした影響で、電力を安く売る特定規模電気事業者(新電力)の存在感が九州でも高まっている。新電力の供給力には限りがあるため、本格的なシェア拡大には至っていないものの、将来の小売り完全自由化をにらんだ動きが加速しそうだ。「他施設との競合が厳しいので、固定経費を少しでも下げたい」とは、福岡県などで斎場や結婚式場を展開するラック(福岡市)の担当者。同社は5月から、一部施設の電力を東京ガスや大阪ガスが出資する新電力大手のエネット(東京)から買うように改めた。電気料金は九電より5%前後抑制できる見込みで、担当者は「効果を見極めた上で契約拡大を検討したい」と語る。厳しい経営環境にさらされる地場企業にとって、経費節減は経営の生命線。九州でも営業展開するエネットやイーレックス(東京)といった新電力は、他社工場の余剰電力を買い取ることなどで安さを実現しており、九電から乗り換える企業が相次ぐ。九電によると、今年3月末から9月1日にかけて自由化部門の顧客が415件減った。減少数は、昨年の同じ期間の20件減、2年前の189件減より大幅に増加。九電の料金値上げで離脱する動きが加速した格好で、新電力に流れた顧客は2400件を超えた。九電全体の自由化部門の顧客数約7万4千件と比べれば、離脱は3%強にすぎない。資源エネルギー庁によると、全国でも新電力が電力市場に占めるシェアは4%程度にとどまる。大規模な発電施設を持たない新電力は供給力に限界があるため「お客さまの声に十分に応え切れていない」(エネット経営企画部)のが実情だ。政府は電力システム改革で2016年をめどに、家庭向けを含む電力小売りを自由化する方針。自前の発電設備を持つ企業の参入などで、新電力の供給力が増えれば、電力会社の地域独占が崩れる可能性もある。守勢の九電は「使用電力量を低減できる省エネ器具の紹介や使用状況に応じた料金メニューの提案を通じて契約継続に取り組みたい」としている。 PS(2013.10.15追加):*6もGoodですが、水道のある自治体なら、どこでもできるでしょう。 *6:http://www3.nhk.or.jp/news/html/20131014/k10015255261000.html (NHK 2013年10月14日) 東京都が小型水力発電の電力販売 東京都は、水を送る圧力を利用した小型の水力発電の設備を新たに江戸川区に整備し、発電した電力を事業者に販売する取り組みを始めました。小型の発電設備が完成したのは、東京・江戸川区にある葛西給水所です。給水所は、水道水を各家庭に送る前に一時的にためている施設で、浄水場から圧力をかけて水道水が届けられています。今回完成した発電設備は、この水圧を利用して水車を回して発電します。発電できる電力量は、420世帯が1年間に使うおよそ140万キロワットで、新たに電力事業に参入した東京に本社がある事業者に販売を始めました。東京都は、再生可能エネルギーによって発電した電力を電気事業者が買い取る制度を使って、年間4600万円の売り上げを見込んでいて、都は整備にかかった費用を6年間で回収したいとしています。東京都の施設で発電した電力をすべて販売するのは今回が初めてです。東京都水道局は「今後も電力の販売を拡大して、社会全体の電力供給に貢献していきたい」と話しています。
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2013,10,13, Sunday
*2より 2013.10.3西日本新聞より *6より (1)放射性物質による公害を発生させ、人間の手に負えない原発の火は、早急に消すべきである *1の記事で、自民党の中にも原発再稼動に対する異論が出始めたとされているが、私が衆議院議員だった時に自民党内の部会で脱原発を訴えた頃も、経済産業省の高官及び経済産業省系の議員から馬鹿にしたような冷ややかな目で見られた。 彼らは、「原発がなければ安い電力が供給できず、経済に悪影響を与える」「原発は安全だ」と、現在と全く同じことを言い、「それを理解できない人」を馬鹿にした目で見たのである。しかし、福島第一原発事故で彼らの主張が間違っていたことは明白になり、再生可能エネルギーの方が安価で公害を発生しない、国内資源によるエネルギーであることが明らかとなった。これで、頑固に原子力発電を主張していた人の方が非科学的で経済に疎く、全体を見ていなかったことが明らかになったと思うが、いかがか。 (2)核のごみはどうするのか *2に書いてあるように、私は、使用済核燃料の処分について課題を先送りして原発を増設してきたことこそ、将来に責任を持たない人間のすることだと考える。現在、その使用済核燃料は、原発と同じ建屋内の高い場所にあり、一時保管場所として作られたとしか思えない構造の使用済核燃料プールで満杯に近くなっているのだ。これは、極めて危険なことだが、原発推進派は、使用済核燃料も、高い場所にある使用済核燃料プールの浅い水につけておけば安全だと主張する。放射線は鉛で遮蔽するのが普通だが。 (3)電力会社は、何故、そこまでローテクなのか *3で、米原子力規制委前委員長、グレゴリー・ヤツコ氏が言っているように、「タンクの水漏れを作業員が歩いてチェックしていることに驚いた。水漏れという初歩的なことを監視する装置が設置されていないのか。安全システムや管理態勢の欠陥を象徴しているようにみえる」と言うのは、まさにそのとおりで、安価に安全を守るという意識が低い。その理由は、これまで、電力会社は地域独占企業として政府と一体となってやってきたため、その視野の中心には政府があり、公害を出さずに安い電力を最新技術で過不足なく供給するという一般企業ならどこでも持っている視点がない。民営化前の郵便局と同じだ。 また、私もヤツコ氏と同様、政府が当事者になるのがいいとは思わない。何故なら、政府が前面に出れば、都合の悪いことは権力で握りつぶすことができ、技術力が高いわけでもないからだ。さらに、ヤツコ氏の「現在の(100万キロワット級の)大規模な原子炉は、事故が起きれば壊滅的被害をもたらすリスクがある。日本のような国土の狭い国は影響を受ける地域も小さくない。別の発電方法に目を向け、技術開発に専念するのが賢いやり方だと思う」と言うのも、まさにそのとおりである。狭くて地震が多く、人口密度が高くて、どの土地も海までも利用している日本に、原発は適した発電方法ではない。 (4)除染と住民の健康管理について *4に、脱原発をめざす首長会議が、「9市を支援対象地域に指定するよう求めた要望も基本方針案には考慮されていないなど、除染や住民の健康管理に取り組んでいる自治体の意向が反映されているとは言い難く、以下の5点を実施するよう強く求める。①支援法の基本方針案について、福島の近隣県や避難住民が暮らす自治体などで公聴会を開催する ②得られた意見をもとに基本方針案の抜本的な見直しを行う ③支援対象地域としては追加被曝線量が年間1ミリシーベルト以上の区域が所在する自治体を指定する ④基本方針案の見直しの際には、被災当事者・支援者との協議会の設置をする ⑤新たな基本方針案を、改めて2か月以上のパブリックコメントにかける」としているが、そうすべきである。 私の自宅のある埼玉県では、放射線量のまともな計測すらあまりなされておらず、土壌の計測もされていない。そのため、私は事故直後から自分の2つの線量計で計測し続けているが、マンションの部屋の中でさえ、2つとも通常0.17~0.25マイクロシーベルト、年間1.5~2ミリシーベルトを記録し、現在もそれが続いている。その線量計によって、佐賀県唐津市和多田大土井で計ると0.07マイクロシーベルトである。知らぬが仏ではなく、正確に知って除染や防護を行うのが、現代人のやり方だろう。 (5)原発からの撤退の仕方 このような中、*5に「福井県内の原発立地4市町で構成する『原子力発電所所在市町協議会』の野瀬豊会長らは11日午後、首相官邸に菅義偉官房長官を訪ね、原発再稼働を速やかに決断するよう求めた要請書を手渡した」と書かれている。福井県は、いつまで危険な原発銀座をやるつもりかと呆れたが、原発立地市町には、これまで原発に依存してきたため、急にやめると困る事情も多い。 そのため、原発から撤退するかわりに、今まで裏日本として開発から取り残されてきた日本海側に、*6に記載されているような新幹線を伸ばし、本物の「かがやき」を与えればよいと考える。太平洋側の「のぞみ」と日本海側の「かがやき」だ。つまり、交通インフラを整え、日本海側に環境に配慮した21世紀型の工業地域を作り、原発に依存しなくても生きていけようにするのだ。そして、これは、1年間に5000億円も使われている原発の立地交付金の一部をまわし、PFI方式などを採用すれば可能であり、今後、環日本海が重要となる時代に適応した政策でもある。 *1:http://digital.asahi.com/articles/TKY201310040559.html (朝日新聞 2013.10.4) 原発推進の安倍政権に異議 自民若手にも再稼働慎重派 原発政策をめぐる意見の違い 原子力発電所の再稼働に積極的な安倍政権に、足元の自民党から異論が出始めた。安倍晋三首相に真っ向から再考を迫るベテラン議員に加え、東京電力福島第一原発事故後の国政選挙で当選した1年生議員も声を上げ始めた。ただ、党内の大勢はいまも原発容認。異論を唱える議員らへの風当たりは強い。「原発事故の原因究明と、事故を収束させることが喫緊の課題です」。自民党の村上誠一郎衆院議員(当選9回)は4日、官邸に安倍首相を訪ね、約20分にわたり訴えた。村上氏は、党の福島原発事故究明に関する小委員長として提言を手渡した。再稼働に慎重な対応を求め、放射能汚染水漏れでも「凍土壁はコストがかかりすぎる」と注文をつけた。ただ、持論にこだわる村上氏に反発し、8月に小委員会幹部が辞任。原発推進派議員の横やりで、「核燃料の処分法が確立しない限り、原発の新規建設を見送るべきだ」との文案は削除したという。村上氏は面会後、「いろんな族議員がいて大変だ」と漏らした。安倍政権の原発政策への疑問は、自民党内の若い世代にも芽生えつつある。千葉9区選出で当選1回の秋本真利衆院議員(38)は3月、国の核燃料サイクルを見直そうと「エネルギー政策勉強会」を立ち上げた。原発事故を受け、「放射性廃棄物は処分に10万年もかかる。いま1ミリ間違えたら、10万年後は想像できないほどのズレになる」と危機感を持ったからだ。党内の1回生に声をかけ、ほぼ毎月講師を呼んで約10人が議論する。子育て世代で、「脱原発」の世論にも敏感だ。2日には、6人で日本原燃が青森県六ケ所村に建設する再処理工場を視察。比例東海ブロック選出の勝俣孝明衆院議員(37)も「国策としての原発推進の判断に加われなかった。将来の世代に責任を持ちたい。有権者にも支持されている」と語る。党内は冷ややかで、政策を変えるほどの存在感は示せていない。秋本氏は国会で核燃料サイクルに疑義を唱える質問をしようとしたが、先輩議員から「将来を考えた方がいい」と忠告されたという。それでも、汚染水問題や小泉純一郎元首相の「脱原発宣言」で原発政策に焦点が当たる。「原発政策を見直す絶好の機会」とひるむ様子はない。 *2:http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013092402000122.html (東京新聞 2013年9月24日) 核のごみ満杯へ 打つ手なし 再処理技術や処分場も未定 原発再稼働をめぐる論議が高まる中、原発から出る放射線量の高い使用済み核燃料を貯蔵するスペースは既に満杯に近づきつつある。「核のごみ」が解決しないまま、原発を動かしてもいずれ行き詰まるのは明らかだ。電気事業連合会などによると、国内にある使用済み燃料は二〇一二年九月末時点で、少なくとも一万七千トン以上。電力会社は各原発の原子炉建屋内にある燃料プールでほとんどを貯蔵しているが、東京電力の福島第一、第二、柏崎刈羽、九州電力玄海、日本原子力発電東海第二でいずれも占有率が80%以上を占め、限界に近づいている。青森県六ケ所村にある日本原燃の使用済み核燃料再処理工場(再処理工場)にも容量三千トンの一時保管スペースがあるが、再処理事業の遅れで各原発から持ち込まれる使用済み燃料がたまる一方。今年九月の時点で貯蔵量は二千九百四十五トンに達し、占有率は98%に達した。原発の燃料プールと六ケ所村の保管スペースを合計した貯蔵容量の73%が埋まり、原発が順次再稼働した場合、数年後には満杯になる計算だ。 日本は、使用済み核燃料から取り出したプルトニウムを高速増殖炉で燃やす核燃料サイクルを原子力政策の要としているが、再処理は技術的なトラブルが相次ぎ、いまだに事業を開始していない。高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)も一九九五年のナトリウム漏れ事故後ほとんど動いていない。 高レベル放射性廃棄物の最終処分では場所すら決まっておらず、使用済み核燃料が国内の貯蔵能力を上回れば、事実上、原発の運転が不可能になる。京都大原子炉実験所の今中哲二助教(原子力工学)は「再稼働すれば行き先のない核のごみは増え続けるばかりだ。全体のグランドデザインをしっかり考える人がいなかったのではないか。これ以上、原発を再稼働させるべきではない」と、核のごみを放置し、原発を増やし続けた国や電力会社の姿勢を批判している。 *3:http://digital.asahi.com/articles/TKY201309250923.html?ref=pcviewpage (朝日新聞 2013.9.25) (どうする汚染水)米原子力規制委前委員長、グレゴリー・ヤツコ氏に聞く ―東京電力福島第一原発の汚染水漏れの現状をどうご覧になりますか。 少し驚いたのは、タンクの水漏れを作業員が歩いてチェックしていること。水漏れという初歩的なことを監視する装置が設置されていないのか。安全システムや管理態勢の欠陥を象徴しているようにみえる。 ―東電は問題の解決能力を失っているとの声もあります。 東電任せではだめだという懸念は続くだろうが、誰かが取って代わることは容易ではない。今求められるのは、安全を最優先にした厳格でかつ効果的な管理・監督態勢の再構築だ。政府が当事者になることがいいとは思わないが、規制当局(日本の場合は原子力規制委員会)が果たす役割は大きい。原発の安全だけでなく、放射能漏れや環境への影響を監視するのは規制当局の任務だからだ。地質学や水文学の専門家が足りないのなら、新たに雇うべきだろう。 ―原発を管理する当事者になったとして、何をすべきだと考えますか。 長期的にみて汚染水をこれ以上増やさず、原発内で水の循環を確立させることが最重要と考える。汚染水はいくらか海に放出せざるをえないかもしれないが、短期的かつ最小限にすべきだ。これは日本の信頼性に関わる問題でもある。どのくらいなら許容されるのかの基準を決めるのは規制当局で、それを満たす計画を立てる必要がある。 ―スリーマイル島原発事故やハンフォード核施設の問題など、米国の経験で福島に生かすべき教訓はありますか。 スリーマイルでは原子炉の冷却に使う水を循環させるシステムが維持できて、汚染水の問題は起きなかった。ハンフォードなどでは同じようなタンクからの汚染水漏れを抱えている。タンク設置で留意すべきことや地下水の動きなど学べる点はある。ただ、ハンフォードは国が核兵器開発を進めた結果であって、商業原発である福島の抱える問題は前例がない。 ―日本で原発をこれからも推進すべきか、意見が分かれています。 個人的見解を述べれば現在の(100万キロワット級の)大規模な原子炉は事故が起きれば壊滅的被害をもたらすリスクがある。日本のような国土の狭い国は影響を受ける地域も小さくない。別の発電方法に目を向け、技術開発に専念するのが賢いやり方だと思う。 * 2005年に米原子力規制委員会(NRC)委員に就任。09年5月~12年5月は委員長。福島の原発事故ではNRCで対策の指揮を執った。42歳。 ◆キーワード <ハンフォード核施設> 米ワシントン州。長崎原爆のプルトニウムを製造した原子炉などがあった。核燃料からプルトニウムを取り出す過程で生じた汚染水が177個の地下タンクに保管されている。タンクの多くは1940~60年代につくられ、漏れが問題になっている。米エネルギー省では、汚染水を高レベルと低レベルの放射性廃棄物に分離後、ガラス状の固体にする計画だが、施設は完成していない。敷地内の土壌や地下水の浄化作業は今世紀末までかかると言われる。 *4:http://mayors.npfree.jp/wp-content/uploads/2013/09/20130919.pdf 2013年9月19日 復興大臣 根本匠 殿 脱原発をめざす首長会議 世話人 桜井勝延(福島県南相馬市長) 三上元 (静岡県湖西市長) 村上達也(茨城県東海村長) 事務局長 上原公子(元東京都国立市長) 「原発事故子ども・被災者支援法」基本方針案への緊急要望 復興庁は8月30日、東京電力福島第一原発事故の被災者を支援する「原発事故子ども・被災者支援法」の基本方針案を発表した。昨年6月の同法成立から1年以上経過していることを考えると政府の対応は、被災者や被災自治体の置かれた立場に真剣に向き合っているのかという疑いを持たざるを得ない。 さらに今回の基本方針案には、同法の趣旨と規定に反する内容が少なからず見られる。例えば、同法第5条3項には「政府は基本方針を策定しようとするときは、あらかじめ、その内容に東京電力原子力事故の影響を受けた地域の住民、当該地域から避難している者等の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとする」とあるが、基本方針案の策定に至る段階で、地域住民や避難者からの意見聴取を行っておらず、法の規定に明らかに従っていない。 また、放射性物質対処特別措置法によって汚染状況重点調査地域として指定された千葉県北西部の9市長が連名で、9市を支援対象地域に指定するよう求めた要望も基本方針案には考慮されていないなど、除染や住民の健康管理に取り組んでいる自治体の意向が反映されているとは言い難い。 よって以下の5点を実施するよう強く求める。 1.支援法の基本方針案について、福島の近隣県や避難住民が暮らす自治体などで公聴会を 開催する。 2.得られた意見をもとに基本方針案の抜本的な見直しを行う。 3.支援対象地域としては追加被曝線量が年間1ミリシーベルト以上の区域が所在する自治体 を指定する。 4.基本方針案の見直しの際には、被災当事者・支援者との協議会の設置をする。 5.新たな基本方針案を、改めてパブリック・コメントにかける。ただし、パブリック・コメント期間は 2か月以上とする。 *5:http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20131011-00000114-jij-pol (時事通信 10月11日) 再稼働の決断要請=福井4市町 福井県内の原発立地4市町(高浜町、おおい町、敦賀市、美浜町)で構成する「原子力発電所所在市町協議会」の野瀬豊会長(高浜町長)らは11日午後、首相官邸に菅義偉官房長官を訪ね、原発再稼働を速やかに決断するよう求めた要請書を手渡した。原子力の必要性を明確にした新たなエネルギー政策を早急に示すことなども併せて求めた。 *6:http://digital.asahi.com/articles/OSK201310100179.html?ref=comkiji_txt_end_s_kjid_OSK201310100179 (朝日新聞 2013年10月11日) 北陸新幹線に4つの名前 東京-金沢は「かがやき」と「はくたか」 JR東日本と西日本は10日、2015年春に金沢―長野間が開業する北陸新幹線の四つの列車名を発表した。(1)停車駅を絞り、東京―金沢間を最短約2時間半で結ぶ速達型は「かがやき」(2)多くの駅に止まる停車型は「はくたか」(3)富山―金沢間を往復するシャトル型は「つるぎ」(4)長野―東京間の長野新幹線型は従来通り「あさま」と決めた。列車名は両社が5月31日~6月30日に公募。全国から14万4931件の応募があり、1万1672種類の中から選んだ。JR東日本本社(東京都渋谷区)では冨田哲郎社長らが会見。「かがやき」の選考理由を「光のスピード感と、未来に明るく伸びる飛躍のイメージが、速達型にふさわしい」と説明した。停車型の「はくたか」は「スピード感があり、かつては首都圏と北陸を結び、今も北陸を走る特急名として親しまれている」、シャトル型の「つるぎ」は「北陸を代表する山の名で、過去に富山―大阪間などを結んだ列車名としてなじみ深いため」とした。「つるぎ」についてJR西は、公募開始前の5月14日に商標登録を出願しており、「過去の列車名の応募が多いと予想し、事前に確保しておいた」と説明した。冨田社長は「応募数から期待の高さを実感した。北陸と首都圏の大動脈として地域経済が発展し、地元が元気になる原動力になってほしい」と述べた。
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2013,10,09, Wednesday
*6より *5より (1)企業の農地所有について(規制を壊して緩和しさえすればよいというものではない) *1の記事では、「規制改革の再起動で既得権打ち破れ」として、①医療分野での保険診療と自由診療の併用を認める混合診療の原則解禁 ②保育・介護分野での社会福祉法人と株式会社の競争条件対等化 ③農業分野で農地の所有規制を見直して農業生産法人の要件緩和 などが主張され、これらが岩盤規制の典型とされている。 特に、*2で再度、企業による農地の直接所有につながる農業生産法人の条件を緩和して企業の所有を可能にすることが必要と書かれているが、企業は社会的責任を果たすよい企業ばかりではない。例えば、初めから商業地や宅地とすることを目的として「農地」を購入し、「農業では経営が成り立たないから」と耕作を放棄し、年取った社長が引責辞任して、「荒れてどうしようもないから」と使用目的を変更するケースが考えられる。このような場合には、食料自給率向上の観点から、返却してもらって他の農業従事者に貸し出すことを可能にするのがリース方式であり、そのために50年という長期間のリースにされており、連続してリースすることも禁止されていない。これで、何か不都合があるのか。 また、*2には、「農協、農業委員会のあり方の見直し」も書かれているが、現在は20年前と異なり、資材を購入できる場所は農協だけではない上、地域農業の振興には、農業者の互助団体である農業協同組合は必要だ。農業委員会も、農地法に基づく売買・貸借の許可、農地転用案件への意見具申、遊休農地の調査・指導などを中心に農地に関する事務を執行する行政委員会として市町村に設置されているもので(http://www.maff.go.jp/j/keiei/koukai/iinkai.html 参照)、そのように地元の農地、農業、地域づくりに詳しい団体でなければ、適切な判断はできないだろう。もちろん、それぞれ、不十分な点は多いが、その不十分さも地域によって異なるため、改善のためには個別にコンサルティングを行うことが必要なのであって、全部を壊せば新たに生まれるものがよりよいとは思えない。 逆に壊すことによって、*4、*5のように、それまで築き上げてきた人材や財産を失う。ただし、毎年高い高いと言いながら輸入飼料で飼う畜産は工夫がなさすぎ、食料自給率の向上にも貢献しないため、飼料の国産化とコスト低減を行うべきだ。 (2)混合診療の原則解禁について 医療に関して、これは、TPPとは関係なく行えばよい。ただし、健康保険料を支払っているのだから、先進医療は健康保険の適用外などとされる理由はなく、速やかに健康保険適用にすべきなのである。 (3)保育・介護分野の事業を株式会社でやる必要があるのか 社会福祉法人で行う事業には、それぞれ理由、規制、補助がある。これを企業が行いたい場合は、社会福祉法人の子会社を作ればすむ。それにもかかわらず、株主への配当を目的とする株式会社でやる理由はないだろう。もし規制に問題があるのであれば、その規制自体を変えるべきである。 (4)市販薬のインターネット販売は解禁すべきなのか *1には、「市販薬のインターネット販売を制限していた厚労省の裁量行政は違法だと最高裁判決が1月に断じた後、首相はネット販売の全面解禁を宣言したが、厚労省は解熱鎮痛剤「ロキソニンS」など28品目を数年間、ネット販売から外す規制を画策している」と書かれている。 しかし、私は、市販薬であっても、ビタミンCやカルシウムのように食品に含まれているものではなく、解熱鎮痛剤をインターネットで販売するのはよくないと考える。何故なら、購入者の病気は、検査を受けた後に「解熱鎮痛剤の投与が適切だ」と医師から診断されたものではなく、背後に深刻な病気が潜んでいる可能性もあるからだ。その場合、薬局で買えば、薬剤師が顔を見て必要な話をしながら販売しているが、インターネットは、顔も見ない相手に無制限に販売するのである。つまり、安全規制をみだりに緩和してはならず、規制自体がそれでよいか否かは、毎年、見直すべきなのである。 (5)法曹人口を拡大すれば、質の高い法務サービスが提供されるのか *1に「法曹人口の拡大に対して日弁連は強く反対しているが、質の高い法務サービスを企業や個人に提供する弁護士はもっと増やす必要がある。弁護士同士が切磋琢磨し、利用者のニーズに応えられない弁護士が淘汰されるのは、やむを得まい」と書かれているが、数が増えれば切磋琢磨して質が上がるというものではない。むしろ、急激な新人の増加で、十分な研修を受けていない弁護士が増えれば全体の質は下がり、利用者は事前に他と比較することはできず利用した後にしか質はわからないため、正しい選択もできない。また、勉強して困難な試験を突破した人にそれなりの待遇が約束されなければ、困難な勉強をする人が減る上、少子化で、ただでさえ少ない優秀な人材の無駄遣いになる。医師や公認会計士にも同じことが言われて数を増やした結果、同様の弊害が出た。 ここで、最も大きな問題は、関係のない人が、事情も分からないのに当事者の意見も聞かず、競争さえすればうまくいくという幼稚な発想の下、このような政策を進めることである。 (6)環太平洋連携協定(TPP)に参加すべきか *3では「環太平洋連携協定(TPP)への参加に反対する大学教員や弁護士、消費者団体が2013年9月14日、TPPの問題点を考えるシンポジウムを東京都内で開き、TPP交渉を止めるための国内外での連帯や危険性を国民に広く伝えていくことの重要性を指摘する意見が相次いだ」とのことで、頑張って欲しい。TPPは、それぞれの分野で多岐に渡っているため、反対する側も、分野毎にチームを作って検討するほかない。 一方、*6では、「交渉参加は遅れたが、参加国から『交渉のスピードは落ちていない』と評価する声もある」として、現地で会見した甘利明TPP担当相が、他国から「大きな期待を感じた」と満足げだったそうだが、他国は、日本に農産物等を売り込むチャンスだから期待して評価するのであり、それと日本の立場は逆であることを忘れてはならない。 つまり、環太平洋連携協定(TPP)参加の後、オーストラリアでは雇用が増えるかも知れないが、日本の地方では農業及びその関連産業が崩壊し、失業者、生活保護者があふれて福祉をさらに圧迫する上、食品の安全も相手国次第になってしまうのである。このような中、事業の存続は、できるか、できないかの二者択一であり、妥協はないのだから、日本がリードして国民を犠牲にし、他国によい顔をして妥結などされてはたまったものではないのだ。 *1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20130930&ng=DGKDZO60378440Q3A930C1PE8000 (日経新聞社説 2013.9.30) 規制改革の再起動で既得権打ち破れ 安倍政権が規制改革会議の活動を再開させた。6月に改革会議が出した初の答申は雇用改革などに前進があったが、医療と農業の岩盤規制には踏みこまなかった。アベノミクスの3本の矢のなかで、日本経済を安定成長に導くのに最も効果があるのが第3の矢の成長戦略、とりわけ規制改革だ。 ●医療・農業に踏みこめ 改革は既得権益を守りたい勢力とそれを後押しする官庁や族議員との闘いだ。硬い岩盤を砕く力を蓄えられるよう改革会議を支えるのは、首相官邸の責任である。改革会議は2014年6月の第2次答申に向けて優先して取り組む案件を決めた。(1)医療分野で保険診療と自由診療の併用を認める混合診療を原則解禁する(2)保育・介護分野で社会福祉法人と株式会社などとの競争条件を対等にする(3)農業分野で農地の所有規制を見直す――の3つだ。 混合診療は、厚生労働省が今も一部の自由診療にかぎって併用を認めている。先端医療技術は日進月歩の革新を遂げており、健康保険が利かなくとも安全で有効ならその恩恵に浴したいという患者は少なくない。混合診療を原則解禁に導くのが改革会議の責務だ。 保育・介護分野は、たとえば用地難に悩む都市部で株式会社が運営する保育所や介護施設に国公有地の利用を認めるなどの改革を求めたい。規制面だけでなく、税制を対等にすることも必要だ。 農業分野は、農地を集約して生産規模を広げる法案を次期国会に出すべく農水省が準備している。県単位で設ける中間管理機構が耕作放棄地などをまとめて整備し、希望者にリースするやり方だ。それは一歩前進だが、本丸は企業の農地所有に道を開く農業生産法人の要件緩和だ。農協の組織改革にもぜひ踏みこんでほしい。 これら3分野はともに岩盤規制の典型だ。ほかの政権より改革に熱心だった小泉政権のときから取り組んできた案件だが、今なお顕著な実績をあげていな い。改革会議は3分野について、分野別の作業グループに解決を委ねるのではなく、改革会議の委員全員で早く結論を出す方針だ。議長がいかんなく指導力を発揮し、各委員が知恵と工夫を結集させ、既得権益団体や規制官庁の岩盤を打ち破れるよう稲田朋美担当相らがもっと前へ出るべきだろう。気になるのは、この3分野以外に新たに規制をつくったり、いったん緩めた規制を再強化したりする動きがしだいに強まってきたことだ。参院選後に巨大与党が誕生し、既得権益団体などの支援を受けた族議員が復活しつつあるのが背景ではないか。そうした動きに官邸が歯止めをかけようとしないのは問題だ。 市販薬のインターネット販売を制限していた厚労省の裁量行政は違法だと最高裁判決が1月に断じた後、首相はネット販売の全面解禁を宣言した。だが同省は今になって解熱鎮痛剤「ロキソニンS」など28品目を数年間、ネット販売から外す規制を画策している。改革会議はネット販売と店頭販売に不合理な差を設けないことが消費者利便を高めるという内容の意見書を出した。正論だ。それでも厚労省が規制復活にこだわる場合は、首相が厚労相に指示してやめさせなければならない。 ●復活・再強化の阻止を 自公両与党は民主党と組みタクシー規制を再強化する法案を次の国会に出す。タクシーの台数が多いと認めた地域は新規参入と台数増を一定の期間、禁ずる内容だ。タクシー規制は緩和のたびに業界団体が再規制をもくろみ、国土交通省や運輸族議員に働きかける繰り返しだ。そこでは往々にして参入規制や台数制限を強めて競争を排除しようという供給側の論理が優先する。運転手として新たに職を得ようとする人や利用者の利便を高める視点を置き去りにしてよいはずがない。 法曹人口の拡大に対して日弁連は強く反対している。しかし質の高い法務サービスを企業や個人に提供する弁護士はもっと増やす必要がある。弁護士同士が切磋琢磨(せっさたくま)し、利用者のニーズに応えられない弁護士が淘汰されるのは、やむを得まい。 ほかにも日本郵政が事実上、独占する手紙・はがき事業を宅配便業者などに開放するのが積年の課題だ。信書の秘密を守りつつ、より安く確実に届ける力を備えた企業には参入を認めてよい。改革会議の役割は事ほどさように多い。かつて首相は規制改革こそがアベノミクスの一丁目一番地だと語った。いま一度それを明確にすべきときだ。 *2:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20131008&ng=DGKDZO60781470Y3A001C1EA1000 (日経新聞社説 2013.10.7) 規制改革で効率的な農地集約をめざせ 政府は耕作放棄地などを地域ごとにまとめて整備し、意欲のある農家や企業に利用してもらうための法案を次の臨時国会に提出する方針だ。新たな制度が効率よく日本の農業強化に役立つように、政府は規制改革会議の議論を踏まえていっそうの農業規制の見直しを進めてほしい。2014年度の導入をめざす新制度は都道府県ごとに新設する農地の管理機構が中心的な役割を担う。農業委員会の許可を必要とせずに機構はまとまった規模の農地を動かせる。農地の情報を公開し借り入れ希望者の公募もできる。将来は耕作放棄地になりそうな農地の所有者にも貸し出しを促せるようになる。これらは前進だ。課題はある。まず、農林水産省が1千億円を求めた予算の規模だ。農地の所有者に貸し出しを促すための対策や、借り手が決まるまで機構が集めた農地を保有し、地域ごとにまとめて整備するための費用はたしかに必要だ。だが、無駄は徹底的に削らなければならない。そのためには整備しようとする耕作放棄地などが農地として本当に価値があるのかを見極める力が機構に求められる。借り手が見つからない場合、農地を所有者に戻す期限もきちんと決めて守る必要がある。規制改革会議は予算が効率よく使われ、農地が適正に貸し出されたかなどのチェック体制と公表を求めている。当然だろう。権限が集中する機構が、自治体の天下り組織になるようなことがあってはならない。民間企業の人材を積極的に登用してほしい。今回の新制度は農業分野の規制改革としては最初の一歩だ。政府も農地の貸出先については、一度決まったらそれで終わりということでなく、変更を繰り返して生産性の向上につなげる考えだ。農地集約を効率よく進めるために規制改革は欠かせない。企業による農地の直接所有につながる農業生産法人の条件の緩和や、農協、農業委員会のあり方の見直しなどに取り組んでもらいたい。食品や外食業界では農産物の生産をめざす企業が増えている。政府はこうした機運に弾みをつけるためにも、規制改革会議での論議をもとに思い切った改革を打ち出すべきだ。環太平洋経済連携協定(TPP)で貿易自由化がどのような形になるかにかかわらず、農業の競争力を高める取り組みは待ったなしだ。 *3:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=23389 (日本農業新聞 2013/9/15) TPP阻止 国内外で連携を 大学教員、弁護士らシンポ 環太平洋連携協定(TPP)への参加に反対する大学教員や弁護士、消費者団体は14日、TPPの問題点を考えるシンポジウムを東京都内で開いた。生産者や消費者、学者ら約400人が参加。会場からの発言を含めて、TPP交渉を止めるための国内外での連帯や危険性を国民に広く伝えていくことの重要性を指摘する意見が相次いだ。 シンポジウムは、TPP参加交渉からの即時脱退を求める大学教員の会と、TPPに反対する弁護士ネットワーク、主婦連合会が主催。「このまま進めて大丈夫なの? TPP交渉」と題し、主催団体や農業団体などの代表らが意見を交わした。TPPを含む規制改革による医療への影響について日本医師会の中川俊男副会長は、保険が適用される治療法や薬などの範囲が縮小し、高額な保険外診療が拡大する懸念を説明。「日本の質の高い国民皆保険制度が崩壊する」として、「医療が危ないということを言い続けなければならない」と決意を表明した。会場からも医師が「医療に携わる者の大同団結」を主張した。 JA全中の小林寛史農政部長は「食料自給は健康と生命維持に不可欠」と指摘。高い水準の貿易ルールを目指すTPPでは「アジア・太平洋地域の農業の多様性は維持できない」とし、農業と工業は考え方を分けて交渉すべきだとの考えを強調した。北海道から「TPP問題を考える十勝管内関係団体連絡会議」代表の髙橋正夫本別町長が参加。30団体が参加する「オール十勝(で反対する)体制ができた」と報告。3月に4300人で集会を開いたことなどを紹介し、「地域を守り、暮らしを守るために立ち上がった」と述べ、全国的な連帯を求めた。 開会に当たって主婦連の佐野真理子事務局長は「米国でもアジアでもTPP反対運動が高まっている。国際的な連携と団結が必要」と訴えた。主婦連の山根香織会長や弁護士ネットの杉島幸生弁護士、大学教員の会の鈴木宣弘・東京大学大学院教授らも発言した。 *4:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=23665 (日本農業新聞 2013/10/1) [崩れるモデル経営 緊迫TPP 4] 養豚 高度化努力 無駄に 愛知県幸田町 規模拡大や生産の効率化で経営改善を進めてきた養豚業界。TPPで関税が無くなれば、国産豚肉のシェアは奪われ、飼養頭数の激減は避けられない。飼料価格の高止まりが続く中、飼養頭数の減少は生産性を再び下げる恐れがある。銘柄豚生産者にも「安い輸入豚肉との価格競争に加え、飼料の経費増に勝てるのか」との不安が付きまとう。愛知県幸田町で年間9000頭を出荷する(有)マルミファームはこの十数年、規模の倍増と液状飼料の自動給餌化に向けた投資を積極的に行い、無駄のない経営を進めてきた。獣医師資格を持つ社長の稲吉克仁さん(43)は、2001年に後継者として入社。欧米の最新設備を学び、経営拡大の最前線に立った。飼料コストの低減と良食味の両立のため、克仁さんの父で同社会長の弘之さん(73)が1998年から始めたビタミンE強化飼料の共同購入組織「やまびこ会」の取り組みに加え、液状飼料にエコフィードを使った省コスト化を実践。飼料全体の4割をエコフィード化し、全量配合に比べ価格を2、3割安く抑えている。「やまびこ会」は、愛知を中心とした6県の25戸で構成し、銘柄豚「夢やまびこ豚」を生産する。国のTPP試算では“生き残る”とされる銘柄豚だが、その定義は曖昧だ。何らかの基準を設けて販売される豚肉は、300種類以上にもなるといわれている。克仁さんは「低コストで生産し高付加価値で売らないと、飼料高さえ切り抜けられない。TPPとなれば、味でも差をつけてやっと銘柄として残れるのでは」と考える。だが、これまで積極的に進めてきた規模拡大には「慎重にならざるを得ない」と言う。TPPによる輸入豚肉の増大で国産枝肉価格が下がれば、日本全体の飼養頭数が減る。大量飼育による飼料コストの圧縮は難しくなり、高度化を進めてきた経営モデルを一から見直さざるを得ないからだ。養豚農家は2月時点で、10年前の6割に当たる5570戸まで減少した。高齢化や飼料高騰が要因だ。一方、規模拡大で経営の効率化が進み、飼養頭数は968万5000頭と、10年前の水準を保つ。豚肉の自給率は重量ベースで53%(12年度概算)で、何とか半数以上を堅持する状況だ。弘之さんは日本養豚協会の代表副会長として、マレーシア、ブルネイでのTPP交渉時に、現地で「国益がなければ即時脱退を」と訴えてきた。40年前に母豚36頭から始めた養豚は、社員6人の雇用をはじめ、地域経済を支える産業の一つになっている。「地域の活力をどうか奪わないでほしい」。弘之さんは声を絞り出すように語った。 ●関連産業も空洞化 政府統一試算は、関税が撤廃された場合、豚肉の生産量は70%、生産額は約4600億円減少すると見込む。残る豚肉の価格も下落を見込む。現行の豚肉の関税制度は、低価格品ほど高い関税率となる「差額関税制度」で安い海外産豚肉の過剰輸入を抑えている。関税を除く輸入価格(CIF=運賃保険料込み)が1キロ64.53円以下の場合、482円を関税として課し、64.53円より高く524円以下の場合は基準輸入価格(546.53円)との差額を関税として課す。524円を上回る高級部位の場合は4.3%と低い関税率が課される。関税がなくなれば、加工・業務向けの低級部位の輸入が急増する公算が大きい。東京の輸入業者は「ハムやソーセージの原料は1キロ300円程度で輸入可能になる」と強調。「国内養豚業は太刀打ちできない」とみる。人口や需要が増すアジアに食肉業者の進出が進み、「国内養豚業はほぼ壊滅する」と警鐘を鳴らす。 *5:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=23785 (日本農業新聞 2013/10/6) [崩れるモデル経営 緊迫TPP 6] 肉用牛 繁殖・肥育 共倒れ 滋賀県東近江市 全国屈指の和牛の一つである近江牛の産地、滋賀県。肉用牛の1戸当たりの飼養頭数は全国平均の4倍の168頭で、北海道に次ぐ全国2位の規模を誇る。このうち7割が近江牛となる黒毛和種だ。同県では、ブランド力強化に向けて一層の規模拡大や飼養頭数の増大、官民挙げての輸出促進に取り組んでいるが、TPPによる牛肉関税の撤廃という不安が関係者に重くのしかかる。「関税撤廃で和牛の販売価格が下がった場合、真っ先に打撃を受けるのは繁殖農家だ。政府はTPPの影響試算で、高品質な和牛は安い輸入牛肉と競合しないため生き残れるとしたが、和牛産地も生産縮小の負のらせんに陥りかねない」。同県東近江市で和牛を250頭飼養する田井中牧場の田井中龍史さん(37)は、そう指摘する。和牛販売価格が下がれば肥育農家は高い子牛を買えなくなり、繁殖農家の経営が立ち行かなくなる。繁殖農家が減れば、和牛産地は縮小に追い込まれるとの見立てだ。同牧場は交雑種(F1)を中心に肥育をしていたが、10年前から和牛への切り替えと繁殖の導入に乗り出した。繁殖肥育の一貫経営に取り組むのは子牛の価格変動の影響を最小限に抑えるためで、子牛価格が値上がりしている今はその効果が出ている。近江牛の繁殖肥育一貫経営は、後継者確保やブランド力向上の観点から県も支援している。一貫経営で、グリーン近江枝肉共励会1席など数多くの表彰を受けてきた同牧場は、県が目指す近江牛のモデル的な経営でもある。しかし、牛肉の関税撤廃で和牛枝肉と子牛の価格下落がらせん的に生じた場合、乗り越えることができるのか。龍史さんは「できる手立ては講じてきた。経営努力には限界がある」と強調する。61歳の父親が繁殖、龍史さんが肥育部門を担当し、年間販売高が1億円を超えるところまでこぎ着けた。TPPによる牛肉の関税撤廃を阻止し、和牛生産に励む姿を長男(10)や長女(9)に「ずっと見せたい」と願っている。県肉牛経営者協議会の古溝彰会長も「TPP交渉が若者の意欲を奪いかねない」ことを心配する。龍史さんが牧場を経営する東近江市を含めたJAグリーン近江管内は県内有数の肉用牛産地で、数年前から畜産農家の後継者が相次いで誕生しているためだ。20、30代の12人が昨年、研究会を立ち上げた。「近江牛には先人が築いた素地がある。全国屈指のブランド牛の地位を守り抜く」。古溝会長は、牛肉の関税撤廃は決して許さない決意を示した。 ●畜産対策 縮小の恐れ 政府統一試算では、関税が撤廃された場合、肉牛の生産量は68%、生産額は約3600億円減少すると見込む。3等級以下の国産牛肉の9割が外国産に置き換わり、残る国産の価格も下落する見通しだ。さらに年間約700億円に上る関税収入を失うとの見方がある。このため関税収入を財源とする肉用子牛生産者補給金など畜産対策の縮小につながる恐れもある。実際に課している関税率38.5%が撤廃され、無税で輸入可能になった場合、輸入品の平均価格は現在の1キロ700円程度から500円程度に下がる。国産との価格差が一層広がり、ホルスタインの雄と肉専用種の約半分の需要が奪われる可能性が大きいとしている。 *6:http://qbiz.jp/article/24970/1/ (西日本新聞 2013年10月09日) TPP首脳会合、年内妥結へ決意 日本を含む12カ国で交渉を進める環太平洋連携協定(TPP)交渉は8日、インドネシア・バリ島で首脳会合を開き、「年内に妥結することを目的に、困難な課題の解決に取り組むべきであることに合意した」とする声明を発表、閉幕した。安倍晋三首相は終了後、関税を含む「市場アクセス」など難航分野の交渉を急ぐことで一致したとして、「年内妥結に向けて大きな流れができた」と評価した。安倍首相は、政府、与党が「聖域」とするコメや麦、牛肉・豚肉など農産品5項目の関税撤廃について「各国それぞれ重要項目があり、それに配慮しながら包括的で水準の高い結論を得るべく努力すべきだ」と述べた。声明は、冒頭で「交渉が完了に向かっている」と明記。「各国の新旧の貿易と投資の課題に対応し、雇用の維持・創出を支える」とし、新興国に対して投資に関するルール適用など一部の協定発効を先進国より遅らせるよう配慮した。さらに、TPP参加に関心を示す中国や韓国を念頭に「将来参加する可能性について関心を表明するほかのアジア太平洋諸国と接触している」と言及した。12カ国は年内合意に向け、難航分野の一つである「知的財産」の事務レベルの会合を日本で開催することに合意。他分野の詰めも急ぎ、年末に閣僚会合を開催して年内妥結を目指す。ただ、TPP交渉を主導してきたオバマ米大統領が政府機関の一部閉鎖などで動きが取りにくくなっており、交渉の流れが鈍化する恐れもある。首脳声明には、当初目指した「大筋合意」は盛り込まれなかったが、8日夕会見した甘利明TPP担当相は「全体として、そういう(大筋合意)評価だ」と述べ、交渉が前進したとの認識を示した。日本が掲げる重要5項目の関税撤廃問題については「党の点検作業を見守りたい」と述べるにとどめた。 ◆「大筋合意」盛り込めず 交渉結果は下方修正だった。8日終了した環太平洋連携協定(TPP)交渉会合は、首脳声明で当初目指した「大筋合意」を盛り込めず、「交渉が完了に向かっている」との表現にとどまった。安倍晋三首相は年内妥結に自信をみせたが、交渉を主導するオバマ米大統領が議会対応で参加できず、日本も関税問題で重要農産品5項目の「聖域」を守る決意のほころびが表面化。先行きは予断を許さない。「難しい問題は残ったが、閣僚や交渉官に解決に向けた指示を出すことで合意でき、大変有意義だった」。一連の交渉会合を締めくくる首脳会合はわずか1時間だったが、安倍首相は2回の発言を通して交渉を推進した自負をみせた。難航分野の一つ「知的財産」の事務レベル会合の日本開催が決まり、日本は今後の交渉を主導する決意を示した。交渉参加は遅れたが、参加国からは「交渉のスピードは落ちていない」と評価する声もある。現地で会見した甘利明TPP担当相は、会合をリードする日本に対し、他国から「大きな期待を感じた」と満足げだった。 □誤 算 誤算もあった。オバマ氏は、政府機関の一部閉鎖問題で首脳会合を急きょ欠席。オバマ氏は来年秋の議会中間選挙を控え、2010年春から続くTPP交渉の決着を急いでいた。首脳会合で「交渉作業を実質的に終えた」と強いメッセージを打ち出す考えだった。ただ、新興国には協議を強引に進める米への不信もある。マレーシアのナジブ首相は首脳会合前の6日、「年内妥結は困難」と表明。首脳声明は米以外の国の意見を反映した現実的な内容に落ち着いた。主導役不在で参加国の結束に微妙な陰りがうかがえた。 □影 響 日本の国内事情も今後の交渉に影響を与えそうだ。会合中にバリ島に入った自民党の西川公也TPP対策委員長は、農業分野5項目のうち、一部品目の関税撤廃検討に踏み込んだ。難航分野の交渉推進に向け、「日本も精いっぱい身を削っている」と演出する狙いだが、参院選などで「聖域」死守を掲げた党内に戸惑いや反発が広がっている。甘利氏は「党と意思疎通を図っていきたい」と、当面党の検討作業を見守る構え。安倍首相が目指す「高い水準の結論」に向け、国内世論もにらんだ交渉が、これから正念場を迎える。
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2013,10,07, Monday
原発労働者への労災適用事例 http://onodekita.sblo.jp/article/72985733.htmlより (1)まだ原発の危険性を理解していないのか *1によれば、福井県は、IAEAの天野之弥事務局長(日本人だった!)との覚書に調印し、「原発の安全性」を呼びかけたりする”エキスパート”を育成するそうである。しかし、福井県には6カ所に15基の原発があり、一箇所に多くの原発を集めると、事故が起こった時に放出する放射性物質が莫大で被害が大きいことはフクシマから学んだ筈である。 また、*3では、フクシマで4カ月働いた札幌の男性(55歳)が、被曝が原因の癌で労災申請をしている。胃癌、大腸癌、膀胱癌だそうだが、それならば、この人は50ミリシーベルト超の外部被曝よりむしろ、食物や飲料水からの内部被曝により癌を発症したと考えるのが自然だ。さらに、福島県では、子どもの甲状腺癌も増えていることが報告されている。これでも、「原発の安全性」を呼びかけるのは、人権を無視した欺瞞だ。 (2)中東やインドでの受注をめざして原発会社を買収するとは・・・ *2によれば、東芝が、少なくとも100億円の買収額で、英国で原発の新設を進めるフランス、スペインの合弁会社を買収するそうである。フクシマの後、国内での原発新設が難しいため欧州やアジアなどで原発事業を強化するのだそうだが、このブログの2013.10.4にも記載しているように、東芝の原発がフクシマで事故を起こし、その理由は不明とされているのだ。にもかかわらず原発の輸出や原発会社の買収をするのは、他の分野ではよい製品を世に送り出している東芝の命取りにもなりかねない経営意思決定であり、先が見えるるようで残念だ。 (3)専門家の見識に少しほっとした *4には、「ノーベル物理学賞受賞者の益川敏英さん(素粒子理論)を交えて佐賀の科学者が脱原発を議論する勉強会が4日、佐賀大で開かれ、物理学者を中心に13人が出席し、原発の代替エネルギーの問題や科学的な視点からの情報発信の在り方について意見を交わした」と書かれている。「原発なくそう! 九州玄海訴訟」の原告団長で、原子核理論の専門家である佐賀大学の長谷川照前学長(参照:http://www.data-max.co.jp/2012/02/07/post_16433_ym_2.html 長谷川照・前佐賀大学学長に聞く「安全神話」の上に築かれた「国策民営」の原発は砂上の楼閣)が中心になっておられるので、佐賀の原発論議が深いのは当然で、私も、このチームには頑張って欲しいと思っている。 また、*5では、2013.10.4に、日本弁護士連合会が「福島第一原子力発電所事故被害の完全救済及び脱原発を求める決議」を出しており、まっとうな意見だと思う(もっとも、国が前面に出たからと言って、汚染水等の問題がよりスムーズにいくとは思わないが・・)。是非、一般の方も、これらを参考にして、自分の意見をまとめられたい。 *1:http://tanakaryusaku.jp/ (田中龍作ジャーナル 2013年10月7日) 【福井発】 IAEA 原発銀座の固定化めざし県と覚書 世界原子力マフィアの総本山であるIAEAの天野之弥事務局長がきょう、福井県を訪れ、原子力の人材育成についての覚書に調印する。研修所などが設けられ、「原発の安全性」を呼びかけたりするエキスパートを育成する。福井県には6カ所に15基の原発がある。ひとつの狭いエリアに原発がひしめく。“原発密度”は世界一だ。福井県庁前では今朝9時からIEAEとの覚書に反対する集会が始まった。抗議の声をあげているのは、毎週金曜日にここで再稼働反対集会・デモを行っている市民たち。「原発銀座の固定化になる…」。男性参加者(60代・印刷会社経営)は危機感を募らせる。 *2:http://digital.asahi.com/articles/TKY201310050382.html (朝日新聞 2013.10.6) 東芝、英で原発会社買収へ 欧州・アジアでの建設強化 東芝は、英国で原発の新設を進めるフランス、スペインの合弁会社を買収する方向で最終調整に入った。子会社の米原発メーカー大手のウェスチングハウス(WH)によるもので、買収額は少なくとも100億円を上回る見通し。原発事故を受けて国内の新設は難しいことから、欧州やアジアなど海外での原発事業を強化する。関係者によると、年内の合意を目指している。東芝が海外で原発の事業運営会社を買収するのは初めて。建設後の原発運営は電力会社などに委託する方針だ。買収をめざすのは、フランスとスペインの大手電力会社が折半で出資する「ニュージェン」。両社から50%超の株式を取得する方向だ。合弁会社は英国に拠点があり、英中部で計360万キロワット分の原発をつくる予定。大型原発で2~3基分にあたり、2023年までに稼働するという。東芝は、WH社を含めて原発建設でシェア約3割を占める世界首位。東芝は原発の建設や保守点検といった原子力関連事業の売上高が13年3月期で約5千億円と、連結売上高の1割弱を占める。17年度には原子力事業の売上高を8千億円に拡大する計画だ。2位の仏アレバの勢力圏である欧州で原発事業を強化する方針で、フィンランドでも、2カ所の原発建設の入札に参加している。中東やインドでも受注をめざしている。国内メーカーでは、日立製作所も昨年、英国の原発事業会社を約850億円で買収した。 *3:http://www.hokkaido-np.co.jp/news/donai/496287.html (北海道新聞 2013年10月6日) 福島第1原発で4カ月 札幌の55歳男性が労災申請 がん「被ばくが原因」 東京電力福島第1原発事故後の2011年7月から10月まで同原発で作業し、その後膀胱(ぼうこう)がんなど三つのがんを併発した札幌市在住の男性(55)が、発がんは作業中の放射線被ばくが原因だとして労災の申請をしていたことが5日分かった。原発事故後、被ばくを理由に労災を申請した人はこの男性を含めて全国で4人。いずれも審査中で、労災が認定された例はまだない。男性は重機オペレーターとして同原発の原子炉建屋周辺でがれきの撤去作業などに従事した。被ばく線量が4カ月間だけで原発作業員の通常の年間法定限度である50ミリシーベルトを超えたため、同年10月末で現場を離れた。2012年5月に膀胱がんが見つかり、札幌で手術。今年3月には大腸がんと胃がんも見つかった。現在も通院しながら抗がん剤治療を続けている。転移でなく、それぞれの臓器で独立して発病していた。 *4:http://www.saga-s.co.jp/news/saga.0.2560024.article.html (佐賀新聞 2013年10月5日) 益川さん交え脱原発議論 佐賀大名誉教授ら ノーベル物理学賞受賞者の益川敏英さん(素粒子理論)を交えて佐賀の科学者が脱原発を議論する勉強会が4日、佐賀大で開かれた。物理学者を中心に13人が出席。原発の代替エネルギーの問題や科学的な視点からの情報発信の在り方について意見を交わした。益川さんは原発の代替として自然エネルギーを推進する方針を支持しつつ、「発電方法だけでなく、エネルギーをどう蓄積するかが課題」と指摘した。原子力分野の研究を衰退させるのには難色を示し、「エネルギー問題は複雑だからこそ幅広いアイデアを結集させるべき」と強調した。出席者から原発再稼働の是非を問う際の議論の在り方について問題提起があり、益川さんは「賛成、反対の主張を並べるだけでなく、きちんと評価してどちらが正しいか判断を下さないと社会は進展しない」と述べた。勉強会には佐賀大の長谷川照前学長や近藤弘樹名誉教授らが出席。益川さんは「佐賀は科学者が原発問題を真剣に議論していて、内容も深い。今後も継続してほしい」と述べた。 *5:http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/civil_liberties/year/2013/2013_3.html (日本弁護士連合会 2013.10.4) 福島第一原子力発電所事故被害の完全救済及び脱原発を求める決議 福島第一原子力発電所事故(以下「本件事故」という。)は、福島県をはじめとする広範な地域に深刻な放射能汚染をもたらし、地域住民の人格権、幸福追求権などの基本的人権を日々侵害している。本件事故の責任は、東京電力株式会社(以下「東京電力」という。)はもとより、原子力政策を推進してきた国にもある。国及び東京電力は、生活の原状回復を基本として、既に発生した損害については完全かつ早急な救済を、まだ顕在化していない被害についても完全な救済を実現しなければならない。 また、放射能汚染による健康被害を未然に防止するために、希望者に対する避難する権利を実質的に保障するための必要な支援の実施、健康調査体制の充実、被ばく労働等への規制、食品汚染に関する規制、水質・大気汚染・廃棄物に関する防護などが必要だが、いずれも対策は不十分である。2012年6月に「東京電力原子力事故により被災した子どもをはじめとする住民等の生活を守り支えるための被災者の生活支援等に関する施策の推進に関する法律」(以下「子ども・被災者支援法」という。)が成立したが、その内容は具体化していない。放射能汚染から健康を守るための法整備は急務である。 原子力発電所(以下「原発」という。)に関する従来の安全規制は、本件事故を防ぐことができなかった。本件事故は収束のめどが立っておらず、大量の放射性物質が環境に排出され続けており、また、事故の発生原因や具体的経緯すらいまだ明らかではなく、安全対策も不十分である。原発は、たとえ事故を起こさなくても、放射性廃棄物の処理という解決困難で深刻な問題を伴う。広島・長崎への原爆投下による放射能被ばくを含む多大な惨禍に加え、本件事故によっても大きな被害を受け、かつ地震・津波等の自然災害を今後も避け得ない我が国は、今こそ、原子力推進政策を見直し、原発をゼロとすべきである。 よって、当連合会は、国に対して、次の諸点を強く要請する。 1 国は、本件事故の加害者であることを認識し、本件事故のあらゆる被害を完全に回復するため、以下の措置をとること。 (1) 被害者が従来営んできた生活を、原状回復することを基本とし、既に顕在化している被害については、東京電力とともに、完全かつ早急に救済すること。また、東京電力に対し、原子力損害賠償紛争解決センター(以下「原紛センター」という。)の提示した和解案については、これを尊重し、迅速かつ誠実に履行するよう強く指導すること。 (2) 本件事故による被害は、家族の分断など生活環境の破壊、ふるさとの喪失、地域ブランドの喪失など多岐にわたる、深刻かつ継続的なものであり、また、被害者がその被害を訴えることには様々な障害があることを踏まえ、継続的な被害調査を行い、それを踏まえた損害賠償の指針の見直しを行うこと。 (3) 本件事故の損害賠償請求権については、民法上の消滅時効(民法第724条前段及び同法第167条第1項)及び除斥期間(民法第724条後段)の規定を適用せず、消滅時効に関する特別措置法を、可能な限り早期に、遅くとも本年末までに制定すること。 (4) 東京電力から、原子力損害の賠償に関する法律に基づき、被害者に支払われる損害賠償金は、相当部分が現行の各種税法上、課税対象とされる可能性があるため、非課税とするべく特別の立法措置を講ずること。 2 国は、以下の施策をはじめ、健康被害を未然に防ぐあらゆる施策を講ずること。 (1) 子ども・被災者支援法の趣旨に則って、放射線が人の健康に及ぼす危険について科学的に十分に解明されていないことを全ての前提とし、かつ、2011年3月11日以降の1年間の追加被ばく線量が国際放射線防護委員会(ICRP)勧告の一般公衆の被ばく限度量である年間1ミリシーベルトを超えることが推定される全地域及び福島県の全域を「支援対象地域」として、同様に年間5ミリシーベルトを超えることが推定される全地域を「特別支援対象地域」とすること。「支援対象地域」の住民には、避難の権利を実質的に保障するため必要な支援を行い、「特別支援対象地域」の住民には、正当な補償及び避難先における生活全般の保障を十分に行うことを前提に、避難指示を出し、それでもなお居住を続けることを強く希望する住民については、その意思を尊重し、安心して生活できるような環境の整備等を行うことを検討するなど、被災者救済のための具体的な支援策を早急に実施していくこと。 (2) 広島・長崎の被ばく者への援護が被ばく後12年も経過してようやく健康診断を中心に制度化されたことの反省を踏まえ、今回の原発事故では速やかに血液検査、尿検査、ホールボディーカウンター検査等をはじめ、内部被ばく検査を含む多角的な検査を無償で受ける機会を被害者に保障し、検査結果は被害者に全て直接開示すること。原発事故の健康影響を長期的に調査・研究する体制を整えるとともに、検査結果はプライバシーに十分に配慮しつつも、学術機関等様々な立場の調査・研究に開かれたものとし、かつ、これに十分な支援・援助を行うこと。 (3) 事故収束作業や除染作業等に従事する労働者は一般の人々よりもはるかに健康被害を受けやすいことに鑑み、本件事故直後の記録再現を含む正確な被ばく量の記録の徹底、労働者本人が累積線量データへ常時アクセスできる保障、継続的な健康診断及び一定の被ばくをした労働者が疾病を発症した場合における労災認定を行うこと。 (4) 食品の安全基準は、住民、特に子どもの安全確保の観点から、外部被ばく・内部被ばくを合計した年間実効線量が1ミリシーベルトを超えないよう見直しを行うこと。 (5) これまでの公害対策と放射性物質による汚染等の総合した視点に立ち、従来居住していた地域において本件事故以前の環境基準を確保し、新たな汚染の拡大を防止するため、大気や土壌、海・川などの放射能汚染の実態を継続的・包括的に調査・公表し、これに対処する全面的法整備を行い、放射性物質を含む廃棄物の安易な移動や広域処理をやめ、長期にわたる管理(対象地域の指定の維持、放射線量の継続的かつ包括的測定、警告表示、除染と除去した放射性廃棄物の保管・管理)及び子どもの生活圏における適時適切な除染等を行うこと。汚染水の漏洩など、本件事故の収束と廃炉に向けた作業について、東京電力任せにすることなく、組織、人材、予算等あらゆる資源を投入してさらなる抜本的な対策を講じ、国際社会と国民の不安を一刻も早く取り除くよう強く求め、その進捗状況を自ら国民に公表すること。 3 国は、我が国の原子力推進政策を抜本的に見直し、以下のとおり原子力発電と核燃料サイクルから撤退すること。 (1) 原発の新増設(計画中・建設中のものを全て含む。)を止め、再処理工場、高速増殖炉などの核燃料サイクル施設は直ちに廃止すること。 (2) 既設の原発について、安全審査の目的は、放射能被害が「万が一にも起こらないようにする」ことにあるところ、原子力規制委員会が新たに策定した規制基準では安全は確保されないので、運転(停止中の原発の再起動を含む。)は認めず、できる限り速やかに、全て廃止すること。 (3) 今後のエネルギー政策につき、再生可能エネルギーの推進、省エネルギー及びエネルギー利用の効率化と低炭素化を政策の中核とすること。 (4) 原発輸出は相手国及び周辺諸国の国民に人権侵害と環境汚染をもたらすおそれがあるため、原発輸出政策は中止すること。 以上のとおり決議する。 2013年(平成25年)10月4日 日本弁護士連合会 <下の「続き▽」をクリックすると提案理由が表示されます> 続き▽
| 原発::2013.9~11 | 06:44 PM | comments (x) | trackback (x) |
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