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2017.2.18 辺野古新基地建設とオスプレイについて (2017年2月19、23、26日に追加あり)
    
    オスプレイ      みさご(鷹の一種)        ワシ           ツバメ

     
  2016.12.16産経新聞      フグ          トビウオ     マンタ(エイ)
 墜落したオスプレイの処理

(図の説明:「オスプレイ」は鷹の一種である「みさご」の名前をとったものだが、墜落の報告が多く、顔・形が鷹よりもフグに似ており、素人目に見ても威嚇効果はあるが流体中での抵抗が大きくて飛びにくそうだ。私は、生物に学ぶのなら、鳥はツバメ、魚はトビウオがスピードが出そうで、機体全体で浮力(揚力)を作りたければマンタではないかと考える)

(1)日米両首脳の合意について
1)日米安全保障条約第5条の尖閣諸島に適用
 安倍首相が、2月10日、*1-1のように、ワシントンのホワイトハウスでトランプ米大統領と初の首脳会談を行い、日米安全保障条約第5条が沖縄県の尖閣諸島に適用されることを確認したのは、日本が望むように進んでよかった。

2)米軍普天間飛行場の辺野古移設
 両首脳が、「米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設が、唯一の解決策」としたのも、日本政府が望む方向に話を進めたようだが、実際には唯一ではなく、他にもっと安価で賢いやり方があるため、「唯一」という根拠は「ガラス細工のような」という感傷的な言葉以外では一度も説明されたことがない。そのため、観光資源にもなる美しい自然を破壊しつつ、そのために多額の税金を無駄遣いしていることについては、沖縄県民以外の国民も納得できない人が多い。

 全国紙の毎日新聞も、*1-2のように、「辺野古移設で沖縄の美しい海がまた埋め立てられていく」「海上工事に政府が着手し、移設反対派に怒りと焦燥感が交錯している」としており、私も同感だ。そして、キャンプ・シュワブゲート前に集結して抗議の声をあげた移設反対派や翁長知事・稲嶺名護市長に感謝するとともに、*1-3のように、沖縄の民意が日本政府の意志で置き去りにされそうなことで、日本の民主主義や三権分立に絶望感を感じる。

3)経済分野
 自由で公正な貿易ルールに基づき日米間や地域の経済関係を強化するそうだが、アジア太平洋地域など一定の地域だけでまとまるのは、本当は公正ではないだろう。また、日米貿易摩擦と言えば必ず自動車を取り上げているが、現在、日本の自動車市場の関税率は0%で完全に開放している上、*4-1のように、トヨタの工場はインディアナ州に立地しており、その問題はかなり前に解決している。

 その上、次世代自動車は、*4-2のように、電気自動車(EV)では「テスラ」の方が進んでおり、自動運転車でも、*4-3のように、「テスラ」の方が進んだため、いつまでも自動車は日本の方が強いと考えるのは、アメリカ政府も日本政府もおかしい。しかし、トランプ大統領は、*4-4のように、環境長官に温暖化懐疑派を据え、「パリ協定」の離脱にも言及しており、アメリカ大統領の政策によって、せっかくアメリカで発展した次世代自動車の普及が遅れる可能性もある。つまり、トランプ大統領の産業政策は、20~30年遅れているのだ。

 なお、トランプ大統領は、日本の金融政策を「円安誘導」としており、確かに日本は金融緩和したため円の価値が下がって円安になってはいるが、私は、この程度が円の実力だと考える。また、円など通貨の為替レートは、「貿易収支+金融収支」が黒字なら上がり、赤字なら下がるものであるため、日本も無理せずに復興用の建築資材や外国人労働力を輸入すれば、もっと円安になった筈である。

(2)「辺野古が唯一」ではない理由
 日米防衛相は、*3-1、*3-2のように、「米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古への新基地建設は『“唯一”の解決策』との認識で一致した」とのことだが、“唯一”である理由を説明されたことは一度もない。そして、既に空港のある人口の少ない離島の使用などの他の代替案と比較検討された結果ではないため、これは、米国の要請ではなく、日本の要請だと、私は考える。

 また、*3-2に書かれているように、在日米軍駐留経費の日本側負担は、2015年度で約1,910億円、負担率86.4%、韓国は負担率4割、ドイツは負担率3割程度で、日本は米軍駐留や防衛に関して、現在では、経済も含めて米国に譲歩ばかりを強いられるほどの負い目は負っていない。

 なお、沖縄県の翁長知事は2014年11月の知事選で辺野古移設反対を公約に掲げて圧勝し、その後、沖縄県内では2014年1月の名護市長選、2014年12月の衆院選全選挙区、2016年7月の参院選のいずれも新基地建設を拒否する候補が当選し、2016年1月の宜野湾市長選は現職が勝利したものの選挙戦で辺野古移設の賛否を明言しておらず、2016年6月の県議選では翁長県政与党が圧勝しているため、沖縄県民の民意は明らかだ。そのため、翁長沖縄県知事があらゆる権限を使って建設を阻止するのは正しい。

 そのため、日本政府は「基地で潤わせている沖縄」というような僭越な先入観は捨て、観光も含む沖縄県の産業政策を真面目に検討すべきだ。そして、これによって、辺野古埋め立ての膨大な予算や基地の補償金を節約できる上、既にスタートしている沖縄のエンジンに火をつけることができる。

(3)オスプレイについて
 政府は、*2-1のように、数回にわたる選挙結果や世論調査で示された辺野古新基地建設反対の圧倒的多数の民意を踏みにじり、大規模な海域を埋め立てる海上工事に着手したそうだが、その地域は、世界でも貴重な自然が息づく海域で、日本国民や沖縄県民の財産だ。そのため、「宝の自然を破壊すること」「沖縄県民の基地負担が増えること」「国民の無駄な歳出が増えること」などの理由で、私も辺野古新基地建設に反対だ。

 また、オスプレイとは、タカ科の鳥「ミサゴ」の英語名だそうだが、欠陥機と言われるオスプレイは、垂直離着陸が可能な飛行機であるという点で画期的ではあるものの、確かに流体の中での抵抗が大きく、飛びにくそうな機体なのである。そのため、空中を飛ぶ鳥に学ぶのならタカよりツバメの方がスピードが出て飛びやすそうであるし、同じ流体である水中を泳ぐ魚に学ぶのならフグに似た体形のオスプレイよりも、スピード重視ではトビウオ、浮力重視ではマンタ(エイ)を参考にした方が機能的にできると思われる。

 その上、オスプレイは、神業のような空中給油をしているのだから事故が起こるのは当然で、空中で給油しなくてもよいように水素燃料を使うなど、安全で長距離飛行が可能な次世代燃料に変更すべきだ。なお、運んでいる荷物の中に放射性物質や毒物が含まれる可能性があるなど、とんでもない話だ。

 さらに、*2-2のように、目的は不明だが、米軍は200フィート(約60メートル)での飛行もあり得るとしており、オスプレイの飛行訓練ルートは東北から九州まで六つあるため、沖縄だけの問題ではない。

*1-1:http://digital.asahi.com/articles/DA3S12793443.html (朝日新聞 2017年2月12日) 尖閣に安保、共同声明 経済対話、枠組み新設 日米首脳、同盟強化を確認
 安倍晋三首相は10日午後(日本時間11日未明)、ワシントンのホワイトハウスでトランプ米大統領と初の首脳会談を行った。両首脳は日米同盟の強化で一致し、米国の日本防衛義務を定めた日米安全保障条約第5条が沖縄県の尖閣諸島に適用されることを確認した。また、麻生太郎副総理兼財務相とペンス副大統領による日米経済対話の枠組み新設で合意した。日米両政府は、首脳会談の成果をまとめた共同声明を文書で発表した。会談は約40分間行われ、終了後に両首脳が共同で記者会見。その後、経済分野を中心に約1時間のワーキングランチが開かれた。会見で、首相は「日米同盟の絆は揺るぎないものであり、私とトランプ大統領の手でさらなる強化を進めていくという強い決意を共有した」と強調。トランプ氏は「同盟関係にさらなる投資を行い、私たちの防衛力をさらに高めていくことが大切だ」などと語った。トランプ氏は大統領選の期間中、在日米軍の撤退や、駐留経費の負担増を日本政府に求めることを示唆していたが、会見では「私たちの軍を受け入れてくれている日本国民に感謝したい」と表明。日本側の説明によると、首脳会談でも取り上げなかったという。両首脳は、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の同県名護市辺野古への移設計画について、「普天間飛行場の継続的な使用を回避するための唯一の解決策」と位置づけた。北朝鮮には核・ミサイル開発の放棄を求め、東シナ海や南シナ海で海洋進出を強める中国を念頭に、地域の緊張を高める行動は抑制すべきだとの認識で一致した。また、経済分野では、自由で公正な貿易のルールに基づき、日米二国間の枠組みも排除せず、アジア太平洋地域の経済関係を強化していくことを確認した。新設する経済対話では、(1)財政・金融政策(2)インフラやエネルギーなどの協力プロジェクト(3)二国間の貿易枠組みの3分野を包括的に議論することにした。一方、米国へのインフラ投資や雇用創出などを盛り込んだ日本政府の経済協力案「日米成長雇用イニシアチブ」は首脳会談では示さず、日米間で今後、検討していくことにした。トランプ氏が問題視していた日本の自動車貿易や為替政策も取り上げられなかった。トランプ氏が難民や中東・アフリカ7カ国からの入国を一時禁止した問題についても、会談では議題にならなかったという。終了後の会見で、この問題を問われた首相は「難民政策、移民政策はその国の内政問題であり、コメントは差し控えたい」と述べた。(ワシントン=高橋福子)
■日米両首脳の合意事項(骨子)
▼日米同盟はアジア太平洋地域における平和、繁栄及び自由の礎
▼日米安全保障条約第5条は尖閣諸島に適用
▼米軍普天間飛行場の辺野古移設は唯一の解決策
▼自由で公正な貿易のルールに基づき、日米間や地域の経済関係を強化
▼麻生太郎副総理とペンス副大統領による日米経済対話の新設
▼安倍晋三首相はトランプ大統領の年内訪日を招請、ペンス氏の早期の東京訪問を歓迎し、トランプ氏は招待を受け入れ

*1-2:http://mainichi.jp/articles/20170206/k00/00e/040/212000c (毎日新聞 2017年2月6日) 辺野古移設 沖縄の美しい海、また埋め立てられていく
●海上工事に政府が着手 移設反対派に怒りと焦燥感が交錯
 沖縄の美しい海を埋め立てて巨大な米軍基地を造るための工事がまた一歩、前へと進んだ。米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への県内移設に向け、政府が6日、初めて海上工事に着手。辺野古の米軍キャンプ・シュワブのゲート前では、移設反対派が作業に向かう車両を阻止し、排除する機動隊と衝突した。埋め立てへのカウントダウンが始まり、反対派には怒りと焦燥感が交錯した。まだ真っ暗な午前6時前、前夜の雨もあり肌寒いキャンプ・シュワブゲート前に続々と移設反対派が集結。「これ以上工事を進めないためには、作業員を中に入れないという抵抗をせざるを得ない」。約150人が「辺野古新基地NO」「辺野古埋立阻止」などと書かれたプラカードを掲げるなどして抗議の声をあげた。同県南風原町の稲福次義さん(63)は「市民の意思をきょう示さなければ、政府の意向を沖縄が黙認したことになる。民意を無視しようとも、県民の意思は揺るがない」と語気を強めた。  午前8時15分、作業員が乗った乗用車が到着。作業現場に向かうためキャンプ内へ進入しようとしたが、反対派は入り口前に座り込んだ。すると沖縄県警の機動隊が隊列を組んで阻みながら、隣接する出口の方から工事車両を通した。反対派からは「きちんと手順を踏め」と怒号が飛んだ。その後も続々と大型トラックやクレーン付き車両などが到着。「帰れ、帰れ」。反対派はゲート前で腕を組んで壁を作り声を張り上げた。一進一退のせめぎ合いの末、午前10時半ごろ、足止めとなっていた車両がキャンプの方へ。機動隊は約80人を次々に排除。腕をつかまれた高齢の男性は「県警は県民とアメリカとどっちが大事なんだ」と叫んだ。ゲート前には、辺野古への移設阻止を訴えるため翁長雄志(おなが・たけし)知事と訪米し帰国したばかりの稲嶺進・名護市長も駆けつけた。「アメリカでも、沖縄の置かれている状況はよく聞いてもらえたと思っている。全く無視し続けるのは日本政府だ。訪米中に防衛大臣が『辺野古が唯一の解決策』との見解を示すなど、恥も外聞もない」と怒りをあらわにしていた。

*1-3:http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2017020702000134.html (東京新聞社説 2017年2月7日) 辺野古海上工事 民意は置き去りなのか
 日本は法治国家だが民主主義国家でもある。安全保障は国の専管事項でも、選挙に表れた沖縄県民の民意を置き去りにしては、日米安全保障条約で課せられた基地提供の義務は円滑には果たせまい。政府がきのう、沖縄県宜野湾市の米軍普天間飛行場の「移設」に向けて、名護市辺野古の海上で代替施設の本体工事に着手した。海水の汚濁拡散を防ぐ防止膜の設置を経て、五月にも埋め立て区域の護岸造成を始める、という。沖縄県や名護市など、地元自治体が強く反対する中での工事の着手である。到底、容認できない。政府が海上での工事に着手したのは、沖縄県と国とが争っていた裁判で昨年十二月、県側の敗訴が最高裁で確定したためでもある。菅義偉官房長官は会見で「わが国は法治国家だ。最高裁判決や和解の趣旨に従い、国と県が協力して誠実に対応し、埋め立て工事を進める」と工事を正当化した。確定判決に従うのは当然だが、日本は民主主義国家でもある。安倍内閣は自由、民主主義、人権、法の支配という基本的価値を重んじると言いながら、翁長雄志県知事や稲嶺進名護市長に託された「県内移設」反対の民意をなぜないがしろにできるのか。訓練に伴う騒音や事故、米兵らによる事件など、米軍基地の存在に伴う地元住民の負担は重い。昨年、米軍北部訓練場が部分返還されたが、それでも沖縄県内には在日米軍専用施設の七割が集中する。日米安保体制を支えるため沖縄県民がより多くの基地負担を強いられる実態は変わらない。北部訓練場返還はヘリパッドの新設が条件だった。普天間返還も代替施設建設が条件だ。県内で基地を「たらい回し」しても県民の負担は抜本的には軽減されない。国外・県外移設こそ負担を抜本的に軽減する解決策ではないのか。安倍内閣はマティス米国防長官と、辺野古移設が唯一の解決策と確認したが、硬直的な発想は問題解決を遠のかせる。政府は工事強行ではなく、いま一度、沖縄県民を代表する翁長氏と話し合いのテーブルに着いたらどうか。稲嶺氏は、海上での工事着手を「異常事態だ。日本政府はわれわれを国民として見ているのか」と批判した。怒りの矛先は、法治国家と言いながら、憲法に定められた基本的人権を沖縄県民には認めようとしない政府に向けられている。本土に住む私たちも、そのことを自覚しなければならない。

<オスプレイ>
*2-1:http://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-440112.html (琉球新報社説 2017年2月7日) 辺野古海上工事強行 海域破壊取り返せない 県は提訴し対抗策尽くせ
 政府は大規模な海域埋め立てに向けた辺野古新基地の海上工事に着手した。幾たびの選挙結果や世論調査で示された建設反対の圧倒的な民意を踏みにじる暴挙に強い怒りを禁じえない。着手を前に県は詳細な説明を求めていたが、政府は一方的に打ち切った。地方自治を無視する政府の横暴に強く抗議する。新基地は危険なオスプレイの配備など在沖基地をさらに強化し、県民の財産であり、世界にとっても貴重な自然が息づく海域を決定的に破壊する。改めて政府に工事の即時中止を要求し、県には工事阻止の手段を尽くすよう求めたい。
●オスプレイ欠陥明らかに
 辺野古新基地建設は「県民の基地負担増」「大規模な自然破壊」の大きな二つの理由で到底、容認できない。辺野古新基地はヘリ基地と船舶の港湾機能を併せ持つ施設である。オスプレイほか最新鋭のF35戦闘機の配備、運用で沖縄の基地負担は確実に増す。その欠陥機オスプレイの配備計画を政府は長く隠蔽(いんぺい)し、県民を欺き続けてきた。オスプレイは昨年末墜落し、県民の不安は的中した。空中給油訓練中の事故が、機体構造と訓練態様の欠陥を浮き彫りにした。琉球新報が報道した米軍資料は「空中給油のホースや装備がオスプレイにぶつかることがあり得る」と機体構造の欠陥を認め、「プロペラにぶつかれば大惨事を起こしかねない」と墜落事故を予想していた。その通りの墜落事故が今回、起きた。「ホースがプロペラにぶつかる」構造欠陥が根本的に改善されない限り、またも「大惨事」が起きるのは必然だ。オスプレイの安全運用を否定する極めて重大な新事実の報道にも米軍、政府は口をつぐんでいる。そして海上工事を強行した。県民の命を犠牲に米軍基地建設を優先しているのである。埋め立てられる海域は、本島周辺に残された最後の優良な自然海域の一つだ。日本自然保護協会が大浦湾で行った調査で、海底のサンゴ被度は40%を超し、「健全な状態」と評価された。228個もの大型ブロック投入はサンゴを傷つけ、固有の自然体系に影響を及ぼそう。国際自然保護連合は何度もジュゴン保護を勧告したが、政府は無視した。浮具設置でジュゴンは姿を消した。埋め立てにより大浦湾の自然は壊滅的なダメージを避けられない。海域の豊かな自然は、大切な観光資源でもある。貴重生物の命と県民の観光資源が、今まさに奪われようとしているのである。
●国際連帯の情報戦略を
 来日した米国防長官は首相、防衛相と会談し、辺野古新基地推進を確認した。県民や県の異議申し立てを一顧だにしない姿勢だ。日米同盟が政府の権力を駆使して沖縄の民意を圧殺しようとしているのである。しかし県民は屈しない。日米の犠牲に甘んずることを県民は決して許容しない。日米両政府の強固な圧力に屈せず、県は法的、行政的なあらゆる対抗措置を講じてもらいたい。政府は矢継ぎ早に既成事実を積み上げ、ブロック投下後に汚濁防止膜を設置し、護岸設置の埋め立て工事に進む計画とされる。3月末に期限が切れる岩礁破砕許可の更新手続きをも一方的に「不要」と主張し、回避する方針だ。海域埋め立てで失われる自然は回復できない。県は一刻の猶予も置かず、前知事による埋め立て承認の撤回や、不当な岩礁破砕に対する提訴に踏み切るべきだ。日米両政府の抑圧を受けながらも県民は孤立してはいない。国内外に建設反対の世論を広げ、両政府に突き付けねばならない。政府の「地元住民は承認している」「オスプレイは安全」などの情報操作に対抗する必要がある。軍事、法律、行政の専門家や環境保護団体を巻き込み、国際連帯を強める情報戦略が重要になる

*2-2:http://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-444661.html (琉球新報社説 2017年2月15日) オスプレイ危険高度 直ちに飛行停止せよ 「欠陥と低空」二重の不安
 米海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイに関する日本政府の二重基準が明らかになった。オスプレイは米軍普天間飛行場代替施設の辺野古新基地への配備が既定路線でありながら、日本政府の意向で公文書から配備に関する表記が削除された経緯がある。日本政府が国民世論の反発を避けるための方策であり、当初からその配備には疑問符が付いた。今回明らかになった事実も深刻だ。日本政府は安全策として最低安全高度を500フィート(約150メートル)以上と県民に説明したが、米軍の運用上は200フィート(約60メートル)での飛行もあり得るとの内容だ。
●米軍の運用優先
 航空法施行規則によると、最低安全高度とはエンジンが停止した際に地上や水上の人、物に危険を及ぼすことなく着陸できる高度のことだ。人家密集地域で最も高い障害物から300メートル、水上などでは150メートルなどと定めている。2013年には操縦士が共同通信の取材に「低空飛行訓練は200フィートまで下げて飛ぶ」と答えている。オスプレイの飛行訓練ルートは東北から九州まで六つある。県外各地では実際に低空飛行訓練がこれまで実施されてきた。沖縄だけ低空飛行がないと言われても信じ難い。危険は沖縄だけにとどまらないのだ。オスプレイの配備に当たって、日米両政府の合意に「安全性を確保するため、その高度(500フィート)を下回る飛行をせざるを得ない場合もある」とのただし書きがあった。例外を設けることで国民の安全より、米軍の運用を優先したと言われても仕方がない。オスプレイの低空飛行が危険なのは、機体の構造に不備があり、緊急時に対応が困難だからだ。専門家によると、エンジン停止時に気流をプロペラに受けて回転させ、軟着陸する自動回転(オートローテーション)機能がオスプレイには欠けている。防衛省は自動回転機能を有するとしているが、それでも従来のヘリに比べて機体が重く、プロペラが小さいことから1分間に機体が落下する降下率は約5千フィート(1525メートル)とされる。既存のヘリの降下率は1分間に1600フィート(約487メートル)であり、オスプレイの落下速度は3倍にもなる。一方、オスプレイがヘリモードから固定翼モードに転換するには約12秒かかる。固定翼で滑空するにしろ、自動回転機能を使うにしても60メートルでは危険回避の手順を踏む前に機体は地面に激突する。
●拭えぬ疑念
 問題なのは日本政府がこれまで二重基準を容認してきたことだ。配備の事実隠し、最低安全高度の設定など国民への説明を避け、密室で米国と合意を重ねてきた。欠陥機との指摘があるオスプレイを配備する必然性が見当たらない。その上に危険な低空飛行を容認するならば、いつ頭上に落ちてくるか不安でならない。国民・県民を安心させるには運用改善といった小手先の対処では不十分だ。オスプレイの即時飛行停止しか解決策はない。ハワイでは15年に、低高度で空中制止したオスプレイが自らのエンジンで巻き上げた砂やちりによってエンジンが停止し、墜落した。米軍の報告書によれば、10~12米会計年度にアフガニスタンで起きたオスプレイの事故は約90時間に1件で、全航空機の約3746時間に1件と比べ突出している。そもそもオスプレイは軍用機として適当なのか。名護での墜落につながった空中給油をはじめ、荒れ地での離着陸などといった特殊な作戦行動に向かない構造的な欠陥があるとの疑念が拭えない。日本政府が米軍の顔色をうかがい、国民に二枚舌を使うような状況では、対策を取ることなど考えられない。沖縄をはじめ、全国各地の住民が危険な低空飛行、さらにはオスプレイ配備に反対の声を上げるしか道はない。

<“唯一”の根拠>
*3-1:http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201702/CK2017020502000124.html (東京新聞 2017年2月5日) 【政治】「辺野古が唯一」日米防衛相一致 翁長氏、反対へ決意新た
 訪米中の沖縄県の翁長雄志(おながたけし)知事は三日、マティス米国防長官と安倍晋三首相ら日本側が米軍普天間(ふてんま)飛行場(宜野湾(ぎのわん)市)の移設に伴う名護市辺野古(へのこ)への新基地建設を「唯一の解決策」と確認したことについて「私の決意はかえって強くなっている」と反対の思いを新たにした。今後もあらゆる権限を使って建設阻止を目指し、沖縄の民意を世界に発信し続ける方針だ。知事として三度目となる首都ワシントン訪問は、トランプ米大統領の就任直後で、米国のアジア太平洋政策が固まっていない時期を選んだ。米下院議員十二人との面会や講演を通し、国土面積の0・6%にすぎない沖縄県に、在日米軍専用施設の七割が集中する過重負担の軽減や、新基地計画の見直しを訴えた。その最中に、日米両政府が沖縄の民意を顧みず、辺野古新基地の建設推進で一致したことに、翁長氏は「沖縄県民に対して大変失礼なやり方」と反発。「県民の感情的な高まりが米軍全体への抗議に変わり、基地の安定運用に影響しかねない。日米安保体制に大きな禍根を残す」と指摘した。安倍政権は六日に海上での本体工事に着手する方針で、翁長氏はあらゆる権限を使って建設を阻止すると主張。沖縄県が工事主体の防衛省沖縄防衛局に対し三月末で期限切れを迎える県の「岩礁破砕許可」の更新が必要であると通知するなど、本体工事の続行に抵抗する構えを見せる。翁長氏は「沖縄県民の圧倒的多数が反対していることを、トランプ政権の関係者に粘り強く訴えていきたい」と今後も働き掛けを続ける考えだ。

*3-2:http://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-439193.html (琉球新報社説 2017年2月5日) 日米「辺野古唯一」 民意踏みにじる愚論だ
 稲田朋美防衛相とマティス米国防長官が初めて会談した。マティス氏は前日に安倍晋三首相とも会談した。これらの会談では日米同盟の一層の強化に取り組む方針を確認した。さらに米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古への新基地建設について「唯一の解決策」との認識で一致したという。県民世論調査では7~8割が辺野古移設反対を示している。「唯一の解決策」との認識には断じて同意できない。訪米中の翁長雄志知事は「辺野古に固執すると日米安保体制に大きな禍根を残す」と批判した。当然だ。翁長氏は2014年11月の知事選で、辺野古移設反対を公約に掲げて圧勝して当選した。県内では14年1月の名護市長選、12月の衆院選全選挙区、16年7月の参院選のいずれも新基地建設を拒否する候補が当選した。16年1月の宜野湾市長選は現職が勝利したが、選挙戦で辺野古移設の賛否を明言していない。6月の県議選では翁長県政与党が圧勝した。これらの選挙結果を見ても、沖縄の大多数の民意は「新基地建設拒否」であることは明らかだ。それにもかかわらず、日米両政府は辺野古移設で強硬姿勢を取り続けている。沖縄の自己決定権を踏みにじる行為が民主主義社会でまかり通っていいはずがない。トランプ大統領が選挙中に増額要求を示唆した在日米軍の駐留経費負担に関しては、一連の会談で議題にならなかったようだ。15年度の日本側負担は約1910億円で、負担率は86・4%だ。これに対して韓国は4割、ドイツは3割程度だ。マティス氏も会見で「日本は負担の共有モデル」と評価しており、負担増など応じられるはずがない。増額要求がなかったからと喜ぶわけにはいかない。なぜならば、日本は16年度から5年間の経費を削減するよう米側に要求していたからだ。今後は減額要求すら困難な情勢になってしまった。すでにトランプ流の「取引」に引き込まれているではないか。外務省によるとマティス氏は普天間移設について、こう述べたという。「プランは二つしかない。一つは辺野古。二つ目も辺野古だ」。民意無視の愚論だ。沖縄からマティス氏に、言葉を投げ返したい。「プランは二つしかない。一つは県外。二つ目は国外だ」

<次世代の自動車>
*4-1:http://mainichi.jp/articles/20170212/ddm/008/010/109000c (毎日新聞 2017年2月12日) 日米首脳会談 懸念薄れ、市場好感 経済対話、楽観と警戒
 日米首脳会談で、トランプ氏が円安や自動車輸出への批判を控えたことについて、市場関係者の間に「期待した以上の内容」と好感する声が広がった。最近の市場の重しになっていた日米摩擦への懸念が薄れたことで、週明け以降の株価にも好影響を与えるとの見方が出ている。「正直驚いた。日本側の思い描いた形ではないか」(ニッセイ基礎研究所の矢嶋康次チーフエコノミスト)。「日本の外交チームが相当周到に準備した印象」(大和総研の熊谷亮丸チーフエコノミスト)--。首脳会談について「前向きのサプライズ」との声が相次いだ。市場では、トランプ氏が首脳会談で対日貿易赤字を問題視し、是正策を要求するとの見方が強かった。日銀の金融政策を「円安誘導」とけん制することへの懸念もあり、7日の外国為替市場で一時、2カ月ぶりの円高・ドル安水準をつけた。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤戸則弘投資情報部長は「市場は身構えていたが、杞憂(きゆう)に終わった。最大の懸念が薄れたことで、日経平均株価は1月の高値の1万9600円台を超えてくる」と株価上昇に弾みが付くと予測する。今後の展開で市場関係者が注視するのが、ペンス副大統領と麻生太郎副総理による経済対話の行方だ。ペンス氏がトヨタの工場が立地するインディアナ州知事を務めた穏健派だけに、熊谷氏は「日本ペースで交渉できる可能性がある」と期待する。一方で、矢嶋氏は「トランプ政権の副大統領なので、雇用創出や貿易収支改善が進まなければ(批判の)発言を始める。楽観はできない」と警戒が必要との立場だ。通貨安批判への懸念も依然強い。大規模減税やインフラ投資を掲げるトランプ氏の政策は、海外からの資金流入を招く一方、日本は大規模金融緩和で長期金利を低く抑えており、円安・ドル高が進みやすい。BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストは「米国の経済環境を考えるとドル高は続く。いずれ日銀の金融政策が円安誘導をしているとの批判が再燃するリスクはある」と指摘している。

*4-2:http://qbiz.jp/article/103491/1/ (西日本新聞 2017年2月11日) テスラ充電施設 九州で初の設置  福岡・須恵町
 米国の電気自動車(EV)メーカー「テスラ」の日本法人が10日、福岡県須恵町に、テスラ車専用の急速充電施設を開設した=写真。同様の施設は国内14カ所目で、九州では初めて。本州から九州にテスラ車でドライブする人などの利用を想定している。30分の充電で270キロ走行できるという。施設は、九州自動車道のインターチェンジ近くのホームセンター駐車場にあり、充電器6台を置く。24時間利用できる。また、ヒルトン福岡シーホーク(福岡市)の駐車場にも普通充電器4台を設置した。テスラの日本法人は「今後も専用充電施設のネットワークを拡大したい」としている。

*4-3:http://www.nikkei.com/article/DGXMZO98310220R10C16A3000000/?n_cid=NMAIL002 (日経新聞 2016/4/11) 「渋滞苦」から解放 自動運転、簡易版でまずお試し
 「やっちゃえNISSAN」。歌手の矢沢永吉がハンドルから手を離してニヤリと笑う日産自動車のテレビCMが示すように、「自動運転車」の実用化が近づいている。2020年に市販化が期待されるのは、国内で「レベル3」と定義される自動運転車だ。加減速や制御のすべてをクルマが行い、緊急時のブレーキ操作だけをドライバーが担うものだ。自動運転車では、ドライバーの認知、判断、操作をサポートする要素技術が重要なカギを握るのだが、実は人間の目(認知)や手足(操作)を代替する技術の大半は、かなり熟成されている。「特に操作については、すでにクルマ側は人間の100倍の能力を発揮することが可能」(日産自動車ADAS&AD開発部の飯島徹也部長)というほどだ。例えば、ここ数年で普及した「自動ブレーキ」は、高精細のカメラやミリ波レーダー、超音波センサーを駆使して前方衝突を防ぐ。他にも、走行車線からクルマが出ないようにハンドルを自動制御する「レーンキープ技術」や、後方カメラ、センサーを使って駐車スペースを把握し、ハンドル操作をせずに済む「自動駐車システム」など、AI(人工知能)による複雑な判断を必要としない限られたシーンでは、すでに自動運転の要素技術が生きている。
■簡易版でテスラ先行
 これらを組み合わせて、簡易な自動運転機能を市販車でいち早く搭載したのが、テスラモーターズジャパンだ。同社の電気自動車「モデルS」は、ソフトウエアを2016年1月にアップデート。前方のミリ波レーダーや単眼カメラ、車体の周囲360度を感知する12個の超音波センサーを使って、「オートパイロット」「オートレーンチェンジ」「オートパーク」の3つが機能する。このうちオートパイロットは、前方車両の追従や自動ブレーキに加えて、ハンドルを制御して同じ車線を維持する機能だ。速度標識をカメラで認識しながら、規制速度のプラス10km/hを上限として加減速を行い、信号で完全停止した後も前方のクルマの発進を検知して自動で走り出す。この間、ドライバーはハンドルに手を添えておくだけだ。実際に試乗すると、最初はブレーキペダルをすぐ踏めるよう身構えていたが、モデルSは悠然とカーブを曲がり、前のクルマに対して適度な車間距離を保ちつつ実に滑らかに走る。発進、停止を繰り返す渋滞時のストレスもなくなり、簡易版ながら満足度は高い。
■普及車まで拡大の兆し
 ただ、安全確認までは自動化されていない。例えば、試乗時に前のクルマが赤信号に変わるタイミングで交差点に進入したのだが、モデルSは追従をやめず、一瞬ヒヤリとさせられた。また、白線がかすれている道路でオートパイロットは機能しないため、実際は高速道路が主な利用シーンになる。一方、オートレーンチェンジは、オートパイロット利用時にウインカーを出すと、クルマが自動でハンドルを動かして隣の車線に移動する機能。ウインカー操作からほとんど迷いなく車線変更できるが、モデルSの超音波センサーで検知できるのは約5mの範囲。後方からクルマが迫っていないか、人間がミラーで十分確認する必要はある。こうした簡易な自動運転機能は2016年、高級車から普及車まで一気に広がりそうだ。アウディ ジャパンが2月に発売した新型「アウディA4」は、アクセル、ブレーキに加えてハンドル操作もクルマが行う「トラフィックジャムアシスト」を標準装備。日産も混雑した高速道路の単一車線で自動運転を行う技術「パイロットドライブ1.0」の搭載車を2016年中に発売するとしており、フルモデルチェンジを控える人気のミニバン「セレナ」が対象車として有力視されている。
■限定地域なら“無人タクシー”も
 各社が簡易的な自動運転車を導入する一方で、その先に進むには、まだ課題が多い。日産は2018年に高速道路での車線変更を自動的に行う技術、さらに2020年までに一般道の交差点を通過できる技術を導入する計画だが、「一般道に出ると、自動運転のハードルは格段に上がる」(飯島氏)と話す。というのも、一般道は“道しるべ”となる白線が消えかかっている場合があり、交差点内はそもそも白線すらない。そのため、画像を含む高精度の地図などと照らし合わせて走行ルートを判断する必要がある。また、信号のない交差点で歩行者やバイクなどのイレギュラーな動きを見定めたり、混雑した車線に半ば強引に合流する判断をクルマに任せるには、まだ荷が重い。緊急時以外でも人間の介入が必要なケースが残り、米グーグルが目指すような、ボタン一つでクルマのAIがどこへでも運んでくれる「完全自動運転車(レベル4)」の実用化はかなり先の話だ。ただ、走行エリアやルートを限定した形なら、ドライバーを必要としない完全自動運転車にも光明が見えてくる。国内で目指すのはクルマ開発ベンチャーのZMPと、DeNAがタッグを組んで設立したロボットタクシーだ。同社は2016年2月末から神奈川県藤沢市で実証実験を開始。今回は走行ルートが3kmほどの単純な一本道で、緊急時の安全確保のため乗員が同乗する。今後は走行ルートに右左折を組み込んだり、無人営業を想定した車内サービスを試したりと、実験を繰り返す計画だ。そして2020年までに、あらかじめ設定したルート上の複数のポイントで乗り降りできる“無人タクシー”の営業を、千葉市の幕張周辺や東京・台場エリアで始める構え。「こうした限定エリアを複数つくったうえで、いずれは整備が行き届いた幹線道路や高速道路を使って各エリア間を無人タクシーで結ぶことを目指している」(ロボットタクシーの中島宏社長)と話す。他にも、乗務員の人件費がかからない無人タクシーは、人手不足や不採算で廃止された地方の路線バスなどに代わる移動手段として期待を集めており、自治体の後押しを受けて普及するかもしれない。

*4-4:http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2017021801001024.html (東京新聞 2017年2月18日) 米環境長官に温暖化懐疑派 上院承認、大統領令で規制緩和も
 米上院は17日、トランプ大統領が環境保護局(EPA)長官に指名した地球温暖化懐疑派のスコット・プルイット氏(48)の人事を承認した。民主党の大半が反対したが、多数派の共和党が支持し、賛成52で反対46だった。プルイット氏は同日、宣誓の上、就任した。産業重視のトランプ氏は、新たな温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」離脱に言及するなど環境保護に消極的な姿勢を示しており、プルイット氏就任に合わせ、環境規制を大幅に緩和する大統領令を準備しているもようだ。オバマ前政権が推進した地球温暖化対策が一気に後退する懸念が強まっている。


PS(2017年2月19日追加):与野党を問わず、またメディアも含めて、女性の大臣・国会議員・リーダーが言うと、正しいことを言っていても「わかっていない」「資質がない」など「女性は知識も実社会での経験もない」という女性蔑視の先入観を利用した批判をされることが多い。しかし、*5の稲田防衛相(弁護士)の場合は、「日報は私が出させた」「憲法九条上の問題になる言葉を使うべきでないから、戦闘ではなく武力衝突という言葉を使った」としており、政府が前防衛相時代に派遣した南スーダンでの自衛隊活動について、憲法や安全保障法制を熟知した上で、言葉の定義を使って正当化したものだ。
 そのため、この問題の本質は、稲田防衛相の資質ではなく、①南スーダンで戦闘(もしくは武力衝突)が起こったこと ②反政府勢力が国に準じる組織と評価できる支配系統、支配領域を有していなければ戦闘ではなく憲法九条違反にならないと解釈していいのか(レジスタンス活動もあるだろう) ③戦闘であれ武力衝突であれ、それが起こる場所に日本の自衛隊を派遣してどちらかの側につくのは日本国憲法違反ではないのか ということである。しかし、行ってしまった軍隊が「戦闘が起こったから」と言って引きあげるのは、他国にとっては予想外であり、難しいのではないかと思う。
 
 
                                   2017.2.9中日新聞(*5)より

*5:http://www.chunichi.co.jp/article/front/list/CK2017020902000076.html 中日新聞 2017年2月9日) 防衛相「戦闘」を言い換え 9条抵触避け「衝突」
 稲田朋美防衛相は八日の衆院予算委員会で、南スーダン国連平和維持活動(PKO)に参加している陸上自衛隊部隊の日報に現地での「戦闘」が明記されていた問題を巡り、「法的な意味における戦闘行為ではない。国会答弁する場合、憲法九条上の問題になる言葉を使うべきではないから、一般的な意味で武力衝突という言葉を使っている」と述べた。海外での武力行使を禁じた憲法九条にPKO参加部隊が違反しないよう定めた参加五原則に触れないよう、「戦闘」を「武力衝突」に置き換えたとも取られかねない発言だ。民進党の小山展弘氏が、日報にある戦闘と武力衝突の違いについて質問。稲田氏は「国際的な武力紛争の一環として、人を殺傷する行為が行われていたら、憲法九条上の問題になる。憲法九条に関わるのかという意味において、戦闘行為ではない」と主張。「日報に書かれているのは一般的な戦闘の意味だ」と強調した。稲田氏は、反政府勢力が「国に準じる組織と評価できる支配系統、支配領域を有していなかった」としてPKO参加五原則は維持されていたとの従来の政府見解を繰り返した。防衛省は当初廃棄したと説明していた日報の一部を七日に開示。陸自が活動する首都・ジュバ市内で昨年七月に大統領派と反政府勢力の「戦闘が生起した」と明記していた。
◆歯止め形骸化懸念
 <解説> 憲法九条は「国際紛争を解決する手段」としての武力行使を禁じている。政府は、武力行使の意味を「国際的な武力紛争の一環としての戦闘行為」だと解釈している。自衛隊がこうした戦闘行為に巻き込まれる恐れがある場合は、PKOから部隊を撤退させなければならない。PKO参加五原則が「紛争当事者間の停戦合意」や「自衛隊の中立的立場の厳守」などを条件としているのも、自衛隊の活動が九条の解釈に基づく戦闘行為に該当するのを避けるためだ。
 しかし、防衛省が一部黒塗りで開示した陸上自衛隊の南スーダンPKOの日報は、陸自が活動する首都ジュバで「戦闘が生起した」と明記。戦車や迫撃砲を使った激しい戦闘が発生したことも報告した。稲田朋美防衛相は、日報に書かれた「戦闘」について、現地の反政府勢力が安定した支配地域を持たないことを理由に「国際的な武力紛争の一環として行われたものではない」と説明。戦闘でなく「武力衝突」という言葉を使う理由を「憲法九条上の問題」になるのを避けるためと説明した。こうした説明が許されれば、自衛隊が戦闘に巻き込まれるのを防ぐための九条の歯止めが、言葉の置き換えによって形骸化しかねない。南スーダン情勢を巡っては、国連事務総長特別顧問が七日に「大虐殺が起きる恐れが常に存在する」と指摘し、国内で戦闘が継続していると批判した。政府も南スーダンの厳しい現状を直視し、自衛隊の活動継続の是非を判断すべきだ。


PS(2017年2月23日追加):*6-1のように、夜間・早朝の米軍機飛行差し止めや騒音被害に損害賠償を求める訴訟で那覇地裁沖縄支部は騒音被害の損害賠償だけを認めた。そして、辺野古新基地についても、自然破壊や危険性などの理由で多くの市民が反対しているのに、*6-2のように、米軍運用のための刑事特別法を目的外に使用して刑罰を示すことによって報道の抑制をしようとしており、抵抗する市民が逮捕された。さらに、*6-3のように、基地建設に反対する市民団体が工事車両を止めようと座り込みを決めると、捜査機関が拡大解釈して裁量で組織的威力業務妨害が目的の組織的犯罪集団と判断して仲間への連絡を準備行為と認定して逮捕することもできるようにする法律を、「共謀罪→テロ等準備罪(名称変更)」として制定しようとしているのである。しかし、日本のTVは、ぼやけたような報道番組や金正男氏殺人事件ばかりを長時間報道しており、このような日本の民主主義の岐路になる法律の審議については隠しているかのように報道しない。
 そのため、このように日本人全体に日本国憲法の民主主義や人権尊重の精神が根付いていない中で、*6-4のように、自民党が2017年運動方針案として「改憲原案の発議に向けて具体的な歩みを進める」としているのは、憲法を変更すること自体が自己目的化している上、変更の内容に戦前回帰志向があるため改悪になる危険性が大きく、手をつけない方がよほどよいというのが私の結論である。

*6-1:http://ryukyushimpo.jp/news/entry-449470.html (琉球新報 2017年2月23日) 差し止め認めず、損害賠償のみ命じる 第3次嘉手納爆音訴訟判決
 米軍嘉手納飛行場の周辺住民2万2048人が国を相手に、夜間・早朝の米軍機飛行差し止めや騒音被害に損害賠償を求めた第3次嘉手納爆音訴訟の判決が23日午前、那覇地裁沖縄支部(藤倉徹也裁判長)で言い渡された。藤倉裁判長は差し止めの訴えを退け、過去分の損害賠償の支払いのみを命じた。

*6-2:http://mainichi.jp/articles/20170220/org/00m/070/003000c (毎日新聞 2017年2月20日) <在日米軍再編>辺野古工事、立ち入り禁止文書 「報道への脅し」批判の声
 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設のための名護市辺野古(へのこ)沿岸部埋め立てに向けた作業を前に、防衛省沖縄防衛局は先月、沖縄県政記者クラブ加盟各社に海上の臨時立ち入り制限区域に許可なく入らないよう求める文書を出した。日米地位協定の実施に伴う刑事特別法の条文を示し、入った場合は刑罰に処されると警告する内容で、地元の記者らから「報道への脅しだ」と反発の声が出ている。  文書は「正当な理由なく立ち入った場合には、刑事特別法2条の規定に基づき、1年以下の懲役または2000円以下の罰金もしくは科料に処される」と明記。さらに「先般、報道関係者と思われる方が乗船した船舶が、臨時制限区域に許可なく立ち入り、当局の警備業務受注者の警告にも従わない事案が発生した」と記している。防衛局の児玉達哉報道室長は毎日新聞の取材に「威嚇するつもりはなく、あくまで立ち入りへの警告だ」と説明した。「先般」の出来事の内容を尋ねたが「警備上の観点から具体的な内容は差し控える」と答えなかった。制限区域は防衛省が2014年に辺野古の米軍キャンプ・シュワブ沖約562ヘクタールに拡大して設定し、常時立ち入りを禁止している。地元紙の琉球新報は1月20日朝刊の社説で「刑特法適用をちらつかせた取材妨害であり、報道各社に対する許し難い脅しだ」「危惧することは報道の監視が広大な海域に行き届かなくなることだ」と批判した。防衛省は今月、海上工事を本格化させた。制限区域外から工事現場は数百メートル離れ、ブロックの投下で海底のサンゴにどのような影響が出ているかをチェックできないという。元沖縄弁護士会会長の加藤裕弁護士は「制限区域の設定自体が法の乱用だ。刑事特別法は米軍の運用のためのもので、日本政府の公共工事に適用するのは法の目的外使用にあたる。さらに、工事に実質的な支障がないのに刑罰を示すのは、報道を事前に抑制しようとするものだ」と厳しく指摘した。

*6-3:http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201702/CK2017022202000131.html (東京新聞 2017年2月22日) 「共謀罪」拡大解釈の懸念 準備行為、条文に「その他」
 「共謀罪」と趣旨が同じ「テロ等準備罪」を創設する組織犯罪処罰法改正案を巡り、政府は、犯罪の合意に加えて処罰に必要な要素として検討している「準備行為」について、条文で「資金または物品の手配、関係場所の下見その他」と規定する方針を固めた。「その他」の文言が盛り込まれることで拡大解釈が際限なく広がり、準備行為が歯止めとならないことが懸念される。共謀罪法案は、犯罪に合意しただけで罰するのは内心の処罰につながるといった批判を受け、過去三度も廃案になってきた。安倍晋三首相や金田勝年法相らは今回、新たな共謀罪法案について「準備行為があって初めて処罰の対象とする」と過去の法案よりも適用範囲を限定する方針を説明。一方でハイジャックテロや化学薬品テロでは、現行法の準備罪や予備罪よりも前段階での処罰が可能になるとして、テロ対策での必要性を強調してきた。新たに明らかになった条文では「犯罪を行うことを計画をした者のいずれか」によって「計画に基づき資金または物品の手配、関係場所の下見その他」の準備行為が行われた場合、処罰対象となる。ただ、準備行為はそれ自体が犯罪である必要がない。例えば、基地建設に反対する市民団体が工事車両を止めようと座り込みを決めた場合、捜査機関が裁量で組織的威力業務妨害が目的の組織的犯罪集団だと判断し、仲間への連絡が準備行為と認定される可能性がある。また、政府への抗議活動をしている労組が「社長の譲歩が得られるまで徹夜も辞さない」と決めれば、組織的強要を目的とする組織的犯罪集団と認定され、誰か一人が弁当の買い出しに行けば、それが準備行為とされる可能性がある。米国の共謀罪に詳しい小早川義則・名城大名誉教授(刑事訴訟法)は「米国では、顕示行為(準備行為)は非常に曖昧で、ほんのわずかな行為や状況証拠からの推認で共謀が立証される」と説明。「日本の法体系と全くの異質のものを取り入れる必要性があるのか」と疑問を呈した。また、「その他」は無制限に解釈が広がる恐れがある。新屋(しんや)達之・福岡大教授(刑事法)は「何でも当てはめることができ、限定にはならない。結局、犯罪計画と関係ある準備行為かどうかは、捜査側の判断になる」と述べた。

*6-4:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/408022 (佐賀新聞 2017年2月22日) 「改憲発議へ歩み進める」 自民、審査会の論議促進、2017年運動方針案
 自民党は21日、2017年運動方針案を発表した。安倍晋三首相の憲法改正への強い意欲を踏まえ「改憲原案の発議に向けて具体的な歩みを進める」と明記。衆参両院の憲法審査会での論議を促進するとした上で「改憲に向けた道筋を国民に鮮明に示す」と強調した。小池百合子東京都知事との対立で苦戦が予想される7月の都議選での勝利を目指すとし、次期衆院選にも「常在戦場」で臨むとアピールした。党関係者によると、改憲原案の「発議」との文言は首相の指示で急きょ盛り込まれた。同党は運動方針案を3月5日の党大会で採択する予定。与党が衆参両院で改憲発議に必要な3分の2の議席を確保している状況を受け、国会での改憲論議を進めたい考えだ。運動方針案のタイトルは「日本の未来を切り拓く」。山口泰明・党運動方針案起草委員長は記者会見で「今年は憲法施行から70年であり、新時代を切り開く決意を示した」と説明した。改憲を巡り、民進党など野党の協力を念頭に「憲法審査会で幅広い合意形成を図る」と表明。世論喚起のため「改憲賛同者の拡大運動を推進する」と言及した。地方選挙に関し「県連など地方組織を積極的に支援する」と宣言。都議選については「全国的に注目されている」と位置付けた。次期衆院選を巡り、当選1、2回の約120人の選挙基盤強化が重要だと指摘した。外交面では、世界で保護主義や内向き傾向が強まっているとして、トランプ米政権発足などに触れ「不透明感と変化の兆しが漂う一年となる」と予測。首相による「地球儀俯瞰外交」を支える姿勢を明確にした。


PS(2017年2月26日追加):*7のように、政府の政策や権力に反対する人を弾圧する目的で逮捕して長期に勾留するのは、人権侵害であるとともに民主主義にも反し、日本ならどの時代の話か、現在ならどこの国の話かと思われる。

*7:http://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-450615.html
(琉球新報社説 2017年2月25日) 山城議長保釈棄却 「政治弾圧」批判に背く
 最高裁は長期勾留が続く山城博治沖縄平和運動センター議長の保釈申し立てを退けた。不当な人権侵害を容認する決定であり「人権の砦(とりで)」としての司法の役割を自ら放棄したのに等しい。山城議長はがんの病状悪化が危惧されながら家族の面会も禁止されている。拘置所で「家族に会いたい」と訴える言葉に胸が痛む。当初の逮捕容疑はヘリパッド建設現場で有刺鉄線を切断した器物損壊の微罪であり、逮捕の必要性すら疑わしい。その後、防衛省職員にけがを負わせた傷害容疑、威力業務妨害容疑が加わり、勾留は4カ月を超す長期に及んでいる。いずれも防衛省職員や警察官が目撃しており、客観的な証拠は十分なはずだ。那覇地裁は「証拠隠滅の恐れ」を保釈を認めない理由としているが、説得力はない。山城議長の長期勾留がヘリパッドや辺野古新基地建設反対の運動に与えるダメージは大きい。国内の刑法研究者が「正当な理由のない拘禁」「勾留は表現行為への萎縮効果を持つ」と釈放を求める異例の声明を出し、「政治弾圧」の批判が高まっている。国際人権団体アムネスティー・インターナショナルも釈放を求め、批判は国際社会に広がっている。保釈を認めない最高裁の決定は国際世論に背くものだ。最高裁が長期勾留を容認したことで、基地に反対する市民活動への不当な捜査、逮捕・勾留、政治弾圧が強まることを危惧する。元東京高裁裁判長の木谷明弁護士は「裁判官は、検察官の主張に乗せられてしまいがちだ」と実情を明かし、山城議長の長期勾留を「厳しすぎる。精神的な支援を遮断して自白を迫る『人質司法』の手法」と批判する。最高裁によると2015年の勾留請求却下率はわずか3・36%にとどまる。勾留申請に対する裁判官の審査が形骸化し、検察の求めるままに拘留を認める検察主導が実態ではないか。この間、平和運動センター、ヘリ基地反対協議会など活動拠点が家宅捜索され、パソコンやUSBメモリーが押収された。基地反対運動の事務所に捜索が及ぶのは異例で、関係者や活動の情報を得る狙いがなかったか疑わしい。関係者はなお早期保釈に尽力してほしい。同時に「共謀罪」を先取りするような警察、検察の捜査活動にも注意を払う必要がある。

| 辺野古・普天間基地問題::2015.4~ | 05:39 PM | comments (x) | trackback (x) |
2017.2.4 日本における外国人労働者・難民の受入状況、日本人の労働参加率、働き方改革について (2017年2月6、7、9《図の説明》、11日追加)
     
 2017.1.28  外国人労働者と雇用事業所数推移 2016年外国人労働者数 外国人労働者賛否   
  東京新聞                2017.1.28西日本新聞          2016.2.4朝日新聞

(図の説明:日本で働く“外国人労働者”は次第に増え、日本全国では2016年10月末で108万3,769人となったが、総人口(1億2,698万人)に占める割合は0.85%にすぎない。そのうち九州は59,053人で日本全体の5.4%だ。また、“外国人労働者”と呼ばれている人のうち、技能実習生や留学生のアルバイトは本来の労働者ではない上、経済連携協定による受入者も3年で帰国を求められる人が多いため、労働者としてあまりあてにならない。なお、我が国は、専門的・技術的分野の外国人労働者は積極的に受け入れているが数が少なく、永住者・定住者には戦前から日本に住んでいる人も入っている。なお、外国人労働者の受け入れには、全体では過半数の人が賛成だが、40代男性のみ反対の方が多い)

  
      *1-5、2017.2.4佐賀新聞より                        労働力人口推移
                                     女性の就労が進む場合と進まない場合

(図の説明:日本の労働力人口は、女性や高齢者の就労が進んでも減少するが、進まなければ急速に減少する。そのため、外国人労働者の受入は合理的な選択となっており、外国人労働者なしでは考えられない職種や地域もあるため、受入地域は外国人と生活者として共生する準備が必要だ)         

(1)日本における外国人労働者と難民の受け入れについて
1)外国人労働者と難民の受け入れについて
 厚労省の調査で、*1-1のように、日本で働く外国人労働者が2016年10月末時点で108万3,769人になったことが分かり、厚労省は、①政府が単純労働に従事する技能実習生の受け入れを拡大し ②留学生の就職支援を強化し ③高度技術を持つ人材の受け入れが増えたことが要因だとしている。

 しかし、一番上の左図の専門的・技術的職種、永住者・定住者、看護師・介護士など特定の職種の人のみが外国人労働者であり、技能実習生・留学生は正確には技術や知識を学びに日本に来た人で労働が目的で来た人ではないため、世界標準では外国人労働者と認められないだろう。

 また、特定の職種の外国人労働者も、*1-2のように、労働基準法などを順守せず過酷な労働を強い、日本人と比較して給与水準が低く設定されて、合理的理由なき差別のある職場も多いのは問題だ。

 さらに、難民については、*1-3のように、日本政府は今年から5年間でシリア難民の留学生とその家族を計300人を受け入れるそうだが、規模が小さすぎて殆どの人が救われず、シリアで約480万人が難民として周辺国に逃れている中で、欧米諸国の①米国60,964人 ②カナダ48,089人 ③ドイツ43,708人 ④英国20,000人 ⑤フランス16,497人 ⑥ブラジル11,450人 ⑦ノルウェー9,000人 ⑧スイス6,700人 と比較して、受け入れ人数があまりにも少ないと言わざるを得ない。

2)イスラム教徒の受け入れについて
 それでは、大量のイスラム教徒を受け入れた場合についてだが、日本では「信教の自由」を根拠に学校など公共の場での女性のベールを禁止したり、浜辺でのブルキニ着用を禁止したりすることを批判する声が強いが、これは、実状を知らない日本人の甘さだ。

 何故なら、その傍にいるイスラム教徒の男性は、ベールをかぶっていない女性や浜辺で通常の水着を着ている女性や教育を受けて社会で自由に活躍している女性について、それが異教徒であってもひっかかるものがあるため、近くにいる日本女性の行動も制限されることになるからだ。例えば、私は、20年くらい前、ODAでキルギスタンに行った時、「日本人女性がODAで来ていることが知れ渡って、街のイスラム教徒の男性がつけまわしていて護りきれないから、早く仕事を終わって日本に帰って」と、同じチームの男性チーフに言われて、ショックを受けたことがある(ちなみに、同じチームに親切なイスラム教徒の男性もいて、一緒に市場を見に行き、説明を聞いて、よい見聞もできたことを付け加えておく)。

 また、多くのイスラム教徒の移民を受け入れているフランスでは、*1-4のように、沿海のリゾートでブルキニ着用を禁止した自治体の数が約30に上り、サルコジ前大統領を先頭に右派勢力はブルキニ着用を全国で禁止する措置の法制化を強く求めており、一方、ベルナール・カズヌーブ内相は地元紙のインタビューで「ブルキニの着用を法律で禁止するのは憲法違反だ」と指摘しつつ、「イスラム教徒側にも、引き続き私たちと共に男女平等、共和国の不可侵の原則、寛容さに関わっていってもらいたい」と注文していることから、現在の状況が伺える。そのため、私は、イスラム教も、もう中世型を脱して21世紀型に変化すべき時だと考える。

 そこで、日本がイスラム教徒の難民を国内に受け入れるにあたっては、日本国憲法で男女平等や教育の権利・義務、勤労の権利・義務などの必要事項が定められており、民法で重婚の禁止が定められており、男女共同参画基本法や男女雇用機会均等法・女性活躍推進法もあるため、「日本国内では日本の法律に従う」という誓約書への署名を最低の受入要件とし、その意味をしっかり説明しておく必要がある。

3)外国人労働者や難民の受け入れについて
 佐賀県基山町長野地区の住民は、*1-5のように、外国人に自転車や地域で暮らすためのマナーを身につけてもらおうと、英語、ネパール語、中国語、ベトナム語、日本語の5カ国語で解説し、親しみやすいイラストを添えて小冊子を作ったそうだ。これは、日本人も勉強した方がよさそうだが、今後は、外国人労働者を雇う企業が増え、外国人労働者を受け入れた方が地域も活性化するため、重要な一歩だろう。

 また、過疎地や国境離島ではない離島で、既にある学校や空き家などのインフラを使い、まとまった数の外国人労働者や難民を、まずは農林漁業や中小企業の被用者として受け入れることも考えられる。

(2)女性・高齢者の雇用について
1)高齢者の定義と定年制について
 *2-1のように、老年学会が高齢者は「65歳以上」ではなく「75歳以上」としたため、高齢者の定義、定年年齢・年金支給開始年齢の妥当性について議論が始まった。確かに、日本人の平均寿命が延び、2015年は女性87.05歳、男性80.79歳になったため、75歳くらいまで働ける高齢者は多いだろう。

 そのため、定年制を廃止して働きたい人は働く方式にするのが理想だろうと私も考える。しかし、その際には、望む仕事が得られるかどうか、教育は人生の前半だけでなく途中での追加も必要なのではないかということが問題になる。

2)労働参加率上昇の必要性
 九州経済調査協会は、*2-2のように、急速な人口減少で企業の人材確保が難しくなっており、今後はさらに争奪戦が激しくなるため、女性や高齢者など多様な人材の活用に加え、限られた要員で稼ぐ力を高めることが必要だとしており、尤もだ。

 しかし、女性は賃金よりも職種や勤務時間、休日などを重視しているとして、①短時間勤務 ②地域限定正社員 ③再雇用 ④IT技術を活用した「テレワーク」の導入 などを提言しているのは、「正社員での採用」や「男性との同一労働同一賃金」の仕事が自由に選択できた上での話だろう。「女性=短時間勤務、自宅でのテレワーク、再雇用を希望する」と位置づけるのは、家事と仕事の両方を女性が行うことを女性も望んでいるという前提の男性の発想であり、30~50年古いと言わざるを得ない。

(3)日本における明確な女性差別
 私も驚いたが、*3-1のように、埼玉県川越市のゴルフ場が女性の正会員を認めていなかったのだそうだ。これは、女性に、ゴルフをするような仕事上の場面を想定していないということだろうが、私から見ると、「はあ?何を時代錯誤してんの!」と言いたくなる状況だ。ちなみに、関東には、公立高校も男女別学の地域が多く、これは高校から男女で別の教育をしているということで、埼玉県もその一つだ。

 そして、それを批判した小池百合子東京都知事に対し、丸川珠代五輪相は電話で真意を聞いたそうだが、真意を聞くということは、何か他に真意があることを想定していたのだろうか? 小池東京都知事が「言葉通りです。せっかくスカートをはいておられる五輪相もいるのだから、もっと明確に言うべきではないか」と言われたのは、全く同感だ。

 なお、*3-2のように、成人年齢を20歳から18歳に引き下げる民法改正案に、婚姻適齢を男女とも「18歳以上」に統一する規定が盛り込まれていることが分かったと、佐賀新聞が「置き去りだった差別」として記載している。先進国では男女同一が普通であるのに、日本では女性の方が心身の発達が早い(そして発達が速く止まる)などとしているのは非科学的であり、男女平等後進国のなせるわざだ。

<外国人労働者と難民の受入状況>
*1-1:http://qbiz.jp/article/102594/1/
(西日本新聞 2017年1月28日) 外国人労働者100万人突破 全都道府県 前年上回る
 日本で働く外国人労働者が初めて100万人を突破し、2016年10月末時点で前年比19・4%増の108万3769人になったことが27日、厚生労働省の調査で分かった。08年の集計開始以来最大の増加率で、全都道府県で前年を上回った。政府が事実上、単純労働に従事する技能実習生の受け入れを拡大してきたことなどが背景にあり、国民的議論がないまま外国人労働者受け入れが進んでいる。厚労省は留学生の就職支援強化や、高度な技術を持つ人材の受け入れが増えたことが要因としているが、働き先は製造業が31・2%、卸売・小売業が12・9%で、人手不足感の強い業種を中心に、外国人労働者が増えている。全国の労働者の2%程度を占め、雇用する事業所数も最多の17万2798カ所に達した。在留資格別でみると、高度で専門的な知識のある人材が20・1%増の20万994人なのに対し、日本の技術を学ぶ技能実習が25・4%増の21万1108人、留学生が25・0%増の20万9657人となっている。国籍別での最多は中国の34万4658人で、前年比6・9%増。ベトナムが56・4%増の17万2018人、フィリピンが12万7518人で続いた。増加率では、ネパールも35・1%と大幅に伸びた。都道府県別では、東京が最多の33万3141人で、2番目に多い愛知の11万765人と合わせ2都県で全体の4割が集中。九州では福岡が全国で8番目に多い3万1541人で、留学生アルバイトの比率は全国最多の42・7%だった。政府は介護現場での技能実習生受け入れの解禁を既に決め、今国会では国家戦略特区を活用して農業分野で外国人が働けるよう法改正する方針で、今後も受け入れを拡大する。
*外国人の就労 外国人が日本で働くためには在留資格が必要で、大きく分けて(1)永住者や日本人の配偶者ら、日本人と同じように就く仕事に制限がないグループ(2)外交官や医師、外国料理の調理師らそれぞれ定められた範囲、職種で就労が認められるグループ−がある。技能実習生や経済連携協定(EPA)に基づく看護師などは(2)のグループで、昨年の入管難民法改正で新たに介護分野も加わった。

*1-2:http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2017020301001792.html (東京新聞 2017年2月3日) 比女性らと介護施設が和解、大阪 過酷労働を陳謝
 大阪府東大阪市の介護施設「寿寿」に勤めていたフィリピンから来日した男女ら10人が、厳しい条件で勤務を強いられたなどとして、未払いの賃金や慰謝料などを求めた訴訟が3日、大阪地裁(菊井一夫裁判長)で和解した。和解は、施設側が労働基準法などを順守せず、過酷な労働を強いたことを陳謝し、総額計約1千万円の解決金を支払う内容。訴状などによると、10人はいずれもフィリピンから来日した20~50代の男女。日本人の職員に比べ給与水準が低く、差別的な待遇だったとし、それぞれの未払い賃金のほか、残業代など計約4100万円を請求していた。

*1-3:http://digital.asahi.com/articles/ASK225HLZK22UTFK00R.html?iref=comtop_list_int_n03 (朝日新聞 2017年2月3日) シリア難民、300人規模で受け入れへ 政府、定住に道
 日本政府が今年から5年間で、シリア難民の留学生とその家族を計300人規模で受け入れる見通しになった。留学生は配偶者と子供を帯同でき、家族にも生活手当が支給される。留学終了後は必ずしも帰国する必要がなく、事実上家族とともに定住する道を開くことになる。特定国のまとまった難民受け入れ策としては、1970年代後半から2005年までに1万人を超えたインドシナ難民、10年から計123人が来日しているミャンマー難民以来となる。国際協力機構(JICA)の技術協力制度を活用し、年20人の留学生を受け入れる。対象はレバノンとヨルダンに逃れたシリア人難民。JICAはシリアの一般家庭の家族構成を踏まえ、5年の受け入れ数は300人規模になると試算。今年夏、最初の20人と家族が来日する予定だ。日本政府は昨年5月、JICA枠と文部科学省の国費外国人留学制度枠(年10人)を使い、5年間で150人のシリア難民を受け入れると表明。主要7カ国(G7)首脳会議(伊勢志摩サミット)の議長国として難民問題に前向きに取り組む姿勢をアピールする狙いで、留学生の募集や留学先の選定を進めてきた。JICA枠は、留学終了後の帰国を義務づけないうえ、留学中は本人に月約14万円、配偶者に月1万3千円、子供1人当たり月6500円を支給するのが特徴。日本での就職も後押しし、事実上定住を容認する内容だ。JICAは「あくまでも帰国して復興を担う人材の育成が目的だが、(内戦状態の)シリア情勢を考えると卒業後すぐに帰国しなさいとはならない」(担当者)と説明する。日本は欧米各国に比べて難民受け入れに後ろ向きで、15年に難民認定されたのは27人。一方で、混乱が長期化しているシリアでは約480万人が周辺国などに逃れているとみられ、欧米諸国は数年前から、外国に逃れた人を別の国が受け入れる「第三国定住」制度で多くのシリア難民を受け入れてきた。この制度は日本にもあり、これまでミャンマー難民を受け入れてきた。シリア難民については、政府内に「第三国定住制度で受け入れるほど、国内の世論が熟していない」との意見があり、JICAの既存制度を活用することにしたという。移民大国の米国ではトランプ政権が誕生し、難民受け入れの規制に転換。欧州でも反移民を掲げる右派勢力が台頭している。世界の難民政策が曲がり角を迎える中、日本はミャンマー難民の2倍以上のシリア難民を受け入れることになる。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のダーク・ヘベカー駐日代表は「日本はまだ、永住を前提としたシリア人の定住を受け入れる準備ができていない。一方で、何かしなければならないことをよく分かっている。留学生としての受け入れは『妥協案』なのだろう」と指摘する。難民問題に詳しい筑波大の明石純一・准教授は「定住も意識しており、中東の難民問題へのアプローチとしては画期的。ただ人数が圧倒的に少ない。保護を必要とする世界の難民全体のうち微々たる数に過ぎない。今回の仕組みをパイロット事業と位置づけ、受け入れ人数を広げていってほしい」と話している。(機動特派員・織田一)
     ◇
■主要国のこれまでのシリア人難民受け入れ
                   ※表明分含む
  国名       人数
①米国      60964
②カナダ     48089
③ドイツ     43706
④英国      20000
⑤フランス    16497
⑥ブラジル    11450
⑦ノルウェー    9000
⑧スイス      6700
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日本        300規模  ※日本はJICA枠での今後の受け入れ見通し。
                    そのほかは、昨年末時点の国連難民高等弁務官事務所調べ。

*1-4:http://www.afpbb.com/articles/-/3098942?utm_source=yahoo&utm_medium=news(朝日新聞2016年8月29日)ブルキニ禁止法は「違憲」 仏内相 、取り返しつかない結果に警鐘
 フランスのベルナール・カズヌーブ(Bernard Cazeneuve)内相は28日に掲載された地元紙のインタビューで、同国でイスラム教徒の女性向けの全身を覆う水着「ブルキニ」の着用を法律で禁止するのは憲法違反だと指摘するとともに、こうした法律を制定すれば取り返しのつかない悪影響を及ぼす恐れがあると警鐘を鳴らした。日刊紙ラクロワ(La Croix)のインタビューに応じたカズヌーブ内相は、国内の一部自治体が導入して物議を醸しているブルキニ規制について、政府としては反対という立場を重ねて示した。この問題は女性の権利やフランスの厳格な世俗主義をめぐって、国内外で大きな論議を招いている。カズヌーブ内相は「政府が(ブルキニ禁止の)法制化を拒否しているのは、こうした法律が違憲かつ無効であり、対立や取り返しのつかない緊張を生む恐れがあるからだ」と説明。その上で「イスラム教徒側にも、引き続き私たちと共に男女平等や、共和国の不可侵の原則、寛容さに関わっていってもらいたい」と注文した。仏沿海のリゾートでブルキニ着用を禁止した自治体の数は約30に上っているが、フランスの行政裁判の最高裁にあたる国務院は26日、うち1つの自治体による禁止措置を凍結する判断を下した。この判断は他の自治体にも影響を及ぼす判例になるとみられている。一方、来年の次期大統領選に出馬を表明した二コラ・サルコジ(Nicolas Sarkozy)前大統領を先頭に、右派勢力はブルキニ着用を全国で禁止する措置の法制化を強く求めている。

*1-5:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10105/402173
(佐賀新聞 2017年2月4日) 基山町長野地区住民ら、外国人向け冊子作成、相互理解へ活用
■暮らしのルール5カ国語で解説
 外国人に自転車や地域で暮らすためのマナーを身につけてもらおうと、基山町長野地区の住民らが小冊子を作った。交通標識などを英語、ネパール語、中国語、ベトナム語、日本語の5カ国語で解説し、親しみやすいイラストも添えた。舟木喜代美区長(67)は「声かけやあいさつと併せて活用し、融和を図っていきたい」と意気込む。長野地区には企業の工場などが多く立地している。近年は外国人労働者を雇う企業が多く、通勤のため地区内を自転車で通行する外国人の数が急増。道路上での並走や2人乗り、ごみのポイ捨て、深夜に大声で騒ぐなどの事例が相次いだため、地区として対策に乗り出した。冊子はA6判12ページのフルカラー。県国際課や県警などの協力を得て200部を作成し、ネーティブスピーカーに表現に間違いがないか確認してもらうなど念入りに準備した。自転車の乗り方では、「車道の左側を走る」「2人で乗らない」「携帯電話は使わない」などの基本マナーを紹介。「くらしのルール」編では、「地域の人に会ったらあいさつしよう」「ごみの投げ捨てはいけません」「住宅地は静かに通りましょう」などと呼び掛けている。1月末に街頭で通勤途中の外国人に冊子を配布したほか、企業3社に計80部を贈った。舟木区長は「異国の地で暮らすための、基本的なマナーを知らないままの人も多い。今後も外国の方は増えていくと思うので、啓発に向けて町全域で継続して取り組んでいきたい」と話す。

<女性・“高齢者”>
*2-1:http://mainichi.jp/articles/20170201/dde/012/040/003000c
(毎日新聞 2017年2月1日) 特集ワイド 「高齢者は75歳から」の是非 年齢の線引き、捨てよう
 高齢者は「65歳以上」ではなく、「75歳以上」に--。こんな提言が今、話題を集めている。確かに最近の中高年は元気で、そう言われれば納得しそう。ただ、多くの人が見直しの動きを警戒しているのも事実だ。そこで経験豊かな有識者に聞いてみた。高齢者の定義変更をどう見ますか?しゃれたレストランを都心などで手掛ける会社の役員が打ち明けた。「困ってるんですよ。60代の優秀な料理人がどんどん定年になっちゃって……。このままでは経営が立ち行かない」。今の60代は現役とまったく変わらない。気力も体力も衰えず、高い技術は若い人に代えられないほどだ。でも会社にはルールがある。働き続けてほしいと願うが、臨時雇いになって給料が激減すれば辞めてしまう。この会社は定年後も待遇を変えず、人材をつなぎ留める方法を真剣に検討し始めた。日本人の平均寿命は延びている。厚生労働省によると、2015年で女性87・05歳、男性80・79歳。戦後間もない1947年は女性54歳、男性50歳だった。「人生50年」は過ぎ去り、今や「80年」の時代。それなのに、現状に合わない“高齢者像”が生き残り、さまざまな場でひずみをもたらしている。そんな中、日本老年学会などがこの1月、65歳以上の体の状態や知的機能は10~20年前と比べ5~10歳ほど若返っているとし、医療や介護などで「65歳以上」とされてきた高齢者の定義を「75歳以上」に見直すべきだと提言した。大きな狙いは65~74歳の積極的な社会参加を促すことだ。社会問題について積極的に発言しているライフネット生命保険の会長、出口治明さん(68)に提言の印象を尋ねると、「高齢者の体力などを考えたら、ごく自然なことでしょう。当たり前の話では」と笑う。そうはいっても、この線引き、なんとなく割り切れない思いを抱く人は少なくない。人気長寿番組「世界ふしぎ発見!」(TBS系)の司会などとして活躍するテレビキャスター、草野仁さん(72)は、まずこう問い掛ける。「『高齢者』とひとくくりにすることに無理があるのではないでしょうか」と。「人は年を取るほど、体力をはじめ、いろんな意味でバラつきが出てきます。一律に『高齢者』と決めつけることは好ましくありません」。生きてきた環境が異なるうえ、大病をしたり、しなかったりなど健康面の違いも生じ、高齢になるほど個人差は大きいとされる。若者と同じように精力的に外で動きたい人もいれば、「引退」してのんびり過ごしたい人などさまざまだ。それを一つにまとめることに違和感を覚える人は多い。今回の提言では、これまで「高齢者」と呼ばれてきた65~74歳を、高齢者の準備段階となる「准高齢者」と位置づけた。これには言葉のプロである草野さんは不満を隠さない。「75歳以上を『後期高齢者』と呼ぶこともありますが、『もうアウト』と言わんばかりの愛情のない表現です。『准高齢者』には、それと同じ冷たさを感じますね。私はそんなふうに呼ばれたくないなあ」。なぜわざわざ「准高齢者」とくくるのか。普通の「大人」でいいではないか。「高過ぎるわね、定義が75歳以上というのは」。はっきりとした口調で話すのは、エッセイストで青森大副学長の見城美枝子さん(71)だ。見城さんは、公的機関の委員や大学の同期会会長を務めるなど活動が幅広い。同世代との付き合いも多い中、体感として、こう感じるという。「女性なら70歳を楽々と越えていきますが、男性は少し違います。一握りの特別な人は別でも、70歳が一つの峠になっていると思うんです」。定義するにはもっときめ細かな配慮が必要だというのだ。見城さんのように、提言に対する慎重な見方は多いが、それは多くの人が直感的に、ある種の不安を感じるからといえよう。現在の社会保障制度の多くは65歳を基準としているからだ。「高齢者は75歳以上」という社会的な合意ができれば、年金の支給開始年齢の引き上げなど社会保障の見直しにつながる可能性もある。見城さんもこの可能性を否定せず、こう主張する。「社会保障制度などを見直すというなら、国はまず、『これまでの制度設計には誤りがありました』と謝罪すべきです。既存の制度は設計ミスで維持できないときちんと説明し、国民の納得を得た上で次に進まないといけません」。まるで暗雲が垂れこめるようにばかり言われる「超高齢社会」。若者が抱える閉塞(へいそく)感を打ち破るためにも、定義変更の提言をチャンスとし、日本が進むべき未来像をはっきり示すべきだと呼び掛ける。
●定年制を廃止せよ
 そもそも、年齢を基準に物事を決めることは必要なのだろうか。草野さんは、日本のテレビ放送はニュースなどで人を紹介する場合、「何歳」と伝えるが、海外ではそういう例はほとんどない、と指摘。「日本人は相手に敬意を払うため、年齢に対し非常に細やかな神経を使います。それが逆に、何かに挑戦する時の阻害要因になってしまう」と述べ、こう強調する。「もう70歳だから遅すぎるとか、年齢を意識して前に進めない人がとても多いが、そんな意識は絶対必要ない。やれる範囲のことに一生懸命打ち込むことこそ、生きる充実感につながると私は思います」。年齢なんか気にしていたら、本当に生きているとは言えないというのだ。草野さん自身、同年代の人たちと競い、100歳以上も参加する「マスターズ陸上」に、75歳になったら挑戦しようと準備している。高齢者の定義変更自体に異論はないという出口さんに、社会保障制度について改めて聞いてみた。出口さんは「今の制度はゆがんでいる」とし、もはや年齢を基準にしてはいけないのだと主張する。「少子高齢化の本質というのは、年齢制限を設けない『年齢フリー』の原則に移らなければ、国はもたないということです。その選択肢以外に生きる道はないんだから」。超高齢社会の中、若者が多くの高齢者を支えるのは限界がきている。一定の年齢になれば全員に公的年金を支給する従来の形ではなく、生活にあえぐシングルマザーなど本当に困っている人に集中して給付するよう仕組みを変えなければいけない。だから、年齢に関係なく、お金がある人は相応の負担をし、幾つになっても働きたい人は働く。そのためには定年制を廃止するしかない--。それが出口さんの主張だ。  実際、出口さんが経営するライフネット生命に定年制はない。「定年は戦後日本の高度経済成長期に作られた慣習でしかない。社会の変化に応じた構造改革をやらないことが大きな問題ですよ」。年齢を重視し、「高齢者」とくくることに何の意味があるのか。高齢者の定義見直しについて考えていくと、根源的な疑問にたどりつく。

*2-2:http://qbiz.jp/article/102952/1/
(西日本新聞 2017年2月3日) 女性、高齢者の活用提言 九州経済白書「柔軟な人事制度を」
 九州経済調査協会(福岡市)は2日、「人材枯渇時代を生き抜く地域戦略」と題する2017年版九州経済白書を発表した。急速な人口減少で企業の人材確保が難しくなっており、今後はさらに争奪戦が激しくなると予想。女性や高齢者など多様な人材の活用に加え、限られた要員で稼ぐ力を高めるためにも、人口増加に支えられてきた「これまでの成功体験から脱却」し、働き方の大転換を図る必要があると提言している。国勢調査によると、九州地域の生産年齢人口(15〜64歳)は2000年に比べ足元で1割以上も減少している。九経調が地場企業・団体を対象に実施したアンケート(有効回答数741)では、55・1%が人員について「不足」「やや不足」と回答。要因として「地域の人口減少」などを挙げる企業が多く、「人口減少や高齢化といった構造的要因で人材不足が顕在化してきた」ことが浮き彫りになった。アンケートで、人材不足解消への取り組みを聞いたところ、「正社員の採用拡大」や「給与の引き上げ」が上位に入った。だが、政府が経済成長を支える「最大の潜在力」と期待する女性は賃金よりも職種や勤務時間、休日などを重視しているとの調査もあり、白書は企業側との認識に「ずれ」があると訴えている。人材確保のためには、賃金の引き上げだけではなく、柔軟な人事制度が重要と指摘。先進事例を紹介しながら、短時間勤務▽地域限定正社員▽再雇用▽IT技術を活用し自宅でも仕事ができる「テレワーク」の導入−などを提言した。また、九州地域で機械化やICT(情報通信技術)の導入を検討している企業は少数であるとして、人材枯渇時代を見据え「ICTやロボット、人工知能(AI)といった新しい技術の導入にも積極的になるべきだ」としている。 

<日本における明確な女性差別>
*3-1:http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2017020301001360.html
(東京新聞 2017年2月3日) 【政治】 丸川五輪相、都知事に真意問う ゴルフ会場巡る批判で
 丸川珠代五輪相は3日の記者会見で、2020年東京五輪のゴルフ会場が女性正会員を認めていない問題を巡り、批判している小池百合子東京都知事に電話で真意を聞いたと明かした。「『言葉通りです』と直球が返ってきた。ありがたく承る」と述べた。小池氏は今月1日「せっかくスカートをはいておられる五輪相もいるのだから、もっと明確に言うべきではないか」と政府の対応に不満を示していた。会見で丸川氏は「(都庁のある)西新宿から永田町のグリーンに『ワンオン』をずばんと打たれた感じだ。私も飛距離を伸ばすよう頑張りたい」と競争心をちらつかせた。

*3-2:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/401877 (佐賀新聞 2017年2月3日) 結婚、女性も「18歳以上」 民法改正案、置き去りだった「差別」
 成人年齢を20歳から18歳に引き下げる民法改正案に、結婚できる年齢(婚姻適齢)を男女とも「18歳以上」に統一する規定が盛り込まれていることが2日、政府関係者への取材で分かった。終戦直後に定められた女性は「16歳以上」とする規定が見直される公算が大きくなった。法務省は「共謀罪」の構成要件を変えた「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案の成立を優先し、民法改正案の今国会提出は見送る方針。現行民法は婚姻適齢を男性18歳以上、女性16歳以上と規定。さらに未成年者の場合は親の同意が必要となる。国際的には男女同一が一般的だが、日本では女性の方が心身の発達が早いなどの理由で低く設定されている。明治時代の民法施行時は男性17歳以上、女性15歳以上だった。しかし女性の高校進学率が飛躍的に伸び、16、17歳での結婚が減少したことなど社会的な背景が変わり、男性と区別する合理的な理由がないとの指摘が出ていた。さらに現行制度のまま成人年齢を18歳に引き下げた場合、女性だけ成人年齢と婚姻適齢が一致せず、親の同意が必要なケースが残ることになる。こうした観点から、今回の民法改正と同時に婚姻適齢を18歳に統一するのが適当と判断した。法案成立後、3年程度の周知期間を設ける方針。厚生労働省の人口動態調査によると、2015年に婚姻届を提出した女性約63万人のうち、16、17歳は1357人だった。婚姻適齢を巡っては、法制審議会(法相の諮問機関)が1996年に「男女とも18歳」とする民法改正案の要綱を答申したが、法改正に至っていない。法制審は、成人年齢の引き下げを議論した際の最終報告書でも同じ意見を表明している。国連の女性差別撤廃委員会は、日本の現行民法の婚姻適齢規定を「差別的」と批判している。


<働き方改革について>
PS(2017年2月6日追加):働き方改革は、*4-1のように、残業時間の上限を「繁忙期100時間」「2カ月平均月80時間」「年間720時間」に抑えるように労働基準法を改正し、違反には罰則を科す方向となり、これに対し野党は反対しているが、私はこの程度でよいと思う。何故なら、民進党の大串さんもよく御存じのように、税理士の例では、個人所得税申告書の提出期限は3月15日に集中しており、繁忙期に合わせて従業員を増やせば閑散期に養いきれずに倒産することになり、このように季節変動のある職種は多いからである。そのため、電通の女性新入社員の自殺という特殊な事件を背景に、低い上限規制を導入して狭い範囲の“ワーク・ライフ・バランス”を国民に押し付けるのは、研究や仕事が趣味という人もおり、そのくらいでないと何かを成し遂げることはできないことも考えれば、事業主だけでなく、働く人をもHappyにしないだろう。なお、勤務の終了から始業までに10~11時間くらいを保障する「勤務間インターバル規制」はよいと思うが、インターバルとして必要な時間や子育てへの利便性は通勤時間によっても異なるため、往復2~4時間もの通勤時間を使わせるような職場と住居の配置は変えるべきである。
 また、*4-2に、「先生の多忙が問題になっており、学校を働き方改革の例外にしてはならない」「日本の先生の勤務時間は参加34カ国、地域の中で最長」「精神疾患で病休をとる先生の数は、年間5千人台で高止まりしている」と書かれている。そして、忙しさの原因は、①書類作りや部活動 ②給食費の集金 ③保護者への対応など切りがない としているが、教育は学校に任せられる必要があるため、先生の仕事を吟味し、他の人が行っても支障がなかったり、よりよくできたりする仕事は他の人に任せ、先生しかできない教育をより充実して行うべきだと考える。例えば、部活動の指導はメダリストなどの専門家が行った方がよい指導ができる上、選手を引退した後の生活も保証される。また、給食費の集金は自動引き落としにすれば正確かつ確実であり、書類は最小限にして新人の先生を副担任として採点や教育に関する雑用をさせるなど、学校が組織として最小費用で最大効果を出すための改善も可能だ。
 その上で、*4-3のようないじめに対しては、「忙しかったから対応しなかった」「担任教諭も名前に『菌』をつけて呼んだ」「担任は親しみを込めたと言っている」など、先生として正しい説明や教育をしていないようなあるまじきケースは、決して起こしてはならないのである。

*4-1:http://digital.asahi.com/articles/DA3S12776816.html
(朝日新聞 2017年2月2日) 残業上限、線引きどこに 長時間労働是正、政府議論が本格化
 安倍政権が旗を振る働き方改革の最重要テーマ「長時間労働の是正」をめぐる政府の議論が1日、本格的に始まった。事実上、青天井に設定できる残業時間に「月平均60時間」といった上限を設ける方向で議論は進みそうだが、早くも「これでは不十分」との異論が野党などから出ている。
■繁忙期「100時間」原案 野党反発
 政府の働き方改革実現会議(議長・安倍晋三首相)はこの日、残業の上限規制をめぐる議論に着手。メンバーが意見を交わした。「時期的な繁閑の差があるなど、どうしても残業が必要な場合もある」(榊原定征〈さだゆき〉・経団連会長)、「残業の上限が『月100時間』など到底ありえない」(神津里季生〈りきお〉・連合会長)。労使の代表らによる応酬の後、安倍首相は「長時間労働の是正については、罰則つきで限度が何時間かを具体的に定めた法改正が不可欠。次回はより具体的に議論したい」と述べた。規制強化には経済界の反発が予想されたが、女性新入社員が過労自殺した事件で、広告大手の電通が昨年末、労働基準法違反の疑いで書類送検され、社長が引責辞任。これが「追い風」(厚生労働省幹部)になり、上限規制の導入に向けた動きが水面下で加速した。この日の会議では示されなかったが、政府は残業時間の上限の数字を明記した原案を昨年秋にまとめ、労使双方への根回しを進めてきた。原案は、労基法36条に基づいて労使協定(36〈サブロク〉協定)を結ぶことを前提に、上限を「月45時間(年間360時間)」に設定。特に忙しい時期は「月100時間」「2カ月の平均が月80時間」を上限にすることを認める一方、年間を通じて「月平均60時間(年間720時間)」に抑えるよう求め、違反には罰則を科す――という内容だ。経済界は繁忙期などに対応できるように「例外」の設定を強く主張している。政府が落としどころとして持ち出した数字が、厚労省による過労死の労災認定基準として用いられる「月100時間超」「月80時間超」。厚労省が2013年に約1万1千事業所を対象に実施した調査によると、36協定で定める上限時間が「月80時間超」の事業所は4・8%。大企業に限ると14・6%。実際の残業時間より上限を高めに設定するケースも多く、政府関係者は「この上限で困る企業はほとんどない」とみている。しかし、原案の内容が先週末に報じられると、野党側は「規制が不十分だ」と猛反発。1日の衆院予算委員会でも、「過労死ラインと同じようなものを上限としても、ほとんど規制していないに等しい」(民進党の大串博志氏)などと安倍首相らを追及した。

*4-2:http://digital.asahi.com/articles/DA3S12778736.html
(朝日新聞社説 2017年2月3日) 先生の多忙 学校にも働き方改革を
 働き方を改革するなら、学校を例外扱いしてはならない。先生の多忙が問題になっている。国際調査では、日本の先生の勤務時間は参加34カ国・地域の中で最長だった。精神疾患で病休をとる先生の数は、年間5千人台で高止まりしている。松野文部科学相は、業務改善のモデル地域の指定、有識者ら業務改善アドバイザーの教育委員会への派遣、部活動の休養日などに関するガイドラインづくりという三つの対策を掲げた。忙しさの原因は多様だ。書類作りや部活動、給食費の集金、保護者への対応など切りがない。個々の業務を軽くするよう工夫し、先生が担うべき仕事を吟味することは不可欠だ。ただ、連合のシンクタンク「連合総研」が全国の公立小中学校の教諭に調査し、労働時間と学校の取り組みを分析したところ、行事の精選やノー残業・部活動デーといった試みが必ずしも労働時間の短縮につながっていなかった。「新たに生まれた時間を他の仕事に充てるからでは」と連合総研は見る。時間の余裕があればもっと授業の準備をしたい。子どもの作文にコメントを書きたい。そんな先生たちの気持ちは貴重だ。しかし、疲れを抱えたまま子どもの前に立っても、よい授業や丁寧な言葉かけはできまい。先生の長時間労働を改めるには、校長らが先生の勤務時間を管理することが出発点になる。ところが同じ調査だと、自校の管理職が「出退勤時刻を把握していない」「しているかどうかわからない」と答えた教諭の合計は小中とも半数近くに上る。都道府県の条例で決められた所定勤務時間数を「知らない」と回答した教諭も6割近い。研究者が「学校は労働時間の無法地帯」と言うのも無理はない。学校が時間管理に熱心でないことの背景にあるのが、「公立学校教育職員の給与等に関する特別措置法」(給特法)だ。先生の仕事は複雑で管理が難しいとして残業代を払わず、代わりに基本給の4%を全員に支給する仕組みになっている。1971年に成立した。誰にも一律の額を出すため、管理職は勤務時間を把握する義務があるのに、時間管理の必要に迫られない。文科省の勤務実態調査では、法が成立した頃と比べ、残業時間は5倍に増えている。法の見直しの議論を始めるべき時ではないか。もっと先生の数を増やしてほしいとの現場からの訴えにも耳を傾けるべきだ。先生にも労働者としての権利があることを忘れてはならない。

*4-3:http://mainichi.jp/articles/20161203/k00/00m/040/119000c
(毎日新聞 2016年12月2日) 新潟原発避難いじめ 市教委が謝罪 担任「親しみ込めた」
 新潟市教育委員会は2日、福島県から自主避難してきた同市立小4年の男子児童が、同級生や40代男性の担任教諭から名前に「菌」をつけて呼ばれるなどのいじめを受け、1週間以上学校を休んでいると発表した。男児は先月、担任に相談していたが、直後に担任からも「菌」づけで呼ばれ、強いショックを受けたという。教委の高島徹教育次長は記者会見で「他の児童も同様に『キン』をつけて呼ばれており、原発事故と直接結びついていないが、いじめと捉えている。担任の言動は児童の心を傷付ける不適切なもので、児童と保護者に深くおわびする」と陳謝した。市教委によると、男児は東京電力福島第1原発事故を受けて家族と避難し、新入生として入学した。3年の時から仲間はずれにされたり、からかわれたりし、今年になっても持ち物を捨てられるなどのいじめがあったという。  男児は今年6月、「ばい菌扱いされている」と担任に相談。担任は、いじめた児童らを指導し、落ち着いたとみていたという。横浜市立中学で福島県から避難してきた生徒が「菌」をつけて呼ばれた問題が報道されるようになり、11月17日、児童は再びいじめについて担任に相談した。だが、同22日の昼休み、教室で担任から連絡帳を受け取る際、同級生の前で名前に「菌」をつけて呼ばれた。保護者に「もう学校に行けない。担任と会いたくない」と話したという。保護者の指摘を受け、同校は同29日、児童らに聞き取り調査。複数の児童が担任による「菌」づけ発言があったと話し、担任も認めた。市教委によると、このクラスでは映画などの登場人物にかけて名前の後に「キン」をつけて呼ぶことが流行していたといい、担任は「菌の意味ではなく親しみを込めた発言だった」と釈明。「児童に謝罪したい」と話しているという。2日の授業は別の教諭に担当させた。


PS(2017.2.7追加):東京オリンピックのゴルフ会場になっている「霞ヶ関カンツリー倶楽部」は、*5のように、正会員が男性に限定され、女性は日曜日にはプレーできないことになっているため、大会組織委員会事務総長が「できるだけ早く正会員に女性が入れるような細則にしていただきたい」と要望したが、今日の理事会でも対応が決まらず、霞ヶ関カンツリー倶楽部の木村理事長は「オリンピックは頼まれて受けただけで、こちらから『いらっしゃい』と言ったわけではないので、急にこんな事態になったのは迷惑で困惑している」とNHK・TVで言っていた。しかし、このような差別的な場所で行われるオリンピックは応援したくない人が多いため、会場を変えるか、適切な会場がなければオリンピックでのゴルフを中止するくらいの厳格な対応をした方が今後のためによいと思われる。

*5:http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170207-00010000-teletamav-l11
(Yahoo 2017.2.7) 霞ヶ関カンツリー倶楽部 理事会で対応を協議
 東京オリンピックのゴルフ会場で、川越市にある霞ヶ関カンツリー倶楽部が女性正会員を認めていない問題で倶楽部側は7日、都内で理事会を開き今後の対応を協議しました。霞ヶ関カンツリー倶楽部は現在、およそ1,200人の正会員が男性に限定され、平日は女性もプレーが可能ですが原則として日曜日はプレーできません。この問題を受け、大会組織委員会の武藤敏郎事務総長は2月2日、国際ゴルフ連盟などと連名で規則改正を求める文書をメールで提出したうえで「できるだけ早く正会員に女性が入れるような細則にしていただきたい」と述べ早期の対応を要望しました。要望を受け霞ヶ関カンツリー倶楽部は7日、都内で理事会を開き今後の対応について協議したということです。霞ヶ関カンツリー倶楽部の木村希一理事長は「これからどう対応しようかということを話しました。それだけです」と話しました。また、この問題を受けて上田知事は7日の定例会見で「正々堂々と女子の会員を認める。そうすることで立派なゴルフ場として判断される」と話しました。


PS(2017年2月11日追加):*6で、JA佐賀中央会金原副会長は、「①国内では多くの品目で生産戸数が減少し、それに伴って需要に追いつかない品目が出ている」「②『6次産業化』の販路を広げ、品目の幅を充実させたい」としている。このうち、①については、生産戸数が減少しても規模を拡大し、繁忙期には人を雇うようにすれば収入が増加し、繁忙期は地域や作物によって異なるため、農協や派遣労働会社が(外国人)労働者を雇って繁忙な場所に労働者を派遣するようにすれば、効果的な人の使い方ができる。また、②についても、日本では人件費がネックであるため、機械化や外国人労働者の使い方を工夫すれば、より安価に加工食品を作ることができ、輸出にも貢献できると考える。
 なお、「現在は、自民党を勝たせすぎて、主権者の意図しなかった変更が、よく吟味もせずに次々と行われている」というのには、私も同感だ。また、自由貿易協定(FTA)になればTPPより条件が厳しくなるという交渉力のなさも情けなく、他の先進国同様、食料自給率は重視すべきだ。

*6:http://qbiz.jp/article/101787/1/ (西日本新聞 2017年1月16日) 投資進め生産基盤強化 JA佐賀中央会 金原 寿秀副会長 トップに聞く新年展望
 近年、農業を取り巻く環境は転換期を迎えている。JA全中の組織見直しを柱にした改正農協法が昨年施行し、トランプ次期米大統領の出現で発効は絶望的とされるものの環太平洋連携協定(TPP)も国会で承認された。県内農業はどうなるのか。JA佐賀中央会の金原寿秀副会長に新年の展望を聞いた。
−農家の経営力強化が課題とされている。
 担い手や収益確保に向けて集落営農組織の法人化を進めている。昨年、JAグループ佐賀は法人化や新規就農を支援する「県域担い手サポートセンター」を開設した。生産者が加工から販売まで手掛ける「6次産業化」も販路を広げ、品目の幅を充実させたい。
−新規就農については。
 新年度から市町と協力し、武雄市などではキュウリを、佐賀市富士町ではホウレンソウを栽培する農家を育てる。国内では多くの品目で生産戸数が減少しているが、良質な作物は売れる。収益を見込める作物に特化して就農を促す。
−改正農協法をどう評価している。
 十分な議論がないうちに通ってしまった。改正法は将来的に信用、共済事業を分離することも視野に入れている。農協の営農指導は費用も手間がかかるが、これを賄うのは信用、共済事業の収益だ。専門的な書類作成も営農指導員が担っており、指導員を減らすのは難しい。
−JAグループ佐賀の政治団体、県農政協議会は次期衆院選にどう対応する。
 現在の農協改革は自民党を勝たせすぎたのが原因で対応を考えないといけない。政府の農業政策や通商政策を見据えたい。
−TPPをトランプ次期米国大統領は否定している。どう見通すか。
 日米の2国間交渉で、TPPよりも厳しい条件を突き付けられないか心配だ。韓国は米国との自由貿易協定(FTA)で食料自給率が大幅に低下した。
−新年の展望を。
 作物の安定供給のためには生産基盤の強化が必要だ。生産戸数の減少に伴い、需要に追いつかない品目が出ている。県域全体で投資を進め、基盤を強化する。産地力の向上のため、作付けや収穫などの在り方も見直しながら、需要が高い地域に販売できるようにしたい。

| 経済・雇用::2016.8~2017.12 | 10:01 PM | comments (x) | trackback (x) |

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