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2017.10.18~25 政党に関する時代錯誤の論評とメディアの報道について
(1)民進党議員の希望の党への参集について
 希望の党の政策協定書と公約                 各党の重要政策比較表
 
                                     2017.10.22 
                                      日経新聞
(図の説明:一番左の希望の党の政策協定書には、「希望の党で公認を受ける議員は、憲法改正を支持し憲法改正論議を幅広く進めること」「公認候補となるにあたり、党に資金提供すること」等の記載がある。しかし、憲法変更は党議拘束すら外して議員個人の良心に基づいて議決するのが妥当なくらい重要なテーマであり、他の政策と抱き合わせにした契約で無理やり賛成させるべきものではない。そのため、国民の代表として一人一人の議員を尊重しているのではなく、議員は党の執行部から降りてきた政策を機械的に採決する駒のように考えているわけだが、それは民主主義の基本に反する。また、希望の党は、新しい政党で党に金がないため、公認候補者に資金提供を要求するのは仕方がないのかも知れないが、一定の金額が決まっておらず、公平・公正感がない。なお、各党の重要政策は右の2つの表の通りだ)

1)メディア等の共産党との野党連合に対する批判
 メディアや他党が、「共産党との選挙協力は野合だ」と非難しているが、共産党の主張には、①脱原発 ②消費税増税中止 ③憲法9条の変更反対 など、資本主義・自由主義経済下でも、政府の無駄遣いを減らして国民生活を豊かにするため、賛成できる提案が多い。また、共産党は歴史が長いため人材が多いようで、情報収集力や分析力があるため、「共産党は社会制度の前提が異なる」として、どのテーマについても「共産党の提言だから」として排除すると、せっかくの提言が有意義な成果を生まない結果となる。

 また、子どもが大人のやり方を見て真似することを考えると、少数派をいじめたり、変なレッテルを貼って排除したりするやり方は、将来世代への影響という点でも問題だ。

2)メディアを通して見ていた人が考えた民進党支持率低迷の理由
 民進党をはじめとする野党連合は、森友・加計問題で安倍首相をしつこく追究して内閣支持率を落とし、今回の解散に追い込んだのだろうが、それによって民進党の支持率が上がったわけではなかった。その理由は、①(いろいろな意味で)過去に失敗したリーダーが、頻繁に顔の見える立場にいたこと ②「安倍政権下での憲法改正には応じない」というような対立軸にならない子供じみた批判をしていたこと ③脱原発の思い切った政策を出せなかったこと ④消費税増税で戦おうとしたこと などだろう。

 そのほか、日本のメディアが、政策の違いやその本質的な理由を真面目に報道できず、誰かの人格否定のようなことばかりを集中して報道するため、それよりも次元が高くなっている多くの国民から、「それだけでは任せられない」と思われたという日本独特のメディアの問題もある。

 そこで、民進党は小池氏の「希望の党」と合流することにしたようだが、希望の党は「国会を一院制にする」というような国会の二重チェック機能を無視した政策提言をしたり、公認希望者に自民党より多様性を認めないような政策協定書に署名させたりしたため、それとは考え方の異なる国民を失望させ、民進党の前議員も立憲民主党を立ち上げたり、無所属になったりして、選挙に突入したわけだ。

3)「リベラル」「保守」「革新」「右翼」「左翼」という言葉使いのおかしさ
 希望の党は、民進党議員を受け入れるにあたり、「リベラル(英語:Liberal)でないことを条件にした」とメディアが報道していたが、「Liberal」とは「自由な」という意味で、現代では、「自由」が民主主義国の大前提であり、日本国憲法にも随所に出てくる。そのため、「Liberalである」ことを理由として排除されなかった候補者が本当に「Liberalでない」とすれば、その人は日本国憲法違反の議員となるが、政党やメディアの中心にいる人が、そんなことにも気づかないとは情けない。ちなみに、「保守」と言われている自由民主党の英語名は、「Liberal Democratic Party of Japan」であり、堂々と「Liberal」が冠せられている。

 また、「保守」とは「現状を維持したい勢力」のことであり、「革新」とは「旧来の制度・方法・習慣を変えたい勢力」のことであるため、現行憲法が施行され定着している現在、憲法を変更したいとする自民党やそれに考え方の近い勢力が「革新」で、護憲を基本とする立憲民主党・公明党・社民党・共産党が「保守」と呼ばれるべきだろう。

 つまり、太平洋戦争終了後、日本国憲法の発布と施行で日本の革命は終わり、その日本国憲法が70年にわたって安定的に運用され、日本は平和主義を前提として戦争で膨大な無駄遣いをせずに経済発展してきたのに、メディアや政党がその事実を無視して戦前の発想で分類しているため、「保守」と「革新」の定義が逆になっておかしくなっているのである。

 なお、革命が終わっても、よりよい方向への継続的な改善はやり続ける必要がある(Continuing improvement)が、リセットばかりしている余裕はない。そして、どの分野でも同じだが、改善とは、欠点を直すためによりよい方向への見直しを普段から続けることであり、理由なき改革のための改革は、無駄な仕事を増やしたり、混乱させたり、改悪になったりするため、しない方がよいのである。

 また、「右翼」とは、国会議事堂で議長(戦前は、たぶん天皇)から見て右側に座っている勢力で、「左翼」とは、左側に座っている勢力であるためそう呼ばれたのだろうが、現在は議員数の多い政党順に右から並んでいるため、「右」か「左」かで思想や政策を分けられるわけではない。ちなみに、先日までの衆議院は、与党である自民党は右側、同じ与党である公明党は比較的左側に着席しており、無所属の人が考え方にかかわらず一番左側にいた。

(2)消費税増税について

    
2017.10.1琉球新報         付加価値税率国際比較   税収・歳出・公債

(図の説明:左の2つが、消費税増税に関する各党のスタンスであり、消費税増税をしないことに対してメディアの批判が多い。しかし、右から2番目のグラフのように、日本は消費税率が低いと言われるが、消費税は日本にしかない税制で、ヨーロッパは付加価値税、米国は国税ではない小売売上税があるだけだ。また、右のグラフのように、日本では1989年《平成元年》に消費税が導入されて以来、消費税率を上げるたびに景気回復と称して生産性の低い歳出を増やすため、消費税ができてから国債残高は増えるばかりなのである)

1)世界で唯一の消費税増税を大合唱する日本のメディアと経済界
 「付加価値税(taxe sur la valeur ajoutée:略語TVA」はフランスで考案され、1954年に世界で初めてフランスで導入され、1960年代末からヨーロッパ共同体(“EC”)の統一税制となり、現在はヨーロッパ連合(“EU”)諸国に導入されている。日本では、英語「value-added tax:略語VAT」で呼ぶのが一般的だが、米国には付加価値税や消費税はなく、州・郡・市毎に率の異なる小売売上税(小売りの売上に一度きり課税するもの)があるだけである。

 そして、太平洋戦争後、日本は、シャウプ勧告(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%82%A6%E3%83%97%E5%8B%A7%E5%91%8A 参照)を受け、直接税を中心とする米国方式の(長くは書かないが)合理的な税制を作った。その税制は、源泉徴収制度により給与所得者等の所得捕捉率や税の徴収率がよいため、今は捕捉できずにいる所得を捕捉できるように改善し、米国方式で首尾一貫した方が、特定の国民の課税済所得に再課税することにならず、公正・中立である。

 また、米国の小売売上税は売上に課税し、欧州の付加価値税は付加価値に課税するため、どちらも納税義務者は事業者である。一方、日本の消費税は消費に課税するため納税義務者は消費者で、納付を事業者が代行する形になっている。そのため、「消費者に完全に転嫁せよ」などと言われるわけだが、日本で付加価値税ではなく消費税が導入されたのは、事業者から反対の声があがったからにほかならない。

 さらに、欧州の付加価値税や日本の消費税には輸出免税があり、これにより輸出事業者は益税となり、還付されることすらある。また、軽減税率が導入されれば、軽減される業種も益税となる。そして、それが、新聞や経団連などの大企業が、消費税増税を自己目的化している財務省とつるんで、社会保障を人質に、世界で唯一の消費税増税を大合唱している理由だろう。

2)消費税しか財源がないわけではないこと
 メディアは、*1-2、*1-3、*1-4、*1-5のように、「①2019年10月の消費税増税を、自公は予定どおり実施して、借金返済に回す分を減らし、子育てや教育の充実に振り向ける」「②他党は増税に反対している」「③消費税増税を凍結すると借金が減りにくくなり、目標だった20年度の基礎的財政収支の黒字化が不可能になる」「④日本は社会保障に見合う財源が確保されておらず、国債発行という将来世代へのつけ回しに頼っている」「⑤従って、負担増こそ論点だ」「⑥消費税増税は誰が政権についても避けて通ることのできない課題で、異論を言う党はビジョンがない」「⑦各党は教育無償化などの再分配政策に傾斜した内容が目に付き、近く日本が直面する少子高齢化に向けた『痛み』を伴う施策を素通りしている」「⑧消費税増税の選挙争点化は、もうやめよう」「⑨消費税10%への引き上げの3党合意はどこへ行った」など、「消費税増税に賛成しないのは、社会保障についてのビジョンを持たないポピュリズム(衆愚)だ」という財務省の主張を記載している。

 しかし、ここで注意しなければならないのは、財務官僚が優秀でも、イ)財務省は消費税増税を自己目的化している ロ)他省庁管轄の事象に関する影響は考慮できない という事情がある。そのため、政治家が有権者である国民の負託を受けて省庁の壁なく全体を見て考察すべきであり、そうすると、幼児教育・高校授業料無償化、大学授業料減免、大学の給付型奨学金拡充が実現すれば、生産性の高い人材が増え、GDPが上がるため、直接税による税収増を見込める。また、景気刺激策・雇用維持策としてのバラマキを辞められるため、理想的な形で歳出削減を行うことができる。そして、そうなるような教育をしなければならないのだ。

 そのため、上の①については、教育・福祉予算が消費税でなければならない理由はなく、②が正論で、③④は、消費税増税を行う度にその言い訳として景気刺激策を行って生産性の低い歳出を増やし、国の借金が増加していることを忘れてはならない。そして、社会保障サービスは、まさに現代のニーズなのである。さらに、⑤⑥⑦については、痛みがあるから良薬とは限らず、害があるだけの政策もあり、⑧⑨のように、理論は別として「何が何でも消費税増税が必要で、それに反対する国民の意識はポピュリズム(衆愚)だ」などと言うことこそ、経済も税制も知らずに傲慢極まりないのだ。

(3)脱原発について


     各党の公約       使用済核燃料の蓄積  新燃岳の噴火と霧島連山
 2017.10.16   2017.10.7           2017.10.11
 西日本新聞    読売新聞             毎日新聞

(図の説明:左の2つが各党の原発政策の要点だ。中央は、各原発に蓄積されている使用済核燃料のトン数で、処理方法は未定であり、原発が稼働すれば増加する。さらに、薩摩川内市にある川内原発は、現在噴火している新燃岳の近くにあり、その新燃岳は一番右の写真の霧島連山の火山の一つなのである。しかし、原発ゼロを明記するほど憲法は細かいことを規定するものではないため、原発ゼロは環境基本法の実行で十分である)

 *1-2には、「原発の扱いも争点で、太陽光などの再生可能エネルギーで代替する計画だが、発電コストが割高のため、膨らんだ買い取りコストが家庭や企業の電気代に上乗せされる」と書かれているが、書くからには、記者は原価計算を理解した記事を書くべきである。また、普及すればコストダウンできるというのも、マーケティングの常識だ。さらに、再生可能エネルギーは国内にある資源であるため、国富が流出することなく国内で循環して税収増に繋がる。

 そして、このようなことは、他人から言われなくても自ら正確な情報を選択して論理的に考えることができる人材を養成しておく必要があり、そのためには、文系か理系かを問わず、教育を充実して達成しておかなければならない知識や論理的思考力の最低水準があるのだ。

 なお、日経新聞は、経産省の広報版のように、*2-1の「現実直視し責任あるエネルギー政策を」という記事を書いており、現実を直視してエネルギー利用の未来を展望すれば、原発を「ベースロード電源」と位置づけて再稼働するのが正しく、国民は現実を見ずに単なる不安を感じているにすぎないかのように記載している。しかし、実際には原発ゼロの道筋は既に何度も示しており、再エネや省エネの技術もある。にもかかわらず、*2-2も、太陽光や風力は天候などで発電量が変わりやすいなどとしており、思考停止が甚だしいのである。

 また、国民負担であれば、経産省は、*2-3のように、原発立地自治体を対象とした国の補助金を、2017年度から原発30キロ圏内の自治体にも支払う仕組みに変更し、2017年度の予算額を45億円とした。もちろん、原発のリスクと隣り合わせの自治体から見れば、国の補助金はないよりあった方がいいが、原発を開始してから今まで全体でどれだけの補助金が支払われたかを、正確に計算しておくべきである。

 さらに、東京新聞は、*2-4のように、東京電力福島第一原発事故の廃炉作業で、国が直接、税金を投入した額が1000億円を超えたと報道している。事業別では、①凍土遮水壁が設計などを含めて約357億8千万円 ②ロボット開発など1~3号機の原子炉格納容器内の調査費約88億4千万円 ③廃炉作業は約1172億6千万円 ④原発事故処理費用は21兆5千億円(このうち東電負担は8兆円) ⑤除染で出た汚染土を30年間保管する中間貯蔵施設は国の負担で金額は未定 という具合で、歳出額が大きい上、関係者が原発事故にたかっている様子もうかがえる。

 そのため、原発を辞めて再生可能エネルギーで代替すれば、教育無償化や社会保障の充実は容易にでき、現代のニーズにマッチしている上、エネルギーを100%国産にできるため、国富を海外に流出させずに国内で循環させることができると言える。

 そのような中、*2-5のように、日立製作所が英国に建設する原子力発電所に対して日本のメガバンクが融資する建設資金に、日本貿易保険(NEXI)を通じて政府が全額補償するそうだが、これは、日本国民にとって、言われなき国民負担のリスクがあるものである。

 また、フクイチ事故による関東の汚染も、*2-6のように、ひどいものであり、*2-7のドイツ人小児科医による講演内容は、日本メディアの記事よりも本当だ。つまり、公害は、原発の方がCO2よりもずっと著しいのである。

(4)憲法の変更と安全保障について

  
                      憲法9条への対応    北朝鮮への対応
    2017.10.20西日本新聞          2017.10.13、15西日本新聞

 *1-1に、自民・希望・維新は憲法改正に積極姿勢を示していると書かれているが、最も変更したい項目は、*3-2のように、党によって異なる。

 憲法9条の変更には、自民、希望、維新が前向きで、共産・立憲民主が反対だそうだが、①憲法9条を変更するのなら、それによって成し遂げられてきた平和主義を捨てるのか否か ②両立させる方法があるのか ③それは、改悪ではなく改善になるのか について検討すべきである。

 なお、*3-4のように、北朝鮮のミサイル実験で「国難だ、国難だ」と騒ぎながら衆議院を解散しているくらいだから、緊急事態条項が不要なことは明らかであるし、北朝鮮問題は5年もすれば落ち着くと思われるため、北朝鮮のミサイル実験を根拠に日本国憲法を変更する必要はないと考える。

 そのような中、西日本新聞は、2017年10月20日、*3-1のように、「22日投開票の衆院選を巡る世論調査では、自民党が圧勝し、憲法改正に前向きな勢力が国会発議に必要な定数465の3分の2(310議席)を獲得する勢いで、選挙後に9条改正などの論議が加速する可能性が高まる」と記載している。しかし、「立憲民主が野党第1党なら“足踏み”」などと、内容の検討もせずに「改憲が前進」という前提で報道するのは中立性を欠き、国民に先入観を与えるのでよくない。しかし、*3-2のように、公明党が改憲に慎重姿勢を示しているため、与党には少し安心感があるのである。

 また、*3-3のように、希望の党は、公認の条件として提出を求めている「政策協定書」で、①憲法改正への支持 ②安全保障関連法については「適切に運用し、現実的な安全保障政策を支持する」 などとした。一般に、改憲派は、「現実に合わせて理想を変更すべきだ」と主張しているが、憲法はあるべき姿(理想)を述べて、現実を理想に近づけるためのものであるため、発想が逆である。「現実に合わせて理想を変更すべきだ」という論法は、わかりやすく書けば、「泥棒がなくならないから、泥棒してもよいことにしよう」という論法と同じである。

 さらに、「日本国憲法は、古くて時代に合わなくなっている」と言っている人がいるが、それなら、どこが古いのでどう変えたいのかを具体的に指摘する必要があるが、憲法を変えなければならないような場所は、私には見当たらない。環境権についても、足りない部分は強化して環境基本法をしっかり守ればよいため、憲法の変更は不要である。

 最後に、核兵器問題については、日本政府が国連に提出した核兵器廃絶決議案の軍縮等に関する表現が後退していることを、国際NGO「ICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)」が批判している。ICANは、そういう組織だからこそノーベル平和賞受賞が決定したのであり、こういう正論を言う人たちが、最少は少数派でも次第に世界をあるべき方向に進めるのだ( https://headlines.yahoo.co.jp/videonews/ann?a=20171021-00000017-ann-int 参照)。

<各党の政策のうち消費税と財政再建>
*1-1:http://www.yomiuri.co.jp/election/shugiin/2017/news1/20171007-OYT1T50105.html (読売新聞 2017年10月8日)自民と希望、増税・原発で対立…憲法改正は一致
 政権を争う自民、希望の両党は、消費増税や原発政策などをめぐって対立する。一方、両党は憲法改正を目指す点では一致しており、衆院選の結果次第では、改憲論議が活発化する可能性もある。
◆消費増税
 2019年10月の消費税率10%への引き上げの是非を巡っては、与野党の対立構図がそのまま持ち込まれた。自民、公明両党は予定通り引き上げ、飲食料品などへの軽減税率導入を掲げる。両党は増税分の使い道を見直し、子育てや教育などに重点配分する方針も打ち出した。これに対し、希望、日本維新の会の両党は「凍結」との立場だ。共産党も引き上げ中止を掲げ、立憲民主は「直ちに引き上げることはできない」と見送りを主張した。ただ、野党側が消費増税に代わって確保すると主張している財源については曖昧さも残る。希望は、企業利益の蓄積に当たる「内部留保」への課税を盛り込んだが、「法人税との二重課税になる」との指摘があり、実現性を疑問視されている。
◆原発政策
 自民が公約で、原発を「重要なベースロード電源」と位置付けるのに対し、野党側は「脱原発」を掲げた。
希望は公約で再稼働に柔軟姿勢を示すものの、原発は新設せず、「2030年までに原発ゼロ」を目指すとした。共産は「原発再稼働の中止」、立憲民主も「一日も早い原発ゼロ」を掲げ、「原発ゼロ基本法」の策定を目指す。
◆憲法改正
 自民や希望、維新は憲法改正に積極姿勢を示している。
自民は「自衛隊の明記、教育の無償化・充実強化、緊急事態対応、参議院の合区解消」の4項目で改憲を目指すとした。希望も「憲法9条を含め改正論議を進める」と明記した。9条改正については自民、希望、維新が前向きだが、共産や立憲民主は「9条の改悪反対」を掲げ、反対姿勢を強めている。

*1-2:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20171007&ng=DGKKZO21978770W7A001C1MM8000 (日経新聞 2017.10.7) 財源当てなき公約競争、衆院選、主要各党が公表 目立つ曖昧さ、論戦に課題
 10日公示―22日投開票の衆院選に向けた各党の公約(総合2面きょうのことば)が6日ほぼ出そろった。政権選択を争う自民党と新党「希望の党」は消費増税や原子力発電・エネルギー政策で対立する。経済政策はいずれの政党も再分配を重視して聞こえのいい内容に偏りがちで、政策実現のプロセスや財源確保に曖昧さが残る。党首討論や街頭演説を通じて有権者に明確に説明できるかが問われる。希望が6日に発表し、新党「立憲民主党」は7日に公表する。公表済みの自民や公明党、日本維新の会などとあわせ主要政党の公約がそろう。経済政策が大きな対立点として浮かんだ。2019年10月の税率10%への消費増税は自公が予定どおりの実施を掲げた。雇用や所得などの経済環境が良くなってきたと強調する。他党は「一般国民に好景気の実感はない」(希望)として増税に反対する。自公も増収分の使い道は変える。借金返済に回す分を減らし、子育てや教育の充実などに振り向ける。これまでは5兆円あまりの増収分の大部分を借金返済、残りを医療・介護や子育て支援の充実などに充てる予定だった。安倍晋三首相は比率を「おおむね半々にする」と表明した。借金が減りにくくなり、目標だった20年度の基礎的財政収支の黒字化は不可能になる。自民は16年の参院選まで公約に明記してきた「20年度の黒字化」を削除した。政府内で簡易的にまとめた試算では、社会保障費の自然増を年5000億円に抑えるなどの歳出抑制を続ければ22年度に黒字化できる。歳出抑制のタガが緩めば25年度まで遅れる。あくまでも19年10月に消費税率を上げることが前提だが、その増税自体の実現にも曖昧さが残る。首相は9月26日のテレビ番組で「リーマン・ショック級の緊縮状況が起これば判断しなければならない」と語った。
●黒字化27年度に
 希望は消費増税の凍結を公約の筆頭に掲げた。小池百合子代表は6日の記者会見で「いったん立ち止まるべきだ」と強調。菅義偉官房長官は「財源なく大胆な改革を進めるような無責任な議論にくみすることはできない」と述べた。第一生命経済研究所の試算では凍結なら基礎的財政収支の黒字化は27年度にずれる。希望は消費拡大に向けベーシックインカム(最低生活保障)の導入も打ちだした。同研究所の星野卓也氏によると、月に6万5千円を支給する場合、現役世代の1割弱を占める年収200万円未満の世帯に対象を絞っても年5.9兆円が必要。300万円未満なら11.5兆円、400万円未満なら18.3兆円と必要な財源は増える。希望が財源に挙げたのは大企業の内部留保への課税だ。内部留保をはき出させ「雇用創出や設備投資に回す」と明記した。内部留保課税は賃上げや設備投資を企業に半ば強制する手段として政府・与党内で浮かんだこともある。実現していないのは課題が多いからだ。法人税を納付した後に課税するため二重課税になり、賃上げや投資の機運を逆に冷やしかねない。小池氏は6日に早くも内部留保課税の提案を修正する可能性に言及した。生煮え感は否めない。自民、希望以外も財源や工程に不透明な部分が多い。自民が全ての3~5歳児の幼児教育・保育の無償化を明記したのに対し公明は全ての0~5歳児で無償化を掲げた。公明は所得制限をかけて私立高校の授業料も無償化するという。より多くの財源が要るが確保策は示されていない。立憲民主も増税先送りの立場だが代替財源を確保できるかは分からない。「身を切る改革で教育無償化」をうたう維新は国会議員の定数削減などを明記した。共産党は大企業の法人税率の引き上げなどを掲げた。いずれもどれだけの財源になるか見通せない。
●家庭・企業に重荷
 電気料金や安定供給にかかわる原発の扱いも争点になる。希望など多くの党が原発に依存しない方針を示した。太陽光などの再生可能エネルギーで代替する計画だ。政府は12年度から電力大手に再生エネの電気を買い取らせる制度を始めた。まだ発電コストが割高のため、膨らんだ買い取りコストが家庭や企業の電気代に上乗せされる。今年度の上乗せは月額686円。12年度の10倍以上だ。政府は30年度に再生エネの比率を22~24%に高める目標に向け導入を進めてきた。希望の目標どおり「30%」まで高まれば電気代への上乗せはさらに増える可能性がある。今後も原発を使っていく方針を示した自民と日本のこころも新設を認めるかどうかは明らかにしなかった。原発はどんなに長くても60年間で運転を終える決まり。新設しなければいつかはゼロになる。中長期のエネルギー政策の選択肢を示したとはいえない。

*1-3:http://digital.asahi.com/articles/DA3S13159917.html (朝日新聞社説 2017年10月1日) 衆院選 社会保障の将来 甘い言葉で「安心」得られぬ
 「社会保障制度を全世代型へと転換する。急速に少子高齢化が進む中、決意しました」。衆院解散を表明した記者会見で、安倍首相はそう強調した。「全世代型」への柱として「子育て世代への投資の拡充」を唱え、2年後に予定する消費増税分から財源を確保するとした。その是非を国民に問うという。だが、深刻な少子高齢化も、高齢者向けと比べて手薄な現役世代への支援の必要性も、以前から指摘されてきたことだ。8年前には麻生内閣の「安心社会実現会議」が「全世代を通じての切れ目のない安心保障」を打ち出した。政権交代を経てもこの考えは引き継がれ、旧民主党政権は社会保障・税一体改革大綱で「社会保障を全世代対応型へ転換」すると掲げた。安倍内閣のもとでも、「社会保障制度改革国民会議」が4年前に「全世代型の社会保障」を提言している。方向に異を唱える人はいないだろう。政治の怠慢で進まなかったのが実態である。
■繰り返される議論
 首相官邸が主導し、社会保障を議論する有識者会議が設けられるようになったのは、2000年代に入ってからだ。高齢化で年金や医療などの給付が膨らむ一方、少子化で支え手は減っていく。制度を維持していくには、給付を見直しながら、負担についても保険料や自己負担に加えて税制も一体で考え、縦割りを排して政府全体で検討する必要がある。そうした問題意識が背景にある。以来、内閣が代わるたびに「国民」や「安心」「改革」といった言葉をちりばめた会議ができ、提言がまとめられた。その内容は、多くの部分で重なり合う。「女性、高齢者、障害者が働きやすい環境を整え支え手を増やす」「高齢者であっても負担可能な人には負担を分かち合ってもらう」「子育て世代への支援、若者の雇用不安への対策の強化」……。取り組むべき課題は十数年の議論で出尽くしている。必要なのは、具体策をまとめて実行に移す、政治の意思と覚悟だ。とりわけ、給付の充実と表裏であるはずの負担増を正直に語れるかどうかが試金石となる。
■負担増こそが論点
 安倍首相は、消費増税分のうち、国の借金減らしに充てる分の一部を新たな施策に回し、安定した財源にするとしている。だが、この考え方は危うさをはらむ。日本は「中福祉」の社会保障と言われるが、それに見合う財源が確保されておらず、国債の発行という将来世代へのつけ回しに頼っている。消費税率を10%にしても、不足分の解消にはほど遠い。高齢化などに伴う社会保障費の自然増を毎年5千億円に抑えるやりくりでしのいでいるのが近年の状況だ。消費増税の使途を変えるとなると、社会保障費の伸びを今以上に抑えるのか。あるいは、国債発行に頼ってさらにつけ回しを増やすのか。そうした点も一緒に示さなければ、国民は是非を判断しようがない。給付の充実だけを言い、社会保障制度への影響には触れず、財政再建への見取り図も示さない。そうした態度では、単なる人気取り政策と言うしかない。そもそも、給付が負担を大きく上回る構造を抜本的に改めていくことが問われ続けているのだ。今後、高齢者でも所得や資産に余裕のある人には負担を求めることや、医療・介護の給付範囲と負担のあり方なども検討課題としていかざるを得ないだろう。そうした痛みを伴う改革や負担増の具体案と道筋を示し、将来の社会保障の姿を描く。それこそが政治の役割であり、国民に信を問うべきテーマである。
■一体改革をどうする
 消費税収の使途変更を打ち出した与党に対し、「希望の党」代表の小池百合子・東京都知事は消費増税の凍結を語る。与党との対立の構図を作る狙いのようだが、では社会保障についてどのようなビジョンを持っているのか。希望の党への合流を掲げた民進党の前原誠司代表は、消費税を増税した上で教育や社会保障の充実に充てると訴えていた。統一した見解を早急に明らかにするべきだ。国民のニーズの変化に対応して社会保障の仕組みを見直し、少子高齢社会のもとでも安定した制度にしていく――。誰が政権についても避けて通ることのできない課題である。人口減や財政難の深刻さを考えれば、とりうる政策の幅はそれほど大きくはない。5年前、民主(現民進)と自民、公明の与野党3党が決めた社会保障と税の一体改革は、社会保障とそのための負担を政争の具にしないという、政治の知恵だと言える。風前のともしびの一体改革の精神を大切にするか。目先の甘い話を競い合うか。すべての政党が問われている。

*1-4:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20171011&ng=DGKKZO22078940Q7A011C1EA1000 (日経新聞 2017.10.11) 各党「痛み」素通り、公約、再分配に傾く 有権者、狭まる選択肢
 10日に公示した衆院選で各党の選挙公約をみると、教育無償化など再分配政策に傾斜した内容が目に付く。近く日本が直面する少子高齢化に向けた「痛み」を伴う施策は素通りした形で、将来負担を心配する有権者にとって選択肢は乏しい。2012年の社会保障と税の一体改革から5年がたち、各党は再び近視眼的な政策を並べている。
・「幼児教育の無償化を通じ、全世代型の社会保障へ転換」(自民党)
・「幼児教育の無償化、大学の給付型奨学金の大幅拡充」(希望の党)
・「高校授業料無償化、大学授業料の減免」(立憲民主党)
 安倍晋三首相が2019年10月の税率10%への消費増税の使途変更による「全世代型社会保障」の実現を訴えると、各党は公約に教育無償化を明記した。高等教育までを含めた無償化の費用は最大で年5兆円規模に上るが、選挙前に十分議論されたとは言い難い。例えば自民党が打ち出した幼児教育の無償化。公約は「20年度までに3~5歳のすべての子どもたちの費用を無償化する」とうたった。いまの保育料は所得が高い人ほど金額が高くなる制度だが、自民党の公約は所得制限を設けないと読める。高所得者ほど恩恵が手厚くていいのか。本来は大きな争点だが、各党で論戦になっていない。社会保障も同様だ。政府は来年6月に社会保障費の抑制額などを定める財政健全化計画を改定する予定で、負担をどうするかが焦点だ。だが、各党公約は具体像を語らない。「医療・介護費をどのくらい払うのか」「年金はもらえるのか」。有権者に「痛み」を示さず支持を呼び掛けている。消費増税は割れた。希望の党や立憲民主党など野党はそろって増税の延期や凍結を主張し、自公は「リーマン・ショック級の出来事が起きない限り」との条件付きで増税すると約束した。ただ自公も5兆円強の増収分のうち新たに1.7兆円程度の税収を教育などに使う。各党の公約はいずれも財政健全化からは遠く、将来世代にツケを先送りする主張だ。原発政策も争点だ。自民党は1日を通じて安定的に供給できる「ベースロード電源」と位置づけ、再稼働に前向き。希望の党は「30年までの原発ゼロ」を主張した。同党は再生可能エネルギーの割合を「30%」にすると唱えるが、電気代の上昇など経済的な負荷の可能性への言及は乏しい。

*1-5:https://mainichi.jp/senkyo/articles/20171011/ddm/005/070/008000c (毎日新聞 2017年10月11日) 2017衆院選 消費税増税=井出晋平(東京経済部)
●選挙争点化、もうやめよう
 安倍晋三首相は、2019年10月に予定通り消費税率を8%から10%に引き上げることで見込まれる増収分の使途変更を掲げて衆院選に踏み切った。一方、小池百合子東京都知事率いる「希望の党」など野党は、増税凍結・中止を訴え対抗姿勢を鮮明にしている。だが、もう消費税を選挙の争点にするのはやめるべきではないか。政策を巡る議論が深まらないまま、選挙のたびに消費税を「政争の具」にし続ける政治の無責任さを感じずにはいられない。
●唐突な使途変更、解散の「口実」か
 首相は9月25日の記者会見で、10%への消費税増税による5・6兆円の増収分のうち、国の借金返済に充てる予定だった分の一部を幼児教育・保育の無償化などに振り向けると表明。「国民生活に関わる重い決断を行う以上、すみやかに国民の信を問わなければならない」として、衆院を解散した。だが、この首相の説明には首をかしげざるを得なかった。首相が新たな使い道とする教育無償化は、今夏の内閣改造で首相が目玉に据えた「人生100年時代構想会議」で議論を始めたばかりで、会議はまだ1回しか開かれていない。議論が深まらないうちに、首相は▽3~5歳児は完全無償化▽0~2歳については低所得層に限り無償化▽大学生の給付型奨学金の拡充--などと打ち上げた。これでは、構想会議を設置した意味がない。また、首相は全世代型の社会保障制度への転換が「待ったなし」と述べたが、現行制度が高齢者に手厚く偏っているという指摘はかなり前からあった。制度の組み替えの必要性を感じているなら、なぜもっと早く取り組まなかったのか。首相は12年12月の第2次政権発足後、選挙のたびに消費税を争点に据えてきた。14年12月の衆院選では、同年4月の消費税率の8%への引き上げによる消費低迷を理由に、15年10月に予定していた10%への引き上げ延期を表明し、衆院解散に踏み切った。16年7月の参院選では、直前に再び17年4月の増税を延期すると表明した。それまで「リーマン・ショックや大震災のような事態が発生しない限り、予定通り引き上げる」と繰り返していたが、16年5月の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)で「世界経済が危機に陥るリスクに直面している」と唐突に表明。リーマン・ショック級の危機が迫っているという強引な理屈で増税延期に持ち込んだことは記憶に新しい。今回は、これまでとは逆に予定通りの消費税増税を表明した。2回の延期で「安倍政権で増税は無理」とあきらめていた財務省内では当初、「増税分を教育無償化の財源にする以上、3回目の延期は無いだろう」と期待する声が聞かれた。だが、その後首相がテレビ番組で「リーマン・ショック級の大きな影響、経済的な緊縮状況が起これば(延期を)判断しなければいけない」と発言したことで、「また延期するかもしれない」と戸惑いの声も出ている。希望の党が消費税増税の凍結を訴えたこともあり、首相が解散の大義とした増収分の使途変更は、自民党の政権公約の6本の柱のうち4番目に後退。「大義なき解散」を取り繕うために使途変更を持ち出した感を改めて強くする。
●10%引き上げの3党合意どこへ
 一方、希望の党や立憲民主党など野党の消費税増税の凍結・中止という主張も賛成できない。特に野党再編の中心となっている希望の党は、安倍政権への対抗姿勢を打ち出すための戦略という思惑が透けてみえる。安倍政権の支持率が低下し、自民党内で「ポスト安倍」として岸田文雄政調会長ら財政再建派の名前が取りざたされていた今夏、ある民進党議員は「自民党がポスト安倍で消費増税に傾けば、小池氏は支持を得やすい増税反対で打って出る」と予測した。増税を表明したのは首相自身だったが、対抗して増税反対を訴えれば票が集まるという計算が働いた可能性は高い。もともと消費税率5%から10%への段階的な引き上げと、増収分の使途を医療、介護、年金、少子化対策の社会保障4経費に限ることは、旧民主党政権時代の12年、自民、公明との3党合意で決めたものだ。その背景には、少子高齢化で年金や医療費が増加を続ける一方、担い手が減少し、このままでは社会保障制度が破綻するとの強い危機感があった。また、有権者の受けが悪いとされる消費税を「政争の具」にしないという狙いもあったはずだ。増税はできれば避けたい選択だ。国民に負担を求める前に税金の無駄遣いをやめ、歳出を徹底的に見直す必要がある。しかし社会保障制度を維持するには、一定の負担が避けられないのも確かだ。国と地方の借金は国内総生産(GDP)の2倍近くに達し、先進国で最悪だ。増税凍結、使途変更のどちらの主張も借金を減らすことにはつながらず、将来不安は消えない。公示された衆院選では耳に心地よい政策ばかりが目立つが、将来世代につけを回すことは許されない。どの政党がこの国のかじ取りにふさわしいか--。我々は、惑わされない確かな目を持つことが求められる。

<エネルギー政策>
*2-1:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20171016&ng=DGKKZO22288450W7A011C1PE8000 (日経新聞社説 2017.10.16) 現実直視し責任あるエネルギー政策を
原子力発電をどう利用するかは衆院選の対立軸のひとつだ。自民党は原発を基幹電源と位置づけ再稼働の必要性を訴えている。一方で、野党は実現時期は違うものの原発ゼロを目標に掲げ、再稼働を認めない党もある。エネルギーは社会を支え、供給が途絶えれば影響は大きい。聞こえのよいスローガンを唱えるだけでは困る。現実を直視してエネルギー利用の未来を展望し、責任ある政策を示してほしい。自民党は原発を「ベースロード電源」と位置づけ、再稼働についても原子力規制委員会による安全性の確認と地元同意を前提に進めるとした。前回の衆院選の公約とほとんど変わらず、原発を争点にしたくない姿勢も見てとれる。だが安倍政権のもとで再稼働した原発は5基にとどまり、2030年に電力の2割強を原発で賄うとした政府の目標を達成できるかも、不透明さを増している。世論調査では再稼働を不安に感じる国民がなお多い。原発問題から逃げずに、再稼働がなぜ必要かを丁寧に説くべきだ。政策を見直すべき点がないかも検証が要る。太陽光や風力など再生可能エネルギーの目標はいまのままでよいのか。30年以降の原発比率や新増設はどうするのか。これらの点について方向性を示す必要がある。「30年までに原発ゼロ」を掲げる希望の党や「一日でも早い脱原発を」と訴える立憲民主党には具体的な道筋を示すよう求めたい。両党は原発の代わりに再生エネルギーの比率を増やし、省エネも最大限強化するとした。だが実現への技術的な裏づけや、国民負担がどの程度膨らむかなどが、はっきりしない。地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」で国際社会に約束した温暖化ガス削減と両立できるのかもきちんと説明すべきだ。立憲民主党は原発ゼロを基本法で定め、希望の党も憲法で明記すると約束した。だがエネルギー利用は国際情勢の影響を受けやすく、政策には変化に対応できる柔軟さも要る。理念と政策は分けて考えるべきではないのか。安倍政権になり原子力政策について国民の声を聞く場は減っている。衆院選を機に各党が正面から向き合い、議論を深めてほしい。

*2-2:http://qbiz.jp/article/120623/1/ (西日本新聞 2017年10月16日) 【争点チェック2017衆院選】(4)原発・エネルギー 活用かゼロその先は
 東京電力福島第1原発事故から6年余り。今後も原発を活用する方針の自民党に対し、大半の政党が「原発ゼロ」を掲げた。原発への不信感は今なお根強く、民意をすくい取ろうとする各党の思惑がのぞく。自民党は公約で「原発依存度を可能な限り低減する」としつつも「重要なベースロード(基幹)電源」と原発を位置付けた。原子力規制委員会が新規制基準の適合を認め、立地自治体の理解を得た原発の再稼働を進める方針だ。政府は2030年度の原発依存度20〜22%を目指す。原発30基程度を再稼働する前提だ。31年度以降も原発を使い続けるならば、新増設や建て替えの議論が避けられない。どこまで原発を「低減」するかも問われるが、自民党の公約にはその記載がない。連立与党を組む公明党は再稼働を容認するが、「原発の新設を認めず、原発に依存しない社会・原発ゼロを目指す」と強調。とはいえ「既存の原発はいずれ廃炉になるから、ゼロになる」(山口那津男代表)として、いつゼロにするのかは明らかにしていない。8党の中で唯一、原発ゼロの目標時期を示したのは希望の党。原発を新設せず、運転開始から40年の原発を廃炉にする原則を徹底することで、30年までの原発ゼロを目指す。ただ、再稼働を認める立場をとっており、どうやって12年余りで原発をゼロにするのかの道筋は示していない。民進党出身の前議員が軸となる立憲民主党は、原発ゼロの実現時期について「一日も早く」と表現。「30年代に原発ゼロ」を目指した民進党のように具体的な期限を掲げなかった。野党共闘する共産党、立憲民主党、社民党は再稼働反対で足並みをそろえた。原発に代わる電源について、共産は「30年までに電力の4割を再生可能エネルギーで賄う」方針。社民は「再エネの割合を50年までに100%」とする目標を盛り込んだ。太陽光や風力は天候などで発電量が変わりやすく、どう需給バランスをとるのか不透明だ。「原発ゼロ」の表現を公約に使っていない日本維新の会は「既設原発は市場競争に敗れ、フェードアウトへ」としている。原発を使い続けるにしても、ゼロにするにしても、将来にわたり、どうエネルギーを安定確保していくのか。政治の責任を背負った答えは明確に示されていない。

*2-3:http://qbiz.jp/article/120595/1/ (西日本新聞 2017年10月14日) 原発30キロ圏も国補助金 糸島など計5億円
 経済産業省が、原発が立地する自治体を対象とした国の補助金を、2017年度から、原発の半径30キロ圏内の自治体にも支払う仕組みに変更していたことが13日、分かった。17年度の予算額は16年度と同じ45億円で、対象自治体は150を超え、新たに支給予定の立地外の自治体は16に上る。対象自治体などによると、支給予定の補助金の総額は少なくとも約5億円に上るとみられる。同省は仕組みの変更を報道発表していなかった。原発事故が起きた場合、広範囲の被害への懸念から、30キロ圏内には再稼働に慎重な自治体もある。経産省は「原発の影響が周辺にも及ぶことが分かり仕組みを見直した。再稼働への同意を得る目的ではない」としているが、原発のコストに詳しい龍谷大の大島堅一教授(環境経済学)は「地域再生策として趣旨は理解できるが、補助金を渡すだけという手法には反対だ。再稼働への理解を得たいという意図があるのではと読めてしまう」と指摘した。経産省によると、補助事業は「エネルギー構造高度化・転換理解促進事業」で、16年度に始まった。主に老朽化などで廃炉が決まった原発が立地する自治体に対し、再生可能エネルギーの普及促進など地域振興の取り組みを後押しする。17年度からは公募要領を変更し、「原子力発電施設からおおむね半径30キロの区域を含む市町村、および当該市町村が属する都道府県」に応募資格を広げた。応募があった自治体の中から、今年4月と7月に補助対象を決めた。北海道電力泊原発(北海道泊村)の30キロ圏では、ニセコ町や岩内町など4町が選ばれた。東京電力福島第1原発や第2原発を抱える福島県では、いわき市と浪江町が対象となった。九州は、九州電力玄海原発(佐賀県)に近い唐津市、伊万里市、福岡県糸島市、川内原発(鹿児島県)周辺の阿久根市、いちき串木野市が支給予定だ。経産省は「事業は日々運用を改善しており、逐一、報道発表することはない。ホームページ上で公表し、説明もしている」とした。

*2-4:http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201708/CK2017081402000112.html (東京新聞 2017年8月14日) 【社会】福島第一 廃炉に税金1000億円超 7月まで本紙集計
 東京電力福島第一原発事故の廃炉作業で、国が直接、税金を投入した額が一千億円を超えたことが、本紙の集計で分かった。汚染水対策や調査ロボットの開発費などに使われている。今後も溶け落ちた核燃料の取り出し工法の開発費などが必要になり、金額がさらに大きく膨らむのは必至だ。廃炉費用は東電が負担するのが原則だが、経済産業省資源エネルギー庁によると「技術的に難易度が高い」ことを基準に、税金を投入する事業を選定しているという。担当者は「福島の早い復興のため、国が対策を立てることが必要」と話す。本紙は、エネ庁が公表している廃炉作業に関する入札や補助金などの書類を分析した。廃炉作業への税金投入は二〇一二年度からスタート。今年七月までに支出が確定した業務は百十六件で、金額は発注ベースで計約千百七十二億六千万円に上った。事業別では、建屋周辺の地下を凍らせ、汚染水の増加を防ぐ凍土遮水壁が、設計などを含め約三百五十七億八千万円。全体の三割を占め、大手ゼネコンの鹿島と東電が受注した。ロボット開発など、1~3号機の原子炉格納容器内の調査費は約八十八億四千万円だった。福島第一の原子炉を製造した東芝と日立GEニュークリア・エナジーのほか、三菱重工業と国際廃炉研究開発機構(IRID)が受注した。受注額が最も多いのは、IRIDの約五百十五億九千万円。IRIDは東芝などの原子炉メーカーや電力会社などで構成する。国は、原発事故の処理費用を二十一兆五千億円と試算。このうち、原則東電負担となる廃炉費用は八兆円とされている。除染で出た汚染土を三十年間保管する中間貯蔵施設は国の負担だが、賠償費用は主に東電や電力会社、除染費用も東電の負担が原則だ。

*2-5:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20170902&ng=DGKKASFS01H5T_R00C17A9MM8000 (日経新聞 2017.9.2) 政府、原発融資を全額補償、まず英の2基 貿易保険で邦銀に
 政府は日立製作所が英国に建設する原子力発電所について、日本のメガバンクが融資する建設資金を日本貿易保険(NEXI)を通じて全額補償する。先進国向け案件の貸し倒れリスクを国が全て引き受けるのは異例の措置だ。国内の原発新増設が難しい中、国が全面的な支援に乗り出してメガバンクなどの協力を引き出す狙い。インフラ輸出は中国など新興国勢との競争が激しくなっており、国が他のインフラ案件でも支援拡充に動く公算が大きい。安倍晋三首相は8月31日にメイ英首相と会談し、原発建設の協力推進を確認した。貿易保険(総合2面きょうのことば)の補償対象は日立子会社のホライズン・ニュークリア・パワーが受注した、英中部ウィルファで計画中の原発2基だ。両政府と日立は事務レベルで資金支援の枠組みを詰めて2019年中の着工を目指している。試算によると、事業費は2基で2兆円超だ。英政府と日立、日本政策投資銀行、国際協力銀行(JBIC)が投融資を実施する見込みだが、巨額な資金を調達するには民間融資が不可欠になっている。NEXIは通常、民間融資が焦げ付いた場合に備えた保険を提供し、融資額の90~95%を補償する。今回の英国案件については全額を補償する方向で邦銀と協議に入る。原発事業は東京電力福島第1原発事故以降に安全対策費が膨らみやすく、三菱東京UFJ銀行やみずほ銀行も貸し倒れリスクが大きいと判断しNEXIの全額補償を条件にしていた。過去に途上国向けで全額補償したことはあるが、先進国では例外的な措置だ。数十年程度の長期融資などが補償の条件になる見込みだ。原発事故などが発生した場合、三菱UFJ、みずほ両行は第三者から原発事業への貸し手責任に関して訴訟を起こされるリスクもある。両行は損害賠償に関する日英両政府間の協議などを見極めたうえで最終判断する。国が資金支援で前面に立つのは大きなリスクとも隣り合わせだ。原発建設は徹底した安全対策で工程が長引く傾向にあり事業費が想定を上回るケースも後を絶たない。貸し倒れになったりすればNEXIやJBICのバランスシートを直撃し、税金投入を通じた資本増強が不可避になる。最終的に多額の国民負担が発生する危険を冒しながらインフラ輸出を推進することの是非についても議論が活発になりそうだ。一方で中国は国有企業を中心に国を挙げて大型のインフラ輸出を加速させており、日本も対抗上、相応のリスクを取らなければ激しい受注レースで生き残れない現実もある。英政府は15年、英南東部で中国製の原子炉を先進国では初めて導入することを決めた。安倍政権は今回、全額補償措置などと引き換えに英国側にも官民での資金支援を手厚くするよう要請する。

*2-6:http://useful-info.com/tokyo-is-contaminated-not-safeplace (お役立ち情報の杜 ) 【福島原発事故による内部被ばく】東京は放射性物質まみれであり、安心して暮らせる場所ではない。
 「福島原発事故は収束した」「福島原発事故により放出された放射性物質は健康に影響を与えない」「放射性物質による実被害は無いのに懸念を表明するのは、風評被害につながるのでやめるべきだ」というような「信念」に取り憑かれている人は多いと思います。御用マスコミや芸能人を使った「食べて応援キャンペーン」も功を奏しているようです。「食べて応援キャンペーン」を懐疑的に見ている人もいます。しかしその人たちも、健康被害を心配すべきなのは福島県内だけだと思っている場合が多いのではないでしょうか?世界有数の大都市である東京は福島県から200km以上離れていますが、果たして、安心して暮らせる状態なのでしょうか?「放射能汚染―32カ所が基準超え―東京東部で市民団体調査」というリンク先の情報によると、2014年~2015年にかけて市民団体が調査した結果、国の指定基準を超える高放射能汚染箇所(ホットスポット)が多数発見されました。さらに、ホワイトフードさんは、東京都内公園の放射性物質による土壌汚染状況をまとめてくれています。詳細な数値に関しては、下記リンク先でご確認ください。「この程度の汚染数値だったら大した事ねえよ。気の持ち方次第だよ」なんて言う人もいるかもしれません。放射性物質まみれの環境で暮らすことにより、放射性物質を呼吸や食事などを通して体内に取り込むとどうなるのでしょうか?外部被ばくよりも恐ろしい内部被ばくの危険を避けることはできません。例えば、セシウム137を毎日10ベクレルづつ摂取した場合、500日後には体内の総放射線量は1400ベクレルにも達します(1ベクレルとは、1個の原子が1秒間に崩壊する時の放射線の強さに等しい)。体重70キログラムの大人ならば、1キログラム当たり20ベクレルですが、体重20キログラムの子供の場合、1キログラム当たり70ベクレルになってしまいます。体重1キログラム当たりのベクレル数が多くなるほど心臓に悪影響を与えやすいことが判っています。特に体重1キログラム当たり50ベクレルを超えると、心臓血管系・神経系・内分泌系・免疫系・生殖系・消化器系・排泄系で病的な変化が増加します。セシウム137は、体内の様々な臓器に偏在し濃縮されるのが原因です。人工的な放射性物質には、これ以下なら安全という閾値は存在しません。チェルノブイリ原発事故に伴い、ベラルーシでこの研究を行い発表したバンダジェフスキー博士は逮捕・投獄され、拷問も受けています。日本では特定秘密保護法が成立しており、似たような人権侵害が起こる可能性が高いですね。つまり、内部被ばくによる健康被害は、原発マフィア側にとって都合の悪い事実だということです。2016年6月30日、環境省は、1キログラム当たり8000ベクレル以下ならば一般廃棄物扱いにして全国でリサイクルも可能にするという基本方針を正式決定しましたが、これが犯罪行為だということが理解できたのではないでしょうか?繰り返しますが、人工放射性物質には、これ以下なら安全という閾値は存在しないのです。本来、1キログラム当たり0ベクレルでなければなりません。安倍政権下では、放射性物質による汚染状況調査も健康被害調査もまともに行われていません。福島県内での甲状腺がん発生率が何百倍に増えても、原発事故との因果関係を認めようとしません。福島原発事故により放射性物質は全国に拡散されました。東京の人たちは他人事だと言ってられません。では、何をすべきなのでしょうか?放射性物質に汚染された地域は少なくとも300年は居住することができません。何兆円もかけて無駄な除染作業をするくらいならば、そのお金を移住費用などに充てるべきでしょう。本来、日本政府は下記の施策を即実行すべきです。
  ①放射能レベルの正確な測定を日本全国で行い、結果を全て公表する。
  ②外部被ばくだけでなく内部被ばくの危険についても、最新の知見を国民へ提供する。
  ➂避難・移住地域選定については、最低限、チェルノブイリ基準を適用する。
  ④避難・移住先で不自由がないように、住居、仕事、収入については十二分に援助する。
  ⑤避難対象者の医療費については生涯無料とし、診断結果は本人へ丁寧に説明する。
  ⑥原発は即廃止し、福島原発も含めて廃炉作業は安全第一で進める。
 放射性物質は、目も眩むような閃光を発しません。鼻を突くような異臭がありません。耳をつんざくような爆音もしません。顔をしかめるような激痛もありません。だからこそ、科学的な知識、原発マフィア以外からの情報、健康被害への想像力、冷静な思考力・判断力、雰囲気に流されない自律心などが必要になります。「見て見ぬふり」や「臭い物に蓋」は身を滅ぼします。国民は、自分の身は自分で守るしかないと思います。          以上

*2-7:http://useful-info.com/ippnw-dr-alex-rosen-lecture (お役立ち情報の杜) 福島原発事故について皆がダンマリしている時こそ、確かな情報を! ドイツ人小児科医による講演内容を紹介。
 IPPNW(=International Physicians for the Prevention of Nuclear War 核戦争防止国際医師会議)の理事会メンバーで、小児科医・医学博士でもあるアレックス・ローゼン氏が、福島原発事故による健康被害に関して講演を行いました。噂や扇動ではなく、すべて、科学的な根拠に基づいた話です。しかも、この公演では、日本政府や東京電力が公表したデータを用いています。それだけでも、原発事故の恐ろしさを十分に説明できるからです。公演内容の要点を以下に述べます。
要点始め *********************
1)放射線と、それが健康に及ぼす影響についての基礎知識
・放射線とはどういうものか?
・よく使われる放射線の単位:ベクレル(Bq)、シーベルト(Sv)
・外部被ばくと内部被ばく
・放射線による被ばくは、細胞の損傷と突然変異を引き起こす。
・これ以下なら安全という閾値はない。
・抵抗力のない人や子供は影響を受けやすい。
・放射線核種と病気の関連
  (ヨウ素:甲状腺ガン、セシウム:固形腫瘍、ストロンチウム:白血病、
  プルトニウム:肺ガン・肝臓ガン)
2)福島原発事故に関する事実
・爆発と、大量の放射性物質放出(東電の公開データより)
・福島事故による放射性物質の降下量分布
・放射性物質の約80%が太平洋へ流れた。陸地が2割で済んだのは風向きによる運である。
・放射性物質による土壌汚染調査の結果。
・吸引、経口摂取による内部被ばくの危険。
・チェルノブイリなら避難しているレベル地域に、多くの日本住民が住んでいる。
・学校、幼稚園、保育園の土壌から高い放射線が検出されている。
・子どもは土に触れる機会が多く、しかも放射能に敏感なので、健康への影響が心配だ。
・取り除いた汚染土壌が屋外に放置されている。これは放射性廃棄物なので、ドイツなら
 キャスクに入れて保管しなければならない。
・こんな環境が子どもたちの通学路になっているのはヒドイことだ。
・モニタリングポストの数値は、実際より低い。
・放射性物質で汚染された飲食物(水道水、果物、野菜、魚介類、牛乳、米、お茶)。
・最大の危険は、長期間の、汚染食料による内部被ばくだ。
・日本では、この先100年も200年も放射性セシウムが地中に残留し続ける。
・WHOは過小評価をしている。
3)これから如何なる健康被害が予測されるか、また、既に起こってしまったか。
・WHOには、放射線に関する専門部署が無い。IAEAという原子力推進団体から提供され
 たデータを用いている。例えば、タバコの害についてフィリップモリスから提供された
 報告書を鵜呑みにしているのと同じだ。
・WHOは、放射線とその影響について、IAEAの承認なしには公表できない契約を結んで
 いる。このスキャンダルは、何十年も批判され続けている。
・WHOのレポートには問題点が多い。
  「放出された放射性物質の量が過小評価されており、東電発表数値よりずっと少ない」
  「福島県外の人々への健康影響が無視された」
  「測定用食料品サンプルの量と選択が不適切」
  「原発利権者に健康被害の説明をさせている」
・福島原発事故後に乳児死亡率が上昇した。チェルノブイリのケースと似ている。
・甲状腺異常が増加した。平時なら、小児の甲状腺ガンは、あり得ないと言えるほど発生
 率が低いのだ。
・甲状腺以外のガンも増加リスクがある。しかも、福島県民だけの話ではない。
 (循環器疾患、視力障害、不妊症、遺伝子への影響)
・精神的影響(ガン発症の不安を抱えながら生きねばならない)は重大な問題だ。
4)個人として何ができるだろう?
・情報を集め、現状を知り、理解し、他の人に伝えることが重要だ。
・「汚染は大したことはない。原子力エネルギーは必要だ」という原子力業界のウソにダマ
 されないこと。
・例えば山下俊一が、「笑っている人には放射能はやって来ない」「年100ミリシーベルト
 でも安全」と言っているが、信じてはいけない。
・政治家を含む原発利権者に対して批判的な質問をすること。根拠を説明させるのが大事。
・民衆の反対圧力が高まれば、これ以上逆らえないと政治家は気付く。
・日本は、自然エネルギー大国であり、再生可能エネルギーで100%まかなうことが可能だ。
・「原発が無くなるとエネルギーが不足する」というウソを信じてはいけない。
・福島県の子どもたちが沖縄で保養している実例紹介。
********************* 要点終わり
 日本各地の原発が再稼働に向けて動いているため、福島原発事故などは過去のものであると思っている人も多いと思います。日本の大手マスコミは、福島原発事故による健康被害について、ほとんど報道していません。「問題ない」「問題ない」という、原発マフィアたちのブラックプロパガンダだけを聞かされていると、誤解や・判断ミスをして、失敗の繰り返しにつながります。原発利権集団(政治家、官僚、メーカー、電力会社、御用マスコミ、御用学者、IAEA、WHOなど)の言い分ばかりを鵜呑みにすることは危険です。原発利権組織と距離を置いているIPPNW(核戦争防止国際医師会議)などの情報も意識的に取り入れて頂きたいと思います。以上

<憲法変更と安全保障>
*3-1:http://qbiz.jp/article/120946/1/ (西日本新聞 2017年10月20日) 9条論議 加速か停滞か
 22日投開票の衆院選を巡る報道各社の世論調査では、自民党が圧勝し、憲法改正に前向きな勢力が国会発議に必要な定数465の3分の2(310議席)を獲得する勢いだ。選挙後に9条改正などの論議が加速する可能性が高まるが、各党が掲げる改憲項目には違いがある。自民、公明の与党だけで3分の2を得ることができるのか、野党第1党がどの党になるかで議論の行方が変わりそうだ。
●自公で3分の2なら…自衛隊明記へ 来年発議も
 自公で3分の2を維持すれば、安倍晋三首相(自民党総裁)が主張する9条への自衛隊明記に向けた議論が進む可能性が高い。首相は公示日の10日、仙台市での街頭演説で「東日本大震災で頑張った自衛隊に『君たちは憲法違反だけど命を懸けろ』と、こんなことが通るはずない」と訴えた。首相は自衛隊明記案の2020年施行を目指し、年内に自民党案をまとめ、来年の通常国会で発議する日程を描く。自民は今回、12年の政権復帰後、初めて改憲を公約の重点項目に位置付け、自衛隊明記を含む4項目を掲げた。各社の調査では、自民単独で300議席を獲得するとの見方もある。自民幹部は「圧勝すれば首相の改憲案に『お墨付き』が与えられたということになる」と語る。「国防軍」創設を記した12年の党草案での発議を主張する石破茂元幹事長らの異論は抑えられ、首相の想定通りの改憲シナリオが一気に進む可能性がある。9条改正に慎重な公明党は公約集で「国民は自衛隊は憲法違反の存在とは考えていない」とあえて記し、改正の必要性に疑問を示す。だが、特定秘密保護法も安全保障法制も、連立維持を重視して最後は成立を容認してきた経緯がある。首相官邸はこれまでも、日本維新の会とてんびんにかけることで公明を動かしてきた。希望の党は「9条を含め改正論議を進める」と公約に掲げており、連携を呼び掛ける可能性もある。
●野党が健闘したら…9条以外の項目優先も
 野党が健闘して自公の3分の2を阻止した場合、発議には希望や維新など、野党の改憲勢力を巻き込む必要が出てくる。だが、希望の小池百合子代表は首相の自衛隊明記案には「疑問がある」と否定的だ。民進党出身者らを中心に異論を唱える場面も予想される。維新も「9条改正」を公約に記載。ただ、松井一郎代表は教育無償化や地方自治を優先事項としており、9条については「自民党案が固まってくれば、まじめに正面から議論したい」と態度を保留している。首相官邸が9条改正を先送りし、緊急事態条項の創設など幅広い合意が得られそうな項目を先行させる「お試し改憲」を目指すことも考えられる。
●立民第1党なら足踏み?
 安保法制を前提とする「9条改悪」に反対する立憲民主党、改憲反対の共産、社民両党と野党系無所属議員が衆院3分の1超となる156議席以上を確保すれば、改憲議論は一気に後退する。だが、3党の公示前勢力は計38議席で、そのハードルは極めて高い。ただ、立憲民主が野党第1党になり発言力を高めれば、希望や維新と連携し、改憲阻止勢力が拡大する可能性もある。

*3-2:http://qbiz.jp/article/120468/1/ (西日本新聞 2017年10月13日) 【争点チェック2017衆院選】(1)憲法改正 改憲勢力の思惑交錯
 「党内外の十分な議論を踏まえ、初めての憲法改正を目指します」。自民党は衆院選の公約で、2012年の政権復帰後、初めて憲法改正を重点項目に位置付けた。首相が5月に9条1、2項を維持した上で、自衛隊を明記する案を提起したことを受け、公約には自衛隊の明記▽教育無償化▽緊急事態対応▽参院の「合区」解消の4項目を列挙。「国会で発議し、国民投票を行う」と具体的な手続きに踏み込み、首相の前のめりな姿勢を反映している。首相は政権復帰直後、改憲発議要件を定めた96条緩和を打ち出し、14年には緊急事態条項新設に意欲を示したが、世論の反発などで実現しなかった。変遷の末に9条に目を付けたのは、災害救助で高い評価を受ける自衛隊の明記に限れば、国民は受け入れるとの読みがあるとみられる。与党内の温度差は公約にも表れている。公明党は「(首相提案の)意図は理解できないわけではないが、国民は自衛隊は憲法違反とは考えてない」「安全保障法制の適切な運用を積み重ね、さらに国民の理解を得ることが大事だ」と書き込み、慎重姿勢を強調した。自公と、希望の党、日本維新の会の「改憲勢力」内でも思惑は交錯している。首相が協力を期待する希望は「9条を含め憲法改正論議を進める」と明記した。小池百合子代表(東京都知事)は00年の衆院憲法調査会で「いったん現行の憲法を停止する、その上で新しいものをつくっていくことに基本的に賛同する」とまで述べた改憲論者だが、首相案には「大いに疑問がある」と異論を唱え、選挙後の対応も見通せない。維新は「国民の生命・財産を守るための9条改正」を盛り込んだ。改憲勢力の拡大に「護憲派」は危機感を強める。共産党は「自衛隊が明記されれば9条2項を残しても死文化し、無制限の海外での武力行使が可能になる」と指摘。社民党は「9条の平和主義を守る」と同調する。共産、社民と共闘する立憲民主党は改憲論議は否定しない立場だが、公約で「憲法違反の安保法制を前提とした9条改悪とは徹底的に闘う」と宣言した。改憲論議の進展は選挙結果に大きく左右される。首相は特定秘密保護法や安保法制の制定前の選挙戦と同じく、街頭演説では改憲にあまり触れないが、首相側近はこう言う。「改憲勢力が増えれば増えるほど、議論は進めやすくなる」
   ◇    ◇
 与野党各党は憲法改正、消費税増税、北朝鮮問題などの主要課題とどう向き合うのか。各党の公約や主張を中心に衆院選の争点を5回にわたって点検する。

*3-3:http://mainichi.jp/senkyo/articles/20171003/k00/00m/010/128000c (毎日新聞 2017年10月3日) 希望の党:公認条件、安保関連法「適切に運用」に
●立候補予定者に求めている政策協定書最終案 「容認」改め
 希望の党が立候補予定者に公認の条件として提出を求めている「政策協定書」の最終案が明らかになった。安全保障関連法について「適切に運用し、現実的な安全保障政策を支持する」としている。協定書案では当初、安全保障関連法に対する「容認」を要求していた。しかし、民進党出身者が受け入れやすくするため、「適切に運用」にとどめた。憲法改正への支持、2019年10月の消費税率の10%への引き上げの凍結なども盛り込んだ。外国人に対する地方参政権の付与反対、政党支部で企業団体献金を受け取らないこと、党への資金提供も求めている。さらに、選挙区のすみ分けを行う日本維新の会を念頭に「選挙協力の協定を交わしている政党への批判は一切行わない」とする文言も加えた。
●政策協定書の全文は次の通り。
 私は、希望の党の公認を受けて衆院選に立候補するに当たり、下記事項を順守すること、当選した場合には希望の党の所属する会派に所属して国会活動を行うこと、希望の党党員として政治活動を行うことを誓います。
1 希望の党の綱領を支持し、「寛容な改革保守政党」を目指すこと。
2 現下の厳しい国際情勢に鑑み、現行の安全保障法制については、憲法にのっとり適切に
  運用する。その上で不断の見直しを行い、現実的な安全保障政策を支持する。
3 税金の有効活用(ワイズ・スペンディング)を徹底し、国民が納める税の恩恵が全ての
  国民に行き渡る仕組みを強化すること。
4 憲法改正を支持し、憲法改正論議を幅広く進めること。
5 国民に負担を求める前に国会議員が身を切る改革を断行する必要があること及び
  いわゆる景気弾力条項の趣旨を踏まえて、2019年10月の消費税10%への引き
  上げを凍結すること。
6 外国人に対する地方参政権の付与に反対すること。
7 政党支部において企業団体献金を受け取らないこと。
8 希望の党の公約を順守すること。
9 希望の党の公認候補となるに当たり、党に資金提供をすること。
10 選挙期間が終了するまで、希望の党が選挙協力の協定を交わしている政党への批判は
  一切行わないこと。

*3-4:http://qbiz.jp/article/120617/1/ (西日本新聞 2017年10月15日) 【争点チェック2017衆院選】(3)北朝鮮問題 明確な対立軸見えず
 核実験や弾道ミサイル発射を続ける北朝鮮。安倍晋三首相(自民党総裁)は、「国難」として北朝鮮への対応を衆院選の争点の一つに掲げたが、各党の公約に大きな対立軸は見えない。「北朝鮮の側から『政策を変えるから話し合いましょう』と言ってくる状況をつくり上げなければならない」。首相は全国を遊説し、北朝鮮に対する圧力強化の重要性を訴える。9月に国連安全保障理事会で採択された経済制裁の完全履行を関係国に働き掛けていくと主張。トランプ米大統領の「全ての選択肢がテーブルの上にある」という軍事的措置を含めた方針を支持している。連立与党を組む公明党は、国際社会との連携を深め「制裁決議の実効性を高めるとともに、対話と圧力で懸案の包括的な解決に取り組む」と歩調を合わせる。野党では、日本維新の会が「問題の解決に向けて、日米韓中の連携をさらに強化する」と主張。希望の党と立憲民主党は与党側と同じく、圧力強化を公約に盛り込んだ。希望は「対話を導く手段として、制裁の厳格な実施を働きかける」、立憲民主は「対話のテーブルにつかせるため、圧力を強める」との立場だ。立憲民主の枝野幸男代表は街頭演説で、度重なる挑発行為を「国難」と強調する与党側の姿勢について、「北朝鮮の脅威をあおっている」と批判している。共産党と社民党は、軍事的措置を含めた米国の方針を首相が支持していることから、「偶発や誤算から軍事衝突が起こり、戦争に発展しかねない」などと強調。北朝鮮の挑発を非難しつつも、「経済制裁強化と一体に『対話による平和的解決』に知恵と力を尽くす」(共産)、「米朝会談を実現し、停戦協定を不戦協定へ切り替えていくよう日本が仲介役となる」(社民)というように、外交努力を重視している。自民と日本のこころは、弾道ミサイルへの対処として、地上配備型の迎撃システム「イージス・アショア」の配備をうたう。自民は党内の部会で「敵基地攻撃能力」の保有を求める提言をまとめているが、今回の衆院選の公約には含めなかった。与野党で見解が分かれそうなミサイル防衛能力の強化や防衛予算の増額などの具体的な議論は聞かれない。拉致問題については、いずれの党も解決に向けて尽力することを盛り込んでいる。

<衆議院議員選挙結果と希望の党、立憲主義について>
PS(2017/10/23、25追加):*4-1のように、自民・公明・希望の党・日本維新の会を合わせた「改憲勢力」が、国会発議に必要な3分の2(310議席)を大きく上回って衆院全体の約8割に達したそうだが、これは押し付けられた“賛成”にすぎない。そのため、9条改正を巡って公明党が慎重姿勢を崩していないのが、唯一の希望である。
 希望の党の小池代表はテレビ朝日の番組で、憲法改正について「ようやく国民的議論ができるようになった」と意欲を示されたそうだが、*4-2のように、安全保障に関する政策で候補者を選別した結果、完敗したのだということを忘れてはならない。また、小選挙区は党首の人気に乗って空中戦をすべき場所ではないため、駒のように候補者を当てはめても選挙区の人が受け入れず、余程の有名人でなければ当選しないのは当たり前なのである。そのため、安全保障関連法に反対を表明するなどして希望の党の公約に反し、当選した候補者が離党するのは必然だ。
 なお、希望の党は、「日本のこころ」の中心だった中山成彬氏を九州比例1位にして当選させたが、中山氏は自民党の中でも「右翼」だった。そして、「日本のこころ」の憲法改正草案は、自民党の憲法改正草案よりは文章が整っておりテニヲハまで指摘する必要がないので引用すると、*4-3のように、下の内容の前文を記載し、「日本国のかたち」で「日本国は、天皇を日本国及び日本国民統合の象徴とする立憲君主国家」と明記している。しかし、憲法は、事実ばかりではない自国の歴史や国土を自慢する場所ではない上、天皇を君主とする日本国を維持するため、国民は犠牲になりながらも喧嘩せず従順で温和なのがよいとするのは、聖徳太子の17条の憲法の時代ではあるまいし、官僚以外の主権者である国民にとっては改悪にほかならない。
 ①日本国は、古来、天皇がしろしめす国であり、国民は、一人一人を大切にする和の
  精神をもって、その悠久の歴史を紡いできた。
 ②日本国民は、四囲を海に囲まれ、四季が織りなす美しい風土の中で、時に自然の
  厳しさと向き合いながら、自然との共生を重んじ、相手を思いやる文化を育んできた。
 ③日本国民は、明治維新を経て、衆議を重んじる伝統に加えて、欧米諸国の英知を
  集めて、大日本帝国憲法を制定し、立憲君主国家を誕生させ、近代国家としての
  発展を目指してきた。
 ④先の敗戦の後、占領下において制定された日本国憲法の施行以来、七十年が過ぎ、
  日本をめぐる国際環境は大きく変わり、新たな対応が求められている。日本国民は、
  ここに新たな時代にふさわしい憲法を制定することを決意した。
 ⑤日本国民は、本来日本人が持つ和と公正の精神、人間尊重の原理の上に立って、
  国家の発展を図り、国民の幸福と利益を増進し、家族を大切にする、明るく温かな
  社会を建設することを誓う。
 ⑥日本国民は、法と正義を基調とする世界平和を希求し、各国間の交流に積極的に
  力を尽くすとともに、あらゆる力を注いで、世界平和の実現に寄与することを誓う。
 ⑦これらの崇高な理想を実現し、将来の世代に引き継ぐ決意を込め、われわれの手に
  より、この憲法を制定する。
 このように、立憲主義とは、「憲法を最高位の法として、それに従って下位の具体的な法律を定め、法治主義で政治を行う」という原理にすぎないため、憲法を変えれば立憲君主主義に変えることも何をすることも可能だ。そして、フランス革命時代とは異なり、現代では立憲主義は当たり前で、憲法の内容が重要なのであり、変えにくいように硬性憲法にしてあるわけである。

*4-1:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO22567960T21C17A0PE1000/?dg=1 (日経新聞 2017/10/23) 改憲勢力8割に、国会発議に現実味、9条改正、公明は慎重
 自民、公明両党と憲法改正に前向きな希望の党、日本維新の会を合わせた「改憲勢力」は、国会発議に必要な3分の2(310議席)を大きく上回った。4党の議席は衆院全体の約8割に達しており、発議が現実味を帯びる。ただ9条改正を巡っては公明党が慎重姿勢を崩しておらず、希望の党も一線を画す。今後の改憲議論はなお曲折が予想される。「希望の党も建設的に議論していきたいとの考えを持っている人が多い。希望あるいは維新、他の党派の方々にも賛成してもらえるよう努力したい」。安倍晋三首相(自民党総裁)は22日夜のフジテレビ番組で語った。自民は衆院選で憲法改正を訴えた。首相が特にこだわるのは自衛隊の存在の明記だ。首相は憲法学者に根強い自衛隊の違憲論について「そういう論争がある状況に終止符を打ちたい」と改めて力説した。今後、党憲法改正推進本部での議論を加速させる。ただ、連立を組む公明は9条に手をつけることには慎重だ。山口那津男代表はNHK番組で「国民の理解が伴わないといけない」と強調した。斉藤鉄夫選挙対策委員長は「野党第1党、第2党も含んだ形で、幅広い合意で提案することが国民投票を成功させるうえでも大事だ」と指摘した。改憲勢力は衆院では3分の2を大きく超えるものの、参院ではようやく届く程度。9条改正の実現には、公明党の理解を得るのが不可欠だ。改憲に向けて多数派形成が必要になる状況に変わりはない。自民の二階俊博幹事長は22日夜、党本部で「選挙を終えても、運び方は慎重でなければならない」と述べた。自民は希望や維新との連携を探りつつ、公明の態度軟化を引き出したい考えだ。当初の想定を覆し、野党では立憲民主が議席を大きく伸ばした。「安全保障法制を前提とした憲法9条の改悪に反対」を掲げ、首相と改憲で協力する余地はほとんどない。立憲民主が野党第1党に躍り出ることで「与党プラス野党第1党」による幅広い合意を演出するのは困難となる。希望の小池百合子代表はテレビ朝日番組で、憲法改正について「ようやく国民的議論ができるようになった」と意欲を示した。ただ自衛隊の明記に関しては「種々問題がある」と述べ、慎重な見解を示した。実際の改憲項目や条文づくりは、高いハードルになる見通しだ。首相は改憲論議について自らは前面に出ずに党側に委ねる方針。2020年の新憲法施行を念頭に、18年通常国会で国会発議をめざすかどうかについて「時期ありきではない」と述べた。

*4-2:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO22560610S7A021C1EA1000/?dg=1 (日経新聞 2017/10/23) 小池氏「私自身におごり」 希望代表辞任は否定
 希望の党の小池百合子代表(東京都知事)は22日、「政策本位を考えたが、厳しい結果につながっているのは大きな問題で真摯に受け止めたい。敗因を分析しなければならない」と述べた。その上で「私自身におごりがあった。これまでは空中戦でやってきたが、小選挙区はそれだけではだめだった」と強調した。同時に「私自身、都知事選、都議選と完勝させていただき、2連勝だったが、今回は完敗ということをはっきりと申し上げたい」と述べた。自身の進退に関しては「(新党を)立ち上げた責任はある。今後も党運営を責任を持って進めていきたい」と辞任を否定しつつ「国会議員から(国政の)執行部を形成していくことになる」と説明し、国会議員の代表者も置く方向で検討する考えを強調した。民進党出身者の公認をめぐり、一部を「排除する」と発言したことについては「不快な思いを抱かせてしまったことは申し訳ない」と改めて陳謝。その上で「(野党が)調整できる十分な時間があったとはいえない。今の安倍政権を利したかといえば、結果的にその通り」と敗北を認めた。小池氏は「政党は政策が一致してこそ。根幹部分で一致することは必要だったと今も思っている」との持論も展開。希望の党として首相指名選挙をだれにするかを問われると「(衆院選を)勝ち上がってきた皆さんと話し合って決める。国政の方針や運営は国会議員中心に」と述べるにとどめた。出張先のパリ市内やNHK、民放番組などで記者団らの質問に答えた。小池氏の人気に支えられてきた希望は分裂含みの展開になる可能性もある。民進から希望への合流組からは「小池氏頼みには限界がある」と小池氏や合流を主導した前原氏への不満が漏れ始めている。安全保障関連法への反対を表明するなど、党の公約に反する考えを示す候補者も目立ち、当選した合流組が離党するとの観測がある。

*4-3:https://nippon-kokoro.jp/news/policies/kenpo01.php (日本のこころ 2017.4.27) 「日本のこころ」の日本国憲法草案
目次
 前 文
 序 章 日本国のかたち(第一条―第九条)
 第一章 天皇(第十条―第十六条)
 第二章 平和の維持(第十七条)
 第三章 国民の権利及び義務(第十八条―第四十二条)
 第四章 国会(第四十三条―第六十三条)
 第五章 内閣(第六十四条―第七十三条)
 第六章 裁判所(第七十四条―第八十条)
 第七章 財政(第八十一条―第八十六条)
 第八章 地方自治(第八十七条―第八十九条)
 第九章 最高法規(第九十条―第九十二条)
 第十章 改正(第九十三条)
 日本国は、古来、天皇がしろしめす国であり、国民は、一人一人を大切にする和の精神をもって、その悠久の歴史を紡いできた。
 日本国民は、四囲を海に囲まれ、四季が織りなす美しい風土の中で、時に自然の厳しさと向き合いながら、自然との共生を重んじ、相手を思いやる文化を育んできた。
 日本国民は、明治維新を経て、衆議を重んじる伝統に加えて、欧米諸国の英知を集めて、大日本帝国憲法を制定し、立憲君主国家を誕生させ、近代国家としての発展を目指してきた。
 先の敗戦の後、占領下において制定された日本国憲法の施行以来、七十年が過ぎ、日本をめぐる国際環境は大きく変わり、新たな対応が求められている。日本国民は、ここに新たな時代にふさわしい憲法を制定することを決意した。
 日本国民は、本来日本人が持つ和と公正の精神、人間尊重の原理の上に立って、国家の発展を図り、国民の幸福と利益を増進し、家族を大切にする、明るく温かな社会を建設することを誓う。
 日本国民は、法と正義を基調とする世界平和を希求し、各国間の交流に積極的に力を尽くすとともに、あらゆる力を注いで、世界平和の実現に寄与することを誓う。
 これらの崇高な理想を実現し、将来の世代に引き継ぐ決意を込め、われわれの手により、この憲法を制定する。
序章 日本国のかたち
 (日本国の象徴)
第一条 日本国は、天皇を日本国及び日本国民統合の象徴とする立憲君主国家である。

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続き▽
| 民主主義・選挙・その他::2014.12~ | 09:41 PM | comments (x) | trackback (x) |
2017.7.23 自民党・民進党都議選敗退、共産党都議選躍進の理由と加計学園問題・政策に関するメディアの報道について (2017年7月24、25、31日に追加あり)
   
   2017.7.17日経新聞    2017.5.18朝日新聞  2017.5.26  2017.5.31 
世界の政党が問われているのは何故か?          毎日新聞   朝日新聞 

(図の説明:アメリカ・イギリスでは過度の地域一体化が嫌われて、イギリス国民は国民投票でEU離脱を決め、アメリカ国民はトランプ氏を大統領に選出した。また、フランスでは、既成政党に属さないマクロン氏が大統領になった。この背景には、既成政党が主張してきた国民に不利益を強いるだけの日本発の“改革もどき”がある)

(1)加計学園獣医学部新設問題に関する事実と本質
1)獣医師は、不足ではなく偏在だということ
 加計学園について、日本農業新聞は、*1-1のように、「①加計学園誘致の“口実”になった獣医師は地域偏在であり、偏在の解消に向けた施策が必要なのである」「②獣医師が少ない地域、足りない職種を賄うことが喫緊の課題である」「③獣医師は全体で見れば、診療対象の動物が減る中で、毎年1000人近くが免許を取るため、農水省は獣医師不足ではないと判断していた」「④そこで文科省は、これまで獣医学部の新設を認めなかった」としており、これが事実であり、問題の本質だろう。

 このうち、①②は、獣医師が大都市に比べて地方で少なく、小動物に比べて産業動物に少ないため、その偏在を無くすには、③のように全体数を増やすのではなく、地方で産業動物を担当する獣医師になることの魅力(畜産の将来性、遣り甲斐、報酬、社会的評価、社会的地位など)を発信して産業動物を担当する獣医師希望者を増やすことが必要なのであって、学部のない地域に獣医師の専門職大学を新設すれば獣医師の偏在が解消できるわけではない。

 また、新設の大学を作っても、獣医学だけでなく、その基礎となる生物・化学・物理など他学科のよい教授も揃え、資質を持った学生を集めなければライフサイエンスを含む高度な新領域を創出できる優れた獣医師を育てることはできないため、新設の単科大学でそれを行うのは不可能に近い。にもかかわらず、一連の議論は、この最も言いにくい点を避けて通っているため、本質的な議論になっておらず、私自身は、どうしても愛媛県に獣医学部を作りたいのならば、既に医学部、理学部、工学部を持つ愛媛大学農学部に獣医学科を作るのがよいと考える。

2)初めから加計学園ありきだったか
 野党側の参考人として出席した文科省の前川前事務次官は、*1-3のように、「初めから加計学園と決まっていた」と述べ、確かに、*1-2のように、政府が2016年11月、「広域的に獣医学部のない地域」を新設条件としたため、近隣の大阪府に獣医学部のある京都産業大は新設を断念した。

 また、*1-6のように、愛媛県今治市への獣医学部誘致をスタートさせた加戸前愛媛県知事は、「①私は、加計ありきではありません。獣医師の養成が進まない中、たまたま今治選出の議員と加計学園の事務局長がお友達だったから、この話が繋がって飛びついた」「②鳥インフルエンザやBSE(牛海綿状脳症)といった感染症対策の充実を大きな目的に獣医学部の誘致に取り組んだが、強烈な岩盤規制のために、10年間我慢させられた」「③岩盤にドリルで国家戦略特区が穴を開けてくれたというのが正しい」としており、愛媛県今治市に獣医学部を誘致したいため、それに関心を示した加計学園に絞ったというのが正しそうだ。

 しかし、私は、(1)1)に書いた理由で、どうしても愛媛県に獣医学部を作りたいのなら、愛媛県松山市にある愛媛大学に農学部獣医学科を作り、今治市に実習農場を作るのが効果的な予算の使い方だと考える。又は、手狭になった愛媛大学の教養学部と文系学部を松山市に残して、理系学部は広い土地を使える今治市に移転し、最新の設備を整える方法もある。そのため、*1-5のように、前川氏が「既存の大学の定員を増やすという他の方法もあった」と言っておられるのは、むしろそうした方がよいだろう。

3)民主主義は、政策を議論して競うべきであること
 加計学園問題は、*1-4のように、安倍政権の支持率を下げるのが目的で報道されており、官邸が動いたか否かが焦点となって、官邸をかばった山本地方創生相の発言が真実だったか否かも問題視され、*1-7のように、メディアでは安倍政権打倒を目的とする論陣が張られている。しかし、これは、政策を議論して競うべき民主主義社会では三流の議論だ。

 私自身は、既に合理性のなくなった岩盤規制に穴をあけるのは良いと思うが、合理性のある規制まで壊し、他によい方法があるにもかかわらず、「岩盤規制」に穴をあけること自体を目的にして不合理な選択をし、国民の血税をつぎ込むのはやめて欲しいと考える。何故なら、日本は、予算と人材が余って困っているような国ではないからだ。

(2)既成政党への失望理由は何か
 東京都議選では、*2-1に書かれているように、安倍首相率いる自民党が歴史的惨敗を喫し、東京都議会は57議席から23議席に減った。しかし、*2-3のように、民進党も、今回の都議選で15議席から5議席に大幅に減らした。一方で、自民党の政策に一貫して反対してきた共産党は、*2-2のように、17議席から19議席に増やしたのだが、民進党の都議選総括会議では「共産との共闘路線を見直すべきだ」との声が相次いだそうだ。民進党は、自民党やメディアの論調に惑わされ、正確な原因分析ができていないのではないか?政党間で連合する場合にそれぞれの党の政策が完全に一致する必要はなく、自民党と公明党もかなり異なる。

 また、私は、自民党の惨敗を「一強のおごり、高ぶりが原因」と評するのは嫉妬に裏打ちされたような感情論で、主権者である国民を馬鹿にした議論だと考える。何故なら、自民党惨敗の本当の理由は、①公約違反のTPP推進 ②インフレ政策 ③消費税増税 ④社会保障の改悪 ⑤原発再稼働の推進 ⑥戦争に進みそうな安全保障法制定 ⑦人権侵害の特定秘密保護法制定 ⑧冤罪社会、監視社会、盗聴・盗撮社会に導く共謀罪の制定 ⑨国民主権をないがしろにする憲法改悪案など、国民の利益を無視した官製の政策強行に対する批判であり、国民はそれを正確に見ていると思うからだ。

 そして、官製政策の部分は、政権を担ったことのある民進党も賛成したものが多く、これを政権の責任とばかり言い立てるのは権限の範囲と責任を無視している。そして、(ここには書かないが)問題は、もっと深刻なものなのだ。

<加計学園問題>
*1-1:https://www.agrinews.co.jp/p41128.html (日本農業新聞論説 2017年6月15日) 獣医師の偏在 解消に向けた施策必要
 国家戦略特区で愛媛県今治市に獣医学部を新設する計画を巡ってさまざまな疑惑が浮上し、国会論議の焦点になっている。まず、誘致の“口実”になった獣医師の偏在の問題を整理する必要がある。偏在とは地域ごとの偏りであり、職域別による就業者数の差でもある。獣医学部がない地域に学部を新設する計画だが、学部の偏在と獣医師の偏在は問題が違う。獣医師が少ない地域、足りない職種を賄うことこそが喫緊の課題だ。獣医師は総体で見れば足りないとは言えない。高齢化社会の進展でペットの飼育頭数は犬を中心に減少に転じ、家畜の飼養頭数、飼養戸数も減っている。診療対象の動物が減る中、毎年1000人近くが新たに獣医師の免許を取る。獣医師不足の状況ではないとの農水省などの判断を踏まえ、文部科学省はこれまで獣医学部の新設を認めず、定員管理を厳格にしてきた。今回の論議で見えてきたのは、同じ政府内の農水省や文科省が決めたことであっても、特区を所管する内閣府には岩盤規制と映ったことだ。獣医師の偏在が解消できていなかった点に、獣医事行政に付け込まれる隙があったのではないか。獣医師は大都市に比べて地方に少なく、しかも小動物に比べ産業動物に就業する人は少ない。今回の計画は、学部のない地域に新設すれば、獣医師を地域に供給して偏在を解消できるという理屈が前面に押し出された。山本有二農相は6月上旬の参院農林水産委員会で、獣医師の需給について「農水省の所管ではない」と明言した。しかし、同省は獣医師の需給の調整に責任を果たしてきたはずだ。獣医療法では、農相は獣医療提供の体制整備のための基本方針を策定し、獣医師の確保に関する目標設定をすると定めている。さらに都道府県は国の基本方針に沿って獣医療を提供する体制の整備を図るための計画書をまとめることになっており、これまで国・都道府県を挙げて獣医師の需給を調整してきた。かつて獣医大学卒業生の半分はペット関係に進んだが、最近は産業動物分野も伸びている。同省は産業動物分野の獣医療提供体制を整備しようと、高校生や獣医学生に修学資金を貸与する制度を設け、産休などで現場を離れた女性獣医師の職場復帰を支援する取り組みなども進めている。ただ、まだ道半ばで結果が十分ではない。そこを内閣府に岩盤規制と見なされ、付け込まれたように見える。今回は獣医学部の設置権限を持つ文科省の施策に穴を開けたもので、直接、農水省の獣医事行政に向かってはいない。しかし、新設には優れた獣医師育成の視点が欠かせない。160人という国内最大定員の新獣医学部構想の妥当性、ライフサイエンスなど新領域の需要創出と人材育成、などの検証が必要だ。獣医学と獣医療の発展にどうつながるのか。獣医師偏在の問題と併せて論議するべきだ。

*1-2:http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201707/CK2017070502000134.html (東京新聞201.7.7) 【政治】加計学園獣医学部新設 京都案と比較の記録なし
 安倍晋三首相の友人が理事長を務める「加計(かけ)学園」(岡山市)による獣医学部構想を持つ愛媛県今治市での新設に政府が絞り込んだ際、競合する京都府の提案と比較した議事録などの記録を残していないことが四日分かった。東京都議選での自民党大敗を受け、首相は「国民の信頼を回復していきたい」と発言したが、政権は加計問題について依然として明確な説明ができていない。政府は昨年十一月、「広域的に」獣医学部のない地域を新設条件とする方針を決定。新設を提案しながら、近隣の大阪府に獣医学部がある京都府と京都産業大が断念した。「加計ありき」の条件だったのではないかとの批判を政府は否定し、「十一月以降に今治市と京都府の提案を比較し決定した」と説明。山本幸三地方創生担当相は四日の記者会見で、専任教員の確保、鳥インフルエンザなどの水際対策、自治体との連携の「三つの審査基準」で検討し、今治市に決めたと主張した。だが、山本氏は選定過程について「内部の打ち合わせだから記録は取っていない」と説明。「三つの審査基準」を誰が、どのような議論で決めたのか明らかにせず、基準の根拠も示さなかった。三日の民進党会合では、内閣府の担当者が同様の説明を繰り返し、議事録や資料などの記録も示さなかった。民進党議員は「本当に議論したのなら議事録や比較表があるはずだ」「正当性のあるルールが決まっていなければ、恣意(しい)的な選定だ」と追及。内閣府側は「事務方と大臣が相談して決めた」などと答えるにとどまった。

*1-3:http://qbiz.jp/article/113903/1/ (西日本新聞 2017年7月10日) 前川氏「初めから加計学園」 官邸関与を強調
 政府の国家戦略特区制度を活用した学校法人「加計(かけ)学園」の獣医学部新設計画を巡り、衆院文部科学、内閣両委員会の連合による閉会中審査が10日、開かれた。野党側の参考人として出席した文部科学省の前川喜平前事務次官は「特区担当は内閣府だが、背景に官邸の動きがあった。和泉洋人首相補佐官がさまざまな動きをしていた」と述べ、首相官邸の関与があったと強調した。獣医学部新設にも「(選定の)プロセスが不透明で不公正だと思っている。初めから加計学園と決まっていた」と主張した。前川氏は文科省の調査で確認されなかった文書「10/7萩生田副長官ご発言概要」が存在したと明かし、「担当課から説明を受けた際に受け取った文書に間違いない」と話した。文書には「四国には獣医学部がないので、その点では必要性に説明がつくのか」などと、加計学園の予定地・愛媛県今治市を前提としたような表現もある。萩生田光一官房副長官は昨年10月7日に文科省幹部と面会したのを認めたが、「発言した記憶はない」と答えた。新設計画についても「この件で能動的に関わった事実はない」と説明した。前川氏は獣医学部新設の4条件を示した2015年の「日本再興戦略」と、加計学園の計画の整合性についても批判。「(条件に)合致するか十分な議論がされていない。不公平で、国民から見えないところで決定された」と述べた。一方、山本幸三地方創生担当相は「(条件を満たすと)最終的に私が確認した」と強調した。与党側の参考人として招致された国家戦略特区ワーキンググループの委員原英史氏は、特区による獣医学部の新設が「加計ありき」で進められたとの批判について「全くの虚構」と話した。閉会中審査は、国会会期終了後に委員会を開催できる仕組み。午後も参院で実施するが、安倍晋三首相は欧州歴訪中のため出席しない。

*1-4:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20170711&ng=DGKKZO18701470R10C17A7EA2000 (日経新聞 2017.7.11) 加計問題、食い違い 衆参両院で閉会中審査、前川氏「官邸は動いた」/地方創生相「指示あり得ぬ」 首相の関与は
 衆参両院は10日、学校法人「加計学園」の愛媛県今治市への獣医学部新設などを巡る閉会中審査を開いた。国家戦略特区の枠組みで加計学園のみ新設が認められた経緯に関し、参考人として初めて出席した前川喜平前文部科学次官と政府側の説明は大きく食い違った。官邸関与の有無や、獣医学部新設の妥当性に関し、真相は浮かび上がらなかった。加計学園の問題を巡っては、国家戦略特区の枠組みで1校に限り獣医学部の新設が認められた妥当性が問われている。野党は学園理事長の長年の友人である安倍晋三首相らの意向が影響した可能性を指摘している。前川氏は10日の閉会中審査で、規制改革の是非と事業者選定の2つの問題があると指摘。「穴を開けるかより、穴の開け方に不公平で不透明な部分がある」と語った。「初めから加計学園に決まるようプロセスを進めてきたようにみえる」とも語り「背景に官邸の動きがあったと思う」と結論付けた。一方で山本幸三地方創生相は「個別にどこでやるか首相が指示することはあり得ない」と、官邸の関与を否定した。与党の求めで参考人となった政府の国家戦略特区ワーキンググループの原英史委員は「従来の行政のゆがみを正した」と判断の正当性を強調。最初から加計学園ありきだったとの指摘は「全くの虚構」と否定した。

*1-5:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20170711&ng=DGKKZO18701570R10C17A7EA2000 (日経新聞 2017.7.11) 地方創生相「岩盤規制の突破」/前川氏「他の方法あった」 新設は妥当か
 50年以上認めてこなかった獣医学部の新設を認めた妥当性も問われた。四国には獣医学部がなく、参院で参考人として出席した加戸守行前愛媛県知事は獣医学部の新設は地元の悲願だったと説明。「岩盤規制で我慢させられてきた。ゆがめられた行政が正されたというのが正しい」と訴えた。山本地方創生相は「岩盤規制の突破にはまず地域を限定してやるしかない」と述べ、規制改革の意義を強調した。一方で前川氏は「獣医師の定員を増やすなら、既存の大学の定員を増やすというやり方もある」と指摘。昨年9、10月に和泉洋人首相補佐官に呼ばれ、獣医学部の新設について「対応を早く進めるように」と督促されたと証言。「総理は自分の口からは言えないから言う」などと伝えられたとも語った。新設について、萩生田氏が「総理は『平成30(2018)年4月開学』とおしりを切っていた」などと発言したとする昨年10月21日付の文書は「在職中に見たことはないが、内容の信ぴょう性は高い」と述べた。萩生田氏は計画について、和泉氏から詳しい説明を受けたことはないとし、文書の内容も否定した。

*1-6:https://www.j-cast.com/2017/07/11302992.html?p=all (Jcast 2017/7/11) 加計問題、なぜか報道されない「当事者」前愛媛県知事の発言全容
 2017年7月10日に行われた学校法人「加計学園」をめぐる閉会中審査で、インターネット上の注目を集めたのは、一連の疑惑を告発した前川喜平・前文科次官の発言ではなく、愛媛県今治市への獣医学部誘致を進めた加戸守行・前愛媛県知事の約20分間にわたる訴えだった。 前川氏の「行政がゆがめられた」発言に対し、加戸氏は「岩盤規制に国家戦略特区が穴を開け、『ゆがめられた行政が正された』というのが正しい」と反論。さらには、今回の加計問題を報じるメディアへの批判も展開するなど、踏み込んだ発言の内容が賛否を広げている。
●「獣医師が確保できない」
 加戸氏は旧文部省OBで、愛媛県知事を1999年から2010年まで3期12年務めた。今治市への獣医学部誘致をスタートさせた「当事者」で、今回の閉会中審査では与党側の求めに応じて参院での審議に参考人として出席した。自民党の青山繁晴議員の質問で答弁に立った加戸氏はまず、“「10年前に愛媛県知事として今治市に獣医学部の誘致を申請した当時のことを思い出して、はなもひっかけて貰えなかった問題が、こんなに多くの関心を持って頂いていること、不思議な感じがいたします」と皮肉の効いた一言。続けて、鳥インフルエンザやBSE(牛海綿状脳症)といった感染症対策の充実を大きな目的に獣医学部の誘致に取り組んだが、文科省への申請は一向に通らなかったとして、“「(前川氏の)『行政がゆがめられた』という発言は、私に言わせますと、少なくとも獣医学部の問題で強烈な岩盤規制のために10年間、我慢させられてきた岩盤にドリルで国家戦略特区が穴を開けて頂いたということで、『ゆがめられた行政が正された』というのが正しい発言ではないのかなと思います」と述べた。さらに加戸氏は、四国では「獣医師が確保できない」現状もあったとして、国や専門団体が獣医学部誘致に反対することは「あまりにも酷い」と感じていたと説明。その上で、“「私の知事の任期の終わりの方に、民主党(当時)政権が誕生して『自民党じゃできない、自分たちがやる』と頑張ってくれた。(中略)ところが、自民党政権に返り咲いても何も動いていない。何もしないで、ただ今治だけにブレーキをかける。それが、既得権益の擁護団体なのかと、悔しい思いを抱えてきた」
と声を震わせて訴えた。
●YouTubeが「すべてを語り尽くしている」
 このように獣医学部新設をめぐる経過を説明した上で、加戸氏は、自身が訴えてきた獣医師の養成が進まない中で、現在「今治は駄目、今治は駄目、加計ありき」と言われることについて「何でかなと思ってしまう」との不満を漏らした。そして、“「私は、加計ありきではありません。たまたま、今治選出の議員と加計学園の事務局長がお友達だったからこの話が繋がってきて、飛びついた。これもダメなんでしょうか。お友達であれば、全てがダメなのか」と主張。続く質問の答弁では、「本質の議論がされないまま、こんな形で獣医学部がおもちゃになっていることを甚だ残念に思う」とも述べた。さらに加戸氏は、加計学園問題をめぐるメディア報道にも不満を漏らした。これまでに受けた取材について、「都合のいいことはカットされて、私の申し上げたいことを取り上げて頂いたメディアは極めて少なかったことは残念」だと指摘。その上で、国家戦略特区諮問会議の民間議員が6月13日に開いた記者会見で、加計学園の獣医学部新設のプロセスについて「正当」と結論付けたことを、加戸氏はYouTubeの動画で見たとして、“「これが国民に知ってもらうべき重要なことなんだなと思いました。(中略)あのYouTubeが全てを語り尽くしているのではないかな、と思います」とも話していた。
●三原じゅん子氏「加戸氏も大事な事話してるのに、、、」
 こうした加戸氏の答弁は、主にインターネット上で大きな注目を集めており、その踏み込んだ訴えの内容に賛否の大きく分かれた意見が出ている。加戸氏の答弁を支持するユーザーからは、“「加戸さんの話は響くものがあった。地方は何か打って出なくてはいけないのに、野党も前川さんも規制で閉めだすことばかり」。「加戸元知事の切実な訴え聞くとこの問題の本質って既得権益を持つ獣医学会との戦いなんだな・・・・て思う」。といった意見が出る一方、今回の発言内容について、“「県議と加計の事務局長がお友達で話が進んだと公平でないことを自分で言ってんだ」。「今治市に獣医学部の大学を誘致したいという彼の熱い思いと今回の政策プロセスの不透明性の間には何の関係もない」。と否定的にみる意見もみられた。そのほか、前川氏をはじめとした計3人の参考人の答弁のうち、加戸氏の発言がメディアの報道で取り上げられるケースが少ないという指摘も目立った。実際、自民党の三原じゅん子参院議員は7月11日14時過ぎに更新したツイッターで、“「昨日の閉会中審査の模様が報じられていますが、どの番組も平井卓也議員と青山繁晴議員の質疑はスルー。加戸元愛媛県知事も大事な事話してるのに、、、」。との不満を漏らしている。
●「安倍総理が好きか嫌いかだけで...」
 また、閉会中審査が行われた10日夜に放送された情報番組「ユアタイム」(フジテレビ系)で、番組MCを務めるタレントの市川紗椰さん(30)は、加戸氏の答弁について、“「私が印象的だったのは、加戸前愛媛県知事です。なんか、それがすべてだったのかなって気もした。経緯を丁寧に説明していて、辻褄が合うんですよね、議事録とかを見ると。なんか、いいのかなって、納得しちゃいました」。と好意的に捉えていた。また、同番組では、国際ジャーナリストのモーリー・ロバートソン氏が、加計学園をめぐる問題を報じるメディアへの「苦言」を漏らす場面も。モーリー氏は「(加計学園問題は)そもそも様々な観点があるし、メディアは、それを能動的に一番初めに取材できたと思う」とした上で、“「ただどうしても、野党による内閣への追及ということで、ショーアップに加担して尻馬に乗ってしまったように思います。だから下手をすると、今回信頼を失うのは自民党というよりも、メディアが敗者になる可能性があります」と指摘。続けて、「(メディアは)本来の機能を果たしてこなかったんじゃないか、エンターテインメントと報道を混同してまったのではないか。そう自戒を込めて思います」とも話した。こうした発言を受け、市川さんは「この問題について話す人は、目の前にある材料というよりも、安倍総理が好きか嫌いかだけでポジションを取っているような...」との感想を漏らしていた。

*1-7:http://www.nikkei.com/article/DGXLZO19079410Q7A720C1EA1000/?dg=1 (日経新聞 2017/7/21) 安倍政権に疑惑次々 日報・加計…支持率低下に拍車
 内閣支持率の急落にあえぐ安倍政権に、2閣僚の疑惑が追い打ちをかけている。南スーダン国連平和維持活動(PKO)の日報を巡る問題は、稲田朋美防衛相が非公表の方針を「了承」したかどうかが焦点に浮上。学校法人「加計学園」の獣医学部新設に関しては、国家戦略特区担当の山本幸三地方創生相が認定2カ月前に新設方針に言及した記録が明らかになった。
■日報問題、稲田氏の了承が焦点
 南スーダンPKO部隊が作成した日報を陸上自衛隊が「廃棄した」と説明しながらデータを保管していた問題を巡り、特別防衛監察は、これまで調査の対象となっていなかった稲田朋美防衛相を含め、疑惑解明に向けた調査を急ぐ。焦点は稲田氏がどの時点で陸自データの保管を把握していたかだ。関係者によると、稲田氏は2月15日に黒江哲郎防衛次官、岡部俊哉陸上幕僚長との会議でデータ残存の報告を受けていた。稲田氏は2月15日に岡部氏と会ったことは認めたものの、そうした報告はなかったと否定している。今後は特別監察による稲田氏への聴取が行われる見通し。稲田氏がその場でデータ残存の報告を受け、了承していたと認定すれば、組織的な隠蔽工作をトップが了承していたことになる。稲田氏は3月に国会で「(陸自から)報告は受けていない」と答弁している。防衛省幹部が稲田氏にデータ残存を報告せず、稲田氏が非公表の了承もしていないと特別監察が結論づければ、この問題の疑念がさらに深まる可能性もある。2月15日には稲田氏を交えた会議とは別に、黒江氏、岡部氏、統合幕僚監部の辰己昌良総括官による別の会議で非公表の方針が決まっている。最高幹部が集まり、非公表を決めたのにもかかわらず稲田氏に報告しなかったのか、という不自然さは否めない。民進党の蓮舫代表は20日の記者会見で「日報の非公表、隠蔽に加担したなら政府の信頼が根底から覆される」と厳しく批判した。特別監察については同党内から「稲田氏だけが責任逃れをして、防衛省や自衛隊の幹部に責任を負わせることがあってはならない」(山井和則国会対策委員長)と調査の徹底を求める声も上がった。
■加計問題、山本氏巡る文書が波紋
 昨年11月に日本獣医師会の役員と会った山本幸三地方創生相が「(獣医学部の新設は)四国に決まった」と伝えたとされる記録文書が獣医師会側に残っていた。山本氏は「四国に決まったという発言はしていない」と発言を否定したものの、野党側は「加計ありきの証拠」として徹底追及する構えだ。この発言に関し、内閣府に議事録が存在しないため、山本氏は自らの反論を裏付ける「物証」を示せていない。真相は不明だが、安倍政権による「加計ありき」の疑念は拭えない。獣医師会によると、学校法人「加計学園」(岡山市)が愛媛県今治市の国家戦略特区に獣医学部を新設する計画を巡り、山本氏は同学園が事業者に決まる2カ月前の昨年11月に獣医師会の役員と協議した。獣医師会側は、山本氏は加計学園の名前を挙げ、新設に伴う愛媛県や同県今治市と学園の費用負担割合を説明したとしている。これに対し、山本氏は20日、内閣府で記者団に、加計学園の名前を挙げたことは一切ないと強調。その上で「私から京都(での新設)もあり得るという旨を述べたところ、獣医師会側からは、進めるのなら愛媛県今治市のみと明記してほしいとの発言もあった」と述べた。獣医師会側は「(京都の話などは)議事録にはない」と反論しており、双方の主張は真っ向から食い違っている。加計学園と同様、獣医学部新設を目指していた京都産業大は教員確保のめどが立たないとして14日に計画断念を発表した。安倍晋三首相は24、25両日の衆参予算委員会の閉会中審査で自ら選定プロセスを説明し、理解を得たい考えだ。獣医師会の記録が明らかになり、これまでの説明との整合性が改めて問われることになりそうだ。

<既成政党への失望理由>
*2-1:http://www.the-miyanichi.co.jp/shasetsu/_26751.html (宮崎日日新聞 2017年7月5日) 都議選で自民惨敗
◆政権の過ち厳しく総括せよ◆
 安倍晋三首相が、自民党が歴史的惨敗を喫した東京都議選の結果を受けて記者団に、「自民党に対する厳しい叱咤(しった)と深刻に受け止め深く反省しなければならない」と述べた。現有57議席から23議席に減らし、過去最低だった38議席を大きく下回った結果は、安倍政治への「不信任」に等しい。首相自身、「政権が発足して5年近くが経過する。その中で、政権に緩みがあるのではないかという厳しい批判があったと思う」とも述べている。
●1強のおごり高ぶり
 従来のように反省ポーズで終わらせ、先に進むことは許されない。まず官邸への「忖度(そんたく)」や首相の「ご意向」で便宜が図られたと指摘されている森友・加計学園問題への対応、委員会採決を飛ばす奇策を使った「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ改正組織犯罪処罰法の成立過程など、この事態を招いた政権の誤り、過ちを自ら厳しく総括することが必要だ。森友・加計学園などの問題で、東京都民はじめ国民の目に映し出されたのは、首相が言うような政権の「緩み」ではない。首相を頂点とする「1強」が常態化したことによる「おごり高ぶり」だ。公開を求められた公文書や公的資料の提出を拒む、あるいは存在しないことにする。出す時は読ませたくない部分を黒塗りにする。加計学園問題では官僚が作成した文書を官房長官が「怪文書」と切り捨てる。内部調査が始まると文部科学省の副大臣が国家公務員法の守秘義務違反を持ち出して官僚を威嚇、存在が確認されると今度は名指しされた官房副長官らが記載内容を全面否定する。さらには、それを国会内外で追及する野党やメディアを「印象操作」と非難する。極めつきは稲田朋美防衛相による都議選での自衛隊の政治利用発言だ。
●抑制のない強権志向
 一連の言動の背景にうかがえるのは、都合の悪いことにはふたをしろ、逆らう官僚はけなしたり脅したりして黙らせればいい、彼らは自分たちに従うのが当然なのだという傲慢(ごうまん)さと抑制のない強権志向である。
加えて「魔の2回生」とやゆされる当選2回の衆院議員による数々の不祥事だ。失言、暴言のみならず不倫や交際トラブルなど女性問題、秘書への暴行疑惑。そして、もろもろの問題の当事者が首相の夫人や側近、安倍チルドレンと呼ばれる若手議員である。都議選最終日、街頭演説に立った首相はやじを浴びた。極めて異例の出来事ではあったが、首相はその原因に目を向けるべきだ。首相は今後、内閣改造や自民党幹部人事で態勢の立て直しを図るつもりだろう。しかし、常々、安倍首相が言うように政治は「結果」責任である。それは、評価される実績を残せばいいということではない。政権を巡るさまざまな問題を最高責任者として引き受けることでもある。

*2-2:http://digital.asahi.com/articles/DA3S13045133.html (朝日新聞 2017年7月20日) 共産、都議選結果に自信 結党95周年、不破氏講演
 共産党が今月、創立95周年を迎えた。野党第1党の民進党が低迷にあえぐ中、大型選挙での勝利をテコに第2党として存在感を示している。次期衆院選に向け、野党共闘路線に否定的な議員を抱える民進との連携をどう図るかが課題だ。1922年7月結党の同党は19日、95周年の記念講演会を東京都内で開催。不破哲三・前議長(87)は「安倍政治の暴走は、自民党政治が没落の段階に入ったことを示す末期現象。都議選での自民の敗北が実証した」と指摘した。同党は、2009年に旧民主党が政権奪取するまでは2大政党のはざまに埋没しがちだった。しかし民主が下野して以降は、13年参院選で改選前から5議席増やし、14年衆院選で13増と躍進。2日の都議選でも、民進が2減の5議席と退潮する一方、2増の19議席を獲得した。次期衆院選に向けては、志位和夫委員長が「憲法を平気で壊す、傲慢(ごうまん)な政治を続けさせない」として、民進など野党の選挙協力の必要性を訴えた。ただ民進との競合区は依然200を超える。民進の都議選総括の会議では「共産との共闘路線を見直すべきだ」との声が相次いでおり、険しい道のりが予想される。

*2-3:http://digital.asahi.com/articles/DA3S13033443.html (朝日新聞社説 2017年7月13日) 民進党 勘違いしていませんか
 民進党は大きな勘違いをしているのではないか。東京都議選の敗因分析に向けた党内議論を見ていると、そんな疑問を抱かざるをえない。国会議員の会合では「解党的出直し」を求める声に加え、蓮舫代表の「二重国籍問題」に矛先が向いた。蓮舫氏は「いつでも戸籍開示の用意がある」と、戸籍謄本を公開する意向を示したという。民進党の議員たちに問う。蓮舫氏が戸籍を公開すれば、党勢は上向く。そう本気で思っているのか。旧民主党政権の挫折から4年半。民進党が民意を受け止められない大きな原因は、そうした的外れな議員たちの言動にこそあると思えてならない。今回の都議選で民進党は、前回の15議席から5議席に獲得議席を大幅に減らした。国政での野党第1党の存在意義が問われる危機的な敗北である。さらに安倍内閣の支持率が急落する中、民進党の支持率は本紙の世論調査では5%にとどまっている。「共謀罪」法や加計、森友学園の問題などで、民進党が安倍政権を問いただす役割を担ってきたのは確かだ。なのになぜ、野党第1党の民進党が、政権の受け皿として認知されないのか。都議選では小池百合子知事率いる都民ファーストの会の躍進があった。しかしそれだけではない。政党にとって何よりも大事な政策の軸が、定まらないことが大きい。象徴的なのは原発政策だ。なし崩しの原発回帰を進める安倍政権に対し、民進党が脱原発依存の旗を高く掲げれば、鮮明な対立軸を示せるはずだ。そのことが分かっていながら、電力会社労組などへの配慮を優先し、政策をあいまいにする。大きな民意を見失っていることが、党勢低迷の根本的な要因である。「二重国籍」問題で、蓮舫氏の説明が二転三転したことは、公党のリーダーとして不適切だった。だが、主な敗因とは思えない「二重国籍」問題に議員たちがこだわるようなら、国民はどう受け止めるだろう。もう一つ懸念されるのは、蓮舫氏が戸籍謄本を公開することが社会に及ぼす影響だ。本人の政治判断とはいえ、プライバシーである戸籍を迫られて公開すれば、例えば外国籍の親を持つ人々らにとって、あしき前例にならないか。民進党と蓮舫氏はいま一度、慎重に考えるべきだ。


<反論すべき政策>
PS(2017年7月24、25日追加):*3-1のように、政府(経産省)は、40年超の原発に合計27億円加算した電源立地地域対策交付金を支払っており、廃炉を促すべき時に逆行している。しかし、経産省の資源エネルギー庁は「なぜ、このような制度になったか把握していない」として責任をとらない態度であり、後ろ向きでマイナスの政策に多額の国民の血税が支払われるのは明らかだ。また、*3-2のように、代替案はいくらでもあるのに、「これしかない」として“粛々と”辺野古の埋め立てを行っているのも、宝の自然を壊すために無駄な工事費を国民の血税から支払っている馬鹿な行為であるため、これこそ正面から追究すべきである。
 そこで、*3-3のように、国が知事の岩礁破砕許可を得ずに工事を進めるのは違法だとして、2017年7月24日、沖縄県は岩礁破砕差し止め訴訟を那覇地裁に提起したのはよいのだが、理由が「①政府の進め方の拙速さ」「②漁業権の一部放棄が変更に該当するので知事免許が必要」というだけでは手続き上の瑕疵しか言っておらず理念がない。そのため、*3-4の環境基本法や海洋基本法(http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H19/H19HO033.html)の理念を参考にされたい。これらは、私が衆議院議員だった時、環境保護のために強化したり、海洋資源利用のために新設したりしたもので、罰則はないが基本理念を述べているからだ。なお、基本理念にも足らざるところがあると思われるので、それぞれの自治体で、これを基にして自然や景観を含む多様な資源を保護するための条例を作ればよいだろう。 

   
  2017.7.25琉球新報               辺野古の工事開始

  (図の説明;穏やかで美しいサンゴ礁の海に、醜いテトラポットを積むところも馬鹿だ)

*3-1:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170724-00000004-jij-soci (Yahoo、時事通信 2017.7.24) 40年超原発、計27億円加算=老朽8基の5市町に―交付金、原則に「逆行」
 運転開始から40年超の老朽原発を抱える福井県美浜町など5市町に、電源立地地域対策交付金の加算分として2016年度までに計27億円が交付されたことが23日、立地自治体などへの取材で分かった。交付金は40年を超えた原発の立地市町村に年1億円上乗せされるが、老朽原発の存続を事実上後押しする仕組みに専門家からは、「廃炉を促すべきなのに逆行している」と批判が出ている。原子炉等規制法は、原発の運転期間を原則40年に制限している。これまでに国内で40年を超えたのは東京電力福島第1原発1号機(福島県大熊町)、日本原子力発電敦賀原発1号機(福井県敦賀市)、関西電力美浜原発1~3号機(同県美浜町)、同高浜原発1、2号機(同県高浜町)、中国電力島根原発1号機(松江市)の計8基。このうち美浜3号機と高浜1、2号機を除いた5基は廃炉となった。5基は40年を超えてから廃炉となるまで、交付金が年1億円加算された。福島第1原発1号機が立地する大熊町は計2億円▽敦賀1号機がある敦賀市は計6億円▽美浜原発がある美浜町は廃炉の1、2号機と存続する3号機で計11億円▽高浜1、2号機がある高浜町には計5億円▽島根1号機がある松江市は計3億円―が上乗せされた。美浜3号機と高浜1、2号機は、原子力規制委員会の審査で20年間の運転延長が認められている。3基が期限まで存続すれば加算額は累計で60億円となる。40年超の原発について交付金が加算される仕組みは10年度から始まった。経済産業省資源エネルギー庁は「なぜ、このような制度になったか把握はしていない」としている。原発と自治体の関係に詳しい朴勝俊・関西学院大教授は「原発は古くなるほど危険なのに、交付金を加算するのはいやらしい。廃炉が地元のメリットになる制度に変えるべきだ」と話している。 

*3-2:http://www.saga-s.co.jp/news/national/10201/449061 (佐賀新聞 2017年7月24日) 辺野古、沖縄県が再提訴、政府と改めて法廷闘争
 沖縄県は24日、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設工事差し止めを求め、那覇地裁に提訴した。政府が県規則に定められた翁長雄志知事の許可を得ずに「岩礁破砕」を行うのは違法と主張。判決まで工事を中断させる仮処分も併せて申し立てた。政府は判例から県の訴えは不適法で、許可も不要として全面的に争う方針だ。辺野古移設を巡っては、2015年10月に現場海域の埋め立て承認を取り消した翁長氏の処分に関し政府と沖縄県が訴訟で争った結果、昨年12月に県側敗訴判決が確定した。双方の対立は再び法廷闘争に発展した。

*3-3:https://ryukyushimpo.jp/movie/entry-541319.html (琉球新報 2017年7月25日) 政治:辺野古差し止めを提訴 県「国の工事は違法」 漁業権存否が争点に 「新基地は理不尽」と知事
 沖縄県名護市辺野古の新基地建設で県は、国が岩礁破砕許可を得ずに工事を進めるのは違法だとして24日午後、国を相手にした岩礁破砕の差し止め訴訟を那覇地裁に提起した。差し止め訴訟と併せて判決が出るまで工事を止めるよう求める仮処分も申し立てた。新基地建設を巡り、国と県は5度目の法廷闘争に入る。翁長雄志知事は午後5時から県庁で記者会見し「国は辺野古案件のために漁業権運用の見解を恣意(しい)的に変えた。法治国家の在り方からは程遠い」と国の姿勢を批判した。その上で「(今回の裁判は)新基地建設の是非そのものを問うものではないが、県民の思いを置き去りにしたまま基地建設に突き進む国の姿勢が問われている」と述べ、裁判を通して国の強権的な姿勢を浮かび上がらせることができると、訴訟の意義を強調した。記者の質問に答える形で、「漁業権の問題などを県民や国民に知らせながら、辺野古新基地を造ることの理不尽さと、政府の進め方の拙速さを訴えていく」と語った。今回の訴訟で県は、工事海域には漁業権が存在し、工事を実施するには県による岩礁破砕許可が必要だと主張する。一方国はこれまで、名護漁業協同組合の決議により漁業権はすでに消滅しており、県から岩礁破砕許可を得る必要はないと主張している。県は訴状で、漁業法第11条や22条を根拠に、名護漁協が総会で決議した漁業権の「一部放棄」は、漁場の「縮小」を意味し、「漁場の縮小が『変更』に該当するということは明治漁業法以来、当然のこととされ、現行法下の水産行政も一貫してこの立場をとってきた」と主張。漁業権を変更するには知事免許が必要だとした。さらに、県が国に岩礁破砕許可申請を請求することができる理由として県は「水産資源を保護培養する公益保護の主体者」であるとし、岩礁破砕許可申請という「義務」の履行請求権を有すると主張している。

*3-4:http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H05/H05HO091.html 環境基本法(要点)
第一章 総則
(目的)
第一条  この法律は、環境の保全について、基本理念を定め、並びに国、地方公共団体、事業者及び国民の責務を明らかにするとともに、環境の保全に関する施策の基本となる事項を定めることにより、環境の保全に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に寄与するとともに人類の福祉に貢献することを目的とする。
第三条  環境の保全は、環境を健全で恵み豊かなものとして維持することが人間の健康で文化的な生活に欠くことのできないものであること及び生態系が微妙な均衡を保つことによって成り立っており人類の存続の基盤である限りある環境が、人間の活動による環境への負荷によって損なわれるおそれが生じてきていることにかんがみ、現在及び将来の世代の人間が健全で恵み豊かな環境の恵沢を享受するとともに人類の存続の基盤である環境が将来にわたって維持されるように適切に行われなければならない。
(国の責務)
第六条  国は、前三条に定める環境の保全についての基本理念にのっとり、環境の保全に関する基本的かつ総合的な施策を策定し、及び実施する責務を有する。
(地方公共団体の責務)
第七条  地方公共団体は、基本理念にのっとり、環境の保全に関し、国の施策に準じた施策及びその他のその地方公共団体の区域の自然的社会的条件に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。

<メディアの質>
PS(2017年7月31日追加):日本のメディアは、上記のように、頻繁に首相交代・解散・政権交代等のイニシアティブをとるが、その理由としては、男性政治家なら①政治と金 ②女性関係のゴシップ を使うことが多く、女性なら③仕事の経験及び実力の不足 ④不倫 などだ。しかし、①は、昔と違って政治資金規正法による開示を厳しくし、国会議員の政治資金団体には監査を義務づけているため、個人の政治家が大きな癒着を犯せる余地はなく時代遅れだ。また、③は、「女性は仕事の能力・経験が乏しい」「真剣に仕事をしない」「統率力がない」など、女性は仕事に未熟で不熱心であるという先入観を利用しており、女性蔑視そのものである。さらに、②④は、ないに越したことはないが、政策や仕事とは一線を画すべきプライバシーである。
 メディアがこういう批判の仕方をする理由は、1)「政治家のゴシップの方が国民が理解しやすく、視聴率が上がる」という国民を馬鹿にした態度があること 2)政策内容を正しく分析し、説明できる人材がメディアの中にいないこと 3)それでも権力を批判しているというポーズをとっていること などが考えられる。そして、この状態は、今までいくら言っても変わらず、放送は国民の文化を作るため大きな問題なのだが、*5のように、テレビ番組をインターネット放送する時代になれば状況が変わるだろう。
 何故なら、インターネット放送は、電波の制限がないため総務省の規制を受けず、いろいろなメディアが放送することが可能になり、内容がくだらなかったりぼやけたりしている番組は淘汰されるからだ。また、インターネット放送なら他国の放送も完全に受信できるため、放送の比較が可能であり、放送を通じて言語を習得することもできる。私は、スペインに行った時、日本のように馬鹿な内容の放送ばかりしている国はなかったが、中でもロシア国営放送(英語版)が、最も内容のあるポイントをついた放送をしていたのには、正直言って驚いた。
 なお、広告料金に頼ると、メディアにとっては報道したい内容を報道できず、視聴者にとっては情報価値が下がる上、番組の途中で頻繁にコマーシャルが入るのは不快であるため、受信料を望む局はNHKに限らず、その番組の単位時間あたり受信料を表示した上で、受信時間に比例して通信会社を通じて受信料を徴収すればよいと思われる。

*5:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20170731&ng=DGKKZO19440840R30C17A7PE8000 (日経新聞社説 2017.7.31) 受信料より先に議論すべきことがある
 テレビ番組を放送と同時にインターネットで流す際の料金について話し合ってきたNHKの検討委員会が答申をまとめた。スマートフォン(スマホ)などのネット接続機器のみで番組を見る世帯からも、テレビと同じ水準の受信料を徴収する方向性を示した。若年層を中心にテレビ離れが進んでおり、「常時同時配信」で新たな視聴者を獲得したいという考え方は理解できる。だが、料金の議論だけが先行する現状に違和感も覚える。同時配信の背景にあるのは、放送と通信の間の垣根が低くなっているという事情だ。スマホを通じた動画の視聴が普及し、速度が大幅に向上した次世代の無線通信で拍車がかかるのは確実だ。海外に目を向けると、英国や韓国などで公共放送が同時配信を始めている。日本では「同時配信のニーズは乏しい」との見方もあるが、海外の事例をみればそうとは言い切れない。優良なコンテンツの制作を続け、激しさを増す海外での販売競争に勝つためにも、時代の変化に合わせて収益を確保する努力は必要だ。だが、健全な競争環境を維持するという観点では課題がある。NHKの2016年度の受信料収入は6769億円に達し、既に民放の最大手である日本テレビホールディングスの放送関連収入の2倍近い。「ネット受信料」を新設すると年間200億~300億円の増収になるとの見方もあり、地方の民放の売上高を上回る。受信料制度に支えられたNHKがネット事業に本格的に参入すると、この分野の既存企業にも脅威となる。多様なコンテンツやサービスを利用者に提供するため、民間企業が投資を続けられる環境を整えることが重要だ。ネットは生活に深く入り込み、NHKの報道が力を発揮する災害時も、交流サイトのフェイスブックやツイッターなどが情報を伝える事例が増えている。NHKの上田良一会長は現在の公共放送から、ネットも含めた「公共メディア」を目指す意向を示している。まず必要なことは、ネット時代の公共メディアに必要な役割を定義し、適正な業務の範囲について議論を深めることだ。本質的な議論を避けて同時配信を手っ取り早い収入拡大の手段とするようなことがあれば、理解を得るのは難しいだろう。

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2016.6.17 不純な動機による選挙権の18歳への引き下げ → 主権者教育はどうあるべきか (2016年6月20、21、22、23、24日、7月1日に追加あり)

   ①国会議事堂      ②2016年度予算案     ③主な事業      ④TPPについて
2016.6.5西日本新聞   2015.12.24毎日新聞 2015.12.24朝日新聞 2016.4.8東京新聞 
                              上
(図の説明《2016.6.21追加》):①国会議事堂には修学旅行生の見学が多く、これは政治に対する意識を高める効果がある。②国の会計も複式簿記にして資産・負債を正確に認識し、網羅性・検証可能性を担保する必要があるが、現在は単式簿記で歳入歳出はキャッシュフロー計算書のようになっている。そのため、国債純増額は「34兆4,320億円(歳入より)-23兆6,121億円(歳出より)=10兆8,199億円(純増)」である。なお、現在は金利が0かマイナスであるため、無利子国債を発行してすべての国債を置き換えれば、国債利払費(約10兆円)が節約できる。また、歳入側の税外収入が小さいが、排他的経済水域内で資源を採掘して採掘料を受け取るのが最も大きな金額になり、資源国はこうして税負担を小さく福祉を充実しているのだ。さらに、燃料電池やEVなどの先進技術を育てれば、原油代を外国に支払わずにすむため国内企業の利益が上がって税収が増える。歳出は、まず社会保障用資産の管理・運用をまともにすべきだ。地方自治体も税外収入や税収を増やす工夫をして地方交付税に甘えずにすむ体質にしてもらいたい。さらに、公共事業費は、ヘリコプターマネーを廃止して本当に役立つものだけにすべきだ。文教・科学振興は予算だけが問題なのではないが、予算は小さすぎるだろう。③予算案の主な事業のうち、後ろ向きで悔しいのは放射性物質で汚染された土壌の除染費5,224億円で、原発事故がなければ不要だったものだ。その他プラスにならない支出はばっさり廃止すべきである。④TPPにより米の輸入をすることになったが、それを国が買い入れるなどの生産性を上げない補助金も無駄遣いで、このように本当の無駄遣いは社会保障ではなく他にいくらでもある。)

(1)不純な動機による選挙権の18歳への引き下げ
 *1-1のように、「①前回の2013年参院選で有権者の4割を占めた60歳以上の投票率は62.4%で、3割いた20~30代の投票率は39.2%」「②当選した政治家が『有権者の声を聞く』と言い、高齢者向けの政策に重点を置く」「③こうした政治は、『シルバー民主主義』と呼ばれる」「④実際に政府の予算配分は高齢者向けが圧倒的に多く、年金・介護などの政府支出は13年度で54兆6,247億円で、保育所整備や児童手当、育児休業給付といった子育て向けは6兆568億円」「⑤政治家に『子育て世代に応えないと落選する』という恐怖をどれだけ与えられるかが重要」「⑥この生活では2人目を考える気持ちにはならない」「⑦国が男性に育休取得を義務づけるなど、社会全体で子育てをする機運をつくるべき」などとしているが、これは、メディアでよく言われる高齢者と若者を利害対立させて厚労省の怠慢を隠す論調であり、思慮が浅い上に本質を突いていない。

 例えば、①は若い世代は将来に希望を持てたり、下位のサラリーマンなら政治に関心を持たなくても不自由がないのに対し、上級管理職などの決定権を持つ人や社会保障で支えられることが不可欠になった高齢者が、政治により多くの関心を持つのは当然なのである。また、高齢者は男女平等の普通選挙権が与えられた感動を知っているため投票権を大切にするが、戦後生まれは投票権を持つのが当たり前となり男女平等の普通選挙権に有難味を感じていないことが、若い世代で投票率が低い理由の一つだろう。

 ②については、政治家が有権者の声を聞き高齢者向けのみの政策に重点を置いているわけではなく、③のように、高齢者の声を聞く政治を「シルバー民主主義」と呼んで高齢者の権利をないがしろにしてきた結果、*3-4のように、払ってきた年金が給付段階になって不当に減額されるという契約違反により、収入を奪われて困窮する高齢者が増えている現実がある。そのため、⑤の「政治家に『子育て世代に応えないと落選する』という恐怖をどれだけ与えられるかが重要」というのは的外れの運動で、若い世代にこういう考え方をさせるよう煽った人々には重大な責任がある。

 さらに、④のように、実際に政府の予算配分は高齢者向けが圧倒的に多いかもしれないが、本当はそこから保険で支払ってきた年金・医療・介護を除いて考える必要があり、「子育て世代への支出を高齢者への給付から差し引かなければならない」とか「社会保障は消費税で賄わなければならない」などという意図的に間違った情報に基づいて議論しても、誤った結論しか出ない。

 なお、子育て世代が、⑥のように、「この生活では2人目を考える気持ちにならない」というのは、私は東大医学部保健学科卒で1970年代に母子保健を勉強し、公認会計士・税理士としてBig4で働き続けるためにDINKSを選んだ人間なので1人も生まなくてもわかっているが、舛添都知事は土日に湯河原の別荘に通っただけであれだけ批判され、これは女性知事・女性議員はじめ責任ある仕事をしている人なら男女とも同じであるため、⑦のように、「すべての仕事で国が男性に育休取得を義務づけるなど、社会全体で子育てする機運をつくる」というのは不可能であり、他に代替案があるので不要でもある。

 そのため、*1-1のような論理に基づいて、*1-2のように、平成27年6月、選挙権年齢を満18年以上に引下げて有権者の若者数を増やしたのは、不純な動機による変更だ。18歳と20歳の間に、さほど大きな差はないかもしれないが、いくら選挙権年齢を18歳に引き下げても、有権者に真実の本質的情報を提供しないメディアを介してでは、年齢にかかわらず正しい意思決定はできない。 

(2)「高齢者vs若者」という設定が誤りなのである
 佐賀県弁護士会は、*1-3のように、鳥栖工業高校に出向いて授業を行い、生徒708人に対し、主権者教育として、「世代間の投票率の差が政策に色濃く反映され、政治家は投票する60代向けの政策を優先するようになる結果、若者に使われるお金は少なくなる。気付かないうちにそういうツケが回ってくる」と指摘したとのことだ。もちろん、弁護士が主権者に投票の意義や民主主義について教育したことは有意義であるが、「高齢者vs若者」という設定で「高齢者からぶんだくって子育て支援に振り向けるべき」と説いているのは、倫理観に欠け、人権を護るべき弁護士としての見識が疑われる。

 また、*1-4のように、伊万里農林高校では、伊万里市の選挙管理委員会職員が若者の投票率の低さをデータで示し、「年齢が上がれば社会経験を重ねて投票率が上がるのが通常だったが、最近は若い時の投票率の低さが年齢を経てもそのまま推移している」「若者は人口が少ない上に、投票率が低いので意見が反映されにくくなっており、普段から政治に目を向けることが重要」と訴えたそうだが、どの政党もマニフェストで示したことを裏切って官由来の政策を行い、メディアの報道は多くの虚偽を含む浅薄なもので、政治家は金に汚く不完全なものとしてしか報道されないため、政治に関心を持てない人が増えるのは当然だ。そして、その状態を歓迎するのが、政治を自らの意のままにしたいグループなのである。

(3)主権者教育を始めたのはよいことだが・・
 佐賀県教委は、*2-1のように、選挙権年齢が18歳に引き下げられることを受け、主権者教育の高校授業を研究するチームを近く立ち上げて先進的な事例を集め、現実の政策を教材にするなど生徒自身が考えて判断できるような授業を目指すそうで、よいことだ。

 しかし、*2-2のように、全国の高校に配布された副教材「私たちが拓く日本の未来(http://www.soumu.go.jp/senkyo/senkyo_s/news/senkyo/senkyo_nenrei/01.html 参照)」は、政策に関する討論や模擬選挙の進め方などを解説する「実践編」が6割を占め、選挙制度や投票行動の手続きに重点が置かれて、身近な問題にどう関心を持たせるかという一番大事な点が欠落して教師任せになっているそうだ。

 そのため、せっかく主権者教育をするのなら、新聞を読んで社会に関心を持つだけでなく、政治に繋がる身の回りのことについて市長や議員がどう考えて政治を進めているかについて話を聞き(党派が偏らなければ問題ない)、生徒に質問させるのが、最も印象に残ってその後の役に立つと考える。

(4)具体的事例を示して考えさせるのがよい
 女性も普通に働いている時代、*3-1のような事例で、子どもが急病になったらどうすればよいのかについて、①現状 ②予算などの制約要因 ③政治にやってほしいこと 等を男女の生徒にまず調べさせ、子育て経験のある女性の先生や市長の話などを伺い、どうすればよいかを皆で考えさせる というのは、印象に残り、政治が身近な問題の解決策であることを認識するよい機会になると考える。

 また、*3-2のように、学童保育や街の再生を行っている人に話を聞いたり、*3-3のように、踏切事故で子どもが犠牲になったが、どういう街づくり(社会づくり)をすればよいかについて市議や県議とディスカッションしたり、*3-4のように、年金を減額すれば高齢者が困るので高齢者の生活を脅かさない方法はどうあるべきかを考えたり、TPPについてなど、本当の民主主義を教えながら、生徒の印象に残るようにして、主権者としての責任を醸成するのがよいと考える。そして、統計資料や事例集は、身近な事例を日本全国や世界と比較しながら作れば、問題点が明らかになり興味をそそるだろう。

<不純な動機による選挙権18歳引き下げ>
*1-1:http://digital.asahi.com/articles/DA3S12412756.html (朝日新聞 2016年6月17日) (2016参院選 アベノミクスを問う:3)「保育園落ちた」遠い政治 予算、高齢者向けに偏重
 「保育園落ちた! 選挙攻略法」。こんなイベントが5月下旬に東京都内で開かれた。集まったのは子ども連れの親たち約120人。フェイスブックなどのSNSを通じて呼びかけた同志社大院生の對馬果莉(つしまかり)さん(30)は「子育て世代が声をあげないと政治は動かない。選挙で思いを届けませんか」と訴えた。参院選を控え、保育所に入れない待機児童の解消を訴える親たちの怒りの矛先が政治家に向かう。「政治家に『子育て世代に応えないと落選する』という恐怖をどれだけ与えられるかが重要」「自分の選挙区の候補者にメールでもファクスでもいいから要望を届けて」……。こんな議論が交わされた。前回の2013年参院選では、有権者の4割を占めた60歳以上の投票率は62・4%で、3割いた20~30代の投票率は39・2%。当選した政治家が「有権者の声を聞く」と言い、高齢者向けの政策に重点を置く。こうした政治は、「シルバー民主主義」と呼ばれる。実際に政府の予算配分は高齢者向けが圧倒的に多い。国立社会保障・人口問題研究所によると、年金や介護などの政府支出は13年度で54兆6247億円で、保育所整備や児童手当、育児休業給付といった子育て向けは6兆568億円。日本は人口に占める高齢者の割合が大きいとはいえ9倍の開きがある。欧州各国と比べても偏重ぶりは際立つ。安倍晋三首相が昨年9月に発表した「アベノミクス第2ステージ」では、そこに焦点を当てた。「希望出生率1・8」を掲げ、「将来の夢や希望に大胆に投資していく」と胸を張った。昨年4月の保育の受け皿は約263万人分。それまでの2年間で約22万人分が増えた。安倍首相は「政権交代前の2倍のペースで拡大した」と誇ったが、昨年4月時点の待機児童は5年ぶりに増え、2万3167人だった。昨年末に編成した15年度補正予算では、小規模保育所の整備費補助や保育士の業務負担軽減策などに1245億円を計上。一方、低年金の高齢者らに3万円を配る臨時給付金には3624億円をかけた。保育事業を手がけるNPO法人フローレンスの駒崎弘樹代表理事(36)は、今月13日に都内で開かれたシンポジウムで憤りをあらわにした。「子どもにお金を使わない国で少子化対策なんか進まない。気合で、竹やりでB29を落とせと言っているのと同じですよ」
■進む待機児童対策に懸念も 「数だけ確保、質置き去り」
 17年度末までの「待機児童ゼロ」を掲げる安倍政権は、保育の受け皿を増やす切り札として基準の緩和を進めている。4月には企業主導型保育事業を始め、自治体の認可がなくても企業が主に社員向けの保育所を設置できるようにした。婚活支援を手がけるパートナーエージェント(東京都)は来月、東京都三鷹市に保育所を開設する。昨年春から複数の自治体に相談していたが、保育所の経営実績や職員の経験年数といった独自の認可条件があり、整備できずにいた。企業主導型ではそうした条件が不要で、担当者は「社内の保育ニーズに合わせ、スピード感を持って整備できる」と喜ぶ。保育の質も重視しており、保育士の処遇改善や研修に力を注ぐ。ただ、企業主導型の仕組み自体は保育士の配置基準が緩和され、職員の半数以上の保育士がいれば補助対象となる。政府が3月に出した緊急対策では、保育士配置や部屋の面積基準について国の基準より手厚く設定している自治体に国基準まで緩めるよう求めた。基準緩和には懸念の声も出る。保育事故の遺族らでつくる「赤ちゃんの急死を考える会」は16日、企業主導型に反対する考えを内閣府などに表明。会員の藤井真希さん(36)は「数だけ確保しようという間違った方向に進んでいる。質の高い保育は置き去り、後回しにされている」と訴えた。保育の受け皿を増やすだけでなく、「子育ては母親任せ」という社会の風潮を変えることも重要だ。厚生労働省によると、14年度に民間企業の男性が育休を取得した割合は2・3%で、女性の86・6%と比べて大きな開きがある。東京都渋谷区の女性会社員(31)は4月から長男(1)を認可外保育所に預けられるようになり、復職した。だが、仕事を終えても分刻みで育児と家事をこなさなければならない。夫(47)の協力はわずかで、両親は遠方で頼れない。「この生活では2人目を考える気持ちにはならない。国が男性に育休取得を義務づけるなど、社会全体で子育てをする機運をつくるべきだ」

*1-2:http://www.soumu.go.jp/senkyo/senkyo_s/news/senkyo/senkyo_nenrei/
選挙権年齢の引下げについて
 平成27年6月、公職選挙法等の一部を改正する法律が成立し、公布されました(平成28年6月19日施行)。今回の公職選挙法等の改正は、年齢満18年以上満20年未満の者が選挙に参加することができること等とするとともに、当分の間の特例措置として選挙犯罪等についての少年法等の適用の特例を設けることを目的として行われました。

*1-3:http://www.saga-s.co.jp/column/18senkyo/25001/312784 (佐賀新聞 2016年5月18日) 県弁護士会が主権者教育 鳥栖工高で出前授業、はじめの1票 18歳選挙権さが
 夏の参院選から選挙権が18歳に引き下げられるのを前に、佐賀県弁護士会による主権者教育の出前授業が17日、鳥栖市の鳥栖工業高校(山口光一郎校長)で始まった。生徒708人が投票の意義や、世代間の投票率の差が政策に色濃く反映されることなどを学び、間近に迫った「1票」デビューに備えた。「18歳選挙権」を受け、県弁護士会が選挙の前提となる法律の知識や仕組みを伝え、投票に行ってもらおうと初めて実施した。年度内に約20校に出向く。授業は県弁護士会法教育委員会委員長の吉田俊介さん(35)が講師を務めた。日本が立憲主義と間接民主制を採用していることに触れ、「投票できる一人一人が主権者。国を動かす力を持っている」と説明した。60代の約7割が投票しているのに対し、20代は約3割にとどまっていることを紹介し、「政治家は投票する60代向けの政策を優先するようになる。その結果、若者に使われるお金は少なくなる。気付かないうちにそういうツケが回ってくる」と指摘した。3年の岩永涼馬さん(18)=神埼市=は「憲法に反した事は法律でも決められないなど、詳しく理解していなかった。自分たちの世代向けの政策を充実してもらうためにも初めての選挙には必ず足を運びたい」と決意していた。

*1-4:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/323186
(佐賀新聞 2016年6月16日) 普段から政治に関心を 選管、伊万里農林高で講話
 伊万里市の伊万里農林高校(青木久生校長、352人)で13日、参院選を前に「18歳選挙権」に伴う主権者教育があり、全校生徒が選挙の意義や重要性を学んだ。伊万里市選挙管理委員会職員の松尾省吾さんが若者の投票率の低さをデータで示し、「年齢が上がれば社会経験を重ねて投票率が上がるのが通常だったが、最近は若い時の投票率の低さが年齢を経てもそのまま推移している」と分析。公示目前となった参院選に向けて、選挙の流れや候補者の情報の集め方を説明し、「若者は人口が少ない上に、投票率が低いので意見が反映されにくくなっている。普段から政治に目を向けることが重要」と訴えた。今月17日に18歳の誕生日を迎える3年生の犬山秀人さんは「若者の投票率の低さに驚いた。若い人の考えを政治に生かすのは大事なこと、参院選は必ず投票に行く」と話していた。同校では昨年の生徒会と農業クラブの選挙で、伊万里市選管から投票箱を借り、本番の雰囲気を味わいながら選挙を実施した。社会科の授業を通じても、選挙について学んでいる。

<主権者と主権者教育>
*2-1:http://www.saga-s.co.jp/column/18senkyo/25001/314628
(佐賀新聞 2016年5月23日) 佐賀県教委、高校の授業研究チーム発足へ、事例集め公開授業
 選挙権年齢が18歳に引き下げられることを受け、佐賀県教委は主権者教育の充実へ向け、高校の授業を研究するチームを近く立ち上げる。先進的な事例を集め、現実の政策を教材にするなどして生徒自身が考えて判断できるような授業を目指す。年度内に4校で公開授業を行い、各学校のヒントにしてもらう。研究チームは、公開授業をする高校の教員と県教委の指導主事ら数人で構成する。6月上旬までに立ち上げ、情報収集や授業案作り、実践などの検討を重ねる。公開授業をする学校や時期は未定。これまでも公民の授業で選挙の制度や意義を教えていたが、特別活動や総合的な学習など幅広い枠でもできる複数の授業モデルを作る。話し合いといった生徒自身が合意形成に至るまでの過程を重視し、総務省が作成している模擬選挙の活用なども視野に入れる。県内の高校では、全生徒に総務省と文部科学省が作成した副教材を配布しているほか、全体の約7割が各市町の選挙管理委員会や県弁護士会などから外部講師を招く計画を立てている。主権者教育では学校の政治的中立を守りながら、子どもたちの政治的活動の尊重が求められ、指導の在り方で学校現場から不安の声も上がる。県教委は「まずは生徒に関心を持ってもらう必要がある。これまでにない新しい形の授業が求められており、いろいろな方法を検討したい」としている。

*2-2:http://www.saga-s.co.jp/column/18senkyo/25002/318573
(佐賀新聞 2016年6月3日) はじめの1票 第2部 主権者教育 (5)方向性
■社会への関心、日常から
 「身近な問題にどう関心を持たせるかという一番大事な点が欠落し、教師任せになってしまっている」。県教委が4月に開いた教師向けの研修会で、総務省と文部科学省が発行した主権者教育の副教材の内容に疑問の声が上がった。副教材「私たちが拓(ひら)く日本の未来」は昨年12月、全国の高校に配布された。初年度の発行部数は実に約370万部。政策に関する討論や模擬選挙の進め方などを解説する「実践編」が6割を占め、選挙制度や投票行動の意思決定の過程に重きが置かれている。この方向性に反論するように、佐賀北高(佐賀市)の森勝俊教諭(58)は「主権者教育は普段着の実践でいい」と強調する。公民科の立場から、身近な問題について普段から考えさせ、その関心を社会的課題につなげることを重視してきた。関心を深掘りするために、数年前から取り組んでいるのが「朝コラム」だ。3年生が10分間の朝読書の時間に新聞のコラムや社説を読み、感想をまとめる。明石泰輝さん(17)は「もともと文章は苦手だったが、自分なりに意見が書けるようになった」と効果を感じている。森教諭は「生徒が感じる学校と現実社会の大きなギャップを埋め、行動につなげる意味で投票の機会を生かしたい」。日頃の学習の延長線上に投票行為を位置付ける。「選挙教育」への偏りとともに、本格的な主権者教育が高校から始まることへの批判もある。教育に新聞を生かすNIE活動に取り組む厳木中(唐津市)の光武正夫教頭(50)は「高校には行かない生徒もいる。社会に関心を持つことが主権者教育の原点であり、義務教育の段階から力を入れるべき」と指摘する。佐賀大学大学院学校教育学研究科の平田淳教授(教育行政学)は「学級会でのルール作りなど、学校生活の全てが主権者教育の場であり、学校の外でも自分で意思決定することは多い。自分たちのことは自分たちで決めるという経験を、学校の内外でどれだけ積ませることができるか」。社会の担い手としての主権者を育てる鍵は、生徒の日常にある。

<具体的事例から考える>
*3-1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20160105&ng=DGKKASFS04H7V_V00C16A1MM0000 (日経新聞 2016.1.5) 急病の子 預けやすく、厚労省、保育施設の普及後押し 看護師常駐求めず
 厚生労働省は急な病気になった子どもを一時的に預かる施設の普及を後押しする。対象となるのは民間が運営する「病児保育」と呼ばれる施設で、子どもが風邪で熱を出したが仕事を休めない共働きの親などが利用している。看護師と保育士の配置に関わる規制を緩め、一定の条件を満たせば常駐を不要とし施設の人件費負担を減らす。施設の新設にかかる費用も助成する。子どもをもつ母親などが安心して働ける環境を整える狙いだ。規制緩和と資金支援からなる今回の対策は、安倍政権が掲げる「一億総活躍社会」の実現に向けた取り組みの一環だ。一般の保育所は37.5度以上の熱があったり、湿疹が出たりした子どもは預けられないケースが多い。共働きの家庭では親が仕事を休まなければならず、女性の社会進出の妨げになっている。そこで政府は2020年度までに病児保育の利用児童数を150万人とする目標を掲げたが、今の利用率はその4割弱にとどまる。病児保育の不足が理由で、受け皿の拡大は急務だ。対策では、まず看護師や保育士の配置にかかわる規制を緩める。いまのルールは子ども3人あたり保育士1人と、10人あたり看護師1人の配置を義務付ける。ただ利用する子どもがいないときまで看護師や保育士が常駐すると人件費負担が重くなる。いまは子どもがいないときのルールは明確でないが、看護師や保育士を常駐させなくてよいとする規定を新たにつくる。さらに病院などに併設されている病児保育の場合は、看護師がすぐに駆けつけられる体制をとっていれば子どもを預かっていても看護師の常駐は不要とする。4月をメドに病児保育の運営ルールを定めた自治体向けの実施要綱を見直す。病児保育は採算を取りにくいとされるが、人件費負担が減れば新たに参入する業者も増えると厚労省はみる。同省は施設の増設に向けた補助金も拡充する。現在、補助しているのは人件費など運営費の一部のみ。これに加え4月からは施設の建設費など初期投資の一部も補助して新規参入のハードルを下げる。具体額は2月をメドに決める。また病児保育には一般の保育所で体調を崩した子どもが移ってくることも少なくない。病児保育側が子どもを迎えに行った場合は、交通費や付き添いをする看護師の人件費も新たに支援する。補助金の財源には企業が年金などと一緒に国に納めている「子育て拠出金」を充てる。政府は16年度から拠出金の料率を従業員の給与の0.15%から0.20%に引き上げる方針。これによる840億円近い財源増額のうち、約27億円を病児保育の普及策に充てる。

*3-2:http://qbiz.jp/article/80759/1/
(西日本新聞 2016年2月16日) 空き部屋ホテル、学童保育… 日の里再生へ提案続々 宗像市
 昭和40年代に開発され、現在は高齢化が進む福岡県宗像市日の里団地の再生について、現地調査をした九州大大学院芸術工学研究院の学生が14日、住民約200人の前で研究発表をした。空き部屋をホテルとして活用したり、空き店舗を図書館やギャラリーの複合施設にしたりする夢のあるプランを住民は熱心に聞いていた。学生たちは昨年5月の調査開始以来、団地を歩いて住民へのヒアリングを重ね、課題を絞り込んだ。高齢化率が3割を超え空き部屋も増える一方、緑が豊かで、専門知識のある人材が多いことなど潜在的な価値が高いことも分かった。空き部屋、商業活性化などの項目別に、7人の学生が調査結果と再生プランを提言した。古い集合住宅に学童保育、仕事帰りの保護者が立ち寄るカフェなどを併設する「地域まるごと託児所構想」や、空き部屋を利用して住民が観光客をもてなす「団地民泊構想」などユニークな発想に会場から拍手が起きた。商業活性化について発表した韓国からの留学生、張栄さん(24)は「調査した店の人たちは、どんな街にしたいかという問題意識が高かった。続けて再生に関わりたい」と話した。

*3-3:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10102/253929 (佐賀新聞 2015年11月27日) 浜玉で列車にはねられ子ども死亡、JR筑肥線小浜踏切付近 近くの小3男児か
 26日午後6時ごろ、唐津市浜玉町渕上のJR筑肥線の小浜踏切付近で、子どもが福岡空港発西唐津行き下り普通列車にはねられ、死亡した。現場近くに住む小学3年の男児の行方が分からなくなっており、唐津署は身元の確認を進めている。同署によると、列車の乗務員が子どもをはねたのに気付いて緊急停車し、唐津駅職員を通じて110番した。現場は警報機や遮断機のある踏切の近くだったという。男児の母親が現場の近くでいなくなった男児を探していた。JR九州によると、列車は6両編成で約140人が乗車していたが、けが人はいなかった。約1時間50分後に運転を再開した。事故の影響で上下線21本に最大2時間の遅れが生じ、約4千人に影響が出た。

*3-4:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20150720&ng=DGKKZO89497900Y5A710C1TCR000 (日経新聞 2015.7.20) 年金減額で訴訟、国にも弱み、給付額少ない人どう守る 本社コラムニスト 平田育夫
 厚生年金や国民年金の減額を取り消すよう国に求める訴訟が相次いでいる。寿命が延び、少子化が進んで、今や年金は「百年安心」と言えない。給付を減らさないと制度が持たず現役世代や後世代にツケが回る。だから減額はやむを得ないのだが、実は訴えられた国にも弱みがある。月5万円以下といった少ない年金を、20万円以上など多めの年金と同率で減らすのは酷な話。低年金の人を守れる制度に改めないと必要な給付減額を滞らせることにもなりかねない。訴えたのは全労連傘下の全国年金者組合に加入する年金受給者ら。26都道府県の地裁に提訴、最終的には45都道府県で約3500人の訴訟になるという。彼らは2種類の減額を問題にする。一つは払いすぎの解消。給付額は物価と連動する建前だが、物価下落でも据え置いた期間があり本来の水準より2.5%高くなった。政府はこの分を2年前から段階的に解消した。訴えでは2年前の1%減額分の撤回を求めた。だが訴訟の“本丸”はもう一つのほう。寿命の延びと働き手の減少に対応して給付の伸びを物価上昇率より0.9%低く抑える実質的な減額だ。「マクロ経済スライド」と呼ぶ年金の持続性向上策で、今年4月から開始した。今後30年近く続き、減額幅が約3割になる可能性がある。訴状では減額取り消しを求める理由を様々あげているが、特に強調するのは低年金者への打撃だ。国民年金(基礎年金)だけの人の平均受給額は月5万円で単身者には不十分。少ない年金の減額は「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」をうたう憲法25条に反する―と。なるほど。だが原告のうち国民年金だけの人は数%だ。あとの九十数%は厚生年金や共済年金の受給者。給付額が多めの彼らが自らも減額を免れるため「低年金者への打撃」をだしに使うのならいただけない。厚生年金の平均受給額は月約14.5万円。これは加入者本人の基礎年金と報酬比例年金で、それに配偶者の基礎年金を加えると20万円近い。少し減らしても生存権は守れる。むしろ年金財政の実態からは給付が多すぎる人が大半だ。受給者の増加と保険料を納める人の減少で年金の台所は逼迫。厚生年金の積立金は二十数年後に底をつく恐れがある。国費には頼れないし保険料引き上げもほぼ限界。今の高齢者を含め年約1%ずつ実質給付を減らすマクロ経済スライドを進めるしかない。それが遅れると後の世代は減額幅が大きくなり大打撃を被る。ただし月五万円未満などの少ない年金も減らすべきかは別問題だ。消費増税に伴い低年金者には最大月5千円の支援金を出すが、十分とは言えない。低年金の人は生活保護で補ってもらえるが「資産がないことが原則」などハードルは高い。また国にとっては、税金で賄う生活保護が膨らめば財政がさらに悪化する。年金の制度を改めて最低限の金額を保証できれば、それが一番。なにより、年金減額反対の運動に「低年金者の保護」という口実を与えないために必要だ。外国は収入の少ない高齢者をどう守っているのか。スウェーデンは保険料を財源にした所得比例年金を中心とし、この年金が少ない人に限り税金で加算する。同国の年金庁に聞くと、所得比例年金がゼロの場合でも、単身者で最大月11.4万円受け取れるという。カナダの年金は全額を税金で賄う、いわば基礎年金があり、その上に保険料による所得比例年金が乗る。政府は高所得者からこの“基礎年金”の一部または全部を返還させ、低年金者への加算に回す。所得比例年金が出ない人でも単身者の場合で最大月12.7万円を受け取れる。さて日本にはどんな制度がよいか。保険料の未納や払った期間が短いなどの理由で低年金や無年金になる人も救えるのは、基礎年金の全額(今は半額)を消費税で賄う方式。居住年数つまり消費税を払った年数に応じた金額を支給する。日本経済新聞社は7年前の紙面で日本に40年住んだ人はだれでも65歳から月6.6万円受け取れる制度を提言した。基礎年金の保険料を廃止し代わりに消費税を5%引き上げる。この案を支持する専門家は多い。税金の投入をあまり増やさずに低年金者を守るならカナダかスウェーデンのやり方が参考になる。安倍政権は所得が多い人の基礎年金を減らす方針。それで浮く税金を低年金者に回せばカナダ方式に似てくる。しかし減額対象者の候補は年収850万円超の人で受給者のわずか0.9%。もっと年収の低い人も削減対象にしないと低年金の人に回す余裕は少ない。一方、鈴木亘学習院大学教授の案はこうだ。基礎年金についてはマクロ経済スライドによる減額を停止する。さらに低年金を引き上げ、住宅を持つ人の場合で月6~7万円を保証する。そのため厚生年金の報酬比例部分は今の年0.9%より大幅な率で減らすほか、年金の支給開始年齢引き上げなどで財源を確保する。やり方は様々ありうる。今回の訴訟で原告の主張が通るとは思えないが、これをきっかけに減額反対の機運が盛り上がるかもしれない。低年金の人を守りながら、それ以外の人への実質給付を着実に減らすため制度の手直しが急がれる。


PS(2016.6.20追加):*4-1のように、「国債運用が基本だった年金資金が、運用難でリスク投資に向かい始めた」とのことだが、高リスク高リターンの投資をすれば元本割れするリスクも高いため、年金のように生命にかかわる資産は安全な債券(外国債・地方債を含む)で運用するのが世界の常識である。にもかかわらず、年金資産を余剰資金のように運用してもよいと考えている年金資産の管理者は信頼性に欠けるとともに、このような管理者の無責任な意識がこれまでも年金資産をすってきたのが大問題なのだ。その上に、保険料回収の不完全性や管理の杜撰さ、非正規雇用割合の増加なども問題である。
 また、*4-2のように、30年1日の如く(馬鹿の一つ覚えで)外国の航空会社への航空機リースを行っているが、例えば東日本大震災や熊本地震で破壊された地域に太陽光発電を完備した住宅地の再開発を行ったり、地方の鉄道整備を行ったりなどを同様のリース方式で行えば、地方や日本全体にとってメリットがあり、投下資本の回収が可能で、金融緩和された金が第三の矢として働く。さらに、*5-1のような自治体向け地熱発電や、*5-2のようなEV普及も、日本で始まったがすっかり遅れをとっているので、これらの活用に向けてインフラ整備を行うのも無駄金にならず第三の矢として働く。つまり、政策判断には総合的考察力が必要で、それを培うためには通常科目をしっかり勉強しておくことも重要なのだ。

*4-1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20160620&ng=DGKKASFS04H0H_Z10C16A6MM8000 (日経新聞 2016.6.20) リスク資産に最大6兆円 ゆうちょ銀、運用難で、不動産やインフラ 代替投資、公的年金も7兆円
 国債運用が基本だった貯金や年金などのお金がリスク投資に向かい始める。日本郵政グループのゆうちょ銀行は今後5年程度で国内外の不動産や未公開企業などの代替投資(総合・経済面きょうのことば)に最大6兆円を振り向ける。公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)も今年から7兆円を上限に投資。マイナス金利で国債に依存した運用が難しくなった状況に対応する。今後は運用資産の目利き力やリスク管理が課題になる。国内銀行で最大規模の資産を持つゆうちょ銀と世界最大の機関投資家であるGPIFがリスク資産に投資するのは、運用環境が厳しさを増しているためだ。日銀が2月にマイナス金利政策を導入したことで大部分の国債の利回りがマイナス水準に低下。年明け以降の円高・株安で外国債券や日本株などでの運用も難しくなっている。高リスク高リターンの投資を増やすことで、資産の毀損リスクも高まることになる。半面、国内有数の運用機関が不動産などに投資対象を広げれば、日銀が市中に流す潤沢なマネーが成長分野やインフラにも流れやすくなり、実体経済の活性化が見込める。ゆうちょ銀の運用資産は約200兆円。今年度から海外の不動産やインフラ、未公開企業などへの直接投資を開始。中長期的に収益確保が期待できる案件を選ぶ。代替資産の具体的な構成は今後決めるが、投資先を広げて収益拡大と同時にリスク分散も進める。認可が必要ないファンドを通じた投資は始めているが、不動産などに直接投資するには金融庁と総務省の認可が必要で、申請準備を急ぐ。他の民間銀行と違って融資業務が原則禁止され、これまで国債などで運用してきたが、最近は市場金利の低下を背景に外債などリスクを伴う資産への投資も増やしている。GPIFも運用利回りの向上を狙い、運用対象を広げる。すでにカナダのオンタリオ州公務員年金基金(OMERS)と共同で代替投資を始めているが、ファンドを通じた方法に限られ、手数料負担などで運用効率が高まっていない。厚生労働省は今年夏にも年金部会を開き、運用手法の拡大を容認する政令の追加案を示す。LPS(リミテッド・パートナーシップ)という組合を通じた共同投資で、GPIF自身は個別に投資判断を行わず、投資家として参加する。GPIFの約140兆円の年金資産のうち、代替投資の割合は0.04%とごくわずか。今後は資産の5%(昨年末時点で約7兆円)を上限にリスク運用を増やす。リスク運用を広げる場合、対象資産の選定やリスク管理が重要になる。ゆうちょ銀は1月にリスク管理部門を新設し、約100人を配置。メガバンクからリスク管理の責任者を迎えるなど内部管理体制の強化を進める。GPIFも今年から「オルタナティブ投資室」を設置した。今年秋にも運用リスクを総合的に管理する新システムを導入する。

*4-2:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20160620&ng=DGKKZO03804960Z10C16A6NN7000 (日経新聞 2016.6.20) 三井住友信託銀、航空機リースのファンド 200億円規模で
 三井住友信託銀行は世界の航空会社に航空機をリースするファンドを立ち上げ、国内の投資家から出資を募る。当初の運用総額は2億ドル(約210億円)の見通し。新興国の経済成長や格安航空会社(LCC)の普及で今後も航空機リースは堅調な需要が見込まれ、10%程度の投資利回りを想定する。低金利で運用難が続くなかで、投資家の需要が期待できる。新ファンドは航空会社に航空機をリースする特別目的会社(SPC)の株式を取得し、SPCは外部からの借り入れを活用しながら機体を買う。出資した投資家は航空会社が支払うリース料などを原資として配当を受け取る。ファンドの運用にあたっては、航空機リースの実績があるノーヴァス・アビエーション・キャピタル(スイス)から助言を受ける。運用総額は2億ドル程度を予定するが、投資家の引き合い次第で3億ドルまで増やす可能性がある。運用期間は5年だが、さらに最大3年まで延長できるようにする。
 業界の推計では、世界の航空機は現在の約2万機から20年後には4万機以上に増える。航空会社がリース機を使う比率も約4割から約5割に伸びるとされ、一段の成長が見込まれている。

*5-1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20160620&ng=DGKKZO03804360Z10C16A6NN1000 (日経新聞 2016.6.20) 地熱発電、専門家が助言 資源機構 自治体向けに
 独立行政法人の石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)は6月から地熱発電の開発案件を抱える自治体に地質学などの専門家が助言するサービスを始めた。事業の採算性や環境への影響をデータで示し、地元の理解を得やすくする。政府が掲げる2030年までに地熱発電の規模を3倍以上に増やす目標の達成につなげる。JOGMECは地質や環境などの専門家20人ほどで構成する「地熱資源開発アドバイザリー委員会」を立ち上げた。地熱発電への参入を目指す事業者は増えているが、周辺の温泉組合や住民の理解が得られずに断念するケースが多い。このため調整役の自治体が地元の関係者から開発への理解を得やすいように環境への影響などを分析したデータを提供して実現を支援する。地熱発電は二酸化炭素(CO2)の排出がほぼゼロで政府も拡大を後押ししている。

*5-2:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20160620&ng=DGKKASGM31H2Q_Z10C16A6MM8000 日産、中国で低価格EV 今夏にも、3割安く 東風汽車と共同で
 日産自動車は価格を現行モデルより3割程度抑えた「低価格EV(電気自動車)」を中国市場に投入する。提携先の中国自動車大手、東風汽車集団と共同開発する。中国は大気汚染の改善や産業育成を狙い、国を挙げてEVの普及を進めている。今後、EV市場が急拡大する可能性をにらみ低価格車で需要を取り込む。日産は2014年に「リーフ」を改良したEV「ヴェヌーシアe30」を中国で発売した。今回、車両価格をe30より20~30%安い20万元(約315万円)前後に抑えた新型車を中国で生産し、早ければ夏にも発売する。搭載する電池も含め基幹部品の現地調達を拡大。輸入部品を減らして関税や輸送費などコストを削減し価格を地場メーカーのEVと同水準にする。政府の補助金活用後の実売価格は地域により10万~15万元と、同クラスのガソリン車並みを狙う。日産は低価格EV投入で、EV市場でのシェアを15年の2%から数年で5~10%にする。中国政府は、EVやプラグインハイブリッド車(PHV)を「新エネルギー車」と定め普及を進めている。EV購入者への補助金は中央政府が最大5万5千元。地方政府の別途支給分を含む実質的な補助総額は最大で11万元に達する。一連の補助策で15年に年33万台だった新エネルギー車の販売台数を20年までに累計500万台に増やす。日本や欧米では価格の高さやインフラの未整備が普及のネックとなっているが「中国では国主導で急速に広がる可能性がある」(日産のカルロス・ゴーン社長)という。


PS(2016年6月20日追加):*6-1のように、全国知事会などが参院選公約の評価結果を公表するとわかりやすくてよいが、注目したポイントが限られているので、憲法改正、安全保障法制、特定秘密保護法、TPPなどへのいろいろな立場の専門家や利害関係者からの評価も欲しい。なお、*6-2の安倍農政の評価も具体的でよいが、国民の食生活が変わって誰もが栄養バランスに気をつけている中で、農家が米頼みを続けるのは無理があるとともに、本当の需要を逃している。

     
   全国知事会     実質賃金等    収入増の実感     農政     安全保障法制 
   の公約評価              2016.6.12佐賀新聞   上
 2016.6.20佐賀新聞                 2016.6.20日本農業新聞                   

*6-1:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/324772
(佐賀新聞 2016年6月20日) 全国知事会、参院選公約の評価結果を公表、自民の地方創生を歓迎
 全国知事会は19日、与野党9党が参院選公約に盛り込んだ地方関連施策の評価結果を発表した。自民党が地方創生や国土強靱化(きょうじんか)への取り組みと、分権改革をにらんだ地方財源の確保を明記したことを歓迎。公明党も政府機関の地方移転を掲げたことを評価した。民進党は地方が自由に使える一括交付金の復活を盛り込んだものの、地方分権改革に触れていないと指摘した。共産党には「地方を巡る諸課題について一切触れていない」と厳しい見方を示した。おおさか維新の会が地方分権改革を明記したことに期待を表明。社民党、生活の党、新党改革は地方創生につながる企業の本社移転に触れていない点を批判した。日本のこころを大切にする党は、地方活性化に必要な施策に触れていないとしている。評価特別委員長の飯泉嘉門徳島県知事は、参院選の争点に関して「地方創生や分権改革の議論が薄まっている」と述べ、各党の論戦を訴えた。知事会は5月、地方創生や分権改革の強化など10項目の重点要望をまとめ、各党に公約への反映を要請。重点要望に基づいて参院選公約を評価した。公約評価は政権選択が問われる衆院選は点数で評価するが、参院選では各項目へのコメントにとどめている。

*6-2:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=37969 (日本農業新聞 2016/6/20) [2016年 参院選] 検証「安倍農政」3年半 「攻めの農業」道半ば 米 落ち込み顕著
 22日公示・7月10日投開票の参院選では、3年半の「安倍農政」の是非も問われる。安倍晋三首相は「攻めの農業」に向けて農政改革を進め、輸出額や法人経営は増えたが、農業総産出額や農家の所得は増えていない。また生産基盤の弱体化も止められていない。農水省の統計から検証した。
●輸出、法人増も所得減
 首相は2012年12月の就任以来、アベノミクスの成長戦略の柱の一つに「攻めの農林水産業」を位置付ける。13年6月には、10年間で農業・農村全体の所得を倍増させる目標も閣議決定した。その象徴が輸出だ。農林水産物・食品の輸出額は15年に過去最高の7451億円で、原子力発電所事故の影響も大きかった12年より7割近く増えた。首相は今月、19年に輸出額1兆円とする新たな目標を明示。環太平洋連携協定(TPP)も活用する考えだ。だが食肉や野菜、果実の生鮮農産物に限れば15年の輸出額は383億円で、農家所得増には必ずしも結び付いていない。農業総産出額や、農家の所得に当たる「生産農業所得」は、12年と14年を比べると、いずれも微減した。要因は米だ。14年産の相対取引価格は60キロ当たり1万1967円で、持ち越し在庫などを原因に、12年産より3割近く下落。一方、飼料用米の拡大で生産調整を達成した15年産は同1万3176円に戻している。米消費量の減少も歯止めをかけられず、主食用米の生産数量目標は、12年から16年の間に50万トン減った。13年秋に安倍政権は、18年産から国による生産数量目標の配分の廃止を目指す方針を決めたが、米の需給が安定しなければ、農家所得の減少にも直結する。需給調整の鍵を握る飼料用米の生産量は増えているが、助成金頼みの面もある。農業の生産基盤の縮小も止められていない。農業就業人口は3年で40万人以上減少。安倍政権は「新規就農して定着する農業者」の倍増を目標とするが、微増にとどまる。また担い手への農地集積率を23年度に8割にする目標を掲げ、農地中間管理機構(農地集積バンク)を創設したが、現状ではまだ5割強だ。一方で安倍政権は農外の企業も新たな担い手に位置付ける。農地をリースして参入した一般法人の数は、3年で9割増えた。農地を所有できる農業生産法人(「農地所有適格法人」に改称)も2割近く増。15年の農地法改正では、同法人の農業関係者以外の出資要件などを緩和しており、一層の増加が予想される。ただ、こうした法人が離農者の手放した農地などをどこまでカバーできるかは見通せない。荒廃農地の面積は増え続けており、肉用牛の飼養頭数は3年で20万頭以上減った。15年に閣議決定した新たな食料・農業・農村基本計画では、食料自給率の目標を「実現可能性を重視」して25年に45%としたが、現状は39%を維持するのが精いっぱいだ。

<原発は壮大な無駄遣い>
PS(2016年6月21、23日追加):*7-1の伊藤鹿児島県知事の「日本の置かれた経済状況から、原発はあと30年稼働せざるを得ないというのが正しい」等の発言を聞くと、法学部卒は科学にも工学にも経済学にも弱く、モノを言う時には裏付けを要しないという教育を受けているのではないかと思われる。そして、官僚出身者だからさらに無責任なのかもしれない。しかし、相手候補の元テレビ朝日コメンテーターの三反園氏(58)も「川内原発を一度止める」と訴えているだけで対立軸になっていないため、鹿児島県・宮崎県産の農林水産物が放射能汚染で福島県産と同じになる(これを“公平”と呼ぶ人もいるのが驚き)日も近いと思われて残念だ。そもそも、原発こそ未来に大きな負担を残す無駄遣いであり、*7-2のように、将来世代に対して無責任なものである。

*7-1:http://qbiz.jp/article/89175/1/
(西日本新聞 2016年6月21日) 鹿児島知事が川内の運転延長容認 「あと30年は稼働を」
 鹿児島県の伊藤祐一郎知事(68)は20日、全国の原発で唯一稼働中の九州電力川内原発(同県薩摩川内市)について「あと30年稼働せざるを得ない。日本の置かれた経済状況などからそれが正しい」と述べ、原則40年と定める原発の運転期間の延長を容認する考えを初めて示した。23日告示の知事選公約を発表した記者会見の中で問われ、答えた。原発の運転期間は電力会社が原子力規制委員会の許可を受ければ、1回に限って20年を限度に延長できる。川内原発は1号機が1984年、2号機は85年に運転が開始され、あと8、9年で「期限」の40年を迎える。知事選では伊藤氏が4選を目指すのに対し、新人1人が出馬を取りやめ、無所属の元テレビ朝日コメンテーターの三反園訓氏(58)に一本化。三反園氏側は「川内原発を一度止める」と訴えており、伊藤氏がこれを意識し、原発政策を鮮明にしたとの見方もでている。

*7-2:http://www.the-miyanichi.co.jp/shasetsu/_19857.html
(宮崎日日新聞 2016年6月23日) エネルギー政策
◆脱原発の道筋 活発に論戦を◆
 参院選が公示された。各党は、原発やエネルギー政策に関する公約を掲げている。「徹底した省エネ、再生可能エネルギーの最大限の導入などにより、原発依存度を低減させる」「原発の新設を認めず原発に依存しない社会・原発ゼロを目指す」「40年運転制限を厳格に運用。2030年代原発ゼロに向け、あらゆる政策資源を投入する」などさまざまだが、主要な争点とはなっていない。しかしエネルギーや原発政策は、国の将来を左右する重要課題であり、争点とするにふさわしい。各党は脱原発を望む過半の世論に正面から向き合い、論戦すべきだ。
●政府の計画には矛盾
 参院選公示の直前、原子力規制委員会は、運転開始から40年以上経過した老朽原発の関西電力高浜1、2号機(福井県)の運転延長を認可した。現在の法律は「原子炉を運転することができる期間は40年」と明記している。最大20年、1回だけの延長はあくまでも特例だ。だが今回の措置は、全長約1300キロに及ぶ電気ケーブルの防火対策について、全交換でなく防火シートで包むなどの関電の提案を了承するなど、「特例」にはほど遠い、甘い決定だ。40年ルールを形骸化させ、本来、特例であるはずの長期運転を当たり前のものとすることは、過半の市民が脱原発を求めているという世論に反する。規制委はあらためて40年ルールを徹底し、期間延長はあくまでも例外的だとの方針を明確にすべきである。運転期間延長の背景にあるのは「原発依存からの脱却」を言う一方で、原発を重要なベースロード電源と位置付けて2030年度に電力の20~22%を供給するとした政府の矛盾に富んだ長期計画だ。今後、廃炉になる原発が増えることなどを考えると、多くの原発で運転期間を延長しない限り、この目標の達成は困難だ。「政治からの独立」を掲げる規制委が、この政策に配慮したのではないかとの疑念を抱かざるを得ない。
●将来世代に無責任だ
 原発やエネルギー政策は、将来に大きな影響を与える。長期的視野を持ち、広く合意形成を図りながら決めていくべき重要課題だが、議論は十分と言えるだろうか。東京電力福島第1原発の事故は、国民にリスクの大きさを知らしめ、再生可能エネルギーと省エネを基礎にした、持続可能なエネルギー社会づくりに向けた大改革の必要性を認識させた。それから5年、日本のエネルギー政策が、求められる改革に道を開いたとは言い難い。なし崩し的に原発依存を続けるのか、脱原発に進むのかは不明確なままだ。再生可能エネルギーの拡大に不可欠な電力システム改革も、中途半端だと言わざるを得ない。これでは今なお避難生活を続ける原発事故の被災者に対しても、将来世代に対しても無責任だ。


PS(2016年6月22、24日追加):*8-1のEUと英国の離脱のような海外の政治状況を主権者教育に使うのもよい。何故なら、EUの前身であるEC(ヨーロッパ経済共同体)の父、リヒャルト・ニコラウス・栄次郎・クーデンホーフ=カレルギー伯爵は、母が日本人でミツコという香水の名前にもなっている人だが、EUになってからは金融・財政政策・外交・防衛・治安など国の主権にかかわることまで統一することを要求するようになっており、これは主権の侵害だからで、それに対して英国が国民投票という民主主義の手法で意思決定するのは重要な事例だからである。私自身は、*8-2のような意見が日本のメディアには多いが、国が考えなければならないことは目先の経済や為替レート・株価ではないため、大英帝国と言われたこともある規模の大きな島国である英国の立場で考えれば、ヨーロッパ大陸内の小国とは異なり、何もかもEUに合わせなければならない方がディメリットが大きいと考える。そのため、EUから離脱して、EUとFTA(自由貿易協定)を結べば、ディメリットをなくしてメリットだけをとれるだろう。なお、ヨーロッパ大陸内の小国でも、スイスは金融に秀でた永世中立国という独自性を失わないためかEUには入っておらず、スイスのツェルマットでは20年以上も前から電気自動車と馬車しか走れない規制があり、環境意識が徹底している。従って、スイスはじめヨーロッパは、完全EVのよい市場となるだろう(22日)。
 結局、英国民は、*8-3のように、EUからの離脱を選択した。国民投票の投票率は72.2%、離脱51.8%、残留48.2%で、焦点は移民問題と主権を取り戻すことだったそうだ。若者がEUからの離脱に不安を感じるのは、英国が1973年にECに加盟したためEC・EU時代しか知らないせいだが、新しい世界の経済環境を考えれば、離脱は経済的リスクよりも大英帝国時代の縁を使って速やかにアフリカ・アジア諸国と協調することによる発展可能性の方が大きく、これは北部スコットランドも同じだろう(24日)。

      
    スイスのマッターホルン山麓にあり、電気自動車と馬車しか走れない街、ツェルマット 
   (解説は、http://bizmakoto.jp/makoto/articles/1002/03/news010.html)

*8-1:http://www.saga-s.co.jp/news/national/10201/325469
(佐賀新聞 2016年6月22日) 英、EU離脱の賛否巡り火花、最終盤、各地で訴え
 EU離脱の是非を問う英国の国民投票を23日に控え、ロンドン市内で21日夜、離脱、残留両派の政治家らによる討論会が開かれた。6千人の観衆を前にそれぞれ持論を展開し、火花を散らした。離脱の賛否は依然として拮抗している。選挙管理委員会は21日、国民投票で投票登録をした有権者の総数が4649万人余りになったと発表。態度未定の層を取り込もうと両派は最終盤の訴えを続けており、この日は全国各地で集会を開いたりビラ配りをしたりした。討論会は離脱派から前ロンドン市長のジョンソン下院議員ら、残留派からはカーン現ロンドン市長らの各3人が登壇した。

*8-2:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20160622&ng=DGKKASDZ21I98_R20C16A6MM8000 (日経新聞 2016.6.22)EU離脱なら「英事業見直し」2割
 欧州連合(EU)からの離脱の是非を問う英国の国民投票が23日に実施されるのを前に、日本経済新聞社は21日、「社長100人(緊急)アンケート」を実施した。英国がEU離脱した場合、自社の英国事業の戦略を「見直す」「見直しを検討する」と回答した経営者は約2割に上った。投票結果がわからない段階でも、経営トップが危機感を抱いていることが浮き彫りになった。日本経済新聞社が日本の主要企業の社長(会長などを含む)を対象に実施し、123社から回答を得た。「英国で事業を手掛けている、もしくは事業を計画、予定している」のは96社、78.0%。そのうち17.7%が「戦略見直しを検討する」、2.1%が「見直す」と答えた。対象としては投資の削減、拠点の縮小、人員スリム化が挙がった。離脱票が多かったとしてもすぐEU離脱となるわけではないが、既に戦略見直しを経営者は頭に入れているようだ。全ての経営者に「残留」「離脱」どちらを支持するか尋ねたところ「残留」が71.5%と最も多く、「どちらかといえば残留」も10.6%。「離脱」「どちらかといえば離脱」はゼロで、11.4%の経営者は設問に答えなかった。伊藤忠商事の岡藤正広社長は「離脱となれば金融市場がかく乱され悪影響が及ぶ。他のEU加盟国で反EUの声が高まり欧州分裂につながりかねない」と懸念を示した。日立製作所の東原敏昭社長は「EUが強く結束しオープンな単一市場であり続けることが、欧州の繁栄や日立の事業にとって好ましいと考えている」とコメントした。

*8-3:http://digital.asahi.com/articles/ASJ6R7WSFJ6RUHBI03W.html?iref=comtop_8_01 (朝日新聞 2016年6月24日) 英国がEU離脱へ BBC「確実」と速報、初の脱退例
 23日に投票が行われた欧州連合(EU)からの離脱を問う英国の国民投票で、英公共放送BBCは24日午前4時40分(日本時間午後0時40分)ごろ、開票状況を独自集計した結果、離脱が多数になることが確実になったと速報した。28カ国からなるEUから加盟国が脱退する初の例となる。拡大と深化を進めてきた欧州統合は大きな転換点を迎える。離脱派の英国独立党(UKIP)のファラージ党首は24日午前4時、ロンドン市内の集会で「独立した英国の夜明けが来ようとしている」と述べ、事実上の「勝利宣言」をした。投票は23日午後10時(同24日午前6時)に締め切られ、ただちに開票が始まった。英BBCによると、24日午前5時40分(同午後1時40分)時点で、382地区のうち364地区で開票が終了。離脱が1625万2257票(51・8%)、残留が1513万139票(48・2%)となっている。全国的な集計結果は、24日午前(同午後)にも中部マンチェスター市庁舎で発表される見通し。選管によると、有権者数約4650万人で投票総数は3356万8184票、投票率は72・2%だった。昨年5月の総選挙の投票率66・1%を上回った。開票の結果、労働党支持者が多く、残留派が多いと見られていた中部の工業都市ニューカッスルでは、残留が50・7%、離脱が49・3%と得票率が伯仲。日産自動車が工場を置く近郊のサンダーランドでも離脱が61%を占めるなど、各地で離脱派が予想以上に得票を伸ばした。一方、残留派が優勢とみられていた地区では、投票率が伸び悩んだ。北部スコットランドの主要都市グラスゴーでは残留票が過半数を占めたが投票率は56%台と他地域に比べて低かった。残留派が優勢とされた中部マンチェスターも投票率は60%を下回った。ロンドンを含む英南東部は22日夜から豪雨に見舞われた。投票日の23日も断続的な大雨で浸水の被害が発生したり、交通網が大きく乱れたりした。荒天が有権者の出足を鈍らせた可能性もある。国民投票に向けたキャンペーンで、離脱派は移民問題に焦点を絞り、「EUにとどまる限り移民は減らせない」と主張。「主権を取り戻せ」と訴えた。またEUから出ることで、英議会の主導権を取り戻すべきだと説いた。一方、キャメロン首相が率いる残留派は、経済のリスクを前面に掲げた。オバマ米大統領ら各国首脳も残留を呼びかけた。投票日1週間前の16日に残留支持だった女性下院議員の射殺事件が発生。残留派が巻き返したものの、離脱派の勢いが最後まで伸長した。英国は今後、EU基本条約の規定に従い、2年をかけてEU側と離脱の協定を結ぶ交渉に入る。ただ加盟国の全会一致で交渉期間は延長できる。また英国は欧州の単一市場へのアクセスを失うため、改めてEU側と貿易協定の交渉を行うことになる。今後は、残留を訴えたキャメロン首相の進退が焦点となる。残留派の多い北部スコットランドでは、EU離脱を嫌う住民の間で英国からの独立運動が再燃する可能性もある。


<日本人の若者について>
PS(2016年6月23日追加):*9-1、*9-2、*9-3のように、佐賀新聞は若い有権者の選挙に関するメッセージ・ボードを募集・選抜して掲載したが、*9-1は、よいメッセージだと思う。しかし、*9-2の「①介護職を目指して就職活動中で、福祉分野はどこも人手不足」「②就職先は人間関係が良好なところがよく、若者を使い捨てるような『ブラック企業』は論外」「③初めての選挙に周りでも『行かなきゃ』って盛り上がっており、福祉のこととか関心あるけれど、政治家の言葉って、なんか難しい。もっとかみ砕いて説明して」については、「ブラック企業」の定義はあるものの、医療・看護・介護は9時~5時では終わらない仕事であるため、一人前になる前からこのようなことばかり言っている若者にははじめから期待できない。また、①の状況でも、ハングリー精神を持ち勉強して日本に来る有資格者の外国人は多く、そちらの方がよほどレベルが高い。さらに、③については、離乳食ではあるまいし、新聞や私のブログくらいは読んで理解できるようでなければ主権者としておぼつかない。その上、*9-3については、言論の自由が保証されている民主主国家で「剣を持つなら覚悟を」などという状況があってはならず、仮に私に向かってこれを書いたとすれば、このように女性を過小評価している環境の中で私は男性の3倍の努力をして地位を獲得してきたので、君のようにチヤホヤされて甘ったれたガキには想像もできないくらいシビアなのだと言わざるを得ない。そして、佐賀新聞も女性を過小評価する偏見を持っており、選択が悪い。


  *9-1    *9-2  *9-3     外国人労働者    外国人介護士 外国人労働者の推移
                                                   2016.4.3佐賀新聞  
*9-1:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10105/325442
(佐賀新聞 2016年6月22日) 参院選2016 メッセージボード(3)、=さが選挙チャンネル=
 佐賀新聞社は、若い有権者を対象に、選挙に関するメッセージ・ボード=写真参照=を募集します。ツイッターやフェイスブックの佐賀新聞公式アカウントからも配信します。応募は、メール 18senkyo@saga-s.co.jp に写真や動画を添付し、氏名・郵便番号・住所・電話番号を明記してください。締め切りは7月8日24時。

*9-2:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/325994 (佐賀新聞 2016年6月23日) 「若者にも分りやすい政治を!」 冨田梨奈さん(19)、候補者へ(1)=参院選2016=
 介護職を目指して就職活動中です。福祉分野はどこも人手不足。学校に来る求人票も増えていて、遠くは関東からも届きます。就職先は人間関係が良好なところがいいな。若者を使い捨てるような「ブラック企業」は論外。先生たちは注意して選別してくれているみたいだけれど、もっと政治家も対策に乗り出してくれないと。初めての選挙に、周りでも「行かなきゃ」って盛り上がっています。福祉のこととか関心あるけれど、政治家の言葉って、なんか難しい。もっとかみ砕いて説明して。(唐津市相知町 冨田梨奈さん・佐賀女子短大)

*9-3:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10105/326017
(佐賀新聞 2016年6月23日) 2016さが参院選 メッセージボード(4)、=さが選挙チャンネル=
 佐賀新聞社は、若い有権者を対象に、選挙に関するメッセージ・ボード=写真参照=を募集します。ツイッターやフェイスブックの佐賀新聞公式アカウントからも配信します。応募は、メール 18senkyo@saga-s.co.jp に写真や動画を添付し、氏名・郵便番号・住所・電話番号を明記してください。締め切りは7月8日24時。


PS(2016年7月1日追加):「政治家は若者の関心をどうやって高めるの」などと若者が問い掛けているそうだが、*10-2のように、男女平等の普通選挙権は主権者の権利であって義務ではないため、権利放棄するのは自由であり、権利行使したい人は大人と認めて選挙権を与えられたのだから甘ったれることなく、日頃から政治に関心を持ち論点を整理して正確な判断ができるようにしておくべきだ。そのためには、授業の工夫、議員の政治報告会参加、家族や友人との意見交換などいろいろな方法がある。また、政治家は特定の有権者におべっかを使うことなく、公正に振舞うのがあるべき姿だ。しかし、メディアは、(自分たちがわかっていないらしく)①お天気 ②事件 ③スポーツ ④政治家の些細な金銭問題ばかりを放送し、政治課題に関しては行政の意向に沿ったコメントを流しているにすぎない。そのため、有権者が政治に関わる重要な論点を正確に把握することは困難で、*10-1のように、若者に限らず有権者の政治への関心(→投票率)が低くなるのも当然であり、メディアは本当の民主主義を機能させるためのツールであるにもかかわらず、その役割を十分に果たしていないのが最も重要な問題なのである。

*10-1:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/328971
(佐賀新聞 2016年7月1日) 「こんな結果になるなら投票すべきだった」
 18歳から選挙権が与えられ、初めての国政選挙になった参院選。新たな「主権者」として脚光を浴びる若者は問い掛けます。「大人でさえ投票に行かない時代。政治家は若者の関心をどうやって高めるの」。公示前、高校生らが国会議員に直接質問をぶつけたイベントで、淺川きららさん(17)。若者向けの政策の本気度を問います。各陣営や政党は選挙戦であれこれアピールしているようですが、もともと投票率が低い若年層。ある政党関係者は打ち明けます。「10代の票を試行錯誤して取りに行くのは、選挙戦略として非効率」。若者と政治との距離を縮めるせっかくの機会をふいにしないか。依然として打算で語られがちな政治風土が気掛かりです。海の向こうの国民投票では、英国がEUを離脱する結果に。政治への不満が世界経済をも揺るがします。「こんな結果になるなら投票すべきだった」。残留派で、在外投票を見送った佐賀女子短大准教授のジョナサン・モクスンさん(47)は嘆きます。参院選では、こうした悔いが残らないようにしたいもの。(以下略)

*10-2:http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S21/S21KE000.html (日本国憲法)
第十五条  公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。
 2  すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。
 3  公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する。
 4  すべて選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない。選挙人は、その選択に関し
    公的にも私的にも責任を問はれない。

| 民主主義・選挙・その他::2014.12~ | 03:08 PM | comments (x) | trackback (x) |
2016.5.23 舛添都知事を辞めさせることが目的で都民の感情に訴えた報道は、法律的でも論理的でも民主的でもないこと (2016年5月25、26日、6月1、5、7、10、13、14、15、19日に追加)
 私が、2005年12月に決定した第2次男女共同参画基本計画に、例えば「女性はしとやかで謙虚でなければならず、男性は志と勇気が必要」「女性は文学、男性はエンジニア」というような社会的・文化的に形成された性別(ジェンダー)の強制を禁止する項目を盛り込もうとした時、「それは『男女同室宿泊』や『男女同室着替え』のことか」などという驚くような次元の異なる反論が自民党内の男女共同参画部会でも盛んに出た。その時、参議院議員で隣に座っていた舛添さんに、「こういうことは男性から言ってもらった方が説得されやすいので・・」と発言を頼んだところ、ビシッと的を得た発言をして場をリードしていただいた(これは、経歴や女性遍歴などの背景を知って、より納得できた)。そのため、今回は、本人は言いづらく、私の方がよく知っていて言いやすいことについて援護する。

   
  舛添都知事をめぐる金の流れ   政治資金について        家賃は適切か

    
    出張旅費について        公用車について       都知事記者会見のポイント 
                                         (2016.5.14中日新聞)
(1)舛添都知事が行ってきた政策
 この2年の舛添都知事の政策判断は、*1-1の現代ビジネスの2016年5月10日に、①ロンドンと友好都市協定を締結した ②財政出動よりも構造改革、金融改革、財政出動のいずれも必要である ③アベノミクスの原点は金融緩和政策で日銀はマイナス金利まで導入しているが、いくら金融緩和しても企業のガバナンスが改善しなければ成長のための資金は集まらない などが書かれている。

 このうち、①の友好都市協定はないよりあった方がよいに違いない。また、②の財政出動はドイツが言うとおり構造改革・金融改革があった後に必要ならやることで、日本もこれ以上、無駄遣いで借金を積み増せるような状況ではないと私も考える。さらに、③は、企業のガバナンス以前に②の政府のリーダーシップに問題があり、政府の政策に最適化して利益を挙げようとして、企業のガバナンスは変わるものだ。

 また、東京オリンピックにおける東京都の負担額がうなぎ上りに上がりそうだった時に「待った」をかけたのは舛添都知事で、これは都民の代表としては当然の行為だったが、元自民党森派の長で現在は東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の森喜朗会長とは対立したと思われる。 

 さらに、*1-2のように、東京都は、2016年4月8日、電力小売り事業に参入すると発表し、福岡県みやま市などでつくる電力会社「みやまスマートエネルギー」が、技術やノウハウ面で協力することになった。電力自由化が行われても、再生可能エネルギーのみを使って電力を供給する事業者は少ないので、埼玉県など他県でもやって欲しいところだが、これには舛添都知事の判断があったらしい。舛添都知事は、「今回の取り組みでノウハウを蓄積し、再生エネ由来の電気を供給する事業者を育てていきたい」としているが、これは既得権益のある大手電力会社にとっては都合の悪い意思決定だっただろう。

 従って、全体としての舛添都知事の政策は、日本政府より的確だったものが多いが、政府要人を多く出している旧森派や既得権益を持つ企業・省庁にとっては邪魔だったと考えられる。

(2)メディアは人格批判に終始し、嘘や妬み、不法行為でないことへの法律の拡大解釈が多い
 5月11日発売の週刊文春が報じたのが発端で、*2のように、舛添都知事の資金管理団体「グローバルネットワーク研究会(既解散)」が「会議費」名目で千葉県内のホテルに支出した約37万円が家族旅行に充てられ、政治資金規正法違反(虚偽記載)の“疑い”があると、新聞・テレビは、舛添都知事の政策実行に関する報道に費やした時間とは比較にならない時間を費やして、このことばかりを報道した。

 しかし、私は、都知事としての判断力や実行力を問題にするのではなく、「税金から支出」などとする誤りを含む疑いの段階で公職選挙法違反として派手にしつこく報道して、人格攻撃で引きずりおろそうするのは、都知事を選挙で選んだ有権者を馬鹿にしており、本当の民主主義になっていないと考える。

 また、メディアの記者の質問や番組でのコメントを聞くと、*3-1、*3-2のように、政策や法律・経済には全く触れず、ただ辞任させることのみが目的の結果ありきの低レベルの質問を繰り返しているため、政治的意図がありありとわかり、国民の方が報道の適切性を見抜けるほど賢くならなければならない。

1)出張費について
 最初、報道で、上の写真のように、舛添都知事が海外出張の際にファーストクラスを使ったことが大名旅行として批判されたが、ファーストクラスは外交官が普通に乗っており、サラリーマンが海外出張にビジネスクラスを使うからといって、東京都知事もビジネスクラスを使わなければならない理由はない。つまり、批判の内容が自分と異なるクラスを使っていたというものだが、東京都知事は、そのスケジュールの厳しさや責任の重さから見てサラリーマンクラスではなく外交官クラスだ。ただし、都の職員は、サラリーマンの海外出張であるため、ビジネスクラスを使うのが適切だろう。

 なお、米国では、会社の社長クラスは自家用機を普通に持っており、日本でもトヨタの社長は自家用機を持っておられる。つまり、「時と体力は金なり」という人もいるのであり、すべての人が同じでなければならない理由はない。

2)公用車の使用について
 「公用車での毎週末の別荘通い」というのは、別荘を持っていることが贅沢に見えたのかもしれないが、私は、都内の本宅に本を置ききれずに湯河原に別荘を買って書庫を作り、そこに本を置いている弁護士さんを知っているため、舛添都知事が別荘を持っているからといって、特に贅沢とは思わなかった。

 また、「公用車で別荘に行く」のが公私混同だと思う人もいるかもしれないが、(長いものに巻かれずに)本物の改革をやればいつでも身の危険があるため、SPをつけて公用車で動くのは正当な注意だ。そのため、舛添都知事が毎週末に公用車で別荘に通ったことは公私混同ではなく、都も禁止していない。

3)後援会の収支報告について
 上の図のように、問題となっている舛添都知事の資金管理団体である「グローバルネットワーク研究会」は、2014 年2月の都知事選のために設立された後援会であって政党支部ではない。そして、新党改革本部から舛添氏の参議院比例区第四支部に2014年1月に政党交付金600万円が払い込まれ、そのうち526万円が2014年1月中にグローバルネットワーク研究会に寄付され、新党改革比例区第四支部は同1月末に解散されており、新党改革比例区第四支部の収支報告書は監査済である。そして、参議院比例区第四支部からグローバルネットワーク研究会に寄付する行為は適法であって問題なく、526万円程度の寄付金は3,000万人都市の東京都知事選では、印刷代くらいで終わったと考えられる。

 なお、政党交付金は税金で賄われているため、政治活動に入らないような私的な費用に充当されれば国民は苦情を言う権利があるが、後援会であるグローバルネットワーク研究会には、このほかにも多額の寄付があったらしく、2014年7月の解散時にも4,960万円が残っており、それを新しい後援会である秦山会に寄付してから解散している。政党交付金以外の寄付は、政党支部ではないグローバルネットワーク研究会には個人が行ったものしかなく、それは寄付する個人の所得からなされたものであって、税金から支出されたものではない。

 ただ、政治家個人の後援会への寄付であっても、政党等寄附金特別控除を受けられるので、寄付金控除をとった人はその分だけ税金を負けてもらっている。しかし、寄付金控除をとるためにはグローバルネットワーク研究会が総務大臣もしくは都道府県選挙管理委員会の確認印のある「寄附金(税額)控除のための書類」を発行して、それを添付する必要があるため多くの人がそれを利用したわけではないと思われる(https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1260.htm 参照)。

 つまり、「グローバルネットワーク研究会」が支出した費用の殆どは、税金から支出されたのではなく、舛添都知事誕生を支持した人の懐から出たものである。そして、グローバルネットワーク研究会の解散時にどうすべきかについては特に規則はないため、代表者が決めることができるのだ。

 そのグローバルネットワーク研究会が「会議費」として千葉県内のホテルに支出した約37万円が家族旅行に充てられており、政治資金規正法違反(虚偽記載)の疑いがあると2016年5月11日発売の週刊文春が報じたそうだが、選挙は妻や子も巻き込むため、家族旅行を会議費として事前の打ち合わせや御苦労会をしたとしてもわからなくはない。ちなみに、私は家族に事前の打ち合わせも御苦労会もしないため母から文句を言われていたし、国会議員になって嫁の来手がなくなったとぼやいている人もいた。

4)公職選挙法違反か
 家族旅行は、私的なものであるため税引後所得から行うべきとするのが日本では一般的で、私も基本的にはそう思っている。そして、弁護士である夫の所得税確定申告を税理士である妻が請け負った手数料を弁護士の夫が損金処理したケースでは、夫婦はいかなる場合でも同一世帯だとして税理士である妻の手数料受領と夫の損金算入を否認した判例があるが、私は妻の仕事は無償とする判例は時代にそぐわないと考える。

 何故なら、妻も仕事をする機会を持っているため、他の仕事をせずに夫の仕事を手伝った場合は、夫から何らかの報酬があってしかるべきであり、個人事業主の青色専従者のような制度が政治家の妻にあってもよく、上記の税理士である妻への税務申告手数料は損金算入が認められてよいと思うのだ。

 そして、家族旅行を会議費として処理したのが虚偽記載で公職選挙法違反かと言えば、その旅行でどういう話をしたかによる。もちろん、人の疑いを買うような灰色の行動はしない方がよいが、法律に禁止規定がないため法律違反ではないだろう。

 なお、「資料代」の名目で美術品を購入していたというのは、私は感心しないが、グローバルネットワーク研究会の支出の仕方については、寄付した人が文句を言わなければよいのであって、支出内容や解散時の残余財産処理に関する法律の定めがないため、違法行為にならない。なお、美術品ではなく美術書だとする記事もあるが、それならば東京都のために文化について研究していたとも考えられるので、「資料代」でよい可能性がある。

5)家賃について
 上の図では、税金が舛添氏個人宅の家賃に流れたように書いてあるが、グローバルネットワーク研究会については税金ではなく個人の寄付金を自宅事務所の家賃に充てたものである。そのため、家賃としての価格の適正性は問われるが、税金を横流ししているものではない。なお、新党改革比例区第四支部時代にも同額の家賃を支払っており、こちらは監査を通っているのだから価格の適正性もあるのだろう。

6)婚外子がいるのは不当か
 「週刊ポストの2014年1月24日号に、*4-1のように、結婚3回、離婚2回で子供2人に愛人の子3人で、凄すぎる『女』と『カネ』、現在『隠し子、養育費裁判』係争中」などとプライバシーが曝露されているが、1986年に再婚した相手である片山さつき氏は東大助教授だった舛添氏と見合い結婚し、離婚後に「愛のない結婚で、舛添さんと結婚したことがそもそも間違いだった」と述べておられる。しかし、私は、愛のない結婚の被害者は両方であって片方ではないと思う。

 また、愛人のA子さん、B子さんも、他に選択肢はあったにもかかわらず、相手に妻がいることを承知の上で未婚の母になったのであり、私自身は相手の妻や自分の子のことを考えれば未婚の母になるのは問題だと思うが、近年は少子化を口実にそれを推奨する人もいるわけだ。

 そのような中、バラエティー番組などでこのことを笑っている人たちも、芸能関係の人がついたり離れたりして両親を誇れない悲しい子どもが大量生産されているのを批判したことはないため、政治家へのヘイトスピーチと政治家の汚さをアピールするために批判しているにすぎず、民主主義に関する深い考察や首尾一貫した考えのないことは明らかである。

(3)「表現の自由」をかざしたメディアが、本来の目的である民主主義を護る表現はしていないこと
 私が(1)(2)で書いたことは、*4-2でまとまった記事になっており、舛添都知事が辞任して橋下氏が都知事選に出馬すれば首相にとって一石三鳥の戦略だとされている。そのため、少なからぬ人が舛添都知事の辞任を待っていることは確かだろうが、その根拠は、正しく報道された民主主義の結果ではない。

 なお、舛添都知事の辞任後、大阪から大阪府知事だった橋下氏を立候補させなければならないほど、東京は人材不足ではない。

 また、政治は、人格攻撃による電撃辞任や電撃解散、W選挙やトリプル選挙によってもてあそばれるべきものではない。何故なら、それでは、国民が一つ一つの政策について冷静に選択することができなくなる上、優秀な人は馬鹿らしくて政治家にならなくなるからで、そうなることを望んでいる人は誰だろうか。そして、知事も、よい政策を選択する判断力と実行力を持つことが必要条件であることは言うまでもない。

(4)今後、やるべきこと
 国会議員に「政治とカネ」の問題が浮上する度に、政治資金規正法は改正を重ねて、*3-3のように、2007年12月、国会議員に関する政治団体は1万円以上の支出に関する領収書を公開することとなり、登録政治資金監査人(登録を受けた弁護士、公認会計士、税理士)による政治資金監査も義務づけられた(政治資金規正法第19条の13第1項)。

 しかし、国会議員以外の政治家は5万円以上の支出に関する領収書を公開すればよく、*4-3のように、政治資金監査が義務付けられたのは国会議員関係の政治団体のみであり、その他の政治家には義務付けられていない。そのため、その他の政治家は監査人の指導やチェックを受けることもなく、素人が適当に会計処理しているというのが現状である。

 また、政治資金監査は、①会計帳簿、領収書等が保存されていること ②会計帳簿にその年の支出状況が記載され、会計責任者が会計帳簿を備えていること ③収支報告書は、会計帳簿及び領収書等に基づいて支出の状況が表示されていること ④領収書等を徴し難かった支出の明細書等は、会計帳簿に基づいて記載されていること の4点のみについて行われ、監査人はそれに関する意見表明しかしない。

 監査人は、単式簿記による会計と政治資金規正法からは、この程度のことしか証明できないのだろうが、これでは、監査を受けて適法意見が表明されても政治資金管理団体の会計責任者や代表者は十分に保護されない上、利害関係者(納税者、寄付者)にとっても透明ではない。

 そのため、今後は、すべての政治家の政治資金管理団体の会計を民間企業と同じ複式簿記によるものとし、フル規格の監査で適法意見を表明するように、政治資金規正法を改正するのがよいと考える。

<舛添都知事の政策>
*1-1:http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48618
(現代ビジネス 2016.5.10) 友好都市の先進事例から学ぶこと
 海外出張経費については、批判の声に謙虚に耳を傾け、目下、無駄の削減について検討中であるが、一方で、テロ対策をはじめ多くの分野で成果が上がっていることもまた記しておきたい。昨年、ロンドンのボリス・ジョンソン市長と東京都知事の私は、両都市の友好都市協定を締結したが、それ以来、協力関係のさらなる強化を図っている。この10日には、2012年にロンドンで開かれたオリンピック・パラリンピック大会の警備を担当した元ロンドン警視庁の副総監を都庁にお迎えし、テロ対策についてアドバイスを頂く。スコットランドヤードとの会談の後、警視庁のテロ訓練の現場を視察し、日々精励している警察官を激励する予定である。とくに、羽田の東京国際空港ターミナルにおいては、様々なケースを想定した訓練を行いたいと考えている。26,27日には主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)が開かれるが、東京でも厳戒態勢を敷く。2005年にイギリスのスコットランドで開かれたグレンイーグルズサミットの最中の7月7日、ロンドンで公共交通機関を標的にした同時爆破テロ事件が発生している。サミット開催国の首都である東京もまたテロと無縁ではない。ロンドンの経験に学ぶことは多い。ロンドンでは、ジョンソン市長が、兼任している国会議員職に専念するため任期満了で市長を退任したのを受け、5日に市長選挙が行われた。その結果、最大野党である労働党の下院議員、サディク・カーン氏(45歳)が、与党保守党下院議員のザック・ゴールドスミス氏(41歳)を破って当選した。欧米主要都市で初のイスラム教徒の市長である。イスラム国などによるテロが頻発し、反イスラム感情が高まる中での、今回のカーン氏の勝利は、イギリスの民主主義の成熟度を示す証左でもある。最近、ロンドンでは住宅価格の高騰が続いており、若い世代がマイホームを持つのは不可能な状況である。この問題などを争点化したこともカーン氏がロンドン市民の支持を受けた理由である。その住宅価格の高騰は、とくに海外からの投資によるところが大きい。東京の研究機関によるランキングで世界一の座を占めるだけに、ロンドンは魅力にあふれており、その不動産は格好の投資対象となっている。二位のニューヨーク、三位のパリもまた同様な状況であるが、東京はまだその段階に達していない。だから四位の座に甘んじているのである。これらの都市を訪ね、市長と会談を重ね、活気ある都市作りを視察することは、東京にとっても大いに参考になる。先月訪問したアメリカでは、ニューヨーク、ワシントンDCで、公的住宅のあり方について議論することができた。住宅こそは都市の活気の源であり、今後とも友好都市の先進事例から学びたいと思っている。
●コーポレイト・ガバナンスの改善は東京から
安倍総理は、伊勢志摩サミットの準備のため、議長国首相として欧州諸国を歴訪した。最大の課題は経済政策の調整であるが、安倍首相が積極的に進めようとする財政出動に対して、フランスとイタリアは賛成の姿勢を示したが、ドイツとイギリスはあまり積極的ではない。ドイツのメルケル首相は、「構造改革、金融政策、財政出動の三つとも必要だ」と主張している。安倍首相にとっては、消費税増税を予定通りに行うか否かを判断する材料ともなるだけに、この問題は政治的に微妙である。しかし、経済そのものを見ても、アベノミクスを成功させるためには、さらなる大胆な政策の展開が必要である。メルケル首相が言うように、構造改革、金融改革、財政出動のいずれも必要であるが、とくに日本の場合、経済のグローバル化が進行する中で、企業のコーポレイト・ガバナンスの改善が不可欠である。最近、家電業界など日本企業が外国企業に買収されるケースが話題になることが多いが、それは日本企業のガバナンスに問題があるからである。アベノミクスの原点はベースマネーを増やすという金融緩和政策である。日銀は、マイナス金利まで導入している。しかし、いくら金融緩和をしても、企業のガバナンスが改善しなければ、成長のための資金は集まらない。会社法改正によって、企業のガバナンスを改善する法的仕組みは整っている。たとえば、ライツ・イッシュー(株主割当増資)を使いやすくすることが、企業の増資の選択肢を拡大させる。それは、ダイリュージョン(一株利益の希薄化)を招かずに既存株主の利益を守ることができるからである。企業のコーポレイト・ガバナンスの改善は、まずは東京の企業から始めてもらいたい。そのために、行政ができる支援は躊躇しないし、国際金融センターなどの整備もまた、日本企業の国際競争力を増すことにつながる。先月訪問したニューヨークでは、ウォール街でこの問題について講演し、またNY証券取引所とは協力関係を強化していくことで合意した。官民あげて、成長戦略を前進させるしか日本経済再生の道はない。東京都は、国や他の自治体に先駆けて、日本経済復活への道を歩む決意である。

*1-2:http://qbiz.jp/article/84490/1/
(西日本新聞 2016年4月9日) みやま市が東京都に技術協力 再生エネルギーモデル事業
 東京都は8日、電力小売り事業に参入すると発表した。福岡県みやま市などでつくる電力会社「みやまスマートエネルギー」が、技術やノウハウ面で協力する。都の公益財団法人「東京都環境公社」を通じて、7月から都内の公共施設2カ所への電力供給を始める。都は都内の電力消費量に占める再生可能エネルギーの割合を2030年までに30%程度に高める目標を掲げているが、再生エネのみを使って電力を供給する事業者が都内には少ないのが現状。都がモデル事業として小売りに乗り出すことで、再生エネの利用拡大を図る。公社は今回、バイオマスや太陽光に由来する再生エネの電力を宮城県と都内の2事業者から調達する。みやま社は、昨年11月から公共施設などに電力を供給してきたノウハウや技術を提供。電力の需給調整のほか、再生エネ由来の電力の共同調達などで公社と連携する。公社が調達した電力をみやま市に融通する計画もある。みやま社は業務を受託することで、事業規模の拡大を図る。「電力の地産地消」を掲げるみやま社は、10月にも新電力会社の設立を目指す鹿児島県肝付町なども支援。さらに、九州大と共同で電力小売り事業に参入する自治体向けのソフトウエアの開発を始めており、今後も全国の市町村との連携を広げていく考えだ。この日、記者会見した舛添要一都知事は「今回の取り組みでノウハウを蓄積し、再生エネ由来の電気を供給する事業者を育てていきたい」と述べた。

<人格批判に終始するメディア>
*2:http://digital.asahi.com/articles/ASJ5C3TP6J5CUTIL00X.html
(朝日新聞 2016年5月11日) 会議費で家族旅行と報道 舛添知事「調査指示した」
 東京都の舛添要一知事の資金管理団体「グローバルネットワーク研究会」(解散)が「会議費」名目で千葉県内のホテルに支出した約37万円が、家族旅行に充てられ政治資金規正法違反(虚偽記載)の疑いがあると11日発売の週刊文春が報じた。舛添氏は同日午前、報道陣に対し「事務所に、調べるように指示した。精査が終わればコメントしたい」と述べた。同研究会の政治資金収支報告書によると、研究会は千葉県木更津市の「龍宮城スパホテル三日月」に2013年1月3日に約23万8千円、14年1月2日に約13万3千円を支払っており、支出目的はともに「会議費用」となっている。週刊文春は会議ではなく家族旅行だったとする関係者の証言を紹介し、政治資金規正法違反(虚偽記載)の疑いがあると指摘した。舛添氏は報道陣から自身の記憶ではどうかと問われたが、「不正確なことは言いたくない」と話した。

<法律違反より批判のための批判>
*3-1:http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG20H62_Q6A520C1000000/?n_cid=NMAIL002 (日経新聞 2016/5/20) 舛添都知事、支出問題は弁護士に調査依頼 辞任は否定
 東京都の舛添要一知事は20日の定例記者会見で、政治資金の一部を私的な支出に充てていた問題について、第三者の弁護士に支出が適切だったかどうかの調査を委ねる考えを示した。舛添知事は「公正な目で見てもらう必要がある。第三者にしっかり調査してもらい、改めるところを改めたい」と述べた。調査期間については「できるだけ早くしたい」と述べた。また、自身の進退については「全力を挙げていい仕事をしたい。都民のために尽くしたい」として、辞任を否定した。舛添知事をめぐっては、自身が代表を務める政治団体の政治資金収支報告書の記載に、「資料代」の名目で美術品を購入していたり、「会議費」としたものが家族との旅行が含まれていたりするなど、相次ぎ問題が指摘されていた。

*3-2:http://mainichi.jp/articles/20160521/k00/00m/040/057000c
(毎日新聞 2016年5月20日) 2時間16分間繰り返す「第三者に…」60回以上
 東京都の舛添要一知事は20日の定例記者会見で、政治資金の私的流用を相次いで指摘されていることについて「政治資金規正法に精通した複数の弁護士に(政治資金収支報告書などの)調査を依頼する」と表明した。「第三者に厳しい目で調査いただく」と繰り返すこと60回以上。舛添氏が17日に「20日の定例記者会見で答えたい」と自ら宣言して迎えた2度目の「釈明会見」は2時間16分に及んだが、政治資金の使途などの説明は全て先送りされた。「説明責任は果たした」と強弁した会見から1週間。噴出する「疑惑」を追及された舛添氏は疲れた表情を見せ、口調も弱々しかった。会見場には約170人の報道陣が集まった。薄いグレーのスーツに紫色のネクタイを締めた舛添氏は冒頭の2分間、東京都内の劇場不足対策を説明した。都庁関係者は「文化行政に関心の高い知事が、自ら説明したいと望んだ」と明かす。対策に関する質問が出ないのを見て、舛添氏は手元の資料をそろえると「政治資金についてご心配、ご迷惑をおかけしていることを心から深くおわび申し上げます」と、深々と頭を下げた。その後も「厳しいご指摘をいただいている」「疑念を持たれて恥ずかしい」「真摯(しんし)に反省し改善したい」と述べ、頭を15回下げて反省を強調した。ところが、不透明な政治資金の使途に関する問いには全て口をつぐみ、「政治資金に精通する弁護士に調査をお願いする」「第三者の公正な目で見ていただく」と繰り返した。公用車の使用や一部を政治資金で購入した美術品の保管場所など政治資金以外の問題についても、第三者に調査を委ねるとして説明を拒んだ。恣意(しい)的な公私混同との指摘には「そういう意図はない」と否定したが、政治団体の会計責任者に個人の会計も託した理由を尋ねられても「反省している」「(会計責任者に)精査してもらうため」「システムとしてそうしていた」と言うばかり。市民団体が東京地検に政治資金規正法違反容疑などで舛添氏と会計責任者だった男性の告発状を送付したことに関しては「当局から捜査に協力を求められれば真摯に対応する」と述べた。批判がやまない状況に「私は信頼を失っている」と認め、信頼回復の道筋を問われると「都民のために仕事をしたい」と視線を落としながら答えた。

*3-3:http://mainichi.jp/articles/20160521/ddm/003/010/030000c
(毎日新聞 2016年5月21日) 舛添氏資金問題 疑惑説明は全て先送り 強気の背景に法の不備
 政治資金の不透明な支出などを指摘されている東京都の舛添要一知事は20日の定例記者会見で、第三者に調査を委ねる方針を示す代わりに、具体的な疑問に対する説明を一切拒み、辞職の意思がないことも重ねて強調した。問題の背景には政治資金を巡る制度の不備がある。説明を尽くそうとしない同日の会見を見て、知事選で舛添氏を支援した自民、公明両党からも厳しい声が出始めた。「全力で都民のために仕事をしたい」。舛添氏は20日の会見で謝罪しつつ、知事続投の意思を強調した。さまざまな疑惑が浮かびながらも、こうした強気の姿勢を見せる背景には、今回の政治資金の問題が違法性を問いにくい「支出」に関するものという点がある。国会議員に「政治とカネ」の問題が浮上する度に政治資金規正法は改正を重ねている。ただ、規制の大半は、企業などからの不正献金を防ぐための「収入」についてのことだ。2005年10月の改正では、政治団体間の献金に年間5000万円の上限が設けられた。07年1月以降、松岡利勝農相(当時)ら自民党の閣僚に事務所費の不正支出疑惑が相次いで発覚した。同年2月には民主党の小沢一郎代表(同)の資金管理団体が政治資金で10億円相当の不動産を取得していたことが明るみに出た。これらを機に同年12月、国会議員に関係する政治団体は原則全ての支出の領収書を公開することや不動産取得を一部制限することを柱とした改正法が成立した。支出の中身を「全面公開」させ政治家に「自主規制」を促すのが狙いだった。しかし、その後も政治資金の支出を巡る問題は続く。10年6月、民主党政権の荒井聡国家戦略担当相(同)の政治団体が少女コミックや音楽CD、キャミソールなどの購入費を支出したことが発覚した。自民党政権でも小渕優子経済産業相(同)の資金管理団体が、ベビー用品やブランド衣料品などを購入したことが14年10月に問題となった。政治資金制度に詳しい岩井奉信・日本大教授(政治学)は「使途に規制がないため、問題となった政治家も『運が悪かった』と思うだけ」と指摘する。実際に07年の事務所費問題の後、支出の問題だけで閣僚辞任や議員辞職に至ったケースはなく、議員が謝罪し費用を返して幕引きしている。舛添氏が政治資金から千葉県木更津市のホテル宿泊費を支出した問題などで、市民団体が政治資金規正法違反(虚偽記載)容疑などでの告発状を出した。岩井教授は「本人が『会議を開いた』と言えば罪に問うのは難しい」とみる。その上で「適法なら問題ないということではなく、問われているのは政治活動としての支出の妥当性。舛添氏は説明を尽くし都民との認識のずれを埋める努力をすべきだ」と批判する。一方、税金が原資の政党交付金を巡っても抜け道がある。舛添氏が代表を務める政党支部「新党改革比例区第4支部」は都知事選出馬を控えた14年1月末、支部解散直前に429万円余の政党交付金を舛添氏の別の政治団体に寄付した。政党解党時の政治資金を巡っては自由党党首だった小沢氏が03年9月、解党直前に政党交付金を含む13億円余を自身が管理する政治団体に資金移動していたことが問題となった。政党助成法は政治団体解散後の交付金の残金について「総務相が国庫に返納させることができる」と定めるものの、解散直前の資金移動は対象にならない。小沢氏の政治団体も返金していない。規正法の支出の公表基準は、国会議員と知事の資金管理団体で異なる。舛添氏の場合、参院議員時代は1万円超の支出は全て報告書への記載義務があり、請求されれば領収書を全て開示しなければならなかったが、知事の場合、公開の対象になるのは5万円以上の支出のみ。仮に私的な飲食などに政治資金を支出しても、5万円未満であれば支出の検証は困難になる。
●自公も厳しい姿勢
 20日の舛添氏の会見を受けた与野党の反応は、1週間前の会見の時よりも厳しさを増している。舛添氏を巡るさまざまな問題が発覚した後も静観の構えを続けてきた都議会自民党の幹部は「(記者の質問に)あまり答えていなかったように見受けられた。第三者に調査してもらうと言っていたが、党としては6月の議会で『追及するものは追及する』という立場を取ると思う」と述べた。これまで議会で追及することはないとしてきた都議会公明党の幹部も「所信表明でどう説明するかが全てだ」と厳しい姿勢を見せた。臨時議会の開催を求めている共産党都議団は「(地方自治法に基づく)百条委員会の設置をはじめ、都議会として全容を解明するために全力を尽くす」とし、都議会民進党(旧民主系)の幹部は「本会議で追及せざるを得ない」と冷ややかに語った。国政レベルでも「説明不足」という指摘が相次いでいる。公明党の井上義久幹事長は20日の記者会見で「説明責任を果たしていただきたい」と注文を付けた。与党幹部は「このような質疑応答が毎週の会見や都議会で続けば、都政が滞る」と懸念を示した。ただ、与党は前回の都知事選で舛添氏を支えただけに、表立って進退を問う声は出ていない。自民党の谷垣禎一幹事長は17日の会見で「猛省が必要だ」と苦言を呈するにとどめた。舛添氏が辞職し出直し知事選になれば「自民党に次の知事候補が見当たらない」(同党幹部)という事情もある。これに対し共産党の志位和夫委員長は20日、「都民の不信は非常に強くなっている。都議会でも徹底的な真相究明をやっていきたい」と追及する姿勢を示した。その上で「説明できないなら、(知事の)資格に関わるのは当然だ」と断言した。民進党の岡田克也代表は20日の会見で「舛添氏を評価してきた私からみると、がっかりすることが続いている」と述べた。

<政治>
*4-1:http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q13120650713 (「週刊ポスト2014年1月24日号) 舛添要一の凄すぎる「女」と「カネ」、結婚3回、離婚2回、子供2人に愛人の子3人、現在「隠し子、養育費裁判」係争中』
 首都の顔を決める都知事選挙。有力候補の一人と見られているのが無所属での出馬を表明した舛添要一・元厚労相(65)だ。実は舛添氏、類い稀な男性的魅力を持っているようで、「永田町イチの艶福家」として知られているのだ。舛添氏の最初の結婚は1978年、相手はフランス人女性だった。出会いは、舛添氏が東大法学部政治学科を卒業後、パリ大学研究所やジュネーブ高等国際問題研究所の研究員を歴任したヨーロッパ留学中のことだった。帰国後の1979年、舛添氏は31歳の若さで東大教養学部の助教授に就任。だが、プライベートも順風満帆とはいかず、1981年に破局を迎えている。
1986年に再婚した相手はというと、いまや政治家として全国区の知名度がある片山さつき・参院議員だ。片山氏は大蔵省(現・財務省)入省後、フランス国立行政学院に留学。帰国後の27歳の時、東大助教授の舛添氏とお見合い結婚した。結婚当時は“ミス大蔵省”との呼び声も高く、後に女性初の主計官も務めた。そんな片山氏は結婚生活について、最近のインタビューでこう振り返っている。
<舛添さんと結婚したことがそもそも間違いであったと思います。愛のない結婚をしてはいけないということ。私の人生における大変大きな間違いだった>(『婦人公論』2013年2月22日号)
そう振り返る結婚生活はわずか2年3か月で終わりを告げる。離婚の理由を片山氏はこう打ち明けている。
<慌しく始まった結婚生活でしたが、「平穏」だったのは最初の数週間だけ。「遅く帰ってきやがって!」突然、彼は怒鳴り始めたんです>(『週刊新潮』2010年5月6・13日号)
一旦怒り始めると、舛添氏は怒鳴る、手当たり次第にモノを投げつける、そして、ある時にはいくつものサバイバルナイフを片山氏の目の前にズラーッと並べたこともあったという。
<彼は、ナイフの収集が趣味だったんです。しかも、そのうちの一つの刃先を私に向けたことまであります。(中略)結局、結婚から3か月ほどで、弁護士に離婚を相談しました。すると、弁護士の調査で彼には愛人が、そして彼女が妊娠中であることも分かった>(同前)
その「妊娠中の愛人」を仮にA子さんとしよう。A子さんが東大の学生だった時、舛添氏が指導教官という立場で知り合った。すぐに「もう妻(片山氏)とは別れるから」と舛添氏がA子さんに猛アプローチ。押されるまま付き合い始めたA子さんは1988年、男児を出産した。A子さんの知人が当時の状況を振り返る。「A子さんの存在を知って激怒した片山さんが、バッグに包丁を忍ばせてA子さんと舛添氏がいた部屋に怒鳴り込んできたことがありました。真っ先に部屋を飛び出した舛添氏が逃げ込んだ先は、もうひとりの愛人B子さんの部屋だったそうです」。A子さんの子供を舛添氏が認知したのは1990年。認知するまでの2年間に、B子さんが女児を出産、さらに同時期に他に2人の女性とも交際していたことがわかったという。目まぐるしい女性遍歴の末、舛添氏が15歳年下の現在の夫人である雅美さんと再々婚したのは1996年だ。なお、その前年にB子さんは2人目の女児を出産した。もちろん父親は舛添氏。その後、雅美夫人との間には、2000年に長女、2003年に長男が生まれている。振り返ると、結婚は3回、離婚は2回。2人の愛人が産んで認知した子3人と、雅美夫人との間の子2人を合わせると、舛添氏には計5人の子供がいることになる。

*4-2:http://news.livedoor.com/article/detail/11531554/ (NEWSポストセブン、週刊ポスト2016年5月27日号 2016年5月17日)橋下徹氏が都知事選出馬なら首相にとって一石三鳥の戦略
 舛添要一・東京都知事が絶体絶命のピンチに立たされている。公用車での毎週末の別荘通いや税金を使った海外出張時の大名旅行ぶりへの批判に加え、政治資金で家族旅行をしていたのではといった疑惑が次々発覚、釈明はしたものの都民の不信感は高まるばかりだ。ここに来て都議会自民党関係者からは、6月1日辞任、7月10日に都知事選挙と参議院選挙をWで行なうといった憶測も急浮上してきた。都議会自民党の背後には当然官邸の思惑がある。官邸の思惑通りに舛添電撃辞任によって参院選と都知事選のW選挙となった場合、焦点は新たな「東京五輪の顔」となる都知事候補が誰になるのかだろう。自民党都議の1人は、「知事を辞任させるべきだという声は強いが、ネックは有力な後任が見当たらないこと。都連は参院選の東京選挙区に2人候補を擁立する方針だが、乙武洋匡氏がスキャンダルで出馬断念した後、参院でも2人目の候補がいまだに見つからないというのが実情。ましてや都知事候補となると高い知名度がいる。候補が決まりさえすれば一気に選挙戦に動くことができるのだが」と語る。自民党内の人材難は、前回都知事選で党を除名されていた舛添氏を担がざるを得なかったことが証明している。そこでウルトラCの候補として浮上しているのが「無役」となったあの人だ。政治ジャーナリストの角谷浩一氏はこう見る。「舛添氏を降ろして出直し都知事選となれば、短期決戦だから、有権者にとって顔と名前が一致する知名度の高い候補でなければ勝負にならない。その意味で、大阪府知事と大阪市長を経験し、首長としての経験十分な橋下徹氏の名前が官邸周辺で囁かれています」。橋下氏は「政界を引退する」と大阪市長を退任した後、『おおさか維新の会』には正式に参加せずに現在は弁護士業とテレビ・コメンテーター業を務めているが、安倍官邸、特に菅義偉官房長官との太いパイプを持つことで知られる。そもそも菅氏は橋下氏に政界入りを説得した人物で、橋下氏も引退会見で菅氏を「とんでもない政治家だ」と手放しで絶賛するなど、いまだに強い信頼関係がある。もし、橋下氏が無所属で都知事選に出馬し、安倍政権と自民党が全面支援すれば、知名度からいっても野党側が対抗できる候補を擁立するのは難しいだろう。政治評論家の浅川博忠氏もこう語る。「現在の安倍政権は外交・防衛に力を入れ、世論が求めている社会保障や景気回復がおろそかになっている。アベノミクスの限界も見えてきた。そういう状況の中で参院選と都知事選のダブル選挙になった場合、大都市圏は革新が強い傾向があるため、通常であれば野党にアドバンテージがあると考えられます。ただし、安倍政権が橋下氏を擁立できれば風向きはガラリと与党有利に変わる可能性が高い。橋下氏にはそれだけのインパクトがある。橋下氏の出馬が前提なら、安倍政権にとって都知事選とのダブルは切り札的になるでしょう」。安倍首相は参院選で公明党、おおさか維新などを合わせた改憲推進勢力で3分の2の議席確保を目指している。橋下氏自身は参院選出馬に否定的だが、都知事選に出馬すれば、相乗効果でおおさか維新の参院選での議席の上積みも見込める。首相にとっては参院選のテコ入れと都知事選勝利、改憲勢力の拡大というまさに一石三鳥の戦略だ。橋下氏も憲法改正について「今度の参院選がワン・チャンスだと思っている。泣いても笑っても、ここを逃せば、10年、20年と憲法改正の機会は遠のく」と語るなど首相と同じ考えだ。

*4-3:http://www.soumu.go.jp/senkyo/seiji_s/todokede/answer05.html#q5_4
Q.登録政治資金監査人による政治資金監査制度の概要について教えてください。
A.
I.国会議員関係政治団体(国会議員関係政治団体であった政治団体も含みます。ただし、収支報告書に記載すべき収入・支出がなかった場合はこの限りではありません。)の会計責任者は、平成21年分から、収支報告書を提出するときには、あらかじめ、当団体の支出について、政治資金適正化委員会が行う研修を修了した登録政治資金監査人(同委員会の登録を受けた弁護士、公認会計士、税理士)による政治資金監査を受けることとされています(法第19条の13第1項)。
II.政治資金監査は、
 i.会計帳簿、領収書等が保存されていること
 ii.会計帳簿にその年の支出状況が記載されており、かつ、会計責任者が会計帳簿を備えていること
 iii.収支報告書は、会計帳簿及び領収書等に基づいて支出の状況が表示されていること
 iv.領収書等を徴し難かった支出の明細書等は、会計帳簿に基づいて記載されていること
の4点について政治資金適正化委員会の定める具体的な指針に基づいて行うこととされています。
III.また、国会議員関係政治団体の会計責任者が収支報告書を提出するときには、政治資金監査の結果作成される政治資金監査報告書を併せて提出することとされています(法第19条の14)。


PS(2016年5月25日追加):公私混同はいけないが、過去の田中角栄氏などの事件と比べて金額が桁違いに小さく、政策を左右するような大きな賄賂はないことがわかる。また、政治資金規正法に使途の規定がない以上、罪刑法定主義の民主国家で突然逮捕されることがあってはならず(法律に規定もないのに、その時の都合で逮捕される方がよほど悪い国である)、政治資金規正法を改正して公私混同がなくなるよう使途の範囲を決めたとしても過去に遡って遡及されることはない。そのような中、*5のように、都議団幹部は、「問題は『知事の資質』で、違法かどうかは主眼ではない」と話したそうだが、単なる標的への攻撃ではなく問題の本質を明らかにして解決に導くつもりがあるのなら、①知事・議員の資質の判断基準は何か ②都議はじめ他の議員はこういうことを全くしていないのか についても議論し検証すべきだ。(*ちなみに、私も、いい加減な会計処理をしたことは全くないのに、変な含み笑いをされたり、いちゃもんをつけられたりして、言っている人のレベルの低さに呆れつつムカーッとしたことがある)

*5:http://digital.asahi.com/articles/DA3S12374757.html?ref=pcviewpage
(朝日新聞 2016年5月25日) 舛添氏、別荘近くで政治資金 道路回数券200枚・食品店で2万円…
 東京都の舛添要一知事の政治団体が、舛添氏の別荘がある神奈川県湯河原町周辺で政治資金を繰り返し使っていたことがわかった。一連の問題は、政治資金規正法に支出内容に関する規定のないことが背景にあるが、過去には政治家の責任が問われた事例もある。都議会は25日、実態解明に向けた対応を協議する。舛添氏が代表の「新党改革比例区第4支部」(2014年に解散)の政治資金収支報告書や総務省に提出した領収書によると、支部は12年と13年に湯河原町の食料品店で、計約2万1千円を「消耗品」代として支出していた。この店は食料品のほかに棚一つ分のトイレットペーパーやティッシュ、洗剤を置く程度。店側の関係者は「食料品ばかりなのに(舛添氏が)事務所のものを買うわけがない」と話す。舛添氏は土曜日に妻子と来店することが多かったという。12年5月には同町の衣料品店に「消耗品」代として約1万円を支出していた。この店の関係者によると、年2、3回家族と来店し、大人用の下着や子ども服などを買っていたという。支部は11年4月と12年10月、同町につながる有料道路「真鶴道路」の回数券(100回分)を2回、計3万2千円で買っていた。回数券を使えば、本来の通行料金よりも1回あたり40円安く済む。12年9月にはJR湯河原駅で「乗車券類代」として1万2120円を支出。舛添氏は当時参院議員で、JRなどの無料乗車パスが支給されていた。町には舛添氏の別荘がある。舛添氏の事務所に、別荘周辺の支出や政治活動との関連を質問したが、24日夜までに回答はなかった。
■規正法、使途の規定なし
 一連の政治資金をめぐる問題について、舛添氏は25日に第三者的に調べる弁護士らを選任する。これまで宿泊費などの支出について「政治活動の費用で問題ない」と繰り返してきた。政治資金規正法では、収支報告書に記す支出額の基準は定められているが、支出の内容の是非について規定がない。元検事で同法違反事件を多く手がけた郷原信郎弁護士は「政治資金の支出に関して刑事責任を問われた例は恐らく過去にない。おかしな支出でも『政治活動だ』と強弁されると覆せないし、記載が虚偽だとしても『意図的だ』という立証が難しい」と話す。同法は繰り返し改正されてきたが、主に企業献金など「収入」に関する規制強化だ。「支出」は、松岡利勝農水相(当時)らによる事務所費の不正支出問題が相次いだことを受け、07年に国会議員の関係政治団体が全ての領収書の公開を義務づけられた程度だ。疑惑を受けた対応は様々だ。佐田玄一郎行政改革担当相(同)は06年、活動実体が無い政治団体の活動費約7800万円を計上していた問題で閣僚を辞任した。他方、荒井聰国家戦略担当相(同)の少女コミックやキャミソールなどの購入問題(10年)では、辞任にまで至らなかった。東京経済大学現代法学部の加藤一彦教授は「違法でなかったとしても、政治家としての説明責任はある。都民の信頼を取り戻さなければ、都政運営もできず、辞任が現実味を帯びる」と指摘する。
■都議会が追及へ
 舛添氏の政治資金などの問題を追及する都議会は6月1日に開会する。野党の共産党都議団は25日の議会運営委員会で、強い調査権限を持つ百条委員会の設置を提案する方針を固めた。都議団幹部は「政治資金や高額な海外出張費、公用車での別荘通いを3点セットで調べるべきだ。問題は『知事の資質』。違法かどうかは主眼ではない」と話す。24日には、正副議長や各会派の幹事長らに書面で趣旨を説明した。知事に自身の言葉で説明してもらうため、総務委員会での集中審議も求めるという。都議会民進党など3会派も、舛添氏が「第三者に調査を委ねる」と繰り返した20日の記者会見後に、「信頼を損ねた責任は大きい」などとする談話を出した。一方、舛添氏を知事選で支援した与党の自民、公明は、「まずは6月1日の本会議での所信表明をしっかりと聞く」という姿勢を変えていない。


PS(2016.5.26追加):*6では、①「公私混同」の範囲 ②支出の内容に踏み込む監査制度の導入 が問題になっているが、①については、都知事としての仕事に必要なものは「公」、それ以外のものは「私」 と定義できる。そのため、都知事としての海外出張は紛れもなく「公」であって東京都の予算から出張費が出ており、都知事選のための会議費なら後援会から支出することもあり得る。また、美術書は、都知事としての見識を得て都の文化政策に資する目的であれば「公」であり、個人の趣味による収集に留まるのなら「私」である。なお、自分で車を運転していてわざとぶつけられたり、命を狙われたりすることを避けるため公用車を使用するなど、一般の人には常識の範囲外だが、政治家には正当な注意ということもあるため、要注意だ。 また、②については、収支報告書や使途報告書が単式簿記に基づいて作られていると、都合の悪い費用は掲載せず、その分は収入も少なく計上するという操作が可能であるため、収支報告書や使途報告書を複式簿記による帳簿に基づいて作るよう変更し(会計ソフトをそのように変更すれば会計処理は簡単)、網羅性・検証可能性を備えた上で公認会計士のフル監査を受けるようにすべきだ。これにより、経験のある会計責任者も含めて、会計処理の正確性に気をつけるようになるとともに、多くの議員がそれを行うようになればソフトの値段や監査料も下がる上、国民にとっては透明性が増し、政治家がカネの問題で陥れられることもなくなる。

*6:http://www.nikkei.com/paper/related-article/?b=20160526&c=DM1&d=0&nbm=DGKKZO02787810V20C16A5CR8000&ng=DGKKZO02787890V20C16A5CR8000&ue=DCR8000 (日経新聞 2016.5.26) 舛添氏、強気の背景 政治資金規正法、支出制限難しく 専門家「明確な違法性ない」
 舛添知事を巡る「公私混同」疑惑が広がりをみせるなか、知事は説明責任を果たしていない。その背景には政治活動とプライベートとの線引きを曖昧にできる政治資金を巡る法律の不備がある。米国人画家の作品や裸婦像、掛け軸、美術関連の洋書……。知事の国会議員時代の政治団体の収支報告書に「資料代」や「書籍代」と記されているものには一見、政治活動とは関係がなさそうなものが並んでいる。知事は「美術品の収集が趣味」と公言しているが、政治資金で購入したものについても「海外の方との交流を行う際のツールだ」として法律上の問題はないと強調。専門家の多くも「グレーだが、明確な違法性はない」と指摘する。正月に家族と宿泊した千葉県木更津市内のホテルに「会議費用」として計約37万円を支出したことも「同じ部屋で事務所関係者らと会議をした」と説明し、政治活動の範囲内とする。釈明の背景には政治資金規正法に「支出」の是非の規定がなく、政治家が「政治活動」と主張すれば違法性を問いにくいことがある。規正法が主眼を置くのは不透明な資金が入っていないかをチェックする「収入」の部分で、「支出」については領収書の公開が義務付けられている程度だ。日本大の岩井奉信教授(政治学)は「支出の制限は政治活動の自由の制限につながりかねず、一律の規制は難しい」と指摘する一方で、「このままでは国民の納得は得られず、政治不信を高めてしまう。支出の内容にも踏み込む監査制度を導入すべきでは」と提案している。


PS(2016年6月1日追加):*7で、「『原点』忘れた?舛添都知事 『弱者向いた政治を』→福祉政策に疑問符 『公のために尽くす』→クリーンほど遠く」と題して、1)海外出張が豪華だったこと 2)後援会資金を「私」目的に使用したこと から舛添都知事の全人格を否定しているが、言えることと言えないことをごっちゃにしており、これが日本によくある「だから資格がない」と結論する典型的な方法であるため、その論法が正しいか否かを検証する。
 まず、①については、賄賂をもらってその人に有利な政策を実行したのではなく(これが最も大きな問題)、後援会から「私」目的の金を支出するほど困窮していたと考えられるので、クリーンでないとまでは言えない。また、②③は、舛添氏の言っておられることは、当時は「寝かせきり」が問題になっていたので本当だが、舛添氏(東大法学部卒、政治学者)が厚生労働大臣だった時に厚生労働委員会で阿部知子衆議院議員(東大医学部卒、小児科医)のポイントを突いた質問に的確に応えておられるのを私も聞いていて、医学知識のない法学部卒の人がそこまで的確な答えができるのは自分が経験して問題意識を持っているからに違いないと確信した。そのため、③の「福祉施設の視察が少ない」のが本当であるとしても、都知事は全体の仕事をやらなければならないので、よくわかっている分野に割く時間はむしろ少なくするだろうし、国(財務省・厚労省)の方針が「高齢者から子どもへの予算移動」となっているため、法学部卒の都知事がそれに逆らう理論構成をして結果を出すのは困難だったとも考えられる。さらに、④の「『己を慎み、品行を正しくし』ていないので人格を全否定し、その他のすべてを否定する」論法は、日本ではよく使われるが、「探したら重箱の隅に傷を見つけたので、それを重箱として使えないと宣言する」というのと同様、論理的ではなく感情的であり、主権者や青少年をミスリードすると考える。

*7:http://mainichi.jp/articles/20160531/dde/012/010/003000c (毎日新聞 2016年5月31日) 「原点」忘れた?舛添都知事 「弱者向いた政治を」→福祉政策に疑問符 「公のために尽くす」→クリーンほど遠く
 この人が「東京の顔」とは、情けない。海外への豪華出張や政治資金の使途を巡り、公金感覚の欠如が批判される舛添要一東京都知事。釈明に追われ、6月1日から始まる定例都議会では、進退問題も含め、厳しく追及されるのは必至だ。かつては「首相にふさわしい」とも評価された舛添氏は、政治を志した「原点」をお忘れなのだろうか。
①〓政治は強者のためではなく、弱者のためにある。これが私の政治哲学だ〓
 舛添氏は2014年に都知事に就任した直後に出版した著書「東京を変える、日本が変わる」の中でこう記した。猪瀬直樹前知事が選挙資金の問題で辞任したことに伴う選挙だっただけに、舛添氏に「クリーンな政治」を期待した都民も多かったに違いない。“政治哲学”の「弱者」の2文字に注目するのが、NPO「高齢社会をよくする女性の会」理事長で、東京家政大名誉教授の樋口恵子さん。1990年代後半、「国際政治学者」として活躍していた舛添氏とテレビ番組で一緒になったことが何度もあったという。「彼は00年に介護保険法が施行される前から、認知症の母の介護をしたことで知られ、番組でも体験を話していました。内容はともかく、親の介護に携わる男性が非常に少なかった時代。この頃は『介護の舛添さん』という印象が強かった」。98年には「遠距離介護」の日々をつづった著書「母に襁褓(むつき)をあてるとき」を出版する。おむつを指す「襁褓」をタイトルに入れた著書にはこうある。
②〓自力で歩いていた母が(施設に入所後)、車椅子が不可欠な身となりました。また、おむつなど不要だったのに、「寝たきり」、いや「寝かせきり」老人になってしまい、昼夜を問わずおむつが必要になりました。わが国の高齢者福祉の現状を告発せざるをえません〓
 この著書には北九州市で暮らす母の元へ、東京から月2〜5回通ったとも記している。おむつ代を医療費控除の対象にする際、税務署で領収書以外に「おむつ使用証明書」の提出を求められたり、母の送迎に使う福祉車両購入時に煩雑な手続きを強いられたりしたことも紹介している。00年にみとるまで、遠距離介護は5年間に及んだ。この時点では、舛添氏の視線は真っすぐに弱者に向けられていたのだろうか。舛添氏の名を「全国区」に押し上げたのが、87年から続くテレビ討論番組「朝まで生テレビ!」だ。司会を務めるジャーナリストの田原総一朗さんは「舛添さんは国際政治に詳しく、世論におもねらない発言をする。88年ごろ、僕が東大の助教授だった彼をマスコミの世界に引き込みました」と振り返る。舛添氏が政治の道を歩み始めたのは99年の都知事選から。この時は、その後4期続く石原慎太郎氏に敗れた。01年、参院選比例代表に自民党から立候補し、約159万票でトップ当選。07年には厚生労働相として入閣した。10年の自民党離党後は紆余(うよ)曲折もあったが、14年の都知事選で初当選を果たす。では「政治とカネ」についてはどう考えていたのか。08年の著書「私の原点、そして誓い」をひもとくと、こんな記述があった。
③〓私利私欲を離れて、公のために尽くすという気持ちになる、つまり無私という境地に達しないかぎり政治家になるべきではないという信念を抱いていましたし、今もそれは変わりません。その覚悟がないかぎり、金権腐敗の政治家に堕落する危険性が常につきまとうからです〓
 しかし、である。家族同伴のホテル代や美術品の購入代金などに政治資金を充てていたことが判明。これでは「私利私欲を離れて」いるとは言えまい。前出の樋口さんは「初心を忘れたのか、思ってもいないことを著書に記したか、そのどちらかでしょう。『お年寄りのために』と政治を志した舛添さんには、質実剛健なところを見せてほしかったのですが……」と残念がる。一方、認知症の母を07年にみとるまで、在宅で7年間介護した作家の落合恵子さんはこう問いかける。「介護をすれば誰でも、いや応なく『政治の壁』にぶつかり、『政治を変えなければ』と思います。しかし、舛添さんが都知事になってから、福祉の分野で大きな政策を実現したとの記憶がありますか」。1人暮らしの高齢者の増加と貧困問題、介護ヘルパーの離職率の高さ……。落合さんはこれらの現実を挙げながら、「都知事は、首相に次ぐほどの発言力と決定力を持つはずですが、自身の介護体験が政治に十分生かされていないのでは」と言うのだ。27日の記者会見では、報道陣から「美術館や博物館の視察は多いが、福祉施設の視察が少ないのでは」との質問も出た。舛添氏の答えは「そういうご批判があることも踏まえ、反省すべきは反省し、改めるべきは改めたい」。政治の「原点」に関わる問いに、多くを語らなかった。舛添氏は周囲に「天下を取りたい」と話したこともあるという。田原さんの証言。「天下を取るということは、自民党の政治家にとって、いずれ総裁、首相になること。実際、党内には舛添さんを総裁にという声も上がっていた。10年に党を飛び出さずにとどまっていれば、舛添政権が誕生する可能性もあり得た」。今の舛添氏に対して、田原さんは「国民が怒っているのは、法律違反の有無ではなく公私混同です。まずは2人の弁護士による調査結果を待つが、きちんと説明責任を果たさなければならないだろう」と語る。舛添氏は続投する方針だが、6月の都議会を乗り切れるのかという問題もある。元都職員の佐々木信夫中央大教授(行政学)はこう見る。「与党の自民、公明はジレンマを抱えています。舛添氏に甘い対応を取れば、夏の参院選、来夏の都議選に影響が出かねない。一方、今辞任に追い込めば7月に知事選が行われ、4年後の任期満了と東京五輪が重なってしまう」。こんな政治事情で“延命”しても、状況は険しさを増す。「舛添氏が何を言っても説得力がなく、都庁職員もついてきません。都議会が地方自治法に基づき、調査権限の強い百条委員会の設置で合意したらアウトでしょう」。再び舛添氏の「原点」につながるであろう発言を紹介したい。都庁に初登庁した14年2月、幹部職員を前に明治維新の功労者、西郷隆盛を引き合いにこうあいさつした。
④〓(西郷は)遺訓の中で、「万民の上に位する者、己を慎み、品行を正しくし、驕奢(きょうしゃ)を戒め、節倹を勉(つと)め、職事に勤労して人民の標準となり、下民其(そ)の勤労を気の毒に思ふ様ならでは、政令は行はれ難し」と喝破しています。都庁の職員一人一人が、天に恥じない仕事をするとき、必ずや都政に対する都民の信頼が回復するものと確信しております〓
 「己を慎み、品行を正しくし」という言葉がむなしく響く。多くの都民に愛想を尽かされてしまったトップの前途は厳しい。


PS(2016年6月5日追加):舛添都知事が航空機のファーストクラスや宿泊時にスイートルームを使ったことが問題になっているが、伊勢志摩サミットで、オランド仏大統領は最高級の新館ロイヤルスイート(210平方メートル、1泊21万6千円)に泊まり、オバマ米大統領は2番目に高級な本館ロイヤルスイート(96平方メートル、同17万8200円)に2泊したそうだ。また、食事は、伊勢志摩、三重、日本の食材のすばらしさを提供したメニューだそうだが、これが首脳ではなく、例えばケネディー駐日大使が訪れても、最高のもてなしをして日本のよいところを感じて帰って欲しいと願うのが自然ではないだろうか。
 そして、これは、東京都知事が海外に行った時も同じで、現地の人はやはりそう思うだろうし、都知事が海外の高級ホテルの食事や設備などのもてなしを体験して来る意味もある(ホテルの居室でもぼやっとしていないで仕事するということ)。このようにマスコミが騒ぐ中、都庁に寄せられた苦情や意見が約2万2700件あり、都議会の傍聴席が満員になったそうだが、苦情を言っていない大多数の人は問題にしておらず、都議会の傍聴席がこのようなことでしか満員にならないのは民主主義国としてお寒い限りだ。つまり、政策では議論できず、このようなことでフィーバーして、何が何でも謝罪させたり辞任させたりしたがるメディアこそ、性格が悪い。

*8-1:http://digital.asahi.com/articles/ASJ655K47J65ONFB00T.html?iref=comtop_8_01 (朝日新聞 2016年6月5日)  オバマ氏は2番目、最高級部屋は誰? サミット会場公開
 主要7カ国(G7)首脳会議(伊勢志摩サミット)の主会場、賢島(三重県志摩市)の志摩観光ホテルは5日、舞台となった会場や首脳らが宿泊した客室を報道関係者に公開した。首脳らは5月26、27の両日、新館「ザ ベイスイート」のラウンジや本館「ザ クラシック」のレストランなどで会合を重ねた。ワーキングランチとディナーで使われた直径約3メートルの円卓2台も公開された。最高級の新館ロイヤルスイート(210平方メートル、1泊21万6千円)に泊まったのはオランド仏大統領。オバマ米大統領は、2番目に高級な本館ロイヤルスイート(96平方メートル、同17万8200円)に2泊した。また、同ホテルの樋口宏江・総料理長(44)は会見で「伊勢志摩、三重、日本の食材のすばらしさを提供したい」と心がけたメニューが、首脳らに称賛されたエピソードを披露した。伊勢エビやアワビ、松阪牛を使った26日夕の洋食は、特に伊勢エビクリームスープが好評で、オランド仏大統領からテーブルに招かれ、G7首脳全員に握手を求められた。メルケル独首相にも「あなたがこの夕食を作ったのですか」と聞かれたという。「まさかお声がけいただけるとは。大変光栄で料理人冥利(みょうり)に尽きます」と振り返った。志摩観光ホテルはこれらの部屋に滞在し、同じ円卓でほぼ同様の食事を堪能できる宿泊プランを用意。2人で1泊2食50万~2泊5食100万円で、5日から予約を受け始めた。

*8-2:http://digital.asahi.com/articles/DA3S12388448.html
(朝日新聞 2016年6月2日) 都議会与党も強く反発 舛添知事に「謝罪になってない」
 東京都の舛添要一知事は1日に開会した都議会の所信表明で、政治資金の公私混同疑惑など一連の問題を陳謝し、元検事の弁護士2人による調査について「今議会での審議に間に合うように公表する」とめどを明らかにした。都議会の自民、公明など主要会派は「説明が不十分で納得できない」と反発を強めており、7日の代表質問、8日の一般質問で事実関係を追及する構えだ。会期は15日まで。舛添氏は所信表明25分のうち、およそ3分を問題への対応にあてた。高額との批判が高まっている海外出張費については、航空機のファーストクラスや宿泊時のスイートルームを使わず、経費縮減に取り組むと表明。公用車は「厳格な運用を徹底し、都民の皆様の疑惑を招かないようにする」と述べた。有権者の関心は高く、この日の都議会は、190枚用意された傍聴券がすべて配布され、満員になった。先月31日までに都庁に寄せられた苦情や意見は約2万2700件にのぼっている。
■あきれる傍聴者
 「怒られたから謝った、という感じ。子どもの発言のようだ」。傍聴席で所信表明を聞いた東京都世田谷区の会社員巽(たつみ)一郎さん(55)はあきれた表情で話した。2年前の都知事選で、お金にクリーンなイメージから舛添氏に投票した。「何が悪かったという説明を聞きたかったが、もう信用はない。辞めてほしい」。渋谷区の自営業女性(52)も「淡々と原稿を読んでいて、謝る意思をまったく感じなかった」と憤る。議席の約6割を占め、前回の知事選で舛添氏を全面支援した自民、公明からも不満が噴出。これまでの「静観」から一転、対決姿勢を見せ始めた。「説明は納得できない。言語道断だ。厳しく追及する」。公明の長橋桂一幹事長は都議会後、強い言葉で舛添氏を批判した。自民のベテラン都議は「今日で潮目が変わったかもしれない」と話す。会派内では議会後、「(所信表明は)謝罪になっていない。どうしようもない」という声が相次いだという。「リオデジャネイロ五輪を控えているうえ、次の知事候補を探す時間もない。いますぐ辞めさせるわけにはいかないが、こんな知事を擁立したことをわびる必要はあると思う」。複数の自民、公明都議の事務所には「知事を辞めさせろ」「参院選では投票しない」などの電話が殺到。ある公明都議は「メディアの目が議会に移り、追及がぬるいと思われると自分たちが糾弾される」と危機感を募らせる。総務委員会の集中審議の開催に、与党側からも前向きな声があがりつつある。
■舛添知事の所信表明の発言
 【疑惑や問題】
 発言内容
   *
 【高額な海外出張費】
 航空機のファーストクラスは使用しない
 宿泊施設のスイートルームは使用しない
 随行職員数を最小限にする
   *
 【公用車使用の公私混同】
 厳格な運用を徹底
   *
 【政治資金支出の公私混同】
 本会議(15日まで)の審議に間に合うよう、(第三者に依頼中の)調査結果を公表
■今後の都議会の日程
<7日・代表質問、8日・一般質問> 知事が「第三者」の調査結果を公表か。各会派が追及へ
<9日、13日・総務委員会> 一連の疑惑を審議か。集中審議になれば、知事に出席を求めて一問一答形式で疑惑を追及することも可能に
<15日・閉会> 会期中に開かれた総務委の集中審議が閉会後に継続することも。会期中に集中審議がなくても、閉会後に開かれる可能性も


PS(2016年6月7日追加):私は、元検事の弁護士による報告は90%以上正確だという印象を受けたが、*9-1のうち、「児童の保護者から子どもが悪い言葉遣いをまねると相談を受けて、どのような表現がなされているかを確認するために『クレヨンしんちゃん』を購入した」というのは、他の人はそこまでしないかもしれないが、舛添氏はそこまでやったのかもしれないと考える(理由:私も確認すると思うから)。
 また、政治資金規正法には、政党支部や後援会を解散した場合に残余財産をどうすべきかについての規定はないため、残余財産のすべてを代表者の舛添氏が受け取ったとしても違法ではない。つまり、わかりやすく書けば、リスクを取って、国の補助金を受ける事業を奥さんといっしょに営んでいた事業主が、その事業を解散する時に補助金を返さなくてよいのと同じであるため、この法律の下で何とか探してケチをつけ、本来の都政を停滞させるのはいかがなものかと考える。

*9-1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20160607&ng=DGKKASDG06HEW_W6A600C1CC1000 (日経新聞 2016.6.7) ピザの焼き方・「クレヨンしんちゃん」…購入本、家族向け?
 舛添氏が政治資金で買った書籍の中には趣味が目的と取られかねないものも含まれている。「ピザを焼いて振る舞いながら政治課題について意見を聞いたことがある」――。舛添氏はピザの窯や焼き方に関する本の購入理由を弁護士にこう説明したという。洋書や政治書などの購入リストに交じって「のらくら同心手控帳シリーズ」や「ゼロの焦点」などの小説も。舛添氏はそれぞれ「江戸時代の風俗研究のため」「映画化されたので支援者との話題作りのため」としたが、弁護士は娯楽性が強いことから「適切とは言いがたい」と指摘した。「クレヨンしんちゃん」や「イナズマイレブン」などの人気コミックのタイトルも並ぶ。「児童の保護者から子どもが悪い言葉遣いをまねる」と相談を受けた舛添氏が「どのような表現がされているか確認するため」に購入したという。弁護士は家族のために購入したと受け取られてもやむを得ないと苦言を呈す一方、政治資金の使途に法的な制限がないことを挙げて、いずれの書籍購入も「違法とは言えない」との見解を示した。

*9-2:http://digital.asahi.com/articles/DA3S12396555.html (朝日新聞 2016年6月7日) 舛添氏「けじめ」強調 返金・別荘売却、でも辞任は否定 政治資金調査報告
 「慢心があった」「極めて恥ずかしい行動を心から反省」――。東京都の舛添要一知事は6日、政治資金をめぐる疑惑について、これまでよりていねいな言葉で謝る一方、辞任は否定し、「有権者の判断に任せたい」と繰り返した。都政トップの説明責任は果たされたのか。都民や有識者からは疑問の声も上がった。6日午後4時。約200人の報道陣が詰めかける中、元検事の弁護士2人に舛添氏が同席する形で会見が始まった。「違法ではないが、不適切だった」。政治資金で「豪快ダッチオーブンテクニック」などの本やマンガを購入したことをはじめ、私的な宿泊や飲食などに支出したとの疑惑について、佐々木善三弁護士らが見解を読み上げた。続々と挙がる事例に、舛添氏は終始うつむきがちに耳を傾けた。主にインターネットオークションで100点を超える絵画・版画を購入したことについて、舛添氏は「絵画の知識を深めることで、海外の政治家との関係を緊密にできる」と説明したというが、弁護士は不適切だと判断した。家族で天ぷら屋で飲食費を支出したことなども不適切とされた。適切とされた中にも、「政治資金の支出は避けるべきだった」などと指摘されたものもあった。そば打ちやピザ窯の作り方、金魚の飼い方の本の購入について、舛添氏は「政治家仲間とそばを打ちながら政治談義をしたこともある」などと説明したとされる。しかし、佐々木弁護士は「相応の合理性があるが基本的に個人的趣味の本」とした。一方、2011年に上海で13万9178円で買ったシルクの中国服と書道用品について、佐々木弁護士は「書道の際、この服を着ると筆をスムーズに滑らせることができるとの(舛添氏の)説明は説得力がある」と判断した。書道は趣味だが、政治活動にも役立っており適切だ、との理屈だ。舛添氏は、「違法な点がなく、ほっとしたか」と問われると、間髪を入れず「厳しい指摘を受けているので、汗顔の至りだ」と険しい表情で返した。さらに、不適切とされた支出の返金に加え、神奈川県湯河原町の別荘を売却することを「けじめ」と強調。ただ、有権者は納得すると思うかとの質問には「有権者の判断にお任せしたい」と述べるにとどめた。
■「誠意伝わらぬ」
 舛添氏が国会議員になる前から支援してきた元後援会関係者は「最初の会見で自分の言葉で説明できた問題ばかりだ」と批判する。「高校の時も学年トップの秀才だったから、自分のやることに間違いはないと思うんだろう。誠意が伝わってこないし、本当に反省しているとは思えない」と話した。新宿駅周辺で販売員をする女性(75)も「調査結果は、舛添さんが当初から話していたことを第三者の口から言わせただけ。時間稼ぎにすぎなかった」と切り捨てた。
■解明は不十分、指摘も
 「親しい知人から話があり、舛添氏の秘書に会い、きちんと理解してもらった方がいいだろうと思って引き受けた」。調査した佐々木善三弁護士は6日の会見でこう語った。佐々木氏は、東京地検特捜部副部長や京都地検検事正を歴任し、リクルート事件などの捜査を担当した。現金受領問題が発覚した猪瀬直樹前都知事の弁護も担った。もう一人の森本哲也弁護士も東京地検刑事部などで勤務経験がある。佐々木氏と同じ法律事務所に所属し、東京五輪・パラリンピックの旧エンブレム問題では、選考過程を調べる外部有識者による調査委員会のメンバーを務めた。「疑惑を抱える本人から依頼されて調査を行うことで客観性を保てるのか」。こう質問された佐々木氏は「第三者委員会は基本的にそういうもの。今回は第三者委員会ではないが」とし、「十分(調査を)尽くしたと思っている」と語った。これに対し、コンプライアンスに詳しい国広正弁護士は「都知事という公職者の問題なので、本来は百条委員会が必要だが、それに代わるものは真の意味での第三者委員会。その場合、委員会の役割はステークホルダー(利害関係者)である都民の目線で、知りたい真実を調査することにある」という。今回の報告書では、支出が適切か否かや、法的判断の結果が示されたのみで、肝心な舛添氏の真意が明らかにされていないと指摘。「都民が知りたいのは、舛添氏の現在の反省の弁ではなく、支出時の認識のはずだ」と話す。
■これで終わりではない
 危機管理コンサルタントの白井邦芳さんの話 「不適切だが違法ではない」との調査結果に、舛添知事は「これで辞めずに逃げ切れる」と判断したのだろう。だが、知事は法律やルールの境界線上で政治資金を扱っており、コンプライアンス(法令や社会規範の順守)を重視すべき都のリーダーとしての資質に欠ける。弁護士の調査内容は一定の評価はできるが、知事が自分の費用で依頼しており、透明性や客観性に疑問が残る。これで終わりではなく、今後限られた期間で都議会がどこまで追及できるかが重要だ。


PS(2016年6月9日追加):舛添都知事の政治資金問題について、*10-1、*10-2のように、マスコミは連日、①会議費名目の家族旅行 ②高額な海外出張費 ③公用車の使い方など、参議院議員選挙を前に他に報道すべきことは多いだろうに、舛添氏を辞任させることが目的の悪意のある報道を続けている。しかし、このうち東京都が支出した費用は、②③だけで、これが東京都の規則違反ではなく、理由をきちんと説明できれば東京都民が問題にする理由はない。
 また、①については、「グローバルネットワーク研究会」は舛添氏の後援会で、代表者の意志で使い方を決められるため、仮に「家族旅行」だったとしても違法ではないし、政治資金規正法は領収書の添付しか義務づけていないため、請求書を添付しないのは普通である。その上、舛添氏の奥さんは政治活動で重要な働きをしているので、「夫婦だから私的」とするのもサラリーマンの想像にすぎない。さらに、会議に参加したという出版社社長の名前も、その人がメディアにおしかけられたり、嫌がらせをされたりするのを防ぐため、私であっても言わないだろう。
 なお、これまでの舛添都知事の説明や「別荘の売却」「給与の減額」などの対応はポイントをついていないが、これは、辞めさせることを目的として揚げ足取りをし集中砲火を浴びせている人たちにまともな説明をしてもポピュリズムに基づく変な反論をされてかえって不利になるのを防いだり、政治資金規正法に詳しくないので慎重に対応したりしているためと思われる。なお、政治資金規正法(特殊な法律)に詳しい人は稀だが、少なくとも政治資金規正法を使って批判する人はよく調べてからにすべきだ。

*10-1:http://digital.asahi.com/articles/DA3S12402181.html
(朝日新聞 2016年6月10日) 都議会、集中審議13日・20日 舛添氏政治資金問題
 東京都の舛添要一知事の政治資金の公私混同問題などについて、都議会総務委員会は9日の理事会で、集中審議の日程を13日と、第2回定例会(6月議会)閉会後の20日に決めた。知事を呼び、一問一答形式で疑惑を追及する。一方、共産党は今定例会中に不信任決議案を提出することを決定。他会派にも同調を呼びかける方針。知事を呼ぶことは、総務委理事会の全会一致で決まった。政治資金の私的流用疑惑、高額な海外出張費、公用車の使い方について、事前に質問内容を通告せずに直接質疑する。説明が不十分と判断すれば21日以降も開くことも合意。舛添氏は9日、報道陣に対し「議会の指示に従う」と話した。

*10-2:http://www.sankei.com/politics/news/160510/plt1605100042-n1.html(産経新聞2016.5.10)会議費名目で「家族旅行」と文春報道 舛添氏「質問やめて」 13日の会見で説明へ
 東京都の舛添要一知事の資金管理団体「グローバルネットワーク研究会」(解散)が「会議費」名目で千葉県内のホテルに支出した約37万円が、家族旅行だった疑いがあると週刊文春がインターネットで報じ、舛添知事は10日、報道陣に「今日はちょっと(その質問は)やめていただきたい」と述べ、13日の定例会見で説明する意向を示した。政治資金収支報告書によると、同団体は舛添氏が知事就任前の平成25、26年に木更津市のホテルにそれぞれ約24万円と約13万円を支出。文春は「2回とも会議は行われていません。お子さんを連れて、家族でご利用になりました」とするホテル関係者の証言を紹介。政治資金規正法違反(虚偽記載)の疑いがあると報じた。


PS(2016年6月13日、15日《蚕の写真等》追加):*11のように、上海で購入した2着3万5000円(1着1万7500円)のシルクの中国服を政治資金の私的流用として騒いでいるメディアが多いが、中国を訪れ、中国に敬意を払って、中国の名産を買って帰るのは非難されるべきことではない。さらに、日本ではシルクは女性用の高級品というイメージが強いが、中国では「2着3万5000円」と安く、私も香港に行った人から5000円くらいのシルクのパジャマをもらって「シルクは洗濯しにくいのでは?」と思ったところ、「洗濯機で他のものと一緒に洗ってよい」と書いてあって驚いたことがある。つまり、日本におけるシルクの値段とシルクへの反応が異常で、批判している人の方が「井の中の蛙、大海(世界)を知らず」かもしれないので要注意だ。


 四葉左の3つは日本の伝統的な蚕生産の様子だが、一番右は蛍光を発する蚕だ。蚕は用途が多く、
   餌(例えば、桑とユーグレナの混合粉末飼料)の改良やコンピューターを使った空調管理などを
   行えば、建物の中で完全自動化してコストダウンした大量生産が可能だろう。また、織物や染色 
   もコンピューター親和性が高いので、従来の繭や絹織物産地の研究と進歩に期待する。

*11:http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160610-00000107-dal-ent (デイリースポーツ2016年6月10日)舛添氏「中国服は筆が滑る」と政治的使途を断固主張!背広は筋肉あり「窮屈」
 東京都の舛添要一知事が10日、東京都庁で定例会見を開き、噴出する政治資金の私的流用疑惑などに対する5度目の釈明を行った。この日は「書道の際に着ると筆がスムーズに滑る」ため“政治的使途”だと主張している、中国・上海で購入した2着3万5000円のシルクの中国服について、記者団から激しい突っ込みを受けたが、舛添氏は猛然と反論した。この中国服は、不可思議な政治資金使用の代表作で、記者団から理由があまりに稚拙では?と問われたが、舛添氏は「私は毎日のように書道をやってるんですが、やっぱり中国のシルクのヤツってのは、ここ(脇下や上腕を触りながら)が引っかからないんで、書きやすいんですね」と主張した。「第三者」だとする弁護士の調査時にも実演して説明したという舛添氏は、この日も身振り手振りを交えながら「私は柔道やってるんで、ここ(上腕)がものすごく張ってるんです。ものすごく筋肉があるもんですから、背広ってのは非常に引っかかるというか、どうしても窮屈になる。(中国服は)つるっとしてるんで、そういう意味です」とスーツを触りながら説明した。報道陣から「腕だけの問題か」と聞かれ「基本的にそうです」と返したが、「ならば袖のない服を着れば?」と問われると、「気温が低い時は?」と真顔で聞き返し、会見場に失笑が漏れた。


PS(2016年6月14日追加):確かに舛添氏の最近の答えは、答えになっていない部分もあったが、政局を作るために、法律違反でもない軽微なことで都知事をクビにして再選挙し、次は、それ以上の人を選べるのか疑問だ。日本は、むしろ東京、大阪などの大都市で有名なだけの人が選ばれる傾向にあり、これはマスコミがまともな政策論争をせず、このように歪んだ人格論争ばかりしているからである(公認会計士時代にODAで行った開発途上国の新聞記事の方が、よほどまともなことが書いてあった)。

*12:http://www.saga-s.co.jp/news/national/10201/322420
(佐賀新聞 2016年6月14日) 自民、舛添氏不信任案を協議、都議会の野党各会派は午後提出
 東京都の舛添要一知事の政治資金流用問題で、都議会最大会派で与党の自民党は14日午前、幹部らが知事の不信任決議案の提出に踏み切るかどうかを協議した。都議会の野党各会派は同日午後、議会運営委員会に不信任案を提出する。自民党内では参院選への影響などを懸念し「早期に辞めさせるべきだ」との声が高まっており、与党の公明党は自民党に足並みをそろえる方針だ。野党各会派は不信任案の一本化に向けた調整をする考え。不信任決議案は都議の3分の2以上が出席し、4分の3以上が賛成すれば可決される。会期末の15日に審議される見通し。


PS(2016年6月14日追加):舛添都知事は、北九州の貧しい家から東大に合格して成功したドリームの実現者であるのに、子どもの頃に貧しかったことを批判めいて伝えた報道もあるのは日本人の心の劣化を感じた。また、*13-1のように、舛添都知事が泣いたことを喜び、舛添都知事の子ども(公人ではない)がいじめにあうような報道を流し続けている報道姿勢にも意識の低さを感じている。なお、舛添都知事の子どものいじめを止めない慶応高校や慶応中学もおかしいが、子どもの方は悪いことをしておらず学校の替えもいくらでもあるため、いじめる相手とそれを止めない学校を堂々と論破するくらいのたくましさが欲しい。さらに、舛添都知事は、違法でないことについて悪いことをしたかのようにしつこくメディアで報道され辞職に追い込まれたため、名誉棄損・政治活動の妨害、自分と家族に対する人権侵害で週刊文春などを提訴するのが、本当の政治改革に役立つと考える。なお、私が提訴した時に週刊文春の担当者が言っていたのだが、週刊文春は、いつも複数の訴訟をかかえているそうだ。また、*13-2は、「舛添都政のこの2年余りは及第点をつけられるが、今回の退任劇は“おごり”が生んだもの」としており、その“おごり”とは、「公用車を使った」「スイートルームに泊まった」など、知事として不相応なものではないため、「ビジネスホテルに泊まって“おごり”はないが、都民のためにならない人」よりずっとよいと考える。

*13-1:http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160614-00000156-jij-pol
(時事通信 2016年6月14日) 議長の辞職要求拒否=舛添氏、涙ながらに―都議会
 自らの政治資金流用問題などをめぐる東京都議会の厳しい追及を受け、辞職に追い込まれることが確実な情勢となった舛添要一知事。しかし、川井重勇議長からの辞職要求を受け入れず、「子どものことを考えれば、今すぐにでも辞めたいが、時間を下さい」と、不信任決議案の提出を9月議会まで待つよう涙ながらに訴えた。川井議長は14日午後、不信任案可決を前に、自発的に辞職するよう議会内で舛添氏を説得したが、舛添氏は「応じられない」と拒否した。舛添氏は理事会で「不信任の可決をしたら、(自分が)辞任するか、議会解散の二者択一しかない。(8~9月の)リオデジャネイロ五輪・パラリンピックをやっているときに選挙をやる姿を世界に見せるわけにはいかない」と熱弁。自分の問題に関する報道で子どもがいじめにあっていることなども説明したという。川井議長は「必要に応じて知事に会うことがあると思う」と述べ、閉会日の15日を控え、引き続き舛添氏の説得を続ける意向を示した。共産党都議団の大山とも子幹事長は「解散をちらつかせながら、子どもまで引き合いに出して、不信任案を出すなと言っているようなものだ」と納得できない表情で語った。都庁関係者も「リオを盾に取って議会を脅しているような感じだ」と話した。

*13-2:http://www.nikkei.com/article/DGXMZO03620070V10C16A6AM1000/
(日経新聞 2016/6/15) 舛添都知事、おごりが生んだ退任劇
 政治資金の流用疑惑などが発覚して2カ月弱。211万票の得票で首都のリーダーになった舛添要一知事は急転直下、その座を追われた。「細大漏らさず公開しているし、何ら問題ない」。2014年1月14日に都庁で都知事選への出馬を表明した舛添氏はこう胸を張った。猪瀬直樹氏が辞めた問題に絡み、「政治とカネ」について質問された時である。あれから2年5カ月。本人の言葉とは裏腹に数々の疑惑が浮上し、批判の嵐にさらされた。都庁内で当初ささやかれていたのは「9月以降辞任説」だった。「今回は許してやる」。問題が発覚して早々、都議会自民党の幹部は舛添知事の周辺にこう伝えた。高い知名度が勝利の絶対条件になる都知事選。「勝てる後任候補」が見つからないうえ、今回、辞任に追い込めば、その次の都知事選は20年の東京五輪と時期が重なる。しかし、世論の批判は自民の想像を超えた。給与全額カットという知事の切り札も不発に終わり自民も方針を転換した。知事個人の評価とは別に、舛添都政のこの2年余りは及第点をつけられるだろう。非正規社員の正社員化へ国を上回る対策を打ち出し、障害者雇用にも力を入れた。巨額に膨らんだ五輪施設の建設費も圧縮し、水素社会の実現や国際金融センター構想も進めている。石原都政の負の遺産である新銀行東京も他行との経営統合という形でケリを付けた。舛添都政はバランスが取れている。しかし、股関節症の手術から復帰した昨年4月末ごろから「おごり」が表に出てくる。公用車での別荘や美術館通いが頻繁になったのもこのころだ。都議会から指摘された海外出張の見直しにも腰が重かった。「俺は首都を24時間、預かっている」。そんな自負が生来の強気な性格と相まって、公私混同を助長した。16年度の都予算に関する今年1月の知事査定。「2年後にはどんな成果が出るのか具体的に示せ」。舛添知事はその場に並んだ都幹部に檄(げき)を飛ばした。18年2月の都知事選での再選をにらんだ指示だった。舛添氏は再選後に東京五輪を「首都の顔」として迎え、その先は国政復帰も視野に入れていたに違いない。しかし、自らのおごりが、そうした思いや計算の全てを吹き飛ばした。


PS(2016年6月15日追加):私でさえ「買収した」「逮捕された」などの虚偽の言いがかりをつけられるのであり、“清廉さ”はどうやってでも否定できるものであるため、“清廉さ”のみを重視して「“清廉”に見えるが、知事としての能力に欠ける」という人選こそしないで欲しいと考える。

*14:http://www.saga-s.co.jp/news/national/10201/323075
(佐賀新聞 2016年6月15日) ポスト舛添の調整具体化、自民慎重、民進は清廉さ重視
 与野党は15日、舛添要一東京都知事(67)の辞職決定を受け、後継候補選びへ調整を具体化させた。2014年都知事選で舛添氏を支援した自民党は「政治とカネ」問題で舛添氏ら過去2代の知事が辞職した事態を問題視。7月の参院選に影響するとして、党本部主導での擁立に慎重な声が強い。民進党は、清廉さを重視して人選を進める方針だ。自民党東京都連は15日、緊急幹部会合を17日に開くと所属国会議員らに通知した。人気アイドルグループ「嵐」の桜井翔さんの父親で、17日付で総務事務次官を退く桜井俊氏(62)の名前が取り沙汰されたが、桜井氏は「出るつもりはない」と明言。


PS(2016年6月18日追加):*15-1、*15-2のように、舛添氏が辞職するまで、朝日新聞は最も大きな見出しで辞職を迫っていた。また、テレビ局は全局が不法行為でなかったり、誤解に基づき事実でもなかったりすることに対して非難の世論を煽り、テレビ朝日とTBSは特に熱心だった。そして、辞職後、*15-3のように「水に落ちた犬たたく現象、強まっている」「視聴率は、スポンサーがCMを出稿する際の目安になり、CM契約料金に直結し、他局も流しているので、やめられなかった」などと書いているのは、今後起こりうる名誉棄損と政治活動の妨害に関する訴訟に備える弁解であり、自分たちが本来の「報道の精神」や「責任感」を失って、主権者に悪影響を与えていることを自白したにすぎない。

*15-1:http://digital.asahi.com/articles/DA3S12409002.html (朝日新聞 2016年6月15日) 舛添氏不信任案可決へ 都議会、辞職しない場合 与野党、案を一本化
 東京都の舛添要一知事をめぐる政治資金の公私混同疑惑などの問題で、都議会最大会派の自民党は15日未明、舛添氏への不信任決議案を議会運営委員会理事会に提出した。都議会の各会派は、それぞれが出した不信任案を自民案に一本化し、15日の本会議で審議する。舛添氏が自ら辞職しない限りは、同日午後に可決される見通しだ。不信任案は、123人の在籍議員の3分の2以上が出席し、4分の3の賛成で可決される。可決された場合、舛添氏は10日以内に議会を解散しなければ、失職することになる。舛添氏が議会を解散しても、都議選で新たに選ばれた議会が再び不信任案を可決すれば、舛添氏は失職する。14日午後に開かれた議運委理事会では、与党の公明党や野党の共産党、民進党などが、それぞれ計7本の不信任決議案を提出した。舛添氏に自ら辞職を決断するよう説得していた自民も交渉が難航し、夜になって不信任案を提出した。14日は、舛添氏への説得が続いた。都議会の川井重勇議長(自民)も、主要4会派の要望を受けて理事会前に舛添氏と会談して辞職を促したが、舛添氏は「応じられない」と拒否したという。その数時間後、舛添氏は議運委理事会に出席。一連の問題について陳謝したうえで、不信任案を可決したら今夏のリオデジャネイロ五輪・パラリンピックを前に都政が混乱すると改めて説明。「第3回定例会(9月議会)に私の身柄を託したい」と訴え、13日と同様に不信任案提出の先延ばしを求めた。自民の14日午前の都連の幹部会では、一連の問題に対して世論の批判の矛先が自民に向かいつつあることから、「かばいきれない」との意見で一致したという。だが、不信任案が可決された場合、舛添氏が都議会解散を選択することを警戒。「舛添さんが自分から辞めれば、不信任を出さなくて済む」とし、舛添氏へ辞職を促してきた。舛添氏をめぐっては、政治資金での家族旅行や大量の美術品購入など私的流用疑惑が相次いで発覚。公用車の利用や高額な海外出張も問題となり、13日に都議会総務委員会の集中審議が開かれた。一問一答形式での舛添氏の説明が「不十分」とされ、質疑した6会派のうち自民を除く5会派が辞職を要求した。

*15-2:http://digital.asahi.com/articles/DA3S12410878.html (朝日新聞 2016年6月16日) (転落 公私混同の果て:上)語るほど世論反発、相次ぐ誤算 舛添都知事辞職
 15日の東京都議会。辞職を表明した舛添要一知事はこう語り、頭を下げた。疲れ切ったその顔から、かつて見せていた余裕は完全に消えていた。高額の海外出張費が問題になった4月上旬。「香港のトップが二流のビジネスホテルに泊まりますか? 恥ずかしいでしょう」と香港の記者に語った。公用車での別荘通いを問われても胸を張った。「公用車は『動く知事室』で、電話で報告などを受けている」。風向きが変わったのは5月だった。千葉県木更津市のホテルに家族と泊まった費用に政治資金をあてていたことを、週刊文春が報じた。都庁への抗議は1日千件超に増えた。それでもなお、ホテルで面会した人物については「政治の機微に触れる」と明かさなかった。都幹部は「知事は法律論のうえでは、違法ではないから問題ないと考えていた」と言う。理詰めで議論の相手をねじ伏せてきたが、世論は単純ではなかった。ここに舛添氏の一つ目の誤算があった。テレビのワイドショーが連日、問題を取り上げた。《公費で海外に行くのがうれしいのか。『ファーストクラスで海外』というさもしい根性が気にくわない》《議員の公用車も要らないと思っている》こうした著書での過去の記述が洗い出され、言動との不一致が指摘された。民放関係者は「舛添氏の報道を一度やめたら、同時間帯の他局の番組に視聴率を奪われた。視聴率が取れる話題だった」と明かす。二つ目の誤算は「第三者」による調査だった。「第三者の厳しい目に任せたい」。舛添氏は弁護士に調査を依頼することで打開を図ろうとした。調査の結果、宿泊費と飲食費の計約114万円分などが「不適切」とされたが、「違法とはいえない」と結論づけられた。だが、批判はむしろ強まった。まず、調査の客観性を疑問視する声が出た。政治資金で購入したシルクの中国服について、舛添氏が「書道の際、この服を着ると筆をスムーズに滑らせることができる」と説明したことも判明し、都議らから「あまりに説明が稚拙だ」と非難された。弁護士の態度までもが、ネット上で「逆ギレ」などと揶揄(やゆ)された。舛添氏が世に出たきっかけは、東大助教授時代の1987年に始まったテレビ朝日の討論番組「朝まで生テレビ」だった。保守の立場から、リベラル系の重鎮を相手に論争を挑んだ。司会の田原総一朗さんは「歯切れがよく、論争に負けなかった。何を言えばテレビが使ってくれるのか、よくわかっていた」と振り返る。「だが、今回は『正論』を語れば語るほど都民には弁解にしか映らなかった。論争では相手を負かせるという自信が、どんどん自分を追い詰めてしまった」
     ◇
 舛添氏の公私混同問題から何が見えたのかを検証します。全3回。次回からは社会面に掲載します。

*15-3:http://digital.asahi.com/articles/DA3S12414609.html (朝日新聞、Media Times 2016年6月18日) 舛添氏問題、TV局過熱 情報番組が高視聴率
 東京都の舛添要一知事が辞職に追い込まれた「政治とカネ」の問題。ワイドショーなどの情報番組を中心に、テレビが連日、多くの時間をさいて報じた。各局で異例の高視聴率を記録し、報道が過熱。番組制作の現場で、何が起きていたのか。
■「水に落ちた犬たたく現象、強まっている」
 フジテレビ系「直撃LIVEグッディ!」1部は疑惑追及の場になった都議会の集中審議を伝えた13日、平均視聴率が前4週平均から2・5ポイントアップし、昨年3月の放送開始以来最高の5・6%を記録した。同時間帯の日本テレビ系「情報ライブ ミヤネ屋」も、TBS系「ゴゴスマ・GOGO!Smile!」もそれぞれ2ポイント以上アップし、10・1%、4・9%だった(いずれも関東地区、ビデオリサーチ調べ)。ある情報番組のディレクターが手応えを感じ始めたのは、舛添氏が家族で泊まった千葉県内の温泉ホテルに会議費名目で約37万円を支出していたことを報じた5月からだ。公用車での別荘通い、政治資金での美術品購入……。「辞任を決意するまで日に日に数字が上がった」。別の民放プロデューサーは「関東以外の系列局でも視聴率が上がった。視聴者にわかりやすい問題で、まさにキラーコンテンツだった」と振り返る。なぜ、こんなに注目を集めたのか。図らずも記者会見や議会審議が放送時間に重なり、連日、舛添氏がカメラの前に登場したことが高視聴率を下支えした。番組側は、生中継でとにかく舛添氏の「生の声」を放送することを意識したという。発言を切らずに流したほうが視聴率が伸びたといい、その変遷や疑惑の内容をフリップにまとめて紹介した。ある民放プロデューサーは「舛添氏は何度もカメラの前に登場してくれて助かった。ふつう『渦中の人』はあそこまで出ませんから」。同じ「政治とカネ」の疑惑を追及された甘利明・前経済再生相は療養が必要になり、公の場から姿を消した。舛添氏自身が「怒りの燃料」を投下したとみる民放のチーフプロデューサーもいる。「疑惑を認めない彼のスタンスに対して、人々は自分の生活に引きつけて怒り、もっと知りたいという欲求を高めていった」。各局は、論点を整理し、面白く、分かりやすく伝えようとした。TBS系では、舛添氏がシルクの中国服を政治資金で購入した問題で、実際に書家に中国服を着てもらい「書道の際に着ると筆がスムーズに進む」との舛添氏の弁明を検証。「グッディ!」は集中審議の際、「あなたならどう攻める?」との字幕を出し、舛添氏の答弁に納得できたか、視聴者にツイッターで回答を求めた。連日、報じるなか、ある民放のディレクターは「さすがに放送はもういいだろう」と思った。ところが視聴率は伸び続けたという。視聴率は、スポンサーがCMを出稿する際の目安になり、CM契約料金に直結する。「他局も流しており、やめられなかった」。一連の報道について、服部孝章・立教大名誉教授(メディア法)は「消費増税の先送りや待機児童問題、五輪誘致の贈賄疑惑など報じるべきことが他にあるのに、メディアがわかりやすいスキャンダリズムに走り、軽重が逆転してしまった」とみる。舛添氏は辞任に追い込まれたが、疑惑の全容解明はならなかった。2014年にゴーストライターの存在が発覚し、批判報道が過熱した作曲家・佐村河内(さむらごうち)守氏を取り上げた映画「FAKE」が公開中の映画監督、森達也さんは「舛添氏の問題はあまりに身近で分かりやすく、たたきやすかった。タレントの不倫報道もそうだが、『水に落ちた犬をたたけ』という現象が以前より強まっている」と指摘する。


PS(2016年6月19日追加):法律違反で懲戒免職されるわけでもないのに、*16-1のように、「退職金を辞退せよ」「給料を辞退せよ」などと言うような主権者を育ててはならない。何故なら、「1日24時間、土日も拘束されよ」とも言っており、重責を負って長時間労働している政治家に対して労働基準法からかけ離れた幼稚な要求をして、金持ちや政治家の家系の出身者しか政治家になれないような状況を作っており、そのツケは必ず都民や国民自身にまわってくるからだ。
 例えば、*16-2は、国会議員の家系で金持ちだが、あまり勉強していないらしく教養のない麻生氏は、「①カネは一切息子や孫が払うものと思って使いたい放題使ってましたけど、ばあさんになったらああいう具合にやれるんだなと思いながら眺めてました」「②貯蓄より消費が重要で、金は使って回さないとどうにもならない」「③90歳で老後心配、いつまで生きてるつもり」などと述べておられる。しかし、①は高齢女性を馬鹿にしており、祖母に対してさえ敬愛の念を持たず相手の立場でものを考えられないことや、特殊な環境にいる高齢女性のみを見て全体を判断している点で論理になっていない。また、②は、使いたい放題使っていたとして高齢女性を馬鹿にしていたのとは正反対に無駄遣いの奨励を行っており、一つの話の中にさえ矛盾がある。そして、③は、確かに90歳というのは既に老後であるため老後の心配をしなければならないのはおかしいが、それをさせているのは麻生財務大臣はじめ関係省庁であり、「社会保障費がかかるから早く死ね」と言うのは、教養のなさが見識の低さとなって現れたということだ。

*16-1:http://mainichi.jp/articles/20160616/k00/00e/040/213000c?fm=mnm
(毎日新聞 2016年6月16日) 退職金2200万円、都民「辞退したら…」
 東京都の舛添要一知事の辞職が決まり、来月中にも都知事選が実施されることになった。首都の「顔」が2代続けて「政治とカネ」の問題で辞職した東京。都によると、舛添氏には都条例に基づき約2200万円の退職金が支払われる予定で、都民には次のリーダーへの希望と舛添氏への批判の声が交錯した。辞職決定から一夜明けた16日、舛添氏は午前10時過ぎに登庁した。薄いグレーのスーツ姿で、報道陣の問いかけにも真っすぐ前を向いて口を結び、足早に知事室に向かった。都によると、知事の退職金は退職した時点での給料月額(145万6000円)に在職月数(2年5カ月)をかけた額の52%で、退職から1カ月以内に支払われる。東京都大田区のJR大森駅前の商店街。青果店従業員の女性(52)は「次はお金にクリーンな人がいい。でも、政治家というのはクリーンではいられないのかしら」とうんざりした表情。退職金が支払われることに驚き「誠意があるなら辞退するのが男らしい引き際じゃないかと思う」と話した。総菜店経営の男性(58)は「辞めるのは仕方ないが(50億円とされる)都知事選の費用がもったいない」とぼやき「次はお金にきれいな人がいい」。退職金については「これだけ世間を騒がせたのだから、半分くらい置いていってほしい」と訴えた。寝具店従業員の男性(59)は「都知事は2代続いてお金に絡んだ問題で辞めている。次は政治家という仕事に奉仕の感覚のある人がいい」と望んだ。

*16-2:http://digital.asahi.com/articles/DA3S12416478.html
(朝日新聞 2016年6月19日)「90歳で老後心配、いつまで生きてるつもり」 麻生副総理が発言
 自民党の麻生太郎副総理兼財務相が17日、北海道小樽市での講演で「90歳になって老後が心配とか、わけの分かんないこと言っている人がこないだテレビに出てた。オイいつまで生きてるつもりだよと思いながら見てました」と語った。麻生氏自身も75歳だが、高齢者への配慮に欠けた発言として批判が出ている。麻生氏はこの日、小樽市の党支部会合で「1700兆円を超える個人金融資産があるのに消費が伸びていない」などと指摘する中で「90歳の老後」に言及した。自らの祖母が91歳まで元気だったと紹介し、「カネは一切息子や孫が払うものと思って、使いたい放題使ってましたけど、ばあさんになったら、ああいう具合にやれるんだなと思いながら眺めてました」とも語った。貯蓄より消費が重要として「金は使って回さないとどうにもならない」とも述べた。麻生氏の発言に対し、民進党の岡田克也代表は大分県由布市で「国は年金や医療、介護制度で、高齢者の不安に応えなければならない。私は非常に怒っている」と批判した。

| 民主主義・選挙・その他::2014.12~ | 04:05 PM | comments (x) | trackback (x) |
2015.3.29 主権者は、どういう人を議員に選んだのか? また、その理由は? (2015年3月30日、31日、4月2日、9日に追加あり)
    
  日米中の  購買力平価による   購買力平価で見た   日本の債務残高  出生時代別 
  名目GDP  一人当たりGDP    GDP順位の変化                 人口割合

I.無駄遣いは、こちら
(1)人の痛みを思いやり、よりよい解決策を考えるべき
 *1-1のように、2015年3月24日、「国が投入した巨大なブロック塊がサンゴ礁を破壊している問題で、翁長雄志知事は沖縄防衛局に対し、海底ボーリング調査など全ての海上作業を30日までに停止するよう指示し、『腹は決めている』と述べた」とのことだが、翁長知事の決意は、最近のすべての選挙で示された沖縄の民意である。しかし、菅官房長官は、「全く変更せず、粛々と進める」と述べたので、私もうんざりした。何故なら、日本が民主国家なら、ここは“粛々”と進めるべき場所ではないからである。

 しかし、*1-2のように、2015年3月28日、沖縄県が出した名護市辺野古海域での作業停止指示に、中谷防衛庁長官は「正当な手続きが済んでいる」と述べ、沖縄防衛局は不服として農水省に申し立て、その審査請求書には沖縄県内世論の大多数が辺野古移設に反対していることには触れずに「(作業停止は)普天間の返還遅れに直結し、周辺住民が騒音にさらされ続けることになる」とするなど、一方的な主張が目立つとのことである。

 そして、*1-3のように、農相は、2015年3月28日、「翁長氏の指示には正当性がない」として、沖縄県知事による米軍普天間飛行場移設先、名護市辺野古沿岸部で作業を進める沖縄防衛局への作業停止指示の効力を止める意向を固めたそうだ。

 しかし、私は、*1-4のように、名護市辺野古への移設については、これまでの経緯を見ればわかるとおり、政府は他の移設先を探すべきだと考える。中谷防衛庁長官が根拠としている「正当な手続き」の重要な一部である仲井眞知事の承認には、どう見ても国の恫喝による強制があったと思われた。そのため、菅官房長官が「翁長氏の指示は違法性が重大かつ明白で無効だ」と批判しているのは、日本の民主主義と公正性にかんがみて、どちらがおかしいのかをもっと大きな視野で司法に問うべきことになる。

 そして、現在は本当に必要な公共工事が目白押しであるとともに、埋め立ては無駄遣いで環境を壊し、硫黄島などの離島を提供する方が合理的であるため、米軍海兵隊の機能や何の抑止力になりうるのかなど、今一度、冷静に考えて結論づけた方がよい。

(2)原発にのみ税金から膨大な補助をすることにより、最もよい技術を残していく自然淘汰を阻害して
   いるのが日本の政治家・行政官であり、これらに、どういう人材が就いているのかが問題
    
 原子炉内部を  汚染水対策の   放射性物質の取扱い失格       もんじゅ  さらに原発保護
 今頃透視して   無駄遣い                         重要配管点検漏れ 
メルトスルー確認
   
 経産省と電力会社を中心として、原発への無駄遣いが目に余る。そして、既に起こってしまったフクシマ事故については、保障せざるを得ないが、40年も稼働しながら補助の継続を必要とするような技術は、使い物にならない。

 そのような中、*2-1のように、会計検査院の調査で、東電は2014年3月までに廃炉・汚染水対策として3455億円を支出し、そのうち約700億円は、除染装置の機能不全で無駄になったそうだ。処理水を溜めるために160億円かけて設置したボルト締め型のタンクは現在造り直しており、21億円で整備した地下貯水池も処理水漏れで使えなかったが、これらは、放射性物質をあまりにも甘く見ていた結果だ。

 さらに、汚染水を凍らせて止水する狙いで、海側の地下トンネルにたまった高濃度汚染水の抜き取りに向けた実証実験を子会社の東京パワーテクノロジーに1億円で委託したが、汚染水は凍らず作業員が手作業で氷を投するという、ちょっと考えれば事前にわかる馬鹿な結果となった。

 また、*2-2のように、会計検査院の試算によれば、国が東電に支援する9兆円を全額回収するには30年超かかる可能性があり、国は東電が事業利益から出す特別負担金や東電株式(1兆円相当)の売却益などで回収する計画だが、検査院は「高価格での東電株式売却は確実でない」と指摘している。

 その上、*2-3のように、経産省、「もんじゅ」の技術開発費1401億円を原発コストに含めず、原発のコストは他のエネルギーよりも安いと主張する。しかし、太陽光発電の開発費はシャープが拠出し、これが通常の製品であって開発費はコストの一部であるため、コスト比較に不公正があるのだ。また、「事故の発生確率は約40年に1回」「原発の安全対策をしているのに事故リスクが下がらないのは、つじつまが合わない」「前回も世界最高水準の安全対策をとることが前提だったため、確率を変えるのは反対だ」というように、事故の確率に関する科学性のなさも問題で、これが原発力ムラのレベルなのだ。

 そのような中、*2-4のように、経産省は、原発再稼働と電力自由化を睨み、電力会社が独占してきた原発の安い電気をだれでも売れるように、原発由来の電力を新電力に供給することを義務付けるそうだ。それは、今後、原発への公的な支援拡大が避けられず、世論の支持を得るためだそうだが、その公的支援は、最も優れた発電方法に淘汰していくことを邪魔し、最もコストが高くて危険な原発を温存する、逆効果の無駄遣いなのである。

II.国は、国民が保険料を支払ってきた基金の受託者であるため、正当な注意なき管理による不足分を、委託者である国民(受け取る高齢者)に、しわ寄せすることは許されない。
    
   年金制度      マクロ経済スライド 2014.11.28朝日  介護保険料値上げ

(1)インフレ政策の罪
 *3-1のように、黒田日銀総裁が「秋以降に物価上昇率が加速する」と述べたように、政府と日銀は、脱デフレを目的して金融緩和による物価上昇政策(つまり、インフレ政策)を行っている。それは、2015年度末にかけて2%の物価上昇目標を達成して堂々と消費税増税を行うため、及び、*3-2のように、「マクロ経済スライド(意味のない名前だ)」を適用し、物価上昇で実質年金支給額を目減りさせる目的があり、ここに高齢者の生活に対するやさしさや配慮は全くない。そして、これは、高齢者の犯罪が増えている原因である。

 *3-1によれば、黒田氏は、「①全国消費者物価指数が原油安の影響を受けて、0%程度の低い上昇率にとどまる可能性がある」「②(物価の伸び悩みが賃金改善を遅らせる)悪循環につながる懸念は払拭された」「③外国為替相場の円安の定着で輸出が持ち直し、経済全体がうまく回り始めた」としたそうだが、これらはすべて経済学的におかしく、それをまともに批判できるメディアがないのも驚きだ。

 実際には、この金融緩和による物価上昇政策(つまり、インフレ政策)の影響で、円ドルレートは80円前後から120円前後になったため、我が国のドル換算GDPは単純に2/3になった。また、物価上昇した分だけ国民の購買力は低下し、購買力平価で見た一人当たりGDPは左から2番目の図のとおりだ。それにもかかわらず、こうしなければ輸出や企業立地が増えずに③の状態であり、国家財政も大赤字なのであれば、それが日本経済の実力と言わざるを得ないが、そうなってしまった大きな理由に、Iに記載した政治・行政の誤った政策による付加価値を上げる新産業への妨害や生産性の低い雇用、投資がある。

 なお、②の「デフレでは賃金が減り、デフレスパイラルに陥る」と言っている人は多いが、付加価値を高くできない無駄な投資をしている日本経済の実力では、日本全体として実質賃金が上がるわけはない。また、百歩譲って実質賃金が上がったとしても、上の右図のように人口の30%を占める高齢者の年金所得が減り、生活にさえ困っている状態なのだから、高齢者は節約モードに入って、①の原油安は福音でこそあれ、国内需要が増えて経済が活性化することにより物価が上昇をするなどということはない。

 なお、経済学の理論上も、GDPの一定割合の投資ができるためには、同じ割合の貯蓄が必要であるため、現在の政策では、生産性を上げる民間投資も民間貯蓄も減るしかないのである。

(2)政府が低所得の高齢者からむしりとる政策は破廉恥で、若者の倫理観にも悪影響を与えている
 *3-2のように、物価が上昇に転じても、年金抑制策「マクロ経済スライド」機能して、公的年金はこれまでのように増えなくなり、これにより実質年金額が下がるため、現在及び将来の実質年金支払額が減ることになるが、最低年金の底上げは先送りされており、これこそが、最も大きなインフレ政策の目的であろう。そして、高齢者が負担する介護保険料も上がっており、「年寄りは(若者に負担をかけずに)早く死ねということか」と言われても否定できない破廉恥な状況なのである。

 その上、*3-3のように、政府は、子への「結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置」「教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税措置」「住宅資金贈与の非課税制度」などを創設し、高齢者から子や孫への教育・住宅資金の贈与を奨励している。しかし、高齢者の貯蓄は働けなくなった後の生活費であるため準備があるのが当然であり、贈与した祖父母が年を取った時に資金不足に陥ったり、子や孫が一時的に分不相応な出費をしたり、また格差の固定化の問題があったりするのである。

(3)では、どうすればよいのか
 年金については、2012年12月18日、2014年5月5日始め、このブログの「年金・社会保障」のカテゴリーに、これ以外なら不公正になると思われる唯一の提案を何度もしてきた。つまり、国は、年金制度を積立方式に戻して退職給付会計を採用し、年金基金のずさんな管理を改め、これまでのずさんな管理・運用で足りなくなっている積み立て分は国債で賄い、その国債は次世代までかけて返済することとして、暮らしていける年金給付を行うべきなのである。

 それにより、政府に邪魔されずに市場が機能して、無駄な公共事業で悪循環になることもなく景気が回復し、高齢者が必要とする製品が売れて本物の需要が喚起され、高齢化社会で必要とされる新製品や新技術の開発が進むのである。

III. その他
(1)外国人を労働力と認めず、技能実習生とする差別
 *4に、外国人技能実習制度の対象職種として、新たに介護分野を加える方針を厚生労働省が固め、それは、介護現場の深刻な人手不足によると記載されている。しかし、私も、技能実習制度の名の下に、労働者を最低賃金を下回る低賃金などの劣悪な条件で雇用するのは、介護制度にプラスでないばかりか、外国人に対する人権侵害だと考える。

 これは、国連や米国から「人身売買」などと厳しく批判され、日弁連も制度の廃止を求めているものであるため、厚労省はじめ政府がブラック企業のようにならないためには、早急に見直して正当な外国人の雇用を進めるべきである。

(2)カジノ解禁で博打国家へ(!?)
 その上、*5のように、自民、維新、次世代の3党がカジノ法案を国会に再提出しようとしているのは、もともと自民党系のこの3党であれば予想外というわけではないが、カジノは法律で禁じられている博打であることを考えれば、全く見識に欠ける。

 また、観光目的といっても、日本は、カジノがなければ面白くないような場所ではない上、カジノで巻き上げられてよい思い出を持って日本を後にする外国人はいないため、国益にもならない。

IV. 結論
 ここまで見て、私には、日本では若いヤマト人男性の幸福しか追求されておらず、他の人はそのために犠牲になるべきだという前提があるように見えた。これは、日本国憲法前文の「われらは、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」、同13条の「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」に違反しており、先進国の常識にもあわない。

 それにもかかわらず、“主権者”がそういう人を為政者に選ぶ事態となった理由についても問題にすべきであり、経済学を本当の意味では理解しておらず、空気を読んで報道することしかできない人が、メディアとして「言論の自由」「報道の自由」など語る必要はないし、その資格もないと考える。

<環境破壊と公共工事による無駄遣い>
*1-1:http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-240804-storytopic-11.html (琉球新報社説 2015年3月24日) 新基地停止指示 安倍政権は従うべきだ 知事判断に正当性あり
 目の前に横たわる不条理に対し、冷静に法理を尽くし、粛々と是正を求める権限行使である。沖縄の尊厳を懸けた安倍政権との攻防は新たな局面を迎えた。名護市辺野古への新基地建設に向け、国が投入した巨大なブロック塊がサンゴ礁を破壊している問題で、翁長雄志知事は沖縄防衛局に対し、海底ボーリング(掘削)調査など全ての海上作業を30日までに停止するよう指示した。作業停止を拒む政府に対し、翁長知事は「腹は決めている」と述べた。埋め立て本体工事の基盤となる岩礁破砕許可も取り消される公算が大きくなった。
●「主権」はどこへ
 翁長知事は安慶田光男、浦崎唯昭の両副知事と共に会見した。新基地建設阻止に向けた不退転の決意を県内外に示す狙いがあろう。「沖縄のことは沖縄が決める」。われわれは地方自治の原則に根差した知事の決断を強く支持する。問題を整理しよう。国は新基地建設に抵抗する市民を排除するため、埋め立て海域を取り囲む臨時立ち入り制限区域を設けた。その上で、埋め立てを承認した仲井真弘多前知事から昨年8月に岩礁破砕の許可を得た。広大な臨時制限区域を示す浮標灯を固定する重りとして、沖縄防衛局は海底に最大160キロの鋼板アンカー248個を設置したが、大型台風で120個が流出した。消えたアンカーの代わりにしたブロック塊の重量は10~45トン、低く見積もっても当初のアンカーの62~280倍に及ぶ。環境保全に背を向けた常軌を逸した対応だ。埋め立て海域とは関係ない海域で巨大なブロックがサンゴ礁を無残に押しつぶしている。「無許可行為」が確認されれば、岩礁破砕許可取り消しなどを命じることができる。知事の作業停止指示には環境破壊を防ぐ法的正当性がある。一方、県は臨時制限区域内で、サンゴ礁の破壊の有無を調べる立ち入り調査を申請したが、米軍は「運用上の理由」を挙げ、不許可にした。だが、沖縄防衛局は連日、潜水調査を実施しており、運用上の理由は成り立たない。防衛省や外務省は県の調査実現の仲介さえしようとしない。狭量な二重基準が極まっている。安倍政権と米軍が気脈を通わせた県排除の構図だ。日本国内の環境を守るための調査さえかなわないなら自発的な「主権喪失」と言うしかない。安倍晋三首相が国会などで連呼してきた「主権」は沖縄では存在しないかのようだ。
●低劣な品格あらわ
 「全く問題はない」。沖縄の基地負担軽減を担当しているらしい菅義偉官房長官はこの日も硬い表情で断定調の「全く」を再三口にした。強気一辺倒の物言いには、沖縄を敵視する響きがある。見たくない現実から目を背け、都合のよい事情だけ取り入れて強がり、恫喝する。仲井真前知事による埋め立て承認にすがりつき、沖縄の民意を問答無用で組み敷くことしか打つ手がないことの表れだ。子どもじみた心性が際立つ。民主主義の価値を損なう政権の低劣な品格が映し出されている。沖縄の民意は「普天間固定化ノー、辺野古新基地ノー」だ。掘削強行や人権無視の過剰警備など、安倍政権のやることなすことが沖縄社会の反発を強める悪循環に陥っている。「辺野古移設か、固定化か」という脅しも沖縄に基地を押し込める差別を助長している。普天間飛行場は戦後、米軍が民有地を強制接収して造った。奪われた土地にできた基地を動かす先がなぜ県内なのか。かつて県内移設を認めていた県民も根本的な疑念を深め、今は総じて7割超が反対している。普天間飛行場を抱える宜野湾市でも民意は鮮明だ。昨年の県知事選と衆院選で危険性除去を訴えた仲井真前知事と自民党現職は大差をつけられた。民主主義を重んじる正当性は沖縄にある。安倍政権は工事停止指示を受け入れるべきだ。追い込まれているのは政権の側である。

*1-2:http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-241032-storytopic-11.html
(琉球新報社説 2015年3月28日) 防衛局不服文書 沖縄の痛み感じ県外移設を
 米軍普天間飛行場の移設計画をめぐり県が出した名護市辺野古海域での作業停止指示について、沖縄防衛局が不服として農水省に申し立てた審査請求書などの内容が明らかになった。県内世論の大多数が辺野古移設に反対していることには触れず「(作業停止は)普天間の返還遅れに直結し、周辺住民が騒音にさらされ続けることになる」とするなど、一方的な主張ばかりが目立つ。そもそも国の機関が別の国の機関に行政不服審査法に基づく審査請求や執行停止を申し立てられるのか。同法は第1条で国民に不服申し立ての道を開き「国民の権利利益の救済を図る」ことをうたっている。つまり申し立ての当事者は国民だ。国ではない。防衛局は「特権的立場あるいは優越的地位」ではなく「一般私人と同様の立場」で申し立てたと弁明した。防衛省と農水省という政府の身内同士が申立人と審査人の立場になることは疑問だ。「特権的」「優越的」にないと主張するのもあまりに苦しい弁明だ。公正、公平な判断が出る環境が担保されていると誰が思うだろうか。防衛局は岩礁破砕を「海域における地殻の隆起形態を変化させる行為」と記し「サンゴ礁にまで発達したとは認められないサンゴ類をき損する行為は規制の対象とならない」と自論を展開している。サンゴ礁とはサンゴの群落を指す。コンクリートの下敷きになっていたのは複数のサンゴ類だ。小規模ながらも群落を形成しており、これをサンゴ礁から除外することが果たして妥当なのか。群落でないサンゴ類だとしても、岩礁に含まれないから破砕しても構わないという主張は極めて乱暴だ。普天間移設についても名護市辺野古が「唯一の解決策」と記した。中谷元・防衛相は大臣就任前に学生のインタビューに答え、普天間飛行場の県外移設について「理解してくれる自治体があれば移転できる」と断言していた。「唯一」でないことを防衛相自身が認めている。詭弁を繰り返すのはもうやめるべきだ。意見書を出した翁長雄志知事は辺野古移設を強行する政府について「沖縄県民の痛みを感じない、感じようとしない」と批判した。正しい指摘だ。国がすべきは執行停止や審査請求を申し立てることではない。県民の痛みを受け止め、県外移設を真剣に検討すべきだ。

*1-3:http://www.saga-s.co.jp/news/national/10201/171259
(佐賀新聞 2015年3月28日) 農相、県の停止指示「無効」へ、辺野古作業、30日にも発表
 林芳正農相は28日、沖縄県の翁長雄志知事による米軍普天間飛行場(宜野湾市)の移設先、名護市辺野古沿岸部で作業を進める沖縄防衛局への作業停止指示の効力を止める意向を固めた。県が農相に提出した意見書を精査する作業を進めた上で、30日にも発表する。沖縄県は27日に提出した意見書で、防衛局が翁長氏の指示の効力を止めるため農相に提出した執行停止申立書は「不適法であり、却下されるべきだ」としていた。林農相は、「翁長氏の指示には正当性がない」とする防衛局側の主張の方が妥当との判断に傾いた。知事の指示の効力が停止されれば、防衛局は作業を継続できることになる。

*1-4:http://www.topics.or.jp/editorial/news/2015/03/news_14275014549174.html (徳島新聞社説 2015年3月28日) 辺野古移設で対立 政府は沖縄の声を聞け
 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設をめぐり、政府と沖縄県の争いが全面対決の様相になってきた。翁長雄志知事が、辺野古沿岸部での海底ボーリング調査を停止するよう指示したのに対し、政府は無視して作業を続けている。双方は法廷闘争も辞さない構えだ。このままでは対立が決定的になり、修復できなくなる恐れがある。ここまで事態が悪化した原因は、沖縄の声を聞かず、強引な手法をとってきた政府の側にあろう。政府は作業を中止し、県との話し合いを始めるべきだ。翁長知事は、指示から7日以内に作業を停止しなければ、海底の岩石採掘などの岩礁破砕に関する許可を取り消すと警告している。作業停止の期限は今月30日である。知事が停止を指示したのは、防衛省がボーリング調査のため投入した大型コンクリート製ブロックが、岩礁破砕の許可区域外でサンゴ礁を傷つけている可能性が高く、作業を止めて県が調査する必要があると判断したためだ。県は、岩礁破砕許可が取り消されれば、防衛省はボーリング調査を続行できなくなると主張している。これに対して防衛省は、県の破砕許可は不要と反論。対抗措置として、行政不服審査法に基づき、指示の執行停止を求める申立書などを林芳正農相に提出した。菅義偉官房長官は「翁長氏の指示は違法性が重大かつ明白で無効だ」と批判する。だが、県の潜水調査では、1カ所でサンゴ礁の損傷が確認されている。他の地点も確かめ、問題があれば是正させたいというのは県として当然ではないか。防衛省は昨年8月にボーリング調査を始め、翌9月に中断した後、今月再開した。翁長知事は、前知事による埋め立て承認の是非を検証する有識者委員会を1月に設置し、検証が終わるまで調査を再開しないよう求めていた。それを一顧だにせず、抗議する人たちを力で排除しての強行だった。乱暴なやり方に「これが民主主義なのか」と県民から怒りの声が上がったのはもっともだろう。菅官房長官は「わが国は法治国家だ」「法令に基づき、粛々と工事を進める」としている。しかし、前知事が公約に背いて踏み切った辺野古の埋め立て承認は、昨年11月の知事選で大敗を喫したことで県民からノーを突き付けられた。昨年の名護市長選と衆院選でも、移設賛成派は完敗した。沖縄の民意は明確に示されている。それを無視して進めることが正当な方法といえるだろうか。翁長知事は就任後、安倍晋三首相と菅官房長官に一度も会えていない。安倍首相はきのうの参院予算委員会で「国と地元がさまざまな取り組みについて連携を深めていく中で、翁長氏との対話の機会も設けられると考えている」と述べた。首相は中韓両国首脳との会談開催をめぐり、前提条件を付けるべきではないとし、対話のドアは常にオープンだと強調している。その姿勢を沖縄に対しても貫いてもらいたい。地元の理解と協力を得ようとするなら、まずは県民の声に耳を傾けるべきである。

<原発には税金から多額の補助をして技術進歩を阻害>
*2-1:http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2015032402000121.html (東京新聞 2015年3月24日) 汚染水対策700億円無駄に 東電 除染装置不具合など
 東京電力が福島第一原発事故の汚染水対策に投入した一部の除染装置などが十分に機能せず、約七百億円が無駄になっていたことが、会計検査院の調査で分かった。検査院によると、東電は二〇一四年三月までに廃炉・汚染水対策として三千四百五十五億円を支出した。東電はこれまで対策費用の内訳を「個別の契約内容」として明かしていない。最も多額なのは、一一年四月に仏アレバ社など六社と三百二十一億円で契約した除染装置。汚染水の放射性セシウムを薬剤で分離して濃度を下げる。だが処理効率が悪く、高濃度の汚泥が発生する問題もあり、三カ月動いただけだった。日立GEニュークリア・エナジーや東芝などと百八十四億円で契約した、処理水を蒸発させて塩分を取り除く装置も問題視された。水漏れが相次ぎ、五~四十四日しか動かなかった。処理水をためるため百六十億円かけて設置したボルト締め型タンクは一三年八月に三百トンの水が漏れた。二十一億円をかけ整備した地下貯水池も一三年四月に処理水漏れが起き、使えなくなった。海側の地下トンネルにたまった高濃度汚染水の抜き取りに向けた実証実験を、子会社の東京パワーテクノロジーに一億円で委託。汚染水を凍らせて止水する狙いだったが、実験のようには凍らず、作業員が手作業で氷を投入した。東電は一二年七月に実質国有化され、会計検査院が国会の要請で東電の経営合理化の状況などを調べた。調査結果の公表は一三年十月に続き二回目。東電の小林照明原子力・立地本部長代理は「設備は事故発生以降、発電所を安定的に保つためのもので、不要とは考えていない。機能は発揮していたのではないか」とコメントした。

*2-2:http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS23H3H_T20C15A3PP8000/
(日経新聞 2015/3/23) 東電への支援金9兆円、回収まで30年超 会計検査院試算
 会計検査院は23日、東京電力への検査結果を公表した。東電が2014年に政府の認定を受けた新総合特別事業計画(再建計画)を検証した。福島第1原子力発電所事故の賠償スキームで、国が東電に支援する9兆円を全額回収するには30年超かかる可能性があると試算した。東電は電力各社と政府が出資する原子力損害賠償・廃炉等支援機構を通じて国から9兆円の資金援助を受けている。国は、東電が事業の利益から出す特別負担金や、機構が引き受けた東電株(1兆円相当)の売却益などで回収する。再建計画では、東電株売却は2020年代半ば以降の実施予定だが、国の回収までの期間は示されていない。検査院は東電の平均売却価格(1株750~1350円)などの条件を変え、6通りを試算した。その結果、最短で18年後の32年度末、最長で30年後の44年度末と算出した。東電株は現状は500円以下で推移しており、検査院の担当者は「さらに長期化する可能性がある」としている。除染費用(2.5兆円)は株売却益でまかなう計画だが、平均売却価格が1050円になる必要がある。検査院は「企業価値の向上に東電が取り組むのは当然だが、高価格での売却は確実でない」と指摘した。

*2-3:http://digital.asahi.com/articles/ASH3V4RPMH3VULFA00W.html?_requesturl=articles%2FASH3V4RPMH3VULFA00W.html&iref=comkiji_txt_end_s_kjid_ASH3V4RPMH3VULFA00W (朝日新聞 2015年3月27日) 「もんじゅ」技術開発費、原発コストに含めず 経産省
 原発の発電コスト計算から高速増殖炉の原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)の技術開発費が除外される見通しとなった。経済産業省が26日開いた、原発や再生可能エネルギーなど電源ごとの発電コストを再検証する「発電コスト検証ワーキンググループ(WG)」で、方針に異論が出なかったためだ。この日のWGでは、将来に向けた研究費は、いまの発電コストに含めるべきではないとの意見でまとまった。前回2011年の民主党政権下では、それまで含んでいなかった原発立地のための交付金や研究費といった「政策経費」も加えることにした。この時の政策経費は、11年度の予算をもとに年間3182億円かかると試算して、発電コストは1キロワット時あたり1・1円上昇した。このうち「もんじゅ」を含めた将来に向けた技術開発費は1401億円と半分近くを占めた。今回の算定で使われる今年度予算では、「もんじゅ」を運営する日本原子力研究開発機構の運営交付金が955億円などとなっており、こうした費用が除外の対象になるとみられる。今後、経産省は除外する費用を積み上げるが、前回の1キロワット時あたり8・9円以上とした原発コストの押し下げ要因になる。一方、前回試算で「約40年に1回」とした事故の発生確率は結論が出ず、これからの焦点になる。委員からは「原発の安全対策をしているのに事故リスクが下がらないのは、つじつまが合わない」とする意見や、「前回も世界最高水準の安全対策をとることが前提だった。確率を変えるのは反対だ」という意見もあり、割れた。

*2-4:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20150324&ng=DGKKASFS23H5J_T20C15A3MM8000 (日経新聞 2015.3.24) 原発の電気、新電力へ、経産省方針、小売り競争促す 取引所に供給 義務付け
 経済産業省は原子力発電所が7月にも再稼働するのをにらみ、原発でつくった電気を電力小売りに新規参入する企業(新電力)も調達できるようにする。大手の電力会社に原発の電気を卸電力取引所(総合2面きょうのことば)に供給するよう事実上、義務づける。電力会社が独占してきた原発の安い電気をだれでも売れるようにし、電力小売りの競争を促す。九州電力川内原発1号機(鹿児島県)は7月にも再稼働する。経産省はそれに合わせて、まず原発を再稼働した電力会社に余った電気を日本卸電力取引所(東京・港)に供給するよう指導する。いまも新電力は卸電力取引所で電気を調達できる。しかし原発の停止で電力が不足しており、電力会社から取引所への電気の供給は限られる。2016年4月には工場など大口の需要家だけでなく、家庭向けの電力小売りも自由化される。経産省は取引所への供給を増やし、電気料金の引き下げにつなげる考えだ。政府はいまの国会に「電力市場監視委員会」の設置法案を提出している。成立すれば、同委員会は今秋にも発足する。電力会社が原発の安い電気を取引所に流していなければ、同委員会が是正を勧告する。安い電気の供給がすすまなければ、経産省が改善命令を出せるルールをつくる。足元の取引所での売買価格は1キロワット時あたり10~15円なのに対し、原発の発電コストは数円程度とされる。安価なコストを反映した電気が取引所に流れれば、売買価格の低下が期待できる。同委員会は余った電気のうち、どれだけの割合を市場に供給しているかも調べる。「電力会社は余剰となった電気の3割を市場に流すべきだ」(新電力のエネット)との意見も上がっている。仮に供給量が少なければ、一定量を取引所に供給するよう義務づける法整備に乗り出す構えだ。経産省が原発でつくった電気を新電力に開放するのは、原発の再稼働で電力会社だけが得をしないようにするためだ。再稼働で電気料金は下がる見通しだが、安い電気を電力会社だけが独占すれば新電力の参入余地は限られる。経産省は将来、大手電力会社に原発で生んだ電気を原則すべて市場に供給させることも検討する。今後、原発への公的な支援の拡大は避けられず、世論の支持を得るには原発の活用で電気料金を引き下げる必要があるからだ。12兆円超とされる使用済み核燃料の再処理費用は現在、原発を抱える電力会社がほとんどを負担している。新電力との競争がすすめば、電力会社は必要額を払えなくなるおそれもある。経産省は新電力が負担する再処理費用を増やす制度の導入も視野に入れている。

<倫理観なき高齢者いじめ>
*3-1:http://qbiz.jp/article/59046/1/
(西日本新聞 2015年3月28日) 「秋以降に物価上昇率が加速」 黒田日銀総裁
 日銀の黒田東彦総裁は28日、TBSのBS番組に出演し、物価動向に関して「秋以降、上昇率が加速していくと思う」と述べ、2015年度末にかけて2%の物価上昇目標を達成できるとの認識をあらためて示した。27日に発表された2月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く)は、原油安の影響を受け、消費税増税の影響を除くと前年同月から横ばいとなった。黒田氏は原油安の影響がなくなるまで「0%程度の低い上昇率にとどまる可能性がある」と説明した。黒田氏は、外国為替相場の円安の定着で輸出が持ち直しており「経済全体がうまく回り始めた」とも指摘した。「(物価の伸び悩みが賃金改善を遅らせる)悪循環につながる懸念は払拭された」と強調した。

*3-2:http://mainichi.jp/select/news/20150208k0000e040125000c.html
(毎日新聞 2015年2月8日) 「マクロスライド」:初適用 低年金層対策、置き去り
 4月以降、公的年金はこれまでのように増えなくなる。物価が上昇に転じ、デフレ下で凍結されてきた年金抑制策「マクロ経済スライド」が初めて機能するためだ。今後も物価の上昇基調が続けば、若者が将来受け取る年金はひと息つく半面、低年金のお年寄りは打撃を受ける。にもかかわらず、セットで進めるはずの年金の底上げ策は先送りされようとしている。
◇月6万円 「1%抑制でも死活問題」
 「家計は今までもギリギリ。物価が上がっても年金がほとんど増えないのでは生活できない」。東京都足立区の都営住宅で1人暮らしをする田中実さん(78)は、物価が2.7%増なのにマクロ経済スライドによって年金は0.9%増にとどまることに肩を落とす。毎月の収入は約6万円の国民年金(基礎年金)と、5万〜6万円のパート代。以前は家賃や光熱費を払っても余裕があったのに、消費増税や値上げのあおりでスーパーに行く回数は減り、商品は「本当に必要か」と吟味してから買い物カゴに入れるようになった。パートは週3回。真冬の今も、朝から夕方まで室温8度の冷蔵室で野菜を詰める作業だ。生活費だけでなく、趣味の囲碁と手芸教室に通う費用をひねり出すため10年前から頑張ってきた。それが今やパート代の多くは生活費に消える。田中さんはいずれ働けなくなる時に備え、毎月少しずつ蓄えてきた。だがそれもできなくなった。収入減を思うと、風邪をひいてもパートは休めない。「年寄りは体を壊して早く死ねということか。年金額が低い人にとっては、1%の抑制でも死活問題です」。2014年度の国民年金は満額で月6万4400円。15年度はマクロ経済スライドが響き、6万5008円と608円増にとどまる。スライドの期間は43年度まで約30年続く。この間、年金の伸びは物価や賃金の伸びに追いつけず、実質価値が下がり続け、現役との収入格差も広がる。とりわけ国民年金は今より3割も目減りする。マクロ経済スライドの影響は、障害年金で暮らす人にも及ぶ。さいたま市の実家に1人で住む統合失調症の女性(48)は、精神障害者として月6万4400円の障害基礎年金を受けている。千葉にいる両親が蓄えを崩して光熱費や食費の一部を助けてくれ、どうにか生活できているという。

*3-3:http://biz-journal.jp/2015/01/post_8549.html (畠中雅子/ファイナンシャルプランナー・高齢期のお金を考える会 2015.01.12) 教育・住宅資金の一括贈与の罠?祖父母は生活困窮、子・孫は分不相応な出費で家計逼迫
 今年1月、相続税の基礎控除が引き下げられた。そのことを受けて相続増税に関する話題が盛り上がりを見せているが、相続と関連の深い贈与税の制度についても、さまざまな改正が行われている。例えば、2015年度の税制改正大綱の中には、「結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置の創設」とある。それは今年の4月から適用される。この制度は、結婚および子育てについて、親や祖父母から1人につき1000万円まで(結婚費用は300万円まで)の資金を、非課税で贈与できるとするもの。利用するには、金融機関に信託する必要があるようだ。税制改正大綱には「払い出した金銭を結婚・子育て資金の支払いに充当したことを証する書類を金融機関に提出しなければならない」と書かれている。書類としては、結婚式場に支払った金額の領収証や妊婦健診費、出産費用の領収書などが必要になるとみられる。この制度を利用できるのは19年3月末までの予定となっており、贈与を受けた人が50歳となった時点、あるいは死亡した時点で金融期間との信託契約が終了し、残額について贈与があったものとして贈与税の計算をすることになっている。
●教育資金の一括贈与は延長、住宅資金の贈与も拡充
 すでにスタートしている「教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税措置」についても、19年3月末までの延長が決まった。こちらは、学校をはじめとした教育機関に支払う学費などの教育費として使うことを目的に、最高1500万円まで非課税で贈与できる制度である。さらには、一定額までの住宅資金を非課税で贈与できる「住宅資金贈与の非課税制度」についても、昨年の制度より拡充されている。まさに、親から子へ、祖父母から孫へと、「贈与制度をどんどん利用してほしい」といった大盤振る舞い状態となっている。個人的には、これらの制度に文句があるわけではない。ただし、きちんと制度の内容を理解してライフプランを立てた上で利用しなければ、贈与した側もされた側も後悔する可能性が出てくると考えている。教育資金一括贈与の制度が施行された当初は、手続き書類が不足するほど申し込みが殺到した。手数料などが無料になる期限を設けたことが要因だ。しかし、冷静に考えてみれば、教育資金のように生活に必要な資金を祖父母が出したとしても、もともと贈与税は課せられていない。あまりに分不相応な援助まで非課税になるとは言い切れないが、一般的な進学コースの場合、祖父母に援助してもらうのは以前からよくあることで、贈与税の対象になるわけではない。また妊娠・出産に関しても、公的サポートは充実してきており、高額な費用は必要なくなった。例えば、妊婦健診は全国どの自治体でも14回分の助成が受けられる上、別の補助制度を備えている自治体も少なくない。出産に関しても、健康保険から病院へ出産育児一時金を支払ってもらえる「直接支払制度」が主流になっているため、妊娠期から出産にかけての自己負担額は10万円に満たないのが一般的だ。妊娠・出産費用は、各種の助成が拡充したことで負担はかなり軽くなっており、親から多額の助成を受ける必要があるとはいいにくい。
●援助によって生活が壊れることも
 教育資金を一括贈与で援助してもらった若い夫婦が、別のところでお金を使ってもらおうという狙いなのだろうが、これらの制度にはライフプランの視点から2つの問題がある。一つは、贈与した祖父母が年を取った時に、資金不足に陥るかもしれないリスク。相続税対策が必要な資産家が、この制度を利用して相続資産の減少を目指すのは合理的な選択だ。しかし、金融資産が5000万円以下の家庭で、1000万円を超えるような援助をしてしまうと、自分たちが後期高齢者になる頃になって、「子や孫にやりすぎた」と後悔するケースも出てくるはずだ。一方の子ども側を見ても、分不相応な習い事や塾代を掛けているケースが目に付くようになった。「教育資金としてお金をもらったから、使い切らなくてはいけない」と考えている人もいるが、使い切るという感覚には疑問を感じる。また、子どもが小さく家計が楽な時に財布の紐を緩めることにもなりかねない。自分たちの収入に見合わないほど多くの教育費をかけてしまった場合、将来の家計にとって重荷となる可能性がある。自分たちの収入では私立学校に子どもを入学させることが難しいのに、祖父母の援助を受けて進学しても周囲との生活レベルの差は大きく、次第に息苦しくなるだろう。また、無理して塾に通わせるなど教育資金を底上げしてしまうと、自分たちの老後資金を貯められないリスクも出てくるはずだ。もう一つは、格差の問題。裕福な親や祖父母を持つ恵まれた家庭も確かにあるが、老後の生活設計の相談現場では、親の懐事情は厳しさを増している。「自分たちの老後すらおぼつかない高齢者世帯」と、「相続対策の一環として、余裕部分を下の世代に継承していきたいと考える高齢者世帯」との格差が固定化されてしまう可能性も、これらの制度は秘めている。

<外国人技能実習制度>
*4:http://www.shinmai.co.jp/news/20150130/KT150129ETI090009000.php
(毎日新聞 2015年1月30日) 介護に外国人 実習制度拡大は筋違い
 外国人技能実習制度の対象職種として、新たに介護分野を加える方針を厚生労働省が固めた。2015年度中を目指している制度改定に盛り込む。背景にあるのは、介護現場の深刻な人手不足だ。しかし、実習制度の拡大で対応することは問題がある。制度の趣旨にそぐわないだけでなく、介護職の待遇改善を妨げたり、介護の質が低下したりすることにもつながりかねない。再考すべきだ。実習制度は、開発途上国などの労働者が一定期間日本で働いて技術を習得し、母国の発展に役立ててもらう目的で1993年に創設された。本来、日本国内の人手不足を補うための制度ではない。一方で、製造業などの現場で「安い労働力」を確保するためにこの制度が利用されている実態がある。過酷な環境に置かれている実習生も少なくない。最低賃金を下回る低賃金での長時間労働、残業代の不払い、雇い主によるセクハラなどが後を絶たない。実習生は来日前に多額の手数料を借金していることも多く、ひどい扱いをされても泣き寝入りしているという。こうした実情は、国連や米国から「人身売買」などと厳しく批判されてきた。日弁連は制度の廃止を求めている。厚労省による13年の調査では、受け入れている事業所の8割で労働関連法違反があった。目的と実態がかけ離れた制度の拡大は、劣悪な条件で働く外国人をさらに増やすことになりかねない。高齢化に伴い、25年に介護職は最大250万人が必要と推計されている。一方、確保できるのは220万人の見込みで、30万人不足する可能性がある。外国の人材の活用を求める声は介護現場からも上がっている。08年からは、経済連携協定(EPA)に基づく外国人の受け入れも始まったが、日本語の習得の難しさもあり、人手不足を補うほど広がってはいない。介護職の平均賃金は全産業に比べ月額で10万円ほど低い。それが人手確保がままならない要因となっている。待遇を改善し、国内で働き手を増やすことが、何より優先して取り組むべき課題だ。それでも足りない場合に、外国人を労働者として受け入れるかどうか。社会全体でしっかりと議論していく必要がある。介護は人を相手にする仕事だ。言葉を含め、担う能力の育成も欠かせない。人手不足解消のめどが立たないからと、実習制度に安易に頼ってはならない。

<カジノ解禁で博打国家へ>
*5:http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS21H1S_R20C15A3PE8000/
(日経新聞 2015/3/21) カジノ法案、自民など再提出へ 公明の対応焦点
 自民、維新、次世代3党は月内にもカジノを中心とした統合型リゾート(IR)を推進する法案(カジノ法案)を国会に再提出する。観光客誘致の起爆剤としてカジノを解禁し、政府に運営ルールなどの法整備を求める内容だ。慎重論が根強い公明党の対応が焦点で、同党内には自主投票として採決を容認してもいいとの声も出ている。超党派の国会議員でつくる「国際観光産業振興議員連盟」(会長・細田博之自民党幹事長代行)が月内にも総会を開き、カジノ法案を了承する。自民党など3党が衆院に議員立法として提出し、内閣委員会か国土交通委員会で審議入りし、会期内の成立を目指す。法案は施行後1年以内に、政府にカジノ運営などのルールなどを定めた法案を提出するよう義務付けている。ギャンブル依存症や青少年への悪影響への対策は盛り込んでおらず、政府に入場基準などの具体策の検討を委ねる。運営事業者は内閣府の外局に設置する管理委員会が管理する。カジノ解禁は安倍政権が成長戦略の柱と位置付けており、2020年の東京五輪でのカジノ施設の開業を目指している。ただ、公明党などが「依存症対策などが十分でない」と慎重姿勢を崩さないため、2013年秋の臨時国会の法案提出後、継続審議や廃案となってきた。超党派議連の幹部は「今国会も成立見送りとなれば20年開業は厳しくなる」と述べており、公明党などとの調整を急ぐ考えだ。


PS(2015.3.30追加):環境省の除染マニュアル(https://www.env.go.jp/jishin/rmp/fiscal/subsidy01/04_qa.pdf 参照)によると、0.23マイクロシーベルト/時(年間被曝線量2ミリシーベルト/年、年間追加被曝線量1ミリシーベルト/年)を超える場所を除染するとなっているが、国際基準は住民の年間被曝線量は1ミリシーベルト/年以下であり、住民の健康を守る目的から見て、環境省の基準はずる賢く甘い。また、放射性物質は空間を浮遊しているのではなく、地面に落ちて風で舞い上がるため、空間よりも地面付近の方が放射線量が高い。さらに、森林や湖沼の底は除染しないことになっている上、*6のように、地方自治体の負担による除染費用を東電が支払う姿勢がないというのも問題外である。

*6:http://qbiz.jp/article/59070/1/
(西日本新聞 2015年3月30日) 東電除染費払わず 市町村分の746億円
 福島第1原発事故後、市町村が実施した除染費用として国が2月末までに東京電力に請求した761億円のうち、東電側が約2%しか応じず、残る746億円の支払いを事実上拒否していることが29日、環境省への取材で分かった。一方、国直轄除染分は基本的に応じており、対応が分かれていることが浮き彫りとなった。除染関連費用は国がいったん立て替え払いした後、東電に請求する仕組み。東電の支払いが遅れれば、利息分は税金で賄われるため国民負担の増加につながる。環境省は「全て法律に基づき東電に請求しており、引き続き全額支払いを求めていく」と反発している。除染関連費用は2011年8月に成立した特別措置法により、東電が負担すると規定。政府は14年度までに約1・4兆円(うち市町村分は約6300億円)を計上した。環境省は金額が確定し書類がそろった除染事業について、12年11月から定期的に東電に請求している。今年2月末までに市町村分として761億円を求めたが、東電は最初の請求分の一部である15億円に応じた後は支払っていない。一方、国直轄分として請求した925億円については約86%の799億円を支払っている。特措法に基づく除染は福島県など東北と関東の8県が対象で、関連費用は総額2・5兆円の見込み。放射性物質による汚染が深刻な第1原発周辺の11市町村は国が直轄で除染し、これまでに4市町村で終了。それ以外の99市町村は各自治体が地域の実情に応じて実施することになっているが、完了したのは18市町村のみだ。原発事故に伴う除染 福島の原発事故で飛散した放射性物質が付着した土壌を取り除き、建物や道路の表面を洗浄する。福島第1原発周辺の避難区域は国が直轄で除染を実施。それ以外は、年間追加被ばく線量1ミリシーベルトから試算した空間線量毎時0・23マイクロシーベルトを超える地域を国が指定し、市町村が除染を実施する。除染の枠組みを定めた特別措置法は東京電力が除染費用全てを負担すると明記しているが、除染廃棄物を保管する中間貯蔵施設については国が負担する。


PS(2015.3.31追加):ここまでの対立になったのは、沖縄が県を挙げて普天間移設を反対していたにもかかわらず、本土のメディアが*7のように、「①普天間基地は住宅密集地にあり、米軍機の墜落事故などがあれば大惨事を招きかねないので、人口が比較的少ない同県名護市に移設するというのが日米両政府の合意だ」「②沖縄県は2013年、移設予定地である名護市辺野古沿岸部の埋め立て工事を許可し、この手続きは合法的に進められた」「③行政には一定の継続性が必要である」などを代表とする政府の説明をずっと流し続けていたため、本土の人は正確には沖縄の意見を知らず、知っている人も多くが無視していたことに原因がある。
 しかし、①については、辺野古を埋め立てるのがBestの選択肢ではなく、米国は日本がよりよい提案をすれば合意するため当たらない上、②の手続きについても、2013年の仲井眞前知事の承認自体が、日本政府からの何らかの脅迫・強制があって仲井眞前知事がそれまでの言動とはうって変わって突然許可したものだ。そのため、沖縄県民は辺野古の埋め立てを争点に知事選を行い、承認した自民党推薦の仲井眞前知事を落として翁長新知事が誕生したのであり、翁長新知事が当選時から「あらゆる手段を用いて移設を阻止する」と述べているのは、民意を基盤にした公約の実行であり、筋の通った行為だ。
 また、③についても、行政の継続性を理由に、何十年、いや何百年経っても同じことを言って時代の変化や技術進歩やそれに伴う価値観の変化についていけなかった愚鈍さ(stupidity)が、これまで国民の生命や財産に深刻な被害を与えた日本政府の数々の失政の原因だったことを忘れてはならない。

*7:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20150331&ng=DGKKZO85074600R30C15A3EA1000 (日経新聞社説 2015.3.31) 普天間移設を法廷で争うのは筋違いだ
 米軍普天間基地の移設を巡る国と沖縄県の対立が法廷に持ち込まれそうだ。同じ行政の側にありながら、司法の場で主張をぶつけ合うことに違和感を禁じ得ない。歩み寄りの余地はないのか。早期に話し合いの場を持ってほしい。同県宜野湾市の普天間基地は住宅密集地にあり、米軍機の墜落事故などがあれば大惨事を招きかねない。そこで人口が比較的少ない同県名護市に移設するというのが日米両政府の合意だ。沖縄県は2013年、移設予定地である名護市辺野古沿岸部の埋め立て工事を許可した。この手続きは合法的に進められたし、行政には一定の継続性が必要である。知事が交代しても移設は見直さないという国の方針は理解できる。沖縄県の翁長雄志知事が出した基地工事の停止命令は、水産資源保護法という工事とは直接関係ない法律に基づくものだ。知事は昨年の当選時から「あらゆる手段を用いて移設を阻止する」と語ってきたが、こうしたやり方は筋違いである。農水省が知事の停止命令の是非を審理する間、命令の効力をいったん無効にすると林芳正農相が判断したのはもっともだ。ただ、法的に正しいからとかたくなな対応でよいのかはよく考える必要がある。安倍晋三首相も菅義偉官房長官も昨年の知事選後、翁長知事と一度も会っていない。こうした対応が基地移設に賛成の県民の心証まで害していないだろうか。農相の発表を受け、翁長知事は「腹を据えて対応する」と表明した。県が埋め立ての前提となる岩礁破砕許可を取り消し、対抗して国がその取り消しを求めて裁判所に提訴する形で法廷闘争に突入する可能性が高まっている。これと似た事例が1995年にあった。米軍用地の収用に必要な代理署名を当時の大田昌秀沖縄県知事が拒んだことだ。最高裁まで争って国が勝訴したが、このときに生じた国と県民の溝がいまに至る普天間問題の遠因になっている面もある。基地はただつくればよいのではない。周辺住民の理解がなければ円滑な運用は難しくなる。菅長官は「辺野古移設の原点が何であるかということが、沖縄県民や国民に説明が行き届いていない」と述べたが、それを説明するのは政府の責任である。裁判で争わなくてよい努力をまずすべきだ。


PS(2015.4.2追加):*8-1のように、オランダでは広い面積で太陽光発電できる道路を開発しているのに、最初に太陽光発電を発明した日本では、*8-2のように、太陽光発電はコストが高いと言い張って、政府が2030年の電源構成比率を原発で2割確保し、原発・石炭火力・水力・地熱を合わせて約6割に増やすそうだ。これが、日本の為政者の馬鹿さ加減なのである。

*8-1:http://www.afpbb.com/articles/-/3031665
(国際ニュース 2014年11月13日) 世界初、太陽光発電する道路が開通 オランダ
 オランダで12日、世界初となる太陽光発電機能を備えた自転車専用道路が試験的に開通した。最終的には車道でも応用することが考えられる画期的なプロジェクトだという。この自転車専用道路、通称「ソーラロード(SolaRoad)」には、強化ガラスで覆われた太陽光電池パネルを利用した縦2.5メートル、横3.5メートルのコンクリート製モジュールが使われている。事故を避けるため、ガラスの表面には特殊な滑り止め加工が施されているという。道路の太陽電池で発電された電気は現在、国の電力網に流されているが、将来の計画では、この電力を利用して街路灯を点灯させることも検討されている。プロジェクトの開発に参加した物理学者、ステン・デウィット(Sten de Wit)氏は、路面から直接充電を行う「非接触型充電」の機能を利用して、電動自転車や電気自動車に電力を供給できる日が来るに違いないと話している。同氏はAFPの取材に「プロジェクトの着想は、オランダ国内を走る約14万キロに及ぶ道路だった。その面積は建物の屋根をすべて合わせたよりもはるかに大きい」と語った。また「自転車専用道路は、国内に2万5000キロある」としながら、「プロジェクトの持つ本当の潜在能力が解き放たれるのは、自転車専用道路だけでなく、自動車が利用する道路にもこれが適用される時だ」と述べている。ソーラー自転車専用道路は稼働から16日が経過した。この間の発電電力量は140キロワット時で、洗濯機の稼働約140回分に相当するとソーラロードの広報担当者は説明した。主に研究費に充てられたとされるプロジェクトの費用は、現時点で約300万ユーロ(約4億3000万円)に上っているが、ソーラロードは道路1キロ当たりでの費用については明言を避けた。同国のヘンク・カンプ(Henk Kamp)経済相は12日、首都アムステルダム(Amsterdam)北部にある通行量の多い自転車道に試験的に設置された約70メートルのソーラロードを自転車で走行。AFPの取材に対し、「持続可能エネルギーに関しては、オランダは極めて意欲的に取り組んでいる。この革新的技術もその重要な一環だ」と述べ、人口1700万人、自転車約1800万台のオランダでは、持続可能エネルギーの使用量を2020年までに3倍に増やし、2050年までにカーボンニュートラルならぬ「エネルギーニュートラル」になることを望んでいるとした。デウィット氏によると、ソーラロードは今後2年間にわたり、1日に約2000台の自転車が通る道で試験を行う予定。電動の自動車や自転車の台数が増加傾向にある中、国内道路を対象としたソーラロードの商業化を今後5年以内に実現することが、プロジェクトの目標だとしている。「大規模なスケールで適用可能な製品を5年以内に提供できると強く確信している」とデウィット氏は説明した。

*8-2:http://qbiz.jp/article/59471/1/
(西日本新聞 2015年4月2日) 政府、原発比率2割確保へ 電源構成比率
 政府が議論している2030年の電源構成比率をめぐり、原発で2割を確保する見通しとなったことが2日、分かった。政府と与党は原発と石炭火力、水力と地熱を合わせた「ベースロード電源」の比率を現在の約4割から約6割に増やす方向だが、石炭火力と水力、地熱を大きく伸ばすのは難しい状況であるためだ。政府と与党はこれまで30年の原発比率について15〜20%を軸に検討する方向だったが、原発の活用を進める姿勢が一段と鮮明になった。東日本大震災前はベースロード電源の割合は6割程度で推移し、原発は全体の約3割だった。


PS(2015年4月9日追加):「“粛々”という言葉さえ使わなければよいだろう」などと、自らの傲慢さと差別に対する指摘をわざと矮小に解釈し、米国に働きかけて辺野古移設を確定させようとする態度は国益を見失っている。やはり、自民党に勝たせすぎたのはよくなかったようだ。

*9:http://www.saga-s.co.jp/news/national/10201/174940
(佐賀新聞 2015年4月9日) 首相、辺野古移設に決意、米国防長官と会談
 安倍晋三首相は8日、カーター米国防長官と官邸で会談し、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設に関し「確固たる決意の下に進めていく」と強調した。集団的自衛権行使を可能とする安全保障法制整備への意欲も表明した。これに先立ち菅義偉官房長官もカーター氏と官邸で会い、沖縄県の米軍嘉手納基地(嘉手納町など)より南に位置する米軍施設・区域の返還計画の前倒しを要請した。カーター氏は「引き続き沖縄の負担軽減に協力する」と応じた。

| 民主主義・選挙・その他::2014.12~ | 01:51 PM | comments (x) | trackback (x) |
2014.12.19 選挙制度改革の必要性について ← 男性が多い世襲政治の価値観から脱皮すべき (2014年12月21日、24日に追加あり)
              
2014.12.11日本農業新聞 2014.12.14日経新聞 2014.12.11、12佐賀新聞
   
(1)民主主義になっていない選挙
 *1-1に、日経新聞が、「①有権者の半数が棄権」「②無党派層は分散して組織政党が有利になった」としているが、①②から、棄権した人には、1)一般有権者の実態に全く合わない政策を並べている政党や実行力に疑問がある政党ばかりで、どの政党も負託に堪えないと思った人 2)普段から政治に関心がないためサボった人  の二種類があるだろう。

 しかし、*1-2のような50%程度の低投票率でも、菅義官房長官が「私どもは当然(信任を)受けたと思っている」と述べているとおり、選挙結果は公約にお墨付きを与えることになり、これが民主主義なのである。しかし、これによって、本当はもっと賢い方法があるにもかかわらず、i)消費税率を上げ ii)年金給付額を減らし iii)保育・介護が不足しているにも関わらず社会保障を削減し iv)ばら撒くことが目的の公共工事を増やし v)原発に無駄使いして vi)高齢者福祉を高齢者の既得権益などと呼ばせる 倫理観に欠けた政治が信を得たことになった。しかし、この見せかけだけの民主主義は、官にとっては、自らがやりたい政策に政治がお墨付きを与える制度になっているため、むしろ変えたくないものなのである。

 そのため、*1-3のように、「今回の選挙結果で安倍政権が信任されたと民意をはき違えては困る」という論調のメディアも少なくなかったのは、せめてもの救いだ。

     
     2014.12.12、13日本農業新聞     2014.12.10、13佐賀新聞 

(2)世襲議員と男性議員ばかりの害
 *2-1の麻生副総理兼財務相は、大久保利通、牧野伸顕、吉田茂(祖父)、麻生多賀吉(父)が祖先の世襲の中の世襲議員で、先日、「①子どもを産まないのが問題だ」と発言した。これは、自民党の公約よりもかなり遅れた価値観だが、菅官房長官は、これを「②全く問題ない」と擁護し、麻生副総理兼財務相は、問い詰められた後に「③保育施設などの不足で産みたくても産めないのが問題との趣旨だった」と釈明した。しかし、麻生氏は総理大臣の時に、子どもを産んだという理由で、小渕優子氏を少子化対策・男女共同参画担当大臣に任命しており、麻生氏の本音は①なのである。

 そのような麻生家では、妻の価値は子どもを産むことで、その他の価値は付属にすぎないのだろうが、少子化対策・男女共同参画担当大臣としての適格性を持てる知識や見識を、子どもを産んだだけで持てるわけはなく、逆に、子どもを産まなくてもそういう知識や見識を持っている人は多い。しかし、自民党は、①②のような価値観の議員が多いため、まだまともな介護や子育て支援制度ができていないのである。

 なお、小渕優子氏は、子どもを産んでも支障なく国会議員や大臣を務め続けていられるのだから、子育ての大部分を誰かにやってもらっているに違いない。これは、普通の働く女性から見れば、殆どの男性議員と同様、子育てをやったとか、仕事と子育てを両立したとか言えるようなものではない。

 しかし、このように行政の政策を鵜呑みにする世襲議員や男性議員が高い割合を占める中で政策を決めると、*2-2のように、①人口1億人を維持することが不可欠(イノベーション、女性・外国人の雇用、定年延長、失業率などを無視しており、根拠なし) ②そのためには2040年に出生率2.07が必要(人口置換水準を線形で計算しているため、計算間違い) ③合計特殊出生率を1.8まで引き上げることが、まず目指すべき水準と明記(女性の自己決定権を無視した出産の押しつけという人権侵害に疑問を持たない体質) などという政策を推し進めることになるのである。

 そして、このビジョンが「人口減で国としての持続性すら危うくなる」という危機感に基づいているのは、環境を壊し、原発を推進し、食料やエネルギーの大半を他国に依存しながら、結論を導くためにあからさまなこじつけをしているところが、悲劇を超えて滑稽ですらある。つまり、これらを総合的に考えて解決できる総合力を持たない人が、政治や行政システムの中で意思決定しているのが、現在の日本の最も大きな問題なのである。

(3)選挙制度改革の必要性
 2014年12月14日投開票の総選挙では、小渕優子氏や小泉進二郎氏が早々に当選を決めたと、NHKなどのメディアが何度も何度もその状況を放送していたが、これらの世襲議員の選挙区では、対立候補が共産党からしか出ていなかったため、早々に当選が決まるのは当たり前であり、実際には公示日に候補者が確定した時には、選挙戦は終わっていたのである。

 これは、強力な対立候補と選挙戦を繰り広げざるを得ない立場の世襲でない候補者とは対照的で、それでも、この2人の映像が何度も流されたのは、これらの世襲議員には裏で何かの力が働いていたからにほかならない。そして、日本の政治は、こうやって世襲議員を大量に当選させ、大臣や総理大臣にしていく仕組みになっているが、これでよい筈はないのだ。

 それでは何故、世襲議員が当選に有利かと言えば、下のような理由がある。
  1)先代の後援会や慣れた秘書などの地盤を引き継ぐため、有力な選挙基盤が最初からある
  2)先代の地盤には、地元の首長・県議・市議などに先代の親派が多いため、候補者調整や
    選挙応援で有力である
  3)小選挙区では、地元への利益誘導が重要であるため、1)2)の総合力が力を発揮する

 では、これでいいのかと言えば、一般に一代目より二代目、三代目となるにつれ、世の中に矛盾を感じてそれを変えるために政治家になろうと志した人ではなくなるため、人物が小さくなってよくない。では、どういう選挙制度にすればよいのかと言えば、数を減らせばマイノリティーの政党や女性当選者が減って多様性が減るという副作用があり、国民にとっては数を減らせばよいわけでもない。

 そこで、私は、衆議院は、小選挙区制か中選挙区制で比較的狭い範囲の地域を地元として、地域の代表を議員として選び、これをチェックする立場の参議院は、狭い地元への利益誘導よりも国全体の視点を重視させるとともに一票の格差を完全になくすため、全員を全国区の得標順にするのがよいと考える。ただ、こうしても、本当に政治家にすべき人が選ばれるか否かは、やはり有権者と有権者に正確な情報を流すべきメディアの見識次第になる。

<民主主義と今回の総選挙について>
*1-1:http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS14H1E_U4A211C1PE1000/
(日経新聞 2014/12/15) 漂う有権者 半数が棄権 無党派層は分散、組織政党有利に
 衆院選は与党がひとまず勝利をおさめた。安倍晋三首相が有権者から一定の期待を集める一方、野党は政権批判票を多く取り込めなかった。有権者の関心が高まらず、投票率は過去最低を更新。有権者の半数が棄権する状況は、組織力で勝る自民や公明、共産各党に有利に働いた。特定の支持政党を持たない無党派層の多くは棄権したとみられるが、1票を投じた無党派層は分散した。現行の小選挙区比例代表並立制が導入された1996年以降、自民が最も多い議席を得たのは小泉純一郎首相時代の2005年衆院選の296議席だった。情勢調査ではそれに迫る勢いを一時示していた自民だが、結局は公示前勢力を下回った。それでも政権側は信任されたという認識だ。菅義偉官房長官は14日夜のTBS番組で「私どもは当然(信任を)受けたと思っている」と述べた。減らしたとはいえ、291の獲得議席は過去の衆院選と比較しても高い水準にはある。各選挙区で1人しか当選できない小選挙区制は、得票率の差はわずかでも勝敗を大きく分ける。自民の小選挙区の得票率は約48%だが、全295選挙区の約76%の議席を確保した。野党の得票率は民主党が2割強、共産が1割強、維新の党が1割弱。05年、09年、12年と4回連続で1党に大きく振れる「雪崩」現象を招いた。与党勝利を後押ししたのは投票率の低下だ。小選挙区の投票率は過去最低だった前回12年の59.32%を下回る見通しで、組織型政党に追い風になった。企業・団体や個人後援会を基盤とする自民のほか、創価学会を支持母体とする公明や、固い支持層を持つ共産はいずれも好調な戦いだった。なぜ投票率が低かったのか。東大の境家史郎准教授(政治学)は「有権者の投票参加につながるような明確な争点や対立軸がなかった。安倍政権が争点に掲げた消費増税延期の是非も主要政党に大きな差はなかった」と指摘する。報道各社の情勢調査で自民の優勢が伝わり、政権交代の可能性が低いとみた有権者が投票意欲を一層低下させた、との見方も示す。今回の衆院選はインターネットを使った選挙運動の解禁後、補欠選挙を除いて初めての衆院選になった。13年参院選に続いて若年層の関心が高まるのか注目されたものの、効果は限定的だったとみられる。無党派層はどう動いたのか。投票行動論が専門の早稲田大の田中愛治教授は「多くが投票に行かなかった公算が大きい。無党派層はあまり風を起こさなかった」とみる。自民に無党派層を引き付ける力は弱い。民主政権時に味わった民主への失望は有権者の意識に残り、維新は前身の日本維新の会が分裂するなど、第三極の離合集散にも不信を抱いていると分析する。共同通信社の出口調査で「支持政党なし」と答えた無党派層に投票先を聞いたところ比例代表で21.1%が自民に投票した。民主は20.8%、維新は21.7%、共産は17.7%だった。公明7.4%、次世代の党3.9%、社民党3.2%、生活の党2.9%と続いた。小選挙区では自民31.7%、民主28.5%、共産18.8%、維新11.2%の順だった。自民は無党派層からも一定の票を獲得した。ただ、投票所に足を運び、自民を選んだ無党派層は「ほかよりはまし」という消極的な理由だった可能性がある。比例代表での政権批判票の「受け皿」は民主、維新、共産に分散した。無党派層を頼った民主は思うようには取り込めなかった。

*1-2:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20141215&ng=DGKKZO80907900V11C14A2PE1000 (日経新聞 2014.12.15) 民主主義 迫る危機 投票率低迷、政治に不信
 衆院選の投票率が過去最低に落ち込む見通しになった。投票したくても、1票を投じたい政党や候補者が見つからない。有権者の多くはそんな政治不信を抱き、漂流している。議会制民主主義の正統性を揺るがしかねない危機が迫っている。棄権した人にはそれぞれの事情があるだろう。だが、議会制民主主義は、主権を持つ国民が選挙に参加して代表を議会に送ることで、民意が国政に反映される仕組みだ。憲法の規定で参院より優越される衆院で、投票率が50%に近づいたのは、極めて深刻な事態といえる。投票率は若い世代ほど低くなる傾向があり、今回も若者の投票率が一段と下がった可能性がある。投票所に足を運んだ割合の大きい高齢者を政党や政治家が政策決定などで配慮する「シルバー民主主義」の恐れが強まる。高齢者の既得権益が守られ、大胆な社会保障改革に踏み込みにくくなれば、ツケを払わされるのは投票に行かなかった若者だ。消費税率引き上げを延期する是非を問いかけて衆院解散・総選挙に踏み切った安倍晋三首相に、有権者が「解散の大義が分からない」と戸惑ったのは事実だ。だが、自民党に代わる政権の選択肢を示せなかった野党、とりわけ民主党が問われる責任は重い。小選挙区制を主体とした衆院選は本来、政権と首相を有権者が選択する選挙である。それなのに民主は候補者が198人と過半数(238)にも届かず、政権交代を目指す目標を早々とあきらめてしまった。政権交代につながる可能性のある野党第1党がなければ、選挙が緊迫感を欠くのは当たり前だ。野党が再生しなければ、日本の民主主義それ自体が漂いかねない。特定の支持政党を持たない「無党派層」の膨張に政治家はより危機感を抱くべきだろう。日本経済新聞社の世論調査では、7月に全体の47%に達し、かつてない水準にまで高まっていた。既存政党への警鐘は鳴らされていた。主要政党は投票年齢を20歳以上から18歳以上に引き下げることにしている。投票率を上げようと有権者や将来の有権者である子どもたちへのキャンペーンを強めたり、投票所を増やしたりする提言が浮かぶ。しかし、こうした努力をいくらやったとしても、政党側の魅力が乏しいままならば、有権者が投票に行かなくなる問題の根源は解消しない。

*1-3:http://www.kobe-np.co.jp/column/shasetsu/201412/0007586579.shtml
(神戸新聞 2014/12/16) 安倍政権継続/民意をはき違えては困る
衆院選から一夜明け、引き続き政権を担う安倍晋三首相が会見した。与党圧勝の選挙結果について「アベノミクスをさらに前進せよ、との国民の声だ」と述べ、政権が信任を得たとの認識を強調した。不意打ちの解散を仕掛け、経済政策の単一争点化に成功し、全議席の3分の2を超える巨大与党を維持した。思惑通りの展開といえるだろう。来年9月の自民党総裁選で再選され、さらに3年間政権を担うとの見方が有力だ。長期政権を視野に入れる首相にとって、最大の政治課題が安全保障法制の見直しであり、憲法改正であることは間違いない。案の定、会見では集団的自衛権の行使容認と関連法整備にも「国民の支持を得た」と主張し、憲法改正にあらためて意欲を示した。だが、いずれも選挙戦では与党が深入りを避けてきた問題だ。自民党の公約に「集団的自衛権」の文言はない。菅義偉官房長官は解散直前、行使を認める閣議決定や特定秘密保護法の是非については争点化に消極的だった。世論を二分する重要政策を正面から問わず、選挙に勝ってしまえば思い通りにできるかのように振る舞うのは国民を欺くことになる。民意をはき違えてはならない。自民候補が小選挙区で全敗した沖縄県の選挙結果を、首相がどう受け止めるかも焦点だろう。政府が進める米軍普天間飛行場の辺野古移設に対して県民ははっきり「ノー」の意思表示をした。だが首相は「唯一の解決策であり、考えに変化はない」とし、移設を進める構えを崩さなかった。地域の民意を無視して強引に突き進めば、問題はこじれ、世論の反発を招いて政権の致命傷になりかねない。一度立ち止まり、異論にも耳を傾ける姿勢が要る。今回の選挙で国民の多くが求めたのは「景気回復」である。首相は宿願達成に前のめりにならず、約束した経済対策に全力を挙げるべきだ。安倍政権を暴走させないためには野党の立て直しが急務だ。野党第1党の民主党の責任は大きい。海江田万里代表は議席を失い辞任を表明した。後任選びとともに安倍政権への対抗軸を明確にする必要がある。党内の議論を尽くし、国民の信頼回復に努めねばならない。

<この発言の本音はジェンダーである>
*2-1:http://www.saga-s.co.jp/news/national/10202/133847
(佐賀新聞 2014年12月9日)麻生氏が釈明「誤解招いた」、産まない発言、菅氏擁護
 麻生太郎副総理兼財務相は9日の閣議後の記者会見で、少子高齢化に伴う社会保障費増に絡み「子どもを産まないのが問題だ」とした発言に関し「誤解を招いた」と述べ、不適切な表現だったとの認識を示した。麻生氏の釈明を受け、菅義偉官房長官は「全く問題ない」と擁護したが、上川陽子法相は「閣僚はいかなる状況でも、理解してもらえる発言をすべきだ」と苦言を呈した。麻生氏は、保育施設などの不足で産みたくても産めないのが問題との趣旨だったと釈明し「きちんと説明するのを省いてしまった。時間をかけるべきだった」と述べた。

*2-2: http://digital.asahi.com/articles/ASGDL52NJGDLULFA01Q.html?_requesturl=articles%2FASGDL52NJGDLULFA01Q.html&iref=comkiji_txt_end_s_kjid_ASGDL52NJGDLULFA01Q (朝日新聞 2014年12月19日) 人口1億人維持には… 「40年に出生率2.07必要」
 政府の人口減対策と地方創生の方針となる「長期ビジョン」と、2020年までの施策を盛り込んだ「総合戦略」の原案が明らかになった。1人の女性が生涯に産むと見込まれる子どもの数である合計特殊出生率を1・8まで引き上げることが「まず目指すべき水準」と明記し、2030年に達成する想定にした。政府が目標に掲げる「50年後に総人口1億人」が確保される出生率の推計として「2040年に2・07」との仮定も示した。政府は出生率を「数値目標」とは位置づけていないが、達成水準を数値で示すことは有識者から「出産の押しつけ」といった指摘もあり、議論を呼びそうだ。13年の出生率は1・43だった。ビジョンの原案では、出生率について「若い世代の結婚・子育ての希望が実現すれば、1・8程度の水準まで向上することが見込まれる」と説明した。「子供を何人欲しいか」という厚生労働省の調査結果をもとにした民間の試算を参考に、政府が算出した数字だ。また、人口規模が長期的に維持される「人口置換水準」(現在は2・07)についても、「将来いつかの時点で回復することが必須の条件」とした。そのうえで、出生率が30~40年ごろに人口置換水準まで回復すれば、「50年後の60年に総人口1億人」が確保されるとのシナリオを示した。その推計で、出生率が「20年に1・6、30年に1・8、40年に2・07が達成されるケース」と仮定していることにも触れた。ただ、数値明記への批判にも配慮して「結婚や出産はあくまでも個人の自由な決定に基づくもので、個々人の決定にプレッシャーを与えるようなことがあってはならない」とも記した。ビジョンは人口減で「究極的には国としての持続性すら危うくなる」と危機感を表明。人口減に歯止めをかける「積極戦略」と、人口減に対応した社会に再構築する「調整戦略」を同時に進める方針を示した。とりわけ①東京一極集中の是正②若い世代の就労、結婚、子育ての希望の実現③地域特性に即した課題解決――に取り組むとした。「総合戦略」の原案はその具体策として、地方が自由に使える交付金の創設といった施策と、「地方への人材還流と人材育成を20年までに10万人」などとする数値目標を盛り込んだ。


PS(2014.12.21追加):下のグラフのように、今回の総選挙の投票率は59.32%で戦後最低であることが問題だとする論調が多い。しかし、投票率は、①1928年の男子普通選挙導入時にそれまでの85~95%から75~85%くらいに下がり ②1945年の男女普通選挙実現時に70~75%くらいに下がり ③小選挙区制導入後、60~70%の間を推移していたが、最近、また下がったのである。これを世代毎にみると、若い世代ほど投票率が低く、①②から「母集団の増加とともに棄権する人は増えるが、普通選挙の有難味がわかっている世代は投票に行く確率が高い」、③から「小選挙区制による無力感と支持政党なしという理由が加わった」「普通選挙の有難味を意識しない世代の割合が増えた」と分析できる。
 基本的には、*3の日本国憲法に書かれているとおり、選挙権は権利であって義務ではないため、棄権するのは自由である。しかし、「政治にかかわらないのが美徳でスマート」という主権在民とは相いれない価値観が広く存在するのは問題であり、これらの人々は国や地方自治体の意志決定を他人に委ねているわけだ。そのため、オーストラリアのように、こういう価値観がなくなるまで、例えば10年という時限立法で、やむを得ない理由がないのに選挙権を棄権した人からは1人1万円の罰金をとる方法が考えられる。そうすると、総選挙の場合は、約5000万人の有権者のうち約1500~2000万人が棄権し、1500~2000億円の収入がある。2回連続して棄権すれば2万円、3回連続して棄権すれば3万円と値上げしてもよい。そして、この収入を選挙費や民主主義のコストに充てるのはどうだろうか。もちろん、地方自治体の選挙については、罰金はその地方自治体の収入にすべきだろう。

   

*3:http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S21/S21KE000.html (日本国憲法)
第十五条  ①公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。 ②すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない。 ③公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する。 ④すべて選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない。選挙人は、その選択に関し公的にも私的にも責任を問はれない。


PS(2014.12.24追加):*4の論調は、①高齢者から若年層への世代間資産移転を促す税優遇制度の拡大を行い、個人消費の活性化に繋げる ②非課税贈与制度の拡充で消費増税後に低迷する住宅市場のてこ入れを図る ③この税制改正で、個人金融資産1650兆円の大半を持つ高齢者から消費が旺盛な若年層に資産を移し消費拡大に繋げる という内容で、自民党内部の会議でよく発言されるものだが、私は、これは、金持ちか世襲の男性議員が大半を占めるからこそ出てくる政策の間違いだと思う。
 何故なら、①については、若年層のみ個人消費が盛んであるように思っており、高齢者は通常の消費の上に医療・介護・家事支援などの新たな消費を大きな金額で必要とするという一般消費の実態を理解していない、また、②のように、消費税増税と産業の支援しか考えておらず、生活向上の視点がない、さらに、③のように、高齢者が個人金融資産1650兆円の大半を持つため、高齢者から若年層に資産を移せば消費拡大に繋がるという程度の考慮しかない からである。
 しかし、高齢者が個人金融資産を持っているのは、働けなくなってから医療・介護で多額の支出が生じるため必要に迫られてのことであり、普通は、それは働ける期間にこつこつと貯めてきたものだ。にもかかわらず、「高齢者は個人金融資産の大半を持つから、高齢者から若年層に資産を移せ」というのは、余程の金持ちで自らは介護サービスを必要とせず、親から低い相続税・贈与税で金をもらうことしか考えず、生涯所得・消費・貯蓄の関係については考えたこともない人にしか思いつかない愚策である。

*4:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20141224&ng=DGKKASFS23H2E_T21C14A2NN1000 (日経新聞 2014.12.24) 若者に資産移転 消費促す、子育て贈与非課税/子ども版NISA 税制改正作業が大詰め
 2015年度税制改正の議論が大詰めを迎えている。子育て資金の贈与を非課税にする制度や子ども版の少額投資非課税制度(NISA)など、高齢者から若年層に資産移転を促す仕組みを盛り込み、個人消費の活性化につなげる。法人実効税率は15年度の引き下げ幅を2.4%台にする方向で最終調整を進める。自民、公明両党の税制調査会は30日に税制改正大綱をまとめる。15年度改正の柱の一つは、世代間移転を促す税優遇制度の拡大だ。子や孫に教育資金を一括贈与した場合、1人あたり1500万円まで贈与税が非課税になる制度の期限を15年末から18年度末まで延長する。入学金や授業料などに限っていた使い道も、留学渡航費や定期券代などに広げる。少子化対策として20歳以上の子や孫に結婚、出産、子育てに使う資金を贈与した際の非課税制度も15年度に創設する。期限は18年度末。株式投資などの運用益が非課税になるNISAは16年から子ども版をつくる。親や祖父母が20歳未満の子や孫の代理で専用口座を作って投資する場合、年80万円までの投資が非課税になる。非課税の贈与制度で消費増税後に低迷する住宅市場のてこ入れも図る。最大1000万円まで認めている住宅資金の非課税贈与制度は15年から最大1500万円に拡充。17年4月に予定する消費再増税に向け、最大3000万円に拡充する案も検討している。こうした税制改正を通じ、個人金融資産1650兆円の大半を持つ高齢者から、消費が旺盛な若年層に資産を移し、消費拡大につなげる。消費喚起策では、急増する外国人旅行者が免税店を使いやすくなる仕組みも導入する。店舗ごとに必要だった免税手続きをショッピングセンターや商店街では1カ所で済ませられるようにする。外航クルーズ船の寄港に合わせて仮設の免税店を出す場合の手続きも簡素化する。安倍政権の成長戦略の柱で、最大の懸案だった法人税改革も盛り込む。現在35.64%(東京都)の法人実効税率を15年度は33%台に下げる方向で調整。所得ではなく給与総額などを基に課税する外形標準課税の拡大など大企業への課税強化で財源を確保する。企業が関連会社から受け取る配当への課税強化や研究開発減税の縮小も進める。初年度の税率の下げ幅を大きくする先行減税で企業の負担を減らす。

| 民主主義・選挙・その他::2014.12~ | 04:27 PM | comments (x) | trackback (x) |

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