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2013.6.26 日本基準が国際基準になることは珍しいのに、今回は、何故なれたのか?(6月27日最終更新)
   
     *1より        水素ステーションの燃料電池車  燃料電池バス 

 燃料電池車のトップランナーは日本企業であるため、国際安全基準に日本案が採用されるのは自然だが、環境車については政府の後押しも大きかった。今後、燃焼後に水しか排出せず、パワーもある燃料電池車は、世界で、乗用車だけではなく、バス、トラック、船、飛行機にも採用されていくだろう。そのため、政府は、過去の技術にしがみつくのではなく、次世代のまっとうな技術が発展しやすい政策を採用して、その土俵を整備すべきである。

 なお、*2は、DNAなどの生命科学の研究が応用段階に入ったことを示すもので、人工クモ糸は、強度が高く伸縮性に優れる次世代素材であり、色も始めからつけられるため、乗り物に使えば、鉄より強くて軽いものを手間を省いて作ることができ、その乗り物の付加価値がさらに上がるだろう。

*1:http://www.nikkei.com/article/DGXNASDF2200O_S3A620C1MM8000/  (日経新聞 2013/6/23) 燃料電池車、国際安全基準に日本案 米欧など採用 国連部会で各国合意へ
 日本や米国、欧州連合(EU)など33カ国・地域は今週、燃料電池車の安全性の国際基準で日本案を採用する。日本車メーカーは国内仕様のまま輸出できる。政府は走行実験の手続きを簡素化してトヨタ自動車や日産自動車などメーカーの開発を促す。約10年で3兆円に拡大すると見込まれる世界市場のシェア獲得に向け日本メーカーが攻勢に出る。燃料電池車は燃料電池で酸素と水素を反応させて電気を作ってモーターを回し、それを動力にする。走行中の排ガスはゼロで次世代自動車のなかでも環境性能が高い。電気自動車(EV)より走行距離も長いと期待されている。普及に向けては水素の爆発を防ぐ安全基準が課題だった。
 このほど国連が示した燃料電池車の安全基準は最終案の大部分に日本の提案が盛り込まれた。24~28日にスイス・ジュネーブで開く国連の作業部会で各国が正式に合意する。中国やインドなど新興国も合意する。日本は2005年に主要国で最も早く安全基準を作り、当初から日本案を軸に交渉が進んでいた。国際基準が決まると各国は国内法を制定・改正して国内基準もそろえる。日本案の安全基準は、車に搭載する燃料電池から水を排出する配管内の水素濃度の上限を4%にする。4%に達すると水素の注入を遮断し爆発を防ぐ仕組みを義務付ける。容器内の圧力を高めたり、低くしたりする作業を2万2千回繰り返しても容器が変形しないよう耐久性も検査する。トヨタや日産、ホンダなど各社は日本で15年に本格的な販売を計画している。トヨタは15年に米国でも販売を始める計画だ。日本案が国際基準になると輸出先の国・地域に合わせて仕様を変える必要がなくなる。トヨタは「国際基準が明確になれば量産体制を確立しやすくなる」としている。各社は10年前に1台1億円だった燃料電池車の価格を500万円程度に引き下げて普及させる考えだ。政府は規制緩和で燃料電池車の普及を後押しする。国土交通相の認定が必要な公道での走行実験で、手続きにかかる期間を8週間から6週間に短縮。自動車メーカーの技術革新を後押しする。

*2:http://www.nikkei.com/article/DGXNZO55429530U3A520C1TJ1000/?dg=1
(日経新聞 2013/5/24) クモの糸を量産 慶大発VB、車部品や人工血管に  微生物を活用
 慶応大学発ベンチャーのスパイバー(山形県鶴岡市)は24日、クモの糸を人工合成し繊維にする技術を確立、量産に乗り出すと発表した。自動車部品メーカーの小島プレス工業(愛知県豊田市)と工場を新設、2013年中に月間100キロを供給できる体制を整える。クモ糸は強度が高く伸縮に優れる次世代素材とされる。自動車部品や医療素材向けなどに用途開拓を急ぐ。
スパイバーの人工クモ糸は微生物から出る特殊なたんぱく質を原料としている。成分や特性はクモの糸と同様だが、分子や遺伝子の配列を見直して他の素材などと組み合わせやすくしている。微生物も培養効率を高めており、紡糸を含め繊維にするまでの量産技術を開発した。小島プレス工業と連携して約7億5千万円を投じ山形県鶴岡市に生産拠点を新設する。当初は年産1.2トンだが、用途開発を進め15年には年産10トンに能力を拡大する。人工クモ糸による新素材は極めて高い強度があり、ナイロンより高い伸縮性を持つという。低コスト化を進め、自動車用部品、人工血管などの幅広い利用を見込む。スパイバーは07年9月に設立。慶大先端生命科学研究所(鶴岡市)で学生だった関山和秀社長らがクモ糸の特性に注目し、新たなバイオ素材と位置づけて量産技術を開発してきた。海外でも研究機関を中心に実用化に向けた開発が進むものの、基礎研究の段階にとどまるという。スパイバーは既に関連技術を含めて16件の特許を出願している。人工クモ糸を使った青色のドレスを公開した関山社長は「世界で初めての技術を立証でき、工業化が視野に入った」と説明した。


PS(6月27日追加):私は1998年春に、スイスで行われた夫の学会に同伴し、帰りにマッターホルンに登るために、ツェルマットに宿泊したことがある。その時の体験は、下のとおりだ。
  
 マッターホルン    ツェルマット駅前と電気バス   ツェルマットの位置
1)*3のとおり、ツェルマットの市街地は、環境を考慮して自治体の条例により電気自動
  車(EV)か馬車しか走れない。そのため、私が、「電気自動車では馬力が足りないこと
  はありませんか?」と乗ったバスの運転手に尋ねたところ、バスの運転手が、「環境を
  守るために、不便でもそうしているのだからいいのです。」と答えたので、ヨーロッパ、
  とりわけスイスの意識の高さに感心した。現在では、日本やドイツで電気自動車や燃料
  電池バスが開発されているので、もっと便利にEVを使えるようになっただろう。自然を
  大切にすべき観光地では、こういう条例もアリだと思う。
2)マッターホルンの展望台には、ツェルマットから登山鉄道やロープウェイに乗って誰でも
  容易に行ける。私は、まずゴルナーグラート鉄道で上り、ハイキングコースを下ってきた
  が、杖をついた老人が一人でコースを歩いて下っているのを見て驚いた。しかし、これが
  最初の高齢者福祉であり、高齢者が元気でいられる源だと思って感心した。
3)スイス国内を列車で走ると、原生林のような場所でさえ草刈りなどの手入れが行き届い
  ており美しい。また、民家の色調や形状が規制されており、窓辺に花が飾ってあるのも、
  素朴な美しさを感じる景色となっている。さすがに歴史ある観光地だと思った。

*3:http://bizmakoto.jp/makoto/articles/1002/03/news010.html
(要点)ツェルマット市街地は自治体の条例によりEV(電気自動車)しか走れないため、市街地を走るのはEVと観光用の馬車のみ。EVの実用化に対する世界的な関心が盛り上がってきたのはここ数年なのに対し、ツェルマットがEV利用に取り組みだしたのは20年以上も前。現在、ツェルマットを走るEVは計500台(EV路線バス6台)で、にわかにEV利用を始めた都市とは歴史の長さが違う。

| 経済・雇用::2012.9~2013.6 | 12:23 PM | comments (x) | trackback (x) |
2013.6.23 やり方次第で、わが国の造船業の未来は明るい。
  
    東京港        三菱造船所     風と電気のハイブリッドは?

 私は、公認会計士時代に、通常の監査だけでなく、M&Aにおける監査、組織再編、バブルで多角化した後に大きな借金を抱えた中堅企業の後始末などもしてきた。その実務経験から、「何にでも多角化するという経営方針は失敗することが多い。なぜなら、本業で磨き上げた技術以外は、その企業は素人だからである。そのため、多角化でも、本業で磨き上げた技術を応用するものなら、成功する可能性が高い。」という法則があると考えている。

 その私は、*1、*2の記事に関して、造船の場合は、車よりも、エネルギーの変換、ハイブリッド化、省エネ化が遅れている分野であるため、世界で最も進んでいるわが国の環境車の技術やGPS・レーダーを使った自動運転技術を船に活かせば、世界で既存船の置き換え需要が高まり、わが国はトップランナーとなって、造船不況は解決すると思う。この状況は、車や家電で起こったことと同じだ。

 なお、現在、エネルギーの変換、ハイブリッド化、省エネ化は重油で港や海を汚しているあらゆる種類の船で待たれている。写真の東京港は、水の色が茶色で汚く、いくら豪華客船に乗っていても、こういう所に停泊していたのでは、「快適」には程遠いだろう。どうして今まで、そういう環境規制がなかったのか不思議なくらいだが、今後、世界でそのような環境規制を導入していけば、既存船の世代交代は、さらに進むと思われる。

*1:http://qbiz.jp/article/19361/1/
(西日本新聞 2013年6月23日) 造船業の多角化進む 厳しい経営環境が背景
 かつて日本の“お家芸”とされた造船業に変化の兆しが見える。コストの安い中国、韓国勢の生産拡大、2008年のリーマン・ショック後の受注激減、世界的な供給過剰と、厳しい経営環境にさらされる中、国内建造量の約3割を占める九州では事業多角化の動きが強まっているのだ。生き残りに懸ける各社の取り組みを追った。 
◆ホテル経営やEV開発
■世界に通用
 長崎県西海市沖に浮かぶ大島。周囲25キロ、人口約5500人の旧産炭地に4月、リゾートホテル「オリーブベイホテル」が開業した。新・歌舞伎座を手がけた建築家隈研吾氏が設計し、最高級の客室は1泊1人12万円。ホテルオークラから招かれた諏訪健一総支配人は「建物や内装、家具は超一流。世界に通用する」と胸を張る。建てたのは、島内に工場を持つ大島造船所。船の引き渡しや商談で訪れる世界中の船主らを受け入れていた旧ホテルを取り壊し、新設した。本業以外への大きな投資(額は非公表)には社内でも賛否が分かれたが、「観光客を増やすことで収益強化につなげたい」(幹部)と決断。同社が栽培するフルーツトマトは島外で人気で、出資する第三セクターでの芋焼酎製造とともに、多角化の象徴にする考えだ。一方、同県佐世保市に造船所を持つ佐世保重工業(東京)は3月、トマト栽培に取り組むため11年8月に設立した子会社を清算した。採算性を確保できなかったことが理由だが、今は本業の技術を生かしたガス分離装置の商業化を急ぐなど「新事業で収益力を高めていく」(広報担当者)との方針にぶれはない。
■町工場から
 造船業界の裾野を支えてきた関連業者も動いている。「企業や大学と連携し町工場から技術革新を起こしたい」。こう語るのは、船舶製造機械を手掛ける信栄工業(長崎市)の樫山和久社長。長崎大との連携で電動スクーターの製作に成功、4月からは小型電気自動車(EV)の開発を始めた。さらに「5〜10年後には水素と酸素を化学反応させる燃料電池車を手掛けたい」と意欲的だ。三菱重工業長崎造船所を中心に造船が基幹産業の長崎市。信栄工業も1990年代初めまでは売り上げの8割以上が造船関連だった。しかし、今では1割程度に激減。生コンクリートや鮮魚用製氷工場向けの受注を増やし、年商を維持する。
■投資を決断
 多角化の動きには目もくれず、本業の立て直しを図る社もある。「従来と同じことだけをやっていても駄目だ」。こう力を込めるのは、佐伯重工業(大分県佐伯市)の岩本光生社長。3・7万トン級の貨物船を主力としてきたが、6万トン級も建造できるよう、来年度までに数億円かけて設備を拡充する計画だ。収益環境が厳しい中で同社が設備投資に踏み切るのは、親会社の尾道造船(神戸市)の受注に対応する狙い。円高修正で昨年後半から受注が回復。だが、世界的な供給過剰で船の価格はリーマン前の6割ほどに低迷。足元では円安で鋼材などの仕入れ価格も上昇しつつあり、採算が取れるか予断を許さない。中国、韓国勢との競争はなお激しいが、岩本社長は「省エネ技術や品質で差異化できるチャンスはある」と強調。造船は地域経済を支える基幹産業だけに「雇用を支えるためにも競争力を確保したい」と言い切る。事業多角化や本業立て直しに投じる経営資源は大きく、失敗は許されない。戦後復興の象徴だった造船業界の底力がいま試されている。

*2:http://qbiz.jp/article/19361/2  (西日本新聞 2013年6月23日) 
◆世界では供給過剰
 国内の造船業は激しい浮沈を経験しながら輸出産業として日本経済を引っ張ってきた。業界を最初に襲ったのは1973年のオイルショック後の第1次不況。87〜92年は円高による第2次不況で受注が激減。造船各社は統合・再編などで経営効率化を図ってきたが、厳しい環境は今も続く。国土交通省の統計によると、第2次不況ただ中の1988年、国内の鋼船建造量は387万9千総トンと、74年比で4分の1に落ち込んだ。2000年代は、中国の成長に伴う輸送需要拡大で建造量が右肩上がりに増え、10年に1962万6千総トンと過去最高を記録。だが、08年秋のリーマン・ショック後に新規受注が激減する。現在は、リーマン前に受注した手持ちの建造船がなくなる「2014年問題」に加え、不安定な為替相場、コストの安い韓国・中国勢が立ちはだかる。日本造船工業会によると、建造量(完工ベース)の世界シェアは84年に53%を占めた日本が99年までの44年間首位を守ったが、00年に韓国が1位に躍り出て、10年からは中国がトップ。12年は1位の中国が40・9%、2位韓国が32・9%、日本は3位の18・3%だ。
 リアス海岸の“天然の良港”が多く、国内建造量の約3割を占める九州も実情は同じ。福岡、佐賀、長崎、大分、熊本の5県に大手から中小まで10を超える造船所が集まるが、佐世保重工業(東京)が7月末から全従業員の25%に当たる約250人の希望退職を募るなど構造不況に苦しむ。こうした中、三菱重工業長崎造船所(長崎市)は豪華客船や省エネ船などの高付加価値船を建造しており、苦境を打開する動きも出始めた。九州経済調査協会(福岡市)の小柳真二研究員は「世界的には船舶需要の2、3倍の供給過剰となっている。ただ、今後は世界経済も拡大するとみられ、今は力を蓄える時だ」と指摘する。

| 経済・雇用::2012.9~2013.6 | 08:14 PM | comments (x) | trackback (x) |
2013.4.26 通貨の量的緩和のみでは、国民の資産や収入を守らず、国民生活を豊かにできない。それは、バブルの再来にすぎない。(2013.4.27最終更新)
(1)金融緩和の本質
 この頃、*1、*2のように、「デフレ脱却のため、2%の物価上昇が目的で、大胆に金融緩和を行う」というフレーズをよく聞くようになったが、これは目的がおかしい。金融は、実物経済の裏側であり、金融が実物経済を誘導することはできないのだ。確かに、MV=PY(M :貨幣供給量 、v :貨幣の所得流通速度 、P :価格水準、Y :産出物の数量)という現象はあるが、これは、現象を数式で説明したものにすぎず、「貨幣供給量が増えれば、産出物の数量が増える(=景気がよくなる)」という因果関係を示したものではない。そして、実物経済が発展して産出物の数量が増加している時には、それに見合った通貨量を供給しなければ経済がうまくまわらないことを説明している式にすぎないのである。

 そのため、簡単な例で説明すれば、円の量が2倍になれば、物価が2倍になり、円の購買力が1/2になるため、株価や外貨が2倍になるということで、現在、円安、株高になっているのはそのためである。これは、誰でも、机の上に金を積まれたからといって、国内に有効な投資先がなければ、土地か株か外貨を買って目減りしないようにするのと同じことが、ミクロの行動を足し合わせたマクロでも起こっているということだ(*3参照)。これが行き過ぎると、バブルになる。

 よく言われるように、「足し合わせれば変質する」ということはないと、私は考える。金融緩和による上記の現象が起こる中で、何か変質するものがあるとすれば、為替や株で儲けたような気になって散財する人がいるので、土地や高級品が売れるということである。また、円安になるので、輸出企業の円換算後の利益が増える。しかし、同時に、預金や収入の購買力は1/2になっているため、通常の消費者は節約しなければやっていけず、通常の消費財販売高は減る。これにより、多数の年金需給者や低所得労働者から、どこかへ所得移転が行われる。それはどこかと言えば、借入金の価値も1/2になるため、借入れしていた人は1/2しか返さなくてよいという徳政令が出たのと同じ効果があって、借入金が多いのは政府と企業なのである。

(2)金融緩和のもう一つの影響
 *4のように、給与所得者の収入が物価と連動して上昇しないのは、明らかである。一部、賃金を上げた会社もあるようだが、それは正社員の給料にすぎない。全労働者の給与所得が、物価上昇と比較してどれだけ上昇したかは、来年、統計をとらなければわからないが、単に金融緩和をしただけでは生産性が上がるわけではないので、給料を上げるわけにはいかないのが道理だ。もし、①緩和された資金で電力改革を進めて国産の安い電力を供給できるようにする ②農業改革を進めて農業の生産性を上げられるようにする ③東日本大震災後の東北を、革新的な形で復興して今までとは異なる高い生産性を上げられるようにする など、実物経済で本当に意味のある投資が行われ、実物経済での生産性が上がれば、初めて経常的に労働者の所得を上げることができるのである。景気対策と称する単なるばら撒きを幾ら続けても、同じことが繰り返され、国民を豊かにしないということを、改めて言っておきたい。

 さらに、バブルで土地の値段が上がれば、都市部はさらに住みにくく、事業もしにくい場所となるのは、前回のバブルで経験済みである。

(3)1ドル=100円の為替レートは円安か
 では、1ドル=100円の為替レートは円安かと言えば、リーマンショックの後、アメリカも中国も金融緩和を行って、景気を下支えした。しかし、日本は、財政健全化を行って金融緩和は行わなかったため、円が強くなり、2013年3月には、1ドル=70円台まで行ったのである。しかし、直近5年では、1ドルは100円前後で推移しており、1ドル=70円台では、輸出企業がどんどん日本を離れ、部品メーカーには生き残るところが少なくなる。そのため、私は、1ドル=100円程度が日本の実力だと思っている(http://www5.cao.go.jp/keizai3/getsurei/2013/04shihyou/shihyou3-2.pdf#search='%E7%9B%B4%E5%89%8D3%E5%B9%B4%E3%81%AE%E5%86%86%E3%83%89%E3%83%AB%E7%82%BA%E6%9B%BF%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%88%E6%8E%A8%E7%A7%BB' 参照)。もちろん、輸入企業には、円安では困るというところが多いが、日本の実力以上の円高は単なるボーナスだったにすぎないため、1ドル=100円程度の為替レートには耐える、輸出企業がやってきたような企業努力はするべきである。

PS(2013.4.27追加):なお、*5のように、インフレターゲットの設定を主張している人は、「日銀がインフレ目標を設定して大量にお金を供給すれば、人々がインフレを予想して早めに買い物をするため、景気が良くなる」と言う。しかし、インフレを予想したから早めに買えるような物は、家や車など緊急性のないものであり、全体として最も消費金額の大きな毎日消費する消費財は、早めに買ったり先に延ばしたりすることはできず、インフレ状況下では多くの人が節約して消費を控えるものである。そのため、この仮説は当たっていないと思う。それにもかかわらず、このような仮説が出て信奉される理由は、日本では、政策を決定したり、経済について論じたりする人の殆どが男性であり、家や車などの耐久消費財には関心があっても、毎日の消費財については奥さんに任せて家計すら見たことがなかったり、金持ちで毎日の消費について考慮する必要もない人が政治家に多かったりするからである。  ラーメンおにぎりハンバーガーパンカレージュースビール

*1:http://www.nikkei.com/article/DGXNASGC04009_U3A400C1MM0000/?df=2&dg=1  (日経新聞 2013/4/4) 日銀が新緩和策 資金供給2年で倍 日銀、大胆な政策転換 黒田総裁初の決定会合
 政策転換を訴えるため新たな政策の枠組みの導入も話し合う。黒田総裁は国会答弁で「資産買い入れ基金」と「通常の国債購入枠」の統合を明言している。「物価上昇率が2%に達するまで緩和を続ける」などと約束することも議題となる。詳細な制度設計には時間を要する場合もあるため、議題によっては4月26日の次回会合に結論を持ち越す可能性もある。市場では4日朝から緊迫した空気が漂った。あるメガバンクの外国為替取引を担当する部署では朝の会議で、想定される緩和策と相場の動きを念入りに点検。為替ディーラーは「どのような緩和策が出るにしろ、相場の反応は未知数だ」と緊張気味に語った。新たな枠組みの詳細設計が次回会合に持ち越しになるとの見方もあり、4日午前の日経平均株価は急落。「これで向こう1、2週間は荒っぽい展開が避けられない」。大和証券の成瀬順也チーフストラテジストは目先の相場の波乱を警戒していた。「外国人投資家からは小口の売りが出ている。ただ『日銀の会合で何か好材料が出るかもしれない』という期待は残っており、様子見ムードも強い」。ソシエテジェネラル証券で株式売買の仲介を担当する小原章弘ディレクターはこう話した。

*2:http://www.nikkei.com/article/DGXNASFL150KY_V10C13A4000000/?dg=1
(日経新聞 2013/4/15) 日銀総裁、物価目標「2年程度で」 支店長会議
 日銀は15日、東京・日本橋の本店で各地の経済情勢を報告する支店長会議を開いた。挨拶で黒田東彦総裁は4日に導入した「量的・質的金融緩和」を巡り、「2%の物価安定目標を2年程度の期間を念頭に、できるだけ早期に実現していく」と改めて示した。金融緩和策の波及経路として長期金利の低下や資産価格の上昇を挙げ、「市場や経済主体の期待を抜本的に転換させる効果が期待できる」と強調。「実体経済に表れ始めた前向きな動きを後押しするとともに、高まりつつある予想物価上昇率を上昇させ、日本経済を15年近く続いたデフレからの脱却に導くものと考えている」と述べた。足元の景気動向については「下げ止まっており、持ち直しに向かう動きもみられている」と説明。先行きに関しては、内需と海外経済の回復を背景に「緩やかな回復経路に復していく」との認識を示した。また市場について「グローバルな投資家のリスク回避姿勢の後退や国内の政策期待によって、金融資本市場の状況は好転している」と語った。

*3:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20130408&ng=DGKDASGC0700D_X00C13A4NN1000
(日経新聞 2013年4月8日) 三菱UFJ、海外強化 米で不動産融資買収、優良資産増やす
 三菱UFJフィナンシャル・グループがドイツ銀行から米国の不動産融資事業を買収するのは、強みを持つ米国を伸ばして海外展開を加速させる狙いだ。欧州銀は金融危機や債務問題の影響で資産売却を進めており、財務基盤が強い邦銀が受け皿になってきた。優良資産を積み増して収益力を押し上げる動きが続きそうだ。3メガ銀の2013年3月期決算は最終利益が2兆円に達し、7年ぶりの高水準となる見通し。ただ、国債売買益頼みの収益構造となっており、日銀の新たな量的緩和で貸し出し利ざやの低下も必至。各行とも海外事業の拡大が課題となっている。三菱UFJは高い成長が見込めるアジアと、もともと強みを持つ米国を強化する方針だ。アジアでは昨年末にベトナム大手銀への出資を決めた。米国は3メガ銀の中で唯一、米地銀を傘下に持ち、非日系企業など顧客基盤が厚い。将来的には規模や収益で全米トップ10入りを目指している。欧州銀行の資産売却は規模拡大をめざす邦銀にとって好機といえる。国際通貨基金(IMF)は昨年、欧州銀の資産圧縮規模が13年末までに最大で4.5兆ドルに上ると予想した。いったん落ち着いた欧州債務問題がキプロスを巡る混乱などで再燃の兆しもあり、今後も売却案件が出てきそうだ。

*4:http://www.47news.jp/CN/201304/CN2013042101001767.html
(共同通信 2013/4/21) コメント「所得増えない」69% 共同通信世論調査
 共同通信が20、21両日に実施した全国電話世論調査によると、金融緩和など安倍政権の経済政策「アベノミクス」で所得が増えると思うとの回答は24・1%にとどまった。増えないと思うとの答えが69・2%に上り、期待が広がっていないことが分かった。景気好転を「実感できない」との声が81・9%に達し、「実感できる」は13・7%。一方、安倍内閣支持率は72・1%と、前月の71・1%からほぼ横ばい。内閣不支持は16・0%で0・7ポイント減った。憲法改正の発議要件を過半数へと緩和することには42・7%が賛成し、46・3%が反対した。前回と賛否が逆転した。

*5:http://www.nikkei.com/article/DGXNASGH24009_U3A420C1000000/?dg=1
(日経新聞 2013.4.27)アベノミクスがよく分かる GWに読みたい経済書
 安倍晋三首相が打ち出した経済政策「アベノミクス」が国内外で話題になっている。アベノミクスの効果で円安・株高が進み、日本経済に明るさが広がりつつあるとの評価がある一方で、副作用を懸念する声もある。アベノミクスとはどんな政策で、何が問題になっているのか。ゴールデンウイークの読書向けに、押さえておきたい「アベノミクス本」をご紹介する。(=文中一部敬称略)
■リフレ派の主張をおさらい
 アベノミクスは、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略の「3本の矢」からなる。その中でも特に注目を集め、賛否両論が分かれているのが金融政策である。大胆な金融政策とは、金融緩和のこと。世の中に出回るお金の量を増やして経済を活気づかせ、日本経済の足かせとなっているデフレから脱却する狙いがある。お金の量を増やしてデフレからインフレにする政策をリフレーション(通貨再膨張、略称リフレ)政策と呼ぶ。リフレ政策の導入を早くから唱えていたのが岩田規久男・元学習院大教授、浜田宏一・米エール大名誉教授、伊藤隆敏・東大教授らの経済学者。リフレ派の主張を取り入れて昨年の総選挙で政権交代を果たした安倍首相のもとで岩田は日銀副総裁、浜田は内閣官房参与に就任した。リフレ派の経済学者の主張、論点をおさらいするのに役立つのは岩田の『日本銀行 デフレの番人』と伊藤の『インフレ目標政策』。「日銀がインフレ目標を設定して大量にお金を供給すれば、人々がインフレを予想して行動するようになる」という仮説がリフレ派に共通の基盤である。浜田の『アメリカは日本経済の復活を知っている』も同じ土俵で議論を展開している。いずれか1冊を読めばリフレ派の主張のポイントをつかめるが、リフレ派が展開する「日銀批判」の辛らつさに面食らう読者もいるだろう。

| 経済・雇用::2012.9~2013.6 | 07:50 PM | comments (x) | trackback (x) |
2013.1.22 金融緩和とインフレ政策の結果は、購買力平価が切り下がり、資産の移転が行われるということ。
 2013年に年間100万円の収入を得て、毎年、収入が変化しなかったとすれば、物価が年に2%上昇すると、2013年の購買力平価は100万円だが、2014年は100/1.02=98(万円)、2015年は98/1.02=96 (万円)、2016年は96/1.02=94(万円)、2017年は94/1.02=92(万円)、2018年は92/1.0291=91(万円)、2019年は91/1.02=88(万円)、2020年は88/1.02=87(万円)となる。つまり、17年後には、2013年の87%の財・サービスしか買うことができない。これがインフレの効果である。そして、年金受給者や労働者には、物価と連動した収入を得られない人が多く、年間400万円の収入のある人なら、4倍すれば物価上昇の影響がわかる。

 また、2013年に1000万円の預金資産がある人は、(金融緩和して金余りの状態であり、利子率は低いので)利子を無視すると、全く使わなくても、その預金資産の価値は2020年には870(万円)となる。500万円しか預金資産のない人であれば、0.5をかければよい。これが、インフレ(物価上昇)の効果である。一方、銀行から1000万円借りて事業を行っていた企業の借入金は、全く返さなくても2020年には870(万円)となり、差額130万円は、老後資金を銀行に貯蓄していた老人などから企業や現役世代に、本人の意思とはかかわりなく所得移転される。少子高齢化や不景気を言い訳としても、このような個人の財産権を無視する手法が許されるはずもない。

 そして、このようなことが続けば、「円」を信用することはできなくなり、土地などで資産を持ちたがる人が増える。これが行きすぎたのが1980年代のバブルであり、さまざまな社会的弊害が出て金融引き締めが行われ、最後にはバブルがはじけ、多大な犠牲を払って、最近、後始末が終わったばかりである。このようなことを防ぐのが、*1の中央銀行の独立性だ。

 その中央銀行の独立性を害してまで物価上昇させ、景気回復させて消費税増税を行えば、一般の人は二重苦になる。さらに社会保障を削減すると三重苦になり、「税と社会保障の一体改革」と銘打っていたものの本当の姿が明らかになる。その前哨戦として、孫への贈与税が免除されたり、株価が上がったりしたと喜ばれているが、これは、一般の人には殆ど関係のないことであり、この政策で喜ぶのは、相当の金持ちだ。つまり、財務官僚主導でこの政策が決定されており、国会議員にも一般人が少なく、世襲・官僚出身者・もともと金持ちだった男性が多いことで、どの政党が政権をとっても似たような「人間を幸福にしない政策(参照:「人間を幸福にしない日本というシステム」カレン・ヴァン・ウォルフレン著)」が通っていくのである。そのため、*2、*3のとおり、何でも決めさえすればよいというものではない。

PS:なお、物価上昇を宣言すれば、消費者が早めに買っておこうと考えて景気がよくなるなどと言っている人がいるが、最大限譲歩しても、それは耐久消費財だけであり、物価が上がるから食料品や衣料品などの通常の買い物を早めに行うような馬鹿な主婦はいないだろう。それどころか、頻繁に美容院にいかなくてもすむ髪型にしたり、安い衣料品や食料品にシフトしたり、耐久消費財の購入や買換えを我慢したり、レジャーを控えたりして、収入と支出のバランスを合わせるのが普通であり、これ以上、節約するところがない人は、生活ができないのである。そして、これらのことにより、品質も悪くはなく、安い輸入品が増えた現在では、日本の産業が打撃を受けることになる。

*1:http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/435303.html
(北海道新聞社説 1月21日) 日銀総裁選び 「独立性」を守れる人に 
政府は4月8日に任期が切れる日銀の白川方明総裁の後任選びを始めた。
 安倍晋三首相は先週、有識者らから意見を聴くという行動に出た。メンバーは内閣官房参与の浜田宏一・米エール大名誉教授ら首相が唱える強力な金融緩和の支持者ばかりだ。
 政府と日銀の協調は当然だが、首相の意向に忠実なだけのトップでは中央銀行の独立性は崩れ去る。「通貨の番人」と呼ばれる日銀の最大の使命は、物価の安定だ。政府は歴史的に金融緩和には積極的だが、引き締めにはブレーキをかけてきた。そのためにバブルを拡大した苦い過去もある。日銀の判断をゆがめるような政治圧力には「ノー」と言える人物こそふさわしい。
 日銀総裁選びは従来、水面下で財務省や日銀、経済界などが調整してきた。有識者らとの会合を開くこと自体、極めて異例で首相の思い入れの強さを物語る。総裁人事は衆参両院の同意が必要だ。参院では自民、公明両党が過半数を下回る「ねじれ国会」のため、首相は有識者らの意見を盾に、野党の協力を取り付けたい考えだ。日銀総裁の任期は5年で、かつては日銀生え抜きと旧大蔵省(現財務省)の事務次官経験者が交互に務めていた。だが、旧大蔵省の不祥事などで「たすきがけ」が崩れ、ここ3代は日銀出身者が続いている。2008年の前回人事も、ねじれ国会での選任だった。自公政権の提案した元財務事務次官の武藤敏郎氏(現大和総研理事長)について、民主党が財務省OBであることを理由に反対し、参院で否決された。結局、白川現総裁の選任まで20日間のトップ不在が生じた。同じ愚を繰り返してはならない。
 問題は選考の基準が金融緩和への積極性に偏っている点だ。会合では、有識者から「デフレ脱却には大胆な金融緩和が必要だ」などと首相に同調する発言が相次いだ。総裁候補として名前の挙がる武藤氏や岩田一政日本経済研究センター理事長らも金融緩和論者だ。政府は3月19日で任期が切れる副総裁2人の後任も含め、2月中に人事案を国会に提出する見通しだ。野党や異なる立場の専門家らにも耳を傾け、幅広く人選をすべきだ。
 日銀への政治的圧力も強まっている。先週末には麻生太郎財務相と甘利明経済再生担当相が白川総裁を呼び、政府と日銀が交わす共同文書の内容をあらためて協議した。甘利氏は、同文書の採否を決める今週の日銀の金融政策決定会合にも出席し、政府の意向を伝える。日銀の独立性をこれ以上、脅かすべきではない。

*2:http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013011302000102.html
(東京新聞社説 2013年1月13日) 週のはじめに考える 政治家が議論する政治に
 昨年は「決める政治」が一種のはやり言葉のようになりました。しかし、この国に本当に求められているのは「議論する政治」ではないでしょうか。野田佳彦前首相が「決められない政治からの脱却」を掲げたのは、昨年一月二十四日の施政方針演説でした。以来「決める政治」こそが大事であるかのような論調が広がりました。国会の衆参各院で多数派が入れかわるねじれ状態が長く続いて物事が決まらなかったために、普通の国民から見れば「政治家は何をやっているんだ。さっさと話を前に進めてくれ」という気分が広がった面があるでしょう。
◆霞が関が作る首相演説
 ところがこれは、よく考えてみれば怖い話でもあります。決めさえすれば、それでいいのでしょうか。「決める政治」という言葉には途中のプロセスをすっ飛ばして、とにかく結論に達すればいいような響きがあります。そんなはずはありません。本来なら「何をどう決めるか」こそがもっとも大切なはずです。それが民主主義の価値であるからです。「決める政治」は良かったのか悪かったのか。野田政権がこのキャッチフレーズを使ったのは明確な思惑がありました。それは消費税率の引き上げです。首相の施政方針演説は普通、霞が関の役所が「これだけは入れてくれ」という注文を寄せ集めて作ります。霞が関とりわけ財務省にとっては、ここで首相の口から「オレは決めるぞ」と言ってくれれば国民に対する誓約になるのですから、これほど心強いものはなかったでしょう。その通り、増税は決まりました。でも議論は十分だったか。民主党の分裂騒ぎを見れば、そうとは言えないのはあきらかです。
◆最後は国民が「決める」
 合意を形成していくプロセスに無理があった。だから一つの政党が壊れていったのです。昨年末の総選挙で民主党が大敗したのも、その延長線上にあります。では、これからの政治は何を目指すべきか。それは「議論する政治」だと思います。なんでもいいから決めるのではなく、まず徹底的に議論を尽くす。そこが何にもまして重要なのです。結論が先にありきではなく、まず議論ありき。そのうえで時間をかけて一定の結論にたどり着く。そうしたプロセスが必要です。私たちの身の回りでも「結論が先にありき」という例がありませんか。他人の意見をよく聞いてみれば、自分が気が付かなかった論点に出合うこともあるのに、頭から結論を決めつけているので、他の話は耳に入らない。それは残念な話ですね。「三人寄れば文殊の知恵」というじゃありませんか。耳を傾けてみる価値はあるはずです。政治家や政党にとって重要なのは、実は「決める」ことではありません。議論で相手を「なるほどそうか」と納得させ、結果として自分の目指す方向に誘導する。現状認識と政策の長所・短所を明確にして、論理的に相手の同意を促す。それが政治の技術です。もちろん「テコでも動かない」といった場合もあるでしょう。それでも互いの違いがはっきりすれば、いずれ主権者たる国民が判断して選挙で決着をつけます。国民の立場から見れば「違いがわかる」ことが重要です。以上を前提に今度の国会勢力図をみると、ねじれ状況は相変わらず続いています。与党の自民党と公明党は衆院で圧倒的多数を握りましたが、参院では過半数に達していません。与党の法律案=政策を実現するには、どうしても野党の協力が必要です。そこに「議論する政治」が生まれる土壌があります。焦点の日銀総裁人事一つとっても、たとえば、みんなの党や日本維新の会などが賛成しなければ、いくら「2%の物価安定目標や大胆な金融緩和で意見が近いはず」といっても決まりません。同じことは与党についても言えます。たとえば、自民党が憲法改正に強い熱意があっても、まず公明党を説得しなければなりません。その公明党はどうかといえば、憲法改正や集団的自衛権をめぐる問題では、まさしく「慎重な議論が必要」と言っています。
◆国会こそ議論の模範に
 ねじれ国会になったのは二〇〇七年七月の参院選からでした。くしくも第一次安倍政権当時です。以来、国会は肝心の議論よりも結論だけをぶつけ合う対決機運が高まりました。増税は決まりましたが、政治への不信感は残りました。それは良くない。安倍政権も野党も「議論するとはこういうことだ」という模範になるような国会と政権運営を示してほしい。国民は政治の姿を見て学ぶ面もあるのですから。

*3:http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013012290141922.html
(東京新聞 2013年1月22日) 給与増えず景気悪化の恐れ 日銀物価目標2%を決定
 日銀は二十二日、金融政策決定会合を開き、消費者物価で前年比2%の上昇率を目指す物価目標の導入を決めた。デフレからの早期脱却を目指す政府との共同声明として発表。日銀は政府との連携強化に大きくかじを切り、金融政策は転換点を迎えた。麻生太郎財務相や白川方明日銀総裁らが二十二日午後、安倍晋三首相に報告し、その後の記者会見で詳細を説明する。
 会合で日銀は昨年十二月の会合に続き、九年八カ月ぶりとなる二回連続の金融緩和も決定。二〇一四年から、緩和を続ける期限を定めない「無期限」の緩和方式を導入する。毎月十三兆円、短期国債などの資産を買い入れる。金融緩和を続ける時期は「必要と判断される時点まで」とした。
 政府・日銀は2%の物価上昇で企業の売り上げが増加、社員の給与も増えて景気が回復することを期待する。だが、海外との価格競争が起きにくい医療費や電気料金、食料品の価格の高騰を不安視する専門家は多い。経団連は一三年の春闘で賃金水準を上げる「ベースアップ(ベア)」を「実施する余地はない」と拒否する姿勢。給与増を伴わない物価上昇が暮らしを直撃し、景気が一段と悪化する恐れもある。
 2%の物価目標の導入には政策委員九人のうち民間エコノミスト出身の二人が反対した。共同声明では、物価目標を達成する時期について「できるだけ早期に実現する」と明記した。日銀は政府の経済財政諮問会議で、実行の状況を定期的に報告する責任を負う。声明には、政府も規制緩和などの成長戦略や財政健全化に取り組むことも盛り込んだ。
 デフレ脱却を最優先課題に掲げる安倍首相の就任後、初めての会合には、政府側から甘利明経済再生担当相が出席。日銀はこれまで目指すべき物価の水準のめどを「当面1%」としてきたが、安倍首相の求めに応じ引き上げた。目標の表現方法もあいまいな「めど」から、明確な「目標」に変えた。

| 経済・雇用::2012.9~2013.6 | 01:40 PM | comments (x) | trackback (x) |
2013.1.14 官僚主導では大きな改革はできないのに・・。
 *2で、東北は、河川や農業用水路など水の流れをこまめに生かして、小水力発電を進める気になり、良かったと思う。東北には、そのほか、地熱・汐潮・天然ガスなど豊かな資源があるので、安価で環境負荷の少ないエネルギーを作って欲しい。エネルギーは、農業・工業を始めとする産業振興に重要である。

 また、*3では、九州の鹿児島県知事が「脱原発で進むべきだ」と述べたそうで、喜ばしい。もう次のステップに進むべき時だから、次は佐賀県知事に「脱原発で進むべきだ」と言ってもらいたい。九州も、太陽光、地熱、汐潮等の豊かな資源に恵まれ、ゴミや間伐材等、今まで使っていなかった資源も利用できる。

 そのような中、*1のように、2013年度予算の概算要求で、経済産業省が、原発の海外輸出を支援する事業などを新たに要求したそうだが、世界で原発を止めようとしている時に、バックラッシュもいい加減にしてもらいたい。官僚主導では、何故、このようになるかという理由は、以下のとおりである。
1)省ごとに利権を持っているので、その利権が小さくなる変更はしたがらない。原資力ムラは、経済産
  業省の利権であり、天下り先なのである。
2)省ごとに議論して意志決定するので、省をまたぐ大きな変革は、官僚にはやりにくい。そのため、
  再生可能エネルギー普及のためのインフラ整備等が、経済産業省だけではできず、経団連など
  経済産業省傘下の企業の要望に応じて、現状維持を続けがちになる。
3)終身雇用、年功序列等が影響して、仕事上、問題を起こさず、責任を問われず、天下り先を多く
  作ることが役人の処世術になるため、権力を持っているところに弱く、必要な改革がやりにくい。
4)官は、もともと天皇の官吏であったため、現憲法下でも国体維持に中心を置き、国民の幸福を増す
  ことに中心を置いてはいない。また、国民による審判もない。
5)その他(読者が考えて下さい)

 従って、省庁横断を要するダイナミックな改革は、政治主導で行わなければならないのだが、これも、*4のようにふりだしに戻った。官が新規採用を押さえるべき理由は、65~70歳定年制にして天下りを無くすためである(その方が、よほど国民負担が少なく、天下りによる悪弊もない)。また、学校を卒業して役所に入りたい若い人は多いかも知れないが、日本では欧米を手本に、役所を中心にして、いっせいに後を追う時代は終わった。現在は、民間の創意で新しい産業を作り出していかなければならない成熟した時代なのである。そのため、限られた優秀な人材を、役所が多くとり、若くして肩たたきして天下りさせ、実質的に生産活動からはずすというような人材の無駄遣いは許されない。優秀な人材は、民に多く供給すべきで、官の採用を増やすべきではないのだ。しかし、「偉い」政治家にも全貌が見えていない人は多く、官の側についているメディアの報道の仕方もあって、選挙では、そちらの方が当選しやすいのでどうしようもない。

*1:http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/342863 (西日本新聞 2013年1月11日) 原発維持へ新事業要求 13年度概算要求
 財務省は11日、安倍政権の発足に伴う2013年度予算の概算要求差し替えを締め切った。経済産業省は、原発の海外輸出を支援する事業などを新たに要求。脱原発を掲げた民主党政権と比べ、原発を維持する方針を明確にした。東日本大震災で津波や原発事故の被害を受けた地域に進出する企業を支援する制度も今回新設し、被災地復興に重点配分する。財務省は要求内容について各省庁と最終的な協議に入る。緊急経済対策を盛り込み15日決定する12年度補正予算案と合わせて13年度末まで財政出動を切れ目なく続ける「15カ月予算」の編成作業が本格化した。

*2:http://www.kahoku.co.jp/shasetsu/2013/01/20130103s01.htm (河北新報 2013年1月3日)小水力発電/東北の優位性生かし推進を
 再生可能エネルギーの普及に向けて、河川や農業用水路など水の流れを生かす小水力発電への期待が高まっている。国内の市場はまだまだ小さいものの、昼夜、年間を通して安定した発電ができ、設備の設置面積も小さくて済む。流量と落差があれば、場所は問わない。地形的に起伏に富み、水量も豊かな東北地方は、潜在力が全国一高いといわれている。これまで法的手続きが煩雑で、多大な労力や時間がかかることが導入のネックとなっていた。国が規制緩和に向けて動きだしており、設備導入が今後、加速しそうだ。小水力は地域密着型のエネルギーで地元の活性化、雇用促進への効果も見込まれる。東日本大震災からの復興に弾みをつけるためにも、東北の優位性を生かして強力に推進してほしい。
 「小水力」の厳格な定義はなく、一般的に出力千キロワット以下の小規模な発電を指す。新エネルギー法の施行令では、千キロワット以下の水力発電は新エネルギーに認定されている。大中規模ダムのように水をためることなく、流水をそのまま利用。河川、農業用水、砂防ダム、上下水道など、無駄に捨てられてきたエネルギーを有効活用する、環境配慮型の発電だ。環境省の2009年度の調査によると、小水力発電の適地は全国に2万6798地点あり、利用可能量は1811万キロワットと推計された。東北には全体の27%、500万キロワットが集中、出力は原発5基分に相当する。最大の特長は設備利用率が50~90%と高く、太陽光発電より5~8倍効率が良いことだ。発電設備を設置する際の土地の形状変更が限定的で、水質や周辺生態系に及ぼす影響が小さい。メリットが大きいにもかかわらず、市民の認知度が低い背景に、推進を図る上での政治的な不備があったことは確かだ。小水力は、昨年始まった「固定価格買い取り制度」で、電力会社の買い取り価格が2.5~3.5倍になった。普及が期待されたものの、手続きの煩雑さが障壁となった。農業用水路に設置する場合でも、国や都道府県の許可が必要なためだ。普及を促進するため、国土交通省は用水路に設置する場合、水利権を持つ農家などの同意を得れば、国や都道府県の許可を不要とすることを決めた。ことしの通常国会に、河川法の改正案が提出される見通しだ。全国小水力利用推進協議会は、3年程度かかっている申請の準備から許可までの期間を、一気に短縮できると期待する。小水力の事業主体は地方自治体や土地改良区、NPO、民間企業、個人であり、電力会社主体の開発と抜本的に異なる。地元業者が施工、保守管理などを担うことで、地域経済活性化への効果も見込めよう。小水力の潜在力を見据え、東北は原発なしでも電力を賄える素地があると指摘する専門家もいる。被災地から発信する再生エネ戦略の柱の一つとして、一層強くアピールすべきだ。

*3:http://mainichi.jp/area/kagoshima/news/20130112ddlk46040583000c.html (毎日新聞/鹿児島 2013年1月12日) 川内原発:増設、凍結方針を改めて示す 知事「脱原発で進むべきだ」
 伊藤祐一郎知事は11日の定例会見で、九州電力川内原発3号機増設に関する諸手続きについて、凍結する方針を改めて示した。安倍晋三首相が昨年末、原発新増設について前向きな考えを示したことに対して述べた。伊藤知事は「(既存の原子炉の)再稼働の見通しが立たないうちに『新規の原子炉を設置』というのは拙速。もう少しきちっと考えてから発言していただきたい」と苦言を呈した。そのうえで、昨年の知事選の公約に掲げた凍結方針は「堅持する」と述べた。また民主党政権時代に決まった「2030年代の原発ゼロ」方針を安倍政権が踏襲しないことについては「脱原発を前提としつつ、30年までは原発ゼロの方向に進み、その時点で世界や日本のエネルギー事情などを考えて政府として判断するべきだ」との考えを示した。

*4:http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/342432 (西日本新聞 2013年1月9日) 新規採用の大幅抑制見直しへ 国家公務員で政府・与党
 政府・与党は9日、民主党政権が進めた国家公務員新規採用の大幅抑制を見直す方針を固めた。2014年度採用から実施する方向だ。ただ、自民党は衆院選の政権公約で「地方も含め公務員総人件費の2兆円削減」を掲げており、今後は見直しの在り方や、行政スリム化への具体的な道筋が問われそうだ。菅義偉官房長官は9日午後の記者会見で、見直し理由について「新規採用は組織に活力を与える。学校を卒業して役所に入りたい若い人もたくさんいるので(見直しを)考える時期にきている」と説明した。

| 経済・雇用::2012.9~2013.6 | 10:26 AM | comments (x) | trackback (x) |
2012.11.17 日銀の金融緩和・インフレ政策と1997年日銀法改正の意味 (2012年11月20日追加あり)
 2012.2.24にも書いたように、「デフレ脱却のためにインフレ目標を作り金融緩和をする」という政策は、いくつかの政党がマニフェストに入れようとしているが、そもそも、日銀法二条(*1)で、「日本銀行は、通貨及び金融の調節を行うに当たっては、物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資することをもって、その理念とする。」と定められている。その理由は、通貨の安定を通して国民の財産を保護することも日銀の役割だからだ。

 そして、*2の1997年日銀法改正は、物価の安定と日銀の独立性向上のために、(私発で)行われたものだが、この改正が必要だった理由は、旧日銀法は、1942年に制定された国家総動員法に基づく戦時色の強いもので、日銀が大量の通貨を発行することにより物価を上げ、債務者の債務(例:国の国債発行残高、企業の社債や借入金残高など)と債権者の債権(例:国民が所有している国債残高、銀行預金残高など)の価値を目減りさせることができるものだったからだ。

 つまり、デフレを脱却させてインフレにすると、①給料や年金は物価上昇より遅れてしか上がらないため、人件費を安く抑え、年金支給の負担を軽くすることができる ②債務者の債務と債権者の債権を目減りさせることによって、国や企業の借金返済を楽にすることができる という国民の収入や資産を犠牲にして政府や企業が儲かるという効果があるのだ。また、わが国のバブル期に、日銀が過度の金融緩和を行った結果、正当な事業への行き場を失った金が、土地や海外資産への投資に集中してバブルを引き起こし、それがはじけた後に、わが国が20年もバブルの後処理のために苦しんだことは記憶に新しい。

 確かに、経済学にはマネタリズムがあり、「現在の日本は需要不足だから、日本銀行が金融緩和を行えば、日銀→市中銀行→企業のルートでマネーが行き渡りデフレを脱却できる。」と説く人は多い。しかし、経済学の理論には限界があり、それは、技術進歩や日本及び世界情勢の変化をすべて与件として無視し、与件がかわらなければ、どうして景気を回復させればよいかという命題を解いていることだ。また、企業がわが国で投資を増やすには、作れば売れる最終需要がなければならないが、上の理論の企業の後に続くべき「企業の投資需要の増加⇔最終需要の増加」はないのだ。

 現在の世界情勢は、新興国が工業生産に参入したことで、安くて質もそこそこによいものが手に入るようになっているため、収入の目減りした人は、購入する数量を減らすか、より安い新興国産のものを買う選択をするほかない。そのため、わが国の最終需要は減少調整され、国内での企業の投資が進まないため、金融緩和によって国内総生産が増加することはないだろう。さらに、わが国は、環境をはじめとする技術進歩を経済に取り入れる決断が遅かったり、技術進歩を取り入れた魅力ある製品は、価格が非常に高く設定されたりするため、国内製品への買換需要が発生しにくいという現状もある。

 これらの状況があるにもかかわらず、何故、このような政策になるのかについては、大学教育や人材配置の影響が大きいと思うが、*3、*4も読まれた上、皆さまの判断にお任せしたい。

*1:http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H09/H09HO089.html  日本銀行法
第一章 総則
(目的)
第一条  日本銀行は、我が国の中央銀行として、銀行券を発行するとともに、通貨及び金融の調節を行うことを目的とする。
2  日本銀行は、前項に規定するもののほか、銀行その他の金融機関の間で行われる資金決済の円滑の確保を図り、もって信用秩序の維持に資することを目的とする。
(通貨及び金融の調節の理念)
第二条  日本銀行は、通貨及び金融の調節を行うに当たっては、物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資することをもって、その理念とする。
(日本銀行の自主性の尊重及び透明性の確保)
第三条  日本銀行の通貨及び金融の調節における自主性は、尊重されなければならない。
2  日本銀行は、通貨及び金融の調節に関する意思決定の内容及び過程を国民に明らかにするよう努めなければならない。
(政府との関係)
第四条  日本銀行は、その行う通貨及び金融の調節が経済政策の一環をなすものであることを踏まえ、それが政府の経済政策の基本方針と整合的なものとなるよう、常に政府と連絡を密にし、十分な意思疎通を図らなければならない。
(業務の公共性及びその運営の自主性)
第五条  日本銀行は、その業務及び財産の公共性にかんがみ、適正かつ効率的に業務を運営するよう努めなければならない。
2  この法律の運用に当たっては、日本銀行の業務運営における自主性は、十分配慮されなければならない。

*2:http://www.publicchoice.jp/takahasi.htm 
「改正日銀法と中央銀行の独立性」 高橋 智彦(ニッセイ基礎研究所)
(ポイント)改正日本銀行法(以下―日銀)は1997年6月11日に参議院本会議で成立し、1998年4月1日より施行されている。旧日銀法は1942年に制定された戦時色の強いものであったが、独立性、透明性を軸に半世紀ぶりに全面改正された。改正の重要な視点である独立性は、極めて公共性の高い問題である。
(改正のポイント)
日本銀行の目的、独立性、透明性・説明責任、プルーデンス政策、金融調節等
 ①政策目的:日本銀行の目的を物価の安定を理念とする通貨、金融調節・信用秩序維持を明記
 ②独立性:主務大臣の一般的業務への命令権を廃止、政策上の意見相違を理由とする役員の
   解任の禁止、政策委員会を改革し、業界代表方式を廃止、総裁1名、副総裁2名、審議委員
   6名の計9名。政府委員は2名とし、政策委員会での議決権はもたないが、議案提出権、議決
   延期請求権を持つ。予算については大蔵大臣の認可を要する点で旧法と同じ。
 ③透明性・説明責任
 ④プルーデンス政策
 ⑤金融調節等

*3:http://www.sankeibiz.jp/macro/news/120521/mca1205211009002-n1.htm (サンケイビズ 2012.5.21)【日曜経済講座】浮上する「日銀法改正」 インフレ目標で脱デフレ義務づけ
 日銀にとってみればまさに薮(やぶ)から棒、とでも言うべきか。消費増税法案をめぐる与野党のせめぎ合いの中から、日銀法の改正案が飛び出す雲行きだ。現行日銀法は1998年4月に施行された。日銀が80年代後半、ワシントンの意向を受けた大蔵省(現財務省)の圧力に屈して超金融緩和政策を長引かせたために、株や不動産のバブルを膨張させたという反省から、同法は日銀に対し、政治や政府からの高度の独立性を保障した。ところが、日本はこの98年から物価が継続的になだらかに下がる慢性デフレ病にかかった。2008年9月の「リーマン・ショック」からは悪化し、治る見通しが立たない。「物価安定」を日銀の判断に委ねていては、デフレからいつまでも脱出できないという批判が強く出るようになった。
■疑われる「本気度」
 改正案の要点は、日銀政策の「目標」と「手段」を明確に分ける。金融政策をどう運営するかは日銀の判断だが、目標については、政府と共有するか、政府や国会の意向に沿うようにする。そして日銀に明確な「インフレ目標」値を持たせ、達成を義務付ける。日銀は伝統的に「物価上昇率ゼロ%台」をめざし、インフレを極度にまで警戒してきた。2010年秋以降は「同1%程度」を内部での「理解」と説明するようになったが、目標値とするのを拒否してきた。米連邦準備制度理事会(FRB)がこの1月下旬に「インフレゴール(目標)」を打ち出すと、急遽(きゅうきょ)2月14日に「1%の消費者物価上昇率のメド」を決定し、市場を驚かせ、円高に歯止めをかけた。が、その後市場から「本気度」を疑われる始末で、4月後半にはその効力が失(う)せた。

*4:http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121030-00000166-reut-bus_all
(ロイター 10月30日) 焦点:日銀追加緩和の効果に厳しい評価、共同文書が思惑呼ぶ
 日銀が打ち出した追加緩和や貸出支援策の効果に対し、エコノミストの評価は厳しい。市場の期待に精一杯応えようとする努力はうかがえるものの、物価目標の達成や貸出増加を通じた経済活性化は実効性が期待できそうにないとの声が広がっている。それよりも市場関係者の関心を引いたのは、「デフレ脱却への取り組み」と題した政府と日銀の共同文書。政府と日銀の事実上のアコード(政策協定)だとして、政府が日銀に一段の追加緩和を迫るとの見方もあるが、逆にデフレ構造を変える自覚を政府に迫るもの、日銀法改正などの圧力をかわすために日銀が政府に手厚い配慮を示したもの、といった解釈も浮上している。
<自他ともに認める「緩和効果期待できず」>
 今回の追加緩和策自体は市場の予想の範囲内として、サプライズととらえる声は聞かれなかった。それでも新たに設けた貸出支援策や、デフレ脱却をアピールするための日銀・政府の共同声明も発表し、それなりに努力の余地もうかがえた。ただし、それらが実際にデフレや実体経済の回復につながるとの評価はほとんどない。資産買入の増額は、もはや追加緩和をアピールするための増額としての意味しかなくなりつつある。実体経済や物価に効果があるわけではないのはもはや周知の事実で、みずほ証券チーフマーケットエコノミスト、上野泰也氏は「日銀は、景気は弱含みとなっていると現状判断を下方修正した。だが、今回の追加緩和が景気や物価に対して有する刺激効果は、直接的にはほとんどない」と言い切る。日銀自身、超低金利下でこれ以上の金利低下が経済を刺激する効果がほとんどないことは認識している。効果があるとすれば、景気状況に合わせて中央銀行がきちんと動くという信頼感、そして企業や市場の間に安心感を醸成するという程度だが、それも重要という立場だ。
<14年度の物価見通しは相当強気>
 実効性なき追加緩和を織り込んだところで、1%という物価目標は政策効果では達成できそうにない。今日発表された「展望リポート」では14年度の物価見通しも0.8%の上昇にとどまり、1%には届かない。それでも「着実に1%に近づいていく」と表現した背景には、国際商品市況の上昇や海外経済の持ち直しといった外部要因を前提にしている面が大きい。エコノミストからはそうした外部要因が実現したとしても、見通しは上方バイアスがかかっているとの見方が目立つ。伊藤忠経済研究所・主任研究員の丸山義正氏は「日銀の14年度のインフレ率見通しは相当に強気なもの。消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動も踏まえれば、14年度のインフレ率は、消費税率引き上げの影響を含まないベースで2013年度よりむしろ低下し、ゼロ近くにとどまる可能性が高い」と指摘する。白川方明総裁は会見で、木内昇英委員と佐藤健裕委員が、14年度に「1%に近づいていく」との表現に反対したことを明らにした。展望リポートで示された見通しが、必ずしも政策委員の間で共有されたものではないことがうかがえる。
<政府と日銀の共同文書、多様な解釈>
 日銀は今回、新たな貸出支援策も打ち出した。貸し出しを増加させた金融機関が、同額の資金供給を受けられる制度で、すでに海外の中央銀行が導入している。ただ、金融機関の貸し出しが伸びないのは資金不足のせいではなく、企業の資金需要が低迷していることが主因であることは、日銀も承知している。こうした新制度をあえて導入した点に、日銀の苦しい立場が透けて見えるというのが、エコノミストのもっぱらの評価だ。日銀が並べた多種多様なメニューの中で、エコノミストや市場関係者の注目を最も集めたのは、政府と日銀が共同で発表した「デフレ脱却に向けた取り組み」の文書だった。決定会合に出席した前原誠司経済財政担当相は、この共同文書を「政府・日銀の一体的な取り組みがこれにより担保される」として評価。ゴールドマン・サックス証券は「政府と日銀の政策的アコードへの第一歩」と、消費税引き上げに向けて日銀への圧力がますます強まる材料と見ている。一方で、逆に政府に対する圧力が強まるとの見方もある。RBS証券は「日銀が金融環境を緩和的に維持した上で、政府がデフレを生みやすい経済構造を変革するという、役割分担が明確になった」と指摘。日銀側は十分に役割を果たせていると受け取れる内容だとし、「従来の枠組みを超えた劇薬的な金融政策がとられる可能性は大きく低下した」としている。第一生命経済研究所・主席エコノミストの熊野英生氏は「日銀側にも思惑がある。外債購入やインフレターゲット、総裁の責任論といった厳し内容を盛り込んで日銀法を改正されたくはない。だから、野田首相が率る官邸に対して120%の協力をした」と解釈している。


PS(11月20日追加):但し、東日本大震災からの復興、次に起こりそうな災害への準備、エネルギー政策変更のためのインフラ整備、基地の再編(*5参照)やその後のまちづくり、古くなった既存インフラの更新など、今、国がやらなければならない本当に必要なことも多いので、そのための財政支出をしてその需要を充てるのであれば、需要増加があります。そのため、建設国債を発行してこれらに資金を充て、その分を金融緩和するのはよいと思います。そして、それにより雇用は創出されるでしょう。しかし、何百兆円もの金額が先に決まっている、景気と雇用対策だけが目的の、何でもありのばら撒きに税金を使ってインフレにし、消費税を引き上げるのは許されません。

*5:http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012112001002129.html
(東京新聞 2012年11月20日)沖縄・普天間で1万人デモへ 「基地と共存できぬ」
 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)への新型輸送機MV22オスプレイ配備や、相次ぐ米軍人の事件に抗議し、沖縄県の市民団体などが20日、12月23日に普天間周辺でデモをすることを決めた。1万人以上の参加を目指す。沖縄県では、10月のオスプレイ配備による県民の強い反発の中、集団強姦致傷容疑や中学生への傷害容疑などで米軍人が逮捕、起訴されたり、書類送検されたりする事件が続いている。デモの事務局の「沖縄平和運動センター」の山城博治事務局長は「県民を挑発するように事件が起きている。米軍基地と県民の生活が共存しえない状況だ」と開催理由を説明した。

| 経済・雇用::2012.9~2013.6 | 01:59 AM | comments (x) | trackback (x) |
2012.11.5 経営意志決定に過去を引きずるため、時代の追い風を十分に生かしきれない日本企業のケース
   

 トヨタ自動車が、営業利益を8月時点の予想から500億円多い1兆500億円に引き上げることができたのは喜ばしいことだが、これには、東日本大震災からの生産回復と復興需要、中国市場に偏りすぎないリスク分散、エコカー減税及びエコカー補助金の効果がある。一回目のエコカー減税とエコカー補助金は、2009年4月10日に、私発で麻生政権において導入され2010年9月まで続いて効果を発揮した。私は、環境税も有毒ガスの排出量に応じてかけ、この財源にしたいところだったが、リーマンショックのすぐ後で、かつ総選挙の直前であったため、これは反対され当時は実現しなかった。

 そして、電気自動車の市場への導入も1995年頃、私が経済産業省に提案して始まったことだが、その後、トヨタは、ハイブリッド車という従来型のガソリン車に電動機能を備えた自動車を開発して発売するという戦略をとった(プリウス:1997年発売)。これに対し、日産自動車は、ゴーン社長のリーダーシップの下、完全な電気自動車を開発・販売した(リーフ:2010年12月発売)。*1と*2を比較すれば、ハイブリッド車の方が市場で支持されているかのように見えるが、私は、そうは思わない。

 その理由は、ハイブリッド車には、ガソリン車の機能も合わせ持たせているため、軽量化やデザインの自由さなどの電気自動車の利点を失っている上、燃料にガソリンを使うことで、まだ環境に負荷をかけているからだ。それでも、ハイブリッド車という選択をしたトヨタには、これまでの下請会社やガソリンスタンドへの配慮、電気自動車向けインフラの未整備という環境があり、電気自動車という選択をした日産には、ゴーン社長の純粋に合理的な視点で将来の世界戦略を見据えた意志決定があっただろう。

 しかし、上の左図のように、ハイブリッド車の保有台数は級数的に伸びているが、右図のように電気自動車は苦戦している。太陽光発電と電気自動車を組み合わせて使えば、①燃料代0の生活ができる ②環境への負荷が全くかからない ③わが国のエネルギー自給率が上がる などのメリットがあるにもかかわらずだ。それには、*2のような「再生可能エネルギーの振興策がEV普及の妨げとなりかねない事態に」などというわけのわからないネガティブキャンペーンもあるが、国が石油会社やこれまでの自動車関連下請企業などへの配慮から、電気自動車を普及させるよう本気で取り組まなかった影響が大きい。

 が、太陽光発電のようにオンリーワンだったのに世界に追い越されるという事態を招かないためには、もう電気自動車を本気で普及させるよう取り組むべき限界の時期である。それには、そのためのインフラ整備が不可欠であり、①どこの駐車場でも設置可能なのだから電気自動車に充電できる場所を増やす ②技術的に電気自動車の走行距離をガソリン車並みに伸ばす ③石油会社・ガソリンスタンドは「ガソリンを売る会社」から「エネルギーを売る会社」に定款変更して世の中の変化をリードする ④下請部品会社も自分の生きる道を選択し直す(電気自動車そのものを作れる会社もあるかも知れない) など、次の展開が必要である。

 なお、現在の電気自動車リーフは、ボックス型に近く誰の好みにも合うというものではないため、車種やデザインの種類を増やし、ガソリン車と比較しても一般の人が選択するような車を作るべきだ。ちなみに、私は、2005年からハイブリッド車であるプリウスに乗っているが(当時、エコカーはプリウスしかなかった)、操作性抜群の「パートナー」と呼びたいような尊敬に値する車である。しかし、電気自動車には、高齢者でも障害者でも、誰でも運転できるというさらに高度な機能も望みたい。これができれば、運転がうまくない普通の人も助かり、交通事故が減るだろう。

*1:http://news.biglobe.ne.jp/economy/1105/ym_121105_6169323117.html
(読売新聞11月5日) トヨタ、営業利益予想1兆500億円に上方修正
 トヨタ自動車は5日、2013年3月期連結決算(米国会計基準)の業績予想を上方修正し、本業のもうけを示す営業利益を8月時点の予想から500億円多い1兆500億円に引き上げた。売上高は、日中関係が悪化する中国や金融危機の影響を受けた欧州などで販売の減少を見込み、7000億円少ない21兆3000億円を予想したが、コスト削減が進んだためだ。税引き後利益は200億円多い7800億円に引き上げた。同日発表した12年9月中間連結決算は、東日本大震災からの生産回復やエコカー補助金の効果で、営業利益は6937億円(前年同期は325億円の赤字)となり、2年ぶりに黒字を確保した。売上高は前年同期比36・1%増の10兆9083億円、税引き後利益は6・7倍の5482億円となった。

*2:http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20120712/234416/
(日経ビジネス 2012年7月18日) 遠のくEV普及、日米で逆風
 ガソリン価格の下落などで、米国でEV(電気自動車)の存在感が薄れつつある。日本でも、再生可能エネルギーの振興策がEV普及の妨げとなりかねない事態に。2012年は「EV元年」と期待されたが、乗り越えるハードルはなお多い。「走りは静かで快適。環境保護に役立っている満足感も持てる。でも、一気に普及とはいかないのかな…」。米カリフォルニア州シリコンバレー在住のトム・スペクター氏(仮名)が、日産自動車のEV(電気自動車)「リーフ」を購入して1年。街中では充電スタンドが増え、車検に出したところオイル交換などが不要で、維持費の安さを実感した。それでも、EV普及にはまだ課題が多いと指摘する。上のグラフは米調査会社オートデータが集計した、米国でのリーフ販売台数の推移だ。2010年12月に発売し、昨年は好調だったが、今年に入って販売ペースが落ち、6月まで3カ月連続で前年同月を下回った。ライバルである米ゼネラル・モーターズ(GM)の「シボレー・ボルト」に販売台数で逆転を許している。ボルトはEV走行がメーンだが、電池が切れた場合などにガソリンエンジンによる走行が可能。このためリーフのような純粋なEVではなく、PHV(プラグインハイブリッド車)と見なされる。昨年、電池発火の危険性を指摘され、販売面でスタートダッシュに失敗したが、その後は盛り返している。
<「ガソリン不使用」で訴求できず>
 スペクター氏は、リーフがボルトに押されている要因として「遠距離走行に不向き」なことを挙げる。米環境保護局によると、リーフの1回の充電での走行距離は約117km。ところが、エアコンを動かしたり、坂道が続いたりすると、電池が一気に消耗する。街乗りには十分だが、ガソリンでも動くボルトに比べて、電池切れへの不安は大きい。使って分かる欠点が露呈したと言える。

| 経済・雇用::2012.9~2013.6 | 11:33 AM | comments (x) | trackback (x) |
2012.11.3 日立のイギリスでの原発発電会社買収は、時代錯誤の経営者による経営の失敗になりそうだということ
 経済産業省のリーダーシップと日本企業の経営のまずさに関して、もう一つ事例を上げて説明すれば、それは、日立のイギリスでの原発事業会社買収である。日本でもまもなく、電力自由化、発送電分離が進み、その結果として原子力発電はコストと環境の両方の観点から淘汰され、脱原発は世界に伝播するだろう。

 ドイツ・イタリア・リトアニアなど、先進国の多いヨーロッパではすでにその動きが出ているのであり、日立が過去の技術にさらに金をかけて「ホライズン・ニュークリア・パワー」を850億円で買収するなどというのは、経営判断の失敗から破綻に向けた前奏曲としか思えない。私は、日本の大切な企業を破綻させないためには、この買収を、早く白紙に戻すことをお奨めする。

 しかし、こういう経営意志決定になってしまう理由について、私は、経済産業省及び企業経営者に法学部卒が多く、「中庸」「利益バランス→妥協」「協調」や「(法律のように)決めたら世の中はそうなる」という意識がその根底にあるからだと思う。しかし、技術は、変る時にはぱっとすべてが変るので、「中庸」「妥協」「協調」というのは、技術が時代に先駆けて変化しようとする時に、足を引っ張る要因となる。また、自然現象や市場は、人間が「こうしよう」と決めたからといってそうなるものではない。

 そして、経営には、「何が時代をリードし、変えていく技術なのか」「それを、自分の会社では、どのように体現するか」「そのために、中長期的に資金繰り・利益計画が対応できるのか」などを、同時に考慮して判断する能力が求められる。そのため、経営チームは、それに関する知識と経験のすべてを満たすように、人材を揃えておかなければならないのだ。

 なお、これに関するメディアの罪は、真実を追求して報道してこなかったため、多くの人が原発事故を過小評価し、このような意志決定がなされる土壌を作っていることである。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20121031/k10013133991000.html
(NHK 10月31日)日立 英原発事業会社買収で海外強化へ
 イギリスで原子力発電所の建設を計画する発電会社を買収することを決めた大手電機メーカーの「日立製作所」はロンドンで記者会見し、イギリスなどの関連メーカーとも提携して原発事業に取り組む方針を強調しました。イギリス国内の2か所に最大で6基の原発の建設を計画している発電会社「ホライズン・ニュークリア・パワー」をおよそ850億円で買収することを決めた日立製作所は、30日、イギリス政府などと共同でロンドンで記者会見を開きました。イギリス政府は、日本の原発事故のあとも原子力をエネルギー政策の柱の1つとする方針を変えておらず、会見でデービーエネルギー・気候変動相は「安全性に懸念はなく、雇用などの経済効果が高い」と強調しました。一方、日立は、今後、イギリスなどの関連メーカーや電力会社と提携を深めていくことを明らかにし、日本での原発事業の先行きが不透明さを増すなか、海外での原発事業のノウハウを蓄積していく考えを示しました。日立は、リトアニアでも原発建設の受注に向けて交渉を進めてきましたが、国民投票で建設反対が多数を占めたことを受けて、リトアニア政府が計画を見直す可能性が出ています。こうしたことから、海外での原発事業を拡大するうえでは、各国の政府の方針とともに国民世論の動向も大きな鍵になりそうです。

| 経済・雇用::2012.9~2013.6 | 01:17 AM | comments (x) | trackback (x) |
2012.11.2 東京電力を助けてシャープを中国(台湾)に売り渡す国、日本に将来はない。
  

 シャープは、最初に電卓に太陽電池を取り入れ、その電卓を安く販売した会社で、私は公認会計士として仕事をする時に、その電卓を使って感心していたため、1995年頃、エネルギーとしての太陽光発電システムを思いついて、経済産業省に提案した。

 その後、シャープが、世界で最初に太陽光発電システムを作った企業となったが、日本では電力会社や原子力ムラへの気遣いがあって、なかなか太陽光発電を本気で普及させる政策がとられなかった。一方、ドイツは理論的・科学的に動く国であるため、太陽光発電への補助を行い、現在、世界一の普及率となっている。その様子は、まさに上のグラフに現われているとおりだ。

 つまり、太陽光発電システムは日本で考え出されたもので、シャープは、オンリーワン企業からトップランナー企業になったのだが、無理解な政府の為に苦戦させられた企業なのである。その政府は、何ら独自の新しいことをしないためその企業がないからといって誰も困らない東京電力を助けてシャープを助けず、結果として、シャープを中国(台湾企業の鴻海)に売り渡そうとしているのだ。東京電力は他の電力会社が買収すれば足りるのに何を考えているのか。善意に解釈しても何も考えていないということだろうが、これでは日本経済の将来はまっ暗である。

 さらに、多くのメディアが、ここぞとばかりにシャープが中間決算で4000億円の赤字を計上して2度目の下方修正をしたとして、シャープの社長を責め立てる論調で報道しているが、ただそれだけなら有価証券報告書を見ればわかることであり、株主・債権者・投資家が知っていればすむ話である。利害関係者としての「国民の知る権利」に資するためには、深くそうなった原因や背景を取材し、本当の問題点を報道する必要がある。何故なら、そういう情報の積み重ねが国民(有権者)の質を向上させ、その結果として国民が選ぶ政治家や政治の質を向上させるからである。

http://mainichi.jp/select/news/20121025k0000e020141000c.html 
(毎日新聞 2012年10月25日)シャープ:中間決算4000億円赤字、2度目の下方修正
 シャープの12年9月中間連結決算の最終(当期)赤字が、従来予想の約2倍の4000億円前後に膨らむ見通しであることが25日、明らかになった。液晶パネルなどの在庫の評価損に加え、業績悪化のため将来の税負担軽減を見込んで計上していた繰り延べ税金資産を取り崩す。業績の下振れ要因を一掃し、経営資源を競争力のある中小型パネル事業などに集中して収益改善を図る。シャープは中間決算の最終損益見通しを4月に700億円の赤字(前年同期は398億円の赤字)と発表したが、8月に2100億円の赤字に下方修正しており、下方修正は今回で2度目となり、約2000億円を損失として追加計上する。中間期の売上高(従来予想1兆1000億円)と、営業損益(同1300億円の赤字)はほぼ計画通りだった模様だ。ただ、中間期の最終損益が下振れしたことで、13年3月期通期の最終赤字見通しも従来予想の2500億円から下方修正される公算が大きい。シャープは主力の液晶テレビや太陽電池の不振で、12年3月期に過去最大となる3760億円の最終赤字を計上した。12年度下期の営業黒字と13年度通期の最終黒字を目指し、1万人規模の人員削減や工場売却などを柱とする経営再建計画を主力取引銀行などに提出している。

http://www.nikkei.com/markets/kigyo/gyoseki.aspx?g=DGXNASFL010JX_01112012000000 (日経新聞 2012/11/1 ) シャープ社長「鴻海と協議続いている」
 シャープの奥田隆司社長は1日に開いた2012年4~9月期決算発表の記者会見で、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業との資本提携について「鴻海との協議は続いている」と述べた。協議が長引いている理由として「提携発表後に(シャープの)株価が大幅に下落したことがある」と説明した。鴻海との資本提携がまとまらなかった場合に他社との提携はあるのか、との質問には「常にいろいろなバリエーションを考えており、ここで答えられるものはない」と述べるにとどめた。2期連続の巨額赤字によって減少した自己資本の増強策については「いろいろなオプションを検討している。ここで答えられるものはない」と繰り返した。

| 経済・雇用::2012.9~2013.6 | 12:42 AM | comments (x) | trackback (x) |
2012.9.9 消費税の地方税化は、合理的だと思う。
        

 維新の会は、「消費税については、従来通り増税の是非に触れず、地方税化を訴えた」とされているが、私も、地方分権と道州制が行われた時点では、消費税を地方税化するのがよいと思っている。

 何故なら、地方分権と道州制が行われた時点では、社会保障のうち医療・介護・保育などは、地方に任されることになるため、財源が地方になければ地域経営を行っていくことはできないからである。つまり、消費税の税率、医療・介護・保育などの社会保障の手厚さ、その他のインフラ整備などに関する意思決定を地方に任せ、その結果、そこに企業や住民が集まるか否かを競わせることが必要だからだ。そうすることによって、それぞれの地域の工夫を促すことができるだろう。この時、消費税が、税源移譲するのに適切な理由は、企業の本社がどこにあるかとは関係なく、住民の経済活動により支払われる税であるため、住民税と同様、比較的正確に地域経営の成果が税収としてその地域に入るからである。

 ただし、現在まで大都市や一定の工業地帯に集中投資してインフラが作られてきており、人材も都市部に集中しているため、そこが同じにならなければ、同じ土俵で公平・公正な地域間競争を行うことはできない。そのため、しばらくは、地方交付税による調整や地方が自立できるためのインフラ整備が必要だろう。この点で、現在の「維新八策」は、大阪という大都市から見た政策のように思われる。

 なお、地方分権して、国は外交、防衛、国家財政しか行わないのがよいとする人も多い。しかし、これで、よりよくなる地域は少ないのではないか? 私は、東京で、公認会計士・税理士として国際的な仕事をして20年以上働いた後、ふるさとである九州を地元として衆議院議員になり、働く女性に対する意識が20~30年、昔に戻ったような気がした。もし、国で男女共同参画基本法や男女雇用機会均等法を作っていなければ、九州には、今でも男女共同参画基本法や男女雇用機会均等法はなかっただろう。私は、その他の課題についても似たようなところがあり、それが、中央集権にして日本の頭脳を集めることの意義だったと思うので、国で決めることを少なくしすぎない方がよいと思う。

 長くなるので、その他の論点については、またの機会に触れる。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120831-00000098-mai-pol (毎日新聞 8月31日) <維新の会>「維新八策」最終案まとめる 議員半減なども
 大阪維新の会(代表・橋下徹大阪市長)は31日、次期衆院選に向けた政権公約集「維新八策」の最終案をまとめた。7月公表の中間案に、次官・局長級幹部の人事を政治家が決める政治任用や管理職の公募制といった公務員制度改革、衆院定数(480)の半減や政党交付金・歳費の3割減といった「身を切る改革」などを加えた。「難問を先送りせず決定できる統治機構」をうたい、既成政党との違いを強調。主要施策への賛否を判断材料に、今後結成する国政新党に迎える議員を選ぶ。
 民主や自民の党内でも賛否が分かれる環太平洋パートナーシップ(TPP)協定への参加や、首相公選制の導入、参院廃止を視野に入れた衆院優位の強化を掲げ、独自色を出した。旗印の一つである地方分権策として、道州制の導入も盛り込んだ。インターネットを使った選挙活動の解禁▽国の責任による生活保護の受給認定--なども今回加えた。
 消費税については、従来通り増税の是非に触れず、地方税化を訴えた。脱原発依存もうたったが、具体的な数値や達成年度には触れていない。外交・防衛では日米同盟を基軸とする。
 維新は「八策は基本理念を示すもの」と数値目標や工程表を盛り込んでこなかったが、「身を切る部分は数値を入れて訴える必要がある」(幹部)と方針転換した。任期の4年間で実行する政策を選挙前に、別途公表する。また、国会議員との意見交換を経て、一部は変更する可能性があるという。
維新は9月8日に全体会議を開いて、次期衆院選進出を正式に決めるとみられる。9日には、新党への参加者を選ぶため、現職国会議員などを対象とする意見交換会を開催。候補者の公募も進め、全国で300人規模を擁立するとしている。

| 経済・雇用::2012.9~2013.6 | 10:19 AM | comments (x) | trackback (x) |

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