■CALENDAR■
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28   
<<前月 2013年02月 次月>>
■NEW ENTRIES■
■CATEGORIES■
■ARCHIVES■
■OTHER■
左のCATEGORIES欄の該当部分をクリックすると、カテゴリー毎に、広津もと子の見解を見ることができます。また、ARCHIVESの見たい月をクリックすると、その月のカレンダーが一番上に出てきますので、その日付をクリックすると、見たい日の記録が出てきます。ただし、投稿のなかった日付は、クリックすることができないようになっています。

2013.2.28 「聖域なき関税撤廃」でなければ農業や日本の主権が守れるというわけではなく、TPP参加は日本の主権を失う可能性のある問題であるため、自民党の公約さえ守ればよいということはない
      
          稲作                りんご畑               梅畑
(1)何が聖域に当たるのか
 ここで言われる「聖域」とは米のことだろうが、農業は、米だけを生産しているわけではない。むしろ、米の自給率は100%以上で高く、他の農産物の自給率が非常に低いのである。そして、他の農産物では、*1のように経営規模が日本全体の平均より大きな北海道でさえ「無理だ」と言い、*3のように、もう一つの食料基地である九州でも「無理だから慎重に」と言っているのだから、本当に国益がないと考えるべきである。昨年12月の衆院選で自民党が「聖域なき関税撤廃が前提なら交渉に参加しない」と公約して総選挙に勝ったからと言って、それで農業や国益が守られるわけではなく、また、有権者は、その公約で充分だと積極的に評価して自民党に票を入れたわけでもないので、言葉遊びはやめるべきだ。

(2)「聖域なき関税撤廃」が行われなければ農業は守れるのか
 仮に、自動車の排ガス規制や自動車税と引き換えに米(コメ)の関税が維持されたとしても、その他の農産物が守れるわけではない。さらに、自動車の排ガス規制や自動車税も、環境によいエコカーを推進し、必需品としての軽自動車には負担をかけないという理由があって行っているものだから、これを非関税障壁などと言われても困る。さらに、遺伝子組換作物の禁止、BSEの全頭検査、農薬の規制など、食品の安全を守るために行っている規制を、非科学的な非関税障壁として他国に追及され、わが国の主権が奪われるようなことがあっても困るのである。

(3)交渉すれば、何が守れるのか
 私は、FTA交渉において1対1でも守れないものは、TPP交渉で多国を相手にすれば、さらに守れないと考える。特に、中国との関係で日米安保を維持してもらいたいアメリカに対し、わが国が強い条件を出せるわけがない。従って、TPPに参加するのは国益にならないため、さわらぬ神に祟りなしなのだ。

(4)規制をすべて他国に任せていいのか
 排ガス規制を強めることによって、わが国の自動車は世界に先んじてクリーン車になった。
 また、わが国では遺伝子組換作物を禁止しているが、その理由は、遺伝子工学はどうにでも応用できるし、遺伝子組換作物を栽培する時に自然界に花粉が飛べば、それが自然の植物と混ざって生態系を変えるからである。アメリカでは、遺伝子組換で害虫に強い大豆ができており、日本の規制は非科学的だと言われているが、この遺伝子組換大豆は害虫だけを殺して人間には全く悪影響がないか否かは保証の限りではない。さらに、害虫の方も次第にその大豆に適応してくるので、さらに強い殺虫性が必要になる。そうすると、他国に輸出する大豆であれば、人への安全性より栽培が簡単で収量が多い方がよいという動機付けが働いても少しもおかしくない。つまり、それぞれの規制を他国に任せることは、わが国の国益にはならないのだ。

(5)TPP参加は、日本の国益になるのか
 *1、*2、*3、*4に書かれているように、政府は、農業はじめ医療分野などに考えられるメリットとデメリットを金額で表示して議論を促すべきである。その結果は、全体としてマイナスが限りなく大きく、幕末の日米不平等条約と同じくらいどうしようもない悪条約になると、私は予想している。

      

*1:http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/444814.html
(北海道新聞社説 2013年2月27日) TPPと農業 「参加ありき」は論外だ 
 これでは最初から「参加ありき」ではないか。農業関係者の多くはだまされたような思いだろう。安倍晋三首相は、先の日米首脳会談で「聖域なき関税撤廃が前提ではない」ことが確認できたとして、環太平洋連携協定(TPP)交渉に近く参加表明する意向を示した。両首脳の共同声明は「全ての物品が交渉の対象」とし、双方に重要品目があると認めた上で「最終的な結果は交渉で決まる」としている。要するに、やってみなければ分からないということだ。こんな当たり前のことを言質とは言わない。
 そもそも日米を除く10カ国が参加しているのに、2国間の合意が交渉全体の行方を縛ると考える方がおかしい。これで関税撤廃の例外品目が聖域として確保されたと解釈するなら、ごまかしである。日本がこれまで締結した経済連携協定(EPA)などでは、全品目の1割に当たる約840の農水産物を関税撤廃の例外としてきた。高い水準の自由化を目指すTPPでは、仮に例外が認められても、品目数は大幅に絞られる恐れがある。象徴的に扱われるコメさえ守れば済む話ではない。
 特に道内農業への影響は深刻だ。コメにとどまらず、小麦、ビートといった輪作体系に欠かせぬ作物や酪農などへの打撃は避けられまい。しかも道内の農業者は、政府が目指す大規模な耕作を行い、農業所得を主とする主業農家の割合も都府県に比べはるかに高い。道の試算では関連産業を含め影響額は2兆1千億円に上り、食料基地の根幹を揺るがす。対策抜きでは、農家は将来の展望を持てなくなる。その肝心な農業支援策や強化策の中身が不透明だ。政府・自民党は民主党政権時代の戸別所得補償に代わる制度の設計に着手したが、支援を担い手に集中するかどうか、方向が定まらない。政府の産業競争力会議は、農産物の輸出拡大、6次産業化の推進などを打ち出した。「攻めの農業政策」というかけ声は勇ましいが、具体策の検討は始まったばかりだ。どんな対策を講じても、関税撤廃に対応するには膨大な財源が必要になる。国民的議論もなく、巨額の支出に理解が得られるだろうか。
 首相は、参加の判断について自民党執行部から一任を取り付けた。自民党の「TPP参加の即時撤回を求める会」には、同党国会議員の過半数が名を連ねている。とりわけ、先の衆院選で参加の「断固阻止」を掲げた道内選出議員の責任は重い。このまま参加を容認するのは明らかに公約違反である。

*2:http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130227-00000002-okinawat-oki
(沖縄タイムス社説 2月27日)  [TPP交渉参加]功罪明示し議論尽くせ
 安倍晋三首相とオバマ米大統領は23日、環太平洋連携協定(TPP)交渉について関税撤廃の例外を認める内容の共同声明を発表した。首相は近く交渉参加を正式表明する見通しで、TPP問題は大きな転換点を迎えた。共同声明は「一方的にすべての関税を撤廃する約束を求められるものではない」と明記し、日本の農産品や米国の工業製品など「敏感な問題」の存在を挙げている。首相はこれをとらえ、「聖域なき関税撤廃が前提ではなくなった」として、自民党から交渉入りの判断について一任を取り付けるなど、表明に向けて一気に環境整備を進めている。
 共同通信社が実施した全国世論調査によると、TPP交渉参加への賛成は1月の53%から63%へと10ポイント上昇した。反対は25%にとどまり、容認の方向に傾いている。農業団体などの支持を受ける自民党内の慎重派も、内閣支持率の高さや、夏の参院選を前に党内対立を避けたい思惑から、強硬に反対を貫けない事情がある。ただし共同声明は、「すべての物品が対象になる」ことや、「包括的で高い水準の協定を達成していく」ことも盛り込んでいる。つまり例外が認められるかどうかも含め、全て今後の交渉で決まっていくと確認したにすぎない。デフレ脱却への掛け声と呼応するようにTPP参加のメリットが前面に出がちだが、政府は農業をはじめ医療分野などに予想されるデメリットも明示した上で、徹底した国内論議を促すべきだ。
    ■    ■
 沖縄経済にとっては、サトウキビと畜産への影響が最も懸念される。JA沖縄中央会の小那覇安優会長は「関税撤廃に例外があるというのは言葉のあや、ごまかしだ」と厳しく批判し、あらためてTPP交渉参加に反対を表明した。例えば、サトウキビを原料とする粗糖には、コメや小麦などとともに高い関税を課すことで国内の産地を守ってきた。生産量とともに生産額のシェアも年々減少してきたサトウキビだが、製糖工場など製造業への波及効果や、地域・離島経済における重要度は依然として高い。医療や福祉分野からも反対の声が上がっている。一方、メリットがあるとされる第2次産業は、全産業の総売上高に占める比率が全国平均の3分の1以下で輸出額も少ない。そのため、沖縄県工業連合会はメリットを見極められないでいる。
    ■    ■
 首相は26日の日本経済再生本部会合で、交渉参加をにらんだ農林水産業の具体的な強化策を図るよう指示した。農地集約や若い世代を呼び込み、担い手を重点的に支援する方向だ。また「美しいふるさとを守る」とも述べ、中山間部の農業を維持することも求めた。しかし、これらは約20年前から掲げてきた農政の課題と何ら変わりはない。米国に限らず、各国はそれぞれの思惑を持っている。日本は拙速に交渉参加へ踏み込んではならない。今こそ慎重かつ徹底的な論議を必要としている。

*3:http://www.saga-s.co.jp/news/saga.0.2407746.article.html
(佐賀新聞 2013年2月27日) 「両院総会で承認を」TPP参加首相一任で
 環太平洋連携協定(TPP)の交渉参加をめぐり、安倍晋三首相が自民党役員会で一任を取りつけ、交渉参加に前向きな姿勢を見せていることについて、佐賀県選出の同党国会議員は、農業団体など党内外への丁寧な説明や詳細な情報を開示した上で、慎重に判断するよう求めていく考えを強調した。自民党は昨年12月の衆院選で「聖域なき関税撤廃が前提なら交渉参加しない」という公約を掲げ、県内3小選挙区を独占した。
 佐賀1区で初当選した岩田和親衆院議員は「聖域なきTPPは反対ということで選挙を戦った。日米共同声明では、どの程度聖域が守られ、日本にどれほどのメリットがあるか分からず、細かな情報開示がなければ判断できない」と困惑。「首相の口から直接、説明する場を設けてほしい」と要望する。
 今村雅弘衆院議員は「関税撤廃の例外があるとの確認を取ることはできたが、TPP全体ではまだ問題点が多い。政府には農業団体など関係者の意見も聞き、慎重に対応するよう求めていく」とした。
 保利耕輔衆院議員は26日に党内の慎重派議員でつくる議連会合で「(今夏の)参院選前に大きな決定をするなら、両院議員総会を開いて承認を得るべき」と発言。役員会での一任という形ではなく、党内をまとめる丁寧な手続きが必要との考えを示した。
 同党県連会長の福岡資麿参院議員は「共同声明で例外があり得ると示されたのは一つの成果」としながらも、「農業関係者など不安を持つ団体には丁寧に状況を説明していくことが重要」との認識を示した。

*4:http://www.saga-s.co.jp/news/global/corenews.0.2405872.article.html
(佐賀新聞 2013年2月23日) JA全中会長、TPPで「反対」 / 交渉参加は「信頼を裏切る」
 全国農業協同組合中央会(JA全中)の万歳章会長は23日、日米首脳会談を受け、環太平洋連携協定(TPP)に関して「今のような状況で交渉に参加するのは反対であり、政府・与党はわれわれの信頼を裏切るような判断を絶対にすべきではない」とのコメントを発表した。万歳会長は、日米の共同声明に対し「TPPの特徴である聖域なき関税撤廃を前提にしたものとしか理解できない」と指摘。TPPの影響の政府統一試算がなく、政権公約で示した6項目の判断基準も満たされたと確認できないとして「交渉参加を判断すれば、国益を毀損」と主張した。

| 環太平洋連携協定(TPP)::2012.11~ | 01:35 AM | comments (x) | trackback (x) |
2013.2.26 大学入試及び大学教育を改善する必要性ー知識の不在による誤った意志決定事例から
 SPEEDIにそれぞれの地点の実測値を入れれば、より正確なデータが導き出せた筈にもかかわらず、何故*1のようなことが起こったのか?福島県原子力安全対策課の担当者の言い訳を見ると、①放射性物質の拡散が県民の命や健康に与える影響を、他の仕事を優先して考慮しなかった ②日頃からSPEEDIの仕組みも理解していないため使えなかった ③原発事故の影響を小さく見せたいという空気に影響された という原発立地地域の担当者にあるまじき原因が垣間見える。そして、これらは、物理学や生物学に疎く、周囲の空気を読んで行動する大多数の文科系の特徴でもあるが、それでよいのだろうか。

 また、*2のように、放射性物質を含む瓦礫は「焼却してしまえば、燃えてなくなる」と考えるのも、文科系の人の発想である。本当は分子はなくならないため、気体や粒子となって広く拡散し、さらに集めにくくなって被害を大きくする。そのため、放射性物質は閉じ込めるのが原則だが、ごり押しして焼却したがる人がおり、それに反対する人を「理解せずに不安に思っている人だから、丁寧な説明で不安を払拭させる」と言うのである。実際には、理解していないのは、焼却したがっている人であるにもかかわらずだ。

 そういう調子だから、*4のようなことが起こっているにもかかわらず、それは報道されず、*3のように日本製品から大気中の通常の基準値を上回る放射線量が検出されて、せっかく作った日本製品の安全性やブランド力を低下させている。少しわかっている人なら、物理の原則から導かれる論理に基づき、測って返品しているのだから、日本の行政やメディアが、*5のように、国際基準を無視して、「風評被害がいけない」と主張すればするほど、日本人及び日本製品全体が信用をなくすのである。

 こういうのは、常識程度の物理、生物、化学の知識があれば、すぐわかることである。しかし、日本の文科系の人材は、入試科目にないためか、高校でこれらの分野をあまり勉強せず、大学でも全く勉強していない人が多い。特に、私立大学の文科系学科は理数系科目が全く入試にないためか、理数系の知識があまりないが、卒業生は立法・行政・司法・メディアや民間企業のマネジメントに多くいるのだ。

 ではどうすればよいのかと言えば、高校や大学の教養程度の知識は、理科系・文科系にかかわらず、どちらも常識として持っておかなければならないものであるから、私立大学でも文科系学科の入試に国公立大学並みの理数系科目を課し、高校でしっかり勉強させることが必要だと考える。また、大学は、文科系・理科系をあまり早くから分けずに、どの進路に進む生徒にも、考えるためのツールとなる学問は、しっかりと教えておくことが必要だ。

*1:http://mainichi.jp/select/news/20130222k0000m040137000c.html (毎日新聞 2013年2月22日) 福島第1原発:ベント前 放射性物質の拡散 データは放置
 東京電力福島第1原発事故による放射性物質の拡散が、これまで考えられていたより早く11年3月12日早朝から始まっていたことが、福島県の観測データで裏付けられた。しかし、県がモニタリングポストの解析を終えたのは、政府や国会の事故調査委員会が最終報告書をまとめた後。現在進行している県民健康管理調査にも、このデータは反映されていない。被災者の健康に直結する「命のデータ」は事実上、放置されてきた。
 福島県によると、津波で流されなかったモニタリングポスト20基のデータ回収を始めたのは、東日本大震災から約1カ月後の11年4月。19基を同7月までに回収し、一部の解析に着手した。しかし、残る1基を回収し全解析を終えたのは、最初の回収から約1年5カ月後の昨年9月下旬だったという。この間、政府や国会の原発事故調査委員会が相次ぎ発足し、事故原因の究明にあたった。両委員会は昨年夏、最終報告書をまとめたが、県のデータの存在を把握しないまま解散したことになる。政府事故調の元メンバーで同県川俣町の古川道郎町長は「政府事故調で検証されなかった新事実だ。なぜ解析がこんなに遅れたのか。事故の検証は終わったとは言えない。継続的な検証態勢を整備すべきだ」と憤る。一方、このデータは11年6月に始まった県民健康管理調査にも活用されていない。この調査は、県民から震災当時の行動記録の提出を受け、被ばく線量を推計する。今回明らかになったデータは、事故初期の「実測値」にあたるが、当時の線量はこれまで、SPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)で予測した線量が使われてきた。県立医大は「県の解析データを使うか使わないかは、議論している最中だ」としている。
 福島県原子力安全対策課の担当者は毎日新聞の取材に「県内全域の放射線調査など他業務に忙殺され、結果的にデータ解析が後回しになった。大変申し訳なく、ただただ謝るしかない」と謝罪している。これに対し、国会事故調に県民代表として参加した同県大熊町民の蜂須賀礼子さんは「県民の健康を真っ先に考えたならば、急いで解析されるべき『命のデータ』のはずだ。福島県の対応は(原発被害を受けた)県民として恥ずかしい限りだ」と話した。

*2:http://www.minyu-net.com/news/news/0225/news5.html
(2013年2月25日 福島民友ニュース) 村、説明会を継続へ 鮫川・焼却実証施設建設
 環境省が鮫川村青生野地域に建設を進めている放射性物質を含む稲わらなどの農林業系副産物の焼却実証実験施設について、同村の大楽勝弘村長は、24日までに地元住民を対象に開いた説明会で「今後も住民に理解を求めていく」として、説明会の開催を継続する考えを示した。説明会は冒頭以外、非公開となり、説明会後、報道陣の取材に応じた大楽村長は同施設建設への説明が不十分だったとした上で、あらためて「住民の理解が得られなければ稼働させない」と強調。「丁寧な説明で不安を払拭(ふっしょく)させたい」とした。また、同省の山本昌宏廃棄物対策課長は緊急対策マニュアルがほぼ完成していることを明らかにした。一部の参加者からは、健康や放射性物質の拡散を懸念する質問があったという。説明会は23日、同村の青生野集落センターで開いた。

*3:http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013022201001919.html(東京新聞 2013年2月22日) ロシア、364物品を日本に返送 昨年、極東税関
 【ウラジオストク共同】ロシア極東税関のパシコ局長は22日、2012年の1年間に日本から持ち込まれた中古車や自動車部品など400物品から大気中の通常の基準値を上回る放射線量を検出し、うち364物品の輸入を認めずに日本に返送したことを明らかにした。共同通信の取材に答えた。400物品の日本の積み出し港は小樽、新潟、富山、横浜、大阪など各港という。今年に入っても42物品から基準値を超える放射線量が検出され、うち18物品のロシアへの輸入が禁止された。

*4:http://www.asahi.com/national/update/0220/TKY201302200472.html
(朝日新聞 2013年2月21日) 福島第一原発、消えぬ汚染 4号機建屋内部を同行取材
 東京電力福島第一原発事故からまもなく2年。朝日新聞記者が20日、原子力規制庁の検査官に同行し、爆発事故を起こした4号機の原子炉建屋の内部に入った。廃炉作業が進むものの、爆発で飛び散ったがれきがいまだに散乱し、いたるところに事故の爪痕が残っていた。4号機は東日本大震災当時、定期検査で停止中だった。しかし、炉心溶融事故を起こした3号機から水素が配管を伝って流れ込み、爆発が起きて建屋が吹き飛んだ。冷却できなくなった燃料プールの水が干上がって核燃料がむき出しになり大量の放射性物質がまき散らされるのではないかと、一時は世界中を揺るがした。事故後に建屋の外に据え付けられたエレベーターで、オペレーティングフロアと呼ばれる最上階に上がった。昇る途中、爆風で吹き飛んだコンクリート片がそのままになっているのが見えた。事故が起きた直後とほとんど変わらない状態だという。

*5:http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20130224-OYT1T01073.htm
(2013年2月25日 読売新聞社説) 原発風評被害 放射能の基準から考え直せ
 放射能の安全基準について政府は根底から考え直すべきだ。政権交代はその好機と言えよう。消費者庁が、東京電力福島第一原子力発電所事故による風評被害の対策を強化する。森消費者相は、「民主党政権は消費者の不安を募らせた」と述べ、具体策の検討を指示した。
 福島県産の農産物は、検査で安全を確認し出荷されているが、価格を安くしなければ売れない。流通量もなかなか増えない。森氏が、「安全基準への疑問や不安があると思う」と指摘したのは、もっともである。野田政権は、食品中の放射能基準を海外より厳格化した。政府の放射線審議会は、弊害が出ると警告したが、小宮山厚生労働相(当時)が政治的に押し切った。その結果、基準超過が増え、食品の信頼回復は進まない。過去の核実験の影響としか考えられない放射性物質が検出され、出荷停止となった野生キノコもある。問題なのは、野田政権が年1ミリ・シーベルトの被曝(ひばく)線量を安全と危険の境界線としたことだ。年1ミリ・シーベルトは法的に放射性物質を扱う施設の管理基準に過ぎないのに、この線引きを食品基準にも適用した。
 国際放射線防護委員会(ICRP)も、年1ミリ・シーベルト以下が望ましいとしている。ただ、野田政権との違いは、これを超えても直ちに危険とは見なさないことだ。ICRPは総量で100ミリ・シーベルトまでなら明確な健康影響は検出できないとの立場だ。ICRPが考える1ミリ・シーベルトは、安全性に余裕を見込んだ数値で、合理的に達成できるなら、との条件も付く。世界には、大地などから年10ミリ・シーベルトの放射線を浴びる地域がある。病院の放射線診断で1回に約7ミリ・シーベルト被曝することもある。1ミリ・シーベルトでの線引きは、16万人近くの避難者の帰還を遅らせる要因にもなっている。ICRPは、被災地の復旧過程では、年20ミリ・シーベルトまで許容し、可能な範囲で年1ミリ・シーベルト以下にするとの考え方を示している。だが、細野環境相(当時)は、1ミリ・シーベルト以下への除染を強調した。ICRPの考え方は、住民の生活確保と除染の両立だが、除染が偏重される結果となった。政治の誤ったメッセージと言えば、泉田裕彦新潟県知事も同様だ。柏崎市、三条市が岩手県のがれきを一般ごみとして処理したことを「犯罪行為」と非難した。しかし、がれきの放射能は県内のごみと変わらない。首長が風評被害を増長させては困る。

| 教育・研究開発::2012.4~2013.10 | 12:25 PM | comments (x) | trackback (x) |
2013.2.24 わが国の水産業振興のためには、何が必要か
      
           *1より              アジの群れ             サバの群れ
 2005年~2009年の衆議院議員時代、社会調査のつもりで挨拶廻りを兼ねて地元佐賀三区を廻り、漁業関係者の意見もかなり聞いたが、その中に、①漁獲高が減った ②燃油の価格が高く、漁に出ても収入が費用をカバーできないことが多い ③次世代がいない などがあった。

 ③の「次世代がいない」というのは、漁業が他の仕事より儲かる産業になれば解決するものであろう。また、②については、自動車と同様、漁船を早く電力化もしくはハイブリッド化して重油で動くシステムを変え、省エネ化すれば解決できるはずだが、漁船の世代交代は進まず、漁業者に対する国からの援助も、実際に漁業者の手が届くには程遠かった。

 そして、これが核心だが、①については、日本では、アジ・サバは幼魚まで捕獲しないように、網目の大きな網を使うことに規制し、資源管理をした。また、ウニ・鯛・ヒラメなどは稚魚・稚貝の放流、クルマエビ・マグロは養殖というように、いろいろな手段を講じているのであり、これは、今後とも推進すべきである。

 そのため、中国の漁船団が日本側の境界線にへばりつくように、“虎網漁船”で乱獲する気持ちはわかるが、とても許せるものではない。そして、これは、日本の漁業にとっては魚介類やその加工品を中国へ輸出するチャンスでもあるため、手段を講ずるべきである。中国には13億人の胃袋があり必死であるため、水産庁が監視を強めるだけでは力不足だろう。外交上、もう一度、しっかりと中国と日本の境界線を確認し、その日本側で漁をしてよい船は、日本国籍のものか、(高い)入漁料をとって「許可済」のマークを与えたもののみとすべきである。

 さらに、速やかに国際環境基準を作り、その中に海洋の環境保全を明記して、海洋の生物資源は世界が同一の基準で保護・管理するためのコンセンサスを作るべきだ。

*1:http://www.nhk.or.jp/nw9/marugoto/2013/02/0211.html
(NHK 2013年2月11日) 漁業水域の“境界線”激化する攻防
大越
「中国の海洋進出が盛んになる中で、緊張が増す東シナ海。実は、自衛隊や海上保安庁以外にも、日々、中国からの圧力を感じている人たちがいます。漁業に従事する人たちです。」
井上
「日中の間には、水産資源をめぐるもうひとつの境界があります。付近では、中国漁船の集団が大量に操業し、日本の漁業にとっての脅威となっています。」
東シナ海に群がる中国漁船団
先週末、NHKが空から撮影した東シナ海の映像です。「中国漁船が強力なライトを使って海を照らしています。」サバやアジの格好の漁場となる東シナ海。
水産庁担当者
「このかたまりが全部そうです。」
この漁場に群がる300隻を超える中国の大型漁船。水産資源をめぐる攻防が激化しています。

核心:もう1つの“境界”最前線  宇宙から夜の光を撮影した衛星写真です。東シナ海でひときわ明るい光の塊は、中国漁船の集団です。東シナ海の漁場は、日本と中国の主張の違いで境界線が確定していません。そのため、両国が共同で漁をする水域が設けられています。その日本側の境界線にへばりつくように中国の漁船団が。乱獲で魚が減った中国近海から日本側の水域に近づいてきているとみられます。(中略)水産庁が今、特に監視を強めているのが、“虎網漁船”と呼ばれる中国の最新漁船です。

水産庁 漁業取締船 白鴎丸 橋本高明船長
「あのアンカー打って動きがないのが『虎網漁船』だと思う。」

強力な明かりで一気に魚を集めます。資源保護を優先する日本では認められていません。さらに、巨大な網で根こそぎ魚を取り尽くしていきます。漁業者が減り続ける日本。中国側の勢いの前に、共同の水域は中国漁船に事実上独占されている状態です。

第二十八野村丸 吉本洋一郎漁労長
「彼らが密集している海域にはもう入らない。ルールも何もない。めちゃくちゃ、やり方が。結局は泣き寝入りだ。」

漁業の衰退は、境界線を越える外国の船をみつけることも難しくしています。
漁船には、水産庁や海上保安庁に見慣れない船を通報する役目もあります。

井上
「日本ではここ10年で漁業に従事する人は3割減っているということです。」
大越
「現場が懸命に奮闘しても、監視機能の低下が避けらないのが実態です。脅威にさらされる現場がここにもあります。」

| 農林漁業::2013.6~2014.1 | 02:43 PM | comments (x) | trackback (x) |
2013.2.23 農業における経営管理とコスト低減について (農業会計基準導入の必要性も)
      
      サトウキビ畑             梅畑              レタス畑

(1)農業経営合理化のため、農業会計の導入が必要
 *3のように、日本には農業に関する会計基準がなく、農業者は所得税申告目的の経理をしているのみである。しかし、これでは、経営に資する内部管理、融資のための基礎資料、出資者・貢献者に対する正確な利益配分ができない。一方、国際会計基準には、第41号に農業に関する基準が定められており、他国は、これに近い会計基準を使っている(こう言っては失礼だが、スリランカでも使っている)。今後、農業を生産性の高い儲かる産業にするためには、まず、正確な収益と費用の計算を行い、正確なコスト管理と利益配分を可能にしなければならない。そのため、国際会計基準41号を参考にして、わが国に農業会計基準を導入するのは、まったなしである。

(2)農業のコスト低減のためには、規模の拡大とエネルギーの転換などが必要
①規模の拡大
 *1に書かれているように、耕地の規模を拡大して機械化することによって、農業のコスト低減が可能であるため、2005年以降、集落営農や農業法人化が推奨されてきた。このほかにも、パートナーシップ(任意組合)によって複数の農家が集まり、それぞれの貢献度に応じて正確に収益を分配しながら、規模拡大を達成する方法もある。私は、複数の農家が集まって一つの企業体として行動するには、まずはパートナーシップ(任意組合)の方が入りやすいと思う。

②エネルギーの転換など
 *2のように、現在では、ビニールハウス等で温度や日照時間を管理して、いつでも作物を出荷できるようにする農業も盛んだ。そして、私が衆議院議員の時に、「燃油の値段が上がって困った」等の陳情が毎年のようになされてきたが、それは、これまで重油で温めていたため、原油の値段に左右されていたからだ。そのため、ここに、地中熱や国産の安価な再生可能エネルギーを使ってしっかりと温度管理を行えば、かなりのコスト低減が見込まれる。そのほか、飼料や有機肥料などに関するコスト低減策もあり、いかに気候を活かし、国産の安いものを使って、質を落とさずにコスト低減を行うかが、今後の農業の鍵となる。

 なお、これらについては、製造業やサービス業で監査をしてきた公認会計士やコンサルティング会社に、世界の事例をしっかりリサーチさせて方針案を作らせる方法が、安上がりで失敗が少ないだろう。

注:コスト低減とは、大きなパラダイム変化によってダイナミックにコストを減らすことであり、コスト削減とは、既存のパラダイムの中で改善し続けることによってコストを減らすことである。

      
    北海道のじゃがいも畑           養豚場              養鶏場

*1:http://www.saga-s.co.jp/news/saga.0.2390921.article.html
(佐賀新聞 2013年2月2日)税制面でメリット 集落営農法人化で研修会
 集落営農の法人化をテーマにした研修会が31日、佐賀市で開かれた。農業経営コンサルタントで税理士の森剛一氏が講演し、法人化を早く進めたほうが税制面で大きなメリットを受けられると解説した。森氏は、任意組合の集落営農は個人に所得税が課税されるため内部留保が難しく、長く続ければ続けるほど法人化は困難になると指摘。法人化の一般的な形態である農事組合法人は消費税の還付を受けられるなど税制上のメリットが大きいことから、「集落営農は早く法人化したほうが得策」と話した。ただ、農事組合法人は事業内容が農業関連に限定され、総会議決が1人1票制で迅速な意思決定が難しいなどの問題点もあり、森氏は「事業内容に制約のない株式会社への組織変更も検討したほうがいい」とアドバイスした。研修会は県やJAなどでつくる佐城地域担い手育成支援チームが主催し、集落営農のリーダーら約200人が参加した。

*2:http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/349300
(西日本新聞 2013年2月21日) 燃料に間伐材 ビニールハウスで重油と併用
 福岡県は、新年度から園芸農家のビニールハウスを、木質チップボイラーと既存の重油暖房機を併用して温度管理する「ハイブリッド暖房システム」の実証実験を始める。使い道の少ない間伐材を燃料として利用し、高騰する重油の使用量を減らしコスト削減を図る。担当者は「一石二鳥の取り組み。効果を実証し、福岡方式として定着させて農家の経営安定につなげたい」としている。県によると、冬場にハウスの暖房に使うA重油の1リットル当たりの価格は、2002年の40円台から上昇を続け、昨年は89円にまで高騰し、農家の経営を圧迫している。一方、成長の途中で伐採される間伐材は、建築木材に適さず需要が少ない。山から運び出すコストも高く、利用が進んでいないのが現状だ。県の推計では、間伐材の9割以上が未利用のまま山に放置されているという。
 実証実験は、複数の園芸農家が集まる1ヘクタール規模の園芸団地で行う。木質チップボイラーと複数のハウスを配管でつなぎ、加熱した水を各ハウス内に設けた熱交換器に送り、温風にして室内を温める。一定の室温まではボイラーで上昇させ、これまで各ハウス内に設置していた重油暖房機は補助的に使う。これにより重油使用量を75%程度削減できると見込んでいる。間伐材は、建築木材などに使う木と一緒に山から運ぶことで輸送コストを圧縮し、団地周辺の木質チップ工場で加工する。県は、ボイラー費用など関連事業費約6千万円を13年度一般会計当初予算案に計上した。暖房が必要になる11月の運用開始を目指し、実証実験を行う園芸団地1カ所を選ぶ。15年度までコスト削減効果を検証して実用化のめどを付ける。

*3:http://muses.muses.tottori-u.ac.jp/dept/E/paper/bachelor/policy/nagatoshi.pdf#search='%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E8%BE%B2%E6%A5%AD%E4%BC%9A%E8%A8%88%E5%9F%BA%E6%BA%96' (食料政策学研究室 永利 和裕) 国際会計基準41号「農業」が農業会計に及ぼす影響
Ⅰ.緒論
 近年、我が国では経済活動の国際化が急速に進み、その結果として、経済活動を支える会計領域も国際化せざるを得ない状況にある。すなわち、経済活動を国際的に展開するためには、世界的に認められた特定の基準に従って会計処理を行って会計情報が作成されることが必要とされている。このような会計の世界基準として国際会計基準(以下、IASという)が作成された。現在、日本の会計基準はこのIASを徐々に組み込んでいる。このIASの中に、農業経営活動の会計処理に関する会計基準を意味するIAS41号「農業」(以下、IAS41という)がある。早晩、この基準が日本の農業会計に導入されることは明らかである。そこで、本研究では、IAS41が、将来的に日本の会計基準に導入されることを想定して、このIAS41が日本の農業会計にどのような影響を及ぼすかを理論的に明らかにして、今後の農業会計のあり方について検討していく。

Ⅱ.研究・分析方法及び参考文献・資料
 まず第1に、IASの必要性と日本に導入されるようになった背景を明らかにする。第2に、IAS41を含め、IASについて詳しく述べる。第3に、IASが日本の会計制度に及ぼす影響について検討する。第4に、IAS41を日本の農業会計に導入する場合の課題について検討する。そして、最終的には、今後の農業会計はどうあるべきかを検討していく。
【主な参考文献・資料】
菊地 泰次『農業会計学』明文書房 1986年
三輪 豊明『国際会計基準入門の入門』PHP研究所 2003年
工藤 賢資『複式農業簿記入門』富民協会 1999年

Ⅲ.研究結果とその考察
 以下では、上述した研究方法によって、明らかにした4点について述べたい。
 まず第1に、IASの必要性と日本に導入される背景である。その1として、その必要性であるが、国際的な経済活動を行うためには、世界各国の誰(投資家や銀行などの利害関係者)が見ても明らかな会計情報を提示することが必要となる。これがIASの必要性である。その2として、日本に導入される背景であるが、日本においても国際的に経済活動を行う企業、すなわち多国籍企業が増加したことと、日本の会計基準は国際的に通用する基準ではないと指摘されたことがある。
 第2に、IASとIAS41についてである。その1としてIASであるが、これは1973年に設立された国際会計基準委員会(IASC)によって作成されたものである。なお、IASは数次の改訂を経て、35に及ぶ基準から成っている。その2としてIAS41であるが、これは①農業活動における会計処理、②関連する財務諸表の表示、③開示について定めたものであり、35に及ぶIASの1つである。この基準の適用の範囲は生物資産、農産物、政府補助金の3つである。また、生物資産、農産物の測定方法は、「生物資産は、当初認識時及び貸借対照表日において、その見積販売費用控除後の公正価値で測定し、農産物は、収穫時点において、その見積販売費用控除後の公正価値で測定しなければならない」とされている。
 第3に、IASが日本の会計制度に及ぼす影響についてである。日本の会計制度は商法、証券取引法、法人税法、の3つの法律から成立しており、それぞれの法律を改廃する際には、企業会計審議会により作成された「企業会計原則」を考慮しなければならないとされている。しかし、企業会計審議会により、IASを考慮した新たな会計基準が発表され、今後、日本の会計制度は、IASを中心としたものに移行していくものと考えられている。
 第4に、IAS41を日本の農業会計に導入する場合の課題であるが、以下の2つがある。1つ目の課題であるが、日本の農業会計では、農産物を含めて資産の評価は、取得原価主義を採用している。これに対してIAS41を導入すると、見積販売時費用控除後の公正価値で評価されることになり、原則的に活発な市場で成立した市場価格に基づいて評価が行われることになる。課題は、活発な市場が存在しない場合、いかに公正価値を決定するかである。数種類の測定方法がガイドラインとしてあげられているが、測定の信頼性を高めるには、さらに具体的なガイドラインが必要である。2つ目の課題であるが、IAS41では、生物資産は公正価値で評価するが、公正価値の変動分を損益計算書に計上すれば、そこでは未実現の利益が計上される。課題は、このような未実現利益は明記し、他の利益と区分することである。

Ⅳ.結論
 IAS41を日本の農業会計に導入するには、上述した2つの課題をいかに解決するかが重要である。また、「企業会計原則」に相当する「農業会計原則」確立も必要であろう。

| 農林漁業::2013.6~2014.1 | 04:26 PM | comments (x) | trackback (x) |
2013.2.22 労働市場における男女差別に対し、厚生労働省や労働基準監督署は時代に会った対応をしてきたのか
    図の説明 (*2より: ILO第98回総会(2009年)報告書「ディーセント・ワークの中心にあるジェンダー平等」から作成。報告書掲載国中、ILO100号条約(同一価値労働同一賃金)未批准国を除いて作成。なお、アメリカは、未批准国だが除外せず)

 私は、*1の「女性の賃金は平成元年には男性の60%の水準でしたが、去年は70%と男性との格差がこれまでで最も少なくなり、女性は現在の方法で調査を始めた昭和51年以降、最も高くなりました」というNHKの報道を見た時に違和感を感じたが、それは、如何にも女性にとって福音であり、労働市場における男女差別がなくなったかのような言い方だったからである。
 
 しかし、真実は、*2のように、「日本のように男女の賃金格差が30%以上ある国は世界では少なく、2007年のILO総会では日本の男女賃金格差の問題が議論された」「日本は、同一価値労働同一賃金を定めたILO100号条約にもとづく格差是正が求められる状況である」「ILO総会で、同一価値労働に対する同一の報酬を、法律上も事実上も積極的に促進するようにという強い要請が日本政府に対して行われた」「2008年3月にも、ILO条約勧告適用専門家委員会が日本の男女賃金格差問題に対し、批判と勧告を出している」という状況なのである。NHKを始めとする日本のメディアは、このようなことには全く触れないが、この男女間の報酬格差が、まさか、男女の職業能力の差に比例してきたとか、女性にチャレンジ精神や働く意欲、リーダーシップがなかったなど、女性の側に起因してきたとは言えるまい(皮肉)。

 また、*1によると、厚生労働省は「依然として9万円余りの男女の賃金格差があるのは、フルタイムで働く女性には賃金が低い非正規の人が多いためだ。しかし、正社員の女性も増えており、徐々に格差が減少しているのではないか」と楽観的な分析をしており、①男女の労働者の賃金格差が非常に大きい状態を放置し ②非正規社員も女性が多くなるように放置し ③同一価値労働同一報酬の原則を十分に反映した法律案も作らず、④日本には、同一価値労働同一報酬の原則を反映するために必要な職務・労働の客観的要素にもとづいての比較が実施されていないことに対して、厚生労働省の労働基準監督署が正面から対応して改善した形跡もない。

 そして、*3のように、非正規社員としてしか採用されないような人が独立して行っている事業の「賃金未払い」や「長時間労働批判」ばかりを行ってきたのであるが、現在は蟹工船の時代とは状況が全く変わっているため、現在の矛盾を正していくべきだったのである。

*1:http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130221/k10015688551000.html
(NHK 2013年2月21日) 女性の賃金が過去最高に 格差縮小
    
 月給から時間外手当などを除いた去年の賃金は、女性が平均で23万円余りとこれまでで最も高くなり、男性との賃金格差が最も少なくなったことが厚生労働省の調査で分かりました。 
 厚生労働省は従業員が10人以上いる全国の4万9000余りの事業所を対象に、月給から時間外や休日出勤の手当などを除いた去年6月分の賃金を調査しました。その結果、フルタイムで働く正社員と非正規の人の賃金は、平均で29万7700円で前の年よりも9000円増え、5年前のリーマンショックで大きく下落したあと3年連続で増加しました。男女別では、男性は32万9000円、女性は23万3100円で、女性は現在の方法で調査を始めた昭和51年以降、最も高くなりました。女性の賃金は平成元年には男性の60%の水準でしたが、去年は70%と男性との格差がこれまでで最も少なくなりました。
また、短時間勤務やパートで働く人の1時間当たりの賃金は、男性は前の年より2円上がって1094円、女性は前の年より13円上がって1001円で、女性は初めて1000円を超え、男女、共に過去最高となりました。
 厚生労働省は「依然として9万円余りの男女の賃金格差があるのは、フルタイムで働く女性には賃金が低い非正規の人が多いためだ。しかし、正社員の女性も増えており、徐々に格差が減少しているのではないか」と分析しています。

*2:http://www.jcp.or.jp/akahata/aik09/2009-06-06/2009060605_01_1.html
男女の賃金格差 日本の異常くっきり ILO報告書にみる
 日本の女性と男性の賃金の格差は深刻だと、国際機関から批判されていますが、開会中の国際労働機関(ILO)第98回総会に提出されている報告書でも、日本の実態を浮き彫りにするデータが示されています。
<男女間賃金格差 30%以上は、世界で少数>
 報告書のタイトルは、「ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の中心にあるジェンダー(男女)平等」。そのなかで、国別の男女賃金格差の指標が世界地図入りで紹介されています。国際労働組合総連合(ITUC)が作成したものです。これまで世界規模のデータはなく、ITUCによって、初めて、職業別男女間の平均賃金格差に関する世界的なデータ収集が試みられたとしています。日本の場合、男性の賃金を100とすると、女性はその66・6%しかなく、世界地図には、賃金の男女格差(100から66・6を引いた)33・4%が記載されています。この指標が大きいほど格差が大きいということになります。日本以外の“経済先進国”を見ると、カナダが27・5%、アメリカが22・4%、EU(欧州連合)が平均で15・9%、オーストラリアが14・1%となっています。
 「日本のように、男女の賃金格差が30%以上あるのは、世界では少ない。2年前の2007年のILO総会では、日本の男女賃金格差の問題が議論されました」と話すのはILO駐日代表の長谷川真一さん。日本は、同一価値労働同一賃金を定めたILO100号条約を批准しており、条約にもとづく格差是正が求められます。この総会では、同一価値労働に対する同一の報酬を、法律上も事実上も積極的に促進するようにという強い要請が、日本政府に対して行われました。2008年3月にも、ILO条約勧告適用専門家委員会が、批判と勧告を出しています。世界の多くの国が平均して男性の賃金の7割から9割の水準にあり、格差は1~2割程度です。さらに格差の是正をめざしています。長谷川さんは、「条約にもとづく同一賃金の徹底が求められています」と強調します。

<2008年のILO勧告>
2008年3月に、ILO条約勧告適用専門家委員会から出された批判と勧告の内容は次の通りです。
●男女労働者の賃金格差が非常に大きい状態が放置されていること
●政府によるパートタイム労働法とその改正が、男女の賃金格差の削減に役立っているかどうか
  疑問があること
●日本には、同一価値労働同一報酬の原則を十分に反映した法律が存在しないこと、日本には、
  この原則に必要な、男女の職務や労働を、客観的要素にもとづいての比較が実施されている
  かどうか疑問があること
●委員会として、日本政府に対し、男女同一価値労働同一報酬の原則を規定するための法改正
  の措置をとることを求めること
●間接差別の排除についても、日本の現状には、政府の決めた指針の内容も含めて、大きな問
  題点があること

*3:http://www.saga-s.co.jp/news/saga.0.2323426.article.html
(佐賀新聞 2012年11月6日) 賃金不払い容疑、総菜店経営者を書類送検
 佐賀労働基準監督署は6日、最低賃金法違反(賃金不払い)の疑いで、総菜販売業を営んでいた小城市牛津町内の男性(61)を佐賀区検に書類送検した。書類送検容疑は昨年9月~今年6月までの間、従業員=当時=12人に対し、賃金総額約431万円を支払わなかった疑い。同労基署によると、男性は小城市内で営業していた。売り上げが落ち込み、今年6月に廃業した。

| 男女平等::2011.12~2013.5 | 10:01 AM | comments (x) | trackback (x) |
2013.2.21 これこそ、民主主義を正しく機能させるための報道の自由を害しているものだ。
       
          事故を起こした1~4号機(朝日新聞2013.2.20より)

 東京電力は、前に福島第1原発を公開した時も対象とする報道機関を記者クラブメディアに制限したりしていたが、共産党の機関紙や都合の悪いことを書きそうな地方紙を除外するのは主権者である国民がいろいろな角度からの情報を入手する上でよくない。そして、それこそ、報道の自由に反するので、報道機関は抗議すべきではないのか。

 「他にも取材を求めている地方紙があり、受け入れる人数に限りがある」という言い訳については、受け入れ人数を増やすか、受け入れ日を数回に分ければすむことだ。そのため、何かと共産党や「しんぶん赤旗」を差別する風潮について、私は、質の悪い偏見だと思っている。共産党は筋の通った野党であり、変なレッテル貼りをして除外するのは見識がない。機会均等にして堂々と意見を戦わせて議論すればよい筈であり、差別して除外するのは、その議論に自信がないという証のようである。こういうことにより、国民は、議論から何かが生み出される機会を逸するとともに、その議論を聞いて知識を広げ、主権者として正しく行動できるようになる機会も逸するのである。

http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2013022001021
(時事ドットコム 2013/2/20) 福島第1取材で「赤旗」除外=東電
 東京電力は20日、報道機関などを対象に福島第1原発を3月1日に公開すると発表した。事故から2年を迎えるのを前に、新聞やテレビ、インターネットメディアなどの取材を受け付けるが、取材を希望した共産党の機関紙「しんぶん赤旗」については、申し込みを受け付けない考えを示した。東電は「他にも取材を求めている地方紙があり、受け入れる人数に限りがある」と説明している。1日は、4号機の使用済み燃料プールから燃料を取り出すための工事などを公開するという。

| 報道の問題点::2012.11~ | 11:32 PM | comments (x) | trackback (x) |
2013.2.20 電力会社の遅れた会計システムと公害に対する意識
    
                  東京新聞(2013.1.27及び2013.1.23)より

 *1、*2のように他産業の方が勉強しているにもかかわらず、*3のように、電気事業連合会の八木誠会長(関西電力社長)は2月15日の記者会見で、「(発送電分離により)送配電網が切り離されれば売り上げが減り、原発の維持費用などを出せなくなるため、原発は持てない」と述べたそうだが、これは、電力会社のコスト把握がどんぶり勘定でずさんであり、原発のコストを他の収入で賄っていたことを証明する発言である。

 もともと、発電と送電は異なる事業を行っているため、事業部として分離するか、子会社として分離して収支を把握しておくのが合理的な経営を行うツールである。そして、有価証券報告書を見ればわかるとおり、世界で凌ぎを削っているわが国の大企業は、そうやって経営を合理化しているのだ。そのような中、八木会長の発言は、「原発のコストは安い」と主張してきた電力会社が、実際には原発の収支すら正確に把握せず、どんぶり勘定のずさんな経営をしてきたことを証明している。このような企業が、コスト削減を行い、お客さまの利益につながるシステムを作れるわけがない。

 また、八木会長は、「(発送電分離による送電は」低廉で安定的に電気を送れるのか検証されていない」とも述べているが、そのようなことは、言われなくても電力会社がこれまでにやっておかなければならなかったことであり、これまで日本の電気料金が安かったわけでもない。それでも、これまで電力会社が続いてこれたのは、地域独占企業であり、このブログの「2012.9.2 国民が負担する原発の本当のコストは、決して安くなく、実は膨大」という記事に書いているとおり、幾重にも保護されていたからである。

 さらに、八木会長は「(発送電分離は)お客さまの利益につながるシステム改革にはならない」と反対したそうだが、新しい送電網に期待できる理由は、私が、このブログの「原発」というカテゴリーの中に多く書いているとおりだ。これまで、安い電気エネルギーを供給するという社会的責任も果たせずに農業を始めとする他産業に迷惑をかけ、福島第一原発事故では、*4、*5、*6のように、住民や農林水産業に公害による決定的な被害をもたらして収束すらできない電気事業連合会が、まだ自らの利益のみを擁護する発言を繰り返すとは、厚顔無恥も甚だしい。

*1:http://mainichi.jp/opinion/news/20130218k0000m070101000c.html
(毎日新聞社説 2013年2月18日) 電力制度改革 骨抜き許さぬ具体策を
 規制と独占から自由と競争への転換を目指す電力制度改革が、実現に向け一歩前進した。経済産業省の有識者会議による制度改革の報告書が、目標年次を示して電力小売りの全面自由化や大手電力会社の発電部門と送配電部門を分社化する「発送電分離」を明記したからだ。これらをサービス向上や料金抑制という成果につなげるため、具体的な制度設計に知恵を絞る必要がある。報告書は、家庭向けを含めた電力小売りの全面自由化については3年後に、発送電分離は5〜7年後に実施するとした。小売り自由化が実現すれば、一般家庭でも他地域の大手電力や新規参入する「新電力」から自由に電気を買えるようになる。電力会社間で競争が始まり、利用者の利便性が高まるはずだ。
 公正な競争のためには、大手電力が保有する送配電施設を各社が公平に使えなければならない。発送電分離は送配電施設の中立性を高め、公平性を確保するための手段だ。全面自由化は第1次安倍晋三政権時代に大手電力会社と自民党の抵抗で頓挫した経緯がある。大手電力に組織の変更を迫る発送電分離には、小売り自由化以上の抵抗がある。それだけに、目標年次を明示して実行を迫る今回の報告書は前進と評価できる。改革の内容は今後、順次法案化される見通しだが、与党審査などを通じて後戻りすることがあってはなるまい。
 もっとも、改革の実現には電力安定供給の確保、離島や過疎地での料金抑制といった課題が残る。それらを克服し、利用者にメリットをもたらすには周到な備えが必要だ。そこで、報告書に盛り込まれた二つの新設機関に注目したい。まず、電力需給を調整する「広域系統運用機関」だ。電力が余っている地域から不足している地域に送配電するよう電力会社間の調整を図るほか、全国的な送配電網の整備計画を作る。安定供給や設備の保全に欠かせない機能といえるだけに、大手電力に対する強い権限を担保するための法整備を求めたい。
 改革の実効性を確保するために設ける「規制機関」も重要だ。小売りの自由化、送配電部門の中立化、さらに電力卸市場の活性化が適正に機能しているかをチェックする。これまでの改革で、新規参入が進まなかったのは、市場の公平性を検証する機能が欠けていたからだ。立派な制度を作っても運用次第では骨抜きになる。官僚の天下り機関を増やすようでは話にならない。改革が「絵に描いた餅」に終わらないよう、新設する機関の組織や体制などを工夫してほしい。

*2:http://www.saga-s.co.jp/news/saga.0.2399922.article.html
(佐賀新聞 2013年2月15日) 「燃やさない文明を」 鳥栖政経セミナー
 佐賀新聞社の鳥栖政経セミナーが14日、鳥栖市のホテルビアントスで開かれた。東大総長室アドバイザーの村沢義久氏が「電気自動車と太陽光発電による『燃やさない文明』の提言」と題して講演、再生可能エネルギーと電気自動車(EV車)を組み合わせたスマートグリッド(新電力網)が低炭素社会に果たす役割の重要さを訴えた。村沢氏は、使用済み核燃料の処理など原発が抱える課題を挙げた上で、太陽光発電の役割を強調。「砂漠、耕作放棄地など有効活用されていない場所でのメガソーラー設置が進めば、大きな発電量となる」と指摘し、買い取り価格が普及のカギを握るとした。EV車については「2050年までにはEV車だけになる」と予測。「太陽光発電とEV車、家庭用バッテリーを組み合わせたスマートハウス、それを地域に広げたスマートグリッドの社会が中心となり、既存の発電は補助的になる」として、燃やさない文明への理解を求めた。

*3:http://www.asahi.com/business/update/0215/TKY201302150442.html
発送電分離なら「原発持てない」 八木電事連会長
 電力会社から送配電部門を切り離す「発送電分離」について、電気事業連合会の八木誠会長(関西電力社長)は15日の記者会見で、「今の状況では(原発は)多分持てない」と述べた。送配電網が切り離されれば売り上げが減り、原発の維持費用などを出せなくなると心配しているからだ。経済産業省の専門委員会は8日、「5~7年後をめどに分離を進める」との報告書をまとめた。電力会社の子会社に送配電部門を移す「法的分離」(別会社方式)を想定している。これに対し、八木氏は「低廉で安定的に電気を送れるのか検証されていない」「お客さまの利益につながるシステム改革にはならない」と反対した。

*4:http://www.minyu-net.com/news/news/0219/news6.html
(2013年2月19日 福島民友ニュース) 政府、出荷停止を県に指示 旧立子山村の大豆
 政府は18日、原子力災害対策特別措置法に基づき、福島市の旧立子山村で生産された大豆について出荷停止を県に指示した。福島県による放射性物質検査で、旧立子山村の大豆1点から食品の基準値(1キロ当たり100ベクレル)を超える1キロ当たり110ベクレルの放射性セシウムが検出されたため。県は同日、同市などに政府の指示を伝えた。

*5:http://www.chibanippo.co.jp/c/news/politics/123650
(千葉日報 2013年2月19日)37万本が廃棄対象 シイタケ原木、放射性物質指標値を超過
 2月千葉県議会は18日、農林水産と商工労働企業の2常任委員会が開かれた。農林水産部は、福島第1原発事故の影響で一部出荷停止が続いている県内の原木シイタケについて、原木の調査を実施した結果、37万本が国の指標値を超え、廃棄対象となっていることを明らかにした。公明党の赤間正明議員の質問に答えた。県森林課によると、県内の原木シイタケ生産者が保有する原木は計186万本。このうち、伐採箇所や時期、管理状況から放射性物質濃度の確認が必要なのは116万本で、昨年秋ごろから876検体を抽出して検査を実施してきた。検査の結果、430検体の原木が国の指標値(1キログラム当たり50ベクレル)を超過。本数に換算すると37万本が廃棄対象となった。県は生産者に廃棄を急ぐよう要請するとともに、今春入れ替える希望本数を確認。生産者からは計約24万本の要望があり、県森林組合を通じて山梨県などから確保するという。

*6:http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013021802000106.html
(東京新聞 2013年2月18日) 推定20トン汚染水漏れ 福島第一 低濃度セシウム含む
 原子力規制委員会事務局と東京電力は十七日、福島第一原発5、6号機で、建屋内にたまった水を淡水化装置に送る途中にある屋外の水槽から、推定で最大二十トンに上る低濃度の汚染水があふれ出たと発表した。原因は分かっていない。あふれた水は、津波で入った海水や雨水が混ざった地下水で、低濃度のセシウムを含んでいるという。東電などによると、十六日午後七時半ごろ、淡水化装置を止めようとした東電の協力会社作業員が、あふれているのを発見。水を送るポンプを止めると、あふれるのも止まった。十七日になって、あふれた量が二十トンと推定された。水は地面の砂利に染みこみ、近くに側溝などがないことから、海への流出は確認されていない。

| 原発::2013.1~4 | 09:36 AM | comments (x) | trackback (x) |
2013.2.19 日本の主権を手放し、国益を害するTPP参入(特に農業)に反対する。
      
      佐賀平野の麦秋          阿蘇山の放牧       アルプス(長野県)の葡萄畑

 TPPへの参加を強く主張しているのは、経済産業省及び都市在住者・都市部選出の国会議員が多い。一方、TPP参加に反対しているのは、農業関係者・地方選出の国会議員・農林水産省が多く、これには理由がある。30年以上、東京で公認会計士として製造業やサービス業の監査・税務分野で働き、その後、ふるさと佐賀県を地元として衆議院議員をやった私には、その感覚の違いが出る理由がわかる。

 東京などの都市部で製造業やサービス業のサラリーマンとして働いて生活していると、農業以外の産業は補助金をもらっているところが少ないため、農業は補助金(税金から出ている)や関税(輸入障壁となり食料品価格を高止まりさせている)で護っているにも関わらず、いつまでたっても改革も問題解決も進まず、何を甘えたことを言っているのかと感じる。そして、都市部では、食料品はすべて買わなければならないので、「輸入品でもいいから安く買えるシステムにして欲しい」と思うのだ。そのため、TPPの話が出れば、賛成するわけである。

 しかし、製造業は、今後、新興国が安い労働力を武器に発展させてくるものであり、日本においては、製造業のために農業を犠牲にすべき時代は終わった。また、国会議員として地元を廻ると、農業補助金も、実際には製造業などの他産業に吸い取られ、現代でも「農家は活かさず殺さず」という方針が貫かれているように見える。しかし、本当は今、地球人口が過剰になる近未来に合わせて、わが国は、食料生産を重視し、食料自給率を向上させ、むしろ食料輸出国になることが重要であり、そのチャンスでもある。そして、護るべき農産物は、当然、米だけではない。

 なお、農林漁業に生産性向上の改革をもたらし、環境への農林漁業の役割を重視することはTPPなどとは関係なく、今までも重要だったのである。そして、TPPに参入すれば改革ができるというものではないどころか、今までの改革努力もぶち壊すだろう。そのため、農林漁業が自動車並に世界競争に勝てるようになるまでは、農林漁業を保護・育成しなければ、日本の国益にはならないのであって、オーストラリア、ニュージーランド、アメリカ、南アメリカ諸国にも勝てるほどの強い農業もなくTPPに参加すれば、わが国の食料生産はますます減り、全体として輸入額ばかりが増える。それだからこそ、アメリカをはじめとする他のTPP参加国は、日本のTPP参加を歓迎しているのだ。つまり、国益は逆だということを忘れてはならない。そのため、日本は、地道に、1国毎のFTAを進めるのがよいと思う。

 ここで、「農林漁業が自動車並に世界競争に勝てるようになるまでは」などとは非常識だと考えた方もおられると思うが、私は、日本が再生可能エネルギーによる安価なエネルギーを使いこなし、地中熱を利用し、機械化・自動化を行い、その他の先端技術も農業に投入して6次産業化していけば、10年か15年後に多額の農業製品(食品)輸出国になるのは可能だと思っている。

       
      日本の菜の花畑          日本の大豆畑          日本のみかん畑

*1:http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/441600.html
(北海道新聞社説 2013年2月15日) TPP交渉 許されない見切り発車
 環太平洋連携協定(TPP)をめぐり、自民党の調査会が「聖域なき関税撤廃を前提とする限り、交渉参加に反対する」との基本方針をまとめ、きのう安倍晋三首相に申し入れた。基本方針に盛り込まれた内容は、自民党が昨年末の衆院選で掲げた政権公約を踏襲したものだ。安倍首相が順守するのは当然である。首相は今月下旬に予定されるオバマ米大統領との首脳会談で、例外品目の可能性を探る意向だが、TPPの是非は世論を二分したままだ。見切り発車は許されない。政権与党として公約の重みをあらためて受け止めるべきだ。TPPは全品目の関税撤廃が原則である。交渉参加国は米国やオーストラリアなど11カ国で、各国の利害が絡んで交渉は遅れ気味だ。日本が交渉に参加した場合、特に農業に及ぼす懸念は払拭(ふっしょく)されていない。北海道をはじめ地域経済に与える影響は甚大だ。
 交渉参加に向けて事前協議入りを決めた民主党に比べ、自民党は慎重な姿勢を示していたはずである。昨年3月、国民の理解を得るための情報が決定的に不足し、政府の改善努力も全く見られないとして、交渉参加の判断基準を打ち出した。それが基本方針にも明記された「国民皆保険制度を守る」「食の安全安心基準を守る」などの6項目だ。政権公約として衆院選に臨んだ経緯をよもや忘れたわけではあるまい。なかでも自民党道連は重点政策としてTPP交渉を「断固阻止する」と訴え、反対する姿勢がより鮮明だった。道内選出議員には責任ある対応が求められる。
 TPPを主導する米国は市場開放に対して強硬だ。とりわけ牛肉、自動車、保険の3分野について日本市場の閉鎖性を批判してきた。交渉参加国は全品目を自由化対象とする方針で一致しており、聖域が認められる見通しは立っていない。オバマ大統領との会談に臨む安倍首相の姿勢も気がかりだ。日米同盟の再構築と経済再生を当面の目標に掲げており、米国と国内経済界から要望が強いTPPの交渉参加に含みを残しているからだ。輸出と雇用の拡大を追求する米国の利益が日本の国益と軌を一にするとは言い切れない。米国への安易な追随は避けなければならない。政府は情報開示を徹底し、具体的な利点や対応策をわかりやすく提示する必要がある。なにより国民的論議を深めていくことが不可欠だ。自民党内の賛否も分かれ、意見集約は難航する気配だ。安倍首相は政権公約を踏まえて指導力を発揮すべきである。

*2:http://mainichi.jp/select/news/20130219k0000e010167000c.html
(毎日新聞 2013年2月19日 ) 安倍首相:TPP 基本方針を踏まえ交渉参加探る考え示唆
 安倍晋三首相は19日午前の参院予算委員会で、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)への交渉参加をめぐり自民党外交・経済連携調査会がまとめた基本方針について「重く受け止めている。頭に入れないといけない」と強調した。そのうえで「これまでの協議内容、TPP参加の影響を精査・分析して国益にかなう最善の道を求める」と述べ、基本方針を踏まえながら交渉参加の道を探る考えを示唆した。自民党調査会が13日にまとめた基本方針は「聖域なき関税撤廃を前提にする限り、TPP交渉参加に反対する」など6項目からなり、TPP慎重派の山田俊男氏(自民)が「6項目は選挙公約だ」とただした。首相は山田氏が農業保護を訴えたのに対し「若い人が参入する努力をしないといけない」と規制緩和の必要性を強調した。首相は18日の政府の産業競争力会議で農業分野について「大胆な対策を講じたい」と述べている。

| 農林漁業::2013.6~2014.1 | 11:02 AM | comments (x) | trackback (x) |
2013.2.15 5~7年後には電力会社の現在の送電網は価値を減じているため、5~7年後の「発送電分離」では遅すぎる。電力会社は、早く発電会社と送電会社を法的分離して、送電会社の株式を売却するべきだ。
(1)地域間の遠距離送電について
 このブログの2012.8.1に記載したように、鉄道や高速道路の敷地を使って超電導電線を引けば、①土地の買収がいらない ②電気抵抗のない電線を使う遠距離送電を安価に行える ③道路会社や鉄道会社に一定の送電収入が入るため、道路・鉄道などのインフラ整備のハードルが下がる などのメリットがあるので、国は、率先してこのインフラを進めるべきである。

(2)地域内の近距離送電について
 明治時代に最初の電流を流した時と異なり、現在では、大量の電気エネルギーを使っているため、電信柱の送電線では危険である上、道を狭くし、街中の景観も悪くなっている。そのため、送電線は速やかに地中化し、交換していくべきだ。そのためには、街中の近距離送電は、地方自治体が水道管や下水管に沿って新しい送電線を敷設することを可能にすれば安価にでき、地方自治体にも送電料という収入が入る。また、エコファームを売っているガス会社が、ガス管に沿って送電線を敷設してもよい。そして、最終的には、発電者が安い送電網を選んで再生可能エネルギーを供給できる方式にするのが、市場原理に基づいて電気料金を安くするためにBestである。

(3)現在の送電網はどうするのがBestか
 新型の送電網が整備されるにつれ、既存の送電網の価値は減ずる。そのため、電力会社は速やかに送電線と送電に携わる人材を分社化した送電会社に移管し、株式を売却して、その会社が独立性を持てる状態にまですべきである。これにより株式譲渡益が入るので、*3のように、原発停止の影響を直ちに電力料金に上乗せする必要がなくなると同時に、次世代の送電を担う会社も作ることができる。電力会社の送電網は、もともと総括原価方式という特殊な会計基準と地域独占によって電力会社に与えられたものであるため、価値があるうちに、まず、それを売却するのが筋であろう。

 従って、*2のうち、「競争を促す発電事業に対し、送配電事業は基本的に独占だ。需要の変化に応じて過不足なく円滑に電気を供給する調整役だから、複数いればややこしい」という部分については、経済産業省や電力会社の立場にすぎないため賛成できない(*1、*2のその他の部分については、賛成である)。そして、民営化して普通の市場競争をした方が、最新の技術を取り込んで効率化するスピードが早く、より安い価格で必要な量が供給されてきたというのが、世界史の常識だ。

*1:http://www.asahi.com/paper/editorial.html?ref=com_gnavi#Edit1
(朝日新聞社説 2013年2月10日) 発送電分離―後戻りは許されない
 経済産業省の有識者委員会が電力システム改革の報告書をまとめた。与党内での議論を経て、経産省は必要な改正法案を今国会に提出する。地域独占を撤廃し、家庭向け電力の販売自由化や電力市場の活性化を通じて、競争と新規参入を促す手立てが網羅されている。実施されれば抜本的な改革となる。なかでも、電力会社の発電部門と送配電部門を別会社にする「法的分離」を明記した意義は大きい。多様な電源を生かした効率的な電力ネットワークをつくるには、送電網の広域化・中立化が不可欠だ。長年、課題とされながら電力会社の抵抗でびくともしなかった分野である。
 「変革」の必要性をつきつけたのは、原発事故だ。電力会社が「安定供給のため」と主張してきた発送電一体・地域独占の仕組みが、実はひどく脆弱(ぜいじゃく)だったことが露呈した。後戻りは許されない。改革メニューには、送電網を束ね、必要な整備計画や需給を調整する広域連携機関と、これらを監視し、利用者側の視点に立って必要な是正を求める新たな規制機関の創設も盛り込まれている。中身が多岐にわたるため、改革は段階的に進められる。発送電分離の実施は、最終段階となる2018年以降になる見通しという。たしかに制度設計には一定の時間がかかるし、混乱を避けるためには順序を整理する必要もあろう。ただ、欧米ではすでに定着している制度も少なくない。日本に適した形へと手直しする必要はあるが、できるだけ前倒しで実施すべきだ。
 電力会社は今なお、技術的な難しさなどを理由に、発送電分離に強く抵抗している。工程表を明示するのはもちろん、後から骨抜きにされたり先送りされたりすることのないよう、法律上の手当てをしっかりしておくことが肝要だ。技術面でも、電力会社の言いなりにならないよう、中立的な検証・推進態勢をかためたい。必要なら、すでに分離が進んでいる海外から専門家を招いてもいいだろう。報告書は今後、与党審査を経る。税制改革で道路特定財源の復活を狙うなど、自民党には依然として利益誘導・業界優先の古い体質がくすぶる。往年の電力族が巻き返す機会はまだまだある。新しい経済のための新しい自民党を見せてもらいたい。

*2:http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/348130
(西日本新聞社説 2013年2月14日) 発送電分離 最初の一歩は踏み出せた
 経済産業省の電力システム改革専門委員会(委員長=伊藤元重・東大大学院経済学研究科教授)は、電力会社の発電部門と送配電部門の分離など今後の電力改革の進め方を示した報告書をまとめた。同委員会は昨年2月に設置され、12回の会合を重ねて今回の報告書に至った。
 なぜ、いま電力改革なのか。2011年3月の東日本大震災と東京電力福島第1原子力発電所事故が分岐点だった。大震災で福島第1原発だけでなく、東北から関東の太平洋側にある多くの発電所が被害を受け、夏場の深刻な電力不足が懸念された。政府は東電、東北電力管内の大口需要家に電力使用制限令を発動するなど節電への協力を強く求めた。夏は乗り切ったが、課題は残った。原発依存の見直しが一つだ。電源を多様化する。風力や太陽光、地熱など再生可能エネルギーの普及が筆頭に挙がった。福島第1原発には6基の原子炉があった。大規模集中型は効率が良いかもしれないが、いったん事故があると大規模電源を一気に喪失する恐れがある。集中型から分散型への転換も必要、となった。電力不足の関東、東北に西日本からどんどん電気を送りたくてもできない広域送電網の弱さも浮き彫りになった。電源の多様化や分散化、広域送電網の充実などの課題をどう解決していくか。現行制度の延長線上で考えるか、抜本的に見直すのか。抜本見直しのために電力システム改革専門委員会が設けられた。
 今回の改革の目玉は発電と送配電部門の分離である。いま電力供給を主に担っているのは東電や関西電力、九州電力などである。大手電力9社と呼ばれ、地域割りで発送電一貫体制をとっている。これを発電と送配電に分け、別会社にしてしまう。そして、発電事業はもっと門戸を開放し、新規参入を促す。狙い通りいけば電源の多様化、分散化が進む。大手電力企業が風力発電や太陽光発電の普及に熱心だったとは言い難い。気象条件に左右されて安定性に欠ける電源はあまり増やしたくないのが本音だろう。門戸開放で再生可能エネルギーに取り組む事業者が増えることも期待される。
 競争を促す発電事業に対し、送配電事業は基本的に独占だ。需要の変化に応じて過不足なく円滑に電気を供給する調整役だから、複数いればややこしい。ただ、新旧発電事業者を差別しない中立・公平性が一層強く求められることになる。電力9社を発電と送配電に分離しただけでは、広域的な送電網の強化は図れない。そこで広域的な運用機関を設けて需給調整機能の強化などを進めるという。
 発電と送配電の別会社化も5~7年先を目標としている。独占型から開放型へと変える。息の長い改革で、いまはまだ一歩踏み出したところでしかない。スーパーコンピューターやインターネットに代表される情報通信技術の進化が電力改革を支える。改革に伴って電力の「地産地消」も進むのではなかろうか。

*3:http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130215-00000004-khks-soci
(河北新報 2月15日) 東北電力値上げ 被災地、消費者や企業悲鳴
 東北電力が家庭向け電気料金の平均11.41%引き上げを政府に申請した14日、東日本大震災の被災地では、家計負担が増すことへの不安や戸惑いが広がった。東北電力の経営効率化の行方に厳しい視線を送る被災者も多い。企業向けも値上げされることから、再建途上の被災企業からは「値上げ分を製品価格に転嫁できる状況ではない」と悲鳴が上がる。「先の生活が見えない中での値上げは大きな負担。原発事故で避難させられているのに、電気料金の負担増を強いられるのはおかしい。被災者が忘れられているようだ」。東京電力福島第1原発事故で福島県双葉町から福島市の仮設住宅に避難している無職堀井五郎さん(65)が嘆いた。「電気料金の引き上げで日用品の値段が上がるようなことがあれば年金生活者には大きな負担になる」と懸念するのは、仙台市若林区伊在の仮設住宅で暮らす無職早坂勝良さん(72)。同区荒浜の自宅を津波で失った。「電気を多く使う季節は値上げ幅を抑えるなど配慮がほしい」と話した。
 石巻市では昨年6月、津波で施設が被災した石巻ガスが、家庭用の都市ガス料金を19.13%引き上げた。都市ガスを利用する在宅被災者にはさらに負担がのしかかる。大規模半壊となった自宅を修繕した同市住吉町2丁目の無職芳賀敏さん(66)は「全体を考えるとやむを得ない。ガス値上げ後は風呂のガス使用も抑え、節約している。自分たちにやれることはそれしかない。電力会社にも見える形で自助努力をしてもらわないと困る」と注文を付けた。事業を再開しても、多くの被災企業は震災前の生産水準に戻っていない。失った顧客を取り戻そうと懸命な努力が続いており、大幅なコスト増は足かせになりかねない。昨年3月に主力の本社工場を再開した水産加工業の八葉水産(気仙沼市)の清水敏也社長は「生産ライン数は震災前の3分の1。まだこれからという段階なのに大打撃だ。値上げ分の価格転嫁はできない。内部のコストダウンしかないが、それにも限界がある」と頭を抱える。津波で全壊した工場を昨年7月に稼働させた水産加工業のナカショク(岩手県大槌町)は、新しい冷凍冷蔵施設の完成を4月に控える。新施設だけで月の電気代は100万円を超える。斉藤勲社長は「値上げで電気代がさらに膨らむのは本当に切ない。再建途上の被災地の負担を軽減する特例措置を認めてほしい」と話した。

| 資源・エネルギー::2012.9~2013.3 | 06:14 PM | comments (x) | trackback (x) |
2013.2.13 「かわいい」を女性の魅力とする“日本文化”は変であること (2013.2.15最終更新)
 私も*1の意見に近く、峯岸みなみさんが丸刈りになって謝罪したことについて、①何故、謝罪したのか ②誰に謝罪したのか ③謝罪すると恋愛の相手に失礼ではないのか ④丸刈りになると謝罪したことになるのか ⑤それは他の理由で丸刈りになっている人に失礼ではないのか と感じて、いくらアイドルでも、その教養のなさにがっかりしました。

 下の方もいろいろ書いていらっしゃいますが、私は、最近のアイドルの歌は、歌というより舞台の上で運動しながら歌も歌っているというように見え、全く魅力を感じません。率直に言えば、芸術性や深さがなく、「元気さ」やステレオタイプの「かわいさ」だけで売ろうとしているため、魅力に欠けるのです。

 一方、外国の歌手は、歌の下手な人はテレビには出ていません。現在の日本には、歌や楽器や踊りの素養のある人はいくらでもいますので、その中からアイドルを選べば、芸術性のある芸を楽しみながら、他の魅力も享受できるだろうにと、日頃から思っている次第です。これは、テレビ番組が世界に衛星放送されている現代、日本のイメージアップにとっても重要なことです。

 なお、「Pretty(かわいい)」を女性の魅力とする国は日本くらいでしょう。もともと、「Pretty(かわいい)」は、子どもへの褒め言葉であり、大人の女性への褒め言葉ではありません。大人の女性への称賛は、「Attractive(人をひきつける魅力のある)」「Beautiful(美しい)」「Intelligent(知的な)」「Graceful(優雅な《年配の女性向き》)」「Charming(魅力的な《10代の女性向き》)」「Sexy(性的魅力のある)」などであり、欧米の人は、実際にそう言います。

 つまり、ここで、私が書きたかったのは、日本女性は、「女、子ども」と総称され、「かわいい(独立的でない、子どもっぽい)」ことが女性の魅力だと強制される文化の中で生きていますが、それは、女性の魅力の国際標準ではなく、国際会議の場に行けば、欧米の女性は20代でも颯爽としているのに対し、日本女性は、かわいく(幼く)見せるように振る舞う癖がついてしまっており、堂々としていないのです。そして、そうしなければ、日本国内では生意気だと言われるので仕方がない面もあるのですが、これは、働く女性がリーダーシップを持って管理職などへ上昇していく時に、女性に対して矛盾した要求を突きつけ、余計にやりにくくしているものです。

*1:http://blogos.com/article/55857/
(宮武嶺 2013年2月9日) AKB48 峯岸みなみさんの丸刈り謝罪事件 恋愛禁止は人権侵害ではない しかし・・・
(ポイント)週刊誌で男性アイドルとの交際が報道されたAKB48の峯岸さんが2013年2月1日付で研究生に降格処分となり、動画サイト「YouTube」のAKB48公式チャンネルに丸刈りにした頭で登場し、「私の記事のせいでメンバーやファンのみなさん、スタッフさん、家族、たくさんのみなさまにご心配をかけて本当に申し訳ございません」と涙ながらに謝罪した事件から1週間が過ぎ、私が思い出したのは、ナチスのユダヤ人収容所で丸刈りにされた女性たちでした。昨年末に観たばかりのレ・ミゼラブルのファンテーヌ役のアン・ハサウェイを思い出してもおかしくなかったのですが、峯岸さんの表情はファンテーヌさえ超えていました。
 わたし、もともと秋元康グループが嫌いなんです。ちょうどわたしの大学時代にオールナイトフジのオールナイターズとか夕やけニャンニャンのおニャン子クラブとかに周囲の友達が夢中になっていまして。カラオケに行っても、男が集団でおニャン子クラブの歌を振付付きで歌うという惨状で。それから、30年も経っても、まだ男どもは秋元の仕掛けに乗せられるか?!まだ魔法にかかっとるのか!!?? という感じで辟易していたんですよね。・・中略・・
 この事件が秋元康的なものの終わりの始まりにならないといけないと思います。ただ、人権派の方々がおっしゃる「丸刈りは体罰」「恋愛禁止ルールが人権侵害」かというと、それは違うと思うんです。どうせ人権派弁護士じゃないので、はっきり言ってしまいますが、アイドルは夢を売る商売。AKBファンの男の子たちは彼女たちに処女性みたいなものを求めている(それがいい悪いは置くとして)。また、年頃の女性たちが多数集まっているからこそ、恋愛自由だと収拾がつかなくなる。だから、恋愛禁止をルールとするし、そこに所属する子たちも、スターになるためにルールに納得して入っていく。だとしたら、そのこと自体がそんなに問題だとは思わないんです。他の仕事と違って、アイドルは恋愛しないという必要性・合理性が非常に高く、AKB48の場合、恋愛しないこと自体が、それがないとグループが成り立たないくらいの仕事の一部と言ってもいいほどのものなので、恋愛禁止というルールが公序良俗違反とは言い難いのです。宝塚歌劇団は少なくとも結婚禁止ですが、これも普通の企業なら違法です。あまり芸能界に興味のない人権派の人には、たぶんここが理解しがたいところなのです。・・中略・・ 
 それでも、なにか物凄く後味の悪い、嫌な感じが残るのはなぜなのか、1週間考えていました。 もう30年も秋元氏の仕掛けに乗せられているわが日本男児が、まず情けない限りです(同一人物がずっとファンとは限らないけれど)。確かに素晴らしい個性と容姿のアイドルたちが何十人もまとまっていて、物凄く努力しているわけで、魅力を感じるのはわかるのですが、しょせんは仕掛ける側のお仕着せのアイドルです。・・中略・・
 秋元氏が出てくる前のアイドルは、南沙織にしても、天地真理にしても、山口百恵にしても、もっと天然素材の魅力があったような気がします。秋元氏やつんく氏のやったことは、欲得づくのアイドルの管理化で、夢を手あかにまみれたものにして、アイドルをつまらなくしてしまっただけのような気がするのです。アイドルの道具化、完全な商品化。モー娘やAKB以降、彼らの縮小再生産アイドルグループが次々出てくるのを見ていると、はああ、日本の芸能界がどんどんつまらなくなるという感想を持っています。それは日本が、みな管理されたがる、目先の利益にこだわる、つまらない国になってきたということのような気がします。

| 男女平等::2011.12~2013.5 | 07:18 PM | comments (x) | trackback (x) |

PAGE TOP ↑