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2017.11.12 政治家に占める女性の割合が小さくなる理由は何か (2017年11月13、15、16、18、20日に追加あり)
  
  政党別当選者像     選挙前からの増減      女性当選者の推移
 2017.10.23西日本新聞               2017.10.23西日本新聞

(1)衆議院議員の選挙結果は男女平等か
1)第48回衆議院議員選挙の結果
 世界経済フォーラム(WEF)は、*1-1、*1-2のように、2017年11月2日、世界各国の男女平等度合いを示した2017年版「ジェンダー・ギャップ指数」を発表し、日本は女性閣僚や女性議員の少なさから政治が123位と20位も順位を下げたそうだ。女性の健康と識字率については世界1だが、高等教育進学率は101位と低く、専門職や技術職には女性が少なく、これらが男女の収入格差の一因となり、女性は同じ専門職や技術職でも採用・配置・研修・評価・昇進で差別されがちであるため、それらの総合的な結果として今回の順位が出ているわけである。

 世界経済フォーラムの「ジェンダー・ギャップ指数」で日本の順位が次第に下がってきた理由は、他国はまじめにジェンダー・ギャップの解消に取り組んでいるが、日本は掛け声倒れに終わっているためで、①一般国民が両親として子にジェンダーを含む価値観を与え、教育の選択を行っている ②公立高校でさえ男女別学にして男女で教育内容を違えている地域がある ③職場での採用・配置・研修・評価・昇進や選挙を通じて女性差別を行っている などが、その背景にある。また、私立学校には、小学校から男女別学のところさえある。

 その結果、「女性の幹部社員や政治家の少なさは『家事との両立困難』『女性自身のチャレンジ精神のなさ』などが原因だ」とするようなメディアの論調も多く、家事を女性の役割と決めつけ、女性は積極的でないとする男性中心社会の女性に対する偏見や責任転嫁があるが、家事は収入が多ければ外部委託でき、残りの家事をどちらが分担するかは家庭内の経済格差によって合理的に決まるため、本当はチャレンジ精神のある女性が全女性に占める割合は、チャレンジ精神のある男性が全男性に占める割合より少なくはないだろう。
(注1:動物行動学では、「人間に近い猿で、海水でイモを洗う新しい行動を始めたのはメス猿で、子猿たちがそれを真似して次世代に伝え、イモ洗い行動はその群れの文化となったが、大人のオス猿は最後まで新しい行動をしなかった」という研究事例がある)

2)今回の当選者と女性について
 このように、女性蔑視やジェンダーによる差別によって作られた形式上のもしくは実際の実力差のため、国民のリーダーとなるべき国会議員に占める女性割合は増えないわけだが、*1-3のように、西日本新聞が衆院選当選者を分析したところ、前職81.0%で、平均年齢54.8歳、出身は首長・地方議員などの地方政界が31.5%と最多で、国・地方を合わせた官僚・議員秘書がともに15.8%で同数だったそうだ。

 また、女性が全当選者に占める割合は10.3%で、「2020年に指導的地位に占める女性の割合を30%にする」という政府目標には遠かった。私は、「家事を担ったことがなく、自分は消費者ではないと考えている男性が多いため、このような馬鹿な政策が行われて惨憺たる結果が出ている」と感じることが多いため、2020年に指導的地位に占める女性割合を30%にするという政府目標は達成すべきだと考える。

 そのためには、「女性蔑視やジェンダーを無くして、堂々と30~50%の女性が議員に当選する状況を作る」というのが正論だが、女性が候補者となることすら難しいジェンダーの多い地域も少なくないため、*1-4のように、「クオータ制を推進する会」代表の赤松良子元文科省らが「政治分野における男女共同参画推進法案」の成立を働き掛け、各政党に対して衆院選の比例代表で女性候補を名簿上位とするよう求めるなどの取り組みを提案していたわけである。これを逆差別だと言う男性は多いが、私は、女性の当選を不利にする強固な障害が背景にあるため、その背景がなくなるまでは、この仕組を逆差別だとは思わない。

(2)女性蔑視を振りまくメディアと周辺の対応
 メディアは、連日、豊田真由子前衆院議員が元秘書の男性に暴言や暴力を行ったと報道していたが、豊田議員の地元固めの努力に比べて、元秘書の“失敗”はひどすぎる上、録音・録画がなされていたことから、豊田議員は陥れられたように思えた。しかし、*2-1のように、埼玉県警は豊田前議員が落選したところを見計らって、「傷害」「暴行」の疑いで書類送検したそうだ。

 ちなみに、私も、2005~2009年の衆議院議員時代、国会のない日は、地元廻りに精を出し、国政報告会を開き、地元の式典に参加したりして、盆も正月もなく草の根の活動をしていたが、「(ミスだらけの)秘書が大変ね」と言う人は多かったものの、私に対する労いや励ましの言葉は夫以外からはあまり聞かなかったので、その状況が推測できるのである。

 しかし、*2-2、*2-3、*2-4のように、当選を重ねて「希望の党」の代表選に出られた大串氏の場合は、「大串氏『保守王国崩す』、草の根の活動結実」と称賛されている。私は、大串氏と同じ地元活動をしていたので、同じ行動に対するこのようなメディアの論評の違いが世間に流布し、一般の人の先入観となって女性に対する強固な天井を作っていると確信する。

 なお、私は、佐賀県の式典でご一緒することが多かったため大串氏をよく知っており、その能力を認めており、大串氏の野党との統一会派を目指す路線にも賛成で、あくまで路線闘争を正面から訴える作戦を貫いて今後の流れに繋げることも重要だと思っているが、同じことを女性がやるとおかしな論評をするメディアをはじめ一般国民の意識が問題だと指摘しているのである。

 そして、ジェンダーについては、*2-5のように、佐賀新聞だけでなく全国紙の朝日新聞もメルケル首相に関して、「首相になって12年。実直で優れた指導力から『鉄の女』とも評される」「地元では、情を尽くして有権者と触れあう素顔を見せた」「政治家が地盤を守るには泥臭さもいる」などと記載している。しかし、女性がリーダーとして当然のことをすれば「鉄」と表現するのはジェンダーそのものであり、女性リーダーをやりにくくする。また、有権者と触れあう機会を多く作って有権者のニーズを知るのは男女にかかわらず政治家として当然のことだ。さらに、有権者のニーズを知って必要な政策をとるのは泥臭いことではなく当然のことだが、解決法を誤ればモリ・カケ問題のようになるため、見識の高さが必要なのである。

(3)私に関する偏向報道の事例
1)女性蔑視で偏向した報道とブログ
 私に対してなされた典型的な女性差別は、*3-1のように、週刊文春に、「83会の奇人変人」という題名で書かれた「東大卒で公認会計士という経歴をもつ広津女史。エキセントリックな点があり、ストレートにモノを言う。党本部や国会内の会合での質問に、いつも場が凍る」というものだ。

 この記事は、東大卒でも専門職でもない男性読者が「わが意を得たり」と感じるように、女性蔑視をふんだんに盛り込んだ真実ではない内容を記載しており、その結果、私の後援会作りを邪魔し、自民党の公認を得るのを妨げ、ひいては衆議院議員という職を失わせたため、「名誉棄損」「侮辱」として東京地裁に提訴して東京高裁で完全勝訴したものだ。しかし、日本の裁判所は、機会費用を認めないところが不完全である(http://hirotsu-motoko.com/weblog/index.php?c=19-22 参照)。

 また、*3-1のブログは、「自民党から小選挙区で公認してもらえなかったから」「自民党の比例区の名簿で優遇してもらえなかったから」という理由で(みんなの党に)来たらしい候補がいますね。・・・とくに広津前議員は、真偽の程はわかりませんが、以下の記事を読む限りでは、かなり“電波”な人では?」として、この女性蔑視の偏見に基づいた週刊文春の虚記事を引用し、2009年の衆議院議員選挙直前から掲載し続けている。さらに、このブログは反論もできない上、削除依頼もできない状態になっているのだ。

 そして、国会議員・公認会計士・税理士は、どれも人から信頼されなければできない仕事で、私はそれを築くために一生をかけて努力してきたため、この政治活動の妨害や営業妨害は、一般の女性のように笑って受け流したり、気分を変えたりすれば済む話ではないのである。

2)底の浅い決めつけ報道
 西日本新聞は、*3-2のように、政治取材に携わって20年余で、劇場政治の危うさとうさんくささは骨身に染みていたと言う記者が、「①『劇場型政治』はもう終わりに」「②郵政解散当時の小泉純一郎劇場のように爆発的人気を集めた劇場はなかった」「③1番人気は安倍劇場だったが、5年近くも同じでは観客に飽きがくる」「④耳目を集めるだけの劇場型政治は終わりにして地に足の着いた政策本位の政治にしてほしい」「⑤芸は未熟なのにスターと思い込み、トラブルを引き起こす「チルドレン」役者が増殖しなかったことだけはよかった」と記載している。

 しかし、②は、まさに政策を問うて解散した選挙であり、その後の解散総選挙はすべて政策を問うているため、④も当たらない。それでも、耳目を集めるだけの劇場型政治と感じたのであれば、それは、20年余りも政治取材に携わってきたという西日本新聞記者の底の浅い理解とそういう理解に基づいた内容のない報道の結果である。また、①の西日本新聞記者が言う“劇場型政治”は、実際には政策を主張して選挙を行い、国民はそれに注目したものであるため、これを終わりにすれば主権在民・民主主義は成立しない。さらに、③の「5年近くも同じでは観客に飽きがくる」というのは、それこそ政策を論評しておらず、自分がプレイヤーの主権者であることを忘れ、観劇する客であるかのように思っているレベルの低い発言だ。

 なお、九州で、⑤の「芸は未熟でトラブルを引き起こす『チルドレン』役者が増殖しなかったことだけはよかった」というのは、上記(3)1)などを前提にした私のことだと思うが、(3)3)に書くように、政治経験が長いから有能で、そうでないから未熟な「チルドレン」だと論評すること自体、年功序列の発想に基づいており、実力や成果を重視しない決めつけだ。そして、私の場合は、私がトラブルを引き起こしたのではなく、問題でないものを問題視したり、トラブルにしたりされたものであるため、原因のありかを間違わないようにしてもらいたい。

3)では、長期間政治に関わったという人は、国のためになることをしたのか
i)国の歳出について
 財務省は、*3-3のように、2017年11月10日、国債(949兆9,986億円)・金融機関からの借入金(52兆6,532億円)・政府短期証券(77兆7,888億円)を合計した国の借金が9月末時点で1,080兆4,405億円となり、過去最大(最悪)を更新したと発表した。

 しかし、この間、必要十分な年金積立金は積まれず、介護保険制度も時間ばかりかかって不十分で、少子化が著しくなるまで保育所の整備もされなかった。さらに、多額の農業補助金を使って耕作放棄地を増やし、食料自給率を先進国の中で最低にし、そのほかにも馬鹿な政策を多々行っているのだから、議員・官僚・議員秘書などとして長期に渡って政治に関わってきた人こそ、必要なことをした実績がなく、政治家として不適格な人が多いわけである。

 そして、今後、どうしても行わなければならないのは国への複式簿記による公会計制度の導入であり、これによって国の収支の全貌が発生主義で網羅性・検証可能性をもって開示されるようになれば、本当に役立っている政策に効果的に予算を付けられ、より小さな歳出でより大きな効果を得られるようになる(http://www.jbaudit.go.jp/koryu/study/mag/pdf/j22d05.pdf#search=%27%E5%9B%BD%E3%81%AE%E5%85%AC%E4%BC%9A%E8%A8%88%E5%88%B6%E5%BA%A6%27 参照)。

 なお、私は、公認会計士・税理士として第二次・第三次産業の多くの企業を見てきた経験から、農業政策については衆議院議員になってすぐ、①農業の規模拡大による生産性向上 ②生産物のブランド化による付加価値向上 などを提唱し、私が発案したふるさと納税とも相まって、次第に実現しつつある。また、介護保険制度や保育については、東大医学部保健学科卒の知識と働く女性としての経験により、私が経産省に提唱してできたが未完成で、年金制度については、公認会計士として企業には退職給付会計を導入したが、公的年金は未導入という具合だ。

 このように、私は、この25年間、重要な改革を提言して実現させてきた実績があるが、これらは、長期間、政治家をしていたからできたのではなく、東大医学部保健学科卒で公認会計士・税理士としてBig4で働いてきたから持っている知識と実務経験があるからできたものである。

ii)環境について
 マクロ経済学は環境や資源の制約、人口構成の変化によるニーズの変化、技術革新などを考慮していないが、地球温暖化等の公害防止と経済成長は、エネルギーの転換や製造方法の変換で両立できるもので、転換期には投資が増えるため、経済成長はむしろ促進される。

 そのため、*3-4のような「パリ協定」や再エネ・省エネなどへのエネルギー転換は、化石燃料の少ない日本にとっては願ってもない福音の筈だが、「太陽光発電のコストは高い」等々のくだらない理由を付けて化石燃料や原発再稼働に固執し、エネルギーの転換に消極的なのが、その殆どを男性が占める我が国の政治家及び経済界のリーダーたちなのである。

 私は、水・食品・空気に関心を持ち、家族の健康に留意している女性の方が環境政策に敏感なのではないかと思うが、メディアはじめ国民は、何故こうなるのかを調査して解決すべきだ。

(4)女性への偏見ができる理由
 関東地方以北には、公立高校でも男女別学の地域が多く、*4-1のように、埼玉県も県立高校が男女別学で、広島市出身の教育長と同様、私もびっくりした。私は、埼玉県在住だが、決してそれをいいとは思っておらず、公立高校が男女別学なのは憲法違反であるとともに、価値観が形成される感受性の高い時期に男女別学にして異なる教育をするのは、男女平等や女性の社会参加を進める上で非常に悪いと考えている。

 しかし、私立高校も男女別学のところが多く、関東地方以北は、男女共学の進学校の選択肢が少ないのである。この教育の悪さは、それをカバーするため親に負担をかけるので、保育所の不備と同様、働き続けることを優先した私が子ども作らなかった原因の一つだ。

 そして、佐賀新聞も化石のように、*4-2の「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきか」などという調査をしたそうだが、西日本の佐賀県民も「男性は外で仕事、女性は家庭」という性的役割分担に賛成する人が33.2%いるという結果だそうだ。しかし、賛成が最も多いのは70代以上の男性で、それでも51.2%(約半分)だったのは、時代の価値観を変えた感がある。太陽

<第48回衆議院議員選挙結果と男女平等>
*1-1:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20171102&ng=DGKKZO22985930R01C17A1CR8000 (日経新聞 2017.11.2) 男女平等指数 日本は114位 過去最低、女性の政治参画遅れ
 世界経済フォーラム(WEF)は2日、世界各国の男女平等の度合いを示した2017年版「ジェンダー・ギャップ指数」を発表した。日本は調査対象144カ国のうち、114位と前年より3つ順位を落とし、過去最低となった。女性の政治参画が遅れているのが主な理由で、1日に発足した第4次安倍内閣の女性活躍の推進が一層問われそうだ。同指数は女性の地位を経済、教育、政治、健康の4分野で分析し、ランキング化している。日本は女性の閣僚や議員の少なさが目立ち、政治は123位と20も順位が下がった。10月の衆院選では定数の約1割にあたる47人の女性が当選したが、海外と比べると政治進出は遅れている。経済は114位と4つ順位を上げたものの、依然低い水準だ。男女の収入格差が大きいのが影響しているうえ、専門職や技術職で女性が少ない。教育は識字率は世界1位だが、高等教育の進学率が101位と低く、同分野全体で74位にとどまっている。健康は出生時の男女のバランスの改善で、40位から一気に1位に浮上した。上位10カ国の顔ぶれは順位に変動はあるものの、前年と同じ。首位は9年連続でアイスランド。女性の政治への参画が際立つほか、男性の育児休業も普及している。

*1-2:http://qbiz.jp/article/121963/1/ (西日本新聞 2017年11月2日) 男女平等、日本は114位 政治進出の遅れが最大の原因
 ダボス会議で知られるスイスの「世界経済フォーラム」は2日、2017年版「男女格差報告」を発表した。日本は調査対象となった144カ国中114位で、前年より順位を三つ下げ、先進7カ国(G7)で最下位だった。女性の政治進出が遅れているのが最大の原因。報告書では日本は政治、経済分野で男性との格差が大きく、特に政治分野(123位)では女性の議員や閣僚が少ないことなどから前年より順位を20下げた。経済分野(114位)も前年より順位を四つ上げたものの、幹部社員の少なさなどの問題が指摘された。首位は9年連続でアイスランド。2位ノルウェー、3位フィンランド、4位ルワンダで、北欧諸国が上位に並んだ。米国は49位、中国は100位、韓国は118位だった。アジアのトップはフィリピンの10位だった。世界経済フォーラムは「2006年に報告書の発表を開始してから初めて世界的に男女格差が広がった。特に政治、経済面で逆戻りし、このままでは格差解消に100年かかる」と警告した。男女格差報告は各国の女性の地位を経済、教育、政治、健康の4分野で分析、数値化している。

*1-3:http://qbiz.jp/article/121142/1/ (西日本新聞 2017年10月23日) 新議員はこんな人たち 前職81%、平均55歳、地方政界出身
 当選者の新旧別、平均年齢、出身から新議員像を探った。(23日午前11時半現在で当選者未判明分を除く。自民党が追加公認した無所属候補3人は無所属として集計した)
【新旧別】前職が370人と81・0%を占め、うち253人が自民党だった。新人は56人(12・3%)で前回衆院選の43人から増えた。元職は31人。政党別の新人は立憲民主党が23人でトップだった。自民党が19人、希望の党が9人だった。
【年代】新議員の平均年齢は54・8歳で前回の53・1歳より高かった。政党別で最も若いのは希望の党の49・5歳。日本維新の会が49・7歳で続いた。自民、公明、共産、立憲民主の各党はいずれも50歳代だった。1人が当選した社民党は72歳。
【出身】首長や地方議員といった地方政界出身が144人(31・5%)と最多。次いで国、地方を合わせた官僚と、議員秘書がともに72人(15・8%)で同数だった。
●女性当選者は47人
 衆院選の女性当選者は47人となり、前回2014年の45人より2人増えた。過去最多だった09年の54人には届かなかった。当選者に占める割合は10.3%。政党別では、自民党が前回(25人)より5人少ない20人。安倍政権は女性の活躍推進を掲げているが、結果は振るわなかった。他は立憲民主党が12人、公明党が4人、共産党が3人、希望の党が2人、日本維新の会が1人、無所属が5人だった。今回立候補した女性は209人。全候補者の17.7%と割合は過去最高とはいえ「男女均等」には遠く及ばない。政府は「20年に指導的地位に占める女性の割合を30%にする」との目標を掲げているが、隔たりはまだ大きい。データは23日午前9時現在で当選者未判明分を除く。自民党が追加公認した無所属候補は無所属として集計した。
●新人議員は56人
 今回の衆院選で当選した新人議員は56人で、小選挙区比例代表並立制が導入された1996年以降、最少となった前回選挙の43人を13人上回った。党派別では今回躍進して野党第1党となった立憲民主党で最多の23人が当選、自民党が19人と続いた。他は希望の党が9人、公明党が2人、日本維新の会が2人、無所属1人。前回は新人14人が当選した共産党はゼロだった。最年少は希望の党の緑川貴士氏(32)(比例東北)、最高齢は立憲民主党の長尾秀樹氏(65)(比例近畿)と自民党の佐藤明男氏(65)(比例北関東)だった。

*1-4:http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201709/CK2017093002000123.html (東京新聞 2017年9月30日) 女性候補者増を「争点に」 「男女半々」求める法案 解散で廃案
 女性議員を増やすため、政党に選挙候補者を男女半々にするよう求める議員提案の「政治分野における男女共同参画推進法案」が、衆院解散により廃案になった。これを受け、二十九日、東京・永田町の衆院第一議員会館で抗議集会が開かれ=写真、成立を働き掛けてきた「クオータ制を推進する会」代表の赤松良子元文部相(88)は「総選挙の争点にしたい」と訴える。法案には与野党とも合意済みで、先の通常国会で成立するとみられたが、「共謀罪」法を巡る駆け引きなどで審議入りしなかった。集会で赤松さんは「延々と積み重ねてきたものが解散でぶっ飛んじゃった。また第一歩から始めないといけない」と嘆く。集会では、各政党に対し衆院選の比例代表で女性候補を名簿上位とするよう求めるなどの取り組みが提案された。終戦時に十五歳だった赤松さんは、参政権のなかった戦前の女性の立場の弱さを知っている。旧労働省婦人局長として一九八五年の男女雇用機会均等法の成立に尽力。九九年には社会のさまざまな場の性差別をなくす「男女共同参画社会基本法」ができたが、政治の世界は取り残された。今回の解散前の衆院の女性比率は9・3%で、世界各国の女性議員の割合などを調べている国際組織「列国議会同盟」のデータでは百九十三カ国中で百六十四位。「選択的夫婦別姓の実現や待機児童問題解消など、女性の望む政策が通りにくい偏った政治になっている」と赤松さん。「女性議員を増やすことへの姿勢も、投票の判断材料にしてほしい」と話している。 

<女性蔑視を振りまくメディア>
*2-1:http://digital.asahi.com/articles/DA3S13201928.html (朝日新聞 2017年10月27日) 豊田前議員、書類送検 元秘書への傷害容疑 埼玉県警
 元秘書の男性を暴行したとして、埼玉県警は27日、22日の衆院選で落選した豊田真由子前衆院議員(43)を傷害と暴行の疑いで書類送検した。捜査関係者が明らかにした。前議員はこれまでの調べで「頭を殴ったわけではなく、肩をたたいた」と話していたという。捜査関係者によると、豊田前議員は5月、埼玉県内を走行していた乗用車内で、当時政策秘書だった50代の男性の頭を殴ったり、背中を蹴ったりしてけがをさせた疑いがある。豊田前議員は2012年の衆院選で自民党から立候補して初当選した。しかし6月に発売された「週刊新潮」が暴行疑惑を報じたため、離党届を提出。衆院選に埼玉4区から無所属で立候補したが落選した。

*2-2:http://www.saga-s.co.jp/articles/-/140745 (佐賀新聞 2017.10.24) 大串氏「保守王国」崩す 佐賀2区、=2017衆院選さが=草の根の活動結実
 地をはうように広い選挙区を駆けずり回った努力が結実した。激戦の衆院選佐賀2区は希望前職の大串博志さん(52)が猛烈な追い上げで大逆転劇を演じ、「保守王国」の牙城を崩す歴史的勝利を収めた。台風の影響で2日間に及んだ開票作業の末、全国で最後の小選挙区当選者となった。武雄市の事務所で支援者約550人の歓喜に包まれながら、「野党をしっかりまとめていくリーダー役を果たす」。高らかに宣言した。選挙区割り変更で事実上の国替えとなった前回は3万2千票差で破れた。堅い保守地盤の現実を突き付けられ、「地域に入って縁を紡ぐ」。草の根の活動を貫く覚悟を決め、後援会づくりに奔走した。地区単位で行事をチェックして国会議員が来たことがない所にも顔を見せ、住民と膝を付き合わせた。衆院解散時に決めた合言葉は「小選挙区で勝つ」。3年間で公民館など千カ所を訪ね、「車の走行距離は地球何周のレベル」(事務所スタッフ)。深まった自信は新党への合流で揺さぶられた。「新党を率い、右過ぎず自分が思う中道をやる」。政治家人生での最大の決断に触れた陣営の幹部たちも腹が据わった。腰が低くていい人から一変して街演や集会で見せる鬼気迫った表情に、支援者たちが突き動かされた。地域に根付かせた後援会がフル稼働して親類や知人にくまなく声掛け。「安倍1強政治」に諦めを抱く有権者の関心も呼び起こし、批判票を取り込んだ。「自民圧勝、希望埋没」の全国情勢もはねのけたが、当選後には「希望は正直逆風だった」と本音を吐露した。事務所で一人一人とあいさつを交わして責任をかみしめつつ、「政策が違うといって排除していると野党議員の責任が果たせない。協力できることは協力し、安倍政権に対抗できる大きな塊をつくることを多くの議員に呼び掛けていく」と決意を新たにした。

*2-3:http://www.saga-s.co.jp/articles/-/146855 (佐賀新聞 2017.11.9) 大串氏、希望代表選 支えた「懐刀」ついに決起、経験重ね、挑戦に自負心
 陰ながら歴代代表を支え続けてきた「懐刀」がついに舞台に上がった。「首相補佐官、政調会長を経験し新しさも兼ね備えながら引っ張っていく立場になるには、ちょうどいい頃かなと思う」。8日、共同代表選への立候補届け出を終えた希望の党の大串博志衆院議員(佐賀2区)は記者会見で、政治家としての新しいステージへの挑戦に際し、自負心をのぞかせた。「大串氏は代表選に出るつもりだ」。衆院選のさなか、陣営の一人が語った。自他共に認める政策通が演説で政策を語らず、打倒安倍政権だけを訴えた。「代表になり、自ら党を引っ張る。あいまいな公約に触れなかったのは決意の現れだったのだろう」。相手は小池百合子代表に近い結党メンバーの支援を受ける玉木雄一郎氏。共同会見でも玉木氏は小池代表の「安倍1強許すまじ」という言葉をなぞったが、大串氏は「私は安倍政権を倒すと言っている。その差は大きい」と語る。党内にも「玉木陣営は与党や日本維新の会と連携を考えているのではないか」との見方があり、大串氏は「積極的に野党との統一会派を目指す」と路線の違いを打ち出し支持を広げたい考えだ。現状、大串陣営は「相手候補がリードしている」とみている。それでも強引に切り崩すことはせず、あくまで路線闘争を正面から訴える作戦を貫く。陣営の一人は「票数で党の温度が分かる。それが代表選後の大きな流れをつくる」と胸の内を明かす。

*2-4:http://www.saga-s.co.jp/articles/-/147320 (佐賀新聞 2017.11.10) 希望の党、共同代表に玉木氏、大串氏を大差で退ける
 希望の党(代表・小池百合子東京都知事)は10日午前、両院議員総会を国会内で開き、玉木雄一郎(48)、大串博志(52)両衆院議員が立候補した共同代表選の投開票を実施した。若手からベテランまで幅広い支持を集めた玉木氏が大串氏を退け、国会議員を率いる共同代表に選出された。得票は玉木氏39票に対し、大串氏14票と大差がついた。任期は小池氏に準じて2020年9月まで。玉木氏は選出後、同僚の議員らに「国民に寄り添い、地に足のついた土のにおいがする本物の国民政党を、皆さんと共につくりあげていきたい」と呼び掛けた。

*2-5:http://digital.asahi.com/articles/DA3S13198534.html (朝日新聞 2017年10月26日) 特派員メモ バルト:「鉄の女」別の顔
 ドイツ北東部のバルト。人口9千人弱の小さな町で、メルケル首相の演説を聴いた。9月の総選挙で、彼女が地元選挙区を訪ねたときだ。小雨の中、切り出した。「この町のトマトは世界一おいしい」。選挙中、別の町で批判的な有権者からトマトを投げつけられたのを逆手に取ったようだ。私も食べたが、世界一は言い過ぎかな。今度は、地元鉄道の延伸を求める垂れ幕を見かけるや、「数カ月で実現するでしょう」。おや、利益誘導めいた発言もするのだな。30分の演説を終えると、「サインや記念撮影もできますよ」。支持者の列が途切れるまでたっぷり20分、「ファンサービス」に応じた。地元選挙区にあるシュトラールズントの市長は「彼女は毎月一度は必ず地元に帰る」という。過去に米国やフランスの大統領を招き、地元の知名度アップにも励んできた。首相になって12年。実直で優れた指導力から「鉄の女」とも評される。だが、地元では、情を尽くして有権者と触れあう素顔を見せた。政治家が地盤を守るには泥臭さもいる。国は違えど、そんな共通点が垣間見えた。

<私の事例>
*3-1:http://www.asyura2.com/09/senkyo69/msg/142.html (ブログ 2009 年 8 月 12 日) 「みんなの党」は、政策はいいと思いますが、メンバーに信用できない人たちがいます。
「自民党から小選挙区で公認してもらえなかったから」「自民党の比例区の名簿で優遇してもらえなかったから」という理由で来たらしい候補がいますね。元・自民党の清水前議員とか、同じく元・自民党の広津前議員とか・・・。およそ、政治信条とか理念などの類を持ち合わせている候補とは思えない。とくに広津前議員は、真偽の程はわかりませんが、以下の記事を読む限りでは、かなり“電波”な人では?
●武部幹事長弁当事件 83会の「奇人変人リスト」
「その瞬間、議員一同、凍りつきました」(山崎派議員)。山崎派の会合でのこと。山崎卓氏が「総裁選(の出馬)も考えてみたい」と言うと、一人の女性議員が手を挙げた。“ミセス空気が読めない女”と呼ばれる小泉チルドレン。誰もがひやりとしたのも遅く……。佐賀三区のがばい刺客、広津素子議員(54)は真顔で山崎氏に進言した。「山崎先生は女性スキャンダルでイメージが悪いので、難しいと思います」。自民党議員が笑いを噛み殺しながら言う。「“今週の広津語録”と言われるくらい、破壊的な発言が永田町を駆け巡っています。有名になったのは、佐賀の日本遺族会の方が東京に挨拶にみえた時。話を聞いた後、広津さんは、『遺族、遺族って、一体、何の遺族ですか』と(笑)。〇五年の郵政選挙の大量当選が生んだ珍現象です」。東大卒で公認会計士という経歴をもつ広津女史。「エキセントリックな点があり、ストレートにモノを言う。党本部や国会内の会合での質問に、いつも場が凍る」(別の自民党議員)。伊吹文明幹事長が党税調小委員長だった時、伊吹氏の説明が終わると、新人・広津氏が挙手をするや……。「伊吹先生の説明ではわかりにくいと思いますので、代わって私が説明します」。絶句したのは伊吹氏だけではない。農政の会合で農家による説明が終わると、広津氏が総括(?)した。「皆さん、農業をやめて転職したらいいと思います」。極めつけが「牛肉弁当事件」。チルドレンの親分、武部勤幹事長(当時)が、「いつでもメシを食いに来なさい」と新人たちに声をかけると、本当に広津氏は幹事長室に行って、置いてあった牛肉弁当を勝手に食べてしまったというのだ。その恨みではないだろうが、武部氏は新人議員のグループ「新しい風」に広津氏を誘っていない。抗議する彼女に、武部氏は「あれは仲良しクラブだから」と逃げたつもりが、逆に「私は仲良しじゃないんですか!」と怒らせてしまった。広津氏は小誌の取材に「全部まったくのウソです」と否定するが、広津語録は議員の間で今も更新中だ。
●派閥のドン山拓に「引退勧告」しちゃった広津素子センセイ  週刊文春07年10月4日号より
“ミセス空気が読めない女”と呼ばれる、小泉チルドレンの広津素子議員(54)。昨年末、彼女は所属する派閥のボス山崎拓氏(71)にこう直談判したと言う。「先生はもう七十歳を超えている。辞めるべきだと思います!」話は次期衆議院選挙、佐賀三区の公認問題を巡って切り出された。広津議員は現在、郵政造反・復党組である保利耕輔議員(73)と激しい公認争い中。保利氏に対して前述のように「七十歳を超えて~」と批判し、「山崎さんから若い人に道を譲るように言って下さい」と続けた。山崎派議員が苦笑しながら語る。「山崎先生は保利先生と同世代。保利先生に年だから辞めろなんて、山崎先生の口から言える訳がありません。広津さんの言葉を聞いて山崎先生は、『それは俺にも辞めろと言っているのか!』と激怒したようです」。ちなみにヤマタクが総裁選への意欲を示したときも、「山崎先生は女性スキャンダルでイメージが悪いので難しいと思います」(小誌〇七年十月四日号既報)と広津氏は直言している。山崎派の重鎮、野田毅議員が新人を集め食事会を開いたときもこんな事件が。野田氏が「地方経済は疲弊している。今こそ地方への配慮が必要だ」などと持論を語り終えたあと、広津氏はこう言い放った。「先生は古いタイプの政治家ですね」。出席していた一年生議員が振り返る。「一瞬、場が凍りつき、われわれも冷や汗をかきました。野田さんは明らかに不機嫌だった。ご馳走になっているのに、普通そういうことを言いますか?(苦笑)」。東大卒で公認会計士という経歴の広津氏は、「自らの考えが正しいと信じて疑わないタイプ」(同前)。「昨年九月の安倍改造内閣が発表される前も、『次は私が女性代表で大臣になる』と公言し周囲を唖然とさせた。福田内閣の人選が進められているときには、官邸に電話して『私を副大臣か政務官に入れるべきだ』と直談判したという伝説もある」(全国紙政治部記者)。地元の評判も芳しくない。「人の名前を覚えないから人望がない。すぐ問題を起こすから会合等に呼ばないようにしているのですが、呼ばないと『女性蔑視だ!』と大騒ぎ。問題は人間性なんですけど・・・・・・」(自民党佐賀県連関係者)。そんな言動が災いしてか、事務所も大混乱の様子。「広津さんは入りたての秘書に、『明日から佐賀に行って後援会を作ってきてちょうだい』とか無茶ブリがすごいようです」(同前)。本人に取材すると、「すべてデタラメです。一体誰が言っているんですか」とご立腹。いや、みんな言ってるんですけど。郵政総選挙でも広津氏と対峙した保利氏は、周囲にこう公言しているという。「彼女が出る以上、私も絶対次の選挙に出る。それが佐賀県のためだ」

*3-2:https://www.nishinippon.co.jp/nnp/editorialist/article/369694/ (西日本新聞 2017年10月29日) 「劇場型政治」はもう終わりに
 政治が劇場化することは間々起きるが、今回の衆院選ほど短期間に、しかも劇場乱立の政局も珍しかった。唐突に衆院を解散した安倍晋三劇場、自民党に代わる政権の受け皿を目指して希望の党を立ち上げた小池百合子劇場、そこへの合流を打ち出した前原誠司劇場-。政治取材に携わって20年余り、劇場政治の危うさとうさんくささは骨身に染みていたはずなのに、政局の急展開に「今度こそ政権選択選挙か」などと、また浮足立ってしまった。ああ、恥ずかしい。終わってみれば、郵政解散当時の小泉純一郎劇場のように爆発的人気を集めた劇場はなかった。前宣伝だけが派手だった小池劇場と前原劇場は不入りの責任を巡る内輪もめで早くも閉幕状態である。各劇場が伸び悩む中、1番人気は同じ出し物を毎回、異なる演目で演じる安倍劇場だった。ただし5年近くも同じでは主役も脇役も慢心する。観客には飽きがくる。心配は全く別の出し物の台本をこっそり用意していることだ。劇場にちなんで芝居に例えてみると、こういうことか。しかし、政治はお芝居とは違う。政治家は国民を惑わせる芝居をしてはいけない。野党で喝采を浴びたのが前原劇場から小池劇場への移籍を「芸風が異なる」として“排除”された立憲民主党だったのも皮肉な光景である。これも枝野幸男劇場と呼べるのかもしれないが、「まっとうな政治を」という原点回帰の訴えが多くの有権者を引きつけたことは政界も真剣に受け止める必要があろう。大見えを切って耳目を集めるだけの劇場型政治は終わりにして地に足の着いた政策本位の政治にしてほしい-脱・劇場型政治への有権者の切実な思いを痛感させられた選挙でもあった。政治家やメディアこそ目覚めが必要だろう。ということで、今回は人気劇場に付きもので、芸は未熟なのにスターと思い込み、トラブルを引き起こす「チルドレン」役者は増殖しなかった。それだけはよかった、ということか。

*3-3:http://qbiz.jp/article/122468/1/ (西日本新聞 2017年11月10日) 9月末、国の借金1080兆円 過去最大更新
 財務省は10日、国債と借入金、政府短期証券を合計した国の借金が9月末時点で1080兆4405億円となり、過去最大を更新したと発表した。これまで最大だった6月末の1078兆9664億円から1兆4741億円増えた。社会保障費を賄うための国債発行が膨らんだためで、財政が一段と圧迫されている。
総務省推計の10月1日時点の総人口(1億2672万人)で割った国民1人当たりの借金は約852万円に達した。内訳は国債が949兆9986億円に達し、6月末から4兆7671億円増えた。金融機関などからの借入金は52兆6532億円で1兆1628億円減少した。一時的な資金不足を補うために発行する政府短期証券も2兆1302億円減って77兆7888億円だった。

*3-4:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO23119390V01C17A1SHA000/?n_cid=NMAIL004 (日経新聞 2017/11/5) 成長しながらCO2抑制 米中で大幅減、日本は停滞、世界、GDPあたり15年で2割減
 経済成長しながら温暖化防止に向け二酸化炭素(CO2)排出量を抑えるデカップリング(切り離し)の動きが広がっている。世界で国内総生産(GDP)1単位あたりの二酸化炭素(CO2)排出量はここ15年で約2割減少。再生可能エネルギー投資に加え、新興国で省エネ投資が拡大している。2020年以降の温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」は4日に発効1年を迎え、各国や企業に一層の取り組みを促す。
10月下旬、英BPや英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルなど世界の石油・ガス10社でつくるオイル・ガス気候イニシアチブ(OGCI)は、ガス火力発電所からのCO2回収をはじめとする3事業に投資すると発表した。
国連環境計画(UNEP)のソルヘイム事務局長は「エネルギーの生産や消費の方法を転換させるのが必要」と言う。パリ協定は約170カ国が批准。慎重な石油メジャーも対応を迫られる。国際エネルギー機関(IEA)の10月末の報告書によると、15年時点でGDP1万ドル分を生み出すのに排出されたCO2量は3.1トン。00年より0.7トン減った。別の報告では16年に燃料を燃やして発生したCO2は15年比0.6%減の321億トン。ここ3年、3%成長を実現し排出量はほぼ横ばいだ。IEAは「新しく生まれた傾向」とみる。デカップリングが進む理由は、排出量の少ないエネルギーの利用が増えたことだ。グローバル企業では事業に使うエネルギーを再生エネで賄う動きが広がる。全量再生エネをめざす企業連合「RE100」には、米アップルやマイクロソフト、米ゼネラル・モーターズ(GM)など世界110超の企業が参加する。再生エネの価格は低下傾向にある。調査会社のブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンス(BNEF)によると、米国、ドイツ、イタリア、スペイン、オーストラリアでは、太陽光の発電コストが石炭火力と同水準になった。省エネ技術への投資拡大も寄与する。IEAによると、16年の投資額は前年比9%増の2310億ドル(26兆円)。販売されたヒートポンプの数は28%増え、電気自動車は38%増。主要国で開発した省エネ設備が新興国に広がりつつある。最大排出国の中国は、発電部門を石炭から太陽光などに転換。100基単位の石炭火力発電所の閉鎖も検討する。16年の経済は前年比6.7%拡大し、排出量はほぼ同じだ。再生エネや原子力、天然ガスの割合が高まり、石炭消費は減少。14年の発電量は石炭が73%を占めたが、30年51%、40年43%に下がるとみる。世界2位の排出国、米国は主に油価の高いときにシェールガス革命が起き、発電燃料として石炭からの転換が進んだ。トランプ政権はパリ協定離脱を宣言したが、企業の動きは止まらない。日本は16年時点で世界資源研究所(WRI)が選んだデカップリング達成21カ国から漏れた。GDPあたりのCO2排出量は2.6トン。米中より00年からの減少幅は小さい。RE100の参加企業もリコーと積水ハウスだけ。自動車や電機などは「再エネコストが高い日本で全量は無理」との声が大半だ。太陽光発電は固定価格買い取り制度(FIT)の影響で高コスト体質が続く。再エネのコストを下げ、原発は再稼働の進め方に知恵を絞る必要がある。6日に独ボンで開幕する第23回気候変動枠組み条約締約国会議(COP23)ではパリ協定を巡るルールづくりの交渉が本格化する。IEAは年平均3.4%の成長を前提に今の削減努力を続けても、30年のCO2排出量は15年比で20%増の386億トンになるとみる。「2度目標」の達成にはさらに35%ほど減らす必要がある。

<女性への偏見ができる理由>
*4-1:http://digital.asahi.com/articles/ASK7D5Q3CK7DUTNB01V.html?iref=comtop_8_03 (朝日新聞 2017年7月13日) 埼玉県立高の男女別学、広島市出身の教育長「びっくり」
 個人的にはびっくり――。6月に就任した埼玉県の小松弥生県教育長は12日、就任後初の記者会見で、県立高校の男女別学や中高一貫校などについて印象を語った。広島市出身の小松氏は、県立高の男女別学を「個人的には西の方の出身なのでびっくりですが、埼玉県の人たちがいいと思ったら、悪いことでもない」と話した。一方、県立の中高一貫校については、「すごく早くから伊奈学園があって、その後がない。なぜなのか、私が聞きたい」と話し、「最近は小中一貫校もある。子供たちがいろんな学び方を主体的に選べるようにしてあげないといけない」と話し、検討課題であるとの姿勢を示した。今月、新たな教育委員が選ばれて5人中2人が、伝統的な子育てを推奨する「親学推進協会」関係者になったことについては、「うまく議論をして、バランスをとっていけばいい」と話した。

*4-2:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/192453
(佐賀新聞 2015年5月31日) 県民世論調査 男は仕事女は家庭、賛成33%
■共同参画意識高まらず 「出産退職」支持も半数
 「夫は外で働き、妻は家庭を守るべき」との考えに賛成する佐賀県民は33・2%だった。県は2014年度までの4カ年総合計画で性別による役割分担意識を30%未満に抑える目標を掲げていたが達成できなかった。「出産したら仕事をいったん退職したり、働くこと自体を辞めるべき」とする出産・育児中断型の働き方を支持する人も50%を超えた。仕事を続けたいと願う女性を支えようという社会の意識が高まっていない実情が浮き彫りになった。県が昨年10~11月に成人男女3千人を対象に実施した「男女共同参画に関する世論調査」で、859人から有効回答を得た。「男性は外で仕事、女性は家庭」という性別役割分担意識は、04年の調査で反対が66・6%、賛成29・6%となり、初めて反対が賛成を上回った。しかし、前回09年の調査では賛成が増加に転じ、反対も減少する「揺り戻し」が起きた。今回も意識変化は小さく、賛成が33・2%、反対62・9%となっている。賛成は男性が女性を7・5ポイント上回る一方、反対は女性が男性を5・9ポイント上回り、男性の方が性別役割分担に肯定的な結果が出た。年代別でみると、反対の割合が最も多いのは20代女性で92・0%。逆に賛成が最も多いのは70代以上の男性で51・2%だった。女性の就業についても尋ねた。「子どもができたら中断し、手がかからなくなって再び持つ」との回答が最も多く48・2%だった。「出産したり、結婚するまでは職業を持ち、後はやめる」「ずっと職業を持たない方がいい」という回答も合計で4・2%あった。一方、育児休暇などの制度を使って「ずっと職業を持つ方がいい」としたのは37・1%にとどまった。出産・育児中断型の働き方を支持した人に理由を複数回答で尋ねたところ、最も多かったのは「制度があっても、利用できる職場の雰囲気ではない」で37・3%。次が「現在の制度では不十分」の35・0%で、女性が仕事を続ける職場の雰囲気づくりや制度の不十分さがうかがえる。女性が結婚や出産後も働き続けるために必要なことという問い(複数回答)に対し、最も多かった回答は「配偶者の理解や家事・育児への協力」で60・1%に上った。総務省が11年に実施した調査では、男性が家事に参加した時間が佐賀県は1日当たり34分で、全国平均42分に比べて短いという結果も出ており、県の弱みとして女性の家事負担の大きさが挙げられる。県は、今回の意識調査から見えた課題を踏まえ、16年度から5カ年の県男女共同参画計画を策定する。

<農業の収益力をUPさせる政策は?>
PS(2017/11/13、15追加):*5-1については、レンゲソウもきれいでよいが、稲は刈った後に再度芽が出るので、それを伸ばして畜産農家の牛を放牧させると、①牛の飼料代を節約できる ②牛が運動して健康になる ③牛の排泄物が有機肥料になるので化学肥料を使わなくて済む ④イノシシが来ない などのメリットがあると前から思っていた。そのためには、畦や水場の設計変更が必要だが、耕畜連携でお互いが得るものは大きい。
 また、このような中山間地は、小水力発電や風力発電の適地でもあるため、そのための機器の設置に補助してもらうと費用対効果でも成り立つようになり、農業補助金を減らすことができて国の財政負担が小さくなる。なお、*5-2のように、荒尾市は産炭地だったが、石炭に代わる新たなエネルギーを生かしたまちづくりとして自然エネルギーを活用するそうで、多久市も考えてみるのがよいと思う。
 さらに、棚田は田の形がふぞろいで小さく、大型の農機具を入れられないことについては、教育系の補助をもらって市街地も含む小学生に田植えや稲刈りを手伝わせるのがよいだろう。その理由は、子どもも自分が植えた稲の成長には大きな関心を持つため、遊びながら頻繁に山に見に来る結果、植物や自然の様子を観察して必要な知識や感受性を育むことができるからである。


2017.11.13佐賀新聞

*5-1:http://www.saga-s.co.jp/articles/-/147590 (佐賀新聞2017.11.13)地域活性化の優良事例に選定「ひらの棚田米振興協議会」(多久市)、棚田米のブランド化や活動評価
 平野地区は標高約190メートルの山あいにあり、170枚の棚田で7・7ヘクタールを耕作。同協議会は、冷たい清らかな湧き水を生かし、春のレンゲソウを肥料に使って化学肥料を減らした「夢しずく」を栽培し、ブランド米としてインターネットなどで販売している。大阪の企業の食堂に納入するなどリピーターも多く、ふるさと納税の返礼品にも使われている。県内外のファンを増やそうと、直売所での試食販売や収穫体験も企画。10月1日に開いた稲刈りイベントには122人が参加した。棚田は美しい景観が注目される一方、田んぼの形がふぞろいで大型の農機具を入れられないため、維持管理が難しい。協議会のメンバーも全員が60歳以上と高齢化が進み、小園さん(71)は「畦(あぜ)の草刈りやため池の維持など、手間や労力は平たん部の何十倍もかかる」と話す。それでも、イノシシなどの鳥獣被害が広がらないよう、「荒廃地を作らない」と意識を共有して活動を続ける。小園さんは「棚田の農業は費用対効果を考えると成り立たないかもしれないけれど、もうかる農業に近づけるためにみんなで力を合わせたい」。今後は稲刈りだけでなく、田植えの体験も検討しているという。「ディスカバー農山漁村の宝」の優良事例は全国から31地区が選定された。今月下旬の有識者懇談会でグランプリと特別賞が選定される予定。

*5-2:http://qbiz.jp/article/122790/1/ (西日本新聞 2017年11月15日) 荒尾市 自然エネ地産地消へ 2社と電力連携協定結ぶ
 熊本県荒尾市と三井物産(東京)、特定規模電気事業者のグローバルエンジニアリング(福岡市)は14日、エネルギーの地産地消に向けた連携協定を締結した。両社は、荒尾市の協力を得て市内の電力需給などを調査した上で、事業会社を設立。地元の自然エネルギーで発電した電力を公共施設などに安価で販売していく方針。三井物産は現在、ソフトバンクグループのSBエナジー(東京)と共同で、荒尾市の大規模太陽光発電所(メガソーラー)を運営、グローバル社は県外で発電した電力を同市内の企業などに販売している。事業会社の設立に向け、九州電力に比べ電気料金の単価をどれくらい抑えられるかなどを調査。同市内で木質バイオマス発電に取り組む有明グリーンエネルギーなど、地場企業と幅広く連携していくことも検討する。市役所での調印式で、三井物産国内プロジェクト開発部の山根正司部長は20年前の三井三池炭鉱閉山に触れ「石炭に代わる新たなエネルギーを生かした荒尾のまちづくりに貢献したい」と強調。事業会社の設立時期について「地域の特性に合った電力の供給体制をしっかり検討し、できる限り早く実現したい」と述べた。

<小池百合子氏の事例>
PS(2017年11月15日追加):*6のように、希望の党の小池百合子氏が代表を辞任したことについてメディアの批判が集中しているが、都知事としてうまく機能するためには、小池氏は都政では与党・国政では少なくとも無所属として政府と連携を保ちながら都政を進めて行くことが必要である。そのため、東京都民は、都議選では小池氏を大勝させたが、希望の党の党首であり続けて小池氏が都政を疎かにすることは望んでいなかった。
 また、小池氏が希望の党を作ったのは、最初は都知事選でお世話になった若狭氏を助けるためだったが、知事選と都知事選を見て勘違いしたメディアと民進党公認候補者の合流で流れが変わった。小池氏は初めから衆議院議員選挙には出ないと言っていたが、政権選択選挙なのに首班が不明と騒いでいたのは、その選挙のみしか見ていない浅薄なメディアだったのだ。
 そして、今度は党の運営を国会議員に任せるとして代表を辞任した小池氏を無責任だと批判しているが、都知事としてうまく機能しオリンピック等を成功させる責任を果たすためにはそれが必要で、最初に安保法制や憲法変更等々で「排除の論理」を持ち出したのは、一部のメディアと若狭氏・細野氏だったように私には見えた。そして、その方針で候補者を排除すれば、安保法制や憲法変更に疑問を持っている有権者の支持がなくなるのは、当然のことなのである。

*6:http://digital.asahi.com/articles/DA3S13228062.html (朝日新聞社説 2017年11月15日) 小池代表辞任 一連の騒動は何だった
 旗揚げからわずか約50日。一連の新党騒動は何だったのか。あきれる人も多いだろう。
希望の党の小池百合子代表がきのう辞任した。新執行部の発足を機に、党運営は今後、国会議員に任せ、自身はサポート役に回るという。東京都知事である小池氏が、国政政党の代表を兼ねることには当初から懸念の声もあった。それでも国会議員主導の新党構想を「リセットして私自身が立ち上げる」と乗り出した。一時は吹くかに見えた小池旋風も、自ら持ち出した「排除の論理」で急速にしぼみ、衆院選では「排除された側」の立憲民主党に野党第1党を譲った。党の支持率は低迷が続く。本紙の今月の世論調査では3%にとどまり、立憲民主党の12%に水をあけられている。衆院選を勝ち残った議員は旧民進党出身者ばかり。自民党出身の小池氏が指導力を発揮しにくいとの事情もあろう。党勢回復の方向性を見失い、もはや代表を続ける意義を見いだせなくなったのだろうか。だが、小池氏には忘れてならない責任がある。衆院選で「安倍1強を倒す」と訴え、比例区で967万の票を得たことだ。小池氏の指導力に期待した人も多かっただろう。この票の重みをどう考えるのか。小池氏が政党代表を辞めるのは、この半年弱で2度目だ。夏の都議選前には「改革のスピードを上げる」として、地域政党「都民ファーストの会」の代表に就任。選挙で大勝すると「知事に専念する」とわずか1カ月で辞任した。2カ月半後、衆院選を前に再び「(改革の)スピード感を確保するには国政関与が必要」と希望の党代表に。そしてまた、その立場を放り出す。新党設立、代表辞任の繰り返しが政党や政治への国民の不信をさらに深めることを憂える。小池氏という看板を失った希望の党は立て直しが急務だ。党内では旧民進党と同様に、安全保障法制などをめぐる路線対立が整理されないままだ。希望の党は何をめざす党なのか。まず玉木雄一郎・新代表のもと、衆院選は小池氏主導の急ごしらえで済ませた政策論議をいちから始めるしかない。衆院選で圧勝した自民党は、野党の質問時間の削減を求めるなど、早くも慢心が見える。野党なのか、与党への協力もあり得るのか、選挙戦で小池氏はあいまいにしてきた。これから本格化する国会論戦にどんな立場で臨むのか。玉木執行部の選択が問われる。


<山尾志桜里氏の事例>
PS(2017年11月16日):*7の山尾氏と倉持氏が1泊2日で大阪出張していたとして、不倫を匂わせる報道をしているが、こういう論調は、①別々に会場を離れるなど仕事外では話もできない状態にする(男同士ならノミニケーションして、その後の仕事をやり易くするところ) ②時間差で帰京しなければならない(新幹線の中で仕事の話などをする機会を奪う)等々、活躍している女性を不利にする。
 30年くらい前に外資系監査法人で働いていた時、私が公認会計士として男性の部下と2人で岐阜県の会社に往査に行き、同じ宿(部屋は当然別)に泊まって2人で夕食をとったら、宿の中居さんは私の前におひつやとっくりを持ってきた。私が戸惑っていると、男性部下が「それは、私がやります」と言ってくれたので助かったが、女性の活躍には一般社会の方がついてきていないと感じることが多い。また、何かと引っ張ってくれていた男性上司と同じエレベーターに乗り合わせていると、後からエレベーターに乗って来た人が「どういう関係?」などと言って協力者の男性に困った思いさせ、女性の仕事をやりにくくしたという経験もある具合だ。

*7:http://bunshun.jp/articles/-/4947 (週刊文春 2017年11月23日号) 山尾志桜里衆院議員が倉持弁護士と1泊2日の大阪出張
 山尾志桜里衆院議員(43)、倉持麟太郎弁護士(34)の2人が1泊2日で大阪出張していたことが「週刊文春」の取材によって明らかになった。11月12日、2人は、彼らの後見役を自任する漫画家・小林よしのり氏が主催する言論イベント「関西ゴー宣道場」に参加。イベントでは、倉持氏が「日本で最も有名な弁護士です」と紹介され山尾氏が爆笑するなど、終始、和気藹々とした雰囲気だった。山尾氏は11月7日に倉持氏を政策顧問として起用することを発表。今回の大阪出張は、2人の動向に注目が集まっている矢先のことだった。大阪でのイベントが終了後の午後6時頃、2人は別々に会場を離れた。「週刊文春」取材班は、翌朝の新大阪駅で時間差で帰京する2人の姿を確認している。山尾氏の事務所は、大阪出張について、次のように回答した。「ゴー宣道場に参加したことは事実ですが、終了後、倉持弁護士含め道場師範の方々とは全く別行動を取っており、倉持弁護士と一緒に宿泊したという事実は一切ございません」。11月16日(木)発売の「週刊文春」では、1泊2日の大阪出張の詳細に加え、倉持氏の義母へのインタビューなど、山尾・倉持両氏の新たな関係について詳報している。また、「週刊文春デジタル」(http://ch.nicovideo.jp/shukanbunshun)では、山尾氏への直撃取材の模様などを、同日朝5時より公開する。


<染色・アパレルと女性の変化>
PS(2017.11.18追加):*8-1のダウンは10万円もするが、スタイリッシュさと北極圏の環境にも耐える保温性をもっており、これは「日本製の品質は高い」と言われる場合の“品質”には含まれない。また、日本製の服は、20~30代向けの細身の服しかデザインのバラエティーがなく、試着すると不快になる上、値段相応の質でもないため、私はサイズが多くてデザインのよいヨーロッパ製のブランドスーツの下に、一年毎に使い捨てても惜しくないような値段のユニクロのTシャツを組み合わせて着ており、その方が満足度が高い。そのため、服が売れないのは確かにアパレルメーカーの責任で、女性に対する従来の先入観にとらわれず、市場が求めている人口動態や体格にあった製品構成にすべきなのだ。また、「日本は労働力などのコストが高い」という問題は、安い外国人労働力を使わないのなら、*8-2のような衣類に直接印刷できる装置等の生産性を上げるイノベーションを進めるしかない。そして、この技術には、昔の友禅染の振袖や色留袖を簡単にコピーして複製できる程の、職人も真っ青になるような潜在力がある。

*8-1:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20171117&ng=DGKKZO23588790W7A111C1TJ2000 (日経新聞 2017.11.17) アパレル不況は本当か 海外製10万円ダウン店繁盛 消費刺激「技術力+α」カギ
 米アップルの新型スマートフォン「iPhoneX(テン)」の発売に世界の人々が沸いた3日。東京都渋谷区神宮前の閑静な通りにも負けず劣らずの長蛇の列ができていた。ダウンジャケットが主力のブランド「カナダグース」のアジア初となる旗艦店の開業だ。午前11時の開店前に並んだのは約150人。一番乗りだった仙台市の大学生、高橋颯さん(22)はアルバイトでためたお金を手に朝6時から並んだ。店内は開店と同時にごった返し、10万円のジャケットがこの日だけで1分半に1着売れた。大手アパレルの相次ぐ大規模リストラが象徴する「アパレル不況」とは無縁の世界が広がっていた。日本での代理店はサザビーリーグ(東京・渋谷)。1995年に米スターバックスを持ち込んでスタイリッシュなカフェを定着させた実績を持つ。こうした手腕にカナダの本社側が目をつけ、2015年に販売代理店契約を結んだ。カナダグースはサザビーとの契約を機に、約680店あった百貨店やセレクトショップなどの取扱店をブランドイメージに合う400店程度に絞り込んでブランドイメージを高めた。冒頭の旗艦店も本国の意向で渋谷区神宮前の人通りの少ない静かな環境を選んだ。北極圏の環境にも耐えるほどの世界屈指の保温性を持ち、希少価値が高い。こうした機能性やストーリー性が消費者の購買意欲をくすぐる。この「カナダグース狂騒曲」に、日本の伝統的なアパレル企業はほぞをかむ。オンワードホールディングス、三陽商会など百貨店を主な販路とするアパレルは、カナダグースと同じ「中高価格帯」の商品を販売してきたが、長引くデフレで販売不振に直面している。バブルに沸いた90年、国内のアパレル市場は約15兆円だった。10年には10兆円に落ち込んでその後横ばいが続き、大手アパレルはここ数年で大規模なリストラを相次ぎ実施した。だが本当に服は売れなくなったのだろうか。消費者はより安い服を求めユニクロを運営するファーストリテイリング、衣料品専門店のしまむらの収益はいずれも過去最高だ。安い服は売れているし、高くても売れることはカナダグースが証明している。人々が百貨店で洋服を買わなくなったことへの対応が遅れただけではないだろうか。品質の高さから、業界では「ものづくりの三陽」といわれてきた。その象徴である子会社サンヨー・インダストリー(福島市)。工場では女性を中心に約130人がミシンに向かい、1着1着を丁寧に縫製する。その技は有名セレクトショップや紳士服チェーンがスーツのOEM(相手先ブランドによる生産)を依頼するほどだ。だが、三陽商会の業績は低迷が続き、高い技術力を生かせていない。ある大手アパレルの幹部は「服が売れなくなったのは我々の責任」と認め、ライフスタイルを意識した次世代の服作りに真剣に取り組む。どんな時代でも人は洋服を着る。アパレル不況と嘆く必要はない。

*8-2:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20171117&ng=DGKKZO23566720W7A111C1TJ2000 (日経新聞 2017.11.17) 写真、衣類に直接印刷 リコーが小型プリンター
 リコーは16日、衣類に直接印刷できる小型プリンターを発売すると発表した。店舗やイベント会場で、手持ちのスマートフォンに保存した写真をその場でTシャツやバッグに印刷できる。印刷から乾燥まで約10分で完了する。プリンターやインクの販売、保守サービスなどで、2019年度に100億円規模の売り上げを目指す。主に企業向けに20日に日本で発売する。今夏からアジア・中国地域で先行販売を始めていた。オフィス向けプリンターと部品を共通化したことで、プリンター本体とインクを定着させる仕上げ機を合わせて価格を30万円台に抑えた。競合他社と比べて3分の1から4分の1の水準という。インクジェット技術を応用した。150~200度にもなる専用プレス機も無くし、初めての人でも安全に使えるようにした。利用者はTシャツなどをカセットにセットして、プリンターに設置。印刷後は仕上げ機にカセットごと入れてインクを定着させるだけでいい。16日に記者会見した山下良則社長は「インクジェット技術を応用して、プロセスをがらりと変えたい」と語った。


PS(2017.11.20追加):*9-1のように、「3~5歳の教育無償化」と言うと、「①負担できる方には負担をお願いするべき」「②必要経費を積み上げず、はじめから金額が積み上がっている対策は初めて見た」などという意見が出ているが、①については、“高額所得”に分類された(さほど多くもない)一つの所得に対する多重課税である。また、②については、*9-2のように、「景気対策の事業規模が20兆円超(2兆円の10倍)で調整されている」として多くのメディアがいそいそと報道しているのに対し、教育に対する意識の低さがわかる。しかし、教育を徹底すれば、国から下支えしてもらわなくても稼げる人を多く作ることになるため、どちらがより重要かは異論の余地がない。
 そのため、私は、義務教育である小学校を3歳からにして教育を無償化し、十分な時間を取って教育するのがよいと思うが、国の中枢は私立中高一貫校(その殆どが男女別学)出身の男性が大多数であるため、この改革には後ろ向きで価値観もずれているようだ。そこで、地方自治体の主導で開始するのがよいと思われ、その時には、保育所等は0~2歳児と学童保育を引き受ければ、現在の設備で待機児童を無くすことが可能だ。
 また、*9-1で日経新聞は、「社会保障の財源は限られており、高齢者に偏る社会保障を若年層に振り向けることは重要な視点だ」とし、*9-3では診療報酬値下げを提唱しているが、*9-4のように、環境税導入には反対だ。しかし、環境や生命・個人の生活を大切にすることは最も重要であるため、こういう政策を提唱するような人を育ててはならないのである。

*9-1:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20171120&ng=DGKKZO23669080Z11C17A1MM8000 (日経新聞社説 2017.11.20) 教育無償化を問う(上)議論は尽くしたか 選挙にらみ「2兆円」先行
 安倍晋三首相が打ち出した教育無償化を巡る政府・与党の議論が混迷気味だ。首相は衆院選で2兆円の政策パッケージを策定すると表明。「保育園や幼稚園の費用はタダ」「低所得世帯は大学授業料も免除」など聞こえのいい政策を並べたが、具体策や効果をめぐる議論は生煮えのままだ。限りある財源をどう活用するか――。教育無償化をめぐる現状を追う。
●不満の声相次ぐ
 「負担できる方には負担をお願いするのが今までの政策。完全無償化はいかがなものか」。8日、自民党が開いた人生100年時代戦略本部会合。出席議員は党公約に明記された3~5歳の子育て費用無償化に疑問の声をあげた。同本部は17日、補助への上限設定を政府に提言すると決めた。多くの議員の不満の背景にあるのが政策決定の在り方だ。首相は衆院選の選挙公約として教育無償化などの対策を打ち出したが、橋本岳厚労部会長は「部会長が反対だといったことが公約になった」と公然と反論する。2兆円という「規模ありき」の手法にも不満がくすぶる。首相は衆院解散に向けた記者会見で2兆円の枠組みだけを示し、具体的な使い道や適用範囲は選挙後の検討に先送りした。厚労族の重鎮・尾辻秀久元厚労相は「必要経費を積み上げず、はじめから金額が積み上がっている対策は初めて見た」と首をかしげる。その結果が政策軸の急激な転換だ。子育て費用は家庭の所得にかかわらず無償となり、恩恵は高所得者ほど大きい。厚労族のベテラン議員は「『自助』を基本に『共助』で支え合うといった従来の社会保障の理念が壊れる」と指摘する。
●公明への配慮
 なぜ教育無償化は議論の積み上げに基づく政策でないのか。さかのぼると、人づくりや少子化対策など本来の目的とは異なる源流が見えてくる。「前向きな対応をお願いします」。衆院選前の与党党首会談で、首相は公明党の山口那津男代表から私立高校無償化の要請を受けた。自民党公約に入らなかった同政策が2兆円政策に盛り込まれる背景には、公明党の選挙協力への期待が透ける。大学などの高等教育に重点を置いたことからは、教育無償化を憲法改正の項目とする日本維新の会への配慮がにじむ。さらなる底流には消費増税の影響を回避したい首相の思惑がある。消費増税を2度延期した首相は増税には慎重だ。それでも、少子化対策の名のもとに増税分の一部を回せば「8%に引き上げたときのような景気への悪影響が軽減できる」(首相)との計算が働いた。首相周辺は「教育無償化の発想は社会保障ではない。マクロ経済政策に近い」と解説する。高齢者に偏る社会保障を若年層に振り向けることは重要な視点だ。少子高齢化を克服するためには、子育てしやすい環境づくりは不可欠だ。さらに世界を見渡せば、人工知能(AI)やロボットなど劇的なイノベーションが進んでいる。その波にのり、国際競争力を高めるためにも、高度人材の育成は最優先の課題だ。だが、社会保障の財源は限られている。その使い道として幼児教育や高等教育の無償化が正しい選択なのか。効果や意義について議論が尽くされた形跡はみえない。来る2019年が首相が掲げる「人づくり革命」の元年となるのか、財政破綻の一歩を許した一年として歴史の一ページに刻まれるのか。政権の責任は重い。

*9-2:https://mainichi.jp/articles/20160721/k00/00m/020/185000c (毎日新聞 2016年7月21日) 経済対策 事業規模20兆円超で調整 景気下支え
 政府が新たにまとめる経済対策の事業規模を20兆円超で調整していることが20日、分かった。当初は10兆円超の見込みだったが、倍増させる。追加の財政支出は3兆円超(国・地方の合計)として、残りは財政投融資や民間事業を積み増してかさ上げする。事業規模を膨らませ、景気下支えに本腰を入れる姿勢を示す狙いがあるとみられる。政府は今後、与党と調整を進め、来月上旬にも経済対策を閣議決定して、裏付けとなる2016年度第2次補正予算案を秋の臨時国会に提出する方針。与党内には一層の上積みを求める声もあり、規模がさらに膨らむ可能性もある。事業規模20兆円超の内訳は、国・地方の追加の財政支出が3兆円超▽国が低利で民間事業に長期融資などを行う財政投融資が最大6兆円程度▽国の補助を受けて民間企業が行う事業が6兆円程度▽財政投融資とは別に政府系金融機関が手がける融資が5兆円程度−−となる見込み。複数年度にまたがる民間事業を含めることで見かけ上の規模を大きくする。追加の財政支出の財源は、建設国債(使途を公共事業などに限る国債)を1兆円超発行するほか、低金利に伴う国債の利払い費の減少分などで賄う方針だ。追加の財政支出はインフラ整備が主体となり、訪日客拡大に向けた地方の港湾整備や、農産物の輸出拠点設置などを行う。財政投融資はリニア中央新幹線の大阪延伸前倒しに約3兆円、整備新幹線の建設に約8000億円を充てる。英国の欧州連合(EU)離脱に伴う金融市場の混乱を防ぐため、政府系金融機関を通じた民間企業へのドル資金融資も行う。

*9-3:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20171117&ng=DGKKZO23566960W7A111C1EE8000 (日経新聞 2017.11.17) 診療報酬下げ、都道府県別に、厚労・財務省が指針 医療費を抑制
 厚生労働省と財務省は都道府県ごとに診療報酬を定めるためのルールをつくる。法律上は認められているが実施例がないことから、2017年度中に指針を示して導入を促す。政府は18年度から都道府県単位に医療の提供体制を見直し、医療費抑制を進める。この見直し時期にあわせ、地域の実情を考えて診療報酬を下げるしくみを定着させたい考えだ。診療報酬は病院や薬局などの医療機関が、公的医療保険で手掛ける医療行為や薬の対価として受け取る公定価格だ。国が2年に一度、全体の改定率と様々な医療サービスの単価を決める。両省はこれをもとに、都道府県が地域の医療実態に合わせて、国が決めた単価や算定要件を一部見直す形を想定する。06年の法改正で、医療費適正化のために都道府県が域内の報酬を変更できるようになったが、実施県はない。厚労省は指針で、地域内の診療報酬を設定できる場合の具体例をまとめる方針だ。例えばある県で重症者を受け入れる病床の数が他県に比べて過剰な場合、診療報酬の算定要件を厳しくするなどの例を想定している。財務省は診療報酬の単価を直接下げる案を求める。患者の需要に比べ過剰な病床数を持つ県ほど医療費の伸びが大きい傾向にある。同省は入院にかかる医療費が高い県は入院にかかる基本料の診療報酬の単価を引き下げたり、需要より過剰に薬局や薬剤師が多い県は調剤技術料を下げたりしたい考えだ。政府は都道府県主導の医療提供体制の整備を進めている。18年4月からは国民健康保険の主体が市町村から都道府県にうつる。都道府県は18年度から5カ年計画で「医療費適正化計画」をつくることになる。県内の医療費の水準を踏まえて保険料を設定し、住民への説明責任を負う。診療報酬を都道府県単位で下げるようになれば、需給にあった医療サービスをつくる手段が増える。関心をもつ県が出始めている。奈良県は「県民の保険料負担を抑制するためには検討が必要」とし、医療費抑制に取り組む方針だ。介護報酬の単価は既に地域によって違いがある。政府の指針がでれば、検討する動きが広がる可能性がある。ただ、地域別に診療報酬を設定するのは日本医師会が慎重な姿勢を崩さない。いまは厚労、財務両省と与党、医師会などの関係団体で利害調整し、診療報酬の改定率を決めている。「都道府県ごとに調整の場が分散すると、医師会の力がそがれるとの懸念があるのではないか」(政府関係者)との見方がある。医師会の慎重論に歩調をあわせる都道府県も多いとみられる。指針では義務化や罰則の措置を伴わないことから実効性を疑問視する向きもある。

*9-4:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20171119&ng=DGKKZO23659070Y7A111C1EA1000 (日経新聞社説 2017.11.19) 森林環境税を導入する前に
手入れがされずに放置されている人工林を集約する新たな制度を林野庁がつくる。市町村が仲介役になって意欲のある林業経営者に貸与し、経営規模を拡大する。所有者がわからない森林などは市町村が直接管理するという。森林を適切に管理することは地球温暖化対策として重要なうえ、保水力を高めて土砂災害を防ぐ効果もあるが、問題は財源だ。政府・与党は「森林環境税」の創設を打ち出した。他の予算を見直して財源を捻出するのが先だろう。日本の国土面積の3分の2は森林で、その4割はスギやヒノキなどの人工林が占める。戦後植林した木々が成長して伐採期を迎えているが、零細な所有者が多いこともあって、多くが利用されていないのが現状だ。「森林バンク」と名付けた新制度は所有者が間伐などをできない場合、市町村が管理を受託し、やる気のある事業者に再委託する仕組みだ。一度に伐採や間伐をする森林を集約できれば、作業効率が向上してコストが下がる。近くに作業道がないなど条件が悪い森林は市町村がまず手を入れたうえで再委託する。所有者が不明で放置されている森林についても一定の手続きを経たうえで利用権を設定し、市町村が扱う。現在、国産材の用途拡大が進み始めている。経営規模の拡大を通じて林業を再生する好機だ。財政力が弱い市町村が継続的に事業に取り組むためには安定財源が要ることは理解できる。しかし、森林環境税は個人住民税に上乗せして徴収する方針だ。直接的な恩恵を感じづらい都市住民の理解を得られるだろうか。全国の8割の都道府県や横浜市はすでに、似たような税金を徴収している。都道府県と市町村の役割がどうなるのかについても判然としない。人材が乏しい市町村では、都道府県が作業を代行する手もあるだろう。森林整備は必要とはいえ、新税の前に検討すべき課題が多いと言わざるを得ない。

| 男女平等::2015.5~ | 01:47 PM | comments (x) | trackback (x) |
2017.6.30 日本は、まだ男女平等の国になっていないこと (2017年7月1、2、7、28日、9月9、25日追加)
   

(図の説明:一番右の図のように、女性は第一子出産前後に離職し、その後は非正規労働者になるケースが多い。また、女性正規労働者の賃金水準も男性正規労働者より低い。さらに、一番左の図のように、女性は正規労働者の割合が低い上、真ん中の図のように、女性非正規労働者の賃金も男性非正規労働者より低くなっており、自発的に非正規労働者を選んでいる人は少ない)

   

(図の説明:一番左の図のように、日本の国会議員に占める女性割合は、2014年10月時点で、世界で134位と著しく低い。そして、地方議会議員に占める女性割合は、左から2番目の図のように、ばらつきがあるものの国会議員より低い地域も少なくない。さらに、右から2番目の図のように、民間企業の部長に占める女性割合はもっと低い。これは、女性に対する偏見・差別によるところが大きいため、一番右の図のように、ポジティブアクションが認められた。なお、非正規労働者は、私が中心となって進めていた1997年男女雇用機会均等法改正に合わせて増やされ始め、そこには、男女雇用機会均等法で護られない労働者を作り、雇用形態の違いを理由に差別を合理化する狙いがある)

(1)豊田真由子衆議院議員への批判に含まれるジェンダー(社会的女性差別)について
1)女性議員を標的にした一斉報道の異常性
 NHKが、*1-1のように、週刊新潮の報道内容をそのまま伝えたのには異常性を感じた。何故なら、週刊誌は、販売部数の拡大や政治的意図により、憲法やその下位法に違反する記事をしばしば書いているからで、NHKがその記事の事実関係や法律違反を吟味せずに報道したからである。その後、他のテレビ局も、原因を不問にしたまま、豊田議員の発言や行動のみを取り上げて暴言・暴力などと批判し、私はそれに違和感を感じた。

 何故なら、*1-4のように、豊田議員の元秘書は、故意か過失か支持者に送る多数のバースデーカードの宛名を違えて発送し、豊田議員が謝罪行脚をする羽目になった途中の高速道路で出入り口を違えてアポイントメントの時間に遅れさせているからで、これにより豊田議員は「これ以上、私の評判を下げるな」と大声で怒鳴っているようだからである。そして、ここまでひどいのなら、故意でなければ使い物にならない間抜けな秘書である。一般企業に例えれば、請求書を間違った得意先に送った上、忙しい社長に得意先に謝罪に行かせ、その約束の時間を遅刻させるのと同じで、着いた時には得意先は烈火のように怒っており、得意先を失うということだ。

 さらに、この元政策秘書は、*1-2のように、「(自分で録音しているのだから)運転中でもあるので」と懇願するように言い、その後、録音した音声を週刊新潮に持ち込み、埼玉県警にも暴行被害に関する相談をしている。これは、秘書側に何らかの怨念が溜まっていたとしても、豊田議員を次回の選挙で落選させるための悪意の業務妨害だ。なお、デジタルデータの音声は、録音した後で編集することも可能であるため、豊田議員が一度に言った言葉であるとも限らない。そして、注意しなければならないのは、自民党が共謀罪を成立させたおかげで、今後は、内部の人が裏切らなくても、聞きたい人物の音声を警察が自由に盗聴して編集し、使うことができるようになったということだ。

 もちろん、相手が著しいミスをしたからといって、そのミスをただすのではなく、*1-1、*1-5に書かれているように「はげ」「死ねば?」「生きている価値ないだろ」などと、人格を否定するような暴言を浴びせるのは批判の仕方が悪すぎる。しかし、日本では、メディアも、政策や業務の不適切性を指摘して批判するのではなく、人格攻撃にすり替えることが多いため、残念ながら豊田議員が特殊なわけではない。

 なお、*1-1で述べられているように、週刊新潮は、豊田議員は「政策秘書を務めていた年上の55歳の男性が運転する車の中で、事務所でのミスを理由に後部座席から繰り返し殴るなどの暴行を加え、顔や背中などにけがをさせた」と書いているそうだが、仕事での上下関係に年齢や男女の区別はないため、この表現は年齢差別であり女性差別だ。また、車の運転中に後部座席の女性に素手で殴られて顔を怪我する人はいないため、表現が誇大である。そして、*1-5の「元秘書が暴行について埼玉県警に被害相談した」というのも、自分の二重ミスか故意の嫌がらせを棚に上げての逆切れだ。

2)「部下が次々に辞める」というのは、「部下を使えない」として女性リーダーを批判する場合の定石である ← 部下が辞めたからといって使い方が悪いとは限らない
 豊田議員の事務所関係者がNHKの取材に対し、*1-1のように、事実関係を認めた上で、「豊田議員は、ちょっとしたことで、すぐ怒鳴ったり、人格否定発言をする。普通の人が我慢できるレベルではないので、秘書が次々に辞めていく」と話しているそうだが、秘書は税金から給料を支払われて重要な仕事もする筈であるのに、複数のレターの住所・氏名を間違って送付したことを「ちょっとしたこと」と考え、怒った上司を非難するというのは責任感が欠如しており、それだからこそ、怒鳴られているのである。

 にもかかわらず、「部下が次々に辞めるのは、上司が厳しすぎるためで、上司の方が悪い」という論理がまかり通るようであれば、国会議員事務所の仕事は、いい加減で信頼できないものばかりになるだろうが、国民はそれでも秘書や国会議員に税金を払い続けたいだろうか。

3)園遊会に母親を入場させようとしたのは間違いか
 *1-3に、「豊田議員は、赤坂御苑で開かれた園遊会でも、本来招待されている配偶者ではなく、母親を入場させようとしてトラブルを起こした」と書かれている。

 しかし、私は、園遊会の招待者が配偶者に限られており、母親等の他の家族の同伴を認めないのは、夫の仕事を支えている専業主婦の労をねぎらうことを前提としており、現代には合わなくなっていると考える。何故なら、豊田議員のように、夫婦で活躍している人は、夫は独自に園遊会に出席する機会もあり、公務員である夫が妻の選挙を手伝うことはできず、母親が豊田議員の子育て・家事・選挙などを支えていると思われるからで、園遊会に母親を同伴したいと思うのは自然で親孝行でもあるからだ。

 そのため、私は、豊田議員が母親を園遊会に連れて行き、母親の入場を拒まれて抗議した気持ちはよくわかるし、園遊会の規定こそ「同伴者は、その仕事に協力した人」というふうに変えるべきだと考える。

4)政策秘書の仕事について
 毎日新聞は、*1-4のように、「政策秘書」という被害者がさせられていた仕事が、①支持者にバースデーカードを贈る宛名書きだったこと ②間違った相手への発送が分かり、議員が謝罪に行くために秘書が同行させられて運転手をしていたこと もショックだったと書いている。

 しかし、①メディアが議員の人格しか取り上げないため、国会議員が政策で勝負できず、支援者を引きつける手段としてバースデーカードを贈らなければならないこと ②秘書が間違った相手に発送して国会議員が貴重な時間を謝罪行脚に使っていること については、どう思うのだろうか。つまり、批判の仕方が片手落ちであるとともに、バースデーカードすらまともに贈れない秘書がよい仕事をできるわけがないと、私は言いたい。

 私の経験では、省庁が派遣する首相や大臣付の秘書官とは異なり、議員の政策作りを任せられるほどの政策秘書の人材は見たことがなかったし、現在もそうだろう。つまり、制度ができたからといって、労働条件の不安定な職種に難しいことを任せられるほどの人材はなかなかおらず、3人程度の公設秘書なら、電話番、運転手、選挙の準備、その他の雑用もしなければ事務所が廻らないということなのだ。

5)「あれ女性です」に含まれる“女性”に対する差別的イメージ
 麻生副総理兼財務相は、*1-6のように、自民党麻生派議員の会合で、豊田議員について「①学歴だけ見たら一点の非もつけようのないほど立派だったけど。あれ女性ですよ女性」「②(厚労省の関係者の話として)どこかで引き取ってくれないかと思ったら永田町で引き取ってもらったんですよと(言われた)」「③全国に数多くおります。(2012年衆院選で)119人もの新人が通りましたから、こりゃいろいろいるんです」と述べられたそうだ。

 しかし、①については、「女性ですよ、女性」とは、女性にどういう言動を期待しているのかを追究すべきだ。もし、年上の男性には部下でも目上のような物の言い方をし、ひどいことをされても笑顔でやさしく接し、困ったらよよと泣くことしかできない女性を期待しているであれば、それは古い型の男性の夢想にすぎないとはっきり言っておく。そして、そういう女性こそ仕事ができず、リーダーは勤まらない上、そもそも立派な学歴や職歴は得ていない。また、職場の上司は、男性が部下の父親でないのと同様に、女性も部下の母親ではないのである。

 ②については、官庁には、一見非の打ちどころのない学歴を持った人材が多く、中の人は一人でもライバルが少ない方がよいと考えているため、そういう言い方をする人も少なくはないが、それはライバルの一方的な見方にすぎないだろう。

 さらに、③については、119人もの新人が通ったからいろいろな人がいると言うのなら、多く当選すれば選挙には弱いが政策に強いなどの多様な人が当選しているため、どういう意味でレベルが低いと言っているのか不明だ。そして、未曾有(みぞう)という漢字も読めず、他にも教養が感じられない場面が多く感じられる麻生氏のレベルが高いとは言えず、これなら世襲や金持ちでなければ当選していないが、世襲や金持ちは、年金・社会保障よりも自分と関係の深い株価・贈与税に関心があり、多選されたからといって国会議員として適格性があるわけではない。

 なお、女性にどのようなイメージを持っているのかについては、多分、*1-7のように「(男性に背中を押されなければ)一歩踏み出せない女性」「挑戦しない女性」「女性だけが仕事と家庭の両立に悩まなければならないことを疑問に思わない女性」「やさしいだけで、リーダーの資質のない女性」なのだろうが、こんなことを言われたら、私だって「ふざけるな」と感じる。そして、いくら努力しても、馬鹿な男に女性蔑視を含んだ評価しかされないことが阿保らしいので、優秀な女性から辞めていくのである。

(2)女性への直接差別 → 女性・女系天皇の否定
 天皇陛下の退位を実現するための法案が、*2-2-1のように、2017年6月2日、「女性宮家」創設の検討等を盛り込んだ付帯決議を付けて衆院本会議で可決された。特例法は、皇室典範と一体との位置付けであるが、わざわざおまけのような特例法をつけずに、皇室典範自体を改正した方が、よほどスマートで手間は同じだった。

 そして、*2-2-2のように、退位特例法案は6月9日に参議院でも可決されたが、天皇は男系男子でなければならないとしたのは、今の時代に中途半端な変更だった。何故なら、遺伝子は男女平等に遺伝し、細胞質やミトコンドリアは母親から遺伝するため、女性から遺伝する形質の方が多く、男系男子でなければならないとする理由は全くないからだ。その上、伝統的には皇室の祖神である天照大神は女性で、*2-1のように、明治になってから「日本は男尊女卑の国柄で、女性天皇の夫がその上に位置してしまう」などとして男系男子と定めたもので、これは現在では合理性のない女性への直接差別だからである(「女性」というだけの理由で、機会を奪ったり、昇進を妨げたりすることを、「女性の直接差別」と言う)。

 また、国民は、女性・女系天皇に賛成する人が68%(そのうち男性は賛成72%・反対12%、女性は賛成65%・反対12%)を占めるそうだ。小泉政権下で差別なき女性・女系天皇に賛成の論拠を強く述べていたのは私だが、2005年に政府の有識者会議が女性・女系天皇を容認する報告書を提出し、当時は、女性・女系天皇に賛成する国民が85%を占めていた。

 にもかかわらず、*2-3のように、自民党右派や*2-4の保守系議員は、「男系男子が日本の伝統だ」として女性・女系天皇に反対しているのである。天皇家が男系男子を固辞して理由なき女性への直接差別を行い続ければ、国民が誇りをもって天皇を象徴と考えなくなる日が遠くないにもかかわらず、である。

(3)女性への間接差別
 北海道奥尻町で、*3-1のように、新村町長が前副町長の田中氏を再任するため、同町職員である田中氏の妻に退職を迫ったそうだが、これは、「女性だから」という理由で退職を迫ったわけではなく、「妻が退職しなければ夫を副町長として再任しない」と言って退職させたものであるため、間接差別だ。そして、この種の間接差別は実は多く、退職させられた妻に対する間接差別であると同時に、「妻が働き続ければ副町長にしない」と言われた夫に対しても間接差別しているのである。

 所得が比較的高い町職員の共働きに対して町議が批判したというのも、原因が何であれ、今の時代にあるまじきことで、「(若者に働く機会を譲るため)共働き夫婦のうち夫が昇進した際に妻が辞めなければならない」というのは、男性と変わらず、もしくはそれ以上に頑張って仕事を続けてきた女性に対し、勤労の権利(憲法27条)を侵害している。また、このようにして辞めさせるから、女性管理職や女性リーダーが少なくなるのであり、町役場は介護や保育などの生活に関係する仕事も多いことを考慮すると、この選別の仕方は政策上も問題である。

 また、総務省の調査によれば、*3-2のように、日本の研究者に占める女性割合は2016年3月末時点で15.3%と過去最高だったが、これはロシア40.3%(15年時点)・英国37.4%(14年)・米国34.3%(13年)などの半分以下であり、韓国18.9%(15年)よりも低い。

 日本で理数系の研究者を目指す女性が少ない理由は、日本女性が世界の中でも特に理数系に弱いDNAを持つのでなければ、①理数系はまだ男社会であること ②教育過程でも女性には理数系を勧めない社会の雰囲気があること ③理数系に進んでも、仕事で採用・配置・教育・退職などで女性差別されて自己実現しにくいこと ③そのため、努力とそれによって得られる能力の割に見返りが少ないと女性が判断すること などであろう。

 なお、研究者の方が一般労働者よりも拘束時間に弾力性があるため、出産・育児と研究の両立が難しいことが第一の壁ではない。

<豊田真由子衆院議員への批判に含まれるジェンダー>
*1-1:http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170622/k10011026871000.html (NHK 2017年6月22日) 自民 豊田真由子衆院議員が秘書に暴行か
 自民党の豊田真由子衆議院議員がみずからの元秘書に暴行したなどと週刊誌で報じられたことについて、豊田議員の事務所の関係者は「本人は事実関係を認め、元秘書にそれなりに謝罪はしている」などと説明しました。自民党の豊田真由子衆議院議員は、22日発売の週刊誌で、先月、みずからの政策秘書を務めていた男性に対し、殴ったり、暴言を浴びせたりしたなどと報じられました。これについて、豊田議員の事務所から対応を一任されている、事務所の元事務局長の男性が、22日昼前、東京都内で記者団の取材に応じました。男性によりますと、先月末に豊田議員、元政策秘書と3人で、今回の問題について話し合ったということで、「豊田議員本人は事実関係を認めている。元秘書からは3日間で7回暴力を受けたと聞いていて、腕にあざが残っていた」と説明しました。そのうえで、「豊田議員は元秘書にそれなりに謝罪はしていて、今後もおわびするだけだ。豊田議員とは3日ほど会っていないが、本人はしょうすいしきって困り果てている」と述べました。豊田議員は衆議院埼玉4区選出の当選2回で42歳。厚生労働省の元官僚で、これまでに文部科学政務官などを務めています。
●週刊新潮の報道内容
 22日発売の「週刊新潮」は、自民党の豊田真由子衆議院議員が、今月18日まで政策秘書を務めていた男性に対し、繰り返し殴ったり暴言を浴びせたりしたと報じています。記事は、豊田議員はことし5月下旬、政策秘書を務めていた年上の55歳の男性が運転する車の中で、事務所でのミスを理由に後部座席から繰り返し殴るなどの暴行を加え、顔や背中などにけがをさせたとしています。さらに、男性に対して「死ねば?生きている価値ないだろ」などと人格を否定するような暴言を浴びせたほか、男性の娘を通り魔事件の犠牲者に例えるような発言をしたとしています。一方、記事の中で、男性は警察に被害届を出すことを検討しているとしています。
●事務所関係者「秘書が次々に辞めていく」
 豊田議員の事務所関係者はNHKの取材に対し、事実関係を認めたうえで、「豊田議員はちょっとしたことですぐにどなったり人格否定の発言をする。普通の人が我慢できるレベルではないので、秘書が次々に辞めていく」と話しています。
●豊田議員の暴言・暴力の音声データ
 週刊新潮がツイッターで公開した音声データには、豊田議員が激しい口調で政策秘書だった男性を罵倒しながら暴力を加えていることがうかがえる生々しいやり取りが記録されています。この音声は、先月下旬、男性が運転する車の中での豊田議員とのやり取りを録音したものとされています。音声では、豊田議員が「このハゲー、ちがうだろ、ちーがーうーだろー」と絶叫しています。そして、鈍い音がしたあと、男性の「運転中でもあるので。すみません。たたくのは」という声が続き、運転中の男性に対して豊田議員が暴力を振るったことがうかがえます。これに対し、豊田議員は「お前はどれだけ私の心を叩いてる」「これ以上、私の評判を下げるな」などと大声で怒鳴り返しています。

*1-2:https://mainichi.jp/articles/20170623/k00/00m/020/089000c (毎日新聞 2017年6月22日) ネット音声公開:男性に罵声「違うだろ」 豊田議員か
●40秒のデータには、おびえたような男性の声に、女性の罵声
 豊田真由子衆院議員と当時の男性政策秘書とのやりとりとされる音声が22日、インターネット上で公開された。「このはげ」「違うだろ」。およそ40秒のデータには、おびえたような男性に、女性が罵声を浴びせ続ける様子が記録され、合間には何かをたたくような鈍い音も入っていた。「このはげー!」。週刊新潮が公開した音声は、豊田議員とみられる女性の絶叫から始まる。「すいません」。謝罪する男性に、女性が「ちーがーうーだーろー、違うだろー!」と大声で連呼する。車内でのやりとりなのか、男性は「運転中でもあるので」と懇願するように話すが、女性の叱責は止まる気配がない。

*1-3:http://www.saga-s.co.jp/news/national/10202/440122 (佐賀新聞 2017年6月22日) 豊田議員、園遊会でもトラブル、母親入場させようと
 秘書への暴力行為などを週刊誌に報じられ、自民党本部に離党届を提出した豊田真由子衆院議員(42)が2014年4月、東京・元赤坂の赤坂御苑で開かれた園遊会に出席した際、宮内庁職員らとトラブルを起こしていたことが22日、宮内庁への取材で分かった。本来招待されている配偶者ではなく、母親を入場させようとしたという。宮内庁によると、園遊会では現職の国会議員と配偶者が招待され、母親ら他の家族らの同伴は認められていない。当日、受付の職員が豊田氏に「招待者でない方は入場できない」と説明すると、豊田氏は大声を上げて抗議し、皇宮警察が出動する騒ぎになったという。

*1-4:https://mainichi.jp/articles/20170627/dde/012/070/004000c (毎日新聞 2017年6月27日) 政策秘書のお仕事=福本容子
 「堂々としたハゲはカッコイイ運動」を細々と展開してきた筆者にとって、とりわけショッキングだった。豊田真由子衆院議員が50代の男性秘書に浴びせた「このハゲーー!」。ショッキングなことは暴言、暴行以外にもある。「政策秘書」という被害者がさせられていた仕事だ。週刊新潮の記事によると、豊田議員は、多くの支持者にバースデーカードを贈っていて、その宛名書きなどを部下にさせていた。間違った相手への発送が分かり、議員が謝りに赴く。政策秘書はミスを責められ、同行させられ、運転手をしていた。政策秘書が。彼らはその名の通り、政策の面で議員を支える専門職。昔はいなかった。誕生の背景はというと--。「事務補助員」という名で始まった日本の議員秘書はもともと地位が低いうえ、給料が税金で賄われる公設秘書は議員1人当たり1~2人とさみし過ぎた。これじゃ、いつまでも官僚に政策を握られっぱなし。アメリカの上院議員なんか、1人に平均30人以上のスタッフがいて、法案作りのプロから広報、雑用係のインターンまで、仕事が細分化されている。日本はあんまりだ、となって、1993年の法改正で、政策に専念する政策秘書の設置が決まった。年齢や勤続年数にもよるけれど、年収は1000万円にもなる。議員が直接の上司だけど、給料は税金だから、あなたや私に雇われている。その国会議員の政策能力アップに欠かせない人材が、運転手やバースデーカードのお手伝いをさせられていた。さて、豊田さんのとこだけ?政治アナリストの伊藤惇夫さんに聞いてみたら、「国会議員の政策秘書の多くが、電話番や運転手、その他雑用係をさせられている。実際の仕事と本来の仕事には、大幅なズレがあります」って。ズレは採用面でも。本来は難しい試験に合格した専門家のはずが、抜け道があり、実際は政策のプロでも何でもない人がいっぱいらしい。政策重視の議員が増えるのが先か、政策通の秘書が先か。答えは、どっちも。議員の数を減らしてでも本来の政策秘書を10倍くらいにする。彼らを立派に使いこなせない人は当選させない。絶叫を非難して終わり、じゃ変わらない。

*1-5:http://www.saga-s.co.jp/news/national/10201/441635 (佐賀新聞 2017年6月28日) 豊田氏元秘書が暴行被害相談
 秘書への暴行問題で自民党に離党届を提出した豊田真由子衆院議員(42)=埼玉4区=の秘書を務めていた50代男性が27日、豊田氏から暴行を受けたとする被害について埼玉県警に相談した。捜査関係者への取材で分かった。県警は暴行や傷害事件の可能性もあるとみて慎重に捜査する。先週発売の「週刊新潮」によると、豊田氏は5月、当時政策秘書だった男性が車を運転中に後部座席から罵声を浴びせ、頭や顔を数回殴ってけがを負わせた。「はげ」「死ねば」といった暴言も吐いたという。事務所関係者は、男性が高速道路の出入り口を間違ったことなどから豊田氏が激高したと説明。5月19~21日に計7回、男性の顔などを殴ったという。豊田氏は男性に直接謝罪したとしている。

*1-6:https://mainichi.jp/articles/20170625/k00/00m/010/119000c (毎日新聞 2017年6月25日) 麻生財務相:離党届の豊田氏「あれ女性です」 派閥会合で
 麻生太郎副総理兼財務相は24日、新潟県新発田市で開かれた自民党麻生派議員の会合で講演し、秘書への暴行問題で離党届を提出した豊田真由子衆院議員について「学歴だけ見たら一点の非もつけようのないほど立派だったけど。あれ女性ですよ女性」と述べた。豊田氏が議員になる前に勤めていた厚生労働省の関係者の話として「どこかで引き取ってくれないかと思ったら永田町で引き取ってもらったんですよと(言われた)」と語った。豊田氏を含め、不祥事が続出する自民党の衆院当選2回生に関し「全国に数多くおります。(2012年衆院選で)119人もの新人が通りましたから、こりゃいろいろいるんです」と指摘した。

*1-7:http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201703/CK2017030602000206.html (東京新聞 2017年3月6日) 女性活躍テーマにシンポ 経営者ら交流 一歩踏み出せば、新しい景色見えてくる
 女性活躍をテーマにしたシンポジウム「みんなで一歩踏み出そう!」が五日、東京都内で開かれた。男女平等推進団体「LEAN IN TOKYO」(鈴木伶奈代表)の主催。学生や社会人ら約三百五十人が参加し、経営者や管理職の女性らと交流した。「LEAN IN」は「一歩踏み出す、挑戦する」との意味で、米フェイスブックのサンドバーグ最高執行責任者(COO)の著書に由来。女性が挑戦してキャリアを積むことをテーマにした本で、彼女の考えに共鳴した鈴木さんらが昨年三月に同団体を設立した。冒頭、独自動車部品大手ボッシュ日本法人副社長の森川典子さんが、商社勤務を経て米国へ留学し、国内外の企業で働いた経験を振り返り、「自分の可能性にふたをしない。ふたをしているのは他人や周りではなく、自分自身。覚悟を決めて一歩踏み出せば、新しい景色が見えてくる」と訴えた。続くパネルディスカッションでは、管理職の女性らから「女性に働きやすい会社は男性も働きやすい。人口減少の中、(男性だけという)人口の半分で勝負したいですかと言いたい」「男女にかかわらず、国籍や能力など多様な方が成長できる」などの意見が出た。会場の参加者らは「仕事と家庭の両立に向けて準備すべきことは何か」「優秀な女性から辞めていく。どうしたらいいか」などと質問していた。

<直接差別の事例:女性・女系天皇の否定>
*2-1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20170628&ng=DGKKZO18191360X20C17A6CR8000 (日経新聞 2017.6.28) 危うき皇位継承(2)「男系男子」は明治から
 近世まで皇位継承には成文化されたルールはなかった。古代から継承の危機は何度もあったが、厳格な枠がないゆえに柔軟に対応できたともいえる。明治期、近代国家の成立と共に歴史上初めて皇位継承の「枠組み」づくりが行われた。1876年(明治9年)に元老院が作成した第1次の「国憲」草案は継承の順序について「男は女に先ち」と男性を優先しながらも女性にも皇位継承を認めていた。79年の第3次草案も「もし止(や)むことを得ざるときは、女統入て嗣(つ)ぐことを得」としている。85~86年ごろに宮内省が立案した「皇室制規」は「皇族中男系絶ゆるときは、皇族中女系を以(もっ)て継承す」としていた。このころまで男系継承は絶対の原則という共通認識はなかったといえる。これに猛然と異を唱えたのが法務官僚の井上毅だった。井上は総理大臣兼宮内卿だった伊藤博文に提出した「謹具意見」で「女性に参政権がないのに最高権力を持つ天皇が女性であることは矛盾」「女性天皇の子は夫の姓を継ぐため、皇統が他に移る」などと女系容認を批判した。井上が論拠としたのが自由民権結社「嚶鳴(おうめい)社」が82年に主催した「女帝を立てるの可否」という討論だった。女性天皇の賛否はほぼ同数であったが、「日本は男尊女卑の国柄で、女性天皇の夫がその上に位置してしまう」という懸念は一致していた。歴史や伝統よりも、当時の社会状況が影響していた。89年(明治22年)2月11日、井上の意見を入れて第1条を「大日本国皇位は祖宗の皇統にして男系の男子、之(これ)を継承す」とした皇室典範が、明治憲法発布と同時に非公式に発表された。皇室制度に詳しい小田部雄次静岡福祉大教授は「皇位が男系でつながってきたのは確かだが、明治になって『男系男子』という枠を初めてつくって、天皇は男にしか務まらないようにした。当時は女性の社会的地位が低く、女性中心の社会に抵抗があった」と言う。皇室史をよく知る宮内庁関係者は「皇室の歴史はまず事実があって、それが慣習として続けられてきた面がある。古来、男系の原則があったなら、明治期に女系容認案がつくられなかったはずだ」と話す。そして「天皇家が他姓になるというのは理解しがたい。皇室はもともと姓がないのだから、婿入りしてきた人も姓がなくなる」と明治期の女帝否定論に疑義を示す。近代以降の皇室制度は皇位継承に窮屈な服を着せてきたともいえる。小田部教授は「飛車を守って王を捨ててしまう発想はおかしい。世襲が王、男系が飛車だ。男系に固執すると世襲制そのものがダメになってしまう」と警鐘を鳴らしている。
▼男系と女系 男系継承は男性のみで相続が続いていく観念。女性に相続権はなく、「継承の袋小路」とされる。男性天皇の皇女は男系女子で、その子以降は女系になる。現在の皇太子さまの長女、愛子さま、秋篠宮家の眞子さま、佳子さまは男系女子で、悠仁さまは男系男子。男系(父系)継承は古代中国の宗族制度の影響といわれる。この制度では結婚後も男女ともに父系で受け継いだ姓を名乗る。

*2-2-1:http://qbiz.jp/article/110880/1/ (西日本新聞 2017年5月31日) 退位法案、6月1日に衆院委採決 与野党、付帯決議も
 衆院議院運営委員会は31日、理事会を開き、天皇陛下の退位を実現する特例法案を審議する議運委を6月1日に開催し、法案を採決する日程を決めた。自民、公明、民進3党が30日に合意した付帯決議案も可決される見通し。特例法案は6月2日の衆院本会議で可決され、参院に送付される方向だ。6月1日の議運委では、自民党の茂木敏充政調会長、民進党の馬淵澄夫・党皇位検討委員会事務局長、公明党の北側一雄副代表らが質問に立つ予定。菅義偉官房長官が特例法案の趣旨説明を行う。特例法案は、皇位継承の在り方を定めた皇室典範と一体との位置付け。

*2-2-2:http://digital.asahi.com/articles/ASK672TFWK67UTFK004.html (朝日新聞 2017年6月7日) 退位特例法案、参院特別委で午後可決へ 9日に成立
 天皇陛下の退位を実現するための特例法案は7日午後、参院の特別委員会で審議入りした。即日可決される。特別委は、政府に「女性宮家の創設等」の検討を求める付帯決議を、衆院の委員会と同じ文言のまま可決する予定だ。法案は9日の参院本会議で可決・成立する。天皇が終身在位制となった明治以降では初めてとなる退位に向けて、政府の準備が本格化する。審議には参院の正副議長も出席。菅義偉官房長官の法案の趣旨説明後、8会派の代表者の質疑が始まった。菅長官は「法案の作成に至るプロセスやその中で整理された基本的な考え方は将来の先例になり得る」と答弁し、改めて特例法案による対応が将来の先例になる可能性に言及した。法案は2日に衆院を通過。審議した衆院議院運営委員会では「安定的な皇位継承を確保するための諸課題、女性宮家の創設等」について、政府に「法施行後速やかに」検討するよう求める付帯決議も可決された。参院自民内では、女性宮家に反対する保守系議員に修正を求める動きもあったが、「参院の正副議長も入って確認された付帯決議は非常に重い」(尾辻秀久・特別委員長)として、参院側も同じ文面になる。

*2-3:https://mainichi.jp/articles/20170525/k00/00m/010/021000c (毎日新聞 2017年5月24日) 毎日新聞調査:女性天皇賛成68%
 毎日新聞の全国世論調査で女性天皇への賛否を聞いたところ、賛成が68%で反対の12%を大きく上回った。安倍政権は女性天皇や、父方が皇族でない女系天皇に消極的だ。世論との食い違いが際立っている。男性は賛成が72%、反対が12%。女性は賛成が65%、反対が12%で、男性のほうが賛成が多い。内閣支持層でも68%が賛成した。女性・女系天皇については、小泉政権下の2005年に政府の有識者会議が容認する報告書を提出している。05年12月の毎日新聞の全国世論調査では女性天皇に賛成する意見が85%だった。秋篠宮ご夫妻に長男悠仁さまが誕生した直後に実施した06年9月の調査では72%に減少したが、女性天皇への賛成論は根強い。天皇陛下と皇后さまに対してそれぞれ、どんな感じを持っているかも尋ねた。陛下に対しては多い順に「尊い」が30%、「親しみ」が20%、「好感」が17%。皇后さまに対しては「親しみ」が27%、「好感」が22%、「尊い」が20%だった。両陛下は公務ではともに行動されることが多いが、天皇陛下に対しては尊敬が強い一方で、皇后さまに親しみを感じている。調査は4月22、23日、全国の有権者を対象に電話をかける方法で実施した。

*2-4:http://www.jiji.com/jc/article?k=2017052300453&g=soc (時事 2017/5/23) 女性宮家に反対=保守系議連
 超党派の保守系議員でつくる「日本会議国会議員懇談会」は23日、皇室制度プロジェクト(座長・衛藤晟一首相補佐官)の会合を参院議員会館で開き、天皇陛下の退位を実現する特例法案の付帯決議をめぐり議論した。民進党が求めている「女性宮家」創設の検討明記について、出席者からは「皇位安定継承の唯一の道ではない」などと反対論が相次いだ。座長代行の柴山昌彦首相補佐官は終了後、「女性宮家が議論の最初に出てくるのはおかしいとの認識を共有した」と記者団に語った。

<女性への間接差別>
*3-1:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/425385 (佐賀新聞 2017年4月28日) 共働きの妻退職し、副町長再任 北海道奥尻町
 北海道奥尻町の新村卓実町長(64)が前副町長の田中敦詞氏(58)の再任へ、町職員である田中氏の妻の退職を迫った問題で、奥尻町議会は27日、妻が退職願を出した後、改めて町が提出した田中氏の再任案に全会一致で同意した。所得が比較的高い町職員の共働きに対する一部町議の批判を町長がくみ取った形で、専門家から「退職の強要や男女差別に当たる」と批判が出ていた。妻は今月、退職願を提出し、9月末に退職する予定。3月29日で任期満了だった田中氏の再任案は、同10日の町議会では反対多数で不同意とされ、新村町長が田中氏に妻の退職を迫っていた。新村町長によると、若者に働く機会を譲るため、共働き夫婦のうち夫が昇進した際に妻が辞めるケースが町にはあるといい、田中氏に「町議から批判があるので理解してほしい」と話したという。田中氏の再任を不同意とした議会を欠席した町議は「批判する町議も悪いが、町特有の事情もあり、仕方がない」としている。

*3-2:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20170506&ng=DGKKZO16056990V00C17A5EA1000 (日経新聞 2017.5.6) 15.3% 女性研究者、日本は最低水準
 総務省の調査によると、日本の研究者のうち女性が占める割合は2016年3月末時点で15.3%だった。過去最高となったが、主要国の中では依然として最低水準だ。ロシアの40.3%(15年時点)や英国の37.4%(14年)、米国の34.3%(13年)などの半分以下で、韓国の18.9%(15年)よりも低い。文部科学省によると、託児所の増設や公教育の充実などが欧米に比べて遅れており、出産や育児と研究との両立が難しいことが壁になっている。研究者を目指す女性も少なく、博士課程に在学する女性の割合は約30%にとどまる。理系の女性が「リケジョ」と呼ばれるなど注目を集めているが、日本での女性研究者の進出はまだ途上にある。国は20年度までに、新規採用に占める女性研究者の比率を30%に高める目標を掲げている。科学界に女性を根づかせるには、採用した後も女性研究者が活躍できる環境の整備が欠かせない。


<各国のジェンダーギャップ指数>
PS(2017年7月1、2日追加): *4-1に書かれているとおり、世界経済フォーラムの2016年の「ジェンダーギャップ報告書」によれば、日本の男女格差は世界144カ国中111位で、前年と比較して10位も落ちた。分野別では、政治分野103位、経済分野118位、教育分野76位(高等教育103位)、健康分野40位で、特に女性国会議員比率は122位と極めて低い。日本政府は、2015年12月25日に第4次男女共同参画基本計画を閣議決定し、2015年8月28日には女性活躍推進法を制定したが、我が国の性別役割分担意識に基づく社会制度や慣行は、職業のみならず社会のあらゆる分野にはびこっているため、男女平等教育、国・地方自治体・民間企業における積極的差別是正措置の導入、税・社会保障制度におけるモデル世帯の見直し等の取組が必要だ。
 なお、日本より下には、サウジアラビアはじめイスラム教国が多く、イスラム教国における女性の地位は非常に低くて、*4-3のような宗教を根拠とする女性への人権侵害が散見される。そのため、*4-2のように、石油に頼らない国づくりを目指す経済・社会改革の司令塔である新皇太子には、石油化学製品・化学繊維・ファッションや農業・食品産業をサウジアラビアで進めるため、女性を含めて宗教以外の科学教育を通じた人材づくりと職業創出をしてもらいたい。そして、それらの産業の担い手には、女性を含んだ方がサウジアラビアをより大きな成長に導く上、そうすることによって女性の地位も上がる。さらに、アフリカを含むイスラム教国も、なるべく早い時期に、現代の女性の地位に関する国際標準である女子差別撤廃条約(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/josi/index.html 参照)を締結するのがよいと考える。

   

(図の説明:一番左の2016年ジェンダーギャップ指数で日本は111位となり、右から2番目の図のように、「すべての女性が輝く社会づくり」をしたのに順位は下がった。これは、他国の努力と成果が日本よりも大きいからである。また、左から2番目の図のように、日本は「経済活動参加と機会」「政治的権限付与」が特に悪い。日本と同じかそれよりも女性の地位が低いのは、一番左と一番右の図のように、パキスタン・サウジアラビア・イラン・エジプト・トルコ・クウェート・アラブ首長国連邦などのイスラム教国とアフリカだ)

*4-1:http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2016/161114.html (日本弁護士連合会会長 中本和洋 2016年11月14日) 世界経済フォーラムのジェンダーギャップ指数に対する会長談話
 世界経済フォーラム(WEF、本部・ジュネーブ)は、2016年10月26日、2016年の各国の男女平等度を指数化した「グローバル・ジェンダー・ギャップ報告書」(以下「ジェンダーギャップ報告書」という。)を発表した。同フォーラムは、毎年1月、スイスのダボスにおいて、世界各国の政財界のリーダーや学者らが参加して年次総会を開催する権威ある国際機関である。同報告書において、日本は、男女格差を示す指数において、世界144か国中111位となり、145か国中101位であった2015年に比べ、順位を10位落とした。分野別の順位は、政治分野103位、経済分野118位、教育分野76位、健康分野40位であり、特に政治分野では、女性の国会議員比率が122位と極めて低い。また、経済分野では、労働参加、賃金、所得、昇進、専門職・技術職の全ての項目で低迷し、総合順位は、2015年と比較して106位から118位へと大きく落ち込んだ。教育分野の順位が低いのは、高等教育が103位だったためである。日本政府は、平成27年12月25日に第4次男女共同参画基本計画を閣議決定し、「女性の活躍を阻害している要因」について、「固定的な性別役割分担意識、性差に関する偏見や様々な社会制度・慣行がある」と分析し、長時間労働、転勤、年功序列等の男性中心型労働慣行の見直し、女性の政治分野や科学技術分野への参画推進などに取り組むとした。そして、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(女性活躍推進法)を制定し、国、自治体、民間企業に対し、数値目標を盛り込んだ行動計画の策定、公表等を義務付けた(従業員300人以下は努力義務)。しかし、上記法律を実効的なものとするためには、前記労働慣行の見直しを具体化する措置をはじめ、同一価値労働同一賃金原則の確立、間接差別の禁止拡大、コース別雇用制度の見直し等の法的措置が必要である。また、我が国における固定的な性別役割分担意識に基づく社会制度・慣行は、職業生活のみならず、社会のあらゆる分野にはびこっており、その見直しには、男女平等教育、国、地方自治体、民間企業における積極的差別是正措置の導入、税・社会保障制度におけるモデル世帯の見直し等、幅広い取組が不可欠である。当連合会は、日本政府に対し、ジェンダーギャップ報告書の順位及び指数について誠意をもって受け止め、男女間の格差解消を引き続き優先課題とし、積極的に取り組むとともに、上記社会制度・慣行に広く目を向け、より実効性のある具体的措置及び施策をとるよう求めるものである。当連合会も、あらゆる分野の男女間の格差解消と実質的平等の実現に向けて、実効的な立法措置や諸施策の提言を引き続き行うとともに、当連合会内の男女共同参画の取組を推進していく所存である。

*4-2:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20170623&ng=DGKKZO18008810S7A620C1EA1000 (日経新聞社説 2017.6.23) 新皇太子はサウジを変えるか
 サウジアラビアの皇太子に、サルマン国王の息子であるムハンマド副皇太子が昇格した。31歳の若さながら、すでに強大な権限を持つ実力者に、王位が引き継がれる道筋が整った。サウジは中東・イスラム世界の盟主であり、世界有数の石油産出国だ。若き指導者がサウジを成長に導く改革を前進させることに期待したい。同時に周辺国との対立を避け、中東の安定実現へ責任ある役割を果たすことが重要だ。ムハンマド皇太子は2015年に王位継承順位で2位の副皇太子に就いた。80歳を超す国王の下で、外交・安全保障から経済・石油政策まで幅広く取り仕切る。サウジは石油に頼らない国づくりを目指す経済・社会改革を進める。皇太子はその司令塔だ。国丸抱えの教育や福祉からの決別など、慣行にとらわれない大胆な改革は一人に権限を集中させたからこそ踏み出せたと言える。国民や王族に痛みを強いる改革は不満を生む。早期に成果を示す必要がある。皇太子昇格で権力基盤がさらに強固になれば、改革の速度は上がるだろう。一方、皇太子が主導する外交・安全保障政策には懸念を抱かざるをえない。国防相を兼任する皇太子はイエメンへの軍事介入を決め、イランとの断交を主導した。サウジと同じアラブ湾岸産油国の一員であるカタールとの断交にも、彼の意向が強く働いているとされる。イランやカタールとの対立は中東の緊張を高めている。サウジとイランは石油輸出国機構(OPEC)の中核国だ。カタールは液化天然ガス(LNG)の世界最大の生産国である。ペルシャ湾の混乱は世界経済を不安定にする。日本にとってサウジは最大の原油調達先だ。皇太子も新婚旅行先に日本を選ぶなど、日本のファンだという。日本はイランやカタールとも緊密な関係にある。サウジの脱石油改革に積極的に協力すると同時に、地域の緊張緩和へ橋渡し役を務めることができるはずだ。

*4-3:https://www.cnn.co.jp/world/35040761.html (CNN 2013.12.2) 女性2人が抗議の車運転、警察で一時拘束 サウジ
 サウジアラビアの首都リヤドで、女性による車の運転解禁を求めてハンドルを握っていた女性と同乗者の女性が一時、当局に拘束された。本人たちの話によると、拘束されたのは車を運転していたアジザ・アルユセフさんと同乗者のエマン・アルナフジャンさん。11月29日に運転しているところを見とがめられて停車させられ、警察署で数時間にわたって拘束された後、それぞれの夫に引き渡されたという。アルナフジャンさんは、ブログやツイッターを通じて女性が運転する権利を訴えていて、女性に抗議の運転を呼びかけた10月26日のキャンペーン提唱者の1人でもある。「私たちは警察を探し、わざと警察署の前を通りかかった」と打ち明け、政府が容認するまで待つのはもううんざりだと話している。この件について、リヤドの警察は取材に応じていない。一方、アルユセフさんは、交通警察や秘密警察などが現場に召集されたことから、当初は刑務所に収監されるかもしれないとの不安に駆られたと話す。しかし警察署に着くころには物々しい雰囲気は解消されていたという。迎えに来た夫は、アルユセフさんに二度と運転させないという誓約書に署名を求められ「どうしたらそんなことができるんだ? 私には妻の運転を止められない。それができるのは神のみだ」と冗談を言いながら署名したという。その後アルユセフさんは釈放された。女性の運転する権利を認めていない国は世界の中でもサウジアラビアのみ。法律で禁止しているわけではないが、宗教令の解釈を根拠として禁止を強要している。

<「女性は仕事の経験が少ない」という先入観を利用した評価も間接差別である>
PS(2017年7月7、28日追加):*5-1のように、「①九州の豪雨で自衛隊が災害派遣されて現地で人命救助などにあたっていた最中に、稲田防衛相が勉強会に出席していた」「②仕事を知らない(TVのコメンテーター)」などと非難している人がいたが、①については、自衛隊は、一度出動を命じれば防衛大臣が防衛省に張り付いていなくても必要な仕事ができ、携帯電話も通じているため、いいがかりである。また、被災地域のうち福岡県は主に麻生副総理兼財務大臣、大分県は主に衛藤元衆議院議長の地元であり、麻生副総理が必死で対応に当たっているのが報道されていたため、問題ないと思われる。さらに、②については、女性は誰でも専業主婦しかしたことがなく、自分より仕事を知らないと思って女性を侮っている男性の的外れの見解だ。
 なお、稲田防衛相は、私が「長子相続として女系天皇を認めるべき」と主張していた時、私に「あなたは知らないから、そんなこと言っているんでしょ。私は知ってるから反対なのよ」と言われたことがあり、何を知っていると反対になるのか疑問に思ったが(称徳天皇と道鏡に関する定番の女性蔑視を含んだ古い逸話のことか?)、教育勅語を肯定したり、女系天皇に反対したりなど、信念が極右なのが問題なのである。
 また、昨日、*5-2のように、稲田防衛相がPKO日報問題で混乱があったとして引責辞任されたが、稲田氏は率先して隠蔽する人ではないため、大臣を辞任させて政権を倒すことを目的として、この問題は追究されているようだ。また、「自衛隊を統率できなかった」と言うのであれば、通行人にすぎない大臣は男女を問わず殆どがそうであり、引責辞任は何が悪いのか悪くないのかを隠蔽するので、むしろ問題だ。さらに、自衛隊の南スーダン派遣は、自衛隊法第84条の4第2項第4号及び国際平和協力法に基づき、国連南スーダン共和国ミッション (UNMISS) として2011年7月8日に行われ、派遣を決定したのは民主党政権であり、既に派遣された自衛隊の近くで戦闘があったことを公表できなかったのであるため、この派遣や派遣するための判断基準自体が正しいか否かを議論しなければ根本的解決にはならない。

*5-1:http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS06H5K_W7A700C1PP8000/ (日経新聞 2017.7.7) 防衛省、政務三役が一時不在に 自衛隊の災害派遣中
 九州北部での記録的な豪雨に政府を挙げて対応していた6日、防衛省の政務三役が一時、そろって同省を不在にした。自衛隊は災害派遣され、約1600人の自衛隊員が現地で人命救助などにあたっている最中だった。不在だったのは稲田朋美防衛相が同省を離れた午前11時50分ごろから、小林鷹之防衛政務官が戻った午後0時30分ごろまでの約40分間。稲田氏は不在について「政務として、民間の方々との防衛政策に関する勉強会に出席した」と説明した。菅義偉官房長官は記者会見で「政務三役は随時連絡を受けて速やかに戻れる態勢だった。問題はない」と話した。石破茂前地方創生相は記者団に「あってはならないことだ。防衛の仕事は5分、10分の遅れが思わぬ結果を引き起こすことがある。近くにいたから問題ないということにはならない」と批判した。

*5-2:http://digital.asahi.com/articles/DA3S13059472.html (朝日新聞 2017年7月28日) 稲田防衛相、辞任へ PKO日報問題、引責 黒江防衛次官も きょう監察結果
 南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に派遣された陸上自衛隊の部隊が作成した日報問題で、稲田朋美防衛相(58)は27日、引責辞任する意向を固め、安倍晋三首相に伝えた。陸自の岡部俊哉陸上幕僚長も辞任する意向を固めており、黒江哲郎防衛事務次官も辞任する見通しだ。稲田氏は28日、記者会見を開いて日報問題をめぐる特別防衛監察の結果を公表し、正式に辞任を表明する。首相官邸幹部によると、安倍首相は28日にも稲田氏の辞表を受理。8月3日にも行う内閣改造まで、首相が防衛相を兼務する方向で調整する。稲田氏が辞任すれば、2012年の第2次安倍内閣の発足以降、閣僚の辞任は6人目となる。稲田氏は、首相が「将来のリーダー候補」として重用し、自民党政調会長から昨年8月の内閣改造で防衛相に抜擢(ばってき)した。だが、日報問題をめぐる混乱や、都議選の応援演説で「防衛省、自衛隊、防衛大臣、自民党としてもお願いしたい」と発言するなど防衛相としての資質が再三にわたって問題となり、野党は罷免(ひめん)を要求。そのたびに首相がかばってきたことから、今回の引責辞任で首相の任命責任も厳しく問われそうだ。政府関係者によると稲田氏は27日夕、首相官邸で首相と約30分間会談した際、辞意を伝えた。防衛相として実施を指示した特別防衛監察の結果がまとまり、日報問題には一定のメドがついたと判断し、辞任を決断したとみられる。首相も、内閣改造に合わせて交代させる考えだったが、世論の批判の高まりもあり辞意を受け入れたようだ。南スーダンPKOに派遣された陸自部隊の日報には、昨年7月に現地で「戦闘」があったなどと記されていた。だが、ジャーナリストからの情報公開請求に対し、防衛省は「陸自内で廃棄済み」としていったん不開示を決定。再調査の結果、12月末になって自衛隊の運用を統括する統合幕僚監部で電子データが見つかり、今年2月上旬に該当部分を含む日報の内容を公表した。防衛省・自衛隊の「組織的な隠蔽(いんぺい)」疑惑が浮上したことから、稲田氏は3月中旬に特別防衛監察を指示。この監察に対し、陸自側が「2月中旬の幹部会議で稲田氏に、陸自内での日報データの保管について報告した」などと説明し、組織的隠蔽に稲田氏の関与が取りざたされる事態となった。稲田氏は国会答弁で「報告されなかった」と述べており、虚偽答弁に当たる可能性も指摘されてきた。

<結婚で実績の継続性を遮断するのも間接差別になる>
PS(2017年7月28日追加):特許庁が「希望する全職員に結婚後も旧姓使用を認める」としたのはよいことだが、遅すぎた感がある。そのため、法務省・外務省・財務省・金融庁・総務省・厚労省・宮内庁などの省庁や地方自治体が率先してこれを行えば、旧姓使用に対する理解を進ませ、旧姓を使用している人が不利に扱われる状況を改善することができると考える。なお、日本公認会計士協会は、私が選択的夫婦別姓を中地会長に提案し、20年くらい前から、*6-2のような旧姓使用を認めている。税理士会は最近認めたのだが、運転免許証・パスポート・金融機関・健康保険等では旧姓使用が認められていないため、煩雑さを生じさせているわけだ。

*6-1:http://www.saga-s.co.jp/news/national/10212/450104 (佐賀新聞 2017年7月28日) 特許庁、旧姓の使用を容認へ、希望する全職員、9月から
 特許庁は28日、女性の活躍を推進するため、庁内の希望する全職員に対し、結婚後も旧姓使用を認めると公表した。中央省庁での全面的な導入は初という。9月から始める。

*6-2:https://www.hp.jicpa.or.jp/app_kaigyo/kyusei_siyou.pdf;jsessionid=F1403A4CAA2D10762002C6973A7656CC  (公認会計士協会) 旧姓使用申請手続等について
 公認会計士、会計士補、外国公認会計士及び特定社員は、婚姻、離婚、養子縁組又は離縁その他事由により戸籍簿に記載された氏に変更があるとき、次の申請手続により婚姻等による変更前の氏を業務の遂行において使用することができます。
<申請書類>
旧姓使用申請書(様式第1 号)
添付書類:旧姓が記載されている戸籍(除籍)抄本又は登録原票記載事項証明書
※申請書の氏名欄は、登録名簿上の戸籍名を記載してください。
<旧姓使用に当たっての留意事項>
・旧姓とは、婚姻等による変更前の氏で、旧姓使用を申請する公認会計士等の戸籍簿に記載
 されたことのある氏で本人が選択したものをいい、直前の氏や、公認会計士等として登録
 されたことのある氏に限られていません。
・公認会計士、会計士補、外国公認会計士及び特定社員が旧姓使用を申請するに際しては、
 旧姓使用の許可を得た後には、法令等に別段の定めのある場合を除き、業務の遂行におい
 て常に旧姓を使用しなければならないため、勤務先の了承を得る必要があります。
・旧姓使用が認められても開業登録及び変更登録の申請は、登録名簿が戸籍名であること
 から戸籍名で申請することになります。
・監査報告書等の署名、事務所看板、名刺、名入り封筒等は、旧姓を使用することになります。
・旧姓が使用できるのは、旧姓使用許可通知書に記載された許可年月日からとなります。
・旧姓使用の許可を得た後に、旧姓名と戸籍名とを随時使用するなど旧姓使用に支障がある
 ときは、登録審査会の審査を経て、旧姓使用の許可を取り消す場合があります。
・本会からの事務所又は自宅に送付される郵送物等は全て旧姓名となります。特に、ご自宅を
 送付先とされている場合、郵便物等が旧姓名で届くかご確認ください。
・会員及び準会員に配付する会員名簿は、旧姓のみの表記となります。
・離婚等により戸籍上旧姓に戻った場合には、直ちに、旧姓使用を廃止する必要があります。
・会計士補又は準会員から公認会計士に資格変更した場合は、再度旧姓使用の許可を得る
 必要があります。 

<山尾議員の不倫“疑惑”>
PS(2017年9月9日追加):*7-1のように、メディアが「不倫“疑惑”」で議員の政治生命を危うくするのは男女を問わず珍しくないため、議員の方は、「李下に冠を正さず」の厳重注意が必要になる。そして、山尾衆院議員の場合は、母親としてのキャリアを使って保育園の不備や働き方改革の不備を指摘していただけに、*7-2の倉持氏の主張のように、「私の事務所や山尾議員の会館事務所、その他会食を交えながらなどの打ち合わせが常態的で、私の自宅で作業や打ち合わせを行う場合もあり、これらの作業や打ち合わせは深夜に及ぶこともあった」というのが本当なら、保育園以前に親の責任を果たしていないと思われる。もちろん、弁護士や国会議員・行政官は徹夜に近い形で仕事をすることも多いため、当事者にとっては別に変わったことはなかったのかも知れないが、子どもの立場から見ると「生んだからには、私と話す時間も確保して欲しい」という状態だろうし、本当に男女関係がなく誤解にすぎないのなら、離党せず、理由を説明してきっぱり否定するのが自分と家族のためだったと思われる。

*7-1:http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2017090902000163.html (東京新聞社説 2017年9月9日) 山尾氏離党 民進党よ、しっかりしろ
 民進党新体制の発足早々なぜこんなことになったのか。山尾志桜里衆院議員の離党。政権を担う覚悟を全党で共有しているのかと疑いたくなる。言わねばならない。「民進党よ、しっかりしろ」と。離党のきっかけは、七日発売の週刊文春で報じられた、山尾氏と既婚男性との交際疑惑である。大島敦幹事長に離党届を提出した後、山尾氏は記者団に文書を読み上げ「誤解を生じさせる行動で迷惑をかけ、深く反省しておわびする。臨時国会の論戦に今回の混乱を持ち込むことは、さらなる迷惑をかけることになると判断した」と理由を説明した。国会質問では、保育園に子どもを預けられない母親の窮状を訴えた「保育園落ちた日本死ね」という匿名ブログを取り上げて安倍晋三首相を追及。政府が待機児童問題の深刻さを認識し、対策に本腰を入れるきっかけとなった。その後、当選二回ながら政調会長に登用されるなど、民進党のみならず政界の将来を担うべき有為な人材である。その山尾氏が代表選直後に離党に追い込まれたことに、失望している人たちは多いのではないか。特に、子育て世代には「裏切られた」との思いもあるようだ。個人的な問題と政治活動は別だとの声がないわけではない。しかし、そもそも誤解を生じさせるような行動を、民進党の再生を期すべき重要な時期にしていたことは軽率の極みである。常日ごろは説明責任を果たせ、と安倍政権に迫りながら、記者からの質問を一切受け付けなかった対応にも不信感が残る。前原誠司新代表は、山尾氏の幹事長起用を一度は決めながら、男性との交際疑惑を報道前に知り、撤回した。党の要である幹事長自身が疑惑にさらされる事態は避けられたが、前原新体制の船出はかなり厳しいものになるだろう。早ければ九月下旬には臨時国会が始まり、安倍政権と本格的な対決が始まる。十月二十二日には衆院三選挙区で補欠選挙、来年十二月までには衆院選がある。再び政権交代を果たすには時間を要するだろうが、民進党がその足掛かりを築くには、失墜した党への信頼を回復することが前提だ。もはや甘えは許されない。自民党に代わる政策や理念の選択肢を示すのは国民のためだ。議員に限らず民進党にかかわるすべての人が、その決意を今後の政治行動で示すべきである。それができないのなら民進党に存在意義はない。

*7-2:http://www.sankei.com/politics/news/170908/plt1709080007-n1.html (産経新聞 2017.9.8) 交際相手とされた倉持麟太郎弁護士のコメント全文 「男女関係なかった」 ― 平成29年9月7日 倉持 麟太郎
民進党に離党届を出した山尾志桜里衆院議員との不倫疑惑報道をめぐり、交際相手とされた倉持麟太郎弁護士は7日夜、「男女関係はなかった」などとするコメントを発表した。全文は以下の通り。
   ◇
 本日発売の週刊誌報道に際し、依頼者の皆様、顧問先会社の皆様、日頃より若輩の私をご指導いただいております皆様をはじめ、多くの方々に多大なご迷惑をおかけして誠に申し訳ございませんでした。私は、本件記事に記載の山尾志桜里議員に対して、予算委員会、法務委員会等各種委員会及び憲法審査会等において、憲法問題を中心に共謀罪(改正組織犯罪処罰法)、雇用・労働問題等々で、極めて幅広い政策分野において、政策ブレーンとして具体的な政策の立案・起案作業及び質問や法案等作成作業をかなり詳細にサポートさせていただいておりました。上記政策立案及び質問作成等の打ち合わせ及び作業のため、日常的に山尾志桜里議員と頻繁なコミュニケーション及び連携をしており、当該作業や打ち合わせは山尾志桜里議員と1対1の場合も、他の外部有識者を加えた複数名のものもございました。場所は、私の事務所や山尾志桜里議員の会館事務所その他会食を交えながら等という形態が常態的であり、私の自宅で作業や打ち合わせを行う場合もありました。これらの作業や打ち合わせは、深夜に及ぶこともございました。山尾志桜里議員との間に男女関係はありませんが、結果的に誤解を生じさせるような状況があったことについて、深く反省しております。あわせて、本件で多大なる迷惑をかけた妻、子及び家族に対して心からの謝罪をしたいと思っております。最後に、私の行動で、皆様に誤解を生じさせましたこと及び様々な場面でご指導ご支援いただいてきた皆様にご迷惑をおかけし、失望させましたことを、深く反省しお詫び申し上げます。これから、失った信頼を取り戻すべく、今まで以上に全力で取り組ませていただきます。

<メルケル氏の首相再選に祝>
PS(2017年9月25日追加):*8-1のように、ドイツ連邦議会(下院)の総選挙が投開票され、メルケル首相の保守・キリスト教民主・社会同盟の得票率が33.0%を獲得し、メルケル氏の続投が確実になったが、メルケル氏は日頃から論理的・合理的で思い切った意思決定をする人なので心から祝福したい。そのメルケル氏の家族は、牧師の父親とともに旧西ドイツから旧東ドイツに移住し、メルケル氏自身はライプツィヒ大学で物理学を専攻した後、東ベルリン科学アカデミーで理論物理学博士号を取得し、1989年のベルリンの壁崩壊後に西ドイツの連邦議会選挙に保守派与党キリスト教民主同盟から出馬して初当選した実力派だ。
 そして、*8-2のように、核実験を行った北朝鮮の問題に関連しても「ドイツは積極的な役割を果たす用意がある」と述べておられ、私は、現段階では、南北朝鮮も東西ドイツと同様、メルケル氏の仲介で統一して市場経済を前提とする民主主義国家になるのがよいと考える。

*8-1:http://www.saga-s.co.jp/news/national/10201/466130 (佐賀新聞 2017年9月25日) メルケル首相が4選へ、独総選挙、反難民派、第3党に躍進
 ドイツ連邦議会(下院)総選挙が24日投開票された。選挙管理委員会の暫定最終結果では4選を狙うメルケル首相の保守、キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)の得票率は33・0%で、20・5%で2位の中道左派、社会民主党(SPD)に10ポイント以上の大差をつけた。メルケル氏の続投は確実。難民受け入れに反対する新興右派「ドイツのための選択肢(AfD)」は12・6%で第3党に躍進し、初めて国政に進出した。CDU・CSUは単独過半数には届かず、SPDが現在の大連立を解消する意向を示した。

*8-2:http://digital.asahi.com/articles/ASK9C04F4K9BUHBI01N.html (朝日新聞 2017年9月11日) 独首相「交渉参加求められたらイエスと言う」北朝鮮問題
 ドイツのメルケル首相は10日付の独紙とのインタビューで、核実験を行った北朝鮮の問題に関連し「ドイツは積極的な役割を果たす用意がある」と述べた。同国は北朝鮮と外交関係があり、2008年には金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長の父親の故金正日(キムジョンイル)氏を治療するため、医師を派遣するなどした経緯がある。メルケル氏はフランクフルター・アルゲマイネ紙のインタビューで「もし交渉への参加が求められるのであれば、すぐにでもイエスと言う」と述べた。イランの核開発をめぐる交渉に参加した経緯に触れたうえで「こうした形式は、北朝鮮問題の解決にも適用できると思う」と語った。メルケル氏は、北朝鮮が核実験を行って以降、安倍晋三首相やトランプ米大統領のほか、中国、韓国、フランスなどの首脳と相次いで電話会談し、事態の平和的な解決に向けた働きかけを強めている。

| 男女平等::2015.5~ | 07:47 PM | comments (x) | trackback (x) |
2016.11.11 女性蔑視を利用したネガティブ・キャンペーンによって作られるガラスの天井 - ヒラリー・クリントン氏と朴槿恵氏の事例から (2016年11月12、14日に追加あり)
  

(図の説明:世界の女性リーダーは、現在では少なくない。しかし、2016年10月中旬から11月上旬にかけて、アメリカ及び韓国の女性リーダーに逆風が吹き、その内容には理不尽さがある。そして、それは、日本で女性・女系天皇の議論が抹殺された時期と一致する)

    

(図の説明:2016年の世界経済フォーラム男女平等ランキングでは、アメリカは144カ国中45位、日本は111位(2015年は101位)、韓国は116位であり、日本は特に政治・経済で低い。このようなジェンダーギャップが生じる理由は、根拠なき「男らしさ」「女らしさ」の押しつけと先入観が、女性の社会進出や社会での昇進を妨げているからである。その結果、日本女性の所得は男性の半分しかない)

(1)米大統領選について
1)選挙結果は、トランプ氏の勝利だった
 米史上初の女性大統領候補となったヒラリー・クリントン氏(以下・ヒラリー)は、大統領選に敗れた直後、*1-1のように、「勝てずに申し訳ない」「最も高く硬いガラスの天井は、いつか誰かが破る」「今回の結果を受け入れて未来に目を向けよう」「正しいことのために戦うのは価値がある」等々の普通の演説を行い、それを日本の日経新聞は「涙みせず気丈に敗北宣言した」と表現した。この“涙みせず気丈に”と書いたところは、「女はよよと泣くのが当たり前」というジェンダーに満ちた行間になっており、外国や利害関係者とタフに交渉しなければならないアメリカ大統領にはふさわしくない人材であると表現してしまっている。これが、ジェンダーによって引き起こされる昇進差別の一例だ。

 しかし、毎日新聞は、*1-2で、「女性の昇進を阻むガラスの天井を破って前国務長官となったヒラリー・クリントン」とヒラリーの実績を紹介しており、ここにはジェンダーはない。そして、「①米国では女性の大統領は必要ないと考える人がいる。ヒラリーは強い女性で、多くの男性は自分が脅かされていると感じる。彼女は率直にモノを言う。多くの男性は、それは女性の役割じゃないと考える」「②ヒラリーは公人として長く攻撃を受け続け、悪い印象が根付いてしまった」という女性指導者たちの見解を書いている。

 ①は実際に存在する女性蔑視で、既に女性指導者がいる国も多いのにアメリカの不運は、選挙期間中のネガティブ・キャンペーンを公認したため、これが悪用され、候補者が嫌われ者同士のより嫌いでない方への選択になったことである。そのため、②のように、公人として長く攻撃を受け続けて悪い印象が根付いたり、疑惑にすぎないメール問題を選挙期間中にFBIに何度も蒸し返されたりしたことによって、ヒラリーの支持率は明らかに落ちた。

2)ヒラリーの支持率に悪影響を与えたメール問題
 米連邦捜査局(FBI)は、2016年10月28日(大統領選の投開票日:2016年11月8日)に、*2-1のように、「大統領選民主党候補ヒラリー・クリントン氏の私用サーバー問題を見直す」と発表し、その理由は、別件で入手したメールが関係するかもしれないという疑惑レベルの曖昧なものだ。これに対し、ヒラリーは「訴追に相当しないとFBIが7月に下した判断に影響はない」と述べた。

 しかし、この段階で、ヒラリーに投票したいと思っていた人も、「大統領になってから、FBIと闘ってばかりいるようでは大統領として機能しない」と判断したため、FBIはヒラリーへの選挙妨害を行ったことになる。

 ただ、クリントン陣営のジョン・ポデスタ選対委員長が「FBIの発表のタイミングはとんでもない」と批判したり、陣営幹部のロビー・ムック氏が「FBIは政治的な領域に踏み込んだ」との見方を示唆したり、ヒラリー自身も「大統領選直前の動きとして前代未聞」「選挙直前のタイミングでこのように実体のない情報を公開するのはおかしい」とFBI長官を非難できたりしている点で、アメリカは日本や韓国よりはずっと民主主義や女性の社会進出について先進国で公正だと言える。

3)ヒラリーはガラスの天井を破る本物か
 外国の大統領選のことで口出ししない方がよいと思ったため、私は選挙後までコメントしなかったのだが、ヒラリーが「今回の結果を受け入れて未来に目を向けよう」と演説しただけで、何がガラスの天井になったのかを分析してなくすよう努力したり、FBIの選挙違反を曝露したりしなければ、ヒラリーは「ガラスの天井を破る」という主張を切り札にして闘っただけであり、ガラスの天井を破る本物ではない。

 どこかヒラリーに強い意思からくる魅力が感じられなかったのは、(日本のメディアの要約や翻訳が的を得ていなかったためかもしれないが)そのためではないかとも思われ、それでも当選しそうだったのは、相手がトランプ氏というラッキーな状態だったからと言えるのだ。

(2)韓国の女性大統領の困難
1)友人女性が国政に介入した疑惑?
 一方、*3-1に書かれている韓国の朴槿恵大統領の友人女性が国政に介入した疑惑というのは、全く信用できない“疑惑”だ。何故なら、韓国の検察特捜本部は、2016年10月31日に、崔順実容疑者を緊急逮捕したが、その理由が「①崔氏は朴氏に国政の助言を与える一方で大統領との特別な関係を利用して様々な不正を行った疑いがある」「②崔氏が一連の疑惑について容疑を否認している」「③不安定な精神状態で、釈放した場合予期せぬ状況(自殺?)が起きる可能性も考慮した」とのことであり、このような理由で逮捕されるのであれば、疑惑を否認している限り釈放されないことになるからだ。

 さらに報道に客観性のなさを感じたのは、*3-2のように、崔氏がソウル中央地方検察庁に出頭した際に報道陣や市民団体400人以上が集まり、11月1日の韓国朝刊各紙や日本メディアが脱げた靴の写真を「国内で買えば70万ウォン(約7万円)の高級品だ(私はさほどよいものとは思わなかったが、盗んだものでなければ民間人がどんな靴を履こうと自由)」と報じたり、韓国が購入するF35ステルス戦闘機の機種選定で崔氏が介入した疑惑があるとした報道が登場し外交・国防両省がそれぞれ事実関係を否定する事態になったり、宗教家だった崔氏の父が朴氏に接近した過去を報道したり、崔氏の娘がソウルの名門梨花女子大学に不正入学した疑いがあるなどとしているのは、次元の低い興味本位の作り話に見え、100歩譲ってそれが本当だったとしても朴槿恵大統領自身に罪があるわけではないからだ。

 また、朴氏の方から機密文書を積極的に見せていたとされる点については、これから講演する原稿を崔氏に見せて意見を言ってもらったとしても、これから講演する原稿の内容に含まれるものが機密である筈がないため、「機密」の定義に照らして検討し直すべきである。

2)韓国政界の動きと朴槿恵大統領の談話
 さらに、*3-3のように、講演原稿に意見を言ったくらいで「陰の実力者」にはなり得ないのだが、朴槿恵大統領は支援者の崔順実氏に機密文書を渡していたとして、野党3党は11月1日、「朴氏は検察当局の捜査に積極的に応じなければならない」との考えで一致したそうだ。

 しかし、*3-4のように、朴槿恵大統領は、崔氏が国政に介入したという“疑惑”と関連して「必要なら私も検察の捜査へ誠実に臨む覚悟で、特別検察官による捜査も受け入れたい」と語り、国民向けの談話で「あらゆる事態は全て私の誤りで私の不覚によって起こり、大きな責任を痛感している」「今回の崔氏関連の事件で、語り尽くせない大きな失望と心配をおかけしたことを心からお詫びする」「国家経済や国民の暮らしの役に立つだろうという望みから推進されたことでしたが、その過程で特定個人が利権を手にし、さまざまな違法行為まで犯していたということで、非常に残念でみじめな心境」等々と語ったそうだ。

 さらに、*3-5のように、涙ながらに「胸が痛む」「自分を許せない」などと謝罪したそうで、これがアジアの女性に求められる古いタイプの“素直さ”“謙虚さ”なのかもしれないが、そこまで自分に責任があると認める状況なら直ちに辞職すべきだというのが世界標準の価値感だ。

 そのため、*3-6のように、韓国でも、朴氏の支持率は30歳未満では0となり、古いタイプの“素直さ”“謙虚さ”に共鳴する高齢者の支持と合わせても全体で5%の支持率となった。しかし、韓国大統領の朴氏に必要なことは、涙ながらに「反省」や「謝罪」をして見せることではなく、韓国の検察が崔氏を緊急逮捕したことの妥当性を検証し、その裏に働いている力を明るみに出すことだ。

3)朴槿恵大統領と崔順実氏が立ち向かわなければならないジレンマ
 崔順実氏がソウル中央地方検察庁に出頭した際に集まっていた報道陣は、その殆どが男性だった。つまり、韓国のように女性の社会進出が進んでいない国では、昇進したり成功したりした女性の周囲は女性差別意識を持つ男性が殆どであるため、アメリカのように正論を言っても通じないのだ。

 そして、古いタイプの“素直さ”“謙虚さ”が求められ、期待通りに振舞わなければ魔女狩りのように根拠のない批判をされ、それを聞いた視聴者もその異常さに気づかない人が多いという具合だ。そのため、朴槿恵大統領も自らの支持者に多い高齢者向けの態度をすれば世界標準から外れ、留学経験のある人も多い若者の支持を得られないというジレンマに陥っているのだろう。

(3)日本のレベルは?
1)女性・女系天皇
 天皇陛下の生前退位については、*4-1のように、政府による有識者会議の初会合が2016年10月17日に開かれ、政府は今の天皇陛下に限って生前退位を認める特例法を整備する方針だそうだが、これは、天皇がお言葉の中ににじませられた内容とは大きく異なる。

 さらに、世論は皇室典範改正による恒久的な制度作りを求める声が多く、女性・女系天皇も認める方向なのだが、政府は特別法を出し、それが一段落してから皇室典範改正に取り組む構えだ。しかし、これは、女性・女系天皇を認めず、今のままにしていたいという古い頭の政治家の意思にほかならない。

2)男女平等度で日本は111位
 ダボス会議で知られるスイスの「世界経済フォーラム(WEF)」は、2016年10月26日、*4-2のように、「2015年版 男女格差報告」を発表し、これによれば、日本は144カ国中111位で下から数えた方が早く、先進7カ国(G7)中最下位だった。ちなみに、アメリカは45位、韓国は116位だ。

 そして、日本女性は、健康(40位)や教育(76位)では中位だが、政治(103位)と経済(118位)は著しく低く、勉強はしたものの社会進出して認められている度合いが小さく、男性との格差が大きい。

 これらのアメリカ、日本、韓国の状況は、外資系ビッグ4で働いていた時にはアメリカに近い形の洗練された女性差別を受け、国会議員など日本人の中で働くようになってからは日本・韓国に近い古典的・初歩的な女性差別を受けた私の体感と一致している。ただし、私は、その女性差別を決して受け入れることなく、一貫して闘って前進させてきたのを誇りとしている。

<米大統領選>
*1-1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20161111&ng=DGKKASGM10H7L_Q6A111C1FF1000 (日経新聞 2016.11.11) ガラスの天井 誰かが破る クリントン氏敗北宣言 涙みせず気丈に
 米大統領選に敗れたヒラリー・クリントン氏(69)は9日午前(日本時間10日未明)、ニューヨーク市内のホテルで支持者やスタッフを前に演説し「勝てずに申し訳ない」と敗北を認めた。大統領夫人、上院議員、国務長官と華麗な政治キャリアを歩み、米史上初の女性大統領をめざしたがあと一歩及ばなかった。民主党のシンボルカラーである青と共和党の赤の中間にあたる紫色の入った服を身につけ、選挙の結果判明後に初めて公の場に姿を現したクリントン氏。夫のビル・クリントン元大統領が壇上で見守るなか、涙をみせることはなく淡々と支持者に謝意を述べた。トランプ次期大統領の下での融和を訴えつつ、女性の進出を阻む「ガラスの天井」の最後の1枚を破れなかったことには悔しさをにじませた。「最も高く硬いがいつか誰かが破る」。クリントン氏はこう語り、「初の女性大統領」を後進に託すメッセージを込めて敗北宣言を締めくくった。演説の主な内容は以下の通り。
     ◇
 ありがとう。皆さん本当にありがとう。昨晩、ドナルド・トランプ氏に祝意を伝え、国のために協力したいと申し出た。彼がすべての米国民のための大統領として成功することを願っている。選挙の結果は私たちが望むものではなかった。共有する価値観と国のビジョンのための選挙に勝てなかったことを申し訳なく思っている。多様性や創造性、活力に満ちたこの素晴らしい選挙戦を一緒に戦えたことを誇りに感じている。皆さんのための候補者になれたことは、私の人生にとって大変名誉なことだった。皆さんがどれだけ失望しているかは分かっているし、私もそうだ。私たちの選挙戦は希望に満ちて寛容な心を持つ米国をつくるためのものだった。この国は私たちが思っていた以上に深く分断している。それでも私は米国を信じているし、これからも信じ続けたい。今回の結果を受け入れて未来に目を向けよう。広い心で、トランプ氏に国を率いる機会を与えなければならない。憲法に基づく民主主義は権力の平和的な移行を定めている。法の支配、平等と尊厳、信仰や表現の自由を尊重し、守る必要がある。アメリカン・ドリームは人種や宗教、男女、移民、LGBT(性的少数者)、そして障害を持つ人を問わず全ての人のためのものだ。市民としての責任はより良く、強く、公平な米国を築く取り組みに参加し続けること。皆さんは今後もそうしてくれると思う。私はこれまでの人生で信じるもののために戦ってきた。そこには成功も挫折もあった。正しいことのために戦うのは価値があるということをどうか信じ続けてほしい。(女性大統領という)最も高くて硬いガラスの天井はまだ打ち破れていないが、いつか誰かが、私たちが考えているより早く達成してくれるだろう。

*1-2:http://mainichi.jp/articles/20161110/k00/00m/030/093000c (毎日新聞 2016年11月9日) 米大統領選 「ガラスの天井」クリントン氏、破れず
 女性の昇進を阻む「ガラスの天井」を破り、女性初の大統領を目指したヒラリー・クリントン前国務長官(69)。女性の社会進出を先導し続ける人生だった。落選が確定した9日未明は支持者の前に姿を見せず、落胆の大きさがにじんだ。クリントン氏は選挙戦で「一緒なら強くなれる」と訴えた。人種や政治信条、経済状態の差を超え国民の融和と協力を主導する意向を打ち出したのだ。クリントン氏のスピーチライターだったリサ・ムスカティーンさん(62)は、「国の未来を考える」大統領になっただろうと指摘。女性やマイノリティー(人種的少数派)、貧しい人を支援し、国務長官の経験から外交にも積極的な指導者になっただろうとみる。法科大学院の教え子の弁護士ウッドソン・バセットさん(65)は、批判や攻撃にひるまない闘士のクリントン氏は「良い変化を起こせると信じていた」と語った。だが、「大統領の資質がない」と厳しく批判し続けた共和党のドナルド・トランプ候補に敗北した。なぜか。クリントン氏をよく知る人々の中には、米国に潜む女性政治指導者への反感を指摘する声もある。米大統領だった夫ビル・クリントン氏が知事を務めた南部アーカンソー州の知事公舎職員を務め、今もクリントン家と交流があるアン・マッコイさん(80)は「米国では女性の大統領は必要ないと考える人がいる。ヒラリーは強い女性で、多くの男性は自分が脅かされていると感じる。彼女は率直にモノを言う。多くの男性はそれは女性の役割じゃないと考える」と話した。世界の主な女性指導者ムスカティーンさんも「彼女は公人として長く攻撃を受け続け、悪い印象が根付いてしまった」との見方を示した。 女性指導者、世界各地に  8日の米大統領選では民主党のヒラリー・クリントン候補が敗れたが、国際社会で女性指導者は少なくない。 主要7カ国(G7)では、2005年にメルケル独首相(62)、今年7月にメイ英首相(60)が就任した。リトアニアやエストニアも女性大統領だ。東アジアでは韓国の朴槿恵(パククネ)大統領(64)、台湾の蔡英文総統(60)が初の女性トップ。ミャンマーでも民主化運動指導者アウンサンスーチー氏(71)が外相兼国家顧問を務める。西アフリカ・リベリアの女性大統領、サーリーフ氏(78)は11年にノーベル平和賞も受賞。ブラジルでは初の女性大統領ルセフ氏(68)が今年8月、汚職疑惑で失職した。  主要都市では小池百合子・東京都知事(64)やイダルゴ・パリ市長(57)、ラッジ・ローマ市長(38)が知られる。

<メール問題>
*2-1:http://www.bbc.com/japanese/37809154 (BBC 2016年10月29日) 米大統領選2016】FBI、クリントン氏メール問題見直すと クリントン氏は自信
 米連邦捜査局(FBI)は28日、大統領選の民主党候補ヒラリー・クリントン氏の私用サーバー問題を見直すと発表した。別件で入手したメールが関係するかもしれないという。これに対してクリントン氏は、訴追に相当しないとFBIが7月に下した判断に影響はないと自信を示した。11月8日投開票の大統領選まで11日。広告 クリントン氏はジェイムズ・コーミーFBI長官に、新しい捜査の内容を米国民につまびらかに説明するよう求めた。クリントン氏が米国務長官時代に公務メールを私用サーバーで扱っていた問題で、FBIはすでに機密情報を含むメールも私用サーバーを経由していたと確認。コーミー長官は7月、クリントン氏とスタッフの行動は「きわめて不注意」だったものの訴追には相当しないと発表していた。しかしコーミー長官は28日、連邦議会に対して書簡で、捜査員が発見した「別件に関する」メールが「(メール問題の)捜査に関係する様子」のため、メール問題を「見直す」と説明した。「この資料が重要かどうかまだ精査できていないし、この追加作業を終えるまでどれくらいかかるのか予測できない」と長官は書いている。消息筋によると、問題のメールは、クリントン氏の右腕とも言われる最も近い側近、フマ・アベディン氏の別居中の夫、アンソニー・ウィーナー元下院議員に対する捜査の中で発見された。FBIは、ウィーナー元議員が15歳少女に性的なメールを送っていた疑いに関連して、元議員やアベディンさんの電子端末を押収して調べていた。メールが何通あり、誰が発信あるいは受信したものかは明らかにされていない。アイオワ州デモインで記者会見したクリントン氏は、「米国の人たちはただちに、すべての事実を完全に知らされるべきです」と強調。「この問題がなんであれ、(FBIは)なんとしても、滞りなくこの問題を説明しなくてはならない」と求めた。クリントン氏はさらに、コーミー長官が議会に宛てた書簡は、「言及するメールが重要なのかどうかについても触れていない」と指摘。さらに、「(メールが)どういうものであれ、(訴追不相当という)7月の結論に変化はないと自信をもっている」と述べた。会見に先立ち、クリントン陣営のジョン・ポデスタ選対委員長は、FBIの発表のタイミングは「とんでもない」と批判した。11月8日投開票の大統領選まで、残すところあと11日。このメール問題は、告発サイト「ウィキリークス」が相次ぎ公表しているクリントン選対関係者の内部メールとは異なる模様だ。
●クリントン氏の私用メールサーバーはニューヨーク州チャパクアの自宅に設置されていた
 共和党候補ドナルド・トランプ氏は一貫して、メール問題についてクリントン氏とFBIを激しく非難し、クリントン氏は「刑務所にいるべきだ」などと発言してきた。またクリントン陣営に近いウィーナー元議員の存在は、米国の安全保障を脅かすと批判してきた。今回のFBI発表を受けて、トランプ氏はニューハンプシャー州マンチェスターでの支援者集会で、「アメリカ合衆国の安全を脅かした(クリントン氏の)犯罪的で違法な行動について、捜査が再開された」と述べ、「ヒラリー・クリントンは今まで見たことがないほど腐敗している。犯罪計画を大統領執務室にまで持ち込ませるわけにはいかない」と支援者を前に強調した。続いてアイオワ州に移動して集会に赴いたトランプ氏は、「ウォーターゲート以来最大の政治スキャンダルだ」と、ニクソン元大統領の辞任につながった1970年代のスキャンダルに言及。また「よほどひどい犯罪行為でなければ、FBIはこんな時期に捜査を再開したりしない」と述べた。クリントン氏の私用サーバー問題は2015年3月に米紙ニューヨーク・タイムズが最初に報道して明るみに出た。クリントン氏は当初、遺憾の意を示すことなく、「hdr22@clintonemail.com」の私用アドレスを国務長官の公務でも使った理由は主に「便利だったから」と説明していた。しかしその後間もなくABCニュースのインタビューで謝罪し、その後もたびたび有権者に謝っている。

*2-2:http://www.cnn.co.jp/usa/35091369.html
(CNN 2016.10.30) クリントン氏、メール問題でFBI長官を非難
 米大統領選の民主党候補ヒラリー・クリントン氏の私用メール問題で、連邦捜査局(FBI)のコミー長官が新たなメールを調査していると議会指導部に通知したことに対し、クリントン氏は29日、大統領選直前の動きとして「前代未聞」だと述べて長官を非難した。クリントン氏は遊説先のフロリダ州デイトナビーチで支持者らを前に、「選挙直前のタイミングでこのように実体のない情報を公開するのはおかしい」と主張。さらに「前代未聞の、深く憂慮すべき事態。有権者には事実の全容を知らせるべきだ」と力説した。同氏はそのうえで「コミー長官はただちに全てを説明し、情報を全て提示する必要がある」と呼び掛けた。クリントン氏は共和党候補のドナルド・トランプ氏にも矛先を向け、この問題をめぐって同氏が「全力で米国民を混乱させようとしている」「すでに話をでっち上げ始めた」と不快感を示した。コミー長官は28日、私用メール問題との関連が疑われる新たなメールが別件の捜査で浮上し、FBIが同問題の捜査を再開したことを明らかにした。フロリダでの演説に先立ち、クリントン陣営を率いるジョン・ポデスタ氏は、コミー長官が選挙前のタイミングを計り、特定の内容だけを選んで公表したと非難。陣営幹部のロビー・ムック氏も、FBIは政治的な領域に踏み込んだとの見方を示唆した。両氏とも、浮上したメールには新たな情報が含まれていない可能性もあると指摘し、選挙戦への悪影響を打ち消している。クリントン氏の陣営は今年7月、私用メール問題で同氏の訴追を求めない方針を示したコミー長官の「プロ意識」を称賛していた。FBI長官の任期は10年で、コミー長官が就任したのは2013年。クリントン氏が大統領に当選した場合も、解任されない限り長官職にとどまることになる。

<韓国の女性大統領>
*3-1:http://www.yomiuri.co.jp/world/20161031-OYT1T50115.html
(読売新聞 2016年11月1日) 朴大統領の友人・崔容疑者を逮捕…国政介入疑惑
 韓国の朴槿恵(パククネ)大統領(64)の友人女性が国政に介入した疑惑をめぐり、検察の特別捜査本部は10月31日、当事者の会社経営者崔順実(チェスンシル)容疑者(60)を緊急逮捕した。崔氏は朴氏に国政の助言を与える一方で、大統領との特別な関係を利用して様々な不正を行った疑いがある。韓国国内では私人の国政介入を許した大統領への批判が噴出しており、朴政権は機能不全に陥っている。聯合ニュースによると、検察は、緊急逮捕した理由について、崔氏が一連の疑惑について容疑を否認しているほか、不安定な精神状態にあり、釈放した場合、「予期せぬ状況」が起きる可能性も考慮したという。

*3-2:http://digital.asahi.com/articles/ASJC152YYJC1UHBI02L.html (朝日新聞 2016年11月1日) 韓国、チェ氏事件で報道過熱 脱げた靴や外交、北朝鮮…
 韓国で、朴槿恵(パククネ)大統領から機密文書を受け取っていたとされる朴氏の支援者チェ・スンシル氏を巡り、国内の報道が過熱する一方だ。脱げたチェ氏の靴に焦点を当てたと思えば、日韓関係への影響にまで報道が及ぶ。韓国政府が一部の報道は事実でないと否定したり、北朝鮮が朴政権たたきに利用したりしている。10月31日午後3時、チェ氏がソウル中央地方検察庁に出頭した際は、報道陣や市民団体ら400人以上が集まった。もみくちゃにされたチェ氏は、左足の靴が脱げたまま庁舎に入った。翌1日付の朝刊各紙は、脱げた靴の写真を「国内で買えば70万ウォン(約7万円)の高級品だ」と報じた。韓国メディア幹部は「どの社も各部から人を集めた特別チームで、大量の記事を作っている」と語る。10月31日付の一部朝刊紙は、事件の余波で韓国は12月に日本で開かれる見通しの日中韓首脳会議への出席の返事を出せずにいると報じた。11月1日付には、韓国が購入するF35ステルス戦闘機の機種選定で、チェ氏が介入した疑惑があるとした報道も登場。外交、国防両省がそれぞれ事実関係を否定する事態になった。北朝鮮の朝鮮中央通信は1日、「各国メディアが朴槿恵最大危機を報道」と伝えた。韓国政府関係者は「内政干渉だ」として、不快感を隠さない。韓国では、宗教家だったチェ氏の父(故人)が朴氏に接近した過去や、チェ氏の娘がソウルの名門・梨花女子大に不正入学した疑いがあることが大きな関心を呼んでいる。一方で、朴氏の方から機密文書を積極的に見せていた場合、チェ氏は大統領記録物管理法違反には問われないという指摘も出ている。韓国政府の元関係者は「本当に責められるべきは、国民との意思疎通を欠いた朴大統領。チェ氏は鏡に映った朴氏のもう一つの姿に過ぎない」と語った。

*3-3:http://digital.asahi.com/articles/ASJC14RGFJC1UHBI024.html (朝日新聞 2016年11月1日) 「朴大統領は捜査に応じよ」 チェ氏事件で野党3党
 韓国の朴槿恵(パククネ)大統領が支援者のチェ・スンシル氏に機密文書を渡していた問題をめぐり、野党3党は1日、朴氏は検察当局の捜査に積極的に応じなければならないとの考えで一致した。野党は朴氏への攻勢を強めるが、憲法では大統領は在職中、刑事訴追は受けないと定められており、捜査に応じるかは不透明だ。野党の「共に民主党」、国民の党、正義党の院内代表が協議し、合意した。野党が国会で疑惑の解明を進めることも盛り込まれた。10月25日の緊急記者会見で、チェ氏に文書を提供し、意見を聞いていたことを認めた朴氏だが、その後は沈黙を続けている。詳しい説明をする予定もない。憲法の規定上、大統領が在職中に捜査を受けるかは解釈が分かれている。金賢雄(キムヒョヌン)法相は10月27日の国会審議で「捜査対象にならないというのが多数説」との見解を示した。検察当局も大統領への捜査は否定的とされる。一方、ソウル地方弁護士会は10月27日、真相究明を求める声明で「(憲法の規定で)捜査が難しいという話は成立しない」と主張した。韓国紙「朝鮮日報」は1日付の社説で、今は法の解釈が問題ではないとして、「大統領が国民の前に出て来なければならない」と自ら説明するよう求めた。朴氏に対する世論は、厳しさを増している。韓国紙「文化日報」の1日付夕刊は、10月29~30日に実施した世論調査で、望ましい事態の収拾策として朴氏の「辞任」が36・1%で最も多く、「弾劾(だんがい)」の12・1%と合わせると、退陣を求める意見は48・2%にのぼったと報じた。与野党の合意による「挙国一致内閣」は26・1%だった。検察当局は、10月31日深夜に緊急逮捕したチェ氏に対する逮捕状を2日に請求する予定だ。韓国の刑事訴訟法では、逮捕状は緊急逮捕から48時間以内に裁判所に請求する必要がある。チェ氏は疑惑を否認しているという。また2日午後には安鍾範(アンジョンボム)・前大統領府政策調整首席秘書官を事情聴取する。安氏は、チェ氏が私物化したとされる財団の資金集めに関わったとの疑いがもたれている。

*3-4:http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/11/04/2016110401105.html (朝鮮日報 2016/11/4) 国政介入:「残念、みじめ」 朴大統領が検察捜査を受け入れ
 韓国の朴槿恵(パク・クンヘ)大統領が4日、「陰の実力者」といわれる崔順実(チェ・スンシル)氏が国政に介入したという疑惑と関連して「必要なら私もまた検察の捜査へ誠実に臨む覚悟で、特別検察官による捜査も受け入れたい」と語った。朴大統領は4日午前10時30分、国民向け談話を通してこのように語った。朴大統領は談話で「あらゆる事態は全て私の誤りで、私の不覚によって起こったこと。大きな責任を深く痛感している」と語った。続いて朴大統領は「今回の崔順実氏関連の事件で、到底語り尽くせない大きな失望と心配をおかけしたことを、あらためて心からお詫びします」「何より、私を信じて国政を任せて下さった国民の皆さんに、取返しのつかない心の傷を負わせてしまい、非常に胸が痛い」と語った。また「私と共に献身的に走ってくださった政府の公職者や、現場の多くの方々、そして善意の支援をしてくださった企業の皆さんにも深い失望を与え、申し訳なく思っています」「国家経済や国民の暮らしの役に立つだろうという望みから推進されたことでしたが、その過程で特定個人が利権を手にし、さまざまな違法行為まで犯していたということで、非常に残念でみじめな心境」と語った。

*3-5:http://toyokeizai.net/articles/-/143568 (ロイター 2016年11月4日) 「自分が許せない」韓国の朴大統領、親友の国政介入疑惑を謝罪
 韓国の朴槿恵大統領は4日、テレビを通じて国民向け談話を発表し、親友である崔順実氏の国政介入疑惑をめぐる政治スキャンダルについて、涙ながらに「胸が痛む」と述べ、謝罪した。検察の捜査に協力することも表明した。朴大統領は、検察当局に対し疑惑の全容解明を要請。自らを含め問題に関わった全員に責任があり、有罪であることが判明した場合は責めを負うべきだと述べた。さらに、声を震わせながら「自分を許せない」と話した。検察の当局者は、朴大統領が事情聴取の対象になるかとのロイターの質問へのコメントを控えた。現職の大統領がこれまで、検察の捜査を受けたことはない。野党の共に民主党の秋美愛(チュ・ミエ)代表は朴大統領の謝罪が不誠実だと批判。「大統領は国政から手を引くべきだ」と指摘したが、辞任要求はしていない。崔容疑者については「われわれが国家経済や国民生活を支援するため努力している一方で、特定の個人が利益を享受し、複数の不法行為に関与していたとの疑惑が持たれていることは非常に不幸で、残念だ」と述べた。スキャンダルをめぐって大統領の支持率は低下しており、ギャラップがこの日公開した世論調査では過去最低の5%となっている。

*3-6:http://www.saga-s.co.jp/news/national/10201/375652
(佐賀新聞 2016年11月11日) 朴氏支持率、30歳未満でゼロ、韓国、全体では5%
 韓国の世論調査会社「韓国ギャラップ」は11日、朴槿恵大統領の支持率について、調査対象で最若年層の19~29歳で支持率がゼロになったとの結果を明らかにした。調査は朴氏が親友、崔順実氏の国政介入疑惑で2回目の国民向け謝罪を行った後の8~10日に実施されたが、全体の支持率は前週と同じ5%。不支持率は前週より1ポイント増え、90%に達した。地域別でも、野党が強い南西部の全羅道地域での支持率はゼロだった。調査は約千人を対象に行われた。朴氏は4日の国民向け謝罪で、捜査を受け入れると表明し、涙を見せて「反省」を訴えた。

<日本のレベルは?>
*4-1:http://digital.asahi.com/articles/DA3S12612681.html
(朝日新聞 2016年10月18日)女性天皇の議論は除外 来月、専門家から聴取 有識者会議
 天皇陛下の生前退位をめぐり、政府による有識者会議の初会合が17日、開かれた。政府は今の天皇陛下に限って生前退位を認める特例法を整備する方針だが、実現には世論と国会のハードルが待ち受ける。「今上陛下が82歳とご高齢であることも踏まえ、公務の負担軽減などを図るため、どのようなことができるのか静かに議論を進めていきたい」。17日夕、安倍晋三首相は有識者会議の初会合冒頭でそう語った。この日は約1時間10分の会議で、当面のスケジュールを確認した。11月には上旬から3回に分けて、皇室制度や歴史の専門家ら計十数人からヒアリングを重ねる。年明けにも論点整理を公表する方向だ。政府は今の天皇陛下に限って退位を可能とする特例法を軸に法整備を検討する。ただ、報道各社の世論調査では特例法による対応ではなく、皇室典範改正による恒久的な制度作りを求める声が多い。国会でも、民進党や共産党などから皇室典範改正の検討を求める声が上がる。このため、有識者会議では生前退位だけでなく、摂政制度など幅広い選択肢を示し、それぞれ課題や問題点を列挙。早急に対応できる特例法のメリットを世論に理解してもらう狙いだ。有識者会議は今回、小泉政権時代に検討された女性・女系天皇の是非は対象から外す。首相官邸幹部は「皇室の安定的な継続のために必要な議論だが、時間がかかる」と指摘。将来、皇室典範改正を目指す際の課題とする考えだ。有識者会議メンバーの山内昌之・東大名誉教授は17日夜、BSフジの報道番組で「特別法を出すことで、まず(生前退位を)解決する。それが一段落してから皇室典範改正に取り組む姿勢を打ち出すことは、荒唐無稽のことではない」と語った。一方、政府は有識者会議の開催に合わせて報道各社に対し、有識者メンバーが官邸に出入りする際の取材を控えるよう要請した。首相周辺は「メンバーが最初に意見を言ったら会議に色がつく」と説明。情報管理に神経をとがらせる政府の姿勢がにじんだ。座長となった今井敬・経団連名誉会長は、初会合後の記者会見で「予断なく議論し、専門家の意見をよく聞いていろいろな判断をする」と語った。ヒアリングの対象となる専門家は十数人で、1人当たりの聴取時間は30分を想定。関係者によると、対象者として退位に賛成する所功・京都産業大名誉教授や、退位に反対する八木秀次・麗沢大教授ら幅広い名前が候補に挙がる。政府は初会合前から人選を進めており、専門家の選定も官邸主導で進む可能性が高い。
    ◇
 「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」の初会合の出席者(17日、首相官邸)
【有識者】
◆今井敬・経団連名誉会長=座長
◆御厨貴・東大名誉教授(日本政治史)=座長代理
◆小幡純子・上智大法科大学院教授(行政法)
◆清家篤・慶応義塾長(労働経済学)
◆宮崎緑・千葉商科大教授(国際政治学)
◆山内昌之・東大名誉教授(国際関係史)
【政府】
◆安倍晋三首相
◆菅義偉官房長官
◆杉田和博官房副長官
◆衛藤晟一首相補佐官
◆古谷一之官房副長官補
◆西村泰彦宮内庁次長
◆近藤正春内閣法制次長
◆山崎重孝内閣総務官

*4-2:http://qbiz.jp/article/96751/1/
(西日本新聞 2016年10月26日) 男女平等 日本は111位 WEF発表
 ダボス会議で知られるスイスの「世界経済フォーラム(WEF)」は26日、2016年版「男女格差報告」を発表。日本は調査対象となった144カ国中111位で、前年より順位を10下げ、先進7カ国(G7)中で最下位だった。
●前年より順位10下げる
 報告書では、日本は分野別で健康(40位)や教育(76位)では中位以上だったが、政治(103位)と経済(118位)で女性の進出が遅れ、男性との格差があるとされた。女性の議員数の少なさや、女性首相を出していないこともマイナス要因となった。首位は8年連続でアイスランド。2位フィンランド、3位ノルウェー、4位スウェーデンなど北欧諸国が上位に並んだ。米国は45位、中国は99位、韓国は日本より低い116位だった。アジアで上位10位に入ったのはフィリピン(7位)のみだった。トルコ(130位)、エジプト(132位)、イラン(139位)など中東諸国が下位に並び、最下位はイエメン。WEFは「世界的に経済参加や雇用機会での男女格差が拡大しており、予測では2186年までその差は縮まらないとみられる」としている。男女格差報告は各国の女性の地位を経済、教育、政治、健康の4分野で分析、数値化している。


PS(2016年11月12日追加):*5の「ヒラリーはなぜ敗れたのか」という記事で、政治アナリストの横江氏が、「ヒラリーには、ウォールストリートから多額の企業献金を集め、彼らの方を向いた政治家という古臭いイメージがあり、時代遅れ感があった」と述べているが、オバマ大統領が国民皆保険を目指して制定し、トランプ大統領の誕生によって存続の危機に瀕しているアメリカの国民皆保険制度は、最初はクリントン政権時代にヒラリーが手を付けたものであり、時代遅れどころか現在も渦中にある制度だ。また、ヒラリーは中産階級出身で、弁護士となってファースト・レディーや国務長官を歴任したアメリカン・ドリームの体現者であるため、それを「優等生的な『上から目線』でも嫌われた」というのは、日本人独特のjealousy(嫉妬)を含んだ狭量な見方であり、アメリカ人はアメリカンドリームの体現者や成功者を褒める気質があるため、このような卑屈なことは言わないのである。そのため、そういうことよりも、大切な時期にFBIが「メール問題」という曖昧な疑惑でヒラリーの捜査をしたこと、分刻みで世界を飛び回らなければならないアメリカ大統領が体力的に勤まるかと思われる局面がヒラリーにはあったこと、アメリカの大統領選挙が国民全体の意志を反映するのではなく選挙人の数を競う競争になっていることなどが敗因だと考える。
 また、映画作家想田氏の「米国人の13%が女性大統領の誕生に怒りを感じと答えた」というのは、本当なら私には意外だが、「男性候補なら『力強い』と好意的に受け止められたものが、女性候補だと『隙がない』『性格がきつい』と思われなかったか」というのもジェンダー後進国の日本人の目であり、アメリカ人はそうではないからこそ、ヒラリーは大きなジェスチャーとはっきりした言葉で演説を行っていたのだ。そのため、ヒラリーに不運があったとすれば、候補となったのが8年前ではなく、現在だったことだろう。

*5:http://mainichi.jp/articles/20161111/dde/012/030/004000c (毎日新聞 2016年11月11日) 特集ワイド:ヒラリーはなぜ敗れたのか 米大統領選結果、識者2氏が分析
 本命だったはずの候補が敗れ、「米国史上初の女性大統領」は結局、誕生しなかった。「嫌われ者同士の戦い」とも称された米国大統領選。暴言暴論を繰り返し、女性問題まで露呈したドナルド・トランプ氏(70)を相手に、政治家としてのキャリアも長いはずのヒラリー・クリントン氏(69)は、なぜ負けたのか?
●時代遅れ、尊大な印象拭えず 政治アナリスト・横江公美さん
 クリントン氏の最大の敗因は、政策や言動の「時代遅れ感」です。だから有権者の心をつかめませんでした。米国で今、一番不満をためているのは中間層です。貧困層は、オバマ政権が国民皆保険を目指した医療保険制度改革で救われた。「次は我々を」と中間層は望んだ。だから民主党の候補者争いをしたサンダース氏は政策を「左」に振り切り、中間層が最も喜びそうな「大学授業料免除」を掲げました。この問題が米国で最も深刻だから。子ども2人を借金なしに米国内の大学に進学させるには1世帯年収27万ドル(約2800万円)が必要というデータもあるほどです。一方、トランプ氏は当選したらすべての所得層を対象に所得税減税を行う、と断言しました。ところがクリントン氏はそのどちらの政策にも踏み込めず、中間層にアピールできなかった。そもそも彼女には、ウォールストリートから多額の企業献金を集め、彼らの方を向いた政治家、という古臭いイメージがある。「私用メール問題」がそれを決定づけました。米国は情報公開や金銭の流れの透明性を重要視する社会です。透明性のない、危機管理もできない、時代遅れな候補--という印象を有権者に与えてしまいました。もう一つ、優等生的な「上から目線」でも嫌われました。米国が「世界の警察」の時代ならば、そのような言動はリーダーシップとして好意的に受け取られたでしょう。でも今はSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)で「いいね!」の数を競う時代です。フレンドリーさが好まれる。トランプ氏はその点、暴言は多いけれど人間味があります。「キング・オブ・ブルーカラー」と呼ばれていましたから。クリントン氏は今回、2008年の予備選と違って、女性の立場を強調し、「マイノリティー(人種的少数派)のための代表」を前面に出すなど、戦術を変えていました。それでも有権者は彼女の「偉そう」な印象を忘れていなかったのです。一方、トランプ氏が前評判より票を集めたのは「隠れトランプ支持者」が大勢いたから。多様化の時代、「メキシコ国境に壁を」と言う候補への支持は恥ずかしくて口には出せない。それでも今の政治に不満を持ち、トランプ氏に変化を期待した有権者がそれだけ大勢いたということ。クリントン氏は、変化を求める時代の空気を読み切れなかったのです。
●米国社会に根強い「女性嫌い」 映画作家・想田和弘さん
 格差が拡大し、中間層が没落する中、米国人が既存の政治に不満を持つのはよく分かります。しかし、トランプ氏はむしろ状況を悪化させるでしょう。人種差別をあおる人物でもあり、米国と世界の行方がとても心配です。クリントン氏が負けた理由はさまざまですが、一つは米国社会に根付き、払拭(ふっしょく)できない「ミソジニー(女性嫌い)」だったと思います。もしも彼女が男性だったら結果は違ったのではないでしょうか。ある政治学者が今年行った調査によると、米国人の13%が「女性大統領の誕生」に「怒りを感じる」と答えたそうです。男女別の回答で見ると、女性はほぼ0%だったのに、男性は実に26%。「怒りを感じる」が4人に1人以上いたのです。「女を大統領にしたくない」という差別意識やミソジニーこそが、彼女の敗因だったと思います。米国人は大統領に「強さ」を求める傾向があります。それだけでも、女性には不利なのでしょう。クリントン氏は十分に強い女性だと思いますが、しかし、男性候補なら「力強い」と好意的に受け止められたものが、女性候補だと「隙(すき)がない」「性格がきつい」と、男性から見たフェミニストのステレオタイプなイメージに重ねられてはいなかったでしょうか。もう一つ。政治経験のないトランプ氏に対して、クリントン氏は政治家としてのキャリアが長く、実績もある。そのことがかえって、災いしたように思えます。扇動家としての能力にたけたトランプ氏は、ワシントンの政治家たちを「既得権益」と位置付けて攻撃し、人々の政治に対する怒りに火を付け、徹底的にあおりました。今回、米大手メディアは軒並みクリントン氏を支持し、トランプ氏を徹底的に批判しました。しかしトランプ氏は勢いを失わなかった。日本で「マスゴミ」という言葉が多用されるのと同様、米国でも既存メディアが「既得権益」とみなされてしまったからでしょう。また、トランプ氏は既存秩序の「破壊者」のように自らを演出することに成功した。だから、暴言を吐き、スキャンダルが暴かれても、そのダメージを最小限に抑え、時には魅力にすり替えられました。結局、夫も大統領を務めたクリントン氏は「既得権益」の代表格として、政治不信と憎しみの対象にされてしまったのです。


PS(2016年11月14日追加):入国者の子どもの教育・医療・失業問題などの国民負担を伴うため、移民を無制限に受け入れなければならないというのは、独立国としてむしろ不自然だと私も思っていた。そのため、難民や外国人労働者に国を閉ざすことなく、秩序だって受け入れるのは国の発展や世界貢献のために必要だが、国境にフェンスくらい作って、不法移民を強制送還するのはよいと考える。

*6:http://www.saga-s.co.jp/news/national/10201/376424 (佐賀新聞 2016年11月14日) トランプ氏、300万人を強制送還、壁建設は軟化
 トランプ次期米大統領は、200万~300万人の不法移民を公約通りに米国外へ強制送還する方針を強調した。CBSテレビが13日、トランプ氏のインタビューを伝えた。大規模な強制送還は内外に波紋を広げそうだ。トランプ氏は不法移民流入を防ぐためメキシコ国境に壁を建設する方針も確認した。ただ、一部地域では壁ではなくフェンスを採用する可能性を示し、壁にこだわる姿勢を軟化させた。米国内の不法移民はヒスパニックを中心に1100万人を超える。トランプ氏は、強制送還されるのは「犯罪者や犯罪歴がある者、ギャングのメンバー、麻薬密売人だ」と説明した。

| 男女平等::2015.5~ | 05:35 PM | comments (x) | trackback (x) |
2016.8.11 日本に本物の女性リーダーが出にくいのは、女性蔑視の女性観が跋扈して上昇志向の女性の足を引っ張るからである (2016年8月13、14日に追加あり)

2016.7.12      メイ首相      メルケル首相とメイ首相     ヒラリー候補   小池都知事
 日経新聞


   国会議員の      地方議員の女性割合     管理職・役員       女性の労働力率  
   女性割合                          の女性割合

(1)英独の女性首相と米の大統領候補
1)メイ英首相とメルケル独首相 
 英国ではテリーザ・メイ氏が首相となってドイツのメルケル首相と会談した。そして、ドイツのメルケル首相は、*1-1のように、「①英国とドイツは友好関係にあり価値観を共有している」「②両国の二国間関係や貿易は、英国がEUを離脱した後も続く」とし、メイ首相も「両国とも2国間のできるだけ密接な経済関係を維持したい意向だ」として、英国にとって好ましい展開となった。

 英国のメイ氏は、上の段の左図のように、オックスフォード大学出身であり、イングランド銀行勤務を経て1997年に政治家になった人であり、ドイツのメルケル首相は、ライプツィヒ大学出身の理論物理学博士で、1989年のベルリンの壁崩壊後に政治家になり、第4次コール政権の女性・青少年問題相に抜擢された人だ。そして、どちらも、首相として納得できる一流の女性であり、結婚しているが子どもはいない。

2)米国ではクリントン氏が女性大統領候補へ
 米国では、やっと「ガラスの天井」が打破されそうになっていることには遅さを感じるが、*1-2のように、ヒラリー・クリントン氏が米民主党の大統領候補に指名された。ヒラリー氏は、ウェルズリー大卒業後、エール大ロースクールを経て弁護士となり、1993年に夫のクリントン氏が大統領に就任した後には、抵抗が多い中、ファーストレディーとして医療保険改革に取り組んでおり、相応の人である。

(2)小池百合子氏、都知事に大差で当選
 日本では、自民党都連が都知事候補に擁立したのは、*2のように、増田寛也氏だったが、小池百合子氏(独身)が大差で当選した。しかし、その後の内閣改造で、丸川珠代前環境相を、小池都知事と接触の多い五輪担当相に就任させたのは、いかがなものかと考える。

 何故なら、丸川氏は、環境相時代、長野県松本市で行った講演で「東電福島第1原発事故後に国が除染の長期目標に掲げた年間1ミリシーベルト以下は、何の科学的根拠もなく時の環境相が決めた」などという無知な暴言を吐き、「発言が誤解を招いたとすれば、特に福島をはじめ被災者の皆様に誠に申し訳ない」などと、福島以外の人や直接被災した人以外には関係がないかのような詫び方しかしておらず、これは丸川氏なりのチームプレーだったのかもしれないが、それでは環境相として失格なのである。

 そして、その丸川氏は、都知事選では、小池百合子氏を「スタンドプレーはできるが、チームプレーはできない人」と批判していた。しかし、小池氏の世代の女性はチームプレーだけしていれば組織の推薦が得られるわけではなく、(数は少ないが)強力に引っ張ってくれる人がいて、スタンドプレーも行い、勝たなければ上昇できなかったのだ。この点が1番手の女性の実績を見て組織が推薦してくれる2番手以降の女性とは全く異なり、1番手の女性と2番手以降の女性の間には、組織内での障壁の高さに雲泥の差があるのだが、丸川氏はそれがわかっていないため、このような生意気なことを言っているのだ。

 そのため、小池氏の対応は、東京都知事としてはそう言わざるを得ない大人の対応ではあるものの、私も東京都の幹部と同様、丸川氏の五輪相起用については疑問に思った。

(3)日本における女性副大臣・政務官・議員について
 今回の改造内閣では、*3-1のように、副大臣・政務官のうち女性は4人に留まり、女性の登用は進まなかった。それだけではなく、*3-2のように、都道府県議会の女性議員を対象に共同通信が行った全国アンケートによれば、女性議員の約6割がセクシュアルハラスメントなど女性蔑視の言動を受けて不快な思いをした経験があるそうだ。

 東京都議会でさえセクハラやじのような同僚議員からの被害が多く、「触らせないと票をあげない」というような有権者の言動も多いそうなので、有権者も含めた意識改革が不可欠である。

(4)日本の“伝統”と“文化”に潜む女性蔑視の考え方
 2016年8月8日、*4-1のように、天皇が「象徴天皇の役割」「生前退位」という自らの意思を表明された。天皇制については項を改めて書くが、このほかに女性天皇・女系天皇の課題があり、小泉内閣時に率先して女性天皇・女系天皇を認めるべきだと主張していた人の一人は私である。

 何故なら、女系であるからといって遺伝が途切れるわけでもないのに、女性天皇や女系天皇を認めないのはそれこそ非科学的であるとともに、天皇家の歴史上重要な地位を占める天照皇大神(アマテラスオオミカミ)は女性であるにもかかわらず女性天皇・女系天皇を認めないと主張するのは、近世の女性蔑視にすぎず、象徴として国民の半数を占める女性から支持を得られない「旧来の陋習」に当たるからだ。

 しかし、*4-2のように、自民党憲法改正草案では、「(第24条:婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。2 配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない)が行き過ぎた個人主義を作る」とされ、「女性にとって最も大切なことは子どもを2人以上産むことで、これは仕事でキャリアを積むこと以上に価値がある」などという発言に繋がっている。そして、菅官房長官が「ママさんたちが一緒に子どもを産みたいとか、そういう形で国家に貢献してくれたら」と発言しているが、1億総活躍を、女性は産んで増やすことによって活躍するものと考えているとすれば、先進国からは70年遅れているのだ。
    
 さらに、*4-3のように、HKT48が新曲で、「女の子は頭からっぽでいい」「どんなに勉強できても 愛されなきゃ意味がない」「内面は見えない 可愛いは正義よ チヤホヤされたい」と歌うそうだが、勉強ができると愛されないというのは事実ではない(実際には、勉強ができてステップアップすれば、住む世界が同じである場合が多い恋愛相手もステップアップする)。そして、日本の“アイドル”は、本当に上手で相手を感動させる人ではなく、かわいぶっているだけの人ばかりであるため、価値が低くて魅力がないのだ。

 そのほか、*4-4のように、日本のメディアは、「歴史ファンというと中高年男性が主だったが、ゲームやアニメをきっかけに戦国武将や歴史に興味を持つ若者、女性が増えた」というように、女性は、ゲームやアニメにしか興味がないかのように、さりげなく女性蔑視を記事に織り込ませている場合が多い。しかし、実際には、歴史学科のある文学部は女性の学部と言っても過言ではないほどなのである。

 しかしながら、こうして女性蔑視が“常識化”されていくため、今後は表現にも厳しく対処すべきだ。英語圏では、女性差別を禁じた時から文章中の「chairman」を「chairman/woman」や「chairperson」という表記に変更するなどの徹底ぶりである。

<英独の女性首相と米の大統領候補>
*1-1:http://www.cnn.co.jp/world/35086185.html
(CNN 2016.7.21) メイ英首相、メルケル独首相と会談 「秩序あるEU離脱を」  
 ロンドン(CNN) 英国のテリーザ・メイ首相が就任後初の外遊でドイツを訪問し、20日にベルリンでメルケル首相と会談した。今回の外遊を通じ、欧州連合(EU)離脱に向けた交渉を円滑に進めることを目指す。メルケル首相は夕食会を前にメイ首相との共同記者会見に臨み、英国とドイツは友好関係にあって価値観も共有していると指摘。両国の二国間関係や貿易は、英国がEUを離脱した後も続くと明言した。ただしメルケル首相は、EU離脱の手続きを定めたリスボン条約50条が発動されるまで、公式交渉も非公式交渉も開始できないと強調した。続いて発言したメイ首相は、両国とも2国間のできるだけ密接な経済関係を維持したい意向だと述べ、ドイツと英国の企業もそれを望んでいるとした。メイ首相は「メルケル首相や欧州理事会の首脳と建設的な精神で連携し、合理的かつ秩序ある離脱を果たしたい」「我々全員がそうした交渉のための準備時間を必要とする。英国は我々の目標がはっきりするまで50条を発動しない。既に表明した通り、年内に発動することはない」と言明した。発動の先延ばしについては「誰もが喜ぶとは限らない」としながらも、「今それをはっきりさせておくことが大切だと考える」としている。メイ首相は21日にはパリでフランスのオランド大統領と会談し、50条の発動について同様の意向を伝える方針。

*1-2:http://digital.asahi.com/articles/ASJ7Y2PGTJ7YUHBI009.html
(朝日新聞 2016年7月29日) クリントン氏「愛は憎悪に打ち勝つ」 指名受諾演説
 米民主党の大統領候補に指名されたクリントン前国務長官(68)が28日夜(日本時間29日午前)、ペンシルベニア州で開かれている党全国大会で指名受諾演説をした。共和党のトランプ氏(70)が排外主義的な主張をしていると指摘。国内外での世論の分断に憂慮を示し、「愛は憎悪に打ち勝つ」と、団結して課題に取り組む必要性を強調した。大会最終日のこの日、クリントン氏は指名受諾を宣言して「我々はより完全な合衆国になるための一里塚に到達した。主要政党で初の女性大統領候補が生まれた」と述べ、初の女性大統領となって女性の社会進出を阻む「ガラスの天井」を打破する意気込みを語った。演説では「米国は再び岐路に立たされている。信頼と尊敬の絆がほころんでいる」と指摘。トランプ氏が経済格差や国内外で多発するテロで国内にくすぶる不満や怒りを背景に、孤立主義や排外主義的主張をしているとして、「彼は世界や我々を分断しようとしている」と批判した。そのうえで「米国民は世界で最も力強く、多様な国民で、最も強力な軍を保有している」と語り、「より自由で公平、強い国にするため団結しなければならない。我々は団結した時に強くなれる」と強調した。また、「愛は憎悪に打ち勝つ」とも述べ、危機感に訴えるトランプ氏とは対照的に、前向きな未来への道筋を示すことで、有権者の支持を集める狙いがあるとみられる。また、「すべての米国民がよりよい生活を送れるよう力づける」とし、「賃金を上げ、仕事の機会と質を向上させる」ことを政権の優先課題に掲げた。大企業や富裕層に増税し、税額控除を受けながら海外移転した企業から国内に雇用を取り戻すと主張。「不公正な貿易協定にはノーと言わなければならない。中国に立ち向かわなければならない」と述べたものの、環太平洋経済連携協定(TPP)には言及しなかった。外交・安全保障では「米国は世界の同盟国と協力した時により強くなる」と述べ、国際協調主義のもと紛争回避のため、外交的手段を積極的に活用し、同盟国との関係深化を目指す方針を打ち出した。トランプ氏の主張については「彼は解決方法を何も示していない」とし、「トランプ氏は大統領選の乱闘騒ぎすら対応できていない」と批判した。

<女性都知事>
*2:http://news.livedoor.com/article/detail/11846290/ (産経新聞 2016年8月4日) 【内閣改造】丸川珠代五輪相vs小池百合子都知事 東京五輪は大丈夫か? 都知事選で「チームプレーができない」と毒舌批判 「一騒動ある」とヒヤヒヤ
 3日に発足した第3次安倍再改造内閣で、自民党の丸川珠代前環境相(45)が、五輪担当相に就任した。同じく就任したばかりの小池百合子東京都知事(64)とともに、2020年東京五輪・パラリンピックの準備を担う。だが、保守分裂した都知事選で、丸川氏は「チームプレーができない」などと、小池氏を痛烈に批判しており、東京五輪の大会経費見直し協議の行方を不安視する声もある。民主党政権が子ども手当法案の採決を強行した際、「愚か者めが!」と罵倒したのを機に「女ヤジ将軍」の異名も持つ丸川氏。分裂選挙を戦った都知事選では、自民党都連が擁立した増田寛也氏(64)の応援演説でも“毒舌”がさえた。「スタンドプレーはできるけども、チームプレーはできない。こういう人は都知事にしなくていいんじゃないかと思っています」(7月26日、自民党本部の総決起大会)。「これから都議会と一戦ことを構えよう。そんな人を都知事にしたら、あっという間に1年、2年を無駄にしてしまいます」(7月29日、同本部の「増田ひろや頑張れ!女性の会」)。組織の引き締めに向け、選挙戦終盤にリードする対抗馬の小池氏を“口撃”する狙いがあったとみられるが、都幹部は「普通はあまりいい気はしない。互いに連係プレーが必要なときで、禍根を残さなければいいが…」と、丸川氏の五輪相起用を不安視する。「一騒動ありそうだ」との声も。小池氏と丸川氏、大会組織委員会の森喜朗会長は今後、約2800億円に膨らんだとされる仮設競技場の整備費など、大会経費の負担見直しの協議に入る予定だ。丸川氏と文部科学相の松野博一氏はこれまでスポーツや五輪になじみが薄く、小池氏とともに五輪開催準備に関わる重要ポストが一気に入れ替わった。小池氏は3日、報道陣の取材に応じ、丸川氏の起用について「とても聡明(そうめい)な方で、大変信頼している。互いに国民、都民にとって良い大会になるように連携したい」とし、選挙戦で批判を受けたことについては、「よく存じておりません。それぞれお立場もあるんでしょうから」と述べた。

<女性副大臣・政務官・女性議員>
*3-1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20160806&ng=DGKKZO05762670W6A800C1PP8000 (日経新聞 2016.8.6) 副大臣・政務官人事 女性4人にとどまる
 政府は5日、内閣改造に伴う副大臣25人、政務官27人の人事を決めた。財務副大臣には大塚拓氏、木原稔氏を起用した。副大臣の留任は義家弘介文部科学副大臣ら5人だった。派閥に属していない無派閥議員の起用を減らして派閥出身者に割り振った。安倍晋三首相は5日、人事決定後初めてとなる副大臣会議で「官僚との適切な信頼関係を築き、各省の力を存分に発揮できる環境をつくってほしい」と話した。女性は厚生労働副大臣に古屋範子氏を充てるなど副大臣、政務官を合わせて4人にとどまり、昨年10月の改造時の5人から減った。前々回の2014年9月の改造では7人を起用しており、首相がめざす女性登用は足踏み気味だ。派閥別でみると、首相の出身派閥でもある細田派は政務官を1人減らしたものの派閥の中で最も多くの副大臣、政務官を出した。閣僚も4人抱える。額賀派は副大臣、政務官を1人ずつ増やした。岸田派は閣僚ポストを1人増やしていることから副大臣、政務官は増えていない。無派閥は副大臣、政務官が1人ずつ減った。厚遇が目立つのが二階派だ。閣僚が2人に増えたうえ、政務官を1人増やした。首相支持を明確にしており「二階氏に配慮している」(他派閥議員)との見方が多い。菅義偉官房長官は5日の記者会見で派閥からの推薦を考慮しているかを問われて、「全くしていない」と述べた。

*3-2:http://www.saga-s.co.jp/news/national/10201/316870
(佐賀新聞 2016年5月29日) 女性議員の6割セクハラ経験、同僚男性、有権者から多く
 都道府県議会の女性議員を対象に共同通信が行った全国アンケートで、回答者の約6割がセクシュアルハラスメントなど女性蔑視の言動を受けて不快な思いをした経験があることが29日、分かった。東京都議会で問題化したセクハラやじのような議会内の同僚議員からの被害が最も多く、「触らせないと票をあげない」といった有権者の言動が続いた。女性が参政権を行使して今年で70年。都道府県議会に占める女性の割合は9・8%(昨年末時点、総務省調べ)といまだに低く、性差別的な意識が残っている。男女が共に政治に参画するには、有権者も含めた議会内外の意識改革が不可欠だ。

<日本社会の女性差別>
*4-1:http://digital.asahi.com/articles/DA3S12502961.html
(朝日新聞社説 2016年8月9日)天皇陛下お気持ち表明 「総意」へ議論を深めよう
 メッセージを貫くのは、日本国および国民統合の象徴として責務を全うすることへの、強い責任感だ。国民との信頼関係をどう築くかに心を砕いてきた即位以来28年の歩みを、思いおこさせる内容である。憲法は、天皇の行為が政治の動向に影響を及ぼすことがあってはならないと定めている。このためお言葉には、退位という文言をふくめ、現行制度の見直しについての言及はない。しかし、代行者として摂政をおく案にあえて触れたうえで、天皇の務めを果たせないまま地位にとどまることへの疑念を強くにじませた。さらに、健康を損ない「深刻な状態」になったときの社会の停滞や国民生活への影響にも言及するなど、相当踏みこんだお言葉になった。
■政治の怠慢の責任
 改めて思うのは、政治の側が重ねてきた不作為と怠慢だ。高齢の陛下に公務が重い負担になっていること、その陛下を支える皇族の数が減り、皇室活動の今後に不安があることは、かねて指摘されてきた。小泉内閣は2005年に有識者会議を設けて女性・女系天皇に関する報告書をまとめ、12年には野田内閣が、皇族の女性が結婚後も皇室にとどまる女性宮家構想の論点を整理した。この間、秋篠宮さまの会見で「定年制」導入が話題になり、昨年末は、陛下が「行事の時に間違えることもあった」と、加齢による衰えを口にした。だが安倍内閣は、これらの課題に積極的に向きあってこなかった。議論は深まらないまま、先月になって突然、退位の意向が報道で明らかになった。陛下が先をゆき、政治があわてふためきながら後を追いかけている。そんな印象を多くの人が抱いたのではないか。皇室を支える宮内庁と内閣の意思疎通は十分にはかられてきたのか。象徴天皇制のあり方の根幹にかかわる今回の事態を、政権はしっかり掌握し、遺漏のないように進めていけるのか。そんな疑念を残した。首相は自らの責任を自覚したうえで、この問題に正面からとり組む必要がある。
■決めるのは国民
 お気持ちの表明をうけて、どう対応するべきか。
 戦後70年にわたり、国会や憲法学界で交わされてきた象徴天皇制をめぐる議論と、これまでの歩みが土台になるのは言うまでもない。あわせて、陛下も生身の人間であり、体力気力の限界があるという当然の事実に目をむける必要がある。高齢化が進み、だれもが自分自身や近しい人の「老い」、そして人生のしめくくり方を、切実に感じるようになった。お言葉からあふれ出る陛下の悩みや懸念は、多くの人に素直に受けいれられたに違いない。明治憲法がつくりだした、それ以前の天皇の姿とは相いれぬ神権天皇制に郷愁を抱き、「終身在位」に固執することは、国民の意識に沿うとは思えない。天皇に人権は認められず自由意思ももてないとしてお気持ちを封じ込めるのも、人々の理解を得ることはできまい。天皇の地位は、主権者である国民の総意に基づく。陛下の思いを受けとめつつ、判断するのは国民だ。この基本原則を確認したうえで、解決すべき課題とその方策を考えるために必要な材料を提示する。それが政府の使命である。
■皇室活動の再定義を
 平成の時代になってから、憲法が定める天皇の国事行為の範囲をこえて、式典への参列や、さまざまな人との面会、被災地訪問など、「公的行為」と呼ばれる活動が大幅に増えた。負担減のための見直しはされているものの、公平を重んじる陛下自身が公務に積極的で、国民の多くも歓迎していることから、十分には進んでいない。朝日新聞の社説は、これからの皇室のあり方をさぐる前提として、広がりすぎた感のあるこれらの活動をいったん整理し、両陛下や皇族方に、何をどう担ってもらうのが適切か、検討する必要があると主張してきた。お気持ちの表明を、この問題を考える良い機会としたい。象徴天皇制の下の皇室の存在と役割をどう位置づけるかによって、退位問題だけでなく、皇族の数はどの程度を維持すべきか、宙に浮いたままの女性宮家構想にどうとり組むかなどの問いへの答えも変わってくる。拙速は慎むべきだが、さりとて時間をかけすぎると、皇室が直面する危機は深まるばかりだ。一連の事態は、象徴天皇制という仕組みを、自然人である陛下とそのご一家が背負っていくことに伴う矛盾や困難を浮かびあがらせた。どうやってそれを解きほぐし、将来の皇室像を描くか。落ち着いた環境の下で冷静に議論を進め、「国民の総意」をつくりあげていきたい。

*4-2:http://digital.asahi.com/articles/DA3S12320411.html (朝日新聞 2016年4月21日) (憲法を考える)自民改憲草案・家族:下 女性の地位向上は個人主義?
 2004年、衆院憲法調査会で自民党議員が発言していた。「(24条が)行き過ぎた個人主義という風潮を生んでいる側面も、私は否定できないと思う」。 どういう意味だろう。自民党が作った憲法改正PR漫画「ほのぼの一家の憲法改正ってなあに?」を読んでみる。ひいおじいちゃん(92)が、「現行憲法では男女平等が大きく謳(うた)われて 事実この70年で女性の地位は向上した」と語る横で、おじいちゃん(64)がつぶやく。「でも、個人の自由が強調されすぎて なんだか家族の絆とか地域の連帯が希薄になった70年かもしれませんねぇ」。憲法を「家訓みたいなものかしら」とするこの漫画、女性の地位が向上したから家族の絆が薄れたと言いたいのだろうか。「女性にとって最も大切なことは、子どもを2人以上産むことです。これは仕事でキャリアを積むこと以上に価値があります」。大阪市の中学校長の発言を思い出す。2月29日の全校集会でのこと。高校入試を控えた女子生徒もいただろう。どんな思いで聞いたのだろう。私は、長崎県の離島で生まれ育った。母は20歳で結婚。父方の祖父を介護し、その間の家事は、私が担った。「女は勉強せんでもいい」という風土が、息苦しかった。法事のときは、地域の女性みんなで炊事をする。親戚付き合いは、何より優先されていた。「家族の絆」という美しい言葉では表せない、たくさんの葛藤があった。小学校高学年のとき、憲法に男女平等が書かれていることを知った。自分の生き方は自分で決められるんだ――。心の支えにしてきた。それでも、新聞記者になって地元に帰ったとき、中学時代の担任は開口一番、こう言った。「仕事もいいけど、子育てもちゃんとせんとね」。1970年代は「日本型福祉」が称揚され、私の母のような専業主婦は、介護や育児の担い手として期待されていた。その後、経済が停滞し、97年には共働き世帯数が専業主婦世帯数を本格的に上回り、差は広がり続けている。それに伴い、保育所整備は進んだが、予算は圧倒的に不足している。一方で、少子化も進行した。安倍政権は「希望出生率1・8」を国の目標として掲げる。昨年9月には菅義偉官房長官が芸能人カップルの結婚に「ママさんたちが一緒に子どもを産みたいとか、そういう形で国家に貢献してくれたら」と発言。「1億総活躍」の号令が響く。産んで、働き、活躍して、家族の絆も守って。一つでもできないと「行き過ぎた個人主義」と言われてしまうのだろうか。
    
*4-3:http://digital.asahi.com/articles/ASJ5M3PM6J5MUTIL00M.html?iref=comtop_8_02 (朝日新聞 2016年6月8日) HKT48の新曲が物議 女の子「頭からっぽでいい」?
 女の子は頭からっぽでいい――。アイドルグループ「HKT48」の曲が、「女性軽視では」と指摘されている。どんな歌なのか。曲は「アインシュタインよりディアナ・アグロン」。AKB48の総合プロデューサー秋元康氏の作詞で、「難しいことは何も考えない 頭からっぽでいい」「どんなに勉強できても 愛されなきゃ意味がない」「内面は見えない 可愛いは正義よ チヤホヤされたい」などと歌う。4月発売のシングルCD「74億分の1の君へ」に収められた1曲。通常カップリング曲が話題になることは少ないが、発売後、ツイッターには「馬鹿にしてる」「昭和の曲みたい」といった書き込みが相次いだ。「ディアナ・アグロン」は、高校の合唱部を舞台にした米国の人気ドラマ「glee(グリー)」に出演する女優。歌詞では「スカートをひらひらとさせて グリーのように」と表現される。実際のドラマでは、美人で成績優秀なチアリーダー。望まない妊娠など苦い経験を糧に名門大学に進学する。ドラマ自体、同性愛者や民族的マイノリティー、障害者が活躍する設定だ。コラムニストの山崎まどかさんは「多様性の大切さを訴えた作品。歌の人物像とはまるで違う。本当にドラマを見たのか」と話す。HKTと同世代の大学生は、どう受けとめたのか。ツイッターで話題を知ったという慶応大4年の新居日南恵さん(21)は「可愛くて頭からっぽの女の子を求める層がいる、ということが衝撃でした」と話す。「見た目が気になるという気持ちは分かる。中学時代、容姿を気にして摂食障害になった友人もいた。でも『頭からっぽの美人』じゃ、どこにも就職できない」と苦笑いする。ある女子大では、学生たちが替え歌を考えたという。「女の子は恋も仕事もして 楽しく自由に」。ブログで紹介され、「この方がいい」と支持が相次いだ。秋元氏にも取材を申し込んだが、回答はなかった。秋元氏は1980年代、「おニャン子クラブ」向けに、「セーラー服を脱がさないで」や「およしになってねTEACHER」など、過激な歌詞も書いた。今回はなぜ批判が広がったのか。舌津(ぜっつ)智之・立教大教授(日米大衆文化)は、「秋元氏の影響力の大きさに加え、政治の場で女性活躍が叫ばれる時代も関係しているのでは」とみる。舌津教授によると、流行歌に描かれる「か弱く、受け身な女」のステレオタイプが変わり始めたのは70年代。特に作詞家の阿久悠は、山本リンダ「狙いうち」では漫画的な強い女性を、尾崎紀世彦「また逢う日まで」では別れの際に女性が泣くのではなく、2人でドアを閉める姿を描くなど、実験的に時代の先を行く女性像を打ち出した。憧れと共に受け入れられたイメージは、90年代には現実となった。おニャン子クラブの歌には、過激ながら性の解放という側面も感じられたが、「今回の歌は、理想をいっても女性の自立は難しいというメッセージしか読み取れない」という。「先行きが見えない時代に、生産的未来を考えるより若い時だけ可愛くて楽しければいいという内容は、不吉な現実味を感じさせてしまう」。一方、ネットでは「何でもすぐ差別と炎上してしまう時代、アイドルの歌くらい、自由でいいのでは」という声も。アイドルに詳しい社会学者の濱野智史さんは「AKBグループにはいろんな子がいて、いろんな世界観を歌っている。その一つだけを取り上げて批判しなくても」と話す。「『STAP細胞』を巡る騒動で見えるように、理系女子が本来の業績より、可愛いという理由で脚光を浴びるのが現実。問われるべきはそんな社会の方では」

*4-4:http://www.saga-s.co.jp/column/ronsetsu/343383
(佐賀新聞 2016年8月11日) 唐津城と城ブーム、天守閣50年機に磨き上げを
 昨今、城がブームという。歴史ファンというと中高年男性が主だったが、ゲームやアニメをきっかけに戦国武将や歴史に興味を持つ若者、女性が増え、私たちが欧州の古城に引かれるように、訪日外国人客が日本の城に足を運ぶ。戦国期の築城ラッシュから400年前後の時期にあたり、姫路城をはじめ各地で修復や記念行事が行われ、さらには社会を覆う閉塞(へいそく)感が懐古的な歴史ブームを招いているという分析もある。県内でも唐津城の入場者が増えている。2012年度は10万7千人台だったが、14年度は13万人に増えた。昨年度は耐震工事のため11月以降、無料開放したこともあって約16万人となった。インバウンド効果も顕著だ。入場者のうち外国人が占める割合は14年度後半は3・8%だったが、昨年度は7・8%に増え、本年度は7月までで14%を超えた。唐津城の天守閣は1966(昭和41)年10月に完成した。もともと天守閣はなかったが、天守台跡に「観光施設」として慶長様式の5層5階の天守閣を建設した。当時、唐津市は財政再建団体から脱却したばかりで、年間予算の1割を超える1億5千万円の総工費をめぐって反対運動が起き、歴史家からも「史実に反する」と疑問の声が上がった。曲折を経て天守閣が完成し、今年で50年。今では観光唐津を象徴するランドマークとなった。北部九州には天守閣がそびえる城は少ない。小倉城も周辺はビルが建ち並ぶ。博多港に寄港したクルーズ船客や外国人旅行者は城下町のたたずまいを求めて唐津を訪れる。国内クルーズ船受け入れ体制が整った唐津東港は、唐津城を臨む眺望がセールスポイントだ。そうした追い風の中で開館50周年事業として10月1日、記念式典を行い、天守閣の改修工事に入る。老朽化した展示ケースを改修し、デジタル機器を活用した案内設備を整える。併せて可搬型の階段昇降機の導入など高齢者や身障者も見学しやすいようにする。天守閣は資料館を兼ねるが、唐津焼中堅作家が「展示内容は高校時代から変わらない」と言うように、古めかしく、代わり映えしない。駐車場とエレベーターを使うと、入館料と合わせ3回、料金を払うことになる。観光においてホスピタリティー(もてなし)が重視される今、磨き上げが必要だ。熊本では地震で被災した熊本城の再建が復興の象徴となっている。古来、為政者は権威と力を見せつけるため高い建物を建てたが、それがいつしか、人々の心のよりどころとなり、まちづくりのシンボルとなった。唐津の旧城下にそびえる天守閣が日常の風景となって半世紀。伝統に立った創意を観光諸施策に受け継いでいきたい。


PS(2016年8月13日追加):先進7カ国(G7)農相会合は、*5-1のように、①女性・若者の活躍 ②薬剤耐性・高病原性鳥インフルエンザなど越境性動物疾病への対処 ③地球温暖化に関する農業研究の共有 などで「新潟宣言」を採択した。そして、*5-2のように、佐賀県内ではJA女性組織のリーダーを対象にした研修会も開かれている。農業は、食品分野であるにもかかわらず、これまで男性中心だったが、女性が担い手になって意思決定すれば、「手軽で、栄養バランスが良くて、美味しい食卓」を考慮した農産物やその加工品を作りだすことができる。また、*5-3のように、ジビエへの関心から女性ハンターが増えているのも納得だ。そのため、栄養・食品・調理・包装・食器などの専門家が多い女性が農林水産分野の意思決定に加われば、この分野の成長に大きく寄与すると考える。

*5-1:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=37189 (日本農業新聞 2016/4/25) 女性活躍、薬剤耐性、温暖化・・・ 食料安保へ共同行動 G7農相会合「新潟宣言」を採択
 新潟市で開かれていた先進7カ国(G7)農相会合は24日、食料安全保障の強化に向けた「新潟宣言」を採択し、閉幕した。女性・若手農業者の活躍推進に向けた政策共有や、薬剤耐性に関する獣医当局間の関係強化など四つの共同行動を盛り込んだ。食料安全保障の確立に向けた中長期的な課題の解決に向けて、各国が共同歩調を取れるか今後の取り組みが鍵になる。議長国の日本は①女性・若者の活躍②薬剤耐性や高病原性鳥インフルエンザなどの越境性動物疾病への対処③地球温暖化に関する農業研究の共有――で国際会合を開くことを提案。欧州連合(EU)が提案した農業分野の投資を含む四つの国際会合の開催が決まった。日本は、こうした共同行動を5月の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)での議論につなげたい考え。農相会合では、農業を魅力あるものにし女性と若者の参加を促すため、農村地域の活性化と農業者の所得向上の双方を進めていく必要があるとの認識で一致。新潟宣言では、女性と若者の活躍が「農村地域を変革しあまねく広がる発展を促す」との共通認識に立ち、農地の所有や農業経営、マーケティング分野で女性・若者の活躍を進めるとした。政策担当者らの国際会合は今秋に東京で開く。人間や家畜の治療に必要な抗菌剤が効かなくなる薬剤耐性については、抗菌剤を慎重に使うことを改めて確認。薬剤耐性や越境性動物疾病でG7として初めて、各国の獣医当局者が情報を共有する枠組みを打ち出した。初回会合は今年中に開く。森山裕農相は閉幕後の共同記者会見で「農業政策について包括的に議論し、一定の共通認識を得た。課題解決に向けてG7が連携して取り組むことで世界の食料安全保障に貢献できる」と語った。新潟宣言では、東京電力福島第1原子力発電所事故を受けた日本産食品の輸入規制を巡り、「輸入規制は科学的知見と根拠に基づくWTO(世界貿易機関)ルールと調和的であるべきだ」と強調した。熊本地震の被災地に対し、連帯の意も示した。

*5-2:http://www.saga-s.co.jp/column/economy/22901/344131
(佐賀新聞 2016年8月13日) 組織活動の活性化討議 JA女性リーダー研修会
 県内のJA女性組織のリーダーを対象にした研修会が9日、杵島郡大町町のJAさがみどり地区中央支所であった。女性部員や職員ら約80人が、組織活動の活性化や地域組織と連帯した仲間づくりについて討議した。JA佐賀県女性組織協議会とJA佐賀中央会が開催。同協議会の家永美子会長は「食と農を軸とした活動を通じて地元農産物の良さを広め、仲間の輪も広げていきましょう」とあいさつした。研修会では、米大統領選の動向も絡み始めたTPP(環太平洋連携協定)などの農政問題について学習。福岡市の女性組織が直売所の運営や化粧品開発、田んぼアートへの参加など、多彩な取り組み事例を報告した。仲間づくりをテーマにしたグループ討議も行われ、参加者は活発に論議した。

*5-3:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=37767(日本農業新聞2016/6/4)大日本猟友会会員 37年ぶり増加 法制定、支援策が奏功 若者、女性 関心高く
 大日本猟友会の会員数が2015年度に10万5384人に回復し、1978年度以来37年ぶりに前年度を上回ったことが分かった。専門家や大日本猟友会によると、鳥獣被害防止特措法を中心とした総合的な捕獲の施策が奏功した。官民連携による担い手づくりやジビエ(野生鳥獣肉)の広がり、若者の狩猟や里山への関心の高まりが背景にある。狩猟者の減少と高齢化に歯止めがかからない状況が続いていたが、狩猟者確保へ明るい兆しが見えてきた。15年度は14年度(10万4242人)に比べて1142人増加した。1978年の42万4820人をピークに、会員数は毎年、前年度を大きく下回っていたため、大日本猟友会は「非常に画期的な兆候」とする。銃猟に比べて網やわな猟の免許を取得する会員数が急増している。30都道府県で前年度の会員数を上回った。石川県(前年度比222人増)、兵庫県(同128人増)、岡山県(同131人増)、広島県(同112人増)、香川県(同130人増)の増加が目立つ。大日本猟友会によると、戦後は趣味でカモなどの鳥を狩猟する会員が大半だったが、近年は森林や田畑を荒らすイノシシや鹿の捕獲依頼が急増。各現場では、農家が集団で自ら狩猟免許を取得し田畑を守るケースが目立っているという。鳥獣被害防止特措法が増加を後押しした。2007年に成立し、市町村の被害防止計画に基づいて鳥獣捕獲などに従事する狩猟者に、猟銃所持許可の更新に必要な技能講習を免除する特例や、「鳥獣被害防止緊急捕獲等対策」の交付金などで狩猟者を支援する。この他、若手や女性ハンターの座談会(高知県猟友会)など独自の講習会の企画、試験回数や会場の増加など各地で工夫。政府や猟友会、都道府県、自治体は若者や女性向けの情報発信、広報を強化してきた。都会から地方への移住者や女性らの狩猟免許取得も増え、各地で猟友会青年部が立ち上がっている。さらに処分に困っていた鳥獣が、ジビエの広がりで需要と結び付いた。大日本猟友会は「一つの対策の効果ではなく、総合的な捕獲増への取り組みと若者の里山への関心が狩猟者が増えた要因」と見る。大日本猟友会の佐々木洋平会長は「若い狩猟者の技術を高めていくことがこれからの猟友会の使命」と見据える。岐阜大学鳥獣対策研究部門の森部絢嗣特任助教は「免許を取っただけでなく、現場で実際に狩猟で活躍できるよう、支援体制の充実が必要だ」と指摘する。

<日本の芸能プロダクション>
PS(2016/8/14追加):*6のように、「ナンバーワンではなくオンリーワン」を主題とする「世界に一つだけの花(2003年リリース)」を歌っていたSMAPが解散するのは残念だ。オンリーワンであれば当然ナンバーワンであり、オンリーワンであり続けるのは既存の土俵で競ってナンバーワンになるよりもセンスが必要で難しいかもしれないが、持っている遺伝子と育つ環境が全員異なるため、もともと誰もがオンリーワンの個性を持っている。しかし、日本では個性を障害であるかのように解釈して個性をよいものと看做さない風潮があるため、この歌のメッセージは心に残った。なお、現在、日本のプロダクションや芸能界は世の中の進歩と比較してレベルが低いせいか、本当に才能のある人や人々に感動をもたらすメッセージを含んだ芸術を発掘して発信していない。その状況は、開発途上国にも劣る。

*6:http://news.yahoo.co.jp/pickup/6211022 
(デイリースポーツ 2016/8/14) SMAPのグループとソロでの現在の活動、 ジャニーズ事務所 SMAP解散経緯全文 「休養」をメンバー数名受け入れず
 今年デビュー25周年を迎える国民的グループ・SMAPが12月31日をもって解散することが14日未明、分かった。所属するジャニーズ事務所がFAXで発表した。5人はジャニーズ事務所に残留。17年以降はソロ活動を続けていく。事務所側はメンバーに休養も提案したが、「メンバー数名」がこれを受け入れることができなかった。解散を説明する事務所からの全文を掲載する。(以下略)

| 男女平等::2015.5~ | 07:45 PM | comments (x) | trackback (x) |
2016.3.6 男女雇用機会均等法ができたにもかかわらず、女性の登用が進まなかった本当の理由は何か? (2016年3月7、9、11、12日に追加あり)
   
2013.11.15朝日新聞   2015.11.19 地方議会議員     社会保障への対応   
                    朝日新聞   の女性割合

     
 多方面の男女格差  年齢別・男女別平均年収     非正規雇用者数とその増減

(1)女性総合職1期が8割も退社した理由
 *1のように、最初の男女雇用機会均等法が施行された1986年に入社した現在50代前半の女性総合職は、約30年経った2015年10月には約8割が退職していたそうだ。多くのメディアは、その理由を、①長時間労働などの慣習が変わらなかったから ②育児と仕事の両立支援が遅れたから などとしているが、最も大きな理由は、雇用における女性差別の禁止を「努力義務」に留め、男女雇用機会均等法をザル法化して、企業が女性の活躍を本当の意味では推進しなかったからである。しかし、1989年には「1.57ショック」があり、このままでは女性が仕事か子どもかを選ばされて少子化するという統計上のメッセージは出ていたが、これは無視された。

 この間、女性が結婚や出産を機会に退社せざるを得なかった背景には、まだ社会全体に残っていた家制度に基づく古い価値観(嫁は家の女と書く)があり、また、団塊の世代が働き盛りで男性だけでも雇用が満杯だったため、政府や日本企業は、本音では女性を雇用の調整弁として女性に寿退社を薦めていたことがある。これは、*3-1の「結婚したら仕事を辞める、それが私という女の生き方」として、結婚後は個性的なスター歌手から専業主婦になった山口百恵が英断として褒められ、松田聖子のように結婚しても引退しない歌手は徹底的に叩かれるという社会的風潮があったことからも明らかだ。

 また、最初の男女雇用機会均等法が創られた1986年には、*3-2のように、基礎年金制度ができて、厚生年金や共済年金に加入している者に扶養されている20~60歳の配偶者は、保険料の負担なしで基礎年金を受け取れるようになり、これは給与所得者の専業主婦に有利に働いた。

 そして、これらが、家族や社会から評価されて初めて働き続けられる日本女性の仕事の継続に不利に作用したことは言うまでもない。

(2)最初の男女雇用機会均等法について
 *2-1に、1982年に労働省婦人少年局長に就任して、最初の男女雇用機会均等法の成立に奔走された赤松良子さんの話が出ている。私は、1985年頃から赤松さんと東大の女子同窓会でお会いして何度か話をする機会があったが、労働省内にすら雇用の男女平等のための法律をつくることには根強い反対論があり、「女は家にいるのが幸せ」と考える人が多かったそうだ。そして、その後の行政改革で労働省と合併した厚生省は、労働省にもまして、その傾向が強かったと他の先輩から聞いている。

 そして、*2-2のように、最初の男女雇用機会均等法は徹底していなかったため、女性の中にも反対する人が多く、赤松さん自身も「満足する中身ではなく、後輩に改正を託す」と言っておられる。しかし、最初の男女雇用機会均等法の成立により、とにもかくにも、*6の国連女子差別撤廃条約への批准手続きを進めることはできた。

 しかし、この時点で、日本企業は総合職と補助職(現在は一般職と呼ばれている)の区分を作り、大半の女性を補助職、一部の女性だけを総合職として男性に近い昇進の機会を与えた(ただし、全く同じではなかったため、むしろ男性より負担が多かった)。つまり、日本企業は、総合職と補助職を分けるという方法で、最初の男女雇用機会均等法を骨抜きにしたのである。

(3)1997年改正の男女雇用機会均等法について
 (私が当時の通産省に提案して)1997年に、*4の男女雇用機会均等法改正が行われ、1999年4月1日から施行された。これにより、職場における募集・採用、配置・昇進、教育訓練、福利厚生、定年・退職・解雇における女性差別が全面的に禁止されたが、この改正時は不思議なほど抵抗がなかったと赤松さんが言っておられた。実は、その理由は、女性を社会で活躍させることを、女性の人権保護としてではなく、経済に好影響を与えるという論理で説明したからである。

 つまり、日本には、経済発展はしなければならないが、女性の尊厳や人権の保護、男女差別の撤廃などは疎かにしてもよいと考える風潮があり、これは民主主義については開発途上国もいいところなのである。そして、1999年4月1日からの改正男女雇用機会均等法施行後には、経産省や日本企業は、非正規社員・派遣社員という改正男女雇用機会均等法で守られない人の割合を増やすことによって、改正男女雇用機会均等法を骨抜きにした。

(4)日本で女性の登用が進まなかった理由
 上のグラフや*5で示されているように、世界経済フォーラム(WEF)の男女格差(ジェンダーギャップ)指数は、日本が世界145カ国中の101位でG7では最下位だったそうだ。その理由は、1979年に国連で採択され、1981年に発効した女子差別撤廃条約に批准して後、他の国はまともな対応をしてきたのに、日本は(1)~(3)のように、女子差別撤廃条約や男女雇用機会均等法を形骸化し、ザル法化することに専念してきたからである(日本には女子差別撤廃条約には拘束されないという主張もあるが、条約は国内法に優先するため、締結国は条約を守らなければならない)。

 そのうち、「政治への参加118位」「経済活動への参加と機会104位」は著しく低く、「教育91位」も社会の“常識”を反映するせいか意外に低く、「健康と生存34位」がまあまあといったところだ。特に、女性の政治家が少ないのは、少子化対策を産めよ増やせよ論にすり替え、社会福祉や安全な食品を疎かにして、無駄な土木や原発などの有害無益なものにうつつをぬかしている現在の政治の根本原因であるため、私も、女性議員が少なくとも3割に達するように当選させる仕組みを考えることは、日本の政治経済に真に有効だと考える。

<最初の男女雇用機会均等法の成果>
*1:http://www.kochinews.co.jp/?&nwSrl=351228&nwIW=1&nwVt=knd (高知新聞 2016年2月1日) 【均等法1期生】なぜ8割も退職したか
 働く女性を取り巻く状況を浮き彫りにする数字だ。男女雇用機会均等法が施行された1986年に大手企業に入社した女性総合職のうち、昨年10月時点で約80%が退職していたことが共同通信の調査で分かった。この30年間に一定の前進があったとはいえ、女性が子育てなどを機に退職する「M字カーブ」の基本形は変わっていない。安倍政権は成長戦略に女性の活躍を掲げるが、過去の反省も踏まえ働き続けることができる環境を着実に整備することが欠かせない。募集、採用、昇進などでの性差別を禁じる均等法は、憲法がうたう男女平等を働く場でも保障する意味がある。それまでは男女別採用、女性だけの若年定年制、結婚退職制もあったから、女性の働き方を大きく変えることが期待された。その代表と言えるのが企業の幹部候補生である女性総合職だが、86年入社の均等法1期生は、約30年後には大半が職場を去っていた。法の想定とは大きく異なる。これには差別禁止を企業の「努力義務」にとどめた法の不備も絡んでいるが、問題なのは「義務」とした99年の法改正後も基本的な構造が変わらなかったことだ。調査では99年採用の女性総合職のうち74%が退職していた。この世代は現在は40歳前後で、これから介護などに直面すると、その割合はさらに上がる恐れがある。無論、均等法には効果もあった。女性の結婚退職はかなり減ったし、企業や役所では管理職への起用が徐々に増えている。それでも働く女性の課題は多い。それを象徴するのは、以前から指摘される「M字カーブ」であろう。総務省が2013年に実施した調査によると、女性の就業率は25~29歳が約75%と最も高いが、30~39歳は60%半ばまで低下、40歳以上で再び70%台に戻っている。かつてほどの深い谷ではないとはいえ、出産の前後に退職する人が多いことを物語っている。共働き家庭では家事、育児、介護が依然、妻に集中する傾向があり、仕事との両立は容易でないのが現実だ。均等法施行から3年後の89年には1人の女性が生涯に産む子どもの数が、当時としては記録的に減少した「1・57ショック」があった。これを受けた少子化対策では、子育て支援を中心とする新旧のエンゼルプランなどが策定されている。それでも共同通信の調査では、2007年採用の女性総合職の42%が既に退職している。大手企業がこんな状況なら、中小・零細企業ではどうなっているのだろう。安倍内閣は女性活躍推進法や第4次男女共同参画基本計画などを通じて、女性の活躍できる社会づくりを目指している。それには長時間労働など男性の働き方も見直す必要がある。これまでずっと事態の改善を阻んできた構造にもメスを入れることだ。

<最初の男女雇用機会均等法>
*2-1:http://digital.asahi.com/articles/ASHB655CBHB6ULFA014.html?iref=reca
(朝日新聞 2015年10月12日) 〈証言そのとき〉男女平等を求めて:4 政・財界に強い反対論
 1982年に労働省の婦人少年局長に就任しました。のちの「男女雇用機会均等法」の法制化に向け、一気に走り出そうと思いましたが、なかなかうまくいきませんでした。
――労働省内にすら、雇用の男女平等のための法律をつくることに根強い反対論があった。
 省内もほとんど男性ですから。女性が男女平等を叫ぶのはあんまりうれしくないわよね、誰だって。それでも良識ある人は「そうは言ってもご時世だから」ってあきらめたけど、あきらめきれない人もいたのね。「わざと過激な中身にした方がつぶしやすい」なんて悪知恵を出していた人もいたそうです。当時の大野明大臣も「女性は家にいるのが幸せ」という価値観の持ち主で、男女平等なんて大嫌いな人でした。だから省内でも「そんな法律、本当にできるの?」って白い目で見られていました。
■担当として根回し
――83年夏、赤松さんは担当局長として財界、政界への根回しに明け暮れた。
 当時の偉い男性たちの認識というのは「労働力が必要だから女性にも働いてはもらいたい。だけど結婚や出産をしたら、30歳くらいまでに辞めるべきだ」というものでした。女性が働き続けて責任あるポストに就いていくことは、家庭にも社会にも良くないというのが大勢でしたね。そこで条約と法律の関係をよく説明しました。法律ができないと、世界に約束した「女子差別撤廃条約」を批准できません。日本は先進国としての立場をまずくしますよ、と。国のメンツで説明すると、ほとんど理解してくれました。その代わり、必ず「あまり厳しい法律はごめんだ」と釘を刺されました。義務や罰則のないものでないと困ると。そのため無理に義務としないで「ソフトランディングで」と考えたわけです。これはのちに女性団体から非常に怒られるところなんですが、約束でしたから守ったんです。
――その年の秋、日経連が雇用の男女平等のための法律制定に反対する声明を出す動きがあるとのニュースが飛び込んだ。
 まだ法案の中身が決まっていない段階。こんな声明が出たら大変です。慌てて日経連の幹部のところへ説明に行きました。範囲や強さなど何も決まっていない時点で法制化に反対を表明すると、雇用の場での男女平等という原則そのものに反対だということになる。「日本の経営者はそんな考えの持ち主だと世界に知らせるようなことをしていいんですか」と言いました。大企業の社長さんたちですから、国際的な視野もあり、ちゃんと耳を傾けてくれました。すったもんだの末、反対声明は出ませんでした。
■新内閣誕生で一変
 潮目がかわったのは83年の年末です。衆院解散で第2次中曽根康弘内閣が誕生。新しく労働相に就任したのが坂本三十次氏で、彼は熱心に雇用の男女平等について勉強を始めてくれました。これで省内の雰囲気がガラリと変わった。中曽根首相にも面会がかないました。「資本家の走狗(そうく)になる覚悟で」と言われました。あなたは女性労働者の味方と思っているかもしれないが、妥協すれば財界に有利な法律になる、資本家の使い走りの犬だと言われても仕方ないんだよ、という意味でしょうね。すごい悪口よね。脅しのつもりだったのかしら? 私は励ましと思うことにしました。でも、「スゴイ言葉よね」と一緒に行った次官と話したものです。

*2-2:http://digital.asahi.com/articles/ASHBC5DLCHBCULFA001.html
(朝日新聞 2015年10月26日) 〈証言そのとき〉男女平等を求めて:6 「満点ではない」と本音
■元文部相 赤松良子さん
――1984年7月、衆院社会労働委員会で男女雇用機会均等法案の本格的な審議が始まった。
 注目法案ですから、激しい質問もありました。共産党・革新共同の田中美智子議員に「財界からの圧力に屈してこのような法律を作ったのなら、けつをまくったらどうですか。辞職願を出したらどうですか」と言われました。坂本三十次労働相が「赤松(婦人)局長はベストを尽くした」と答弁してくださいました。
■「太陽」の質問され
 その直後、今度は社会民主連合の江田五月議員が質問に立ちました。穏やかな口調で「この法案で法律としてもうできあがったと感じているか、それとももっとすばらしい法律をつくることが課題としてこれから残るとお感じか」と聞かれました。国会答弁には、できるかぎり誠実に答えるのが私のモットーでした。ただ、政府はベストの法案を国会に提出しているというのが建前ですから、たとえ法案に不十分な点があると本心で思っていても、決して言ってはいけないのです。けれど、本音を言ってしまいました。「百点満点だとは決して思っておりません。いろいろな制約の中で現実に見合ったものにしなくてはならない。あまりに現実と遊離したものではワークしないのではないかという考慮もありました」と答えました。イソップ童話「北風と太陽」のようなものですね。北風が吹きつけても旅人はコートを脱ぎませんでしたが、江田議員の質問は太陽のようで、ぽかぽか照らされて私はコートを脱いだのです。
――85年5月、均等法はいくつかの修正を経て衆院本会議で可決・成立した。
 ほっとしました。けれども、そもそも満足している中身ではないので、残念な気持ちもありました。
■後輩に改正を託す
 本会議場で成立を見届けてから、労働省に戻って乾杯しました。局長室のドアを開いて、30~40人くらいいたかしら。「これで役人としての最後の仕事だからお別れだけど、あなたたちは残って、あと何年かかっても必ず改正案を出し、より良いものにしてくださいよ」と後輩たちに言いました。「みにくいアヒルの子を白鳥にしてね」と。どこが不十分だか、作った私たちがよく知っていますからね。そしてその後、均等法は後輩たちの手で97年に改正され、差別を全面的に禁止することになりました。
――均等法成立後、国連の女子差別撤廃条約への批准の手続きも順調に進んだ。
 85年7月、世界女性会議がケニアのナイロビで開かれ、政府代表として出席しました。飛行機には、日本から参加するNGOの女性たちも乗り合わせていました。均等法に大反対していたグループもいて「あれは赤松局長よ、呉越同舟ね」という声が聞こえてきました。それを言った人とは、のちに女子差別撤廃条約の研究や普及のNGO活動を一緒にして、いまも仲良くしているんですけどね。まさに日本の条約批准が発効する日を、ナイロビの会議中に迎えました。私は会議でそれに触れ、まだ批准していない国にはぜひ早く批准して欲しいとスピーチをしました。その日は政府代表で来ていた女性官僚たちと街へ繰り出し、ドンペリを飲んで批准を祝いました。世界女性会議には各省の女性官僚が代表として出ました。

<専業主婦の薦めと専業主婦優遇>
*3-1:http://eyes-woman.com/life/2249/ (女性の人生, 恋愛・結婚 2014/9/25) 「結婚したら仕事を辞める、それが私という女の生き方です」大スターから主婦の道へ英断した、山口百恵
 今回は、売り上げたシングルは1630万枚、LP434万枚と絶頂期にありながら、俳優三浦友和さんと結婚し、引退した女性、山口百恵さんの、引退後30年たつ今でも、色あせない魅力を見つめます。
●ワタシのあの頃
◇オーディションで勝ち取ったデビュー。自身がどんどん自分の個性を引き出していった
 1972年に、オーディション番組『スター誕生!』で準優勝し、20社 から指名を受け芸能界入り。年齢が低くビジュアル面でも純朴な少女が大胆な大人の世界を歌うことで、「青い果実」「ひと夏の経験」などが次々と大ヒットに。この歌とビジュアルのギャップは所属事務所やレコード会社による周到なイメージ戦略の賜物でもありましたが、何より彼女自身が山口百恵というイメージを作り上げていったのでした。当時のスタッフは、こう振り返ります。“「テレビや映画での演技、読書や海外のアーティストの音楽などから色々なことを吸収し、レコードを1枚出すごとに上手くなっていきました。それは、テクニックだけが上手くなっていったということではなく、自然な形で百恵自身の存在感がどんどん大きくなっていき、僕らスタッフでも気圧(けお)される-気分的に圧倒される-ようなところが、他の歌手にはあまり感じなかったところだと思います」。与えられた役割をこなすだけではなく、彼女は、常に自分自身や自分の置かれた状況を、冷静に第三の目で見つめ続けていたように見えます。着るものの色や型によって、気持ちががらりと変わり、歩き方から言葉遣いまで違ってしまう自分に気が付き、仕事によって着る服を選んだり、髪型を変えたり。自身をプロデュースして「山口百恵」像を作り上げていったところも大きかったのではないでしょうか。また、勝手に作られたイメージと本当の自分の姿とのギャップに苦しみながら、心の奥底で静かに闘っている女性でもありました。どんな人でも、自分が勘違いされていると感じ、理不尽な思いをした経験があるはず。だからこそ、人々は彼女に魅かれていったのでしょう。
◇変わったきっかけ
21歳、絶頂期の中の完全引退。彼女は一人の女性としての幸せを選んだ。映画『伊豆の踊子』で共演した相手役の三浦友和さんとは、彼女の主演映画13作のうち12作も共演。二人はゴールデンコンビと呼ばれました。そして、1979年のリサイタルで、突如「私が好きな人は、三浦友和さんです」と発表。婚約発表での引退発表は、世間に衝撃を与えました。まだ21歳という若いトップスターの引退。世の中は女性進出が進み始めた時代でもあり、絶頂期にも関わらず突如として家庭に入ることに否定的な意見も多かったのです。
◇“「結婚したら仕事を辞めよう」
 あの時にはまだ、ふたりの間で“結婚”という言葉を、正式に取り交わしていなかった。ただ、このままいけば私は多分、この人と結婚するだろうとだけ、漠然とだが予感していた。やっぱり、仕事を辞めよう・・・ある日突然に私の心に浮かんだ結論。直感としか言いようがなかった。彼女はこの直観を信じて、自分のこれから先の人生を決定しました。「女優・歌手」の山口百恵としてではなく、一人の女性としての「山口百恵」を選んだのです。彼女は、世の中の、引退に否定的な意見に関しても、自分の意見をしっかり述べています。山口百恵という女性の魅力は、しっかりとした自分自身の考えをもち、世間に媚びなかったところにあるのかもしれません。彼女は、自叙伝「蒼い時」で、こう綴っています。“仕事でも家庭でも恋人でもいい。生きている中で、何が大切なのかをよく知っている女性こそが自立した女性なのだ。絶頂期の中での引退に「あなたのせいで、女性の地位は10年前に逆戻りした」、「たかが男のために、その身を滅ぼそうとしている」などと批判されながらも、彼女の思いはブレることがなかったのです。男性社会の中で声高に「私は自立する女よ」と肩ひじ張って生きなくとも、「家庭の中にも自立の道はある」と言いきることのできる潔さ。世間が「堕落や逃げ」だと決めつけている「スターから家庭への転落」というものに、新しい光を当てたのも彼女なのではないでしょうか。
◇ワタシの今、そしてこれから
 これからも大事に家を作っていきます。息子の三浦貴大は、一度も両親のけんかを見たことがないといいます。“私たちも機嫌の悪い時もある、そんな時は私たちにはひとつの決まりがある。・・・順番に天使になる、つまりトラブルが起きた後、どちらが間違っていようとも、いつも一方が引いて間違いを認めれば、お互い幸せでいられる。また、2012年の路上インタビューでも、山口さんはしっかり「今」を生きており、芸能界カムバックはまったくないことがうかがえます。“家のことしかしてませんから。・・・今まで通り、普通にやっていきます。ああしたい、こうしたいというのはなくて、何かあれば、主人に相談しながら、大事に家を作っていきたいと思っています。一見「地味」ともとられがちな「主婦」という仕事をしっかりこなし、夫や子どもたちを支えている山口百恵さん。それは、彼女の中にある「家庭」というものに対する考え方に、しっかりした基盤があるからにほかなりません。「家庭」を自分の世界をしっかり確立できる唯一の場所ととらえ、主婦ほどむずかしい仕事はないのではないかと考えているからこそ、そこに真剣に生きようと思う。過去の栄光とすっぱり決別した潔さがそこにあります。彼女には「凛とした美しさ」が漂い、言葉のはしばしに聡明さが漂います。それらが引退後30年を経た今でも我々の心をとらえて離さないのではないでしょうか。

*3-2:http://www.office-onoduka.com/nenkinblog/2007/07/3_2.html (厚生年金・国民年金情報通) 厚生年金と国民年金のニュース、年金法改正、用語説明、消えた年金問題など年金生活のための年金情報
◇国民年金の第3号被保険者とは?
 国民年金の第3号被保険者とは、ごく一般的に言うと、会社員の夫に扶養されている20歳以上60歳未満の妻のことです。正確には、厚生年金や共済年金に加入しているもの(国民年金の第2号被保険者)に扶養(年収130万円未満)されている、20歳以上60歳未満の配偶者です。第3号被保険者割合は、の99%が妻、1%が夫となっていますので、ここでは妻と断定して話を進めます。
◇第3号被保険者の問題点「不公平感」
 第3号被保険者問題の一番問題とされているのが保険料負担の不公平感です。第3号被保険者の保険料は誰が負担しているかと言えば、第2号被保険者全員で負担しているわけで、その中には母子家庭の母や、独身女性、共働き女性も含まれています。また、将来自分の年金を受け取るのに、自分で保険料を払わなければならない自営業妻の専業主婦、自営業共働きの女性、厚生年金に入れない母子家庭の母、学生から無職の人まで、第1号被保険者と比べても不公平感はぬぐえません。片方では保険料を払い、片方では保険料負担なしで同じ金額の年金を受け取る。所得が低い人や障害があって保険料が免除になっている人ならまだ保険料負担がないことに納得できますが、その免除の人たちは免除の種類に応じて受け取れる年金額は2分の1、3分の1など削られたものになってしまいます。それに対して第3号被保険者は、第1号被保険者、第2号被保険者と同じく、基礎年金はカットなしの全額給付です。専業主婦(第3号被保険者)のいる家庭というのは、育児・介護等やむをえないケースを除き、夫一人で家計を支えることができる比較的恵まれた世帯ということができますので・・・(最近ではそうでもないかもしれませんが。(中略)
◇第3号被保険者導入の歴史
 第3号被保険者は昭和61年(1986年)4月、基礎年金制度ができた時に誕生した制度です。それまで国民年金、厚生年金、共済年金はそれぞれ別々の管理運営がされており、国民年金については、夫が厚生年金加入者である専業主婦は任意加入でした。そのため、国民年金に任意加入しない妻もおよそ3割存在し、離婚した場合には将来無年金となる怖れがありました。そこで、将来自分自身の基礎年金を受け取れるように、厚生年金加入の夫を持つ専業主婦については保険料無拠出で年金に加入できる制度、第3号被保険者が誕生したのです。(以下略)

<1997年改正男女雇用機会均等法>
*4:http://wol.nikkeibp.co.jp/article/column/20091207/105154/
(日経ウーマン 2009年12月8日) 1997年改正男女雇用機会均等法成立
1986年に施行された男女雇用機会均等法の改正法がこの年の6月に成立し、(施行は1999年4月1日)、法律としての実効性が大きく前進しました。主な改正点は以下の点です。
 (1)女性に対する差別の努力義務規定が禁止規定に
 (2)ポジティブ・アクション、セクシュアルハラスメント関連の規定の創設
 (3)母性健康管理措置の義務規定化(施行は1998年4月1日)
 この改正法では、募集・採用、配置・昇進、教育訓練、福利厚生、定年・退職・解雇において、男女差をつけることが全面的に禁止されました。1986年に施行された均等法では、経済界からの強烈な反発もあり、募集・採用、配置・昇進については努力目標とするにとどまっていたものが、この改正で罰則を伴う禁止規定となったのです。これ以後、基本的に男性のみ、女性のみの求人募集は法律違反となりますが、特例として、その企業が過去に男性を優先的に採用していた実績があるために男女間の従業員数や雇用管理に差が生じている場合は女性を優先的に雇用する「ポジティブ・アクション」によりその差の解消することは違法ではないと規定されました。また、改正法により、職種をできるだけ性別的には中立に表現する形で募集を行うこと進められました。「保母」が「保育士」に、「看護婦」が「看護士」に変更されたのもこの年のことです。さらに、この年に行われた労働基準法の改正に伴い、女性に対する深夜労働・残業や休日労働の制限が撤廃されました。これによりそれまでは実際には残業をしても「本来深夜労働をするはずがない」ということで残業代が請求できなかった事務職の女性たちにきちんと残業代が支払われるようになったり、保護を口実とした女性の排除が難しくなったりというプラス面もあったのですが、他方で深夜や長時間の労働で子育てや介護と仕事の両立の困難に直面したり、激しい労働により健康を害する女性も数多く見られるようになりました。ところで、この改正法にもひとつ大きな問題点がありました。というのも、そもそも男女雇用機会均等法は「女性に対する差別をなくす」という目的で制定された法律なので、もし「男性であることを理由とする差別」があったとしてもこの法律では直接規制ができなかったのです。そのため、商社などの一般職、看護士、保育士などの職種で男性であることを理由に採用されなかった事例は救済できず、法律が男女両性に対する差別を禁止する内容となるためにはさらに2006年まで待たなくてはなりませんでした。

<各国の男女格差>
*5:http://digital.asahi.com/articles/ASHCL5JLWHCLULFA01N.html (朝日新聞 2015年11月19日) 日本の男女格差、少し改善して101位…G7では最下位
 ダボス会議で知られる世界経済フォーラム(WEF)は19日、各国の男女格差(ジェンダーギャップ)の少なさを指数化し、順位で示した最新の報告書を発表した。日本は、世界145カ国中101位だった。前年の104位からわずかに順位を上げたものの、主要7カ国(G7)の中で最下位だった。このランキングは「政治への参加」「職場への進出」「教育」「健康度合い」の4分野の計14の項目を使って、男女平等の度合いを指数化し、総合順位を決める。1位から4位までは、アイスランド、ノルウェー、フィンランド、スウェーデンと北欧諸国が独占。5位から10位はアイルランド、ルワンダ、フィリピン、スイス、スロベニア、ニュージーランドの順だった。日本の近隣国では、ロシアが75位、中国が91位、韓国が115位だった。G7ではドイツ、フランス、英国が10位台に並び、日本をのぞくと最下位のイタリアが41位だった。世界全体では、4分野のうち、「教育」「健康」では格差が縮小していて、男女の差はなくなりつつある。一方、「政治」「職場」の分野は、依然として大きな格差が残ったままだ。2006年の報告書と比べると、過去10年間で「職場」の男女格差は3%、4分野全体での格差も4%しか縮まっていない。WEFは、このままでは「格差が完全に解消するには118年かかる」としている。
■政治・職場、格差解消ほど遠く
 日本が三つとはいえ順位を上げたのは、女性閣僚が増え、「政治」の得点がアップしたからだ。報告書は15年1月時点のデータを使っており、前年の2人から4人に倍増した。衆院議員に占める女性の割合もわずかに上昇した。ただ、それでも「政治」の得点は10・3点で、格差解消にはほど遠い。世界では100以上の国が「候補者に占める一方の性の割合は6割を超えない」など何らかの「クオータ(割り当て)」のしくみを採用し、女性の政治家を増やしている。日本でも今年、超党派の国会議員が参加する「政治分野における女性の参画と活躍を推進する議員連盟」(中川正春会長)が発足。勉強会をかさね、衆院選の比例区で、各政党が男女を交互に当選させることができるようにする公職選挙法の改正案をまとめた。中川氏は「次期通常国会での提出を目指す」としており、各政党の動向が注目される。一方、「職場」分野は前年よりわずかに悪化した。女性の労働参加率は上がったが、男女の賃金格差が広がったためだ。WEFが行った意識調査で、日本の経営者は、同種の仕事についている男女の賃金格差が拡大していると考えている、という結果が出たことを反映している。働く女性は増えているが、待遇を低く抑えられた非正社員が多いことが背景にありそうだ。総務省の労働力調査(4~6月)によると、この2年で働く女性は65万人増えたが、そのうち48万人は契約社員や派遣、パートなどの非正社員だ。東京大の大沢真理教授は、「アベノミクスは女性の活躍をうたっているが、男女格差の解消には向かっていないことが報告書から分かる」と指摘する。

<女子差別撤廃条約>
*6:http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/josi/ (外務省 平成28年2月18日) 女子差別撤廃条約 (女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約)
 女子差別撤廃条約は、男女の完全な平等の達成に貢献することを目的として、女子に対するあらゆる差別を撤廃することを基本理念としています。具体的には、「女子に対する差別」を定義し、締約国に対し、政治的及び公的活動、並びに経済的及び社会的活動における差別の撤廃のために適当な措置をとることを求めています。本条約は、1979年の第34回国連総会において採択され、1981年に発効しました。日本は1985年に締結しました。
ダイヤhttp://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/josi/3b_001.html
女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約 (全文、ただし前文の中に番号を追加)
この条約の締約国は、
 ①国際連合憲章が基本的人権、人間の尊厳及び価値並びに男女の権利の平等に関する信念を改めて確認していることに留意し、②世界人権宣言が、差別は容認することができないものであるとの原則を確認していること、並びにすべての人間は生まれながらにして自由であり、かつ、尊厳及び権利について平等であること並びにすべての人は性による差別その他のいかなる差別もなしに同宣言に掲げるすべての権利及び自由を享有することができることを宣明していることに留意し、③人権に関する国際規約の締約国がすべての経済的、社会的、文化的、市民的及び政治的権利の享有について男女に平等の権利を確保する義務を負つていることに留意し、④国際連合及び専門機関の主催の下に各国が締結した男女の権利の平等を促進するための国際条約を考慮し、⑤更に、国際連合及び専門機関が採択した男女の権利の平等を促進するための決議、宣言及び勧告に留意し、⑥しかしながら、これらの種々の文書にもかかわらず女子に対する差別が依然として広範に存在していることを憂慮し、⑦女子に対する差別は、権利の平等の原則及び人間の尊厳の尊重の原則に反するものであり、女子が男子と平等の条件で自国の政治的、社会的、経済的及び文化的活動に参加する上で障害となるものであり、社会及び家族の繁栄の増進を阻害するものであり、また、女子の潜在能力を自国及び人類に役立てるために完全に開発することを一層困難にするものであることを想起し、⑧窮乏の状況においては、女子が食糧、健康、教育、雇用のための訓練及び機会並びに他の必要とするものを享受する機会が最も少ないことを憂慮し、⑨衡平及び正義に基づく新たな国際経済秩序の確立が男女の平等の促進に大きく貢献することを確信し、⑩アパルトヘイト、あらゆる形態の人種主義、人種差別、植民地主義、新植民地主義、侵略、外国による占領及び支配並びに内政干渉の根絶が男女の権利の完全な享有に不可欠であることを強調し、⑪国際の平和及び安全を強化し、国際緊張を緩和し、すべての国(社会体制及び経済体制のいかんを問わない。)の間で相互に協力し、全面的かつ完全な軍備縮小を達成し、特に厳重かつ効果的な国際管理の下での核軍備の縮小を達成し、諸国間の関係における正義、平等及び互恵の原則を確認し、外国の支配の下、植民地支配の下又は外国の占領の下にある人民の自決の権利及び人民の独立の権利を実現し並びに国の主権及び領土保全を尊重することが、社会の進歩及び発展を促進し、ひいては、男女の完全な平等の達成に貢献することを確認し、⑫国の完全な発展、世界の福祉及び理想とする平和は、あらゆる分野において女子が男子と平等の条件で最大限に参加することを必要としていることを確信し、⑬家族の福祉及び社会の発展に対する従来完全には認められていなかつた女子の大きな貢献、母性の社会的重要性並びに家庭及び子の養育における両親の役割に留意し、また、出産における女子の役割が差別の根拠となるべきではなく、子の養育には男女及び社会全体が共に責任を負うことが必要であることを認識し、⑭社会及び家庭における男子の伝統的役割を女子の役割とともに変更することが男女の完全な平等の達成に必要であることを認識し、⑮女子に対する差別の撤廃に関する宣言に掲げられている諸原則を実施すること及びこのために女子に対するあらゆる形態の差別を撤廃するための必要な措置をとることを決意して、次のとおり協定した。
第一部
第一条
 この条約の適用上、「女子に対する差別」とは、性に基づく区別、排除又は制限であつて、政治的、経済的、社会的、文化的、市民的その他のいかなる分野においても、女子(婚姻をしているかいないかを問わない。)が男女の平等を基礎として人権及び基本的自由を認識し、享有し又は行使することを害し又は無効にする効果又は目的を有するものをいう。
第二条
 締約国は、女子に対するあらゆる形態の差別を非難し、女子に対する差別を撤廃する政策をすべての適当な手段により、かつ、遅滞なく追求することに合意し、及びこのため次のことを約束する。   (a)  男女の平等の原則が自国の憲法その他の適当な法令に組み入れられていない場合にはこれを定め、かつ、男女の平等の原則の実際的な実現を法律その他の適当な手段により確保すること。
(b)女子に対するすべての差別を禁止する適当な立法その他の措置(適当な場合には制裁を含む。)をとること。
(c)女子の権利の法的な保護を男子との平等を基礎として確立し、かつ、権限のある自国の裁判所その他の公の機関を通じて差別となるいかなる行為からも女子を効果的に保護することを確保すること。
(d)女子に対する差別となるいかなる行為又は慣行も差し控え、かつ、公の当局及び機関がこの義務に従つて行動することを確保すること。
(e)個人、団体又は企業による女子に対する差別を撤廃するためのすべての適当な措置をとること。
(f)女子に対する差別となる既存の法律、規則、慣習及び慣行を修正し又は廃止するためのすべての適当な措置(立法を含む。)をとること。
(g)女子に対する差別となる自国のすべての刑罰規定を廃止すること。
第三条
 締約国は、あらゆる分野、特に、政治的、社会的、経済的及び文化的分野において、女子に対して男子との平等を基礎として人権及び基本的自由を行使し及び享有することを保障することを目的として、女子の完全な能力開発及び向上を確保するためのすべての適当な措置(立法を含む。)をとる。
第四条
1 締約国が男女の事実上の平等を促進することを目的とする暫定的な特別措置をとることは、この条約に定義する差別と解してはならない。ただし、その結果としていかなる意味においても不平等な又は別個の基準を維持し続けることとなつてはならず、これらの措置は、機会及び待遇の平等の目的が達成された時に廃止されなければならない。
2 締約国が母性を保護することを目的とする特別措置(この条約に規定する措置を含む。)をとることは、差別と解してはならない。
第五条
 締約国は、次の目的のためのすべての適当な措置をとる。  
(a)両性のいずれかの劣等性若しくは優越性の観念又は男女の定型化された役割に基づく偏見及び慣習その他あらゆる慣行の撤廃を実現するため、男女の社会的及び文化的な行動様式を修正すること。
(b)家庭についての教育に、社会的機能としての母性についての適正な理解並びに子の養育及び発育における男女の共同責任についての認識を含めることを確保すること。あらゆる場合において、子の利益は最初に考慮するものとする。
第六条
 締約国は、あらゆる形態の女子の売買及び女子の売春からの搾取を禁止するためのすべての適当な措置(立法を含む。)をとる。


PS(2016年3月7日追加):*7のように、《保育園落ちた日本死ね!!!》と題した匿名のブログで「1億総活躍社会のかけ声にもかかわらず、保育園不足が解消していない」と安倍首相を攻撃するのは、味方を攻撃しており感心しない。その理由は、*8の女性活躍推進法は、(冗長な割に内容に乏しく出来はよくないが、私が手紙に書いた提案をきっかけとして)2015年8月に安倍首相が成立させてくれたものであり、1億総活躍は女性の活躍を含むもので、保育園不足は数十年前からあって安倍首相に責任があるわけではなく、女性差別をなくして解決しようとしている人に対して苦情を言っているからである。
 なお、*7については、①どうすんだよ私活躍出来ねーじゃねーか ②安倍晋三首相は「匿名である以上、実際に本当であるかどうかを、私は確かめようがない」と答弁した ③事務職の正社員で4月に復職の予定だったが保育所に子どもを入れられなかった とのことだが、①③については、都会の保育園不足は前からわかっているため、育てる算段を立ててから子どもを産むべきである上、少なくとも妊娠中から保育園や学童保育に入れるような地域を選んで引っ越しておくくらいの努力はすべきで、そういう場所が見つからなければ夫婦の一方が子どもか仕事かの二者択一になるのだ。そして、そんなことはわかっているからこそ、私は子どもではなく仕事を選び、子どもの扶養控除もとらずに保育園や学童保育の整備をしてきたし、安倍首相も子どもはいないのに解決しようとしているのだ。つまり、これから子どもを育てるのなら、恨む相手を間違えないくらいの冷静さがなければ、子どもも八つ当たりされて大変なのである。
 また、②については、匿名で書いたような無責任で一方的な発言に対していちいち相手をする必要はないため、政策に反映してもらいたければ、主権者として、首相、国会議員、市長などに、きちんと名前を書いて事情と要望を説明する礼をつくした手紙を出すくらいの努力はすべきだ。

       

*7:http://digital.asahi.com/articles/ASJ3355J2J33UTIL01N.html (朝日新聞 2016年3月4日) 「保育園落ちた日本死ね!」 匿名ブロガーに記者接触
 《保育園落ちた日本死ね!!!》と題した匿名のブログが注目を集めている。1億総活躍社会のかけ声とは裏腹に、なかなか解消しない待機児童問題を指摘する内容で、国会でも取り上げられた。ネット上では同じ境遇の人たちから共感の声が相次いでいる。ブログが書かれたのは2月中旬。《何なんだよ日本。一億総活躍社会じゃねーのかよ。昨日見事に保育園落ちたわ。どうすんだよ私活躍出来ねーじゃねーか》。怒りをぶつけるような書きぶりだ。2月29日の衆院予算委員会では、民主党の山尾志桜里議員が取り上げた。安倍晋三首相は「匿名である以上、実際に本当であるかどうかを、私は確かめようがない」と答弁。議員席からは「誰が(ブログを)書いたんだよ」「(質問者は)ちゃんと(書いた)本人を出せ」とやじが飛んだ。記者がメールでブログの主に連絡を取ると、東京都内に暮らす30代前半の女性と名乗った。夫と間もなく1歳になる男児と3人暮らし。事務職の正社員で、4月に復職の予定だったが、保育所に子どもを入れられなかったという。ツイッターでは《#保育園落ちたの私だ》というハッシュタグ(検索ワード)ができ、議論が盛り上がった。《同じ悩み抱えてる人がたくさんいるからブログが広まった》《仕事だけでなく、親や子どもが外とつながる機会を持つ意味でも子どもを預けられることは大事》。投稿は相次ぎ、2千回以上リツイート(転載)されたものもあった。投稿した一人、都内の40代女性は5年前に出産。子どもを保育所に預けられなかったため、半年間、育児休業を延長し、その間に認可外保育所を探して職場復帰したという。「ブログの表現は乱暴だけど、よくぞいってくれたという気分」。ネット上の議論の矛先は国会論戦の「中身のなさ」や「やじの多さ」にも向かう。1歳の男の子を育てる女性(36)は「ブログを読み、自分の首がもげるのではと思うくらいうなずいた。国会のやりとりを聞いていると、政府が本気で考えているとは思えない」と憤った。

<女性活躍推進法>
*8:http://www.gender.go.jp/policy/suishin_law/pdf/law_honbun.pdf
女性の職業生活における活躍の推進に関する法律
目次
第一章総則(第一条―第四条)
第二章基本方針等(第五条・第六条)
第三章事業主行動計画等
第一節事業主行動計画策定指針(第七条)
第二節一般事業主行動計画(第八条―第十四条)
第三節特定事業主行動計画(第十五条)
第四節女性の職業選択に資する情報の公表(第十六条・第十七条)
第四章女性の職業生活における活躍を推進するための支援措置(第十八条―第二十五条)
第五章雑則(第二十六条―第二十八条)
第六章罰則(第二十九条―第三十四条)
附則
第一章総則
(目的)
第一条この法律は、近年、自らの意思によって職業生活を営み、又は営もうとする女性がその個性と能力を十分に発揮して職業生活において活躍すること(以下「女性の職業生活における活躍」という。)が一層重要となっていることに鑑み、男女共同参画社会基本法(平成十一年法律第七十八号)の基本理念にのっとり、女性の職業生活における活躍の推進について、その基本原則を定め、並びに国、地方公共団体及び事業主の責務を明らかにするとともに、基本方針及び事業主の行動計画の策定、女性の職業生活における活躍を推進するための支援措置等について定めることにより、女性の職業生活における活躍を迅速かつ重点的に推進し、もって男女の人権が尊重され、かつ、急速な少子高齢化の進展、国民の需要の多様化その他の社会経済情勢の変化に対応できる豊かで活力ある社会を実現することを目的とする。
(基本原則)
第二条女性の職業生活における活躍の推進は、職業生活における活躍に係る男女間の格差の実情を踏まえ、自らの意思によって職業生活を営み、又は営もうとする女性に対する採用、教育訓練、昇進、職種及び雇用形態の変更その他の職業生活に関する機会の積極的な提供及びその活用を通じ、かつ、性別による固定的な役割分担等を反映した職場における慣行が女性の職業生活における活躍に対して及ぼす影響に配慮して、その個性と能力が十分に発揮できるようにすることを旨として、行われなければならない。
2 女性の職業生活における活躍の推進は、職業生活を営む女性が結婚、妊娠、出産、育児、介護その他の家庭生活に関する事由によりやむを得ず退職することが多いことその他の家庭生活に関する事由が職業生活に与える影響を踏まえ、家族を構成する男女が、男女の別を問わず、相互の協力と社会の支援の下に、育児、介護その他の家庭生活における活動について家族の一員としての役割を円滑に果たしつつ職業生活における活動を行うために必要な環境の整備等により、男女の職業生活と家庭生活との円滑かつ継続的な両立が可能となることを旨として、行われなければならない。
3 女性の職業生活における活躍の推進に当たっては、女性の職業生活と家庭生活との両立に関し、本人の意思が尊重されるべきものであることに留意されなければならない。
(国及び地方公共団体の責務)
第三条国及び地方公共団体は、前条に定める女性の職業生活における活躍の推進についての基本原則(次条及び第五条第一項において「基本原則」という。)にのっとり、女性の職業生活における活躍の推進に関して必要な施策を策定し、及びこれを実施しなければならない。
(事業主の責務)
第四条事業主は、基本原則にのっとり、その雇用し、又は雇用しようとする女性労働者に対する職業生活に関する機会の積極的な提供、雇用する労働者の職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備その他の女性の職業生活における活躍の推進に関する取組を自ら実施するよう努めるとともに、国又は地方公共団体が実施する女性の職業生活における活躍の推進に関する施策に協力しなければならない。
第二章基本方針等
(基本方針)
第五条政府は、基本原則にのっとり、女性の職業生活における活躍の推進に関する施策を総合的かつ一体的に実施するため、女性の職業生活における活躍の推進に関する基本方針(以下「基本方針」という。)を定めなければならない。
2 基本方針においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
一女性の職業生活における活躍の推進に関する基本的な方向
二事業主が実施すべき女性の職業生活における活躍の推進に関する取組に関する基本的な事項
三女性の職業生活における活躍の推進に関する施策に関する次に掲げる事項
イ女性の職業生活における活躍を推進するための支援措置に関する事項
ロ職業生活と家庭生活との両立を図るために必要な環境の整備に関する事項
ハその他女性の職業生活における活躍の推進に関する施策に関する重要事項
四前三号に掲げるもののほか、女性の職業生活における活躍を推進するために必要な事項
3 内閣総理大臣は、基本方針の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。
4 内閣総理大臣は、前項の規定による閣議の決定があったときは、遅滞なく、基本方針を公表しなければならない。
5 前二項の規定は、基本方針の変更について準用する。
(都道府県推進計画等)
第六条都道府県は、基本方針を勘案して、当該都道府県の区域内における女性の職業生活における活躍の推進に関する施策についての計画(以下この条において「都道府県推進計画」という。)を定めるよう努めるものとする。
2 市町村は、基本方針(都道府県推進計画が定められているときは、基本方針及び都道府県推進計画)を勘案して、当該市町村の区域内における女性の職業生活における活躍の推進に関する施策についての計画(次項において「市町村推進計画」という。)を定めるよう努めるものとする。
3 都道府県又は市町村は、都道府県推進計画又は市町村推進計画を定め、又は変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
第三章事業主行動計画等
第一節事業主行動計画策定指針
第七条内閣総理大臣、厚生労働大臣及び総務大臣は、事業主が女性の職業生活における活躍の推進に関する取組を総合的かつ効果的に実施することができるよう、基本方針に即して、次条第一項に規定する一般事業主行動計画及び第十五条第一項に規定する特定事業主行動計画(次項において「事業主行動計画」と総称する。)の策定に関する指針(以下「事業主行動計画策定指針」という。)を定めなければならない。
2 事業主行動計画策定指針においては、次に掲げる事項につき、事業主行動計画の指針となるべきものを定めるものとする。
一事業主行動計画の策定に関する基本的な事項
二女性の職業生活における活躍の推進に関する取組の内容に関する事項
三その他女性の職業生活における活躍の推進に関する取組に関する重要事項
3 内閣総理大臣、厚生労働大臣及び総務大臣は、事業主行動計画策定指針を定め、又は変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
第二節一般事業主行動計画
(一般事業主行動計画の策定等)
第八条国及び地方公共団体以外の事業主(以下「一般事業主」という。)であって、常時雇用する労働者の数が三百人を超えるものは、事業主行動計画策定指針に即して、一般事業主行動計画(一般事業主が実施する女性の職業生活における活躍の推進に関する取組に関する計画をいう。以下同じ。)を定め、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣に届け出なければならない。これを変更したときも、同様とする。
2 一般事業主行動計画においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
一計画期間
二女性の職業生活における活躍の推進に関する取組の実施により達成しようとする目標
三実施しようとする女性の職業生活における活躍の推進に関する取組の内容及びその実施時期
3 第一項に規定する一般事業主は、一般事業主行動計画を定め、又は変更しようとするときは、厚生労働省令で定めるところにより、採用した労働者に占める女性労働者の割合、男女の継続勤務年数の差異、労働時間の状況、管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合その他のその事業における女性の職業生活における活躍に関する状況を把握し、女性の職業生活における活躍を推進するために改善すべき事情について分析した上で、その結果を勘案して、これを定めなければならない。この場合において、前項第二号の目標については、採用する労働者に占める女性労働者の割合、男女の継続勤務年数の差異の縮小の割合、労働時間、管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合その他の数値を用いて定量的に定めなければならない。
4 第一項に規定する一般事業主は、一般事業主行動計画を定め、又は変更したときは、厚生労働省令で定めるところにより、これを労働者に周知させるための措置を講じなければならない。
5 第一項に規定する一般事業主は、一般事業主行動計画を定め、又は変更したときは、厚生労働省令で定めるところにより、これを公表しなければならない。
6 第一項に規定する一般事業主は、一般事業主行動計画に基づく取組を実施するとともに、一般事業主行動計画に定められた目標を達成するよう努めなければならない。
7 一般事業主であって、常時雇用する労働者の数が三百人以下のものは、事業主行動計画策定指針に即して、一般事業主行動計画を定め、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣に届け出るよう努めなければならない。これを変更したときも、同様とする。
8 第三項の規定は前項に規定する一般事業主が一般事業主行動計画を定め、又は変更しようとする場合について、第四項から第六項までの規定は前項に規定する一般事業主が一般事業主行動計画を定め、又は変更した場合について、それぞれ準用する。
(基準に適合する一般事業主の認定)
第九条厚生労働大臣は、前条第一項又は第七項の規定による届出をした一般事業主からの申請に基づき、厚生労働省令で定めるところにより、当該事業主について、女性の職業生活における活躍の推進に関する取組に関し、当該取組の実施の状況が優良なものであることその他の厚生労働省令で定める基準に適合するものである旨の認定を行うことができる。
(認定一般事業主の表示等)
第十条前条の認定を受けた一般事業主(次条及び第二十条第一項において「認定一般事業主」という。)は、商品、役務の提供の用に供する物、商品又は役務の広告又は取引に用いる書類若しくは通信その他の厚生労働省令で定めるもの(次項において「商品等」という。)に厚生労働大臣の定める表示を付することができる。
2 何人も、前項の規定による場合を除くほか、商品等に同項の表示又はこれと紛らわしい表示を付してはならない。
(認定の取消し)
第十一条厚生労働大臣は、認定一般事業主が次の各号のいずれかに該当するときは、第九条の認定を取り消すことができる。
一第九条に規定する基準に適合しなくなったと認めるとき。
二この法律又はこの法律に基づく命令に違反したとき。
三不正の手段により第九条の認定を受けたとき。
(委託募集の特例等)
第十二条承認中小事業主団体の構成員である中小事業主(一般事業主であって、常時雇用する労働者の数が三百人以下のものをいう。以下この項及び次項において同じ。)が、当該承認中小事業主団体をして女性の職業生活における活躍の推進に関する取組の実施に関し必要な労働者の募集を行わせようとする場合において、当該承認中小事業主団体が当該募集に従事しようとするときは、職業安定法(昭和二十二年法律第百四十一号)第三十六条第一項及び第三項の規定は、当該構成員である中小事業主については、適用しない。
2 この条及び次条において「承認中小事業主団体」とは、事業協同組合、協同組合連合会その他の特別の法律により設立された組合若しくはその連合会であって厚生労働省令で定めるもの又は一般社団法人で中小事業主を直接又は間接の構成員とするもの(厚生労働省令で定める要件に該当するものに限る。)のうち、その構成員である中小事業主に対して女性の職業生活における活躍の推進に関する取組を実施するための人材確保に関する相談及び援助を行うものであって、その申請に基づいて、厚生労働大臣が、当該相談及び援助を適切に行うための厚生労働省令で定める基準に適合する旨の承認を行ったものをいう。
3 厚生労働大臣は、承認中小事業主団体が前項に規定する基準に適合しなくなったと認めるときは、同項の承認を取り消すことができる。
4 承認中小事業主団体は、第一項に規定する募集に従事しようとするときは、厚生労働省令で定めるところにより、募集時期、募集人員、募集地域その他の労働者の募集に関する事項で厚生労働省令で定めるものを厚生労働大臣に届け出なければならない。
5 職業安定法第三十七条第二項の規定は前項の規定による届出があった場合について、同法第五条の三第一項及び第三項、第五条の四、第三十九条、第四十一条第二項、第四十八条の三、第四十八条の四、第五十条第一項及び第二項並びに第五十一条の二の規定は前項の規定による届出をして労働者の募集に従事する者について、同法第四十条の規定は同項の規定による届出をして労働者の募集に従事する者に対する報酬の供与について、同法第五十条第三項及び第四項の規定はこの項において準用する同条第二項に規定する職権を行う場合について、それぞれ準用する。この場合において、同法第三十七条第二項中「労働者の募集を行おうとする者」とあるのは「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律第十二条第四項の規定による届出をして労働者の募集に従事しようとする者」と、同法第四十一条第二項中「当該労働者の募集の業務の廃止を命じ、又は期間」とあるのは「期間」と読み替えるものとする。
6 職業安定法第三十六条第二項及び第四十二条の二の規定の適用については、同法第三十六条第二項中「前項の」とあるのは「被用者以外の者をして労働者の募集に従事させようとする者がその被用者以外の者に与えようとする」と、同法第四十二条の二中「第三十九条に規定する募集受託者」とあるのは「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(平成二十七年法律第六十四号)第十二条第四項の規定による届出をして労働者の募集に従事する者」とする。
7 厚生労働大臣は、承認中小事業主団体に対し、第二項の相談及び援助の実施状況について報告を求めることができる。
第十三条公共職業安定所は、前条第四項の規定による届出をして労働者の募集に従事する承認中小事業主団体に対して、雇用情報及び職業に関する調査研究の成果を提供し、かつ、これらに基づき当該募集の内容又は方法について指導することにより、当該募集の効果的かつ適切な実施を図るものとする。
(一般事業主に対する国の援助)
第十四条国は、第八条第一項若しくは第七項の規定により一般事業主行動計画を策定しようとする一般事業主又はこれらの規定による届出をした一般事業主に対して、一般事業主行動計画の策定、労働者への周知若しくは公表又は一般事業主行動計画に基づく措置が円滑に実施されるように相談その他の援助の実施に努めるものとする。
第三節特定事業主行動計画
第十五条国及び地方公共団体の機関、それらの長又はそれらの職員で政令で定めるもの(以下「特定事業主」という。)は、政令で定めるところにより、事業主行動計画策定指針に即して、特定事業主行動計画(特定事業主が実施する女性の職業生活における活躍の推進に関する取組に関する計画をいう。以下この条において同じ。)を定めなければならない。
2 特定事業主行動計画においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
一計画期間
二女性の職業生活における活躍の推進に関する取組の実施により達成しようとする目標
三実施しようとする女性の職業生活における活躍の推進に関する取組の内容及びその実施時期
3 特定事業主は、特定事業主行動計画を定め、又は変更しようとするときは、内閣府令で定めるところにより、採用した職員に占める女性職員の割合、男女の継続勤務年数の差異、勤務時間の状況、管理的地位にある職員に占める女性職員の割合その他のその事務及び事業における女性の職業生活における活躍に関する状況を把握し、女性の職業生活における活躍を推進するために改善すべき事情について分析した上で、その結果を勘案して、これを定めなければならない。この場合において、前項第二号の目標については、採用する職員に占める女性職員の割合、男女の継続勤務年数の差異の縮小の割合、勤務時間、管理的地位にある職員に占める女性職員の割合その他の数値を用いて定量的に定めなければならない。
4 特定事業主は、特定事業主行動計画を定め、又は変更したときは、遅滞なく、これを職員に周知させるための措置を講じなければならない。
5 特定事業主は、特定事業主行動計画を定め、又は変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
6 特定事業主は、毎年少なくとも一回、特定事業主行動計画に基づく取組の実施の状況を公表しなければならない。
7 特定事業主は、特定事業主行動計画に基づく取組を実施するとともに、特定事業主行動計画に定められた目標を達成するよう努めなければならない。
第四節女性の職業選択に資する情報の公表
(一般事業主による女性の職業選択に資する情報の公表)
第十六条第八条第一項に規定する一般事業主は、厚生労働省令で定めるところにより、職業生活を営み、又は営もうとする女性の職業選択に資するよう、その事業における女性の職業生活における活躍に関する情報を定期的に公表しなければならない。
2 第八条第七項に規定する一般事業主は、厚生労働省令で定めるところにより、職業生活を営み、又は営もうとする女性の職業選択に資するよう、その事業における女性の職業生活における活躍に関する情報を定期的に公表するよう努めなければならない。
(特定事業主による女性の職業選択に資する情報の公表)
第十七条特定事業主は、内閣府令で定めるところにより、職業生活を営み、又は営もうとする女性の職業選択に資するよう、その事務及び事業における女性の職業生活における活躍に関する情報を定期的に公表しなければならない。
第四章女性の職業生活における活躍を推進するための支援措置
(職業指導等の措置等)
第十八条国は、女性の職業生活における活躍を推進するため、職業指導、職業紹介、職業訓練、創業の支援その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
2 地方公共団体は、女性の職業生活における活躍を推進するため、前項の措置と相まって、職業生活を営み、又は営もうとする女性及びその家族その他の関係者からの相談に応じ、関係機関の紹介その他の情報の提供、助言その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
3 地方公共団体は、前項に規定する業務に係る事務の一部を、その事務を適切に実施することができるものとして内閣府令で定める基準に適合する者に委託することができる。
4 前項の規定による委託に係る事務に従事する者又は当該事務に従事していた者は、正当な理由なく、当該事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。
(財政上の措置等)
第十九条国は、女性の職業生活における活躍の推進に関する地方公共団体の施策を支援するために必要な財政上の措置その他の措置を講ずるよう努めるものとする。
(国等からの受注機会の増大)
第二十条国は、女性の職業生活における活躍の推進に資するため、国及び公庫等(沖縄振興開発金融公庫その他の特別の法律によって設立された法人であって政令で定めるものをいう。)の役務又は物件の調達に関し、予算の適正な使用に留意しつつ、認定一般事業主その他の女性の職業生活における活躍に関する状況又は女性の職業生活における活躍の推進に関する取組の実施の状況が優良な一般事業主(次項において「認定一般事業主等」という。)の受注の機会の増大その他の必要な施策を実施するものとする。
2 地方公共団体は、国の施策に準じて、認定一般事業主等の受注の機会の増大その他の必要な施策を実施するように努めるものとする。
(啓発活動)
第二十一条国及び地方公共団体は、女性の職業生活における活躍の推進について、国民の関心と理解を深め、かつ、その協力を得るとともに、必要な啓発活動を行うものとする。
(情報の収集、整理及び提供)
第二十二条国は、女性の職業生活における活躍の推進に関する取組に資するよう、国内外における女性の職業生活における活躍の状況及び当該取組に関する情報の収集、整理及び提供を行うものとする。
(協議会)
第二十三条当該地方公共団体の区域において女性の職業生活における活躍の推進に関する事務及び事業を行う国及び地方公共団体の機関(以下この条において「関係機関」という。)は、第十八条第一項の規定により国が講ずる措置及び同条第二項の規定により地方公共団体が講ずる措置に係る事例その他の女性の職業生活における活躍の推進に有用な情報を活用することにより、当該区域において女性の職業生活における活躍の推進に関する取組が効果的かつ円滑に実施されるようにするため、関係機関により構成される協議会(以下「協議会」という。)を組織することができる。
2 協議会を組織する関係機関は、当該地方公共団体の区域内において第十八条第三項の規定による事務の委託がされている場合には、当該委託を受けた者を協議会の構成員として加えるものとする。
3 協議会を組織する関係機関は、必要があると認めるときは、協議会に次に掲げる者を構成員として加えることができる。
一一般事業主の団体又はその連合団体
二学識経験者
三その他当該関係機関が必要と認める者
4 協議会は、関係機関及び前二項の構成員(以下この項において「関係機関等」という。)が相互の連絡を図ることにより、女性の職業生活における活躍の推進に有用な情報を共有し、関係機関等の連携の緊密化を図るとともに、地域の実情に応じた女性の職業生活における活躍の推進に関する取組について協議を行うものとする。
5 協議会が組織されたときは、当該地方公共団体は、内閣府令で定めるところにより、その旨を公表しなければならない。
(秘密保持義務)
第二十四条協議会の事務に従事する者又は協議会の事務に従事していた者は、正当な理由なく、協議会の事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。
(協議会の定める事項)
第二十五条前二条に定めるもののほか、協議会の組織及び運営に関し必要な事項は、協議会が定める。
第五章雑則
(報告の徴収並びに助言、指導及び勧告)
第二十六条厚生労働大臣は、この法律の施行に関し必要があると認めるときは、第八条第一項に規定する一般事業主に対して、報告を求め、又は助言、指導若しくは勧告をすることができる。
(権限の委任)
第二十七条第八条から第十二条まで及び前条に規定する厚生労働大臣の権限は、厚生労働省令で定めるところにより、その一部を都道府県労働局長に委任することができる。
(政令への委任)
第二十八条この法律に定めるもののほか、この法律の実施のため必要な事項は、政令で定める。
第六章罰則
第二十九条第十二条第五項において準用する職業安定法第四十一条第二項の規定による業務の停止の命令に違反して、労働者の募集に従事した者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
第三十条次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
一第十八条第四項の規定に違反した者
二第二十四条の規定に違反した者
第三十一条次の各号のいずれかに該当する者は、六月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
一第十二条第四項の規定による届出をしないで、労働者の募集に従事した者
二第十二条第五項において準用する職業安定法第三十七条第二項の規定による指示に従わなかった者
三第十二条第五項において準用する職業安定法第三十九条又は第四十条の規定に違反した者
第三十二条次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。
一第十条第二項の規定に違反した者
二第十二条第五項において準用する職業安定法第五十条第一項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者
三第十二条第五項において準用する職業安定法第五十条第二項の規定による立入り若しくは検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の陳述をした者
第三十三条法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、第二十九条、第三十一条又は前条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。
第三十四条第二十六条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者は、二十万円以下の過料に処する。
附則
(施行期日)
第一条この法律は、公布の日から施行する。ただし、第三章(第七条を除く。)、第五章(第二十八条を
除く。)及び第六章(第三十条を除く。)の規定並びに附則第五条の規定は、平成二十八年四月一日から施行する。
(この法律の失効)
第二条この法律は、平成三十八年三月三十一日限り、その効力を失う。
2 第十八条第三項の規定による委託に係る事務に従事していた者の当該事務に関して知り得た秘密については、同条第四項の規定(同項に係る罰則を含む。)は、前項の規定にかかわらず、同項に規定する日後も、なおその効力を有する。
3 協議会の事務に従事していた者の当該事務に関して知り得た秘密については、第二十四条の規定(同条に係る罰則を含む。)は、第一項の規定にかかわらず、同項に規定する日後も、なおその効力を有する。
4 この法律の失効前にした行為に対する罰則の適用については、この法律は、第一項の規定にかかわらず、同項に規定する日後も、なおその効力を有する。
(政令への委任)
第三条前条第二項から第四項までに規定するもののほか、この法律の施行に伴い必要な経過措置は、政令で定める。
(検討)
第四条政府は、この法律の施行後三年を経過した場合において、この法律の施行の状況を勘案し、必要があると認めるときは、この法律の規定について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
(社会保険労務士法の一部改正)
第五条社会保険労務士法(昭和四十三年法律第八十九号)の一部を次のように改正する。
別表第一第二十号の二十五の次に次の一号を加える。
二十の二十六女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(平成二十七年法律第六十四号)
(内閣府設置法の一部改正)
第六条内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)の一部を次のように改正する。
附則第二条第二項の表に次のように加える。
平成三十八年三月三十一日女性の職業生活における活躍の推進に関する基本方針(女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(平成二十七年法律第六十四号)第五
条第一項に規定するものをいう。)の策定及び推進に関すること。
理由
女性の職業生活における活躍を迅速かつ重点的に推進し、もって豊かで活力ある社会を実現するため、女性の職業生活における活躍の推進について、その基本原則を定め、並びに国、地方公共団体及び事業主の責務を明らかにするとともに、基本方針及び事業主の行動計画の策定、女性の職業生活における活躍を推進するための支援措置等について定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。


PS(2016年3月9日追加):*9の高校への推薦にまつわる事件は、①万引きの非行歴があると誤った情報を書類に記載し ②万引きの事実がないのに修正されず ③教育委員会は会議資料が正式な書類でなかったため修正しないままにしていたなどと言い訳しており、人の一生を左右する推薦だけに見過ごすことができない。しかし、そもそも推薦制度は公平・公正になりにくい上、普通の人である先生がその時代の“常識”に沿って推薦するため、誰の目から見てもおかしいものだけがはじかれるわけではない。例えば私の場合、「女のくせに謙虚でない」「女だから男に道を譲れ」など、時代の“常識”を変える女子学生の将来性は予測できずに、その時代の“常識”で芽を摘まれそうになったこともあり(こういう時にガードしてくれたのは両親や夫)、男女平等に自己実現しようとしてきた私は、先入観と偏見を排除できない推薦ではなく、公平・公正な試験で東大や公認会計士試験の合非が決まったため助かったのである。

*9:http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160308/k10010436001000.html
(NHK 2016年3月8日) 中3生徒自殺 誤った非行歴で進路指導の経緯は
 去年12月、広島県府中町で中学3年生の男子生徒が自殺した問題で、学校が誤った非行歴に基づいて進路指導を行っていた経緯などを、広島県教育委員会が自殺から3日後に文部科学省に報告していたことが分かりました。文部科学省への報告によりますと、去年12月8日の夕方、男子生徒が自宅で倒れているのを父親が見つけ、生徒は病院に運ばれましたが死亡しました。自宅には自殺をうかがわせる遺書が残されていたということです。その日は生徒と保護者との三者懇談が予定されていましたが、予定の時間になっても生徒は現れず連絡も取れなかったため、担任と両親だけで懇談を行いました。懇談の中で担任は両親に、男子生徒が1年生のときに万引きした事実があるため志望校に推薦できないと伝えたということです。しかし、その後の学校の調べで、この男子生徒が万引きした事実はないことが分かりました。推薦するかどうかの判定の際に使う、問題行動のあった生徒のリストに男子生徒の名前が誤って記録されていたということで、これが事実誤認の原因だとしています。県教育委員会は、こうした経緯などを生徒の自殺から3日後には文部科学省に報告していました。報告によりますと、男子生徒の欠席日数は1、2年生のときは数日で、3年生になってからは1日しか休んでいませんでした。また、学校では去年9月と11月にいじめを把握するためのアンケートを行っていましたが、この生徒の回答にいじめに関する記述はなく、周りの生徒からもこの生徒に関わる記述はなかったということです。文部科学省は「誤った非行歴に基づいた指導によって子ども1人を自殺に追い込んでしまったのであれば大変遺憾で、あってはならないことだ。なぜそのようなことが起きたのか、徹底的に調査してもらいたい」と話しています。資料修正されず誤った記載残る府中町教育委員会によりますと、「万引きの非行歴がある」という自殺した生徒についての誤った情報は、生徒が1年のときに教諭たちの生徒指導用の会議資料に記載されました。資料には複数の生徒の非行歴が記されていて、会議の中では、出席した教諭から自殺した生徒は「実際は万引きをしていない」という指摘があり、万引きの事実がないことを出席した教諭の間で確認し合ったということです。しかし、資料は修正されず、誤った記載は残ったままになりました。これについて教育委員会は、会議の資料が正式な書類ではなかったため、当時関わった教諭が修正しないままにしていたのではないかと説明しています。


PS(2016年3月11日追加):東大医学部は、免疫学・再生医療・公衆衛生学・解剖学・法医学・人類学等々の基礎研究に進む人も多く、患者と接する臨床医になる人ばかりではないため、何が資質になるかは容易に判断できない(国会議員には阿部知子さんがいる)。また、本当に優秀な人が多いので、他大学と同じにする必要はなく、*10の面接は足切り程度に留めるのがよいと考える。さらに、理3の人で(第二外国語ならともかく)日本語や英語のコミュニケーション能力に問題のある人は見ない。そして、私は理2なので理3の人と同じクラスだったが、理3の友人から1972~1975年頃(!)に聞いた言葉のうち、もっともであったため、私が2005年に国会議員になってからすぐに実行したことが下のようにある。
 1)整形外科に進んだ友人がその科を選んだ理由を、「将来は必ずロボットの時代が来るし、自分は
   ロボットに興味があるので、人間の機能を勉強したい」と語った → これにより、私は国会議員に
   なってすぐにロボット議連のメンバーとしてロボット研究を後押ししたが、こういう人が工学部に
   学士入学すればロボットの研究をやりやすいようにすべきであり、医師としての資質ややる気が
   ないなどとして排除しない方が、本人のためだけでなく国のためにもなると考える。
 2)「将来は少子高齢化時代になるので、産科・小児科ではなく高齢者に需要の多い整形外科に進む」
   と言って整形外科に行った人もいる → もっともであるため、この時から私は人口構成と需要構
   造の連動に留意するようにしている。
 3)北方領土のことを知らなかった九州出身の私に、北海道出身の理3の友人が、「北方領土は日本の
   領土だよ。知らないの!」と怒った → 私は、この時はじめて、北方領土は日本の領土だったが、
   ロシアに占有されたのだという歴史を知り、国会議員になってすぐに全島返還のために動いた。
   今はまた、展望があやしくなってきたが・・。

*10:http://digital.asahi.com/articles/DA3S12251804.html
(朝日新聞 2016年3月11日) 東大理科3類、面接を再導入へ 「医師の資質見極め」
 東大によると、理科3類の入学者は主に医学部に進む。医学部では、実習で患者と接する機会を増やすなど、コミュニケーション能力が従来以上に求められている。面接は点数化せず、一定の資質・能力があるかを確認する方針だ。また、入学者には試験の点数は高くても医療や医学を目指す意欲に乏しい学生もいるという。7月をめどに実施方法を、17年には選抜要項をそれぞれ公表する。全国の国公私立大学医学部医学科の入試で、面接がないのは東大と九州大だけ。理科3類は1999年~07年の9年間、面接をしていたことがある。


PS(2016年3月12日追加):*11は、女子差別撤廃条約、男女共同参画社会基本法、女性活躍推進法などに反する発言で、これを中学校の校長が全校集会で言うと、それが学校の雰囲気となって価値感形成期の生徒に悪影響を与える。しかし、こういうことを言う人は、議員・民間議員・メディアにも多く、そういう政策をキャンペーンしているのが根本原因であるため、それらも同時に批判すべきだ。

*11:http://digital.asahi.com/articles/ASJ3C7RL6J3CPTIL03C.html?iref=comtop_pickup_02 (朝日新聞 2016年3月11日) 「女性は2人以上産むことが大切」中学校長、全校集会で
 大阪市立中学校の男性校長が2月29日にあった全校集会で「女性にとって最も大切なのは子どもを2人以上産むこと。仕事でキャリアを積む以上の価値がある。子育てした後に大学で学べばいい」などと発言していたことがわかった。市教育委員会関係者が取材に明らかにした。市教委は不適切発言として懲戒処分を検討している。関係者によると、市教委の聞き取りに校長は発言を認め「間違ったことは言っていない」という趣旨の説明をしたという。今月初め、市教委への匿名の電話で発覚した。校長は2015年3月に定年退職したが、再任用されていた。

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2016.1.20 台湾総統選で蔡氏が当選したことと、日本は徹底して女性差別をやめるべきであること (2016年1月20日、21日、23日、25日に追加あり)
      
     蔡(台湾)       ガンジー   ブット    メガワティ    朴(韓国)   インラット(タイ) 
                  (インド) (パキスタン) (インドネシア)              <敬称略>

       
   女性の政治参加率     世界の女性大統領・首相  国会議員に占める 各国の取り組み 
                                   女性割合の推移(国際比較) 

 書くべきことは沢山あるが、今日は、台湾総統選で台湾初の女性総統、蔡英文氏が誕生することについて記載する。

(1)台湾総統選の蔡氏当選について
1)台湾総統選の争点
 *1-1、*1-2、*1-3のように、台湾総統選の重要な争点は中国との関係だったが、蔡氏の民進党が総統選だけでなく、立法院選でも過半数を占めた。得票は、蔡氏が約689万票(得票率56.1%)で、朱氏の約381万票(同31.0%)を大きく上回った。民進党は、中国が台湾との交流の前提とする「一つの中国の原則」を認めておらず独立志向だが、今回は、ぎりぎりの妥協である「中台関係、現状維持」を主張して台湾国民はそれを支持したものである。

 日本は、1972年の中国との国交正常化時に、中華人民共和国と対立関係にあり、それまで日本と国交があって親日的だった中華民国と国交を断絶した。そして、現在も外務省幹部が、「独立色を強めれば中台関係が緊張して日本経済へ悪影響を与える」などと警戒しているが、台湾にはこのような独立志向の人も多いため、独立国である日本が、「中国との国交=台湾との国交断絶」とする必要はないと、私は考える。むしろ、台湾・中国間の経済取引が少なくなる分は、日本との関係を強くして支持すべきだ。

2)アジア初の世襲でない女性リーダー誕生
 *1-3のように、台湾史上初の女性総統である蔡英文氏は、1956年8月に台北市に生まれ、台湾大学を卒業して、米コーネル大修士、英ロンドン大政経学院で法学博士号を取得している。そして、政治大教授、経済部(経済省)国際経済組織首席法律顧問などを歴任し、李登輝総統が提唱した「二国論」の起草に携わって、2000年に行政院(内閣)大陸委員会主任委員(閣僚)に抜てきされ、2006〜07年に行政副院長(副首相)、2008年に民進党主席に就任して、今回の台湾総統選になったものである。

 しかし、このような世襲でない女性リーダーは、中国、韓国、日本のような儒教の影響で女性の政治参加率が低いアジアでは初めてだ。日本では、学歴やキャリアのある女性を性格が悪いかのように言うことが多いため、台湾のように本当に優秀な女性が率直に評価されてリーダーになるようなことが起こりにくいが、これは改善されるべきジェンダー由来の女性差別である。

(2)世界の男女平等度
 世界では、*2-1のように、「世界経済フォーラム(WEF)」が公表した2015年版の「男女格差報告」で、日本は145カ国中101位で先進国の中では最低水準であり、中国は91位、韓国は115位で大きな差はなかった。首位は7年連続でアイスランド、2位はノルウェー、3位はフィンランドというように、上位は北欧諸国(そのせいか社会保障が充実)であり、米国は28位だ。WEFは「男女間の賃金格差は変わらず、女性の賃金は男性の10年前と同じ水準だ」と指摘しているが、日本ではさらに格差が大きく、これは女性が働くためのインフラ不足やUnfairな女性差別の結果であるため、女性自身の責任では全くない。

 そのような中、*2-2のように、2015年8月29日、女性版ダボス会議が東京で始まり、岸田外相が「21世紀を女性に対する人権侵害のない社会とするため尽力する」と述べられたそうだが、何が女性に対する人権侵害にあたるのかは狭すぎず正しく定義してもらいたい。何故なら、そうしなければ、この演説は無意味になってしまうからだ。私が、このようなことを書く理由は、とかく女性労働は高齢化社会を迎える日本の二次的・補完的労働力と位置付けられ、自己実現のために誇りを持って働く女性の権利は、無意識に(?)侵害されているからである。

(3)世界の職場における男女平等(男女差別)例
 米軍は1994年の規定で、戦闘任務にあたる前線地上部隊への女性兵士の配属を禁じたが、戦闘経験が軍内部での昇進に繋がるため解禁を求める声が上がり、*3-1のように、女性兵士の戦闘参加を2016年1月から全面解禁するのだそうだ。オバマ大統領は、今回の決定を「歴史的前進」とし、能力のある人たちをより広く集めて軍を強くするものだとしており、もっともだ。

 一方、イスラム教国のイランでは、*3-2のように、テヘランで開かれたレスリングの国際大会で、国歌の演奏を予定していたテヘラン交響楽団が、女性奏者がいることを理由に直前に演奏を禁じられたそうだ。イスラム強硬派が男女の接触を嫌って、コンサートが当局の介入で中止される例が相次いでいるそうで、イスラム文化圏の女性差別は徹底している。テロだけでなく、このものすごい女性差別もあって、私は、イスラム文化圏の人が日本国内で増加しすぎることを警戒しており、前後の影響も考えず無責任に、「Welcome.Welcome.」とは言えない。

 さらに、*3-3のように、イスラム教の戒律を厳格に守るサウジアラビアでは、今回から女性にも参政権が認められ、2015年12月12日の自治評議会(地方議会)選で20人の女性候補が当選し、女性初の公選議員誕生は同国では画期的なのだそうだ。

*1-1:http://mainichi.jp/articles/20160117/k00/00m/010/104000c
(毎日新聞 2016年1月16日) 台湾総統に蔡氏、日台関係改善を期待 政府、手腕注視
 台湾総統選で最大野党・民進党の蔡英文主席が当選したことについて、日本政府は慰安婦問題などで強硬姿勢を示してきた馬英九政権よりも日台関係が改善するとみて、おおむね歓迎している。ただ民進党は独立志向が強いことから中台関係が緊張する懸念もくすぶっており、当面は新政権発足に向けて蔡氏の政治手腕を見極める意向だ。岸田文雄外相は「蔡氏の当選に祝意を表する。台湾は基本的価値観を共有する重要なパートナーであり、非政府間の実務関係として協力と交流のさらなる深化を図る」とするコメントを発表した。政府関係者は蔡氏の当選について「日台関係は現状より良くなるのではないか」と期待感を示す。その理由を外務省幹部は「馬政権は尖閣と慰安婦という歴史問題に焦点を当ててしまった」と語る。日本は1972年の日中国交正常化に伴い台湾と断交したが、経済的な結びつきは強く、人的往来も盛んだ。馬政権も日台関係を重視する姿勢を示してきたが、沖縄県・尖閣諸島の領有権を主張し、2012年8月に日台中による資源の共同開発を求めた。慰安婦問題については「人権侵害の重大な戦争犯罪だ」と述べ、日本政府に慰安婦への謝罪と賠償を要求。いずれも歴代政権より主張を強めている。これに対し、蔡政権は「親日的」になると政府内では受け止められている。安倍晋三首相も昨秋の蔡氏来日時に接触したとみられ、実弟の岸信夫元副外相が蔡氏を地元の山口県に招くなど関係を築いてきた。ただ、独立色を強めれば中台関係が緊張する恐れもあり、外務省幹部は「中台が緊張すれば日本経済への悪影響が大きい」と警戒感を示す。蔡氏の政治手腕は未知数で、政府は民進党が政権を安定的に運営できるかどうかを慎重に見極める構えだ。一方、中台関係への影響を巡り、政府内には「馬政権より相対的に中台の緊張感が増せば、その分、中国の東シナ海や南シナ海での動きは落ちてくるだろう」(自衛隊幹部)との見方もある。中国の海洋進出の活発化は、「馬政権で中台関係が安定していたから可能だった」との分析だ。台湾は日本のシーレーン(海上交通路)上にある上、中国にとっても重要な太平洋への出入り口となるバシー海峡に面しており、日米両国にとって安全保障上の要衝に位置している。日本としては、日米同盟をテコにして台湾を引き寄せる狙いで、防衛省幹部は「台湾を日米に引きつけることが中国に対する抑止力につながる」と説明している。

*1-2:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20160117&ng=DGKKZO96215570X10C16A1MM8000 (日経新聞 2016.1.17) 台湾総統に民進党・蔡氏 8年ぶり政権交代、立法院選も過半数 「中台関係、現状を維持」
 台湾で16日、総統選挙が投開票され、台湾独立を志向する最大野党・民進党の蔡英文主席(59)が大勝した。中国との融和路線をとる国民党に代わって民進党が8年ぶりに政権を奪回し、台湾で初の女性総統が誕生する。民進党は中国が台湾との交流の前提とする「一つの中国」(総合・経済面きょうのことば)の原則を認めていない。蔡氏は同日夜の記者会見で中台関係の「現状維持」を訴えたが、中国との間にきしみが生じる可能性もある。蔡氏は副総統候補である中央研究院の陳建仁・前副院長(64)とともに5月20日に就任する。蔡氏は記者会見で「両岸(中台)は最大の努力を払い、お互いが受け入れられる交流の道を探るべきだ」と中国に対話を呼びかけた。「両岸関係の平和で安定した現状を維持し、台湾人民に利益をもたらす」と抱負を述べた。対抗馬だった国民党候補の朱立倫主席(54)は「かつてない惨敗だ。支持者の皆さんを失望させた」と敗北を認め、主席辞任を表明した。総統選には3人が立候補したが、事実上蔡氏と朱氏の一騎打ちだった。中央選挙委員会(選管)の開票結果によると、蔡氏は約689万票(得票率56.1%)を獲得。朱氏の約381万票(同31.0%)を大きく上回った。同時に投開票された立法院(国会、定数113)選挙でも民進党が過半数(57議席)を上回り、68議席を獲得した。民進党が政権を握ったものの、一貫して少数与党だった2000~08年の陳水扁政権に比べ、安定した政権運営が可能になる。選挙戦では対中政策や経済政策が争点となった。昨年11月に馬英九総統と中国の習近平国家主席が1949年の中台分断後で初の首脳会談をシンガポールで開き、中国と台湾は不可分の領土であることを意味する「一つの中国」を認め合った。両首脳が中台融和の継続の必要性を演出するなか、台湾住民が総統選でどのような選択をするかが焦点になっていた。蔡氏は台湾独立志向を抑えつつ、対中傾斜も避ける「現状維持」を提唱。中国の影響力拡大を懸念する若者を中心に幅広い支持を得た。経済が低迷するなか、経済格差の解消などを訴える弱者重視の姿勢も支持された。朱氏は馬政権下での経済低迷が逆風となったほか、党内の総統候補選びの混乱で支持者の失望を招いた。中台関係が不安定になるリスクを訴えたが、浸透しなかった。支持基盤が似通う野党・親民党の候補の宋楚瑜主席(73)が健闘し、票が分かれたことも痛手だった。
[*蔡英文氏(さい・えいぶん) 78年台湾大法卒、84年英ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスで法学博士号取得。政治大学教授、立法委員(国会議員)、行政院副院長(副首相)などを経て、08年から12年まで民進党主席。14年に党主席に復帰した。両親が本省人(戦前からの台湾住民とその子孫)で台北市生まれ。59歳。]

*1-3:http://mainichi.jp/articles/20160117/ddm/001/030/137000c
(毎日新聞 2016年1月17日) 台湾総統選、.総統に蔡氏 8年ぶり民進政権 対中融和見直し
 台湾総統選は16日投開票され、最大野党・民進党の蔡英文主席(59)が与党・国民党候補の朱立倫主席(54)と野党・親民党の宋楚瑜主席(73)を大差で破り、初当選した。独立志向が強い民進党が8年ぶりに政権を奪還し、台湾史上初の女性総統が誕生する。国民党の馬英九政権が進めた対中融和路線が見直されることは確実で、中国の出方によっては東アジア情勢が緊張する可能性もある。中央選管の最終確定結果によると、蔡氏の得票率は56・12%で、過去最高だった2008年の馬英九氏の得票率58・45%には及ばなかった。だが、朱氏に300万票以上の大差をつけての勝利を受け、民進党の独自色を蔡氏が今後どう打ち出すのかが焦点となりそうだ。蔡氏は16日夜、記者会見し、「台湾人は1票で歴史を書き換えた」と勝利宣言した。さらに「この勝利は単なる選挙結果ではなく、有権者が台湾を新たな時代に導く政府を求めたことを意味する」と強調した。今後の中台関係については「現行体制における交流の成果や民意を基礎とし、平和で安定した現状を維持する」としつつ「両岸(中台)双方に最大限の努力をする責任がある」として中国側の歩み寄りも求めた。朱氏は台北市内の党本部前で「申し訳ない。皆を失望させた。我々は失敗した」と述べた。さらに敗北の責任を取り、党主席を辞任する意向を明らかにした。また、行政院(内閣)は16日夜、国民党の大敗を受け、毛治国・行政院長(首相)が馬英九総統に辞意を伝えたと発表した。慰留は受けないとしている。同時実施の立法院(国会、定数113)選挙でも、民進党が68議席と大勝し、同党は初めて単独過半数を獲得した。国民党は64議席から35議席に大幅減。大敗を喫した国民党は求心力が低下し、万年野党に転落する危機さえはらむ。争点の対中政策を巡って蔡氏は「現状維持」を掲げる。ただ民進党は、中国と国民党が交流の基礎に位置づける「一つの中国」の原則を確認したとされる「1992年合意」を認めていない。中国の習近平国家主席は昨年11月の馬総統との中台首脳会談で「92年合意の堅持を望む」と強調。民進党の政権奪還を視野に「両岸関係の最大の脅威は台湾独立勢力の(中国の)分裂活動だ」と圧力を強めた。このため、今回の選挙結果を背景に民進党政権が「92年合意」に対して否定的な姿勢を続ければ、中国が一転して強硬な対台湾政策を実行に移す可能性があり、台湾海峡を挟んで中台が緊張することも考えられる。一方で、求心力を増す蔡氏を相手にする中国は、民進党政権が長期化する可能性を見据え、台湾政策の再検討も迫られそうだ。蔡氏の就任式は5月20日で任期は4年。中央研究院の元副院長、陳建仁氏(64)が副総統となる。
<台湾総統選の開票結果>
蔡英文氏 6,894,744(56.12%)=民進党
朱立倫氏 3,813,365(31.04%)=国民党
宋楚瑜氏 1,576,861(12.84%)=親民党
※投票率66.27%。カッコ内は得票率。台湾中央選管最終発表
■人物略歴
蔡英文(さい・えいぶん)氏
 1956年8月、台北市生まれ。台湾大卒、米コーネル大修士、英ロンドン大政経学院で法学博士号を取得。政治大教授、経済部(経済省)国際経済組織首席法律顧問などを歴任。99年に当時の李登輝総統が提唱した「二国論」の起草に携わる。民進党の陳水扁政権が誕生した2000年に行政院(内閣)大陸委員会主任委員(閣僚)に抜てきされた。06〜07年に行政副院長(副首相)。08年に民進党主席に就任。12年の総統選落選で引責辞任したが、14年5月に再び主席に就任した。

<世界の男女平等度>
*2-1:http://mainichi.jp/shimen/news/20151119dde041020070000c.html?fm=mnm (毎日新聞 2015年11月19日) 男女格差報告:格差改善、でも101位 日本、順位3上げる 先進国最低水準
 ダボス会議で知られるスイスの「世界経済フォーラム(WEF)」が19日公表した2015年版「男女格差報告」によると、日本は調査対象となった145カ国中101位だった。前年より順位を三つ上げたものの、依然として先進国の中で最低水準であることに変わりはない。報告書では、日本は女性閣僚が増えたことが順位を上げる要因となったと指摘している。首位は7年連続でアイスランド。2位はノルウェー、3位はフィンランドで、上位に北欧諸国が並んだ。米国は28位、中国は91位、韓国は日本より低い115位だった。上位10カ国で欧州以外の国はルワンダ(6位)、フィリピン(7位)、ニュージーランド(10位)のみだった。WEFは「男女間の賃金の不平等は(世界的に)変わらず、女性の賃金は男性の10年前の水準と同じとなっている」と指摘した。男女格差報告は各国の女性の地位を経済、教育、政治、健康の4分野で分析、数値化している。

*2-2:http://www.saga-s.co.jp/news/national/10201/223996
(佐賀新聞 2015年8月29日) 外相「女性の人権侵害根絶を」、国際シンポで演説
 政府が世界各国の女性指導者らを招いて女性政策について議論する国際シンポジウム(女性版ダボス会議)の実質的討議が29日午前、東京都内で始まった。岸田文雄外相は冒頭の演説で「21世紀を女性に対する人権侵害のない社会とするため、尽力する」と述べ、政策推進へ意欲を表明した。職場で女性の登用を促す女性の活躍推進法が28日成立、安倍政権は引き続き女性政策重視の姿勢をアピールする考え。岸田氏は演説で「日本は女性の分野で世界の先頭に立とうと決意した」と強調。「超高齢化社会を迎える日本にとって、女性の優れた潜在能力を発揮できるようにすることは喫緊の課題」と指摘した。

<世界の職場における男女平等>
*3-1:http://mainichi.jp/select/news/20151204k0000e040139000c.html (毎日新聞 2015年12月4日) 米軍:女性兵士の戦闘参加を全面解禁 16年1月までに
◇オバマ大統領「歴史的前進」、「軍をより強くする」
 カーター米国防長官は3日、国防総省で記者会見し、最前線での地上戦闘部隊を含むすべての職種に、女性が就くことを認めると発表した。30日の準備期間の後、実施する。米軍は女性兵士がさまざまな任務に就くことを徐々に認めてきたが、特殊部隊などは引き続き女性に閉ざされてきた。米軍における性別の壁が完全に取り払われることになる。カーター氏は「例外はなくなる。資格を持ち、(軍の)基準を満たす限り、女性たちは以前はできなかったやり方で我々のミッションに貢献することができるようになる」と語った。そのうえで、戦車を操縦したり、歩兵を率いて戦闘したりすることなどが認められるようになるとし、陸軍レンジャー部隊や海軍特殊部隊SEALS(シールズ)などの特殊部隊員にもなることができると説明した。米軍は1994年の規定で、戦闘任務にあたる前線地上部隊への女性兵士の配属を禁じた。しかし、アフガニスタン、イラク両戦争では戦闘地域と非戦闘地域の境目が不明確になり、多数の女性兵士が戦闘に携わった。また、戦闘経験が軍内部での昇進につながるため、参加解禁を求める声も上がっていた。さらに「権利の平等」を重視するオバマ政権の下、2013年に当時のパネッタ国防長官が規定を撤廃する方針を発表し、16年1月までに全面実施するとした。これを受け、既に11万1000のポジションに新たに女性が就くことができるようになった。しかし、全体の約1割にあたる約22万のポジションは依然として女性に閉ざされていた。カーター氏は全面実施を控え、例外を設ける必要があるかどうか検討するよう米軍に命じていた。海兵隊から例外設定を求める意見も出たが、これを退けた。オバマ大統領は声明で、今回の決定について「歴史的前進だ」とし、能力のある人たちをより広く集めることになり、軍をより強くするものだと強調した。米軍の現役兵のうち女性は全体の約15%を占める約20万人。全職種を女性に開放する今回の決定には、有能な人材を男女を問わず確保したいという狙いもあるとみられる。

*3-2:http://www.saga-s.co.jp/news/national/10201/254734
(佐賀新聞 2015年11月30日) イラン、女性の国歌演奏を禁止、強硬派介入相次ぐ
 イランの首都テヘランで開かれたレスリングの国際大会で、国歌の演奏を予定していたテヘラン交響楽団が、女性奏者がいることを理由に直前に演奏を禁じられていたことが分かった。イラン学生通信が30日までに伝えた。穏健派のロウハニ政権が欧米などとの交渉で核問題解決に道筋を付けたことで、社会の自由拡大への期待が高まる中、イスラム革命の理念を重視する保守強硬派は巻き返しを強化。最近は男女の接触を嫌ってか、コンサートが当局の介入により突然中止される例が相次いでいる。楽団の指揮者ラバリ氏は「なぜ自分たちの国歌を演奏できないのか」と怒りをあらわにした。

*3-3:http://www.saga-s.co.jp/news/national/10201/259458
(佐賀新聞 2015年12月14日) サウジで女性20人が初当選、地方議会、権利拡大へ一歩
 イスラム教の戒律を厳格に守るサウジアラビアで12日行われた自治評議会(地方議会)選で、選管当局は13日、20人の女性候補が当選したと明らかにした。AP通信が報じた。女性には今回から参政権が認められた。自治評議会の権限は都市開発の監視など限定的だが、女性初の公選議員誕生は同国では画期的で、権利拡大への一歩となる。男性優位の価値観が根強いサウジだが、今年1月に死去したアブドラ前国王は地方参政権の容認など女性の政治参加に道を開いた。一方、現在のサルマン国王は保守的とされ、今後は女性進出にブレーキがかかるとの観測もある。


PS(2016/1/20追加):*4のように、近年、JAも運営に女性の参画を掲げており、正組合員で女性比率が30%以上、総代で15%以上、役員で3人以上を目指している。これでもわかるように、一世代前は保守的で女性の地位が低かった農業地帯も、最近はベテランが戦後男女共学世代になっていることや女性の方が得意な仕事も多いことから、女性が差別される心配なく算入できるようになりつつある。

      
  *4より                    <働く農業女子>

   
                       <働く農業女子>

*4:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=36030
(日本農業新聞 2016/1/20) JA参画を加速 全国女性大会が開幕
 第61回JA全国女性大会が19日、東京都江東区のホテルイースト21東京で開幕した。若手メンバーの育成などを掲げたJA女性組織3カ年計画を総括し、JA運営への参画強化をうたった2016年度からの次期3カ年計画を決議した。全国から約600人が集まり、実践に向け意思を結集した。次期3カ年計画のテーマは「JA女性 ふみだす勇気 学ぼう・伝えよう・地域とともに!!」。積極的なJA運営への参画を掲げ、正組合員で女性比率30%以上、総代で15%以上、役員で3人以上を目指す。仲間づくりと次世代リーダーの育成、地域の伝統食の継承など食と農を軸とした地域の活性化にも力を入れる。JA全国女性組織協議会の鈴木春美会長は「女性組織のリーダーは、JA女性役員など多くの場で活躍している。目標達成に向けて女性組織、JA一体となって頑張りましょう」と呼び掛けた。


PS(2016/1/22追加):*5-1のように、国連機関「UNウィメン」のムランボヌクカ事務局長は、東京都内で、「2030年までに世界の女性リーダーの登用比率50%を数値目標に掲げる」と述べているが、日本政府は、*5-2のように、2003年に設定した「『社会のあらゆる分野で20年までに指導的地位に女性が占める割合を30%程度』にする」という目標を「達成できない」という理由で断念した。そして、「リーダーの育成が不十分」などとしているが、リーダーは、男女雇用機会均等法に定められているように、採用、研修、配置、退職等で男女差別しなければ自然に出てくるもので、それこそが機会均等の意味だ。
 また、*5-3のように、少子高齢化、労働人口減少社会で活力ある社会を目指すには女性の力が不可欠という理由で、女性活躍推進法は大企業のみに女性従業員の採用、登用に関する数値目標設定等を義務づけているが、①働く女性の半数以上を非正規労働者として男女雇用機会均等法の適用から除外させ、採用、研修、配置、退職で均等待遇にしなかったり ②従業員301人以上の企業のみに女性登用に関する数値目標と行動計画の策定・公表を義務づけたりしていれば、大半の女性労働者は埒外になる。そのため、これは、「働き方改革」以前に、男女の労働者が人間として平等に扱われ、平等に仕事力を育成して平等な評価に耐えうるための土俵づくりを放棄していることになり、厚労省がいまだに女工哀史か蟹工船の時代よろしく「賃金」と「勤務時間」のことしか言わないのは、意識が50年遅れている。

<世界と日本の男女平等への価値観>
*5-1:http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM28H6A_X00C15A9EAF000/
(日経新聞 2015/9/7) 女性リーダー登用50%へ 国連女性機関の事務局長に聞く
 女性の地位向上を目的とした国連機関「UNウィメン」のムランボヌクカ事務局長はこのほど東京都内で日本経済新聞の取材に応じ、「2030年までに世界の女性リーダーの登用比率50%を数値目標に掲げる」と述べた。加盟国政府や企業への働きかけなどを通じ、管理職比率や労働参加などあらゆる分野で男女平等の実現を目指す。日本は20年までに指導的地位に占める女性の割合を現在の11%から30%に引き上げる目標を掲げる。ムランボヌクカ氏は「政府の強力なリーダーシップを評価している」としつつ「30%では少数派のまま。男女の平等を実現するためには、50%が必要だ」と訴えた。14年の世界経済フォーラム報告によると、女性管理職比率は米国43%、フランス39%など欧米で高い。アジアでも48%のフィリピンなどが高いが、同報告で男女の平等指数が104位の日本にとっては達成が難しい課題になりそうだ。UNウィメンは8月、アジア初の連絡事務所を東京都文京区に開設。「男性への教育などで、日本政府や大学などとの連携を深めたい」と話した。「途上国での女子教育や女性への暴力対策などで、日本政府の資金協力にも期待する」とした。

*5-2:http://mainichi.jp/select/news/20151204k0000m040106000c.html
(毎日新聞 2015年12月3日) 女性登用30%:政府断念 20年度目標、分野別数値に
 政府は3日、第4次男女共同参画基本計画案を男女共同参画会議(議長・菅義偉官房長官)の専門調査会に提示し、大筋で了承された。小泉政権時代の2003年に設定した「社会のあらゆる分野で20年までに指導的地位に女性が占める割合を30%程度」にする目標を事実上断念し、20年度末までに国家公務員の本省課長級に占める女性の割合を7%とするなど現実的な数値目標を盛り込んだ。12年の衆院選では、安倍晋三総裁率いる自民党も、政権公約に「30%目標」を「確実に達成」と掲げていた。国家公務員の課長級は03年の1.6%から今年は3.5%に上がったが、伸びは鈍く、10年以上たっても、女性参画は「依然として進んでいない」(内閣府)のが実情だ。世界経済フォーラムが先月発表した、女性の参画度合いなど男女の平等度を示すジェンダーギャップ指数は、145カ国中101位と世界的にも日本は立ち遅れている。基本計画では、中心施策である「あらゆる分野における女性の活躍」の中で、20年度末までに国や自治体、民間企業などの各分野で指導的地位の女性の占める割合について数値目標を設定。国家公務員は7%(現在3・5%)のほか、市町村の本庁課長級が20%(同14・6%)、民間企業の課長級で15%(同9・2%)とした。指導的地位とは、役所や企業では「課長級以上」と定義される。指導的地位には当たらない国家・地方公務員の「係長級」については30%以上の数値目標が設定された。民間企業の係長級は25%を目標としている。計画作成を担当する内閣府の担当者は「引き続き20年までに30%を目指し、さらなる努力を行うのは当然だが、女性参画が遅れている分野では、現実的レベルで高い目標を設定した」としている。
◇リーダー育成、不十分
 政府が女性の登用に関する数値目標を事実上、下方修正したのは、過去12年の取り組みが不十分だったことを示している。安倍晋三首相は「女性活躍推進」に力を入れてきたが、新スローガン「1億総活躍社会実現」によってその影は薄くなりつつある。2003年の「30%目標」は12年になって安倍首相の下、再び表舞台に登場した。成長戦略の柱に「女性活躍」を掲げ、政府の最重要課題に位置付けた。14年には第2次安倍改造内閣で初の「女性活躍担当相」を設置。社会全体に女性の管理職登用増を呼びかける一方、公務員の女性職員の採用・登用拡大を目指すとともに、男性職員の育休取得促進など霞が関の働き方改革を進めてきた。8月には「女性活躍推進法」も成立した。今になって「20年に30%」目標を断念したのは、これまで指導的地位を担う女性の育成が十分でなかったことを意味する。安倍政権で進んだ女性登用に向けた環境整備は、スタートラインに立ったにすぎないとも言える。ただ、「1億総活躍」の登場で「女性活躍は一時的に盛り上がったが、すでに下降気味だ」との指摘もある。早稲田大学非常勤講師(ジェンダー論)の皆川満寿美さんは「新目標は低い。政治のリーダーシップで取り組みを強化し、『20年に30%』を実現させるべきだ」と指摘する。

*5-3:http://www.saga-s.co.jp/column/ronsetsu/224447
(佐賀新聞 2015年8月31日) 女性活躍推進法
■実効性上げる仕掛け必要
 大企業に女性従業員の採用、登用に関する数値目標設定などを義務づける女性の活躍推進法が成立した。少子高齢化、労働人口減少社会で活力ある社会を目指すには、女性の力が不可欠となる。その意味で企業の取り組みを義務化する法的枠組みの整備は大きい。さらに実効性を上げていくために具体的な仕掛けが求められる。新法では、従業員301人以上の企業に女性登用に関する数値目標と行動計画の策定、公表を義務づけた。各企業は女性の採用比率や管理職比率、男女の勤続年数の差や労働時間の状況などを把握し、改善に向けた取り組みを考えなければならない。公表による緊張感が、企業間の前向きな競争を促すと期待されている。ただ新法だけでは、女性の個性と能力が十分発揮できる環境の整備にはつながらない。働く女性をめぐる格差解消への配慮に欠けている点がいくつかある。一つは男女の賃金格差だ。企業が行動計画策定時に把握すべき項目として盛り込まれていない。2013年の女性一般労働者の平均賃金水準は男性の71・3%。厚労省がまとめた男女間の賃金格差解消のためのガイドラインは「男女の平均勤続年数や管理職比率の差異などが要因」と指摘しており、女性の活躍推進の課題そのものが影を落としている。だからこそ企業が把握すべき項目に盛り込むべきだった。さらに働く女性の半数以上を占める非正規労働者の待遇改善の視点も不可欠だ。低賃金の上、育児休業を取得することも難しいと訴える女性は少なくない。13年度の女性全体の育休取得率83%に対し、女性有期契約労働者は69・8%と1割ほど低い。4割近くの女性が第1子出産を機に離職していることも考慮すると、非正規の女性の環境がいかに厳しいか分かる。新法の実効性を上げるには、法律に盛り込まれなかった課題の改善を促す仕組みづくりを進めることが必要だ。衆参両院での付帯決議でも、「行動計画策定時の男女間の賃金格差の状況把握を任意項目に加える」「非正規労働者の待遇改善のガイドライン策定」など検討するよう言及している。政府は指摘された課題対応を急ぎ、施策の具体化を進めるべきだ。努力義務にとどまった中小企業への働きかけも重要課題となる。限られた人員と経営体力で、労働環境と職場慣行を変えるのは大きな負担ではある。ただ経営者の意識と覚悟、そして工夫次第でうまく変えることはできる。佐賀県内のある中小メーカーでは、子どもの行事や家族の看護のための有給休暇取得を促し、職場の掲示板に有給取得届を張り出すことで取得しやすい環境を整備している。社長は「『休まれると業務が滞る』という考えから『納期に間に合うなら休んでもらってもいい』と割り切るようにした」と語り、発想の転換の大切さを示唆した。こうした事例を広げることが肝要だ。新法成立を、女性の活躍促進という単純な見方で捉えるのではなく、「働き方改革」の出発点と位置づけるべきだ。「長時間労働が美徳」という企業風土を改め、男女関係なく成果を上げる労働者を適切に評価する仕組みを作り上げていきたい。


PS(2016年1月23日追加):このブログの2015.3.21に、私は「女性が発言権を持つためには、教育だけでなく経済力も必要であるため、女性が働きやすい産業を立地させるのが良い」「ペルシャ絨毯を見れば、イスラム女性の能力と根気、4大文明のすごさがわかる」と記載したが、*6のように、中国の習近平国家主席が「ペルシャ絨毯は中国の絹糸とイランの技術の融合だ」とイラン紙に寄稿されたのは興味深い。日本も、ガラス、磁器、農業など、イランの得意技を活かしながら我が国の得意技と連携すると面白くなりそうな分野が多いため、この水素の時代に、中東と言えば眼の色を変えて石油や天然ガスを追いかけまわすのではなく、産業で相互協力すべきだ。

        
         正倉院御物             現代イランのガラス製品                  
     
          ペルシャ絨毯(じゅうたん):絹でできているため、驚くほど軽い
    
イランの農業:日本と同様、大規模化・機械化・現代テクノロジーの採用による生産性向上が課題

*6:http://digital.asahi.com/articles/DA3S12173282.html
(朝日新聞 2016年1月23日) イラン市場へ進出、解禁 8千万人の消費、魅力 日本制裁解除
 政府は22日、イランの核合意の履行を踏まえ、日本の対イラン制裁を解除することを閣議了解した。日本からイランへの投資や輸出の障害が取り払われるため、日本企業は新たなビジネスチャンスを模索する。制裁解除により、日本企業はイランの石油・天然ガス分野に新たな投資ができるようになり、2年を超える貿易保険もかけられるようになる。政府は近く、イランとの投資協定に署名し、ODA(政府の途上国援助)も再開して日本企業の進出を後押しする方針。安倍晋三首相のイラン訪問も検討している。関係改善を急ぐ背景には、イランでビジネスを広げたい日本経済界の期待がある。イランは8千万人近い人口を抱える。かつては油田開発への日本企業の投資やイランからの原油の輸入が活発だったが、これからは新たな消費市場としての期待が大きい。イランでの現地生産向けに部品を供給してきた自動車大手スズキの鈴木俊宏社長は「(輸出の本格的な)再開を検討したい。大きな市場だ」と話す。マツダやいすゞ自動車なども部品供給拡大を検討する。一方、油田など資源開発への投資が再び活発になるかどうかは微妙だ。原油価格が下がり、投資の見返りを期待しにくいからだ。イランで日本主導で開発し、「日の丸油田」と期待されたアザデガンの油田開発は、米国の圧力で2010年に撤退。石油元売り各社も調達先の多角化を進めており、日本の14年度の原油輸入のうちイラン産の割合は5%ほどだ。石油連盟の木村康会長(JXホールディングス会長)は「(イランの原油増産で)チャンスは広がるが、ほかの産油国との関係や経済性も考えて対応する」と慎重な構えだ。
■動く欧州・中・韓
 イラン進出を狙う日本勢だが、ライバルは多い。各国首脳に先駆けて、中国の習近平(シーチンピン)国家主席が22日からイランを訪問。「ペルシャじゅうたんは中国の絹糸とイランの技術の融合だ」とイラン紙に寄稿し、親密さをアピールした。中国は米国が制裁を強化し、日本や欧州の企業が事業を縮小した2011年以降も進出のペースを緩めなかった。その間に乗用車から家電、食料品まで安価な中国製品が浸透した。欧州勢も成果を出している。イラン政府は16日、欧州企業のエアバスから航空機114機を購入すると発表。独ダイムラーは18日、トラックの現地生産でイラン企業と合意に達した。韓国も存在感を見せる。聯合ニュースによると政府は21日、プラントなど輸出企業向けの金融支援、イランと合弁の自動車会社設立などイラン市場への再進出策をまとめた。対イラン輸出を2年で倍増する方針。


PS(2016年1月25日追加): 自民党の宮崎議員が、*7のように、育休を取ると宣言して育休規定のない衆院規則の改正に意欲を見せたことについて、私は、国会議員は従業員ではないため、国会と政党に届けを出せば何日育児休暇を取っても自由であって、これは政界の論理とは関係ないと考える。ただし、育児休暇をとった際のリスクは、男女を問わず自営業と同様に自分で負い、代表である自分が育児休暇をとることのメリットとディメリットを自分で有権者に説明して理解してもらわなければならない。私自身は、一般社会での経験に基づいて(例えば、「一般社会で仕事と育児を両立してみて」「一般の仕事をしながら親の介護をしてみて」「環境や経済を改善したいから」「行財政改革をすべきだから」「差別をなくしたいから」など)、変えるべきテーマと問題意識を持つ人が議員になるべきだと思っているが、若い頃から議員をしている人は、一般社会での矛盾への遭遇経験がない又は少ないのが問題なのである。
 また、「男性なら、まず短期間でもいいから育休を取ってみる」とも書かれているが、子育ては十年単位であるため、短期間しか育休をとらなかったり、子育ての大半を妻に任せたりしている男性が、「育児を理解した」などと言うのはおこがましすぎるだろう。

    
       世界の出生率と人口      日本の人口推移   先進国の出生率  米国人種別出生率      

(グラフの読み方:産業革命に入った国は、急激な人口増加の後に出生率が下がっており、今後、アフリカなどがこれに続くだろう。先進国のうち、米国の出生率が比較的高いのは、ヒスパニックなど移民の出生率が高いからだと言われており、同じ国でも社会的背景によって出生率が異なる)

*7:http://digital.asahi.com/articles/DA3S12176348.html
(朝日新聞社説 2016年1月25日) 国会と育休 「くせに」を排し議論を
 自民党の宮崎謙介衆院議員が育休を取ると「宣言」し、育休の規定がない衆議院規則の改正にも意欲を見せたことを受け、賛否両論が広がっている。「『育児は母親の仕事』という社会の空気に風穴をあけてほしい」「男性の育児参加を実践し、範を示してほしい」。国会議員、とりわけ男性が率先して育休をとることで、社会全体の意識改革につながるのでは、との期待がある。一方で「民意の負託を受け、特権も与えられているのに、責任放棄では」「育休制度は雇用者と被雇用者との関係であるもの。自営業者に近い国会議員は、自らの裁量で育児参加すればよい」といった批判もある。それぞれに、一理がある。政界の論理に染まり切っていない若手議員だからこそ、投じることができた一石である。ただちに「正解」を出す必要はないだろう。国会議員が果たすべき役割は何か。有権者は国会議員に何を期待しているのか。国会の内と外でじっくり議論を深めるきっかけにしたい。それにしても、民間企業の男性の育休取得率2・3%(2014年度)は、あまりに低いと言わざるを得ない。「男のくせに」「女だから」。社会にまだまだ根強くある、性別役割分業の意識が要因であることは、間違いないだろう。育児は当然、女性だけがやるものではない。男性が育児を担うことへの社会の理解が低いから、男性の育休取得率が上がらない。上がらないから、「そうしたものだ」と流され、社会の意識も変わらない。この悪循環を断つためには、個々人が「一歩」を踏み出し、実践を積み重ねていくことが大事だろう。男性なら、まずは短期間でもいいから育休を取ってみる。そこで得られた気づきを、友人や同僚に話してみる。そして国会議員の一義的な仕事は、そのような動きを支え、男女を問わず、子どもを産み育てやすい社会を築くための法整備であり、制度づくりである。出産と育児をめぐる問題は山積している。妊娠や出産で不利益な扱いを受けるマタニティーハラスメント。経済的な理由で出産をあきらめる若者。出口の見えない待機児童問題……。これらの解決が急務だという認識は、性別や世代、党派を超えて共有できるはずだ。育休問題にとどまらない、国会の主体的な取り組みに期待する。

| 男女平等::2015.5~ | 03:39 PM | comments (x) | trackback (x) |
2016.1.12 男女平等と夫婦別姓 ― 問題の本質は何か? (2016年1月14日、15日、17日、19日、2016年9月29日に追加あり)
 
               2015.12.17日経新聞                  2015.11.27
                                                 朝日新聞 
 家族制度は、夫婦のためだけにあるものではなく、発言権のない子の権利保護も重要であるため、私は、夫婦と子の両方の視点から記載する。なお、当然のことながら、私は家制度を擁護する者ではない。

(1)2015年12月16日の最高裁判決について
1)夫婦の同姓・別姓は男女平等の問題ではないこと
 最高裁は、*1-1、*1-2、*1-3のように、①夫婦は同じ姓を名乗るとする民法750条の規定は合憲 ②夫婦同姓は日本社会に定着しており合理性がある ③改姓による不利益は通称使用が広まることで一定程度は緩和される とした上で、④選択的夫婦別姓制度に合理性がないと断ずるものではなく、制度のあり方は国会で論ぜられ、判断されるべき事柄だ としている。

 私も、民法750条は「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する」と規定されているため女性差別ではなく、妻の姓になった男性にも同じ不便があると考える(実際に、戸籍上は奥さんの姓に変更して通称使用している男性から不便が多いとの苦情を受けた)。しかし、姓というのはFamily Nameであるため、Familyを判別するには同姓である方が便利であり、夫婦別姓を選択した場合には子の姓がどうなるのか曖昧で、夫婦別姓同士の夫婦が子連れで再婚した場合にも家族の姓がバラバラになる可能性があるため、*3の国連改善勧告はあるが、私は法律的夫婦別姓がよいとは思わない。

 そのため、婚姻で姓が替わった人は通称使用を可能とし、戸籍謄本で証明すればパスポートや預金口座はじめ、あらゆる法律行為で堂々と通称使用することを可能にすれば、*2-2のようなキャリアの断絶をはじめとするすべての不便が解消され、子の姓の心配をせずにすむ。ちなみに、私が「広津素子(戸籍名:平林)」という旧姓の通称を使って訴訟しようとした時には、佐賀地裁唐津支部の裁判官が、通称使用するキャリア女性に慣れていなかったせいか、偽名(!!)を使っているようなことを言った。つまり、通称使用したために信用が落ちたり、不便な思いや嫌な思いをさせられたりするという差別をやめてもらわなければ、堂々と通称使用することができないのだ。

2)女性だけの再婚禁止期間は女性差別で違憲だということ
 最高裁は、「女性に離婚後6カ月間の再婚禁止期間を設けた民法733条の規定のうち、100日を超える部分は違憲」としている。しかし、この規定の立法趣旨である「①子の父親が誰かを確定する」「②父親としての責任を持たせる」という点について、①は、DNA鑑定や血液型などを組み合わせれば、父親をかなり正確に判定することができるため、違憲なのは100日を超える部分だけではない。また、②についても、自分が父親だと名乗り出ている男性がいる場合に、前夫が父親の責任を果たすとは考えられないため、状況を勘案すれば、100日以内でも子の帰属を新夫婦に決めてさしつかえない筈だ。

 しかし、女性の方も、出産は子の戸籍が複雑にならない状況の下で行うのが、*2-1とともに、自分の子に幼い時から悲しく複雑な思いをさせないため、必要なことだ。

(2)問題の解決
 *3のように、国連の女性差別撤廃委員会が、2003年に「規定は差別的だ」と廃止を求め、2009年にも再勧告した理由は、結婚した時に9割のカップルで女性が姓を変更するという事情に基づいているが、残り一割の養子男性が無視されてよいわけはない。また、現在では、1996年当時とは異なり、通称使用も次第に認められてきているため、この通称使用を不便や差別がないように事務的に徹底させれば、民法を改正して夫婦別姓を認めるよりも、よい解決策になると私は考える。
 
 なお、私は、「家族の一体感が損なわれる」というよりも、(1)で述べたように、Family NameがバラバラではFamily Nameとして機能せず、子にもいらぬ苦労を与えることなどを総合的に考えると、徹底して不便や不利なく通称使用できるようにした方が、あらゆる面で問題が起こらないと考える次第だ。

*1-1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20151217&ng=DGKKASDG16H72_W5A211C1MM8000 (日経新聞 2015.12.17) 夫婦同姓規定は合憲 最高裁「国会、別姓議論を」 再婚禁止100日超は違憲
 夫婦は夫か妻の姓に合わせるとした民法の規定が憲法に違反するかが問われた訴訟の上告審判決で、最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)は16日、合憲とする初判断を示した。離婚した女性は6カ月間再婚できないとの規定を巡る別の訴訟では「100日を超える部分は違憲」とした。違憲立法審査権(総合2面きょうのことば)に基づき、最高裁が法律の規定を違憲と判断したのは戦後10件目。夫婦同姓を法律で義務付ける国は世界の中で日本だけとされ、国連の委員会から是正を求められている。大法廷は社会に定着していることを重視し、合理性があると結論づけた。一方で、職場などで旧姓を使う女性が増えている現状を踏まえ、選択的夫婦別姓制度を採用するかどうか、国会で議論するよう求めた。夫婦別姓訴訟の判決は裁判官15人のうち10人の多数意見。女性3人を含む5人の裁判官が「規定は違憲」とする反対意見を付けた。大法廷は判決理由で、「姓は家族の呼称としての意義があり、1つに定めることにも合理性が認められる」と判断した。現実には、女性が改姓することが多く、アイデンティティーの喪失感を抱く場合があることは否定できないとしつつ「通称使用が広まれば、不利益は一定程度緩和される」と指摘した。選択的夫婦別姓制度に関しては「合理性がないと断ずるものではない」と言及し、制度のあり方は「国会で論ぜられ、判断されるべきだ」とした。再婚禁止期間訴訟の違憲判断は15人の裁判官の全員一致。2人が「100日以内も違憲」と意見を述べた。大法廷は「父子関係を巡る紛争防止のために意義がある」としたが、100日超の部分は「医療や科学技術の発達などで遅くとも(原告が婚姻届を出そうとした)2008年当時は違憲になっていた」と指摘した。賠償請求は「当時違憲だったことが明白だったとはいえない」として退けた。問題となった2つの規定は明治時代から続いている。別姓訴訟は11年に男女5人、再婚禁止期間訴訟は08年に岡山県の女性が国に損害賠償を求めて起こした。
●最高裁判決の骨子
【夫婦別姓訴訟】
○夫婦は同じ姓を名乗るとする民法750条の規定は合憲
○夫婦同姓は日本社会に定着しており合理性がある。改姓による不利益は通称使用が広まることで一定程度は緩和される
○選択的夫婦別姓制度に合理性がないと断ずるものではない。制度のあり方は国会で論ぜられ、判断されるべき事柄である
【女性の再婚禁止期間訴訟】
○女性に離婚後6カ月間の再婚禁止期間を設けた民法733条の規定のうち、100日を超える部分は違憲

*1-2:http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201512/CK2015121702000118.html (東京新聞 2015年12月17日) 夫婦別姓認めぬ規定「合憲」 最高裁初判断 「家族の姓一つに合理性」
 明治時代から家族のあり方を定めてきた民法の二つの規定について、最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎(いつろう)長官)は十六日、初の憲法判断を示した。夫婦別姓を認めない民法七五〇条が憲法違反かどうかが争われた訴訟では、「結婚時に夫または妻の姓(氏)を名乗る」との規定を「家族の呼称を一つに定めることには合理性があり、女性の不利益は通称使用で緩和できる」と、合憲と判断した。女性のみ再婚を六カ月間禁じる民法七三三条をめぐる訴訟では、百日を超える部分を「生まれた子の父の推定には不要で違憲だ」とした。最高裁が法律の規定を違憲としたのは戦後十件目。再婚禁止期間については、国会は今後、百日に短縮する法改正をする。最高裁は夫婦別姓訴訟の判決で、「いずれの姓を名乗るかは夫婦の協議に委ねており、規定には男女の形式的な不平等はなく、憲法違反とはいえない」とした。ただ、希望すれば結婚前のそれぞれの姓を名乗れる「選択的夫婦別姓制度」にも一定の合理性を認め、「どのような制度にすべきかは、社会の受け止め方を踏まえ、国会で論じられ判断されるべきだ」と、国会での積極的な議論を促した。現在の規定が「合憲」との判決は裁判官十五人のうち十人の多数意見。女性裁判官三人は全員が違憲と判断し、「多くの女性が姓の変更による不利益を避けるため事実婚を選んでいる。別姓を全く認めないことに合理性は認められない」などとした。判決は「姓の変更で不利益を受けるのは女性の場合が多いと思われる」と認めたが、旧姓の通称使用が一般的になっていることなどから、「個人の尊厳と男女の平等に照らして合理性を欠く制度とは認められない」と結論づけた。夫婦別姓をめぐっては、法相の諮問機関の法制審議会が一九九六年、選択的別姓制度の導入を盛り込んだ民法改正案を答申した。しかし、自民党などから「家族の一体感が壊れる」といった批判を受け、法改正は棚上げされてきた。訴訟の原告は東京都、富山県、京都府の男女五人。国会が選択的別姓制度を導入するための法改正を行わず精神的苦痛を受けたとして、計六百万円の損害賠償を求めた。二〇一三年の一審東京地裁判決は「結婚後、夫婦が別姓を名乗る権利は憲法上、保障されていない」として請求を棄却。昨年三月の二審東京高裁判決も規定を合憲と認め、一審判断を支持した。

*1-3:http://www.saga-s.co.jp/column/ronsetsu/260642
(佐賀新聞 2015年12月17日) 夫婦別姓と再婚禁止、政治主導で議論深めよ
 夫婦別姓を認めず、女性にだけ離婚後の再婚禁止期間を6カ月とする民法の規定について、最高裁が初めて憲法判断を下した。夫婦同姓規定は「形式的な不平等はなく、社会に定着している」などとして合憲と判断、再婚禁止期間は「100日を超える部分は違憲」との立場を示した。ただ夫婦別姓は「国会で論じられるべき」と立法で解決すべきとの意見を付した。政治が主導して時代に合ったあり方の議論を深めるべきだ。民法は、結婚した男女が夫か妻のいずれかの姓を共に名乗るよう定め、子どもの親をめぐる混乱を避けるため女性にだけ離婚から6カ月経過しなければ再婚できないと規定する。「家制度」を尊重した明治民法で設けられた。再婚禁止規定に関しては、期間中に生まれた子は前夫の子と扱われていた。このため出生届をためらって子どもが無戸籍となるケースもあった。現在はDNA鑑定の精度は向上している。こうした医療や科学技術の進歩を挙げて100日を超える部分を「過剰な制約」とした最高裁の判断は、一歩前進といえる。一方、夫婦同姓については、改姓によって「アイデンティティーの喪失感を抱いたり、社会的信用や評価の維持が困難になったりするなどの不利益を受けることは否定できない」と一定の理解を示しながらも、旧姓使用で「緩和される」として原告の訴えを退けた。夫婦どちらの姓にするのかは自由だが、現実的には妻が夫の姓を名乗るケースが9割以上を占める。最高裁が指摘するように、旧姓の使用を認める職場は広がっている。ただ生活の中では、銀行口座や運転免許、健康保険証など戸籍上の姓しか認められない場面が少なくなく、煩わしさを訴える声があるのも事実だ。また改姓によって自分の実家の名前が途絶えることに心痛める女性もいる。こうした煩わしさや苦痛を避けようと事実婚を選ぶケースもある。世界を見回しても、日本以外に夫婦同姓を強制する制度はほとんどない。かつてドイツやタイが夫婦同姓を採用していたが、法改正を進めて選択制を導入している。国連の女性差別撤廃委員会は2003年と09年に、これらの規定を差別的な規定と批判し法改正するよう勧告してきた。科学者らでつくる日本学術会議も昨年6月、選択的夫婦別姓制度の導入や女性の再婚禁止期間の短縮、または廃止などを提言している。こうした意見がある中、世論は割れている。2012年の政府の世論調査では、選択制導入に反対が36・4%、賛成が35・5%だった。ただ男女とも若い世代ほど賛成派が多く、20代が47・1%、30代は44・4%だった。結婚で問題と向き合うことになる当事者の声は重く受け止めるべきだろう。法相の諮問機関の法制審議会が1996年に選択制導入などを盛り込んだ民法改正案を答申したが、保守系国会議員の抵抗で法案提出できなかった経緯がある。女性の社会進出が進み、家族のあり方も多様化している。一つの形に押し込めるのではなく、多様性を認める社会環境をつくることが個人の幸福追求を支えることにつながる。最高裁の判断を契機に社会全体で議論を深めたい。

<姓、アイデンティティー、キャリアの蓄積>
*2-1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20151217&ng=DGKKASDG16H7K_W5A211C1CC100(日経新聞2015.12.17)夫婦別姓願う女性落胆、原告「立法へ新たな議論を」
 夫婦や家族のあり方をめぐって注目された2つの司法判断が16日、最高裁で言い渡された。夫婦別姓への期待を膨らませた原告らは落胆したが、判決は姓などを巡る制度は「国会が判断すべきだ」との問題提起もした。多様な夫婦の形と法を巡る議論のバトンは、司法の場から立法府に戻ることになる。「政治でもダメ、司法に訴えてもダメだった。今後どうしたらいいのか」。判決後、東京都内で記者会見した原告の1人、行政書士の小国香織さん(41)の表情は硬かった。2006年の結婚前、夫とともに「姓を変えたくない」と考えていた。入籍をしない「事実婚」の選択肢も頭をよぎったが、「夫が事故や病気で手術が必要な際、家族としての意思表示ができないかもしれない」と迷い、小国さんが改姓した。夫の姓は「丹菊」。きれいな字面が気に入っている。しかし小国香織として生まれ、約30年間過ごしてきた。「丹菊香織は全くの別人」との違和感を抱えながら生きてきた、という。日常生活や職場では小国姓を使い、遺言状の作成など公的書類への署名は丹菊。依頼人から「誰かなと思っちゃった」と言われたこともある。この日の判決では、子供への影響も同姓を合憲とする根拠とされた。保育園児の長女(6)には自身の選択の理由や裁判のことも話している。長女は「結婚しても丹菊のままがいい」と話しているといい、会見で小国さんは「(判決を)娘にどう説明したらいいか」と肩を落とした。原告からは、裁判官5人が違憲としたことを評価する声も上がった。加山恵美さん(44)は「初回の挑戦にしては頑張ったのではないか」と話した。30代の吉井美奈子さんは「訴訟を通じて多くの人に理解を得られたことは前進」と話した。原告団長の塚本協子さん(80)は「別姓は世界では当たり前。認められなくて、つらい」と涙を流しながらも、「婚外子の法律が変わるまで26年かかった。諦めないで引き継いでほしい」と前を向いた。「5人(の裁判官)が違憲と言ってくれた。その違憲に将来を託したい」。判決には国会での議論を促す文言も盛り込まれた。来年2月に国連の女性差別撤廃委員会による3度目の日本の審査が行われることもあり、榊原富士子弁護団長は「ここからが立法に向けた新たなスタートだと感じている」と話した。

*2-2:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20151217&ng=DGKKASDG16H6G_W5A211C1CC1000 (日経新聞 2015.12.17) 働く女性「職場の不便見ていない」「旧姓での業績こだわり」
 職場などでは、戸籍上の姓と旧姓を使い分ける女性が増えている。ただ実際には不便さを感じている人も多く、柔軟な制度を求める声があがる。東京・霞が関で働く30代の官僚は2011年に結婚。職場では旧姓をそのまま使ってきた。中央省庁や自治体は「出勤簿」「職員録」などの内部文書で旧姓使用を認めている。ただ公文書を作る場合には戸籍上の名前で署名、押印しなければならない。この女性は「使い分けに不便さを感じることもある」と打ち明ける。近い将来、地方の関連機関に出向する可能性があるという。幹部になれば署名する機会も増える。「出向したら職場の呼称も戸籍名にする。初めての勤務地では呼称と公文書の名前を同じにしたほうが周囲が混乱しない」。都内に住むウェブディレクターの女性(31)は結婚して2年がたつ。「夫の姓を名乗るのは違和感がある」と仕事では旧姓を使い続けている。だが、生活では銀行口座や健康保険証など、戸籍名に変えざるを得ない場面に直面する。そのたびに「女性側が一方的に負担を強いられている」と感じる。判決は国会での議論を促したが「判断を国会に丸投げした。裁判官はきちんと実態を見ていない」と憤った。内科医で、政策研究大学院大学教授の鈴木真理さん(61)の旧姓は「堀田」。国内で論文を発表する時は「鈴木(堀田)真理」と両方を併記する。海外に投稿する論文には堀田しか使わない。旧姓にこだわるのは結婚前の名前で認知されてきた研究者としての業績が途切れないようにするためだ。鈴木さんは「司法の英断がなかったのは残念。手間がかかるけど、もう慣れた」と今後もこれまでのスタイルを続けていく。千葉大病院神経内科講師の三澤園子さん(41)は「医師免許を取った時の名前で医療を続けていきたいという思いから旧姓を使っている」。三澤さんらは千葉大の医局出身の女性医師50人で「立葵の会」を結成し、女性医師が仕事を長く続けていくための支援活動を展開する。その一環として結婚後の旧姓使用などに関するマニュアルも作成した。医師免許は旧姓のままでもいいが、国への登録は戸籍名に変更するなど複雑で、「名前をめぐって悩む女性医師は多い」という。

<国連の勧告>
*3:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20151217&ng=DGKKASDG16HBF_W5A211C1CC1000 (日経新聞 2015.12.17) 「差別的」国連が改善勧告
 夫婦同姓と女性の6カ月間の再婚禁止を定めた2つの規定は、明治時代の「家制度」に基づいて民法で規定され、戦後の改正でも残り続けた。1996年に法制審議会(法相の諮問機関)が見直しを答申したが、「家族の一体感が損なわれる」などの反対意見で実現しなかった。夫婦別姓に前向きだった民主党政権下でも法務省が法改正を模索したが、法案提出にすら至らなかった。しかし世界的にも珍しい規定に国際世論は厳しい目を向けている。国連の女性差別撤廃委員会は2003年、「規定は差別的だ」と廃止を求め、09年にも再勧告した。それでも日本は動かず、昨年「法改正は国民の理解を得て行う必要がある」と釈明。同委員会は来年2月、日本の次回審査を予定している。別姓を認めなかった今回の判決も踏まえ、あらためて厳しい内容が勧告される可能性もある。


PS(2016年1月14日、15日追加):*4-1のように、「人口減少が経験したことのないスピードと規模で起こり、国が滅びかねない」などと大げさな警笛を鳴らし、*4-2のように、厚労省がインターネットで公開している広報漫画で「女性は年金制度維持のために、結婚してたくさん子どもを産めばいい」などと主張しているのは、政治と行政を挙げての著しい人権侵害だ。そもそも、保育の質と量は、私が聞いて知っているだけでも1960年代から問題視されていたにもかかわらず、厚労省が対応を怠ってきた上に、このようなジェンダー・キャンペーンを行うのは、自己実現したいと思って努力を積む真面目な女性の足を引っ張り、その結果として、彼女らに活躍の舞台として日本を選ばない決断をさせる。また、*4-3のように、知事も結婚支援や出産支援に突っ走っているが、これらは、戦前の「産めよ増やせよ」論を想起させる。そして、このように政治や行政の女性に対する意識が低いのが、我が国の一貫した問題なのだ。
 なお、日本の人口は、下のグラフのように、明治維新(産業革命の始まり)の後に急激に増加したもので、明治維新当時の日本の人口は3000万人程度であり、現在では地球上のすべての国にその産業革命が浸透しつつあり、日本の食料自給率は39%しかない。そのため、食料を例にとれば、生産性が上昇しない限り、日本の国土が養える人口は5000万人程度(1.3億人x39%)で、現在は人口の生物学的調整時期ということになる。つまり、問題解決するには、経緯と現状を広い視野で総合的に考えて、まず本質的な原因を把握しなければならないのだ。

    
     日本の人口推移と出生率推移        世界の人口推移    食料自給率推移と国際比較

(*グラフの読み方:日本の近年の出生率は、太平洋戦争後の第一次ベビーブームとその子供世代が出産適齢期を迎えた第二次ベビーブーム以外は一貫して減少しているのに、最近になって急に少子高齢化を言いたてているのは、行政のご都合主義だ。また、日本の食料自給率は一貫して下がっているが、他の先進国はそうではないため、食料自給率低下は産業革命の結果ではなく政治・行政による産業政策失敗の結果と言える。そして、世界は人口爆発の時代に突入しているため、これは大きな問題だ。)

*4-1:http://qbiz.jp/article/78567/1/
(西日本新聞 2016年1月14日) 石破担当相が地方創生を語る
 九州の企業や自治体の在京責任者でつくる「二水会」(西日本新聞社主宰)の1月例会が13日、東京都内であり、石破茂地方創生担当相が「地方創生の課題と展望」と題して講演した。石破氏は、国内の人口減少を急降下するジェットコースターに例え「経験したことのないスピードと規模で起きる」と説明。地方創生に失敗すると、国が滅びかねないと述べた。政府は全自治体に、人口減対策や将来像をまとめた総合戦略を3月までに策定するよう求めている。石破氏は、行政任せではなく、企業や大学などによる「市民総参加」で作り上げる計画こそ、地域活性化の効果が高いと強調した。JR九州の「ななつ星in九州」の乗客が感動して涙を流したことを紹介し、「九州は魅力にあふれている。地方の創意工夫をどう支援していくかが大切だ」と締めくくった。

*4-2:http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2015020802000124.html
(東京新聞 2015年2月8日) 「結婚してたくさん産めばいい」 年金PR漫画 批判集中
 公的年金制度の必要性を説明しようと、厚生労働省がインターネット上で公開している広報用漫画の内容が波紋を広げている。登場人物の若い女性が制度維持には「結婚してたくさん子どもを産めばいい」などと発言し、結婚・出産という個人の選択に国が口を挟んでいるように受け取れるからだ。国会でも取り上げられ、関係者からも「出産は制度維持が目的ではない」と反発の声が出ている。漫画は「いっしょに検証!公的年金」と名付けられ、二〇一四年五月から厚労省のホームページ(http://www.mhlw.go.jp/nenkinkenshou)で公開されている。第0~11話で構成され、主人公の姉妹が解説役の女性の話を聞きながら制度の意義や仕組み、財政状況などを理解する内容だ。問題の場面は最後の第11話。少子化が年金制度の維持に影を落としていると知った姉が「あんたが結婚してたくさん子どもを産めばいいのよ!」と妹に発言。別のコマでは、解説役の女性も姉の手を引っ張り「バリバリ働いて今週のお見合いパーティも頑張りましょー!」と叫ぶ場面で終わる。一月三十日の衆院予算委員会では、野党議員が漫画を取り上げ「女性が頑張って子どもを産めば問題は解決するのか」と追及。塩崎恭久厚労相は「上手(な表現)ではない」と釈明したが、今月三日の記者会見で「女性をやゆする意図はない」とこのまま掲載する考えを示した。厚労省年金局によると、インターネット上では一月中旬から漫画への関心が拡大。一日数百件にとどまっていたホームページへのアクセスは、最多で一日約八万九千件に上った。「(戦時中の)『産めよ殖(ふ)やせよ』のような発言だ」「産むか産まないかは個人の自由だ」という批判が掲示板などに書き込まれた。少子化問題に詳しい日本総研の池本美香主任研究員は「国の制度維持のために産むという印象を受け、違和感を覚える」と指摘。「出産には、子育て環境の整備や男性の育児参加の促進など解決すべき問題が多い。女性が産めばいいというように単純化されているのは問題だ」と話した。女性の権利向上に取り組む市民団体「女性と人権全国ネットワーク」の近藤恵子共同代表は「経済的、身体的な事情で、産みたくても産めない人が多い中、配慮が足りない」と批判した。

*4-3:http://www.saga-s.co.jp/news/national/10201/178845
(佐賀新聞 2015年4月20日) 12知事同盟、子育て支援を提言、有志で発足、国に働き掛け
 有志の知事12人が20日、「地方創生」関連の政策を提言するグループ「日本創生のための将来世代応援知事同盟」を立ち上げた。当面の課題として、地方での女性や若者の就業や子育ての支援策を検討し、実現を国に働き掛けていく。2016年度政府予算に反映させるため、岡山市で5月22~23日に開く次回会合で、提言案を取りまとめる。宮城、福島、長野、三重、滋賀、鳥取、岡山、広島、山口、徳島、高知、宮崎の各県知事が参加。年齢は40~54歳で若手が多いのが特徴だ。地方大学の強化や結婚支援、子どもの多い世帯の経済的負担の軽減なども議論する。


PS(2016年1月15日追加):*5の松崎市長の「出産適齢期は18歳から26歳を指すそうだ」という発言も、これまでの学説と異なる悪乗りした警鐘だと思っていたが、やはり日本産科婦人科学会が、「学会として『出産適齢期は18歳から26歳を指す』と定義した事実はない」とコメントしている。なお、「妊娠適齢期は35歳頃まで」というのは、「35歳を過ぎるとダウン症の率が上がる」と前から言われているからだが、それでも42歳の母親で2.5%弱しかない。


母体年齢別のダウン症発生率             母体年齢別の妊娠トラブル

*5:http://digital.asahi.com/articles/DA3S12159682.html
(朝日新聞 2016年1月15日) 出産適齢期発言、学会が定義否定 浦安市長の「18~26歳」
 千葉県浦安市の成人式で松崎秀樹市長が「出産適齢期は18歳から26歳を指すそうだ」と発言したことを受け、日本産科婦人科学会は14日、「学会として『出産適齢期は18歳から26歳を指す』と定義した事実はない」とするコメントを発表した。学会がまとめた冊子では、「妊娠適齢期は35歳ごろまで」としている。


PS(2016年1月17日追加):*6のように、「一億総活躍」と称して不妊治療に助成するのは、「女性は妊娠で活躍してほしい」と言っているようでおかしい。何故なら、上記のように、不妊には生物学的理由が存在する場合が多く、不妊であることを悩ませて無理に妊娠させようとする社会は、個人の生き方を大切にしない人権侵害社会だからである。また、一人親家庭を経済的に支援するため貸付制度を設けるというのも、何を目的に貸付を行い、借りた資金の返済能力があるのか疑問であるため、「一人親でもよいから子どもさえ産めばよい(子どもに対する人権侵害)」というような政策誘導や世論の惹起をやめるべきだ。また、「介護離職ゼロ」は必要だが、それには、介護休業中の給付金を賃金の67%に上げて「(主に)女性は家族介護で活躍してもらう」などという被用者のごく一部しか利用できない政策よりも、介護保険制度を充実して誰でも安心して働けるようにする政策の方がよほど重要である。

*6:http://qbiz.jp/article/75400/1/
(西日本新聞 2015年11月21日) 「総活躍」へ不妊治療助成 ひとり親家庭支援の貸付制度も
 「1億総活躍社会」に向けた政府の緊急対策案が21日、判明した。2020年代半ばに「希望出生率1.8」を実現するため不妊治療への助成を拡充するほか、ひとり親家庭を経済的に支援するため貸付制度を設ける。20年代初頭の「介護離職ゼロ」を目指し、特別養護老人ホーム(特養)などの施設整備を加速させ、介護休業中の給付金を賃金の67%に上げる方針も盛り込んだ。政府は、閣僚や有識者による国民会議(議長・安倍晋三首相)を26日に開き、緊急対策を決定する。年内に編成する15年度補正予算案や16年度当初予算案に反映させる。


PS(2016.1.19追加):首都圏の大型団地は、昭和30年(1955年)頃から建設され始め、50~60年経過しているものも多く、住民は高齢化している。しかし、建設当初は、団地の中に保育園、小学校、診療所があり、現在では、交通が便利で環境の良い場所になっているものが多いため、建て替えれば住環境を完璧にできるだろう。そのため、*7-1のように、介護サービス施設などを誘致して地域の医療福祉拠点にするのもよいが、それだけではなく、古い大型団地をバリアフリーの高層団地に建て替えて、これまでの住民だけでなく子育て中の夫婦や独身者、学生も入れるようにし、診療所、訪問看護・介護サービス、家事援助サービス、保育所、学童保育、スーパーやレストラン等を敷地内に設ければ、空き家対策になるだけではなく、全世代の人にとって住みやすい団地となる。何故なら、現在は病児保育も不足しているが、診療所、訪問看護・介護サービスは、高齢者に限らず単身者や病児にも使える上、家事援助サービス、保育所、学童保育、近くのスーパー、レストラン、宅配のような便利な生活ソフトは、共働き家庭や一人親家庭にも不可欠だからだ。なお、*7-2のように、北京は団地の4割で電気自動車の充電スタンドが設置済だそうだが、日本は最初に電気自動車を実用化したにもかかわらず、的外れな政策により出遅れた。しかし、どの自治体にも、このような団地やマンションはあるため、今後の工夫が必要だ。


  2016.1.19、2016.1.16日経新聞    都内の古い大型団地    中国最大の太陽光充電施設

*7-1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20160119&ng=DGKKASFS18H4E_Y6A110C1EE8000 (日経新聞 2016.1.19) 大型団地を福祉拠点に 住宅10年計画で国交省、高齢化、地域と連携
 国土交通省が2016~25年度までの10年間の住宅政策の方向性を示す「住生活基本計画」の原案が18日、明らかになった。独立行政法人の都市再生機構(UR)が全国に抱える大型団地のうち150カ所程度に介護サービス施設などを誘致し、地域の医療福祉拠点に転用するのが柱だ。不動産市場の活性化に向け、中古住宅の流通規模を25年に8兆円(13年は4兆円)へ倍増する目標も掲げる。国交省は住生活基本法にもとづき、同基本計画をおおむね5年に1度見直している。見直し案を22日開催する有識者会議に提示した上で個別分野の詰めを進め、3月にも新計画を閣議決定する。「少子高齢化への対応」と「マンション・団地の老朽化対策」、さらに全国に広がる「空き家をどう抑えていくか」という3つを優先課題にすえる。
●URの150物件で
 高齢化対策では、URが大都市圏に持つ1000戸以上の約200団地について、25年までに150団地程度を地域の医療福祉拠点にする。在宅訪問型の医療や介護サービスを受けやすいように関連施設をUR団地内に誘致したり、近くの既存施設と連携し、高齢者が自立して生活できる環境をつくる。すでに千葉県柏市の豊四季台が東大とも連携して在宅医療や介護予防強化を目指した街づくりに取り組むなど、41団地が福祉拠点化の計画に着手している。新計画で対象の団地を大幅に広げる。これとは別に国交省などが管轄する「サービス付き高齢者向け住宅」(サ高住)のうち、デイサービス施設などの高齢者生活支援施設を併設した住宅の割合を、25年に9割(14年で77%)にする目標も設ける。老朽マンション対策では、マンション建て替え件数(1975年からの累計)を25年に約500件(14年で約250件)に増やす計画だ。マンション建て替えの法的手続きは、代表的な「区分所有法」で所有者の5分の4の合意が必要。規制のハードルが高く、建て替えのペースは鈍いのが実情だ。
●空き家対策推進
 国交省は老朽マンションの建て替えを促すため、今通常国会に提出する方針の「都市再生特別措置法改正案」に、自治体が再開発事業と位置付けると合意条件を所有者の3分の2に緩和する内容を盛り込む。老朽化した中古住宅・マンションの修繕などを進めるには、中古市場を活性化して別の買い手に移して行く必要がある。具体策として、仲介契約時に専門家が老朽化をチェックする住宅診断をおこなうなどして、その内容を購入者に説明する仕組みを検討している。これにより中古物件の流通市場を25年に8兆円(13年で4兆円)に倍増させ、リフォーム市場を同12兆円(同7兆円)に拡大する方向だ。国交省は今通常国会に提出する宅地建物取引業法改正案にこうした内容を盛り込む方針だ。高齢化で増え続ける空き家の対策も推進する。昨年5月に全面施行された空き家対策特措法にもとづき、各地の状況に応じた「空き家等対策計画」をつくる市区町村数を20年に全国の約8割(14年でゼロ)にする。

*7-2:http://qbiz.jp/article/78922/1/
(西日本新聞 2016年1月19日) 団地の4割で電気自動車の充電スタンド設置済 北京
 北京市住宅建設委員会はこのほど、2015年11月の時点で、市内の団地総数の4割にあたる2108カ所の団地に新エネルギー乗用車の充電スタンドを設置したことを、公式サイト上で明らかにした。人民網が報じた。電気自動車を購入した住民が居住地の不動産管理会社に充電スタンドを設置してもらうには、駐車スペースの財産権あるいは長期借用権を保持し、居住する団地の電気容量が十分であるという2つの条件を満たす必要がある。今のところ、団地内に設けられている自家用充電ポールは、すでに8312基に達した。北京市住宅建設委員会と北京市科学技術委員会は、駐車スペースの数が少なく、充電スタンドの設置が難しいコミュニティが頭を抱える充電スタンド設置問題を解決するために、「移動充電車の団地進出」プロジェクトを展開した。「移動充電車」は、「カーバッテリー充電器」のように、同設備が設置されている団地では、オーナーが予約して自車の駐車スペースで充電をすることができる。計画によると、北京市は年内に、このような移動充電設備を500台供給する見込み。


PS(2016年9月29日追加):九州の銀行が「女性行員の方、旧姓使用OKです」と言うのはかなりの進歩だが、養子に行った男性も旧姓を使用したいそうだ。さらに、預金通帳は戸籍名しか使えないが、口座を開く時に戸籍謄本などで証明すれば旧姓の通称を使って口座を開けるようにすべきで、そうしなければ通称で給料や年金を受け取ることができない。また、手続を簡単にするためには、旧姓を通称使用する人は戸籍謄本で証明して住民票に使用する通称を記載しておき、どの公文書にも通称を使用することができるようにすべきである。

*8:http://qbiz.jp/article/94904/1/
(西日本新聞 2016年9月29日) 女性行員の方、旧姓使用OKです FFG3行 営業活動に配慮
 ふくおかフィナンシャルグループ(FFG、福岡市)は10月から、傘下の福岡(同市)、熊本(熊本市)、親和(長崎県佐世保市)の3行で、女性行員が結婚後も旧姓を引き続き使用できる「旧姓使用制度」を導入する。地方銀行では珍しい取り組みという。銀行では、顧客の生命保険や損害保険の契約書を作成する際、行員の本名も記載する必要があることなどから、女性行員は結婚後、全員が新たな姓を名乗っていた。だが営業部門などで活躍する女性行員が増え「名刺やメールアドレスが変わることで、顧客との連絡などに不都合が生じる」といった女性行員の声に対応した。今後は結婚時に旧姓使用も選べるようになる。FFGは2014年、女性幹部や管理職を18年までに約2倍に増やす数値目標を設定。幅広い分野で活躍する女性行員の増加を目指している。同様の旧姓使用制度は、メガバンクや横浜銀行、北洋銀行(札幌市)などで導入されている。

| 男女平等::2015.5~ | 01:28 PM | comments (x) | trackback (x) |
2015.5.10 男女平等に議員を選択する主権者が育たないのも、メディアの偏向した情報提供に問題があるからだ。 (2015年5月13日に追加あり)
      
国会議員の 下院女性比率    道府県議      議会に占める  管理職・役員の 
 女性割合  の世界順位     女性当選者      女性割合  女性比率世界比較 

(1)女性議員が少ない理由
1)飲み会への出席がネックではない
 *1-1に、女性衆議院議員が少ない理由として「政策より飲み会出席競争」と書かれているが、実際に私が衆議院議員として活動していた時には、飲み会や行事に出てコミュニケーションしていても、「飲み会に出てこない」「コミュニケーションが悪い」とか、よい政策を作っても「よい政策を作ったわけがない。もし、本人がそう言うのなら、それは本人が自分を知らず、謙虚さがないからだ」というように、女性の活動や能力を過小評価し、それを否定する女性は謙虚さや反省が足りないとする世論が多かった。そのような中、この記事は、女性は昼間だけしか働けず、飲み会にも出にくい人材だとしている点で、(サラリーマンではない)女性国会議員への偏見をさらに助長している。

 そもそも国会議員はサラリーマンではなく自営業であるため、上司はおらず、客は有権者で、お得意さんは後援会の人だ。政党に入っている議員は、フランチャイズの店長に似ている。また、国会議員の仕事は、国会に出席することだけでも、選挙運動することだけでも決してなく、最も重要なのは、多様な人とコミュニケーションして問題の本質を知り、政策を考えて実行することだ。

 そこで、政策を作るための情報収集手段としては、国政報告会や座談会を開いて地元の人と意見交換したり、一軒一軒のお宅を廻って環境を見ながらその家の人と話をしたり、行事に出て参加者の主張を聞いたり、食事会や飲み会に参加してざっくばらんな本音を聞いたりなど、いろいろな方法の組み合わせがあるわけだ。従って、「飲み会という方法はとりたくない」と思えば、ざっくばらんな本音を聞く機会が少し減るかもしれないが、本人の判断でそれは可能である。

 ただ、議員は、土日・祭日・夜を返上して地元廻りをし、多様な人とコミュニケーションするのが重要な仕事であるため、「夜の活動は、出産・育児との両立の問題を生む」という状況の人は、子どもを一定の年齢まで普通に育てた後で議員になった方がよいと考える。何故なら、議員は、大会社のような終身雇用でも年功序列でもなく、子育ての経験もキャリアの一つとなり、選挙に当選すればなれるものだからだ。

2)本当は、主権者の女性に対する過小評価がネックなのである
 *1-1に書かれているように、「女性は『チルドレンン』『ガールズ』などの『ブーム』があったから当選したのであって、能力があるから当選したのではない」というような女性の能力を過小評価する女性蔑視の記事は、私が衆議院議員の頃からメディアに多く存在していた。そして、それが繰り返される度に、国民の頭には女性議員は能力がないと叩き込まれ、女性議員の評価を低めて、女性議員の議員活動や選挙戦をやりにくいものにしたのである。何故なら、どの有権者も、つまらない人に人の上に立って欲しくないし、ましてや国民を代表する議員になどなって欲しくはなく、そのための寄付や協力もしないからである。

 しかし、実際は、世の中には、自らが「ブーム」を作った女性議員もおり、男性議員より能力も経験も豊富な女性議員も多く、すべての女性議員がブームのおかげで当選したわけではない。そのため、このような女性を見下げた記事の連続こそが、永田町から去る女性を増やした本当の理由である。

 なお、野田聖子議員は、「女性であることで軽く見られる」「政策より顔や容姿で判断される」とされたそうだが、「美しい女性は能力がなく、能力のある女性は美しくない」とか「キャリアのある女性や上昇志向の女性は、わがままで性格が悪い」というような変な価値観もあり、私はそういう価値観を基に書かれた週刊誌やブログの「セクハラ記事」で長所を否定された上、虚偽の短所を流布され、その結果として落選させられた。これについては、当然のことながら非常に怒っており、被害者の私に落ち度や努力不足があったわけではないため、私が変わってはならず、社会に意識変革させなければならないと考えている。

 最近は、(私が提案して始まった)安部首相の「女性活躍社会の推進」により(*3-2参照)、佐賀新聞も*1-2のように、「重い扉、佐賀の女性と議会、根深い蔑視」というような連載記事を掲載し、「繰り返される問題発言」「女性は花を添えるもの」「国会議員7人のうち女性は0」「佐賀県議会は定数38に対し女性は1」「市区町村議会に占める女性の割合は、6.02%で全国最下位」など、日本が世界から30年も遅れている状況を連載するようになり、これはよいことだと思う。

 しかし、私が衆議院議員の時には、佐賀新聞主催の催しに行くと国会議員の席ではなく一般人の席に座らされたり、その行事に参加している国会議員のうち私だけを除いた写真を撮って佐賀新聞に掲載し、地元の行事にも参加しない落下傘議員と言う評判を作られたり、目立たない席に座らされて挨拶もさせないため、その行事に出席していることが隠されるような扱いだったことがある。さらに、佐賀新聞に掲載された私に関する記事は女性蔑視の評価を含むものが多かったため、佐賀新聞が「国会議員7人のうち女性は0」などと言える立場にはなく、その状態を作ってきた理由の大半は、自らも男性中心社会である佐賀新聞はじめメディアが担っていると言える。そのため、ここでメディアの猛省を促すとともに、日本のメディア(週刊誌も含む)における女性役員比率や女性管理職比率も公開させるべきだと考えている。

(2)現在のメディアが描く“理想の女性”
 *2-1に、NHK大河ドラマ「花燃ゆ」は、吉田松陰の妹を主人公にしたが、視聴率が10%を切る回もあると書かれている。私は、その理由は、「吉田松陰」という本当の主人公の見るに堪えない不遇が視聴者に与えるストレスとその妹が握り飯を出して男性を支える女性でしかなく、自らはチャレンジ精神も主体性もないため、主人公たりえないことにあると思う。その点、同様に無名の女性が主人公でも高視聴率を誇った「お花はん」は、今から約50年前に造られたNHKの連続テレビ小説であるにもかかわらず、主人公の女性は、主体性とチャレンジ精神のある女性だった。

 つまり、「花燃ゆ」は、題名からも明らかなように、女性を花を添えるものとしか捉えておらず、周囲の男性を支えて日常を生きるだけの徹底して月のような女性(今から100年以上前の明治44年《1911年》に、平塚らいちょうが書いた言葉)を理想像として描いたところが現代の価値観に合わず、主人公が女性であるにもかかわらず、女性からも支持されないドラマになったのだ。

 そのような中、*2-2のように、「女性が衆議院議員になるには家庭との両立が壁」とするのもジェンダーである。そもそも衆議院議員になれば、家事を外部委託できるくらいの歳費はもらえるため、家事との両立が壁になることはない。それにもかかわらず、「家庭との両立が壁」だとすれば、女性が衆議院議員に少ない理由は女性自身の個人的理由に依ることになるが、本当は、「①男性中心の地域では、女性の能力が正当に評価され、周囲から推薦されて公認されるところまでいかないので、当選することもない」「②選挙費用や事務所の運営費用がかかるのに寄付は少なく、経済的損失になるので家族が反対する」「③さらに痛くもない腹を探られるので、みんなやっていられないと思う」などが理由なのである。

 しかし、いつも逆の立場から社会を見てきた女性国会議員が増える必要はある。ただし、「女性は、結婚・出産していなければ、母親の思いを理解し、政策などに反映して政治活動をすることができない」というのは、男性は子どもがいても自分で育てた人は少なく、家事のみならず選挙さえ妻に手伝ってもらっている人が多い中で、女性にだけ課した高いハードルであり、また結婚・出産していなければ母親の思いを理解できないというのも事実ではないため、*4で広げるべき間接差別の対象である。

(3)日本の女性管理職
 *3-1のように、日本では会社の管理職に占める女性割合は現在でも10%程度で世界でも低く、役員に占める女性割合は2%にも満たずさらに低いが、この人たちが社会人になった時点では、ずっと働き続けるつもりだった人が6割弱おり、課長相当の管理職以上に昇進・昇格したいと思っていた人も2割弱いたにもかかわらず、その希望がかなわなかった人が多いのであるため、その原因を明らかにして改善することこそ重要である。

 さらに、役員になった女性は子どものいない人が7割を占め、企業の部課長の男性8割に子どもがいるのと比較すれば、女性は仕事か子どもか(注:「仕事か結婚か」ではない)を選ばされていたのであり、これは、この30年以上、最前線で働く女性をしてきた私の経験からも納得のいく数字だ。

 つまり、少子化の原因を女性に責任転嫁するのは本当の責任者である政府の責任逃れであり、戦後、日本国憲法で職業選択の自由を得て女性が働いて普通に昇進したいと思った当然の要求を満たす社会を作ったのか、そして、政府は、そのためにどんな政策をとってきたのかが問われ反省されなければならないのである。なお、女性議員割合、女性役員割合、女性管理職割合などの国際比較を見れば、女性の能力ややる気の問題ではなく日本の労働政策の問題だったことは明白であり、この差別の構造を、これまでのように「日本の伝統・文化」や「結婚・出産・育児」の名の下に容認することがあってはならない。

 なお、*3-2のように、安倍首相が、「女性が輝く社会をつくる」として、働く女性を後押ししておられるのは有り難く思うが、「保育所」や「働く時間」の問題だけが重要なのではない。それよりも、女性の能力を過小評価する習慣を改めることこそが、労働時間ではなく成果で公正に評価し、一度退職して再就職(転職)しても、不利に扱われることなく働けるための必要条件なのである。

<女性議員は何故少ないのか>
*1-1:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11740356.html
(朝日新聞 2015年5月6日) (女が生きる 男が生きる)女性衆院議員 政策より飲み会出席競争
 国会議員の仕事は、昼だけではない。「遅くなりすみません」。今年2月の午後8時すぎ、甲府市中心部の居酒屋に、自民党の宮川典子衆院議員(36)が走り込んだ。支持者の男性9人に「かわいいね」「ありがとうね」と迎えられ、ワイン片手に選挙の情勢を語る。1時間で切り上げ他の店へ。別の男性らと日本酒を酌み交わし、教育問題などを談議。午後10時、さらに1軒。終わった時、日付は変わっていた。衆院で小選挙区制度が導入されたのが1994年。同じ政党の候補者が争い、「金がかかる」などの批判を受けた中選挙区制から政策本位をめざした。だが実態は。飲み会、冠婚葬祭、行事の参加――。有権者との対話は政治家の基本だ。アルコールが入って、胸襟を開き話せることもあるだろう。だが政策本位より、飲み会出席競争に傾いてみえる時がある。両方の制度で選挙をした高市早苗総務相(54)は「得票率の目標が中選挙区と違う。(行事に)出るかどうかが、大きな影響を受ける」。夜の活動は、出産や育児との両立の問題を生む。ほかにも、複数の女性議員が「当選する前は、飲み会でセクハラされても文句は言えなかった」。少数派の女性というフィルターを通すと、政策本位と対極にある日本の政治土壌が見える。「飲み会文化」は有権者だけではない。「政治は夜動く」「料亭政治」という言葉がある。民主党の小宮山泰子氏(50)は先輩議員によく赤坂のクラブに連れて行かれた。党派を超え集まる議員と、グラス片手に政治の内幕や選挙の話。昼間の公式な場では知り得ない情報や本音が飛び交う。「政治の世界のコミュニケーションは夜」と知った。「相手の立ち位置や落としどころを探れる夜の場は、ポストにもつながる」とも感じた。小宮山氏には、飲み会が「男同士の結束を確認する場」と感じられて入りづらく、「私がいない方が楽しめるんじゃないか」と申し訳なく思ったこともあった。
■「ガールズ」への視線
 3月上旬、中川郁子農林水産政務官(56)の「路上キス」写真が週刊誌に掲載された。相手は妻子がいる国会議員だが、話題はもっぱら独身の中川氏に。大臣が辞任した日。しかも「亡夫の後継」を強調し当選してこの行動、と批判された。本人に責められるべき点はもちろんある。マドンナ、ガールズ……。女性議員には、興味本位ともみえる視線が注がれる。自民の野田聖子氏(54)は「女性であることで軽く見られる。政策より顔や容姿で判断される」。もてはやし、そっぽを向くメディアに問題はある。が、「ブーム」の終焉(しゅうえん)と共に永田町から去った女性が少なくないのはなぜだろう。自民党の小池百合子氏(62)は共著書で、政治などで女性が活躍するため三つの改革が必要だとした。性別役割分担に関する世の中の「意識」、女性の活躍を支える「制度」、女性自身が意識を高め立ち上がるための「自己」改革だ。民主党の「小沢ガールズ」と呼ばれた太田和美氏(35)。06年、衆院補選で当選。小沢一郎氏と共に12年に離党。その後落選を重ね、引退も考えた。だが、東日本大震災の原発事故で相談にきた母親たちを忘れられなかった。維新に移り昨年の総選挙に出馬、比例復活した。
■「党に覚悟が必要」
 政治で女性を増やす「制度」の改革は、少しずつだが変化の兆しがある。小池氏は12年に党の特命委員会委員長として、女性候補が少ない政党への政党助成金を減らす改正法案を提案した。委員会の最高顧問には安倍晋三氏も。その後、安倍氏は首相に就いたが、提案はたなざらし。小池氏は「党に意思と覚悟が必要。経済界などに女性の登用を2020年に3割と言って、一番の足元でやっていないのはちょっと違うのではないか。政党なら、党のトップが決めればよいことだと思う」。女性議員を増やすため100カ国超が、女性の候補者や議員の割合を定めるクオータ制度を導入済みだ。日本でも2月に「クオータ制」の導入を目指す議員連盟が発足、全政党から約50人の議員が参加する。
■夫が支える例、半数
 男性議員の場合、本人に代わり妻が地元などで活動するのは珍しくない。女性議員はどうだろう。自民党の稲田朋美政調会長(56)が初当選したのは05年。立候補の背中を押したのは、夫だった。前回衆院選では夫が仕事を休み、地元で来客対応や企業訪問などを手伝った。稲田氏は「夫がいなければ国会議員になっていなかった」と振り返る。野田聖子氏は、夫が家事や育児を担う。重い障害がある長男(4)がいるが「夫が私を支えてくれて、政治活動が成り立つ」。2人のように夫が女性を支える例は多数派ではない。「パートナーが自身の政治活動をサポートしているか」の問いには、既婚議員で「している」が12人、「していない」が12人で同数だった。「妻が選挙や地元の活動を支えている男性をうらやましいと思うか」には、「思う」が19人、「思わない」が21人でほぼ同じ。「妻の代理出席は重みがある」という声の一方、「男性が妻のために頭を下げてもプラスにならない」と抵抗がある議員は少なくない。
◇この記事は、相原亮、伊東和貴、榊原一生、高橋末菜、田中聡子が担当しました。ご感想を、メールikiru@asahi.comまでお寄せください。

*1-2:http://www.saga-s.co.jp/senkyo/senkyosaga/30108/177470
(佐賀新聞 2015年4月16日) =重い扉 佐賀の女性と議会=(1) 根深い蔑視
■繰り返される問題発言 女性議員割合全国で最下位
 世界的に見て、女性の議員が圧倒的に少ない日本。その中でも、佐賀県や県内市町の議会は女性が極めて少なく、4町は「女性ゼロ議会」だ。最も身近な自治の代表者を選ぶ「統一地方選」まっただ中の今、現職議員や議員経験がある女性らに現状を聞き、男女の人口構成とはかけ離れた議会にはらむ課題を追った。「ついていかんぎ、よかったったい」。3月17日の唐津市議会一般質問。市教育委員会指導主事のセクハラ問題について、市教委の対応を問題視していた社民党議員が質問すると、保守系会派の議席から、被害者の心をさらに傷つけるやじが飛び出した。昨年6月、東京都議会で塩村文夏議員が質問に立った時に、男性議員から「早く結婚した方がいい」とやじられたことが、大きな社会問題となった。その記憶が残る中、県内でも…。一報を伝える佐賀新聞の記事の切り抜きを手元に置きながら、佐賀中部で市議を務めていた女性は「逆行している」。怒りと悲しみを表情に浮かべた。
■「花を添える」
 元市議は15年ほど前の議場を、鮮明に覚えている。一般質問に立った男性議員が女性消防団を「出初め式に花を添えるもの」と表現し、趣向を凝らした式となるよう提案。これに対し、消防長が「花を添える活動になるように検討する」と答弁した。終了後、女性議員4人で議長に「見過ごせない発言」と抗議、訂正を求めた。消防長の答弁は訂正されたが、執行部席に居並ぶ男性幹部も「何があったと」といぶかしげ。議場で発言を聞いていたほとんどの男性は、その不適切さに気づくことさえなかった。住民の代表であるはずの議員。だが、職場や地域の常識から外れたことが、議場や議会視察などで、たびたび繰り返される。10年以上、議員を務める女性は初めて同僚議員と勉強のために訪れた視察先での懇親会を忘れられない。会場に足を運ぶと、そこには3、4人のコンパニオンの姿があった。しかも彼女たちの派遣費は公費から。帰佐して「おかしい」と訴え、懇親会のあり方を変えた。こうした問題は「過去のもの」なのか。佐賀新聞社が昨年6月、県内の女性議員に取材したところ、表沙汰になっていなかった嫌がらせや暴言の数々が聞こえてきた。「俺の女になれと交際を迫られ、拒絶すると嫌がらせを受けた」「女になんができるかと言われた」「セクハラをやめるよう指摘したら、飛びかかってこられたことがある」。
■38分の1
 佐賀県関係の国会議員7人のうち女性はゼロ。12日、統一地方選の前半戦で実施された九州の7県議選では、4県で女性が議席数を伸ばしたが、女性の立候補者が1人にとどまった佐賀県議会は定数38に対し1のままだ。内閣府が1月にまとめた都道府県、市区町村議会に占める女性の割合(2013年12月31日現在)によると、佐賀は399人中24人で6・02%。全国最下位となっている。

<現在のメディアが描く女性>
*2-1:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11732844.html
(朝日新聞 2015年5月1日) (クロスレビュー)NHK大河ドラマ「花燃ゆ」
 半世紀を超える歴史を誇るNHKの大河ドラマ。1月から放送中の「花燃ゆ」は、吉田松陰の妹、杉文(すぎふみ)(井上真央)を主人公にしたが、視聴率は10%を切る回もある(ビデオリサーチ調べ)。「無名の女性主人公」「イケメンパラダイス」「青春群像劇」「ホームドラマ」といった、これまでにない売り出し方が、うまく支持を広げられていないようだ。魅力と課題を探った。
■浮つかぬイケメンに「萌え」 小日向(こひなた)えり
 「歴女(れきじょ)」(歴史好きの女子)が歴史上の人物を見る時のポイントは「萌(も)え」だ。当初は「イケメン大河」と聞き、浮ついた感じはどうかと思っていた。ところが、長身で素朴な久坂玄瑞、涼しげな高杉晋作、狂気を帯びた吉田松陰と、史実のイメージを崩さず、キャラクターを盛った感じがとてもいい。国の行く末を考える長州藩の面々にあって、特に松陰には、公に生きる精神を強く感じた。演じている伊勢谷友介さんは社会起業家でもあり、現代での生きざまも重ねて見た。20代の私たちは豊かな時代に育ち、リスクをとらないと言われる世代。でも、お金より社会貢献を大切に考える人が増えている。そうした若者が自己啓発本の感覚で見られるドラマだ。
■女性の描き方が美しすぎる 中町綾子
 主人公の文が玄瑞と黒船を見に行く回や、彼の松下村塾への入塾に一役買う回は見応えがあり、視聴率もいい。文と歴史上の人物の関わりが描かれているから。だが兄の松陰らを見守る役どころだけだと、キャラクターが淡く、彼女の生き方が見えにくい。女性主人公で成功した「篤姫」では、したたかな側面が描かれていた。やはり毒の部分もないと、大河のヒロインとしては物足りない。女性の描き方として「美しすぎる」と思えてしまう。もっと複眼的であってほしい。時代ならではの苦しみはなかったか。大河では、1回も見逃せないエピソードの積み重なりがだいご味。入りやすさを優先した構成は、大河の魅力を損なったかもしれない。(日本大学教授=ドラマ表現分析)
■無名の人物、なぜ主人公に 木村和久
 ほとんどの大河ドラマを見てきたけれど、大切なのは少年ジャンプのテーマと一緒で、「努力・友情・勝利」。でも「花燃ゆ」には勝利がない。主人公は群馬県令と再婚するが、それが勝ちとは思えない。松陰が死んでしまい、ドラマの山場が終わってしまったのでは。キャラクターが弱い、無名の人物を主人公に選んだのが、最大の疑問。ジョン万次郎や乃木希典でよかった。万次郎は世界を回り、福沢諭吉が教えを請うた人物。市井の人に戻る生き方も日本人好みだ。よっぽどドラマチックに描けるだろう。NHKが安倍晋三首相の出身地、長州で主人公を探したのではと勘ぐりたくもなる。早めに終わらせて、年末まで別のドラマを放映したら、籾井勝人会長を評価するけど。
■生活者が見た歴史、新しい 成馬零一(なりまれいいち)
 これまでの大河は、伊達政宗や黒田官兵衛ら歴史を作った人物を主人公とする男の物語。「花燃ゆ」は主人公が無名の女性で、歴史の大状況には介入できない。周囲のために食事を作り、恋をして、ひたすら自分の日常を生きる。生活者が歴史をどう見たかという視点は新しく、興味深い。歴史ドラマは状況を俯瞰(ふかん)する三人称になるのが常だが、日常を描くことで一人称の歴史ドラマが生まれた。ただ、当初はなぜ文が主人公なのかがわからず、兄の松陰の物語が続くので、視聴者が離れてしまった。文を入り口にして、松下村塾の面々を見れば、従来のファンも楽しめるはず。松下村塾ができた辺りから「学園もの」というコンセプトも生きてきた。

*2-2:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11740381.html?_requesturl=articles%2FDA3S11740381.html&iref=comkiji_txt_end_s_kjid_DA3S11740381 (朝日新聞 2015年5月6日) (女が生きる 男が生きる)家庭と両立、半数が「壁」 女性衆院議員調査、41人回答
 次いで多かったのは「家族・親族の反対」(17人)、「金銭的な問題」(16人)、「男性中心の地域社会」(16人)だった。「女性国会議員が増える必要があると思うか」には39人が「ある」と答えた。「女性であることや結婚・出産をしていること」が、「なんらかの形で政治活動を制約しているか」には、「している」が12人、「していない」は27人だった。同様に「有権者や政治家などから批判されたことはあるか」には、「ある」が14人、「ない」が26人。「女性であることや結婚・出産をしていること」が「どのように政治活動に生かされているか」は「女性や母親の思いを理解し、政策などに反映できる」と答えたのが32人の一方で、「あえて女性や母親であることをアピールしない」が10人、「自分が女性や母親であることで、支持を獲得している」が3人だった。「政治と家庭を両立するためには、何が必要だと思うか」は、「家族の理解・サポート」が30人で最も多く、「国会内保育所など育児環境の整備」(15人)、「女性議員への政党のサポート」(14人)と続いた。

<日本の女性管理職>
*3-1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20150328&ng=DGKKZO84890100W5A320C1TY5000 (日経新聞 2015.3.28) 役員への道、彼女らの場合
 日本の会社役員の女性はまだわずかだ。役員までの道のりはどのようなものだったのか。後輩たちへの助言は? 役員の女性たちに聞いた。「中途採用で入社し社歴20年弱の50歳。既婚で子どもはいない」。日本経済新聞が行った調査から見える平均的な女性役員像だ。
●3人に1人は新卒採用 
 とはいえ、50歳代が約半分を占めたが、30歳代後半もいる。約3人に1人は新卒採用で、中途採用組も役員で入社した人がいた一方で半分は役職なく入社していた。採用時の職種も総合職が65%と多いものの、一般職や事務職もあった。男女雇用機会均等法施行(1986年)前後に社会人になり、ロールモデルもいないこともあってか、社会人になった時点で「(転職を含め)ずっと働き続けるつもりだった」人は6割弱。「結婚を機に働くのはやめるつもりだった」(11%)「出産を機にやめるつもりだった」(16%)「結婚・出産を機にやめ、再就職するつもりだった」(3%)と、結婚や出産でやめる派も3割にのぼった。社会人になった時点で、課長相当職の管理職以上に昇進・昇格したいと思っていた人は2割弱。課長相当職になった頃にさらに昇進したい人は3割に増えた。
●昇進とともにやりがい
 昇進・昇格への意識が変わったきっかけを聞いたところ、現在は「さらに昇進したい」という50代の執行役員は「希望したわけでもなく管理職になったが、『仕事の大きさだけ成長する』『大きな仕事は面白い』『やりたいことは裁量が大きい方が実現しやすい』などを実感した」と回答。同様に、昇進とともに裁量ややりがいが拡大した経験を挙げた人が目についた。後輩の女性社員に管理職になることを勧めるかどうかでは、「勧めない」「あまり勧めない」を選んだ人はおらず、「適任と思う人には勧める」が68%、「全般的に勧める」が30%だった。その理由でも、やりがいや経験、成長の大きさを挙げた人が多かった。「適任と思う人に」とした理由は、「誰もが管理職になりたいわけではない」や「適任でない人に勧めても良い結果にならない」といった意見に大別された。「男女かかわらず勧める」としたのは「全般的に」派の方に多く、ほかに「背中を押してあげる必要がある人が女性の方に多いと思われる」との理由もあった。自分が役員になれた要因と、一般に女性が役員になるための要因をそれぞれ複数回答してもらった設問で、両者とも最も多かったのが「引き立てたり機会を与えたりする上司の存在」。自分では68%が、一般では73%が選んだ。謙遜の可能性もあるが、一般で70%と2番目に多かった「能力」は自分では35%と半分で、自分での2番目は「運」(57%)。「昇進意欲」は一般で46%が選んだが、自分では11%と少なかった。「女性活躍推進の追い風」は自分で38%、一般で22%が挙げた。各企業が女性登用の数値目標を設けることに「積極的に賛同しないが、やむを得ない」という人が一番多く8割が賛成・容認派だ。女性であることを「有利」(11%)「どちらかというと有利」(57%)と感じている人が、「どちらかというと不利」「不利」を大きく上回った。どのような時に感じるかでは、少数派であるがゆえの利点や活躍推進の追い風を有利と感じる半面、「日本は圧倒的な男性社会で対等に見られない」という声も目立った。
●「子どもいない」7割
 プライベートでは未婚が4割と、日本人女性の50歳までの未婚率1割に比べ高い。また子どものいる人は27%。労働政策研究・研修機構による2012年の調査では企業の部課長の男性の8割に子どもがいたことと比べると、女性は仕事と家事・育児の両立が難しかったことがうかがえる。実際、子どものいる人に育児を主にどのようにしてきたか聞いたところ、「シッターなど経済的に対処してきた」と答えた人が一番多く、次いで多かった「親(義理の親も含む)の協力が大きかった」を合わせると7割を占め、夫婦以外の助けも活用していた。リクルートワークス研究所の石原直子主任研究員は「欧米でもスポンサー(引き立てたり機会を与えたりする上司)の存在が重要とされており、日本の役員の女性たちが同じことを強く感じている点が興味深い。スポンサーがつくには、与えられた仕事で成果を出し、それを高い地位にある人にきちんと認めてもらうことが大事だ」と話す。調査は2月下旬から3月中旬、日経リサーチが2月現在の全上場企業を通じ女性役員(会社法上の社内役員と執行役員)に調査を依頼、インターネットで37人の回答を得た。

*3-2:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20150423&ng=DGKKZO86027390T20C15A4EE8000 (日経新聞 2015.4.23) 
数字で知る日本経済2(2)女性管理職30%目標に 意識変え人手不足補う
 自分の会社の役員や管理職に女性が何人いるかを思い起こしてみよう。まだまだ男性中心の日本の会社。こうした現状を変えることが日本経済の課題になっている。「女性が輝く社会をつくる」。安倍晋三首相はあの手この手で働く女性を後押ししている。保育所を増やす。残業や転勤がないタイプの正社員制度を広げる。いずれも子育てと仕事を両立しやすくするのが狙いだ。いまは働く女性の6割が、最初の子どもを産んだときに退職してしまう。政府は国民の意識を変えようと、2020年に管理職の30%を女性にする目標を掲げた。13年の実績はわずか7.5%。女性の採用や昇進を増やすよう企業に呼びかけ、欧米諸国並みに引き上げることを目指している。産業能率大学の新入社員アンケートを見ると、「管理職を目指す」という女性は29%しかいない。お手本になる先輩が増え、仕事を続けた場合のキャリアを見通せるようになれば、出産後に仕事を辞めてしまう人は減るのではないか。そんな効果を期待している。なぜ国が働く女性を増やそうと旗を振るのか。最大の理由は日本の人口が減り続けることで、経済を引っ張る労働者が少なくなってしまうからだ。働く意欲のある人は現在約6600万人。このままだと2030年には900万人減る。今よりも多くの女性が働くようになれば働き手の目減りを補うことができる。もっと女性の視点を生かして商品やサービスを改善すれば、今までにない良いモノが生まれ、消費が増えるのではないかという期待もある。日産自動車は新車の開発チームに女性が入り、長い爪でも開け閉めしやすいドアノブをつくった。戦後から高度成長期の日本の会社では、女性は結婚したら退職するのが当たり前という風潮があった。男性と同等の戦力とはみなさず、女性だけ定年を30歳にする会社も珍しくなかった。雇用での男女差別を禁じる男女雇用機会均等法ができて今年で30年。企業も男性社員の認識も大きく変わりつつある。ただ管理職目標には摩擦もある。女性登用の数値目標をつくった大手企業の担当者は「中堅層に女性社員が少ないため、目標を達成するために女性を優先して登用している。男性社員からは不満も出ている」と明かす。第一生命経済研究所の的場康子氏は「女性の働き手を増やすには、企業は中長期的な視点で採用や育成に取り組む必要がある」と指摘する。

<間接差別>
*4:http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000059264.pdf#search='%E9%96%93%E6%8E%A5%E5%B7%AE%E5%88%A5' 男女雇用機会均等法で禁止している間接差別の対象範囲拡大(要点のみ)
 平成26年7月1日から、改正「男女雇用機会均等法施行規則」等が施行されます。これまで総合職の労働者を募集、採用する際に、合理的な理由がないにもかかわらず転勤要件を設けることは、「間接差別」として禁止されてきました。
●「間接差別」となるおそれがあるものとして禁止される措置の例
 性別以外の事由を要件とする措置であって、他の性の構成員と比較して、一方の性の構成員に相当程度の不利益を与えるものとして省令で定めている措置(※以下の①〜③)を、合理的な理由なく、講じることをいいます。
①労働者の募集または採用に当たって、労働者の身長、体重または体力を要件とするもの
②コース別雇用管理における「総合職」の労働者の募集または採用に当たって、転居を伴う転勤に応じることができること(「転勤要件」)を要件とするもの
③労働者の昇進に当たって、転勤の経験があることを要件とするもの
②労働者の募集もしくは採用、昇進または職種の変更に当たって、転居を伴う転勤に応じることができることを要件とするもの
●事業主の皆さまへ
 すべての労働者の募集、採用、昇進、職種の変更をする際に、合理的な理由がないにもかかわらず転勤要件を設けることは、「間接差別」として禁止されます。


PS(2015年5月13日追加):*5のように、市役所や教員の場合は、男女とも法律通りに育休をとり、一人で子育てする時間の苦労を味わうと、その後のサービスの改善に活かされて仕事にも有用だろう。これは、幼い子の安全も配慮すべき自動車、住宅、家具、電化製品、公共交通機関など他の産業でも同じだ。また、高齢の男女も排除せずに勤務させた方が、スイッチや説明書を高齢者にもわかりやすくするなど、これから人口の割合が増える高齢者のニーズを先取りした製品やサービスが作りやすいと考える。

*5:http://qbiz.jp/article/61982/1/ (西日本新聞 2015年5月13日) 部下の育休取得率アップでボーナスもアップ!? 北九州市がイクボス宣言へ
 部下の仕事と家庭の両立を応援する上司「イクボス」を目指し、北九州市の管理職約560人が19日、“イクボス宣言”をする。研修会で育児休業を取りやすい環境づくりなどを学び、その実践度をボーナスの査定に反映させる。子育て環境の向上や女性の活躍促進につなげたい考えだ。市によると、宣言するのは課長級以上の全員で、政令市で初の試み。「私生活の時間を取りやすいよう、会議の短縮や書類の削減などを進める」「両立のための支援制度の利用を促す」など、イクボス10カ条をまとめており、19日に式を行って参加者が宣誓する。7月には研修会を開き、意識向上を図る。各管理職は、部下の育休取得や時間外勤務の削減について1年間の目標を立て、年度末に達成度を確認。結果は人事考課の材料となり、部下の意見を評価に加味することも検討する。市は、2013年度に6・1%だった男性職員の育休取得率について、19年度までに20%に引き上げるとしており、イクボスが目標達成を後押しする。

| 男女平等::2014.7~2015.5 | 02:25 PM | comments (x) | trackback (x) |
2015.3.21イスラムと日本の女性差別 (性差を能力差にする体質は、教育に始まり、仕事での機会の与えられ方の違いなどで、大きく残っているということ) (2015.3.25、26に追加あり)
    
 マララさんの国連スピーチ  ミシェル&昭恵     メルケル独首相   サッチャー英首相
(↑ http://www.huffingtonpost.jp/2013/07/12/malala_speech_n_3588163.html 参照)

(1)メルケル首相とサッチャー元首相は、ともに欧州出身の理系女性であること
 *1に書かれているように、メルケル首相は、旧西独で生まれ、牧師だった父の転勤で東独に行き、ライプチヒの反政府デモからベルリンの壁崩壊までの激動を東側の物理学者として見届け、それから統一を求める新党に参じて科学から政治へ人生のかじを大きく切り、現在では、ウクライナの停戦を仲介し、ギリシャ債務問題で欧州連合(EU)を代表してユーロ防衛の大義を説くなど、欧州の政治に欠かせぬ顔となり、英国首相を11年半務めたマーガレット・サッチャー氏と並んでいる。このような実力派のヘビー級リーダーの女性は、まだ欧州でしか出ていない。

 一方、我が国では、国会議員の女性比率は主要国で最低であり、地方議員ではさらに低くて“男湯議会”も多い。この状況は、日本国憲法制定後、70年河清を待っても変わらなかったため、国会の超党派議員連盟で女性候補を5年で30%にする目標を掲げたそうだが、私も、「リーダーや政治は男でなければならない」という人々の先入観がなくなり、自然に女性候補が50%程度になるまで、候補者のクオータ制を導入するしかないと考えている。

(2)日本のメディアは男社会で、女性に対する意識が低いこと
 *2-1のように、朝日新聞は、メルケル独首相を、超人的な仕事ぶりが独メディアで話題になる「欧州の女王」と表現した上で、その素顔を、「『鍋をかき回している時は、自分が首相でも何でもない存在だと思える』というのが本音だ」としている。この中には、「首相となる女性は女王のように権力主義だが、本当は首相でも何でもなく鍋をかき回しているのが一番幸せなのだ」という価値観が入っており、その古い価値観が、この記事の他の部分の内容のよさを打ち消して、メディアの意識の古さを露呈している。

 私もそうなのでここではっきり書いておくが、一生懸命勉強してそれなりの大学を卒業し、研究や仕事で業績を残している人は、やりたいことを実現するために多くの苦労をし、他の時間を犠牲にしながら集中して頑張ってきているため、それを行うには強い意志が必要だったのである。そのため、本音では「首相でも何でもない存在で鍋をかき回しているのが一番幸福だ」と考えるような人は、はじめから首相にはなっていない。

 さらに、*2-2でNHKは、「広がる”不寛容”多文化は共生できるか」という放送をした。私は、預言者ムハンマドを笑い物にして描くシャリル・エブドは、いくら当事者が「表現の自由」を主張したとしても、そこには見識がなさすぎると考える。

 一方、イギリス政府が、イギリス市民としての生き方を教える「シチズンシップ(市民教育)」という教科を中学校で必修化する教育改革を行い、移民が市民権や永住権を得る際にはイギリスの歴史や文化に対する理解度をはかる試験を実施して、合格者にはイギリス王室や国法への忠誠を誓う儀式に参加することを義務付けたのは、イギリスとしては当たり前だと考える。何故なら、異なる宗教や民族が同居していても、異様な女性差別を宗教や文化を理由として認めるのは、男女が同じ市民権を持つ国ではありえない上、女子差別撤廃条約にも反するからだ。

 さらに、*2-3のように、日本のメディアである朝日新聞は、「読解力・数学で男女に差 OECD、15歳の学習到達度を分析」と大きな見出しで書いており、まるで女性が生まれつき数学(論理学)に弱く、読解力(文学)に強いかのような戦前の発想で記事を書いている。よく内容を読めば、社会環境、教育環境、家庭環境による性差(ジェンダー)によるところが大きいだろうとも読めるが、忙しい人は題名と最初のフレーズくらいしか読まないため、さらにジェンダーを広めている。

 しかし、メルケル首相(ライプツィヒ大学卒業、物理学博士)もサッチャー元首相(オックスフォード大学化学科卒、弁護士)も理数系に強い女性である。一方、メディアの記者や弁護士・公認会計士などの文系分野にも男性が多く、それは先天的能力よりも社会の期待や価値観によっており、どんな人生を送ることを前提として育てられたり、社会環境の影響を受けたりして勉強してきたかが分かれ目となっている。なお、私も理数系に強い女性だが(だからといって文系に弱いわけではない)、仕事上、女性に対して30年以上前から比較的機会均等に門戸を開いていた公認会計士・税理士としてやってきたのだ。

(3)女性に対する教育と女性が仕事を持つことの重要性
 *3-1の朝日新聞で、ミシェル・オバマ米大統領夫人と安倍昭恵・首相夫人が19日、世界における女子教育の支援で協力を確認し、ミシェル夫人は「世界各地に聡明で能力があり成功を切望しながら学校に通えない女子がいる。それは世界にとって大きな損失だ」と語り、昭恵夫人も「世界には当たり前の権利を求めて汗と涙を流している子供たちがいる」と語り、米国は女子教育支援のための援助資金として2億5千万ドル(約303億円)を来年度予算に盛り込み、日本は政府の途上国援助(ODA)で今後3年間で420億円超を支出することを発表したと記載されており、よいと思う。

 特にイスラム社会では、女子教育や女性の職業選択の自由が制限され、女性が活躍して世界を変える力になるための基礎教育が十分に行われていない。私は、女性の意思決定権者が少なく、一夫多妻で結婚相手にあぶれる男性が多いのが、イスラム圏で戦争が多い理由の一つであるため、教育改革による人材構造改革は、戦争回避と経済発展の両方のために重要だと考えている。

 なお、「私のような貧しい環境で育った女の子は、成功を収める生徒にはなれまいと決めつける先生にも出会った」というミシェル夫人と、つい最近まで男女の性的役割分担を強調しつつ女子教育だけは充実してきた日本の昭恵夫人は、イスラム教などで差別され教育を受けられない女の子に女子教育の機会を与えられるBest Personかもしれない。それを、「オバマ大統領の残り任期2年で、大統領夫人としても、女子教育でレガシー(遺産)を作ろうとしている」などと言っているのは、言った本人がそのくらいの推測しかできない発想の持ち主なのである。

 また、*3-1で、「両夫人は首脳である夫に率直に意見を述べる点などが共通していると言われる」などと書き、「ミシェルは思ったことを恐れずに語り、私が間違っている時も指摘する。それもしょっちゅうだ」とオバマ大統領が語ったということを取り上げているのは、日本のメディアが「女性は夫を立てて意見も言わないのが普通」という前提を持っているからだろうが、その愚かさと世間の狭さには呆れるほかない。何故なら、どういう地位の人でも夫は夫であり、妻が自分の意見を言うのは当たり前である上、ミシェル夫人はオバマ大統領と弁護士事務所の同僚だった人だからである。

 さらに、*3-1は、ミシェル大統領夫人のファッションには詳しく触れているが、ミシェル夫人が逆境の中で、プリンストン大学とハーバード・ロー・スクールを卒業して弁護士として働いていたことには触れていない(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9F%E3%82%B7%E3%82%A7%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%82%AA%E3%83%90%E3%83%9E 参照)。つまり、本当はよい題材を扱いながら、記事の内容は古い価値観の男性目線に依る取り上げ方、解釈の仕方であり、記者のレベルの低さがわかるのである。

 なお、女性が発言権を持てるためには、教育水準だけではなく経済力も必要であるため、女性が働きやすい産業を立地させるのが良い。それには、*3-3のような繊細、緻密で根気のいるイスラム圏の女性が織るペルシャ絨毯を見れば、イスラム女性の能力と根気、4大文明のすごさがわかるため、日本の政府途上国援助で、女子教育だけでなく、女性の能力を活かせる産業の立地も進めるのがよいと思う。

 また、*3-4は日本に関する記事だが、どの国も、経済発展するためには、労働の質と量が重要だ。そのためには、労働参加率を引き上げ、いろいろな分野に女性を参加させ、1人当たりの労働生産性や1人当たり所得を増加させることが必要で、そのためには女子教育も必要不可欠なのである。

 なお、教育水準の高い東アジアでは、この70年間、日本(1950~70年代)、韓国(70~90年代)、中国(90年代~現在)で、1人当たり国内総生産(GDP)の顕著な増加が起こったが、次はイスラム諸国の番である。ただし、工業は労働生産性が高いからといってすべての人が工業にシフトして農林漁業を疎かにしていれば、食べ物がなくなる。そのため、農林水産業は決して疎かにすべきではないのだ。

 このような中、*3-2のように、佐賀県の私立学校協会は、補助金の充実による保護者の負担軽減や公私間格差の是正などを求めて、佐賀県の山口知事に私立学校関係予算に関する要望書を提出したそうだ。私は、保護者の負担軽減や公私間格差の是正は必要だと思うが、日本では少子化の中で公立高校の収容人数にもゆとりが出てきたため、佐賀県の私立も都会の私立のように独自の教育方針を示して保護者や生徒に魅力を増す必要のある時代になったのであり、「県立高校の2次募集合格によって私立高を辞退する人が少なくないので、2次募集を廃止してほしい」と訴えるのは、学校が生徒の教育のためにあることを考えれば本末転倒だと思う。

 しかし、日本は少子化で設備にゆとりができたのであれば、この際、寮や寄宿舎を作り、昭恵夫人に頼んで、ODAで“アキエ奨学金”もしくは“(プリンセス)マサコ奨学金”を作ってもらい、イスラム圏はじめ日本で勉強したい外国の生徒を受け入れてはどうかと思う。

<実力派の女性について>
*1:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11638859.html
(朝日新聞 2015年3月8日) (日曜に想う)「和製メルケル」クオータ制から 特別編集委員・冨永格
 同じ旅で旧東独のライプチヒ大学を訪れた。ゲーテ、ニーチェ、ワーグナーらが並ぶ「在籍した偉人」の末尾にアンゲラ・メルケルの名がある。旧西独で生まれたメルケル首相(60)は、牧師だった父の転勤で東へ。ライプチヒの反政府デモに始まり、ベルリンの壁崩壊に至る激動を、東側の物理研究者として見届ける。最後は統一を求める新党に参じ、科学から政治へと人生のかじを大きく、賢く切った。いまや欧州政治に欠かせぬ顔だ。ウクライナでの停戦を仲介し、ギリシャ債務問題では欧州連合(EU)を代表してユーロ防衛の大義を説く。母国の経済力にも裏打ちされた存在感は、EU首脳の間で抜きんでている。国際政治でヘビー級と呼ばれるリーダーはめっきり減った。欧州ではロシアのプーチン大統領と、メルケル氏くらいだろう。ドイツのきっちり、どっしりにスーツを着せたその人があす、7年ぶりに日本にやってくる。
     *
 ヨーロッパの女性指導者といえば、英国首相を11年半も務めたマーガレット・サッチャー氏が浮かぶ。メルケル氏も秋で在任10年。2017年までの任期を全うすれば「鉄の女」を超す。欧州の2大国に登場した初の女性首相が、そろって長期政権を担う。この事実、まんざら偶然ともいえない。政治が「男の世界」なのは欧州とて同じだが、北欧を中心に女性の大統領や首相は珍しくない。男優位の空気が残るラテン文化圏も変わりつつある。フランスでは07年の大統領選で左派の女性候補があと一歩に迫り、大衆人気で勝る右翼政党は創設者の三女が率いている。EU外相にあたる重職を務めるのは41歳のイタリア女性だ。女性の政治家は鍛えられ、ふるいにかけられ、地位をつかめば活躍する。それを見た同性が政界を目ざし、登用の機運は民間にも波及する。翻って、我が国の惨状である。国会議員の女性比率は衆院が9%台、参院も16%で、主要国では恥ずかしいほど低い。地方議員は12%弱、ひと時代前の「男湯議会」もたくさん残る。政治家が総じて小粒になったのに、遠からず首相を狙えそうな女性は見当たらない。三権の長といえば、過去に衆院議長(土井たか子氏)と参院議長(扇千景氏)がいるだけだ。
     *
 産む産まないは自由としても、妊娠出産がキャリアの妨げになる現実は捨ておけない。私たちの社会は、持てる力の半分ほどを無駄にしかねない。少子化対策にしても、女性の視点や肌感覚は必須だろう。機会均等の徹底は、だから制度づくりに関わる議会から始めるべきだ。遅れた職域でもあり荒療治が要る。まずは政党間で争う国政選挙で、候補者の一定割合を女性にするクオータ制を実現したい。かぎを握るのは巨大政党。もはや「逆差別」を理由にためらう余裕はない。100を超す国々が多様な割当制を採り入れ、女性議員を増やしてきた。先頃わが国会にできた超党派の議員連盟は、女性候補を5年で30%にする目標を掲げる。結果ではなく機会の3割だから、女性優遇の枠ではない。そもそも、能力に関係なく当選を重ねる男性議員はいくらでもいよう。サッチャー氏は首相になった翌月、東京での主要国首脳会議に臨んだ。記者会見で「初の女性首相として」と聞かれると、質問を遮り「私は女性の首相ではなく、英国の首相です」と厳しい口調で釘を刺したという。通訳を務めた村松増美さんの回顧録にある。皆が「鉄」になれるわけではない。頂点を争う地位にまで女性を押し上げるには、強いルールで人材のすそ野を広げることだ。夢はるかでも、世界を動かす和製メルケルを待ちたい。

<女性に対する日本メディアの意識>
*2-1:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11636613.html?_requesturl=articles%2FDA3S11636613.html&iref=comkiji_txt_end_s_kjid_DA3S11636613 (朝日新聞 2015年3月6日) 「欧州の女王」の素顔 メルケル独首相、9・10日に訪日
 ドイツのアンゲラ・メルケル首相(60)が、ウクライナ危機など世界的な問題の対処で存在感を大きく高めている。ドイツだけでなく、ヨーロッパ各国のメディアで、「欧州の女王」と形容されるメルケル首相は、どんな人なのか。9、10日の訪日を前に、素顔に迫った。
■超人的 8日間で2万キロ移動
 ウクライナ危機やギリシャ債務問題が山場を迎えた2月上旬。メルケル首相の「超人的な仕事ぶり」が独メディアで話題になった。メルケル氏は2月5日~12日の8日間に、ウクライナ情勢を巡りロシアのプーチン大統領らとの長時間の首脳会談を2回こなしつつ、故ワイツゼッカー大統領の追悼式や安全保障会議にも出席。北米にも外遊した。独メディアによると総移動距離は2万キロ。地球半周分だ。ウクライナ問題には特に執念をみせる。シンクタンク・欧州外交評議会のグスタフ・グレッセル客員研究員は「ソ連や旧東独で理不尽なものを目の当たりにしてきたからこそ、西側の政治家が首をかしげるようなプーチン氏の行動や決断も理解している」と分析する。
■決断力 脱原発、世論見て即決
 メルケル氏はよく「熟慮の政治家」といわれる。その資質は9歳の時のエピソードにも垣間見える。学校の水泳の授業で、高さ3メートルの飛び込み台の上で立ち往生。飛び込んだのは、授業終了の合図を聞いた時だった。後に「飛び込み台を信頼するのに、1時間かかった」と振り返った。進学したライプチヒ大学では物理学を専攻。卒業後、物理学者として東ベルリンの科学アカデミーに勤めた。その記憶力は健在のようだ。長年取材する独紙ビルトのラルフ・シューラー記者(48)は「用意された書類を短時間で細部まで覚えて忘れない」と舌を巻く。シューラー氏はこうも言う。「彼女はデータが何より好きで、それを頭の中で蒸留し揺るぎない決断を導く。逆に、理解できないうちは何も決めずに待つ」。ただ、2011年の東京電力福島第一原発事故後のエネルギー政策の転換は例外だった。「稼働延長」を決めていた原発の停止を即断。脱原発に傾いた世論をみるや、党内の反対を押し切り、22年までの原発全廃に踏み込んだ。「(被災地の映像を見て)今まで信じていたものに疑問を感じた」と後に語っている。その「素顔」はあまり知られていない。1989年のベルリンの壁崩壊後、政治の世界に飛び込んだメルケル氏は、旧東独最後の政権で副報道官などを務めた。その後、コール元首相に見いだされ、2005年に初の女性、東独出身の首相になった。私生活では大学時代に学生結婚し、数年後に破局。現在の夫と1998年に再婚後も、前夫のメルケル姓を使い続ける。好物は独家庭料理のルーラーデ(肉巻き)とポテトスープだ。「鍋をかき回している時は、自分が首相でも何でもない存在だと思える」。メルケル氏はかつて女性誌のイベントで珍しく本音を漏らし、会場を笑わせた。意外な特技が物まね。長年取材する独紙記者によると、とくにロシアのプーチン大統領が得意だという。
■寝だめ・10キロ減量に成功
 昨年7月に60歳になったメルケル氏。元気の秘密は、どこにあるのか。メルケル氏はかつて、女性誌に「ラクダがこぶに水をためるように、睡眠時間をためることが出来る」と語っている。週末や休暇中に「寝だめ」し、いざという時に消費するという。その分、普段の睡眠時間は4~6時間と少なめだ。一昨年末の休暇中にスキーで転倒し腰を負傷。医師の勧めでダイエットを始めた。そのかいあってか昨春、「10キロ減量に成功」と報じられた。ファッションでは、カラーコーディネーターのジルビア・レグニッタープレーン氏(53)によると、お気に入りの色はグリーン系。外遊中は落ち着いた印象の青系を着ることが多い。くだけた場面ではピンクやオレンジ、黄色にも挑戦する。

*2-2:http://www.nhk.or.jp/wisdom/150228/theme.html
(NHK 2015年2月28日、3月7日再放送) 広がる”不寛容”多文化は共生できるか 
 先月、フランスの風刺新聞社「シャルリ・エブド」がイスラム過激派に襲撃された。事件後、EU各国では、イスラム系移民の排斥を訴えるデモが拡大。深刻な異文化対立を引き起こしている。グローバル化が進む時代。先進国の多くが労働力として移民を受け入れるなど、モノだけでなく人も絶え間なく国境を越えて行き交う時代になった。さらに、インターネットを通じて、さまざまな情報が瞬く間に世界中を駆け巡る。世界の経済的、社会的な結びつきは強まっているが、一方で、国境紛争や民族対立は多発。グローバル化は異文化がどのように共生していくかという重い課題も突きつけている。襲撃事件はイスラム教でタブーとされる預言者ムハンマドを描いたことへの報復行為だとされている。事件後、パリでは「表現の自由」を守れと370万人が行進。シャリル・エブドが再びムハンマドの絵を掲載した最新号は完売した。しかし、その一方で、世論調査ではこの風刺画を「掲載すべきでなかった」という意見が40%以上に上っている。インターネットを通じて、誰もが情報を発信し拡散できるようになった現代。各国で異なる人種や宗教などに対する「ヘイト・スピーチ」が問題化する中、「表現の自由」のあり方が問われている。さらに、国家の価値観も揺れている。去年、イスラム教徒の女性が顔を覆う「ブルカ」の公共の場での着用を禁止するフランスの法律が差別に当たるとする、パキスタン系フランス人の訴えに対して、法律は合法だと判断した。ブルカを「男女平等に反する」とするフランス政府の主張を認めたことになる。しかし、国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは「表現の自由や信仰の自由を著しく侵害する」と判決を批判、大きな論争を呼んでいる。多文化多民族化が進む中、自国の価値観と異なる信仰や思想をどこまで認めるべきなのかが、問題になっている。多様な価値観を持つ国民をどのように統合していくのか。2011年の国勢調査ではロンドンに住む白人のイギリス人が過半数を割り、多文化多民族化が急速に進むイギリス。21世紀に入り、宗教や人種問題を背景にしたテロや暴動が多発している。そこでイギリス政府は、「イギリスの価値観」を共有することが社会の分断を防ぐとして、教育改革に乗り出した。イギリス市民としての生き方を教える「シチズンシップ(市民教育)」という教科を中学校で必修化する一方、移民が市民権や永住権を得る際に、イギリスの歴史や文化に対する理解度をはかる試験を実施。合格者には、イギリス王室や国法への忠誠を誓う儀式に参加することも義務付けた。多文化社会の中で、従来の国民国家の姿が変貌する中、国民が共有すべき価値とは何か、模索が続いている。グローバル化によって異なる宗教や民族が同居する時代を迎えた21世紀。異文化はお互いを認め合い、共生してゆくことはできるのか。世界のウィズダムが議論する。

*2-3:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11659566.html?_requesturl=articles%2FDA3S11659566.html&iref=comkiji_txt_end_s_kjid_DA3S11659566 (朝日新聞 2015年3月20日) 読解力・数学で男女に差 OECD、15歳の学習到達度を分析
 数学や科学は男子の方が好成績で、読解力は女子の方が高い――。経済協力開発機構(OECD)が15歳の学習到達度の男女格差を調べたところ、日本を含む多くの国でそんな傾向が出た。ただ、娘よりも息子に理系の就職を期待する親や学校の教育が影響している可能性もあり、性別に関係なく好成績を取れるような数学の指導を促している。OECDが、2012年に65カ国・地域の15歳を対象に行った国際学習到達度調査(PISA)や生徒への質問票などを分析した報告書をまとめた。読解力はPISAの全参加国・地域で女子が男子を上回り、日本でも女子が24点高かった。一方、OECD平均でみると、「数学的な知識の応用」は男子が女子より強く、「科学者のように考える」ことが求められる質問では女子の苦戦が目立つ。日本では12年PISAの数学的リテラシーは男子が女子を18点上回り、科学的リテラシーで11点、問題解決能力も19点男子が女子を上回った。こうしたなか、ドイツ、韓国など10カ国・地域では、娘と息子の数学の成績が同じでも、親は息子に対し、科学や工学、数学分野の就職を期待する傾向が強かった。OECDの担当者は、学校行事での役割分担や教師の進路指導が影響している可能性も指摘する。OECDは「学業成績の男女格差は生まれつきの能力差によるものではない」と指摘し、数学では生徒に解答手順を説明させるような指導が、女子の成績向上につながるとしている。

<女性の教育と仕事>
*3-1:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11659610.html?ref=pcviewpage (朝日新聞 2015年3月20日) 女性の活躍、世界変える ミシェル・昭恵両夫人、教育支援で協力を確認
 ミシェル・オバマ米大統領夫人と安倍昭恵・首相夫人が19日、世界における女子教育の支援で協力を確認した。首脳である夫に、率直に意見を述べる点などが共通していると言われる両夫人。春の大型連休に予定される日米首脳会談を前に、「ファーストレディー外交」を展開した。東京都心の外務省飯倉公館。初来日したミシェル夫人が講演で「世界各地に、聡明(そうめい)で能力があり成功を切望しながら学校に通えない女子がいる。それは世界にとって大きな損失だ」と語ると、昭恵夫人も「世界には、当たり前の権利を求めて、汗と涙を流している子供たちがいる」と語った。米国が女子教育支援のための援助資金として、2億5千万ドル(約303億円)を来年度予算に盛り込むことを明らかにすれば、日本も政府の途上国援助(ODA)で今後3年間で420億円超を支出することを発表した。両夫人は、ともに女性の社会進出や女子教育の問題に取り組み、発信を続けてきた。昭恵夫人は、ミャンマーでの「寺子屋」づくりを支援し、バングラデシュでの女子大学設立にも尽力した。この日の講演では「日本はいかなる時も貧困削減との戦いから逃げることなく、国際社会の先頭に立つ」と宣言。「日本には子どもに質の高い教育環境を提供する支援モデルがある」とし、これまでのノウハウを生かし、さらに支援を拡大する考えを示した。一方のミシェル夫人は今月3日、女子教育の拡充を目指す「レット・ガールズ・ラーン(女子に教育を)」構想を打ち上げた。米政府の開発支援組織「ピースコー(平和部隊)」が中心となり、女子の通学を促す活動を進める世界各地のボランティア団体と連携し、地域の指導者らにも女子教育の機会拡大を求めていくのが目的だ。講演でも自らの生い立ちに触れて、「私のような貧しい環境で育った女の子は、成功を収める生徒にはなれまいと決めつける先生にも出会った」と述べ、女子教育の重要性を訴えた。日米の女性の地位についても「女性は仕事のプロと献身的な母親の両方にはなれず、どちらか一方を選ぶしかないとの時代遅れの考えがある」とも指摘した。ミシェル夫人は、講演後の日本の女子学生との懇談会で「我々には世界を変えるチャンスがある」と呼びかけた。これまで国内対策として、子どもの肥満撲滅を目指す「レッツ・ムーブ!」構想などを主導してきたが、今回、世界規模の構想を打ち出したことについて、「オバマ大統領の残り任期2年で、大統領夫人としても、女子教育でレガシー(遺産)を作ろうとしている」(海野素央明治大教授)との見方もある。
■「マム・イン・チーフ」「家庭内野党」 2人に共通点
 両夫人は19日、昭恵夫人が都内で経営する居酒屋で昼食を共にした。その後、首相官邸で面会した安倍晋三首相が「私はまだ行ったことがない」と打ち明けると、ミシェル夫人は「とてもおいしかった。ぜひ行ってみて」とほほえんだ。日米ファーストレディーには共通点も多い。「ミシェルは思ったことを恐れずに語り、私が間違っている時も指摘する。それもしょっちゅうだ」。オバマ大統領が1月にインドを訪問した際の講演でミシェル夫人を前にこう語ると、会場がどっと沸いた。米軍の「最高司令官(コマンダー・イン・チーフ)」であるオバマ大統領の立場をなぞり、大統領夫人としての務めを「マム・イン・チーフ(母親最高司令官)」と自称。娘2人の教育環境を大切にしつつ、しつけも厳しい。ホワイトハウスに入る際、担当者に「娘たちは身の回りのことは自分たちでできます」と話したエピソードが有名だ。国民の人気も高く、昨年末の世論調査でオバマ大統領への支持率(約4割)をはるかにしのぐ6割強だ。高級ブランドだけでなく、J・クルーなど手頃な価格のワンピースなどを着こなし、ファッション誌で取り上げられることも多い。一方、ときに「家庭内野党」とも評される昭恵夫人。原発の再稼働には慎重で、東日本大震災の被災地では防潮堤の是非を考えるシンポジウムを開いた。米や野菜の有機栽培に挑戦する姿は、ホワイトハウスで家庭菜園に取り組むミシェル夫人とも相通ずる。安倍首相は19日、首相官邸で会った米国の大学生らに、自民党総裁への返り咲きを目指した2012年の総裁選をめぐる昭恵夫人のエピソードを紹介した。「勝てなければ政治キャリアは終わるとの考えも頭をよぎったが、最後は妻が『国のことだけを考えて判断すべきだ』と。この時は、妻の判断に従ってよかった」

*3-2:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/168681
(佐賀新聞 2015年3月21日) 補助金充実など山口知事に要望 県私立学校協会
 佐賀県私立学校協会(江口敏文会長)は20日、佐賀市のマリトピアで山口祥義知事に私立学校関係予算に関する要望書を提出した。補助金充実による保護者負担軽減や公私間格差の是正などを求めている。運営補助金の増加や就学支援金の充実など幼稚園、中学高校、大学、専修学校などそれぞれの要求を列挙した要望書を、江口会長が山口知事に手渡した。私立高関係者は県立高校の2次募集に疑問を投げ掛けた。1次で定員割れの学校が不合格者を出しながら2次募集をかけていることを挙げ、「2次募集合格によって私立高を辞退する人が少なくない。学級編制業務も年度末ぎりぎりにせざるを得ない状況がある。2次募集を廃止してほしい」と訴えた。山口知事は「高い志を持った取り組みには県としてもバックアップしたい。2次募集についてはよく調べてみたい」と話した。

*3-3:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10105/162900
(佐賀新聞 2015年3月5日) ペルシャ絨毯、多彩な作品700点展示 佐賀玉屋
■ペルシャ絨毯、繊細で緻密
 イランの伝統工芸品ペルシャ絨毯(じゅうたん)の商品企画展が、佐賀市の佐賀玉屋で開かれている。幾何学文様や絵画などの図柄を繊細で緻密に織り込んだペルシャ絨毯約700点を展示している。8日まで。佐賀での開催は5年連続。会場には、5人で約4年をかけて織り込んだ縦3メートル50センチ、横5メートルの絨毯や、犬などの写真を基に織り込んだ作品などを展示。特に日本人に人気のあるシルクで織り込んだクム産は触り心地がよく、買い物客が立ち寄って触れていた。絨毯の仲買会社・オービーエム(東京都)を経営するバシーリ・メーディさん(76)は「ペルシャ絨毯は、シルクやウール、綿など産地によって織り込む素材が異なり、図柄や触り心地などが全く違ってくる。フローリングの家屋に合った柄もあり、多彩なデザインがあるのを知ってほしい」と話している。会期中、ペルシャ紅茶と干しイチジクのお菓子も振る舞われる。

*3-4:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20150105&ng=DGKKZO81525890T00C15A1KE8000 (日経新聞 2015.1.5) 2015再生の起点に(1)、人を生かし生産性高めよ 青木昌彦 スタンフォード大学名誉教授
 今年、戦後70年を迎える。直近25年の経済は、はかばかしくなかったという思いが、それ以前の「成功」体験を経た人たちに少なくない。だが「失われた何十年」という感傷は、それを追体験し得ない新世代には無縁だろう。日本が直面する歴史的な課題は何か。「3本の矢」による「経済再生」か。戦後政治レジームを清算し、地政学的に存在感を示すことか。それとも新世代の積極的な参加による制度の創発的な構築か。歴史的転換点とでもいうべき今を見据えるには、短期の経済変数の動きに一喜一憂するだけでは十分でない。米ブラウン大学のオデット・ガロア教授らによる「統一的成長理論」のアプローチが示唆するように、経済変数と様々な人口関連変数、それに制度変数を統合して、今を新たな経済成長のフェーズへの移行期として理解すべきである。第3回ノーベル経済学賞を受賞したサイモン・クズネッツは、19世紀から20世紀にわたる欧州経済史のデータ分析を通じ、農業から製造業・サービス産業への雇用の移転が「経済成長の数量的側面」を表現するとした。それを成長のクズネッツ効果と呼ぼう。遅れて、この70年間、東アジアでは、まず日本(1950~60年代)、ついで韓国(70~80年代)、そして中国(80年代~現在)に、人口1人当たりの国内総生産(GDP)の顕著な高度成長期が相次いで起きた。それぞれの期間、農業と工業の間には日本と中国では5倍、韓国で3倍強の1人当たり労働生産性の格差があった。だから前者から後者に急速な雇用流動が短期に起きたことで、高度成長が実現したのは不思議ではない。クズネッツ・プロセスと連動して起きた高度成長の第二の要因は、日本では終戦、韓国では朝鮮戦争の休戦、中国では多数の餓死者を出した毛沢東の「大躍進」運動という社会的混乱が終焉(しゅうえん)した直後に誕生したベービーブーマーたちが、生産活動に参加したことである。それによる1人当たりGDPの成長を「人口配当」という。だが、この2つの要因は不可逆的な過程である。日本でも、韓国でも農業雇用人口のシェアが20%を切ると、クズネッツ効果がほぼ消滅し、高度成長のフェーズが終わるという経験則がある。中国沿岸省でも今やこの20%という閾値(いきち)に到達した。クズネッツ・プロセスが終焉すると、1人当たりGDPの成長は第2次、第3次産業での1人当たり労働生産性の向上に依存する。さらにそれは2つの要因に分解される。第一に、1人当たり労働者に対する資本設備(経済学が資本装備率と呼ぶもの)の増加であり、第二に、人的資本の蓄積や経済組織の制度的な革新(経済学でTFP=全要素生産性=と呼ぶもの)である。中国の公式統計は都市で働く農村戸籍保有者を正確に捕捉しておらず、図示した近年の生産性向上の貢献分は隠れたクズネッツ効果を多分に含む。他方、2000年代のTFP貢献度は低いとされる。物的資本の量的拡大だけで、第二の人的・組織的要因によって補完されることがなければ、その生産性の貢献は次第に低下する(資本の収穫逓減の法則)。日本の70~80年代の穏やかではあるが、確かな労働生産性の向上は、第二の革新的要因に多く依存していたとはいえるだろう。だが、このフェーズの積極面にやがて2つのアンチテーゼが生じる。第一に、人的資本投資が子供の教育費、養育に費やす親の努力や時間などの点で高くつくものとなる。そういう経済計算に基づき、この内生的な経済成長のフェーズでは女性1人当たりの出生率が低下する。これを成長の統一的アプローチでは「人口的転移」という。人口的転移は、やがて団塊世代の退職とも相まって、勤労人口の相対的シェアの減少(マイナスの人口ボーナス)、人口の高齢化という「ポスト人口的転移」のフェーズへの移転を不可避とする。第二に、これら普遍的な法則性に日本特有の要因が加わった。70~80年代の制度革新には、生涯雇用や企業集団という枠組みのなかで人々の長期の信頼関係に育まれた暗黙知の共有が、比較優位の一つの要素としてあった。しかし80年代から世界を席巻した情報革命は、膨大なデータを効率的に解析するビッグデータのアルゴリズムという、暗黙知とは対極の技術を生んだ。以上の歴史的な展望から、1人当たりGDPの成長を持続させていくには何が必要か、いくつかの論点が明らかになる。第一に、労働参加率の引き上げである。生産性の高い分野への女性の一層の参加、年長者の引退の繰り延ばしなどの可能性については、既に広く認知されている。さらに、論議を呼ぶとはいえ、生産性向上に潜在的に寄与しうる外国人に、勤労人口の予備軍として国の門戸を広くあけることである。少子化で縮小しつつある大学が主にアジアから学生を積極的にリクルートし、日本の言語、慣習、文化にも通じた人的資本を養成することも一案だ。ヘイトスピーチ(憎悪表現)を声高に叫ぶ、外国人恐怖症の現象も一部にみられるが、かの吉田松陰も「夷人」を日本に取り込むことによる知の獲得と人口の増大という「一挙両得」(「幽囚録」)について積極的に語っていた。日本文化はそういうプロセスを経て歴史的に発展してきたことに、もう一度思いを馳(は)せよう。より重要なのは、1人当たり労働者の生産性の増大である。といっても雇用削減や低賃金労働の時限的活用によって、経営上の見かけの生産性を上げることではない。それではマクロ的に労働参加率低下という負荷がかかるだけである。そして、硬直化した年功序列にあぐらをかくような経営は、ポスト人口的転移の時代に競争力を失うだろう。人的資本の投資に基づく組織と技術の革新、情報技術と伝統的なきめの細かい協働を世代を超え相補的に結合するチーム力が鍵である。また多様な人的資本の形成に貢献しうる教育制度改革も必要だ。都市集中という現象にもポスト人口的転移の動きが投影している。だとすれば、観光産業、有機農業、情報・交通のインフラが可能とする地域分散型ビジネスを発展させるため、都市から還流する新世代の斬新な市場開拓力・実行力と、地場の年長者が持つ伝統的なノウハウとが結合するとき、経済成長の新しいフェーズに対応した地方の再創成が可能となるだろう。最後に、ポスト人口的転移のフロンティアを走る日本にとって、待ったなしの政策的要請は、世代間で合意が成り立ちうる、持続可能な社会保障政策のデザインである。評判のトマ・ピケティ・パリ経済学校教授の「21世紀の資本」では、資本収益率のrが経済成長率のgを上回ると、金融資本の所有者と他の人々の間で富の分配の格差が拡大すると論じた。しかし、効率的に運営される年金基金や社会保障基金を通じて勤労所得者も金融収益の分配に参加できれば、非倫理的で野放図な格差の増大は抑制が可能だ。一方で、十分に自活しうる高齢者への公的年金支給の廃止なども考慮に値しよう。ポスト人口的転移のフェーズの制度デザインを巡って、新旧世代を網羅した論議の活性化が望まれる。
<ポイント>
○持続的成長へ統一的成長理論の示唆有効
○人的投資かさみ出生率低下を経て高齢化
○女性・若者・外国人を活用し競争力向上を
*あおき・まさひこ 38年生まれ。スタンフォード大シニアフェロー。NIRA上席客員研究員


PS(2015.3.25追加):*4のように、最近、何でも精神障害や発達障害というレッテル貼りをするメディアが多いが、この発想では、マララさん、ミシェル大統領夫人、サッチャー元英首相はアスペルガー症候群などの発達障害にされてしまうだろうし、カントは統合失調症、カフカは躁鬱病、ファーブルは自閉症、ピカソは視覚障害ということにされてしまうだろう(例)。つまり、「自分が正常であり、自分が理解できない人は相手が異常だ」という価値観が、傲慢この上なく、間違っているのだ。
 また、「多様性」「個性」という言葉も、近年、障害者や性的マイノリティーを包含することに対して使う人が多いが、DNA・ミトコンドリア由来の遺伝情報や周囲の環境が異なれば誰でも異なるのが当然であるため、「個性」はすべての人が持っており、遺伝情報が完全に一致する一卵性双生児でさえ同じではなく、それを「多様性」と呼ぶのである。そして、この多様性により、種としての環境への対応力が強くなり、環境変化に対応しやすくなっているのだ。
 つまり、メディアは、国語、生物、医学の知識や倫理観を持って報道しなければ、間違った言葉の定義や浅はかな価値観を国民に定着させ、いたずらに差別を助長して、障害者に対する社会の精神的バリアを強めることになるため、注意すべきなのである。

*4:http://www.saga-s.co.jp/news/national/10201/169772
(佐賀新聞 2015年3月24日) 発達障害、自治体支援にばらつき、手帳交付の統一基準なく
 自閉症やアスペルガー症候群などの発達障害がある人を支援する障害者手帳の交付基準は、都道府県や政令指定都市によってばらつきがあることが24日分かった。共同通信の全国調査で、約4割の自治体が知能指数(IQ)の目安を超えても、知的障害者向けの「療育手帳」を交付するとした。残りの6割は精神障害者向けの手帳に限っている。療育手帳ではJRの割引などを受けられる。法律に基づく制度ではないため、国の統一基準はなく、交付の目安や、発達障害の人を対象にするかどうかは自治体の判断に任せているのが実情だ。


PS(2015.3.26追加あり):日本の男女雇用機会均等法は、下のように、1986年に採用、昇進、研修、定年・解雇における男女差別を努力義務ではあるが、禁止した。しかし、その時に、「一般職」という職種を作って、そこに女性を採用することで、その男女雇用機会均等法がザル法化されたのである。そこで、私が提案して改正した1999年改正法では、採用、昇進、研修、定年・解雇における男女差別を、努力義務から禁止規定にした。*5-2のような非正規労働者や派遣労働者は、その1999年改正法をザル法化するために、多くの企業で導入されたのである。そのような中、*5-1のように、今まで「一般職」に女性を採用して、昇進、教育訓練、研修、定年・解雇などで差別していたのなら、それは、1999年以降は違法行為である。そのため、労働基準監督署が、このような状況を注意もせずに放置していたのであれば、その男女差別に対する意識の低さを問題とすべきだ。
 なお、本当は間接差別やジェンダーも大きな問題なのだが、2007年及び2014年改正法では、カバーする範囲が狭い上、「合理的な理由なく」などという文言が入っているためザル法になっている。何故なら、企業は、“合理的な理由”の弁解など、いくらでも創作できるからである。
 ①1986年施行:
  - 採用、昇進、研修、定年・解雇における男女差別の撤廃を努力義務に。
 ②1999年改正法施行:
  - 採用、昇進、研修、定年・解雇における男女差別の撤廃を禁止規定に。
 ③2007年改正法施行:
  - 間接差別の禁止。これにより「合理的な理由なく総合職の募集において転勤を要件とすること、
   転勤経験を昇進の要件とすること」が禁止された。
 ④2014年改正法施行:
  - 間接差別の禁止の範囲拡大。「すべての労働者の採用、昇進、配転などにおいて合理的な理由
   なく転勤を要件とすること」が禁止された。

*5-1:http://qbiz.jp/article/58761/1/
(佐賀新聞 2015年3月26日) 佐賀銀が人事制度改定 総合職と一般職の昇格要件を統一
 佐賀銀行は25日、一般職と総合職の昇格要件の統一や管理職登用の見直しなど成果重視を柱とした新たな人事制度を4月から導入すると発表した。賃金体系も見直し、20年ぶりに初任給を引き上げる。人事制度の全面改定は2001年以来で、女性やシニア人材の活躍を支援する狙いがある。新制度は女性行員に多い一般職を「地域総合職」に移行し、支店長や部長にも就けるようにした。また、育児や介護で退職した行員の復職制度も新設する。管理職については、管理職定年の55歳以降も登用を可能にする。賃金体系は職務手当と職能給の一部を見直して「職責給」を導入し、一定の役職以上は一律だった手当に差を付ける。一方、16年度から新卒採用者の初任給を大幅アップ。総合職は3万4千円増の20万5千円となる。陣内芳博頭取は「優秀な学生の確保は厳しさを増している」と述べた。

*5-2:http://qbiz.jp/article/56474/1/
(西日本新聞 2015年2月25日) 「ブラック自治体」が分かる50項目とは
 職務に見合わない低賃金で働いている非正規公務員の問題を広く考えてもらおうと、NPO法人「官製ワーキングプア研究会」(東京、白石孝理事長)が、各自治体の非正規公務員の労働実態を50項目でチェックする「『ブラック自治体』指標」を発表した。「○」「×」形式で30以上○がないと「ブラック自治体」と見なすべきだという。作成に当たった、地方自治総合研究所(東京)の上林陽治研究員は「各自治体で活用し、非正規公務員の労働環境の改善につなげてほしい」と呼び掛けている。若者を大量に採用した後、過重労働で使い捨てにするいわゆる「ブラック企業」が社会問題となり、非正規公務員の労働環境が不十分な自治体も、改善が求められるようになった。だが、労働契約法の改正で5年を超えた非正規労働者は期間の定めのない働き方に移行できるようになったが、公務員は適用除外で立場が弱いままだ。非正規公務員の待遇改善が進まなければ、行政のサービス低下を招きかねない。指標は労働法制や地方公務員法などのルールに基づいて作成している。職員の「募集」「採用」「勤務条件」「休暇」「社会・労働保険」「雇い止め・再度任用」など八つに区分し、「本人の意に反する雇い止めが行われていない」「通勤費が支給されている」「有給休暇を取得できる」といった項目が並ぶ。研究会は「指標は民間企業でも参考になる。労働組合や人事関連の部署で使ってもらえればいい」と話している。
◆非正規公務員の実態深刻
 非正規公務員の生活実態は依然として深刻だ。「現場の教員と同じ時間を働きながら、給与は教員の半分から3分の1の水準です」。福岡県内で学校図書館の司書として働くある非正規公務員はこう嘆く。本の管理、読み聞かせ、辞書の引き方指導…。さまざまな幅広い仕事を一手に担い、経験がものをいう仕事にもかかわらず、契約は1年更新だ。「雇用がいつまで続くのか、いつも不安だ」と打ち明ける。自治労の推計によると、非正規公務員は全国の自治体で約70万人に上り、公務員に占める比率は約33%に達するという。長崎県のある自治体は「非正規比率が7割を超えた」と明かす。自治体の財政難に伴う人件費削減と、増加する行政需要の矛盾を解消する存在として、教員、保育士、各種の相談員、給食調理員など幅広い分野で増えている。平均年収は約200万円。交通費が支給されていなかったり、休暇制度が不十分だったりする自治体も少なくない。福岡県内では、4分の3に上る自治体で任用の更新回数に制限が設けられている。非正規公務員の増加は行政の将来を危うくしている。「人がころころ入れ替わり、経験が必要な技術が伝承できていない」。九州のある自治体で埋蔵文化財の管理に携わる非正規の女性は、発掘後の土器などの復元、図面作りといった裏方を非正規公務員が支えているといい、「実態を住民に知ってほしい」と訴えている。

| 男女平等::2014.7~2015.5 | 08:56 PM | comments (x) | trackback (x) |
2014.1.21女性の足を引っ張っているメディアの世論形成 ← 女性の登用と活躍の基盤となる社会意識を醸成するという視点から (2015年1月22日、28日、5月22日に追加あり)
       
 女性役員割合 女性管理職割合   就業者・管理職に占める女性割合  

(1)日本における女性管理職の割合
 *1-1のように、日本では、企業の管理職に占める女性割合は、平均6.2%で、男性だけの企業も半数を超え、今後増加すると見込む企業も20.9%にすぎない。

 経団連の榊原会長は、*1-2のように、会員企業約1300社の全てに行動計画策定を要請し、2014年12月に公開することとし、安倍政権は「2020年に指導的地位に占める女性の割合30%を達成する」と女性の活躍を新しい成長戦略の柱の一つと位置付け、成長戦略に明記して、国・地方自治体・企業に、女性幹部登用目標や行動計画策定を義務付ける新法案を国会に提出する方針を示したそうだ。

 しかし、経団連の「女性の活躍推進委員会」の前田共同委員長は、「企業や業種によって男女の採用人数などが異なり一律の対応は難しい」と説明し、これまで男性中心の職場として名高かったトヨタ、日立、全日空などは数値目標を掲げるに留めたそうだが、これらの男性中心企業こそ、女性の視点を積極的に取り入れた方が、女性が多くなる今後の市場ニーズに的確に合わせられると、私は考える。

 また、私は、人間は生き方も目標も異なるため、すべての男女が育児や在宅勤務に携わる必要があるとは思わないし、そのような仕事の仕方では全うできない職種も多い。そのため、それぞれの人が個性に合わせた選択を行った場合に、その選択でやりくりできることが必要で、それには、例えば、家事の外部化、職住接近、子育て・教育における負担の軽減、介護の外部化などが必要なのである。

(2)女性は仕事の能力やリーダーシップがないため管理職にしないという偏見は、どうやって造られるか
 企業の管理職に占める女性割合が低い理由は、まさに*1-1にあるように、①企業が、「女性の登用が進まない理由は、女性の仕事と家庭の両立の難しさだ」として、原因を女性に押し付け、自らが内蔵する真の女性差別を明らかにして解決しようとしていないこと ②問題を、働きながら出産・子育てする環境整備にのみ集約させ、実際には男性と同じ以上の働きをしている女性にも同じ処遇すらしていないこと ③何十年も前から出産・子育ての環境整備を語っているのに、まだ保育や学童保育が十分でなく、要するに口だけで真剣に取り組んでこなかったこと などが挙げられる。

 そして、*1-1では、帝国データが、その理由を「古い企業文化が残っている影響だ」と指摘しているが、女性は仕事の能力やリーダーシップがないため管理職にしないという偏見が造られる古い企業文化の素になっているのは、実は、メディアが「表現の自由」「日本文化」と称して、女性蔑視や偏見満載の報道・ドラマ・歌を、日々、国民に垂れ流して醸成しているからである。

(3)女性管理職をやりにくくする事例と日本メディアの意識
 日本のメディアが「表現の自由」として、女性蔑視や偏見を満載した報道を垂れ流しているわかりやすい事例は、このブログの2014年11月28日に記載した産経新聞が、すでに大統領になっている朴槿恵大統領に対し、「客船セウォル号が沈没した2014年4月16日に男性と私的な密会をしていて連絡が取れなかった」と書いた事実ではない噂レベルの記事である。上のグラフのとおり、日本と同様に女性管理職の割合が非常に低い韓国メディアも同様の報道をしていたそうだが、これは、男性大統領に対しては行わない、女性大統領の仕事への姿勢に対する侮辱的な報道だ。

 また、私が異常だと思ったのは、*2-1、*2-2、*2-3、*2-4の展開であり、日韓の報道が、まるで同族会社の女性副社長である趙顕娥(チョヒョンア)氏叩きのようだったことである。

 まず、*2-1では、2014年12月9日に、大韓航空を傘下におく財閥・韓進グループの会長の長女で大韓航空副社長の趙氏がニューヨークの空港で、搭乗していた自社航空機乗務員のサービスを問題視して、動き始めていた航空機を搭乗口に戻し、乗務員を降ろしたことが判明し、その理由は、①乗務員が客にナッツを配った際、袋のまま出されたことを「マニュアル通りになっていない」と咎め ②責任者にマニュアルの確認を求めたがすぐ対応できなかったことに激怒し ③搭乗口を離れていた航空機を引き返させて責任者を降ろし、④同機の仁川到着が11分遅れた と報道されている。

 そして、*2-2で、2014年12月10日に、趙氏が、そのことで厳しい非難を浴びて辞表を提出したとされているが、本当はKeyであるはずの「サービス係の乗務員は、副社長の注意に対し、その時どういう態度をとったのか」については不問に付されている。そして、*2-3で、韓国の国土交通省や市民団体が、趙氏が乗務員らに暴言を吐いたとして告発し、趙氏は、ソウル西部地検に出頭させられたそうだが、社内規定を守らなかった部下を叱責した上司が暴言を吐いたとして告発され、検察に出頭させられるというのは、男性が上司の場合には聞いたことがない。  

 もちろん、私自身は、ナッツはすぐに食べる人ばかりではないため、袋から出さずに配る方がよいと思うが、マニュアルの規定や役員の選抜方法が適切か否かは、会社内部で決める問題であり、検察が関与する問題ではない上、何か理由があってマニュアルどおりにしなかったのであれば、サービス係は注意された時に、その場で理由を説明すればよかった筈だ。

 さらに、*2-4では、ナッツの出し方に激怒して自社機を引き返させた大韓航空の趙前副社長を、12月24日に、検察当局が、機内サービスの責任者だった事務長を暴力や自分の権威を利用して旅客機から降ろし機内を混乱させた容疑と航空保安法違反や強要などの疑いで、逮捕状を請求すると発表したそうだが、パイロットではなく機内サービスの責任者を降ろしたのだから、逮捕しなければならないほど安全に支障をきたしたとは思われないし、いくらなんでもナッツの出し方だけでサービス係を降ろしたとも考えられないため、私は、女性上司に対するサービス係の態度も悪かったのではないかと考えている。

 つまり、女性が上司である場合、殆どが男性のメディアや検察まで含めたこのような社会的差別に抗して勝っていかなければならないのが、日本や韓国で女性役員、女性管理職が少ない理由なのである。

(4)では、どのような女性がよいとされているのか 
       → 女性は、受け付けか店員しか前提とされていないようである
 *3で日経新聞は、2015.1.5に、「正しい笑顔 できる人には福来る、姿勢・目線で好印象 仕事では状況で使い分け」として、女性の顔のイラストをつけて記事を書いている。

 しかし、仕事や職種にもよるが、嬉しくもないのに、また小馬鹿にされているのに、顔に張り付いたような笑顔をしている人は、気持ちが悪い上に哀れである。なお、顔に張り付いたような笑顔とは、(1)目尻を下げ (2)目を細め (3)口元にしわができ (4)口角が上がり (5)口が開く という作り笑いのことである。そして、笑顔に測定器があるなど、馬鹿馬鹿しいにも程があるのだ。

 さらに、「単純に背筋を伸ばして笑顔をつくると真っすぐで対等な目線になるため、相手が目上だったり、取引先に依頼する場面だったりすると不躾な印象を与える」とか、「背もたれに背をつけて座るとあごが上を向き目線は下向きになり、相手を見下すような印象になる」というのは、明らかに上司で意思決定していくリーダーの立場の女性向けではなく、受け付けか、店員などの女性向けのアドバイスであり、女性全体に同じことを言えば、失礼に当たるケースも多くなることを忘れてはならない。

 そのため、日経新聞は、職場における女性の価値は、実力やリーダーシップではなく、感じのよさや場を和ませる力だという考えを持っていると思うが、これが、女性に対してメディアが発している偏見である。

<日本における女性管理職の割合>
*1-1:http://qbiz.jp/article/43947/1/
(西日本新聞 2014年8月14日) 女性管理職は平均6・2% 1万社回答、半数超はゼロも
 企業の管理職に占める女性の割合の平均は6.2%で、男性だけの企業も半数を超えることが14日、帝国データバンクの調査で分かった。今後増加すると見込む企業も20.9%にすぎなかった。安倍政権は成長戦略で「2020年に指導的地位に占める女性の割合を30%にする」との目標を掲げているが、実現には程遠い状況だ。調査は7月下旬に実施し、全国の1万1017社が回答した。企業からは登用が進まない理由として、仕事と家庭の両立の難しさを挙げる声があり、帝国データは「働きながら出産、子育てができる環境の整備が重要だ」と指摘している。調査によると、現状で女性管理職がいない企業が51.5%を占めた。管理職に占める女性の割合が30%以上の企業は5.3%にとどまっている。女性管理職の割合が過去5年間で「増加した」とする企業は17.4%で、「変わらない」が72.8%だった。今後についても「変わらない」が61.0%と多数で「増加する」は20.9%だった。業種別では、小売りや不動産、金融、サービスで管理職に占める女性の割合が高く、製造や建設、運輸・倉庫で低かった。規模別では大企業が最も低く、帝国データは「古い企業文化が残っている影響だ」と指摘している。

*1-2:http://qbiz.jp/article/41909/1/
(西日本新聞 2014年7月15日) 女性管理職登用を1300社に要請 経団連、計画策定47社公表
 経団連は14日、女性の役員や管理職への登用に関する自主行動計画を47社が公表し、うち約6割に当たる27社が具体的な数値目標を設けたと発表した。安倍政権は女性の活躍を新しい成長戦略の柱の一つと位置付けており、榊原定征会長は会員企業約1300社全てに行動計画の策定を要請し、12月に公開する。政府は成長戦略で、国や地方自治体、企業に対し、女性幹部登用の目標や行動計画の策定を義務付ける新法案を国会に提出する方針を示している。政府は「2020年に指導的地位に占める女性の割合30%を達成する」と成長戦略に明記。ただ経団連の「女性の活躍推進委員会」の前田新造共同委員長(資生堂相談役)は「企業や業種によって男女の採用人数などが異なり一律の対応は難しい」と説明した。数値目標を公表した27社も、それぞれ経営戦略に基づき独自に設定している。経団連によると、27社のうち20年までに女性管理職3割以上の達成を明確に掲げたのは、資生堂、セブン&アイ・ホールディングス、損保ジャパンの3社だった。トヨタ自動車は現在101人いる女性管理職を20年に3倍、30年に5倍とする。日立製作所は20年度までに女性管理職を2・5倍の千人に増やすとし、全日本空輸は「女性役員2人以上」という数値目標を掲げた。
◆女性登用、活用の取り組みは多様
 男性が育児に携わる場合の支援強化を示すなど、経団連の加盟企業の女性の登用、活用に向けた取り組みはさまざまだ。ただ、現在は体力のある大企業が中心で、今後どれだけ広がるかが注目される。住友化学は2020年までに女性管理職の割合を、課長相当以上の役職では少なくとも現在の3・7%から10%以上に、係長相当は11・6%から15%以上に高める目標を掲げた。実現のために在宅勤務制度の導入や男性の育児参加を促す方針だ。日本生命保険も、女性管理職を18年4月に520人とする目標を定めた。14年4月と比べて約2割増やす計画だ。女性が活躍できる風土づくりの一環として男性の育児休業取得にも力を入れ、13年度には対象者全員が取得したという。日本生命は「しっかり継続していく」(広報)としている。トヨタ自動車は数値目標に加え、理系を目指す女子学生の支援のために奨学金支給や女性エンジニアの出前授業を行う「リケジョ基金・財団」の設立を検討。日本郵船は女性が海外勤務先でも仕事と育児を両立できるよう、今年5月にシンガポールで保育園の優先入園枠を確保した。

<女性管理職をやりにくくした事例>
*2-1:http://www.asahi.com/articles/ASGD956JSGD9UHBI00Z.html?iref=reca
(朝日新聞 2014年12月9日) 大韓航空副社長が自社サービスに激怒、航空機遅らせる
 大韓航空の趙顕娥(チョヒョンア)副社長(40)がニューヨークの空港で、搭乗していた自社の航空機の乗務員のサービスを問題視し、動き始めていた航空機を搭乗口に戻して乗務員を降ろしていたことが判明した。趙氏は大韓航空を傘下におく財閥・韓進グループの会長の長女で、韓国内では「財閥令嬢による行き過ぎた行為」と非難が殺到。趙氏は9日、担当業務から退いた。韓国メディアによると、趙氏は5日、仁川行きの大韓航空機のファーストクラスに搭乗。乗務員が客にナッツを配った際、袋のまま出されたことを「マニュアル通りになっていない」ととがめた。本来はナッツを袋から皿にあけて出すことになっているという。趙氏は機内サービス責任者を呼び、マニュアルの確認を求めたがすぐに対応できなかったことに激怒。すでに搭乗口を離れていた航空機を引き返させ、責任者を降ろした。乗客への説明はなく、同機の仁川到着が11分、遅れた。大韓航空側は「非常な状況でなかったにもかかわらず、航空機が引き返して乗務員を降ろしたことは行き過ぎた行動だった」とし、乗客に迷惑をかけたことをわびた。ただ一方で「安全に問題はなく、趙副社長は機内サービスと機内食の責任を担う役員として、指摘したのは当然のこと」と擁護した。

*2-2:http://www.asahi.com/articles/ASGDB3SM6GDBUHBI00R.html
(朝日新聞 2014年12月11日) 大韓航空副社長が辞表提出 CAのナッツの出し方に激怒
 大韓航空の趙顕娥(チョヒョンア)副社長(40)が10日、辞表を提出した。趙氏は自社の乗務員の対応に怒り、動き始めていた航空機を搭乗口に戻して機内サービス責任者を降ろしたことで厳しい非難を浴び、9日に担当業務から退いた。だが、副社長にとどまったことでさらなる批判を受けていた。一方、韓国の市民団体は10日、趙氏の行為が航空法などに違反する疑いがあるとして、ソウル西部地検に告発した。趙氏はニューヨークの空港で5日、大韓航空のファーストクラスに搭乗。乗務員がナッツを袋のまま出したことを問題視し、機内サービス責任者にマニュアルの確認を求めたが、すぐに対応できなかったことに激怒したとされる。メディアやネットで「やり過ぎだ」との批判が広がり、大韓航空のパイロット労組も9日、経営陣全体の責任を問う声明を発表。趙氏は同日、担当の機内サービスやホテル事業の総括役から退いたが、副社長の肩書を維持したために批判が収まらずにいた。

*2-3:http://www.asahi.com/articles/ASGDK51QKGDKUHBI01F.html?iref=reca
(朝日新聞 2014年12月17日) 大韓航空前副社長、「ナッツ・リターン」で検察に出頭
 大韓航空の趙顕娥(チョヒョナ)・前副社長がナッツの出し方に激怒して、搭乗機を引き返させた問題で、趙氏は17日、ソウル西部地検に出頭した。趙氏は報道陣の質問に対し、「申し訳ありません」と繰り返し、深々と頭を下げた。趙氏をめぐっては乗務員らに暴言を吐いたとして、国土交通省や市民団体が告発していた。地検側は機内で腹を立てた理由や機内サービス責任者に暴行を加えたかなどについて事情を聴くとみられる。

*2-4:http://www.asahi.com/articles/ASGDR61B4GDRUHBI028.html
(朝日新聞 2014年12月23日) 大韓航空前副社長の逮捕状請求へ ナッツ・リターン騒動
 ナッツの出し方に激怒して乗っていた自社機を引き返させた大韓航空の趙顕娥(チョヒョナ)・前副社長について検察当局は23日、航空保安法違反や強要などの疑いで24日に逮捕状を請求すると発表した。趙氏は機内サービス責任者への暴行は否定していたが、逮捕状の請求には暴行容疑も加わる見通しだ。検察当局によると、趙氏は機内サービスの責任者だった事務長を暴力や自分の権威を利用して旅客機から降ろし、機内を混乱させたという。乗っていた旅客機についても、管制塔の許可を受けて空港内を移動中だったにもかかわらず、無理に引き返させて空港内の安全を脅かしたとしている。問題が発覚した後、大韓航空では、うその証言を強要するなど真相を隠そうとする行為が確認されたという。これにかかわったとされる同社の常務についても、証拠隠滅や強要などの疑いで逮捕状を請求するとした。

<日本メディアの女性蔑視>
*3: http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20150105&ng=DGKKZO81528210T00C15A1EL1P00 (日経新聞 2015.1.5) 正しい笑顔 できる人には福来る、姿勢・目線で好印象 仕事では状況で使い分け
 仕事が多忙だったり、ストレスを抱えていたりすると、表情がつい厳しくなりがち。笑顔は自分の気持ちがリラックスし、その場の雰囲気も和らげやすいが、仕事では笑顔を控えた方がいい場合もある。ビジネスシーンに適した笑顔について専門家に聞いた。「笑顔が苦手という人は多いですね」。こう話すのは飲食店やホテル、百貨店など企業の研修向けに笑顔測定器「スマイルスキャン」を販売するオムロンフィールドエンジニアリング(東京・目黒)の世良弘さん。特に男性は女性に比べ鏡で自分の表情をじっくりみることが少ないため、笑顔をみせたつもりでも相手に十分に伝わらない傾向があるという。
●鏡で5項目点検
 ではどんな笑顔なら良い印象を与えやすいのだろうか。世良さんによると、笑ったときに(1)目尻が下がる(2)目が細くなる(3)口元にしわができる(4)口角が上がる(5)口が開く、の5つがポイントになるという。測定器は小型カメラが独自のセンサー技術で目や口の形を分析し、笑顔の度合いを0~100%で表示する。ただ仕事の場面では、やみくもに大きく笑えばいいというわけではない。「(口を大きく開けて歯を見せるなど)100%のビッグスマイルは初対面の相手が引いてしまいがち。30%、50%、70%などシーン別に笑顔を使い分けられるように研修で指導する企業も多い」(世良さん)。人材研修などを手掛ける新規開拓(東京・千代田)社長の朝倉千恵子さんも「プライベートの笑顔とは違い、仕事では会社代表として顧客に接する笑顔を身につけることが重要」と話す。取引先などを訪問する前は鏡で5つのポイントを点検し、仕事のシーンにあった笑顔の感覚をつかむことから始めよう。笑顔の効果を高めるコツも知っておこう。朝倉さんは「姿勢や目線によって笑顔の印象が変わる」と助言する。お勧めは背筋を真っすぐ伸ばしたうえで、上体を少し前傾にした姿勢。目線が少し下から相手を見上げる「敬い目線」になるからだ。サービス業などで相手に敬意を示すため膝をついて接客するときの目線に近くなる。「敬い目線は目元がやわらかくなる。前傾になって距離が少し相手に近づいても、不快感を与えにくい」という。注意したいのは姿勢を良くすればいいというわけではないこと。単純に背筋を伸ばして笑顔をつくると真っすぐで対等な目線になるため、相手が目上だったり、取引先に依頼する場面だったりするとぶしつけな印象を与えることがある。一方、背中を丸めたまま笑顔をつくると顔全体が下を向き、目線だけが上がる上目遣いになる。上目遣いはこびた印象を与えがちだ。逆に背もたれに背をつけて座ると自然にあごが上を向きやすい。目線は下向きになり、相手を見下すような印象になる。
●緊張感ある場NG
 仕事では笑顔がふさわしくない場合もある。社員研修を手掛けるインソース(東京・千代田)の井上彩さんは「上司から注意されたり、顧客から苦情を受けたりしているときに笑っていると真剣さが伝わらない」と指摘する。おわびや謝罪をしているときも同様だ。取引先でプレゼンテーションをする際や、契約交渉で条件や金額などを詰めているときに笑顔を見せるのは基本的に避けた方いい。「重要な場面で緊張感に欠けていると受け取られかねない」(井上さん)。もっとも緊張した場面が終われば、笑顔の効用を生かしたい。例えば上司に叱責された当日は神妙な面持ちで過ごし、翌朝は「おはようございます」と笑顔であいさつをする。十分に反省していることを示すとともに、上司との関係を円滑に保とうとする姿勢をみせることができるからだ。取引先との交渉がまとまったら、笑顔で話しかけるのもいい。「主張が対立したのはあくまでビジネス上のことだったと伝えやすい」(井上さん)からだ。「普段は真剣に仕事に取り組んでいる人が笑顔を見せると、印象に残りやすい」と朝倉さんは話す。感じのいい笑顔は場を和ませ、真剣な顔は誠実さを伝えることが見込める。笑顔を上手に使って、仕事の成果を高めよう。


PS(2015.1.22追加):保守の牙城と思われていた農業は、*4のように、食品・栄養・健康を対象とする産業であり、女性の方が知識があることも多いため、農協役員や6次産業化に女性進出が進み始めている。女性が普通に働き高齢者が増える社会で必要とされる食品は、(美味しく)加工や半加工を終えてあり、少し手を加えれば簡単に食卓に出せるものであるため、そのニーズに応えれば国内需要だけでなく輸出も増えると思う。

*4:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=31719 (日本農業新聞 2015/1/21) JA全国女性大会に期待 地域再生 手を携えて 萬歳章全中会長に聞く
 JA全国女性組織協議会は21、22の両日、東京都台東区で第60回JA全国女性大会を開く。JA女性組織3カ年計画の実践2年目として、若い世代の育成や社会参画などの成果や課題を共有する。地域の再生とJA自己改革に向けて女性組織への期待を、JA全中の萬歳章会長に聞いた。
● JA女性組織3カ年計画が実践2年目を迎え、これまでの成果をどう見ていますか。
 第26回JA全国大会で「次代へつなぐ協同」を決議した。女性組織も、次世代の育成に力を注いでいると聞く。若い世代がJAに関心を持ってもらうことはJAにとって大切なことだ。女性組織の支援はもちろん、JA女性大学の開講も進めていきたい。女性のJA運営への参画は着実に進み、女性役員は1277人に上る。その多くが女性組織の経験者だ。先頭役を買って出ていき、JAに新しい風を吹き込んでほしい。「和食」は、ユネスコの無形文化遺産に登録された。女性組織が積極的に伝えている伝統料理も和食。世界の関心事は「健康」なだけに、日本の長寿を支える和食を、女性からどんどん情報発信をしてほしい。
● 農村での暮らしの活動には女性の力が欠かせません。JA女性組織の活性化に何が必要でしょうか。
 農業者の半数を女性が占め、農村の暮らしは女性の力なしでは語れない。介護、助けあい活動など、細かな部分まで積極的に担ってくれていることをありがたく思う。高齢化が進む中、介護保険事業や助けあい組織の活動は一層大事になる。助けあい活動では、高齢者生活支援の行政受託など幅を広げるのもいい。フレッシュミズやI・Uターン者などの若い世代にも期待したい。先輩には知恵がある。若い世代は先輩に学び、フル回転していただきたい。また、組織の活性化には、料理講習や体操など興味・関心事に注目した活動で顔が見える場面をつくって幅広い交流を進めてほしい。
● JA自己改革に当たり、JA女性組織に期待することは何ですか。
 協同の理念を貫き、組合員の声に応えながら改革を進める上で、生活に密着した女性ならではの視点が必要だ。女性組織のメンバーは、JA自己改革を人ごとにせず、検討する場に積極的に参画してもらいたい。女性は、農産加工など多彩な手の技を生かし、JAのファーマーズマーケットに出荷するなど頑張っている。こうした6次産業化の取り組みを支援するとともに、期待したい部分だ。地域再生とJA改革に、男女が共に手を携えていきたい。


PS(2015.1.28追加):*5のように、労働局は、長時間労働に関わる有給休暇や残業のことしか問題にしないが、能率が悪くても長時間労働して満額の残業手当と終身雇用を要求できる正規労働者は恵まれた方であり、非正規の職しかなかったり、不当な扱いを受けて昇進を妨害され低賃金に据え置かれたり、簡単に退職を迫られたりする職場の女性差別の方が、ずっと深刻な問題である。それにもかかわらず、労働局が前近代的な意識で職場における女性差別を放置している理由には、労働局も男性中心の役人社会だという背景があるが、速やかに公的部門の男女平等を進め、女性に対して機会均等で公正な対応をしない民間企業にも厳しく対処するように、大きな意識改革をすべきだ(これも岩盤だが・・)。

*5:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10103/149964
(佐賀新聞 2015年1月27日) 有給休暇の取得を 佐賀労働局、経済団体などへ要請
 長時間労働是正などによる「働き方改革」を進めようと、佐賀労働局(田窪丈明局長)は26日、県経営者協会、県商工会議所連合会、県商工会連合会、県中小企業団体中央会の県内経済4団体と連合佐賀に対し、従業員の年次有給休暇の取得やノー残業デーの実施などを要請した。昨年6月に閣議決定した新成長戦略で長時間労働の削減など「働き方改革の実現」が盛り込まれ、各都道府県に推進本部を設置。県内は佐賀労働局内に今月7日付で設け、主要企業訪問による働きかけや自治体、労使団体などとの連携による機運醸成を図る。県経営者協会は、副会長の戸上信一・戸上電機製作所社長らが対応。佐賀労働局の横田哲労働基準部長から要請書を受けた戸上副会長は「会員各社に周知徹底したい」と答えた。2013年の県内の労働者の年間総実労働時間は1892時間で、全国3番目の長さ。有給休暇取得率は12年が47・2%で、政府目標では2020年に取得率70%を掲げている。


PS(2015.5.22追加):上のグラフのように、韓国は日本より女性役員比率や女性管理職比率が低く、女性の登用が遅れており、このような時代に役員に登用される女性は同族会社の社長の娘というケースが多くなる。そして、航空機の安全運航にはパイロットが責任を持っており、機長であるパイロットが「問題なし」と判断して引き返したにもかかわらず、*6のように、航空保安法上の航空機航路変更罪等として趙顕娥氏が起訴され、暴言を吐いたとして有罪判決を受けるというのは、韓国における幹部への女性登用や女性上司に対する意識の低さの結果である。

*6:http://qbiz.jp/article/62759/1/
(西日本新聞 2015年5月22日) 大韓航空前副社長に猶予判決 ナッツ事件
 【ソウル共同】大韓航空機内で客室乗務員のナッツの出し方に怒り同機を引き返させたとして航空保安法違反罪などに問われ、一審で懲役1年の実刑判決を受けた同社前副社長、趙顕娥被告(40)の控訴審で、ソウル高裁は22日、懲役10月、執行猶予2年の判決を言い渡した。検察側は一審と同様、懲役3年を求刑していた。航空保安法上の航空機航路変更罪をめぐり一審判決は、ドアが閉まった後は運航中で、離陸前の引き返しも「航路の変更」に当たるとして同罪を認定した。

| 男女平等::2014.7~2015.5 | 01:56 PM | comments (x) | trackback (x) |

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