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2019.7.22 女性リーダーの誕生を妨げる女性蔑視と女性差別(2019年7月23、24、25、26日に追加あり)
  
国会議員の女性割合     管理職の女性比率   女性・女系天皇(2019.7.10毎日新聞)

(図の説明:左図のように、日本の国会議員に占める女性割合は著しく低く、中央の図のように、管理職に占める女性割合も低い。さらに、右図のように、女性天皇・女系天皇に未だ反対する政党もあり、世界からは周回遅れになっている)

  
   2019.7.22毎日新聞    2019.7.22読売新聞     2019.5.13朝日新聞

(図の説明:2019年参院選の結果は、左図のようになった。女性は、中央の図のように、候補者に占める女性割合より当選者に占める女性割合が低く、一般に女性の当選率の方が悪いことがわかる。また、女性・女系天皇を認めた場合の皇位継承順位は、右図のようになる)

(1)リーダーになる機会の男女平等はあるのか
1)2019年の参院選について
 *1-2のように、①2013年4月に安倍首相が成長戦略に女性活躍を盛り込み ②2014年1月の国会施政方針演説では「全ての女性が活躍できる社会をつくるのが安倍内閣の成長戦略の中核」と述べられ ③2016年4月には企業や自治体に女性の登用目標などの計画策定・公表を義務付けた女性活躍推進法を施行し ④2018年5月には「政治分野の男女共同参画推進法」が議員立法で成立して、女性が活躍しリーダーになるための法律整備は既にできている。

 しかし、2019年の参院選における主要政党の女性候補割合は、野党は社民(71%)、共産(55%)など女性が半数を超える政党もあり、立憲民主(45%)も約半数だが、与党は自民(15%)、公明(8%)と低かった。これには意識の低さ以外に、すでに現職で埋まっているため新しい候補を擁立しにくいという事情もあるだろう。

 世の中は、少子化による生産年齢人口割合の減少で物理的にも女性労働力の重要性は増しておりが、女性の地位向上によって男性にはない視点からの気付きを意思決定や政策に反映しやすくなる。そのため、男性優位の習慣や制度は大胆に変えるのが経済的にも有効だが、日本の女性登用は欧州連合(EU)委員長と欧州中央銀行(ECB)総裁に女性を起用した欧州に比べると30年遅れである。

 なお、7月21日に投開票された参院選の候補者となった女性の当選率は、*1-1のように、26.9%で、男性の36.1%に及ばず、女性候補の比率は過去最高の28.1%となったものの全当選者に占める女性の比率は22.6%に留まった。選挙区別では、女性当選者が東京で半数の3人を占め、神奈川や大阪でも半数だったが、九州は全体で0だった。

 女性の当選率が低い理由は、女性候補が野党に多く、現職でない上に準備期間も短いため、不利な闘いを強いられることだろう。しかし、九州の0は、*2-2に代表される女性蔑視が大きな原因の一つだと考える。

2)世界と日本の男女平等度
 日本の男女平等度は、*1-3のように、世界経済フォーラムが公表する「ジェンダーギャップ指数」で示されており、この指標による日本の2018年の順位は149か国中110位とG7、G20で最下位だ。指標の内訳は、2018年で、①経済分野 0.595(117位) ②教育分野 0.994(65位) ③健康分野 0.979(41位) ④政治分野 0.081(125位) であり、いずれも決して高くはないが、政治分野は特に低い。

 政治分野の評価の対象は、「国会議員の男女比」、「女性の閣僚率」、「女性首相の在任期間」などだが、国会議員における女性の割合が衆議院10.2%、参議院20.7%(平成31年1月現在)であるのは、日本のジェンダー平等への進行が遅すぎるということだ。

 今回の参院選では、370人の候補者のうち女性は104人で28.1%を占め、過去最高の高さと言われているものの、政党別では、①自民党15%(12人) ②立憲民主党45%(19人) ③国民民主党36%(10人) ④公明党8% (2人) ⑤共産党55%(22人) ⑥日本維新の会32%(7人) ⑦社民党71%(5人)と党による差が大きい。

 しかし、採用時点で30%では、指導的地位に女性が占める割合を30%程度にすることはできず、2020年に指導的地位の女性割合を30%にするためには、採用時は50%くらいでなければ、女性に多いハードルや偏見をクリアして生き残る人は30%にならない。そして、衆議院議員・参議院議員も、なっただけでは指導的地位についたとは言えず、実力と実績で閣僚や党幹部になれて初めて指導的地位についたと言えるのである。

3)他分野における指導的地位に女性が占める割合
i) キャリア官僚への女性合格
 国家公務員キャリア官僚への女性合格率は、*1-4のように、2019年度の採用試験で1798人が合格し、女性割合は過去最高の31.5%で初めて3割を超えたそうだが、キャリア官僚になったから指導的地位に就いたとは言えないため、採用時は女性を50%採用すべきだ。

 そうすれば、次官や局長などの女性割合が次第に30%になると思われるが、2020年にはとても間に合いそうにない。

ii) 女性天皇、女系天皇は何故いけないのか
 このように、「指導的地位の女性割合を30%にしよう」と言っている時代に、*1-5のように、女性天皇や女系天皇に拒否感を示す政党は、科学的でも論理的でもなく感情的である。

 立憲民主党は「皇位継承資格を女性・女系皇族に拡大し、現代における男女間の人格の根源的対等性を認める価値観は一過性ではない」と明記し、「皇位継承順位は長子優先」とした。共産党は女性・女系天皇に賛成する立場を明らかにしており、自民党と国民民主党は男系維持だ。この「立憲民主党」「共産党」と何かと自民党に近い「国民民主党」の違いが、今回の野党間の選挙結果の違いに繋がっていると思う。

(2)女性がリーダーになることを阻害する偏見・女性蔑視
 2019年7月22日、*2-1のように、佐賀新聞が「政治分野の男女共同参画推進法成立後、初めての大型国政選挙だったが、参院選の女性当選者数は、選挙区18人、比例代表10人の計28人で過去最多の前回2016年と同数だったものの、立候補した女性104人のうち当選率は26.9%は前回を下回り、当選者全体に占める女性比率は22.6%だったと記載している。

 せっかくこの認識に至ったのなら、私には心当たりが多いため、九州は全県で女性当選者が0だったという日本の平均から見ても周回遅れだったことも含めて、何故そうなるのかを分析し、女性候補に対する報道や表現を改めてもらいたい。何故なら、選挙は候補者を直接には知らない有権者が多く投票するため、メディアの女性蔑視表現で票が減ることが多いからである。

 このような中、選挙の最中の2019年7月20日、西日本新聞が、*2-2のように、「IQ(論理的思考)とEQ(情緒的感性)には明確な男女差がある」と書いており、その内容は、「男性は論理的に思考するタイプが多く、女性は情緒的・感覚的に思考するタイプが多いという明確な差が出て、男性は論理的に考えるのが得意で、女性は共感力が高いというイメージに近い結果になった」というものだ。

 これは、「(原因が何であれ)女性は感情的で男性ほど論理的でないため、リーダーには向かない」と言っているのであり、個に当てはめると妄想であって現実ではない。また、調査の仕方にも問題があり、出した結果は女性に対する偏見や女性差別にほかならない。さらに、こういう記事を書くことは女性候補者を不利にするため、選挙違反である。相手の立場に立って考える「おもいやり」は男女の別なく持っていなければならないものだが、そもそも“共感力”とはどういう能力なのか、特定の接客業以外で必要な能力なのか、私には意味不明である。

(3)女性差別を禁止する条約締結と法律制定の経緯
 私は、東大医学部保健学科を1977年に卒業し、男性に比べて就職の条件が悪かったので公認会計士の資格を取るために勉強をしていた時、1978年頃、さつき会(東大女子同窓会)の代表だった正木直子さんから電話をいただき、「どうしてさつき会に入らないの?」と聞かれた。

 そのため、「東大の卒業証書が就職であまり役に立たなかったからで、現在は公認会計士試験の勉強中です」と答えたところ、1979年の第34回国連総会で、*3-1の女子差別撤廃条約が採択され、日本は、1985年に、*3-2の最初の男女雇用機会均等法を外圧を借りて制定し、同年、女子差別撤廃条約を締結した。正木直子さんは、労働省勤務だったのだ!

 女子差別撤廃条約の締結と最初の男女雇用機会均等法制定は、赤松良子さんや正木直子さんなど、労働省(当時)に勤務していたさつき会の先輩方が変わった人であるかのように言われながらも、日本の男女平等を進めるための法律を作ったのである。一方、同じ1985年に、厚生省(当時)は、専業主婦の奨めともなる年金3号被保険者を作り、年金制度を積立方式から賦課方式に変更し、日本では女性活躍のアクセルとブレーキが同時に踏まれたのである。

 そして、*3-3のように、内閣府が男女共同参画社会基本法を作ったのは、*1-3のように、20年前の1999年だ。しかし、男女平等ではなく、男女共同参画に過ぎない。これに先立ち、1997年に男女雇用機会均等法が改正され、努力義務でしかなかった男女の雇用機会均等を義務化したが、これは経産省に私が頼んでやってもらったものである。

 そのほか、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(女性活躍推進法)」は、第2次安倍内閣下の最重要施策の1つとなり、2015年9月4日に公布・施行されたが、これは私の提案がきっかけだ。

 また、2018年5月23日に公布・施行された「政治分野における男女共同参画の推進に関する法律」は、赤松良子さんが中心になって女性たちが協力してできた法律である。

 つまり、女性差別を禁止する法律は、日本国憲法制定で男女平等を勝ち取ったのに差別され続けた日本女性が協力して制定してきたものだ。にもかかわらず、「男性には論理的に思考するタイプが多く、女性には情緒的、感覚的に思考するタイプが多い」とか「均等法以降の女性にのみキャリアがある」「空気を読むことが大切」などと言っているのは、馬鹿にも程があるのだ。

<リーダーになる機会の男女平等はあるのか>
*1-1:https://www.jiji.com/jc/article?k=2019072200284&g=pol (時事 2019年7月22日) 女性28人、過去最多タイ=当選率、男性に及ばず-東京など半数占める【19参院選】
21日投開票の参院選で、女性の当選者は選挙区18人、比例代表10人の計28人となり、過去最多の前回2016年に並んだ。選挙区の当選者は16年より1人多く、最多記録を更新。一方、女性候補全体に占める当選者の比率は16年より2.3ポイント減の26.9%で、男性の36.1%には及ばなかった。今回の参院選は、男女の候補者数をできるだけ均等にするよう政党や政治団体に求める「政治分野における男女共同参画推進法」が18年5月に成立して以降、初の大規模国政選挙となった。ただ、女性候補の比率は過去最高の28.1%となったものの、全当選者に占める女性の比率は22.6%にとどまった。選挙区別では、改選数が1増えた6人区の東京で女性が半数の3人を占め、ともに4人区の神奈川と大阪でも男女の当選者が同数だった。政党別で見ると、12人が挑んだ自民党の当選者が10人で、16年に続き最も多かった。公明党は2人の候補がともに当選。女性を積極的に擁立した主要野党4党では、立憲民主党で19人中6人が議席を得たのに対し、候補者数が最多だった共産党は22人中3人、国民民主党は10人中1人の当選にとどまり、社民党はゼロだった。NHKから国民を守る党も女性当選者がいなかった。改選数1の1人区で無所属の野党統一候補として出馬した中では4人が勝利。日本維新の会、れいわ新選組はそれぞれ1人が初当選した。

*1-2:https://www.kochinews.co.jp/article/293741/ (高知新聞社説 2019.7.18) 【2019参院選 女性活躍の社会】看板倒れの現実直視を
 「全ての女性が活躍できる社会をつくる。これは安倍内閣の成長戦略の中核です」。2014年1月の国会の施政方針演説で、安倍首相はそう決意を述べた。13年4月に成長戦略に女性活躍を盛り込んで、もう6年以上がたつ。演説では「20年には、あらゆる分野で指導的地位の3割以上が女性となる社会を目指す」と数値目標も掲げる意気込みだった。14年9月の内閣改造では、新設した女性活躍担当相ら5人の女性閣僚を起用。16年4月には企業や自治体に、女性の登用目標などの計画策定・公表を義務付けた女性活躍推進法が施行された。矢継ぎ早に打ち出された政策に対し、現在の実績はどうか。まず13年の政策演説で発表された「17年度末までに待機児童をゼロにする」との目標は、早々と断念し20年度末に先送りされた。女性閣僚の数も内閣改造のたびに減り、現在は片山地方創生担当相ただ1人だ。鳴り物入りで設置された女性活躍担当相も、片山氏が兼務するありさまである。政策を遂行する体制がこれでは、安倍政権のやる気を疑われても仕方がない。世界経済フォーラムが公表した18年版の男女格差報告によると、日本は調査対象の149カ国中110位だ。先進国では閣僚が男女ほぼ半々という国も珍しくない。女性1人というのは極端に遅れている。こうした現状を打開しようと昨年、「政治分野の男女共同参画推進法」が議員立法で成立した。選挙で男女の候補者数をできる限り均等にすることを目指す。同法が施行されて初の国政選挙となる今回の参院選が、今後を占う試金石となる。ところが主要政党の女性候補の割合を見ると、がくぜんとする事実が浮かんでくる。野党は社民(71%)、共産(55%)と女性が半数を超え、立憲民主(45%)もほぼ半数に近い。これに対し与党は自民(15%)、公明(8%)とあまりにも低い。自公が政権を握って6年半、早くから「女性が輝く社会」をぶち上げていったい何をしてきたのか。言い出しっぺがこのありさまでは、女性活躍推進法に真面目に取り組んでいる民間企業のやる気もそぎかねないだろう。安倍首相は男女が共同参画する社会の意義について、理解と努力が不足しているのではないか。少子高齢化が進む中で、国民の半数以上を占める女性の地位向上がなければ、よい政策や企画も生まれまい。これまでの「女性活躍」が看板倒れになっている現実を直視し、男性優位の習慣や制度を大胆に変えていく気概が必要だ。激動が続く欧州では先日、欧州連合(EU)委員長と欧州中央銀行(ECB)総裁に、ともに女性を起用する人事が固まった。世界との差は開く一方のようだ。

*1-3:http://ivote-media.jp/2019/07/09/post-3196/ (Ivote 2019.7.9) 2019年は節目の年【政治×女性】〜参院選2019〜
 第25回参議院議員通常選挙が7月4日に公示され、投開票日は、7月21日となっています。2019年は12年に一度の「統一地方選挙」と「参議院議員選挙」が重なる亥年の選挙として大きな節目の年になっていてivote mediaでも取り上げています。そして、もう一つ大きな節目として、2019年は「男女共同参画社会基本法」が制定・施行されてから20年という節目の年でもあるのです。男女共同参画社会の実現というものを21世紀の日本の最重要課題と位置づけ、課題の解消のために走り始めた年から20年経過をした年になります。ジェンダー平等に関して、近年では「女性活躍」という言葉を頻繁に聞くようになり、女性活躍は安倍政権の看板政策の一つでもあり、立憲民主党はじめ他政党でもジェンダー平等について動きを見せています。そこで今回の記事では、男女共同参画社会基本法が成立してから20年が経過をした現在の日本の男女平等における状況、とりわけ「政治」の分野における状況を確認し、参議院議員選挙における、読者の方々の投票の一つの視点となってもらえればと思います。
●日本における男女平等の現状
 男女平等を世界の国々と比較するときに用いられる指標は、世界経済フォーラム(World Economic Forum)が公表する「ジェンダーギャップ指数」です。この指標では、経済・教育・健康・政治の4つの分野のデータから作成されています。そして、日本の2018年の順位は149か国中110位(前年:144か国中114位)であり、前年から4つ順位を上げたものの、G7内では最下位となっていて、男女平等については後進国といっても過言ではありません。
指標の内訳としては、(2018年←2017年)
◇経済分野 0.595(117位) ← 0.580
◇教育分野 0.994(65位) ← 0.991
◇健康分野 0.979(41位) ← 0.980
◇政治分野 0.081(125位) ← 0.078
となっています。(1が完全平等を示す。)
 政治分野の評価の対象には、「国会議員の男女比」、「女性の閣僚率」、「女性の首相在任期間」などが評価の対象となっています。皆さん、ご存じの通り、日本では未だ女性首相の誕生は一度もありません。そして、国会議員の男女比の割合について、衆議院では10.2%、参議院では、20.7%(平成31年1月現在)が女性の議員となっています。これらのデータや、皆さんの方々の実感から分かるように日本では、政治分野における男女平等は、後進国であると考えられます。しかし、男女共同参画社会基本法が成立してから、今現在まで無策だったわけではありません。国・都道府県においては、男女共同参画計画を策定し、ほぼ全ての基礎自治体においても、男女共同参画に関する計画を策定して施策を実施しています。自治体の施策だけでは解決しない問題ではありますが、ジェンダー平等に関する課題は日本の大きな課題として掲げ続けられています。そのような状況から、特に政治分野におけるジェンダー平等の不平等を解消しようという大きな動きも出てきています。平成30年(2018年)5月23日に「政治分野における男女共同参画の推進に関する法律」が公布・施行されました。この法律では、衆議院、参議院及び地方議会の選挙において、男女の候補者の数ができる限り均等となることを努力目標として掲げ、目指しています。そこで、この法律が成立をしてから初めての国政選挙となる第25回参議院議員通常選挙の立候補者の男女の割合を見てみましょう。
●政党別立候補者数の男女比(今回の参院選)
 第25回参議院議員通常選挙には、370人が立候補をすることを予定しています。そのうちの女性候補は104人で28.1%を占めています。これは、過去最高の割合の高さとなっています。では、政党別に女性候補の数と割合を見てみましょう。
◇自由民主党  15%(12人)
◇立憲民主党  45%(19人)
◇国民民主党  36%(10人)
◇公明党    8% (2人)
◇共産党    55%(22人)
◇日本維新の会 32%(7人)
◇社民党    71%(5人)
 政治分野における男女共同参画の推進に関する法律が制定されてからのはじめての国政選挙で、以上のような立候補者の状況となっています。
●2020年30%目標
 「2020年30%目標」初めて聞く人も多いかと思います。これは、「社会のあらゆる分野において、2020年までに指導的地位に女性が占める割合を少なくとも30%程度とする」という平成22年12月に閣議決定をされた目標です。「指導的地位」の中には、衆議院議員や参議院議員も含まれているため、国の目標としても30%という目標は達成をすべき大きな指標となっています。この目標は、兼ねてから掲げられてきた目標でありますが、今回の参議院議員選挙の立候補者の男女の割合、政党別にみたときの男女の割合はどうでしょうか。判断は皆さま方にお任せをします。(以下略)

*1-4:https://www.hokkaido-np.co.jp/article/318756?rct=n_topic (北海道新聞 2019/6/25) 国家公務員の女性合格、初3割超 19年度、総合職
 人事院は25日、2019年度の国家公務員採用試験で、中央省庁のキャリア官僚として政策の企画立案を担う総合職に1798人が合格したと発表した。うち女性は567人。割合は過去最高の31・5%で、初めて3割を超えた。前年度から4・3ポイントの増加。人事院は「中央省庁で活躍する女性が増え、入省後のイメージを描きやすくなったことが一因」と分析している。申込者数は1万7295人で、倍率は9・6倍だった。合格者の出身大学別は、東大の307人が最多で、京大126人、早稲田大97人、北海道大81人、東北大と慶応大が75人で続いた。

*1-5:https://www.sankei.com/politics/news/190611/plt1906110035-n1.html (産経新聞 2019.6.11) 立民が「女系天皇」容認 国民との違いが浮き彫りに
 立憲民主党は11日、「安定的な皇位継承を確保するための論点整理」を取りまとめた。皇位継承資格を「女性・女系の皇族」に拡大し、126代に及ぶ男系継承の伝統を改める考えを打ち出した。「女性宮家」創設の必要性も強調した。一方、国民民主党「皇位検討委員会」は同日、男系維持に主眼を置いた皇室典範改正案の概要を玉木雄一郎代表に提出。両党間で皇室観の違いが浮き彫りとなった。立憲民主党の「論点整理」は伝統的な男系継承について「偶然性に委ねる余地があまりに大きい」と指摘した。また、「現代における男女間の人格の根源的対等性を認める価値観は一過性ではない」などと明記した上で、女系天皇を容認すべきだと訴えた。皇位継承順位に関しては、男女の別を問わず、「長子優先の制度が望ましい」とした。男系を維持する手段として旧皇族を皇室に復帰させる案は明確に否定。「今上天皇との共通の祖先は約600年前までさかのぼる遠い血筋だ。国民からの自然な理解と支持、それに基づく敬愛を得ることは難しい」と断じた。また、皇族減少に歯止めをかけるため、女性皇族が結婚後、宮家を立てて皇室に残り皇族として活動する女性宮家の創設を訴えた。一方、国民民主党は女系天皇を「時期尚早」として認めず、改正案も男系を維持する内容だ。ただ、過去に10代8人いた「男系の女性天皇」の皇位継承は認める。きょうだいの中では男子を優先した。皇統に関しては、共産党がすでに女性・女系天皇に賛成する立場を明らかにしている。3党は参院選の32ある改選1人区の全てで候補を一本化したが、最重要の皇室をめぐり、「立憲民主党・共産党」と「国民民主党」の間で方向性の違いが表面化した。

<女性がリーダーになることを阻害する偏見>
*2-1:https://www.saga-s.co.jp/articles/-/403685 (佐賀新聞 2019年7月22日) 女性当選者28人、過去最多に並ぶ、政府目標には届かず
 参院選の女性当選者数は、選挙区18人、比例代表10人の計28人で、過去最多の前回2016年と同数となった。立候補した女性は104人で当選率は26・9%。前回を下回った。当選者全体に占める女性の比率は22・6%だった。政党に男女の候補者数を均等にするよう促す「政治分野の男女共同参画推進法」の成立後、初めての大型国政選挙。「指導的地位に占める女性の割合」を2020年までに30%にするとの政府目標には届かなかった。秋田と愛媛両県選挙管理委員会によると、両選挙区で戦後女性参院議員が誕生したのは初めて。

*2-2:https://www.nishinippon.co.jp/item/o/528623/ (西日本新聞 2019年7月20日) IQ(論理的思考)とEQ(情緒的感性)には明確な男女差が
●43万人の個性診断結果をビッグデータ解析して見えてきた、男女の思考性の違い
COLOR INSIDE YOURSELF( https://ciy-totem.com/ )は43万人以上が利用する、自己診断サービスです。43万人以上の診断結果をビッグデータ解析した結果みえてきた、個性や性格に関する興味深い統計データをお届けします。
●IQ(論理的思考)とEQ(情緒的感性)には明確な男女差が
 COLOR INSIDE YOURSELF(以下「CIY」)の診断結果では、個人の様々な特性が明らかになりますが、その中でも特に、「論理的に思考するタイプ」と「情緒的、感覚的に思考するタイプ」では、男女間で明確に差がでました。年齢別の診断結果の割合を多項式近似曲線で表すと、「論理的に思考するタイプ」は全年齢層で男性の割合が高く、逆に「情緒的、感覚的に思考するタイプ」では、全年齢層で女性の割合が高くなっています。ステレオタイプに言われているような「男性は論理的に考えるのが得意、女性は共感力が高い」というイメージに近い結果となりました。
●男女によって、求められる思考性が異なる?
さらに、ライフスタイル別の統計結果を見ると、男性では新社会人(23歳~29歳)から40代にかけて「論理的に思考するタイプ」が増加しています。女性では、高校から大学、社会人になるに従って「情緒的、感覚的に思考するタイプ」が増えており、30代からは緩やかに減っていきます。
●年齢とともに性格が変化する要因は、何でしょうか?
A:組織の中で、「男性は論理的であること、女性は情緒的で共感し合うこと」を求められた結果、年齢とともにそれぞれの思考性が変化していく
B:そもそも男女で年齢とともに思考性が変化していく傾向があり、結果的に「男性は論理的、女性は情緒的で共感力が高い」という集団ができていく
いずれの要因かまでは分析結果からはわかりませんでしたが、ここまで明らかになると、さらに興味深い洞察が得られそうです。
●年齢とともに性格は変わるのか?
 世代別の結果では、男性では「ゆとり第一世代~団塊ジュニア世代」までが、やや「論理的に思考するタイプ」が高くなっているようです。(女性では、世代別の変化は、あまり見られません。上述の通り、年齢や社会的なポジションに伴って性格が変わっていくのか、特定の世代に限って「論理的に思考するタイプ」がそもそも多いのかについても、興味深いポイントです。個性や性格の半分は遺伝で決まり、残りの半分はその他の要因によって決まると言われています。そのため加齢による性格の変化はそこまでないはずですが、男性で30−40代が「論理的に思考するタイプ」が多く、50代をすぎると「情緒的、感覚的に思考するタイプ」が増えていくという傾向を見ると、年齢とともに性格が変化しているとも感じられます。今後も継続的に結果を分析することで、年齢による変化なのか、特定の世代による傾向なのかを明らかにしていきたいと思います。

<女性差別を禁止する法律と条約>
*3-1:https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/josi/index.html (外務省) 女子差別撤廃条約
 女子差別撤廃条約は、男女の完全な平等の達成に貢献することを目的として、女子に対するあらゆる差別を撤廃することを基本理念としています。具体的には、「女子に対する差別」を定義し、締約国に対し、政治的及び公的活動、並びに経済的及び社会的活動における差別の撤廃のために適当な措置をとることを求めています。本条約は、1979年の第34回国連総会において採択され、1981年に発効しました。日本は1985年に締結しました。(以下略)

*3-2:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/danjokintou/index.html (厚労省) 
男女雇用機会均等法

*3-3:http://www.gender.go.jp/about_danjo/law/index.html#law_brilliant_women (内閣府男女共同参画局)
男女共同参画社会基本法
配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律
女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(女性活躍推進法)
政治分野における男女共同参画の推進に関する法律

<女性の当選者>
PS(2019/7/23追加):滋賀県選挙区は1人区だが、脱原発を掲げる前滋賀県知事の嘉田由紀子さんが無所属で初当選された。無所属で立候補すると費用が自分持ちで大変なのだが、よく頑張られたと思う。

*4:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190722-00010002-bbcbiwakov-l25 (BBCびわ湖放送 2019/7/22) 参院選 嘉田氏当選/滋賀
 参議院議員選挙は、21日投票が行われました。即日開票の結果、滋賀県選挙区は無所属新人で、前の滋賀県知事の嘉田由紀子さんが初めての当選を果たしました。初当選を果たした嘉田さんは「この滋賀から草の根の声をあげる転換点にしたい」と意気込みを語りました。参議院選挙滋賀県選挙区の開票結果は、嘉田由紀子さんが、29万1072票自民党現職で再選を目指した二之湯武史さんが27万7165票NHKから国民を守る党の新人服部修さんは、2万1358票でした。なお、投票率は51.96%で、3年前の前回を4.56ポイント下回りました。

<多様性、正常と異常の境界など>
PS(2019/7/24追加):*5に「①生産年齢人口(15~64歳)の減少が進む日本では、女性・高齢者(65歳~)・外国人など働き手の多様化が必要」「②企業が収益・生産性を高めるためには、多様性が重要」「③多様な人材を活用するためには日本的な雇用慣行の見直しが不可欠」と書かれている。
 このうち、②③はそのとおりだが、①は、生産年齢人口を15~64歳としているのが実態に合わないので18~70又は75歳にすべきで、そうすると年金など社会保障の支え手が増えると同時に、健康寿命を伸ばすこともできる。さらに、(若年男性の雇用だけを優遇するのはもともと憲法違反だが)“生産年齢人口”が減って人手不足であり、技術革新や新産業も起こっているため、高齢者・女性・外国人の雇用が若年男性の雇用を抑制することはない。むしろ、人材の多様性により、同質ではない人材の相互作用により、新製品が作られたり、新しい販路が開けたり、生産性が上がったりする。ただし、人材が多様化した時に報酬や賃金の公平性を保つためには、年功ではなく実績に基づいた個人に対する公正な評価が必要なのである。
 なお、多様性と言えば「障害者」「LGBT」と書く記事が多いが、障害者やLGBTの人にも人権があって生きる喜びや働く喜びを享受したいのは当然であるものの、それらは多様性とは異なり異常の範疇に入る。さらに、現在、*6のように、「知的な遅れ」がないのに、たった3歳で「発達の遅れ」を指摘するような「同一主義」が横行するのは「ゆとり教育」による基礎教育不足のせいだろうか? そういう学級にいれば、正常な人は意味もなくざわつくのはうるさいと感じるだろうから、「発達障害」などとする過剰診断で、1人の人生が無限の夢あるものから支えられるだけのものになるのは痛ましく、もったいないことである。このように、“生産年齢人口”に統計学等の基礎教育が足りないのは、ますます“高齢者”の重要性を増加させるのである。

  

(図の説明:左図の人口ピラミッドを見ればわかるように、生産年齢人口が著しく減っているため女性が就職活動しても人手不足でいられ、これからは、“高齢者”や外国人も重要な労働力になるだろう。また、右図のように、“高齢就業者数”は増えているが、女性・高齢者・外国人の労働条件はいまだに悪いと言わざるを得ない)

*5:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO47657400T20C19A7MM0000/?nf=1 (日経新聞 2019/7/23) 生産性向上、働き手の多様化が必要 経済財政白書
 茂木敏充経済財政・再生相は23日の閣議に2019年度の年次経済財政報告(経済財政白書)を提出した。少子高齢化と人口減少が進む日本で企業が収益や生産性を高めるためには、働き手の多様化を進める必要があると分析。多様な人材を活用していくために、年功的な人事や長時間労働など「日本的な雇用慣行の見直し」が欠かせないと強調した。白書は内閣府が日本経済の現状を毎年分析するもので、今後の政策立案の指針の一つとなる。今回の副題は「『令和』新時代の日本経済」。生産性の向上を通じて、潜在成長率を高める必要性を訴えた。白書によると、日本の生産年齢人口(15~64歳)に対する高齢者人口(65歳~)の割合は43%で、世界の先進国平均より高い。2040年には64%まで増加することが見込まれている。政府は年齢や性別にかかわらず多様な人材を活用することで人手不足を緩和する働き方改革を進めてきた。高齢者の雇用拡大を巡っては、若者の処遇に影響を与えるとの懸念も根強いが、白書が上場企業の実際の状況を分析したところ、高齢者雇用の増加が若年層の賃金や雇用を抑制する関係性は見られなかったという。外国人労働者に関しても日本人雇用者との関係は補完関係にあるとの見解を示した。人材の多様性は生産性の向上につながることも分かった。企業における人材の多様性と収益・生産性の関係を検証したところ、男性と女性が平等に活躍している企業ほど収益率が向上している傾向が明らかになった。人材の多様性が高まった企業の生産性は、年率1.3%程度高まるとの分析を示した。内閣府による企業の意識調査によると、多様な人材が働く職場では、柔軟に働ける制度や、仕事の範囲・評価制度の明確化が求められている。「同質性と年功を基準とする人事制度では、個人の状況に応じた適切な評価ができない」として、日本型の雇用慣行の見直しを迫った。今年の白書では日本企業の国際展開が雇用に与える影響も分析した。グローバル化が進んでいる企業ほど、生産性や雇用者数、賃金の水準が平均的に高かった。実証分析の結果をみると、輸出の開始だけでなく、海外企業との共同研究や人材交流にも生産性が上がる効果が認められた。足元の日本経済については「緩やかな回復が続いている」との判断を示す一方、中国経済の減速などで「生産の減少や投資の一部先送りもみられる」とした。生産性の向上を賃金の上昇や個人消費の活性化につなげることが「デフレ脱却にも資する」と指摘した。

*6:https://www.nishinippon.co.jp/item/n/529530/ (西日本新聞 2019/7/24) 発達障害 学ぶ場は 「通級教室」希望でも入れず 需要急増、教員が不足…
 「通級指導教室を希望したが、かなわなかった。もっと数を増やせないのでしょうか」。発達障害があるという中学3年の男子生徒(14)から、特命取材班に訴えが届いた。調べてみると、通常学級に在籍しながら特別な指導を受けられる通級指導教室の需要は急激に伸びており、各自治体が運営に苦慮している実態が浮かび上がった。福岡県に住む生徒は、3歳で「発達の遅れ」を指摘された。知的な遅れはなく、小学校は通常学級で過ごした。中学入学後、問題が生じ始めた。通常学級に在籍したが、聴覚、視覚過敏が現れ、教室のざわつきに耐えられず、同級生とのコミュニケーションも難しくなった。昨年10月に「自閉スペクトラム症」との診断を受けた。今年2月、「コミュニケーションの方法を学びたい」として通級指導教室への入級を学校に申し出た。これに対し、特別支援教育の必要性を判定する「教育支援委員会」は9、11月の年2回しか開かれず、次回9月の委員会までは「難しい」と説明された。そもそも学校に通級指導教室がなかった。今春、通級教室が新設されたものの、既に定員は満杯。「落ち着ける場所をつくる」「苦しい時は教室を抜けることを認める」などの個別支援計画に沿って、スクールカウンセラーや補助教員がサポートすることで落ち着いた。生徒は「中学生になって急に苦しいことが増えた。状況に応じて柔軟に対応してほしい」。校長は「通級指導教室にいるのとほぼ同じ支援をしている」とする半面、「特別支援を希望する生徒は多いのに専門教員が足りず、希望に応じきれていない」と打ち明ける。
      ■
 通級指導教室は、自閉症や情緒障害、学習障害(LD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)などが対象。文部科学省によると、2017年度、通級指導を受けている児童生徒は全国で10万8946人と10年前の2・4倍。特に、発達障害の子どもが急増している。教室がある学校は5283校で全体の17・7%。福岡県は18年度は156校(271クラス)と10年で2・5倍に増えたが、全体の14・7%にとどまる。福岡市は16年度に通級の対象となったのに入れなかった児童生徒が113人と最多になったことから、設置を急ぎ、17年度以降、待機者はゼロという。北九州市も希望者が毎年200人前後に上るため、08年度に通級の対象期間を上限3年と決め、12年度以降は待機者ゼロになった。一方、特命取材班に訴えを寄せた男子生徒が住む町は本年度、待機者が12人。町教育委員会は「県に専門教員の配置は申請している。配置されるまでは現場に頑張ってもらうしかない」。福岡教育大の中山健教授(特別支援教育学)は「希望者の増加は、障害への理解が進み、保護者や本人が特別支援を望むようになったことが背景の一つにある。通常か通級かという『教育の場』だけではなく、本人、保護者、学校がよく話し合い、安心して学べる環境をつくることが大切だ」としている。

<投票率と投票の中身>
PS(2019年7月25日追加):*7-1、*7-2のように、選挙前に「参院選の投票に必ず行く」と答えた人は55.5%いたが、実際の投票率は48.8%だった。中でも10代・20代の若年層は、「必ず行く」と答えた人も男女ともに3割と低調であり、実際の10代の投票率は31%(性別:男性30.02%、女性32.75%、年齢別:18歳34.68%、19歳28.05%)で全世代より17%低かったそうだ。今回の争点は、幼児教育・保育の無償化、全世代型社会保障、年金、消費税、憲法、原発などだったため、「興味がない」「高校・大学が試験期間で選挙前に主権者教育できなかった」等は、普段から意識が低いということであって弁解の余地がない。ただ、親元を離れて進学した若者は、通常は住民票を移していないため投票できないので、国政選挙はどこででも投票できるようにして、学食付近に期日前投票所を設ければよいと考える(インターネット投票は、本人確認・重投票の防止・投票の秘密保持が不確実なため、私は賛成しない)。
 しかし、選挙権は権利であって義務でないため、興味のない人が棄権するのは自由である。さらに、普段から政治に関心を持って情報を集めていない人が適当に投票すると、選挙結果を歪める弊害もある。そのため、メディアは、殺人・放火・吉本興業事件や安っぽいなまぬる番組に大量の時間を使うのではなく、普段から正確に分析した政治情報を報道しておく必要があるのだ。


  2019.6.9赤旗  2019.7.24東京新聞 2019.7.17朝日新聞  2019.7.24朝日新聞

(図の説明:選挙の争点をわかりやすく纏めた新聞もいくつかあったが、左の赤旗もわかりやすい。年代別投票率は、中央の2つの図のように、若い世代で低く、他人任せだ。右図は、投票しない理由だそうである)

*7-1:https://www.sankei.com/politics/news/190716/plt1907160044-n1.html (産経新聞 2019.7.16) 【産経・FNN合同世論調査】参院選投票「必ず行く」55% 若年層は3割、投票率低い懸念
 産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が14、15両日に実施した合同世論調査で、21日投開票の参院選の投票に行くか尋ねたところ「必ず行く」が55・5%に上った。ただし10・20代の若年層は男女ともに3割と低調だった。今年は統一地方選と参院選が12年に一度重なる「亥年選挙」で有権者らの「選挙疲れ」による投票率の低下が懸念されており、前回の平成28年参院選(54・70%)を上回るかが焦点となる。調査によると、投票に「たぶん行かない」は7・9%、「行かない」は4・8%にとどまった。これに対し「できれば行く」は20・1%、「期日前投票を済ませた」は10・2%で、投票に前向きな回答が否定的な回答を大きく上回った。性別・年代別では、高齢層ほど「必ず行く」が多くなり、「60代以上」の男性は73・3%、女性では61・3%を占めた。50代の男性は64・4%、女性では51・5%、40代の男性は56・8%、女性で53・6%といずれも過半数に達した。一方、10・20代の男性は36・5%、女性は37・3%で、それぞれ「60代以上」の約5~6割にとどまる。若年層のうち、20代の投票率低迷は顕著だ。総務省によると、全体の投票率が過去最低の44・52%を記録した7年参院選では20代が前回比8・2ポイント減の25・15%に急落した。その後は30%台で推移している。一方、有権者が投票しやすい環境に向けて増えているのが期日前投票所だ。世論調査で「期日前投票を済ませた」との回答について、男性は「60代以上」が最も多く13・1%、50代が9・7%。女性は30代が最多の15・3%に上り、「60代以上」の14・2%、40代の10・6%が続いた。総務省が発表した14日現在の期日前投票者数は630万9589人で有権者の5・92%に相当し、選挙期間が1日長かった前回の水準に迫っている。与野党は選挙戦の最終盤まで勝敗を左右する若年層や無党派層などの動向に気をもむことになりそうだ。

*7-2:https://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201907/CK2019072402000138.html (西日本新聞 2019年7月24日) 参院選、10代 投票率31% 全世代より17ポイント低く
 総務省は二十三日、参院選(選挙区)の十八歳と十九歳の投票率(速報値)は31・33%だったと発表した。全年代平均の投票率48・80%(確定値)より17・47ポイント低い。大型国政選挙で選挙権年齢が初めて十八歳に引き下げられた前回二〇一六年参院選に比べ、速報値で14・12ポイント、全数調査による確定値からは15・45ポイント下がった。政治参加を促す主権者教育の在り方が課題になりそうだ。速報値は抽出調査で算出した。男性が30・02%、女性が32・75%。年齢別では、十八歳は34・68%で、十九歳は28・05%と三割を下回った。同省選挙課によると、今回は確定値を出すための全数調査は行わない。大型国政選の十八、十九歳投票率は、一六年参院選が速報値45・45%、確定値46・78%。一七年衆院選は速報値41・51%、確定値40・49%で、下落傾向が続いている。若者の投票率向上のため高校で出前授業を行ってきた「お笑いジャーナリスト」のたかまつななさんは、十代の投票率低下について「多くの高校や大学が試験期間だったことで、選挙前に主権者教育の機会を設けづらかったのではないか」と分析。「投票率が高ければ『この世代を無視すると危ないよ』というプレッシャーを政治側に与えられるのに」と悔しがった。若者の投票行動に詳しい埼玉大学の松本正生(まさお)教授(政治学)は「主権者教育だけでなく、若者が投票しやすいよう選挙制度も問い直すべき事態だ」と指摘。その上で「年長世代が『十代は投票に行かない』と一方的に批判できない」と、有権者全体の五割超が投票しない状況に危機感を示した。

<空港の設計とアクセス←女性の視点から>
PS(2019/7/26追加):*8のように、北海道で2020年に7空港が民営化され、空港ビルの建設・路線の増加・国際ハブ(拠点)空港化・道の駅機能の追加が考えられているそうだ。福岡空港は2019年4月2日に民営化され、観光客誘致のためのバス網を充実したり、ターミナルビルの商業機能を強化したりしたが、頻繁に往来する私から見ると、①空港の水道の出が悪くて不潔 ②電車と離発着窓口の距離がものすごく長くなり、重たい荷物を持っての移動が苦痛 ③航空機を利用しない人も土産物店に並んでおり、土産を買うのに時間がかかるようになった ④レストランも混んで入れなかった など、利用者の目線で改善してもらいたい点が多い。
 国交省は、羽田に行く交通機関の乗り継ぎを見ても、未だに「航空機は観光で使うもので、乗り換え距離が長ければ途中の店で買い物をする」などと思っているようだが、用があって頻繁に航空機を利用する人が荷物の多い時に買い物をすることはないため、アクセスや空港利用者の便利を第一に考え直すべきである。そして、今から整備する北海道は、このような不便を航空機の利用者に与えない設計にすることこそ、最善の空港利用者増加方法だと考える。

*8:https://www.hokkaido-np.co.jp/article/328927 (北海道新聞 2019/7/26) HKK連合、地方空港も重視 計画概要判明 稚内、ビル建て替え 釧路はアジア便誘致 新千歳新ビル470億円
 2020年度の道内7空港民営化で運営事業者に内定した、北海道空港(HKK、札幌)中心の企業連合による投資計画などの概要が25日、判明した。中核の新千歳では新空港ビル建設を計画。稚内で空港ビルの建て替え計画を盛り込むなど、新千歳以外の6空港にも積極投資する方針だ。新千歳には運営委託期間最終年度の49年度までに2900億円を投資する。現在は、国内、国際線それぞれ専用のビルがあり、国際線ビルは拡張工事中。新ビルは、両ビルを維持したまま、両ビルの南側に整備する。国内、国際線共用で30年ごろの開業を目指す。建設費は約470億円。多様な路線を展開できる態勢を整え、国際ハブ(拠点)空港としての位置付けを強める狙いとみられる。新千歳以外の6空港への投資額は、49年度までに約1300億円。稚内は空港ビルを全面建て替えし、商業施設と観光拠点を兼ねる「道の駅」のような機能を持たせる。台湾など国際チャーター便誘致も進める。

<「伝統」「言語」による女性蔑視を守るべきか?>
PS(2019年7月26日追加):私がPrice Warterhouse(当時、青山監査法人)東京事務所に勤めていた1982年、アメリカ南部の同事務所に勤務していた黒人の女性シニア・マネージャーが、「女性差別を含む不公正な評価によって、パートナーになれなかった」として提訴し、最高裁まで闘って1988年にPrice Warterhouseに勝った。私は、その女性が膨大な時間と労力を使って闘ったことに感謝するとともに、敗訴した途端に世界で使う自社出版物で「chairman」を「chairman/woman」に変更するなど、男性でなければならないと誤解させるような女性差別を含む言葉をすべて書き換えて世界に影響を与えたPrice Warterhouseにも敬意を表する。日本では、今でも「日本語だから」「伝統だから」などとして、女性に過度の尊敬語・謙譲語・謙遜・やさしさを要求し、「姦しい(かしましい)」「女々しい」「嫉妬」「姦計」「奸策」「雌伏」など悪い意味を表す言葉に「女性」を意味する漢字を多用しているのと対照的だ。
 そのため、私は、*9の「chairperson」は女性ではなくジェンダーニュートラルだと思うし、自分には「Ms.」を使うが、日本人の中には「Ms.」を使ったり、旧姓を通称使用していたりすると、「離婚したのでは?」とか「夫婦仲が悪いのでは?」などといらぬ詮索をする人がいて呆れることが多い。日本も、女性蔑視や女性差別を含む言葉を、「日本語だ」「伝統だ」として合理化するのをやめるべき時代にとっくの昔に入っているのに、である。

*9:https://digital.asahi.com/articles/ASM7T4RP5M7TUHBI01V.html?iref=comtop_8_06 (朝日新聞 2019年7月26日)「ze」を知ってますか?性別表す用語、進む言い換え
 「マンホール」の「マン」は男性を指す言葉だから、性別と関係のない「メンテナンスホール」に改める――。そんな風に、市の用語を性別にとらわれない言葉に言い換えようという条例が、アメリカ西海岸のカリフォルニア州バークリー市で提案され、話題を呼んでいます。同州では男女の平等をめぐる議論にとどまらず、性的少数者の権利を尊重する観点からも、男女の性にとらわれない「ノンバイナリー」が選択できるようになっていて、そうした意識の高まりが条例の背景にあるそうです。でも記者(32)が大学で英語を学んでいた頃から、すでに「ポリスマンは古い英語だから、ポリスオフィサーと言うように」と教わったような記憶も……。こういった言葉の言い換えは、いつから始まったのでしょうか? ゆくゆくは英語は全然違った形になるかも? 「manの語法」という論文も書いている関西学院大学の神崎高明・名誉教授(英語学)に話を聞きました。
●ハリケーンの名前も男女交互に
□ 中性的な言葉に言い換える取り組みは、いつごろ始まったのでしょうか。
 中性的なことを「ジェンダーニュートラル」と言いますが、この動きは欧米で1970年代初頭から始まったと考えられています。1960年代末から女性の権利や束縛からの解放を求めた女性解放運動「ウーマン・リブ」が活発化しました。その流れで、言語学者たちが、英語にある女性差別的・男性中心的な言葉を指摘し、言葉の整理を始めたのです。このころ、アメリカでは企業や自治体など、いろんな組織がマニュアルとして「言い換え集」を作りました。言葉の性差別の問題が非常に注目を集めたのです。
□ 例えばどんな言葉でしょうか。
 「fireman」→「firefighter」(消防士)、「chairman」→「chairperson」(議長)、「policeman」→「police officer」(警察官)などです。女性の社会進出で男女が同じ職業に就くようになり、新しい表現が必要だということになったんですね。また、アメリカではハリケーン(台風)に名前をつけるのですが、女性名をつけるのが通例でした。ところが1979年以降、男女交互につけるように変わりました。例えですが、「アンドリュー」とつけたら、次は「カトリーナ」のような具合です。
●「chairperson」は女性?
□ ジェンダーニュートラルな言葉が定着していった背景は?
 1980年代後半になると、今度は「ポリティカル・コレクトネス」という人種や性別、障害の有無などによる偏見や差別を含まない言葉や表現を使おうという動きが、アメリカの大学を中心に広まりました。1990年以降、これが世界にも広まり、性差を含まない言葉が好まれるようになっていきました。このころにはポリティカル・コレクトネスの考え方を踏まえた辞書が欧米でいくつも出版されました。アメリカでの「police officer」の使用率を調べた大阪国際大学の畠山利一・名誉教授の調査があるんですが、それによると、1970年代は20%、1980年代で50%、2000年に入って80%です。だいぶ定着していると言えるでしょう。でも、全ての言葉が定着していったわけではありません。バークリー市の言葉の言い換え案の中に含まれている「manhole(マンホール)」だって、辞書には「personhole(パーソンホール)」などの言い換えが載っていますが、定着していません。
□ 新たな言葉が生まれるのと、その言葉が定着して広く使われるのとは別の話だと。
 そうなんです。しかも、広く使われてくると、別の問題も生まれてきます。例えば「chairperson」はかなり定着してきていますが、男性議長にはいまだに「chairman」を使い、「chairperson」は暗に女性議長を指す人もいます。形が変わっても、これでは差別は変わりません。同じようなものに、女性の呼称「Ms.(ミズ)」があります。男性は結婚の有無にかかわらず「Mr.(ミスター)」なのに、女性は未婚だと「Miss(ミス)」、既婚者だと「Mrs.(ミセス)」と呼ぶのは不公平ということで「Ms.」が生まれました。でも、裏の意味で「Ms.」を離婚した人やフェミニストに対して使う人もいるのです。いろんな言葉の言い換え案ができても、定着するもの、しないもの、別の意味合いで使われてしまうものがあります。今回のバークリー市のように、すでに定着しつつある言葉も含めて、市が公に使っていくことは、定着に向けた一つの取り組みとして意義のあることだと思います。
●「his」はもう古い?
□ ジェンダーニュートラルが進むと、「he」「she」のように性別で代名詞が変わる英語は、大きく変わることになるのでは?
 「he」「she」が将来的になくなる可能性もありますよ。例えば、「Everyone loves his mother」という文章。「everyone」は単数形なので、「his」を使うのが正解でした。でも今は、「Everyone loves their mother」のように、男女を問わない「their」を使うことが広まっています。ちょっと前までは、「they」や「their」は複数形なので文法的には間違いとされましたが、現在はどちらでも正解。むしろ最近の文法書では「hisは古い用法」と注が付いているものもあります。さらに、欧米では「he」「she」に変わって、中性的な代名詞として新しく「ze(ズィー)」という語を使う大学生も出てきています。学者の中には抵抗感を示す人もいますが、言葉は大衆が使うもの。時代が変化すれば、大衆が変化し、言葉が変化するのも当然のことです。これからどの国の言葉もますます中立的な単語や表現になっていくことが予想されます。

| 男女平等::2019.3~ | 03:21 PM | comments (x) | trackback (x) |
2019.3.25 日本における女性差別の実態とその原因について (2019年3月26、27日追加)
   
2018.12.18朝日新聞     日本における女性管理職の推移    2019.3.8琉球新報

(図の説明:左図のように、日本の2017年ジェンダーギャップ指数は、総合でも110位で先進国中最低だ。また、中央の図のように、女性管理職割合の推移も低迷している。そして、右図のように、沖縄の小学校教諭は70%が女性であるのに、管理職になると女性は22%しかおらず、中学・高校では、さらに低くなっているそうだ)

(1)日本における女性差別の実態
 日本国憲法は、*1のように、「第13条:すべて国民は個人として尊重される」「第14条:すべて国民は法の下に平等であつて、人種・信条・性別・社会的身分・門地により、政治的、経済的又は社会的関係において差別されない」等を定めており、この憲法で新しく定められた内容だけが太平洋戦争のプラスの遺産だったと、私は考える。

 しかし、「女性が平等に個人として尊重され、基本的人権を有すると認められているか」については、*2のジェンダーギャップ指数を見れば、日本は戦後70年以上経過しても149か国中の110位であり、G7では最下位で、達成に程遠い。特に、経済分野の117位、政治分野の125位が低く、教育分野は初等・中等教育では1位で男女平等と評価されているものの、大学等の高等教育では103位となり、多くの女性が高度な仕事や意思決定の場で、未だに閉ざされている状況が現れている。

 また、*5-3のように、2018年に明るみに出た大学医学部入試における女性差別は、教育段階から女性が高度な仕事に就くことを妨げている一例であり、あるべき姿から程遠いが、これは大学だけでなく、高校以下の教育や(社会の価値観を反映した)家庭教育にも原因がある。

(2)高校教育における女性差別
1)男女共学高校での女性差別の刷り込み
 私自身は、東京大学を卒業するまで機会の与えられ方について女性差別を感じたことは全くなかったが、*5-1のように、東京医大だけでなく都立高校入試でも、男女別募集定員によって女子学生は男子合格者より高い点数を取っても不合格になっているそうだ。
 
 そして、「男女別募集定員の緩和措置すら必要でない」と答える中学校長が2割おり、その理由を「①東京都には私立女子高が多く、教育の支えの一つだが、男女別定員制の緩和の結果、私立の女子高から生徒を奪う」「②成績上位には女子の方が多いので、全てを男女合同定員制として合否を判定すると男女比が大きく女子に偏り、学校施設等に影響が出る」「③結果的に男子生徒の進学先が決まらない」などとしており、「他を配慮するために、女子生徒を犠牲にするのは、何でもないことだ」とする呆れた考え方を持っている。

 だが、公立学校が性別を理由に女子生徒から教育機会を奪うと、*1のように、日本国憲法「第99条:公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」という規定に違反し、「第17条:何人も、公務員の不法行為により損害を受けたときは、法律の定めるところにより国又は公共団体に賠償を求めることができる」という規定によって、損害を受けた女子生徒は損害賠償請求することができる。そして、これが、戦後、公立で男女共学が進んだ理由である。

 しかし、*5-2のように、福岡県立高校の入学式では、前列に男子、後列に女子が並ばされたそうだ。私が卒業した佐賀県立唐津東高校は、男女別でも左右に分かれて並ぶため並び方では女性蔑視は感じられなかったが、名簿は男子が先、卒業アルバムも男子の写真が先に掲載されており、確かに「男子が主で重要」「男子の方が上」というような刷り込みをしている。

 このような中、教育で大切なのは教員や保護者の意識である。その理由は、私は実力テストでは殆ど学年1番、(文系科目も90点代後半だったが)理数系科目はだいたい満点で、それに関して「男子がやる気をなくす」「女子は、今はできても先では伸びない」「ガリ勉」「カカア天下」などと聞こえよがしに言う人が少なからずいたからだ。これは、小学校時代から教員や友達の保護者まで含めて同じだったが、私はそういう“空気”を無視できたから道が開けたのである。

 従って、「ジェンダーチェック」は、先生だけでなく保護者や生徒にも必要で、小学校入学時に配布して保護者や生徒の意識からも女子への偏見や差別を徹底的になくすべきなのだ。

2)男女別学高校での男女差別の刷り込み
 *6-1に、「公立高校といえば共学のイメージですが、北関東には男女別学の公立高校がまだ残っている」「②数学・科学は男子の方が得点高く、読解力は女子が得点高いので、男女の違いを活かした教育ができるのが男女別学男女別学の強み」「③別学は勉強に集中しやすい環境と言える」「④男子任せや女子任せにせず、いろんなことに挑戦できる」「⑤別学は異性と出会うチャンスがない」などと書かれている。

 しかし、①は憲法違反で、②は平均が個人を表すわけではないので偏見による差別であり、まさにジェンダーの根源である。さらに、③⑤のように、多感な時期に異性から隔離されて育った人は、その後も異性に対して先入観を持ちがちで、職場ではジェンダーの温床となる。また、④は、男女一緒にいる中でもいろいろなことに挑戦できなければ、男女別になっていない社会ではさらに挑戦することができないので、男女共学の中で鍛えるべきなのである。

 私は関東に住んで、都立高校は特に優秀ではなく、私立は殆ど男女別学なのに驚くとともに呆れた。しかし、その周辺は公立高校も男女別学であり、これは憲法違反だと思った。しかし、*6-1に書かれているとおり、北関東に残っている男女別学は「旧制中学校・高等女学校を前身とする伝統ある高校だから」なのだそうだ。しかし、冗談いっちゃいけない。私が卒業した佐賀県立唐津東高校も、元は小笠原氏の志道館という藩校だった立派な伝統校だが、戦後に男女共学になった学校なのである。

3)男子校と女子高の教育理念の違い ← 生徒がよく歌う校歌で比較する
 そこで、旧制中学・高等女学校を前身とする伝統ある高校だとして、男女別学を譲らなかった埼玉県立浦和高校(*6-2-1、東大合格者数22人)と同浦和第一女子高校(*6-2-2、東大合格者数4人)の校歌で教育理念を比べると、以下のとおりだ。

 *6-2-1の男子校の方は、「①国家に望みある学生」「②広き宇内に雄飛せん」と生徒に国家への貢献や宇宙への雄飛を鼓舞している。しかし、*6-2-2の女子高の方は、「①三年の春秋を選ばれてすごす喜び」「②三年の青春を選ばれて誇る幸い」「③三年の教えを選ばれて受ける楽しさ」などと選ばれて入学してきたことのみを誇って卒業後の活躍を鼓舞しておらず、選ばれたレッテル付きの女性が、卒業後は家庭で子育てし、真心を込めて夫や家庭を支える良妻賢母を目指す「女子教育」を行っているのだ。

 一方、私が卒業した佐賀県立唐津東高校(*6-3、東大合格者数1人)の校歌は、下村湖人作で「天日かがやき・・光の学徒」「はてなく広ごる眞理の海を抜き手をきりつつ泳ぐ力の学徒」「平和と眞理に生命を享けた希望の学徒」「われらの理想は祖国の理想、祖国の理想は世界の理想、理想を見つめて日毎に進む」と、東大合格者数は浦女より少ないが崇高な理念を述べている。そして、これが、女性が男女共学校で教育を受ける最も大きな意味なのである。

(注)1つの指標として2019年3月の東大合格者数を比較すると、東京都立日比谷高校(男女共学)47名、埼玉県立浦和高校(男子校)22名、埼玉県立浦和女子高等学校(女子高)4名、東京にある私立中高一貫女子高のうち①桜蔭高等学校66名 ②女子学院高等学校33名 ③しらゆり学園高等学校7名、東京にある私立中高一貫男子高のうち④開成高校(男子校)187名 ⑤麻布高校(男子校)100名など、男女とは関係なく早くから計画的に勉強した方がよい成績を納めている。そのため、地方の学校は、これ以上のんびりしている場合ではなく、親の所得や教育観が子に悪い影響を与えないためには、子が行きたい大学に行けるシステムの構築が不可欠だ。

(3)女性差別は大学だけの問題ではないこと
       ← 「女性の教育」と「女子教育」の違い、メディアの表現
 女性差別は、高校・大学の入試だけでなく、メディアも含めた社会全体の問題である。その良い例は、*3-1・*3-3のように、女性が教育を受ける権利を訴えてノーベル平和賞を受賞したマララさんが、3月22日に来日して首相官邸を訪れ、安倍首相に「①G20で全ての国の指導者に女性の教育に投資するよう働きかけてほしい」「②女性も仕事ができるようにして欲しい」と語ったにもかかわらず、まず安倍首相が勘違いして「女子教育(良妻賢母養成型教育)」と表現し、その後、日本のメディアは、*3-2のように、一貫して「女子教育」と表現し続けて、マララさんが英オックスフォード大で学んでいることには殆どが触れなかったことだ。

 しかし、本当にすごいのは、パキスタン出身で女性が教育を受ける権利さえおぼつかないにもかかわらず、それを訴えて銃撃されたマララさんに、世界はノーベル平和賞を与え、英国は英オックスフォード大で学ぶ機会を与え、その人が日本の首相にG20での働きかけを頼みに来たことであり、マララさんが自分の理想を祖国や世界の理想にしようとしていることなのである。

(4)社会における女性差別
 学校を卒業して社会に出ると、*4-1のように、「小学校の先生は70%が女性なのに管理職はわずが22%」「中学・高校はさらに低い」というコンクリートの天井があり、その理由はいつも「長時間労働」と「女性の家事・育児負担」と説明される。そして、「女性への重圧が大きく、管理職を勧めるのも躊躇する」となる。しかし、自ら「家事育児を負担したいので、管理職にはならない」と希望する人以外は、何らかの形で乗り切って上に行きたいのだから、そうする機会を差別なく与えるべきであり、「平均」をもって管理職に登用しないのを差別と呼ぶのだ。

 また、*4-2に「性別役割分業の転換が急務」と書かれているが、これは教育段階でジェンダー教育が行われ、女性は家事育児が得意となるための、また男性は生計を支えるための、中等・高等教育を受ける例が多いため、ここから変えなければならないのである。

・・参考資料・・
<日本における男女平等の理想と現実>
*1:http://www.japaneselawtranslation.go.jp/law/detail_main?id=174 (日本国憲法抜粋) 第三章 国民の権利及び義務
第十一条 国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。
第十三条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
第十四条 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
第十七条 何人も、公務員の不法行為により、損害を受けたときは、法律の定めるところにより、国又は公共団体に、その賠償を求めることができる。
第九十九条 天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。

*2:https://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2019/190117.html (2019年1月17日 日本弁護士連合会会長 菊地 裕太郎) 世界経済フォーラムのジェンダーギャップ指数に対する会長談話
 2018年12月19日、世界各国の男女平等の度合いを指数化した「ジェンダーギャップ指数」について、世界経済フォーラムから報告書が発表された。日本は149か国中110位であり、主要7か国(G7)中最下位である。ジェンダーギャップ指数は、女性の地位を、経済、政治、教育、健康の4分野で分析し、ランク付けをしているが、日本は、経済分野は117位、政治分野125位、教育分野65位、健康分野は41位である。前年と比較すると、教育分野がわずかに順位を上げただけで、その他の3分野についてはいずれも前年より後退している。経済分野においては、同種業務での賃金格差、専門的・技術職の男女比など5項目全てにおいて指数自体は改善されたにもかかわらず、順位は前年の114位から117位に後退している。これは、他国の男女格差の改善の度合いが我が国よりも進んでいるためと考えられ、経済分野における世界的な男女格差の解消に日本が追い付いていないことがうかがえる。また、政治分野が125位と上記4分野の中でも最も低い順位であったことは憂慮すべきことである。女性の政治参加は、あらゆる分野における女性の地位向上のための必須の条件というべきであり、国政の場においても地方政治の場においても、女性議員の増加を図るなど、女性の政治分野への進出が強く望まれる。教育分野については、識字率や初等・中等教育は1位で男女平等と評価されているものの、大学などの高等教育の就学率は103位と、他の項目と比して極端に低く、是正が求められる。昨年明らかとなった複数の大学医学部入試における女性差別は、この点からしてもあるべき姿に逆行しているといえる。以上から、当連合会は、日本政府に対し、職場における男女格差を解消し、女性の活躍を更に推進するために、働き方改革の取組にとどまらず、女性の政治参加や高等教育における男女格差の解消を重点課題とし、加えてこれらの課題実現に向け、速やかに具体的措置・施策を講じるよう強く求めるものである。

<女性教育と女子教育の違いとメディアの表現>
*3-1:https://digital.asahi.com/articles/DA3S13945827.html?iref=pc_ss_date (朝日新聞 2019年3月23日) 「女性の教育へ投資、呼びかけて」 マララさん、首相訪問
 女性教育の権利を訴えてノーベル平和賞を受賞したマララ・ユスフザイさん(21)が22日、初めて来日した。首相官邸を訪れ、安倍晋三首相と会談。6月に大阪で主要20カ国・地域(G20)首脳会議が開かれることから、「安倍首相と日本には全ての国の指導者に女性の教育に投資するよう働きかけてほしい」と語った。マララさんは首相と会談後、共同記者発表に臨み、世界中の学校に通えない女性のために「個人、企業、政府の支援が必要だ」と訴えた。首相は「マララさんが武装勢力からの脅迫に屈せず女性が教育を受ける権利を訴え続けたことは、世界中の人々に勇気を与えた」と話した。マララさんは23日、東京都内で開かれる政府主催の「第5回国際女性会議WAW!」で講演するため、来日した。

*3-2:https://www.jiji.com/jc/article?k=2019032200903&g=pol (時事ドットコム 2019年3月22日) 安倍首相、ノーベル平和賞マララさんと会談=女性活躍、G20で議題に
 安倍晋三首相は22日、初来日したノーベル平和賞受賞者マララ・ユスフザイさんと首相官邸で会談した。首相は「圧力や暴力に屈せず、女子教育の重要性を世界に訴えたマララさんに敬意を表したい」とたたえた。会談後、マララさんと共同記者発表に臨み、6月に大阪で開かれる20カ国・地域(G20)首脳会議で「女性が輝く社会の実現」を重要議題の一つに位置付ける考えを示した。女性教育活動家のマララさんは記者発表で「G20の議長国として、女子の教育について率先して各国リーダーに働き掛け、女子が将来の仕事に備えることを支援すべく新たな資金をコミットするよう奨励していただきたい」と語った。マララさんは23、24両日に東京都内で開催される「国際女性会議WAW!」に出席し、同会議で基調講演を行う。

*3-3:https://digital.asahi.com/articles/DA3S13947532.html (朝日新聞 2019年3月24日) マララさん「女子教育へ投資、未来作る」 国際女性会議で講演
 女性が教育を受ける権利を訴えてノーベル平和賞を受賞したマララ・ユスフザイさん(21)が23日、東京都内で開かれた政府主催の第5回国際女性会議と主要20カ国・地域(G20)に政策提言を行う「Women 20(W20)」の合同セッションで講演した。マララさんは「今、女子教育に投資すれば、想像できないほどの未来を作ることができる」と訴え、各国に支援を求めた。マララさんはパキスタン出身。女性が教育を受ける権利を訴え、2012年10月にイスラム武装勢力に銃撃された。現在は英オックスフォード大に通う。講演で「過激派は教育の権利を訴えた私を攻撃した。でも失敗した」と主張。「私の声は大きくなっている。今、学校に行くことのできない1億3千万人の子どもを代表してここにいる」と語った。また、全ての女子が中等教育を受けられれば、30兆ドルの経済効果があるとの試算を紹介。「我々は行動を起こさなければいけない」と呼びかけた。安倍晋三首相は国際女性会議のあいさつで、日本政府として途上国での女子教育の支援を表明。「20年までの3年間で、少なくとも400万人に上る途上国の女性たちに質の高い教育、人材育成の機会を提供して参ります」と述べた。
■男女の労働参加、格差縮小へ提言
 W20は23日、今年6月に大阪で開かれるG20首脳会議を前に、安倍首相に女性に関する経済政策の提言を手渡した。企業のリーダーや研究者の女性たちでつくるW20はG20の公認グループで、2015年に発足した。経済発展には男女平等が不可欠として、政策を女性の視点で捉え直そうという取り組みだ。日本で初のW20開催となった今年は、「労働」「デジタル」「投資」など計7項目の提言をまとめた。重視したのは、労働参加率の男女格差の縮小。14年にG20が採択した「25年までに各国の労働参加率の男女間格差を25%減らす」という目標を達成するため、20年のG20で中間報告を行うことを求めた。企業や役所の管理職を30年までに男女同数にするとした国連による目標の達成に向けてG20が各国の進み具合を確認する仕組みも求めた。

<社会における女性差別>
*4-1:https://ryukyushimpo.jp/news/entry-885652.html (琉球新報 2019年3月8日) 小学校の先生70%が女性なのに、管理職はわずが22%  2018年度沖縄県内 中学・高校はさらに低く
 沖縄県内の小学校教諭は女性が70.2%を占めるにもかかわらず、教頭以上の管理職は女性が22.0%と低く、男女比率が逆転していることが2018年度学校基本調査から分かった。長時間労働が常態化する中で家事・育児まで負担する女性教諭は管理職に挑戦しにくく、数が伸び悩んでいると見られる。管理職経験者も「女性への重圧は大きく、管理職を勧めるのもちゅうちょする」と話す。女性管理職の割合は中学16.2%(女性教諭割合50.0%)、高校10.4%(同45.3%)とさらに低い。国が掲げる指導的地位にある女性の割合「2020年までに30%」は現実的に不可能だ。全国平均は県内よりさらに少なく、中学は県内より6.5ポイント低い9.7%、高校は1.6ポイント低い8.8%にとどまる。小学校は22.9%で県内より0.9ポイント高かった。1986年の男女雇用機会均等法の施行後、県内の女性管理職は小中学校は90年代前半、高校は半ばごろから増え始めた。小学校は2001~06年に3割を超えたが、その後減少に転じ、ここ数年は20%前半で横ばいだ。学校管理職は、年齢や教職経験などの条件を満たした教諭が試験を受けて昇任する。県教委は「試験は公平に行うため性別で区別していない」とし、女性比率の目標値は設定していない。19年度選考試験で小中高と特別支援学校を合わせた受験者は604人で、うち女性は104人と17.2%にすぎず、受験する人数自体が少ない。合格者は210人で女性は50人(23.8%)だった。多くの教員が長時間労働を強いられる中、現場からは「家事や育児もある女性が男性と同じように管理職を目指すのは難しい」との声が上がる。女性の退職教諭は「社会の変化は遅い。男性は家事・育児を引き取り、女性を解放して」と訴えた。

*4-2:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20190322&ng=DGKKZO42704410Q9A320C1KE8000 (日経新聞 2019年3月22日) 働き方改革 今後の課題(上)雇用慣行見直し 抜本的に、性別役割分業の転換が急務 永瀬伸子・お茶の水女子大学教授 (1959年生まれ。東京大博士(経済学)。専門は労働経済学)
<ポイント>
○若年人口減で日本的雇用慣行の矛盾拡大
○女性の賃金底上げへ正社員比率上げ必要
○父親の帰宅なお遅く子育て参加は限定的
 2019年4月から働き方改革法のうち残業の上限規制が実施される(中小企業は20年4月から)。時間外の上限について「月45時間、年360時間」を原則とし、臨時的な事情がある場合でも年720時間、単月100時間未満(休日労働含む)、複数月平均80時間(同)が限度となる。また20年以降に施行される正規・非正規雇用労働者間の不合理な待遇差の禁止も重要だ。働き方改革は、日本経済にとって次の点から必要だ。第1に日本的雇用慣行のひずみが拡大している。企業側が長期雇用を保障し、年功的な賃金制度をとる代わりに、企業側に強い残業命令権や配転命令権が与えられる。景気が悪いときも解雇しないで済むようコア社員数を少なく採用する。このため景気が良くなると残業が発生しやすい。さらに長期雇用なので、その時々の仕事内容よりも、年功的な職能資格で賃金が決められてきた。しかし若年人口が少数となり、中高齢人口が多数を占めるような人口構造では、中年期に賃金が大きく上がる賃金制度の維持は難しくなっている。そのため企業は正社員採用を絞り、非正社員の採用を増やしていった。こうした中で、正社員の仕事負担が増えて長時間労働が恒常化する一方、非正社員の賃金は低く、若年男女の一部には貧困が拡大している。第2にグローバル競争の中で、どの先進国でも平均的な男性の年収は下落傾向にあるが、女性の稼得賃金の上昇が家計の豊かさに貢献している。しかし日本では男性が長時間労働をする一方で、女性は出産を機に離職し、その後は最低賃金近くで働く者がいまだ多い。女性の稼得能力を引き上げるには、長時間労働を当然とする働き方を改革したうえで、女性の正社員の就業継続の奨励や、非正社員と正社員の賃金格差を縮小させることが重要となる。第3に「長時間労働だが高賃金」もしくは「労働時間の自由度は高いが低賃金」という働き方の二分化は少子化を促進する。たとえ長時間働いても、男性が1人で家族を支える生涯賃金を得られる見通しを持ちにくくなった。また未婚男女に後者の働き方が広がっているが、金銭面からも、育児休業制度などの社会的保護が不十分なことからも、家族形成が困難だ。女性が稼得能力を持続しつつ子どもを持てる働き方と社会保障をつくり出すには、男性を含めた働き方の見直しが必要だ。つまりこれまでの日本的雇用慣行の大改革が必要だ。日本的雇用では、家族のケアは無職の妻が担うことが暗黙の前提とされてきた。給料に配偶者手当を上乗せする企業が多いことも、サラリーマンの被扶養配偶者を保護する社会保険での第3号被保険者制度も、こうした背景から維持されてきたのだろう。男女雇用機会均等法が施行されて30年になるが、これまでは働き方改革を伴っていなかった。このため女性にとって相対的に高賃金を得られる未婚期を延ばすインセンティブ(誘因)にしかならず、家族形成を機に「長時間労働が前提で高賃金」な仕事を離職する者が多数だった。総務省「労働力調査」によれば、17年の35~39歳層の女性正社員比率は35%程度にとどまり、有配偶に限定すれば29%で、40歳代も同程度だ。07年の35~39歳層の29%、有配偶の21%からは上昇しているが、中年期の女性正社員割合は3割程度にとどまる。また女性正社員の平均年収は300万円を超えるが、パートは100万円台、契約社員・嘱託社員でも200万円前後だ(労働力調査から所得階級の中位数を使って金額を推計)。女性の賃金の底上げには、正社員比率を上げるか、非正社員の立場でも経験とともに賃金が上がるような働き方をつくり出すしかない。ここまでの働き方改革は成功しているのだろうか。正社員女性の出産離職が大卒中心に減っているほか、女性正社員だけでなく男性正社員の労働時間についても、特に子どものいる層を中心に安倍政権下で減少しており、一定の成功を収めたといえる。労働力調査によれば、労働時間は一貫して減少している(図参照)。育児休業取得が増え育児短時間勤務も法制化されるなど、特に幼い子どものいる女性正社員の労働時間は目立って減った。変化は比較的小さいが、男性正社員の労働時間も減っている。幼い子どもを持つ男性の労働時間はより大きく減っている。しかし事業所に対する調査である厚生労働省「賃金構造基本統計調査」でみた傾向は異なる。25~34歳男性の所定内労働時間と残業時間の合計は、世界金融危機後の09年に下落した後、緩やかな増加傾向にある(図参照)。図には示していないが、10~99人企業の月間所定内労働時間は1千人以上の企業よりも10時間ほど長い。一方、1千人以上企業は景気動向とともに残業時間が最も伸びる。景気が良いときに残業が増えるのは通常の景気循環の動きだ。ではなぜ両調査の傾向はかい離しているのか。労働力調査は月末1週間の労働時間を個人に尋ねたものだから個人の記憶による。一方、賃金構造基本統計調査は常用労働者10人以上の企業で賃金台帳に記録され、賃金が支払われた労働時間だ。労働力調査はサービス残業を含めた正社員の労働時間が減少傾向にあることを示す。賃金構造基本統計調査は、最近の景気回復による需要増で残業が増加傾向にあることを示すとみられる。全般に、個人対象の調査からは依然男性の労働時間が長い実態が見えてくる。16年の総務省「社会生活基本調査」によれば、小学校在学の10歳未満の子どものいる父親は、午後7時には半数、8時には37%、9時には25%がそれぞれ仕事をしている。専業主婦世帯と夫婦共働き世帯を比較すると、8時に父親が仕事をしている割合はそれぞれ43%と35%で、共働き世帯の父親はやや帰宅時間が早い。しかし夕食時間の6時をみると、どちらの世帯の父親も7割超が仕事をしている。一方、共働きの母親は、6時を過ぎると1割未満しか仕事をしておらず、子育てへの父親参加はまだ限定されている。賃金面では、一般雇用男性の40~44歳層の所定内賃金は07年からの10年で33万円ほど減ったが358万円だ。一方、同年齢の正社員女性の賃金は13万円ほど上昇したとはいえ262万円にとどまる。なお賃金構造基本統計調査から、月間労働時間が205時間(週40時間労働で4週働き、時間外上限の原則である月45時間を足した水準)を超える者の割合を計算すると、景気回復とともに上昇しており、20歳代~40歳代の男性正社員の2割弱、女性正社員では6%程度にのぼる。特に男性については今後も仕事の効率化など工夫が求められる。残業規制の強化により、疾病やメンタルヘルス悪化の緩和が期待される。しかし男性が家庭時間を持ち、女性が働きやすくなるにはまだ道は遠い。同時に正社員と非正社員の格差縮小も重要だ。日本企業の強みは人材育成にあったとされるが、非正社員は企業内の人材育成の仕組みから外れてしまっている。同一労働同一賃金ガイドラインでは、仕事の差と賃金差について納得できるものとするよう求めている。筆者は今後の日本経済を考えれば、納得性に加えて、人材育成に寄与するステップアップ可能な働き方とすることが重要だと考える。

<男女共学高校での女性蔑視の刷り込み>
*5-1:https://news.yahoo.co.jp/byline/sendayuki/20180803-00091738/ (Yahoo 2018/8/3) 東京医大だけではない。女子中学生も入試で不当に落とされているー都立高校の入試
●東京医大以外にも、女性枠はある。
 東京医大では、2011年以降、女性が入学者の3割を超えないように入試の点数を操作していたという。女子の受験生のペーパーテストの点数を一律に減点し、男子の小論文に加点していたというのだ。酷い話である。しかし、女性がテストで優秀な点をとっても入学が許可されないことは、大学入試だけではない。実は都立高校の入試もそうである。女子学生は男子の合格者よりも高い点数を取っていても、不合格になっているのである。その理由は、男女別募集定員の存在である。
●男女別募集定員の緩和措置すら必要でないと答える中学校長が2割
 男女別定員があることによって割を食っているのは、成績優秀者が多いほうの女子である。1998年から、この男女別に募集人員を定めている都立高校の「男女間の合格最低点における著しい格差を是正するため」、募集人員の1割だけは男女に関係なく、成績順に合否を決めることで、少しでもこの不平等を是正する制度を始めている。全定員のなかのたった1割だが、それでもこの制度すら不要だと考えているひとはいるようだ。アンケートに答えた中学校の校長53人のうち、約2割程度はこの是正措置すら不要だと考えているようだ(平成30年度東京都立高等学校入学者選抜検討委員会報告書。以後、この報告書を紹介する)。
●男女別定員を緩和すべきではない理由
 それでは、中学校長が男女別定員を緩和すらすべきでないと考える理由はなんだろうか。
○ 男女別定員制の緩和により合格するのは、ほとんどが女子である。東京都には私立の女子高等学校が多く、東京都の教育の支えの一つであると考えるが、男女別定員制の緩和の制度により、結果的に女子を多く入学させることになり、私立の女子高等学校から学生を奪う形となってしまう難しさがある。
○ 成績の上位には女子の方が多い傾向がある。そのため、全てを男女合同定員制として合否を判定したとすると、今以上に男女比に大きな偏りが生じ学校施設等に影響が出ることが懸念される。
○ 実際に男女別定員制の緩和を行うと、多くの場合、女子の入学者数が増加する。私立高等学校でも女子の定員の方が多いため、結果的に男子生徒の進路先が決まらない状況が生まれてしまう。つまり、女子を入学させると、私立の女子校から生徒を奪ってしまう、男性生徒が進学できなくて困ってしまう、学校の施設に影響がでる、というのである。これに対して、現場の高校の校長は、また違った意見を持っている。
○ 男女間の学力差が縮まることで授業効率が良くなり、生徒の学力向上につながっている。
○ 男女別定員制の緩和により、総合成績が同じでも性別によって合否の結果が異なってしまうことに対する不公平感を緩和することができる。
○ 男女別定員制の緩和によって女子が多く入学し、男女の生徒数のバランスを欠く状況にある。体育の授業や学校行事を実施する際の不都合や、部活動等への影響が生じる場合がある。性別ではなく学力で選抜することにより、生徒の学力向上につながっていること、不公平感が緩和されることである。他方、体育の授業や学校行事、部活動等への影響が生じるという意見もある。私自身は高校のときに男子に較べて女子の比率は半分、大学に至っては男女比が9対1(それでも女子合格者が、1割を超えたとニュースになった)、その後の仕事も男性が圧倒的に多い人生を生きている。そこまで熱心に、男女同数に配慮してもらったという記憶もない。何よりも都立高校は、定員は男女同数ですらなく、どの学校も男子の定員のほうが多い(かろうじて数校が、男女同数だ)。男女枠の緩和をこれから導入する高校もあれば、廃止する高校も同じくらいある。
○ 男女別定員制の緩和については、男女間の合格最低点を是正する点で一定の成果があるため、現行どおり、真に必要と認められる高等学校に限定して実施する。「真に必要と認められる高等学校」がどのようなものかは分からない。しかし、公立の学校が性別を理由に、女子生徒から教育機会を奪っていいのだろうか。とくに親の子に対する進学期待は、いまだ男女で違いがある。女子の進学を妨げる方向で、定員を決めることの妥当性は、何だろうか。少なくとも私には、事前に告知してあること以外、東京医大との違いは見つけられない。

*5-2:https://digital.asahi.com/articles/DA3S13912705.html (朝日新聞 2019年2月28日) (サヨナラしたい8つの呪縛:2)「男が上」、学校の刷り込み
■Dear Girls
 「なんで女子が後ろなの?」。昨春、福岡県立高校から早稲田大学に進学した女性(19)は、高校の入学式でそう思った。前列に男子、後列に女子が並ばされた。担任の女性教諭に理由を尋ねたが、教室も男子、女子と分かれた名簿順に座っており、「前からこうなっている」と返された。卒業式でもこの構図は変わらなかった。女性は「女子は男子の陰に隠れていろということか、と思えた」と振り返る。
■「差別を再生産」
 学校の中に潜む性差別を指す「隠れたカリキュラム」の事例だ、と女子栄養大の橋本紀子名誉教授(教育学)は指摘する。「例えば校長の男女比をみると、圧倒的に男性が多く、いびつだ。『上に立つのは男性』といったメッセージを子どもに伝える。学校が差別の再生産装置になっている側面もある」。橋本名誉教授によると、日本では1985年に発効した国連の女子差別撤廃条約を受け、「男女平等教育」が注目され始めた。90年代には隠れたカリキュラムへの関心が高まり、性別に関する固定的な見方から解放された教育が提唱されるように。だが、02年ごろから「伝統文化を破壊する」などとしてバッシングが始まった。
■平等めざす試み
 ただ、遅れの中にも、男女平等をめざす取り組みは重ねられてきた。滋賀県は、性別による偏見や思い込みにとらわれず、進路選択や指導ができるようにと、20年前から小中高校向けに独自の教材を作り、全校に配っている。小学生向けの教材では、学校生活の中で起こりうる場面を想定し、かける言葉を考えたり、性別による決めつけがないかを振り返ったりするページがある。「調理クラブのメンバーに、男の子は1人だけ。その子に向かって『女子の中に男子が1人だな』と言った友だちに、あなたはどんな声をかけますか――」。指導の手引には、「先生のためのジェンダーチェック」の一覧表もある。「男子に対しては女子に比べると少々厳しく指導した方がよいと思う」「生徒会や応援団長は男子がなるべきだと思う」といった意見への賛否を書き込みながら、思い込みや偏見がないか見つめ直せる作りになっている。福岡県では今年度、県教委が県立高校に男女混合名簿の導入を促した。新年度には、95校中80校近くが取り入れる。その一つの県立須恵高校の教頭は「男子が前、女子が後ろの式典風景も変わるだろう」と言う。「これまで違和感を感じる生徒もいたはずで、その気持ちにも思いを巡らせた」
■偏見知り、進む学び
 ある高校を取材した時のこと。家事分担をめぐり険悪になっている、保育士とトラック運転手の夫婦に助言を――。課題に取り組む生徒たちに先生が「ちなみに夫が保育士、妻が運転手だよ」と伝えると、「マジか!」と声が上がった。思い込みに気づいた瞬間の輝くような表情が印象的だった。無意識の偏見に気づくことは様々な学びの基礎になる。ジェンダーは格好の材料だと思う。

*5-3:https://digital.asahi.com/articles/DA3S13918841.html (朝日新聞 2019年3月5日) (Dear Girls)下げられた女性のスタートライン 医学部生、差別体験
 入試面接で「出産したらどうやって育てていくのか」と聞かれた。女子は外科に興味がないだろうからと、手術を見学させてもらえなかった――。複数の医学部入試で女子受験生が不利な扱いを受けていた問題を受け、医学生の団体が行ったアンケートには、性別を理由に差別された体験が多く寄せられた。男女のスタートラインは、女性に対する「減点」や「女性だから」という決めつけによって、一直線ではなくなっている。不正入試問題の発覚から半年あまり。現役医学部生からも、変革を求める動きが活発になっている。全日本医学生自治会連合(医学連)は先月、全国の医学生を対象にしたアンケートの中間集計と提言をまとめた。不正入試問題の受け止めや、入試や大学で性差別を受けた体験を尋ねる内容で、昨年12月から今月末まで実施中。2月1日時点で2186人(男性57・5%、女性40・7%、性別無回答1・8%)が答えた。入試に関しては「医師という職業に就く権利は最大限尊重されるべきであり、医師の多様性は社会の要請するところだと考える」(男性、3年)などの回答があった。入試の面接で、結婚や出産などに関する質問を受けた人は14%。主に女性から「妊娠はあなたにとってメリットかデメリットか」(2年)といった質問を受けた経験談が寄せられた。入学後も「『女子は外科に興味が無いだろ』と言われ、手術見学の機会を与えられなかったことがあった」(5年)など、性別を理由に学ぶ機会を奪われたという声もあったという。不正入試の背景として、医師の過重労働の問題が指摘されていることに関しては、約7割が「将来の働き方を不安に思っている」と答えた。医学連は調査結果を踏まえ、大学や自治体、病院に対して、性別・年齢を理由にした不公正な扱いを禁止することや、医師の労働環境の改善、医師の多様性を確保することなどを求める提言をまとめた。一方、先月27日、東京・永田町では、医療系学生団体「入試差別をなくそう!学生緊急アピール」の集会が開かれた。あいさつに立った医学部3年の女子学生は「受験生の時から疑問だったことが、やっと公になった。行動し、社会で問題を共有したい」と訴えた。団体は、問題発覚後の文部科学省の対応は不十分だとし、完全な差別撤廃などを求めている。
■「生きにくそう」海外志望も
 「在学中に感じていた違和感は、気のせいではなかったんだ」。20代の女性医師は昨年、医学部の不正入試問題が発覚したとき、そう思ったという。文科省の調査で、出身大学でも男女の合格率に差があったことがわかった。在学中、複数の教授らがこう発言しているのを耳にした。「最近、女子学生が増えてきて大変なんだよね、『調整』が」。めざす医師像を語っても、担当教授に「今はそう言っていても、女医さんは家庭をもったら考えが変わっちゃうから」と返された。女性は「入試でも、入学後も、医師になってからも、女性というだけで結婚・出産とひもづけられ、マイナスとみなされる。世の中の半分の人の道を閉ざすような仕組みを、残していいはずがない」と憤る。「それでも」と、女性は付け加えた。「医師の仕事にはやりがいを感じているし、経済的にも自立できる。海外で学ぶ手だってある。医師になりたい女の子たちは、どうかあきらめないでほしい」。実際、海外で医学を学ぶ女子学生もいる。千葉県出身の吉田いづみさん(24)は、2013年にハンガリーへ渡った。現在、医大4年生。留学を考えている日本の女子高校生から相談が寄せられることもある。なかには「日本だと、女子の自分は医学部への入学が難しいのではないか」という声もあるという。海外の医大を志望する都立高校1年の女子生徒(16)も「日本の医学部だと、『女子はこの診療科』と言われることがあると聞く。生きにくそう」と話す。
■浪人・地方…受験前にも壁
 18年度の学校基本調査によると、医学科の入学志願者の男女比は6:4。差があるのは、女子がそもそも受験に至る前にあきらめてしまっている面もあるのではないか。都内で医師の夫と、3人の子を育てる消化器外科医で漫画家の「さーたり」さん(41)は、そう思う。周囲には、「女の子なんだから」に続く言葉があふれていた。「多浪は恥ずかしい」「薬学部も受けておいたら?」「体力ないよね」。こうした風潮が、「女性のスタートラインを下げることにつながってきた」と感じている。「機会の不平等は医学部入試に限らない」。ジェンダー論が専門の瀬地山角(かく)・東大教授はそう話す。英国の教育専門誌タイムズ・ハイヤー・エデュケーション(THE)の世界大学ランキング2019によると、米ハーバード大の男女比は52:48で、中国・北京大も52:48とほぼ半々だ。選抜の仕方の違いはあるが、東大の資料(18年)によると、女子は24・3%。学部生に限ると19・5%に落ち込む。同様の傾向は京大や阪大にもあり、THEによると、男女比はそれぞれ76:24、69:31だ。東大は女子学生を歓迎するというメッセージを強く打ち出すために、17年度から女子学生向け家賃補助制度を始めた。「研究や教育の更なる向上のため、多様な学生が活躍するよう支援したい」という。ただ、なかなか「成果」は出ない。学部生に占める女子の割合は09年も19・0%で、横ばいで推移する。瀬地山教授によると、東大の合格者と受験生の男女比はほぼ同じ。「理系に進む女子が少ないのは一因だが、それだけではない。受験というスタートラインにすら立てない女子がいる」と指摘する。北日本の国立大の女性教授は「地方に優秀な女子が残る傾向にある」と打ち明ける。「経済状況が悪くなると、なかなか東京に子どもを出せなくなる。息子と娘がいて『1人だけなら出せる』となると、息子を行かせる傾向がある」。東大の瀬地山教授は言う。「地方出身、浪人の二つの属性を持つ女子は、東大では極めて少なくなる。社会は、自分の能力の限界まで努力する自由が制限されるのは深刻な差別だと認識し、女子をディスカレッジ(やる気をそぐ)しないでほしい」

<男女別学の公立・私立高校>
*6-1:https://mikata.shingaku.mynavi.jp/article/22791/ (進路のミカタ 2016.6.23) 栃木はなぜ公立校の男女別学が多い?
 公立高校といえば共学のイメージですが、北関東には男女別学の公立高校がまだ残っています。埼玉県に16校、群馬県に17校、栃木県に11校の別学校があるそう(2015年次のデータ)。この3県の教育委員会が、いまだに別学を存続させているのは、なぜでしょうか?まず、男女別学・共学のメリットをそれぞれ整理してみましょう。この記事をまとめると
○別学のメリットがわかる
○共学以外に併学というシステムもある
○栃木県にはいまだに公立校の別学が残っている
●男女別学の特色
 男女別学の強みは、男女それぞれの違いに応じた指導を受けられること。別学は勉強に集中しやすい環境と言えるでしょう。2012年のPISA(生徒の学習到達度調査)を見ると、読解力・数学的リテラシー・科学的リテラシーすべての面において、男女の得点に差があるのです。数学的リテラシーと科学的リテラシーにおいては男子の方が得点高い一方、読解力においては女子の方が得点高いことが明らかに。やはり、男子は女子に比べて生まれつき脳の空間認知中枢が大きいけれど、言語中枢が小さいため言語能力の発達が遅いという特徴を表していますね。このように、男女の違いを活かした教育ができるのが、男女別学なのです。男女別学のメリットを挙げてみると……
・男女の違いに応じた教育ができる
・異性の目を気にすることなく伸び伸びとできる
・男子任せになったり女子任せにすることがないので、バランスよくいろんなことに挑戦できる
などがあります。
ただ、高校生といえば、学校で異性とおしゃべりするのも楽しみな年ごろではあります。実際に、別学の高校だと異性と出会うチャンスは、ほとんどありません。文化祭だけが他校の異性と交流できるチャンス!と思わず力が入ってしまう学生も多いのでは? もちろん出会いは共学に比べたら圧倒的に少ないですが、それでも異性がいない気楽さや、同性ならではの団結力は魅力の一つと言えるでしょう。
●共学の特色
 一方、共学の特色を挙げて見ると……
・男女問わず友だちがたくさんできる
・学園祭や運動会が盛り上がる
・恋愛のチャンスも多い
勉強面でも、男女が共に机を並べることで、刺激し合えることもあります。別学出身の人は、いまだに共学に憧れるという声は少なくありません。一方で、恋愛に夢中になり、学業や部活がおろそかになってしまうケースもあるようです。同級生だけでなく、先輩の男子と付き合うこともあるとか。そして、別学と共学のいいところをミックスしたのが、「併学」というスタイルです。東京や神奈川にある私立のある学校3校では、校舎やクラスなどは男女別々、行事やクラブ活動を男女合同で行うことで、学習面では男女それぞれの個性を伸ばしクラブ活動では互いに刺激し合うことができます。実際に、その私学の学校は3校とも、「文部両道」の私学として全国的にも知られています。
●北関東の公立高校には男女別学が多い?
 別学、共学そして併学の特色を挙げてみましたが、実際のところほとんどの公立高校は共学で、別学か共学かという選択肢がないのが現状です。ほとんどの公立高校が共学になったのは、こんな時代背景があります。戦後新たな民主主義教育が導入されたことで、公立中学校はすべて共学になり、公立高校も北関東から東北エリアの一部を除いてほとんどが共学に。そして1970年代には、別学校が多かった東北地方や中部地方でも、共学校への移行や共学校を新設する動きが多かったようです。これは、男女共学の高校を増やすことが目的でした。男女差別撤廃条約が批准された1980年代には、さらにこの動きが加速し、1989年3月には学習指導要領が改訂され、家庭科が1994年度から男女共修になっています。こうした時代の流れで、別学はどんどん減少していく一方。それにも関わらず、北関東の埼玉県・群馬県・栃木県の3県では、別学校の共学化が議論されたことはあっても、存続されているのです。なぜかというと、北関東に残っている男女別学は、もともとは旧制中学校・高等女学校を前身とする伝統ある高校だったこともあり、歴史を重んじるという意味でも、別学を残したかったのです。特に栃木県においては、県政世論調査によると、8割近くの生徒・保護者や6割の県民が共学校と別学校の共存を望んでいることがわかります。栃木県民が、男女別学に関心があることは、ツイッターでも明らかになりました。2015年地元の新聞(下野新聞)ホームページ「SOON」のツイッターで、編集部が「全国でも屈指の『別学県』である栃木県。時代の流れか、それとも『伝統』か」と意見を求めたところ、これまでにない盛り上がりを見せ、「維持」60%、「原則禁止」26%、「分からない・その他」14%という結果になっています。栃木県民は、男女別学への想いが人一倍あることが、一目瞭然と言えるでしょう。北関東に別学が残っていたのは、偶然ではなく、きちんと意味があるのですね。地域の歴史を勉強すると、さまざまな発見があります。歴史を知ることで、より自分が住んでいるところに興味を持てるようになるかもしれません。自分が住んでいる地域に興味がある方は、地域の歴史を学んでみてはいかがでしょう。

*6-2-1:http://www.urawa-h.spec.ed.jp/index.php?page_id=189 (浦和高等学校校歌)
一、 校舎の礎動きなき       我が武蔵野の鹿島台
    朝に望む富士の嶺の      雪千秋の色清く
   夕にうたふ荒川の        水万歳の声高し
二、 将来国家に望みある       一千有余の学生が
   守る倹素と廉潔の          美風示して春ごとに
   大和心の香も深く         匂ふや庭の桜花
三、 花あり実ある丈夫が        堅忍不抜の精神を
   川ゆく水の末絶えず        高嶺の雪と磨きつつ
   雲井に続く武蔵野の         広き宇内に雄飛せん

*6-2-2:http://www.geocities.jp/musichall_8888/kouka.html (浦和第一女子高等学校校歌)
一  アカシアはもえ さみどりの           二  流れたゆとう 荒川の
   広き野をとぶ 綿雲に               朝もやをつく せきれいの
   望みはわきて かぎりなく             うたごえひびく たまゆらも
   わが胸にあふる                  清らかな空に
   思いみよ 心ひそめて               乙女子のゆめは はてなし
   ここに三年の春秋を                ここに三年の青春を
   えらばれてすごす よろこび            えらばれて 誇るさいわい
   ああ 浦和第一女子高校              ああ 浦和第一女子高校
三  夕月匂う つくばねを             四  枯葉とび散る 木枯しに
   はるかにあおぐ ひとときも            山脈 雪をかつぐとき
   瞳をあげて 祈らまし               日ざしはとおる おおらかさ
   あつき心に                    生命もあらたに
   花ひらく 遠きみらいを              まごころをこめて いそしめ
   ここに三年を学び舎に               ここに三年の御教えを
   えらばれて集う さだめを              えらばれて うけるたのしさ
   ああ 浦和第一女子高校               ああ 浦和第一女子高校

*6-3:http://cms.saga-ed.jp/hp/karatsuhigashikoukou/home/template/html/htmlView.do?MENU_ID=18744 唐津東高等学校・唐津東中学校校歌(併設型中高一貫校)
           「天日かがやき」(昭和二十五年)
                           下村湖人作詞 諸井三郎作曲
一. 天日かがやき大地は匂ひ        二. はてなく廣ごる眞理の海に
    潮風平和を奏づる郷に            抜手を切りつつ浪また浪を
   息づくわれらは松浦の浜の           こえ行くわれらは松浦の浜の
    光の学徒                  力の学徒
   光 光 光の学徒              力 力 力の学徒
三. 平和と眞理に生命を享けて       四.われらの理想は祖国の理想
    久遠の花咲く文化の園を          祖国の理想は世界の理想
   耕すわれらは松浦の浜の           理想を見つめて日毎に進む
    希望の学徒                われらは学徒
   希望 希望 希望の学徒           光 力 希望の学徒

<女性の政治参画について>
PS(2019年3月26日追加):*7に、「①朝日新聞社が2007~18年の47都道府県議選を4年ずつ1~3期に分けて分析したところ、1人区では無投票が35%から49%に広がっていた」「②候補者の中で女性が占める割合は1~3期いずれも11~12%と低い」「③特に1人区で女性候補者が少なく、3期とも6~7%」「④当選者の中での女性の割合も、1人区は3%→2%→2%と極めて低く、3期はわずか8人だった」と記載している。
 私は、佐賀三区を地元として、2005~2009年の間、自民党衆議院議員をしていたので理由がわかるのだが、①は、確かに無投票は有権者の選択機会を奪うため望ましくないが、メディアが権力と闘っている姿を演出するために薄っぺらな理由で議員を叩きすぎるので、仕事と比較して議員が尊敬されず、4年毎に選挙があるため安定しないのに報酬は低く、勤め人から議員になると損失の多いことが、まず男女共通の問題である。さらに、②③④の女性については、1人区なら男性を出して地元に強く利益誘導して欲しいという住民の願いから女性の当選率は男性より低くなり、既に男性の現職県議がいる場合は現職有利で公認されるため女性が公認されず、女性が候補者になると良妻賢母をよしとする人から「でしゃばり」「目立ちたがり」「性格が悪い」等々の罵詈雑言を浴びせられ、その結果、家族にも迷惑をかけることになるからで、つまりメディアはじめ有権者(男女とも)も女性に対して差別意識を持っているからである。

*7:https://digital.asahi.com/articles/DA3S13949873.html (朝日新聞 2019年3月26日) 無投票が半数/女性当選わずか 都道府県議選1人区、課題の山 統一地方選
 朝日新聞社が2007~18年の47都道府県議選を4年ずつ1~3期に分けて分析したところ、無投票の選挙区が1期(07~10年)の24%から、3期(15~18年)には32%に増え、なかでも1人しか当選しない1人区では無投票が35%から49%に広がっていた。1人区では、女性当選者が極端に少ない状態も続いている。1人区を見直す必要性を指摘する専門家もいる。
■07~18年分析
 1期と3期を比べると、全国の総定数は98減って2686に、総候補者数は252人減って3922人に。無投票の選挙区は、275から356に増えた。県議選は選挙区ごとに定数が決められており、1人区が全体の4割を占める。その1人区では、1期から3期にかけて無投票が166選挙区(1人区の35%)→179(同39%)→212(同49%)と急増。3割ある2人区でも、無投票は23%→25%→32%と拡大した。29日告示の統一地方選道府県議選でも、神奈川(前回11)や埼玉(前回9)などで増え、全国の無投票選挙区は過去最多だった前回を超えそうな情勢だ。候補者の中で女性が占める割合は1~3期いずれも11~12%と低い。特に1人区で女性候補者が少なく、3期とも6~7%。当選者の中での女性の割合も、1人区は3%→2%→2%と極めて低く、3期はわずか8人だった。1人区は複数が当選する中選挙区・大選挙区に比べ、「死票」も多くなり、得票率と議席占有率にズレが生まれる場合もある。3期の愛知では、選挙戦になった1人区12選挙区で、自民の得票率が49%だったが、自民の議席占有率は75%。1人区が多い埼玉でも得票率50%に対し、占有率は70%だった。
■「選択機会奪う」
 地方選挙に詳しい関西大・名取良太教授(現代政治分析)の話 無投票は有権者の選択機会を奪い、政治的関心を低下させるので望ましくない。抜本的な対策ではないものの、選挙区の区割りを変えて1、2人区を減らせば無投票は減るだろう。ただし制度だけの改革でなく、無投票を減らすには自民に対抗できる政党の存在が必要だろう。

<女性の登用について>
PS(2019年3月27日追加):*8は、見えない壁ではなく明確に見えている壁であり、その内容は1985年に制定された最初の男女雇用機会均等法で努力義務を課し、1997年の改正で禁止した女性差別そのものである(https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11902000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Koyoukintouseisakuka/0000087683.pdf 参照)。
 そのため、現在もそのような女性差別が続いているのなら、その地域は日本の先端より35年も遅れていることになるが、世帯の貧しさは女性が相応の給料で働かなければ改善せず、地域の貧しさも女性を教育して質のよい労働力を多く作らなければ改善できないため、早急に変える必要があることは明白だ。また、男女が結婚相手を選ぶ基準も、時代とともに変わる。
 なお、*9については、私も「女性の地位向上は今一つ」「強く印象に残ったのは東日本大震災と福島第1原発事故」「好きな歌謡曲は『世界に一つだけの花』」「平成は戦争のない良い時代だった」と思うし、「ネットは悪事に使う人もいるが、生活や社会を便利な方に一変させる効果があった」と考える。

*8:https://digital.asahi.com/articles/DA3S13953008.html?iref=pc_ss_date (朝日新聞 2019年3月27日) 女性ゼロ、市議も管理職も 出る杭打たれる風土 鹿児島・垂水
 女性市議が一度も存在したことがないまちがある。鹿児島県垂水(たるみず)市。4月に行われる市議選では2人の女性が立候補を予定するが、見えない壁がそびえ立つ。意思決定の場に女性がいないという現実。そして、その背景にあるものは。2月の定例会の本会議場で、議長席と議員席に12人の男性が陣取った。答弁に備える市長、副市長、各課の課長の席も男性一色。全国1788地方議会のうち、「女性ゼロ議会」は339。その一つが垂水市議会で、1958年の市制施行以来、女性議員が誕生したことはない。市役所の管理職に女性が就いたこともない。市総務課によると、昨年4月現在の職員数は男性139人に対し、女性47人。管理職にあたる課長級以上の17人は全員男性だ。森山博之総務課長(60)は「結果的にそうなっているだけ」と話した。一方、15年以上勤める女性職員は「女性に管理職を任せる下地ができていないと感じる」と言う。その象徴とみるのが、「総財企」と呼ばれる総務、財政、企画政策の3課の人事だ。この3課は市政の中枢を担い、職員数も多いが、係長級には男性が就くのが常。この女性職員は「部下の多い重要ポストに配属して育てないと、管理職も見えてこない」と漏らす。内閣府の2017年調査によると、鹿児島県の43市町村のうち、課長級以上の女性職員がいないのは、3割弱の12市町村。市区町村の管理職に占める女性比率も、鹿児島県は7・8%で、7・3%の愛媛県に次ぐ全国ワースト2だ。来月1日付の人事で、垂水市役所初の女性課長が誕生することが決まったが、変革は簡単ではない。民間での管理職経験がある市内の女性は「会社で男性社員が女性の上司に指示されると落ち込んで辞める、ということも目にしてきた」と証言する。「女性が上に立ちにくい。出る杭は打たれる風土が残っている」
■進学率、男子と開き
 女性の政治進出を阻む壁の一つが、「女性は教育水準が低いという意識」(県内の女性市議)。その根っこには、性別で教育投資が左右される現実がある。鹿児島市の女性公務員(24)は学生時代、九州大理学部を目指した。前期試験は不合格。後期は親に黙って熊本大を受験。合格を聞いた母に入学を猛反対され、地元の短大に進んだ。悔しい思いは今も残る。県内の20代の女性公務員は「女だから」「県内で就職するなら有利」と両親に言われ、短大を出た。弟は県外の4年制に通った。「女子は短大でいい、という風潮を感じる」。文部科学省の「学校基本調査」をもとに18年度の都道府県別進学率(浪人を含む)を算出すると、鹿児島県の4年制進学率は男子が43・4%で全国35位なのに対し、女子は34・1%(全国平均50・1%)で最下位。だが、女子の短大進学率は15・1%(同8・3%)で1位だ。県内で約20年短大講師をしている50代の男性は「優秀な旦那さんと結婚し、次世代を担う子を育てるという女性の役割は大きい。学生にもその思いを伝えている」と持論を述べた。鹿児島国際大の山田晋名誉教授(ジェンダー論)は、1人当たり県民所得が全国44位(15年度)という経済的な厳しさと男性優先の社会の二つが、「男女に能力差がある」との固定観念を生む「負の両輪」だと指摘。「希望する進学を妨げられて女性が負うハンデが、学歴に対する偏見と相まって、女性議員の誕生も阻んでいる」

*9:http://qbiz.jp/article/150916/1/ (西日本新聞 2019年3月27日) 平成は「良い時代」7割超が評価 女性の地位は低評価、世論調査で
 天皇代替わりに伴って、間もなく幕を閉じる平成の時代に関する郵送世論調査(3千人対象)の結果、「どちらかといえば」を含め、73%が「良い時代」と評価していることが分かった。57%が他者に対し「不寛容になった」と回答。女性の地位については「ほとんど向上していない」「まだ不十分」を合わせると86%を占めた。調査は共同通信社が2〜3月に実施した。経済が停滞し、大災害が相次いだが、戦争のない平和な時代であり、多くの人が日々の暮らしに一定の充足を感じていたといえそうだ。一方でインターネットを中心に、弱者への攻撃や排外主義的な主張が勢いを増している世相を懸念する姿も浮かぶ。強く印象に残る国内ニュース(三つまで)は、「東日本大震災と東京電力福島第1原発事故」が70%で最も多く、「オウム真理教事件」50%、「阪神大震災」40%が続いた。国際ニュースは「米中枢同時テロ(9・11テロ)」が44%でトップだった。業績を評価する歴代首相(3人まで)は、「自民党をぶっ壊す」と訴えて国民を熱狂させた小泉純一郎氏が77%の支持を得た。現首相の安倍晋三氏が38%、消費税導入を断行した竹下登氏が22%だった。平成を代表するスポーツ選手(3人まで自由回答)は、米大リーグで数々の記録を打ち立てたイチロー元選手が1位。フィギュアスケートの羽生結弦選手と浅田真央元選手が2位と3位で続いた。芸能分野では、2016年末に解散した国民的アイドルグループ「SMAP」が1位。代表曲の「世界に一つだけの花」は、好きな歌謡曲でも圧倒的に支持されてのトップだった。ネットの普及が生活や社会を一変させたことについては、「良かった」41%、「どちらかといえば良かった」45%で肯定的な意見が優勢だった。

| 男女平等::2019.3~ | 04:41 PM | comments (x) | trackback (x) |
2018.11.5 日本の女性差別と世界の状況 (2018年11月6、7、8、9、10、11、28日、12月1、3日に追加あり)
   
  2018.10.29BBC   2018.3.3     2017.10.12      2018.1.4   
             西日本新聞     中日新聞       東京新聞

(図の説明:女性議員割合は、2017年に日本は世界の中で158位と非常に低い。また、候補者のうち当選した人の割合が1/5程度と少ない理由は、与党であり当選者数の多い自民党の女性候補者が7.5%しかいないことが大きいだろう)

(1)女性政治家への評価と日本メディア独特の女性蔑視
1)メルケル独首相について
 10月28日のドイツ地方選挙で大敗したCDUを率いるメルケル独首相は、*1-1のように、首相としての地位を当面は維持するものの、2021年の任期満了で首相の職を退くと記者会見で発表されたそうだ。選挙で大敗した理由は、*1-2のように、移民・難民受入政策について政権内でも対立したり、ドイツの移民・難民流入抑制に対してEU加盟各国から反発の声が上がったりなど、多くの移民・難民を受け入れた後で困難な状況に遭遇したからで、人道的に対応したのに気の毒である。

 ただ、EUの場合は、移民・難民を労働力として活かさず施設で養い続ける政策を選択したため、移民・難民が国民負担になってしまった点が不幸だ。私は、移民・難民を施設で養うのではなく、人手が足りない分野に労働力として振り向ければ、移民・難民も生産するため国民の反発が少なかったと思う。例えば、移民・難民に施設での生活費を支給するよりヨーロッパの街を再生する事業に支出して、移民・難民にそこで働いてもらうような方法である。

 そのほか、メルケル独首相は、フクイチ事故を見てドイツを脱原発・自然エネルギーに導くなど、彼女にしかできない意思決定を速やかに行った。私は、このような人は滅多に出ないため、メルケル独首相の2021年引退宣言は本当に残念だと思う。

 しかし、メルケル独首相の場合は、女性だからといってその人格に独特のいちゃもんをつけられたのではなく、政策の相違が選挙結果に繋がったのであるため、これは女性政治家に対する評価に女性差別があったのではないと言える。

2)日本メディアの女性政治家に対する「いちゃもん」は女性蔑視を含むこと
 片山参議院議員が地方創生大臣になった途端に、*1-3のように、週刊文春が『口利き疑惑』を報道した。これは安倍首相のモリカケ問題と同じ路線だが、どちらも政治家の政策ではなく、細かいことで人格を否定する記事になっている点が同じであり、メディアがこれでは、日本に本当の民主主義は育たない。

 また、国会議員事務所は一般企業とは異なり、秘書や後援会員が必ず議員の承認を受けて行動しているわけではないため、議員が責任をとらないからと言って「トカゲの尻尾きり」と決めつけることはできない。にもかかわらず、「上が辞めなければならない」とするのは、組織における権限と責任の関係を無視した日本独特の誤った論理だ。私の場合は、公認会計士・税理士としての経験が長かったため、重要性のあるもの(細かいものまで見る暇などはない)には必ず目を通すようにしていたが、それでも秘書等には「うるさい」と不評だった。

 さらに、週刊新潮も、*1-4のように、「片山大臣は、むしゃくしゃすると秘書に怒号を浴びせかけ、それと同時にペットボトル・ノート・ハサミまで投げつけ、事務所に置いてある段ボールを腹立ちまぎれにハイヒールで蹴りつけるために穴だらけなど、数々のパワハラ伝説を持つ」と書いているが、これらは伝説にすぎない上、男性議員だったらいちいち取り上げないことではないのか? また、「口利き疑惑」も、片山大臣は、最初は聞いていなかったが、金属加工会社の社長に言われて、あわててフォローしたように見える。

 なお、*1-5のように、片山大臣は「セクシュアルハラスメントを根絶すべく、私の今の立場から全面的に発信をしてまいりたい」と宣言されたそうで、それはよいと思う。あまりおしゃれでないロングドレスをあわてて買う必要はなく、スーツや着物でよかったとは思うが、“セクシュアルハラスメント”には、物理的に触る行為だけではなく、相手が嫌がることを繰り返し言う行為も入る。

 そのような中、キャリアのある女性がそれなりの地位につくと、「性格が悪い」「パワハラ」などと決まり文句で腐すのもセクシュアルハラスメントだ。「秘書の出入りが激しい」というのも、(私も言われたことがあるが)理由が雇用者である議員にあるとは限らない。さらに、本当に馬鹿ではないかと思われるようなミスをしながら、「バカ」と言われて怒るのは逆切れというものだ。日本のメディアは、「女性は何をされても、『よよ』と泣くだけでいなければ傲慢だ」とでも言うのだろうか。それでは、(私も含めて)メルケル首相のような政治家やリーダーは、日本では出ることができない。

 片山大臣は、財務省出身であるためか生活保護者等への給付などを切ることを主張することが多いので厚労大臣には適さないと思うが、自民党の再生可能エネルギー普及拡大委員会委員長を勤めたり、衆議院議員時代は静岡県が地元で農漁業にも理解があったりするため、地方創成大臣には向いているのではないかというのが、私の正直な感想だ。

(2)あからさまな差別があるのが、現在の日本のレベルであること

     
   日本と世界のジェンダー比較       日本のジェンダーギャップ指数推移

(図の説明:日本では、世界と比較して上に行くほど女性の割合が低くなり、採用・昇進において女性差別があることは明らかだ。また、医師に女性が占める割合も日本は世界と比較して低いが、女性が多くなればそれなりの手法が開発されるので問題ないのではないかと思われる。ただ、日本では、診療報酬の引下げ圧力が強いためスタッフ数を増やせず、医師の私生活の犠牲の上に診療が成り立っている側面もある)

 「3人以上出産を」と新婚夫婦に呼び掛けていた自民党長崎県連の会長に抗議した長崎県の女性県議が、*2-1のように、県連の広報副委員長と政務調査副会長から外されたそうだ。女性が女性差別について抗議すると不利益を蒙るのはよくあることだが、このようなことこそ、一般市民はメディアを通して監視しておかなければならない。

 また、文科省が全国81大学の過去6年間の平均を調査したところ、女性は出産などの家庭責任が大きいため、*2-2のように、男子の医学部合格率が女子の1.2倍だったそうだ。受験する時に既に成績で絞られているため、*2-3のように、医学部の合格率に男女差があるのはむしろ不自然だが、大学は「成績の差」として調整を否定しており、「女性差別ではなく、実力の差だ」と主張するのもよくあることである。

 しかし、受験時にさえ女性差別する大学に入ると就労後の女性差別はさらに大きいため、女性の受験者は、*2-3の一覧表の1前後もしくはそれ以下の大学を選んだらよいのではないか?何故なら、それらの大学のレベルが低いわけでは決してないことがわかるからである。

 なお、大学入試ではなく、役所や一般企業への就職・昇進でも男女雇用機会均等法が定められ、女性差別は禁止されている。しかし、現在は、あからさまな差別しか問題にしない傾向があり、議員選挙も同じだが、女性に対しては男性なら問題にしないような変な批判を行って人望を落とす巧妙に隠された頑固な女性差別がある。そのため、ここもしっかり調査すべきだ。
 
<日本メディアの女性蔑視>
*1-1:https://www.bbc.com/japanese/46018679 (BBC 2018年10月29日) メルケル独首相、2021年に首相退任と表明 地方選連敗で
 28日の独地方選で大敗を喫したキリスト教民主同盟(CDU)を率いるアンゲラ・メルケル独首相が29日、2021年の任期満了をもって首相の職を退くと記者会見で発表した。今年12月の党首選に出馬しない意向も明らかにした。「任期を終えた後は、いかなる政治ポストも求めない」と、メルケル首相は記者会見で言明した。さらに、ヘッセン州やバイエルン州でCDUや提携政党が連敗したことについて、「全面的な責任」を負うと述べた。記者会見に先立ち独メディアは、首相が党首再選を目指さない意向を党指導部に伝えたと報道していた。メルケル氏は2000年にCDU党首となり、2005年以降、ドイツ首相を務めてきた。CDUは28日、中部ヘッセン州の州議会選挙で、連立与党を形成する社会民主党(SPD)と共に得票率を大きく落とした。14日に行われた南部バイエルン州の州議会選挙でも、メ連立与党を組むキリスト教社会同盟(CSU)が大敗した。相次ぐ地方選での敗北に、連立は崩壊目前とされている。独報道や消息筋によると、メルケル首相はCDU党首は再選を目指さない方針ながら、独首相には留まる意向で、これまで与党党首と首相の職は一対と主張してきた自分の主張と異なる。BBCのベルリン特派員、ジェニー・ヒル記者は、連立与党にとって危機的な状況が今年は続いているが、政治家メルケル氏はこれまでも多くの政治的難局を生き延びてきたと指摘。それだけに、ひとまずは党首の座を降りることでCDU内の批判の声を鎮め、首相としての地位を当面は維持することになるかもしれないという。ドイツでは、中道派の主要党がいずれも有権者の支持を失い、反移民を掲げる極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」と、左派「緑の党」がそれぞれ全国的に支持を伸ばしている。

*1-2:http://www.afpbb.com/articles/-/3181103 (AFP 2018年7月4日) ドイツの移民政策転換、国内外から批判 EU諸国に連鎖の可能性
 ドイツのアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相が、脆弱(ぜいじゃく)な連立政権を救うための窮地の策として、移民の国内流入抑制に同意したことを受け、欧州連合(EU)加盟各国は3日、相次いで反発の声を上げた。ドイツの方針転換により、欧州諸国が難民の受け入れを次々と拒否するドミノ現象が起きる可能性がある。メルケル首相は、移民問題をめぐり反旗を翻したホルスト・ゼーホーファー(Horst Seehofer)内相と前夜に緊急協議に臨み、国境管理の強化と、対オーストリア国境に移民を一時的に収容する施設「トランジット・センター」を設置することで合意。自身のリベラルな難民政策を事実上撤回することで、ゼーホーファー内相の反乱を抑え込んだ。だが、この合意に対しては、近隣諸国からの批判に加え、メルケル氏のキリスト教民主同盟(CDU)とゼーホーファー氏のキリスト教社会同盟(CSU)と共に連立政権を構成する社会民主党(SPD)も直ちに反発した。オーストリアは、南側の対イタリアおよびスロベニア国境を「守る措置を講じる構えがある」との方針を表明。イタリアは、「解決につながらない誤った態度」を選んだとしてドイツを批判するとともに、EU全体で連携を図り移民の流入に歯止めをかけるとした先週の合意に逆行する恐れがあると警鐘を鳴らした。EU加盟国に課された移民受け入れの割り当てを真っ向から拒否してきたチェコのアンドレイ・バビシュ(Andrej Babis)首相は、これを好機とばかりに、移民の流入が続くイタリアやギリシャは国境を閉鎖すべきだと呼び掛けた。またSPDのラルフ・シュテグナー(Ralf Stegner)副党首はトランジット・センターに異議を唱え、「難民の家族らを防護フェンスの中に入れたくはない」とツイッター(Twitter)に投稿。さらに他の党も、今回の合意はドイツの難民歓迎姿勢への裏切りだと指摘している。

*1-3:https://news.nifty.com/article/domestic/government/12104-114908/ (Niftynews 2018年10月30日) 片山さつき地方創生相の『口利き疑惑』を週刊文春が報道 秘書が全責任をとる可能性
①安倍改造内閣の目玉である片山さつき地方創生相の『口利き疑惑』を週刊文春が報じた
②片山さつき氏は疑惑を否定し、発行元の文藝春秋に1100万円の損害賠償を求めて提訴した
③片山さつき氏の秘書が全責任をとる公算らしく、トカゲの尻尾きりとの声もでている
 安倍改造内閣の目玉人事と目された片山さつき地方創生相。ところがフタをあければいきなりの「口利き疑惑」が発覚したのだ!キッカケは10月18日発売の週刊文春で、国税庁への口利き疑惑が報じられたこと。政治部記者が解説する。「2015年に片山氏の私設秘書が会社経営者から確定申告を巡る相談をされ、100万円を受け取った後に片山氏が国税庁関係者に電話を掛けたというのが記事の内容。報道後、片山氏は記者団に『口利きしたことはなく、100万円を受け取ったことも全くない』と話し、秘書に責任を押しつけて幕引きをはかろうとしています」。口利き疑惑報道を否定した片山氏は、名誉を傷つけられたとして、発行元の文藝春秋に1100万円の損害賠償を求めて提訴。このまま時間の引き延ばしで、初入閣で得たポストにしがみつく作戦だ。しかも秘書は、このまま全責任をとる公算が高い。つまり「トカゲの尻尾きり」で政治家は知らぬ存ぜぬを貫こうとしているのである。だがこれは永田町ではごくごく日常的な光景だ。そうした実態に秘書たちが立ち上がり「ブラック業務」ぶりを10月30日発売のアサヒ芸能11月8日号でぶちまけている。ブラック企業も真っ青のあくどい実態の全貌とは──。

*1-4:https://www.dailyshincho.jp/article/2018/10310558/?all=1 (週刊新潮 2018年11月1日)片山さつき地方創生相にもう一つの財務省「口利き疑惑」 パチンコ業者めぐり
 「紅一点」が「汚点」になってしまいそうである。安倍改造内閣で、ただ1人抜擢された女性閣僚が、片山さつき地方創生大臣(59)だった。ところが、パワハラ伝説に続き、「口利き疑惑」が浮上。早くも、「辞任第1号」になるのではないかともっぱらなのだ。むしゃくしゃすると、秘書に怒号を浴びせかけ、それと同時に、手元にあるペットボトルやノートばかりか、ハサミまで投げつけてくる。そのうえ、事務所に置いてある段ボールは腹立ちまぎれにハイヒールで蹴りつけるために穴だらけ。数々のパワハラ伝説を持つ片山大臣だが、ここに来て、あらたな問題が取り沙汰されている。政治部デスクによれば、「週刊文春の報道によって、片山さんの国税当局への“口利き疑惑”が発覚しました。2015年、長野市の金属加工会社に税務調査が入り、青色申告の承認が取り消されそうになった。記事ではX氏となっている、そこの社長が片山事務所に助けを求めたのです。そして、税理士でもある南村博二(なむらひろじ)という私設秘書を紹介されたのが、そもそもの始まりでした」。金属加工会社の社長は南村氏に言われるまま、着手金として100万円を支払った。しかし、それ以降、何の音沙汰もなかったという。「そのため、社長は振り込みから2カ月後、片山事務所を直接訪ねました。片山さんは最初、“南村から何も聞いてない”と憤然とした様子。でも、最終的には、社長の目の前で、管轄する関東信越国税局の局長に“口利き”電話をかけたというのです。そのときは、相手が電話に出なかったものの、のちに社長が税務署に行くと、同行した南村秘書に職員が“片山先生へ渡してほしい”と書類を手渡していたため、“口利き”を確信したそうです」(同)。しかしながら、結局、青色申告は取り消される結果に終わったのである。その一方、片山大臣は“口利き疑惑”を完全否定。「週刊文春」を名誉毀損で提訴し、あくまでも強気の構えだ。

*1-5:https://www.asagei.com/excerpt/113538 (朝日芸能 2018年10月7日) 「初入閣」片山さつき、早くも囁かれる“パワハラ失脚”の可能性!
 10月2日に発表された、第4次安倍改造内閣と自民党役員人事で、地方創生担当相として念願の初入閣を果たした片山さつき参院議員。翌3日の会見では「セクシュアルハラスメントを根絶すべく、私の今の立場から全面的に発信をしてまいりたい」と宣言した。今回、入閣できた女性議員は片山氏ただ1人。密着の記者に対し「慌ててロングドレス買ったわよ。女は私1人だから目立っちゃうわね」と発言。嬉々とした様子が伝わる。だが、有権者は冷ややかだった。ネット上では、3日の会見を受けて「セクシュアルハラスメントの根絶って地方創生の仕事なの?」と疑問を投げかける人や「内閣府職員はいつ片山大臣の本性が出てくるのかみんな戦々恐々。そのうちパワハラが炸裂しそう」「性的ハラスメントはもちろんだけど、パワハラも根絶を! あなたのパワハラも容易に想像できるから、それを十分踏まえてね」などという声が飛ぶなど、皮肉たっぷりだ。「東大法学部を卒業後、1982年に旧大蔵省に入省。在職中にフランス国立行政学院に留学し、女性初となる主計局主査。その後、主計局主計官などを歴任。05年の衆院選に自民党から出馬し初当選した片山氏はエリート意識が高い。秘書の出入りが激しいのも有名です。他人のミスに対し口から出るのは“あんたバカ?”だとか。政治部記者の間では、早くも失言で失脚の可能性もささやかれています」(社会部記者)。片山氏の場合、女性1人だから目立つのではなく、失言で悪目立ちせぬよう注意するべきだろう。

<あからさまな差別>
*2-1:http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201809/CK2018092302000125.html (東京新聞 2018年9月23日) 自民長崎「3人以上出産を」県連会長発言巡り 抗議の女性県議、役職再任されず
 自民党長崎県連は二十二日、長崎市内で常任総務会を開き、同党の江真奈美県議が五月に共産党県議らと一緒に記者会見を開いたことを問題視し、県連の広報副委員長と政務調査副会長に再任しないことを決めた。江氏は会見で、新婚夫婦に三人以上の出産を呼び掛けているとの発言をした県連会長の加藤寛治衆院議員(長崎2区)に苦言を呈していた。県連関係者によると、県連内部では「加藤会長に苦言を呈した江氏への事実上の処分」との声が出ているという。江氏は記者会見で、当時の民進と共産両党の女性県議と「結婚・出産は個人の自由意思」などとする抗議声明を出した。

*2-2:https://digital.asahi.com/articles/DA3S13664893.html (朝日新聞 2018年9月5日) 男子合格率、女子の1.2倍 医学部、文科省が81大学調査 過去6年平均
 文部科学省は4日、医学部医学科がある全国81大学の入学者選抜を調べた結果、過去6年間の平均で男子受験生の医学科合格率が女子の約1・2倍だったと発表した。毎年、約6~7割の大学で男子の合格率が女子を上回っていた。文科省は今後、男女の合格率の違いの理由などについて大学側に説明を求めるという。調査は、文科省幹部が起訴された汚職事件に関連して、東京医科大が一部の受験生の点数を加算したり、女子や3浪以上の男子を一律に不利に扱っていたりしていたことが明らかになったことを受けて行われた。文科省がこうした調査をするのは初めてで、10月中に最終結果を公表する方針。文科省によると2013~18年度の入学者選抜で受験者に対する合格者の割合を調べたところ、男子は11・25%で、女子の9・55%の1・18倍だった。毎年、46~57大学で男子の合格率が女子より高く、全体の合格率で男子が女子を上回る傾向も毎年同じだった。文科省は今回、一般入試と推薦入試の内訳などは調べていない。東京女子医科大は調査に含んだが、防衛省が所管する防衛医科大は調査対象外だった。6年間すべてで入学者選抜を行った大学別にみると、女子と比べて男子の合格率が最も高かったのは順天堂大の1・67倍で、昭和大1・54倍、日本大1・49倍、九州大1・43倍と続いた。開学3年目の東北医科薬科大は1・54倍、東京医科大は1・29倍だった。一方、17大学は6年間の平均で女子の合格率が男子より高く、弘前大は女子の方が男子の1・34倍だった。年齢別では主に1浪が多い19歳の合格率が最も高く、20歳以上になると合格率が下がる傾向にあった。東京医科大を除く大学からいずれの点についても「不当に扱いの差をつけた」との回答はなかったという。17年度の学校基本調査で、志願者に対する入学者の割合を全学部学科でみると、女子は入学率が15・87%で、男子の13・15%の約1・21倍だった。理学系や工学系の多くの学部でも女子の入学率は男子より高いが、医学系は男子が女子の約1・11倍で、今回の調査結果と似た数値だった。

*2-3:https://digital.asahi.com/articles/DA3S13664877.html (朝日新聞 2018年9月5日) 医学部合格率、男女差「不自然」 大学側は調整否定「成績の差」
 全国の医学部医学科で、男子の合格率が女子の約1・2倍だったことが明らかになった。大学側は調整を否定するが、「不自然」との声は根強い。男女の合格率に差が生まれる背景には、男性を重視する医療現場の実態があると指摘する人もいる。文部科学省の調査結果の公表を受けて、各大学は口をそろえて調整を否定した。「1次試験(筆記)の合格者を見ると男性が女性より学力が高く、この傾向は2次試験(適性検査・小論文・面接)においても引き続きあらわれている」。6年間の平均で男子の合格率が女子の1・49倍だった日本大学の担当者はこのようにコメントし、男子受験生の方が学力が高いため、との立場を取った。大阪市立大の入試室の担当者も男女差が生じる理由の一つとして「数学と理科の配点が比較的高いことが考えられる」と話し、女子はこうした科目が不得意であることが影響していると示唆した。同大は6年間の平均で男子の合格率が女子の1・36倍で、年度によっては2倍だったが、「性別による調整はしていないので、入試の成績による差」という。国立大でも、男女差は出た。九州大は6年間の平均合格率は男子33・51%、女子23・48%で、各年度をみても3~16ポイント差があった。同大広報室は「男女の区分なく選抜しているため、特に男女別の分析はしていない」と話した。ただ専門家の間からは、大学側の説明に疑念の声が上がる。日本女性医療者連合理事の種部恭子医師が2016、17年度の全国の入試を調べたところ、医学部以外の学部では合格率に男女差がないか、女子の合格率の方が高かった。理学部や工学部なども同様で、種部医師は「数学や物理などの配点が高いのは同じで、医学部だけ女子の合格率が低いのはおかしい。不正の可能性を強くうかがわせる調査結果だ」と指摘する。文科省は今後、大学側に対してもさらに説明を求める方針。6年間の男子の合格率が女子の1・67倍で、最も差が大きかった順天堂大は「最終的な調査結果を待ってコメントする」としている。
■「面接で点数を低めに」 出産理由に敬遠か
 なぜ、女子のほうが合格率が低いのか。多くの関係者が指摘するのは、医学部の入試が、病院の勤務と密接に関連していることだ。公立大医学部で長年、入試を担当してきた男性はこれまで、私立大の入試担当者から「面接での点数を低めにするなどの方法で、意図的に女性の合格者をしぼっている」という話を何度も聞いた。多くの場合は「医師になってから出産などで休まれると、当直などを周りがカバーすることになり、ただでさえ忙しいのにさらに激務になる」などが理由だったという。入試で女子に不利な得点調整をしたことが明らかになった東京医科大の調査委員会は報告書で「女性は年齢を重ねると医師としてのアクティビティー(活動性)が下がるとの認識だった」と指摘している。別の私立大学病院に勤める40代の女性医師も、今回の調査結果に驚きはない。自分が大学に入学した時も、男子より女子の入学者は少なかった。職場では当直や呼び出しを男性医師が中心に担っており「女性の数を制限するのも仕方がない」と感じる。ただ、医学界にも変化は起きている。かつては医学部の卒業生の多くはそのまま大学の医局で臨床研修を受け、関連病院に派遣されるなどしており、入試は「就職試験」の意味合いもあった。しかし、2004年に始まった新医師臨床研修制度で、研修先が自由に選べるようになり、現在は別の大学病院などに移る例も少なくない。長崎大病院医療教育開発センターの長谷敦子教授は現在の医学部入試について「点数操作のような不正ではなくても、『男子を多く採りたい』と考える世代が面接で調整をすることはできる」と話しつつ、「こうした古い世代は、数年で減るだろう」と指摘する。そもそも地方では医師不足の状態が続く。長谷さんは「男性医師も含め、結婚や出産、何らかの理由で現場を離れた医師が戻れる道を作ることが重要だ」と強調する。
        ■大学の医学部医学科入試の男女別合格率
              男子        女子       男子÷女子
順天堂大         9.16%     5.50%     1.67
東北医科薬科大     14.69%     9.51%     1.54
昭和大          6.54%     4.25%     1.54
日本大          6.50%     4.36%     1.49
九州大         33.51%    23.48%     1.43
慶応義塾大       12.54%     9.18%     1.37
大阪市立大       32.63%    24.01%     1.36
埼玉医科大        5.04%     3.74%     1.35
新潟大         30.96%    23.23%     1.33
筑波大         25.46%    19.28%     1.32
岡山大         31.38%    23.79%     1.32
高知大         23.75%    18.06%     1.32
大阪医科大       11.28%     8.65%     1.30
山形大         28.67%    22.28%     1.29
東京医科大        6.79%     5.27%     1.29
京都大         36.88%    28.98%     1.27
奈良県立医科大     14.02%    11.07%     1.27
名古屋大        44.62%    35.29%     1.26
国際医療福祉大      9.84%     7.92%     1.24
近畿大          7.46%     6.12%     1.22
熊本大         23.00%    19.00%     1.21
横浜市立大       38.81%    32.12%     1.21
名古屋市立大      19.89%    16.42%     1.21
京都府立医科大     32.91%    27.29%     1.21
北海道大        32.40%    26.95%     1.20
金沢大         36.10%    30.26%     1.19
山口大         19.63%    16.53%     1.19
岩手医科大        7.02%     5.98%     1.17
群馬大         35.40%    30.74%     1.15
千葉大         35.47%    30.82%     1.15
滋賀医科大       20.27%    17.67%     1.15
富山大         21.60%    18.90%     1.14
東北大         37.85%    33.41%     1.13
山梨大         32.94%    29.09%     1.13
信州大         17.96%    15.90%     1.13
大阪大         41.85%    36.88%     1.13
東邦大          8.80%     7.77%     1.13
自治医科大        5.51%     4.93%     1.12
東京医科歯科大     31.92%    28.87%     1.11
福島県立医科大     29.13%    26.29%     1.11
日本医科大       13.16%    11.91%     1.10
兵庫医科大        8.32%     7.58%     1.10
宮崎大         26.21%    24.04%     1.09
広島大         16.78%    15.57%     1.08
帝京大          3.21%     2.98%     1.08
聖マリアンナ医科大    7.68%     7.09%     1.08
秋田大         30.90%    28.79%     1.07
関西医科大        7.89%     7.38%     1.07
浜松医科大       22.38%    21.16%     1.06
東京慈恵会医科大    14.76%    13.87%     1.06
北里大         11.69%    11.07%     1.06
香川大         21.75%    20.66%     1.05
長崎大         29.24%    27.89%     1.05
神戸大         35.31%    33.83%     1.04
杏林大          9.15%     8.80%     1.04
藤田保健衛生大      8.24%     7.93%     1.04
久留米大         9.68%     9.29%     1.04
東京大         25.89%    25.25%     1.03
東海大          3.55%     3.44%     1.03
鹿児島大        18.70%    18.27%     1.02
佐賀大         28.20%    28.00%     1.01
札幌医科大       28.93%    28.76%     1.01
和歌山県立医科大    39.56%    39.11%     1.01
鳥取大         15.88%    15.89%     1.00
島根大         18.72%    19.33%     0.97
獨協医科大        6.87%     7.15%     0.96
大分大         40.79%    43.54%     0.94
金沢医科大        6.41%     6.81%     0.94
愛知医科大       10.69%    11.42%     0.94
川崎医科大       11.85%    12.60%     0.94
福岡大          7.06%     7.47%     0.94
琉球大         22.83%    24.48%     0.93
旭川医科大       15.16%    16.49%     0.92
福井大         30.47%    33.05%     0.92
愛媛大         15.87%    17.51%     0.91
産業医科大        6.20%     6.93%     0.89
三重大         30.07%    34.25%     0.88
徳島大         35.12%    40.22%     0.87
岐阜大         13.04%    15.60%     0.84
弘前大         12.67%    16.93%     0.75
東京女子医科大       -       11.76%      -
  合計        11.25%     9.55%     1.18
(2013~18年度の合格者数を受験者数で割った値。東北医科薬科大は16~18年度、国際医療福祉大は17~18年度。文部科学省まとめ)

<外国の問題について>
PS(2018年11月6日追加): *3-1のイタリアやギリシャの場合は、今は廃墟のような歴史的建造物や古い街並みを再生すれば世界から観光客を集められるため、財政を切り詰めるだけが解決法ではないだろう。その労働力として、外国人労働者や女性・高齢者を活用すればよいのは日本と同じであり、そういう方針を決定すれば、他国からの援助や投資資金も得られると考える。
 なお、日本の場合は、*3-2のように、太平洋戦争中に日本が徴用した韓国の「徴用工」に関して、韓国の最高裁が新日鉄住金に損害賠償を命じる判決を言い渡した。しかし、これについては、日韓国交正常化時に「日本政府が韓国に経済協力を行い、徴用工個人の補償や賠償責任は韓国政府が持つ」と取り決めているため、徴用工個人には韓国政府が保障すべきだった筈だ。そのため、現在まで保障が行われていなかったとすれば、それは韓国政府の問題だろう。
 さらに、*3-3のように、2015年の日韓慰安婦合意をめぐって元慰安婦らが基本的人権を侵害されたとして憲法裁判所に違憲判断を求めた訴訟については、日本とは既に「最終的かつ不可逆的な解決」をうたう合意がなされているので、慰安婦とは無関係の世代にいつまでもひきずってもらいたくない。元慰安婦にとっても、名前を出して日本から金を引き出すダシに使われたり、銅像で思い出されたりするのは不幸であり、元慰安婦が、これまで誇りをもって生きられるようにしてこなかったのは韓国国内の問題ではないか?日本人にもそういう人はいたと思うが、いつまでも差別はしておらず、今では誰がそうだったかもわからないくらいなのだから。

*3-1:http://qbiz.jp/article/143649/1/ (西日本新聞 2018年11月6日) イタリア予算案の見直しを要求 ユーロ圏財務相会合
 ユーロ圏財務相会合は5日、イタリアの2019年予算案の見直しを求めた。巨額の財政赤字を計上し公的債務を増やしかねないためだ。イタリア側は変更する考えがないとしており、折り合えない状況が続いている。財務相会合のセンテーノ議長(ポルトガル財務相)は5日、会合後の記者会見で「EU欧州委員会と緊密に連携し、見直し案を準備するようイタリアに勧めた」と表明した。一方、ロイター通信によると、イタリアのトリア経済財務相は会合後、記者団に「予算案は変わらない」と強調した。イタリア政府は13日までに予算案を再提出する。欧州委は21日ごろに意見を出す見通しという。イタリア政府は19年予算案で貧困層対策などの実施のため多額の費用を計上。財政赤字が国内総生産(GDP)比で2・4%になるとした。欧州委はGDP比で130%超の公的債務がさらに膨らみかねないなどとして修正を要求している。

*3-2:https://www3.nhk.or.jp/news/html/20181104/k10011698331000.html (NHK 2018年11月4日) 「徴用工」判決 「国際社会への挑戦」と批判 河野外相
 韓国の最高裁判所が太平洋戦争中の徴用をめぐる裁判で日本企業に賠償を命じた判決について、河野外務大臣は講演で「国際社会への挑戦だ」と批判しました。韓国の最高裁判所は先月30日、太平洋戦争中の徴用をめぐる裁判で、新日鉄住金に損害賠償を命じる判決を言い渡しました。河野外務大臣は4日夜、群馬県高崎市で講演し「日韓の国交正常化に伴って補償や賠償は、日本政府が韓国に経済協力を行い、韓国政府が国内での補償について責任を持つと取り決めた」と指摘しました。そのうえで「判決は日韓の基本的な関係を根本からひっくり返すと同時に、国際法に基づいて秩序が成り立つ国際社会への挑戦で、考えられない」と批判しました。また、河野大臣は北朝鮮が求める朝鮮戦争の終戦宣言に関連して「戦争が終わったら『在韓米軍はいらない』『共同訓練なんて必要ない』という話になるのは目に見えている。拉致・核・ミサイルの問題を解決してから制裁を解除するという順番を間違えてはいけない」と述べました。

*3-3:https://digital.asahi.com/articles/DA3S13756449.html (朝日新聞 2018年11月6日) 日韓合意「法的拘束力ない」 韓国外交省、元慰安婦訴訟で答弁書
 2015年の日韓慰安婦合意をめぐり元慰安婦らが基本的な人権を侵害されたとして憲法裁判所に違憲判断を求めた訴訟について、韓国外交省は5日、元慰安婦らの訴えを却下するよう求める答弁書を提出していたと明らかにした。同日、韓国紙「韓国日報」が1面で報じたのを受け、同省が明らかにした。提出は6月だったという。元慰安婦らは、当事者の意見を聞かないまま「最終的かつ不可逆的な解決」をうたう合意がなされたことで日本から損害賠償を受ける権利が遮られたなどと主張。外交省は答弁書で「合意は法的拘束力のない政治的合意で、公権力の行使とまで見ることはできない」として憲法上の権利は侵害しないと主張したという。合意の法的性格について日本外務省は「両国の首脳が深く関与した政治合意であり、条約などに近い重みがある」としてきた。韓国外交省の答弁書は訴訟が日韓の火種になるのを回避する狙いもあったとみられるが、合意の重みをめぐる両政府の違いが浮き彫りになった形だ。

<片山大臣の収支報告書記載漏れ>
PS(2018年11月7日追加):メディアが、女性である片山大臣に照準を当てて荒さがしをしているせいか、*4のような収支報告書への寄付金の記載漏れが多いと思った。ただ、昔の国会議員の寄付金と異なり、金額は2桁くらい小さい。また、男性議員は、奥さんがしっかり見ているのでこのようなミスはなかったり、世襲議員は、さらに秘書も慣れているのでミスが少なくフォローの仕方も心得ていたりする場合が多いため、1代目の女性議員はハンディがある。

*4:https://digital.asahi.com/articles/DA3S13750913.html (朝日新聞 2018年11月2日) 片山氏、325万円分訂正 寄付「記載漏れた」 収支報告書
 片山さつき地方創生相は、自身が代表を務める政治団体「山桜会」と「自民党東京都参院比例区第25支部」の2016年分の政治資金収支報告書に記載漏れがあったとして、31日付で報告書を訂正した。片山氏の事務所は「作成した秘書が誤認し、記載が漏れた」と説明している。事務所によると、片山氏が立候補した16年参院選で、複数の団体から寄付があったが、報告書の収入欄に記載しなかったという。訂正の結果、寄付による収入は、山桜会が50万円、第25支部が275万円増え、寄付による収入は、両団体で計325万円増えた。

<人材の多様化と能力主義の必要性>
PS(2018年11月8日追加):人材が多様化して女性や外国人の働き手が増えれば、職場を移っても損にならない雇用形態が必要であり、それは、*5-1のような能力主義に基づく個別の雇用契約である。これは米国だけでなく世界標準だが、日本では、これを個人主義(何故か「我儘」と同義に用いる)として嫌い、一部企業の(男性)社員や公務員でしか保証されていない長期雇用を前提にした終身雇用・年功序列制度もどきを採用している組織が多い。そして、そういう前提の社会では、自分のキャリアや能力を磨こうとすることを「我儘」、自分のキャリアや能力を正確に述べることを「謙虚でない」などとするが、職場を移る時は、キャリアや能力を持ち、それを相手先に正確に示して認められなければ、能力主義に基づく雇用契約で損をするのである。
 さらに、*5-2には、「女性教員の管理職志望は7%で男性の4分の1だが、それには家事との両立がネックになっている」と記載されている。しかし、家事との両立は管理職になる前からネックになっており、それをクリアして管理職候補になっている女性教員に管理職志望が少ないとすれば、①夫婦で教員をしている場合、「妻が辞めなければ夫を管理職にしない」と言われる(間接差別) ②管理職になると定年が早くなる(不利益) などの理由があるからではないのか? それらの不利益がなくて初めて、個人の問題にできるのである。

*5-1:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20181108&ng=DGKKZO37462400X01C18A1KE8000 (日経新聞 2018年11月8日) 働き方の多様化と心理的契約(8)米国式が必要な時代に 神戸大学准教授 服部泰宏
 これまで述べてきたように、人材の多様化が要求するのは、一人一人が抱える制約や生き方に寄り添うという意味で「個別的」で、それを言葉にするという意味で「明確」で、しかも制約の変化によって変わりうるという意味で「動的」な心理的契約です。これは経済学でいう「契約の束」の考え方に近いと思います。個人主義と契約思想が定着している米国のような社会では、複数の個人が関わりを持つ際、当事者同士の自由意思に基づき、任意に契約を結ぶことで集まりが形成されることが前提となっています。企業もまた同様で、このようにして形成される企業を経済学では契約の束と捉えるのです。契約という考え方が浸透していない日本にはなじみの薄い言葉ですが、人材の多様化はまさに契約の束という考え方を私たちに求めているのではないでしょうか。契約とは私たちが描く未来のプロジェクション(投影)です。心理的なものであれ、法的なものであれ、契約を明確化する作業とは、会社と個人が一緒になって、お互いが相手から何を得られるのか、得られないのかということを具体的な言葉として紡ぎ出していくこと、つまり、共に未来を構想していくことにほかなりません。長期雇用を中核としたかつての日本企業の契約は、「数十年にわたる社員のキャリアを通じて、企業と個人が親密な関わりを持ち続ける」という、遠い未来に関わる壮大なプロジェクションだったと言えるでしょう。一方、いま日本企業が迫られている新しい契約は個別的で明確な未来を投影するものです。「数十年」先の未来を映し出すスケール感はなく、会社と個人が現実的で明確な近未来について、合意とメンテナンスを地道に繰り返していくイメージに近いでしょう。とはいえ、そこで「長期雇用」が消滅したわけではなく、会社側と個人側がお互いに相手の期待に応え続けることで、雇用関係が長期に及ぶことは十分にありえます。ただしそれは、かつてのような「目的としての長期雇用」ではなく、いわば「結果としての長期雇用」になるのでしょう。

*5-2:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20181107&ng=DGKKZO37460960X01C18A1CR0000 (日経新聞 2018年11月7日) 女性教員 管理職志望7% 男性の4分の1 家事両立ネック
 公立小中学校の教員約2万4千人を対象にしたアンケートで「管理職になりたい」という人の割合が女性は7.0%と、男性の4分の1だったことが7日までに分かった。調査をした独立行政法人「国立女性教育会館」の飯島絵理研究員は「教頭になると長時間労働が際立ち、家事や育児との両立が難しいと二の足を踏んでいるのではないか」と分析する。アンケートは1~2月にインターネットで実施。小学校教員約1万1600人、中学校教員約1万2200人の回答を集計した。「管理職にぜひなりたい」「できればなりたい」との回答は女性が7.0%、男性が29.0%。管理職になりたくない理由を複数回答で聞いたところ、「担任を持ち、子どもに接していたい」などのほかに、女性の半数は労働時間が増えたり、責任が重くなったりすると「育児や介護との両立が難しい」と答えた。1日当たりの職場での滞在時間は、副校長・教頭の76.7%が12時間以上と回答しており、他の教員に比べて長時間労働が際立っていた。家事・育児の「半分以上」を担うとしたのは、女性教員が79.4%だったのに対し、男性教員は3.5%だった。

<知識や教育の大切さに、男女別も文系・理系もないこと>
PS(2018年11月9、11日、12月3日追加):馬力のあるEVと自動車用蓄電池を実用化して最初に市場投入したのは日本で、それを行ったのはゴーン氏率いる日産だが、今度はアフリカで、*6-1のように、需要拡大を見込んで新工場を立ち上げ、現地生産を進めるそうだ。これからのアフリカの発展を考える時に、初めから自然エネルギーによる分散発電とEVを組み合わせるのは、誠に的確な判断である。一方、トヨタなど他の日本の自動車会社は、*6-2のように、中国・欧州の環境規制に合わせる形でEVを中国・欧州に投入するそうで、他国に引きずられてやっと始めた点が後進国の発想だ。しかし、どちらも、次はフランスや中国の企業と一緒にアフリカでEVを展開すれば良いことは明らかで、頭の切り替えができない日本企業には出る幕がない。 
 太陽光発電も最初は(私が提案して)日本で開発されたのだが、*6-3のように、電力会社を通じない電力売買を法律で認めないなど、頭の遅れた経産省と大手電力会社が結託して再エネの優先順位を原子力発電より低くしたため、日本では太陽光発電の技術進歩がなくなった。その規制をすり抜けて、イオンがEVに貯めた電力とイオンの買い物ポイントを交換する仕組みを作るそうだが、これは、再エネを主電源にするというよりは、おまけのような傍流の仕組みである。
 さらに、*6-5のように、日本では、既に大容量太陽光発電システム付住宅の販売が本格化しており、住宅産業の波及効果は大きい。また、住宅も自動車と同様に工場生産の時代であり、住宅・マンション・ビルの部材等も、これから建設が本格化するアフリカはじめ諸外国に輸出して現地で組み立てることも現地生産することも可能であり、先駆的な製品になると思われる。
 つまり、日本では最新技術を評価できずに腐らせて技術進歩をなくし、他国で成功して初めてあわてて後を追いかけるという情けない状態が続いている。このような中、*6-4のように、日本の若手研究者らの海外離れが深刻で、それが科学技術力低下の大きな要因となり、その理由として「①日本の大学で正規の研究職枠が限られ、任期付きの不安定な雇用形態が増えた」「②帰国後、よいポストが得られない」「③大学も法人化で海外に人材を送り出す余裕がない」等が記載されている。しかし、①②③に加えて日本の後進性について述べると、EVや分散発電だけでなく再生医療や免疫療法等のバイオテクノロジーも、実は日本は進んだ国で海外から研究者が来たがるくらいであったのに、欧米より遅れていると思い込み、実用化時点で経産省や厚労省が愚かな規制で邪魔をして、技術開発が止まったのだということを付け加えておく。
 「何故、そうなるのか」と言えば、日本では知識や教育を馬鹿にして知識の幅の狭い人間を育てたため、特に文系が新技術の実用化時点で邪魔をするという教育の問題があるからだ。
 なお、2018/11/11、日経新聞が、*6-6のように、「①日本企業の品質検査不正が止まらないのは、設備の老朽化と人手不足で工場が衰えたから」「②品質を最大の強みにしてきた日本のものづくりと離れた実像がある」「③稼ぎ頭の海外に投資を振り向け、国内工場は改修に改修を重ねて運用した」「④日産はゴーン現会長の下でリストラを断行し、国内技術員が人手不足に陥って納期に間に合わせるため不正を行った」「⑤日産は各国の工場の生産能力や労務コストなどを比較して生産拠点を決めるので、労働コストの安い新興国に最新鋭工場ができると国内競争力が低下し、国内生産が消える危機感が芽生えた」「⑥ドイツでは生産から検査までロボット技術を使った最先端工場で、本国に生産回帰する動きが始まった」と書いている。
 しかし、(日産だけでなく)どのグローバル企業にも共通する原則は、⑤のように、「工場や販売拠点は、地球上で最も生産性や販売力(潜在力も含む)が高く、利益(社会的責任を果たすことも含む)の出る配置にする」ということである。そのため、何かと日産を叩いて協力しなかった日本は、投資や生産を最小にして、③のように新規投資は海外に振り向けたいと思われる国になっても仕方ない。また、④のゴーン現会長の下でリストラを断行されたのは、新しい日産に生まれ変わるにあたって抵抗勢力になる人材だったと記憶しており、これは世界標準のやり方だ。さらに、人手不足だから納期に間に合わせるため不正を行うというのは、(不必要な検査規制をしているのでなければ)これまでの日本人にはなかった不真面目で不誠実な態度なので不要な人材になる。そのため、②の品質を最大の強みにしてきた日本のものづくりとかけ離れた実像の源は、i)何でも時間をかけたり適当なところで妥協したりするのがよいとする日本社会に充満したおかしな雰囲気 ii)全体を見て物事の重要性の優先順位を判断できないような知識の乏しい人材を育てた教育の劣化 iii)熟練技術者を軽視する風潮 iv)働かない改革への大々的な掛け声 v)前からある高コスト構造とさらなる高賃金 などだと考える。
 もちろん、⑥のように、ドイツで生産から検査までロボット技術を使った最先端工場で本国に生産回帰する動きが始まったのはよいことだが、その最先端工場も、以前は東ドイツ出身、今は移民などの比較的安価で勤勉な労働力によって動かされていることを忘れてはならない。
 なお、*6-7のように、世界はCOP24で「運輸部門の排出ゼロ」を明記するそうで、これがあるべき姿なのだが、日本では政府やメディアが、最初にEVを市場投入したニッサンの足を引っ張ったり、EVの功労者であるゴーン氏の報酬が高すぎるなどと騒いだり逮捕したりして、ニッサンが2位を引き離してトップランナーになれる政策はとらず、いつものように他を見てあわてて追いかけている状態なのである。これをドアホと言わずに、何と言うのだろう。

*6-1:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20181108&ng=DGKKZO37503040Y8A101C1EA2000 (日経新聞 2018年11月8日) 日産、アフリカで新工場 需要拡大、現地生産進める
 日産自動車がアフリカ事業を拡大する。アルジェリアで新工場を建設する方針を固め、ガーナでも生産拠点の新設へ地元当局と協議に入った。所得水準の伸びを背景に西アフリカ地域などで乗用車の需要が伸びており、投資を本格化する。アフリカでは中国が国を挙げて投資を積極化しているが、日本企業の間でも成長を取り込む動きが広がりそうだ。日産はこれまで主に南アフリカや日欧の生産拠点からアフリカ諸国へ出荷していた。需要地での現地生産を進め競争力を高める。北アフリカで最も市場成長が期待されるアルジェリアでは新工場を建設し、部材などを輸入して最終的な組み立てを行う「ノックダウン生産」が有力だ。西アフリカのガーナは産業の基盤が整っておらず、より簡易な部品の取り付けを中心とした生産拠点となりそうだ。西アフリカ地域での生産拠点の開設は日本勢として初となる。両工場の生産車種や投資額など詳細は今後詰めるが、2020年代初頭の建設が見込まれる。日産はすでに南アフリカとエジプトで小型トラックや小型セダン「サニー」などを生産する完成車工場を持つ。17年度には両国で販売が7万4千台、生産はおよそ5万台だった。中近東やインドとともにアフリカを新たな収益源に育て、先進国市場の成長鈍化に備える。調査会社のフロスト&サリバンによるとアフリカ地域の新車販売台数は25年までに16年比で2倍の326万台と、世界で5番目に大きいドイツに匹敵する規模になると試算する。南アフリカが年40万台規模と最大の市場で、今後はナイジェリアが年率5%を超えて成長するとされるなど、西アフリカで需要が急増する見通しだ。アフリカは地理的・歴史的な背景から欧州勢が強い。日産と提携する仏ルノーはモロッコなどに工場を持ち競争力が高い。英コンサルティング会社PwCによると、中東とアフリカ地域の合算で、17年にルノー・日産・三菱自動車の3社連合は約68万台を生産した。日本勢ではトヨタ自動車が南アフリカなどに工場を持つ。エジプトに工場を持つスズキとの提携も強化しており、5月にはスズキが開発する車を両社でアフリカに供給し、物流やサービスで協業しながら販売する方針を発表した。完成車メーカーの進出が広がると、部品メーカーなどすそ野産業の現地進出を後押しする。国際通貨基金(IMF)はサハラ砂漠以南のサブサハラ地域で、経済成長率が17年の2.8%から19年には3.8%に高まると推計する。20年には人口も11年から2億人増の10億人を超えそうだ。資源に依存した経済構造から脱すべく、各国は産業振興に力を入れている。有望市場を巡る争いも激しい。中国は広域経済圏構想「一帯一路」を背景にアフリカ進出を加速しており、9月には今後3年で計600億ドル(約6兆8千億円)の資金拠出を表明した。日本も16年に民間も合わせて3年で300億ドルの支援を表明したが、豊富な中国マネーに後れをとっている。

*6-2:http://qbiz.jp/article/141561/1/ (西日本新聞 2018年9月29日) レクサス初のEV、九州で生産 20年にも中国、欧州投入 トヨタ
 トヨタ自動車は、高級ブランド「レクサス」としては初となる電気自動車(EV)の生産を、子会社のトヨタ自動車九州(福岡県宮若市)で始める方針を固めた。2020年にも中国と欧州に先行投入する。新型の小型スポーツタイプ多目的車(SUV)「UX」をベースに開発し、当初は年間計1万5千台前後を輸出する。UXのEVは20年春ごろにも中国への輸出を開始し、同年夏ごろからは欧州でも販売する。UXは車高が比較的高く、蓄電池などを搭載するスペースが確保しやすいほか、車体がコンパクトで1回の充電による航続距離を伸ばしやすい利点もある。生産を手掛けるトヨタ九州は、国内外のレクサス工場の中でも高い技術力を誇る。永田理社長は従業員をトヨタ本体の設計開発部門に派遣し、EVを含む新分野への対応に向けた準備を進めていることを明らかにしていた。中国では19年以降、自動車メーカーにEVやプラグインハイブリッド車(PHV)など新エネルギー車の一定割合の販売が義務付けられる。トヨタは20年春ごろ、小型SUV「C−HR」をベースにしたEVの現地生産にも乗り出す。一方、トヨタの欧州向けEVの量産計画が明らかになるのはUXが初めて。現地ではコンパクトタイプのSUVが人気で、EVの投入でレクサスの競争力の強化を図る。トヨタは20年代前半に、全世界で10車種以上のEVの販売を計画。国内向けでは20年の東京五輪に合わせて小型EVの市販も検討している。レクサスは富裕層が台頭する中国と欧州で販売が好調で、UXは世界的に人気が高まるSUVの小型タイプ。今年11月末の日本での発売を皮切りに海外でも順次、エンジン車とハイブリッド車(HV)を販売することが決まっている。

*6-3:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20181109&ng=DGKKZO37532630Y8A101C1TJ2000 (日経新聞 2018年11月9日) 家庭の太陽光、EVでイオンへ、関電と協力、固定価格後の受け皿に
 イオンと関西電力は2019年度にも家庭の太陽光発電で作った電力を店舗で使う仕組み作りに乗り出す。消費者は電気自動車(EV)に電力をためてイオンの店舗に運び、買い物ポイントと交換する。太陽光の電力を高く買い取る仕組みは19年から10年間の期限が切れ始める。再生可能エネルギーを地域で無駄なく活用して事業に生かす動きが広がってきた。太陽光発電普及のために国が導入した固定価格買い取り制度(FIT)は19年11月から徐々に終了し、電力大手は買い取り義務がなくなる。19年中に約50万戸、23年までに約160万戸の家庭の余剰電力が売り先を失う恐れがあり「2019年問題」といわれる。約700万キロワットと大型の原子力発電所7基分の電力が宙に浮く計算だ。イオンと関電の実験はまずショッピングセンター、イオンモール幕張新都心(千葉市)を候補とする。同店にはEV充電器が39台あるが、蓄電池やEVから電気を受け取る設備を新たに導入する方向だ。調達した電力は店舗の照明や空調に使う。太陽光発電由来の電力だと証明するために国内で初めてブロックチェーン(分散型台帳)技術を活用する。関電は司令塔となり、協力してくれる来店客にスマートフォン(スマホ)のアプリを通じて放電を要請する。地域で電力が余ったときは消費者のEVに蓄電してもらうことで需給を調整できる。関電は需給調整への協力の見返りとしてイオンに報酬を支払う予定だ。一連の仕組みは「仮想発電所(VPP)」と呼ばれる。EVの蓄電池など分散している設備を包括的に制御して無駄なく使う。地域での電力需給の調整がしやすくなる。実験結果を踏まえて全国への拡大を検討する。消費者には電力量に応じてイオンの「ワオンポイント」を付与する。電力会社などを通じない電力の売買は法で認められていないためポイント付与は電力の対価ではなく協力への謝礼として支払う。一般的なEV一台にためられる電力は数百円分だ。ポイントへの交換レートは検討中。電力大手の電力を使うより安く調達できる可能性があるが、あまりに低いレートだと消費者にとっての魅力が少ない。イオンはバランスをどう取るかが課題となる。イオンは事業活動に必要な電力をすべて再生可能エネルギーで調達することを目指す「RE100」に参加している。ブランド向上を図るほか、集客や非常用の電源確保にもつなげる。消費者にとっては、FITが終わった後に余剰電力を使う選択肢が広がるメリットがある。関電は電力需給の調整能力が向上し、石油火力などコストが高い発電手段への依存度を引き下げやすくなる。2019年問題をにらんだ動きは関電とイオン以外にも出始めている。東京電力ホールディングスは11月から新プランを始めた。太陽光発電パネルを設置している一般家庭を対象に、伊藤忠商事の人工知能(AI)を使った電力利用の最適化サービスと蓄電池を組み合わせ、電気代を抑える仕組みだ。

*6-4:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20181109&ng=DGKKZO37558490Z01C18A1MM8000 (日経新聞 2018年11月9日) 海外で研究、減少深刻 20年で4割減、助成拡充、若手後押し
 日本の若手研究者らの「海外離れ」が深刻だ。中長期にわたり海外に渡航する研究者数は過去20年ほどで4割減った。グローバルに活躍する研究者の減少は、深刻化する日本の科学技術力低下の大きな要因になっている。政府は若手研究者が海外で研さんを積む機会を増やすため、日本の科学研究費(総合2面きょうのことば)の助成制度を改善し、テコ入れに乗り出す。文部科学省の調査によると、中長期(1カ月超)にわたり海外に派遣される研究者数は1990年代後半から2000年にかけ7000人を超えていたが、直近では4300人に減った。背景にあるのが、帰国後にポストが得られないことへの不安だ。日本の大学などでは正規の研究職の枠が限られ、任期付きの不安定な雇用形態が増えて若手研究者などが海外に渡航することをためらわせている。国立大学の法人化後、運営費交付金の減少などで大学の経営環境は厳しさを増し、大学も海外に人材を送り出す余裕に乏しい。18年のノーベル生理学・医学賞を受賞する京都大学の本庶佑特別教授を含め、多くの歴代ノーベル賞受賞者は米国などに渡り研究してきた。海外での研究は最先端の知識を吸収し人脈を広げることにつながり、その機会の減少は研究の幅を狭めて日本の科学力低下の理由の一つになっている。文科省科学技術・学術政策研究所が引用数が上位1%に入る優れた研究論文を分析したところ、日本の研究者が携わる研究領域数は米国だけでなく、英国、ドイツ、中国を大きく下回る。日本では新しい分野に挑戦する研究者が少なく、独創性や多様性に欠ける実態を物語る。国境を越え瞬く間に成果が共有され技術革新のスピードが増す中、日本は海外の研究者との「国際共著論文」の数で見劣りする。グローバルに活躍する研究者の不足が鮮明だ。こうした状況をテコ入れするため、政府は若手研究者が海外で長期の研究に参加できるよう環境を整える。研究費の助成制度を改善するのが柱。文科省が、多くの研究者の活動の基盤となっている科学研究費補助金(科研費)の運用を19年度から改める。現在は研究費を受給する間に海外の研究機関で1年以上過ごすと受給資格を失うが、2年以内に戻れば資格を継続し未使用分を受け取れるようにする。政府は若手研究者の育成を成長戦略の一環と位置づけている。日本の研究現場は人材の流動性の低さや新陳代謝の少ない体質が問題視されてきた。将来のイノベーション創出のカギを握る若手研究者の育成にどこまで力を入れるのか、政府や大学の本気度が問われている。

*6-5:https://www.nikkei.com/article/DGXNASFK17058_X10C14A1000000/ (日経新聞 2014/1/17) 大容量太陽光発電システム付き住宅、販売が本格化
 茨城セキスイハイム(水戸市)は2014年1月16日、出力10kW以上の大容量太陽光発電システムを搭載した住宅「スマート・パワーステーション」シリーズを茨城県内で販売すると発表した。「スマート・パワーステーション」は、太陽光発電システムのほか、HEMS(住宅エネルギー管理システム)「スマートハイム・ナビ」、定置型大容量リチウムイオン蓄電池「e‐Pocket(イーポケット)」を搭載し、標準的な住宅規模でエネルギーの自給自足を可能にした。積水化学の鉄骨系住宅「ハイムシリーズ」の主力商品は、フラットルーフであり、屋根全体に太陽光パネルを搭載しやすい。これまでも大容量のパネル設置が可能だったが、40坪程度(約130平方メートル~)の住宅規模で、6.8kW搭載(実邸平均:4.64kW)が最大だった。「スマート・パワーステーション」シリーズでは、新たに開発した「パネル一体型屋根」「ロング庇」により、30坪台(114平方メートル~)からでも10kWの搭載が可能となった。また、木質系住宅「ツーユーホームシリーズ」でも、南面の屋根面積を増やす3.5寸片流れ屋根を開発し、こちらも住宅規模108平方メートルから10kW以上のパネルを搭載できるという。10kW以上のパネルを設置した場合、固定価格買取制度では、「余剰電力売電」と「全量電力売電」が選択でき、20年の長期にわたり、安定した売電収入が期待できる。積水化学の鉄骨系住宅用の太陽光パネルでは、フラット屋根に隙間なくパネルを設置する。その状態で最大発電量が得られ、かつ、相対的に低コストであるCIS型太陽電池を採用した。10kW以上の太陽光発電システムを搭載した住宅では、2013年4月にパナホームが太陽光発電パネルそのもので屋根を構成した戸建住宅「エコ・コルディス」を発売している。太陽光発電パネルに、業界トップレベルの発電効率を持つパナソニック製太陽電池「HIT」を採用することで実現した。同社によると、固定価格買取制度による売電収入は、条件により年間約51.5万円、20年間で約1000万円以上の収入になるという。

*6-6:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20181111&ng=DGKKZO37628350Q8A111C1MM8000 (日経新聞 2018年11月11日) 「衰える工場」品質不正招く、設備・人材へ投資後回し 海外優先、現場にしわ寄せ
 日本企業の品質検査不正(総合2面きょうのことば)が止まらない。鉄鋼、自動車に続き、油圧機器メーカーのKYBが免震装置で検査不正を公表した。なぜ品質の根幹である検査データを偽るのか。SUBARU(スバル)や日産自動車などの調査報告書を読み解くと、一つの共通点が浮かび上がる。設備の老朽化と人手不足で「衰える工場」という現実だ。「建屋や空調機の老朽化で燃費・排ガス検査の際に湿度の基準を満たせず、検査員がドアに目張りし、電気ポットの蒸気で湿度調整していた」(スバル)。「アルミの検査不適合品を合格と偽って出荷したのは、再検査のための保管スペースが1日で埋まってしまうため」(三菱マテリアルグループ)――。弁護士らが調査した各社の報告書だ。「品質」を最大の強みにしてきた日本のものづくりのイメージとはかけ離れた実像が表面化した。各社は老朽化した設備で検査を続けていた。約10万台のリコールに発展したスバルの群馬製作所(群馬県太田市)の検査建屋は1960年代に建てられた。日産の栃木工場(栃木県上三川町)の排ガス試験室の空調機も77年に設置されていた。
●改修に改修重ね
 日産は連結売上高のうち6割、スバルは7割を海外で稼ぐ。稼ぎ頭の海外を中心に新規投資を振り向ける一方、国内工場は改修に改修を重ねて運用してきた。経済産業省によれば、新設からの経過年数である「設備年齢」は大企業で90年度と比べて1.5倍に増えた。人への投資もおろそかになっていた。日産は経営危機に陥った99年以降、カルロス・ゴーン現会長の指揮下でリストラを断行し、「国内技術員が人手不足に陥った」(報告書)。人手が足りず、納期に間に合わせるために不正を繰り返す。KYBの検査員は延べ8人、一時は1人で作業にあたっていた。「基準に満たない製品を分解して正しくするのに5時間かかる」(カヤバシステムマシナリーの広門茂喜社長)が、人的な余裕がなく改ざんに走った。日本の製造業は国内工場を「マザー工場」と位置づけ、現場の“カイゼン"で生産効率を徹底的に高めて海外工場にノウハウを移転してきた。だが、労働コストが安い新興国に最新鋭工場ができると国内の競争力が低下。ベンチマークの海外工場と比べられ、国内生産が消える危機感が現場に芽生え始めた。
●納期守るために
 日産は各国の工場の生産能力や労務コストなどを比較し、生産拠点を決める。「マーチ」の製造を追浜工場(神奈川県横須賀市)からタイ工場に移した際は、余剰となった技術者の多くが海外に派遣された。17年10月にアルミ製部材のデータ改ざんが発覚した神戸製鋼所も同様だ。ある従業員は「売り上げが低下すると工場が操業停止に追い込まれる恐れがあった」と証言している。海外でも15年に独フォルクスワーゲン(VW)で排ガスデータの大規模改ざんが発覚した。だが、「欧米では経営層が不正を指示するケースが多いが、日本企業は現場が忖度(そんたく)した結果、不正に発展することが多い」(デロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリーのプリボスト真由美氏)。カイゼンの名の下、問題の解決を現場に任せてきた日本企業。各社の報告書でもコストや納期を守るために、現場の判断で不正に手を染めたケースが目立つ。もちろんそれが経営陣の言い訳にはならない。コスト削減を掲げるだけで現場のひずみに目をつぶり、不正に追い込んだ経営の責任は重い。日産は6年間で測定装置などに1800億円を投じ、検査部門に670人を採用する。スバルも5年間で1500億円を設備更新に充てる。しかし局地的な対応策で「ものづくり力」が回復するかは未知数だ。製造業のデジタル化を目指す「インダストリー4.0」を掲げるドイツでは、生産から検査までロボット技術を使った最先端工場で本国に生産回帰する動きが始まった。独アディダスは17年にロボットが靴を自動生産するラインを導入し、24年ぶりに生産を自国に戻した。膨大な情報を自動で分析する技術は、検査工程や品質向上にも活用できる。生産年齢人口が減少するなか、現場の感覚や頑張りだけに頼ったものづくりは限界を迎える。日本のものづくりの復権のためには、抜本的な生産の革新が必要になる。

*6-7:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20181203&ng=DGKKZO38445170S8A201C1MM0000 (日経新聞 2018年12月3日) 「運輸部門の排出ゼロ」 COP24、明記へ
 ポーランドで2日開幕した第24回国連気候変動枠組み条約締約国会合(COP24)で、参加国が3種類の政治文書をとりまとめる調整に入った。電気自動車(EV)を推進する「Eモビリティー」では「運輸部門の温暖化ガスの排出ゼロ」の実現を明記する見通し。同部門で二酸化炭素(CO2)排出の多くを占める自動車を巡り、各国が官民で連携してEV普及の方向性を明確にする。COP24は190近くの国・地域が参加してポーランドのカトヴィツェで開幕した。14日の閉幕までに国際的な温暖化防止の枠組み「パリ協定」の詳細なルールとなる実施指針の合意をめざす。

<エネルギーの変遷と新事業>
PS(2018年11月10日、12月1日追加):エネルギーも変遷するので、*7-1のように、三井松島が脱炭素社会で石炭生産事業から撤退するのは仕方のないことだが、エネルギーにシナジー効果のある慣れた事業を行いたいとすれば、①日本政府と協力して日本のEEZ内で蓄電池材料となるレアメタルを採掘する ②所有する離島から入る海底の坑道を核廃棄物の保管場所として再生し、しっかりした管理を行う などの新たな事業が考えられる。
 なお、*7-2のように、長崎県・佐賀県の7市町が新しい電力会社を作り、来年度から公共施設などに電力を供給するのはよいと思う。その理由は、①再エネはクリーンであること ②エネルギーも地産地消した方が地域から資金が流出しないこと である。
 日本農業新聞は、2018年12月1日、*7-3のように、農林中金とみずほ銀行が11月30日にJAバンクで個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」を取り扱う業務提携をしたと記載している。年金はもちろん必要だが、農林中金やみずほ銀行は、地方の人から集めたなけなしの金を米国でサブプライム・ローン(貧乏人からむさぼるローン)として貸し出し、2008年のリーマンショックで大きな貸倒損失を出して、米国の住宅しか残らなかった。そのため、個人型確定拠出年金もよいが、全国的な銀行に集めるのはどうかと思われ、九州で集めた年金資金は九州の街づくり・再エネ・その他産業等に投資して利益を出すような選択肢を作って、年金資金で将来の街づくりの一端を担うのがよいと考える。魅力的な街に人々は集まるのだから。

  
    *7-2より    エネルギー自給率国際比較    日本の再エネの伸び

(図の説明:中央の図のように、日本のエネルギー自給率はずば抜けて低いにもかかわらず、右図のように、再エネによる国産エネルギーの開発は固定価格買取制度に頼っており鈍い。そのような中、左図のように、地方自治体が新電力を作って再エネ普及を心がけているのは頼もしく、再エネによる電力とEVを組み合わせれば、資金流出は最小になる)

*7-1:http://qbiz.jp/article/143946/1/ (西日本新聞 2018年11月10日) 三井松島が海外採掘撤退へ 九州支えた石炭生産事業に幕 「脱炭素社会」で逆風
 三井松島ホールディングス(HD)=福岡市=は9日、祖業の石炭生産事業から2040年代までに撤退すると発表した。地球温暖化への懸念から国際的に脱炭素社会に向けた動きが広がる中、将来的に事業収益が見込めなくなると判断した。1913年の創業時から100年以上続いた事業に幕を下ろす。同社は現在、オーストラリアとインドネシアの計3カ所の炭鉱で生産や開発探査を展開。9日発表した24年3月期までの中期経営計画に、今後は新たな石炭関連事業への権益投資を行わず、現在の採掘計画が終了する40年代をめどに完全撤退する方針を盛り込んだ。石炭販売事業については継続する見通し。撤退について同社幹部は「過去にない石炭事業への逆風を感じるようになった」と強調する。地球温暖化防止の国際的枠組み「パリ協定」が15年に採択され、環境保護など企業の社会的責任を重視する「ESG投資」が世界的に拡大。地球温暖化につながる石炭需要の先細りは避けられないとして、石炭生産事業に依存しない収益構造への転換を決断した。同社の18年3月期の連結売上高は663億円で、うち石炭生産事業は118億円。12年以降、企業の合併・買収(M&A)を進めており、ストロー製造やスーツ製造会社を買収した。今後5年間は、新規M&Aを加速させる期間と位置づけ、計300億円を投じる方針。18年3月期の連結営業利益15億円を、24年3月期までに55億円に引き上げる。同社の前身は1913年、松島炭鉱(長崎県)開発のため三井鉱山などが出資して設立。2001年に九州最後の池島炭鉱(同)を閉山し、国内生産から撤退した。

*7-2:http://qbiz.jp/article/143923/1/ (西日本新聞 2018年11月10日) 長崎・佐賀7市町が県境越え新電力 佐世保、伊万里など、来年度から公共施設などに供給
 長崎県佐世保市は佐賀県伊万里市など近隣6市町と協力して、新電力会社を2019年度に設立する。佐世保市を含む7市町の主に公共施設と契約し、収益を公益性の高いまちづくり団体の活動費に充てることを目的としている。市によると、自治体が県境を越えて新電力会社を設立するのは全国で初めて。佐世保市以外の6市町は長崎県平戸市、松浦市、西海市、東彼杵町、新上五島町と佐賀県伊万里市。19年度に発足する連携中枢都市圏「西九州させぼ広域都市圏」(12市町)の一部で、新電力会社を45の共同事業の重点と位置づけている。計画によると、新電力会社は企業や金融機関の出資を想定した第三セクター。7市町内で企業などが行っている太陽光や風力、ごみ焼却、バイオマス発電から電気を仕入れ、自治体庁舎や体育館などの公共施設、民間事業者へ供給する。20年度から年間13億円程度の売り上げを見込む。佐世保市は新電力会社をつくる目的として「都市圏域の経済循環」を挙げる。現在の電気料金のほとんどは九州電力(福岡市)の収入になっているため、その一部を圏域内にとどめ、民間の公益活動資金として循環させたい考えだ。自治体が新電力会社に出資する例は北九州市、福岡県田川市などがある。佐世保市は福岡県みやま市が中心になって設立した「みやまスマートエネルギー」を参考にした。連携中枢都市圏は、中心都市と周辺市町村が協力して住民サービスや都市機能を高め、圏域住民の流出を抑えるために形成する。九州の7地域を含む全国28地域にあり、国は地方交付税で共同事業を支援する。

*7-3:https://www.agrinews.co.jp/p45984.html (日本農業新聞 2018年12月1日) 個人型確定拠出年金 JA窓口で扱いへ 農林中金みずほ銀
 農林中央金庫とみずほ銀行は30日、JAバンクで個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」を取り扱うための業務提携を発表した。2019年4月から、取り扱いを希望するJAの窓口で、みずほ銀のイデコ商品を申し込めるようにする。組合員・利用者の資産形成ニーズに対応する。JAには長期の取引につながるメリットがある。「JAバンクのiDeCo(みずほプラン)」として取り扱いを始める。JAが商品の提案や加入申し込みの受け付けをし、掛け金の引き落としや年金の受け取りはJAの口座を使う。みずほ銀は運営管理機関として、加入者に運用状況の情報提供などを行う。農林中金は、取り扱いを希望するJAを募り、JA職員向けの説明会も行う。JAバンクは02年に個人型の確定拠出年金に参入したが撤退し、現在はイデコを扱っていない。だが農林中金は、長寿命化や公的年金への不安感からイデコへのニーズがあるとみる。一方で自前の商品開発などは非効率と判断し、みずほ銀に提携を呼び掛けたという。イデコは掛け金の拠出や年金の受給で長期の取引をするため、JAにとっては若い世代の組合員や利用者との結び付きの強化につながる。イデコを扱うかどうかはJAの判断だが、取り扱い登録は不要のため、農林中金は「投資信託を取り扱うJAの数(約200)より多くなるのではないか」とみる。農林中金はイデコを、JAや組合員・利用者が投資信託などの資産形成を始めるきっかけにしたい考えだ。イデコを巡っては大手の保険会社や銀行、証券会社が地方銀行や信用金庫などと提携し、加入者数を競っている。みずほ銀はJAバンクとの連携で、農村部での加入者を増やしたい考え。提携金融機関数は国内首位となる見込みだという。
<ことば> iDeCo
 個人が任意で加入する私的年金制度。毎月、一定額の掛け金を支払い、自らが選んだ金融商品で運用。運用結果で将来の受け取り額が決まる。原則60歳になるまで途中の引き出しや脱退はできないが、掛け金全額が所得控除となるなど税制上のメリットがある。

<若者が地方を離れる理由には封建的な価値観もあること>
PS(2018年11月28日追加): 故郷を離れ、都会の家賃は高いのにニューヨークのハーレムより狭い団地の一室で核家族で暮らした団塊世代以降の若者は、故郷によい仕事がなかったこと以外に、*8-1のような封建的なムラ社会から出て自分の価値観で生きたいという気持ちも大きかったと思う。しかし、現在では、農村も戦後世代が舅・姑で教育レベルが高くなったため、封建性や女性の地位の低さは次第にほぐれてきている。2005~2009年の間、私が衆議院議員として毎週末に帰ったふるさとである地元(佐賀県)で感じたことは、「一般には、女性の地位が私が大学に進学するためふるさとを出てきた時とあまり変わっておらず、東京より30年以上も遅れているのではないか」と思われるような女性差別・女性蔑視・女性に対する過小評価があったことだ。これは、すべての人が有権者である選挙では、女性にマイナスに働く。
 また、*8-2のように、鳥取県知事が「母の慈愛の心を持って云々」と独身の小池都知事をちゃかす発言をしたことにも女性差別が表れており、この発言にまともに反論すれば、①この発言はセクハラである ②母でない女性は価値がないかのようで、女性の自己決定権や人権を無視している ③女性は慈愛に満ちていつもやさしくなければならないなどとしているが、それでは交渉も指導・監督もできない である。しかし、そうまともに反論すると、何故か「生意気」「傲慢」「謙虚でない」等々の批判を受けるので、小池都知事はじめ多くの女性は「母になれなかった」「結婚できなかった」などと哀れみを誘う説明をしているわけで、本当は「自己規制」などしたくはないのだということに、メディアはじめ人々はそろそろ気付くべきだ。

*8-1:https://www.agrinews.co.jp/p45930.html (日本農業新聞 2018年11月27日) 農家女性の歩み 性別役割分業の壁破れ
 戦後、農家のお母さんたちはどう生き抜いたのか。女性から見た戦後史が反響を呼んでいる。時を経ても変わらないのは、強固に存在する「性別役割分業」。国には家事・育児・介護などを正当に評価する仕組みを求める。家庭や地域では労働分担の知恵を出し合い、変えるべきことは変えていこう。『農家女性の戦後史──日本農業新聞「女の階段」の五十年』(こぶし書房)の著者で、駒沢大学経済学部教授の姉歯曉さんは、書籍化まで5年かかったという。「投稿や手記のレベルが高く、読み解くには膨大な分析が必要だった」と振り返る。時代背景を知るために、模造紙を何枚も貼り合わせた分野別年表を作った。本著は、農村を内側から見たリアルな女性史であるだけでなく、農政や経済、生活と多方面から分析、「女の階段」投稿者の女性8人のインタビューも収めた。朝日新聞では10月、音楽家でエッセイストの寺尾紗穂さんが「農村史を眺めるだけでは浮かび上がらない女たちの切実な声が溢(あふ)れている」と書いた。週刊文春誌上で11月に紹介したエッセイストの酒井順子さんは「農家の女性達が置かれた状況も、戦後の農業の変遷も、全く知らなかったということを知らされる一冊」とした。姉歯さん自身も、10月に開かれた2018年度経済理論学会で著書について発表。「研究者仲間から、今まで聞いたことのない自分の母親や『嫁』としての苦悩の話が聞かれた。70、80代の男性研究者からは自分が目にしてきた母の姿だ、と電話があった」と話す。学会に参加した同書の編集担当者は、「本が“自分語り”のきっかけになった。自分の問題を考えるための懸け橋になるのではないか」と期待を込める。本紙が、くらし面に投稿欄「女の階段」を設けたのは1967年。この50年で経営者として参画する女性は増え、発言力や行動力は高まった。8月には相続分野を40年ぶりに見直した改正民法が成立。介護に尽力した「嫁」は無権利状態を脱し、その貢献度を請求できる仕組みとなった。この変化の背景に「女の階段」世代の踏ん張りがあることを忘れてはならない。一方、農水省の調査(18年)で、経営参画に必要なこととして女性自身が「家事・育児・介護などの負担軽減」(28%)、「家事、育児などは女性の仕事という固定的役割分担の意識の打破」(16%)を求めていることが分かった。与党内では、いまだに女性は家事を担うものといった旧態依然の「家族観」を持つ議員の発言が後を絶たない。女性も年代を問わず、この意識が刷り込まれ、「自己規制」と「世間体」のはざまで苦しんでいる。群馬県の塚越アサさん(18年5月逝去)は、「女の階段」にこう書いた。「正しい怒りを正しく表現したい」と。今こそ声を上げ、壁を破ろう。

*8-2:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20181116&ng=DGKKZO37835610W8A111C1CC0000 (日経新聞 2018年11月16日) 「ちゃかす発言、大変傷ついた」小池都知事
 東京都の小池百合子知事は16日の定例記者会見で、9日の全国知事会議に関し「(小池氏を)ちゃかすような発言があって、非常に困惑した。安易な発言に大変傷ついた」と述べた。「母としてどうのこうのと言われたが、私は母になれなかった」などと説明した。会議では、国による税財源の偏在是正措置への対応などが議題となった。鳥取県の平井伸治知事が「母の慈愛の心を持って、大都市と地方が折り合える案を考えていただければ」などと発言した。

| 男女平等::2015.5~2019.2 | 12:39 PM | comments (x) | trackback (x) |
2018.5.5 セクハラと女性差別の範囲(2018年5月6、7、8、12、16、17、19、22日追加)

                 2018.4.30日経新聞

(図の説明:セクハラを受ける相手は同じ会社の上司が多いが、顧客・銀行・監督官庁等の場合は事業主だけでは対応できない上、セクハラ被害を受ける人は仕事の遂行力(=能力)がないことになるため、被害を訴えにくい。その結果、被害者は相談することができなかったり、相談してもマイナスの結果になったりすることが多いわけだ。従って、「セクハラは女性蔑視に基づく女性に対する人権侵害である」という社会的コンセンサスが必要であり、現代のセクハラの範囲は、性に直接まつわる言動だけでなく、女性上司を軽く見て部下が女性上司の指示を無視したり、銀行が女性事業者への融資に消極的だったり、相手方の担当者が女性の場合に嫌な顔をしたりするなど多岐に渡るのである)

(1)政治家や行政官のゴシップ
1)財務事務次官のセクハラについて
 財務省は、*1-1のように、2018年4月16日、週刊新潮で報じられた福田次官の女性記者に対するセクハラ疑惑に関する福田氏からの聞き取り調査の結果を発表し、福田氏は「報道は事実と異なる」「女性記者との間でこのようなやりとりをしたことはない」「相手が本当に女性記者かも全く分からない」「女性記者にセクハラに該当する発言をしたという認識はない」などと疑惑を否定し、記者クラブ加盟社に女性記者の調査への協力を要請した。

 私は、テレ朝(もしくは朝日新聞)の記者に、あやふやな情報を週刊文春に持って行かれ、事実とは異なるキャリアウーマン否定のヘイト記事を書かれて大変な迷惑をしたことがあるため(私が「名誉棄損」「侮辱」で提訴して勝訴済)、「テレ朝の記者が週刊新潮に情報を持ち込むのはどうか」と思ったが、週刊新潮の音声データはごく初歩のセクハラ発言で、本当にこのような発言をしたとすれば、福田次官に認識の低さと脇の甘さを感じざるを得ない。

 しかし、私も、*1-2のように、セクハラは問題だと考えるが、セクハラにせよパワハラにせよ被害者・加害者の職業は無関係であり、加害者扱いされたからといってそれが事実とは限らないため、証拠で確認することは必要不可欠である。また、「部下である官僚のセクハラで大臣が辞めろ」という要求は、報道各社のスタッフの誰かがセクハラをしても、その監督責任を理由として必ず社長が辞めなければならないわけではないのと同じで、法の下の平等に反する。

2)ある議員の認識について
 自民党の長尾衆院議員が、*1-3のように、セクハラをめぐる問題に抗議する野党の女性国会議員らを「セクハラとは縁遠い方々」とツイッターで揶揄されたそうだが、この女性蔑視の認識が男性に悪びれもせずセクハラさせる理由だろう。つまり、「セクハラは魅力ある女性に対して行うもので、議員のような女性はこれに該当せず、一般にセクハラされた女性は喜ぶものだ」という根拠なき妄想である。

 こういう男性は、遊び相手の女性と奥さんしか知らず、女性とセックス抜きの対等な立場で友人になったり、競争で女性に負けたりしたことがないのだろうと思うので、ここではっきり言っておくが、女性にも好みがあるので相手によってはセクハラをされると嫌悪感を感じ、仕事の邪魔をして足を引っ張る人は男女を問わず大嫌いなのである。

 さらに、私は、公認会計士や税理士などのプロ集団の中にいる時はこれほど初歩的なセクハラを受けたことはないが、国会議員になっていろいろな人と関わるようになると、初歩的なセクハラ発言から高度なセクハラまで、いちいち指摘すればきりがないほど出合ったので、女性国会議員はセクハラと縁遠くはないと思う。

3)セクハラの罪
 麻生財務相(77歳、戦前生まれの九州男児)は、2018年5月4日、*1-4のように、「役所に迷惑を掛けたとか品位を傷つけたとかいう理由で処分した」「『セクハラ罪』という罪はない。殺人とか強制わいせつとは違う」と発言されたそうだ。

 セクシュアルハラスメントは男女雇用機会均等法で定義されており、「事業主が、職場において行われる性的な言動に対するその雇用する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受けたり、または性的な言動により当該労働者の就業環境が害されたりすることのないよう雇用管理上必要な措置を講じなければならない」とされている。そのため、(1)1)の事業主(社長)が責任を取らなければならない場合とは、雇用管理上必要な措置を講じていない場合だが、その場合も厚労大臣による行政指導が行われるものの、事業主に対する罰則はない。(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/00.pdf#search=%27%E3%82%BB%E3%82%AF%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%AB%E3%83%8F%E3%83%A9%E3%82%B9%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%83%88%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%99%E3%82%8B%E5%9D%87%E7%AD%89%E6%B3%95%E6%8C%87%E9%87%9D%27 参照)

 また、職場におけるセクシュアルハラスメントは「対価型」と「環境型」の二つに分類され、上記のケースは対価型と環境型が合わさっているようである。

 そして、セクシュアルハラスメントを受けた労働者は、被害を回復するため、セクシュアルハラスメントの行為者やその雇い主である企業に対して損害賠償を請求することが可能で、裁判例では、セクシュアルハラスメントが被害者の人格権ないし人格的利益を侵害したと認められる場合には不法行為(民法709条)に基づく損害賠償責任を認めている。

 なお、日本一、女性蔑視がきついと思われる鹿児島県の南日本新聞も、*1-5のように、「セクハラは人権侵害で許されない行為」「被害者に隙があったのではないかなどの指摘は的外れで、加害者に非があるのは当然」「男女に関係なく互いを尊重し、職場で十分に力を発揮するためにも、セクハラに寛容な社会を許してはならない」と書いており、かなり進歩している。

4)セクハラの範囲
 ここまで書いてきたのは、性的言動を行うあからさまなセクハラだが、セクハラには、「女性は馬鹿で能力がないかのような表現をする」「女性の昇進を評価で妨げる」「女性にはリーダーの資質がないかのような先入観を植え付ける」「強い女性は悪い女性であるかのように書く」など、性的な言動は伴わないが仕事に悪影響を与える深刻な嫌がらせも多く存在する。

 そのため、性的言動を行うあからさまなセクハラはもちろんだが、性的言動は伴わないけれども仕事に悪影響を与えるこのような深刻な嫌がらせも現代のセクハラの範囲には含めるべきだ。そして、これは、米国では今から30年くらい前の1980年代後半には既に言われていたことである(「セクシャルハラスメントの社会学」参照)。

(2)セクハラへの対応
1)メディアの対応
 日経新聞社が、働く女性1000人に緊急調査したところ、*2-1のように、セクハラを受けた6割超が「仕事に悪影響を与えるから我慢した」そうで、女性活躍の推進には、働きやすい環境が欠かせず、防止対策と併せ意識改革が求められるとしている。ただし、ここでも「セクハラは性的な言動による嫌がらせ」とセクハラを狭く定義しているが、働きやすい環境とは、女性蔑視により女性の価値を減じられない環境のことである。

 なお、*2-2の民放労連や*2-3の新聞労連は、「財務省事務次官によるテレビ朝日女性記者へのセクシャル・ハラスメントは看過できない」と抗議しており、それ自体はよいと思うが、米国のハリウッド女優などに対するセクシャル・ハラスメントは、芸能関係者が女優に対して行ったセクハラを発端とし、「#Me Too」として全世界に広がりを見せているのである。

 そのため、私は、放送産業内での女性に対するセクハラもなくすべきで、メディア内でセクハラや女性蔑視に関する認識が高まれば、社会の認識は変革できると考える。

2)総務大臣の対応
 野田総務相は、*2-4のように、再発防止に向けた法整備を検討する考えを明らかにされたが、それには、セクハラの範囲を性的言動に限らず広げて環境を整えることを義務化し、罰則をつけるのがよいと考える。

 ただ、セクハラを受けたテレビ朝日の女性社員が、財務次官にそのような性癖のあることがわかっていたのなら、録音するよりも他の記者と2人以上で行った方が、マイクをとりあげられる心配もなく、確実に身を護る方法になっただろう。

(3)セクハラの根源には、女性を性的対象としか見ない女性蔑視・女性差別があること
 「世界経済フォーラム」の2017年の男女格差指数で144カ国中138位(日本の順位は、144か国中114位であり、他の先進国よりもずっとサウジアラビアに近い)のサウジアラビアでは、*3のように、ムハンマド皇太子が改革を進めており、就業する女性割合を22%から30%に伸ばす目標を掲げて、国際社会から「女性抑圧」の象徴とされた自動車運転を解禁し、女性が働ける職場も増えつつあり、政府は女性の起業に必要だった男性の許可を廃止したそうだ。

 しかし、①男性の給油係と接するのをためらう女性ドライバーがいたり ②女性が給油係として働くことを中傷したり ③兄弟でさえ冷たい視線を投げかけたり するのに対して、女性が個人的に対応することは不可能であるため、サウジアラビアは早急に女子差別撤廃条約(http://www.gender.go.jp/international/int_kaigi/int_teppai/joyaku.html 参照)の締約国となり、日本と同様に男女雇用機会均等法を作るのがよいと考える。

<政治家・行政官のゴシップ>
*1-1:http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201804/CK2018041702000123.html (東京新聞 2018年4月17日) 【経済】女性記者に協力要請 財務省調査 次官セクハラ否定
 財務省は十六日、週刊新潮で報じられた福田淳一次官の女性記者に対するセクハラ疑惑について、福田氏からの聞き取り調査の結果を発表した。福田氏は「報道は事実と異なる」として疑惑を否定した上で、辞任しない考えを表明した。財務省は同省と顧問契約を結んでいる弁護士に委託して調査を続ける方針を示し、記者クラブ加盟社には女性記者の調査への協力を要請した。立憲民主党など野党は政府に福田氏の更迭を重ねて要求した。財務省によると、福田氏の部下である矢野康治官房長が福田氏から聴取。福田氏は週刊新潮が自社のニュースサイトで公開した音声データについて「女性記者との間でこのようなやりとりをしたことはない」と話し「相手が本当に女性記者かも全く分からない」と答えた。ただ、音声が福田氏自身のものかについては明確にしていない。福田氏が複数の女性にセクハラ発言をしていたと報じられた点に関しては「女性が接客しているお店に行き、女性と言葉遊びを楽しむことはある」としながらも「女性記者にセクハラに該当する発言をしたという認識はない」と答えた。福田氏は新潮社を名誉毀損(きそん)で訴える準備を進めているという。進退については「反省の上、緊張感を持って職務に取り組む」と辞任を否定した。先週十二日発売の週刊新潮は福田氏が会食などの席で、財務省担当の女性記者に「胸触っていい?」などのセクハラ言動を繰り返していたと報道。麻生太郎財務相は内部調査せず、口頭注意でとどめる方針を示していたが、十三日に音声データが公開され、一転して調査を指示した。麻生氏は十六日の参院決算委員会で国費を使って弁護士に調査を依頼したことに関し「双方の言い分を聞くのは当然だ」と述べた。週刊新潮編集部は、「記事は全て事実に基づいたものです」とコメントした。

*1-2:https://mainichi.jp/articles/20180430/ddm/005/070/002000c (毎日新聞社説 2018年4月30日) セクハラと日本社会 これが21世紀の先進国か
 セクハラの実態を正確につかむことは不可能に近い。被害がなかなか報告されないのだ。なぜか。 財務事務次官を辞任した福田淳一氏のセクハラ問題は、その答えをわかりすぎるほどわからせてくれた。調査もせず口頭注意で済ませる。それが発覚直後の財務省の態度だった。報道した週刊新潮が問題発言の録音を公開し、「調査」を始めたが、被害者に「名乗り出よ」と言わんばかりの乱暴な手法だった。福田氏は「全体として見るとセクハラではない」と説明にならない説明を繰り返し、法廷で争うという。だが最も深刻なのは、次官を監督する立場にある閣僚が、セクハラの本質やその重大性をおよそ理解しているとは言い難い点である。
●被害者批判の理不尽
 「(加害者扱いを受けている)福田の人権は、なしってわけですか」「(福田氏が女性に)はめられて訴えられたとの意見も世の中にはある」。安倍政権ナンバー2の副総理でもある麻生太郎財務相は、福田氏をかばう一方で、被害女性があたかも福田氏をワナにかけたかのような発言をためらいもなく重ねた。財務省はようやく福田氏のセクハラを認め、処分を発表したが、その場に麻生氏の姿はなかった。セクハラと正面から向き合うという姿勢がみじんも感じられない。21世紀の先進国政府で起きているとは信じ難い恥ずべき事態である。「女性の活躍」を看板政策に掲げる安倍晋三首相はなぜ怒らないのか。さらに驚くのは、女性側の仕事に制限を求めるような主張が少なくないことだ。日本の経済界を代表する経団連の榊原定征会長は、福田氏の行為を「極めて不見識」と批判する一方、記者が異性と1対1で会うことは「さまざまな誤解を生みかねない」と記者会見で述べた。取材を受ける側の大半が男性である現状と合わせて考えれば、女性記者は誤解を招かぬよう夜間の1対1の取材は控えよ、という意味になる。また、異性間のセクハラのみを前提にするのも時代遅れだ。影響力のある人たちによる見当違いの発言は、被害者たたきをしても構わないという間違ったサインとなる。インターネット上で中傷が勢いづく。セクハラに甘い環境はそのままで、被害はいつまでも減らない。今回のセクハラ問題は被害者が記者だったことから、報道する側の倫理を問う意見も少なくなかった。まず、セクハラにせよパワハラにせよ、被害者の職業は無関係だということを指摘しておく。政治家でも警察官でも被害者は守られるべきだ。その上で述べたい。セクハラの立証は非常に厳しい。音声や画像など客観的証拠が乏しければ、逆に加害者から名誉毀損(きそん)で訴えられかねない。今回の録音は被害を訴える際不可欠な証拠である。
●社会全体が損をする
 セクハラ被害の報告を受けたテレビ朝日は自ら財務省に抗議し、そのことを報じるべきだった。それができなかったがために、記者はやむなく情報を週刊誌に提供した模様だ。もし彼女が途中であきらめていたら、今も福田氏はセクハラ発言を続けていたことだろう。今回の事例は氷山の一角だ。声を上げられないまま精神を病んだり、命を絶ったりする被害者もいる。発信の手段を持つ記者でさえ、セクハラと闘おうとすればひどい目に遭う。今回の事例が多くの女性に無力感を与え、口をつぐむ被害者が増えはしないか心配だ。あらゆるハラスメントは悪い。ただ、男性被害者も多いパワハラに対し、セクハラの被害者は女性に集中している。有効な防止策が打たれず被害が闇に葬られ続ける背景には、改善を主導できる地位にあまりにも女性が少ない現実がある。働く女性が性的対象としてしか見られない、尊厳が傷つけられてもあまり問題にされない社会で損をするのは女性ばかりではない。社会全体が活力を失い、国際社会からも尊敬されない国になる。英国では先週、女性の参政権100周年を記念し、運動家ミリセント・フォーセットの銅像が国会議事堂前の広場に建立された。「勇気は至る所で勇気を呼ぶ」。自身の演説の一節を記した旗を手にしている。基本的な権利を守ろうと立ち上がった一人の勇気がつぶされ、至る所で勇気の芽が摘まれる。そんな国は、現代の国際社会で名誉ある地位を占めることなどできない。

*1-3:https://digital.asahi.com/articles/ASL4S32YLL4SUTFK005.html (朝日新聞 2018年4月24日) 自民・長尾氏が謝罪 「セクハラと縁遠い方々」ツイート
 財務省の福田淳一事務次官のセクハラをめぐる問題に抗議する野党の女性国会議員らを「セクハラとは縁遠い方々」とツイッターで揶揄(やゆ)した自民党の長尾敬衆院議員(大阪14区)は24日朝、国会内で記者団に「『縁遠い』という表現は全くもって不適切だった。心から反省している」と陳謝した。長尾氏は「前回の厚生労働委員会の審議中、審議拒否という形で『#Me Too』行動されていた議員のみなさんの姿を拝見し、憤りを禁じ得なかった」と釈明した。長尾氏は20日、自身のツイッターに「#Me Too」と書いたプラカードを掲げて黒い服装で抗議する女性議員らの写真を掲載し、「セクハラはあってはなりません。こちらの方々は、少なくとも私にとって、セクハラとは縁遠い方々です。私は皆さんに、絶対セクハラは致しませんことを、宣言致します!」などと書き込み、後に削除した。

*1-4:https://ryukyushimpo.jp/kyodo/entry-712938.html (琉球新報 2018年5月5日) 減給理由は「役所に迷惑」 次官セクハラ巡り麻生氏
 麻生太郎財務相は4日、女性記者へのセクハラを報じられ財務事務次官を辞任した福田淳一氏について「役所に迷惑を掛けたとか品位を傷つけたとかいろんな表現があるが、(そういう理由で)処分した」と述べた。マニラでの記者会見で語った。セクハラ行為を認定した上で減給とした財務省の対応とは食い違う説明になる。麻生氏は「『セクハラ罪』という罪はない。殺人とか強制わいせつとは違う」とも発言した。その上で、福田氏がセクハラを否定していることを踏まえ「(福田氏の)人権を考えないといけない。言い分を聞かないと公平を欠く」と、これまでの主張を繰り返した。

*1-5:https://373news.com/_column/syasetu.php?storyid=92281 (南日本新聞 2018/5/4) [セクハラ問題] 人権侵害の認識持とう
 財務省は事務次官を辞任した福田淳一氏の女性記者へのセクハラ行為を認め、処分を発表した。福田氏の女性記者に対する言動は言うまでもなく、この問題を巡る財務省の対応や国会議員の発言はセクハラに対する理解不足や常識のなさを露呈した。その感覚の鈍さに驚くばかりだ。厚生労働省では局長が女性職員に対するセクハラで懲戒処分を受けた。これを機に、セクハラは人権侵害で許されない行為だという認識を社会全体で改めて共有したい。国内でセクハラという言葉が浸透したのは1989年である。上司から言葉による性的嫌がらせを受け退職を余儀なくされた女性が、元上司と会社に損害賠償を求めて福岡地裁に提訴。地裁は女性の訴えを認めた。初めてのセクハラ訴訟は広く関心を集めた。被害者を法的に救済すべきだとの認識が高まり、改正男女雇用機会均等法で99年に事業主にセクハラ防止配慮義務が課された。だが、今回の財務省の件で、法制化から約20年がたっても理解が深まっていない状況が浮き彫りになった。セクハラは職場での労働者の意に反する性的言動が対象となる。力関係を背景に弱い立場の人に対し、歓迎されない性的関心を一方的に向けることで起きることが多い。性的な冗談やからかいも含まれる。被害者、加害者ともに性別を問わない。意図はどうであれ、相手に不快な思いをさせればセクハラだ。被害者に対する「隙があったのではないか」などの指摘は的外れで、加害者に非があるのは当然といえよう。防止のためには、どんな言動がセクハラに当たるか認識しなくてはならない。企業側は研修の場や情報の提供に努める必要がある。法制化に伴い、各職場で相談窓口の設置など環境改善が進んでいる。だが、問題が大きくなることや二次被害を恐れ、被害者が声を上げにくい状況にも配慮したい。鹿児島労働局にはセクハラに関する相談が2016年度に79件、17年度も70件近く寄せられた。企業側は防止策が有効に機能するよう一層努めてもらいたい。これまで、被害者の大半を占める女性の側がセクハラをうまくかわすことが求められる傾向にあった。周囲には見て見ぬふりをした人もいるのではないか。だが、それではセクハラはなくせまい。男女に関係なく互いを尊重し、職場で十分に力を発揮するためにも、セクハラに寛容な社会を許してはならない。

<セクハラへのメディア等の対応>
*2-1:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20180430&ng=DGKKZO29923370X20C18A4TY5000 (日経新聞 2018年4月30日) セクハラ受けた6割超が我慢「仕事に悪影響」、働く女性1000人 緊急調査
 財務省事務次官の辞任に発展したセクハラ疑惑の問題を受け、日本経済新聞社は、働く女性1000人を対象にセクハラに関する緊急調査を実施。被害に遭った女性の6割超が「我慢した」と答え、その多くが「仕事に悪影響を及ぼすから」と相談もできずにいる実態が分かった。女性活躍の推進には、働きやすい環境が欠かせず、防止対策と併せ意識改革が求められる。セクハラは性的な言動による嫌がらせのこと。1986年の男女雇用機会均等法の施行により女性の社会進出が進んだことや、企業の海外進出が進み、米国で日本企業が現地社員らに訴えられたことなどで、経営課題として認識されるようになった。企業には、99年施行の改正男女雇用機会均等法でセクハラ防止の配慮義務が課され、2007年の法改正でセクハラ対策は措置義務になった。だが意識改革はなかなか進んでいない。男性中心の企業文化が残るなか、被害に遭っても行動に出られない女性が多い。セクハラを受けた女性(全体の42.5%)にその際の対応(複数回答)を尋ねると「我慢した」は相手が社内の場合(以下、社内)で61.3%。相手が社外の場合(以下、社外)は67.7%と7割近くに高まる。女性らの間に、かえって状況悪化を招きかねないとの懸念が強いとみられる。我慢した理由(複数回答)は「仕事に悪影響が出るから」が社内外を問わず最多。社外は57.8%と6割近くで社内(42.2%)を15ポイント以上引き離す。商談への影響を考え、社内以上に対応に苦慮している。続いて多かったのは、社内・社外ともに「相談しても状況は改善・解消しないと思った」で3割超だ。過半数が我慢する一方、少数ながら被害を受けて動く人もいる。相手に「直接抗議した」は社内の場合で18.4%。「相談した」は社内・社外ともに24%台だった。相談した相手(複数回答)は、社内外ともに「会社の同僚」が4割超でトップ(社内49.5%、社外42.4%)。専門的な対応が見込める「会社の相談窓口・担当者」は社内の場合で24.2%。「労働局」は同7.7%だった。ただ、相談しても状況の改善・解消にはつながりにくいようだ。相談した人にその後の状況を聞くと、社内の場合、過去からの案件も含め「改善・解消」は17.6%にとどまった。一方で「すべて何も変わらなかった」は28.6%と3割近く。これに「一部は改善・解消」(53.9%)を合わせると、相談しても納得できなかった案件がある割合は82.5%と8割を超える。法律では企業にセクハラ相談窓口の整備が義務付けられている。職場のセクハラ防止策(複数回答)はどうなっているか尋ねたところ、最も回答割合が高い「セクハラ防止に向けた社内規定がある」でも28.4%と3割に満たない。「社内に相談窓口がある」は24.8%。「セクハラ防止のための研修がある」は14.8%。対策の遅れが目立った。仕事相手からのセクハラ防止に向けて必要なこと(複数回答)を尋ねると「社会全体として男性の意識改革を進める」が45.5%でトップ。被害実態に関する自由回答にも「大人なんだからそれくらい良いだろ、とこっちが悪いみたいな言い方をされた」(メーカー営業、35歳)などの記述があり、セクハラ被害への認識は男女に大きな開きがある。「セクハラ」という言葉が日本企業に広まったのは80年代後半のこと。いつまで女性は我慢しなければいけないのか。男性が被害者の痛みと真剣に向き合わないと問題は解決しない。
*【調査の概要】正社員・正職員として働く20~50代の女性を対象に2018年4月24~26日、調査会社マイボイスコム(東京・千代田)を通じてインターネット上で実施。各年代250人ずつ計1000人から回答を得た。

*2-2:http://www.minpororen.jp/?cat=7 (日本民間放送労働組合連合会中央執行委員長 赤塚オホロ 2018年4月25日) 声明・報告:民放連へ「セクハラ問題」で緊急の申し入れ
一般社団法人日本民間放送連盟会長 井上弘 殿
 財務省事務次官によるテレビ朝日女性記者へのセクシャル・ハラスメントがあったとして、大きな社会問題となっています。アメリカでのハリウッド女優などに対するセクシャル・ハラスメントが、ソーシャルメディアで「#Me Too」として全世界に広がりを見せていることからも、私たちはジャーナリズムに携わる労働者として看過できません。そして、今回の問題に限らず、民放産業内でも職場や仕事先でセクハラ、パワハラ、マタハラなどで心身に大きな影響を受けて、休職や退職に追い込まれている例があります。私たち民放労連は、運動方針で「あらゆる性差別やハラスメントに反対し、職場での周知徹底と研修を求め、相談窓口の設置と相談者の側に立った具体的な救済措置」を経営者に要求しています。これは、放送で働くすべての労働者と、その労働者が働くすべての職場や場所が対象です。そして相談者のプライバシー保護はもとより、その相談事案に対する最大限の救済措置を求めているものです。各社では法令に則り、相談窓口の設置と担当者を配置しているものと考えますが、各種ハラスメントは被害者と加害者で意識の違いが大きく、相談窓口担当者の意識の違いもその後の対応に大きく影響します。相談窓口担当者には兼務・兼任が多い現状を考えると、日々の仕事の忙しさの中でハラスメントに対する教育と研修、そして相談者への対応がおざなりになっていないでしょうか。今回の事例を、個人的な問題あるいは個別の放送局の問題だと矮小化するのではなく、民放産業全体で取り組まねばならない重要な課題であると捉え、個人の尊厳を著しく傷つける行為である各種ハラスメントに対し、民間放送各社を束ねる貴連盟が強いリーダシップを発揮して、ハラスメント根絶に向けて取り組まれるよう強く申し入れます。

*2-3:http://www.shinbunroren.or.jp/seimei/180422-1.html (新聞労連 2018年4月22日) セクハラに我慢するのはもうやめよう
 権力を笠に着る者たちからの、人としての尊厳を傷つけられる行為に我慢するのはやめよう。「私に非があったのかもしれない」と自分を責めるのはもうやめよう。同僚や先輩、上司に訴えても聞き入れられず、「受け流せ」「事を荒立てるな」と言われて黙認され、屈辱的な気持ちを抱えてきた。取材先で、取引先で、社内で、耐えることが評価の材料にされ、都合の良いルールを押しつけられてきた。訴えようとすると、「会社の恥を出すな」「面倒な奴」だと揶揄され、なかったことにされてきた。財務省の福田淳一事務次官のセクハラ疑惑を訴えた仲間をはじめ、これまでも意を決してセクハラを訴え出た仲間に敬意を表したい。守ってくれると信じて打ち明けた上司に受け止めてもらえなかった仲間の気持ちを思うと、どんなにつらく、腹立たしい思いをしたのだろう。私たちもショックで、悔しくてならない。仲間の勇気ある行動に続いて、私たちは手を携え、真実を追求し、向き合っていく。健全なジャーナリズム組織であり続けるために、会社は最優先で私たちの人権を守ってきただろうか。セクハラを黙殺するような対応を取り、泣き寝入りを強いることがあってはならない。社内・社外ともにセクハラは断固として許さないという強い決意や、加害者と闘う姿勢を見せてほしい。もし、取材先や取引先の担当から女性を外せば問題は起きない、と考えているとしたら、根本的解決から逃げている。セクハラや性暴力を告発する米国発の「#MeToo」運動を、自らの身に引きつけて振り返ってみると、私たちも長い間セクハラをやり過ごしてきた。セクハラで傷つき、職を辞した仲間たちを見てきた。これ以上、このような状況を見過ごし、受け入れることはできない。こんな不条理や屈辱はもう終わりにしよう。セクハラは性差別であり、性暴力であり、人権侵害だ。力の差を利用したセクハラの容認は、人権侵害と権力側の暴挙を許しているのと同じことだ。そうした態度が、権力側に見透かされ、つけ入る隙を与えている。私たちが無くしていかなければならないのは、セクハラ行為と、その加害者や行為を黙認する態度や組織だ。性差を超えて、立ち向かおう。仕事にセクハラはいらない。私たちは、言葉を社会に届ける専門職集団だ。セクハラにNOと言おう。言葉でNOと示そう。私たちは一人じゃない。
女性集会参加者一同

*2-4:http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201804/CK2018042902000126.html (東京新聞 2018年4月29日) 【政治】セクハラ防止「法整備検討」 野田総務相、被害経験も語る
 野田聖子女性活躍担当相は二十八日、前財務次官のセクハラ問題を踏まえ、再発防止に向けた法整備を検討する考えを明らかにした。「セクハラを完全に解決できるよう法律をつくり替えるのか、新法をつくるのか、いろんなやり方がある」と、神戸市で開かれたシンポジウムで述べた。野田氏はセクハラの実態を把握するため、新聞やテレビなどの女性記者と懇談の場を設ける意向を示しており、法整備の議論に活用するとみられる。シンポジウムでは、自身の落選中に男性有権者からセクハラを受けていたことを明かし「耐えて耐えて耐えるしかなかった」と振り返った。セクハラを受けたテレビ朝日の女性社員が福田氏と一対一で会食したことに、一部から批判が出ていることについては「それをしなければ生きていけないというシチュエーションは実際にある。私もそういう経験をした」と理解を示した。

<女性差別とセクハラ>
*3:http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201805/CK2018050402000131.html (東京新聞 2018年5月4日) 【国際】<サウジ維新 普通の国へ>(上)女性初のGS管理者 自由へのハンドル応援
 ペルシャ湾に面したサウジアラビア東部アルコバール。海水浴場のそばにあるガソリンスタンドの店で、全身を覆う黒い衣装アバヤ(ニカブ)を着たメルバト・ブクハリさん(43)が慌ただしく動き回っていた。サウジ初といわれる女性のスタンド管理責任者。「清掃は行き届いているか」など毎週本社に提出する点検表に従って確認作業を続ける。昨年十月の開店から携わり、六月に迫る女性の自動車運転解禁を見据えて工夫を凝らした店だ。男性の給油係と接するのをためらう女性ドライバーが一人で給油できるようにコイン式を導入した。飲食店やホテル、子どもの遊具広場を備えた複合施設の中にあり「女性が訪れやすいようにするには、きれいなのが一番」と胸を張る。ところが、同じ言葉をツイッターに投稿した途端、「女性が給油係として働いている」と勘違いした人たちの中傷が相次いだ。「私は管理職です。給油ノズルは握らない」。そう釈明しても、兄弟でさえ冷たい視線を投げかけた。「この侮辱は、後に続く女性のために乗り越えなければならない階段ね」とブクハリさん。会社は病院経営やホテル事業も手掛け、女性社員が三割を占める。イスラム教スンニ派の中でも戒律が厳しいワッハーブ派が主流のサウジは、女性は「保護する存在」との教えに基づき、家事育児に専念すべきだとの考えが根強い男社会だ。「世界経済フォーラム」が策定した二〇一七年の男女格差指数では百四十四カ国中、百三十八位。ブクハリさんは十六歳でお見合い結婚し、子育てしながら高校に通った。しかし、望んでいた大学進学はかなわなかった。そんなブクハリさんにとって、ムハンマド皇太子が進める改革は「ドアが開いた」ようで、まぶしく映る。改革プランでは、就業する女性の割合を22%から30%に伸ばす目標を掲げ、国際社会から「女性抑圧」の象徴とされた自動車運転を解禁。女性が働ける職場は増えつつあり、政府は女性の起業に必要だった男性の許可も廃止した。ブクハリさんはスタンド管理の傍ら、新事業開始の準備にも追われている。起業したい女性に月一千リアル(約三万円)で展示場所を貸し、自作のデザイン雑貨や刺しゅう作品、香水などを販売してもらう計画だ。「今は考えている時ではない。好きなことに挑戦しチャンスをつかまないと時間の無駄になる」。アバヤからのぞく目が力強く輝いた。
    ◇  ◇
 中東の産油国サウジアラビアで、次期国王と目されるムハンマド皇太子(32)が二〇一六年四月に国家改革プラン「ビジョン2030」を発表してから二年が過ぎた。石油依存からの脱却を目指す構造改革は、イスラム教の教えを厳格に守るお国柄も変えようとしている。伝統と変革のはざまで揺れるサウジを歩いた。

<日本の銀行は、女性や新規事業に配慮してきたか>
PS(2018年5月6、7日追加):*4の「郵貯銀行の上限撤廃は民業圧迫の懸念が拭えない」という記事は誤っている。何故なら、郵貯銀行は、2017年9月30日現在、金融機関2.27%・金融商品取引業者0.28%・その他法人74.45%・外国法人等1.82%・個人その他21.16%が45億株の資本金のすべてを占めており、政府及び地方公共団体の出資は0であるため、既に官業ではなく民業だからだ。従って、顧客の利便性を高めるのは民間企業として当然で、その経営方法は公取法等の我が国の法律に違反しない限り自由である。
 それでも郵貯銀行の限度額撤廃で地銀からの預金流出が起こるとすれば、それは、長い期間、銀行業務をやってきたにもかかわらず、顧客を育てファンを増やすことをしなかった地銀側の怠慢によるだろう。私がこう言う理由は、日本の銀行は優秀な人材を採用してきたにもかかわらず、著しく男尊女卑で、顧客ニーズよりも金融庁(旧大蔵省)を見て仕事をし、女性行員のアイデアや女性事業者の立場はあまり考慮せず、顧客ニーズをとらえた仕事をしてこなかったことを知っているからだ。そのため、競争相手が増え、本当の顧客ニーズをつかまなければやっていけない(当たり前の)状況になるのはよいことなのである。
 なお、*4-2のような空き家改修にあわせて銀行が残りの資金を提供するなど、人口減少社会でも本当に必要とされる信用性の高い債権は、いくらでも創造できる。
 また、*4-3のように、「離島留学」が広がっているそうだが、これは「過疎地の活性化」に役立つだけでなく、透き通った海と山が近い離島で子どもたちを過ごさせれば、自然に親しみ、都会でゲームをしているよりずっと感性の形成に役立つ。そのため、東京・大阪などの大都市だけでなく、福岡・佐賀などの地方都市の子どもにもこういう教育は必要で、国交省だけでなく文科省や財務省も推奨して、そのための空家や学校の改修費は優遇すればよいと考える。なお、公務員や企業など大人の研修施設や研究所も離島の空き校舎を改修して作れば、自然に近い環境で繁華街に繰り出すこともなく、研修や研究に集中できるだろう。

*4-1:https://www.hokkaido-np.co.jp/article/186826 (北海道新聞 2018年5月6日) 郵貯の上限撤廃 民業圧迫の懸念拭えぬ
 郵便貯金の預入限度額について、ゆうちょ銀行の親会社・日本郵政が撤廃を求めている。退職金などまとまったお金を受け入れられるよう仕組みを改め、利便性を高めたいのだという。道内などの過疎地には、ゆうちょ銀しか預け先がない地域もあり、利便性向上は必要だ。だが、地方銀行の代理店になるといった形で民間と連携・協業すれば、限度額を撤廃しなくとも使い勝手は良くなるだろう。政府が間接的に所有するゆうちょ銀は、国の信用を後ろ盾に巨額の貯金を集めている。民間との間で、公平な競争条件が確保されているとは言えまい。地銀からの預金流出など地域金融に歪(ゆが)みも生じさせかねない限度額撤廃は、時期尚早ではないか。この問題を審議している政府の郵政民営化委員会には慎重な検討を求めたい。政府が過半を出資する日本郵政は、将来ゆうちょ銀株を手放すことにしている。ただ、完全民営化の具体的道筋は未定だ。そうした中で、官業肥大の歯止めだけをなくす規制緩和に幅広い理解が得られるとは思えない。見過ごせないのは、日本郵政が限度額撤廃を求める理由として利便性向上のほか、事務コスト削減や省力化を挙げていることだ。限度額は、通常貯金と定期・定額貯金の口座を合計して1人1300万円と定められている。1300万円を超えた場合、利用者に通知したり振替貯金(無利子、上限なし)に移したりする。この費用と手間を省きたいという理屈だが、それはまず、ゆうちょ銀が現在のシステムを改善して解決すべきことだ。国内金融機関で飛び抜けて多額な180兆円の貯金を有するゆうちょ銀が、さらにお金を集めることにも危うさを覚える。ゆうちょ銀には融資業務がなく、貯金は運用に回す。超低金利を受け、運用では低利回りの日本国債を減らし、高利回り・高リスクの外国債券を増やしてきた。限度額撤廃で貯金がさらに集まれば外債比率が一段と高まり、運用リスクが上昇しかねない。巨大なゆうちょ銀の経営が揺らげば、日本経済全体に影を落とそう。古くから預貯金獲得を競ってきた地銀と郵貯は最近、地域活性化を後押しする投資基金の創設などで手を組む場面が増えている。ゆうちょ銀の拡大は協調の機運に水を差し、双方に無益な競争を再燃させる恐れもある。

*4-2:https://www.agrinews.co.jp/p43998.html?page=1 (日本農業新聞 2018年5月6日) 空き家改修費を助成 営農と生活 共に支援 山口県
 山口県は、雇用と独立双方での就農者の増加、定着を目指し、営農と生活を共に支援する事業の強化に乗り出した。従業員や構成員として受け入れる集落営農法人やJAに対し、住居となる空き家の改修費用を助成。住居の確保が就農の支障となる例が多いことから「県域では珍しい」(県農業振興課)パッケージ支援に踏み切った。法人など、就業者を受け入れる経営体を対象に、2017年度に事業を始めた。事業主体と住宅所有者が、5年以上の賃貸契約を結ぶことが条件。1カ所当たり改修費300万円を上限に、市町と3分の1ずつ助成する。18年度は、雇用以外に独立就農者を受け入れるJAなどにも門戸を広げた。営農面では、新規就業者らの受け入れに必要な機械や施設の整備を支援する事業がある。補助率は3分の1、整備費は10アール当たり2000万円が上限。住宅支援と合わせ、18年度は1億7400万円を計上した。県は「住む場所がなく、希望先に就農できないという声も多い。営農だけではなく、生活とのパッケージ支援が必要だ」(同課)と説明する。美祢市の農事組合法人第13営農組合では4月、福岡県から移住した常盤雄一さん(52)、佳子さん(51)夫妻が就業した。同法人は、集落にある築45年の空き家を、水回りを中心に約300万円かけて改修。県の事業を活用した。自己負担分の約100万円も法人が出した。夫妻は県立農業大学校で1年間、水稲や野菜栽培の基礎を学んだ。法人の一員として、米麦の基幹作業を担いながら、アスパラガス栽培を手掛ける。雄一さんは「独立就農は農地確保や初期投資のハードルが高く、就業を選んだ。生活拠点がなく資金面も余裕がなかったので事業は助かる」と喜ぶ。経営面積47ヘクタールの同法人は、高齢化や離農による人材難に悩んでいた。代表の吉村徹さん(71)は「新たな人材の確保、定着には周年の仕事と収入はもちろん、生活のサポートが不可欠だ」と強調する。

*4-3:http://qbiz.jp/article/133251/1/ (西日本新聞 2018年5月7日) 「離島留学」広がる 3年で倍の18市町村に 過疎地の活性化に期待
 自然豊かな島の小中学校に島外の子供を受け入れる「離島留学」が広がりつつある。人口流出と少子高齢化が進む中でも児童・生徒を確保して学校を存続させ、地域活性化につなげる狙いもある。子供たちにとっては、住民らに見守られて、島の伝統や文化に触れる貴重な機会になる。
●人のつながりや自然が魅力
 伊勢湾に浮かぶ答志島(三重県鳥羽市)は2018年度から留学制度を始め、名古屋市の岸上沙耶子さん(34)と小学1年の正太郎君(6)が親子で移住する「家族留学」を決めた。旅行で訪れたことがあり、夫も理解してくれたという。受け入れた子供には、地元のワカメ養殖などを体験してもらう。背景には中学校の生徒が22年度に30人を下回る見通しで、統廃合の対象となることへの危機感があった。沙耶子さんは「みんな子供を気にかけてくれて暮らしやすい。子供も年上の友達ができて自立心がついてきた」と話す。最初の3カ月は改装した空き家に月1万円で住むことができ、市から月2万円の補助金が2年間まで受けられる。島の有志らでつくる留学実施委員会の浜口正久会長(49)は「人のつながりが島の魅力。留学をきっかけに島に愛着を持つ人が増えてほしい」と歓迎する。
●九州の離島も次々と
 離島留学は、島内の家庭で子供を受け入れる「里親型」も多く、食費などに充てる委託料として月6万〜7万円程度を保護者らから受け取る。多くの自治体は離島振興法に基づく活性化交付金で委託料の一部を負担。16年度からは自治体負担の半額を国が支援できるようになった。このほか沖縄や鹿児島・奄美群島でも特別措置法に基づく留学制度がある。国土交通省によると、活性化交付金を使える離島留学は15年度の3県9市町村が18年度は7県18市町村へ増加。九州では、福岡県の地島(宗像市)、長崎県の久賀島(五島市)、佐賀県の馬渡島(唐津市)などで実施された。18年度は新たに長崎県の小値賀島(小値賀町)でも夏以降に児童・生徒を迎える見通し。国交省の担当者は「離島の暮らしを体験し、魅力を感じてもらえれば地域の活性化につながる」と期待する。

<セクハラに罰則は必要であること>
PS(2018年5月8日追加):*5-1の麻生財務相が、「セクハラ罪はない」「セクハラは親告罪で、傷害罪などと違って訴えられない限りは罪にならない」と言われたのは現在の事実であり、加害者が福田前財務事務次官であれ誰であれ、法の下に平等でなければならないのは確かだ。しかし、罰則がなければザル法であり、被害者の不利益が大きすぎるため、私は、*5-2で野田総務相が「セクハラへ罰則を必要なら検討する」とされているのは甘すぎるくらいで、洗練された巧妙なセクハラも含めて、ただちに罰則をつけるべきだと考える。
 なお、*5-3のように、「セクハラ発言は、受け流した世代の責任だ」と言うのは簡単だが、実際に責任をとることはできない。何故なら、セクハラの定義ができたのは1985年だが、未だ罰則もない状態で、立場が下の女性からは受け流すかかわす以外にやりようがなかったからである。さらに、セクハラに苦労していたのは、セクハラの定義ができた1985年以降だけではなく、それ以前はもっとひどかったわけで、それにもかかわらずセクハラに関係する法律は未だザル法で、実質的に社会を変える機会はやっときたということなのだ。

*5-1:http://qbiz.jp/article/133345/1/ (西日本新聞 2018年5月8日) 麻生氏、また「セクハラ罪ない」 持論重ねて主張、反発必至
 麻生太郎財務相は8日の閣議後の記者会見で、福田淳一前財務事務次官のセクハラ問題に関連し「『セクハラ罪』という罪はない」との持論を改めて主張した。訪問先のマニラで行った4日の会見で同様の発言をし、女性団体関係者らに抗議の動きが広がっていた。8日の会見で記者が「批判が出ている」とただしたのに対し、麻生氏は「事実を述べただけだ」と答えた。セクハラを容認する意図はないとも強調したが、重ねての発言に反発が強まるのは必至だ。麻生氏は「セクハラ罪はない」と述べる一方で「親告罪であり、傷害罪などと違って訴えられない限りは罪にはならない」との説明も繰り返した。

*5-2:https://digital.asahi.com/articles/DA3S13483039.html (朝日新聞 2018年5月8日) セクハラへ罰則、「必要なら検討」 野田総務相が言及
 財務省の福田淳一・前事務次官のセクハラ問題を受け、野田聖子総務相兼男女共同参画担当相は7日、BS11の番組収録で、セクハラへの罰則を含めた法規制について「必要があれば検討していけばいい」と述べた。内閣府に有識者会議を設けて幅広く対策を検討する考えも示した。野田氏は、大型連休中に報道機関を含む民間企業で働く女性らから、セクハラ被害などの実態を聞き取ったという。具体的な内容には触れなかったが、収録後に記者団に対し「麻生大臣もセクハラ罪はないとおっしゃった。触ったらわいせつ罪などになるが、(セクハラの)言動はないとするならば議論しないといけない」と述べ、「(罰則が)あった方が抑止力になるのか、考えていきたい」と話した。会議の設置時期については「まだ考えていない」とした。

*5-3:https://digital.asahi.com/articles/DA3S13482941.html (朝日新聞 2018年5月8日) (HUFFPOST)セクハラ発言、受け流した世代の責任
 財務省の福田淳一事務次官(4月に辞任)によるテレビ朝日の女性記者へのセクハラ問題で、ハフポスト日本版編集主幹の長野智子さん=写真=が声を上げた。同局の「サンデーステーション」キャスターも務める長野さんは、「85年、私はアナウンサーになった。セクハラ発言『乗り越えてきた』世代が感じる責任」(4月21日)で、思いを明かした。長野さんは1985年、フジテレビにアナウンサーとして入局。当時、女性に対するセクハラ発言などは日常的に飛び交っていたが、この年、男女雇用機会均等法が成立していただけに、女性たちは「だから女は」と言われないよう、必死に耐え、受け流してきたという。福田氏は報道陣に対し、「言葉遊びのところが批判を受けて、なるほど今の時代はそうなのかと」と発言。長野さんは「昔は平気だったと言いたいのか」と憤り、「こういう男性を増長させたのは我々世代の女性なのか」とも記した。社会の様々な問題を伝えるメディア業界が変わらなければ、「社会は変わらない」とし、自身も努力したいと語った。

<女性の価値は子を産むことだけとは!>
PS(2018年5月12日追加):*6のように、「①あなたが結婚しなければ、子どもが生まれないわけで、人さまの子どもの税金で老人ホームに行くことになります」「②必ず新郎新婦に3人以上の子どもを産み育てていただきたい」などと言う為政者は少なくないため、私は、「それなら老後に年金をもらわなくてもいいので、契約で支払った分を直ちに返して欲しい」と言いたくなる。そうすると、独身やDINKSで働き続けた人には多くの払い戻しがあるが、専業主婦で子育てした主婦には借りこそあれ払い戻しはなく、その借りは、夫や子に払ってもらうのが筋だということが目に見えてわかるからである。また、人生にはいろいろな生き甲斐や成果があるため、「子どもに恵まれなかった」などという哀れみの文言は不要であり、「本当に公平・公正にやればこうなる」ということは、明確にしておくべきだ。
 さらに、専業主婦と子のいる夫は、妻と子の扶養控除を取って所得税もかなり減額されており、国や地方自治体が払う教育費は独身やDINKSの夫婦が支払った多額の税金で賄われていることも忘れてはならない。「しかし、少子化だから・・・」と言う人も少なくないが、このように言われながら育った子より外国人労働者の方がずっと高齢者に親切であろうし、そもそも少子化になった理由は厚労省はじめ政府の政策ミスであるため、仕事を選んで子を持てなかった人に対しては損害賠償をすることこそあれ、その人の責任にすべきではないのである。
 また、結婚式の席上で①②のようなことを言うのは、「いろいろなことを同時に考えられない」という意味で頭の悪さ丸出しである上、「子を産むことだけが貴女の価値だ」と言っている点で花嫁やその家族に失礼である(なお、子を産むだけなら、人間より鮭や蛙の方が優秀だ)。

*6:http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2018051001001831.html (東京新聞 2018年5月10日) 「3人以上の子どもを」と発言 自民・加藤氏、その後撤回
 自民党の加藤寛治衆院議員(72)=長崎2区=が10日の細田派会合で、結婚披露宴に出席した際に「必ず新郎新婦に3人以上の子どもを産み育てていただきたい」と呼び掛けていると紹介した。会合に出席した女性議員らから「これこそセクハラだ」と不快感を示す声が続出。その後、加藤氏は発言を撤回するコメントを発表した。会合で加藤氏は「いくら努力しても子どもに恵まれない方がおり、無理を言うのは酷だ」と指摘。披露宴では若い女性に対し「あなたが結婚しなければ、子どもが生まれないわけですから、人さまの子どもの税金で老人ホームに行くことになります」などと話していることを紹介した。

<政治分野の男女共同参画推進法成立>
PS(2018年5月16、17日追加):*7-1のように、「政治分野の男女共同参画推進法」が、5月16日に参院本会議で全会一致により可決・成立したが、TVはどの局もお天気(暑い)、新潟県での女児殺害(犯人が捕まった)などを繰り返すニュースばかりで、最も重要な「政治分野の男女共同参画推進法」については、その成立も意味も議論の過程も問題点も報道する局がないので、私は驚いた。カネか女に関わるゴシップにしか興味のないのが、現在の報道番組作成者のレベルだが、このような情報提供では選挙で国民が正しい選択をするのは難しい。
 しかし、高知新聞は、2018年5月17日、*7-2のように、①女性参政権が認められて70年以上経つのに女性議員の割合は国・地方とも著しく低い ②1980年代から政治分野の男女均等化を進めてきた海外とは歴然とした差がある ③条文は政党や政治団体が男女の候補者数に目標を設定するなど自主的に取り組むよう努めることも規定しており、各党に積極的対応が求められる ④日本の衆院は10.1%で世界でも下位に位置し、都道府県議会の状況も厳しい ⑤高知県はその平均も下回る5.4%に留まる 等として、「社会の意識から変えていくきっかけにしたい」と書いており、この状況は田舎に行くほど著しいように思う。
 なお、*7-3のように、朝日新聞が、2018年5月17日、「赤松良子さんはじめ女性たちの粘りが道を広げた」と書いているのはよいが、私は、ずっと全力投球してきたのに社会から理不尽な差別を受け、遅れさせられたり不利益を蒙ったりしたため、女性差別によって蒙った損害については損害賠償請求したいくらいであって、悔しいから初めて頑張るようなレベルの低い人間ではない。そのため、「悔しさを力に」などと言うのは差別された側に対して著しく失礼な態度であり、何を考えているのかと思う。

   
           2018.5.17東京新聞   2018.5.17日経新聞

(図の説明:自民党・国民民主党・日本維新の会・公明党の女性国会議員割合は、10%代かそれ以下で著しく低いが、地方議員に占める女性割合はさらに低い。この状況が、男性目線に偏った政策ばかり行われてきた理由であると考えられ、当面、各党とも2020年までに女性議員の割合を30%以上にすることが目標となるだろう。しかし、女性でも票集めのパンダばかりでは政策を合理的に変更することはできないため《票も大切ではあるが・・》、人選は重要だ)

*7-1:https://ryukyushimpo.jp/kyodo/entry-719806.html (琉球新報 2018年5月16日) 政治:選挙の候補者数「男女均等」に 政治分野の共同参画法が成立
 議員立法の「政治分野の男女共同参画推進法」が16日、参院本会議で全会一致により可決、成立した。国会や地方議会の女性議員を増やすため、選挙の候補者数を「できる限り男女均等」にするよう政党に促す。遅れている女性の政界進出を後押しする狙いだが、努力義務にとどめているため、各党の実行力が課題となる。条文は、衆院選や参院選、地方議会選に臨む政党と政治団体は、男女の候補者数の目標設定に「自主的に取り組むよう努める」と規定。国や地方自治体は(1)実態調査(2)啓発活動(3)環境整備(4)人材育成―で協力するよう求めた。罰則はない。公布日に施行される。

*7-2:https://www.kochinews.co.jp/article/183612/ (高知新聞 2018年5月17日) 【女性の政治進出】社会の意識から変えよう
 国会や地方議会の女性議員を増やすための「政治分野の男女共同参画推進法」が参院本会議で可決され、成立した。衆院選や参院選、地方議会選挙で男女の立候補者数を「できる限り均等」にすることを目指す。女性の参政権が認められて70年以上がたつが、女性議員の割合は国、地方ともに著しく低いのが現状だ。国際比較でも歴然とした差がある。女性の政界進出の遅れや共同参画社会の未熟さを象徴するものだ。新法は、男女が共同して参画する「民主政治の発展」を目的に掲げている。罰則のない努力義務ではあるが、全会一致で成立した。各党などには積極的な対応が求められる。条文は、政党や政治団体が男女の候補者数に目標を設定するなど「自主的に取り組むよう努める」ことも規定した。国や自治体には、国内外の実態調査や啓発活動、人材育成などを要請している。海外では1980年代から、政治分野の男女均等化が進んできた。国によっては法で候補者や議席に男女の比率を定めたり、政党が自主的に均等化に取り組んだりしている。国会議員の国際組織「列国議会同盟」(本部ジュネーブ)によると、昨年の国会議員(下院もしくは一院制)の平均女性比率は23.6%と、4人に1人に近い。先進7カ国ではフランスが約40%に上る。これに対し日本の衆院は10.1%で、世界でも下位集団に位置する。先進7カ国では最下位である。都道府県議会の状況も厳しい。総務省によると、2016年末時点の女性議員割合は全国平均9.9%と1割に満たない。高知県はその平均も大きく下回る5.4%にとどまっている。新法が超党派の議員立法でようやく成立し、努力義務にとどまったことも、日本の政界の意識を示すものだろう。過去、女性を「産む機械」と発言した国会議員がいた。都議会では、男性議員が質問中の女性議員に「産めないのか」などとやじを飛ばし、批判された。最近は財務省のセクハラ問題で政府中枢の人権感覚が疑われている。女性議員が少ない現実と問題の根はつながっていよう。政官界だけの問題ではない。女性への偏見や女性の社会進出の遅れは社会全体の課題といえる。スイスの国際機関が発表した17年版「男女格差報告」で、日本の男女の平等さは144カ国中114位だった。企業の女性の管理職登用も遅々としている。子どもが保育園に入れず、女性が仕事復帰を諦めるケースが後を絶たない。子育てや家事は男性より女性の負担が大きい傾向にある。こうした問題が解決しなければ、女性の議員候補者も増えまい。新法の効果には不安も拭えないが、重要な一歩ではある。社会の意識から変えていくきっかけにしたい。もちろん先達となるべきは政界や官界の意識改革であろう。関係機関の姿勢が問われる。

*7-3:https://digital.asahi.com/articles/DA3S13497275.html (朝日新聞 2018年5月17日) 女性たちの粘り、道広げた 候補者均等法「次世代のために」
 「私たちがやるしかない」――。女性議員を増やすことをめざす候補者男女均等法の成立に向けて尽力したのは、中心メンバーが70~80代の女性たちだった。性別ゆえに悔しい思いを重ね、何年もかけて粘り強く訴えてきた。その思いに刺激を受けた若い世代も、動き始めている。
■「長かったね」
 16日、東京・永田町にある国会の傍聴席には、法を後押しした約60人の女性たちの姿があった。電光掲示板に「賛成234、反対0」と表示され、法が可決した瞬間、小さくどよめきが起こった。傍聴したのは、女性の政治参画をめざす市民団体「クオータ制を推進する会(Qの会)」のメンバーら。「長かったね」「これからが大事だね」と喜びを分かち合った。国会議事堂の前で記念撮影をした際、女性たちは一輪のカーネーションを手にしていた。会の代表を務める赤松良子さん(88)は1985年、職場での男女平等に道を開いた「男女雇用機会均等法」を旧労働省の局長として成立させ、「均等法の母」と呼ばれる。「候補者男女均等法」が成立したこの日、赤松さんは体調不良で国会に来ることができなかったが、二つの「均等法の母」になった赤松さんへの感謝を込めたという。結婚退職が当たり前だった時代から働く女性の地位向上に力を尽くした赤松さんが、退官後に力を注いだのが政治への女性の進出だった。99年から女性候補に資金援助する活動を始めたが、女性議員がなかなか増えない。「日本は男女格差の国際ランキングで順位がとんでもなく低い。何とか引き上げるためには、政治に女性を増やさなきゃ」。そこで、候補者に占める男女の割合を定めるなどの仕組みが必要だと、会を2012年に立ち上げた。
■悔しさを力に
 会に集まったのは、志を同じくする労働省時代の同期や後輩、議員経験者、女性団体の活動を続けてきた高齢女性たちだった。議員会館で集会を開いては議員らを呼んで機運を高め、15年2月に超党派の議連が発足した。各政党での女性の進出への理解度の差や与野党間の対立もあり、法は何度も頓挫したが、粘り強くロビー活動を続けた。議員会館では衆参合わせて700人を超える議員の部屋をチラシを持って訪ね歩き、法の必要性を訴えて回った。赤松さんの労働省の後輩で、のちに参院議員を2期務めた川橋幸子さん(80)は、「1人だと心が折れちゃうから、2~3人のグループを3班つくって、半日かけて回った。みんな70歳を超えているから、本当に肉体労働だった」と振り返る。入省当時、霞が関で女性を採用していたのは労働省だけ。子連れで地方へ赴任した際は「(夫を)置き去り赴任」と批判された。「私たちの世代はずいぶん悔しい思いをした。次世代の女性たちのためにもっと道を広げたい」。そんな思いが、この法のためにかけずり回る原動力になった。メンバーがそれぞれの現役時代の経験や人脈を持ち寄り、会結成から6年で悲願がかなった。乳がんと闘いながら活動した埼玉県八潮市議の矢沢江美子さん(71)は、「私たちがやるしかない、という使命感があった」と振り返る。
■若い世代動く
 活動は、若い世代も巻き込んだ。母の友人に誘われて参加した武蔵野市の天野妙さん(43)は、議員会館での集会開催や議員へのアプローチなどのノウハウを学び、のちに待機児童問題を訴える「#保育園に入りたい」運動のリーダーになった。女性が直面する様々な課題を解決していこうと高校時代に学生団体を立ち上げた都内の私立大1年、大山友理さん(18)も「Qの会の人たちの強い思いに刺激を受けた」一人だ。女性議員が少ないことは「当たり前の風景」すぎて疑問を持たずにきたが、「専業主婦は『活躍』の対象外?」「女性だけが仕事も育児も頑張らなきゃいけないの?」といったモヤモヤした思いの一因は、議会の多様性のなさにあるのでは、と思うようになった。「多様な議員の姿は、社会にもプラスの影響を与えてくれるのでは」と期待している。

<セクハラへのILOの介入>
PS(2018年5月19日追加):女性に対して仕事上の不利益を与えることを罪だと思わない社会では、*8-1のように、女性への賃金格差だけでなく年金格差も生まれ、女性の経済的不利益は計り知れない。そして、これは、本人の努力で改善することのできないものであるため、私は、*8-2のように、国連の国際労働機関(ILO)が職場での暴力やハラスメントをなくすための新たな国際基準を作って拘束力を伴わせることに賛成だ。また、ハラスメントの定義は、「身体的、精神的、性的または経済的危害を引き起こす行為・慣行」にすればよいと考える。

*8-1:http://www.tokyo-np.co.jp/article/living/life/201712/CK2017121402000167.html (東京新聞 2017年12月14日) 【暮らし】<年金プア 不安の中で>79歳女性 月額9万4000円、貯蓄200万円 賃金格差が受給額に直結
 夫が病気で働けなくなったなどの事情から女性が家計を支えた場合、老後に年金受給額が少なく、苦しい生活を強いられるケースが多い。会社員など厚生年金加入者の年金受給額は給与額に比例する仕組みで、女性は多くの場合、男性より大幅に給与が抑えられてきたからだ。中部地方に住む79歳の女性の事例をもとに、女性の老後について考えてみた。女性は平屋建ての古い一軒家に一人暮らし。周辺には農地が目立つ。腰を痛めており、リハビリ施設に通っている。昨年亡くなった夫との間に娘が三人。「毎年の正月に三人がそろって来てくれます。『ずっと元気でいてね』と言ってくれ、うれしいです」。収入は老齢基礎年金と老齢厚生年金を合わせた月額九万四千円余り。介護保険料やリハビリ費用、眼科などの医療費を除いた約八万円でやりくりしている。わずかな農地で若いころから兼業農家の生活を送り、今も野菜は自分が食べる分は作っているという。それでも、冠婚葬祭など急な出費があったときは赤字になる。貯金は約二百万円あるが「介護の施設に入るようになったら、出費がかさんで貯金がいずれ尽き、娘に迷惑をかける。それが嫌なんです」と漏らした。四十五年前、会社員だった夫が脳梗塞で倒れ、半身不随に。夫の障害厚生年金で月額約五万円が支給されたが、まだ幼い娘三人を抱え、女性は勤めに出ざるを得なくなった。それ以降、六十六歳まで、繊維工場や清掃会社などでパート従業員として働いた。仕事のある平日は午前八時に工場に出勤して午後五時すぎに帰宅。自宅では食事の用意などの家事をこなし、床に就くのはいつも日付が変わってからだった。時期によっては早朝に農作業をする日もあった。それでも収入は手取りで月十五万円ほどと、正社員の男性の半分以下だった。低い給与額が、そのまま年金受給額にはね返る。「せめて男性並みだったら、年金受給額はあと五万円は多かったのでは。近所の寄り合いで、同じ年頃の男性があちこち旅行に行ったという話を耳にすると、落ち込みます」
◆1人暮らしの女性 厳しい老後の生活
 女性の社会進出が進んだといわれているが、非正規雇用が多く、給与所得は男性に比べてまだまだ低い。国税庁の二〇一五年分の民間給与実態統計によると、女性の給与所得者の年間給与額の平均は二百八十万円。男性の五百二十一万円の約54%の水準だ。これがそのまま年金の受給額に直結する。厚生労働省がまとめた一五年度の「厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金受給者の平均受給月額は、男性が十六万六千百二十円、女性は十万二千百三十一円と男性より約六万四千円も少なかった。受給月額別の受給者数のデータでは、男性は十七万~二十二万円が最も多く、女性は大半が七万~十二万円だった=グラフ参照。働く女性が増える一方、結婚する男女は減少傾向で、給与所得の低い一人暮らしの女性が増えているとみられる。将来的には、年金受給額が低い「年金プア」の高齢女性が増えるとの指摘もある。年金受給者の実態を調べている岐阜経済大の高木博史准教授は「一人暮らしの年金受給者の場合、生活は女性の方が苦しいと考えられる。放置すると孤独死につながるケースもある。行政などは実態把握から始めて対策を考えるべきだ」と解説する。

*8-2:http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201805/CK2018051902000138.html (東京新聞 2018年5月19日) 【政治】ILO、セクハラに初の国際基準 拘束力伴う条約目指す
 国連の国際労働機関(ILO)は年次総会を二十八日から六月八日までスイス・ジュネーブで開き、職場での暴力やハラスメントをなくすための新たな国際基準を話し合う。セクハラを含め、仕事に関わるハラスメント全般を直接扱った国際基準はこれまでなく、今回の議論を経て来年の総会で採択を目指す。条約で基準に拘束力を持たせることができるかどうかが焦点となる。ILOはハラスメントを世界共通の深刻な差別としてとらえた議論を二〇〇九年にまとめ、加盟各国に適切な措置を呼び掛けてきた。今回の総会では、加盟百八十七カ国の政府・労働者・使用者の代表が、事前に各国の見解をまとめた「たたき台」を基に討議する。基準を(1)拘束力を伴う条約(2)拘束力のない勧告(3)拘束力を伴う条約を勧告で補完-のいずれにするかが議論の争点となる。ハラスメントの定義や対象となる労働者や行為者の範囲、防止措置や被害者支援も議論する。たたき台は最も拘束力のある(3)を支持し、ハラスメントを「身体的、精神的、性的または経済的危害を引き起こす」「許容しがたい一連の行為と慣行」と定義。労働者の範囲は求職者やボランティアなども包括的に設定する内容となっている。ILOがたたき台の作成に先立ち八十カ国の現状を調査した結果、仕事に関する暴力やハラスメントを規制する国は六十カ国で、日本は「規制がない国」に分類された。日本は、男女雇用機会均等法で職場のセクハラ防止措置を事業主に義務付けるが、セクハラの定義や禁止規定はなく、被害者保護、救済の壁になっている。

<女性議員増加の効用>
PS(2018年5月22日追加):日本の衆議院議員の女性比率は1割強(193カ国中158位)で、*9-1のように、男女の候補者数を均等にすることを目指す「政治分野における男女共同参画推進法」が成立したが、立候補しても当選しなければ議員にはなれない。そして、女性の政界進出を阻む壁は、外注費以上の報酬があれば外注も可能な育児・介護負担ではなく、「知識や経験があって論理的思考ができるのは男であり、女は感情的で実績もなく劣っている」という有権者の意識で、この先入観を作っているのは、メディアの偏見に満ち満ちた表現なのである。
 なお、知識や経験のある女性議員が増えれば、*9-2のような「要介護高齢者が2025年度には770万人になり、社会保障費が大幅に増加するのは問題だ」という発想はなくなるだろう。何故なら、(私が提案してできた)介護保険制度がなく、家族がすべての世話をしなければならない状態では、家族の負担が大きすぎ、専門家でもないため十分なケアができず、家庭崩壊に繋がることすらあることを、女性は容易に想像できるからである。
 では、*9-3のように、「2040年度に190兆円に上る」と推計される介護費用を誰が支払うのかについては、まず介護費用の徴収面で高齢者に偏って負担をさせているのは公平でも公正でもないため、直接ケアする負担を免れている家族のうち働いている人のすべて(全世代)で負担するのが妥当だ。また支出面では、「介護保険が出るから」と、本当は不要だったり高すぎる価格設定をしたりした器具を1割負担で買えるようにしておくのも問題である。
 そのほか、私が、このブログで何度も書いているとおり、日本の海洋資源を開発して税外収入を得ることは国民負担を減らす究極の方法になるが、*9-4のように、政府は(私が提案して)2008年に策定された海洋基本計画を、資源開発から安保重視へ転換する閣議決定したそうで、国民負担を減らすどころか増やすように工夫しているようだ。そもそも領海や海洋権益を守る必要があるのは海洋資源があるからで、領土や外国から資源を輸入するための航行の自由を守ることだけが重要なのではない。つまり、女性議員が増えると、国民生活を豊かにするために知恵を絞る人が増えるのである。

      
 2018.5.21日経新聞            2018.5.22西日本新聞

(図の説明:介護保険料は、物価水準が安く高齢者の多い事情のある地域で高くなっているが、地域によって異なるのが問題なのであり、国で統一すべきだ。また、社会保障費がこれだけ伸びるということは、それに関わる産業も伸びが大きいということであるため、一般企業が参入して洗練された高齢化製品を作るのがよいと思われる。なお、国民負担を重くすればするほど、国民生活は貧困になり、可処分所得が減るため実需が減る)

*9-1:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20180520&ng=DGKKZO30735470Z10C18A5EA1000 (日経新聞社説 2018年5月20日) 政治にもっと女性の力を
 政治分野における男女共同参画推進法が成立した。国政選挙と地方議会の選挙で、男女の候補者数をできる限り均等にすることを目指している。多様な人材が議会に参加し、より現実に即したきめ細かな政策の実現につながることを期待したい。法案は超党派の議員立法で提出され、衆参両院で全会一致で可決された。政党や政治団体に対し、数値目標の設定などの自主的な取り組みを促す内容だ。強制力はなく、理念法ではある。それでも大きな一歩だろう。日本の政治は国際的にみて、あまりに女性の進出が遅れてきた。世界の国会議員が参加する列国議会同盟によると、日本の衆院の女性比率は1割強で、193カ国中158位にとどまる。市区町村議会では、女性が1人もいないところが2割を占める。海外には男女格差を是正しようと、候補者数や議席数の一定割合を女性に割り当てる「クオータ制」を法で義務付けている国もある。だが日本の現状を考えれば、一足飛びには弊害があるだろう。まずは女性候補者の発掘と育成に真剣に取り組むべきだ。与野党各党は選挙のたびに、「男女共同参画」や「女性活躍」の推進を公約の柱として訴えてきた。しかし党本部や地方組織での候補者選びは、ベテランの男性幹部が担う場合が多く、人材の発掘が政治家の親族や支持団体の幹部ら男性に偏ってきた面がある。意欲と能力ある人材は、地域に必ずいる。さまざまな視点や経歴を持つ候補者が増えれば、投票する選択肢が広がるだろう。来年は春に統一地方選、夏に参院選がある。私たちも有権者として政党の取り組みを注視したい。女性の政界進出を阻む社会的な要因も直視すべきだ。託児所の整備などは大事だが、問題はそれだけではない。女性に偏った育児や介護の負担、政治は男性のものという意識などが壁になっている。根っこの部分から変えていかねばならない。

*9-2:http://qbiz.jp/article/134220/1/ (西日本新聞 2018年5月22日) 要介護高齢者25年度に770万人
 65歳以上のうち介護が必要になる人が、7年後の2025年度に全国で現在より約141万人増え、1.22倍の約770万人と推計されることが、47都道府県の介護保険事業支援計画を基にした共同通信の集計で20日、分かった。25年は団塊の世代が全員75歳以上になり、社会保障費の大幅増が予想されることから「2025年問題」と呼ばれる。介護保険も要介護者数の増加で費用が膨らみ、財源確保策が課題となるほか、サービスの整備や担い手不足への対策が求められそうだ。介護の必要度は、最も軽い要支援1から最重度の要介護5まで7段階に分かれる。要介護認定を受けた人は17年12月現在では約629万人。25年度にかけて要介護者が最も急激に増えるのは、千葉県で1.37倍。神奈川県の1.35倍、埼玉県の1.34倍と続く。増加幅が小さいのは和歌山、島根両県の1.05倍、山形県の1.07倍などだった。高齢者人口に占める要介護者数の割合(要介護認定率)は、全国平均で17年12月の18.1%から25年度には21.3%に上昇する見通し。最も高くなるのは大阪府で25.9%。最も低いのは山梨県の17.2%。厚生労働省の3年前の集計では、25年度の要介護者数は約826万人と推計されており、今回は約56万人減った。17年の要介護者も3年前の推計値に比べ、既に約39万人少なくなっている。介護予防の取り組みが進んだことや、高齢者の健康意識の高まりなどが作用したとみられる。

*9-3:http://www.saga-s.co.jp/articles/-/220073 (佐賀新聞 2018年5月21日) 40年度の社会保障費190兆円、政府が推計公表
 政府は21日の経済財政諮問会議で、医療や介護、年金などにかかる社会保障給付費について、高齢者数がピークに近づく2040年度に約190兆円に上るとの推計結果を初めて公表した。18年度の約121兆円から1・5倍以上に膨らむ。給付費の財源は主に国と自治体の公費や保険料で賄われ、18年度と比べ公費、保険料とも30兆円超増やす必要がある。政府は推計を基に、長期的な視野に立った費用抑制策や税・保険料負担の在り方を検討していくことになる。190兆円は18年度予算の一般会計総額の約2倍に相当する。

| 男女平等::2015.5~2019.2 | 06:32 PM | comments (x) | trackback (x) |
2018.4.6 女性活躍を、女性の地位向上ではなく、少子化対策と捉えた点が誤りなのである (2018年4月7、8、11、12、13、14、15、18、19日に追加あり)
   
 出生数と合計特殊出生率   人口の高齢化  未来予測     日本の人口推移
             2018.3.31朝日新聞
(図の説明:1番左のグラフのように、戦後しばらくは合計特殊出生率が2~5で人口過剰が懸念されたが、1970年以降は一貫して2を下回り、次第に下がった。その結果、左から2番目のグラフのように高齢者の割合が増えたが、これは戦後の特殊状況・産業革命・医療の進歩などによる一過性のもので、第1次及び第2次ベビーブーム世代が亡くなると、人口は漸減しながら安定する。しかし、人間も生物であるため、人口密度が低くなって住みやすくなると出生率が上がって均衡人口に達するため、一番右のグラフのような産業革命前まで戻る著しい減少はしない)

(1)文明の進歩とともに向上すべき女性の地位
1)女性を土俵に上げないという伝統
 多々見市長が土俵上で倒れ、すぐに女性2人が土俵に上がって心臓マッサージを始めたのに対し、*1-1のように、行司が、「(「お客様の中に医療関係者はいませんか?」ではなく)女性は土俵を降りて下さい」とアナウンスし、「行司が動揺したため」と弁解されているが、「①土俵は神聖な場所であるため、女性を上げないことが何より重要」「②人命にかかわる緊急時のみ不適切な対応だった」としており、これは相撲文化の本質的な問題である。

 そして、①は江戸期からの伝統だそうだが、「女性は不浄だから神聖な場所には入れない」という伝統こそ昔から行われている仏教や儒教に基づく女性差別の継承であり、女性に対して失礼である。これに疑問のある人は、「女性は不浄だ」という理由を挙げ、それは現在も本当か否かを考えてみればよい。

 また、②は、「緊急時に女性を使うことだけ許す」と言っているのであり、やはり女性蔑視だ。さらに、*1-2のように、兵庫県宝塚市で4月6日に開かれる大相撲「宝塚場所」では、同市の中川智子市長が、巡業実行委員会に「土俵上で挨拶したい」と意向を伝えたところ、「土俵の下で挨拶して欲しい」と断られたそうだが、かつて、森山眞弓官房長官や大田房江大阪府知事も土俵に上がるのを断られた経緯がある。

 そのため、女性首長に対して敬意がなく、「女性は不浄だから男性だけ神聖な場所に入る資格がある」などと考えているスポーツに女性ファンがいることの方が不思議であり、相撲は自らの顧客に女性がいることを忘れてはならない。

2)女人禁制の伝統に疑問を持たない女性活躍相は、ジェンダーの解消に役立たない
 野田女性活躍相は、*1-3のように、「土俵上での医療従事者の救命活動は当たり前」としながらも、「この国の伝統を重んじる一人として、これまで(女性が土俵に上がれないことに)疑問を持ってこなかった」としている。しかし、このようなジェンダーギャップに疑問を感じない女性活躍相では、いくらその地位にいても本当にやるべき改革はできない。

 このように、伝統や歴史の名の下に、女性を多くの土俵から締め出した結果、*1-4のように、世界経済フォーラムが2017年11月2日に発表したグローバル・ジェンダー・ギャップ指数で、日本は144カ国のうち114位となった。そして、*1-5のように、英誌が発表した「ガラスの天井ランキング(2018年版)」でも、主要29カ国中28位とワースト2位となり、OECDによると、日本の大卒女性の就業率は諸外国に比べて低く、日本は高学歴女性を生かしていないとのことである。また、日本は女性管理職比率や所得の男女差など10項目のほとんどで各国平均を下回っており、日本は存在する人材を活かして使っていないという結果になっている。

(2)ジェンダー(社会的性差別)はどうやって作られるのか 
1)女性への専業主婦の勧め
 私は、専業主婦を選択した女性が「働いていない」「活躍していない」と考えたことはなく、“お役所仕事”をしている人(男女とも)よりも、毎日、マルチタスクで結果を出さなければならない仕事をしていると思っている。

 しかし、*2-1のように、「①専業主婦の私は輝ける」「②夫や息子の幸せを支えるのが誇り」などと、自分の選択を正当化して唱えなければならないところが専業主婦の気の毒なところで、これは、家事がシャドウ・ワークであり、金を稼ぐことで評価されないからだが、家事を全部外部委託すれば、20~40万円/月の外部委託費がかかるので、外部委託していない人は、それだけの働きを自分でしていることになる。

 が、栄養が十分な現在、“土鍋で炊いた十六穀米”は過剰だろうし、オートミールクッキー・ヨーグルトババロアの手作りは、品質のよいそれらの既製品が容易に手に入る以上、効率性を欠いており、趣味の領域に入るだろう。

 ただ、「みんなの幸せを支えているのは私」と誇るのはよいが、人を支えるだけが誇りと言うのは女性に強いられる悲しいジェンダーであり、「で、貴女自身は何を志したの?」と、働き続けることを選択した私は言いたくなるのだが、本当は、どの選択をするのも自由な筈である。しかし、働き続けたくても社会的サポート不足でそれがかなわず、女性に二者択一を迫って少子化に導いたのが日本政府なのだ。
 
2)お母さんに強要される専業主婦と非正規雇用(雇用主から見れば、安価で雇用調整しやすい便利な労働力) ← 子供に降り注ぐジェンダー観
 *2-2のように、子ども番組の歌のお兄さんが、①母親になる前はヒールをはき ②ネイルをして立派に働けるって強がっていた ③おかあさんになった今、爪を切り、走ることができる服を着て、パートに行く と、日本全国の子どもたちに向かって歌って聞かせる。

 ネイルをするのは、爪の健康に悪い上、しっかり手を洗えないので衛生的でなく、知的とは言えないが、ヒールのある靴を履いてかっこよくおしゃれをしながら、いつも走って立派に働いているのは、教育を受けた女性なら当然のことだ。しかし、子どもの頃から、それを「強がり」と刷り込むのが、我が国のジェンダー(社会的性差)教育の始まりなのである。

 また、女性に対する自己犠牲の奨めが強く、それでも「おかあさんになれてよかった」と女性を締めさせ、子どもを産まない女性やバリバリ働く女性は間違っていると子どもに刷り込む。そのような社会的刺激のシャワーの中で育った子どもたちは、どういう母や女性を理想とするようになるか。こうして、女性に自発的に自由を捨て去ることを強い、女性差別を維持しようとしているのが、我が国の現在の問題なのである。

3)「主役として地位を得たがる女性は性格が悪い」という刷り込み
 政治家で、いろいろな組織の理事や監事をしている人は多いが、*2-3のように、熊本市議会議員の北口氏は兼業禁止規定に違反したとして、議員資格なしとする資格決定書を熊本市議会が全会一致で議決したそうだ。

 しかし、何を言われるかわからないので兼業しない私には、長く役職についておらずブランクが長いとして立候補にマイナスであるかのように言う人が少なくなく、女性が男性を支えるのではなく議員や管理職などの役職に就くのが気に入らないため、何とかケチをつけているのが見え見えである。

 そして、こういうことを多くの人が疑問を感じずに受け入れる理由は、「自己を犠牲にして夫や子どもを支えるのではなく、主役として地位を得たがる女性は性格が悪い」という、(2)2)のような幼い頃からの刷り込みのシャワーがあるからだ。

 なお、北口氏は市職員にパワハラ行為があったともされているが、若くない女性がいたらない部下に注意をするとパワハラと言われることが多いのも女性の仕事をやりにくくしており、これは私も経験済みで、長く働いている女性を「お局様」と言う陰口が今でも通っているのと同じ古い感覚によるものである。

(3)人口減という論点設定の誤り
 少子化と人口減が問題だと説き、1番上の1番右のグラフのような架空の人口動態を示して騒ぐ論調は多いが、*3-1のように、女性やシニアの労働参加率が上昇すれば、人口減の中でも、しばらくは就業者の数が増え続ける。その増加カーブが頭打ちになる頃には、AI利用による生産性の向上を失業なく行うことができ、外国人労働者も導入して、世界に貢献しながら日本の労働力を満たすことができるだろう。

 さらに、*3-2のように、 ①人口増加は経済成長の大きな要因でない ②終戦直後には人口過剰問題への懸念が強かった ③生産性の継続的な上昇を促す経済政策を行うべき と主張する人もおり、私はこれに賛成だ。つまり、労働者に差別なく経験を積ませて生産性を上げれば、人々の福利を増しつつ明るい未来を作り出すことができるが、そのためには、我が国に逆方向に突っ走っている余裕などはないのである。

<女性は土俵に上げない伝統>
*1-1:https://digital.asahi.com/articles/DA3S13438719.html (朝日新聞 2018年4月6日) 「女性は土俵降りて」、波紋 大相撲巡業、救助中アナウンス
 京都府舞鶴市で4日にあった大相撲春巡業の舞鶴場所で、「女人禁制」の土俵上で倒れた多々見良三・同市長(67)の救助をした女性に、行司が土俵から降りるようアナウンスをした問題をめぐり、波紋が広がっている。日本相撲協会は5日、女性に直接謝罪したい意向を示した。
■「女人禁制」 行司「動揺し」
 4日午後2時過ぎ。土俵であいさつをしていた多々見市長が倒れた。70代男性は、市長のあいさつする声がいつもより力んでいるように聞こえたといい、「張り切っているんだな」と感じた。だが、間もなく市長は、何の前触れもなく後ろへ倒れたという。土俵の近くで見ていた60代女性によると、すぐに女性2人が土俵に上がり、「胸を開けてください」と叫ぶと心臓マッサージを始めたという。その後、「女性の方は土俵から降りてください」とのアナウンスが繰り返し流れたが、救急隊員らが交代するまで救助活動を続けた。70代男性は「なぜ降りろ、というかわからず、後になって女人禁制のことだとわかった」という。主催した実行委員会の河田友宏委員長(78)は「しきたりはしきたりだが、人の命がかかっているときに言うことではない。救命措置がなかったらどうなっていたかと思うし、とても感謝している」。女性たちには看護師も含まれていた。舞鶴市によると、多々見市長が倒れた原因は、くも膜下出血といい、市内の病院で手術を終え、経過は良好という。声を発したのは進行役の若手行司だった。「動揺した。女性が上がっているというのが頭の中で膨らんだ」と説明したという。八角理事長(元横綱北勝海)は同日夜、「とっさの応急処置をしてくださった女性の方々に深く感謝申し上げます」とした上で、アナウンスについて「人命にかかわる状況には不適切な対応でした。深くお詫(わ)び申し上げます」とコメントを出した。
■江戸期からの「伝統」
 女人禁制は、江戸時代の勧進相撲の頃から続いている。協会に残る資料には「女子は土俵に上がれない。固く禁じられている。理由は土俵は神聖なる場所であるため、このしきたりは勧進相撲当初より守られている」とある。現在も、引退相撲の際の断髪でも女性は国技館の土俵には上がれず、土俵下ではさみを入れている。協会は伝統・文化としての相撲道を守る立場として、ちょんまげや着物姿と同様に女人禁制も維持したい考えだ。米国出身のリー・トンプソン早大教授(スポーツ社会学)は「『女性であること』を何よりも優先する考えは時代遅れ」と指摘する。八角理事長のコメントに触れ、「かたくなに女性が土俵に上がることを拒否してきた協会が、緊急時では土俵に上がって良いと許容した。ある意味で『進歩』」と話す。ノンフィクション作家の長田渚左さんはアナウンスには「臨機応変な対応が出来ない。女性ならずともあきれかえったのではないか」とした上で、「協会が自分たちで作ったルールならそれはそれで結構。ただし、今後に備えて対応は考えて欲しい」とした。横綱白鵬は取材に「世界大会で女性が土俵に上がるのを見たこともあるし、(女性がいるのは)あまり違和感はない。本場所だったらまた別の話だけど」と話した。報告を受けた協会ナンバー2の尾車事業部長(元大関琴風)は「人命第一なのは誰もが分かっていること。女性が土俵に上がれないのは次元が違う話」と述べ、救命活動にあたった女性らに、八角理事長が直接感謝と謝罪を伝えたい意向があることも明らかにした。

*1-2:https://digital.asahi.com/articles/DA3S13438721.html?ref=pcviewpage (朝日新聞 2018年4月6日) 土俵上あいさつ、女性市長できず 「宝塚場所」、実行委断る 大相撲巡業
 兵庫県宝塚市で6日に開かれる予定の大相撲の地方巡業「宝塚場所」で、同市の中川智子市長が、企業などでつくる巡業の実行委員会に「土俵上であいさつしたい」との意向を伝えたところ、断られていたことがわかった。中川市長によると、5日朝、土俵上でのあいさつについて実行委に打診したが、日本相撲協会と相談した結果として「相撲の伝統に配慮し、土俵の下であいさつしてほしい」と断られたという。中川市長は昨年の「宝塚場所」でも土俵の下であいさつしており、昨年同様の対応を求められたという。中川市長は「平等の観点からおかしいのではないか」と話している。

*1-3:https://digital.asahi.com/articles/ASL4632BVL46UTFK004.html?iref=comtop_8_03 (朝日新聞 2018年4月6日) 野田女性活躍相、土俵上の救命活動「至極当たり前」
 京都府舞鶴市での大相撲春巡業で、「女人禁制」の土俵上で倒れた市長を救助した女性に、行司が土俵から降りるようアナウンスしたことについて、野田聖子・女性活躍担当相は6日の閣議後会見で、「日本相撲協会が不適切だったと謝罪したのは、その通りだ」と述べ、行司の対応に問題があったとの認識を示した。野田氏は「土俵の上とはいえ、市長は生命の危機にあり、医療従事者が救命活動をすることは至極当たり前」と強調。土俵の女人禁制について「この国の伝統を重んじる一人として、これまで疑問を持ってこなかった」とも述べた。今後のあり方については「相撲協会が今回の事例を受けてどう歩んでいくか決めてほしい」とした。

*1-4:https://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2017/171201.html (日弁連会長声明 2017年12月1日 日本弁護士連合会会長 中本和洋) 世界経済フォーラムのジェンダーギャップ指数に対する会長談話
 世界経済フォーラム(WEF、本部・ジュネーブ)は、2017年11月2日、同年の世界各国の男女平等の度合を指数化した「グローバル・ジェンダー・ギャップ」を発表した。日本は、調査対象144か国のうち、114位と前年より3つ順位を落とし、過去最低となった。2015年が101位、2016年が111位と年々順位を落としている。ジェンダーギャップ指数は、女性の地位を、経済、政治、教育、健康の4分野で分析し、ランク付けしているが、日本は、経済114位、政治参画123位であるのに対し、教育74位、健康1位と分野間のばらつきが大きい。特に、女性の地位改善の鍵ともいうべき政治分野が最も順位が低く、国会議員の男女比が129位、閣僚の男女比は昨年の50位から88位と大幅に落ち込んでいる。生活の基盤となる経済は昨年の118位から若干改善したが、給与格差、管理職や専門職での男女比は、いずれも100位以下と低い。教育の分野では、初等・中等教育や識字率が1位であるため、教育全体では74位であるが、高等教育は101位といまだに低い水準にとどまっている。日本政府は、「すべての女性が輝く社会づくり」をその重点課題に掲げ、2017年6月6日には「女性活躍加速のための重点方針2017」を明らかにした。その中で、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律が完全に施行されてから1年余りが経過し、「女性活躍は大きなうねりになっている」との現状認識を示し、また女性活躍の実現に不可欠な働き方改革の取組を今後も強力に進めるとしている。しかし、2017年のジェンダーギャップ指数は調査が始まってから過去最低の順位を記録しており、上記施策が十分に成果を上げたとは言いがたい。国民の半数を占める女性の意見が十分に反映されてこそ、男女平等の視点を有する各種施策の立案が可能となることから、女性の政治参加は、あらゆる分野における女性の地位向上のための必須の条件である。当連合会においても、会内における男女共同参画の重点課題として、意思決定過程への女性会員の参画拡大に取り組んでいるところである。また、高等教育における格差解消は、社会に出てからの経済分野や政治分野における男女格差の改善に大きな影響を及ぼすことから、政府の掲げる女性活躍推進における有効な布石となるはずである。したがって、当連合会は、日本政府に対し、2017年のジェンダーギャップ指数の順位が過去最低となった事実を厳粛に受け止め、女性活躍を更に推進するために、働き方改革の取組にとどまらず、女性の政治参加及び高等教育における男女格差解消を重点課題とし、我が国のあらゆる分野にはびこっている性差別を根絶するためのより実効性のある具体的措置、施策を早急に講じるよう求めるものである。

*1-5:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO27824790X00C18A3EA1000/?nf=1 (日経新聞 2018/3/7) 大卒女性、生かせぬ日本 先進国で就業率の低さ顕著
 3月8日は国連が定めた国際女性デー。英誌がこの日にあわせ発表した「ガラスの天井」ランキング(2018年版)で、日本は主要29カ国中28位とワースト2位に甘んじた。経済協力開発機構(OECD)によると、大卒女性の就業率が日本は諸外国に比べ低く、高学歴女性を生かしきれていない。労働力人口が縮むなか、「眠れる宝」の掘り起こしは急務だ。英エコノミスト誌のランキングは、女性管理職比率や所得の男女差など10項目のデータを基に計算。日本はほとんどの項目で各国平均を下回り、17年版と同じ28位。韓国と最下位を争った。安倍晋三首相が施政方針演説で「女性が輝く日本」をつくると明言したのは13年2月。17年の女性就業者が2859万人に上るなど、働く女性は5年間で200万人増えた。子育て期に就業率が下がる「M字カーブ」現象も解消されつつある。ただ、非正規女性の増加が数字を押し上げている面もあり、企業の女性管理職比率は12.1%(16年度)、役員比率は3.7%(17年、上場企業)にとどまる。女性活躍の質が伴わない一因は高学歴女性の就業率の低さにある。OECDの最新データ(16年)によると、日本の大卒女性就業率は74%でOECD加盟35カ国中29位。先進国の間でも低さが際立つ。男女格差も著しい。教育投資が経済活動に十分還元されておらず、社会的な損失は大きい。大卒女性の就業率が低いのは、仕事と生活の両立が難しく、結婚・出産での退職が多かったからだ。再就職先はパートタイムや定型業務などに限られがちで収入も低い。日本女子大学はこんな高学歴主婦らの再就職支援プログラム「リカレント教育課程」を開いている。会計学などを1年学び実践力を磨き直す。受講生の7割は他大出身。慶応大と東京女子大、早稲田大が上位を占める。人手不足を背景に企業も目を向ける。同教育課程が2月に開いた就職合同会社説明会には37社が参加した。「数年前まで参加は10社程度だった。ブランクはあるものの、高い潜在能力に企業も気づいた」(事務局)。女性総合職の離職を防ぎ、幹部候補として養成を急ぐ動きもある。サントリーホールディングスは育児休業でのキャリアロスを防ぐため、早期復帰を支援。保育所に入れなくてもベビーシッターを会社が手配するなど、希望時期に必ず復職できるようにした。女性役員養成に国も動く。内閣府は17年度、役員候補女性を育てる研修を開いた。グローバル経営など経営幹部に必要な知識を教えた。女性活躍の推進で多様な価値観を組織に入れると企業の競争力は高まる。先進国が取り組みを急ぐなか、その遅れは日本企業がグローバル市場で戦う際にマイナスとなる。OECD東京センターの村上由美子所長は「日本は取り組みのスピードが遅く、海外との差はむしろ広がっている。年功序列から成果主義への転換など、労働市場の構造改革が必要だ」と話す。

<日本における専業主婦と非正規雇用のススメ>
*2-1:https://digital.asahi.com/articles/DA3S13299330.html (朝日新聞 2018年1月4日) (家族って:3)専業主婦の私、輝けるのに 夫や息子の幸せ、支える誇り
 かつて「男は仕事、女は主婦」が理想とされた時代がありました。「女性活躍」の波が押し寄せるなか、専業主婦たちはやり場のない思いを抱えます。家族を送り出した後、リビングで1人。水戸市の斉藤綾さん(43)は、いつものように朝食をとりながら朝刊をめくる。安倍政権が掲げる「女性活躍」の記事を見るたび、ため息が漏れる。「専業主婦は、活躍していないの?」長男(17)の妊娠を機に勤めを辞めた。午前6時に起きて朝食作り。家族の健康のため、平日は土鍋で炊いた十六穀米と、ネギとすりゴマ入りの納豆を欠かさず用意する。午前7時40分からが自分の朝食の時間。起床後、初めて腰を下ろす。その後は朝から3回転させた洗濯物を干す。ベランダの限られたスペースに、乾きやすく干すよう気を配る。そして掃除機をかけ、床や窓を拭く。3LDKすべての部屋をきれいにする。次男(12)が下校すると、おやつの時間だ。オートミールクッキーやヨーグルトババロアは手作り。その後、宿題を見て、習い事へ送る。会社員の夫(46)と長男は帰宅時間が異なるため、それぞれに夕食を温め直して出す。後片付けや翌日のお弁当の準備を終えると、午後11時を回る。疲れと満足感で、すぐ眠りに落ちる。毎日、ほぼ同じ流れを繰り返す。昨年のクリスマスイブ。子どもたちと作ったピザやケーキで食卓を囲むと、夫が「幸せだな」とつぶやいた。「みんなの幸せを支えているのは私」。誇らしかった。ずっと勤めに出ないでいると、「具合でも悪いの?」と心配する人もいた。友人からは「働かざる者食うべからずよ」と言われた。専業主婦世帯は1997年以降、共働き世帯を下回り続けている。女性の社会進出に加え、景気の低迷から共働きでないと生活できない世帯が増えたことも背景にある。斉藤さんも、司書の資格を取って図書館で働きたいと思うこともある。でも、一番力を注ぎたいのは家族のサポート。外でパワー全開で頑張れるよう、日常のすべてを整えることに徹したい。家族の予定や健康の管理など、物事を同時並行でこなす家事は「マルチタスク」だと思う。専業主婦には多くの能力が必要とされる。そんな自負がある。「女性活躍」を押し出して女性に働くことを奨励する政権に、「家事や育児だって働く人と同じように輝けるのに」と感じる。仕事をしたい女性が働きやすい社会にするのは大事なこと。でも、こんな思いはぬぐえない。「国は働け働けと言うけれど、専業主婦は十分働いている。社会は、どんな選択も受け入れてほしい」
■子どもが成長した後は…焦りも
 覚悟したはずだった。それなのに、子どもの寝顔を見ながら自分の存在価値を確かめたくなる夜がある。福島県の真由美さん(34)は、会社員の夫と2歳の長男の3人暮らし。大学卒業後、大手証券会社の専門職などで働いた。遠距離恋愛の末に結婚した夫は、毎年のように転勤がある。「一緒にいたい」という思いが勝り、専業主婦になった。夫は激務。ほとんどの時間を長男と過ごす。スイミングやリトミックと、2人一緒にいるのは楽しい。だけど、いつも不安と隣り合わせだ。「息子が成長した時、自分には何が残っているんだろう」。為替の動きを注視し、情報の最先端に触れていた日々は遠くなった。夫の転勤のたびに転職はできないが、「社会の波に乗っていない」と感じる。ブランクが長くなるほど仕事を見つけづらくなる。焦りを覚える。東京都の佑子さん(32)は金融機関で働き、早朝から夜まで仕事に明け暮れていた。やりがいを感じていたが、子育て中の社員はほとんどいなかった。5年前の結婚を機に転職。その会社も妊娠中に入院が長引き退職した。4歳になった長女は、ひらがなを覚え、ピアノで曲も弾けるようになった。なのに、自分は何も変わっていない。娘の幼稚園ではパートに出るママ友が増えた。娘の教育費のために自分も働きたい。でも、夫は残業が多く、休日も出勤する。夫に相談すると「申し訳ないけど、家のことはお手伝い程度しかできないと思う」と返された。遠方に住む両親には頼れない。「仕事をしたら自分に負担がかかるのは目に見えている」。専業主婦は365日営業。終わりが見えない。

*2-2:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20180212&ng=DGKKZO26738260Z00C18A2TY5000 (日経新聞 2018.2.12) 歌詞が「自己犠牲を美化」と炎上 何とも苛烈な「理想の母」 詩人・社会学者 水無田気流
 絵本作家・のぶみ作詞、元NHKの子ども番組の歌のお兄さん・横山だいすけ歌の「あたし おかあさんだから」の歌詞が、ネット上で炎上している。とりわけ当事者である母親たちからは反発され、ツイッター上には「あたし おかあさんだけど」という反論があふれている。歌詞は「母になって我慢するようになったこと」が列挙される構成で、批判の内容は(1)母の過度の自己犠牲の当然視、(2)働く女性や子どもを産んでいない女性への無自覚な非難の2点に集約される。作者は実際に母親たちの話を聴いて作ったと説明するが、反感を買ったのはなぜか。第一に「子どものためにすべてをささげて自己犠牲に励む母」対「自分のことだけ考えるキャリアウーマン」の二項対立図式が、独善的だからであろう。歌詞が描く「おかあさん」はこうだ。母親になる前はヒールをはき、ネイルをして「立派に働けるって強がってた」。しかし今は、爪を切り、走ることができる服を着て、パートに行く。なぜなら、「あたし おかあさんだから」。これでは、子どもを産まない女性やバリバリ働く女性は間違っていると読めてしまう。第二に、母の自己犠牲の程度が極端で、俗世を離れ一切の我欲を捨てるべしという、修行僧か修験者のような子育てを推奨する点だ。歌の中で「おかあさん」は、好きなことも服を買うこともやめて、食事も趣味も子ども中心に変え、「それ全部より おかあさんになれてよかった」と締める。最後まで父親は不在だ。私見では、母子の生活とは、他の家族や地域コミュニティなどからなる日常生活の一環だ。そしていつか、子どもは社会に出ていく。そのときまでには、親が子を一方的に守るだけではない、互いに独立した個人として尊重し合う人間関係を築く必要がある。だが「あなたのために、すべてあきらめて尽くしたのに……」という母では、健全な巣立ちも子どもの自立も困難になるのではあるまいか。女性は「母」になると「個人」として生きることが困難になる。自由は誰もが保障された権利だが、極論すればこの国で「理想の母親」となることは、「人として当たり前の自由や権利の放棄」に結びつくほど苛烈だ。しかもそれは、「美しい」「正しい」母親像の称揚によって、女性たちに「自発的に」自由を捨て去ることを強いてきた。本件が示す問題の根は深い。

*2-3:https://mainichi.jp/articles/20180327/k00/00m/010/100000c (毎日新聞 2018年3月26日) 熊本市議会:北口和皇氏が失職 兼業禁止規定に違反
 熊本市議会は26日、北口和皇(かずこ)市議(59)が地方自治法の兼業禁止規定に違反したとして、議員資格なしとする「資格決定書」を全会一致で議決した。同日付で失職した北口氏は決定の取り消しを求め熊本県知事に審査請求する方針。市議会によると、北口氏が組合長だった市漁協は、北口氏が会長を務める別の団体からの再委託分を含めると、市からの業務委託費が2015年度に事業収入の6割を超えていた。市議会特別委員会は議員が自治体と請負関係になることを禁じた兼業禁止規定に抵触するとしていた。北口氏は「再委託は請負と評価すべきではない」と反論しており「最後まで徹底的に争いたい」とコメントした。北口氏を巡っては市職員へのパワハラ行為があったなどとして、15年11月以降、議員辞職勧告を4回受けていた。

<人口減という論点設定の誤り>
*3-1:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO25268100Q7A231C1SHA000/?n_cid=NMAIL006 (日経新聞 2017/12/31) 人口減でも増える労働力 18年最多へ、女性けん引
 働く人の数が2018年に過去最高となりそうだ。人口が減少する中でも女性やシニアの労働参加率が上昇しているためで、就業者の数は当面、増え続ける見通し。ただいずれ臨界点が訪れ、20年代前半にも就業者の増加カーブが頭打ちになるとの観測も広がる。今後の成長には誰もが働きやすい労働慣行づくりや、人工知能(AI)などによる生産性向上が一段と重要になる。主な働き手となってきた15~64歳の「生産年齢人口」は現在、約7600万人。少子高齢化が進み、この20年で約1割減った。主要国の中でも突出したテンポで減少が続いている。にもかかわらず実際に働く就業者数は伸び続けている。17年は11月までの平均で6528万人と、前年を約1%上回った。過去2番目の水準だった98年の6514万人を超えるのが確実だ。18年も過去5年並みの伸び率が実現すれば、統計が残る53年以降で最高だった97年の6557万人を突破する可能性が高い。高度成長期の「いざなぎ景気」を上回る長さで12年末から続く緩やかな景気回復で労働参加が増え、働く意思のある人のうち就業している人はこの5年で急増した。生産年齢人口に対する比率で見ても13年に初めて8割を超え、足元では85%を上回る。けん引しているのは女性やシニアだ。15~64歳の女性で働いている人の割合は11月に68.2%と5年前に比べて6.7ポイント上昇し、過去最高水準にある。経済協力開発機構(OECD)によると、生産年齢人口に占める女性の就業率は米国を13年に抜き、主要先進国と遜色ない水準まできた。65歳以上の働くシニアの割合も98年以来の高さで、体力が必要で若い人を求めてきた介護現場で働く人も増えている。すでに働く意思を持つほぼ全員が職に就ける完全雇用の状態にある。問題は働く人をどこまで増やせるかにある。SMBC日興証券は人口の動きから判断して、最も楽観的なケースで就業者数は6950万人くらいが限界だとはじく。息の長い景気回復で各年齢層の労働参加率の上昇テンポが2倍に速まると仮定すると、働く人は年およそ50万人ずつ増やせる。女性の労働参加率が男性並みに高まるという前提だ。ただいずれ女性の働き手も枯渇し、25年をピークにいよいよ減少に転じる見込み。今のような景気回復が続けば「20年代前半に頭打ちになる可能性が高い」(同社の宮前耕也氏)。さらに厳しい見方もある。みずほ総合研究所の堀江奈保子氏は「人口減少と高齢化で労働参加率が今後上昇する余地は限られており、20年ごろには減少に転じるとみるのが現実的」とみる。失業率や各年齢層の労働参加率がほぼ変わらないと仮定して推計すると、25年に就業者数は6000万人を割るという。働く人の数が減少し始める中で成長し続けるには、従業員1人当たりの付加価値(労働生産性)向上が必要になる。日本生産性本部によると、16年の1人当たり労働生産性はOECD加盟35カ国の中で21位にとどまっている。人手不足を受けて企業は省力化の設備投資を増やしている。リクルートワークス研究所によるとAIや機械による労働の代替が進んで労働力が余り、今は24年ぶりの低水準にある失業率が25年までに再び大きく上がる可能性がある。多くの企業では余剰人員が生まれるため、より成長性の高い分野に人が転職しやすい市場を整備すれば、人材難を緩和できそうだ。より少ない人数で多くの付加価値を生み出せるようになれば収益力は落とさずにすむ。大きな課題としては、外国人労働者の受け入れもある。日本で働く外国人は16年10月時点で108万人と5年間で5割以上増えた。ただ留学生のアルバイトや、国際貢献を建前として受け入れている技能実習生が全体の4割を占める。日本総合研究所の山田久主席研究員は「意欲や能力が高い外国人を真正面から受け入れる制度にすべきだ」という。共働きの制約となっている配偶者控除など、税制面でも抜本的な見直しが必要との指摘は多い。働く女性を支えるため、男性が育児休業を取得しやすくするような環境も大切だ。年金制度を含む社会保障制度についても、高齢者の就労をさらに促進する方向で改革を進める。労働供給のカベとの闘いは、これからが本番となる。

*3-2: https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20180109&ng=DGKKZO25360070V00C18A1KE8000 (日経新聞 2018.1.9) 時代の節目に考える(4)人口減・高齢化言い訳にせず、逆手に生産性上昇めざせ 星岳雄(ほしたけお:スタンフォード大学教授 1960年生まれ。東京大教養卒、MIT博士。専門は金融・日本経済)
<ポイント>
  ○人口増加は経済成長の大きな要因でない
  ○終戦直後には人口過剰問題への懸念強く
  ○生産性の継続的な上昇を促す経済政策を
 2018年はいろいろな意味で節目の年である。世界金融危機から10年、日本の銀行危機のピークからも20年になる。そして平成の時代は30年目を迎え、19年には元号が改まることになった。また中国の改革開放が始まったのは40年前であり、全世界で反体制のデモや暴動が広がった「動乱の1968年」からも50年だ。もっと長期的にみると、18年は明治維新から150年にあたる。この150年間、日本は目覚ましい成長を遂げた。明治初期には3500万人に満たなかった人口は、大正に5千万人、昭和に6千万人を超えた。67年に1億人に達した後も増え続け、今世紀には1億2700万人台に達した。1人あたり国内総生産(GDP)は、明治初期には750ドル程度(各国の購買力平価と物価変動率を基に90年時点のドルに換算)だったが、1916年には2倍の1500ドルを超えた。第2次世界大戦など多くのショックはあったが、57年にそのまた2倍の3千ドルに達し、高度成長期を経て90年代半ばには2万ドルを超えた(英経済学者アンガス・マディソン氏の統計による)。しかし2000年代半ばになると人口は減少に転じ、50年代には1億人を切る見通しだ。2115年には大正初期の人口とほぼ同じ5千万人に戻ってしまうと予測される。経済成長もこのところ停滞が続いている。2017年の成長率は久しぶりに2%に近づきそうだが、この好景気が長く続くとみる人は少ない。人口減少と高齢化は今後の経済成長にどのような影響を与えるのか。それを考えるのが本稿の目的だ。人口が減少する中で、経済も停滞を続け、このままでは日本は超長期的には消滅してしまうのか。新春にふさわしくない話題だと読むのをやめる読者がいると困るので結論を先に言うと、人口減少と高齢化は経済の停滞を運命づけるものではない。むしろ場合によっては、人口減少や高齢化が経済を活性化する可能性すらある。人口減少と経済成長を考えるとき、GDPなどにより測られる経済全体の産出量を、「人口」「労働力/人口」「産出量/労働力」の3つに分解すると説明しやすい。すなわち産出量は人口と労働参加率と労働生産性を掛け合わせたものであり、経済成長率は人口増加率、労働参加率の上昇率、そして生産性上昇率の3つの要因を足し合わせたものになる。表は、この数式に1956年から2015年の日本の数値を当てはめて計算した結果を示したものだ。日本の経済成長率がここ60年で著しく低下したことが明らかにみてとれる。高度成長時代の年率約8%の成長率が、1970年代後半からは3~4%に低下し、90年代半ば以降は1%程度に落ちてしまった。また高度成長への人口要因の直接的な貢献(人口増加率と労働参加率の上昇率を足したもの)は1~1.5%にすぎなかったこともわかる。残りの7%程度の成長は生産性上昇によるものだった。76~95年の期間は、人口要因の貢献がほとんど変わらなかったにもかかわらず、経済成長率が鈍化した時代だった。そして96年以降は、最終的には人口要因により、年率0.1%以下ではあるが、成長に対してマイナスの影響を与えるようになった。さらに生産性上昇率が一段と低下することにより、日本経済は停滞に陥った。こうして実際の数値をみると、人口増加は経済成長の大きな要因ではなかったことがわかる。同様に最近の人口減少と高齢化も経済成長にマイナスの影響を与えるものの、決定的な要因とは言えない。高度成長にしても最近の経済停滞にしても、人口要因の直接的な影響よりも、生産性上昇のほうがより大きな役割を果たしたのである。経済成長が人口増加によりもたらされるわけではなく、経済停滞も人口減少の必然的結果ではない。そもそも人口減少が経済成長の大きな制約要因と認識されるようになったのは最近のことだ。70年前の1948年、日本の人口が8千万人を超えた年に、読売新聞(9月14日付)は「人口問題に関心を持て」という社説を掲載した。ここでの人口問題とは人口過剰問題だ。日本の国土に相応な5千万人程度の人口を超える無責任な人口増加が「戦争誘致の最大なる原因」だったと指摘した。人口8千万人という「われわれの歴史あつて以来初めて」の状況でまた過ちを繰り返さないように、「国民が如何(いか)なる原因でこうした非合理な無自覚な出産をつゞけているかという根本問題」を考えなければならないと論じた。人口問題とは人口過剰問題であるという認識は、当時は常識的なものだった。実際にはその後、日本は高度成長を達成することで、8千万人が何とか生活を維持できるかどうかという状態から、1億人以上の人々が豊かな生活を実現できるまでに発展した。人口増加が経済成長を引き起こしたのではなく、むしろ経済成長が人口増加を可能にしたのである。こう考えると人口が減少すると、極端に高い生産性の上昇がなくても、豊かな社会の維持が可能になることがわかる。人口減少と高齢化が進むので、経済の停滞は避けられないという議論は、単なる言い訳にすぎない。重要なのは、人口が減っても高い経済成長を実現する生産性の上昇であり、それを可能にする経済改革である。具体的にはどのような改革なのか。詳しく立ち入ることはできないが、アニル・カシャップ米シカゴ大教授との共著「何が日本の経済成長を止めたのか」(2013年)での結論を繰り返そう。最も重要なのは、規制改革、国際的経済活動の自由化、健全な競争を妨げるような弱者保護の政策の是正などの思い切った施策を通じて日本経済の新陳代謝を高め、最新の知識や技術がより早く経済活動に反映される環境を整えていくことだ。人口減少と高齢化は、経済成長に与える負の影響がそれほど大きくないだけでなく、むしろ逆手に取ることで生産性の上昇の誘因ともなる。例えば日銀の2017年7月の「経済・物価情勢の展望」では興味深い分析を報告している。産業レベルでみると、人手不足の度合いが高い産業で、IT(Information Technology=情報技術)を活用した効率化投資がより活発になっているというのだ。人口減少と高齢化が、従来の生産方法の継続に大きな課題を与えるときに、労働生産性を上げていくような投資が起こりやすくなるのは、理にかなったことだ。こうしたことが実際に起きているのか、今後緻密な実証研究が期待される。人口減少は、AI(Artificial Intelligence=人工知能)の発達により今後人間の職がなくなっていくという、現在注目を浴びている問題にも関わってくる。労働力人口が減っていく社会では、そうしたAIによる人間労働の代替は、むしろ歓迎される可能性が高い。日本の持続的な経済成長にとって、人口減少と高齢化は致命的な問題ではない。生産性の継続的な上昇を可能にするような経済改革を実現することにより、日本経済は成長を続けることができる。こう考えると、日本経済の近未来は明るくなる。人口減少を恐れるべきではない。

<ジェンダー押し付けの結果>
PS(2018年4月7日追加):遺伝子によって生物学的に決まる性以外に、人間には社会的に押し付けられる性(ジェンダー)が存在する。この社会的性差は、時代によって変化する上、同時代の人の中にも当然バラエティーがある。しかし、近年は、誰でも“普通”でなければならないかのような圧力が強く、よほどしっかりした人でなければ自分が性同一性障害と勘違いしてしまうこともありそうであるため、不可逆的な性別適合手術を行うにあたっては、必ず遺伝子検査をして生物学的性が第二次性徴と異なるか否かを確かめる等、慎重な対応が求められる。

*4:https://ryukyushimpo.jp/kyodo/entry-696427.html (琉球新報 2018年4月7日) 性別適合手術で保険初適用 岡山大病院、負担3割に
 心と体の性が一致しない性同一性障害(GID)の人の性別適合手術で、公的医療保険の対象となる全国初の手術が岡山市の岡山大病院で実施されたことが7日、分かった。今月から始まった制度で、保険適用により自己負担は3割となる。GID学会理事長の中塚幹也・岡山大大学院教授(生殖医学)によると、手術を受けたのは近畿地方に住む20代。女性から男性の体にするため、6日に乳房を切除した。性別適合手術は保険外のホルモン療法を受けている場合、全額自己負担となる。患者の多くはホルモン療法を受けるが、今回の当事者はまだ始めていなかった。

<農業の人材不足と外国人労働者・女性活躍>
PS(2018年4月8日追加):*5-1のように、農業の労働力不足は深刻で、沖縄では6割の自治体が労働力不足としており、花卉・野菜・キビなどの「耕種分野」は145の経営体で外国人材の雇用を要望しているそうだ。そのため、JA沖縄中央会は外国人材の採用に関する特区導入を希望しているが、言語や生活習慣の違い、農業技術の流出などの課題もあるとのことである。
 文化の違いについては、①沖縄からアメリカやブラジル等に移住した人の子孫を募集すれば、文化の違いが克服しやすい ②日本の都会で人材募集すれば、沖縄独特の自然の豊かさから日本人の男女でも手を挙げる人は少なくない ③外国人であれば、国別に住居をまとめて住んでもらい、その地域の公共施設はその国の言語にも対応できるようにする などの方法がある。
 また、*5-2のように、近年、女性農業者の活躍が目覚ましく、彼女たちが思う存分能力を発揮できる環境を整えれば貴重な人材となる上、*5-3のように、各地の大学や学科で本格的に食や農を学ぶ農学系女子(ノケジョ)も増えているそうだ。女性は、農業関連の知識だけでなく、食の安全・安心や産地と栄養・料理(=ニーズ)の関連、農山村の可能性など、具体的で広い関心を持っている点が特徴である。

*5-1:https://ryukyushimpo.jp/news/entry-669143.html (琉球新報 2018年2月21日) 労働力不足、農業も深刻 沖縄、6割の自治体「不足」 花卉、野菜、キビ…外国人受け入れに期待も
 沖縄県内の農業・畜産業の労働力に関して都市部以外の市町村を中心に、約6割の自治体が「労働力が不足している」と認識していることが、県の調査で20日までに分かった。品目別では花卉(かき)、野菜、サトウキビなどで不足し、12月~3月の冬春期に不足人数が多かった。他の期間にも常に100人以上が不足するなど、農業の労働力不足の深刻さが浮き彫りとなっている。県が導入を検討する国家戦略特区の農業の外国人材の受け入れに関し、県農林水産部が調査した。調査は昨年12月から今年1月、県内41市町村と農業関係11団体を対象に実施。市町村の労働力不足については、29市町村が回答し、18市町村(62%)が「不足している」と答えた。農業団体の調査で農業生産に関わる労働力不足人数を月別に見ると、12月から3月までの冬春期に最大282人が不足していた。沖縄は県外が寒くなる冬春期に農業生産が活発で、とりわけ季節性があり通年雇用が困難なことから労働力の確保が難しいとみられる。年間を通じて100人以上が不足していた。花卉や野菜・キビなどの「耕種分野」は145の経営体で外国人材の雇用を要望しているが、一方で「畜産分野」の要望は8経営体にとどまった。畜産では海外の伝染病などの侵入を懸念し、受け入れに慎重な声もある。アンケートでは他に、外国人材の採用に関し、言語や生活習慣の違い、農業技術の流出などの課題が挙がった。労働力の確保には前向きな意見もある半面、国内の若手就労者、後継者などへの支援充実に注力すべきとの指摘もあった。現在、県内で受け入れが進む外国人技能実習生と比較して、農業特区の外国人材は活動範囲の広さなど関係者の期待も大きい。JA沖縄中央会の担当者は本紙の取材に「(特区の導入は)当然、必要だ。かなりの人数で労働力が必要となり、特区に期待している」と述べた。別の農業関係者は「外国人材に慎重な人もいるだろうが、潜在的な需要はまだまだある」と話した。

*5-2:https://www.agrinews.co.jp/p41934.html (日本農業新聞 2017年9月18日) 女性農業者の活躍 能力発揮へ地域の理解
 農水省の農業女子プロジェクトのメンバーが9月下旬から、香港でイベントを開く。日本の農産物や加工品をアピールし、輸出の足掛かりになると期待される。こうした女性農業者の活躍が最近、目覚ましい。農業に夢を描き、その実現へ奮闘する彼女たちをもっと支援しよう。家族に加え、地域の理解が欠かせない。思う存分能力を発揮できる環境を整えたい。香港のイベントは27日から10月31日まで。今年1月に続く2回目だ。百貨店やスーパーでの試食PR・店頭販売の他、農業女子が講師となり、自ら生産した農産物を使った料理レッスンを開き、現地レストランで特別メニューを提供する。初回のフェアをきっかけに香港への輸出を始めたメンバーもおり、販路開拓の意気込みは盛んだ。女性農業者の活躍が求められる背景の一つに、農業の6次産業化がある。農業者自身が生産・加工・販売に取り組む形は、これまでの「作れば売れる」から「売れるものを作る」発想への転換が必要となる。女性農業者は、生産者であると同時に家庭を切り盛りする生活者・消費者の視点を持つ。買い物好き、ネットワークづくりに優れた人も多い。そんな彼女たちの感性が、6次産業化を進める上で不可欠だ。生産物の品質はもちろん、消費者ニーズを捉えた加工品開発、見栄えのいい包装、直売やカフェに売り場を広げるなどして顧客の心をつかみ、起業家や経営者としての手腕を発揮する。一方、男性を中心とした農村社会の構図は依然として残る。「夫が経営の収支を教えてくれない」「妻は労働力としか思われていない」といった意見をいまだに聞く。農業女子からさえも「自治体からの通知がないと会合に外出しづらい」との声が出る。活躍する姿の裏に、こうした課題が潜んでいることを見逃してはならない。女性農業者はかつて無報酬労働が当然とされ、子どもの服を買う小遣いすらままならなかった。彼女らは思い切って義父母に要望したり、こっそりと内職をしたりして、わずかでも自由になる小遣いを稼いできた。そんな中で生活改善を進め、家族経営協定を結び、少しずつ地位向上を果たしてきた歩みがある。支えたのは義父母や夫、子どもたちなど家族の理解だ。現在、農業者の高齢・減少化が深刻さを増し、女性農業者の活躍が農村社会の活性化に欠かせなくなっている。これを後押しするには、家族の理解だけでなく、農村社会の中軸であり地域農業に従事する男性の協力が必要だ。JA役員や農業委員で女性登用を増やすため、こうした組織リーダーである男性の意識改革をさらに進めなければならない。政府が女性活躍推進へ積極的に取り組む今こそ、真の意味で女性が輝ける仕組みをつくり上げるべきだ。農業発展の鍵を握る女性たちが、活躍する“芽”を育てていこう。

*5-3:https://www.agrinews.co.jp/p43752.html (日本農業新聞 2018年4月7日) 農学系女子 ノケジョ 食・農の未来「任せて」 年々増加 今や半数近くに 大学側も期待
 入学シーズンを迎える中、各地の大学や学科で食や農を学ぶ農学系女子(ノケジョ)が増えている。既存の農業系の学校だけでなく、今春開設した食・農学系の大学や学部でも、ノケジョ率は高い。農業関連の知識だけでなく、食の安全・安心や産地との連携、農山村の可能性などを幅広く学べるところが人気の要因だ。
●男性しのぎ 続々入学
 6日に入学式をした日本農業経営大学校(東京都港区)では、新入生16人のうち女性は過去最多の5人。昨年は女子の入学はゼロで、例年は1、2人だった。青森県南部町の果樹農家出身の沼畑恵夢さん(20)は「地元には後継者がいないために土地を手放した農家が多数いる。女性の力で現状を打破したい」と意気込む。東京農業大学は今春、神奈川県厚木市の農学部に新たに生物資源開発学科、デザイン農学科の2学科を開設した。特に、デザイン農学科は新入生126人のうち71人が女性。同大は「農業生産の研究だけでなく、食の安全・安心や農村の持続性など幅広い分野を学べる農学部に、女性の支持が集まっている」(厚木キャンパス事務部)と分析する。
●酒造り人気に
 今春、吉備国際大学は兵庫県南あわじ市の農学部に新たに醸造学科を開設した。酒造りの世界は男性のイメージがある中、新入生20人のうち女性は5人。大学への問い合わせも女性が多かったという。同学科の井上守正教授は「酒造りだけでなく、チーズやバター、漬物などモノづくりに関する女性のポテンシャルは高まっている。来年度以降、女性の割合はさらに高まる」と見込む。新設した新潟食料農業大学(新潟市)は7日、入学式を迎える。少子高齢化で学生の絶対数が少なくなる中での開校は大きな挑戦だったというが、県内外の調査で女性の進学希望が多かったことも設立を後押しした。新入生99人のうち、女性は25人。同大は「女性の潜在的な入学希望はもっとあるはず。来年度からはさらに女性比率を高めるよう、情報発信したい」(入試広報課)と意欲を示す。
●獣医師志望も
 3日に入学式を終えた学校法人「加計学園」が運営する岡山理科大学獣医学部(愛媛県今治市)は、新入生186人のうち、女性は男性を上回る95人を占めた。同大学は「昔は獣医師は男性のイメージがあったが、女性を集めることが安定的な学校運営につながる。命を扱う獣医師に女性は向いており、畜産農家に貢献できる人材育成を進めたい」(入試広報部)と狙う。
●細やかさ生かし新時代けん引を
 新設される学部だけでなく、既存の大学農学部でもノケジョが目立つ。文部科学省によると、最新の2017年の調査では、農学を学ぶ大学生は10年前より3703人も増え7万6676人。うち女性の割合は45%。10年前は39・5%だった。農学部の女性は10年間で5472人も増えている。早稲田大学名誉教授で、日本農業経営大学校の堀口健治校長は「6次産業化などで農の付加価値を高めるべき時代に、女性の細やかな視点が生かせる場面は多い。農業をけん引してほしい」と期待する。 

<民営化後の郵便局の利用>
PS(2018年4月11日追加):*6のように、郵便局が自治体事務の一部を受託してくれれば、近くに郵便局しかない離島・山間部の人は便利になる上、コンピューターネットワークを駆使すればそれは可能で、外国語対応も安価にできそうだ。また、全国で郵便局や社宅の跡地を開発する司令塔になるのもよいだろう。しかし、ゆうちょ銀行が民営化した以上、通常貯金の預入限度額は撤廃すべきだと考える。何故なら、「地方銀行からゆうちょ銀行に預金が流出して民業圧迫する」というのは、これまで長く銀行業務をやってきて、地域の事情や銀行業務のノウハウに精通している筈の地方銀行の甘えにすぎないからである。

*6:http://qbiz.jp/article/131625/1/ (西日本新聞 2018年4月11日) 郵政社長、郵便局機能絞り込みも 将来的な可能性を示唆
 日本郵政の長門正貢社長(69)は11日、共同通信のインタビューに応じ、全国約2万4千の郵便局網に関して「全て同じ機能を持つ必要があるかという議論はある」と述べ、将来的な機能絞り込みの可能性を示唆した。首都圏など都市部で担当エリアが重複する店舗の統廃合を進める一方で、過疎地などでは利用状況に応じた平日休業といった運営形態の見直しが今後、議論されそうだ。郵便局で自治体事務を受託することについては「収益は踏まえるが、かなり引き受けられる」と積極姿勢を示し、「全国一律のサービスは今後も守る」と強調した。4月2日に設立した不動産開発の100%子会社の日本郵政不動産は、東京や大阪での案件を皮切りに、全国で郵便局や社宅の跡地を開発する「司令塔になる」との考えを示した。一方、政府の郵政民営化委員会が近く是非を判断する、ゆうちょ銀行の通常貯金の預入限度額撤廃案に関しては「撤廃を希望する考えを取り下げるつもりはない」と明言した。地方銀行などからゆうちょ銀に預金が流出し、民業を圧迫するとの懸念に対しては「預金集めではなく、投資信託の販売など資産形成支援に注力していく」と否定的な見方を示した。策定中の新中期経営計画で対象となる2018〜20年度は、低金利の長期化が見込まれるとして「収益を上げるには最も厳しい3年間になる」と語った。

<外国人労働者の必要性と待遇>
PS(2018年4月12日追加):*7-1のように、政府は2019年4月にも外国人労働者向けに新たな在留資格を作り、最長5年間の技能実習を修了した外国人に、さらに最長5年間の就労資格を与えるそうだ。対象は農業・介護・建設などとしているが、*7-2のように、林業や水産業も人手不足で、さらに中小企業も事業承継する人がいないという問題を抱えているところが多いため、業種は限らない方がよいと考える。なお、技能実習終了後は母国に帰って再来日した後に新資格を与え、「引き続き10年以上の在留」という外国人の永住権取得の要件に当てはまらないようにするそうだが、世界の人材獲得競争の中で条件を悪くすれば、研究者の動向と同様、選択肢の多い優秀な人ほど日本に来なくなるので注意すべきだ。

    
                       2018.4.12日経新聞
(図の説明:先進国に先駆けて日本の高齢化率は高く、生産年齢人口の割合は低くなるが、これに対応するには、高齢者の定義変更や女性労働力の活用だけでなく、外国人労働者も重要だ。しかし、外国人に対する処遇を差別的なものにしすぎると、優れた人ほど他国に行ってしまい、その結果は、現在、研究者の母集団の数と多様性によって科学技術分野の論文数に現れている)

*7-1:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20180412&ng=DGKKZO29256530R10C18A4MM8000 (日経新聞 2018年4月12日) 外国人、実習後に就労資格、最長5年、本格受け入れ 農業や介護、人材を確保
 政府は2019年4月にも外国人労働者向けに新たな在留資格をつくる。最長5年間の技能実習を修了した外国人に、さらに最長で5年間、就労できる資格を与える。対象は農業や介護などで、試験に合格すれば、家族を招いたり、より長く国内で働いたりできる資格に移行できる。5年間が過ぎれば帰国してしまう人材を就労資格で残し、人手不足に対処する。外国人労働の本格拡大にカジを切る。政府は単純労働者の受け入れを原則、認めていない。一方で働きながら技能を身につける技能実習の範囲拡大や期間延長で事実上、単純労働者の受け皿をつくってきた。幅広く就労の在留資格を与える制度の導入は大きな政策の転換点になる。政府は今秋の臨時国会にも入国管理法改正案を提出し、来年4月にも新制度を始める方針だ。新設する資格は「特定技能(仮称)」。17年10月末で25万人いる技能実習生に、さらに最長5年間、就労の道を開く。技能実習は農業や介護などが対象。新設する資格とあわせれば、通算で最長10年間、国内で働き続けることができる。新資格で就労すれば技能実習より待遇がよくなるため、技能実習から移行を希望する外国人は多いとみられる。政府は少なくとも年間数万人は外国人労働者が増えるとみている。農業、介護、建設など人手不足の業界を対象にする。そもそも技能実習は学んだ技術を母国に伝えることが前提。経験を積んだ人材も実習後に国外に退去しなければならない。長く働きたい外国人や、実習で経験を積んだ外国人を育てた国内の雇用主からは、改善を求める声があった。技能実習制度とその本来の目的は維持するため、新資格は一定期間、母国に帰って再来日した後に与える。外国人の永住権取得の要件の一つに「引き続き10年以上の在留」がある。いったん帰国してもらうため、技能実習と新資格で通算10年を過ごしても、直ちに永住権取得の要件にはあたらないようになる。外国人労働者をさらに増やすため、実習修了者と同程度の技能を持つ人にも新資格を付与する方針だ。既に実習を終えて帰国した人も対象になる見通しで、経験豊かな労働者を確保できる。新資格の保有者は、より専門性が高い在留資格に変更できるようにする。専門技能を問う試験に合格すれば、海外の家族の受け入れや、在留期間の更新ができる既存の資格に切り替えられる。国内では25年度に介護職員が約38万人不足する見込み。農業人口はこの10年で約4割減り、人手不足が深刻だ。技能実習生の多くが新資格に移行すれば、長期間、国内労働力に定着させることができる。アジア各国の賃金上昇で外国人労働力の獲得は難しくなっているが、人材獲得競争にもプラスに働くと見ている。日本の労働力人口は約6600万人。17年10月末時点の外国人労働者数は技能実習生の増加などがけん引し127万人と過去最高を更新した。労働力の50人に1人は外国人が担う状況だが、政府はさらに増やす方針だ。ただ多くの外国人の受け入れを前提とした社会基盤については整備が遅れており、受け皿づくりに向けた国民的議論を進めることが急務となる。

*7-2:https://www.agrinews.co.jp/p43787.html (日本農業新聞 2018年4月12日) 新たな森林管理制度 人員確保策が焦点 衆院農林水産委員会
 手入れが行き届いていない森林を、担い手に集約化する新たな森林管理制度の創設を目的とした森林経営管理法案が、11日の衆院農林水産委員会で本格審議に入った。農水省が今国会に提出した9法案の目玉の一つ。安倍政権が掲げる林業改革の具体化を目指す。林業の人手不足が深刻化する中、管理を担う人員をどう確保するか現場の懸念は根強く、今後の審議の大きな論点となる。同法案は、所有者が管理できない森林を、市町村を介して、意欲と能力ある民間事業者に集約化する制度を創設する。条件不利で収益が見込めない森林は、市町村が管理する。今国会の重要議案に位置付けられ、委員会審議に先立ち、先月29日の衆院本会議で、斎藤健農相による趣旨説明と、与野党による代表質問が行われた。12日には同委員会で参考人質疑も予定する。11日の同委員会では、新制度で市町村が担う森林の所有者や境界の特定といった業務に対して、「明らかに(人員が)不足している」(立憲民主党の神谷裕氏)などと懸念する声が続出。市町村の林務の専門職員は全国で約3000人で、3分の2の市町村は、こうした職員がゼロか1人という現状が背景にある。同省は、林業従事者らを対象に市町村の林務を全般的に支援する「地域林政アドバイザー」の資格取得を進め、市町村がアドバイザーを雇う経費などを地方交付税で措置し、体制整備を後押しすると説明。近隣市町村と共同での新制度の運用や、都道府県による事務の代替も可能だとした。国は市町村が新制度を運用する財源として、新税「森林環境税」を元手にした「森林環境譲与税」を配分する。野党からは、その使途も幅広くするよう求める声が上がった。斎藤農相は、新制度の当初の目的は私有林の整備促進だとしつつ「私有林よりも公有林の整備が優先される事態に対しては、市町村の判断で公有林の整備に当てることは可能だ」と説明。一方で同省は、財源の適正な利用へ、地方公共団体にインターネット上などでの使途の公表を義務付けるとした。

<高齢者いじめをしている馬鹿は誰なのか>
PS(2018年4月13日追加):人口構造の変化で高齢者に対する年金・医療・介護などの社会保障負担に堪えられないため、「高齢者(⁉)への負担増・給付減を行うべきだ」とする官製の論調に対しては、メディアだけでなく国会議員の中にも疑問を持たずに同じことを言う人が多い。しかし、この官製の論調は、「他のあらゆる努力をした上で、仕方なく高齢者の権利を奪う選択もする」というのではなく、他では無駄遣いを垂れ流し愚策を重ねながら、高齢者から巻き上げることで解決しようとするものであるため、説得されてしまう人は頭が弱いと言わざるを得ない。ただ、*8-1のように、八方を幸福にしながら社会保障費を削ることには、私も賛成だ。
 また、*8-2のように、政府は経済財政諮問会議で、2019年度からの3年程度、社会保障費の抑制に向けて歳出の目安を設ける方向で検討に入り、医療・介護などの社会保障費の自然増を抑えるとのことだが、必要だから受けている医療・介護を削って国民一人当たりの福利を減少させるのは問題だ。特に、生活支援に対する扱いが悪いが、高齢化社会で医療・介護・生活支援は必要不可欠なサービスで、これは、現在から将来にわたって世界で必要とされる(無駄遣いではない)本物のニーズであるため、これを磨いておくことは、我が国の高度なサービス産業の育成にもなるのである。そのため、そんなこともわからずに、EV・再生可能エネルギー・再生医療の二の舞にしようとしているのは、我が国の官製政策の重大な欠陥である。
 なお、*8-3のように、日本年金機構の外部委託業者の情報処理にミスがあり、その委託業者は、機械の読み込みではミスが出やすい氏名などの入力作業を中国の関連企業にやらせていたそうだが、国民は、日本年金機構や厚生労働省に個人情報を知られることを了承したものの、外部委託業者や再委託業者に個人情報を知られることを了承した覚えはない。つまり、個人情報保護や人権に無頓着というのが我が国の官僚機構で、その無神経さに呆れるのである。


                  2018.1.27日経新聞     2016.2.18毎日新聞

(図の説明:金融緩和して貨幣価値を下げる政策をとったため実質賃金は下がり、年金が減らされ介護保険料負担が増えたため年金生活者はこれら3つの影響でさらに実質手取額が減った。そのため、いくつかのメリットはあったかもしれないが、実需の国内需要が増えるわけはないのである。また、本当に必要とされ利用が進んでいる医療・介護サービスをめくらめっぽう減らし、介護保険料負担は40歳以上のみのまま高齢者負担を増やしたため、人口の30%以上を占める高齢者の生活が危うくなった。そのため、どういう人が考えるとこういう政策になるのかを、主権者である国民はよく考えるべきである)

*8-1:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20180413&ng=DGKKZO29334950S8A410C1EN2000 (日経新聞 2018年4月13日) 高齢者の就業促進
 日本では、生産年齢人口(15~64歳)が絶対数でも人口比でも減少するという「人口オーナス」が進行中である。人口オーナスは人手不足をもたらし、社会保障制度の持続可能性を脅かし、地域を衰退させる。この人口オーナスに対抗する有力な道が、高齢者の就業促進である。高齢者の就業が増えれば、一石四鳥の効果をもたらす。第1に、働き手が増えるから人手不足が緩和される。第2に、年金の支給開始年齢を引き上げるなどの社会保障改革を進めることができる。第3に、就業に伴い所得が増えるから、高齢者家計の将来不安も軽減される。そして第4に、医療費の削減にも寄与するだろう。高齢者の労働参加率が高い地域は高齢者ひとり当たり医療費が少ないという関係があるからだ。こうした期待に応えて、高齢者の就業はかなり増えている。総務省「労働力調査」によれば、2012年から17年までの間に、55歳以上の就業者数は140万人も増えている。これはこの間の全就業者ベースの増加数の56%に相当する。人口オーナスによる人手不足の顕在化を、相当程度高齢者の就業増加が防いだことになる。一方で、大きな課題も残されている。それは、同一企業内での就業促進になっていることだ。高齢者の継続雇用を法律で義務付けられた企業が、多くの場合、定年後の雇用に対して別途の制度を設けて雇用の場を提供しているからだ。企業内の高齢者就業促進は誰にとっても不満を残すことになる。法律上の義務を果たすために、企業が無理に高齢者のための就業の場をつくり出しているとすれば、企業全体の効率性は損なわれるだろう。賃金水準が低く、高齢者の側にも「自らの能力と経験にふさわしい場が得られない」という不満が残る。定年を迎えた高齢者に最もふさわしい仕事が、同じ企業内に存在するとも限らない。現状のような不幸な就業形態を防ぐには、高齢者に限らず雇用の流動性を高めるなかで、企業の枠を超えて高齢者の就業の場を確保していくことが必要である。流動性が高まって、高齢者が能力と経験にふさわしい就業の場を持てるようになれば、前述の一石四鳥の効果はさらに高まる。働き方改革の重要なテーマである。

*8-2:https://digital.asahi.com/articles/DA3S13448427.html (朝日新聞 2018年4月13日) 社会保障費抑制へ、歳出の目安を検討 来年度から3年間 政府
 政府は12日の経済財政諮問会議で、2019年度からの3年程度、社会保障費の抑制に向けて歳出の目安を設ける方向で検討に入った。団塊の世代が75歳になり始める22年度以降、社会保障費が大幅に膨らむためで、6月にまとめる新たな財政再建計画に盛り込む。安倍晋三首相は「今後3年程度で取り組む改革の方向性について、歳出の水準も含め、しっかりと検討する必要がある」と述べ、社会保障費の目安を検討するよう指示した。内閣府の試算では、医療費や介護費などの社会保障費の自然増は、これまでの年6500億円から、22年度以降は年9千億円に膨らむ見通し。政府は18年度までの3年間、予算編成で社会保障費の伸びを年5千億円程度に抑える目安を設けてきたが、19年度以降も歳出抑制のための目安が必要と判断した。厚生労働省は次回以降の諮問会議で、40年までの社会保障費の伸びの推計を公表予定で、これが議論のベースになる。一方、経団連は12日、社会保障や公共事業などの政策経費を税収などでどのくらいまかなえるかを示すプライマリーバランス(基礎的財政収支、PB)の黒字化の達成時期について「20年代半ばを目標とすべきだ」との提言をまとめた。政府はもともと20年度までに黒字化する目標を掲げていたが、補正予算の編成や税収下ぶれ、消費増税延期などを受けて目標達成を断念した。財政再建計画には、黒字化の新たな目標時期も盛り込む方針だ。

*8-3:http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2018041302000178.html (東京新聞 2018年4月13日) 【社説】年金支給ミス 制度の信頼を壊すな
 日本年金機構の情報管理のずさんさがまた露呈した。外部の委託業者の情報処理にミスがあった。調査委員会が検証を始めたが、適切な情報管理と運用が年金制度の信頼の基本と自覚すべきだ。約十万人の年金の二月支給分が少なかった。総額約二十億円になる。一方で多く支払われていた人も約四万五千人いた。発覚の端緒は、二月に入り年金額が減ることに気付いた受給者から問い合わせが増えたことだった。年金を頼りに生活している人にすれば、少しの減額でも敏感になることは当然だろう。加えて四月から、介護保険料が多くの自治体で値上げされる。七十五歳以上の医療保険料も上がる地域がある。機構は、負担増や給付減が生活に影響する受給者の実情を認識する必要がある。支給ミスは機構がデータ入力を委託した外部業者の処理がずさんだったためだ。年金に所得税がかかる人の控除手続きに必要な書類のデータ入力作業で発生した。機構によると、契約では入力後に担当者二人が確認する手順だったが、書類を機械で読み取らせていた。そのため誤入力が発生した。入力漏れもあった。委託業者は、機械の読み込みではミスが出やすい氏名などの入力作業を中国の関連企業にやらせていた。これも契約違反だという。委託業者は五百万人を超える大規模作業は初めてで、人材不足からこうした対応になったようだ。厳重な管理が求められる公的年金情報を扱う責任感が欠けていた。機構は委託業者の対応能力についてチェックが不十分だった。しかもミスに気付いた後も代わりの業者が見つからないという理由で委託を続けた。機構は業者へ損害賠償請求を行う方針だが、自身の責任も重い。機構を監督する厚生労働省も責任を自覚すべきだ。その後、別の業者も入力作業を外部に委託していたことが分かった。業務量が増え外部委託が避けられないのなら、業者の管理体制を再考する必要がある。機構は有識者による調査委員会を設け十日に初会合を開いた。業務委託のあり方などを検証し六月に報告書をまとめる。調査に協力し管理体制を見直してほしい。機構は、旧社会保険庁時代の「宙に浮いた年金記録」問題や二〇一五年のサイバー攻撃による年金情報百二十五万件の流出など情報管理の不祥事が絶えない。高齢期の生活を支える制度を担っていると肝に銘じるべきだ。

<メディアの報道内容のレベルの低さ>
PS(2018年4月14日追加):メディアはモリカケ問題を通じて権力闘争を煽るような報道しかせず、その内容もレベルが低い。しかし、*9のように、政治分野で男女比率が均等になるように推進する法案が衆議院で成立しており、各党が目標設定すれば、「秘書や後援会員には女性もいるが、議員は男性」という形が減って女性議員が増え、「女性は支える立場で、主役やリーダーの器ではない」というような誤った“常識”は消えていくことが期待できる。

*9:https://mainichi.jp/articles/20180412/k00/00m/010/063000c (毎日新聞 2018年4月11日) 政治の男女均等推進法案成立へ 各党に取り組み促す
 国政選挙などで候補者の男女比率を均等にするよう政党に努力義務を課す「政治分野における男女共同参画推進法案」は11日、衆院内閣委員会で採決され、全会一致で可決された。12日に衆院を通過し、今国会で成立する見通しとなった。同法案は衆参両院や地方議会の選挙について、各党に候補者の男女比率が「できる限り均等」となるよう求めている。各党に目標設定など自主的な取り組みを促すもので、罰則規定はないが、国際的にも遅れた日本での女性の政治参画を後押しすることが期待される。

<リケジョの作物選び>
PS(2018年4月15、18日追加):*10-1のような種苗の品種改良と特許権の取得は重要だが、沖縄で菊の栽培に取り組むのは、他の地域と異なる季節に花を咲かせやすいなどのメリットがあるからだろうか?そう言う理由は、私にとって菊は、①切り花が長持ちするという長所はあるものの ②バラのように華やかではなく、ユリや胡蝶蘭のように優雅でもなく ③どこか寂しくて仏壇以外で使いたいとは思わない(仏壇でも、白い他の花の方が気品があって美しかったりする) ④どこにでもある 花だからである。もし、特にメリットがなければ、ブーゲンビリア(鮮やかな花)やキャッサバ(タピオカの原料)のように、沖縄に自生しているため地元の人は雑草のようにしか思っていないが他地域の人には価値ある植物を、他地域でも楽しめるように生産した方が、オンリーワンの製品を安価に作れるだろうと思った次第だ。
 なお、*10-2のように、熊本県宇城市の大規模洋蘭農家は、形が出荷に向かず廃棄していた花でグラスブーケを作り、生花を持ち込めない病院のお見舞いなどに役立てているそうだ。花は、香水の原料にもなり、これからが楽しみである。

*10-1:https://www.agrinews.co.jp/p43603.html (日本農業新聞 2018年3月22日) [改革最前線 生産コスト低減 6] 種苗 JAおきなわ 許諾料2000万円超削減 独自育種 「半額以下」に
 JAおきなわは、菊の品種開発、育成を独自で行うことで、生産者のコスト低減につなげた。菊は購入した種苗で農家が自家増殖する場合は、その購入先にロイヤルティー(許諾料)の支払いが発生する。JAがその許諾料を種苗会社の半額以下に抑えた品種を提供。JAの試算によると管内の生産者が支払う許諾料を、1年間で2325万円削減する効果があるという。100万円以上手取りが増えた農家も数多い。JAが専用施設を作り、単独で育種をするのは全国でも珍しい取り組みだ。
●小菊33%占有
 オレンジ、紫、白・・・。沖縄本島の最南端・糸満市にあるJAの花き実験農場。所狭しと色とりどりの花が並ぶ。草丈も茎の太さもばらばらなのは、多様な特徴を持つ「新品種候補」を育て、その中から有望なものを見つけ出すためだ。これまでに16品種がこの畑から誕生。現在は県内で作る大菊の65%、小菊の33%をJAの品種が占めるまでになった。生産者の支持を集める理由が許諾料の安さだ。種苗会社だと自家増殖した場合、1本当たり2、3円のコストがかかるが、JAの品種は1円以下で済む。同県では年間100万本以上を出荷する生産者も多い。JAの品種を使えば、数十万円単位で削減できる。取り組みを始めた当初は、いくつも課題があった。種苗会社や都道府県の試験場と違い、品種改良の専門知識を持つ人材がいなかった。「プロと戦って太刀打ちできるはずがない」。JA内外からそんな不安の声が聞こえてきた。新品種の育成は困難を極めた。さまざまな品種を掛け合わせ年間80万粒の種を作るが、実用化できる花は滅多に生まれない。ようやくできても、生産者や花卸の目にかなわず、栽培が広がらなかったこともあった。それでもJAは農家負担軽減を目指し、毎年数百万円をかけて挑戦を続けた。花の交配はJA営農販売部の徳元清春さんが一手に担う。開発に行き詰まったときは、他県の試験農場に足を運んで研究した。徳元さんが作った赤い小菊「琉のあやか」は2014年に品種登録を受けた。樹姿が良く病害虫に強い同種は、小菊出荷量全国一の同県で欠かせない品種になった。徳元さんが作ったものは品種名に「琉球」の「琉」の字を使っている。同県には種苗会社の研究農場がなく、同県での生産に特化した品種はほとんどない。「ただ安いだけではなく、沖縄に合った品種を作りたい」。思いが込められている。
●実用化加速へ
 今では、3年に1品種のペースで実用化するまでになった。依然はリスクを恐れて慎重だったJAの姿勢も、変わってきた。JAの上江洌進常務は「良いと思ったら、迷わず普及しろ」と担当者にげきを飛ばす。今後は、実用化ペースを1年1品種に高める方針だ。

*10-2:https://www.agrinews.co.jp/p43832.html (日本農業新聞 2018年4月18日) [活写] 咲かせてみせましょもう “一花”
 熊本県宇城市の宮川洋蘭が作る、規格外のランの花を使ったボトルフラワーが人気だ。デンファレやカトレアを乾かしてガラス容器に密封し5年以上、色が保たれるという。同社は約300種類のランを栽培し、年間およそ20万鉢を出荷する。形が出荷に向かず廃棄していた花を生かそうと、水分が多いランの花を1週間ほどかけて乾かす方法を考案。「森のグラスブーケ」と名付け2013年に売り出した。製作担当の小田美佐登さん(37)は「乾かした花は破けやすく、丁寧に作業している」と話す。贈り物向けに人気を集め、インターネットなどを通して年間約3万個を販売。1個1500円(税別)から。専務の宮川将人さん(39)は「生花を持ち込めない病院の場合でもお見舞いに役立っている。多くの人に華やぐ気持ちを味わってほしい」と話す。

<セクハラの範囲>
PS(2018年4月19日追加):「セクハラは人権侵害で、女性の仕事をやりにくくする」というのには私も賛成だが、*11-1の女性記者に対する財務省の福田次官のセクハラは、普段から男社会でセクハラへの認識が甘い財務官僚が、権力闘争のために仕組まれたセクハラ問題に乗ってしまった感があった。何故なら、人事は財務省内で大筋が決まっており、そのような部下の不始末の責任までとらされたらたまったものではない麻生財務相や安倍首相の任命責任にまで言及しているからで、週刊新潮に録音されたマイクを渡した記者が傷ついたり、メディアと政治家・官僚の間にメディアの方が弱いという力の差があるとも思えないからである。ちなみに、私は電車の中で少し美人の女性が横にきて座り、「足を擦りつけてきた」と言って因縁をつけられた経験がある。それは、私がレズビアンだとでも言いたげで、周囲に人もいたため、「何で私が貴女に足を擦りつけなければならないのですか?気持ち悪い!」と大きな声で言って追っ払ったが、「被害者だ」と主張する女性には、そういう人もいるわけだ。
 ところで、セクハラは身体を触ることだけでなく、*11-2のように、救命活動をする女性に「(女人禁制だから)土俵から降りて」とアナウンスしたり、出産や月経の血で穢すとして女性市長に土俵上で挨拶させなかったり、特定の儀礼に女性を参加させないようにしたりするような男尊女卑も立派なセクハラである。しかし、こういうセクハラには感受性が鈍いせいか、メディアも疎いのが我が国の問題だと、私は日頃から感じている。

*11-1:http://www.shinbunroren.or.jp/seimei/180418.html (日本新聞労働組合連合 中央執行委員長 小林基秀 2018年4月18日) 「セクハラは人権侵害」財務省は認識せよ
 女性記者に対する財務省・福田淳一事務次官のセクシャルハラスメント疑惑に関し、麻生太郎財務相や同省の一連の対応は、セクハラが人権侵害だとの認識が欠如していると言わざるを得ない。セクハラは、圧倒的な力関係の差がある状況で起きることを理解しているとも思えない。新聞労連は同省の対応に強く抗議するとともに、被害者保護のため早急に対応を改めるよう求める。週刊新潮が福田次官のセクハラ疑惑を報じた際、麻生財務相が当初、事実関係の調査や処分はしない方針を示したことは、セクハラが人権侵害であるという基本を理解していない表れだ。その後、音声データが出てから調査に踏み切ったのは遅きに失しており、国際的にみても恥ずかしい対応であり、看過できない。セクハラの二次被害を生み出さないためにも、被害者を矢面に立たせないための配慮は調査の最優先事項だ。財務省が、同省と顧問契約を結ぶ弁護士事務所に被害者本人が名乗りでるよう求めていることは容認できない。被害者への恫喝であると同時に、報道機関に対する圧力、攻撃にほかならない。「女性活躍」を掲げる安倍晋三政権は、疑惑を持たれた人物が官僚のトップである財務省に調査を任せて良いのか。省庁を統轄する首相官邸がリーダーシップを発揮して、福田次官に厳格な事情聴取を行うことがなぜできないのか。それなしに、被害女性に名乗り出ろという見識を疑う。政府はこれを機に、全省庁に対し、他にセクハラ事案がないか徹底調査を指示するべきだ。福田次官にも問いたい。あなたは本当に女性記者の尊厳を傷つける発言をしたことはないと断言できるのか。であれば堂々と、記者会見を開いてあらゆる質問に答えてほしい。新聞社が新規採用する記者の半数近くが女性だ。多くの女性記者は、取材先と自社との関係悪化を恐れ、セクハラ発言を受け流したり、腰や肩に回された手を黙って本人の膝に戻したりすることを余儀なくされてきた。屈辱的で悔しい思いをしながら、声を上げられず我慢を強いられてきた。こうした状況は、もう終わりにしなければならない。今回の件を含め、記者が取材先からセクハラ被害を受けたと訴え出た場合、会社は記者の人権や働く環境を守るため、速やかに毅然とした対応を取るべきだ。「事を荒立てるな」「適当にうまくやれ」など記者に忍耐を強いる指示や黙認は、セクハラを容認しているのと同じであり、到底許されない。いまなお、女性記者が取材先からセクハラ被害を受ける事例は後を絶たない。新聞労連は性差を超えた社会問題としてセクハラを巡る問題に正面から向き合い、今後も会社や社会に対しメッセージを発信していく。                       以上

*11-2:https://digital.asahi.com/articles/ASL4F56VXL4FUCVL01Y.html?iref=comtop_8_02 (朝日新聞 2018年4月18日) 学者も「よく分からない」 大相撲の女人禁制、起源とは
 土俵上で懸命に救命活動をする女性に「降りて」とアナウンスした日本相撲協会の対応が物議を醸している。大相撲における「女人禁制」はどのように「伝統」となったのか。奈良時代の古事記や日本書紀に記述があり、1500年以上の歴史があるとされる相撲。なぜ、大相撲の土俵は女人禁制になったのか、いつからなのか。高埜(たかの)利彦・前学習院大教授(日本近世史)は「よく分からない」と話す。一方、中世から寺社の造営や修復の費用を集めるために開かれてきた「勧進(かんじん)相撲」が、江戸時代に権威と人気を得て大相撲につながる過程で、タブーが強化された可能性を指摘する。まず、江戸時代の勧進相撲では「女性の観戦は禁じられていた。土俵の周辺に女性の姿はなく、女人禁制と言うまでもなかった」。背景として考えられるのが5代将軍徳川綱吉の「服忌(ぶっき)令」だ。生類憐(あわ)れみの令と同じ頃、近親の死で喪に服す期間を定めた。死を忌み嫌い、血の穢(けが)れを排する公家や神道の価値観を武家社会が取り入れ、武士以外にも浸透した。高埜さんは「このころから、女性の月経や出産を遠ざける傾向が強まったのではないか」とみる。「勧進相撲」は江戸時代に、庶民の辻相撲などとの違いを強調し、権威を得ていく。18世紀半ば、8代吉宗の時代には年4回の「四季勧進相撲」が幕府公認に。11代家斉の時代には将軍上覧相撲が開かれ、横綱が白い麻で編んだしめ縄を締め、地鎮祭の地固めにちなむ四股を踏むなどの神事的な要素も導入された。大相撲と呼ばれるようになる過程で「神事」「伝統」が結びつき、土俵から女性を遠ざけた可能性がある。明治維新になると、文明化を目指す新政府によって「男女相撲」が禁じられる。「女相撲や座頭(盲人)相撲など多様な相撲のあり方は『野蛮』だとして排除された」と今西一・小樽商科大名誉教授(日本近現代史)は指摘する。一方、幕府や大名家の支援を失い、一時は危機に見舞われた大相撲は、国家神道の確立やナショナリズムの盛り上がりを追い風に、「聖なるもの」としての側面を強調していく。明治天皇による「天覧相撲」は回を重ね、相撲常設館は「国技館」と命名された。昭和には「相撲道」が強調され、国威発揚の一翼を担う。今西さんは「天皇を頂点とした身分制や家族制度のもとで男尊女卑が強まり、土俵の女人禁制は当然のこととされていく」と話す。
●出産・月経「穢れ」の宗教的観念
 女人禁制はそもそも、聖域への立ち入り禁止、特定の儀礼に参加させない、など宗教に関わる領域で目立つ慣習だ。だが「古代においては男女を問わなかったが、時代をおうごとに女性への禁忌が強まった」と鈴木正崇・慶応大名誉教授(文化人類学)は話す。古来の山岳信仰では、修行者や僧侶が山自体を修行場として霊力を得ようとして、俗人の立ち入りを禁じた。僧侶の修行の妨げになるという仏教上の戒律による女人禁制は、尼寺では男子禁制となった。それが平安時代になり、女性は男性に一度変身してからでないと成仏できないという変成男子(へんじょうなんし)思想や、女性は梵天(ぼんてん)・帝釈天などになれない五障といった差別的な教えが広まる。さらに「女性を劣位に置く慣習を決定づけた」と鈴木さんが指摘するのは、「血の穢(けが)れ」の観念だ。もともと平安時代の法令集「延喜式(えんぎしき)」では、死や出産を穢れと定めていたが、期間限定のものだった。ところが、室町時代に中国伝来の偽経「血盆経(けつぼんきょう)」が広まり、出産や月経の血で大地を汚すという女性の不浄観を浸透させたという。島薗進・上智大教授(宗教学)も「卑弥呼の時代から女性は神に近い存在。神事だから女性は立ち入れないというのは、歴史的にも宗教学的にも当たり前の話ではない」と指摘する。現代でも大峯山(奈良県)など一部に女人禁制は残るが、「修験道は修行全体が厳しい掟(おきて)に支えられていて、急にそれを変えられない面がある」と島薗さんは理解を示す。一方で大相撲については「土俵の女人禁制がどれだけ意義深いものなのか」と疑問視。「国民的行事であり、特定の信仰を持つ人たちのものではない。相撲協会は時代の変化に対応すべきだ」

| 男女平等::2015.5~2019.2 | 03:41 PM | comments (x) | trackback (x) |
2017.11.12 政治家に占める女性の割合が小さくなる理由は何か (2017年11月13、15、16、18、20、23、24、26、28、29、30日、12月1、2、3日追加)
  
  政党別当選者像     選挙前からの増減      女性当選者の推移
 2017.10.23西日本新聞               2017.10.23西日本新聞

(1)衆議院議員の選挙結果は男女平等か
1)第48回衆議院議員選挙の結果
 世界経済フォーラム(WEF)は、*1-1、*1-2のように、2017年11月2日、世界各国の男女平等度合いを示した2017年版「ジェンダー・ギャップ指数」を発表し、日本は女性閣僚や女性議員の少なさから政治が123位と20位も順位を下げたそうだ。女性の健康と識字率については世界1だが、高等教育進学率は101位と低く、専門職や技術職には女性が少なく、これらが男女の収入格差の一因となり、女性は同じ専門職や技術職でも採用・配置・研修・評価・昇進で差別されがちであるため、それらの総合的な結果として今回の順位が出ているわけである。

 世界経済フォーラムの「ジェンダー・ギャップ指数」で日本の順位が次第に下がってきた理由は、他国はまじめにジェンダー・ギャップの解消に取り組んでいるが、日本は掛け声倒れに終わっているためで、①一般国民が両親として子にジェンダーを含む価値観を与え、教育の選択を行っている ②公立高校でさえ男女別学にして男女で教育内容を違えている地域がある ③職場での採用・配置・研修・評価・昇進や選挙を通じて女性差別を行っている などが、その背景にある。また、私立学校には、小学校から男女別学のところさえある。

 その結果、「女性の幹部社員や政治家の少なさは『家事との両立困難』『女性自身のチャレンジ精神のなさ』などが原因だ」とするようなメディアの論調も多く、家事を女性の役割と決めつけ、女性は積極的でないとする男性中心社会の女性に対する偏見や責任転嫁があるが、家事は収入が多ければ外部委託でき、残りの家事をどちらが分担するかは家庭内の経済格差によって合理的に決まるため、本当はチャレンジ精神のある女性が全女性に占める割合は、チャレンジ精神のある男性が全男性に占める割合より少なくはないだろう。
(注1:動物行動学では、「人間に近い猿で、海水でイモを洗う新しい行動を始めたのはメス猿で、子猿たちがそれを真似して次世代に伝え、イモ洗い行動はその群れの文化となったが、大人のオス猿は最後まで新しい行動をしなかった」という研究事例がある)

2)今回の当選者と女性について
 このように、女性蔑視やジェンダーによる差別によって作られた形式上のもしくは実際の実力差のため、国民のリーダーとなるべき国会議員に占める女性割合は増えないわけだが、*1-3のように、西日本新聞が衆院選当選者を分析したところ、前職81.0%で、平均年齢54.8歳、出身は首長・地方議員などの地方政界が31.5%と最多で、国・地方を合わせた官僚・議員秘書がともに15.8%で同数だったそうだ。

 また、女性が全当選者に占める割合は10.3%で、「2020年に指導的地位に占める女性の割合を30%にする」という政府目標には遠かった。私は、「家事を担ったことがなく、自分は消費者ではないと考えている男性が多いため、このような馬鹿な政策が行われて惨憺たる結果が出ている」と感じることが多いため、2020年に指導的地位に占める女性割合を30%にするという政府目標は達成すべきだと考える。

 そのためには、「女性蔑視やジェンダーを無くして、堂々と30~50%の女性が議員に当選する状況を作る」というのが正論だが、女性が候補者となることすら難しいジェンダーの多い地域も少なくないため、*1-4のように、「クオータ制を推進する会」代表の赤松良子元文科省らが「政治分野における男女共同参画推進法案」の成立を働き掛け、各政党に対して衆院選の比例代表で女性候補を名簿上位とするよう求めるなどの取り組みを提案していたわけである。これを逆差別だと言う男性は多いが、私は、女性の当選を不利にする強固な障害が背景にあるため、その背景がなくなるまでは、この仕組を逆差別だとは思わない。

(2)女性蔑視を振りまくメディアと周辺の対応
 メディアは、連日、豊田真由子前衆院議員が元秘書の男性に暴言や暴力を行ったと報道していたが、豊田議員の地元固めの努力に比べて、元秘書の“失敗”はひどすぎる上、録音・録画がなされていたことから、豊田議員は陥れられたように思えた。しかし、*2-1のように、埼玉県警は豊田前議員が落選したところを見計らって、「傷害」「暴行」の疑いで書類送検したそうだ。

 ちなみに、私も、2005~2009年の衆議院議員時代、国会のない日は、地元廻りに精を出し、国政報告会を開き、地元の式典に参加したりして、盆も正月もなく草の根の活動をしていたが、「(ミスだらけの)秘書が大変ね」と言う人は多かったものの、私に対する労いや励ましの言葉は夫以外からはあまり聞かなかったので、その状況が推測できるのである。

 しかし、*2-2、*2-3、*2-4のように、当選を重ねて「希望の党」の代表選に出られた大串氏の場合は、「大串氏『保守王国崩す』、草の根の活動結実」と称賛されている。私は、大串氏と同じ地元活動をしていたので、同じ行動に対するこのようなメディアの論評の違いが世間に流布し、一般の人の先入観となって女性に対する強固な天井を作っていると確信する。

 なお、私は、佐賀県の式典でご一緒することが多かったため大串氏をよく知っており、その能力を認めており、大串氏の野党との統一会派を目指す路線にも賛成で、あくまで路線闘争を正面から訴える作戦を貫いて今後の流れに繋げることも重要だと思っているが、同じことを女性がやるとおかしな論評をするメディアをはじめ一般国民の意識が問題だと指摘しているのである。

 そして、ジェンダーについては、*2-5のように、佐賀新聞だけでなく全国紙の朝日新聞もメルケル首相に関して、「首相になって12年。実直で優れた指導力から『鉄の女』とも評される」「地元では、情を尽くして有権者と触れあう素顔を見せた」「政治家が地盤を守るには泥臭さもいる」などと記載している。しかし、女性がリーダーとして当然のことをすれば「鉄」と表現するのはジェンダーそのものであり、女性リーダーをやりにくくする。また、有権者と触れあう機会を多く作って有権者のニーズを知るのは男女にかかわらず政治家として当然のことだ。さらに、有権者のニーズを知って必要な政策をとるのは泥臭いことではなく当然のことだが、解決法を誤ればモリ・カケ問題のようになるため、見識の高さが必要なのである。

(3)私に関する偏向報道の事例
1)女性蔑視で偏向した報道とブログ
 私に対してなされた典型的な女性差別は、*3-1のように、週刊文春に、「83会の奇人変人」という題名で書かれた「東大卒で公認会計士という経歴をもつ広津女史。エキセントリックな点があり、ストレートにモノを言う。党本部や国会内の会合での質問に、いつも場が凍る」というものだ。

 この記事は、東大卒でも専門職でもない男性読者が「わが意を得たり」と感じるように、女性蔑視をふんだんに盛り込んだ真実ではない内容を記載しており、その結果、私の後援会作りを邪魔し、自民党の公認を得るのを妨げ、ひいては衆議院議員という職を失わせたため、「名誉棄損」「侮辱」として東京地裁に提訴して東京高裁で完全勝訴したものだ。しかし、日本の裁判所は、機会費用を認めないところが不完全である(http://hirotsu-motoko.com/weblog/index.php?c=19-22 参照)。

 また、*3-1のブログは、「自民党から小選挙区で公認してもらえなかったから」「自民党の比例区の名簿で優遇してもらえなかったから」という理由で(みんなの党に)来たらしい候補がいますね。・・・とくに広津前議員は、真偽の程はわかりませんが、以下の記事を読む限りでは、かなり“電波”な人では?」として、この女性蔑視の偏見に基づいた週刊文春の虚記事を引用し、2009年の衆議院議員選挙直前から掲載し続けている。さらに、このブログは反論もできない上、削除依頼もできない状態になっているのだ。

 そして、国会議員・公認会計士・税理士は、どれも人から信頼されなければできない仕事で、私はそれを築くために一生をかけて努力してきたため、この政治活動の妨害や営業妨害は、一般の女性のように笑って受け流したり、気分を変えたりすれば済む話ではない。

2)底の浅い決めつけ報道
 西日本新聞は、*3-2のように、政治取材に携わって20年余で、劇場政治の危うさとうさんくささは骨身に染みていたと言う記者が、「①『劇場型政治』はもう終わりに」「②郵政解散当時の小泉純一郎劇場のように爆発的人気を集めた劇場はなかった」「③1番人気は安倍劇場だったが、5年近くも同じでは観客に飽きがくる」「④耳目を集めるだけの劇場型政治は終わりにして地に足の着いた政策本位の政治にしてほしい」「⑤芸は未熟なのにスターと思い込み、トラブルを引き起こす「チルドレン」役者が増殖しなかったことだけはよかった」と記載している。

 しかし、②は、まさに政策を問うて解散した選挙であり、その後の解散総選挙はすべて政策を問うているため、④も当たらない。それでも、耳目を集めるだけの劇場型政治と感じたのであれば、それは、20年余りも政治取材に携わってきたという西日本新聞記者の底の浅い理解とそういう理解に基づいた内容のない報道の結果である。また、①の西日本新聞記者が言う“劇場型政治”は、実際には政策を主張して選挙を行い、国民はそれに注目したものであるため、これを終わりにすれば主権在民・民主主義は成立しない。さらに、③の「5年近くも同じでは観客に飽きがくる」というのは、それこそ政策を論評しておらず、自分がプレイヤーの主権者であることを忘れ、観劇する客であるかのように思っているレベルの低い発言だ。

 なお、九州で、⑤の「芸は未熟でトラブルを引き起こす『チルドレン』役者が増殖しなかったことだけはよかった」というのは、上記(3)1)などを前提にした私のことだと思うが、(3)3)に書くように、政治経験が長いから有能で、そうでないから未熟な「チルドレン」だと論評すること自体、年功序列の発想に基づいており、実力や成果を重視しない決めつけだ。そして、私の場合は、私がトラブルを引き起こしたのではなく、問題でないものを問題視したり、トラブルにしたりされたものであるため、原因のありかを間違わないようにしてもらいたい。

3)では、長期間政治に関わったという人は、国のためになることをしたのか
i)国の歳出について
 財務省は、*3-3のように、2017年11月10日、国債(949兆9,986億円)・金融機関からの借入金(52兆6,532億円)・政府短期証券(77兆7,888億円)を合計した国の借金が9月末時点で1,080兆4,405億円となり、過去最大(最悪)を更新したと発表した。

 しかし、この間、必要十分な年金積立金は積まれず、介護保険制度も時間ばかりかかって不十分で、少子化が著しくなるまで保育所の整備もされなかった。さらに、多額の農業補助金を使って耕作放棄地を増やし、食料自給率を先進国の中で最低にし、そのほかにも馬鹿な政策を多々行っているのだから、議員・官僚・議員秘書などとして長期に渡って政治に関わってきた人こそ、必要なことをした実績がなく、政治家として不適格な人が多いわけである。

 そして、今後、どうしても行わなければならないのは国への複式簿記による公会計制度の導入であり、これによって国の収支の全貌が発生主義で網羅性・検証可能性をもって開示されるようになれば、本当に役立っている政策に効果的に予算を付けられ、より小さな歳出でより大きな効果を得られるようになる(http://www.jbaudit.go.jp/koryu/study/mag/pdf/j22d05.pdf#search=%27%E5%9B%BD%E3%81%AE%E5%85%AC%E4%BC%9A%E8%A8%88%E5%88%B6%E5%BA%A6%27 参照)。

 なお、私は、公認会計士・税理士として第二次・第三次産業の多くの企業を見てきた経験から、農業政策については衆議院議員になってすぐ、①農業の規模拡大による生産性向上 ②生産物のブランド化による付加価値向上 などを提唱し、私が発案したふるさと納税とも相まって、次第に実現しつつある。また、介護保険制度や保育については、東大医学部保健学科卒の知識と働く女性としての経験により、私が経産省に提唱してできたが未完成で、年金制度については、公認会計士として企業には退職給付会計を導入したが、公的年金は未導入という具合だ。

 このように、私は、この25年間、重要な改革を提言して実現させてきた実績があるが、これらは、長期間、政治家をしていたからできたのではなく、東大医学部保健学科卒で公認会計士・税理士としてBig4で働いてきたから持っている知識と実務経験があるからできたものである。

ii)環境について
 マクロ経済学は環境や資源の制約、人口構成の変化によるニーズの変化、技術革新などを与件として考慮しないが、地球温暖化等の公害防止と経済成長は、エネルギーの転換や製造方法の変換で両立できるもので、転換期には投資が増えるため、経済成長はむしろ促進される。

 そのため、*3-4のような「パリ協定」や再エネ・省エネなどへのエネルギー転換は、化石燃料の少ない日本にとっては願ってもない福音の筈だが、「太陽光発電のコストは高い」等々のくだらない理由を付けて化石燃料や原発再稼働に固執し、エネルギーの転換に消極的なのが、その殆どを男性が占める我が国の政治家及び経済界のリーダーたちなのである。

 私は、水・食品・空気(洗濯機の水を見れば空気の汚れ具合がわかり、これは地域によって異なる)に関心を持ち、家族の健康に留意している女性の方が環境政策に敏感なのではないかと思うが、メディアはじめ国民は、何故こうなるのかを調査して解決すべきだ。

(4)女性への偏見ができる理由
 関東地方以北には、公立高校でも男女別学の地域が多く、*4-1のように、埼玉県も県立高校が男女別学で、広島市出身の教育長と同様、私もびっくりした。私は、埼玉県在住だが、決してそれをいいとは思っておらず、公立高校が男女別学なのは憲法違反であるとともに、価値観が形成される感受性の高い時期に男女別学にして異なる教育をするのは、男女平等や女性の社会参加を進める上で非常に悪いと考えている。

 しかし、私立高校も男女別学のところが多く、関東地方以北は、男女共学の進学校の選択肢が少ないのである。この教育の悪さは、それをカバーするため親に負担をかけるので、保育所の不備と同様、働き続けることを優先した私が子ども作らなかった原因の一つだ。

 そして、佐賀新聞も化石のように、*4-2の「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきか」などという調査をしたそうだが、西日本の佐賀県民も「男性は外で仕事、女性は家庭」という性的役割分担に賛成する人が33.2%いるという結果だそうだ。しかし、賛成が最も多いのは70代以上の男性で、それでも51.2%(約半分)だったのは、時代の価値観を変えた感がある。太陽

<第48回衆議院議員選挙結果と男女平等>
*1-1:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20171102&ng=DGKKZO22985930R01C17A1CR8000 (日経新聞 2017.11.2) 男女平等指数 日本は114位 過去最低、女性の政治参画遅れ
 世界経済フォーラム(WEF)は2日、世界各国の男女平等の度合いを示した2017年版「ジェンダー・ギャップ指数」を発表した。日本は調査対象144カ国のうち、114位と前年より3つ順位を落とし、過去最低となった。女性の政治参画が遅れているのが主な理由で、1日に発足した第4次安倍内閣の女性活躍の推進が一層問われそうだ。同指数は女性の地位を経済、教育、政治、健康の4分野で分析し、ランキング化している。日本は女性の閣僚や議員の少なさが目立ち、政治は123位と20も順位が下がった。10月の衆院選では定数の約1割にあたる47人の女性が当選したが、海外と比べると政治進出は遅れている。経済は114位と4つ順位を上げたものの、依然低い水準だ。男女の収入格差が大きいのが影響しているうえ、専門職や技術職で女性が少ない。教育は識字率は世界1位だが、高等教育の進学率が101位と低く、同分野全体で74位にとどまっている。健康は出生時の男女のバランスの改善で、40位から一気に1位に浮上した。上位10カ国の顔ぶれは順位に変動はあるものの、前年と同じ。首位は9年連続でアイスランド。女性の政治への参画が際立つほか、男性の育児休業も普及している。

*1-2:http://qbiz.jp/article/121963/1/ (西日本新聞 2017年11月2日) 男女平等、日本は114位 政治進出の遅れが最大の原因
 ダボス会議で知られるスイスの「世界経済フォーラム」は2日、2017年版「男女格差報告」を発表した。日本は調査対象となった144カ国中114位で、前年より順位を三つ下げ、先進7カ国(G7)で最下位だった。女性の政治進出が遅れているのが最大の原因。報告書では日本は政治、経済分野で男性との格差が大きく、特に政治分野(123位)では女性の議員や閣僚が少ないことなどから前年より順位を20下げた。経済分野(114位)も前年より順位を四つ上げたものの、幹部社員の少なさなどの問題が指摘された。首位は9年連続でアイスランド。2位ノルウェー、3位フィンランド、4位ルワンダで、北欧諸国が上位に並んだ。米国は49位、中国は100位、韓国は118位だった。アジアのトップはフィリピンの10位だった。世界経済フォーラムは「2006年に報告書の発表を開始してから初めて世界的に男女格差が広がった。特に政治、経済面で逆戻りし、このままでは格差解消に100年かかる」と警告した。男女格差報告は各国の女性の地位を経済、教育、政治、健康の4分野で分析、数値化している。

*1-3:http://qbiz.jp/article/121142/1/ (西日本新聞 2017年10月23日) 新議員はこんな人たち 前職81%、平均55歳、地方政界出身
 当選者の新旧別、平均年齢、出身から新議員像を探った。(23日午前11時半現在で当選者未判明分を除く。自民党が追加公認した無所属候補3人は無所属として集計した)
【新旧別】前職が370人と81・0%を占め、うち253人が自民党だった。新人は56人(12・3%)で前回衆院選の43人から増えた。元職は31人。政党別の新人は立憲民主党が23人でトップだった。自民党が19人、希望の党が9人だった。
【年代】新議員の平均年齢は54・8歳で前回の53・1歳より高かった。政党別で最も若いのは希望の党の49・5歳。日本維新の会が49・7歳で続いた。自民、公明、共産、立憲民主の各党はいずれも50歳代だった。1人が当選した社民党は72歳。
【出身】首長や地方議員といった地方政界出身が144人(31・5%)と最多。次いで国、地方を合わせた官僚と、議員秘書がともに72人(15・8%)で同数だった。
●女性当選者は47人
 衆院選の女性当選者は47人となり、前回2014年の45人より2人増えた。過去最多だった09年の54人には届かなかった。当選者に占める割合は10.3%。政党別では、自民党が前回(25人)より5人少ない20人。安倍政権は女性の活躍推進を掲げているが、結果は振るわなかった。他は立憲民主党が12人、公明党が4人、共産党が3人、希望の党が2人、日本維新の会が1人、無所属が5人だった。今回立候補した女性は209人。全候補者の17.7%と割合は過去最高とはいえ「男女均等」には遠く及ばない。政府は「20年に指導的地位に占める女性の割合を30%にする」との目標を掲げているが、隔たりはまだ大きい。データは23日午前9時現在で当選者未判明分を除く。自民党が追加公認した無所属候補は無所属として集計した。
●新人議員は56人
 今回の衆院選で当選した新人議員は56人で、小選挙区比例代表並立制が導入された1996年以降、最少となった前回選挙の43人を13人上回った。党派別では今回躍進して野党第1党となった立憲民主党で最多の23人が当選、自民党が19人と続いた。他は希望の党が9人、公明党が2人、日本維新の会が2人、無所属1人。前回は新人14人が当選した共産党はゼロだった。最年少は希望の党の緑川貴士氏(32)(比例東北)、最高齢は立憲民主党の長尾秀樹氏(65)(比例近畿)と自民党の佐藤明男氏(65)(比例北関東)だった。

*1-4:http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201709/CK2017093002000123.html (東京新聞 2017年9月30日) 女性候補者増を「争点に」 「男女半々」求める法案 解散で廃案
 女性議員を増やすため、政党に選挙候補者を男女半々にするよう求める議員提案の「政治分野における男女共同参画推進法案」が、衆院解散により廃案になった。これを受け、二十九日、東京・永田町の衆院第一議員会館で抗議集会が開かれ=写真、成立を働き掛けてきた「クオータ制を推進する会」代表の赤松良子元文部相(88)は「総選挙の争点にしたい」と訴える。法案には与野党とも合意済みで、先の通常国会で成立するとみられたが、「共謀罪」法を巡る駆け引きなどで審議入りしなかった。集会で赤松さんは「延々と積み重ねてきたものが解散でぶっ飛んじゃった。また第一歩から始めないといけない」と嘆く。集会では、各政党に対し衆院選の比例代表で女性候補を名簿上位とするよう求めるなどの取り組みが提案された。終戦時に十五歳だった赤松さんは、参政権のなかった戦前の女性の立場の弱さを知っている。旧労働省婦人局長として一九八五年の男女雇用機会均等法の成立に尽力。九九年には社会のさまざまな場の性差別をなくす「男女共同参画社会基本法」ができたが、政治の世界は取り残された。今回の解散前の衆院の女性比率は9・3%で、世界各国の女性議員の割合などを調べている国際組織「列国議会同盟」のデータでは百九十三カ国中で百六十四位。「選択的夫婦別姓の実現や待機児童問題解消など、女性の望む政策が通りにくい偏った政治になっている」と赤松さん。「女性議員を増やすことへの姿勢も、投票の判断材料にしてほしい」と話している。 

<女性蔑視を振りまくメディア>
*2-1:http://digital.asahi.com/articles/DA3S13201928.html (朝日新聞 2017年10月27日) 豊田前議員、書類送検 元秘書への傷害容疑 埼玉県警
 元秘書の男性を暴行したとして、埼玉県警は27日、22日の衆院選で落選した豊田真由子前衆院議員(43)を傷害と暴行の疑いで書類送検した。捜査関係者が明らかにした。前議員はこれまでの調べで「頭を殴ったわけではなく、肩をたたいた」と話していたという。捜査関係者によると、豊田前議員は5月、埼玉県内を走行していた乗用車内で、当時政策秘書だった50代の男性の頭を殴ったり、背中を蹴ったりしてけがをさせた疑いがある。豊田前議員は2012年の衆院選で自民党から立候補して初当選した。しかし6月に発売された「週刊新潮」が暴行疑惑を報じたため、離党届を提出。衆院選に埼玉4区から無所属で立候補したが落選した。

*2-2:http://www.saga-s.co.jp/articles/-/140745 (佐賀新聞 2017.10.24) 大串氏「保守王国」崩す 佐賀2区、=2017衆院選さが=草の根の活動結実
 地をはうように広い選挙区を駆けずり回った努力が結実した。激戦の衆院選佐賀2区は希望前職の大串博志さん(52)が猛烈な追い上げで大逆転劇を演じ、「保守王国」の牙城を崩す歴史的勝利を収めた。台風の影響で2日間に及んだ開票作業の末、全国で最後の小選挙区当選者となった。武雄市の事務所で支援者約550人の歓喜に包まれながら、「野党をしっかりまとめていくリーダー役を果たす」。高らかに宣言した。選挙区割り変更で事実上の国替えとなった前回は3万2千票差で破れた。堅い保守地盤の現実を突き付けられ、「地域に入って縁を紡ぐ」。草の根の活動を貫く覚悟を決め、後援会づくりに奔走した。地区単位で行事をチェックして国会議員が来たことがない所にも顔を見せ、住民と膝を付き合わせた。衆院解散時に決めた合言葉は「小選挙区で勝つ」。3年間で公民館など千カ所を訪ね、「車の走行距離は地球何周のレベル」(事務所スタッフ)。深まった自信は新党への合流で揺さぶられた。「新党を率い、右過ぎず自分が思う中道をやる」。政治家人生での最大の決断に触れた陣営の幹部たちも腹が据わった。腰が低くていい人から一変して街演や集会で見せる鬼気迫った表情に、支援者たちが突き動かされた。地域に根付かせた後援会がフル稼働して親類や知人にくまなく声掛け。「安倍1強政治」に諦めを抱く有権者の関心も呼び起こし、批判票を取り込んだ。「自民圧勝、希望埋没」の全国情勢もはねのけたが、当選後には「希望は正直逆風だった」と本音を吐露した。事務所で一人一人とあいさつを交わして責任をかみしめつつ、「政策が違うといって排除していると野党議員の責任が果たせない。協力できることは協力し、安倍政権に対抗できる大きな塊をつくることを多くの議員に呼び掛けていく」と決意を新たにした。

*2-3:http://www.saga-s.co.jp/articles/-/146855 (佐賀新聞 2017.11.9) 大串氏、希望代表選 支えた「懐刀」ついに決起、経験重ね、挑戦に自負心
 陰ながら歴代代表を支え続けてきた「懐刀」がついに舞台に上がった。「首相補佐官、政調会長を経験し新しさも兼ね備えながら引っ張っていく立場になるには、ちょうどいい頃かなと思う」。8日、共同代表選への立候補届け出を終えた希望の党の大串博志衆院議員(佐賀2区)は記者会見で、政治家としての新しいステージへの挑戦に際し、自負心をのぞかせた。「大串氏は代表選に出るつもりだ」。衆院選のさなか、陣営の一人が語った。自他共に認める政策通が演説で政策を語らず、打倒安倍政権だけを訴えた。「代表になり、自ら党を引っ張る。あいまいな公約に触れなかったのは決意の現れだったのだろう」。相手は小池百合子代表に近い結党メンバーの支援を受ける玉木雄一郎氏。共同会見でも玉木氏は小池代表の「安倍1強許すまじ」という言葉をなぞったが、大串氏は「私は安倍政権を倒すと言っている。その差は大きい」と語る。党内にも「玉木陣営は与党や日本維新の会と連携を考えているのではないか」との見方があり、大串氏は「積極的に野党との統一会派を目指す」と路線の違いを打ち出し支持を広げたい考えだ。現状、大串陣営は「相手候補がリードしている」とみている。それでも強引に切り崩すことはせず、あくまで路線闘争を正面から訴える作戦を貫く。陣営の一人は「票数で党の温度が分かる。それが代表選後の大きな流れをつくる」と胸の内を明かす。

*2-4:http://www.saga-s.co.jp/articles/-/147320 (佐賀新聞 2017.11.10) 希望の党、共同代表に玉木氏、大串氏を大差で退ける
 希望の党(代表・小池百合子東京都知事)は10日午前、両院議員総会を国会内で開き、玉木雄一郎(48)、大串博志(52)両衆院議員が立候補した共同代表選の投開票を実施した。若手からベテランまで幅広い支持を集めた玉木氏が大串氏を退け、国会議員を率いる共同代表に選出された。得票は玉木氏39票に対し、大串氏14票と大差がついた。任期は小池氏に準じて2020年9月まで。玉木氏は選出後、同僚の議員らに「国民に寄り添い、地に足のついた土のにおいがする本物の国民政党を、皆さんと共につくりあげていきたい」と呼び掛けた。

*2-5:http://digital.asahi.com/articles/DA3S13198534.html (朝日新聞 2017年10月26日) 特派員メモ バルト:「鉄の女」別の顔
 ドイツ北東部のバルト。人口9千人弱の小さな町で、メルケル首相の演説を聴いた。9月の総選挙で、彼女が地元選挙区を訪ねたときだ。小雨の中、切り出した。「この町のトマトは世界一おいしい」。選挙中、別の町で批判的な有権者からトマトを投げつけられたのを逆手に取ったようだ。私も食べたが、世界一は言い過ぎかな。今度は、地元鉄道の延伸を求める垂れ幕を見かけるや、「数カ月で実現するでしょう」。おや、利益誘導めいた発言もするのだな。30分の演説を終えると、「サインや記念撮影もできますよ」。支持者の列が途切れるまでたっぷり20分、「ファンサービス」に応じた。地元選挙区にあるシュトラールズントの市長は「彼女は毎月一度は必ず地元に帰る」という。過去に米国やフランスの大統領を招き、地元の知名度アップにも励んできた。首相になって12年。実直で優れた指導力から「鉄の女」とも評される。だが、地元では、情を尽くして有権者と触れあう素顔を見せた。政治家が地盤を守るには泥臭さもいる。国は違えど、そんな共通点が垣間見えた。

<私の事例>
*3-1:http://www.asyura2.com/09/senkyo69/msg/142.html (ブログ 2009 年 8 月 12 日) 「みんなの党」は、政策はいいと思いますが、メンバーに信用できない人たちがいます。
「自民党から小選挙区で公認してもらえなかったから」「自民党の比例区の名簿で優遇してもらえなかったから」という理由で来たらしい候補がいますね。元・自民党の清水前議員とか、同じく元・自民党の広津前議員とか・・・。およそ、政治信条とか理念などの類を持ち合わせている候補とは思えない。とくに広津前議員は、真偽の程はわかりませんが、以下の記事を読む限りでは、かなり“電波”な人では?
●武部幹事長弁当事件 83会の「奇人変人リスト」
「その瞬間、議員一同、凍りつきました」(山崎派議員)。山崎派の会合でのこと。山崎卓氏が「総裁選(の出馬)も考えてみたい」と言うと、一人の女性議員が手を挙げた。“ミセス空気が読めない女”と呼ばれる小泉チルドレン。誰もがひやりとしたのも遅く……。佐賀三区のがばい刺客、広津素子議員(54)は真顔で山崎氏に進言した。「山崎先生は女性スキャンダルでイメージが悪いので、難しいと思います」。自民党議員が笑いを噛み殺しながら言う。「“今週の広津語録”と言われるくらい、破壊的な発言が永田町を駆け巡っています。有名になったのは、佐賀の日本遺族会の方が東京に挨拶にみえた時。話を聞いた後、広津さんは、『遺族、遺族って、一体、何の遺族ですか』と(笑)。〇五年の郵政選挙の大量当選が生んだ珍現象です」。東大卒で公認会計士という経歴をもつ広津女史。「エキセントリックな点があり、ストレートにモノを言う。党本部や国会内の会合での質問に、いつも場が凍る」(別の自民党議員)。伊吹文明幹事長が党税調小委員長だった時、伊吹氏の説明が終わると、新人・広津氏が挙手をするや……。「伊吹先生の説明ではわかりにくいと思いますので、代わって私が説明します」。絶句したのは伊吹氏だけではない。農政の会合で農家による説明が終わると、広津氏が総括(?)した。「皆さん、農業をやめて転職したらいいと思います」。極めつけが「牛肉弁当事件」。チルドレンの親分、武部勤幹事長(当時)が、「いつでもメシを食いに来なさい」と新人たちに声をかけると、本当に広津氏は幹事長室に行って、置いてあった牛肉弁当を勝手に食べてしまったというのだ。その恨みではないだろうが、武部氏は新人議員のグループ「新しい風」に広津氏を誘っていない。抗議する彼女に、武部氏は「あれは仲良しクラブだから」と逃げたつもりが、逆に「私は仲良しじゃないんですか!」と怒らせてしまった。広津氏は小誌の取材に「全部まったくのウソです」と否定するが、広津語録は議員の間で今も更新中だ。
●派閥のドン山拓に「引退勧告」しちゃった広津素子センセイ  週刊文春07年10月4日号より
“ミセス空気が読めない女”と呼ばれる、小泉チルドレンの広津素子議員(54)。昨年末、彼女は所属する派閥のボス山崎拓氏(71)にこう直談判したと言う。「先生はもう七十歳を超えている。辞めるべきだと思います!」話は次期衆議院選挙、佐賀三区の公認問題を巡って切り出された。広津議員は現在、郵政造反・復党組である保利耕輔議員(73)と激しい公認争い中。保利氏に対して前述のように「七十歳を超えて~」と批判し、「山崎さんから若い人に道を譲るように言って下さい」と続けた。山崎派議員が苦笑しながら語る。「山崎先生は保利先生と同世代。保利先生に年だから辞めろなんて、山崎先生の口から言える訳がありません。広津さんの言葉を聞いて山崎先生は、『それは俺にも辞めろと言っているのか!』と激怒したようです」。ちなみにヤマタクが総裁選への意欲を示したときも、「山崎先生は女性スキャンダルでイメージが悪いので難しいと思います」(小誌〇七年十月四日号既報)と広津氏は直言している。山崎派の重鎮、野田毅議員が新人を集め食事会を開いたときもこんな事件が。野田氏が「地方経済は疲弊している。今こそ地方への配慮が必要だ」などと持論を語り終えたあと、広津氏はこう言い放った。「先生は古いタイプの政治家ですね」。出席していた一年生議員が振り返る。「一瞬、場が凍りつき、われわれも冷や汗をかきました。野田さんは明らかに不機嫌だった。ご馳走になっているのに、普通そういうことを言いますか?(苦笑)」。東大卒で公認会計士という経歴の広津氏は、「自らの考えが正しいと信じて疑わないタイプ」(同前)。「昨年九月の安倍改造内閣が発表される前も、『次は私が女性代表で大臣になる』と公言し周囲を唖然とさせた。福田内閣の人選が進められているときには、官邸に電話して『私を副大臣か政務官に入れるべきだ』と直談判したという伝説もある」(全国紙政治部記者)。地元の評判も芳しくない。「人の名前を覚えないから人望がない。すぐ問題を起こすから会合等に呼ばないようにしているのですが、呼ばないと『女性蔑視だ!』と大騒ぎ。問題は人間性なんですけど・・・・・・」(自民党佐賀県連関係者)。そんな言動が災いしてか、事務所も大混乱の様子。「広津さんは入りたての秘書に、『明日から佐賀に行って後援会を作ってきてちょうだい』とか無茶ブリがすごいようです」(同前)。本人に取材すると、「すべてデタラメです。一体誰が言っているんですか」とご立腹。いや、みんな言ってるんですけど。郵政総選挙でも広津氏と対峙した保利氏は、周囲にこう公言しているという。「彼女が出る以上、私も絶対次の選挙に出る。それが佐賀県のためだ」

*3-2:https://www.nishinippon.co.jp/nnp/editorialist/article/369694/ (西日本新聞 2017年10月29日) 「劇場型政治」はもう終わりに
 政治が劇場化することは間々起きるが、今回の衆院選ほど短期間に、しかも劇場乱立の政局も珍しかった。唐突に衆院を解散した安倍晋三劇場、自民党に代わる政権の受け皿を目指して希望の党を立ち上げた小池百合子劇場、そこへの合流を打ち出した前原誠司劇場-。政治取材に携わって20年余り、劇場政治の危うさとうさんくささは骨身に染みていたはずなのに、政局の急展開に「今度こそ政権選択選挙か」などと、また浮足立ってしまった。ああ、恥ずかしい。終わってみれば、郵政解散当時の小泉純一郎劇場のように爆発的人気を集めた劇場はなかった。前宣伝だけが派手だった小池劇場と前原劇場は不入りの責任を巡る内輪もめで早くも閉幕状態である。各劇場が伸び悩む中、1番人気は同じ出し物を毎回、異なる演目で演じる安倍劇場だった。ただし5年近くも同じでは主役も脇役も慢心する。観客には飽きがくる。心配は全く別の出し物の台本をこっそり用意していることだ。劇場にちなんで芝居に例えてみると、こういうことか。しかし、政治はお芝居とは違う。政治家は国民を惑わせる芝居をしてはいけない。野党で喝采を浴びたのが前原劇場から小池劇場への移籍を「芸風が異なる」として“排除”された立憲民主党だったのも皮肉な光景である。これも枝野幸男劇場と呼べるのかもしれないが、「まっとうな政治を」という原点回帰の訴えが多くの有権者を引きつけたことは政界も真剣に受け止める必要があろう。大見えを切って耳目を集めるだけの劇場型政治は終わりにして地に足の着いた政策本位の政治にしてほしい-脱・劇場型政治への有権者の切実な思いを痛感させられた選挙でもあった。政治家やメディアこそ目覚めが必要だろう。ということで、今回は人気劇場に付きもので、芸は未熟なのにスターと思い込み、トラブルを引き起こす「チルドレン」役者は増殖しなかった。それだけはよかった、ということか。

*3-3:http://qbiz.jp/article/122468/1/ (西日本新聞 2017年11月10日) 9月末、国の借金1080兆円 過去最大更新
 財務省は10日、国債と借入金、政府短期証券を合計した国の借金が9月末時点で1080兆4405億円となり、過去最大を更新したと発表した。これまで最大だった6月末の1078兆9664億円から1兆4741億円増えた。社会保障費を賄うための国債発行が膨らんだためで、財政が一段と圧迫されている。
総務省推計の10月1日時点の総人口(1億2672万人)で割った国民1人当たりの借金は約852万円に達した。内訳は国債が949兆9986億円に達し、6月末から4兆7671億円増えた。金融機関などからの借入金は52兆6532億円で1兆1628億円減少した。一時的な資金不足を補うために発行する政府短期証券も2兆1302億円減って77兆7888億円だった。

*3-4:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO23119390V01C17A1SHA000/?n_cid=NMAIL004 (日経新聞 2017/11/5) 成長しながらCO2抑制 米中で大幅減、日本は停滞、世界、GDPあたり15年で2割減
 経済成長しながら温暖化防止に向け二酸化炭素(CO2)排出量を抑えるデカップリング(切り離し)の動きが広がっている。世界で国内総生産(GDP)1単位あたりの二酸化炭素(CO2)排出量はここ15年で約2割減少。再生可能エネルギー投資に加え、新興国で省エネ投資が拡大している。2020年以降の温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」は4日に発効1年を迎え、各国や企業に一層の取り組みを促す。
10月下旬、英BPや英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルなど世界の石油・ガス10社でつくるオイル・ガス気候イニシアチブ(OGCI)は、ガス火力発電所からのCO2回収をはじめとする3事業に投資すると発表した。
国連環境計画(UNEP)のソルヘイム事務局長は「エネルギーの生産や消費の方法を転換させるのが必要」と言う。パリ協定は約170カ国が批准。慎重な石油メジャーも対応を迫られる。国際エネルギー機関(IEA)の10月末の報告書によると、15年時点でGDP1万ドル分を生み出すのに排出されたCO2量は3.1トン。00年より0.7トン減った。別の報告では16年に燃料を燃やして発生したCO2は15年比0.6%減の321億トン。ここ3年、3%成長を実現し排出量はほぼ横ばいだ。IEAは「新しく生まれた傾向」とみる。デカップリングが進む理由は、排出量の少ないエネルギーの利用が増えたことだ。グローバル企業では事業に使うエネルギーを再生エネで賄う動きが広がる。全量再生エネをめざす企業連合「RE100」には、米アップルやマイクロソフト、米ゼネラル・モーターズ(GM)など世界110超の企業が参加する。再生エネの価格は低下傾向にある。調査会社のブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンス(BNEF)によると、米国、ドイツ、イタリア、スペイン、オーストラリアでは、太陽光の発電コストが石炭火力と同水準になった。省エネ技術への投資拡大も寄与する。IEAによると、16年の投資額は前年比9%増の2310億ドル(26兆円)。販売されたヒートポンプの数は28%増え、電気自動車は38%増。主要国で開発した省エネ設備が新興国に広がりつつある。最大排出国の中国は、発電部門を石炭から太陽光などに転換。100基単位の石炭火力発電所の閉鎖も検討する。16年の経済は前年比6.7%拡大し、排出量はほぼ同じだ。再生エネや原子力、天然ガスの割合が高まり、石炭消費は減少。14年の発電量は石炭が73%を占めたが、30年51%、40年43%に下がるとみる。世界2位の排出国、米国は主に油価の高いときにシェールガス革命が起き、発電燃料として石炭からの転換が進んだ。トランプ政権はパリ協定離脱を宣言したが、企業の動きは止まらない。日本は16年時点で世界資源研究所(WRI)が選んだデカップリング達成21カ国から漏れた。GDPあたりのCO2排出量は2.6トン。米中より00年からの減少幅は小さい。RE100の参加企業もリコーと積水ハウスだけ。自動車や電機などは「再エネコストが高い日本で全量は無理」との声が大半だ。太陽光発電は固定価格買い取り制度(FIT)の影響で高コスト体質が続く。再エネのコストを下げ、原発は再稼働の進め方に知恵を絞る必要がある。6日に独ボンで開幕する第23回気候変動枠組み条約締約国会議(COP23)ではパリ協定を巡るルールづくりの交渉が本格化する。IEAは年平均3.4%の成長を前提に今の削減努力を続けても、30年のCO2排出量は15年比で20%増の386億トンになるとみる。「2度目標」の達成にはさらに35%ほど減らす必要がある。

<女性への偏見ができる理由>
*4-1:http://digital.asahi.com/articles/ASK7D5Q3CK7DUTNB01V.html?iref=comtop_8_03 (朝日新聞 2017年7月13日) 埼玉県立高の男女別学、広島市出身の教育長「びっくり」
 個人的にはびっくり――。6月に就任した埼玉県の小松弥生県教育長は12日、就任後初の記者会見で、県立高校の男女別学や中高一貫校などについて印象を語った。広島市出身の小松氏は、県立高の男女別学を「個人的には西の方の出身なのでびっくりですが、埼玉県の人たちがいいと思ったら、悪いことでもない」と話した。一方、県立の中高一貫校については、「すごく早くから伊奈学園があって、その後がない。なぜなのか、私が聞きたい」と話し、「最近は小中一貫校もある。子供たちがいろんな学び方を主体的に選べるようにしてあげないといけない」と話し、検討課題であるとの姿勢を示した。今月、新たな教育委員が選ばれて5人中2人が、伝統的な子育てを推奨する「親学推進協会」関係者になったことについては、「うまく議論をして、バランスをとっていけばいい」と話した。

*4-2:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/192453
(佐賀新聞 2015年5月31日) 県民世論調査 男は仕事女は家庭、賛成33%
■共同参画意識高まらず 「出産退職」支持も半数
 「夫は外で働き、妻は家庭を守るべき」との考えに賛成する佐賀県民は33・2%だった。県は2014年度までの4カ年総合計画で性別による役割分担意識を30%未満に抑える目標を掲げていたが達成できなかった。「出産したら仕事をいったん退職したり、働くこと自体を辞めるべき」とする出産・育児中断型の働き方を支持する人も50%を超えた。仕事を続けたいと願う女性を支えようという社会の意識が高まっていない実情が浮き彫りになった。県が昨年10~11月に成人男女3千人を対象に実施した「男女共同参画に関する世論調査」で、859人から有効回答を得た。「男性は外で仕事、女性は家庭」という性別役割分担意識は、04年の調査で反対が66・6%、賛成29・6%となり、初めて反対が賛成を上回った。しかし、前回09年の調査では賛成が増加に転じ、反対も減少する「揺り戻し」が起きた。今回も意識変化は小さく、賛成が33・2%、反対62・9%となっている。賛成は男性が女性を7・5ポイント上回る一方、反対は女性が男性を5・9ポイント上回り、男性の方が性別役割分担に肯定的な結果が出た。年代別でみると、反対の割合が最も多いのは20代女性で92・0%。逆に賛成が最も多いのは70代以上の男性で51・2%だった。女性の就業についても尋ねた。「子どもができたら中断し、手がかからなくなって再び持つ」との回答が最も多く48・2%だった。「出産したり、結婚するまでは職業を持ち、後はやめる」「ずっと職業を持たない方がいい」という回答も合計で4・2%あった。一方、育児休暇などの制度を使って「ずっと職業を持つ方がいい」としたのは37・1%にとどまった。出産・育児中断型の働き方を支持した人に理由を複数回答で尋ねたところ、最も多かったのは「制度があっても、利用できる職場の雰囲気ではない」で37・3%。次が「現在の制度では不十分」の35・0%で、女性が仕事を続ける職場の雰囲気づくりや制度の不十分さがうかがえる。女性が結婚や出産後も働き続けるために必要なことという問い(複数回答)に対し、最も多かった回答は「配偶者の理解や家事・育児への協力」で60・1%に上った。総務省が11年に実施した調査では、男性が家事に参加した時間が佐賀県は1日当たり34分で、全国平均42分に比べて短いという結果も出ており、県の弱みとして女性の家事負担の大きさが挙げられる。県は、今回の意識調査から見えた課題を踏まえ、16年度から5カ年の県男女共同参画計画を策定する。


<農業の収益力をUPさせる政策は?>
PS(2017/11/13、15、24、26、28、12月2日追加):*5-1については、レンゲソウもきれいでよいが、稲は刈った後に再度芽が出るので、それを伸ばして畜産農家の牛を放牧させると、①牛の飼料代を節約できる ②牛が運動して健康になる ③牛の排泄物が有機肥料になるので化学肥料を使わなくて済む ④イノシシが来ない などのメリットがあると前から思っていた。そのためには、畦や水場の設計変更が必要だが、耕畜連携でお互いが得るものは大きい。
 また、このような中山間地は、小水力発電や風力発電の適地でもあるため、そのための機器の設置に補助してもらうと費用対効果でも成り立つようになり、農業補助金を減らすことができて国の財政負担が小さくなる。なお、*5-2のように、荒尾市は産炭地だったが、石炭に代わる新たなエネルギーを生かしたまちづくりとして自然エネルギーを活用するそうで、多久市も考えてみるのがよいと思う。
 さらに、棚田は田の形がふぞろいで小さく、大型の農機具を入れられないことについては、教育系の補助をもらって市街地も含む小学生に田植えや稲刈りを手伝わせるのがよいと考える。その理由は、子どもも自分が植えた稲の成長には大きな関心を持つため、遊びながら頻繁に山に見に来る結果、植物や自然の様子を観察して必要な知識や感受性を育むことができるからだ。
 また、*5-3のように、JAが外国人技能実習生を受け入れて組合員から受託した農作業や選果作業などに従事してもらう仕組みもよいが、北国で農閑期でも他の地域はそうでない場合が多いため、他の地域の要望も受け、希望する実習生はそこでも作業や実習ができる仕組みにした方がよいだろう。さらに、農学部、工学部、理学部生物学、経済学部経営学、栄養学専攻の学生は、「百聞は一見に如かず」であるため、こういうところでアルバイトをしたり、海外の農業を見て来たりして、「自分ならこう改善する」という卒論を書けば役に立つと考える。
 一方、日欧(EU)経済連携協定が合意しつつあり、これは、*5-4のように、日本産有機農産物輸出拡大の好機でもあるため、まずEU基準をクリアしておくのが今後のために便利だろう。また、付加価値を上げるためには、農産物の形ではなく、おにぎり(健康志向のファーストフード)・梅酒・紅茶などの輸入地域で消費されやすい加工品にして販売すればよい。
 なお、*5-5のように、現在、ロヒンギャ難民が困難な生活を送っているため、イスラム色を弱くして「郷に入っては郷に従う」ことを条件に、日本の過疎地に集団で受け入れて生活させ、人手が不足している農林漁業関係の派遣等の仕事を与えることから始める方法もある。日本には、離島や山間部など比較的独立した文化を保てる場所もあるため、受け入れたい地域は手を上げるのがよいだろう。
 *5-6のように、高速道路の整備を財投で加速させる案が出ており、「1.5兆円」という支出自体を目的としているのではないかと思わせる兆円単位の支出は確かに無駄遣いの可能性が大きいが、政府が40年間の(0又はマイナスの)固定金利で国債を発行して金融市場から金を調達し、1・5兆円を融資するスキームなら、超低金利時代の今がBestである。そして、高速道路を本当に高速で走れる状態にすれば、生産性が上がって経済効果は大きいだろう。また、難民を受け入れた場合は、施設に閉じ込めて生活費を支出するばかりではなく、働いてもらった方がお互いのためによい。この時、作って欲しいのは4階建ての高速道路で、1階は街と調和した安全でゆとりのある一般道路、2階・3階は4車線づつの高速道路、4階はドローンや近々出てくるであろう飛ぶ乗り物が通る道である。


2017.11.13佐賀新聞

*5-1:http://www.saga-s.co.jp/articles/-/147590 (佐賀新聞2017.11.13)地域活性化の優良事例に選定「ひらの棚田米振興協議会」(多久市)、棚田米のブランド化や活動評価
 平野地区は標高約190メートルの山あいにあり、170枚の棚田で7・7ヘクタールを耕作。同協議会は、冷たい清らかな湧き水を生かし、春のレンゲソウを肥料に使って化学肥料を減らした「夢しずく」を栽培し、ブランド米としてインターネットなどで販売している。大阪の企業の食堂に納入するなどリピーターも多く、ふるさと納税の返礼品にも使われている。県内外のファンを増やそうと、直売所での試食販売や収穫体験も企画。10月1日に開いた稲刈りイベントには122人が参加した。棚田は美しい景観が注目される一方、田んぼの形がふぞろいで大型の農機具を入れられないため、維持管理が難しい。協議会のメンバーも全員が60歳以上と高齢化が進み、小園さん(71)は「畦(あぜ)の草刈りやため池の維持など、手間や労力は平たん部の何十倍もかかる」と話す。それでも、イノシシなどの鳥獣被害が広がらないよう、「荒廃地を作らない」と意識を共有して活動を続ける。小園さんは「棚田の農業は費用対効果を考えると成り立たないかもしれないけれど、もうかる農業に近づけるためにみんなで力を合わせたい」。今後は稲刈りだけでなく、田植えの体験も検討しているという。「ディスカバー農山漁村の宝」の優良事例は全国から31地区が選定された。今月下旬の有識者懇談会でグランプリと特別賞が選定される予定。

*5-2:http://qbiz.jp/article/122790/1/ (西日本新聞 2017年11月15日) 荒尾市 自然エネ地産地消へ 2社と電力連携協定結ぶ
 熊本県荒尾市と三井物産(東京)、特定規模電気事業者のグローバルエンジニアリング(福岡市)は14日、エネルギーの地産地消に向けた連携協定を締結した。両社は、荒尾市の協力を得て市内の電力需給などを調査した上で、事業会社を設立。地元の自然エネルギーで発電した電力を公共施設などに安価で販売していく方針。三井物産は現在、ソフトバンクグループのSBエナジー(東京)と共同で、荒尾市の大規模太陽光発電所(メガソーラー)を運営、グローバル社は県外で発電した電力を同市内の企業などに販売している。事業会社の設立に向け、九州電力に比べ電気料金の単価をどれくらい抑えられるかなどを調査。同市内で木質バイオマス発電に取り組む有明グリーンエネルギーなど、地場企業と幅広く連携していくことも検討する。市役所での調印式で、三井物産国内プロジェクト開発部の山根正司部長は20年前の三井三池炭鉱閉山に触れ「石炭に代わる新たなエネルギーを生かした荒尾のまちづくりに貢献したい」と強調。事業会社の設立時期について「地域の特性に合った電力の供給体制をしっかり検討し、できる限り早く実現したい」と述べた。

*5-3:https://www.agrinews.co.jp/p42565.html (日本農業新聞 2017年11月24日) 外国人実習生受け入れ 農協方式 活用先駆け 北海道
 JAが外国人技能実習生を受け入れ、組合員から受託した農作業やJA施設での選果作業などに従事してもらう仕組みに期待が高まっている。JAが受け入れることで、実習生が複数の農場で作業できることや、冬の農閑期も含めて通年で実習できるのがメリット。人手不足解消に向けて産地も歓迎する。北海道のJAが全国に先駆けて“農協方式”を活用し、実習生の通年確保を目指している。複数農場で通年作業 人手不足解消に貢献 農水省が昨年、実習制度の運用を改善し、農家に加えJAも受け入れ主体になれるようにした。JAが組合員と作業の請負契約を結ぶ。JAの指導に基づき実習生がその組合員の下で作業する。作業にはJAの職員が立ち会う。農家や農業生産法人が受け入れる場合、実習生はその農家でしか作業できない。農協方式の場合は、JA管内であれば複数の農家で作業できる。実習生にとっては多様な農業が学べ、地域の人手不足解消に貢献する。農閑期にも実習の場が作れるのもメリットだ。北国の耕種農業の場合、冬場は農作業がなくなる。作業がない期間が長いと実習生が帰国を余儀なくされ、実習生が毎年入れ替わる場合も多い。JA側が冬場に座学や選果作業などを用意できる。実習生は1年中作業・実習の場ができるため途中帰国が減り、長く滞在できるようになる。11月の技能実習法施行で、1人当たり最長5年間の滞在が可能になる。JAが受け入れ主体になる場合、都道府県の農業担当部署やJA中央会などが「第三者管理協議会」を設ける。協議会はJAで実習が適正に行われているかや、実習生の相談情報などを共有する。実習生と受け入れ組織を仲介する監理団体との実習計画の確認なども行う。実習生の受け入れ可能人数はJAの常勤職員数で決まる。同省によると、現在この仕組みを活用しているのは北海道のこしみず(小清水町)、びほろ(美幌町)、宗谷南(枝幸町)の3JA。こしみずとびほろは畑作地帯で、冬場は選果場での作業や座学などの実習を用意する計画だ。宗谷南は酪農専業地帯で、搾乳作業がメインだ。作業時間の半分以上は指定の「必須業務」で占めなければならない。農業では農作業が「必須業務」に当たり、農閑期の選果作業などの時間配分などを考慮して技能実習計画を作り、実行する必要がある。全国で初めてこの仕組みを活用して、3月から実習生を受け入れているJAこしみずは「年間を通した実習計画作りが課題。農閑期の座学や選果作業などの組み合わせをよく考えていく必要がある」(営農部)と指摘する。

*5-4:https://www.agrinews.co.jp/p42588.html (日本農業新聞 2017年11月26日) 有機農産物 検査証明書を電子化 日本産輸出の拡大好機 EU
 欧州連合(EU)は、有機農産物輸入に必要な検査証明書の電子化を始めた。手続きの簡素化と、効率的な情報共有を図る狙い。日本の主要な輸出先であるだけに、新システムの輸出への影響が注目される。EUは、日本を含むEU域外からの有機農産物を輸入する際に、EU基準と同等性のある有機認証を受けた有機農産物に対し、新たな認証を取得せずに、有機JASマークだけで「オーガニック」と表示して流通・販売することを認めている。しかし、輸入する度に、認証機関の検査証明書を求めている。検査証明書は、EUが認めた有機JAS認証機関が発給する。これまでは、EU規定の書式に沿って作成、提供していた。今後は、ネット上のEUのシステムにアクセスして必要事項を記入すると、関係機関で情報が共有される。ただ、印刷した上で、サインして発送する必要はある。検査証明書の電子化は、4月から試験的に実施した。半年間の試行期間を経て、10月19日から本格化した。同システムの導入について、認証関係者からは「電子サインはまだ実施せず、手書きサインによる書面提出が続く。格段の簡素化、効率化とは言えないが、輸出拡大の追い風にはなるだろう」と声が上がる。2016年の日本からEUへの有機農産物などの輸出量は、前年に比べ26%増の600トンと5年前の5・6倍に急増した。内訳では、茶が最も多く、同23%増の440トン、同5倍。梅干しなどの梅の加工品は、同40トン、13倍と目立つ。

*5-5:http://digital.asahi.com/articles/DA3S13248226.html (朝日新聞 2017年11月28日) 村に両親残し、いかだでミャンマー逃れた ロヒンギャ難民流出続く
 荷物を担いだ人たちが、うつむきながらあぜ道を歩いてきた。20日朝、バングラデシュ南東部テクナフ。国境の川を渡って逃れてきた隣国ミャンマーの少数派イスラム教徒ロヒンギャの人たちだ。8月末に多数の難民流出が始まってから3カ月がたっても毎日数百人が逃れてくる。「いかだにずっとしがみついていた。生きてたどり着いてよかった」。ジャイナフ・ベガムさん(20)はその場に座り込んだ。腰に巻いた伝統衣装ロンジーはぐっしょりぬれていた。5日前、ミャンマー西部ラカイン州の北部の村を逃げ出したという。数週間前から軍が「テロリスト捜し」を理由に住人が村から出ることを禁じ、食料が尽きかけていた。病気の両親は「私たちはついて行けない」と村に残った。妹(15)と3日間歩いて国境へ。その場にいたロヒンギャ約50人が数十個のポリタンクと竹でつくったいかだに乗り、木の枝に鍋をくくりつけた櫂(かい)で交代で水をかいて川を渡った。ベガムさんは「両親が無事か心配」と顔を手で覆った。国連世界食糧計画(WFP)によると、11月下旬になっても家族を殺されたり、村を焼かれたりして逃げてくる人もいるという。8月下旬にロヒンギャとみられる武装集団の襲撃事件をきっかけにしたミャンマー治安部隊の掃討作戦が始まって3カ月。迫害を受けて、約62万人のロヒンギャが国境を越えた。そんな中、ローマ・カトリック教会のフランシスコ法王が27日、ミャンマー最大都市ヤンゴンに到着した。法王はバングラデシュも訪れ、ロヒンギャと面会する。法王は出発前、「和解と寛容、平和のメッセージを届けに行く」と語っていた。同国南東部コックスバザール郊外の難民キャンプに暮らすバシル・アフマドさん(66)は「法王のメッセージが、少しでも生活が良くなるきっかけになってほしい」と話した。
◆キーワード
<ロヒンギャ問題> 仏教徒が9割近いミャンマーで少数派のイスラム教徒であるロヒンギャは西部ラカイン州を中心に約100万人が暮らすとされる。隣国バングラデシュ南東部の方言に似た言語を話すことや宗教から、ミャンマー政府や国民は「バングラデシュ移民」とみなし、多くは国籍を持てないなど差別されてきた。1990年代にも当局の迫害を受けて25万人以上が難民になった。

*5-6:http://digital.asahi.com/articles/DA3S13255157.html (日経新聞 2017年12月2日) 高速道整備、財投で加速 政府、「第二の予算」再び着目
 政府は、国債(借金)を発行して得た資金を貸し付ける財政投融資(財投)を使い、首都圏などの高速道路づくりを加速させる。かつて「第二の予算」と呼ばれた財投は、無駄遣いとの批判を浴びて縮小されてきた。だが、財政難で公共事業の予算が増やせない中、超低金利を利用した抜け道として再び着目された。
■1.5兆円を要求
 国土交通省は1日、財投による資金1・5兆円を高速道路の建設に使うよう、財務省に要求。麻生太郎財務相は同日の会見で、「あらゆる政策を総動員する」として、応じる意向を示した。国交省は、首都圏中央連絡自動車道(圏央道)のうち、千葉県内で未整備の松尾横芝インターチェンジ(IC)―大栄ジャンクション(JCT)間の建設などを加速させる考えで、同様に東海環状自動車道の整備も急ぐ。2005年の道路公団民営化で、高速各社が金融機関などから借りたお金で道路をつくり、完成したら借金とともに独立行政法人「日本高速道路保有・債務返済機構」に引き渡している。今回は財投の仕組みを使い、政府が国債を発行して金融市場からお金を調達し、固定金利で40年間、1・5兆円を機構に融資する。同省幹部は「金融緩和で低金利。やるなら今しかない」と話す。
■背景に財政難
 財投は、かつては郵便貯金や年金積立金など潤沢な元手があり、「第二の予算」と呼ばれていた。しかし、無駄な道路建設などにつながった反省から、01年以降、郵便貯金・年金積立金からの資金繰り入れの廃止などの改革が進んだ。00年度に36兆円を超えていた財投運用額は、15年度には約12兆円まで縮小した。ところが、安倍政権は最近、再び財投をインフラ整備にあてる方向にかじを切る。リニア中央新幹線の建設を前倒しするため、財投から独立行政法人を通じてJR東海に計約3兆円を貸し付けた。背景には、国の財政難と「異次元緩和」がある。財政再建目標に影響する通常の予算は高齢化で社会保障費が膨らみ、公共事業を大きく増やせない。その点、財投は別会計で、その貸し付けは将来返済される前提なので、財務省も応じやすい。だが、不採算の事業につぎ込んで返済が滞れば、国民負担が発生するおそれもある。


<小池百合子氏の事例>
PS(2017年11月15日追加):*6のように、希望の党の小池百合子氏が代表を辞任したことについてメディアの批判が集中しているが、都知事としてうまく機能するためには、小池氏は都政では与党・国政では少なくとも無所属として政府と連携を保ちながら都政を進めて行くことが必要である。そのため、東京都民は、都議選では小池氏を大勝させたが、希望の党の党首であり続けて小池氏が都政を疎かにすることは望んでいなかった。
 また、小池氏が希望の党を作ったのは、最初は都知事選でお世話になった若狭氏を助けるためだったが、知事選と都知事選を見て勘違いしたメディアと民進党公認候補者の合流で流れが変わった。小池氏は初めから衆議院議員選挙には出ないと言っていたが、政権選択選挙なのに首班が不明と騒いでいたのは、その選挙のみしか見ていない浅薄なメディアだったのだ。
 そして、今度は党の運営を国会議員に任せるとして代表を辞任した小池氏を無責任だと批判しているが、都知事としてうまく機能しオリンピック等を成功させる責任を果たすためにはそれが必要で、最初に安保法制や憲法変更等々で「排除の論理」を持ち出したのは、一部のメディアと若狭氏・細野氏だったように私には見えた。そして、その方針で候補者を排除すれば、安保法制や憲法変更に疑問を持っている有権者の支持がなくなるのは、当然のことなのである。

*6:http://digital.asahi.com/articles/DA3S13228062.html (朝日新聞社説 2017年11月15日) 小池代表辞任 一連の騒動は何だった
 旗揚げからわずか約50日。一連の新党騒動は何だったのか。あきれる人も多いだろう。
希望の党の小池百合子代表がきのう辞任した。新執行部の発足を機に、党運営は今後、国会議員に任せ、自身はサポート役に回るという。東京都知事である小池氏が、国政政党の代表を兼ねることには当初から懸念の声もあった。それでも国会議員主導の新党構想を「リセットして私自身が立ち上げる」と乗り出した。一時は吹くかに見えた小池旋風も、自ら持ち出した「排除の論理」で急速にしぼみ、衆院選では「排除された側」の立憲民主党に野党第1党を譲った。党の支持率は低迷が続く。本紙の今月の世論調査では3%にとどまり、立憲民主党の12%に水をあけられている。衆院選を勝ち残った議員は旧民進党出身者ばかり。自民党出身の小池氏が指導力を発揮しにくいとの事情もあろう。党勢回復の方向性を見失い、もはや代表を続ける意義を見いだせなくなったのだろうか。だが、小池氏には忘れてならない責任がある。衆院選で「安倍1強を倒す」と訴え、比例区で967万の票を得たことだ。小池氏の指導力に期待した人も多かっただろう。この票の重みをどう考えるのか。小池氏が政党代表を辞めるのは、この半年弱で2度目だ。夏の都議選前には「改革のスピードを上げる」として、地域政党「都民ファーストの会」の代表に就任。選挙で大勝すると「知事に専念する」とわずか1カ月で辞任した。2カ月半後、衆院選を前に再び「(改革の)スピード感を確保するには国政関与が必要」と希望の党代表に。そしてまた、その立場を放り出す。新党設立、代表辞任の繰り返しが政党や政治への国民の不信をさらに深めることを憂える。小池氏という看板を失った希望の党は立て直しが急務だ。党内では旧民進党と同様に、安全保障法制などをめぐる路線対立が整理されないままだ。希望の党は何をめざす党なのか。まず玉木雄一郎・新代表のもと、衆院選は小池氏主導の急ごしらえで済ませた政策論議をいちから始めるしかない。衆院選で圧勝した自民党は、野党の質問時間の削減を求めるなど、早くも慢心が見える。野党なのか、与党への協力もあり得るのか、選挙戦で小池氏はあいまいにしてきた。これから本格化する国会論戦にどんな立場で臨むのか。玉木執行部の選択が問われる。


<山尾志桜里氏の事例>
PS(2017年11月16日):*7の山尾氏と倉持氏が1泊2日で大阪出張していたとして、不倫を匂わせる報道をしているが、こういう論調は、①別々に会場を離れるなど仕事外では話もできない状態にする(男同士ならノミニケーションして、その後の仕事をやり易くするところ) ②時間差で帰京しなければならない(新幹線の中で仕事の話などをする機会を奪う)等々、活躍している女性を不利にする。
 30年くらい前に外資系監査法人で働いていた時、私が公認会計士として男性の部下と2人で岐阜県の会社に往査に行き、同じ宿(部屋は当然別)に泊まって2人で夕食をとったら、宿の中居さんは私の前におひつやとっくりを持ってきた。私が戸惑っていると、男性部下が「それは、私がやります」と言ってくれたので助かったが、女性の活躍には一般社会の方がついてきていないと感じることが多い。また、何かと引っ張ってくれていた男性上司と同じエレベーターに乗り合わせていると、後からエレベーターに乗って来た人が「どういう関係?」などと言って協力者の男性に困った思いさせ、女性の仕事をやりにくくしたという経験もある具合だ。

*7:http://bunshun.jp/articles/-/4947 (週刊文春 2017年11月23日号) 山尾志桜里衆院議員が倉持弁護士と1泊2日の大阪出張
 山尾志桜里衆院議員(43)、倉持麟太郎弁護士(34)の2人が1泊2日で大阪出張していたことが「週刊文春」の取材によって明らかになった。11月12日、2人は、彼らの後見役を自任する漫画家・小林よしのり氏が主催する言論イベント「関西ゴー宣道場」に参加。イベントでは、倉持氏が「日本で最も有名な弁護士です」と紹介され山尾氏が爆笑するなど、終始、和気藹々とした雰囲気だった。山尾氏は11月7日に倉持氏を政策顧問として起用することを発表。今回の大阪出張は、2人の動向に注目が集まっている矢先のことだった。大阪でのイベントが終了後の午後6時頃、2人は別々に会場を離れた。「週刊文春」取材班は、翌朝の新大阪駅で時間差で帰京する2人の姿を確認している。山尾氏の事務所は、大阪出張について、次のように回答した。「ゴー宣道場に参加したことは事実ですが、終了後、倉持弁護士含め道場師範の方々とは全く別行動を取っており、倉持弁護士と一緒に宿泊したという事実は一切ございません」。11月16日(木)発売の「週刊文春」では、1泊2日の大阪出張の詳細に加え、倉持氏の義母へのインタビューなど、山尾・倉持両氏の新たな関係について詳報している。また、「週刊文春デジタル」(http://ch.nicovideo.jp/shukanbunshun)では、山尾氏への直撃取材の模様などを、同日朝5時より公開する。


<染色・アパレルと女性の変化>
PS(2017.11.18追加):*8-1のダウンは10万円もするが、スタイリッシュさと北極圏の環境にも耐える保温性をもっており、これは「日本製の品質は高い」と言われる場合の“品質”には含まれていない。日本製の服は、20~30代向けの細身の服しかデザインのバラエティーがなく、試着すると不快になり、値段相応の質でもないため、私はサイズが多くてデザインのよいヨーロッパのブランドスーツの下に、一年毎に使い捨てても惜しくないような値段のユニクロのTシャツを組み合わせて着ており、その方が満足度が高いのだ。そのため、服が売れないのは確かにアパレルメーカーの責任で、女性に対する従来の先入観にとらわれず、市場が求めている人口動態や体格にあった製品構成にすべきだ。また、「日本は労働力などのコストが高い」という問題は、安い外国人労働力を使わないのなら、*8-2のような衣類に直接印刷できる装置等の生産性を上げるイノベーションを進めるしかない。そして、この技術には、昔の友禅染の振袖や色留袖を簡単にコピーして複製できる程の、職人も真っ青になるような潜在力がある。

*8-1:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20171117&ng=DGKKZO23588790W7A111C1TJ2000 (日経新聞 2017.11.17) アパレル不況は本当か 海外製10万円ダウン店繁盛 消費刺激「技術力+α」カギ
 米アップルの新型スマートフォン「iPhoneX(テン)」の発売に世界の人々が沸いた3日。東京都渋谷区神宮前の閑静な通りにも負けず劣らずの長蛇の列ができていた。ダウンジャケットが主力のブランド「カナダグース」のアジア初となる旗艦店の開業だ。午前11時の開店前に並んだのは約150人。一番乗りだった仙台市の大学生、高橋颯さん(22)はアルバイトでためたお金を手に朝6時から並んだ。店内は開店と同時にごった返し、10万円のジャケットがこの日だけで1分半に1着売れた。大手アパレルの相次ぐ大規模リストラが象徴する「アパレル不況」とは無縁の世界が広がっていた。日本での代理店はサザビーリーグ(東京・渋谷)。1995年に米スターバックスを持ち込んでスタイリッシュなカフェを定着させた実績を持つ。こうした手腕にカナダの本社側が目をつけ、2015年に販売代理店契約を結んだ。カナダグースはサザビーとの契約を機に、約680店あった百貨店やセレクトショップなどの取扱店をブランドイメージに合う400店程度に絞り込んでブランドイメージを高めた。冒頭の旗艦店も本国の意向で渋谷区神宮前の人通りの少ない静かな環境を選んだ。北極圏の環境にも耐えるほどの世界屈指の保温性を持ち、希少価値が高い。こうした機能性やストーリー性が消費者の購買意欲をくすぐる。この「カナダグース狂騒曲」に、日本の伝統的なアパレル企業はほぞをかむ。オンワードホールディングス、三陽商会など百貨店を主な販路とするアパレルは、カナダグースと同じ「中高価格帯」の商品を販売してきたが、長引くデフレで販売不振に直面している。バブルに沸いた90年、国内のアパレル市場は約15兆円だった。10年には10兆円に落ち込んでその後横ばいが続き、大手アパレルはここ数年で大規模なリストラを相次ぎ実施した。だが本当に服は売れなくなったのだろうか。消費者はより安い服を求めユニクロを運営するファーストリテイリング、衣料品専門店のしまむらの収益はいずれも過去最高だ。安い服は売れているし、高くても売れることはカナダグースが証明している。人々が百貨店で洋服を買わなくなったことへの対応が遅れただけではないだろうか。品質の高さから、業界では「ものづくりの三陽」といわれてきた。その象徴である子会社サンヨー・インダストリー(福島市)。工場では女性を中心に約130人がミシンに向かい、1着1着を丁寧に縫製する。その技は有名セレクトショップや紳士服チェーンがスーツのOEM(相手先ブランドによる生産)を依頼するほどだ。だが、三陽商会の業績は低迷が続き、高い技術力を生かせていない。ある大手アパレルの幹部は「服が売れなくなったのは我々の責任」と認め、ライフスタイルを意識した次世代の服作りに真剣に取り組む。どんな時代でも人は洋服を着る。アパレル不況と嘆く必要はない。

*8-2:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20171117&ng=DGKKZO23566720W7A111C1TJ2000 (日経新聞 2017.11.17) 写真、衣類に直接印刷 リコーが小型プリンター
 リコーは16日、衣類に直接印刷できる小型プリンターを発売すると発表した。店舗やイベント会場で、手持ちのスマートフォンに保存した写真をその場でTシャツやバッグに印刷できる。印刷から乾燥まで約10分で完了する。プリンターやインクの販売、保守サービスなどで、2019年度に100億円規模の売り上げを目指す。主に企業向けに20日に日本で発売する。今夏からアジア・中国地域で先行販売を始めていた。オフィス向けプリンターと部品を共通化したことで、プリンター本体とインクを定着させる仕上げ機を合わせて価格を30万円台に抑えた。競合他社と比べて3分の1から4分の1の水準という。インクジェット技術を応用した。150~200度にもなる専用プレス機も無くし、初めての人でも安全に使えるようにした。利用者はTシャツなどをカセットにセットして、プリンターに設置。印刷後は仕上げ機にカセットごと入れてインクを定着させるだけでいい。16日に記者会見した山下良則社長は「インクジェット技術を応用して、プロセスをがらりと変えたい」と語った。


<教育と環境>
PS(2017.11.20、30追加):*9-1のように、「3~5歳の教育無償化」と言うと、「①負担できる方には負担をお願いするべき」「②必要経費を積み上げず、はじめから金額が積み上がっている対策は初めて見た」などの意見が出るが、①については、“高額所得”に分類された(さほど多くもない)一つの所得に対する多重課税である。また、②については、*9-2のように、経済は生き物という論理性がなく説明にもならない根拠の下、「景気対策の事業規模が20兆円超(2兆円の10倍)で調整されている」として多くのメディアがいそいそと報道しているのに対し、教育に対する意識の低さがわかる。しかし、教育を徹底すれば、国から下支えしてもらわなくても稼げる人を多く作ることになるため、どちらがより重要かは異論の余地がない。
 そのため、私は、義務教育である小学校を3歳からにして教育を無償化し、十分な時間を取って教育するのがよいと思うが、国の中枢は私立中高一貫校(その殆どが男女別学)出身の男性が大多数であるため、この改革には後ろ向きで価値観もずれているようだ。そこで、地方自治体の主導で開始するのがよいと思われ、その時には、幼稚園は小学校と合併し、保育所等が0~2歳児と学童保育を引き受けるようにすれば、現在の設備で待機児童を無くすことが可能だろう。
 また、*9-1で日経新聞は、「社会保障の財源は限られており、高齢者に偏る社会保障を若年層に振り向けることは重要な視点だ」とし、*9-3では診療報酬値下げを提唱しているが、*9-4のように、環境税導入には反対だ。しかし、環境や生命・個人の生活を大切にすることは最も重要であるため、こういう政策を提唱するような人を育ててはならないのである。
 このような中、自民党税制調査会は、*9-5のように、「森林環境税」の創設で一致したそうだが、政府は森林環境税の2024年度の導入しか目指さないとのことだ。しかし、森林環境税(環境税の方がさらによい)ができれば、森林の育成や自然保護に関わる予算はそちらから支出すればよいため、これまでの一般予算を減少させることができ、消費税増税を凍結することも可能だ。つまり、政府の放漫経営と増税の連鎖は、もう変えるべきなのである。

*9-1:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20171120&ng=DGKKZO23669080Z11C17A1MM8000 (日経新聞社説 2017.11.20) 教育無償化を問う(上)議論は尽くしたか 選挙にらみ「2兆円」先行
 安倍晋三首相が打ち出した教育無償化を巡る政府・与党の議論が混迷気味だ。首相は衆院選で2兆円の政策パッケージを策定すると表明。「保育園や幼稚園の費用はタダ」「低所得世帯は大学授業料も免除」など聞こえのいい政策を並べたが、具体策や効果をめぐる議論は生煮えのままだ。限りある財源をどう活用するか――。教育無償化をめぐる現状を追う。
●不満の声相次ぐ
 「負担できる方には負担をお願いするのが今までの政策。完全無償化はいかがなものか」。8日、自民党が開いた人生100年時代戦略本部会合。出席議員は党公約に明記された3~5歳の子育て費用無償化に疑問の声をあげた。同本部は17日、補助への上限設定を政府に提言すると決めた。多くの議員の不満の背景にあるのが政策決定の在り方だ。首相は衆院選の選挙公約として教育無償化などの対策を打ち出したが、橋本岳厚労部会長は「部会長が反対だといったことが公約になった」と公然と反論する。2兆円という「規模ありき」の手法にも不満がくすぶる。首相は衆院解散に向けた記者会見で2兆円の枠組みだけを示し、具体的な使い道や適用範囲は選挙後の検討に先送りした。厚労族の重鎮・尾辻秀久元厚労相は「必要経費を積み上げず、はじめから金額が積み上がっている対策は初めて見た」と首をかしげる。その結果が政策軸の急激な転換だ。子育て費用は家庭の所得にかかわらず無償となり、恩恵は高所得者ほど大きい。厚労族のベテラン議員は「『自助』を基本に『共助』で支え合うといった従来の社会保障の理念が壊れる」と指摘する。
●公明への配慮
 なぜ教育無償化は議論の積み上げに基づく政策でないのか。さかのぼると、人づくりや少子化対策など本来の目的とは異なる源流が見えてくる。「前向きな対応をお願いします」。衆院選前の与党党首会談で、首相は公明党の山口那津男代表から私立高校無償化の要請を受けた。自民党公約に入らなかった同政策が2兆円政策に盛り込まれる背景には、公明党の選挙協力への期待が透ける。大学などの高等教育に重点を置いたことからは、教育無償化を憲法改正の項目とする日本維新の会への配慮がにじむ。さらなる底流には消費増税の影響を回避したい首相の思惑がある。消費増税を2度延期した首相は増税には慎重だ。それでも、少子化対策の名のもとに増税分の一部を回せば「8%に引き上げたときのような景気への悪影響が軽減できる」(首相)との計算が働いた。首相周辺は「教育無償化の発想は社会保障ではない。マクロ経済政策に近い」と解説する。高齢者に偏る社会保障を若年層に振り向けることは重要な視点だ。少子高齢化を克服するためには、子育てしやすい環境づくりは不可欠だ。さらに世界を見渡せば、人工知能(AI)やロボットなど劇的なイノベーションが進んでいる。その波にのり、国際競争力を高めるためにも、高度人材の育成は最優先の課題だ。だが、社会保障の財源は限られている。その使い道として幼児教育や高等教育の無償化が正しい選択なのか。効果や意義について議論が尽くされた形跡はみえない。来る2019年が首相が掲げる「人づくり革命」の元年となるのか、財政破綻の一歩を許した一年として歴史の一ページに刻まれるのか。政権の責任は重い。

*9-2:https://mainichi.jp/articles/20160721/k00/00m/020/185000c (毎日新聞 2016年7月21日) 経済対策 事業規模20兆円超で調整 景気下支え
 政府が新たにまとめる経済対策の事業規模を20兆円超で調整していることが20日、分かった。当初は10兆円超の見込みだったが、倍増させる。追加の財政支出は3兆円超(国・地方の合計)として、残りは財政投融資や民間事業を積み増してかさ上げする。事業規模を膨らませ、景気下支えに本腰を入れる姿勢を示す狙いがあるとみられる。政府は今後、与党と調整を進め、来月上旬にも経済対策を閣議決定して、裏付けとなる2016年度第2次補正予算案を秋の臨時国会に提出する方針。与党内には一層の上積みを求める声もあり、規模がさらに膨らむ可能性もある。事業規模20兆円超の内訳は、国・地方の追加の財政支出が3兆円超▽国が低利で民間事業に長期融資などを行う財政投融資が最大6兆円程度▽国の補助を受けて民間企業が行う事業が6兆円程度▽財政投融資とは別に政府系金融機関が手がける融資が5兆円程度−−となる見込み。複数年度にまたがる民間事業を含めることで見かけ上の規模を大きくする。追加の財政支出の財源は、建設国債(使途を公共事業などに限る国債)を1兆円超発行するほか、低金利に伴う国債の利払い費の減少分などで賄う方針だ。追加の財政支出はインフラ整備が主体となり、訪日客拡大に向けた地方の港湾整備や、農産物の輸出拠点設置などを行う。財政投融資はリニア中央新幹線の大阪延伸前倒しに約3兆円、整備新幹線の建設に約8000億円を充てる。英国の欧州連合(EU)離脱に伴う金融市場の混乱を防ぐため、政府系金融機関を通じた民間企業へのドル資金融資も行う。

*9-3:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20171117&ng=DGKKZO23566960W7A111C1EE8000 (日経新聞 2017.11.17) 診療報酬下げ、都道府県別に、厚労・財務省が指針 医療費を抑制
 厚生労働省と財務省は都道府県ごとに診療報酬を定めるためのルールをつくる。法律上は認められているが実施例がないことから、2017年度中に指針を示して導入を促す。政府は18年度から都道府県単位に医療の提供体制を見直し、医療費抑制を進める。この見直し時期にあわせ、地域の実情を考えて診療報酬を下げるしくみを定着させたい考えだ。診療報酬は病院や薬局などの医療機関が、公的医療保険で手掛ける医療行為や薬の対価として受け取る公定価格だ。国が2年に一度、全体の改定率と様々な医療サービスの単価を決める。両省はこれをもとに、都道府県が地域の医療実態に合わせて、国が決めた単価や算定要件を一部見直す形を想定する。06年の法改正で、医療費適正化のために都道府県が域内の報酬を変更できるようになったが、実施県はない。厚労省は指針で、地域内の診療報酬を設定できる場合の具体例をまとめる方針だ。例えばある県で重症者を受け入れる病床の数が他県に比べて過剰な場合、診療報酬の算定要件を厳しくするなどの例を想定している。財務省は診療報酬の単価を直接下げる案を求める。患者の需要に比べ過剰な病床数を持つ県ほど医療費の伸びが大きい傾向にある。同省は入院にかかる医療費が高い県は入院にかかる基本料の診療報酬の単価を引き下げたり、需要より過剰に薬局や薬剤師が多い県は調剤技術料を下げたりしたい考えだ。政府は都道府県主導の医療提供体制の整備を進めている。18年4月からは国民健康保険の主体が市町村から都道府県にうつる。都道府県は18年度から5カ年計画で「医療費適正化計画」をつくることになる。県内の医療費の水準を踏まえて保険料を設定し、住民への説明責任を負う。診療報酬を都道府県単位で下げるようになれば、需給にあった医療サービスをつくる手段が増える。関心をもつ県が出始めている。奈良県は「県民の保険料負担を抑制するためには検討が必要」とし、医療費抑制に取り組む方針だ。介護報酬の単価は既に地域によって違いがある。政府の指針がでれば、検討する動きが広がる可能性がある。ただ、地域別に診療報酬を設定するのは日本医師会が慎重な姿勢を崩さない。いまは厚労、財務両省と与党、医師会などの関係団体で利害調整し、診療報酬の改定率を決めている。「都道府県ごとに調整の場が分散すると、医師会の力がそがれるとの懸念があるのではないか」(政府関係者)との見方がある。医師会の慎重論に歩調をあわせる都道府県も多いとみられる。指針では義務化や罰則の措置を伴わないことから実効性を疑問視する向きもある。

*9-4:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20171119&ng=DGKKZO23659070Y7A111C1EA1000 (日経新聞社説 2017.11.19) 森林環境税を導入する前に
手入れがされずに放置されている人工林を集約する新たな制度を林野庁がつくる。市町村が仲介役になって意欲のある林業経営者に貸与し、経営規模を拡大する。所有者がわからない森林などは市町村が直接管理するという。森林を適切に管理することは地球温暖化対策として重要なうえ、保水力を高めて土砂災害を防ぐ効果もあるが、問題は財源だ。政府・与党は「森林環境税」の創設を打ち出した。他の予算を見直して財源を捻出するのが先だろう。日本の国土面積の3分の2は森林で、その4割はスギやヒノキなどの人工林が占める。戦後植林した木々が成長して伐採期を迎えているが、零細な所有者が多いこともあって、多くが利用されていないのが現状だ。「森林バンク」と名付けた新制度は所有者が間伐などをできない場合、市町村が管理を受託し、やる気のある事業者に再委託する仕組みだ。一度に伐採や間伐をする森林を集約できれば、作業効率が向上してコストが下がる。近くに作業道がないなど条件が悪い森林は市町村がまず手を入れたうえで再委託する。所有者が不明で放置されている森林についても一定の手続きを経たうえで利用権を設定し、市町村が扱う。現在、国産材の用途拡大が進み始めている。経営規模の拡大を通じて林業を再生する好機だ。財政力が弱い市町村が継続的に事業に取り組むためには安定財源が要ることは理解できる。しかし、森林環境税は個人住民税に上乗せして徴収する方針だ。直接的な恩恵を感じづらい都市住民の理解を得られるだろうか。全国の8割の都道府県や横浜市はすでに、似たような税金を徴収している。都道府県と市町村の役割がどうなるのかについても判然としない。人材が乏しい市町村では、都道府県が作業を代行する手もあるだろう。森林整備は必要とはいえ、新税の前に検討すべき課題が多いと言わざるを得ない。

*9-5:http://www.saga-s.co.jp/articles/-/154344 (佐賀新聞 2017年11月30日) 自民、森林環境税創設で一致、加熱たばこも増税へ
 自民党税制調査会は30日、幹部会合を開き、森林の整備費を賄う新税「森林環境税」の創設で一致した。通常の紙巻きたばこより税負担が軽い「加熱式たばこ」の増税も大筋で確認した。一方、政府、与党は資本金1億円超の大企業を対象に、2020年度から法人税や消費税などの電子申告を義務付ける方針を固めた。いずれも18年度税制改正大綱に盛り込む。森林環境税は、個人住民税に1人当たり年間千円を上乗せする案が有力だ。政府は24年度の導入を目指しているが、与党には早期導入を求める声も強く、引き続き調整する。


<女性天皇・女系天皇>
PS(2017.11.23追加):2005年11月に「女性天皇・女系天皇を認めて男女を問わず直系第1子を優先させる」という内容の最終報告書が出た時には私の主張が通っていたが、(実際には変更可能な)皇室典範第一条(http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=322AC0000000003&openerCode=1 参照)を盾にして、現在でも皇位継承資格を「男系男子」に限るという主張は強い。しかし、天皇を男子に限ったのは天皇に軍の統帥権を持たせた明治以降で、これによって文民統制が効かずに太平洋戦争に突入した経緯があって今後そうなることはなく、遺伝的には女系でも全く問題ないことがわかっているため、現在では単なる女性差別になる。

 
   <過去には女性天皇もおり、一番右は聖徳太子が摂政を務めていた推古天皇だ>

*10:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20171123&ng=DGKKZO23834130T21C17A1EA2000 (日経新聞 2017.11.23) 皇位継承順位 資格は「男系男子」
▽…皇位継承順位は皇室典範に規定されている。継承資格があるのは「男系男子」に限られ、天皇の子や孫にあたる「直系」が優先。第4条は「天皇が崩じたときは皇嗣が直ちに即位する」と定めており、天皇の退位による皇位継承は認めていない。6月に成立した特例法で天皇陛下の退位に伴う皇位継承が実現することになった。▽…現在の皇室は計19人で、陛下を除き男性は4人。皇位継承順位1位は陛下の長男の皇太子さま。2位は次男の秋篠宮さま、3位は秋篠宮家の長男の悠仁さま、4位は陛下の弟の常陸宮さまと続く。陛下が退位して皇太子さまが即位されれば、秋篠宮さま以下の順位が1つずつ上がり、継承資格を持つ皇族は3人に減る。▽…皇位継承が課題となる中、小泉内閣の有識者会議は2005年11月、女性天皇や母方が天皇の血筋を引く「女系天皇」を認めることを柱とした最終報告書をまとめた。皇位継承順位は男女を問わず天皇直系の第1子を優先する内容だったが、男系男子を重んじる保守層の反発は根強く、制度化には至っていない。


<女性役員の役割>
PS(2017年11月29日、12月1日追加):農業は古代から女性が重要な役割をしていた産業であるにしては遅すぎた感があるが、*11-1のように、農業分野で女性の活躍を促進するため、働きやすい農業環境を作るという意識が高まったのは、近年の女性の努力の成果だろう。しかし、現在は、まだ農機具や運搬具が男性向けで女性仕様ではなく、これは女性を働きにくくしている。
 そのような中、EVで出遅れたトヨタは、*11-2のように、人事を前倒ししたり、外部人材の登用で役員を交代したりしているが、その殆どがやはり男性だ。しかし、日本の自動車会社及びその関連会社の失敗は、需要の半分は女性が占めているにもかかわらず、社内で女性を重用せず、女性が好む自動車を市場投入しなかったことにある。
 女性は、ガソリン車で突っ走る快感を味わうために自動車に乗るのではなく、仕事をこなすために自動車に乗る人が多いため、安全で環境を汚さず、乗りやすくてデザイン(お尻が切れたようなワンボックスカーはスマートではない)も燃費も良い車を欲しており、そのためにはEVがBestだったのだ。つまり、現在の道具は、乗用車から農機具に至るまで男性向けの仕様であるため、女性が使いやすくて気に入る製品を出せば新たな需要が見込めるのである。
 そのため、*11-3のように、機関投資家に議決権行使を助言する米グラスルイスが、日本の主要上場企業に女性役員起用を求め、候補者を含めて女性の取締役・監査役がいない企業の総会では会長又は社長の選任議案に反対票を投じるよう投資家に推奨することにしたのはよいことだ。しかし、男性中心の組織で選ばれてくる女性は、男性との予定調和を乱さずに男性が予測可能な言動しかしない人が多く、それではこれまでと変わらないので、本質的な別の視点からの指摘をズバッとできる女性が選抜されることが望まれる。



(図の説明:1番左はトヨタの新役員、左から2番目はデンソーの女性管理職・役員比率、右から2番目はクボタの女性管理職割合の推移であり、いずれも低い。また、1番右はクボタの新入社員に占める女性比率の推移だが、技術職でとりわけ低い上に下降している)

*11-1:https://www.agrinews.co.jp/p42617.html (日本農業新聞 2017年11月29日) 女性の活躍促進 働きやすい農業環境を
 政府は女性の活躍促進を重要政策に位置付けている。農業は女性の存在なくして成り立たない。経営パートナーとして働きやすい環境づくりを都市部に劣らないよう進めていく必要がある。女性が輝けば、農業も地域も元気になれる。農水省が初めて行った「女性農業者の活躍推進に関する意識調査」によると、女性が農業経営で重要な役割を果たしていると思う割合が9割に上った。生産者だけでなく消費者を含めた調査であり、女性が農業の支え手であるという実態は広く認知されているといえる。注目したいのは、その理由である。「女性が経営方針に参加している経営体は、経営の多角化に取り組む傾向があるから」(38%)と「女性が経営方針の決定に参加している経営体は収益性が高い傾向があるから」(34%)の割合が高かった。単なる労働力の提供ではなく、農業経営の改善に女性の力が不可欠との認識が高まってきているのは好ましいことだ。女性が経営者や役員などの幹部を務める経営体は、参画していない経営体に比べて72ポイントも経常利益の増加率が高いとする日本政策金融公庫の調査結果(2016年)がある。女性はコミュニケーション力やインターネット交流サイト(SNS)を使った情報発信能力に優れ、消費者目線で農産物や加工品を作るといった発想も生まれやすい。経営のパートナーとして参画することが「もうかる農業」の鍵を握ることを示している。安倍政権は現在、「1億総活躍社会」の実現に力を入れる。命を育む農業は女性の力を発揮しやすい職業である。女性の新規就農の促進と併せて、女性農業者が働き続けられる環境づくりや、経営管理・資質向上への支援を強めるべきだ。子育て、保育の問題は大都市の女性だけの問題ではない。せっかく就農したものの、出産後の育児を担うために、しばらく農業経営の一線から退かなければならないというケースはもったいない。また、女性パートを求人する場合も託児所の有無が重要な雇用条件で、自力で用意する法人も出てきている。農業者の知恵と民間企業の技術・ノウハウを結び付けて、新商品やサービス開発を進める「農業女子プロジェクト」は、開始4年でメンバーが600人台に拡大した。最近は香港で輸出販促をするなど、販路開拓でも期待されている。こうした動きを地域で広め、起業やマーケティング、6次産業化、経営管理などを女性農業者が当たり前のように学べる場を増やしたい。行政やJAが、女性が活躍しやすい雰囲気づくりをすること、意識的に女性の声を聞く仕組み作りも重要だ。若い女性に「農村は男社会」と感じさせないよう、男性側の意識改革も引き続き求められる。女性が輝き、地域の基幹産業である農業が発展することは、地域活性化にもつながる。

*11-2:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20171129&ng=DGKKZO24015480Y7A121C1TI1000 (日経新聞 2017.11.29) トヨタ、焦燥の前倒し人事、役員交代4月→1月、外部人材登用 金融や新市場開拓
トヨタ自動車は28日、2018年1月1日付の新体制を発表した。例年より3カ月早く80人規模の役員級の人事を決定。三井住友銀行などから人材を招き、自前主義脱却を人事でも進める。背景には前例にとらわれていては車の激変期を生き抜けないという豊田章男社長の「攻めの姿勢と焦燥」(幹部)がある。異例の改造人事で、トヨタは強さを維持できるのか。
●「瀬戸際の戦い」
 「勝つか負けるかではなく、生きるか死ぬかの瀬戸際の戦いが始まっている」。28日にトヨタが公表した発表資料では過激な表現が目を引いた。これまでトヨタは1月に部長以下、4月に役員の人事を行ってきた。今回はデンソーやアイシン精機といった主要グループ企業も巻き込み、時期を前倒ししての同時実施になる。トヨタのある役員は「経営環境がどんどん変わる時代に人事は1年に1度、4月という保守的な考えは合わない」とみる。実際、トヨタは今年4月の役員人事が終わった後も6月、8月、11月と不定期で役員を異動させている。来年1月に就任した後も実績や環境の変化で交代がいつ起きてもおかしくない。交代時期の前倒しには、そうした緊張感を社内外に浸透させる狙いもある。実は8日前に今回の人事を予感させる言葉があった。愛知県豊田市の本社で20日に開かれた経営陣と労働組合幹部による約150人の「労使懇談会」。豊田社長は経営難から苦渋のリストラを余儀なくされた1950年の労働争議に言及し、「当時を超えるほどに自分たちは腹をくくって努力をしているか。大転換期は惰性でなく、厳しい行動も必要」と強調したという。今年はトランプ米大統領がツイッターでトヨタを批判し、合計で人口27億人の中国とインドが電気自動車(EV)を優遇する政策を鮮明にした。トヨタには逆風が吹き続けている。これまでの慣例にとらわれている余裕はない。
●一体感を創出
 専門性の高い分野でトヨタ出身者以外を登用するのも今回の人事の特徴だ。常務役員に就く豊田通商の今井斗志光執行役員はアフリカ事業のキーマン。トヨタのアフリカでの新車販売は16年に18万台強と世界全体からみればわずか2%で現在の優先順位は高くない。だが50年には人口が2倍の24億人に増え所得水準も向上する。既存のメンバーでは難しい有望市場の開拓を今井氏に託す。三井住友銀行の福留朗裕常務執行役員を迎え入れるのも従来のトヨタにはなかった発想だ。福留氏はトヨタファイナンシャルサービスの社長に就き、シェアリングの普及などで重要性が増す販売金融の強化を担う。主要な部品会社との間での役員異動も目立つ。例えば副社長に就くデンソーの小林耕士副会長。トヨタ出身だが03年にデンソーに移っており「年齢からも異例の復帰」(主要部品メーカー幹部)だ。アイシン精機傘下のブレーキ大手、アドヴィックス(愛知県刈谷市)の小木曽聡社長も約2年半ぶりにトヨタに戻る。一連の人事の背景には「より一体感を持たないと勝てない」(トヨタ幹部)との危機感があり、グループ再編への意志もみえる。トヨタの17年度のグループ世界販売台数は1025万台の見通し。5年連続で大台を超えるものの、売上高の成長は鈍る。そうしたなか競争力をどう磨くのか。自動運転や電動化といった次世代分野でぶつかるのは米グーグルなどの異業種だ。スピード感も従来とは違う。最大の経営課題となる社長の後継者育成も含め、新体制の責任は重い。

*11-3:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO24096520Q7A131C1MM8000/?n_cid=NMAIL006 (日経新聞 2017/11/30) 「女性役員ゼロ」 総会で反対票を 米助言大手が推奨
 機関投資家に株主総会の議決権行使を助言する米グラスルイスは2019年から、日本の主要上場企業に女性の役員起用を求める。候補者を含め女性の取締役や監査役がいない企業の総会では、会長もしくは社長の選任議案に反対票を投じるよう投資家に推奨する。同社は海外投資家の議決権行使に影響力を持ち、日本企業の女性登用の流れを後押ししそうだ。グラスルイスは年内にも新ルールを公表する。まずは時価総額が大きい100社を組み入れた株価指数である「TOPIX100」の構成企業に新ルールを適用。12月期決算企業が総会を開く19年2月以降に開催する総会から実施する。現在のTOPIX100構成企業のうち女性の取締役や監査役がいない企業は、信越化学工業や東レ、富士フイルムホールディングスなど29社にのぼる。女性の候補者を探すのに一定の時間がかかるため、グラスルイスは1年前に新ルールを公表することにした。将来は東証1部上場企業全体に広げていく考えだ。日本企業に投資する海外投資家の間では、すでに同様の動きが広がっている。米運用大手ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズは11月、投資先の日本企業で女性役員がいない場合は、指名委員会の委員長の取締役選任議案に反対する方針を発表した。多くの日本企業の役員は生え抜きの中高年男性で構成され、海外投資家からは欧米企業に比べ経営人材の多様性が欠けるとの批判が出ている。企業統治に詳しい野村証券の西山賢吾氏は「株主からも圧力がかかり、日本企業の女性登用の動きが加速する」と指摘する。


<環境と教育軽視の結果は?>
PS(2017.12.3追加):*12-1のように、佐賀市は下水を浄化しすぎず、窒素・リン・カリウムを残して有明海に排水し、海苔の色落ちを防いでいる。これは、諫早干拓事業の堤防閉め切りで川が有明海に注ぎ込まなくなり、有明海の栄養塩が減って海苔の不作が続いていた解決策として、私が佐賀県庁の職員だった知り合いに言って始まったものだ。しかし、「①下水処理能力向上で海中の栄養が減ってしまった」「②下水処理能力を下げる」「③工場などからの大量の排水は各企業が処理しており、同じ対応をするためにはコストが課題となる」などという記載はとんでもない話で、(たぶん文系の)メディア記者も高校で生物・生態系・環境に関する勉強をしっかりしておかないと、このようなとんでもない記事を書くことになるわけだ。
 正しくは、①については、下水処理で寄生虫卵や菌を殺しておくことは当然で、それには、②のように下水処理能力を下げるのではなく、必要な栄養塩を必要量放流できる馬鹿の一つ覚えではない高度な能力が必要なのだ。また、③については、工場排水は家庭排水とは異なり有害物質を含むことが多いため、各企業が下水処理コストを負担して処理し製品原価に入れるべきで、公有水面に処理していない工場排水を放流するなどとんでもない話である。
 これについて佐賀新聞は、*12-2のように、「佐賀市西与賀町の市下水浄化センターが『日本水大賞』の未来開拓賞を受賞し、その理由は、地域のニーズに応え、地域で喜ばれる下水道資源の有効利用が評価された」と報じている。そのほか、寄生虫卵や菌を殺し有害物質を含まない限り、私は、窒素・リン・カリウムを残した下水処理水を農業用水に使えば、肥料が節約できると考えている。


   2017.12.2         2017.12.2      2017.9.11  2017.3.29
                いずれも日経新聞
(図の説明:養殖海苔の生産量も落ちているが、サンマの水揚げ量も落ちている。その理由は、環境変化による資源量の減少、中国などの漁業参入と大量捕獲、我が国の漁業者数の減少などであり、まずは自国の漁業者の高齢化と新規参入減少の原因を改善すべきだろう)

*12-1:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20171202&ng=DGKKZO24195070S7A201C1MM0000 (日経新聞 2017.12.2) 水清ければノリ棲まず 35%値上げ、食卓に打撃、栄養足りず生産減
 きれいになりすぎた海がノリ養殖に影を落としている。水質改善が進んだ半面、海水の栄養が不足して育ちが悪くなり、生産量が落ち込んでいる。店頭で「のりなし」のおにぎりを増やす試みも出てきた。水清ければノリ棲(す)まず。生産地では養殖シーズンの冬場に海水の栄養を取り戻すため水質を維持しつつ下水処理能力を落とす取り組みも進んでいる。JR池袋駅にあるおにぎり屋「ほんのり屋」のショーケースに「十穀米むすび」が10月から加わった。のりを使わない新商品として投入、具材にサケや昆布など6種類をそろえた。高菜入りを購入した東京都板橋区の女性(53)は「(のりがないと)見た目は少しさみしい」とこぼした。
●規格変更相次ぐ
 運営するジェイアール東日本フードビジネス(東京)の担当者は「ノリの調達先の分散化も進めたが、1年ぐらい前から良質なノリの確保が一段と難しくなった」と嘆く。試行錯誤を重ね、のりを使わない代わりに健康志向を売りにする十穀米のシリーズを試験的に売り出したという。のり製品大手の白子(東京・江戸川)も今年度、主力商品である「卓上のり」で100枚入り500円(希望小売価格、税別)を80枚入り540円に変更。1枚当たりでは35%の値上がりだ。同社担当者は「品質を維持するには値上げや規格変更は避けられない」と理解を求める。ほかの業者も値上がりや規格変更をするなど影響は広がっている。埼玉県朝霞市の主婦(35)は自宅で男児(3)が手で食べやすいようにのり巻きをよくつくる。「必需品なので値上がりは悩ましい」と表情は渋い。漁業・養殖業生産統計によると、ノリの養殖生産量は1994年の48万3千トンから2016年は30万トンと4割近く減少。水産庁は生産者の減少に加え「海水の栄養不足で生育不良を引き起こしている」と指摘する。ノリが育つには海中に含まれるリンや窒素などの「栄養塩」が必要。しかし下水処理能力の向上で海中の栄養が減ってしまったのだ。
●下水処理を抑制
 ノリ生産1位の佐賀県。着込んでも身震いする寒さの11月下旬夜、ノリを養殖する西久保寿さん(39)に同行して初摘みのため有明海の約4キロ沖合にある養殖場に漁船で向かうと、海中から引き揚げた養殖用の網には墨のように黒々した大量のノリが現れた。「順調な出来栄え」(西久保さん)だ。県全体で不作が続いたため佐賀市は県内で先駆けて07年に生産シーズンの冬場は水質基準内で下水の処理能力を引き下げる取り組みを導入した。市下水浄化センターによると、ノリ養殖期間中は有機物を食べる微生物の活動を抑え、栄養を増やしているという。江頭聖司課長は「特に冬場は栄養塩の濃度が下がる。海の状況に応じてリンや窒素の濃度を調整する」と説明する。ノリの産地が集まる瀬戸内海も同じだ。1973年の瀬戸内海環境保全特別措置法に基づき、水質を改善してきたが、2年前の法改正で「豊かな海」を掲げ、周辺の浄化施設はノリ養殖の時期に合わせて処理能力を下げた。地元漁協は「ノリの生育状況が改善した」と喜ぶ。全国6位の生産地、愛知県も今シーズンから西尾市と豊橋市にある2つの浄化センターで下水の処理能力を引き下げる。ただ行政の浄化設備は主に家庭の生活排水が対象。工場などからの大量の排水は各企業が処理しており、同じ対応をするためにはコストが課題となる。海の環境とどう向き合うのか。身近なのりが問いかけている。

*12-2:http://cache.yahoofs.jp/search/cache?c=yqGxz7Jo5ekJ&p=%E6%9C%89%E6% (佐賀新聞 2013年7月6日) 未来開拓賞を受賞 佐賀市下水浄化センター
 佐賀市西与賀町の市下水浄化センター(馬場慶次所長)が第15回「日本水大賞」の未来開拓賞を受賞した。有明海特産のノリ養殖に配慮した放流や汚泥処理の過程で出るメタンガスを使った発電など、「地域のニーズに応え、地域で喜ばれる」をモットーにした下水道資源の有効利用が評価された。日本水大賞は、水循環の保全に寄与する団体を表彰しようと、日本水大賞委員会(事務局・日本河川協会)が創設した。下水道センター事業が同賞を受賞するのは全国で初めて。同センターは、ノリの養殖時期に処理水を有明海に流す場合は、ノリの栄養になる窒素濃度を高くする取り組みを実施している。下水処理の過程で出る汚泥を堆肥にして農家に低価で販売しているほか、汚泥の処理過程で発生するメタンガスを使う自家発電にも取り組んでいる。5日、秀島敏行市長に受賞を報告した金丸正之上下水道局長は「技術だけではなく、地域と歩む姿勢が評価された。今後も市民と一体となった取り組みを続けたい」と受賞を喜んだ。センターには全国から年間40件を超える視察が相次いでいる。

| 男女平等::2015.5~2019.2 | 01:47 PM | comments (x) | trackback (x) |
2017.6.30 日本は、まだ男女平等の国になっていないこと (2017年7月1、2、7、28日、9月9、25日追加)
   

(図の説明:一番右の図のように、女性は第一子出産前後に離職し、その後は非正規労働者になるケースが多い。また、女性正規労働者の賃金水準も男性正規労働者より低い。さらに、一番左の図のように、女性は正規労働者の割合が低い上、真ん中の図のように、女性非正規労働者の賃金も男性非正規労働者より低くなっており、自発的に非正規労働者を選んでいる人は少ない)

   

(図の説明:一番左の図のように、日本の国会議員に占める女性割合は、2014年10月時点で、世界で134位と著しく低い。そして、地方議会議員に占める女性割合は、左から2番目の図のように、ばらつきがあるものの国会議員より低い地域も少なくない。さらに、右から2番目の図のように、民間企業の部長に占める女性割合はもっと低い。これは、女性に対する偏見・差別によるところが大きいため、一番右の図のように、ポジティブアクションが認められた。なお、非正規労働者は、私が中心となって進めていた1997年男女雇用機会均等法改正に合わせて増やされ始め、そこには、男女雇用機会均等法で護られない労働者を作り、雇用形態の違いを理由に差別を合理化する狙いがある)

(1)豊田真由子衆議院議員への批判に含まれるジェンダー(社会的女性差別)について
1)女性議員を標的にした一斉報道の異常性
 NHKが、*1-1のように、週刊新潮の報道内容をそのまま伝えたのには異常性を感じた。何故なら、週刊誌は、販売部数の拡大や政治的意図により、憲法やその下位法に違反する記事をしばしば書いているからで、NHKがその記事の事実関係や法律違反を吟味せずに報道したからである。その後、他のテレビ局も、原因を不問にしたまま、豊田議員の発言や行動のみを取り上げて暴言・暴力などと批判し、私はそれに違和感を感じた。

 何故なら、*1-4のように、豊田議員の元秘書は、故意か過失か支持者に送る多数のバースデーカードの宛名を違えて発送し、豊田議員が謝罪行脚をする羽目になった途中の高速道路で出入り口を違えてアポイントメントの時間に遅れさせているからで、これにより豊田議員は「これ以上、私の評判を下げるな」と大声で怒鳴っているようだからである。そして、ここまでひどいのなら、故意でなければ使い物にならない間抜けな秘書である。一般企業に例えれば、請求書を間違った得意先に送った上、忙しい社長に得意先に謝罪に行かせ、その約束の時間を遅刻させるのと同じで、着いた時には得意先は烈火のように怒っており、得意先を失うということだ。

 さらに、この元政策秘書は、*1-2のように、「(自分で録音しているのだから)運転中でもあるので」と懇願するように言い、その後、録音した音声を週刊新潮に持ち込み、埼玉県警にも暴行被害に関する相談をしている。これは、秘書側に何らかの怨念が溜まっていたとしても、豊田議員を次回の選挙で落選させるための悪意の業務妨害だ。なお、デジタルデータの音声は、録音した後で編集することも可能であるため、豊田議員が一度に言った言葉であるとも限らない。そして、注意しなければならないのは、自民党が共謀罪を成立させたおかげで、今後は、内部の人が裏切らなくても、聞きたい人物の音声を警察が自由に盗聴して編集し、使うことができるようになったということだ。

 もちろん、相手が著しいミスをしたからといって、そのミスをただすのではなく、*1-1、*1-5に書かれているように「はげ」「死ねば?」「生きている価値ないだろ」などと、人格を否定するような暴言を浴びせるのは批判の仕方が悪すぎる。しかし、日本では、メディアも、政策や業務の不適切性を指摘して批判するのではなく、人格攻撃にすり替えることが多いため、残念ながら豊田議員が特殊なわけではない。

 なお、*1-1で述べられているように、週刊新潮は、豊田議員は「政策秘書を務めていた年上の55歳の男性が運転する車の中で、事務所でのミスを理由に後部座席から繰り返し殴るなどの暴行を加え、顔や背中などにけがをさせた」と書いているそうだが、仕事での上下関係に年齢や男女の区別はないため、この表現は年齢差別であり女性差別だ。また、車の運転中に後部座席の女性に素手で殴られて顔を怪我する人はいないため、表現が誇大である。そして、*1-5の「元秘書が暴行について埼玉県警に被害相談した」というのも、自分の二重ミスか故意の嫌がらせを棚に上げての逆切れだ。

2)「部下が次々に辞める」というのは、「部下を使えない」として女性リーダーを批判する場合の定石である ← 部下が辞めたからといって使い方が悪いとは限らない
 豊田議員の事務所関係者がNHKの取材に対し、*1-1のように、事実関係を認めた上で、「豊田議員は、ちょっとしたことで、すぐ怒鳴ったり、人格否定発言をする。普通の人が我慢できるレベルではないので、秘書が次々に辞めていく」と話しているそうだが、秘書は税金から給料を支払われて重要な仕事もする筈であるのに、複数のレターの住所・氏名を間違って送付したことを「ちょっとしたこと」と考え、怒った上司を非難するというのは責任感が欠如しており、それだからこそ、怒鳴られているのである。

 にもかかわらず、「部下が次々に辞めるのは、上司が厳しすぎるためで、上司の方が悪い」という論理がまかり通るようであれば、国会議員事務所の仕事は、いい加減で信頼できないものばかりになるだろうが、国民はそれでも秘書や国会議員に税金を払い続けたいだろうか。

3)園遊会に母親を入場させようとしたのは間違いか
 *1-3に、「豊田議員は、赤坂御苑で開かれた園遊会でも、本来招待されている配偶者ではなく、母親を入場させようとしてトラブルを起こした」と書かれている。

 しかし、私は、園遊会の招待者が配偶者に限られており、母親等の他の家族の同伴を認めないのは、夫の仕事を支えている専業主婦の労をねぎらうことを前提としており、現代には合わなくなっていると考える。何故なら、豊田議員のように、夫婦で活躍している人は、夫は独自に園遊会に出席する機会もあり、公務員である夫が妻の選挙を手伝うことはできず、母親が豊田議員の子育て・家事・選挙などを支えていると思われるからで、園遊会に母親を同伴したいと思うのは自然で親孝行でもあるからだ。

 そのため、私は、豊田議員が母親を園遊会に連れて行き、母親の入場を拒まれて抗議した気持ちはよくわかるし、園遊会の規定こそ「同伴者は、その仕事に協力した人」というふうに変えるべきだと考える。

4)政策秘書の仕事について
 毎日新聞は、*1-4のように、「政策秘書」という被害者がさせられていた仕事が、①支持者にバースデーカードを贈る宛名書きだったこと ②間違った相手への発送が分かり、議員が謝罪に行くために秘書が同行させられて運転手をしていたこと もショックだったと書いている。

 しかし、①メディアが議員の人格しか取り上げないため、国会議員が政策で勝負できず、支援者を引きつける手段としてバースデーカードを贈らなければならないこと ②秘書が間違った相手に発送して国会議員が貴重な時間を謝罪行脚に使っていること については、どう思うのだろうか。つまり、批判の仕方が片手落ちであるとともに、バースデーカードすらまともに贈れない秘書がよい仕事をできるわけがないと、私は言いたい。

 私の経験では、省庁が派遣する首相や大臣付の秘書官とは異なり、議員の政策作りを任せられるほどの政策秘書の人材は見たことがなかったし、現在もそうだろう。つまり、制度ができたからといって、労働条件の不安定な職種に難しいことを任せられるほどの人材はなかなかおらず、3人程度の公設秘書なら、電話番、運転手、選挙の準備、その他の雑用もしなければ事務所が廻らないということなのだ。

5)「あれ女性です」に含まれる“女性”に対する差別的イメージ
 麻生副総理兼財務相は、*1-6のように、自民党麻生派議員の会合で、豊田議員について「①学歴だけ見たら一点の非もつけようのないほど立派だったけど。あれ女性ですよ女性」「②(厚労省の関係者の話として)どこかで引き取ってくれないかと思ったら永田町で引き取ってもらったんですよと(言われた)」「③全国に数多くおります。(2012年衆院選で)119人もの新人が通りましたから、こりゃいろいろいるんです」と述べられたそうだ。

 しかし、①については、「女性ですよ、女性」とは、女性にどういう言動を期待しているのかを追究すべきだ。もし、年上の男性には部下でも目上のような物の言い方をし、ひどいことをされても笑顔でやさしく接し、困ったらよよと泣くことしかできない女性を期待しているであれば、それは古い型の男性の夢想にすぎないとはっきり言っておく。そして、そういう女性こそ仕事ができず、リーダーは勤まらない上、そもそも立派な学歴や職歴は得ていない。また、職場の上司は、男性が部下の父親でないのと同様に、女性も部下の母親ではないのである。

 ②については、官庁には、一見非の打ちどころのない学歴を持った人材が多く、中の人は一人でもライバルが少ない方がよいと考えているため、そういう言い方をする人も少なくはないが、それはライバルの一方的な見方にすぎないだろう。

 さらに、③については、119人もの新人が通ったからいろいろな人がいると言うのなら、多く当選すれば選挙には弱いが政策に強いなどの多様な人が当選しているため、どういう意味でレベルが低いと言っているのか不明だ。そして、未曾有(みぞう)という漢字も読めず、他にも教養が感じられない場面が多く感じられる麻生氏のレベルが高いとは言えず、これなら世襲や金持ちでなければ当選していないが、世襲や金持ちは、年金・社会保障よりも自分と関係の深い株価・贈与税に関心があり、多選されたからといって国会議員として適格性があるわけではない。

 なお、女性にどのようなイメージを持っているのかについては、多分、*1-7のように「(男性に背中を押されなければ)一歩踏み出せない女性」「挑戦しない女性」「女性だけが仕事と家庭の両立に悩まなければならないことを疑問に思わない女性」「やさしいだけで、リーダーの資質のない女性」なのだろうが、こんなことを言われたら、私だって「ふざけるな」と感じる。そして、いくら努力しても、馬鹿な男に女性蔑視を含んだ評価しかされないことが阿保らしいので、優秀な女性から辞めていくのである。

(2)女性への直接差別 → 女性・女系天皇の否定
 天皇陛下の退位を実現するための法案が、*2-2-1のように、2017年6月2日、「女性宮家」創設の検討等を盛り込んだ付帯決議を付けて衆院本会議で可決された。特例法は、皇室典範と一体との位置付けであるが、わざわざおまけのような特例法をつけずに、皇室典範自体を改正した方が、よほどスマートで手間は同じだった。

 そして、*2-2-2のように、退位特例法案は6月9日に参議院でも可決されたが、天皇は男系男子でなければならないとしたのは、今の時代に中途半端な変更だった。何故なら、遺伝子は男女平等に遺伝し、細胞質やミトコンドリアは母親から遺伝するため、女性から遺伝する形質の方が多く、男系男子でなければならないとする理由は全くないからだ。その上、伝統的には皇室の祖神である天照大神は女性で、*2-1のように、明治になってから「日本は男尊女卑の国柄で、女性天皇の夫がその上に位置してしまう」などとして男系男子と定めたもので、これは現在では合理性のない女性への直接差別だからである(「女性」というだけの理由で、機会を奪ったり、昇進を妨げたりすることを、「女性の直接差別」と言う)。

 また、国民は、女性・女系天皇に賛成する人が68%(そのうち男性は賛成72%・反対12%、女性は賛成65%・反対12%)を占めるそうだ。小泉政権下で差別なき女性・女系天皇に賛成の論拠を強く述べていたのは私だが、2005年に政府の有識者会議が女性・女系天皇を容認する報告書を提出し、当時は、女性・女系天皇に賛成する国民が85%を占めていた。

 にもかかわらず、*2-3のように、自民党右派や*2-4の保守系議員は、「男系男子が日本の伝統だ」として女性・女系天皇に反対しているのである。天皇家が男系男子を固辞して理由なき女性への直接差別を行い続ければ、国民が誇りをもって天皇を象徴と考えなくなる日が遠くないにもかかわらず、である。

(3)女性への間接差別
 北海道奥尻町で、*3-1のように、新村町長が前副町長の田中氏を再任するため、同町職員である田中氏の妻に退職を迫ったそうだが、これは、「女性だから」という理由で退職を迫ったわけではなく、「妻が退職しなければ夫を副町長として再任しない」と言って退職させたものであるため、間接差別だ。そして、この種の間接差別は実は多く、退職させられた妻に対する間接差別であると同時に、「妻が働き続ければ副町長にしない」と言われた夫に対しても間接差別しているのである。

 所得が比較的高い町職員の共働きに対して町議が批判したというのも、原因が何であれ、今の時代にあるまじきことで、「(若者に働く機会を譲るため)共働き夫婦のうち夫が昇進した際に妻が辞めなければならない」というのは、男性と変わらず、もしくはそれ以上に頑張って仕事を続けてきた女性に対し、勤労の権利(憲法27条)を侵害している。また、このようにして辞めさせるから、女性管理職や女性リーダーが少なくなるのであり、町役場は介護や保育などの生活に関係する仕事も多いことを考慮すると、この選別の仕方は政策上も問題である。

 また、総務省の調査によれば、*3-2のように、日本の研究者に占める女性割合は2016年3月末時点で15.3%と過去最高だったが、これはロシア40.3%(15年時点)・英国37.4%(14年)・米国34.3%(13年)などの半分以下であり、韓国18.9%(15年)よりも低い。

 日本で理数系の研究者を目指す女性が少ない理由は、日本女性が世界の中でも特に理数系に弱いDNAを持つのでなければ、①理数系はまだ男社会であること ②教育過程でも女性には理数系を勧めない社会の雰囲気があること ③理数系に進んでも、仕事で採用・配置・教育・退職などで女性差別されて自己実現しにくいこと ③そのため、努力とそれによって得られる能力の割に見返りが少ないと女性が判断すること などであろう。

 なお、研究者の方が一般労働者よりも拘束時間に弾力性があるため、出産・育児と研究の両立が難しいことが第一の壁ではない。

<豊田真由子衆院議員への批判に含まれるジェンダー>
*1-1:http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170622/k10011026871000.html (NHK 2017年6月22日) 自民 豊田真由子衆院議員が秘書に暴行か
 自民党の豊田真由子衆議院議員がみずからの元秘書に暴行したなどと週刊誌で報じられたことについて、豊田議員の事務所の関係者は「本人は事実関係を認め、元秘書にそれなりに謝罪はしている」などと説明しました。自民党の豊田真由子衆議院議員は、22日発売の週刊誌で、先月、みずからの政策秘書を務めていた男性に対し、殴ったり、暴言を浴びせたりしたなどと報じられました。これについて、豊田議員の事務所から対応を一任されている、事務所の元事務局長の男性が、22日昼前、東京都内で記者団の取材に応じました。男性によりますと、先月末に豊田議員、元政策秘書と3人で、今回の問題について話し合ったということで、「豊田議員本人は事実関係を認めている。元秘書からは3日間で7回暴力を受けたと聞いていて、腕にあざが残っていた」と説明しました。そのうえで、「豊田議員は元秘書にそれなりに謝罪はしていて、今後もおわびするだけだ。豊田議員とは3日ほど会っていないが、本人はしょうすいしきって困り果てている」と述べました。豊田議員は衆議院埼玉4区選出の当選2回で42歳。厚生労働省の元官僚で、これまでに文部科学政務官などを務めています。
●週刊新潮の報道内容
 22日発売の「週刊新潮」は、自民党の豊田真由子衆議院議員が、今月18日まで政策秘書を務めていた男性に対し、繰り返し殴ったり暴言を浴びせたりしたと報じています。記事は、豊田議員はことし5月下旬、政策秘書を務めていた年上の55歳の男性が運転する車の中で、事務所でのミスを理由に後部座席から繰り返し殴るなどの暴行を加え、顔や背中などにけがをさせたとしています。さらに、男性に対して「死ねば?生きている価値ないだろ」などと人格を否定するような暴言を浴びせたほか、男性の娘を通り魔事件の犠牲者に例えるような発言をしたとしています。一方、記事の中で、男性は警察に被害届を出すことを検討しているとしています。
●事務所関係者「秘書が次々に辞めていく」
 豊田議員の事務所関係者はNHKの取材に対し、事実関係を認めたうえで、「豊田議員はちょっとしたことですぐにどなったり人格否定の発言をする。普通の人が我慢できるレベルではないので、秘書が次々に辞めていく」と話しています。
●豊田議員の暴言・暴力の音声データ
 週刊新潮がツイッターで公開した音声データには、豊田議員が激しい口調で政策秘書だった男性を罵倒しながら暴力を加えていることがうかがえる生々しいやり取りが記録されています。この音声は、先月下旬、男性が運転する車の中での豊田議員とのやり取りを録音したものとされています。音声では、豊田議員が「このハゲー、ちがうだろ、ちーがーうーだろー」と絶叫しています。そして、鈍い音がしたあと、男性の「運転中でもあるので。すみません。たたくのは」という声が続き、運転中の男性に対して豊田議員が暴力を振るったことがうかがえます。これに対し、豊田議員は「お前はどれだけ私の心を叩いてる」「これ以上、私の評判を下げるな」などと大声で怒鳴り返しています。

*1-2:https://mainichi.jp/articles/20170623/k00/00m/020/089000c (毎日新聞 2017年6月22日) ネット音声公開:男性に罵声「違うだろ」 豊田議員か
●40秒のデータには、おびえたような男性の声に、女性の罵声
 豊田真由子衆院議員と当時の男性政策秘書とのやりとりとされる音声が22日、インターネット上で公開された。「このはげ」「違うだろ」。およそ40秒のデータには、おびえたような男性に、女性が罵声を浴びせ続ける様子が記録され、合間には何かをたたくような鈍い音も入っていた。「このはげー!」。週刊新潮が公開した音声は、豊田議員とみられる女性の絶叫から始まる。「すいません」。謝罪する男性に、女性が「ちーがーうーだーろー、違うだろー!」と大声で連呼する。車内でのやりとりなのか、男性は「運転中でもあるので」と懇願するように話すが、女性の叱責は止まる気配がない。

*1-3:http://www.saga-s.co.jp/news/national/10202/440122 (佐賀新聞 2017年6月22日) 豊田議員、園遊会でもトラブル、母親入場させようと
 秘書への暴力行為などを週刊誌に報じられ、自民党本部に離党届を提出した豊田真由子衆院議員(42)が2014年4月、東京・元赤坂の赤坂御苑で開かれた園遊会に出席した際、宮内庁職員らとトラブルを起こしていたことが22日、宮内庁への取材で分かった。本来招待されている配偶者ではなく、母親を入場させようとしたという。宮内庁によると、園遊会では現職の国会議員と配偶者が招待され、母親ら他の家族らの同伴は認められていない。当日、受付の職員が豊田氏に「招待者でない方は入場できない」と説明すると、豊田氏は大声を上げて抗議し、皇宮警察が出動する騒ぎになったという。

*1-4:https://mainichi.jp/articles/20170627/dde/012/070/004000c (毎日新聞 2017年6月27日) 政策秘書のお仕事=福本容子
 「堂々としたハゲはカッコイイ運動」を細々と展開してきた筆者にとって、とりわけショッキングだった。豊田真由子衆院議員が50代の男性秘書に浴びせた「このハゲーー!」。ショッキングなことは暴言、暴行以外にもある。「政策秘書」という被害者がさせられていた仕事だ。週刊新潮の記事によると、豊田議員は、多くの支持者にバースデーカードを贈っていて、その宛名書きなどを部下にさせていた。間違った相手への発送が分かり、議員が謝りに赴く。政策秘書はミスを責められ、同行させられ、運転手をしていた。政策秘書が。彼らはその名の通り、政策の面で議員を支える専門職。昔はいなかった。誕生の背景はというと--。「事務補助員」という名で始まった日本の議員秘書はもともと地位が低いうえ、給料が税金で賄われる公設秘書は議員1人当たり1~2人とさみし過ぎた。これじゃ、いつまでも官僚に政策を握られっぱなし。アメリカの上院議員なんか、1人に平均30人以上のスタッフがいて、法案作りのプロから広報、雑用係のインターンまで、仕事が細分化されている。日本はあんまりだ、となって、1993年の法改正で、政策に専念する政策秘書の設置が決まった。年齢や勤続年数にもよるけれど、年収は1000万円にもなる。議員が直接の上司だけど、給料は税金だから、あなたや私に雇われている。その国会議員の政策能力アップに欠かせない人材が、運転手やバースデーカードのお手伝いをさせられていた。さて、豊田さんのとこだけ?政治アナリストの伊藤惇夫さんに聞いてみたら、「国会議員の政策秘書の多くが、電話番や運転手、その他雑用係をさせられている。実際の仕事と本来の仕事には、大幅なズレがあります」って。ズレは採用面でも。本来は難しい試験に合格した専門家のはずが、抜け道があり、実際は政策のプロでも何でもない人がいっぱいらしい。政策重視の議員が増えるのが先か、政策通の秘書が先か。答えは、どっちも。議員の数を減らしてでも本来の政策秘書を10倍くらいにする。彼らを立派に使いこなせない人は当選させない。絶叫を非難して終わり、じゃ変わらない。

*1-5:http://www.saga-s.co.jp/news/national/10201/441635 (佐賀新聞 2017年6月28日) 豊田氏元秘書が暴行被害相談
 秘書への暴行問題で自民党に離党届を提出した豊田真由子衆院議員(42)=埼玉4区=の秘書を務めていた50代男性が27日、豊田氏から暴行を受けたとする被害について埼玉県警に相談した。捜査関係者への取材で分かった。県警は暴行や傷害事件の可能性もあるとみて慎重に捜査する。先週発売の「週刊新潮」によると、豊田氏は5月、当時政策秘書だった男性が車を運転中に後部座席から罵声を浴びせ、頭や顔を数回殴ってけがを負わせた。「はげ」「死ねば」といった暴言も吐いたという。事務所関係者は、男性が高速道路の出入り口を間違ったことなどから豊田氏が激高したと説明。5月19~21日に計7回、男性の顔などを殴ったという。豊田氏は男性に直接謝罪したとしている。

*1-6:https://mainichi.jp/articles/20170625/k00/00m/010/119000c (毎日新聞 2017年6月25日) 麻生財務相:離党届の豊田氏「あれ女性です」 派閥会合で
 麻生太郎副総理兼財務相は24日、新潟県新発田市で開かれた自民党麻生派議員の会合で講演し、秘書への暴行問題で離党届を提出した豊田真由子衆院議員について「学歴だけ見たら一点の非もつけようのないほど立派だったけど。あれ女性ですよ女性」と述べた。豊田氏が議員になる前に勤めていた厚生労働省の関係者の話として「どこかで引き取ってくれないかと思ったら永田町で引き取ってもらったんですよと(言われた)」と語った。豊田氏を含め、不祥事が続出する自民党の衆院当選2回生に関し「全国に数多くおります。(2012年衆院選で)119人もの新人が通りましたから、こりゃいろいろいるんです」と指摘した。

*1-7:http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201703/CK2017030602000206.html (東京新聞 2017年3月6日) 女性活躍テーマにシンポ 経営者ら交流 一歩踏み出せば、新しい景色見えてくる
 女性活躍をテーマにしたシンポジウム「みんなで一歩踏み出そう!」が五日、東京都内で開かれた。男女平等推進団体「LEAN IN TOKYO」(鈴木伶奈代表)の主催。学生や社会人ら約三百五十人が参加し、経営者や管理職の女性らと交流した。「LEAN IN」は「一歩踏み出す、挑戦する」との意味で、米フェイスブックのサンドバーグ最高執行責任者(COO)の著書に由来。女性が挑戦してキャリアを積むことをテーマにした本で、彼女の考えに共鳴した鈴木さんらが昨年三月に同団体を設立した。冒頭、独自動車部品大手ボッシュ日本法人副社長の森川典子さんが、商社勤務を経て米国へ留学し、国内外の企業で働いた経験を振り返り、「自分の可能性にふたをしない。ふたをしているのは他人や周りではなく、自分自身。覚悟を決めて一歩踏み出せば、新しい景色が見えてくる」と訴えた。続くパネルディスカッションでは、管理職の女性らから「女性に働きやすい会社は男性も働きやすい。人口減少の中、(男性だけという)人口の半分で勝負したいですかと言いたい」「男女にかかわらず、国籍や能力など多様な方が成長できる」などの意見が出た。会場の参加者らは「仕事と家庭の両立に向けて準備すべきことは何か」「優秀な女性から辞めていく。どうしたらいいか」などと質問していた。

<直接差別の事例:女性・女系天皇の否定>
*2-1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20170628&ng=DGKKZO18191360X20C17A6CR8000 (日経新聞 2017.6.28) 危うき皇位継承(2)「男系男子」は明治から
 近世まで皇位継承には成文化されたルールはなかった。古代から継承の危機は何度もあったが、厳格な枠がないゆえに柔軟に対応できたともいえる。明治期、近代国家の成立と共に歴史上初めて皇位継承の「枠組み」づくりが行われた。1876年(明治9年)に元老院が作成した第1次の「国憲」草案は継承の順序について「男は女に先ち」と男性を優先しながらも女性にも皇位継承を認めていた。79年の第3次草案も「もし止(や)むことを得ざるときは、女統入て嗣(つ)ぐことを得」としている。85~86年ごろに宮内省が立案した「皇室制規」は「皇族中男系絶ゆるときは、皇族中女系を以(もっ)て継承す」としていた。このころまで男系継承は絶対の原則という共通認識はなかったといえる。これに猛然と異を唱えたのが法務官僚の井上毅だった。井上は総理大臣兼宮内卿だった伊藤博文に提出した「謹具意見」で「女性に参政権がないのに最高権力を持つ天皇が女性であることは矛盾」「女性天皇の子は夫の姓を継ぐため、皇統が他に移る」などと女系容認を批判した。井上が論拠としたのが自由民権結社「嚶鳴(おうめい)社」が82年に主催した「女帝を立てるの可否」という討論だった。女性天皇の賛否はほぼ同数であったが、「日本は男尊女卑の国柄で、女性天皇の夫がその上に位置してしまう」という懸念は一致していた。歴史や伝統よりも、当時の社会状況が影響していた。89年(明治22年)2月11日、井上の意見を入れて第1条を「大日本国皇位は祖宗の皇統にして男系の男子、之(これ)を継承す」とした皇室典範が、明治憲法発布と同時に非公式に発表された。皇室制度に詳しい小田部雄次静岡福祉大教授は「皇位が男系でつながってきたのは確かだが、明治になって『男系男子』という枠を初めてつくって、天皇は男にしか務まらないようにした。当時は女性の社会的地位が低く、女性中心の社会に抵抗があった」と言う。皇室史をよく知る宮内庁関係者は「皇室の歴史はまず事実があって、それが慣習として続けられてきた面がある。古来、男系の原則があったなら、明治期に女系容認案がつくられなかったはずだ」と話す。そして「天皇家が他姓になるというのは理解しがたい。皇室はもともと姓がないのだから、婿入りしてきた人も姓がなくなる」と明治期の女帝否定論に疑義を示す。近代以降の皇室制度は皇位継承に窮屈な服を着せてきたともいえる。小田部教授は「飛車を守って王を捨ててしまう発想はおかしい。世襲が王、男系が飛車だ。男系に固執すると世襲制そのものがダメになってしまう」と警鐘を鳴らしている。
▼男系と女系 男系継承は男性のみで相続が続いていく観念。女性に相続権はなく、「継承の袋小路」とされる。男性天皇の皇女は男系女子で、その子以降は女系になる。現在の皇太子さまの長女、愛子さま、秋篠宮家の眞子さま、佳子さまは男系女子で、悠仁さまは男系男子。男系(父系)継承は古代中国の宗族制度の影響といわれる。この制度では結婚後も男女ともに父系で受け継いだ姓を名乗る。

*2-2-1:http://qbiz.jp/article/110880/1/ (西日本新聞 2017年5月31日) 退位法案、6月1日に衆院委採決 与野党、付帯決議も
 衆院議院運営委員会は31日、理事会を開き、天皇陛下の退位を実現する特例法案を審議する議運委を6月1日に開催し、法案を採決する日程を決めた。自民、公明、民進3党が30日に合意した付帯決議案も可決される見通し。特例法案は6月2日の衆院本会議で可決され、参院に送付される方向だ。6月1日の議運委では、自民党の茂木敏充政調会長、民進党の馬淵澄夫・党皇位検討委員会事務局長、公明党の北側一雄副代表らが質問に立つ予定。菅義偉官房長官が特例法案の趣旨説明を行う。特例法案は、皇位継承の在り方を定めた皇室典範と一体との位置付け。

*2-2-2:http://digital.asahi.com/articles/ASK672TFWK67UTFK004.html (朝日新聞 2017年6月7日) 退位特例法案、参院特別委で午後可決へ 9日に成立
 天皇陛下の退位を実現するための特例法案は7日午後、参院の特別委員会で審議入りした。即日可決される。特別委は、政府に「女性宮家の創設等」の検討を求める付帯決議を、衆院の委員会と同じ文言のまま可決する予定だ。法案は9日の参院本会議で可決・成立する。天皇が終身在位制となった明治以降では初めてとなる退位に向けて、政府の準備が本格化する。審議には参院の正副議長も出席。菅義偉官房長官の法案の趣旨説明後、8会派の代表者の質疑が始まった。菅長官は「法案の作成に至るプロセスやその中で整理された基本的な考え方は将来の先例になり得る」と答弁し、改めて特例法案による対応が将来の先例になる可能性に言及した。法案は2日に衆院を通過。審議した衆院議院運営委員会では「安定的な皇位継承を確保するための諸課題、女性宮家の創設等」について、政府に「法施行後速やかに」検討するよう求める付帯決議も可決された。参院自民内では、女性宮家に反対する保守系議員に修正を求める動きもあったが、「参院の正副議長も入って確認された付帯決議は非常に重い」(尾辻秀久・特別委員長)として、参院側も同じ文面になる。

*2-3:https://mainichi.jp/articles/20170525/k00/00m/010/021000c (毎日新聞 2017年5月24日) 毎日新聞調査:女性天皇賛成68%
 毎日新聞の全国世論調査で女性天皇への賛否を聞いたところ、賛成が68%で反対の12%を大きく上回った。安倍政権は女性天皇や、父方が皇族でない女系天皇に消極的だ。世論との食い違いが際立っている。男性は賛成が72%、反対が12%。女性は賛成が65%、反対が12%で、男性のほうが賛成が多い。内閣支持層でも68%が賛成した。女性・女系天皇については、小泉政権下の2005年に政府の有識者会議が容認する報告書を提出している。05年12月の毎日新聞の全国世論調査では女性天皇に賛成する意見が85%だった。秋篠宮ご夫妻に長男悠仁さまが誕生した直後に実施した06年9月の調査では72%に減少したが、女性天皇への賛成論は根強い。天皇陛下と皇后さまに対してそれぞれ、どんな感じを持っているかも尋ねた。陛下に対しては多い順に「尊い」が30%、「親しみ」が20%、「好感」が17%。皇后さまに対しては「親しみ」が27%、「好感」が22%、「尊い」が20%だった。両陛下は公務ではともに行動されることが多いが、天皇陛下に対しては尊敬が強い一方で、皇后さまに親しみを感じている。調査は4月22、23日、全国の有権者を対象に電話をかける方法で実施した。

*2-4:http://www.jiji.com/jc/article?k=2017052300453&g=soc (時事 2017/5/23) 女性宮家に反対=保守系議連
 超党派の保守系議員でつくる「日本会議国会議員懇談会」は23日、皇室制度プロジェクト(座長・衛藤晟一首相補佐官)の会合を参院議員会館で開き、天皇陛下の退位を実現する特例法案の付帯決議をめぐり議論した。民進党が求めている「女性宮家」創設の検討明記について、出席者からは「皇位安定継承の唯一の道ではない」などと反対論が相次いだ。座長代行の柴山昌彦首相補佐官は終了後、「女性宮家が議論の最初に出てくるのはおかしいとの認識を共有した」と記者団に語った。

<女性への間接差別>
*3-1:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/425385 (佐賀新聞 2017年4月28日) 共働きの妻退職し、副町長再任 北海道奥尻町
 北海道奥尻町の新村卓実町長(64)が前副町長の田中敦詞氏(58)の再任へ、町職員である田中氏の妻の退職を迫った問題で、奥尻町議会は27日、妻が退職願を出した後、改めて町が提出した田中氏の再任案に全会一致で同意した。所得が比較的高い町職員の共働きに対する一部町議の批判を町長がくみ取った形で、専門家から「退職の強要や男女差別に当たる」と批判が出ていた。妻は今月、退職願を提出し、9月末に退職する予定。3月29日で任期満了だった田中氏の再任案は、同10日の町議会では反対多数で不同意とされ、新村町長が田中氏に妻の退職を迫っていた。新村町長によると、若者に働く機会を譲るため、共働き夫婦のうち夫が昇進した際に妻が辞めるケースが町にはあるといい、田中氏に「町議から批判があるので理解してほしい」と話したという。田中氏の再任を不同意とした議会を欠席した町議は「批判する町議も悪いが、町特有の事情もあり、仕方がない」としている。

*3-2:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20170506&ng=DGKKZO16056990V00C17A5EA1000 (日経新聞 2017.5.6) 15.3% 女性研究者、日本は最低水準
 総務省の調査によると、日本の研究者のうち女性が占める割合は2016年3月末時点で15.3%だった。過去最高となったが、主要国の中では依然として最低水準だ。ロシアの40.3%(15年時点)や英国の37.4%(14年)、米国の34.3%(13年)などの半分以下で、韓国の18.9%(15年)よりも低い。文部科学省によると、託児所の増設や公教育の充実などが欧米に比べて遅れており、出産や育児と研究との両立が難しいことが壁になっている。研究者を目指す女性も少なく、博士課程に在学する女性の割合は約30%にとどまる。理系の女性が「リケジョ」と呼ばれるなど注目を集めているが、日本での女性研究者の進出はまだ途上にある。国は20年度までに、新規採用に占める女性研究者の比率を30%に高める目標を掲げている。科学界に女性を根づかせるには、採用した後も女性研究者が活躍できる環境の整備が欠かせない。


<各国のジェンダーギャップ指数>
PS(2017年7月1、2日追加): *4-1に書かれているとおり、世界経済フォーラムの2016年の「ジェンダーギャップ報告書」によれば、日本の男女格差は世界144カ国中111位で、前年と比較して10位も落ちた。分野別では、政治分野103位、経済分野118位、教育分野76位(高等教育103位)、健康分野40位で、特に女性国会議員比率は122位と極めて低い。日本政府は、2015年12月25日に第4次男女共同参画基本計画を閣議決定し、2015年8月28日には女性活躍推進法を制定したが、我が国の性別役割分担意識に基づく社会制度や慣行は、職業のみならず社会のあらゆる分野にはびこっているため、男女平等教育、国・地方自治体・民間企業における積極的差別是正措置の導入、税・社会保障制度におけるモデル世帯の見直し等の取組が必要だ。
 なお、日本より下には、サウジアラビアはじめイスラム教国が多く、イスラム教国における女性の地位は非常に低くて、*4-3のような宗教を根拠とする女性への人権侵害が散見される。そのため、*4-2のように、石油に頼らない国づくりを目指す経済・社会改革の司令塔である新皇太子には、石油化学製品・化学繊維・ファッションや農業・食品産業をサウジアラビアで進めるため、女性を含めて宗教以外の科学教育を通じた人材づくりと職業創出をしてもらいたい。そして、それらの産業の担い手には、女性を含んだ方がサウジアラビアをより大きな成長に導く上、そうすることによって女性の地位も上がる。さらに、アフリカを含むイスラム教国も、なるべく早い時期に、現代の女性の地位に関する国際標準である女子差別撤廃条約(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/josi/index.html 参照)を締結するのがよいと考える。

   

(図の説明:一番左の2016年ジェンダーギャップ指数で日本は111位となり、右から2番目の図のように、「すべての女性が輝く社会づくり」をしたのに順位は下がった。これは、他国の努力と成果が日本よりも大きいからである。また、左から2番目の図のように、日本は「経済活動参加と機会」「政治的権限付与」が特に悪い。日本と同じかそれよりも女性の地位が低いのは、一番左と一番右の図のように、パキスタン・サウジアラビア・イラン・エジプト・トルコ・クウェート・アラブ首長国連邦などのイスラム教国とアフリカだ)

*4-1:http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2016/161114.html (日本弁護士連合会会長 中本和洋 2016年11月14日) 世界経済フォーラムのジェンダーギャップ指数に対する会長談話
 世界経済フォーラム(WEF、本部・ジュネーブ)は、2016年10月26日、2016年の各国の男女平等度を指数化した「グローバル・ジェンダー・ギャップ報告書」(以下「ジェンダーギャップ報告書」という。)を発表した。同フォーラムは、毎年1月、スイスのダボスにおいて、世界各国の政財界のリーダーや学者らが参加して年次総会を開催する権威ある国際機関である。同報告書において、日本は、男女格差を示す指数において、世界144か国中111位となり、145か国中101位であった2015年に比べ、順位を10位落とした。分野別の順位は、政治分野103位、経済分野118位、教育分野76位、健康分野40位であり、特に政治分野では、女性の国会議員比率が122位と極めて低い。また、経済分野では、労働参加、賃金、所得、昇進、専門職・技術職の全ての項目で低迷し、総合順位は、2015年と比較して106位から118位へと大きく落ち込んだ。教育分野の順位が低いのは、高等教育が103位だったためである。日本政府は、平成27年12月25日に第4次男女共同参画基本計画を閣議決定し、「女性の活躍を阻害している要因」について、「固定的な性別役割分担意識、性差に関する偏見や様々な社会制度・慣行がある」と分析し、長時間労働、転勤、年功序列等の男性中心型労働慣行の見直し、女性の政治分野や科学技術分野への参画推進などに取り組むとした。そして、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(女性活躍推進法)を制定し、国、自治体、民間企業に対し、数値目標を盛り込んだ行動計画の策定、公表等を義務付けた(従業員300人以下は努力義務)。しかし、上記法律を実効的なものとするためには、前記労働慣行の見直しを具体化する措置をはじめ、同一価値労働同一賃金原則の確立、間接差別の禁止拡大、コース別雇用制度の見直し等の法的措置が必要である。また、我が国における固定的な性別役割分担意識に基づく社会制度・慣行は、職業生活のみならず、社会のあらゆる分野にはびこっており、その見直しには、男女平等教育、国、地方自治体、民間企業における積極的差別是正措置の導入、税・社会保障制度におけるモデル世帯の見直し等、幅広い取組が不可欠である。当連合会は、日本政府に対し、ジェンダーギャップ報告書の順位及び指数について誠意をもって受け止め、男女間の格差解消を引き続き優先課題とし、積極的に取り組むとともに、上記社会制度・慣行に広く目を向け、より実効性のある具体的措置及び施策をとるよう求めるものである。当連合会も、あらゆる分野の男女間の格差解消と実質的平等の実現に向けて、実効的な立法措置や諸施策の提言を引き続き行うとともに、当連合会内の男女共同参画の取組を推進していく所存である。

*4-2:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20170623&ng=DGKKZO18008810S7A620C1EA1000 (日経新聞社説 2017.6.23) 新皇太子はサウジを変えるか
 サウジアラビアの皇太子に、サルマン国王の息子であるムハンマド副皇太子が昇格した。31歳の若さながら、すでに強大な権限を持つ実力者に、王位が引き継がれる道筋が整った。サウジは中東・イスラム世界の盟主であり、世界有数の石油産出国だ。若き指導者がサウジを成長に導く改革を前進させることに期待したい。同時に周辺国との対立を避け、中東の安定実現へ責任ある役割を果たすことが重要だ。ムハンマド皇太子は2015年に王位継承順位で2位の副皇太子に就いた。80歳を超す国王の下で、外交・安全保障から経済・石油政策まで幅広く取り仕切る。サウジは石油に頼らない国づくりを目指す経済・社会改革を進める。皇太子はその司令塔だ。国丸抱えの教育や福祉からの決別など、慣行にとらわれない大胆な改革は一人に権限を集中させたからこそ踏み出せたと言える。国民や王族に痛みを強いる改革は不満を生む。早期に成果を示す必要がある。皇太子昇格で権力基盤がさらに強固になれば、改革の速度は上がるだろう。一方、皇太子が主導する外交・安全保障政策には懸念を抱かざるをえない。国防相を兼任する皇太子はイエメンへの軍事介入を決め、イランとの断交を主導した。サウジと同じアラブ湾岸産油国の一員であるカタールとの断交にも、彼の意向が強く働いているとされる。イランやカタールとの対立は中東の緊張を高めている。サウジとイランは石油輸出国機構(OPEC)の中核国だ。カタールは液化天然ガス(LNG)の世界最大の生産国である。ペルシャ湾の混乱は世界経済を不安定にする。日本にとってサウジは最大の原油調達先だ。皇太子も新婚旅行先に日本を選ぶなど、日本のファンだという。日本はイランやカタールとも緊密な関係にある。サウジの脱石油改革に積極的に協力すると同時に、地域の緊張緩和へ橋渡し役を務めることができるはずだ。

*4-3:https://www.cnn.co.jp/world/35040761.html (CNN 2013.12.2) 女性2人が抗議の車運転、警察で一時拘束 サウジ
 サウジアラビアの首都リヤドで、女性による車の運転解禁を求めてハンドルを握っていた女性と同乗者の女性が一時、当局に拘束された。本人たちの話によると、拘束されたのは車を運転していたアジザ・アルユセフさんと同乗者のエマン・アルナフジャンさん。11月29日に運転しているところを見とがめられて停車させられ、警察署で数時間にわたって拘束された後、それぞれの夫に引き渡されたという。アルナフジャンさんは、ブログやツイッターを通じて女性が運転する権利を訴えていて、女性に抗議の運転を呼びかけた10月26日のキャンペーン提唱者の1人でもある。「私たちは警察を探し、わざと警察署の前を通りかかった」と打ち明け、政府が容認するまで待つのはもううんざりだと話している。この件について、リヤドの警察は取材に応じていない。一方、アルユセフさんは、交通警察や秘密警察などが現場に召集されたことから、当初は刑務所に収監されるかもしれないとの不安に駆られたと話す。しかし警察署に着くころには物々しい雰囲気は解消されていたという。迎えに来た夫は、アルユセフさんに二度と運転させないという誓約書に署名を求められ「どうしたらそんなことができるんだ? 私には妻の運転を止められない。それができるのは神のみだ」と冗談を言いながら署名したという。その後アルユセフさんは釈放された。女性の運転する権利を認めていない国は世界の中でもサウジアラビアのみ。法律で禁止しているわけではないが、宗教令の解釈を根拠として禁止を強要している。

<「女性は仕事の経験が少ない」という先入観を利用した評価も間接差別である>
PS(2017年7月7、28日追加):*5-1のように、「①九州の豪雨で自衛隊が災害派遣されて現地で人命救助などにあたっていた最中に、稲田防衛相が勉強会に出席していた」「②仕事を知らない(TVのコメンテーター)」などと非難している人がいたが、①については、自衛隊は、一度出動を命じれば防衛大臣が防衛省に張り付いていなくても必要な仕事ができ、携帯電話も通じているため、いいがかりである。また、被災地域のうち福岡県は主に麻生副総理兼財務大臣、大分県は主に衛藤元衆議院議長の地元であり、麻生副総理が必死で対応に当たっているのが報道されていたため、問題ないと思われる。さらに、②については、女性は誰でも専業主婦しかしたことがなく、自分より仕事を知らないと思って女性を侮っている男性の的外れの見解だ。
 なお、稲田防衛相は、私が「長子相続として女系天皇を認めるべき」と主張していた時、私に「あなたは知らないから、そんなこと言っているんでしょ。私は知ってるから反対なのよ」と言われたことがあり、何を知っていると反対になるのか疑問に思ったが(称徳天皇と道鏡に関する定番の女性蔑視を含んだ古い逸話のことか?)、教育勅語を肯定したり、女系天皇に反対したりなど、信念が極右なのが問題なのである。
 また、昨日、*5-2のように、稲田防衛相がPKO日報問題で混乱があったとして引責辞任されたが、稲田氏は率先して隠蔽する人ではないため、大臣を辞任させて政権を倒すことを目的として、この問題は追究されているようだ。また、「自衛隊を統率できなかった」と言うのであれば、通行人にすぎない大臣は男女を問わず殆どがそうであり、引責辞任は何が悪いのか悪くないのかを隠蔽するので、むしろ問題だ。さらに、自衛隊の南スーダン派遣は、自衛隊法第84条の4第2項第4号及び国際平和協力法に基づき、国連南スーダン共和国ミッション (UNMISS) として2011年7月8日に行われ、派遣を決定したのは民主党政権であり、既に派遣された自衛隊の近くで戦闘があったことを公表できなかったのであるため、この派遣や派遣するための判断基準自体が正しいか否かを議論しなければ根本的解決にはならない。

*5-1:http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS06H5K_W7A700C1PP8000/ (日経新聞 2017.7.7) 防衛省、政務三役が一時不在に 自衛隊の災害派遣中
 九州北部での記録的な豪雨に政府を挙げて対応していた6日、防衛省の政務三役が一時、そろって同省を不在にした。自衛隊は災害派遣され、約1600人の自衛隊員が現地で人命救助などにあたっている最中だった。不在だったのは稲田朋美防衛相が同省を離れた午前11時50分ごろから、小林鷹之防衛政務官が戻った午後0時30分ごろまでの約40分間。稲田氏は不在について「政務として、民間の方々との防衛政策に関する勉強会に出席した」と説明した。菅義偉官房長官は記者会見で「政務三役は随時連絡を受けて速やかに戻れる態勢だった。問題はない」と話した。石破茂前地方創生相は記者団に「あってはならないことだ。防衛の仕事は5分、10分の遅れが思わぬ結果を引き起こすことがある。近くにいたから問題ないということにはならない」と批判した。

*5-2:http://digital.asahi.com/articles/DA3S13059472.html (朝日新聞 2017年7月28日) 稲田防衛相、辞任へ PKO日報問題、引責 黒江防衛次官も きょう監察結果
 南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に派遣された陸上自衛隊の部隊が作成した日報問題で、稲田朋美防衛相(58)は27日、引責辞任する意向を固め、安倍晋三首相に伝えた。陸自の岡部俊哉陸上幕僚長も辞任する意向を固めており、黒江哲郎防衛事務次官も辞任する見通しだ。稲田氏は28日、記者会見を開いて日報問題をめぐる特別防衛監察の結果を公表し、正式に辞任を表明する。首相官邸幹部によると、安倍首相は28日にも稲田氏の辞表を受理。8月3日にも行う内閣改造まで、首相が防衛相を兼務する方向で調整する。稲田氏が辞任すれば、2012年の第2次安倍内閣の発足以降、閣僚の辞任は6人目となる。稲田氏は、首相が「将来のリーダー候補」として重用し、自民党政調会長から昨年8月の内閣改造で防衛相に抜擢(ばってき)した。だが、日報問題をめぐる混乱や、都議選の応援演説で「防衛省、自衛隊、防衛大臣、自民党としてもお願いしたい」と発言するなど防衛相としての資質が再三にわたって問題となり、野党は罷免(ひめん)を要求。そのたびに首相がかばってきたことから、今回の引責辞任で首相の任命責任も厳しく問われそうだ。政府関係者によると稲田氏は27日夕、首相官邸で首相と約30分間会談した際、辞意を伝えた。防衛相として実施を指示した特別防衛監察の結果がまとまり、日報問題には一定のメドがついたと判断し、辞任を決断したとみられる。首相も、内閣改造に合わせて交代させる考えだったが、世論の批判の高まりもあり辞意を受け入れたようだ。南スーダンPKOに派遣された陸自部隊の日報には、昨年7月に現地で「戦闘」があったなどと記されていた。だが、ジャーナリストからの情報公開請求に対し、防衛省は「陸自内で廃棄済み」としていったん不開示を決定。再調査の結果、12月末になって自衛隊の運用を統括する統合幕僚監部で電子データが見つかり、今年2月上旬に該当部分を含む日報の内容を公表した。防衛省・自衛隊の「組織的な隠蔽(いんぺい)」疑惑が浮上したことから、稲田氏は3月中旬に特別防衛監察を指示。この監察に対し、陸自側が「2月中旬の幹部会議で稲田氏に、陸自内での日報データの保管について報告した」などと説明し、組織的隠蔽に稲田氏の関与が取りざたされる事態となった。稲田氏は国会答弁で「報告されなかった」と述べており、虚偽答弁に当たる可能性も指摘されてきた。

<結婚で実績の継続性を遮断するのも間接差別になる>
PS(2017年7月28日追加):特許庁が「希望する全職員に結婚後も旧姓使用を認める」としたのはよいことだが、遅すぎた感がある。そのため、法務省・外務省・財務省・金融庁・総務省・厚労省・宮内庁などの省庁や地方自治体が率先してこれを行えば、旧姓使用に対する理解を進ませ、旧姓を使用している人が不利に扱われる状況を改善することができると考える。なお、日本公認会計士協会は、私が選択的夫婦別姓を中地会長に提案し、20年くらい前から、*6-2のような旧姓使用を認めている。税理士会は最近認めたのだが、運転免許証・パスポート・金融機関・健康保険等では旧姓使用が認められていないため、煩雑さを生じさせているわけだ。

*6-1:http://www.saga-s.co.jp/news/national/10212/450104 (佐賀新聞 2017年7月28日) 特許庁、旧姓の使用を容認へ、希望する全職員、9月から
 特許庁は28日、女性の活躍を推進するため、庁内の希望する全職員に対し、結婚後も旧姓使用を認めると公表した。中央省庁での全面的な導入は初という。9月から始める。

*6-2:https://www.hp.jicpa.or.jp/app_kaigyo/kyusei_siyou.pdf;jsessionid=F1403A4CAA2D10762002C6973A7656CC  (公認会計士協会) 旧姓使用申請手続等について
 公認会計士、会計士補、外国公認会計士及び特定社員は、婚姻、離婚、養子縁組又は離縁その他事由により戸籍簿に記載された氏に変更があるとき、次の申請手続により婚姻等による変更前の氏を業務の遂行において使用することができます。
<申請書類>
旧姓使用申請書(様式第1 号)
添付書類:旧姓が記載されている戸籍(除籍)抄本又は登録原票記載事項証明書
※申請書の氏名欄は、登録名簿上の戸籍名を記載してください。
<旧姓使用に当たっての留意事項>
・旧姓とは、婚姻等による変更前の氏で、旧姓使用を申請する公認会計士等の戸籍簿に記載
 されたことのある氏で本人が選択したものをいい、直前の氏や、公認会計士等として登録
 されたことのある氏に限られていません。
・公認会計士、会計士補、外国公認会計士及び特定社員が旧姓使用を申請するに際しては、
 旧姓使用の許可を得た後には、法令等に別段の定めのある場合を除き、業務の遂行におい
 て常に旧姓を使用しなければならないため、勤務先の了承を得る必要があります。
・旧姓使用が認められても開業登録及び変更登録の申請は、登録名簿が戸籍名であること
 から戸籍名で申請することになります。
・監査報告書等の署名、事務所看板、名刺、名入り封筒等は、旧姓を使用することになります。
・旧姓が使用できるのは、旧姓使用許可通知書に記載された許可年月日からとなります。
・旧姓使用の許可を得た後に、旧姓名と戸籍名とを随時使用するなど旧姓使用に支障がある
 ときは、登録審査会の審査を経て、旧姓使用の許可を取り消す場合があります。
・本会からの事務所又は自宅に送付される郵送物等は全て旧姓名となります。特に、ご自宅を
 送付先とされている場合、郵便物等が旧姓名で届くかご確認ください。
・会員及び準会員に配付する会員名簿は、旧姓のみの表記となります。
・離婚等により戸籍上旧姓に戻った場合には、直ちに、旧姓使用を廃止する必要があります。
・会計士補又は準会員から公認会計士に資格変更した場合は、再度旧姓使用の許可を得る
 必要があります。 

<山尾議員の不倫“疑惑”>
PS(2017年9月9日追加):*7-1のように、メディアが「不倫“疑惑”」で議員の政治生命を危うくするのは男女を問わず珍しくないため、議員の方は、「李下に冠を正さず」の厳重注意が必要になる。そして、山尾衆院議員の場合は、母親としてのキャリアを使って保育園の不備や働き方改革の不備を指摘していただけに、*7-2の倉持氏の主張のように、「私の事務所や山尾議員の会館事務所、その他会食を交えながらなどの打ち合わせが常態的で、私の自宅で作業や打ち合わせを行う場合もあり、これらの作業や打ち合わせは深夜に及ぶこともあった」というのが本当なら、保育園以前に親の責任を果たしていないと思われる。もちろん、弁護士や国会議員・行政官は徹夜に近い形で仕事をすることも多いため、当事者にとっては別に変わったことはなかったのかも知れないが、子どもの立場から見ると「生んだからには、私と話す時間も確保して欲しい」という状態だろうし、本当に男女関係がなく誤解にすぎないのなら、離党せず、理由を説明してきっぱり否定するのが自分と家族のためだったと思われる。

*7-1:http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2017090902000163.html (東京新聞社説 2017年9月9日) 山尾氏離党 民進党よ、しっかりしろ
 民進党新体制の発足早々なぜこんなことになったのか。山尾志桜里衆院議員の離党。政権を担う覚悟を全党で共有しているのかと疑いたくなる。言わねばならない。「民進党よ、しっかりしろ」と。離党のきっかけは、七日発売の週刊文春で報じられた、山尾氏と既婚男性との交際疑惑である。大島敦幹事長に離党届を提出した後、山尾氏は記者団に文書を読み上げ「誤解を生じさせる行動で迷惑をかけ、深く反省しておわびする。臨時国会の論戦に今回の混乱を持ち込むことは、さらなる迷惑をかけることになると判断した」と理由を説明した。国会質問では、保育園に子どもを預けられない母親の窮状を訴えた「保育園落ちた日本死ね」という匿名ブログを取り上げて安倍晋三首相を追及。政府が待機児童問題の深刻さを認識し、対策に本腰を入れるきっかけとなった。その後、当選二回ながら政調会長に登用されるなど、民進党のみならず政界の将来を担うべき有為な人材である。その山尾氏が代表選直後に離党に追い込まれたことに、失望している人たちは多いのではないか。特に、子育て世代には「裏切られた」との思いもあるようだ。個人的な問題と政治活動は別だとの声がないわけではない。しかし、そもそも誤解を生じさせるような行動を、民進党の再生を期すべき重要な時期にしていたことは軽率の極みである。常日ごろは説明責任を果たせ、と安倍政権に迫りながら、記者からの質問を一切受け付けなかった対応にも不信感が残る。前原誠司新代表は、山尾氏の幹事長起用を一度は決めながら、男性との交際疑惑を報道前に知り、撤回した。党の要である幹事長自身が疑惑にさらされる事態は避けられたが、前原新体制の船出はかなり厳しいものになるだろう。早ければ九月下旬には臨時国会が始まり、安倍政権と本格的な対決が始まる。十月二十二日には衆院三選挙区で補欠選挙、来年十二月までには衆院選がある。再び政権交代を果たすには時間を要するだろうが、民進党がその足掛かりを築くには、失墜した党への信頼を回復することが前提だ。もはや甘えは許されない。自民党に代わる政策や理念の選択肢を示すのは国民のためだ。議員に限らず民進党にかかわるすべての人が、その決意を今後の政治行動で示すべきである。それができないのなら民進党に存在意義はない。

*7-2:http://www.sankei.com/politics/news/170908/plt1709080007-n1.html (産経新聞 2017.9.8) 交際相手とされた倉持麟太郎弁護士のコメント全文 「男女関係なかった」 ― 平成29年9月7日 倉持 麟太郎
民進党に離党届を出した山尾志桜里衆院議員との不倫疑惑報道をめぐり、交際相手とされた倉持麟太郎弁護士は7日夜、「男女関係はなかった」などとするコメントを発表した。全文は以下の通り。
   ◇
 本日発売の週刊誌報道に際し、依頼者の皆様、顧問先会社の皆様、日頃より若輩の私をご指導いただいております皆様をはじめ、多くの方々に多大なご迷惑をおかけして誠に申し訳ございませんでした。私は、本件記事に記載の山尾志桜里議員に対して、予算委員会、法務委員会等各種委員会及び憲法審査会等において、憲法問題を中心に共謀罪(改正組織犯罪処罰法)、雇用・労働問題等々で、極めて幅広い政策分野において、政策ブレーンとして具体的な政策の立案・起案作業及び質問や法案等作成作業をかなり詳細にサポートさせていただいておりました。上記政策立案及び質問作成等の打ち合わせ及び作業のため、日常的に山尾志桜里議員と頻繁なコミュニケーション及び連携をしており、当該作業や打ち合わせは山尾志桜里議員と1対1の場合も、他の外部有識者を加えた複数名のものもございました。場所は、私の事務所や山尾志桜里議員の会館事務所その他会食を交えながら等という形態が常態的であり、私の自宅で作業や打ち合わせを行う場合もありました。これらの作業や打ち合わせは、深夜に及ぶこともございました。山尾志桜里議員との間に男女関係はありませんが、結果的に誤解を生じさせるような状況があったことについて、深く反省しております。あわせて、本件で多大なる迷惑をかけた妻、子及び家族に対して心からの謝罪をしたいと思っております。最後に、私の行動で、皆様に誤解を生じさせましたこと及び様々な場面でご指導ご支援いただいてきた皆様にご迷惑をおかけし、失望させましたことを、深く反省しお詫び申し上げます。これから、失った信頼を取り戻すべく、今まで以上に全力で取り組ませていただきます。

<メルケル氏の首相再選に祝>
PS(2017年9月25日追加):*8-1のように、ドイツ連邦議会(下院)の総選挙が投開票され、メルケル首相の保守・キリスト教民主・社会同盟の得票率が33.0%を獲得し、メルケル氏の続投が確実になったが、メルケル氏は日頃から論理的・合理的で思い切った意思決定をする人なので心から祝福したい。そのメルケル氏の家族は、牧師の父親とともに旧西ドイツから旧東ドイツに移住し、メルケル氏自身はライプツィヒ大学で物理学を専攻した後、東ベルリン科学アカデミーで理論物理学博士号を取得し、1989年のベルリンの壁崩壊後に西ドイツの連邦議会選挙に保守派与党キリスト教民主同盟から出馬して初当選した実力派だ。
 そして、*8-2のように、核実験を行った北朝鮮の問題に関連しても「ドイツは積極的な役割を果たす用意がある」と述べておられ、私は、現段階では、南北朝鮮も東西ドイツと同様、メルケル氏の仲介で統一して市場経済を前提とする民主主義国家になるのがよいと考える。

*8-1:http://www.saga-s.co.jp/news/national/10201/466130 (佐賀新聞 2017年9月25日) メルケル首相が4選へ、独総選挙、反難民派、第3党に躍進
 ドイツ連邦議会(下院)総選挙が24日投開票された。選挙管理委員会の暫定最終結果では4選を狙うメルケル首相の保守、キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)の得票率は33・0%で、20・5%で2位の中道左派、社会民主党(SPD)に10ポイント以上の大差をつけた。メルケル氏の続投は確実。難民受け入れに反対する新興右派「ドイツのための選択肢(AfD)」は12・6%で第3党に躍進し、初めて国政に進出した。CDU・CSUは単独過半数には届かず、SPDが現在の大連立を解消する意向を示した。

*8-2:http://digital.asahi.com/articles/ASK9C04F4K9BUHBI01N.html (朝日新聞 2017年9月11日) 独首相「交渉参加求められたらイエスと言う」北朝鮮問題
 ドイツのメルケル首相は10日付の独紙とのインタビューで、核実験を行った北朝鮮の問題に関連し「ドイツは積極的な役割を果たす用意がある」と述べた。同国は北朝鮮と外交関係があり、2008年には金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長の父親の故金正日(キムジョンイル)氏を治療するため、医師を派遣するなどした経緯がある。メルケル氏はフランクフルター・アルゲマイネ紙のインタビューで「もし交渉への参加が求められるのであれば、すぐにでもイエスと言う」と述べた。イランの核開発をめぐる交渉に参加した経緯に触れたうえで「こうした形式は、北朝鮮問題の解決にも適用できると思う」と語った。メルケル氏は、北朝鮮が核実験を行って以降、安倍晋三首相やトランプ米大統領のほか、中国、韓国、フランスなどの首脳と相次いで電話会談し、事態の平和的な解決に向けた働きかけを強めている。

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2016.11.11 女性蔑視を利用したネガティブ・キャンペーンによって作られるガラスの天井 - ヒラリー・クリントン氏と朴槿恵氏の事例から (2016年11月12、14日に追加あり)
  

(図の説明:世界の女性リーダーは、現在では少なくない。しかし、2016年10月中旬から11月上旬にかけて、アメリカ及び韓国の女性リーダーに逆風が吹き、その内容には理不尽さがある。そして、それは、日本で女性・女系天皇の議論が抹殺された時期と一致する)

    

(図の説明:2016年の世界経済フォーラム男女平等ランキングでは、アメリカは144カ国中45位、日本は111位(2015年は101位)、韓国は116位であり、日本は特に政治・経済で低い。このようなジェンダーギャップが生じる理由は、根拠なき「男らしさ」「女らしさ」の押しつけと先入観が、女性の社会進出や社会での昇進を妨げているからである。その結果、日本女性の所得は男性の半分しかない)

(1)米大統領選について
1)選挙結果は、トランプ氏の勝利だった
 米史上初の女性大統領候補となったヒラリー・クリントン氏(以下・ヒラリー)は、大統領選に敗れた直後、*1-1のように、「勝てずに申し訳ない」「最も高く硬いガラスの天井は、いつか誰かが破る」「今回の結果を受け入れて未来に目を向けよう」「正しいことのために戦うのは価値がある」等々の普通の演説を行い、それを日本の日経新聞は「涙みせず気丈に敗北宣言した」と表現した。この“涙みせず気丈に”と書いたところは、「女はよよと泣くのが当たり前」というジェンダーに満ちた行間になっており、外国や利害関係者とタフに交渉しなければならないアメリカ大統領にはふさわしくない人材であると表現してしまっている。これが、ジェンダーによって引き起こされる昇進差別の一例だ。

 しかし、毎日新聞は、*1-2で、「女性の昇進を阻むガラスの天井を破って前国務長官となったヒラリー・クリントン」とヒラリーの実績を紹介しており、ここにはジェンダーはない。そして、「①米国では女性の大統領は必要ないと考える人がいる。ヒラリーは強い女性で、多くの男性は自分が脅かされていると感じる。彼女は率直にモノを言う。多くの男性は、それは女性の役割じゃないと考える」「②ヒラリーは公人として長く攻撃を受け続け、悪い印象が根付いてしまった」という女性指導者たちの見解を書いている。

 ①は実際に存在する女性蔑視で、既に女性指導者がいる国も多いのにアメリカの不運は、選挙期間中のネガティブ・キャンペーンを公認したため、これが悪用され、候補者が嫌われ者同士のより嫌いでない方への選択になったことである。そのため、②のように、公人として長く攻撃を受け続けて悪い印象が根付いたり、疑惑にすぎないメール問題を選挙期間中にFBIに何度も蒸し返されたりしたことによって、ヒラリーの支持率は明らかに落ちた。

2)ヒラリーの支持率に悪影響を与えたメール問題
 米連邦捜査局(FBI)は、2016年10月28日(大統領選の投開票日:2016年11月8日)に、*2-1のように、「大統領選民主党候補ヒラリー・クリントン氏の私用サーバー問題を見直す」と発表し、その理由は、別件で入手したメールが関係するかもしれないという疑惑レベルの曖昧なものだ。これに対し、ヒラリーは「訴追に相当しないとFBIが7月に下した判断に影響はない」と述べた。

 しかし、この段階で、ヒラリーに投票したいと思っていた人も、「大統領になってから、FBIと闘ってばかりいるようでは大統領として機能しない」と判断したため、FBIはヒラリーへの選挙妨害を行ったことになる。

 ただ、クリントン陣営のジョン・ポデスタ選対委員長が「FBIの発表のタイミングはとんでもない」と批判したり、陣営幹部のロビー・ムック氏が「FBIは政治的な領域に踏み込んだ」との見方を示唆したり、ヒラリー自身も「大統領選直前の動きとして前代未聞」「選挙直前のタイミングでこのように実体のない情報を公開するのはおかしい」とFBI長官を非難できたりしている点で、アメリカは日本や韓国よりはずっと民主主義や女性の社会進出について先進国で公正だと言える。

3)ヒラリーはガラスの天井を破る本物か
 外国の大統領選のことで口出ししない方がよいと思ったため、私は選挙後までコメントしなかったのだが、ヒラリーが「今回の結果を受け入れて未来に目を向けよう」と演説しただけで、何がガラスの天井になったのかを分析してなくすよう努力したり、FBIの選挙違反を曝露したりしなければ、ヒラリーは「ガラスの天井を破る」という主張を切り札にして闘っただけであり、ガラスの天井を破る本物ではない。

 どこかヒラリーに強い意思からくる魅力が感じられなかったのは、(日本のメディアの要約や翻訳が的を得ていなかったためかもしれないが)そのためではないかとも思われ、それでも当選しそうだったのは、相手がトランプ氏というラッキーな状態だったからと言えるのだ。

(2)韓国の女性大統領の困難
1)友人女性が国政に介入した疑惑?
 一方、*3-1に書かれている韓国の朴槿恵大統領の友人女性が国政に介入した疑惑というのは、全く信用できない“疑惑”だ。何故なら、韓国の検察特捜本部は、2016年10月31日に、崔順実容疑者を緊急逮捕したが、その理由が「①崔氏は朴氏に国政の助言を与える一方で大統領との特別な関係を利用して様々な不正を行った疑いがある」「②崔氏が一連の疑惑について容疑を否認している」「③不安定な精神状態で、釈放した場合予期せぬ状況(自殺?)が起きる可能性も考慮した」とのことであり、このような理由で逮捕されるのであれば、疑惑を否認している限り釈放されないことになるからだ。

 さらに報道に客観性のなさを感じたのは、*3-2のように、崔氏がソウル中央地方検察庁に出頭した際に報道陣や市民団体400人以上が集まり、11月1日の韓国朝刊各紙や日本メディアが脱げた靴の写真を「国内で買えば70万ウォン(約7万円)の高級品だ(私はさほどよいものとは思わなかったが、盗んだものでなければ民間人がどんな靴を履こうと自由)」と報じたり、韓国が購入するF35ステルス戦闘機の機種選定で崔氏が介入した疑惑があるとした報道が登場し外交・国防両省がそれぞれ事実関係を否定する事態になったり、宗教家だった崔氏の父が朴氏に接近した過去を報道したり、崔氏の娘がソウルの名門梨花女子大学に不正入学した疑いがあるなどとしているのは、次元の低い興味本位の作り話に見え、100歩譲ってそれが本当だったとしても朴槿恵大統領自身に罪があるわけではないからだ。

 また、朴氏の方から機密文書を積極的に見せていたとされる点については、これから講演する原稿を崔氏に見せて意見を言ってもらったとしても、これから講演する原稿の内容に含まれるものが機密である筈がないため、「機密」の定義に照らして検討し直すべきである。

2)韓国政界の動きと朴槿恵大統領の談話
 さらに、*3-3のように、講演原稿に意見を言ったくらいで「陰の実力者」にはなり得ないのだが、朴槿恵大統領は支援者の崔順実氏に機密文書を渡していたとして、野党3党は11月1日、「朴氏は検察当局の捜査に積極的に応じなければならない」との考えで一致したそうだ。

 しかし、*3-4のように、朴槿恵大統領は、崔氏が国政に介入したという“疑惑”と関連して「必要なら私も検察の捜査へ誠実に臨む覚悟で、特別検察官による捜査も受け入れたい」と語り、国民向けの談話で「あらゆる事態は全て私の誤りで私の不覚によって起こり、大きな責任を痛感している」「今回の崔氏関連の事件で、語り尽くせない大きな失望と心配をおかけしたことを心からお詫びする」「国家経済や国民の暮らしの役に立つだろうという望みから推進されたことでしたが、その過程で特定個人が利権を手にし、さまざまな違法行為まで犯していたということで、非常に残念でみじめな心境」等々と語ったそうだ。

 さらに、*3-5のように、涙ながらに「胸が痛む」「自分を許せない」などと謝罪したそうで、これがアジアの女性に求められる古いタイプの“素直さ”“謙虚さ”なのかもしれないが、そこまで自分に責任があると認める状況なら直ちに辞職すべきだというのが世界標準の価値感だ。

 そのため、*3-6のように、韓国でも、朴氏の支持率は30歳未満では0となり、古いタイプの“素直さ”“謙虚さ”に共鳴する高齢者の支持と合わせても全体で5%の支持率となった。しかし、韓国大統領の朴氏に必要なことは、涙ながらに「反省」や「謝罪」をして見せることではなく、韓国の検察が崔氏を緊急逮捕したことの妥当性を検証し、その裏に働いている力を明るみに出すことだ。

3)朴槿恵大統領と崔順実氏が立ち向かわなければならないジレンマ
 崔順実氏がソウル中央地方検察庁に出頭した際に集まっていた報道陣は、その殆どが男性だった。つまり、韓国のように女性の社会進出が進んでいない国では、昇進したり成功したりした女性の周囲は女性差別意識を持つ男性が殆どであるため、アメリカのように正論を言っても通じないのだ。

 そして、古いタイプの“素直さ”“謙虚さ”が求められ、期待通りに振舞わなければ魔女狩りのように根拠のない批判をされ、それを聞いた視聴者もその異常さに気づかない人が多いという具合だ。そのため、朴槿恵大統領も自らの支持者に多い高齢者向けの態度をすれば世界標準から外れ、留学経験のある人も多い若者の支持を得られないというジレンマに陥っているのだろう。

(3)日本のレベルは?
1)女性・女系天皇
 天皇陛下の生前退位については、*4-1のように、政府による有識者会議の初会合が2016年10月17日に開かれ、政府は今の天皇陛下に限って生前退位を認める特例法を整備する方針だそうだが、これは、天皇がお言葉の中ににじませられた内容とは大きく異なる。

 さらに、世論は皇室典範改正による恒久的な制度作りを求める声が多く、女性・女系天皇も認める方向なのだが、政府は特別法を出し、それが一段落してから皇室典範改正に取り組む構えだ。しかし、これは、女性・女系天皇を認めず、今のままにしていたいという古い頭の政治家の意思にほかならない。

2)男女平等度で日本は111位
 ダボス会議で知られるスイスの「世界経済フォーラム(WEF)」は、2016年10月26日、*4-2のように、「2015年版 男女格差報告」を発表し、これによれば、日本は144カ国中111位で下から数えた方が早く、先進7カ国(G7)中最下位だった。ちなみに、アメリカは45位、韓国は116位だ。

 そして、日本女性は、健康(40位)や教育(76位)では中位だが、政治(103位)と経済(118位)は著しく低く、勉強はしたものの社会進出して認められている度合いが小さく、男性との格差が大きい。

 これらのアメリカ、日本、韓国の状況は、外資系ビッグ4で働いていた時にはアメリカに近い形の洗練された女性差別を受け、国会議員など日本人の中で働くようになってからは日本・韓国に近い古典的・初歩的な女性差別を受けた私の体感と一致している。ただし、私は、その女性差別を決して受け入れることなく、一貫して闘って前進させてきたのを誇りとしている。

<米大統領選>
*1-1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20161111&ng=DGKKASGM10H7L_Q6A111C1FF1000 (日経新聞 2016.11.11) ガラスの天井 誰かが破る クリントン氏敗北宣言 涙みせず気丈に
 米大統領選に敗れたヒラリー・クリントン氏(69)は9日午前(日本時間10日未明)、ニューヨーク市内のホテルで支持者やスタッフを前に演説し「勝てずに申し訳ない」と敗北を認めた。大統領夫人、上院議員、国務長官と華麗な政治キャリアを歩み、米史上初の女性大統領をめざしたがあと一歩及ばなかった。民主党のシンボルカラーである青と共和党の赤の中間にあたる紫色の入った服を身につけ、選挙の結果判明後に初めて公の場に姿を現したクリントン氏。夫のビル・クリントン元大統領が壇上で見守るなか、涙をみせることはなく淡々と支持者に謝意を述べた。トランプ次期大統領の下での融和を訴えつつ、女性の進出を阻む「ガラスの天井」の最後の1枚を破れなかったことには悔しさをにじませた。「最も高く硬いがいつか誰かが破る」。クリントン氏はこう語り、「初の女性大統領」を後進に託すメッセージを込めて敗北宣言を締めくくった。演説の主な内容は以下の通り。
     ◇
 ありがとう。皆さん本当にありがとう。昨晩、ドナルド・トランプ氏に祝意を伝え、国のために協力したいと申し出た。彼がすべての米国民のための大統領として成功することを願っている。選挙の結果は私たちが望むものではなかった。共有する価値観と国のビジョンのための選挙に勝てなかったことを申し訳なく思っている。多様性や創造性、活力に満ちたこの素晴らしい選挙戦を一緒に戦えたことを誇りに感じている。皆さんのための候補者になれたことは、私の人生にとって大変名誉なことだった。皆さんがどれだけ失望しているかは分かっているし、私もそうだ。私たちの選挙戦は希望に満ちて寛容な心を持つ米国をつくるためのものだった。この国は私たちが思っていた以上に深く分断している。それでも私は米国を信じているし、これからも信じ続けたい。今回の結果を受け入れて未来に目を向けよう。広い心で、トランプ氏に国を率いる機会を与えなければならない。憲法に基づく民主主義は権力の平和的な移行を定めている。法の支配、平等と尊厳、信仰や表現の自由を尊重し、守る必要がある。アメリカン・ドリームは人種や宗教、男女、移民、LGBT(性的少数者)、そして障害を持つ人を問わず全ての人のためのものだ。市民としての責任はより良く、強く、公平な米国を築く取り組みに参加し続けること。皆さんは今後もそうしてくれると思う。私はこれまでの人生で信じるもののために戦ってきた。そこには成功も挫折もあった。正しいことのために戦うのは価値があるということをどうか信じ続けてほしい。(女性大統領という)最も高くて硬いガラスの天井はまだ打ち破れていないが、いつか誰かが、私たちが考えているより早く達成してくれるだろう。

*1-2:http://mainichi.jp/articles/20161110/k00/00m/030/093000c (毎日新聞 2016年11月9日) 米大統領選 「ガラスの天井」クリントン氏、破れず
 女性の昇進を阻む「ガラスの天井」を破り、女性初の大統領を目指したヒラリー・クリントン前国務長官(69)。女性の社会進出を先導し続ける人生だった。落選が確定した9日未明は支持者の前に姿を見せず、落胆の大きさがにじんだ。クリントン氏は選挙戦で「一緒なら強くなれる」と訴えた。人種や政治信条、経済状態の差を超え国民の融和と協力を主導する意向を打ち出したのだ。クリントン氏のスピーチライターだったリサ・ムスカティーンさん(62)は、「国の未来を考える」大統領になっただろうと指摘。女性やマイノリティー(人種的少数派)、貧しい人を支援し、国務長官の経験から外交にも積極的な指導者になっただろうとみる。法科大学院の教え子の弁護士ウッドソン・バセットさん(65)は、批判や攻撃にひるまない闘士のクリントン氏は「良い変化を起こせると信じていた」と語った。だが、「大統領の資質がない」と厳しく批判し続けた共和党のドナルド・トランプ候補に敗北した。なぜか。クリントン氏をよく知る人々の中には、米国に潜む女性政治指導者への反感を指摘する声もある。米大統領だった夫ビル・クリントン氏が知事を務めた南部アーカンソー州の知事公舎職員を務め、今もクリントン家と交流があるアン・マッコイさん(80)は「米国では女性の大統領は必要ないと考える人がいる。ヒラリーは強い女性で、多くの男性は自分が脅かされていると感じる。彼女は率直にモノを言う。多くの男性はそれは女性の役割じゃないと考える」と話した。世界の主な女性指導者ムスカティーンさんも「彼女は公人として長く攻撃を受け続け、悪い印象が根付いてしまった」との見方を示した。 女性指導者、世界各地に  8日の米大統領選では民主党のヒラリー・クリントン候補が敗れたが、国際社会で女性指導者は少なくない。 主要7カ国(G7)では、2005年にメルケル独首相(62)、今年7月にメイ英首相(60)が就任した。リトアニアやエストニアも女性大統領だ。東アジアでは韓国の朴槿恵(パククネ)大統領(64)、台湾の蔡英文総統(60)が初の女性トップ。ミャンマーでも民主化運動指導者アウンサンスーチー氏(71)が外相兼国家顧問を務める。西アフリカ・リベリアの女性大統領、サーリーフ氏(78)は11年にノーベル平和賞も受賞。ブラジルでは初の女性大統領ルセフ氏(68)が今年8月、汚職疑惑で失職した。  主要都市では小池百合子・東京都知事(64)やイダルゴ・パリ市長(57)、ラッジ・ローマ市長(38)が知られる。

<メール問題>
*2-1:http://www.bbc.com/japanese/37809154 (BBC 2016年10月29日) 米大統領選2016】FBI、クリントン氏メール問題見直すと クリントン氏は自信
 米連邦捜査局(FBI)は28日、大統領選の民主党候補ヒラリー・クリントン氏の私用サーバー問題を見直すと発表した。別件で入手したメールが関係するかもしれないという。これに対してクリントン氏は、訴追に相当しないとFBIが7月に下した判断に影響はないと自信を示した。11月8日投開票の大統領選まで11日。広告 クリントン氏はジェイムズ・コーミーFBI長官に、新しい捜査の内容を米国民につまびらかに説明するよう求めた。クリントン氏が米国務長官時代に公務メールを私用サーバーで扱っていた問題で、FBIはすでに機密情報を含むメールも私用サーバーを経由していたと確認。コーミー長官は7月、クリントン氏とスタッフの行動は「きわめて不注意」だったものの訴追には相当しないと発表していた。しかしコーミー長官は28日、連邦議会に対して書簡で、捜査員が発見した「別件に関する」メールが「(メール問題の)捜査に関係する様子」のため、メール問題を「見直す」と説明した。「この資料が重要かどうかまだ精査できていないし、この追加作業を終えるまでどれくらいかかるのか予測できない」と長官は書いている。消息筋によると、問題のメールは、クリントン氏の右腕とも言われる最も近い側近、フマ・アベディン氏の別居中の夫、アンソニー・ウィーナー元下院議員に対する捜査の中で発見された。FBIは、ウィーナー元議員が15歳少女に性的なメールを送っていた疑いに関連して、元議員やアベディンさんの電子端末を押収して調べていた。メールが何通あり、誰が発信あるいは受信したものかは明らかにされていない。アイオワ州デモインで記者会見したクリントン氏は、「米国の人たちはただちに、すべての事実を完全に知らされるべきです」と強調。「この問題がなんであれ、(FBIは)なんとしても、滞りなくこの問題を説明しなくてはならない」と求めた。クリントン氏はさらに、コーミー長官が議会に宛てた書簡は、「言及するメールが重要なのかどうかについても触れていない」と指摘。さらに、「(メールが)どういうものであれ、(訴追不相当という)7月の結論に変化はないと自信をもっている」と述べた。会見に先立ち、クリントン陣営のジョン・ポデスタ選対委員長は、FBIの発表のタイミングは「とんでもない」と批判した。11月8日投開票の大統領選まで、残すところあと11日。このメール問題は、告発サイト「ウィキリークス」が相次ぎ公表しているクリントン選対関係者の内部メールとは異なる模様だ。
●クリントン氏の私用メールサーバーはニューヨーク州チャパクアの自宅に設置されていた
 共和党候補ドナルド・トランプ氏は一貫して、メール問題についてクリントン氏とFBIを激しく非難し、クリントン氏は「刑務所にいるべきだ」などと発言してきた。またクリントン陣営に近いウィーナー元議員の存在は、米国の安全保障を脅かすと批判してきた。今回のFBI発表を受けて、トランプ氏はニューハンプシャー州マンチェスターでの支援者集会で、「アメリカ合衆国の安全を脅かした(クリントン氏の)犯罪的で違法な行動について、捜査が再開された」と述べ、「ヒラリー・クリントンは今まで見たことがないほど腐敗している。犯罪計画を大統領執務室にまで持ち込ませるわけにはいかない」と支援者を前に強調した。続いてアイオワ州に移動して集会に赴いたトランプ氏は、「ウォーターゲート以来最大の政治スキャンダルだ」と、ニクソン元大統領の辞任につながった1970年代のスキャンダルに言及。また「よほどひどい犯罪行為でなければ、FBIはこんな時期に捜査を再開したりしない」と述べた。クリントン氏の私用サーバー問題は2015年3月に米紙ニューヨーク・タイムズが最初に報道して明るみに出た。クリントン氏は当初、遺憾の意を示すことなく、「hdr22@clintonemail.com」の私用アドレスを国務長官の公務でも使った理由は主に「便利だったから」と説明していた。しかしその後間もなくABCニュースのインタビューで謝罪し、その後もたびたび有権者に謝っている。

*2-2:http://www.cnn.co.jp/usa/35091369.html
(CNN 2016.10.30) クリントン氏、メール問題でFBI長官を非難
 米大統領選の民主党候補ヒラリー・クリントン氏の私用メール問題で、連邦捜査局(FBI)のコミー長官が新たなメールを調査していると議会指導部に通知したことに対し、クリントン氏は29日、大統領選直前の動きとして「前代未聞」だと述べて長官を非難した。クリントン氏は遊説先のフロリダ州デイトナビーチで支持者らを前に、「選挙直前のタイミングでこのように実体のない情報を公開するのはおかしい」と主張。さらに「前代未聞の、深く憂慮すべき事態。有権者には事実の全容を知らせるべきだ」と力説した。同氏はそのうえで「コミー長官はただちに全てを説明し、情報を全て提示する必要がある」と呼び掛けた。クリントン氏は共和党候補のドナルド・トランプ氏にも矛先を向け、この問題をめぐって同氏が「全力で米国民を混乱させようとしている」「すでに話をでっち上げ始めた」と不快感を示した。コミー長官は28日、私用メール問題との関連が疑われる新たなメールが別件の捜査で浮上し、FBIが同問題の捜査を再開したことを明らかにした。フロリダでの演説に先立ち、クリントン陣営を率いるジョン・ポデスタ氏は、コミー長官が選挙前のタイミングを計り、特定の内容だけを選んで公表したと非難。陣営幹部のロビー・ムック氏も、FBIは政治的な領域に踏み込んだとの見方を示唆した。両氏とも、浮上したメールには新たな情報が含まれていない可能性もあると指摘し、選挙戦への悪影響を打ち消している。クリントン氏の陣営は今年7月、私用メール問題で同氏の訴追を求めない方針を示したコミー長官の「プロ意識」を称賛していた。FBI長官の任期は10年で、コミー長官が就任したのは2013年。クリントン氏が大統領に当選した場合も、解任されない限り長官職にとどまることになる。

<韓国の女性大統領>
*3-1:http://www.yomiuri.co.jp/world/20161031-OYT1T50115.html
(読売新聞 2016年11月1日) 朴大統領の友人・崔容疑者を逮捕…国政介入疑惑
 韓国の朴槿恵(パククネ)大統領(64)の友人女性が国政に介入した疑惑をめぐり、検察の特別捜査本部は10月31日、当事者の会社経営者崔順実(チェスンシル)容疑者(60)を緊急逮捕した。崔氏は朴氏に国政の助言を与える一方で、大統領との特別な関係を利用して様々な不正を行った疑いがある。韓国国内では私人の国政介入を許した大統領への批判が噴出しており、朴政権は機能不全に陥っている。聯合ニュースによると、検察は、緊急逮捕した理由について、崔氏が一連の疑惑について容疑を否認しているほか、不安定な精神状態にあり、釈放した場合、「予期せぬ状況」が起きる可能性も考慮したという。

*3-2:http://digital.asahi.com/articles/ASJC152YYJC1UHBI02L.html (朝日新聞 2016年11月1日) 韓国、チェ氏事件で報道過熱 脱げた靴や外交、北朝鮮…
 韓国で、朴槿恵(パククネ)大統領から機密文書を受け取っていたとされる朴氏の支援者チェ・スンシル氏を巡り、国内の報道が過熱する一方だ。脱げたチェ氏の靴に焦点を当てたと思えば、日韓関係への影響にまで報道が及ぶ。韓国政府が一部の報道は事実でないと否定したり、北朝鮮が朴政権たたきに利用したりしている。10月31日午後3時、チェ氏がソウル中央地方検察庁に出頭した際は、報道陣や市民団体ら400人以上が集まった。もみくちゃにされたチェ氏は、左足の靴が脱げたまま庁舎に入った。翌1日付の朝刊各紙は、脱げた靴の写真を「国内で買えば70万ウォン(約7万円)の高級品だ」と報じた。韓国メディア幹部は「どの社も各部から人を集めた特別チームで、大量の記事を作っている」と語る。10月31日付の一部朝刊紙は、事件の余波で韓国は12月に日本で開かれる見通しの日中韓首脳会議への出席の返事を出せずにいると報じた。11月1日付には、韓国が購入するF35ステルス戦闘機の機種選定で、チェ氏が介入した疑惑があるとした報道も登場。外交、国防両省がそれぞれ事実関係を否定する事態になった。北朝鮮の朝鮮中央通信は1日、「各国メディアが朴槿恵最大危機を報道」と伝えた。韓国政府関係者は「内政干渉だ」として、不快感を隠さない。韓国では、宗教家だったチェ氏の父(故人)が朴氏に接近した過去や、チェ氏の娘がソウルの名門・梨花女子大に不正入学した疑いがあることが大きな関心を呼んでいる。一方で、朴氏の方から機密文書を積極的に見せていた場合、チェ氏は大統領記録物管理法違反には問われないという指摘も出ている。韓国政府の元関係者は「本当に責められるべきは、国民との意思疎通を欠いた朴大統領。チェ氏は鏡に映った朴氏のもう一つの姿に過ぎない」と語った。

*3-3:http://digital.asahi.com/articles/ASJC14RGFJC1UHBI024.html (朝日新聞 2016年11月1日) 「朴大統領は捜査に応じよ」 チェ氏事件で野党3党
 韓国の朴槿恵(パククネ)大統領が支援者のチェ・スンシル氏に機密文書を渡していた問題をめぐり、野党3党は1日、朴氏は検察当局の捜査に積極的に応じなければならないとの考えで一致した。野党は朴氏への攻勢を強めるが、憲法では大統領は在職中、刑事訴追は受けないと定められており、捜査に応じるかは不透明だ。野党の「共に民主党」、国民の党、正義党の院内代表が協議し、合意した。野党が国会で疑惑の解明を進めることも盛り込まれた。10月25日の緊急記者会見で、チェ氏に文書を提供し、意見を聞いていたことを認めた朴氏だが、その後は沈黙を続けている。詳しい説明をする予定もない。憲法の規定上、大統領が在職中に捜査を受けるかは解釈が分かれている。金賢雄(キムヒョヌン)法相は10月27日の国会審議で「捜査対象にならないというのが多数説」との見解を示した。検察当局も大統領への捜査は否定的とされる。一方、ソウル地方弁護士会は10月27日、真相究明を求める声明で「(憲法の規定で)捜査が難しいという話は成立しない」と主張した。韓国紙「朝鮮日報」は1日付の社説で、今は法の解釈が問題ではないとして、「大統領が国民の前に出て来なければならない」と自ら説明するよう求めた。朴氏に対する世論は、厳しさを増している。韓国紙「文化日報」の1日付夕刊は、10月29~30日に実施した世論調査で、望ましい事態の収拾策として朴氏の「辞任」が36・1%で最も多く、「弾劾(だんがい)」の12・1%と合わせると、退陣を求める意見は48・2%にのぼったと報じた。与野党の合意による「挙国一致内閣」は26・1%だった。検察当局は、10月31日深夜に緊急逮捕したチェ氏に対する逮捕状を2日に請求する予定だ。韓国の刑事訴訟法では、逮捕状は緊急逮捕から48時間以内に裁判所に請求する必要がある。チェ氏は疑惑を否認しているという。また2日午後には安鍾範(アンジョンボム)・前大統領府政策調整首席秘書官を事情聴取する。安氏は、チェ氏が私物化したとされる財団の資金集めに関わったとの疑いがもたれている。

*3-4:http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/11/04/2016110401105.html (朝鮮日報 2016/11/4) 国政介入:「残念、みじめ」 朴大統領が検察捜査を受け入れ
 韓国の朴槿恵(パク・クンヘ)大統領が4日、「陰の実力者」といわれる崔順実(チェ・スンシル)氏が国政に介入したという疑惑と関連して「必要なら私もまた検察の捜査へ誠実に臨む覚悟で、特別検察官による捜査も受け入れたい」と語った。朴大統領は4日午前10時30分、国民向け談話を通してこのように語った。朴大統領は談話で「あらゆる事態は全て私の誤りで、私の不覚によって起こったこと。大きな責任を深く痛感している」と語った。続いて朴大統領は「今回の崔順実氏関連の事件で、到底語り尽くせない大きな失望と心配をおかけしたことを、あらためて心からお詫びします」「何より、私を信じて国政を任せて下さった国民の皆さんに、取返しのつかない心の傷を負わせてしまい、非常に胸が痛い」と語った。また「私と共に献身的に走ってくださった政府の公職者や、現場の多くの方々、そして善意の支援をしてくださった企業の皆さんにも深い失望を与え、申し訳なく思っています」「国家経済や国民の暮らしの役に立つだろうという望みから推進されたことでしたが、その過程で特定個人が利権を手にし、さまざまな違法行為まで犯していたということで、非常に残念でみじめな心境」と語った。

*3-5:http://toyokeizai.net/articles/-/143568 (ロイター 2016年11月4日) 「自分が許せない」韓国の朴大統領、親友の国政介入疑惑を謝罪
 韓国の朴槿恵大統領は4日、テレビを通じて国民向け談話を発表し、親友である崔順実氏の国政介入疑惑をめぐる政治スキャンダルについて、涙ながらに「胸が痛む」と述べ、謝罪した。検察の捜査に協力することも表明した。朴大統領は、検察当局に対し疑惑の全容解明を要請。自らを含め問題に関わった全員に責任があり、有罪であることが判明した場合は責めを負うべきだと述べた。さらに、声を震わせながら「自分を許せない」と話した。検察の当局者は、朴大統領が事情聴取の対象になるかとのロイターの質問へのコメントを控えた。現職の大統領がこれまで、検察の捜査を受けたことはない。野党の共に民主党の秋美愛(チュ・ミエ)代表は朴大統領の謝罪が不誠実だと批判。「大統領は国政から手を引くべきだ」と指摘したが、辞任要求はしていない。崔容疑者については「われわれが国家経済や国民生活を支援するため努力している一方で、特定の個人が利益を享受し、複数の不法行為に関与していたとの疑惑が持たれていることは非常に不幸で、残念だ」と述べた。スキャンダルをめぐって大統領の支持率は低下しており、ギャラップがこの日公開した世論調査では過去最低の5%となっている。

*3-6:http://www.saga-s.co.jp/news/national/10201/375652
(佐賀新聞 2016年11月11日) 朴氏支持率、30歳未満でゼロ、韓国、全体では5%
 韓国の世論調査会社「韓国ギャラップ」は11日、朴槿恵大統領の支持率について、調査対象で最若年層の19~29歳で支持率がゼロになったとの結果を明らかにした。調査は朴氏が親友、崔順実氏の国政介入疑惑で2回目の国民向け謝罪を行った後の8~10日に実施されたが、全体の支持率は前週と同じ5%。不支持率は前週より1ポイント増え、90%に達した。地域別でも、野党が強い南西部の全羅道地域での支持率はゼロだった。調査は約千人を対象に行われた。朴氏は4日の国民向け謝罪で、捜査を受け入れると表明し、涙を見せて「反省」を訴えた。

<日本のレベルは?>
*4-1:http://digital.asahi.com/articles/DA3S12612681.html
(朝日新聞 2016年10月18日)女性天皇の議論は除外 来月、専門家から聴取 有識者会議
 天皇陛下の生前退位をめぐり、政府による有識者会議の初会合が17日、開かれた。政府は今の天皇陛下に限って生前退位を認める特例法を整備する方針だが、実現には世論と国会のハードルが待ち受ける。「今上陛下が82歳とご高齢であることも踏まえ、公務の負担軽減などを図るため、どのようなことができるのか静かに議論を進めていきたい」。17日夕、安倍晋三首相は有識者会議の初会合冒頭でそう語った。この日は約1時間10分の会議で、当面のスケジュールを確認した。11月には上旬から3回に分けて、皇室制度や歴史の専門家ら計十数人からヒアリングを重ねる。年明けにも論点整理を公表する方向だ。政府は今の天皇陛下に限って退位を可能とする特例法を軸に法整備を検討する。ただ、報道各社の世論調査では特例法による対応ではなく、皇室典範改正による恒久的な制度作りを求める声が多い。国会でも、民進党や共産党などから皇室典範改正の検討を求める声が上がる。このため、有識者会議では生前退位だけでなく、摂政制度など幅広い選択肢を示し、それぞれ課題や問題点を列挙。早急に対応できる特例法のメリットを世論に理解してもらう狙いだ。有識者会議は今回、小泉政権時代に検討された女性・女系天皇の是非は対象から外す。首相官邸幹部は「皇室の安定的な継続のために必要な議論だが、時間がかかる」と指摘。将来、皇室典範改正を目指す際の課題とする考えだ。有識者会議メンバーの山内昌之・東大名誉教授は17日夜、BSフジの報道番組で「特別法を出すことで、まず(生前退位を)解決する。それが一段落してから皇室典範改正に取り組む姿勢を打ち出すことは、荒唐無稽のことではない」と語った。一方、政府は有識者会議の開催に合わせて報道各社に対し、有識者メンバーが官邸に出入りする際の取材を控えるよう要請した。首相周辺は「メンバーが最初に意見を言ったら会議に色がつく」と説明。情報管理に神経をとがらせる政府の姿勢がにじんだ。座長となった今井敬・経団連名誉会長は、初会合後の記者会見で「予断なく議論し、専門家の意見をよく聞いていろいろな判断をする」と語った。ヒアリングの対象となる専門家は十数人で、1人当たりの聴取時間は30分を想定。関係者によると、対象者として退位に賛成する所功・京都産業大名誉教授や、退位に反対する八木秀次・麗沢大教授ら幅広い名前が候補に挙がる。政府は初会合前から人選を進めており、専門家の選定も官邸主導で進む可能性が高い。
    ◇
 「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」の初会合の出席者(17日、首相官邸)
【有識者】
◆今井敬・経団連名誉会長=座長
◆御厨貴・東大名誉教授(日本政治史)=座長代理
◆小幡純子・上智大法科大学院教授(行政法)
◆清家篤・慶応義塾長(労働経済学)
◆宮崎緑・千葉商科大教授(国際政治学)
◆山内昌之・東大名誉教授(国際関係史)
【政府】
◆安倍晋三首相
◆菅義偉官房長官
◆杉田和博官房副長官
◆衛藤晟一首相補佐官
◆古谷一之官房副長官補
◆西村泰彦宮内庁次長
◆近藤正春内閣法制次長
◆山崎重孝内閣総務官

*4-2:http://qbiz.jp/article/96751/1/
(西日本新聞 2016年10月26日) 男女平等 日本は111位 WEF発表
 ダボス会議で知られるスイスの「世界経済フォーラム(WEF)」は26日、2016年版「男女格差報告」を発表。日本は調査対象となった144カ国中111位で、前年より順位を10下げ、先進7カ国(G7)中で最下位だった。
●前年より順位10下げる
 報告書では、日本は分野別で健康(40位)や教育(76位)では中位以上だったが、政治(103位)と経済(118位)で女性の進出が遅れ、男性との格差があるとされた。女性の議員数の少なさや、女性首相を出していないこともマイナス要因となった。首位は8年連続でアイスランド。2位フィンランド、3位ノルウェー、4位スウェーデンなど北欧諸国が上位に並んだ。米国は45位、中国は99位、韓国は日本より低い116位だった。アジアで上位10位に入ったのはフィリピン(7位)のみだった。トルコ(130位)、エジプト(132位)、イラン(139位)など中東諸国が下位に並び、最下位はイエメン。WEFは「世界的に経済参加や雇用機会での男女格差が拡大しており、予測では2186年までその差は縮まらないとみられる」としている。男女格差報告は各国の女性の地位を経済、教育、政治、健康の4分野で分析、数値化している。


PS(2016年11月12日追加):*5の「ヒラリーはなぜ敗れたのか」という記事で、政治アナリストの横江氏が、「ヒラリーには、ウォールストリートから多額の企業献金を集め、彼らの方を向いた政治家という古臭いイメージがあり、時代遅れ感があった」と述べているが、オバマ大統領が国民皆保険を目指して制定し、トランプ大統領の誕生によって存続の危機に瀕しているアメリカの国民皆保険制度は、最初はクリントン政権時代にヒラリーが手を付けたものであり、時代遅れどころか現在も渦中にある制度だ。また、ヒラリーは中産階級出身で、弁護士となってファースト・レディーや国務長官を歴任したアメリカン・ドリームの体現者であるため、それを「優等生的な『上から目線』でも嫌われた」というのは、日本人独特のjealousy(嫉妬)を含んだ狭量な見方であり、アメリカ人はアメリカンドリームの体現者や成功者を褒める気質があるため、このような卑屈なことは言わないのである。そのため、そういうことよりも、大切な時期にFBIが「メール問題」という曖昧な疑惑でヒラリーの捜査をしたこと、分刻みで世界を飛び回らなければならないアメリカ大統領が体力的に勤まるかと思われる局面がヒラリーにはあったこと、アメリカの大統領選挙が国民全体の意志を反映するのではなく選挙人の数を競う競争になっていることなどが敗因だと考える。
 また、映画作家想田氏の「米国人の13%が女性大統領の誕生に怒りを感じと答えた」というのは、本当なら私には意外だが、「男性候補なら『力強い』と好意的に受け止められたものが、女性候補だと『隙がない』『性格がきつい』と思われなかったか」というのもジェンダー後進国の日本人の目であり、アメリカ人はそうではないからこそ、ヒラリーは大きなジェスチャーとはっきりした言葉で演説を行っていたのだ。そのため、ヒラリーに不運があったとすれば、候補となったのが8年前ではなく、現在だったことだろう。

*5:http://mainichi.jp/articles/20161111/dde/012/030/004000c (毎日新聞 2016年11月11日) 特集ワイド:ヒラリーはなぜ敗れたのか 米大統領選結果、識者2氏が分析
 本命だったはずの候補が敗れ、「米国史上初の女性大統領」は結局、誕生しなかった。「嫌われ者同士の戦い」とも称された米国大統領選。暴言暴論を繰り返し、女性問題まで露呈したドナルド・トランプ氏(70)を相手に、政治家としてのキャリアも長いはずのヒラリー・クリントン氏(69)は、なぜ負けたのか?
●時代遅れ、尊大な印象拭えず 政治アナリスト・横江公美さん
 クリントン氏の最大の敗因は、政策や言動の「時代遅れ感」です。だから有権者の心をつかめませんでした。米国で今、一番不満をためているのは中間層です。貧困層は、オバマ政権が国民皆保険を目指した医療保険制度改革で救われた。「次は我々を」と中間層は望んだ。だから民主党の候補者争いをしたサンダース氏は政策を「左」に振り切り、中間層が最も喜びそうな「大学授業料免除」を掲げました。この問題が米国で最も深刻だから。子ども2人を借金なしに米国内の大学に進学させるには1世帯年収27万ドル(約2800万円)が必要というデータもあるほどです。一方、トランプ氏は当選したらすべての所得層を対象に所得税減税を行う、と断言しました。ところがクリントン氏はそのどちらの政策にも踏み込めず、中間層にアピールできなかった。そもそも彼女には、ウォールストリートから多額の企業献金を集め、彼らの方を向いた政治家、という古臭いイメージがある。「私用メール問題」がそれを決定づけました。米国は情報公開や金銭の流れの透明性を重要視する社会です。透明性のない、危機管理もできない、時代遅れな候補--という印象を有権者に与えてしまいました。もう一つ、優等生的な「上から目線」でも嫌われました。米国が「世界の警察」の時代ならば、そのような言動はリーダーシップとして好意的に受け取られたでしょう。でも今はSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)で「いいね!」の数を競う時代です。フレンドリーさが好まれる。トランプ氏はその点、暴言は多いけれど人間味があります。「キング・オブ・ブルーカラー」と呼ばれていましたから。クリントン氏は今回、2008年の予備選と違って、女性の立場を強調し、「マイノリティー(人種的少数派)のための代表」を前面に出すなど、戦術を変えていました。それでも有権者は彼女の「偉そう」な印象を忘れていなかったのです。一方、トランプ氏が前評判より票を集めたのは「隠れトランプ支持者」が大勢いたから。多様化の時代、「メキシコ国境に壁を」と言う候補への支持は恥ずかしくて口には出せない。それでも今の政治に不満を持ち、トランプ氏に変化を期待した有権者がそれだけ大勢いたということ。クリントン氏は、変化を求める時代の空気を読み切れなかったのです。
●米国社会に根強い「女性嫌い」 映画作家・想田和弘さん
 格差が拡大し、中間層が没落する中、米国人が既存の政治に不満を持つのはよく分かります。しかし、トランプ氏はむしろ状況を悪化させるでしょう。人種差別をあおる人物でもあり、米国と世界の行方がとても心配です。クリントン氏が負けた理由はさまざまですが、一つは米国社会に根付き、払拭(ふっしょく)できない「ミソジニー(女性嫌い)」だったと思います。もしも彼女が男性だったら結果は違ったのではないでしょうか。ある政治学者が今年行った調査によると、米国人の13%が「女性大統領の誕生」に「怒りを感じる」と答えたそうです。男女別の回答で見ると、女性はほぼ0%だったのに、男性は実に26%。「怒りを感じる」が4人に1人以上いたのです。「女を大統領にしたくない」という差別意識やミソジニーこそが、彼女の敗因だったと思います。米国人は大統領に「強さ」を求める傾向があります。それだけでも、女性には不利なのでしょう。クリントン氏は十分に強い女性だと思いますが、しかし、男性候補なら「力強い」と好意的に受け止められたものが、女性候補だと「隙(すき)がない」「性格がきつい」と、男性から見たフェミニストのステレオタイプなイメージに重ねられてはいなかったでしょうか。もう一つ。政治経験のないトランプ氏に対して、クリントン氏は政治家としてのキャリアが長く、実績もある。そのことがかえって、災いしたように思えます。扇動家としての能力にたけたトランプ氏は、ワシントンの政治家たちを「既得権益」と位置付けて攻撃し、人々の政治に対する怒りに火を付け、徹底的にあおりました。今回、米大手メディアは軒並みクリントン氏を支持し、トランプ氏を徹底的に批判しました。しかしトランプ氏は勢いを失わなかった。日本で「マスゴミ」という言葉が多用されるのと同様、米国でも既存メディアが「既得権益」とみなされてしまったからでしょう。また、トランプ氏は既存秩序の「破壊者」のように自らを演出することに成功した。だから、暴言を吐き、スキャンダルが暴かれても、そのダメージを最小限に抑え、時には魅力にすり替えられました。結局、夫も大統領を務めたクリントン氏は「既得権益」の代表格として、政治不信と憎しみの対象にされてしまったのです。


PS(2016年11月14日追加):入国者の子どもの教育・医療・失業問題などの国民負担を伴うため、移民を無制限に受け入れなければならないというのは、独立国としてむしろ不自然だと私も思っていた。そのため、難民や外国人労働者に国を閉ざすことなく、秩序だって受け入れるのは国の発展や世界貢献のために必要だが、国境にフェンスくらい作って、不法移民を強制送還するのはよいと考える。

*6:http://www.saga-s.co.jp/news/national/10201/376424 (佐賀新聞 2016年11月14日) トランプ氏、300万人を強制送還、壁建設は軟化
 トランプ次期米大統領は、200万~300万人の不法移民を公約通りに米国外へ強制送還する方針を強調した。CBSテレビが13日、トランプ氏のインタビューを伝えた。大規模な強制送還は内外に波紋を広げそうだ。トランプ氏は不法移民流入を防ぐためメキシコ国境に壁を建設する方針も確認した。ただ、一部地域では壁ではなくフェンスを採用する可能性を示し、壁にこだわる姿勢を軟化させた。米国内の不法移民はヒスパニックを中心に1100万人を超える。トランプ氏は、強制送還されるのは「犯罪者や犯罪歴がある者、ギャングのメンバー、麻薬密売人だ」と説明した。

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2016.8.11 日本に本物の女性リーダーが出にくいのは、女性蔑視の女性観が跋扈して上昇志向の女性の足を引っ張るからである (2016年8月13、14日に追加あり)

2016.7.12      メイ首相      メルケル首相とメイ首相     ヒラリー候補   小池都知事
 日経新聞


   国会議員の      地方議員の女性割合     管理職・役員       女性の労働力率  
   女性割合                          の女性割合

(1)英独の女性首相と米の大統領候補
1)メイ英首相とメルケル独首相 
 英国ではテリーザ・メイ氏が首相となってドイツのメルケル首相と会談した。そして、ドイツのメルケル首相は、*1-1のように、「①英国とドイツは友好関係にあり価値観を共有している」「②両国の二国間関係や貿易は、英国がEUを離脱した後も続く」とし、メイ首相も「両国とも2国間のできるだけ密接な経済関係を維持したい意向だ」として、英国にとって好ましい展開となった。

 英国のメイ氏は、上の段の左図のように、オックスフォード大学出身であり、イングランド銀行勤務を経て1997年に政治家になった人であり、ドイツのメルケル首相は、ライプツィヒ大学出身の理論物理学博士で、1989年のベルリンの壁崩壊後に政治家になり、第4次コール政権の女性・青少年問題相に抜擢された人だ。そして、どちらも、首相として納得できる一流の女性であり、結婚しているが子どもはいない。

2)米国ではクリントン氏が女性大統領候補へ
 米国では、やっと「ガラスの天井」が打破されそうになっていることには遅さを感じるが、*1-2のように、ヒラリー・クリントン氏が米民主党の大統領候補に指名された。ヒラリー氏は、ウェルズリー大卒業後、エール大ロースクールを経て弁護士となり、1993年に夫のクリントン氏が大統領に就任した後には、抵抗が多い中、ファーストレディーとして医療保険改革に取り組んでおり、相応の人である。

(2)小池百合子氏、都知事に大差で当選
 日本では、自民党都連が都知事候補に擁立したのは、*2のように、増田寛也氏だったが、小池百合子氏(独身)が大差で当選した。しかし、その後の内閣改造で、丸川珠代前環境相を、小池都知事と接触の多い五輪担当相に就任させたのは、いかがなものかと考える。

 何故なら、丸川氏は、環境相時代、長野県松本市で行った講演で「東電福島第1原発事故後に国が除染の長期目標に掲げた年間1ミリシーベルト以下は、何の科学的根拠もなく時の環境相が決めた」などという無知な暴言を吐き、「発言が誤解を招いたとすれば、特に福島をはじめ被災者の皆様に誠に申し訳ない」などと、福島以外の人や直接被災した人以外には関係がないかのような詫び方しかしておらず、これは丸川氏なりのチームプレーだったのかもしれないが、それでは環境相として失格なのである。

 そして、その丸川氏は、都知事選では、小池百合子氏を「スタンドプレーはできるが、チームプレーはできない人」と批判していた。しかし、小池氏の世代の女性はチームプレーだけしていれば組織の推薦が得られるわけではなく、(数は少ないが)強力に引っ張ってくれる人がいて、スタンドプレーも行い、勝たなければ上昇できなかったのだ。この点が1番手の女性の実績を見て組織が推薦してくれる2番手以降の女性とは全く異なり、1番手の女性と2番手以降の女性の間には、組織内での障壁の高さに雲泥の差があるのだが、丸川氏はそれがわかっていないため、このような生意気なことを言っているのだ。

 そのため、小池氏の対応は、東京都知事としてはそう言わざるを得ない大人の対応ではあるものの、私も東京都の幹部と同様、丸川氏の五輪相起用については疑問に思った。

(3)日本における女性副大臣・政務官・議員について
 今回の改造内閣では、*3-1のように、副大臣・政務官のうち女性は4人に留まり、女性の登用は進まなかった。それだけではなく、*3-2のように、都道府県議会の女性議員を対象に共同通信が行った全国アンケートによれば、女性議員の約6割がセクシュアルハラスメントなど女性蔑視の言動を受けて不快な思いをした経験があるそうだ。

 東京都議会でさえセクハラやじのような同僚議員からの被害が多く、「触らせないと票をあげない」というような有権者の言動も多いそうなので、有権者も含めた意識改革が不可欠である。

(4)日本の“伝統”と“文化”に潜む女性蔑視の考え方
 2016年8月8日、*4-1のように、天皇が「象徴天皇の役割」「生前退位」という自らの意思を表明された。天皇制については項を改めて書くが、このほかに女性天皇・女系天皇の課題があり、小泉内閣時に率先して女性天皇・女系天皇を認めるべきだと主張していた人の一人は私である。

 何故なら、女系であるからといって遺伝が途切れるわけでもないのに、女性天皇や女系天皇を認めないのはそれこそ非科学的であるとともに、天皇家の歴史上重要な地位を占める天照皇大神(アマテラスオオミカミ)は女性であるにもかかわらず女性天皇・女系天皇を認めないと主張するのは、近世の女性蔑視にすぎず、象徴として国民の半数を占める女性から支持を得られない「旧来の陋習」に当たるからだ。

 しかし、*4-2のように、自民党憲法改正草案では、「(第24条:婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。2 配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない)が行き過ぎた個人主義を作る」とされ、「女性にとって最も大切なことは子どもを2人以上産むことで、これは仕事でキャリアを積むこと以上に価値がある」などという発言に繋がっている。そして、菅官房長官が「ママさんたちが一緒に子どもを産みたいとか、そういう形で国家に貢献してくれたら」と発言しているが、1億総活躍を、女性は産んで増やすことによって活躍するものと考えているとすれば、先進国からは70年遅れているのだ。
    
 さらに、*4-3のように、HKT48が新曲で、「女の子は頭からっぽでいい」「どんなに勉強できても 愛されなきゃ意味がない」「内面は見えない 可愛いは正義よ チヤホヤされたい」と歌うそうだが、勉強ができると愛されないというのは事実ではない(実際には、勉強ができてステップアップすれば、住む世界が同じである場合が多い恋愛相手もステップアップする)。そして、日本の“アイドル”は、本当に上手で相手を感動させる人ではなく、かわいぶっているだけの人ばかりであるため、価値が低くて魅力がないのだ。

 そのほか、*4-4のように、日本のメディアは、「歴史ファンというと中高年男性が主だったが、ゲームやアニメをきっかけに戦国武将や歴史に興味を持つ若者、女性が増えた」というように、女性は、ゲームやアニメにしか興味がないかのように、さりげなく女性蔑視を記事に織り込ませている場合が多い。しかし、実際には、歴史学科のある文学部は女性の学部と言っても過言ではないほどなのである。

 しかしながら、こうして女性蔑視が“常識化”されていくため、今後は表現にも厳しく対処すべきだ。英語圏では、女性差別を禁じた時から文章中の「chairman」を「chairman/woman」や「chairperson」という表記に変更するなどの徹底ぶりである。

<英独の女性首相と米の大統領候補>
*1-1:http://www.cnn.co.jp/world/35086185.html
(CNN 2016.7.21) メイ英首相、メルケル独首相と会談 「秩序あるEU離脱を」  
 ロンドン(CNN) 英国のテリーザ・メイ首相が就任後初の外遊でドイツを訪問し、20日にベルリンでメルケル首相と会談した。今回の外遊を通じ、欧州連合(EU)離脱に向けた交渉を円滑に進めることを目指す。メルケル首相は夕食会を前にメイ首相との共同記者会見に臨み、英国とドイツは友好関係にあって価値観も共有していると指摘。両国の二国間関係や貿易は、英国がEUを離脱した後も続くと明言した。ただしメルケル首相は、EU離脱の手続きを定めたリスボン条約50条が発動されるまで、公式交渉も非公式交渉も開始できないと強調した。続いて発言したメイ首相は、両国とも2国間のできるだけ密接な経済関係を維持したい意向だと述べ、ドイツと英国の企業もそれを望んでいるとした。メイ首相は「メルケル首相や欧州理事会の首脳と建設的な精神で連携し、合理的かつ秩序ある離脱を果たしたい」「我々全員がそうした交渉のための準備時間を必要とする。英国は我々の目標がはっきりするまで50条を発動しない。既に表明した通り、年内に発動することはない」と言明した。発動の先延ばしについては「誰もが喜ぶとは限らない」としながらも、「今それをはっきりさせておくことが大切だと考える」としている。メイ首相は21日にはパリでフランスのオランド大統領と会談し、50条の発動について同様の意向を伝える方針。

*1-2:http://digital.asahi.com/articles/ASJ7Y2PGTJ7YUHBI009.html
(朝日新聞 2016年7月29日) クリントン氏「愛は憎悪に打ち勝つ」 指名受諾演説
 米民主党の大統領候補に指名されたクリントン前国務長官(68)が28日夜(日本時間29日午前)、ペンシルベニア州で開かれている党全国大会で指名受諾演説をした。共和党のトランプ氏(70)が排外主義的な主張をしていると指摘。国内外での世論の分断に憂慮を示し、「愛は憎悪に打ち勝つ」と、団結して課題に取り組む必要性を強調した。大会最終日のこの日、クリントン氏は指名受諾を宣言して「我々はより完全な合衆国になるための一里塚に到達した。主要政党で初の女性大統領候補が生まれた」と述べ、初の女性大統領となって女性の社会進出を阻む「ガラスの天井」を打破する意気込みを語った。演説では「米国は再び岐路に立たされている。信頼と尊敬の絆がほころんでいる」と指摘。トランプ氏が経済格差や国内外で多発するテロで国内にくすぶる不満や怒りを背景に、孤立主義や排外主義的主張をしているとして、「彼は世界や我々を分断しようとしている」と批判した。そのうえで「米国民は世界で最も力強く、多様な国民で、最も強力な軍を保有している」と語り、「より自由で公平、強い国にするため団結しなければならない。我々は団結した時に強くなれる」と強調した。また、「愛は憎悪に打ち勝つ」とも述べ、危機感に訴えるトランプ氏とは対照的に、前向きな未来への道筋を示すことで、有権者の支持を集める狙いがあるとみられる。また、「すべての米国民がよりよい生活を送れるよう力づける」とし、「賃金を上げ、仕事の機会と質を向上させる」ことを政権の優先課題に掲げた。大企業や富裕層に増税し、税額控除を受けながら海外移転した企業から国内に雇用を取り戻すと主張。「不公正な貿易協定にはノーと言わなければならない。中国に立ち向かわなければならない」と述べたものの、環太平洋経済連携協定(TPP)には言及しなかった。外交・安全保障では「米国は世界の同盟国と協力した時により強くなる」と述べ、国際協調主義のもと紛争回避のため、外交的手段を積極的に活用し、同盟国との関係深化を目指す方針を打ち出した。トランプ氏の主張については「彼は解決方法を何も示していない」とし、「トランプ氏は大統領選の乱闘騒ぎすら対応できていない」と批判した。

<女性都知事>
*2:http://news.livedoor.com/article/detail/11846290/ (産経新聞 2016年8月4日) 【内閣改造】丸川珠代五輪相vs小池百合子都知事 東京五輪は大丈夫か? 都知事選で「チームプレーができない」と毒舌批判 「一騒動ある」とヒヤヒヤ
 3日に発足した第3次安倍再改造内閣で、自民党の丸川珠代前環境相(45)が、五輪担当相に就任した。同じく就任したばかりの小池百合子東京都知事(64)とともに、2020年東京五輪・パラリンピックの準備を担う。だが、保守分裂した都知事選で、丸川氏は「チームプレーができない」などと、小池氏を痛烈に批判しており、東京五輪の大会経費見直し協議の行方を不安視する声もある。民主党政権が子ども手当法案の採決を強行した際、「愚か者めが!」と罵倒したのを機に「女ヤジ将軍」の異名も持つ丸川氏。分裂選挙を戦った都知事選では、自民党都連が擁立した増田寛也氏(64)の応援演説でも“毒舌”がさえた。「スタンドプレーはできるけども、チームプレーはできない。こういう人は都知事にしなくていいんじゃないかと思っています」(7月26日、自民党本部の総決起大会)。「これから都議会と一戦ことを構えよう。そんな人を都知事にしたら、あっという間に1年、2年を無駄にしてしまいます」(7月29日、同本部の「増田ひろや頑張れ!女性の会」)。組織の引き締めに向け、選挙戦終盤にリードする対抗馬の小池氏を“口撃”する狙いがあったとみられるが、都幹部は「普通はあまりいい気はしない。互いに連係プレーが必要なときで、禍根を残さなければいいが…」と、丸川氏の五輪相起用を不安視する。「一騒動ありそうだ」との声も。小池氏と丸川氏、大会組織委員会の森喜朗会長は今後、約2800億円に膨らんだとされる仮設競技場の整備費など、大会経費の負担見直しの協議に入る予定だ。丸川氏と文部科学相の松野博一氏はこれまでスポーツや五輪になじみが薄く、小池氏とともに五輪開催準備に関わる重要ポストが一気に入れ替わった。小池氏は3日、報道陣の取材に応じ、丸川氏の起用について「とても聡明(そうめい)な方で、大変信頼している。互いに国民、都民にとって良い大会になるように連携したい」とし、選挙戦で批判を受けたことについては、「よく存じておりません。それぞれお立場もあるんでしょうから」と述べた。

<女性副大臣・政務官・女性議員>
*3-1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20160806&ng=DGKKZO05762670W6A800C1PP8000 (日経新聞 2016.8.6) 副大臣・政務官人事 女性4人にとどまる
 政府は5日、内閣改造に伴う副大臣25人、政務官27人の人事を決めた。財務副大臣には大塚拓氏、木原稔氏を起用した。副大臣の留任は義家弘介文部科学副大臣ら5人だった。派閥に属していない無派閥議員の起用を減らして派閥出身者に割り振った。安倍晋三首相は5日、人事決定後初めてとなる副大臣会議で「官僚との適切な信頼関係を築き、各省の力を存分に発揮できる環境をつくってほしい」と話した。女性は厚生労働副大臣に古屋範子氏を充てるなど副大臣、政務官を合わせて4人にとどまり、昨年10月の改造時の5人から減った。前々回の2014年9月の改造では7人を起用しており、首相がめざす女性登用は足踏み気味だ。派閥別でみると、首相の出身派閥でもある細田派は政務官を1人減らしたものの派閥の中で最も多くの副大臣、政務官を出した。閣僚も4人抱える。額賀派は副大臣、政務官を1人ずつ増やした。岸田派は閣僚ポストを1人増やしていることから副大臣、政務官は増えていない。無派閥は副大臣、政務官が1人ずつ減った。厚遇が目立つのが二階派だ。閣僚が2人に増えたうえ、政務官を1人増やした。首相支持を明確にしており「二階氏に配慮している」(他派閥議員)との見方が多い。菅義偉官房長官は5日の記者会見で派閥からの推薦を考慮しているかを問われて、「全くしていない」と述べた。

*3-2:http://www.saga-s.co.jp/news/national/10201/316870
(佐賀新聞 2016年5月29日) 女性議員の6割セクハラ経験、同僚男性、有権者から多く
 都道府県議会の女性議員を対象に共同通信が行った全国アンケートで、回答者の約6割がセクシュアルハラスメントなど女性蔑視の言動を受けて不快な思いをした経験があることが29日、分かった。東京都議会で問題化したセクハラやじのような議会内の同僚議員からの被害が最も多く、「触らせないと票をあげない」といった有権者の言動が続いた。女性が参政権を行使して今年で70年。都道府県議会に占める女性の割合は9・8%(昨年末時点、総務省調べ)といまだに低く、性差別的な意識が残っている。男女が共に政治に参画するには、有権者も含めた議会内外の意識改革が不可欠だ。

<日本社会の女性差別>
*4-1:http://digital.asahi.com/articles/DA3S12502961.html
(朝日新聞社説 2016年8月9日)天皇陛下お気持ち表明 「総意」へ議論を深めよう
 メッセージを貫くのは、日本国および国民統合の象徴として責務を全うすることへの、強い責任感だ。国民との信頼関係をどう築くかに心を砕いてきた即位以来28年の歩みを、思いおこさせる内容である。憲法は、天皇の行為が政治の動向に影響を及ぼすことがあってはならないと定めている。このためお言葉には、退位という文言をふくめ、現行制度の見直しについての言及はない。しかし、代行者として摂政をおく案にあえて触れたうえで、天皇の務めを果たせないまま地位にとどまることへの疑念を強くにじませた。さらに、健康を損ない「深刻な状態」になったときの社会の停滞や国民生活への影響にも言及するなど、相当踏みこんだお言葉になった。
■政治の怠慢の責任
 改めて思うのは、政治の側が重ねてきた不作為と怠慢だ。高齢の陛下に公務が重い負担になっていること、その陛下を支える皇族の数が減り、皇室活動の今後に不安があることは、かねて指摘されてきた。小泉内閣は2005年に有識者会議を設けて女性・女系天皇に関する報告書をまとめ、12年には野田内閣が、皇族の女性が結婚後も皇室にとどまる女性宮家構想の論点を整理した。この間、秋篠宮さまの会見で「定年制」導入が話題になり、昨年末は、陛下が「行事の時に間違えることもあった」と、加齢による衰えを口にした。だが安倍内閣は、これらの課題に積極的に向きあってこなかった。議論は深まらないまま、先月になって突然、退位の意向が報道で明らかになった。陛下が先をゆき、政治があわてふためきながら後を追いかけている。そんな印象を多くの人が抱いたのではないか。皇室を支える宮内庁と内閣の意思疎通は十分にはかられてきたのか。象徴天皇制のあり方の根幹にかかわる今回の事態を、政権はしっかり掌握し、遺漏のないように進めていけるのか。そんな疑念を残した。首相は自らの責任を自覚したうえで、この問題に正面からとり組む必要がある。
■決めるのは国民
 お気持ちの表明をうけて、どう対応するべきか。
 戦後70年にわたり、国会や憲法学界で交わされてきた象徴天皇制をめぐる議論と、これまでの歩みが土台になるのは言うまでもない。あわせて、陛下も生身の人間であり、体力気力の限界があるという当然の事実に目をむける必要がある。高齢化が進み、だれもが自分自身や近しい人の「老い」、そして人生のしめくくり方を、切実に感じるようになった。お言葉からあふれ出る陛下の悩みや懸念は、多くの人に素直に受けいれられたに違いない。明治憲法がつくりだした、それ以前の天皇の姿とは相いれぬ神権天皇制に郷愁を抱き、「終身在位」に固執することは、国民の意識に沿うとは思えない。天皇に人権は認められず自由意思ももてないとしてお気持ちを封じ込めるのも、人々の理解を得ることはできまい。天皇の地位は、主権者である国民の総意に基づく。陛下の思いを受けとめつつ、判断するのは国民だ。この基本原則を確認したうえで、解決すべき課題とその方策を考えるために必要な材料を提示する。それが政府の使命である。
■皇室活動の再定義を
 平成の時代になってから、憲法が定める天皇の国事行為の範囲をこえて、式典への参列や、さまざまな人との面会、被災地訪問など、「公的行為」と呼ばれる活動が大幅に増えた。負担減のための見直しはされているものの、公平を重んじる陛下自身が公務に積極的で、国民の多くも歓迎していることから、十分には進んでいない。朝日新聞の社説は、これからの皇室のあり方をさぐる前提として、広がりすぎた感のあるこれらの活動をいったん整理し、両陛下や皇族方に、何をどう担ってもらうのが適切か、検討する必要があると主張してきた。お気持ちの表明を、この問題を考える良い機会としたい。象徴天皇制の下の皇室の存在と役割をどう位置づけるかによって、退位問題だけでなく、皇族の数はどの程度を維持すべきか、宙に浮いたままの女性宮家構想にどうとり組むかなどの問いへの答えも変わってくる。拙速は慎むべきだが、さりとて時間をかけすぎると、皇室が直面する危機は深まるばかりだ。一連の事態は、象徴天皇制という仕組みを、自然人である陛下とそのご一家が背負っていくことに伴う矛盾や困難を浮かびあがらせた。どうやってそれを解きほぐし、将来の皇室像を描くか。落ち着いた環境の下で冷静に議論を進め、「国民の総意」をつくりあげていきたい。

*4-2:http://digital.asahi.com/articles/DA3S12320411.html (朝日新聞 2016年4月21日) (憲法を考える)自民改憲草案・家族:下 女性の地位向上は個人主義?
 2004年、衆院憲法調査会で自民党議員が発言していた。「(24条が)行き過ぎた個人主義という風潮を生んでいる側面も、私は否定できないと思う」。 どういう意味だろう。自民党が作った憲法改正PR漫画「ほのぼの一家の憲法改正ってなあに?」を読んでみる。ひいおじいちゃん(92)が、「現行憲法では男女平等が大きく謳(うた)われて 事実この70年で女性の地位は向上した」と語る横で、おじいちゃん(64)がつぶやく。「でも、個人の自由が強調されすぎて なんだか家族の絆とか地域の連帯が希薄になった70年かもしれませんねぇ」。憲法を「家訓みたいなものかしら」とするこの漫画、女性の地位が向上したから家族の絆が薄れたと言いたいのだろうか。「女性にとって最も大切なことは、子どもを2人以上産むことです。これは仕事でキャリアを積むこと以上に価値があります」。大阪市の中学校長の発言を思い出す。2月29日の全校集会でのこと。高校入試を控えた女子生徒もいただろう。どんな思いで聞いたのだろう。私は、長崎県の離島で生まれ育った。母は20歳で結婚。父方の祖父を介護し、その間の家事は、私が担った。「女は勉強せんでもいい」という風土が、息苦しかった。法事のときは、地域の女性みんなで炊事をする。親戚付き合いは、何より優先されていた。「家族の絆」という美しい言葉では表せない、たくさんの葛藤があった。小学校高学年のとき、憲法に男女平等が書かれていることを知った。自分の生き方は自分で決められるんだ――。心の支えにしてきた。それでも、新聞記者になって地元に帰ったとき、中学時代の担任は開口一番、こう言った。「仕事もいいけど、子育てもちゃんとせんとね」。1970年代は「日本型福祉」が称揚され、私の母のような専業主婦は、介護や育児の担い手として期待されていた。その後、経済が停滞し、97年には共働き世帯数が専業主婦世帯数を本格的に上回り、差は広がり続けている。それに伴い、保育所整備は進んだが、予算は圧倒的に不足している。一方で、少子化も進行した。安倍政権は「希望出生率1・8」を国の目標として掲げる。昨年9月には菅義偉官房長官が芸能人カップルの結婚に「ママさんたちが一緒に子どもを産みたいとか、そういう形で国家に貢献してくれたら」と発言。「1億総活躍」の号令が響く。産んで、働き、活躍して、家族の絆も守って。一つでもできないと「行き過ぎた個人主義」と言われてしまうのだろうか。
    
*4-3:http://digital.asahi.com/articles/ASJ5M3PM6J5MUTIL00M.html?iref=comtop_8_02 (朝日新聞 2016年6月8日) HKT48の新曲が物議 女の子「頭からっぽでいい」?
 女の子は頭からっぽでいい――。アイドルグループ「HKT48」の曲が、「女性軽視では」と指摘されている。どんな歌なのか。曲は「アインシュタインよりディアナ・アグロン」。AKB48の総合プロデューサー秋元康氏の作詞で、「難しいことは何も考えない 頭からっぽでいい」「どんなに勉強できても 愛されなきゃ意味がない」「内面は見えない 可愛いは正義よ チヤホヤされたい」などと歌う。4月発売のシングルCD「74億分の1の君へ」に収められた1曲。通常カップリング曲が話題になることは少ないが、発売後、ツイッターには「馬鹿にしてる」「昭和の曲みたい」といった書き込みが相次いだ。「ディアナ・アグロン」は、高校の合唱部を舞台にした米国の人気ドラマ「glee(グリー)」に出演する女優。歌詞では「スカートをひらひらとさせて グリーのように」と表現される。実際のドラマでは、美人で成績優秀なチアリーダー。望まない妊娠など苦い経験を糧に名門大学に進学する。ドラマ自体、同性愛者や民族的マイノリティー、障害者が活躍する設定だ。コラムニストの山崎まどかさんは「多様性の大切さを訴えた作品。歌の人物像とはまるで違う。本当にドラマを見たのか」と話す。HKTと同世代の大学生は、どう受けとめたのか。ツイッターで話題を知ったという慶応大4年の新居日南恵さん(21)は「可愛くて頭からっぽの女の子を求める層がいる、ということが衝撃でした」と話す。「見た目が気になるという気持ちは分かる。中学時代、容姿を気にして摂食障害になった友人もいた。でも『頭からっぽの美人』じゃ、どこにも就職できない」と苦笑いする。ある女子大では、学生たちが替え歌を考えたという。「女の子は恋も仕事もして 楽しく自由に」。ブログで紹介され、「この方がいい」と支持が相次いだ。秋元氏にも取材を申し込んだが、回答はなかった。秋元氏は1980年代、「おニャン子クラブ」向けに、「セーラー服を脱がさないで」や「およしになってねTEACHER」など、過激な歌詞も書いた。今回はなぜ批判が広がったのか。舌津(ぜっつ)智之・立教大教授(日米大衆文化)は、「秋元氏の影響力の大きさに加え、政治の場で女性活躍が叫ばれる時代も関係しているのでは」とみる。舌津教授によると、流行歌に描かれる「か弱く、受け身な女」のステレオタイプが変わり始めたのは70年代。特に作詞家の阿久悠は、山本リンダ「狙いうち」では漫画的な強い女性を、尾崎紀世彦「また逢う日まで」では別れの際に女性が泣くのではなく、2人でドアを閉める姿を描くなど、実験的に時代の先を行く女性像を打ち出した。憧れと共に受け入れられたイメージは、90年代には現実となった。おニャン子クラブの歌には、過激ながら性の解放という側面も感じられたが、「今回の歌は、理想をいっても女性の自立は難しいというメッセージしか読み取れない」という。「先行きが見えない時代に、生産的未来を考えるより若い時だけ可愛くて楽しければいいという内容は、不吉な現実味を感じさせてしまう」。一方、ネットでは「何でもすぐ差別と炎上してしまう時代、アイドルの歌くらい、自由でいいのでは」という声も。アイドルに詳しい社会学者の濱野智史さんは「AKBグループにはいろんな子がいて、いろんな世界観を歌っている。その一つだけを取り上げて批判しなくても」と話す。「『STAP細胞』を巡る騒動で見えるように、理系女子が本来の業績より、可愛いという理由で脚光を浴びるのが現実。問われるべきはそんな社会の方では」

*4-4:http://www.saga-s.co.jp/column/ronsetsu/343383
(佐賀新聞 2016年8月11日) 唐津城と城ブーム、天守閣50年機に磨き上げを
 昨今、城がブームという。歴史ファンというと中高年男性が主だったが、ゲームやアニメをきっかけに戦国武将や歴史に興味を持つ若者、女性が増え、私たちが欧州の古城に引かれるように、訪日外国人客が日本の城に足を運ぶ。戦国期の築城ラッシュから400年前後の時期にあたり、姫路城をはじめ各地で修復や記念行事が行われ、さらには社会を覆う閉塞(へいそく)感が懐古的な歴史ブームを招いているという分析もある。県内でも唐津城の入場者が増えている。2012年度は10万7千人台だったが、14年度は13万人に増えた。昨年度は耐震工事のため11月以降、無料開放したこともあって約16万人となった。インバウンド効果も顕著だ。入場者のうち外国人が占める割合は14年度後半は3・8%だったが、昨年度は7・8%に増え、本年度は7月までで14%を超えた。唐津城の天守閣は1966(昭和41)年10月に完成した。もともと天守閣はなかったが、天守台跡に「観光施設」として慶長様式の5層5階の天守閣を建設した。当時、唐津市は財政再建団体から脱却したばかりで、年間予算の1割を超える1億5千万円の総工費をめぐって反対運動が起き、歴史家からも「史実に反する」と疑問の声が上がった。曲折を経て天守閣が完成し、今年で50年。今では観光唐津を象徴するランドマークとなった。北部九州には天守閣がそびえる城は少ない。小倉城も周辺はビルが建ち並ぶ。博多港に寄港したクルーズ船客や外国人旅行者は城下町のたたずまいを求めて唐津を訪れる。国内クルーズ船受け入れ体制が整った唐津東港は、唐津城を臨む眺望がセールスポイントだ。そうした追い風の中で開館50周年事業として10月1日、記念式典を行い、天守閣の改修工事に入る。老朽化した展示ケースを改修し、デジタル機器を活用した案内設備を整える。併せて可搬型の階段昇降機の導入など高齢者や身障者も見学しやすいようにする。天守閣は資料館を兼ねるが、唐津焼中堅作家が「展示内容は高校時代から変わらない」と言うように、古めかしく、代わり映えしない。駐車場とエレベーターを使うと、入館料と合わせ3回、料金を払うことになる。観光においてホスピタリティー(もてなし)が重視される今、磨き上げが必要だ。熊本では地震で被災した熊本城の再建が復興の象徴となっている。古来、為政者は権威と力を見せつけるため高い建物を建てたが、それがいつしか、人々の心のよりどころとなり、まちづくりのシンボルとなった。唐津の旧城下にそびえる天守閣が日常の風景となって半世紀。伝統に立った創意を観光諸施策に受け継いでいきたい。


PS(2016年8月13日追加):先進7カ国(G7)農相会合は、*5-1のように、①女性・若者の活躍 ②薬剤耐性・高病原性鳥インフルエンザなど越境性動物疾病への対処 ③地球温暖化に関する農業研究の共有 などで「新潟宣言」を採択した。そして、*5-2のように、佐賀県内ではJA女性組織のリーダーを対象にした研修会も開かれている。農業は、食品分野であるにもかかわらず、これまで男性中心だったが、女性が担い手になって意思決定すれば、「手軽で、栄養バランスが良くて、美味しい食卓」を考慮した農産物やその加工品を作りだすことができる。また、*5-3のように、ジビエへの関心から女性ハンターが増えているのも納得だ。そのため、栄養・食品・調理・包装・食器などの専門家が多い女性が農林水産分野の意思決定に加われば、この分野の成長に大きく寄与すると考える。

*5-1:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=37189 (日本農業新聞 2016/4/25) 女性活躍、薬剤耐性、温暖化・・・ 食料安保へ共同行動 G7農相会合「新潟宣言」を採択
 新潟市で開かれていた先進7カ国(G7)農相会合は24日、食料安全保障の強化に向けた「新潟宣言」を採択し、閉幕した。女性・若手農業者の活躍推進に向けた政策共有や、薬剤耐性に関する獣医当局間の関係強化など四つの共同行動を盛り込んだ。食料安全保障の確立に向けた中長期的な課題の解決に向けて、各国が共同歩調を取れるか今後の取り組みが鍵になる。議長国の日本は①女性・若者の活躍②薬剤耐性や高病原性鳥インフルエンザなどの越境性動物疾病への対処③地球温暖化に関する農業研究の共有――で国際会合を開くことを提案。欧州連合(EU)が提案した農業分野の投資を含む四つの国際会合の開催が決まった。日本は、こうした共同行動を5月の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)での議論につなげたい考え。農相会合では、農業を魅力あるものにし女性と若者の参加を促すため、農村地域の活性化と農業者の所得向上の双方を進めていく必要があるとの認識で一致。新潟宣言では、女性と若者の活躍が「農村地域を変革しあまねく広がる発展を促す」との共通認識に立ち、農地の所有や農業経営、マーケティング分野で女性・若者の活躍を進めるとした。政策担当者らの国際会合は今秋に東京で開く。人間や家畜の治療に必要な抗菌剤が効かなくなる薬剤耐性については、抗菌剤を慎重に使うことを改めて確認。薬剤耐性や越境性動物疾病でG7として初めて、各国の獣医当局者が情報を共有する枠組みを打ち出した。初回会合は今年中に開く。森山裕農相は閉幕後の共同記者会見で「農業政策について包括的に議論し、一定の共通認識を得た。課題解決に向けてG7が連携して取り組むことで世界の食料安全保障に貢献できる」と語った。新潟宣言では、東京電力福島第1原子力発電所事故を受けた日本産食品の輸入規制を巡り、「輸入規制は科学的知見と根拠に基づくWTO(世界貿易機関)ルールと調和的であるべきだ」と強調した。熊本地震の被災地に対し、連帯の意も示した。

*5-2:http://www.saga-s.co.jp/column/economy/22901/344131
(佐賀新聞 2016年8月13日) 組織活動の活性化討議 JA女性リーダー研修会
 県内のJA女性組織のリーダーを対象にした研修会が9日、杵島郡大町町のJAさがみどり地区中央支所であった。女性部員や職員ら約80人が、組織活動の活性化や地域組織と連帯した仲間づくりについて討議した。JA佐賀県女性組織協議会とJA佐賀中央会が開催。同協議会の家永美子会長は「食と農を軸とした活動を通じて地元農産物の良さを広め、仲間の輪も広げていきましょう」とあいさつした。研修会では、米大統領選の動向も絡み始めたTPP(環太平洋連携協定)などの農政問題について学習。福岡市の女性組織が直売所の運営や化粧品開発、田んぼアートへの参加など、多彩な取り組み事例を報告した。仲間づくりをテーマにしたグループ討議も行われ、参加者は活発に論議した。

*5-3:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=37767(日本農業新聞2016/6/4)大日本猟友会会員 37年ぶり増加 法制定、支援策が奏功 若者、女性 関心高く
 大日本猟友会の会員数が2015年度に10万5384人に回復し、1978年度以来37年ぶりに前年度を上回ったことが分かった。専門家や大日本猟友会によると、鳥獣被害防止特措法を中心とした総合的な捕獲の施策が奏功した。官民連携による担い手づくりやジビエ(野生鳥獣肉)の広がり、若者の狩猟や里山への関心の高まりが背景にある。狩猟者の減少と高齢化に歯止めがかからない状況が続いていたが、狩猟者確保へ明るい兆しが見えてきた。15年度は14年度(10万4242人)に比べて1142人増加した。1978年の42万4820人をピークに、会員数は毎年、前年度を大きく下回っていたため、大日本猟友会は「非常に画期的な兆候」とする。銃猟に比べて網やわな猟の免許を取得する会員数が急増している。30都道府県で前年度の会員数を上回った。石川県(前年度比222人増)、兵庫県(同128人増)、岡山県(同131人増)、広島県(同112人増)、香川県(同130人増)の増加が目立つ。大日本猟友会によると、戦後は趣味でカモなどの鳥を狩猟する会員が大半だったが、近年は森林や田畑を荒らすイノシシや鹿の捕獲依頼が急増。各現場では、農家が集団で自ら狩猟免許を取得し田畑を守るケースが目立っているという。鳥獣被害防止特措法が増加を後押しした。2007年に成立し、市町村の被害防止計画に基づいて鳥獣捕獲などに従事する狩猟者に、猟銃所持許可の更新に必要な技能講習を免除する特例や、「鳥獣被害防止緊急捕獲等対策」の交付金などで狩猟者を支援する。この他、若手や女性ハンターの座談会(高知県猟友会)など独自の講習会の企画、試験回数や会場の増加など各地で工夫。政府や猟友会、都道府県、自治体は若者や女性向けの情報発信、広報を強化してきた。都会から地方への移住者や女性らの狩猟免許取得も増え、各地で猟友会青年部が立ち上がっている。さらに処分に困っていた鳥獣が、ジビエの広がりで需要と結び付いた。大日本猟友会は「一つの対策の効果ではなく、総合的な捕獲増への取り組みと若者の里山への関心が狩猟者が増えた要因」と見る。大日本猟友会の佐々木洋平会長は「若い狩猟者の技術を高めていくことがこれからの猟友会の使命」と見据える。岐阜大学鳥獣対策研究部門の森部絢嗣特任助教は「免許を取っただけでなく、現場で実際に狩猟で活躍できるよう、支援体制の充実が必要だ」と指摘する。

<日本の芸能プロダクション>
PS(2016/8/14追加):*6のように、「ナンバーワンではなくオンリーワン」を主題とする「世界に一つだけの花(2003年リリース)」を歌っていたSMAPが解散するのは残念だ。オンリーワンであれば当然ナンバーワンであり、オンリーワンであり続けるのは既存の土俵で競ってナンバーワンになるよりもセンスが必要で難しいかもしれないが、持っている遺伝子と育つ環境が全員異なるため、もともと誰もがオンリーワンの個性を持っている。しかし、日本では個性を障害であるかのように解釈して個性をよいものと看做さない風潮があるため、この歌のメッセージは心に残った。なお、現在、日本のプロダクションや芸能界は世の中の進歩と比較してレベルが低いせいか、本当に才能のある人や人々に感動をもたらすメッセージを含んだ芸術を発掘して発信していない。その状況は、開発途上国にも劣る。

*6:http://news.yahoo.co.jp/pickup/6211022 
(デイリースポーツ 2016/8/14) SMAPのグループとソロでの現在の活動、 ジャニーズ事務所 SMAP解散経緯全文 「休養」をメンバー数名受け入れず
 今年デビュー25周年を迎える国民的グループ・SMAPが12月31日をもって解散することが14日未明、分かった。所属するジャニーズ事務所がFAXで発表した。5人はジャニーズ事務所に残留。17年以降はソロ活動を続けていく。事務所側はメンバーに休養も提案したが、「メンバー数名」がこれを受け入れることができなかった。解散を説明する事務所からの全文を掲載する。(以下略)

| 男女平等::2015.5~2019.2 | 07:45 PM | comments (x) | trackback (x) |
2016.3.6 男女雇用機会均等法ができたにもかかわらず、女性の登用が進まなかった本当の理由は何か? (2016年3月7、9、11、12日に追加あり)
   
2013.11.15朝日新聞   2015.11.19 地方議会議員     社会保障への対応   
                    朝日新聞   の女性割合

     
 多方面の男女格差  年齢別・男女別平均年収     非正規雇用者数とその増減

(1)女性総合職1期が8割も退社した理由
 *1のように、最初の男女雇用機会均等法が施行された1986年に入社した現在50代前半の女性総合職は、約30年経った2015年10月には約8割が退職していたそうだ。多くのメディアは、その理由を、①長時間労働などの慣習が変わらなかったから ②育児と仕事の両立支援が遅れたから などとしているが、最も大きな理由は、雇用における女性差別の禁止を「努力義務」に留め、男女雇用機会均等法をザル法化して、企業が女性の活躍を本当の意味では推進しなかったからである。しかし、1989年には「1.57ショック」があり、このままでは女性が仕事か子どもかを選ばされて少子化するという統計上のメッセージは出ていたが、これは無視された。

 この間、女性が結婚や出産を機会に退社せざるを得なかった背景には、まだ社会全体に残っていた家制度に基づく古い価値観(嫁は家の女と書く)があり、また、団塊の世代が働き盛りで男性だけでも雇用が満杯だったため、政府や日本企業は、本音では女性を雇用の調整弁として女性に寿退社を薦めていたことがある。これは、*3-1の「結婚したら仕事を辞める、それが私という女の生き方」として、結婚後は個性的なスター歌手から専業主婦になった山口百恵が英断として褒められ、松田聖子のように結婚しても引退しない歌手は徹底的に叩かれるという社会的風潮があったことからも明らかだ。

 また、最初の男女雇用機会均等法が創られた1986年には、*3-2のように、基礎年金制度ができて、厚生年金や共済年金に加入している者に扶養されている20~60歳の配偶者は、保険料の負担なしで基礎年金を受け取れるようになり、これは給与所得者の専業主婦に有利に働いた。

 そして、これらが、家族や社会から評価されて初めて働き続けられる日本女性の仕事の継続に不利に作用したことは言うまでもない。

(2)最初の男女雇用機会均等法について
 *2-1に、1982年に労働省婦人少年局長に就任して、最初の男女雇用機会均等法の成立に奔走された赤松良子さんの話が出ている。私は、1985年頃から赤松さんと東大の女子同窓会でお会いして何度か話をする機会があったが、労働省内にすら雇用の男女平等のための法律をつくることには根強い反対論があり、「女は家にいるのが幸せ」と考える人が多かったそうだ。そして、その後の行政改革で労働省と合併した厚生省は、労働省にもまして、その傾向が強かったと他の先輩から聞いている。

 そして、*2-2のように、最初の男女雇用機会均等法は徹底していなかったため、女性の中にも反対する人が多く、赤松さん自身も「満足する中身ではなく、後輩に改正を託す」と言っておられる。しかし、最初の男女雇用機会均等法の成立により、とにもかくにも、*6の国連女子差別撤廃条約への批准手続きを進めることはできた。

 しかし、この時点で、日本企業は総合職と補助職(現在は一般職と呼ばれている)の区分を作り、大半の女性を補助職、一部の女性だけを総合職として男性に近い昇進の機会を与えた(ただし、全く同じではなかったため、むしろ男性より負担が多かった)。つまり、日本企業は、総合職と補助職を分けるという方法で、最初の男女雇用機会均等法を骨抜きにしたのである。

(3)1997年改正の男女雇用機会均等法について
 (私が当時の通産省に提案して)1997年に、*4の男女雇用機会均等法改正が行われ、1999年4月1日から施行された。これにより、職場における募集・採用、配置・昇進、教育訓練、福利厚生、定年・退職・解雇における女性差別が全面的に禁止されたが、この改正時は不思議なほど抵抗がなかったと赤松さんが言っておられた。実は、その理由は、女性を社会で活躍させることを、女性の人権保護としてではなく、経済に好影響を与えるという論理で説明したからである。

 つまり、日本には、経済発展はしなければならないが、女性の尊厳や人権の保護、男女差別の撤廃などは疎かにしてもよいと考える風潮があり、これは民主主義については開発途上国もいいところなのである。そして、1999年4月1日からの改正男女雇用機会均等法施行後には、経産省や日本企業は、非正規社員・派遣社員という改正男女雇用機会均等法で守られない人の割合を増やすことによって、改正男女雇用機会均等法を骨抜きにした。

(4)日本で女性の登用が進まなかった理由
 上のグラフや*5で示されているように、世界経済フォーラム(WEF)の男女格差(ジェンダーギャップ)指数は、日本が世界145カ国中の101位でG7では最下位だったそうだ。その理由は、1979年に国連で採択され、1981年に発効した女子差別撤廃条約に批准して後、他の国はまともな対応をしてきたのに、日本は(1)~(3)のように、女子差別撤廃条約や男女雇用機会均等法を形骸化し、ザル法化することに専念してきたからである(日本には女子差別撤廃条約には拘束されないという主張もあるが、条約は国内法に優先するため、締結国は条約を守らなければならない)。

 そのうち、「政治への参加118位」「経済活動への参加と機会104位」は著しく低く、「教育91位」も社会の“常識”を反映するせいか意外に低く、「健康と生存34位」がまあまあといったところだ。特に、女性の政治家が少ないのは、少子化対策を産めよ増やせよ論にすり替え、社会福祉や安全な食品を疎かにして、無駄な土木や原発などの有害無益なものにうつつをぬかしている現在の政治の根本原因であるため、私も、女性議員が少なくとも3割に達するように当選させる仕組みを考えることは、日本の政治経済に真に有効だと考える。

<最初の男女雇用機会均等法の成果>
*1:http://www.kochinews.co.jp/?&nwSrl=351228&nwIW=1&nwVt=knd (高知新聞 2016年2月1日) 【均等法1期生】なぜ8割も退職したか
 働く女性を取り巻く状況を浮き彫りにする数字だ。男女雇用機会均等法が施行された1986年に大手企業に入社した女性総合職のうち、昨年10月時点で約80%が退職していたことが共同通信の調査で分かった。この30年間に一定の前進があったとはいえ、女性が子育てなどを機に退職する「M字カーブ」の基本形は変わっていない。安倍政権は成長戦略に女性の活躍を掲げるが、過去の反省も踏まえ働き続けることができる環境を着実に整備することが欠かせない。募集、採用、昇進などでの性差別を禁じる均等法は、憲法がうたう男女平等を働く場でも保障する意味がある。それまでは男女別採用、女性だけの若年定年制、結婚退職制もあったから、女性の働き方を大きく変えることが期待された。その代表と言えるのが企業の幹部候補生である女性総合職だが、86年入社の均等法1期生は、約30年後には大半が職場を去っていた。法の想定とは大きく異なる。これには差別禁止を企業の「努力義務」にとどめた法の不備も絡んでいるが、問題なのは「義務」とした99年の法改正後も基本的な構造が変わらなかったことだ。調査では99年採用の女性総合職のうち74%が退職していた。この世代は現在は40歳前後で、これから介護などに直面すると、その割合はさらに上がる恐れがある。無論、均等法には効果もあった。女性の結婚退職はかなり減ったし、企業や役所では管理職への起用が徐々に増えている。それでも働く女性の課題は多い。それを象徴するのは、以前から指摘される「M字カーブ」であろう。総務省が2013年に実施した調査によると、女性の就業率は25~29歳が約75%と最も高いが、30~39歳は60%半ばまで低下、40歳以上で再び70%台に戻っている。かつてほどの深い谷ではないとはいえ、出産の前後に退職する人が多いことを物語っている。共働き家庭では家事、育児、介護が依然、妻に集中する傾向があり、仕事との両立は容易でないのが現実だ。均等法施行から3年後の89年には1人の女性が生涯に産む子どもの数が、当時としては記録的に減少した「1・57ショック」があった。これを受けた少子化対策では、子育て支援を中心とする新旧のエンゼルプランなどが策定されている。それでも共同通信の調査では、2007年採用の女性総合職の42%が既に退職している。大手企業がこんな状況なら、中小・零細企業ではどうなっているのだろう。安倍内閣は女性活躍推進法や第4次男女共同参画基本計画などを通じて、女性の活躍できる社会づくりを目指している。それには長時間労働など男性の働き方も見直す必要がある。これまでずっと事態の改善を阻んできた構造にもメスを入れることだ。

<最初の男女雇用機会均等法>
*2-1:http://digital.asahi.com/articles/ASHB655CBHB6ULFA014.html?iref=reca
(朝日新聞 2015年10月12日) 〈証言そのとき〉男女平等を求めて:4 政・財界に強い反対論
 1982年に労働省の婦人少年局長に就任しました。のちの「男女雇用機会均等法」の法制化に向け、一気に走り出そうと思いましたが、なかなかうまくいきませんでした。
――労働省内にすら、雇用の男女平等のための法律をつくることに根強い反対論があった。
 省内もほとんど男性ですから。女性が男女平等を叫ぶのはあんまりうれしくないわよね、誰だって。それでも良識ある人は「そうは言ってもご時世だから」ってあきらめたけど、あきらめきれない人もいたのね。「わざと過激な中身にした方がつぶしやすい」なんて悪知恵を出していた人もいたそうです。当時の大野明大臣も「女性は家にいるのが幸せ」という価値観の持ち主で、男女平等なんて大嫌いな人でした。だから省内でも「そんな法律、本当にできるの?」って白い目で見られていました。
■担当として根回し
――83年夏、赤松さんは担当局長として財界、政界への根回しに明け暮れた。
 当時の偉い男性たちの認識というのは「労働力が必要だから女性にも働いてはもらいたい。だけど結婚や出産をしたら、30歳くらいまでに辞めるべきだ」というものでした。女性が働き続けて責任あるポストに就いていくことは、家庭にも社会にも良くないというのが大勢でしたね。そこで条約と法律の関係をよく説明しました。法律ができないと、世界に約束した「女子差別撤廃条約」を批准できません。日本は先進国としての立場をまずくしますよ、と。国のメンツで説明すると、ほとんど理解してくれました。その代わり、必ず「あまり厳しい法律はごめんだ」と釘を刺されました。義務や罰則のないものでないと困ると。そのため無理に義務としないで「ソフトランディングで」と考えたわけです。これはのちに女性団体から非常に怒られるところなんですが、約束でしたから守ったんです。
――その年の秋、日経連が雇用の男女平等のための法律制定に反対する声明を出す動きがあるとのニュースが飛び込んだ。
 まだ法案の中身が決まっていない段階。こんな声明が出たら大変です。慌てて日経連の幹部のところへ説明に行きました。範囲や強さなど何も決まっていない時点で法制化に反対を表明すると、雇用の場での男女平等という原則そのものに反対だということになる。「日本の経営者はそんな考えの持ち主だと世界に知らせるようなことをしていいんですか」と言いました。大企業の社長さんたちですから、国際的な視野もあり、ちゃんと耳を傾けてくれました。すったもんだの末、反対声明は出ませんでした。
■新内閣誕生で一変
 潮目がかわったのは83年の年末です。衆院解散で第2次中曽根康弘内閣が誕生。新しく労働相に就任したのが坂本三十次氏で、彼は熱心に雇用の男女平等について勉強を始めてくれました。これで省内の雰囲気がガラリと変わった。中曽根首相にも面会がかないました。「資本家の走狗(そうく)になる覚悟で」と言われました。あなたは女性労働者の味方と思っているかもしれないが、妥協すれば財界に有利な法律になる、資本家の使い走りの犬だと言われても仕方ないんだよ、という意味でしょうね。すごい悪口よね。脅しのつもりだったのかしら? 私は励ましと思うことにしました。でも、「スゴイ言葉よね」と一緒に行った次官と話したものです。

*2-2:http://digital.asahi.com/articles/ASHBC5DLCHBCULFA001.html
(朝日新聞 2015年10月26日) 〈証言そのとき〉男女平等を求めて:6 「満点ではない」と本音
■元文部相 赤松良子さん
――1984年7月、衆院社会労働委員会で男女雇用機会均等法案の本格的な審議が始まった。
 注目法案ですから、激しい質問もありました。共産党・革新共同の田中美智子議員に「財界からの圧力に屈してこのような法律を作ったのなら、けつをまくったらどうですか。辞職願を出したらどうですか」と言われました。坂本三十次労働相が「赤松(婦人)局長はベストを尽くした」と答弁してくださいました。
■「太陽」の質問され
 その直後、今度は社会民主連合の江田五月議員が質問に立ちました。穏やかな口調で「この法案で法律としてもうできあがったと感じているか、それとももっとすばらしい法律をつくることが課題としてこれから残るとお感じか」と聞かれました。国会答弁には、できるかぎり誠実に答えるのが私のモットーでした。ただ、政府はベストの法案を国会に提出しているというのが建前ですから、たとえ法案に不十分な点があると本心で思っていても、決して言ってはいけないのです。けれど、本音を言ってしまいました。「百点満点だとは決して思っておりません。いろいろな制約の中で現実に見合ったものにしなくてはならない。あまりに現実と遊離したものではワークしないのではないかという考慮もありました」と答えました。イソップ童話「北風と太陽」のようなものですね。北風が吹きつけても旅人はコートを脱ぎませんでしたが、江田議員の質問は太陽のようで、ぽかぽか照らされて私はコートを脱いだのです。
――85年5月、均等法はいくつかの修正を経て衆院本会議で可決・成立した。
 ほっとしました。けれども、そもそも満足している中身ではないので、残念な気持ちもありました。
■後輩に改正を託す
 本会議場で成立を見届けてから、労働省に戻って乾杯しました。局長室のドアを開いて、30~40人くらいいたかしら。「これで役人としての最後の仕事だからお別れだけど、あなたたちは残って、あと何年かかっても必ず改正案を出し、より良いものにしてくださいよ」と後輩たちに言いました。「みにくいアヒルの子を白鳥にしてね」と。どこが不十分だか、作った私たちがよく知っていますからね。そしてその後、均等法は後輩たちの手で97年に改正され、差別を全面的に禁止することになりました。
――均等法成立後、国連の女子差別撤廃条約への批准の手続きも順調に進んだ。
 85年7月、世界女性会議がケニアのナイロビで開かれ、政府代表として出席しました。飛行機には、日本から参加するNGOの女性たちも乗り合わせていました。均等法に大反対していたグループもいて「あれは赤松局長よ、呉越同舟ね」という声が聞こえてきました。それを言った人とは、のちに女子差別撤廃条約の研究や普及のNGO活動を一緒にして、いまも仲良くしているんですけどね。まさに日本の条約批准が発効する日を、ナイロビの会議中に迎えました。私は会議でそれに触れ、まだ批准していない国にはぜひ早く批准して欲しいとスピーチをしました。その日は政府代表で来ていた女性官僚たちと街へ繰り出し、ドンペリを飲んで批准を祝いました。世界女性会議には各省の女性官僚が代表として出ました。

<専業主婦の薦めと専業主婦優遇>
*3-1:http://eyes-woman.com/life/2249/ (女性の人生, 恋愛・結婚 2014/9/25) 「結婚したら仕事を辞める、それが私という女の生き方です」大スターから主婦の道へ英断した、山口百恵
 今回は、売り上げたシングルは1630万枚、LP434万枚と絶頂期にありながら、俳優三浦友和さんと結婚し、引退した女性、山口百恵さんの、引退後30年たつ今でも、色あせない魅力を見つめます。
●ワタシのあの頃
◇オーディションで勝ち取ったデビュー。自身がどんどん自分の個性を引き出していった
 1972年に、オーディション番組『スター誕生!』で準優勝し、20社 から指名を受け芸能界入り。年齢が低くビジュアル面でも純朴な少女が大胆な大人の世界を歌うことで、「青い果実」「ひと夏の経験」などが次々と大ヒットに。この歌とビジュアルのギャップは所属事務所やレコード会社による周到なイメージ戦略の賜物でもありましたが、何より彼女自身が山口百恵というイメージを作り上げていったのでした。当時のスタッフは、こう振り返ります。“「テレビや映画での演技、読書や海外のアーティストの音楽などから色々なことを吸収し、レコードを1枚出すごとに上手くなっていきました。それは、テクニックだけが上手くなっていったということではなく、自然な形で百恵自身の存在感がどんどん大きくなっていき、僕らスタッフでも気圧(けお)される-気分的に圧倒される-ようなところが、他の歌手にはあまり感じなかったところだと思います」。与えられた役割をこなすだけではなく、彼女は、常に自分自身や自分の置かれた状況を、冷静に第三の目で見つめ続けていたように見えます。着るものの色や型によって、気持ちががらりと変わり、歩き方から言葉遣いまで違ってしまう自分に気が付き、仕事によって着る服を選んだり、髪型を変えたり。自身をプロデュースして「山口百恵」像を作り上げていったところも大きかったのではないでしょうか。また、勝手に作られたイメージと本当の自分の姿とのギャップに苦しみながら、心の奥底で静かに闘っている女性でもありました。どんな人でも、自分が勘違いされていると感じ、理不尽な思いをした経験があるはず。だからこそ、人々は彼女に魅かれていったのでしょう。
◇変わったきっかけ
21歳、絶頂期の中の完全引退。彼女は一人の女性としての幸せを選んだ。映画『伊豆の踊子』で共演した相手役の三浦友和さんとは、彼女の主演映画13作のうち12作も共演。二人はゴールデンコンビと呼ばれました。そして、1979年のリサイタルで、突如「私が好きな人は、三浦友和さんです」と発表。婚約発表での引退発表は、世間に衝撃を与えました。まだ21歳という若いトップスターの引退。世の中は女性進出が進み始めた時代でもあり、絶頂期にも関わらず突如として家庭に入ることに否定的な意見も多かったのです。
◇“「結婚したら仕事を辞めよう」
 あの時にはまだ、ふたりの間で“結婚”という言葉を、正式に取り交わしていなかった。ただ、このままいけば私は多分、この人と結婚するだろうとだけ、漠然とだが予感していた。やっぱり、仕事を辞めよう・・・ある日突然に私の心に浮かんだ結論。直感としか言いようがなかった。彼女はこの直観を信じて、自分のこれから先の人生を決定しました。「女優・歌手」の山口百恵としてではなく、一人の女性としての「山口百恵」を選んだのです。彼女は、世の中の、引退に否定的な意見に関しても、自分の意見をしっかり述べています。山口百恵という女性の魅力は、しっかりとした自分自身の考えをもち、世間に媚びなかったところにあるのかもしれません。彼女は、自叙伝「蒼い時」で、こう綴っています。“仕事でも家庭でも恋人でもいい。生きている中で、何が大切なのかをよく知っている女性こそが自立した女性なのだ。絶頂期の中での引退に「あなたのせいで、女性の地位は10年前に逆戻りした」、「たかが男のために、その身を滅ぼそうとしている」などと批判されながらも、彼女の思いはブレることがなかったのです。男性社会の中で声高に「私は自立する女よ」と肩ひじ張って生きなくとも、「家庭の中にも自立の道はある」と言いきることのできる潔さ。世間が「堕落や逃げ」だと決めつけている「スターから家庭への転落」というものに、新しい光を当てたのも彼女なのではないでしょうか。
◇ワタシの今、そしてこれから
 これからも大事に家を作っていきます。息子の三浦貴大は、一度も両親のけんかを見たことがないといいます。“私たちも機嫌の悪い時もある、そんな時は私たちにはひとつの決まりがある。・・・順番に天使になる、つまりトラブルが起きた後、どちらが間違っていようとも、いつも一方が引いて間違いを認めれば、お互い幸せでいられる。また、2012年の路上インタビューでも、山口さんはしっかり「今」を生きており、芸能界カムバックはまったくないことがうかがえます。“家のことしかしてませんから。・・・今まで通り、普通にやっていきます。ああしたい、こうしたいというのはなくて、何かあれば、主人に相談しながら、大事に家を作っていきたいと思っています。一見「地味」ともとられがちな「主婦」という仕事をしっかりこなし、夫や子どもたちを支えている山口百恵さん。それは、彼女の中にある「家庭」というものに対する考え方に、しっかりした基盤があるからにほかなりません。「家庭」を自分の世界をしっかり確立できる唯一の場所ととらえ、主婦ほどむずかしい仕事はないのではないかと考えているからこそ、そこに真剣に生きようと思う。過去の栄光とすっぱり決別した潔さがそこにあります。彼女には「凛とした美しさ」が漂い、言葉のはしばしに聡明さが漂います。それらが引退後30年を経た今でも我々の心をとらえて離さないのではないでしょうか。

*3-2:http://www.office-onoduka.com/nenkinblog/2007/07/3_2.html (厚生年金・国民年金情報通) 厚生年金と国民年金のニュース、年金法改正、用語説明、消えた年金問題など年金生活のための年金情報
◇国民年金の第3号被保険者とは?
 国民年金の第3号被保険者とは、ごく一般的に言うと、会社員の夫に扶養されている20歳以上60歳未満の妻のことです。正確には、厚生年金や共済年金に加入しているもの(国民年金の第2号被保険者)に扶養(年収130万円未満)されている、20歳以上60歳未満の配偶者です。第3号被保険者割合は、の99%が妻、1%が夫となっていますので、ここでは妻と断定して話を進めます。
◇第3号被保険者の問題点「不公平感」
 第3号被保険者問題の一番問題とされているのが保険料負担の不公平感です。第3号被保険者の保険料は誰が負担しているかと言えば、第2号被保険者全員で負担しているわけで、その中には母子家庭の母や、独身女性、共働き女性も含まれています。また、将来自分の年金を受け取るのに、自分で保険料を払わなければならない自営業妻の専業主婦、自営業共働きの女性、厚生年金に入れない母子家庭の母、学生から無職の人まで、第1号被保険者と比べても不公平感はぬぐえません。片方では保険料を払い、片方では保険料負担なしで同じ金額の年金を受け取る。所得が低い人や障害があって保険料が免除になっている人ならまだ保険料負担がないことに納得できますが、その免除の人たちは免除の種類に応じて受け取れる年金額は2分の1、3分の1など削られたものになってしまいます。それに対して第3号被保険者は、第1号被保険者、第2号被保険者と同じく、基礎年金はカットなしの全額給付です。専業主婦(第3号被保険者)のいる家庭というのは、育児・介護等やむをえないケースを除き、夫一人で家計を支えることができる比較的恵まれた世帯ということができますので・・・(最近ではそうでもないかもしれませんが。(中略)
◇第3号被保険者導入の歴史
 第3号被保険者は昭和61年(1986年)4月、基礎年金制度ができた時に誕生した制度です。それまで国民年金、厚生年金、共済年金はそれぞれ別々の管理運営がされており、国民年金については、夫が厚生年金加入者である専業主婦は任意加入でした。そのため、国民年金に任意加入しない妻もおよそ3割存在し、離婚した場合には将来無年金となる怖れがありました。そこで、将来自分自身の基礎年金を受け取れるように、厚生年金加入の夫を持つ専業主婦については保険料無拠出で年金に加入できる制度、第3号被保険者が誕生したのです。(以下略)

<1997年改正男女雇用機会均等法>
*4:http://wol.nikkeibp.co.jp/article/column/20091207/105154/
(日経ウーマン 2009年12月8日) 1997年改正男女雇用機会均等法成立
1986年に施行された男女雇用機会均等法の改正法がこの年の6月に成立し、(施行は1999年4月1日)、法律としての実効性が大きく前進しました。主な改正点は以下の点です。
 (1)女性に対する差別の努力義務規定が禁止規定に
 (2)ポジティブ・アクション、セクシュアルハラスメント関連の規定の創設
 (3)母性健康管理措置の義務規定化(施行は1998年4月1日)
 この改正法では、募集・採用、配置・昇進、教育訓練、福利厚生、定年・退職・解雇において、男女差をつけることが全面的に禁止されました。1986年に施行された均等法では、経済界からの強烈な反発もあり、募集・採用、配置・昇進については努力目標とするにとどまっていたものが、この改正で罰則を伴う禁止規定となったのです。これ以後、基本的に男性のみ、女性のみの求人募集は法律違反となりますが、特例として、その企業が過去に男性を優先的に採用していた実績があるために男女間の従業員数や雇用管理に差が生じている場合は女性を優先的に雇用する「ポジティブ・アクション」によりその差の解消することは違法ではないと規定されました。また、改正法により、職種をできるだけ性別的には中立に表現する形で募集を行うこと進められました。「保母」が「保育士」に、「看護婦」が「看護士」に変更されたのもこの年のことです。さらに、この年に行われた労働基準法の改正に伴い、女性に対する深夜労働・残業や休日労働の制限が撤廃されました。これによりそれまでは実際には残業をしても「本来深夜労働をするはずがない」ということで残業代が請求できなかった事務職の女性たちにきちんと残業代が支払われるようになったり、保護を口実とした女性の排除が難しくなったりというプラス面もあったのですが、他方で深夜や長時間の労働で子育てや介護と仕事の両立の困難に直面したり、激しい労働により健康を害する女性も数多く見られるようになりました。ところで、この改正法にもひとつ大きな問題点がありました。というのも、そもそも男女雇用機会均等法は「女性に対する差別をなくす」という目的で制定された法律なので、もし「男性であることを理由とする差別」があったとしてもこの法律では直接規制ができなかったのです。そのため、商社などの一般職、看護士、保育士などの職種で男性であることを理由に採用されなかった事例は救済できず、法律が男女両性に対する差別を禁止する内容となるためにはさらに2006年まで待たなくてはなりませんでした。

<各国の男女格差>
*5:http://digital.asahi.com/articles/ASHCL5JLWHCLULFA01N.html (朝日新聞 2015年11月19日) 日本の男女格差、少し改善して101位…G7では最下位
 ダボス会議で知られる世界経済フォーラム(WEF)は19日、各国の男女格差(ジェンダーギャップ)の少なさを指数化し、順位で示した最新の報告書を発表した。日本は、世界145カ国中101位だった。前年の104位からわずかに順位を上げたものの、主要7カ国(G7)の中で最下位だった。このランキングは「政治への参加」「職場への進出」「教育」「健康度合い」の4分野の計14の項目を使って、男女平等の度合いを指数化し、総合順位を決める。1位から4位までは、アイスランド、ノルウェー、フィンランド、スウェーデンと北欧諸国が独占。5位から10位はアイルランド、ルワンダ、フィリピン、スイス、スロベニア、ニュージーランドの順だった。日本の近隣国では、ロシアが75位、中国が91位、韓国が115位だった。G7ではドイツ、フランス、英国が10位台に並び、日本をのぞくと最下位のイタリアが41位だった。世界全体では、4分野のうち、「教育」「健康」では格差が縮小していて、男女の差はなくなりつつある。一方、「政治」「職場」の分野は、依然として大きな格差が残ったままだ。2006年の報告書と比べると、過去10年間で「職場」の男女格差は3%、4分野全体での格差も4%しか縮まっていない。WEFは、このままでは「格差が完全に解消するには118年かかる」としている。
■政治・職場、格差解消ほど遠く
 日本が三つとはいえ順位を上げたのは、女性閣僚が増え、「政治」の得点がアップしたからだ。報告書は15年1月時点のデータを使っており、前年の2人から4人に倍増した。衆院議員に占める女性の割合もわずかに上昇した。ただ、それでも「政治」の得点は10・3点で、格差解消にはほど遠い。世界では100以上の国が「候補者に占める一方の性の割合は6割を超えない」など何らかの「クオータ(割り当て)」のしくみを採用し、女性の政治家を増やしている。日本でも今年、超党派の国会議員が参加する「政治分野における女性の参画と活躍を推進する議員連盟」(中川正春会長)が発足。勉強会をかさね、衆院選の比例区で、各政党が男女を交互に当選させることができるようにする公職選挙法の改正案をまとめた。中川氏は「次期通常国会での提出を目指す」としており、各政党の動向が注目される。一方、「職場」分野は前年よりわずかに悪化した。女性の労働参加率は上がったが、男女の賃金格差が広がったためだ。WEFが行った意識調査で、日本の経営者は、同種の仕事についている男女の賃金格差が拡大していると考えている、という結果が出たことを反映している。働く女性は増えているが、待遇を低く抑えられた非正社員が多いことが背景にありそうだ。総務省の労働力調査(4~6月)によると、この2年で働く女性は65万人増えたが、そのうち48万人は契約社員や派遣、パートなどの非正社員だ。東京大の大沢真理教授は、「アベノミクスは女性の活躍をうたっているが、男女格差の解消には向かっていないことが報告書から分かる」と指摘する。

<女子差別撤廃条約>
*6:http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/josi/ (外務省 平成28年2月18日) 女子差別撤廃条約 (女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約)
 女子差別撤廃条約は、男女の完全な平等の達成に貢献することを目的として、女子に対するあらゆる差別を撤廃することを基本理念としています。具体的には、「女子に対する差別」を定義し、締約国に対し、政治的及び公的活動、並びに経済的及び社会的活動における差別の撤廃のために適当な措置をとることを求めています。本条約は、1979年の第34回国連総会において採択され、1981年に発効しました。日本は1985年に締結しました。
ダイヤhttp://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/josi/3b_001.html
女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約 (全文、ただし前文の中に番号を追加)
この条約の締約国は、
 ①国際連合憲章が基本的人権、人間の尊厳及び価値並びに男女の権利の平等に関する信念を改めて確認していることに留意し、②世界人権宣言が、差別は容認することができないものであるとの原則を確認していること、並びにすべての人間は生まれながらにして自由であり、かつ、尊厳及び権利について平等であること並びにすべての人は性による差別その他のいかなる差別もなしに同宣言に掲げるすべての権利及び自由を享有することができることを宣明していることに留意し、③人権に関する国際規約の締約国がすべての経済的、社会的、文化的、市民的及び政治的権利の享有について男女に平等の権利を確保する義務を負つていることに留意し、④国際連合及び専門機関の主催の下に各国が締結した男女の権利の平等を促進するための国際条約を考慮し、⑤更に、国際連合及び専門機関が採択した男女の権利の平等を促進するための決議、宣言及び勧告に留意し、⑥しかしながら、これらの種々の文書にもかかわらず女子に対する差別が依然として広範に存在していることを憂慮し、⑦女子に対する差別は、権利の平等の原則及び人間の尊厳の尊重の原則に反するものであり、女子が男子と平等の条件で自国の政治的、社会的、経済的及び文化的活動に参加する上で障害となるものであり、社会及び家族の繁栄の増進を阻害するものであり、また、女子の潜在能力を自国及び人類に役立てるために完全に開発することを一層困難にするものであることを想起し、⑧窮乏の状況においては、女子が食糧、健康、教育、雇用のための訓練及び機会並びに他の必要とするものを享受する機会が最も少ないことを憂慮し、⑨衡平及び正義に基づく新たな国際経済秩序の確立が男女の平等の促進に大きく貢献することを確信し、⑩アパルトヘイト、あらゆる形態の人種主義、人種差別、植民地主義、新植民地主義、侵略、外国による占領及び支配並びに内政干渉の根絶が男女の権利の完全な享有に不可欠であることを強調し、⑪国際の平和及び安全を強化し、国際緊張を緩和し、すべての国(社会体制及び経済体制のいかんを問わない。)の間で相互に協力し、全面的かつ完全な軍備縮小を達成し、特に厳重かつ効果的な国際管理の下での核軍備の縮小を達成し、諸国間の関係における正義、平等及び互恵の原則を確認し、外国の支配の下、植民地支配の下又は外国の占領の下にある人民の自決の権利及び人民の独立の権利を実現し並びに国の主権及び領土保全を尊重することが、社会の進歩及び発展を促進し、ひいては、男女の完全な平等の達成に貢献することを確認し、⑫国の完全な発展、世界の福祉及び理想とする平和は、あらゆる分野において女子が男子と平等の条件で最大限に参加することを必要としていることを確信し、⑬家族の福祉及び社会の発展に対する従来完全には認められていなかつた女子の大きな貢献、母性の社会的重要性並びに家庭及び子の養育における両親の役割に留意し、また、出産における女子の役割が差別の根拠となるべきではなく、子の養育には男女及び社会全体が共に責任を負うことが必要であることを認識し、⑭社会及び家庭における男子の伝統的役割を女子の役割とともに変更することが男女の完全な平等の達成に必要であることを認識し、⑮女子に対する差別の撤廃に関する宣言に掲げられている諸原則を実施すること及びこのために女子に対するあらゆる形態の差別を撤廃するための必要な措置をとることを決意して、次のとおり協定した。
第一部
第一条
 この条約の適用上、「女子に対する差別」とは、性に基づく区別、排除又は制限であつて、政治的、経済的、社会的、文化的、市民的その他のいかなる分野においても、女子(婚姻をしているかいないかを問わない。)が男女の平等を基礎として人権及び基本的自由を認識し、享有し又は行使することを害し又は無効にする効果又は目的を有するものをいう。
第二条
 締約国は、女子に対するあらゆる形態の差別を非難し、女子に対する差別を撤廃する政策をすべての適当な手段により、かつ、遅滞なく追求することに合意し、及びこのため次のことを約束する。   (a)  男女の平等の原則が自国の憲法その他の適当な法令に組み入れられていない場合にはこれを定め、かつ、男女の平等の原則の実際的な実現を法律その他の適当な手段により確保すること。
(b)女子に対するすべての差別を禁止する適当な立法その他の措置(適当な場合には制裁を含む。)をとること。
(c)女子の権利の法的な保護を男子との平等を基礎として確立し、かつ、権限のある自国の裁判所その他の公の機関を通じて差別となるいかなる行為からも女子を効果的に保護することを確保すること。
(d)女子に対する差別となるいかなる行為又は慣行も差し控え、かつ、公の当局及び機関がこの義務に従つて行動することを確保すること。
(e)個人、団体又は企業による女子に対する差別を撤廃するためのすべての適当な措置をとること。
(f)女子に対する差別となる既存の法律、規則、慣習及び慣行を修正し又は廃止するためのすべての適当な措置(立法を含む。)をとること。
(g)女子に対する差別となる自国のすべての刑罰規定を廃止すること。
第三条
 締約国は、あらゆる分野、特に、政治的、社会的、経済的及び文化的分野において、女子に対して男子との平等を基礎として人権及び基本的自由を行使し及び享有することを保障することを目的として、女子の完全な能力開発及び向上を確保するためのすべての適当な措置(立法を含む。)をとる。
第四条
1 締約国が男女の事実上の平等を促進することを目的とする暫定的な特別措置をとることは、この条約に定義する差別と解してはならない。ただし、その結果としていかなる意味においても不平等な又は別個の基準を維持し続けることとなつてはならず、これらの措置は、機会及び待遇の平等の目的が達成された時に廃止されなければならない。
2 締約国が母性を保護することを目的とする特別措置(この条約に規定する措置を含む。)をとることは、差別と解してはならない。
第五条
 締約国は、次の目的のためのすべての適当な措置をとる。  
(a)両性のいずれかの劣等性若しくは優越性の観念又は男女の定型化された役割に基づく偏見及び慣習その他あらゆる慣行の撤廃を実現するため、男女の社会的及び文化的な行動様式を修正すること。
(b)家庭についての教育に、社会的機能としての母性についての適正な理解並びに子の養育及び発育における男女の共同責任についての認識を含めることを確保すること。あらゆる場合において、子の利益は最初に考慮するものとする。
第六条
 締約国は、あらゆる形態の女子の売買及び女子の売春からの搾取を禁止するためのすべての適当な措置(立法を含む。)をとる。


PS(2016年3月7日追加):*7のように、《保育園落ちた日本死ね!!!》と題した匿名のブログで「1億総活躍社会のかけ声にもかかわらず、保育園不足が解消していない」と安倍首相を攻撃するのは、味方を攻撃しており感心しない。その理由は、*8の女性活躍推進法は、(冗長な割に内容に乏しく出来はよくないが、私が手紙に書いた提案をきっかけとして)2015年8月に安倍首相が成立させてくれたものであり、1億総活躍は女性の活躍を含むもので、保育園不足は数十年前からあって安倍首相に責任があるわけではなく、女性差別をなくして解決しようとしている人に対して苦情を言っているからである。
 なお、*7については、①どうすんだよ私活躍出来ねーじゃねーか ②安倍晋三首相は「匿名である以上、実際に本当であるかどうかを、私は確かめようがない」と答弁した ③事務職の正社員で4月に復職の予定だったが保育所に子どもを入れられなかった とのことだが、①③については、都会の保育園不足は前からわかっているため、育てる算段を立ててから子どもを産むべきである上、少なくとも妊娠中から保育園や学童保育に入れるような地域を選んで引っ越しておくくらいの努力はすべきで、そういう場所が見つからなければ夫婦の一方が子どもか仕事かの二者択一になるのだ。そして、そんなことはわかっているからこそ、私は子どもではなく仕事を選び、子どもの扶養控除もとらずに保育園や学童保育の整備をしてきたし、安倍首相も子どもはいないのに解決しようとしているのだ。つまり、これから子どもを育てるのなら、恨む相手を間違えないくらいの冷静さがなければ、子どもも八つ当たりされて大変なのである。
 また、②については、匿名で書いたような無責任で一方的な発言に対していちいち相手をする必要はないため、政策に反映してもらいたければ、主権者として、首相、国会議員、市長などに、きちんと名前を書いて事情と要望を説明する礼をつくした手紙を出すくらいの努力はすべきだ。

       

*7:http://digital.asahi.com/articles/ASJ3355J2J33UTIL01N.html (朝日新聞 2016年3月4日) 「保育園落ちた日本死ね!」 匿名ブロガーに記者接触
 《保育園落ちた日本死ね!!!》と題した匿名のブログが注目を集めている。1億総活躍社会のかけ声とは裏腹に、なかなか解消しない待機児童問題を指摘する内容で、国会でも取り上げられた。ネット上では同じ境遇の人たちから共感の声が相次いでいる。ブログが書かれたのは2月中旬。《何なんだよ日本。一億総活躍社会じゃねーのかよ。昨日見事に保育園落ちたわ。どうすんだよ私活躍出来ねーじゃねーか》。怒りをぶつけるような書きぶりだ。2月29日の衆院予算委員会では、民主党の山尾志桜里議員が取り上げた。安倍晋三首相は「匿名である以上、実際に本当であるかどうかを、私は確かめようがない」と答弁。議員席からは「誰が(ブログを)書いたんだよ」「(質問者は)ちゃんと(書いた)本人を出せ」とやじが飛んだ。記者がメールでブログの主に連絡を取ると、東京都内に暮らす30代前半の女性と名乗った。夫と間もなく1歳になる男児と3人暮らし。事務職の正社員で、4月に復職の予定だったが、保育所に子どもを入れられなかったという。ツイッターでは《#保育園落ちたの私だ》というハッシュタグ(検索ワード)ができ、議論が盛り上がった。《同じ悩み抱えてる人がたくさんいるからブログが広まった》《仕事だけでなく、親や子どもが外とつながる機会を持つ意味でも子どもを預けられることは大事》。投稿は相次ぎ、2千回以上リツイート(転載)されたものもあった。投稿した一人、都内の40代女性は5年前に出産。子どもを保育所に預けられなかったため、半年間、育児休業を延長し、その間に認可外保育所を探して職場復帰したという。「ブログの表現は乱暴だけど、よくぞいってくれたという気分」。ネット上の議論の矛先は国会論戦の「中身のなさ」や「やじの多さ」にも向かう。1歳の男の子を育てる女性(36)は「ブログを読み、自分の首がもげるのではと思うくらいうなずいた。国会のやりとりを聞いていると、政府が本気で考えているとは思えない」と憤った。

<女性活躍推進法>
*8:http://www.gender.go.jp/policy/suishin_law/pdf/law_honbun.pdf
女性の職業生活における活躍の推進に関する法律
目次
第一章総則(第一条―第四条)
第二章基本方針等(第五条・第六条)
第三章事業主行動計画等
第一節事業主行動計画策定指針(第七条)
第二節一般事業主行動計画(第八条―第十四条)
第三節特定事業主行動計画(第十五条)
第四節女性の職業選択に資する情報の公表(第十六条・第十七条)
第四章女性の職業生活における活躍を推進するための支援措置(第十八条―第二十五条)
第五章雑則(第二十六条―第二十八条)
第六章罰則(第二十九条―第三十四条)
附則
第一章総則
(目的)
第一条この法律は、近年、自らの意思によって職業生活を営み、又は営もうとする女性がその個性と能力を十分に発揮して職業生活において活躍すること(以下「女性の職業生活における活躍」という。)が一層重要となっていることに鑑み、男女共同参画社会基本法(平成十一年法律第七十八号)の基本理念にのっとり、女性の職業生活における活躍の推進について、その基本原則を定め、並びに国、地方公共団体及び事業主の責務を明らかにするとともに、基本方針及び事業主の行動計画の策定、女性の職業生活における活躍を推進するための支援措置等について定めることにより、女性の職業生活における活躍を迅速かつ重点的に推進し、もって男女の人権が尊重され、かつ、急速な少子高齢化の進展、国民の需要の多様化その他の社会経済情勢の変化に対応できる豊かで活力ある社会を実現することを目的とする。
(基本原則)
第二条女性の職業生活における活躍の推進は、職業生活における活躍に係る男女間の格差の実情を踏まえ、自らの意思によって職業生活を営み、又は営もうとする女性に対する採用、教育訓練、昇進、職種及び雇用形態の変更その他の職業生活に関する機会の積極的な提供及びその活用を通じ、かつ、性別による固定的な役割分担等を反映した職場における慣行が女性の職業生活における活躍に対して及ぼす影響に配慮して、その個性と能力が十分に発揮できるようにすることを旨として、行われなければならない。
2 女性の職業生活における活躍の推進は、職業生活を営む女性が結婚、妊娠、出産、育児、介護その他の家庭生活に関する事由によりやむを得ず退職することが多いことその他の家庭生活に関する事由が職業生活に与える影響を踏まえ、家族を構成する男女が、男女の別を問わず、相互の協力と社会の支援の下に、育児、介護その他の家庭生活における活動について家族の一員としての役割を円滑に果たしつつ職業生活における活動を行うために必要な環境の整備等により、男女の職業生活と家庭生活との円滑かつ継続的な両立が可能となることを旨として、行われなければならない。
3 女性の職業生活における活躍の推進に当たっては、女性の職業生活と家庭生活との両立に関し、本人の意思が尊重されるべきものであることに留意されなければならない。
(国及び地方公共団体の責務)
第三条国及び地方公共団体は、前条に定める女性の職業生活における活躍の推進についての基本原則(次条及び第五条第一項において「基本原則」という。)にのっとり、女性の職業生活における活躍の推進に関して必要な施策を策定し、及びこれを実施しなければならない。
(事業主の責務)
第四条事業主は、基本原則にのっとり、その雇用し、又は雇用しようとする女性労働者に対する職業生活に関する機会の積極的な提供、雇用する労働者の職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備その他の女性の職業生活における活躍の推進に関する取組を自ら実施するよう努めるとともに、国又は地方公共団体が実施する女性の職業生活における活躍の推進に関する施策に協力しなければならない。
第二章基本方針等
(基本方針)
第五条政府は、基本原則にのっとり、女性の職業生活における活躍の推進に関する施策を総合的かつ一体的に実施するため、女性の職業生活における活躍の推進に関する基本方針(以下「基本方針」という。)を定めなければならない。
2 基本方針においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
一女性の職業生活における活躍の推進に関する基本的な方向
二事業主が実施すべき女性の職業生活における活躍の推進に関する取組に関する基本的な事項
三女性の職業生活における活躍の推進に関する施策に関する次に掲げる事項
イ女性の職業生活における活躍を推進するための支援措置に関する事項
ロ職業生活と家庭生活との両立を図るために必要な環境の整備に関する事項
ハその他女性の職業生活における活躍の推進に関する施策に関する重要事項
四前三号に掲げるもののほか、女性の職業生活における活躍を推進するために必要な事項
3 内閣総理大臣は、基本方針の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。
4 内閣総理大臣は、前項の規定による閣議の決定があったときは、遅滞なく、基本方針を公表しなければならない。
5 前二項の規定は、基本方針の変更について準用する。
(都道府県推進計画等)
第六条都道府県は、基本方針を勘案して、当該都道府県の区域内における女性の職業生活における活躍の推進に関する施策についての計画(以下この条において「都道府県推進計画」という。)を定めるよう努めるものとする。
2 市町村は、基本方針(都道府県推進計画が定められているときは、基本方針及び都道府県推進計画)を勘案して、当該市町村の区域内における女性の職業生活における活躍の推進に関する施策についての計画(次項において「市町村推進計画」という。)を定めるよう努めるものとする。
3 都道府県又は市町村は、都道府県推進計画又は市町村推進計画を定め、又は変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
第三章事業主行動計画等
第一節事業主行動計画策定指針
第七条内閣総理大臣、厚生労働大臣及び総務大臣は、事業主が女性の職業生活における活躍の推進に関する取組を総合的かつ効果的に実施することができるよう、基本方針に即して、次条第一項に規定する一般事業主行動計画及び第十五条第一項に規定する特定事業主行動計画(次項において「事業主行動計画」と総称する。)の策定に関する指針(以下「事業主行動計画策定指針」という。)を定めなければならない。
2 事業主行動計画策定指針においては、次に掲げる事項につき、事業主行動計画の指針となるべきものを定めるものとする。
一事業主行動計画の策定に関する基本的な事項
二女性の職業生活における活躍の推進に関する取組の内容に関する事項
三その他女性の職業生活における活躍の推進に関する取組に関する重要事項
3 内閣総理大臣、厚生労働大臣及び総務大臣は、事業主行動計画策定指針を定め、又は変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
第二節一般事業主行動計画
(一般事業主行動計画の策定等)
第八条国及び地方公共団体以外の事業主(以下「一般事業主」という。)であって、常時雇用する労働者の数が三百人を超えるものは、事業主行動計画策定指針に即して、一般事業主行動計画(一般事業主が実施する女性の職業生活における活躍の推進に関する取組に関する計画をいう。以下同じ。)を定め、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣に届け出なければならない。これを変更したときも、同様とする。
2 一般事業主行動計画においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
一計画期間
二女性の職業生活における活躍の推進に関する取組の実施により達成しようとする目標
三実施しようとする女性の職業生活における活躍の推進に関する取組の内容及びその実施時期
3 第一項に規定する一般事業主は、一般事業主行動計画を定め、又は変更しようとするときは、厚生労働省令で定めるところにより、採用した労働者に占める女性労働者の割合、男女の継続勤務年数の差異、労働時間の状況、管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合その他のその事業における女性の職業生活における活躍に関する状況を把握し、女性の職業生活における活躍を推進するために改善すべき事情について分析した上で、その結果を勘案して、これを定めなければならない。この場合において、前項第二号の目標については、採用する労働者に占める女性労働者の割合、男女の継続勤務年数の差異の縮小の割合、労働時間、管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合その他の数値を用いて定量的に定めなければならない。
4 第一項に規定する一般事業主は、一般事業主行動計画を定め、又は変更したときは、厚生労働省令で定めるところにより、これを労働者に周知させるための措置を講じなければならない。
5 第一項に規定する一般事業主は、一般事業主行動計画を定め、又は変更したときは、厚生労働省令で定めるところにより、これを公表しなければならない。
6 第一項に規定する一般事業主は、一般事業主行動計画に基づく取組を実施するとともに、一般事業主行動計画に定められた目標を達成するよう努めなければならない。
7 一般事業主であって、常時雇用する労働者の数が三百人以下のものは、事業主行動計画策定指針に即して、一般事業主行動計画を定め、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣に届け出るよう努めなければならない。これを変更したときも、同様とする。
8 第三項の規定は前項に規定する一般事業主が一般事業主行動計画を定め、又は変更しようとする場合について、第四項から第六項までの規定は前項に規定する一般事業主が一般事業主行動計画を定め、又は変更した場合について、それぞれ準用する。
(基準に適合する一般事業主の認定)
第九条厚生労働大臣は、前条第一項又は第七項の規定による届出をした一般事業主からの申請に基づき、厚生労働省令で定めるところにより、当該事業主について、女性の職業生活における活躍の推進に関する取組に関し、当該取組の実施の状況が優良なものであることその他の厚生労働省令で定める基準に適合するものである旨の認定を行うことができる。
(認定一般事業主の表示等)
第十条前条の認定を受けた一般事業主(次条及び第二十条第一項において「認定一般事業主」という。)は、商品、役務の提供の用に供する物、商品又は役務の広告又は取引に用いる書類若しくは通信その他の厚生労働省令で定めるもの(次項において「商品等」という。)に厚生労働大臣の定める表示を付することができる。
2 何人も、前項の規定による場合を除くほか、商品等に同項の表示又はこれと紛らわしい表示を付してはならない。
(認定の取消し)
第十一条厚生労働大臣は、認定一般事業主が次の各号のいずれかに該当するときは、第九条の認定を取り消すことができる。
一第九条に規定する基準に適合しなくなったと認めるとき。
二この法律又はこの法律に基づく命令に違反したとき。
三不正の手段により第九条の認定を受けたとき。
(委託募集の特例等)
第十二条承認中小事業主団体の構成員である中小事業主(一般事業主であって、常時雇用する労働者の数が三百人以下のものをいう。以下この項及び次項において同じ。)が、当該承認中小事業主団体をして女性の職業生活における活躍の推進に関する取組の実施に関し必要な労働者の募集を行わせようとする場合において、当該承認中小事業主団体が当該募集に従事しようとするときは、職業安定法(昭和二十二年法律第百四十一号)第三十六条第一項及び第三項の規定は、当該構成員である中小事業主については、適用しない。
2 この条及び次条において「承認中小事業主団体」とは、事業協同組合、協同組合連合会その他の特別の法律により設立された組合若しくはその連合会であって厚生労働省令で定めるもの又は一般社団法人で中小事業主を直接又は間接の構成員とするもの(厚生労働省令で定める要件に該当するものに限る。)のうち、その構成員である中小事業主に対して女性の職業生活における活躍の推進に関する取組を実施するための人材確保に関する相談及び援助を行うものであって、その申請に基づいて、厚生労働大臣が、当該相談及び援助を適切に行うための厚生労働省令で定める基準に適合する旨の承認を行ったものをいう。
3 厚生労働大臣は、承認中小事業主団体が前項に規定する基準に適合しなくなったと認めるときは、同項の承認を取り消すことができる。
4 承認中小事業主団体は、第一項に規定する募集に従事しようとするときは、厚生労働省令で定めるところにより、募集時期、募集人員、募集地域その他の労働者の募集に関する事項で厚生労働省令で定めるものを厚生労働大臣に届け出なければならない。
5 職業安定法第三十七条第二項の規定は前項の規定による届出があった場合について、同法第五条の三第一項及び第三項、第五条の四、第三十九条、第四十一条第二項、第四十八条の三、第四十八条の四、第五十条第一項及び第二項並びに第五十一条の二の規定は前項の規定による届出をして労働者の募集に従事する者について、同法第四十条の規定は同項の規定による届出をして労働者の募集に従事する者に対する報酬の供与について、同法第五十条第三項及び第四項の規定はこの項において準用する同条第二項に規定する職権を行う場合について、それぞれ準用する。この場合において、同法第三十七条第二項中「労働者の募集を行おうとする者」とあるのは「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律第十二条第四項の規定による届出をして労働者の募集に従事しようとする者」と、同法第四十一条第二項中「当該労働者の募集の業務の廃止を命じ、又は期間」とあるのは「期間」と読み替えるものとする。
6 職業安定法第三十六条第二項及び第四十二条の二の規定の適用については、同法第三十六条第二項中「前項の」とあるのは「被用者以外の者をして労働者の募集に従事させようとする者がその被用者以外の者に与えようとする」と、同法第四十二条の二中「第三十九条に規定する募集受託者」とあるのは「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(平成二十七年法律第六十四号)第十二条第四項の規定による届出をして労働者の募集に従事する者」とする。
7 厚生労働大臣は、承認中小事業主団体に対し、第二項の相談及び援助の実施状況について報告を求めることができる。
第十三条公共職業安定所は、前条第四項の規定による届出をして労働者の募集に従事する承認中小事業主団体に対して、雇用情報及び職業に関する調査研究の成果を提供し、かつ、これらに基づき当該募集の内容又は方法について指導することにより、当該募集の効果的かつ適切な実施を図るものとする。
(一般事業主に対する国の援助)
第十四条国は、第八条第一項若しくは第七項の規定により一般事業主行動計画を策定しようとする一般事業主又はこれらの規定による届出をした一般事業主に対して、一般事業主行動計画の策定、労働者への周知若しくは公表又は一般事業主行動計画に基づく措置が円滑に実施されるように相談その他の援助の実施に努めるものとする。
第三節特定事業主行動計画
第十五条国及び地方公共団体の機関、それらの長又はそれらの職員で政令で定めるもの(以下「特定事業主」という。)は、政令で定めるところにより、事業主行動計画策定指針に即して、特定事業主行動計画(特定事業主が実施する女性の職業生活における活躍の推進に関する取組に関する計画をいう。以下この条において同じ。)を定めなければならない。
2 特定事業主行動計画においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
一計画期間
二女性の職業生活における活躍の推進に関する取組の実施により達成しようとする目標
三実施しようとする女性の職業生活における活躍の推進に関する取組の内容及びその実施時期
3 特定事業主は、特定事業主行動計画を定め、又は変更しようとするときは、内閣府令で定めるところにより、採用した職員に占める女性職員の割合、男女の継続勤務年数の差異、勤務時間の状況、管理的地位にある職員に占める女性職員の割合その他のその事務及び事業における女性の職業生活における活躍に関する状況を把握し、女性の職業生活における活躍を推進するために改善すべき事情について分析した上で、その結果を勘案して、これを定めなければならない。この場合において、前項第二号の目標については、採用する職員に占める女性職員の割合、男女の継続勤務年数の差異の縮小の割合、勤務時間、管理的地位にある職員に占める女性職員の割合その他の数値を用いて定量的に定めなければならない。
4 特定事業主は、特定事業主行動計画を定め、又は変更したときは、遅滞なく、これを職員に周知させるための措置を講じなければならない。
5 特定事業主は、特定事業主行動計画を定め、又は変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
6 特定事業主は、毎年少なくとも一回、特定事業主行動計画に基づく取組の実施の状況を公表しなければならない。
7 特定事業主は、特定事業主行動計画に基づく取組を実施するとともに、特定事業主行動計画に定められた目標を達成するよう努めなければならない。
第四節女性の職業選択に資する情報の公表
(一般事業主による女性の職業選択に資する情報の公表)
第十六条第八条第一項に規定する一般事業主は、厚生労働省令で定めるところにより、職業生活を営み、又は営もうとする女性の職業選択に資するよう、その事業における女性の職業生活における活躍に関する情報を定期的に公表しなければならない。
2 第八条第七項に規定する一般事業主は、厚生労働省令で定めるところにより、職業生活を営み、又は営もうとする女性の職業選択に資するよう、その事業における女性の職業生活における活躍に関する情報を定期的に公表するよう努めなければならない。
(特定事業主による女性の職業選択に資する情報の公表)
第十七条特定事業主は、内閣府令で定めるところにより、職業生活を営み、又は営もうとする女性の職業選択に資するよう、その事務及び事業における女性の職業生活における活躍に関する情報を定期的に公表しなければならない。
第四章女性の職業生活における活躍を推進するための支援措置
(職業指導等の措置等)
第十八条国は、女性の職業生活における活躍を推進するため、職業指導、職業紹介、職業訓練、創業の支援その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
2 地方公共団体は、女性の職業生活における活躍を推進するため、前項の措置と相まって、職業生活を営み、又は営もうとする女性及びその家族その他の関係者からの相談に応じ、関係機関の紹介その他の情報の提供、助言その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
3 地方公共団体は、前項に規定する業務に係る事務の一部を、その事務を適切に実施することができるものとして内閣府令で定める基準に適合する者に委託することができる。
4 前項の規定による委託に係る事務に従事する者又は当該事務に従事していた者は、正当な理由なく、当該事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。
(財政上の措置等)
第十九条国は、女性の職業生活における活躍の推進に関する地方公共団体の施策を支援するために必要な財政上の措置その他の措置を講ずるよう努めるものとする。
(国等からの受注機会の増大)
第二十条国は、女性の職業生活における活躍の推進に資するため、国及び公庫等(沖縄振興開発金融公庫その他の特別の法律によって設立された法人であって政令で定めるものをいう。)の役務又は物件の調達に関し、予算の適正な使用に留意しつつ、認定一般事業主その他の女性の職業生活における活躍に関する状況又は女性の職業生活における活躍の推進に関する取組の実施の状況が優良な一般事業主(次項において「認定一般事業主等」という。)の受注の機会の増大その他の必要な施策を実施するものとする。
2 地方公共団体は、国の施策に準じて、認定一般事業主等の受注の機会の増大その他の必要な施策を実施するように努めるものとする。
(啓発活動)
第二十一条国及び地方公共団体は、女性の職業生活における活躍の推進について、国民の関心と理解を深め、かつ、その協力を得るとともに、必要な啓発活動を行うものとする。
(情報の収集、整理及び提供)
第二十二条国は、女性の職業生活における活躍の推進に関する取組に資するよう、国内外における女性の職業生活における活躍の状況及び当該取組に関する情報の収集、整理及び提供を行うものとする。
(協議会)
第二十三条当該地方公共団体の区域において女性の職業生活における活躍の推進に関する事務及び事業を行う国及び地方公共団体の機関(以下この条において「関係機関」という。)は、第十八条第一項の規定により国が講ずる措置及び同条第二項の規定により地方公共団体が講ずる措置に係る事例その他の女性の職業生活における活躍の推進に有用な情報を活用することにより、当該区域において女性の職業生活における活躍の推進に関する取組が効果的かつ円滑に実施されるようにするため、関係機関により構成される協議会(以下「協議会」という。)を組織することができる。
2 協議会を組織する関係機関は、当該地方公共団体の区域内において第十八条第三項の規定による事務の委託がされている場合には、当該委託を受けた者を協議会の構成員として加えるものとする。
3 協議会を組織する関係機関は、必要があると認めるときは、協議会に次に掲げる者を構成員として加えることができる。
一一般事業主の団体又はその連合団体
二学識経験者
三その他当該関係機関が必要と認める者
4 協議会は、関係機関及び前二項の構成員(以下この項において「関係機関等」という。)が相互の連絡を図ることにより、女性の職業生活における活躍の推進に有用な情報を共有し、関係機関等の連携の緊密化を図るとともに、地域の実情に応じた女性の職業生活における活躍の推進に関する取組について協議を行うものとする。
5 協議会が組織されたときは、当該地方公共団体は、内閣府令で定めるところにより、その旨を公表しなければならない。
(秘密保持義務)
第二十四条協議会の事務に従事する者又は協議会の事務に従事していた者は、正当な理由なく、協議会の事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。
(協議会の定める事項)
第二十五条前二条に定めるもののほか、協議会の組織及び運営に関し必要な事項は、協議会が定める。
第五章雑則
(報告の徴収並びに助言、指導及び勧告)
第二十六条厚生労働大臣は、この法律の施行に関し必要があると認めるときは、第八条第一項に規定する一般事業主に対して、報告を求め、又は助言、指導若しくは勧告をすることができる。
(権限の委任)
第二十七条第八条から第十二条まで及び前条に規定する厚生労働大臣の権限は、厚生労働省令で定めるところにより、その一部を都道府県労働局長に委任することができる。
(政令への委任)
第二十八条この法律に定めるもののほか、この法律の実施のため必要な事項は、政令で定める。
第六章罰則
第二十九条第十二条第五項において準用する職業安定法第四十一条第二項の規定による業務の停止の命令に違反して、労働者の募集に従事した者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
第三十条次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
一第十八条第四項の規定に違反した者
二第二十四条の規定に違反した者
第三十一条次の各号のいずれかに該当する者は、六月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
一第十二条第四項の規定による届出をしないで、労働者の募集に従事した者
二第十二条第五項において準用する職業安定法第三十七条第二項の規定による指示に従わなかった者
三第十二条第五項において準用する職業安定法第三十九条又は第四十条の規定に違反した者
第三十二条次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。
一第十条第二項の規定に違反した者
二第十二条第五項において準用する職業安定法第五十条第一項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者
三第十二条第五項において準用する職業安定法第五十条第二項の規定による立入り若しくは検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の陳述をした者
第三十三条法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、第二十九条、第三十一条又は前条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。
第三十四条第二十六条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者は、二十万円以下の過料に処する。
附則
(施行期日)
第一条この法律は、公布の日から施行する。ただし、第三章(第七条を除く。)、第五章(第二十八条を
除く。)及び第六章(第三十条を除く。)の規定並びに附則第五条の規定は、平成二十八年四月一日から施行する。
(この法律の失効)
第二条この法律は、平成三十八年三月三十一日限り、その効力を失う。
2 第十八条第三項の規定による委託に係る事務に従事していた者の当該事務に関して知り得た秘密については、同条第四項の規定(同項に係る罰則を含む。)は、前項の規定にかかわらず、同項に規定する日後も、なおその効力を有する。
3 協議会の事務に従事していた者の当該事務に関して知り得た秘密については、第二十四条の規定(同条に係る罰則を含む。)は、第一項の規定にかかわらず、同項に規定する日後も、なおその効力を有する。
4 この法律の失効前にした行為に対する罰則の適用については、この法律は、第一項の規定にかかわらず、同項に規定する日後も、なおその効力を有する。
(政令への委任)
第三条前条第二項から第四項までに規定するもののほか、この法律の施行に伴い必要な経過措置は、政令で定める。
(検討)
第四条政府は、この法律の施行後三年を経過した場合において、この法律の施行の状況を勘案し、必要があると認めるときは、この法律の規定について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
(社会保険労務士法の一部改正)
第五条社会保険労務士法(昭和四十三年法律第八十九号)の一部を次のように改正する。
別表第一第二十号の二十五の次に次の一号を加える。
二十の二十六女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(平成二十七年法律第六十四号)
(内閣府設置法の一部改正)
第六条内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)の一部を次のように改正する。
附則第二条第二項の表に次のように加える。
平成三十八年三月三十一日女性の職業生活における活躍の推進に関する基本方針(女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(平成二十七年法律第六十四号)第五
条第一項に規定するものをいう。)の策定及び推進に関すること。
理由
女性の職業生活における活躍を迅速かつ重点的に推進し、もって豊かで活力ある社会を実現するため、女性の職業生活における活躍の推進について、その基本原則を定め、並びに国、地方公共団体及び事業主の責務を明らかにするとともに、基本方針及び事業主の行動計画の策定、女性の職業生活における活躍を推進するための支援措置等について定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。


PS(2016年3月9日追加):*9の高校への推薦にまつわる事件は、①万引きの非行歴があると誤った情報を書類に記載し ②万引きの事実がないのに修正されず ③教育委員会は会議資料が正式な書類でなかったため修正しないままにしていたなどと言い訳しており、人の一生を左右する推薦だけに見過ごすことができない。しかし、そもそも推薦制度は公平・公正になりにくい上、普通の人である先生がその時代の“常識”に沿って推薦するため、誰の目から見てもおかしいものだけがはじかれるわけではない。例えば私の場合、「女のくせに謙虚でない」「女だから男に道を譲れ」など、時代の“常識”を変える女子学生の将来性は予測できずに、その時代の“常識”で芽を摘まれそうになったこともあり(こういう時にガードしてくれたのは両親や夫)、男女平等に自己実現しようとしてきた私は、先入観と偏見を排除できない推薦ではなく、公平・公正な試験で東大や公認会計士試験の合非が決まったため助かったのである。

*9:http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160308/k10010436001000.html
(NHK 2016年3月8日) 中3生徒自殺 誤った非行歴で進路指導の経緯は
 去年12月、広島県府中町で中学3年生の男子生徒が自殺した問題で、学校が誤った非行歴に基づいて進路指導を行っていた経緯などを、広島県教育委員会が自殺から3日後に文部科学省に報告していたことが分かりました。文部科学省への報告によりますと、去年12月8日の夕方、男子生徒が自宅で倒れているのを父親が見つけ、生徒は病院に運ばれましたが死亡しました。自宅には自殺をうかがわせる遺書が残されていたということです。その日は生徒と保護者との三者懇談が予定されていましたが、予定の時間になっても生徒は現れず連絡も取れなかったため、担任と両親だけで懇談を行いました。懇談の中で担任は両親に、男子生徒が1年生のときに万引きした事実があるため志望校に推薦できないと伝えたということです。しかし、その後の学校の調べで、この男子生徒が万引きした事実はないことが分かりました。推薦するかどうかの判定の際に使う、問題行動のあった生徒のリストに男子生徒の名前が誤って記録されていたということで、これが事実誤認の原因だとしています。県教育委員会は、こうした経緯などを生徒の自殺から3日後には文部科学省に報告していました。報告によりますと、男子生徒の欠席日数は1、2年生のときは数日で、3年生になってからは1日しか休んでいませんでした。また、学校では去年9月と11月にいじめを把握するためのアンケートを行っていましたが、この生徒の回答にいじめに関する記述はなく、周りの生徒からもこの生徒に関わる記述はなかったということです。文部科学省は「誤った非行歴に基づいた指導によって子ども1人を自殺に追い込んでしまったのであれば大変遺憾で、あってはならないことだ。なぜそのようなことが起きたのか、徹底的に調査してもらいたい」と話しています。資料修正されず誤った記載残る府中町教育委員会によりますと、「万引きの非行歴がある」という自殺した生徒についての誤った情報は、生徒が1年のときに教諭たちの生徒指導用の会議資料に記載されました。資料には複数の生徒の非行歴が記されていて、会議の中では、出席した教諭から自殺した生徒は「実際は万引きをしていない」という指摘があり、万引きの事実がないことを出席した教諭の間で確認し合ったということです。しかし、資料は修正されず、誤った記載は残ったままになりました。これについて教育委員会は、会議の資料が正式な書類ではなかったため、当時関わった教諭が修正しないままにしていたのではないかと説明しています。


PS(2016年3月11日追加):東大医学部は、免疫学・再生医療・公衆衛生学・解剖学・法医学・人類学等々の基礎研究に進む人も多く、患者と接する臨床医になる人ばかりではないため、何が資質になるかは容易に判断できない(国会議員には阿部知子さんがいる)。また、本当に優秀な人が多いので、他大学と同じにする必要はなく、*10の面接は足切り程度に留めるのがよいと考える。さらに、理3の人で(第二外国語ならともかく)日本語や英語のコミュニケーション能力に問題のある人は見ない。そして、私は理2なので理3の人と同じクラスだったが、理3の友人から1972~1975年頃(!)に聞いた言葉のうち、もっともであったため、私が2005年に国会議員になってからすぐに実行したことが下のようにある。
 1)整形外科に進んだ友人がその科を選んだ理由を、「将来は必ずロボットの時代が来るし、自分は
   ロボットに興味があるので、人間の機能を勉強したい」と語った → これにより、私は国会議員に
   なってすぐにロボット議連のメンバーとしてロボット研究を後押ししたが、こういう人が工学部に
   学士入学すればロボットの研究をやりやすいようにすべきであり、医師としての資質ややる気が
   ないなどとして排除しない方が、本人のためだけでなく国のためにもなると考える。
 2)「将来は少子高齢化時代になるので、産科・小児科ではなく高齢者に需要の多い整形外科に進む」
   と言って整形外科に行った人もいる → もっともであるため、この時から私は人口構成と需要構
   造の連動に留意するようにしている。
 3)北方領土のことを知らなかった九州出身の私に、北海道出身の理3の友人が、「北方領土は日本の
   領土だよ。知らないの!」と怒った → 私は、この時はじめて、北方領土は日本の領土だったが、
   ロシアに占有されたのだという歴史を知り、国会議員になってすぐに全島返還のために動いた。
   今はまた、展望があやしくなってきたが・・。

*10:http://digital.asahi.com/articles/DA3S12251804.html
(朝日新聞 2016年3月11日) 東大理科3類、面接を再導入へ 「医師の資質見極め」
 東大によると、理科3類の入学者は主に医学部に進む。医学部では、実習で患者と接する機会を増やすなど、コミュニケーション能力が従来以上に求められている。面接は点数化せず、一定の資質・能力があるかを確認する方針だ。また、入学者には試験の点数は高くても医療や医学を目指す意欲に乏しい学生もいるという。7月をめどに実施方法を、17年には選抜要項をそれぞれ公表する。全国の国公私立大学医学部医学科の入試で、面接がないのは東大と九州大だけ。理科3類は1999年~07年の9年間、面接をしていたことがある。


PS(2016年3月12日追加):*11は、女子差別撤廃条約、男女共同参画社会基本法、女性活躍推進法などに反する発言で、これを中学校の校長が全校集会で言うと、それが学校の雰囲気となって価値感形成期の生徒に悪影響を与える。しかし、こういうことを言う人は、議員・民間議員・メディアにも多く、そういう政策をキャンペーンしているのが根本原因であるため、それらも同時に批判すべきだ。

*11:http://digital.asahi.com/articles/ASJ3C7RL6J3CPTIL03C.html?iref=comtop_pickup_02 (朝日新聞 2016年3月11日) 「女性は2人以上産むことが大切」中学校長、全校集会で
 大阪市立中学校の男性校長が2月29日にあった全校集会で「女性にとって最も大切なのは子どもを2人以上産むこと。仕事でキャリアを積む以上の価値がある。子育てした後に大学で学べばいい」などと発言していたことがわかった。市教育委員会関係者が取材に明らかにした。市教委は不適切発言として懲戒処分を検討している。関係者によると、市教委の聞き取りに校長は発言を認め「間違ったことは言っていない」という趣旨の説明をしたという。今月初め、市教委への匿名の電話で発覚した。校長は2015年3月に定年退職したが、再任用されていた。

| 男女平等::2015.5~2019.2 | 01:41 PM | comments (x) | trackback (x) |

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