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2020.8.15~20 差別なき社会と本当の女性活躍を実現するには (2020年8月21日《図》、22、24、27日追加)

    Wikipedia    2020.7.30日本放送  Wikipedia   2020.7.31産経新聞
    台湾の地図     李登輝元総統    蔡英文総統   中国・米国との関係

(https://search.yahoo.co.jp/video/search?rkf=2&ei=UTF-8&dd=1&p=%E6%9D%8E%E7%99%BB%E8%BC%9D&st=youtube 台湾・李登輝元総統の日本外国特派員協会での記者会見《動画》 2015/7/23 参照)

(1)李登輝元台湾総統のご冥福を祈りつつ
1)李登輝元台湾総統を追悼して
 「台湾民主化の父」と呼ばれた李登輝元総統(1923年《大正12年》1月15日 - 2020年《令和2年》7月30日)が、*1-1のように、7月30日に97歳で亡くなられた。惜しみつつ、ご冥福を祈る

 日本は、太平洋戦争敗戦までの約50年間、台湾を植民地支配し、李元総統は日本の植民地時代に台湾で生まれて京都帝大で学び、日本軍人として終戦を迎えて、「自分は22歳まで日本人だった」と言っておられた。その流暢な日本語で、「日本の政治家は、小手先のことばかり論じている」等と語られていた言葉は、見識の深さを感じさせるものだった。

 台湾大手紙、蘋果日報は、7月31日付の社説で、*1-2のように、李登輝元総統は「政治家」「哲学者」「宗教家」の3つの顔を持つ「類いまれなリーダーだ」と総括し、「台湾に民主主義を残したことは彼の最大の業績だ」と高く評価している。

 李元総統の業績は、民意を反映させる議会改革を断行し、初の総統直接選挙を実現させ、台湾政治の自由化を加速させたことだ。これについては、李元総統が、日本の大正デモクラシー時代に生まれて教育を受けられた影響もあると思う。

 何故なら、女性の私を教育で差別しなかった私の父も大正12年生まれの九州帝大卒で自由平等の思想を持つ人だったし、職場で最初に私を引っ張ってくれたトップも大正12年生まれの陸士出身の人で、戦前生まれにもかかわらず女性を差別することなく、仕事で多くの機会を与えてくれた。皆、時代の激しいうねりの中で戦争に巻き込まれつつも、心には自由・平等・独立の精神を持っていたと思う。

2)台湾と中国の関係
 天安門事件の後、中国共産党が民主化の芽を武力で封じ込めたのとは反対に、李元総統率いる台湾は、民主化路線を歩んで高い経済力を身につけたが、台湾と中国の関係は悪化し、1990年代の半ばには台湾海峡危機が起き、中国は台湾に激しい統一攻勢をかけた。

 このような中、*1-3のように、1972年の「日中国交正常化」時の日中共同声明が、「中華人民共和国政府は,台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であることを重ねて表明する。日本国政府は,この中華人民共和国政府の立場を十分理解し,尊重し,ポツダム宣言第八項に基づく立場を堅持する」としたため、日本は台湾を見捨てて国としての交流を絶つこととなり、中国の圧力によって台湾の国旗や総統府をTV画面で流すことすら難しい状況になった。

 そして、*1-4のように、日本からの李元総統の弔問団には、①安倍政権の閣僚はおらず ②人数も簡素で ③台湾に4時間しか滞在しなかった ため、台湾の学者からは、「日本は台湾との友好より、対中関係を気にしている」と指摘されている。私もそう思うが、我が国の「寄らば大樹の陰」「弱者切り捨て」の態度はあまりに見苦しく、民主主義の理念も感じられないため、少なくとも内政干渉せず、独立国には敬意を持って接するよう、日中共同声明を変更すべきだと考える。

 米国の方は、*1-5のように、李元総統が強化した対米関係を蔡総統が引き継ぎ、中国からの統一圧力に直面する台湾にとって安全保障の最大の後ろ盾となっている。台湾の民主化を進めた李元総統は、「自由と民主主義」を旗印に米国との関係強化に取り組み、李氏が切り開いた米台関係の道筋を現在の蔡英文政権は引き継いでいる。私は、蔡総統が低姿勢だから米国の支持を得ているのだとは思わず、米議会とトランプ政権は、民主主義を護ることに関して日本よりずっと筋が通っているのだと思う。

3)台北での思い出 ← 台湾人は韓国人と異なり、日本を恨んでいなかった! 
 私は、1990年代の前半に台北大学で開催された夫の学会に同伴して、台北に行ったことがある。昼間、1人で大学の近くを歩いていたら、台湾人の品のいい男性から「この台北大学は、日本が作ったことを知っていますか?」と、日本語で声をかけられた。

 外国で外国人から流暢な日本語で声をかけられたことにまず驚いたのだが、中国や韓国の反日ばかりが報道される中で、太平洋戦争後に日本に好意を持つ国があることも予想外だったため、「知りませんでした」と答えるのがやっとだったが、私の2重の驚きは顔に書いてあったようで、その方は笑顔で去って行かれた。

 その夜の懇親会に、白大島の着物に真っ白の帯を組みあわせ、紫とこげ茶の模様が入った帯揚げ・帯締めをして、夫と同伴で出席したところ、私が入っていった時に拍手が起こり、多くの人が立ち上がってこちらを向いて拍手してくれたのにも驚いた。深く考えて選んだわけではなかったが、台湾に近い奄美大島の本場大島紬を着たのがよかったかも知れない。

(2)日本における女性活躍
1)職場での女性差別解消はどこまで進んだか
 台湾では、李元総統に見いだされた女性初の蔡総統が活躍している。日本で初の女性首相はまだ誕生していないが、私は、日本で女性初の首相になる人は伊藤博文・李登輝級であって欲しいと思っている。

 そのような中、*2-1のように、日本では「①高賃金の男女間で説明できない格差が拡大している」「②昇進に伴う昇給格差にもガラスの天井がある」「③外形的なポストの差解消だけでは不十分」という記事があり、ジェンダーも、やっとこういう分析が行われるところまで来たかと思った。

 経験的には、「ガラスの天井」と「床への張りつき」は確かにあり、日本は両方が観察される先進国では特殊な国というのも事実だ。そして、これは女性の管理職への昇進が難しいことが一因だが、昇進に伴う昇給でも男女間格差は大きく、同じ役職でも女性は基幹的でないポスト(名ばかり管理職)に配置されている可能性が高いと分析されており、実際に日本企業ではよくあることだ。

 日本では、女性活躍推進法が施行され、常時雇用する労働者が301人以上の事業主は、女性従業員の勤務状況を数値で把握し、改善のための数値目標を立てて実行に移すことが義務付けられている。そして、2022年4月には101人以上の事業主に拡大適用されるそうだが、女性は中小企業で働いている割合が高いため、101人以上の事業主に拡大適用しても多くの女性の実態がつかめないままだろう。

2)男女間の人的資本量蓄積の差異
 *2-1に書かれているとおり、女性労働者への①教育 ②勤続年数 ③労働市場での経験 などの人的資本量は、生産性の違いから合理的な賃金格差を生む。

 そのため、②③を経るためのパスポートとなる①について男女間格差を比較すると、*2-2のように、東大学部学生の女性比率は、2019年5月現在で19.3%だそうだ。ちなみに、京都大の22.3%、大阪大の34.3%となっており、大学全体では学部生の45.4%が女性であるため、難関大学ほど女子学生の割合が低いと言える。また、大学全体ではなく、学部毎に女子学生の割合を比較すると、東大最多の2千人超が籍を置く工学部で女子は1割に満たないなど、社会で人的資本量にカウントされる学部の男子学生の割合が高いという結果が出ている。

 つまり、教育段階で既に、社会や家庭の圧力によって女性差別が生じているため、職場における男性優位の構図も変わりにくいのだろう。

3)農業における女性活躍
 農業は、家族労働が主であるため女性が働くのは当たり前なのだが、働いても女性の地位は低く、「床への張りつき」の典型だっただろう。

 しかし、*2-3のように、近年は、日本農業新聞が「①内閣府は、第5次男女共同参画基本計画の素案への意見募集を始めた」「②同計画素案では農業の持続性の確保に女性の活躍支援が欠かせないと明示している」「③地方では固定的な性別役割分担の意識が根強く、若い女性が大都市圏に転入する要因になっている」「④農業でも女性の都市流出で基幹的従事者に占める女性の割合が低下している」「⑤農業委員やJA役員の女性登用を一層進める」「⑥女性が働きやすい環境づくりをする」などのアナウンスをしているため、まだ男女共同参画の段階でしかないものの、今後に期待したい。

(3)女性を軽視する会社の業績は悪いことを実績で示す 
1)日産自動車のケース
 経営の立て直しを進める日産自動車は、*3-1のように、今期(2021年3月期)の年間配当を見送る見通しだそうで、販売低迷の理由は必ず①カルロス・ゴーン元会長を巡る一連の問題 ②新型コロナウイルス感染拡大の影響による世界的な新車需要の急減 などとして、現経営陣は誰も悪くないというスタンスをとる。

 しかし、①については、カルロス・ゴーン氏を追い出すために検察を利用して行った捜査に問題があることは多くの人の目に明らかで、その汚い手法によって、これまで培われた日産ブランドが見放されたと考えた方がよいだろう。

 また、②の新車需要減は新型コロナウイルス感染拡大以前から起こっており、その理由は、EV需要は環境意識の高い女性に多いにもかかわらず、ターゲットを女性に当てず、女性が好きそうなスタイルの車を売らなかったことにあると考える。つまり、社内に発言力のある人的資本量の大きな女性がいなかった(又は、少なかった)ことが販売低迷の理由である。

2)三越伊勢丹のケース
 三越伊勢丹も、*3-2のように、最終赤字600億円で2021年3月期の最終損益が600億円の赤字(前期は111億円の赤字)だそうだ。しかし、赤字は前期にも出ているため、新型コロナウイルスの感染拡大による消費低迷だけでなく、構造的な売上減少がある。

 何故か。確かにスーパーよりよいものを置いているが、その良さ以上に値段が高いため、買い物客が三越伊勢丹ブランドを過度に評価しなくなった現在では、客離れが進んでいるのだろう。

 そして、三越は、就職時には女性を多く採用するが、「床への張りつき」を前提としているため、顧客には女性が多いにもかかわらず、人的資本量が多くて発言力のある女性役員や女性管理職が少ない。また、消費者としての女性も馬鹿にした値付けをしているように思うのだ。

(4)政治分野における女性の登用の遅れ
1)政治分野で女性の登用が遅れる理由
 安倍首相は、*4-1のように、確かに女性活躍を推進して下さったが、「指導的地位に占める女性を2020年までに30%とする」という目標が先送りされたことについては、私もそれでは目標にならないと思った。しかし、このように、メディアも含む社会全体に女性蔑視がある時に、「達成できなかったのは政府の責任」として、少なくともやろうとした人に責任を押し付けても何の解決にもならない。

 何故なら、女性閣僚が少ないのは女性議員が少ないことが発端で、女性議員が少ないのは男女間の人的資本量蓄積に差があると同時に、同じ人的資本量を蓄積している男女間での社会的評価にも差があるからである。そして、民主主義の下では、一般社会の評価が現実するため、①候補者になる女性数 ②勝つ候補として政党が公認する女性数 ③候補者のうち当選できる女性の割合 が女性に不利に働いて、女性議員が少ない状態になっているからだ。

 ただし、「指導的立場に着く層に、女性の人材が十分でなかった」というのは、前からよく使われる言い訳で、女性に対して極めて失礼である。何故なら、才能ある女性の割合は男性と変わらず、教育や仕事の経験を通して蓄積された人的資本量で差が出るのであり、人的資本量の蓄積が同じ男女でも男女間で一般社会の評価が異なり、評価は女性蔑視側に傾くのを、私は経験済だからだ。この状況は、「女性の就業率は伸びたが、賃金は男性の74%しか得ていない」という統計データにも出ている。

 なお、マッキンゼー・レポートが「男性は可能性を買われて昇進するが、女性は過去の実績で昇進する」と指摘しており、これは昇進するには女性は実績を示す必要があるという意味だが、女性が実績を言うと今度はそれが悪い評価に繋がるため極めてやりにくい。つまり、「女性は表に立たず、控えめにして男性を立て、男性を支えるのがよいことだ」という古い時代の美徳や先入観が日本社会に存在し続けていることが、現代の積極的な女性の邪魔をしているのである。

2)女性登用の壁を取り払う手段としてクオータ制は必要か
 指導的地位は、*4-2のように、国会・地方議会議員、企業・公務員の管理職などを指し、いずれも目標との隔たりが大きいが、その理由は、これまで書いてきたとおり、①人的資本量蓄積の差 ②人的資本量蓄積が同じ男女に対する女性蔑視に傾いた評価 にある。

 その結果、世界経済フォーラムの男女格差指数で、日本は2019年に調査対象の153カ国中121位になった。日本女性は、そこまで人的資本量の蓄積ある人材がいないのかといえば、そうではなく、人的資本量蓄積が同じ男女に対する女性蔑視に傾いた評価に原因があるだろう。

 そのため、阻んでいる壁を低くするには、特に政治分野で一定割合を女性に割り当てるクオータ制を導入するのに、私は賛成だ。クオータ制は「逆差別」という批判もあるが、男性は①の人的資本量蓄積時点と②の人的資本量蓄積が同じ男女に対する女性蔑視に傾いた評価によって既に優遇されているため、「逆差別」という苦情は当たらない。

 つまり、皆さんもお気づきのとおり、男性は「あんな人が?」というような人も重要な意思決定をする地位についているが、女性は「もったいない!」と思う人でもそういう地位につけないでいるのは、女性側の性格の問題ではなく、女性の努力だけでは解決できないからである。

(5)政治で女性登用が進むと何が変わるのか
   
           2020.5.27時事   2020.6.13毎日新聞  2020.7.18東京新聞

(図の説明:日本は、検疫が不十分でPCR検査もケチったため、新型コロナの陽性者を陰性になるまで徹底して隔離することができず、国民全員に営業自粛・外出自粛を要請して経済を停止させた。そして、これによって破綻する中小企業や解雇される労働者を出さないよう、膨大な補正予算を組まざるを得なくなった。具体的には、右から2番目の図のうち地方自治体の医療体制強化交付金だけは後に残る投資にもなりうるが、持続化給付金・家賃支援・GoToキャンペーン・雇用調整助成金・10万円の特別定額給付金は、その場限りのバラマキと言わざるを得ない。補正予算は、1番左の図の1次補正16兆8,057億円、左から2番目の図の2次補正31兆9,114億円の合計48兆7,171億円を計上しており、当初予算102兆6,580億円との総合計は151兆3,751億円にもなる。その結果、1番右の図のように、日本の債務残高は名目GDPの225%と世界1の借金大国になり、国民をさらに貧しくすることなく借金を返すには、財政支出の優先順位変更・徹底した無駄遣いの排除・税収及び税外収入を合わせた歳入増加の取組が欠かせないのである)

 ざっくり言うと、日本は教育や社会を通じて性的役割分担が大きくなっているため、政治で女性登用が進むと、女性が担当している場合が多い子育て系(保育・教育)、介護系(介護・医療)、家事系(年金・消費税・家族の安全保障・栄養・環境)などの政策が国民本位に変更され、財政支出の優先順位が変わると思う。

 もちろん、女性なら誰でも政策が同じということはないが、私だったら、財政法を改正して発生主義に変更し、決算を迅速にして前年度の決算書を見ながら次年度の予算を作成できるようにして、資本生産性(支出あたりの効果)を上げる。また、年金支給額がその時の為政者の判断で変わることがないよう、また誰も損せず不満が出ないように、年金積立金を発生主義で積立てる積立方式にする。また、下の事例でも発想が異なる。

1)新型コロナの対応から見た医療
 世界主要国の2020年4~6月期のGDPは、*5-1-1のように、前年同期比で9.1%減少し、これはリーマン危機時の約3.5倍の落ち込みだそうだ。しかし、感染を早期に抑えて経済活動を始めた中国はプラス成長を達成し、ワクチンなどの研究も活発だ。

 感染抑制のために厳しく行動制限すれば生産や消費も抑制することになるため、GDPが落ち込むのは当然だ。そのため、他国が有効な手を打っていない早期に防疫と3週間の外出制限を行って、経済をプラス成長に導いたベトナムも立派で、対応の優劣は経済再生に明確に出ている。

 このような中、PCR検査をケチって感染者を重症化させ、検査方法のイノベーションも行わせず、治療薬も変なことを言って承認させず、ワクチン開発ものんびりしてきた日本で、*5-1-2のように、さらに、「新型コロナウイルスの『弱毒化』は、根拠が乏しい」という否定的な記事が掲載されたのには呆れた。

 しかし、「弱毒化した」らしいのは、各国で新型コロナの致死率が下がっていることからわかる。そして、ウイルス(生物)は変異しながら進化していくもので、変異そのものには意図がないため強毒化と弱毒化の両方の変異がありうるが、弱毒化して宿主を自由に行動させなければ他の宿主にうつって生き残っていくことができないため、弱毒化への自然淘汰圧がかかる。

 この淘汰を人為的に起こしているのは、*5-1-3の鶏卵を使って作る生ワクチン(病原ウイルスを数十代以上にわたって培養を繰り返すことによって弱毒化する)で、培養を繰り返しているうちに強毒化する株も弱毒化する株も現れるが、強毒化して鶏卵を殺してしまう株は捨て、弱毒化して抗体を作るものを残して、弱毒株を作るのである。また、人工的に淘汰して短い期間で目的に合った生命体を作るのは、農作物や家畜などで頻繁に行われている。

 なお、日本で致死率が下がったのは、重症化しにくいとされる若者の陽性者の発見が増えたこともあるだろうが、これは検査数が増えたことを意味するだけで、ウイルスが弱毒化しない証拠にはならない。

 つまり、女性は、(本能の違いからか)強制力を行使すること自体に快感を感じるわけではないため、経済を停滞させず、的確に予防や治療を行うことによって乗り越え、生活を防衛しようとする。これは、命と生活を第一に考えるからだ。

2)浸水想定区域に立地する介護施設
 浸水想定区域内の特養が浸水して多数の犠牲者が出たのは熊本県だけではなかったが、東京23区内の特養は、*5-2-1のように、その約4割が国や都の想定で洪水時に最大3メートル以上の浸水が見込まれる場所に立地しているというのに驚く。つまり、多くの地域で低地に建つ特養は多く、これらは浸水リスクを抱えている。

 誰が考えても避難弱者の高齢者を護る筈の特養が、高齢者をあの世に送るための特養になってはならない。そのため、水防法が、浸水想定区域に立地する高齢者施設などを「要配慮者利用施設」として、避難計画の策定や避難訓練の実施を義務付けているだけというのは、どこに避難して、どれだけの期間、どういう生活を送らせるのかを配慮しておらず、要するに親身になって考えていない。

 跡見学園女子大の鍵屋教授(福祉防災)は、「急速な高齢化を背景に施設の用地確保が優先され、災害リスクのある場所でも建てざるを得なかった」としておられるが、これらは速やかに安全な場所に移設すべきである。何故なら、そうしなければ、そこに居住する高齢者が危険なのはもとより、福祉人材や福祉設備も失うこととなり、結局は大きな無駄遣いになるからだ。

3)浸水エリアへの居住誘導
 国交省は、*5-2-2のように、自治体が住宅の立地を促す「居住誘導区域」を浸水想定区域内に設定している問題で、これを避けられない問題として、堤防整備などの水害対策と土地利用を一体的に進めて被害を防ぐ方針を固めたそうだ。

 しかし、それでは賽の河原の石積みのように、膨大な労力と費用をかけて、壊されては作り直し、また壊されては作り直すという、危険な上に無意味な作業を続けなければならない。それなら、高台を整地して21世紀の需要にマッチした居住区域を整備した方が、長期的にはずっと安上がりで意味ある投資になるだろう。

 そして、いつ浸水するかわからない地域は、田畑・牧場・森林・公園・運動場などとして、自然環境と融合させながら安全な街を造っていった方が、街の価値も上がる。そのため、浸水想定区域などのハザードエリアを公表し、計画的に安全な場所に街を移転するのがよいと考える。

4)エネルギーの選択とモビリティーの電動化
 日本は資源のない国と自らを定義づけて存在するエネルギー資源を利用せず、1973年のオイルショックの後に燃料価格が高騰し、1974年には消費者物価指数が23%も急騰したにもかかわらず、エネルギーを原油から切り替えようとしなかった。なお、原発による発電は始まったが、(既に何度も理由を書いたので長くは書かないものの)これも著しく高コストの電源だ。

i)使用済核燃料の保管場所にもなる原発運用の変更
 原発は、建設当初の方が現在より安全に配慮していた状態だ。その理由は、①2006年にモックス燃料を使ってプルサーマル発電を始めたが、これは原子炉内の圧力のゆとりが減るものであること ②2011年の世界最悪のフクイチ事故の後、原発の耐用年数を40年から65年に延ばしたこと ③*5-3-1のように、使用済核燃料の貯蔵容量を「リラッキング(原発の建屋内近くにある貯蔵プール内の核燃料の間隔を詰めて保管量を増やす操作)」して狭い場所により多くの使用済核燃料を詰め込むようにしたこと などである。

 九電の玄海原発で使用済核燃料の保管を現状の1050体から1672体に増えると、事故が起こった時の爆発力や被害はそれだけ大きい。そのほか、原発の敷地内に乾式貯蔵施設も作れば、原発は使用済核燃料の保管施設にもなるため、近隣住民の安全はさらに脅かされる。

ii)原発の立地
 日本原電が、*5-3-2のように、敦賀原発2号機の地質データを再稼働に有利なように書き換えていたことが発覚し、原子炉の真下に活断層のある可能性が高いそうだ。2011年の東日本大震災以前は活断層や大地震の影響をあまり考えず、ここに原発を建設したのだろうが、原発の安全性の問題に加え、原発を稼働させるためなら何でもやる電力会社の資質も問題だ。

iii)解決策 ← 自然エネルギーによる安価な電力とモビリティーの電動化
 日本がエネルギーを自給できれば、外国に支払う高額なエネルギー代金が原因で高コスト構造になっている部分が解決し、農業地帯で発電すれば農業の副収入となって農業補助金をカットできる。また、国内の製造業も息を吹き返すので、福祉財源が出て、消費税も下げることができ、その経済効果は大きい。また、日本が得意とする自給できるエネルギーは自然再生可能エネルギーであるため、世界の環境志向にも合致する。

 しかし、自然エネルギーでものを動かすには、自然エネルギーを電力に換え、モビリティーを電動化しなければならない。実は、これも1995年前後に、私が経産省に提案して手が付けられたので、それから25年経過した現在は、電動モビリティーが普通に走っていてもおかしくない時期なのである。

 なお、EVの普及で、埋蔵量が少なく精錬が難しいとされるレアメタルの需要が拡大する見通しで、レアメタルは中国からの輸入が多く中国は輸出規制もするため、日本政府は「①資源獲得競争激化を見据えて、安定供給確保と中国依存脱却を進める」「②60日分の備蓄を行う」としている。このうち①は、中国の輸出規制の影響は受けにくくなるが、資源代金が外国に支払われることに変わりはない。また、②の60日分の備蓄は、しないよりはよいという程度の対策だ。

 しかし、実際には、*5-4-1のように、世界で6番目に広い日本のEEZからはレアメタルも採掘でき、2020年代後半の商業化を目指しているそうだ。が、技術は生産現場で磨かれるものであるため、「高い技術力」などと威張る前に、輸出することも視野に早く実用化すべきで、経産省が「海底資源を有効利用できるのは数十年先」などと言っているのは、「やる気がない」と言っているのと同じである。

 また、1995年前後に、私は経産省に電動モビリティーの提案も同時に行っており、その後、トヨタはハイブリッド車、日産はEV、三菱自動車は燃料電池車を開発した。私は、ハイブリッド車は繋ぎでしかなく、EVと燃料電池車が本命だと思っていたが、EVは、日本では周囲から変な悪評を立てられて振るわなかった。

 今度、日産は、*5-4-2のように、2021年に10年ぶりにEVの新型車「アリア」を市場投入するそうだが、EVは米中欧で近未来の標準車として既に市民権を得ている。にもかかわらず、先行していた日産は、EVに研究資源を集中せず、新興企業の米テスラにも及ばなくなってしまった。私は、EVの構造はガソリンエンジンやハイブリッド車よりもずっと単純であるため、日本での新車販売価格は約500万円どころか200~300万円代にしてよいくらいだと思っている。

・・参考資料・・
*1-1:https://digital.asahi.com/articles/DA3S14570856.html (朝日新聞社説 2020年8月1日) 李登輝氏死去 築き上げた民主の重み
 台湾の李登輝(リートンホイ)元総統が亡くなった。97歳だった。独裁から民主への制度転換を平和裏に進めた業績は、歴史に深く刻まれる。強大化した中国が民主主義に逆行するなか、台湾の自由は、その重みをいっそう増している。1980年代後半、中国大陸出身者が中心だった国民党政権で、初めて台湾出身の総統となった。その後、政治の自由化を加速させた。民意を反映させる議会改革を断行し、初の総統の直接選挙を実現させた。米国を引き寄せ、台湾での権力闘争を勝ち抜く上で改革を推進力にしたとの見方もあろう。だが随所で国際潮流を読み、社会を混乱させることなく、民主化を軟着陸させた手腕は高く評価されるべきだ。中国共産党政権が同じころ、天安門事件で民主化の芽を武力で封じ込めたのとは対照的だった。台湾はいまやアジアの代表的な民主社会であり、高い経済力も身につけた。中国のような弾圧などしなくとも、安定した発展が可能であることを中国の人々に証明してみせた。ただ、中国との関係は悪化した。90年代半ばには台湾海峡危機が起き、緊張も高まった。人口2300万の台湾にとって、14億人の中国はあまりにも巨大だ。国防費は台湾の約15倍、経済規模は二十数倍に上る。圧倒的な力を持った共産党政権は政治改革を口にすることもなくなり、「一国二制度」を約束した香港では、自治の権利を強引に奪おうとしている。いまでは台湾の存在感の最大のよりどころは、民主と自由という理念にほかならない。コロナ禍でも、それは如実に示された。当局の積極的な情報公開によって市民が自発的に感染防止に動いたことが世界の注目を集めた。個の自由に否定的な中国の強権と比べ、個の自主と活力を尊ぶ文化が台湾の強みとして根付きつつある。日本は先の大戦に敗れるまで半世紀、台湾を植民地支配していた。その歴史を背景に、李氏は日本にとって特別な政治家だった。植民地時代の台湾で生まれ、京都帝大に学んだ。日本軍人として終戦を迎えた。流暢(りゅうちょう)な日本語で「22歳まで自分は日本人だった」などと語る言葉が、当時を肯定するかのように受け止められることもあった。だが、本人は動じることなく、ときに日本の政治家について「小手先のことばかり論じている」と厳しかった。日本は台湾との歴史にどう向き合ってきたのか。これからどんな関係をめざすのか。そんな重い問いを、日本人に静かに考えさせる存在でもあった。

*1-2:https://news.yahoo.co.jp/articles/910a1cdadb5c8634773df473e277e8e6b0902ea1 (Yahoo 2020/8/10) 李登輝元総統死去 台湾紙「流血なき民主革命を実現」 中国紙は「台湾化」の礎にいらだち
 「台湾民主化の父」と呼ばれた李登輝元総統が97歳で死去した。外省人(中国大陸出身者)の支配が長く続いた台湾で、本省人(台湾出身者)として初の総統になった李氏は民主化を強力に推進。本省人主導の政治を目指す台湾本土化(台湾化)路線をとり、中国と一線を画した台湾人意識を根付かせた。台湾紙は、今日の礎を築いた李氏を称賛して追悼。中国紙は李氏を「中華民族の罪人」などと痛罵した。
■台湾 流血なき民主革命を実現
 7月31日付の台湾大手紙、蘋果(ひんか)日報は社説で、前日夜に死去した台湾の元総統、李登輝氏について「政治家」「哲学者」「宗教家」の3つの顔を持つ「類いまれなリーダーだ」と総括し、「台湾に民主主義を残したことは彼の最大の業績だ」と高く評価した。同社説は、前任者の蒋経国の死去を受けて急遽(きゅうきょ)、総統に就いた李氏の政権が、当初はきわめて不安定だったことに言及。その上で「権威主義時代に頭角を現した李氏自身にも、強権政治家の側面があった。彼にとって民主主義は自らの理念であると同時に、政敵と闘争する際の武器でもあった」と指摘した。民主化を求める民意を背景に政敵を失脚させ、憲法改正によって立法委員(国会議員に相当)の全面改選や総統の直接選挙を実現した手腕が念頭に置かれている。「李氏には、同世代の政治家にない高い見識と行動力があり、彼の選択が結局、台湾を正しい方向に導いた」。こう述べる同紙は、李氏が台湾で成功させた民主化は「民主主義が欧米など西側社会のみならず、華人社会でも十分実現可能であることを証明した」とし、「中国大陸の人々も李氏に感謝し、敬意を払うべきだ」と主張した。別の台湾大手紙、自由時報の社説は、李氏が推進した台湾本土化(台湾化)路線を詳しく振り返った。李氏が総統だった当時、日本人作家、司馬遼太郎との対談で「台湾人に生まれた悲哀」について語ったことを紹介。さまざまな外来政権によって支配されてきた台湾人は長年、自分で自分の運命を決められなかったが、「李氏は生涯をかけてそれを変えた」と評した。本土化路線の推進により、中国からやってきた支配者たちの特権をなくし、台湾の価値観を重視する政治が実現した。李氏の最も素晴らしいところは、その過程で流血も大きな混乱もなしに「最も低コストで静かな革命を実現した」ことだと同紙は絶賛する。台湾がその後、中国の激しい統一攻勢に耐えてこられたのも李氏の民主化と本土化路線のおかげであり、台湾は「今も民主主義陣営の先頭として、独裁政権(中国)に対抗している」と同紙は誇った。これらの李氏を礼賛する論評に対し、中国寄りの新聞、中国時報は別の見方を示している。同紙は、李氏が台湾の民主化に果たした功績を評価しながらも、政治家としての李氏は「功罪相半ばする」と評した。李氏が晩年、両岸関係を「特殊な国と国の関係」とする「2国論」を提唱したことで、「中国大陸の強烈な反発を招き、両岸の対立関係を深化させた責任がある」と論じた。
■中国 「台湾化」の礎にいらだち
 このほど死去した李登輝氏について、中国官製メディアは死者に鞭(むち)打つような言葉を連ねた。中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報(電子版)は7月31日の社説で「疑いなく中華民族の罪人だ」と罵倒した。なぜ、中国側にとって李氏は「罪人」とまでいうべき存在なのか。環球時報は「台湾の民主主義に祖国分裂の根を植え付けた」と一方的に断ずるが、その意味を理解するには中台両岸にまつわる歴史を振り返る必要がある。1949年、中国共産党との内戦に敗れた蒋介石(しょう・かいせき)率いる中国国民党政権が台湾に移った。国民党政権は台湾を「大陸反攻(中国大陸奪還)」の拠点と位置付けて一党独裁体制を続けたが、88年に本省人(台湾出身者)として初の総統となったのが李氏だった。民主化を進めた李氏は、その功績から「台湾民主化の父」と台湾内外で広く称される。民主化と同時に進めたのが、中国全土の統治を前提に国民党政権がとってきた政治体制を改めることだった。実効支配する台湾本島と周辺島嶼(とうしょ)に見合った体制へと改編し、「台湾化」を強力に推進。教育改革で「台湾人」意識も向上させた。これら李氏が進めたことは「台湾は中国の領土の不可分の一部」とする中国側には、中台両岸の「分断」を図るものにほかならなかった。環球時報は「李登輝が推進した台湾式民主主義は、最初から『台湾独立』に乗っ取られていた。そのため台湾の近年の政治の主軸は決して純粋な民主主義ではなく、その衣をまとった『台湾独立』なのだ」という主張を展開する。李氏が「民主主義を歪曲(わいきょく)した」がゆえに、「両岸には徐々に距離ができ、危機と対立が発展と協力に取って代わった」。中台両岸に距離が生じた責任をこう李氏に押し付けた。李氏が総統時代に取り組んだ「台湾化」は、現在の蔡英文政権に至る台湾の礎を築いたといえる。この現実が中国側をいらだたせている。日本との関係も糾弾の材料となった。国営新華社通信は7月31日に配信した論評記事で、李氏が「22歳までは日本人だった」などと語っていたことについて「植民統治を被った屈辱感が完全にない」と批判。台湾も領有権を主張する尖閣諸島(沖縄県石垣市)について李氏が「日本の領土だ」と公言したことも、「台湾当局の元指導者だったが、日本の利益を守るのに尽力した」との不満を呼んだ。官製メディアが痛罵を浴びせる様を通じ、李氏がなしたことに対する共産党政権のいらだちの大きさが改めて明白になったといえよう。

*1-3:http://www.cl.aoyama.ac.jp/history/sodaishi/t_links/shomondai/taiwan/kokko30.html (東洋史学の諸問題) 日中国交正常化・残された課題
~「正常化」の裏にある「不正常化」・今後の問題点を考える~
 1972年9月29日、日本の田中角栄首相、大平正芳外相、および中国の周恩来総理・姫鵬飛外相らの間において、日中共同声明が署名され、日中の国交は回復されることになった。この国交回復は、通常「正常化」と呼ばれる。では、正常化以前はどうであったか。正常でない、異常な状態であったということか。確かに、ある意味で異常であった。すなわち、まったく大陸を支配していない国民党政府(国府)を全中国の代表と認め、実質的に大陸を統治している共産党政府の支配権を認めていなかったのであるから、これは異常であったと言わざるを得ない。この意味において、まさに国交回復は「正常化」であり、これが1972年までずれ込んだことは、遅すぎたとも言える。フランスなどは、すでに1964年から北京との国交を回復していたのである。しかし、日本と中国の関係のみならず、アジア全体を考えたときに、1972年以降がまったく「正常」であったのか、といえば、決してそうとはいえない。むしろ、1972年以降、かえって異常な状態になってしまった面もある。「台湾問題」だ。日中の関係は、このとき「正常化」し、両国の関係は安定化へ向かった。だが、台湾は見捨てられ、日本と台湾が国としての交流が絶たれただけではなく、中国の圧力によって、台湾の国旗や総統府をTV画面で流すことすら難しいといった、極めて不健全、かつ「不正常」なものとなってしまったのである。「台湾問題」とは何か。私が報道等を総合的に見て感じることは、日本の立場から見れば、事実上(de facto)台湾が中国の一部分とはなっておらず、主権独立国家を構えているにも関わらず、中国がこれを承認せず、急速な軍備拡張を続け、戦争をも辞さない非平和的姿勢を取っていること、これが「台湾問題」の核心である。だが一方、中国の立場としては、日本(米国も同様)がこの中国の姿勢に必ずしも同意せず、台湾併合という現状変更には積極的ではなく、むしろ台湾の民主化を歓迎している点、さらに中国の武力行使に断固反対の立場をとっている点が、「台湾問題」なのである。また、「台湾問題」という言い方自体、若干の政治的偏向でもある。なぜなら、台湾の立場としては、問題の核心は中国の覇権主義であるから「中国問題」であって、台湾側の問題ではない、ということにもなる。一般に「台湾問題」と言わず、「両岸問題」と称する所以である。日中共同声明中において、日中両国は、「中華人民共和国政府は,台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であることを重ねて表明する。日本国政府は,この中華人民共和国政府の立場を十分理解し,尊重し,ポツダム宣言第八項に基づく立場を堅持する。」(外交青書17号) 。と宣言している。この表現は、日本では通常、中国政府に譲歩しすぎであると批判されるが、ただそう簡単に言い切れない点もある。現実には他の西側諸国と中国との間の取り決めの表現も大差なく、しかも「承認」という言葉を日本が決して使わなかった点において、かならずしも日本が突出して中国に譲歩したとは言えない。また、台湾の帰属に関してはまだ未決定という議論も存在し、少なくとも日本が積極的に台湾の中華人民共和国への編入を促進する内容とはなっていないのである。しかしながら、この声明と続く台湾断交以降、日本と台湾という二つの国家が相互に承認を取りやめるという、新たな「異常」状態が発生してしまったのは確かであり、最低限、台湾関係法を整備して時間をかけて国交を回復した米国と比べれば、田中・大平は長期的見通しなく拙速であったとも言える。中共・国府両方とは同時に国交を維持しないのは、北京の要請であったのみならず、「一つの中国」を堅持しようとした蒋介石の望みでもあった。しかしながら、断交とは、そもそも戦争を行うか、国家の消滅といった事態を前に行われるものであり、台湾という一国家と主要国が次々断交してしまうということ自体、地域に大きな不安定要素を抱え込むことになることは、明らかだったはずだ。日中国交正常化は、東アジアにおける安全と経済的繁栄を確実にしてゆく契機として、貴重な一歩であり、慶賀すべきであることに、間違いはない。しかし、それが台湾という事実上の一国家との「断交」の上に成り立っていることは、やはり現在の東アジアが内包する歪みであり、安全保障上の不安定要因である。多くの人々の犠牲の上にではあるが、日朝関係が、相互に国家承認していない、という異常状態を脱しつつあり、安全が確保されつつある現在、東アジアにおいて次に求められるのが台湾海峡の安定であることに、異論はないであろう。筆者は歴史研究者であって、政治家でも外交官でもないし、国際政治専門家ですらないから、その最も良い具体的な道筋を描くことはできない。また、台湾が今後、主権独立国家としての道を歩むのか、あるいは中国との一体化を選択するのかは、当事者たる台湾人自身の選択に委ねられるべきことであって、決して部外者である我々が口を挟むべき問題ではない。しかし、1972年の日中国交回復という、アジアにとっての安定化の大きな画期が、実は多くの課題を残したものであり、そのときから30年を経た現在、それらの課題をどう解決してゆくかが問われているのは確かであり、これは我々アジア研究に携わるもの一人ひとりが考えなくてはならない、問題である。

*1-4:https://news.biglobe.ne.jp/international/0812/rec_200812_0445300575.html (Biglobe 2020年8月12日) 森元首相の台湾滞在はわずか4時間、台湾学者「日本は台日友好よりも対中関係」—中国紙
 中国紙・海峡導報は12日、森喜朗元首相が亡くなった李登輝氏の弔問のために台湾を訪れたことについて、台湾の学者から「日本は台湾との友好よりも対中関係を気にしている」との指摘が出たと伝えた。記事によると、台湾中興大学国際政治研究所のアシスタントプロフェッサー・劉泰廷氏は森氏の訪台が日台関係に与える影響について、「マイナスではないがプラスでもない」と評価。日本からの弔問団に安倍政権の閣僚がいなかったことや、人数が極めて簡素だったこと、森氏ら一行が台湾に「4時間しか」滞在しなかったことに言及し、これらは3つのことを明らかにしていると指摘した。それは、「日本政府が訪台において『官』の色合いをできる限り抑えたかったこと」「弔問の目的をはっきりさせ、かつスピーディーに終わらせることで、政治的な意味を薄めたかったこと」「森氏の談話では日台協力などについて一切触れられず、(弔問という)訪台の焦点がずらされたくないことが明らかだったこと」だと説明。「森氏と日本政府の接点は安倍晋三首相から依頼されたという点だけであり、その他は基本的に民間の訪問団と言っていい。政府を代表しない訪問団(の派遣)で『台日友好』と言えるだろうか。疑問が残る」とした。劉氏はこの背景に、日本が中国との関係を気にしたことがあると指摘。「日本は新型コロナウイルスの影響で経済的損失を、中国との経済協力によって回復する必要がある。米国など主要な同盟国は中国に強硬な姿勢を示しているが、日本は両者の間でバランスを取っている」との見方を示した。

*1-5:https://jp24h.com/post/106474.html (JPnews August1.2020) 登輝氏が強化した対米関係 蔡総統引き継ぐ
 中国からの統一圧力に直面する台湾にとり、安全保障を依存する米国は最大の後ろ盾だ。台湾の民主化を進めた李登輝(り・とうき)元総統は、「自由と民主主義」を旗印に米国との関係強化に取り組んだ。李氏が切り開いた米台関係の道筋は、現在の蔡英文(さい・えいぶん)政権にも引き継がれている。後に「ミスター・デモクラシー(民主化の父)」と称される李氏の政界進出も、米国の存在と無縁ではなかった。1979年の米台断交とそれに伴う米華相互防衛条約の失効は、独裁体制の蒋経国(しょう・けいこく)政権に衝撃を与えた。外憂を抱えた蒋経国は足下の体制安定のため、人口で多数を占める李氏ら「本省人」を政権に登用、李氏の総統就任に道を開いた。また、米議会などから批判を受け、38年間続いた戒厳令の解除や野党・民主進歩党の結党容認など、民主化の基礎となる自由化を進めた。蒋経国の死去で総統に昇格した李氏は民主化を進める一方、社会主義の中国と対峙(たいじ)する上で、米国との関係強化に「民主主義」を利用した。95年6月には、対中融和的なクリントン政権を窓口とせず、自由と民主主義という理念への共感を得やすい米議会から支持を取り付け、現職総統として初の訪米を実現した。初の政権交代を実現した民進党の陳水扁(ちん・すいへん)氏は、2期目に「台湾独立」志向を強めて米国に「トラブルメーカー」とみなされ、国民党の馬英九(ば・えいきゅう)氏に政権奪還を許す一因となった。馬氏も政権発足当初は「親米・和中」路線が米国に歓迎されたが、対中傾斜を強めて米国との距離感が目立つようになった。特に南シナ海問題で中国と歩調を合わせたことで、欧米から批判を招いた。現在の民進党の蔡総統は、陳、馬両政権の反省から、中国と距離を保つ一方で、中国を挑発せず低姿勢を取る「優等生」的な対応で、米国の支持を得ている。李氏を彷彿(ほうふつ)させる「理念の近い民主主義国家との連携」を強調する姿勢は、米議会、トランプ政権の双方から支持されている。

<日本女性は?>
*2-1:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20200730&ng=DGKKZO62037690Z20C20A7KE8000 (日経新聞 2020.7.30) 女性活躍どこまで進んだ(下)「昇進」は改善も なお賃金格差、原ひろみ・日本女子大学准教授(1970年生まれ。東京大経卒、同大博士(経済学)。専門は労働経済学、実証ミクロ経済学)
<ポイント>
○高賃金の男女で説明できない格差が拡大
○昇進に伴う昇給の格差もガラスの天井に
○外形的な働き方の差解消だけでは不十分
 日本の男女間賃金格差は改善されてきている。厚生労働省「賃金構造基本統計調査」によると、労働の対価である賃金の男女差は30年間で約23%も縮小した。だがこれは女性の教育水準や勤続年数の上昇が反映された結果でもあるので、手放しで評価できない。女性労働者の教育や勤続年数は上昇しているが、今でも男性労働者の水準には届いていない。教育、勤続年数、労働市場での経験などの人的資本は生産性ひいては賃金を規定するので、人的資本量が異なる労働者の間に発生する賃金格差は合理的な範囲といえる。よって私たちが注目すべきなのは、人的資本量に男女差があることを考慮しても残される男女間賃金格差、すなわち人的資本の男女差では説明できない格差だ。この説明できない格差は「目には見えない障壁」の存在を示唆する。「ガラスの天井」はその一つで、企業や官公庁、アカデミアなどで女性が地位の高い仕事に就くことを阻害する見えない障壁のことだ。人的資本の男女差をコントロールしたならば、男性の中での高収入と女性の中での高収入に違いはないはずだ。例えば人的資本の差をコントロールしても、女性の中で上位10%である女性の賃金が、男性の中で上位10%である男性の賃金よりも低いという状態が起きているとしよう。この状態は人的資本の男女差以外の理由で、女性の中では高賃金だとしても、男性ほどには高賃金の仕事には就けていないと解釈できる。よって賃金分布の上位で説明できない男女間格差が観察される場合、ガラスの天井があるととらえられる。逆に賃金分布の低位で説明できない格差が観察される場合、「床への張りつき」があると考えられる。低賃金の女性は低賃金の男性と比べても、低い賃金しか得ていないことを意味する。こうした説明できない格差は、要因分解という計量経済学的手法を用いることで推定できる。分析手法の発展のおかげで、賃金分布を通じた要因分解が可能となり、平均だけでは把握できなかったことが分かるようになってきた。例えばジェームス・アルブレヒト米ジョージタウン大教授らが、女性が働きやすいとされるスウェーデンですら、ガラスの天井が強く観察されることを発見した。これをきっかけに、世界各国で同様の分析が競って進められている。以下では、筆者による日本の分析結果を紹介したい。図は1980~2015年のうち5カ年分のデータを使い、人的資本の男女差では説明できない男女間賃金格差を分位数(パーセンタイル)ごとにプロットしたものだ。縦軸の値が大きくなるほど説明できない男女間賃金格差が大きいことを意味する。なお短時間労働者は分析から除外した。まず15年のラインの左側に着目すると、賃金が下位20%の男女の間の説明できない格差は15.4%で、中央での格差12.5%より2ポイント以上大きい。このことから、低賃金の男女の賃金格差が相対的に大きいことがわかり、床への張りつきが起きていると解釈できる。次に15年のラインの右側では、分布の中央から高位に向けて加速度的に男女間格差が大きくなっている。上位10%の男女の賃金格差は25.7%で、中央での格差との差は13.2ポイントとなる。高賃金の男女の賃金格差も相対的に大きいことがわかり、ガラスの天井の存在を強くうかがわせる。時系列で比較すると、90年から15年に向かうにつれて、分布の低位と中央での男女間格差の差は小さくなっている。近年では床への張りつき現象は弱まっていると解釈できる。逆に分布の高位と中央での男女間格差の差は拡大し、ガラスの天井現象はより強く観察されるようになっている。諸外国の研究から、発展途上国の多くで床への張りつきが観察される。一方、先進国の多くでガラスの天井が観察される。欧州では床への張りつきが観察される国はイタリアやスペインなどに限られることが明らかにされている。日本はガラスの天井と床への張りつきの両方が観察される先進国では特殊な国といえる。本稿では詳細な説明は省略するが、床への張りつきとガラスの天井は、事業所間よりも事業所内で強く観察される。つまり女性が賃金の低い企業に配置されることから生まれる男女間格差よりも、企業内で女性が賃金の低い仕事に配置されることから生まれる男女間格差の方が大きいわけだ。ではガラスの天井は何に起因するのだろうか。当然、女性の管理職への昇進が難しいことが一因と考えられる。以前と比べれば、管理職の女性は公表統計を見ても増えている。だが学歴や勤続年数などの男女差をコントロールしたうえで管理職への昇進確率を計算しても、部長・課長・係長のいずれの職位に関しても、90年と15年の両年で男性より女性の昇進確率が低いことに変わりはない。一方、女性の昇進確率を両年で比較すると、90年より15年の方が昇進確率は高いことが明らかにされている。にもかかわらず、近年ガラスの天井が強く観察されるのはなぜだろうか。女性の管理職への昇進確率が高まると同時に、昇進に伴う昇給の男女間格差が大きくなっていると考えられる。90年と15年の昇進に伴う昇給を推定すると、男性では部長・課長・係長のいずれの職位に関しても、90年よりも15年の方が高くなっている。一方、女性ではどの職位に関しても、15年の方が低くなっている。企業には同じ役職でも基幹的なポストとそうではないポストがある。例えば将来の幹部候補が配属される花形のポストがある一方、さほど重要ではないポストや名ばかり管理職のようなポストもある。分析結果を踏まえると、女性は後者のポストに配置されている可能性が高いと考えられる。女性は以前より教育や勤続年数を高めて職位も上がっているが、賃金という処遇の最終段階では必ずしも報われていない。この状況は、比喩的に「swimming upstream現象」と呼ばれる。流れに逆らいながら懸命に上流に向かって泳いでも、逆流に押し戻されてしまい最後まで登り切れない状況だ。こうした現象は日本だけでなく米国、英国、カナダでも観察されている。職位などの働き方や仕事の男女差が縮小しても、労働の対価である賃金の男女差が解消されなければ、労働市場での男女間格差が解消されたとはいえない。日本では女性活躍推進法が施行され、常時雇用する労働者が301人以上の事業主は、女性従業員の勤務状況を数値で把握し、改善のための数値目標を立て、実行に移すことが義務付けられた。22年4月には101人以上の事業主に拡大適用される。そこでは、管理職に占める女性労働者の割合や平均勤続年数の男女差などが必ず把握すべき項目とされる。だが男女間賃金格差の解消には、外形的な働き方の男女差の解消を目指すだけでは不十分であることが、この分析結果から示唆される。

*2-2:https://digital.asahi.com/articles/DA3S14385475.html?iref=comtop_list_gold_n04 (朝日新聞 2020年3月1日) 東大、「2割の壁」を破れるか 男社会の偏り、学生も大学も「変えたい」
■〈Dear Girls〉東京大学の学部学生の女子比率19.3%(2019年5月)
 東京大学の学部生に占める女性の割合は、一度も2割を超えたことがない。東大の女子学生がつくるフリーペーパー「biscUiT(ビスケット)」は昨秋、「女子2割の壁」を特集した。代表で2年の徳永紗彩(さあや)さん(20)は「女性差別的だ、嫌だよね、という会話が増えた。女子が少ないことの背景や影響について、調べてみようと思った」と話す。最近では、東大男子と他大女子が入る「東大女子お断り」のサークルが、学内外から批判を浴びた。キャンパスでも、そうしたサークルの男子学生が、他大女子の話題で盛り上がる会話が聞こえてくる。「アタマが弱い」「あの子はかわいい」。見下したり、外見を「品評」したり。徳永さんは「女性をモノのように扱っている。差別意識がにじみ出ていて苦痛」と話す。
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 日本の大学全体では学部生の45・4%が女子だが、東大は19・3%。京都大の22・3%や大阪大の34・3%と比べても低い。昨年の入学式の祝辞で、社会学者の上野千鶴子・東大名誉教授は「2割の壁」や、女性教授が1割に満たないことなどを挙げ、男性優位の構図が変わっていないことを批判した。「biscUiT」の特集は、進学校とされる各地の共学高校に取材。東大の受験者数に明らかな男女差があると伝えた。東大生と高校3年生、計約1千人へのアンケートでは、親元から通える大学に行くよう親などから言われたことがある高校生のうち、7割が女子だった。徳永さんは「社会が変わるのは難しい。社会のトップ層になりうる人が多く輩出する大学だからこそ、東大が先に変わるべきだと思う」と話す。女子の受験生を増やそうと活動する学生団体もある。「女子高校生のための東大オリエンテーションキャンプ」は、女子高校生向けのキャンパスツアーなどを企画してきた。前代表で2年の山田碩人(ひろと)さん(20)は「女子には上京や浪人をさせたくない、高学歴は必要ないという考えは根強い。男子とはスタートラインに立つまでに越える壁の数が違う」と話す。男子学生にも「自分たちの問題」ととらえてほしくて、2月に団体名を「polaris(ポラリス)」に変えた。
     *
 東大当局は「2割の壁」をどう考えているのか。「グローバルに活躍する人材を育てるにあたり、こうした環境は問題だ」。東大の松木則夫理事はそう話す。「女子比率の低さは将来にわたり、『男社会』の偏りを助長してしまう。海外の大学改革のアドバイザーからは、まずジェンダーバランスの悪さを何とかしろと言われた」。学内最多の2千人超が籍を置く工学部では、女子は1割に満たない。女子の受験者数が増えないのは、周囲の期待に男女差があり、「最難関」をめざすモチベーションに影響しているからだとみる。学内広報も昨年12月、「2割の壁」を特集。大学の公式サイトのトップページに「未来の形:女子のちから」と掲げ、「志ある女子の力に期待します」との五神(ごのかみ)真総長のメッセージも添えた。上京の負担を軽くしようと、女子学生向けに家賃補助制度をつくり、昨年新設した寮でも、今春入学する女子学生向けに50室の枠を用意した。しかし、女子の受験者は目立って増えてはいない。海外では差別是正や多様性の確保のため、人種や性別に応じて枠を設ける大学がある。ただ、松木さんは、一般入試に女子枠を設けることについては慎重だ。「大学内外の理解を得るのは難しい。社会の側の意識も変わってもらわないと……」。この春、「2割の壁」はどうなるか。2020年度入試の志願者9259人のうち、女子は20・5%だった。
◇「ジェンダーギャップ(男女格差)」の大きさを国別に順位付けした世界経済フォーラムの昨年の報告書で日本は153カ国中121位。過去最低の順位でした。この社会はどのような男女格差を抱えているのでしょうか。現在地を4回の連載で報告します。次回以降のテーマは「賃金」「家事・育児」「メディア」です。

*2-3:https://www.agrinews.co.jp/p51520.html (日本農業新聞 2020年8月2日) 女性参画へ意見募集 基本計画策定で素案 内閣府
 内閣府は、女性の社会参画の拡大に向けて今後5年間の政府方針を示す「第5次男女共同参画基本計画」の素案に関する国民への意見募集を、1日から始めた。同計画素案では、農業の持続性の確保には女性の活躍支援が欠かせないと明示。「田園回帰」で都市部の女性が農山漁村に関心を示す動きを後押しする。親元や結婚による就農に加えて雇用や新規参入など女性の農業への関わり方が多様化し、それぞれの立場に合わせた細やかな支援が必要とした。有識者会議がまとめた新たな基本計画の素案は、「2020年までに指導的地位に占める女性の割合を30%にする」としていた政府目標の到達が見通せないことから、「20年代の可能な限り早期に30%を目指す」と先送りした。地方では固定的な性別役割分担の意識が根強く、若い女性が大都市圏に転入する要因になっていると指摘。農業でも女性の都市流出で基幹的従事者に占める女性の割合が低下していることに危機感を示した。地方公共団体や経済界、農林水産団体と連携して意識改革を求めていく。具体的には、農業委員やJA役員の女性登用を一層進める。地域ごとの女性グループ形成に加えて、全国規模で女性グループ間のネットワークを作る。女性が働きやすい環境づくりで、「農業女子プロジェクト」の企業や教育機関との連携を強化。労働時間の管理や経験を積む道筋の提示、コミュニケーションの充実を推進する。政府は意見募集を経て秋ごろに有識者会議で計画案を取りまとめる。12月にも具体的な目標数値を盛り込んだ基本計画を閣議決定する予定だ。意見募集は、9月7日まで。内閣府男女共同参画局のホームページからインターネットで送信するか、郵送する。8月25、29の両日にはオンラインで公聴会を開く。希望者は同局のホームページから事前に申し込む。

<女性蔑視する会社の業績>
*3-1:https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-07-28/QE5T47DWRGG201 (Bloomberg 2020年7月28日) 日産は今期無配の方向、業績悪化でコスト削減なども加速-関係者
 経営の立て直しを進める日産自動車は今期(2021年3月期)の年間配当を見送る見通しだ。28日午後の決算発表時に公表する。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。未公表の情報だとして匿名を条件に話した関係者らによると、5月の決算発表時点では「未定」としていた今期の年間配当をゼロとするとの見通しを示す方向だ。日産はカルロス・ゴーン元会長を巡る一連の問題で販売が低迷していたところに、新型コロナウイルス感染拡大の影響による世界的な新車需要の急減が追い打ちをかけて業績が悪化。前期(20年3月期)はリストラに伴う固定資産の減損などで、6712億円の純損失と2000年3月期以来の規模に拡大していた。前期の年間配当は期初に40円を見込んでいたが、結果的には前の期比47円減となる10円まで減少した。アライアンスのパートナーで日産と同様に業績が悪化している三菱自動車も今期の年間配当をゼロとする方針を示した。日産の株価はこの日の取引開始直後に一時前日比4.8%安となる408.9円の日中安値を付けた。その後、下げ幅を縮小していたが午後に今期の無配方針の報道が出たことで再び下落幅が拡大、4.3%安の410.8円で取引を終えた。日産広報担当の百瀬梓氏はコメントを控えた。ブルームバーグが集計した第1四半期(4-6月期)の営業赤字額のアナリスト予想平均値は2529億円となっていたが、関係者によると、日産が進めてきたコスト削減の進展などが奏功して実際の赤字額は1500億円程度にとどまる見通し。関係者によると、きょう午後5時に発表を予定している決算では、5月の時点では新型コロナが事業に与える影響が未確定なため合理的に算定するのが困難として公表していなかった今期の業績予想も発表する見通し。ブルームバーグが集計したアナリスト15人の今期の純損失の予想平均値は3124億円となっている。

*3-2:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO62036490Z20C20A7I00000/ (日経新聞 2020/7/29) 三越伊勢丹、最終赤字600億円 21年3月期消費低迷続く
 三越伊勢丹ホールディングスは29日、2021年3月期の最終損益が600億円の赤字(前期は111億円の赤字)になりそうだと発表した。赤字額は店舗閉鎖で損失を出し、過去最大だった10年3月期(635億円)に並ぶ規模となる。新型コロナウイルスの感染拡大による消費低迷が長引き、売り上げが減る。業績悪化を受け、未定としていた年間配当を前期比3円減の9円と10年ぶりに減らす。新型コロナで4~5月にかけて主要店舗での休業が相次いだ。再開後も回復が鈍く、7月以降の売上高も平常時の15%減で推移するとみている。三越銀座店(東京・中央)などのけん引役となっていた訪日客需要はゼロになる見込み。売上高は26%減の8230億円、営業損益は380億円の赤字(同156億円の黒字)に転落する。10年3月期の巨額赤字は伊勢丹吉祥寺店や三越池袋店など3店舗を閉店したのに伴う特別損失が主因で、営業損益は黒字だった。今期は収入が落ち込んでおり、新型コロナ影響による消費の落ち込みの深刻さが際立つ。同日発表した20年4~6月期の連結決算は最終損益が305億円の赤字(前年同期は60億円の黒字)だった。店舗休業で売上高は前年同期比53%減の1316億円に落ち込んだ。営業再開後の6月も売上高は休業前の8割弱にとどまった。

<政治分野における女性の登用>
*4-1:https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-1162740.html (琉球新報社説 2020年7月26日) 女性登用未達成 看板倒れの責任は政府に
安倍政権が成長戦略の柱とした「指導的地位に占める女性を2020年までに30%とする」目標を先送りした。「女性が輝く社会」をうたってきた安倍晋三首相だが、現在の女性閣僚はわずか3人、衆院議員は9・9%だ。主要政策ですら達成できていない。看板倒れと言われても仕方がない。達成できなかった責任を問われるのは政府であるはずだが、そう受け取ってはいないようだ。自民党の世耕弘成参院幹事長は目標の先送りに関し「指導的立場に着く層に、女性の人材が十分ではなかったのが要因だ」と述べた。未達成の責任を女性に押しつけている。男女雇用均等法から35年、採用差別は少なくなったかもしれないが、待機児童問題に代表されるように女性が働きながら子育てをする環境はいまだ整っていない。女性が出産や育児によって職を離れ、30代を中心に働く女性が減少する「M字カーブ」は日本に特徴的な現象だ。政府は03年に「20年までに30%」の目標を掲げ、13年には成長戦略に位置づけた。女性の就業率は伸びたものの、賃金は男性の74%しか得ていない。非正規労働の比率も女性が圧倒的に多い。雇用の格差は歴然としている。加えて女性登用に社会のためらいはないだろうか。11年のマッキンゼー・レポートは「男性は可能性を買われて昇進するが、女性は過去の実績で昇進する」と指摘した。昇進に当たって女性は実績を示す必要があるという意だ。多くのハードルに管理職予備層は育ちにくい。その結果、企業の役員や課長相当職以上の女性は14・8%にとどまる。米国やスウェーデンの40%超、英国やノルウェー、フランスの30%超と、先進国と比べても開きは大きい。18年に選挙で男女の候補者数を均等にする努力義務を課した「政治分野の男女共同参画推進法」が誕生したが、直後の参院選では女性候補者の大きな増加につながらず、県内でも法成立後初の県議選で候補者64人中、女性は8人、12・5%でしかなかった。女性登用を巡る障壁を除くことが「女性が輝く社会」には必須だ。世界的なコロナ禍で対策に手腕を発揮したのは台湾やドイツ、ニュージーランドなどの女性首脳だった。日本で、準備もなく全国一斉の休校要請が出され大混乱を引き起こした時には政権に生活者の目線が薄いことが露呈した。意志決定の場に女性が圧倒的に少ないことが背景にあると考えざるを得ない。政府は30%目標を「20年代の可能な限り早期に」と改めた素案を公表したが、そこにも到達するための具体的な道筋や手法は示されていない。単に数値目標の旗を振るだけでなく、女性が活躍するために求められる環境など、土台づくりから始め、実効性のある施策に取り組むべきだ。

*4-2:https://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20200727/KT200723ETI090001000.php (信濃毎日新聞 2020年7月27日) 女性の登用 壁取り払う手だてが要る
 2020年までに、各分野で指導的地位に占める女性の割合を3割にする―。政府が03年に掲げた女性登用の目標は実現が遠い。だからといって、いつまでに達成するかをぼやかす形で先送りしていいはずがない。21年度から5年間の男女共同参画基本計画である。内閣府が有識者会議に示した素案は、新たな目標時期を明示せず、「20年代の可能な限り早期に30%程度を目指す」とした。姿勢を後退させるのはあべこべだ。指導的地位は、国会や地方議会の議員のほか、企業や公務員の管理職などを指す。いずれも、目標との隔たりは大きい。国会は参院で2割を上回るものの、衆院は1割に届かない。地方議会も14・3%と少なく、女性が一人もいない議会もある。企業や公務員の管理職も15%ほどで、4割を超す米国や3割台の英国、フランスとは開きがある。世界経済フォーラムが発表している男女格差の指数で、日本は昨年、調査対象の153カ国のうち121位と過去最低に沈んだ。アジアでもタイやベトナム、中国、韓国に後れを取る。議員や管理職が少ないほか、賃金格差が大きいことが反映しているという。「女性活躍」は、安倍政権が成長戦略の柱と位置づける看板政策だ。15年に成立した女性活躍推進法は、企業に女性登用の目標や計画の策定を義務づけ、取り組みを促してきた。ただ、政策の軸足は労働力不足を補う経済対策にあり、賃金格差をはじめ働く場での不平等の是正はなおざりだ。「家庭を守るのは女性」といった意識も根強く、家事や育児、介護の負担は依然、女性に偏っている。掛け声をかけて自主的な取り組みに任せていても、女性が置かれた状況は大きく変わらない。阻んでいる壁をなくし、参画を後押しする具体的な手だてが要る。その一つが、一定の割合を女性に割り当てるクオータ制だ。既に多くの国が議員選挙で取り入れ、企業の役員についてもノルウェーやオランダが制度化している。アイスランドは、中規模以上の企業に取締役の4〜6割を女性とするよう定めているという。日本の政府、与党は後ろ向きだ。経済界からも「逆差別になる」といった声が聞こえてくる。けれども、女性への構造的な差別をなくしていくには、制度の後ろ盾が欠かせない。あらためて目標年度を明確にし、クオータ制を含め、踏み込んだ議論をすべきだ。

<女性政治家が増えると何が変わるか>
*5-1-1:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20200818&ng=DGKKZO62731860X10C20A8MM8000 (日経新聞 2020.8.18) 主要国経済1割縮小 リーマン時の3.5倍、4~6月 GDP前年同期比 感染早期抑制が左右
 世界の主要国の2020年4~6月期の実質国内総生産(GDP)は前年同期比9.1%減少した。リーマン危機時の約3.5倍の落ち込みで、コロナ禍の傷の深さが鮮明になった。それでも感染を早期に抑え、経済復調に動いた中国やベトナムはプラス成長を達成した。感染抑制と経済活動の両立の重要性を改めて浮き彫りにした。世界GDPの3分の2を占める日米英中とカナダ、ユーロ圏の計24カ国を「主要国」として集計した。GDP統計では変化を早く捉えられる前期比を使うことが多いが、コロナ禍で経済規模が平常時に比べてどれだけ縮んだかをみるため前年同期と比べた。リーマン危機の影響がピークだった09年1~3月期は2.6%減だった。米グーグルがスマートフォン利用者の位置情報をもとに移動先を分析したデータでみると、感染抑制のために厳しい行動制限を導入して人出が少なかった国・地域ほど、GDPの落ち込みが大きい。4~6月期の人出(中央値)が52%減と主要国で最も減ったスペインと英国はGDP減少率も上位2位を占めた。世界旅行ツーリズム協議会によると、主要経済国でGDPに占める観光の割合が最も高いのがメキシコ(15%超)、2位がスペイン(14%超)。観光依存が高いほどGDPも落ち込んだ。スペインは6~9月に国外から多数の観光客が訪れるが、今年は6月下旬まで受け入れを停止。6月の国外からの来訪者は前年同月比97.7%減った。英国は新型コロナウイルス対策が遅れ、他国よりロックダウン(都市封鎖)が長引いた。日米欧の大半は5~6月初旬に段階的に再開したが、英国は飲食や宿泊の休業解除が7月にずれ込んだ。主要国で4~6月期に唯一、プラス成長となったのが中国(3.2%増)だ。企業活動が先導する形で、2四半期ぶりにプラス成長に戻した。国の政策頼みの面が強く、民間投資はマイナスのまま。力強さを欠く家計や民間に恩恵が波及するかが持続力のカギを握る。主要国以外ではベトナムもプラス成長だった。早期のコロナ防疫で外出制限を4月の約3週間にとどめたことが奏功し、4~6月期の人出はコロナが本格化する前に比べて3%減まで戻った。英エコノミスト誌の調査部門のエコノミスト・インテリジェンス・ユニットによると、日米欧7カ国(G7)は7~9月期にすべて前期比プラスに戻る見通し。それでもGDPの規模は米国が17年、英独仏とカナダが16年、日本が12年、イタリアは1997年の水準にとどまる。正常化には時間がかかりそうだ。

*5-1-2:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20200816&ng=DGKKZO62692910V10C20A8EA1000 (日経新聞 2020.8.16) 新型コロナウイルス「弱毒化」根拠乏しく 変異で感染力に影響も
 新型コロナウイルスの変異に関する研究が注目されている。英メディアで「ウイルスは弱毒化している」とみる専門家の意見が紹介されたことなどがきっかけだ。現時点でウイルスの危険性の低下を示す科学的な裏付けはない。ウイルスの変異は一定の確率で起こる。病原性や感染力がどう変化するか、世界規模の継続的な分析が重要だ。英テレグラフ紙で6月中旬、イタリアの医師による「弱毒化」の発言が掲載されて話題となった。各国で発表される新型コロナの致死率が地域や時期ごとに違うことなどから、ウイルスの変異に注目が集まる。しかし病原性の低下を示す科学的な根拠は無く、あくまでも期待を含んだ臆測にとどまる。それでもウイルスの新たな変異が見つかったとの報告はある。米ロスアラモス国立研究所などの研究チームは7月上旬、特定の変異を持つウイルスが世界中に広がったとする論文を米科学誌セルに発表した。感染時に働くウイルス表面のたんぱく質のうち、1カ所だけ構造が変化していた。米国や欧州、アジアで見つかっている。このウイルスは変異前より感染力が増している恐れがある。米スクリプス研究所などの研究チームは実験室内でこの変異を再現し、構造が変化したたんぱく質の方が安定性が増したと報告した。安定性が増すと感染力も高まると考えられる。論文は査読前だが、動物のコロナウイルスを研究する北里大学の高野友美教授は「手法も結論も信頼性は高い」と評価する。一般的にウイルスは一定の確率でランダムに変異を繰り返す。しかしゲノム(全遺伝情報)が変異しても性質は変化しない場合がほとんどだ。まれにウイルスの構造や機能が変わり、危険性が増す「強毒化」や、減る「弱毒化」につながる。このためウイルス学などの研究者らは、流行当初から新型コロナウイルスの変異を追跡している。世界各地の研究機関から集まった新型コロナの遺伝子配列情報を解析し公表する国際プロジェクト「ネクストストレイン」は、ウイルスのゲノムに1年間で24個の変異が生じると見積もる。ただウイルスの性質が変化しているかどうかをゲノムのみから判断するのは難しい。高野教授は「実際にそれぞれの変異をもつウイルスで培養細胞や実験動物に感染させる実験が必要だ」と話す。そもそも、ウイルスの「弱毒化」には医療関係者らも懐疑的だ。日本でも直近の致死率は低下する傾向にあるが、ウイルスの性質の変化よりも重症化しにくい若者の患者が多いこととの関連性が指摘されている。けいゆう病院(横浜市)感染制御センターの菅谷憲夫センター長は「高齢者の患者が占める割合が小さいため弱毒化しているように見えるだけ」と指摘。「家庭内や施設内の感染で高齢者の患者が増えれば致死率は上がる。油断は禁物だ」と注意を呼びかける。

*5-1-3:https://www.pharm.or.jp/dictionary/wiki.cgi?%E7%94%9F%E3%83%AF%E3%82%AF%E3%83%81%E3%83%B3 (日本薬学会 2006.10.24) 生ワクチン
 病原ウイルスを初代培養細胞または培養細胞などで数十代以上にわたり継代培養を繰り返すことにより、病原性を弱毒化して、ヒトへの感染力と感染防御に必要な抗原(感染防御抗原)を持つ安定な弱毒株を作る。これを生ワクチン製造用株として培養を重ね調整されたものが弱毒性ウイルスワクチンである。一方、細菌の中で唯一の生菌ワクチンであるBCGワクチンは、弱毒ウシ型結核菌を230代培養することによって弱毒化されたものである。また、経口生ポリオワクチンはポリオウイルス1型、2型、3型の弱毒株を混合した多価ワクチンである。他には麻疹、風疹、おたふくかぜ、水痘などの生ワクチンがある。生ワクチン製剤はその有効性を維持するため、ワクチン微生物が死滅しないように、安定剤を加えた凍結乾燥製剤にしてある。生ポリオワクチンは、凍結乾燥でワクチンウイルスが死滅するので、液状製剤である。そのため、凍結保存が要求されている。最終製品はすべて製品ロットごとに、国立感染症研究所において国家検定が実施され、適合するものだけが出荷される。

*5-2-1: https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20200816&ng=DGKKZO62692170V10C20A8EA1000 (日経新聞 2020/8/16) 特養4割に浸水リスク 洪水時に最大3メートル以上 、東京23区、避難対策の強化急務
 東京23区内にある特別養護老人ホーム(特養)の約4割が、国や都の想定で洪水時に最大3メートル以上の浸水が見込まれる場所に立地していることが分かった。7月の豪雨では熊本県で浸水想定区域内の特養が浸水し、多数の犠牲者が出た。水害が各地で頻発するなか、避難対策の強化が急務だ。
厚生労働省によると、特養は全国に1万502施設(2019年9月末時点)ある。今回の調査は東京23区を対象にしたが、他地域でも低地に建つ特養があり、浸水リスクを抱えるとみられる。7月1日時点で23区内で運営する特養319施設を対象に、国や都が想定する最大規模での洪水時の状況を調べた。調査には住所から災害の被害想定を検索できる国土地理院の「重ねるハザードマップ」を活用した。最大で3メートル以上の浸水が想定されるのは319施設中128施設あり、定員の合計は約1万1千人に上った。内訳は最大3メートルが63施設、同5メートルが56施設、同10メートルは9施設だった。一般的に3メートルの浸水で1階の天井付近まで水没し、10メートルでは3~4階まで水につかる計算になる。大規模浸水が見込まれる東部の区で最大3メートル以上の浸水が見込まれる施設が多い。2017年の九州北部豪雨、18年の西日本豪雨、九州を中心とする今年7月の豪雨など、近年は大規模な水害が相次いでいる。厚労省によると、今年7月の豪雨では高齢者施設91カ所が浸水被害に遭った。入所者14人が犠牲になった熊本県球磨村の特養「千寿園」は、国が洪水時に10~20メートルの浸水を想定する区域にあった。水防法はこうした浸水想定区域に立地する高齢者施設などの「要配慮者利用施設」に対し、避難計画の策定や避難訓練の実施を義務付けている。具体的な訓練内容は各施設に任され、備えは施設によって差がある。江戸川区のある特養は最大5メートルの浸水が見込まれるものの、年2回実施する避難訓練は、地震や火災の想定にとどまる。担当者は「車いすで生活する利用者が多く、職員が階上まで運ぶのは大変。洪水時については机上で避難の流れを確認するだけになってしまっている」と話す。最大10メートルの浸水が想定される北区の特養では19年10月の台風19号の際に近くの川の水位が上がり、1階にいた利用者約20人を職員4人で2階以上に避難させた。担当者は「当時はエレベーターを使えたが、浸水で停電すると避難が難しくなる」と懸念する。国が「高齢者保健福祉推進10カ年戦略」(ゴールドプラン)を策定した1989年以降、全国各地で高齢者施設の建設が相次いだ。跡見学園女子大の鍵屋一教授(福祉防災)は「急速な高齢化を背景に施設の用地確保が優先され、災害リスクのある場所でも建てざるを得なかった」と解説する。今回調査した東京23区の特養でも、最大10メートルの浸水を見込む9施設はすべて、90年代以降に事業を開始していた。鍵屋教授は「高齢者施設では利用者を別の場所に移動させることで症状が悪化したり、十分なケアができなくなったりするリスクがあり、早めの避難に踏み切りにくい事情もある」と指摘する。中長期的には福祉施設を安全な市街地に移設することが必要だとしたうえで「国や自治体は、避難が必要になった施設の利用者を福祉施設が連携して受け入れる仕組み作りや、安全な避難場所の確保を急ぐべきだ」と話している。

*5-2-2:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO60690050T20C20A6000000/?n_cid=SPTMG002 (日経新聞 2020/6/26) 浸水エリアへの居住誘導やむなし 国交省が指針作成へ
 自治体が住宅の立地を促す「居住誘導区域」を浸水想定区域内に設定している問題で、国土交通省は両区域の重複は避けられないとみて、堤防整備などの水害対策と土地利用などのまちづくりを一体的に進めて被害を防ぐ方針を固めた。水害対策に貢献する再開発ビルの容積率を緩和する制度も創設する。
■「除外すると、まちが成り立たない」
 2019年10月の東日本台風(台風19号)では、浸水したエリアが居住誘導区域に設定されているケースが少なくなかった。全国でも、浸水想定区域を居住誘導区域に含めている自治体は多い。防災やまちづくりの専門家の間では、「浸水が想定されるエリアに居住を誘導するのはおかしい」との声が上がっていた。そこで、国交省は20年1月、都市、水管理・国土保全、住宅の3局合同で有識者会議を設置。そうした区域設定の問題も含め、水害対策とまちづくりの連携を検討してきた。6月12日に開いた第3回会合では、5月に実施した自治体への聞き取り調査の結果を公表。自治体からの意見を紹介した。ある自治体は、交通事業者と連携して、居住や医療、商業などの都市機能を中心部に集約する「コンパクト・プラス・ネットワーク」のまちづくりを推進。都市の成り立ち上、中心部にある鉄道駅や高次医療施設(大学病院)を浸水深3メートル以上の浸水想定区域に含めている。「浸水想定区域を都市機能・居住誘導区域から除外するのは厳しい」とみる。別の自治体は、「(浸水想定区域など)ハザードエリアに既成市街地が多く存在し、誘導区域から除外すると、まちが成立しなくなる。一方、ハザードエリアを誘導区域として公表することにも抵抗がある」と打ち明ける。そのため、国交省の有識者会議は、「多くの都市部が水災害ハザードエリア内にあるなか、居住や都市機能を誘導する区域から完全にハザードエリアを除外することは困難だ」と指摘。河川や下水道などの治水施設の整備と併せ、水害リスクの低い地域への居住・都市機能の誘導、地形に応じた住まい方の工夫、避難体制の構築など、水害対策とまちづくりが一体となった取り組みを推進する必要があるとの認識を示した。国交省は、有識者会議が7月初旬までにまとめる提言を受け、8月にモデル都市を複数選定。その取り組みを踏まえ、21年3月にガイドラインを作成し、自治体などに通知する。
■防災貢献で容積率緩和の新制度
 有識者会議の第3回会合で示したガイドラインのイメージでは、水害対策とまちづくりの連携を促進する考え方を提示。自治体は、防災・治水部局が提供する水害情報を基に、まちづくり部局が地域の水害リスクを評価し、防災目標を設定したうえで、地域の危険度に応じて居住誘導区域などの指定を判断することが重要だと述べている。区域設定のための考え方も提示した。特にリスクが大きい地域(災害レッドゾーン)は原則、立地や開発を規制し、居住誘導区域から除外する。よりリスクが小さい地域(災害イエローゾーン)は、浸水深や建物倒壊の恐れ、避難の容易さなどに応じて、居住誘導区域に含めるか否かを判断する。さらに、浸水深をベースに、浸水継続時間や洪水到達時間、流速、避難時間など他要素も考慮して、区域を設定する。区域設定の具体例も紹介。福島県郡山市は原則として、氾濫水の流れが激しい「家屋倒壊等氾濫想定区域」(L2)と浸水深1メートル以上の区域(L1)を居住誘導区域から除外している。埼玉県志木市は、既成市街地の大部分が浸水想定区域と重なっているが、災害避難場所から1キロの範囲(徒歩10~15分圏内)に含まれるため、居住誘導区域に設定している。一方、まちづくりの防災・減災対策も例示した。土地のかさ上げや緑地・農地の保全など災害発生を未然に防ぐ手法の他、避難路の整備や浸水深以上への居室の配置など災害発生時の人的被害を最小化する手法、宅地や基礎のかさ上げなど災害発生時の建物被害を最小化する手法を列挙。さらに、まちづくりと連携した水害対策として、遊水機能の強化や下水道の整備など内水氾濫を防ぐ手法を挙げている。この他、都市開発プロジェクトで民間事業者が地域の水害対策に貢献する施設整備などに取り組む場合、新築する再開発ビルの容積率を緩和する制度を創設する方針を示した。国交省は、有識者会議の提言を受け、早ければ20年夏にも新制度を導入する。新制度で容積率緩和の対象となるのは、民間事業者が再開発ビルの最上階などに近隣住民が避難できるスペースを設けたり、周辺街区に避難路や避難地などを整備したりする場合だ。都市再生特別措置法に基づく都市再生特別地区で実施する再開発事業では、河川の上流域など離れた場所に仮設住宅用地などを確保すれば、容積率緩和の対象となる。

*5-3-1:https://www.saga-s.co.jp/articles/-/445208 (佐賀新聞 2019年10月24日) <玄海原発>リラッキング、規制委が了承
 原子力規制委員会は23日、九州電力玄海原発(東松浦郡玄海町)3、4号機の使用済み核燃料の貯蔵容量に関し、貯蔵プール内の核燃料の間隔を詰めて保管量を増やす「リラッキング」で増強する計画を了承した。事実上の審査合格となり、九電は2024年度の工事完了を目指している。計画は乾式貯蔵施設との併用を前提とし、乾式貯蔵の審査は継続している。3号機でリラッキングを実施し、貯蔵設備の一部を3、4号機で共用する。貯蔵能力は、現状の1050体から1672体に増える。工事費見込みは約70億円。九電は10年に計画を申請し、今年1月22日に補正書を提出していた。九電はこれまでの審査で、貯蔵プールで15年以上冷却した使用済み核燃料を、今後整備する乾式貯蔵施設に貯蔵する方針を示しており、規制委はこの方針を了承している。審査書の取りまとめで意見募集するかどうかについて、委員長含む5委員の意見が分かれた。「リラッキング自体は技術的に新しくない」として不要とする意見と、「規制委がリラッキングの審査書を取りまとめるのは初めてなので実施すべき」との意見が出た。多数決の結果、3対2で意見募集しないことを決めた。経済産業相の意見聴取などを経て、約1カ月後に正式許可となる見通し。リラッキングと併用する乾式貯蔵施設は、使用済み核燃料を特殊な金属容器(キャスク)に入れて空気で冷やす施設。リラッキングの補正書提出と同じ日に申請し、審査が続いている。リラッキングを巡っては、田中俊一前委員長が安全性の観点から否定的な見解を示していた経緯がある。更田豊志委員長は会合で「プールの貯蔵量が増えることをよしとしないことは規制委で明確にしている。乾式貯蔵施設が整うことがいたずらに遅れないことが重要」と発言した。

*5-3-2:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20200301&ng=DGKKZO56242840Z20C20A2EA1000 (日経新聞社説 2020.3.1) 原発を運転する資質を疑う
 日本原子力発電が敦賀原発2号機の地質データを再稼働に有利な方向に勝手に書き換えていたことが発覚した。原子力規制委員会が規制基準に適合するかどうかを判断するのに重要なデータで、言語道断の行為だ。原発事業者としての資質を疑う。敦賀2号機は原子炉の真下に活断層がある可能性が高く、このままだと廃炉に追い込まれる。原電は規制委の審査会合で、活断層でないと繰り返し反論してきた。そして2月7日、提出した資料のなかの地質データが過去に示したものと10カ所以上も書き換わっていることが、わかった。事態を重くみた規制委が審査を中断し、解析に使った元データの提出を求めたのは当然の対応だ。なぜこうした書き換えが起きたのか。徹底的に追究し、明らかにしてもらいたい。責任の所在も明確にすべきだ。意図的ではなかったと原電は釈明するが、それで許される次元の話ではない。新たな解析で結果が変わったのなら、併記するなどして修正がわかるようにするのが、データを扱う際の初歩だ。それを知らない会社に原発を動かす資格があるのか。こんなことでは18年夏に適合審査に合格した東海第2原発の再稼働も遠のくだろう。地元の合意形成がさらに難しくなる。1966年に国内初の商業用炉となる東海原発を動かした原電は、国策民営で歩んできた「日本の原発」の象徴的な存在だ。主要株主の電力9社にとっても今回の問題は人ごとではない。昨年秋には関西電力で金品受領問題が表沙汰になった。時代錯誤というべき地元との癒着を、東京電力福島第1原発事故後も断ち切れていなかった。四国電力の伊方3号機でも今年1月、信頼を損なう深刻なトラブルが続いた。東日本大震災からもうすぐ9年。電力会社の安全・安心への姿勢は何も変わっていないのではないか。原発の安全性に加え各社の資質も規制委は問うべきである。

*5-4-1:https://www.sankeibiz.jp/macro/news/171017/mca1710170500004-n1.htm (Sankeibiz 2017.10.17) 日本のEEZは資源の宝庫 海のレアメタル、高い採掘技術で国産化前進
 日本にとって“夢”だった国産資源開発の扉が開かれようとしている。経済産業省と石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)が9月下旬、金や銅などのレアメタル(希少金属)を含む海底の鉱石を安定的に引き揚げる実験に世界で初めて成功。2020年代後半の商業化を目指している。日本は海に囲まれ、世界有数の広さの排他的経済水域(EEZ)を持つ。商業化が実現すれば、外交上の弱点補強にもつながる。成功したのは、マグマで熱せられた海水が海底から噴き出した際、海水に含まれる金属が冷えて固まってできる「海底熱水鉱床」から鉱石を連続して大量に引き揚げる実験だ。鉱石にはレアメタルや鉄のメッキに欠かせない亜鉛などを多く含むとされる。8月中旬から9月下旬まで、JOGMECなどが沖縄県近海で実施した。水深約1600メートルの鉱床に投入した掘削機で鉱石を直径約3センチに砕き、水中ポンプで引き揚げた。重い鉱石を海水とともに目詰まりなく吸い上げるのが課題で、実験では、期間中に数十分間に渡る連続採掘を16回実施し、計16.4トンを引き揚げた。鉱石には7~8%程度鉱物資源が含まれているとみられる。これまでは海底熱水鉱床から鉱石を引き揚げる手段がなく、潜水艇で採掘するしかなかった。
●高い技術力武器
 今回、世界に先駆けて海底鉱石の連続採掘に成功したのは、日本の企業が高い掘削技術を持つからだ。掘削機やポンプは“機械のデパート”とも呼ばれる三菱重工業が手がけた。加えて、海流がある中で船を停止して掘削する高い操船技術もあった。商業化には、ポンプの大型化や掘削機の低価格化など技術革新に取り組まなければならないが、かつて油田開発が盛んだったこともあり、もともと技術水準が高く日本は他国より優位だ。経産省はEEZの他海域での資源量などを調査し、18年度に商業化できるかどうか判断する。海底熱水鉱床は沖縄県近海のほか、小笠原諸島近海など8カ所で確認されている。沖縄本島から北西に約110キロの海底にある伊是名海穴(いぜなかいけつ)の資源量は740万トンで、このうち国内の年間消費量と同等の亜鉛が埋蔵されているとみられている。また、日本のEEZは世界6位の広さで、海底熱水鉱床だけでなく、より深海には、コバルトやニッケル、白金などレアメタルを多く含んだ岩石の集まり「コバルトリッチクラスト」、レアメタルが含まれる球状の岩石「マンガン団塊」など有力な海底資源が存在するといわれている。これらには、高性能モーター用磁石の原料となるレアアース(希土類)なども含まれているとされる。本州から約1800キロ離れた日本最東端の南鳥島周辺からはレアアースを含む泥(レアアース泥)も発見されている。世耕弘成経済産業相は「日本近海では、国内の年間消費量を上回る鉱物の存在が見込まれている。今回の成功を踏まえて国産資源の開発を進め、わが国の鉱物資源の安定供給体制のさらなる強化を主導したい」と語る。ただ、これらの海底資源の開発を成功させるにはいくつもの壁が立ちはだかる。まずは水深だ。比較的浅い海底熱水鉱床でも水深700~2000メートル。マンガン団塊やレアアース堆積物は4000~6000メートル、コバルトリッチクラストも800~5500メートルと深海の底に眠る。採掘機器は海底熱水鉱床でも重要だが、さらに高い耐圧性や密閉性が求められる。また、不純物と有用鉱物を分離する「選鉱」の手法が海中鉱物と陸上鉱物では異なるため、海中鉱物に適した選鉱方法を確立する必要がある。国内ではほとんどの鉱山が閉鎖され、かつては鉱山とともにあった選鉱施設がなくなったことも障害の一つだ。
●有効利用は数十年先
 「登山に例えるなら、ようやく装備が整って、登山口に立てたところ」。経産省幹部はこう打ち明ける。全ての海底資源を有効利用できたとしても、数十年先の未来になりそうだ。ただ、国産資源を持つことは、「生き馬の目を抜く資源外交」(関係者)において、有力な交渉材料となる。10年9月に尖閣諸島(沖縄県石垣市)沖で海上保安庁の巡視船と中国漁船が衝突。海保が船長を逮捕すると、中国のレアアース対日輸出が停滞した。当時、日本のメーカーは、レアアースを使わないモーターの開発を目指したが、国産資源を持てば対抗できるようになるかもしれない。今回の実験成功を受け、経産省幹部は「何はともあれ、1つの壁を越えた感はある」と安堵(あんど)の表情を浮かべる。JOGMECの辻本崇史理事は「海底資源開発の転機になる」と太鼓判を押す。日本は資源がない国ではない。光が届かない海の底に、日本の希望の光が眠っている。

*5-4-2:https://www.nikkei.com/article/DGKKZO61563740V10C20A7TJ2000/ (日経新聞 2020/7/16) 日産EV、10年ぶり新型 SUV「アリア」21年投入、航続距離強み、米中勢追う
 日産自動車は15日、10年ぶりに電気自動車(EV)の新型車を発表した。かつて米テスラと並ぶEVの先駆者だったが新型車を投入できず、販売シェアは4位に沈む。走行距離の長さなどを武器に巻き返しを図るが、シェアの6割を占める米テスラや中国勢の牙城を崩すのは一筋縄ではいかない。「新しい時代を象徴する『アリア』には我々の決意が表れている」。日産の内田誠社長兼最高経営責任者(CEO)は15日、21年から発売する新型EV「アリア」をお披露目した。SUV(多目的スポーツ車)で、日本の実質価格は約500万円から。航続距離は90キロワット時の電池を搭載した二輪駆動タイプで最大610キロメートルと、10年に発売した初代EV「リーフ」に比べ約3倍に伸びた。新型EVは中国専売車を除くとリーフ以来10年ぶりだ。当時リーフはテスラの初期モデル「ロードスター」と並んで量産型EVの草分けだった。日産は当時、仏ルノーと合わせて16年度までに累計150万台のEVを販売する計画を掲げたが、リーフの販売は足元で計45万台超にとどまる。日産は航続距離の短さや充電設備の不足などでEVの普及は限定的とにらみ、独自のハイブリッド車(HV)技術「eパワー」に注力するなど、EVに研究資源を集中しなかった。英LMCオートモーティブによると、19年のEVの世界販売台数は167万台。新車販売全体に占める割合は2%だが、4年で5倍に増えた。けん引したのがテスラだ。廉価車「モデル3」の量産で世界首位に躍り出た。ナカニシ自動車産業リサーチの中西孝樹代表はテスラの強みを「米アップルのiPhoneのように洗練されたイメージでファンを増やしてきた」と分析する。中国も新エネ車を普及させたい政府による補助金を背景に市場が急拡大。北京汽車集団など現地メーカーが躍進した。いまや、世界のEV販売でテスラは37万台と22%を占めるまで成長したのに対し、日産とルノー、三菱自動車を合わせた日仏連合は13万台と8%にとどまる。日産はアリアをてこに巻き返しを図る。社内測定で単純比較はできないが、アリアの最大610キロメートルの航続距離はテスラの「モデル3」の上位モデル(560キロメートル)を上回る。内田CEOは「今後はEV含めて年間100万台の電動車を販売する」と意気込む。日産以外の日本車メーカーもEVに本腰を入れ始めた。トヨタ自動車は高級車ブランド「レクサス」初のEVを今春、中国で先駆けて発売した。欧州は今夏、日本は21年前半に発売する。ホンダとマツダも初の量産型EVを年内に欧州で販売し、その後国内で投入する。21年に欧州連合(EU)が自動車の環境規制を強めるなど、EVはさらなる市場拡大が見込まれるためだ。ただ、テスラは先を行く。21年にドイツに欧州初の完成車工場を稼働させる予定だ。中国、欧州の2大市場で製造・販売する体制を築き、米国工場を含む同社の年産能力は現状の1.4倍の100万台に増える。日産のアリアやトヨタの中国で発売済みのレクサスはともに500万円台からと、テスラの「モデル3」と同価格帯の高価格戦略で挑む。ただ「売れるEVを作れるのはまだテスラだけ」(ナカニシ自動車産業リサーチの中西代表)。テスラに匹敵する魅力を消費者に伝えられなければ、苦戦は避けられない。トヨタ幹部は「環境対応車のどれが本命になるかまだ分からない。当面は全方位の対応を続けざるを得ない」と話す。独フォルクスワーゲンなど欧州勢は「EV重視」の戦略を明確化し始めている。国内勢が資源配分に悩んでいるうちに、手遅れになる恐れがある。

<農業の前進>
PS(2020年8月22日追加):*6-1のように、新型コロナウイルスの感染拡大で大阪・山梨のワイナリーの3~6月の売り上げが前年の半分以下に減少し、今年の仕込み量が減らされるそうだ。それなら、新型コロナウイルスに耐性のあるワイン酵母を使ってワインを作れば、付加価値がついて高く売れるので、速やかに新型コロナ耐性ワイン酵母を作ったらどうか? 欧米輸出用は欧米型新型コロナ株、国内用は日本型新型コロナ株に感染させて生き残ったワイン酵母を使えばできると考える。そのため、「新型コロナの影響でマイナスだった」として何でも補助の対象にするのではなく、それを逆手にとって儲かることを考えて欲しい。美味しいワインで新型コロナウイルスを撃退できれば、一石二鳥だ。
 このような中、*6-2のように、JA全中の新執行部は「①JA自己改革の継続や経営基盤強化が重要課題」「②准組合員に運営参画をさせ、関係を強化し、理解・評価を得て准組合員規制を阻止したい」「③食料安全保障と食料自給率向上には食料・農業・農村基本計画の実践が最重要」「④新型コロナの影響で対話の機会が減っているが、可能な限り機会を設けて取り組む必要がある」等と述べておられる。
 このうち①は、農協をあげてならできる新商品の開発やグリーン発電事業を追加して農家と社会のニーズに応えたらどうかと思う。また、②の規制は、いたずらに農協の営業を妨害する望ましくない規制であるためはねつけた方がよく、準組合員の中に食品・ワイン・ジュースの加工業者やグリーン発電事業者を加えれば、農家と一体になって品質のよいものを作ることが可能だ。さらに、③は、これまでの政府のやり方では食料自給率は向上せず、食料安全保障も達成できなかったのであるため、悪かった点をリストアップして変更する必要がある。また、④については、農協もZOOMのようなツールを使って会議をすれば、どこからでも参加できるので必要な人を参加させやすい上、インターネットになじみができてスマート農業に資すると思う。なお、外国の農協ともZOOMのようなツールを使って会議をすれば、参考になる点が多いと思われる。

   
   ブドウ       ロボットで収穫  ドローンで自動化       水田

*6-1:https://www.agrinews.co.jp/p51678.html (日本農業新聞 2020年8月20日) [新型コロナ] 日本ワイン コロナ打撃 醸造用ブドウ豊作も…仕込み減 苦渋の決断 大阪
 新型コロナウイルスの感染拡大で、日本ワインの苦戦が続いている。大阪や山梨のワイナリーでは、3~6月の売り上げは前年の半分以下に減少。宴会やイベント、インバウンド(訪日外国人)需要の減少などにより、需要が戻らない。2020年産醸造用ブドウは豊作傾向の一方で、今年産の仕込み量を減らすワイナリーも出ている。昭和初期に全国屈指のブドウ産地だった大阪府。100年以上ワイン醸造を続ける大阪府柏原市のカタシモワインフードでは、宴会やイベント向けの需要が落ち込み、3~6月上旬の売り上げは前年と比べ約5割減った。いまだに需要回復の傾向はみられないという。同社は約14万リットル分のタンクを抱える。本来なら今年産の仕込みのためにタンクを空にして準備しているところだが、需要が落ち込んだため、ワインの半分ほどがタンクに残ったままだ。ワインを瓶に移してしまうと半年~1年以下で劣化してしまう。新型コロナ禍で個人消費の減退も予測される中で、早めに売り切れる見込みもない。廃棄するにも費用がかかる。こうした状況から同社では、今年産の仕込み量を減らす予定だという。近年の大阪ワインの人気の高まりから、同社では醸造用ブドウの不足が続いていたという。2019年には20カ国・地域(G20)大阪サミットで大阪ワインが提供されたのをきっかけに知名度が一気に向上し、売り上げは急増。同社では現在の3・5ヘクタールまで「デラウェア」の栽培面積を拡大し続けていた。他にも、同社など府内のワイナリーでつくる大阪ワイナリー協会では、JA大阪中河内や府などとともに「デラウェア」の契約栽培に今年3月から乗り出していたところで「増産に向けて動いていたところに急ブレーキをかけられたような状況だ」(同社)という。同社は「契約栽培分は何としても買い取りたい」とするが、他産地からの購入は減らさざるを得ないという。同協会では、オンラインによるワイナリー見学や、クラウドファンディングなどにも取り組み始めた。消費拡大に向けて試行錯誤を重ねているが「需要の回復にはまだまだ遠い」(同社)。同協会会長で同社の高井利洋代表取締役は「待ったなしで秋が来るが、手の打ちようがない」と葛藤する。
●「全国一」の山梨 需要最大8割減 3~6月
 18年度の国税庁調査で全国一の日本ワイン生産量を誇る山梨県でも、需要が大きく落ち込んでいる。山梨県ワイン酒造組合は、3月中旬から6月にかけて県内のワイナリーで最大で前年比8割減少したとみる。山梨県のJAふえふき直営のワイナリー「ニュー山梨ワイン醸造」では、首都圏からの観光需要の落ち込みで宴会向けや土産向けで大きく減らし、3~5月の売り上げは約5割下がった。県外への移動自粛要請の解除後も、大きな回復はまだみられないという。イベントなどの中止で今後の消費PRも見込めないため、今年産の仕込み量は前年比6割ほどに落とす予定だ。日本ワイナリー協会は「飲食店向けやインバウンドなどの需要が戻らない以上、今後も同様の状況が続く。このまま今年産の仕込みが進んでいけば、在庫処分せざるを得ないワイナリーも出てくるのではないか」と指摘する。
●輸入も1割減
 輸入ワインもコロナの影響を受けている。財務省貿易統計によると、1~6月のぶどう酒の輸入金額は、前年同期比で9%減少した。日本洋酒輸入協会によると「昨年は日欧経済連携協定(EPA)の影響で輸入が伸びていた分、コロナの影響はかなり大きく、前年割れが続いている」。特に、宴会の自粛などでスパークリングワインなどの需要が大きく落ち込んでいるという。

*6-2:https://www.agrinews.co.jp/p51687.html (日本農業新聞 2020年8月21日) 全中・中家会長2期目始動 改革継続へ決意
 JA全中は20日、東京都内で通常総会を開き、中家徹会長(JA和歌山中央会会長)を再任した。2期目をスタートさせた中家会長は総会後の記者会見で、JA自己改革の継続や経営基盤強化などが重要課題になると指摘。「いつまでもJAは必要な組織だと評価してもらうため、自己改革に終わりはない」と決意を示した。准組合員の事業利用規制に関する調査期限が2021年3月に迫る問題では、引き続き准組合員の運営参画が重要だと強調。「関係を強化し、理解・評価を得て規制を阻止したい」と訴えた。経営基盤の確立・強化は「組合員の負託に応え続けるために不可欠」とした。現場実態に応じた改革に向け「組合員と徹底的に対話することが重要だ」と表明。新型コロナウイルスの影響で対話の機会が減っているが、「可能な限り機会を設けて取り組む必要がある」との考えを示した。食料安全保障の重要性にも言及。19年度の食料自給率は38%で目標の45%の達成は「非常に厳しいという見方もある」と指摘した。自給率向上には食料・農業・農村基本計画の実践が最重要とし、行政と協力し対応を進めるとした。この他、新型コロナの影響への万全な対策なども重要課題に挙げた。副会長にはJA佐賀中央会会長の金原壽秀氏を再任、JA福島中央会会長の菅野孝志氏を新任した。会見で菅野副会長は「食料自給率は、地域が自らの課題としてどう高めるかが重要。全国のJAや県連と連携し精力的に取り組みたい」と語った。金原副会長は「農家・組合員の生活を守り地域活性化のために尽力したい」と述べた。通常総会後の理事会で新専務に馬場利彦氏、新常務には山下富徳氏を選んだ。

<中山間地・離島の高校過疎化>
PS(2020年8月24日追加):*7-1に、「①公立高のない市区町村が3割あり、特に中山間地・離島などで『高校の過疎化』が進んでいる」「②農山村の教育力は大きく、(そこでの体験は)高校生にとって大きな財産になる」「③高校・地域社会の協働で地域密着教育を行い、人材育成・地域の課題解決に繋げて高校を核に地方創生に取り組みたい」「④高校との連携には、産業界・自治体・自治会、住民グループ、地域運営組織、NPOなどが参画して、地域づくりの大きな可能性が芽生えた」「⑤大分県の県立久住高原農業高校は全国から生徒を募集する仕組みを作り、新規就農者や地元の農家も集う場と位置付けて地域や農業に活気を呼び込む」「⑥人口減少が進む中、財政事情や効率化だけを考えれば過疎地域の高校は統廃合を迫られるが、過疎地域の高校だからこそできる教育がある」「⑦オンライン教育を過疎地域と都会の高校の連携に活用したい」等が書かれている。
 このうち、②③④は貴重で、農山漁村は、コンクリート造りの都会で勉強していても決して得られない豊富な体験をすることができるという長所があり、農業高校だけでなく普通高校の生徒も、豊かな自然の中で住民と近い関係から得られる体験は大きい。そのため、⑤の全国から生徒を募集する仕組みは、農業高校に限らずよいと思う。また、①⑥のように、過疎化が進んだから現在ある学校を統廃合するというのはもったいなく、例えばスイスのル・ロゼ校(小3~高3、名門寄宿学校)は、世界から生徒を集めている。つまり、校舎や寄宿舎の改修・整備の仕方によっては、学校の足りない国や女子が学ぶと危険な国から生徒を集めたり、都会から生徒を集めたり、企業の研修施設にしたりすることが可能なのだ。さらに、⑦のオンライン教育を取り入れると、中山間地や離島の短所を補うこともできる。
 このような中、*7-2のように、台風8号で沖縄県本部町130世帯、久米島町60世帯、大宜味村10世帯で停電が発生したそうだが、太陽光発電機や風力発電機をつけていれば、停電は問題にならなかったと思う。



(図の説明:1番左の図は、令和3年度に離島留学を募集している離島で、左から2番目の図は、長崎県の離島。離島は狭い範囲に山・田畑・海が1セット揃っているため、容易に多様な自然と触れ合うことができ、放課後に山までマラソンしたり、海で泳いだり、ヨットやボート・釣りなどをすることもできる。右の2つは、洋上風力発電機と尾根などに設置された風力発電機だ)


    

(図の説明:1番左は、養殖場に設置された風リング風車の風力発電機で、左から2番目は、手入れの行き届いた森林だ。右から2番目は、巣箱でかえったフクロウの雛で、1番右は沖縄県慶良間の海中の様子だ。例えば、雪国の野球部の生徒が、冬は雪のない地域の学校で勉強や練習をするのもありだろう)

*7-1:https://www.agrinews.co.jp/p51611.html (日本農業新聞 2020年8月12日) 地域の高校魅力化 農村再生の拠点になる
 公立高校がない市区町村が3割に上る。特に、中山間地や離島では「高校の過疎化」に歯止めがかからない。財政事情や効率化といった基準だけで統廃合を進めるべきではない。高校を核に地方創生に取り組む「高校魅力化」を広げたい。農山村の教育力は計り知れない。高校生にとっても大きな財産になる。公立高校の立地状況は2019年度で、文部科学省が今年7月に初めて公表した。ゼロもしくは1校の割合も6割を超えた。割合は10年度より高まっている。全国で高校が消えていく一方、政府は「高校魅力化」を地方創生政策の柱に据える。高校と地域社会との協働で地域密着での教育を行い、人材の育成や地域の課題解決などにつなげる。高校との連携には、農業をはじめとした産業界や自治体・自治会、住民グループ、地域運営組織、NPOなどが参画。各地で実践が進み、地域づくりに大きな可能性が芽生えている。例えば大分県竹田市久住地区の県立久住高原農業高校。70年以上も分校だったが、19年度に単独校として再スタートした全国でも珍しい農高だ。地域住民と手を取り合って、地域づくりを進める。農高は全国から生徒を募集する仕組みを作り、新規就農者や地元の農家も集う場と位置付け、地域や農業に活気を呼び込む考えだ。「地域にかっこいい大人がたくさんいる」「先進的で地域密着の農業を学べる環境は他にない」など、農高の生徒は地域密着で学べる意義を実感する。人口減少が進む中で、財政事情や効率化だけを考えれば過疎地域の高校は統廃合を迫られる。しかし、地方創生の柱と位置付ける一方で、生徒が減ったから閉校するというのは矛盾だ。高校は、地域を担う人材育成の拠点として捉えるべきだ。地域の教育力も評価すべきである。高校を進学や就職のための通過点とはせずに、生徒が地域の魅力を学ぶ価値を見直したい。農家らから直接教わったり、地域課題の解決策を共に考えたりするなど過疎地域の高校だからこそできる教育がある。新型コロナウイルスの影響により、オンライン教育も一般的になりつつある。これを過疎地域と都会の高校の連携に活用したい。19年度の高校数は全国4887校で09年度から296校も減った。農業系学科がある高校は19年度792校で10年間で53校も減ってしまった。高校の価値を再考し、オンライン教育の活用も進めれば、高校をなくすだけではない選択肢も出てくるはずだ。文科省は22年の春から、都道府県など学校設置者の判断で新しい学科の新設や再編ができるようにする方針だ。農業や地域を包括的に教えることも可能になる。地域に密着した魅力ある高校づくりに、JAや農家などは積極的に関わってほしい。高校は、農山村再生の拠点になる可能性を秘めている。

*7-2:https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1178919.html (琉球新報 2020年8月24日) 台風8号で停電発生、本部町130世帯、久米島町60世帯、大宜味村10世帯
 沖縄電力によると、24日午後12時21分現在、本部町の130世帯、久米島町の60世帯、大宜味村の10世帯で停電が発生している。

<日本の産業と外国人の雇用>
PS(2020年8月27日追加):*8-1-1のように、ミャンマー国軍がロヒンギャを迫害し、74万人のロヒンギャが命からがら隣国のバングラデシュに逃げ込んだ。日本の政府・メディアは、「ロヒンギャの祖国への帰還」をミャンマー政府に働き掛けただけだが、政権トップがアウン・サン・スー・チー氏であっても軍と対立してまで戻すことができない状況は想像に難くない。また、ロヒンギャの方も、再度迫害を受ける可能性のある危険な“祖国”に帰れないのは当然であるため、私は、数多く日本にある(国境離島ではない)離島に公営住宅を建て、企業を誘致して、ロヒンギャの子どもを教育し、若者を就業させるのがよいと考える。何故なら、ある程度、独立したコロニーを作って生活できるからだ。
 しかし、日本には、*8-1-2のように、まだ「①外国人受け入れ、是か非か」という議論があり、「②社会構造の持続へ不可避」という意見がある一方、「③日本人の賃金が安くなるから反対」という意見もある。私は、難民の受入を増やすことは、②に加えて人権侵害されている人に手を差し伸べるという国際貢献にもなる。また、③については、日本人労働者の賃金が生産性と比較して高止まりしすぎていることが、日本企業が海外に逃げ出す原因の1つとなっており、さらに非正規労働者やフリーターも人手不足の業種には行きたがらず、地方は地域を支える力が不足している現状もある。そのため、「人口維持の目的」というより、国際競争力のある生産性に見合った賃金で働く人材としても難民の受入は必要不可欠なのだ。このような中、*8-2-1のように、愛媛県のJAにしうわは、ミカン収穫の作業手順を分かりやすくまとめた動画の作成を進め、熟練アルバイターの獲得が不透明な中で県内のアルバイターの募集を始めるそうだ。しかし、これなら難民や外国人労働者にもわかりやすいだろう。
 なお、*8-2-2のように、日本はLowTech産業による個人用防護具の輸入に占める中国比率が8割、マスクの同比率は96%で、需要急拡大に輸出拡大で応えた中国は偉いが、日本は情けないと言わざるを得ない。また、価格競争になると負けるのが中国依存度を上げた理由だが、これを続けると日本から輸出するものはなくなり、輸入するものばかりになる。何故なら、HighTech産業による新型コロナの予防薬・治療薬も、*8-3-1のように外国頼みであり、日本はビッグチャンスに大学の研究室が自粛させられ、米バンダービルト大学・英オックスフォード大学・アストラゼネカなどのように迅速に結果を出せないからだ。
 このように何でも遅い理由は、*8-3-2のように、「ワクチンは安全性最優先を忘れるな(そんなこと、専門家は百も承知)」などとメディアが足を引っ張るからで、実際には、④不確定な要素があるから研究するのであって(確定していれば研究する必要はない) ⑤遅いから着実とは限らず(単なる怠惰の場合も多い) ⑥初めから透明だったら治験する必要はない わけである。なお、近年起こった子宮頸癌ワクチン接種の副作用とは異なり、新型コロナワクチンは多くの人の目前に迫る感染症リスクを軽減するために行うものであるため、接種したい人も多く、接種に不適当な人や接種したくない人に摂取する必要はないのだ。

   
 2018.12.6産経新聞 2019.5.11東京新聞    法務省     2017.6.16東洋経済       

(図の説明:政府は2019年4月に入管法を改正して在留資格に「特定技能」を創設したが、これは、人手不足に対応するため一定の専門性・技能を有して即戦力となる外国人材を受け入れる制度であるため、1番左と左から2番目の図のように、難民は対象外である。そして、右から2番目の図のように、日本は難民申請者と比較して難民認定者が非常に少ない。さらに、次の先進技術を獲得する手段となる論文数も、1番右の図のように、日本より人口の少ないドイツ・英国以下であり、全く振るわない。何故だろうか?)

*8-1-1:https://www.tokyo-np.co.jp/article/51157 (東京新聞 2020年8月26日) ロヒンギャ迫害 政権は差別解消率先を
 ミャンマー国軍が、イスラム教徒少数民族ロヒンギャを大量に隣国へ流出させた迫害から三年。祖国への帰還はいまだ実現せず、コロナ禍が追い打ちをかける中、難民長期化の弊害が拡大している。二〇一七年八月二十五日、過激派アラカン・ロヒンギャ救世軍との軍事衝突がきっかけとなったミャンマー国軍の暴力は、酸鼻を極めた。同国西部で住民への無差別殺害やレイプ、放火を起こし、国連によると少なくとも住民一万人が死亡。七十四万人が隣国バングラデシュに逃げ込んだ。国軍兵士らによる迫害は、一一年まで半世紀間の軍事政権時代から始まった。一九七八年、九一〜九二年などに数度、計約五十万人がバングラに逃れている。これらを合わせ、現在の難民は百万人を超えているとみられる。ロヒンギャにはミャンマー国籍がない。軍政下の改正国籍法で、正規国民になれる百三十五民族から除外されたためである。一一年の民政移管後も無国籍のままだ。実は、一七年の軍事衝突の数時間前、アナン元国連事務総長らによるミャンマー政府の諮問委員会が「国籍付与を検討せよ」と政府に勧告する報告書を出していた。諮問委をつくったのは、民政移管後の一六年に国家顧問に就任したかつての民主化指導者アウン・サン・スー・チー氏だった。しかし、報告書提出直後からの軍事衝突の大混乱で勧告は放置された。政権の事実上のトップは文民のスー・チー氏である。半面、憲法では国軍や警察、国境治安の管理などロヒンギャに直結する分野の権限は軍部が握り「スー・チー氏はロヒンギャに無策」との国際社会からの批判につながっている。同国では十一月に総選挙を控える。スー・チー氏の与党国民民主連盟(NLD)が過半数を維持できるかが焦点だが、政権はこの問題を先送りする可能性があり、看過できない。背景にはロヒンギャを「無国籍の不法移民だ」「仏教徒でない」「人種が違う」「ミャンマー語を話せない」と突き放す冷淡な世論がある。再びの迫害を恐れ、帰還は進まない。難民キャンプでは子どもへの教育や若者への職業訓練の不足で「失われた世代」化への懸念が広がる。コロナ禍で死者も出た。政権は、国際司法裁判所(ICJ)に「迫害停止」を命じられてもおり、諮問委勧告の実施と差別意識の解消に動くべきだ。日本など国際社会も、ミャンマーに救済を強く働き掛け続けてほしい。

*8-1-2:https://www.chugoku-np.co.jp/column/article/article.php?comment_id=598319&comment_sub_id=0&category_id=1153 (中国新聞 2019/12/20) 外国人受け入れ拡大、是か非か
 外国人労働者の大幅な受け入れ拡大を図る改正入管難民法が昨年12月に成立してから1年。政府が「移民政策はとらない」との立場を取る中、なし崩し的に地域や職場で国際化が進む。外国人労働者や移民の受け入れについて賛否の立場の識者に意見を聞いた。
◇社会構造の持続へ不可避 日本国際交流センター執行理事・毛受敏浩氏
―外国人労働者の受け入れの拡大は必要ですか。
 多様な価値観の人が集まり、独自の人脈を生かすことで新しいビジネスが起こる。移民300万人を受け入れた場合の経済効果は20兆円に上るとの試算もある。地方が国際的に発展する起爆剤になる。今後10年ぐらいは本格的な移民受け入れの準備期間と考えるべきだ。どんな人を受け入れるか入り口が大事。学歴や日本語ができるかなどで国に必要な人材を選択すれば、教育などの受け入れコストは下がる。日本は制度と意識の転換期を迎えた。
―新しい在留資格「特定技能」をどうみますか。
 外国人労働者の受け入れが前進した。しかし、手続きが煩雑で人数はまだ少ない。一方で技能実習は急増している。受け入れ企業の本音ではコストが安い技能実習生を使いたい。日本人並みの給料で転職が可能な特定技能が健全に発展するのか注視している。技能実習制度は根本から見直すべきだ。1993年から続け、中小零細企業に「外国人は安い」という考えが染みついてしまった。制度の目的である技術移転による国際貢献に限定すれば1割も残らないのではないか。就労目的の外国人は特定技能で受け入れるべきだ。
―日本人の仕事が奪われると批判もあります。
 今の日本は景気が良くなって人手不足になっているのではない。少子化が急速に進み、人口の減少が止まらない。地場産業が衰退し農業や介護の現場が回らなくなる可能性がある。社会構造を持続させるために移民の受け入れは避けて通れない。
■地域支える力に
―外国人に期待する役割は。
 これまで「いつか帰る労働者」と過小評価されてきた。しかし、地域には国籍を問わず若い人が必要だ。災害時、高齢者ばかりでは命を助けるのは難しい。半面で一時的に受け入れる今の政策では災害が起きれば出稼ぎ労働者が一斉に帰国するリスクもある。定住外国人は消防団員や伝統文化の担い手として地域を支える力になる。人口減少から外国人の定住政策を積極的に掲げる安芸高田市のような自治体も出てきた。同じような相談が多く寄せられている。自治体間で外国人材の獲得競争が激しくなるだろう。
■国民の意識変化
―政府は「移民政策はとらない」との方針です。
安倍政権を支持する保守層が拒絶している。移民が増えると治安が悪くなるという国民の先入観にも配慮しているのだろう。しかし、ここ数年で国民の意識は大きく変わっている。外国人と交流している人は受け入れに前向きな傾向がある。国のトップにこそ地域で活躍する外国人を表彰するなど多文化共生の先頭に立ってほしい。
◇日本人の待遇改善遠のく 久留米大教授(日本経済論)・塚崎公義氏
 ―人手不足から外国人労働者の受け入れ拡大が進んでいます。
反対だ。日本人労働者、特に非正規雇用やフリーターなどが影響を受ける。人手不足とは経営者側の視点の言葉。裏を返せば労働者側には「仕事がある」ということ。賃上げが期待できる素晴らしい状態だ。人手不足になると、ブラック企業のホワイト化も期待できる。これまで「辞めたら失業者だ」と思って退職をとどまっていた社員も転職先が見つけやすいので踏み切りやすい。そうなると、ブラック企業はホワイト化しないと存続できない。外国人労働者を受け入れることでこうした日本人労働者の待遇改善の機会が遠のいてしまう。不況時の失業リスクも高まる。
■企業にだけ恩恵
 ―一般的には人手不足は悪いことのように捉えられていますが。
 労働者だけでなく、日本経済にもメリットがある。景気対策の公共投資は不要になるし、失業手当の申請も減るだろう。労働力が不足すると、企業も省力化の投資を始める。例えばアルバイトに皿洗いをさせていた店で食洗機を購入すると労働生産性が高まる。外国人労働者の受け入れは企業側にメリットはあるが、日本人労働者や日本経済にはデメリットでしかない。
―そうは言っても介護業界などは人材難が深刻です。
 介護士不足の解消には介護保険料を値上げするしかない。今の介護業界は待遇が悪すぎるから人材が集まらないだけだ。安価な外国人労働者を受け入れるのではなく、日本人の介護士の賃金を上げるべきだ。
―行政は外国人労働者との「共生」に向けた受け入れの準備を進めています。
 日本人労働者が支払った税金で行政コストが賄われているのに対し、外国人労働者の受け入れでメリットを得る企業はコストを支払っていない。これは著しい不公平だ。受益者である企業が負担するべきだ。日本で働く外国人が家族を連れて来られない点を問題視する意見もある。ただ、そうなると行政コストはさらに膨れ上がる。家族帯同を認めると、外国人労働者の子どもに日本語を教えるための費用なども必要になる。そうしたコストに税金を使うのはおかしい。
■人口減やむなし
―人口減少が進む中、将来的に移民を認めるべきだとの声もあります。
 何を大事に考えるかだ。国家の維持か、国民の幸せか。日本の国内総生産(GDP)を守るために人口を維持するなら、大量の外国人を受け入れる必要がある。ただ、GDPが減ること自体は深刻な問題ではない。人口が半分になり、GDPが半分になっても、1人当たりのGDPが変わらなければ、日本人の生活水準は変わらない。私は移民を受け入れてまで人口を維持する必要はないと思う。

*8-2-1:https://www.agrinews.co.jp/p51713.html (日本農業新聞 2020年8月25日) ミカン収穫手順を動画に コロナ受け新規アルバイター獲得へ 愛媛・JAにしうわ
 JAにしうわは、ミカン収穫の作業手順などを分かりやすくまとめた動画の作成を進めている。新型コロナウイルスの影響で県外在住の熟練アルバイターの来県が不透明なことを受けた取り組み。県内アルバイターの募集を始める9月上旬から、ホームページなどで公開することにしている。ミカンの収穫や出荷が集中するのは11、12月。JA管内の八幡浜市、伊方町では昨年度、全国から約350人のアルバイターらが収穫や運搬の作業を手伝い、高齢化が進む産地の貴重な戦力として活躍した。JAは今年度、新型コロナの影響で県外のアルバイター募集を中止。県内での募集に注力し、100人の受け入れを目標に掲げる。過去に何回も収穫作業を経験している熟練アルバイターは、県外在住者が多い。今年は作業に不慣れなアルバイターも増えることが予想されるため、動画を使って収穫方法の周知や産地をPRすることにした。派遣会社などで説明用としての活用も期待されている。JA農業振興部は「新型コロナの感染状況を見極めながら、安心して今シーズンを乗り切れるようにJAとしてあの手この手で支援したい」と強調する。

*8-2-2:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20200824&ng=DGKKZO62961000T20C20A8MM8000 (日経新聞 2020.8.24) 医療防護具 中国頼み 輸入急増、8割に、マスクなど4品 日米欧、対応に限界
 世界で医療防護具の輸入における中国依存が高まっている。個人用防護具(PPE、総合・経済面きょうのことば)の輸入に占める中国比率は1月の6割弱から8割強まで上昇した。急増した世界の需要に、中国が輸出拡大で対応した。日本の医療用マスクの同比率は96%だ。日米欧は命綱を中国に握られるリスクを警戒し国内生産や調達先の多様化を目指すが、ハードルは高い。国連貿易統計によると、医療従事者が感染を防ぐために身につける主な4品目(マスク、ガウン、防護服、メガネ)の世界貿易額は直近のデータを取得できる5月にかけて急増した。新型コロナウイルス感染者の拡大でPPEの需要が高まった。航空便への切り替えに伴う輸送費も上がった。並行して輸入における中国依存度も1月の平均59%から5月は同83%に上昇した。例えば医師や看護師が使う医療用マスクの世界貿易額は1月に約9億ドル(約950億円)だったが、5月には約10倍の92億ドルまで膨らんだ。日本の5月の輸入に占める中国の割合は96%と1月に比べて16ポイント上昇した。米国は92%で20ポイント増、欧州連合(EU)は93%で45ポイントも高まった。医療用ガウンは5月の日米欧の輸入での対中依存度は8~9割で、1月の4~6割から大幅に増えた。防護メガネの輸入に占める対中比率は日本が73%で1月に比べて2ポイント下がったものの依然として高水準だ。防護服関連も5月時点で7~9割と中国に頼る構造が鮮明になっている。対中依存度が高まったのは、世界の需要急拡大に、感染拡大が一服した中国が輸出拡大で応えた結果だ。主要国はPPEを確保するため中国に頼った。中国からの輸入を増やす一方、輸出を抑えた。米政府は医療用マスクなどPPEの輸出規制を4月から続けると同時に、中国製PPEに課していた制裁関税を特例で解除して輸入を後押ししている。ただ中国は尖閣諸島で対立した日本へのレアアース(希土類)の輸出を絞るなど、貿易を外交の武器に使うことがある。このため各国は国産化と調達先の分散を目指している。バイデン前米副大統領は「必要な医療品や防護具を米国内で生産する」と公約に掲げる。米国は朝鮮戦争下に制定された国防生産法を活用し、米スリーエム(3M)に「N95マスク」の増産を命じるなど国内生産の拡充を急ぐ。それでも高い対中依存度をすぐゼロに近づけるのは難しい。州政府は独自に安価な中国製品の調達に動き足並みもそろわない。世界保健機関(WHO)でPPEなどの物流を指揮するポール・モリナロ氏は「(各国の)増産体制が整ったため現在のPPE供給は大流行開始当初と比べ安定している」と話す。ただ感染再拡大が止まらず「非常に警戒している」と気を緩めない。供給国の1国集中の回避と「第2波」への対応力向上には各国の地道な生産と備蓄の積み増しが欠かせない。WHOはメーカーとの協力で「供給網が止まっても1カ月程度を在庫から各国に供給できるようにしたい」(モリナロ氏)という。日本政府は国産化を後押ししている。18日には興研とサンエムパッケージの2社が国内に設ける「N95マスク」の製造ラインへの助成を決めた。興研は来年1月までに生産能力を月60万枚超上積みする。医療用ガウンは、帝人や東レなどが国内生産を増やす。ワールドは5月に国内の6工場で生産を始めた。ただ中長期的には供給過剰で価格競争に巻き込まれるリスクがあり、新規の設備投資に慎重な企業も少なくない。

*8-3-1:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20200826&ng=DGKKZO63050910W0A820C2EAF000 (日経新聞 2020.8.26) コロナ抗体薬の治験開始、英アストラゼネカ、予防や症状抑制
 英製薬大手アストラゼネカは25日、新型コロナウイルスの予防・治療薬である抗体医薬の初期臨床試験(治験)を始めたと発表した。特定の細胞に作用する抗体によってウイルスを抑える効果が期待され、安全性や有用性を調べる。英国の18~55歳の健康な被験者を対象に、開発中の候補薬「AZD7442」の投与を開始した。最大48人を対象に検証する。初期治験であるフェーズ1(第1相)で有用性が認められれば、より大規模なフェーズ2以降に移る。この薬は特定の抗原に反応する「モノクローナル抗体」を2種類組み合わせたものだ。がん治療薬にも応用されている抗体の仕組みで新型コロナウイルスを攻撃する。感染の予防に加え、既に感染した患者を治療したり症状の進行を抑えたりする可能性があるという。AZD7442は米バンダービルト大学が発見し、6月にアストラゼネカがライセンス供与を受けた。治験には米政府傘下の国防高等研究計画局(DARPA)と、生物医学先端研究開発局(BARDA)が資金を拠出している。アストラゼネカはこれとは別に、英オックスフォード大と共同で新型コロナワクチンの開発も進めている。抗体医薬は人間の免疫細胞が外敵を攻撃する抗体を人工的につくる。効果が高く副作用が少ないとして期待されている。

*8-3-2:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20200826&ng=DGKKZO63031550V20C20A8EA1000 (日経新聞 2020.8.26) ワクチンは安全性最優先を忘れるな
 新型コロナウイルスのワクチン接種について、政府の分科会が提言をまとめた。医療従事者、高齢者、基礎疾患がある人を優先対象とする一方で、安全性や効果の両面で理想的なワクチンができる保証はないとの考えも盛り込んだ。今回の提言をもとに政府は秋ごろをメドに接種に関する方針をまとめる。ワクチンへの期待が先行するが、不確定な要素が多い。安全性を最優先することを忘れずに着実に進めてほしい。接種のあり方を議論した21日の分科会では「安全性や有効性についてわからないことが多すぎる」との慎重な意見が相次いだ。米中を軸にしたワクチン開発レースがかつてないスピードで進み、5~10年かかる実用化までの期間を大幅に短くしようとしている。自国ワクチンを世界に広め影響力を強める「ワクチン外交」の動きも活発で、ロシアは今月、最終の臨床試験(治験)を経ずに承認した。安全性を軽視しているともいえ、不安や懸念が広がる。世界保健機関(WHO)によると、6つが最終治験に入っている。英米が手掛ける3つは遺伝子技術を使っており、こうした新タイプのワクチンは医療現場での実績がない。効果があったとしてもどれほど持続するかも不透明だ。ワクチンは治療薬と違って予防を目的に健康な人に接種する。何より安全性が大事になる。深刻な副作用がでると、大きな社会問題にもなりかねない。政府は米ファイザーと英アストラゼネカから供給を受けることで基本合意している。接種によって健康被害が出た場合に、製薬会社の責任を問わない方針だ。通常とは異なる措置で、交渉の経緯や免責判断に至った経緯をきちんと説明すべきである。コロナのワクチンは実現できたとしても当初は感染を防ぐのではなく、発症や重症化を予防するものになりそうだ。流行状況に合わせて、効果と感染リスクや重症化リスクとのバランスを吟味して使い方を判断する必要がある。当面、供給量が限られる中、接種の順位を決めるのは当然の対応である。高齢者の年齢をどこで線引きするか、救急隊員、高齢者施設や保健所の職員も「医療従事者」に含めるかは今後の検討課題になった。詳細を詰める議論の内容もすみやかな公開が求められる。パブリックコメントを募ったうえで政府は方針を決定すべきだ。

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2020.6.23~28 女性がリーダーになるための妨げは何か? (2020年6月29、30日、7月2、3、4、5日追加)

2019.12.18産経BZ   Goo                 2018.10.10朝日新聞

(図の説明:1番左の図のように、2019年の男女格差報告で、日本は同じ儒教国である中国《106位》・韓国《108位》より低い121位で、仏教国インド《112位》・イスラム教国のアラブ首長国連邦《120位》よりも下だった。また、左から2番目の図のように、他国は努力しているのに日本は形だけの対応をしているため、順位が毎年下がっている。それでは何が低いのかといえば、右から2番目の図のように、政治が世界の中でも低く、経済はまあ世界並の低さだ。教育は、世界の中でもよいとされるが、実際には1番右の図のように、女性は短大や大学でも職業に結び付きにくい文学・芸術への進学が多いため、政治・経済への参画が不利になる。しかし、これらは、現在の国民全体の平均的な意識である“常識”を現していると思う)

(1)国民に根付いている女性蔑視の偏見と
             女性蔑視発言をする人がよく使う“言論の自由”“表現の自由”
 テレビ番組での言動を巡り、SNS上で匿名の誹謗中傷をされていた女子プロレスラーが、*1-1・*1-2・*1-3のように自殺して亡くなった。亡くならなければクローズアップされないのも問題だが、SNS上の匿名での卑怯な発信は他人の人生や職業人生を狂わせたり終わらせたりする効果があるため、発信者が“言論の自由”や“表現の自由”として罪の意識もなく発信していたとしても、やはり人権侵害である。

 SNS上の匿名での発信については、プロバイダー責任制限法により、被害者が損害賠償を求める場合に発信者情報の開示を事業者に請求できるようにはなったが、「権利の侵害が明確でない(この判断にも女性蔑視や企業側の論理が多く存在する)」などとして開示されないことが多い上、裁判に訴えると費用や時間もかかりすぎるため被害者が泣き寝入りせざるを得ない局面が多い。さらに、弁護士や裁判官などの司法関係者も潜在的女性蔑視から自由ではないため、権利の侵害があってもそれを過小に評価したり、権利の侵害による逸失利益自体を過小評価したりして、女性に不利な判決が出やすいのである。ちなみに、交通事故で死亡した男児と女児の間でも、逸失利益とされる金額は女児の方が少ないそうだ。

 そのため、高市総務相が、スムーズな情報開示で悪意ある投稿を抑止するために発信者の特定を容易にする制度改正の検討を本格化させるのはよいことだ。また、私は、政治家として、“言論の自由” “表現の自由”と称する女性蔑視に満ちた嘘のキャンペーンを張られたことがあり、その被害は今でも続いているため、“正当な批判”と称する偏見に満ちた“表現”に対して、政治家も発信者の開示を求められるようにするのが公正だと考える。

 つまり、“言論の自由”とは、嘘でも何でもいいから言いがかりをつけて政治家を失脚させる権利ではなく、権力に抗することになるかもしれない本物の主張を言うことができる権利であるため、対象が政治家であっても言いがかりまで“言論の自由”として護ってはならない。また、メディアが使う“表現の自由”も“常識”と呼ばれる国民の心の底に潜む女性蔑視を含んでいたり、利用したりしており、人権侵害に繋がっていることが多い。そして、日本には、この“言論の自由” “表現の自由”をわざと誤って使う人も多いため、人権侵害や差別を横行させ、民主主義が正常に機能しない状態になっているのである。

(2)女性差別の多い日本の“常識”
1)女性の政治参画への遅れ
 ジェンダーギャップ(男女格差)の大きさを国別に順位付けした世界経済フォーラム(WEF)の2019年の報告書で、*2-1-1のように、日本は153カ国中121位で過去最低だったそうだ。日本は衆院議員は女性が10.1%で、閣僚は9月の内閣改造前まで19人中1人の5.3%で、女性の政治参画の停滞が順位を下げる要因になった。

 政治への女性進出が遅れているため、男女の候補者を均等にするよう政党に求める候補者男女均等法が施行されて初めての国政選挙となった2019年7月の参院選でも自民党の女性候補の割合は15%で、衆議院議員も女性候補を大幅に増やす具体策がないようだが、これは、現職を優先して候補者に立てるため、現在の男女比がなかなか変わらない上、有権者の意識がかわらなければ女性が候補者となっても当選しにくいからである。

 ただし、空白区の多かった野党は参院選で女性候補者の擁立を進め、立憲民主党候補者の女性比率は45%、国民民主党は36%、共産党は55%だった。確かにジェンダー平等は国際的な潮流なのだが、日本には根底に戦前からの男尊女卑思想があり、この女性差別と偏見が“常識”や“良識”という形で有権者の意識も支配しているために、何人の有権者が投票したかを競う民主主義では女性が当選しにくいわけである。

 日本と同じく東アジアに位置して儒教・仏教の男尊女卑思想が広がっている韓国は、2019年に108位となり、初めて121位の日本を抜いた。これには、政治分野(日本144位、韓国79位)でフェミニスト大統領を名乗る文在寅大統領が2017年の就任時に女性を一気に5人閣僚に起用し、任期終了(2022年)までに「男女半々」にすると約束していることが大きいそうだ。このように、諸外国は多様性を尊重して女性にチャンスを与えようと具体的なしくみを整えつつあるそうだが、同じ東アジアに位置する中国の全人代を見ると、一般議員にも女性が著しく少なく、舞台の上のお偉方は全部男性のようだった。

 列国議会同盟(IPU)とUNウィメンは、2020年3月10日、*2-1-2のように、「今年1月1日時点で閣僚ポストに女性が占める割合は21.3%で過去最高だったが、15.8%の日本は113位で、先進7カ国(G7)では最下位だった」という女性の政治参画に関する報告を発表した。また、国家元首または行政の長を女性が務める国は20カ国あり、そのうち4カ国はスウェーデンを除く北欧諸国で、議会で議長に女性が占める割合は20.5%あり、これは25年前と比較すれば倍増だそうだ。

2)経済分野における男女格差解消の遅れ
 世界経済フォーラムが2019年12月に発表した各国のジェンダーギャップ(男女格差)で、日本は153カ国中121位と過去最低であったことを、*2-2-1のように、共産党の大門氏が取り上げ、「男女格差の原因はどこにあるのか。日本は女性の閣僚と国会議員の比率があまりにも低い。経済でも男女の所得格差が大きい」と、安倍首相に見解を求められたそうだ。

 それに対し、安倍首相は「我が国の順位が低いのは、経済分野の女性管理職の割合が低いことなどが主な要因だ」と指摘し、女性活躍推進法の整備や女性の就業人口増などの格差解消に向けた安倍内閣の実績を強調されたが、質問にあった国会議員や閣僚の女性比率の低さには言及されなかったそうだ。安倍首相は、確かに女性活躍推進法の整備や女性の就業人口増などに尽力されたのだが、女性の就業人口の増加は、派遣やパートなどの補完的非正規労働者の増加が多かったように見える。

 派遣やパートなどの補完的非正規労働者は、男女雇用機会均等法で護られないため、男女の別なく採用・研修・配置・昇進させて女性管理職や女性役員にする義務がなく、企業は女性を補助的な立場のままで働かせることができる。この結果、*2-2-2のように、女性役員ゼロや女性管理職割合の少ない会社が多く存在するのだ。

 また、朝日新聞が国内主要企業のうち「女性役員ゼロ」の14社に取材したところ、「経営トップより女性本人の意識改革が必要だ」と考えている企業が多かったそうだが、日本企業のリーダー層に女性が少ない理由は、女性の能力を信じてリーダー候補として研修や配置を行わないため、昇進意欲のある女性はつぶされ、その結果として「管理職経験や役員適性のある役員候補の女性がいない」か「いても、いないということにされている」のだと思われる。

3)この無意識の差別や偏見が存在する理由は何か?
 21世紀職業財団が、2020年6月22日、*2-2-3のように、「『重要な仕事は男性が担当することが多い』と思っている人が総合職の正社員で男女とも過半数に上る」という調査結果を公表したそうだが、これは、「過半数の人が重要な仕事は男性が担当した方がよい」と思っているわけではなく、「現在、重要な仕事は男性が担当することが多い」と過半数の人が認識しているということではないかと思う。

 しかし、性別に基づく無意識の偏見が、仕事を割り振ったり能力評価をしたりする立場の経営者・管理職だけでなく、平社員や家庭に至るまで根強く残っており、これが職場における女性の活躍を妨げているのは事実だ。

 では、どうして女性に対し、無意識の偏見を持っているのかといえば、儒教国の女性たちは、*2-3-1のように、儒教によって“良妻”か“悪妻”かの二者択一の生を生きることを強制され、殆どの女性は男性が作り上げた“良妻”としての「婦道」を守ろうとし、その生き方に疑問を抱いて抵抗した人は“悪女”として厳しく罰せられ、“悪女”が“良妻”の価値を高めるために利用されてきたからだそうだ。言われてみれば、確かに日本にもそういうところがある。また、儒教の中の『礼記』は、女性に受動的に行動することを強要する「三従の道」などを示している。

 さらに仏教も、*2-3-2のように、「測り知れないほどの理知を持っていても、女性は完全な悟りの境地を得がたい」「女性は女性のままでは仏になれない」「女性のままでは救われない」などと説いており、ひどい女性蔑視の思想である。

 そのため、第二次世界大戦後、日本国憲法24条で男女平等が定められ、民法でおおかた男女を区別しなくなっても、(理由は多々あるものの)根底にある人々の意識が十分に変わっていないというのが現実のようだ。

(3)出生率の低下を女性の責任にした日本の愚行



(図の説明:左図のように、合計特殊出生率は1975年以降ずっと2.0以下である。しかし、中央の図のように、人口が減り始めたのは2008年からであり、この間は、人口置換水準が2.0以下だったことを意味する。しかし、右図のように、日本の人口ピラミッドは第二次世界大戦後のベビーブームと第二次ベビーブームで二ヵ所の突起があるため、これが次第になくなるのは必然である。また、長寿命化に伴って生産年齢人口の定義を変えなければ、短い労働期間で長い老後の分まで貯蓄しなければならず、これは無理である)

 「母親に育児を押し付け、保育園・学童保育・病児保育などの整備を怠ったため、仕事を大切にする女性ほどDINKSや独身を選ぶ人が増えて少子化した」と1995年頃に最初に言ったのは私で、それをきっかけに男女雇用機会均等法が改正され、雇用における女性差別禁止が義務になったと同時に、育児・介護休業制度も入った。

 しかし、これは、「少子化自体が悪いことだから、産めよ、増やせよ」とか「産まない女性は、怠慢だ」などと言ったのではなく、「仕事と子育てを両立できる環境がなければ、仕事を大切にする人ほど子育てはできない」と言ったのである。

 が、何故か、*3-1・*3-2などいろいろな場所で、「①昨年の合計特殊出生率は1.36で、前年より0.06ポイント下落した」「②人口置換水準(人口維持に必要とされる合計特殊出生率)は2.07だ」「③死亡数は戦後最多の138万人で、自然減が52万人の過去最大を記録した」「④政府は少子化社会対策大綱の見直しで、希望出生率1.8を2025年までの目標とした」など、少子化自体が問題であるかのように書かれている。

 しかし、①は、教育を受け、仕事をして稼ぐことができ、キャリアを積んで昇進したい女性が増える中で、安心して子育てを外部化できる状態になければ出生率が下がるのは当然だ。さらに、教育費も高いため、女性が子育てのために仕事を辞めることになれば、子育てはダブルパンチの経済負担となり、出産祝い金程度では到底カバーできない大きな損失になる。

 また、②も、日本では1975年以降の合計特殊出生率はずっと2以下であるにもかかわらず、日本の人口が減少し始めたのは2008年からで、これは寿命が延びて2世代ではなく3世代以上が同時に生きられるようになったことから当然であり、人口置換水準は2以下だったのだ。そして、「現在は、人口置換水準が2.07」という主張についても、Evidenceがあるわけではない。

 さらに、③のように、死亡数が最多になって自然減が出始めることは、第二次世界大戦後に出生率が急激に上がってできた団塊の世代が死亡し始める時期であることから当然だ。これからしばらくは、医学の進歩による乳児死亡率の低下・少子化・長寿命化によって高齢化率も上昇するが、その条件の下で年金制度や定年年齢を考えておくべきだったし、日本の国土における適正人口も考慮すべきなのである。

 しかし、*3-3のように、まだまだ不十分ではあるものの、最近は病児保育施設ができているのはよいことだ。これは必要なインフラであるため、黒字経営か赤字経営かにかかわらず、補助金を使っても維持しなければならない。何故なら、なければ子育てができないからである。

 私は、少子化を問題視しすぎて、子ができない人に1回15万円の支援金を出し、*3-4のような不妊治療を奨励することには賛成しない。何故なら、ダウン症の発生が増えるのは35歳からで、「43歳未満」や「44歳未満」など一応の年齢制限はあるものの母体によくないことは明らかだからだ。また、生まれてくる子も、自然受精なら何億もの精子の中から元気で幸運な1個が卵子と結びつくのでかなりの選別が行われるが、人工授精の場合はこの競争と選別がないのだ。

 つまり、子どもが欲しい人は35歳までか、少なくとも自然妊娠可能な時期までに出産するのが母子のためによく、そのためには出産・育児で休暇をとってもクビにならない程度には、出産までに仕事や生活を安定させておかなければならない。また、そうでなければ、子が生まれても育てることができないのである。

 そのため、④の希望出生率1.8を現実にしたければ、それができる環境を作らなければならないわけである。

(4)女性差別の結果
1)家計を考慮しない男性が作った消費動向を顧みない経済政策と消費税の導入
 私は、1989年の消費税導入の議論当初から、消費税は消費を抑制する税制だと感じていた。そして、国内の消費に支えられて新しい製品を開発しなければならない時代に国内消費を抑制すれば、国内供給も減り、輸出で稼がない限りは景気が悪くなるに違いないと思ったが、税制や経済に詳しいと自負する多くの男性たちは、自分は生産者であって消費者ではないから自動車と家以外は消費税がかかってもよいと思っていたらしく、無駄遣いはそのままにしつつ、社会保障を人質にして消費税を上げることに余念がなかった。

 ちなみに、消費税導入にあたって日本が手本にしたとされる欧州は、企業の売上に対して課税する売上税や企業がつけた付加価値に課税する付加価値税はあるが、消費者に転嫁する消費税はないし、社会保障は消費税で賄わなければならないとしている国もない。

 また、その後の東西冷戦終結・中国の市場開放などにより、賃金の安い国が次々と市場に参入して製品を作り始めたため、既に賃金が上昇した日本で作るよりも、それらの国で作って輸入した方が企業経営上合理的となり、日本企業も海外で生産するようになって現在に至っている。そして、現在のところ、日本で有望な産業は需要地でしか供給できない第三次産業しかなくなったと言わざるを得ないのだ。

 消費税の引き上げは、財務省が主導して行っており、メディアもそれに歩調を合わせているため、それに反対すれば国会議員でも「ポピュリズム」などと揶揄されるため、消費税を引き上げるしか方法がなくなっていたらしく、*4-1のように、教育無償化を目的として2019年10月1日から消費税が10%に引き上げられた。

 そして、当然のことながら、2019年10~12月期の国内総生産(GDP、季節調整値)は、物価変動を除いた実質で前期比1.8%減(年率換算:1.8x4=7.1%減)となった。新型コロナの影響以前でこれなのだが、消費税を増税すれば消費が減るため、企業の設備投資が減るのも当然だ。なお、財布の中身で買えるものが実質であるため、名目GDPの方が景気実感に近いという意見に、私は同意しない。

2)男女平等に機会を与えた方が、全体の福利を増やすこと
 2020年3月8日、*4-2のように、国連の「国際女性デー」記念行事が、ニューヨークの国連本部で行われ、フィンランドのマリン首相(34歳)ら世界の各分野で活躍する女性が「男女平等は女性のためだけでなく、全体の利益になる」と不平等を是正する社会的・経済的な意義を訴えられたそうだ。

 私もこれに賛成で、(4)1)のような「家計を考慮せず、消費動向も顧みず、国民を豊かにする意志のない経済政策」や「消費税導入や税率アップ」が行われるのは、家計を担当したことがなく、観念的に経済を論じることしかできない男性だけで政策を作っているからだと考える。しかし、経済学で男性の経済学者を公に論破できる女性経済学者は、いろいろな理由で、今のところ少ないのが現状だ。

 また、環境活動を引っ張っている人の多くが女性である理由は、女性の方が環境に敏感で、ガソリン車やガソリンエンジンへの郷愁で動くのではなく、クリーンで燃費の安い車を求める合理性があるからだと思う。

3)女性の生き方に中立で公正・公平な税制の必要性
 「少子高齢化で生産年齢人口の割合が減少するため、“高齢者”を支えられない」という論調が目立つが、現在は金融緩和や景気対策なしで雇用が十分にあるわけではなく、生産年齢人口の人でも実は養われている場合が多い。さらに、女性や高齢者にはまっとうな仕事が少ないため、まずは職につきたい人が国の補助なしで職につけるようにしてから少子化を論じるべきである。

 日本で、就職時の女性差別を厳しくして性的役割分担を特に強力に進めるようになったのは、団塊の世代が生産年齢人口に加わり始めた頃で、仕事の方が働き手の数より少なかったため、男性には下駄をはかせ、女性には言いがかりをつけて仕事を譲らせたという経緯がある。

 そのため、それを埋め合わせるかのように、*4-3の「①所得税の配偶者控除」「②年金の3号被保険者」「③企業の扶養手当」など、奥さんに仕事を辞めさせた男性と仕事を辞めた既婚女性を優遇する制度が設けられた。しかし、1982年から公認会計士として外資系Big8(働いているうちに合併してBig4までなった)で働いていた私は、この制度で恩恵を受けることがなかっただけでなく、働く女性に対する強い逆風の中で苦労して稼いで納税したり社会保険料を納めたりした金を原資として①②③の制度を支えさせられて、とても納得できなかった。

 また、パート勤務の女性は、夫の扶養控除や扶養手当の上限を超えないように時間調整して働いているため、所得税改革は必要だったものの、働きたくても男性に仕事を譲らされて職場で男女平等の採用・研修・配置・昇進がかなわなかった女性にも同じ論理を適用するのは酷である。

 そのため、男女雇用機会均等法が義務化されて以降に就職した世代から、イ)所得税は原則として個人単位とするが ロ)本人が望めばフランスと同じN分N乗方式(https://kotobank.jp/word/N%E5%88%86N%E4%B9%97%E6%96%B9%E5%BC%8F-183863 参照)を選択できるようにする(=世帯単位となる) のが、公正・中立・簡素の税の基本に沿った上で、個人を尊重しつつ子育てに必要な資金まで税や社会保険料として取り上げない仕組みだと思う。

 なお、「⑥働いて稼いでもらいたい人に光を当てる」「⑦豊かな人に負担させる」等の恣意的なことをすると、2019年分の所得税法のように複雑な計算をさせた上に、公正・中立・簡素という税の基本から外れるものとなる。

(5)人種や性別による差別をなくすには・・
  
    旭化成          東洋経済            Goo

(図の説明:日本の男女雇用機会均等関係法の歴史は、左図のようになっている。しかし、現在は、右図のように、子育て世代の女性を非正規労働者として女性の労働参加率を上げ安価に使っているため、そのような立場になりたくない女性が著しく少子化し、2005年の合計特殊出生率は1.25まで下がった。また、中央の図のように、日本には、社会保障の整ったスウェーデンにはない著しいM字カーブが存在し、それが少しづつ解消されている状況だ)

1)日本にける男女平等の歴史
 日本における女性差別は、戦後、日本国憲法で両性の平等や職業選択の自由が決められた後も、民間の隅々にまで張り巡らされた女性蔑視を前提とする仕組みによって維持されてきた(http://www.jicl.jp/old/now/jiji/backnumber/1986.html 参照)。

 そのため、1979年に国連で女子差別撤廃条約が成立した後、1985年に日本がこれに批准し、同年に最初の男女雇用機会均等法が制定されて1986年に発効したのが、最初の雇用における男女平等である。しかし、この男女雇用機会均等法は、採用・研修・配置・退職の機会均等などが努力義務とされていたため、発効後も女性を補助職として昇進させない日本企業が多かった。

 そこで、(1995年前後の私の提案で)1997年に男女雇用機会均等法が改正され、採用・研修・配置・退職の機会均等が義務化されたのだが、今度は多くの女性を非正規労働者や派遣労働者として男女雇用機会均等法の対象から外し、今に至っているのである。

 このようにして、女性差別の禁止や各種改革は、敗戦によって制定された日本国憲法や国連女子差別撤廃条約の批准に伴って行われた男女雇用機会均等法制定など、黒船を利用して法律を制定することにより行われたものが多い。しかし、内部の抵抗によって不完全に終わっているため、今後の改善が望まれるわけである。

2)米国における黒人への人種差別
 日本人男性は女性差別には鈍感だが、人種差別には敏感な人が多い。そのため、人種差別の例を出すと、*5-1・*5-2のように、アメリカでは、2020年5月25日に、ミシガン州ミネアポリス警察の警察官が暴行によって46歳の黒人男性ジョージ・フロイドさんを殺害した事件の映像が放映されたのち、Black Lives Matter(黒人の命も重要だ)という運動が起こっている。

 フロイドさんは偽札を使用したとされるが、それが事実か否か、故意か否かもわからないのに暴行を加えて殺害した警官の行動は、アメリカ合衆国の黒人が数百年間に渡って直面してきたリンチや黒人差別そのものだそうだ。また、フロイドさんが偽札を使用したとされる疑惑は、事実の検証や裁判もなく、警官が勝手に人を殺してもよい根拠にはならない。

 しかし、警察も含めたアメリカの司法システムは、軽犯罪から重犯罪まで、同じ罪を犯しても黒人には白人よりもはるかに重い刑罰を課しており、いずれも刑法に則った量刑だが全体の統計を見れば明らかに量刑に人種差別が現れており、人口当たりの受刑者の比率は、ラテン系男性は白人男性の2倍、アフリカ系男性はさらに5倍に上るそうだ。

 アメリカは、1950年代以降に国内で活発化した公民権運動により、1964年に合衆国連邦議会で公民権法成立させ、合衆国内において職場・公共施設・連邦から助成金を得る機関・選挙人登録における差別を禁じ、白人と黒人の分離教育を禁じてハードコアな人種差別は数十年前に撤廃しているが、人種差別自体は社会制度、行政制度などに染み付いた慣習として今も続いており、特に問題なのはSystemic racism, institutional racism (機関的、制度的人種差別)だそうだ。

3)日本にもある人種差別・外国人差別
 日本でも、*5-1のように、警察はじめ司法システムによる差別に基づく暴力は日常的に行われており、日本の場合は、「人種」ではなく「外国人」や「民族」というくくりの差別だ。確かに、入管は入所者の人権を無視した肉体的精神的暴力を日常的に振るっており、メディアも「外国人が増えて犯罪が増えた」などという偏見に満ちた報道を平気で行っている。

4)では、どうすればよいのか?
 日本における人種差別・外国人差別は、日本人男性を優遇する点で日本人女性に対する差別と同根だ。そのため、まず、国連で差別撤廃条約を作り、それに批准する国は、国内で公民権法を作って人権を護り、あらゆる差別を禁止するようにすればよいと思う。

(参考資料)
<女性蔑視発言は“言論の自由”“表現の自由”に入らないこと>
*1-1:https://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20200527/KT200526ETI090005000.php (信濃毎日新聞 2020.5.27) ネット中傷 幅広い観点から抑止策を
 痛ましい出来事である。22歳の女子プロレスラーが亡くなった。出演したテレビ番組の言動を巡ってSNS上で誹謗(ひぼう)中傷の集中砲火を浴びていた。遺書のようなメモが見つかっており、自殺とみられる。死を前にした「愛されたかった人生でした」とのツイートに胸が痛む。心無い言葉を個人に浴びせかけるネットの暴力がなくならない。投稿している人は匿名をいいことに日頃の鬱憤(うっぷん)を晴らしているだけの気軽さかもしれない。それが一人に集中した時、有名人であれ、一般人であれ、痛みや疎外感は極めて大きい。特に若い世代は社会との「つながり」の相当部分をネットで築いている。命を絶つほどの苦しみを覚える危険がある。発信者には罪の意識はないのだろうか。誰も助けられなかったのだろうか。日本は海外に比べ、SNSの匿名利用が突出して多いとされている。匿名の投稿が言葉の暴力や人権侵害の温床となっている側面は否定できない。プロバイダー責任制限法では、被害者が損害賠償を求める上で発信者情報の開示を事業者に請求できるが、「権利侵害が明確でない」と開示されないことも多い。訴訟は被害者の負担も大きい。高市早苗総務相は悪意ある投稿を抑止するため、発信者の特定を容易にする制度改正の検討を本格化させる考えだ。確かにスムーズな情報開示は暴力の抑止を期待できる。半面、社会に与える副作用にも注意深く目を向けねばならない。例えば、政治家や利害関係者が正当な批判に対しても安易に発信者情報の開示を求め、圧力をかける心配はないか。言論全体を萎縮させる懸念も考えられる。表現の自由とのバランスが絡む。短兵急な対応でなく、幅広い観点から抑止策の検討を重ねたい。ネット事業者は人権侵害を放置してはならない。出演したのは、若い男女の共同生活を記録する「リアリティー番組」だった。「台本のないドラマ」として近年人気がある。視聴者は恋愛を中心とした人間関係の展開に一喜一憂し、知人の出来事のように共感する。番組内の言動から出演者のSNSが炎上することは過去にもあったはずだ。テレビ局側も、出演者の保護などについて省みるべき点があるのではないか。自由かつ安全で、責任ある発言が交わされるネット空間を実現したい。待ったなしの問題だ。

*1-2:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO59930380T00C20A6SHF000/ (日経新聞社説 2020/6/3) ネット中傷の撲滅へまず民間が動こう
 SNS(交流サイト)で誹謗(ひぼう)中傷を受けていたプロレスラーの木村花さん(22)が亡くなった。ネットはいじめの道具ではない。同じ悲劇を繰り返さず、政府の過度の介入を避けるためにも、まず民間の企業や利用者が真剣に解決策を考えてほしい。テレビ番組での木村さんの言動を巡り、人格をおとしめるような匿名投稿が相次いでいた。姿が見えない無数の相手からの攻撃だ。木村さんの自宅には、遺書とみられるメモが残っていた。どんなにつらかっただろう。匿名を盾にした言葉の暴力は許されるものではない。番組を盛り上げるためにSNSを使うケースは多いが、出演者の保護は十分だったのか。制作側はこうした点を徹底的に検証すべきだ。日本ではプロバイダー責任制限法に基づき、事業者にネット中傷の削除や投稿者情報の開示を請求できる。だが裁判に訴えても費用や時間がかかり、泣き寝入りを迫られる個人被害者は多かった。悪意ある匿名の投稿を防ぐため、政府は開示の手続きを簡素化する法改正を進める考えだ。発信者を特定しやすくなれば、安易な匿名投稿の抑止力となろう。ネット中傷の相談件数は年々増えており、誰がいつ被害者になってもおかしくはない。SNS各社に厳しいヘイトスピーチ対策を課す欧州などに比べ、日本の対応はむしろ遅すぎたぐらいだ。だが過剰な規制が自由な言論を妨げるのでは困る。そうならぬよう民間がやるべきことは多い。SNS各社は実名登録を促したり、利用規約で他人への中傷を明確に禁じたりする手立てが欠かせない。SNSは現代社会を支えるインフラだ。重大な権利侵害には相応の対策を取る責任がある。すでに各社は悪質投稿者の利用停止などを始めたが、企業任せでもいけない。第三者による自主規制団体を立ち上げるのは一案だ。学界や法曹界、報道機関などから幅広く知恵を募り、ネット中傷を巡る権利侵害の指針をつくれば、事業者側も情報開示に応じやすくなる。政治家や公人への批判まで封じられていないかを確認する一方、弱者を救済する相談窓口を設けることも必要だろう。若年層も含め、誰もが情報の送り手になれる時代だ。家庭や学校の役割も増す。自由で安全なネット社会を育めるかは、使い手一人ひとりの行動にかかっている。

*1-3:https://www.tokyo-np.co.jp/article/33268 (東京新聞 2020年6月4日) 総務省、投稿者の電話番号開示へ 要件緩和検討、ネット中傷対策で
 総務省は4日、インターネット上で匿名による誹謗中傷を受けた際に、投稿者を特定しやすくするための制度改正に向けた有識者検討会を開いた。被害者がサイト運営者や接続業者(プロバイダー)に開示を求める情報の対象に、氏名などに加えて電話番号を含める方向でおおむね一致した。7月に改正の方向性を取りまとめる。論点の一つとして、発信者情報の開示を定めるプロバイダー責任制限法に基づき匿名の投稿者を特定する際の要件緩和も検討する方針を示した。投稿による権利侵害が明らかな場合とする要件はハードルが高く、被害者救済の壁となっている。

<女性差別の多い日本の“常識”>
*2-1-1:https://digital.asahi.com/articles/ASMDK4SHTMDKUHBI01J.html?iref=pc_rellink_02 (朝日新聞 2019年12月18日) ジェンダーギャップ、政治参画に遅れ 自民に薄い危機感
 ジェンダーギャップ(男女格差)の大きさを国別に順位付けした世界経済フォーラム(WEF)の2019年の報告書で、日本は153カ国中121位で過去最低だった。女性の政治参画の停滞が順位に影響した。日本は調査対象の衆院議員で女性が10・1%。閣僚は9月の内閣改造前まで19人中1人の5・3%で、順位を下げる要因になった。政治への女性進出があまりに遅れている状況が、浮き彫りになった。だが、6割の議席を持ちながら女性比率は7%という自民党に、危機感は薄い。二階俊博幹事長は17日、記者会見で、日本の低迷ぶりを示す結果について感想を聞かれ、「いまさら別に驚いているわけでも何でもない」としたうえで、「徐々に理想的な形に直すというか、取り組むことが大事だ」と述べるにとどめた。男女の候補者を均等にするよう政党に求める候補者男女均等法の施行後、初めての国政選挙となった7月の参院選。自民の女性候補割合は15%で、安倍晋三首相(自民党総裁)も当時、「努力不足だと言われても仕方がない」と反省を口にしていた。菅義偉官房長官は17日の記者会見で、「各政党への取り組みの検討要請も進める」と語ったが、衆院議員の任期満了まで2年足らず。女性候補を大幅に増やす具体策は、打ち出せていない。自民の世耕弘成・参院幹事長は会見で「地方議員を経たり、企業や社会のいろんな組織における経験を経たりして国会議員になる。そういったところで、(女性の)層が厚くなっていくことによって、最終的に国会でも女性の数が増えるということになるのではないか」として、ある程度の時間が必要との認識を示した。鈴木俊一総務会長は「議員は国民が投票によって選ぶ。政治だけの責任のみならず、国民がどういう意識で選挙に臨むのかもあると思う」と語り、有権者の意識にも要因があるとの見方を披露した。一方、野党は参院選で女性候補の擁立を進めた。立憲民主党の候補者の女性比率は45%、国民民主党は36%だった。55%を女性にした共産党の小池晃書記局長は、会見でこう踏み込んだ。「ジェンダー平等は国際的な潮流だ。日本はその流れに背を向けている。根底にあるのは戦前からの男尊女卑という古い政治的な思想。こういったものを克服する取り組みを強めたい」
●韓国の取り組み「フェミニスト大統領の閣僚起用」
 具体的な取り組みで男女格差を縮めた国もある。日本が昨年の110位から121位に順位を落とした一方、共に下位が定位置だった韓国は115位から108位に上がり、2006年の調査開始以来、初めて日本を抜き去った。差がついたのは政治分野(日本144位、韓国79位)。女性閣僚の割合が影響した。申琪栄(シンキヨン)・お茶の水女子大院准教授(比較政治学)によると、「フェミニスト大統領」を名乗る文在寅(ムンジェイン)大統領は17年の就任時、女性を一気に5人閣僚に起用した。文氏は、任期終了(2022年)までに「パリテ(男女半々)」にすると約束していて、実現できるか注目を集めているという。また、韓国は00年から、議員選挙で比例名簿の奇数順位を女性にするなどのクオータ(割り当て)制も導入。法改正を重ね、強制力を強めてきた。国会の女性議員の割合は16・7%で、日本の衆院の10・1%を上回る。申准教授は「日本でも首相の意思さえあれば、女性閣僚は増やせる。女性議員が少ないことを言い訳にせず、民間から登用しても良い。経済界に女性管理職を増やすよう言う前に、まず政治の世界で示すべきだ」と指摘する。日本は今回、女性管理職比率など評価がやや改善した項目もあったが、全体の順位が大きく後退した。上智大の三浦まり教授(政治学)は「平成の30年間、日本は男女格差を放置してきた。他方、諸外国は多様性を尊重し、女性にチャンスを与えようと、具体的なしくみを整えてきた。このままでは、日本は国際社会から取り残される一方だ」と指摘する。

*2-1-2:https://www.saga-s.co.jp/articles/-/498406 (佐賀新聞 2020.3.10) 女性閣僚率、日本はG7で最低、世界は過去最高の21%
 列国議会同盟(IPU)とUNウィメンは10日、女性の政治参画に関する報告を発表し、今年1月1日時点で閣僚ポストに女性が占める割合は21・3%で、過去最高となったことが分かった。15・8%の日本は113位で、先進7カ国(G7)では最下位だった。66・7%のスペインが首位で、61・1%のフィンランド、58・8%のニカラグアが続く。女性閣僚率は、同報告が最初に出た2005年には14・2%だった。今回の調査で、女性閣僚がいない国はベトナムなど9カ国にとどまったが、閣僚の半数以上が女性の国もわずか14カ国だった。また女性の財務相は25人、国防相は22人にとどまる一方、若者や高齢者、社会問題や環境といった分野の閣僚は女性が占める率が高くなっている。調査は190カ国を対象に実施され、北朝鮮、リビア、ハイチなどは含まれていない。国家元首または行政の長を女性が務める国は20カ国に上り、うち4カ国はスウェーデンを除く北欧諸国。世界の議会で議長に女性が占める割合は20・5%で、25年前と比較すると倍増した。

*2-2-1:https://digital.asahi.com/articles/ASN366RWVN36UTFK02R.html?iref=comtop_list_pol_n01 (朝日新聞 2020年3月7日) 男女格差、経済分野に原因? 首相答弁「政治」はスルー
 男女格差解消の遅れは企業に主な原因がある――。そう受け取られかねない答弁を、安倍晋三首相が6日の参院本会議で繰り広げた。世界経済フォーラムが昨年12月に発表した各国のジェンダーギャップ(男女格差)では、日本は153カ国中121位と過去最低。共産党の大門実紀史氏がこの順位を取り上げ、「男女格差の原因はどこにあるのか。日本は女性の閣僚と国会議員の比率があまりにも低い。経済でも男女の所得格差が大きい」と見解を求めた。首相は「我が国の順位が低いのは、経済分野の女性管理職の割合が低いことなどが主な要因だ」と指摘。そのうえで、女性活躍推進法の整備や女性の就業人口増など、格差解消に向けた安倍内閣の実績を強調した。ただ、質問にあった国会議員や閣僚の女性比率の低さには直接言及しなかった。わずかに決意表明の部分で、「政治分野も含めて女性の活躍を促す政策を推し進める」と触れただけだった。世界経済フォーラムは毎年、政治、経済、教育、健康の4分野を調査し、順位を発表している。日本の順位を押し下げた大きな要因は政治分野。日本の衆院議員で女性が占める割合は10・1%。調査時点で女性閣僚は1人だったことも響き、前年の125位から144位に後退した。一方、前年117位だった経済分野は115位とほぼ横ばい。首相が言及した企業の女性管理職の割合に関する指数は、前年よりも上昇していた。
    ◇
第201回通常国会。国会や政党など政治の現場での様子を「政治ひとコマ」としてお届けします。

*2-2-2:https://digital.asahi.com/articles/DA3S14394789.html (朝日新聞 2020年3月8日) (Dear Girls)女性役員ゼロ、自己責任? 全て男性の主要企業に聞く
 世界経済フォーラム(WEF)の男女格差(ジェンダーギャップ)の最新の報告書で日本は過去最低の世界121位に沈んだ。その大きな要因が、政治や経済のリーダー層における女性の少なさだ。8日の国際女性デーを前に、朝日新聞が国内主要企業のうち「女性役員ゼロ」の14社に取材したところ、経営トップよりも女性本人の意識改革が必要だと考えている企業が多かった。日本の経済分野でのジェンダーギャップ指数は世界115位。なかでも女性の管理職割合での順位は131位と低い。指数の対象ではないが、日本の上場企業の2019年の女性役員比率(内閣府まとめ)は5・2%にとどまる。なぜ日本企業のリーダー層に女性が少ないのか。朝日新聞社が国内主要100社に年2回行っているアンケート対象企業のうち、最新の有価証券報告書などで取締役・監査役に女性がゼロだった企業14社に質問状を送り、11社から回答を得た。どんな条件が整えば女性役員が誕生しやすくなるかを聞いた質問(複数回答)で、最も多かったのは「女性社員の昇進意欲の向上」と「女性採用者数の増加」で各5社。これに対し「経営層の意識改革」と答えたのは2社、「男性社員の意識改革」は1社だった。女性役員がいない理由(複数回答)は、「役員は適性で選ばれるべきでジェンダーは指標にならない」「役員候補の世代は女性が少なく、管理職経験や役員適性のある女性がいない」が共に最多で6社だった。100社アンケート対象企業全体でみると、各社の女性役員の合計は153人(全体の9・3%)。このうち131人は社外取締役か社外監査役で、日本の主要企業ではほとんど「生え抜き」の女性役員を生み出せていない。このため日本の経済団体の役員構成も圧倒的に男性に偏り、大企業でつくる経団連では、正副会長計19人が全員男性だ。世界では、経営陣の構成は性別や人種が多様性に富んでいる方が、投資家から高い評価を得る傾向が強まる。米フォーチュン誌500社にランキングされる大企業の女性取締役比率は17年で22・2%に達する。内閣府が18年、機関投資家を対象に行ったアンケートでは、投資判断に女性活躍情報を活用する理由として7割近くの機関投資家が「企業業績に影響がある情報と考えたため」と答えた。多様性の確保が働き方改革による生産性の向上やリスクの低減につながるとみている投資家が多いという。「身内の男性ばかり」という日本企業の経営陣の構成自体がリスクになりかねない状況といえる。
■「女性役員ゼロ」の14社
 ニトリHD、近鉄グループHD、サントリーHD、スズキ、キヤノン、大日本印刷、JR東海、シャープ、信越化学工業、東レ、TOTO、DMG森精機、ミズノ、セコム

*2-2-3:https://digital.asahi.com/articles/DA3S14522465.html (朝日新聞 2020年6月23日) 「重要な仕事は男性」男女とも半数超 無意識の偏見根強く 21世紀職業財団調査
 「重要な仕事は男性が担当することが多い」と思っている人が、総合職の正社員では男女とも半数超に上るとの調査結果を、21世紀職業財団が22日公表した。性別などに基づく「アンコンシャスバイアス(無意識の偏見)」が、仕事を割り振る立場の経営者や管理職に根強く残っている可能性があるとしている。同財団が今年1月、女性活躍の実態を把握するため、男女計4500人を対象にウェブで調査した。「重要な仕事は男性が担当することが多い」と思っている割合は、総合職の正社員でみると、大企業(従業員300人以上)は男性50・7%、女性55・5%。中小企業(100~299人)は男性56・5%、女性58・1%だった。総合職以外も含めた大企業の女性正社員でみると、2018年の53・7%から60・3%に増えていた。調査を担当した山谷真名・主任研究員は「アンコンシャスバイアスの存在を管理職向けに研修し、仕事の与え方を変えようとしている企業は増えているが、全体ではまだ難しい面がある」と指摘している。

*2-3-1:https://uuair.lib.utsunomiya-u.ac.jp/dspace/bitstream/10241/9105/1/32-7-Women.pdf#search=%27%E5%84%92%E6%95%99%E3%81%AE%E4%B8%AD%E3%81%AE%E5%A5%B3%E6%80%A7%E8%A6%B3%27 (東アジアの近代と女性、そして「悪女」 :金 多希 より抜粋)
儒教理念の中の東アジアの女性たちは「良妻」か「悪妻」かの二者択一の生しか生きられず、殆どの女性は男性が作り上げた社会規範「婦道」を守ることによって「良妻」になろうとしたが、そのような生き方に疑問を抱き、抵抗した人も存在し「悪女 」として厳しく処罰された。つまり、「悪女」は「良妻」の価値を高めるために利用されたのである。また、『礼記』は、女性は本来他人に服従する者として定めており、女性には自主的に行動する本分がないことを提示し、受動的に行動することを強要している。そして、「三従の道」として広く知られているのは、女性は幼い頃は父兄に従い、結婚後は夫に従い、また、夫が亡くなったら息子に従うべきであり、それ以外の女性の人生は主張できないように示されている。

*2-3-2:http://www2.biglobe.ne.jp/~remnant/bukkyokirisuto08.htm (仏教の「女性」、キリスト教の「女性」より抜粋) 仏教では「女性は女性のままでは仏になれない」。キリスト教では?
仏教とキリスト教の大きな違いの一つは、女性に対する考え方でしょう。仏典に、「女性は女性のままでは仏になれない」と書いてあるのを、あなたは知っていますか。女性は救われない、というのではありません。女性は女性のままでは成仏できない、女性のままでは救われない、というのです。女性は女性のままでは仏になれない。「仏教の女性観は、いささかひどい女性蔑視だと思います」こう語るのは、仏教解説家として知られる、ひろさちや氏です。氏自身は仏教徒ですが、続けてこう言っています。「というのは、仏教においては、まず女性は、女性のままでは仏や菩薩(仏の候補生)になれない、とされているのです。仏や菩薩になるためには、女性は一度男子に生まれ変わらなければなりません。それを、『変成男子』(へんじょうなんし)と言います。……これは、どうにも言い逃れのしようのない女性差別です」。この「変成男子」とは、どういうことでしょうか。仏教には、もともと女性は修行をしても仏になれない、という考えがありました。仏典にはこう書かれています。「悟りに達しようと堅く決心して、ひるむことなく、たとえ測り知れないほどの理知を持っているとしても、女性は、完全な悟りの境地は得がたい。女性が、勤め励む心をくじくことなく、幾百劫(一劫は四三億二〇〇〇万年)・幾千劫の間、福徳のある修行を続け、六波羅蜜(修行の六ヶ条)を実現したとしても、今日までだれも仏になってはいない」(法華経・堤婆達多品)。さらに、「なぜかというと、女性には"五つの障り"があるからだ」と述べ、女性がなれないものを五つ列挙しています。それらは、①梵天王になることはできない ②帝釈天になることはできない ③魔王になることはできない ④転輪聖王になることはできない ⑤仏になることはできない です。1~4の「梵天王」「帝釈天」「魔王」「転輪聖王」は、いずれもインドの神々を仏教に取り入れたものですから、現実には問題ないでしょう。しかし最後の「女性は仏になることができない」は、女性信者にとって大問題であるはずです。この「女性は仏になれない」という考えは、仏教の創始期からありました。実際仏典には、あちこちに女性を劣等視した言葉が見受けられます。なかには露骨な表現で、「女は、大小便の満ちあふれた汚い容器である」というような、耳を覆いたくなるような表現さえ少なくありません(スッタ・ニバータ)。「汚い容器」であるのは男も同じなのですが、どういうわけか仏典には、男については決してそのような表現がないのです。女性が劣った者であり、仏になる能力のない者であるという考えは、仏教の創始者シャカ自身が持っていたようです。実際、シャカは従者アーナンダに対して、「女は愚かなのだ……」と語っています。仏教は、インド古来の階級制度である「カースト制」は否定しましたが、女性差別の考えは捨てきれなかったようです。

<出生率の低下を女性の責任にした日本の愚行>
*3-1:https://digital.asahi.com/articles/DA3S14503438.html (朝日新聞 2020年6月6日) 昨年出生率1.36、大幅下落 出生数は最少86.5万人 人口動態統計
図:出生数と死亡数、合計特殊出生率の推移
 1人の女性が生涯に産むと見込まれる子どもの数を示す「合計特殊出生率」は、2019年が前年より0・06ポイント低い1・36と、8年ぶりに1・4を割り込んだ。低下は4年連続。厚生労働省が5日発表した人口動態統計で明らかになった。出生率はここ3年、毎年0・01ポイントずつ低下していたが、19年は大幅な下落となり、人口の維持に必要とされる2・07からさらに遠ざかった。都道府県別では沖縄県の1・82が最高で、東京都が1・15と最低だった。19年に国内で生まれた日本人の子どもの数(出生数)は86万5234人と、前年を5万3166人下回り、統計がある1899年以降で最少となった。死亡数は戦後最多の138万1098人にのぼり、出生数から死亡数を引いた自然減は51万5864人と、過去最大の減少幅を記録した。出生率が下がり続ける背景には、親になる世代の減少や晩婚化などが挙げられる。25~39歳の女性人口は1年で2・0%減った。平均初婚年齢は夫31・2歳、妻29・6歳と夫妻とも6年ぶりに上昇した。第1子の平均出産年齢は15年以降、30・7歳で推移する。厚労省はまた、18年の結婚件数が前年よりも2万471組(3・4%)減ったことが翌年の出生率に影響したとの見方を示す。19年の結婚件数は59万8965組と、7年ぶりに増加した。改元に合わせた「令和婚」が増えたためとしている。政府は少子化対策の指針となる「少子化社会対策大綱」で20年までの5年間を「集中取組期間」と位置づけるが、出生数の減少に歯止めがかからない。今年5月に5年ぶりに見直した大綱では、25年までの目標として子どもがほしい人の希望がかなった場合に見込める出生率「希望出生率1・8」の実現を掲げた。人口問題に詳しい鬼頭宏・静岡県立大学長は「子育て世帯への経済的支援は大事だが、時間がかかっても男女格差のない社会に作り直す覚悟で臨まなければ、出生数増加にはつながらない」と話す。

*3-2:https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/580749 (沖縄タイムス社説 2020年6月4日) [少子化対策大綱]拡充の道筋が見えない
 思い切った施策と、その施策を具体化する財源をセットで示さなければ、同じ轍(てつ)を踏むことになる。今後5年間の少子化施策の指針となる政府の「少子化社会対策大綱」が閣議決定された。昨年生まれた赤ちゃんの数が、統計開始以来初めて90万人を割る「86万ショック」という危機感を背景にまとまった指針である。大綱が目標とするのは安倍政権が掲げる「希望出生率1・8」。子どもの数や年齢に応じた児童手当の充実▽大学無償化制度の中間所得層への拡充▽育休中に支払われる給付金の在り方-などの支援策を提言する。子育てにお金がかかるため2人目、3人目を諦めたという夫婦は少なくない。多子世帯へ児童手当を手厚く配分するのは必要な支援だ。教育費に関しては、大学無償化の範囲を現在の低所得世帯から拡大するよう求めている。コロナ禍で学業継続への不安を訴える声が示すように、大学進学にかかる費用は中間層にも重くのしかかっている。育休中に雇用保険から支払われる給付金の充実は、男性の育休を取りやすくするための政策である。いずれも実現すれば一歩踏み込んだ対策といえる。しかし児童手当の充実も、大学無償化の拡充も、財源の裏付けはなく「検討」段階でしかない。目玉の育休給付金の引き上げは、当初、休業前の手取りと変わらない水準を目指す考えだったというが、大綱に具体的文言は盛り込まれなかった。
■    ■
 合計特殊出生率が戦後最低となった1990年の「1・57ショック」を契機に、少子化は社会問題化した。政府はエンゼルプランに始まる支援策を次々と打ち出したが、対策は失敗続きで、少子化に歯止めをかけることはできなかった。安倍晋三首相はことあるごとに少子高齢化を「国難」と強調する。大綱も冒頭に「国民共通の困難に真正面から立ち向かう時期に来ている」と記す。にもかかわらず財源については「社会全体で費用負担の在り方を含め、幅広く検討」とぴりっとしない。国難という認識に立つのなら、施策を具体化する道筋を示すべきである。日本の「家族関係社会支出」がGDPに占める比率は低水準で欧州諸国に比べ見劣りしている。もう小手先の対応では、どうにもならないところまで来ているのだ。
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 出生率全国一の沖縄でも少子高齢化は着実に進行している。80年代半ばまで2万人前後で推移してきた出生数が、今は1万5千人台。2012年には老年人口が年少人口を上回った。結婚や出産は個人の自由な意思に基づくものだ。ただ非正規で働く男性の未婚率が顕著に高いなど、経済的理由が少子化に影響を与えている側面は見過ごせない。県内男性の未婚率と県の非正規雇用率が全国一高いことは無関係ではない。若い世代の雇用の安定を図ることも必要不可欠な対策だ。

*3-3:https://www.nishinippon.co.jp/item/n/614803/ (西日本新聞 2020/6/7) 病児保育、コロナ直撃で経営危機 働く親「なくなると困る」
●3密回避で受け入れ制限
 急な風邪や発熱で保育園や学校に行けない子どもたちを一時的に預かる「病児保育」の施設が、新型コロナウイルスの影響で利用が激減し、経営危機に直面している。全国病児保育協議会(東京)によると、病児保育施設は元々約6割が赤字経営だが、コロナ禍が追い打ちを掛けた形。一方、仕事を休めない親にとって「駆け込み寺」のような存在なだけに、存続を求める切実な声が上がっている。病児保育施設は、病気になった子どもたちを保育士や看護師が一時的に保育する施設。厚生労働省によると、病児保育施設は全国に1068カ所(2018年度)あり、多くが医療機関に併設されている。福岡市の施設を利用している保育士(40)は、インフルエンザが流行する冬に病気がちな息子(2)を預けることが多く、3日連続で利用することもあるという。「仕事をどうしても休めないときに心強い存在。病児保育がないと、仕事を辞めざるを得ない」と必要性を強調する。
●「コロナかも」
 全国病児保育協議会によると、新型コロナの感染拡大に伴い、インフルエンザや溶連菌といったコロナ以外の疾患だと確定できる場合のみ受け入れる施設や、呼吸器疾患以外を預かるといった基準を設ける施設が増加。休業した施設もある。福岡県内の企業主導型保育園に併設する病児保育施設では「インフルエンザだとしても、コロナがひも付いているかもしれない」(園長)として、3月から受け入れを事実上ストップした。6月に各種自粛が緩和されたため、基準を厳しくして徐々に受け入れ始める予定だ。小児科に併設した「ベビートットセンター」(福岡市)は三つある個室に最大計6人までを受け入れていたが、感染防止の観点から3月以降は1室につき1人の計3人に縮小。3月下旬から利用者は激減し、4月は前年同期の82人から21人と4分の1。5月は4人のみと厳しい状況が続く。預け先での感染を恐れ、利用を躊躇(ちゅうちょ)する保護者もいるという。
●実績基に補助
 施設にとっては利用者が減っても保育士などは確保しなければならず、人件費が経営を圧迫する。頼みの綱の補助金の一部も年間の延べ利用人数に応じて交付されるため、本年度は落ち込みが予想される。ベビートットセンターを運営する小児科医の米倉順孝さん(45)は「病児保育はセーフティーネット」と施設を続ける決意だが、経営の先行きは見通せないのが現状だ。緊急事態宣言は解除されたが、全国病児保育協議会に加盟する約750施設の多くで、利用者は定員を大きく下回っている。大川洋二会長は「本年度の実績にとらわれず、十分な交付金をお願いしたい」と訴える。

*3-4:https://www.jiji.com/jc/article?k=2020040900569&g=soc (時事 2020年4月9日) 不妊治療助成、1歳緩和 コロナ影響で時限的に―厚労省
 厚生労働省は9日、不妊治療に臨む夫婦が新型コロナウイルスの影響で治療を延期するケースに対応するため、治療費の助成対象となる妻の年齢要件を時限的に緩和する方針を決めた。今年度に限り、現在の「43歳未満」を「44歳未満」にする。同省は近く通知を出す。日本生殖医学会は1日付の声明で、妊婦が新型コロナに感染すると重症化する恐れがあることなどを挙げ、産婦人科などに不妊治療の延期を選択肢として提示するよう求めた。医療物資や医療従事者が不足し、延期を余儀なくされる夫婦が増えることも懸念されている。体外受精や顕微授精を行う不妊治療は高額なことから、厚労省は患者の経済的負担を減らすため、助成制度を設けている。現行では一定の所得以下の夫婦に対し、治療開始時の妻の年齢が▽40歳未満なら通算6回まで▽40歳以上43歳未満なら同3回まで、原則1回15万円を支援している。今回の要件緩和は、新型コロナ感染防止を理由に、今年度は治療を見合わせる夫婦が対象。今年3月31日時点で妻の年齢が42歳である場合、延期後44歳になる前日までを助成対象とする。同じ時点で妻が39歳の場合は、従来40歳未満としていた通算6回の助成対象を1歳緩和し「41歳になる前日まで」にする。

<女性差別の結果>
*4-1:https://www.saga-s.co.jp/articles/-/497750 (佐賀新聞 2020.3.9) GDP、年7・1%減に改定、10~12月期、下方修正
 内閣府が9日発表した2019年10~12月期の国内総生産(GDP、季節調整値)改定値は、物価変動を除いた実質で前期比1・8%減、このペースが1年続くと仮定した年率換算は7・1%減となり、速報値の年率6・3%減から下方修正した。企業の設備投資が落ち込んだことが要因。マイナス成長は5四半期(1年3カ月)ぶり。新型コロナウイルス感染症の拡大で、20年1~3月期も2四半期連続のマイナス成長となる可能性が高まっており、日本経済は長期停滞入りの瀬戸際に立っている。年率の減少幅は前回消費税増税時の14年4~6月期(7・4%減)以来、5年半ぶりの大きさだった。増税に伴う駆け込み消費の反動減や世界経済の減速、台風19号など経済を押し下げる要因が重なった。改定値は最新の法人企業統計などを反映して2月に公表した速報値を見直した。設備投資は前期比4・6%減と、速報値の3・7%減から下方修正した。減少幅は09年1~3月期(6・0%減)以来の大きさ。消費税増税対応の投資が一時的に増えた反動も影響した。個人消費は速報値の2・9%減から2・8%減に上方修正した。住宅投資は2・5%減、公共投資は0・7%増だった。輸出は速報値と変わらず0・1%減、輸入は2・6%減から2・7%減に小幅に下方修正した。景気実感に近いとされる名目GDPは1・5%減、年率換算で5・8%減だった。速報値の年率4・9%減から下方修正した。

*4-2:https://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/202003/CK2020030702000255.html (東京新聞 2020年3月7日) <女性に力を>「男女平等は世界全体の利益に」 国連「国際女性デー」記念行事
 国連が定める「国際女性デー」(八日)の記念行事が六日、ニューヨークの国連本部であった。フィンランドのサンナ・マリン首相(34)ら世界の各分野で活躍する女性が「男女平等は女性のためだけでなく、全体の利益になる」などと不平等を是正する社会的、経済的な意義を訴えた。一九〇六年に世界で初めて女性の完全参政権を認め、男女平等の先進国として知られるフィンランド。マリン氏は国連加盟百九十三カ国中、女性の大統領や首相が計二十人(一月時点)にとどまる現状を指摘し、「この国連総会議場は世界各国が意見を聞いてもらう場だが、大抵の場合、それは男性の意見だ」と切り出した。フィンランドが女性政治家らの提案で四〇年代に無償の学校給食を導入し、共働きを支えて発展を遂げた実績などを例に「男女平等の実現には、政治的な意思決定をする立場に一層多くの女性を置くのが最良だ」と主張。「女性や女の子の権利を前進させてきた強い女性指導者らの努力と模範がなければ、きょう私が皆さんの前に立つこともなかったでしょう」と話した。一方、スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさん(17)らに感化されて国連本部前でデモを続ける米国のアレクサンドリア・ビラセナーさん(14)は「世界の仲間と出会い、面白いことに気付いた。みんな女性。女性が環境活動を引っ張っている」と強調。その半面、読み書きできない人の三分の二を女性が占める実態に触れ、「地球を救うために変えなければならない」と女性が教育を受ける機会の重要性を説いた。

*4-3:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20160930&ng=DGKKZO07810310Z20C16A9EE8000 (日経新聞 2016.9.30) 中里税調会長「所得税改革、複数案を提示」
 政府税制調査会の会長の中里実東大教授は日本経済新聞のインタビューで、所得税改革の方向性について、複数案を提示し与党の判断をあおぐ可能性があると語った。
―配偶者控除の見直しが焦点です。
 「(改正前後の税収が同じになる)税収中立が条件のため、改革すると得する人と損する人がでてくる。損する人の声が大きくなれば民主主義では改革は実行に移しづらい」「働き方への中立性を阻害しないようにするには税制だけでは無理だ。一番は社会保険料の問題だ。年収が130万円を超えると社会保険料の負担が突然、生じる。また多くの企業が扶養手当を103万円や130万円を基準に支払っている。今回の議論をきっかけに社会保険料や手当のあり方を見直すきっかけになれば意義がある」
―なぜ所得税改革が必要なのでしょうか。
 「昨年、長い時間をかけて政府税調が実施した経済・社会の実態調査で、所得税制が現在の経済・社会の実態に合わなくなっていることがわかった。負担軽減のターゲットは若い低所得者だ。働いて稼いでもらいたい人達に光を当てる。女性が働きたいのに家に閉じこもるのもよくない」「増税じゃないかと疑う人がいるが、そうではない。豊かな人に負担をお願いするという方向は考えている。どの程度の所得以上かとなると調整は難しい」「税は利害調整だから、今回のような改革はソフトランディングもありえる。改革案を松竹梅と用意して、徐々に梅から竹という方向でもいいかもしれない。様々な改革メニューをだすのが政府税調の仕事だ。(政治が)必要な改革なら必要な時期に対応をとるのではないか」

<人種や性別による差別をなくすには・・>
*5-1:https://news.yahoo.co.jp/byline/furuyayukiko/20200614-00183211/ (Yahoo 2020.6.14) ブラックライブスマター運動から考える警察の暴力と人種差別 (社会学博士 古谷有希子)
 この数週間、アメリカではコロナウイルス以上にBlack Lives Matter(黒人の命も重要だ)運動がトップニュースを占めている。日本でも報道されているようだが、かなり偏った伝え方をしているように思う。たとえばNHKはアフリカ系の人々に対する偏見に満ちた動画を配信してしまい、各国のニュースで批判され、更には駐日米大使も苦言を呈すという事態に陥った。また、ワシントン州シアトル市で抗議運動の一環として警察が立ち入らない「自治区」が立ち上がった経緯についても不正確な報道がなされているように思う。元々、シアトルの抗議活動は許可を得たものと得ていないものが混ざっていた(いずれも平和的デモ)。だが警察が暴力的、強制的に無許可デモを排除しようとしたことで、抵抗したデモ参加者たちにパトカーを燃やされ、更には混乱に乗じた略奪などが起こった。平和的デモ参加者まで逮捕し、催涙ガスを使用し、暴力的に対応し、街のあちこちを封鎖したからだ。結果として警察の暴力に対する市民の批判が更に強まり、警察はそのエリアからの撤退を決定した。警察が撤退した後、そのエリアをアーティストやアクティビストが「自治区」として掲げ、人種差別問題や警察の暴力の問題を壁画や音楽で訴える平和的抗議運動の中心地となっているのが現状だ。トランプ大統領は一連の活動を「テロリスト」と呼んで非難し武力行使を示唆しているが、シアトル市長は「政府の権威、権力に挑むのは市民の権利だ」として「自治区」や一連の抗議活動を擁護している。
●抗議活動の発端となった警察による黒人男性殺害事件
 そもそも、こうした抗議活動の発端となったのは5月25日にミシガン州のミネアポリス警察の警察官が暴行により46歳の黒人男性ジョージ・フロイドさんを殺害した事件である。フロイドさんがコンビニで偽札を使ったとして店員が通報し、駆け付けた警官によって殺害された。警官に首を後ろから押さえつけられたフロイドさんが「息ができないんです…」「ママ、ママ…」とうめき声を上げながらと死亡していく映像がSNSに流れ、多くの人がショックを受けた。8分46秒に渡りフロイドさんに暴行を加え窒息死させた警官の行動は、まさにアメリカの黒人が数百年間に渡り直面してきたリンチ、黒人差別そのものであり、人を人とも思わない白人警察の暴力性まざまざと見せつけた。フロイドさんが実際に偽札を使用したのか、もし使っていた場合それが故意だったのかどうかはわかっていない。仮に彼が偽札を故意に使用してたことが事実だったとしても、その程度の軽犯罪を犯した人を警官が不法かつ不当に殺害してよい根拠にはならない。殺害に関与した四人の警察官は全員懲戒免職となり、主犯のデレク・ショウビン元警察官は第二級殺人罪、第三級殺人罪、第二級過失致死罪で起訴されている。
●警察の黒人差別
 これまでもアメリカの警察はアフリカ系の人々を不当に扱ってきた。そのうちの殺害ケースの多くは射殺だが、警官が殺人罪で起訴されることは稀で、せいぜいが過失致死、多くの場合は何の罪にも問われずそのまま警官として働き続けている。アメリカの警察は「黒人は犯罪者が多い」「黒人は乱暴」といった人種的偏見に基づいた対応(racial profilingという)をしていると批判されている。黒人であるというだけで頻繁に職質を受けたり、車を止められたりすることは当たり前で、ひどい場合にはいきなり銃を向けられる、いきなり発砲されるということがずっと続いてきたからだ。近年も、おもちゃの銃で遊んでいた黒人の子どもが警官に射殺された事件、看護師志望の二十代の黒人女性が自宅で警官に射殺された事件など、警官による黒人の不当な暴行や殺害は枚挙に暇がない。それ以外にもトレイボン・マーチン殺害事件、アフムード・オーブリー殺害事件など、「自警」「自衛」と称して何の罪もないアフリカ系の人をリンチ殺害する事件も後を絶たない。そのため、アフリカ系の家庭では子どもがまだ小さいうちから「警官に呼び止められたら両手を挙げて動きを止めること」「必ずサーの敬称をつけて丁寧に話すこと」などを教える。特に男の子の場合にはこれを徹底して身につけさせなければ、その子の命に関わる。
●今も残る人種差別
 警察も含めアメリカの司法システムは、軽犯罪から重犯罪まで、同じ罪を犯しても黒人には白人よりもはるかに重い刑罰を課してきた。いずれも刑法に則った量刑であり、個々の逮捕や裁判の不当性は見えにくいが、全体の統計を見たときに明らかに量刑に人種差別が現れている。そもそも歩いているだけ、車で走っているだけで黒人だからと目をつけられて職質されるのだから、どんなささいな不法行為でも黒人の方が白人よりも捕まりやすいのは当然だ。たとえばアメリカではマリファナは州によっては娯楽使用も合法で、誰でも一度は吸ったことがあるような気軽なものだ。場合によってはたばこよりありふれているくらいなので、使用率は黒人も白人も変わらない。だが黒人は白人の四倍近くも「ただ持っているだけ」で逮捕されている。人口当たりの受刑者の比率は、ラテン系男性は白人男性の二倍、アフリカ系男性はさらに五倍にも上る。連邦刑務所の受刑者の八割、州刑務所の受刑者の六割はアフリカ系かラテン系である。運良く不起訴となっても、逮捕歴が残るので就職、住居、銀行ローンなどで生涯にわたる差別を受けることになる。黒人を完全に分離し、同じ学校に通うことを禁じたり、白人との結婚を禁じるようなハードコアな人種差別は公民権運動を通じて数十年前に撤廃された。しかし人種差別は社会制度、行政制度などに染み付いた慣習として今日も続いている。特に問題なのはSystemic racism, institutional racism (機関的、制度的人種差別)だ。
●制度的人種差別
 社会制度(法律、警察、役所や学校などの行政機関、行政・社会制度、教育機関、社会慣習まで様々なものを含む)には人種差別がこびりついている。「黒人だから」という理由で頻繁に職質をされたり、いきなり銃を向けられたり、重い量刑を課されるのは、司法や行政を担う担当者が人種的偏見に基づいた行動や決定を意識的、無意識的に行なっているからだ。こうした個人レベルの人種差別的行動や偏見が積み重なって社会や行政の様々なレベルでの白人と黒人との膨大な格差や差別となる。個人レベルで「黒人は凶暴だ」とヘイトスピーチをする人の数は減ったかもしれないが、社会全体での制度的人種差別は根強い。そして、個人レベルで差別行為を行わなくとも、差別を内包した社会で生活しているだけで、こうした制度的差別に加担することになる。アメリカには長きにわたる人種隔離政策の影響が色濃く残っており、その最たるものが居住区域と学区分けである。まず、アメリカの公立学校の財源は学区ごとの固定資産税に大きく依拠しているので、貧困層が多い学区は常に財政難に直面しており、教師や教材も揃えられないということもままある。そして、学区と居住区域が連動しているので白人中流家庭の多い区域は黒人貧困家庭の多い区域と学区が重なることを決して許さず、そのような状況になると猛抗議を行い阻止しようとする。白人中流層の多い区域でアフリカ系の人が家を購入しようとすると不動産屋や大家は白人相手よりも高い値段を提示する。黒人が流入するとその区域の白人が流出して地価が下がるため、それを避けようとするのだ。つまりジム・クロウ法(人種隔離法)が行なっていたことと同じことが、白人中流層居住地域では現在も事実上続いているのである。また、エボニーやジャマルなど「黒人に多い名前」で求人に応募すると面接に呼ばれにくいが、全く同じ履歴書を送っても名前が白人的だと面接に呼ばれやすいという研究もある。こうした差別や偏見、不当な暴力に立ち向かっているのが、今起こっている Black Lives Matter 運動なのである。コロナ渦にあって大規模な抗議運動などしてはコロナウイルスをさらに拡大させるという懸念もあるが、黒人を取り巻く人種差別の恐怖はコロナウイルスの恐怖を凌ぐ。黒人であるというだけで暴力を受ける社会で、アフリカ系の人々は安心してマスクも付けられない。顔を隠した強盗と間違われて即射殺などということになりかねないからだ。アフリカ系の人々が日常的に直面している不当な差別、暴力、偏見はコロナウイルス以上に多くのアフリカ系の人々を精神的に肉体的に傷つけ命を奪っている。
●抗議活動の「暴徒化」は本当か?
 抗議活動の一部が暴徒化しているという報道もあるが、前述したように「混乱に乗じて略奪などが起こっている」のであり、抗議活動が過激化して暴徒化するというのは必ずしも正確な表現ではない。そもそも、警察が暴力的な対応をしている結果として混乱が生じているのである。また、略奪や放火などの過激な行動を取っているのもアフリカ系の人々に限ったことではない。そもそも略奪などが起こる背景には、必要なものも手に入らない苦しい生活と厳しい経済格差がある。収入、雇用、財産、教育、ありとあらゆる面で、制度的人種差別を背景とした白人と黒人の歴然とした格差があり、その差は1960年代からほとんど変わっていない。暴動だと非難するだけではなく、異常なまでの富の不均衡、機会の不平等、人種差別の問題にこそ目を向ける必要がある。そもそも今日のアメリカの富の礎は奴隷制の上に築かれたものだ。アフリカ系の人々が何百年も耐え忍んできた暴力、差別、圧政、搾取に比べれば、暴動でほんの一部を取り返したとしても何の足しにもならない。社会運動において平和的抗議運動と暴力は容易に分離できるものではない。歴史を見ても、世界中で人権や独立などを求める平和的抗議運動はあったが、それだけで社会は動かなかった。インドでもフランスでもアメリカでも、非暴力運動と前後あるいは並行して暴力を否定しない社会運動があったことを忘れてはならない。今回の抗議運動も平和的デモだけではなかったからこそ、ネガティブな反応も含めて、より大きな注目を集めたという側面もある。注目を集めれば、当事者だけではなく問題意識を持つ多くの人が参加して、社会を動かす大きなうねりを生み出すことにつながる。たとえば今回の抗議活動にはアフリカ系以外にも多くの人が老若男女問わずに幅広く参加している。筆者の知人にも「自分は白人だからこの抗議運動に参加する社会的義務がある」と言って、参加している人がいる。抗議に参加していた白人女性や白人高齢男性が、デモを抑えようとする警察に暴行を加えられて重傷を負っている映像なども流れており、一連の抗議活動の発端となった警察の暴力性を更に強調する結果となっており、抗議活動はまだまだ収束する気配が無い。
●日本にもある人種差別
 黒人人口が非常に少ない日本で Black Lives Matter 運動や現在の警察に対するの抗議運動に対する関心が低いのは仕方のない面もあるだろう。しかし、同様の差別や警察をはじめとする司法システムによる暴力は日本でも日常的に起きている。日本では「人種」という括りよりも「外国人」「民族」のくくりで差別が行われることが多い。最近では渋谷警察がクルド人の男性に不当な暴力を振るっている映像がSNSに流れ、渋谷警察署前に200人が集まる抗議活動があった。そして、入管は入所者の人権を無視した肉体的精神的暴力を日常的に振るっている。日本でよく聞く「外国人が増えて犯罪が増えた」などというのも全く根拠の無い偏見だが、こうした差別的思考を持つ人は警官も含めて多い。外国人であるというだけで頻繁に職質されるのは、警察が外国人に対する強い偏見を持っているからだ。司法システム以外でも日本の外国人差別は根深い。たとえば「外国人お断り」を平然と掲げている賃貸物件は多いが、外国人だからお断りというのは差別以外の何ものでもない。また、高校無償化制度からの朝鮮学校除外、朝鮮学校に対する街宣、公然と繰り広げられるヘイトスピーチなど、在日コリアンに対する差別も深刻だ。そして、日本にも黒人差別はある。数年前には、新宿でナイジェリア人男性に対して「黒人は怖いからな」などと言いながら警察が暴行を加え、膝を複雑骨折させ重篤な傷害を負わせる事件があった。昨年は、大坂なおみ選手の肌の色を白くした日清のCMや「黒すぎる」などと揶揄する漫才が問題となった。いずれも「良かれと思って」「面白いと思って」行ったことだろうが、その背後にあるのは「黒い肌は醜い」という侮蔑的心情だろう。意識的であろうと無意識的であろうと、肌の白さこそ美しさの象徴であるとばかりに、異なる人種の人の肌を白く見せようとしたり、肌の色を嘲笑したり蔑むのは人種差別にほかならない。また、近年日本で台頭してきている「黒人ハーフ」アスリートについて、ポジティブな論調で彼らの成功を筋肉やバネなどの「人種的特徴」と結びつける評価を目にするが、それが生物学やスポーツ科学の皮を被った人種的偏見でないか批判的に考えるべきだ。大阪なおみ選手やサニブラウン選手を見て、彼らの成功を「黒人だから」と考えているとすれば、それは彼らの努力や個人の資質を無視する、人種的偏見以外の何物でもない。そもそも「人種」というのは科学的、生物的分類ではなく社会的分類である。アフリカ大陸は多種多様な人種・民族を抱える地域であり、いわゆる「黒人」とされる人たちの中にも、背の低い人もいれば高い人もいるし、太った人も痩せた人も、農耕民族も狩猟民族も牧羊民族もいる。アフリカ系の人々の肌の色もいわゆる白人のような色からチョコレート色まで多種多様だ。このように多様性に富んだ地域に住む人々を「アフリカ系」「黒人」と一括りにして、共通の「資質」「特徴」を論じること自体が非科学的である。また、アフリカの人々以上にアメリカの「黒人」は民族的にも、いわゆる人種的にも混血している(白人奴隷所有者は日常的に奴隷女性をレイプしていたから)。スポーツにせよ、社会、文化、経済面での成功にせよ、或いは失敗にせよ、それを安易に「人種」と結びつけることは人種的偏見に他ならない。スポーツが「黒人だから」成功できる程度のものならば、世界のアスリートは黒人だけで占拠されていなければおかしいが、現実にはそうではない。むしろ「運動に素質がある黒人の子ども」がいた場合、「黒人だからバネがいい」などという安易な人種的偏見がその子を特定のスポーツに誘導することになっていないか、その子から勉強や芸術など、他の分野のことを学ぶ機会を奪っていないか、親や教師は考慮する必要がある。たとえばアメリカではアメフト、バスケットボール、陸上競技はアフリカ系の選手が非常に多い一方で、ウィンタースポーツや水泳は極端に少ない。個々人の資質以上に、スポーツがレッスン費用や周辺のスポーツ施設の有無など「始めやすさ」「アクセスのしやすさ」、あるいは人種的偏見に基づいた周囲の期待などに大きく影響されるものだからだ。一見すると黒人差別とは無縁に見えるかの日本社会にも、アフリカ系の人々に対する偏見や差別は存在する。アメリカの抗議活動を「人ごと」「対岸の火事」と傍観するのではなく、警察の暴力と人種差別の問題を考えるきっかけとして捉えるべきである。

*5-2:https://digital.asahi.com/articles/DA3S14526552.html (朝日新聞 2020年6月26日) 黒人の兄と白人の弟、同じ国、違う世界 米ミネアポリスルポ
■兄は職を転々、警官からの尋問絶えず 弟は博士号「差別で恩恵、責任感じた」
 黒人男性のジョージ・フロイドさん(46)が亡くなった米ミネアポリスの現場に6月14日、ある兄弟が並んで立った。「人種を超え、共に祈りを捧げられ、うれしかった」と話した兄のチャド・リンダマンさん(52)は、褐色の肌。「黒人の声に耳を傾けたかった。差別の仕組みから恩恵を受ける立場として、責任を感じた」と語った弟のデイナ・リンダマンさん(49)は白人だ。黒人の父と白人の母の間に生まれたチャドさんは1歳のとき、ミネアポリス郊外の白人家庭に養子として迎えられた。2年後、デイナさんが生まれ、兄弟として同じ家庭で育った。チャドさんが小学校に上がると、学年120人で黒人は1人。同級生から「ニグロ」(黒人)と呼ばれ、好きな女子とダンスをすることもかなわなかった。先生は「勉強には向いていないから、スポーツをがんばりなさい」と言った。デイナさんは運動神経抜群の兄を「ヒーロー」と慕った。だが、11歳のとき、兄をイメージしてつくったのは肌が黒く、囚人服のような白黒の服を着た人形。無意識の差別の表れだと気づいたのは、大学で人種について学んだ後だった。兄弟は次第に、別々の道を歩んだ。野球の投手として頭角を現したチャドさんはマイナーリーグでプレーしたが、肩を壊し、3年で引退。貸金業などで働いた。一方、幼い頃から成績優秀だったデイナさんはハーバード大学院で仏文学の博士号を取得し、研究者となった。「黒人と、白人の子どもがなりたい職業のステレオタイプをなぞるようだった」と振り返る。チャドさんの人生に影を落とし続けたのは、警察との関係だった。白人が多いミネアポリスで警官に車を止められて尋問されることに嫌気がさし、黒人が多い南部アトランタに移ったが、そこでも尋問は絶えなかった。バーで運転免許証の提示を求められて断り、警官からスタンガンで撃たれて留置所に入れられたことや、スピード違反を理由に、拳銃を頭に突きつけられたこともあった。11年前にミネアポリスへ戻ってからは、奨学金ローンの取り立てや造園業など時給制の仕事を転々としてきたが、昨年に建設現場で大けがし、ホームレスになった。5月からは、市が提供する施設に身を寄せる。入居者の半数が黒人だ。5月25日、そこからわずか5キロ先で、白人警官がフロイドさんの首を約8分間押さえつけ、死亡させた。食料品店でたばこを買うために払った20ドルが偽札だったとして、店員が通報したことがきっかけだった。無言のまま、フロイドさんをひざで押さえ続ける警官の動画を見て、チャドさんは体が震えた。「黒人というだけで警官に疑いの目を向けられる。自分の経験がよみがえった」。米国では、黒人の方が警察から暴力を受けやすい傾向が顕著だ。米メディアの統計によると、年間で約1千人が警察に射殺されているが、黒人が射殺される率は白人の約2・5倍だ。ミネアポリスでは、黒人が人口の約2割にとどまるが、市警が押さえつけたり、たたいたりする「有形力の行使」の件数は、約6割が黒人を対象としていた。ミネソタ大准教授になったデイナさんは、「フロイドさんに起きたことは、兄に起きても不思議はなかった」と話す。自身は警官に職務質問されたことも、交通切符を切られたこともない。事件をきっかけに、久しぶりに兄と連絡を取り、現場を訪れた。白いメッセージボードに追悼の言葉を書き込むと、2人の影が映った。そこには、肌の色が映らない。「その瞬間、黒人と白人ではなく、ただの兄弟だと実感できた」と、デイナさんはシャッターを切った。
■「白人、もはや国の代表でない」 デモ、人種・世代超え
 米メディアによると、フロイドさんの事件に端を発した抗議デモは、全米の2千カ所以上で行われてきた。公民権運動を率いたキング牧師が1968年に暗殺されて以来の規模ともいわれる。警察による黒人の殺害を抗議するデモは、これまでもあった。ただ、今回は白人の若い世代が多く加わっているのが特徴だ。6月上旬にニューヨーク、ワシントン、ロサンゼルスで行われた調査では、参加者の6割以上が白人で、4分の3が34歳以下だった。フロイドさんの事件にかかわった4人の元警官がすぐに起訴されたのは、デモのうねりが影響しているとみられる。また、人種差別や奴隷制度に関連した人物の像が撤去されたり、企業が「差別的」とされた商品を見直したりするなどの動きも出ている。最後まで拘束されていた奴隷に、制度の廃止が告げられたことから「奴隷解放記念日」とされる19日は、デモの人数が特に膨れあがった。ニューヨークで加わったエリザベス・チャパさん(20)は、インスタグラムでデモを知ったという。「選挙で存在感を発揮してきた白人、富裕層、年配の人たちはもはや、この国を代表しているわけではない。フロイドさんの事件は、政治が我々の生活の一部なのだと、気づかせてくれた」。このエネルギーが11月に行われる大統領や議会の選挙にどうつながるのかも、注目される。上院選に向け、23日にケンタッキー州であった民主党の予備選では、差別の解消を訴えた35歳の黒人男性が予想以上の健闘を見せるなど、影響は既に出始めている。

<農業・製造業における男女共同参画>
PS(2020年6月29、30日、7月2日追加):日本農業新聞が、*6-1のように、「①新型コロナ対策では世界で女性リーダーの手腕が際立った」「②性別に拘らず個性と能力を十分に発揮できる社会を目指して1999年に施行された男女共同参画社会基本法の施行から20年たっても、日本は男女格差が根強く残っている」「③誰もが働きやすく暮らしやすい農業・農村を作りたい」「④2019年度の『農業白書』は、『輝きを増す女性農業者』を特集した」「⑤生産者と生活者・消費者の視点を併せ持つ女性農業者が農業経営に関与しているほど利益増加率が高い」「⑥ 2019年までの20年間に農業系は女性の割合が10%増えて半数になった」「⑦農村地域の女性の人口は子育て世代の25~44歳で特に減少率が大きい」「⑧仕事に家事・育児を加えた労働時間は農林漁業者では女性が長く負担が大きい」「⑨収入を含め魅力的な職場を増やしていかなければならない」「⑩ライフステージに合わせて勤務時間や業務などを選べるようにする」等を記載している。①②は紛れもない事実だが、農業分野における③④⑤の認識があれば、農業に従事する女性の地位向上に大いに資するだろう。しかし、⑥にもかかわらず、⑦になる理由は、⑧のように農村では特に女性の地位が低く、女性にとっては住む魅力に欠けるからである。しかし、⑨を実現させれば、⑩のようにライフステージに合わせて勤務時間や業務を選ぶには、職住が接近し家族労働を中心とする農業の方が他の業種より優位だ。
 また、*6-2のように、日本政府が「食料安全保障強化」を打ち出し、外国産から国産への原料切り替え等による国内生産基盤の強化や国民の理解醸成を進めるようにしたことは、国内農業に追い風になる。そして、農林水産物や食品の輸出も含めて加工食品や外食・中食向けの原料を国産に切り替えれば、国内での加工が増えて女性や外国人労働者の必要性はさらに高まる。
 そのような中、外国人労働者の子どもは、教育すれば両国の文化を理解し日本をふるさととする貴重な人材になるにもかかわらず、日本には外国人労働者の子どもを邪魔者のように扱ったり、無視したりする見方がある。そのため、*6-3のように、国際人権規約や子どもの権利条約に従って外国籍を含めた子どもの「学ぶ権利」を保障する必要があり、これは不就学児を作らないために、早急にやるべきだ。
 なお、*6-4のように、日産自動車(以下“日産”)は、①新型コロナによる販売不振 ②巨額の構造改革費用 で純損益が6,712億円の赤字に転落し、内田社長が6月29日の定時株主総会で「必ず成長軌道に戻す」と述べられたそうだが、①の販売不振は新型コロナ以前から起こっており、日産はEVや自動運転の強みを活かしてその中心顧客である女性や高齢者が気に入るデザインの車にそれらを組み込めばよかったのに、そうしなかったため不振に陥っているのであり、これは、日産が比較的若い男性を中心とする会社であることに原因があるだろう。また、②の構造改革は、グローバルな視野を持った外国人経営者ゴーン氏に対する反発にすぎず、経営の正攻法ではないため、そのまま進めば業績回復は難しいと思われる。
 また、*6-5のように、2008年に開発を始めた三菱航空機の国産ジェット(MRJ)が航空会社への納入を6度も延期したのは、日本の技術力の低さを露呈した深刻な事態だ。先進国より遅れて開発し始めたジェット機なら、既存のものより何かで優れているか、今までにない航空機(例えば、燃料電池を動力とするとか)で代替品がないか、価格が安いかでなければ買う理由がないのに、三菱重工は価格が安いわけではない日本製品の技術力が劣っていることを世界中に見せつけてしまったのだ。従って、新型コロナは言い訳にすぎず、2番手なのに納入延期ばかりしている従来型航空機には期待できない。これは、少子化した日本で日本人男性に下駄をはかせて雇用した結果、創造力や技術力などの能力が落ちているということではないのか?

   

(図の説明:1番左の図のように、農林水産地帯は自然エネルギーの宝庫であるため、発電は半農半Xの強力なXになりうる。また、左から2番目の図のように、農地は集積され担い手に集まってきているため、大規模農業も可能になりつつある。しかし、女性は、担い手の妻ではなく担い手になれるのかと言えば、右から2番目の図のように、2019年でもJAの正組員に占める女性の割合は23%程度で、担い手に占める女性の割合はもっと低い。さらに、JAの役員に占める女性の割合も10%以下だ。なお、1番右の図のように、外国人労働者は増加し続け、2018年には260万人を超えて重要な労働力になっているが、まだ外国人差別は多い)

*6-1:https://www.agrinews.co.jp/p51148.html (日本農業新聞論説 2020年6月23日) 男女共同参画週間 多様性で魅力ある農を
 今日から男女共同参画週間。新型コロナウイルス対策では世界で女性リーダーの手腕が際立ったが、男女共同参画社会基本法の施行から20年たっても日本では男女格差は根強く残る。コロナ禍で、働き方の多様性への意識が高まった。この風に乗って、誰もが働きやすく暮らしやすい農業・農村をつくりたい。同基本法は、性別にかかわらず個性と能力を十分に発揮できる社会を目指し1999年に施行された。同年施行の食料・農業・農村基本法も男女共同参画を規定。女性の社会参画を後押しする法が整備された。2019年度の「農業白書」は、両基本法施行から20年の節目として「輝きを増す女性農業者」を特集した。そこで紹介している調査結果が、女性の活躍の進展と、依然として参画を阻む要因を浮き彫りにしている。農業経営に女性が関与しているほど経常利益の増加率が高い。また、学科別高校生の男女比では、19年までの20年間に農業系は女性の割合が10ポイントほど増え半数になった。加工・販売など幅広い科目設定が奏功した。一方で、農村地域の女性の人口は、子育て世代の25~44歳で特に減少率が大きい。また「医療・福祉分野での需要増加で、女性労働力確保に関する競合が強まっている」(白書)。学ぶ段階で農業分野に意欲的な女性を得ながら、就職の過程で都市や他分野へ流出している。収入を含めて、魅力的な職場を増やしていかなければならない。女性の社会参画を阻む要因の一つは、今も家事・育児・教育・介護の負担だ。仕事に家事と育児を加えた労働時間は、農林漁業者では女性が長く、負担が大きい。女性活躍の指標として役員や管理職の数と割合を話題にしがちだが、労働を男女で分かち合うことが女性の参画の土台である。大事な視点は二つ。一つは、家庭内の役割分担の割合を可視化すること。家庭も組織である。特定の人の労働が過重なら全体が回らない。まずは家族会議から始めよう。もう一つは、ライフステージや能力に合わせて勤務時間や業務などを選べるようにすること。柔軟な勤務体系で従業員が定着している農業経営がある。また、得意分野で業務を分担し、妻が経営・販売を、夫が生産部門を担い収益を上げている事例もある。多様な働き方を可能にすることで、男女ともに働きやすくなる。全てをこなす女性のロールモデル(模範となる人物像)には無理がある。仕事と家事や育児などの役割全てを女性に求めるのはやめよう。頑張り過ぎて心身に不調を来たしたり、寿命を縮めたりする女性は多い。コロナ禍で国民が気付いたのは、農業や医療・福祉といった「生命産業」の大切さだ。これらを重視する経済・社会に変えていかなくてはならない。それには、生産者と生活者・消費者の視点を併せ持つ女性農業者の能力発揮は欠かせない。

*6-2:https://www.agrinews.co.jp/p51190.html (日本農業新聞 2020年6月27日) [新型コロナ] 政府、食料安保を強化 コロナ対応 国産切り替え推進
 政府は26日、農林水産業・地域の活力創造本部(議長=安倍晋三首相)を開き、新型コロナウイルスによる食料供給リスクの高まりを踏まえ、農林水産政策の展開方向として「食料安全保障の強化」を打ち出した。外国産から国産品への原料切り替えなどによる国内生産基盤の強化、国民理解の醸成を進める。各施策で検討を進め「農林水産業・地域の活力創造プラン」や2021年度予算概算要求に反映する。安倍首相は「食料の安定供給は政府が果たすべき最も重要な責務。国内の生産基盤を強化し、食料自給率や自給力の向上を図ることが必要」だとし、関連政策の見直しを関係閣僚に指示した。同省は、新型コロナ発生後、中国産野菜の輸入が一時的に滞ったことなどを受け、日本にも影響が及んだと指摘。欧米では労働力不足で収穫などが停滞し、物流が混乱する恐れもあるとした。アフリカ豚熱や中東などで猛威を振るうサバクトビバッタなども挙げ、「食料供給を脅かす新たなリスクが発生」と分析。半面、国民の食料供給への関心が高くなっているとし、食料安保を今後の政策の柱に据えた。食料・農業・農村基本計画に盛り込んだ内容などを踏まえて取りまとめた検討事項のうち、「国内生産基盤の強化」では、加工食品や外食・中食向け原料の国産への切り替えを重視する。生産現場を支える取り組みとして、スマート技術の開発・普及や農業支援サービスの育成を挙げた。さらに、食料安保や農林水産業の役割への理解を促す国民運動を展開するとした。今後の政策課題のうち「農産物検査規格の高度化」は、穀粒判別機の導入拡大などを念頭に置く。一方、規制改革推進会議も農産物検査の見直しを検討事項に挙げており、近く政府への答申を取りまとめる。「セーフティーネットの見直し」では、収入保険について、野菜価格安定制度など関連制度全体を検証し、総合的な対策の在り方を検討する。農林水産物・食品の輸出額を30年に5兆円とする政府目標の実現に向け、中国向けの輸出などを強化することも盛り込んだ。

*6-3:https://www.kochinews.co.jp/article/377797/ (高知新聞 2020.6.29) 【外国人の就学】「学ぶ権利」を保障したい
 日本も批准している国際人権規約や子どもの権利条約では、外国籍を含めた子どもの「学ぶ権利」を保障している。にもかかわらず、日本にいる外国籍の子どもは、その恩恵を十分受けることができなかった。やっとというべきだろう。政府が閣議決定した日本語教育推進の基本方針に、外国籍の子ども全ての就学機会確保を目指して状況把握を進めたり、日本語教育の水準向上を図ったりすることが明記された。さらに、外国人への日本語教育は国や自治体の責務とも記された。基本方針は、昨年施行された日本語教育推進法に基づいた指針だが、まだまだ第一歩にすぎない。就学していない子どもの詳しい状況確認を国は急ぐとともに、「学ぶ権利」が保障されるよう予算措置を含めた体制整備を進めるべきだ。文部科学省の昨年の調査で、本来なら小中学校に通っている年齢にもかかわらず外国人学校などを含めて不就学の可能性がある子どもは全国に約1万9千人いた。調査自体が初めてで、対象となる子ども全体の16%近くを占めたという。文科省によると、外国籍の子どもが公立小中学校への就学を希望すれば、国際人権規約などにより無償で教育が受けられる。しかし、日本人と違って外国人には就学義務がなく、それが不就学が増える理由の一つとされる。また、保護者や子どもが日本語を十分理解できなかったり、住んでいる自治体のサポートが整っていなかったりすると学校に行かないケースがあるという。在留外国人は、30年前の約108万人と比べて3倍近くの約290万人に増えている。昨年4月には外国人材を受け入れる新たな制度も始まり、家族を含めて外国人がさらに増加することが見込まれる。就学していない児童生徒を増やさないためには実態把握に加えて、自治体などによるきめ細かい日本語教育が大事になる。基本方針では、状況把握のために自治体の関連部署の連携を促した。例えば住民基本台帳や福祉、国際交流を担当する部署などが連携して就学状況を調べ、保護者に学校の情報を提供するよう求めている。日本語がよく分からない子どもや保護者らには、レベルに応じた語学教育が大切になる。基本方針では、日本語教育に関わる全ての人が参照できる学習や教育、評価の指標を作る計画も確認した。さまざまな施策に対して日本語教育推進法は国による財政措置を求めている。外国人のニーズにあった日本語教育が円滑に進むよう自治体への支援を急いでほしい。先進地の例を共有することも大切だ。外国人の働く工場が多い岐阜県可児市では、NPO法人と行政が連携した就学支援を長年続けている。「子どもは環境を選べない」。そんな思いで関係者は活動しているという。共生社会を支えていくには地域の協力が大切だ。

*6-4:https://www.chugoku-np.co.jp/news/article/article.php?comment_id=656964&comment_sub_id=0&category_id=1206 (中国新聞 2020/6/29) 日産社長「必ず成長軌道に戻す」 株主総会、巨額赤字を謝罪
 日産自動車は29日、横浜市の本社で定時株主総会を開いた。2020年3月期連結決算は、新型コロナウイルスの影響による販売不振や、巨額の構造改革費用で純損益が6712億円の赤字に転落。内田誠社長兼CEOは業績悪化を謝罪し「必ず成長軌道に戻す。この危機を乗り越えたい」と述べ、株主の理解を求めた。赤字額は前会長カルロス・ゴーン被告が大規模リストラを実施した00年3月期(6843億円)に迫る。内田氏は「株主の皆さまには大変申し訳ない」と陳謝した。業績悪化に伴う株価低迷に関する株主の質問に対し「株価を健全なレベルに戻すことは経営層の使命だ」と強調した。

*6-5:https://digital.asahi.com/articles/ASN6H5RP6N6HOIPE01D.html (朝日新聞 2020年6月15日) 国産ジェット、開発態勢を大幅に縮小 コロナが追い打ち
 三菱重工業傘下の三菱航空機は15日、国産初のジェット旅客機「スペースジェット(旧MRJ)」の開発態勢を大幅に縮小すると明らかにした。開発に向けた作業は一部中断され、いっそうの遅れは避けられない。これまで航空会社への納入を6度も延期したことで三菱重工本体の経営を圧迫。そこへ新型コロナウイルスが追い打ちをかけた。三菱重工は、新型コロナによる収益悪化を背景に、今年度のスペースジェットの開発費を約600億円と前年から半減させた。そのため三菱航空機は現在約1600人いる国内の従業員を段階的に半分ほどまで減らす。米国とカナダにある開発拠点3カ所のうち、米ワシントン州にある飛行試験拠点を除く2カ所を閉鎖することも決めた。実用化の大前提となる「型式証明(TC)」を取得するために昨年始めた米国での飛行試験も中断。新型コロナの影響で最新の試験機を日本から持ち込めないことなどを踏まえ、当面試験はせず、今年度中は過去の試験データの検証などにあてる。人員削減は近年積極的に採用してきた外国人技術者にも及ぶ。海外航空機メーカーでの経験が豊富なアレックス・ベラミー最高開発責任者は6月30日付で退任。後任は置かず、技術トップのチーフエンジニアに川口泰彦氏を据える。スペースジェットをめぐっては、2008年に始めた開発作業が難航し、航空会社への納入開始は度々延期されてきた。今年2月にはそれまでの「20年半ば」から「21年度以降」へ6度目となる延期を発表。現在開発する「M90」の後発機となる、より小型の「M100」の計画をいったん凍結することも決めている。新型コロナはスペースジェットを購入する立場の航空会社も直撃している。すでに約300機を受注済みだがキャンセルが発生する可能性もある。積極的な営業活動も見あわせている。コロナの沈静化まで開発も「足踏み」状態となる。

<変だった専門家会議と厚労省の論調>
PS(2020年7月2、3日追加):PCR検査を抑制し、人との接触を避けて国民に我慢を強いることばかりを推奨した専門家会議と厚労省は、科学的にも人道的にもおかしかった。そのため、*7-1のように、厚労省と専門家会議が「①感染症予防の観点から、すべての人にPCR検査をすることはウイルス対策としては有効でない」「②設備や人員の制約のため、限られたPCR検査の資源を重症化の恐れのある方に集中させる」「③相談や受診の基準(目安)は37.5度以上の発熱が4日以上続いた場合」として、それを何カ月も改善しなかったことは、「④誰が、どういう目的で、そうしたのか」を専門家会議の議事録から明らかにすることが最も重要だと思う。この間、「⑤帰国者・接触者相談センターに電話しても基準にあわない」などとして患者が検査を受けられず、感染者を隔離しないことで感染が広がり、感染者自身も重症化して自宅で亡くなり、先進国とは思えない医療となっていた。さらに、トップが専門家会議のメンバーである日本感染症学会と日本環境感染学会は、「⑥PCR検査は早期に検査しても精度の点で頼りにならない」「⑦軽症例にはPCR検査を奨励しない」とPCR検査抑制を打ち出し、理由として「⑧患者が殺到して医療体制が混乱するのを防ぐ」とした。しかし、日本は多数の検査可能な施設があり、技術開発もできるため、PCR検査を増やそうと思えば増やせたのだ。
 この専門家会議は、「⑨人と人との接触8割減」「⑩新しい生活様式」など医学的evidenceの示されないことを次々に発表していたため、6月24日に「十分な説明ができない政府に代わって前面に出ざるを得なかった」「コミュニケーションの専門家が必要」などと東京都内で会見していたのを見た時、私は専門家として責任逃れをしているように感じた。わかりやすい説明やコミュニケーションとは、根拠を示して明確に行う説明であるため、*7-2の西村経済再生担当相の会議廃止表明にもあまり違和感は感じなかった。にもかかわらず、メディアが途中経過の検証もせず、政治家のみを批判して専門家会議や厚労省の方針にメスを入れないのは、本当の批判機能を果たしていない。
 なお、最近、換気が必要とも言われているが、窓を開けられないビルも多く、関東は放射性物質が飛んでいるため窓を開けるのも必ずしもよくない。そのため、私は、従来のエアコンの空気取り入れ口に換気扇のフィルターを張っているが、これでかなりの埃がとれる。本当は、*7-3の「空気清浄機付きエアコン」に変えるのがよいが、エアコンの中でプラズマや紫外線を発生させて殺菌した空気を出すようにすればさらによい。そして、これはすぐ製品化できて、食品工場・病院・学校・オフィス・家庭などで空気の流れを考慮して設置すれば効果的だろう。
 結局、日本の新型コロナ死亡率は5.1%(死者数977人/感染者数19153人、7月2日現在)で、世界の新型コロナ死亡率は4.79%(死者数521,298人/感染者数10,869,739人、2020年7月3日現在)であり、統計の取り方に違いがあるので単純比較はできないものの、日本の死亡率は世界より高く、日本が低いとは決して言えなくなった。

*7-1:https://webronza.asahi.com/business/articles/2020061600003.html (論座 2020.6.16) PCR検査抑制論者たちの責任を問う、国民に我慢を強いた政府、専門家会議、医学会の役割と責任を検証する、木代泰之 経済・科学ジャーナリスト
 新型コロナの第1波は、東京都で依然くすぶっているものの、2~5月に比べれば全国的に落ち着きを見せている。こういう時期にこそ第1波における課題を検証し、第2波、第3波に備えるべきだと考えるが、「それは収束後でよい」というのが、安倍首相の見解である。そこで筆者なりに、第1波でもっとも問題となった「PCR検査抑制論」について、政府の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議、日本感染症学会、日本環境感染学会などの資料をもとに、検証してみたい。
●専門家会議は「すべての人にPCR検査はできない」
 PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)検査法とは、ウイルス遺伝子の特徴的な一部を切り取り、特殊な液体の中で増幅させる検査法である。2月24日の専門家会議の見解は「PCR検査は新型コロナウイルスを検出できる唯一の検査法であり、必要とされる場合には適切に実施する必要がある」とし、PCR検査実施の意義を強調している。ところが、それに続けて「感染症予防の観点からは、すべての人にPCR検査をすることはウイルス対策としては有効ではない。産官学で努力しているが、設備や人員の制約のため、すべての人にPCR検査をすることはできない。限られたPCR検査の資源を、重症化の恐れのある方に集中させる必要がある」と述べている。つまり、コロナ感染を検出するにはPCR検査しかないが、PCR検査の能力が足りないので、重症化しそうな人以外は検査するなとブレーキをかけている。厚労省は2月17日に、相談や受診の基準(目安)を「37.5度以上の発熱が4日以上続く」と公表しており、24日の専門家会議はその方針を裏打ちした。このPCR検査抑制論が噴き出してきた2月は、冒頭のグラフのように検査体制が機能しなかった時期に当たる。
●帰国者・接触者相談センターに電話しても相手にされず
 この頃、医療の現場では混乱が始まっていた。千葉県のある開業医はこう振り返る。「千葉で最初の感染者が出たのは1月31日。2月に入ると、コロナを心配する発熱患者が訪れ始めた。肺炎患者では喀痰検査、採血、画像診断などの結果を見て総合的に診断するが、コロナでは早期発見のためにPCR検査が必須。火事と同じで初期消火が一番大事なのです」。患者は窓口の帰国者・接触者相談センターに検査を依頼したが、症状が基準に達していないとして相手にしてもらえない。「そこで自分が直接電話したら、センターは『依頼が多すぎて対応できない』と断ってきた。第一線にいる医師として、なぜ診断=PCR検査ができないのか、憤慨にたえなかった」。一刻も早いPCR検査を望む患者や医師と、できるだけ検査をさせまいとする厚労省や専門家会議。そのギャップはあまりにも大きかった。
●2009年に掲げた「PCR検査体制の強化」は実現されず
 PCR検査の必要性は、2009年の新型インフルエンザ(パンデミック2009)の流行時から強く認識されていた。厚労省が翌10年にまとめた報告書は、PCR検査体制の強化、危機管理の専門体制強化などを反省点として挙げている。しかし、それは文章に書いただけであって、PCR検査体制の強化は10年後の今年に至っても実現していなかった。台湾や韓国との違いはそこにあった。
●「PCR検査は限界があり万能ではない」と抑制に動いた2つの学会
 今回の緊急事態に、医学会はどのように対応していたのだろうか。日本環境感染学会は2月13日、PCR検査に関する最初のコメントを出した。検査の対象者を「37.5度以上の発熱や呼吸器症状があり、湖北省への渡航歴がある人、その濃厚接触者など」に絞っており、その後の感染急拡大について、今から言えば「甘く見ていた」ことは否定できない。2月21日には、日本環境感染学会と日本感染症学会が連名で声明を出した。「ウイルス検出のための検査(PCR法)には限界があります」という見出しの下、「新型コロナはインフルエンザに比べてウイルスが1/100~1/1000と少なく、検査結果の判定を難しくしています。特に早い段階でのPCR検査は決して万能ではないことをご理解下さい」と述べている。つまりPCR検査法は、早期に検査しても精度の点で頼りにならないとして、はっきりPCR検査抑制論を打ち出している。
●更に「軽症例にはPCR検査を奨励しない」と踏み込む
 更に4月2日、両学会は連名で臨床対応についての声明を出した。「PCR検査の対象者は原則、入院治療の必要な肺炎患者でウイルス性肺炎を強く疑う症例とする。軽症例にはPCR検査を奨励しない」と述べ、一段とPCR検査の抑制に踏み込んだ。「患者が殺到して医療体制が混乱するのを防ぐ」というのが理由だが、この10年間、厚労省がPCR検査の体制整備を怠り、そのしわ寄せが国民に来ていることへの言及はない。感染症の2学会が患者の殺到を抑える方向で政府と足並みをそろえたことで、大学や医療機関の研究者は委縮し、一部の人を除いて異論を述べる勇気を失ってしまった。この両学会のトップ(理事長)は専門家会議のメンバーでもある。
●PCR検査が広く行えるよう政府に働きかけるのが学会の役目
 先の千葉県の開業医は、第一線の医療現場の声として、「両学会は、政府のやり方を補完するのではなく、早期段階でもPCR検査が広く行えるよう、政府に対して人員や物資の動員、体制整備、予算確保などに全力を尽くすよう強く求めるべきだった」と、疑問を投げかける。加藤厚労大臣は5月8日、「37.5度以上の発熱が4日以上」という相談・受診の基準について、「目安だったのに基準のように誤解されていた」と述べ、勝手に「誤解」した国民や保健所に責任があるとした。上記の基準は、検査を望む国民や医師に抑制の圧力をかけ、PCR検査体制の不備という厚労省の失態を隠すことに本当の狙いがあったのだろうと、今にして納得がいく。
●PCR検査が広く行えるよう政府に働きかけるのが学会の役目
 先の千葉県の開業医は、第一線の医療現場の声として、「両学会は、政府のやり方を補完するのではなく、早期段階でもPCR検査が広く行えるよう、政府に対して人員や物資の動員、体制整備、予算確保などに全力を尽くすよう強く求めるべきだった」と、疑問を投げかける。加藤厚労大臣は5月8日、「37.5度以上の発熱が4日以上」という相談・受診の基準について、「目安だったのに基準のように誤解されていた」と述べ、勝手に「誤解」した国民や保健所に責任があるとした。上記の基準は、検査を望む国民や医師に抑制の圧力をかけ、PCR検査体制の不備という厚労省の失態を隠すことに本当の狙いがあったのだろうと、今にして納得がいく。
●委員の発言記録がない専門家会議の議事録
 今、PCR検査は従来の保健所、地方衛生研究所、国立感染症研究所という行政ルートの他に、地元医師会や自治体が民間検査会社と組んで独自に検査体制を整えつつあり、ようやく改善の方向に向かっている。もっと早い段階でそう動くべきだった。政府の専門家会議については、委員発言の議事録がなかったことが最近明らかになった。内部でどんな議論があったのか、PCR検査抑制には誰がどんな意見を言ったのか、不透明なままだ。政府に助言する専門家会議の議事録は、後日、政府の対応を検証するための重要な資料である。議事録が政府や官僚に都合よく作文されないためにも、委員発言は正確に残しておかなくてはならない。

*7-2:https://www.jiji.com/jc/article?k=2020062700143&g=pol (時事 2020年6月27日) 専門家会議、唐突に幕 政権批判封じ?政府発表前倒し―新型コロナ
 新型コロナウイルス対策の方向性を主導してきた政府の専門家会議が突如、廃止されることとなった。政府が廃止を発表したのは、折しも会議メンバーが位置付けの見直しを主張して記者会見していたさなか。あっけない幕切れには、政権批判と受け取られかねないその提言を打ち消す思惑がにじむ。一連の経緯を検証した。
◇苦い経験
 「え?もう1回言って」。24日夕、東京都内で会見していた専門家会議の尾身茂副座長は、記者から西村康稔経済再生担当相が会議廃止を表明したことを問われ、戸惑いをあらわにした。専門家会議の見直し自体は、5月の緊急事態宣言解除前後から尾身氏らが政府に打診していたこと。この日の会見では、政府の政策決定と会議の関係を明確にする必要性を訴えていた。背景には「十分な説明ができない政府に代わって前面に出ざるを得なかった」(会議メンバー)ことによる苦い経験がある。会議は国内で流行が広がった2月、感染症専門家を中心に置かれ、「人と人の接触8割減」「新しい生活様式」などを次々と発表。政府は提言を「錦の御旗」とし、国民に大きな影響を及ぼす対策を実行に移した。その結果、専門家会議が政府のコロナ対応を決めているように映り、メンバーは批判の矢面にも立つことに。5月4日の安倍晋三首相の会見では、同席した尾身氏がPCR検査の少なさについて説明に追われた。会議の存在感が高まるにつれ、経済・社会の混乱を避けたい政府と事前に擦り合わせる機会が拡大。5月1日の提言では緊急事態宣言の長期化も念頭に「今後1年以上、何らかの持続的対策が必要」とした原案の文言が削られた。関係者は「会議の方向性をめぐりメンバー間でもぎくしゃくしていった」と明かす。
◇高まる相互不信
 揺れる専門家を政府は「どうしても見直すなら政府の外でやってもらう」(内閣官房幹部)と突き放していた。亀裂を表面化させない思惑が働いたことで最近になってから調整が進み、(1)会議の廃止(2)法的な位置付けを持つ新型コロナ対策分科会への衣替え(3)自治体代表らの参加―が固まった。当初は尾身氏らの提言を受け、25日に発表する段取りだった。それが覆ったのは24日の尾身氏らの会見直前。「きょう発表する」。西村再生相の一声で関係職員が準備に追われた。ある政府高官は西村氏の狙いを「専門家の会見で、政府が後手に回った印象を与える事態を回避しようとした」と断言する。専門家会議の脇田隆字座長や尾身氏には連絡を試みたが、急だったため電話はつながらないまま。「分科会とは一言も聞いてない」とこぼす専門家らに、内閣官房から24日夜、おわびのメールが送られた。後味の悪さが残る最後のボタンの掛け違い。会議メンバーの一人は「政治とはそういうもの。分科会で専門家が表に立つことはない」と静かに語った。

*7-3:https://www.bcnretail.com/news/detail/20191126_146567.html (BCNOR 2019/11/26) シャープ、業界唯一の「空気清浄機」付きエアコン 従来比99%ホコリ侵入抑制
 シャープは11月26日、業界で唯一、空気清浄機を搭載したプラズマクラスターエアコンの新シリーズ「Airest(エアレスト)」4機種を12月19日に発売すると発表した。「室内の空気清浄」と「本体内部の清潔性」を徹底的に追求し、空気清浄機の業界基準をクリア。従来比99%ホコリの侵入を抑制するなど、業界No.1の空気清浄力を持つ独特な今回の製品は、年末商戦の目玉になるかもしれない。Airestシリーズは、従来のエアコンの本体構造を抜本的に見直し、空気の吸い込み口全てを集じんフィルターで覆った新構造を採用。これにより、空気清浄機の業界基準をエアコンで唯一クリアした。税別の実勢価格は22万円前後からとしている。室内の空気だけでなく、集じんフィルターがカビ発生の原因となるホコリや菌を除去するので、本体内部を清潔に保つことができる。フィルターで除去できない、付着したにおいやカビ菌にも効果を発揮する「プラズマクラスターNEXT」も搭載し、最適な空気環境を実現する。掃除をする際は、引き出して手入れできる。吹き出し口には、シャープ独自の上下両開きロングパネルで気流を制御。大きなパネルで、風を感じにくい快適な気流を遠くまで届ける。暖房時はパネルを下から開き、風を抑え込んで足もとに暖かい風を送る。冷房時はパネルを上から開き、天井方向へ風を持ち上げて、風が直接体に当たらないように制御する。Smart Appliances&Solutions事業本部の中島光雄副本部長は、「『空気の浄化』がエアコンの基本機能として求められている。ただ、従来の構造では、空気清浄機を搭載するとそれが抵抗になり、風量が低下してしまう。しかし、新製品は当社の空気清浄機に搭載されている機構を採用したことで、フィルターを搭載しても風量を低下させないようにした。空気清浄機と呼ばれる唯一のエアコン」と紹介した。このほか、気象予報を活用したクラウドAIによる運転制御により、日中から睡眠時まで快適さを保つ機能などを搭載。気象予報で得られたデータを基に、花粉やPM2.5への対策として風量/センサーの感度を最適化する。また、COCORO AIRアプリと連携すれば、フィルターなど消耗品の状況や部屋の汚れ度合を確認することができる。

<電通への委託の意味は・・>
PS(2020年7月3日追加):新型コロナによる自粛で収入が減った中小企業に最大200万円支払う持続化給付金は、対象事業者が約200万もあるので、総額2兆円超の巨大事業だ。しかし、これは、経済波及効果のある前向きの投資ではなく、大損した人々にちょっと補填する程度の補助金で、そんなことをするよりも、ダイヤモンドプリンセス号への対応や検疫でしっかり防御し、技術力で検査数を増やして自粛に至らせなかった方が、よほど安上がりで今後の新製品開発に資したことは言うまでもない。
 そういう持続化給付金だが、*8-1のように、経産省は業務を(社)サービスデザイン推進協議会(以下“協議会”)という電通関連のトンネル会社を通じて丸ごと電通に委託した。その委託費は、協議会が経産省から769億円で受注し、97%にあたる749億円で電通に再委託し、電通は業務の大部分をその子会社5社に外注し、子会社のうち電通ライブはさらに協議会設立に関わったパソナやトランスコスモス等に外注した。つまり、協議会から再委託された費用749億円は、電通とその子会社及び協議会設立に協力した会社が入手したことになる。検査数を増やして陽性者だけ隔離すれば一斉自粛などする必要がなかった上、市役所や税務署を使うなど持続化給付金を支払う他の効率的な方法もあるのに、経産省は電通関係に749億円も支払ったわけだ。
 何故、こういう不合理な無駄遣いが起こるのかが最も重要で、それを解決しなければ国が破綻するまでこの無駄遣いは続くと思うが、経産省は多額の金を払って電通を味方につけておく必要があったようだ。その理由は、*8-2のように、新型コロナ騒動の間に原子力規制委員会が、2020年6月13日、日本原燃の使用済み核燃料再処理工場の事故対策が新規制基準に適合しているとする「審査書案」をひっそり了承し、本格稼働の前提となる新基準に事実上適合しているというお墨付きを与えたことだ。この間、メディアは電通の広告を通じた圧力が効いていたらしく、新型コロナに関する非科学的な報道を繰り返し、政治家の確定でもない買収疑惑に時間をさいたりしながら、原発には全く触れなかったが、このようなことは他にも多々あるのである。

   
 2020.4.15毎日新聞                        2020.6.4朝日新聞

(図の説明:1番左の図のように、日本は能力があったのにPCR検査を増やさず、左から2番目の図のように、感染者が増えて緊急事態宣言を出すことになった。そのため、営業自粛によって固定費を賄えない企業が続出し、企業が、右から2番目の図のような雇い止めや倒産に至るのを防ぐため、持続化給付金等が支払われることになった。しかし、コロナ関係支出は、1番右の図のように、第1次・第2次補正予算で総額約57.6兆円、持続化給付金だけで約4.3兆円にもなった)

*8-1:https://digital.asahi.com/articles/ASN6X5597N6XULFA008.html (朝日新聞 2020年6月29日) 問題だらけの持続化給付金 経産省と電通へ疑念止まらず
●経済インサイド
 新型コロナウイルスの問題で収入が減った中小企業などに最大200万円を払う持続化給付金。対象の事業者は約200万、予算総額は1次補正予算で2兆円超の巨大事業だ。新型コロナによるダメージが深刻になった3月末から、ばたばたと準備が進んだ。経済産業省は事業の手続き業務を民間に丸ごと委託することにした。事業者の公募を前に、経産省の担当者が複数回接触していたのが一般社団法人サービスデザイン推進協議会や電通の関係者だ。協議会は2016年に電通が中心となり立ち上げた。設立から経産省の事業を10件以上受注していた。経産省はコンサルティング会社「デロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー」などとも接触しており、協議会や電通側だけ優遇したものではないと説明する。だが、経産省の担当者が面会した回数や時間などを比較すると、協議会がデロイトなどより上回っていた。公募には協議会とデロイトが参加した。締め切り直前の4月13日、両者は企画提案書を経産省に提出。分量は合計400ページ近い。経産省はその翌日の午後2時に、協議会を落札予定者と決めた。持続化給付金をめぐる疑問が強まっている。経産省が事業を民間委託するやり方や、電通への再委託などについて多くの問題点が浮上した。経産省は改善するとアピールしているが、情報開示は不十分で、多くの疑問は解けないままだ。入札における評価指標でもある「等級」は、落札できなかったデロイトは最高の「A」、協議会は「C」。経産省中小企業庁の職員5人で提案内容を採点し、協議会を選んだという。外部の専門家らに意見は求めていなかった。
●電通のための「トンネル団体」?
 経産省は採点結果など、選んだ理由について詳しく説明していない。入札予定価格やデロイトの入札価格も非公表だ。経産省が選んだ協議会は、東京・築地のビルに拠をかまえる。この事務所の電話番号は非公開で、事務所の入り口にあったインターホンは取り外された。野党の国会議員らが訪れても職員らの応答はなかった。設立以来、法で義務づけられている「決算公告」もしていなかった。協議会は経産省から769億円で事業を受注した。委託費の97%分にあたる749億円で、業務の大半を電通に再委託した。電通は業務の大部分を子会社5社にそれぞれ外注。子会社の電通ライブはさらに業務を、大手人材サービス会社のパソナやITサービス大手トランスコスモスなどに外注していた。協議会設立に関わった企業だ。実態のない団体が利益を抜いて仕事を丸投げしたのではないか――。こんな疑問が広がった。国会では野党側が、協議会は電通が公的事業を担うための「トンネル団体」だと追及を続ける。経産省は民間委託にあたって、なぜこんなやり方をしたのか。電通に直接発注しなかった理由について経産省は「どのような態勢で事業を受託するかは事業者側の判断」との立場だ。その上で、梶山弘志経産相は会見などで、支給対象者に電通が給付していると勘違いされかねないこと、電通の経理上好ましくないことなどを挙げてきた。こうした説明は、野党側や識者から反論された。支給対象者への振り込み名義は電通ではなく、勘違いされる恐れは少ない。経理上好ましくないといっても、企業の会計処理上の問題であり、直接発注できない理由にはならないとの見方がある。電通側は直接受注しなかったことについて、6月8日の会見で「協議会が給付金事業の経験を持っていた」などと説明している。経産省や電通の説明は説得力に乏しい。協議会を挟むことで、電通が業務を担っていることや利益や経費の内訳を見えにくくする狙いがあったのではないか――。こんな疑念が生じている。野党側は経産省へのヒアリングを重ねた。協議会や電通の担当者を出席させることも求めたが、経産省は拒否した。
●電通はいくらもうかったのか
 大きな「なぞ」は、電通がいくらもうかっているのかだ。電通は749億円で協議会から再委託された業務を、子会社5社へ645億円で外注していた。電通本体の主な利益になるのが「一般管理費」だ。経産省の規定により、まず外注費645億円の10%の64・5億円が計上できる。そこに、電通本体が担う広報費や人件費計36億円の10%にあたる3・6億円も加算できる。合わせると約68億円に上る。ここから家賃や光熱費などの支出、消費税分などを引いて余ったお金が電通本体のもうけになる。広報など実際の業務でも、手数料などとして利益が出ている可能性がある。外注先の子会社5社の利益も考えられるため、電通グループ全体でいくらもうかるのか具体的な金額はわからない。電通の榑谷(くれたに)典洋・取締役副社長執行役員は6月8日の会見で、最終的な利益を見通すのは難しいとしながら、「我々が通常実施する業務と比較すると、低い営業利益になる。不当な利益を狙うのはルール上、不可能な構造だ」などと主張した。経産省が事業をきちんと把握できていないのではないかといった懸念もある。経産省と協議会が結んだ契約では、再委託先などを含む事業の実施体制を記した「履行体制図」を出すルールがある。実施体制が変わればすぐに届け出なければならない。契約当初の体制図には協議会を含め、経産省から見て3次下請け相当までの11事業者が記されている。実際にはコールセンター業務などで何段階にもわたって、委託・外注が重ねられていた。協議会は経産省に体制図の変更をすぐに届け出ないといけないのに、していなかった。5次下請けくらいまでの60以上の事業者を記した体制図が出されたのは、事業開始から1カ月半以上経った6月23日夜。関わる事業者はさらに増える可能性もあるという。契約では、個人情報や情報セキュリティーについて、委託・外注先を含めて責任者名や管理体制を届けることになっている。これも、きちんと行われていなかった。
●税金の無駄遣い、チェックできず
 経産省が事業の全体像を把握しておかないと、税金が無駄なく使われているのか、業務が適切に行われているのかチェックできない。給付が一部で遅れたが、多重下請け構造もあって経産省の監視は十分には機能せず、責任の所在もあいまいになっている。経産省は事業について「中間検査」をする方針だ。事業終了後には精算をして「無駄なお金が出ていれば返還要求をしていく」(梶山氏)という。だが、末端の下請け企業の業務内容まで見るのは難しい。支出した金額が、適正な水準なのかどうか判断するのも困難だ。全国の中小企業などにいち早く給付金を届けなければいけないこの事業。経産省には民間に頼らざるを得ない事情がある。経産省は地方に経済産業局があるものの、拠点数は比較的少ない。ハローワークがある厚生労働省や、税務署がある財務省など他の省庁に比べ、対応能力に余裕はない。民間への業務委託先として、経産省が頼りにしてきたのが電通だった。ある広告業界関係者は、電通の企画力の高さや仕事の速さは「図抜けている」とし、こう話す。「いざとなれば電通に頼めばいいという考えがあるのではないか」
●「前田ハウス」でパーティー
 民間委託そのものが悪いわけではない。ほかの省庁や自治体などでも取り入れられているし、行政の効率化につながるとの見方もある。委託する場合は公平に業者を選び、税金を適切に使って、国民から理解されることが大前提だ。ところが、今回の事業では、国民が疑問を持つようなことが次々に発覚している。事業の責任者である前田泰宏・中小企業庁長官が、2017年に米国でのイベントを視察した際に、会場近くに借りたアパートを「前田ハウス」と称して連日パーティーを開いた。そこには、電通出身で、当時は協議会理事だった平川健司氏も同席していた。前田長官は国会で平川氏との関係を聞かれ、このパーティーとは別に2回ぐらい食事をしたことがあることも明らかにしている。野党側は経産省と電通の「蜜月ぶり」を示すものだと追及している。持続化給付金とは別の経済対策「家賃支援給付金」をめぐっては、電通の圧力問題が波紋を広げる。電通の管理職で持続化給付金の事業を担当していた社員が、イベント会社テー・オー・ダブリュー(TOW)の社員に、ライバルの広告大手博報堂に協力しないよう発言していた。持続化給付金で電通から仕事を請け負うTOWの社員は、発言をまとめ下請け企業の担当者に対話アプリで送っていた。「事業に協力をした場合、給付金、補助金のノウハウ流出ととらえ、言葉を選ばないと出禁レベルの対応をする」「すいませんが、強制的にお願いしたい次第です」などの内容だ。家賃支援事業の公募には博報堂も参加したが、経産省が選んだのはリクルート。博報堂は落選した。
    ◇
情報をお寄せください。eメールアドレスt-rodo@asahi.com

*8-2:https://www.tokyo-np.co.jp/article/16839 (東京新聞 2020年5月13日) 青森・六ケ所村 核燃再処理 新基準「適合」 規制委了承 稼働は見通せず
 原子力規制委員会は十三日の定例会合で、日本原燃の使用済み核燃料再処理工場(青森県六ケ所村)の事故対策が新規制基準に適合しているとする「審査書案」を了承した。本格稼働の前提となる新基準に事実上適合した。今後、一般からの意見公募や経済産業相への意見照会などを経て、正式適合となる。再処理工場では、原発の使用済み燃料から、再利用できるプルトニウムやウランを取り出す。燃料を繰り返し使う国の「核燃料サイクル政策」の中核施設とされ、適合は稼働に向けた一歩となる。ただ、適合後も設備の工事計画の審査が続くため、稼働時期は見通せない。核兵器に転用可能なプルトニウムの大量保有は国際社会から懸念を招きかねず、工場が完成しても、どれほど稼働できるかは不透明だ。原燃は二〇一四年一月に審査を申請した。耐震設計の目安となる揺れ(基準地震動)を最大加速度七〇〇ガルと想定。海抜五十五メートルにあり、津波の影響は受けないとした。再処理の工程で発生する溶液や廃液が蒸発し、放射性物質が拡散する事故などに備え、冷却設備や電源を強化したとしている。十三日の会合では、規制委事務局の担当者が審査内容を説明し、五人の委員がそれぞれ重大事故対策などについて問いただした。最後に更田豊志(ふけたとよし)委員長が「審査結果に異存はないと考えてよいか」と問い掛け、委員から異論は出なかった。
◆「核燃サイクル」必要性に疑問
 建設費は当初計画の四倍の約三兆円、完成延期は二十四回、着工して二十七年でも未完成-。原発の使用済み核燃料の再処理工場(青森県六ケ所村)。民間企業ならば断念していたはずの施設が、稼働の条件である原子力規制委員会の審査を事実上通過した。繰り返し核燃料を再利用できるかのように宣伝してきた「核燃料サイクル」という夢のような政策を実現する要の施設は、稼働の必要性に大いに疑問がある。東京電力福島第一原発事故後、五十四基稼働していた原発は廃炉が相次ぎ、規制委の審査で再稼働したのは九基。今後再稼働する原発が増えたとしても、再処理で取り出したプルトニウムとウランを混ぜて作るMOX燃料を使える原発は限られ、消費量が少ない。また、MOX燃料のみを使うはずだった高速増殖原型炉もんじゅ(福井県)は廃炉。再生可能エネルギーが台頭する中、政府は原発の新増設を打ち出しておらず、高コストのMOX燃料を使う経済性に欠ける。消費者が支払う電気代が元となった約十四兆円という巨費が投じられてきた核燃料サイクルは、実現困難で破綻が明らかだ。ただ、再処理撤退も簡単ではない。最大の壁は、六ケ所村内に貯蔵されている大量の使用済み核燃料が「核のごみ」になること。青森県との取り決めで県外に運ぶ必要があるものの、各原発に置き場がなく、最終処分場は確保の見通しすらない。夢に固執したツケが重くのしかかる。
<核燃料サイクル政策> 原発の使用済み核燃料からプルトニウムやウランを化学処理(再処理)で抽出し、混合酸化物(MOX)燃料として再利用する政策。燃料の有効利用が目的で高レベル放射性廃棄物の量も少なくなるとされるが、中核となる再処理工場の完成が遅れ、各地の原発で使用済み燃料がたまり続けている。政府、電力業界は普通の原発でMOX燃料を使うプルサーマル発電を進めるが、東日本大震災以降、実施したのは4基にとどまる。

<ふるさと納税訴訟の最高裁判決は当然だった>
PS(2020年7月4日追加):*9-1のように、(私が提案してできた)ふるさと納税制度から除外した総務省の決定は違法として、泉佐野市が決定取り消しを求めていた訴訟の上告審判決で、最高裁第3小法廷(宮崎裕子裁判長)が、6月30日、国側勝訴とした大阪高裁判決を破棄して総務省の決定を取り消すよう命じた。宮崎裕子裁判長の判決は法治国家なら当然のことであり、これまで国側勝訴としていた大阪高裁の男性裁判長は法律に遡及効がないことを知らなかったのかといぶかしく思い、いくつもの行政訴訟でまともな判決を出された宮崎裕子裁判長には敬意を表する。この訴訟の内容は、*9-2のように、「①総務省が『寄付額の30%以下の地場産品』」を返礼品の基準とする地方税法を2019年6月から開始し」「②法施行前に遡って、基準外の返礼品で寄付を集めていた泉佐野市などをふるさと納税制度から締めだした」ことが妥当か否かであり、法律に遡及効はないため、宮崎裕子裁判長が「総務省の決定を違法として取り消す」としたのは筋の通った、しかし勇気のいる判決なのだ。
 泉佐野市は、*9-3にも書かれているように、i)地元関西空港に拠点を置く格安航空会社(LCC)の航空券購入に使えるポイント ii)アマゾンのギフト券 などを返礼品とすることによって寄付額を伸ばし、2017年度から2年連続で全国一の寄付を集めたことが問題視されたが、私は、i)については地場産品と見做してよいと考える。
 それよりも、工夫して寄付金を集めると「③返礼品競争の過熱がいけない」「④高所得者ほど得をする仕組みがいけない」「⑤ランキング形式で返礼品を紹介する仲介サイトの存在がいけない」「⑥制度を廃止せよ」など、無駄遣いが多くて工夫のない都市部から苦情が起こり、そちらが優先されたことの方がよほど大きな問題だ。何故なら、③の返礼品については、それぞれの自治体が自慢できるものを出して地場産を磨いた方が国全体のGDPが上がる上、その中には、農水産物だけでなく、LCC航空券や音楽会への入場券等があっても不思議ではないからだ。また、④の高所得者ほど得をするというのも変で、高所得者を大人になってから受け入れた自治体の方がずっと得しており、高所得者になるまで育てたふるさとが、個人住民税所得割額の約20%(https://furusatoplus.com/info/003/ 参照)を上限としてふるさと納税を受けても全くおかしくなく、その高所得者の老親もふるさとでケアされているのに、何と利己主義なことを言っているのか。さらに、⑤の競争がいけないというのは共産主義経済が破綻した理由そのものであり、⑥の制度廃止を唱える人やメディアがあるのは、逆切れとしか言いようがない。なお、「返礼品を廃止せよ」という声もあったが、そう言った本人は九州豪雨などに返礼品なしでいくら寄付するのか、また全体でいくら寄付が集まるのか見ものだ。

*9-1:https://www.sankeibiz.jp/workstyle/news/200630/cpd2006301615002-n1.htm (産経BZ 2020.6.30) 泉佐野市の除外決定を取り消し ふるさと納税訴訟の最高裁判決
ふるさと納税制度から除外した総務省の決定は違法だとして、大阪府泉佐野市が決定取り消しを求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第3小法廷(宮崎裕子裁判長)は30日、除外に違法性はないとして国側勝訴とした大阪高裁判決を破棄し、総務省の決定を取り消すよう命じた。泉佐野市の逆転勝訴が確定した。高裁判決などによると、泉佐野市は地場産品以外の返礼品に加えアマゾンのギフト券を贈る手法で寄付を募り、平成30年度に全国の寄付総額の約1割にあたる約497億円を集めた。総務省は昨年6月の改正地方税法施行に伴い「返礼品は寄付額の3割以下」などの基準を設定した新制度をスタート。法改正前に高額な返礼品で多額の寄付を集めた泉佐野市など4市町の参加を認めなかった。

*9-2:https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-1148085.html (琉球新報社説 2020年7月2日) ふるさと納税国敗訴 後出しルール許されない
 ふるさと納税の新制度から大阪府泉佐野市を除外した総務省の決定を巡る裁判で、最高裁は6月30日、国勝訴とした大阪高裁判決を破棄し、総務省の決定を違法として取り消した。泉佐野市の逆転勝訴が確定した。特定の地方自治体を排除しようとした国の強権的な手法を厳しく批判した内容であり、妥当な判決だ。法廷闘争の原因は、ふるさと納税を巡る自治体間の寄付獲得競争の過熱だ。豪華な返礼品を呼び水に寄付を集める自治体が相次ぎ、制度の本来の趣旨とは違う運用のゆがみが目立っていた。こうした過度な競争を防ぐ目的で、国は2019年3月に地方税法を改正する。総務省は「寄付額の30%以下の地場産品」を返礼品の基準とする新制度を同年6月から開始し、それまでに基準外の返礼品で寄付を集めていた泉佐野市などをふるさと納税の制度から締めだした。国の方針に従わなかった自治体に対し、新たな法制度を作り、施行前にさかのぼって責を負わせることが許されるのかが裁判の焦点になった。最高裁の示した判決は明確だ。「新制度移行前の募集実態を参加可否の判断材料にするといった趣旨はない」と改正地方税法の解釈を示し、過去の多額な寄付金集めを理由とした総務省の除外決定は違法と結論付けた。新しく作ったルールを過去にさかのぼって適用することを認めてしまえば、国の意に沿わない自治体を「後出しじゃんけん」でいくらでも狙い撃ちできることになる。2000年施行の地方分権一括法で、国と地方の関係は「上下・主従」から「対等・協力」へと改められている。国の技術的助言に従わないからといって、地方自治体に不利益な取り扱いをすることは許されない。寄付集めをエスカレートさせた泉佐野市に眉をひそめる部分があるとはいえ、自治体に対する国の関与は法的な根拠が厳格でなければならない。今回の判決は、地方自治や分権改革の成果を保持したという観点で評価できる。ふるさと納税制度も本来は、東京一極集中の税収格差を是正する地方自治の仕組みとして導入された。だが、自治体同士で税を奪い合い、地方間で新たな格差や分断を生むという矛盾を来している。泉佐野市はインターネット通販大手アマゾンのギフト券などを贈り、18年度に全国一の498億円の寄付を集めている。地域外の特産品や高額な返礼品でなりふり構わず寄付を集める手法に、最高裁も「社会通念上、節度を欠いていたと評価されてもやむを得ない」と苦言を呈している。制度導入時から想定されていた弊害を放置し、制度を進めてきた国の責任は大きい。ふるさと納税制度の見直しとともに、地方自治を保障する税制の在り方について本質的な議論を進めたい。

*9-3:https://kumanichi.com/column/syasetsu/1510003/ (熊本日日新聞 2020年7月2日) ふるさと納税判決 国と地方の関係再確認を
 ふるさと納税の新制度から除外された大阪府泉佐野市が起こした訴訟の上告審判決で、最高裁は請求を棄却した大阪高裁判決を破棄し、国の除外決定を取り消した。返礼品を巡る法規制が始まる昨年6月より前に、市が国の基準に従わず多額の寄付を集めてきた点を国が除外の理由としたことが争点となった。国側は過去の実績を判断材料とすることには合理性があると主張したが、最高裁は新制度が始まる以前の寄付金の集め方を問題にしたのは違法とし、除外決定は無効と判断した。確かに、寄付を“荒稼ぎ”する市の手法は、生まれ故郷などを応援するというふるさと納税制度の趣旨から外れている。とはいえ、意に沿わない自治体を狙い撃ちするかのように排除した国の姿勢は、地方分権の方向性を自ら打ち消すようなもので、あまりに強権的だった。国と地方は「対等・協力」の関係である。最高裁の判断を、そのことを再確認する機会としたい。ただ、市の寄付集めを巡っては、国が懲罰的に実施した特別交付税減額の取り消しを求める訴訟もあり、対立はなおも続く。制裁と反発を繰り返す実りなき対立は速やかに終わらせ、制度の立て直しを図るべきだ。2008年創設のふるさと納税制度で、泉佐野市は地元の関西空港に拠点を置く格安航空会社(LCC)の航空券購入に使えるポイントや、ネット通販大手のギフト券を返礼品とすることで寄付額を伸ばし、17年度から2年連続で全国一となった。こうした動きを問題視した総務省は返礼品の規制を本格化。17年4月には「調達費は寄付額の3割以下」、18年4月には「地場産品に限る」とする基準を設け、自治体に通知した。市は「一方的な押し付け」と反発。地場産品に限定すると自治体間に格差が生じるとして「自治体や有識者らを交えて議論すべきだ」と訴えた。だが総務省は耳を貸さず市への交付税を減額。基準に従う自治体だけを参加させる新制度から市を除外した。市も返礼品にギフト券を上乗せし、駆け込みで多額の寄付を集めて対抗した。その後、国地方係争処理委員会が除外決定の再検討を勧告したが、総務省は応じなかった。税収の奪い合いをここまで過熱させた責任の一端は国にもある。15年に減税対象となる寄付の上限を2倍にしたが、返礼品競争への対応では後手に回った。制度設計が甘かったと言わざるを得まい。税収の東京一極集中を是正し、高齢化や財政難にあえぐ地方の自治体を支援するという制度の趣旨に異論はない。ただ、返礼品に限らず、高所得者ほど得をする仕組みや、ランキング形式で返礼品を紹介する仲介サイトの存在など、現行の制度が多くの課題を抱えていることも事実だ。国は一方的に地方を従わせるのではなく、独自性を尊重し、不満の声にも耳を傾けながら最良の道を探るやり方で制度を立て直してもらいたい。

<人口分散と高速鉄道の必要性>
PS(2020年7月5日追加):関東はじめ都市に人口が集中し、混雑・地価の高騰・水不足・保育所不足などの問題が起こっている理由は、日本政府が多額の資本を投下してこれらの地域を整備し、工場や企業がこの地域に立地して雇用吸収力が高くなったため、生産年齢人口がここに流入したからである。一方、地方は育てた子どもを都市に送り出し、生産年齢人口が減少して平均年齢が上がったのであるため、地方で税収が伸びない理由は、その地方の努力不足というより政府の資本投下の結果なのだ。そのため、私は、既に人口が集中して混雑し、地価高騰・水不足等が起こっている地域に追加投資するよりは、ゆとりのある地方に資本投下した方が、日本全体としては資本効率がよいと考える。
 そのような中、*10-1のように、新型コロナ禍を契機に、中国山地への移住者を増やして都市への一極集中を是正しようというウェブ会議がインターネット上で開かれ、「①小規模分散型の社会を中国山地から構想する」「②住民の繋がりが強いのが地域の魅力」「③里山の恵みや自然に囲まれて子育てできることも魅力」とアピールしているのは面白い。
 地方の産業には、農業・漁業のほか、最近は森林管理や林業も加わっているが、それに加えて、*10-2の北フランスのように、日本企業や海外企業の進出を促すのもよいと思う。北フランス地方は、地理的優位性・豊かな生活・「TGV」を使ったアクセス・(フランスで最上級の病院を含む)あらゆるインフラの整備・コストの安さが強みだそうだ。日本の地方にも、これに似た地域は多く、バイオ・健康産業・栄養関連・デジタル産業や最先端の研究施設も、豊かで雑音が少なく環境の美しい田舎にあった方が働きやすそうだ。
 また、いつもウェブ会議やリモートワークばかりでは足りないものがあるため、高速鉄道によるアクセスの良さも重要だ。しかし、*10-3のリニア中央新幹線は、工事に伴う大井川の流量減少のみならず、陸上を走るのに地下ばかりで魅力に乏しい上、地震や噴火の際に危険だ。なお、リニアは地下しか走れない乗り物ではないため、「富士山を見つつ」「大井川を渡りつつ」など、高架を走って東海道の美しい景色を見せた方が、大井川の流量減少も起こらず、楽しみながら移動できると思われる。

  
     リニア中央新幹線(予定)     ゆりかもめ   上海のリニアモーターカー

(図の説明:1番左の図のように、リニア中央新幹線は東海道新幹線に似たルートの地下を走る予定なので、大井川の流量減少問題が出た上、左から2番目の図のように、窓が少なくて速いだけの乗り物となっており、地下を走ることによる危険性もある。しかし、リニアは、右から2番目の図の「ゆりかもめ」のように高架を走ることもでき、1番右の図のドイツの技術を採用した上海のリニアモーターカーは、「浦東国際空港⇔上海の地下鉄2号線『龍陽路駅』」間の陸上30kmを約8分で結んでおり、私も乗ったことがあるが快適だった)

*10-1:https://www.agrinews.co.jp/p51262.html (日本農業新聞 2020年7月5日) 中国山地移住者増へ 「魅力発信」ネットで議論
 新型コロナウイルス禍を契機に、都市への一極集中を是正し、中国山地への移住者を増やしていこうというシンポジウムが4日、インターネット上で開かれた。中国地方各地で活動するパネリストが、地域の魅力をどう発信するかなどについて議論した。中国山地に関する雑誌を製作する中国山地編集舎が主催した。ビデオ会議アプリを使い、約200人が参加した。持続可能な地域社会総合研究所の藤山浩所長は基調報告で、コロナ禍で都市に一極集中した大規模経済のもろさが露呈したと指摘。地域の魅力である「地元の力」を見直し、「小規模分散型の持続可能な社会を中国山地から構想していこう」と呼び掛けた。「地元から暮らしと世界をつなぎ直す」をテーマにした座談会では、鳥取県智頭町で森の中で園児を育てる幼稚園職員や山口市で小さな拠点づくりに取り組むNPOの事務局長ら7人が議論。都市住民がコロナの影響が少ない地方への移住に関心を寄せているとして、住民のつながりが強い地域の魅力をどんどん発信すべきだといった声が出た。アピールする中国山地の魅力として、里山の恵みや自然に囲まれながら子育てできることなどの意見が挙がった。

*10-2:https://toyokeizai.net/articles/-/9341 (東洋経済 2012/6/8) 年間3000人の雇用創出目指し海外企業誘致に傾注、北フランス地方投資促進開発局CEOに聞く
 北フランス(ノール・パ・ドゥ・カレ)地方には多くの海外企業が進出。トヨタ自動車がヴァランシエンヌに工場を構えるなど、日系企業の拠点立ち上げも目立つ。来日した北フランス地方投資促進開発局のヤン・ピトレ最高経営責任者(CEO)に直接投資誘致の現状などを聞いた。
●北フランス地方の最大の強みはなんですか。
 地理的な優位性でしょう。欧州でも非常に生活が豊かであり、経済発展を遂げた地域の中心に位置しています。アクセスの面でも恵まれており、仏の新幹線「TGV」を使えば、中心都市のリールからロンドンまで80分。ベルギーのブリュッセルまで35分。ドイツのケルンまでは2時間35分で行くことができます。リール~シャルル・ド・ゴール空港間は50分。「成田エクスプレス」に乗車すると、JR東京駅から成田空港までの所要時間は59分でしょう。それよりも短い。とても便利ですよ。日系企業が北フランスへ進出を考えているのであれば、パリ、ロンドン、ドイツのフランクフルトなどの代替地としても最適です。生活の質は高く、しかも、あらゆるインフラが整備されている。フランスで最上級の病院もあります。にもかかわらず、コストは欧州の他の主要都市に比べて低い。北フランスが「欧州の玄関口」と称されるゆえんです。
●北フランス地方の従業員の給与水準や賃料はパリよりも低いようですが、フランス国立統計経済研究所(INSEE)のデータによると、北フランス(ノール・パ・ドゥ・カレ)の失業率は10%を超えています。2011年10~12月期は12.7%に達し、フランス全国の平均や(パリのある)イル・ド・フランス地方、(フランス第2の都市リヨンがある)ローヌ・アルプ地方の水準を上回っています。これらの地域に比べて給料が安いのは、失業率が高いからではないですか。
 北フランス地方の失業率が高いのは若い人たちが多く住んでいるためです。人口の34%が25歳以下。仏国内では1位です。全国平均だと、25歳以下の人たちは31%にとどまっています。フランスでは若者の職探しが難しくなっています。だから、どうしても北フランスの失業率は高くなる。フランスでも南の地域へ行けば、退職者が多く暮らしているでしょう。失業者は少ないから問題ない。数字はそうした状況を反映しているにすぎません。パリで暮らせば賃料はリールの2倍。オフィスを借りると4倍です。生活費などが高い分、雇っている人には余計に給料を払わなければならない。イル・ド・フランス地方にはさまざまな企業が本社を構えている。リールもそう。でも、パリに比べて従業員の質が劣っているわけではありません。それなのに、給与水準は低い。失業率と給与水準はパラレルな関係ではないと思います。マクロ経済の観点からすれば、失業率が高ければ給料は下がるかもしれません。しかし、現実は違う。ベルギー南部の(フランス語圏の)ワロニー地域の給料は北フランスよりも20%程度高い。でも、失業率もそんなには低くないのです。雇用環境の厳しさは北フランスよりもはるかに深刻。失業率と給与水準に相関関係はないと見ています。
●北フランス地方への直接投資の現状は。
 海外からの投資誘致ではずっと追い風が吹いています。直接投資の受け入れではフランスで(イル・ド・フランス、ローヌアルプに次ぐ)第3の地域。北フランスは欧州随一の購買力を備えています。テクノロジーの面でも大きな可能性があります。研究開発には積極的です。今日では直接投資の中身も徐々に多様化が進んできました。この地域は伝統的に多くの産業の投資を受け入れてきました。自動車、鉄道などの分野です。そうした領域の投資は今も続いています。一方、最近は第3次産業、特にサービスセクターの投資も増えてきました。最先端のセクターでの投資もあります。(製薬会社の)英国グラクソ・スミスクラインの研究施設もつい最近、オープンしました。
●北フランスの産業には栄枯盛衰があったと聞きました。
 歴史を話そうとしたら1日経ってしまうかもしれません(笑)。19世紀には炭鉱がありました。製鉄や繊維産業の中心としても栄えていました。「繊維」といっても、生地製造というクラシックな分野です。今日では忘れられてしまいましたが、実はフランスで最初に航空機製造を手掛けたのもこの地域なのです。だが、1914年から4年にわたって続いた第1次世界大戦では戦場と化してしまいました。ベルギーとの国境に位置し、侵略を受けた地域でした。これを受けてフランス政府は第1次大戦後、軍需、航空機、機械など戦略的産業を南へ移転させました。トゥールーズが航空機産業の中心都市になったのもそのときからです。第2次大戦後は旧ソビエト連邦の脅威にさらされました。1970年代に入ると、大きな経済構造の変化に直面しました。炭鉱の閉山や繊維産業の移転。そして、鉄鋼業の斜陽化に伴う大規模なリストラの実施。このため、別の成長のタネを探し出さなければならなかったのです。目を向けたのは新しい産業。ただ、伝統的な領域でも大きな雇用吸収力を有する産業が残っています。鉄道がその一つ。自動車産業も工場の進出が加速するなど賑わいをみせています。鉄道産業では現在、フランス第1の地域。自動車では2番目の地域です。ロジスティクスやバイオテクノロジーでは3番目。農産物加工品では第4の地域です。一方で、新興型の産業も台頭しました。バイオテクノロジー、健康産業、栄養関連…。ただ、その歴史は古く、19世紀末にはパスツール研究所が設立されました。フランスの偉大な研究者パスツールの研究所です。今は健康関連のクラスターや大規模な大学病院のコンプレックスが存在しています。リールには「ユーロ・リール」と呼ばれるオフィス街もあります。パリの「デファンス」に次いで開発が行われた2番目のオフィス街です。フランスの第3次産業にとっては極めて重要な場所です。さまざまな企業の地方統括機能が集中しているうえ、保険会社や銀行もあります。繊維産業は進化し、先端製品を製造する会社が増えています。ただ、伝統的なテクノロジーに依存した会社が消えてしまったわけではありません。英国のウィリアム王子と結婚したキャサリン妃のウェディングドレスを作った「ダンテル・ドゥ・カレー」の生産拠点もありますよ。彼女は英国ではなく、北フランスで注文を出したんですよ(笑)。
●テレビゲームや3D技術などデジタル関連の企業も多いですね。
 トヨタの工場があるヴァランシエンヌには、「スプインフォコム」というデジタル産業で世界中に名の知られた学校があります。ヴァランシエンヌの商工会議所は「デジタル作品やビデオゲームの領域で世界ナンバーワンの学校を作った」と言っています。「スプインフォゲーム」という名の学校もあります。ピクサー、ドリームワークス、ソニー、イルミネーション・スタジオなど米国を代表するスタジオが学校の卒業生を採用しています。オンラインゲームの運営などを手掛ける「アンカマ」は4人の社員で立ち上げましたが、今では500人規模の会社に成長しました。リールに程近いところに「プレーヌ・イマージュ」というデジタル産業の集積するクラスターがあります。赤レンガ造りの建物で、「アンカマ」の本社もそこにあります。かつて工場があった場所で、敷地は2万5000平方メートル。リール市が誘致を決めました。「レイルニウム」という鉄道インフラを研究するための機関もあります。これも行政がイニシアチブを発揮。未来の鉄道インフラ作りを考えようという野心的なプロジェクトで、2017年の利用開始を目指しています。予算は5億ユーロ超。政府や地方自治体が資金を拠出。仏アルストム、カナダのボンバルディエ、独シーメンスなど鉄道関連の企業がこのプロジェクトに着目、拠点を設けています。
●海外企業の誘致で数値目標はありますか。
 日系企業は現在、49社が進出しています。これを何社にするといった目標を掲げるのは難しい。海外企業誘致の面でフランス第3の地域の座を維持するのが目標です。雇用面では日系を含めた海外企業を迎え入れることで、年間3000人に新たな職場を提供したいと考えています。
●オランド氏が大統領に就任しましたが、海外企業の誘致政策になんらかの変化は。
 それを語るのは早過ぎます。就任してからまだ、数週間です。選挙戦でも直接投資の受け入れ方針をめぐって何らかの発言があったとは聞いて言いません。

*10-3:https://www.at-s.com/news/article/topics/shizuoka/781771.html (静岡孫文 2020/7/2) トップ会談後ネットに相次ぐ静岡県批判 「駅ないからごねてる」、リニア不要論も 大井川水問題
 リニア中央新幹線工事に伴う大井川の流量減少問題を巡って26日に行われた川勝平太静岡県知事とJR東海の金子慎社長による初のトップ会談の後、インターネット上で「静岡県がごねている」と批判するコメントの書き込みが相次いでいる。県や流域市町はJRの対応が着工を遅らせているとの立場だが、ネット上では県側が着工を妨げているとの論調が目立ち、水問題を巡る地元の認識との隔たりが浮き彫りになっている。「ごねている」と書き込んだ人の多くが「静岡県にはリニアの駅がない」ことを理由に挙げる。中には県内に駅が造られないため、JRへの報復で水問題を使っているという趣旨の書き込みも。全国の注目を集めたトップ会談で、2027年のリニア開業延期が不可避となったため「静岡県のせいでリニア開業が遅れた」との主張も多数あった。一方「JR自身が着工を遅らせているように見える」などJRへの批判も以前より目立つ。新型コロナウイルスの影響でテレワークやテレビ会議が普及する中、「リニア自体が不要」の声も少なくない。「自然破壊するリニアは今や時代遅れ。リモートはリニアより速い」とのコメントは多くの支持を集めた。トップ会談でも川勝知事が「静岡県が27年開業の足を引っ張っているかのごとき発言を繰り返されている」と金子社長を非難する場面があった。金子社長は「静岡県のせいと言っているのではない」としながらも「最初に(静岡工区の工事の)締め切りが来てしまう」と静岡工区の着工遅れが開業遅れに直結する点を指摘した。

| 男女平等::2019.3~ | 10:28 PM | comments (x) | trackback (x) |
2020.1.15~16 女性リーダーと社会の受入体制 (2020年1月17、18、20、21日追加)
  
2020年1月11日の総統選で勝利した蔡英文氏    日本のジェンダー・ギャップ指数 

(図の説明:中国と向き合うにはかなりの覚悟が必要だが、左の2つの図のように、2020年1月11日の総統選では、中国と向き合う台湾の女性総統である蔡英文氏が圧勝した。日本は、右の2つの図のように、世界経済フォーラムの2019年ジェンダー・ギャップ指数で、総合121位《中国、韓国、インド以下》となり、特に政治分野における順位が144位と低い)

(1)台湾の民意と関係諸外国の対応
1)台湾総統選での蔡英文氏の圧勝を祝福する
 台湾の総統選(2020年1月11日投開票)で、*1-1のように、蔡英文候補が圧勝されたことを心から祝福する。高い投票率と蔡氏の過去最多得票により、台湾の民意は「中国との距離を保って自由で民主的な社会であり続けることだ」と明確に示された。

 これには、香港の状況を目の当たりにした台湾の有権者の切実な危機感と昨年1月の習近平中国国家主席の「一国二制度」による統一を迫る演説が影響し、総統選前に中国が台湾海峡を航行させた国産空母も台湾住民の反発を招いたそうだ。その理由は、自由や人権の有り難みを知っている人は、それが踏みにじられようとすれば必死でそれを護ろうとする上、台湾の人口構成は中国系ばかりではないからだろう。

2)米国の対応
 このような中、*1-2のように、トランプ米政権は、軍事・経済の両面で台湾を支援しており、今後は米国が世界における自国の「抑止力の源泉」と位置づける軍事と経済の両分野で中国の覇権的な攻勢の最前線に立つ台湾を積極支援していく考えだそうで、これには私も賛成だ。

 米国は、2018年に米高官の台湾訪問や定期的な武器売却を求める「アジア再保証イニシアチブ法」をトランプ大統領の署名で成立させ、「自由で開かれたインド太平洋地域」の推進に向けた台湾支援を着実に進めてきた。トランプ政権は、台湾経済が中国への依存度を急速に強めていることにも危機感を募らせ、現在、議会や政府内部で米国と台湾との経済関係の緊密化に向けた自由貿易協定(FTA)の締結を提唱する声が広がりつつあるそうだ。

 ここが、*1-1に書かれている「①台湾独立志向の蔡政権に対して中国は牽制を強め、台湾と国交を持つ国は中国の圧力で15ヶ国まで減った」「②蔡氏は中国が主張する『一つの中国』を受け入れないが、民進党が綱領で定める『独立』も封印してきており、そのバランス感覚を持ち続けてほしい」などと言うような強い側について、前例どおりに、いつまでも現状維持すればよいとする日本人の態度とは異なる。私自身は、台湾(中華民国)が中国から独立したままでいてよいと考える。

3)中国の対応
 2016年、トランプ米次期大統領が1979年以来の前例を破って正式な外交関係のない台湾の蔡英文総統と電話会談した時には、*1-3のように、中国は米政府に「米中関係の大局が不要な妨害を受けることがないよう、『1つの中国』政策を守って台湾問題を扱うよう促した」とのことである。

 また、2020年の台湾総統選における蔡総統の再選について、日米英の高官らが歓迎の談話を出したことについて、*1-4のように、中国外務省報道局長は「一つの中国の原則に反するやり方で、強烈な不満と断固とした反対を表明する」とのコメントを発表して各国に抗議した。

4)日本の対応
 日本は、*1-5のように、日経新聞も「台湾の中国離れ加速が米中対立の火種になる」などと記載しているが、台湾は親日的な国であり、火種になっても弱者を犠牲にすればよいのではなく、やらなければならないことはある。
 
 さらに、「台湾(中華民国)が独立したままでは、中国とよい経済関係を持てない」ということはあってはならない筈で、日本はじめ他の独立国は中国と経済関係を持ち貿易をしている。そのため、台湾は中華民国として国連に加入し、台湾の「経済的利益」をWTOを通して、または米国・ヨーロッパなどとのFTAで保ちながら、「国家の安全」と「経済的利益」を両立させればよいと考える。その方が、近くの日本も安心して付き合いやすい。

(2)女性に「控えめであること」を要求する日本文化
 台湾総統選では、台湾人の人権や一国二制度への賛否が重要なテーマになったため、今回は蔡英文氏への女性差別どころではなかったと思うが、*2-1のように、男女は発信についても機会均等ではない。

 私自身は、ディスカッション時には積極的に挙手して堂々と発言する方だが、そうすると、女性の場合は「声が大きい」「でしゃばり」「人の意見を聞かない」「独善的」等々の男性ならありえない批判に晒されることが多い。しかし、発言も発信もしなければ認められないため、女性の場合は矛盾した要求の下に置かれるわけだ。

 また、黙っていても周りが実績を理解し評価して昇進させてくれるほど世の中は甘くないため、上を目指せば自分の経歴や実績をアピールせざるを得ないが、女性がそれを行うと「謙虚でない」「目立ちたがり」「性格が悪い」等々のマイナス評価もついてくる。つまり、女性が発言や発信に控えめになるのは、生まれつきの「男女の違い」や「女性の不得意部分」などではなく、女性に「控えめであること」を要求する文化によるものであり、女性への矛盾した要求が女性の活躍を妨害しているわけである。

 そのため、*2-3のように、女性リーダーの育成において、まるで女性に覚悟が足りないかのように女性に覚悟の大切さを学ばせるというのは、本当の理由を理解しておらず、女性に対して失礼である。

(3)女性の実績と評価
 「ウィキペディア」の記事も、*2-2のように、男性の記事が8割を占めるそうだが、リーダーに占める女性の割合が低ければ、実績があっても「ウィキペディア」に載らないため、「ウィキペディア」だけが是正を目指しても限界があるだろう。

 さらに、「ウィキペディア」はじめメディアやネットに掲載されている記事は、その多くが本人ではなく他人が書いたものであるため、社会の一般常識と同様、女性を過小評価したり、頑張る女性をちゃかしたり、馬鹿にしたりする女性蔑視を含んだものが多い。そして、これが長く露出し続けるため、その評判が定着するというのが、私の経験である。

(4)農業における女性の参画とリーダーシップ
 農業は食品を扱う業種であるため、消費者の心をつかむには、*3-1のように、マーケティングが重要であると同時に、食品に関する知識が多くマーケットで商品選択の主体になっている女性を活躍させることがKeyである。そもそも「道の駅」の原点は、自分で作った農産物をリヤカーに積んで道端で売っていた農家の主婦で、彼女たちが持ってきた新鮮で安価な農産物や行き届いたサービス・料理に関するアドバイスなどが消費者の人気を集めていたのだった。

 そのため、*3-2のように、農漁業の経営が6次産業化を進める中、生産者であると同時に、生活者・消費者の視点を併せ持つ女性の役割が重要であることは明らかである。それにもかかわらず、農山漁村の女性の地位が低く、女性の社会参画促進や地位向上への啓発を今頃やっているのは、(何もしないよりはずっとよいが)遅すぎる。

 そして、2017年3月5日の記事によると、JA女性役員、女性農業委員の割合は10%には届かず、①役員になり外出が増えると夫が嫌な顔をし ②男性役員ばかりの中で意見が通らず ③組織化されていない農業女子の集まりでさえ出掛けるのに家族の許可がいる のだそうだ。

 日本農業新聞の2020年1月13日の記事では、*3-3のように、国連がジェンダー平等を含む持続可能な開発目標(SDGs)達成の担い手に協同組合を位置付け、JAグループが女性参画の数値目標を決めて女性参画を進展させた結果、2019年7月末時点で正組合員や役員比率の全てが前年を超し、女性正組合員比率が22.36%、女性総代が9.4%、全役員に占める女性割合は8.4%と増えたそうだ。しかし、役員どころか、女性正組合員比率も22.36%しかないのでは、日本の農村地帯におけるジェンダー平等はまだまだだと言わざるを得ない。

・・参考資料・・
<台湾の民意と関係諸外国の対応>
*1-1:https://www.nishinippon.co.jp/item/n/575782/ (西日本新聞社説 2020/1/15) 台湾総統選 中国は危機感受け止めよ
 中国とは距離を保ち、現在の自由で民主的な社会を守るという民意が明確に示された。台湾総統選(11日投開票)は中国との統一を拒否する与党民進党の現職蔡英文氏が過去最多得票で圧勝し、再選された。高い投票率も考え合わせると、半年以上に及ぶ香港の混乱を自国の将来と重ねた有権者の切実な危機感の表れと言えるだろう。蔡氏勝利の流れをつくったのは昨年1月の台湾政策に関する習近平中国国家主席の演説である。高度な自治を認める「一国二制度」による統一を迫った。当時、蔡氏は窮地に立たされていた。前年の統一地方選で年金制度改革など内政の混乱が響いて民進党が大敗し、党主席辞任に追い込まれ、総統再選も容易ではないとみられていた。習氏の演説以降、風向きは変わり、台湾で中国への警戒感が高まった。6月以降、香港で起こった大規模な反政府デモは「一国二制度」が形骸化している現実を国際社会に示し、それを目の当たりにした台湾では総統選の流れを決定的にした。「今日の香港は明日の台湾」と訴えた蔡氏の言葉が有権者の心をつかみ、総統選と同時に行われた立法委員(国会議員)選も民進党が過半数を維持した。中国にとっては民主派が圧勝した昨年の香港区議選に続く受け入れ難い結果だろう。だが、強権政治への拒否感が香港や台湾で広がっている現実を真剣に受け止めなければならない。台湾独立志向である民進党の蔡政権に対し、中国はけん制を強めてきた。台湾と国交を持つ国は中国の圧力で7カ国が断交し、今や15まで減った。総統選前には初の国産空母を台湾海峡で航行させた。こうした行為は台湾住民の反発を招くだけで、逆効果だったことは選挙結果から一目瞭然である。今後さらに台湾へ圧力をかけ続ければ、蔡政権を積極的に支援するトランプ米政権との対立も一段と深まりかねない。米国は昨年、インド太平洋戦略で「強力なパートナーシップ」を結ぶ相手と台湾を位置付け、戦闘機などの兵器売却を決めた。大国となった中国には、武力統一もちらつかせる強権的態度を慎み、香港や台湾の声に耳を傾ける懐の深さを示す-そうした振る舞いが求められる。蔡氏は、中国が主張する「一つの中国」を受け入れない一方で民進党が綱領で定める「独立」を封印してきた。中台間の緊張を不必要に高めない現実的な判断だろう。中台関係は東アジア情勢にも悪影響を及ぼしかねない。米中の覇権争いの最前線でもあり、難しいかじ取りを迫られるが、そうしたバランス感覚は持ち続けてほしい。

*1-2:https://www.sankei.com/world/news/200112/wor2001120024-n1.html (産経新聞 2020.1.12) トランプ政権 軍事・経済の両面で台湾支援へ
 トランプ米政権は台湾総統選での蔡英文氏の再選に関し、中国の脅威をにらんだ米台連携を円滑に継続できるとして歓迎する立場を明確に打ち出した。今後は、米国が世界における自国の「抑止力の源泉」と位置づける軍事と経済の両分野で、中国の覇権的な攻勢の最前線に立つ台湾を積極支援していく考えだ。ポンペオ国務長官は11日に発表した声明で、蔡氏について「(中国からの)容赦ない圧力にさらされる中、中台関係の安定維持に取り組んできたことを称賛する」と強調。さらに「台湾が蔡氏の下、自由、繁栄、国民のためのより良き道を希求する国々の輝かしい手本となり続けることを期待する」と表明した。米国では2018年、米高官の台湾訪問や定期的な武器売却を求める「アジア再保証イニシアチブ法」がトランプ大統領の署名で成立し、「自由で開かれたインド太平洋地域」の推進に向けた台湾支援が着実に進められてきた。中国問題に詳しい政策研究機関「戦略国際問題研究所」(CSIS)のボニー・グレイザー研究員は今後の中国の出方について「当面は米台の動向を見極め、台湾に圧力をかける機会を模索するだろう」と分析。近い将来に中台が武力衝突する可能性は否定しつつも、「米国は台湾の抑止力強化に向け一層の協力を図るべきだ」と訴えた。トランプ政権は一方で、台湾経済が中国への依存度を急速に強めていることに危機感を募らせている。議会や政府内部では、米国と台湾との経済関係の緊密化に向けた自由貿易協定(FTA)の締結を提唱する声が広がりつつある。政策研究機関「ヘリテージ財団」のライリー・ウォルターズ研究員は、米台がFTA交渉に向けた「高官級の経済対話」の枠組みを構築すべきだと指摘する。同財団のウォルター・ローマン氏も「トランプ政権が中国や日本などと貿易合意に達し、蔡氏が再選した今こそが米台FTAに向けた好機だ」と強調した。

*1-3:https://www.bbc.com/japanese/38204570 (BBC 2016年12月5日) 中国、トランプ氏と台湾総統の電話会談に抗議
ドナルド・トランプ米次期大統領が1979年以来の前例を破り、正式な外交関係のない台湾の蔡英文総統と電話会談したことについて、中国外交部は3日、「米国の関係各方面に厳正な申し入れをした」と明らかにした。中国国営メディアによると、外交部は米政府に「米中関係の大局が不要な妨害を受けることがないよう」、「1つの中国」政策を守り、台湾問題を「慎重に、適切に扱うよう」促したという。またこれに先立ち王毅外相は3日朝、台湾側による「つまらない策略だ」と台湾を批判した。トランプ氏と蔡総統は2日に電話会談。トランプ陣営側が台湾総統に電話をしたという情報もあるが、トランプ氏は2日、「大統領に当選しておめでとうと、台湾総統から電話してきた」とツイートした(強調原文ママ)。トランプ陣営によると、トランプ氏は蔡総統に今年1月の総統就任への祝辞を述べたと言う。米国は1979年に中国と国交を樹立し、台湾とは断交した。それ以来、大統領や次期大統領が台湾首脳と直接会話したことはないとされている。中国の反発を呼ぶ可能性についてメディアが報道すると、トランプ氏は「米国は台湾に何十億ドルもの兵器を売ってるのに、おめでとうの電話を受けちゃいけないって、興味深いな」とツイートした。ホワイトハウスは、トランプ氏と台湾総統との電話会談は、米外交政策の転換を意味するものではないと強調。米メディア報道によると、ホワイトハウスも電話会談の後に知らされたという。トランプ氏の報道担当は、次期大統領は米国の台湾政策について「よく承知している」と述べた。
●何が問題なのか
国共内戦で毛沢東率いる中国共和党軍に敗れた中華民国と国民党は1949年、台湾に移動。中華民国は国連代表権を維持し、欧米諸国には唯一の中国政府と承認されていたが、1971年に国連総会が中華人民共和国を唯一の中国の正統な政府と承認。中華民国は国連を脱退した。米政府は1979年に台湾と断交し、中華人民共和国の「一国二制度」を支持した。しかし断交してもなお、台湾にとって米国は唯一の同盟相手で最大の友好国だ。米国の台湾関係法ではは、台湾防衛用のみに限り米国製兵器を提供すると約束し、台湾の安全などを脅かす武力行使などに対抗し得る防衛力を米政府が維持すると約束している。中国は台湾に向けて多数のミサイルを配備しており、もし台湾が公式に独立を宣言すれば武力行使も辞さないと言明している。今年1月に圧勝した蔡総統率いる民進党は、伝統的に台湾独立を綱領としており、蔡政権は「一国二制度」政策を受け入れていない。
<解説1> 懸念から危機感と怒りへ キャリー・グレイシーBBC中国編集長
台湾に関する米政府の40年近くにおよぶ慣例をトランプ氏が破り、台湾総統と直接会談したことは、中国政府関係者を驚嘆させた。11月8日の当選以来、中国政府はトランプ氏のアジア政策顧問が誰で、対中政策がどうなるのか理解しようと、躍起になっている。台湾総統との電話会談は、これまで懸念だったものを怒りに変質させるだろう。中国政府は台湾を一地方自治体とみなしている。独立主権国家としての形式を一切否定することが、中国外交政策の主要優先事項なのだ。
<解説2> 穏やかな反応 シンディ・スイBBC記者、台北
中国の反応は比較的穏やかだった。最初からいきなりトランプ氏とぎくしゃくしたくないからだ。加えて中国は、トランプ氏は政治家として経験不足だとみているので、今のところはとりたてて騒がず、見逃すつもりだ。米政府が、中国と台湾に関する政策に変化はないと表明したことも、中国にとってはある程度の安心材料だろう。しかし舞台裏では中国はほぼ間違いなく、このような外交失態を二度と起こさないよう、トランプ陣営を懸命に「教育」しているに違いない。蔡総統のこの動きを受けて、中国政府はいっそう蔡氏に対して怒り、不信感を抱き、中国からの正式独立を目指しているものとみなすだろう。

*1-4:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO54333200S0A110C2FF8000/?n_cid=TRPN0017 (日経新聞 2020.1.12) 中国が日米英に不満表明 蔡氏への祝意に反発
 中国外務省の耿爽副報道局長は12日、台湾の蔡英文(ツァイ・インウェン)総統の再選に日米英の高官らが歓迎の談話を出したことに「(中国大陸と台湾は一つの国に属するという)一つの中国の原則に反するやり方で、強烈な不満と断固とした反対を表明する」とのコメントを発表した。すでに各国へ抗議したという。耿氏は「台湾地区の選挙は中国の一地方のことだ」と指摘。「台湾問題は中国の核心的利益だ。中国と国交を結ぶ国と台湾とのいかなる形の政府間往来にも反対する」と強調した。

*1-5:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO54327820R10C20A1EA2000/ (日経新聞 2020/1/11) 台湾、「中国離れ」加速 米中対立の火種に
 統一を遠ざけるため距離を置くか、経済交流の果実を求めて接近するか――。中国との距離を巡る「自立と繁栄のジレンマ」と呼ばれる問題を巡り、台湾の民意は揺れ動いてきた。鴻海(ホンハイ)精密工業など台湾企業は1990年代から中国に進出し、連携を深めた。2001年の世界貿易機関(WTO)加盟で中国の経済成長に弾みがつくと、中台経済の一体化を求める声が強まり、08年には対中融和を掲げる国民党の馬英九政権が発足した。だが情勢は一変した。台湾の中央研究院による19年3月の世論調査では、対中関係で「国家安全を重視する」との回答が58%に上り、「経済利益を優先する」を27ポイントも上回った。呉介民・副研究員は「統一への危機感の高まりに加え、米中摩擦で対中接近が必ずしも利益に結びつかなくなった面もある」と分析する。対中強硬路線を鮮明にする蔡氏の再選で、台湾を巡る米中対立が激化するのも確実だ。米国は1979年に台湾と断交して中国と国交を樹立。その後は「台湾関係法」に基づき台湾の安全保障を支える一方、対中協調を重視して台湾独立を綱領に掲げる民進党と距離を置いてきた。だがトランプ米大統領は就任直前の16年12月に蔡氏と電話で直接やりとりし、19年にはF16戦闘機の台湾への売却を決めるなど、中国への配慮で封印されてきた「タブー」は次々と破られた。蔡政権は中国大陸と台湾が1つの国に属するという「一つの中国」原則を認めない一方、党が持つ独立志向を封印する立場をとる。「現実路線で米の信頼を得る戦略」(民進党幹部)だ。米国防総省は19年のインド太平洋戦略の報告書で、台湾をシンガポールなどと並ぶ「有能なパートナー」とした。蔡氏は「米国との関係は過去最高にある」と誇り、2期目では同戦略への協力や米との軍事接近を鮮明にする公算が大きい。中国にとって台湾は海洋進出の出入り口に位置し、東アジアへの米国の介入を防ぐ安保体制を築くうえでも譲れない「核心的利益」だ。米台の接近は中国の激しい反発を引き起こすのが必至だ。半導体受託生産最大手、台湾積体電路製造(TSMC)など次世代通信規格「5G」の核心技術を握る企業が存在する台湾は米中ハイテク摩擦の最前線にもなる。米国がハイテク分野で中国とのデカップリング(切り離し)を本格化すれば台湾を避けて通れず、供給網で深く関わる日本にも影響が及びかねない。

<女性に「控えめであること」を要求する文化>
*2-1:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20191202&ng=DGKKZO52770090Z21C19A1TY5000 (日経新聞 2019.12.2) 男女の発信スタイルの違い 機会平等を担保しよう OECD東京センター所長 村上由美子
 米ハーバード・ビジネススクールでは、成績上位5%の学生にベイカー・スカラーという最優秀賞を与える。MBA(経営学修士)を取得する女子学生は4割を超えたが、ベイカー・スカラーの女性比率は2割程度にとどまっていた。学力や潜在的能力など男性と同じ条件を満たして入学した女性達。入学後に苦戦したのは、クラスでのディスカッションだった。ハーバードでは成績の50%がディスカッションへの参加で決まる。積極的に高々と挙手し、ものおじせず発言する男性に比べ、女性の参加は控えめだった。この問題に気がついた大学側は、意識的に発言機会を男女平等にするよう教授陣を促した。その結果、ベイカー・スカラーの男女比率は改善。ついに昨年は男女間の成績の差異は完全に消滅した。男女のコミュニケーションや発信スタイルの違いに配慮することで、機会平等を担保するという興味深い例だ。私自身にも経験がある。ニューヨークの投資銀行で管理職に昇進した時だ。ボーナスシーズン前に自分の功績をアピールしにくる部下は全員男性だった。女性の部下が昇進やボーナスの交渉に来る事はめったになかった。私自身も新入社員時代「主張せずとも上司は私の成果を認めてくれている」と勝手に思い込んでいた。部下を評価する立場になって初めて、男性がいかに積極的に自己アピールしていたかに気づいたのだ。公平な評価・判断には、男女の違いを意識し、自らにインプットされる情報の偏りを精査する必要があると学んだ。日本でも女性を積極的に採用し、昇進を促進する企業は増えた。しかし彼女達の声は経営に生かされているだろうか。男女の違いを理解した上で、女性の持つ能力を開花させる取り組みが必要だ。効果的に会議に参加するためのコーチングを提供したり、司会役が女性に積極的に発言機会を与えたり、意識的に女性の背中を押し議論への参加を促すことが効果的だ。経済協力開発機構(OECD)の調査では、宿題にかける時間は女子学生の方が男子学生よりも長いという結果が出ている。女性は準備を周到に整える傾向があるが、自己肯定力は男性の方が往々にして高い。このような特性を理解した上で、女性の不得意部分を補う工夫を施せば、自らの能力を発揮し活躍する女性がさらに増えるはずだ。

*2-2:https://www.nishinippon.co.jp/item/n/570293/ (西日本新聞 2019/12/22) 「ウィキペディア」にも男女格差 ネット事典、男性記事が8割占める
●是正目指す「ウィキギャップ」
 インターネット上の百科事典「ウィキペディア」。何かを検索したら上位に出てくるおなじみのサイトだ。ただ、人物を紹介する記事の約8割は男性で、女性は実績があって著名でも記事が存在しないケースも多いという。そこで、ウィキペディアに女性の記事を増やし、ネット上の男女格差をなくそうというイベント「ウィキギャップ」が世界各地で開かれている。新たな試みが目指すゴールは、ネット上だけでなく、実社会における格差解消だ。2001年に登場したウィキペディアは、誰もが無料で自由に編集に参加できるのが特徴で、世界約300言語で展開されている。11月末、福岡市内のビルの一室で、女性を中心に15人ほどがパソコンに向き合い、作業に没頭していた。それぞれが詩人や経済学者など「載せるにふさわしい」と思う女性の業績や経歴を調べ、3時間ほどかけて執筆した。参加した司書の古島信子さん(50)はネットサーフィンという言葉を普及させたとされる司書「ジーン・アーマー・ポリー」について翻訳。「興味を持った人が彼女を知るツールの一つになればうれしい」。なぜ男性の記事が多いのか。「執筆者に男性が多いので、女性著名人や女性の関心が高い事柄は軽視されやすい」と指摘するのはウィキペディアに詳しい武蔵大の北村紗衣准教授(フェミニズム批評)。英王室キャサリン妃のウエディングドレスに関する記事やブラックホールの撮影に携わった女性科学者に関する記事が「百科事典として取り上げるに足らない話題」として“削除依頼”が出されたこともあるそうだ。運営するウィキメディア財団によると執筆者の9割が男性と推測される。北村准教授は「書く人の多様性がないと内容にも偏りが生じる。女性執筆者が増えることが女性記事の増加、百科事典の質の向上につながる」と力を込める。そもそも、現在「活躍する立場」の多くを男性が占めているのが現状で、男性の人物記事が多いのは当然という指摘も。特に日本は、先日発表された男女格差を指数化した報告書でも世界153カ国中、121位と低迷。女性議員(衆議院)や女性管理職の割合は1割程度にすぎない。政治分野の男女共同参画推進法や女性活躍推進法など法整備が進んでも、実態の改善には時間がかかりそうだ。一方で、ウィキペディアに女性の記事を増やす取り組みは、さまざまな立場の人が参加しやすい。北村准教授は「ネット上の男女格差解消の動きが、実社会に波及することも期待できる」と話す。
【ウィキギャップ】スウェーデン外務省などの呼びかけで「ネットの男女格差を埋めよう」と2017年に始まり、約60カ国で開催。30の言語で約3万2000本の記事が編集された。国内では東京や大阪でも開催され、今後も横浜などである予定。福岡のイベントは丸

*2-3:http://qbiz.jp/article/103068/1/ (西日本新聞 2017年2月5日) 女性リーダー育成 覚悟の大切さ学ぶ 福岡市で研修
 企業など組織の担い手となる女性を育成する「女性トップリーダー育成研修」が2〜4日、福岡市で開かれた。福岡県内の企業役員や管理職などの女性20人が参加し、さらに飛躍するために必要なことを学んだ。研修は福岡女子大(同市東区)が初めて企画。2泊3日を共にして交流を深め、将来につながる人脈を築く狙いがあるという。国際基督教大の北城恪太郎理事長や地元経済界トップらがリーダーに欠かせない心構えや教養を伝授した。4日のグループワークでは、参加者が目指すリーダー像を議論。「周囲の意見を聞きすぎて、自分らしさを出せていない」「リスクを避けようとすると部下が育たずさじ加減が難しい」などと悩みを語り合い、自分の克服すべき弱点や強みをあぶり出した。参加した福岡空港ビルディング営業部次長の鰺坂裕子さん(49)は「意識して上を目指す覚悟が必要だと感じた。ここでできたネットワークは財産になると思う」と手応えを語った。参加者は3月の最終研修までに目指すリーダー像を固め、それを実現する行動計画を発表する。

<農業における女性の参画とリーダーシップ>
*3-1:https://www.agrinews.co.jp/p39945.html
(日本農業新聞 2017年1月19日) 販売革新へ戦略を 人材育成で初講習会 全中・全農
 JA全中とJA全農は18日、農畜産物のブランド化など販売戦略の企画・実践力を向上させるための講習会を東京都町田市で初開催した。JAや連合会の販売事業戦略担当職員らが、「販売革新」をテーマに少人数のグループ討議を展開。どんな戦略をとれば販売力アップが見込めるかを参加者が提案し合うスタイルで、消費者の心をつかむ方策について議論を掘り下げた。20日まで開く。担当者と経営側との間に立つ職員を対象とし、11人が参加した。2、3人のグループでの討議で、参加者のJAが抱える販売戦略の課題克服や、JA内の意識改革をどう進めるかなど販売革新の方向性を話し合った。JA高知市が展開する、野菜「芥藍菜(かいらんさい)」の認知度向上策に関して、試食や貯金・共済の粗品とすることで消費者の認知度を高めていくとの提案があった。新潟県JA新潟みらいのカレー専用米の販路拡大に向けては、他産地との差別化のため「米どころ新潟が本気で作った専用米」とPRしたり、既存の有名カレー商品とタイアップ販売したりしてみてはどうか、といった意見が参加者から示された。これに先立ち、農産物流通に詳しい流通経済研究所の南部哲宏特任研究員が講義。マーケティングの意義について、卸売市場だけでなく「実際に食べてくれる人たちの情報を集めて意味を見つけ、どういうことが求められるのかを発見することが大事」と強調した。JAグループは自己改革でマーケットイン(需要に応じた生産・販売)に基づく事業方式への転換を目指している。講習会は、抜本的な改革が求められる中、実需・消費者の潜在的なニーズを掘り起こし、新たな販売戦略を中心となって担う人材の育成を狙って企画した。2日目は課題解決に向けた販売事業戦略の提案書を作成するためグループ討議を実施し、最終日に発表する。

*3-2:https://www.agrinews.co.jp/p40297.html (日本農業新聞 2017年3月5日) 農山漁村女性の日 発展の鍵握る活躍期待
 3月10日は「農山漁村女性の日」。この日を前後して、農山漁村女性の社会参画促進や地位向上へ、さまざまな啓発行事が行われる。女性は農業従事者の約半数を占め、農村社会と農業の発展に欠かせない存在だ。農業経営が6次産業化を進める中、生産者であり、かつ生活者と消費者の視点も併せ持つ女性の役割は、ますます重要さを増していくはずだ。その役割の価値を見つめ直すきっかけにしよう。農業経営やJAなどの方針決定の場へ、女性の参画が増えている。農水省の調査によると、女性の認定農業者は2016年3月で1万1241人と前年より429人増えた。12年から毎年400人以上増え続けている。JA女性役員は1305人(16年7月)で、全役員に占める割合は7.5%と前年比0.3ポイント増。女性農業委員も2636人(15年9月)で、全委員に占める割合は7.4%と同0.1ポイント増となった。農水省の「農業女子プロジェクト」も4年目を迎え、農業女子メンバーは、今では500人を超える。企業と提携して商品を開発したり、教育機関と組んで学生に就農を促したりと活動が盛んだ。ことし初めて、農業女子の取り組みを表彰するイベントを開いてPRを強める。ただ、社会参画への進み方は遅い。女性認定農業者が増えているとはいえ、全体の4.6%だ。JA女性役員、女性農業委員も、第4次男女共同参画基本計画で共に早期目標に掲げる10%には届かない。「役員になり外出が増えると、夫が嫌な顔をする」「男性役員ばかりの中で意見が通らない」。JA女性役員からは、そういった不満の声が上がる。一方、組織化せず活動の自由度が高く見える農業女子の集まりの中でさえ「出掛けるには家族の許可がいる」と悩む声を聞く。家族経営が主流で、かつ男性が中心となっている農村社会の閉鎖的な構図が、依然としてうかがえる。女性農業者が真に活躍し、能力を発揮するにはまだ厚い壁があるのだ。家族の後押しはもちろん、活動を受け止める男性らがさらに理解を深める必要がある。日本政策金融公庫が16年に発表した調査では、女性が経営に関与している経営体は、関与していない経営体よりも経常利益の増加率が2倍以上高かった。特に、女性が6次産業化や営業・販売を担当している経営体で、経常利益の増加率が高い傾向にあった。買い物好きでコミュニケーション能力が高い女性だからこそ、的確に消費者ニーズを把握できていることの表れだ。農業収益を増やし、経営発展の鍵を握るのは女性農業者だ。「農山漁村女性の日」が3月10日とされたのは、女性の三つの能力である知恵、技、経験をトータル(10)に発揮してほしい――との願いが込められている。もっと活躍できる社会へ、家族、地域挙げて環境整備を急ぐべきだ。

*3-3:https://www.agrinews.co.jp/p49717.html (日本農業新聞 2020年1月13日) 女性参画が進展 JA新目標着実に
 JAの運営で女性の参画が進んでいることが、JA全中の調査で分かった。正組合員と総代、役員(理事など)全ての女性参画割合が前年を上回った。国連は、ジェンダー平等を含む持続可能な開発目標(SDGs)の達成の担い手に協同組合を位置付けており、識者は「けん引する勢いで取り組んでほしい」とJAグループに期待する。
●正組や役員率全て前年超す 19年7月末
 JAグループは、2019年3月の第28回JA全国大会で、従来を上回る女性参画の数値目標を決めた。①正組合員30%以上②総代15%以上③理事など15%以上──を掲げた。第4次男女共同参画基本計画やJA全国女性組織協議会の独自目標を踏まえた。19年7月末現在の女性正組合員比率は、22・36%と前年から0・49ポイント上昇。総代は9・4%と同0・4ポイント増えた。全役員に占める女性の割合は8・4%で同0・4ポイント増だった。女性役員総数は同9人減の1366人。JAの大規模合併で、役員総数が847人減の1万6260人と大幅に減った影響とみられる。一方、100JAで女性役員がゼロだった。全中は「女性参画の推進には、JA経営トップ層の理解が欠かせない。トップ層が集まる会議で必要性や意義を伝え、理解を求めていきたい」としている。
●SDGsけん引を
△協同組合や農村女性の活躍に詳しい奈良女子大学の青木美紗講師の話
 SDGsの視点で見ると、数値を引き上げ、高い目標を持つことは大切だ。協同組合は、SDGsの推進で大切な事業や活動をしている。JAが、けん引する勢いで取り組んでほしい。一方、数値目標が独り歩きしないようにすべきだ。女性参画のメリットは、女性目線の事業提案ができること。女性組合員や生活者の視点に立った提案の実行でJA事業の拡大も期待できる。女性の意見に耳を傾け、否定しないことが重要だ。家事や育児などを行うことの多い女性が、参加しやすい環境を整えることも大事。女性参画が進めば、性別や立場を問わずさまざまな人がJAの経営や事業に参画しやすくなるはずだ。

<EU委員長の意思決定と日本の政治・行政>
PS(2020年1月17日追加):*4-1のように、EUは、域内での温室効果ガスの排出を2050年に実質0にする目標達成に向けて、経済・社会構造を転換していくために、低炭素社会への移行を支える技術革新への投資を今後10年間で少なくとも約122兆円行い、これによって再エネへの転換を図って経済成長に繋げるそうだ。これは覚悟のいる大胆な判断で、かつ科学的・合理的な判断でもあり、フォンデアライエン欧州委員長も女性だ。
 一方、私が提案して(私がこう言うと、必ず嘘だと決めつける人がいるが)太陽光発電・EV・自動運転車を世界で最初に市場投入した日本は、*4-3のように、原発と石炭を“ベースロード電源”に指定したり、送電網のコストを太陽光企業にツケ回したりするなど、再エネやEVの普及を妨害するための経産省の後ろ向きの対応にことかかない。そして、こういうことが続けば、日本に豊富な再エネの利用が阻害され、日本国民を豊かにすることはできない。
 このような中、*4-2のように、農業では無人田植え機の電動版もできたそうで、これなら日本だけでなく世界でニーズがあると思われるが、メーカー希望小売価格が1468万1700円では高すぎて国内でもなかなか普及できず、世界で普及するのは中国製をはじめとする他国製になるだろう。これが、名目インフレ(名目物価上昇)の悪弊の一つなのである。
 このように、日本では殆ど男性の“(同じ仕事を続けてきた国内志向で視野の狭い)ベテラン”と言われる政治家・行政官が政治・行政を担当してきた結果、*4-4のように、税収が伸び悩んで2025年の「基礎的財政収支」は国・地方あわせて3兆6千億円の赤字になるのだそうだ。そして、その原因に必ず世界経済の減速というような外的要因を挙げるが、景気対策と呼ぶ無駄遣いが多く、根本的解決になる投資をしないのが本当の原因であるため、これまでどおりではいけないということだ。

*4-1:https://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/202001/CK2020011502000274.html (東京新聞 2020年1月15日) 温室ガスゼロへ122兆円投資 EU、技術革新へ今後10年で
 欧州連合(EU)欧州委員会は十四日、EU域内で温室効果ガス排出を二〇五〇年に実質ゼロにする目標の達成に向けて経済・社会構造を転換していくため、今後十年で少なくとも一兆ユーロ(約百二十二兆円)を投資する計画を発表した。低炭素社会移行を支える技術革新への投資を通じて経済成長を図る一方、石炭発電の比率が高い東欧などに対し、再生可能エネルギーへの転換を支援する構え。投資計画は、フォンデアライエン欧州委員長の総合環境政策「欧州グリーンディール」の資金面の裏付けとなる。一兆ユーロの約半分はEU予算で賄い、残りは加盟国や公的機関、民間などが拠出する。投資計画はEU欧州議会と加盟国の承認が必要。フォンデアライエン氏は十四日、フランス・ストラスブールで開かれた欧州議会本会議で「行動し損ねた場合のコストは巨大なものになる。今、投資するしか選択肢がないのだ」と訴え、巨額の出資に理解を求めた。「欧州グリーンディール」は先月就任したフォンデアライエン氏の看板政策。欧州委は現在策定中の二一~二七年のEU中期予算の25%を気候変動対策に充てる方針を既に示すなど、気候変動対策を急いでいる。フォンデアライエン氏は「われわれを待ち受ける(経済・社会の)転換は前例がない」と強調。構造転換の波に激しく揺さぶられる「人々や地域を支援」しつつ、「グリーン経済の投資の波を起こす」と訴えた。石炭への依存度が特に高いポーランドは、低炭素社会移行に莫大(ばくだい)な費用がかかるとして、昨年十二月のEU首脳会議で「五〇年に排出ゼロ」のEU目標への合意を留保するなど、資金調達が重要な問題となっている。

*4-2:https://www.agrinews.co.jp/p49749.html (日本農業新聞 2020年1月16日) 業界初 無人田植え機 電動コンセプトも クボタ展示会
 農機メーカーのクボタは15日、京都市内で製品展示見学会を開き、基地局の設置が必要ない自動運転トラクターや、業界で初となる無人運転田植え機を発表した。同社は、トラクターと田植え機、コンバインで自動運転農機をそろえることになる。無人運転の電動トラクターなどコンセプト農機、創立130周年記念の特別モデルも展示。スマート農業の普及につながる製品を充実させた形だ。新しく発表した「アグリロボトラクタMR1000A」は、単独で自動運転ができる機種だ。従来の無人トラクターは自動運転の際、近くに移動基地局の設置が必要で、農家にとって負担になっていた。新製品は、国の電子基準点情報を利用することで、基地局を設けなくてもよい初めての機種となった。今月中に発売。メーカー希望小売価格は1468万1700円とした。会場ではトラクターと田植え機、コンバインで、自動運転のラインアップをそろえたことをアピールした。10月に発売する「アグリロボ田植機NW8SA」は、業界初の無人運転田植え機だ。有人自動運転ができる自脱型コンバイン「アグリロボDR6130A」は昨年12月に発売した。新型機械「X(クロス)トラクター」のコンセプト機も披露した。完全無人運転の電動トラクターで、4輪クローラーで動く。車高を変える機能を備え、水田でも畑でも使えるのが特徴だ。有人運転の電動機は2023年の発売を目指す。同社は20年に創立130周年を迎えることから、会場には記念特別モデルも展示した。オレンジメタリックの特装色で、田植え機や耕運機などを用意した。この他、衛星利用測位システム(GPS)直進アシスト機能付きトラクターなどの試乗も行った。展示見学会は16日まで。2日間で代理店の担当者ら5000人の来場を見込む。

*4-3:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20200117&ng=DGKKZO54478640W0A110C2EA1000 (日経新聞 2020.1.17) 送電網コスト、誰が負担? 太陽光企業にツケ回し案、国「後出し」非難受け修正も
 再生可能エネルギーの普及に向け、費用負担のルールを決める議論が紛糾している。焦点は送配電網の維持費用を誰が負担するか。普及させるには国民負担をできるだけ減らす必要があるが、新たなコスト負担を強いられる見込みが濃厚な再エネ事業者側からは、海外勢を含めて「後出しじゃんけん」との非難が噴出。今年度内の着地に向け、大詰めを迎えている。もめているのは、政府が2023年度に導入見込みの「発電側基本料金」制度の詳細だ。これまで電力の小売事業者が託送料金で負担していた送配電設備費用を発電事業者にも分担させる。負担の公平性の確保や電力システム全体のコスト低減につなげるのが狙いだ。23年度の制度導入を目指すことは19年9月の経済産業相直属の専門会合で決まっていた。ただFIT(再生可能エネルギー固定価格買い取り制度)の発電事業者については、追加コストと同水準を補填して調整する措置(調整措置)を置くことを検討することになっていた。FIT事業者が販売価格への転嫁ができないことに配慮した。ところが、前後して「利潤配慮期間」と呼ばれる12年7月~15年6月に認定された電源については、買い取り価格自体が高額に設定されていることを理由に、調整措置の対象外という案が19年夏に浮上した。これに驚いたのが、この期間に高額な買い取り価格を当て込んで日本の太陽光発電事業に参入した発電事業者らだ。
●10年間で6000億円
 太陽光発電を手掛けるオリックスの関係者は「こんなひどい後出しじゃんけんは見たことがない。当社の株主は外国人投資家も多い。日本の再エネ制度への信頼を損なう制度変更だ」と憤る。発電事業者らの試算によると、該当する期間の電源で稼働済みの全案件を対象にすると、23年度以降の10年間で計約6千億円の課金につながるという。カナディアン・ソーラー・アセットマネジメントの中村哲也社長は「予定していた利益を遡及的に奪う制度変更で納得できない。将来の投資も難しくなる」と話す。事業者からは、このまま利潤配慮期間に何の調整措置も講じられない場合、日本も加盟するエネルギー憲章条約に基づき「投資家に対する公正待遇義務に違反する」として、国との仲裁を求める訴えを起こすとの発言も飛び出す。再エネ制度の変更をめぐるトラブルが起きているのは日本だけではない。スペイン政府は10年に制度変更を行い、海外の発電事業者らから30件以上の仲裁を申し立てられた。資源エネルギー庁は「スペインの例は買い取り価格自体を引き下げるなど、より直接的な制度の不利益変更だった。日本のようにコストが上昇して間接的に利益が減ることまで条約違反といえるかは疑問」と反論する。国は高まる事業者らの不満を収めるため、19年12月17日の専門会合で新たな制度案を示した。発電側の課金によって負担が減る小売事業者と、FITの発電事業者が交渉して新たな取引価格を決める内容だ。小売り側が取引価格に一定程度を補填することを見越した案だ。
●普及へ透明性を
 結局、負担をグルグル付け替えているだけで、誰が何を負担しているのか理解しにくい構図になっている。新提案への発電事業者の反応は「少しでも補填してもらえるならありがたい」というものから「交渉力が劣る事業者が損をするのでは解決にならない」など温度差がある。1月以降も制度設計を巡る議論が続く見通しだが、結論が出るかどうかは微妙だ。再エネを普及させるために政府が当初高い収益モデルを示し、国内外から投資を呼び込む手法は欧州など海外政府も活用している。ただその後、持続可能性の観点から参入事業者に不利な制度に変え、事業者が不信感を抱く事態が繰り返されれば、再生エネの普及自体が遠のく。必要な負担をどう配分するのか。丁寧な説明も含めて、透明性の高い制度設計が欠かせない。

*4-4:https://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2020011701001236.html (東京新聞 2020年1月17日) 25年度の赤字額は3・6兆円に 基礎的財政収支、税収伸び悩み
 政府は17日、経済財政諮問会議を開き、中長期財政試算を示した。重要指標の「基礎的財政収支」は、高い成長率が続く楽観的な想定でも、黒字化を目指す2025年度に国・地方の合計で3兆6千億円の赤字になる。世界経済の減速で税収が伸び悩み、赤字額は昨年7月試算の2兆3千億円から拡大。目標達成に向け、一段の歳出抑制と歳入増加策が必要となる。GDP成長率は、昨年12月に決定した経済対策の効果などで、23年度に実質で2%、名目で3%台の高成長を実現すると想定した。この場合、基礎的収支は前回試算と同じ27年度に黒字化するが、黒字額は1兆6千億円から3千億円に縮小した。

<農林中金は職員を地方に多く置くべき>
PS(2020年1月18日追加):農林中金は、*5-1のように、①2022年にも本店を有楽町から大手町に移転する ②都内の複数の事務所を集約して効率化に繋げる ③賃料等で年間約20億円のコスト削減をする ④ペーパーレス化等で職員1人当たりのスペースを半減させる ⑤JAグループ一体となって効率的で働きがいのある職場づくりを目指す としているが、農林中金の役割は、農協が地方の農業者から集めた預金を農業の発展のために使うことであり、都市銀行と同様に外国で散財することではない。そのため、地方の農協に支店を置いて優秀な人材を配置し、農業地帯を歩いて実情を知った上で、農業の発展のためにできることを企画すべきだ。
 従って、①②はよいと思うが、農林中金本社に約1200人もの職員を置いておく必要はなく、本社は300人くらいにして残りは地方に配置し、農村地帯で経験を積ませるのがよいだろう。何故なら、そうすれば農業現場のニーズを知ってスキームを作ることができ、③の賃料も格段に安くなる上、地方に人材が供給されるからである。ただし、人の能力が結果を左右するため、優秀な人材を採用する必要があり、そのためには④のように職員1人当たりのスペースを半減させるのではなく、外資系並みのゆとりある快適なオフィスを作って、⑤を達成させるべきである。
 なお、現在は、*5-2のように、政府が技術革新でCO2を削減するために、今後10年間で官民あわせて30兆円を研究開発に投資し、2050年までに世界で予想される排出量以上の年600億トン以上を削減する目標を掲げているが、ここで重要な役割を果たすのは、地方にある再エネ資源と農林漁業なのだ。
 さらに、*5-3のように、台湾の鴻海がFCAと中国でのEVの合弁会社設立に向けて交渉する時代となり、再エネ・EV・自動運転は農林漁業や地方で大きな役割を果たすのである。

*5-1:https://www.agrinews.co.jp/p49765.html (日本農業新聞 2020年1月18日) 農林中金本店移転へ 東京・大手町に 事務所集約し効率化
 農林中央金庫が本店を東京・有楽町から大手町に移転する方向で検討していることが17日、分かった。都内にある複数の事務所を集約し、効率化につなげる。賃料などで、年間約20億円のコスト減を見込む。年度内をめどに移転を巡る方針を正式決定。2022年にも移転する。農林中金は1923年に創立し、当初は日本橋に本店があった。1933年に現在の場所にあった「農林中央金庫有楽町ビル」に移った。93年に第一生命ビルと一体化し、現在の「DNタワー21」となった。農林中金は土地の約4分の1、建物の3分の1強を所有している。現在のビルには農林中金の職員約1200人が勤めており、同ビル近くや豊洲、大手町のJAビルにも本店機能を持つ事務所がある。どこまで集約するかは調整中だが、これらを集約し移転することで、賃料をはじめとした運営コストの削減につなげる。移転先は、JA全中やJA全農が入るJAビル近隣のビルで調整。複数フロアを購入する方向だ。22年から1年程度で段階的に移転をしていく。厳しい事業環境を受けて、JAが経営基盤強化に取り組む中で、農林中金としても効率化を進める。ペーパーレス化などを通じて、新たなビルではこれまでに比べて、職員1人当たりのスペースを半減させることを目指す。JAビルの近くとすることで、JAグループ内の連携強化にもつなげる。農林中金は「関係者と調整中だが、本店機能集約は検討している。創立100周年に向けて、JAグループ一体となり、効率的で働きやすく、働きがいのある職場づくりを目指したい」として、移転を働き方改革にもつなげる考えだ。

*5-2:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20200118&ng=DGKKZO54509560X10C20A1EA3000 (日経新聞 2020.1.18) 技術革新でCO2削減 政府新戦略、10年で官民30兆円投資
 政府は技術革新で世界の二酸化炭素(CO2)排出削減をめざす新戦略をまとめた。CO2吸収素材を活用したセメントの普及など日本が得意とする先端技術の研究を加速し、今後10年間で官民あわせて30兆円を研究開発に投資する。2050年までに世界で予想される排出量を上回る年600億トン以上を削減する目標を掲げた。政府が21日に開く統合イノベーション戦略推進会議で、革新的環境イノベーション戦略として決定する。政府は地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」実現のため19年6月に長期戦略を閣議決定した。今回の戦略はこれを補完し、日本が強みを持つエネルギー・環境分野の施策を打ち出し、世界のCO2削減を先導する役割を強調する。各国の研究機関をつなぐ拠点となるゼロエミッション国際共同研究センターを立ち上げる。ノーベル化学賞を受賞した旭化成の吉野彰名誉フェローが研究センター長に就く。吉野氏は17日、安倍晋三首相と面会し「地球環境問題は人類共通の課題。高い目標があるほど研究者は一生懸命頑張る」と述べた。内閣府などによると、世界全体では毎年500億トン規模のCO2が排出され、30年には570億トンになる見込みだ。600億トン以上削減できる技術の達成をめざす。

*5-3:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20200118&ng=DGKKZO54539960X10C20A1FFN000 (日経新聞 2020.1.18) FCA、EVで巻き返し、鴻海と「空白地」中国攻略へ
欧米自動車大手フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)は17日、台湾の電子機器の受託製造サービス(EMS)世界最大手、鴻海(ホンハイ)精密工業と中国での電気自動車(EV)の合弁会社設立に向け交渉していると発表した。FCAにとって中国とEVはほぼ「空白地」。自動車生産のノウハウが薄い鴻海と組む異例の戦略で巻き返しを図る。鴻海側は16日に合弁を設立する方針だと発表。FCAの17日の声明では、「最終的な合意に至るとは限らない」との注記をつけたうえで、2~3カ月以内に拘束力のある合意を目指すとした。FCAによると折半出資で次世代のEVと「つながるクルマ」を開発・生産する新会社も設立を目指す。鴻海は同社からの直接出資は4割を超えないとし、残りは関連会社などを通じた出資になる見通しだ。FCAの自動車生産のノウハウと、鴻海のスマートフォンなどデジタル機器製造のノウハウを融合し、つながるEVの生産を目指す。EVなどの次世代車の生産を巡り、自動運転技術開発の米ウェイモと自動車部品大手のマグナ・インターナショナル(カナダ)が組んだり、中国新興EV大手の上海蔚来汽車(NIO)が中堅自動車メーカーの安徽江淮汽車集団(JAC)に生産委託をするなどの動きが出ている。ソフトに強みを持つ新興企業と伝統的な自動車産業のプレーヤーが組む動きが多く、大手自動車メーカーとEMSという今回の組み合わせは異例だ。鴻海は中国の配車サービス最大手、滴滴出行に出資、FCAはウェイモと協業しており、今後こうした新興企業が合弁に合流する可能性も注目される。FCAは2019年12月に仏グループPSAと対等合併で合意、規模を生かしてEVを強化する方針を示していた。ただ両社にとって中国を含むアジアは空白地だ。調査会社のLMCオートモーティブによると、両社を合わせてもアジア全体の販売台数は約50万台(18年)でシェアは約1%にとどまる。中国のEV市場は足元では停滞しているが、長期的には成長が見込まれる。FCAは中国では広州汽車集団と自動車合弁を組んでいるが、広州汽車はトヨタ自動車やホンダとも広くEVを生産している。FCAとPSAの統合が完了すれば、鴻海との合弁を軸に、PSAが欧州で培ったEVのノウハウもつぎ込みながら、巨大市場を開拓する考えとみられる。

<女性議員や閣僚も標的になりやすいこと>
PS(2020.1.20追加):「選挙が汚れて国会議員の質は悪い」というイメージ操作が頻繁に行われ、今回は女性である河井案里氏が、昨夏の参院選で違法な報酬を支払ったと運動員が証言したと話題になっている。しかし、*6-1に書かれている「①2019年夏の参院選でウグイス嬢に法定金額を上回る、3万円の日当を支払った」「②ビラ配り、のぼりを持ったり、手を振ったりなど、選挙事務所や現場で選挙運動に直接かかわったAさんに11日で15万5千円の報酬を支払った」「③時給1000円くらいで上限は日当15000円までになると言われた」「④最初から報酬を約束されていた」「⑤数十万円の報酬を受け取った運動員が地元紙で報じられている」「⑥公職選挙法で認められていない運動員に報酬を支払った容疑」を、*6-2の現在の公職選挙法に照らして見ると、選挙運動員には報酬を支給することはできないが、うぐいす嬢には1日 1 人につき15,000円以内(超過勤務手当は支給できない)を支給することができ、労務者(人数制限はない)にも1日 1 人につき15,000円以内(10,000円+超過勤務手当はの上限5,000 円を支給することができる。そのため、①については、ウグイス嬢が手振りやビラ配りなどの単純労働も行っていれば(ウグイス嬢は、ふつう雑用も行い、地元の人とは限らないため買収しても仕方なく、こういう少額では買収されないだろう)市場価格と言われる3万円の日当を払っても法令違反とは言えないだろう。また、Aさんは単純労働しかしていないため、②③④は公職選挙法違反ではない。さらに、⑤⑥は、事実なら違法だが、検察はこの点は指摘していない。
 つまり、女性である河井案里氏を標的にして「国会議員は金で汚れている」というイメージを作っているが、現在は収支報告書で収支を報告し、監査も受けているため、昔のようなビッグな金の動きはないのである。

*6-1:https://dot.asahi.com/wa/2020011500092.html?page=1 (週刊朝日 2020.1.15) 河井案里参院議員が違法報酬も 昨夏の参院選で運動員が証言
 2019年夏の参院選で、車上運動員(ウグイス嬢)に法定金額を上回る、3万円の日当を支払ったとして刑事告発されている、河井案里参院議員。広島地検は15日、河井議員と夫で前法相の克行衆院議員の事務所を強制捜索した。さらに案里議員にはウグイス嬢への「日当疑惑」だけではなく、選挙運動した男性、Aさんにも15万5千円の報酬を支払っていたことが本誌の調べでわかった。公職選挙法では、ウグイス嬢や、選挙運動に直接関わらない事務スタッフに限り報酬の支払いが認められる。Aさんは選挙運動に直接かかわり、報酬をもらっていた。ウグイス嬢と同様に、その支払いは買収になる可能性がある。Aさんによれば、参院選の少し前に、案里議員の知り合いから選挙を手伝ってくれないかと話があったという。「4月の統一地方選で広島の地方議員さんの事務所に出入りしていたことがあった。その関係で声がかかりました」。予定が空いていたAさんは承諾。当時をこう証言する。「時給1000円くらいで、上限は日当で15000円までになるけど、いいかと聞かれました。週刊文春でも名前が出ていた、Tという秘書からでした」。ビラ配り、のぼりを持ったり、手を振ったり、選挙事務所や現場で直接、選挙運動に加わった。7月6日から選挙が終わるまで合計11日間、手伝ったという。その後、T秘書から「時間がある時に、寄ってほしい」と言われて、指定された広島市安佐南区にある案里議員の夫、克行衆院議員の政治資金管理団体「河井克行を育てる会」の事務所(広島市安佐南区安東)を訪れたのは、7月31日だった。「T秘書から封筒に入った現金112500円を渡されました。そして『残りは振り込みます』と言われました。スマートフォンで銀行口座をチェックしたところ、同じ日に43000円が案里議員の自民党広島県参議院選挙区第7支部から振り込まれていた。合計で155000円をもらったことになります」。Aさんは本誌にこう証言し、スマートフォンで銀行の取引履歴を見せてくれた。そこには<20190731 43000円 ジユウミンシュトウヒロシマケンサンギインセンキョクダイナナシブ>と記されていた。自民党広島県参議院選挙区第7支部は案里議員が支部長を務めている。「口座番号は選挙期間中に聞かれたのでメモして渡したように記憶しています。最初から報酬を約束されていましたから」(Aさん)。また、案里議員の選挙を手伝っていたBさんも報酬を打診されたという。「案里議員の選対責任者から、30万円でと言われた。断ると50万円でどうかと言われた。内容からして、公選法に引っかかるかもと辞退した。私以外にも、複数の人が報酬をもらっていると聞いた」(Bさん)。すでに、数十万円の報酬を受け取った運動員が地元紙で報じられている。「ウグイス嬢への法定で決められた金額以上の日当を払っていたという疑いや、公職選挙法で認められていない運動員に報酬を支払った容疑も浮上している。運動員への報酬は支払いがあるだけでアウトだ。そちらも捜査を進めている」(捜査関係者)。Aさんはこう言う。「公選法で受け取ることができない金とは知らなかった。取材を受けて認識しました。何か対応を考えたいと思っています」。案里議員の事務所は取材に対し、こう回答した。「刑事事件の進捗や捜査への支障の有無などを勘案し、適切な時期に皆様に説明致したい」

*6-2:https://www.city.kumagaya.lg.jp/about/soshiki/senkyo/senkyokanriiinkai/oshirase/20181106.files/senkyoundouhiyou.pdf#search=%27%E9%81%B8%E6%8C%99%E9%81%8B%E5%8B%95%E3%81%AE%E5%A0%B1%E9%85%AC%E4%B8%8A%E9%99%90%27 (「選挙運動費用の制限と届出」より抜粋) 報酬及び実費弁償の支給
<選挙運動従事者、労務者に支給することができる報酬>
①選挙運動員                 支給できない
②選挙運動のために使用する車上運動員     1日 1 人につき15,000円以内
(いわゆるうぐいす嬢 等)          (超過勤務手当は支給できない)
③専ら手話通訳のために使用する者       1日 1 人につき15,000円以内
                      (超過勤務手当は支給できない)
④専ら要約筆記のために使用する者       1日 1 人につき15,000円以内
                       (超過勤務手当は支給できない)
⑤労務者(人数制限はない)          1日 1 人につき10,000円以内
                      (超過勤務手当は10,000 円の 5 割以内)

<女性がリードした環境政策とエネルギー変換>
PS(2020.1.21追加):太陽光発電・分散発電・電気自動車は、1995年前後に私がインドに行った時、人口の多いインドで自動車が普及し始めたのを見て「化石燃料では必ず行き詰る」と考え、日本の経産省に提案したものだ。しかし、これを「私が最初に提唱した」と言うと、必ず「嘘だ。謙虚でない。そんなことは誰でもできるのに傲慢な思い込みだ」などと言われた。その後、誰でもできるのならさっさと他の人がやればよいのに、日本は大したこともせずにくだらない妨害行為を行い、ドイツのメルケル首相やヨーロッパ諸国、中国などが先に採用して、日本はまたまた外国に追随するという情けない結果となった。
 世界では、*7-1のように、ドイツで再エネによる分散発電が進みつつあり、日本では、*7-2・*7-3のように、広島高裁が伊方原発3号機の運転を認めない仮処分決定をしたところだ。原発に絶対安全はなく、事故が起これば広い地域を壊滅させる猛烈な公害を引き起こし、伊方原発は中央構造線の上にあるのに災害想定が甘すぎる上、原発を海水で冷却することによって海に大量の熱を捨てて海水温度を上げているのだが、四国電力は、まだ「極めて遺憾で、到底承服できない」として不服申し立てをしようとしている。さらに、経産省は依然として原発を重要なベースロード電源と位置付け、2030年度の電源構成に占める割合を20~22%に引き上げる計画で、脱原発を求める国民世論と大きな乖離があるのだ。そのため、安全対策の拡充で発電コストが上がり、核燃サイクル計画も破綻し、日本が世界有数の火山国で地震も極めて多いことを考えれば、今国会で速やかにエネルギー政策を考え直すべきである。
 そして、後輩の皆さん、*7-4のように、佐賀県立唐津東高校の校歌は下村湖人作詞で、大きな志や開拓者精神、希望を歌に込めた素晴らしいものだが、私はこれを歌っていた生徒の頃には、「われらの理想は祖国の理想、 祖国の理想は世界の理想」というのはどうやって実現するのか、全くわからなかった。しかし、本物の理想を追求すれば、祖国がついてきたり、祖国がすぐについてこなくても世界で採用されて祖国が後から追随してきたりすることもあり、こういうことも可能だったのだ。そして、ここに表現されている自然も護らないと・・。

    
2020.1.18毎日新聞 2020.1.17 2017.12.14朝日新聞    2019.9.12東京新聞
           中日新聞
(図の説明:左から1番目と2番目の図のように、広島高裁が伊方原発3号機の運転を認めない仮処分決定をした。右から2番目の図のように、阿蘇山から160km以内にある原発は、このほかに玄海原発と川内原発がある。また、1番右の図のように、福島第一原発事故では、広い範囲が放射性物質で汚染され、成長中で細胞分裂の激しい若い人が特に帰還できない状況だ)

*7-1:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20200121&ng=DGKKZO54622930Q0A120C2MM8000 (日経新聞 2020.1.21) エネルギーバトル 電力、代わる主役(上) 技術が変える供給網、大手介さず個人で融通
 電力の主役が電力会社から個人や新興企業に移ろうとしている。自然エネルギーを使った発電技術とIT(情報技術)が急速に発展し、個人間や地域内で電力を自在にやりとりできるようになったためだ。電力会社が大型発電所でつくった電気を自社の送電網で送るという当たり前だった景色が変わりつつある。「不便を感じずに環境に貢献できてうれしい」。独南部に住むエンジニアのトーマス・フリューガーさんは、独ゾネンの蓄電池を使った電力サービスをこう評価する。2010年創業の同社は契約者間で電力を融通し合う仕組みを実用化。顧客は欧州で5万人いる。
●月額料金はゼロ
 蓄電池とソーラーパネルを家庭に取り付ける初期費用に平均200万円かかるが、月に約20ユーロ(2400円)支払うフリューガーさんは年間の電気代が6分の1程度になった。今は月額料金ゼロが標準プランだ。電気は需要と供給が一致しないと停電が起きる。日本の電力会社は多くの発電所を抱え、その稼働率の変化で供給量を調整して対応する役割を担ってきたが、ゾネンはそれを崩す。強みは人工知能(AI)に基づくアルゴリズムによる調整だ。電気が余分なところから足りないところへ、安くつくれる場所から市場で高く売れる場所へと自動で判断する。利用者は自ら気づかない間に電気を融通し合い、家庭で必要な分をまかなう。クリストフ・オスターマン最高経営責任者(CEO)は「旧来の電力会社のモデルは時代遅れだ。巨大な発電所が国全体に電力を供給するモデルは機能しなくなる」と話す。国際再生可能エネルギー機関(IRENA)は蓄電池の価格が30年までに16年の約4割に下がるとみる。中国企業の増産を背景に、さらに下がると指摘する関係者もおり、ゾネンのような活用は広がりそうだ。
●巨額投資不要に
 国際エネルギー機関(IEA)によると、新興国の経済成長を背景に電力需要は40年に17年の1.5倍に増える。その4割を太陽光などの再生エネが占める見込みで、発電の主役も石炭から交代する。大型の石炭火力や原子力発電所の発電能力は約100万キロワット。国内の家庭の電力消費量は1カ月250~260キロワット時で、家庭用太陽光の月間発電量は300キロワット時超が多いとされる。蓄電池でためたり、地域で融通できたりすればマネジメントは可能だ。大型発電所や、それをつなぐ長い送電網を巨額の投資で作らなくても、電力ビジネスを展開できるようになる。国内で地域ごとに独占権を持つ電力会社が「発電・送配電・小売り」の事業をまとめて手掛けるようになったのは1951年。再生エネやテクノロジーの進化が、70年の慣行を変える。電力自由化で先行した欧州では電気をつくる会社、送る会社、売る会社など、機能ごとの再編が進んだ。既に英独では石炭などの化石燃料よりも再生エネの発電量が上回る月もある。電力大手は石炭やガス、原子力などの大型発電所の効率をどう高めるかにばかり力を入れてきた。ただ、競争のルールそのものが大きくかわり、エネルギー産業は転換期を迎えている。

*7-2:https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-1059877.html (琉球新報社説 2020年1月20日) 伊方差し止め 原発ゼロへ転換すべきだ
 四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)について、広島高裁が運転を認めない仮処分決定をした。伊方3号機の運転を禁じる司法判断は、2017年の広島高裁仮処分決定以来2回目だ。再び出た差し止め決定を業界や政府は重く受け止めるべきである。今回主な争点となったのは、耐震設計の目安となる地震の揺れ(基準地震動)や、約130キロ離れた熊本県・阿蘇カルデラの火山リスクに関する四国電や原子力規制委員会の評価の妥当性だった。地震に対する安全性について四国電は、伊方原発がある佐田岬半島北岸部に活断層は存在せず、活断層が敷地に極めて近い場合の地震動評価は必要ないと主張していた。だが高裁は「敷地2キロ以内にある中央構造線自体が横ずれ断層である可能性は否定できない」ことを根拠に挙げ、「四国電は十分な調査をしないまま安全性審査を申請し、規制委も問題ないと判断したが、その過程は過誤ないし欠落があった」と指摘した。火山の危険性を巡っては、最初の禁止判断となった17年の仮処分決定は阿蘇カルデラの破局的噴火による火砕流到達の可能性に言及したが、その後の原発訴訟などでリスクを否定する判断が続いた。だが今回は「破局的噴火に至らない程度の噴火も考慮すべきだ」として、その場合でも噴出量は四国電想定の3~5倍に上り、降下火砕物などの想定が過小だと指摘した。それを前提とした規制委の判断も不合理だと結論付けた。東京電力福島第1原発事故で得られた教訓は「安全に絶対はない」という大原則だ。最優先されるべきは住民の安全であり、災害想定の甘さを批判した今回の決定は当然である。四国電は「極めて遺憾で、到底承服できない」と反発し、不服申し立てをする方針を示した。政府も原発の再稼働方針は変わらないとしている。だがむしろ原発ありきの姿勢を改める契機とすべきだ。共同通信の集計によると原発の再稼働や維持、廃炉に関わる費用の総額は全国で約13兆5千億円に上る。費用はさらに膨らみ、最終的には国民負担となる見通しだ。原発の価格競争力は既に失われている。電力会社には訴訟などの経営リスクも小さくない。一方、関西電力役員らの金品受領問題では原発立地地域に不明瞭な資金が流れ込んでいる実態が浮かび上がった。原発マネーの流れにも疑念の目が向けられている。政府は依然、原発を重要なベースロード電源と位置付け、2030年度に電源構成に占める割合を20~22%に引き上げる計画だ。脱原発を求める国民世論とは大きな乖離(かいり)があり、再生可能エネルギーを拡大させている世界の潮流からも取り残されつつある。政府や電力業界は原発神話の呪縛からいい加減抜け出し、現実的な政策として原発ゼロを追求すべきである。

*7-3:https://www.nishinippon.co.jp/item/n/576849/ (西日本新聞社説 2020/1/19) 伊方差し止め 甘い災害想定に重い警鐘
 原発再稼働を進める電力各社の安全対策と、それを容認している原子力規制委員会の判断は妥当なのか。その根幹に疑問を投げ掛ける司法判断である。四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)の運転禁止を求めて、50キロ圏内である山口県の住民3人が申し立てた仮処分の即時抗告審で、広島高裁が運転を差し止める決定をした。伊方原発は細く延びる佐田岬半島の根元にある。深刻な事故が起きれば半島住民の避難は困難を極める。対岸約40キロの大分県を含む九州や中国地方にも甚大な被害が広がりかねない。伊方原発のそばを国内最大規模の中央構造線断層帯が走り、約130キロ離れた熊本県・阿蘇山も活発に活動を続けている。地震と噴火による災害リスクが適切に調査、判断された結果として、再稼働が認められたのか-。これが争点だった。決定は調査、判断ともに「甘い」との結論になった。地震については、原発周辺の活断層の調査が不十分と指摘した。阿蘇カルデラの噴火によるリスク評価も過小と判断した。加えて、安全性に問題がないとした原子力規制委の判断も誤りで不合理と断定している。福島第1原発の事故後、政府は「世界最高レベルの新たな規制基準」に適合した原発の再稼働を進めてきた。伊方3号もその一つだ。今回の決定は、規制基準へ適合させてきた電力会社の調査と、規制委の判断がともに不十分と指弾しており、「基準適合」に対する国民の信頼が揺らぐことは間違いない。規制委は最新の知見を踏まえながら、不断に基準を見直す努力を重ねる必要がある。電力各社も災害リスク調査のあり方などを改めて検証すべきだ。原発に関する司法判断はかつて、行政や専門家の判断を追認するものが大半だった。福島の事故後は裁判官によって従来より厳しい判断も出るようになった。運転差し止めを認めたのは今回で5例目であり、伊方3号機の運転を認めない仮処分決定は2017年に続き2回目だ。政府は福島事故後も原発をベースロード電源と位置付け、30年度に電源構成に占める割合を20~22%に引き上げる計画だ。ただ再稼働できたのは5原発9基にとどまる。再稼働しても、司法判断で止まる可能性があることが今回改めて示された。安全対策の拡充で、発電コストにおける原発の優位性は後退している。核燃サイクル計画も事実上、破綻したと言えよう。日本は世界有数の火山国で地震も極めて多い。ここで将来にわたり原発と共存していけるのか。今回の決定はエネルギー政策を考え直す契機ともしたい。

*7-4:http://www.people-i.ne.jp/~kakujyo/kooka.htm (佐賀県立唐津東高等学校校歌 下村湖人作詞、諸井三郎作曲) 天日輝き
1.天日かがやき大地は匂い 潮風平和を奏づる郷に
息づくわれらは松浦の浜の 光の学徒  光、光、光の学徒
2.はてなく広ごる真理の海に 抜手をきりつつ浪また浪を
こえゆくわれらは松浦の浜の 力の学徒  力、力、力の学徒
3. 平和と真理に生命をうけて 久遠の花咲く文化の園を
耕すわれらは松浦の浜の 希望の学徒  希望、希望、希望の学徒
4.われらの理想は祖国の理想  祖国の理想は世界の理想
理想を見つめて日毎に進む  われらは学徒  光、力、希望の学徒

| 男女平等::2019.3~ | 02:58 PM | comments (x) | trackback (x) |
2019.7.22 女性リーダーの誕生を妨げる女性蔑視と女性差別(2019年7月23、24、25、26日に追加あり)
  
国会議員の女性割合     管理職の女性比率   女性・女系天皇(2019.7.10毎日新聞)

(図の説明:左図のように、日本の国会議員に占める女性割合は著しく低く、中央の図のように、管理職に占める女性割合も低い。さらに、右図のように、女性天皇・女系天皇に未だ反対する政党もあり、世界からは周回遅れになっている)

  
   2019.7.22毎日新聞    2019.7.22読売新聞     2019.5.13朝日新聞

(図の説明:2019年参院選の結果は、左図のようになった。女性は、中央の図のように、候補者に占める女性割合より当選者に占める女性割合が低く、一般に女性の当選率の方が悪いことがわかる。また、女性・女系天皇を認めた場合の皇位継承順位は、右図のようになる)

(1)リーダーになる機会の男女平等はあるのか
1)2019年の参院選について
 *1-2のように、①2013年4月に安倍首相が成長戦略に女性活躍を盛り込み ②2014年1月の国会施政方針演説では「全ての女性が活躍できる社会をつくるのが安倍内閣の成長戦略の中核」と述べられ ③2016年4月には企業や自治体に女性の登用目標などの計画策定・公表を義務付けた女性活躍推進法を施行し ④2018年5月には「政治分野の男女共同参画推進法」が議員立法で成立して、女性が活躍しリーダーになるための法律整備は既にできている。

 しかし、2019年の参院選における主要政党の女性候補割合は、野党は社民(71%)、共産(55%)など女性が半数を超える政党もあり、立憲民主(45%)も約半数だが、与党は自民(15%)、公明(8%)と低かった。これには意識の低さ以外に、すでに現職で埋まっているため新しい候補を擁立しにくいという事情もあるだろう。

 世の中は、少子化による生産年齢人口割合の減少で物理的にも女性労働力の重要性は増しておりが、女性の地位向上によって男性にはない視点からの気付きを意思決定や政策に反映しやすくなる。そのため、男性優位の習慣や制度は大胆に変えるのが経済的にも有効だが、日本の女性登用は欧州連合(EU)委員長と欧州中央銀行(ECB)総裁に女性を起用した欧州に比べると30年遅れである。

 なお、7月21日に投開票された参院選の候補者となった女性の当選率は、*1-1のように、26.9%で、男性の36.1%に及ばず、女性候補の比率は過去最高の28.1%となったものの全当選者に占める女性の比率は22.6%に留まった。選挙区別では、女性当選者が東京で半数の3人を占め、神奈川や大阪でも半数だったが、九州は全体で0だった。

 女性の当選率が低い理由は、女性候補が野党に多く、現職でない上に準備期間も短いため、不利な闘いを強いられることだろう。しかし、九州の0は、*2-2に代表される女性蔑視が大きな原因の一つだと考える。

2)世界と日本の男女平等度
 日本の男女平等度は、*1-3のように、世界経済フォーラムが公表する「ジェンダーギャップ指数」で示されており、この指標による日本の2018年の順位は149か国中110位とG7、G20で最下位だ。指標の内訳は、2018年で、①経済分野 0.595(117位) ②教育分野 0.994(65位) ③健康分野 0.979(41位) ④政治分野 0.081(125位) であり、いずれも決して高くはないが、政治分野は特に低い。

 政治分野の評価の対象は、「国会議員の男女比」、「女性の閣僚率」、「女性首相の在任期間」などだが、国会議員における女性の割合が衆議院10.2%、参議院20.7%(平成31年1月現在)であるのは、日本のジェンダー平等への進行が遅すぎるということだ。

 今回の参院選では、370人の候補者のうち女性は104人で28.1%を占め、過去最高の高さと言われているものの、政党別では、①自民党15%(12人) ②立憲民主党45%(19人) ③国民民主党36%(10人) ④公明党8% (2人) ⑤共産党55%(22人) ⑥日本維新の会32%(7人) ⑦社民党71%(5人)と党による差が大きい。

 しかし、採用時点で30%では、指導的地位に女性が占める割合を30%程度にすることはできず、2020年に指導的地位の女性割合を30%にするためには、採用時は50%くらいでなければ、女性に多いハードルや偏見をクリアして生き残る人は30%にならない。そして、衆議院議員・参議院議員も、なっただけでは指導的地位についたとは言えず、実力と実績で閣僚や党幹部になれて初めて指導的地位についたと言えるのである。

3)他分野における指導的地位に女性が占める割合
i) キャリア官僚への女性合格
 国家公務員キャリア官僚への女性合格率は、*1-4のように、2019年度の採用試験で1798人が合格し、女性割合は過去最高の31.5%で初めて3割を超えたそうだが、キャリア官僚になったから指導的地位に就いたとは言えないため、採用時は女性を50%採用すべきだ。

 そうすれば、次官や局長などの女性割合が次第に30%になると思われるが、2020年にはとても間に合いそうにない。

ii) 女性天皇、女系天皇は何故いけないのか
 このように、「指導的地位の女性割合を30%にしよう」と言っている時代に、*1-5のように、女性天皇や女系天皇に拒否感を示す政党は、科学的でも論理的でもなく感情的である。

 立憲民主党は「皇位継承資格を女性・女系皇族に拡大し、現代における男女間の人格の根源的対等性を認める価値観は一過性ではない」と明記し、「皇位継承順位は長子優先」とした。共産党は女性・女系天皇に賛成する立場を明らかにしており、自民党と国民民主党は男系維持だ。この「立憲民主党」「共産党」と何かと自民党に近い「国民民主党」の違いが、今回の野党間の選挙結果の違いに繋がっていると思う。

(2)女性がリーダーになることを阻害する偏見・女性蔑視
 2019年7月22日、*2-1のように、佐賀新聞が「政治分野の男女共同参画推進法成立後、初めての大型国政選挙だったが、参院選の女性当選者数は、選挙区18人、比例代表10人の計28人で過去最多の前回2016年と同数だったものの、立候補した女性104人のうち当選率は26.9%は前回を下回り、当選者全体に占める女性比率は22.6%だったと記載している。

 せっかくこの認識に至ったのなら、私には心当たりが多いため、九州は全県で女性当選者が0だったという日本の平均から見ても周回遅れだったことも含めて、何故そうなるのかを分析し、女性候補に対する報道や表現を改めてもらいたい。何故なら、選挙は候補者を直接には知らない有権者が多く投票するため、メディアの女性蔑視表現で票が減ることが多いからである。

 このような中、選挙の最中の2019年7月20日、西日本新聞が、*2-2のように、「IQ(論理的思考)とEQ(情緒的感性)には明確な男女差がある」と書いており、その内容は、「男性は論理的に思考するタイプが多く、女性は情緒的・感覚的に思考するタイプが多いという明確な差が出て、男性は論理的に考えるのが得意で、女性は共感力が高いというイメージに近い結果になった」というものだ。

 これは、「(原因が何であれ)女性は感情的で男性ほど論理的でないため、リーダーには向かない」と言っているのであり、個に当てはめると妄想であって現実ではない。また、調査の仕方にも問題があり、出した結果は女性に対する偏見や女性差別にほかならない。さらに、こういう記事を書くことは女性候補者を不利にするため、選挙違反である。相手の立場に立って考える「おもいやり」は男女の別なく持っていなければならないものだが、そもそも“共感力”とはどういう能力なのか、特定の接客業以外で必要な能力なのか、私には意味不明である。

(3)女性差別を禁止する条約締結と法律制定の経緯
 私は、東大医学部保健学科を1977年に卒業し、男性に比べて就職の条件が悪かったので公認会計士の資格を取るために勉強をしていた時、1978年頃、さつき会(東大女子同窓会)の代表だった正木直子さんから電話をいただき、「どうしてさつき会に入らないの?」と聞かれた。

 そのため、「東大の卒業証書が就職であまり役に立たなかったからで、現在は公認会計士試験の勉強中です」と答えたところ、1979年の第34回国連総会で、*3-1の女子差別撤廃条約が採択され、日本は、1985年に、*3-2の最初の男女雇用機会均等法を外圧を借りて制定し、同年、女子差別撤廃条約を締結した。正木直子さんは、労働省勤務だったのだ!

 女子差別撤廃条約の締結と最初の男女雇用機会均等法制定は、赤松良子さんや正木直子さんなど、労働省(当時)に勤務していたさつき会の先輩方が変わった人であるかのように言われながらも、日本の男女平等を進めるための法律を作ったのである。一方、同じ1985年に、厚生省(当時)は、専業主婦の奨めともなる年金3号被保険者を作り、年金制度を積立方式から賦課方式に変更し、日本では女性活躍のアクセルとブレーキが同時に踏まれたのである。

 そして、*3-3のように、内閣府が男女共同参画社会基本法を作ったのは、*1-3のように、20年前の1999年だ。しかし、男女平等ではなく、男女共同参画に過ぎない。これに先立ち、1997年に男女雇用機会均等法が改正され、努力義務でしかなかった男女の雇用機会均等を義務化したが、これは経産省に私が頼んでやってもらったものである。

 そのほか、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(女性活躍推進法)」は、第2次安倍内閣下の最重要施策の1つとなり、2015年9月4日に公布・施行されたが、これは私の提案がきっかけだ。

 また、2018年5月23日に公布・施行された「政治分野における男女共同参画の推進に関する法律」は、赤松良子さんが中心になって女性たちが協力してできた法律である。

 つまり、女性差別を禁止する法律は、日本国憲法制定で男女平等を勝ち取ったのに差別され続けた日本女性が協力して制定してきたものだ。にもかかわらず、「男性には論理的に思考するタイプが多く、女性には情緒的、感覚的に思考するタイプが多い」とか「均等法以降の女性にのみキャリアがある」「空気を読むことが大切」などと言っているのは、馬鹿にも程があるのだ。

<リーダーになる機会の男女平等はあるのか>
*1-1:https://www.jiji.com/jc/article?k=2019072200284&g=pol (時事 2019年7月22日) 女性28人、過去最多タイ=当選率、男性に及ばず-東京など半数占める【19参院選】
21日投開票の参院選で、女性の当選者は選挙区18人、比例代表10人の計28人となり、過去最多の前回2016年に並んだ。選挙区の当選者は16年より1人多く、最多記録を更新。一方、女性候補全体に占める当選者の比率は16年より2.3ポイント減の26.9%で、男性の36.1%には及ばなかった。今回の参院選は、男女の候補者数をできるだけ均等にするよう政党や政治団体に求める「政治分野における男女共同参画推進法」が18年5月に成立して以降、初の大規模国政選挙となった。ただ、女性候補の比率は過去最高の28.1%となったものの、全当選者に占める女性の比率は22.6%にとどまった。選挙区別では、改選数が1増えた6人区の東京で女性が半数の3人を占め、ともに4人区の神奈川と大阪でも男女の当選者が同数だった。政党別で見ると、12人が挑んだ自民党の当選者が10人で、16年に続き最も多かった。公明党は2人の候補がともに当選。女性を積極的に擁立した主要野党4党では、立憲民主党で19人中6人が議席を得たのに対し、候補者数が最多だった共産党は22人中3人、国民民主党は10人中1人の当選にとどまり、社民党はゼロだった。NHKから国民を守る党も女性当選者がいなかった。改選数1の1人区で無所属の野党統一候補として出馬した中では4人が勝利。日本維新の会、れいわ新選組はそれぞれ1人が初当選した。

*1-2:https://www.kochinews.co.jp/article/293741/ (高知新聞社説 2019.7.18) 【2019参院選 女性活躍の社会】看板倒れの現実直視を
 「全ての女性が活躍できる社会をつくる。これは安倍内閣の成長戦略の中核です」。2014年1月の国会の施政方針演説で、安倍首相はそう決意を述べた。13年4月に成長戦略に女性活躍を盛り込んで、もう6年以上がたつ。演説では「20年には、あらゆる分野で指導的地位の3割以上が女性となる社会を目指す」と数値目標も掲げる意気込みだった。14年9月の内閣改造では、新設した女性活躍担当相ら5人の女性閣僚を起用。16年4月には企業や自治体に、女性の登用目標などの計画策定・公表を義務付けた女性活躍推進法が施行された。矢継ぎ早に打ち出された政策に対し、現在の実績はどうか。まず13年の政策演説で発表された「17年度末までに待機児童をゼロにする」との目標は、早々と断念し20年度末に先送りされた。女性閣僚の数も内閣改造のたびに減り、現在は片山地方創生担当相ただ1人だ。鳴り物入りで設置された女性活躍担当相も、片山氏が兼務するありさまである。政策を遂行する体制がこれでは、安倍政権のやる気を疑われても仕方がない。世界経済フォーラムが公表した18年版の男女格差報告によると、日本は調査対象の149カ国中110位だ。先進国では閣僚が男女ほぼ半々という国も珍しくない。女性1人というのは極端に遅れている。こうした現状を打開しようと昨年、「政治分野の男女共同参画推進法」が議員立法で成立した。選挙で男女の候補者数をできる限り均等にすることを目指す。同法が施行されて初の国政選挙となる今回の参院選が、今後を占う試金石となる。ところが主要政党の女性候補の割合を見ると、がくぜんとする事実が浮かんでくる。野党は社民(71%)、共産(55%)と女性が半数を超え、立憲民主(45%)もほぼ半数に近い。これに対し与党は自民(15%)、公明(8%)とあまりにも低い。自公が政権を握って6年半、早くから「女性が輝く社会」をぶち上げていったい何をしてきたのか。言い出しっぺがこのありさまでは、女性活躍推進法に真面目に取り組んでいる民間企業のやる気もそぎかねないだろう。安倍首相は男女が共同参画する社会の意義について、理解と努力が不足しているのではないか。少子高齢化が進む中で、国民の半数以上を占める女性の地位向上がなければ、よい政策や企画も生まれまい。これまでの「女性活躍」が看板倒れになっている現実を直視し、男性優位の習慣や制度を大胆に変えていく気概が必要だ。激動が続く欧州では先日、欧州連合(EU)委員長と欧州中央銀行(ECB)総裁に、ともに女性を起用する人事が固まった。世界との差は開く一方のようだ。

*1-3:http://ivote-media.jp/2019/07/09/post-3196/ (Ivote 2019.7.9) 2019年は節目の年【政治×女性】〜参院選2019〜
 第25回参議院議員通常選挙が7月4日に公示され、投開票日は、7月21日となっています。2019年は12年に一度の「統一地方選挙」と「参議院議員選挙」が重なる亥年の選挙として大きな節目の年になっていてivote mediaでも取り上げています。そして、もう一つ大きな節目として、2019年は「男女共同参画社会基本法」が制定・施行されてから20年という節目の年でもあるのです。男女共同参画社会の実現というものを21世紀の日本の最重要課題と位置づけ、課題の解消のために走り始めた年から20年経過をした年になります。ジェンダー平等に関して、近年では「女性活躍」という言葉を頻繁に聞くようになり、女性活躍は安倍政権の看板政策の一つでもあり、立憲民主党はじめ他政党でもジェンダー平等について動きを見せています。そこで今回の記事では、男女共同参画社会基本法が成立してから20年が経過をした現在の日本の男女平等における状況、とりわけ「政治」の分野における状況を確認し、参議院議員選挙における、読者の方々の投票の一つの視点となってもらえればと思います。
●日本における男女平等の現状
 男女平等を世界の国々と比較するときに用いられる指標は、世界経済フォーラム(World Economic Forum)が公表する「ジェンダーギャップ指数」です。この指標では、経済・教育・健康・政治の4つの分野のデータから作成されています。そして、日本の2018年の順位は149か国中110位(前年:144か国中114位)であり、前年から4つ順位を上げたものの、G7内では最下位となっていて、男女平等については後進国といっても過言ではありません。
指標の内訳としては、(2018年←2017年)
◇経済分野 0.595(117位) ← 0.580
◇教育分野 0.994(65位) ← 0.991
◇健康分野 0.979(41位) ← 0.980
◇政治分野 0.081(125位) ← 0.078
となっています。(1が完全平等を示す。)
 政治分野の評価の対象には、「国会議員の男女比」、「女性の閣僚率」、「女性の首相在任期間」などが評価の対象となっています。皆さん、ご存じの通り、日本では未だ女性首相の誕生は一度もありません。そして、国会議員の男女比の割合について、衆議院では10.2%、参議院では、20.7%(平成31年1月現在)が女性の議員となっています。これらのデータや、皆さんの方々の実感から分かるように日本では、政治分野における男女平等は、後進国であると考えられます。しかし、男女共同参画社会基本法が成立してから、今現在まで無策だったわけではありません。国・都道府県においては、男女共同参画計画を策定し、ほぼ全ての基礎自治体においても、男女共同参画に関する計画を策定して施策を実施しています。自治体の施策だけでは解決しない問題ではありますが、ジェンダー平等に関する課題は日本の大きな課題として掲げ続けられています。そのような状況から、特に政治分野におけるジェンダー平等の不平等を解消しようという大きな動きも出てきています。平成30年(2018年)5月23日に「政治分野における男女共同参画の推進に関する法律」が公布・施行されました。この法律では、衆議院、参議院及び地方議会の選挙において、男女の候補者の数ができる限り均等となることを努力目標として掲げ、目指しています。そこで、この法律が成立をしてから初めての国政選挙となる第25回参議院議員通常選挙の立候補者の男女の割合を見てみましょう。
●政党別立候補者数の男女比(今回の参院選)
 第25回参議院議員通常選挙には、370人が立候補をすることを予定しています。そのうちの女性候補は104人で28.1%を占めています。これは、過去最高の割合の高さとなっています。では、政党別に女性候補の数と割合を見てみましょう。
◇自由民主党  15%(12人)
◇立憲民主党  45%(19人)
◇国民民主党  36%(10人)
◇公明党    8% (2人)
◇共産党    55%(22人)
◇日本維新の会 32%(7人)
◇社民党    71%(5人)
 政治分野における男女共同参画の推進に関する法律が制定されてからのはじめての国政選挙で、以上のような立候補者の状況となっています。
●2020年30%目標
 「2020年30%目標」初めて聞く人も多いかと思います。これは、「社会のあらゆる分野において、2020年までに指導的地位に女性が占める割合を少なくとも30%程度とする」という平成22年12月に閣議決定をされた目標です。「指導的地位」の中には、衆議院議員や参議院議員も含まれているため、国の目標としても30%という目標は達成をすべき大きな指標となっています。この目標は、兼ねてから掲げられてきた目標でありますが、今回の参議院議員選挙の立候補者の男女の割合、政党別にみたときの男女の割合はどうでしょうか。判断は皆さま方にお任せをします。(以下略)

*1-4:https://www.hokkaido-np.co.jp/article/318756?rct=n_topic (北海道新聞 2019/6/25) 国家公務員の女性合格、初3割超 19年度、総合職
 人事院は25日、2019年度の国家公務員採用試験で、中央省庁のキャリア官僚として政策の企画立案を担う総合職に1798人が合格したと発表した。うち女性は567人。割合は過去最高の31・5%で、初めて3割を超えた。前年度から4・3ポイントの増加。人事院は「中央省庁で活躍する女性が増え、入省後のイメージを描きやすくなったことが一因」と分析している。申込者数は1万7295人で、倍率は9・6倍だった。合格者の出身大学別は、東大の307人が最多で、京大126人、早稲田大97人、北海道大81人、東北大と慶応大が75人で続いた。

*1-5:https://www.sankei.com/politics/news/190611/plt1906110035-n1.html (産経新聞 2019.6.11) 立民が「女系天皇」容認 国民との違いが浮き彫りに
 立憲民主党は11日、「安定的な皇位継承を確保するための論点整理」を取りまとめた。皇位継承資格を「女性・女系の皇族」に拡大し、126代に及ぶ男系継承の伝統を改める考えを打ち出した。「女性宮家」創設の必要性も強調した。一方、国民民主党「皇位検討委員会」は同日、男系維持に主眼を置いた皇室典範改正案の概要を玉木雄一郎代表に提出。両党間で皇室観の違いが浮き彫りとなった。立憲民主党の「論点整理」は伝統的な男系継承について「偶然性に委ねる余地があまりに大きい」と指摘した。また、「現代における男女間の人格の根源的対等性を認める価値観は一過性ではない」などと明記した上で、女系天皇を容認すべきだと訴えた。皇位継承順位に関しては、男女の別を問わず、「長子優先の制度が望ましい」とした。男系を維持する手段として旧皇族を皇室に復帰させる案は明確に否定。「今上天皇との共通の祖先は約600年前までさかのぼる遠い血筋だ。国民からの自然な理解と支持、それに基づく敬愛を得ることは難しい」と断じた。また、皇族減少に歯止めをかけるため、女性皇族が結婚後、宮家を立てて皇室に残り皇族として活動する女性宮家の創設を訴えた。一方、国民民主党は女系天皇を「時期尚早」として認めず、改正案も男系を維持する内容だ。ただ、過去に10代8人いた「男系の女性天皇」の皇位継承は認める。きょうだいの中では男子を優先した。皇統に関しては、共産党がすでに女性・女系天皇に賛成する立場を明らかにしている。3党は参院選の32ある改選1人区の全てで候補を一本化したが、最重要の皇室をめぐり、「立憲民主党・共産党」と「国民民主党」の間で方向性の違いが表面化した。

<女性がリーダーになることを阻害する偏見>
*2-1:https://www.saga-s.co.jp/articles/-/403685 (佐賀新聞 2019年7月22日) 女性当選者28人、過去最多に並ぶ、政府目標には届かず
 参院選の女性当選者数は、選挙区18人、比例代表10人の計28人で、過去最多の前回2016年と同数となった。立候補した女性は104人で当選率は26・9%。前回を下回った。当選者全体に占める女性の比率は22・6%だった。政党に男女の候補者数を均等にするよう促す「政治分野の男女共同参画推進法」の成立後、初めての大型国政選挙。「指導的地位に占める女性の割合」を2020年までに30%にするとの政府目標には届かなかった。秋田と愛媛両県選挙管理委員会によると、両選挙区で戦後女性参院議員が誕生したのは初めて。

*2-2:https://www.nishinippon.co.jp/item/o/528623/ (西日本新聞 2019年7月20日) IQ(論理的思考)とEQ(情緒的感性)には明確な男女差が
●43万人の個性診断結果をビッグデータ解析して見えてきた、男女の思考性の違い
COLOR INSIDE YOURSELF( https://ciy-totem.com/ )は43万人以上が利用する、自己診断サービスです。43万人以上の診断結果をビッグデータ解析した結果みえてきた、個性や性格に関する興味深い統計データをお届けします。
●IQ(論理的思考)とEQ(情緒的感性)には明確な男女差が
 COLOR INSIDE YOURSELF(以下「CIY」)の診断結果では、個人の様々な特性が明らかになりますが、その中でも特に、「論理的に思考するタイプ」と「情緒的、感覚的に思考するタイプ」では、男女間で明確に差がでました。年齢別の診断結果の割合を多項式近似曲線で表すと、「論理的に思考するタイプ」は全年齢層で男性の割合が高く、逆に「情緒的、感覚的に思考するタイプ」では、全年齢層で女性の割合が高くなっています。ステレオタイプに言われているような「男性は論理的に考えるのが得意、女性は共感力が高い」というイメージに近い結果となりました。
●男女によって、求められる思考性が異なる?
さらに、ライフスタイル別の統計結果を見ると、男性では新社会人(23歳~29歳)から40代にかけて「論理的に思考するタイプ」が増加しています。女性では、高校から大学、社会人になるに従って「情緒的、感覚的に思考するタイプ」が増えており、30代からは緩やかに減っていきます。
●年齢とともに性格が変化する要因は、何でしょうか?
A:組織の中で、「男性は論理的であること、女性は情緒的で共感し合うこと」を求められた結果、年齢とともにそれぞれの思考性が変化していく
B:そもそも男女で年齢とともに思考性が変化していく傾向があり、結果的に「男性は論理的、女性は情緒的で共感力が高い」という集団ができていく
いずれの要因かまでは分析結果からはわかりませんでしたが、ここまで明らかになると、さらに興味深い洞察が得られそうです。
●年齢とともに性格は変わるのか?
 世代別の結果では、男性では「ゆとり第一世代~団塊ジュニア世代」までが、やや「論理的に思考するタイプ」が高くなっているようです。(女性では、世代別の変化は、あまり見られません。上述の通り、年齢や社会的なポジションに伴って性格が変わっていくのか、特定の世代に限って「論理的に思考するタイプ」がそもそも多いのかについても、興味深いポイントです。個性や性格の半分は遺伝で決まり、残りの半分はその他の要因によって決まると言われています。そのため加齢による性格の変化はそこまでないはずですが、男性で30−40代が「論理的に思考するタイプ」が多く、50代をすぎると「情緒的、感覚的に思考するタイプ」が増えていくという傾向を見ると、年齢とともに性格が変化しているとも感じられます。今後も継続的に結果を分析することで、年齢による変化なのか、特定の世代による傾向なのかを明らかにしていきたいと思います。

<女性差別を禁止する法律と条約>
*3-1:https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/josi/index.html (外務省) 女子差別撤廃条約
 女子差別撤廃条約は、男女の完全な平等の達成に貢献することを目的として、女子に対するあらゆる差別を撤廃することを基本理念としています。具体的には、「女子に対する差別」を定義し、締約国に対し、政治的及び公的活動、並びに経済的及び社会的活動における差別の撤廃のために適当な措置をとることを求めています。本条約は、1979年の第34回国連総会において採択され、1981年に発効しました。日本は1985年に締結しました。(以下略)

*3-2:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/danjokintou/index.html (厚労省) 
男女雇用機会均等法

*3-3:http://www.gender.go.jp/about_danjo/law/index.html#law_brilliant_women (内閣府男女共同参画局)
男女共同参画社会基本法
配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律
女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(女性活躍推進法)
政治分野における男女共同参画の推進に関する法律

<女性の当選者>
PS(2019/7/23追加):滋賀県選挙区は1人区だが、脱原発を掲げる前滋賀県知事の嘉田由紀子さんが無所属で初当選された。無所属で立候補すると費用が自分持ちで大変なのだが、よく頑張られたと思う。

*4:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190722-00010002-bbcbiwakov-l25 (BBCびわ湖放送 2019/7/22) 参院選 嘉田氏当選/滋賀
 参議院議員選挙は、21日投票が行われました。即日開票の結果、滋賀県選挙区は無所属新人で、前の滋賀県知事の嘉田由紀子さんが初めての当選を果たしました。初当選を果たした嘉田さんは「この滋賀から草の根の声をあげる転換点にしたい」と意気込みを語りました。参議院選挙滋賀県選挙区の開票結果は、嘉田由紀子さんが、29万1072票自民党現職で再選を目指した二之湯武史さんが27万7165票NHKから国民を守る党の新人服部修さんは、2万1358票でした。なお、投票率は51.96%で、3年前の前回を4.56ポイント下回りました。

<多様性、正常と異常の境界など>
PS(2019/7/24追加):*5に「①生産年齢人口(15~64歳)の減少が進む日本では、女性・高齢者(65歳~)・外国人など働き手の多様化が必要」「②企業が収益・生産性を高めるためには、多様性が重要」「③多様な人材を活用するためには日本的な雇用慣行の見直しが不可欠」と書かれている。
 このうち、②③はそのとおりだが、①は、生産年齢人口を15~64歳としているのが実態に合わないので18~70又は75歳にすべきで、そうすると年金など社会保障の支え手が増えると同時に、健康寿命を伸ばすこともできる。さらに、(若年男性の雇用だけを優遇するのはもともと憲法違反だが)“生産年齢人口”が減って人手不足であり、技術革新や新産業も起こっているため、高齢者・女性・外国人の雇用が若年男性の雇用を抑制することはない。むしろ、人材の多様性により、同質ではない人材の相互作用により、新製品が作られたり、新しい販路が開けたり、生産性が上がったりする。ただし、人材が多様化した時に報酬や賃金の公平性を保つためには、年功ではなく実績に基づいた個人に対する公正な評価が必要なのである。
 なお、多様性と言えば「障害者」「LGBT」と書く記事が多いが、障害者やLGBTの人にも人権があって生きる喜びや働く喜びを享受したいのは当然であるものの、それらは多様性とは異なり異常の範疇に入る。さらに、現在、*6のように、「知的な遅れ」がないのに、たった3歳で「発達の遅れ」を指摘するような「同一主義」が横行するのは「ゆとり教育」による基礎教育不足のせいだろうか? そういう学級にいれば、正常な人は意味もなくざわつくのはうるさいと感じるだろうから、「発達障害」などとする過剰診断で、1人の人生が無限の夢あるものから支えられるだけのものになるのは痛ましく、もったいないことである。このように、“生産年齢人口”に統計学等の基礎教育が足りないのは、ますます“高齢者”の重要性を増加させるのである。

  

(図の説明:左図の人口ピラミッドを見ればわかるように、生産年齢人口が著しく減っているため女性が就職活動しても人手不足でいられ、これからは、“高齢者”や外国人も重要な労働力になるだろう。また、右図のように、“高齢就業者数”は増えているが、女性・高齢者・外国人の労働条件はいまだに悪いと言わざるを得ない)

*5:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO47657400T20C19A7MM0000/?nf=1 (日経新聞 2019/7/23) 生産性向上、働き手の多様化が必要 経済財政白書
 茂木敏充経済財政・再生相は23日の閣議に2019年度の年次経済財政報告(経済財政白書)を提出した。少子高齢化と人口減少が進む日本で企業が収益や生産性を高めるためには、働き手の多様化を進める必要があると分析。多様な人材を活用していくために、年功的な人事や長時間労働など「日本的な雇用慣行の見直し」が欠かせないと強調した。白書は内閣府が日本経済の現状を毎年分析するもので、今後の政策立案の指針の一つとなる。今回の副題は「『令和』新時代の日本経済」。生産性の向上を通じて、潜在成長率を高める必要性を訴えた。白書によると、日本の生産年齢人口(15~64歳)に対する高齢者人口(65歳~)の割合は43%で、世界の先進国平均より高い。2040年には64%まで増加することが見込まれている。政府は年齢や性別にかかわらず多様な人材を活用することで人手不足を緩和する働き方改革を進めてきた。高齢者の雇用拡大を巡っては、若者の処遇に影響を与えるとの懸念も根強いが、白書が上場企業の実際の状況を分析したところ、高齢者雇用の増加が若年層の賃金や雇用を抑制する関係性は見られなかったという。外国人労働者に関しても日本人雇用者との関係は補完関係にあるとの見解を示した。人材の多様性は生産性の向上につながることも分かった。企業における人材の多様性と収益・生産性の関係を検証したところ、男性と女性が平等に活躍している企業ほど収益率が向上している傾向が明らかになった。人材の多様性が高まった企業の生産性は、年率1.3%程度高まるとの分析を示した。内閣府による企業の意識調査によると、多様な人材が働く職場では、柔軟に働ける制度や、仕事の範囲・評価制度の明確化が求められている。「同質性と年功を基準とする人事制度では、個人の状況に応じた適切な評価ができない」として、日本型の雇用慣行の見直しを迫った。今年の白書では日本企業の国際展開が雇用に与える影響も分析した。グローバル化が進んでいる企業ほど、生産性や雇用者数、賃金の水準が平均的に高かった。実証分析の結果をみると、輸出の開始だけでなく、海外企業との共同研究や人材交流にも生産性が上がる効果が認められた。足元の日本経済については「緩やかな回復が続いている」との判断を示す一方、中国経済の減速などで「生産の減少や投資の一部先送りもみられる」とした。生産性の向上を賃金の上昇や個人消費の活性化につなげることが「デフレ脱却にも資する」と指摘した。

*6:https://www.nishinippon.co.jp/item/n/529530/ (西日本新聞 2019/7/24) 発達障害 学ぶ場は 「通級教室」希望でも入れず 需要急増、教員が不足…
 「通級指導教室を希望したが、かなわなかった。もっと数を増やせないのでしょうか」。発達障害があるという中学3年の男子生徒(14)から、特命取材班に訴えが届いた。調べてみると、通常学級に在籍しながら特別な指導を受けられる通級指導教室の需要は急激に伸びており、各自治体が運営に苦慮している実態が浮かび上がった。福岡県に住む生徒は、3歳で「発達の遅れ」を指摘された。知的な遅れはなく、小学校は通常学級で過ごした。中学入学後、問題が生じ始めた。通常学級に在籍したが、聴覚、視覚過敏が現れ、教室のざわつきに耐えられず、同級生とのコミュニケーションも難しくなった。昨年10月に「自閉スペクトラム症」との診断を受けた。今年2月、「コミュニケーションの方法を学びたい」として通級指導教室への入級を学校に申し出た。これに対し、特別支援教育の必要性を判定する「教育支援委員会」は9、11月の年2回しか開かれず、次回9月の委員会までは「難しい」と説明された。そもそも学校に通級指導教室がなかった。今春、通級教室が新設されたものの、既に定員は満杯。「落ち着ける場所をつくる」「苦しい時は教室を抜けることを認める」などの個別支援計画に沿って、スクールカウンセラーや補助教員がサポートすることで落ち着いた。生徒は「中学生になって急に苦しいことが増えた。状況に応じて柔軟に対応してほしい」。校長は「通級指導教室にいるのとほぼ同じ支援をしている」とする半面、「特別支援を希望する生徒は多いのに専門教員が足りず、希望に応じきれていない」と打ち明ける。
      ■
 通級指導教室は、自閉症や情緒障害、学習障害(LD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)などが対象。文部科学省によると、2017年度、通級指導を受けている児童生徒は全国で10万8946人と10年前の2・4倍。特に、発達障害の子どもが急増している。教室がある学校は5283校で全体の17・7%。福岡県は18年度は156校(271クラス)と10年で2・5倍に増えたが、全体の14・7%にとどまる。福岡市は16年度に通級の対象となったのに入れなかった児童生徒が113人と最多になったことから、設置を急ぎ、17年度以降、待機者はゼロという。北九州市も希望者が毎年200人前後に上るため、08年度に通級の対象期間を上限3年と決め、12年度以降は待機者ゼロになった。一方、特命取材班に訴えを寄せた男子生徒が住む町は本年度、待機者が12人。町教育委員会は「県に専門教員の配置は申請している。配置されるまでは現場に頑張ってもらうしかない」。福岡教育大の中山健教授(特別支援教育学)は「希望者の増加は、障害への理解が進み、保護者や本人が特別支援を望むようになったことが背景の一つにある。通常か通級かという『教育の場』だけではなく、本人、保護者、学校がよく話し合い、安心して学べる環境をつくることが大切だ」としている。

<投票率と投票の中身>
PS(2019年7月25日追加):*7-1、*7-2のように、選挙前に「参院選の投票に必ず行く」と答えた人は55.5%いたが、実際の投票率は48.8%だった。中でも10代・20代の若年層は、「必ず行く」と答えた人も男女ともに3割と低調であり、実際の10代の投票率は31%(性別:男性30.02%、女性32.75%、年齢別:18歳34.68%、19歳28.05%)で全世代より17%低かったそうだ。今回の争点は、幼児教育・保育の無償化、全世代型社会保障、年金、消費税、憲法、原発などだったため、「興味がない」「高校・大学が試験期間で選挙前に主権者教育できなかった」等は、普段から意識が低いということであって弁解の余地がない。ただ、親元を離れて進学した若者は、通常は住民票を移していないため投票できないので、国政選挙はどこででも投票できるようにして、学食付近に期日前投票所を設ければよいと考える(インターネット投票は、本人確認・重投票の防止・投票の秘密保持が不確実なため、私は賛成しない)。
 しかし、選挙権は権利であって義務でないため、興味のない人が棄権するのは自由である。さらに、普段から政治に関心を持って情報を集めていない人が適当に投票すると、選挙結果を歪める弊害もある。そのため、メディアは、殺人・放火・吉本興業事件や安っぽいなまぬる番組に大量の時間を使うのではなく、普段から正確に分析した政治情報を報道しておく必要があるのだ。


  2019.6.9赤旗  2019.7.24東京新聞 2019.7.17朝日新聞  2019.7.24朝日新聞

(図の説明:選挙の争点をわかりやすく纏めた新聞もいくつかあったが、左の赤旗もわかりやすい。年代別投票率は、中央の2つの図のように、若い世代で低く、他人任せだ。右図は、投票しない理由だそうである)

*7-1:https://www.sankei.com/politics/news/190716/plt1907160044-n1.html (産経新聞 2019.7.16) 【産経・FNN合同世論調査】参院選投票「必ず行く」55% 若年層は3割、投票率低い懸念
 産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が14、15両日に実施した合同世論調査で、21日投開票の参院選の投票に行くか尋ねたところ「必ず行く」が55・5%に上った。ただし10・20代の若年層は男女ともに3割と低調だった。今年は統一地方選と参院選が12年に一度重なる「亥年選挙」で有権者らの「選挙疲れ」による投票率の低下が懸念されており、前回の平成28年参院選(54・70%)を上回るかが焦点となる。調査によると、投票に「たぶん行かない」は7・9%、「行かない」は4・8%にとどまった。これに対し「できれば行く」は20・1%、「期日前投票を済ませた」は10・2%で、投票に前向きな回答が否定的な回答を大きく上回った。性別・年代別では、高齢層ほど「必ず行く」が多くなり、「60代以上」の男性は73・3%、女性では61・3%を占めた。50代の男性は64・4%、女性では51・5%、40代の男性は56・8%、女性で53・6%といずれも過半数に達した。一方、10・20代の男性は36・5%、女性は37・3%で、それぞれ「60代以上」の約5~6割にとどまる。若年層のうち、20代の投票率低迷は顕著だ。総務省によると、全体の投票率が過去最低の44・52%を記録した7年参院選では20代が前回比8・2ポイント減の25・15%に急落した。その後は30%台で推移している。一方、有権者が投票しやすい環境に向けて増えているのが期日前投票所だ。世論調査で「期日前投票を済ませた」との回答について、男性は「60代以上」が最も多く13・1%、50代が9・7%。女性は30代が最多の15・3%に上り、「60代以上」の14・2%、40代の10・6%が続いた。総務省が発表した14日現在の期日前投票者数は630万9589人で有権者の5・92%に相当し、選挙期間が1日長かった前回の水準に迫っている。与野党は選挙戦の最終盤まで勝敗を左右する若年層や無党派層などの動向に気をもむことになりそうだ。

*7-2:https://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201907/CK2019072402000138.html (西日本新聞 2019年7月24日) 参院選、10代 投票率31% 全世代より17ポイント低く
 総務省は二十三日、参院選(選挙区)の十八歳と十九歳の投票率(速報値)は31・33%だったと発表した。全年代平均の投票率48・80%(確定値)より17・47ポイント低い。大型国政選挙で選挙権年齢が初めて十八歳に引き下げられた前回二〇一六年参院選に比べ、速報値で14・12ポイント、全数調査による確定値からは15・45ポイント下がった。政治参加を促す主権者教育の在り方が課題になりそうだ。速報値は抽出調査で算出した。男性が30・02%、女性が32・75%。年齢別では、十八歳は34・68%で、十九歳は28・05%と三割を下回った。同省選挙課によると、今回は確定値を出すための全数調査は行わない。大型国政選の十八、十九歳投票率は、一六年参院選が速報値45・45%、確定値46・78%。一七年衆院選は速報値41・51%、確定値40・49%で、下落傾向が続いている。若者の投票率向上のため高校で出前授業を行ってきた「お笑いジャーナリスト」のたかまつななさんは、十代の投票率低下について「多くの高校や大学が試験期間だったことで、選挙前に主権者教育の機会を設けづらかったのではないか」と分析。「投票率が高ければ『この世代を無視すると危ないよ』というプレッシャーを政治側に与えられるのに」と悔しがった。若者の投票行動に詳しい埼玉大学の松本正生(まさお)教授(政治学)は「主権者教育だけでなく、若者が投票しやすいよう選挙制度も問い直すべき事態だ」と指摘。その上で「年長世代が『十代は投票に行かない』と一方的に批判できない」と、有権者全体の五割超が投票しない状況に危機感を示した。

<空港の設計とアクセス←女性の視点から>
PS(2019/7/26追加):*8のように、北海道で2020年に7空港が民営化され、空港ビルの建設・路線の増加・国際ハブ(拠点)空港化・道の駅機能の追加が考えられているそうだ。福岡空港は2019年4月2日に民営化され、観光客誘致のためのバス網を充実したり、ターミナルビルの商業機能を強化したりしたが、頻繁に往来する私から見ると、①空港の水道の出が悪くて不潔 ②電車と離発着窓口の距離がものすごく長くなり、重たい荷物を持っての移動が苦痛 ③航空機を利用しない人も土産物店に並んでおり、土産を買うのに時間がかかるようになった ④レストランも混んで入れなかった など、利用者の目線で改善してもらいたい点が多い。
 国交省は、羽田に行く交通機関の乗り継ぎを見ても、未だに「航空機は観光で使うもので、乗り換え距離が長ければ途中の店で買い物をする」などと思っているようだが、用があって頻繁に航空機を利用する人が荷物の多い時に買い物をすることはないため、アクセスや空港利用者の便利を第一に考え直すべきである。そして、今から整備する北海道は、このような不便を航空機の利用者に与えない設計にすることこそ、最善の空港利用者増加方法だと考える。

*8:https://www.hokkaido-np.co.jp/article/328927 (北海道新聞 2019/7/26) HKK連合、地方空港も重視 計画概要判明 稚内、ビル建て替え 釧路はアジア便誘致 新千歳新ビル470億円
 2020年度の道内7空港民営化で運営事業者に内定した、北海道空港(HKK、札幌)中心の企業連合による投資計画などの概要が25日、判明した。中核の新千歳では新空港ビル建設を計画。稚内で空港ビルの建て替え計画を盛り込むなど、新千歳以外の6空港にも積極投資する方針だ。新千歳には運営委託期間最終年度の49年度までに2900億円を投資する。現在は、国内、国際線それぞれ専用のビルがあり、国際線ビルは拡張工事中。新ビルは、両ビルを維持したまま、両ビルの南側に整備する。国内、国際線共用で30年ごろの開業を目指す。建設費は約470億円。多様な路線を展開できる態勢を整え、国際ハブ(拠点)空港としての位置付けを強める狙いとみられる。新千歳以外の6空港への投資額は、49年度までに約1300億円。稚内は空港ビルを全面建て替えし、商業施設と観光拠点を兼ねる「道の駅」のような機能を持たせる。台湾など国際チャーター便誘致も進める。

<「伝統」「言語」による女性蔑視を守るべきか?>
PS(2019年7月26日追加):私がPrice Warterhouse(当時、青山監査法人)東京事務所に勤めていた1982年、アメリカ南部の同事務所に勤務していた黒人の女性シニア・マネージャーが、「女性差別を含む不公正な評価によって、パートナーになれなかった」として提訴し、最高裁まで闘って1988年にPrice Warterhouseに勝った。私は、その女性が膨大な時間と労力を使って闘ったことに感謝するとともに、敗訴した途端に世界で使う自社出版物で「chairman」を「chairman/woman」に変更するなど、男性でなければならないと誤解させるような女性差別を含む言葉をすべて書き換えて世界に影響を与えたPrice Warterhouseにも敬意を表する。日本では、今でも「日本語だから」「伝統だから」などとして、女性に過度の尊敬語・謙譲語・謙遜・やさしさを要求し、「姦しい(かしましい)」「女々しい」「嫉妬」「姦計」「奸策」「雌伏」など悪い意味を表す言葉に「女性」を意味する漢字を多用しているのと対照的だ。
 そのため、私は、*9の「chairperson」は女性ではなくジェンダーニュートラルだと思うし、自分には「Ms.」を使うが、日本人の中には「Ms.」を使ったり、旧姓を通称使用していたりすると、「離婚したのでは?」とか「夫婦仲が悪いのでは?」などといらぬ詮索をする人がいて呆れることが多い。日本も、女性蔑視や女性差別を含む言葉を、「日本語だ」「伝統だ」として合理化するのをやめるべき時代にとっくの昔に入っているのに、である。

*9:https://digital.asahi.com/articles/ASM7T4RP5M7TUHBI01V.html?iref=comtop_8_06 (朝日新聞 2019年7月26日)「ze」を知ってますか?性別表す用語、進む言い換え
 「マンホール」の「マン」は男性を指す言葉だから、性別と関係のない「メンテナンスホール」に改める――。そんな風に、市の用語を性別にとらわれない言葉に言い換えようという条例が、アメリカ西海岸のカリフォルニア州バークリー市で提案され、話題を呼んでいます。同州では男女の平等をめぐる議論にとどまらず、性的少数者の権利を尊重する観点からも、男女の性にとらわれない「ノンバイナリー」が選択できるようになっていて、そうした意識の高まりが条例の背景にあるそうです。でも記者(32)が大学で英語を学んでいた頃から、すでに「ポリスマンは古い英語だから、ポリスオフィサーと言うように」と教わったような記憶も……。こういった言葉の言い換えは、いつから始まったのでしょうか? ゆくゆくは英語は全然違った形になるかも? 「manの語法」という論文も書いている関西学院大学の神崎高明・名誉教授(英語学)に話を聞きました。
●ハリケーンの名前も男女交互に
□ 中性的な言葉に言い換える取り組みは、いつごろ始まったのでしょうか。
 中性的なことを「ジェンダーニュートラル」と言いますが、この動きは欧米で1970年代初頭から始まったと考えられています。1960年代末から女性の権利や束縛からの解放を求めた女性解放運動「ウーマン・リブ」が活発化しました。その流れで、言語学者たちが、英語にある女性差別的・男性中心的な言葉を指摘し、言葉の整理を始めたのです。このころ、アメリカでは企業や自治体など、いろんな組織がマニュアルとして「言い換え集」を作りました。言葉の性差別の問題が非常に注目を集めたのです。
□ 例えばどんな言葉でしょうか。
 「fireman」→「firefighter」(消防士)、「chairman」→「chairperson」(議長)、「policeman」→「police officer」(警察官)などです。女性の社会進出で男女が同じ職業に就くようになり、新しい表現が必要だということになったんですね。また、アメリカではハリケーン(台風)に名前をつけるのですが、女性名をつけるのが通例でした。ところが1979年以降、男女交互につけるように変わりました。例えですが、「アンドリュー」とつけたら、次は「カトリーナ」のような具合です。
●「chairperson」は女性?
□ ジェンダーニュートラルな言葉が定着していった背景は?
 1980年代後半になると、今度は「ポリティカル・コレクトネス」という人種や性別、障害の有無などによる偏見や差別を含まない言葉や表現を使おうという動きが、アメリカの大学を中心に広まりました。1990年以降、これが世界にも広まり、性差を含まない言葉が好まれるようになっていきました。このころにはポリティカル・コレクトネスの考え方を踏まえた辞書が欧米でいくつも出版されました。アメリカでの「police officer」の使用率を調べた大阪国際大学の畠山利一・名誉教授の調査があるんですが、それによると、1970年代は20%、1980年代で50%、2000年に入って80%です。だいぶ定着していると言えるでしょう。でも、全ての言葉が定着していったわけではありません。バークリー市の言葉の言い換え案の中に含まれている「manhole(マンホール)」だって、辞書には「personhole(パーソンホール)」などの言い換えが載っていますが、定着していません。
□ 新たな言葉が生まれるのと、その言葉が定着して広く使われるのとは別の話だと。
 そうなんです。しかも、広く使われてくると、別の問題も生まれてきます。例えば「chairperson」はかなり定着してきていますが、男性議長にはいまだに「chairman」を使い、「chairperson」は暗に女性議長を指す人もいます。形が変わっても、これでは差別は変わりません。同じようなものに、女性の呼称「Ms.(ミズ)」があります。男性は結婚の有無にかかわらず「Mr.(ミスター)」なのに、女性は未婚だと「Miss(ミス)」、既婚者だと「Mrs.(ミセス)」と呼ぶのは不公平ということで「Ms.」が生まれました。でも、裏の意味で「Ms.」を離婚した人やフェミニストに対して使う人もいるのです。いろんな言葉の言い換え案ができても、定着するもの、しないもの、別の意味合いで使われてしまうものがあります。今回のバークリー市のように、すでに定着しつつある言葉も含めて、市が公に使っていくことは、定着に向けた一つの取り組みとして意義のあることだと思います。
●「his」はもう古い?
□ ジェンダーニュートラルが進むと、「he」「she」のように性別で代名詞が変わる英語は、大きく変わることになるのでは?
 「he」「she」が将来的になくなる可能性もありますよ。例えば、「Everyone loves his mother」という文章。「everyone」は単数形なので、「his」を使うのが正解でした。でも今は、「Everyone loves their mother」のように、男女を問わない「their」を使うことが広まっています。ちょっと前までは、「they」や「their」は複数形なので文法的には間違いとされましたが、現在はどちらでも正解。むしろ最近の文法書では「hisは古い用法」と注が付いているものもあります。さらに、欧米では「he」「she」に変わって、中性的な代名詞として新しく「ze(ズィー)」という語を使う大学生も出てきています。学者の中には抵抗感を示す人もいますが、言葉は大衆が使うもの。時代が変化すれば、大衆が変化し、言葉が変化するのも当然のことです。これからどの国の言葉もますます中立的な単語や表現になっていくことが予想されます。

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2019.3.25 日本における女性差別の実態とその原因について (2019年3月26、27日追加)
   
2018.12.18朝日新聞     日本における女性管理職の推移    2019.3.8琉球新報

(図の説明:左図のように、日本の2017年ジェンダーギャップ指数は、総合でも110位で先進国中最低だ。また、中央の図のように、女性管理職割合の推移も低迷している。そして、右図のように、沖縄の小学校教諭は70%が女性であるのに、管理職になると女性は22%しかおらず、中学・高校では、さらに低くなっているそうだ)

(1)日本における女性差別の実態
 日本国憲法は、*1のように、「第13条:すべて国民は個人として尊重される」「第14条:すべて国民は法の下に平等であつて、人種・信条・性別・社会的身分・門地により、政治的、経済的又は社会的関係において差別されない」等を定めており、この憲法で新しく定められた内容だけが太平洋戦争のプラスの遺産だったと、私は考える。

 しかし、「女性が平等に個人として尊重され、基本的人権を有すると認められているか」については、*2のジェンダーギャップ指数を見れば、日本は戦後70年以上経過しても149か国中の110位であり、G7では最下位で、達成に程遠い。特に、経済分野の117位、政治分野の125位が低く、教育分野は初等・中等教育では1位で男女平等と評価されているものの、大学等の高等教育では103位となり、多くの女性が高度な仕事や意思決定の場で、未だに閉ざされている状況が現れている。

 また、*5-3のように、2018年に明るみに出た大学医学部入試における女性差別は、教育段階から女性が高度な仕事に就くことを妨げている一例であり、あるべき姿から程遠いが、これは大学だけでなく、高校以下の教育や(社会の価値観を反映した)家庭教育にも原因がある。

(2)高校教育における女性差別
1)男女共学高校での女性差別の刷り込み
 私自身は、東京大学を卒業するまで機会の与えられ方について女性差別を感じたことは全くなかったが、*5-1のように、東京医大だけでなく都立高校入試でも、男女別募集定員によって女子学生は男子合格者より高い点数を取っても不合格になっているそうだ。
 
 そして、「男女別募集定員の緩和措置すら必要でない」と答える中学校長が2割おり、その理由を「①東京都には私立女子高が多く、教育の支えの一つだが、男女別定員制の緩和の結果、私立の女子高から生徒を奪う」「②成績上位には女子の方が多いので、全てを男女合同定員制として合否を判定すると男女比が大きく女子に偏り、学校施設等に影響が出る」「③結果的に男子生徒の進学先が決まらない」などとしており、「他を配慮するために、女子生徒を犠牲にするのは、何でもないことだ」とする呆れた考え方を持っている。

 だが、公立学校が性別を理由に女子生徒から教育機会を奪うと、*1のように、日本国憲法「第99条:公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」という規定に違反し、「第17条:何人も、公務員の不法行為により損害を受けたときは、法律の定めるところにより国又は公共団体に賠償を求めることができる」という規定によって、損害を受けた女子生徒は損害賠償請求することができる。そして、これが、戦後、公立で男女共学が進んだ理由である。

 しかし、*5-2のように、福岡県立高校の入学式では、前列に男子、後列に女子が並ばされたそうだ。私が卒業した佐賀県立唐津東高校は、男女別でも左右に分かれて並ぶため並び方では女性蔑視は感じられなかったが、名簿は男子が先、卒業アルバムも男子の写真が先に掲載されており、確かに「男子が主で重要」「男子の方が上」というような刷り込みをしている。

 このような中、教育で大切なのは教員や保護者の意識である。その理由は、私は実力テストでは殆ど学年1番、(文系科目も90点代後半だったが)理数系科目はだいたい満点で、それに関して「男子がやる気をなくす」「女子は、今はできても先では伸びない」「ガリ勉」「カカア天下」などと聞こえよがしに言う人が少なからずいたからだ。これは、小学校時代から教員や友達の保護者まで含めて同じだったが、私はそういう“空気”を無視できたから道が開けたのである。

 従って、「ジェンダーチェック」は、先生だけでなく保護者や生徒にも必要で、小学校入学時に配布して保護者や生徒の意識からも女子への偏見や差別を徹底的になくすべきなのだ。

2)男女別学高校での男女差別の刷り込み
 *6-1に、「公立高校といえば共学のイメージですが、北関東には男女別学の公立高校がまだ残っている」「②数学・科学は男子の方が得点高く、読解力は女子が得点高いので、男女の違いを活かした教育ができるのが男女別学男女別学の強み」「③別学は勉強に集中しやすい環境と言える」「④男子任せや女子任せにせず、いろんなことに挑戦できる」「⑤別学は異性と出会うチャンスがない」などと書かれている。

 しかし、①は憲法違反で、②は平均が個人を表すわけではないので偏見による差別であり、まさにジェンダーの根源である。さらに、③⑤のように、多感な時期に異性から隔離されて育った人は、その後も異性に対して先入観を持ちがちで、職場ではジェンダーの温床となる。また、④は、男女一緒にいる中でもいろいろなことに挑戦できなければ、男女別になっていない社会ではさらに挑戦することができないので、男女共学の中で鍛えるべきなのである。

 私は関東に住んで、都立高校は特に優秀ではなく、私立は殆ど男女別学なのに驚くとともに呆れた。しかし、その周辺は公立高校も男女別学であり、これは憲法違反だと思った。しかし、*6-1に書かれているとおり、北関東に残っている男女別学は「旧制中学校・高等女学校を前身とする伝統ある高校だから」なのだそうだ。しかし、冗談いっちゃいけない。私が卒業した佐賀県立唐津東高校も、元は小笠原氏の志道館という藩校だった立派な伝統校だが、戦後に男女共学になった学校なのである。

3)男子校と女子高の教育理念の違い ← 生徒がよく歌う校歌で比較する
 そこで、旧制中学・高等女学校を前身とする伝統ある高校だとして、男女別学を譲らなかった埼玉県立浦和高校(*6-2-1、東大合格者数22人)と同浦和第一女子高校(*6-2-2、東大合格者数4人)の校歌で教育理念を比べると、以下のとおりだ。

 *6-2-1の男子校の方は、「①国家に望みある学生」「②広き宇内に雄飛せん」と生徒に国家への貢献や宇宙への雄飛を鼓舞している。しかし、*6-2-2の女子高の方は、「①三年の春秋を選ばれてすごす喜び」「②三年の青春を選ばれて誇る幸い」「③三年の教えを選ばれて受ける楽しさ」などと選ばれて入学してきたことのみを誇って卒業後の活躍を鼓舞しておらず、選ばれたレッテル付きの女性が、卒業後は家庭で子育てし、真心を込めて夫や家庭を支える良妻賢母を目指す「女子教育」を行っているのだ。

 一方、私が卒業した佐賀県立唐津東高校(*6-3、東大合格者数1人)の校歌は、下村湖人作で「天日かがやき・・光の学徒」「はてなく広ごる眞理の海を抜き手をきりつつ泳ぐ力の学徒」「平和と眞理に生命を享けた希望の学徒」「われらの理想は祖国の理想、祖国の理想は世界の理想、理想を見つめて日毎に進む」と、東大合格者数は浦女より少ないが崇高な理念を述べている。そして、これが、女性が男女共学校で教育を受ける最も大きな意味なのである。

(注)1つの指標として2019年3月の東大合格者数を比較すると、東京都立日比谷高校(男女共学)47名、埼玉県立浦和高校(男子校)22名、埼玉県立浦和女子高等学校(女子高)4名、東京にある私立中高一貫女子高のうち①桜蔭高等学校66名 ②女子学院高等学校33名 ③しらゆり学園高等学校7名、東京にある私立中高一貫男子高のうち④開成高校(男子校)187名 ⑤麻布高校(男子校)100名など、男女とは関係なく早くから計画的に勉強した方がよい成績を納めている。そのため、地方の学校は、これ以上のんびりしている場合ではなく、親の所得や教育観が子に悪い影響を与えないためには、子が行きたい大学に行けるシステムの構築が不可欠だ。

(3)女性差別は大学だけの問題ではないこと
       ← 「女性の教育」と「女子教育」の違い、メディアの表現
 女性差別は、高校・大学の入試だけでなく、メディアも含めた社会全体の問題である。その良い例は、*3-1・*3-3のように、女性が教育を受ける権利を訴えてノーベル平和賞を受賞したマララさんが、3月22日に来日して首相官邸を訪れ、安倍首相に「①G20で全ての国の指導者に女性の教育に投資するよう働きかけてほしい」「②女性も仕事ができるようにして欲しい」と語ったにもかかわらず、まず安倍首相が勘違いして「女子教育(良妻賢母養成型教育)」と表現し、その後、日本のメディアは、*3-2のように、一貫して「女子教育」と表現し続けて、マララさんが英オックスフォード大で学んでいることには殆どが触れなかったことだ。

 しかし、本当にすごいのは、パキスタン出身で女性が教育を受ける権利さえおぼつかないにもかかわらず、それを訴えて銃撃されたマララさんに、世界はノーベル平和賞を与え、英国は英オックスフォード大で学ぶ機会を与え、その人が日本の首相にG20での働きかけを頼みに来たことであり、マララさんが自分の理想を祖国や世界の理想にしようとしていることなのである。

(4)社会における女性差別
 学校を卒業して社会に出ると、*4-1のように、「小学校の先生は70%が女性なのに管理職はわずが22%」「中学・高校はさらに低い」というコンクリートの天井があり、その理由はいつも「長時間労働」と「女性の家事・育児負担」と説明される。そして、「女性への重圧が大きく、管理職を勧めるのも躊躇する」となる。しかし、自ら「家事育児を負担したいので、管理職にはならない」と希望する人以外は、何らかの形で乗り切って上に行きたいのだから、そうする機会を差別なく与えるべきであり、「平均」をもって管理職に登用しないのを差別と呼ぶのだ。

 また、*4-2に「性別役割分業の転換が急務」と書かれているが、これは教育段階でジェンダー教育が行われ、女性は家事育児が得意となるための、また男性は生計を支えるための、中等・高等教育を受ける例が多いため、ここから変えなければならないのである。

・・参考資料・・
<日本における男女平等の理想と現実>
*1:http://www.japaneselawtranslation.go.jp/law/detail_main?id=174 (日本国憲法抜粋) 第三章 国民の権利及び義務
第十一条 国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。
第十三条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
第十四条 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
第十七条 何人も、公務員の不法行為により、損害を受けたときは、法律の定めるところにより、国又は公共団体に、その賠償を求めることができる。
第九十九条 天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。

*2:https://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2019/190117.html (2019年1月17日 日本弁護士連合会会長 菊地 裕太郎) 世界経済フォーラムのジェンダーギャップ指数に対する会長談話
 2018年12月19日、世界各国の男女平等の度合いを指数化した「ジェンダーギャップ指数」について、世界経済フォーラムから報告書が発表された。日本は149か国中110位であり、主要7か国(G7)中最下位である。ジェンダーギャップ指数は、女性の地位を、経済、政治、教育、健康の4分野で分析し、ランク付けをしているが、日本は、経済分野は117位、政治分野125位、教育分野65位、健康分野は41位である。前年と比較すると、教育分野がわずかに順位を上げただけで、その他の3分野についてはいずれも前年より後退している。経済分野においては、同種業務での賃金格差、専門的・技術職の男女比など5項目全てにおいて指数自体は改善されたにもかかわらず、順位は前年の114位から117位に後退している。これは、他国の男女格差の改善の度合いが我が国よりも進んでいるためと考えられ、経済分野における世界的な男女格差の解消に日本が追い付いていないことがうかがえる。また、政治分野が125位と上記4分野の中でも最も低い順位であったことは憂慮すべきことである。女性の政治参加は、あらゆる分野における女性の地位向上のための必須の条件というべきであり、国政の場においても地方政治の場においても、女性議員の増加を図るなど、女性の政治分野への進出が強く望まれる。教育分野については、識字率や初等・中等教育は1位で男女平等と評価されているものの、大学などの高等教育の就学率は103位と、他の項目と比して極端に低く、是正が求められる。昨年明らかとなった複数の大学医学部入試における女性差別は、この点からしてもあるべき姿に逆行しているといえる。以上から、当連合会は、日本政府に対し、職場における男女格差を解消し、女性の活躍を更に推進するために、働き方改革の取組にとどまらず、女性の政治参加や高等教育における男女格差の解消を重点課題とし、加えてこれらの課題実現に向け、速やかに具体的措置・施策を講じるよう強く求めるものである。

<女性教育と女子教育の違いとメディアの表現>
*3-1:https://digital.asahi.com/articles/DA3S13945827.html?iref=pc_ss_date (朝日新聞 2019年3月23日) 「女性の教育へ投資、呼びかけて」 マララさん、首相訪問
 女性教育の権利を訴えてノーベル平和賞を受賞したマララ・ユスフザイさん(21)が22日、初めて来日した。首相官邸を訪れ、安倍晋三首相と会談。6月に大阪で主要20カ国・地域(G20)首脳会議が開かれることから、「安倍首相と日本には全ての国の指導者に女性の教育に投資するよう働きかけてほしい」と語った。マララさんは首相と会談後、共同記者発表に臨み、世界中の学校に通えない女性のために「個人、企業、政府の支援が必要だ」と訴えた。首相は「マララさんが武装勢力からの脅迫に屈せず女性が教育を受ける権利を訴え続けたことは、世界中の人々に勇気を与えた」と話した。マララさんは23日、東京都内で開かれる政府主催の「第5回国際女性会議WAW!」で講演するため、来日した。

*3-2:https://www.jiji.com/jc/article?k=2019032200903&g=pol (時事ドットコム 2019年3月22日) 安倍首相、ノーベル平和賞マララさんと会談=女性活躍、G20で議題に
 安倍晋三首相は22日、初来日したノーベル平和賞受賞者マララ・ユスフザイさんと首相官邸で会談した。首相は「圧力や暴力に屈せず、女子教育の重要性を世界に訴えたマララさんに敬意を表したい」とたたえた。会談後、マララさんと共同記者発表に臨み、6月に大阪で開かれる20カ国・地域(G20)首脳会議で「女性が輝く社会の実現」を重要議題の一つに位置付ける考えを示した。女性教育活動家のマララさんは記者発表で「G20の議長国として、女子の教育について率先して各国リーダーに働き掛け、女子が将来の仕事に備えることを支援すべく新たな資金をコミットするよう奨励していただきたい」と語った。マララさんは23、24両日に東京都内で開催される「国際女性会議WAW!」に出席し、同会議で基調講演を行う。

*3-3:https://digital.asahi.com/articles/DA3S13947532.html (朝日新聞 2019年3月24日) マララさん「女子教育へ投資、未来作る」 国際女性会議で講演
 女性が教育を受ける権利を訴えてノーベル平和賞を受賞したマララ・ユスフザイさん(21)が23日、東京都内で開かれた政府主催の第5回国際女性会議と主要20カ国・地域(G20)に政策提言を行う「Women 20(W20)」の合同セッションで講演した。マララさんは「今、女子教育に投資すれば、想像できないほどの未来を作ることができる」と訴え、各国に支援を求めた。マララさんはパキスタン出身。女性が教育を受ける権利を訴え、2012年10月にイスラム武装勢力に銃撃された。現在は英オックスフォード大に通う。講演で「過激派は教育の権利を訴えた私を攻撃した。でも失敗した」と主張。「私の声は大きくなっている。今、学校に行くことのできない1億3千万人の子どもを代表してここにいる」と語った。また、全ての女子が中等教育を受けられれば、30兆ドルの経済効果があるとの試算を紹介。「我々は行動を起こさなければいけない」と呼びかけた。安倍晋三首相は国際女性会議のあいさつで、日本政府として途上国での女子教育の支援を表明。「20年までの3年間で、少なくとも400万人に上る途上国の女性たちに質の高い教育、人材育成の機会を提供して参ります」と述べた。
■男女の労働参加、格差縮小へ提言
 W20は23日、今年6月に大阪で開かれるG20首脳会議を前に、安倍首相に女性に関する経済政策の提言を手渡した。企業のリーダーや研究者の女性たちでつくるW20はG20の公認グループで、2015年に発足した。経済発展には男女平等が不可欠として、政策を女性の視点で捉え直そうという取り組みだ。日本で初のW20開催となった今年は、「労働」「デジタル」「投資」など計7項目の提言をまとめた。重視したのは、労働参加率の男女格差の縮小。14年にG20が採択した「25年までに各国の労働参加率の男女間格差を25%減らす」という目標を達成するため、20年のG20で中間報告を行うことを求めた。企業や役所の管理職を30年までに男女同数にするとした国連による目標の達成に向けてG20が各国の進み具合を確認する仕組みも求めた。

<社会における女性差別>
*4-1:https://ryukyushimpo.jp/news/entry-885652.html (琉球新報 2019年3月8日) 小学校の先生70%が女性なのに、管理職はわずが22%  2018年度沖縄県内 中学・高校はさらに低く
 沖縄県内の小学校教諭は女性が70.2%を占めるにもかかわらず、教頭以上の管理職は女性が22.0%と低く、男女比率が逆転していることが2018年度学校基本調査から分かった。長時間労働が常態化する中で家事・育児まで負担する女性教諭は管理職に挑戦しにくく、数が伸び悩んでいると見られる。管理職経験者も「女性への重圧は大きく、管理職を勧めるのもちゅうちょする」と話す。女性管理職の割合は中学16.2%(女性教諭割合50.0%)、高校10.4%(同45.3%)とさらに低い。国が掲げる指導的地位にある女性の割合「2020年までに30%」は現実的に不可能だ。全国平均は県内よりさらに少なく、中学は県内より6.5ポイント低い9.7%、高校は1.6ポイント低い8.8%にとどまる。小学校は22.9%で県内より0.9ポイント高かった。1986年の男女雇用機会均等法の施行後、県内の女性管理職は小中学校は90年代前半、高校は半ばごろから増え始めた。小学校は2001~06年に3割を超えたが、その後減少に転じ、ここ数年は20%前半で横ばいだ。学校管理職は、年齢や教職経験などの条件を満たした教諭が試験を受けて昇任する。県教委は「試験は公平に行うため性別で区別していない」とし、女性比率の目標値は設定していない。19年度選考試験で小中高と特別支援学校を合わせた受験者は604人で、うち女性は104人と17.2%にすぎず、受験する人数自体が少ない。合格者は210人で女性は50人(23.8%)だった。多くの教員が長時間労働を強いられる中、現場からは「家事や育児もある女性が男性と同じように管理職を目指すのは難しい」との声が上がる。女性の退職教諭は「社会の変化は遅い。男性は家事・育児を引き取り、女性を解放して」と訴えた。

*4-2:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20190322&ng=DGKKZO42704410Q9A320C1KE8000 (日経新聞 2019年3月22日) 働き方改革 今後の課題(上)雇用慣行見直し 抜本的に、性別役割分業の転換が急務 永瀬伸子・お茶の水女子大学教授 (1959年生まれ。東京大博士(経済学)。専門は労働経済学)
<ポイント>
○若年人口減で日本的雇用慣行の矛盾拡大
○女性の賃金底上げへ正社員比率上げ必要
○父親の帰宅なお遅く子育て参加は限定的
 2019年4月から働き方改革法のうち残業の上限規制が実施される(中小企業は20年4月から)。時間外の上限について「月45時間、年360時間」を原則とし、臨時的な事情がある場合でも年720時間、単月100時間未満(休日労働含む)、複数月平均80時間(同)が限度となる。また20年以降に施行される正規・非正規雇用労働者間の不合理な待遇差の禁止も重要だ。働き方改革は、日本経済にとって次の点から必要だ。第1に日本的雇用慣行のひずみが拡大している。企業側が長期雇用を保障し、年功的な賃金制度をとる代わりに、企業側に強い残業命令権や配転命令権が与えられる。景気が悪いときも解雇しないで済むようコア社員数を少なく採用する。このため景気が良くなると残業が発生しやすい。さらに長期雇用なので、その時々の仕事内容よりも、年功的な職能資格で賃金が決められてきた。しかし若年人口が少数となり、中高齢人口が多数を占めるような人口構造では、中年期に賃金が大きく上がる賃金制度の維持は難しくなっている。そのため企業は正社員採用を絞り、非正社員の採用を増やしていった。こうした中で、正社員の仕事負担が増えて長時間労働が恒常化する一方、非正社員の賃金は低く、若年男女の一部には貧困が拡大している。第2にグローバル競争の中で、どの先進国でも平均的な男性の年収は下落傾向にあるが、女性の稼得賃金の上昇が家計の豊かさに貢献している。しかし日本では男性が長時間労働をする一方で、女性は出産を機に離職し、その後は最低賃金近くで働く者がいまだ多い。女性の稼得能力を引き上げるには、長時間労働を当然とする働き方を改革したうえで、女性の正社員の就業継続の奨励や、非正社員と正社員の賃金格差を縮小させることが重要となる。第3に「長時間労働だが高賃金」もしくは「労働時間の自由度は高いが低賃金」という働き方の二分化は少子化を促進する。たとえ長時間働いても、男性が1人で家族を支える生涯賃金を得られる見通しを持ちにくくなった。また未婚男女に後者の働き方が広がっているが、金銭面からも、育児休業制度などの社会的保護が不十分なことからも、家族形成が困難だ。女性が稼得能力を持続しつつ子どもを持てる働き方と社会保障をつくり出すには、男性を含めた働き方の見直しが必要だ。つまりこれまでの日本的雇用慣行の大改革が必要だ。日本的雇用では、家族のケアは無職の妻が担うことが暗黙の前提とされてきた。給料に配偶者手当を上乗せする企業が多いことも、サラリーマンの被扶養配偶者を保護する社会保険での第3号被保険者制度も、こうした背景から維持されてきたのだろう。男女雇用機会均等法が施行されて30年になるが、これまでは働き方改革を伴っていなかった。このため女性にとって相対的に高賃金を得られる未婚期を延ばすインセンティブ(誘因)にしかならず、家族形成を機に「長時間労働が前提で高賃金」な仕事を離職する者が多数だった。総務省「労働力調査」によれば、17年の35~39歳層の女性正社員比率は35%程度にとどまり、有配偶に限定すれば29%で、40歳代も同程度だ。07年の35~39歳層の29%、有配偶の21%からは上昇しているが、中年期の女性正社員割合は3割程度にとどまる。また女性正社員の平均年収は300万円を超えるが、パートは100万円台、契約社員・嘱託社員でも200万円前後だ(労働力調査から所得階級の中位数を使って金額を推計)。女性の賃金の底上げには、正社員比率を上げるか、非正社員の立場でも経験とともに賃金が上がるような働き方をつくり出すしかない。ここまでの働き方改革は成功しているのだろうか。正社員女性の出産離職が大卒中心に減っているほか、女性正社員だけでなく男性正社員の労働時間についても、特に子どものいる層を中心に安倍政権下で減少しており、一定の成功を収めたといえる。労働力調査によれば、労働時間は一貫して減少している(図参照)。育児休業取得が増え育児短時間勤務も法制化されるなど、特に幼い子どものいる女性正社員の労働時間は目立って減った。変化は比較的小さいが、男性正社員の労働時間も減っている。幼い子どもを持つ男性の労働時間はより大きく減っている。しかし事業所に対する調査である厚生労働省「賃金構造基本統計調査」でみた傾向は異なる。25~34歳男性の所定内労働時間と残業時間の合計は、世界金融危機後の09年に下落した後、緩やかな増加傾向にある(図参照)。図には示していないが、10~99人企業の月間所定内労働時間は1千人以上の企業よりも10時間ほど長い。一方、1千人以上企業は景気動向とともに残業時間が最も伸びる。景気が良いときに残業が増えるのは通常の景気循環の動きだ。ではなぜ両調査の傾向はかい離しているのか。労働力調査は月末1週間の労働時間を個人に尋ねたものだから個人の記憶による。一方、賃金構造基本統計調査は常用労働者10人以上の企業で賃金台帳に記録され、賃金が支払われた労働時間だ。労働力調査はサービス残業を含めた正社員の労働時間が減少傾向にあることを示す。賃金構造基本統計調査は、最近の景気回復による需要増で残業が増加傾向にあることを示すとみられる。全般に、個人対象の調査からは依然男性の労働時間が長い実態が見えてくる。16年の総務省「社会生活基本調査」によれば、小学校在学の10歳未満の子どものいる父親は、午後7時には半数、8時には37%、9時には25%がそれぞれ仕事をしている。専業主婦世帯と夫婦共働き世帯を比較すると、8時に父親が仕事をしている割合はそれぞれ43%と35%で、共働き世帯の父親はやや帰宅時間が早い。しかし夕食時間の6時をみると、どちらの世帯の父親も7割超が仕事をしている。一方、共働きの母親は、6時を過ぎると1割未満しか仕事をしておらず、子育てへの父親参加はまだ限定されている。賃金面では、一般雇用男性の40~44歳層の所定内賃金は07年からの10年で33万円ほど減ったが358万円だ。一方、同年齢の正社員女性の賃金は13万円ほど上昇したとはいえ262万円にとどまる。なお賃金構造基本統計調査から、月間労働時間が205時間(週40時間労働で4週働き、時間外上限の原則である月45時間を足した水準)を超える者の割合を計算すると、景気回復とともに上昇しており、20歳代~40歳代の男性正社員の2割弱、女性正社員では6%程度にのぼる。特に男性については今後も仕事の効率化など工夫が求められる。残業規制の強化により、疾病やメンタルヘルス悪化の緩和が期待される。しかし男性が家庭時間を持ち、女性が働きやすくなるにはまだ道は遠い。同時に正社員と非正社員の格差縮小も重要だ。日本企業の強みは人材育成にあったとされるが、非正社員は企業内の人材育成の仕組みから外れてしまっている。同一労働同一賃金ガイドラインでは、仕事の差と賃金差について納得できるものとするよう求めている。筆者は今後の日本経済を考えれば、納得性に加えて、人材育成に寄与するステップアップ可能な働き方とすることが重要だと考える。

<男女共学高校での女性蔑視の刷り込み>
*5-1:https://news.yahoo.co.jp/byline/sendayuki/20180803-00091738/ (Yahoo 2018/8/3) 東京医大だけではない。女子中学生も入試で不当に落とされているー都立高校の入試
●東京医大以外にも、女性枠はある。
 東京医大では、2011年以降、女性が入学者の3割を超えないように入試の点数を操作していたという。女子の受験生のペーパーテストの点数を一律に減点し、男子の小論文に加点していたというのだ。酷い話である。しかし、女性がテストで優秀な点をとっても入学が許可されないことは、大学入試だけではない。実は都立高校の入試もそうである。女子学生は男子の合格者よりも高い点数を取っていても、不合格になっているのである。その理由は、男女別募集定員の存在である。
●男女別募集定員の緩和措置すら必要でないと答える中学校長が2割
 男女別定員があることによって割を食っているのは、成績優秀者が多いほうの女子である。1998年から、この男女別に募集人員を定めている都立高校の「男女間の合格最低点における著しい格差を是正するため」、募集人員の1割だけは男女に関係なく、成績順に合否を決めることで、少しでもこの不平等を是正する制度を始めている。全定員のなかのたった1割だが、それでもこの制度すら不要だと考えているひとはいるようだ。アンケートに答えた中学校の校長53人のうち、約2割程度はこの是正措置すら不要だと考えているようだ(平成30年度東京都立高等学校入学者選抜検討委員会報告書。以後、この報告書を紹介する)。
●男女別定員を緩和すべきではない理由
 それでは、中学校長が男女別定員を緩和すらすべきでないと考える理由はなんだろうか。
○ 男女別定員制の緩和により合格するのは、ほとんどが女子である。東京都には私立の女子高等学校が多く、東京都の教育の支えの一つであると考えるが、男女別定員制の緩和の制度により、結果的に女子を多く入学させることになり、私立の女子高等学校から学生を奪う形となってしまう難しさがある。
○ 成績の上位には女子の方が多い傾向がある。そのため、全てを男女合同定員制として合否を判定したとすると、今以上に男女比に大きな偏りが生じ学校施設等に影響が出ることが懸念される。
○ 実際に男女別定員制の緩和を行うと、多くの場合、女子の入学者数が増加する。私立高等学校でも女子の定員の方が多いため、結果的に男子生徒の進路先が決まらない状況が生まれてしまう。つまり、女子を入学させると、私立の女子校から生徒を奪ってしまう、男性生徒が進学できなくて困ってしまう、学校の施設に影響がでる、というのである。これに対して、現場の高校の校長は、また違った意見を持っている。
○ 男女間の学力差が縮まることで授業効率が良くなり、生徒の学力向上につながっている。
○ 男女別定員制の緩和により、総合成績が同じでも性別によって合否の結果が異なってしまうことに対する不公平感を緩和することができる。
○ 男女別定員制の緩和によって女子が多く入学し、男女の生徒数のバランスを欠く状況にある。体育の授業や学校行事を実施する際の不都合や、部活動等への影響が生じる場合がある。性別ではなく学力で選抜することにより、生徒の学力向上につながっていること、不公平感が緩和されることである。他方、体育の授業や学校行事、部活動等への影響が生じるという意見もある。私自身は高校のときに男子に較べて女子の比率は半分、大学に至っては男女比が9対1(それでも女子合格者が、1割を超えたとニュースになった)、その後の仕事も男性が圧倒的に多い人生を生きている。そこまで熱心に、男女同数に配慮してもらったという記憶もない。何よりも都立高校は、定員は男女同数ですらなく、どの学校も男子の定員のほうが多い(かろうじて数校が、男女同数だ)。男女枠の緩和をこれから導入する高校もあれば、廃止する高校も同じくらいある。
○ 男女別定員制の緩和については、男女間の合格最低点を是正する点で一定の成果があるため、現行どおり、真に必要と認められる高等学校に限定して実施する。「真に必要と認められる高等学校」がどのようなものかは分からない。しかし、公立の学校が性別を理由に、女子生徒から教育機会を奪っていいのだろうか。とくに親の子に対する進学期待は、いまだ男女で違いがある。女子の進学を妨げる方向で、定員を決めることの妥当性は、何だろうか。少なくとも私には、事前に告知してあること以外、東京医大との違いは見つけられない。

*5-2:https://digital.asahi.com/articles/DA3S13912705.html (朝日新聞 2019年2月28日) (サヨナラしたい8つの呪縛:2)「男が上」、学校の刷り込み
■Dear Girls
 「なんで女子が後ろなの?」。昨春、福岡県立高校から早稲田大学に進学した女性(19)は、高校の入学式でそう思った。前列に男子、後列に女子が並ばされた。担任の女性教諭に理由を尋ねたが、教室も男子、女子と分かれた名簿順に座っており、「前からこうなっている」と返された。卒業式でもこの構図は変わらなかった。女性は「女子は男子の陰に隠れていろということか、と思えた」と振り返る。
■「差別を再生産」
 学校の中に潜む性差別を指す「隠れたカリキュラム」の事例だ、と女子栄養大の橋本紀子名誉教授(教育学)は指摘する。「例えば校長の男女比をみると、圧倒的に男性が多く、いびつだ。『上に立つのは男性』といったメッセージを子どもに伝える。学校が差別の再生産装置になっている側面もある」。橋本名誉教授によると、日本では1985年に発効した国連の女子差別撤廃条約を受け、「男女平等教育」が注目され始めた。90年代には隠れたカリキュラムへの関心が高まり、性別に関する固定的な見方から解放された教育が提唱されるように。だが、02年ごろから「伝統文化を破壊する」などとしてバッシングが始まった。
■平等めざす試み
 ただ、遅れの中にも、男女平等をめざす取り組みは重ねられてきた。滋賀県は、性別による偏見や思い込みにとらわれず、進路選択や指導ができるようにと、20年前から小中高校向けに独自の教材を作り、全校に配っている。小学生向けの教材では、学校生活の中で起こりうる場面を想定し、かける言葉を考えたり、性別による決めつけがないかを振り返ったりするページがある。「調理クラブのメンバーに、男の子は1人だけ。その子に向かって『女子の中に男子が1人だな』と言った友だちに、あなたはどんな声をかけますか――」。指導の手引には、「先生のためのジェンダーチェック」の一覧表もある。「男子に対しては女子に比べると少々厳しく指導した方がよいと思う」「生徒会や応援団長は男子がなるべきだと思う」といった意見への賛否を書き込みながら、思い込みや偏見がないか見つめ直せる作りになっている。福岡県では今年度、県教委が県立高校に男女混合名簿の導入を促した。新年度には、95校中80校近くが取り入れる。その一つの県立須恵高校の教頭は「男子が前、女子が後ろの式典風景も変わるだろう」と言う。「これまで違和感を感じる生徒もいたはずで、その気持ちにも思いを巡らせた」
■偏見知り、進む学び
 ある高校を取材した時のこと。家事分担をめぐり険悪になっている、保育士とトラック運転手の夫婦に助言を――。課題に取り組む生徒たちに先生が「ちなみに夫が保育士、妻が運転手だよ」と伝えると、「マジか!」と声が上がった。思い込みに気づいた瞬間の輝くような表情が印象的だった。無意識の偏見に気づくことは様々な学びの基礎になる。ジェンダーは格好の材料だと思う。

*5-3:https://digital.asahi.com/articles/DA3S13918841.html (朝日新聞 2019年3月5日) (Dear Girls)下げられた女性のスタートライン 医学部生、差別体験
 入試面接で「出産したらどうやって育てていくのか」と聞かれた。女子は外科に興味がないだろうからと、手術を見学させてもらえなかった――。複数の医学部入試で女子受験生が不利な扱いを受けていた問題を受け、医学生の団体が行ったアンケートには、性別を理由に差別された体験が多く寄せられた。男女のスタートラインは、女性に対する「減点」や「女性だから」という決めつけによって、一直線ではなくなっている。不正入試問題の発覚から半年あまり。現役医学部生からも、変革を求める動きが活発になっている。全日本医学生自治会連合(医学連)は先月、全国の医学生を対象にしたアンケートの中間集計と提言をまとめた。不正入試問題の受け止めや、入試や大学で性差別を受けた体験を尋ねる内容で、昨年12月から今月末まで実施中。2月1日時点で2186人(男性57・5%、女性40・7%、性別無回答1・8%)が答えた。入試に関しては「医師という職業に就く権利は最大限尊重されるべきであり、医師の多様性は社会の要請するところだと考える」(男性、3年)などの回答があった。入試の面接で、結婚や出産などに関する質問を受けた人は14%。主に女性から「妊娠はあなたにとってメリットかデメリットか」(2年)といった質問を受けた経験談が寄せられた。入学後も「『女子は外科に興味が無いだろ』と言われ、手術見学の機会を与えられなかったことがあった」(5年)など、性別を理由に学ぶ機会を奪われたという声もあったという。不正入試の背景として、医師の過重労働の問題が指摘されていることに関しては、約7割が「将来の働き方を不安に思っている」と答えた。医学連は調査結果を踏まえ、大学や自治体、病院に対して、性別・年齢を理由にした不公正な扱いを禁止することや、医師の労働環境の改善、医師の多様性を確保することなどを求める提言をまとめた。一方、先月27日、東京・永田町では、医療系学生団体「入試差別をなくそう!学生緊急アピール」の集会が開かれた。あいさつに立った医学部3年の女子学生は「受験生の時から疑問だったことが、やっと公になった。行動し、社会で問題を共有したい」と訴えた。団体は、問題発覚後の文部科学省の対応は不十分だとし、完全な差別撤廃などを求めている。
■「生きにくそう」海外志望も
 「在学中に感じていた違和感は、気のせいではなかったんだ」。20代の女性医師は昨年、医学部の不正入試問題が発覚したとき、そう思ったという。文科省の調査で、出身大学でも男女の合格率に差があったことがわかった。在学中、複数の教授らがこう発言しているのを耳にした。「最近、女子学生が増えてきて大変なんだよね、『調整』が」。めざす医師像を語っても、担当教授に「今はそう言っていても、女医さんは家庭をもったら考えが変わっちゃうから」と返された。女性は「入試でも、入学後も、医師になってからも、女性というだけで結婚・出産とひもづけられ、マイナスとみなされる。世の中の半分の人の道を閉ざすような仕組みを、残していいはずがない」と憤る。「それでも」と、女性は付け加えた。「医師の仕事にはやりがいを感じているし、経済的にも自立できる。海外で学ぶ手だってある。医師になりたい女の子たちは、どうかあきらめないでほしい」。実際、海外で医学を学ぶ女子学生もいる。千葉県出身の吉田いづみさん(24)は、2013年にハンガリーへ渡った。現在、医大4年生。留学を考えている日本の女子高校生から相談が寄せられることもある。なかには「日本だと、女子の自分は医学部への入学が難しいのではないか」という声もあるという。海外の医大を志望する都立高校1年の女子生徒(16)も「日本の医学部だと、『女子はこの診療科』と言われることがあると聞く。生きにくそう」と話す。
■浪人・地方…受験前にも壁
 18年度の学校基本調査によると、医学科の入学志願者の男女比は6:4。差があるのは、女子がそもそも受験に至る前にあきらめてしまっている面もあるのではないか。都内で医師の夫と、3人の子を育てる消化器外科医で漫画家の「さーたり」さん(41)は、そう思う。周囲には、「女の子なんだから」に続く言葉があふれていた。「多浪は恥ずかしい」「薬学部も受けておいたら?」「体力ないよね」。こうした風潮が、「女性のスタートラインを下げることにつながってきた」と感じている。「機会の不平等は医学部入試に限らない」。ジェンダー論が専門の瀬地山角(かく)・東大教授はそう話す。英国の教育専門誌タイムズ・ハイヤー・エデュケーション(THE)の世界大学ランキング2019によると、米ハーバード大の男女比は52:48で、中国・北京大も52:48とほぼ半々だ。選抜の仕方の違いはあるが、東大の資料(18年)によると、女子は24・3%。学部生に限ると19・5%に落ち込む。同様の傾向は京大や阪大にもあり、THEによると、男女比はそれぞれ76:24、69:31だ。東大は女子学生を歓迎するというメッセージを強く打ち出すために、17年度から女子学生向け家賃補助制度を始めた。「研究や教育の更なる向上のため、多様な学生が活躍するよう支援したい」という。ただ、なかなか「成果」は出ない。学部生に占める女子の割合は09年も19・0%で、横ばいで推移する。瀬地山教授によると、東大の合格者と受験生の男女比はほぼ同じ。「理系に進む女子が少ないのは一因だが、それだけではない。受験というスタートラインにすら立てない女子がいる」と指摘する。北日本の国立大の女性教授は「地方に優秀な女子が残る傾向にある」と打ち明ける。「経済状況が悪くなると、なかなか東京に子どもを出せなくなる。息子と娘がいて『1人だけなら出せる』となると、息子を行かせる傾向がある」。東大の瀬地山教授は言う。「地方出身、浪人の二つの属性を持つ女子は、東大では極めて少なくなる。社会は、自分の能力の限界まで努力する自由が制限されるのは深刻な差別だと認識し、女子をディスカレッジ(やる気をそぐ)しないでほしい」

<男女別学の公立・私立高校>
*6-1:https://mikata.shingaku.mynavi.jp/article/22791/ (進路のミカタ 2016.6.23) 栃木はなぜ公立校の男女別学が多い?
 公立高校といえば共学のイメージですが、北関東には男女別学の公立高校がまだ残っています。埼玉県に16校、群馬県に17校、栃木県に11校の別学校があるそう(2015年次のデータ)。この3県の教育委員会が、いまだに別学を存続させているのは、なぜでしょうか?まず、男女別学・共学のメリットをそれぞれ整理してみましょう。この記事をまとめると
○別学のメリットがわかる
○共学以外に併学というシステムもある
○栃木県にはいまだに公立校の別学が残っている
●男女別学の特色
 男女別学の強みは、男女それぞれの違いに応じた指導を受けられること。別学は勉強に集中しやすい環境と言えるでしょう。2012年のPISA(生徒の学習到達度調査)を見ると、読解力・数学的リテラシー・科学的リテラシーすべての面において、男女の得点に差があるのです。数学的リテラシーと科学的リテラシーにおいては男子の方が得点高い一方、読解力においては女子の方が得点高いことが明らかに。やはり、男子は女子に比べて生まれつき脳の空間認知中枢が大きいけれど、言語中枢が小さいため言語能力の発達が遅いという特徴を表していますね。このように、男女の違いを活かした教育ができるのが、男女別学なのです。男女別学のメリットを挙げてみると……
・男女の違いに応じた教育ができる
・異性の目を気にすることなく伸び伸びとできる
・男子任せになったり女子任せにすることがないので、バランスよくいろんなことに挑戦できる
などがあります。
ただ、高校生といえば、学校で異性とおしゃべりするのも楽しみな年ごろではあります。実際に、別学の高校だと異性と出会うチャンスは、ほとんどありません。文化祭だけが他校の異性と交流できるチャンス!と思わず力が入ってしまう学生も多いのでは? もちろん出会いは共学に比べたら圧倒的に少ないですが、それでも異性がいない気楽さや、同性ならではの団結力は魅力の一つと言えるでしょう。
●共学の特色
 一方、共学の特色を挙げて見ると……
・男女問わず友だちがたくさんできる
・学園祭や運動会が盛り上がる
・恋愛のチャンスも多い
勉強面でも、男女が共に机を並べることで、刺激し合えることもあります。別学出身の人は、いまだに共学に憧れるという声は少なくありません。一方で、恋愛に夢中になり、学業や部活がおろそかになってしまうケースもあるようです。同級生だけでなく、先輩の男子と付き合うこともあるとか。そして、別学と共学のいいところをミックスしたのが、「併学」というスタイルです。東京や神奈川にある私立のある学校3校では、校舎やクラスなどは男女別々、行事やクラブ活動を男女合同で行うことで、学習面では男女それぞれの個性を伸ばしクラブ活動では互いに刺激し合うことができます。実際に、その私学の学校は3校とも、「文部両道」の私学として全国的にも知られています。
●北関東の公立高校には男女別学が多い?
 別学、共学そして併学の特色を挙げてみましたが、実際のところほとんどの公立高校は共学で、別学か共学かという選択肢がないのが現状です。ほとんどの公立高校が共学になったのは、こんな時代背景があります。戦後新たな民主主義教育が導入されたことで、公立中学校はすべて共学になり、公立高校も北関東から東北エリアの一部を除いてほとんどが共学に。そして1970年代には、別学校が多かった東北地方や中部地方でも、共学校への移行や共学校を新設する動きが多かったようです。これは、男女共学の高校を増やすことが目的でした。男女差別撤廃条約が批准された1980年代には、さらにこの動きが加速し、1989年3月には学習指導要領が改訂され、家庭科が1994年度から男女共修になっています。こうした時代の流れで、別学はどんどん減少していく一方。それにも関わらず、北関東の埼玉県・群馬県・栃木県の3県では、別学校の共学化が議論されたことはあっても、存続されているのです。なぜかというと、北関東に残っている男女別学は、もともとは旧制中学校・高等女学校を前身とする伝統ある高校だったこともあり、歴史を重んじるという意味でも、別学を残したかったのです。特に栃木県においては、県政世論調査によると、8割近くの生徒・保護者や6割の県民が共学校と別学校の共存を望んでいることがわかります。栃木県民が、男女別学に関心があることは、ツイッターでも明らかになりました。2015年地元の新聞(下野新聞)ホームページ「SOON」のツイッターで、編集部が「全国でも屈指の『別学県』である栃木県。時代の流れか、それとも『伝統』か」と意見を求めたところ、これまでにない盛り上がりを見せ、「維持」60%、「原則禁止」26%、「分からない・その他」14%という結果になっています。栃木県民は、男女別学への想いが人一倍あることが、一目瞭然と言えるでしょう。北関東に別学が残っていたのは、偶然ではなく、きちんと意味があるのですね。地域の歴史を勉強すると、さまざまな発見があります。歴史を知ることで、より自分が住んでいるところに興味を持てるようになるかもしれません。自分が住んでいる地域に興味がある方は、地域の歴史を学んでみてはいかがでしょう。

*6-2-1:http://www.urawa-h.spec.ed.jp/index.php?page_id=189 (浦和高等学校校歌)
一、 校舎の礎動きなき       我が武蔵野の鹿島台
    朝に望む富士の嶺の      雪千秋の色清く
   夕にうたふ荒川の        水万歳の声高し
二、 将来国家に望みある       一千有余の学生が
   守る倹素と廉潔の          美風示して春ごとに
   大和心の香も深く         匂ふや庭の桜花
三、 花あり実ある丈夫が        堅忍不抜の精神を
   川ゆく水の末絶えず        高嶺の雪と磨きつつ
   雲井に続く武蔵野の         広き宇内に雄飛せん

*6-2-2:http://www.geocities.jp/musichall_8888/kouka.html (浦和第一女子高等学校校歌)
一  アカシアはもえ さみどりの           二  流れたゆとう 荒川の
   広き野をとぶ 綿雲に               朝もやをつく せきれいの
   望みはわきて かぎりなく             うたごえひびく たまゆらも
   わが胸にあふる                  清らかな空に
   思いみよ 心ひそめて               乙女子のゆめは はてなし
   ここに三年の春秋を                ここに三年の青春を
   えらばれてすごす よろこび            えらばれて 誇るさいわい
   ああ 浦和第一女子高校              ああ 浦和第一女子高校
三  夕月匂う つくばねを             四  枯葉とび散る 木枯しに
   はるかにあおぐ ひとときも            山脈 雪をかつぐとき
   瞳をあげて 祈らまし               日ざしはとおる おおらかさ
   あつき心に                    生命もあらたに
   花ひらく 遠きみらいを              まごころをこめて いそしめ
   ここに三年を学び舎に               ここに三年の御教えを
   えらばれて集う さだめを              えらばれて うけるたのしさ
   ああ 浦和第一女子高校               ああ 浦和第一女子高校

*6-3:http://cms.saga-ed.jp/hp/karatsuhigashikoukou/home/template/html/htmlView.do?MENU_ID=18744 唐津東高等学校・唐津東中学校校歌(併設型中高一貫校)
           「天日かがやき」(昭和二十五年)
                           下村湖人作詞 諸井三郎作曲
一. 天日かがやき大地は匂ひ        二. はてなく廣ごる眞理の海に
    潮風平和を奏づる郷に            抜手を切りつつ浪また浪を
   息づくわれらは松浦の浜の           こえ行くわれらは松浦の浜の
    光の学徒                  力の学徒
   光 光 光の学徒              力 力 力の学徒
三. 平和と眞理に生命を享けて       四.われらの理想は祖国の理想
    久遠の花咲く文化の園を          祖国の理想は世界の理想
   耕すわれらは松浦の浜の           理想を見つめて日毎に進む
    希望の学徒                われらは学徒
   希望 希望 希望の学徒           光 力 希望の学徒

<女性の政治参画について>
PS(2019年3月26日追加):*7に、「①朝日新聞社が2007~18年の47都道府県議選を4年ずつ1~3期に分けて分析したところ、1人区では無投票が35%から49%に広がっていた」「②候補者の中で女性が占める割合は1~3期いずれも11~12%と低い」「③特に1人区で女性候補者が少なく、3期とも6~7%」「④当選者の中での女性の割合も、1人区は3%→2%→2%と極めて低く、3期はわずか8人だった」と記載している。
 私は、佐賀三区を地元として、2005~2009年の間、自民党衆議院議員をしていたので理由がわかるのだが、①は、確かに無投票は有権者の選択機会を奪うため望ましくないが、メディアが権力と闘っている姿を演出するために薄っぺらな理由で議員を叩きすぎるので、仕事と比較して議員が尊敬されず、4年毎に選挙があるため安定しないのに報酬は低く、勤め人から議員になると損失の多いことが、まず男女共通の問題である。さらに、②③④の女性については、1人区なら男性を出して地元に強く利益誘導して欲しいという住民の願いから女性の当選率は男性より低くなり、既に男性の現職県議がいる場合は現職有利で公認されるため女性が公認されず、女性が候補者になると良妻賢母をよしとする人から「でしゃばり」「目立ちたがり」「性格が悪い」等々の罵詈雑言を浴びせられ、その結果、家族にも迷惑をかけることになるからで、つまりメディアはじめ有権者(男女とも)も女性に対して差別意識を持っているからである。

*7:https://digital.asahi.com/articles/DA3S13949873.html (朝日新聞 2019年3月26日) 無投票が半数/女性当選わずか 都道府県議選1人区、課題の山 統一地方選
 朝日新聞社が2007~18年の47都道府県議選を4年ずつ1~3期に分けて分析したところ、無投票の選挙区が1期(07~10年)の24%から、3期(15~18年)には32%に増え、なかでも1人しか当選しない1人区では無投票が35%から49%に広がっていた。1人区では、女性当選者が極端に少ない状態も続いている。1人区を見直す必要性を指摘する専門家もいる。
■07~18年分析
 1期と3期を比べると、全国の総定数は98減って2686に、総候補者数は252人減って3922人に。無投票の選挙区は、275から356に増えた。県議選は選挙区ごとに定数が決められており、1人区が全体の4割を占める。その1人区では、1期から3期にかけて無投票が166選挙区(1人区の35%)→179(同39%)→212(同49%)と急増。3割ある2人区でも、無投票は23%→25%→32%と拡大した。29日告示の統一地方選道府県議選でも、神奈川(前回11)や埼玉(前回9)などで増え、全国の無投票選挙区は過去最多だった前回を超えそうな情勢だ。候補者の中で女性が占める割合は1~3期いずれも11~12%と低い。特に1人区で女性候補者が少なく、3期とも6~7%。当選者の中での女性の割合も、1人区は3%→2%→2%と極めて低く、3期はわずか8人だった。1人区は複数が当選する中選挙区・大選挙区に比べ、「死票」も多くなり、得票率と議席占有率にズレが生まれる場合もある。3期の愛知では、選挙戦になった1人区12選挙区で、自民の得票率が49%だったが、自民の議席占有率は75%。1人区が多い埼玉でも得票率50%に対し、占有率は70%だった。
■「選択機会奪う」
 地方選挙に詳しい関西大・名取良太教授(現代政治分析)の話 無投票は有権者の選択機会を奪い、政治的関心を低下させるので望ましくない。抜本的な対策ではないものの、選挙区の区割りを変えて1、2人区を減らせば無投票は減るだろう。ただし制度だけの改革でなく、無投票を減らすには自民に対抗できる政党の存在が必要だろう。

<女性の登用について>
PS(2019年3月27日追加):*8は、見えない壁ではなく明確に見えている壁であり、その内容は1985年に制定された最初の男女雇用機会均等法で努力義務を課し、1997年の改正で禁止した女性差別そのものである(https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11902000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Koyoukintouseisakuka/0000087683.pdf 参照)。
 そのため、現在もそのような女性差別が続いているのなら、その地域は日本の先端より35年も遅れていることになるが、世帯の貧しさは女性が相応の給料で働かなければ改善せず、地域の貧しさも女性を教育して質のよい労働力を多く作らなければ改善できないため、早急に変える必要があることは明白だ。また、男女が結婚相手を選ぶ基準も、時代とともに変わる。
 なお、*9については、私も「女性の地位向上は今一つ」「強く印象に残ったのは東日本大震災と福島第1原発事故」「好きな歌謡曲は『世界に一つだけの花』」「平成は戦争のない良い時代だった」と思うし、「ネットは悪事に使う人もいるが、生活や社会を便利な方に一変させる効果があった」と考える。

*8:https://digital.asahi.com/articles/DA3S13953008.html?iref=pc_ss_date (朝日新聞 2019年3月27日) 女性ゼロ、市議も管理職も 出る杭打たれる風土 鹿児島・垂水
 女性市議が一度も存在したことがないまちがある。鹿児島県垂水(たるみず)市。4月に行われる市議選では2人の女性が立候補を予定するが、見えない壁がそびえ立つ。意思決定の場に女性がいないという現実。そして、その背景にあるものは。2月の定例会の本会議場で、議長席と議員席に12人の男性が陣取った。答弁に備える市長、副市長、各課の課長の席も男性一色。全国1788地方議会のうち、「女性ゼロ議会」は339。その一つが垂水市議会で、1958年の市制施行以来、女性議員が誕生したことはない。市役所の管理職に女性が就いたこともない。市総務課によると、昨年4月現在の職員数は男性139人に対し、女性47人。管理職にあたる課長級以上の17人は全員男性だ。森山博之総務課長(60)は「結果的にそうなっているだけ」と話した。一方、15年以上勤める女性職員は「女性に管理職を任せる下地ができていないと感じる」と言う。その象徴とみるのが、「総財企」と呼ばれる総務、財政、企画政策の3課の人事だ。この3課は市政の中枢を担い、職員数も多いが、係長級には男性が就くのが常。この女性職員は「部下の多い重要ポストに配属して育てないと、管理職も見えてこない」と漏らす。内閣府の2017年調査によると、鹿児島県の43市町村のうち、課長級以上の女性職員がいないのは、3割弱の12市町村。市区町村の管理職に占める女性比率も、鹿児島県は7・8%で、7・3%の愛媛県に次ぐ全国ワースト2だ。来月1日付の人事で、垂水市役所初の女性課長が誕生することが決まったが、変革は簡単ではない。民間での管理職経験がある市内の女性は「会社で男性社員が女性の上司に指示されると落ち込んで辞める、ということも目にしてきた」と証言する。「女性が上に立ちにくい。出る杭は打たれる風土が残っている」
■進学率、男子と開き
 女性の政治進出を阻む壁の一つが、「女性は教育水準が低いという意識」(県内の女性市議)。その根っこには、性別で教育投資が左右される現実がある。鹿児島市の女性公務員(24)は学生時代、九州大理学部を目指した。前期試験は不合格。後期は親に黙って熊本大を受験。合格を聞いた母に入学を猛反対され、地元の短大に進んだ。悔しい思いは今も残る。県内の20代の女性公務員は「女だから」「県内で就職するなら有利」と両親に言われ、短大を出た。弟は県外の4年制に通った。「女子は短大でいい、という風潮を感じる」。文部科学省の「学校基本調査」をもとに18年度の都道府県別進学率(浪人を含む)を算出すると、鹿児島県の4年制進学率は男子が43・4%で全国35位なのに対し、女子は34・1%(全国平均50・1%)で最下位。だが、女子の短大進学率は15・1%(同8・3%)で1位だ。県内で約20年短大講師をしている50代の男性は「優秀な旦那さんと結婚し、次世代を担う子を育てるという女性の役割は大きい。学生にもその思いを伝えている」と持論を述べた。鹿児島国際大の山田晋名誉教授(ジェンダー論)は、1人当たり県民所得が全国44位(15年度)という経済的な厳しさと男性優先の社会の二つが、「男女に能力差がある」との固定観念を生む「負の両輪」だと指摘。「希望する進学を妨げられて女性が負うハンデが、学歴に対する偏見と相まって、女性議員の誕生も阻んでいる」

*9:http://qbiz.jp/article/150916/1/ (西日本新聞 2019年3月27日) 平成は「良い時代」7割超が評価 女性の地位は低評価、世論調査で
 天皇代替わりに伴って、間もなく幕を閉じる平成の時代に関する郵送世論調査(3千人対象)の結果、「どちらかといえば」を含め、73%が「良い時代」と評価していることが分かった。57%が他者に対し「不寛容になった」と回答。女性の地位については「ほとんど向上していない」「まだ不十分」を合わせると86%を占めた。調査は共同通信社が2〜3月に実施した。経済が停滞し、大災害が相次いだが、戦争のない平和な時代であり、多くの人が日々の暮らしに一定の充足を感じていたといえそうだ。一方でインターネットを中心に、弱者への攻撃や排外主義的な主張が勢いを増している世相を懸念する姿も浮かぶ。強く印象に残る国内ニュース(三つまで)は、「東日本大震災と東京電力福島第1原発事故」が70%で最も多く、「オウム真理教事件」50%、「阪神大震災」40%が続いた。国際ニュースは「米中枢同時テロ(9・11テロ)」が44%でトップだった。業績を評価する歴代首相(3人まで)は、「自民党をぶっ壊す」と訴えて国民を熱狂させた小泉純一郎氏が77%の支持を得た。現首相の安倍晋三氏が38%、消費税導入を断行した竹下登氏が22%だった。平成を代表するスポーツ選手(3人まで自由回答)は、米大リーグで数々の記録を打ち立てたイチロー元選手が1位。フィギュアスケートの羽生結弦選手と浅田真央元選手が2位と3位で続いた。芸能分野では、2016年末に解散した国民的アイドルグループ「SMAP」が1位。代表曲の「世界に一つだけの花」は、好きな歌謡曲でも圧倒的に支持されてのトップだった。ネットの普及が生活や社会を一変させたことについては、「良かった」41%、「どちらかといえば良かった」45%で肯定的な意見が優勢だった。

| 男女平等::2019.3~ | 04:41 PM | comments (x) | trackback (x) |
2018.11.5 日本の女性差別と世界の状況 (2018年11月6、7、8、9、10、11、28日、12月1、3日に追加あり)
   
  2018.10.29BBC   2018.3.3     2017.10.12      2018.1.4   
             西日本新聞     中日新聞       東京新聞

(図の説明:女性議員割合は、2017年に日本は世界の中で158位と非常に低い。また、候補者のうち当選した人の割合が1/5程度と少ない理由は、与党であり当選者数の多い自民党の女性候補者が7.5%しかいないことが大きいだろう)

(1)女性政治家への評価と日本メディア独特の女性蔑視
1)メルケル独首相について
 10月28日のドイツ地方選挙で大敗したCDUを率いるメルケル独首相は、*1-1のように、首相としての地位を当面は維持するものの、2021年の任期満了で首相の職を退くと記者会見で発表されたそうだ。選挙で大敗した理由は、*1-2のように、移民・難民受入政策について政権内でも対立したり、ドイツの移民・難民流入抑制に対してEU加盟各国から反発の声が上がったりなど、多くの移民・難民を受け入れた後で困難な状況に遭遇したからで、人道的に対応したのに気の毒である。

 ただ、EUの場合は、移民・難民を労働力として活かさず施設で養い続ける政策を選択したため、移民・難民が国民負担になってしまった点が不幸だ。私は、移民・難民を施設で養うのではなく、人手が足りない分野に労働力として振り向ければ、移民・難民も生産するため国民の反発が少なかったと思う。例えば、移民・難民に施設での生活費を支給するよりヨーロッパの街を再生する事業に支出して、移民・難民にそこで働いてもらうような方法である。

 そのほか、メルケル独首相は、フクイチ事故を見てドイツを脱原発・自然エネルギーに導くなど、彼女にしかできない意思決定を速やかに行った。私は、このような人は滅多に出ないため、メルケル独首相の2021年引退宣言は本当に残念だと思う。

 しかし、メルケル独首相の場合は、女性だからといってその人格に独特のいちゃもんをつけられたのではなく、政策の相違が選挙結果に繋がったのであるため、これは女性政治家に対する評価に女性差別があったのではないと言える。

2)日本メディアの女性政治家に対する「いちゃもん」は女性蔑視を含むこと
 片山参議院議員が地方創生大臣になった途端に、*1-3のように、週刊文春が『口利き疑惑』を報道した。これは安倍首相のモリカケ問題と同じ路線だが、どちらも政治家の政策ではなく、細かいことで人格を否定する記事になっている点が同じであり、メディアがこれでは、日本に本当の民主主義は育たない。

 また、国会議員事務所は一般企業とは異なり、秘書や後援会員が必ず議員の承認を受けて行動しているわけではないため、議員が責任をとらないからと言って「トカゲの尻尾きり」と決めつけることはできない。にもかかわらず、「上が辞めなければならない」とするのは、組織における権限と責任の関係を無視した日本独特の誤った論理だ。私の場合は、公認会計士・税理士としての経験が長かったため、重要性のあるもの(細かいものまで見る暇などはない)には必ず目を通すようにしていたが、それでも秘書等には「うるさい」と不評だった。

 さらに、週刊新潮も、*1-4のように、「片山大臣は、むしゃくしゃすると秘書に怒号を浴びせかけ、それと同時にペットボトル・ノート・ハサミまで投げつけ、事務所に置いてある段ボールを腹立ちまぎれにハイヒールで蹴りつけるために穴だらけなど、数々のパワハラ伝説を持つ」と書いているが、これらは伝説にすぎない上、男性議員だったらいちいち取り上げないことではないのか? また、「口利き疑惑」も、片山大臣は、最初は聞いていなかったが、金属加工会社の社長に言われて、あわててフォローしたように見える。

 なお、*1-5のように、片山大臣は「セクシュアルハラスメントを根絶すべく、私の今の立場から全面的に発信をしてまいりたい」と宣言されたそうで、それはよいと思う。あまりおしゃれでないロングドレスをあわてて買う必要はなく、スーツや着物でよかったとは思うが、“セクシュアルハラスメント”には、物理的に触る行為だけではなく、相手が嫌がることを繰り返し言う行為も入る。

 そのような中、キャリアのある女性がそれなりの地位につくと、「性格が悪い」「パワハラ」などと決まり文句で腐すのもセクシュアルハラスメントだ。「秘書の出入りが激しい」というのも、(私も言われたことがあるが)理由が雇用者である議員にあるとは限らない。さらに、本当に馬鹿ではないかと思われるようなミスをしながら、「バカ」と言われて怒るのは逆切れというものだ。日本のメディアは、「女性は何をされても、『よよ』と泣くだけでいなければ傲慢だ」とでも言うのだろうか。それでは、(私も含めて)メルケル首相のような政治家やリーダーは、日本では出ることができない。

 片山大臣は、財務省出身であるためか生活保護者等への給付などを切ることを主張することが多いので厚労大臣には適さないと思うが、自民党の再生可能エネルギー普及拡大委員会委員長を勤めたり、衆議院議員時代は静岡県が地元で農漁業にも理解があったりするため、地方創成大臣には向いているのではないかというのが、私の正直な感想だ。

(2)あからさまな差別があるのが、現在の日本のレベルであること

     
   日本と世界のジェンダー比較       日本のジェンダーギャップ指数推移

(図の説明:日本では、世界と比較して上に行くほど女性の割合が低くなり、採用・昇進において女性差別があることは明らかだ。また、医師に女性が占める割合も日本は世界と比較して低いが、女性が多くなればそれなりの手法が開発されるので問題ないのではないかと思われる。ただ、日本では、診療報酬の引下げ圧力が強いためスタッフ数を増やせず、医師の私生活の犠牲の上に診療が成り立っている側面もある)

 「3人以上出産を」と新婚夫婦に呼び掛けていた自民党長崎県連の会長に抗議した長崎県の女性県議が、*2-1のように、県連の広報副委員長と政務調査副会長から外されたそうだ。女性が女性差別について抗議すると不利益を蒙るのはよくあることだが、このようなことこそ、一般市民はメディアを通して監視しておかなければならない。

 また、文科省が全国81大学の過去6年間の平均を調査したところ、女性は出産などの家庭責任が大きいため、*2-2のように、男子の医学部合格率が女子の1.2倍だったそうだ。受験する時に既に成績で絞られているため、*2-3のように、医学部の合格率に男女差があるのはむしろ不自然だが、大学は「成績の差」として調整を否定しており、「女性差別ではなく、実力の差だ」と主張するのもよくあることである。

 しかし、受験時にさえ女性差別する大学に入ると就労後の女性差別はさらに大きいため、女性の受験者は、*2-3の一覧表の1前後もしくはそれ以下の大学を選んだらよいのではないか?何故なら、それらの大学のレベルが低いわけでは決してないことがわかるからである。

 なお、大学入試ではなく、役所や一般企業への就職・昇進でも男女雇用機会均等法が定められ、女性差別は禁止されている。しかし、現在は、あからさまな差別しか問題にしない傾向があり、議員選挙も同じだが、女性に対しては男性なら問題にしないような変な批判を行って人望を落とす巧妙に隠された頑固な女性差別がある。そのため、ここもしっかり調査すべきだ。
 
<日本メディアの女性蔑視>
*1-1:https://www.bbc.com/japanese/46018679 (BBC 2018年10月29日) メルケル独首相、2021年に首相退任と表明 地方選連敗で
 28日の独地方選で大敗を喫したキリスト教民主同盟(CDU)を率いるアンゲラ・メルケル独首相が29日、2021年の任期満了をもって首相の職を退くと記者会見で発表した。今年12月の党首選に出馬しない意向も明らかにした。「任期を終えた後は、いかなる政治ポストも求めない」と、メルケル首相は記者会見で言明した。さらに、ヘッセン州やバイエルン州でCDUや提携政党が連敗したことについて、「全面的な責任」を負うと述べた。記者会見に先立ち独メディアは、首相が党首再選を目指さない意向を党指導部に伝えたと報道していた。メルケル氏は2000年にCDU党首となり、2005年以降、ドイツ首相を務めてきた。CDUは28日、中部ヘッセン州の州議会選挙で、連立与党を形成する社会民主党(SPD)と共に得票率を大きく落とした。14日に行われた南部バイエルン州の州議会選挙でも、メ連立与党を組むキリスト教社会同盟(CSU)が大敗した。相次ぐ地方選での敗北に、連立は崩壊目前とされている。独報道や消息筋によると、メルケル首相はCDU党首は再選を目指さない方針ながら、独首相には留まる意向で、これまで与党党首と首相の職は一対と主張してきた自分の主張と異なる。BBCのベルリン特派員、ジェニー・ヒル記者は、連立与党にとって危機的な状況が今年は続いているが、政治家メルケル氏はこれまでも多くの政治的難局を生き延びてきたと指摘。それだけに、ひとまずは党首の座を降りることでCDU内の批判の声を鎮め、首相としての地位を当面は維持することになるかもしれないという。ドイツでは、中道派の主要党がいずれも有権者の支持を失い、反移民を掲げる極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」と、左派「緑の党」がそれぞれ全国的に支持を伸ばしている。

*1-2:http://www.afpbb.com/articles/-/3181103 (AFP 2018年7月4日) ドイツの移民政策転換、国内外から批判 EU諸国に連鎖の可能性
 ドイツのアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相が、脆弱(ぜいじゃく)な連立政権を救うための窮地の策として、移民の国内流入抑制に同意したことを受け、欧州連合(EU)加盟各国は3日、相次いで反発の声を上げた。ドイツの方針転換により、欧州諸国が難民の受け入れを次々と拒否するドミノ現象が起きる可能性がある。メルケル首相は、移民問題をめぐり反旗を翻したホルスト・ゼーホーファー(Horst Seehofer)内相と前夜に緊急協議に臨み、国境管理の強化と、対オーストリア国境に移民を一時的に収容する施設「トランジット・センター」を設置することで合意。自身のリベラルな難民政策を事実上撤回することで、ゼーホーファー内相の反乱を抑え込んだ。だが、この合意に対しては、近隣諸国からの批判に加え、メルケル氏のキリスト教民主同盟(CDU)とゼーホーファー氏のキリスト教社会同盟(CSU)と共に連立政権を構成する社会民主党(SPD)も直ちに反発した。オーストリアは、南側の対イタリアおよびスロベニア国境を「守る措置を講じる構えがある」との方針を表明。イタリアは、「解決につながらない誤った態度」を選んだとしてドイツを批判するとともに、EU全体で連携を図り移民の流入に歯止めをかけるとした先週の合意に逆行する恐れがあると警鐘を鳴らした。EU加盟国に課された移民受け入れの割り当てを真っ向から拒否してきたチェコのアンドレイ・バビシュ(Andrej Babis)首相は、これを好機とばかりに、移民の流入が続くイタリアやギリシャは国境を閉鎖すべきだと呼び掛けた。またSPDのラルフ・シュテグナー(Ralf Stegner)副党首はトランジット・センターに異議を唱え、「難民の家族らを防護フェンスの中に入れたくはない」とツイッター(Twitter)に投稿。さらに他の党も、今回の合意はドイツの難民歓迎姿勢への裏切りだと指摘している。

*1-3:https://news.nifty.com/article/domestic/government/12104-114908/ (Niftynews 2018年10月30日) 片山さつき地方創生相の『口利き疑惑』を週刊文春が報道 秘書が全責任をとる可能性
①安倍改造内閣の目玉である片山さつき地方創生相の『口利き疑惑』を週刊文春が報じた
②片山さつき氏は疑惑を否定し、発行元の文藝春秋に1100万円の損害賠償を求めて提訴した
③片山さつき氏の秘書が全責任をとる公算らしく、トカゲの尻尾きりとの声もでている
 安倍改造内閣の目玉人事と目された片山さつき地方創生相。ところがフタをあければいきなりの「口利き疑惑」が発覚したのだ!キッカケは10月18日発売の週刊文春で、国税庁への口利き疑惑が報じられたこと。政治部記者が解説する。「2015年に片山氏の私設秘書が会社経営者から確定申告を巡る相談をされ、100万円を受け取った後に片山氏が国税庁関係者に電話を掛けたというのが記事の内容。報道後、片山氏は記者団に『口利きしたことはなく、100万円を受け取ったことも全くない』と話し、秘書に責任を押しつけて幕引きをはかろうとしています」。口利き疑惑報道を否定した片山氏は、名誉を傷つけられたとして、発行元の文藝春秋に1100万円の損害賠償を求めて提訴。このまま時間の引き延ばしで、初入閣で得たポストにしがみつく作戦だ。しかも秘書は、このまま全責任をとる公算が高い。つまり「トカゲの尻尾きり」で政治家は知らぬ存ぜぬを貫こうとしているのである。だがこれは永田町ではごくごく日常的な光景だ。そうした実態に秘書たちが立ち上がり「ブラック業務」ぶりを10月30日発売のアサヒ芸能11月8日号でぶちまけている。ブラック企業も真っ青のあくどい実態の全貌とは──。

*1-4:https://www.dailyshincho.jp/article/2018/10310558/?all=1 (週刊新潮 2018年11月1日)片山さつき地方創生相にもう一つの財務省「口利き疑惑」 パチンコ業者めぐり
 「紅一点」が「汚点」になってしまいそうである。安倍改造内閣で、ただ1人抜擢された女性閣僚が、片山さつき地方創生大臣(59)だった。ところが、パワハラ伝説に続き、「口利き疑惑」が浮上。早くも、「辞任第1号」になるのではないかともっぱらなのだ。むしゃくしゃすると、秘書に怒号を浴びせかけ、それと同時に、手元にあるペットボトルやノートばかりか、ハサミまで投げつけてくる。そのうえ、事務所に置いてある段ボールは腹立ちまぎれにハイヒールで蹴りつけるために穴だらけ。数々のパワハラ伝説を持つ片山大臣だが、ここに来て、あらたな問題が取り沙汰されている。政治部デスクによれば、「週刊文春の報道によって、片山さんの国税当局への“口利き疑惑”が発覚しました。2015年、長野市の金属加工会社に税務調査が入り、青色申告の承認が取り消されそうになった。記事ではX氏となっている、そこの社長が片山事務所に助けを求めたのです。そして、税理士でもある南村博二(なむらひろじ)という私設秘書を紹介されたのが、そもそもの始まりでした」。金属加工会社の社長は南村氏に言われるまま、着手金として100万円を支払った。しかし、それ以降、何の音沙汰もなかったという。「そのため、社長は振り込みから2カ月後、片山事務所を直接訪ねました。片山さんは最初、“南村から何も聞いてない”と憤然とした様子。でも、最終的には、社長の目の前で、管轄する関東信越国税局の局長に“口利き”電話をかけたというのです。そのときは、相手が電話に出なかったものの、のちに社長が税務署に行くと、同行した南村秘書に職員が“片山先生へ渡してほしい”と書類を手渡していたため、“口利き”を確信したそうです」(同)。しかしながら、結局、青色申告は取り消される結果に終わったのである。その一方、片山大臣は“口利き疑惑”を完全否定。「週刊文春」を名誉毀損で提訴し、あくまでも強気の構えだ。

*1-5:https://www.asagei.com/excerpt/113538 (朝日芸能 2018年10月7日) 「初入閣」片山さつき、早くも囁かれる“パワハラ失脚”の可能性!
 10月2日に発表された、第4次安倍改造内閣と自民党役員人事で、地方創生担当相として念願の初入閣を果たした片山さつき参院議員。翌3日の会見では「セクシュアルハラスメントを根絶すべく、私の今の立場から全面的に発信をしてまいりたい」と宣言した。今回、入閣できた女性議員は片山氏ただ1人。密着の記者に対し「慌ててロングドレス買ったわよ。女は私1人だから目立っちゃうわね」と発言。嬉々とした様子が伝わる。だが、有権者は冷ややかだった。ネット上では、3日の会見を受けて「セクシュアルハラスメントの根絶って地方創生の仕事なの?」と疑問を投げかける人や「内閣府職員はいつ片山大臣の本性が出てくるのかみんな戦々恐々。そのうちパワハラが炸裂しそう」「性的ハラスメントはもちろんだけど、パワハラも根絶を! あなたのパワハラも容易に想像できるから、それを十分踏まえてね」などという声が飛ぶなど、皮肉たっぷりだ。「東大法学部を卒業後、1982年に旧大蔵省に入省。在職中にフランス国立行政学院に留学し、女性初となる主計局主査。その後、主計局主計官などを歴任。05年の衆院選に自民党から出馬し初当選した片山氏はエリート意識が高い。秘書の出入りが激しいのも有名です。他人のミスに対し口から出るのは“あんたバカ?”だとか。政治部記者の間では、早くも失言で失脚の可能性もささやかれています」(社会部記者)。片山氏の場合、女性1人だから目立つのではなく、失言で悪目立ちせぬよう注意するべきだろう。

<あからさまな差別>
*2-1:http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201809/CK2018092302000125.html (東京新聞 2018年9月23日) 自民長崎「3人以上出産を」県連会長発言巡り 抗議の女性県議、役職再任されず
 自民党長崎県連は二十二日、長崎市内で常任総務会を開き、同党の江真奈美県議が五月に共産党県議らと一緒に記者会見を開いたことを問題視し、県連の広報副委員長と政務調査副会長に再任しないことを決めた。江氏は会見で、新婚夫婦に三人以上の出産を呼び掛けているとの発言をした県連会長の加藤寛治衆院議員(長崎2区)に苦言を呈していた。県連関係者によると、県連内部では「加藤会長に苦言を呈した江氏への事実上の処分」との声が出ているという。江氏は記者会見で、当時の民進と共産両党の女性県議と「結婚・出産は個人の自由意思」などとする抗議声明を出した。

*2-2:https://digital.asahi.com/articles/DA3S13664893.html (朝日新聞 2018年9月5日) 男子合格率、女子の1.2倍 医学部、文科省が81大学調査 過去6年平均
 文部科学省は4日、医学部医学科がある全国81大学の入学者選抜を調べた結果、過去6年間の平均で男子受験生の医学科合格率が女子の約1・2倍だったと発表した。毎年、約6~7割の大学で男子の合格率が女子を上回っていた。文科省は今後、男女の合格率の違いの理由などについて大学側に説明を求めるという。調査は、文科省幹部が起訴された汚職事件に関連して、東京医科大が一部の受験生の点数を加算したり、女子や3浪以上の男子を一律に不利に扱っていたりしていたことが明らかになったことを受けて行われた。文科省がこうした調査をするのは初めてで、10月中に最終結果を公表する方針。文科省によると2013~18年度の入学者選抜で受験者に対する合格者の割合を調べたところ、男子は11・25%で、女子の9・55%の1・18倍だった。毎年、46~57大学で男子の合格率が女子より高く、全体の合格率で男子が女子を上回る傾向も毎年同じだった。文科省は今回、一般入試と推薦入試の内訳などは調べていない。東京女子医科大は調査に含んだが、防衛省が所管する防衛医科大は調査対象外だった。6年間すべてで入学者選抜を行った大学別にみると、女子と比べて男子の合格率が最も高かったのは順天堂大の1・67倍で、昭和大1・54倍、日本大1・49倍、九州大1・43倍と続いた。開学3年目の東北医科薬科大は1・54倍、東京医科大は1・29倍だった。一方、17大学は6年間の平均で女子の合格率が男子より高く、弘前大は女子の方が男子の1・34倍だった。年齢別では主に1浪が多い19歳の合格率が最も高く、20歳以上になると合格率が下がる傾向にあった。東京医科大を除く大学からいずれの点についても「不当に扱いの差をつけた」との回答はなかったという。17年度の学校基本調査で、志願者に対する入学者の割合を全学部学科でみると、女子は入学率が15・87%で、男子の13・15%の約1・21倍だった。理学系や工学系の多くの学部でも女子の入学率は男子より高いが、医学系は男子が女子の約1・11倍で、今回の調査結果と似た数値だった。

*2-3:https://digital.asahi.com/articles/DA3S13664877.html (朝日新聞 2018年9月5日) 医学部合格率、男女差「不自然」 大学側は調整否定「成績の差」
 全国の医学部医学科で、男子の合格率が女子の約1・2倍だったことが明らかになった。大学側は調整を否定するが、「不自然」との声は根強い。男女の合格率に差が生まれる背景には、男性を重視する医療現場の実態があると指摘する人もいる。文部科学省の調査結果の公表を受けて、各大学は口をそろえて調整を否定した。「1次試験(筆記)の合格者を見ると男性が女性より学力が高く、この傾向は2次試験(適性検査・小論文・面接)においても引き続きあらわれている」。6年間の平均で男子の合格率が女子の1・49倍だった日本大学の担当者はこのようにコメントし、男子受験生の方が学力が高いため、との立場を取った。大阪市立大の入試室の担当者も男女差が生じる理由の一つとして「数学と理科の配点が比較的高いことが考えられる」と話し、女子はこうした科目が不得意であることが影響していると示唆した。同大は6年間の平均で男子の合格率が女子の1・36倍で、年度によっては2倍だったが、「性別による調整はしていないので、入試の成績による差」という。国立大でも、男女差は出た。九州大は6年間の平均合格率は男子33・51%、女子23・48%で、各年度をみても3~16ポイント差があった。同大広報室は「男女の区分なく選抜しているため、特に男女別の分析はしていない」と話した。ただ専門家の間からは、大学側の説明に疑念の声が上がる。日本女性医療者連合理事の種部恭子医師が2016、17年度の全国の入試を調べたところ、医学部以外の学部では合格率に男女差がないか、女子の合格率の方が高かった。理学部や工学部なども同様で、種部医師は「数学や物理などの配点が高いのは同じで、医学部だけ女子の合格率が低いのはおかしい。不正の可能性を強くうかがわせる調査結果だ」と指摘する。文科省は今後、大学側に対してもさらに説明を求める方針。6年間の男子の合格率が女子の1・67倍で、最も差が大きかった順天堂大は「最終的な調査結果を待ってコメントする」としている。
■「面接で点数を低めに」 出産理由に敬遠か
 なぜ、女子のほうが合格率が低いのか。多くの関係者が指摘するのは、医学部の入試が、病院の勤務と密接に関連していることだ。公立大医学部で長年、入試を担当してきた男性はこれまで、私立大の入試担当者から「面接での点数を低めにするなどの方法で、意図的に女性の合格者をしぼっている」という話を何度も聞いた。多くの場合は「医師になってから出産などで休まれると、当直などを周りがカバーすることになり、ただでさえ忙しいのにさらに激務になる」などが理由だったという。入試で女子に不利な得点調整をしたことが明らかになった東京医科大の調査委員会は報告書で「女性は年齢を重ねると医師としてのアクティビティー(活動性)が下がるとの認識だった」と指摘している。別の私立大学病院に勤める40代の女性医師も、今回の調査結果に驚きはない。自分が大学に入学した時も、男子より女子の入学者は少なかった。職場では当直や呼び出しを男性医師が中心に担っており「女性の数を制限するのも仕方がない」と感じる。ただ、医学界にも変化は起きている。かつては医学部の卒業生の多くはそのまま大学の医局で臨床研修を受け、関連病院に派遣されるなどしており、入試は「就職試験」の意味合いもあった。しかし、2004年に始まった新医師臨床研修制度で、研修先が自由に選べるようになり、現在は別の大学病院などに移る例も少なくない。長崎大病院医療教育開発センターの長谷敦子教授は現在の医学部入試について「点数操作のような不正ではなくても、『男子を多く採りたい』と考える世代が面接で調整をすることはできる」と話しつつ、「こうした古い世代は、数年で減るだろう」と指摘する。そもそも地方では医師不足の状態が続く。長谷さんは「男性医師も含め、結婚や出産、何らかの理由で現場を離れた医師が戻れる道を作ることが重要だ」と強調する。
        ■大学の医学部医学科入試の男女別合格率
              男子        女子       男子÷女子
順天堂大         9.16%     5.50%     1.67
東北医科薬科大     14.69%     9.51%     1.54
昭和大          6.54%     4.25%     1.54
日本大          6.50%     4.36%     1.49
九州大         33.51%    23.48%     1.43
慶応義塾大       12.54%     9.18%     1.37
大阪市立大       32.63%    24.01%     1.36
埼玉医科大        5.04%     3.74%     1.35
新潟大         30.96%    23.23%     1.33
筑波大         25.46%    19.28%     1.32
岡山大         31.38%    23.79%     1.32
高知大         23.75%    18.06%     1.32
大阪医科大       11.28%     8.65%     1.30
山形大         28.67%    22.28%     1.29
東京医科大        6.79%     5.27%     1.29
京都大         36.88%    28.98%     1.27
奈良県立医科大     14.02%    11.07%     1.27
名古屋大        44.62%    35.29%     1.26
国際医療福祉大      9.84%     7.92%     1.24
近畿大          7.46%     6.12%     1.22
熊本大         23.00%    19.00%     1.21
横浜市立大       38.81%    32.12%     1.21
名古屋市立大      19.89%    16.42%     1.21
京都府立医科大     32.91%    27.29%     1.21
北海道大        32.40%    26.95%     1.20
金沢大         36.10%    30.26%     1.19
山口大         19.63%    16.53%     1.19
岩手医科大        7.02%     5.98%     1.17
群馬大         35.40%    30.74%     1.15
千葉大         35.47%    30.82%     1.15
滋賀医科大       20.27%    17.67%     1.15
富山大         21.60%    18.90%     1.14
東北大         37.85%    33.41%     1.13
山梨大         32.94%    29.09%     1.13
信州大         17.96%    15.90%     1.13
大阪大         41.85%    36.88%     1.13
東邦大          8.80%     7.77%     1.13
自治医科大        5.51%     4.93%     1.12
東京医科歯科大     31.92%    28.87%     1.11
福島県立医科大     29.13%    26.29%     1.11
日本医科大       13.16%    11.91%     1.10
兵庫医科大        8.32%     7.58%     1.10
宮崎大         26.21%    24.04%     1.09
広島大         16.78%    15.57%     1.08
帝京大          3.21%     2.98%     1.08
聖マリアンナ医科大    7.68%     7.09%     1.08
秋田大         30.90%    28.79%     1.07
関西医科大        7.89%     7.38%     1.07
浜松医科大       22.38%    21.16%     1.06
東京慈恵会医科大    14.76%    13.87%     1.06
北里大         11.69%    11.07%     1.06
香川大         21.75%    20.66%     1.05
長崎大         29.24%    27.89%     1.05
神戸大         35.31%    33.83%     1.04
杏林大          9.15%     8.80%     1.04
藤田保健衛生大      8.24%     7.93%     1.04
久留米大         9.68%     9.29%     1.04
東京大         25.89%    25.25%     1.03
東海大          3.55%     3.44%     1.03
鹿児島大        18.70%    18.27%     1.02
佐賀大         28.20%    28.00%     1.01
札幌医科大       28.93%    28.76%     1.01
和歌山県立医科大    39.56%    39.11%     1.01
鳥取大         15.88%    15.89%     1.00
島根大         18.72%    19.33%     0.97
獨協医科大        6.87%     7.15%     0.96
大分大         40.79%    43.54%     0.94
金沢医科大        6.41%     6.81%     0.94
愛知医科大       10.69%    11.42%     0.94
川崎医科大       11.85%    12.60%     0.94
福岡大          7.06%     7.47%     0.94
琉球大         22.83%    24.48%     0.93
旭川医科大       15.16%    16.49%     0.92
福井大         30.47%    33.05%     0.92
愛媛大         15.87%    17.51%     0.91
産業医科大        6.20%     6.93%     0.89
三重大         30.07%    34.25%     0.88
徳島大         35.12%    40.22%     0.87
岐阜大         13.04%    15.60%     0.84
弘前大         12.67%    16.93%     0.75
東京女子医科大       -       11.76%      -
  合計        11.25%     9.55%     1.18
(2013~18年度の合格者数を受験者数で割った値。東北医科薬科大は16~18年度、国際医療福祉大は17~18年度。文部科学省まとめ)

<外国の問題について>
PS(2018年11月6日追加): *3-1のイタリアやギリシャの場合は、今は廃墟のような歴史的建造物や古い街並みを再生すれば世界から観光客を集められるため、財政を切り詰めるだけが解決法ではないだろう。その労働力として、外国人労働者や女性・高齢者を活用すればよいのは日本と同じであり、そういう方針を決定すれば、他国からの援助や投資資金も得られると考える。
 なお、日本の場合は、*3-2のように、太平洋戦争中に日本が徴用した韓国の「徴用工」に関して、韓国の最高裁が新日鉄住金に損害賠償を命じる判決を言い渡した。しかし、これについては、日韓国交正常化時に「日本政府が韓国に経済協力を行い、徴用工個人の補償や賠償責任は韓国政府が持つ」と取り決めているため、徴用工個人には韓国政府が保障すべきだった筈だ。そのため、現在まで保障が行われていなかったとすれば、それは韓国政府の問題だろう。
 さらに、*3-3のように、2015年の日韓慰安婦合意をめぐって元慰安婦らが基本的人権を侵害されたとして憲法裁判所に違憲判断を求めた訴訟については、日本とは既に「最終的かつ不可逆的な解決」をうたう合意がなされているので、慰安婦とは無関係の世代にいつまでもひきずってもらいたくない。元慰安婦にとっても、名前を出して日本から金を引き出すダシに使われたり、銅像で思い出されたりするのは不幸であり、元慰安婦が、これまで誇りをもって生きられるようにしてこなかったのは韓国国内の問題ではないか?日本人にもそういう人はいたと思うが、いつまでも差別はしておらず、今では誰がそうだったかもわからないくらいなのだから。

*3-1:http://qbiz.jp/article/143649/1/ (西日本新聞 2018年11月6日) イタリア予算案の見直しを要求 ユーロ圏財務相会合
 ユーロ圏財務相会合は5日、イタリアの2019年予算案の見直しを求めた。巨額の財政赤字を計上し公的債務を増やしかねないためだ。イタリア側は変更する考えがないとしており、折り合えない状況が続いている。財務相会合のセンテーノ議長(ポルトガル財務相)は5日、会合後の記者会見で「EU欧州委員会と緊密に連携し、見直し案を準備するようイタリアに勧めた」と表明した。一方、ロイター通信によると、イタリアのトリア経済財務相は会合後、記者団に「予算案は変わらない」と強調した。イタリア政府は13日までに予算案を再提出する。欧州委は21日ごろに意見を出す見通しという。イタリア政府は19年予算案で貧困層対策などの実施のため多額の費用を計上。財政赤字が国内総生産(GDP)比で2・4%になるとした。欧州委はGDP比で130%超の公的債務がさらに膨らみかねないなどとして修正を要求している。

*3-2:https://www3.nhk.or.jp/news/html/20181104/k10011698331000.html (NHK 2018年11月4日) 「徴用工」判決 「国際社会への挑戦」と批判 河野外相
 韓国の最高裁判所が太平洋戦争中の徴用をめぐる裁判で日本企業に賠償を命じた判決について、河野外務大臣は講演で「国際社会への挑戦だ」と批判しました。韓国の最高裁判所は先月30日、太平洋戦争中の徴用をめぐる裁判で、新日鉄住金に損害賠償を命じる判決を言い渡しました。河野外務大臣は4日夜、群馬県高崎市で講演し「日韓の国交正常化に伴って補償や賠償は、日本政府が韓国に経済協力を行い、韓国政府が国内での補償について責任を持つと取り決めた」と指摘しました。そのうえで「判決は日韓の基本的な関係を根本からひっくり返すと同時に、国際法に基づいて秩序が成り立つ国際社会への挑戦で、考えられない」と批判しました。また、河野大臣は北朝鮮が求める朝鮮戦争の終戦宣言に関連して「戦争が終わったら『在韓米軍はいらない』『共同訓練なんて必要ない』という話になるのは目に見えている。拉致・核・ミサイルの問題を解決してから制裁を解除するという順番を間違えてはいけない」と述べました。

*3-3:https://digital.asahi.com/articles/DA3S13756449.html (朝日新聞 2018年11月6日) 日韓合意「法的拘束力ない」 韓国外交省、元慰安婦訴訟で答弁書
 2015年の日韓慰安婦合意をめぐり元慰安婦らが基本的な人権を侵害されたとして憲法裁判所に違憲判断を求めた訴訟について、韓国外交省は5日、元慰安婦らの訴えを却下するよう求める答弁書を提出していたと明らかにした。同日、韓国紙「韓国日報」が1面で報じたのを受け、同省が明らかにした。提出は6月だったという。元慰安婦らは、当事者の意見を聞かないまま「最終的かつ不可逆的な解決」をうたう合意がなされたことで日本から損害賠償を受ける権利が遮られたなどと主張。外交省は答弁書で「合意は法的拘束力のない政治的合意で、公権力の行使とまで見ることはできない」として憲法上の権利は侵害しないと主張したという。合意の法的性格について日本外務省は「両国の首脳が深く関与した政治合意であり、条約などに近い重みがある」としてきた。韓国外交省の答弁書は訴訟が日韓の火種になるのを回避する狙いもあったとみられるが、合意の重みをめぐる両政府の違いが浮き彫りになった形だ。

<片山大臣の収支報告書記載漏れ>
PS(2018年11月7日追加):メディアが、女性である片山大臣に照準を当てて荒さがしをしているせいか、*4のような収支報告書への寄付金の記載漏れが多いと思った。ただ、昔の国会議員の寄付金と異なり、金額は2桁くらい小さい。また、男性議員は、奥さんがしっかり見ているのでこのようなミスはなかったり、世襲議員は、さらに秘書も慣れているのでミスが少なくフォローの仕方も心得ていたりする場合が多いため、1代目の女性議員はハンディがある。

*4:https://digital.asahi.com/articles/DA3S13750913.html (朝日新聞 2018年11月2日) 片山氏、325万円分訂正 寄付「記載漏れた」 収支報告書
 片山さつき地方創生相は、自身が代表を務める政治団体「山桜会」と「自民党東京都参院比例区第25支部」の2016年分の政治資金収支報告書に記載漏れがあったとして、31日付で報告書を訂正した。片山氏の事務所は「作成した秘書が誤認し、記載が漏れた」と説明している。事務所によると、片山氏が立候補した16年参院選で、複数の団体から寄付があったが、報告書の収入欄に記載しなかったという。訂正の結果、寄付による収入は、山桜会が50万円、第25支部が275万円増え、寄付による収入は、両団体で計325万円増えた。

<人材の多様化と能力主義の必要性>
PS(2018年11月8日追加):人材が多様化して女性や外国人の働き手が増えれば、職場を移っても損にならない雇用形態が必要であり、それは、*5-1のような能力主義に基づく個別の雇用契約である。これは米国だけでなく世界標準だが、日本では、これを個人主義(何故か「我儘」と同義に用いる)として嫌い、一部企業の(男性)社員や公務員でしか保証されていない長期雇用を前提にした終身雇用・年功序列制度もどきを採用している組織が多い。そして、そういう前提の社会では、自分のキャリアや能力を磨こうとすることを「我儘」、自分のキャリアや能力を正確に述べることを「謙虚でない」などとするが、職場を移る時は、キャリアや能力を持ち、それを相手先に正確に示して認められなければ、能力主義に基づく雇用契約で損をするのである。
 さらに、*5-2には、「女性教員の管理職志望は7%で男性の4分の1だが、それには家事との両立がネックになっている」と記載されている。しかし、家事との両立は管理職になる前からネックになっており、それをクリアして管理職候補になっている女性教員に管理職志望が少ないとすれば、①夫婦で教員をしている場合、「妻が辞めなければ夫を管理職にしない」と言われる(間接差別) ②管理職になると定年が早くなる(不利益) などの理由があるからではないのか? それらの不利益がなくて初めて、個人の問題にできるのである。

*5-1:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20181108&ng=DGKKZO37462400X01C18A1KE8000 (日経新聞 2018年11月8日) 働き方の多様化と心理的契約(8)米国式が必要な時代に 神戸大学准教授 服部泰宏
 これまで述べてきたように、人材の多様化が要求するのは、一人一人が抱える制約や生き方に寄り添うという意味で「個別的」で、それを言葉にするという意味で「明確」で、しかも制約の変化によって変わりうるという意味で「動的」な心理的契約です。これは経済学でいう「契約の束」の考え方に近いと思います。個人主義と契約思想が定着している米国のような社会では、複数の個人が関わりを持つ際、当事者同士の自由意思に基づき、任意に契約を結ぶことで集まりが形成されることが前提となっています。企業もまた同様で、このようにして形成される企業を経済学では契約の束と捉えるのです。契約という考え方が浸透していない日本にはなじみの薄い言葉ですが、人材の多様化はまさに契約の束という考え方を私たちに求めているのではないでしょうか。契約とは私たちが描く未来のプロジェクション(投影)です。心理的なものであれ、法的なものであれ、契約を明確化する作業とは、会社と個人が一緒になって、お互いが相手から何を得られるのか、得られないのかということを具体的な言葉として紡ぎ出していくこと、つまり、共に未来を構想していくことにほかなりません。長期雇用を中核としたかつての日本企業の契約は、「数十年にわたる社員のキャリアを通じて、企業と個人が親密な関わりを持ち続ける」という、遠い未来に関わる壮大なプロジェクションだったと言えるでしょう。一方、いま日本企業が迫られている新しい契約は個別的で明確な未来を投影するものです。「数十年」先の未来を映し出すスケール感はなく、会社と個人が現実的で明確な近未来について、合意とメンテナンスを地道に繰り返していくイメージに近いでしょう。とはいえ、そこで「長期雇用」が消滅したわけではなく、会社側と個人側がお互いに相手の期待に応え続けることで、雇用関係が長期に及ぶことは十分にありえます。ただしそれは、かつてのような「目的としての長期雇用」ではなく、いわば「結果としての長期雇用」になるのでしょう。

*5-2:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20181107&ng=DGKKZO37460960X01C18A1CR0000 (日経新聞 2018年11月7日) 女性教員 管理職志望7% 男性の4分の1 家事両立ネック
 公立小中学校の教員約2万4千人を対象にしたアンケートで「管理職になりたい」という人の割合が女性は7.0%と、男性の4分の1だったことが7日までに分かった。調査をした独立行政法人「国立女性教育会館」の飯島絵理研究員は「教頭になると長時間労働が際立ち、家事や育児との両立が難しいと二の足を踏んでいるのではないか」と分析する。アンケートは1~2月にインターネットで実施。小学校教員約1万1600人、中学校教員約1万2200人の回答を集計した。「管理職にぜひなりたい」「できればなりたい」との回答は女性が7.0%、男性が29.0%。管理職になりたくない理由を複数回答で聞いたところ、「担任を持ち、子どもに接していたい」などのほかに、女性の半数は労働時間が増えたり、責任が重くなったりすると「育児や介護との両立が難しい」と答えた。1日当たりの職場での滞在時間は、副校長・教頭の76.7%が12時間以上と回答しており、他の教員に比べて長時間労働が際立っていた。家事・育児の「半分以上」を担うとしたのは、女性教員が79.4%だったのに対し、男性教員は3.5%だった。

<知識や教育の大切さに、男女別も文系・理系もないこと>
PS(2018年11月9、11日、12月3日追加):馬力のあるEVと自動車用蓄電池を実用化して最初に市場投入したのは日本で、それを行ったのはゴーン氏率いる日産だが、今度はアフリカで、*6-1のように、需要拡大を見込んで新工場を立ち上げ、現地生産を進めるそうだ。これからのアフリカの発展を考える時に、初めから自然エネルギーによる分散発電とEVを組み合わせるのは、誠に的確な判断である。一方、トヨタなど他の日本の自動車会社は、*6-2のように、中国・欧州の環境規制に合わせる形でEVを中国・欧州に投入するそうで、他国に引きずられてやっと始めた点が後進国の発想だ。しかし、どちらも、次はフランスや中国の企業と一緒にアフリカでEVを展開すれば良いことは明らかで、頭の切り替えができない日本企業には出る幕がない。 
 太陽光発電も最初は(私が提案して)日本で開発されたのだが、*6-3のように、電力会社を通じない電力売買を法律で認めないなど、頭の遅れた経産省と大手電力会社が結託して再エネの優先順位を原子力発電より低くしたため、日本では太陽光発電の技術進歩がなくなった。その規制をすり抜けて、イオンがEVに貯めた電力とイオンの買い物ポイントを交換する仕組みを作るそうだが、これは、再エネを主電源にするというよりは、おまけのような傍流の仕組みである。
 さらに、*6-5のように、日本では、既に大容量太陽光発電システム付住宅の販売が本格化しており、住宅産業の波及効果は大きい。また、住宅も自動車と同様に工場生産の時代であり、住宅・マンション・ビルの部材等も、これから建設が本格化するアフリカはじめ諸外国に輸出して現地で組み立てることも現地生産することも可能であり、先駆的な製品になると思われる。
 つまり、日本では最新技術を評価できずに腐らせて技術進歩をなくし、他国で成功して初めてあわてて後を追いかけるという情けない状態が続いている。このような中、*6-4のように、日本の若手研究者らの海外離れが深刻で、それが科学技術力低下の大きな要因となり、その理由として「①日本の大学で正規の研究職枠が限られ、任期付きの不安定な雇用形態が増えた」「②帰国後、よいポストが得られない」「③大学も法人化で海外に人材を送り出す余裕がない」等が記載されている。しかし、①②③に加えて日本の後進性について述べると、EVや分散発電だけでなく再生医療や免疫療法等のバイオテクノロジーも、実は日本は進んだ国で海外から研究者が来たがるくらいであったのに、欧米より遅れていると思い込み、実用化時点で経産省や厚労省が愚かな規制で邪魔をして、技術開発が止まったのだということを付け加えておく。
 「何故、そうなるのか」と言えば、日本では知識や教育を馬鹿にして知識の幅の狭い人間を育てたため、特に文系が新技術の実用化時点で邪魔をするという教育の問題があるからだ。
 なお、2018/11/11、日経新聞が、*6-6のように、「①日本企業の品質検査不正が止まらないのは、設備の老朽化と人手不足で工場が衰えたから」「②品質を最大の強みにしてきた日本のものづくりと離れた実像がある」「③稼ぎ頭の海外に投資を振り向け、国内工場は改修に改修を重ねて運用した」「④日産はゴーン現会長の下でリストラを断行し、国内技術員が人手不足に陥って納期に間に合わせるため不正を行った」「⑤日産は各国の工場の生産能力や労務コストなどを比較して生産拠点を決めるので、労働コストの安い新興国に最新鋭工場ができると国内競争力が低下し、国内生産が消える危機感が芽生えた」「⑥ドイツでは生産から検査までロボット技術を使った最先端工場で、本国に生産回帰する動きが始まった」と書いている。
 しかし、(日産だけでなく)どのグローバル企業にも共通する原則は、⑤のように、「工場や販売拠点は、地球上で最も生産性や販売力(潜在力も含む)が高く、利益(社会的責任を果たすことも含む)の出る配置にする」ということである。そのため、何かと日産を叩いて協力しなかった日本は、投資や生産を最小にして、③のように新規投資は海外に振り向けたいと思われる国になっても仕方ない。また、④のゴーン現会長の下でリストラを断行されたのは、新しい日産に生まれ変わるにあたって抵抗勢力になる人材だったと記憶しており、これは世界標準のやり方だ。さらに、人手不足だから納期に間に合わせるため不正を行うというのは、(不必要な検査規制をしているのでなければ)これまでの日本人にはなかった不真面目で不誠実な態度なので不要な人材になる。そのため、②の品質を最大の強みにしてきた日本のものづくりとかけ離れた実像の源は、i)何でも時間をかけたり適当なところで妥協したりするのがよいとする日本社会に充満したおかしな雰囲気 ii)全体を見て物事の重要性の優先順位を判断できないような知識の乏しい人材を育てた教育の劣化 iii)熟練技術者を軽視する風潮 iv)働かない改革への大々的な掛け声 v)前からある高コスト構造とさらなる高賃金 などだと考える。
 もちろん、⑥のように、ドイツで生産から検査までロボット技術を使った最先端工場で本国に生産回帰する動きが始まったのはよいことだが、その最先端工場も、以前は東ドイツ出身、今は移民などの比較的安価で勤勉な労働力によって動かされていることを忘れてはならない。
 なお、*6-7のように、世界はCOP24で「運輸部門の排出ゼロ」を明記するそうで、これがあるべき姿なのだが、日本では政府やメディアが、最初にEVを市場投入したニッサンの足を引っ張ったり、EVの功労者であるゴーン氏の報酬が高すぎるなどと騒いだり逮捕したりして、ニッサンが2位を引き離してトップランナーになれる政策はとらず、いつものように他を見てあわてて追いかけている状態なのである。これをドアホと言わずに、何と言うのだろう。

*6-1:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20181108&ng=DGKKZO37503040Y8A101C1EA2000 (日経新聞 2018年11月8日) 日産、アフリカで新工場 需要拡大、現地生産進める
 日産自動車がアフリカ事業を拡大する。アルジェリアで新工場を建設する方針を固め、ガーナでも生産拠点の新設へ地元当局と協議に入った。所得水準の伸びを背景に西アフリカ地域などで乗用車の需要が伸びており、投資を本格化する。アフリカでは中国が国を挙げて投資を積極化しているが、日本企業の間でも成長を取り込む動きが広がりそうだ。日産はこれまで主に南アフリカや日欧の生産拠点からアフリカ諸国へ出荷していた。需要地での現地生産を進め競争力を高める。北アフリカで最も市場成長が期待されるアルジェリアでは新工場を建設し、部材などを輸入して最終的な組み立てを行う「ノックダウン生産」が有力だ。西アフリカのガーナは産業の基盤が整っておらず、より簡易な部品の取り付けを中心とした生産拠点となりそうだ。西アフリカ地域での生産拠点の開設は日本勢として初となる。両工場の生産車種や投資額など詳細は今後詰めるが、2020年代初頭の建設が見込まれる。日産はすでに南アフリカとエジプトで小型トラックや小型セダン「サニー」などを生産する完成車工場を持つ。17年度には両国で販売が7万4千台、生産はおよそ5万台だった。中近東やインドとともにアフリカを新たな収益源に育て、先進国市場の成長鈍化に備える。調査会社のフロスト&サリバンによるとアフリカ地域の新車販売台数は25年までに16年比で2倍の326万台と、世界で5番目に大きいドイツに匹敵する規模になると試算する。南アフリカが年40万台規模と最大の市場で、今後はナイジェリアが年率5%を超えて成長するとされるなど、西アフリカで需要が急増する見通しだ。アフリカは地理的・歴史的な背景から欧州勢が強い。日産と提携する仏ルノーはモロッコなどに工場を持ち競争力が高い。英コンサルティング会社PwCによると、中東とアフリカ地域の合算で、17年にルノー・日産・三菱自動車の3社連合は約68万台を生産した。日本勢ではトヨタ自動車が南アフリカなどに工場を持つ。エジプトに工場を持つスズキとの提携も強化しており、5月にはスズキが開発する車を両社でアフリカに供給し、物流やサービスで協業しながら販売する方針を発表した。完成車メーカーの進出が広がると、部品メーカーなどすそ野産業の現地進出を後押しする。国際通貨基金(IMF)はサハラ砂漠以南のサブサハラ地域で、経済成長率が17年の2.8%から19年には3.8%に高まると推計する。20年には人口も11年から2億人増の10億人を超えそうだ。資源に依存した経済構造から脱すべく、各国は産業振興に力を入れている。有望市場を巡る争いも激しい。中国は広域経済圏構想「一帯一路」を背景にアフリカ進出を加速しており、9月には今後3年で計600億ドル(約6兆8千億円)の資金拠出を表明した。日本も16年に民間も合わせて3年で300億ドルの支援を表明したが、豊富な中国マネーに後れをとっている。

*6-2:http://qbiz.jp/article/141561/1/ (西日本新聞 2018年9月29日) レクサス初のEV、九州で生産 20年にも中国、欧州投入 トヨタ
 トヨタ自動車は、高級ブランド「レクサス」としては初となる電気自動車(EV)の生産を、子会社のトヨタ自動車九州(福岡県宮若市)で始める方針を固めた。2020年にも中国と欧州に先行投入する。新型の小型スポーツタイプ多目的車(SUV)「UX」をベースに開発し、当初は年間計1万5千台前後を輸出する。UXのEVは20年春ごろにも中国への輸出を開始し、同年夏ごろからは欧州でも販売する。UXは車高が比較的高く、蓄電池などを搭載するスペースが確保しやすいほか、車体がコンパクトで1回の充電による航続距離を伸ばしやすい利点もある。生産を手掛けるトヨタ九州は、国内外のレクサス工場の中でも高い技術力を誇る。永田理社長は従業員をトヨタ本体の設計開発部門に派遣し、EVを含む新分野への対応に向けた準備を進めていることを明らかにしていた。中国では19年以降、自動車メーカーにEVやプラグインハイブリッド車(PHV)など新エネルギー車の一定割合の販売が義務付けられる。トヨタは20年春ごろ、小型SUV「C−HR」をベースにしたEVの現地生産にも乗り出す。一方、トヨタの欧州向けEVの量産計画が明らかになるのはUXが初めて。現地ではコンパクトタイプのSUVが人気で、EVの投入でレクサスの競争力の強化を図る。トヨタは20年代前半に、全世界で10車種以上のEVの販売を計画。国内向けでは20年の東京五輪に合わせて小型EVの市販も検討している。レクサスは富裕層が台頭する中国と欧州で販売が好調で、UXは世界的に人気が高まるSUVの小型タイプ。今年11月末の日本での発売を皮切りに海外でも順次、エンジン車とハイブリッド車(HV)を販売することが決まっている。

*6-3:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20181109&ng=DGKKZO37532630Y8A101C1TJ2000 (日経新聞 2018年11月9日) 家庭の太陽光、EVでイオンへ、関電と協力、固定価格後の受け皿に
 イオンと関西電力は2019年度にも家庭の太陽光発電で作った電力を店舗で使う仕組み作りに乗り出す。消費者は電気自動車(EV)に電力をためてイオンの店舗に運び、買い物ポイントと交換する。太陽光の電力を高く買い取る仕組みは19年から10年間の期限が切れ始める。再生可能エネルギーを地域で無駄なく活用して事業に生かす動きが広がってきた。太陽光発電普及のために国が導入した固定価格買い取り制度(FIT)は19年11月から徐々に終了し、電力大手は買い取り義務がなくなる。19年中に約50万戸、23年までに約160万戸の家庭の余剰電力が売り先を失う恐れがあり「2019年問題」といわれる。約700万キロワットと大型の原子力発電所7基分の電力が宙に浮く計算だ。イオンと関電の実験はまずショッピングセンター、イオンモール幕張新都心(千葉市)を候補とする。同店にはEV充電器が39台あるが、蓄電池やEVから電気を受け取る設備を新たに導入する方向だ。調達した電力は店舗の照明や空調に使う。太陽光発電由来の電力だと証明するために国内で初めてブロックチェーン(分散型台帳)技術を活用する。関電は司令塔となり、協力してくれる来店客にスマートフォン(スマホ)のアプリを通じて放電を要請する。地域で電力が余ったときは消費者のEVに蓄電してもらうことで需給を調整できる。関電は需給調整への協力の見返りとしてイオンに報酬を支払う予定だ。一連の仕組みは「仮想発電所(VPP)」と呼ばれる。EVの蓄電池など分散している設備を包括的に制御して無駄なく使う。地域での電力需給の調整がしやすくなる。実験結果を踏まえて全国への拡大を検討する。消費者には電力量に応じてイオンの「ワオンポイント」を付与する。電力会社などを通じない電力の売買は法で認められていないためポイント付与は電力の対価ではなく協力への謝礼として支払う。一般的なEV一台にためられる電力は数百円分だ。ポイントへの交換レートは検討中。電力大手の電力を使うより安く調達できる可能性があるが、あまりに低いレートだと消費者にとっての魅力が少ない。イオンはバランスをどう取るかが課題となる。イオンは事業活動に必要な電力をすべて再生可能エネルギーで調達することを目指す「RE100」に参加している。ブランド向上を図るほか、集客や非常用の電源確保にもつなげる。消費者にとっては、FITが終わった後に余剰電力を使う選択肢が広がるメリットがある。関電は電力需給の調整能力が向上し、石油火力などコストが高い発電手段への依存度を引き下げやすくなる。2019年問題をにらんだ動きは関電とイオン以外にも出始めている。東京電力ホールディングスは11月から新プランを始めた。太陽光発電パネルを設置している一般家庭を対象に、伊藤忠商事の人工知能(AI)を使った電力利用の最適化サービスと蓄電池を組み合わせ、電気代を抑える仕組みだ。

*6-4:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20181109&ng=DGKKZO37558490Z01C18A1MM8000 (日経新聞 2018年11月9日) 海外で研究、減少深刻 20年で4割減、助成拡充、若手後押し
 日本の若手研究者らの「海外離れ」が深刻だ。中長期にわたり海外に渡航する研究者数は過去20年ほどで4割減った。グローバルに活躍する研究者の減少は、深刻化する日本の科学技術力低下の大きな要因になっている。政府は若手研究者が海外で研さんを積む機会を増やすため、日本の科学研究費(総合2面きょうのことば)の助成制度を改善し、テコ入れに乗り出す。文部科学省の調査によると、中長期(1カ月超)にわたり海外に派遣される研究者数は1990年代後半から2000年にかけ7000人を超えていたが、直近では4300人に減った。背景にあるのが、帰国後にポストが得られないことへの不安だ。日本の大学などでは正規の研究職の枠が限られ、任期付きの不安定な雇用形態が増えて若手研究者などが海外に渡航することをためらわせている。国立大学の法人化後、運営費交付金の減少などで大学の経営環境は厳しさを増し、大学も海外に人材を送り出す余裕に乏しい。18年のノーベル生理学・医学賞を受賞する京都大学の本庶佑特別教授を含め、多くの歴代ノーベル賞受賞者は米国などに渡り研究してきた。海外での研究は最先端の知識を吸収し人脈を広げることにつながり、その機会の減少は研究の幅を狭めて日本の科学力低下の理由の一つになっている。文科省科学技術・学術政策研究所が引用数が上位1%に入る優れた研究論文を分析したところ、日本の研究者が携わる研究領域数は米国だけでなく、英国、ドイツ、中国を大きく下回る。日本では新しい分野に挑戦する研究者が少なく、独創性や多様性に欠ける実態を物語る。国境を越え瞬く間に成果が共有され技術革新のスピードが増す中、日本は海外の研究者との「国際共著論文」の数で見劣りする。グローバルに活躍する研究者の不足が鮮明だ。こうした状況をテコ入れするため、政府は若手研究者が海外で長期の研究に参加できるよう環境を整える。研究費の助成制度を改善するのが柱。文科省が、多くの研究者の活動の基盤となっている科学研究費補助金(科研費)の運用を19年度から改める。現在は研究費を受給する間に海外の研究機関で1年以上過ごすと受給資格を失うが、2年以内に戻れば資格を継続し未使用分を受け取れるようにする。政府は若手研究者の育成を成長戦略の一環と位置づけている。日本の研究現場は人材の流動性の低さや新陳代謝の少ない体質が問題視されてきた。将来のイノベーション創出のカギを握る若手研究者の育成にどこまで力を入れるのか、政府や大学の本気度が問われている。

*6-5:https://www.nikkei.com/article/DGXNASFK17058_X10C14A1000000/ (日経新聞 2014/1/17) 大容量太陽光発電システム付き住宅、販売が本格化
 茨城セキスイハイム(水戸市)は2014年1月16日、出力10kW以上の大容量太陽光発電システムを搭載した住宅「スマート・パワーステーション」シリーズを茨城県内で販売すると発表した。「スマート・パワーステーション」は、太陽光発電システムのほか、HEMS(住宅エネルギー管理システム)「スマートハイム・ナビ」、定置型大容量リチウムイオン蓄電池「e‐Pocket(イーポケット)」を搭載し、標準的な住宅規模でエネルギーの自給自足を可能にした。積水化学の鉄骨系住宅「ハイムシリーズ」の主力商品は、フラットルーフであり、屋根全体に太陽光パネルを搭載しやすい。これまでも大容量のパネル設置が可能だったが、40坪程度(約130平方メートル~)の住宅規模で、6.8kW搭載(実邸平均:4.64kW)が最大だった。「スマート・パワーステーション」シリーズでは、新たに開発した「パネル一体型屋根」「ロング庇」により、30坪台(114平方メートル~)からでも10kWの搭載が可能となった。また、木質系住宅「ツーユーホームシリーズ」でも、南面の屋根面積を増やす3.5寸片流れ屋根を開発し、こちらも住宅規模108平方メートルから10kW以上のパネルを搭載できるという。10kW以上のパネルを設置した場合、固定価格買取制度では、「余剰電力売電」と「全量電力売電」が選択でき、20年の長期にわたり、安定した売電収入が期待できる。積水化学の鉄骨系住宅用の太陽光パネルでは、フラット屋根に隙間なくパネルを設置する。その状態で最大発電量が得られ、かつ、相対的に低コストであるCIS型太陽電池を採用した。10kW以上の太陽光発電システムを搭載した住宅では、2013年4月にパナホームが太陽光発電パネルそのもので屋根を構成した戸建住宅「エコ・コルディス」を発売している。太陽光発電パネルに、業界トップレベルの発電効率を持つパナソニック製太陽電池「HIT」を採用することで実現した。同社によると、固定価格買取制度による売電収入は、条件により年間約51.5万円、20年間で約1000万円以上の収入になるという。

*6-6:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20181111&ng=DGKKZO37628350Q8A111C1MM8000 (日経新聞 2018年11月11日) 「衰える工場」品質不正招く、設備・人材へ投資後回し 海外優先、現場にしわ寄せ
 日本企業の品質検査不正(総合2面きょうのことば)が止まらない。鉄鋼、自動車に続き、油圧機器メーカーのKYBが免震装置で検査不正を公表した。なぜ品質の根幹である検査データを偽るのか。SUBARU(スバル)や日産自動車などの調査報告書を読み解くと、一つの共通点が浮かび上がる。設備の老朽化と人手不足で「衰える工場」という現実だ。「建屋や空調機の老朽化で燃費・排ガス検査の際に湿度の基準を満たせず、検査員がドアに目張りし、電気ポットの蒸気で湿度調整していた」(スバル)。「アルミの検査不適合品を合格と偽って出荷したのは、再検査のための保管スペースが1日で埋まってしまうため」(三菱マテリアルグループ)――。弁護士らが調査した各社の報告書だ。「品質」を最大の強みにしてきた日本のものづくりのイメージとはかけ離れた実像が表面化した。各社は老朽化した設備で検査を続けていた。約10万台のリコールに発展したスバルの群馬製作所(群馬県太田市)の検査建屋は1960年代に建てられた。日産の栃木工場(栃木県上三川町)の排ガス試験室の空調機も77年に設置されていた。
●改修に改修重ね
 日産は連結売上高のうち6割、スバルは7割を海外で稼ぐ。稼ぎ頭の海外を中心に新規投資を振り向ける一方、国内工場は改修に改修を重ねて運用してきた。経済産業省によれば、新設からの経過年数である「設備年齢」は大企業で90年度と比べて1.5倍に増えた。人への投資もおろそかになっていた。日産は経営危機に陥った99年以降、カルロス・ゴーン現会長の指揮下でリストラを断行し、「国内技術員が人手不足に陥った」(報告書)。人手が足りず、納期に間に合わせるために不正を繰り返す。KYBの検査員は延べ8人、一時は1人で作業にあたっていた。「基準に満たない製品を分解して正しくするのに5時間かかる」(カヤバシステムマシナリーの広門茂喜社長)が、人的な余裕がなく改ざんに走った。日本の製造業は国内工場を「マザー工場」と位置づけ、現場の“カイゼン"で生産効率を徹底的に高めて海外工場にノウハウを移転してきた。だが、労働コストが安い新興国に最新鋭工場ができると国内の競争力が低下。ベンチマークの海外工場と比べられ、国内生産が消える危機感が現場に芽生え始めた。
●納期守るために
 日産は各国の工場の生産能力や労務コストなどを比較し、生産拠点を決める。「マーチ」の製造を追浜工場(神奈川県横須賀市)からタイ工場に移した際は、余剰となった技術者の多くが海外に派遣された。17年10月にアルミ製部材のデータ改ざんが発覚した神戸製鋼所も同様だ。ある従業員は「売り上げが低下すると工場が操業停止に追い込まれる恐れがあった」と証言している。海外でも15年に独フォルクスワーゲン(VW)で排ガスデータの大規模改ざんが発覚した。だが、「欧米では経営層が不正を指示するケースが多いが、日本企業は現場が忖度(そんたく)した結果、不正に発展することが多い」(デロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリーのプリボスト真由美氏)。カイゼンの名の下、問題の解決を現場に任せてきた日本企業。各社の報告書でもコストや納期を守るために、現場の判断で不正に手を染めたケースが目立つ。もちろんそれが経営陣の言い訳にはならない。コスト削減を掲げるだけで現場のひずみに目をつぶり、不正に追い込んだ経営の責任は重い。日産は6年間で測定装置などに1800億円を投じ、検査部門に670人を採用する。スバルも5年間で1500億円を設備更新に充てる。しかし局地的な対応策で「ものづくり力」が回復するかは未知数だ。製造業のデジタル化を目指す「インダストリー4.0」を掲げるドイツでは、生産から検査までロボット技術を使った最先端工場で本国に生産回帰する動きが始まった。独アディダスは17年にロボットが靴を自動生産するラインを導入し、24年ぶりに生産を自国に戻した。膨大な情報を自動で分析する技術は、検査工程や品質向上にも活用できる。生産年齢人口が減少するなか、現場の感覚や頑張りだけに頼ったものづくりは限界を迎える。日本のものづくりの復権のためには、抜本的な生産の革新が必要になる。

*6-7:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20181203&ng=DGKKZO38445170S8A201C1MM0000 (日経新聞 2018年12月3日) 「運輸部門の排出ゼロ」 COP24、明記へ
 ポーランドで2日開幕した第24回国連気候変動枠組み条約締約国会合(COP24)で、参加国が3種類の政治文書をとりまとめる調整に入った。電気自動車(EV)を推進する「Eモビリティー」では「運輸部門の温暖化ガスの排出ゼロ」の実現を明記する見通し。同部門で二酸化炭素(CO2)排出の多くを占める自動車を巡り、各国が官民で連携してEV普及の方向性を明確にする。COP24は190近くの国・地域が参加してポーランドのカトヴィツェで開幕した。14日の閉幕までに国際的な温暖化防止の枠組み「パリ協定」の詳細なルールとなる実施指針の合意をめざす。

<エネルギーの変遷と新事業>
PS(2018年11月10日、12月1日追加):エネルギーも変遷するので、*7-1のように、三井松島が脱炭素社会で石炭生産事業から撤退するのは仕方のないことだが、エネルギーにシナジー効果のある慣れた事業を行いたいとすれば、①日本政府と協力して日本のEEZ内で蓄電池材料となるレアメタルを採掘する ②所有する離島から入る海底の坑道を核廃棄物の保管場所として再生し、しっかりした管理を行う などの新たな事業が考えられる。
 なお、*7-2のように、長崎県・佐賀県の7市町が新しい電力会社を作り、来年度から公共施設などに電力を供給するのはよいと思う。その理由は、①再エネはクリーンであること ②エネルギーも地産地消した方が地域から資金が流出しないこと である。
 日本農業新聞は、2018年12月1日、*7-3のように、農林中金とみずほ銀行が11月30日にJAバンクで個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」を取り扱う業務提携をしたと記載している。年金はもちろん必要だが、農林中金やみずほ銀行は、地方の人から集めたなけなしの金を米国でサブプライム・ローン(貧乏人からむさぼるローン)として貸し出し、2008年のリーマンショックで大きな貸倒損失を出して、米国の住宅しか残らなかった。そのため、個人型確定拠出年金もよいが、全国的な銀行に集めるのはどうかと思われ、九州で集めた年金資金は九州の街づくり・再エネ・その他産業等に投資して利益を出すような選択肢を作って、年金資金で将来の街づくりの一端を担うのがよいと考える。魅力的な街に人々は集まるのだから。

  
    *7-2より    エネルギー自給率国際比較    日本の再エネの伸び

(図の説明:中央の図のように、日本のエネルギー自給率はずば抜けて低いにもかかわらず、右図のように、再エネによる国産エネルギーの開発は固定価格買取制度に頼っており鈍い。そのような中、左図のように、地方自治体が新電力を作って再エネ普及を心がけているのは頼もしく、再エネによる電力とEVを組み合わせれば、資金流出は最小になる)

*7-1:http://qbiz.jp/article/143946/1/ (西日本新聞 2018年11月10日) 三井松島が海外採掘撤退へ 九州支えた石炭生産事業に幕 「脱炭素社会」で逆風
 三井松島ホールディングス(HD)=福岡市=は9日、祖業の石炭生産事業から2040年代までに撤退すると発表した。地球温暖化への懸念から国際的に脱炭素社会に向けた動きが広がる中、将来的に事業収益が見込めなくなると判断した。1913年の創業時から100年以上続いた事業に幕を下ろす。同社は現在、オーストラリアとインドネシアの計3カ所の炭鉱で生産や開発探査を展開。9日発表した24年3月期までの中期経営計画に、今後は新たな石炭関連事業への権益投資を行わず、現在の採掘計画が終了する40年代をめどに完全撤退する方針を盛り込んだ。石炭販売事業については継続する見通し。撤退について同社幹部は「過去にない石炭事業への逆風を感じるようになった」と強調する。地球温暖化防止の国際的枠組み「パリ協定」が15年に採択され、環境保護など企業の社会的責任を重視する「ESG投資」が世界的に拡大。地球温暖化につながる石炭需要の先細りは避けられないとして、石炭生産事業に依存しない収益構造への転換を決断した。同社の18年3月期の連結売上高は663億円で、うち石炭生産事業は118億円。12年以降、企業の合併・買収(M&A)を進めており、ストロー製造やスーツ製造会社を買収した。今後5年間は、新規M&Aを加速させる期間と位置づけ、計300億円を投じる方針。18年3月期の連結営業利益15億円を、24年3月期までに55億円に引き上げる。同社の前身は1913年、松島炭鉱(長崎県)開発のため三井鉱山などが出資して設立。2001年に九州最後の池島炭鉱(同)を閉山し、国内生産から撤退した。

*7-2:http://qbiz.jp/article/143923/1/ (西日本新聞 2018年11月10日) 長崎・佐賀7市町が県境越え新電力 佐世保、伊万里など、来年度から公共施設などに供給
 長崎県佐世保市は佐賀県伊万里市など近隣6市町と協力して、新電力会社を2019年度に設立する。佐世保市を含む7市町の主に公共施設と契約し、収益を公益性の高いまちづくり団体の活動費に充てることを目的としている。市によると、自治体が県境を越えて新電力会社を設立するのは全国で初めて。佐世保市以外の6市町は長崎県平戸市、松浦市、西海市、東彼杵町、新上五島町と佐賀県伊万里市。19年度に発足する連携中枢都市圏「西九州させぼ広域都市圏」(12市町)の一部で、新電力会社を45の共同事業の重点と位置づけている。計画によると、新電力会社は企業や金融機関の出資を想定した第三セクター。7市町内で企業などが行っている太陽光や風力、ごみ焼却、バイオマス発電から電気を仕入れ、自治体庁舎や体育館などの公共施設、民間事業者へ供給する。20年度から年間13億円程度の売り上げを見込む。佐世保市は新電力会社をつくる目的として「都市圏域の経済循環」を挙げる。現在の電気料金のほとんどは九州電力(福岡市)の収入になっているため、その一部を圏域内にとどめ、民間の公益活動資金として循環させたい考えだ。自治体が新電力会社に出資する例は北九州市、福岡県田川市などがある。佐世保市は福岡県みやま市が中心になって設立した「みやまスマートエネルギー」を参考にした。連携中枢都市圏は、中心都市と周辺市町村が協力して住民サービスや都市機能を高め、圏域住民の流出を抑えるために形成する。九州の7地域を含む全国28地域にあり、国は地方交付税で共同事業を支援する。

*7-3:https://www.agrinews.co.jp/p45984.html (日本農業新聞 2018年12月1日) 個人型確定拠出年金 JA窓口で扱いへ 農林中金みずほ銀
 農林中央金庫とみずほ銀行は30日、JAバンクで個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」を取り扱うための業務提携を発表した。2019年4月から、取り扱いを希望するJAの窓口で、みずほ銀のイデコ商品を申し込めるようにする。組合員・利用者の資産形成ニーズに対応する。JAには長期の取引につながるメリットがある。「JAバンクのiDeCo(みずほプラン)」として取り扱いを始める。JAが商品の提案や加入申し込みの受け付けをし、掛け金の引き落としや年金の受け取りはJAの口座を使う。みずほ銀は運営管理機関として、加入者に運用状況の情報提供などを行う。農林中金は、取り扱いを希望するJAを募り、JA職員向けの説明会も行う。JAバンクは02年に個人型の確定拠出年金に参入したが撤退し、現在はイデコを扱っていない。だが農林中金は、長寿命化や公的年金への不安感からイデコへのニーズがあるとみる。一方で自前の商品開発などは非効率と判断し、みずほ銀に提携を呼び掛けたという。イデコは掛け金の拠出や年金の受給で長期の取引をするため、JAにとっては若い世代の組合員や利用者との結び付きの強化につながる。イデコを扱うかどうかはJAの判断だが、取り扱い登録は不要のため、農林中金は「投資信託を取り扱うJAの数(約200)より多くなるのではないか」とみる。農林中金はイデコを、JAや組合員・利用者が投資信託などの資産形成を始めるきっかけにしたい考えだ。イデコを巡っては大手の保険会社や銀行、証券会社が地方銀行や信用金庫などと提携し、加入者数を競っている。みずほ銀はJAバンクとの連携で、農村部での加入者を増やしたい考え。提携金融機関数は国内首位となる見込みだという。
<ことば> iDeCo
 個人が任意で加入する私的年金制度。毎月、一定額の掛け金を支払い、自らが選んだ金融商品で運用。運用結果で将来の受け取り額が決まる。原則60歳になるまで途中の引き出しや脱退はできないが、掛け金全額が所得控除となるなど税制上のメリットがある。

<若者が地方を離れる理由には封建的な価値観もあること>
PS(2018年11月28日追加): 故郷を離れ、都会の家賃は高いのにニューヨークのハーレムより狭い団地の一室で核家族で暮らした団塊世代以降の若者は、故郷によい仕事がなかったこと以外に、*8-1のような封建的なムラ社会から出て自分の価値観で生きたいという気持ちも大きかったと思う。しかし、現在では、農村も戦後世代が舅・姑で教育レベルが高くなったため、封建性や女性の地位の低さは次第にほぐれてきている。2005~2009年の間、私が衆議院議員として毎週末に帰ったふるさとである地元(佐賀県)で感じたことは、「一般には、女性の地位が私が大学に進学するためふるさとを出てきた時とあまり変わっておらず、東京より30年以上も遅れているのではないか」と思われるような女性差別・女性蔑視・女性に対する過小評価があったことだ。これは、すべての人が有権者である選挙では、女性にマイナスに働く。
 また、*8-2のように、鳥取県知事が「母の慈愛の心を持って云々」と独身の小池都知事をちゃかす発言をしたことにも女性差別が表れており、この発言にまともに反論すれば、①この発言はセクハラである ②母でない女性は価値がないかのようで、女性の自己決定権や人権を無視している ③女性は慈愛に満ちていつもやさしくなければならないなどとしているが、それでは交渉も指導・監督もできない である。しかし、そうまともに反論すると、何故か「生意気」「傲慢」「謙虚でない」等々の批判を受けるので、小池都知事はじめ多くの女性は「母になれなかった」「結婚できなかった」などと哀れみを誘う説明をしているわけで、本当は「自己規制」などしたくはないのだということに、メディアはじめ人々はそろそろ気付くべきだ。

*8-1:https://www.agrinews.co.jp/p45930.html (日本農業新聞 2018年11月27日) 農家女性の歩み 性別役割分業の壁破れ
 戦後、農家のお母さんたちはどう生き抜いたのか。女性から見た戦後史が反響を呼んでいる。時を経ても変わらないのは、強固に存在する「性別役割分業」。国には家事・育児・介護などを正当に評価する仕組みを求める。家庭や地域では労働分担の知恵を出し合い、変えるべきことは変えていこう。『農家女性の戦後史──日本農業新聞「女の階段」の五十年』(こぶし書房)の著者で、駒沢大学経済学部教授の姉歯曉さんは、書籍化まで5年かかったという。「投稿や手記のレベルが高く、読み解くには膨大な分析が必要だった」と振り返る。時代背景を知るために、模造紙を何枚も貼り合わせた分野別年表を作った。本著は、農村を内側から見たリアルな女性史であるだけでなく、農政や経済、生活と多方面から分析、「女の階段」投稿者の女性8人のインタビューも収めた。朝日新聞では10月、音楽家でエッセイストの寺尾紗穂さんが「農村史を眺めるだけでは浮かび上がらない女たちの切実な声が溢(あふ)れている」と書いた。週刊文春誌上で11月に紹介したエッセイストの酒井順子さんは「農家の女性達が置かれた状況も、戦後の農業の変遷も、全く知らなかったということを知らされる一冊」とした。姉歯さん自身も、10月に開かれた2018年度経済理論学会で著書について発表。「研究者仲間から、今まで聞いたことのない自分の母親や『嫁』としての苦悩の話が聞かれた。70、80代の男性研究者からは自分が目にしてきた母の姿だ、と電話があった」と話す。学会に参加した同書の編集担当者は、「本が“自分語り”のきっかけになった。自分の問題を考えるための懸け橋になるのではないか」と期待を込める。本紙が、くらし面に投稿欄「女の階段」を設けたのは1967年。この50年で経営者として参画する女性は増え、発言力や行動力は高まった。8月には相続分野を40年ぶりに見直した改正民法が成立。介護に尽力した「嫁」は無権利状態を脱し、その貢献度を請求できる仕組みとなった。この変化の背景に「女の階段」世代の踏ん張りがあることを忘れてはならない。一方、農水省の調査(18年)で、経営参画に必要なこととして女性自身が「家事・育児・介護などの負担軽減」(28%)、「家事、育児などは女性の仕事という固定的役割分担の意識の打破」(16%)を求めていることが分かった。与党内では、いまだに女性は家事を担うものといった旧態依然の「家族観」を持つ議員の発言が後を絶たない。女性も年代を問わず、この意識が刷り込まれ、「自己規制」と「世間体」のはざまで苦しんでいる。群馬県の塚越アサさん(18年5月逝去)は、「女の階段」にこう書いた。「正しい怒りを正しく表現したい」と。今こそ声を上げ、壁を破ろう。

*8-2:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20181116&ng=DGKKZO37835610W8A111C1CC0000 (日経新聞 2018年11月16日) 「ちゃかす発言、大変傷ついた」小池都知事
 東京都の小池百合子知事は16日の定例記者会見で、9日の全国知事会議に関し「(小池氏を)ちゃかすような発言があって、非常に困惑した。安易な発言に大変傷ついた」と述べた。「母としてどうのこうのと言われたが、私は母になれなかった」などと説明した。会議では、国による税財源の偏在是正措置への対応などが議題となった。鳥取県の平井伸治知事が「母の慈愛の心を持って、大都市と地方が折り合える案を考えていただければ」などと発言した。

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2018.5.5 セクハラと女性差別の範囲(2018年5月6、7、8、12、16、17、19、22日追加)

                 2018.4.30日経新聞

(図の説明:セクハラを受ける相手は同じ会社の上司が多いが、顧客・銀行・監督官庁等の場合は事業主だけでは対応できない上、セクハラ被害を受ける人は仕事の遂行力(=能力)がないことになるため、被害を訴えにくい。その結果、被害者は相談することができなかったり、相談してもマイナスの結果になったりすることが多いわけだ。従って、「セクハラは女性蔑視に基づく女性に対する人権侵害である」という社会的コンセンサスが必要であり、現代のセクハラの範囲は、性に直接まつわる言動だけでなく、女性上司を軽く見て部下が女性上司の指示を無視したり、銀行が女性事業者への融資に消極的だったり、相手方の担当者が女性の場合に嫌な顔をしたりするなど多岐に渡るのである)

(1)政治家や行政官のゴシップ
1)財務事務次官のセクハラについて
 財務省は、*1-1のように、2018年4月16日、週刊新潮で報じられた福田次官の女性記者に対するセクハラ疑惑に関する福田氏からの聞き取り調査の結果を発表し、福田氏は「報道は事実と異なる」「女性記者との間でこのようなやりとりをしたことはない」「相手が本当に女性記者かも全く分からない」「女性記者にセクハラに該当する発言をしたという認識はない」などと疑惑を否定し、記者クラブ加盟社に女性記者の調査への協力を要請した。

 私は、テレ朝(もしくは朝日新聞)の記者に、あやふやな情報を週刊文春に持って行かれ、事実とは異なるキャリアウーマン否定のヘイト記事を書かれて大変な迷惑をしたことがあるため(私が「名誉棄損」「侮辱」で提訴して勝訴済)、「テレ朝の記者が週刊新潮に情報を持ち込むのはどうか」と思ったが、週刊新潮の音声データはごく初歩のセクハラ発言で、本当にこのような発言をしたとすれば、福田次官に認識の低さと脇の甘さを感じざるを得ない。

 しかし、私も、*1-2のように、セクハラは問題だと考えるが、セクハラにせよパワハラにせよ被害者・加害者の職業は無関係であり、加害者扱いされたからといってそれが事実とは限らないため、証拠で確認することは必要不可欠である。また、「部下である官僚のセクハラで大臣が辞めろ」という要求は、報道各社のスタッフの誰かがセクハラをしても、その監督責任を理由として必ず社長が辞めなければならないわけではないのと同じで、法の下の平等に反する。

2)ある議員の認識について
 自民党の長尾衆院議員が、*1-3のように、セクハラをめぐる問題に抗議する野党の女性国会議員らを「セクハラとは縁遠い方々」とツイッターで揶揄されたそうだが、この女性蔑視の認識が男性に悪びれもせずセクハラさせる理由だろう。つまり、「セクハラは魅力ある女性に対して行うもので、議員のような女性はこれに該当せず、一般にセクハラされた女性は喜ぶものだ」という根拠なき妄想である。

 こういう男性は、遊び相手の女性と奥さんしか知らず、女性とセックス抜きの対等な立場で友人になったり、競争で女性に負けたりしたことがないのだろうと思うので、ここではっきり言っておくが、女性にも好みがあるので相手によってはセクハラをされると嫌悪感を感じ、仕事の邪魔をして足を引っ張る人は男女を問わず大嫌いなのである。

 さらに、私は、公認会計士や税理士などのプロ集団の中にいる時はこれほど初歩的なセクハラを受けたことはないが、国会議員になっていろいろな人と関わるようになると、初歩的なセクハラ発言から高度なセクハラまで、いちいち指摘すればきりがないほど出合ったので、女性国会議員はセクハラと縁遠くはないと思う。

3)セクハラの罪
 麻生財務相(77歳、戦前生まれの九州男児)は、2018年5月4日、*1-4のように、「役所に迷惑を掛けたとか品位を傷つけたとかいう理由で処分した」「『セクハラ罪』という罪はない。殺人とか強制わいせつとは違う」と発言されたそうだ。

 セクシュアルハラスメントは男女雇用機会均等法で定義されており、「事業主が、職場において行われる性的な言動に対するその雇用する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受けたり、または性的な言動により当該労働者の就業環境が害されたりすることのないよう雇用管理上必要な措置を講じなければならない」とされている。そのため、(1)1)の事業主(社長)が責任を取らなければならない場合とは、雇用管理上必要な措置を講じていない場合だが、その場合も厚労大臣による行政指導が行われるものの、事業主に対する罰則はない。(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/00.pdf#search=%27%E3%82%BB%E3%82%AF%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%AB%E3%83%8F%E3%83%A9%E3%82%B9%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%83%88%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%99%E3%82%8B%E5%9D%87%E7%AD%89%E6%B3%95%E6%8C%87%E9%87%9D%27 参照)

 また、職場におけるセクシュアルハラスメントは「対価型」と「環境型」の二つに分類され、上記のケースは対価型と環境型が合わさっているようである。

 そして、セクシュアルハラスメントを受けた労働者は、被害を回復するため、セクシュアルハラスメントの行為者やその雇い主である企業に対して損害賠償を請求することが可能で、裁判例では、セクシュアルハラスメントが被害者の人格権ないし人格的利益を侵害したと認められる場合には不法行為(民法709条)に基づく損害賠償責任を認めている。

 なお、日本一、女性蔑視がきついと思われる鹿児島県の南日本新聞も、*1-5のように、「セクハラは人権侵害で許されない行為」「被害者に隙があったのではないかなどの指摘は的外れで、加害者に非があるのは当然」「男女に関係なく互いを尊重し、職場で十分に力を発揮するためにも、セクハラに寛容な社会を許してはならない」と書いており、かなり進歩している。

4)セクハラの範囲
 ここまで書いてきたのは、性的言動を行うあからさまなセクハラだが、セクハラには、「女性は馬鹿で能力がないかのような表現をする」「女性の昇進を評価で妨げる」「女性にはリーダーの資質がないかのような先入観を植え付ける」「強い女性は悪い女性であるかのように書く」など、性的な言動は伴わないが仕事に悪影響を与える深刻な嫌がらせも多く存在する。

 そのため、性的言動を行うあからさまなセクハラはもちろんだが、性的言動は伴わないけれども仕事に悪影響を与えるこのような深刻な嫌がらせも現代のセクハラの範囲には含めるべきだ。そして、これは、米国では今から30年くらい前の1980年代後半には既に言われていたことである(「セクシャルハラスメントの社会学」参照)。

(2)セクハラへの対応
1)メディアの対応
 日経新聞社が、働く女性1000人に緊急調査したところ、*2-1のように、セクハラを受けた6割超が「仕事に悪影響を与えるから我慢した」そうで、女性活躍の推進には、働きやすい環境が欠かせず、防止対策と併せ意識改革が求められるとしている。ただし、ここでも「セクハラは性的な言動による嫌がらせ」とセクハラを狭く定義しているが、働きやすい環境とは、女性蔑視により女性の価値を減じられない環境のことである。

 なお、*2-2の民放労連や*2-3の新聞労連は、「財務省事務次官によるテレビ朝日女性記者へのセクシャル・ハラスメントは看過できない」と抗議しており、それ自体はよいと思うが、米国のハリウッド女優などに対するセクシャル・ハラスメントは、芸能関係者が女優に対して行ったセクハラを発端とし、「#Me Too」として全世界に広がりを見せているのである。

 そのため、私は、放送産業内での女性に対するセクハラもなくすべきで、メディア内でセクハラや女性蔑視に関する認識が高まれば、社会の認識は変革できると考える。

2)総務大臣の対応
 野田総務相は、*2-4のように、再発防止に向けた法整備を検討する考えを明らかにされたが、それには、セクハラの範囲を性的言動に限らず広げて環境を整えることを義務化し、罰則をつけるのがよいと考える。

 ただ、セクハラを受けたテレビ朝日の女性社員が、財務次官にそのような性癖のあることがわかっていたのなら、録音するよりも他の記者と2人以上で行った方が、マイクをとりあげられる心配もなく、確実に身を護る方法になっただろう。

(3)セクハラの根源には、女性を性的対象としか見ない女性蔑視・女性差別があること
 「世界経済フォーラム」の2017年の男女格差指数で144カ国中138位(日本の順位は、144か国中114位であり、他の先進国よりもずっとサウジアラビアに近い)のサウジアラビアでは、*3のように、ムハンマド皇太子が改革を進めており、就業する女性割合を22%から30%に伸ばす目標を掲げて、国際社会から「女性抑圧」の象徴とされた自動車運転を解禁し、女性が働ける職場も増えつつあり、政府は女性の起業に必要だった男性の許可を廃止したそうだ。

 しかし、①男性の給油係と接するのをためらう女性ドライバーがいたり ②女性が給油係として働くことを中傷したり ③兄弟でさえ冷たい視線を投げかけたり するのに対して、女性が個人的に対応することは不可能であるため、サウジアラビアは早急に女子差別撤廃条約(http://www.gender.go.jp/international/int_kaigi/int_teppai/joyaku.html 参照)の締約国となり、日本と同様に男女雇用機会均等法を作るのがよいと考える。

<政治家・行政官のゴシップ>
*1-1:http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201804/CK2018041702000123.html (東京新聞 2018年4月17日) 【経済】女性記者に協力要請 財務省調査 次官セクハラ否定
 財務省は十六日、週刊新潮で報じられた福田淳一次官の女性記者に対するセクハラ疑惑について、福田氏からの聞き取り調査の結果を発表した。福田氏は「報道は事実と異なる」として疑惑を否定した上で、辞任しない考えを表明した。財務省は同省と顧問契約を結んでいる弁護士に委託して調査を続ける方針を示し、記者クラブ加盟社には女性記者の調査への協力を要請した。立憲民主党など野党は政府に福田氏の更迭を重ねて要求した。財務省によると、福田氏の部下である矢野康治官房長が福田氏から聴取。福田氏は週刊新潮が自社のニュースサイトで公開した音声データについて「女性記者との間でこのようなやりとりをしたことはない」と話し「相手が本当に女性記者かも全く分からない」と答えた。ただ、音声が福田氏自身のものかについては明確にしていない。福田氏が複数の女性にセクハラ発言をしていたと報じられた点に関しては「女性が接客しているお店に行き、女性と言葉遊びを楽しむことはある」としながらも「女性記者にセクハラに該当する発言をしたという認識はない」と答えた。福田氏は新潮社を名誉毀損(きそん)で訴える準備を進めているという。進退については「反省の上、緊張感を持って職務に取り組む」と辞任を否定した。先週十二日発売の週刊新潮は福田氏が会食などの席で、財務省担当の女性記者に「胸触っていい?」などのセクハラ言動を繰り返していたと報道。麻生太郎財務相は内部調査せず、口頭注意でとどめる方針を示していたが、十三日に音声データが公開され、一転して調査を指示した。麻生氏は十六日の参院決算委員会で国費を使って弁護士に調査を依頼したことに関し「双方の言い分を聞くのは当然だ」と述べた。週刊新潮編集部は、「記事は全て事実に基づいたものです」とコメントした。

*1-2:https://mainichi.jp/articles/20180430/ddm/005/070/002000c (毎日新聞社説 2018年4月30日) セクハラと日本社会 これが21世紀の先進国か
 セクハラの実態を正確につかむことは不可能に近い。被害がなかなか報告されないのだ。なぜか。 財務事務次官を辞任した福田淳一氏のセクハラ問題は、その答えをわかりすぎるほどわからせてくれた。調査もせず口頭注意で済ませる。それが発覚直後の財務省の態度だった。報道した週刊新潮が問題発言の録音を公開し、「調査」を始めたが、被害者に「名乗り出よ」と言わんばかりの乱暴な手法だった。福田氏は「全体として見るとセクハラではない」と説明にならない説明を繰り返し、法廷で争うという。だが最も深刻なのは、次官を監督する立場にある閣僚が、セクハラの本質やその重大性をおよそ理解しているとは言い難い点である。
●被害者批判の理不尽
 「(加害者扱いを受けている)福田の人権は、なしってわけですか」「(福田氏が女性に)はめられて訴えられたとの意見も世の中にはある」。安倍政権ナンバー2の副総理でもある麻生太郎財務相は、福田氏をかばう一方で、被害女性があたかも福田氏をワナにかけたかのような発言をためらいもなく重ねた。財務省はようやく福田氏のセクハラを認め、処分を発表したが、その場に麻生氏の姿はなかった。セクハラと正面から向き合うという姿勢がみじんも感じられない。21世紀の先進国政府で起きているとは信じ難い恥ずべき事態である。「女性の活躍」を看板政策に掲げる安倍晋三首相はなぜ怒らないのか。さらに驚くのは、女性側の仕事に制限を求めるような主張が少なくないことだ。日本の経済界を代表する経団連の榊原定征会長は、福田氏の行為を「極めて不見識」と批判する一方、記者が異性と1対1で会うことは「さまざまな誤解を生みかねない」と記者会見で述べた。取材を受ける側の大半が男性である現状と合わせて考えれば、女性記者は誤解を招かぬよう夜間の1対1の取材は控えよ、という意味になる。また、異性間のセクハラのみを前提にするのも時代遅れだ。影響力のある人たちによる見当違いの発言は、被害者たたきをしても構わないという間違ったサインとなる。インターネット上で中傷が勢いづく。セクハラに甘い環境はそのままで、被害はいつまでも減らない。今回のセクハラ問題は被害者が記者だったことから、報道する側の倫理を問う意見も少なくなかった。まず、セクハラにせよパワハラにせよ、被害者の職業は無関係だということを指摘しておく。政治家でも警察官でも被害者は守られるべきだ。その上で述べたい。セクハラの立証は非常に厳しい。音声や画像など客観的証拠が乏しければ、逆に加害者から名誉毀損(きそん)で訴えられかねない。今回の録音は被害を訴える際不可欠な証拠である。
●社会全体が損をする
 セクハラ被害の報告を受けたテレビ朝日は自ら財務省に抗議し、そのことを報じるべきだった。それができなかったがために、記者はやむなく情報を週刊誌に提供した模様だ。もし彼女が途中であきらめていたら、今も福田氏はセクハラ発言を続けていたことだろう。今回の事例は氷山の一角だ。声を上げられないまま精神を病んだり、命を絶ったりする被害者もいる。発信の手段を持つ記者でさえ、セクハラと闘おうとすればひどい目に遭う。今回の事例が多くの女性に無力感を与え、口をつぐむ被害者が増えはしないか心配だ。あらゆるハラスメントは悪い。ただ、男性被害者も多いパワハラに対し、セクハラの被害者は女性に集中している。有効な防止策が打たれず被害が闇に葬られ続ける背景には、改善を主導できる地位にあまりにも女性が少ない現実がある。働く女性が性的対象としてしか見られない、尊厳が傷つけられてもあまり問題にされない社会で損をするのは女性ばかりではない。社会全体が活力を失い、国際社会からも尊敬されない国になる。英国では先週、女性の参政権100周年を記念し、運動家ミリセント・フォーセットの銅像が国会議事堂前の広場に建立された。「勇気は至る所で勇気を呼ぶ」。自身の演説の一節を記した旗を手にしている。基本的な権利を守ろうと立ち上がった一人の勇気がつぶされ、至る所で勇気の芽が摘まれる。そんな国は、現代の国際社会で名誉ある地位を占めることなどできない。

*1-3:https://digital.asahi.com/articles/ASL4S32YLL4SUTFK005.html (朝日新聞 2018年4月24日) 自民・長尾氏が謝罪 「セクハラと縁遠い方々」ツイート
 財務省の福田淳一事務次官のセクハラをめぐる問題に抗議する野党の女性国会議員らを「セクハラとは縁遠い方々」とツイッターで揶揄(やゆ)した自民党の長尾敬衆院議員(大阪14区)は24日朝、国会内で記者団に「『縁遠い』という表現は全くもって不適切だった。心から反省している」と陳謝した。長尾氏は「前回の厚生労働委員会の審議中、審議拒否という形で『#Me Too』行動されていた議員のみなさんの姿を拝見し、憤りを禁じ得なかった」と釈明した。長尾氏は20日、自身のツイッターに「#Me Too」と書いたプラカードを掲げて黒い服装で抗議する女性議員らの写真を掲載し、「セクハラはあってはなりません。こちらの方々は、少なくとも私にとって、セクハラとは縁遠い方々です。私は皆さんに、絶対セクハラは致しませんことを、宣言致します!」などと書き込み、後に削除した。

*1-4:https://ryukyushimpo.jp/kyodo/entry-712938.html (琉球新報 2018年5月5日) 減給理由は「役所に迷惑」 次官セクハラ巡り麻生氏
 麻生太郎財務相は4日、女性記者へのセクハラを報じられ財務事務次官を辞任した福田淳一氏について「役所に迷惑を掛けたとか品位を傷つけたとかいろんな表現があるが、(そういう理由で)処分した」と述べた。マニラでの記者会見で語った。セクハラ行為を認定した上で減給とした財務省の対応とは食い違う説明になる。麻生氏は「『セクハラ罪』という罪はない。殺人とか強制わいせつとは違う」とも発言した。その上で、福田氏がセクハラを否定していることを踏まえ「(福田氏の)人権を考えないといけない。言い分を聞かないと公平を欠く」と、これまでの主張を繰り返した。

*1-5:https://373news.com/_column/syasetu.php?storyid=92281 (南日本新聞 2018/5/4) [セクハラ問題] 人権侵害の認識持とう
 財務省は事務次官を辞任した福田淳一氏の女性記者へのセクハラ行為を認め、処分を発表した。福田氏の女性記者に対する言動は言うまでもなく、この問題を巡る財務省の対応や国会議員の発言はセクハラに対する理解不足や常識のなさを露呈した。その感覚の鈍さに驚くばかりだ。厚生労働省では局長が女性職員に対するセクハラで懲戒処分を受けた。これを機に、セクハラは人権侵害で許されない行為だという認識を社会全体で改めて共有したい。国内でセクハラという言葉が浸透したのは1989年である。上司から言葉による性的嫌がらせを受け退職を余儀なくされた女性が、元上司と会社に損害賠償を求めて福岡地裁に提訴。地裁は女性の訴えを認めた。初めてのセクハラ訴訟は広く関心を集めた。被害者を法的に救済すべきだとの認識が高まり、改正男女雇用機会均等法で99年に事業主にセクハラ防止配慮義務が課された。だが、今回の財務省の件で、法制化から約20年がたっても理解が深まっていない状況が浮き彫りになった。セクハラは職場での労働者の意に反する性的言動が対象となる。力関係を背景に弱い立場の人に対し、歓迎されない性的関心を一方的に向けることで起きることが多い。性的な冗談やからかいも含まれる。被害者、加害者ともに性別を問わない。意図はどうであれ、相手に不快な思いをさせればセクハラだ。被害者に対する「隙があったのではないか」などの指摘は的外れで、加害者に非があるのは当然といえよう。防止のためには、どんな言動がセクハラに当たるか認識しなくてはならない。企業側は研修の場や情報の提供に努める必要がある。法制化に伴い、各職場で相談窓口の設置など環境改善が進んでいる。だが、問題が大きくなることや二次被害を恐れ、被害者が声を上げにくい状況にも配慮したい。鹿児島労働局にはセクハラに関する相談が2016年度に79件、17年度も70件近く寄せられた。企業側は防止策が有効に機能するよう一層努めてもらいたい。これまで、被害者の大半を占める女性の側がセクハラをうまくかわすことが求められる傾向にあった。周囲には見て見ぬふりをした人もいるのではないか。だが、それではセクハラはなくせまい。男女に関係なく互いを尊重し、職場で十分に力を発揮するためにも、セクハラに寛容な社会を許してはならない。

<セクハラへのメディア等の対応>
*2-1:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20180430&ng=DGKKZO29923370X20C18A4TY5000 (日経新聞 2018年4月30日) セクハラ受けた6割超が我慢「仕事に悪影響」、働く女性1000人 緊急調査
 財務省事務次官の辞任に発展したセクハラ疑惑の問題を受け、日本経済新聞社は、働く女性1000人を対象にセクハラに関する緊急調査を実施。被害に遭った女性の6割超が「我慢した」と答え、その多くが「仕事に悪影響を及ぼすから」と相談もできずにいる実態が分かった。女性活躍の推進には、働きやすい環境が欠かせず、防止対策と併せ意識改革が求められる。セクハラは性的な言動による嫌がらせのこと。1986年の男女雇用機会均等法の施行により女性の社会進出が進んだことや、企業の海外進出が進み、米国で日本企業が現地社員らに訴えられたことなどで、経営課題として認識されるようになった。企業には、99年施行の改正男女雇用機会均等法でセクハラ防止の配慮義務が課され、2007年の法改正でセクハラ対策は措置義務になった。だが意識改革はなかなか進んでいない。男性中心の企業文化が残るなか、被害に遭っても行動に出られない女性が多い。セクハラを受けた女性(全体の42.5%)にその際の対応(複数回答)を尋ねると「我慢した」は相手が社内の場合(以下、社内)で61.3%。相手が社外の場合(以下、社外)は67.7%と7割近くに高まる。女性らの間に、かえって状況悪化を招きかねないとの懸念が強いとみられる。我慢した理由(複数回答)は「仕事に悪影響が出るから」が社内外を問わず最多。社外は57.8%と6割近くで社内(42.2%)を15ポイント以上引き離す。商談への影響を考え、社内以上に対応に苦慮している。続いて多かったのは、社内・社外ともに「相談しても状況は改善・解消しないと思った」で3割超だ。過半数が我慢する一方、少数ながら被害を受けて動く人もいる。相手に「直接抗議した」は社内の場合で18.4%。「相談した」は社内・社外ともに24%台だった。相談した相手(複数回答)は、社内外ともに「会社の同僚」が4割超でトップ(社内49.5%、社外42.4%)。専門的な対応が見込める「会社の相談窓口・担当者」は社内の場合で24.2%。「労働局」は同7.7%だった。ただ、相談しても状況の改善・解消にはつながりにくいようだ。相談した人にその後の状況を聞くと、社内の場合、過去からの案件も含め「改善・解消」は17.6%にとどまった。一方で「すべて何も変わらなかった」は28.6%と3割近く。これに「一部は改善・解消」(53.9%)を合わせると、相談しても納得できなかった案件がある割合は82.5%と8割を超える。法律では企業にセクハラ相談窓口の整備が義務付けられている。職場のセクハラ防止策(複数回答)はどうなっているか尋ねたところ、最も回答割合が高い「セクハラ防止に向けた社内規定がある」でも28.4%と3割に満たない。「社内に相談窓口がある」は24.8%。「セクハラ防止のための研修がある」は14.8%。対策の遅れが目立った。仕事相手からのセクハラ防止に向けて必要なこと(複数回答)を尋ねると「社会全体として男性の意識改革を進める」が45.5%でトップ。被害実態に関する自由回答にも「大人なんだからそれくらい良いだろ、とこっちが悪いみたいな言い方をされた」(メーカー営業、35歳)などの記述があり、セクハラ被害への認識は男女に大きな開きがある。「セクハラ」という言葉が日本企業に広まったのは80年代後半のこと。いつまで女性は我慢しなければいけないのか。男性が被害者の痛みと真剣に向き合わないと問題は解決しない。
*【調査の概要】正社員・正職員として働く20~50代の女性を対象に2018年4月24~26日、調査会社マイボイスコム(東京・千代田)を通じてインターネット上で実施。各年代250人ずつ計1000人から回答を得た。

*2-2:http://www.minpororen.jp/?cat=7 (日本民間放送労働組合連合会中央執行委員長 赤塚オホロ 2018年4月25日) 声明・報告:民放連へ「セクハラ問題」で緊急の申し入れ
一般社団法人日本民間放送連盟会長 井上弘 殿
 財務省事務次官によるテレビ朝日女性記者へのセクシャル・ハラスメントがあったとして、大きな社会問題となっています。アメリカでのハリウッド女優などに対するセクシャル・ハラスメントが、ソーシャルメディアで「#Me Too」として全世界に広がりを見せていることからも、私たちはジャーナリズムに携わる労働者として看過できません。そして、今回の問題に限らず、民放産業内でも職場や仕事先でセクハラ、パワハラ、マタハラなどで心身に大きな影響を受けて、休職や退職に追い込まれている例があります。私たち民放労連は、運動方針で「あらゆる性差別やハラスメントに反対し、職場での周知徹底と研修を求め、相談窓口の設置と相談者の側に立った具体的な救済措置」を経営者に要求しています。これは、放送で働くすべての労働者と、その労働者が働くすべての職場や場所が対象です。そして相談者のプライバシー保護はもとより、その相談事案に対する最大限の救済措置を求めているものです。各社では法令に則り、相談窓口の設置と担当者を配置しているものと考えますが、各種ハラスメントは被害者と加害者で意識の違いが大きく、相談窓口担当者の意識の違いもその後の対応に大きく影響します。相談窓口担当者には兼務・兼任が多い現状を考えると、日々の仕事の忙しさの中でハラスメントに対する教育と研修、そして相談者への対応がおざなりになっていないでしょうか。今回の事例を、個人的な問題あるいは個別の放送局の問題だと矮小化するのではなく、民放産業全体で取り組まねばならない重要な課題であると捉え、個人の尊厳を著しく傷つける行為である各種ハラスメントに対し、民間放送各社を束ねる貴連盟が強いリーダシップを発揮して、ハラスメント根絶に向けて取り組まれるよう強く申し入れます。

*2-3:http://www.shinbunroren.or.jp/seimei/180422-1.html (新聞労連 2018年4月22日) セクハラに我慢するのはもうやめよう
 権力を笠に着る者たちからの、人としての尊厳を傷つけられる行為に我慢するのはやめよう。「私に非があったのかもしれない」と自分を責めるのはもうやめよう。同僚や先輩、上司に訴えても聞き入れられず、「受け流せ」「事を荒立てるな」と言われて黙認され、屈辱的な気持ちを抱えてきた。取材先で、取引先で、社内で、耐えることが評価の材料にされ、都合の良いルールを押しつけられてきた。訴えようとすると、「会社の恥を出すな」「面倒な奴」だと揶揄され、なかったことにされてきた。財務省の福田淳一事務次官のセクハラ疑惑を訴えた仲間をはじめ、これまでも意を決してセクハラを訴え出た仲間に敬意を表したい。守ってくれると信じて打ち明けた上司に受け止めてもらえなかった仲間の気持ちを思うと、どんなにつらく、腹立たしい思いをしたのだろう。私たちもショックで、悔しくてならない。仲間の勇気ある行動に続いて、私たちは手を携え、真実を追求し、向き合っていく。健全なジャーナリズム組織であり続けるために、会社は最優先で私たちの人権を守ってきただろうか。セクハラを黙殺するような対応を取り、泣き寝入りを強いることがあってはならない。社内・社外ともにセクハラは断固として許さないという強い決意や、加害者と闘う姿勢を見せてほしい。もし、取材先や取引先の担当から女性を外せば問題は起きない、と考えているとしたら、根本的解決から逃げている。セクハラや性暴力を告発する米国発の「#MeToo」運動を、自らの身に引きつけて振り返ってみると、私たちも長い間セクハラをやり過ごしてきた。セクハラで傷つき、職を辞した仲間たちを見てきた。これ以上、このような状況を見過ごし、受け入れることはできない。こんな不条理や屈辱はもう終わりにしよう。セクハラは性差別であり、性暴力であり、人権侵害だ。力の差を利用したセクハラの容認は、人権侵害と権力側の暴挙を許しているのと同じことだ。そうした態度が、権力側に見透かされ、つけ入る隙を与えている。私たちが無くしていかなければならないのは、セクハラ行為と、その加害者や行為を黙認する態度や組織だ。性差を超えて、立ち向かおう。仕事にセクハラはいらない。私たちは、言葉を社会に届ける専門職集団だ。セクハラにNOと言おう。言葉でNOと示そう。私たちは一人じゃない。
女性集会参加者一同

*2-4:http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201804/CK2018042902000126.html (東京新聞 2018年4月29日) 【政治】セクハラ防止「法整備検討」 野田総務相、被害経験も語る
 野田聖子女性活躍担当相は二十八日、前財務次官のセクハラ問題を踏まえ、再発防止に向けた法整備を検討する考えを明らかにした。「セクハラを完全に解決できるよう法律をつくり替えるのか、新法をつくるのか、いろんなやり方がある」と、神戸市で開かれたシンポジウムで述べた。野田氏はセクハラの実態を把握するため、新聞やテレビなどの女性記者と懇談の場を設ける意向を示しており、法整備の議論に活用するとみられる。シンポジウムでは、自身の落選中に男性有権者からセクハラを受けていたことを明かし「耐えて耐えて耐えるしかなかった」と振り返った。セクハラを受けたテレビ朝日の女性社員が福田氏と一対一で会食したことに、一部から批判が出ていることについては「それをしなければ生きていけないというシチュエーションは実際にある。私もそういう経験をした」と理解を示した。

<女性差別とセクハラ>
*3:http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201805/CK2018050402000131.html (東京新聞 2018年5月4日) 【国際】<サウジ維新 普通の国へ>(上)女性初のGS管理者 自由へのハンドル応援
 ペルシャ湾に面したサウジアラビア東部アルコバール。海水浴場のそばにあるガソリンスタンドの店で、全身を覆う黒い衣装アバヤ(ニカブ)を着たメルバト・ブクハリさん(43)が慌ただしく動き回っていた。サウジ初といわれる女性のスタンド管理責任者。「清掃は行き届いているか」など毎週本社に提出する点検表に従って確認作業を続ける。昨年十月の開店から携わり、六月に迫る女性の自動車運転解禁を見据えて工夫を凝らした店だ。男性の給油係と接するのをためらう女性ドライバーが一人で給油できるようにコイン式を導入した。飲食店やホテル、子どもの遊具広場を備えた複合施設の中にあり「女性が訪れやすいようにするには、きれいなのが一番」と胸を張る。ところが、同じ言葉をツイッターに投稿した途端、「女性が給油係として働いている」と勘違いした人たちの中傷が相次いだ。「私は管理職です。給油ノズルは握らない」。そう釈明しても、兄弟でさえ冷たい視線を投げかけた。「この侮辱は、後に続く女性のために乗り越えなければならない階段ね」とブクハリさん。会社は病院経営やホテル事業も手掛け、女性社員が三割を占める。イスラム教スンニ派の中でも戒律が厳しいワッハーブ派が主流のサウジは、女性は「保護する存在」との教えに基づき、家事育児に専念すべきだとの考えが根強い男社会だ。「世界経済フォーラム」が策定した二〇一七年の男女格差指数では百四十四カ国中、百三十八位。ブクハリさんは十六歳でお見合い結婚し、子育てしながら高校に通った。しかし、望んでいた大学進学はかなわなかった。そんなブクハリさんにとって、ムハンマド皇太子が進める改革は「ドアが開いた」ようで、まぶしく映る。改革プランでは、就業する女性の割合を22%から30%に伸ばす目標を掲げ、国際社会から「女性抑圧」の象徴とされた自動車運転を解禁。女性が働ける職場は増えつつあり、政府は女性の起業に必要だった男性の許可も廃止した。ブクハリさんはスタンド管理の傍ら、新事業開始の準備にも追われている。起業したい女性に月一千リアル(約三万円)で展示場所を貸し、自作のデザイン雑貨や刺しゅう作品、香水などを販売してもらう計画だ。「今は考えている時ではない。好きなことに挑戦しチャンスをつかまないと時間の無駄になる」。アバヤからのぞく目が力強く輝いた。
    ◇  ◇
 中東の産油国サウジアラビアで、次期国王と目されるムハンマド皇太子(32)が二〇一六年四月に国家改革プラン「ビジョン2030」を発表してから二年が過ぎた。石油依存からの脱却を目指す構造改革は、イスラム教の教えを厳格に守るお国柄も変えようとしている。伝統と変革のはざまで揺れるサウジを歩いた。

<日本の銀行は、女性や新規事業に配慮してきたか>
PS(2018年5月6、7日追加):*4の「郵貯銀行の上限撤廃は民業圧迫の懸念が拭えない」という記事は誤っている。何故なら、郵貯銀行は、2017年9月30日現在、金融機関2.27%・金融商品取引業者0.28%・その他法人74.45%・外国法人等1.82%・個人その他21.16%が45億株の資本金のすべてを占めており、政府及び地方公共団体の出資は0であるため、既に官業ではなく民業だからだ。従って、顧客の利便性を高めるのは民間企業として当然で、その経営方法は公取法等の我が国の法律に違反しない限り自由である。
 それでも郵貯銀行の限度額撤廃で地銀からの預金流出が起こるとすれば、それは、長い期間、銀行業務をやってきたにもかかわらず、顧客を育てファンを増やすことをしなかった地銀側の怠慢によるだろう。私がこう言う理由は、日本の銀行は優秀な人材を採用してきたにもかかわらず、著しく男尊女卑で、顧客ニーズよりも金融庁(旧大蔵省)を見て仕事をし、女性行員のアイデアや女性事業者の立場はあまり考慮せず、顧客ニーズをとらえた仕事をしてこなかったことを知っているからだ。そのため、競争相手が増え、本当の顧客ニーズをつかまなければやっていけない(当たり前の)状況になるのはよいことなのである。
 なお、*4-2のような空き家改修にあわせて銀行が残りの資金を提供するなど、人口減少社会でも本当に必要とされる信用性の高い債権は、いくらでも創造できる。
 また、*4-3のように、「離島留学」が広がっているそうだが、これは「過疎地の活性化」に役立つだけでなく、透き通った海と山が近い離島で子どもたちを過ごさせれば、自然に親しみ、都会でゲームをしているよりずっと感性の形成に役立つ。そのため、東京・大阪などの大都市だけでなく、福岡・佐賀などの地方都市の子どもにもこういう教育は必要で、国交省だけでなく文科省や財務省も推奨して、そのための空家や学校の改修費は優遇すればよいと考える。なお、公務員や企業など大人の研修施設や研究所も離島の空き校舎を改修して作れば、自然に近い環境で繁華街に繰り出すこともなく、研修や研究に集中できるだろう。

*4-1:https://www.hokkaido-np.co.jp/article/186826 (北海道新聞 2018年5月6日) 郵貯の上限撤廃 民業圧迫の懸念拭えぬ
 郵便貯金の預入限度額について、ゆうちょ銀行の親会社・日本郵政が撤廃を求めている。退職金などまとまったお金を受け入れられるよう仕組みを改め、利便性を高めたいのだという。道内などの過疎地には、ゆうちょ銀しか預け先がない地域もあり、利便性向上は必要だ。だが、地方銀行の代理店になるといった形で民間と連携・協業すれば、限度額を撤廃しなくとも使い勝手は良くなるだろう。政府が間接的に所有するゆうちょ銀は、国の信用を後ろ盾に巨額の貯金を集めている。民間との間で、公平な競争条件が確保されているとは言えまい。地銀からの預金流出など地域金融に歪(ゆが)みも生じさせかねない限度額撤廃は、時期尚早ではないか。この問題を審議している政府の郵政民営化委員会には慎重な検討を求めたい。政府が過半を出資する日本郵政は、将来ゆうちょ銀株を手放すことにしている。ただ、完全民営化の具体的道筋は未定だ。そうした中で、官業肥大の歯止めだけをなくす規制緩和に幅広い理解が得られるとは思えない。見過ごせないのは、日本郵政が限度額撤廃を求める理由として利便性向上のほか、事務コスト削減や省力化を挙げていることだ。限度額は、通常貯金と定期・定額貯金の口座を合計して1人1300万円と定められている。1300万円を超えた場合、利用者に通知したり振替貯金(無利子、上限なし)に移したりする。この費用と手間を省きたいという理屈だが、それはまず、ゆうちょ銀が現在のシステムを改善して解決すべきことだ。国内金融機関で飛び抜けて多額な180兆円の貯金を有するゆうちょ銀が、さらにお金を集めることにも危うさを覚える。ゆうちょ銀には融資業務がなく、貯金は運用に回す。超低金利を受け、運用では低利回りの日本国債を減らし、高利回り・高リスクの外国債券を増やしてきた。限度額撤廃で貯金がさらに集まれば外債比率が一段と高まり、運用リスクが上昇しかねない。巨大なゆうちょ銀の経営が揺らげば、日本経済全体に影を落とそう。古くから預貯金獲得を競ってきた地銀と郵貯は最近、地域活性化を後押しする投資基金の創設などで手を組む場面が増えている。ゆうちょ銀の拡大は協調の機運に水を差し、双方に無益な競争を再燃させる恐れもある。

*4-2:https://www.agrinews.co.jp/p43998.html?page=1 (日本農業新聞 2018年5月6日) 空き家改修費を助成 営農と生活 共に支援 山口県
 山口県は、雇用と独立双方での就農者の増加、定着を目指し、営農と生活を共に支援する事業の強化に乗り出した。従業員や構成員として受け入れる集落営農法人やJAに対し、住居となる空き家の改修費用を助成。住居の確保が就農の支障となる例が多いことから「県域では珍しい」(県農業振興課)パッケージ支援に踏み切った。法人など、就業者を受け入れる経営体を対象に、2017年度に事業を始めた。事業主体と住宅所有者が、5年以上の賃貸契約を結ぶことが条件。1カ所当たり改修費300万円を上限に、市町と3分の1ずつ助成する。18年度は、雇用以外に独立就農者を受け入れるJAなどにも門戸を広げた。営農面では、新規就業者らの受け入れに必要な機械や施設の整備を支援する事業がある。補助率は3分の1、整備費は10アール当たり2000万円が上限。住宅支援と合わせ、18年度は1億7400万円を計上した。県は「住む場所がなく、希望先に就農できないという声も多い。営農だけではなく、生活とのパッケージ支援が必要だ」(同課)と説明する。美祢市の農事組合法人第13営農組合では4月、福岡県から移住した常盤雄一さん(52)、佳子さん(51)夫妻が就業した。同法人は、集落にある築45年の空き家を、水回りを中心に約300万円かけて改修。県の事業を活用した。自己負担分の約100万円も法人が出した。夫妻は県立農業大学校で1年間、水稲や野菜栽培の基礎を学んだ。法人の一員として、米麦の基幹作業を担いながら、アスパラガス栽培を手掛ける。雄一さんは「独立就農は農地確保や初期投資のハードルが高く、就業を選んだ。生活拠点がなく資金面も余裕がなかったので事業は助かる」と喜ぶ。経営面積47ヘクタールの同法人は、高齢化や離農による人材難に悩んでいた。代表の吉村徹さん(71)は「新たな人材の確保、定着には周年の仕事と収入はもちろん、生活のサポートが不可欠だ」と強調する。

*4-3:http://qbiz.jp/article/133251/1/ (西日本新聞 2018年5月7日) 「離島留学」広がる 3年で倍の18市町村に 過疎地の活性化に期待
 自然豊かな島の小中学校に島外の子供を受け入れる「離島留学」が広がりつつある。人口流出と少子高齢化が進む中でも児童・生徒を確保して学校を存続させ、地域活性化につなげる狙いもある。子供たちにとっては、住民らに見守られて、島の伝統や文化に触れる貴重な機会になる。
●人のつながりや自然が魅力
 伊勢湾に浮かぶ答志島(三重県鳥羽市)は2018年度から留学制度を始め、名古屋市の岸上沙耶子さん(34)と小学1年の正太郎君(6)が親子で移住する「家族留学」を決めた。旅行で訪れたことがあり、夫も理解してくれたという。受け入れた子供には、地元のワカメ養殖などを体験してもらう。背景には中学校の生徒が22年度に30人を下回る見通しで、統廃合の対象となることへの危機感があった。沙耶子さんは「みんな子供を気にかけてくれて暮らしやすい。子供も年上の友達ができて自立心がついてきた」と話す。最初の3カ月は改装した空き家に月1万円で住むことができ、市から月2万円の補助金が2年間まで受けられる。島の有志らでつくる留学実施委員会の浜口正久会長(49)は「人のつながりが島の魅力。留学をきっかけに島に愛着を持つ人が増えてほしい」と歓迎する。
●九州の離島も次々と
 離島留学は、島内の家庭で子供を受け入れる「里親型」も多く、食費などに充てる委託料として月6万〜7万円程度を保護者らから受け取る。多くの自治体は離島振興法に基づく活性化交付金で委託料の一部を負担。16年度からは自治体負担の半額を国が支援できるようになった。このほか沖縄や鹿児島・奄美群島でも特別措置法に基づく留学制度がある。国土交通省によると、活性化交付金を使える離島留学は15年度の3県9市町村が18年度は7県18市町村へ増加。九州では、福岡県の地島(宗像市)、長崎県の久賀島(五島市)、佐賀県の馬渡島(唐津市)などで実施された。18年度は新たに長崎県の小値賀島(小値賀町)でも夏以降に児童・生徒を迎える見通し。国交省の担当者は「離島の暮らしを体験し、魅力を感じてもらえれば地域の活性化につながる」と期待する。

<セクハラに罰則は必要であること>
PS(2018年5月8日追加):*5-1の麻生財務相が、「セクハラ罪はない」「セクハラは親告罪で、傷害罪などと違って訴えられない限りは罪にならない」と言われたのは現在の事実であり、加害者が福田前財務事務次官であれ誰であれ、法の下に平等でなければならないのは確かだ。しかし、罰則がなければザル法であり、被害者の不利益が大きすぎるため、私は、*5-2で野田総務相が「セクハラへ罰則を必要なら検討する」とされているのは甘すぎるくらいで、洗練された巧妙なセクハラも含めて、ただちに罰則をつけるべきだと考える。
 なお、*5-3のように、「セクハラ発言は、受け流した世代の責任だ」と言うのは簡単だが、実際に責任をとることはできない。何故なら、セクハラの定義ができたのは1985年だが、未だ罰則もない状態で、立場が下の女性からは受け流すかかわす以外にやりようがなかったからである。さらに、セクハラに苦労していたのは、セクハラの定義ができた1985年以降だけではなく、それ以前はもっとひどかったわけで、それにもかかわらずセクハラに関係する法律は未だザル法で、実質的に社会を変える機会はやっときたということなのだ。

*5-1:http://qbiz.jp/article/133345/1/ (西日本新聞 2018年5月8日) 麻生氏、また「セクハラ罪ない」 持論重ねて主張、反発必至
 麻生太郎財務相は8日の閣議後の記者会見で、福田淳一前財務事務次官のセクハラ問題に関連し「『セクハラ罪』という罪はない」との持論を改めて主張した。訪問先のマニラで行った4日の会見で同様の発言をし、女性団体関係者らに抗議の動きが広がっていた。8日の会見で記者が「批判が出ている」とただしたのに対し、麻生氏は「事実を述べただけだ」と答えた。セクハラを容認する意図はないとも強調したが、重ねての発言に反発が強まるのは必至だ。麻生氏は「セクハラ罪はない」と述べる一方で「親告罪であり、傷害罪などと違って訴えられない限りは罪にはならない」との説明も繰り返した。

*5-2:https://digital.asahi.com/articles/DA3S13483039.html (朝日新聞 2018年5月8日) セクハラへ罰則、「必要なら検討」 野田総務相が言及
 財務省の福田淳一・前事務次官のセクハラ問題を受け、野田聖子総務相兼男女共同参画担当相は7日、BS11の番組収録で、セクハラへの罰則を含めた法規制について「必要があれば検討していけばいい」と述べた。内閣府に有識者会議を設けて幅広く対策を検討する考えも示した。野田氏は、大型連休中に報道機関を含む民間企業で働く女性らから、セクハラ被害などの実態を聞き取ったという。具体的な内容には触れなかったが、収録後に記者団に対し「麻生大臣もセクハラ罪はないとおっしゃった。触ったらわいせつ罪などになるが、(セクハラの)言動はないとするならば議論しないといけない」と述べ、「(罰則が)あった方が抑止力になるのか、考えていきたい」と話した。会議の設置時期については「まだ考えていない」とした。

*5-3:https://digital.asahi.com/articles/DA3S13482941.html (朝日新聞 2018年5月8日) (HUFFPOST)セクハラ発言、受け流した世代の責任
 財務省の福田淳一事務次官(4月に辞任)によるテレビ朝日の女性記者へのセクハラ問題で、ハフポスト日本版編集主幹の長野智子さん=写真=が声を上げた。同局の「サンデーステーション」キャスターも務める長野さんは、「85年、私はアナウンサーになった。セクハラ発言『乗り越えてきた』世代が感じる責任」(4月21日)で、思いを明かした。長野さんは1985年、フジテレビにアナウンサーとして入局。当時、女性に対するセクハラ発言などは日常的に飛び交っていたが、この年、男女雇用機会均等法が成立していただけに、女性たちは「だから女は」と言われないよう、必死に耐え、受け流してきたという。福田氏は報道陣に対し、「言葉遊びのところが批判を受けて、なるほど今の時代はそうなのかと」と発言。長野さんは「昔は平気だったと言いたいのか」と憤り、「こういう男性を増長させたのは我々世代の女性なのか」とも記した。社会の様々な問題を伝えるメディア業界が変わらなければ、「社会は変わらない」とし、自身も努力したいと語った。

<女性の価値は子を産むことだけとは!>
PS(2018年5月12日追加):*6のように、「①あなたが結婚しなければ、子どもが生まれないわけで、人さまの子どもの税金で老人ホームに行くことになります」「②必ず新郎新婦に3人以上の子どもを産み育てていただきたい」などと言う為政者は少なくないため、私は、「それなら老後に年金をもらわなくてもいいので、契約で支払った分を直ちに返して欲しい」と言いたくなる。そうすると、独身やDINKSで働き続けた人には多くの払い戻しがあるが、専業主婦で子育てした主婦には借りこそあれ払い戻しはなく、その借りは、夫や子に払ってもらうのが筋だということが目に見えてわかるからである。また、人生にはいろいろな生き甲斐や成果があるため、「子どもに恵まれなかった」などという哀れみの文言は不要であり、「本当に公平・公正にやればこうなる」ということは、明確にしておくべきだ。
 さらに、専業主婦と子のいる夫は、妻と子の扶養控除を取って所得税もかなり減額されており、国や地方自治体が払う教育費は独身やDINKSの夫婦が支払った多額の税金で賄われていることも忘れてはならない。「しかし、少子化だから・・・」と言う人も少なくないが、このように言われながら育った子より外国人労働者の方がずっと高齢者に親切であろうし、そもそも少子化になった理由は厚労省はじめ政府の政策ミスであるため、仕事を選んで子を持てなかった人に対しては損害賠償をすることこそあれ、その人の責任にすべきではないのである。
 また、結婚式の席上で①②のようなことを言うのは、「いろいろなことを同時に考えられない」という意味で頭の悪さ丸出しである上、「子を産むことだけが貴女の価値だ」と言っている点で花嫁やその家族に失礼である(なお、子を産むだけなら、人間より鮭や蛙の方が優秀だ)。

*6:http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2018051001001831.html (東京新聞 2018年5月10日) 「3人以上の子どもを」と発言 自民・加藤氏、その後撤回
 自民党の加藤寛治衆院議員(72)=長崎2区=が10日の細田派会合で、結婚披露宴に出席した際に「必ず新郎新婦に3人以上の子どもを産み育てていただきたい」と呼び掛けていると紹介した。会合に出席した女性議員らから「これこそセクハラだ」と不快感を示す声が続出。その後、加藤氏は発言を撤回するコメントを発表した。会合で加藤氏は「いくら努力しても子どもに恵まれない方がおり、無理を言うのは酷だ」と指摘。披露宴では若い女性に対し「あなたが結婚しなければ、子どもが生まれないわけですから、人さまの子どもの税金で老人ホームに行くことになります」などと話していることを紹介した。

<政治分野の男女共同参画推進法成立>
PS(2018年5月16、17日追加):*7-1のように、「政治分野の男女共同参画推進法」が、5月16日に参院本会議で全会一致により可決・成立したが、TVはどの局もお天気(暑い)、新潟県での女児殺害(犯人が捕まった)などを繰り返すニュースばかりで、最も重要な「政治分野の男女共同参画推進法」については、その成立も意味も議論の過程も問題点も報道する局がないので、私は驚いた。カネか女に関わるゴシップにしか興味のないのが、現在の報道番組作成者のレベルだが、このような情報提供では選挙で国民が正しい選択をするのは難しい。
 しかし、高知新聞は、2018年5月17日、*7-2のように、①女性参政権が認められて70年以上経つのに女性議員の割合は国・地方とも著しく低い ②1980年代から政治分野の男女均等化を進めてきた海外とは歴然とした差がある ③条文は政党や政治団体が男女の候補者数に目標を設定するなど自主的に取り組むよう努めることも規定しており、各党に積極的対応が求められる ④日本の衆院は10.1%で世界でも下位に位置し、都道府県議会の状況も厳しい ⑤高知県はその平均も下回る5.4%に留まる 等として、「社会の意識から変えていくきっかけにしたい」と書いており、この状況は田舎に行くほど著しいように思う。
 なお、*7-3のように、朝日新聞が、2018年5月17日、「赤松良子さんはじめ女性たちの粘りが道を広げた」と書いているのはよいが、私は、ずっと全力投球してきたのに社会から理不尽な差別を受け、遅れさせられたり不利益を蒙ったりしたため、女性差別によって蒙った損害については損害賠償請求したいくらいであって、悔しいから初めて頑張るようなレベルの低い人間ではない。そのため、「悔しさを力に」などと言うのは差別された側に対して著しく失礼な態度であり、何を考えているのかと思う。

   
           2018.5.17東京新聞   2018.5.17日経新聞

(図の説明:自民党・国民民主党・日本維新の会・公明党の女性国会議員割合は、10%代かそれ以下で著しく低いが、地方議員に占める女性割合はさらに低い。この状況が、男性目線に偏った政策ばかり行われてきた理由であると考えられ、当面、各党とも2020年までに女性議員の割合を30%以上にすることが目標となるだろう。しかし、女性でも票集めのパンダばかりでは政策を合理的に変更することはできないため《票も大切ではあるが・・》、人選は重要だ)

*7-1:https://ryukyushimpo.jp/kyodo/entry-719806.html (琉球新報 2018年5月16日) 政治:選挙の候補者数「男女均等」に 政治分野の共同参画法が成立
 議員立法の「政治分野の男女共同参画推進法」が16日、参院本会議で全会一致により可決、成立した。国会や地方議会の女性議員を増やすため、選挙の候補者数を「できる限り男女均等」にするよう政党に促す。遅れている女性の政界進出を後押しする狙いだが、努力義務にとどめているため、各党の実行力が課題となる。条文は、衆院選や参院選、地方議会選に臨む政党と政治団体は、男女の候補者数の目標設定に「自主的に取り組むよう努める」と規定。国や地方自治体は(1)実態調査(2)啓発活動(3)環境整備(4)人材育成―で協力するよう求めた。罰則はない。公布日に施行される。

*7-2:https://www.kochinews.co.jp/article/183612/ (高知新聞 2018年5月17日) 【女性の政治進出】社会の意識から変えよう
 国会や地方議会の女性議員を増やすための「政治分野の男女共同参画推進法」が参院本会議で可決され、成立した。衆院選や参院選、地方議会選挙で男女の立候補者数を「できる限り均等」にすることを目指す。女性の参政権が認められて70年以上がたつが、女性議員の割合は国、地方ともに著しく低いのが現状だ。国際比較でも歴然とした差がある。女性の政界進出の遅れや共同参画社会の未熟さを象徴するものだ。新法は、男女が共同して参画する「民主政治の発展」を目的に掲げている。罰則のない努力義務ではあるが、全会一致で成立した。各党などには積極的な対応が求められる。条文は、政党や政治団体が男女の候補者数に目標を設定するなど「自主的に取り組むよう努める」ことも規定した。国や自治体には、国内外の実態調査や啓発活動、人材育成などを要請している。海外では1980年代から、政治分野の男女均等化が進んできた。国によっては法で候補者や議席に男女の比率を定めたり、政党が自主的に均等化に取り組んだりしている。国会議員の国際組織「列国議会同盟」(本部ジュネーブ)によると、昨年の国会議員(下院もしくは一院制)の平均女性比率は23.6%と、4人に1人に近い。先進7カ国ではフランスが約40%に上る。これに対し日本の衆院は10.1%で、世界でも下位集団に位置する。先進7カ国では最下位である。都道府県議会の状況も厳しい。総務省によると、2016年末時点の女性議員割合は全国平均9.9%と1割に満たない。高知県はその平均も大きく下回る5.4%にとどまっている。新法が超党派の議員立法でようやく成立し、努力義務にとどまったことも、日本の政界の意識を示すものだろう。過去、女性を「産む機械」と発言した国会議員がいた。都議会では、男性議員が質問中の女性議員に「産めないのか」などとやじを飛ばし、批判された。最近は財務省のセクハラ問題で政府中枢の人権感覚が疑われている。女性議員が少ない現実と問題の根はつながっていよう。政官界だけの問題ではない。女性への偏見や女性の社会進出の遅れは社会全体の課題といえる。スイスの国際機関が発表した17年版「男女格差報告」で、日本の男女の平等さは144カ国中114位だった。企業の女性の管理職登用も遅々としている。子どもが保育園に入れず、女性が仕事復帰を諦めるケースが後を絶たない。子育てや家事は男性より女性の負担が大きい傾向にある。こうした問題が解決しなければ、女性の議員候補者も増えまい。新法の効果には不安も拭えないが、重要な一歩ではある。社会の意識から変えていくきっかけにしたい。もちろん先達となるべきは政界や官界の意識改革であろう。関係機関の姿勢が問われる。

*7-3:https://digital.asahi.com/articles/DA3S13497275.html (朝日新聞 2018年5月17日) 女性たちの粘り、道広げた 候補者均等法「次世代のために」
 「私たちがやるしかない」――。女性議員を増やすことをめざす候補者男女均等法の成立に向けて尽力したのは、中心メンバーが70~80代の女性たちだった。性別ゆえに悔しい思いを重ね、何年もかけて粘り強く訴えてきた。その思いに刺激を受けた若い世代も、動き始めている。
■「長かったね」
 16日、東京・永田町にある国会の傍聴席には、法を後押しした約60人の女性たちの姿があった。電光掲示板に「賛成234、反対0」と表示され、法が可決した瞬間、小さくどよめきが起こった。傍聴したのは、女性の政治参画をめざす市民団体「クオータ制を推進する会(Qの会)」のメンバーら。「長かったね」「これからが大事だね」と喜びを分かち合った。国会議事堂の前で記念撮影をした際、女性たちは一輪のカーネーションを手にしていた。会の代表を務める赤松良子さん(88)は1985年、職場での男女平等に道を開いた「男女雇用機会均等法」を旧労働省の局長として成立させ、「均等法の母」と呼ばれる。「候補者男女均等法」が成立したこの日、赤松さんは体調不良で国会に来ることができなかったが、二つの「均等法の母」になった赤松さんへの感謝を込めたという。結婚退職が当たり前だった時代から働く女性の地位向上に力を尽くした赤松さんが、退官後に力を注いだのが政治への女性の進出だった。99年から女性候補に資金援助する活動を始めたが、女性議員がなかなか増えない。「日本は男女格差の国際ランキングで順位がとんでもなく低い。何とか引き上げるためには、政治に女性を増やさなきゃ」。そこで、候補者に占める男女の割合を定めるなどの仕組みが必要だと、会を2012年に立ち上げた。
■悔しさを力に
 会に集まったのは、志を同じくする労働省時代の同期や後輩、議員経験者、女性団体の活動を続けてきた高齢女性たちだった。議員会館で集会を開いては議員らを呼んで機運を高め、15年2月に超党派の議連が発足した。各政党での女性の進出への理解度の差や与野党間の対立もあり、法は何度も頓挫したが、粘り強くロビー活動を続けた。議員会館では衆参合わせて700人を超える議員の部屋をチラシを持って訪ね歩き、法の必要性を訴えて回った。赤松さんの労働省の後輩で、のちに参院議員を2期務めた川橋幸子さん(80)は、「1人だと心が折れちゃうから、2~3人のグループを3班つくって、半日かけて回った。みんな70歳を超えているから、本当に肉体労働だった」と振り返る。入省当時、霞が関で女性を採用していたのは労働省だけ。子連れで地方へ赴任した際は「(夫を)置き去り赴任」と批判された。「私たちの世代はずいぶん悔しい思いをした。次世代の女性たちのためにもっと道を広げたい」。そんな思いが、この法のためにかけずり回る原動力になった。メンバーがそれぞれの現役時代の経験や人脈を持ち寄り、会結成から6年で悲願がかなった。乳がんと闘いながら活動した埼玉県八潮市議の矢沢江美子さん(71)は、「私たちがやるしかない、という使命感があった」と振り返る。
■若い世代動く
 活動は、若い世代も巻き込んだ。母の友人に誘われて参加した武蔵野市の天野妙さん(43)は、議員会館での集会開催や議員へのアプローチなどのノウハウを学び、のちに待機児童問題を訴える「#保育園に入りたい」運動のリーダーになった。女性が直面する様々な課題を解決していこうと高校時代に学生団体を立ち上げた都内の私立大1年、大山友理さん(18)も「Qの会の人たちの強い思いに刺激を受けた」一人だ。女性議員が少ないことは「当たり前の風景」すぎて疑問を持たずにきたが、「専業主婦は『活躍』の対象外?」「女性だけが仕事も育児も頑張らなきゃいけないの?」といったモヤモヤした思いの一因は、議会の多様性のなさにあるのでは、と思うようになった。「多様な議員の姿は、社会にもプラスの影響を与えてくれるのでは」と期待している。

<セクハラへのILOの介入>
PS(2018年5月19日追加):女性に対して仕事上の不利益を与えることを罪だと思わない社会では、*8-1のように、女性への賃金格差だけでなく年金格差も生まれ、女性の経済的不利益は計り知れない。そして、これは、本人の努力で改善することのできないものであるため、私は、*8-2のように、国連の国際労働機関(ILO)が職場での暴力やハラスメントをなくすための新たな国際基準を作って拘束力を伴わせることに賛成だ。また、ハラスメントの定義は、「身体的、精神的、性的または経済的危害を引き起こす行為・慣行」にすればよいと考える。

*8-1:http://www.tokyo-np.co.jp/article/living/life/201712/CK2017121402000167.html (東京新聞 2017年12月14日) 【暮らし】<年金プア 不安の中で>79歳女性 月額9万4000円、貯蓄200万円 賃金格差が受給額に直結
 夫が病気で働けなくなったなどの事情から女性が家計を支えた場合、老後に年金受給額が少なく、苦しい生活を強いられるケースが多い。会社員など厚生年金加入者の年金受給額は給与額に比例する仕組みで、女性は多くの場合、男性より大幅に給与が抑えられてきたからだ。中部地方に住む79歳の女性の事例をもとに、女性の老後について考えてみた。女性は平屋建ての古い一軒家に一人暮らし。周辺には農地が目立つ。腰を痛めており、リハビリ施設に通っている。昨年亡くなった夫との間に娘が三人。「毎年の正月に三人がそろって来てくれます。『ずっと元気でいてね』と言ってくれ、うれしいです」。収入は老齢基礎年金と老齢厚生年金を合わせた月額九万四千円余り。介護保険料やリハビリ費用、眼科などの医療費を除いた約八万円でやりくりしている。わずかな農地で若いころから兼業農家の生活を送り、今も野菜は自分が食べる分は作っているという。それでも、冠婚葬祭など急な出費があったときは赤字になる。貯金は約二百万円あるが「介護の施設に入るようになったら、出費がかさんで貯金がいずれ尽き、娘に迷惑をかける。それが嫌なんです」と漏らした。四十五年前、会社員だった夫が脳梗塞で倒れ、半身不随に。夫の障害厚生年金で月額約五万円が支給されたが、まだ幼い娘三人を抱え、女性は勤めに出ざるを得なくなった。それ以降、六十六歳まで、繊維工場や清掃会社などでパート従業員として働いた。仕事のある平日は午前八時に工場に出勤して午後五時すぎに帰宅。自宅では食事の用意などの家事をこなし、床に就くのはいつも日付が変わってからだった。時期によっては早朝に農作業をする日もあった。それでも収入は手取りで月十五万円ほどと、正社員の男性の半分以下だった。低い給与額が、そのまま年金受給額にはね返る。「せめて男性並みだったら、年金受給額はあと五万円は多かったのでは。近所の寄り合いで、同じ年頃の男性があちこち旅行に行ったという話を耳にすると、落ち込みます」
◆1人暮らしの女性 厳しい老後の生活
 女性の社会進出が進んだといわれているが、非正規雇用が多く、給与所得は男性に比べてまだまだ低い。国税庁の二〇一五年分の民間給与実態統計によると、女性の給与所得者の年間給与額の平均は二百八十万円。男性の五百二十一万円の約54%の水準だ。これがそのまま年金の受給額に直結する。厚生労働省がまとめた一五年度の「厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金受給者の平均受給月額は、男性が十六万六千百二十円、女性は十万二千百三十一円と男性より約六万四千円も少なかった。受給月額別の受給者数のデータでは、男性は十七万~二十二万円が最も多く、女性は大半が七万~十二万円だった=グラフ参照。働く女性が増える一方、結婚する男女は減少傾向で、給与所得の低い一人暮らしの女性が増えているとみられる。将来的には、年金受給額が低い「年金プア」の高齢女性が増えるとの指摘もある。年金受給者の実態を調べている岐阜経済大の高木博史准教授は「一人暮らしの年金受給者の場合、生活は女性の方が苦しいと考えられる。放置すると孤独死につながるケースもある。行政などは実態把握から始めて対策を考えるべきだ」と解説する。

*8-2:http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201805/CK2018051902000138.html (東京新聞 2018年5月19日) 【政治】ILO、セクハラに初の国際基準 拘束力伴う条約目指す
 国連の国際労働機関(ILO)は年次総会を二十八日から六月八日までスイス・ジュネーブで開き、職場での暴力やハラスメントをなくすための新たな国際基準を話し合う。セクハラを含め、仕事に関わるハラスメント全般を直接扱った国際基準はこれまでなく、今回の議論を経て来年の総会で採択を目指す。条約で基準に拘束力を持たせることができるかどうかが焦点となる。ILOはハラスメントを世界共通の深刻な差別としてとらえた議論を二〇〇九年にまとめ、加盟各国に適切な措置を呼び掛けてきた。今回の総会では、加盟百八十七カ国の政府・労働者・使用者の代表が、事前に各国の見解をまとめた「たたき台」を基に討議する。基準を(1)拘束力を伴う条約(2)拘束力のない勧告(3)拘束力を伴う条約を勧告で補完-のいずれにするかが議論の争点となる。ハラスメントの定義や対象となる労働者や行為者の範囲、防止措置や被害者支援も議論する。たたき台は最も拘束力のある(3)を支持し、ハラスメントを「身体的、精神的、性的または経済的危害を引き起こす」「許容しがたい一連の行為と慣行」と定義。労働者の範囲は求職者やボランティアなども包括的に設定する内容となっている。ILOがたたき台の作成に先立ち八十カ国の現状を調査した結果、仕事に関する暴力やハラスメントを規制する国は六十カ国で、日本は「規制がない国」に分類された。日本は、男女雇用機会均等法で職場のセクハラ防止措置を事業主に義務付けるが、セクハラの定義や禁止規定はなく、被害者保護、救済の壁になっている。

<女性議員増加の効用>
PS(2018年5月22日追加):日本の衆議院議員の女性比率は1割強(193カ国中158位)で、*9-1のように、男女の候補者数を均等にすることを目指す「政治分野における男女共同参画推進法」が成立したが、立候補しても当選しなければ議員にはなれない。そして、女性の政界進出を阻む壁は、外注費以上の報酬があれば外注も可能な育児・介護負担ではなく、「知識や経験があって論理的思考ができるのは男であり、女は感情的で実績もなく劣っている」という有権者の意識で、この先入観を作っているのは、メディアの偏見に満ち満ちた表現なのである。
 なお、知識や経験のある女性議員が増えれば、*9-2のような「要介護高齢者が2025年度には770万人になり、社会保障費が大幅に増加するのは問題だ」という発想はなくなるだろう。何故なら、(私が提案してできた)介護保険制度がなく、家族がすべての世話をしなければならない状態では、家族の負担が大きすぎ、専門家でもないため十分なケアができず、家庭崩壊に繋がることすらあることを、女性は容易に想像できるからである。
 では、*9-3のように、「2040年度に190兆円に上る」と推計される介護費用を誰が支払うのかについては、まず介護費用の徴収面で高齢者に偏って負担をさせているのは公平でも公正でもないため、直接ケアする負担を免れている家族のうち働いている人のすべて(全世代)で負担するのが妥当だ。また支出面では、「介護保険が出るから」と、本当は不要だったり高すぎる価格設定をしたりした器具を1割負担で買えるようにしておくのも問題である。
 そのほか、私が、このブログで何度も書いているとおり、日本の海洋資源を開発して税外収入を得ることは国民負担を減らす究極の方法になるが、*9-4のように、政府は(私が提案して)2008年に策定された海洋基本計画を、資源開発から安保重視へ転換する閣議決定したそうで、国民負担を減らすどころか増やすように工夫しているようだ。そもそも領海や海洋権益を守る必要があるのは海洋資源があるからで、領土や外国から資源を輸入するための航行の自由を守ることだけが重要なのではない。つまり、女性議員が増えると、国民生活を豊かにするために知恵を絞る人が増えるのである。

      
 2018.5.21日経新聞            2018.5.22西日本新聞

(図の説明:介護保険料は、物価水準が安く高齢者の多い事情のある地域で高くなっているが、地域によって異なるのが問題なのであり、国で統一すべきだ。また、社会保障費がこれだけ伸びるということは、それに関わる産業も伸びが大きいということであるため、一般企業が参入して洗練された高齢化製品を作るのがよいと思われる。なお、国民負担を重くすればするほど、国民生活は貧困になり、可処分所得が減るため実需が減る)

*9-1:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20180520&ng=DGKKZO30735470Z10C18A5EA1000 (日経新聞社説 2018年5月20日) 政治にもっと女性の力を
 政治分野における男女共同参画推進法が成立した。国政選挙と地方議会の選挙で、男女の候補者数をできる限り均等にすることを目指している。多様な人材が議会に参加し、より現実に即したきめ細かな政策の実現につながることを期待したい。法案は超党派の議員立法で提出され、衆参両院で全会一致で可決された。政党や政治団体に対し、数値目標の設定などの自主的な取り組みを促す内容だ。強制力はなく、理念法ではある。それでも大きな一歩だろう。日本の政治は国際的にみて、あまりに女性の進出が遅れてきた。世界の国会議員が参加する列国議会同盟によると、日本の衆院の女性比率は1割強で、193カ国中158位にとどまる。市区町村議会では、女性が1人もいないところが2割を占める。海外には男女格差を是正しようと、候補者数や議席数の一定割合を女性に割り当てる「クオータ制」を法で義務付けている国もある。だが日本の現状を考えれば、一足飛びには弊害があるだろう。まずは女性候補者の発掘と育成に真剣に取り組むべきだ。与野党各党は選挙のたびに、「男女共同参画」や「女性活躍」の推進を公約の柱として訴えてきた。しかし党本部や地方組織での候補者選びは、ベテランの男性幹部が担う場合が多く、人材の発掘が政治家の親族や支持団体の幹部ら男性に偏ってきた面がある。意欲と能力ある人材は、地域に必ずいる。さまざまな視点や経歴を持つ候補者が増えれば、投票する選択肢が広がるだろう。来年は春に統一地方選、夏に参院選がある。私たちも有権者として政党の取り組みを注視したい。女性の政界進出を阻む社会的な要因も直視すべきだ。託児所の整備などは大事だが、問題はそれだけではない。女性に偏った育児や介護の負担、政治は男性のものという意識などが壁になっている。根っこの部分から変えていかねばならない。

*9-2:http://qbiz.jp/article/134220/1/ (西日本新聞 2018年5月22日) 要介護高齢者25年度に770万人
 65歳以上のうち介護が必要になる人が、7年後の2025年度に全国で現在より約141万人増え、1.22倍の約770万人と推計されることが、47都道府県の介護保険事業支援計画を基にした共同通信の集計で20日、分かった。25年は団塊の世代が全員75歳以上になり、社会保障費の大幅増が予想されることから「2025年問題」と呼ばれる。介護保険も要介護者数の増加で費用が膨らみ、財源確保策が課題となるほか、サービスの整備や担い手不足への対策が求められそうだ。介護の必要度は、最も軽い要支援1から最重度の要介護5まで7段階に分かれる。要介護認定を受けた人は17年12月現在では約629万人。25年度にかけて要介護者が最も急激に増えるのは、千葉県で1.37倍。神奈川県の1.35倍、埼玉県の1.34倍と続く。増加幅が小さいのは和歌山、島根両県の1.05倍、山形県の1.07倍などだった。高齢者人口に占める要介護者数の割合(要介護認定率)は、全国平均で17年12月の18.1%から25年度には21.3%に上昇する見通し。最も高くなるのは大阪府で25.9%。最も低いのは山梨県の17.2%。厚生労働省の3年前の集計では、25年度の要介護者数は約826万人と推計されており、今回は約56万人減った。17年の要介護者も3年前の推計値に比べ、既に約39万人少なくなっている。介護予防の取り組みが進んだことや、高齢者の健康意識の高まりなどが作用したとみられる。

*9-3:http://www.saga-s.co.jp/articles/-/220073 (佐賀新聞 2018年5月21日) 40年度の社会保障費190兆円、政府が推計公表
 政府は21日の経済財政諮問会議で、医療や介護、年金などにかかる社会保障給付費について、高齢者数がピークに近づく2040年度に約190兆円に上るとの推計結果を初めて公表した。18年度の約121兆円から1・5倍以上に膨らむ。給付費の財源は主に国と自治体の公費や保険料で賄われ、18年度と比べ公費、保険料とも30兆円超増やす必要がある。政府は推計を基に、長期的な視野に立った費用抑制策や税・保険料負担の在り方を検討していくことになる。190兆円は18年度予算の一般会計総額の約2倍に相当する。

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2018.4.6 女性活躍を、女性の地位向上ではなく、少子化対策と捉えた点が誤りなのである (2018年4月7、8、11、12、13、14、15、18、19日に追加あり)
   
 出生数と合計特殊出生率   人口の高齢化  未来予測     日本の人口推移
             2018.3.31朝日新聞
(図の説明:1番左のグラフのように、戦後しばらくは合計特殊出生率が2~5で人口過剰が懸念されたが、1970年以降は一貫して2を下回り、次第に下がった。その結果、左から2番目のグラフのように高齢者の割合が増えたが、これは戦後の特殊状況・産業革命・医療の進歩などによる一過性のもので、第1次及び第2次ベビーブーム世代が亡くなると、人口は漸減しながら安定する。しかし、人間も生物であるため、人口密度が低くなって住みやすくなると出生率が上がって均衡人口に達するため、一番右のグラフのような産業革命前まで戻る著しい減少はしない)

(1)文明の進歩とともに向上すべき女性の地位
1)女性を土俵に上げないという伝統
 多々見市長が土俵上で倒れ、すぐに女性2人が土俵に上がって心臓マッサージを始めたのに対し、*1-1のように、行司が、「(「お客様の中に医療関係者はいませんか?」ではなく)女性は土俵を降りて下さい」とアナウンスし、「行司が動揺したため」と弁解されているが、「①土俵は神聖な場所であるため、女性を上げないことが何より重要」「②人命にかかわる緊急時のみ不適切な対応だった」としており、これは相撲文化の本質的な問題である。

 そして、①は江戸期からの伝統だそうだが、「女性は不浄だから神聖な場所には入れない」という伝統こそ昔から行われている仏教や儒教に基づく女性差別の継承であり、女性に対して失礼である。これに疑問のある人は、「女性は不浄だ」という理由を挙げ、それは現在も本当か否かを考えてみればよい。

 また、②は、「緊急時に女性を使うことだけ許す」と言っているのであり、やはり女性蔑視だ。さらに、*1-2のように、兵庫県宝塚市で4月6日に開かれる大相撲「宝塚場所」では、同市の中川智子市長が、巡業実行委員会に「土俵上で挨拶したい」と意向を伝えたところ、「土俵の下で挨拶して欲しい」と断られたそうだが、かつて、森山眞弓官房長官や大田房江大阪府知事も土俵に上がるのを断られた経緯がある。

 そのため、女性首長に対して敬意がなく、「女性は不浄だから男性だけ神聖な場所に入る資格がある」などと考えているスポーツに女性ファンがいることの方が不思議であり、相撲は自らの顧客に女性がいることを忘れてはならない。

2)女人禁制の伝統に疑問を持たない女性活躍相は、ジェンダーの解消に役立たない
 野田女性活躍相は、*1-3のように、「土俵上での医療従事者の救命活動は当たり前」としながらも、「この国の伝統を重んじる一人として、これまで(女性が土俵に上がれないことに)疑問を持ってこなかった」としている。しかし、このようなジェンダーギャップに疑問を感じない女性活躍相では、いくらその地位にいても本当にやるべき改革はできない。

 このように、伝統や歴史の名の下に、女性を多くの土俵から締め出した結果、*1-4のように、世界経済フォーラムが2017年11月2日に発表したグローバル・ジェンダー・ギャップ指数で、日本は144カ国のうち114位となった。そして、*1-5のように、英誌が発表した「ガラスの天井ランキング(2018年版)」でも、主要29カ国中28位とワースト2位となり、OECDによると、日本の大卒女性の就業率は諸外国に比べて低く、日本は高学歴女性を生かしていないとのことである。また、日本は女性管理職比率や所得の男女差など10項目のほとんどで各国平均を下回っており、日本は存在する人材を活かして使っていないという結果になっている。

(2)ジェンダー(社会的性差別)はどうやって作られるのか 
1)女性への専業主婦の勧め
 私は、専業主婦を選択した女性が「働いていない」「活躍していない」と考えたことはなく、“お役所仕事”をしている人(男女とも)よりも、毎日、マルチタスクで結果を出さなければならない仕事をしていると思っている。

 しかし、*2-1のように、「①専業主婦の私は輝ける」「②夫や息子の幸せを支えるのが誇り」などと、自分の選択を正当化して唱えなければならないところが専業主婦の気の毒なところで、これは、家事がシャドウ・ワークであり、金を稼ぐことで評価されないからだが、家事を全部外部委託すれば、20~40万円/月の外部委託費がかかるので、外部委託していない人は、それだけの働きを自分でしていることになる。

 が、栄養が十分な現在、“土鍋で炊いた十六穀米”は過剰だろうし、オートミールクッキー・ヨーグルトババロアの手作りは、品質のよいそれらの既製品が容易に手に入る以上、効率性を欠いており、趣味の領域に入るだろう。

 ただ、「みんなの幸せを支えているのは私」と誇るのはよいが、人を支えるだけが誇りと言うのは女性に強いられる悲しいジェンダーであり、「で、貴女自身は何を志したの?」と、働き続けることを選択した私は言いたくなるのだが、本当は、どの選択をするのも自由な筈である。しかし、働き続けたくても社会的サポート不足でそれがかなわず、女性に二者択一を迫って少子化に導いたのが日本政府なのだ。
 
2)お母さんに強要される専業主婦と非正規雇用(雇用主から見れば、安価で雇用調整しやすい便利な労働力) ← 子供に降り注ぐジェンダー観
 *2-2のように、子ども番組の歌のお兄さんが、①母親になる前はヒールをはき ②ネイルをして立派に働けるって強がっていた ③おかあさんになった今、爪を切り、走ることができる服を着て、パートに行く と、日本全国の子どもたちに向かって歌って聞かせる。

 ネイルをするのは、爪の健康に悪い上、しっかり手を洗えないので衛生的でなく、知的とは言えないが、ヒールのある靴を履いてかっこよくおしゃれをしながら、いつも走って立派に働いているのは、教育を受けた女性なら当然のことだ。しかし、子どもの頃から、それを「強がり」と刷り込むのが、我が国のジェンダー(社会的性差)教育の始まりなのである。

 また、女性に対する自己犠牲の奨めが強く、それでも「おかあさんになれてよかった」と女性を締めさせ、子どもを産まない女性やバリバリ働く女性は間違っていると子どもに刷り込む。そのような社会的刺激のシャワーの中で育った子どもたちは、どういう母や女性を理想とするようになるか。こうして、女性に自発的に自由を捨て去ることを強い、女性差別を維持しようとしているのが、我が国の現在の問題なのである。

3)「主役として地位を得たがる女性は性格が悪い」という刷り込み
 政治家で、いろいろな組織の理事や監事をしている人は多いが、*2-3のように、熊本市議会議員の北口氏は兼業禁止規定に違反したとして、議員資格なしとする資格決定書を熊本市議会が全会一致で議決したそうだ。

 しかし、何を言われるかわからないので兼業しない私には、長く役職についておらずブランクが長いとして立候補にマイナスであるかのように言う人が少なくなく、女性が男性を支えるのではなく議員や管理職などの役職に就くのが気に入らないため、何とかケチをつけているのが見え見えである。

 そして、こういうことを多くの人が疑問を感じずに受け入れる理由は、「自己を犠牲にして夫や子どもを支えるのではなく、主役として地位を得たがる女性は性格が悪い」という、(2)2)のような幼い頃からの刷り込みのシャワーがあるからだ。

 なお、北口氏は市職員にパワハラ行為があったともされているが、若くない女性がいたらない部下に注意をするとパワハラと言われることが多いのも女性の仕事をやりにくくしており、これは私も経験済みで、長く働いている女性を「お局様」と言う陰口が今でも通っているのと同じ古い感覚によるものである。

(3)人口減という論点設定の誤り
 少子化と人口減が問題だと説き、1番上の1番右のグラフのような架空の人口動態を示して騒ぐ論調は多いが、*3-1のように、女性やシニアの労働参加率が上昇すれば、人口減の中でも、しばらくは就業者の数が増え続ける。その増加カーブが頭打ちになる頃には、AI利用による生産性の向上を失業なく行うことができ、外国人労働者も導入して、世界に貢献しながら日本の労働力を満たすことができるだろう。

 さらに、*3-2のように、 ①人口増加は経済成長の大きな要因でない ②終戦直後には人口過剰問題への懸念が強かった ③生産性の継続的な上昇を促す経済政策を行うべき と主張する人もおり、私はこれに賛成だ。つまり、労働者に差別なく経験を積ませて生産性を上げれば、人々の福利を増しつつ明るい未来を作り出すことができるが、そのためには、我が国に逆方向に突っ走っている余裕などはないのである。

<女性は土俵に上げない伝統>
*1-1:https://digital.asahi.com/articles/DA3S13438719.html (朝日新聞 2018年4月6日) 「女性は土俵降りて」、波紋 大相撲巡業、救助中アナウンス
 京都府舞鶴市で4日にあった大相撲春巡業の舞鶴場所で、「女人禁制」の土俵上で倒れた多々見良三・同市長(67)の救助をした女性に、行司が土俵から降りるようアナウンスをした問題をめぐり、波紋が広がっている。日本相撲協会は5日、女性に直接謝罪したい意向を示した。
■「女人禁制」 行司「動揺し」
 4日午後2時過ぎ。土俵であいさつをしていた多々見市長が倒れた。70代男性は、市長のあいさつする声がいつもより力んでいるように聞こえたといい、「張り切っているんだな」と感じた。だが、間もなく市長は、何の前触れもなく後ろへ倒れたという。土俵の近くで見ていた60代女性によると、すぐに女性2人が土俵に上がり、「胸を開けてください」と叫ぶと心臓マッサージを始めたという。その後、「女性の方は土俵から降りてください」とのアナウンスが繰り返し流れたが、救急隊員らが交代するまで救助活動を続けた。70代男性は「なぜ降りろ、というかわからず、後になって女人禁制のことだとわかった」という。主催した実行委員会の河田友宏委員長(78)は「しきたりはしきたりだが、人の命がかかっているときに言うことではない。救命措置がなかったらどうなっていたかと思うし、とても感謝している」。女性たちには看護師も含まれていた。舞鶴市によると、多々見市長が倒れた原因は、くも膜下出血といい、市内の病院で手術を終え、経過は良好という。声を発したのは進行役の若手行司だった。「動揺した。女性が上がっているというのが頭の中で膨らんだ」と説明したという。八角理事長(元横綱北勝海)は同日夜、「とっさの応急処置をしてくださった女性の方々に深く感謝申し上げます」とした上で、アナウンスについて「人命にかかわる状況には不適切な対応でした。深くお詫(わ)び申し上げます」とコメントを出した。
■江戸期からの「伝統」
 女人禁制は、江戸時代の勧進相撲の頃から続いている。協会に残る資料には「女子は土俵に上がれない。固く禁じられている。理由は土俵は神聖なる場所であるため、このしきたりは勧進相撲当初より守られている」とある。現在も、引退相撲の際の断髪でも女性は国技館の土俵には上がれず、土俵下ではさみを入れている。協会は伝統・文化としての相撲道を守る立場として、ちょんまげや着物姿と同様に女人禁制も維持したい考えだ。米国出身のリー・トンプソン早大教授(スポーツ社会学)は「『女性であること』を何よりも優先する考えは時代遅れ」と指摘する。八角理事長のコメントに触れ、「かたくなに女性が土俵に上がることを拒否してきた協会が、緊急時では土俵に上がって良いと許容した。ある意味で『進歩』」と話す。ノンフィクション作家の長田渚左さんはアナウンスには「臨機応変な対応が出来ない。女性ならずともあきれかえったのではないか」とした上で、「協会が自分たちで作ったルールならそれはそれで結構。ただし、今後に備えて対応は考えて欲しい」とした。横綱白鵬は取材に「世界大会で女性が土俵に上がるのを見たこともあるし、(女性がいるのは)あまり違和感はない。本場所だったらまた別の話だけど」と話した。報告を受けた協会ナンバー2の尾車事業部長(元大関琴風)は「人命第一なのは誰もが分かっていること。女性が土俵に上がれないのは次元が違う話」と述べ、救命活動にあたった女性らに、八角理事長が直接感謝と謝罪を伝えたい意向があることも明らかにした。

*1-2:https://digital.asahi.com/articles/DA3S13438721.html?ref=pcviewpage (朝日新聞 2018年4月6日) 土俵上あいさつ、女性市長できず 「宝塚場所」、実行委断る 大相撲巡業
 兵庫県宝塚市で6日に開かれる予定の大相撲の地方巡業「宝塚場所」で、同市の中川智子市長が、企業などでつくる巡業の実行委員会に「土俵上であいさつしたい」との意向を伝えたところ、断られていたことがわかった。中川市長によると、5日朝、土俵上でのあいさつについて実行委に打診したが、日本相撲協会と相談した結果として「相撲の伝統に配慮し、土俵の下であいさつしてほしい」と断られたという。中川市長は昨年の「宝塚場所」でも土俵の下であいさつしており、昨年同様の対応を求められたという。中川市長は「平等の観点からおかしいのではないか」と話している。

*1-3:https://digital.asahi.com/articles/ASL4632BVL46UTFK004.html?iref=comtop_8_03 (朝日新聞 2018年4月6日) 野田女性活躍相、土俵上の救命活動「至極当たり前」
 京都府舞鶴市での大相撲春巡業で、「女人禁制」の土俵上で倒れた市長を救助した女性に、行司が土俵から降りるようアナウンスしたことについて、野田聖子・女性活躍担当相は6日の閣議後会見で、「日本相撲協会が不適切だったと謝罪したのは、その通りだ」と述べ、行司の対応に問題があったとの認識を示した。野田氏は「土俵の上とはいえ、市長は生命の危機にあり、医療従事者が救命活動をすることは至極当たり前」と強調。土俵の女人禁制について「この国の伝統を重んじる一人として、これまで疑問を持ってこなかった」とも述べた。今後のあり方については「相撲協会が今回の事例を受けてどう歩んでいくか決めてほしい」とした。

*1-4:https://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2017/171201.html (日弁連会長声明 2017年12月1日 日本弁護士連合会会長 中本和洋) 世界経済フォーラムのジェンダーギャップ指数に対する会長談話
 世界経済フォーラム(WEF、本部・ジュネーブ)は、2017年11月2日、同年の世界各国の男女平等の度合を指数化した「グローバル・ジェンダー・ギャップ」を発表した。日本は、調査対象144か国のうち、114位と前年より3つ順位を落とし、過去最低となった。2015年が101位、2016年が111位と年々順位を落としている。ジェンダーギャップ指数は、女性の地位を、経済、政治、教育、健康の4分野で分析し、ランク付けしているが、日本は、経済114位、政治参画123位であるのに対し、教育74位、健康1位と分野間のばらつきが大きい。特に、女性の地位改善の鍵ともいうべき政治分野が最も順位が低く、国会議員の男女比が129位、閣僚の男女比は昨年の50位から88位と大幅に落ち込んでいる。生活の基盤となる経済は昨年の118位から若干改善したが、給与格差、管理職や専門職での男女比は、いずれも100位以下と低い。教育の分野では、初等・中等教育や識字率が1位であるため、教育全体では74位であるが、高等教育は101位といまだに低い水準にとどまっている。日本政府は、「すべての女性が輝く社会づくり」をその重点課題に掲げ、2017年6月6日には「女性活躍加速のための重点方針2017」を明らかにした。その中で、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律が完全に施行されてから1年余りが経過し、「女性活躍は大きなうねりになっている」との現状認識を示し、また女性活躍の実現に不可欠な働き方改革の取組を今後も強力に進めるとしている。しかし、2017年のジェンダーギャップ指数は調査が始まってから過去最低の順位を記録しており、上記施策が十分に成果を上げたとは言いがたい。国民の半数を占める女性の意見が十分に反映されてこそ、男女平等の視点を有する各種施策の立案が可能となることから、女性の政治参加は、あらゆる分野における女性の地位向上のための必須の条件である。当連合会においても、会内における男女共同参画の重点課題として、意思決定過程への女性会員の参画拡大に取り組んでいるところである。また、高等教育における格差解消は、社会に出てからの経済分野や政治分野における男女格差の改善に大きな影響を及ぼすことから、政府の掲げる女性活躍推進における有効な布石となるはずである。したがって、当連合会は、日本政府に対し、2017年のジェンダーギャップ指数の順位が過去最低となった事実を厳粛に受け止め、女性活躍を更に推進するために、働き方改革の取組にとどまらず、女性の政治参加及び高等教育における男女格差解消を重点課題とし、我が国のあらゆる分野にはびこっている性差別を根絶するためのより実効性のある具体的措置、施策を早急に講じるよう求めるものである。

*1-5:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO27824790X00C18A3EA1000/?nf=1 (日経新聞 2018/3/7) 大卒女性、生かせぬ日本 先進国で就業率の低さ顕著
 3月8日は国連が定めた国際女性デー。英誌がこの日にあわせ発表した「ガラスの天井」ランキング(2018年版)で、日本は主要29カ国中28位とワースト2位に甘んじた。経済協力開発機構(OECD)によると、大卒女性の就業率が日本は諸外国に比べ低く、高学歴女性を生かしきれていない。労働力人口が縮むなか、「眠れる宝」の掘り起こしは急務だ。英エコノミスト誌のランキングは、女性管理職比率や所得の男女差など10項目のデータを基に計算。日本はほとんどの項目で各国平均を下回り、17年版と同じ28位。韓国と最下位を争った。安倍晋三首相が施政方針演説で「女性が輝く日本」をつくると明言したのは13年2月。17年の女性就業者が2859万人に上るなど、働く女性は5年間で200万人増えた。子育て期に就業率が下がる「M字カーブ」現象も解消されつつある。ただ、非正規女性の増加が数字を押し上げている面もあり、企業の女性管理職比率は12.1%(16年度)、役員比率は3.7%(17年、上場企業)にとどまる。女性活躍の質が伴わない一因は高学歴女性の就業率の低さにある。OECDの最新データ(16年)によると、日本の大卒女性就業率は74%でOECD加盟35カ国中29位。先進国の間でも低さが際立つ。男女格差も著しい。教育投資が経済活動に十分還元されておらず、社会的な損失は大きい。大卒女性の就業率が低いのは、仕事と生活の両立が難しく、結婚・出産での退職が多かったからだ。再就職先はパートタイムや定型業務などに限られがちで収入も低い。日本女子大学はこんな高学歴主婦らの再就職支援プログラム「リカレント教育課程」を開いている。会計学などを1年学び実践力を磨き直す。受講生の7割は他大出身。慶応大と東京女子大、早稲田大が上位を占める。人手不足を背景に企業も目を向ける。同教育課程が2月に開いた就職合同会社説明会には37社が参加した。「数年前まで参加は10社程度だった。ブランクはあるものの、高い潜在能力に企業も気づいた」(事務局)。女性総合職の離職を防ぎ、幹部候補として養成を急ぐ動きもある。サントリーホールディングスは育児休業でのキャリアロスを防ぐため、早期復帰を支援。保育所に入れなくてもベビーシッターを会社が手配するなど、希望時期に必ず復職できるようにした。女性役員養成に国も動く。内閣府は17年度、役員候補女性を育てる研修を開いた。グローバル経営など経営幹部に必要な知識を教えた。女性活躍の推進で多様な価値観を組織に入れると企業の競争力は高まる。先進国が取り組みを急ぐなか、その遅れは日本企業がグローバル市場で戦う際にマイナスとなる。OECD東京センターの村上由美子所長は「日本は取り組みのスピードが遅く、海外との差はむしろ広がっている。年功序列から成果主義への転換など、労働市場の構造改革が必要だ」と話す。

<日本における専業主婦と非正規雇用のススメ>
*2-1:https://digital.asahi.com/articles/DA3S13299330.html (朝日新聞 2018年1月4日) (家族って:3)専業主婦の私、輝けるのに 夫や息子の幸せ、支える誇り
 かつて「男は仕事、女は主婦」が理想とされた時代がありました。「女性活躍」の波が押し寄せるなか、専業主婦たちはやり場のない思いを抱えます。家族を送り出した後、リビングで1人。水戸市の斉藤綾さん(43)は、いつものように朝食をとりながら朝刊をめくる。安倍政権が掲げる「女性活躍」の記事を見るたび、ため息が漏れる。「専業主婦は、活躍していないの?」長男(17)の妊娠を機に勤めを辞めた。午前6時に起きて朝食作り。家族の健康のため、平日は土鍋で炊いた十六穀米と、ネギとすりゴマ入りの納豆を欠かさず用意する。午前7時40分からが自分の朝食の時間。起床後、初めて腰を下ろす。その後は朝から3回転させた洗濯物を干す。ベランダの限られたスペースに、乾きやすく干すよう気を配る。そして掃除機をかけ、床や窓を拭く。3LDKすべての部屋をきれいにする。次男(12)が下校すると、おやつの時間だ。オートミールクッキーやヨーグルトババロアは手作り。その後、宿題を見て、習い事へ送る。会社員の夫(46)と長男は帰宅時間が異なるため、それぞれに夕食を温め直して出す。後片付けや翌日のお弁当の準備を終えると、午後11時を回る。疲れと満足感で、すぐ眠りに落ちる。毎日、ほぼ同じ流れを繰り返す。昨年のクリスマスイブ。子どもたちと作ったピザやケーキで食卓を囲むと、夫が「幸せだな」とつぶやいた。「みんなの幸せを支えているのは私」。誇らしかった。ずっと勤めに出ないでいると、「具合でも悪いの?」と心配する人もいた。友人からは「働かざる者食うべからずよ」と言われた。専業主婦世帯は1997年以降、共働き世帯を下回り続けている。女性の社会進出に加え、景気の低迷から共働きでないと生活できない世帯が増えたことも背景にある。斉藤さんも、司書の資格を取って図書館で働きたいと思うこともある。でも、一番力を注ぎたいのは家族のサポート。外でパワー全開で頑張れるよう、日常のすべてを整えることに徹したい。家族の予定や健康の管理など、物事を同時並行でこなす家事は「マルチタスク」だと思う。専業主婦には多くの能力が必要とされる。そんな自負がある。「女性活躍」を押し出して女性に働くことを奨励する政権に、「家事や育児だって働く人と同じように輝けるのに」と感じる。仕事をしたい女性が働きやすい社会にするのは大事なこと。でも、こんな思いはぬぐえない。「国は働け働けと言うけれど、専業主婦は十分働いている。社会は、どんな選択も受け入れてほしい」
■子どもが成長した後は…焦りも
 覚悟したはずだった。それなのに、子どもの寝顔を見ながら自分の存在価値を確かめたくなる夜がある。福島県の真由美さん(34)は、会社員の夫と2歳の長男の3人暮らし。大学卒業後、大手証券会社の専門職などで働いた。遠距離恋愛の末に結婚した夫は、毎年のように転勤がある。「一緒にいたい」という思いが勝り、専業主婦になった。夫は激務。ほとんどの時間を長男と過ごす。スイミングやリトミックと、2人一緒にいるのは楽しい。だけど、いつも不安と隣り合わせだ。「息子が成長した時、自分には何が残っているんだろう」。為替の動きを注視し、情報の最先端に触れていた日々は遠くなった。夫の転勤のたびに転職はできないが、「社会の波に乗っていない」と感じる。ブランクが長くなるほど仕事を見つけづらくなる。焦りを覚える。東京都の佑子さん(32)は金融機関で働き、早朝から夜まで仕事に明け暮れていた。やりがいを感じていたが、子育て中の社員はほとんどいなかった。5年前の結婚を機に転職。その会社も妊娠中に入院が長引き退職した。4歳になった長女は、ひらがなを覚え、ピアノで曲も弾けるようになった。なのに、自分は何も変わっていない。娘の幼稚園ではパートに出るママ友が増えた。娘の教育費のために自分も働きたい。でも、夫は残業が多く、休日も出勤する。夫に相談すると「申し訳ないけど、家のことはお手伝い程度しかできないと思う」と返された。遠方に住む両親には頼れない。「仕事をしたら自分に負担がかかるのは目に見えている」。専業主婦は365日営業。終わりが見えない。

*2-2:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20180212&ng=DGKKZO26738260Z00C18A2TY5000 (日経新聞 2018.2.12) 歌詞が「自己犠牲を美化」と炎上 何とも苛烈な「理想の母」 詩人・社会学者 水無田気流
 絵本作家・のぶみ作詞、元NHKの子ども番組の歌のお兄さん・横山だいすけ歌の「あたし おかあさんだから」の歌詞が、ネット上で炎上している。とりわけ当事者である母親たちからは反発され、ツイッター上には「あたし おかあさんだけど」という反論があふれている。歌詞は「母になって我慢するようになったこと」が列挙される構成で、批判の内容は(1)母の過度の自己犠牲の当然視、(2)働く女性や子どもを産んでいない女性への無自覚な非難の2点に集約される。作者は実際に母親たちの話を聴いて作ったと説明するが、反感を買ったのはなぜか。第一に「子どものためにすべてをささげて自己犠牲に励む母」対「自分のことだけ考えるキャリアウーマン」の二項対立図式が、独善的だからであろう。歌詞が描く「おかあさん」はこうだ。母親になる前はヒールをはき、ネイルをして「立派に働けるって強がってた」。しかし今は、爪を切り、走ることができる服を着て、パートに行く。なぜなら、「あたし おかあさんだから」。これでは、子どもを産まない女性やバリバリ働く女性は間違っていると読めてしまう。第二に、母の自己犠牲の程度が極端で、俗世を離れ一切の我欲を捨てるべしという、修行僧か修験者のような子育てを推奨する点だ。歌の中で「おかあさん」は、好きなことも服を買うこともやめて、食事も趣味も子ども中心に変え、「それ全部より おかあさんになれてよかった」と締める。最後まで父親は不在だ。私見では、母子の生活とは、他の家族や地域コミュニティなどからなる日常生活の一環だ。そしていつか、子どもは社会に出ていく。そのときまでには、親が子を一方的に守るだけではない、互いに独立した個人として尊重し合う人間関係を築く必要がある。だが「あなたのために、すべてあきらめて尽くしたのに……」という母では、健全な巣立ちも子どもの自立も困難になるのではあるまいか。女性は「母」になると「個人」として生きることが困難になる。自由は誰もが保障された権利だが、極論すればこの国で「理想の母親」となることは、「人として当たり前の自由や権利の放棄」に結びつくほど苛烈だ。しかもそれは、「美しい」「正しい」母親像の称揚によって、女性たちに「自発的に」自由を捨て去ることを強いてきた。本件が示す問題の根は深い。

*2-3:https://mainichi.jp/articles/20180327/k00/00m/010/100000c (毎日新聞 2018年3月26日) 熊本市議会:北口和皇氏が失職 兼業禁止規定に違反
 熊本市議会は26日、北口和皇(かずこ)市議(59)が地方自治法の兼業禁止規定に違反したとして、議員資格なしとする「資格決定書」を全会一致で議決した。同日付で失職した北口氏は決定の取り消しを求め熊本県知事に審査請求する方針。市議会によると、北口氏が組合長だった市漁協は、北口氏が会長を務める別の団体からの再委託分を含めると、市からの業務委託費が2015年度に事業収入の6割を超えていた。市議会特別委員会は議員が自治体と請負関係になることを禁じた兼業禁止規定に抵触するとしていた。北口氏は「再委託は請負と評価すべきではない」と反論しており「最後まで徹底的に争いたい」とコメントした。北口氏を巡っては市職員へのパワハラ行為があったなどとして、15年11月以降、議員辞職勧告を4回受けていた。

<人口減という論点設定の誤り>
*3-1:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO25268100Q7A231C1SHA000/?n_cid=NMAIL006 (日経新聞 2017/12/31) 人口減でも増える労働力 18年最多へ、女性けん引
 働く人の数が2018年に過去最高となりそうだ。人口が減少する中でも女性やシニアの労働参加率が上昇しているためで、就業者の数は当面、増え続ける見通し。ただいずれ臨界点が訪れ、20年代前半にも就業者の増加カーブが頭打ちになるとの観測も広がる。今後の成長には誰もが働きやすい労働慣行づくりや、人工知能(AI)などによる生産性向上が一段と重要になる。主な働き手となってきた15~64歳の「生産年齢人口」は現在、約7600万人。少子高齢化が進み、この20年で約1割減った。主要国の中でも突出したテンポで減少が続いている。にもかかわらず実際に働く就業者数は伸び続けている。17年は11月までの平均で6528万人と、前年を約1%上回った。過去2番目の水準だった98年の6514万人を超えるのが確実だ。18年も過去5年並みの伸び率が実現すれば、統計が残る53年以降で最高だった97年の6557万人を突破する可能性が高い。高度成長期の「いざなぎ景気」を上回る長さで12年末から続く緩やかな景気回復で労働参加が増え、働く意思のある人のうち就業している人はこの5年で急増した。生産年齢人口に対する比率で見ても13年に初めて8割を超え、足元では85%を上回る。けん引しているのは女性やシニアだ。15~64歳の女性で働いている人の割合は11月に68.2%と5年前に比べて6.7ポイント上昇し、過去最高水準にある。経済協力開発機構(OECD)によると、生産年齢人口に占める女性の就業率は米国を13年に抜き、主要先進国と遜色ない水準まできた。65歳以上の働くシニアの割合も98年以来の高さで、体力が必要で若い人を求めてきた介護現場で働く人も増えている。すでに働く意思を持つほぼ全員が職に就ける完全雇用の状態にある。問題は働く人をどこまで増やせるかにある。SMBC日興証券は人口の動きから判断して、最も楽観的なケースで就業者数は6950万人くらいが限界だとはじく。息の長い景気回復で各年齢層の労働参加率の上昇テンポが2倍に速まると仮定すると、働く人は年およそ50万人ずつ増やせる。女性の労働参加率が男性並みに高まるという前提だ。ただいずれ女性の働き手も枯渇し、25年をピークにいよいよ減少に転じる見込み。今のような景気回復が続けば「20年代前半に頭打ちになる可能性が高い」(同社の宮前耕也氏)。さらに厳しい見方もある。みずほ総合研究所の堀江奈保子氏は「人口減少と高齢化で労働参加率が今後上昇する余地は限られており、20年ごろには減少に転じるとみるのが現実的」とみる。失業率や各年齢層の労働参加率がほぼ変わらないと仮定して推計すると、25年に就業者数は6000万人を割るという。働く人の数が減少し始める中で成長し続けるには、従業員1人当たりの付加価値(労働生産性)向上が必要になる。日本生産性本部によると、16年の1人当たり労働生産性はOECD加盟35カ国の中で21位にとどまっている。人手不足を受けて企業は省力化の設備投資を増やしている。リクルートワークス研究所によるとAIや機械による労働の代替が進んで労働力が余り、今は24年ぶりの低水準にある失業率が25年までに再び大きく上がる可能性がある。多くの企業では余剰人員が生まれるため、より成長性の高い分野に人が転職しやすい市場を整備すれば、人材難を緩和できそうだ。より少ない人数で多くの付加価値を生み出せるようになれば収益力は落とさずにすむ。大きな課題としては、外国人労働者の受け入れもある。日本で働く外国人は16年10月時点で108万人と5年間で5割以上増えた。ただ留学生のアルバイトや、国際貢献を建前として受け入れている技能実習生が全体の4割を占める。日本総合研究所の山田久主席研究員は「意欲や能力が高い外国人を真正面から受け入れる制度にすべきだ」という。共働きの制約となっている配偶者控除など、税制面でも抜本的な見直しが必要との指摘は多い。働く女性を支えるため、男性が育児休業を取得しやすくするような環境も大切だ。年金制度を含む社会保障制度についても、高齢者の就労をさらに促進する方向で改革を進める。労働供給のカベとの闘いは、これからが本番となる。

*3-2: https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20180109&ng=DGKKZO25360070V00C18A1KE8000 (日経新聞 2018.1.9) 時代の節目に考える(4)人口減・高齢化言い訳にせず、逆手に生産性上昇めざせ 星岳雄(ほしたけお:スタンフォード大学教授 1960年生まれ。東京大教養卒、MIT博士。専門は金融・日本経済)
<ポイント>
  ○人口増加は経済成長の大きな要因でない
  ○終戦直後には人口過剰問題への懸念強く
  ○生産性の継続的な上昇を促す経済政策を
 2018年はいろいろな意味で節目の年である。世界金融危機から10年、日本の銀行危機のピークからも20年になる。そして平成の時代は30年目を迎え、19年には元号が改まることになった。また中国の改革開放が始まったのは40年前であり、全世界で反体制のデモや暴動が広がった「動乱の1968年」からも50年だ。もっと長期的にみると、18年は明治維新から150年にあたる。この150年間、日本は目覚ましい成長を遂げた。明治初期には3500万人に満たなかった人口は、大正に5千万人、昭和に6千万人を超えた。67年に1億人に達した後も増え続け、今世紀には1億2700万人台に達した。1人あたり国内総生産(GDP)は、明治初期には750ドル程度(各国の購買力平価と物価変動率を基に90年時点のドルに換算)だったが、1916年には2倍の1500ドルを超えた。第2次世界大戦など多くのショックはあったが、57年にそのまた2倍の3千ドルに達し、高度成長期を経て90年代半ばには2万ドルを超えた(英経済学者アンガス・マディソン氏の統計による)。しかし2000年代半ばになると人口は減少に転じ、50年代には1億人を切る見通しだ。2115年には大正初期の人口とほぼ同じ5千万人に戻ってしまうと予測される。経済成長もこのところ停滞が続いている。2017年の成長率は久しぶりに2%に近づきそうだが、この好景気が長く続くとみる人は少ない。人口減少と高齢化は今後の経済成長にどのような影響を与えるのか。それを考えるのが本稿の目的だ。人口が減少する中で、経済も停滞を続け、このままでは日本は超長期的には消滅してしまうのか。新春にふさわしくない話題だと読むのをやめる読者がいると困るので結論を先に言うと、人口減少と高齢化は経済の停滞を運命づけるものではない。むしろ場合によっては、人口減少や高齢化が経済を活性化する可能性すらある。人口減少と経済成長を考えるとき、GDPなどにより測られる経済全体の産出量を、「人口」「労働力/人口」「産出量/労働力」の3つに分解すると説明しやすい。すなわち産出量は人口と労働参加率と労働生産性を掛け合わせたものであり、経済成長率は人口増加率、労働参加率の上昇率、そして生産性上昇率の3つの要因を足し合わせたものになる。表は、この数式に1956年から2015年の日本の数値を当てはめて計算した結果を示したものだ。日本の経済成長率がここ60年で著しく低下したことが明らかにみてとれる。高度成長時代の年率約8%の成長率が、1970年代後半からは3~4%に低下し、90年代半ば以降は1%程度に落ちてしまった。また高度成長への人口要因の直接的な貢献(人口増加率と労働参加率の上昇率を足したもの)は1~1.5%にすぎなかったこともわかる。残りの7%程度の成長は生産性上昇によるものだった。76~95年の期間は、人口要因の貢献がほとんど変わらなかったにもかかわらず、経済成長率が鈍化した時代だった。そして96年以降は、最終的には人口要因により、年率0.1%以下ではあるが、成長に対してマイナスの影響を与えるようになった。さらに生産性上昇率が一段と低下することにより、日本経済は停滞に陥った。こうして実際の数値をみると、人口増加は経済成長の大きな要因ではなかったことがわかる。同様に最近の人口減少と高齢化も経済成長にマイナスの影響を与えるものの、決定的な要因とは言えない。高度成長にしても最近の経済停滞にしても、人口要因の直接的な影響よりも、生産性上昇のほうがより大きな役割を果たしたのである。経済成長が人口増加によりもたらされるわけではなく、経済停滞も人口減少の必然的結果ではない。そもそも人口減少が経済成長の大きな制約要因と認識されるようになったのは最近のことだ。70年前の1948年、日本の人口が8千万人を超えた年に、読売新聞(9月14日付)は「人口問題に関心を持て」という社説を掲載した。ここでの人口問題とは人口過剰問題だ。日本の国土に相応な5千万人程度の人口を超える無責任な人口増加が「戦争誘致の最大なる原因」だったと指摘した。人口8千万人という「われわれの歴史あつて以来初めて」の状況でまた過ちを繰り返さないように、「国民が如何(いか)なる原因でこうした非合理な無自覚な出産をつゞけているかという根本問題」を考えなければならないと論じた。人口問題とは人口過剰問題であるという認識は、当時は常識的なものだった。実際にはその後、日本は高度成長を達成することで、8千万人が何とか生活を維持できるかどうかという状態から、1億人以上の人々が豊かな生活を実現できるまでに発展した。人口増加が経済成長を引き起こしたのではなく、むしろ経済成長が人口増加を可能にしたのである。こう考えると人口が減少すると、極端に高い生産性の上昇がなくても、豊かな社会の維持が可能になることがわかる。人口減少と高齢化が進むので、経済の停滞は避けられないという議論は、単なる言い訳にすぎない。重要なのは、人口が減っても高い経済成長を実現する生産性の上昇であり、それを可能にする経済改革である。具体的にはどのような改革なのか。詳しく立ち入ることはできないが、アニル・カシャップ米シカゴ大教授との共著「何が日本の経済成長を止めたのか」(2013年)での結論を繰り返そう。最も重要なのは、規制改革、国際的経済活動の自由化、健全な競争を妨げるような弱者保護の政策の是正などの思い切った施策を通じて日本経済の新陳代謝を高め、最新の知識や技術がより早く経済活動に反映される環境を整えていくことだ。人口減少と高齢化は、経済成長に与える負の影響がそれほど大きくないだけでなく、むしろ逆手に取ることで生産性の上昇の誘因ともなる。例えば日銀の2017年7月の「経済・物価情勢の展望」では興味深い分析を報告している。産業レベルでみると、人手不足の度合いが高い産業で、IT(Information Technology=情報技術)を活用した効率化投資がより活発になっているというのだ。人口減少と高齢化が、従来の生産方法の継続に大きな課題を与えるときに、労働生産性を上げていくような投資が起こりやすくなるのは、理にかなったことだ。こうしたことが実際に起きているのか、今後緻密な実証研究が期待される。人口減少は、AI(Artificial Intelligence=人工知能)の発達により今後人間の職がなくなっていくという、現在注目を浴びている問題にも関わってくる。労働力人口が減っていく社会では、そうしたAIによる人間労働の代替は、むしろ歓迎される可能性が高い。日本の持続的な経済成長にとって、人口減少と高齢化は致命的な問題ではない。生産性の継続的な上昇を可能にするような経済改革を実現することにより、日本経済は成長を続けることができる。こう考えると、日本経済の近未来は明るくなる。人口減少を恐れるべきではない。

<ジェンダー押し付けの結果>
PS(2018年4月7日追加):遺伝子によって生物学的に決まる性以外に、人間には社会的に押し付けられる性(ジェンダー)が存在する。この社会的性差は、時代によって変化する上、同時代の人の中にも当然バラエティーがある。しかし、近年は、誰でも“普通”でなければならないかのような圧力が強く、よほどしっかりした人でなければ自分が性同一性障害と勘違いしてしまうこともありそうであるため、不可逆的な性別適合手術を行うにあたっては、必ず遺伝子検査をして生物学的性が第二次性徴と異なるか否かを確かめる等、慎重な対応が求められる。

*4:https://ryukyushimpo.jp/kyodo/entry-696427.html (琉球新報 2018年4月7日) 性別適合手術で保険初適用 岡山大病院、負担3割に
 心と体の性が一致しない性同一性障害(GID)の人の性別適合手術で、公的医療保険の対象となる全国初の手術が岡山市の岡山大病院で実施されたことが7日、分かった。今月から始まった制度で、保険適用により自己負担は3割となる。GID学会理事長の中塚幹也・岡山大大学院教授(生殖医学)によると、手術を受けたのは近畿地方に住む20代。女性から男性の体にするため、6日に乳房を切除した。性別適合手術は保険外のホルモン療法を受けている場合、全額自己負担となる。患者の多くはホルモン療法を受けるが、今回の当事者はまだ始めていなかった。

<農業の人材不足と外国人労働者・女性活躍>
PS(2018年4月8日追加):*5-1のように、農業の労働力不足は深刻で、沖縄では6割の自治体が労働力不足としており、花卉・野菜・キビなどの「耕種分野」は145の経営体で外国人材の雇用を要望しているそうだ。そのため、JA沖縄中央会は外国人材の採用に関する特区導入を希望しているが、言語や生活習慣の違い、農業技術の流出などの課題もあるとのことである。
 文化の違いについては、①沖縄からアメリカやブラジル等に移住した人の子孫を募集すれば、文化の違いが克服しやすい ②日本の都会で人材募集すれば、沖縄独特の自然の豊かさから日本人の男女でも手を挙げる人は少なくない ③外国人であれば、国別に住居をまとめて住んでもらい、その地域の公共施設はその国の言語にも対応できるようにする などの方法がある。
 また、*5-2のように、近年、女性農業者の活躍が目覚ましく、彼女たちが思う存分能力を発揮できる環境を整えれば貴重な人材となる上、*5-3のように、各地の大学や学科で本格的に食や農を学ぶ農学系女子(ノケジョ)も増えているそうだ。女性は、農業関連の知識だけでなく、食の安全・安心や産地と栄養・料理(=ニーズ)の関連、農山村の可能性など、具体的で広い関心を持っている点が特徴である。

*5-1:https://ryukyushimpo.jp/news/entry-669143.html (琉球新報 2018年2月21日) 労働力不足、農業も深刻 沖縄、6割の自治体「不足」 花卉、野菜、キビ…外国人受け入れに期待も
 沖縄県内の農業・畜産業の労働力に関して都市部以外の市町村を中心に、約6割の自治体が「労働力が不足している」と認識していることが、県の調査で20日までに分かった。品目別では花卉(かき)、野菜、サトウキビなどで不足し、12月~3月の冬春期に不足人数が多かった。他の期間にも常に100人以上が不足するなど、農業の労働力不足の深刻さが浮き彫りとなっている。県が導入を検討する国家戦略特区の農業の外国人材の受け入れに関し、県農林水産部が調査した。調査は昨年12月から今年1月、県内41市町村と農業関係11団体を対象に実施。市町村の労働力不足については、29市町村が回答し、18市町村(62%)が「不足している」と答えた。農業団体の調査で農業生産に関わる労働力不足人数を月別に見ると、12月から3月までの冬春期に最大282人が不足していた。沖縄は県外が寒くなる冬春期に農業生産が活発で、とりわけ季節性があり通年雇用が困難なことから労働力の確保が難しいとみられる。年間を通じて100人以上が不足していた。花卉や野菜・キビなどの「耕種分野」は145の経営体で外国人材の雇用を要望しているが、一方で「畜産分野」の要望は8経営体にとどまった。畜産では海外の伝染病などの侵入を懸念し、受け入れに慎重な声もある。アンケートでは他に、外国人材の採用に関し、言語や生活習慣の違い、農業技術の流出などの課題が挙がった。労働力の確保には前向きな意見もある半面、国内の若手就労者、後継者などへの支援充実に注力すべきとの指摘もあった。現在、県内で受け入れが進む外国人技能実習生と比較して、農業特区の外国人材は活動範囲の広さなど関係者の期待も大きい。JA沖縄中央会の担当者は本紙の取材に「(特区の導入は)当然、必要だ。かなりの人数で労働力が必要となり、特区に期待している」と述べた。別の農業関係者は「外国人材に慎重な人もいるだろうが、潜在的な需要はまだまだある」と話した。

*5-2:https://www.agrinews.co.jp/p41934.html (日本農業新聞 2017年9月18日) 女性農業者の活躍 能力発揮へ地域の理解
 農水省の農業女子プロジェクトのメンバーが9月下旬から、香港でイベントを開く。日本の農産物や加工品をアピールし、輸出の足掛かりになると期待される。こうした女性農業者の活躍が最近、目覚ましい。農業に夢を描き、その実現へ奮闘する彼女たちをもっと支援しよう。家族に加え、地域の理解が欠かせない。思う存分能力を発揮できる環境を整えたい。香港のイベントは27日から10月31日まで。今年1月に続く2回目だ。百貨店やスーパーでの試食PR・店頭販売の他、農業女子が講師となり、自ら生産した農産物を使った料理レッスンを開き、現地レストランで特別メニューを提供する。初回のフェアをきっかけに香港への輸出を始めたメンバーもおり、販路開拓の意気込みは盛んだ。女性農業者の活躍が求められる背景の一つに、農業の6次産業化がある。農業者自身が生産・加工・販売に取り組む形は、これまでの「作れば売れる」から「売れるものを作る」発想への転換が必要となる。女性農業者は、生産者であると同時に家庭を切り盛りする生活者・消費者の視点を持つ。買い物好き、ネットワークづくりに優れた人も多い。そんな彼女たちの感性が、6次産業化を進める上で不可欠だ。生産物の品質はもちろん、消費者ニーズを捉えた加工品開発、見栄えのいい包装、直売やカフェに売り場を広げるなどして顧客の心をつかみ、起業家や経営者としての手腕を発揮する。一方、男性を中心とした農村社会の構図は依然として残る。「夫が経営の収支を教えてくれない」「妻は労働力としか思われていない」といった意見をいまだに聞く。農業女子からさえも「自治体からの通知がないと会合に外出しづらい」との声が出る。活躍する姿の裏に、こうした課題が潜んでいることを見逃してはならない。女性農業者はかつて無報酬労働が当然とされ、子どもの服を買う小遣いすらままならなかった。彼女らは思い切って義父母に要望したり、こっそりと内職をしたりして、わずかでも自由になる小遣いを稼いできた。そんな中で生活改善を進め、家族経営協定を結び、少しずつ地位向上を果たしてきた歩みがある。支えたのは義父母や夫、子どもたちなど家族の理解だ。現在、農業者の高齢・減少化が深刻さを増し、女性農業者の活躍が農村社会の活性化に欠かせなくなっている。これを後押しするには、家族の理解だけでなく、農村社会の中軸であり地域農業に従事する男性の協力が必要だ。JA役員や農業委員で女性登用を増やすため、こうした組織リーダーである男性の意識改革をさらに進めなければならない。政府が女性活躍推進へ積極的に取り組む今こそ、真の意味で女性が輝ける仕組みをつくり上げるべきだ。農業発展の鍵を握る女性たちが、活躍する“芽”を育てていこう。

*5-3:https://www.agrinews.co.jp/p43752.html (日本農業新聞 2018年4月7日) 農学系女子 ノケジョ 食・農の未来「任せて」 年々増加 今や半数近くに 大学側も期待
 入学シーズンを迎える中、各地の大学や学科で食や農を学ぶ農学系女子(ノケジョ)が増えている。既存の農業系の学校だけでなく、今春開設した食・農学系の大学や学部でも、ノケジョ率は高い。農業関連の知識だけでなく、食の安全・安心や産地との連携、農山村の可能性などを幅広く学べるところが人気の要因だ。
●男性しのぎ 続々入学
 6日に入学式をした日本農業経営大学校(東京都港区)では、新入生16人のうち女性は過去最多の5人。昨年は女子の入学はゼロで、例年は1、2人だった。青森県南部町の果樹農家出身の沼畑恵夢さん(20)は「地元には後継者がいないために土地を手放した農家が多数いる。女性の力で現状を打破したい」と意気込む。東京農業大学は今春、神奈川県厚木市の農学部に新たに生物資源開発学科、デザイン農学科の2学科を開設した。特に、デザイン農学科は新入生126人のうち71人が女性。同大は「農業生産の研究だけでなく、食の安全・安心や農村の持続性など幅広い分野を学べる農学部に、女性の支持が集まっている」(厚木キャンパス事務部)と分析する。
●酒造り人気に
 今春、吉備国際大学は兵庫県南あわじ市の農学部に新たに醸造学科を開設した。酒造りの世界は男性のイメージがある中、新入生20人のうち女性は5人。大学への問い合わせも女性が多かったという。同学科の井上守正教授は「酒造りだけでなく、チーズやバター、漬物などモノづくりに関する女性のポテンシャルは高まっている。来年度以降、女性の割合はさらに高まる」と見込む。新設した新潟食料農業大学(新潟市)は7日、入学式を迎える。少子高齢化で学生の絶対数が少なくなる中での開校は大きな挑戦だったというが、県内外の調査で女性の進学希望が多かったことも設立を後押しした。新入生99人のうち、女性は25人。同大は「女性の潜在的な入学希望はもっとあるはず。来年度からはさらに女性比率を高めるよう、情報発信したい」(入試広報課)と意欲を示す。
●獣医師志望も
 3日に入学式を終えた学校法人「加計学園」が運営する岡山理科大学獣医学部(愛媛県今治市)は、新入生186人のうち、女性は男性を上回る95人を占めた。同大学は「昔は獣医師は男性のイメージがあったが、女性を集めることが安定的な学校運営につながる。命を扱う獣医師に女性は向いており、畜産農家に貢献できる人材育成を進めたい」(入試広報部)と狙う。
●細やかさ生かし新時代けん引を
 新設される学部だけでなく、既存の大学農学部でもノケジョが目立つ。文部科学省によると、最新の2017年の調査では、農学を学ぶ大学生は10年前より3703人も増え7万6676人。うち女性の割合は45%。10年前は39・5%だった。農学部の女性は10年間で5472人も増えている。早稲田大学名誉教授で、日本農業経営大学校の堀口健治校長は「6次産業化などで農の付加価値を高めるべき時代に、女性の細やかな視点が生かせる場面は多い。農業をけん引してほしい」と期待する。 

<民営化後の郵便局の利用>
PS(2018年4月11日追加):*6のように、郵便局が自治体事務の一部を受託してくれれば、近くに郵便局しかない離島・山間部の人は便利になる上、コンピューターネットワークを駆使すればそれは可能で、外国語対応も安価にできそうだ。また、全国で郵便局や社宅の跡地を開発する司令塔になるのもよいだろう。しかし、ゆうちょ銀行が民営化した以上、通常貯金の預入限度額は撤廃すべきだと考える。何故なら、「地方銀行からゆうちょ銀行に預金が流出して民業圧迫する」というのは、これまで長く銀行業務をやってきて、地域の事情や銀行業務のノウハウに精通している筈の地方銀行の甘えにすぎないからである。

*6:http://qbiz.jp/article/131625/1/ (西日本新聞 2018年4月11日) 郵政社長、郵便局機能絞り込みも 将来的な可能性を示唆
 日本郵政の長門正貢社長(69)は11日、共同通信のインタビューに応じ、全国約2万4千の郵便局網に関して「全て同じ機能を持つ必要があるかという議論はある」と述べ、将来的な機能絞り込みの可能性を示唆した。首都圏など都市部で担当エリアが重複する店舗の統廃合を進める一方で、過疎地などでは利用状況に応じた平日休業といった運営形態の見直しが今後、議論されそうだ。郵便局で自治体事務を受託することについては「収益は踏まえるが、かなり引き受けられる」と積極姿勢を示し、「全国一律のサービスは今後も守る」と強調した。4月2日に設立した不動産開発の100%子会社の日本郵政不動産は、東京や大阪での案件を皮切りに、全国で郵便局や社宅の跡地を開発する「司令塔になる」との考えを示した。一方、政府の郵政民営化委員会が近く是非を判断する、ゆうちょ銀行の通常貯金の預入限度額撤廃案に関しては「撤廃を希望する考えを取り下げるつもりはない」と明言した。地方銀行などからゆうちょ銀に預金が流出し、民業を圧迫するとの懸念に対しては「預金集めではなく、投資信託の販売など資産形成支援に注力していく」と否定的な見方を示した。策定中の新中期経営計画で対象となる2018〜20年度は、低金利の長期化が見込まれるとして「収益を上げるには最も厳しい3年間になる」と語った。

<外国人労働者の必要性と待遇>
PS(2018年4月12日追加):*7-1のように、政府は2019年4月にも外国人労働者向けに新たな在留資格を作り、最長5年間の技能実習を修了した外国人に、さらに最長5年間の就労資格を与えるそうだ。対象は農業・介護・建設などとしているが、*7-2のように、林業や水産業も人手不足で、さらに中小企業も事業承継する人がいないという問題を抱えているところが多いため、業種は限らない方がよいと考える。なお、技能実習終了後は母国に帰って再来日した後に新資格を与え、「引き続き10年以上の在留」という外国人の永住権取得の要件に当てはまらないようにするそうだが、世界の人材獲得競争の中で条件を悪くすれば、研究者の動向と同様、選択肢の多い優秀な人ほど日本に来なくなるので注意すべきだ。

    
                       2018.4.12日経新聞
(図の説明:先進国に先駆けて日本の高齢化率は高く、生産年齢人口の割合は低くなるが、これに対応するには、高齢者の定義変更や女性労働力の活用だけでなく、外国人労働者も重要だ。しかし、外国人に対する処遇を差別的なものにしすぎると、優れた人ほど他国に行ってしまい、その結果は、現在、研究者の母集団の数と多様性によって科学技術分野の論文数に現れている)

*7-1:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20180412&ng=DGKKZO29256530R10C18A4MM8000 (日経新聞 2018年4月12日) 外国人、実習後に就労資格、最長5年、本格受け入れ 農業や介護、人材を確保
 政府は2019年4月にも外国人労働者向けに新たな在留資格をつくる。最長5年間の技能実習を修了した外国人に、さらに最長で5年間、就労できる資格を与える。対象は農業や介護などで、試験に合格すれば、家族を招いたり、より長く国内で働いたりできる資格に移行できる。5年間が過ぎれば帰国してしまう人材を就労資格で残し、人手不足に対処する。外国人労働の本格拡大にカジを切る。政府は単純労働者の受け入れを原則、認めていない。一方で働きながら技能を身につける技能実習の範囲拡大や期間延長で事実上、単純労働者の受け皿をつくってきた。幅広く就労の在留資格を与える制度の導入は大きな政策の転換点になる。政府は今秋の臨時国会にも入国管理法改正案を提出し、来年4月にも新制度を始める方針だ。新設する資格は「特定技能(仮称)」。17年10月末で25万人いる技能実習生に、さらに最長5年間、就労の道を開く。技能実習は農業や介護などが対象。新設する資格とあわせれば、通算で最長10年間、国内で働き続けることができる。新資格で就労すれば技能実習より待遇がよくなるため、技能実習から移行を希望する外国人は多いとみられる。政府は少なくとも年間数万人は外国人労働者が増えるとみている。農業、介護、建設など人手不足の業界を対象にする。そもそも技能実習は学んだ技術を母国に伝えることが前提。経験を積んだ人材も実習後に国外に退去しなければならない。長く働きたい外国人や、実習で経験を積んだ外国人を育てた国内の雇用主からは、改善を求める声があった。技能実習制度とその本来の目的は維持するため、新資格は一定期間、母国に帰って再来日した後に与える。外国人の永住権取得の要件の一つに「引き続き10年以上の在留」がある。いったん帰国してもらうため、技能実習と新資格で通算10年を過ごしても、直ちに永住権取得の要件にはあたらないようになる。外国人労働者をさらに増やすため、実習修了者と同程度の技能を持つ人にも新資格を付与する方針だ。既に実習を終えて帰国した人も対象になる見通しで、経験豊かな労働者を確保できる。新資格の保有者は、より専門性が高い在留資格に変更できるようにする。専門技能を問う試験に合格すれば、海外の家族の受け入れや、在留期間の更新ができる既存の資格に切り替えられる。国内では25年度に介護職員が約38万人不足する見込み。農業人口はこの10年で約4割減り、人手不足が深刻だ。技能実習生の多くが新資格に移行すれば、長期間、国内労働力に定着させることができる。アジア各国の賃金上昇で外国人労働力の獲得は難しくなっているが、人材獲得競争にもプラスに働くと見ている。日本の労働力人口は約6600万人。17年10月末時点の外国人労働者数は技能実習生の増加などがけん引し127万人と過去最高を更新した。労働力の50人に1人は外国人が担う状況だが、政府はさらに増やす方針だ。ただ多くの外国人の受け入れを前提とした社会基盤については整備が遅れており、受け皿づくりに向けた国民的議論を進めることが急務となる。

*7-2:https://www.agrinews.co.jp/p43787.html (日本農業新聞 2018年4月12日) 新たな森林管理制度 人員確保策が焦点 衆院農林水産委員会
 手入れが行き届いていない森林を、担い手に集約化する新たな森林管理制度の創設を目的とした森林経営管理法案が、11日の衆院農林水産委員会で本格審議に入った。農水省が今国会に提出した9法案の目玉の一つ。安倍政権が掲げる林業改革の具体化を目指す。林業の人手不足が深刻化する中、管理を担う人員をどう確保するか現場の懸念は根強く、今後の審議の大きな論点となる。同法案は、所有者が管理できない森林を、市町村を介して、意欲と能力ある民間事業者に集約化する制度を創設する。条件不利で収益が見込めない森林は、市町村が管理する。今国会の重要議案に位置付けられ、委員会審議に先立ち、先月29日の衆院本会議で、斎藤健農相による趣旨説明と、与野党による代表質問が行われた。12日には同委員会で参考人質疑も予定する。11日の同委員会では、新制度で市町村が担う森林の所有者や境界の特定といった業務に対して、「明らかに(人員が)不足している」(立憲民主党の神谷裕氏)などと懸念する声が続出。市町村の林務の専門職員は全国で約3000人で、3分の2の市町村は、こうした職員がゼロか1人という現状が背景にある。同省は、林業従事者らを対象に市町村の林務を全般的に支援する「地域林政アドバイザー」の資格取得を進め、市町村がアドバイザーを雇う経費などを地方交付税で措置し、体制整備を後押しすると説明。近隣市町村と共同での新制度の運用や、都道府県による事務の代替も可能だとした。国は市町村が新制度を運用する財源として、新税「森林環境税」を元手にした「森林環境譲与税」を配分する。野党からは、その使途も幅広くするよう求める声が上がった。斎藤農相は、新制度の当初の目的は私有林の整備促進だとしつつ「私有林よりも公有林の整備が優先される事態に対しては、市町村の判断で公有林の整備に当てることは可能だ」と説明。一方で同省は、財源の適正な利用へ、地方公共団体にインターネット上などでの使途の公表を義務付けるとした。

<高齢者いじめをしている馬鹿は誰なのか>
PS(2018年4月13日追加):人口構造の変化で高齢者に対する年金・医療・介護などの社会保障負担に堪えられないため、「高齢者(⁉)への負担増・給付減を行うべきだ」とする官製の論調に対しては、メディアだけでなく国会議員の中にも疑問を持たずに同じことを言う人が多い。しかし、この官製の論調は、「他のあらゆる努力をした上で、仕方なく高齢者の権利を奪う選択もする」というのではなく、他では無駄遣いを垂れ流し愚策を重ねながら、高齢者から巻き上げることで解決しようとするものであるため、説得されてしまう人は頭が弱いと言わざるを得ない。ただ、*8-1のように、八方を幸福にしながら社会保障費を削ることには、私も賛成だ。
 また、*8-2のように、政府は経済財政諮問会議で、2019年度からの3年程度、社会保障費の抑制に向けて歳出の目安を設ける方向で検討に入り、医療・介護などの社会保障費の自然増を抑えるとのことだが、必要だから受けている医療・介護を削って国民一人当たりの福利を減少させるのは問題だ。特に、生活支援に対する扱いが悪いが、高齢化社会で医療・介護・生活支援は必要不可欠なサービスで、これは、現在から将来にわたって世界で必要とされる(無駄遣いではない)本物のニーズであるため、これを磨いておくことは、我が国の高度なサービス産業の育成にもなるのである。そのため、そんなこともわからずに、EV・再生可能エネルギー・再生医療の二の舞にしようとしているのは、我が国の官製政策の重大な欠陥である。
 なお、*8-3のように、日本年金機構の外部委託業者の情報処理にミスがあり、その委託業者は、機械の読み込みではミスが出やすい氏名などの入力作業を中国の関連企業にやらせていたそうだが、国民は、日本年金機構や厚生労働省に個人情報を知られることを了承したものの、外部委託業者や再委託業者に個人情報を知られることを了承した覚えはない。つまり、個人情報保護や人権に無頓着というのが我が国の官僚機構で、その無神経さに呆れるのである。


                  2018.1.27日経新聞     2016.2.18毎日新聞

(図の説明:金融緩和して貨幣価値を下げる政策をとったため実質賃金は下がり、年金が減らされ介護保険料負担が増えたため年金生活者はこれら3つの影響でさらに実質手取額が減った。そのため、いくつかのメリットはあったかもしれないが、実需の国内需要が増えるわけはないのである。また、本当に必要とされ利用が進んでいる医療・介護サービスをめくらめっぽう減らし、介護保険料負担は40歳以上のみのまま高齢者負担を増やしたため、人口の30%以上を占める高齢者の生活が危うくなった。そのため、どういう人が考えるとこういう政策になるのかを、主権者である国民はよく考えるべきである)

*8-1:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20180413&ng=DGKKZO29334950S8A410C1EN2000 (日経新聞 2018年4月13日) 高齢者の就業促進
 日本では、生産年齢人口(15~64歳)が絶対数でも人口比でも減少するという「人口オーナス」が進行中である。人口オーナスは人手不足をもたらし、社会保障制度の持続可能性を脅かし、地域を衰退させる。この人口オーナスに対抗する有力な道が、高齢者の就業促進である。高齢者の就業が増えれば、一石四鳥の効果をもたらす。第1に、働き手が増えるから人手不足が緩和される。第2に、年金の支給開始年齢を引き上げるなどの社会保障改革を進めることができる。第3に、就業に伴い所得が増えるから、高齢者家計の将来不安も軽減される。そして第4に、医療費の削減にも寄与するだろう。高齢者の労働参加率が高い地域は高齢者ひとり当たり医療費が少ないという関係があるからだ。こうした期待に応えて、高齢者の就業はかなり増えている。総務省「労働力調査」によれば、2012年から17年までの間に、55歳以上の就業者数は140万人も増えている。これはこの間の全就業者ベースの増加数の56%に相当する。人口オーナスによる人手不足の顕在化を、相当程度高齢者の就業増加が防いだことになる。一方で、大きな課題も残されている。それは、同一企業内での就業促進になっていることだ。高齢者の継続雇用を法律で義務付けられた企業が、多くの場合、定年後の雇用に対して別途の制度を設けて雇用の場を提供しているからだ。企業内の高齢者就業促進は誰にとっても不満を残すことになる。法律上の義務を果たすために、企業が無理に高齢者のための就業の場をつくり出しているとすれば、企業全体の効率性は損なわれるだろう。賃金水準が低く、高齢者の側にも「自らの能力と経験にふさわしい場が得られない」という不満が残る。定年を迎えた高齢者に最もふさわしい仕事が、同じ企業内に存在するとも限らない。現状のような不幸な就業形態を防ぐには、高齢者に限らず雇用の流動性を高めるなかで、企業の枠を超えて高齢者の就業の場を確保していくことが必要である。流動性が高まって、高齢者が能力と経験にふさわしい就業の場を持てるようになれば、前述の一石四鳥の効果はさらに高まる。働き方改革の重要なテーマである。

*8-2:https://digital.asahi.com/articles/DA3S13448427.html (朝日新聞 2018年4月13日) 社会保障費抑制へ、歳出の目安を検討 来年度から3年間 政府
 政府は12日の経済財政諮問会議で、2019年度からの3年程度、社会保障費の抑制に向けて歳出の目安を設ける方向で検討に入った。団塊の世代が75歳になり始める22年度以降、社会保障費が大幅に膨らむためで、6月にまとめる新たな財政再建計画に盛り込む。安倍晋三首相は「今後3年程度で取り組む改革の方向性について、歳出の水準も含め、しっかりと検討する必要がある」と述べ、社会保障費の目安を検討するよう指示した。内閣府の試算では、医療費や介護費などの社会保障費の自然増は、これまでの年6500億円から、22年度以降は年9千億円に膨らむ見通し。政府は18年度までの3年間、予算編成で社会保障費の伸びを年5千億円程度に抑える目安を設けてきたが、19年度以降も歳出抑制のための目安が必要と判断した。厚生労働省は次回以降の諮問会議で、40年までの社会保障費の伸びの推計を公表予定で、これが議論のベースになる。一方、経団連は12日、社会保障や公共事業などの政策経費を税収などでどのくらいまかなえるかを示すプライマリーバランス(基礎的財政収支、PB)の黒字化の達成時期について「20年代半ばを目標とすべきだ」との提言をまとめた。政府はもともと20年度までに黒字化する目標を掲げていたが、補正予算の編成や税収下ぶれ、消費増税延期などを受けて目標達成を断念した。財政再建計画には、黒字化の新たな目標時期も盛り込む方針だ。

*8-3:http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2018041302000178.html (東京新聞 2018年4月13日) 【社説】年金支給ミス 制度の信頼を壊すな
 日本年金機構の情報管理のずさんさがまた露呈した。外部の委託業者の情報処理にミスがあった。調査委員会が検証を始めたが、適切な情報管理と運用が年金制度の信頼の基本と自覚すべきだ。約十万人の年金の二月支給分が少なかった。総額約二十億円になる。一方で多く支払われていた人も約四万五千人いた。発覚の端緒は、二月に入り年金額が減ることに気付いた受給者から問い合わせが増えたことだった。年金を頼りに生活している人にすれば、少しの減額でも敏感になることは当然だろう。加えて四月から、介護保険料が多くの自治体で値上げされる。七十五歳以上の医療保険料も上がる地域がある。機構は、負担増や給付減が生活に影響する受給者の実情を認識する必要がある。支給ミスは機構がデータ入力を委託した外部業者の処理がずさんだったためだ。年金に所得税がかかる人の控除手続きに必要な書類のデータ入力作業で発生した。機構によると、契約では入力後に担当者二人が確認する手順だったが、書類を機械で読み取らせていた。そのため誤入力が発生した。入力漏れもあった。委託業者は、機械の読み込みではミスが出やすい氏名などの入力作業を中国の関連企業にやらせていた。これも契約違反だという。委託業者は五百万人を超える大規模作業は初めてで、人材不足からこうした対応になったようだ。厳重な管理が求められる公的年金情報を扱う責任感が欠けていた。機構は委託業者の対応能力についてチェックが不十分だった。しかもミスに気付いた後も代わりの業者が見つからないという理由で委託を続けた。機構は業者へ損害賠償請求を行う方針だが、自身の責任も重い。機構を監督する厚生労働省も責任を自覚すべきだ。その後、別の業者も入力作業を外部に委託していたことが分かった。業務量が増え外部委託が避けられないのなら、業者の管理体制を再考する必要がある。機構は有識者による調査委員会を設け十日に初会合を開いた。業務委託のあり方などを検証し六月に報告書をまとめる。調査に協力し管理体制を見直してほしい。機構は、旧社会保険庁時代の「宙に浮いた年金記録」問題や二〇一五年のサイバー攻撃による年金情報百二十五万件の流出など情報管理の不祥事が絶えない。高齢期の生活を支える制度を担っていると肝に銘じるべきだ。

<メディアの報道内容のレベルの低さ>
PS(2018年4月14日追加):メディアはモリカケ問題を通じて権力闘争を煽るような報道しかせず、その内容もレベルが低い。しかし、*9のように、政治分野で男女比率が均等になるように推進する法案が衆議院で成立しており、各党が目標設定すれば、「秘書や後援会員には女性もいるが、議員は男性」という形が減って女性議員が増え、「女性は支える立場で、主役やリーダーの器ではない」というような誤った“常識”は消えていくことが期待できる。

*9:https://mainichi.jp/articles/20180412/k00/00m/010/063000c (毎日新聞 2018年4月11日) 政治の男女均等推進法案成立へ 各党に取り組み促す
 国政選挙などで候補者の男女比率を均等にするよう政党に努力義務を課す「政治分野における男女共同参画推進法案」は11日、衆院内閣委員会で採決され、全会一致で可決された。12日に衆院を通過し、今国会で成立する見通しとなった。同法案は衆参両院や地方議会の選挙について、各党に候補者の男女比率が「できる限り均等」となるよう求めている。各党に目標設定など自主的な取り組みを促すもので、罰則規定はないが、国際的にも遅れた日本での女性の政治参画を後押しすることが期待される。

<リケジョの作物選び>
PS(2018年4月15、18日追加):*10-1のような種苗の品種改良と特許権の取得は重要だが、沖縄で菊の栽培に取り組むのは、他の地域と異なる季節に花を咲かせやすいなどのメリットがあるからだろうか?そう言う理由は、私にとって菊は、①切り花が長持ちするという長所はあるものの ②バラのように華やかではなく、ユリや胡蝶蘭のように優雅でもなく ③どこか寂しくて仏壇以外で使いたいとは思わない(仏壇でも、白い他の花の方が気品があって美しかったりする) ④どこにでもある 花だからである。もし、特にメリットがなければ、ブーゲンビリア(鮮やかな花)やキャッサバ(タピオカの原料)のように、沖縄に自生しているため地元の人は雑草のようにしか思っていないが他地域の人には価値ある植物を、他地域でも楽しめるように生産した方が、オンリーワンの製品を安価に作れるだろうと思った次第だ。
 なお、*10-2のように、熊本県宇城市の大規模洋蘭農家は、形が出荷に向かず廃棄していた花でグラスブーケを作り、生花を持ち込めない病院のお見舞いなどに役立てているそうだ。花は、香水の原料にもなり、これからが楽しみである。

*10-1:https://www.agrinews.co.jp/p43603.html (日本農業新聞 2018年3月22日) [改革最前線 生産コスト低減 6] 種苗 JAおきなわ 許諾料2000万円超削減 独自育種 「半額以下」に
 JAおきなわは、菊の品種開発、育成を独自で行うことで、生産者のコスト低減につなげた。菊は購入した種苗で農家が自家増殖する場合は、その購入先にロイヤルティー(許諾料)の支払いが発生する。JAがその許諾料を種苗会社の半額以下に抑えた品種を提供。JAの試算によると管内の生産者が支払う許諾料を、1年間で2325万円削減する効果があるという。100万円以上手取りが増えた農家も数多い。JAが専用施設を作り、単独で育種をするのは全国でも珍しい取り組みだ。
●小菊33%占有
 オレンジ、紫、白・・・。沖縄本島の最南端・糸満市にあるJAの花き実験農場。所狭しと色とりどりの花が並ぶ。草丈も茎の太さもばらばらなのは、多様な特徴を持つ「新品種候補」を育て、その中から有望なものを見つけ出すためだ。これまでに16品種がこの畑から誕生。現在は県内で作る大菊の65%、小菊の33%をJAの品種が占めるまでになった。生産者の支持を集める理由が許諾料の安さだ。種苗会社だと自家増殖した場合、1本当たり2、3円のコストがかかるが、JAの品種は1円以下で済む。同県では年間100万本以上を出荷する生産者も多い。JAの品種を使えば、数十万円単位で削減できる。取り組みを始めた当初は、いくつも課題があった。種苗会社や都道府県の試験場と違い、品種改良の専門知識を持つ人材がいなかった。「プロと戦って太刀打ちできるはずがない」。JA内外からそんな不安の声が聞こえてきた。新品種の育成は困難を極めた。さまざまな品種を掛け合わせ年間80万粒の種を作るが、実用化できる花は滅多に生まれない。ようやくできても、生産者や花卸の目にかなわず、栽培が広がらなかったこともあった。それでもJAは農家負担軽減を目指し、毎年数百万円をかけて挑戦を続けた。花の交配はJA営農販売部の徳元清春さんが一手に担う。開発に行き詰まったときは、他県の試験農場に足を運んで研究した。徳元さんが作った赤い小菊「琉のあやか」は2014年に品種登録を受けた。樹姿が良く病害虫に強い同種は、小菊出荷量全国一の同県で欠かせない品種になった。徳元さんが作ったものは品種名に「琉球」の「琉」の字を使っている。同県には種苗会社の研究農場がなく、同県での生産に特化した品種はほとんどない。「ただ安いだけではなく、沖縄に合った品種を作りたい」。思いが込められている。
●実用化加速へ
 今では、3年に1品種のペースで実用化するまでになった。依然はリスクを恐れて慎重だったJAの姿勢も、変わってきた。JAの上江洌進常務は「良いと思ったら、迷わず普及しろ」と担当者にげきを飛ばす。今後は、実用化ペースを1年1品種に高める方針だ。

*10-2:https://www.agrinews.co.jp/p43832.html (日本農業新聞 2018年4月18日) [活写] 咲かせてみせましょもう “一花”
 熊本県宇城市の宮川洋蘭が作る、規格外のランの花を使ったボトルフラワーが人気だ。デンファレやカトレアを乾かしてガラス容器に密封し5年以上、色が保たれるという。同社は約300種類のランを栽培し、年間およそ20万鉢を出荷する。形が出荷に向かず廃棄していた花を生かそうと、水分が多いランの花を1週間ほどかけて乾かす方法を考案。「森のグラスブーケ」と名付け2013年に売り出した。製作担当の小田美佐登さん(37)は「乾かした花は破けやすく、丁寧に作業している」と話す。贈り物向けに人気を集め、インターネットなどを通して年間約3万個を販売。1個1500円(税別)から。専務の宮川将人さん(39)は「生花を持ち込めない病院の場合でもお見舞いに役立っている。多くの人に華やぐ気持ちを味わってほしい」と話す。

<セクハラの範囲>
PS(2018年4月19日追加):「セクハラは人権侵害で、女性の仕事をやりにくくする」というのには私も賛成だが、*11-1の女性記者に対する財務省の福田次官のセクハラは、普段から男社会でセクハラへの認識が甘い財務官僚が、権力闘争のために仕組まれたセクハラ問題に乗ってしまった感があった。何故なら、人事は財務省内で大筋が決まっており、そのような部下の不始末の責任までとらされたらたまったものではない麻生財務相や安倍首相の任命責任にまで言及しているからで、週刊新潮に録音されたマイクを渡した記者が傷ついたり、メディアと政治家・官僚の間にメディアの方が弱いという力の差があるとも思えないからである。ちなみに、私は電車の中で少し美人の女性が横にきて座り、「足を擦りつけてきた」と言って因縁をつけられた経験がある。それは、私がレズビアンだとでも言いたげで、周囲に人もいたため、「何で私が貴女に足を擦りつけなければならないのですか?気持ち悪い!」と大きな声で言って追っ払ったが、「被害者だ」と主張する女性には、そういう人もいるわけだ。
 ところで、セクハラは身体を触ることだけでなく、*11-2のように、救命活動をする女性に「(女人禁制だから)土俵から降りて」とアナウンスしたり、出産や月経の血で穢すとして女性市長に土俵上で挨拶させなかったり、特定の儀礼に女性を参加させないようにしたりするような男尊女卑も立派なセクハラである。しかし、こういうセクハラには感受性が鈍いせいか、メディアも疎いのが我が国の問題だと、私は日頃から感じている。

*11-1:http://www.shinbunroren.or.jp/seimei/180418.html (日本新聞労働組合連合 中央執行委員長 小林基秀 2018年4月18日) 「セクハラは人権侵害」財務省は認識せよ
 女性記者に対する財務省・福田淳一事務次官のセクシャルハラスメント疑惑に関し、麻生太郎財務相や同省の一連の対応は、セクハラが人権侵害だとの認識が欠如していると言わざるを得ない。セクハラは、圧倒的な力関係の差がある状況で起きることを理解しているとも思えない。新聞労連は同省の対応に強く抗議するとともに、被害者保護のため早急に対応を改めるよう求める。週刊新潮が福田次官のセクハラ疑惑を報じた際、麻生財務相が当初、事実関係の調査や処分はしない方針を示したことは、セクハラが人権侵害であるという基本を理解していない表れだ。その後、音声データが出てから調査に踏み切ったのは遅きに失しており、国際的にみても恥ずかしい対応であり、看過できない。セクハラの二次被害を生み出さないためにも、被害者を矢面に立たせないための配慮は調査の最優先事項だ。財務省が、同省と顧問契約を結ぶ弁護士事務所に被害者本人が名乗りでるよう求めていることは容認できない。被害者への恫喝であると同時に、報道機関に対する圧力、攻撃にほかならない。「女性活躍」を掲げる安倍晋三政権は、疑惑を持たれた人物が官僚のトップである財務省に調査を任せて良いのか。省庁を統轄する首相官邸がリーダーシップを発揮して、福田次官に厳格な事情聴取を行うことがなぜできないのか。それなしに、被害女性に名乗り出ろという見識を疑う。政府はこれを機に、全省庁に対し、他にセクハラ事案がないか徹底調査を指示するべきだ。福田次官にも問いたい。あなたは本当に女性記者の尊厳を傷つける発言をしたことはないと断言できるのか。であれば堂々と、記者会見を開いてあらゆる質問に答えてほしい。新聞社が新規採用する記者の半数近くが女性だ。多くの女性記者は、取材先と自社との関係悪化を恐れ、セクハラ発言を受け流したり、腰や肩に回された手を黙って本人の膝に戻したりすることを余儀なくされてきた。屈辱的で悔しい思いをしながら、声を上げられず我慢を強いられてきた。こうした状況は、もう終わりにしなければならない。今回の件を含め、記者が取材先からセクハラ被害を受けたと訴え出た場合、会社は記者の人権や働く環境を守るため、速やかに毅然とした対応を取るべきだ。「事を荒立てるな」「適当にうまくやれ」など記者に忍耐を強いる指示や黙認は、セクハラを容認しているのと同じであり、到底許されない。いまなお、女性記者が取材先からセクハラ被害を受ける事例は後を絶たない。新聞労連は性差を超えた社会問題としてセクハラを巡る問題に正面から向き合い、今後も会社や社会に対しメッセージを発信していく。                       以上

*11-2:https://digital.asahi.com/articles/ASL4F56VXL4FUCVL01Y.html?iref=comtop_8_02 (朝日新聞 2018年4月18日) 学者も「よく分からない」 大相撲の女人禁制、起源とは
 土俵上で懸命に救命活動をする女性に「降りて」とアナウンスした日本相撲協会の対応が物議を醸している。大相撲における「女人禁制」はどのように「伝統」となったのか。奈良時代の古事記や日本書紀に記述があり、1500年以上の歴史があるとされる相撲。なぜ、大相撲の土俵は女人禁制になったのか、いつからなのか。高埜(たかの)利彦・前学習院大教授(日本近世史)は「よく分からない」と話す。一方、中世から寺社の造営や修復の費用を集めるために開かれてきた「勧進(かんじん)相撲」が、江戸時代に権威と人気を得て大相撲につながる過程で、タブーが強化された可能性を指摘する。まず、江戸時代の勧進相撲では「女性の観戦は禁じられていた。土俵の周辺に女性の姿はなく、女人禁制と言うまでもなかった」。背景として考えられるのが5代将軍徳川綱吉の「服忌(ぶっき)令」だ。生類憐(あわ)れみの令と同じ頃、近親の死で喪に服す期間を定めた。死を忌み嫌い、血の穢(けが)れを排する公家や神道の価値観を武家社会が取り入れ、武士以外にも浸透した。高埜さんは「このころから、女性の月経や出産を遠ざける傾向が強まったのではないか」とみる。「勧進相撲」は江戸時代に、庶民の辻相撲などとの違いを強調し、権威を得ていく。18世紀半ば、8代吉宗の時代には年4回の「四季勧進相撲」が幕府公認に。11代家斉の時代には将軍上覧相撲が開かれ、横綱が白い麻で編んだしめ縄を締め、地鎮祭の地固めにちなむ四股を踏むなどの神事的な要素も導入された。大相撲と呼ばれるようになる過程で「神事」「伝統」が結びつき、土俵から女性を遠ざけた可能性がある。明治維新になると、文明化を目指す新政府によって「男女相撲」が禁じられる。「女相撲や座頭(盲人)相撲など多様な相撲のあり方は『野蛮』だとして排除された」と今西一・小樽商科大名誉教授(日本近現代史)は指摘する。一方、幕府や大名家の支援を失い、一時は危機に見舞われた大相撲は、国家神道の確立やナショナリズムの盛り上がりを追い風に、「聖なるもの」としての側面を強調していく。明治天皇による「天覧相撲」は回を重ね、相撲常設館は「国技館」と命名された。昭和には「相撲道」が強調され、国威発揚の一翼を担う。今西さんは「天皇を頂点とした身分制や家族制度のもとで男尊女卑が強まり、土俵の女人禁制は当然のこととされていく」と話す。
●出産・月経「穢れ」の宗教的観念
 女人禁制はそもそも、聖域への立ち入り禁止、特定の儀礼に参加させない、など宗教に関わる領域で目立つ慣習だ。だが「古代においては男女を問わなかったが、時代をおうごとに女性への禁忌が強まった」と鈴木正崇・慶応大名誉教授(文化人類学)は話す。古来の山岳信仰では、修行者や僧侶が山自体を修行場として霊力を得ようとして、俗人の立ち入りを禁じた。僧侶の修行の妨げになるという仏教上の戒律による女人禁制は、尼寺では男子禁制となった。それが平安時代になり、女性は男性に一度変身してからでないと成仏できないという変成男子(へんじょうなんし)思想や、女性は梵天(ぼんてん)・帝釈天などになれない五障といった差別的な教えが広まる。さらに「女性を劣位に置く慣習を決定づけた」と鈴木さんが指摘するのは、「血の穢(けが)れ」の観念だ。もともと平安時代の法令集「延喜式(えんぎしき)」では、死や出産を穢れと定めていたが、期間限定のものだった。ところが、室町時代に中国伝来の偽経「血盆経(けつぼんきょう)」が広まり、出産や月経の血で大地を汚すという女性の不浄観を浸透させたという。島薗進・上智大教授(宗教学)も「卑弥呼の時代から女性は神に近い存在。神事だから女性は立ち入れないというのは、歴史的にも宗教学的にも当たり前の話ではない」と指摘する。現代でも大峯山(奈良県)など一部に女人禁制は残るが、「修験道は修行全体が厳しい掟(おきて)に支えられていて、急にそれを変えられない面がある」と島薗さんは理解を示す。一方で大相撲については「土俵の女人禁制がどれだけ意義深いものなのか」と疑問視。「国民的行事であり、特定の信仰を持つ人たちのものではない。相撲協会は時代の変化に対応すべきだ」

| 男女平等::2015.5~2019.2 | 03:41 PM | comments (x) | trackback (x) |
2017.11.12 政治家に占める女性の割合が小さくなる理由は何か (2017年11月13、15、16、18、20、23、24、26、28、29、30日、12月1、2、3日追加)
  
  政党別当選者像     選挙前からの増減      女性当選者の推移
 2017.10.23西日本新聞               2017.10.23西日本新聞

(1)衆議院議員の選挙結果は男女平等か
1)第48回衆議院議員選挙の結果
 世界経済フォーラム(WEF)は、*1-1、*1-2のように、2017年11月2日、世界各国の男女平等度合いを示した2017年版「ジェンダー・ギャップ指数」を発表し、日本は女性閣僚や女性議員の少なさから政治が123位と20位も順位を下げたそうだ。女性の健康と識字率については世界1だが、高等教育進学率は101位と低く、専門職や技術職には女性が少なく、これらが男女の収入格差の一因となり、女性は同じ専門職や技術職でも採用・配置・研修・評価・昇進で差別されがちであるため、それらの総合的な結果として今回の順位が出ているわけである。

 世界経済フォーラムの「ジェンダー・ギャップ指数」で日本の順位が次第に下がってきた理由は、他国はまじめにジェンダー・ギャップの解消に取り組んでいるが、日本は掛け声倒れに終わっているためで、①一般国民が両親として子にジェンダーを含む価値観を与え、教育の選択を行っている ②公立高校でさえ男女別学にして男女で教育内容を違えている地域がある ③職場での採用・配置・研修・評価・昇進や選挙を通じて女性差別を行っている などが、その背景にある。また、私立学校には、小学校から男女別学のところさえある。

 その結果、「女性の幹部社員や政治家の少なさは『家事との両立困難』『女性自身のチャレンジ精神のなさ』などが原因だ」とするようなメディアの論調も多く、家事を女性の役割と決めつけ、女性は積極的でないとする男性中心社会の女性に対する偏見や責任転嫁があるが、家事は収入が多ければ外部委託でき、残りの家事をどちらが分担するかは家庭内の経済格差によって合理的に決まるため、本当はチャレンジ精神のある女性が全女性に占める割合は、チャレンジ精神のある男性が全男性に占める割合より少なくはないだろう。
(注1:動物行動学では、「人間に近い猿で、海水でイモを洗う新しい行動を始めたのはメス猿で、子猿たちがそれを真似して次世代に伝え、イモ洗い行動はその群れの文化となったが、大人のオス猿は最後まで新しい行動をしなかった」という研究事例がある)

2)今回の当選者と女性について
 このように、女性蔑視やジェンダーによる差別によって作られた形式上のもしくは実際の実力差のため、国民のリーダーとなるべき国会議員に占める女性割合は増えないわけだが、*1-3のように、西日本新聞が衆院選当選者を分析したところ、前職81.0%で、平均年齢54.8歳、出身は首長・地方議員などの地方政界が31.5%と最多で、国・地方を合わせた官僚・議員秘書がともに15.8%で同数だったそうだ。

 また、女性が全当選者に占める割合は10.3%で、「2020年に指導的地位に占める女性の割合を30%にする」という政府目標には遠かった。私は、「家事を担ったことがなく、自分は消費者ではないと考えている男性が多いため、このような馬鹿な政策が行われて惨憺たる結果が出ている」と感じることが多いため、2020年に指導的地位に占める女性割合を30%にするという政府目標は達成すべきだと考える。

 そのためには、「女性蔑視やジェンダーを無くして、堂々と30~50%の女性が議員に当選する状況を作る」というのが正論だが、女性が候補者となることすら難しいジェンダーの多い地域も少なくないため、*1-4のように、「クオータ制を推進する会」代表の赤松良子元文科省らが「政治分野における男女共同参画推進法案」の成立を働き掛け、各政党に対して衆院選の比例代表で女性候補を名簿上位とするよう求めるなどの取り組みを提案していたわけである。これを逆差別だと言う男性は多いが、私は、女性の当選を不利にする強固な障害が背景にあるため、その背景がなくなるまでは、この仕組を逆差別だとは思わない。

(2)女性蔑視を振りまくメディアと周辺の対応
 メディアは、連日、豊田真由子前衆院議員が元秘書の男性に暴言や暴力を行ったと報道していたが、豊田議員の地元固めの努力に比べて、元秘書の“失敗”はひどすぎる上、録音・録画がなされていたことから、豊田議員は陥れられたように思えた。しかし、*2-1のように、埼玉県警は豊田前議員が落選したところを見計らって、「傷害」「暴行」の疑いで書類送検したそうだ。

 ちなみに、私も、2005~2009年の衆議院議員時代、国会のない日は、地元廻りに精を出し、国政報告会を開き、地元の式典に参加したりして、盆も正月もなく草の根の活動をしていたが、「(ミスだらけの)秘書が大変ね」と言う人は多かったものの、私に対する労いや励ましの言葉は夫以外からはあまり聞かなかったので、その状況が推測できるのである。

 しかし、*2-2、*2-3、*2-4のように、当選を重ねて「希望の党」の代表選に出られた大串氏の場合は、「大串氏『保守王国崩す』、草の根の活動結実」と称賛されている。私は、大串氏と同じ地元活動をしていたので、同じ行動に対するこのようなメディアの論評の違いが世間に流布し、一般の人の先入観となって女性に対する強固な天井を作っていると確信する。

 なお、私は、佐賀県の式典でご一緒することが多かったため大串氏をよく知っており、その能力を認めており、大串氏の野党との統一会派を目指す路線にも賛成で、あくまで路線闘争を正面から訴える作戦を貫いて今後の流れに繋げることも重要だと思っているが、同じことを女性がやるとおかしな論評をするメディアをはじめ一般国民の意識が問題だと指摘しているのである。

 そして、ジェンダーについては、*2-5のように、佐賀新聞だけでなく全国紙の朝日新聞もメルケル首相に関して、「首相になって12年。実直で優れた指導力から『鉄の女』とも評される」「地元では、情を尽くして有権者と触れあう素顔を見せた」「政治家が地盤を守るには泥臭さもいる」などと記載している。しかし、女性がリーダーとして当然のことをすれば「鉄」と表現するのはジェンダーそのものであり、女性リーダーをやりにくくする。また、有権者と触れあう機会を多く作って有権者のニーズを知るのは男女にかかわらず政治家として当然のことだ。さらに、有権者のニーズを知って必要な政策をとるのは泥臭いことではなく当然のことだが、解決法を誤ればモリ・カケ問題のようになるため、見識の高さが必要なのである。

(3)私に関する偏向報道の事例
1)女性蔑視で偏向した報道とブログ
 私に対してなされた典型的な女性差別は、*3-1のように、週刊文春に、「83会の奇人変人」という題名で書かれた「東大卒で公認会計士という経歴をもつ広津女史。エキセントリックな点があり、ストレートにモノを言う。党本部や国会内の会合での質問に、いつも場が凍る」というものだ。

 この記事は、東大卒でも専門職でもない男性読者が「わが意を得たり」と感じるように、女性蔑視をふんだんに盛り込んだ真実ではない内容を記載しており、その結果、私の後援会作りを邪魔し、自民党の公認を得るのを妨げ、ひいては衆議院議員という職を失わせたため、「名誉棄損」「侮辱」として東京地裁に提訴して東京高裁で完全勝訴したものだ。しかし、日本の裁判所は、機会費用を認めないところが不完全である(http://hirotsu-motoko.com/weblog/index.php?c=19-22 参照)。

 また、*3-1のブログは、「自民党から小選挙区で公認してもらえなかったから」「自民党の比例区の名簿で優遇してもらえなかったから」という理由で(みんなの党に)来たらしい候補がいますね。・・・とくに広津前議員は、真偽の程はわかりませんが、以下の記事を読む限りでは、かなり“電波”な人では?」として、この女性蔑視の偏見に基づいた週刊文春の虚記事を引用し、2009年の衆議院議員選挙直前から掲載し続けている。さらに、このブログは反論もできない上、削除依頼もできない状態になっているのだ。

 そして、国会議員・公認会計士・税理士は、どれも人から信頼されなければできない仕事で、私はそれを築くために一生をかけて努力してきたため、この政治活動の妨害や営業妨害は、一般の女性のように笑って受け流したり、気分を変えたりすれば済む話ではない。

2)底の浅い決めつけ報道
 西日本新聞は、*3-2のように、政治取材に携わって20年余で、劇場政治の危うさとうさんくささは骨身に染みていたと言う記者が、「①『劇場型政治』はもう終わりに」「②郵政解散当時の小泉純一郎劇場のように爆発的人気を集めた劇場はなかった」「③1番人気は安倍劇場だったが、5年近くも同じでは観客に飽きがくる」「④耳目を集めるだけの劇場型政治は終わりにして地に足の着いた政策本位の政治にしてほしい」「⑤芸は未熟なのにスターと思い込み、トラブルを引き起こす「チルドレン」役者が増殖しなかったことだけはよかった」と記載している。

 しかし、②は、まさに政策を問うて解散した選挙であり、その後の解散総選挙はすべて政策を問うているため、④も当たらない。それでも、耳目を集めるだけの劇場型政治と感じたのであれば、それは、20年余りも政治取材に携わってきたという西日本新聞記者の底の浅い理解とそういう理解に基づいた内容のない報道の結果である。また、①の西日本新聞記者が言う“劇場型政治”は、実際には政策を主張して選挙を行い、国民はそれに注目したものであるため、これを終わりにすれば主権在民・民主主義は成立しない。さらに、③の「5年近くも同じでは観客に飽きがくる」というのは、それこそ政策を論評しておらず、自分がプレイヤーの主権者であることを忘れ、観劇する客であるかのように思っているレベルの低い発言だ。

 なお、九州で、⑤の「芸は未熟でトラブルを引き起こす『チルドレン』役者が増殖しなかったことだけはよかった」というのは、上記(3)1)などを前提にした私のことだと思うが、(3)3)に書くように、政治経験が長いから有能で、そうでないから未熟な「チルドレン」だと論評すること自体、年功序列の発想に基づいており、実力や成果を重視しない決めつけだ。そして、私の場合は、私がトラブルを引き起こしたのではなく、問題でないものを問題視したり、トラブルにしたりされたものであるため、原因のありかを間違わないようにしてもらいたい。

3)では、長期間政治に関わったという人は、国のためになることをしたのか
i)国の歳出について
 財務省は、*3-3のように、2017年11月10日、国債(949兆9,986億円)・金融機関からの借入金(52兆6,532億円)・政府短期証券(77兆7,888億円)を合計した国の借金が9月末時点で1,080兆4,405億円となり、過去最大(最悪)を更新したと発表した。

 しかし、この間、必要十分な年金積立金は積まれず、介護保険制度も時間ばかりかかって不十分で、少子化が著しくなるまで保育所の整備もされなかった。さらに、多額の農業補助金を使って耕作放棄地を増やし、食料自給率を先進国の中で最低にし、そのほかにも馬鹿な政策を多々行っているのだから、議員・官僚・議員秘書などとして長期に渡って政治に関わってきた人こそ、必要なことをした実績がなく、政治家として不適格な人が多いわけである。

 そして、今後、どうしても行わなければならないのは国への複式簿記による公会計制度の導入であり、これによって国の収支の全貌が発生主義で網羅性・検証可能性をもって開示されるようになれば、本当に役立っている政策に効果的に予算を付けられ、より小さな歳出でより大きな効果を得られるようになる(http://www.jbaudit.go.jp/koryu/study/mag/pdf/j22d05.pdf#search=%27%E5%9B%BD%E3%81%AE%E5%85%AC%E4%BC%9A%E8%A8%88%E5%88%B6%E5%BA%A6%27 参照)。

 なお、私は、公認会計士・税理士として第二次・第三次産業の多くの企業を見てきた経験から、農業政策については衆議院議員になってすぐ、①農業の規模拡大による生産性向上 ②生産物のブランド化による付加価値向上 などを提唱し、私が発案したふるさと納税とも相まって、次第に実現しつつある。また、介護保険制度や保育については、東大医学部保健学科卒の知識と働く女性としての経験により、私が経産省に提唱してできたが未完成で、年金制度については、公認会計士として企業には退職給付会計を導入したが、公的年金は未導入という具合だ。

 このように、私は、この25年間、重要な改革を提言して実現させてきた実績があるが、これらは、長期間、政治家をしていたからできたのではなく、東大医学部保健学科卒で公認会計士・税理士としてBig4で働いてきたから持っている知識と実務経験があるからできたものである。

ii)環境について
 マクロ経済学は環境や資源の制約、人口構成の変化によるニーズの変化、技術革新などを与件として考慮しないが、地球温暖化等の公害防止と経済成長は、エネルギーの転換や製造方法の変換で両立できるもので、転換期には投資が増えるため、経済成長はむしろ促進される。

 そのため、*3-4のような「パリ協定」や再エネ・省エネなどへのエネルギー転換は、化石燃料の少ない日本にとっては願ってもない福音の筈だが、「太陽光発電のコストは高い」等々のくだらない理由を付けて化石燃料や原発再稼働に固執し、エネルギーの転換に消極的なのが、その殆どを男性が占める我が国の政治家及び経済界のリーダーたちなのである。

 私は、水・食品・空気(洗濯機の水を見れば空気の汚れ具合がわかり、これは地域によって異なる)に関心を持ち、家族の健康に留意している女性の方が環境政策に敏感なのではないかと思うが、メディアはじめ国民は、何故こうなるのかを調査して解決すべきだ。

(4)女性への偏見ができる理由
 関東地方以北には、公立高校でも男女別学の地域が多く、*4-1のように、埼玉県も県立高校が男女別学で、広島市出身の教育長と同様、私もびっくりした。私は、埼玉県在住だが、決してそれをいいとは思っておらず、公立高校が男女別学なのは憲法違反であるとともに、価値観が形成される感受性の高い時期に男女別学にして異なる教育をするのは、男女平等や女性の社会参加を進める上で非常に悪いと考えている。

 しかし、私立高校も男女別学のところが多く、関東地方以北は、男女共学の進学校の選択肢が少ないのである。この教育の悪さは、それをカバーするため親に負担をかけるので、保育所の不備と同様、働き続けることを優先した私が子ども作らなかった原因の一つだ。

 そして、佐賀新聞も化石のように、*4-2の「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきか」などという調査をしたそうだが、西日本の佐賀県民も「男性は外で仕事、女性は家庭」という性的役割分担に賛成する人が33.2%いるという結果だそうだ。しかし、賛成が最も多いのは70代以上の男性で、それでも51.2%(約半分)だったのは、時代の価値観を変えた感がある。太陽

<第48回衆議院議員選挙結果と男女平等>
*1-1:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20171102&ng=DGKKZO22985930R01C17A1CR8000 (日経新聞 2017.11.2) 男女平等指数 日本は114位 過去最低、女性の政治参画遅れ
 世界経済フォーラム(WEF)は2日、世界各国の男女平等の度合いを示した2017年版「ジェンダー・ギャップ指数」を発表した。日本は調査対象144カ国のうち、114位と前年より3つ順位を落とし、過去最低となった。女性の政治参画が遅れているのが主な理由で、1日に発足した第4次安倍内閣の女性活躍の推進が一層問われそうだ。同指数は女性の地位を経済、教育、政治、健康の4分野で分析し、ランキング化している。日本は女性の閣僚や議員の少なさが目立ち、政治は123位と20も順位が下がった。10月の衆院選では定数の約1割にあたる47人の女性が当選したが、海外と比べると政治進出は遅れている。経済は114位と4つ順位を上げたものの、依然低い水準だ。男女の収入格差が大きいのが影響しているうえ、専門職や技術職で女性が少ない。教育は識字率は世界1位だが、高等教育の進学率が101位と低く、同分野全体で74位にとどまっている。健康は出生時の男女のバランスの改善で、40位から一気に1位に浮上した。上位10カ国の顔ぶれは順位に変動はあるものの、前年と同じ。首位は9年連続でアイスランド。女性の政治への参画が際立つほか、男性の育児休業も普及している。

*1-2:http://qbiz.jp/article/121963/1/ (西日本新聞 2017年11月2日) 男女平等、日本は114位 政治進出の遅れが最大の原因
 ダボス会議で知られるスイスの「世界経済フォーラム」は2日、2017年版「男女格差報告」を発表した。日本は調査対象となった144カ国中114位で、前年より順位を三つ下げ、先進7カ国(G7)で最下位だった。女性の政治進出が遅れているのが最大の原因。報告書では日本は政治、経済分野で男性との格差が大きく、特に政治分野(123位)では女性の議員や閣僚が少ないことなどから前年より順位を20下げた。経済分野(114位)も前年より順位を四つ上げたものの、幹部社員の少なさなどの問題が指摘された。首位は9年連続でアイスランド。2位ノルウェー、3位フィンランド、4位ルワンダで、北欧諸国が上位に並んだ。米国は49位、中国は100位、韓国は118位だった。アジアのトップはフィリピンの10位だった。世界経済フォーラムは「2006年に報告書の発表を開始してから初めて世界的に男女格差が広がった。特に政治、経済面で逆戻りし、このままでは格差解消に100年かかる」と警告した。男女格差報告は各国の女性の地位を経済、教育、政治、健康の4分野で分析、数値化している。

*1-3:http://qbiz.jp/article/121142/1/ (西日本新聞 2017年10月23日) 新議員はこんな人たち 前職81%、平均55歳、地方政界出身
 当選者の新旧別、平均年齢、出身から新議員像を探った。(23日午前11時半現在で当選者未判明分を除く。自民党が追加公認した無所属候補3人は無所属として集計した)
【新旧別】前職が370人と81・0%を占め、うち253人が自民党だった。新人は56人(12・3%)で前回衆院選の43人から増えた。元職は31人。政党別の新人は立憲民主党が23人でトップだった。自民党が19人、希望の党が9人だった。
【年代】新議員の平均年齢は54・8歳で前回の53・1歳より高かった。政党別で最も若いのは希望の党の49・5歳。日本維新の会が49・7歳で続いた。自民、公明、共産、立憲民主の各党はいずれも50歳代だった。1人が当選した社民党は72歳。
【出身】首長や地方議員といった地方政界出身が144人(31・5%)と最多。次いで国、地方を合わせた官僚と、議員秘書がともに72人(15・8%)で同数だった。
●女性当選者は47人
 衆院選の女性当選者は47人となり、前回2014年の45人より2人増えた。過去最多だった09年の54人には届かなかった。当選者に占める割合は10.3%。政党別では、自民党が前回(25人)より5人少ない20人。安倍政権は女性の活躍推進を掲げているが、結果は振るわなかった。他は立憲民主党が12人、公明党が4人、共産党が3人、希望の党が2人、日本維新の会が1人、無所属が5人だった。今回立候補した女性は209人。全候補者の17.7%と割合は過去最高とはいえ「男女均等」には遠く及ばない。政府は「20年に指導的地位に占める女性の割合を30%にする」との目標を掲げているが、隔たりはまだ大きい。データは23日午前9時現在で当選者未判明分を除く。自民党が追加公認した無所属候補は無所属として集計した。
●新人議員は56人
 今回の衆院選で当選した新人議員は56人で、小選挙区比例代表並立制が導入された1996年以降、最少となった前回選挙の43人を13人上回った。党派別では今回躍進して野党第1党となった立憲民主党で最多の23人が当選、自民党が19人と続いた。他は希望の党が9人、公明党が2人、日本維新の会が2人、無所属1人。前回は新人14人が当選した共産党はゼロだった。最年少は希望の党の緑川貴士氏(32)(比例東北)、最高齢は立憲民主党の長尾秀樹氏(65)(比例近畿)と自民党の佐藤明男氏(65)(比例北関東)だった。

*1-4:http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201709/CK2017093002000123.html (東京新聞 2017年9月30日) 女性候補者増を「争点に」 「男女半々」求める法案 解散で廃案
 女性議員を増やすため、政党に選挙候補者を男女半々にするよう求める議員提案の「政治分野における男女共同参画推進法案」が、衆院解散により廃案になった。これを受け、二十九日、東京・永田町の衆院第一議員会館で抗議集会が開かれ=写真、成立を働き掛けてきた「クオータ制を推進する会」代表の赤松良子元文部相(88)は「総選挙の争点にしたい」と訴える。法案には与野党とも合意済みで、先の通常国会で成立するとみられたが、「共謀罪」法を巡る駆け引きなどで審議入りしなかった。集会で赤松さんは「延々と積み重ねてきたものが解散でぶっ飛んじゃった。また第一歩から始めないといけない」と嘆く。集会では、各政党に対し衆院選の比例代表で女性候補を名簿上位とするよう求めるなどの取り組みが提案された。終戦時に十五歳だった赤松さんは、参政権のなかった戦前の女性の立場の弱さを知っている。旧労働省婦人局長として一九八五年の男女雇用機会均等法の成立に尽力。九九年には社会のさまざまな場の性差別をなくす「男女共同参画社会基本法」ができたが、政治の世界は取り残された。今回の解散前の衆院の女性比率は9・3%で、世界各国の女性議員の割合などを調べている国際組織「列国議会同盟」のデータでは百九十三カ国中で百六十四位。「選択的夫婦別姓の実現や待機児童問題解消など、女性の望む政策が通りにくい偏った政治になっている」と赤松さん。「女性議員を増やすことへの姿勢も、投票の判断材料にしてほしい」と話している。 

<女性蔑視を振りまくメディア>
*2-1:http://digital.asahi.com/articles/DA3S13201928.html (朝日新聞 2017年10月27日) 豊田前議員、書類送検 元秘書への傷害容疑 埼玉県警
 元秘書の男性を暴行したとして、埼玉県警は27日、22日の衆院選で落選した豊田真由子前衆院議員(43)を傷害と暴行の疑いで書類送検した。捜査関係者が明らかにした。前議員はこれまでの調べで「頭を殴ったわけではなく、肩をたたいた」と話していたという。捜査関係者によると、豊田前議員は5月、埼玉県内を走行していた乗用車内で、当時政策秘書だった50代の男性の頭を殴ったり、背中を蹴ったりしてけがをさせた疑いがある。豊田前議員は2012年の衆院選で自民党から立候補して初当選した。しかし6月に発売された「週刊新潮」が暴行疑惑を報じたため、離党届を提出。衆院選に埼玉4区から無所属で立候補したが落選した。

*2-2:http://www.saga-s.co.jp/articles/-/140745 (佐賀新聞 2017.10.24) 大串氏「保守王国」崩す 佐賀2区、=2017衆院選さが=草の根の活動結実
 地をはうように広い選挙区を駆けずり回った努力が結実した。激戦の衆院選佐賀2区は希望前職の大串博志さん(52)が猛烈な追い上げで大逆転劇を演じ、「保守王国」の牙城を崩す歴史的勝利を収めた。台風の影響で2日間に及んだ開票作業の末、全国で最後の小選挙区当選者となった。武雄市の事務所で支援者約550人の歓喜に包まれながら、「野党をしっかりまとめていくリーダー役を果たす」。高らかに宣言した。選挙区割り変更で事実上の国替えとなった前回は3万2千票差で破れた。堅い保守地盤の現実を突き付けられ、「地域に入って縁を紡ぐ」。草の根の活動を貫く覚悟を決め、後援会づくりに奔走した。地区単位で行事をチェックして国会議員が来たことがない所にも顔を見せ、住民と膝を付き合わせた。衆院解散時に決めた合言葉は「小選挙区で勝つ」。3年間で公民館など千カ所を訪ね、「車の走行距離は地球何周のレベル」(事務所スタッフ)。深まった自信は新党への合流で揺さぶられた。「新党を率い、右過ぎず自分が思う中道をやる」。政治家人生での最大の決断に触れた陣営の幹部たちも腹が据わった。腰が低くていい人から一変して街演や集会で見せる鬼気迫った表情に、支援者たちが突き動かされた。地域に根付かせた後援会がフル稼働して親類や知人にくまなく声掛け。「安倍1強政治」に諦めを抱く有権者の関心も呼び起こし、批判票を取り込んだ。「自民圧勝、希望埋没」の全国情勢もはねのけたが、当選後には「希望は正直逆風だった」と本音を吐露した。事務所で一人一人とあいさつを交わして責任をかみしめつつ、「政策が違うといって排除していると野党議員の責任が果たせない。協力できることは協力し、安倍政権に対抗できる大きな塊をつくることを多くの議員に呼び掛けていく」と決意を新たにした。

*2-3:http://www.saga-s.co.jp/articles/-/146855 (佐賀新聞 2017.11.9) 大串氏、希望代表選 支えた「懐刀」ついに決起、経験重ね、挑戦に自負心
 陰ながら歴代代表を支え続けてきた「懐刀」がついに舞台に上がった。「首相補佐官、政調会長を経験し新しさも兼ね備えながら引っ張っていく立場になるには、ちょうどいい頃かなと思う」。8日、共同代表選への立候補届け出を終えた希望の党の大串博志衆院議員(佐賀2区)は記者会見で、政治家としての新しいステージへの挑戦に際し、自負心をのぞかせた。「大串氏は代表選に出るつもりだ」。衆院選のさなか、陣営の一人が語った。自他共に認める政策通が演説で政策を語らず、打倒安倍政権だけを訴えた。「代表になり、自ら党を引っ張る。あいまいな公約に触れなかったのは決意の現れだったのだろう」。相手は小池百合子代表に近い結党メンバーの支援を受ける玉木雄一郎氏。共同会見でも玉木氏は小池代表の「安倍1強許すまじ」という言葉をなぞったが、大串氏は「私は安倍政権を倒すと言っている。その差は大きい」と語る。党内にも「玉木陣営は与党や日本維新の会と連携を考えているのではないか」との見方があり、大串氏は「積極的に野党との統一会派を目指す」と路線の違いを打ち出し支持を広げたい考えだ。現状、大串陣営は「相手候補がリードしている」とみている。それでも強引に切り崩すことはせず、あくまで路線闘争を正面から訴える作戦を貫く。陣営の一人は「票数で党の温度が分かる。それが代表選後の大きな流れをつくる」と胸の内を明かす。

*2-4:http://www.saga-s.co.jp/articles/-/147320 (佐賀新聞 2017.11.10) 希望の党、共同代表に玉木氏、大串氏を大差で退ける
 希望の党(代表・小池百合子東京都知事)は10日午前、両院議員総会を国会内で開き、玉木雄一郎(48)、大串博志(52)両衆院議員が立候補した共同代表選の投開票を実施した。若手からベテランまで幅広い支持を集めた玉木氏が大串氏を退け、国会議員を率いる共同代表に選出された。得票は玉木氏39票に対し、大串氏14票と大差がついた。任期は小池氏に準じて2020年9月まで。玉木氏は選出後、同僚の議員らに「国民に寄り添い、地に足のついた土のにおいがする本物の国民政党を、皆さんと共につくりあげていきたい」と呼び掛けた。

*2-5:http://digital.asahi.com/articles/DA3S13198534.html (朝日新聞 2017年10月26日) 特派員メモ バルト:「鉄の女」別の顔
 ドイツ北東部のバルト。人口9千人弱の小さな町で、メルケル首相の演説を聴いた。9月の総選挙で、彼女が地元選挙区を訪ねたときだ。小雨の中、切り出した。「この町のトマトは世界一おいしい」。選挙中、別の町で批判的な有権者からトマトを投げつけられたのを逆手に取ったようだ。私も食べたが、世界一は言い過ぎかな。今度は、地元鉄道の延伸を求める垂れ幕を見かけるや、「数カ月で実現するでしょう」。おや、利益誘導めいた発言もするのだな。30分の演説を終えると、「サインや記念撮影もできますよ」。支持者の列が途切れるまでたっぷり20分、「ファンサービス」に応じた。地元選挙区にあるシュトラールズントの市長は「彼女は毎月一度は必ず地元に帰る」という。過去に米国やフランスの大統領を招き、地元の知名度アップにも励んできた。首相になって12年。実直で優れた指導力から「鉄の女」とも評される。だが、地元では、情を尽くして有権者と触れあう素顔を見せた。政治家が地盤を守るには泥臭さもいる。国は違えど、そんな共通点が垣間見えた。

<私の事例>
*3-1:http://www.asyura2.com/09/senkyo69/msg/142.html (ブログ 2009 年 8 月 12 日) 「みんなの党」は、政策はいいと思いますが、メンバーに信用できない人たちがいます。
「自民党から小選挙区で公認してもらえなかったから」「自民党の比例区の名簿で優遇してもらえなかったから」という理由で来たらしい候補がいますね。元・自民党の清水前議員とか、同じく元・自民党の広津前議員とか・・・。およそ、政治信条とか理念などの類を持ち合わせている候補とは思えない。とくに広津前議員は、真偽の程はわかりませんが、以下の記事を読む限りでは、かなり“電波”な人では?
●武部幹事長弁当事件 83会の「奇人変人リスト」
「その瞬間、議員一同、凍りつきました」(山崎派議員)。山崎派の会合でのこと。山崎卓氏が「総裁選(の出馬)も考えてみたい」と言うと、一人の女性議員が手を挙げた。“ミセス空気が読めない女”と呼ばれる小泉チルドレン。誰もがひやりとしたのも遅く……。佐賀三区のがばい刺客、広津素子議員(54)は真顔で山崎氏に進言した。「山崎先生は女性スキャンダルでイメージが悪いので、難しいと思います」。自民党議員が笑いを噛み殺しながら言う。「“今週の広津語録”と言われるくらい、破壊的な発言が永田町を駆け巡っています。有名になったのは、佐賀の日本遺族会の方が東京に挨拶にみえた時。話を聞いた後、広津さんは、『遺族、遺族って、一体、何の遺族ですか』と(笑)。〇五年の郵政選挙の大量当選が生んだ珍現象です」。東大卒で公認会計士という経歴をもつ広津女史。「エキセントリックな点があり、ストレートにモノを言う。党本部や国会内の会合での質問に、いつも場が凍る」(別の自民党議員)。伊吹文明幹事長が党税調小委員長だった時、伊吹氏の説明が終わると、新人・広津氏が挙手をするや……。「伊吹先生の説明ではわかりにくいと思いますので、代わって私が説明します」。絶句したのは伊吹氏だけではない。農政の会合で農家による説明が終わると、広津氏が総括(?)した。「皆さん、農業をやめて転職したらいいと思います」。極めつけが「牛肉弁当事件」。チルドレンの親分、武部勤幹事長(当時)が、「いつでもメシを食いに来なさい」と新人たちに声をかけると、本当に広津氏は幹事長室に行って、置いてあった牛肉弁当を勝手に食べてしまったというのだ。その恨みではないだろうが、武部氏は新人議員のグループ「新しい風」に広津氏を誘っていない。抗議する彼女に、武部氏は「あれは仲良しクラブだから」と逃げたつもりが、逆に「私は仲良しじゃないんですか!」と怒らせてしまった。広津氏は小誌の取材に「全部まったくのウソです」と否定するが、広津語録は議員の間で今も更新中だ。
●派閥のドン山拓に「引退勧告」しちゃった広津素子センセイ  週刊文春07年10月4日号より
“ミセス空気が読めない女”と呼ばれる、小泉チルドレンの広津素子議員(54)。昨年末、彼女は所属する派閥のボス山崎拓氏(71)にこう直談判したと言う。「先生はもう七十歳を超えている。辞めるべきだと思います!」話は次期衆議院選挙、佐賀三区の公認問題を巡って切り出された。広津議員は現在、郵政造反・復党組である保利耕輔議員(73)と激しい公認争い中。保利氏に対して前述のように「七十歳を超えて~」と批判し、「山崎さんから若い人に道を譲るように言って下さい」と続けた。山崎派議員が苦笑しながら語る。「山崎先生は保利先生と同世代。保利先生に年だから辞めろなんて、山崎先生の口から言える訳がありません。広津さんの言葉を聞いて山崎先生は、『それは俺にも辞めろと言っているのか!』と激怒したようです」。ちなみにヤマタクが総裁選への意欲を示したときも、「山崎先生は女性スキャンダルでイメージが悪いので難しいと思います」(小誌〇七年十月四日号既報)と広津氏は直言している。山崎派の重鎮、野田毅議員が新人を集め食事会を開いたときもこんな事件が。野田氏が「地方経済は疲弊している。今こそ地方への配慮が必要だ」などと持論を語り終えたあと、広津氏はこう言い放った。「先生は古いタイプの政治家ですね」。出席していた一年生議員が振り返る。「一瞬、場が凍りつき、われわれも冷や汗をかきました。野田さんは明らかに不機嫌だった。ご馳走になっているのに、普通そういうことを言いますか?(苦笑)」。東大卒で公認会計士という経歴の広津氏は、「自らの考えが正しいと信じて疑わないタイプ」(同前)。「昨年九月の安倍改造内閣が発表される前も、『次は私が女性代表で大臣になる』と公言し周囲を唖然とさせた。福田内閣の人選が進められているときには、官邸に電話して『私を副大臣か政務官に入れるべきだ』と直談判したという伝説もある」(全国紙政治部記者)。地元の評判も芳しくない。「人の名前を覚えないから人望がない。すぐ問題を起こすから会合等に呼ばないようにしているのですが、呼ばないと『女性蔑視だ!』と大騒ぎ。問題は人間性なんですけど・・・・・・」(自民党佐賀県連関係者)。そんな言動が災いしてか、事務所も大混乱の様子。「広津さんは入りたての秘書に、『明日から佐賀に行って後援会を作ってきてちょうだい』とか無茶ブリがすごいようです」(同前)。本人に取材すると、「すべてデタラメです。一体誰が言っているんですか」とご立腹。いや、みんな言ってるんですけど。郵政総選挙でも広津氏と対峙した保利氏は、周囲にこう公言しているという。「彼女が出る以上、私も絶対次の選挙に出る。それが佐賀県のためだ」

*3-2:https://www.nishinippon.co.jp/nnp/editorialist/article/369694/ (西日本新聞 2017年10月29日) 「劇場型政治」はもう終わりに
 政治が劇場化することは間々起きるが、今回の衆院選ほど短期間に、しかも劇場乱立の政局も珍しかった。唐突に衆院を解散した安倍晋三劇場、自民党に代わる政権の受け皿を目指して希望の党を立ち上げた小池百合子劇場、そこへの合流を打ち出した前原誠司劇場-。政治取材に携わって20年余り、劇場政治の危うさとうさんくささは骨身に染みていたはずなのに、政局の急展開に「今度こそ政権選択選挙か」などと、また浮足立ってしまった。ああ、恥ずかしい。終わってみれば、郵政解散当時の小泉純一郎劇場のように爆発的人気を集めた劇場はなかった。前宣伝だけが派手だった小池劇場と前原劇場は不入りの責任を巡る内輪もめで早くも閉幕状態である。各劇場が伸び悩む中、1番人気は同じ出し物を毎回、異なる演目で演じる安倍劇場だった。ただし5年近くも同じでは主役も脇役も慢心する。観客には飽きがくる。心配は全く別の出し物の台本をこっそり用意していることだ。劇場にちなんで芝居に例えてみると、こういうことか。しかし、政治はお芝居とは違う。政治家は国民を惑わせる芝居をしてはいけない。野党で喝采を浴びたのが前原劇場から小池劇場への移籍を「芸風が異なる」として“排除”された立憲民主党だったのも皮肉な光景である。これも枝野幸男劇場と呼べるのかもしれないが、「まっとうな政治を」という原点回帰の訴えが多くの有権者を引きつけたことは政界も真剣に受け止める必要があろう。大見えを切って耳目を集めるだけの劇場型政治は終わりにして地に足の着いた政策本位の政治にしてほしい-脱・劇場型政治への有権者の切実な思いを痛感させられた選挙でもあった。政治家やメディアこそ目覚めが必要だろう。ということで、今回は人気劇場に付きもので、芸は未熟なのにスターと思い込み、トラブルを引き起こす「チルドレン」役者は増殖しなかった。それだけはよかった、ということか。

*3-3:http://qbiz.jp/article/122468/1/ (西日本新聞 2017年11月10日) 9月末、国の借金1080兆円 過去最大更新
 財務省は10日、国債と借入金、政府短期証券を合計した国の借金が9月末時点で1080兆4405億円となり、過去最大を更新したと発表した。これまで最大だった6月末の1078兆9664億円から1兆4741億円増えた。社会保障費を賄うための国債発行が膨らんだためで、財政が一段と圧迫されている。
総務省推計の10月1日時点の総人口(1億2672万人)で割った国民1人当たりの借金は約852万円に達した。内訳は国債が949兆9986億円に達し、6月末から4兆7671億円増えた。金融機関などからの借入金は52兆6532億円で1兆1628億円減少した。一時的な資金不足を補うために発行する政府短期証券も2兆1302億円減って77兆7888億円だった。

*3-4:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO23119390V01C17A1SHA000/?n_cid=NMAIL004 (日経新聞 2017/11/5) 成長しながらCO2抑制 米中で大幅減、日本は停滞、世界、GDPあたり15年で2割減
 経済成長しながら温暖化防止に向け二酸化炭素(CO2)排出量を抑えるデカップリング(切り離し)の動きが広がっている。世界で国内総生産(GDP)1単位あたりの二酸化炭素(CO2)排出量はここ15年で約2割減少。再生可能エネルギー投資に加え、新興国で省エネ投資が拡大している。2020年以降の温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」は4日に発効1年を迎え、各国や企業に一層の取り組みを促す。
10月下旬、英BPや英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルなど世界の石油・ガス10社でつくるオイル・ガス気候イニシアチブ(OGCI)は、ガス火力発電所からのCO2回収をはじめとする3事業に投資すると発表した。
国連環境計画(UNEP)のソルヘイム事務局長は「エネルギーの生産や消費の方法を転換させるのが必要」と言う。パリ協定は約170カ国が批准。慎重な石油メジャーも対応を迫られる。国際エネルギー機関(IEA)の10月末の報告書によると、15年時点でGDP1万ドル分を生み出すのに排出されたCO2量は3.1トン。00年より0.7トン減った。別の報告では16年に燃料を燃やして発生したCO2は15年比0.6%減の321億トン。ここ3年、3%成長を実現し排出量はほぼ横ばいだ。IEAは「新しく生まれた傾向」とみる。デカップリングが進む理由は、排出量の少ないエネルギーの利用が増えたことだ。グローバル企業では事業に使うエネルギーを再生エネで賄う動きが広がる。全量再生エネをめざす企業連合「RE100」には、米アップルやマイクロソフト、米ゼネラル・モーターズ(GM)など世界110超の企業が参加する。再生エネの価格は低下傾向にある。調査会社のブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンス(BNEF)によると、米国、ドイツ、イタリア、スペイン、オーストラリアでは、太陽光の発電コストが石炭火力と同水準になった。省エネ技術への投資拡大も寄与する。IEAによると、16年の投資額は前年比9%増の2310億ドル(26兆円)。販売されたヒートポンプの数は28%増え、電気自動車は38%増。主要国で開発した省エネ設備が新興国に広がりつつある。最大排出国の中国は、発電部門を石炭から太陽光などに転換。100基単位の石炭火力発電所の閉鎖も検討する。16年の経済は前年比6.7%拡大し、排出量はほぼ同じだ。再生エネや原子力、天然ガスの割合が高まり、石炭消費は減少。14年の発電量は石炭が73%を占めたが、30年51%、40年43%に下がるとみる。世界2位の排出国、米国は主に油価の高いときにシェールガス革命が起き、発電燃料として石炭からの転換が進んだ。トランプ政権はパリ協定離脱を宣言したが、企業の動きは止まらない。日本は16年時点で世界資源研究所(WRI)が選んだデカップリング達成21カ国から漏れた。GDPあたりのCO2排出量は2.6トン。米中より00年からの減少幅は小さい。RE100の参加企業もリコーと積水ハウスだけ。自動車や電機などは「再エネコストが高い日本で全量は無理」との声が大半だ。太陽光発電は固定価格買い取り制度(FIT)の影響で高コスト体質が続く。再エネのコストを下げ、原発は再稼働の進め方に知恵を絞る必要がある。6日に独ボンで開幕する第23回気候変動枠組み条約締約国会議(COP23)ではパリ協定を巡るルールづくりの交渉が本格化する。IEAは年平均3.4%の成長を前提に今の削減努力を続けても、30年のCO2排出量は15年比で20%増の386億トンになるとみる。「2度目標」の達成にはさらに35%ほど減らす必要がある。

<女性への偏見ができる理由>
*4-1:http://digital.asahi.com/articles/ASK7D5Q3CK7DUTNB01V.html?iref=comtop_8_03 (朝日新聞 2017年7月13日) 埼玉県立高の男女別学、広島市出身の教育長「びっくり」
 個人的にはびっくり――。6月に就任した埼玉県の小松弥生県教育長は12日、就任後初の記者会見で、県立高校の男女別学や中高一貫校などについて印象を語った。広島市出身の小松氏は、県立高の男女別学を「個人的には西の方の出身なのでびっくりですが、埼玉県の人たちがいいと思ったら、悪いことでもない」と話した。一方、県立の中高一貫校については、「すごく早くから伊奈学園があって、その後がない。なぜなのか、私が聞きたい」と話し、「最近は小中一貫校もある。子供たちがいろんな学び方を主体的に選べるようにしてあげないといけない」と話し、検討課題であるとの姿勢を示した。今月、新たな教育委員が選ばれて5人中2人が、伝統的な子育てを推奨する「親学推進協会」関係者になったことについては、「うまく議論をして、バランスをとっていけばいい」と話した。

*4-2:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/192453
(佐賀新聞 2015年5月31日) 県民世論調査 男は仕事女は家庭、賛成33%
■共同参画意識高まらず 「出産退職」支持も半数
 「夫は外で働き、妻は家庭を守るべき」との考えに賛成する佐賀県民は33・2%だった。県は2014年度までの4カ年総合計画で性別による役割分担意識を30%未満に抑える目標を掲げていたが達成できなかった。「出産したら仕事をいったん退職したり、働くこと自体を辞めるべき」とする出産・育児中断型の働き方を支持する人も50%を超えた。仕事を続けたいと願う女性を支えようという社会の意識が高まっていない実情が浮き彫りになった。県が昨年10~11月に成人男女3千人を対象に実施した「男女共同参画に関する世論調査」で、859人から有効回答を得た。「男性は外で仕事、女性は家庭」という性別役割分担意識は、04年の調査で反対が66・6%、賛成29・6%となり、初めて反対が賛成を上回った。しかし、前回09年の調査では賛成が増加に転じ、反対も減少する「揺り戻し」が起きた。今回も意識変化は小さく、賛成が33・2%、反対62・9%となっている。賛成は男性が女性を7・5ポイント上回る一方、反対は女性が男性を5・9ポイント上回り、男性の方が性別役割分担に肯定的な結果が出た。年代別でみると、反対の割合が最も多いのは20代女性で92・0%。逆に賛成が最も多いのは70代以上の男性で51・2%だった。女性の就業についても尋ねた。「子どもができたら中断し、手がかからなくなって再び持つ」との回答が最も多く48・2%だった。「出産したり、結婚するまでは職業を持ち、後はやめる」「ずっと職業を持たない方がいい」という回答も合計で4・2%あった。一方、育児休暇などの制度を使って「ずっと職業を持つ方がいい」としたのは37・1%にとどまった。出産・育児中断型の働き方を支持した人に理由を複数回答で尋ねたところ、最も多かったのは「制度があっても、利用できる職場の雰囲気ではない」で37・3%。次が「現在の制度では不十分」の35・0%で、女性が仕事を続ける職場の雰囲気づくりや制度の不十分さがうかがえる。女性が結婚や出産後も働き続けるために必要なことという問い(複数回答)に対し、最も多かった回答は「配偶者の理解や家事・育児への協力」で60・1%に上った。総務省が11年に実施した調査では、男性が家事に参加した時間が佐賀県は1日当たり34分で、全国平均42分に比べて短いという結果も出ており、県の弱みとして女性の家事負担の大きさが挙げられる。県は、今回の意識調査から見えた課題を踏まえ、16年度から5カ年の県男女共同参画計画を策定する。


<農業の収益力をUPさせる政策は?>
PS(2017/11/13、15、24、26、28、12月2日追加):*5-1については、レンゲソウもきれいでよいが、稲は刈った後に再度芽が出るので、それを伸ばして畜産農家の牛を放牧させると、①牛の飼料代を節約できる ②牛が運動して健康になる ③牛の排泄物が有機肥料になるので化学肥料を使わなくて済む ④イノシシが来ない などのメリットがあると前から思っていた。そのためには、畦や水場の設計変更が必要だが、耕畜連携でお互いが得るものは大きい。
 また、このような中山間地は、小水力発電や風力発電の適地でもあるため、そのための機器の設置に補助してもらうと費用対効果でも成り立つようになり、農業補助金を減らすことができて国の財政負担が小さくなる。なお、*5-2のように、荒尾市は産炭地だったが、石炭に代わる新たなエネルギーを生かしたまちづくりとして自然エネルギーを活用するそうで、多久市も考えてみるのがよいと思う。
 さらに、棚田は田の形がふぞろいで小さく、大型の農機具を入れられないことについては、教育系の補助をもらって市街地も含む小学生に田植えや稲刈りを手伝わせるのがよいと考える。その理由は、子どもも自分が植えた稲の成長には大きな関心を持つため、遊びながら頻繁に山に見に来る結果、植物や自然の様子を観察して必要な知識や感受性を育むことができるからだ。
 また、*5-3のように、JAが外国人技能実習生を受け入れて組合員から受託した農作業や選果作業などに従事してもらう仕組みもよいが、北国で農閑期でも他の地域はそうでない場合が多いため、他の地域の要望も受け、希望する実習生はそこでも作業や実習ができる仕組みにした方がよいだろう。さらに、農学部、工学部、理学部生物学、経済学部経営学、栄養学専攻の学生は、「百聞は一見に如かず」であるため、こういうところでアルバイトをしたり、海外の農業を見て来たりして、「自分ならこう改善する」という卒論を書けば役に立つと考える。
 一方、日欧(EU)経済連携協定が合意しつつあり、これは、*5-4のように、日本産有機農産物輸出拡大の好機でもあるため、まずEU基準をクリアしておくのが今後のために便利だろう。また、付加価値を上げるためには、農産物の形ではなく、おにぎり(健康志向のファーストフード)・梅酒・紅茶などの輸入地域で消費されやすい加工品にして販売すればよい。
 なお、*5-5のように、現在、ロヒンギャ難民が困難な生活を送っているため、イスラム色を弱くして「郷に入っては郷に従う」ことを条件に、日本の過疎地に集団で受け入れて生活させ、人手が不足している農林漁業関係の派遣等の仕事を与えることから始める方法もある。日本には、離島や山間部など比較的独立した文化を保てる場所もあるため、受け入れたい地域は手を上げるのがよいだろう。
 *5-6のように、高速道路の整備を財投で加速させる案が出ており、「1.5兆円」という支出自体を目的としているのではないかと思わせる兆円単位の支出は確かに無駄遣いの可能性が大きいが、政府が40年間の(0又はマイナスの)固定金利で国債を発行して金融市場から金を調達し、1・5兆円を融資するスキームなら、超低金利時代の今がBestである。そして、高速道路を本当に高速で走れる状態にすれば、生産性が上がって経済効果は大きいだろう。また、難民を受け入れた場合は、施設に閉じ込めて生活費を支出するばかりではなく、働いてもらった方がお互いのためによい。この時、作って欲しいのは4階建ての高速道路で、1階は街と調和した安全でゆとりのある一般道路、2階・3階は4車線づつの高速道路、4階はドローンや近々出てくるであろう飛ぶ乗り物が通る道である。


2017.11.13佐賀新聞

*5-1:http://www.saga-s.co.jp/articles/-/147590 (佐賀新聞2017.11.13)地域活性化の優良事例に選定「ひらの棚田米振興協議会」(多久市)、棚田米のブランド化や活動評価
 平野地区は標高約190メートルの山あいにあり、170枚の棚田で7・7ヘクタールを耕作。同協議会は、冷たい清らかな湧き水を生かし、春のレンゲソウを肥料に使って化学肥料を減らした「夢しずく」を栽培し、ブランド米としてインターネットなどで販売している。大阪の企業の食堂に納入するなどリピーターも多く、ふるさと納税の返礼品にも使われている。県内外のファンを増やそうと、直売所での試食販売や収穫体験も企画。10月1日に開いた稲刈りイベントには122人が参加した。棚田は美しい景観が注目される一方、田んぼの形がふぞろいで大型の農機具を入れられないため、維持管理が難しい。協議会のメンバーも全員が60歳以上と高齢化が進み、小園さん(71)は「畦(あぜ)の草刈りやため池の維持など、手間や労力は平たん部の何十倍もかかる」と話す。それでも、イノシシなどの鳥獣被害が広がらないよう、「荒廃地を作らない」と意識を共有して活動を続ける。小園さんは「棚田の農業は費用対効果を考えると成り立たないかもしれないけれど、もうかる農業に近づけるためにみんなで力を合わせたい」。今後は稲刈りだけでなく、田植えの体験も検討しているという。「ディスカバー農山漁村の宝」の優良事例は全国から31地区が選定された。今月下旬の有識者懇談会でグランプリと特別賞が選定される予定。

*5-2:http://qbiz.jp/article/122790/1/ (西日本新聞 2017年11月15日) 荒尾市 自然エネ地産地消へ 2社と電力連携協定結ぶ
 熊本県荒尾市と三井物産(東京)、特定規模電気事業者のグローバルエンジニアリング(福岡市)は14日、エネルギーの地産地消に向けた連携協定を締結した。両社は、荒尾市の協力を得て市内の電力需給などを調査した上で、事業会社を設立。地元の自然エネルギーで発電した電力を公共施設などに安価で販売していく方針。三井物産は現在、ソフトバンクグループのSBエナジー(東京)と共同で、荒尾市の大規模太陽光発電所(メガソーラー)を運営、グローバル社は県外で発電した電力を同市内の企業などに販売している。事業会社の設立に向け、九州電力に比べ電気料金の単価をどれくらい抑えられるかなどを調査。同市内で木質バイオマス発電に取り組む有明グリーンエネルギーなど、地場企業と幅広く連携していくことも検討する。市役所での調印式で、三井物産国内プロジェクト開発部の山根正司部長は20年前の三井三池炭鉱閉山に触れ「石炭に代わる新たなエネルギーを生かした荒尾のまちづくりに貢献したい」と強調。事業会社の設立時期について「地域の特性に合った電力の供給体制をしっかり検討し、できる限り早く実現したい」と述べた。

*5-3:https://www.agrinews.co.jp/p42565.html (日本農業新聞 2017年11月24日) 外国人実習生受け入れ 農協方式 活用先駆け 北海道
 JAが外国人技能実習生を受け入れ、組合員から受託した農作業やJA施設での選果作業などに従事してもらう仕組みに期待が高まっている。JAが受け入れることで、実習生が複数の農場で作業できることや、冬の農閑期も含めて通年で実習できるのがメリット。人手不足解消に向けて産地も歓迎する。北海道のJAが全国に先駆けて“農協方式”を活用し、実習生の通年確保を目指している。複数農場で通年作業 人手不足解消に貢献 農水省が昨年、実習制度の運用を改善し、農家に加えJAも受け入れ主体になれるようにした。JAが組合員と作業の請負契約を結ぶ。JAの指導に基づき実習生がその組合員の下で作業する。作業にはJAの職員が立ち会う。農家や農業生産法人が受け入れる場合、実習生はその農家でしか作業できない。農協方式の場合は、JA管内であれば複数の農家で作業できる。実習生にとっては多様な農業が学べ、地域の人手不足解消に貢献する。農閑期にも実習の場が作れるのもメリットだ。北国の耕種農業の場合、冬場は農作業がなくなる。作業がない期間が長いと実習生が帰国を余儀なくされ、実習生が毎年入れ替わる場合も多い。JA側が冬場に座学や選果作業などを用意できる。実習生は1年中作業・実習の場ができるため途中帰国が減り、長く滞在できるようになる。11月の技能実習法施行で、1人当たり最長5年間の滞在が可能になる。JAが受け入れ主体になる場合、都道府県の農業担当部署やJA中央会などが「第三者管理協議会」を設ける。協議会はJAで実習が適正に行われているかや、実習生の相談情報などを共有する。実習生と受け入れ組織を仲介する監理団体との実習計画の確認なども行う。実習生の受け入れ可能人数はJAの常勤職員数で決まる。同省によると、現在この仕組みを活用しているのは北海道のこしみず(小清水町)、びほろ(美幌町)、宗谷南(枝幸町)の3JA。こしみずとびほろは畑作地帯で、冬場は選果場での作業や座学などの実習を用意する計画だ。宗谷南は酪農専業地帯で、搾乳作業がメインだ。作業時間の半分以上は指定の「必須業務」で占めなければならない。農業では農作業が「必須業務」に当たり、農閑期の選果作業などの時間配分などを考慮して技能実習計画を作り、実行する必要がある。全国で初めてこの仕組みを活用して、3月から実習生を受け入れているJAこしみずは「年間を通した実習計画作りが課題。農閑期の座学や選果作業などの組み合わせをよく考えていく必要がある」(営農部)と指摘する。

*5-4:https://www.agrinews.co.jp/p42588.html (日本農業新聞 2017年11月26日) 有機農産物 検査証明書を電子化 日本産輸出の拡大好機 EU
 欧州連合(EU)は、有機農産物輸入に必要な検査証明書の電子化を始めた。手続きの簡素化と、効率的な情報共有を図る狙い。日本の主要な輸出先であるだけに、新システムの輸出への影響が注目される。EUは、日本を含むEU域外からの有機農産物を輸入する際に、EU基準と同等性のある有機認証を受けた有機農産物に対し、新たな認証を取得せずに、有機JASマークだけで「オーガニック」と表示して流通・販売することを認めている。しかし、輸入する度に、認証機関の検査証明書を求めている。検査証明書は、EUが認めた有機JAS認証機関が発給する。これまでは、EU規定の書式に沿って作成、提供していた。今後は、ネット上のEUのシステムにアクセスして必要事項を記入すると、関係機関で情報が共有される。ただ、印刷した上で、サインして発送する必要はある。検査証明書の電子化は、4月から試験的に実施した。半年間の試行期間を経て、10月19日から本格化した。同システムの導入について、認証関係者からは「電子サインはまだ実施せず、手書きサインによる書面提出が続く。格段の簡素化、効率化とは言えないが、輸出拡大の追い風にはなるだろう」と声が上がる。2016年の日本からEUへの有機農産物などの輸出量は、前年に比べ26%増の600トンと5年前の5・6倍に急増した。内訳では、茶が最も多く、同23%増の440トン、同5倍。梅干しなどの梅の加工品は、同40トン、13倍と目立つ。

*5-5:http://digital.asahi.com/articles/DA3S13248226.html (朝日新聞 2017年11月28日) 村に両親残し、いかだでミャンマー逃れた ロヒンギャ難民流出続く
 荷物を担いだ人たちが、うつむきながらあぜ道を歩いてきた。20日朝、バングラデシュ南東部テクナフ。国境の川を渡って逃れてきた隣国ミャンマーの少数派イスラム教徒ロヒンギャの人たちだ。8月末に多数の難民流出が始まってから3カ月がたっても毎日数百人が逃れてくる。「いかだにずっとしがみついていた。生きてたどり着いてよかった」。ジャイナフ・ベガムさん(20)はその場に座り込んだ。腰に巻いた伝統衣装ロンジーはぐっしょりぬれていた。5日前、ミャンマー西部ラカイン州の北部の村を逃げ出したという。数週間前から軍が「テロリスト捜し」を理由に住人が村から出ることを禁じ、食料が尽きかけていた。病気の両親は「私たちはついて行けない」と村に残った。妹(15)と3日間歩いて国境へ。その場にいたロヒンギャ約50人が数十個のポリタンクと竹でつくったいかだに乗り、木の枝に鍋をくくりつけた櫂(かい)で交代で水をかいて川を渡った。ベガムさんは「両親が無事か心配」と顔を手で覆った。国連世界食糧計画(WFP)によると、11月下旬になっても家族を殺されたり、村を焼かれたりして逃げてくる人もいるという。8月下旬にロヒンギャとみられる武装集団の襲撃事件をきっかけにしたミャンマー治安部隊の掃討作戦が始まって3カ月。迫害を受けて、約62万人のロヒンギャが国境を越えた。そんな中、ローマ・カトリック教会のフランシスコ法王が27日、ミャンマー最大都市ヤンゴンに到着した。法王はバングラデシュも訪れ、ロヒンギャと面会する。法王は出発前、「和解と寛容、平和のメッセージを届けに行く」と語っていた。同国南東部コックスバザール郊外の難民キャンプに暮らすバシル・アフマドさん(66)は「法王のメッセージが、少しでも生活が良くなるきっかけになってほしい」と話した。
◆キーワード
<ロヒンギャ問題> 仏教徒が9割近いミャンマーで少数派のイスラム教徒であるロヒンギャは西部ラカイン州を中心に約100万人が暮らすとされる。隣国バングラデシュ南東部の方言に似た言語を話すことや宗教から、ミャンマー政府や国民は「バングラデシュ移民」とみなし、多くは国籍を持てないなど差別されてきた。1990年代にも当局の迫害を受けて25万人以上が難民になった。

*5-6:http://digital.asahi.com/articles/DA3S13255157.html (日経新聞 2017年12月2日) 高速道整備、財投で加速 政府、「第二の予算」再び着目
 政府は、国債(借金)を発行して得た資金を貸し付ける財政投融資(財投)を使い、首都圏などの高速道路づくりを加速させる。かつて「第二の予算」と呼ばれた財投は、無駄遣いとの批判を浴びて縮小されてきた。だが、財政難で公共事業の予算が増やせない中、超低金利を利用した抜け道として再び着目された。
■1.5兆円を要求
 国土交通省は1日、財投による資金1・5兆円を高速道路の建設に使うよう、財務省に要求。麻生太郎財務相は同日の会見で、「あらゆる政策を総動員する」として、応じる意向を示した。国交省は、首都圏中央連絡自動車道(圏央道)のうち、千葉県内で未整備の松尾横芝インターチェンジ(IC)―大栄ジャンクション(JCT)間の建設などを加速させる考えで、同様に東海環状自動車道の整備も急ぐ。2005年の道路公団民営化で、高速各社が金融機関などから借りたお金で道路をつくり、完成したら借金とともに独立行政法人「日本高速道路保有・債務返済機構」に引き渡している。今回は財投の仕組みを使い、政府が国債を発行して金融市場からお金を調達し、固定金利で40年間、1・5兆円を機構に融資する。同省幹部は「金融緩和で低金利。やるなら今しかない」と話す。
■背景に財政難
 財投は、かつては郵便貯金や年金積立金など潤沢な元手があり、「第二の予算」と呼ばれていた。しかし、無駄な道路建設などにつながった反省から、01年以降、郵便貯金・年金積立金からの資金繰り入れの廃止などの改革が進んだ。00年度に36兆円を超えていた財投運用額は、15年度には約12兆円まで縮小した。ところが、安倍政権は最近、再び財投をインフラ整備にあてる方向にかじを切る。リニア中央新幹線の建設を前倒しするため、財投から独立行政法人を通じてJR東海に計約3兆円を貸し付けた。背景には、国の財政難と「異次元緩和」がある。財政再建目標に影響する通常の予算は高齢化で社会保障費が膨らみ、公共事業を大きく増やせない。その点、財投は別会計で、その貸し付けは将来返済される前提なので、財務省も応じやすい。だが、不採算の事業につぎ込んで返済が滞れば、国民負担が発生するおそれもある。


<小池百合子氏の事例>
PS(2017年11月15日追加):*6のように、希望の党の小池百合子氏が代表を辞任したことについてメディアの批判が集中しているが、都知事としてうまく機能するためには、小池氏は都政では与党・国政では少なくとも無所属として政府と連携を保ちながら都政を進めて行くことが必要である。そのため、東京都民は、都議選では小池氏を大勝させたが、希望の党の党首であり続けて小池氏が都政を疎かにすることは望んでいなかった。
 また、小池氏が希望の党を作ったのは、最初は都知事選でお世話になった若狭氏を助けるためだったが、知事選と都知事選を見て勘違いしたメディアと民進党公認候補者の合流で流れが変わった。小池氏は初めから衆議院議員選挙には出ないと言っていたが、政権選択選挙なのに首班が不明と騒いでいたのは、その選挙のみしか見ていない浅薄なメディアだったのだ。
 そして、今度は党の運営を国会議員に任せるとして代表を辞任した小池氏を無責任だと批判しているが、都知事としてうまく機能しオリンピック等を成功させる責任を果たすためにはそれが必要で、最初に安保法制や憲法変更等々で「排除の論理」を持ち出したのは、一部のメディアと若狭氏・細野氏だったように私には見えた。そして、その方針で候補者を排除すれば、安保法制や憲法変更に疑問を持っている有権者の支持がなくなるのは、当然のことなのである。

*6:http://digital.asahi.com/articles/DA3S13228062.html (朝日新聞社説 2017年11月15日) 小池代表辞任 一連の騒動は何だった
 旗揚げからわずか約50日。一連の新党騒動は何だったのか。あきれる人も多いだろう。
希望の党の小池百合子代表がきのう辞任した。新執行部の発足を機に、党運営は今後、国会議員に任せ、自身はサポート役に回るという。東京都知事である小池氏が、国政政党の代表を兼ねることには当初から懸念の声もあった。それでも国会議員主導の新党構想を「リセットして私自身が立ち上げる」と乗り出した。一時は吹くかに見えた小池旋風も、自ら持ち出した「排除の論理」で急速にしぼみ、衆院選では「排除された側」の立憲民主党に野党第1党を譲った。党の支持率は低迷が続く。本紙の今月の世論調査では3%にとどまり、立憲民主党の12%に水をあけられている。衆院選を勝ち残った議員は旧民進党出身者ばかり。自民党出身の小池氏が指導力を発揮しにくいとの事情もあろう。党勢回復の方向性を見失い、もはや代表を続ける意義を見いだせなくなったのだろうか。だが、小池氏には忘れてならない責任がある。衆院選で「安倍1強を倒す」と訴え、比例区で967万の票を得たことだ。小池氏の指導力に期待した人も多かっただろう。この票の重みをどう考えるのか。小池氏が政党代表を辞めるのは、この半年弱で2度目だ。夏の都議選前には「改革のスピードを上げる」として、地域政党「都民ファーストの会」の代表に就任。選挙で大勝すると「知事に専念する」とわずか1カ月で辞任した。2カ月半後、衆院選を前に再び「(改革の)スピード感を確保するには国政関与が必要」と希望の党代表に。そしてまた、その立場を放り出す。新党設立、代表辞任の繰り返しが政党や政治への国民の不信をさらに深めることを憂える。小池氏という看板を失った希望の党は立て直しが急務だ。党内では旧民進党と同様に、安全保障法制などをめぐる路線対立が整理されないままだ。希望の党は何をめざす党なのか。まず玉木雄一郎・新代表のもと、衆院選は小池氏主導の急ごしらえで済ませた政策論議をいちから始めるしかない。衆院選で圧勝した自民党は、野党の質問時間の削減を求めるなど、早くも慢心が見える。野党なのか、与党への協力もあり得るのか、選挙戦で小池氏はあいまいにしてきた。これから本格化する国会論戦にどんな立場で臨むのか。玉木執行部の選択が問われる。


<山尾志桜里氏の事例>
PS(2017年11月16日):*7の山尾氏と倉持氏が1泊2日で大阪出張していたとして、不倫を匂わせる報道をしているが、こういう論調は、①別々に会場を離れるなど仕事外では話もできない状態にする(男同士ならノミニケーションして、その後の仕事をやり易くするところ) ②時間差で帰京しなければならない(新幹線の中で仕事の話などをする機会を奪う)等々、活躍している女性を不利にする。
 30年くらい前に外資系監査法人で働いていた時、私が公認会計士として男性の部下と2人で岐阜県の会社に往査に行き、同じ宿(部屋は当然別)に泊まって2人で夕食をとったら、宿の中居さんは私の前におひつやとっくりを持ってきた。私が戸惑っていると、男性部下が「それは、私がやります」と言ってくれたので助かったが、女性の活躍には一般社会の方がついてきていないと感じることが多い。また、何かと引っ張ってくれていた男性上司と同じエレベーターに乗り合わせていると、後からエレベーターに乗って来た人が「どういう関係?」などと言って協力者の男性に困った思いさせ、女性の仕事をやりにくくしたという経験もある具合だ。

*7:http://bunshun.jp/articles/-/4947 (週刊文春 2017年11月23日号) 山尾志桜里衆院議員が倉持弁護士と1泊2日の大阪出張
 山尾志桜里衆院議員(43)、倉持麟太郎弁護士(34)の2人が1泊2日で大阪出張していたことが「週刊文春」の取材によって明らかになった。11月12日、2人は、彼らの後見役を自任する漫画家・小林よしのり氏が主催する言論イベント「関西ゴー宣道場」に参加。イベントでは、倉持氏が「日本で最も有名な弁護士です」と紹介され山尾氏が爆笑するなど、終始、和気藹々とした雰囲気だった。山尾氏は11月7日に倉持氏を政策顧問として起用することを発表。今回の大阪出張は、2人の動向に注目が集まっている矢先のことだった。大阪でのイベントが終了後の午後6時頃、2人は別々に会場を離れた。「週刊文春」取材班は、翌朝の新大阪駅で時間差で帰京する2人の姿を確認している。山尾氏の事務所は、大阪出張について、次のように回答した。「ゴー宣道場に参加したことは事実ですが、終了後、倉持弁護士含め道場師範の方々とは全く別行動を取っており、倉持弁護士と一緒に宿泊したという事実は一切ございません」。11月16日(木)発売の「週刊文春」では、1泊2日の大阪出張の詳細に加え、倉持氏の義母へのインタビューなど、山尾・倉持両氏の新たな関係について詳報している。また、「週刊文春デジタル」(http://ch.nicovideo.jp/shukanbunshun)では、山尾氏への直撃取材の模様などを、同日朝5時より公開する。


<染色・アパレルと女性の変化>
PS(2017.11.18追加):*8-1のダウンは10万円もするが、スタイリッシュさと北極圏の環境にも耐える保温性をもっており、これは「日本製の品質は高い」と言われる場合の“品質”には含まれていない。日本製の服は、20~30代向けの細身の服しかデザインのバラエティーがなく、試着すると不快になり、値段相応の質でもないため、私はサイズが多くてデザインのよいヨーロッパのブランドスーツの下に、一年毎に使い捨てても惜しくないような値段のユニクロのTシャツを組み合わせて着ており、その方が満足度が高いのだ。そのため、服が売れないのは確かにアパレルメーカーの責任で、女性に対する従来の先入観にとらわれず、市場が求めている人口動態や体格にあった製品構成にすべきだ。また、「日本は労働力などのコストが高い」という問題は、安い外国人労働力を使わないのなら、*8-2のような衣類に直接印刷できる装置等の生産性を上げるイノベーションを進めるしかない。そして、この技術には、昔の友禅染の振袖や色留袖を簡単にコピーして複製できる程の、職人も真っ青になるような潜在力がある。

*8-1:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20171117&ng=DGKKZO23588790W7A111C1TJ2000 (日経新聞 2017.11.17) アパレル不況は本当か 海外製10万円ダウン店繁盛 消費刺激「技術力+α」カギ
 米アップルの新型スマートフォン「iPhoneX(テン)」の発売に世界の人々が沸いた3日。東京都渋谷区神宮前の閑静な通りにも負けず劣らずの長蛇の列ができていた。ダウンジャケットが主力のブランド「カナダグース」のアジア初となる旗艦店の開業だ。午前11時の開店前に並んだのは約150人。一番乗りだった仙台市の大学生、高橋颯さん(22)はアルバイトでためたお金を手に朝6時から並んだ。店内は開店と同時にごった返し、10万円のジャケットがこの日だけで1分半に1着売れた。大手アパレルの相次ぐ大規模リストラが象徴する「アパレル不況」とは無縁の世界が広がっていた。日本での代理店はサザビーリーグ(東京・渋谷)。1995年に米スターバックスを持ち込んでスタイリッシュなカフェを定着させた実績を持つ。こうした手腕にカナダの本社側が目をつけ、2015年に販売代理店契約を結んだ。カナダグースはサザビーとの契約を機に、約680店あった百貨店やセレクトショップなどの取扱店をブランドイメージに合う400店程度に絞り込んでブランドイメージを高めた。冒頭の旗艦店も本国の意向で渋谷区神宮前の人通りの少ない静かな環境を選んだ。北極圏の環境にも耐えるほどの世界屈指の保温性を持ち、希少価値が高い。こうした機能性やストーリー性が消費者の購買意欲をくすぐる。この「カナダグース狂騒曲」に、日本の伝統的なアパレル企業はほぞをかむ。オンワードホールディングス、三陽商会など百貨店を主な販路とするアパレルは、カナダグースと同じ「中高価格帯」の商品を販売してきたが、長引くデフレで販売不振に直面している。バブルに沸いた90年、国内のアパレル市場は約15兆円だった。10年には10兆円に落ち込んでその後横ばいが続き、大手アパレルはここ数年で大規模なリストラを相次ぎ実施した。だが本当に服は売れなくなったのだろうか。消費者はより安い服を求めユニクロを運営するファーストリテイリング、衣料品専門店のしまむらの収益はいずれも過去最高だ。安い服は売れているし、高くても売れることはカナダグースが証明している。人々が百貨店で洋服を買わなくなったことへの対応が遅れただけではないだろうか。品質の高さから、業界では「ものづくりの三陽」といわれてきた。その象徴である子会社サンヨー・インダストリー(福島市)。工場では女性を中心に約130人がミシンに向かい、1着1着を丁寧に縫製する。その技は有名セレクトショップや紳士服チェーンがスーツのOEM(相手先ブランドによる生産)を依頼するほどだ。だが、三陽商会の業績は低迷が続き、高い技術力を生かせていない。ある大手アパレルの幹部は「服が売れなくなったのは我々の責任」と認め、ライフスタイルを意識した次世代の服作りに真剣に取り組む。どんな時代でも人は洋服を着る。アパレル不況と嘆く必要はない。

*8-2:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20171117&ng=DGKKZO23566720W7A111C1TJ2000 (日経新聞 2017.11.17) 写真、衣類に直接印刷 リコーが小型プリンター
 リコーは16日、衣類に直接印刷できる小型プリンターを発売すると発表した。店舗やイベント会場で、手持ちのスマートフォンに保存した写真をその場でTシャツやバッグに印刷できる。印刷から乾燥まで約10分で完了する。プリンターやインクの販売、保守サービスなどで、2019年度に100億円規模の売り上げを目指す。主に企業向けに20日に日本で発売する。今夏からアジア・中国地域で先行販売を始めていた。オフィス向けプリンターと部品を共通化したことで、プリンター本体とインクを定着させる仕上げ機を合わせて価格を30万円台に抑えた。競合他社と比べて3分の1から4分の1の水準という。インクジェット技術を応用した。150~200度にもなる専用プレス機も無くし、初めての人でも安全に使えるようにした。利用者はTシャツなどをカセットにセットして、プリンターに設置。印刷後は仕上げ機にカセットごと入れてインクを定着させるだけでいい。16日に記者会見した山下良則社長は「インクジェット技術を応用して、プロセスをがらりと変えたい」と語った。


<教育と環境>
PS(2017.11.20、30追加):*9-1のように、「3~5歳の教育無償化」と言うと、「①負担できる方には負担をお願いするべき」「②必要経費を積み上げず、はじめから金額が積み上がっている対策は初めて見た」などの意見が出るが、①については、“高額所得”に分類された(さほど多くもない)一つの所得に対する多重課税である。また、②については、*9-2のように、経済は生き物という論理性がなく説明にもならない根拠の下、「景気対策の事業規模が20兆円超(2兆円の10倍)で調整されている」として多くのメディアがいそいそと報道しているのに対し、教育に対する意識の低さがわかる。しかし、教育を徹底すれば、国から下支えしてもらわなくても稼げる人を多く作ることになるため、どちらがより重要かは異論の余地がない。
 そのため、私は、義務教育である小学校を3歳からにして教育を無償化し、十分な時間を取って教育するのがよいと思うが、国の中枢は私立中高一貫校(その殆どが男女別学)出身の男性が大多数であるため、この改革には後ろ向きで価値観もずれているようだ。そこで、地方自治体の主導で開始するのがよいと思われ、その時には、幼稚園は小学校と合併し、保育所等が0~2歳児と学童保育を引き受けるようにすれば、現在の設備で待機児童を無くすことが可能だろう。
 また、*9-1で日経新聞は、「社会保障の財源は限られており、高齢者に偏る社会保障を若年層に振り向けることは重要な視点だ」とし、*9-3では診療報酬値下げを提唱しているが、*9-4のように、環境税導入には反対だ。しかし、環境や生命・個人の生活を大切にすることは最も重要であるため、こういう政策を提唱するような人を育ててはならないのである。
 このような中、自民党税制調査会は、*9-5のように、「森林環境税」の創設で一致したそうだが、政府は森林環境税の2024年度の導入しか目指さないとのことだ。しかし、森林環境税(環境税の方がさらによい)ができれば、森林の育成や自然保護に関わる予算はそちらから支出すればよいため、これまでの一般予算を減少させることができ、消費税増税を凍結することも可能だ。つまり、政府の放漫経営と増税の連鎖は、もう変えるべきなのである。

*9-1:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20171120&ng=DGKKZO23669080Z11C17A1MM8000 (日経新聞社説 2017.11.20) 教育無償化を問う(上)議論は尽くしたか 選挙にらみ「2兆円」先行
 安倍晋三首相が打ち出した教育無償化を巡る政府・与党の議論が混迷気味だ。首相は衆院選で2兆円の政策パッケージを策定すると表明。「保育園や幼稚園の費用はタダ」「低所得世帯は大学授業料も免除」など聞こえのいい政策を並べたが、具体策や効果をめぐる議論は生煮えのままだ。限りある財源をどう活用するか――。教育無償化をめぐる現状を追う。
●不満の声相次ぐ
 「負担できる方には負担をお願いするのが今までの政策。完全無償化はいかがなものか」。8日、自民党が開いた人生100年時代戦略本部会合。出席議員は党公約に明記された3~5歳の子育て費用無償化に疑問の声をあげた。同本部は17日、補助への上限設定を政府に提言すると決めた。多くの議員の不満の背景にあるのが政策決定の在り方だ。首相は衆院選の選挙公約として教育無償化などの対策を打ち出したが、橋本岳厚労部会長は「部会長が反対だといったことが公約になった」と公然と反論する。2兆円という「規模ありき」の手法にも不満がくすぶる。首相は衆院解散に向けた記者会見で2兆円の枠組みだけを示し、具体的な使い道や適用範囲は選挙後の検討に先送りした。厚労族の重鎮・尾辻秀久元厚労相は「必要経費を積み上げず、はじめから金額が積み上がっている対策は初めて見た」と首をかしげる。その結果が政策軸の急激な転換だ。子育て費用は家庭の所得にかかわらず無償となり、恩恵は高所得者ほど大きい。厚労族のベテラン議員は「『自助』を基本に『共助』で支え合うといった従来の社会保障の理念が壊れる」と指摘する。
●公明への配慮
 なぜ教育無償化は議論の積み上げに基づく政策でないのか。さかのぼると、人づくりや少子化対策など本来の目的とは異なる源流が見えてくる。「前向きな対応をお願いします」。衆院選前の与党党首会談で、首相は公明党の山口那津男代表から私立高校無償化の要請を受けた。自民党公約に入らなかった同政策が2兆円政策に盛り込まれる背景には、公明党の選挙協力への期待が透ける。大学などの高等教育に重点を置いたことからは、教育無償化を憲法改正の項目とする日本維新の会への配慮がにじむ。さらなる底流には消費増税の影響を回避したい首相の思惑がある。消費増税を2度延期した首相は増税には慎重だ。それでも、少子化対策の名のもとに増税分の一部を回せば「8%に引き上げたときのような景気への悪影響が軽減できる」(首相)との計算が働いた。首相周辺は「教育無償化の発想は社会保障ではない。マクロ経済政策に近い」と解説する。高齢者に偏る社会保障を若年層に振り向けることは重要な視点だ。少子高齢化を克服するためには、子育てしやすい環境づくりは不可欠だ。さらに世界を見渡せば、人工知能(AI)やロボットなど劇的なイノベーションが進んでいる。その波にのり、国際競争力を高めるためにも、高度人材の育成は最優先の課題だ。だが、社会保障の財源は限られている。その使い道として幼児教育や高等教育の無償化が正しい選択なのか。効果や意義について議論が尽くされた形跡はみえない。来る2019年が首相が掲げる「人づくり革命」の元年となるのか、財政破綻の一歩を許した一年として歴史の一ページに刻まれるのか。政権の責任は重い。

*9-2:https://mainichi.jp/articles/20160721/k00/00m/020/185000c (毎日新聞 2016年7月21日) 経済対策 事業規模20兆円超で調整 景気下支え
 政府が新たにまとめる経済対策の事業規模を20兆円超で調整していることが20日、分かった。当初は10兆円超の見込みだったが、倍増させる。追加の財政支出は3兆円超(国・地方の合計)として、残りは財政投融資や民間事業を積み増してかさ上げする。事業規模を膨らませ、景気下支えに本腰を入れる姿勢を示す狙いがあるとみられる。政府は今後、与党と調整を進め、来月上旬にも経済対策を閣議決定して、裏付けとなる2016年度第2次補正予算案を秋の臨時国会に提出する方針。与党内には一層の上積みを求める声もあり、規模がさらに膨らむ可能性もある。事業規模20兆円超の内訳は、国・地方の追加の財政支出が3兆円超▽国が低利で民間事業に長期融資などを行う財政投融資が最大6兆円程度▽国の補助を受けて民間企業が行う事業が6兆円程度▽財政投融資とは別に政府系金融機関が手がける融資が5兆円程度−−となる見込み。複数年度にまたがる民間事業を含めることで見かけ上の規模を大きくする。追加の財政支出の財源は、建設国債(使途を公共事業などに限る国債)を1兆円超発行するほか、低金利に伴う国債の利払い費の減少分などで賄う方針だ。追加の財政支出はインフラ整備が主体となり、訪日客拡大に向けた地方の港湾整備や、農産物の輸出拠点設置などを行う。財政投融資はリニア中央新幹線の大阪延伸前倒しに約3兆円、整備新幹線の建設に約8000億円を充てる。英国の欧州連合(EU)離脱に伴う金融市場の混乱を防ぐため、政府系金融機関を通じた民間企業へのドル資金融資も行う。

*9-3:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20171117&ng=DGKKZO23566960W7A111C1EE8000 (日経新聞 2017.11.17) 診療報酬下げ、都道府県別に、厚労・財務省が指針 医療費を抑制
 厚生労働省と財務省は都道府県ごとに診療報酬を定めるためのルールをつくる。法律上は認められているが実施例がないことから、2017年度中に指針を示して導入を促す。政府は18年度から都道府県単位に医療の提供体制を見直し、医療費抑制を進める。この見直し時期にあわせ、地域の実情を考えて診療報酬を下げるしくみを定着させたい考えだ。診療報酬は病院や薬局などの医療機関が、公的医療保険で手掛ける医療行為や薬の対価として受け取る公定価格だ。国が2年に一度、全体の改定率と様々な医療サービスの単価を決める。両省はこれをもとに、都道府県が地域の医療実態に合わせて、国が決めた単価や算定要件を一部見直す形を想定する。06年の法改正で、医療費適正化のために都道府県が域内の報酬を変更できるようになったが、実施県はない。厚労省は指針で、地域内の診療報酬を設定できる場合の具体例をまとめる方針だ。例えばある県で重症者を受け入れる病床の数が他県に比べて過剰な場合、診療報酬の算定要件を厳しくするなどの例を想定している。財務省は診療報酬の単価を直接下げる案を求める。患者の需要に比べ過剰な病床数を持つ県ほど医療費の伸びが大きい傾向にある。同省は入院にかかる医療費が高い県は入院にかかる基本料の診療報酬の単価を引き下げたり、需要より過剰に薬局や薬剤師が多い県は調剤技術料を下げたりしたい考えだ。政府は都道府県主導の医療提供体制の整備を進めている。18年4月からは国民健康保険の主体が市町村から都道府県にうつる。都道府県は18年度から5カ年計画で「医療費適正化計画」をつくることになる。県内の医療費の水準を踏まえて保険料を設定し、住民への説明責任を負う。診療報酬を都道府県単位で下げるようになれば、需給にあった医療サービスをつくる手段が増える。関心をもつ県が出始めている。奈良県は「県民の保険料負担を抑制するためには検討が必要」とし、医療費抑制に取り組む方針だ。介護報酬の単価は既に地域によって違いがある。政府の指針がでれば、検討する動きが広がる可能性がある。ただ、地域別に診療報酬を設定するのは日本医師会が慎重な姿勢を崩さない。いまは厚労、財務両省と与党、医師会などの関係団体で利害調整し、診療報酬の改定率を決めている。「都道府県ごとに調整の場が分散すると、医師会の力がそがれるとの懸念があるのではないか」(政府関係者)との見方がある。医師会の慎重論に歩調をあわせる都道府県も多いとみられる。指針では義務化や罰則の措置を伴わないことから実効性を疑問視する向きもある。

*9-4:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20171119&ng=DGKKZO23659070Y7A111C1EA1000 (日経新聞社説 2017.11.19) 森林環境税を導入する前に
手入れがされずに放置されている人工林を集約する新たな制度を林野庁がつくる。市町村が仲介役になって意欲のある林業経営者に貸与し、経営規模を拡大する。所有者がわからない森林などは市町村が直接管理するという。森林を適切に管理することは地球温暖化対策として重要なうえ、保水力を高めて土砂災害を防ぐ効果もあるが、問題は財源だ。政府・与党は「森林環境税」の創設を打ち出した。他の予算を見直して財源を捻出するのが先だろう。日本の国土面積の3分の2は森林で、その4割はスギやヒノキなどの人工林が占める。戦後植林した木々が成長して伐採期を迎えているが、零細な所有者が多いこともあって、多くが利用されていないのが現状だ。「森林バンク」と名付けた新制度は所有者が間伐などをできない場合、市町村が管理を受託し、やる気のある事業者に再委託する仕組みだ。一度に伐採や間伐をする森林を集約できれば、作業効率が向上してコストが下がる。近くに作業道がないなど条件が悪い森林は市町村がまず手を入れたうえで再委託する。所有者が不明で放置されている森林についても一定の手続きを経たうえで利用権を設定し、市町村が扱う。現在、国産材の用途拡大が進み始めている。経営規模の拡大を通じて林業を再生する好機だ。財政力が弱い市町村が継続的に事業に取り組むためには安定財源が要ることは理解できる。しかし、森林環境税は個人住民税に上乗せして徴収する方針だ。直接的な恩恵を感じづらい都市住民の理解を得られるだろうか。全国の8割の都道府県や横浜市はすでに、似たような税金を徴収している。都道府県と市町村の役割がどうなるのかについても判然としない。人材が乏しい市町村では、都道府県が作業を代行する手もあるだろう。森林整備は必要とはいえ、新税の前に検討すべき課題が多いと言わざるを得ない。

*9-5:http://www.saga-s.co.jp/articles/-/154344 (佐賀新聞 2017年11月30日) 自民、森林環境税創設で一致、加熱たばこも増税へ
 自民党税制調査会は30日、幹部会合を開き、森林の整備費を賄う新税「森林環境税」の創設で一致した。通常の紙巻きたばこより税負担が軽い「加熱式たばこ」の増税も大筋で確認した。一方、政府、与党は資本金1億円超の大企業を対象に、2020年度から法人税や消費税などの電子申告を義務付ける方針を固めた。いずれも18年度税制改正大綱に盛り込む。森林環境税は、個人住民税に1人当たり年間千円を上乗せする案が有力だ。政府は24年度の導入を目指しているが、与党には早期導入を求める声も強く、引き続き調整する。


<女性天皇・女系天皇>
PS(2017.11.23追加):2005年11月に「女性天皇・女系天皇を認めて男女を問わず直系第1子を優先させる」という内容の最終報告書が出た時には私の主張が通っていたが、(実際には変更可能な)皇室典範第一条(http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=322AC0000000003&openerCode=1 参照)を盾にして、現在でも皇位継承資格を「男系男子」に限るという主張は強い。しかし、天皇を男子に限ったのは天皇に軍の統帥権を持たせた明治以降で、これによって文民統制が効かずに太平洋戦争に突入した経緯があって今後そうなることはなく、遺伝的には女系でも全く問題ないことがわかっているため、現在では単なる女性差別になる。

 
   <過去には女性天皇もおり、一番右は聖徳太子が摂政を務めていた推古天皇だ>

*10:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20171123&ng=DGKKZO23834130T21C17A1EA2000 (日経新聞 2017.11.23) 皇位継承順位 資格は「男系男子」
▽…皇位継承順位は皇室典範に規定されている。継承資格があるのは「男系男子」に限られ、天皇の子や孫にあたる「直系」が優先。第4条は「天皇が崩じたときは皇嗣が直ちに即位する」と定めており、天皇の退位による皇位継承は認めていない。6月に成立した特例法で天皇陛下の退位に伴う皇位継承が実現することになった。▽…現在の皇室は計19人で、陛下を除き男性は4人。皇位継承順位1位は陛下の長男の皇太子さま。2位は次男の秋篠宮さま、3位は秋篠宮家の長男の悠仁さま、4位は陛下の弟の常陸宮さまと続く。陛下が退位して皇太子さまが即位されれば、秋篠宮さま以下の順位が1つずつ上がり、継承資格を持つ皇族は3人に減る。▽…皇位継承が課題となる中、小泉内閣の有識者会議は2005年11月、女性天皇や母方が天皇の血筋を引く「女系天皇」を認めることを柱とした最終報告書をまとめた。皇位継承順位は男女を問わず天皇直系の第1子を優先する内容だったが、男系男子を重んじる保守層の反発は根強く、制度化には至っていない。


<女性役員の役割>
PS(2017年11月29日、12月1日追加):農業は古代から女性が重要な役割をしていた産業であるにしては遅すぎた感があるが、*11-1のように、農業分野で女性の活躍を促進するため、働きやすい農業環境を作るという意識が高まったのは、近年の女性の努力の成果だろう。しかし、現在は、まだ農機具や運搬具が男性向けで女性仕様ではなく、これは女性を働きにくくしている。
 そのような中、EVで出遅れたトヨタは、*11-2のように、人事を前倒ししたり、外部人材の登用で役員を交代したりしているが、その殆どがやはり男性だ。しかし、日本の自動車会社及びその関連会社の失敗は、需要の半分は女性が占めているにもかかわらず、社内で女性を重用せず、女性が好む自動車を市場投入しなかったことにある。
 女性は、ガソリン車で突っ走る快感を味わうために自動車に乗るのではなく、仕事をこなすために自動車に乗る人が多いため、安全で環境を汚さず、乗りやすくてデザイン(お尻が切れたようなワンボックスカーはスマートではない)も燃費も良い車を欲しており、そのためにはEVがBestだったのだ。つまり、現在の道具は、乗用車から農機具に至るまで男性向けの仕様であるため、女性が使いやすくて気に入る製品を出せば新たな需要が見込めるのである。
 そのため、*11-3のように、機関投資家に議決権行使を助言する米グラスルイスが、日本の主要上場企業に女性役員起用を求め、候補者を含めて女性の取締役・監査役がいない企業の総会では会長又は社長の選任議案に反対票を投じるよう投資家に推奨することにしたのはよいことだ。しかし、男性中心の組織で選ばれてくる女性は、男性との予定調和を乱さずに男性が予測可能な言動しかしない人が多く、それではこれまでと変わらないので、本質的な別の視点からの指摘をズバッとできる女性が選抜されることが望まれる。



(図の説明:1番左はトヨタの新役員、左から2番目はデンソーの女性管理職・役員比率、右から2番目はクボタの女性管理職割合の推移であり、いずれも低い。また、1番右はクボタの新入社員に占める女性比率の推移だが、技術職でとりわけ低い上に下降している)

*11-1:https://www.agrinews.co.jp/p42617.html (日本農業新聞 2017年11月29日) 女性の活躍促進 働きやすい農業環境を
 政府は女性の活躍促進を重要政策に位置付けている。農業は女性の存在なくして成り立たない。経営パートナーとして働きやすい環境づくりを都市部に劣らないよう進めていく必要がある。女性が輝けば、農業も地域も元気になれる。農水省が初めて行った「女性農業者の活躍推進に関する意識調査」によると、女性が農業経営で重要な役割を果たしていると思う割合が9割に上った。生産者だけでなく消費者を含めた調査であり、女性が農業の支え手であるという実態は広く認知されているといえる。注目したいのは、その理由である。「女性が経営方針に参加している経営体は、経営の多角化に取り組む傾向があるから」(38%)と「女性が経営方針の決定に参加している経営体は収益性が高い傾向があるから」(34%)の割合が高かった。単なる労働力の提供ではなく、農業経営の改善に女性の力が不可欠との認識が高まってきているのは好ましいことだ。女性が経営者や役員などの幹部を務める経営体は、参画していない経営体に比べて72ポイントも経常利益の増加率が高いとする日本政策金融公庫の調査結果(2016年)がある。女性はコミュニケーション力やインターネット交流サイト(SNS)を使った情報発信能力に優れ、消費者目線で農産物や加工品を作るといった発想も生まれやすい。経営のパートナーとして参画することが「もうかる農業」の鍵を握ることを示している。安倍政権は現在、「1億総活躍社会」の実現に力を入れる。命を育む農業は女性の力を発揮しやすい職業である。女性の新規就農の促進と併せて、女性農業者が働き続けられる環境づくりや、経営管理・資質向上への支援を強めるべきだ。子育て、保育の問題は大都市の女性だけの問題ではない。せっかく就農したものの、出産後の育児を担うために、しばらく農業経営の一線から退かなければならないというケースはもったいない。また、女性パートを求人する場合も託児所の有無が重要な雇用条件で、自力で用意する法人も出てきている。農業者の知恵と民間企業の技術・ノウハウを結び付けて、新商品やサービス開発を進める「農業女子プロジェクト」は、開始4年でメンバーが600人台に拡大した。最近は香港で輸出販促をするなど、販路開拓でも期待されている。こうした動きを地域で広め、起業やマーケティング、6次産業化、経営管理などを女性農業者が当たり前のように学べる場を増やしたい。行政やJAが、女性が活躍しやすい雰囲気づくりをすること、意識的に女性の声を聞く仕組み作りも重要だ。若い女性に「農村は男社会」と感じさせないよう、男性側の意識改革も引き続き求められる。女性が輝き、地域の基幹産業である農業が発展することは、地域活性化にもつながる。

*11-2:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20171129&ng=DGKKZO24015480Y7A121C1TI1000 (日経新聞 2017.11.29) トヨタ、焦燥の前倒し人事、役員交代4月→1月、外部人材登用 金融や新市場開拓
トヨタ自動車は28日、2018年1月1日付の新体制を発表した。例年より3カ月早く80人規模の役員級の人事を決定。三井住友銀行などから人材を招き、自前主義脱却を人事でも進める。背景には前例にとらわれていては車の激変期を生き抜けないという豊田章男社長の「攻めの姿勢と焦燥」(幹部)がある。異例の改造人事で、トヨタは強さを維持できるのか。
●「瀬戸際の戦い」
 「勝つか負けるかではなく、生きるか死ぬかの瀬戸際の戦いが始まっている」。28日にトヨタが公表した発表資料では過激な表現が目を引いた。これまでトヨタは1月に部長以下、4月に役員の人事を行ってきた。今回はデンソーやアイシン精機といった主要グループ企業も巻き込み、時期を前倒ししての同時実施になる。トヨタのある役員は「経営環境がどんどん変わる時代に人事は1年に1度、4月という保守的な考えは合わない」とみる。実際、トヨタは今年4月の役員人事が終わった後も6月、8月、11月と不定期で役員を異動させている。来年1月に就任した後も実績や環境の変化で交代がいつ起きてもおかしくない。交代時期の前倒しには、そうした緊張感を社内外に浸透させる狙いもある。実は8日前に今回の人事を予感させる言葉があった。愛知県豊田市の本社で20日に開かれた経営陣と労働組合幹部による約150人の「労使懇談会」。豊田社長は経営難から苦渋のリストラを余儀なくされた1950年の労働争議に言及し、「当時を超えるほどに自分たちは腹をくくって努力をしているか。大転換期は惰性でなく、厳しい行動も必要」と強調したという。今年はトランプ米大統領がツイッターでトヨタを批判し、合計で人口27億人の中国とインドが電気自動車(EV)を優遇する政策を鮮明にした。トヨタには逆風が吹き続けている。これまでの慣例にとらわれている余裕はない。
●一体感を創出
 専門性の高い分野でトヨタ出身者以外を登用するのも今回の人事の特徴だ。常務役員に就く豊田通商の今井斗志光執行役員はアフリカ事業のキーマン。トヨタのアフリカでの新車販売は16年に18万台強と世界全体からみればわずか2%で現在の優先順位は高くない。だが50年には人口が2倍の24億人に増え所得水準も向上する。既存のメンバーでは難しい有望市場の開拓を今井氏に託す。三井住友銀行の福留朗裕常務執行役員を迎え入れるのも従来のトヨタにはなかった発想だ。福留氏はトヨタファイナンシャルサービスの社長に就き、シェアリングの普及などで重要性が増す販売金融の強化を担う。主要な部品会社との間での役員異動も目立つ。例えば副社長に就くデンソーの小林耕士副会長。トヨタ出身だが03年にデンソーに移っており「年齢からも異例の復帰」(主要部品メーカー幹部)だ。アイシン精機傘下のブレーキ大手、アドヴィックス(愛知県刈谷市)の小木曽聡社長も約2年半ぶりにトヨタに戻る。一連の人事の背景には「より一体感を持たないと勝てない」(トヨタ幹部)との危機感があり、グループ再編への意志もみえる。トヨタの17年度のグループ世界販売台数は1025万台の見通し。5年連続で大台を超えるものの、売上高の成長は鈍る。そうしたなか競争力をどう磨くのか。自動運転や電動化といった次世代分野でぶつかるのは米グーグルなどの異業種だ。スピード感も従来とは違う。最大の経営課題となる社長の後継者育成も含め、新体制の責任は重い。

*11-3:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO24096520Q7A131C1MM8000/?n_cid=NMAIL006 (日経新聞 2017/11/30) 「女性役員ゼロ」 総会で反対票を 米助言大手が推奨
 機関投資家に株主総会の議決権行使を助言する米グラスルイスは2019年から、日本の主要上場企業に女性の役員起用を求める。候補者を含め女性の取締役や監査役がいない企業の総会では、会長もしくは社長の選任議案に反対票を投じるよう投資家に推奨する。同社は海外投資家の議決権行使に影響力を持ち、日本企業の女性登用の流れを後押ししそうだ。グラスルイスは年内にも新ルールを公表する。まずは時価総額が大きい100社を組み入れた株価指数である「TOPIX100」の構成企業に新ルールを適用。12月期決算企業が総会を開く19年2月以降に開催する総会から実施する。現在のTOPIX100構成企業のうち女性の取締役や監査役がいない企業は、信越化学工業や東レ、富士フイルムホールディングスなど29社にのぼる。女性の候補者を探すのに一定の時間がかかるため、グラスルイスは1年前に新ルールを公表することにした。将来は東証1部上場企業全体に広げていく考えだ。日本企業に投資する海外投資家の間では、すでに同様の動きが広がっている。米運用大手ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズは11月、投資先の日本企業で女性役員がいない場合は、指名委員会の委員長の取締役選任議案に反対する方針を発表した。多くの日本企業の役員は生え抜きの中高年男性で構成され、海外投資家からは欧米企業に比べ経営人材の多様性が欠けるとの批判が出ている。企業統治に詳しい野村証券の西山賢吾氏は「株主からも圧力がかかり、日本企業の女性登用の動きが加速する」と指摘する。


<環境と教育軽視の結果は?>
PS(2017.12.3追加):*12-1のように、佐賀市は下水を浄化しすぎず、窒素・リン・カリウムを残して有明海に排水し、海苔の色落ちを防いでいる。これは、諫早干拓事業の堤防閉め切りで川が有明海に注ぎ込まなくなり、有明海の栄養塩が減って海苔の不作が続いていた解決策として、私が佐賀県庁の職員だった知り合いに言って始まったものだ。しかし、「①下水処理能力向上で海中の栄養が減ってしまった」「②下水処理能力を下げる」「③工場などからの大量の排水は各企業が処理しており、同じ対応をするためにはコストが課題となる」などという記載はとんでもない話で、(たぶん文系の)メディア記者も高校で生物・生態系・環境に関する勉強をしっかりしておかないと、このようなとんでもない記事を書くことになるわけだ。
 正しくは、①については、下水処理で寄生虫卵や菌を殺しておくことは当然で、それには、②のように下水処理能力を下げるのではなく、必要な栄養塩を必要量放流できる馬鹿の一つ覚えではない高度な能力が必要なのだ。また、③については、工場排水は家庭排水とは異なり有害物質を含むことが多いため、各企業が下水処理コストを負担して処理し製品原価に入れるべきで、公有水面に処理していない工場排水を放流するなどとんでもない話である。
 これについて佐賀新聞は、*12-2のように、「佐賀市西与賀町の市下水浄化センターが『日本水大賞』の未来開拓賞を受賞し、その理由は、地域のニーズに応え、地域で喜ばれる下水道資源の有効利用が評価された」と報じている。そのほか、寄生虫卵や菌を殺し有害物質を含まない限り、私は、窒素・リン・カリウムを残した下水処理水を農業用水に使えば、肥料が節約できると考えている。


   2017.12.2         2017.12.2      2017.9.11  2017.3.29
                いずれも日経新聞
(図の説明:養殖海苔の生産量も落ちているが、サンマの水揚げ量も落ちている。その理由は、環境変化による資源量の減少、中国などの漁業参入と大量捕獲、我が国の漁業者数の減少などであり、まずは自国の漁業者の高齢化と新規参入減少の原因を改善すべきだろう)

*12-1:https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20171202&ng=DGKKZO24195070S7A201C1MM0000 (日経新聞 2017.12.2) 水清ければノリ棲まず 35