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2008.10.31 財政金融委員会にて、「金融機能の強化のための特別措置に関する法律」改正に関する質問
 
 
 

財務金融委員会質問の要旨

(1)米国のサブプライム・ローン問題に端を発した厳しい環境の下で、地域経済の担い手
である中小企業を支援していくことは、喫緊の課題であり、大変重要なことであると、私も、
思っております。

けれども、対応を考えるには、原因を明確化して、その原因をなくすか、弱い部分は強化し
なければなりませんので、原因が何であったのかを、もう少し、詰めたいと思い、ご質問さ
せていただきます。

また、今、改正しようとしている「金融機能の強化のための特別措置に関する法律」につい
ては、国の資本参加の要件を一部緩和して、金融機関の経営責任等の明確化の要件や、
抜本的な組織再編を伴わない場合に加重されていた要件を、制度上、一律には求めない
こととし、公的資金を注入しやすくしております。

しかしながら、国が資本参加して金融機関の資金を潤沢にすれば、金融機関が中小企業
に対して、適切な仲介機能を発揮して中小企業への貸付を増やすか否かについては、バ
ブル時代から今までの金融機関の行動を見てきた私といたしましては、疑問を感じます。

その理由は、この数年間、金融緩和政策がとられ、金融機関は、史上最低の金利で資金
を調達できていたにもかかわらず、その間に、その資金を中小企業の将来性を見つけて、
これを育て、わが国の産業を育成するために融資したという部分よりは、大量にある資金を
大量にはくために、横並びで、国債や株式を購入し、あるいはアメリカのサブプライム・ローン
のような金融商品に投資してきた部分が多かったと思うからです。どこに、どれだけの資金を
配分してきたのかというBreak Downにつきましては、お配りした資料のとおりです。

まず、資料のP2に示しましたように、サブプライム・ローンとは、低所得者向けの住宅ローン
で、当初の金利は年5~6%と安く、数年後に住宅の担保価値が上がらなければ、10%を
超える金利となり、住宅が値上がりすれば、担保価値が高まって、サブプライムより金利の
低い「プライムローン」に借り換えができるというもので、低所得者向けの融資ということです。

つまり、このスキームの中には、住宅価格が上昇すれば金利が下がるけれども、そうでなけ
れば金利が上がるというギャンブル的な要素がすでに含まれており、低所得者にとってリス
キーな住宅ローンであると言わざるを得ません。

そして、今回、住宅価格は上昇せず、サブプライム・ローンの利用者は、返済に行き詰まって、
P3のように、2005年半ばまで10%台だった延滞率が、2006年の10月~12月期には13・3%
に上昇しました。

そして、2006年12月以降、サブプライムを手がけていた中小ローン会社約20社が、ローンの
焦げ付きのために経営破たんし、取引銀行から融資打ち切りを通告された大手のニューセン
チュリー・フィナンシャルがニューヨーク証券取引所で上場廃止となって、リーマン・ブラザーズ
の破綻をきっかけに、「さらに破たんする会社が出てくる。」との見方から、10月13日の株価が
大幅に下落し、世界同時株安の一因となったものです。

しかしながら、返済能力の低い低所得者に対して、数年後には金利が上がる確率の高いギャ
ンブル的な要素を組み込んだローンは、もともと高い貸し倒れのリスクを持っており、証券化商
品として、そのリスクが多くの人にばらまかれたとしても、やはりリスクの高さには、変わりが
ありません。

このような低所得者に対して、借り入れ時には低い利率で借りやすいけれども、数年後に利率が
上がる危険なローンに、大量の資金を投入していたわが国の金融機関も、注意力もしくは誠実性
に欠けると思わざるを得ません。

そのため、今後、中小企業の将来性を見て、こつこつとこれを育て、わが国の産業を育成させる
目的で、金融機関に公的資金を投入したいのであれば、そうさせるための縛りと申しますか、
制限を設けなければならないと思いますが、いかがでしょうか。

 
(2)なお、資料のP4、P5、P6に、国内の銀行、信用金庫、信用組合における資産運用残高の推
移を載せました。わが国全体の銀行・信用金庫では、貸出金残高は、65~70%前後であり、さす
がに信用組合では、75%程度と高くなっています。

また、P7~P11に、みずほ銀行、三菱東京UFJ銀行、三井住友銀行、横浜銀行、北洋銀行の貸出
金・有価証券の資産運用残高と貸出金残高、中小企業向け貸出金残高、有価証券残高、債権・株
式残高を金額とパーセンテージで出しております。

このグラフによれば、中小企業向け貸出金残高が一番高いのは、P10 の地方銀行である横浜銀行
で70%前後です。同じ、地方銀行である北洋銀行は、P11ですが、有価証券残高が高くなっており、
中小企業向け貸出金残高は、48~49%程度と低くなっております。地域に根ざした地方銀行なので
すから、有価証券での運用よりも、中小企業への貸し出し割合を増やしていただきたいところです。

また、P7の都市銀行である「みずほ銀行」の中小企業向け貸出金残高は、50%前後であり、P8の
「三菱東京UFJ銀行」では、35~38%程度、P9の三井住友銀行では、45~50%程度となっています。
同じ都市銀行でも、中小企業向け貸出金残高はかなり異なるわけですが、大企業への融資がある
ことを考えても、50%程度はあっていいだろうと思います。

このような状況ですから、サブプライム・ローンなどのあまり感心できない、しかも外国の金融商品に
投資しているよりは、地方銀行で70%、都市銀行でも50%程度の運用資産を、中小企業を育て、
次の日本の産業を育てる資金として運用されるよう求めたいと思います。そのため、そのような規制
が入るよう、提案いたします。

なお、米議会では、サブプライム・ローンの利用者保護や規制強化の動きが活発になっており、クリ
ストファー・ドッド上院銀行住宅都市委員長は、「ローン利用者の200万人が家を失うかもしれない
状況を黙ってみているわけにはいかない。」と述べ、公聴会を開いて、利用者の支援を具体的に
検討していく考えを表明されたそうです。また、バーニー・フランク下院金融サービス委員長も規制強
化の法案を計画しているそうです。

わが国でも、このような利用者を食い物にするような危険な金融商品につきましては、サブプライム・
ローンに限らず、規制がかけられないものかと思いますので、検討をお願いします。

(3)さらに、「金融機能の強化のための特別措置に関する法律」におきまして、国の資本参加の要
件を一部緩和して、金融機関の経営責任等の明確化の要件や抜本的な組織再編成を伴わない場
合に加重されていた要件を、制度上一律には求めないこととするそうですが、公的資金は、国民の
血税です。

注入しても、金融機関にとっては資本となり、国にとっては、有価証券として資産となりますので、寄
付するわけではありませんが、要件を緩和する理由について、納得いくご説明をいただければ幸い
です。


| 主に衆議院議員時代の活動::東京での活動 | 08:41 PM | comments (x) | trackback (x) |

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