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2011,11,27, Sunday
今日の日経新聞が、財務省サイドの消費税増税理由をよく説明しているが、実際には、そこで
理由とされているものは、本当は理由になっていない。そのため、ここに反論を記述する。 (1)このままでは、年金や医療サービスを維持できず、財政も破綻するとして、政府は社会保障と 税の一体改革を掲げる。安心で活力ある経済社会の実現に向け、痛みをどう分かち合うか、選択 の時だ。(日経新聞2011.11.27 消費税 どうなる一体改革 導入部分) <批判> ①所得税、法人税、相続税、間接税もあるにもかかわらず、年金や医療サービスは、消費税で 賄わなければならないとするところに、国民が消費税増税に反対できなくさせるトリックがある。 ②この記事は、他にWin Winの方法があるにもかかわらず、とにかく痛みを分かち合うことを呼び かけている点で、思考停止であり、財務省の言いなりの記事である。 (2)高齢化で毎年1兆円超のペースで増える社会保障費の「自然増」が国の借金を膨らませる。 ・・・何故、消費税なのか。その理由は、人口動態にあり、1999年に8590万人だった日本の生産 年齢人口(15~64歳)は、2020年には、7360万人に減る。逆に65歳以上の老年人口は2.4倍の 3590万人に増加。保険料を払う現役世代が減り、給付を受ける高齢者が増え続ける。(日経新 聞2011.11.27 消費税 どうなる一体改革 内容部分) <批判> ①年金原資は、平均寿命も健康年齢も延びているため、定年と年金支給開始年齢を同時に68歳 ~70歳に延長することにより、高齢化による生産年齢人口の割合の低下を防ぐことができ、すで に、以前の55歳から65歳までは伸ばしているが、こういうことが考慮されていない。 ②国民年金への所得比例の導入(所得税申告書の写しを、日本年金機構に一枚回せば計算は 容易)をすれば、現在の年金保険料の払い込みが増え、また、現在、国民年金に入っている人 も厚生年金と同じ福利が受けられるようになるため、Win Winであるが、考慮されていない。そし て、この方が、年金原資に使われることが、消費税よりずっと確実であるのに、消費税でなけれ ばならないという根拠は全くなく、その論理的な説明もあるとは思えない。 ③家事従事者として労働力人口になっていない女性が一人前の労働者として働けるようにすれば、 生産年齢人口のうち、労働力人口の割合は増えるが、この努力は少ない。 ④失業者のように、生産年齢人口でも労働力人口に入っていない人たちを、労働力人口にするた めには、景気をよくすること、仕事を増やすことが大切なのであり、消費税増税は、逆効果である。 ⑤非正規労働者として悪い労働条件で働き、年金保険料の払い込みが少ない労働者を正規労働 者にすれば、年金保険料の払い込みが増え、その労働者の福利も上がるが、その努力も皆無。 ⑥開発途上国から外国人労働者を受け入れても、生産年齢人口の割合の低下を防ぐことができる が、考慮がない。 ⑦このように、他に解決方法がいくらでもあるにもかかわらず、消費税増税をしなければ福祉が保て ないという財務省の論法には説得力がなく、それを全体的に調整できるはずの政府が財務省の 言いなりでは、財務省に使われているだけのイニシアティブのない政府・政治家というほかない。 (3)所得税や法人税を中心とする現在の税制のままでは、働く現役世代や富を生み出す企業に 税と保険料の両面で負担が集中する。一橋大準教授の小黒氏(37歳)は、「高齢者も含めて広く、 薄く負担する消費増税は世代間対立の緩和に役立つ」と指摘する・・ (日経新聞2011.11.27 消費税 どうなる一体改革 内容部分) <批判> ①高齢者と働く現役世代を対立させる問題の設定の仕方自体が間違っている。働く現役世代も、 突然、制度を変えられて、今まで払ったものを無効にされ、新たな負担を生じさせるような政府の やり方にこそ、不信を持つのである。なぜなら、それは、明日は、わが身だからである。 ②本当の問題の設定の仕方は、高齢者と現役世代との対立ではなく、国民と政府との対立であり、 その理由は、今まで、国民の福利を第一に考えないずさんな年金資金の管理をしてきたこと、そ して、現在もその反省がなく、制度変更でごまかそうとしていることである。
| 消費税増税問題::2010.6~2012.7 | 05:42 PM | comments (x) | trackback (x) |
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