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2012.3.11 年間20mSv以下の地域は、本当に居住可能なのか?放射線防護線量の基準の考え方からすれば、住民をふるさとに帰す政策の方が、非人道的である。
 下の図を見れば明らかなとおり、放射線防護の基準は、平時においては年間被曝の許容限度は1mSv以下である。そして、原発事故が発生した緊急時でも50mSvを超えれば避難すべきとされており、事故継続時に20~100mSv、事故収束時に1~20mSvまで許容する。

 しかし、そもそも、この基準は、放射性物質の拡散が長く続くという前提で決められたものではなく、チェルノブイリ原発事故のように、事故が起こった後は速やかに事故を収束させ、人々を放射線量の低い地域に移動させるという前提で作られたものであるため、事故収束時というのは長い期間ではない。

 従って、この図を見て、年間20mSv以下であれば、一般の人が何年も居住することが可能だと解釈するのは、我田引水の楽観主義である。むしろ、「年間20mSv以下であれば一般人が何年でも居住可能」という基準を原発事故の被災者に押し付けることにより、安全な地域に自主避難したい人に損害賠償がなされなかったり、健康をまもるために避難しようとする人が「利己的」「感情的」「風評に惑わされる人」などという罵声を浴びせられることとなり、非人道的である。

 住民は、県や町の所有物ではない。住民の心筋梗塞、癌、白血病などの発症率が高くなり、統計的疫学データが出てからでは遅いので、住民の健康や命は最優先に考えるべきである。そうすれば、結果として、将来の医療保険や介護保険給付の莫大な支出も防げるだろうし、まとめて住民を受け入れることのできる地域(東北で津波の後に新しく整備する地域、九州、四国、北海道、オーストラリアなど)も手を上げてくれるはずだ。

           放射線防護基準                     福島の汚染状況(最新)
 

参考資料 http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2012/120308_3.html
福島原発事故における避難区域外避難者・滞在者への損害賠償の継続を求める日弁連会長声明
(抜粋)福島第一原発からは、いまだに毎時1000万から数千万ベクレルの放射性物質が大気中に放出されており、新たな放射性物質の拡散が続いている。除染作業については、多くの自治体で除染基本計画が定められた段階であり、実際の除染作業はようやく着手されたところで、その効果も未知の部分が大きい。そのため、区域外避難者(自主的避難者)の状況を見ても、放射線量が下がったことを理由に元住居への帰還を選択する避難者は決して多くなく、むしろ現在でも放射線の影響から逃れるために避難を検討している世帯が多数存在しており、特に学年末である3月を利用して避難を行う世帯が相当数存在することが見込まれる。線量が年間1mSvを超える放射線量が検出されている地域では、自主避難と損害賠償の対象とすべきであることについて、当連合会は意見書等において繰り返し述べてきたところである。

| 内部被曝・低線量被曝::2011.7~2012.8 | 01:45 PM | comments (x) | trackback (x) |

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