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2012.7.22 大津市の中学生いじめ自殺事件について
 大津市の中学生いじめ自殺事件については、*2の日弁連の意見は、多くの日本人が反対しないし、メディアもそういう報道をしがちですが、私は、*1のようなアメリカの考え方が正義感としてしっくりきます。何故なら、いじめた子どもの人権よりも、いじめられて自殺せざるを得なかった子どもやその家族の人権の方が、ずっと大きく棄損されており、決してそのことを忘れてはならないからです。

 それにしても、先生・学校・市教委・警察の行動は、信頼に値せず許し難いものです。また、そのようないじめを止めない道徳観を持つ先生や、被害者の問題として責任逃れをする学校に教育ができるのかについては大いに疑問です。そして、「これだからこういう大人が育ってきたのか・・」と思わざるを得ない局面も社会には多くあります。なお、これら一連の行動は、個々の人間の良心や正義感に基づくものですから、先生、市教委、警察官の、人間としての価値観や感受性、仕事への意欲が最も重要なのであり、システムの問題として弁解できるようなものではありません。また、システムを変えたからといって、その中で行動する人間の価値観、つまり正義感、道徳観、仕事に対する責任感が変わらなければ、状況が変わることはないでしょう。  怒

*1:http://nyliberty.exblog.jp/18561519/
●いじめを見ていた教師が放置(しかも自殺の練習をさせていた?!)。
●学校や市教委は隠蔽工作。
●地元警察の大津署は被害届を3度も受理せず・・・。
(ポイント)こんなことがあって本当に良いのか? 子どもや女性を守ろうという意識は、アメリカでは日本とは比較にならないほど強く、つい先月もタイム誌に、5歳の娘を守るため犯人を撲殺したお父さんが無罪になった事件の特集記事がありました。テキサス州の牧場の馬小屋で、娘が性的虐待を受け悲鳴をあげたところに父親が駆けつけ、犯人を素手で撲殺。大陪審は、お父さんは完全な無罪とし、一切の罪に問われないことになりました。タイム誌は、「子どもは自分を守れない。これが犯罪というのなら、多くの父親が子どもを守るために刑務所に行く。」と全面支持。また、読者の声として「完全に賛成、当然だ」などを紹介。日本ではこの手の話題に必ず出てくる「犯人の人権が・・・」などという声はどこにも見当たりません(撲殺されているのに!)。 
 また、これでも格式あるタイムやフォーブスは、記事タイトルも「なぜ無罪か?」「過剰防衛ではないのか?」といった感じで、一般紙や大衆紙よりずいぶん穏やかな論調で書かれている方です。さらにもう1つ付け加えると、加害者の「そんなつもりじゃなかった」とかそれを見ていた周囲の「そう思わなかった」という言い訳は、アメリカじゃ通用しません。その訴えが嘘だった場合は話が別ですが、通常、アメリカでは被害者の感じ方を重視する方針です。とにかく、加害者側の文化的背景や事情とは関係なく、被害者がどう感じたかが重要で、そのペナルティは大きく、代表的な例では米国三菱自動車が1998年にセクハラ裁判の和解金で3,400万ドル(記事の出た98年6月の平均レートは1ドル=140.09円、約47億6千万円)の支払いに合意したと報じられています。以上のとおり、加害者を撲殺しても無罪になったり、巨額賠償金が支払われたり、アメリカでは子どもや女性を守ろうという意識はとても強いのですが、どちらの事件も被害者の命は無事です。
 一方、大津市の13歳の男の子の命は、いじめによって奪われてしまいました。もし、これがアメリカだったら、いじめの加害者、それを放置していた教師、学校、市教委あたりが、少年の家族に巨額の賠償金を支払うことになっても全く不思議ではない気がします。特に、生徒を守るべき立場でありながら、隠蔽工作をした学校、市教委の罪は極めて重くなるはずです。しかし、日本ではそんな話にはなりません。何故?

*2:http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2012/120720_2.html  滋賀県大津市の公立中学2年生の自殺事件に関する日弁連会長声明 (2012年(平成24年)7月20日)
(ポイント)2011年10月、滋賀県大津市の公立中学校2年生の男子生徒が自殺した事件及びそれを巡る社会の反応は、子どもの人権が守られない我が国社会の実情を露呈している。
 第一は、子どもたちのSOSに対して教師を始めとする学校関係者が耳を傾けなかった問題である。報道によれば、男子生徒が継続的にいじめを受けていたことを多くの生徒が知り、教師に対応を求めていた生徒や、いじめに当たるような事実を認識していた教師がいたにもかかわらず、中学校は、いじめとは判断しなかったとされている。文部科学省は、2009年3月に『教師が知っておきたい子どもの自殺予防』と題する冊子を発表し、子どものSOSを的確に捉えること、校内対策チームによる適切なアセスメントや医師等の専門家との連携をとることなどを求めてきていたが、今回の事態は、文部科学省の指針が徹底されていなかっただけではなく、これらの対策の前提ともなる学校関係者の子どもの声に耳を傾ける姿勢、さらにはいじめを発見し止めさせる体制に大きな問題があったことを示している。
 第二は、自殺が起きた後の中学校と教育委員会の調査の体制・方法に問題があったことである。文部科学省は、2011年3月に「平成22年度児童生徒の自殺予防に関する調査研究協力者会議審議のまとめ」を発表し、正確な自殺の実態把握のための報告書統一フォーマットを提案し、また、自殺が起きた場合に中立的な立場の専門家を交えた調査委員会を設置して調査を行う指針を示し、2011年6月1日、「児童生徒の自殺が起きたときの背景調査のあり方について(通知)」を都道府県教育委員会等に発している。ところが、報道によれば、中学校は、自殺の後、比較的短期間に2回にわたる全校生徒を対象とするアンケート調査を行い、いじめが存在し、それが男子生徒の自殺につながったことを示唆する複数の事実を把握していた。それを受けた大津市は、2011年11月、アンケート結果をもとに「複数の生徒のいじめがあった」と発表したものの、部内での検討のみで、自殺との因果関係については確認できないとしていた。専門家を交えた調査委員会は、本年7月になるまで設置されておらず、文部科学省の提案・指針が学校や教育委員会に徹底されていないことを示している。
 第三は、学校や教育委員会の対応のまずさが加害者とされている生徒に対する社会の過剰なバッシングを引き起こし、加害者とされている生徒の人権が侵害される事態が起きていることである。生徒とその家族の実名や顔写真の公表をはじめとして生徒とその家族に対するバッシングは日を追うごとに激しさを増し、少年の健全な成長はおろかその生活の基盤そのものをも奪いつつある。・・中略・・
 第四に、教育現場におけるいじめに対する社会全体の理解の問題がある。そもそも、文部科学省が指摘しているように、教育の現場におけるいじめは、子ども同志の葛藤、軋轢などを背景にして、いつでもどの子どもにも起き得る現象である。これに加えて、国連子どもの権利委員会が指摘する我が国の競争主義的教育環境によるストレスの増大等の要因が加わり、いじめが深刻化していくのである。・・中略・・
 以上のような問題点があることを踏まえ、当連合会は関係者及び関係機関に対し、早急に適切な対策を講ずるよう求める。当連合会は、従前より子どもの権利委員会を設けて、子どもの人権の救済と援助活動を行ってきた者として、いじめ自殺が未だ発生してしまう現状を心から憂うとともに、子どもの相談窓口の全国設置、強化などのこれまでの取組に加えて、子どもの権利に関する包括的な法律(子どもの権利基本法)の制定、子どもの権利の救済機関の設置などの活動に全力を尽くすことを誓うものである。

| 教育・研究開発::2012.4~2013.10 | 12:45 AM | comments (x) | trackback (x) |

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