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2012.8.3 労働安全衛生法から見た低線量被曝の許容限度と住民の移転に伴う賠償について
 労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)では、*1のように放射線管理区域内で放射線業務に従事する原発労働者でも、被曝限度を「5年間につき100ミリシーベルトを超えず、かつ、1年間につき50ミリシーベルトを超えないようにしなければならない」「女性は、3月間につき5ミリシーベルトを超えないようにしなければならない」と定めている。そして、これは、自ら選択して放射線管理区域内で放射線業務に従事する屈強な原発労働者が対象であり、一日24時間被曝し続けるのではなく、放射線管理区域から外に出れば被曝しないことを前提としており、食品やチリなどから内部被ばくすることはない前提である。

 一方、「帰還困難区域」「居住制限区域」「避難指示解除準備区域」の新しい区分は*2のとおりで、避難指示解除準備区域(年間積算線量が20ミリシーベルト以下)は、一見、原発労働者の女性の基準をクリアしているかのように見えるが、もしここに住んでいれば、24時間被曝し続け、身体に回復の時間を与えないという意味で、原発労働者よりも過酷である。また、食品やチリなどから内部被ばくする機会も多く、住民は健康な人ばかりではない。その上、自分で選択してその状況を選び、リスク料として高い報酬を得ているわけではないのである。

 従って、「避難指示解除準備区域」になったからといって、健康を害する心配がないわけではないことを、国は説明すべきである。その上で、居住する人に対しても損害賠償や健康管理が必要であり、移転・疎開する人にも、その自由、移転費用の負担、損害賠償、健康管理が必要である。これが、原発事故の大きさであり、原発のコストの一部なのである。なお、*3のように、福島の原発事故に対して捜査が開始され、地検が告訴・告発を受理したそうだが、住民に対して的確な情報を伝えず、命や健康を害させたことは十分に犯罪であるし、誤った組織決定に対して異議を唱えなかった個人も、人の命にかかわる判断において、あまりにも正義感に欠けすぎたという意味で責任があるだろう。

*1:http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S47/S47F04101000041.html 電離放射線障害防止規則 
(放射線業務従事者の被ばく限度)
第4条  事業者は、管理区域内において放射線業務に従事する労働者(以下「放射線業務従事者」という。)の受ける実効線量が5年間につき100ミリシーベルトを超えず、かつ、一年間につき50ミリシーベルトを超えないようにしなければならない。
2  事業者は、前項の規定にかかわらず、女性の放射線業務従事者(妊娠する可能性がないと診断されたもの及び第6条に規定するものを除く。)の受ける実効線量については、3月間につき5ミリシーベルトを超えないようにしなければならない。

*2:http://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/pdf/20120514_01a.pdf#search='警戒区域%20居住制限区域' 避難指示区域内にご自宅・事業所のある皆様へ (平成24年5月 原子力被災者生活支援チーム)
【避難指示解除準備区域】
避難指示区域のうち、年間積算線量が20ミリシーベルト以下となることが確実であると確認された地域です。同区域は、当面の間は引き続き避難指示が継続されることになりますが、復旧・復興のための支援策を迅速に実施し、住民の方が帰還できるための環境整備を目指す区域です。
【居住制限区域】
避難指示区域のうち、年間積算線量が20ミリシーベルトを超えるおそれがあり、住民の方の被ばく線量を低減する観点から、引き続き避難を継続することを求める地域です。同区域は、将来的には住民の方が帰還し、コミュニティを再建することを目指して、除染を計画的に実施するとともに、早期の復旧が不可欠な基盤施設の復旧を目指す区域です。年間積算線量が20ミリシーベルト以下であることが確実と確認された場合には、「避難指示解除準備区域」に移行することとされています。
【帰還困難区域】
5年間を経過してもなお、年間積算線量が20ミリシーベルトを下回らないおそれのある地域です。現時点で年間積算線量が50ミリシーベルト超の地域が相当します。

*3:http://www.asahi.com/national/update/0801/TKY201208010473.html (朝日デジタル 2012年8月1日) 福島の原発事故、捜査開始へ 地検が告訴・告発を受理
東日本大震災に伴う東京電力福島第一原子力発電所の事故をめぐり、東京地検と福島地検は1日、東電幹部や政府関係者に対する業務上過失致死傷容疑などでの告訴・告発をそれぞれ受理した。今後、刑事立件の可否を見極めるための捜査を始める。これまで検察当局は、事故調査への影響などを考慮して受理を保留してきた。先月23日に政府の事故調査・検証委員会の最終報告が出たことで、捜査が可能になったと判断した。今後、捜査態勢を検討するが、検察内部では刑事立件に消極的な声が多い。業務上過失致死傷容疑では(1)原発事故による被害だと断定できるか(2)事故の責任を特定の個人に負わせることができるかなどが焦点となり、立件は困難なケースが多いとみられる。

| 内部被曝・低線量被曝::2011.7~2012.8 | 11:46 AM | comments (x) | trackback (x) |

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