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2012,08,10, Friday
2011.11.20の風向き SPEEDIを使った1時間後の拡散予測 2011.12.26に記載したように、グリーンピースが、「福島原発と同レベルの事故が起こった場合」という前提で、佐賀県に対してSPEEDI( 緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)の情報公開請求を行った結果、2011.11.20の午前8時に事故が発生したと想定したところ、上図のように、北北西12.5m/sの風が吹いており、放射性物質の拡散開始から、1時間くらいで佐賀県を突き抜けて、50キロ離れた有明海まで汚染が到達すると予測された。北北西12.5m/sの風というのは、この地域で通常吹いている風であり、放射性物質のこのような飛散の仕方は典型的な形と言える。 放射性物質の拡散の仕方はどの場合でもだいたい同じだから、*1のように、「ベント装置は大気中に放出する放射性物質を低減するフィルター付きで、放射性物質の放出量は容器内の千分の1程度に抑える」場合でも、フィルターで千分の1程度に抑えた後に、どのくらいの放射性物質が飛散するのか、また、事故時以外は飛散していないのかが気になるところである。なぜなら、平時においても、右図の細長い領域近くで白血病や甲状腺癌が多いと聞いたことがあり、私の実家もその領域付近にあるからだ。 なお、SPEEDIは、瓦礫の広域焼却処理をした時に、放射性物質が主にどの領域に飛散して集まるのかを知る上でも有用だそうだ。他の関連地域の皆さんも、調査しておいた方がいいのではないだろうか?調査方法には、病院から、原発立地地域及び近郊の地域で、白血病、癌、心疾患などの放射能関連疾患を発症した人の居住地を出してもらい(プライバシーがあるため、男女別、年齢は必要であるが、個人名は不要)、それとSPEEDIで予想される放射能の拡散及び濃度を比較する方法などが考えられる。 *1: http://www.saga-s.co.jp/news/saga.0.2258093.article.html 玄海原発に免震棟 ベント装置も整備 (佐賀新聞 2012年8月1日) (ポイント)九州電力は31日、政府が4月に示した原発の安全基準に基づき、事故時に現場の対応拠点となる免震重要棟と、格納容器内の圧力を下げるためのベント装置を玄海原発(東松浦郡玄海町)に整備すると発表した。ベント装置については、玄海原発など格納容器が大きい加圧水型では「必要性は疑問」としながらも、「地元理解と安心安全のための措置」と説明。いずれも近く基本設計に入り、免震棟は2015年度、ベント装置は16年度内の整備を目指す。免震棟は、07年の新潟県中越沖地震で柏崎刈羽原発(新潟県)の事務棟が被災して使用不能となったことを教訓に、東京電力などが設置。福島第1原発でも事故対応で活用された。計画では、揺れを抑える構造の鉄骨鉄筋コンクリート造り3階建て(延べ床面積6平方メートル)1棟を建設。基準地震動(540ガル)の2倍程度まで耐えられる設計にする。放射性ヨウ素を除去する空調設備や原子炉の温度、圧力を監視するモニターのほか、事故対応に当たる作業員の高線量被ばくを避けるための休憩室や除染設備、非常用電源などを整備。首相官邸などとテレビ会議などができるように通信設備も整える。ベント装置は大気中に放出する放射性物質を低減するフィルター付きで、各基に一つずつ設置。九電は「放射性物質の放出量は容器内の千分の1程度に抑える」としている。
| 内部被曝・低線量被曝::2011.7~2012.8 | 11:52 AM | comments (x) | trackback (x) |
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2012,08,10, Friday
*1のウォールストリートジャーナル記事のように、アメリカでは、福島第1原発事故を受けて、使用済核燃料への対応が連邦環境基準に合致していないとの判決が出て、解決策が出ない限り原発の認可はしないとしている。
一方、日本では、*2のように、経済団体(=経済産業省)が「日本が安全性の高い原発の建設に貢献する必要があるため、原発ゼロは国益にかなわない」と主張しているが、我が国は、政府も事業者も、福島第1原発事故が自国で起こったにもかかわらず、アメリカのような検討をすることもなく、*3、*4のように危機管理に甘く、事故原因も「わからない」としており、原発を使う資格などないのである。 このような倫理観を持ち、原発を安全に運転するための基本的認識すら持っていない国が、より安全性の高い原発の建設で世界に貢献することなどできるわけがない。そのため、原発にかかる膨大な予算も考えれば、日本の立場を活かして、原発・原爆の両方について世界で核廃絶をリードしていく方が、よほど人類に貢献できると考える。 *1:http://jp.wsj.com/US/node_491135 (ウォールストリートジャーナル 2012年 8月 8日) 米NRC、原発認可手続きを停止 (ポイント)コロンビア特別区巡回控訴裁判所は6月、NRCの使用済み核燃料への対応は連邦環境基準に合致していないとの判断を示した。・・中略・・控訴裁判所は、必要になれば最終処理場が建設されると見るべき「合理的な保証」があるとしたNRCの見解を退けた。また、使用済み核燃料は原発の認可期間を超える60年間にわたり、プールあるいはキャスク(使用済み燃料用容器)の中で安全に貯蔵できるだろうとするNRCの主張も認めなかった。同裁判所は、プールからの漏れはこれまで害がなかったとNRCが考えたとしても、NRCはこれまで以上の漏れやその他の事故の可能性とその結果を評価しなければならないとした。・・中略・・原発業界の業界団体である原子力エネルギー協会(NEI)のゼネラルカウンセル、エレン・ギンズバーグ氏は、連邦政府は電力会社の使用済み核燃料問題を解決するための「法令上の義務を果たしていない」と強調した。 NRCの広報担当者によると、NRCスタッフは今後数週間のうちに、判決に対処するためのいくつかの選択肢をNRCの5人の委員に送るという。原発運営会社はこれまで、使用済み核燃料は長期間置いておいても安全であることを請け合うために、原発敷地内での貯蔵を増やす用意があるとしている。これらの企業は、NRCがこの方法を選択すれば、これが業界全体の基準になるだろうと期待している。環境保護活動家らは、プールの漏れや、火災などでプールの水が沸騰して蒸発したり、流出したりする危険性があるとしている。こうした懸念は福島第1原発事故のあと、一段と深刻なものとなった。 *2:http://www.asahi.com/business/update/0808/TKY201208080473.html (朝日新聞 2012年8月8日)「原発ゼロ、国益にかなわない」 経済同友会が意見書 経済同友会は8日、政府が示した原発依存の割合の3選択肢について、意見書をまとめた。中長期的には依存度を一定水準まで下げる「縮・原発」が望ましいとしつつ、2030年に原発を0%とする案は「採るべき道筋ではない」と否定した。15%案と20~25%案には言及しなかったが、原発の必要性は打ち出した。 長谷川閑史代表幹事は記者会見で「日本が原発をやめようにも、海外には原発があり増設もされる。より安全性の高い原発の建設に貢献する必要があり、今の段階で原発ゼロを選ぶのは国益にかなわない」と述べた。 政府は8月末までに結論を出す方針だが、同友会は決定を急がないように要望。経済や国民生活の観点から、今は「原発ゼロ」が難しいと国民に納得してもらう努力をするよう迫った。 *3:http://www.asahi.com/national/update/0808/TKY201208070837.html (朝日新聞 2012年8月8日) 東電、水素爆発確認せず広報 「保安院が言ってるから」 東京電力福島第一原発3号機の爆発をめぐり、東電が確証のないまま政府の発表を追う形で「水素爆発」と広報していたことが、報道機関向けに限定開示したテレビ会議の加工映像からわかった。事故直後の混乱の中で、国民への説明責任を軽視していた東電の姿勢を示すものだ。昨年3月12日に1号機が水素爆発したのに続き、14日午前11時1分に3号機で爆発が発生した。問題の場面はその後、午前11時半ごろの本店の映像だ。記者発表の文面を検討する中、本店で清水正孝社長の隣に座る高橋明男フェローの次の発言が映像に残っている。「要はさ、1号機を3号機に変えただけだってんでしょ。それで水素爆発かどうかわからないけれど、国が保安院が水素爆発と言っているから、もういいんじゃないの、この水素爆発で」・・・ *4:http://www.yomiuri.co.jp/feature/20110316-866921/news/20120807-OYT1T00260.htm (読売新聞 2012年8月7日) 東電本店、吉田所長に「なんか知恵ないの?」 東京電力が6日に公開した福島第一原子力発電所事故直後のテレビ会議映像には、2、3号機の初期注水の失敗に至った過程が生々しく描き出されていた。政府の事故調査・検証委員会が指摘した、後手後手に回った対応が詳細に浮かび上がった。(肩書は当時) ◆3号機 大津波の襲来後ほとんど注水できず、昨年3月12日に水素爆発を起こした1号機と異なり、3号機は13日まで外部電源がなくても稼働する高圧の注水系(HPCI)で原子炉を冷やしていた。そのためビデオ映像からは緊迫感は伝わらない。設備損傷の恐れがあったため、現場の当直が同日午前2時42分にHPCIを手動停止し、その約1時間後に吉田昌郎第一原発所長が本店に報告。原子炉の生命線である注水が途切れる緊急事態だったが、本店は「いったん停止、了解」など淡々とした対応に終始した。第一原発、本店ともに積極的に対応策を議論した形跡はなかった。現場に緊張が走ったのは同5時58分。既に1時間半以上前に燃料が露出し始めていたという試算結果に、吉田所長が「えっ、そんなに前なの?」と驚いた。さらに、炉内の圧力が高すぎて消防車では注水できないことを認識するなど、対応は後手に回った。そして、減圧に必要な弁を開くために必要なバッテリーを作業員の車からかき集めようとしたが、敷地内の放射線量が上がり、防護マスクが足りず車にさえ近づけなかった。政府事故調が問題視する約6時間半の「注水の空白」の実態がうかがえた。 ◆2号機 2号機のかろうじて動いていた高圧の代替注水系(RCIC)の異変は14日昼頃に見え始める。吉田所長は同日午後1時過ぎに原子炉の水位低下を確認し、計器類の点検などを指示した。「(1、3号機と)同じ思いをしたくない」との気持ちがあった。しかし、現場の連絡体制は混乱。海水注入の準備状況がつかめない事態に、吉田所長が「ドアホ。ったく。訳のわかんないのに聞くな」と、罵声を響かせる場面もあった。ただ、現場は「焦るような状態じゃない」と楽観視する雰囲気も漂っていた。午後4時34分、事態の深刻化が決定的になる。3号機と同様に、消防車による注水に不可欠である原子炉の減圧作業に入るが、「圧力の低下が見られません」との報告が現場から上がる。吉田所長は「もっと真剣に対応してくれよ」といらだちを募らせた。減圧できない状況は想定しておらず、本店の高橋明男フェローが「なんか、知恵ないの?」と発言。八方ふさがりの行き詰まった状況が浮かび上がる。同8時過ぎに「5分くらい前から水が入り始めたようです」と吉田所長は話したが、すでに炉心損傷は深刻で、同9時18分には圧力容器の損傷に至ったとされる。
| 原発::2012.8~9 | 01:02 AM | comments (x) | trackback (x) |
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