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2012,10,18, Thursday
橋下徹大阪市長の出自を報じて評判を落とそうという記事に対し、私は、最初に見た時から筋の悪さを感じていた。そして、*1の橋下大阪市長の発言はもっともだと思う。そもそも公人である政治家については、その人の政策、実績、実行力で評価するのが当たり前であり、性別や門地でこきおろすのは良識に欠ける。そのようなマイナス要因を克服して抜きん出てきた人は、そうでない人よりも、むしろ能力があったり、人一倍頑張ったりして、その悪条件をクリアしてきた人だということを忘れてはならない。
日本国憲法では、第13条で「すべて国民は、個人として尊重される」、第14条で「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において差別されない」と定められており、メディアの「言論の自由」や「表現の自由」がこれに優先するものではない。それにもかかわらず、*2のように「ハシシタ 奴の本性」として「橋下氏の血脈」をたどり「本性をあぶり出す」としているのは、差別に基づく優越感そのものだが、週刊誌の編集部は、そのようなことをいちいち抗議されるまで気がつかないのか。 私も、女性であることで、「控えめでなく傲慢だ」「論理性がなく感情的だ」「細かいだけで仕事ができない」「部下を使えない」等々、世の中にはびこっている女性に対する先入観や偏見を利用した卑怯な悪口雑言により評判を落とされたことがたびたびある。しかし、私のこれまでの経歴や実績から、それは全く当たっていない。そのため、そのような先入観や偏見のある悪条件の中でも頑張ってきたやる気と能力のある人の足を引っ張るのは、全く卑怯な人間のすることであり、国益にもならないと心から思っている。 このような差別を撲滅するには、日本もアメリカのように公民権法を作って、Affirmative Actionを行うくらいの決意が必要だろう。 *1:http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/329539 (西日本新聞 2012年10月17日) 橋下氏、朝日新聞に見解表明要求 週刊誌報道で 日本維新の会代表の橋下徹大阪市長は17日、自身の出自を報じた週刊朝日の記事をめぐり、朝日新聞に対し「先祖によって全てが規定されるということが前提の新聞社だと宣言してもらえれば、その前提で僕も付き合う。議論させてもらいたい」と述べ、見解を公式に示すようあらためて要求した。18日に予定されている記者会見などの取材機会を想定している。週刊朝日を発行する朝日新聞出版は、朝日新聞出版本部が分社化され2008年に発足した完全子会社。広報担当者は「朝日新聞社や朝日放送は別会社。同誌を含め、当社の刊行物は当社が責任を持って独自に編集している。今回の記事は、公人である橋下徹氏の人物像を描くのが目的だ」とコメントした。橋下氏は「血脈とか先祖を暴き出すのが政治家へのチェックだと、堂々と掲げる団体はナチス以下だ」と厳しく批判した。 *2:http://mainichi.jp/select/news/20121019k0000m040083000c.html (毎日新聞 2012年10月18日) 橋下市長:週刊朝日「不適切な記述」と謝罪 取材拒否問題 橋下徹大阪市長が、自らの出自に関する週刊朝日の記事を巡って朝日新聞の取材を拒否している問題で、週刊朝日は18日、「不適切な記述があった」などと謝罪するコメントを出した。次号でおわびを掲載し、連載を続けるかどうかも協議するという。記事は、週刊朝日(10月26日号)が連載を始めた「ハシシタ 奴の本性」。ノンフィクション作家の佐野眞一氏らが執筆し、橋下氏の実父の縁戚者へのインタビューなどを掲載。「橋下氏の血脈」をたどり、「本性をあぶり出す」としている。週刊朝日の河畠大四編集長は「同和地区を特定するような表現など不適切な記述が複数ありました。橋下市長をはじめ多くのみなさまに不快な思いをさせ、ご迷惑をおかけしたことを深くおわびします。差別を是認したり、助長したりする意図は毛頭ありませんが、不適切な記述をしたことについて深刻に受け止めています」とコメントした。これに先立ち、橋下氏は18日の記者会見で、「(記事は)血脈主義や民族浄化主義につながる危険な思想」と指摘し、朝日新聞の見解を求めた。同紙記者は「週刊朝日とは編集権が別」として見解を示さず、橋下氏は取材拒否の継続を決めた。橋下氏は、記事が実父の出身地を巡る記述で橋下氏の人格否定につなげていると指摘。「差別を助長し、社会的に許されない」と批判した。また、朝日新聞が同誌を発行する「朝日新聞出版」に出資していることを問題視し、「血脈主義を認める団体」と批判。記者団からは週刊誌とは編集権が異なるとの指摘が相次いだが、橋下氏は「親会社なら子会社の方針を決められる」と受け入れず、記事に賛同しないなら出資をやめるよう要求した。朝日放送については、「週刊朝日と同一視できない」として取材拒否を撤回した。 PS(10月20日追加):*3のように、連載中止は当然だろうが、被害者は謝罪されたからといって元には戻らない損害を受けているため、橋下氏のコメントはよくわかる。また、記事は、ノンフィクション作家の佐野眞一氏と『週刊朝日』との共同作品と書かれているので、記事内容にはノンフィクション作家の想像がかなり含まれているのだろうが、これで、民主主義の基盤をなす「知る権利」として、有権者に対して公人に関する情報を提供していると称するのはずうずうしすぎる。なぜなら、事実ではない空想を含む記事は、有権者にとって百害あって一利なしだからだ。ちなみに、ソフトバンクの孫正義社長を描いた「あんぽん」を読んだことがあるが、佐野眞一氏は、成功者に対して素直に褒めるのではなく、斜視的なフィルターを持って人間分析をする人だ。 *3:http://mainichi.jp/select/news/20121020k0000m040075000c.html (毎日新聞 2012年10月19日) 週刊朝日:橋下市長記事の連載中止 橋下徹大阪市長の出自に関する週刊朝日の連載を巡り、橋下氏が朝日新聞の取材を拒否している問題で、同誌を発行する朝日新聞出版(東京都中央区)は19日、連載を中止すると発表した。「同和地区などに関する不適切な記述が複数あったことを深刻に受け止めた」とし、連載を1回目で打ち切る異例の対応をとった。発表を受け、橋下氏は同日夜、「ノーサイド」などと自らのツイッターに書き込んでおり、取材拒否は解除される見通しになった。記事は同誌が10月26日号で連載を始めた「ハシシタ 奴の本性」。河畠大四(かわばただいし)・同誌編集長はコメントを発表し、「連載の継続はできないとの最終判断に至りました。橋下市長をはじめとした関係者の皆様に、改めて深くおわび申し上げます」と謝罪、「全責任は当編集部にあり、再発防止に努めます」などと釈明した。朝日新聞社広報部も「当社から08年に分社化した朝日新聞出版が編集・出版する『週刊朝日』が今回、連載記事の同和地区などに関する不適切な記述で橋下市長をはじめ、多くの方々にご迷惑をおかけしたことを深刻に受け止めています」とコメントした。これに対し、橋下氏は自らのツイッターで「今回の件で僕の子どもにどれだけの影響があるか、じっくり想像しろ。謝って済む話ではないことは分かるだろ。それでも最後のところで謝罪と連載打ち切りにした。これでノーサイドにしてやる」と書き込んだ。記事を執筆したノンフィクション作家の佐野眞一氏は、朝日新聞出版を通じコメントを発表。「記事は『週刊朝日』との共同作品であり、すべての対応は『週刊朝日』側に任せています」と説明し、「記事中で同和地区を特定したことなど、配慮を欠く部分があったことについては遺憾の意を表します」とした。 PS(10月24日追加):*4の記事のように、橋下市長が「鬼畜集団」等と言ったことについては、今日、本人がTVで謝罪しておられたが、私もこの言葉はよくないと思った。しかし、政治的見解が異なるからといって、差別され、家庭を破壊の危機に追い込むようなことまでされれば、ここまで頭に来るのはよくわかる。また、それだけ失礼な記事を書いておいて、週刊朝日は、謝罪記事を掲載した週刊誌を朝日新聞出版の社員が22日に市職員に手渡しただけだというが、それでは謝ったことにはならない。責任者が、その週刊誌を持参して事の次第を説明し、丁重に謝るべきだ。 私も週刊文春の嘘記事で、これまでの人生や実績を否定され、全く逆のイメージを作られて社会的評価を落とされた。そのため、週刊文春を名誉棄損で提訴しているが、週刊文春側は、「報道機関は、『公人』である政治家については、嘘を書いても、『言論の自由』『表現の自由』で護られ、それが国民の知る権利に資する」と主張してきた。しかし、実際には、守旧派側について改革派の政治家を嘘記事で叩いているのだから、国民の知る権利に資しているなどと言うのはおこがましい。また、*5のように、東国原前宮崎県知事も「知事時代の実績を抹殺するもの」として週刊文春記事を提訴したそうだが、一般の人が信じやすい偏見を利用して嘘記事を仕立て、その人を抹殺しようとしている点で私の記事と同じ構図である。政治家が泣き寝入りしていたのでは、決してこの現状は改善されず、本当の民主主義社会は来ないので、それぞれ頑張って欲しい。 *4:http://mainichi.jp/select/news/20121023k0000m040050000c.html (毎日新聞 2012年10月22日) 橋下市長:週刊朝日は「謝り方も知らない鬼畜集団」 橋下徹大阪市長は22日、自身の出自に関する週刊朝日の連載を巡り、おわびが掲載された同誌が市役所に届いたことを明かし、「謝り方も知らない鬼畜集団」などと批判、公開の場で直接謝罪するよう求めた。記事を執筆したノンフィクション作家の佐野眞一氏に対しても「佐野を(社会的に)抹殺しに行かないといけない」などと激しい言葉を並べた。 市によると、同誌を発行する朝日新聞出版の社員が22日に市職員に手渡したという。橋下氏は大阪市内で記者団に「僕は子供に、謝る時は週刊誌を送りつけて終わりという育て方はしていない」と批判。同誌が橋下氏の実母に、記事を掲載した週刊誌を送り、取材を求めたことを明らかにし、「人間じゃない。鬼畜、犬猫以下。矯正不可能だ」などと激怒した。また、佐野氏についても「向こうはペンの力で僕(や家族)を殺しにきた。佐野を抹殺しに行かないといけない」「僕と同じくらい異常人格者だ。佐野のルーツを暴いてほしい」などと話した。連載は同誌が10月26日号で始めた「ハシシタ 奴の本性」。同誌は2回目以降の連載休止を決めている。23日発売の11月2日号では2ページにわたる「おわび」を掲載した。 *5:http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/121023/trl12102311580001-n1.htm (産経 2012.10.23) 東国原前知事が文春を提訴 女性との性的関係記事「全くの事実無根」 宮崎県知事時代の女性関係について報じた週刊文春の記事で名誉を傷付けられたとして、東国原英夫前知事が23日、発行元の文芸春秋を相手取り、2200万円の損害賠償や謝罪広告の掲載を求める訴えを東京地裁に起こした。問題となったのは9月20日号の記事。県庁や後援会の関係者の話として、東国原氏が在任期間中に県職員を含む20人以上の女性と性的関係を持ち、知事室内で職員とみだらな行為に及んだなどと報じた。東国原氏は訴状で「知事としての品位や社会人としての常識に欠けるとの印象を与える記事で、社会的評価を低下させた」と訴えている。東国原氏は23日、東京・霞が関の司法記者クラブで会見し、「全くの事実無根。知事職にあった4年間を冒(ぼう)涜(とく)された」と文春側を非難した。週刊文春編集部は「記事には十分自信を持っている」とコメントした。
| 報道の問題点::2012.4~2012.10 | 05:18 PM | comments (x) | trackback (x) |
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