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2012.10.27 日本の男女差別の結果は、日本経済にプラスだったのか?
        
        日本のGDP成長率の推移           2012年版男女格差報告(東京新聞より)

 *1、*2のように、「世界経済フォーラム」が「経済・教育・政治・健康」の4分野で、各国の女性の地位を分析したところ、日本は、政治・経済の分野で決定権のある管理職や役員女性の割合が極端に低く男女格差が大きいという結果だった。これは、大学卒業後ずっと働く女性をしてきた私の経験とも一致しており、女性の教育レベルは上がり、就業率も上昇しているので、「決定権を与えられるような女性の人材はいない」という言い訳は成り立たず、わが国の多くの組織が、女性就業者を決定権のある管理職や役員に育てることに消極的だったことを意味する。これは、わが国の内閣府男女共同参画局から出ているHPの政策・方針決定過程への女性の参画をめぐる状況 (http://www.gender.go.jp/pamphlet/pamphlet-main/pdf/2011_12.pdf )でも明らかにされている。

 1979年に第34回国連総会において女子差別撤廃条約が採択されて後、わが国は、1985年に最初の男女雇用機会均等法を作り、同1985年にその条約に批准したが、最初の男女雇用機会均等法は、制度創設時に努力義務という骨抜きのものにされた。そして、同じ1985年、厚生年金にサラリーマンの専業主婦に対する3号被保険者制度という「専業主婦の奨め」を行う制度が創設されたのである。この時点で企業がとった行動は、女性雇用者を総合職と補助職に分け、補助職の女性には男女平等の扱いを適用しないとしたことであった。そして、1997年に(私発で)男女雇用機会均等法が改正され男女平等の扱いが徹底して義務化された後は、企業は、多くの女性労働者を非正規や派遣労働者に切り替えて、男女平等の扱いを骨抜きにした。この間、メディアは、ドラマ、歌謡曲、報道を通して、「結婚したら仕事を辞めて専業主婦になる女性」を推奨し、「自分では判断力がなく馬鹿な女性が男性について行く」イメージを放送し続けて、国民の”常識”を作り上げた。そして、この”常識”を受け入れた女性を”大人の女性”と呼ぶようにしてしまったのである。しかし、他国は、この間、真面目に問題解決に取り組んでいた。

 そのような行動の結果、何がもたらされたかと言えば、上の左図のように、わが国は、外国の真似ではなく需要から経済政策を作っていかなければならなくなった1975年以降、経済成長率が伸びなくなった。なぜなら、電車と車が好きで、家庭の資金繰りに参加したことがなく、職の確保と所得の額にしか関心のない男性ばかりで意志決定を行った結果、国の予算は、鉄道・道路などの公共事業と経済効果の小さな景気対策にまわされ、本物の需要が増加した保育・学童保育・介護を経済に取り込むことができず、衣食住や環境への意識が低くなり、国民生活を犠牲にして財政赤字を増やすばかりとなったからである。つまり、人口のうちの男性だけという特殊な半数の中から有用な人材を選抜したため、人材の半分しか活用できず、生活・生存系の問題解決や実需からのアプローチが苦手になっていたのである。

 そして、*3を見てもわかるように、内部被曝、低線量被曝のリスクから逃れるべく、父親はついて来ずに母子だけで自主避難している人に対して、「放射能は安全だ」「“風評被害”をまき散らすな」と決めつけた主張をしているのは多分男性である。男性は食品や健康に関して無頓着な人が多いが、女性は、食品や健康に関する知識を持ち、これらに注意しながら家事を担当している人が多い。そのため、女性が発言権を持つことは、大変重要なのである。本来は、その性的役割分担ももっと見直すべきだが、今のところ、非常に偏った知識と感性で意志決定がなされているということだ。

 従って、立法、行政、司法もそうだが、私の経験では、報道にも、ものすごいジェンダーを含んだ歪んだものが多く、決して中立ではない。そして、これは、国民が真実を知る権利にはむしろ害となっている。そのため、それぞれの報道機関における分野毎の責任ある地位にいる女性記者・管理職・役員の割合やこれまでの採用・配置・昇進・退職及び編集の方針など、都合の悪い情報も含めて公表し、真摯に今後の対応策を考えるべきである。また、社内にチェック機関を設ける必要もあろう。その判断の基準は、上位圏にある国のやり方を真似すればよい。他国は進んだため、もう真似する相手ができたのだから・・・。

*1: http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye5164563.html (TBS 2012年10月24日) 「男女平等」101位、働く日本の女性は
(ポイント)24日、世界135か国で「男女平等」がどれだけ実現されているか、ランキングが発表されました。上位を北欧の国々が占めています。アメリカは22位、中国は69位、そして日本は101位と昨年の98位から後退し、先進国の中では最下位でした。135か国中101位。24日発表された「世界男女格差報告書」で、日本は依然として「男女の格差が大きい」と指摘されました。
 「ダボス会議」などを主催する「世界経済フォーラム」が、各国の女性の地位を「経済・教育・政治・健康」の4分野で分析。各分野で男女格差の8割以上を解消した北欧諸国が、例年通り上位を占めます。アメリカは前年より順位を5つ下げて22位。中国は69位、女性の労働参加が高いことが順位を押し上げました。世界では、政治と経済の分野で女性の進出が続きます。日本の敗因はまさに、この分野にありました。現内閣の中で女性大臣はただ1人。女性議員数そのものが減るなど、男女格差が広がっています。女性の就業率は上昇しました。しかし、決定権がある管理職や役員となると、とたんに女性の数は減ってしまいます。政府は2020年までに「指導的地位の女性割合を30%にする」と目標を掲げますが、いまだほど遠い状況です。

*2:http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121024-00000052-cnippou-kr
(中央日報日本語版 10月24日)男女平等度、韓国は世界最下位圏の108位…日本は101位
 韓国社会の男女平等度が世界最下位圏であることが調査で分かったと、韓国メディアが24日報じた。報道によると、世界経済フォーラム(WEF)は23日(現地時間)、年次男女格差報告書を発表し、韓国の男女平等度は調査対象国135カ国のうち108位で、昨年より順位が一つ落ちたと伝えた。これはアラブ首長国連邦(107位)、クウェート(109位)、ナイジェリア(110位)、バーレーン(111位)などアラブ・アフリカ国家と似たレベル。指標別に見ると、韓国女性の経済参加度と参加機会指数(116位)はもちろん、教育程度指数(99位)と健康・生存指数(78位)、政治力指数(86位)も下位圏にとどまった。
 一方、世界男女平等度1位はアイスランドで、フィンランド、ノルウェーなどが後に続くなど、北欧国が上位に並んだ。最下位圏はアフリカ・チャド(133位)、パキスタン(134位)、イエメン(135位)など。アジア太平洋地域ではニュージーランド(6位)、フィリピン(8位)、豪州(25位)、スリランカ(39位)、モンゴル(44位)などの順に高く、中国は69位、日本は101位にとどまった。

*3:http://mytown.asahi.com/fukushima/news.php?k_id=07000131210090001 
(朝日新聞 2012年10月10日) 自主避難への理解
 「こういう人たちが、県外で風評被害をまき散らしているんです」 県総合計画の見直しで、県が各地で開いている地域懇談会で出た発言だ。総合計画審議会委員の一人が、母子だけで自主避難している人についてそう言い放った。「経済的にも余裕がある人たちです」「正しい知識をもってもらいたい」。二重生活の出費に耐えられる、という点では「余裕がある」かもしれない。だが、取材した限り、出費を切り詰めギリギリの生活を続けている家庭が大半だ。前向きに新天地で暮らす人たちがいる半面、「風評被害をまき散らす」どころか、いじめや嫌がらせを恐れ、「福島から来た」とも言えず、身を隠すように暮らし、福島を思って涙する。そんな人も多い。県総合計画は来年度から8年間、復興計画も含めて県の施策の指針となる。この委員がどの程度、見直しにかかわるか知らないが、県は人選をもう少し考えた方がいい。


PS:*4の海洋生物学者レイチェル・カーソンも女性だ。私も環境税の創設等々、環境系の政策提言を多く行ったが、佐賀三区内の農協を訪問した時に、女性職員が、界面活性剤の入っていない洗剤を使うようにしようと朝礼で呼びかけていたのを聞いて、「農業地域は、そこまで気をつけて農産物を作っているのだな」と感心したものである。

*4:http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2012102102000148.html  (東京新聞社説 2012年10月21日) 週のはじめに考える 「沈黙の春」と原子力
 先日、農協が原発と農業は共存できないと宣言しました。それは農業に限らないでしょう。私たちは自然なくして生きられず、共に暮らしているのです。自然環境について言えば、今年は、あのアメリカの海洋生物学者レイチェル・カーソン(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AC%E3%82%A4%E3%83%81%E3%82%A7%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%82%BD%E3%83%B3)が「沈黙の春」を出版してからちょうど五十年になります。その本は述べます。食料増産の中で農薬が大量に使われ、鳥や虫などが死に、春は黙りこくってしまった、と。
◆巻き起こった大論争
 誤解のないように説明をしますと、彼女は農薬一切の使用禁止を言ったのではありません。その毒性、生命体に対する極めて強い影響力について、農民、国民によく知らせないまま使わせているのはおかしい、と言ったのです。アメリカでは大論争を巻き起こしました。農薬散布を勧めていた政府や、農薬を製造する化学工業界などが強い圧力をかけました。同調する学者もいました。「殺虫剤の使用をやめたら害虫の支配する暗黒の時代がやってくる」と。当時のケネディ大統領は、大統領科学諮問委員会に農業委員会を特に設け調べると約束しました。その調査の結果、委員会は、カーソンの告発が出るまで、国民は農薬の毒性を知らされていないことが明確になった、と報告したのです。悪い情報も開示せよ、と求めたのです。よい効能ばかりを聞かされてきたアメリカ国民は、やっと危険性を知らされるわけです。半世紀も前のことですが、それが今の原発問題と、何と似ていることか、また似ていないことか。似ているのは、国民が危険性をよく知らされなかったこと。それが政府や業界、御用学者らによっておそらくは覆い隠されてきたこと。似ていないこととは、悪い情報の開示が日本ではなお不十分だと思われることです。
◆国を内から滅ぼすもの
 国が運転の許認可をしている以上、国民にはその良い面と悪い面を知る権利があります。
また、政府が十分だと見なしても、国民の大方が不十分と考えれば、それは十分ではないのです。政治家は説明責任という言葉をよく口にしますが、軽々に使われては困ります。それは悪い情報も開示した上で、論理的に相手に通じなければなりません。
 カーソンに話を戻せば、「沈黙の春」出版のずっと前、一九五三年八月、彼女の投書がリーダーズ・ダイジェストに載りました。訴えはこうでした。「…自然界の真の富は、土壌、水、森林、鉱物、野生生物等、この大地の恵みの中にあります。将来の世代のためにこれらを確実に保存しなければならず、利用するには、広範囲の調査に基づく緻密な計画を立てねばならない。これらのものの管理は政治の問題とは全くちがったものなのです」(ポール・ブルックス著「レイチェル・カーソン」新潮社より)
 それは工業化社会へ急速に向かうアメリカ、また世界への警告でした。投書は、また彼女の元上司を解雇する非を指摘します。当時の大統領は、共和党に担ぎ出されたアイゼンハワー。彼は防衛産業に強くGM社長のウィルソンを国防長官に、国際派の弁護士ダレスを国務長官に任命するなど財界、民間人を登用(この時期に軍産複合体制が確立)。その中でクビを切られたのが、キャリア三十五年、人望篤(あつ)く公共の自然の収奪に断固反対してきた魚類野生生物局長アルバート・デイ氏。クビを切ったのはビジネス界から来た内務長官。投書はこう結ばれていました。「自然保護の問題は国家の死活にかかわります。政治(政略)的考えの行政官は資源の乱用と破壊の暗黒時代に引き戻す。国防に熱心な一方、内側から国を滅ぼすものに無関心ではいられない」内側から国を滅ぼすとは、何と厳しい警告でしょう。しかし彼女の学者としての真剣さがそう言わせるのです。
◆告発から半世紀を経て
 同じように、福島原発事故を経験、また見聞した農業従事者らは思わざるをえないでしょう。都市生活者が恐れるべきは、その体感のなさかもしれません。農協の将来的な脱原発宣言とは、そういう意味合いを日本に与えています。殺虫剤の代表格DDTは大多数の国で使用禁止になりました。他方、原発事故で降る放射性物質は自然をひどく、かつ長く汚染し、核のごみは半永久的に残ります。「沈黙の春」の告発から半世紀。その教示を、私たちはずいぶん学んできましたが、まだ学びきれていないものもあります。それは核のもたらす汚染であり、カーソンなら国を内側から滅ぼすもの、というかもしれません。

| 男女平等::2011.12~2013.5 | 08:53 AM | comments (x) | trackback (x) |

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