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2012,11,04, Sunday
経済産業省のリーダーシップと日本企業の経営のまずさに関して、もう一つ事例を上げて説明すれば、それは、日立のイギリスでの原発事業会社買収である。日本でもまもなく、電力自由化、発送電分離が進み、その結果として原子力発電はコストと環境の両方の観点から淘汰され、脱原発は世界に伝播するだろう。
ドイツ・イタリア・リトアニアなど、先進国の多いヨーロッパではすでにその動きが出ているのであり、日立が過去の技術にさらに金をかけて「ホライズン・ニュークリア・パワー」を850億円で買収するなどというのは、経営判断の失敗から破綻に向けた前奏曲としか思えない。私は、日本の大切な企業を破綻させないためには、この買収を、早く白紙に戻すことをお奨めする。 しかし、こういう経営意志決定になってしまう理由について、私は、経済産業省及び企業経営者に法学部卒が多く、「中庸」「利益バランス→妥協」「協調」や「(法律のように)決めたら世の中はそうなる」という意識がその根底にあるからだと思う。しかし、技術は、変る時にはぱっとすべてが変るので、「中庸」「妥協」「協調」というのは、技術が時代に先駆けて変化しようとする時に、足を引っ張る要因となる。また、自然現象や市場は、人間が「こうしよう」と決めたからといってそうなるものではない。 そして、経営には、「何が時代をリードし、変えていく技術なのか」「それを、自分の会社では、どのように体現するか」「そのために、中長期的に資金繰り・利益計画が対応できるのか」などを、同時に考慮して判断する能力が求められる。そのため、経営チームは、それに関する知識と経験のすべてを満たすように、人材を揃えておかなければならないのだ。 なお、これに関するメディアの罪は、真実を追求して報道してこなかったため、多くの人が原発事故を過小評価し、このような意志決定がなされる土壌を作っていることである。 http://www3.nhk.or.jp/news/html/20121031/k10013133991000.html (NHK 10月31日)日立 英原発事業会社買収で海外強化へ イギリスで原子力発電所の建設を計画する発電会社を買収することを決めた大手電機メーカーの「日立製作所」はロンドンで記者会見し、イギリスなどの関連メーカーとも提携して原発事業に取り組む方針を強調しました。イギリス国内の2か所に最大で6基の原発の建設を計画している発電会社「ホライズン・ニュークリア・パワー」をおよそ850億円で買収することを決めた日立製作所は、30日、イギリス政府などと共同でロンドンで記者会見を開きました。イギリス政府は、日本の原発事故のあとも原子力をエネルギー政策の柱の1つとする方針を変えておらず、会見でデービーエネルギー・気候変動相は「安全性に懸念はなく、雇用などの経済効果が高い」と強調しました。一方、日立は、今後、イギリスなどの関連メーカーや電力会社と提携を深めていくことを明らかにし、日本での原発事業の先行きが不透明さを増すなか、海外での原発事業のノウハウを蓄積していく考えを示しました。日立は、リトアニアでも原発建設の受注に向けて交渉を進めてきましたが、国民投票で建設反対が多数を占めたことを受けて、リトアニア政府が計画を見直す可能性が出ています。こうしたことから、海外での原発事業を拡大するうえでは、各国の政府の方針とともに国民世論の動向も大きな鍵になりそうです。
| 経済・雇用::2012.9~2013.6 | 01:17 AM | comments (x) | trackback (x) |
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