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2012.11.5 経営意志決定に過去を引きずるため、時代の追い風を十分に生かしきれない日本企業のケース
   

 トヨタ自動車が、営業利益を8月時点の予想から500億円多い1兆500億円に引き上げることができたのは喜ばしいことだが、これには、東日本大震災からの生産回復と復興需要、中国市場に偏りすぎないリスク分散、エコカー減税及びエコカー補助金の効果がある。一回目のエコカー減税とエコカー補助金は、2009年4月10日に、私発で麻生政権において導入され2010年9月まで続いて効果を発揮した。私は、環境税も有毒ガスの排出量に応じてかけ、この財源にしたいところだったが、リーマンショックのすぐ後で、かつ総選挙の直前であったため、これは反対され当時は実現しなかった。

 そして、電気自動車の市場への導入も1995年頃、私が経済産業省に提案して始まったことだが、その後、トヨタは、ハイブリッド車という従来型のガソリン車に電動機能を備えた自動車を開発して発売するという戦略をとった(プリウス:1997年発売)。これに対し、日産自動車は、ゴーン社長のリーダーシップの下、完全な電気自動車を開発・販売した(リーフ:2010年12月発売)。*1と*2を比較すれば、ハイブリッド車の方が市場で支持されているかのように見えるが、私は、そうは思わない。

 その理由は、ハイブリッド車には、ガソリン車の機能も合わせ持たせているため、軽量化やデザインの自由さなどの電気自動車の利点を失っている上、燃料にガソリンを使うことで、まだ環境に負荷をかけているからだ。それでも、ハイブリッド車という選択をしたトヨタには、これまでの下請会社やガソリンスタンドへの配慮、電気自動車向けインフラの未整備という環境があり、電気自動車という選択をした日産には、ゴーン社長の純粋に合理的な視点で将来の世界戦略を見据えた意志決定があっただろう。

 しかし、上の左図のように、ハイブリッド車の保有台数は級数的に伸びているが、右図のように電気自動車は苦戦している。太陽光発電と電気自動車を組み合わせて使えば、①燃料代0の生活ができる ②環境への負荷が全くかからない ③わが国のエネルギー自給率が上がる などのメリットがあるにもかかわらずだ。それには、*2のような「再生可能エネルギーの振興策がEV普及の妨げとなりかねない事態に」などというわけのわからないネガティブキャンペーンもあるが、国が石油会社やこれまでの自動車関連下請企業などへの配慮から、電気自動車を普及させるよう本気で取り組まなかった影響が大きい。

 が、太陽光発電のようにオンリーワンだったのに世界に追い越されるという事態を招かないためには、もう電気自動車を本気で普及させるよう取り組むべき限界の時期である。それには、そのためのインフラ整備が不可欠であり、①どこの駐車場でも設置可能なのだから電気自動車に充電できる場所を増やす ②技術的に電気自動車の走行距離をガソリン車並みに伸ばす ③石油会社・ガソリンスタンドは「ガソリンを売る会社」から「エネルギーを売る会社」に定款変更して世の中の変化をリードする ④下請部品会社も自分の生きる道を選択し直す(電気自動車そのものを作れる会社もあるかも知れない) など、次の展開が必要である。

 なお、現在の電気自動車リーフは、ボックス型に近く誰の好みにも合うというものではないため、車種やデザインの種類を増やし、ガソリン車と比較しても一般の人が選択するような車を作るべきだ。ちなみに、私は、2005年からハイブリッド車であるプリウスに乗っているが(当時、エコカーはプリウスしかなかった)、操作性抜群の「パートナー」と呼びたいような尊敬に値する車である。しかし、電気自動車には、高齢者でも障害者でも、誰でも運転できるというさらに高度な機能も望みたい。これができれば、運転がうまくない普通の人も助かり、交通事故が減るだろう。

*1:http://news.biglobe.ne.jp/economy/1105/ym_121105_6169323117.html
(読売新聞11月5日) トヨタ、営業利益予想1兆500億円に上方修正
 トヨタ自動車は5日、2013年3月期連結決算(米国会計基準)の業績予想を上方修正し、本業のもうけを示す営業利益を8月時点の予想から500億円多い1兆500億円に引き上げた。売上高は、日中関係が悪化する中国や金融危機の影響を受けた欧州などで販売の減少を見込み、7000億円少ない21兆3000億円を予想したが、コスト削減が進んだためだ。税引き後利益は200億円多い7800億円に引き上げた。同日発表した12年9月中間連結決算は、東日本大震災からの生産回復やエコカー補助金の効果で、営業利益は6937億円(前年同期は325億円の赤字)となり、2年ぶりに黒字を確保した。売上高は前年同期比36・1%増の10兆9083億円、税引き後利益は6・7倍の5482億円となった。

*2:http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20120712/234416/
(日経ビジネス 2012年7月18日) 遠のくEV普及、日米で逆風
 ガソリン価格の下落などで、米国でEV(電気自動車)の存在感が薄れつつある。日本でも、再生可能エネルギーの振興策がEV普及の妨げとなりかねない事態に。2012年は「EV元年」と期待されたが、乗り越えるハードルはなお多い。「走りは静かで快適。環境保護に役立っている満足感も持てる。でも、一気に普及とはいかないのかな…」。米カリフォルニア州シリコンバレー在住のトム・スペクター氏(仮名)が、日産自動車のEV(電気自動車)「リーフ」を購入して1年。街中では充電スタンドが増え、車検に出したところオイル交換などが不要で、維持費の安さを実感した。それでも、EV普及にはまだ課題が多いと指摘する。上のグラフは米調査会社オートデータが集計した、米国でのリーフ販売台数の推移だ。2010年12月に発売し、昨年は好調だったが、今年に入って販売ペースが落ち、6月まで3カ月連続で前年同月を下回った。ライバルである米ゼネラル・モーターズ(GM)の「シボレー・ボルト」に販売台数で逆転を許している。ボルトはEV走行がメーンだが、電池が切れた場合などにガソリンエンジンによる走行が可能。このためリーフのような純粋なEVではなく、PHV(プラグインハイブリッド車)と見なされる。昨年、電池発火の危険性を指摘され、販売面でスタートダッシュに失敗したが、その後は盛り返している。
<「ガソリン不使用」で訴求できず>
 スペクター氏は、リーフがボルトに押されている要因として「遠距離走行に不向き」なことを挙げる。米環境保護局によると、リーフの1回の充電での走行距離は約117km。ところが、エアコンを動かしたり、坂道が続いたりすると、電池が一気に消耗する。街乗りには十分だが、ガソリンでも動くボルトに比べて、電池切れへの不安は大きい。使って分かる欠点が露呈したと言える。

| 経済・雇用::2012.9~2013.6 | 11:33 AM | comments (x) | trackback (x) |

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