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2013.7.10 原発再稼働ありきで進んでいる主体は、正確には経済産業省ではないのか?
             
       2013.7.5 日経新聞より        2013.7.6 西日本新聞より

 *1のように、国会議員が参議員議員選挙で走り始めた翌日、経産省幹部が原発の再稼働を睨んでウズベキスタンに行き、政府系資源機関が原発燃料のウランを共同探査する覚書を交わすという報道があった。生産したウランは商社を通じて国内外に供給するそうだが、商社も経済産業省の管轄下にある。

 経済産業省が、日本のために、これまでやらなければならなかったことは、国内資源を探査して掘り出し、日本企業に安い価格で原料やエネルギーを供給できる体制を作り、日本に安全で豊かな経済社会を作ることだった。しかし、実際にやったことは、経済産業省の管轄下にある商社や電力会社を利するだけで、国民には負担を押し付け、世界でも眉をひそめられるようなことである。経済産業省も、時代を先取りするどころか時代に合わせる能力すらなくなり、質が落ちたものである。

 一方、東電広報部は、経済産業省の意向を盾に、*2のように、福島第1原発の吉田元所長が、58才の若さで食道癌により死去しても、「診断の結果、死去と被曝との直接的な関係はない」などとしている。今後とも、死因の記録において、このような意図的なことが行われれば、確かに「原発事故による死者はいない」という彼らの主張が証明されるだろうが、自然現象は、黒を白と言いくるめることはできない。

 従って、本当はどこが原発推進の根源だったのかは、どの政党が与党になっても与党になった途端に同じ政策を行い始めることを合わせて考えればわかるはずだ。しかし、メディアは、これまで、筋書きのあるスポーツのように、決まりきった時代遅れの政治家批判をしてきただけだった。そして、むしろ、その根源と闘う政治家の方を、何とかかんとか言って落選させたのである。

 なお、*3、*4のように、電力会社が原子力規制委員会に1万ページにも及ぶ書類を提出して、再稼働のための安全審査を申請したそうだが、書類だけを見て審査するのであれば、いくら分量が多くても、これまでと何ら変わりはない。企業が作った書類の粉飾の可能性は、有価証券報告書で十分すぎるほどの事例があり、外部証拠も収集する第三者の厳格な監査がなければ、お手盛りになることが多いのである。また、新基準を順守してさえいれば安全というものでもない。さらに、避難計画ができたとしても、フクイチのような事故の場合、どこにいつまで避難していれば安全だと思っているのだろうか。農林漁業への影響も膨大だが、それも闇に葬ればよいと思っているのだろうか。

*1:http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS0500A_V00C13A7MM0000/?dg=1
(日経新聞 2013/7/5) 政府系、ウズベクでウラン権益 原発再稼働にらむ  経産省幹部が現地入り、共同探査で覚書へ
 日本とウズベキスタンは原子力分野で協力を強化する。日本の政府系機関の石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)とウズベキスタンの政府系資源機関が8日、原発燃料のウランを共同探査する覚書を交わす。JOGMECは鉱山の権益を確保、生産したウランを商社などを通じて国内外に供給する。政府は原子力発電所の再稼働をにらみ、資源の安定調達を急ぐ。経済産業省幹部が7~10日、ウズベク入りして政府高官と会談。JOGMECの河野博文理事長とウズベクの国家地質・鉱物資源委員会幹部が8日、共同探査で合意する。共同探査するのは「砂岩型」と呼ばれるウラン鉱床。鉱石を採掘せず、溶液のままウランを回収できるため生産コストが比較的低い。これまではウズベク国営企業のナボイ鉱山製錬コンビナートが権益を独占していた。JOGMECは海外勢として初めて共同開発に参入する。共同探査によって埋蔵量や品質を確認した後、本格生産に移る。ウズベキスタンのウラン開発を巡っては、2009年に今回の種類とは異なるウランの共同調査で合意していた。ただ、品質が低く生産コストも高いため、10年3月に共同調査を中断していた。今年3月にガニエフ対外経済関係相が来日した際に茂木敏充経済産業相は、砂岩型ウランの共同探査を要請していた。日本がウラン権益を確保する理由は2つある。第一に国内の原発再稼働をにらみ、ウランの安定的な調達体制を強化するためだ。日本はウランを全量輸入に頼っており、11年3月時点の購入契約量は約41万トン。調達先はカナダやオーストラリアで半分近くを占めるが、権益を取得して安定輸入しているのは18%にとどまる。権益を増やせば相手側の事情で調達量が減ったり、価格が急騰したりする影響を抑えられる。原子力規制委員会は8日、原発の安全性を判断する新しい基準を施行して安全審査を始める。政府は規制委の判断に基づいて再稼働を進める。新興国で原発の新増設が相次ぐなか、日本が供給元としてウランを輸出する体制を整えることも権益確保の狙いだ。世界原子力協会によると天然ウラン市場は22年に需要が供給を上回る。ウズベクには世界のウラン埋蔵量の2%、約10万トンがある。日本は権益確保で競合する中国や韓国に対抗して調達先を増やす。

*2:http://mainichi.jp/feature/20110311/news/20130709k0000e040207000c.html
(毎日新聞 2013年7月9日) 福島第1原発:吉田元所長が死去 事故時に現場対応
 東京電力福島第1原発事故の際、収束作業を指揮した元所長の吉田昌郎(よしだ・まさお)さん=執行役員=が9日、食道がんのため東京都内の病院で死去した。58歳。葬儀は未定。大阪府出身。東京工業大大学院で原子核工学を専攻し、1979年、東電に入社した。本店原子力設備管理部長などを歴任。一貫して原子力の技術畑を歩いた。2010年6月に第1原発所長に就任した。11年11月中旬、健康診断で食道がんが見つかり、12月1日付で所長職を退いた。その後、体調が回復し復帰の意向を周囲にもらしていたが、12年7月に脳出血で倒れ、自宅療養を続けていた。吉田さんの事故後からの被ばく線量は約70ミリシーベルト。東電広報部は「担当医の診断の結果、死去と被ばくとの直接的な関係はない」としている。吉田さんは事故直後の11年3月12日夜、本店幹部が1号機への海水注入を中断するよう指示したのに対し、独断で注入を継続。中断すれば1号機の燃料溶融がさらに進行した可能性があり、その判断が評価された。官邸から現地に乗り込んだ菅直人元首相は自著で、格納容器の圧力を下げるベント(排気)作業が難航していた際、吉田さんが「決死隊を作ってやる」と決意を述べたことを明らかにしている。

*3:http://www.saga-s.co.jp/news/saga.0.2503170.article.html
(佐賀新聞 2013年7月6日) 玄海原発3、4号機安全審査申請、県内反応
 九州電力が玄海原発3、4号機(東松浦郡玄海町)の再稼働に向け、12日に安全審査を申請する方針を発表した5日、県内の首長からは、原子力規制委員会の厳格な審査や国に地元合意手続きの明確化を求める声のほか、九電に対して周辺自治体と安全協定を結ぶよう求める声も上がった。一方、反原発の市民団体は新規制基準への不信感を示し、反発を強めた。古川康知事は「新規制基準に適合するか、規制委員会がしっかり確認してほしい」とした上で、「規制委が適合すると認めた後の地元合意の手続きが不明確」と指摘。「再稼働に向けて、政府はどう取り組むのか、地域はどんな役割を担うのか、明確にしてほしい」と述べた。一貫して早期再稼働を求めてきた岸本英雄玄海町長は、申請が新基準施行日の8日より遅れたことについて「審査の順番に影響が出ないよう配慮してもらいたい」と規制委の判断に注文をつけた。坂井俊之唐津市長は「申請する以上はしっかりしたものにしたいと述べられていたが、その趣旨に添って判断されたと思う」とのコメントを出した。九電に安全協定締結を求めている塚部芳和伊万里市長は安全性向上の対策に一定の理解を示しつつ、「再稼働の準備を進めるのなら、伊万里市と立地自治体並みの安全協定締結を決断してほしい」と要望。原発反対の姿勢を表明している江里口秀次小城市長は「残念。原発は核のごみなど問題も多い」とした上で、「再稼働するのであれば、県市長会との安全協定締結を望んでいる」と話した。一方、原発の運転差し止め訴訟を起こしている「玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会」の石丸初美代表は「再稼働は九電の企業論理であり、国民の生命を考えた判断ではない。新基準も福島原発事故の原因も解明されないまま作られた。原発に100%の安全はなく、動かすべきではない」と強く批判した。

*4:http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013070902000138.html
(東京新聞 2013年7月9日) 自治体6割超、備えまだ 7原発62市町村
 原発の新しい規制基準施行をにらみ電力各社が続々と再稼働申請に踏み切る情勢を受け、本紙は、八日に申請のあった五原発のほか、早期の申請が確実な二原発を加えた七原発の周辺六十二市町村が、どのくらい原発事故への備えをしているのかヒアリング調査した。その結果、六割超の市町村が、いまだ避難計画や具体的な避難先を固めていないことが分かった。調査対象は、八日に申請が出された北海道電力泊(北海道)、関西電力大飯、高浜(いずれも福井県)、四国電力伊方(愛媛県)、九州電力川内(鹿児島県)に加え、十二日に申請予定の九州電力玄海(佐賀県)と申請方針が表明された東京電力柏崎刈羽(新潟県)を合わせた七原発の周辺市町村。
 東電福島第一原発では、事故への備えをしていたのが原発のごく近くにとどまり、事故の状況や放射性物質の拡散などの情報も現地に届かず、各地で大交通渋滞が起き、住民の避難は困難を極めた。原子力規制委員会は新基準で、重点的に防災対策を進める地域を、八~十キロ圏から三十キロ圏にまで拡大。各自治体は規制委の指針を踏まえ、住民をどこに、どのように避難させるかなど具体策を練ってきたが、八日に施行された原発の新規制基準は、地域の防災体制が整っているかどうかを審査する仕組みになっていない。
 避難計画は63%にのぼる三十九市町村がまだ策定しておらず、住民がどこのどの施設に避難するかという点も65%の四十市町村が固め切れていなかった。福島事故で避難が広域に及ぶことは分かっているのに、避難訓練すら実施していない自治体も九市町あった。これらの対策は、必要最低限のものにすぎず、原発がある限りは道府県の垣根を越えた訓練などを通じ、常に改良する必要がある。形が整いつつあるといえるのは、泊、玄海両原発の周辺市町村くらい。大飯、高浜、川内の三原発周辺では、それぞれ福井県、鹿児島県が避難を県内で完結させることに固執しすぎ、避難計画の策定などの対応の遅れにつながっていた。柏崎刈羽、伊方の両原発周辺では、新潟、愛媛両県を中心に準備は進んでいたが、いずれも成案にはなっていなかった。
 <本紙の調査内容> 重点的に防災対策を進めることになっている原発の約30キロ圏にある62の市町村に7月上旬、電話で取材した。調整役の道府県への補足取材も加え、避難計画ができているだけではなく、大渋滞を起こさないよう避難ルートの調整がされているか、県境などにこだわらず必要な検討がされたか、などの点を重視して3段階で評価した。

| 原発::2013.7~9 | 12:43 PM | comments (x) | trackback (x) |

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