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2013.7.15 東シナ海でのガス田採掘施設建設と「日中中間線」について-日本の外交はまずすぎて、論理的なものでも非論理的にして通らなくしそうだということ。
   
      *1より            尖閣諸島(西日本新聞より)

 *1の中国が日中中間線の中国側で海上施設の建設を進めていることに関しては、日中中間線から約26キロメートルしか離れていないとしても、中国が、*2のように、「自国の管轄海域で開発活動を行っている」というのは正しく、日本は、文句を言う筋合いはない。日本がやるべき重要なことは、中国の開発に日本法人が資本参加することを要請することではなく、日本側で日本が開発することなのである。つまり、今までそれをやってこなかった経済産業省、外務省及び日本政府が情けないのだ。

 また、中国は日本が言う「日中中間線」を受け入れていないわけではない。何故なら、中国は、日本の言う(国際法上の)中間線の中国側でしか開発していないからである。そのため、自分たちの言い分を既成事実化したことにはならない。変なことばかり言っていると、まともな言い分も通らなくなるため、変な言いがかりはつけるべきではない。このような時には、「歴史認識とは別の問題である」として、日本は日本の権利を行使すればよいのである。また、そうしなければ、権利放棄したと看做されるのが国際常識だ。

 なお、私は、このブログで領有権については、地下資源の所有権の問題で特に重要な尖閣諸島のことしか書いていない。しかし、日本政府と自民党は、二つ、外交上の失敗を侵している。失敗の一つは、中国に対して尖閣諸島の領有権を主張しながら、同時に、韓国に対して竹島の領有権を主張し、さらに慰安婦問題を正当化しようとしたため、本来同盟国になるはずの韓国を、*3のように、敵にまわしたことである。古来より、敵の敵は味方になるものだ。

 もう一つの失敗は、占領下で作られたことを理由に日本国憲法を改悪しようとしたり、普天間の代替施設を辺野古埋め立てに固執したり、フクイチの実情を日本国内では発表していないなど、日本が人権を大切にする国にはなっていないことを白日の下に晒したことである。経済的にも軍事的にも中国の影響が大きくなった今、アメリカも、これでは日本を、価値観を同じくする国とは思わなくなり、日本は、唯一の同盟国であるアメリカから見放されまいと、国内産業を人質にしてTPPに参加しようとしているが、これでは主権まで放棄ではないか。

 *4については、「どこまでが自衛か?」という自衛の定義を明らかにし、自衛のためには国際法にのっとって武力も使うし、集団的自衛権も行使することを自衛隊法に明記すればよいのではないかと考える。

*1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20130704&ng=DGKDASFS03049_T00C13A7PP8000
(日経新聞 2013.7.4) ガス田、また火種に 中国、東シナ海「日中中間線」で無断開発
 中国が東シナ海の「日中中間線」付近で、ガス田開発のためとみられる新たな掘削施設の建設を進めていることが3日、分かった。中間線よりも中国寄りの地点ではあるものの、境界が画定していない海域での一方的な開発に日本は強く抗議。沖縄県の尖閣諸島を巡って対立する日中関係は険しさを増している。日本政府は中間線の西側約26キロメートルの地点で、中国の大型クレーン船が海上施設の建設を進めていることを確認。6月27日に当時の河相周夫外務次官が中国の程永華駐日大使に抗議した。菅義偉官房長官は3日の記者会見で「双方の主張が重複する海域で一方的に開発を進めることは認められない」と強調した。
 東シナ海のガス田については、日中両政府が2008年6月に(1)中国側が開発を進めている白樺(中国名・春暁)に中国の法律に従い、日本法人が資本参加(2)日中中間線をまたぐ北部海域に共同開発区域を設ける――などで合意。両国で見解が異なる排他的経済水域(EEZ)の境界問題は棚上げにした。ただ、実現に向けた条約締結の交渉は10年9月、尖閣諸島付近での漁船衝突事件をきっかけに中国側が延期を通告した。早期再開を求める日本の呼びかけに、中国側が応じる気配はない。08年の日中合意で共同開発に向けて継続協議とした樫(中国名・天外天)などでは、中国が単独で開発する動きを続けている。中国は日本が訴える「日中中間線」を受け入れておらず「自国のEEZは沖縄本島のすぐ西まで及ぶ」と主張する。中間線付近で新たな施設を建設する背後には、自分たちの言い分を既成事実化する狙いも透ける。
 日中関係は尖閣諸島や歴史認識を巡ってぎくしゃくしており、2日に閉幕した東南アジア諸国連合(ASEAN)の一連の会合でも外相会談を開けなかった。外務省幹部は「関係改善に向けて宿題がまたひとつ増えてしまった」と語った。

*2:http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013070301001751.html
(東京新聞 2013年7月3日) 「抗議受け入れず」と中国 東シナ海ガス田施設建設で
 東シナ海での中国による新たなガス田採掘関連施設建設で、中国外務省の華春瑩副報道局長は3日の記者会見で「中国は自国の管轄海域で開発活動を行っている」として事実上建設着手を認めた上で、「日本側の抗議は受け入れられない」と述べた。菅義偉官房長官が同日午前の記者会見で、中国による新たな施設建設着手が確認されたと明らかにしていた。

*3:http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2013071102000134.html
(東京新聞 2013年7月11日) 日韓首脳会談に朴大統領否定的 竹島、慰安婦問題に言及
 韓国の朴槿恵(パククネ)大統領は十日、韓国メディア論説委員らとの昼食会で日韓首脳会談に関連し、竹島(韓国名・独島)や旧日本軍慰安婦問題について「日本は国民の傷を刺激し続けている。未来志向で進む雰囲気の中で行われなければならない」と、日本側の態度に変化がなければ会談は難しいとの考えを示した。青瓦台(大統領府)当局者が明らかにした。朴氏は「首脳会談は良い結果が出てこそ意味がある。会談直後に独島や慰安婦問題が出ては、両国関係がさらに悪化する可能性もある」とも強調した。二月に就任した朴氏は、米国に次いで日本を訪れてきた歴代大統領の慣習を破り、五月の訪米に次いで六月に中国を訪問。これまで五月に行われてきた日中韓首脳会談も実現せず、安倍晋三首相との顔合わせが実現していない。

*4:http://www.kobe-np.co.jp/column/shasetsu/201307/0006149051.shtml
(神戸新聞社説 2013/07/11) 防衛方針/「専守」の理念どう考える
 沖縄県・尖閣諸島の周辺では中国艦船の領海侵入が目立つ。北朝鮮は国際社会の警告を無視して核実験やミサイル発射などの挑発行為を続けている。いつ、不測の事態が起きてもおかしくない。「安全保障環境は一層厳しさを増している」という今年の防衛白書の指摘は、その通りだろう。国民の生命や財産をどう守るか。参院選で政党間の活発な論議を聞きたいところだが、どうも盛り上がりに欠ける。特に「先頭に立って領土、領海、領空を守る」などと宣言した安倍晋三首相率いる自民党が、選挙戦で踏み込んだ議論を避けているように見える。
 経済政策を正面に掲げ、議論を呼びそうな問題は選挙の後に、と考えているのなら、姑息というしかない。集団的自衛権行使の容認など、憲法解釈の見直しにつながる重要テーマこそ、党の方針を積極的に語らねばならない。集団的自衛権とは、自国と密接な関係にある国が第三国から武力攻撃された場合、共に協力して防衛する権利をいう。主権国家として日本も集団的自衛権を有する、というのが政府の見解だ。自国が攻撃されなくても他国に向けて武力を行使できる。その点が、「国際紛争解決の手段としての武力による威嚇または武力行使」を禁じる憲法9条との関係で議論を呼んできた。
 歴代内閣は「自国の防衛以外に武力は行使できない」との憲法解釈を受け継いできた。「権利はあるが使えない」という考え方だ。安倍内閣も同じである。しかし、安倍首相は集団的自衛権の行使を容認する考えを何度も口にする。自民党の公約は容認への法整備として「国家安全保障基本法」の制定をうたう。「専守防衛」の理念はどうなるのか。「平和国家」の国是にも関わり、国民に詳しく説明するのが筋だろう。
 連立を組む公明党の山口那津男代表は「断固反対」を明言する。政権内の考え方が真っ向から違えばなおさらだ。今年の防衛白書は、敵国の基地を自衛隊が攻撃できる能力の保持など、自民党が目指す他の政策にも触れている。やはり「専守防衛」に関わる問題だ。「安倍カラー」を強く打ち出した白書だが、本来なら選挙戦で議論を深めるべき事柄である。参院選後の3年間は国政選挙の予定がない。その間に物事を推し進めようとの狙いなら、国民の理解は得られない。各党とも、議論するなら今だろう。

| 外交・防衛::2013.1~2014.8 | 06:06 PM | comments (x) | trackback (x) |

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