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2013.8.6 国民を誰も幸福にしない政策を繰り返す日経新聞記者は、何のために働いているのか? 生活の為だけなら、情けなさすぎ・・。
(1)厚生労働省は誰を守る省庁なのか?-派遣期間上限を個人単位にした時、被雇用者に起こること
 *1によれば、厚生労働省が産業界及び日本人材派遣協会から要望を聞き、業務毎に設けている3年の期間上限を廃止して、上限を個人ごとにすることを求める報告書を示し、政府は、これに従って2014年の通常国会に労働者派遣法の改正案を提出するそうである。これにより、3年後に人を交代させれば、長期的に同じ業務に派遣労働者を採用し続けることができるため、派遣労働ポストの固定化が起こり、これは、労働者の生活の安定やキャリアアップとは逆方向への変更になるだろう。一方で、産業界は低コストの労働力を得られ、人材派遣会社は仕事が増える。しかし、そもそも、専門26業務なら派遣期間に上限がないというのも変だった。何故なら、専門性を磨くためには、仕事において長く計画的に習熟することが必要だからである。

(2)派遣労働者は、解雇しやすい労働者で、社会保険料も支払わないケースが多い
 産業界が労働者を派遣に切り替えたがるのは、労働基準法や男女雇用機会均等法を適用する必要のない解雇しやすい労働力だからである。派遣元もその労働者を雇用しているわけではないため、労働基準法や男女雇用機会均等法の適用を考える必要はなく、社会保険料を支払わないケースが多い。 
 このような中、同じ日に*2の記事も掲載されていたが、派遣労働者が増えれば、生産年齢人口に当たる若者のうち、健康保険料、介護保険料、年金保険料を支払う人の割合も小さくなる。これもまた、低コストですむ労働力として産業界が派遣労働者を増やしたがる理由だ。その挙句に、「若者層が医療や年金にいだく不信感を和らげられるだろうか。患者・要介護者の負担引き上げとサービスの絞り込みをいつ、どう実現させるのか。若者に顕著な年金保険料の未払い対策にも背を向けている」と記載されているが、保険料を支払った人へのサービスを不当に絞り込み、若者が健康保険料や年金保険料を支払うことを困難にしている実態を助長しているのは、まさにこのような政策であり、省庁の政策の尻馬に乗ってその政策を推進すべく騒いでいるメディアにも責任があるのであって、国民を誰も幸福にしない論調を繰り返しているにすぎないものである。改革しなければならないのは、まさにこの土壌だ。 パンチ

*1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20130806&ng=DGKDASFS0501R_V00C13A8MM8000
(日経新聞 2013.8.6) 厚労省、派遣雇用を規制緩和へ 「同一業務3年まで」廃止
 厚生労働省は労働者派遣の規制を大幅に見直す。業務ごとに設けている3年の期間上限を廃止。期間の上限は働く個人ごとに設け、人が交代すれば、長期的に同じ業務に派遣労働者が就けるようにする。企業は幅広い業務で派遣を活用でき、派遣労働者のキャリアアップにもつながる。派遣への規制を強めた民主党政権時代の方針を転換する。厚労省の研究会が6日に、こうした意見を盛った報告書案を示す。8月末から改正案の詳細の検討を始め、2014年の通常国会に労働者派遣法の改正案を提出する。現行の制度では、通訳やアナウンサーなど「専門26業務」は派遣期間に上限がない。それ以外は最長3年と上限が決まっている。上限は会社がある業務を派遣社員に任せてよい期間で、ある業務で前任者が2年半働くと、後任者は半年しか働けず、安定した仕事ができない問題があった。
 この上限を業務ではなく1人の人が1カ所で働く期間の上限に切り替える方向だ。企業は働く人を交代させればその業務をずっと派遣に任せることができ、労働者も一定期間同じ職場で働ける。ただ、派遣先の正社員の職域を侵さないという従来の原則が揺らぐ可能性があり、正社員の労働組合は反発しそうだ。期間に上限のない派遣労働者の範囲も見直す。現在の専門26業務の中には「取引文書作成」など、今は必ずしも専門的ではなくなった業務も含まれる。業務による線引きを廃止し、代わりに派遣元企業が常時雇用している労働者には期間の制限をなくす案も検討する。現在、派遣労働者の6割程度は常用雇用であり、この案が実現すれば1つの職場で期間の制限なく働ける労働者が増える可能性がある。

*2:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20130806&ng=DGKDZO58163260W3A800C1EA1000 (日経新聞社説 2013.8.6) この報告で医療・年金の立て直しは可能か
 若者層が医療や年金にいだく不信感を和らげられるだろうか。自公民3党がもうけた社会保障制度改革国民会議の報告書は、そんな疑念をぬぐえない内容だ。消費税率の10%への引き上げは年13兆5千億円の増収をもたらすと財務省は皮算用する。この新財源を有効に生かして国の財政の綻びを繕いつつ、膨張する医療・年金制度のスリム化を安倍政権に迫るのが会議の使命だった。にもかかわらず、患者・要介護者の負担引き上げとサービスの絞り込みをいつ、どう実現させるのか、報告書ははっきりさせていない。若者に顕著な年金保険料の未払い対策にも背を向けている。
 医療制度について報告書が示した「急性期医療に資源を集中させ患者の入院を短くする」「大学病院などへの患者集中を制限する」方向は正しい。問題は手立てだ。産業界に人件費の一部である健康保険料の一段の引き上げを求めるのが当然という姿勢でよいのか。たとえば企業の健康保険組合などが後期高齢者に出す支援金の算定方法を変えて負担を当座、年2300億円増やす方向を示した。主に中小企業の従業員が入る協会けんぽにこれを回し、それに見合う国庫負担を浮かせるねらいがある。これは「取りやすいところから取る」やり方ではないか。赤字体質の国民健康保険を立て直すには加入者の所得を把握して保険料収入を増やす努力を市区町村に促すべきなのに、その視点は弱い。消費税財源をばらまく策が幅をきかせているのも気になる。急性期の病床などを減らすために増税分で民間病院に補助金を配るのは理解できない。そのために基金をつくる案を挙げたが、ばらまきの温床にならないか。
 年金分野は現行制度に大きな問題がないという虚構に立つ。これからの百年間、年4.1%の「高利」で積立金運用をつづけるのを前提にした失策は、どう挽回するのか。実質の給付水準を毎年、小刻みに減らす仕組みはいつ発動するのか。答えは見あたらない。じつは、国民会議はもうひとつある。有志の国会議員が党派を超えて議論を重ねた国会版国民会議だ。本家のふがいなさを見かねて7月に出した報告書は、年金について(1)財政検証は堅めの経済前提をおく(2)実質給付切り下げを法制化する(3)支給開始年齢を上げる――を明快に求めた。簡潔だが、こちらのほうが読み応えがある。

| 年金・社会保障::2012.4~2013.7 | 02:13 PM | comments (x) | trackback (x) |

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