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2013,08,18, Sunday
(1)介護保険制度とは このブログの年金・社会保障のカテゴリーに何度も記載したとおり、介護保険制度は、私の発案で検討されて、1997年に国会で制定され、2000年4月1日から施行された日本の社会保険制度だ。そして、その財源は、税金による補填もあるが、被保険者が納付する保険料が主である。しかし、現在のところ、*3のように、まだ支払者は40歳以上の人のみであり、介護サービスの受給は、65歳以上の人は全面的だが、40歳~64歳の人は制限が多いというように、不公平で未熟な制度である。 1)第一号被保険者:65歳以上の人。保険料は、原則として年金から徴収。 認知症、寝たきりなど介護が必要な時や手伝いが必要な時には、 介護保険でサービスを受けられる。 2)第二号被保険者:40歳~64歳の人。加入している医療保険の保険料と併せて徴収。 厚生労働省の定める特定疾病にかかって介護や支援が必要に なったら、介護保険によるサービスを受けられる。 (2)何故、不公平で不公正な制度なのか 支払者を40歳以上としたことに理論的な根拠はなく、本来は39歳以下の人も医療保険の保険料と併せて介護保険料を支払うべきだったのである。それにもかかわらず、支配対象者を40歳以上として年齢による差別を行った結果、人件費削減のために40歳定年制を行おうとする企業も出てきており、被用者にはマイナスとなった。また、40歳~64歳の人は、介護保険料を支払っているにもかかわらず、給付に制限を受けて不公正であるため、加入者は必要に応じて全介護サービスを受けられるようにすべきだ。 そのためには負担が必要だが、負担は39歳以下の人も行うこととし、高齢者の負担ばかりを増やすことなく、全世代平等に負担と給付を行うべきである。2000年4月1日からは、家族だけで介護を負担することなく、介護が社会化されたことを考えれば、39歳以下の人も医療保険の保険料と併せて介護保険料を支払うことに合理性はあるし、また、必要に応じて介護サービスを受ける権利もなければならない。 (3)現在の介護サービスは十分か、また、どんなサービスが必要なのか 高齢者が受けている全介護サービスでも、自宅で療養しながら一人暮らしをする高齢者には十分ではない。そして、核家族化が進んだ現在、子どもがいても一人暮らしをする高齢者は多いのであり、子どもや孫は、介護するために仕事を辞めたり、介護費用を仕送りしたりはできない状況にある。そのために介護を社会化したのであるから、安価で同じ以上の効果を上げることができるように工夫するのはよいが、介護サービスをカットするという話にしてはならない。 なお、*2については、地域間を移動した人の介護・医療費用を転居前の自治体が負担するのは合理性があるが、高齢者が必要としているのはケア付き賃貸住宅ではなく、住み慣れた自宅でケアを受けることであり、そのためには、訪問看護ステーションや介護ステーションを的確な場所に多く作ってサービスを充実させることが必要だ。そのため、せっかくの介護保険がまたハードに流用されることについては、厳重に注意しなければならない。 *1より *2より *1:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=22817 (日本農業新聞 2013/8/17) 高齢者負担ずしり 社会保障制度改革国民会議の報告書 国の財政逼迫(ひっぱく)を背景に、高齢者に負担がのしかかってきそうだ。政府の社会保障制度改革国民会議が今月、安倍晋三首相に提出した報告書によると、医療費の窓口負担の引き上げ、介護保険から「要支援」を外すなど“在宅弱者”にしわ寄せが及ぶ。現場では不安と戸惑いが広がっている。 ●70歳以上 医療費2割 介護 行政間で格差も 報告書は医療費について、70~74歳の患者の窓口負担を1割に抑えてきた特例の廃止を提言。2割負担とし、来年4月以降、70歳になる人から対象にする。静岡県御前崎市でミニトマトを作る岡村文雄さん(66)は、右膝を痛め、高血圧も抱える。定期的に病院に通う中で「負担割合を上げられると生活に響く。これからもっと医者に行く回数も増えるだろうし、安心して年を取れない」と心配する。医療費の窓口負担は本来、2008年度から1割を2割に引き上げることが法律で決まっていたが、07年参院選で自民党が大敗したことなどから凍結、歴代政権が続けてきた。同会議は「世代間の公平を図る観点からやめるべき」とし、法律通りの引き上げを要請した。日本農村医学会の藤原秀臣理事長は「財源確保のために仕方ない」との見方を示しつつも「高齢者の多い農村部への大きなしわ寄せだ。負担増を強いる前に、地域医療の崩壊を食い止める具体策を、政府はもっと真剣に打つべきだ」と指摘する。 介護では、歩行や食事など、身の回りの世話が必要な「要支援」を介護保険の対象から切り離し、段階的に市町村の独自事業へ移行する。15年度から着手する方針だ。熊本県あさぎり町の溝口鷹則さん(57)は、父の偲さん(88)を週3回、JAのデイサービスセンターへ送り出す。偲さんは足が不自由で介護度は要支援2だ。デイに行けば友達もいるし、段差がない施設で転ぶ心配もない。毎回楽しみにしている。「家族が農作業などで出掛けている日中、家に一人きりでいると座りっぱなしで足腰が弱るだけだ。デイで話したり体操したりするから体調が悪くならずに、元気でいられる」と鷹則さん。利用できなくなったら「毎日誰かが家にいなければならない。労力的にも経済的にも、負担が増して悪循環」と危機感を募らせる。事業の移行先となるあさぎり町は「介護保険対象外となる人に、これまで通り満足のいく支援が提供できるのか。予算の問題も大きい」と頭を悩ませる。 JA全中が事務局を務める高齢者福祉ネットワークの山本敏幸事務局長は「市町村ごとに、介護支援の格差が出る」と問題視する。財政や福祉への取り組みが違うため、国の事業のような均一サービスは担保されず、住民が不利益を被る恐れがある。「国の財政破綻を市町村が押し付けられ、住民につけが回った格好だ」(山本事務局長)。JA介護保険事業も「要支援」の利用を失い経営に打撃を受けるため、行政と連携した受け皿づくりを急ぐ必要がある。一方、助けあい組織のミニデイや家事援助などは、介護保険で要支援者が利用してきたサービスに代わる可能性もある。プロ化を目指した助けあい組織が市町村から事業を受託し、JA経営を補う役割を果たすことも求められる。 〈ことば〉 社会保障制度改革国民会議 大学教授ら有識者15人で構成し、医療、介護、年金、少子化対策の4分野で改革の具体化に向けて話し合う。政府は同会議の報告書を基に、改革の手順や実施時期をまとめた「プログラム法案」の要綱を21日までに閣議決定し、今秋の臨時国会に提出、成立させる見込みだ。 *2:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20130818&ng=DGKDASFS1701J_X10C13A8MM8000 (日経新聞 2013.8.18) ケア付き住宅 移行支援 転居前市町村、介護費を負担 高コスト施設の増加抑制 政府は高齢者向けの介護サービスを、自宅にいたまま世話をする「在宅型」中心の仕組みに改める。大都市郊外でケアサービス付き賃貸住宅の整備を加速。同住宅に引っ越した高齢者の介護・医療費を、転居前の市町村が負担する仕組みを2015年度にも導入する。特別養護老人ホーム(特養)など高コストの介護施設の増加に歯止めをかけ、財政負担の膨張を抑える。政府の社会保障制度改革国民会議は6日に公表した報告書で「病院・施設から地域・在宅へ」との方針を打ち出した。これを受け厚生労働省は介護保険法を含む関連法の見直し作業を本格化。14年の通常国会に改正法案を提出する。 介護保険の対象は、約50万人が入居する特養ホームなどの施設介護が主流だった。だが、特養1人あたりの給付費は月27万円前後で在宅サービスの約3倍になる。介護給付膨張を回避するため、在宅型の一種であるケア付き賃貸住宅を向こう10年で現在の5倍超の60万戸整備する方針だ。建設促進の一環として、同住宅に引っ越す人の介護・医療費用を転居前の自治体が負担する特例を導入する。高齢者の転入に伴う介護・医療費負担で財政悪化が進みかねず、住宅の建設許可に消極的な市町村もあるためだ。市町村間の負担が偏らないようにする「住所地特例」は特養ホームなどに適用してきた。この特例をケア付き賃貸住宅にも適用する。都市部の空き家を転用したケア付き住宅も整備し、あわせて100万~180万戸の住宅の受け皿を整える。在宅中心の介護サービスの仕組みを作る一方、症状が軽い人の特養への新規入所を認めないよう15年度から基準を厳しくする。これらの政策を進めることで、施設介護を中心とする介護保険運営の見直しを急ぐ。 65歳以上の高齢者は現在約3000万人だが、25年には3600万人超に増える。現状のままの介護保険運営を続ければ給付費は11年度の約7兆6千億円から25年度には2.6倍の約20兆円に膨らむ。厚労省は財政悪化の主因である社会保障給付の抑制を探っている。ただ、今回の介護保険見直しだけでは給付効率化に不十分との見方も根強い。医療や年金を含め高齢者向け給付を見直し、現役世代の負担増を抑制する政策の強化は今後も必要だ。 *3:http://www.tetuzuki.net/insurance/nursing.html 介護保険とは。 介護保険は、まもなく来る高齢社会によって介護のニーズが増え、今までの福祉や家族での介護が難しくなることを予測してできた社会保険制度です。少子高齢化によって、老人施設は常に定員オーバー。家族は食べていくのに精一杯でとても介護まで手が回らない。核家族化によって増えた高齢者世帯や独居世帯はどうやって介護すれば?という状態が見えてきたので、高齢者が介護が必要な状態になっても自立した生活ができるように、国民みんなで助け合おうじゃないかという制度が介護保険なのです。 介護保険では、65歳以上の人を第一号被保険者といい、40歳~64歳の人を第二号被保険者といいます。第一号被保険者の人は、認知症や寝たきりなど介護が必要になったときや介護まではいらないけどちょっとしたお手伝いが必要なときに、介護保険でサービスを受けることができます。第二号被保険者の人は、厚生労働省の定める特定疾病にかかって介護や支援が必要になったら、介護保険によるサービスを受けられます。そのサービスは、介護や支援の度合いによる6段階の認定にしたがって提供されます。
| 年金・社会保障::2013.8~2019.6 | 06:11 PM | comments (x) | trackback (x) |
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