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2013,11,02, Saturday
(1)原発とテロ *1によれば、「特定秘密保護法案を担当する森雅子少子化相が、1日の閣議後記者会見で、『原子力発電所の警備状況は特定秘密の対象になり得る』と述べ、具体的には原発でテロが懸念される場合の警備などを挙げた」ということだが、大臣のこの発言で、原発の警備はテロに対して十分ではなく、公表できるような代物ではないということが明らかになった。これは、特定秘密の漏洩に当たるのだろうか。 そもそも、原発の警備がテロに対して十分でないということは、特定秘密に指定すれば解決するものではなく、原発の構造を見れば誰にでもわかるものである。そのため、そのような構造の原発は、再稼働どころか、多量の使用済核燃料も、早急に原発の上部にあるプールから取り出して空にしなければ危ないのだ。解決方法が、間違っているのではないか? (2)国民が選んだ議員を議会が除名できるのか *2では、自民党の石破幹事長が、「秘密会での情報を漏らしたら議会を除名になるなど、厳しいものを設けるべきだ」と述べているそうだが、仮に、共産党の議員が、「そんなことを秘密にすべきではない」と考えて、党内で議論の上、運動に展開したとすれば、誰が、その人を議会から除名できるのか。国民が選んだ議員を議会の多数派が除名することはできないのが、民主主義である。これは、自民党の議員であっても同じだ。 (3)誰にとって都合の悪いことが秘密なのか *3には、「福島原発周辺の高放射線量地域で、動物の異常、奇形が進行しており、調査をしているのは、外国人ばかり」という記事がある。このような事実はメディアでも報道されていないが、これは最も常識的な生物の放射線被曝による被害であり、人間だけが特別ということはない。だからこそ、SPEEDIによる放射性物質の拡散予測や速やかな避難、徹底した除染、内部被曝の防止が重要だったのだが、これらの対応が悪かったのも、原発が爆発したのも、被曝すれば病気になるのも、特定秘密だろうか? *1:http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS0100I_R01C13A1EB1000/?dg=1 (日経新聞 2013/11/1) 「原発警備は特定秘密の対象に」 森担当相 特定秘密保護法案を担当する森雅子少子化相は1日の閣議後の記者会見で「原子力発電所の警備状況は特定秘密の対象になり得る」と述べた。具体的には原発でテロが懸念される場合の警備などを挙げた。 *2:http://digital.asahi.com/articles/TKY201310310487.html?iref=comkiji_redirect (朝日新聞 2013年11月1日) 秘密漏洩「国会議員にも罰則を」 石破自民幹事長 自民党の石破茂幹事長は31日、特定秘密保護法案について、憲法上認められた国会の「秘密会」で政府による秘密指定を議論するケースを念頭に、国会規則で議員による秘密漏洩の懲罰ルールを整備すべきだとの考えを明らかにした。石破氏は、BS朝日の番組で「立法府で秘密を扱う場合は、国会議員にも義務、罰則を科そうということになる。それを整備するのが我々の責任だ」と述べ、今後、党として問題提起する考えを示した。石破氏は、政府が恣意的に秘密指定していないかをチェックするため、非公開の「秘密会」で審議するケースを想定。議員が情報を外部に漏らしても、参院は懲罰規定があるが、衆院にはないと指摘して「秘密会での情報を漏らしたら議会を除名になるなど、厳しいものを設けるべきだ」と主張した。 *3:http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&m=281248&g=132106 福島原発周辺の高放射線量地域で、動物の異常、奇形が進行している 福島第一原発事故から2年半がたった9月11日に、TBSが福島原発周辺で定点観察を続けている、米国、フィンランド、フランスの学者の活動を紹介した。その調査によると、毛虫が蛹から蝶に変態せずに、死滅している。蜂の姿が見えない。野ネズミも消えた。燕にアルビノや尾羽の異常が見つかった。 明らかに、動物の異常や奇形が進行している。 ●以下引用 福島では動植物の奇形や減少が進行している。福島県浪江町は高放射線量地域になっているが、2012年から目に見えて蝶々や蜂が減少しており、今年に入ってからは毛虫が大量死していると言われている。本来はこういった毛虫は鳥が食べるのだが、その鳥すらもやって来ないという。これは、現地で定点観測をしているアメリカのサウスカロライナ大学のティモシー・ムソー教授がそれを指摘しているのだが、高放射線量地域では明らかに異変が起きている。 同じことはパリ第11大学の教授であるアンダース・メラー氏が2012年12月にまったく同じことを指摘していた。(福島の放射能汚染で、鳥類が減り、昆虫が奇形を起こしている)。アンダース・メラー氏はいまだに福島で調査活動を行い続けているが、これからもどんどん哺乳類・鳥類が減少し、「すでに、いなくなった種もあるかもしれない」と言っている。 環境省は、2012年3月には、ツバメの巣から140万ベクレルの放射性セシウムを検出したと発表しているが、その後、ツバメはどうなっているのだろうか。まず言えるのは、高放射線量地域ではツバメが巣に戻って来なくて空っぽになっているということだ。さらに、捕獲したツバメを見ると、アルビノであったり、尾羽が極端に短い個体があったりして、いよいよ動物の奇形が始まっているようだ。放射線量が高い地域のツバメは羽が白くなるアルビノ現象が起きるということだが、福島のツバメもこのアルビノ現象が起きている。 ●引用終わり 注目するのは、毛虫の大量死です。草木は生い茂っているのに、その枝に、成長した毛虫が大量に死んでいる。昆虫は成長段階で変態という高度な遺伝子発現を行なう。毛虫から蝶への変態です。この変態過程は、さなぎの中で、どろどろのアモルファスの状態になり、そこから蝶という形を作るために、秩序だった遺伝子発現が進行し、形体形成が行なわれる。この最も微妙な遺伝子発現が、放射能汚染のために異常をきたし、毛虫のまま死滅してしまった。遺伝子発現密度の高い、人の胎児や幼児に、異常や障害がでてくることにつながります。最後に残念なのは、定点観測しているのが、海外の研究者であり、日本の生物学者、環境学者からは、まともなレポートが見当たらないことです。権力を取り戻した原子力ムラや原発推進の政府・官僚を恐れて、まともな事実追求をしないのなら、戦後の科学立国はどこに行ったのかと思います。 PS:*4の日本弁護士連合会の意見も出ているが、全くそのとおりだ。 *4:http://digital.asahi.com/articles/TKY201310240321.html?iref=comkiji_redirect&ref=reca (朝日新聞 2013年10月24日) 日弁連「秘密保護法案に反対」 首相らに意見書送付 日本弁護士連合会は24日、今国会に提出される予定の特定秘密保護法案に反対する意見書を、安倍晋三首相と、同法案を担当する森雅子消費者相に送った。意見書では「特定秘密」の範囲があいまい▽特定秘密の指定に官僚の恣意が働く▽言論の自由、知る権利を侵害する恐れが大きい、などと批判。行政機関から国会に示される特定秘密の範囲が、行政機関の裁量に任されている点で「行政への国会の監視機能が空洞化する」と指摘している。 PS(2013.11.5追加):*5の記事は全くその通りで、被害者は福島県民に限らず、私も、首相、衆参両院議長宛の意見書を可決した福島県議会に感謝する。また、SPEEDIの試算結果を事故の初期段階で公表しなかったことについては、健康は不可逆的に害されるので、怒りが収まる時などないと思う。 *5:http://www.minyu-net.com/news/news/1105/news9.html (2013年11月5日 福島民友ニュース) 「原発情報」隠蔽危惧 秘密保護法案めぐり県会意見書 「原発の安全性に関わる問題や住民の安全に関する情報が『特定秘密』に指定される可能性がある」。安全保障上の情報保全徹底を掲げる特定秘密保護法案をめぐり、県議会は10月9日、全会一致で「慎重な対応を求める」とする首相、衆参両院議長宛ての意見書を可決した。東京電力福島第1原発事故直後、放射性物質の拡散について十分な情報開示がなされなかったことへの不信感が根強い。意見書の背景には「重要な情報がまた隠されるのではないか」との危機感がある。原発事故では、放射性物質の拡散を予測する「緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)」の試算結果が、事故の初期段階で公表されず、住民の避難に生かされなかった。浪江町の一部の住民は、第1原発から放出された放射性物質が大量に流れて、放射線量がより高い地域に避難していたことが後から判明した。国が適切に公表していれば「無用の被ばく」を防げたはずだという住民たちの怒りは、今も収まっていない。 PS(2013.11.7追加):下のように、2011年8月11日に、元防衛庁長官で衆議院議員の中谷元氏が、原子力発電所の警備について、防衛の専門家の目から詳しく書いておられるので、原発の警備状況は今さら特定秘密の対象にはなりませんね。 *6:http://www.nakatanigen.com/modules/archive/details.php?bid=246 (元防衛庁長官、衆議院議員 中谷元 2011-8-11) 質疑③原子力発電所の警備について 現状、国内の原子力発電所の警備について、福島第一原発事故に対する原発警備の脆弱性が指摘されているが、今は、民間の警備会社に委託をし、実弾射撃を許していないため、銃を持たない警備員が警備しているのが実態であり、実に不用心である。重要施設の警備の在り方について、自衛隊や警察を当初より警備に当たらせるべきであると私は考えるが、少なくとも作業員の身元確認は厳格化すべきではないか。相手が、機関銃や手榴弾をもって、襲いかかる可能性もある。その場合、本当に警察の対応だけで大丈夫であるのか。今から、10年前、私が防衛庁長官であった頃、米国の同時多発テロを受け、自衛隊の「警護出動」を規定した法律を改正した。その対象については、原発などの重要施設も当時は実施したかったが、警察サイドの猛烈な抵抗によって、警備できるところは、自衛隊施設や米軍施設のみとなった。発動の要件は、いわゆるテロ行為による施設破壊等のおそれがある場合に発動されるとし、警護出動と治安出動では、「おそれ」がある段階で発動でき、国会の承認等も要しないという違いがあり、治安出動の前段階の準備行為としての警備活動は必要である。原発が、テロリストに襲われた時の被害は甚大なものになってしまうので、早く自衛隊にも武器使用の権限を持たせて、原発などの重要施設の警備につかせる必要がある。
| 民主主義・選挙・その他::特定秘密保護法関係2013.10~12 | 06:33 AM | comments (x) | trackback (x) |
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