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2013.11.10 特定秘密保護法案は、民主主義の礎を破壊するので、葬り去るべきである。
 

(1)特定秘密保護法は、日本国憲法の民主主義を骨抜きにする
 *1のように、特定秘密保護法が成立すると、主権者たる国民の「知る権利」を支える「情報公開」や「公文書管理」の理念をなきものにする。何故なら、国の安全保障に支障を与える恐れがあるという理由をつければ、何でも特定秘密に指定することができるからである。そうなると、政府にとって「不都合な真実」は、この法律を使って非公開とし、永久に有権者の目に触れないようにすることも可能だ。

 そして、国の防衛や外交上の利益などに重大な支障を及ぼすと行政が判断した場合には、法廷への文書提出も拒否できるとの条文があるため、司法による救済も阻まれており、立法、行政、司法は三権分立ではなく、行政の下に立法と司法が置かれるという結果になる。これは、太平洋戦争以前にあった光景と同じだろう(私も見たことはないが、歴史として知っている)。

(2)何が特定秘密に該当するのか(TPPと防衛の事例から)
 *2に、特定秘密保護法案を担当する森雅子少子化担当相が、2013年10月29日の記者会見で、「環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の交渉内容が同法案で漏洩を禁じる『特定秘密』の対象になりうるとの認識を示した」と書かれている。これまで、TPP関連の情報が何とかかんとか言って公開されなかったことからも、そういうことだろうと推測はできた。

 そして、*4に、「政府は、2013年10月31日には、TPP交渉で最大の焦点となっている関税について、撤廃や削減などの品目ごとの扱いを示すオファーを11カ国全てと交換した」「TPP交渉と並行して行っている米国との2国間協議も、直近の第3回交渉会合でTPP交渉と歩調を合わせて年内に妥結しようと精力的に交渉している(外務省)」と書かれている。つまり、積極的に交渉を行っているのは日本のようだが、それより詳しい情報は隠されているため、問題の指摘もしようがないのだ。

 これが、まさに*3で、長野県弁護士会の諏訪会長が述べている「TPPへの交渉参加の秘密保持契約が国民主権や国会の最高機関性に反することを懸念する」「国民や国会に情報提供できない協定であれば、直ちに脱退すべき」ということだ。国民が知らないうちに、国民を窮地に陥れるような条約が結ばれては、後で誰が責任をとって辞職しても、取り返しがつかないからである。

 また、防衛についても*5のとおり、「防衛省は、防衛装備の国際共同開発に積極参入して民間転用できる装備品を官民一体で国際マーケットに売り込む」「安倍政権は、武器輸出三原則に基づく従来の禁輸政策見直しを進めている」などの変化があり、特定秘密保護法が制定されれば、これにも、予算、技術の両面で、国民の監視が届かなくなる。

(3)特定秘密保護法案は廃案にすべき
 *6に書かれているように、私も、日本国憲法の主権在民、平和主義、文民統制をないがしろにする特定秘密保護法案は、議員の良識で廃案にすべきだと考える。立法時に納得しやすい事例が秘密にあたる事例として挙げられていても、運用ではどんな情報でも恣意的に秘密にできるのが、この法律である。行政機関の「長」が、一旦「秘密」と判断すれば、何でも国民の目から秘匿できるのでは、民主主義にも、三権分立にもならない。

*1:http://mainichi.jp/opinion/news/20131106k0000m070147000c.html
(毎日新聞社説 2013年11月6日) 秘密保護法案を問う 国の情報公開
◇「不都合」隠される懸念
 特定秘密保護法案は、国民の知る権利を支える情報公開や公文書管理の理念から大きくかけ離れる。情報公開法は「国民主権の理念にのっとり、情報の一層の公開を図る」ことを目的とし、公文書管理法は「国の諸活動や歴史的事実の記録である公文書は、健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源」とうたう。ところが、法案が成立すると、国の安全保障に著しい支障を与える恐れがあるとの理由で、行政機関は大量の情報を恣意的に特定秘密に指定することが可能になる。政府にとって「不都合な真実」も国民の目から隠蔽されかねない。
 政府の「隠蔽体質」を如実に物語るのが、1972年の沖縄返還に伴う密約問題だ。日本が米国に財政負担することを両政府が合意した密約について日本政府は一貫して否定し続け、2000年以降に米国立公文書館で密約を裏付ける文書が見つかった後も、その姿勢を変えていない。西山太吉・元毎日新聞記者らが密約文書の開示を求めた訴訟で11年の東京高裁判決は、「沖縄を金で買い戻す」との印象を持たれたくない政府が国民に隠す必要があったと認定し、ばれないように01年の情報公開法施行前に秘密裏に文書を廃棄した可能性を指摘した。開示請求は退けたが、密約文書を「第一級の歴史的価値を有し、永久保存されるべきだった」と国の姿勢を批判したのだ。密約のような行為も行政の思惑次第で指定がまかり通り、外部からのチェックは不可能になる。5年の指定期間は行政の判断だけで更新でき、内閣の承認があれば30年を超える指定も可能だ。国民は半永久的に知ることができなくなってしまう。
 特定秘密に指定される情報も、情報公開法や公文書管理法の対象になる見通しだ。ところが、国の安全が害される恐れがあるなどと行政側が判断すれば公開を拒否できるので、特定秘密は事実上開示されないことになる。公文書管理法も、各省庁で保存期間が満了した行政文書は国立公文書館などに移管するか、または首相の同意を得て廃棄することを認めており、廃棄される懸念は消えない。民主党は、訴訟の段階で裁判所が対象文書を調べる仕組みを導入する情報公開法改正案を提出し、知る権利の充実を強調する。しかし、国の防衛や外交上の利益などに重大な支障を及ぼす場合は行政側が法廷への文書提出を拒否できるとの条文があり、実際には機能しない可能性が強い。この改正案と引き換えに法案の成立を許すわけにはいかない。

*2:http://sankei.jp.msn.com/politics/news/131029/plc13102911480013-n1.htm
(産経ニュース 2013.10.29) TPPも対象の可能性 秘密保護法案で森担当相
 特定秘密保護法案を担当する森雅子少子化担当相は29日の記者会見で、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉内容が同法案で漏洩を禁じる「特定秘密」の対象になりうるとの認識を示した。「(法案の)別表に掲げる事項に該当すれば、なる可能性もある」と述べた。政府はこれまで、TPPなどの貿易関連情報は同法案の対象外だと説明してきただけに、整合性が問われそうだ。森氏は「国家や国民の安全保障に関わる事項であれば(特定秘密に)なる。細かい基準を有識者会議で作る必要がある」とも指摘した。

*3:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=24135
(日本農業新聞 2013/10/25) 秘密主義 看過できず TPPで意見書 長野県弁護士会長
 長野県弁護士会の諏訪雅顕会長は、「TPPへの交渉参加の秘密保持契約が国民主権や国会の最高機関性に反することを懸念する」として声明を発表した。国民や国会に情報提供できない協定であれば、直ちに脱退するよう求めた。「TPPに反対する弁護士ネットワーク」によると、弁護士会会長がTPPに懸念を示したのは全国初めてという。声明は今後、安倍晋三首相や甘利明TPP担当相、長野県選出の国会議員や各政党に送り、声明を周知する。

*4:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=24254
(日本農業新聞 2013/11/1) TPP交渉 全参加国に提案完了 年内妥結へ加速恐れも
 政府は31日、環太平洋連携協定(TPP)交渉で最大の焦点となっている関税について、関税撤廃・削減など品目ごとの扱いを示す提案(オファー)を11カ国全てと交換したことを明らかにした。TPP交渉と並行して行っている米国との2国間協議も年内の妥結を目指している。最大のヤマ場と見込まれる12月の閣僚会合が7日ごろに始まるとの日程感も見えてきており、年内妥結に向けてTPP交渉が一気に進む恐れもある。同日開かれた自民党の議員連盟「TPP交渉における国益を守り抜く会」で、TPP政府対策本部や外務省の担当者が明らかにした。
 米国との2国間協議は、直近の第3回交渉会合で「TPP交渉と歩調を合わせて年内に妥結しようということで精力的に交渉した」(外務省)という。
 今後の日程は、シンガポールで閣僚会合が12月7日ごろから数日間行われ、11月中旬には首席交渉官会合と分野別の中間会合が米国西部で開かれる見通しを示した。関税をめぐっては、オファーを全ての国に提示したものの、要求(リクエスト)がまだ全ての国からは返ってきていないという。交渉は、それぞれの品目についてオファー・リクエストを繰り返し、相手国の関心事項を精査して再びオファーするという手順で進めている。同対策本部の担当者は「品目ごとの交渉を積み重ねた結果として高い水準を目指すのが目標」と述べ、必ずしも自由化率を前提にした方法で進めているわけではないことを明らかにした。重要品目の関税撤廃の期間については、「10年を超えた段階的な関税撤廃を含め認めないこと」とした衆参両院の農林水産委員会の決議を受け止めて交渉するとの認識をあらためて示した。
その他の懸念が強い分野について、政府調達は「日本の仕組みを広げるような意見は出ていない」とし、「簡易保険、共済制度の変更も動きはない」という。

*5:http://www.saga-s.co.jp/news/global/corenews.0.2579027.article.html
(佐賀新聞 2013年11月9日) 防衛装備「国産」見直し / 40年ぶり、年度内に新戦略
 防衛省は、防衛装備の国産化をうたった1970年当時の防衛庁方針を約40年ぶりに見直し、代わって、国際共同開発への積極参入や、民間転用できる装備品を官民一体で国際マーケットに売り込むことを柱とする新たな戦略を2013年度中に策定する。政府関係者が明らかにした。安倍政権は、武器輸出三原則に基づく従来の禁輸政策見直しを進めており、新戦略は禁輸見直しと連動させる。中国や北朝鮮をにらみ、日本の高度な技術を交渉材料に他国との安全保障関係を強化する狙い。積極的な安保政策の一環との見方もできる。

*6:http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013110802000161.html (東京新聞 2013年11月8日) 特定秘密保護法案 議員の良識で廃案へ
 特定秘密保護法案が衆院で審議入りした。国家が国民の思想の領域まで踏み込む恐れがある。国会議員は今こそ良識を発揮して、廃案にしてほしい。潜水艦の潜水可能な深度、テロ情報収集のための情報源、公電に使われる暗号…。自民党はホームページで、秘密保護法案により漏えいを禁じる特定秘密の具体例を挙げている。国家が秘密にしたい事例として、納得する人も多いだろう。だが、秘密に該当しない情報さえ、恣意的に封殺しうるのが、この法案である。行政機関の「長」が「秘密」というワッペンを貼れば、国民から秘匿できるのだ。
◆35センチの壁も「防衛秘」
 特定秘密の指定の際に、有識者が統一基準を示すというが、あくまで基準にすぎず、個別の情報を調べるわけではない。国会や司法のチェック機能も働かない。これは致命的な欠陥だ。特定秘密は防衛省や外務省、警察庁などが扱い、約四十万件が指定されるとみられる。だが、秘密とするには、実質的に秘密に値する「実質秘」でなければならない。最高裁判例が示している。この膨大な秘密の山は、本当に「実質秘」だけで築かれているだろうか。ある情報開示訴訟で国側が敗訴したケースが、その欺瞞(ぎまん)性を象徴している。海上自衛隊が那覇基地の建物を「防衛秘」としたことに、最高裁が二〇〇一年、秘匿の必要性を認めなかった。国側は「爆撃機の攻撃力を計算して、耐えうる壁の厚さを設計した」などと、もっともらしい主張をしていた。だが、壁の厚さは、たったの三十五センチだった-。要するに行政機関は、隠したいものは何でも隠すことができる。いったん「特定秘密」に指定されてしまうと、半永久的に秘匿されうる。問題点は明らかだ。
◆崖に立つ報道の自由
 法案には防衛や外交の分野のみならず、「特定有害活動」「テロ活動」も加わっている。特定有害活動はスパイ活動を指すが、この項目には「その他の活動」という言葉もさりげなく挿入している。テロは人を殺傷したり、施設を破壊する行為だが、条文を点検すると、「政治上その他の主義主張に基づき、国家若(も)しくは他人にこれを強要」する活動も含まれると解される。主義主張を強要する活動が「テロ」とするなら、思想の領域まで踏み込む発想だ。原発をテロ対象とすれば、反原発を訴える市民活動も含まれてしまう。秘密を漏らした側にも、聞いた側にも最高十年の懲役刑が科される重罰規定がある。とくに「特定秘密を保有する者の管理を害する行為」を処罰する点は問題が大きい。管理の侵害とは何か、全く判然としていないからだ。しかも、既遂や未遂はむろん、共謀、教唆、扇動も罰せられる。これは秘密に接近しようとする行為に対する事前処罰であろう。刑法の共謀は犯罪の実行行為を必要とするが、この法案はその前段階である「話し合い」を共謀、「呼び掛け」を扇動とみなしうる。刑罰は強い拘束力をもつため、あらかじめ罪となる行為を明示せねばならない。だが、この法案では処罰範囲が、どこまで広がるかわからない。近代刑法の原則から逸脱する懸念が強い。報道の自由について「出版又(また)は報道の業務に従事する者」と限定しているのも、大いに疑問だ。ネット配信する市民ジャーナリストらを排除している。かつ「著しく不当な方法」による取材は、取り締まりの対象だ。不当かどうかの判断は、捜査当局が行う。ここにも恣意性が働く。裁判で無罪となるまで、記者らは長期間、被告人の立場に置かれてしまう。強い危惧を覚える。ドイツではむしろ「報道の自由強化法」が昨年にできた。秘密文書に基づいた雑誌報道に対し、編集部などが家宅捜索を受けた。これを憲法裁判所が違法としたからだ。今やジャーナリストは漏えい罪の対象外である。民主党は情報公開法の改正案を出しているが、秘密保護法案は情報へのアクセスを拒絶する性質を持つ。「国家機密」が情報公開制度で表に出るはずがない。
◆憲法原理を踏み越える
 何より深刻なのは国会議員さえ処罰し、言論を封じ込めることだ。特定秘密については、国政調査権も及ばない。行政権のみが強くなってしまう。重要な安全保障政策について、議論が不可能になる国会とはいったい何だろう。議員こそ危機感を持ち、与野党を問わず、反対に立つべきだ。三権分立の原理が働かないうえ、平和主義や基本的人権も侵害されうる。憲法原理を踏み越えた法案である。

| 民主主義・選挙・その他::特定秘密保護法関係2013.10~12 | 02:00 PM | comments (x) | trackback (x) |

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