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2013,11,14, Thursday
(1)小泉-細川元首相の「原発ゼロ」共闘は心強かった
私も、*3、*4に記載されているように、総理の持つ大きな力は多くの国民が協力できる壮大で夢のある事業に使って欲しいし、それができる時期に首相になっている安部首相は幸運だと思う。それを指摘した小泉-細川元首相の「原発ゼロ」共闘は心強く、小泉元首相の演説は確かにうまかった。 「小泉元首相の『政治で一番大事なのは方針を出すこと。そうすれば必ず知恵が出てくる』というのは無責任だ」と言う批判もあるが、知恵を出すのは民間企業や技術者・科学者であるため、事前に「こういう知恵がある」と全部列挙するわけにはいかない。しかし、方針が揺らぐと民間企業にとってはそれがリスクとなりチャレンジできないので、やはり「政治で一番大事なのは、全体の整合性がとれた矛盾のない方針を出し、揺らがないこと」であり、そうすれば、技術開発と応用が進むのである。 現在、野党は全部「原発ゼロ」の方針を出しているが、景気対策と電力自由化を公約にした自民党が衆院選、参院選ともに大勝したため、自民党から多くの賛成者が出なければ、「即原発ゼロ」は実現しない。しかし、自民党の政策が原発推進だから国民が自民党に投票したわけでないことは、世論調査から明らかである。 (2)「異業種参入」「石油・ガス会社の領域拡大」「電力会社の越境」で市場競争開始へ 改正電気事業法成立後に起こると予想していたことに、*2の「異業種参入」「他のエネルギー産業の領域拡大」「他地域の電力会社の越境」などがある。電力システム改革によって地域独占がなくなれば、工場で自家発電に慣れている企業や他のエネルギー産業が参入し、また、越境する大手電力会社も出る。中部電力は、10月から首都圏に参入し、関西電力も首都圏進出の計画を持つそうだが、自然エネルギー資源の豊富な北海道・東北・九州などからも首都圏に参入できるためには、2015年までの広域送電線整備に、電気抵抗が非常に小さい超電導電線(下左図)を使ってもらいたい。 (3)その結果、どうなる? 下のようなことが考えられる。 ①電力価格が下がる: 電力産業が地域独占でなくなり、総括原価方式を使わない企業とも競争する ことで、全体の電力価格が下がるため、電力を使用する企業の利益が増加する。 ②必要十分な電力が供給される: 電力需給が市場で調整されるため、消費者が発電方法を選択で き、電力が必要十分に供給される。 ③自然エネルギー・国産天然ガスエネルギーは、外国への支払いが生じない: 自然エネルギー・国 産天然ガスエネルギーで発電すれば、環境によいだけでなく、外国へのエネルギー代金の支払 いが生じないため、その資金を国内で循環させることができる。 ④電力輸出国になれる: 今から10年後のアジアでは、中国がエネルギー不足に陥りそうだが、日本 は電力や資源の輸出も可能だ。 ⑤結果: 消費税全額を地方に移管しても、国は国有資源からの収入と法人税により、年金・医療・ 介護、教育、保育などの資金に困らずにすむだろうし、是非とも、そうしなければならない。 *1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20131114&ng=DGKDASFS13031_T11C13A1EA2000 (日経新聞 2013.11.14) 電力市場、60年ぶり転機 改正電事法が成立、価格・サービス競争へ 地域独占を前提としてきた日本の電力市場が約60年ぶりの転機を迎えた。家庭向けを含む電力事業への新規参入を大幅に自由化する改正電気事業法が13日に成立。全国を舞台に発電や小売りの大競争が始まる。質の良いサービスを利用者が選べるようになり、料金競争を通じた恩恵も広がりそうだ。13日に成立した改正電気事業法は3段階で改革を進める。第1弾は全国10地域に事実上分断されていた市場の統合だ。2015年には地域間で電力を融通する広域機関を設立。九州の新電力会社が関東の企業に電力を売ったりしやすくなる。電力10社ごとの「縄張り」を解消、全国レベルの大競争のインフラを整える。電力事業は、発電、送配電、小売りに大別できる。1990年代から企業向け分野の自由化が始まったが大手電力による地域独占はほぼ手つかずで、新規参入は伸び悩んだ。広域機関の設立で、発電事業の採算性が高まれば新規参入の増加は確実。大手電力が独占してきた家庭向けの電力小売り事業も16年に自由化する。この結果、新規に参入した小売り事業者は全国どこの家庭向けにも販売できるようになる。利用者は「携帯電話と電力のセット販売」など、それぞれの実情にあったメニューから選べるようになる。電力会社は1人暮らし向けなどの多様なメニューを用意したり値下げしたりして顧客をひき付ける必要が出てくる。もっとも、送配電に関してはすでに大規模なインフラを持つ大手の独占が残る。政府は第3段階として18~20年に電力会社から送配電部門を分離。中立性を高めた送配電網を使って発電や小売りでの競争環境を整える。 公益産業の自由化で参考になるのは1985年の電電公社民営化。通信自由化では圧倒的な資本力があるNTTが市内通信網の独占をテコに優位な立場を温存し、新電電との競争がなかなか進まなかった。新規参入が思うように進まなければ規制なき独占が生まれ、料金が高止まりする可能性もある。電力自由化では新規参入を促すため、大手電力が持つ顧客情報の開示も義務付ける。通信自由化の際に既存業者と比べて新規参入への規制を緩めた「非対称規制」も検討の余地がある。 戦後長く続いた電力制度の改革が進み始めたのは福島第1原子力発電所事故などの影響で、業界の盟主だった東京電力が公的管理に置かれたためだ。だが、今後7年間の改革が、想定通り進むかはまだ判然としていない。「全面自由化のタイミングは慎重な検討が必要」。電気事業連合会は改革に反発している。13日成立した改正電気事業法でも小売り自由化は法律の本則ではなく付則にしか盛り込んでいない。経済産業省は14~15年度に自由化を進める追加の電事法改正案を国会に提出するが、この時点で改革の内容が修正される可能性も残っている。 *2:http://www.nikkei.com/paper/related-article/?b=20131114&c=DM1&d=0&nbm=DGKDASFS13031_T11C13A1EA2000&ng=DGKDASDC1300C_T11C13A1EA2000&ue=DEA2000 (日経新聞 2013.11.14) 東電の管内に3勢力が照準 異業種/石油・ガス/越境 電力システム改革のための改正電気事業法が成立し、競争環境の整備に道筋がついた。16兆円の国内電力市場の争奪戦が本格化する。「異業種の参入」「石油・ガス会社の領域拡大」「電力会社の越境」という3方からの新勢力が既存の電力会社に挑む。重点地域と位置付けるのは、日本の3割の需要を抱える首都圏。東京電力の管内だ。「発送電分離が実現すれば売り先の選択肢が広がる」。日本製紙の芳賀義雄社長は電力事業の拡大に意欲を見せる。計170万キロワットの発電設備を使い14年度から大口向けの小売りに参入する。送電網の利用コストが下がれば家庭向けも視野に入ると判断、能力を40万キロワット程度積み増す方針だ。 電力システム改革は大手電力の地域独占を崩す。すでに小売りが自由化されている大口需要家向けでは、全面自由化の前哨戦が始まっている。規模で存在感を示しているのは異業種からの参入となる製紙や鉄鋼といった素材大手。工場で培った自家発電の運営ノウハウを持つ。既に新電力事業を手がける王子ホールディングスも約300億円を投じて売電専用の発電設備を新増設する。燃料調達に強みを持つエネルギー企業も備えを進める。JX日鉱日石エネルギーが大口向け小売りに参入、4つの発電所を持つ東京ガスは大幅な出力引き上げを計画している。大阪ガスも能力増強が見込まれる。 もう一つの「新勢力」は越境により他社の管内に参入する大手電力会社。中部電力が10月から首都圏に参入、関西電力も進出計画を持つ。「他にも進出をうかがっている大手電力がある」(中堅新電力幹部)。各社が狙うのは首都圏だ。大口向けの小売りではすでに東電と新電力の競争が激化。東電が値上げした昨年4月以降は5~15%料金が安い新電力が契約を伸ばし、管内需要に占めるシェアは1割に達した。全国平均の約4%を大きく超える。 迎え撃つ東電はシステム改革のスケジュールより早く16年度にも燃料・火力発電、送配電、小売りの3部門を分社化する検討を始めた。他社に先がけて自由化に対応した体制を築き競争力を確保する狙いだが、福島第1原子力発電所事故の対応も残る東電にとって苦しい戦いは避けられそうにない。 *3:http://mainichi.jp/opinion/news/20131113k0000m070128000c.html (毎日新聞社説 2013年11月13日) 小泉氏の原発論 首相は耳傾け決断を 「総理の持つ大きな権力を、多くの国民が協力できる壮大で夢のある事業に使ってほしい」。小泉純一郎元首相は日本記者クラブで記者会見し、「原発ゼロ」の持論を改めて展開、安倍晋三首相への期待を語った。「今、総理が決断すればできる。郵政民営化の時より条件はよく、恵まれている」。小泉流の主張には説得力があった。安倍首相には、ぜひとも、耳を傾けてほしい。小泉氏の「原発ゼロ」主張に対しては、「ゼロを補う代案を出さないのは無責任で楽観的」といった批判がある。確かに、火力発電のたき増しによるコストはかさみ、二酸化炭素も増えている。懸念があることは否定できない。しかし、「政治で一番大事なのは方針を出すこと。そうすれば必ず知恵が出てくる」という小泉氏の反論はそのとおりだろう。オイルショックをきっかけに環境技術で世界をリードするなど、過去の歴史をみても、困難があればそれを解決する技術や方法が生み出されてきた。「原発依存度を下げる」といいつつ再稼働を推進する中途半端な政策を続けると、再生可能エネルギーや二酸化炭素の排出抑制への投資が進まず、原発から脱却できなくなる。本気でイノベーションを起こそうと思うなら、「原発に頼らない」という大方針こそが有効だ。「今すぐ原発ゼロ実現を」という踏みこんだ主張も、そうした点で理解できる。使用済み核燃料の最終処分場がないまま原発を動かしてきた「トイレなきマンション」問題も深刻だ。小泉氏はフィンランドの最終処分場を視察し、日本での場所決定は無理と感じたことも、「原発ゼロ」主張の理由としている。「処分場にめどをつけることが政治の責任」という反論はあるが、フィンランドの安定した地盤は日本とはまったく違う。大震災と原発事故で、自然の脅威を知り、原発技術への信頼が失われた日本で、最終処分場選定が非常に困難であることは確かだ。それがわかっていて核のゴミを増やしていくことの無責任さを考えないわけにはいかない。もちろん、原発ゼロを実現しても既存の使用済み核燃料は残る。その最終処分については現世代がめどをつけねばならない。ただ、原発ゼロを前提に核のゴミは増やさないと確約されていれば、解決のめどが立ちやすくなるのではないか。「本音を探れば自民党の中でも原発ゼロへの賛否は半々」と小泉氏は言う。安倍首相への遠慮から本音が言えないとしたら不健全だ。国民が声を出しつづけることも大切で、「原発ゼロ」論をきっかけに本音の議論を深めたい。 *4:http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013111290071127.html (東京新聞 2013年11月12日) 原発ゼロへ共闘 細川・小泉元首相「国民運動を」 細川護熙(もりひろ)元首相(75)は十一日、都内での本紙のインタビューで、安倍政権の原発再稼働路線を「犯罪的な行為だ」と批判し、「原発ゼロ」に向けた活動を国民的な運動に発展させたい考えを示した。講演会などで「原発ゼロ」を主張している小泉純一郎元首相(71)と会談したことを明らかにし「目的を達成するまで、主張し続けていきたい」と述べた。国民的な人気のあった首相経験者二人が立場を鮮明にしたことで、脱原発運動に新たな局面がひらける可能性がある。 細川氏は、安倍政権の原発推進政策に関して「ごみの捨て場がないのに再稼働しようとするのは、理解できない。原発について、根本から問い直さなければいけない」と強調した。「原発ゼロ」を目指す活動について「政局的な連携でない方が広がっていく。幕末も薩長土肥が攘夷(じょうい)で一致した」と、政党レベルではなく、国民運動として発展させていくべきだと訴えた。小泉氏とは約一カ月前に会談した。具体的な会談の内容は明らかにしなかったものの、「核廃棄物の最終処分場がないのにもかかわらず、再稼働を進めることに反対なのは、小泉さんと同じだ」と述べた。 ただ、「政局レベルの話ではない」と、自らの政界復帰や小泉氏と脱原発新党を結成することは否定。「原発ゼロ」を訴えることで連携し、国民運動推進の一翼を担っていく考えを示した。細川氏によると、会談は、フィンランドで建設中の核廃棄物最終処分場を視察した話を小泉氏から聞くために申し入れたという。小泉氏は十二日午後、都内の日本記者クラブで講演する。細川氏は、安倍晋三首相が九月の国際オリンピック委員会(IOC)総会で、東京電力福島第一原発事故の汚染水漏れ問題について「状況はコントロールされている」と発言したことについても「首相の言葉をどれだけの人が信じたか疑問だ」と批判した。 <ほそかわ・もりひろ> 1938年生まれ。上智大卒。新聞記者を経て参院議員(自民党)、熊本県知事を務めた後、92年に日本新党を結成。93年に衆院議員に当選、首相に就任したが、8カ月で辞任。98年に政界引退し、神奈川県湯河原町を拠点に陶芸、ふすま絵などアーティストとして活躍。 超電導電線 ハウスの太陽光発電 バイオマス発電 光選別型太陽光発電
| 経済・雇用::2013.7~2014.6 | 03:31 PM | comments (x) | trackback (x) |
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