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2013,11,20, Wednesday
2013.11.17佐賀新聞より (1)安全保障関係事項はすべて秘密にすべきなのか *1のように、安全保障に関しては特定秘密でもしようがなく、国民の「知る権利」に優先するということに反対する人は少ないが、今年6月にできた安全保障と情報に対する権利の国際原則である「ツワネ原則」は、「あらゆる人は、公的機関が保持する情報にアクセスする権利を有しており、その権利を制限する正当性を証明するのは、政府の責務である」と定めている。もちろん、暗号や作戦などの限られた範囲での情報制限は認めるが、それも政府に証明を負わせる点は重要だ(ツワネ原則全文訳 http://www.news-pj.net/pdf/2013/tsuwanegensoku.pdf 参照)。 ただし、*1の「原発への航空機衝突や火災などの場合について対処法の説明を受けたが、米国側から『秘密だ』と注意され、保安院側は原子力安全委員会にも、電力会社にも伝えなかった」というのは嘘である。何故なら、私は、2006年3月に、九州電力の「玄海原子力発電所3号機で、日本初のプルサーマル発電を実施する」という申し入れに、佐賀県知事が事前了解を出した後、自民党のエネルギー部会でそれについてかなりの議論を行い、その中で、私が「飛行機の墜落やテロには対応できているのですか?」と質問したところ、九州電力が「対応できていません。それは、民間企業ではできません。」と答え、そこには原子力安全保安院(旧)の担当者もおり、その後、警察や海上保安庁が原発の周囲を警戒するようになったという経緯があって、その時には、そのことが秘密だとは全く言われなかったからである。また、このようなことは、米国から言われなくても、現場を知っている当事者がちょっと考えればわかることであるにもかかわらず、このような記事を書くのは、どういう意図か。 なお、私の方は、当時からその程度の警戒で十分だとは思わなかったが、現在と同様、「原発は低コストの安全な電源で、経済成長に不可欠なものであり、シビアアクシデントは起こらない設計だ」という電力会社や専門家の声が多かったし、地元に交付金も出るので容認していたのである。しかし、「原発でシビアアクシデントは起こらない」という説明が嘘だったことは、今回のフクシマで証明された。 (2)透明性は公正性の前提である (1)のように、「秘密指定ができる」となった途端に、事実は変えられ、特定の人をターゲットとして作り話を作ることができ、その検証もできなくなる。また、秘密の範囲も、ご都合主義で自由自在に広げることができるのである。 (3)防衛は秘密の聖域か 防衛分野では、暗号や作戦は、(漏れることはあるかも知れないが)関係者以外に知らせることは、現在でもない。それは当たり前だろう。 しかし、*2のように、「自衛隊の護衛艦くらまが関門海峡で大韓民国籍のコンテナ船に衝突され、乗員6名が負傷し、艦首を損傷・出火し、単独航行が難しい状態になった」「コンテナ船側には負傷者はなかった」というニュースがあり、私が変だと思ったのは、護衛艦がコンテナ船とぶつかって、護衛艦の被害や損傷の方が大きいようでは、護衛艦はどういう作りをしているのか、護衛艦として守る機能があるのかということだった。護衛艦を造船するには、莫大な費用がかかる。また、護衛艦くらまの修理も、「11月9日に、長崎県の三菱重工長崎造船所に随意契約で修理を発注し、2010年初頭から修理されて同年6月9日に修理が完了した。修理費は約9億4,000万円と見込まれる」と書かれているように、防衛費は、競争のない社会で、費用対効果の最大化が図られているとは、とても思えないのだ。 特定秘密保護法案が成立すれば、会計検査院にも、支出された防衛費の内訳が具体的には開示されなくなる可能性が高い。そうなると、防衛費には、チェック機構も主権者の監視も働かなくなり、「何でもあり」という状態になることが容易に想像されるのである。 *1:http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013112002000162.html (東京新聞 2013年11月20日) 特定秘密保護法案(3) 崖っぷちの「知る権利」 国民の「知る権利」と安全保障は、いわば綱引きのような関係である。政府は「秘密にしたい」と言い、国民は「情報を公開してほしい」と願う。調整をどのように図ったらいいのか。「あらゆる人は、公的機関が保持する情報にアクセスする権利を有しており、その権利を制限する正当性を証明するのは、政府の責務である」。今年六月にできた「ツワネ原則」はそう定めた。安全保障と情報に対する権利の国際原則である。世界七十カ国余りの専門家約五百人で作成した。兵器開発や軍隊の作戦など、限られた範囲での情報制限は認めているが、政府に証明を負わせる点は重要だ。 秘密指定を行政機関の「長」に委ねる特定秘密保護法案と出発点が決定的に異なる。さらにツワネ原則は国際人権法に反する情報など、「何を秘密にしてはならないか」を明確にしている。どこまで秘密に覆われるか不明な日本の法案とは、まるで正反対である。国家の公衆監視も規制し、裁判所で秘密が公開され、審理できる保障も定めている。ことごとく考え方が逆方向なのだ。国連や米州機構、欧州安保協力機構などのメンバーが加わった最先端の原則から、わざわざ踏み外す法案をなぜ政府は作るのか。 秘密に対する日本の官僚のおそまつさを示す一例を挙げよう。二〇〇六年と〇八年に当時の「原子力安全・保安院」の審議官クラスらが渡米した。原発への航空機衝突や火災などの場合について、対処法の説明を受けた。だが、米国側から「秘密だ」と注意された。そのため、保安院側は原子力安全委員会にも、電力会社にも伝えなかった。原発の過酷事故に関する重要情報をせっかく米国から提供されていたのに、全く生かせなかったわけだ。秘密情報であっても、関係機関内で共有され、活用されなくては何の意味もない。重罰で秘匿化をより強める法案は実用的でないうえ、官僚をさらに束縛する。 逆に官僚は公文書の公開には無関心すぎる。一一年度に保存期間が満了した行政文書のファイル約二百三十万件のうち、廃棄された割合は実に92・5%にものぼる。国立公文書館に移管されたファイルは、たったの0・7%にすぎない。このうえ秘密の密封度を高める法案とは何事か。国民の「知る権利」は崖っぷちに立っている。 *2:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%8F%E3%82%89%E3%81%BE_(%E8%AD%B7%E8%A1%9B%E8%89%A6) (ウィキペディア 2009年10月27日要点)護衛艦くらま衝突事故(抜粋) 護衛艦くらまが、関門海峡において、大韓民国籍コンテナ船「カリナ・スター」に衝突された。この事故で乗員6名が負傷し、本艦は艦首を損傷・出火したが、10時間半後に鎮火に成功した。この事故により揚錨部(アンカー巻上げ部)も含む艦首部分がほぼ全壊し単独航行は難しい状態になった。「カリナ・スター」側に負傷者はなかった。この事故では、護衛艦くらまおよび誘導していたとする海上保安庁・関門海峡海上交通センターの責任問題が大きく報道されたが、海上保安庁による後の調査によれば、カリナ・スターの韓国人船長が事故について虚偽の供述をしていたことが明らかとなっている。AIS等による航跡の解析などにより、コンテナ船は事故直前まで減速せず、貨物船の後方わずか20-30メートルの距離まで近づき追突寸前となった。そのため左に急旋回し、前方から航行してきたくらまに衝突した。この事故で門司海保は船長の供述が翻ったことから、事故の主因はコンテナ船にあったと断定した。事故後は佐世保に自力で帰港していたが、付近で護衛艦を修理のできる造船所が限られることから、11月9日に随意契約による修理を発注し、2010年初頭から長崎市に所在する三菱重工長崎造船所で修理され、同年6月9日に修理が完了した。この事故での損害は約9億4,000万円と見込まれている。 PS(2013.11.22追加):*3で、変な法律であるにもかかわらず、政府が特定秘密保護法案の成立を急ぐ理由がわかった。東電が今後の核燃料取り出し作業をいちいち公表すれば、福島第一原発事故の真実が明らかになり、それは政府が公表したくない真実だからであろう。 *3:http://www.minpo.jp/news/detail/2013112212284 (福島民報 2013/11/22) 東電、今後の作業公表せず 核燃料取り出し 問われる情報公開の在り方 東電は、燃料を輸送容器から取り出し保管する共用プールでの作業や、2回目以降の移送日程について「核物質の防護上、答えられない。作業終了後に公表する」としている。ただ、容器の落下など緊急時の対応は不透明で、高線量の使用済み燃料を移送する2回目以降、作業工程の危険性はさらに高くなるとみられる。県や双葉郡の首長は「原発周辺の避難区域に立ち入りしている住民の安全を確保するためにも、情報を公開すべき」と指摘しており、今後の情報公開の在り方が問われる。
| 民主主義・選挙・その他::特定秘密保護法関係2013.10~12 | 01:06 PM | comments (x) | trackback (x) |
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