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2013.12.8 特定秘密保護法はスジが悪すぎるため、まず廃止すべきである ― 特定秘密の取扱い業務を行う者の適性評価についても、人権侵害や差別を含み質が悪い
  
                   *2より                        *3より

(1)特定秘密保護法の不完全さと質の悪さ
 *1に書かれているとおり、特定秘密保護法は、行政機関の「長」の判断で、重要情報を国民から隠せるため、官僚制には好都合な装置であり、「安全保障」と言いさえすれば何でもできることになる。その欠陥は、次々と出てきており、この法律は、製品に例えれば、リコールに値する。

 そのため、*2のような日比谷野外音楽堂での特定秘密保護法案反対集会、*3の市民デモ、*4の戸惑いなど、一昨夜、参院を通過した特定秘密保護法には反対が多いが、私は、そのスジの悪さと不完全性から国民の反対や危惧は当然であるため、この法律は廃止して、ツワネ原則(http://www.news-pj.net/pdf/2013/tsuwanegensoku.pdf)に沿った、民主主義国家として常識的な法律を作るべきだと考える。

(2)適性評価に関する具体的問題点
 この法律は、適性評価に関する部分で、不必要なプライバシー侵害や人権侵害があるとともに、精神障害者に対する差別を含んでいるため、以下、その適性評価に関する問題点について指摘する。

1)*5の十二条に、適性評価は、「次に掲げる事項について調査を行い、その結果に基づき実施する」とされており、その事項は、①特定有害活動及びテロリズムとの関係に関する事項(評価対象者の家族(配偶者(事実婚を含む)、父母、子、兄弟姉妹並びにこれらの者以外の配偶者の父母及び子、同居人の氏名、生年月日、国籍(過去に有していた国籍を含む。)及び住所、②犯罪及び懲戒の経歴に関する事項、③情報の取扱いに係る非違の経歴に関する事項、④薬物の濫用及び影響に関する事項、⑤精神疾患に関する事項、⑥飲酒についての節度に関する事項、⑦信用状態その他の経済的な状況に関する事項 とあるが、このうち、①の「並びにこれらの者以外の配偶者の父母及び子」というのは、ずいぶんと範囲が広そうだが正確には意味不明だ。また、③の「情報の取扱いに係る非違の経歴」というのは、その意味と範囲が不明である。さらに、⑤の「精神疾患に関する事項」は、精神疾患にかかった経歴があるから秘密を洩らしやすいわけではないため(例えば、自閉症は話をしない病気であり、治癒すれば普通の人である)、精神疾患に対し、法律でいわれのない差別をしている。

2)「適性評価は、あらかじめ、政令で定めるところにより、次に掲げる事項を評価対象者に対し告知した上で、その同意を得て実施する」とされているが、かなりのプライバシー侵害に当たるため、それを拒否したらどうなるのだろうか。

3)「行政機関の長は、第二項の調査を行うため必要な範囲内において、当該行政機関の職員に評価対象者若しくは評価対象者の知人その他の関係者に質問させ、若しくは評価対象者に対し資料の提出を求めさせ、又は公務所若しくは公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる」とされているが、このような聞き合わせは、職場の正式な業務評価書よりも正確なのだろうか?知人その他の関係者に聞き合わせをされること自体が、よい人間関係を失わせて人権侵害になる恐れがあるため、対象となる組織では、職場の正式な業務評価書に必要事項を織り込んでおき、民間事業者が契約する時には、その業務に関与する人の経歴として、契約の相手方に提出すればすむ話だろう。

4)「警察本部長は、政令で定めるところにより、次に掲げる者について適性評価を実施するものとする」とされているが、警察で特定秘密とされるものは何だろうか。過去の冤罪事件に関する証拠や記録でなければよいと思うが、如何?

*1:http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013120802000138.html (東京新聞社説 2013年12月8日) 特定秘密保護法 官僚制に“鎖”をつけよ
 「反対」の声を無視し、成立した特定秘密保護法は、官僚が情報支配する道具だ。国会議員は目を覚まし、官僚制にこそ“鎖”をつけるべきである。
<自らの支配者たらんとする人民は、知識が与える力で自らを武装しなければならない>
 米国の第四代大統領のジェームズ・マディソンは、一八二二年に知人宛ての手紙にそう書いた。日本の支配者は、主権者たる国民のはずである。その国民が情報を十分に得られなかったら…。マディソンはこうも書いている。
<人民が情報を持たず、または、それを獲得する手段を持たないような人民の政府は、喜劇への序幕か悲劇への序幕にすぎない>
◆善良でも「省益」に走る
 政府には喜劇であり、国民には悲劇である。主権者たる国民は本来、支配者の自覚で、情報がもたらす知識の力で「武装」しなければならない。それゆえ、憲法は「表現の自由」を規定し、国民は「知る権利」を持っている。だが、膨大な行政情報を握る官僚制は、もともと秘密主義をとりたがる。国民に過少な情報しか与えない仕組みになっている。「『職務上の機密』という概念は、官僚制独自の発明物」と看破した社会学者マックス・ウェーバーは、こう述べている。
<官僚制的行政は、その傾向からいうと、つねに公開禁止を旨とする行政なのである。官僚制は、その知識や行動を、できることならどうしても、批判の眼(め)からおおいかくそうとする>
 これは情報公開制度を使った経験のある人なら、容易に理解するはずだ。「非開示」の通告を受けたり、真っ黒に塗りつぶされた文書を“開示”されたりするからだ。新聞記事すら、黒く塗りつぶして、「公開」と称する。個人として善良な官僚たちでも、組織となると独善に陥り、「省益」を守るべく奔走する。
◆無力な国会でいいのか
 特定秘密保護法は、さらに官僚制に好都合な装置だ。行政機関の「長」の判断で、重要情報を国民の目から覆い隠せるからだ。「安全保障」のワッペンさえ貼れば、違法秘密でも秘匿できる。先進国の中で、官僚制にこれほどフリーハンドを与えている国はあるまい。欠陥がぼろぼろと出てきたため、政府は改善と呼ぶ提案をトランプのカードのように次々と切ってきた。「保全監視委員会」を内閣官房に、「情報保全監察室」を内閣府に…。だが、行政機関を身内の行政機関が客観的に監視できるはずがない。法律本体が欠陥なのだから、取り繕う手段がないのだ。それならば、いったん成立した法律を次の国会で廃棄するのが、最も適切な対応だと考える。首相や与党幹部は、考え違いをしていないか。自民党の石破茂幹事長は「絶叫デモはテロ行為と変わらない」とブログに書いた。同党の町村信孝氏も「知る権利が国家や国民の安全に優先するという考え方は、基本的に間違い」と述べた。憲法を否定し、「主権在民」ではなく、「主権在官」だと言っているのに等しい。国民あっての国家であることを忘れてはいないか。安倍晋三首相が目指すのは「美しい国」だ。世界中の民主主義国家では、多種多様な意見がひしめき合うのを前提に成り立っている。安倍首相の頭には、整然とした統制国家があるのではないかと思える。秘密保護法はまさに情報統制色を帯びている。だから、国民の代表者である国会議員をも処罰する規定を持たせている。特定秘密には国政調査権も及ばない。議員はまるで無力である。国会は政府の言いなりの存在になる。国権の最高機関よりも、行政権が優位に立つ不思議な国の姿になろう。三権分立を崩す法律には、議員こそ反対すべきだった。その反省に立ち、議員らは官僚の暴走を食い止める“鎖”となる仕組みを構築するべきだ。過去の情報漏えい事件は、ずさんな管理が原因のものばかりだ。むしろ、官僚に対して、命令形の用語を使った情報管理システムをつくったらどうか。「情報は国民のもの」という原則で、情報公開法を全面改正する。公文書管理法も改正し、行政に説明責任を果たさせる-。官僚制に“鎖”をつける方法はいくらでもある。
◆知識で武装するために
 首相は「国益」というが、これまでの経験則では官僚が狙うのは「省益」だ。「国民の利益」はいつも置き去りとなる。民主主義を機能させるには、国民は情報がもたらす知識で「武装」せねばならない。少なくとも情報公開法と公文書管理法の抜本改正という、トランプのエースのカードを国民に与えるべきである。

*2:http://www.saitama-np.co.jp/news/2013/12/07/01.html
(埼玉新聞 2013.12.7) 民の声なぜ届かぬ 日比谷野音で特定秘密保護法案反対集会
 6日深夜の国会で可決成立した特定秘密保護法。国会周辺や日比谷野外音楽堂では6日、廃案を求める多くの市民が怒りの声を上げた。「強行採決に危機を感じる」「戦争時代のようだ」。県民からも未来への不安が噴出した。
■「戦争の記憶再来」
 日比谷野外音楽堂で開かれた秘密保護法廃案を求める集会とデモ。県内からも横断幕やプラカードを掲げた参加者が駆け付け、「国民の声を聞いてほしい」と訴え、集会とデモに参加した。
 新座市に住む84歳男性は、国民学校に通っていた頃の思想統制の下での思い出を振り返り、「戦争中の記憶がよみがえってくる。まさに始まりはこんな感じだった。友達同士で監視し合った。まさに治安維持法と同じ。庶民を苦しめてばかりの政治に私は怒っている」と語気を荒げた。
 久喜市に住む病院事務の女性職員(55)は、職場の同僚が作った「STOP秘密保護法」のステッカーをかざし、集会に参加。「今の状況は戦争の時代に重なる。子どもや孫から、なんであんな法を通したのと言われないように、何か行動しなければと駆け付けた」
 朝霞市などで活動する商工団体事務局で働く紀田千尋さん(34)は、同法が会員の中小業者に影響を与えることを懸念する。「近くに朝霞駐屯地がある。この法案が通ることで地域の業者が不利益を被る恐れがある。こうした反対運動そのものをすることで危険にさらされることも危惧している」
 川口市に住む50代男性教員は、法案成立に向けた政府の姿勢を非難。「国民の普通の声が届かない政治だ。とにかくこれだけ反対の声があるのに強行するやり方に危機感を感じる。諦めずに秘密保護法の廃案を目指し、子どもたちに未来のある教育をしていきたい」と語った。

*3:http://mainichi.jp/select/news/20131208k0000m040009000c.html
(毎日新聞 2013年12月7日) 秘密保護法:「こんな法律認めない」市民らのデモ続く
 特定秘密保護法の成立を受けて、同法に反対する市民らは7日、国会議事堂周辺やJR渋谷駅前で怒りの声を上げ続けた。国会議事堂前では朝から「秘密保護法廃止」と書かれたチラシや看板を持った市民が「こんな法律は認めないぞ」と訴えた。埼玉県蕨市の無職、仲内節子さん(68)は「このまま黙ったら政府の思うつぼ。今日は法律廃止に向けた第一歩だ」と話した。
 また、JR渋谷駅前では全国から駆けつけた仏教、キリスト教など宗派を超えた宗教者が集まり「この法律は国民の目、耳、口をふさぐ。みんなで民主主義を守ろう」と呼びかけた。参加した僧侶の武田隆雄さん(61)は「これからが本当の始まり。心の自由を縛りかねない法律に対し、宗教者として反対の意思をはっきり示したい」。静岡県沼津市の神父、河野淳さん(49)も「法律が成立したからといって引き下がるつもりはない」と語気を強めた。

*4:http://qbiz.jp/article/28636/1/
(西日本新聞 2013年12月7日) 特定秘密保護法 九州の民間にも広がる不安
 特定秘密保護法が成立し、秘密を取り扱う公務員や民間人に対し「適性評価」が実施されることになる。対象となり得る九州の関係者にも不安や懸念が広がっている。「われわれも適性評価の対象となり、仕事と直接関係ない家族構成や酒量まで調べられるのか」。米海軍基地や海上自衛隊地方総監部がある長崎県佐世保市で艦船整備に携わる会社役員の男性は不安を漏らす。基地側とは長年積み上げてきた信頼関係がある。従業員は基地に入る許可証を持っており、一般に明らかにされない艦船の入港日時を事前に知らされている。エンジンを修理したり、乗組員が寝泊まりする居住区で電気設備を点検したり、外部に漏らせない情報にも触れる。男性は、従業員に適性評価を受けるよう指示する立場になることを懸念している。「技術者に借金の有無を聞き出すなんてことは筋が通らない。できればしたくない」と声を落とす。
 医療現場でも、特定秘密に接する可能性がある。福岡県歯科保険医協会の大崎公司会長(56)によると、医師は健康保険証から患者が国家公務員だと知り得る立場にあり、診察時は仕事内容にも話が及ぶことがあるという。実際、海上保安庁の職員から「来週から2週間、韓国の海域近くまで行くので診察に行けない」と打ち明けられたり、原発作業員から「定期点検に入るので2カ月は来られない」と聞かされたりしたことがある。「知らず知らずのうちに秘密に触れ、捜査対象になりかねない恐ろしい法だ」と懸念する。
 「多くの自衛官は秘密を墓場まで持っていく覚悟を持っているが、それを民間人にまで死ぬまで言うなと決めていいのか」。九州の部隊に所属する自衛官は、疑問を投げ掛ける。別の元自衛官は「防衛大の志願者が、過去にその親が学生運動をしていたとの理由で不合格になった事例があった」と打ち明ける。「権力側は既に民間人のプライバシーを調べている実態がある。拡大は危険だ」と強調した。

*5:http://digital.asahi.com/articles/TKY201312070583.html?iref=comkiji_redirect
(朝日新聞 2013年12月8日) 特定秘密保護法(全文)
 6日に成立した特定秘密保護法の全文は次の通り。(《 》内が衆院での主な修正箇所)

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| 民主主義・選挙・その他::特定秘密保護法関係2013.10~12 | 01:05 PM | comments (x) | trackback (x) |

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