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2013.12.23 ふるさと納税制度の意味と、まだ不十分な部分について
(1)ふるさと納税制度の意味
 「ふるさと納税制度」は、私が提唱して作られた制度だ。その意図は、「ふるさとで教育を受け、老親はふるさとで医療・介護などのケアを受けているが、生産年齢人口の人は、都会や工業地域で働き、そこで住民税を支払っているため、地方財政の支出と収入に存在する矛盾を修正するためのものである。 うさぎ

 そのため、ふるさと納税制度を使って寄付する地域は、自分が教育を受けた地域や老親が住んでいる地域というのが普通だが、ふるさとを複数持つ人や特別の思い入れを持つ地域のある人もおり、それらのどこへでも寄付することができる制度になったのはよいことだと思っている。

 しかし、ふるさと納税制度の意図からすれば、控除は、国税とは関係なく住民税で行うべきであり、ふるさと納税した金額は、全額、居住している地域の住民税から差し引けるのが合理的だと思うが、これは、一人負けになる東京都の反対で実現しなかった。

(2)制度の不十分さと自治体の努力
 *2、*3のように、「ふるさと納税」すれば、所得税、個人住民税の確定申告をすることによって、一定限度の寄付金控除が受けられるものの、100%は控除できない。*2で説明されているような「限度額計算」は、税法でよく使われるものだが、合理的な根拠があるわけではなく、納税者を不利にし、やたら計算を複雑化しているため、「ふるさと納税」は、もっと簡単な手続きと限度計算(例えば、住民税所得比例部分の70%以上は居住する自治体に納税するなど)で、全額を控除できるようにすべきだ。

 しかし、現在は、納税者に煩雑さと不利益があるため、*1のように、「ふるさと納税」による寄付を受けたい自治体は、納税者の不利益部分の補填の為に、特産品などを贈るようになったわけである。自治体が特産品などの特典を与えたり、賛同を呼ぶ寄付金の使い道を提示したりして「ふるさと納税」による寄付金を集めるのは、全く悪いことではない。そして、ふるさとの再生やまちづくり、福祉の充実など、寄付する人に魅力のある使い道を提示したり、ふるさとの産品を送ったり、寄付の集め方を工夫したりした結果、寄付金の額に差が生まれるのは当然である。 うし

*1:http://qbiz.jp/article/29089/1/
(西日本新聞 2013年12月16日) ふるさと納税格差拡大 導入5年−福岡市急増、長崎県苦戦
 出身地や応援したい自治体に寄付をする「ふるさと納税」の導入から5年が過ぎた。寄付の使い道への賛同や、返礼に贈る特産品などの特典の効果で、爆発的に寄付額が増えるケースもあり、福岡県と福岡、北九州両市では本年度、既に過去の年間最高額を更新した。一方で自治体間の特典競争は過熱しており、寄付額に格差が生まれる傾向もうかがえる。
 福岡市は4〜10月の寄付額が前年度(171万円)の40倍以上の7560万円となった。わずか7カ月で過去最高だった2010年度(710万円)の10倍を超えた要因として、寄付金の使い道に、市立こども病院の患者家族向け宿泊施設の建設支援を加えたことが挙げられる。市によると、宿泊施設建設を支援する寄付を受け付け始めた5月以降、賛同者が続出。5千万円の大口も含め、寄付全体の97・4%が施設建設向けに寄せられた。「こんなに集まるとは想定していなかった。使途に『目玉』があると寄付が増えるようだ」。市の担当者は目を丸くする。返礼の特典充実が、寄付を呼び込むことにつながった例も目立つ。福岡県は1万円以上寄付した人に県産イチゴ「あまおう」などを贈り始めた12年度、寄付額が過去最高を記録。さらに本年度は、10月時点で12年度の倍近い379万円に達している。担当者は「東京の県人会などで寄付を呼び掛け、特典の効果が浸透してきた」と言う。11年度から寄付目的に応じて水産加工品などを贈っていた佐賀県は、本年度に入ってテレビの全国放送で紹介された影響もあり、寄付件数が過去最多の545件になった。寄付額も過去最高となる勢いという。総務省が4〜6月に行った調査では、特産品などを贈っている自治体は932団体で全体の52%。少数派となった特典のない自治体の寄付集めは苦戦気味だ。
 家畜伝染病「口蹄疫(こうていえき)」の被害を受けた宮崎県は10年度、全国から寄付の申し出が殺到し、1億5千万円以上を集めたが、本年度はまだ270万円。10月までの寄付が135万円にとどまる長崎県は、特産品の提供を検討している。ただ、特典のない自治体の中にも「特産品を目当てに寄付をする人もいる。特典の豪華さで自治体競争をエスカレートさせても意味がない」(熊本市)と特典贈呈に否定的な声もある。国も競争過熱にブレーキをかけ始めた。総務省は「特典の提供が行き過ぎると、ふるさとへの貢献などを目的にした制度の趣旨から外れる」と警告。9月に「良識ある対応」を促す文書を全国の自治体に送付している。
◇九州各県 返礼多様、使途も独自色
 九州では、ふるさと納税の返礼として農水産物などを贈る自治体が目立つ。豪華なのは佐賀県玄海町。本年度から1口10万円以上の寄付者に、1年を通して毎月、黒毛和牛やメロンなどを贈る「プレミアムコース」を設けた。4月から10月末までの寄付額は、既に2012年度の10倍を超す4362万円に達した。特産品ではなく、工夫を凝らした返礼をしている自治体も。鹿児島県は約60の文化・観光施設で入館料割引などを受けられる「かごしま応援者証」を贈呈する。佐賀県は寄付者が選べる返礼の一つに、県に関する豆知識を記した「トリビア入りトイレットペーパー」を用意した。寄付の使い道でも独自色を競う。熊本県は11月、県のキャラクター「くまモン」の応援のための寄付を新設。全国のくまモンファンの賛同を期待する。西アフリカの伝統打楽器「ジャンベ」の普及促進を掲げたのは鹿児島県三島村。世界的奏者との交流を機に、ジャンベを核とした村づくりを進めており「ジャンベのリズムに乗せて島の情報を発信したい」としている。
■ふるさと納税 個人が任意の自治体に2千円を超えて寄付すれば、住民税と所得税から一定の控除を受けられる制度。大都市と地方の税収格差を是正する狙いがあり、地方税法の改正で2008年に導入された。寄付する「ふるさと」は出身地に限らず自由に指定できる。年間70億円前後で推移してきたが、12年度は東日本大震災の被災地への義援金目的で急増し、649億円に達した。

*2:http://www.furusato-nouzei.jp/guide/simulator.html ふるさと納税の仕組み
 寄付金の控除として所得税、個人住民税は確定申告をすることによって、それぞれ所得控除及び税額控除が一定の限度の中で受けられます。こちらから、自治体に寄付した場合の税控除額を試算できますので、ご参照ください。また、目安となる「ふるさと納税による税金の軽減額早見表」をダウンロードいただけます。
1 寄付金の控除対象金額所得税では、自治体以外への控除対象寄付と合わせて、所得金額の40%相当額、住民税では自治体、所在地の都道府県共同募金会及び所在地の日本赤十字社支部への寄付金の合計額で所得金額の30%相当額がそれぞれ控除対象の限度となります。
2 所得税から控除寄付金控除額(寄付した金額-2,000円)は扶養控除、社会保険料控除及び生命保険料控除等と同様に総所得金額から控除されます。
3 住民税から控除寄付金控除額(寄付した金額-5,000円)は算出した住民額から次の(1)、(2)の合計額が控除されます。
(1)= 寄付金控除額の10%
(2)= 寄付金控除額×(90%-所得税の税率)・・・この金額は住民税の10%が限度

*3:http://www.furusato-nouzei.jp/guide/pdf/hayami.pdf
ふるさと納税による税金の軽減額早見表(目安額)
1.この表は、総所得金額毎に寄付金額別の住民税と所得税の目安軽減額(概算額)を表したものです。
2.扶養の状況は、夫婦と子供2人で試算しています。
3.百円未満の端数は、切り捨てて表しています。
総所得額                  寄付額50,000円の場合  寄付額100,000円の場合
500万円の場合   控除合計(割合)   38,200円(76.4%)    48,200円(48.2%)
700万円の場合   控除合計(割合)   45,600円(91.2%)    75,500円(75.5%)
1000万円の場合  控除合計(割合)   45,600円(91.2%)    95,600円(95.6%)

| まちづくりと地域振興::2011.8~2014.4 | 10:46 AM | comments (x) | trackback (x) |

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