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2013.12.29 消費税は主に労務費にかかる税であるため、消費税増税と給料引き上げ・雇用促進は矛盾する政策である。(2013.12.30追加あり)
  

(1)企業の消費税は、主に労務費(従業員の給料)にかかるのだということ
 ある会社で支払う消費税を計算するにあたっては、商品の仕入れ、機械等の事業用資産の購入・賃借、事務用品の購入、運送・水光熱料金など、外部から購入した財・サービスについては、二重課税にならないよう仕入税額控除が行われるため、その会社での消費税はかからない。それでは、何に消費税がかかるのかと言えば、その会社でつけた付加価値にかかるのであり、それは主に人件費と利益だ。

 例えば、弁当屋である京樽の平成18年12月期の財務諸表(http://www.kyotaru.co.jp/company/lib_pdf/474405.pdf#search='%E4%BA%AC%E6%A8%BD+%E5%80%8B%E5%88%A5%E8%B2%A1%E5%8B%99%E8%AB%B8%E8%A1%A8')を例にとれば、売上高は3,238万円、売上原価は1,175万円であるが、このうち、消費税の課税対象となるのは、外部から購入したものを除く労務費と利益が殆どであることが、損益計算書と製造原価報告書からわかる。それなら、消費税増税が行われたら、企業はどうやって利益を確保するかと言えば、労務費を削るのが最も大きな効果を挙げるだろう。その方法は、機械化や従業員の非正規化などにほかならない。

 一方で、「消費税はすべて消費者に転嫁する」といきまいている人が多いが、年金生活者や非正規雇用者が多いわが国で、実質収入が増えるどころか減る場合に、消費税を転嫁されれば、買う数量が減るしかないというのは、生活者が考えればすぐわかることである。そもそも景気というような気分で変化する程度の需要は、大切にしなければならない堅調な需要ではない。

 それでは、何故、政治家・評論家・御用学者・メディアが、こぞって消費税増税の必要性を説いているのかと言えば、このうち消費税法の仕組みや規定、国庫に入った後の税金の流れを理解して発言している人は殆どおらず、消費税増税をしたい財務省の理屈を、何かの利害関係があって、自分の見解として語っているにすぎない。つまり、全体が虚構なのである。

(2)軽減税率は、不公正・不公平を生む
 どうしても買わなければならない食品などの生活必需品への支出割合は、所得が低い人ほど高いため、これらに軽減税率を適用しなければ、低所得者ほど税負担が重くなるというパラドックスが存在するため、消費税には、軽減税率適用の話がつきものである。

 しかし、軽減税率は適用範囲の設定がすこぶる難しく、不公正・不公平を生みやすい。例えば、食料品のうち材料には軽減税率を適用するが、加工品には適用しないとすると、一人暮らしで惣菜を買って節約している老人は、軽減税率を適用されないことになる。現在は、材料を買って自宅で調理する方が、廃棄物が多く出て不経済になる世帯も多いので、何が贅沢かを一概に線引きすることはできないのだ。

 従って、消費税率はなるべく低くすべきであり、この際、消費税は、全額を地方税にして、税率もその地域で自由に決められるようにするのが、地方分権をバックアップする資金として優れていると、私は思っている。それでも、インボイス方式にすれば、事務手続きに大きな問題は生じない。

(3)消費税増税は社会保障目的というのは本当だったか
 *1、*2に書かれているように、消費税増税が社会保障目的という論理はすでに崩れた。また、逆に、社会保障費は消費税から支払わなければならないという根拠もない。さらに、年金受給者は、年金保険料を支払って受給資格を取得したのだから、受給する時になって、社会保障費が多すぎるなどとつべこべ言われるのは詐欺に等しい。もし年金資産が足りないとすれば、それは100%、国の年金資産管理や人口動態の読み、経済運営に問題があったのであり、その責任を受給者が負担するというのは理屈に合わない。また、そのいい加減な管理状況は、今でもさほど改善されていないのだ。

(4)社会保障と財政再建の代替案は、もう何度も示している
 社会保障と財政再建の代替案は、このブログの「年金・社会保障」「経済」「消費税増税問題」というカテゴリーで何度も書いているので、改めて書くことはしない。また、*2に「社会保障費についても給付削減に踏み込むなど一段の改革をしなければ実現できない」と記載されており、こういう発言は多いが、そもそも社会保障費は一人当たりで増えたか否かを比較すべきであり、高齢者が増えれば年金給付や医療介護給付が増えるのは当然であるため、国は、それも想定してこれまでやってこなければならなかったのである。そして、それは、決して難しいことではなく、運営者として当たり前のことなのだ。

*1:http://qbiz.jp/article/28963/1/
(西日本新聞 2013年12月13日) 増税、暮らし直撃 与党が税制大綱を決定
 自民、公明両党は12日、2014年度税制改正大綱を決めた。来年4月の消費税増税が控える中、軽自動車税の増税や給与所得控除の縮小など家計関連の増税が目立つ一方、交際費の非課税制度の拡充など企業の優遇措置は強化された。消費税の軽減税率制度は「税率10%時に導入する」としたが、対象品目や税率など重要部分の結論は来年に先送りした。14年度の消費税率8%への引き上げによる負担増は5兆1千億円程度と見込まれている。今回の改正で14年度は国と地方を合わせて7400億円程度の減税になるとされ、差し引きすれば4兆円超の増税になる。政府は増税時の経済対策のため13年度補正予算案を12日に閣議決定したが、企業優遇が中心で家計支援は手薄だ。賃上げで家計が改善しなければ、増税後の消費落ち込みでデフレ脱却が遠のく恐れがある。
 最大の焦点となった軽減税率制度は、必要な財源を確保しつつ、国民の理解を得た上で導入するとした。14年末までに結論を得る方針も示したが、導入に積極的な公明と、税収減などを懸念して慎重な自民の意見対立は解消されていない。両党の議論は12日未明まで続き、大綱は双方に配慮した文言に落ち着いた。導入時期の表現は、15年10月予定の消費税率10%への引き上げ時と、引き上げ後のどちらとも解釈可能で、国民には分かりにくい内容となった。麻生太郎財務相は12日の会見で「考えないといけないことがいっぱいある」と述べ、導入には時間がかかるとの認識を示した。
 大綱ではサラリーマンの給与所得控除を縮小し、16年から年収1200万円超、17年以降は年収1千万円超の人を対象にする。購入時に納める自動車取得税を軽減する一方、毎年支払う軽自動車税は増税。企業支援では交際費の一部を非課税にする制度の対象に大企業も加えた。復興特別法人税は1年前倒しで13年度末に廃止し、賃上げや投資を促す減税も実施する。
◆経済活性は不透明、消費冷え込む恐れも
 自民、公明両党が12日決定した2014年度税制改正大綱は、消費税10%引き上げ時点での軽減税率導入を事実上先送り、軽自動車税の増税など家計に厳しい項目が並ぶ一方、企業向けには設備投資減税など手厚い支援策が盛り込まれた。企業優遇で経済活性化を目指す「アベノミクス」色が濃いが、狙い通り景気を浮揚できるかは不透明だ。最大の焦点だった軽減税率の導入は、自公協議で対象品目の線引きや納税事務負担といった議論の入り口でつまずき、事実上の先送り。自公の綱引きに終始し、増税で生活が苦しくなる低所得層への有効な支援策は何か、という根本的な議論は深まらなかった。
 軽自動車税は、15年度以降に購入する新車から1・5倍の1万800円への増税が決定。「軽ユーザーは収入の少ない女性や高齢者が中心」「地方の生活の足」という自公両党や軽メーカーの反発が強く、既保有者への増税は見送った。一方で「軽に市場が偏り、健全な形で自動車産業が育たない」(自民党税制調査会幹部)との業界への配慮から、利用者に負担増を求めることになった。
 高所得のサラリーマンの給与所得控除も段階的に縮小され、年収1千万円超の人は17年から所得税・住民税が増税になる。対象は172万人、増税規模は1100億円に及ぶ。家計向けの増税策は、来年4月の消費税増税より後にずれるものの、将来の負担増を見越して節約志向が強まれば、景気回復をけん引する個人消費が冷え込むリスクもある。
 一方、企業向けには接待などに使う交際費の一部非課税措置を大企業にも拡大。設備投資減税など手厚い支援策をそろえた。今回の大綱による減税規模は、14年度で国・地方合わせて総額7400億円とされるが、ほとんどは企業向け減税によるものだ。
 国の借金は1千兆円に達し、家計向けに減税策を大盤振る舞いしている余裕はない。安倍晋三政権は、企業活動の活発化で給与増や雇用拡大、設備投資の増加といった経済の好循環を目指す。企業優遇は首相の政策を税制面から支援する狙いだが、企業向け減税分が家計に回る保証はない。景気が腰折れすれば、15年10月に予定する消費税率10%への引き上げができず、財政健全化も遠のく。
◆低所得者支援固めず
 消費税の軽減税率をめぐる自民、公明両党の攻防は玉虫色で決着した。2014年度の与党税制改正大綱に「税率10%時に導入する」と記したが「10%時」がいつを指すかは不明確。導入を望む公明党は「引き上げと同時」と読み、先送りしたい自民党は言葉を濁す。導入時期がぼやけ、10%増税への判断を自由に決めたい安倍晋三首相にとっては好都合な形になった。12日、国会内の会議室。大綱をまとめた両党の税制調査会幹部が記者会見に臨んだ。同日未明まで軽減税率の書きぶりをめぐって激しくやりあった。「10%時」の解釈について自民党の野田毅会長が「何年何月にと言及するのは難しい」と明言を避けると、公明党の斉藤鉄夫会長は語気強く「10%引き上げ時を含むのは当然だ」と口を挟んだ。結論は1年後の税制論議に持ち越された。軽減税率は公明党にとって、消費税増税に慎重な支持母体、創価学会への説得材料だった。特定秘密保護法への厳しい世論も公明を駆り立てた。「なぜ止めなかったのかって、電話がじゃんじゃんかかってくる。これで軽減税率を実現できなかったら…」。党幹部の危機感は強かった。山口那津男代表は税制大綱に「(軽減税率の)詳細な内容を検討する」と明記された点も成果と強調した。
 一方、自民党は一貫して軽減税率に消極的だった。「イクラはいいけど、キャビアはどうするの」。麻生太郎財務相は対象食品の線引きの難しさを指摘。財務省と連合軍を組み、軽減税率の導入に「必要な財源を確保しつつ」と条件を付けた。1%で約4900億円の税収減と試算し「2%の軽減税率なら約1兆円の財源を見つけないといけない」と難しさを強調。なお抵抗できる余地を残した。首相にとっては、導入時期の曖昧さは好都合だった。具体的に決められると、10%への引き上げが既定路線化し、自らのフリーハンドを縛られかねない。自民党の強気には首相の存在もちらついた。
*税制改正大綱 経済や社会の変化に合わせた税制見直しや今後の検討課題を示した文書。通常、各省庁が毎年8月末、財務省に翌年度の税制改正項目を要望。与党が業界団体などの意見も踏まえながら、政府予算案の作成に合わせ、12月に大綱を取りまとめる。政府もこの内容に沿って大綱を閣議決定し、税制改正に必要な法案を国会に提出する。

*2:http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013122502000153.html
【東京新聞社説 2013年12月25日】 政府予算案 国民の痛みに応えたか
 政府の来年度予算案は古色蒼然(こしょくそうぜん)とした自民党色に勇ましい安倍カラーも加わり過去最大に膨張した。財政危機を叫んで決めた消費税増税が国民に痛みを強いるのに、この財政規律の緩みは何なのか。十七年ぶりの消費税率引き上げと景気回復に伴う法人税などの増収で、全体の税収は前年度より七兆円多い五十兆円を見込む。いよいよ消費税増税がのしかかってくる国民の思いを酌めば、本来の消費税増税の趣旨である社会保障の維持・充実に努めるのはもちろんのこと、増え続ける国の借金を減らし財政健全化につなげるのは当然のことである。
 ところがどうだろう。本年度補正予算で二兆円規模の公共事業費を決めたばかりなのに、さらに六兆円も積み増す。診療報酬は自民党のスポンサーである日本医師会に配慮して土壇場で増額改定を決める。農業も減反を見直しながら転作などの補助金を増額する。業界団体や既得権益層と結び付いた、これら主要項目は軒並み増額し、旧来のバラマキや利益誘導が顕著である。
 安倍晋三首相の指示で防衛予算も二年連続で増やし、装備増強などに余念がない。普天間飛行場の移設問題を抱える沖縄に対して、要求を上回る振興予算を付けるなど辺野古移転決着もにらむような安倍カラーが随所に表れている。
 せっかく税収が上がっても、歳出に対する切り込みが不足しては財政状況は改善しない。政府は、政策経費を税収でどの程度まかなえるかを示す基礎的財政収支の赤字削減幅が、目標の四兆円を一兆円以上も上回ったと胸を張る。
 しかし、二〇一五年度までに一〇年度と比べた赤字幅を半減するという国際公約の達成や、二〇年度に黒字化するハードルは依然として高い。聖域をなくし、初めて三十兆円に達した社会保障費についても高所得者の給付削減に踏み込むなど一段の改革をしなければ実現できないのは明らかである。
 グローバル化や高齢化により財政赤字に苦しむ先進国の多くは、予算制度改革に乗り出している。法的拘束力のある中期計画づくりや、中央銀行のように独立した機関による検証などだ。
 ひとり日本だけが旧態依然のままである。補正予算や決算に対するチェックも甘く、著しく透明性を欠いている。経済協力開発機構(OECD)から勧告されたことである。どうしていつまでも財政再建の道筋が見えないのか。それは政治の意思の問題である。


PS(2013.12.30追加):*4の平成19年に追加された就学援助制度は、私の発案に依るもので、子どもの学費や給食費にも苦労する家庭が少なくなかったため、①親の貧乏の子どもへの影響を緩和すること ②質の良い次世代の労働力を育てること を目的とした。*3に書かれている「市町村ごとに準要保護の認定基準が異なり、夫婦と小学生、幼児の4人家族の場合、福岡市は年収約450万円以下で認定されるが、佐賀市では約270万円以下と差がある」というのは、地域によって生活費に差があるということもあるが、市町村の財政状態の問題もある。しかし、私は、この制度は、けちけち認定基準を厳しくせず、多くの子どもが無料で給食を食べられるようにした方がよいと思っている。地域の農水産物をうまく使えば、原材料費はさほど高くならずに、栄養豊富で美味しい給食を提供して食育を行うことができるし、子どもの教育が充実している場所に親は住みたがるので、結果として、その市町村の生産年齢人口が増え、住民税収入が増える効果も期待できる。なお、「食育は器から」ということで、有田を有する佐賀県の給食食器は、既にアルマイトから磁器に切り替えられている。

*3:http://qbiz.jp/article/29839/1/ (西日本新聞 2013年12月30日)
九州の就学援助最多 20万人 小中生5人に1人 12年度、景気低迷を反映 
 経済的に困窮した家庭の小中学生に、給食などの費用を補助する就学援助制度の対象者は2012年度、九州7県で19万8141人に上り、過去最多だったことが西日本新聞のまとめで分かった。全児童生徒に占める割合(就学援助率)も過去最高の18・5%で、およそ5人に1人に当たる。地方の景気低迷による貧困家庭の増加が、背景にはあるとみられる。就学援助費は学校教育法に基づき、市町村が支給する。生活保護を受ける「要保護世帯」と、生活保護世帯に近い状態と市町村が認定した「準要保護世帯」が対象になる。各県教委を通じて集計したところ、要保護が1万8435人、準要保護が17万9706人。各県の就学援助率は、福岡22・9%▽鹿児島20・5%▽長崎17・1%▽大分15・4%▽宮崎14・5%▽熊本14・0%▽佐賀11・4%−の順。いずれの県も前年度比0・3〜0・7ポイント増加した。文部科学省によると、全国の対象者は調査開始の1995年度から年々増加しており、2011年度は156万7831人(就学援助率15・6%)。今年に入り「景気が持ち直している影響から本年度の対象者は12年度より減りそうだ」(福岡市学事課)との見方もあり、一部では“下げ止まり”の兆しも見える。一方、各県の就学援助率にばらつきがあるのは、市町村ごとに準要保護の認定基準が異なるため。例えば、夫婦と小学生、幼児の4人家族の場合、福岡市は年収約450万円以下で認定されるが、佐賀市では約270万円以下と差がある。援助制度についての周知の仕方も、保護者にプリントを配布して申請を促す自治体がある一方、「財政的理由から広報紙やホームページにも載せていない」という自治体もある。教育関係者からは「住む地域によって子どもに不平等が生じるのはおかしい」と、認定基準の統一や周知の徹底を求める声が出ている。
■就学援助制度 学校教育法19条に基づき、経済的に困窮している小中学生の保護者に市町村が費用を支給する。小学生の場合は、学用品代(年1万5千円ほど)のほか、給食費や修学旅行費、社会科見学費の実費(限度額あり)など。「三位一体改革」で2005年度から準要保護世帯の就学援助費への国庫補助が廃止され、財政難から認定基準を厳格化する自治体が出ている。

*4:http://www.houko.com/00/01/S22/026.HTM 
第19条 経済的理由によつて、就学困難と認められる学齢児童又は学齢生徒の保護者に対しては、市町村は、必要な援助を与えなければならない。《平成19年追加》

| 消費税増税問題::2012.8~2014.11 | 12:11 PM | comments (x) | trackback (x) |

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