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2014.3.25 あまりにも甘い原発事故の認識と前のめりの原発再稼働申請にNO  (「2014.3.26 朝日新聞掲載の核燃料税批判は不当である」という追加あり)
     
       *2-3より       2014.3.24東京新聞  2014.3.17西日本新聞

(1)原発の安全性は100%保証されるのか
 *1-1のように、原子力規制委員会は2014年3月6日の審査会合で、関西電力高浜原発3、4号機(福井県)と九州電力玄海原発3、4号機(佐賀県)について、過酷事故対策や設備面で重大な問題はないとの認識で一致し、同4日には関電の大飯原発(福井県)と九電の川内原発(鹿児島県)も同様の認識で一致したそうだ。

 しかし、規制委は、*1-2のように「私どもは絶対安全とかそういうことは申し上げていない」「お墨付きを与えるためにやっている意識はない」としており、規制委が基準適合を判断したからといって、原発事故のないことが100%保証されたわけではない。さらに、提出された審査資料の厚さが10センチあろうと20センチあろうと、その内容が真実であり、質が高いとは限らないので、そこまで見抜ける審査でなければ審査する意味はない。

 そのような中、*1-3のように、西日本新聞は「原発審査、完璧ではないからこそ『公聴会』を」などとして再稼働に前のめりの論調が目立つ。しかし、一度原発事故が起きれば、周辺住民の健康や農林漁業など、生物に関する全てに大きな被害が及ぶため、まず、原発事故は100%起こさないというお墨付きがあった上で、それでも再稼働に反対か否かを決するために公聴会を開くべきなのである。「完璧でないからこそ『公聴会』を開き、そこで了承されれば、過疎地とその周辺住民、農林漁業や国土は犠牲にしてもよい」などという発想をするのは、フクシマ後も進歩していない証だ。

(2)フクシマから学ぶべきこと
1)住民の命と健康について
 *2-1のように、内閣府原子力被災者生活支援チームは、想定より高い数値が出たため、住民の帰還を妨げかねないとして、当初予定していた結果の公表を見送っていたことが、2014年3月24日に分かったそうだ。そろそろ、住民の命や健康より、地域振興のために住民の帰還を優先している政府の行動を見抜くべきだ。これで、住民の命や健康を守れるわけがないではないか。

2)農産物について
 *2-2のように、福島県内の農業用溜池576カ所の底の土から、1キロあたり8千ベクレルを超える高濃度の放射性セシウムが検出されていたことが今頃わかり、そのうち14カ所は10万ベクレルを超えるが、国は溜池を除染対象外としているそうだ。最も高濃度の37万ベクレルのセシウムが検出された明戸石池は、住宅街の中心部にあり、その農業用水は、ふもとの田畑で使われているので、いつ底の泥が舞い上がって流れ出すかわからない溜池の危険な農産物を「食べて協力」まですれば、住民は外部被曝だけでなく内部被曝にも晒される。

3)水産物について
 *2-3のように、事故後3年経ってもまだ試運転中の東電福島第1原発の汚染水処理設備「多核種除去設備(ALPS)」は、汚染水から放射性物質を取り除けないという本質的なトラブルでまた停止し、4月中の本格運転は厳しい状況になったそうだ。三陸の水産物を愛し利用していたすべての人が、この汚染水の被害者であるため、本当に汚染水から放射性物質を取り除く気があったのか否かまで含めて、その理由を明確にすべきだ。

 なお、*2-4のように、福島原発の地下水バイパスを福島県漁連に容認させ、県漁連は「苦渋の決断」 をしているが、これは、いろいろな証拠により、最初から計画されていたことだったと思う。つまり、原発推進論者は、ここまで、人工の核種による環境破壊と人命に無頓着な人々の集まりなのである。

(3)もう原発は不要であり、再生可能エネルギーの時代だ
 そのため、*3-1のように、原発再稼働に反対する立地自治体の地方議員有志でつくる原発立地自治体住民連合が3月24日、原発の安全性などに関する7項目の公開質問状を政府に提出し、川内原発を引き合いに、九電が存在を否定する活断層や巨大噴火のリスクも指摘した。質問状は、リスクを列挙した上で「それでも原発事故は100パーセント起こらないと住民に保証できるのか」と明確な回答を求めたそうだが、阿蘇、桜島、普賢岳の噴火でさえ想定外になっていそうであるため、全くもっともである。

 そして、*3-2のように、「自民党内に再生可能エネルギーの導入や普及を訴える『新エネルギー族議員』が形成されつつあり、情報収集や判断に優れた国会議員が入っているようだが、この族議員は歓迎である。

*1-1:http://www.saga-s.co.jp/news/global/corenews.0.2643186.article.html
(佐賀新聞 2014年3月6日) 高浜、玄海原発も重大問題なし / 規制委の審査
 原子力規制委員会は6日の審査会合で、関西電力高浜原発3、4号機(福井県)と九州電力玄海原発3、4号機(佐賀県)について、過酷事故対策や設備面で重大な問題はないとの認識で一致した。4日には関電の大飯原発(福井県)と九電の川内原発(鹿児島県)も同様の認識で一致している。この日の会合では四国電力伊方3号機(愛媛県)についても議論されたが、規制委事務局幹部は「質問しても(四電から)十分な回答がなく、消化不良だった」と述べ、検討が不十分との見解を示した。規制委は、審査の最終段階となる審査書案作成に進む原発を絞り込む方針。

*1-2:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11009767.html?iref=comkiji_redirect
(朝日新聞社説 2014年3月4日) 原発と政治 このまま「安全宣言」か
 新たな「安全神話」が形づくられようとしていないか。安倍政権が示したエネルギー基本計画案に、原発再稼働の手順が示された。安全性は原子力規制委員会の専門的判断に委ねる。規制委が新規制基準に適合していると認めた原発は再稼働を進める。国は立地自治体などの理解と協力を得られるよう前面に立つ。要するに、規制委の基準に適合した原発は国が全力で支援して動かすというわけだ。安倍首相は参院予算委員会で「世界で最も厳しい基準で安全だと判断されたものは再稼働していきたい」と述べ、閣僚らからも規制委の判断を「安全宣言」とみなす発言が相次ぐ。だが規制委の田中俊一委員長は「私どもは絶対安全とかそういうことは申し上げていない」「お墨付きを与えるためにやっている意識はない」という。確認しておきたい。新しい規制基準は原発事故以前よりもずっと厳しいが、万全ではない。たとえば、放射能が原発敷地外に放散した場合には周辺住民の避難が必要だが、規制基準に避難計画は入っていない。具体的な計画づくりと実施は、自治体や国の仕事になっている。規制委が基準適合を判断したからといって、住民の安全が保証されるわけではない。人口密集地に近い東海第二(茨城県)、浜岡(静岡県)の両原発や、県庁所在地にある島根原発についても、電力事業者は再稼働をめざしている。防災計画の策定が義務づけられた30キロ圏内の人口は、東海第二が98万人、浜岡では86万人、島根で47万人にのぼる。格納容器が破損する事態となれば、25時間以内に30キロ圏内の避難が必要という試算もある。津波や地震を伴う複合災害となれば、道路の寸断や大渋滞も起きるだろう。そうした中で、これだけの人を被曝(ひばく)させずに避難させることができるのか。日常を砕かれる住民への賠償の仕組みが全く不備だったことも、福島での事故で明らかになった。日本最大だった東京電力ですら支払いは不安だらけだ。他の事業者ならなお困難なのに、新たな仕組みも詰めないまま見切り発車するのか。事故の教訓のひとつは、万一に備えることだ。規制委の適合判断でどこまでリスクが減らせるか。それだけでは足りないものは何なのか。そこを見極め、国民に正直に説明することが、政治の使命である。規制委の判断をもって、住民を守る安全論議に終止符を打つことではない。

*1-3:http://qbiz.jp/article/34234/1/
(西日本新聞 2014年3月24日) 原発審査、完璧ではないからこそ「公聴会」を
 原発再稼働の前提として原子力規制委員会が進める審査は、九州電力の川内原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)を優先することが決まり、大詰めに入った。だが、ここにきて審査終盤に科学的な意見を地元で聴く「公聴会」(仮称)をめぐり、規制委と立地自治体が対立している。地元の要請と共催を条件としたい規制委と、あくまでも規制委の責任での開催を求める自治体。最悪なのは、押し付け合いの末、住民が原発の安全性を考える貴重な機会が失われることだ。「規制委の責任で(公聴会の)位置付けや対象、開催範囲を明確にして、主催すること」。原発がある道と県の知事と議会議長らが、今月に入って相次いで同様の要請書を規制委に提出した。26日に公聴会の開催要領を公表する規制委は、開催条件を変えるつもりはなさそうだ。このままでは、自治体から要請がなく、開催されない恐れがある。なぜ、こんなに及び腰なのか。「今度やらせが起きれば終わり…」。関係者はこう漏らす。旧原子力安全・保安院が、九電玄海原発(佐賀県玄海町)のシンポジウムなどで電力会社に動員を要請した「やらせ問題」。原発不信を高めた苦い経験として、国と自治体の記憶に刻まれている。規制委は同じ過ちを犯さないため、開催場所や手法などを自治体に決めてもらおうと考えた。これに対し、自治体側は「責任だけ押し付けるな」と反発している。迷わずに開催すべきだ。理由は大きく二つある。一つは、規制委の審査が完璧ではないからだ。過酷事故対策などが加わった新規制基準による審査は、初めての経験。従来2年以上かけていた審査を、昨年7月から急ピッチで進めている。審査に提出される資料が厚さ10センチ近いのも珍しくない。「われわれも完全とは言えない」(田中俊一委員長)というなら、外部の意見に真摯(しんし)に耳を傾け、精度を高める必要がある。もう一つは、鹿児島、佐賀両県に原発の安全性を評価する組織がないことだ。四国電力伊方原発がある愛媛県では独自の委員会が精力的に活動し、関西電力大飯原発などがある福井県は再稼働の是非まで自ら判断するという。類似の組織がない鹿児島、佐賀両県では、地元ならではの科学的な知見を吸い上げ、検討する場が乏しい。「3・11」からまだ3年。国民の原発への不安はまだ強い。丁寧な手順が求められる重要な場面で、国も、自治体も、逃げることだけは許されない。

*2-1:http://mainichi.jp/select/news/20140325k0000m040151000c.html
(毎日新聞 2014年3月25日) 福島原発事故:被ばく線量を公表せず 想定外の高い数値で
◇内閣府のチーム、福島の3カ所
 東京電力福島第1原発事故に伴う避難指示の解除予定地域で昨年実施された個人線量計による被ばく線量調査について、内閣府原子力被災者生活支援チームが当初予定していた結果の公表を見送っていたことが24日、分かった。関係者によると、当初の想定より高い数値が出たため、住民の帰還を妨げかねないとの意見が強まったという。調査結果は、住民が通常屋外にいる時間を短く見積もることなどで線量を低く推計し直され、近く福島県の関係自治体に示す見込み。調査結果を隠したうえ、操作した疑いがあり、住民帰還を強引に促す手法が批判を集めそうだ。毎日新聞は支援チームが昨年11月に作成した公表用資料(現在も未公表)などを入手した。これらによると、新型の個人線量計による測定調査は、支援チームの要請を受けた日本原子力研究開発機構(原子力機構)と放射線医学総合研究所(放医研)が昨年9月、田村市都路(みやこじ)地区▽川内村▽飯舘村の3カ所(いずれも福島県内)で実施した。それぞれ数日間にわたって、学校や民家など建物の内外のほか、農地や山林などでアクリル板の箱に個人線量計を設置するなどして線量を測定。データは昨年10月半ば、支援チームに提出された。一般的に被ばく線量は航空機モニタリングで測定する空間線量からの推計値が使われており、支援チームはこれと比較するため、生活パターンを屋外8時間・屋内16時間とするなどの条件を合わせ、農業や林業など職業別に年間被ばく線量を推計した。関係者によると、支援チームは当初、福島県内の自治体が住民に配布した従来型の個人線量計の数値が、航空機モニタリングに比べて大幅に低かったことに着目。関係省庁の担当者のほか、有識者や福島の地元関係者らが参加する原子力規制委員会の「帰還に向けた安全・安心対策に関する検討チーム」が昨年9〜11月に開いた会合で調査結果を公表し、被ばく線量の低さを強調する方針だった。しかし、特に大半が1ミリシーベルト台になると想定していた川内村の推計値が2.6〜6.6ミリシーベルトと高かったため、関係者間で「インパクトが大きい」「自治体への十分な説明が必要」などの意見が交わされ、検討チームでの公表を見送ったという。

*2-2:http://digital.asahi.com/articles/ASG2G014KG2FUGTB00Y.html?iref=comkiji_redirect (朝日新聞 2014年2月25日) 福島のため池に高濃度汚染土 10万ベクレル超14カ所
 福島県内の農業用ため池576カ所の底の土から、1キロあたり8千ベクレルを超える高濃度の放射性セシウムが検出されていたことが県などの調査でわかった。うち14カ所は10万ベクレルを超えていた。国はため池を除染対象外としているが、農業用水を供給している池や住宅街にある池も多い。汚染土の農地流出や住民の健康被害を不安視する県は、国に汚染土の処理を求めている。8千ベクレルを超える汚染土などは、国の責任で処分する指定廃棄物に相当する。また、環境省は県内で発生する除染廃棄物のうち10万ベクレルを超えるのは2千分の1以下と推定している。県によると、県内の農業用のため池は3730カ所。県と農林水産省東北農政局は2012年2月~昨年12月、地域のバランスを考えて選んだ計1939カ所の底にある土壌を初めて調べた。その結果、東京電力福島第一原発事故で住民が避難した国の避難指示区域内では108カ所(調査対象の41・2%)、事故後も水田や畑にため池の水を供給している同区域外では福島市や伊達市などの中通り地方を中心に468カ所(同27・9%)から土1キロあたり8千ベクレル超のセシウムが検出された。10万ベクレルに達した池は区域内で9カ所、区域外で5カ所あり、最高は区域内にある双葉町の大南廹(おおみなみさく)ため池(39万ベクレル)だった。県農地管理課によると、事故直後に原発から飛散したセシウムがちりに付着して雨とともに降り注いだり、周囲の山林から土砂と一緒に流れ込んだりして、ため池に蓄積したとみられる。担当者は「すり鉢状で土砂がたまりやすいため池は、周囲の汚染土壌が集まり、特に高濃度になりやすい」と話す。また、同課によると、高濃度セシウムが見つかった池の中には、事故後も夏場に水位が下がり、底の土がむき出しになる所がある。渇水や大雨で濁った池で取水し、農地に汚染土が流れ込む恐れもある。住宅街の池も多く、土が露出すれば周辺住民の健康被害の心配もあるという。一方、環境省除染チームの担当者は「住民の健康に影響が出るほど周辺の空間放射線量は上がっていない」として、現時点では除染しない構えだ。農水省防災課も「除染は環境省の所管。農水省の事業として検討対象にしていない」と及び腰で、池の汚染状況を環境省に情報提供するにとどまる。除染費用は放射性物質汚染対処特措法に基づいて国が東電に請求できる。だが、農水省が土の除去をすれば除染とみなされず、国費負担になる可能性があるという。県農地管理課の試算によると、中間貯蔵施設への輸送も含む全てのため池の除染費用は約154億円。国が新年度予算案で計上した除染費用は約2600億円。菊地和明課長は「この1割弱で賄える。どこの予算でもいい。お金さえあれば作業は県でもやれる」と、一刻も早い予算化を求めている。汚染土の扱いが宙に浮いたまま、春には再び池の水で農作業が始まる。
■「コメ作れるのか」
 避難指示区域外で最も高濃度の37万ベクレルのセシウムが検出されたのは、第一原発の西約55キロにある本宮市高木の明戸石(みょうといし)池。1980年代から開発され、高台の20万平方メートルに392世帯の住宅や高校などが集まる住宅街の中心部にある。池の水はセシウムが検出下限値未満。農業用水として、ふもとの田畑で使われている。根本得夫さん(65)はこの水を約30アールの田に引き、稲作を続けている。事故後に収穫したコメは全袋検査で、すべて検出下限値未満だった。だが、不安は消えない。「祖父の代から利用している池が使えなくなれば、コメを作れなくなる」とため息をついた。明戸石池の近くに住む町内会長の石井清さん(71)は「池の水が干上がって、土が空気中に舞い上がったら、ここに住めなくなるかも。行政は何の対策もしないつもりか」と憤る。
    ◇
 水環境に詳しい独立行政法人農研機構農村工学研究所の白谷栄作・研究調整役の話 年月がたてば堆積(たいせき)した土でため池の底が浅くなったり、少雨で水位が下がったりして、汚染土が露出する危険も高まる。生活圏にあるため池の高濃度汚染土は早く除去すべきだ。

*2-3:http://qbiz.jp/article/34196/1/
(西日本新聞 2014年3月23日) 汚染水「浄化完了」一層困難に 東電
 試運転中の東京電力福島第1原発の汚染水処理設備「多核種除去設備(ALPS)」が、汚染水から放射性物質を取り除けないトラブルで停止、東電が目指す4月中の本格運転は厳しい状況になった。敷地内の地上タンクにたまり続ける汚染水の浄化を来年3月までに完了するとの目標達成も一層困難になってきた。ALPSはトリチウム以外の62種類の放射性物質を除去でき、汚染水対策の切り札とされる。18日に発覚したトラブルでは、3系統のうち1系統の出口で17日に採取した水からベータ線を出す放射性物質が1リットル当たり最高1400万ベクレル検出。本来なら、数億ベクレル程度の汚染水が数百ベクレル程度まで浄化されるはずだった。水の採取が週3回だけだったため異常の把握が遅れ、浄化できなかった約2500トンの汚染水が「J1」と呼ばれるタンク群に流れ込み、浄化済みの水と混じって汚染が拡大。タンク21基に計約1万5000トンが入っており、東電は汚染状況の確認に追われている。敷地内の汚染水を来年3月までに浄化するとの目標は、昨年9月に安倍晋三首相が第1原発を視察した際に、東電の広瀬直己社長が表明した。達成には汚染水を1日当たり1960トン処理しなければならない計算で、ハードルは極めて高い。試運転中のALPSは3系統がフルに運転すると1日で約750トンを処理できるとされ、東電は同規模の設備を増設する方針。さらに国の補助を受けて整備する「高性能ALPS」も導入し、今年10月以降、計3設備で処理量を増やす計画だ。尾野昌之原子力・立地本部長代理は「改善点を新しい設備に反映させる。今回の件が、ただちに計画に影響を与えるとは思わない」とする。だが今回のトラブルの原因究明や、設備の洗浄などにかかる時間は不明で、本格運転の見通しは立たない。3設備を合わせても処理量は1日約2000トンで、1960トンを維持するには綱渡りが続く。

*2-4:http://www.saga-s.co.jp/news/global/corenews.0.2651923.article.html
(佐賀新聞 2014年3月25日) 福島原発、地下水バイパスを容認 / 県漁連「苦渋の決断」
 福島県漁業協同組合連合会(県漁連)は25日、いわき市内で組合長会議を開き、東京電力と国が福島第1原発の汚染水対策で計画している「地下水バイパス」を容認することを決めた。県漁連の野崎哲会長は記者団の取材に「福島第1原発の廃炉の一助になるため、責任をもって回答した。容認は漁業者にとって苦渋の決断だ」と述べた。野崎会長は、経済産業省と東電に対し、排出する地下水に含まれる放射性物質濃度の基準を厳守することや、風評被害対策など5項目の要望書を手渡した。地下水バイパスは、原子炉建屋に入る前の地下水をくみ上げ、海に放出する計画。

*3-1:http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2014032502000162.html (東京新聞 2014年3月25日) 原発事故絶対ない 保証あるのか 立地議員連合 政府に質問状
 原発再稼働に反対する立地自治体の地方議員有志でつくる原発立地自治体住民連合は二十四日、原発の安全性などに関する七項目の公開質問状を政府に提出した。今後、最も早く再稼働する可能性が高い九州電力川内(せんだい)原発を引き合いに、九電が存在を否定する活断層や巨大噴火のリスクも指摘した。質問状は、リスクを列挙した上で「それでも原発事故は百パーセント起こらないと住民に保証できるのか」と明確な回答を求めた。回答がない場合、国会議員を通じ、閣議決定した回答が義務付けられる質問主意書を政府に提出する。共同代表を務める福島県いわき市の佐藤和良市議は国会内で記者会見し「原子力規制委員会は福島の汚染水対策に全力を挙げないといけないのに、川内の再稼働に全力を挙げている」と批判。住民連合を支援する作家の広瀬隆氏は「地元住民は自分たちの生活や命が奪われる恐怖と隣り合わせだ。まずは川内の再稼働を阻止しないといけない」と訴えた。質問状は規制委の審査に対する第三者チェック機関の設置時期や全原発について耐えられる直下型地震のマグニチュードの回答も求めた。同連合の参加議員は十三道県の百四十七人。

*3-2:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11047349.html?_requesturl=articles/DA3S11047349.html&iref=comkiji_txt_end_s_kjid_DA3S11047349 (朝日新聞 2014年3月25日) 「新エネ族議員」我も我も 自民、予算拡大にらみ
 自民党内に、再生可能エネルギーの導入や普及を訴える「新エネルギー族議員」が形成されつつある。国の新たなエネルギー基本計画に、再生可能エネルギーの数値目標を盛り込むよう要求しており、予算獲得を狙ったアピール合戦の様相も呈している。「私は水素族の族長だ」「私はメタン(ガス)族だ」。原発再稼働派が幅をきかせる自民党だが、今月に入ってからの党資源・エネルギー戦略調査会などでは、新エネルギー別に自ら「族」を名乗る議員が続出している。木質バイオマス発電を推進する「バイオ族」、水素による燃料電池などの普及を目指す「水素族」、メタンハイドレート採掘の技術革新を訴える「メタン族」などが代表格で、「国策として推進を」と政府に迫っている。背景には「脱原発」への動きに加え、新エネルギーへの予算拡大が見込まれる中、発電施設の選挙区への誘致などをにらんで、今から影響力をはたらかせておこうという狙いもありそうだ。


PS(2014.3.26追加:朝日新聞掲載の核燃料税批判は不当である):*4に、「原発停止状態でも2014年度以降、少なくとも年間計109億円の税収が確保される」「税収の大半は値上げされた電気料金で賄われており、電気利用者に負担が押しつけられている」「新たな仕組みでは、原発が止まっていても一定額の税収を確保できるためだ」と批判的に書かれているが、これは的を得ない批判だ。

 その理由は、原発停止状態でも、使用済でも、核燃料を保管している限り、立地自治体や周辺自治体には環境リスクがあり(フクシマ以降、明確になった事実)、このリスク料として地方自治体は核燃料税を徴収しているからだ。そのため、これを無料にすれば、原発由来の電力利用者は、甚大な公害のリスクを与えながら対価を支払わないフリーライダー(経済学用語)になる。

 そのため、このブログの「原発」のカテゴリーに記載してきたように、電力会社は発電方法毎に子会社を作って収益と費用を明確に区分し、電力利用者が、どの発電方法由来の電力を使用するかを選択できるようにすべきであるし、電力自由化を行って、旧電力会社の地域独占を排することが必要不可欠なのだ。

 なお、玄海町の場合は、原発からの交付金をもらっている間に、薬草栽培の研究、鯛の養殖、高速道路へのアクセス道路の整備など、脱原発後を見据えた投資もしてきたが、原発立地地域や周辺自治体が原発依存から本当に抜け出せるためには、通常の企業を誘致したり、産業を育てたりしなければならず、それには、まず原発のリスクを取り除く必要がある。

 そのためには、早急に原発を廃炉にして、現在、保管してある使用済核燃料をどこかに運び出し、通常の産業を振興できる体制の整備を行う必要がある。しかし、*4のように、メディアが浅薄な知識で視野も狭いまま一方的な批判を繰り返せば、まともなことでも悪いことであるかのようなイメージをつけられるため、メディアの記者はもう少し深く勉強して、このような批判はやめるようにすべきだ。

*4:http://digital.asahi.com/articles/ASG373WMBG37UTIL00Q.html?iref=comkiji_redirect&iref=comtop_6_04 
(朝日新聞 2014年3月26日) 原発止まっても核燃料税 8道県、109億円税収確保
 稼働している原発の核燃料に課してきた核燃料税の仕組みを、原発が止まっていても電力会社などに課税できるように原発を抱える八つの道県が変えていたことがわかった。朝日新聞の調べでは、これにより原発停止状態でも2014年度以降、少なくとも年間計109億円の税収が確保されることになった。税収の大半は値上げされた電気料金で賄われており、電気利用者に負担が押しつけられている構図が浮かんだ。核燃料税は、自治体が地方税法で定められた住民税などのほかに、条例で課すことができる「法定外普通税」の一つ。原発の安全対策に使うとして福井県が1976年に始めた。東京電力福島第一原発の事故前は、古くなった核燃料の代わりに新しいものを挿入するたびに価格に応じて課税する仕組みで、原発が動いていることが前提だった。ところが、朝日新聞社が全国13の原発立地道県を調べたところ、8道県が事故後に、原子炉の規模を表す出力に応じて課税できる「出力割」を採り入れる条例を作っていた=表。新潟、静岡、島根の3県も導入を検討中だ。新たな仕組みでは、原発が止まっていても一定額の税収を確保できるためだ。現在、全国48基のうち稼働している原発はない。12年度実績では、13のうち8道県が税額ゼロだった。福井県は11年11月、最初に新制度を導入。それまでは原発停止中の税収はゼロだが、出力割によって常に年間60億円が入ることになった。同県税務課の担当者は「稼働の有無に税収が大きく左右され続けるのは好ましくない」と説明する。青森県は12年4月に出力割を導入し、今年4月から濃縮されるウラン製品などにかける税率を2・3倍にすることも決めた。4月以降、年間37億円増える。これを加えると、青森を含めた8道県は少なくとも146億円の税収を得ることになる。一方、福島県は「原発の稼働を前提とするはずの核燃料税は福島の状況にそぐわない」とし、12年12月に核燃料税をやめた。宮城県も13年6月の条例更新時に出力割の導入は見送った。核燃料税の増額分は、電気料金の値上げ幅に入れられていた。電力各社が13年、料金値上げ申請で経済産業省に提出した資料によると、北海道、関西、四国、九州の電力各社がそれぞれ、北海道、福井県、愛媛県、鹿児島県の核燃料税の増額分を、料金算定の基礎となる経費「原価」に上乗せしていた。核燃料税は道県の一般会計に入り、交付金として原発立地・周辺の市町村に一定割合が支払われることが多い。各道県は出力割導入や増額の理由について「福島事故により安全対策の必要性が増えたため」とするが、交付金の使途を見ると、物産館の建設費や商店街活性化策など安全対策からは遠い事業もある。核燃料税の税率を決める際、地方税法では納税する電力会社から意見を聴くよう定めているが、「電力料金を負担する住民の意見を聴く機会も必要だ」という意見が地方財政審議会では出ている。(大谷聡)
    ◇
 〈核燃料税〉 自治体が条例で独自に課税する法定外普通税の一つ。福島県を除く原発立地の全12道県が導入。このほかに、新潟県柏崎市と鹿児島県薩摩川内市が「使用済み核燃料税」を採り入れている。2012年度決算では、法定外税のうち原子力関係が7割を占める。総務相の同意を得る必要はあるが、税率は実質的に自治体のさじ加減次第と言われる。電力各社でつくる電気事業連合会によると、電力9社が支払った核燃料税は2010年度に計242億円、11年度に計59億円、12年度は67億円。
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〈清水修二・福島大教授(地方財政学)の話〉 福島事故により、電源三法交付金など原発を巡る仕組みは知られるようになってきた。だが、核燃料税を巡るからくりで、電気料金の使われ方に問題があることを市民はもっと認識すべきだ。福島事故後にもかかわらず、原発立地地域が原発への依存を続けていることの現れで、悪循環から抜け出さなければならない。

| 原発::2013.11~2014.5 | 05:50 PM | comments (x) | trackback (x) |

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