左のCATEGORIES欄の該当部分をクリックすると、カテゴリー毎に、広津もと子の見解を見ることができます。また、ARCHIVESの見たい月をクリックすると、その月のカレンダーが一番上に出てきますので、その日付をクリックすると、見たい日の記録が出てきます。ただし、投稿のなかった日付は、クリックすることができないようになっています。
2014,06,04, Wednesday
*1-2より 潮流発電機(イギリス) EVバス EVトラック (1)世界の発電における再生可能エネルギーの割合は増加した *1-1のとおり、「2013年に世界各国で新たに建設された発電設備のうち再生可能エネルギーは全体の43.6%を占め、総発電量に占める比率も前年の7.8%から8.5%に増えて、発電コストは風力で53%、太陽光で25%安くなり、原発や火力発電のコストは増加傾向にある」とのことである。 また、*1-2のように、「2013年末の世界の再生可能エネルギー発電容量は、前年比約17%増の5億6千万キロワットに達し、日本の太陽光発電も固定価格買い取り制度で2倍以上になって、再生可能エネルギーは、世界の全エネルギー消費のほぼ20%をカバーして原子力の2.6%を大きく上回った」とのことである。 最も増えたのは中国で、米国、ブラジル、カナダ、ドイツの順とのことだが、電力インフラが未完成で、太陽光・風力・地熱・潮流が豊富な場所(特に、インド、アフリカ、砂漠地帯等)では、途中を飛ばしてまっすぐ再生可能エネルギー発電を採用してもらいたい。そうすれば、電力インフラの整備コストを低く押さえることができ、環境にもよくて無駄がないからである。 (2)九州は地熱・海洋・水素を重点に産業化する *2-1のように、「九州地方知事会と九州の主要経済団体でつくる九州地域戦略会議が、九州のエネルギー関連産業のうち、地熱、海洋、水素の3分野に重点を置いて産業化を目指す方針を決めた」とのことで、これは先見の明ある決断だ。 「①産学官の技術蓄積を生かした東南アジアでの地熱開発」「②造船技術や港湾機能と連携した浮体式洋上風力発電の拠点化」「③燃料電池自動車(FCV)の生産ライン誘致」などが考えられるそうだが、①は、まず九州でやって欲しいし、②も有望である。また、③については、*2-2のように、燃料電池車の大量生産と普及が加速する時期なので、地方自治体も協力してインフラ整備すれば、より高次の技術開発に繋がるだろう。 なお、燃料電池車(FCV)の方がパワーがあるため、「次世代環境車の本命」と言われているが、東京などの地震多発地帯では、避難中の自動車が爆発しないように、蓄電池式の電気自動車を多くした方がよいと考える。 (3)「パブリックコメント」では、脱原発を求める意見が9割を超えていた *3に書かれているように、「安倍内閣が4月に閣議決定したエネルギー基本計画をつくる際に、国民に意見を募った『パブリックコメント』で、脱原発を求める意見が9割を超えていた可能性がある」とのことである。パブコメの結果が開示されなかったことも問題で、経産省が、そうした意見を無視してエネルギー基本計画で、原発を「重要なベースロード電源」と位置づけたのは、パブコメの役割を果たしておらず、大きな問題である。 そして、このように、役割を終えた原発に天文学的数字の無駄遣いをしながら、年金給付を減らすことしか思いつかないのが、愚かな行政と政治とメディアがもたらす国民の不幸である。 *1-1:http://www.saga-s.co.jp/news/global/corenews.0.2658901.article.html (佐賀新聞 2014年4月7日) 再生エネが着実に増加 / 世界の発電、国連環境計画調べ 昨年、1年間に世界各国で新たに建設された発電設備のうち再生可能エネルギーは全体の43・6%を占め、総発電量に占める比率も前年の7・8%から8・5%に増えたとの調査報告書を国連環境計画(UNEP)などが7日、発表した。2009年からこれまでに、風力の発電コストは53%、太陽光は25%も安くなった。これに対し、原発や火力発電のコストは増加傾向にあり、報告書は「再生可能エネルギーは着実に競争力を増している」とした。UNEPの事務局長は「再生可能エネルギーに対し、さらなる投資を促すために政策の強化や制度改革が重要だ」としている。 *1-2:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20140604&ng=DGKDASDG0400F_U4A600C1CR0000 (日経新聞 2014.6.4) 再生エネ、世界で17%増 昨年末の発電容量 日本、太陽光が2倍 2013年末の世界の再生可能エネルギーによる発電設備の容量は、前年比約17%増の5億6千万キロワットに達したとする調査結果を、エネルギーの専門家らでつくる「21世紀の再生可能エネルギーネットワーク」(REN21、本部ドイツ)が4日までにまとめた。日本の太陽光発電も容量が2倍以上になり、「(12年に導入された)固定価格買い取り制度の効果が表れた」と分析している。REN21によると、昨年1年間で世界の太陽光発電は約1億キロワットから1億3800万キロワットに、風力発電は2億8300万キロワットから3億1800万キロワットに増えた。バイオマスなどの熱利用まで含めると再生可能エネルギーは世界の全エネルギー消費のほぼ20%をカバーし、原子力の2.6%を大きく上回った。最も増えたのは中国で、以下、米国、ブラジル、カナダ、ドイツの順。中国では、再生可能エネルギーの新設容量が、化石燃料や原子力の新設容量を初めて上回った。日本は太陽光発電が1年間で690万キロワット増えて1360万キロワットに達し、世界5位から4位に浮上。再生可能エネルギーへの投資額でも中国の542億ドル、米国の339億ドルに次ぐ286億ドルで世界3位だった。 *2-1:http://qbiz.jp/article/39084/1/ (西日本新聞 2014年6月4日) 「地熱と海洋と水素」重点に産業化 九州地域戦略会議が方針 九州地方知事会と九州の主要経済団体でつくる九州地域戦略会議は3日、大分県別府市で会合を開き、発展が期待される九州のエネルギー関連産業のうち、地熱、海洋、水素の3分野に重点を置いて産業化を目指す方針を決めた。分野ごとにワーキンググループを立ち上げ、2014年度中に行動計画を策定する。各分野の産業化の方向性として、産学官の技術蓄積を生かした東南アジアでの地熱開発、造船技術や港湾機能と連携した浮体式洋上風力発電の拠点化、燃料電池自動車(FCV)の生産ライン誘致などが考えられるという。同会議は、九州での再生可能エネルギーなどの産業化に向け、昨年4月に検討委員会(委員長・安浦寛人九大副学長)を設立。太陽光や風力など8分野について課題を分析し、4月の中間報告で今回選んだ3分野を重点テーマに挙げていた。記者会見した麻生泰九州経済連合会会長は「アカデミックなことに行政やメーカーが加わり、ビジネスにしていくことを期待している」と述べた。 *2-2:http://qbiz.jp/article/13409/1/ (西日本新聞 2013年3月2日) 燃料電池車 普及へ加速 相次ぎ共同開発 インフラも整備 福岡県なども促進策 「次世代環境車の本命」と言われる燃料電池車(FCV)の普及開始に向けた動きが加速している。自動車メーカー各社は2015年に市販車を発売する方針。燃料である水素を充填(じゅうてん)する水素ステーションなどのインフラ整備は今年から本格化する。自動車産業が集積する福岡県などもFCV普及促進構想を策定、関連産業の誘致などにつなげたい考えだ。東京・有明の東京ビッグサイトで1日まで開かれた「国際水素・燃料電池展(FCエキスポ)」には、国内外の企業・団体260社が集まり最新技術を披露した。中でも、石油元売りなどのエネルギー企業や自動車メーカーでつくる「水素供給・利用技術研究組合」(ハイサット)のブースでは、国内自動車メーカーが開発中のFCVが来場者の目を引いた。トヨタ自動車は、15年に日本、米国、欧州でセダンタイプのFCVを発売する方針。FCVは燃料電池の触媒に高価な白金を使うなど高コストがネック。だが、白金の使用量を減らすなどして、トヨタは「一般消費者の手の届く価格」で発売したい意向だ。業界では1台500万円が販売価格の目安との声もある。FCVでメーカー同士が手を結ぶ動きも相次ぐ。トヨタは1月、ドイツのBMWとの共同開発を決定。内山田竹志副会長は「連携で開発費用と時間を大幅に削減できる」と説明する。日産自動車も米国のフォード、ドイツのダイムラーと共同開発を決めた。 ■ ■ 業界団体の燃料電池実用化推進協議会は、25年までに国内でFCVを200万台普及させる青写真を描く。鍵を握る水素ステーションは、市販開始の15年までに、首都圏や九州北部の四大都市圏とその間を結ぶ高速道路に計100カ所、民間のエネルギー関連企業などが整備する方針だ。経済産業省は、水素ステーションの整備が今年から本格化するとみて、13年度予算案に補助金46億円を盛り込んだ。水素ステーションの建設費は1カ所あたり5億〜6億円とされ、ガソリンスタンドの10倍。補助金は民間企業が建設する際、最大半額を交付する。販売する水素の価格について、ハイサットの北中正宣技術本部長は「普及開始当初は国の支援をお願いして、ガソリンと同等か、それ以下を目指す」とする。 ■ ■ 福岡県などの産学官で構成する福岡水素エネルギー戦略会議は昨年、FCV普及促進構想を策定した。目玉は20年時点で九州で必要と予測される水素ステーション60カ所の配置図。FCVの初期購入者として想定される、高級車やハイブリッド車の購入者が多い地域の分析や、自動車の利用状況調査などからつくった。この地図をもとに民間事業者にステーション設置を働き掛ける。同会議が運営する「福岡水素エネルギー人材育成センター」では、昨年から「FCVコース」を設け、参入機会をうかがう地場中小企業の経営者に最新の技術動向なども提供している。北部九州にはトヨタ自動車九州、日産自動車九州、ダイハツ九州などの工場が立地。水素研究で先端を行く九州大や、北九州水素タウンなどの実証施設もそろう。福岡県新産業・技術振興課の秋田道子主査は「まずFCVの普及先進地になり、生産拠点や関連企業の誘致にもつなげたい」と狙いを話した。 ▼燃料電池車 燃料の水素を空気中の酸素と反応させて電気をつくり、モーターを回して走行する自動車。排出するのは水のみで、二酸化炭素(CO2)を出さず、「究極のエコカー」とも言われる。1回の水素充填で走行可能な距離が500キロメートルと充電式の電気自動車(EV)より長く、充填時間も3分とガソリン車並み。非常用電源として使えば、一般家庭の1週間分の電気を賄えるのも特徴。 *3:http://digital.asahi.com/articles/ASG5L0FYJG5KULFA00K.html?_requesturl=articles%2FASG5L0FYJG5KULFA00K.html (朝日新聞 2014年5月25日) 「脱原発」意見、9割超 エネ計画のパブリックコメント 安倍内閣が4月に閣議決定したエネルギー基本計画をつくる際、国民に意見を募った「パブリックコメント」で、脱原発を求める意見が9割を超えていた可能性があることがわかった。朝日新聞が経済産業省に情報公開を求め、開示された分について原発への賛否を集計した。経産省は、そうした意見をほとんど反映しないまま、基本計画で原発を「重要なベースロード電源」と位置づけた。経産省が昨年12月6日に示した基本計画の原案に対し、対象の1カ月間にメールやファクスなどで約1万9千件の意見が集まった。経産省は2月に代表的な意見を発表したが、原発への賛否は集計しなかった。朝日新聞はすべての意見の公開を求め、経産省は、個人情報保護のために名前を消す作業が終わった2109件分のメール(2301ページ)を開示した。受け付け順で開示したとしており、残りの開示の可否は9月までに決めるという。内容は、再稼働反対や原発の廃炉を求める「脱原発」が2008件で95・2%、「原発の維持・推進」は33件で1・6%、賛否の判断が難しい「その他」が68件で3・2%だった。脱原発の理由では「原発事故が収束していない」「使用済み核燃料の処分場がない」との声が多かった。原案が民意に背いているとの批判もあった。一方、原発の維持・推進を求める声は、運転コストの安さなどを理由にした。民主党政権は2012年に「30年代に原発稼働ゼロ」の方針を決めた。だが、安倍政権はこれを白紙に戻し、今回の基本計画で原発を再稼働させる方針を明確にした。原発への賛否を集計しなかったことについて、茂木敏充経産相は2月の国会で「数ではなく内容に着目して整理を行った」と説明している。 ◇ 〈パブリックコメント〉 行政機関が政令などを定める際に広く一般から意見を募る仕組み。ウェブサイトなどで原案を公開し、電子メールやファクスで意見を集める。2005年に改正された行政手続法は「意見を十分に考慮しなければならない」と定めている。 PS(2014.6.5追加):*4のように、九大が伊都キャンパスに、下水処理の過程で出る汚泥から水素を取り出して燃料電池車(FCV)に供給するなどの先端技術を集積して技術面で産業のイノベーションに貢献するのは期待できる。日経新聞は、「再生エネルギー分野の研究は欧米が先行しているのが実情で、海外で勝ち抜くには最先端技術の研究に加え、学内の国際化が不可欠だ」としているが、再生エネルギーの研究は、もともとは日本が最初であったにもかかわらず、文系の馬鹿者の無理解で欧米に先を越されたものであることを忘れないで欲しい。上の写真の潮流発電機の例では、日本の航空機技術(流体から力を得る技術)、IT技術(最も大きな回転力の出る流れとらえて最大の電力を生み出す技術)、生物を傷つけない安全技術など、多様な技術の組み合わせになると、日本の技術力はまだ大きいと言える。 *4:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20140605&ng=DGKDZO72274590U4A600C1TCQ000 (日経新聞 2014.6.5) 九大、伊都キャンパスに拠点集積、産業力の底上げ狙う 先端技術で世界と勝負 先端技術の研究成果を社会に還元する――。2011年、創立100周年を迎えた九州大学が掲げた9つの目標の一つだ。05年にオープンした伊都キャンパスに、次世代を見越した再生可能エネルギーなどの研究施設を相次いで新設しているのも、この目標を達成する側面を持つ。さらに行政と連携し、周辺の工業・研究団地に企業を誘致。九州発の「産業力の底上げ」を狙っている。「映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の世界がついに現実となる」。福岡市の高島宗一郎市長は4月、市中部水処理センター(福岡市中央区)で始まる実証実験について興奮気味に話した。実験は下水処理の過程で出る汚泥から水素を取り出し、燃料電池車(FCV)に供給する試みだ。米映画に登場する過去と未来を往来できる車の燃料がごみであることになぞらえた。この取り組みは九州大と福岡市、三菱化工機、豊田通商の共同プロジェクト。15年にも市販されるFCVは排ガスの代わりに水蒸気を出す究極のエコカーといわれる。九州大はプロジェクトを技術面で支えており、責任者の田島正喜教授は「九州大発の技術を産学官連携により具体的に見える形で全国に広げたい」と意気込む。 ●実証実験の現場 こうした先端技術研究の拠点が、福岡市西区と福岡県糸島市にまたがる伊都キャンパスだ。05年以降、工学部などが順次移っており、19年度までに移転が完了する予定だ。再生エネ関連の基礎研究を行うカーボンニュートラル・エネルギー国際研究所(アイスナー)のほか、燃料電池に特化した次世代燃料電池産学連携研究センターを開設。同センターには世界に1台しかないという材料の表面を詳しく分析できる機器や、世界一の解像度を誇る電子顕微鏡を備える。アイスナーについては来年2月に2号館が誕生する。有川節夫学長は「移転に合わせ、先端技術の開発に向けた実証実験の現場にしたかった。世界最大・最強の拠点が必要」と話す。 ●学研都市めざす 九州北部はかつて炭鉱の町として栄え、九州大は以前からエネルギー研究に積極的だった。水素関連の研究が03年度、国のプロジェクト「21世紀COEプログラム」に選ばれるなど、ノウハウを蓄積。石油資源の枯渇や温暖化といった問題などが絡み、再生エネ分野は世界が注目しており、有川学長は「社会が抱える課題に応えるのが大学の使命だ」と言い切る。次世代燃料電池産学連携研究センター長の佐々木一成・主幹教授が「研究だけしても製品化がなければ完結しない」と言うように現在、産学連携を強め、製品化に力を注いでいる。企業とのプロジェクト数は50に及び、センターの研究室には日産自動車や東京ガスなど15社以上の企業が入居する。伊都キャンパス周辺では自治体の後押しもあり工業団地などへの企業誘致も進める。三菱電機や西部ガスなどが九州大の取り組みに期待し、研究開発機関を設立した。伊都キャンパスとその周辺を学研都市にする構想の背景には、優秀な人材を集めたいという思惑がある。地元からは「優秀な頭脳が域外に流出している」(高島市長)という指摘は少なくなく、魅力的な研究施設や企業の集積という受け皿を作り、産業力の強化を狙う。ただ再生エネルギー分野の研究は欧米が先行しているのが実情で、海外で勝ち抜くには最先端技術の研究に加え、学内の国際化が不可欠だ。アイスナーの所長には海外で活躍していたペトロス・ソフロニス氏を招いた。ソフロニス所長は「国際化は若い研究者や教員のレベル向上に期待できる。世界的に施設の知名度を上げて優秀な留学生も集める」と力説する。米調査会社トムソン・ロイターがまとめた13年までの約10年間で、国際的な研究団体に強いインパクトを与えた論文の引用数は、国内の研究機関で九州大は11位。国立大では1位の東京大、3位の京都大、4位の大阪大に水をあけられている。有川学長は「いかなる分野の評価でも世界トップ100に入る大学にする」ことを目標に掲げる。大学経営の面からも次の100年へ向け、「自主的に変わり続けることが必要」と説く。新キャンパスを舞台にした九州大の挑戦が続く。
| 資源・エネルギー::2013.10~2014.10 | 06:58 PM | comments (x) | trackback (x) |
|
PAGE TOP ↑