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2014.6.16 フクイチの真実と原発の本当のコストを隠したまま、再稼動させよという主張は、無理がある
   
              日本の脱原発集会     台湾の脱原発デモ

(1)福井地裁大飯原発3、4号機差止訴訟判決と
         環境白書の原発事故は最大の環境汚染という記述は重要である
 *1-1で日弁連会長が解説しているように、福井地裁は関西電力に対し、大飯原発から半径250km圏内の住民の生存権・人格権に基づき、3、4号機運転差止を命じる判決を言い渡した。この判決は、福島原発事故の反省の上に立って、国民を放射性物質の危険から守るという視点からなされた画期的判決で、他の原発にもあてはまるということで、私も賛成である。

 また、*1-2のように、今年の環境白書が、原発事故による放射性物質の放出を最大の環境問題と位置づけ、除染や被災者の健康管理を迅速に進めていく必要があることを指摘したのは、行政が原発事故を最大の公害であると認めた点で重要だ。さらに、*1-2には、福島県内の除染土などを保管するため、中間貯蔵施設を設置することが除染の加速化や復興の推進に必要不可欠とも書かれている。

(2)福島第一原発事故爆発の真実とまだ続いている放射性物質の放出
 *2-1に書かれているように、細野氏の証言で、東電福島第一原発事故で格納容器の圧力が異常に上昇した2011年3月15日午前2~3時頃、東電の人たちは「原子炉はもはや制御不能」と語り、作業員の撤退もやむを得ないという雰囲気が官邸内に広がって、原子力安全委員会の班目委員長ら専門家たちも一様に「打つ手無しの状態」だったそうで、最後は菅首相の判断で撤退は認めない方針が決まったとのことである。

 この原発爆発の結果、*2-2のように、事故直後、原発20キロ圏内に住む121世帯380人が国の指示で避難し、3年後の2014年4月、国は避難指示を解除したが、家の裏山側に線量計をかざすと毎時0.73マイクロシーベルト(0.73x24時間x365日=年間6.4ミリシーベルト)の放射線量があり、一般人の被曝限度である年間1ミリシーベルト(1000マイクロシーベルト/365日/24時間=0.114マイクロシーベルト/時)と比較して、かなり高い。そのため、若い夫婦が子どもを連れて戻るわけにはいかず、本当は大人も危険である。
    
 また、原発爆発の結果、東京電力は、*3-1のように、「地下水バイパス」計画で3回目の海洋放出を実施したが、5月26日には基準値(1リットル当たり1500ベクレル)を上回る1700ベクレルのトリチウムが検出され、くみ上げを停止している専用井戸の1カ所で、29日に採取した水からも同じ濃度が検出され、現在は残る11カ所の井戸で地下水のくみ上げを続けているとのことである。しかし、流れ出す分量は、濃度ではなく総量で計るべきなので、全体では膨大な量になると思われ、アルプスが故障続きであるため、トリチウム以外は取り除かれているかどうかも不明だ。

 さらに、*3-2のように、長野県林務部が、2014年5月16日、長野市で採取したコシアブラから国基準値の1キロ当たり100ベクレルを超える340ベクレルの放射性セシウムを検出したと発表し、長野県は長野市全域をコシアブラ採取の自粛対象とした。このように、原発爆発で大きく広がったまま除染されていない放射性物質の影響を、長野県のコシアブラ、コゴミ、タラノメなどの山菜が示しているのだ。

(3)放射性物質が農業に与える影響に関する科学的研究
1)放射性物質汚染地域の屋内で飼育された豚と放射性物質に関する調査研究
 *4-1のように、東大大学院農学生命科学研究科助教が、福島第一原発20キロ圏内の警戒区域で約3か月間飼育された原種豚を、東京大学の附属牧場に移送して調査研究し、空気中の放射性セシウムによって汚染されて、①救済してきた豚26頭のうち11頭が病死 ②排卵をしていない、繁殖周期が正常ではない、黄体ホルモンが正常に出ていないなどの生殖異常があった ③奇形の子が4頭 ④救済された豚で赤血球が少なかった などの結果が出ており、空気からの被曝で豚が影響を受けたことが明らかになった。これは、人間にも類似して当てはまるだろう。

2)果樹におけるセシウム汚染の経路に関する調査研究
 *4-2のように、東大大学院農学生命科学研究科助教が、果樹の古い組織に蓄積した放射性物質が新しい組織に移行したり、土壌から新しく入ってきたりする果樹内での放射性セシウムの移行を調査した結果、福島県内と西東京市の農場にあるモモの樹で、事故当時には出ていなかった組織(果実、葉、新梢)からも放射性セシウムが検出され、内側の材よりも樹皮で濃度が高く、圧倒的に最も外側の表皮で高いことが分かったということだ。非汚染の樹(モモ、ブドウ)を福島県に持って行き、汚染された土壌で栽培すると、事故以降でも土壌から放射性物質が移行し、土壌に被覆をすることで土壌中の濃度は1/7~1/6まで抑えられるものの、果実の濃度はほぼ同じで、土壌からの移行は空気に依る移行と比べて、ごくわずかだと考えられるそうだ。

 従って、基準内であっても汚染された食物を食べ続け、空気からの被曝も受けている人間は、健康でなくても不思議ではなく、不安をなくす目的ではなく、病気を予防したり、早期発見したりすることが目的の情報公開や健康管理を行うべきであり、医学もしっかりした調査をしてもらいたい。

参考資料:
<福井地裁大飯原発3、4号機差止訴訟判決について>
*1-1:http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2014/140521_2.html (日本弁護士連合会 会長 村越進 2014年5月21日) 福井地裁大飯原発3、4号機差止訴訟判決に関する会長声明
 福井地方裁判所は、2014年5月21日、関西電力株式会社に対し、大飯原子力発電所(以下「大飯原発」という。)から半径250km圏内の住民の人格権に基づき、同原子力発電所3号機及び4号機の原子炉について、運転の差止めを命じる判決を言い渡した。本判決は、仮処分決定を除くと、2011年3月の福島第一原発事故以降に言い渡された原発訴訟の判決としては初めてのものである。従来の原子力発電所をめぐる行政訴訟及び民事訴訟において、裁判所は、規制基準への適合性や適合性審査の適否の視点から、行政庁や事業者の提出する資料を慎重に評価せず、行政庁の科学技術的裁量を広く認めてきた。また、行政庁や事業者の原子力発電所の安全性についての主張・立証を緩やかに認めた上で、安全性の欠如について住民側に過度の立証責任を課したため、行政庁や事業者の主張を追認する結果となり、適切な判断がなされたとは言い難かった。これに対し本判決は、このような原子力発電所に関する従来の司法判断の枠組みからではなく、技術の危険性の性質やそのもたらす被害の大きさが判明している場合には、その性質と大きさに応じた安全性が認められるべきとの理に基づき、裁判所の判断が及ぼされるべきとしたものである。その上で、原子力発電所の特性、大飯原発の冷却機能の維持、閉じ込めるという構造の細部に検討を加え、大飯原発に係る安全技術及び設備は、万全ではないのではないかという疑いが残るというにとどまらず、むしろ、確たる根拠のない楽観的な見通しの下に初めて成り立ちうる脆弱なものとし、運転差止めを認めたものである。本判決は、福島第一原発事故の深い反省の下に、国民の生存を基礎とする人格権に基づき、国民を放射性物質の危険から守るという観点から、司法の果たすべき役割を見据えてなされた、画期的判決であり、ここで示された判断の多くは、他の原子力発電所にもあてはまるものである。当連合会は、昨年の人権擁護大会において、いまだに福島第一原発事故の原因が解明されておらず、同事故のような事態の再発を防止する目処が立っていないこと等から、原子力発電所の再稼働を認めず、速やかに廃止すること等を内容とする決議を採択したところである。本判決は、この当連合会の見解と基本的認識を共通にするものであり、高く評価する。政府に対しては、本判決を受けて、従来のエネルギー・原子力政策を改め、速やかに原子力発電所を廃止して、再生可能エネルギーを飛躍的に普及させるとともに、原子力発電所の立地地域が原子力発電所に依存することなく自律的発展ができるよう、必要な支援を行うことを強く求めるものである。

*1-2:http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140606/t10015018491000.html
(NHK 2014年6月6日) 環境白書 原発事故は最大の環境問題
 今年の環境白書は、原発事故による放射性物質の放出を最大の環境問題と位置づけ、除染などを迅速に進めていく必要があると指摘しています。6日の閣議で決まったことしの環境白書は、東京電力福島第一原子力発電所の事故で大量の放射性物質が放出されたことについて、今なお、最大の環境問題になっていると位置づけています。そのうえで、除染や被災者の健康管理などを迅速に進めていく必要があると指摘しています。このうち除染では、福島県内で取り除いた土などを保管するために、政府が建設を計画している中間貯蔵施設について初めて触れ、この施設を設置することが、除染の加速化や復興の推進に必要不可欠だとしています。また、被災者の健康管理では、被ばく線量の把握が重要で、不安に応える情報の充実が求められているとして、福島県が行っている健康調査や相談に応じるための人材育成の取り組みなどを紹介しています。
このほか、白書では、被災地で進められている、環境への負荷を低減した「グリーン復興」という取り組みが今後の地域づくりの1つの目指すべき方向だとして、福島県が進めている県民参加型の太陽光発電事業や、福島県飯舘村が打ち出している、再生可能エネルギー施設の整備を柱とした復興計画などを紹介し、このような動きを加速させていく必要があるとしています。

<福島第一原発事故の真実について>
*2-1:http://digital.asahi.com/articles/ASG5Z520RG5ZUUPI004.html
(朝日新聞 2014年6月2日) 「原発もはや制御不能」 東電、震災4日後に 細野証言
 東京電力福島第一原発の事故に首相補佐官として対処した細野豪志氏が朝日新聞のインタビューで、2号機の原子炉格納容器が壊れる危機に直面した2011年3月15日未明、首相官邸に詰めていた東電の人たちが「原子炉はもはや制御不能」と語り、作業員の撤退もやむを得ないという雰囲気が官邸内に広がったことを明らかにした。当時の官邸が公式記録や報道で伝えられてきた以上に緊迫していたことを示す証言だ。
●細野証言の詳細 「もはや東電では制御不能なんだと」
 東電の「制御不能」発言が出たのは、原子炉格納容器の圧力が異常に上昇していた15日午前2~3時ごろ。東電本店からは武黒一郎フェロー、川俣晋原子力品質・安全部長ら数人が官邸に派遣されていた。細野氏は発言者は明かさず、「誰かというより、官邸に来ていた東電チームとしての発言だった」と語った。細野氏は「東電から制御不能という言葉があったのは衝撃的だった。原子力の専門家が制御不能と言っているものを『制御しろ』とは言えない」と語った。さらに「ここで専門家が何も言えないのはいかん、意気消沈して肩を落としている場合ではない、と東電に言った」「何とかしなきゃならないんで、とにかく手を考えてくれと強めに言った」と振り返った。しかし具体案は出なかった。東電に加え、その場にいた原子力安全委員会の班目春樹委員長ら専門家たちは一様に「打つ手無しの状態」だったという。細野氏は「何もできなかったことへの強烈な無力感みたいなものがあった」と語った。作業員の撤退は原子炉の制御を完全にあきらめることを意味する。細野氏は前日夜に現場責任者の吉田昌郎・福島第一原発所長との電話で「頑張ります」「踏ん張れる」という強い言葉を聞いていたが、東電の「制御不能」発言後、官邸に撤退やむなしの雰囲気が広がったという。細野氏は「全体の雰囲気として撤退を絶対に止めないといけないと思いながらもその根拠というか、どうやったらいいか……。手がないという話だから、そういう雰囲気があった」と話した。結局、撤退について意見はまとまらなかった。細野氏は撤退に傾く東電本店より、現場にとどまる吉田氏の判断を尊重するよう進言。最後は菅直人首相の判断で撤退は認めない方針が決まった。

*2-2:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11154340.html
(朝日新聞 2014年5月25日) (プロメテウスの罠)帰還の現実:1 別れるしかなかった
 新緑の山々に囲まれた福島県田村市の都路地区。東京電力福島第一原発の西にある農村地域だ。事故の直後、原発20キロ圏に住む121世帯380人は国の指示で避難した。それから3年。政府は4月1日、都路20キロ圏への避難指示を解除した。曲がりくねった林道の先に家がある坪井幸一(65)は仮設住宅を離れ、妻(65)と2人で帰ってきた。ちょうどひと月たった5月1日、杉の木が茂る家の裏山側に線量計をかざし、記者に示して見せた。「ほら、まだこんなにある」。毎時0・73マイクロシーベルトの放射線量。一般人の被曝限度は年間1ミリシーベルトが平常時の基準だ。毎時にすれば0・23マイクロ。それを上回る地点が、まだあちこちに残っている。国による地域の除染は昨年6月までに一通りすんだ。仮設住宅に残る息子の秀幸(36)はあきれ顔だ。「とてもじゃないが、子どもたちを連れて戻るわけにはいかない」。秀幸には10歳の長女、3歳の次女、1歳になったばかりの三女がいる。線量の高い地点が残っていては安心して子育てできないという。幸一は息子の言葉にうなずく。「そのほうがいい。若い夫婦や子どもにとっては体が心配だ」。親子は原発で配電設備の仕事に長く携わってきた。だから、放射線の危険性は身をもって知っている。一家が離ればなれになるのはつらいが、そう決断するしかなかった。昨年12月20日。住民が望むレベルの除染が実現されないまま、安倍内閣は福島の「復興加速化」を掲げて新たな指針を閣議決定した。早く帰還する住民には1人90万円の賠償金上乗せを検討する。被曝線量は従来の空間線量による推計から、住民が個人線量計で自ら測る方式に見直す、と伝えられた。息子の秀幸は首を振る。「原発作業員でもない一般の住民が、線量計をぶら下げながら生活するなんて……」。結局、カネを積んで住民を早く帰還させ、かたちばかりの復興を急ごうということじゃないのか――。避難指示の解除準備区域は第一原発周辺の11市町村に広がっていた。都路地区は解除の第1号になる。父の幸一は眉をひそめた。「なし崩しの解除では、あとに続く地域にも響きかねないのだが」。
    ◇
 【プロメテウス】人類に火を与えたギリシャ神話の神族:避難指示の解除をめぐり、翻弄(ほんろう)された住民たちの姿を伝えます。

<現在も続いている放射性物質の放出について>
*3-1:http://www.minpo.jp/news/detail/2014060316072
(福島民報 2014/6/3) 3回目の海洋放出833トン 福島第一原発地下水バイパス
 東京電力は2日、福島第一原発の「地下水バイパス」計画で、3回目の海洋放出を実施したと発表した。排水量は833トン。同日午前10時19分に開始し、午後1時42分に完了した。放射性物質濃度が東電の排出基準を下回ったため、一時貯留タンクから放出した。これまで、5月21日と27日に、それぞれ561トンと641トンを放出した。26日に基準値(1リットル当たり1500ベクレル)を上回る1700ベクレルのトリチウムが検出され、くみ上げを停止している専用井戸の1カ所で、29日に採取した水からも同じ濃度が検出された。現在は残る11カ所の井戸で地下水のくみ上げを続けている。

*3-2:http://www.shinmai.co.jp/news/20140521/KT140520FTI090022000.php
(信濃毎日新聞 2014年5月21日) 「市全域が対象」戸惑い 長野でコシアブラ採取の自粛要請
 長野市の山林で採取されたコシアブラから国基準値を超える放射性セシウムが検出され、県が市全域をコシアブラ採取の自粛対象としたことに、地元飲食店などから「市内全域が危険と思われかねない」と戸惑う声が出ている。県は市町村単位での対応を求める国の方針に沿ったとするが、合併で市域が広がっていることもあり、消費者からは「どこで採れた物なのか、判断材料がほしい」との声が上がる。自主的に検査機関で検査して安全性をPRしようとする農産物直売所も出ている。「長野市といっても広い。コシアブラ以外の山菜でも客に出して大丈夫か」。大型連休に市内で採ったコシアブラやコゴミ、タラノメなどを冷凍保存する同市の飲食店の女性店員は戸惑う。県林務部は16日、長野市で同日採取したコシアブラから国基準値1キロ当たり100ベクレルを超える同340ベクレルの放射性セシウムを検出したと発表。東京電力福島第1原発事故の影響とみており、同市のコシアブラの採取や出荷、摂取の自粛を呼び掛けた。県内産の山菜から国基準値を超える放射性セシウムが検出されたのは、北佐久郡軽井沢町でいずれも昨年6月に採取したコシアブラ1検体、タラノメ2検体に続き4検体目。長野市内の野草を食材に使う菓子店の店主は、採取の自粛範囲を市内全域としたことに対し「市内の農林産物全てが避けられかねない」と主張。上水内郡信濃町で放射性物質を検査する「黒姫駅前みんなの測定所」を開く住民有志の1人、吉村まきさん(43)は「県は持っている情報をきちんと知らせてほしい」と話す。20日までに県長野保健福祉事務所や長野市保健所などに市民らから寄せられた問い合わせは計20件以上。採取場所の問い合わせが多いという。県林務部は、基準値を超える検査結果が相次いだ場合、政府の原子力災害対策本部による出荷制限の指示が市町村単位で行われるため、「自粛要請も市町村単位でなければ食い違いが生じる」とする。林野庁は「指示は行政の最小単位として市町村に出すことになる。狭い範囲で指示を出しては、『その範囲で大丈夫か』と消費者の不安も招きかねない」と説明する。放射性物質の分析装置がある民間の「科学技術開発センター」(長野市)は県の16日の発表以降、長野市外の農産物直売所や個人からタラノメなど数件の検査依頼を受けた。毎週月曜日に開いている「黒姫駅前みんなの測定所」にも、19日は個人などからコシアブラなどが持ち込まれた。長野市信州新町の道の駅は、今週中に全ての山菜のサンプル検査を市薬剤師会に依頼すると決めた。コシアブラの受け入れは17日に中止。既にコシアブラ入荷のピークは過ぎ、現在はワラビやフキなどが並ぶ。運営する第三セクターの土田剛弘社長(65)は「信州新町の山菜は安全とアピールしたい」としている。

<放射性物質が農業に与える影響に関する科学的研究>
*4-1:http://www.frc.a.u-tokyo.ac.jp/information/news/140216_report.html
放射性物質汚染地域の屋内で飼育された豚と放射性物質に関する調査研究
   李俊佑、東京大学大学院農学生命科学研究科附属牧場助教
●背景
 福島第一原発20キロ圏内の警戒区域で約3か月間飼育された原種豚を、東京大学の附属牧場に移送して調査研究しました。豚の居た区域の土壌中放射性セシウム濃度は1kg当たり2万から5万ベクレルで、空間線量は一時間当たり1マイクロから2マイクロシーベルトであったと推測されています。東大附属牧場は福島第一原発から西南約130キロのところにあり、移送時の空間線量は一時間当たり0.1マイクロから0.2マイクロシーベルトでした。豚は屋内で飼育しており、餌は牧草ではなく、トウモロコシやダイズ、ミネラル等を混合した濃厚飼料を使います。しかも、飲水は地下水なので、豚は飼料と飲水による放射性物質と接する機会はあまりない環境で育てられたことになります。
●東大附属牧場に移送した豚にはどのくらいの放射性セシウムが含まれていたか
 移送した豚は五種類で、デュロック種(雄3頭雌8頭)、大ヨークシャー種(雄4頭雌2頭)、中ヨークシャー種(雄2頭雌4頭)、ランドレース種(雄1頭雌1頭)、バークシャー種(雌1頭)、合計26頭です。豚は爪が弱いという特徴があります。移送して73日目の9/9に、割れた爪から菌が入り病気になってしまった豚を解剖し、臓器中の放射性セシウム濃度を調べました。すると、生殖器から約160ベクレル/kgの放射性セシウムが検出されました。個体は異なりますが、その後に調べた豚の生殖器中の放射性セシウム濃度は、時間が経つほど低くなっていきました。同様に、脾臓や肝臓、腎臓、筋肉、尿、血液中の濃度も低くなっていました(脾臓と肝臓では9/9より9/30の計測で高濃度だったが個体差と思われる)。部位ごとでは、最も高濃度が検出されたのは筋肉で、低いのは尿と血液でした。屋内で飼育され、濃厚飼料を与えていたのになぜこのように汚染されていたのかというと、豚舎に設置されている換気扇を通して空気中の放射性セシウムが豚舎内に入ったからではないかと考えています。
●警戒区域内で殺処分された豚ではどうだったか
 警戒区域内で殺処分された家畜の中に含まれる放射性物質について調べました。南相馬市で調べた豚では、各部位から1kg当たり千単位の濃度の放射性セシウムが検出されました。附属牧場に救済した豚では百単位の濃度だったので、その10~20倍の濃度ということです。
●移送した豚の繁殖能力・子孫への影響等について
 附属牧場に移送した豚を使って、繁殖性を含む健康状態等の調査研究を行いました。ひとつ注意してもらいたいのは、この研究は周到に準備して行ったものではないということです。比較できる対象動物が居ない中で調べたので、この研究から得たデータから「放射線の影響だからこういうことになった」とは必ずしも言えないということになります。事故後の水不足や餌不足の影響、長い距離を移動したというストレスもあるかと思います。従って、このデータは参考として提供したいと思います。移送して3か月後には、体重は元通りになり、最も重いもので270kgになりました。発情した豚については種付けし子供を産んでもらいました。16頭のうち7頭が合計13回分娩しました。中には2回、3回、4回分娩した豚もいました。生まれた子供は雄が72頭、雌が73頭でした。奇形は4頭でした。平均でどのくらいの頻度で奇形が出るのかデータがなかったので比較はできませんが、今第2世代についても調べ始めています。第2世代は今のところ2頭が分娩し、雄が13頭で雌が10頭生まれました。奇形は出ていません。移送してきた雌16頭のうち9頭がなぜ分娩しなかったのかについて調べました。そうした豚の卵巣機能を調べたところ、排卵をしていない、繁殖周期が正常ではない、黄体ホルモンが正常に出ていない等の原因があることが明らかになりました。血液検査については、近隣の農家で育てられていた豚のデータと当牧場で生まれ育てられた第2世代のデータと比較したところ、赤血球等で有意な差がありました。赤血球は救済された豚の方で少ない傾向がありました。
●結果のまとめ
 警戒区域内から東大附属牧場に救済してきた豚26頭のうち11頭が病死しました。救済された豚は南相馬市での累積外部被ばくは2.2ミリシーベルトであると推測されました。東京とニューヨークの往復フライトは約0.2ミリシーベルトで、自然放射線量の世界平均が2.4ミリシーベルトということを考え合わせると、この放射線量の値は安全域であると言えます。ただし、救済された豚が事故後にどの程度の放射性ヨウ素の被曝を受けたかは分かりません。豚は人間への臓器の異種移植の研究が盛んに行われていたことからも分かるように、人間のモデル動物としても幅広く活躍しています。今回は極めて不幸な事態から生じた調査用豚であるが放射線の人間への影響を知るに当たって極めて貴重なデータを与えてくれるのではないかと思い、引き続き研究を続けていきます。

*4-2:http://www.frc.a.u-tokyo.ac.jp/information/news/140216_report.html
果樹におけるセシウム汚染の経路
   高田大輔、東京大学大学院農学生命科学研究科附属生態調和農学機構助教
背景
 福島県は果物の生産が盛んで、モモは全国2位、カキは4位、リンゴは6位の生産量です。果樹のような永年性植物は、単年性植物とは異なり、事故後一年だけでなくその翌年も、古い組織に蓄積した放射性物質が新しい組織に移行する、土壌から新しく入ってくることを考えなければなりません。果樹内での放射性セシウムの動きについては何も分かっていないという状況でした。
●放射性セシウムはモモの樹のどこに移行しているか
 福島県内と西東京市の農場にあるモモの樹について、モモを収穫した後に、葉、枝、幹、根を部位ごとに採取し、放射性セシウム濃度を測定しました。各部位での放射性セシウムの相対的な濃度は、福島県と西東京市でほぼ同じでした。事故当時には出ていなかった組織(果実、葉、新梢)でも放射性セシウムは検出されました。最も多く検出されたのは古い枝(旧枝)です。根からはほとんど検出されませんでした。本試験のモモの樹の重量比は、果実:葉:枝・幹:根で1:1:4:4になっています。濃度に重量を掛けると、各部位の放射性セシウムの含量を求めることができます。すると、枝と幹で含量がとても多いことが分かりました。さらに、枝のどの部分に放射性セシウム濃度が高いのかを層ごとに調べたところ、内側の材よりも樹皮で濃度が高く、圧倒的に最も外側の表皮で高いことが分かりました。この調査は事故後の8月に行ったものですが、最近の調査では材からも検出されるようになっています。材の放射性セシウム濃度は高くありませんが、重量は大きいので、含量としては辺材で最も大きくなりました。
●モモの樹の中に残った放射性セシウムはどのように再分配されるか
 2012年1月に福島県内の果樹園で栽培されていたモモの樹を掘り起こし、土と細根を取り除き洗浄し、汚染されていない土に植え替えました。そうして栽培した後、先ほどと同じように部位ごとに採取し、各部位に含まれる放射性セシウム濃度を計測しました。汚染されていない土で育てたので、各部位に含まれる放射性セシウムは元々樹の中に含まれていたものと考えることができます。結果としては、濃度は葉と新根で多くなりました。含量は果実と葉で多くなりました。樹全体に5000の放射性セシウムが含まれているとすると、新生器官(果実、葉、新梢)にはその約2%である106が、旧器官には4849が、土壌には45が再分配されました。
●土壌からの移行はどの程度あるか
 フォールアウトを受けていない非汚染の樹(モモ、ブドウ)を福島県に持っていき、汚染された土壌で栽培しました。その結果、モモの移行係数は3.6~5.4×10^-4で、ブドウは2.0×10^-3でした。これらの値は野菜やイネと比べると低いですが、事故以降も土壌から放射性物質が移行しているので決して無視はできないということになります。事故時に土壌を被覆して栽培していたモモの樹と被覆せず栽培していたモモの樹を比べました。被覆をすることで土壌中の濃度は1/7~1/6まで抑えられましたが、果実の濃度はほぼ同じでした。従って、土壌にフォールアウトしたものからの移行は、直接樹にフォールアウトしたものと比べて、ごくわずかであると考えられます。植物の根の深さによる傾向を考えました。根の浅いイチジクは根の上の方から根が出やすく、根が浅くない(モモと同じくらいの)ブドウは全面から根が出ます。イチジクとブドウについて、二種類の土壌の汚染状況を作り、栽培しました。一つは表層が汚染されていて、下層は汚染されていない状況。もう一つは、表層は汚染されていなく、下層が汚染されている状況です。ブドウについては、下層が汚染されている方が果実中の放射性セシウム濃度は高くなりました。移行係数は表層汚染では0.00168で、下層汚染では0.00397で、下層汚染で約2倍となりました。イチジクについては、表層が汚染されている方が果実中の濃度は高くなりました。移行係数は表層汚染では0.0266、下層汚染では0.0071でした。ブドウとイチジクで全く逆の結果になりましたが、それは根の存在する位置が違うためであると考えられます。結果として、根の浅くない樹種では土壌表層の放射性セシウムを吸収しにくく、根の浅い樹種では土壌表層の放射性セシウムを吸収しやすい傾向がありました。モモは根が表層から10~20cmのところに多く発生しますので、土壌からの移行はそこまで多くないと考えられます。
●モモ果実中の放射性セシウム濃度は予測できるか
 果樹内での放射性セシウムの動きはこの3年間の研究で大分明らかになった部分もありますが、放射性セシウムの動きを一つ一つ明らかにし、濃度予測をするまでの道のりはまだ遠いと言えます。しかし、大切なのは、濃度予測ではなく、国が決めた基準値等の濃度を確実に下回るか判別することです。そのためには、果実の発育期間中の放射性セシウム濃度の変化を把握し、こうした変化が毎年同じかどうかを明らかにすることが必要です。残念ながらチェルノブイリ事故時には初年度のデータが不足しており、二年目以降のデータと比較することが不可能です。一緒に研究をしている福島県果樹研究所の2011年のデータによると、満開後30日からモモ果実中濃度を調べたところ、満開後30日が最も高濃度で、50日で激減し、その後は緩やかに低くなっていきました。2012年と2013年のデータも同様の傾向を示し、満開後50~60日で大体濃度は下がりきっていました。この時期は、果実発育第二期に当たり、果実の肥大が一旦止まる時期でもあります。果実肥大は年ごとの様々な条件に左右されやすいので、この時期に濃度を計測することで、肥大の年次間差の影響を避けやすくなります。また、果実を選別する摘果作業を行う時期でもあるので、濃度を測定するための果実を採取することの影響が少なくなります。そこで、果実発育第二期に採取した果実を使って、成熟果の濃度を予測できるか確かめました。
●満開後60日の果実を使って、成熟果の濃度は予測できるか
 JA伊達みらい管内をはじめとした26の果樹園で、あかつきというモモの品種を3樹ずつ選び、満開後60日の果実と、成熟果の濃度を測りました。その結果、満開後60日の果実と成熟果の濃度の相関係数はこの分野としては非常に高く0.9近くとなりました。これほど高い相関係数であっても、外れ値は存在します。そこで、満開後60日の果実と成熟果の濃度のグラフに1:1の線を引いて考えることにしました。この線は、満開後60日の果実が30ベクレルであれば成熟果は30ベクレルであることを示します。グラフ上でこの線よりデータが下にあれば、成熟果の濃度は満開後60日の果実の濃度より低いことになります。1:1の線より上にも(成熟果の濃度が満開後60日の果実の濃度より高い)ぽつぽつとデータがありました。そこで、仮に規制値の10%である10ベクレルを安全側にとり、Y=X+10という線を引くと、全てのデータが線の下に収まりました。安全係数をいくつにするのかという問題はありますが、こうした手法を使えば、放射性物質濃度の高い樹体をピックアップし、そうした樹体の満開後60日果実の濃度を計測することで、成熟果濃度の予測が可能になり、労力の分散に繋がります。

| 原発::2014.5~8 | 09:46 PM | comments (x) | trackback (x) |

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