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2014.6.26 成長戦略の要はエネルギーの国産化と輸出であり、原発は税金で支えられている不良資産であるため、早く処分すべきである。
    
*4-1:川内原発、玄海原発で過酷事故が     *5より
    起こった場合の放射線物質の飛散

(1)原発には税金が使われている
 *1のように、九電の株主総会で、瓜生社長が株主への無配を陳謝し、「①川内原発1、2号機と、玄海原発3、4号機の早期再稼働に向けて全力を挙げて対応する」「②自主的な安全性向上に取り組み、安全対策工事に三千数百億円をかけるが、その費用を加えても他の電源より安い」などと述べたそうだ。

 しかし、①②について、過酷事故が起こった場合には、上図、*4-1、*4-2のように、30キロ圏内だけが汚染されるわけではないのに、30キロ圏内でさえ有効な避難計画は作れず、避難費用、除染費用、賠償費用などは殆ど税金から支払うことになる。つまり、電力会社と電力需要者はフリーライダー(公害を出して他の人に後始末の費用を出させること)をしているのであり、通常の会社なら株主や債権者が事故の保障をすることになるため、「三千数百億円の安全対策工事の方が安いから、株主に配当するために原発を再稼動させる」という判断には絶対ならないところなのだ。

 また、*5のように、川内原発は火山リスクの高い立地であるにもかかわらず、火山のモニタリングをすれば安全という新たな「安全神話」を作り、規制委も火山リスクに目をつぶろうとしている。人間の工学は、地球の営みに比べれば取るに足りないほど微小であることを知っておくべきだ。

(2)本来、日本は資源の豊かな国である
 *1にある「日本は資源がないので、原発を再稼働することは仕方ない」とする主張は少なくないが、実際には、*2のように、日本近海には原油と成分の似たメタンハイドレートが埋蔵されており、*3-1、*3-2、*3-3のような自然エネルギーも豊富で、これらは今まで未利用だった。しかし、今後は、原発ほど多額の税金を投入しなくても開発できる有望なものである。

 従って、成長戦略の1丁目1番地は、国産資源を開発し、それにあわせた技術のイノベーションを遂行して、資源の輸入国から輸出国になることである。これによって、無駄遣いさえしなければ、足りないと言われてきた福祉の資金も容易に捻出できるだろう。

<原発に対する九電の姿勢>
*1:http://qbiz.jp/article/40651/1/
(西日本新聞 2014年6月26日) 九電社長、株主総会で「再稼働へ全力」 2年連続の無配陳謝
 沖縄電力を除く大手電力9社の株主総会が26日、各地で一斉に開かれた。福岡市であった九州電力の総会では、原発停止に伴う赤字継続で年間配当を2年連続で見送ることについて、瓜生道明社長が「深くおわび申し上げます」と陳謝。原子力規制委員会の優先審査を受け、全国で最も早く再稼働する可能性が高い川内原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)と、玄海原発3、4号機(佐賀県玄海町)の早期再稼働に向けて「国の審査に全力を挙げて対応してまいります」と強調し、理解を求めた。会社側は2013年度事業報告で、昨年4月以降に電気料金を値上げしたものの、原発再稼働が想定より遅れ火力発電燃料費の増大で連結純損益が960億円の赤字となったことを説明。経営安定化に向け、議決権がない「優先株」を日本政策投資銀行に発行し1千億円の資本増強を行うことを報告。関連の定款変更議案を提出、承認された。質疑では、株主から原発に依存する経営姿勢や、無配が続くことへの批判があった。株主からは、原発再稼働について「実効性ある避難計画が策定されたと判断されるまでしない」とする定款変更案など5議案が事前に提出されたが、いずれも取締役会が反対しており、否決。総会は閉会した。総会には午前11時現在、昨年の同時刻より102人少ない573人が出席。会場のホテル周辺では、脱原発を訴える市民団体などがデモ行進するなどし、再稼働阻止などを呼び掛けた。大手電力9社の株主総会には、過去に一度も株主提案がなかった北陸電力を含め、全社で脱原発を求める株主提案が出された。事前の株主提案は9社で計69件に達し、原発再稼働に向けて原子力規制委員会の審査が進む中、脱原発の声が根強いことを示した形となった。 
●電気料金下がる 安全、保証ない 株主ら
 福島第1原発事故発生から4度目となる電力会社の株主総会。九電は、原発再稼働に向け「全力を挙げる」と強調したが、会場内外では賛否双方の声が上がった。総会には事前に原発に関連する質問が多く寄せられた。再稼働を急ぐよう促す注文に加え、目立ったのが安全性を問う質問で、役員らが順に答弁した。「自主的な安全性向上に取り組む。安全対策工事に三千数百億円をかけるが、その費用を加えても他の電源より安い」。 原発担当の山元春義副社長は、原発のコスト面での優位性を強調。国内第1号の再稼働に向けて国の審査が進む川内原発(鹿児島県薩摩川内市)が、火山被害を指摘されている点についても、「大規模噴火は、数十年前から兆候を確認できる」などとした。だが、会場からは「根拠は何か」などの声が飛んだ。出席した株主は、再稼働を望む人が多数を占めたようだ。福岡県朝倉市の男性(68)は「原子力は5年、10年は使わないと社会が回らない。再稼働すれば電気料金も安くなる」と指摘。同県春日市の男性(75)も「日本は資源がない。安全性に配慮しつつ再稼働することは仕方ない」と話した。ただ「安全が確認されれば再稼働してもいいが、将来的には原発に頼らない経営を望みたい」(福岡市南区の64歳男性)との意見もあった。一方、会場となった福岡市中央区のホテル前には、約100人(主催者発表)の市民団体関係者が集まり「再稼働反対」などとアピール、同市天神地区をデモ行進した。九電消費者株主の会、深江守事務局長(57)は「福島事故以降も九電の体質は変わっていない。川内原発近くの鹿児島県いちき串木野市では、再稼働反対の署名が市民の半数を超えた。九電はその声を誠実に受け止めるべきだ」と話した。福岡市東区の保育士、浜崎織絵(おりえ)さん(43)は「子どもたちに原発の危険なツケを回してはいけない。保護者も不安がっている。九州には火山もあるし、絶対安全という保証はない」。佐賀県唐津市の農業、田口常幸さん(62)は「事故時の避難計画が不十分。住民を被ばくさせない責任の所在が曖昧だ」と訴えた。

<メタンハイドレートの存在>
*2:http://www.saga-s.co.jp/news/national/10208/77370
(佐賀新聞 2014年6月24日) 和歌山県沖に次世代資源、有望、メタンハイドレート調査
 和歌山県は24日、同県潮岬沖約18キロの海域に、次世代資源と期待される「メタンハイドレート」が存在する可能性が高いことが判明したと明らかにした。県は今後、詳細な調査を国に要望していく方針。メタンハイドレートは、天然ガスの主成分であるメタンと水が結合した物質で、氷のような状態で海底に眠っている。県によると、昨年11月から今年2月にかけて、魚群探知機を使って調査したところ、複数の箇所で数百メートルにわたって柱状に湧き上がる気泡が観測された。分析したところ、メタンガスの気泡を含むとみられることが分かり、海底にメタンハイドレートが存在する可能性が明らかになった。県は、調査した潮岬海底谷は地層がむき出しになっており、メタンハイドレートが水に溶け出した際にできる地形の特徴が見られるとしている。和歌山県の出口博之企業政策局長は、今後も詳細な成分分析などが必要になるとしながら、「自主的なエネルギーの確保は日本にとって重要な問題。和歌山県沖で採掘できるようになれば、県民にとって夢のある話だ」と期待を寄せた。和歌山県では2013年から、研究や資源開発の誘致を目的に、メタンハイドレートの分布を把握するため独自の調査をしていた。

<自然エネルギー>
*3-1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20140622&ng=DGKDZO73119010R20C14A6MZ9000
(日経新聞 2014.6.22) 海流や潮で発電 急浮上 、再生エネ、天候問わぬ新顔
 プロペラのような翼を海中に沈め、海流や潮の満ち引きを利用して発電する「海の風力発電所」が注目を集めている。日本の領海と排他的経済水域(EEZ)の広さは世界6位で、発電に適した場所も多い。太陽光や風力と違い、天候に左右されずに発電できる利点もある。政府も開発を後押ししており、再生可能エネルギーの新顔は主役になる可能性を秘めている。日本の太平洋側を流れる黒潮。水産資源など豊かな恵みをもたらす海流をエネルギー源として使う「海流発電所」を2030年ごろに実現する。そんな壮大な計画に、IHIと東芝、東京大学、三井物産戦略研究所(東京・千代田)が取り組んでいる。直径40メートルの翼を2つつけた発電装置をワイヤで海底に固定。凧(たこ)のように浮遊させながら黒潮の流れを受けて回り発電する。10キロメートル四方に発電装置を400基設け、80万キロワットと小規模な原子力発電所並みの電力を生み出す。海流発電の原理は風力発電と同じだが、風力にはない利点がある。海流は年間を通じて流れるため、安定して発電できる。黒潮の幅は100キロメートルあり、設置できる場所は広い。流れは平均で毎秒1.5メートル前後と比較的遅いが、水の密度は空気の800倍あり、エネルギーは十分に得られる。こうした条件から、海流発電の稼働率を60~70%と見積もった。これに対し、天候に左右される太陽光は10%台、洋上も含む風力は30~40%にとどまるという。IHI技術開発本部海洋技術グループの長屋茂樹課長は「発電コストは1キロワット時当たり20円を目標にしている」と話し、風力発電並みを狙う。海の流れを利用した発電は他にもある。潮の満ち引きで起こる速い流れを使う「潮流発電」だ。明石海峡や鳴門海峡をはじめとする瀬戸内海近海、有明海や八代海を抱える九州西部、津軽海峡などで潮の流れが秒速2~5メートルある。陸上の風力発電のように水車を海底に太い柱で固定するタイプのほか、ワイヤで海底につなぎとめるタイプなどアイデアはさまざまだ。三井海洋開発は潮流発電と風力発電を組み合わせて出力を高めた装置を開発した。今秋には佐賀県唐津市沖で実証試験を始める。ハイブリッド発電装置は海に浮かべるタイプで、全長約70メートルある。海中部分には、丸く曲げた板を組み合わせた特殊な水車を設置。あらゆる方向から来る潮流をとらえて発電する。海上の風力発電も含めると、1基あたりの出力は500~1000キロワット。「設置面積当たりで最高の出力を目指した」と中村拓樹事業開発部長は話す。16年にも実用化する計画だ。海の流れを活用する次世代発電は、船舶や潜水艦で培った技術を生かせる。IHIのほか、川崎重工業など重工メーカーが相次いで参入し、技術開発を競っている。国も環境省などが装置の耐久性や発電効率を確かめる実証試験に助成、開発を後押ししている。だが、課題もある。例えば、海洋発電は陸地から離れた場所に設置するため、発電した電気を送る専用の海底ケーブルは十キロメートルから数十キロメートル必要になる。IHIなどの発電装置はケーブル代も含めると1基あたり10億~20億円かかるという。黒潮が大きく蛇行するおそれもあり、影響の少ない適地を選ぶ必要がある。巨大な水車を水中に設置する影響も不透明だ。専門家は良い影響と悪い影響が両方出る可能性があると指摘する。三井海洋開発は水車が潮流以上の速さで回らないように設計、生態系に影響しないよう配慮する。徳島県が徳島大学に委託した調査によると、鳴門海峡の潮流発電の潜在能力は400万キロワットの電力に相当するが、観光の目玉となっている渦潮が小さくなるおそれがあるという。沿岸域には漁業権が設定されており、漁協との協議も欠かせない。政府は50年までに温暖化ガスの排出量を80%減らす目標を掲げる。4月には「30年に約2割」という参考値のもと、再生可能エネルギーを最大限導入するとした「エネルギー基本計画」も閣議決定した。海流発電や潮流発電は潮目をとらえ、新たな切り札となりうるか、期待が集まっている。

*3-2:http://www.nikkei.com/paper/related-article/tc/?
(日経新聞 2014.6.22) 潮流発電、18年度から 環境省実用化、新エネ開拓 地熱並み可能性
 日本近海を流れる潮の巨大な力で電気を作る潮流発電が、2018年度の実用化に向けて動き出す。環境省が14年度から企業を募り、海峡などの速い流れを使う発電施設の開発を始める。東京電力福島第1原子力発電所の事故で、火力発電への依存度が高まっている。温暖化ガスの削減やエネルギーの安全保障へ新たなエネルギー源の開拓を急ぐ。潮流発電は海中に並べた水車で潮の流れを受け止め、発電機を回して電気を生む。川崎重工業などに技術力がある。日本が強みとする機械や造船の技術を生かし、英国やインドネシア、韓国をはじめ世界の需要も開拓したい考えだ。政府は太陽光や風力に続く自然エネルギーの拡大に力を入れている。海洋エネルギーのなかで、潜在能力は2200万キロワットと世界3位の地熱発電並みの可能性があり、天候に左右されない潮流発電を有力候補とする。環境省は企業などに研究開発を委託し、漁業に配慮した環境影響が少ない1メガ(メガは100万)ワット級の商用規模の潮流発電システムを確立する方針。14年度予算案の概算要求で関連費用として6億円を盛り込んだ。18年度までに30億円を超える予算を投じる見込みだ。14年度は潮のエネルギーを効率良く電気にかえる構造や耐久性の向上を研究する。15年度以降は実際の海で技術を試し、周辺環境への影響も調べる。17年度からは採算が合う事業の検討に入る。日本は明石海峡や鳴門海峡をはじめとした瀬戸内海近海、有明海や八代海を抱える九州西部、津軽海峡などで潮の流れが秒速2~5メートルと、潮流発電に向く海域が多い。日本の領海と排他的経済水域(EEZ)の広さは世界6位。潮流や波の力、海水の温度差や遠い海流を使う発電への期待は大きい。政府が4月に国家戦略としてまとめた海洋基本計画は、1キロワット時当たり40円の発電コストを目標に掲げた。太陽光(30~40円)や風力(10~20円)に比べて割高だが、実用化までにコスト低減を図る。潮流は、太陽光や風力と違って年間を通じて安定した発電ができる。沖合の海流と違って潮の流れは沿岸に近く、電源ケーブルの敷設にかかる投資負担も少ないことなどから有望視されている。
▼潮流発電 海峡などを通る潮の流れのエネルギーを使って、大きさ数メートル以上の水車を回して電気を生み出す仕組み。水車を海底に固定するタイプや、ワイヤで係留し凧(たこ)のように流れに任せるタイプまでアイデアは様々だ。ただ、技術の確立はこれからで、国内では実用化の例がない。海外では欧州が実用化で先行する。英国は2020年までに潮流発電など300メガ(メガは100万)ワットの海洋エネルギーの導入を目指す。オークニー諸島に潮流発電に関する大規模な実験施設を持ち、実証研究を進めている。

*3-3:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20140625&ng=DGKDASDZ240AU_U4A620C1TJ1000
(日経新聞 2014.6.25) 日立、風力発電用一括サービス 資金調達や機材運用・保守
 日立製作所は日立キャピタルと連携し、風力発電事業者に資金調達から発電機の運用・保守までを一括して提供するサービスを始める。風力発電で日本市場に再参入を決めた米ゼネラル・エレクトリック(GE)が製品と金融をセットで売り込んでおり、これに対抗する。2015年度までに共同事業の規模を6万キロワット(大型風車30基分に相当)にする計画だ。日立キャピタルは発電事業者に15~17年間の発電機リースを提供。事業者の要望に応じ資金の一部を融資したり、複数の金融機関による融資(プロジェクトファイナンス)をまとめたりする。日立製作所は発電機を納めるだけでなく、運用や保守も手がけるため安定した収入を見込める。両社は共同出資で「日立ウィンドパワー」を設立し、グループ会社内に風力発電機を設置して発電・売電事業も始めた。今後、小規模な風力発電所を15年夏にも東北で2カ所建設する。

<過酷事故時の避難計画>
*4-1:http://qbiz.jp/article/40345/1/
(西日本新聞 2014年6月23日) 30キロ圏外でも高放射線量 原発事故時の飛散状況を試算
 東京電力福島第1原発事故と同規模の過酷事故が、九州電力川内原発(鹿児島県薩摩川内市)と玄海原発(佐賀県玄海町)で起きた場合、避難が必要とされる高線量の放射性物質が原発から半径30キロ圏外にも飛散する可能性があることが、民間調査会社「環境総合研究所」(東京)の試算で分かった。風向きによっては、国が事前の避難準備を求めるおおむね30キロ圏の緊急防護措置区域(UPZ)を越えて鹿児島市や福岡市の一部にも及ぶ計算となり、国に対策の見直しを求める声が強まりそうだ。同研究所は福島原発事故後、最も放射性物質の飛散が多かった2011年3月15日の福島県飯舘村や福島市などの放射性セシウム、ヨウ素の観測データから飛散総量を推定。推定した放射性物質の飛散総量が放射性プルーム(放射性雲)となって移動し、降雨で九州各地に落下した場合の、1時間平均の空間線量率をレベル別に地図に示した。原子力規制庁が12年に公表したのと違い、山や谷などの地形を考慮し、より正確な試算になっているという。それによると、原発周辺で軒並み高線量を算出。風速毎秒2メートル(市街地で日常的に吹いている風)で西南西の風が吹いた場合、川内原発から東に約6キロの医療機関では事故直後、1時間当たり294マイクロシーベルト。国が1週間以内の避難を求める基準値(同20マイクロシーベルト)の15倍に相当する高い値だ。原発周辺で年30日程度観測される北西の風だと、原発から30キロ超の鹿児島市内でも最大24マイクロシーベルトに達した。薩摩川内市、いちき串木野市などの約5万7千人が鹿児島市を避難先に指定されているが、風向き次第で避難が困難となる可能性がある。
 玄海原発では、北風が吹けばプルームが30キロ圏の佐賀県伊万里市を越え、約31キロの同県有田町に達し、同町内で線量は43マイクロシーベルトに上る場所があった。西風は年間を通じ少ないものの、建物などがない海上を通ると飛散距離が伸び、福岡市にまで到達。線量は西区内では最大56マイクロシーベルト、早良区32マイクロシーベルト、城南区30マイクロシーベルト、南区29マイクロシーベルトに達した。UPZ内ではない有田町は今のところ、避難計画を独自に策定する予定はない。福岡市は「30キロを越える自治体がどうすべきか、国は早く指針を示してほしい」(防災・危機管理課)と強調する。原子力規制庁は、プルーム通過時の被ばくを避けるための防護措置地域(PPA)をおおむね50キロ圏内とする考えは示しているが、「具体的な対策は今後の検討課題」としている。
■放射性プルーム 原発事故で、気体や粒子状の放射性物質が環境中に放出され、大気とともに雲のように流れる状態。「放射性雲」とも言われる。飛来方向は風向や地形の影響を大きく受け、地表への沈着は降雨や積雪に左右される。プルーム通過時に体面に付着する外部被ばくと、地表への沈着後に食べ物や呼吸などで体内に取り込む内部被ばくが懸念される。

*4-2:http://qbiz.jp/article/40349/1/
(西日本新聞 2014年6月23日) 圏外自治体、独自の避難計画も 原発事故試算
 原発の半径30キロ圏より外側にある自治体に、原発事故への備えを懸念する声が広がっている。国は、防災対策を重点的に進める緊急防護措置区域(UPZ)を「おおむね30キロ」圏内としているが、自治体や民間機関の事故試算で、これを越えて放射性物質が拡散する可能性があることがあらためて分かってきたためだ。住民の不安を払拭するため、独自に避難計画を作ったり、内部被ばくを防ぐ安定ヨウ素剤を用意したりする圏外の自治体も出てきた。「30キロ圏から来た人の避難先が優先され、市民がどこに逃げるかはまだ決まっていない」。5月末、京都市であった「脱原発をめざす首長会議」の勉強会で、京都府京丹後市の中山泰市長は訴えた。かつて関西電力の原発の候補地にもなった京丹後市は、関電高浜原発(福井県高浜町)から西へ最短で30・9キロ。わずかに30キロを超えるため、府の地域防災計画から除外された。昨年、市独自の防災計画を策定したものの、避難先は関西広域連合との調整が必要で、決められないままだ。一方、府からはより原発に近い2市町の避難先に割り振られた。自分たちの避難と避難者受け入れを両立できるのか、自治体担当者から疑問の声が出ている。高浜原発から最短約45キロの兵庫県篠山市。県が実施した事故試算で高線量の放射性物質の飛来が予測され、2月、独自に全市民4万4千人分のヨウ素剤を市内5カ所に備蓄した。市民安全課の西牧成道課長は「ヨウ素剤備蓄について他の自治体から問い合わせも多い。住民向けの使用説明会を進めていきたい」と話す。福岡市は九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)から最短で約37キロ。京丹後市と同様に、福岡県の地域防災計画からは外れているが、独自に50キロ圏に入る市民の避難計画(暫定版)を4月に策定した。50キロ圏の人口は約56万人。市は半分近い約27万人分のヨウ素剤を確保しており、残りは3年かけて用意するという。同川内原発(鹿児島県薩摩川内市)北部にある熊本県水俣市も最短約37キロにある。環境総合研究所(東京)の試算で、風向きによっては高線量の放射性物質が及ぶとの結果だった。同市は、30キロ圏の鹿児島県出水市からの避難先となっているが、一部市民から、独自の避難計画の策定を求める声が強まっている。国は2012年、原発事故時の住民避難区域を8〜10キロ圏から30キロ圏に拡大した。それでも網羅できない「備え」の負担は、自治体に重くのしかかる。「原子力防災」の著書がある元四国電力社員の松野元さん(69)は「風向きによって50キロ圏でも避難が必要になるというのは、福島事故の教訓として当たり前のこと。それに備えた準備が必要で、国が早期に対処方針を示すべきだ」と指摘する。事故時の放射性物質の拡散予測は、原子力規制庁が12年10月に全国16カ所の原発を対象に公表したことがある。ただ、この時は山や谷などの地形を反映していなかった。環境総合研究所の青山貞一顧問は「山間部よりも谷間に放射性物質が流れやすいなど地形で経路は大きく左右される」とし、規制庁の試算は不十分だとみる。地形を考慮すると、試算の計算量が数十万〜数百万倍違うという。同研究所は、国土地理院の地形情報も踏まえて試算。風速が毎秒2メートルだと、放射性プルーム(放射性雲)となった放射性物質は1時間で約7・2キロ移動し、4時間強で30キロ先に到達する計算。行政の試算によると、川内、玄海両原発では30キロ圏内の住民が圏外に避難するまでに24時間前後かかるとされ、一定量の被ばくは避けられそうにない。

<原発に対する火山リスク>
*5:http://mainichi.jp/select/news/20140626k0000e040260000c.html
(毎日新聞 2014年6月26日) 川内原発:火山対策、予知頼みの無謀 専門家警告
 ◇火砕流で原子炉爆発の恐れ
 原子力規制委員会による九州電力川内(せんだい)原発(鹿児島県薩摩川内市)1、2号機の適合性審査が、大詰めを迎えている。安倍政権は「再稼働1号」と期待するが、周辺は巨大噴火が繰り返されてきた地域だ。このまま通して大丈夫なのか。他にも同様のリスクを抱える原発がある。東大地震研究所火山噴火予知研究センターの中田節也教授(火山岩石学)に聞いた。規制委が川内原発の審査を優先したのは、九電による地震や津波の想定を「妥当」と評価したからだ。火山については「稼働期間中に巨大噴火が起こる可能性は十分低い」という九電の説明を、大筋で了承した。だが、川内原発のある南九州は、図のように巨大噴火による陥没地形「カルデラ」の集中帯だ。「カルデラ噴火は日本では1万年から数万年に1回起きており、同じ場所で繰り返すのが特徴です。姶良(あいら)カルデラは前の噴火から約3万年、阿多カルデラも約10万年が経過しており、両カルデラのある錦江湾の地下にマグマがたまっているというのは火山学者の常識。そろそろ何かの兆候があっても不思議はありません」。中田教授はそう警告する。昨年7月に施行された新規制基準では、原発の半径160キロ以内にある火山の火砕流や火山灰が到達する可能性を調べ、対応できないと判断されれば「立地は不適」として廃炉になる。こうした火山リスクは、福島第1原発事故の前にはほとんど議論されなかった。その理由を中田教授は「近年の日本の火山は異常に静かだから」と言う。「日本ではカルデラ噴火どころか、1707年の富士山、1914年の桜島、1929年の北海道駒ケ岳の後は大きな噴火は起きていません。原発が日本に導入されたのは1950年代なので、真剣に考慮されることはなかったのです」
 もし今、カルデラ噴火が起きたらどうなるのか。
 「軽石や火山灰が火山ガスと一緒に火山の斜面から流れ下る火砕流に巻き込まれれば、原子炉建屋は破壊されます。炉自体の破壊は免れても、火砕流内の温度は推定400度以上と高熱ですから炉内の冷却水は蒸発してしまい、暴走して結局は爆発する。いずれにしろ大量の放射性物質が大気中に放出されるのは避けられないでしょう。実際、川内原発と玄海原発の近くでは火砕流堆積(たいせき)物が見つかっています」と中田教授。姶良カルデラ噴火を上回る規模だったとされる阿蘇カルデラ噴火(約9万年前)の火砕流は、四国西端の伊方原発がある場所近くまで到達したと考えられているのだ。洞爺カルデラに近い北海道・泊原発などにも同じリスクがある。九電は当初、過去の巨大噴火で川内原発に火砕流は到達していないとしていたが、3月の審査会合で約3万年前の姶良カルデラ噴火による火砕流が川内原発に到達していた可能性を初めて認めた。火砕流が到達しなかったとしても、火山灰のリスクがある。九電は桜島の大噴火で火山灰が敷地内に最大15センチ積もると想定。電源や食料を確保するほか、換気設備や発電機のフィルターは交換、除灰で対応するとしている。「施設から火山灰を取り除く対策は工学的には正しい。しかし火山灰が数センチ積もれば車が動かなくなります。灰が降り積もる中で、除灰する人の確保や物資の運搬をどうするのか」。昨年2月、週刊誌に中田教授を含む火山学者らが巨大噴火を警告する記事が掲載された。その直後、中田教授は規制委の事務局である原子力規制庁に呼ばれた。「私は『GPS(全地球測位システム)で地殻変動などを観測していれば噴火の前兆はつかめる。ただ、噴火がいつ来るのか、どの程度の規模になるかは分からない』と説明しました。しかし、規制庁は『前兆はつかめる』という点に救いを見いだしたのでしょう。いくら時期も規模も分からないと繰り返しても『モニタリング(監視)さえすれば大丈夫』との姿勢を崩さなかった」。九電は巨大噴火の前兆を把握した場合、社外の専門家を含めて本当に噴火するのかを検討し、原子炉を止めて核燃料を別の場所に運び出すとの方針を打ち出した。規制委は「搬出先や搬出方法は電力会社が決める」との立場を取っている。米原発メーカーで原発技術者を18年間務めた佐藤暁さんは「稼働中の原子炉から取り出した使用済み核燃料を搬出する前に、まず原子炉建屋内の冷却プールで5年以上貯蔵しなければならない。さらに搬出作業にも輸送用容器の手配などが必要で、とても数カ月では完了しない。搬出中に噴火が起これば貯蔵中よりも危険。噴火が迫ってからやるべきことではない」。中田教授が「安全に核燃料を運搬するために数年前に噴火の予兆を把握することなど無理だし、保管場所も決まっていない。詰めるべき点はたくさんある」と批判するように、机上の空論なのだ。国際原子力機関(IAEA)で原発立地と火山に関する安全指針の作成に関わった経験を持つ中田教授は、規制委が「火山影響評価ガイド」をまとめる際にも意見を求められた。ガイドは、火山活動の影響で原発の安全性が損なわれない設計であることを確認するものだ。だが策定まで約3カ月しかなく、既に方向は決まっていた。「火砕流などが原発に到達しないことを学問的に厳密に詰めなくても、モニタリングに頼って審査を通そうというガイドになってしまった。原発を動かしたい人の習性が反映された内容」と手厳しい。そして、こう懸念するのだ。「噴火で原発に被害が出れば責任は火山学者に押し付けられるだろう。東日本大震災で地震学者の責任が追及されたのと同じ構図になるかもしれない」。九電は24日、川内原発の原子炉設置変更許可申請の再補正書を規制委に提出した。記載漏れなどの不備があったためで、審査が通り地元の同意が得られれば再稼働は9月以降となる見通しだ。「川内原発はあの場所に造るべきではなかった。今も不安材料があるのだから、再稼働には慎重になるべきだ。どうしても動かしたいなら、政府は核燃料の搬出先の確保など安全対策に積極的に関与しなければ。モニタリングを重視するなら火山研究者を増やしたり、財政的な支援をしたりしなければならない。そこまで政府は腹をくくっていますか?」。火山のモニタリングをすれば安全という新たな「安全神話」が誕生している。
◇東大地震研究所火山噴火予知研究センター・中田節也教授(火山岩石学)
 なかだ・せつや 1952年、富山県出身。金沢大大学院理学研究科修了。九州大に助手として雲仙普賢岳の噴火研究を最前線で続けた。これまでに三宅島、新燃岳など国内外の火山を研究。国際火山学・地球内部化学協会会長も務めた。

| 原発::2014.5~8 | 04:41 PM | comments (x) | trackback (x) |

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