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2014.7.15 男性中心で女性蔑視の価値観が、働く女性をやりにくくし、日本に女性リーダーを少なくしている本当の理由である。
    
 *2-2より     2014.7.14日経新聞より   *1-1より

(1)その男性中心の価値観が、働く女性をやりにくくしているのである
 *1-1に、「男性は女性に比べ、ためらうことなく叱っている。(女性の)私にはなぜできないのか」などと女性管理職は部下を叱ることすらできないように表現されているが、これがまさに男性目線の偏見で、女性に失礼であり、女性管理職を少なくしている原因でもある。

 わかりやすい例を挙げれば、帝王切開を新人の産婦人科医にさせようとしたところ、必要な検査をやっていなかったり、間違った薬を使おうとしたりすれば、「馬鹿!何してる!そのくらい勉強しておけ!」と上司である医師から叱られるのは、男性医師でも女性医師でも同じだ。また、上司である医師が男性であっても女性であっても、短時間で必要なコミュニケーションを行う言い方に大きな違いはなく、ここで、女性上司の叱り言葉にくねくね文句を言ってすねるような人は、男性であれ、女性であれ、見込みがない。つまり、叱られるようなことをした人は、周囲に迷惑をかけたことを反省して次から失敗しないようにするのが筋であり、これは、真剣にやらなければならない仕事ならどれも同じだ。

 しかし、*1-1に掲載されている上の右図では、女性上司に対しては、「感情に左右されやすい」「言葉がきつすぎる」「具体策が提案できない」「ねちねちしている」という女性蔑視の先入観をさらけ出し、男性部下には、「プライドを傷つけないよう叱るべき」「期待しているから叱るという気持ちを見せるべき」と男性優位を肯定するように仕向けている。誰が考えてもわかるように、プライドを傷つけられては困るのは女性も同じであるし、仕事で期待されたいのも男女とも同じである。そして、期待していない相手に重要な仕事をさせたり、失敗しても時間をかけて叱ったりするなどという暇な職場は滅多にない。また、失敗して叱られた時に、叱られた人が叱り方に文句を言う筋合いがないのも、どちらが男女でも同じである。

(2)女性のリーダーが少ない理由
 *1-2で佐々木成江准教授が述べているように、「女性が社会進出できない理由を子育て問題に落とし込まれ、幹部に女性が少ないことが根本問題なのに、そこに目が向かない」というのは、私も全く同感だ。そして、幹部に女性が少ない理由には、*1-1のように、既に上司になった女性に対しても、リーダーの資質と矛盾する偏見があり、その偏見を含んだ“評価”や部下の態度が女性上司をやりにくくしているにもかかわらず、メディアを中心とする社会は、まだこのような宣伝をしているということがある。

 それに加えて、STAP細胞という大発見の可能性にかけた小保方さんの採用を杜撰と指摘したり、「50~60代の男性研究者は(若い女性に)免疫がない」「若さやかわいさが(採用の)大きな要因になった」などとしているのも、「免疫」とは人間に対して悪さをするウイルスに対する防御機構であるため、人間の女性に対して使うのは女性を侮辱している上、「能力ではなく、若さやかわいさで採用された」というのは、採用した人とされた人の両方を侮辱している。

 私は、大人であるにもかかわらず小学生のようなスカートをはいてかわいさを演出していた小保方さんを素敵な女性だとは思わなかったし、研究室で割烹着を着ている小保方さんがよいとも全く思わなかったが、超男性社会で働く女性は矛盾した男性の要求にも答えざるを得ないため、小保方さんも苦労していただろうとは思った。しかし、そのようなこととは関係なく、私は、STAP細胞に目を付け、(たぶん)発見した才能は認めるべきで、そういう人材に替えはないと考えている。つまり、女性研究者も才能と実績で公正に評価される時代が来るべきであり、朝日新聞社会部の女性記者が、一連の報道について、「これって男目線じゃないですか」と再考を求めたのは、少し進歩だと感じている。

 なお、*1-2に、「日本では、男性社会で頭角を現す女性は男っぽく、プライベートを犠牲にしているとのイメージが作られてきた」と書かれているが、逆に「幸せに結婚し続けている女性は、仕事の能力がなく社会で活躍していない」というイメージも作られており、どちらも働く女性をやりにくくしている。

(3)2020年までに指導的地位の女性比率を30%以上とする政府の目標は少ないくらいである
 今まで意見を言ったり意思決定したりする女性が少なかったのを増やせば、生活に密着した新しい市場が開けるため、*2-1の「女性の力、成長の礎」というのは本当である。しかし、「まだ眠っている」というのは、これまで少人数で頑張ってきた女性に対して失礼だ。

 なお、「出生率の低迷」自体を問題にする記事も多いが、子どもを持つのは権利であって義務ではないため(世界の常識)、女性が速やかに昇進するなど、仕事で安定して金銭的余裕ができていれば、家事を外部化することができて出生率も上がるだろう。しかし、仕事において女性を差別しないことは、憲法では「基本的人権の尊重」であり、男女雇用機会均等法でも1985年から明記されていることであって、出生率の回復が目的ではない。

 そのような中、*2-2のように、安倍政権は女性の活躍を新しい成長戦略の柱の一つと位置付け、経団連の榊原会長は会員企業約1300社全てに行動計画の策定を要請して、12月に公開するそうだ。政府が、国、地方自治体、企業に対して女性幹部登用の目標や行動計画の策定を義務付ける新法案を国会に提出する方針なのはよいと思う。

 ただ、1999年から施行されている改正男女雇用機会均等法では、「採用・配置・昇進・退職において女性を差別してはならない」と義務化されているのに、経団連の女性の活躍推進委員会委員長が、「企業や業種によって男女の採用人数などが異なり一律の対応は難しい」と説明したのは、これまでそれらの企業が15年間にもわたり、違法行為をしてきたことを暴露しているものである。

 これに対し、厚労省の労働基準監督署は、残業代の不払いや長時間労働については変に強く“監督”してきたが、企業の女性差別を男女雇用機会均等法に基づいて指導監督することはあまりなく、「女性だからという理由で差別した場合は、・・・」としていた。しかし、差別するのに女性だからという理由をつけて差別する企業はないため、実質的には、雇用における女性差別は野放しだったのである。
 
 なお、現在、自動車は、男性中心のユーザーから多くのユーザーが女性の時代となった。そのため、女性が必要と考える機能や女性好みのデザインは女性市場で勝つためのKeyになり、それを実現するためには、意思決定できる立場に女性がいるのがよいため、*2-3のように、トヨタ自動車が数値目標を掲げたのは当然だ。しかし、*3のように、高島屋、資生堂、セブン&アイ・ホールディングス、航空会社、積水ハウス、家電、銀行など、顧客にも従業員にも女性が多い企業で、これまで女性管理職が30%もいなかったというのは、その方が不思議であり、どれだけ女性差別をしていたのかと思う。

 *2-2や*3のように、「女性の登用には、男性も働き方の意識改革が必要」「長時間残業体質からの脱却が必要」などと言われることは多いが、女性であれ、男性であれ、医療関係者や運転手など、通常の時間外に働かなければならない職種は多い。そのため、必要な残業はしなければならないが、効率の悪い働き方をして不要な残業をしていたのであれば、それは企業にとっても過大なコストになっていたのだから、それこそ速やかに変えるべきである。

 *3には、「人口減少で働き手が少なくなったので、女性の活躍を促す取り組みに経済界が本腰を入れ始めた」とも書かれているが、働く権利や職業選択の自由は女性にもあり、性別で差別してはならないことは、日本国憲法や男女雇用機会均等法で定められている。そのため、そこを出発点にすべきだ。しかし、「女性の活躍推進は女性だけのためではなく、企業の競争力を左右する」というのは本当なので、両性とも敬意を払われて気持ちよく働けるようにすべきなのであって、「女性は一時的な補完労働力だから、踏みつけにしてもよい」という考えは論外だ。

 最後に、*3には、「女性管理職を増やす過程で、昇進の機会を逃す男性から反発が出る」「登用された女性の能力が適正に評価されないという不満が出る」などのため、女性登用は定着までに一筋縄ではいかないと書かれているが、これまで学校教育・採用・配置・研修・昇進で女性を差別して男性の機会を確保してきたのだから、30%程度のクウォータ制で男性から反発される理由はなく、これまでの差別の補完程度であると考える。そのような事情なので、女性差別がなくなるまで一時的にクオータ制を導入しても逆差別にはならないだろう。

<日本で女性リーダーが少ない原因>
*1-1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20140714&ng=DGKDZO74180030S4A710C1EL1P00 (日経新聞 2014.7.14) あなたの叱り方、大丈夫?男性は相手見下す態度禁物 女性は感情抑え具体策示そう
 仕事では上司に叱られたり、部下や後輩を叱ったりする場面がつきもの。どちらの立場でも心に負担を感じやすい。ただ、男性と女性で叱り方やその受け止め方には違いがあるとか。違いを知って、後の関係に響かない叱り方を考えよう。東京都内のパン店店長のA子さん(40)は部下らを叱ることが苦手。叱った後に関係がぎくしゃくするのがいやだからだ。感じているのは自分と男性の違い。「男性は女性に比べ、ためらうことなく叱っている。私はなぜできないのか」。医師で作家の米山公啓さんは、男女の特性の違いによると説明する。「男性は勝つことや白黒つけることに快感を覚えがち。叱ることもそのひとつ。一方、女性は迷っていることの答えをはっきりさせたがらない傾向がある」。叱る行為は他人の失敗に「こうすべきだった」と答えを示すこと。そのため難しさを感じる女性がいる、というわけだ。では、苦手な人はどうすればいいか。男性を叱る場合は、相手が納得できる答えを用意するのがポイント。叱る前にじっくり失敗の原因を見極め、防ぐ方法を具体的に伝えることが必要だ。逆に、女性を叱る場合はいきなり答えを示すのは避けた方がよさそう。「女性が求めるのは答えより共感。『こうしろ』ではなく『大変だね』と言う。一緒に悩んであげることが大切」と米山さんは助言する。女性は叱る際に注意したい傾向もある。言葉がきつくなる人が目立つのだ。(以下略)

*1-2:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11231422.html
(朝日新聞 2014年7月9日) 女性のリーダー、なぜ少ない
 STAP報道を見て、名古屋大学大学院生命理学専攻の佐々木成江准教授は「ようやく女性研究者の活躍が目に見える形で出た」と喜んだ。同じ専攻に4人の女性研究者がいる。報道後、地元テレビから「理系女子(リケジョ)の活躍を取材したい」と依頼された。森郁恵教授は即座に応じた。「女性研究者で脳研究拠点を作る計画があり、リケジョブームを利用しようという気持ちがあった」と正直に打ち明ける。取材を受けた森さんと佐々木さんはカメラの前で「画期的な成果」と褒めちぎった。論文不正が明らかになると、2人は「科学者として反省しています」。このせいばかりでなく、番組はいささか後味の悪いものになった。子育てと両立する大変さがことさら強調されていたからだ。10歳の娘がいる佐々木さんは「こうやって、女性が社会進出できない理由が子育て問題に落とし込まれる。(組織の意思決定をする)幹部に女性が少ないことが根本問題なのに、そこに目が向かない」と嘆く。森さんは番組で「結婚も出産もせずにきた」ことがクローズアップされた。1998年に名大助教授になり、2004年に教授に昇格した。「紅一点」状態が変わったのは07年。女性を増やすという国の方針もあり、名大が「女性に限る」公募を始めてからだ。体内時計研究で朝日賞を受けた近藤孝男・名大特任教授は「通常の公募の時は低かった応募女性の研究レベルが、女性限定にしたらガンと上がった」。なぜだろう。公募に応じ、11年に36歳で教授になった上川内あづささんは「『女性のみ』という条件は、応募する気持ちを後押ししてくれた。その条件があることで、自分を候補として認識したと思う。それがなければ、公募情報を見過ごしていたかもしれない」という。これまでの男性中心の採用状況から「応募しても無駄」と、挑戦する前にあきらめてしまう女性が少なくないことをうかがわせるエピソードだ。日本の女性研究者比率は14%。米国の34・3%の半分にも満たない。准教授、教授となるにつれて女性比率は下がる。名大でも女性教授は47人、7・2%だ。92年に理系で初の東大教授となった黒田玲子東京理科大教授は、昔は露骨な差別があったと言う。「公募で東大助教授に選ばれた時は、女に男の学生を教えられるのかと言われた」。今はそんなことを誰も言わない。だが、女性リーダーは少ない。女性限定の公募が必要なのは、日本がまだ過渡期にあるからだ。
■ずさんな採用、「差別」と同根
 STAP細胞の研究不正を検証した、外部の有識者でつくる改革委員会(岸輝雄委員長)は、理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(CDB)の小保方晴子氏の採用を「信じ難い杜撰さ」と指摘した。過去の論文を精査しないなどさまざまな手続きを省略、人事委員会の面接だけで内定したからだ。改革委のメンバーの一人は「理研から見せてもらった書類を総合すると、間違いなく普通ではない人事のやり方がなされたと言える」。人事の焦点が、STAP細胞という大発見の可能性にあったのはもちろんだ。しかし採用に加え、その後の論文のチェックの甘さなどには、彼女の年齢や容姿が影響した、と複数の委員は見る。「50~60代の男性研究者は(若い女性に)免疫がない。若さやかわいさが大きな要因になっていた」。ある委員は語った。CDBには高橋政代氏ら女性の研究室主宰者(PI)が6人いる。32人中19%を占めるが、採用担当の人事委員会の委員7人は全員男性だ。2012年のPI公募で、47人の応募者からの採用は女性2人、男性3人。採用審査には通常賛否両論が出るが、小保方氏の場合は全員が賛成した。採用側に女性がいたら? ある委員は「女性、たとえば高橋(政代)さんらがいたら(採用段階で問題点を)見抜けたかもしれない」という。当の高橋氏は「かわいい小保方さんじゃなかったら、ずいぶん経過は変わっていただろう」と4日の記者会見で語った。改革委の岸委員長は、調査を通じ「男性が女性をフェアに扱っていないと感じた」という。自分自身の研究生活でも、女性の同僚はほとんどいなかった。今回の改革委には2人の女性がいたが、「2人は、審査なしで採用するのは女性を侮辱していると、男性たちに怒っていた」と話す。女性の登用を増やす措置は必要だが、ずさんな審査での特別扱いは別だ。「隠れた意識」はここでは、特別扱いに形を変えた。差別と同根と言えるかもしれない。委員の市川家國信州大学特任教授はこう言った。「振り返ってみれば、女性を対等に扱わない日本の文化が、一連の経過のすべてに表れたようにも見える」
■人物像の報道、どこまで必要
 今年5月。予備校講師の林修氏がキャスターの番組に、朝日新聞のデスクが出演した。林氏はSTAP騒動の報道について「すごいニュースだが、かっぽう着などは不必要な報道だったのでは?」と質問した。報道を振り返る。STAP細胞発見を知らせる1月30日の新聞では、全国紙すべてが理研が公開した研究室での、小保方氏のかっぽう着姿の写真を載せた。科学というとっつきにくい分野に読者に関心をもってもらうため、人物に焦点をあてるのは工夫の一つだ。翌日からはテレビ、週刊誌をはじめ、STAP細胞そのものより、小保方氏自身や人物に焦点を当てた記事や番組も増えていく。捏造疑惑が持ち上がり、小保方氏が開いた4月9日の記者会見を報じた記事で、新聞各紙は写真を大きく扱った。9日の夕刊最終版は各紙すべてが1面に潤んだ目でマイクを持つ小保方氏のアップ写真を掲載。多くのテレビ局が小保方氏の会見を生中継した。朝日も地方に配達する10日付の朝刊の締め切りの早い版(東京本社発行)では、社会面トップ記事に彼女のさまざまな表情を追った4枚の写真を据えた。しかし、社会部の女性記者(31)は「これって男目線じゃないですか」と再考を求めた。様々な世代の男性からも異議が上がった。一方で、2時間半の会見では、最大の当事者である彼女がどのような表情をするのかも注目された。それを伝えるのは新聞の役割で、止めるのは変な抑制という議論もあった。結局、東京本社では小保方氏の姿を遠景で撮った写真1枚に差し替えた。
■「活躍する女性」への思い込み
 武田徹・恵泉女学園大教授(メディア論)の話
 先端科学は報道で伝えるのが難しい。図解しても直感的にわかりにくい。科学者の人となりを紹介して興味を持ってもらうやり方はある。iPS細胞を開発した山中伸弥・京都大学教授の時も、「マラソンが趣味」との報道があった。だから、当初、小保方氏の人物報道に重点が置かれたことは仕方がない面もある。しかし、小保方氏の写真が大きく何枚も報じられ続けたのは異例だった。それは「若い女性」が科学技術の世界にいて、ああいう成果を出すことを意外に感じる、そういう文化に私たちが生きているからだ。それは根拠のない思い込みだ。戦後の日本では、男性社会で頭角を現す女性は男っぽく、プライベートを犠牲にしているとのイメージが作られてきた。メディアもいわば共犯関係。相当気をつけないとその文化に乗っかって報道してしまう。
◆2月2日の朝日新聞3面(東京本社版)「キスでお目覚め『お姫様細胞』」。STAP細胞の作り方を説明した小保方氏自身の言葉に着目したものです。紙面内容を決めるデスク会に出ていた私は、若くてかわいい女性だからこその取り上げ方のように感じました。が、口にしませんでした。私の所属は政治部、男性中心の職場です。東京本社も、デスク会に出席する女性は1割未満。言っても無駄と最初からあきらめていたからです。心にずっとそれがひっかかっていました。今回、「隠れた意識」をテーマにしました。社内にもいろいろな意見があります。この問題はそう単純ではありません。だからこそ取り上げることにしました。これから年間を通じて、女性男性を通じたさまざまな視点から、社会を切り取っていきます。
◆この企画への感想、ご意見をjosei@asahi.comまでメールでお寄せ下さい。

<女性の管理職登用目標>
*2-1:http://www.nikkei.com/paper/article/?ng=DGKDZO73503900Y4A620C1M10900  (日経新聞 2014.6.29) 「Wの未来 世界が競う」 女性の力、成長の礎、日本と世界各国をデータで比較 リーダーを任せよう
 まだ眠っている女性の力を引き出し、経済成長につなげようと、世界の先進各国がしのぎを削っている。そこには出生率の低迷という共通の課題も横たわる。だが、女性の活躍ぶりやそれを支える環境で、日本はどこを取っても世界に大きく後れをとっている。女性が力を発揮できているか――。就業者に占める女性の割合を見ると、ほかの多くの先進国よりも低いが大きく水をあけられているというほどではない。ただ非正規雇用率が高く、管理職で見ると、ほかの国が30%前後から40%強なのに対し、日本は韓国とともに10%ほどだ。さらに取締役での割合を見ると、ノルウェーが40%以上、ほかも10%前後が多いが、日本はわずか1.4%。韓国と並んで極端に低い。「女性の活躍促進」を成長戦略の中核に据える安倍政権は「2020年までに指導的地位(管理職)の女性比率を30%以上にする」目標を掲げるが、多くの国はすでにその先を進んでいる。取締役についても、昨年安倍首相は経済団体に「上場企業に1人は女性役員を」と要請したが、これが達成されたとしても1割にも満たず、各国がクオータ制(割当制)で3~4割を義務付けるのとは大きな差がある。

*2-2:http://qbiz.jp/article/41909/1/
(西日本新聞 2014年7月15日) 女性管理職登用を1300社に要請 経団連、計画策定47社公表
 経団連は14日、女性の役員や管理職への登用に関する自主行動計画を47社が公表し、うち約6割に当たる27社が具体的な数値目標を設けたと発表した。安倍政権は女性の活躍を新しい成長戦略の柱の一つと位置付けており、榊原定征会長は会員企業約1300社全てに行動計画の策定を要請し、12月に公開する。政府は成長戦略で、国や地方自治体、企業に対し、女性幹部登用の目標や行動計画の策定を義務付ける新法案を国会に提出する方針を示している。政府は「2020年に指導的地位に占める女性の割合30%を達成する」と成長戦略に明記。ただ経団連の「女性の活躍推進委員会」の前田新造共同委員長(資生堂相談役)は「企業や業種によって男女の採用人数などが異なり一律の対応は難しい」と説明した。数値目標を公表した27社も、それぞれ経営戦略に基づき独自に設定している。経団連によると、27社のうち20年までに女性管理職3割以上の達成を明確に掲げたのは、資生堂、セブン&アイ・ホールディングス、損保ジャパンの3社だった。トヨタ自動車は現在101人いる女性管理職を20年に3倍、30年に5倍とする。日立製作所は20年度までに女性管理職を2・5倍の千人に増やすとし、全日本空輸は「女性役員2人以上」という数値目標を掲げた。
◆女性登用、活用の取り組みは多様
 男性が育児に携わる場合の支援強化を示すなど、経団連の加盟企業の女性の登用、活用に向けた取り組みはさまざまだ。ただ、現在は体力のある大企業が中心で、今後どれだけ広がるかが注目される。住友化学は2020年までに女性管理職の割合を、課長相当以上の役職では少なくとも現在の3・7%から10%以上に、係長相当は11・6%から15%以上に高める目標を掲げた。実現のために在宅勤務制度の導入や男性の育児参加を促す方針だ。日本生命保険も、女性管理職を18年4月に520人とする目標を定めた。14年4月と比べて約2割増やす計画だ。女性が活躍できる風土づくりの一環として男性の育児休業取得にも力を入れ、13年度には対象者全員が取得したという。日本生命は「しっかり継続していく」(広報)としている。トヨタ自動車は数値目標に加え、理系を目指す女子学生の支援のために奨学金支給や女性エンジニアの出前授業を行う「リケジョ基金・財団」の設立を検討。日本郵船は女性が海外勤務先でも仕事と育児を両立できるよう、今年5月にシンガポールで保育園の優先入園枠を確保した。

*2-3:http://digital.asahi.com/articles/ASG7G52LRG7GULFA018.html?ref=nmail
(朝日新聞 2014年7月15日) 女性登用27社が数値目標 経団連調査、役員企業の6割
 日本企業で女性の役員や管理職は増えるのか。経団連が14日に役員企業47社の女性登用計画をまとめたところ、約6割の27社が「女性管理職を2020年に3倍に」(トヨタ自動車)などの数値目標を掲げた。ただ、女性の登用を増やすには、男性も含めた働き方や意識を変えなければならない。目標の達成に向けた企業の本気度が問われる。経団連は今回、会長や副会長などを出している47社の計画や目標をまとめた。15日には会員企業約1300社に対し、これらを参考にして計画をつくるよう呼びかけ、年内にとりまとめて公表する。ただ、数値目標を入れるかどうかは各企業の判断にまかせる。女性管理職の割合は欧米諸国で軒並み3割を超えているのに対し、日本では約1割にとどまる。経団連がようやく取り組みを強めるのは、女性の登用が遅れているのに加え、安倍政権が成長戦略で「指導的地位に占める女性の割合を30%に引き上げる」という目標をたてたのを意識した側面が強い。数値目標を掲げた27社では、資生堂、セブン&アイ・ホールディングス、損保ジャパンの3社が女性管理職の割合を30%以上にする目標を掲げた。これら27社ではそのために男性管理職の意識改革や、育児休職からの早期復職の支援などを進めるという。数値目標をつくっていない企業も「長時間残業体質からの脱却」「女性版経営スクールなどの研修を進める」などに取り組む計画をたてている。経団連で「女性の活躍推進委員会」共同委員長をつとめる前田新造・資生堂相談役は14日に記者会見し、「企業がグローバル競争を勝ち抜くための重要な経営戦略の一つとして主体的に推進すべきだ」と話した。ただ、計画だけでは十分ではなく、これを実行できるかが課題だ。男性を含めて育児と両立できるように働き方を変えたり、女性管理職が増えることへの社内の反発と向き合ったりしなければならない。政権は国家公務員の採用も3割を女性にする方針をたてている。一方、女性の国会議員や地方議員の割合を増やすための議論は進んでおらず、今後は政治分野での女性登用も問われる。

*3:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11243209.html
(朝日新聞 2014年7月15日) 長時間労働、見直し必須 女性登用、経済界が本腰
 女性の活躍を促す取り組みに、経済界が本腰を入れ始めた。人口減少で働き手が少なくなり、女性の登用は企業にとって戦略上欠かせないからだ。だが、女性が働きやすい職場をつくるためには、日本の長時間労働を改める必要がある。男性中心の企業社会で、摩擦を乗り越える覚悟も問われている。「女性の活躍推進は女性のためではない。人口減少社会を前に、あらゆる人の能力を生かすことが、企業の競争力を左右する」。経団連の女性の活躍推進委員長の前田新造・資生堂相談役は14日の会見で語った。経団連が女性幹部登用の旗を振る背景には、日本の女性管理職の比率が国際的に低いことがある。欧米諸国が軒並み3割を超えるのに対し、日本は1割だ。女性管理職が少ない理由について、厚生労働省所管の研究機関が従業員300人以上の企業に尋ねたところ1036社から回答があり、「採用の時点で女性が少ない」「経験や判断力をもつ女性がいない」などが多かった。一方、管理職への昇進を希望するかを社員にも聞いたところ、希望すると答えたのは男性が6割なのに対し、女性は1割にとどまった。昇進を望まない理由について、女性は「仕事と家庭の両立が困難になる」(40%)が最も多かった。背景には、日本の長時間労働がある。週50時間以上働く人の割合は日本は約3割。英国や米国、フランスなどは1割前後で、3倍にのぼる。女性が昇進への意欲を持ちにくいのは、男性が長時間働き、家事や育児の負担が女性に偏っている現状があるためだ。総務省の11年の調べでは、就学前の子どものいる共働き夫婦(パートなども含む)で、1日の家事や育児などにかける時間の平均は妻約6時間に対し、夫は約1時間。女性管理職を増やすには男女ともに育児や家事を分担しながら、働き方を効率的にするなどして、労働時間を短縮することが欠かせない。
■強制力なし、定着見通せず
 女性登用は世界的な流れだが、定着までには一筋縄ではいきそうもない。女性管理職を増やす過程では、昇進の機会を逃す男性から反発が出たり、「登用された女性の能力が適正に評価されない」という不満が出たりする可能性がある。「逆差別にならないか」(鉄鋼大手のJFEホールディングス)として数値目標をあえてつくっていない企業もある。また、数値目標は強制力がなく、実際に登用が進むかは見通せない。世界には、管理職の女性の割合をあらかじめ決めて強制力をもたせるクオータ(割り当て)制を導入する国もある。ノルウェーは企業に役員の4割を女性にすることを義務づける。東レ経営研究所の塚越学シニアコンサルタントによると、ある大手電機メーカーでは、男ばかりの役員会に女性が入り、議論が一気に活性化した。「女性管理職を増やすことは、会社にとってメリットになる」と塚越氏は指摘する。
■主な企業の女性管理職を増やす目標
 <アサヒグループHD> 21年までに比率を20%に(現在14.8%)
 <コマツ> 16年4月までに5%超に(14年4月は3.6%)
 <商船三井> 20年に8%に(14年7月で5%)
 <住友化学> 20年までに課長相当以上を3.7%から10%以上に
 <積水ハウス> 20年までに200人(5%)に
 <全日本空輸(ANA)> 20年度までに15%に
 <第一生命保険> 16年4月までに20%以上に(14年4月で18.4%)
 <高島屋> 15年度に20%以上に
 <東芝> 15年度に5%以上に
 <東レ> 16年に5%に、20年に数を倍増
 <日産自動車> 17年に10%に
 <日本生命保険> 18年度に520人(14年比20%増)に
 <NTT> 12年度末の2.9%から20年度に6%に
 <ボッシュ> 日本で20年までに10%に
 <三井住友銀行> 20年度末までに20%に(13年度末で10.5%)
 <三菱商事> 20年度までに10%超に
 <三菱東京UFJ銀行> 15年3月末までに役付き者を15%に
  (経団連の資料から。HDはホールディングス。1面で紹介した企業以外の17社)

| 男女平等::2014.7~2015.5 | 01:18 PM | comments (x) | trackback (x) |

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