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2014,07,16, Wednesday
*1-2より 2014.6.22日経新聞 2014.7.8京都新聞 (1)水素社会への転換を素早くせよ *1-1のように、茂木経産相が7月15日、トヨタ自動車の本社を訪れて、2014年度中に市販を予定する燃料電池車(FCV)の試作車に試乗し、「非常に静かで加速もいい」と述べたそうだ。FCVを、「水素社会を実現していく未来の自動車」と位置付けたそうだが、700万円程度の税抜き価格では高すぎるので、300万円台で素早く普及すべきだ。そのくらいの本気度でやらなければ、太陽光発電と同様、これも海外に抜かれるだろう。 *1-2の「2018年度を目途に、FCVの水素ステーションを100カ所設置する」「水素ステーションの建設費は平均4.6億円かかり、政府が2.8億円を上限に補助金を出す」というのも、遅すぎる対応と補助金頼みの経営で、本気度が感じられない。水素ステーションの設置がそれほど高くしかできないのなら、FCVの水素は、タンクを交換する方式にしてもよいだろう。 (2)発電方法は自然エネルギーで *1-3のように、玄海町では、(私のアドバイスで)水を電気分解して水素を生成する実験を2010年から行っていた。しかし、燃料電池車に供給する水素を、化石燃料や原発由来の電力で作れば環境によくないため、今後は、*2-1のような海洋エネルギーなど自然エネルギーで作るべきである。なお、地元漁協は潮流や魚の生態に詳しいため、対象海域を漁業者から推薦してもらい、風力発電機を漁礁に利用したり、漁業に影響を与えない潮流発電機を考案したりするのはよいと思う。 また、*2-2のように、九州7県の1級河川水系に県などが設置した発電やかんがい目的の利水ダムのうち、全体の3割近い17ダムが国土交通省の定期検査で安全管理上重要な問題があると判定されたそうだ。そのため、必要な改善がされると思うが、これまで利水ダムでは発電していなかったので、ついでに利水ダムでも発電できるようにすればよいと思う。 なお、*2-3のように、九電工は、経営が悪化している九州電力からの配電線工事の受注が大幅に減少したため、太陽光発電で工事量を補って業績を伸ばしており、蓄積した建設技術を生かして、提案を続けているそうだ。これは、他地域の配電線工事会社にも応用可能である。 (3)原発とは、司法を使って決別するしかない *3-1のように、原子力規制委員会が2014年7月16日に、九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県)について、「新規制基準に適合している」とする審査書案を公表したため、今後は、「①新規制基準をクリアしていれば、本当に安全と言えるのか」を、司法を使って明らかにするしかない。また、*3-2には、「国内全16原発の半径30キロ圏にある特別養護老人ホームなど875の介護保険施設のうち、7割にあたる621施設(定員計約3万3000人)で、原発事故時の避難先が決まっていないことが分かった」とも書かれているため、「②実際に新規制基準をクリアしていると言えるのか」も、立法と行政が再稼働に前のめりである以上、司法で明らかにするほかない。 (4)フクシマの実情は、すさまじい人権侵害である *4-1のように、東京電力が2013年8月19日に、福島第一原発で実施したがれきの撤去作業で、放射性粉じんが20キロ以上離れた避難区域外の水田に飛散し、さらに50キロ付近まで飛んでいた可能性が高いことが京大研究グループの調査で分かった。これを公表せずに、「福島の農産物は食べて協力すべき」とし、今月下旬に大規模ながれき撤去に入るのに、「1号機を覆うカバーを解体して飛散防止剤をまく」としているのは、殺人行為に近い。 また、*4-2のように、年間被ばく線量が20ミリシーベルト以下だということで、福島県川内村の避難指示を解除する方針だったが、一般人の被爆線量は世界では年間1ミリシーベルト以下であり、放射線管理区域でも年間5.2mミリシーベルト以下であるため、「20ミリシーベルト以下なら避難指示を解除してよい」とするのは、世界に例を見ない人権侵害である。 さらに、*4-3のように、福島原発訴訟で争点の「国と東電が第1原発の全交流電源喪失をもたらす津波を予見できたか」に関する証拠を、国は「資料が現存せず確認できない」としていたが、一転、「電力会社から提出された資料があった」と試算報告書の存在を認めたそうだ。やはり、個々に訴訟をしなければ、ある証拠も出ずに、うやむやにされるのだろう。 <水素社会への転換> *1-1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20140716&ng=DGKDASDF1500U_V10C14A7PP8000 (日経新聞 2014.7.16) 燃料電池車に経産相が試乗 トヨタ本社を訪問 茂木敏充経済産業相は15日、愛知県豊田市のトヨタ自動車本社を訪れ、同社が2014年度中に市販を予定する燃料電池車(FCV)の試作車に試乗した。経産省は次世代エコカーとしてFCVの普及を後押ししている。茂木経産相は記者団に「隗(かい)より始めよで、経産省でも公用車として使いたい」と述べ、市販後に購入する意向を示した。茂木経産相は1周2キロメートルのテストコースを自ら3周運転し、本社工場内の水素ステーションで充てん作業にも参加した。試乗後、「非常に静かで加速もいい」と感想を述べた。トヨタの豊田章男社長とも懇談。茂木経産相によると、FCVを「水素社会を実現していく未来の自動車」とし、省として購入する考えを伝えた。台数などは明言しなかったようだ。トヨタはFCVを700万円程度の税抜き価格で市販すると表明している。 *1-2:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20140716&ng=DGKDASDZ15093_V10C14A7MM8000 (日経新聞 2014.7.16) JX、水素ステーション100ヵ所 燃料電池車向け、18年度めど 政府、補助金で普及後押し JX日鉱日石エネルギーは「究極のエコカー」とされる燃料電池車(総合2面きょうのことば)に、燃料の水素を供給する施設である水素ステーションを2018年度をめどに100カ所設置する。現在の5カ所から一気に増やす。燃料電池車はトヨタ自動車が世界に先駆け14年度中に市販を始める。政府も補助金や規制緩和で後押しする方針で、普及に向けた体制整備が動き出す。燃料電池車は水素と空気中の酸素を反応させて走る。政府は次世代エコカーと位置付け、15年度までに主要都市に水素ステーションを計100カ所整備する計画だが、足元で設置が決まっているのは41カ所。JXエネが100カ所の設置に乗り出すことで、燃料電池車の普及の課題だったインフラ整備が大幅に進む。JXエネは水素ステーションの運営や水素の調達・供給を手掛ける子会社を近く設立する。現在、東京都杉並区や横浜市など5カ所に水素ステーションを設置している。当初14年度中に15カ所に増やすとしていた計画を19カ所に上方修正。15年度までに40カ所にし、その後2~3年で100カ所規模にする考えだ。既存のガソリンスタンドに併設するほか、首都圏や地方の主要都市に水素供給専用の拠点を新設する。水素ステーションにはガソリンタンクの代わりに圧縮した水素を貯蔵する設備を設置。専用の充てん機を使い自動車に水素を供給する。水素ステーションを巡っては14日、岩谷産業が商業用施設を兵庫県尼崎市に開いた。同社は15年度中に計20カ所建設する計画。東京ガスや豊田通商なども都内や愛知県に設置する方針で、今年度内に10カ所程度が開業する見通しだ。実験用では大阪ガスや東邦ガス、大陽日酸、出光興産なども手掛けている。インフラ整備の進展は自動車メーカーにとっても追い風となる。トヨタはまず、都内や名古屋市など水素ステーションが整備される地域で燃料電池車を販売する方針。4人乗りのセダンで価格は税抜きで700万円程度。コスト削減を進め25年ごろには同じ車格のハイブリッド車(HV)並みに価格を抑えたい考え。ホンダも15年中の発売を目指し、5人乗りのセダンの開発を進める。価格は1000万円を切る見通しだ。燃料電池車の普及には、水素ステーションの建設費と車両価格を下げることがカギとなる。政府は平均4.6億円かかる水素ステーションの設置に2.8億円を上限に補助金を出している。今後は車両の購入に200万円程度の補助金を出すことを検討する。水素ステーションの設置費用を引き下げるための規制緩和も進める。水素をためる容器に欧米並みの安い鋼材を使えるようにし、市街地でも設置しやすい基準をつくる。設置費用は「1.5億円安くなる余地がある」(経産省)という。水素ステーションの設置計画の大半が首都圏と愛知県に集中し、関西や九州は整備計画があまり進んでいない。1億~2億円で設置でき、移動も可能な小型施設の普及を支援し、地域間での偏りを減らすようにする。与党内にはステーションで水素を補給する費用も政府が全額補助する案もある。高速道路のサービスエリアへの水素ステーションの設置補助を上積みし、燃料電池車の走行料金を無料にする案も浮上している。 *1-3:http://www1.saga-s.co.jp/news/saga.0.1633240.article.html (佐賀新聞 2010年5月12日) 玄海町で水素実証実験 水を分解、カートや自転車走らせる 環境に優しい次世代エネルギーとして注目される水素を実際に社会に生かす実証実験が今秋、佐賀県東松浦郡玄海町の九州電力玄海エネルギーパークで始まる。水を電気分解して水素をつくり、その水素でカートや自転車を走らせる。生成から利用までを集約し、来場者も水素エネルギーを実体験できる。実験は玄海町、佐賀県地域産業支援センター(佐賀市)、民間企業などが取り組む。太陽光や原子力発電の夜間電力で水を電気分解して水素を生成、貯蔵する。園内には水素で動くカートと自転車を2台ずつ配備し、来園者に試乗(無料)してもらう。電気量と水素製造量の関係や水素消費量などの検証も行う。実験は設備整備後の10月下旬から11月上旬に始め、本年度末まで行う。施設は2012年4月に開園を予定する玄海町次世代エネルギーパークに移設して活用する。総事業費は約1億1千万円。国の水素利用社会システム構築実証事業を活用する。玄海町は、環境負荷軽減の取り組みや同パークのPRも兼ね、総事業費のうち設備購入費や工事費など約5900万円を負担する。水素は水や灯油など多様な燃料から取り出すことができ、酸素と反応させれば水と電気が発生する。利用段階で二酸化炭素を排出せず、水が燃料になることから次世代エネルギーとして期待されるが、コスト面などの課題もある。 <自然エネルギーによる発電> *2-1:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/84206 (佐賀新聞 2014年7月16日) 海洋エネ実証実験場に佐賀を選定 内閣府 内閣府は15日、地方自治体に公募していた潮流や波力など海洋エネルギーによる発電の実証実験場(実証フィールド)に、佐賀県が提案した唐津市呼子町加部島沖を含む4県6海域を選定した。今後、国の支援で環境整備を進め、関連産業の集積を図る。県は5年間で約7億円の経済効果を見込んでいる。佐賀県は5種類の海洋エネルギーのうち「潮流」と「浮体式洋上風力」に選ばれた。県のプランは地域との協力体制を構築したのが特徴。誘致のために立ち上げた協議会の会長には地元漁協の代表が就き、対象海域も漁業者から推薦した。大型の浮体式風力発電機は漁礁になる可能性があり、将来的には漁協で発電機を運営する案もあるという。今後、国は送電用の海底ケーブルを整備するほか、メーカーや大学の実験装置の維持管理に必要なハード整備などを進める方針。県によると、国から具体的なスケジュールや支援メニューはまだ示されていない。長崎県の五島市や西海市の3海域も潮流と浮体式洋上風力のフィールドに選ばれた。佐賀県新エネルギー課は「予想より多くの海域が選定され、驚いている。メーカーらに対し、魅力あるフィールドとして佐賀を選んでもらう仕掛け作りが重要になる」と話す。今後は国とやり取りしながら、ハード整備の方法やフィールドの管理運営団体の設立を検討していく。国は福島第1原発の事故を受け、再生可能な海洋エネルギーの早期実用化を促進するため、発電の信頼性や耐久性を実験する実証フィールドを全国公募し、7県11海域が提案していた。 *2-2:http://qbiz.jp/article/42006/1/ (西日本新聞 2014年7月16日) 九州の17ダム、安全管理に不備 国交省検査で判明 国が管理する九州7県の1級河川水系に各県などが設置した発電やかんがい目的の利水ダムのうち、全体の3割近い17ダムが国土交通省の定期検査で安全管理上重要な問題があると判定されていたことが15日、分かった。中でも北山ダム(佐賀市)、瀬戸石ダム(熊本県芦北町、球磨村)、大分県営若杉ダム(由布市)の三つはダム湖に大量の土砂がたまり、機能低下につながりかねないと指摘されていた。定期検査はダム検査規程に基づき実施。2002年度に導入された現行制度では原則3年に1回程度、管理状態などをABCでランク分けする。西日本新聞が関係文書を情報公開請求し分析した結果、対象となる62ダムのうち、大分県6、福岡県5、佐賀県3、熊本県2、鹿児島県1の計17ダムが02〜13年度のいずれかの検査で最も問題のある「A」と判定された。農林水産省が設置した北山ダムは04〜12年度に5回連続でA判定。想定の2・7倍に上る土砂堆積やダム湖周辺のり面の100カ所以上の崩壊、ゲート施設の不良などを指摘された。電源開発(東京)が熊本県の球磨川に設置した発電用の瀬戸石ダムは02〜13年度に計6回の検査結果がすべてA。ダム湖の土砂堆積を問題視され、洪水被害が発生する恐れを指摘された。同社は「真摯(しんし)に受け止め、土砂撤去に取り組んでいる」としている。ダム湖の土砂堆積は水面下のため、対応は遅れがちになるという。土砂堆積などによりA判定を4回受けた若杉ダムは、09〜11年の3年間に土砂のしゅんせつ費用として約6億4800万円を投じていた。ほかにA判定を受けたダムはサイレンなどの設備不良や、維持や操作を適切に行う管理主任技術者の不在などを指摘された。国交省九州地方整備局によると、検査結果に法的拘束力はないが、どのような措置を講じたかの報告は求めているという。河川管理課は「土砂の除去など課題解消に時間がかかるケースもある」としている。 *2-3:http://qbiz.jp/article/41997/1/ (西日本新聞 2014年7月16日) 九電工、メガソーラーで業績アップ 九電工(福岡市)は15日、大分市日吉原のゴルフ場跡に大規模太陽光発電所(メガソーラー)を建設すると発表した。出力は4万5千キロワットで、九州内で有数の規模。伊藤忠商事(東京)、三井造船(同)と共同で設立した特定目的会社「大分日吉原ソーラー」が運営する。総事業費は約144億円で、同日、みずほ銀行を幹事とする銀行団と融資契約を結んだ。予定地は、三井造船の所有地で、5月末に閉鎖した「日吉原カントリークラブ」跡地。広さは約46万平方メートルで、8月に着工し、2016年3月に営業を始める予定。年間発電量は一般家庭9300世帯の消費量に相当する約5250万キロワット時になる見込みで、全量を20年間、九州電力に売電する。九電工は伊藤忠の呼び掛けで参加したといい、出資比率は伊藤忠50%、九電工30%、三井造船20%。九電工は、稼働中のメガソーラーでは九州で2番目に大きい「鹿児島七ツ島メガソーラー発電所」(出力7万キロワット、鹿児島市)に出資するなど、九州内外で太陽光発電を積極的に展開している。設置場所によって提携先は京セラやオリックスなどさまざま。出資はしないものの、発電所の建設工事を請け負っているケースも多い。太陽光発電は、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度を利用し、安定した収益が見込めることから各社の参入が相次ぐ。九電工も、蓄積した建設技術を生かした提案を続けているという。さらに九電工は、経営が悪化している九州電力からの配電線工事の受注が大幅に減少。このため太陽光発電で工事量を補い、業績を伸ばしている面もある。 <原発との決別> *3-1:http://mainichi.jp/select/news/20140716k0000e040197000c.html (毎日新聞 2014年7月16日) 川内原発:「新規制基準に適合」審査書案を公表 ◇10月以降にも再稼働へ 福島原発事故後で初 原子力規制委員会は16日、九州電力川内(せんだい)原発1、2号機(鹿児島県)について、「新規制基準に適合している」とする審査書案を公表した。今後、30日間の意見公募などを経て審査書を決定する。川内1、2号機は、東京電力福島第1原発事故の教訓を踏まえ、安全対策を強化した新規制基準をクリアする初の原発となる。再稼働に向けた手続きが本格化するとみられるが、設備の使用前検査なども必要となるため、再稼働は10月以降になる見通しだ。現在、川内1、2号機を含め、12原発19基が規制委の安全審査を受けている。 *3-2:http://mainichi.jp/select/news/20140716k0000m040164000c.html (毎日新聞 2014年7月16日) 原発事故時:避難先7割未定 30キロ圏の介護施設・病院 国内全16原発の半径30キロ圏にある特別養護老人ホームなど875の介護保険施設のうち、7割にあたる621施設(定員計約3万3000人)で、原発事故時の避難先が決まっていないことが分かった。同様に838病院中、7.5割の633病院(計約4万床)でも確保されていなかった。原子力規制委員会は16日、九州電力川内(せんだい)原発1、2号機(鹿児島県)の安全審査で事実上の「合格証」となる審査書案を示し、原発の新規制基準に基づく「合格」第1号が決まるが、要援護者の避難が担保されていない実態が浮かんだ。毎日新聞は6〜7月、国が原発事故時に住民に避難を求めることがある範囲として定めている30キロ圏の21道府県と、東京電力福島第1原発事故で避難指示が出ている10市町村を除く125市町村にアンケートを実施。1市を除く124市町村が回答した。国は原発事故を受けて見直した原子力災害対策指針などで、住民の避難計画策定を義務付ける市町村を原発8〜10キロ圏から30キロ圏に拡大。県や市町村の地域防災計画で、施設や病院の管理者に避難計画作成を求めることも定めた。アンケートで住民の避難計画を未作成だったのは4割の49市町村で、うち40市町村を占める宮城、茨城、新潟、静岡、富山の5県では、施設や病院も避難計画を作成しておらず、全377施設と全412病院が避難先を確保できていなかった。反対に、川内原発が立地する鹿児島をはじめ、青森、石川、滋賀、愛媛、長崎の6県では全市町村が住民の避難計画を作成済みだったが、施設や病院の避難先は一部を除いて見つかっていない。「30キロ圏より外は市外になるので、施設や病院の避難先を探すのに、市だけでは調整できない」(鹿児島県薩摩川内市)、「事業者だけで確保するのは難しく、行政が連携して取り組むべき課題になっている」(愛媛県)という。一方、関西電力大飯原発など4原発がある福井など7道府県は、全231施設と全202病院の避難先を確保しているとした。ただし、このうち北海道の一部や鳥取県では、施設からいったん自治体が指定したホテルなどに避難し、特養から特養へといった同種施設に移れるかどうかはその後の道県の調整に任される。 <フクシマの実情> *4-1:http://digital.asahi.com/articles/ASG7H5SVWG7HUUPI00C.html (朝日新聞 2014年7月16日) 50キロ先、住宅地にも粉じん 福島第一原発がれき撤去 東京電力が昨年8月に福島第一原発で実施したがれき撤去作業で放射性の粉じんが20キロ以上離れた避難区域外の水田に飛散した可能性が指摘されている問題で、この時の放射性の粉じんがさらに50キロ付近まで飛んでいた可能性が高いことが京大研究グループの調査で分かった。今後も実施していくがれき撤去作業による汚染が広範囲に及ぶ恐れを示すものだ。調査したのは、京大大学院医学研究科の小泉昭夫教授(環境衛生)ら5人。住民の被曝(ひばく)量を予測するために2012年9月以降、福島県内の住宅地の3地点に空気捕集装置を置いて大気中の粉じんを集め、1週間ごとに放射性セシウム濃度を測定してきた。このうち原発から北西48キロの相馬市で集めた昨年8月15~22日分から、他の時期の6倍を超す1立方メートルあたり1・28ミリベクレルの放射能を検出。北北西27キロの南相馬市では20~30倍だった。西南西22キロの川内村では変化がほぼなかった。小泉教授らは①原発の北西や北北西で放射能濃度が上がり、西南西で変化がほぼないことは当時の風速や風向きによる放射性物質の拡散予測に一致する②大気中から集めた粉じんの粒子は比較的大きく、第一原発のような放射性物質が密集する所に長くあるうちに大きくなったと推測される――などから第一原発でこの時期に行ったがれき撤去で飛散してきたとみている。さらに南相馬市の地点では昨年5、6月にも1度ずつ粉じんのセシウム濃度が急上昇した期間があり、この間にも撤去作業で飛んだ可能性があると分析。小泉教授らは今年3月、「第一原発のがれきが汚染源とも考えられる」とする報告書を環境省に提出していた。東電は昨年8月19日に第一原発3号機で大規模ながれき撤去を実施。20キロ以上離れた南相馬市の水田で収穫されたコメから基準超のセシウムが検出され、農林水産省から飛散防止を要請されていたことが14日の朝日新聞報道で発覚した。東電は記者会見で撤去作業との関係は不明としつつ、「ご迷惑をかけた」と謝罪。当時の放出量はふだんの1万倍以上にのぼり、4時間で最大4兆ベクレル(試算)だったと発表した。東電は今月下旬に1号機を覆うカバーを解体し、大規模ながれき撤去に入る方針だ。飛散防止剤を多くまくとしているが効果は不透明で、詳細な作業日程や放射線量の公表を求める声が出ている。 *4-2:http://www.minpo.jp/news/detail/2014071416850 (福島民報 2014/7/14) 「26日解除」断念 川内の避難指示解除準備区域 政府は13日、福島県川内村の避難指示解除準備区域(年間被ばく線量20ミリシーベルト以下)の避難指示を26日に解除する方針を断念、延期する考えを示した。同日、同村と郡山市内で開いた住民との懇談会で、住民から生活環境の整備が不十分と、解除への反対意見が相次いだ。政府の担当者は解除時期について「あらためて村と協議し、適切な時期を見定めたい」と述べた。 ■村と協議、時期再検討 村内の懇談会には約60人、郡山市には約20人が参加した。政府側が福島第一原発の廃炉・汚染水対策の現状、事後モニタリングの結果と追加除染などを説明。避難指示解除準備区域の復興状況を説明した上で、26日に解除する方針を伝えた。しかし、住民側から「一部の道路で復旧が終わっていない」「線量が高い所があり不安」「帰ってから仕事がないのに解除は時期尚早」「仮置き場があるままでは帰る気分になれない」といった不安や懸念を示す意見が相次いだ。遠藤雄幸村長は懇談会最後のあいさつで、解除に向けた村の検証委員会が28日にも中間答申をする予定とした上で、「検証委の答申を踏まえて解除時期を判断したい。26日の解除は政府に再考してもらい、もう一度協議する時間が必要と感じた」と述べた。復興庁の熊谷敬統括官も解除しない方針を示した。区域内では、4月26日から3カ月間、帰還のための準備宿泊(長期宿泊)が行われており、25日で期限が切れるため、期間を延長した上で解除時期を再協議する見通し。避難指示解除準備区域の解除と同時に居住制限区域(同20ミリシーベルト超~50ミリシーベルト以下)を避難指示解除準備区域に再編する方針は変えない方針。 ■避難指示解除準備区域139世帯 村内の区域分けは【図】の通り。6月1日現在の人口は1148世帯、2746人で、避難指示解除準備区域は139世帯、275人、居住制限区域は18世帯、54人。 ■廃棄物搬出後、地元に返還 中間貯蔵候補地 政府方針 東京電力福島第一原発事故に伴う除染廃棄物を保管する中間貯蔵施設の候補地について、政府はいったん買い上げて国有化し、全廃棄物を県外の最終処分場に搬出後、地元に返還する案を検討している。自民党の大島理森東日本大震災復興加速化本部長が13日、会津若松市での講演で明らかにした。大島本部長は「さまざまな知恵を政府で考えてもらっている」と語り、案がまとまり次第、佐藤雄平知事や候補地のある大熊、双葉両町長らに説明する考えを示した。自民党県連の「ふくしま再興政治塾」で講演した大島本部長は、中間貯蔵施設の廃棄物が政府の条件通りに30年以内に県外で最終処分された後、施設候補地の取り扱い案について「(候補地は)国の名義になっているが、(県外搬出を終えた)その時には、地元に返すというアイデアを固めつつある」と述べ、故郷への帰還を望む住民に配慮する考えを強調した。一方、候補地の貸借について大島本部長は民法上の借地権の期間は基本的に20年になっており、30年近く廃棄物を借地で保管するのは困難との認識を示した。中間貯蔵施設をめぐっては、最終処分場への移行を懸念し、候補地の貸借を求める地権者の要望は多い。政府は土地返還案の提示によって最終処分場にならないと強調し、地元に理解を求めるもようだ。ただ、政権政党が替われば方針が変更される懸念がある。国有化後に必ず返還するよう法的担保などを求める声は強まるとみられる。 ◇ ◇ 大島本部長は講演で、今月末にもまとめる復興に関する政府への党提言に関し、「自立」と「コミュニティーの再生」を柱にする考えも明らかにした。 ■政府案に具体的コメント避ける 大熊、双葉町長 大島本部長が中間貯蔵施設建設地を将来的に地元に返還する案を検討していると明らかにしたことについて、建設候補地のある大熊町の渡辺利綱町長は「賃貸借などいろいろな選択肢を検討している中の一つと思う。中間貯蔵後の跡地利用や原状回復の問題などもあり、現時点でどうと言える状況ではない」と語った。双葉町の伊沢史朗町長は「政府から直接聞いていないのでコメントできない」とした。県生活環境部の担当者は「候補地の取り扱いについて、国は住民説明会で出た意見を受け止め、地域振興策などと合わせて迅速に対応してもらいたい」とコメントした。 *4-3:http://www.minyu-net.com/news/news/0716/news7.html (2014年7月16日 福島民友ニュース) 第1原発・津波試算「資料あった」 国一転、存在認める 東京電力福島第1原発事故で県内外の被災者約2600人が国と東電に原状回復や慰謝料を求めた「生業(なりわい)を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟の第7回口頭弁論は15日、福島地裁(潮見直之裁判長)で開かれた。争点の「国と東電が第1原発の全交流電源喪失をもたらす津波を予見できたかどうか」の証拠になり得る津波の試算報告書について、「資料が現存せず確認できない」としていた国側は一転、「電力会社から提出された資料があった」と試算報告書の存在を認めた。国側が提出した資料は1997(平成9)年に電力会社が国に提出したとみられるもので、試算された第1原発の津波の高さは敷地高10メートルに近い9.5メートルとされ、「冷却水取水ポンプモーターのレベルを超える数値で、余裕のない状況」と記載。次回は9月16日午後3時から口頭弁論を行う。 PS(2014.7.17追加):*5のように、「自然エネルギー協議会」が「2020年までに20%にする」などの自然エネルギーの導入目標を提言したそうで、その積極性はよいが、根拠のない数値をめくらめっぽう設定するのは、市場経済ではなく計画経済である。もし、目標数値を設定したいのなら、「2020年までに20%以上」というような決め方にすべきだ。なお、自然エネルギーの環境アセスメントは、機材の構造によっては行う必要すらない場合もあるため、一律に規模を決めることはできない。それよりも、原発の環境アセスメントは、半径250kmの範囲で行わなければならず最も重要だが、やったとは思えないため今からでもやるべきだ。 *5:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/84694 (佐賀新聞 2014年7月17日) 自然エネ導入「20年に20%」 協議会、目標提言へ 佐賀県など36道府県と民間企業でつくる「自然エネルギー協議会」(会長・飯泉嘉門徳島県知事)は16日、唐津市内で総会を開き、自然エネルギーの導入目標値を明確化することを柱とした5項目の政策提言をまとめた。今月中に経産省などに提出する。政府は閣議決定したエネルギー基本計画で自然エネルギーの導入目標を明記していない。提言は、「2020年までに20%にする」などの目標値を設定し、導入加速化を要望した。太陽光発電が急激に伸び、発送電システムへの接続拒否が出ている問題でも系統網の増強なども盛り込んだ。佐賀県の古川康知事は、唐津市沖の海域が海洋エネルギー発電の実証フィールドに選定されたことに触れ、「環境アセスメントをどの程度の規模で行えばいいのかなど必要な対応が決まっていない」と述べ、導入の障害となる規制の改革も求めた。 PS(2014.7.18追加):*6のように、東京農大教授も、昨年産玄米から高い放射性セシウムが検出されたことに気がついて、①原発がれきの撤去でセシウムが飛散したか ②溜め池からの流入と指摘していたそうだ。これを適切に開示して、消費者の内部被曝予防に繋げられないところが問題の一つである。 *6:http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=28798 (日本農業新聞 2014/7/17) 原発がれき撤去でセシウム飛散 玄米基準値超え 東農大教授も指摘 福島で試験 東京電力福島第1原子力発電所事故に伴い、福島県南相馬市で昨年秋に収穫された米から基準値を超す放射性セシウムが検出された問題で、東京農業大学の後藤逸男教授らが行った作付け試験でも、昨年産玄米から高い放射性セシウムが検出されていたことが16日、分かった。原因として土壌由来ではなく、がれき撤去の可能性を示唆する格好となった。 ●昨年秋に値上昇 後藤教授は、昨年7月下旬から9月下旬の間に放射性セシウムの蓄積に異変が起きたとみており「がれき撤去が関係あるかもしれない」との見方を示し、「がれきを撤去する際には、放射性物質が絶対に飛散しない対策が必要だ」と指摘する。放射性セシウムの吸収抑制を進めるには、ゼオライトと塩化カリウムの施用が有効とされる。このため後藤教授の研究チームは、試験圃場(ほじょう)でそれぞれ施用量を変えて米を栽培した結果、初年度の2012年産は9月下旬の時点で玄米中のセシウムが、7月下旬の幼穂形成期の茎葉中の値に比べ、最大で5分の1程度だった。13年産の試験では、7月下旬の幼穂形成期の茎葉の値が前年同時期と比べて2分の1~5分の1程度と大幅に低下していた。だが、9月下旬に測った玄米中の値はゼオライトや塩化カリウムの施用量にかかわらず、前年産玄米の1.9~7.8倍と高い値を示し「予測に反して、放射性物質の値が高い」(後藤教授)ことが分かった。前年の試験を踏まえると、後藤教授は「土壌からの吸収ではない」と判断。ため池からの流入か飛散を想定していた。
| 資源・エネルギー::2013.10~2014.10 | 05:20 PM | comments (x) | trackback (x) |
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