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2014.12.8 国民は、ここで原発再稼働にNoの意志表示をしなければ取り返しがつかなくなること、及び、原発に関わる核のゴミ処理問題は深刻であること (2014年12月10日、12日に追加あり)
   
 *1-2より        *2-1より          交付金交付先      *3-1より
党別エネルギー政策   廃炉廃棄物の処分       (電源別)       海のセシウム汚染  

(*自民党の政策に、「再生可能エネルギーの持続的推進と国民負担の抑制を両立」と書かれているが、実際には原子力に6,251億円、火力に2,499億円の電源三法交付金が交付されており、太陽光・風力・潮流発電などには全く交付されていない。その上、原子力は、事故処理、廃炉、避難、使用済核燃料の処分にあたって国民が納付した税金を使うため、自民党の説明は我田引水だ)

(1)原発再稼働にNoの意志表示を!
 *1-1、*1-2に書かれているとおり、世論調査では原発再稼働反対が原発再稼働賛成を上回っている原発をめぐって、与野党が主張の違いを鮮明にしており、今後のエネルギー政策に衆院選の投票結果が持つ意味は大きい。そのため、私も原発再稼働には明確に「No」の意志表示をして欲しいと考えている。そして、それは、小選挙区で心に決めた候補者がいたとしても、比例で政党を選択する時に、脱原発を主張する政党を選択することにより可能だ。

 川内原発は、原子力規制委員会が「安全は保証しない」と言っているにもかかわらず、新たな規制基準での適合性審査を終えて地元同意も取り付けたことになっている。また、国民の多くが再稼働に反対であるにもかかわらず、共同通信社の全国電話世論調査では「投票で最重視する課題」について、「原発・エネルギー政策」を選ぶ人は7・7%しかいなかったそうだ。しかし、上記の図表で明らかなように、電源をコストで比較しても、国民が負担している原発のコストは高く、エネルギーに対する交付金を節約して社会保障に回せば、減税しながら社会保障を増やすことさえ可能なのだ。

 なお、機器の進歩や市場メカニズムによるため、将来の電源構成比率を人間が勝手に決めるのは適切ではないが、①自然エネルギー由来の再生可能エネルギーが最も環境負荷が少なく ②100%国産できるエネルギーであり ③地域からカネを持ち出さないエネルギーでもあり ④機器も出そろってきたため、自然エネルギー由来の再生可能エネルギー普及にまい進するのが最も賢い方法である。

(2)核のゴミ処理について ← これで政府や環境省を信用できるか?
 *2-1に書かれているように、使用済核燃料などの高レベル放射性廃棄物の最終処分場も決まっていないが、低レベル放射性廃棄物の処分方法も不透明な部分が多く、2009年に廃炉作業が始まった中部電力浜岡原発1、2号機では「核のごみ」の行き場が決まらないまま、作業が続けられ、廃炉作業に伴って出る約48万トンの低レベル放射性廃棄物は、処分先の目途も立っていないそうだ。

 国の地中埋設基準は甘い上、最も汚染のひどい炉心支持板など原子炉内の構造物などについては詳しい埋設方法も決まっていないが、埋設地を電力会社の責任で選定して日本のあちこちで分散管理すれば、漏れるリスクは大きく、管理コストは高くなる。これは、廃炉方針が固まった九州電力玄海原発1号機も同様だが、後始末の方法も考えずに開始することこそ無責任と言うべきである。

 お粗末な他の事例を挙げれば、*2-2のように、フクシマ原発事故で出た汚染土などを保管するために環境省が福島県大熊、双葉両町に建設する中間貯蔵施設の場合は、地権者の行方が分からず土地契約交渉が進まないそうだが、3年半も経過すれば死亡者や移住者は把握できていなければならない筈で、本当に国や地方自治体がやる気を出せば、地権者を探して特定するのは簡単な筈なのである。

 また、*2-3のように、フクシマ原発事故で出た放射性物質を含む指定廃棄物の最終処分場に、環境省(!)が、豊かな水源に接する栃木県塩谷町を候補地と決めたため、栃木県内のすべての医師会が、、「命の源である水源地を汚染し、未来に残すべき自然環境を破壊し、住民の健康を阻害する可能性のある放射性廃棄物の最終処分場の建設に断固として反対する」という宣言を取りまとめて環境省に提出するそうだ。私も水源の里に放射性物質の最終処分場を造るなど呆れかえっていたため、栃木県の医師会は社会的責任を果たすよいことをしたと思っている。

(3)フクシマの汚染水は3年半垂れ流しで、水産物も汚染されている可能性が高い
 *3-2のように、数百億円かけて「氷の壁」を作り、汚染水を遮断しようとしたのは、(当然のことながら)半年たっても凍らず、氷の壁を断念してトレンチをコンクリートで埋めるそうだ。しかし、コンクリート案についても、リスクの高い汚染されたコンクリートが増えるだけという懸念もあるそうだ。

 また、*3-1のように、2014年12月1日、東京新聞は独協医科大学の木村教授(放射線衛生学)と合同で原発周辺5カ所の海水と海底土(砂)を採取して放射能汚染の状況を調べ、外洋への汚染を確認し、放射性物質は底に沈むため、海底土(砂)で海水よりも汚染度が高くなっていたそうだ。

 「1ベクレルの海水=食品基準の100ベクレルの魚が捕れる可能性」が一つの目安であり、これは決して無視できない汚染だが、東電は原子力規制委員会が定めた「国のモニタリング基準」に沿って海水のモニタリングを行い、日々の公表資料には「検出せず」という記述をしている。原子力規制委事務局の担当者は「高濃度汚染がないか監視するのが目的で、迅速性が求められ、精度が低いとは思わない」としているが、現在のレベルなら、やり方を変えないと信頼できるデータは出ないとのことだ。

<今回の衆院選で原発再稼働は重要な争点>
*1-1:http://www.saga-s.co.jp/column/ronsetsu/132932
(佐賀新聞 2014年12月6日) 2014衆院選 原発再稼働
 今後のエネルギー政策に、衆院選の投票結果が持つ意味は大きい。年明けにも九州電力川内原発(鹿児島県)の再稼働が予定されており、最終的には政府が判断を下すことになるからだ。川内原発はすでに新たな規制基準での適合性審査を終え、地元同意も取り付けている。経済優先の安倍政権は「再稼働を進める」姿勢で、政策変更がない限りは運転再開へと進んでいく。だが、国民の多くは再稼働に慎重だ。今年9月に日本世論調査会が実施した全国面接世論調査では、反対が61%で、賛成の34%を大きく上回っている。東京電力福島第1原発事故以降は、原発を見る目が変わっている。それでもそのまま投票に反映されるわけではない。11月の共同通信社の全国電話世論調査では「投票で最重視する課題は」の問いに、「原発・エネルギー政策」を選ぶ人は7・7%しかいなかった。経済政策や社会保障を重視する人のほうがずっと多い。選挙は政策を単品ではなく、パッケージで選ぶ。だから6割の声がまとまることはない。単品で選んでいなくても、引き続き現政権が過半数を得れば、「再稼働の方針が信任された」とゴーサインを出すだろう。再稼働について、民主党は「責任ある避難計画」、維新の党は「『核のごみ』の最終処分の解決」がなければ、認めない立場だ。次世代の党は原発活用に積極的で、他の野党は一切認めない。福島事故で安全神話も発電コストが安いという神話も崩壊した。原発依存から可能な限り早く抜け出すことが国民の多くの願いだろう。再稼働の是非と一緒に、将来の電源別の構成比率も問いたい。自民党は来年夏までに党としての結論を出す考えで、公約では「原発依存度を可能な限り低減させる」と具体的な目標は示していない。その一方で、4月に閣議決定したエネルギー基本計画では、原発を「重要なベースロード電源」と位置づけており、どの程度維持するのかはっきりしない。公明党は「原発に依存しない社会・原発ゼロ」を目指すとしている。しかし、原発ゼロと再稼働との整合性について、明確な説明をしているとは言い難い。与党は争点化を避けずに、エネルギー計画を有権者に示すべきだ。民主党は与党時代に討論型世論調査などを経てまとめた「2030年代に原発稼働ゼロを実現するようあらゆる政策手段を投入する」を掲げる。維新の党は市場競争で「既存原発はフェードアウト(消滅)」。脱原発を求める他の野党も含め、原発ゼロ実現の道や再生可能エネルギーの拡大など具体的な戦略を掲げる必要がある。現在は原発停止で火力発電の比率が増えているが、このまま続けるわけにもいかない。地球温暖化につながる二酸化炭素(CO2)の排出量が増え、火力発電の燃料費アップに伴う電気料金の再値上げも時間の問題だ。一筋縄ではいかず、推進側にも理由はある。川内が先陣を切れば、条件を満たした原発は次から次に動き出すだろう。安倍政権下の2年間で加速した「原発回帰」を進めるのか、止めるのか。当たり前だが、1票を投じることは、公約実現を後押しする力になると肝に銘じたい。

*1-2:http://qbiz.jp/article/51344/1/
(西日本新聞 2014年12月7日) 【衆院選 公約点検】(4)原発・エネルギー 賛否が分かれる再稼働
 世論調査で反対が賛成を上回る原発再稼働をめぐり、与野党は主張の違いを鮮明にしている。自民党は「原発依存度は可能な限り低減する」としながらも、「重要なベースロード電源との位置づけの下、活用する」と主張。2012年の前回衆院選に比べ再稼働推進に踏み込んだ。公明党は「原発に依存しない社会・原発ゼロを目指す」としながらも、連立与党重点政策では「厳格な規制基準を満たすことを大前提に(再稼働を)進める」と、自民と足並みをそろえた。民主党も新規制基準に適合した原発の再稼働は認める立場だが、国民の生命と財産を守る避難計画に触れ、「責任ある計画がなければ再稼働はすべきでない」と強調。基本スタンスとしては「30年代に原発稼働ゼロとするようあらゆる政策資源を投入する」と、従来の方針を変えていない。維新の党は「既設原発はフェードアウト」との表現で、将来の原発ゼロを目指す。共産党や社民党は、はっきりと再稼働反対を訴える。九州電力など大手電力会社5社が接続手続きを中断している再生可能エネルギーについては、ほぼ全政党が導入拡大を掲げる。自民は「系統問題を克服し、最大限かつ持続的な導入促進と国民負担の可能な限りの抑制とを両立」と主張。民主も「分散型エネルギー推進基本法を制定し、地域の中小企業を支援する」としたが、いずれも具体的な導入拡大策までは踏み込んでいない。自民は将来の電源構成比率について「速やかに示す」と記すにとどめた。原発の依存度低減と再生エネの導入拡大をどこまで進めるのか−。エネルギー政策の議論に不可欠な数値なだけに、「争点隠し」と批判する声もある。

<核のゴミ処理について>
*2-1:http://qbiz.jp/article/51345/1/
(西日本新聞 2014年12月7日) 廃炉、核のごみどこへ 中部電・浜岡原発ルポ 
 老朽原発を廃炉にするか延命させるか、原発の選別に注目が集まっている。政府は古い原発の廃炉を進めることで安全性をアピール、再稼働への理解を得ようとしているが、廃炉に伴い大量に発生する低レベル放射性廃棄物の処分先のめどは立っていない。2009年に廃炉作業が始まった中部電力浜岡原発1、2号機(静岡県御前崎市)では「核のごみ」の行き場が決まらないまま、淡々と作業が続けられていた。浜岡原発の出入り口。2本のポールの間を、トラックがゆっくり通過する。ポールは放射線量の測定器。一定以上の放射線量を感知すると警報が鳴る仕組みで、放射性物質で汚染された廃棄物を誤って敷地外に出さないために設置された。「これまでの作業は順調です」。中部電浜岡地域事務所総括・広報グループの村松立也専門部長が説明する。背後の原子炉建屋の外観は運転中と何ら変わらない。撤去され土台だけが残る重油タンク跡などが、かろうじて廃炉作業中であることを示す。廃炉作業が完了するのは22年後の36年度の見通しで、その間に出る廃棄物は約48万トン。建屋外にあるタンクや変圧器の鉄くずなど9割以上は一般廃棄物と同じように処分や再利用ができるが、原子炉圧力容器や作業で使った手袋など約1万7千トンの低レベル放射性廃棄物が発生する見込みだ。これまでは建屋外の設備撤去を中心に行ってきたため、放射性廃棄物は出ていない。「だんだん原子炉領域に近づく。これまで以上に注意を払って進める」と村松専門部長。来年度以降、原子炉周辺の設備解体など、放射能レベルが高い領域での作業が始まる。
■「玄海」でも
 最終処分場が決まっていない使用済み核燃料などの高レベル放射性廃棄物と同様、低レベル放射性廃棄物の処分方法にも不透明な部分が多い。国は汚染の程度で3種類に分類、地中に埋設する基準を策定したが、最も汚染のひどい炉心支持板など原子炉内の構造物などについては詳しい埋設方法も決まっておらず、原子力規制委員会が規制基準づくりに着手したばかり。さらに埋設地は電力会社の責任で選定しなければならない。中部電は「処分先は未定で、来年3月までに決める」とするが、原発敷地内に埋めるとしても、周辺地域から反発が起きる可能性が高く難航は必至だ。来年10月に運転40年を迎え、廃炉方針が固まった九州電力玄海原発1号機(佐賀県玄海町)の低レベル放射性廃棄物について、九電は「廃炉にしても運転延長にしても、いずれはやってくる課題」との認識を示すにとどまり、明確な処分方針は明らかにしていない。
■行き場なし
 国内の商用原発は浜岡1、2号機に加え日本原子力発電東海発電所、東京電力福島第1原発1〜6号機の計9基で廃炉作業が進む。経済産業省は10月、廃炉の判断を急ぐよう電気事業連合会に要請した。国内では原発7基が運転開始から40年前後経過、本格的な廃炉時代を迎えるが、現状では廃炉が決まり解体が始まっても埋設地が決まらなければ、行き場のない低レベル放射性廃棄物は敷地内で保管し続けるしかない。明治大の勝田忠広准教授(原子力政策)は「再稼働を進めれば使用済み核燃料が増え、廃炉を決めれば低レベル放射性廃棄物が出る。廃棄物問題の議論を避けるべきでなく、真正面から向き合うべきだ」と指摘している。

*2-2:http://mainichi.jp/shimen/news/20141119dde041040020000c.html (毎日新聞 2014年11月19日) 東日本大震災:福島第1原発事故 中間貯蔵の土地契約交渉、地権者の半数連絡つかず 全町避難の大熊、双葉町
 東京電力福島第1原発事故で出た汚染土などを保管するため、環境省が福島県大熊、双葉両町に建設する中間貯蔵施設の土地契約交渉が進まない。避難により、地権者の行方が分からないケースが多発しているためだ。登記簿上の地権者2365人のうち、連絡先が判明したのは1300人程度。目標とする来年1月搬入開始は極めて困難な状況だ。中間貯蔵施設は、第1原発を囲むように両町の帰還困難区域16平方キロに建設予定。今年9月に県が受け入れを表明したのを受け、環境省は登記簿から地権者2365人を抽出したが、登記簿は震災後は更新されておらず、記載の住所も避難前のもの。町に避難先の照会を依頼したが、既に死亡していたり、住民票が町になかったりして、登記簿と町の資料で地権者情報が一致し、避難先が判明したのは1269人だった。判明した地権者には地権者説明会の通知を郵送。このほか、報道などで知り、問い合わせてきた人が30人程いた。通常は建設地を回って住民や隣人から情報を得るが、全町避難が続く現状ではそれもできない。「地権者の理解」を前提に県の受け入れ表明を容認した両町は、こうした現状を問題視。また、説明会に出席した地権者からも土地の補償額などに不満の声が上がっており、両町長は10月23日、小里泰弘副環境相に「地権者への丁寧な説明」を申し入れた。建設受け入れを正式に表明していない両町に配慮し、同省は連絡先が分かっている地権者との個別交渉も自制している。同省の担当者は「町に納得してもらうためにも地権者の7割程度を割り出したい」と話すが、打つ手は乏しい。建設地の行政区長を頼って住民の情報を求めているほか、転送を期待して避難前の住所に通知を送ることを検討中。行方が分からない地権者に代わり、家庭裁判所が選任した弁護士らから土地を買い取るという、民法の「財産管理制度」も視野にあるが、「安易に使えば反発が増すだけ。最後の手段」と話す。環境省は、施設が完成しなくても契約が済んだ土地に汚染土を仮置きする方針。それでも来年1月に搬入を開始するなら、入札など早急に土地整備の手続きに入る必要がある。今月7日、竹下亘復興相が計画の見直しに言及した。同省の関係者は「11月になっても土地が手に入る見通しすら立っていない」と漏らす。正式に搬入開始の延期を決めざるを得ないところまで迫られている。

*2-3:http://www3.nhk.or.jp/lnews/utsunomiya/1093016391.html
(NHK 2014年11月9日) 最終処分場 医師会が反対宣言
 東京電力福島第一原子力発電所の事故に伴って発生した放射性物質を含む指定廃棄物の最終処分場を巡り、栃木県の医師会は、県内の候補地に選定された塩谷町での建設に反対する宣言を取りまとめました。宣言を取りまとめたのは、およそ2100人の医師が加入する県医師会をはじめとした、県内のすべての医師会です。県医師会によりますと、今月1日に県内の医師会の会長らが出席して開かれた会合で、指定廃棄物の最終処分場の県内の建設候補地として国が塩谷町を選定したことが議題となり、これに反対する宣言が全会一致で決議されたということです。宣言は、候補地が豊かな水源に隣接しているとしたうえで、「命の源である水源地を汚染し、未来に残すべき自然環境を破壊し、住民の健康を阻害する可能性のある放射性廃棄物の最終処分場の建設に断固として反対する」と宣言し、これを環境省に提出するのは重要なことだ。

<フクシマの汚染水は、3年半垂れ流し>
*3-1:http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/nucerror/list/CK2014120102100012.html (東京新聞 2014年12月1日) 海洋汚染、収束せず 福島第一 本紙調査でセシウム検出
 東京電力福島第一原発至近の海で、本紙は放射能汚染の状況を調べ、専用港の出入り口などで海水に溶けた状態の放射性セシウムを検出した。事故発生当初よりは格段に低い濃度だが、外洋への汚染が続く状況がはっきりした。一方、東電は精度の低い海水測定をしていながら、「検出せず」を強調する。事故当事者としての責任を果たしているのかどうか疑問がある。本紙は十月二十日、地元漁船をチャーターし、独協医科大学の木村真三准教授(放射線衛生学)と合同で原発周辺五カ所の海水と海底土(砂)を採取。後日、同大の高性能のゲルマニウム半導体検出器を使い、それぞれ二十四時間、八時間かけ計測した。海水はろ過し、ちりなどに付着したセシウムは除去した。結果は図の通りで、水、砂とも港の出入り口が最も濃度が高く、ここから拡散していることがうかがえる。注目されるのは、同地点の海水から一リットル当たり一・〇七ベクレルのセシウムを検出したことだ。「一ベクレルの海水=食品基準の一〇〇ベクレルの魚が捕れる可能性」が一つの目安としてあり、決して無視できない汚染といえる。東電は原子力規制委員会が定めた基準に沿って海水モニタリングをしているが、日々の公表資料は「検出せず」の記述が並ぶ。計測時間はわずか十七分ほどで、一ベクレル前後の汚染はほとんど見逃すような精度しかない。大型魚用の網で小魚を捕ろうとするようなものだ。東電の担当者は「国のモニタリング基準に沿っている」と強調する。原子力規制委事務局の担当者は「高濃度汚染がないか監視するのが目的。迅速性が求められ、精度が低いとは思わない」としている。しかし、かつての高い汚染時なら、精度が低くても捕捉できたが、現在のレベルなら、やり方を変えないと信頼できるデータは出ない。汚染が分からないようにしているのではないかとの疑念を招きかねない。地元、相馬双葉漁協の高野一郎・請戸(うけど)支所長は「何度調べても汚染が検出されなければ、私たちも消費者も安心できる。しかし、国や東電がきちんと調べてくれないと、誰も信用できない」と語った。木村准教授は「高性能な測定機器を使っても、短時間の測定では、国民や漁業関係者から信頼される結果を得られない。海の汚染は続いており、東電は事故の当事者として、汚染の実態を厳密に調べ、その事実を公表する義務がある」と指摘している。

*3-2:http://www.sankei.com/smp/affairs/news/141101/afr1411010007-s.html
(産経新聞 2014.11.1) 「氷の壁」温度10度上昇 福島第1原発 コンクリでの埋設も現実味
 東京電力福島第1原発の海側のトレンチ(地下道)に流れ込む汚染水を遮断するための「氷の壁」が半年たっても凍らない問題で、東電は31日、未凍結部分に止水材投入後も、一部で温度が約10度上昇していたことを明らかにした。全体的に温度は低下傾向にあるとしているが、11月中旬までに止水材投入に効果がないと判断すれば、トレンチをコンクリートで埋め、氷の壁を断念するという。この日の原子力規制委員会による検討会で、東電側が報告した。東電は4月末、凍結管を通して周囲の水を凍らせる氷の壁を導入したものの、氷やドライアイスを投入しても約1割が凍らないため、10月初旬から止水材を入れて未凍結部分を間詰めする工事を実施してきた。間詰め後に温度は一時、マイナス15度近くまで下がったが、10月30日に計測したところ、再び10度近く上昇していたことが判明。東電は「水位が高い所で温度が上昇しており、熱量の流動のデータを見て吟味している」と話し、原因を究明中だという。間詰め工事は10日まで行われる。当初は、凍結止水した上で、汚染水を移送し、トレンチに閉塞(へいそく)材を充填(じゅうてん)する方針だった。氷の壁で止水効果が確認できない場合、トレンチ内の水を抜き取るのではなく、汚染水ごと水中不分離性のセメント系材料で埋める方策に移行することがこの日の検討会で確認された。トレンチには高濃度の汚染水が約1万トン以上滞留しており、津波などによる海への漏洩(ろうえい)が危険視されている。この日の検討会でコンクリ埋設の案について、会津大の角山茂章・教育研究特別顧問が「リスクの高い汚染されたコンクリートが増えるだけだ。かなりの量になると推定できる」と懸念を示した。


PS(2014.12.10追加):このような中、*4のように、鹿児島県の衆院選候補者は、「自民の5人中3人が再稼働に賛成」「再稼働の条件とされる『地元同意』の範囲は、伊藤祐一郎知事が適用した『鹿児島県と薩摩川内市で十分』と明言したのは自民の2人だけ」「現行の避難計画を『合理的』と評価したのは5区の自民前職1人だけで、民主、共産、社民の7人は『ずさん』『机上の空論』と批判した」とのことである。私は、鹿児島県は火山のリスクが高い上、守るべき他産業も多く、既に九州新幹線は開通しているが原発に近くては企業誘致もうまくいかないため、原発は廃炉にして速やかに使用済核燃料を処分するのが、地域の発展のために賢明だと考える。

*4:http://qbiz.jp/article/51516/1/ (西日本新聞 2014年12月10日) 再稼働地元同意「十分」2人のみ 衆院選鹿児島14候補 川内原発アンケート
 西日本新聞社は、政府が新規制基準下で全国初の再稼働を目指す九州電力川内原発が立地する鹿児島県の衆院選5小選挙区立候補者全14人に、再稼働への賛否などをアンケートした。自民の5人中3人が再稼働に賛成、自民と無所属各1人が容認し、維新、共産、社民の計7人が反対した。自民、民主の各1人は賛否を明らかにしなかった。再稼働の条件とされる「地元同意」の範囲は、伊藤祐一郎知事が適用した「県と薩摩川内市」で「十分」と明言したのは自民の2人だけだった。民主、維新、社民の各1人と共産の5人は「不十分」などと批判し、原発30キロ圏への拡大や法的枠組み作りを求めた。アンケートは「再稼働への賛否」「地元同意の範囲は現行で十分か。法的枠組みは必要ないか」「自治体の避難計画への評価」を問い、48字以内の自由記述で回答を得た。自民で再稼働賛成を明言したのは前職3人。「当面の安定的、低コスト電源として賛成」などとした。原発立地選挙区の3区の新人は「エネルギーの現状からやむを得ない」とした。4区の前職は原子力規制委員会を管轄する環境副大臣であることを理由に回答を控えた。反対した野党の7人は「噴火対策が不十分」「使用済み核燃料の処分方法が未定」などと指摘した。地元同意の範囲をめぐっては、1区の自民前職は現行で十分かどうかは答えず「今後充実する努力を」と提案した。3区の無所属前職は「今後は範囲拡大の議論をするべきだ」とした。現行の避難計画を「合理的」と評価したのは5区の自民前職1人だけ。3区の無所属前職は「国が財政面を含め主導を」と国の一層の関与を求めた。民主、共産、社民の7人は「ずさん」「机上の空論」などと批判した。


PS(2014.12.12追加):維新の党が強い大阪以外の選挙区には影響がなくなってからの判決で遅すぎるが、*5のように、大阪地裁が環境省に対して、瓦礫の受け入れを行った自治体名の公開命令を出した。しかし、これは、日本全国の自治体で同じである。

*5:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11502758.html (朝日新聞 2014年12月12日) がれきの受け入れ、自治体名公開命令 大阪地裁、「住民に不安あった」
 大阪地裁の田中健治裁判長は11日、自治体による東日本大震災のがれきの受け入れ検討状況を一部開示しなかった国の処分を取り消し、公開を命じた。自治体名を伏せた環境省に対し、情報公開を求めていた大阪府守口市の市民団体が提訴していた。判決によると、環境省は震災発生から約7カ月後の2011年10月、岩手、宮城、福島の3県と沖縄県を除く都道府県を通じ、市区町村にがれき受け入れの意向の有無を調査。54の自治体が「受け入れを決めた」「検討中」と答えたことを公表したが、自治体名は伏せていた。市民団体の公開請求に対し、環境省は12年5月、「意思決定の中立性が損なわれる恐れがある」として公開しなかった。田中裁判長は「住民には災害廃棄物が放射性物質に汚染されている可能性があるという不安があった」と指摘。開示しない不利益は大きいと判断した。大阪市内で記者会見した市民団体代表の橋本杉子さん(54)は「情報の公開に対する国の姿勢を正した」と評価。環境省は「判決内容を精査し、対応を検討したい」との談話を出した。

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