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2015.2.24 介護保険制度の変更について (2015.2.26追加あり)
   
  人口ピラミッドの推移    高齢者人口の推移  介護費の推移  医療費の世界比較

(1)介護保険制度の不公正と不公平
 *1に書かれているとおり、現在、介護費用は、利用者の自己負担以外は、40歳以上の国民が支払う介護保険料と国と地方自治体の税金で賄っている。また、介護保険料は、65歳以上の高齢者が払う「第1号保険料」と、40~64歳の現役の会社員らが健康保険を通じて払う「第2号保険料」からなり、第2号保険料には企業負担もある。

 そして、高齢者の第1号保険料は各市町村が決め3年毎に見直すため引き上げ幅が大きくなり、現役世代の第2号保険料は、企業の健康保険や市町村の国民健康保険が毎年度決める仕組みで単年度の給付費の増加見込みを反映させるため、引き上げ幅が小さくなるそうだ。ここでおかしいのは、誰もが直接・間接にサービスを受けている介護負担において、年齢によって国民を不平等に扱い、徴収が不公正になっていることである。

 また、「第2号保険料」は40~64歳の現役会社員らが支払うことになっているため、企業の社会保険料負担を減らす目的で、*7-1、*7-2のように「40歳定年」というような驚くべき提案が出てくる。*7-1、*7-2では、「40歳定年は、労働者が知識やスキルを磨き直すため」と主張されているが、それなら40歳定年よりも会社内で研修、配置、出向を工夫したり、労働者がスキルアップするために休職や自発的転職をしやすくしたりするのがまっとうな方法だ。

 全体として、医療費は世界的に見て高い方ではなく、介護は始まったばかりであるのに、このように不公正かつ不平等な制度をいつまでも改正せず、さらに高齢者に負担増・給付減を強い、企業が社会保険料を支払わない方法を導入しようと言うのは、政策を語る資格のない人のすることである。

(2)介護保険制度の利用が増えるのは当然で、これは本物の需要だ
 *2には、「①介護費は発足時の3倍になり、団塊の世代が75歳以上になる2025年度には、現在の2倍の21兆円に膨らむ」「②介護職員が不足する」「③膨張が続けば税金の投入額も40歳以上の国民が負担する保険料も年々増える」「④国民負担の増加を和らげるため4月の介護報酬改定では平均単価を2.27%引き下げる」「⑤高齢者は今後も増え続ける見通しだ」と書かれている。

 しかし、①については、介護保険制度は2000年度から始まったのであり、最初は利用できるサービスが少なく、質も高いとは言えず、利用者も介護を他人に任せるのを敬遠していた時から、次第に介護サービスが充実してきたのであり、核家族化と高齢者人口の増加とともに介護サービスの利用が増えるのは当然であり、これは第三の矢にあたる本物の重要なのである。そして、上の2番目のグラフのように、中国はじめ他の新興国でも、少し遅れて同じになるものだ。

 そして、②も考慮すれば、*6のように外国人介護士を使い捨てにすることなく労働力として重視し、③④から国民負担の増加を和らげる必要はあるが、それはいらない人に車椅子を与えて歩けなくしたり、一律に平均単価を引き下げたりするのではなく、可能な人には自立を促しながら、必要十分なサービスを適時に行いつつ、解決すべきなのである。

 なお、③④⑤から、介護保険制度は、40歳以上の国民のみが負担し、65歳以上の引き上げ幅は大きいというような不公正・不平等な制度ではなく、所得のある人全員が負担する応能負担にすべきだ。

(3)介護保険制度の4月以降の負担増・給付減について
 *3に、「①高齢者ら利用者の自己負担は、リハビリ目的の老人保健施設など施設・居住系サービスでは安く、訪問介護など在宅・通いのサービスは高くなる」「②要介護度が重い人や認知症の人向けのサービスは手厚くなる」「③現役世代の介護保険料がわずかに安くなる」と書かれており、現役世代の介護保険料を安くするとともに、在宅介護への変換を促していることがわかる。

 しかし、①により、リハビリ目的の老人保健施設が減ると、本当に必要な高齢者も施設でリハビリをすることができなくなる。また、40歳未満の人を介護保険料免除にしたまま現役世代の介護保険料を安くするために所得の少ない高齢者の負担増・給付減を行うというのは、驚くほど不公正である。さらに、年中、介護保険報酬を変にいじくることで、*4のように、介護事業者の経営計画が立たず、質の維持もできず、投資して始められた事業が成長するどころか無駄になるのだ。

 その上、40歳未満の人を介護保険料免除にすることにより、*7-1、*7-2のように、企業は屁理屈をつけて、介護保険料の事業主負担分を節約するために、「40歳定年制」を導入したがっている。つまり、介護保険料の負担者を40歳以上としていることが、労働者が40歳で区分される理由にもなっているため、介護保険料の負担者を医療保険と同様、働く人全員とすべきなのである。

(4)外国人介護職を活かす方法について
 *6に、「①厚生労働省は、介護職に外国人技能実習生を活用する方針を固めた」「②国内の施設で働きながら介護福祉士の資格取得を目指すが、日本語の壁の高さなどで合格率は2割に満たない」と書かれているが、介護現場の労働力として外国人労働者を受け入れるのであれば、名目的な技能実習生ではなく、正式な労働者として受け入れるべきである(そもそも厚労省労働局が、このような労働基準法の脱法行為を認めているのが疑問)。

 何故なら、1)実習生は即戦力にはならず、3年や5年の実習期間では、介護事業者にとっては教えるばかりで役に立つ期間が短い 2)技能実習の現場では、低賃金や時間外労働の強制など違反行為が後を絶たない 3)日本国内の施設で働きながら介護福祉士の資格取得を目指す外国人は、日本語の壁で介護福祉士の資格合格率が2割にも満たない 4)介護福祉士のニーズは必ず増加する からだ。

 しかし、1)2)4)は、外国人介護士を技能実習生としてではなく、労働者として受け入れれば解決する。また、3)の原因となっている「介護には利用者や家族の声を聞き取る高い日本語能力と技能、経験が要求される」というのは、まず、介護は家族の“愛”や日本語能力だけでできるものではなく、プロの知識と経験が必要だというところから出発すべきだ。そうすると、母国で看護師などの資格をとってきている外国人介護士に不足するのは、日本語能力と日本における技能・経験だけであり、これは、知識のない日本人よりも改善しやすく、どちらも、チームで介護を行えば解決できるものなのである。

(5)それでは、介護に誰を予定しているのか
 *5は、佐賀労働局雇用均等室が、「①女性の能力発揮や仕事と育児・介護との両立支援に積極的に取り組む企業を表彰する」「②仕事と育児・介護との両立支援の取り組みを実施しているファミリー・フレンドリー企業を表彰する」としている。

 ここで、仕事と育児・介護を両立すべき人の前提が女性のみであれば、60年、遅れている。また、仕事と育児・介護との両立支援の取り組みを実施しているファミリー・フレンドリー企業というものが、女性にのみ短時間労働、非正規雇用、派遣労働を強いるものであれば、それは、30年、遅れている。

 しかし、率直に言って、全体として介護サービスをカットし、女性に負担を負わせようとしている厚労省を見れば、こんな逆噴射を予定しているのではないかと思わざるを得ない。

<介護制度の度重なる改変>
*1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20150130&ng=DGKKASFS29H3X_Z20C15A1EA2000 (日経新聞 2015.1.30) 介護保険料 高齢者・現役世代とも伸び傾向
▽…介護保険サービスにかかる費用は、利用者本人の自己負担分を除き、半分を40歳以上の国民が支払う介護保険料、残り半分を国と地方自治体の税金で賄っている。介護保険料は65歳以上の高齢者が市町村を通じて払う「第1号保険料」と、40~64歳の現役の会社員らが健康保険を通じて払う「第2号保険料」からなる。第2号保険料には企業負担分も含む。
▽…高齢者の第1号保険料は、各市町村が決め、原則3年ごとに見直すことになっている。3年間の介護給付費の増加見込みを反映して保険料を一度に見直すため、引き上げ幅は大きくなる。直近では給付費が全国平均で年5%伸びており、3年間で15%増になる。
▽…一方、現役世代の第2号保険料は、企業の健康保険や市町村の国民健康保険が毎年度決める仕組みだ。単年度の給付費の増加見込みを反映させるため、引き上げ幅は小さくなる。制度改正や介護報酬の引き下げで抑制が大きいと、単年度では下がるケースも出てくる。給付費は高齢化で伸び続けるため、保険料が中長期で上がる傾向は第1号・2号とも同じだ。

*2:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20150216&ng=DGKKZO83209230V10C15A2M10600 (日経新聞 2015.2.16) 制度発足15年 高齢者急増、厳しい財政
 介護保険制度は想定を超えて増える高齢者を背景に、制度発足から15年で早くも変革を迫られている。介護費は発足時の3倍になり、「団塊の世代」が75歳以上になる2025年度には、今の2倍の21兆円に膨らむ見通しだ。介護職員の不足の解消も道半ばだ。介護保険の財源は税金と40歳以上が納める保険料、サービス利用者の自己負担でまかなっている。膨張が続けば税金の投入額も40歳以上の国民が負担する保険料も年々増える。国民負担の増加を和らげるため4月の介護報酬改定では平均単価を2.27%引き下げる。厚生労働省の試算では、40~64歳の現役世代が15年度に納める保険料は1人あたり平均で月額5177円となり、前年度に比べて96円減る。市町村ごとに決まる65歳以上の平均保険料は月額4972円から5550円に上がるが、減額改定をしなければ5800円に上がるはずだった。ただ高齢者は今後も増え続ける見通し。保険料負担を抑える効果は一時的でしかない。給付そのものを抑える工夫が避けられない。厚労省は4月からは特別養護老人ホームの新規入所を要介護度3以上の重度者に限定する方針。入居待ちは52万人に上るが、施設増ですべて対応するのではなく、介護の必要度が低い軽度者は在宅でケアを受ける方向にするためだ。今回の改定で特養ホームの基本料が軒並み減額になるのは利益率が高く、経営に余裕があるとの判断からだが、介護を巡る「施設から在宅へ」という政府方針とも無関係ではない。こうした流れを成功させるには、高齢者や家族が安心できる在宅介護の体制づくりが不可欠だ。厚労省は12年度の報酬改定で24時間対応で看護や介護を受けられる巡回サービスを導入したが、肝心の事業者の参入は限られ、訪問看護事業所がない自治体も多い。年々増える認知症患者をケアする体制もまだ不十分だ。

*3:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20150216&ng=DGKKZO83209170V10C15A2M10600(日経新聞2015.2.16)介護保険、重度者・認知症のケア手厚く 4月からこう変わる
 介護保険の負担が4月から変わる。介護サービスの公定価格である介護報酬が改定されるためだ。高齢者ら利用者の自己負担は、リハビリ目的の老人保健施設など施設・居住系サービスでは安くなり、訪問介護など在宅・通いのサービスが高くなる。要介護度が重い人や認知症の人向けのサービスは手厚くなる。現役世代が納める介護保険料はわずかだが安くなる。影響を詳しくまとめた。
●特別養護老人ホームなどで重度者の受け入れに力を入れる
 介護保険のサービスは介護を受ける場所や内容に応じて20種類以上に分かれ、事業者に支払われる報酬も細かく定めている。サービスを受ける高齢者らは報酬の1割を毎月負担する。残りは保険料や税金から事業者に払う。報酬は大きく分けて、基本料金にあたる「基本サービス費」と、事業者の人員体制が要件を満たした場合や付加的なサービスを受けた場合などに上乗せする「加算部分」の2つからなる。
■職員賃上げの原資反映
 今回の改定では、基本サービス費は大半のサービスで引き下げる。一方、加算部分を見ると、介護職員の給料を引き上げる原資にする「介護職員処遇改善加算」が、多くのサービスで増額になった。介護は人材難が深刻化しており、一般産業界に比べて見劣りする給与水準を引き上げることで職員確保につなげる狙いだ。賃上げ計画を策定し、賃金体系や職場環境などを整えた事業者は、職員の月給を1人につき1万2千円アップできる原資を報酬に加算できる。多くの事業者が取り組むとみられ、この分は利用者の負担増につながる。加算部分にはこのほかにも新設されたり、増額されたりした項目もある。サービスの利用者負担がどう変わるかは、サービスごとに基本サービス費と加算部分を合算して考える必要がある。例えば特別養護老人ホームをみると、最も重度の「要介護5」の人が個室を利用する場合((1)参照)、1カ月あたりの負担合計は3万720円となり、今より810円安くなる。職員を賃上げするための加算などが増える一方、本人が負担する基本料は1日につき947円から894円に減るためだ。
■特養相部屋は2段階改定
 同じ特養ホームでも相部屋の負担は4月と8月の2段階で変わる。4月に月2万9670円と630円安くなる((2))。ただ光熱費が月1500円の値上げになる上、8月からは低所得者を除く約6万人は室料が保険対象外になる。該当する人の8月以降の負担は今より1万2000円以上増える見込みだ。老人保健施設((5))や、医療が必要な人が入る介護療養病床を含め、施設・居住系サービスは利用料がおおむね安くなる。認知症の高齢者がケアを受けながら共同生活する認知症グループホーム((3))の1日あたりの負担額は要介護度3の人で1001円へと5円安くなる。民間の有料老人ホームなどに住む人が介護を受ける特定施設入居者生活介護((4))も、要介護度5の1日あたり負担額は6円安く863円。いずれも基本料が大きく下がる。一方、自宅で訪問介護を受けたり、施設に通ったりする在宅サービスは高くなるものが多い。デイサービス(通所介護)は要介護3の人が1日8時間のサービスを利用すると、1日あたりの負担は1001円。今より16円安くなる。ただ重度の人や認知症の人を受け入れた場合の加算を設けたので、該当する人の負担は1日に1110円と93円増える((7))。通いや泊まりを組み合わせて利用できる小規模多機能型居宅介護((8))は訪問サービスを拡充した事業者への報酬が加算される。こうした利用者の負担は月に559円増え、2万5503円になる。

*4:http://digital.asahi.com/articles/DA3S11610837.html
(朝日新聞 2015年2月20日) 介護報酬、減額っていいこと? 事業者・利用者への影響は
 介護保険サービスを提供した事業者に支払われる「介護報酬」が、4月から引き下げられる。収入が減る事業者には「介護崩壊」への強い不安が広がる一方、介護保険料やサービスの利用料が安くなるのも事実だ。介護の現場にどんな影響があるのか。
■事業者 経営に打撃、サービス休止も
 介護報酬引き下げは事業者には打撃で、サービス休止を決めたところもでてきた。富山県内でショートステイ(短期入所生活介護)を運営する事業者は、3月末で事業所を休止する予定だ。ここ数年、競合する事業者が増えて赤字が続き、減額改定が決め手になったという。ショートステイの基本報酬は約5~6%下がる。この事業所は職員10人弱の人件費を支払うめどもたたなくなった。利用者は1日7~8人。食道や肺の機能が落ちて食事介助に2時間近くかかるなど介護度が重い人も多く、休止後の受け入れ先を探し始めた。「消費税を8%に上げたのは社会保障の充実が目的だったはずなのに」。運営法人の幹部は声を落とす。認知症グループホームも基本報酬が約6%下がった。仙台市などで複数のグループホームを運営する「リブレ」は、職員の処遇改善のための加算をのぞくと、一つのホームで年間約300万円の減収を見込む。夜勤体制の加算は新設されたが、人手不足のなか、宿直できる人を確保する見込みはたたず、加算を取るのは簡単ではないという。介護度が重い人への対応に手厚くする方針にも懸念の声がある。訪問介護事業などを手がけるNPO法人「ACT昭島たすけあいワーカーズ大きなかぶ」(東京都)の事務局長・牧野奈緒美さんは「事業者が介護度の重い人ばかりを優先し、軽い人が見捨てられるのでは」と危惧する。訪問介護につく新たな特定事業所加算は、利用者のうち要介護3以上や認知症の症状が進んでいる人が6割以上いれば、報酬が上乗せされる。ただ、大きなかぶの場合、利用者の7割は要介護2以下の人だ。「軽度の人の介護度が重くならないように支える、という視点が欠けている」。改定の目玉の一つが、介護職員の給料アップのための処遇改善加算の拡充だ。1人月額1万2千円相当を上乗せできるようにすると国は説明する。認知症デイサービスやグループホームなど7事業を運営するNPO法人「暮らしネット・えん」(埼玉県)でも、4月からこの加算で職員の賃上げをはかる計画だ。ただ代表理事の小島美里さんは「加算はいわば『おまけ』。3年後の報酬改定で維持されるかもわからない。処遇改善のためのお金は基本報酬に入れるべきだ」と言う。
■利用者 負担は減少、質の維持に懸念
 利用者目線で考えると、また違う見方もでてくる。介護報酬が下がれば、65歳以上の高齢者や、40~64歳の人が負担している介護保険料は、いずれも抑制されるからだ。税や保険料から介護事業者に支払われる費用は、制度が始まった2000年度の3・6兆円から10兆円(14年度)に増加。65歳以上が払う保険料(全国平均の月額)でみると、2911円(00~02年度)から4972円(12~14年度)にまで上昇。10年後には、8200円程度まで上がると厚労省は予想する。65歳以上が支払う介護保険料は15年度から全国平均で5800円程度になると見込まれていた。それが介護報酬引き下げで230円程度値上げが抑えられ、5千円台半ばにとどまる見通しだ。また介護サービスの値段である介護報酬が下がれば、その原則1割を負担する利用料も連動して減る。ただし負担が減ればいいということでもない。介護をしてくれている事業者が経営に行き詰まったり、サービスが悪くなったりすれば、利用者やその家族にしわ寄せは向かう。いま介護が必要ない人でも、将来必要になったときに、利用できるサービスが減ってしまうかもしれない。結果として、家族の介護の負担が重くなり、高齢者の世話のために仕事を辞める「介護離職」などが増える恐れもある。
■国の狙いは? 介護度重い人の在宅支援強化
 厚生労働省は6日に2015年度~17年度の介護報酬の額を公表した。全体では2.27%の引き下げで、個別のサービスの値段も決まった。企業のもうけにあたる「収支差率」が高い特別養護老人ホームなどの施設に限らず、在宅サービスも含めて基本報酬は軒並み減額となった。一方、介護職員の給料増額にあてる加算は拡充。さらに認知症や介護度の重い人を支える「24時間定期巡回・随時対応型サービス」などの在宅サービスでは、様々な「加算」を手厚くし、加算を含めれば増収になるようにした。安倍晋三首相は18日の参院本会議で「質の高いサービスを提供する事業者には手厚い報酬が支払われることとしている」と述べた。

<介護は誰が?>
*5:http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10103/159784
(佐賀新聞 2015年2月24日) 「均等・両立推進」の企業募集 2部門、佐賀労働局
 佐賀労働局(田窪丈明局長)は、女性の能力発揮や仕事と育児・介護との両立支援に積極的に取り組む企業を表彰する「均等・両立推進企業表彰」の対象企業を募集している。女性の能力発揮の促進へ積極的な取り組みを進める「均等推進企業」部門と、仕事と育児・介護との両立支援の取り組みを実施している「ファミリー・フレンドリー企業」部門の2部門。部門ごとに厚労大臣優良賞、佐賀労働局長優良賞、佐賀労働局長奨励賞を選び、両部門ともに優れた企業には厚労大臣最優良賞を贈る。応募書類審査の後、各都道府県労働局の雇用均等室がヒアリングを実施。表彰基準を満たす企業の中から候補企業を選び、厚労大臣に推薦。厚労大臣が推薦企業の中から、受賞企業を決定する。過去10年の県内の受賞企業は、均等推進企業部門が4社、ファミリー・フレンドリー企業部門が2社。佐賀労働局は「人材確保の面などで良いPR材料になる。積極的に応募して」と呼び掛ける。3月31日締め切り。問い合わせは同局雇用均等室、電話0952(32)7218。

<外国人介護職の処遇>
*6:http://www.kobe-np.co.jp/column/shasetsu/201502/0007762437.shtml
(神戸新聞 2015/2/23) 外国人と介護職/実習生の活用は筋違いだ
 介護の現場では、慢性的に労働力が不足している。他業種に比べて給与が低く、仕事がきついなどの理由で人材確保が困難なためだ。そうした問題を解消するため、厚生労働省は外国人の技能実習生を活用する方針を固めた。日本の介護技能を学ぶという名目で、2016年度にも受け入れを始める。高齢化が進む中、人材確保が課題であることは間違いない。しかし、このやり方は大いに問題がある。技能実習制度は本来、新興国への技術移転や人材育成の支援が目的だ。日本国内の労働力の穴埋めに使うのは筋が違う。しかも、実習期間は最長で3年。政府は延長を検討しているが、それでも5年で日本を去る。現場を支える力を海外に求めるなら、労働者としてきちんと受け入れるべきだ。日本は経済連携協定(EPA)に基づき、介護分野の労働者をインドネシア、フィリピン、ベトナムから受け入れている。国内の施設で働きながら介護福祉士の資格取得を目指す。これまで約240人が合格した。だが、日本語の壁の高さなどで合格率は2割に満たない。一方、国内の介護労働力は約177万人で、離職率が高く、毎年17%が職場を去る。厚労省は、団塊の世代が75歳以上になる25年度に約250万人を確保する目標を掲げる。だが、全産業の平均給与より月額で10万円ほど低い待遇もあって計画通りに増えないのが実情だ。特別な対策を取らなければ将来約30万人が不足するという推計もある。実習生はこれから技能を身に付ける人たちで、即戦力と期待するのには無理がある。それでなくても、技能実習の現場では、低賃金労働や時間外労働の強制などの違反行為が相次いで発覚している。介護現場でも同じような問題が繰り返されないという保証はない。支援の対象者には、寝たきりの高齢者や認知症の人もいる。必要なのは個々のニーズに応えるプロの介護力だ。実習生頼みでは、混乱やサービスの低下を招く恐れがある。介護には、利用者や家族の声を聞き取る高い日本語能力と技能、経験が要求される。実習生を活用するというのであれば、言語と専門技能を習得した段階で正規の戦力として迎える道を考えた方がよい。

<40歳定年制 !?>
*7-1:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20150129&ng=DGKKASDZ21HOQ_S5A120C1TJ2000 (日経新聞 2015.1.29) 「40歳定年」で次の挑戦 スキル・知識を磨き直し
 年金の支給開始年齢引き上げや医療の発達などで、60歳を超えて働く人が増えている。就職から40~50年働く時代。働き手は会社とどう向き合い、どうスキルを高めるべきか。「40歳定年制」を唱える東大大学院の柳川範之教授に聞いた。
―40歳定年制を唱える理由は何でしょうか。
 「75歳まで長く働けるようにするためだ。20歳すぎから同じ会社で75歳までバリバリ働くのは厳しい。時代の変化に応じ、知識やスキルを磨き直す機会が必要だ。いわば燃料補給だ」。「勉強したいという30~40代の働き手は多い。制度上、この年代で休むのが当たり前の社会にすればいい。自分を磨いたうえで同じ会社で働き続けてもいいし、転職してもいい。働き盛りの社員を休ませるのは難しいという会社は多いが、最初からその前提で人事を回せば不可能ではない」。
●企業の研修限界
―企業内でもスキルの向上はできるのでは。
 「企業内の人事・研修制度は限界にきている。まず産業の浮き沈みが激しくなっており、余剰人員の『適所』が社内にあるとは限らない。企業がM&A(合併・買収)で成長事業を手に入れても、衰退事業から全員をシフトできない限り、『社内失業』が発生する」。「社内教育も難しい。知見のない異分野のことを社内で教えるのは無理だ。外部講師を雇おうにも企業の研修予算はバブル期に比べ減っている」
―40歳での解雇の合法化と受け止め、不安視する働き手もいます。
 「知識やスキルが陳腐化した働き手を待つのは社内失業だ。企業が彼らを65歳とか70歳まで抱えられるならいいが、実際には経営が傾くと真っ先にリストラ対象になる。スキルアップの機会がないまま、55歳、60歳で職を失うほうがはるかにリスクは大きい。企業に余裕がなくなり、200万~300万人ともされる社内失業者が本当の失業者になると大変だ。再就職できるスキルを早めに身につけてもらう必要がある」。
●実践的な教育を
―参考になる海外の事例はありますか。
 「北欧諸国は解雇規制を緩くする一方で、失業者の再教育に資金を投じている。ただ金銭を与えるだけの『セーフティーネット(安全網)』ではなく、再就職のための反転力を身に付けてもらう『トランポリン型セーフティーネット』だ」。
―社会人への再教育を担える教育機関はあるのでしょうか。
 「大学を想定しているが、もっと実践的なカリキュラムが必要だ。企業の人にも参画してもらい、スキルアップのための教育プログラムを作らないといけない。専門学校や高等専門学校を拡充するアイデアもある」。
―副業を持つことも勧めています。
 「スキルアップの機会がないなら、副業を持つことで働き手のリスクを軽減できる。情報漏洩などの恐れがあるものは禁じるべきだが『ウチの仕事に全力を傾けろ』というだけの副業禁止規定はやめるべきだ。企業は働き手のキャリア選択をもっと応援してほしい」。
*やながわ・のりゆき 慶大経済学部の通信教育課程から東大大学院に進み博士号取得。2011年から現職。専門は経済学。長い海外生活が常識にとらわれない発想の原点だ。51歳。

*7-2:http://www.buaiso.net/business/economy/19313/ (BUAISO.net 2013年3月21日) 「40歳定年制」の真意~東京大学大学院経済学研究科・経済学部 教授 柳川範之氏~
●終身雇用という幻想
 「終身雇用についてまず総括しておきましょう。ひとつの企業の中でみんなが長く働き続けることには大きなメリットを感じますし、それが日本企業の特徴でもあると思います。しかし、残念ながら現在、ひとつの企業が50年、100年単位で成長を続けることはかなり難しい。経済環境の変化は昔に比べて格段に早くなっており、個人が20代のころに学校や企業で身につけた能力が40~50年間通用することも難しくなって、多くの場合、厳しい現実が待ち受けています。
この現状を踏まえると、皆でずっと同じ企業で働こうと思っても、外部環境の変化によって職種自体が消滅することが起き得るわけです。現在の仕事を遂行するための高度なスキルを身につけていても、技術革新や海外へのアウトソーシングなどで仕事自体が失われた場合、自身に代替するスキルがなければ、ただ企業に在籍して社会保障的に給与を受け取るだけの存在になるかもしれません。日本経済が全般的に好調で、かつ財務状況に恵まれた企業に所属していれば『優雅なリタイア』も可能かもしれませんが、実際は企業も国際競争にさらされていて、すべての人を雇い続けていく余裕はないでしょう。終身雇用制と呼ばれるような長期雇用と年功賃金の組み合わせを実現できた企業は、ごく一時期のごく一部の企業に過ぎません。実際には多くの人々が正規・非正規ともに解雇や転職を経験しています。こうした現状を踏まえると、解雇されないことに神経を集中させるよりも、産業構造や外部環境の変化に適応してどのような能力を身につけるのか、一定のサイクルで自身をプラニングすることが大切かと思います」。柳川氏は、仕事全体をクリエイティブ職、事務処理職、単純労働職という3つに分類し、自動化やアウトソーシングの進展で事務処理職の仕事が減り、成熟国ではクリエイティブ職と単純労働職の二つに集約されていくだろうと予測する。既に事務処理職全体の仕事のパイが小さくなっているように、職そのものがなくなるというのは静かに進行している。
●人生の長期化、変化の高速化、能力の陳腐化
 産業革命により分業システムが確立した結果、ある程度の専門性を持っていれば職業人として長く活躍できるという前提があった。しかし今、大きな転換期が次々に訪れ、人生の長さと産業構造の移り変わりの尺度が合わない気がするというのが社会に生きる人の実感だろう。長い人生をお金を稼いで生きながらえるためには、何か根本的なところで人間が変化しなければならないのかもしれない。
「それがまさに40歳定年制を提言したひとつの大きなポイントなのです。幸せなことに人間の寿命は延びています。iPS細胞の開発などでさらに延びるかもしれません。しかし一方では、産業構造の変化が急速なため、技術や能力が10年から20年で陳腐化することも多々あります。昔なら若い時に身につけた能力や知識が死ぬまではある程度役に立ちました。環境が変わっても次の世代の若者に新しい技術を身につけてもらえば十分、という時代がずっと続いていました。だから企業は『終身的』雇用ができるし、個人は一度身につけた能力を磨き上げることで働き続けることができていたわけです。
 ところが、寿命が延びる、スキルは陳腐化する、となるとどうでしょう。一回の充電(学び)で終着駅に向かうというのは無理で、2回か3回か、どこかの停留所で環境の変化に合わせた能力開発か何かの学び直しの充電をしないと長く働くことができないですよね。実はこれは世界的に起きている問題です。多くの国で若年失業とある程度年をとった人の働く場所の確保が同時に問題になっているのです。環境変化に合わせた能力開発を提供できないために若年者の雇用にしわ寄せがいくという構造のため、変化に合わせた新しい能力をどのように各世代に身につけさせるかということが課題になっています。そこでどの国も『教育、教育』と言い出しているんですね。世界のあらゆる場所に共通する構造的な潮流があるのだと思います」そして、急速に少子高齢化が進む日本では、この流れがより顕著な形で現れてきているのです。
*柳川範之(やながわのりゆき)
 1963年生まれ。小学校をシンガポールで卒業、高校時代をブラジルで過ごした後、大学入学資格検定試験合格。慶応義塾大学経済学部通信課程卒業。東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。経済学博士(東京大学)。東京大学大学院経済学研究科 経済学部 教授。著書に『法と企業行動の経済分析』(日本経済新聞出版社)、『独学という道もある』(ちくまプリマー新書)、投資家水野弘道氏、プロ陸上選手為末大氏との共著『決断という技術』(日本経済新聞出版社)などがある終身雇用という幻想


PS(2015.2.26追加):*8は、文脈から見ると、韓国にはまだ女性にのみ姦通罪があったようで、日本より男女不平等である。 ぎょ

*8:http://www.saga-s.co.jp/news/national/10201/160710
(佐賀新聞 2015年2月26日) 韓国が姦通罪廃止、憲法裁が違憲判決
 韓国の憲法裁判所は26日、同国の刑法にある姦通罪は憲法違反だとする判決を出し、同罪は即時廃止された。憲法裁は過去4回同罪を合憲と判断していたが、異性との性的関係の自己決定権を重視すべきだとの社会の風潮が反映された。2008年の最後の合憲判決後に同罪で起訴された約5400人が再審を申請すれば全員無罪になる。憲法裁が違憲判断を出すには9人の裁判官のうち6人が同意する必要があるが、今回7人が違憲だと判断した。

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